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中国がテストした新兵器FOBSを巡る米国防省の動き [オースチン国防長官]

10月27日のMilley統参議長発言で国防省の懸念表面化
同日の国防省報道官会見でも発言
6月から中国タスクフォース編成し隔週で会議開催

Austin.jpg10月27日、Milley統合参謀本部議長が8月に中国が実施した新兵器FOBSに関する危機感をTVインタビューで明らかにし、また本件関連でKirby国防省報道官がAustin国防長官が主宰する対中国検討会が定期開催されている様子を記者会見で語っていますのでご紹介しておきます

まず、10月中旬にFT誌が最初に報じた8月に中国が実施したとされるFOBS(Fractional Orbital Bombardment System)試験ですが、中国は宇宙技術開発試験だと認めていませんが、FOBSは低角度で発射され150マイル程度の宇宙低軌道レベルにしか上昇しない核搭載ミサイルで、一般のICBMが北米大陸北極海沿岸のICBM警戒レーダーで米本土着弾の30分前に探知されるのに対し、FOBSは低高度で探知されにくく、5分程度の対処余裕しかないとされるものです

FOBS.jpgまたFOBSは、米国のミサイル防衛監視網がない南半球経由で米本土を攻撃することも原理的に可能で、「背後から攻撃可能」な新兵器と言われています。この兵器はフルシュチョフ時代のソ連が1970年代に一時保有していましたが、潜水艦搭載のSLBMが開発され、1970年代後半に戦略兵器制限条約SALTⅡで弾道保有上限が議論されるにつれて役割を終えたものです

FT誌が10月に入って報じる前、9月下旬にKendall空軍長官がぼんやり危機感を語っており、米国防省としてフォローしていたと思われますが、FT誌報道の際に国防省報道官はコメントを避けていました

9月下旬に空軍長官がFOBSの存在を示唆
「空軍長官:中国が亡霊核兵器FOBS開発の可能性示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-21

Milley.jpgところが10月27日放送のBloomberg TVのインタビューでMilley統参議長が、中国が新型の核搭載可能な極超音速兵器試験を実施したことを認め、「我々は極めて重大な極超音速兵器システム試験を目撃した。極めて憂慮すべき状態にある」、「スプートニク・ショックのようだと例えるのが適当かわからないが、極めてそれに近いものと私は考えている。我々皆が強い関心を持っている」と発言する様子が放映され、米国防省の危機感が明らかになりました

そんな中、同27日の記者会見でKirby国防省報道官が、Austin国防長官の指示で6月に中国タスクフォース編成し、隔週で主要幹部や軍人リーダーを集めた会議を開催していること等を説明していますので、ご紹介しておきます

10月27日付米空軍協会web記事によれば
Kirby.jpg●Austin国防長官は1月の国防長官就任前の議会証言で、中国を米国防省にとっての「pacing challenge」と表現し、機会あるごとに中国の攻勢的な動きや軍事技術進歩に警戒を示してきた

●その流れで国防長官は、6月にインドアジア太平洋担当Ely S. Ratner国防次官補代理をリーダーとするTask-Forceを立ち上げ、精力的に専門家への聞き取りや関連レポート等文献のレビューを実施させている

●また、Task-Forceが事務局を務め、長官が主導するブリーフィング&検討会を隔週で計画し、各軍種の長官や参謀総長、地域戦闘コマンド司令官、その他関係幹部を参加させ、情勢報告のほか、作戦コンセプトや訓練計画、予算配分や優先事業などなど、「世界的な体制見直し:global posture review」や次の「National Defense Strategy」に繋がる議論が行われている
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FOBS2.jpgKirby国防省報道官の会見とBloomberg TVのMilley統参議長インタビュー放送の時系列関係が不明ですが、10月27日を境に、「FOBS」との兵器が新たな安全保障上の大きなトピックになったということです

まんぐーすも即席Google勉強の途上ですが、以下の過去記事に若干の解説を乗せていますので、ご興味のある方はご覧ください

FOBS解説の動画(約15分)


9月下旬に空軍長官がFOBSの存在を示唆
「空軍長官:中国が亡霊核兵器FOBS開発の可能性示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-21

米軍の極超音速兵器開発
「米陸軍の極超音速兵器部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-14
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-28
「最近の状況整理&米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「豪州とも協力」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-01
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-28
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

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苦悩深く:米本土米軍基地にアフガン避難民5.3万人 [安全保障全般]

問題ある避難民はコソボの基地へ転送(期限1年間)
既に一般米国社会に6700名が解放
だが既に米軍基地内や米社会で女性を襲う事件が

Afghan evacuees3.jpg10月25日、米国防省のKirby報道官が記者会見で、米国が受け入れることにしたアフガニスタン避難民の状況について説明し、約5.3万人が米本土の米軍基地8か所に分散収容されており、各基地にとっては相応(commensurate)の負担ではあるが、「We’re very proud of the role」で、各基地の即応態勢には問題ないと気丈に語りました

ただ、そんなに単純な任務であるはずがなく、米国からの報道にはアフガン避難民が巻き起こす問題が取り上げられるようになり、既に問題ありで「コソボの米軍基地」に送られた避難民もいるとの事で、将来にわたる米国社会全体への影響は小さくないいことを予感させます

9月上旬の状況(北米軍司令官談)
Afghan evacuees2.jpg●北米8か所の基地に約25000名の避難民を受け入れ済で、同時に受け入れ施設インフラの拡張を進めており、受け入れ可能数が合計50000名の「8つの小さな都市」が生まれることになる
●8つの基地には、Joint Base McGuire–Dix–Lakehurstと、Holloman空軍基地が含まれる

10月25日のKirby報道官説明
●米本土への移動に備え、ワクチン接種やセキュリティーチェック等の手続きを行ってる途中の避難民が、米中央軍担当エリアの諸外国に約3000名、欧州軍エリアに463名いる
Kirby.jpg●北米8か所の基地に53157名の避難民を現在受け入れているが、済に6689名が米軍基地を離れ、米国市民として米国内で新たな生活に向けたスタートを切っている

●我々はアフガンで米国に協力してくれた避難民ケアの任務を誇りに感じ、国内外の受け入れ先現場で対応に当たる国防省職員や兵士は、避難民が米国市民としての生活に円滑に移行できるよう、熱意をもって日々取り組んでいる
●当然、相応の負担が各基地や各担当者にのしかかっており、普段以上のリソースを対応に投入しているが、基地本来の任務に対する即応態勢は維持されており、今後もその点で問題がなきよう注視していく

Afghan evacuees5.jpg●(何名かの避難民に手続き途中で懸念が生じ、コソボのCamp Bondsteelへ家族を含め移送されたとの報道に関し、)関連省庁や米国政府機関から必要な追加要員をコソボに派遣し、対応している
●なおコソボとは、アフガン避難民を365日以内にコソボ国内から移送することで、(一時的な移送に)合意している
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米軍事情報サイトを横目で見ているだけでも、既に避難民を受け入れている米軍基地で女性兵士がアフガン避難民に襲われたとか、米国社会に出た避難民が米国の一般市民女性を襲ったとの記事が出始めており、「We’re very proud of the role」との報道官の言葉の裏に、苦悩が既ににじみ出ています

Afghan evacuees6.jpg米国が受け入れる避難民の総数を記事から計算すると計約63000名ですが、米国との人口比で考えると、日本で約2.3万人受け入れることを意味します

今後様々に報道されるのでしょうが、文化の異なる人々をこれほどの規模で受け入れることは、あまりにも重い・・・と思います

アフガン避難民関連の記事
「アフガン避難者輸送作戦最初の10日」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-24
「C-17輸送機1機に823名も」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-22
「アフガン語通訳1.8万人を特別移民認定へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-26
「タリバンに渡った米国製兵器」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-30

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欧州米空軍がACE構想の準備状況確認演習 [米空軍]

ギリシャ空軍基地を中心に
Operation Castle Forgeとの多国間演習で
米本土からF-15E部隊を受け入れ

F-15E Greece.jpg10月6日、細部は不明ながら欧州アフリカ米空軍は、米本土からF-15E部隊をギリシャ空軍基地に招き、欧州アフリカ米空軍のACE構想(agile combat employment)準備体制を確認するための演習「Operation Castle Forge」を実施すると発表しました

ACE構想(agile combat employment)とは、航空戦力を従来のような設備が整った大規模航空基地(敵からの攻撃に極めて脆弱)から運用するのではなく、戦力を小規模単位で分散し、設備不十分な多数の拠点から運用することで敵の対処を困難にさせつつ、味方の戦力発揮を可能にする構想で、対中国を強く意識した作戦運用構想ですが、太平洋軍だけでなく全世界の米空軍部隊が有事に備えACEに取り組んでいます

F-15E Greece2.jpgBrown空軍参謀総長は、ACE構想の約6-7割は全世界の米空軍で共通だが、地域特性により細部の必要要件が異なることから、米空軍としてACEに関するIOC(初期運用態勢)確立基準は定めず、各地域空軍司令官に任せるとの考えを示しており、Jeffrey L. Harrigian欧州アフリカ米空軍司令官も地域任務を踏まえた体制構築に取り組んでいるところです

ACEについては末尾の過去記事のように約4年前からフォローしていますが、太平洋空軍隷下ではグアムやその周辺のサイパン・テニアンなどマリアナ諸島で、日本では三沢部隊や岩国基地で、欧州ではポーランドの基地で、また中東のUAE展開先でもACE構想を念頭に置いた訓練が各種レベルで確認されています

Larissa Air B.jpgただ、航空戦力を設備不十分な基地で分散運用することは特に兵站支援面で困難が伴い、2020年11月に米空軍の若手士官が研究論文で示したように、「輸送力の確保」「装備や燃料弾薬の事前調達と集積」「少人数で部隊運用を支えるための多能兵士化」などなど課題が山積みで、例え部隊司令官が初期運用態勢確立を宣言しても、その実情は心もとない点が多いのが現状でしょう

「米空軍若手がACEの課題を語る」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-13

それほど単純でないACE構想ですが、欧州アフリカ米空軍の取り組みをご紹介しておきます

6日付米空軍協会web記事によれば
Harrigian.jpg●4日、ノースカロライナ州Seymour Johnson空軍基地所属のF-15E部隊が、欧州アフリカ米空軍主催で計画されている演習「Operation Castle Forge」に参加するため、ギリシャのLarissa空軍基地に到着した(展開規模は不明)
●Harrigian欧州アフリカ米空軍司令官は演習の狙いを、黒海地域の集団安全保障とダイナミックな多国間パートナーシップ構築強化に焦点を当てたものだと説明し、体制準備を進めてきたACE構想遂行の在り方を確認する機会でもあると語った

●同司令官は9月の米空軍協会のイベントで講演し、「最初は米空軍兵士がコンセプトに沿って動きを見せ、徐々にパートナー国も含めて同構想を温め、共に革新的な対応手法を導き出していきたい」と語っていたところである
●ただ今回の演習に参加する欧州アフリカ空軍部隊についは明らかにされておらず、またACE構想に沿った態勢確立に何が必要かについても同空軍は言及していない

●欧州アフリカ空軍報道官は、隷下のいくつかの部隊は既にACEに関するIOC確立宣言を行っているが、欧州アフリカ空軍としてIOC宣言を行っていないと述べる一方で、近い将来にHarrigian司令官が判断することになろうとコメントしている
●同司令官は9月の講演で、演習を通じて前線部隊が革新的なアプローチを確立することで、米空軍要求レベルに達することができるだろうと述べており、本演習の意義は大きい

Brown.jpg●Brown空軍参謀総長は、過去約30年間に渡り中東を中心とした設備十分な大規模基地での作戦運用に慣れてきた米空軍兵士には、設備不十分な場所での自律的な運用経験が乏しいと認めてつつ、
●「例えば大尉レベルには、アジア太平洋地域で極めて重要な役割を担う(マリアナ諸島の)テニアン島で任務を担う知見が不足しているが、彼らの潜在能力は高く、訓練の機会を与えることが大切だ」と語っている
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Harrigian司令官の発言には、「particularly in coordination with our partners」とか、「focused on a dynamic partnership」とか、ACE構想の体制準備や遂行には、同盟国の協力が不可欠だとの思いがあふれています

Castle Forge3.jpgもちろん分散運用する展開先は米本土ではありませんから、新たな根拠基地となる飛行場保有国には大いにお世話になる必要があり当然ですが、日本も当然一役買う必要があろうと推測いたします

以下の過去記事もご参考に、大いに日本の役割をご想像いただければと思います

米空軍のACE構想関連
「F-22が岩国展開訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-13
「電動ヘリeVTOLで構想推進」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-02
「F-15EにJDAM輸送任務を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-04
「GuamでF-35とF-16が不整地離着陸」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-28
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-13
「中東派遣F-35部隊も」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「三沢で訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-21
「太平洋空軍がACEに動く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-12
「太平洋空軍司令官がACEを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「F-22でACEを訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-03-08

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INFの呪縛を解かれ米陸軍PrSMが射程500㎞越え [Joint・統合参謀本部]

飛翔距離は非公開ながら499㎞越え目的の試験で
米陸軍の遠方攻撃力強化の中核兵器
更なる射距離延長を検討中だが
米空軍からの強い反発も意に介せず

PrSM3.jpg10月14日、米陸軍から「Tactical Missile System」後継として長射程ミサイル開発を請け負っているロッキード社が、開発中のPrSM(Precision Strike Missile)の射程延伸試験(13日)に成功したと発表しましたが、具体的な射距離については公表を避けました

米陸軍は対中国正面の戦力運用として、射程が異なりつつ重なる様々な兵器を保有し、中国正面の様々な場所に機動的に配備することで、中国A2ADの目標選定を混乱させつつ、敵艦艇を含む敵に打撃を与える運用を考えており、従来保有の大砲や多連装ロケットの他に、より長射程の極超音速兵器やPrSM配備を構想しています

PrSM5.jpg米陸軍はこのPrSM開発契約をロッキード社と2020年初頭に結び、これまでに射距離85㎞、180㎞、240㎞の試験を行い、2021年5月には400㎞の試験にも成功しています。ちなみに、この3つの射程では、高く打ち上げて射距離を調整する85㎞試験が最も難易度の高いそうですが、多様な射程で攻撃できることが中国を混乱させる上で必要なようです

10月13日の試験は、射程499㎞を超えることを目標に実施された様ですが、この距離は米国がトランプ政権下の2019年にINF(中距離核戦力500~5000㎞)全廃条約から離脱したことで導入可能となったものです

PrSM4.jpgPrSMは2023年度(2022年10月~)に初期運用態勢確立を目指しており、今年9月末から、これまでの開発フェーズから生産製造開発(engineering and manufacturing development)フェーズに移行すると発表されていたところです

米陸軍は更なる射程延伸投資の費用対効果を検討中で、2022年度中には要求値を固める模様で、まだ射程延伸試験は続きそうです。

14日付Defense-News記事によれば
PrSM2.jpg●5回連続の試験発射成功となった13日の試験を受け、ロッキード社のPaula Hartley戦術ミサイル担当副社長は、「PrSMは引き続き、要求される射距離と性能を満たす取り組みを続けていく」、「基礎的性能として更なる射程能力を示すことができ、陸軍の近代化優先要求にこたえることができた」とコメントを出している

●また陸軍は、2021年実施の全ドメイン指揮統制改革(Project Convergence campaign of learning)試験演習にPrSMを参加させ、統合戦力のセンサーや指揮統制システムの中での運用法検討を進めている
●ロッキード社は演習での発射レートなど細部への言及を避けたが、PrSMは2台の発射機を横に並べ、交互に発射させるような運用を行ったようである

PrSM6.jpg2023年の運用開始までには射程延伸に加え、移動艦艇攻撃等にも対応可能なミサイルシーカーの能力強化や破壊力の増強に取り組むことになる
●ただ米陸軍Futures Commandは今後の射程延伸構想を決定しておらず、同副社長は「非常に難しい選択になるだろう」と費用対効果の検討の難しさに言及しつつ、これまでのところは開発資金に問題はないと語った
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米空軍はこのような米陸軍や海兵隊の動きを、遠距離攻撃兵器が高価で、大規模紛争での4-6万もの攻撃目標を遠方精密誘導兵器で対処するのは国家破産につながると、陸軍や海兵隊の取り組みを厳しく批判し、現実的なWarGameやシミュレーション結果を素直に見つめろと主張しています

PrSM.jpg米空軍の領域を犯す陸軍海兵隊の動きのけん制とも見え、軍種間の予算抗争の一面もありますが、米空軍の主張にはもっともな面もあり、最近話題の「ゲームチェンジャー」極超音速兵器など、高価な遠方攻撃用ミサイルだけでは大規模紛争に決着をつけることが不可能なのも厳然たる事実でしょう

その辺りの全体を見渡し、仕切っていくのが統合参謀本部であり国防省の役割だと思うのですが、それがそうでないのが世界中の軍隊の現状でもあります。敵と戦う前に、陸海空軍内の戦いで疲弊するという「いつか来た道」です

INF全廃条約関連
「トランプが条約離脱発表」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-1
「露は違反ミサイルを排除せよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-06
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15

陸軍と海兵隊の遠方攻撃傾倒
「米陸軍トップが長射程攻撃やSEADに意欲満々」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-12
「米陸軍は2023年から遠方攻撃兵器で変わる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-09
「海兵隊も2つの長射程ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「射程1000nm砲に慎重姿勢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-10
「射程1000nm砲の第一関門」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-15

米空軍による陸&海兵隊批判
「米空軍トップが批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
「空軍ACC司令官が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「空軍大将が米陸軍を厳しく批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-03

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中国空軍が超旧式J-6改良無人機部隊写真を公開 [中国要人・軍事]

中国はJ-6改良無人機の存在を認めていないようですが
かねてから噂の台湾から約400㎞の基地らしい
J-6改良無人機は台湾正面の2基地で以前から

J-6 unmanned.jpg10月20日付Defense-Newsは、中国軍東部軍管区アカウントの中国版ツイッター「Weibo」が、初めてJ-6戦闘機改良型の無人機とその部隊の写真を公開したと紹介しています。ただし中国軍は、J-6戦闘機を無人機に改良したとは公式に認めていないようです

中国空軍のJ-6戦闘機は、1950年代にソ連で開発製造されたMig-19の中国版で、初期型はレーダー装備もない初期のジェット戦闘機ですが、中国空軍では2021年になってやっと公式に退役が発表された機体です

しかしその後の2013年頃から、J-6の無人機改良型が台湾正面の2つの基地(共に台湾から270マイル・約400㎞の距離の福建省Liancheng基地、広東省Xingning基地)で確認されるようになりました

J-6 Liancheng.jpg福建省のLiancheng基地では、9月15日に撮影された西側商用画像で約50機のJ-6改良無人機が整然と並ぶ様子が確認されており、広東省Xingning基地でも2020年4月の衛星写真で約30機の同型機が確認されているようです

J-6改良型無人機が新たな脅威だとは考えにくく、恐らく敵防空組織を飽和させたり、初期的な無人機として特攻攻撃のように使用される程度だと考えられますが、朝鮮戦争時代の「化石」戦闘機が今なお現役で部隊編成されていることが今になって公式に表明された点が「?」で興味深く、話題となっていますので、とりあえずご紹介しておきます

10月20日付Defense-News記事によれば
J-6 Liancheng2.jpg●Weibo上で東部軍管区が公開した写真は、当該部隊が2021年後半の訓練最栗を開始する式典の様子で、2機のJ-6改良無人機がセレモニー用に配置されている
●ただし公開された写真は、基地名や部隊名や機体番号が明らかにならないよう関連表示部分が「ぼかし処理」されている。一方で、中国軍の情報公開の習わしとして、この処理がなされているということは、部隊や機体が実戦配備状態にあることを示す証拠でもある

●式典写真がどの基地で撮影されたかは不明で、式典で使用されている横断幕の表示も「ぼかし処理」されている
●映っている2機のJ-6型無人機は塗装なしの状態だが、翼下には搭載物を装着可能なハードポイントが3か所準備されていることがわかる

●また、2013年以降に衛星写真等で確認された画像では、2つの基地の異なった複数の場所でJ-6が確認されており、実際に使用している証拠と考えられてい
●ただし中国は、J-6戦闘機を無人機に改良したとは公式に認めていない
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J-6 unman.jfifWeiboの東部軍管区アカウントをまんぐーす自身が確認できておらず、公開された写真にどのような説明が付記されていたか不明ですが、Defense-NewsのMike Yeo記者は、以前から噂のJ-6無人機部隊のものだと疑いなく記事にしています

日本時間21日には、Defense-Newsの記事別アクセストップにYeo記者の本記事がランキングされており、様々な過去からの情報を基礎に、本記事が読者に受け入れられているものと思います。

アリがちなのは、多量に退役したJ-6戦闘機を、さほど役立ちそうもないのに、当時の中国軍幹部の「鶴の一声」で無人機に改修する羽目になり、維持せざるを得ない状況で、士気高揚のためSNSで取り上げてみた・・・とのストーリーです。完全なまんぐーすの邪推ですが・・・

最近の中国軍記事
「中国軍ステルス機数が2025年までに米軍越え!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-10
「中国が年内に新型空母艦載機披露へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-05
「中国版EA-18Gが中国航空ショーに」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-29

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ひどすぎる現場対処を酷評:艦艇火災喪失事故報告書 [Joint・統合参謀本部]

メインの泡消火装置について誰も操作法知らず
その他消火設備も約9割が整備不良で点検もせず
火災発見から10分以上も火災警報装置を作動せず
放火が火元も、艦艇喪失は艦の問題だと主要幹部を断罪

Bonhomme.jpg19日付Military.comは、2020年7月に二等水兵の放火による大火災に見舞われ、2021年4月に修理不能で廃艦が決定した「虎の子」のF-35B搭載可能な強襲揚陸艦Bonhomme Richardに関する事故調査報告書の概要を紹介し、同艦艇の火災対処訓練、関連設備維持整備、艦内艦外連携、管理体制等が全くでたらめであったことから艦艇を失うに至ったと、太平洋艦隊幹部を含む30名以上の責任を厳しく追及する内容だと取り上げています

同艦はF-35B搭載揚陸艦にする2年間の改修工事終了間際で、米海軍が4隻改修を進める中の貴重な1隻で、その廃艦は米海軍&海兵隊にとって大打撃で、その穴埋めとして無理やり英空母エリザベスに米海兵隊F-35Bを搭載し、アジア太平洋まで遠征させたのではないかと言われるほどでした

fire stations2.jpgそんな戦力運用上の大打撃の他に、今回の米海軍艦艇管理のずさんさを暴いた報告書の内容は衝撃的で、艦長以下の主要乗艦幹部だけでなく、太平洋艦隊幹部や消火設備の修理補給に当たる地上勤務の幹部までやり玉に挙がっており、「何をやってもダメな米海軍」との陰口沈静化には程遠い状況で

AP通信が入手したとされる報告書は、正式には米海軍副参謀総長に提出され、処罰は太平洋海軍司令官が決定するらしいですが、問題点として指摘された一部についてご紹介しておきます。艦艇が長期停泊中で、乗員の士気が低下している状況だとしても、あまりにもひどいと思います

19日付Military.com記事による主要問題点
●出火の原因は放火だが、艦艇の喪失は、消火能力の低さが原因で、各所で繰り返された準備不十分な乗員による非効果的な消火活動によってもたらされたものである

foam system.jpg●同艦艇の主要な消火システムである「あわ消火システム:firefighting foam system」は本火災において使用されず、火災の拡大を抑え遅らせる機会を逸しているが、聞き取りをした関係者全員が同システムの操作法を知らないか、またはその存在さえも知らなかった。また同装置は適切に維持されていなかった

●火災を発見後、火災発生を艦内に知らせ、火災対処活動開始の発令につながる「火災警報アラーム」が10分間鳴らされず、消火要員の集合編成、火災対処防護装具の装着や消火ホースの準備等の初動対処が遅れ、当日の乗員133名の内60名が、火傷や煙の吸引で等で手当てを受けたることにつながった

●消火関連装備のメンテナンス報告が改ざんされ、艦内消火器具の87%が問題を抱えるか点検されていない状態だった
●艦内は整理整頓がなされず混乱しており、多くの可燃物が乱雑に大量に放置され、火災の急速な艦内拡散につながった

fire stations.jpg●艦内での火災対処訓練は、パターン化した能力強化につながらないおざなりな訓練で、乗員の参加数は最低限レベルで継続され、乗員の火災対処に関する基礎的知識が欠如していた
●港湾の文民消防組織との連携や訓練は実施されておらず、火災時も乗員と艦外から支援に駆け付けた消防隊員との連携は適切には程遠かった

●発火点は、放火犯として逮捕された2等水兵の勤務エリアである船底に近い区域だが、極めて発火性の高い液体が発火点近くで見つかり、複数の消火栓で消火ホースが抜かれるなど不正改ざんが確認されている

Brown Navy.jpg●本火災事案を受け、米海軍は過去12年間の15件の艦艇火災事案をレビューし、火災予防や火災早期探知や初動対処など、同種の問題が再発している状況を再確認し、米海軍が対処を行っている

●艦艇の喪失に直接的に責任を有すると名指しで指摘された幹部は
・退役済の太平洋水上艦隊司令官(中将)、太平洋艦隊整備部隊司令官(少将)、米海軍艦艇整備司令官(少将)、地域整備センター司令官(少将)、サンディエゴ海軍基地司令官、第5強襲揚陸軍司令官など
・同艦艇艦長、同艦艇NO2、Command Master Chief
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Bonhomme2.jpg最近の米海軍は、装備品開発では予算超過と開発期間超過、ついでに期待の性能発揮ができないケースが沿岸戦闘艦LCSやフォード級空母で連続し、部隊運用でも艦艇の衝突や事故が頻発、艦艇修理も補給処の根深い問題と予算不足で遅延が頻発、更にはシンガポール港湾業者による海軍士官へのワイロ事件などもあり、「何をやってもダメな米海軍」とのレッテルを議会や専門家から貼られる厳しい状況です。

米海軍人トップの選考でも、ダントツの本命で期待の星と言われた人物が、就任直前に不適切な業務処理で候補から外れ退役となり、予想外の人物が現在の海軍人トップを務めているなど、前線部隊が盛り上がらない負の話題がてんこ盛り状態です

約400ページの報告書らしいですが、ある意味米海軍の縮図のような内容なのかもしれません

虎の子:F-35B搭載用強襲揚陸艦の火災喪失
「F-35搭載用強襲揚陸艦火災の衝撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-15

米海軍の課題&問題の一端
「3大近代化事業から1つを選べ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-09
「第1艦隊復活を検討中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-20
「F-35搭載用強襲揚陸艦火災の衝撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-15
「コロナで艦長と海軍長官更迭の空母」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-27
「空母や艦艇修理の3/4が遅延」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-22
「空母フォード責任者更迭」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-08
「NGADの検討進まず」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-17
「米海軍トップ確定者が急きょ辞退退役へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-09

キューバ移民が初めて海軍長官に
「4つのCで海軍を導く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-20
「新海軍長官のご経歴」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-14

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AC-130用レーザー兵器の企業地上試験終了で空軍へ提供 [米空軍]

当初は2019年末までに搭載実用化予定だったが
今後空軍で機体システムとの融合や地上試験を経て飛行試験へ

AC-130 HEL2.jpg10月6日、米空軍特殊作戦軍のAC-130に搭載予定のレーザー兵器(HEL:High Energy Laser)を開発中のロッキード社が、米空軍による受領試験を突破したと発表しました

ロッキードの担当副社長が、「米空軍による受領検査の終了は、極めて大きな節目である」、「この成功の節目は、レーザー兵器開発の重要な進歩における、わが社と米空軍との協力関係の証である」と成果をアピールしています

米空軍は2019年初めにロッキード社と同機搭載HELの開発契約を結んでいましたが、HELを受け取った米空軍は今後、AC-130の他システムとの融合試験や、地上でHEL試験を経た後、飛行テストに進むものと考えられます

ただ、ここまでの道のりは順調ではなく、今後の道のりも、恐らく容易ではないと推測されます。

AC-130 105mm.jpgAC-130は、30㎜機関砲や105㎜キャノン砲のほか、AGM-176A GriffinやHellfireミサイル、更にGBU-39/小口径爆弾SDBを搭載可能な重武装航空機ですが、HEL搭載に向け、少なくとも2016年時点で既に、2019年末までの実用化に向け、30㎜機関砲や105㎜キャノン砲を取り外し、試験機用のクルーまで待機させて準備万端の状態だったのが、2021年10月の受領試験まで遅れに遅れたのが実態です

以下でご紹介する2016年6月時点の状況以降、今現在までの間に、何があったのかフォローできていませんが、「いけいけドンドン」だった当時の米空軍特殊作戦軍司令官の発言等から、レーザー兵器開発の難しさを感じていただきましょう

2016年6月のHeithold米空軍特殊作戦軍司令官発言
Heithold3.jpg●2020年までに、AC-130J特殊攻撃機に「HEL」を搭載する決意だ。既に試験改修用にAC-130を1機と搭乗員等を、ニューメキシコ州の基地に準備している
●当該AC-130は、レーザー兵器を格納するスペースを確保するため既に105mm砲を取り外し、またレーザー発射機用に、風の影響を受けて振動しない翼前方の30mm機関砲の取り付け位置を空けている

●まず攻撃用レーザーから先に着手し、開発リスクの大きい、敵の航空機や地対空ミサイルを撃退する防御用レーザー兵器は後にする
AC-130 HEL3.jpg●開発の進捗状況にもよるが、60~120kwのHELを、地上の静止した車両や航空機、携帯電話中継タワーのような通信基盤の攻撃用を想定して推進している

●我がコマンドは同兵器搭載のAC-130作戦運用コンセプトを非公開の形で取りまとめ、国防省内の関係部署が同コンセプトの戦術や技術や使用手順を吟味している
●我々は、戦術核兵器を扱うのと同様の注意を払いつつ、レーザー兵器の交戦既定を形にした

一方、Heithold司令官と同じイベントの場で
Pawlikowski6.jpg●米空軍の研究開発を所掌するMaterielコマンドのPawlikowski大将は、話題が先行がちなレーザー兵器の現状に注意喚起し、特殊作戦コマンドの計画を用心深く支援する姿勢を示し、この様な複雑なシステム開発に猪突猛進することに警戒感を表した
Gunzinger3.jpg●CSBAのMark Gunzinger研究員は、適正な資金が確保できれば2020年までにプロトタイプの作成は可能だろうとの見方を示す一方で、実験室で完成していても、それを機内に搭載するには多くの技術的課題を克服する必要があると述べ、10年以内に可能かと聞かれればイエスだが、正しく、そして時間をかける必要があるだろう、とコメントしている
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AC-130-flare.jpg今後の予定について11日付Defense-News記事は何も触れていませんが、今年いっぱいで米空軍が機体システムとの融合や地上試験を行い、来年早めに飛行試験へ進みたいところでしょう。

ただ、精密機材であるレーザーは、機体の振動との相性が悪い様で、予断を許さないと想像いたします。米空軍関係者のコメントが記事に含まれていないことからも、そんな気がいたします

エネルギー兵器関連
「米議会がレーザー兵器開発に懸念で調査要求へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-08
「戦闘機防御用から撤退へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-01
「米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24
「F-15用自己防御レーザー試験」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-04
「エネルギー兵器での国際協力」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-27
「エネルギー兵器とMD」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「レーザーは米海軍が先行」[→]https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24
「無人機に弾道ミサイル追尾レーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-17-1
「私は楽観主義だ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-23
「レーザーにはまだ長い道が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-18

国防省高官がレーザーに慎重姿勢
「国防次官がレーザー兵器に冷水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「米空軍大将も慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24

夢見ていた頃
「AC-130に20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06
「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米企業、30kwなら準備万端」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「米陸軍が本格演習試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14-1

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米国がトルコにF-35の代わりに最新F-16提案か!? [安全保障全般]

トルコ大統領の発言:細部不明
共同開発国支出金1500億円の代わりに

Erdogan6.jpg17日付Defense-Newsは細部状況不明ながら、トルコのエルドワン大統領が10月17日、トルコがF-35共同開発国として支払い済みの約1500億円の代わりに、米国が何機かの最新型F-16を提供したいと提案してきたと明らかにしました

トルコ大統領が、どのような場で、誰に対してその発言をしたのか記事は伝えていませんが、バイデン政権誕生後、トルコはトルコ用に製造済のF-35をトルコ側に引き渡すか、共同開発国として支払い済の約1500億円を返金するかの選択肢を迫っていましたが、これに対する米国の回答が何機かのF-16であった模様です

F-16V3.jpgトルコは約200機のF-16戦闘機を保有運用しており、その中の旧式F-16約100機をF-35に更新し、残り100機を能力向上しようとしていましたが、以下に経緯概要を示すトルコ防空システム選定でロシア製S-400を選定輸入したことでトルコ防空システムを支えてきた西側諸国が反発し、トルコをF-35計画から排除することを米国トランプ政権下が2019年9月に決定し、製造済みトルコ用F-35は米空軍が購入することになっていました

F-35導入の道を断たれたトルコには、ロシアがSU-35やステルス機SU-57E売り込んだり、トルコ自身が国産ステルス戦闘機TF-X開発に本腰を入れたりとの動きがありましたが、ロシアからの輸入も、自国開発も進んでいるとの話は聞いたことがありません。また残り100機のF-16能力向上についても、計画が煮詰まっている状況にはないようです

S-400 4.jpgもう一つの視点として、欧州NATO諸国(ドイツ、ベルギー、オランダ、イタリア、トルコ)による「米国戦術核兵器シェアリング」任務で、有事必要時には、各国の戦闘爆撃機によりB61戦術核爆弾が運搬&投下する約束がなされていますが、この役割をトルコに継続させるため、長く使用可能な最新F-16をトルコに提供する意味も多少はあると考えられます

いずれにしても、エルドワン大統領の発言の細部の情報が待たれるところ、その予習として、米国とトルコとF-35を巡る経緯概要を復習しておきましょう

●2013年9月
---トルコ政府は中国CPMIEC製のシステムを約3600億円で調達すると決定
(この選定においてロシア製は「価格が倍以上」として不採用。他には米国製Patriotと、仏伊企業「European Eurosam」提案のSAMP-1が参戦していた)
---以後、米国やNATOが、中国製システムと既存の西側防空システムは情報保護の観点から連接不可能で、作戦運用上で極めて非効率で問題ありと強く抗議

●2015年11月
---トルコ政府が中国製を選択した決定破棄を発表し、国産開発の方向を示唆し具体的関係企業2社に言及
---一方で発表後も、米企業チームと欧州チームとも並行して売込み交渉を継続

●2016年10月
---イスタンブールで開催された国際会議に出席したプーチン大統領とエルドワン大統領が会談し、トルコがロシアにミサイル機種選定に参加するよう招待
(仮にトルコがロシア製を選択した場合、中国製と同様に、西側防空システムの情報漏洩への懸念から西側防空システムとの連接は不可能となるため、またF-35のステルス情報がロシア製SAMレーダーで暴露する懸念から、西側はトルコに翻意を促す)

●2017年2月
---2月12日、エルドワン大統領が、2013年から紆余曲折を経てきたトルコ防空システムの機種選定に関し、ロシア製「S-400」購入契約を結んだと明らかに
(以後も西側は継続して、トルコに対しロシア製SAM導入を断念するよう説得)

●2019年7月
---西側の説得にもかかわらず、トルコはS-400受け入れを断行し、装備がトルコに到着
---同年7月16日、トランプ大統領が「トルコ側に、F-35を売却できないと伝えた」と発表し、Lord調達担当次官は、共同開発国としてトルコが担っていた約900ものF-35部品製造については、2020年初めまでに米国を中心とした他国調達に切り替えると発言

●2020年10月
F-16 turkey.jpg---地中海諸国と共同演習を行っていた米空軍F-16を、トルコ軍のロシア製S-400レーダーがロックオンした事実が明らかになり、またトルコがS-400をNATOとロシアが対峙して緊張感が高いウクライナ近傍の黒海沿岸に配備する動きを見せ、米議会がトルコへの経済制裁をトランプ政権に要望
---トルコが担っていたF-35部品供給の代替先を見つけることが、コロナの影響もあり困難で、トルコからの部品供給を2023年まで継続せざるを得ない状況が明らかになる
////////////////////////////////////////////////

USA Turkey.jpgバイデン政権が誕生後も、両国間の探り合いが続いているのが米トルコ関係と認識しています

アフガンからの撤退の件もあり、米国内での求心力が急速に低下しているバイデン大統領ですが、トルコ関係はどうなるのでしょうか? 米国からのF-16提供案に対するトルコ側の反応と共に、気になるところです

米トルコ関係
「トルコへのF-35部品依存は2023年まで」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-10
「トルコの代わりに米で部品製造」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-27
「トルコをF-35計画から除外」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-17
「S-400がトルコに到着」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14
「米がトルコに最後通牒」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-09
「6月第1週に決断か」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-23
「トルコが米国内不統一を指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-2
「もしトルコが抜けたら?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-21
「ロシア製S-400購入の経緯」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-23 

「露がトルコにSU-35売込み大詰め!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-29
「プーチンがトルコ大統領にSu-57Eを売り込み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-28-1

戦術核兵器とF-35等
「F-35への戦術核搭載へ:投下試験終了」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-06
「米空軍に追加の戦術核は不要」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-04
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

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米国防省の兵器輸出責任者が怒りの辞任 [米国防省高官]

バイデン政権の「人道主義」で輸出手続き停滞
中東に中国が無人機猛烈輸出の中で米はお手上げ状態
トランプ合意のUAEへのF-35やサウジへの精密誘導兵器輸出も

Grant4.jpg13日、米国防省で武器輸出を取り仕切るDSCA(Defense Security Cooperation Agency)トップのHeidi Grant長官が、勤務15か月で辞任を表明(正式離職は11月7日)し、発表前日の講演で、バイデン政権の武器輸出への消極姿勢を非難する発言をしていたことから、怒りの辞任との見方が世界で報じられています

Heidi Grant長官は、昨年春から文民として初めてDSCA長官職に就任しましたが、その前に30年近く空軍省で勤務し、空軍関連装備の輸出や国家間協力を担当していた同分野のスペシャリストで、世界中に人脈がある人物として知られた方です

米国は、トランプ政権時に「人道主義」を前面に出したオバマ政権時の方針を大きく転換し、武器輸出に積極的な姿勢を見せ、イスラエルを説得してUAEへのF-35輸出交渉を進め、「MTCR(ミサイル技術管理レジーム)」解釈変更による攻撃型無人機輸出への道を進んでいました

Grant5.jpgしかしバイデン政権は、発足当初こそ中国やトルコ等による中東などへの無人機輸出攻勢や、イランの軍事脅威を意識し、武器輸出に関するトランプ政権の方向性を維持する姿勢と報じられたものの、その後は全く動きがなく、UAEへのF-35輸出やMTCR解釈に関しても、全く動きがみられない状況が続いています

米国の武器輸出に慎重な勢力は、イエメン等の紛争地域で民間人が犠牲になる恐れや地域の軍事バランスを不安定化させる懸念、軍事技術の海外流出を懸念材料としていますが、Grant長官は、米国が進出しなければ他の競争者が進出するだけだ・・・と、中国等がその穴を埋めるだけだと警鐘を鳴らし続けていたところでした

13日付Defense-News記事によれば
Grant6.jpg●退任発表前日の12日、Heidi Grant長官は米陸軍協会総会で武器輸出に関するパネル討議に登壇し、米国が中東諸国などに無人機を売却しない姿勢を保っていることで、中国による無人機輸出を許すことになっていると不満を述べている
●同長官は「米国が無人機をそれらの国に提供し、使用法を訓練し、相互運用性を高め、当該地域で存在感を示して長期的な友好関係を構築するチャンスがあったのに・・・・こんな状態だから」と講演で悔しさをにじませた

Grant-AFA2.jpg●また同長官は、地域の軍事バランスを崩さないことや機微な軍事技術の流出を避けるためとの理由で武器輸出に反対する勢力に対し、戦略的競争環境は既に変化しており、従来の考え方を変えるべきだとと述べた
●そして「我々が出ていかなければ、戦略的敵対者がその空白を埋めるだけだ。技術流失のリスクより、そのリスクの方が大きいのではないか?」と疑問を呈した

●バイデン政権の初期、バイデン政権がトランプ政権の武器輸出緩和姿勢を概ね引き継ぐとの観測報道も見られたが、8月にはロイターが、バイデン政権が議会に、人権を重視する立場から兵器輸出方針全体を見直すと説明したと報じている。この件についての続報はないが。
Grant7.jpg●バイデン政権は、トランプ政権が合意したUAEへの約2兆5000億円のF-35輸出や、サウジへの約8500億円の精密誘導兵器輸出を無期限停止にしたままである

●ちなみに、DSCA報道官は「長官は以前から辞任のタイミングを検討しており、DSCAが組織改編して新たな態勢への変革を実施したタイミングで辞任を判断したものだ」と、前日の講演での発言との関係を否定している
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まんぐーすはGrant長官支持派で、中国に空白を埋められるぐらいなら、米国が進出すべきだ・・・と考えますが、単純すぎるでしょうか?

Grant9.jpgHeidi Grant女史の辞任の真の理由をご本人は語っていませんが、11月7日以降のご発言に期待いたしましょう

なお14日、ボーイング社はGrant女史を11月8日付で、同社の「defense, space and government services sales teams」担当副社長として迎えると発表しています。手ごわそうです

中国無人機が中東で増殖中
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「中国無人攻撃機が中東で増殖中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-06-2

中東へ初のF-35輸出はUAEか
「バイデン就任直前に輸出契約か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-11
「イスラエルがUAEへのF-35に事実上合意」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-26
「米大統領:UAEへのF-35輸出は個人的にはOK」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-18

米国の武器輸出管理の緩和問題
「半年以内に武器輸出制限を緩和したい」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCR解釈変更で無人機輸出へ?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-25
「国防次官:半年で武器輸出規制緩和へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「2018年の武器輸出促進策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-2
「中国無人攻撃機が中東で増殖中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-06-2
「輸出手続きの迅速化措置」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「肩透かし無人機輸出緩和」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-3
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06
「無人機輸出規制の見直し開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04

Heidi Grant女史:空軍省時代のご活躍
「同盟国等へ:米軍の弾薬を今後頼りにするな」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-11-21-1
「米空軍幹部が企業に海外売り込み助言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-02-27
「欧州とISRや空中給油や空輸で協力模索」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-04-02
「陸軍国が航空戦力強化に関心」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2013-09-28

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米陸軍の極超音速兵器部隊が実ミサイル以外を受領 [Joint・統合参謀本部]

本格開始の発射試験準備と並行して部隊づくり
早速VRトレーニングで部隊運用準則TTP準備へ
2023年中の部隊配備を目指し懸命の努力

Army hypersonic2.jpg7日付及び12日付Defense-Newsが、米陸軍が進める極超音速兵器(LRHW:Long-Range Hypersonic Weapon:通称「Dark Eagle」)開発と部隊準備について紹介し、実ミサイルを除く地上機材や模擬ミサイルキャニスター等がワシントン州の部隊に配備完了し、2023年運用開始に向け、本格的な試験や部隊運用の細部手順検討に向けた準備を開始したと報じています

また担当の米陸軍中将が講演で、米軍の装備開発プロジェクト史上例を見ない迅速さで2019年2月から2年半でここまで進み、2023年の部隊配備に向け更に加速して前進を図るポイントについて語っていますので、ご紹介いたします

10月7日に実弾除く基本装備の提供完了
Army hypersonic3.jpg●2021年5月、ワシントン州の米陸軍第1軍団・第17野戦砲旅団・第5大隊の第3中隊に、LRHWの最初の装備である訓練用キャニスター(模擬の極超音速兵器を格納した箱)が到着し、部隊で基礎構造や操作等の学習に使用
●同年10月7日、LRHWの指揮統制センター装置、4台の移動式発射機(キャニスターを搭載する車両発射機)、発射機等のけん引輸送用のトラックやトレーラーを受領

Army hypersonic4.jpg●10月12日の週から同中隊は、受領した装備やヴァーチャルトレーニング機材を使用し、LRHWの本格試験に備えた準備を行うとともに、LRHW部隊運用の運用準則TTP(tactics, techniques and procedures)を定める検討に入った
●今後の本格試験は、2022年度第一四半期(今年10-12月)に米海軍と初の統合発射試験に始まり、第四四半期(2022年7-9月)と2023年第二四半期(2023年1-3月)の試験へと続く。ただし最初の2022年度第一四半期(今年10-12月)の試験には、5大隊3中隊は参加しな

米陸軍のNeil Thurgood担当中将が迅速化の秘訣を
(10月11日の米陸軍協会総会での講演で)
Thurgood.jpg●LRHW開発が終了してから部隊運用法を具体的に考えていては、2023年の運用開始期限に間に合わないので、開発試験を支援する部隊が部隊運用準則TTPを並行的に検討することとしている。そのために実運用部隊にVR教育訓練機材を含めた実装備を先行提供した

●従来の装備品開発は、担当企業に要求性能を投げて委託する形だったが、極超音速兵器の飛翔ホディー作成技術はSandia国立研究所しか保有しないので、契約企業のDynetics社関係者が同研究所が所在するニューメキシコ州に出向いて技術を学び、現在は同研究所内で同社関係者が学んだ手法で飛翔ホディーを試作している
Army hypersonic.jpg●試作品が同研究所で認められれば、同社工場に持ち帰り、現在建設中の同社工場で本格生産の準備に入ることになる。この方式も極めて異例であるが、迅速に進めるために考え抜いた末の新手法である

●もう一つは予算化計画の先行準備である。LRHW計画の元締めである米陸軍RCO(迅速開発推進室)には、既に開発装備具現化&部隊配備計画を複数年の予算計画に落とし込む計画担当官が顔を出しており、開発を進め装備の全体像を固める過程を見ながら予算化案を並行して作成し、開発に目途が立った段階で予算計画も完成している段取りになっている
●通常であれば、開発完了から予算計画化まで2年ほど間隔が空き、企業の人員維持が課題となるが、その手順を並行進行することで効率化している

●更に、陸軍が飛翔ボディーを主担当し、海軍がロケット推進を主担当する分担共同開発も、プロジェクト迅速推進の大きな原動力となっている
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Army hypersonic4.jpg米軍における極超音速兵器について、ここ最近、複数の記事でご紹介していますが、関係者の懸命の努力が続いている中、技術的には本格的な試験の大きな壁が前方に立ちはだかっている雰囲気を感じています

国防省DARPAや各軍種の迅速計画推進室や部隊関係者、更に取りまとめ企業のロッキードの動きなどが複雑に絡んでいますが、米国防省と米軍の底力に期待したいところです

米軍の極超音速兵器開発
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-28
「最近の状況整理&米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「豪州とも協力」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-01
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-28
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

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コロナ沈静後のパイロット不足や争奪戦に備え [米空軍]

コロナ下でも米空軍の操縦者養成は淡々も
今後の民間航空会社の需要増を予期し
操縦者の確保や養成の効率化に向け改革引き続き

Brown AFA.jpg9月22日、Brown米空軍参謀総長が空軍協会航空宇宙サイバー会議で講演し、パイロットの民間への流出で操縦者の充足率が低下している問題について、コロナ下で新規養成が困難な中でも安定した養成数を達成でき、2021年は増加するだろうと述べる一方で、コロナ沈静後の民間航空輸送増を見据え、国としてパイロット不足が再燃すると危機感を訴え、養成迅速化や効率化に向けた取り組みをアピールしました

米空軍は深刻なパイロット不足問題に直面し、操縦者ポストの約2割に相当する2000名のパイロットが不足している状況にあります。その原因は、比較的不便な勤務地、度重なる海外派遣任務、予算制約から生じた訓練飛行時間の削減、また給与や待遇面で優れた民間航空会社からの引き抜き増などが背景にあると分析され、米空軍は多岐にわたる対策を講じてきました

Brown AFA3.jpg例えば、勤務延長に伴う特別ボーナスの支給、勤務地の子弟教育環境の改善、民間航空会社との引き抜き防止のための協議、新規パイロット養成数を増やすための体型制約緩和による女性等の流入促進、操縦席設計基準見直しで多様な人材受容性拡大検討(身長、手足の長さ等)、一部身体特性を満たさない者への機種限定採用制導入、養成カリキュラム見直しによる養成期間の短縮(各自の素養に応じた柔軟な教育シラバス導入)などなどです
(細部は下記の過去記事をご覧ください)

この課題への対策の一つである新規パイロット養成目標だけから見ると、
2018年度目標は1180、2019年度目標は1311名、2020年は1480名目標、2022年までに養成数1500名達成に目標設定・・・と2018年10月に議会で当時のWillson空軍長官が証言していますが、以下の記事からすると、民間航空会社がコロナで大打撃を受けている間も、希望者確保と養成の効率化&迅速化は容易ではない印象で、流出はある程度抑えられているのかもしれませんが、米空軍の苦悩は続いていま

23日付米空軍協会web記事によれば
Brown AFA2.jpg●Brown空軍参謀総長は、米空軍における新規操縦者養成は、コロナ下にありながら比較的安定した実績を残していると自己評価し、今後の養成コースの効率化迅速化を考える上でも良い兆候だと表現した
●報道されている新規養成数は、2019年は1279名(目標1311名)、2020年度は1263名(目標1480名)であるが、2021年度の見通し数を操縦者養成を担う訓練教育コマンドのWebb司令官は、2020年度から約100名増だと語った

●ただし今後は、コロナ下でパイロット採用を抑えていた民間航空会社の採用活発化が予期されており、航空宇宙サイバー会議に出席したユナイテッド航空のScott Kirby社長は、米軍と民間航空会社の両方でパイロット不足が再び顕在化する兆しが見えていると語っている
Kirby United.jpg●ユナイテッド航空社長とBrown大将は共に、これまではそれぞれの初級操縦訓練を受ける前に、約20万円程度を自費で負担して民間飛行学校で操縦を体験したものを有利な扱いにする制度を運用してきたが、そんな人材は限られていることから、飛行経験のない若者に目を向ける必要があると語った

●Brown大将は、重要なパイロット確保は国家として考えるべき重要事項だと表現しつつ、最近の米空軍の取り組みを説明した
--- 操縦者志願者が受験する能力評価試験AFOQTの点数は、最新の試験の点数ではなく、過去の試験も含めた最高点で出願可能
--- 基礎的航空能力テストTBASを3回まで受験可能とする
--- 上記AFOQTやTBASは、従来5か月から6か月間隔をあけないと再受験できなかったが、間隔を3か月に短縮する
--- これまでにAFOQTを受験経験がない者向けに、試験対策用の事前勉強会を開催する

pilot shortage.jpg●また同参謀総長は既に開始している、大学新卒者用パイロット養成コース「Undergraduate Pilot Training 2.5」や、固定翼訓練を無くす等の取り組みを含めた「Helicopter Training Next」コースへの取り組みもアピールした
●更に米空軍は、民間文民教官による初期操縦過程におけるリモート・シミュレーター訓練の実施や、訓練生の技量や能力に応じた最適カリキュラムのAI活用作成等もアピールし、「従来の画一的な訓練シラバスだけでなく、データを活用したテイラーメイドなシラバス提供も試みて、必要技量のより効率的で迅速な獲得付与に取り組んでいる」と語った
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コロナで民間航空会社の旅客需要が大幅低下し、新規パイロット採用が激減する中でも、米空軍の新規養成増加計画は順調とは言えない印象です。でも民間への流出も激減でしょうから、米空軍はつかの間の「一息ついた」状態なのでしょう

大きく考えてみると、単に「大空を飛んでみたい」とのシンプルな夢を描く若者が減ったということなのでしょう・・・・。

無人機の活躍や性能を見聞きしてきた世代ですから、有人機パイロットの将来に限界があることを肌で感じている世代・・・と言えるかもしれません

米空軍パイロット不足関連
「女性登用増に航空機設計基準変更」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-20
「ヘリ操縦者養成から固定翼削除試行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-06
「米空軍がパイロット募集の身長基準を廃止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-23
「Fly-only管理の募集中止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-15
「5年連続養成目標数を未達成」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-19
「採用の身長基準を緩和」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-18
「操縦者不足緩和?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-12
「操縦者養成3割増に向けて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-21-1
「下士官パイロットは考えず」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-3
「F-35操縦者養成部隊の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12-3
「下士官パイロット任務拡大?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-22
「仮想敵機部隊も民間委託へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1
「さらに深刻化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-10

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中国軍ステルス機数が2025年までに米軍越え!? [中国要人・軍事]

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中国関係者がステルス機増産を示唆し
3月の米太平洋軍が2025年までに・・・の見積りとか!?

J-20 Zhuhai5.jpg8日付米空軍協会web記事は、中国関係者や上院軍事委員会での委員の発言等から、2025年までに中国軍のステルス機保有数が米軍(米空軍?)の数を上回る可能性があると報じています。

中国関係者の発言も米国の上院軍事委員の発言も非常に曖昧で、中国軍にステルス機増産の意志があるのか、何と何を比較して米軍の保有機数を中国軍機数が上回るのかもはっきりしない内容に感じるのですが、米空軍協会機関紙編集長による記事は「China Likely Stepping Up Stealth Fighter Production」とのタイトルになっており、今後の関連情報を理解する上での基礎情報としてご紹介しておきます

まず記事から、中国側関係者の発言
J-20 Zhuhai4.jpg●中国の国営英字紙「環球時報」によれば、10月初旬まで中国で開催されていたZhuhai航空ショーでのインタビューで、J-20戦闘爆撃機(中国はステルス機と主張)の副設計責任者であるWang Haitao氏が、「中国軍需産業は、J-20に関する中国空軍からの如何なるレベルの要求にも応じることができる状態にある」、
●更に、このような最先端航空機の開発製造には通常時間を要し、「特にJ-20のような装備の場合、我々は全ての側面で物事を早く進める必要があり、その側面は設計、製造、試験、組み立て等、多方面に及ぶ」述べると同時に、「J-20は、そのステルス性、センサー能力、攻撃能力面で素晴らしい性能が明らかになっている」と語った

次に米上院軍事委員会での委員発言
J-20 Zhuhai3.jpg●5日の国防省政治任用高官の承認検討ヒヤリングで、James Inhofe議員は「わが軍の司令官は本委員会に、2025年までに中国軍が保有する(have on the front line)第5世代ステルス戦闘機数は、わが軍の数より多くなるとの見積もりを報告している」と発言した
●この情報源について同議員に問い合わせしたところ、同議員の報道官から、今年3月の議会におけるヒアリングで、当時のDavidson太平洋軍司令官が証言した内容に基づくものである、との回答があった

8日付米空軍協会web記事の補足説明
J-20 Zhuhai2.jpg●Zhuhai航空ショーで中国空軍は、15機のJ-20による編隊飛行(Some 15 J-20s flew in formation)を披露し、予備機と思われる機体も会場の飛行場内で目撃されていた
●J-20は開発当初、ロシア製のエンジンに依存していたが、今回の航空ショーで披露された中には、中国製WS-10Cを搭載していると紹介された機体もあった

●中国メディアのこれまでの報道によれば、中国空軍はJ-20を内陸に位置する4つの部隊で計約150機保有しており、戦術開発や訓練に取り組んでいる模様である

●一方で米空軍の保有する第5世代機数は、現時点でF-35が約300機、F-22が約180機の計約480機で、現時点で明らかにされているF-35調達計画によれば、2025年までに両機の合計は652機になる見込みである
J-20 Zhuhai.jpg●中国軍の部隊配備(on the front line)ステルス機数を、現在の約150機から652機レベルまで引き上げるには、J-20と艦載ステルス機と想定されているJ-31改良艦載機を2025年までの4年間で計500機製造する必要がある

●ちなみに、米空軍や海兵隊が保有するF-35の機数は含めて考えていない
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2021 Zhuhai航空ショーでのJ-20デモ飛行


これまでのJ-20経緯
---2011年に初飛行
---2016年11月、Zhuhai航空ショーで初公開
---2017年7月、人民解放軍90周年記念日に軍事パレード初参加
---2017年11月、中国空軍演習「Red Sword 2017」で重要な任務を果たす
---2018年2月、中国空軍報道官が「戦闘任務に入った」発言

記事で紹介された内容だけだと「?」な感じですが、記事はこの分野で経験豊富で著名な米空軍協会機関紙「Air Force Magazine」のJohn A. Tirpak編集長によるものですので、方向性は間違っていないと思います

中国製ステルス機のステルス性やその能力については、西側専門家による懐疑的な見方が一般的ですし、中国内陸の開発や試験用の基地や部隊で飛行している様子しか伝えられていないのも事実ですが、Zhuhai航空ショーでアピールしていた無人機の分野と同じく、着実に前進していることは間違いないのでしょう

J-20関連の記事
「2018年航空ショーでの評価」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-1
「報道官が戦闘能力発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-1
「中国国防省が運用開始と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-30-1
「中国報道:J-20が運用開始?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-14
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02

J-31関連記事
「新しい艦載機をまもなく披露する」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-05
「中国海軍の新型艦載機開発?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-10
「輸出用の中国製ステルス機J-31改良型初飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-12-27

単発で初:中国国産エンジン搭載
「単発J-10CにWS-10B搭載」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-12

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欧州で初の米空軍F-35部隊設立 [亡国のF-35]

施設工事遅延で1年遅れも英国で
12月から機体受け入れ、最終的には2個飛行隊へ

495th Fighter S.jpg1日、英国のLakenheath英空軍基地で、米空軍初の欧州F-35飛行隊となる第495飛行隊が約30年ぶりに再立ち上げされ、飛行隊長が12月から機体受け入れを開始すると明らかにしました

「約30年ぶりに再立ち上げ」とご紹介したのは、同飛行隊がWW2時代に創設されて終戦時にいったん活動を終えた後、冷戦に伴い再編成され、1977年から1991年12月までF-111F戦闘爆撃機の部隊として「砂漠の盾」作戦などで活躍した歴史を持つからです

コロナの影響か、当初は2020年再立ち上げ予定が1年遅れのようですが、欧州全体で2030年までに450機のF-35を運用予定との予定の元、他の欧州導入国と連携して「がんばるぞ!」との同飛行隊長や欧州米空軍司令官の決意のほどをご紹介しておきます

先ずその前に、欧州諸国のF-35導入構想は
●共同開発国では(()内は導入予定機数)
 Denmark(27機), Italy(90機), Netherlands(37機), Norway(52機), 英国(138機)
●FMS購入国
 Belgium(34機), Israel(19機),ポーランド(32機)、スイス(32機)

495th Fighter S3.jpg上記を合計すると461機となり、これに米国がLakenheath英空軍基地に配備予定の2個飛行隊(第495飛行隊含む)48機を加えると500機を超えるのですが、2030年までだと地域合計450機になるようです

ただ、コロナ等による経済危機により、イタリアの90機や英国の138機は早くも赤信号で、イスラエルは50機以上の可能性があるものの、先行きの不透明感はぬぐえません

1日付米空軍協会web記事によれば
495th Fighter S2.jpg●1日に再編成された第48戦闘航空団隷下の第495飛行隊は、12月から機体を受け入れ、47機と人員約60名で活動する。更に同基地には追加でF-35飛行隊が編成される予定で、将来的には2個飛行隊48機で運用される予定である

●第495飛行隊長のIan D. McLaughlin中佐は1日、飛行隊のニックネームは伝統の「Valkyries」(戦場での生死を決める寓話上の女性)を引き継ぐと明らかにし、「冬に機体を受け入れるまでにやるべきことは山ほどあるが、伝統ある飛行隊を戦力化し、欧州最初のF-35飛行隊として欧州全体の戦力増強につなげたい」と決意を述べた
●欧州米空軍司令官のJeffrey L. Harrigian大将は9月の米空軍協会航空宇宙サイバー会議で、欧州でF-35をかつてない規模で運用する同盟国等と緊密に連携し、「既に計画中の欧州戦域F-35全体でのleverage構想により、相互運用性を高めるなどして地域におけるF-35の重要性を示していきたい」と抱負を語っていたところ
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495th Fighter S4.jpg現在のF-35の論点は、維持費の高止まりを如何に改善するかです。現在は第4世代機の2倍の維持経費が必要で、今後当初の要求性能を満たす「Block4」レベルへの機体改修などに必要な経費とその維持費見通しからすると、劇的な改善は困難との見方が一般的で、米議会幹部も米空軍幹部も、維持費レベルが確定した時点で調達機数削減を決定する意向を示しているところです

米空軍の導入予定機数は1760機程度ですが、これが800機程度に縮小されたとしても、既に一大戦力ですからしっかり活用して頂かないと困ります

兵站支援情報システムODINの開発中断など、現場のご苦労には頭が下がるばかりですが、頑張って頂くほかありません。B型も含め、140機以上の導入構想がある航空自衛隊も同様です

F-35のエンジン問題
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-15
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「F-35エンジン改良検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-06-01-2
「AETPの開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-07-02-1

最近のF-35
「2025年に調達上限設定を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-01
「酸素生成装置問題を解決せよ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-03
「海兵隊C型が完全運用態勢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-08
「スイスが14番目の購入国に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-01
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-24-1
「英国は調達機数半減か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-24
「伊軽空母に海兵隊F-35B展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-14-1
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-06
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「F-35稼働率の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「新型戦術核搭載飛行試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-28
「5月の事故対策改修は秘密」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-24
「中東でかく戦えり」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「機種別機数が第3位に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07
「B型とC型が超音速飛行制限甘受」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「ボルトの誤使用:調査もせず放置へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-29
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

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対中国作戦にC-130用水上着陸フロート開発へ [米空軍]

まずは特殊作戦用MC-130Jへの装着
2022年度末までには初飛行試験へ

Slife.jpg9月20日、Jim Slife米空軍特殊作戦軍司令官が記者団に、対中国作戦時の残存性が懸念されている脆弱な西太平洋地域の陸上飛行場への依存度を下げるため、C-130輸送機が水上に着水できるような、取り外し可能な着水用フロート(正確にはpontoons)の設計開発に着手していると語りました

具体的には、特殊作戦軍が使用する特殊部隊の潜入・退去・補給、捜索救難活動の支援、心理作戦用のMC-130Jに装着し、2022年末までには初飛行まで持っていきたいと語っています

MC-130J.jpg中国との本格紛争が大きなテーマとなっている米軍では、第一列島線上の日本やフィリピン、又はそれ以遠のグアムに所在する大規模な基盤基地の脆弱性とそれら基地への戦力集中が問題視され、今後は西太平洋の島々の小規模基地での分散運用を追求しようとしています

例えば米空軍では、ACE(Agile Combat Employment)構想を打ち出して、機敏に航空戦力や兵たん支援部隊や物資が、施設や資材や人員不十分な小規模基地に機敏に移動して作戦を継続できる体制構築を目指しています

MC-130J 2.jpgしかし、空軍特殊作戦軍司令官はより厳しい環境を想定し、西太平洋の地上基地に頼れない状況を想定し、水上で離着陸可能な態勢確立を目指そうとしています

現時点では、特殊作戦用MC-130Jへのフロート設計開発だけが行われており、これを広くC-130輸送部隊に導入する決断や検討には至っていないようですが、対中国本格紛争が極めて厳しいと想定される中、様々なアイディアに挑戦する米軍の「たくましさ」を示す事例ですのでご紹介しておきます

9月20日付DefenseOne記事によれば
MC-130J 3.jpg●Slife司令官は空軍協会航空宇宙サイバー会議での記者懇談会で、 MC-130J Commando II用の着脱可能な水上離着陸用のフロート(正確にはpontoons)設計開発に米空軍研究所(AFRL)が着手していると語った
●このフロート開発に成功すれば、MC-130Jによる水上を利用しての兵士の潜入や離脱支援、更に補給物資提供や燃料補給も可能になる、と同司令官は構想を語った

●また空軍特殊作戦軍の担当少佐は、MC-130Jが水上から運用できれば、地上の脆弱な基地に依存することなく、担当作戦地域で分散運用が可能になり、我が戦力分散により敵の作戦行動を難しくさせることが出来る、とも説明した
●またSlife司令官は、2022年末までには同フロートを装着したMC-130J Commando II初飛行が行われるだろうと説明した

MC-130J 5.jpg●同司令官は最後にこの構想を改めて、「前線への兵たん支援、補給物資供給、人員救出・回収、海からの潜入・離脱といった様々な作戦要求に対応するための、航空機による水陸両用作戦構想だ」と記者団に表現した
●なお同司令官は、このフロート(正確にはpontoons)は空軍特殊作戦軍のAC-130Jガンシップにも使用可能になるだろうが、米空軍保有の他のC-130輸送機への応用についてはまだ決まっていない、と語った
////////////////////////////////////////

特殊部隊員の潜入・脱出ならまだしも、地上部隊を本格的に支援するレベルの物資輸送に活用可能とは考えにくいですが、「蟻の一穴」を開ける作戦には心強いオプションとなるのでしょう

先にも述べましたが、対中国本格紛争が極めて厳しいと想定される中、様々なアイディアに挑戦する米軍の「たくましさ」を示す事例です・・・・・我々日本人も無い知恵を絞っていきましょう!

米空軍の戦力分散運用ACE関連
「電動ヘリeVTOLでACE構想推進へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-02
「F-15Eに完成弾JDAM輸送任務を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-04
「GuamでF-35とF-16が不整地離着陸」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-28
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-13
「中東派遣F-35部隊も挑戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「三沢でACE訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-21
「太平洋空軍がACEに動く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-12
「太平洋空軍司令官がACEを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「F-22でACEを訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-03-08

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空自操縦者の米国での墜落死亡事故調査報告 [米空軍]

米軍教官同乗で空自訓練生が2月に墜落事故死
訓練生のスロットル操作ミスを教官が修正できず
ご冥福を祈りつつ、操縦の難しさを考えます

T-38 AC5.jpg10月7日、米空軍が2月19日にアラバマ州モンゴメリー地方空港近傍で発生したT-38練習機の墜落事項に関する調査報告書(8月6日付)を、Web上で公開しました。

当該事故は、航空自衛隊が米空軍に飛行教育を委託していた飛行訓練生ウエサキ2等空尉(事故当時:25歳)と同乗していた教官操縦者Scot Ames Jr.中尉(事故当時:24歳)が操縦するT-38ジェット練習機が、モンゴメリー地方空港(Montgomery Regional Airport)着陸直前に滑走路手前に墜落し、搭乗していた2名が亡くなった事故です

T-38 two.jpg航空自衛隊は戦闘機に進む飛行訓練生の一部の養成を米空軍に委託しており、当時15名の空自パイロット訓練生が、ミシシッピ州Columbus空軍基地の米空軍第14飛行訓練航空団で教育を受けていました

亡くなったお二人のご冥福を祈りつつ、国家安全保障の一翼を担うべく、「航空機の操縦」という難しい技術の習得に日夜取り組んでいる若者がいることを知っていただくため、8日付Military.com記事と事故調査報告書から事故と事故原因の概要をご紹介いたします

事故の概要
T-38 AC.jpg●2021年2月19日、2名は飛行訓練科目の一環として、母基地のミシシッピ州Columbus空軍基地から、アラバマ州のモンゴメリー空港を経由し、最終的にフロリダ州Tallahassee国際空港に向かう飛行を計画した
●母基地を離陸後、最初の目的地であるモンゴメリー空港への着陸準備に入っていた当日午後4時40分ごろ、滑走路の手前約600m地点に墜落した
●両名とも、操縦席から緊急脱出することはなかった

事故の流れ
●当該機はウエサキ訓練生の操縦により、空港が定めた着陸機用のサークル軌道を描きつつ、滑走路中心方向と一致するように最終着陸旋回に入ったが、この際、基準速度よりも18ノット早く飛行し、同時に旋回が急角度すぎて、滑走路中心ラインより手前に侵入しそうな状況(Undershoot)状態にあった
T-38 AC2.jpg●この状態を感知したAmes中尉は、ウエサキ訓練生に速度を落とし、旋回を少し緩め滑走路中心線に進入するよう指示したが、その後当該機は着陸進入速度を下回る速度にまで減速し、高度を失った

●Ames中尉は操縦をウエサキ訓練生から代わり、飛行速度と高度を回復するため、エンジン出力を最大のアフターバーナー状態にまで上げた
●しかし、その時点までに18秒間もエンジン出力を最小のアイドル状態にしていたこともあり、速度と高度を回復することができず、滑走路手前約600mの地点に当該機は墜落した

報告書の事故原因分析
●Ames中尉が、最終着陸進入時に訓練生の十分な状況把握を行わず、ウエサキ訓練生が長時間エンジン出力をアイドル状態にしていたことに気づくのが遅く、危険な状態への対応が遅れた
T-38 AC3.jpg●ウエサキ訓練生は、着陸直前の多様な操作手順に「飽和状態」になり、スロットルをアイドル状態にしたままにして事故を導くこととなった

●事故調査官は、T-38訓練生がこのような行動(着陸直前の段階でアイドル状態を維持する)を執ることは、搭乗者を極めて不安な状況に置くことから極めて珍しい、と報告書に記し、
●操縦教官は地面に近い着陸直前の段階では、訓練生のスロットル操作から片時も目を離さず、訓練生の誤操作には直ちに介入する態勢にあることが通常であると報告書に表現している

教官操縦者に関する関連情報
●Ames中尉は、同航空団に所属して初めて教官操縦者勤務を経験しているパイロットであったが、部隊長や同僚からの評価は高く、飛行隊の中でも教官初勤務者の中では優秀な教官の一人と見られ、飛行隊内で優秀教官表彰されていた
●事故直前の9日間、母基地周辺の悪天候のため飛行訓練ができていなかった。9日ぶりの飛行訓練を迎えた当日、関係者によれば、Ames中尉は休養十分だといい、飛行再開を喜んでいた(excited to fly the mission)

T-38 AC4.jpg●ただ、直接事故との関係はないと考えられるが、以下のような飛行当日の事象から、数日間のフライト中断によりAmes中尉は、いくらかプロ操縦者としてやるべきことにぬけがみられる状態(may also have lost some amount of proficiency)にあり、細部への注意が散漫であった(lack of attention to detail)状態で、訓練生の同種訓練におけるリスクへの配慮が不足していた可能性がある

●事故当日の気象ブリーフィングに出席していなかった。また最終目的地のフロリダ州Tallahassee国際空港に気象悪化で到達できない場合の、代替飛行場への必要燃料量を計算していなかった
●T-38練習機がエンジン交換整備を行った直後は、まず母基地周辺での飛行訓練を実施した後、他飛行場への移動訓練に進むことになっているが、その流れの抜けに気づいていなかった
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42ページの事故調査委員会報告書
(少将が事故調査委員長)
https://www.afjag.af.mil/Portals/77/AIB-Reports/2021/AIB%20Report%20Columbus%20T-38_Final.pdf

着陸直前に18ノット速度超過の状態から、何秒間エンジンを「アイドル」状態にすれば適切な速度になったのでしょうか? 少なくとも18秒間は長すぎたということですが、5秒間ぐらいだったらOKだったのでしょうか?

やはり、人間が空を飛ぶということは、容易なことではないということです。合掌

注意:上記でご紹介した内容は、8日付Military.com記事と事故調査報告書から、まんぐーすが抽出した内容ですので、必ずしも報告書の内容を正確にご紹介しているとは限りません。ご注意ください

航空機事故関連の記事
「F-35事故対策改修内容は秘密」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-24
「三沢F-16の整備部隊がでたらめで墜落事故」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-22
「在日米軍が空自救難隊員にメダル授与」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-19
「B-52が飛行中にエンジン1個落下」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-01-08

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米国防省が気候変動対処プランCAPを発表 [オースチン国防長官]

CO2削減計画でなく、気候変動下でも作戦能力を維持するための対処指針
1月28日付のバイデン大統領令を受けた全省庁取り組みの一環

CAP  DOD.jpg7日Austion国防長官が、バイデン大統領による大統領令を受けた米国政府全体の取り組みの一環として、国防省の気候変動対処プランをまとめたCAP(Climate Adaptation Plan)を公開し、国防省の取り組む姿勢を国防長官声明として発表しました

まんぐーすは誤解して、CO2排出削減活動の指針かと考えていましたが、世界中で猛威を振るっている異常気象下での米国防省と米軍の作戦遂行能力維持のための対処指針をまとめたプランです

ハリケーンによって壊滅的被害を受けたフロリダの空軍基地や、洪水で水没した陸軍や海兵隊基地の惨状が、日常的なニュースになりつつある中での国防長官の声明は、「気候変動は国家安全保障にとっての、生存に係る脅威だ」、「気候変動の加速に伴い、我に係るコストや被害は加速度的に増加するだろう」から始まり、「国防省は避けられない被害に備え、迅速かつ大胆に、課題に挑戦しなければならない」と危機感あふれるものとなっています

CAP View.jpgこのような危機感を受け、対処方針を示したCAP(Climate Adaptation Plan)では、あらゆる研究やデータや革新を取り込んで立ち向かうべき課題だと大前提を置き、米国防省と米軍の全ての意思決定、教育訓練、装備品調達、施設整備、サプライチェーンなど多様な側面から取り組む必要を訴え、併せて国防省外の様々な国家機関や研究機関や民間企業や団体、更に同盟国等との連携の必要性を訴えています

CAPは目指すところとして、気候変動がもたらす厳しい自然環境の中でも、作戦運用の能力を維持し、国家の負託にこたえることだとし、5つの重視ポイントを挙げていますので、当然と言えば当然の内容ですが、日本を振り返る際の参考としてご紹介いたします

1.climate-informed decision-making
・ 最新の科学的知見とデータを絶えず入手し、気候変動が及ぼす影響を可能な限り最善の努力で予想し、資源配分と作戦運用の意思決定の基礎とする。この取り組みは、他の4つの重視ポイントの基盤でもある

2. training and equipping a climate-ready force
・ 厳しい気象状況やその結果として生ずる過酷な作戦環境下でも任務を遂行可能な米軍部隊を維持育成するため、予想される気候変動に応じた部隊訓練を常に意識し、必要な装備品の研究や調達を継続的に効率的に進める着意が不可欠である

3. resiliently built and natural infrastructure
Austin.jpg・ 我々は機動力を飛躍的に向上させつつあるが、依然として各地の基地や施設、更に自然環境が米軍戦力発揮の基盤であり、基地や施設の機能不全や、作戦環境の変化は、任務遂行に大きな負の影響を与える。気候変動の影響を謙虚に見積もり、施設の耐性を再評価し、自然インフラの変化を予測し、耐久性と効率性とコストを勘案した新基準の考慮が必要である

4. supply chain resilience and innovation
・ 国防省や米軍の活動はサプライチェーンに大きく依存しており、気候変動に対する対処は、サプライチェーンも含めて取り組みべき課題である。その一環として、米軍や国防省のエネルギー消費量を削減する事で、特に戦力の分散運用を目指す中、兵站負荷を削減することが可能な点を肝に銘ずるべきである

5.enhanced adaptation and resilience through collaboration.
・ 上記のような重視ポイントを遂行するには、官民を問わず多様な組織や団体との協力か不可欠であり、それら内外との協力関係強化は、国防省レベル、各軍種レベル、各地域コマンドから全世界の基地や部隊レベルでも重視されるべき事項である
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32ページのCAP(Climate Adaptation Plan:9月1日付)
https://media.defense.gov/2021/Oct/07/2002869699/-1/-1/0/DEPARTMENT-OF-DEFENSE-CLIMATE-ADAPTATION-PLAN-2.PDF 

Austin国防長官の声明(10月7日付)
https://www.defense.gov/News/Releases/Release/Article/2803761/statement-by-secretary-of-defense-lloyd-j-austin-iii-on-the-department-of-defen/ 

CAP DOD2.jpgどの重要ポイント(Five lines of effort)も、その通りの内容ながら、その実行実現は一朝一夕にできそうもない課題です

ただ、既に現実問題として、気候変動の影響は日常レベルで日々発生しており、米軍だけでなく、自衛隊もその対応に追われているのが現実です

5つのポイントの最初に上げられている、最新の多様な知見やデータや経験を基礎とした意思決定の段階から、世界各国の連携が進むことを祈念いたします

気候変動関連の記事
「海軍長官が気候変動対処を重視事項に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-20
「自然災害で米軍予算が枯渇」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-24 

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

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