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衝撃!嘉手納米空軍F-15部隊が11月1日から段階的撤退へ [米空軍]

今後2年かけ段階的に米本土に撤退し退役へ
当面は別機種のローテーション派遣で代替らしいですが・・

F-15C Kadena.JPG10月28日、米空軍のAnn Stefanek報道官が、嘉手納基地所属の約48機のF-15C及びD型戦闘機が、11月1日から段階的に今後2年かけて米本土に帰国し、当面は一時的なローテーション派遣方式で第4又は第5世代戦闘機を派遣して「嘉手納でのプレゼンスを維持する」と明らかにしました

また同報道官は、今後の長期的な米空軍嘉手納基地の活用法については米国防省として未決定だとしつつも、「米国による地域への抑止力提供と日本防衛に関するコミットメントは強固であり、アジア太平洋地域における戦力の近代化は最優先事項である。より高性能の航空機への変換は、これらコミットメントの好例である」と声明を出しています

物事の動きが速すぎます・・・
当面はローテーション派遣でしょうが、中国からの攻撃に極めて脆弱な嘉手納基地への期待を、米空軍はほとんど持っていないでしょう
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(以下は、10月27日時点での情報)
ローテーション派遣への転換検討と情報筋
老朽F-15を米軍は来年度までに半減させる計画で
何と言っても有事初動で被害を受ける沖縄戦力ですから

F-15 Kadena3.jpg10月27日付Defense-Newsは、FT紙有料配信が最初に報じた「米空軍嘉手納基地からのF-15戦闘機撤退とローテーション派遣への転換検討」についてフォローし、匿名の国防省関係者の話として、老朽化が進み米空軍として退役を進めているF-15に関し、現在2個飛行隊約48機が所属している嘉手納基地F-15 C/D型についても撤退させ、ローテイション展開への転換を検討していると報じています

同情報筋は、米国防省として米空軍嘉手納基地配備の長期的な戦闘機体制について決定したわけではなく、F-15に代わる戦闘機のローテーション派遣計画を公表していないが、少なくとも短期的には嘉手納配備F-15C/D型の代替として戦闘機のローテーション派遣方式をとることになろうと語っているようです

Kadena AFB.jpgまた同情報筋は、現在配属されている嘉手納のF-15部隊が米本土に戻る時期は少し先になるとDefense-Newsに語ったようですが、海外駐留戦闘機部隊を米本土に戻すケースでは、ローテーション派遣方式で必要時に戦力を投入する方式は最近極めて一般的だと述べているようです

また本件に関して米空軍に問い合わせたが、27日時点では米空軍から回答はないとDefense-Newsは記事に記載しています

F-15 Kadena2.jpg米空軍は2021年時点で約220機F-15C/D型戦闘機を保有していますが、その多くが機体年齢40歳に近づき耐用年数が迫っており、米議会は既に米空軍の要望に沿って2022年度に48機退役を承認し、2023年度には更に61機退役が計画されており、2023年には保有機数が110機程度に半減する方向です
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10月27日付Defense-News記事はとりあえず速報で以上を伝えたのみで、FT紙の記事は有料なので見ていませんが、台湾有事初動に中国による「何らかの手段」で機能喪失する可能性が極めて高い嘉手納基地航空戦力を撤退するのは、米軍的にとって「軍事的合理性」に立脚した当然の判断です

10月27日に米国防省から発表された「国家防衛戦略NDS」は、「中国」と明確に記述して1番の脅威と表現していますが、対応に必要な戦力量や態勢については触れられておらず、戦力配備再編にも言及していないようで、予算不足や同盟国への配慮だと思いますが、在日米軍戦力の中国正面からの「転進(撤退)」は軍事的合理性に基づく変えられない方向です

F-22Hawaii.jpg嘉手納戦力を無効化する「中国による何らかの手段」には、短距離弾道ミサイルもあれば、サイバーや電子戦や小型ドローン攻撃もあるでしょうし、沖縄県民に紛れ込んだ不法分子による施設へのテロ攻撃などなど様々な手法があります。広大で多数の地上インフラに支えられている航空基地は極めて脆弱であり、嘉手納からの米空軍F-15撤退は、そのことを日本人に突き付ける良い機会だと思います

日本の防衛費の増額が議論されていますが、輸入装備に頼る日本としては、現下の円安基調の中でより詰めた「何に投資するか」議論を日本政府や防衛省にお願いしたいものです

なお別報道では、ローテーション派遣される機種はF-22が想定されているようですが、第5世代機とは言え、稼働率の極めて低いF-22(米空軍最低の50%程度)は、その展開頻度も展開機数も限定的とならざるを得ないでしょう

沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「嘉手納で統合の航空機避難訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-15
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13

太平洋軍を巡る関係者の発言
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「アジア太平洋地域で基地増設を検討中」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-28
「対中国で米軍配置再検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1
「CSBAの海洋プレッシャー戦略」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「PACAFが緊急避難訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-27
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「岩田元陸幕長の発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-09 

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米軍人の外国政府ポストへの再就職 [安全保障全般]

豪州政府から年収10億円越えオファーの例も
2015年以降、約500名がコンサルタント等で

military consulting.jpg10月18日付ワシントンポスト紙が、退役米軍人の外国政府機関等への再就職状況について報じ、法律に基づき米議会の許可を得て仕事を得たものが2015年以降で約500名にのぼり、億を超える高額報酬のケースもあるほか、人権上の問題から問題視されることが多いサウジなど中東やアフリカ諸国に集中していると紹介しています

「Emoluments Clause Restrictions」との米国規定によると、20年以上の米軍勤務経験者(年金受給資格者)は、米議会の承認なしに外国政府からポストや仕事やコンサルタント業務を請け負ってはならないことになっていますが、2015年以降で申請した約500名の95%が承認を得て外国政府等のために働いているとのことです。なお本規定違反の罰則は定められていません

military consulting2.jpgWP紙は、米軍大将の基本給年額の最高額が2800万円弱なのに対し、豪州政府から退役海軍幹部に年俸14億円越えのオファーがあったとか、アゼルバイジャンから米空軍退役将官に日当70万円オファーの例を上げているほか、反政府ジャーナリストが皇太子の指示で殺害されたと非難されているサウジアラビア国防省にも、少なくとも15名の退役米軍将軍が採用されていると報じており、年俸3500万円程度とも伝えています

2つの軍事コンサルタント会社を経営するオバマ政権時の国家安全保障担当大統領補佐官を務めたJames L. Jones退役海兵隊大将はWP紙のインタビューに応え、サウジ政府と4つの契約を結んでおり、計53名の米国人をリアドに派遣していると述べ、8名は元米軍将官で、32名は下位階級の退役軍人だと説明しています。

Jones2.jpgそしてJones氏は、「誰も我々に、サウジからの撤退を考えるべきだと忠告する者はいない」、「我々が撤退したら、後はどうなると思う? 中国やロシアにサウジ政府がなびく可能性が考えられるが、それが良いことだと思わない」と語っています

ただ、Jones退役大将のコンサル会社からサウジに派遣されているCharles Wald退役空軍大将はWP紙に対し、「(反政府ジャーナリスト殺害後、)サウジから撤退すべきではないかとの議論が社内で巻き起こった。自問自答し、サウジ政府支援を続けるべきか考え、留まることを決定した」と葛藤があったと語っています
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Flynn2.jpg20年以上勤務の退役軍人が外国から金品を受け取って罰せられたケースでは、トランプ政権時の安全保障担当大統領補佐官であったMichael Flynn退役陸軍中将が、退役1年後の2015年にロシアとトルコ筋から6000万円を受け取った件で、FBI捜査に虚偽証言をしたと有罪判決を受けた例があります

Jones将軍の「我々が去れば、中国やロシアが来るだけ」との言葉が言い表しているように、報酬の高低だけがメディアやSNS上で話題になって済む話ではないと思います。

現役時代に知り得た米軍の秘密情報を提供する行為は戒められるべきですが、現役ができない必要な支援を外国に提供することは、OBの役割として期待してよいのではと思います

全く別の視点ですが
「米軍退役軍人の1/3が警察や刑務所のお世話になる現実」→https://holylandtokyo.com/2022/08/31/3597/

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鹿屋基地で米空軍MQ-9部隊編成完了とMQ-9の将来 [米空軍]

日本国内報道は「1年間派遣」も米側は「permanent home」
8機程度の配備で洋上偵察任務実施か
米空軍が2027年までにMQ-9半減を計画する中

MQ-9 Kanoya.jpg10月23日鹿児島県の海上自衛隊鹿屋基地で、米空軍の無人偵察攻撃機MQ-9を運用する第319派遣偵察航空隊の発足式が実施され、運用を開始することとなりました。これまでの各種報道では、同機8機程度と約100名の米空軍兵士が派遣されるとのことですが、いつ頃機体が揃って本格的な運用を開始するのかは不明で、防衛省関係者も「米軍の運用に関わることでお話しできない」状態だそうです

元々、2022年1月7日の日米「2+2」で両国が大枠に合意した「共用施設の増加」に関連するもので、発足式に際し日米両政府は1年間の展開だと説明しているようですが、8月に米空軍MQ-9部隊関係者は「日本でのpermanent homeの完成が遅れているが、今年秋には準備が整うだろう」と「恒久施設」だと表現しており、今後の展開が注目されます

MQ-9 Kanoya4.jpg発足式に合わせて米空軍は声明を出し、「東アジア上空からの監視の目を提供し、米日の情報収集目的達成を支援する」、「脅威や変化しつつある情勢に対応する能力を強化し、同盟を強化する」、「MQ-9はまた、人道支援、災害対処、その他のアジアインド大平洋地域に影響を与える事象に対処する」と説明しています

MQ-9は武装することが可能ですが、派遣された第319派遣偵察航空隊(319th Expeditionary Reconnaissance Squadron:飛行隊長Alexander Kelly中佐)は、偵察任務時は武装しないと説明しているのみで、攻撃任務も同部隊が担っているのか良くわかりません

MQ-9 Reaper.jpg鹿屋派遣部隊についてはお伝えできるのは、以上です。以下では、米空軍保有MQ-9の今後について、10月25日付Defense-Newsからご紹介します

アジア太平洋にとっては増強戦力となる鹿屋配備MQ-9ですが、米空軍は対テロから対中国等の本格紛争対処に体制変換を図る中で、MQ-9保有機数を現在の「351機」から2023年度末には「276機」まで削減し、更に2027年度には現在の半分にまで縮小して、その分の予算を他分野に配分したいと「希望」しています。

MQ-9 Kanoya2.jpgしかし米議会は、「MQ-9は本格紛争下で脆弱だと空軍は言うが、第4世代戦闘機F-16やF-15が活動可能な空域では使用可能で、通信機能や電子戦能力を改善する等して(アジア太平洋でも)活用すべきだ」と主張し、米空軍もMQ-9の西太平洋への派遣を想定した「設備不十分な島への派遣訓練や少人数展開要領検討」、「洋上偵察ノウハウ蓄積」、「海軍や海兵隊艦艇や部隊との情報共有方法検討」などに取り組み、RIMPAC演習やValiant Shield演習にも参加して実績を積んできたところです

また、MQ-9部隊幹部は、2020年にインド太平洋地域での作戦に対応できるようMQ-9操作教育カリキュラムを改訂し、「上空からの海上交通阻止や緊急事態対応や救命救助任務への対処能力向上に取り組んでいる」、「MQ-9からの映像で捜査員が艦艇種類を判別できるように、シミュレータのデータベース構築に取り組んでいる」と語っています

このよう米空軍の努力もあり、米議会側もMQ-9の必要機数見積もりを踏まえた米空軍のMQ-9削減計画に理解を示す方向に進みつつあるようで、細部には触れませんが、上下院軍事委員会が米空軍の要求に耳を傾け始めたと、10月25日付Defense-Newsは紹介しています
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MQ-9 Kanoya3.jpg日本のメディアは引き続き「統一教会」づくしで、海上自衛隊鹿屋基地でのMQ-9部隊運用開始についてほとんど報じていませんが、結構大きい動きだと思います

MQ-9より高価で脆弱だと思われるRQ-4グローバルホークと交換で、日本もMQ-9をもっと導入してはどうでしょうか?

MQ-9関連の記事
「2022年秋に日本に配備!?」→https://holylandtokyo.com/2022/08/08/3538/
「一般公道で離発着訓練」→https://holylandtokyo.com/2022/07/12/3426/
「4大シンクタンクがMQ-9の継続活用要望」→https://holylandtokyo.com/2021/11/29/2464/
「2回目の対中国応用演習」→https://holylandtokyo.com/2021/05/01/211/
「豪州へ12機輸出承認」→https://holylandtokyo.com/2021/04/29/119/
「本格紛争用に約1/4を改修&延命へ」→https://holylandtokyo.com/2021/04/28/118/
「JDAM完成弾運搬役も」→https://holylandtokyo.com/2021/03/09/156/
「無人機MQ-9の対中国海上作戦への応用演習」→https://holylandtokyo.com/2020/10/02/424/
日本が買わされた黄昏のRQ-4
「Block 40でも今後8年程度の賞味期限」→https://holylandtokyo.com/2021/07/28/2036/
「日本用RQ-4が米国で試験初飛行」→https://holylandtokyo.com/2021/04/21/112/
「自衛隊が希望していないRQ-4を買わされる件」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-22

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タグ:鹿屋基地 MQ-9
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空軍長官:ヒスパニックの将軍増加に取り組む [米空軍]

現在は将官の僅か1%以下で、中将と大将はゼロ
ヒスパニック社会への広報や採用強化、英語口頭試験の再考等を

USAF Hispanic3.jpg10月14日、Kendall空軍長官が米空軍による調査結果を基に講演し、ヒスパニックの将官や士官が米空軍内で少ない問題について、募集の強化、必要な資源配分強化、包括的な能力開発支援の3つの重視項目を挙げて取り組むと明らかにしました

米空軍は、ヒスパニックの士官登用や将官への昇進に関する課題を、募集事務所やROTC大学関係者、空軍のヒスパニック課題特別チーム(HEAT:Hispanic Empowerment and Advancement Team)、学界、米軍部隊を巻き込んで調査し、全将軍職におけるヒスパニック比率が1%以下で、中将や大将がゼロとの実態を問題視して、募集段階からの改善に取り組もうとしているようです

HEAT2.jpgバイデン政権では海軍長官に初のヒスパニック出身者(キューバ移民の元イージス艦艦長)を抜擢するなど、民主党政権としてのヒスパニック層へのアプローチとも考えられます

今件に関する、米空軍人に占めるヒスパニック系の人数比率や米国におけるヒスパニック系人口比率について、本件を取り上げた14日付米空軍協会web記事は触れておらず、記事の内容からしかご紹介できませんが、米陸軍や米海軍も同様の傾向にあり、米軍や米国社会全体の問題であろうとも推定できますので、ヒスパニック系の将軍を増やすための地道な活動の「手始め」をご紹介いたします

Kendall長官の問題認識
Kendall 7.jpg●私の経験から、仮にそのグループや集団を代表する人物が主要ポストにいなければ、そのグループや集団問題や課題に、そのグループ外の人が頭を突っ込んで考えることはないだろう。
●この問題への対処には包括的なアプローチと、例えば大佐育成するために20年間を要する様に時間が必要である

●例えば最近、HEATの提言により、アルファベットで表記された各兵士の名札に、発音アクセントの位置を示すシールやマークを付けることが承認されたが、米空軍はこの課題への対処アイディアを広く求めている

調査レポートの提言概要
USAF Hispanic.JPG●募集においては、ヒスパニック社会の特性を考慮し、募集対象の大学生へのアプローチと共に、両親やヒスパニック社会全体への米軍勤務への情報提供が極めて重要で、ヒスパニック言語での募集資料の提供や、家族と社会全体へのアプローチをより重視すべき
●募集対象者と年齢が近い少尉クラスを、GBR(Gold Bar Recruiter program)を使ってROTC制度のある大学に40名派遣し、募集活動を強化すべきである。また派遣者数をさらに増やすべきである

●ヒスパニック募集対象者にアプローチするには柔軟な対応が必要で、ROTC制度導入大学が近傍に無い対象者がROTC制度を体験できるように、インターン研修参加費を空軍が負担したり、体験場所への交通費を提供したりするきめ細やかなサポートも検討する必要がある

USAF Hispanic2.jpg●米陸軍や米海軍入隊を目指す士官候補生には存在しない、米空軍が1950年代から実施している独自の英語口頭テスト(AFOQT:Air Force Officer Qualifying Test)が大きな障害の一つとなっている
●このテストは英語を第2言語として育ったヒスパニック募集者にとって厚い壁で、採用最前線のROTC受け入れ部隊長はしばしば、有能でリーダーシップにあふれた有能な人材が、この試験に跳ね返されている現実にフラストレーションを感じている

●この制度への対処として、AFOQT再受験までの期間短縮や、同テストの部門ごとの最高点を次回試験でも持ち越し可能とすることなどをこれまで行ってきたが、この試験の必要性にさかのぼって議論すべきとの意見も出されている
●またヒスパニック募集対象者に関する人口動態データをより詳細に分析し、効率的な対象者への募集広報を行うべきである

●現役のヒスパニック系空軍士官への聞き取りから、彼らが米空軍所属後に直面してきた困難や課題を把握し、彼らの能力発揮に必要な改善を行う
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USAF Hispanic4.JPG米空軍は、女性のGina Ortiz Jones氏(40歳・フィリピン系・スペイン語圏)を「Latino」初の空軍副長官に登用しており、バイデン政権としての「多様性」追求に応えていますが、その一環でしょうか。又は空軍志願者や対象人口の急減少から、募集強化の一環でしょうか

考えてみれば、ヒスパニック系の人物を「東京の郊外より」で取り上げた記憶がありません・・・。人口動態上の米国社会でのヒスパニック系の位置づけを把握していませんが、米軍の今を考える一つの材料としてご紹介しておきます

海軍長官は初のキューバ移民
「新海軍長官が4つの「C」重視」→https://holylandtokyo.com/2021/08/24/2145/
「Carlos Del Toro新海軍長官のご経歴」→https://holylandtokyo.com/2021/06/16/1922/

空軍トップによる募集広報メッセージ映像
「四の五の言うな。空軍へ来たれ!」→https://holylandtokyo.com/2021/08/10/2087/

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米4軍が協力して指揮統制改革に挑む実験演習中 [Joint・統合参謀本部]

米陸軍Project Convergence用の実験演習で
各軍種がバラバラとの批判を受け、改革の第一歩か?
アジア太平洋を舞台に英豪加NZもオブザーバ参加

Project Convergence2.jpg10月20日、米陸海空海兵隊の幹部が揃って記者会見に臨み、各軍種の取り組みがバラバラと厳しい非難を受けているJADC2(統合全ドメイン指揮統制プロジェクト)を一体推進するため、米陸軍の指揮統制改革プロジェクト「Project Convergence」演習に4軍が参加し、同盟国オブザーバーも見守る中、各軍種の兵器やセンサーを結んで円滑な指揮統制や情報の軍種間共有が行えるよう取り組んでいるとアピールしました

Project Conv22.jpg米軍の指揮統制改革JADC2(Joint all-domain command and control)は、対中国での戦力分散運用を見据え、前線の各種センサー情報を軍種を超えリアルタイムで共有してAIも活用した迅速の意思決定を可能にし、その指示を迅速に前線や各種中間司令部に伝え、戦いを優位に進める構想です。また中央集権化された指揮統制が被害を受けても、各部隊が強靭性を持って有機的に行動できる態勢を支えようとするものです

この指揮統制改革の重要性は各軍種も認識し、統合レベルのJADC2を推進すべく、陸軍は「Project Convergence」、海軍は「Project Overmatch」、空軍は「ABMS:Advanced Battle Management System」とのプロジェクトを立ち上げ、各軍種数千億円以上の規模の事業に着手していますが、各軍種の取り組みは「各軍種の利益優先」「バラバラ」と議会や専門家から厳しい批判を受けており、

Project Conv22 2.jpg8月には空軍と宇宙軍の首席サイバー補佐官が、「私は陸海空軍の各プロジェクト関連文書に全て目を通したが、各軍種はそれぞれ独自にJADC2を解釈している」、「(結果として3軍は)相互運用性があるシステム構築に向けたあるべき方向に向いていない」と公の場で辛らつに現状を批判して大きな話題になったところです

「JADC2への姿勢が各軍種バラバラ」→https://holylandtokyo.com/2022/08/03/3524/
「隠れた壁:Data Formatsの相違」→https://holylandtokyo.com/2020/11/24/394/

そんな中、10月から11月にかけアジア太平洋を舞台に行われている米陸軍「Project Convergence」用の「networking-and-tech」実験演習に、米海空海兵隊も参加し、同時に初めて同盟国から英豪加NZもオブザーバ参加して、様々な装備やセンサー連接試験や、関連データのデータフォーマットの相違を乗り越えた共有と指揮統制への迅速活用に取り組んでいると、会見に出席した4軍幹部がアピールしています

Project Conv22 5.jpgなお、今年の本実験演習では、アジア太平洋や欧州での脅威を想定した陸上中心シナリオと海上中心シナリオが準備され、300余りの新技術や手法がテストされる予定で、長射程火砲、無人機、自立走行車両、次世代センサー等々の国境の枠を超えた連接を焦点に試験が設定されいるようです

この会見を報じる21日付Defense-News記事は、この実験演習が具体的にどこでどのように行われているのか触れていませんが、会見はワシントンDCで行われており、「バラバラ」とのJADC2への批判に対応することを強く意識したものとなっています

●米陸軍Gabe Camarillo担当次官
Camarillo.jpg・この実験演習は陸軍だけの実験ではなく、統合実験である。そして完全な4軍参加と、同盟国のオブザーバー参加も得た実験である。昨年から本分野に取り組んでいるが、国防省と4軍が一体となって課題を見出し、継続して解決に取り組む姿勢に変わってきたことを目撃してきた
・データフォーマットに(軍種毎の)様々な形態が存在し、これら異なる形式のデータが作戦遂行のため円滑に流れる仕組みの必要性を4軍が強く認識しており、その実現のために皆で取り組んでいる

●米空軍Clinton Hinote戦略計画部長
Hinote2.jpg・今年の本演習で私が目にしているのは、分散形態の作戦管理が、アイディアを基に信じられないレベルで挑戦が行われており、実現されようとしている取り組みだ。非常に難しい課題だが、現実に進歩を遂げている。
・机上の理論が実現されていく様子が私を興奮させてくれる。我々が今できないことも、皆が協力して学び、実現に向けて着実に前進している。あるべき正しい姿だと感じている

●Kyle Ellison海兵隊戦闘コンセプト研究所長
Ellison.jpg・海兵隊チームも他軍種からの参加者も、皆が積極的に参加しており、この情熱や熱気を持ち続けるだろう。
・実験演習参加者は、単にこの取り組みが「統合」や「相互運用性」だけでなく「融合integrated」されたものである必要性を感じており、その方向での挑戦の様子を目にしている。より相互運用性を高め、融合を目指す機会を逃すことはできない
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最近、米軍の対中国を意識した統合作戦運用や兵站面での準備が、各軍種のエゴや「主要装備重視・維持整備や弾薬輸送軽視」の旧態然とした米軍の風潮(世界中の軍隊共通)の中で全く進んでいないとの報道を多くご紹介してきましたが、少しは明るい話題になればよいと思います

Project Convergence7.jpg各軍種幹部の発言から、「取り組む姿勢の改善」、「問題の共有」は進み始めたようですが、始まったばかりで、データフォーマット相違の克服やデータの円滑な共有が実現する目途が立っているわけではありません。

米本土から遠く離れ、作戦拠点基地がほとんどない西太平洋での作戦運用コンセプトしかり、必要な弾薬確保しかり、輸送力の確保しかり、救命救助態勢しかり、4軍の円滑な情報共有しかり・・・道は遠いです。

将来戦に向けた指揮統制改革:JADC2、AIDA、ABMS関連
「JADC2への姿勢が各軍種バラバラ」→https://holylandtokyo.com/2022/08/03/3524/
「陸軍プロジェクトの教訓」→https://holylandtokyo.com/2021/12/21/2514/
「国防副長官がJADC2推進を語る」→https://holylandtokyo.com/2021/07/01/1943/
「具現化第1弾でKC-46に中継ポッド」→https://holylandtokyo.com/2021/05/31/1727/
「Data Formatsの相違」→https://holylandtokyo.com/2020/11/24/394/
「3回目はアジア太平洋設定で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/05/425/
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holylandtokyo.com/2020/09/09/476/
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「今後の統合連接C2演習は」→https://holylandtokyo.com/2020/05/14/671/

米海軍のProject Overmatch
https://holylandtokyo.com/2020/10/22/438/

米陸軍のProject Convergence
「2021年末までの教訓」→https://holylandtokyo.com/2021/12/21/2514/
「米陸軍と海兵隊F-35が情報共有演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-13

対中国の作戦準備進まず
「統合作戦検討進まず」→https://holylandtokyo.com/2022/07/06/3396/
「民間海空輸送力活用の検討」→https://holylandtokyo.com/2022/10/21/3780/
「米空軍戦術構想ACEの課題」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/

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B-21爆撃機の初披露は12月2日 [米空軍]

限定招待者対象に加州のN-グラマンPalmdale工場で
取材メディアにはカメラレンズの性能限定要求も
米軍34年ぶりの新型爆撃機のお披露目です(B-2以来)

B-21 Unveil.jpg10月20日、B-21爆撃機を開発製造担当するNorthrop Grumman社がツイッターで、12月2日金曜日に加州Palmdaleに所在する同社工場「Air Force Plant 42」で、B-21の初公開を行うと発表しました。

同機は同工場で、現在6機が製造組み立て段階にあると明らかにされていますが、同社5月のプレスリリースでは、B-21の一番機は振動試験などの機体構造強度を確認する一連の第1段階試験を終了し、エンジン試験、サブシステム試験、ステルス塗装の確認に進んでいると公表されていたところです

B-21 B-2.jpg本お披露目式典については、9月20日に米空軍省のAndrew Hunter調達担当次官が記者団に対し12月の第1週に行うと明らかにし、初飛行については2023年予定と語っていたところですが、初飛行の具体的な日程はお披露目後の屋外での地上滑走やエンジンテスト等の状況を見て判断するとのことで、「初披露から2~3か月後」とか、「2023年半ば」とか、色々に過去の例から様々に推測して報道されています

また初飛行については、現在の「Air Force Plant 42」工場から、飛行試験のメッカ「Edwards空軍基地」に「飛んで移動」した後、正式に同空軍基地から行うと報道されています。

B-21 bomber.jpg本題に戻って12月2日の初披露式典の細部はほとんど公表されておらず、限定された招待者(米空軍と議会や政府関係者と一部メディア)のみが参加でき、米国防省や軍需産業関係者によれば、初披露での写真撮影は許可されているが、カメラレンズの大きさ等は制限され、機体を見る角度も限定される模様です。また初公開に合わせた、B-21の新たな写真などの披露は無いとのことです

なお、B-21の最初の配備基地は、現在B-1B爆撃機の母基地であるサウスダコタ州Ellsworth空軍基地で、その後ミズーリ州のWhiteman空軍基地(B-2配備中)とテキサス州のDyess空軍基地(B-1B配備中)に順次配備される予定だそうです
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B-21 artistic.jpg2019年7月末に時の空軍NO2が「開発順調で、初飛行は863日後の2021年12月3日予定だ」と豪語したこともありましたが、その後2021年前半には「機体を初披露後、2022年の中頃に初飛行予定」との話になり、更に今年5月20日に米空軍報道官が一切の理由説明なく「B-21爆撃機初飛行の予定は来年2023年となる」と明らかにし、様々な噂が飛び交ったところです

それでも2022年4月末にはNorthrop Grumman社C女性EOが、「空軍から(優秀な開発ぶりが評価され)報奨金約80億円を授与されることになった」と自慢していますので、引き続きの順調な開発を期待したいと思います。いろんな写真や分析が出回ることも期待いたしましょう

B-21爆撃機の関連記事
「初披露は12月第1週に」→https://holylandtokyo.com/2022/09/22/3695/
「初飛行は2023年にずれ込み」→https://holylandtokyo.com/2022/05/23/3269/
「製造企業CEOが80億円ゲットと」→https://holylandtokyo.com/2022/05/16/3202/
「無人随伴機も鋭意検討中」→https://holylandtokyo.com/2022/03/24/2938/
「6機製造中」→https://holylandtokyo.com/2022/03/01/2711/
「B-21を5機製造中」→https://holylandtokyo.com/2021/09/27/2270/
「下院軍事委員長も絶賛」→https://holylandtokyo.com/2021/06/23/1896/
「格納庫写真から大きさを推定する」→https://holylandtokyo.com/2021/04/07/101/
「初飛行は2022年半ばか」→https://holylandtokyo.com/2021/01/20/302/
「開発状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「2021年12月3日初飛行予告」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-29
「初期設計段階終了」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30
「米空軍の爆撃機体制計画」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2
「2017年3月の状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-20
「B-21に名称決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-27
「敗者の訴え却下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-17
「敗者がGAOに不服申し立て」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-07
「結果発表と分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-28

米空軍爆撃機の話題
「爆撃機管理は今後5-7年が多難」→https://holylandtokyo.com/2021/08/06/2024/
「B-52から重力投下核任務除外」→https://holylandtokyo.com/2020/01/29/877/
「B-1早期引退でB-21推進?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-19
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春時点の爆撃機構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2

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民間海空輸送アセットを対中国で活用するために [Joint・統合参謀本部]

アフガン脱出作戦での民間輸送力動員の教訓踏まえ
対中国作戦での厳しい「最後の数千マイル」輸送問題

Van Ovost.jpg10月14日、米輸送コマンドの女性司令官Jacqueline Van Ovost空軍大将が記者団に対し、対中国作戦では西太平洋地域に分散して戦うコンセプトが追求され、膨大な兵員・装備・弾薬・補給物資等の輸送を行うには民間海空輸送力の活用が不可欠だが、それら民間輸送アセットが厳しい環境下で有効に活用できるような装備や人員の提供を検討していると語りました

同大将は2021年夏のアフガン退避作戦の教訓を例に、1952年創設の「Civil Reserve Air Fleet;民間予備航空隊」に対し湾岸戦争とイラク戦争に続く3回目の動員を行い、民間航空輸送アセットを避難民輸送に投入したが、これらアセットを軍用機と組み合わせ、どの民間アセットをどの区間で使用するか、どのように意思疎通を図るか等々の検討が極めて複雑で困難な作業となったと振り返り、

Civil Reserve Air.JPG対中国作戦時には遥かに膨大な輸送を可能にし、民間航空アセットだけでなく民間海運アセットを組み合わせ、中国からの攻撃被害を避けるために分散運用を追求している海空軍海兵隊部隊を支えなければならないが、現在の態勢や能力とのギャップを強く懸念していると認め、これまでの能力分析やWarGame等を通じて得た課題と検討中の解決策をテストする演習を来年から数年かけ実施していくと語りました

具体的には、民間の海空輸送アセットにLink-16通信用のキットを搭載することや、民間海運アセットに米海軍の予備役兵を派遣して危険な海域での行動についてサポートすること、民間燃料輸送船に海軍艦艇への給油装置を付加し、港ではなく洋上で給油可能にするオプション等を同司令官が語っていますが、どれもが更に検討や今後検証する段階です

Maritime Security P.jpgVan Ovost司令官は特に海軍海兵隊関連について、「(必要な能力と現状のギャップを把握するため、)米海軍や海兵隊の構想を詳細にフォローしており、今後の海洋作戦補給にどのようなニーズが生じるかや、どのような時程で検討が進むのかを今後数年間。特に注視していく」と述べているところです

また同司令官は、米海軍と海兵隊が次世代の輸送艦として検討している「Light Amphibious Warship」や「Next-Generation Logistics Ship計画」に期待を寄せ、現在は各軍種のアセットとして運用構想が検討されているが、もはや各軍種の枠組みで議論していては実作戦で機能しないとして、その想定能力から統合輸送能力として期待しているとも語っています

Van Ovost2.jpg更に同大将は、輸送力と言う米軍の弱点を中国がついてくると予期し、「中国は米軍の通信妨害に特化した能力を確保し、その範囲は陸海空ドメイン全てに渡っており、米軍による民間輸送力動員を拒否・遅延・低下させることを狙っている」として、北米コマンドやサイバーコマンドとも連携し、民間海空輸会社の拠点である空港や港湾施設へのサイバー妨害や関連調整への妨害を防止することにも言及しています

司令官発言を補足し、米輸送コマンド報道官は、定期的に見直しが行われる輸送ニーズ見積もり「Future Deployment and Distribution Assessment」の最新版をVan Ovost司令官が最終確認中だが、最新の脅威環境や西太平洋を中心とした分散運用を基礎とした作戦構想を踏まえれば、海空輸送に多様な輸送容量と輸送距離能力を持つアセットの適切な配分とチーム編成が不可欠だと説明しています
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Maritime Security P2.jpg米空軍は「ACE構想」を打ちだし、米海兵隊は「stand-in force構想」を打ち出していますが、西太平洋での拠点の確保、必要な弾薬の確保、救難救助体制の問題、そしてこの輸送能力の問題など、作戦運用の基礎に大きな課題が存在していることが次々と明らかになってきています

そんな中でも、空母や戦闘機や爆撃機に大きな予算が配分され、陸海空軍と海兵隊の統合作戦への取り組みは「生煮え」のままです。これだけ台湾などの危機が叫ばれる中ですが、これが現実です

対中国の作戦準備進まず
「統合作戦進まず」→https://holylandtokyo.com/2022/07/06/3396/
「統合指揮システム検討が軍種毎バラバラ」→https://holylandtokyo.com/2022/08/03/3524/
「Data Formatsの相違」→https://holylandtokyo.com/2020/11/24/394/
「米空軍戦術構想ACEの課題」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
「比新大統領が中国との関係強化示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/07/08/3450/

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安価なイラン製自爆無人機がウクライナで猛威 [安全保障全般]

【21日、追加情報】
米国政府がクリミアでのイラン人運用支援を強く批判

10月20日、ホワイトハウスのKirby報道担当補佐官が、当初ロシア兵による「SHAHED-136」操作が失敗したことを受け、イラン人支援要員がクリミア半島に入って、ロシア軍を支援していると厳しく非難

将来、イラン製地対地ミサイルの導入可能性も示唆し、イランの支援を否定するロシアとイラン側の主張を真っ向から否定
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「貧者の巡航ミサイル」と呼ばれる安価兵器が「ウ」に打撃
目標到達率5割程度もソフト目標に威力発揮
士気や市民生活への影響大で懸念広がる

SHAHED-136.jpg10月18日付Military.comが、9月下旬からロシアがウクライナ攻撃に投入開始したイラン製自爆攻撃無人機「SHAHED-136」の概要と効果について取り上げ、単純構造で安価で破壊力も突破力も限定的な兵器ながら、対処の難しさから大量投入で社会インフラや防御の薄い軍事目標攻撃に成果を上げ、停電など市民生活に影響を与えるなど恐怖感を与えるテロ兵器として猛威を振るっていると報じています

小型無人機の脅威や対処法検討について、これまでも様々にご紹介してきましたが、分かり易い形で表面化してしまった「貧者の巡航ミサイル」とも呼ばれる自爆型無人機の脅威を、どの程度の数量が使用されたのかなど細かな部分は不明な点も多いのですが、本事例から考えたるべくご紹介いたします。

イラン製自爆攻撃無人機「SHAHED-136」の概要
SHAHED-136 3.jpg●長さ380㎝、幅250㎝、重量200㎏で、5~40㎏の弾頭を搭載でき、プロペラ推進の速度185㎞/hで射程距離は1000㎞と言われている。
●プリプログラムされた目標位置にGPS利用で自力進出し、搭載カメラで目標を確認した後、地上からの無線指令で最終的に目標に突入する運用の模様

●「無人機の群れ」として飛行する高度な無人機間の連携能力はなく、単に同時複数発射で敵防空網を飽和させる運用が主流
●価格は1発300万円以下で、代表的なロシア軍巡航ミサイル「Kalibr」(弾頭480㎏)の1発約1億4000万円と比較すると極めて安価。

米やウクライナ専門家の見方
SHAHED-136 5.jpg●射程は1000㎞以上と言われるものの、通信覆域が限られ通信妨害に脆弱であることから、ロシア軍はより目標に近い場所の車両搭載発射機から射出して使用している
●低空を飛翔するため、防空レーダーや対空ミサイルでの対処が困難だが、騒音が大きく低速であるため、例えば10月10日の攻撃では、発射された75発の内、55%に当たる41発がウクライナ側により撃墜されている

●ロシアは「SHAHED-136」の被撃墜率が高いことを考慮し、防空カバーの弱い軍事目標や社会インフラ(発電所など)を攻撃目標にしており、首都キーウで停電が発生するなどウクライナ国民の「士気をくじく」「不安をあおる」点で特に効果を上げている。軍事的な影響については良くわからない
SHAHED-136 4.jpg●ウクライナ側は迎撃兵器として米国に対し、米海軍艦艇が自己防御用に搭載しているレーダーと機関砲を組み合わせた防空システム「ファランクス」を要望している模様

●ウクライナ国防省は、露が既に精密誘導兵器をほとんど打ち尽くしており、ロシアが今後、このような外国製無人攻撃機に依存する可能性を示唆している。
●ただし、安価ながらイランからの輸送費用や、制裁下にあるイランが「SHAHED-136」に使用する搭載カメラなどの部品の質が低く、ロシア側で交換して使用しているとの話もある。
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イラン製のSHAHED-136解説映像(約6分:90秒から性能解説)


ゼレンスキー大統領は「昼夜を分かたぬ市民へのテロ攻撃をロシアは行っている」と国際社会に訴えていますが、ウクライナの国立戦略研究所のBielieskov氏は「対処法をわきまえた前線部隊は半数以上を迎撃しているため、ロシア側は一般市民を目標にしている」と非難しつつ、「この攻撃が増加しても、ウクライナの前線での攻勢を覆すことはできないだろう」とコメントしています

SHAHED-136 2.jpg攻撃を受けているウクライナ国民の苦悩から目を背けるわけにはいきませんが、自爆型無人機による一般市民や社会インフラに対する攻撃が大規模にメディアで報じられ、軍事作戦を大きく変えそうなこの無人機兵器の恐ろしさが認識される一つの機会だと考えます

自国製巡航ミサイル等が「底をつく」状態にあるらしいロシアが、経済制裁下のイランからどの程度この種の兵器を導入できるのか不明ですが、注目したいと思います

無人機対処にレーザーや電磁波
「対処用のエネルギー兵器動向」→https://holylandtokyo.com/2022/07/14/3432/
「JCOが小型無人機対処3機種吟味」→https://holylandtokyo.com/2022/05/17/3233/
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holylandtokyo.com/2021/06/02/1708/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14

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米軍喫緊の課題:弾薬確保を産業基盤育成から [安全保障全般]

退役軍人研究者が心もとない現状を取り上げ
政府・議会・米軍・同盟国を含めた対応を訴え
ウへ提供の対戦車ミサイルは米軍保有の半分以上で補填に12年

SM-6 4.jpg10月12日付Defense-Newsが、元太平洋軍作戦部長(J3:2017年退役海軍少将)とシンクタンク研究者(陸軍士官学校助教授:元Black Hawkパイロット)による寄稿を掲載し、米国は同盟国とも協力して、早急に弾薬の製造産業基盤の育成や備蓄量増に取り掛かるべきだとの訴えを紹介しています

LRASM-B1-2.jpgこのお二人の寄稿は今年3月、「ウクライナ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」とのタイトルのものを一度取り上げていますが、その中でも一番に訴えていたのが「対艦ミサイルLRASM発射母機と同ミサイルを多数準備せよ」で、今回の寄稿にも通じるものがあります

中身は、ウクライナ支援で露呈した米軍の関連弾薬や兵器の備蓄量や製造基盤の弱体振りや、対中国でカギになる対艦ミサイルが同様の問題を抱えていることを紹介し、政府・議会・同盟国も巻き込んだ産業基盤政策と弾薬調達予算が急務だとの訴えです。特に備蓄量や製造能力に一部具体的数字が出ており、興味深いのでご紹介します

2名による寄稿の概要は・・・
Bowman3.jpg●長年にわたり、米国防省と米議会は米国の弾薬製造基盤と調達数の問題を無視し続けてきた。航空機や艦艇や戦闘車両を重視し、弾薬については余った予算枠で調達するような状態を続け、結果として弾薬製造企業が最低限生存できる程度の調達を細々と続けてきたのが実態である
●そして今、我々はウクライナの現状や台湾に迫る危機に直面する中で、この弾薬問題をこれ以上放置することができないぎりぎりのタイミングにある

事例で見る現在の弾薬製造能力
montgomery.jpg●このような弾薬問題は、例えばウクライナ支援でもクローズアップされることになった。約8500発のJavelin対戦車ミサイルをこれまでに提供しているが、これは米軍が保有する同ミサイル約15000発の半分以上に相当する。また同ミサイルの最大製造能力が年675発であることから、ウクライナ提供分の補填には今後12年を要するのが実態である
●この事態を受け、国防省と議会は遅ればせながら動き始め、関連軍需産業は同ミサイルの製造能力を2倍にしようと検討を始めているが、実際に動き始めてから製造能力拡大が完成するまで2-3年は必要である

●また台湾への中国侵攻リスクが高まる中、世界最大規模の中国艦艇部隊への抑止と対処が重要となるが、このための主要兵器となる対艦ミサイルが大きく不足している
Javelin FMG-148.jpg●例えば、代表的な空対艦ミサイルLRASM(Long Range Anti-Ship Missile、海空軍機に搭載可)は、最近のシミュレーションでは800-1200発必要とされているが、現実には200発しか保有していないし、毎年の調達数はここ数年僅か38発でしかない。

●国防省は2023年度予算要求で年88発を要求しているが、このペースが守られても、1000発確保するのに2032年までかかることになり、中国による台湾危機への対処準備の重要性が叫ばれる中、現実との乖離があまりにも著しい

解決への方向性
LRASM4.jpg●このような状態への解決策は、政治的な意思次第で極めてシンプルであり、まず米議会が現在の最大弾薬製造能力分を調達可能な予算を配分し、次のステップとして最大製造能力を拡大できるように更に予算を拡大させていく事である
●この過程で議会は、弾薬に関する複数年購入合意を可能にし、関連軍需産業が将来を見通して製造現場の専門作業者や技術者を確保&養成できる態勢の基礎づくりを支援すべきである

●米国政府は国内政策に加え、同盟国に働きかけ、米国の製造能力拡充に合わせて、米軍や米国納税者の負担を軽減するため、同盟国へのカギとなる弾薬売却を推進すべきである。豪州・日本・英国などはLRASMやSM-6などの将来調達数をレビューすべきである
●この過程で、同盟国との弾薬の共同生産合意も追求すべきである。多国間の協力体制で可能な、より大きな製造能力を年月をかけて構築することで、より抑止力の高い一体となった軍事力を構成可能となる
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Gates Nato.jpgこの問題は米国に限らず、欧州でも日本でも同じだと思います。かつてリビア支援作戦を米国が欧州に委ねたところ、僅かな期間で欧州諸国の弾薬が底をつき、米国に泣きついた事例があり、当時のゲーツ国防長官が激怒したり、「戦闘機ばかりに投資しないで、弾薬のことも考えろ」と国際問題担当次官補が怒りをあらわにする場面があったりですから・・・

欧州やアジアの同盟国を叱る
「同盟国等へ:米軍の弾薬を今後頼りにするな」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-11-21-1
「警告する、NATOの2極化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12

日本も決して例外ではありませんし、豪州や英国と並んで、名指しで協力しろと言われていますので、早めに対処が必要だと思います。老婆心ながら・・・

統合作戦準備が進まず
「大平洋軍や米軍の統合運用進まず」→https://holylandtokyo.com/2022/07/06/3396/
「ウクライナ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/

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Musk氏が「ウ」支援衛星ネット費用を米国防省に要求 [サイバーと宇宙]

政府を支える民間衛星が被攻撃時、米国は防御してくれるか?とも
Musk氏が「ウ」大統領にクリミア半島はあきらめろとSNSで

Zelenskyy Starlink.jpg10月14日付Defense-Newsが報じる匿名情報(最初にCNNが報道)によれば、ウクライナの対ロシア軍事行動に不可欠な衛星インターネット通信を「自腹で」提供しているSpaceX社のElon Musk氏が米国防省に対し、同通信サービス料を国防省で負担するよう要求している模様です

Spacex社はロシアのウクライナ侵攻直後から、ウクライナ副首相(IT担当相兼務)からのSNS上での要請に数日で対応し、同社の「Starlink」サービスをウクライナに提供した約15万個の地上ステーション装置を通じて支えており、地上施設費用だけでも毎月30億円、これに低高度軌道に配置された衛星の製造や打ち上げ費用等を含めると数百億円規模(570億円との報道あり)とも推定されています

Elon Musk3.jpg14日の政府記者会見では、本件に関する質問が国防省や大統領府に多数向けられましたが、国防省報道官は「同リンクに関しSpaceX社とコンタクトしている」とのみ述べ細部には触れず、Sabrina Singh大統領府副報道官も「国防省はウ国防省と協議している。このネットサービスが必要で、ウクライナ軍とウクライナのために安定した通信環境を確保したいと考えている」と述べるにとどまっています

この問題を背景で複雑にしているのは、3日の週にMusk氏が「(露が占領した地域を)ウクライナに戻すべきか、露に支配させておくべきか」とのネット投票をツイッター上で呼び掛けたことに端を発する、Musk氏と「ウ」大統領の意見相違の表面化です

Elon Musk Zelenskyy2.jpgこのネット投票呼びかけツイートに対し「ウ」大統領が、「Musk氏は、ウクライナ支援者とロシア支援者のどちらが好きなのか?」と疑問を投げかけ、これに対しMusk氏が「ウクライナを強く支援しているが、これ以上の戦争エスカレーションは「ウ」や世界への影響が害が大きすぎる」とツイートして食い違いが表面化したことが、今回の米国防省への費用負担要求に関連しているとも言われています

このツイッターのやり取りでMusk氏は、クリミア半島のロシア支配をウクライナが認め、ウクライナによるNATO加盟申請を取り下げ、ウクライナは中立的政治姿勢を取るべきとまで主張しており、米国政府との意見の相違も明らかになっています

Zelenskyy Starlink3.jpg更にMusk氏は一連のツイートの中で、国家安全保障分野で宇宙ドメインの重要性が急速に増加し、かつ民間衛星事業者が軍事や安全保障分野で大きな役割を果たしている中で、「我々はサイバー攻撃や妨害と日々戦っているが、民間事業者が攻撃を受けたなら、米国は我々を守ってくれるのか?」との究極に重い課題をストレートにぶつけて話題となっているところでもあります。
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SpaceXが提供している「Starlink」は、ウクライナ軍による軍事作戦の極めて重要なインフラとなっており、ドローン運用や目標照準や偵察活動などなど多方面に置いて不可欠で、米軍幹部が「system has proven exceptionally effective」と表現するものです

Tremper.jpgまたこのサービスを維持するSpaceXの努力も目を見張るものがあり、4月に国防省電子戦担当幹部が講演で、ロシアの電子戦やサンバー妨害から「Starlink」を守り維持しているSpaceX社の対応を「泣けるほど素晴らしい」と讃え、その迅速性と適切性から米政府は学ぶべきだと訴えた程です 

最近繰り返しご紹介しているように、国家安全保障分野の民間衛星事業者への依存度は急速に固まっており、「民間事業者が攻撃を受けたなら、米国は我々を守ってくれるのか?」は極めて重い問いかけです。宇宙に限らず、サイバー空間でも同様の問いが発せられていると認識すべきです

Elon Musk率いるSpaceX社の頑張り
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/

ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
「国防省有志が民間技術迅速活用求める」→https://holylandtokyo.com/2022/09/16/3609/
「民阿寒衛星を守る国際規範を」→https://holylandtokyo.com/2022/09/05/3601/
「米宇宙軍の能力向上に民間衛星をまず活用」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/

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バイデン政権が国家安全保障戦略NSSを発表 [安全保障全般]

2020年代を将来を左右する「decisive decade」と表現
2021年春の暫定版からロシアによる「ウ」侵略で修正

2022 NSS.jpg10月12日、バイデン政権が政権誕生2年目で「国家安全保障戦略:NSS:National Security Strategy」の「公開版」(約48ページ)を発表し、昨年春の暫定版から、ロシアのウクライナ侵略を阻止できなかった反省を踏まえた修正を行い、改めて攻勢的で経済力をつけた中国や、危険なロシアと対峙するため、米国民に投資し、同盟国と共に民主主義と自由市場を守っていく姿勢を示しました

また発表されたNSSは、その下部文書となる「NDS:National Defense Strategy」、「NPR:Nuclear Posture Review」、「MDR:Missile Defense Review」もまもなく発表されることを示すものと理解されています。

2022 NSS.jpgNSSは「国家安全保障」に関する文書でそのカバーする範囲は広く、中国やロシア問題を中心として、北極や南極を含む世界全体への姿勢、宇宙やサイバーへの姿勢、更に漁業問題などにも及んでおり、公開版48ページを紹介するのは至難の業ですが、12日付米空軍協会web記事を参考に、「限定的でいい加減なつまみ食い」紹介をさせていただきます

ロシア関連
●ロシアは、無謀なウクライナ侵攻により、中国やインドや日本と比較したステータスを減少させ、外交的な影響力を衰退させ、エネルギーの兵器化で自身に火をつけている。またウクライナ侵略でロシア軍は兵士と装備に大きな犠牲を出して弱体化し、ますます核兵器への依存度を増すことになろう。しかし米国は、ロシアを含むいかなる国も、核兵器の恫喝や使用で目的を達成させない

Sullivan WH.jpg(なお、NSS発表会見でJake Sullivan安全保障担当大統領補佐官は、トランプ政権時代からカギとなる変化として、国家戦略における核兵器の役割を減少させていく事を、NSS暫定版に続き継承していく事を強調しています)

●米国は同盟国等と共に、ロシアによるウクライナ侵略を戦略的に失敗させるため、軍需民需両方の経済面で締め上げ、ロシアによる多国主権の侵害や多国間体制の弱体化を阻止する。また欧州諸国の、エネルギー面でのロシア離れを支援する
●今後のウクライナ情勢により米国の政策は変化の可能性があるが、米国は引き続きウクライナのEU加盟を支持する(ただし、NATOへの加盟については言及せず)
●ロシアが再び、建設的な役割を担って主要な大国として国際舞台に立てるかは、ロシア国民自らが決断しなければならない

中国関連
2022 NSS2.jpg●中国は世界で唯一、世界秩序を再編する意図と、それを成し遂げる潜在的な経済力と軍事力を備えた国家であり、米国は対抗して米国内の革新や競争力強化や強靭性強化に投資し、併せて同盟国等との結束を強化しなければならない
●中国対処を考える時、我々は「inflection point」に立っており、時間こそがカギである。今後10年間が「decisive decade」で、我々の選択や対策の優先度設定が、長期的な将来に渡る我が国の競争力を決定づけることになろう

●米国は、信頼できる戦いうる米軍を構築すべく投資優先を的確にし、アジア太平洋地域の同盟国等への中国の侵略を抑止し、同盟国等の自国防衛能力強化を支援していく
●米国は、台湾海峡の平和と安定維持にコミットし、如何なる一方的な現状変更にも反対し、台湾に対する嫌がらせ(coerce)や武力行使に対する台湾の防衛能力強化を支援していく事にコミットする

その他の地域や分野について
Sullivan WH2.jpg●近年ロシアとの接近傾向が見られたトルコと、NATOや西側諸国との関係強化に取り組んでいく
●中東への姿勢はほとんど変化なく、アラブ諸国にイスラエルとの関係正常化を働きかける

●北極圏での中国とロシアのプレゼンス強化傾向にはあまり危機感を強調せず、「必要に応じ」プレゼンスを強化し、不必要なエスカレーションを防止する
●中国やロシアやイランによる、南アメリカ諸国への嫌がらせに対して対抗していく

●環境保護を支援し、国際法や国際規範を顧みない自然環境への破壊的な遠洋漁業の撲滅を図る。また南極を平穏で科学的な保護された大陸として維持する
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Sullivan WH3.jpg様々に報道され、専門家の方の分析が日本のメディアにも出ると思いますので、ご関心の分野にご注目ください

原文は、グラフや図や写真の全くない48ページの文書ですが、のぞいてみてください

ホワイトハウスのNSS紹介Webページ
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/10/12/fact-sheet-the-biden-harris-administrations-national-security-strategy/

NSS現物へのリンク(48ページ)
https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2022/10/Biden-Harris-Administrations-National-Security-Strategy-10.2022.pdf

トランプ政権での国家安全保障戦略NSSと関連文書
「国家安全保障政策を概観」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-23-1 
「NDS:国家防衛戦略」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-01-20
「リーク版NPR」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-13

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KC-46の第1級不具合解消は更に1年半遅れへ [米空軍]

サプライチェーン問題で2025年10月まで入手不能
ボーイングに不信感持つFAA承認も時間が必要で・・・
既に米空軍が62機以上を受領済ですが

KC-46 RVS.jpg10月7日、米空軍調達担当次官補とボーイングがそれぞれ別々に、KC-46A空中給油機の第1級不具合への対処策であるRVS2.0(Remote Vision System)導入に関し、サプライチェーンの問題で必要な部品入手が遅延することや、FAA等の承認プロセスの遅れ等から、2020年に米空軍と合意した2024年3月提供開始予定が、2025年10月まで約1年半遅れる見込みだと発表しました

KC-46はRVSなど複数の不具合を抱えつつも、今年9月16日に米空軍輸送コマンド司令官が、「我々が明日の戦いに敗北すれば10年後はない。私には今KC-46が必要なのだ」とリスク覚悟で運用制限付きの作戦投入開始宣言を行ったところですが、サプライチェーンの問題とは言え、引き続きボーイング社のグダグダは続くようです。ただし、固定価格契約ですが、追加の費用負担は同社に発生しない模様です

KC-46A9.jpgAndrew P. Hunter次官補は「引き続き、約1年半の追加遅延期間を短縮できないか、スケジュール精査や関係企業の状況をフォローして対処する」との姿勢を示していますが、連邦航空局FAAと米空軍による耐空証明認証プロセスも新装備の試験予定と関連するので見直しを迫られ、遅れの要因となるようです

初度導入されたRVSとRVS2.0との違いは、給油操作員用卓の再設計とディスプレー解像度4K化、可視光&赤外線カメラの改良、可視光カメラの重複配備、画像処理プロセッサー再設計、広角センサーの性能向上等だと米空軍は説明していますが、今回の遅延に関連する部品は情報処理部品や他のロングリード技術装備とのみ報道されています

KC-46 RVS4.jpgHunter次官補はまた、「米国の軍需産業基盤はサプライチェーン問題に直面しており、我々は極めて複雑な調達システムの計画に対する影響を継続的に見極めている」と声明文で述べ、軍需産業全般にコロナを起源とするサプライチェーンの問題が影響を与えていることを示唆しているようです
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「2025年10月」と言うのはRVS2.0が提供開始される時期であり、その後に機体への取り付けや改修が行われると認識しているのですが、改修完了が何時頃になるのか見通しが示されたことはありません。

まだまだ油断できないKC-46A空中給油機だと認識しておきましょう。この件でも同機の初号機を受領し、4機導入する予定の航空自衛隊の対応が気になるところです。

KC-46A関連記事
「ゴールを動かしてまで運用開始宣言」→https://holylandtokyo.com/2022/09/21/3688/
「空軍長官:KC-46の固定価格契約は誤り」→https://holylandtokyo.com/2022/06/06/3323/
「KC-XYZの再検討再整理表明」→https://holylandtokyo.com/2022/04/18/3151/
「RVS改修案に合意」→https://holylandtokyo.com/2022/04/27/3181/
「恒久対策は今も未定」→https://holylandtokyo.com/2022/01/13/2605/
「50機目受領も恒久対策未定」→https://holylandtokyo.com/2021/11/22/2424/

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NATOが「毎年恒例」の核兵器演習へ [安全保障全般]

10月17日の週に約1週間:戦術核訓練など
NATO加盟30か国中の14ヵ国が参加
恒例の演習を淡々と行うことが誤解や誤判断防止と

Steadfast Noon.jpg10月11日、NATO事務総長のJens Stoltenberg氏がNATO国防相会合前日の記者会見で、ロシアのウクライナ侵略が発生する以前から計画され、毎年実施してきた「恒例の」NATO核兵器演習「Steadfast Noon」を、予定通り10月17日の週に、NATO加盟30か国中の14ヵ国が参加して実施すると説明しました

Steadfast Noon2.jpg折しも、ウクライナ侵略で劣勢が伝えられるロシアのプーチン大統領が「ロシア領土を守るため、全ての手段の利用を躊躇しない」と核兵器使用も辞さない姿勢を明確にし始めている中ですが、同事務総長は「定期的に行っている、以前から計画されている演習を突然中止することは、極めて重大で誤ったシグナルを送ることになる」、「NATOの確固たる予期できる行動と軍事力を示すことが、エスカレーションを防ぐ1番の方法だ」と演習実施を説明しています

Steadfast Noon3.jpgNATO関係者によれば、「Steadfast Noon」には参加国保有の戦術核兵器搭載可能機による模擬核爆弾投下訓練や、関連する偵察・空中給油などなどの訓練が含まれ、主な訓練はロシア本土から1000㎞以上離れた地域で行われるとのことです

またNATO関係者は、同演習に先立ち、欧州NATO諸国で保管されている核兵器を厳格に管理する役割を担っているNATOの「Nuclear Planning Group」3か国(英米仏)の国防相が13日に会合を行い、本演習の目的や必要な定例事項について確認すると説明し、ロシア側の「misunderstandingsや miscalculations」を招かないよう配慮しているとも認識されています

Stoltenberg3.jpegStoltenberg事務総長は会見で、プーチン大統領による核兵器使用も辞さないとの示唆に関し、「危険で向こう見ず:dangerous and reckless」な発言だと非難し、「ロシアが核兵器を使用するならば、ロシアに極めて大きな結果をもたらす」と警告するとともに、現状に関し「ロシアの核兵器部隊を厳重に監視しているが、ロシア側部隊の態勢に変化は見られない。引き続き警戒監視を厳にする」と語っています
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ロシアとクリミア半島を結ぶ重要なロシア部隊への補給路「クリミア大橋」が何者かに爆破され、これに激怒したプーチンが、ウクライナ首都への無差別とも言えるミサイル攻撃を行っていますが、ロシア側の手詰まり状態を自らさらけ出しているようにも見えます

Stoltenberg4.jpgNATO事務総長の発言にある通り「NATOの確固たる予期できる行動と軍事力を示すことが、エスカレーションを防ぐ1番の方法」だと思いますが、追い詰められたように見えるプーチン大統領が、果たして「正常な判断ができる合理的なゲームのプレーヤーなのか?」との疑問が頭から離れません・・・心配です。

露がベラルーシに核兵器提供へ
https://holylandtokyo.com/2022/06/30/3416/

ドイツの核兵器共有の後継機問題
「独がF-35導入へ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/
「問題の整理:独新政権が核兵器共有継続」→https://holylandtokyo.com/2022/01/19/2614/
「独3機種混合案検討を認める」→https://holylandtokyo.com/2020/05/09/667/
「独トーネード後継を3機種混合で?」→https://holylandtokyo.com/2020/04/08/719/
「トーネード後継でFA-18優位?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-08
「独の戦闘機選定:核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28

戦術核兵器とF-35等
「F-35への戦術核搭載へ第一歩」→https://holylandtokyo.com/2021/10/07/2313/
「米空軍に追加の戦術核は不要」→https://holylandtokyo.com/2020/12/17/345/
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

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フロノイ女史が中国抑止を再び語る [安全保障全般]

Austinじゃなくてフロノイのはずだったのに・・・
CNAS共同創設者が再び中国抑止を語ります
元国防省No3の政策担当次官(2009-12)

Flournoy5.jpg10月6日、バイデン政権の国防長官候補ダントツNo1だったMichèle Flournoy女史が、Atlantic Council主催で「いかに中国を抑止するか」とのテーマで登場し、米国や西側同盟が軍事力強化を一定レベルに強化完了する2030年までに中国は台湾侵攻を企てる恐れが高いことから、誰も真剣に考えていない2030年までに専従する担当幹部を配置し、最新技術を既存装備と結び付ける施策に注力する必要性&重要性などを訴えています。

Flournoy4.jpegFlournoy女史は国防省No3の政策担当次官を2009年から約3年間勤め、それ以前の国防省経験も含め複数回のQDR等政策文書とりまとめに従事した「プロ」で、バイデン政権誕生時には9割以上の専門家が「次期国防長官確実」と予想していた人物ですが、結果的には「米産軍複合体の闇を感じる」と噂された最終盤でのドンデン返しで、全く存在感がない現在のAustin国防長官が誕生した経緯を経験した人材です。

昨年4月に同テーマでの発言をご紹介(末尾の過去記事参照)して以来のブログ「東京の郊外より」登場ですが、まんぐーす的には非常に興味深い視点だと感じましたので、久々にFlournoy節を取り上げさせていただきます

Michèle Flournoy女史はWeb講演で
Flournoy7.jpg●米国防省や各軍種の新たな装備品や能力造成計画の大半は、2030年代戦力化を目指しているが、習近平は米国や西側同盟国が完全に新戦力体系を手にする前ならば、中国による台湾侵攻の「可能性の窓」が開いていると見なす可能性がある
●米国防省は、2020年代後半に中国による台湾侵攻可能性が高いことを強く認識し、この中期的大課題に専従する人材を配置することから始めるべきである

Flournoy.jpeg●このような中国にとっての「可能性の窓」が生まれる背景には、国防省や各軍種参謀総長が2030年以降を見据えた長期的戦力造成を考えている一方で、最前線の地域戦闘コマンド司令官が2-3年先の短期的視点に集中する傾向があるからで、結果的に2020年代後半の中期的問題を誰も日常的に考えていない状態に陥っている
●この中期的課題に専従担当する人材を配置したら、国防省は「アポロ13号対処」に学んで取り組むべきだ。つまりアポロ13号事故の際、皆が知恵を出し合い、宇宙船内に存在するものだけを活用して乗員3名を無事地球に帰還させたように、開発中の将来技術を待つのではなく、現存する技術を最大限に活用して最大限の能力を獲得し、習近平中国を抑止&撃退することを考えるべきだ

Flournoy6.jpg●具体的には、西太平洋や中国近傍の戦闘エリアで圧倒的な戦力数的不利に米軍は直面するが、有人機と安価な無人機を組み合わせた一体運用(Kendall空軍長官がCCA:ollaborative combat aircraftと呼称する安価な無人機ウイングマンの活用)などにより、近未来でも数的不利のギャップを埋めることが可能になるだろう
●この際、ウクライナでのロシア軍の「役立たずぶり」を見て、実戦経験のない中国軍を「ロシア軍と同じく役立たず」と楽観視したくなる誘惑に負けてはならない。中国軍は多くの問題を抱え、困難にも直面しているが、同時に彼らは過去10年、驚くべきペースで軍の近代化を成し遂げ、プロ集団になりつつある。決して過小評価してはならない
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Michèle Flournoy氏のパネル討議(7分頃から発言・計62分)


国防省や各軍種上層部は長期での戦力造成を中心に考え、前線指揮官は2-3年後を念頭に置いており、結果として中期的な視点での対応をけん引する者が存在しない・・・ここ最近の国防省や各軍種の動きと、前線部隊指揮官の発言を振り返ると、ひざを叩きたくなるご指摘です。

さすがに、国防省での実務担当者とシンクタンクでの研究者の両方で、大きな足跡を残してきたFlournoy女史ならではの視点です。「アポロ13号的対処」の意味がピンとこない方は、ぜひトム・ハンクス主演の映画「アポロ13号」をご覧ください

フロノイ女史の思考
「中国抑止を考える」→https://holylandtokyo.com/2021/04/05/99/
「必要な国防政策を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/08/17/526/
「米議会で中国抑止を議論」→https://holylandtokyo.com/2020/01/22/871/

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米空軍C-130H輸送機の飛行停止解除見通し不明 [米空軍]

【追加情報】10月14日現在、2機のみ飛行再開と米空軍発表
 
●9月27日から116機が飛行停止
●1機は点検で問題なし確認、1機はプロペラ交換で復帰
●報道官「技術的、兵站支援面の両面で複雑な問題であり、我々は対処の初期段階にある」
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プロペラ部品に亀裂発覚で飛行停止に
C-130Hの「54H60」プロペラ使用機116機を飛行停止中
日本もH型を16機保有だが影響は???

C-130H propeller.jpg9月27日に米空軍が保有する116機のC-130Hに飛行停止を命じ、30日に同型機が使用する「54H60プロペラ」部品に亀裂が見つかり飛行停止にしていると公表しましたが、10月7日現在で飛行停止解除見通しは立っていない模様です。

米空軍が保有するC-130輸送機の主力はC-130J型で、今回飛行停止になっている旧式のC-130H型機の大部分が州空軍(Air National Guard)や予備役空軍(Air Force Reserve)が保有している模様で、米空軍輸送コマンド報道官は他の輸送機で空輸所用を穴埋め可能と説明していますが、史上最大級の被害をもたらしたハリケーン通過直後であり、小回りの利くC-130への需要は極めて高いはずです

C-130H.jpg亀裂が見つかったCollins Aerospace社製の旧タイプ「54H60」プロペラを、新型プロペラ「NP2000」に交換するのが解決法の一つですが、対象全機用に新型プロペラ数量が確保できてはおらず、旧タイプ「54H60」プロペラ搭載機も点検して異常が無ければ飛行許可を与える方向のようです

米空軍輸送コマンドや予備役空軍報道官が断片的に状況を説明していますが、飛行停止対象になったC-130H型機の担っている任務の重要性、部隊の点検整備能力、投入可能な新型プロペラ数量等々が絡んだ複雑な方程式を解いて、何を優先して何をするのか、どのC-130H任務にどの代替輸送機を投入するのかなどを大騒ぎで検討している模様です

C-130H propeller3.jpg輸送機であるC-130Hだけでなく、C-130輸送機を改良した通信妨害機EC-130H Compass Calls、特殊部隊の潜入・退去・補給および捜索救難活動を担うMC-130H、そして米海軍用輸送機TC-130Hも飛行停止となっているようです
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問題の「54H60」プロペラを製造したCollins Aerospace社は、「この問題は、我が社が出荷した後に、我が社およびそのネットワーク企業が関わらない部外業者によるメンテナンス過程で生じたものだ」、「(従って)今回の問題は我が社が製造するプロペラや関連部品、NP2000プロペラに何ら影響を与えない」と声明を出しましたが、米空軍輸送コマンドはこの声明に反応していないとのことです

C-130H propeller2.jpg飛行停止になっている116機の所属部隊の内訳は細部不明ですが、予備役部隊報道官は、予備役には4つの部隊に計34機の飛行停止対象機があり、予備役部隊内でまず部品や機体のやりくりを検討しつつ、空軍輸送コマンドとも意思疎通を図っているとのことで、「我々は、最優先すべき任務がどれかを見極めるため最善を尽くしている」と語っています
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米空軍公式webサイトによると、C-130輸送機を米空軍は計428機保有(正規軍145機、州空軍181機、予備役102機)しており、飛行停止の116機はその27%を占めます

C-130H2.jpg他の輸送アセットでカバー可能とは嘘ではないでしょうが、世界のベストセラー輸送機(世界70か国以上に計2500機が製造)の使い勝手の良さは他に代えがたいものがあり、その早急な復旧を待ちたいと思います。

それにしても、航空自衛隊は保有する16機のC-130Hをどうしているのでしょうか?

C-130輸送機関連記事
「航空機のサイバー対処をMC-130で」→https://holylandtokyo.com/2021/12/23/2548/
「独仏が混合C-130部隊編成へ」→https://holylandtokyo.com/2021/09/07/2193/
「対中国にC-130用フロート開発」→https://holylandtokyo.com/2021/10/13/2296/
「米空軍C-130が陸自空挺訓練を全面支援」→https://holylandtokyo.com/2021/03/15/161/

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20年ぶりにロシア人を米国ロケットで宇宙へ [安全保障全般]

若田さんも搭乗のSpaceXロケットで
初の米国原住民女性を含む4名で国際宇宙ステーションへ
米露関係が悪化の一途をたどる中で・・・

SpaceX Russian.jpg10月5日、フロリダ州からSpaceX社のFalcon-9ロケットが国際宇宙ステーションに向けた打ち上げに成功し、ウクライナ侵略で米露関係が最悪の状態にある中、20年ぶりにロシア人宇宙飛行士(Anna Kikina:冒頭写真右端)が搭乗員4名の一人として米国から飛び立ったと話題になっています。

更に、NASA長官のBill Nelson氏は打ち上げ直前、国際宇宙ステーションISSで米国人とロシア人が継続して同時に活動している状態を維持するため、米露それぞれのロケット打ち上げに失敗があっても大丈夫なように、ロシア人宇宙飛行士を米国ロケットで、米国人飛行士を露ロケットで交換打ち上げすることに今夏合意し、次回の交換打ち上げは来春だと発表し、今の米ロ関係の中で大きな話題になっています

SpaceX Russia Crew5.jpgなおロシアのソユーズロケットによる打ち上げで、約2週間前に米国人Frank Rubio宇宙飛行士がカザフスタンの発射場から既にISSに到着しているとのことです。

また、4名の搭乗員の一人が「初の女性Native American」(Nicole Mann海兵隊大佐:冒頭写真左から2人目女性)で、Native American男性が最初に宇宙滞在した2002年以来の「Native American」宇宙飛行士誕生でも話題になっています

SpaceX Russian2.jpgそして日本人として誇らしいのが、4名の中で唯一の宇宙飛行経験者で、今回5回目のISS滞在となる若田光一さんの搭乗で、もう一人の男性宇宙飛行士Josh Cassada米海軍大佐と力を合わせ、現在の米国人とイタリア人クルーから任務を引き継ぎ、来年3月までISSでの活動を予定しています

今回の打ち上げは、米国史上最大のハリケーン被害とも言われている「Hurricane Ian」の襲来により延期されていましたが、クルーのリーダーである若田さんは「この打ち上げ、で少しでもフロリダの空を明るくできれば」との言葉を打ち上げ直前に残して出発しました

SpaceX Russian4.jpgなおロシアは今年に入り、2020年代中にロシア製宇宙ステーションを軌道上に配置して国際宇宙ステーションから撤退すると発表していましたが、今週に入り少なくとも2024年まではISSにコミットし、「ロシア製宇宙基地はすぐには実現しない。それまでは米露はともにISSで飛行する」と関係幹部が語ったと報じられています
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ウクライナ情勢は「核兵器」も絡んで緊迫の度を深め、米露関係は悪化の一途ですが、ロシアのISS活動への当面コミット発言が、世界の空を少しでも明るくしてくれることを期待し、5日付Military.com記事をご紹介しました

SpaceX Russian3.jpgこれまでISSを取り上げた際は、ロシアの衛星破壊兵器実験でISSが危険な状態に置かれた・・・等の暗いニュースでしたが、今後に期待したいと思います




関連の記事
「露の衛星破壊兵器実験でISSが危険に」→https://holylandtokyo.com/2021/11/17/2435/
「ロシア衛星がなどの物体射出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-24
「怪しげなロシア衛星問題提起」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-04

女性と宇宙
「初の女性月面着陸を目指し」→https://holylandtokyo.com/2021/07/05/1935/

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