So-net無料ブログ作成
サイバーと宇宙 ブログトップ
前の15件 | -

ハイブリッドな戦いの情報戦に備えて [サイバーと宇宙]

Defense News主催のインテルと安保サミットで
情報公開促進で敵の情報工作・誘導工作に対処

hybrid warf2.jpg9月4日、Defense News主催の「2019 Intelligence and National Security Summit」が開催されインテルに係る現役幹部から企業関係者まで、様々な人物が講演やパネルディスカッションに参加し、情報戦やハイブリッド戦について議論しました

ハイブリッド戦の中の情報&広報戦や誘導工作は。ロシアが2014年のクリミア半島実質併合でその威力を示し、「安価で低リスク」で有効な手法として西側の脅威となり、特に欧州諸国が対策に力を入れているところですが、このサミットでは米国関係者が議論しています

事柄の性格から断片的な内容ですが、前中央軍司令官の対テロにおける情報戦の要改善事項と併せ、ご紹介しておきます

4日付Defense News記事によれば
Gibson.jpg●ハイブリッド戦のパネル討議で、DNIの副部長であるKaren Gibson陸軍中将は、同盟国を含めた西側情報コミュニティーは、ハイブリッド戦に対抗するため、情報分析手法や分析結果についてよりオープンに公開する方向に向かうべきではないかと訴えた
●ハイブリッド戦は物理的戦力を使用せずに戦略目標を達成する有力な手段になりつつあると述べ、「我々は、情報が戦勝のための道具として、かつてないほど有効活用される様子を目の当たりにした」と脅威認識を表現した

●そして同中将は、「ITシステムにより我々はより密接につながるようになり、結果として、敵は作為した情報をSNS等を通じて正確に目標とするグループや人々に与えることが可能になった」、「今後AIの成熟により、この危険な傾向はますます加速する」と述べた
●また「敵は作為した偽情報を真実だと証明する必要はなく、疑念や疑いを拡散するだけでい」、「一方で我々は、一般国民や同盟国に、我々の情報が正しいことを確信させる必要に迫られている」とも表現した

●このような困難な環境に対応するため、同中将は、西側情報コミュニティーはより情報の秘密指定解除に取り組み、一般の公開情報伝達手段を活用し、一般社会への情報伝達能力を強化すべきであると主張した
Gibson2.jpg●そして「ワシントンDCの情報関係者の間には、より秘密程度が高く、使用に制約が多い情報ほど、優れた情報だと見る文化があるが、この文化と戦うため、情報関係者は、一般社会に情報を知ってもらってこそ大きな利益が得られることを肝に銘じるべきである」、「何のために分析レポートを書いているのか自問自答すべきだ」と訴えた

●更に同中将は、情報や分析の正確性追求と提供のタイミングのバランス考慮し、適時適切な情報提供により着意すべきだと強調した
●次の統合参謀本部議長が上院で主張した敵に混乱を与えるような情報戦ツールへの投資の必要性や、陸軍サーバーコマンド司令官が常々隷下部隊指揮官に指揮官に呼びかけている「情報戦関連部隊の名称変更」などの手法について、同中将は推奨すると述べた

中央軍や特殊作戦軍司令経験者の改善要望
退役したばかりの前中央軍司令官で特殊作戦軍司令官でもあったJoseph Votel退役大将は中東での作戦経験を基に、改善すべき情報活動について以下の4分野を挙げて同サミットで述べた

Open source intelligence
Votel.jpg対ISIS作戦では、Open source intelligence(公開情報)の活用や配分に苦闘した特にSNS上にある情報を活用することが難しく、タイムリーに前線兵士に届けることがいつもできなかった
地域の常識を踏まえた情報の真偽の見極めなど、公開情報の収集活用の改善が必要である


Sharing intel with partners
同盟国等との情報共有をより容易にする必要がある。我々だけ作戦することはなく、パートナーと共に行動するのが基本である。その際、誰の権限で情報を共有するかが課題になることがある
●信頼できるパートナートの情報共有については、現場指揮官により大きな裁量の余地を与える事が必要

Managing big data
●米軍の情報収集能力は目を見張るものがあるが、前線兵士が活用できるように処理分析することに大変苦労している。処理分析配分を戦いの速度に上げることが重要な観点である
有志連合から集まってくるイラクやシリア関連情報も膨大で、これらを処理して活用できるようにするのもチャレンジングな課題である

Boosting human intelligence
hybrid warfare.jpg地域担当メジャーコマンド司令官にとって、地域の人々が何を考え、どのような視点で物事を見る傾向があるのかを知ることは極めて重要であり、その点で「人的情報」は極めて重要である
より多くの人的情報を入手することで、必要兵力の量を削減することが可能になる。現在のHUMINT部隊はその規模でよく頑張っているが、より強化することが期待される
/////////////////////////////////////////////////////

敵のハイブリッド戦に於ける情報工作や誘導工作に対処するため、出し惜しみせず、従来秘密情報扱いになっていた情報も、一般メディア等を活用して一般民衆に伝えて「工作」に対抗すべき・・・とは、なるほどの考え方です

そのためには「情報コミュニティー」の文化を変える必要がある・・・との指摘にも納得です。情報分析の担当官や組織は、オタクっぽい性格を帯びて閉鎖的になりがちですから、正反対の広報部隊と連携してみるのも面白いかもしれません

白髪のGibson陸軍中将はオタクっぽい見た目の女性ですが、発想は素晴らしいと思いました

米大統領選挙や英国のEU離脱国民投票を始め、多様な事例や各国の取り組みを紹介する良
「ドキュメント誘導工作を読む」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

今年は日本参加なし宇宙演習Schriever Wargame [サイバーと宇宙]

新たな指揮統制部署常設の必要性を教訓に
豪NZ加英も参加で欧州に焦点を
昨年日本は初参加も今年は姿見えず・・・

Schriever 20193.jpg17日付米空軍協会web記事は、新設の米宇宙コマンド司令官がAFA航空宇宙サイバー会議で、終了したばかりの「Schriever Wargame 2019」について語った内容について概要を紹介しています

今回で13回目の同演習で、米空軍宇宙コマンドが引っ張る形の統合演習ですが、近年同盟国等の参加に加え、米国防省以外の組織であるNASA、国土安全保障省、運輸省、商務省、国務省などが参加する政府機関を挙げての演習で、過去にはロケット打ち上げを担う民間企業の参加もあった演習です

宇宙で起こることを理解するには多様なソースから情報を収集しないと状況把握(SA)が出来ないし、宇宙での出来事の影響はネットを含む通信や交通機関を始め、人々の日常生活全般に影響を与えることから、多方面の関係者が頭を一つにして対応を練る必要があるとの問題認識からこのような発展を遂げたのが「Schriever Wargame」です

事柄の性格上具体的な細部が語られることはありませんが、宇宙軍創設に向けた動きが始まった中での同演習ですので、フォローしておきます

17日付米空軍協会web記事によれば
Raymond.jpg9月13日までの2週間に渡り、アラバマ州のマックスウェル空軍基地(米空軍大学所在地)で開催された第13回の「Schriever Wargame」の様子と成果について、新設の米宇宙コマンド司令官Jay Raymond大将は、加州のVandenberg空軍基地内の「Combined Space Operations Center」内に指揮統制専門の小組織(specialized command-and-control cell)を設ける必要があるとの教訓を得たと米空軍協会機関紙の取材に17日語った
●同大将は演習の概要について、「2029年を想定し、マルチドメイン作戦で戦略目的を達成しようとする高等な敵に対し、米国と同盟国が如何に協力して対応すべきかを訓練した」、「米軍欧州コマンドや米空軍宇宙コマンドに焦点を当てたシナリオを設定にした」と説明した。

●また空軍宇宙コマンドのリリースでは、「シナリオにはフル帯域の多様な脅威が含まれ、マルチドメイン作戦環境下で、文民と軍人の指導者や計画担当者や宇宙アセット運用者、更にはそのアセットに挑戦するものである」と説明している
●演習参加者は、軍用だけでなく商用や他政府機関の手段を総動員し、宇宙アセットを守るためにあらゆる手法を投入することを検討した。またその過程で情報やアセットの秘匿度や重要性を考慮しつつ、宇宙における責任ある行動を議論しつつ、宇宙からのアクションや宇宙での行動がエスカレーションにつながるか否かを見極めつつ、演習を進めた

Schriever 20192.jpg●同大将は、「もっとも大きな教訓は、宇宙においてコアリションやパートナー国が如何に重要かを再認識できたことである」、「同盟国等の重要性については、これまでも同演習で学んできたが、より協力になりつつあることも明らかにすることができた。そしてまた、我々の焦点は紛争抑止にあるべきとの点も明確になった」とも表現した
豪NZ加英や米国の27もの関連組織から約350名が参加した演習であったが、宇宙軍の創設に向け最近整理された米宇宙コマンドとNROの関係を試す意味でも重要な訓練となった

●同大将は最近、紛争が激しさを増す状態になったなら、NROは宇宙コマンド司令官の配下に入り、一元指揮の元で情報コミュニティーの衛星や宇宙アセット防御に尽くすことになると述べているが、具体的にどのような状況でその形態に移行するかには触れなかった
●「新たな合意の枠組みは、紛争の流れの中で統一された作戦行動を行うことを目的としている」、「合意は公式な指揮権の移譲でも、指揮関係の変更でもないが、NROと宇宙コマンドのより強力なパートナーシップを形作るものである」と説明した
////////////////////////////////////////////////////////

Schriever 2019.jpg米軍宇宙組織と情報コミュニティーの元締めであるNROの仕切りが、宇宙軍成功の大きな鍵となっているようですが、抽象的なRaymond米宇宙コマンド司令官の言葉でご紹介しました

このような米国内でも新たな仕切りも演習のテーマであったことから、日本には参加の機会がなかったのかもしれません。断ったのか、招待されなかったのかは不明ですが、今回が欧州中心のシナリオで、昨年10月はアジア太平洋が舞台だったことも関係あるかもしれません

昨年10月には、自衛官だけでなく、防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのメンバーがチームとして参加したのですから大きな転機でした。ちなみに豪NZ加英は昨年も今年もしっかり参加していますが・・・

Schriever Wargame関連の記事
「日本初参加の2018年の同演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-25
「米国が日本を誘う・・・」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-3
「日本は不参加:米軍宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「Schriever Wargame」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

宇宙での戦いに備え
「同盟国にも訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-2
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1
「米高官が不審な露衛星を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-15

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

静止軌道を移動する怪しげなロシア衛星を巡って [サイバーと宇宙]

衛星運用に関する国際規範がない中での疑心暗鬼
他国の静止衛星を渡り歩くように接近する露衛星への懸念

Russian Luch.jpg3日付C4ISRnetが、2014年9月にロシアが打ち上げた静止衛星軌道を渡り歩いて他国の衛星に接近する奇妙な衛星「Luch(Olymp)」を取り上げ少ない情報や専門家の意見からその用途を推測し、あわせてこのロシア衛星が提起する宇宙に関する規範が存在しない問題を紹介しています

ロシアだけでなく、米国も中国も同様の能力を持つ衛星を宇宙空間に保持しているようですが、米国は怪しげなロシア衛星のような行動はせず、中国衛星は中国の他の衛星にのみ接近していることから問題視されていないようですが、潜在的な能力は各国保有しているようです

怪しげな動きのロシア衛星については昨年8月と10月に、米国務省の軍縮担当次官補が軍縮会議や国連本部の会合で取り上げて問題視していましたが、その際取り上げられた衛星と同じものなのかはっきりしません。(国務次官補指摘の衛星は2017年に打ち上げとのことですから、異なるかもしれません)

「再び同高官が指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-26
「米国務省高官が怪しげな露衛星を指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-15

衛星通信会社Intelsatの衛星への接近事例が多いとの指摘があり、通信情報を傍受(盗む)しているのでは・・・との懸念があるようですが、良くわからないし、調べるすべもないのが現状の様ですが、知識不足の宇宙のことですので、とりあえずご紹介しておきます

3日付C4ISRnet記事によれば
Russian Luch2.jpg2014年9月に打ち上げられたロシアの秘密衛星「Luch(Olymp)」は、静止衛星軌道にある他の衛星に目的不明の接近を繰り返しており、衛星運用関係者の間で懸念が広まっている
静止衛星は、互いに干渉や衝突を避けるため、相互にそれなりの間隔をとって打ち上げされるが、ロシアはこの慣行を無視し、他の商用や政府所有の衛星軌道をわらり歩くような行動をしている

●このロシア衛星は、理論的には接近した衛星から発信される情報や当該衛星に向けて地上や他衛星から発信された情報を傍受することが可能であるが、地上から22000マイルも離れた場所での出来事であり、公開情報も少なく、何が行われているかは判然としない
衛星情報を収集して公表している「TS Kelso of CelesTrak社」の8月27日付レポートによれば、同ロシア衛星は現在、Intelsat17衛星に接近している

同社は通常衛星の軌道上の変化を追っているが、衛星「Luch(Olymp)」に関してはいつも軌道間を渡り歩いているので、その動きが止まった時に注意喚起を行っている。他の専門機関のレポートによれば、同ロシア衛星は過去5年間に17回異なった経度の静止軌道に移動している
●ロシア政府は衛星「Luch(Olymp)」について何の情報も公開せず、将来計画についても関係者は議論しない姿勢を取っている。西側の衛星企業がロシア側に問いただしても、意味のある返答は得られない状態が続いている

CSISのTodd Harrison航空宇宙プロジェクト部長は
Todd Harrison.jpg米国でさえも、上空4万km以上にある衛星「Luch(Olymp)」については、最先端の望遠鏡から得られる情報も限られており、継続的にその行動を監視することで情報を得るしかない
●これまでの観測からは、静止軌道上の衛星を渡り歩いており、何らかの衛星チェックやデータ収集と見られる。他の衛星の接近観察やデータ収集が、直ちに攻撃的とか不安定化を招くわけではない。しかしロシアのような国が行っていることには当然懸念がある

唯一のあり得そうな対策は通信の暗号化である地上や他の衛星との全ての通信を暗号化することである。通信を暗号化せずに安心しているようではだめ
ただ当該ロシア衛星の動きをみていると、より大きな地政学的動きが背景にあるようにも思えるが、何の連絡もなく他の衛星に接近することは大きな災害へのレシピとも言え、非常に懸念している

Secure World基金のBrian Weeden計画部長は
Weeden.jpg●米国から見て中露の動きは、情報収集と宇宙状況把握の2つの活動に興味を持っていることを示しているようにみえる。当該ロシア衛星に関しては、電子情報収集を行っていると推測している
●また衛星「Luch(Olymp)」は、打ち上げ当初は何か月も一か所の軌道に滞在していたが、最近は移動間隔が短くなっている

接近対象の衛星の種別から見ると、全ての接近事例を把握しているわけではないが、衛星通信大手のIntelsat社の衛星に接近している事例が多い。本件に関しIntelsat社からコメントは得られなかった

●いずれにしても、地上から遠く離れたところでの出来事で、各衛星の運用者が全く同じデータを元に衛星の位置把握を行っているわけではないので、衛星が接近することは不測の事態を招くリスクを格段に高める
別の大きな問題は、現存する法的枠組みでは、ロシアにこのような行動を止めさせることが困難である。このような衛星活動に適応できる広く共有された規範が国際的に存在しないのだ

Russian Luch3.jpg宇宙において、どの様な行動が正常か? どのような行動なら責任ある行動と言えるのか? 他の衛星に接近しすぎとは、どのくらい近づいた場合なのか? などなど判断基準がないのだ
衛星「Luch(Olymp)」のような行動を縛る枠組みがない背景の一つは、ロシアだけがこのような能力の保有者ではないためである。米国は「Geosynchronous Space Situational Awareness Program」の中で、Luch(Olymp)」のような行動が可能な衛星を保有しているし、中国も同様であるが、中国の場合は自国の衛星にのみ接近しており話題になっていないだけである
/////////////////////////////////////////////////

上記のロシア衛星と関係はありませんが、欧州宇宙機関(ESA)が3日、ESAの地球観測衛星が米企業スペースXの通信衛星と衝突する恐れが生じたため、高度を変えて緊急回避させたと発表しており、宇宙での衛星近接は「そこにある危機」になりつつあるようです

上記事案でのスペースXの衛星は、1万2千基で地球全域をカバーする計画の第1弾として5月に打ち上げた60基のうちの一つで、同様の衛星群構想は他の企業も構想しており、宇宙が混雑して人の操作による回避が追いつかなくなる事態が懸念されているようです。

ついでにESAは、「人工知能(AI)技術などを使って自動で回避させる新たな仕組みが必要だ」としているらしいです。

米国務次官補が国連等で指摘した露衛星の不審な動き
「再び同高官が指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-26
「米国務省高官が怪しげな露衛星を指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-15 

宇宙アセットへの脅威分析
「別のレポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-15
「CSISレポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-14-3

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

米国宇宙の壁は消えるか?:情報コミュニティVS国防省 [サイバーと宇宙]

米軍宇宙コマンド創設で長年の厚い壁を消せるのか?
国家宇宙防衛センターの具体的運用要領を決める今後が鍵?

satellite.jpg21日付C4ISRnetは、米国の安全保障関連宇宙アセットの運用方法を巡って「縦割り」状態が問題視されてきた情報コミュニティーと国防省間で今般の米軍宇宙コマンド創設を機会に話し合いが行われ、宇宙コマンド配下の「国家宇宙防衛センター:NSDC:National Space Defense Center」で作戦運用を一元化することで合意した件を取り上げ、画期的だが「大事なのは細部対処要領を詰めるこれからだ」と主張しています

このNSDCは、最初は2015年秋に「JICSPOC:Joint Interagency Combined Space Operations Center」として設置されたものですが、「誰もが、何のための組織か理解できるようにするため」に2017年春にNSDCに改称され、その時点で国家偵察室(NRO)等の「情報コミュニティー」部署もNSDCで共に運用する方向性だったようですが、今年に入って「情報コミュニティ」と「国防省」間で精力的に協議が行われ、「情報コミュニティー」がNSDCの配下に入って有事作戦運用を行うことで合意したようです

これまで、NROを筆頭に国防省から指示されることを「あからさまに毛嫌い:stridently fought against」してきた情報コミュニティーが、トランプ大統領が強力に進める宇宙軍創設の流れの中で、「縦割り排除」「一元統制」の方向に同意したことは画期的と評価されているようですが、今後の具体的議論で「総論賛成、各論反対」になる可能性を危惧する専門家も多いようです

とりあえず報道から現在位置をご紹介しておきます

21日付C4ISRnet記事によれば
Maguire2.jpg●20日、「情報コミュニティー」を取り仕切る臨時national intelligence長官のJoseph Maguire氏は、数か月に渡る情報コミュニティーと国防省間の分析と協議を通じ、新設の米軍宇宙コマンドにおいて両社がどの様に融合するのかについて話し合い、新たなNSDCのあり方に到達したと述べた
●そして「両者は、米軍宇宙コマンドとNROが、NSDCの作戦運用コンセプトの下で融合することに合意した」、「宇宙コマンド隷下のNSDCが、両者の統合作戦運用センターとなり、我が国の緊要な宇宙アセットを防御する重心となる」と表現した

●更にMaguire長官は、「史上初めて、情報コミュニティーと国防省の宇宙防衛部門が一体的な構造を持つこととなり、宇宙防衛のシームレスな計画・権限・能力発揮を確かなものとすることになる」と表現した
●また同長官は、仮に紛争が宇宙に発展するようなことになれば、情報コミュニティーのNROは、数々の演習や分析から得られた教訓をもとに米軍宇宙コマンド司令官から出される命令をNSDC経由で受け、その指示に従って一元的に行動することとなると説明した

satellite2.jpg●関連の専門家は、これまで様々な観点から障害となってきた情報コミュニティーと国防省間の壁が取り払われ、一元的にNSDCで作戦運用するとの決定を「極めて大きな決定」と高く評価している。
しかし一方で同専門家は「課題は常に細部に宿る:the devil’s always in the details」との格言通り、今後多様なシナリオやそれぞれに特製の異なる各宇宙アセットに発生する事態への対処を詰める過程では、両者の意見が対立することは容易に想像できると述べている

将来的には、現在は情報コミュニティーと国防省が重複して調達している装備やアセットの整理も期待されるが、それはまだ先の課題であろうと考えられている
///////////////////////////////////////////

具体的な事例で「情報コミュニティVS国防省」をご説明できればよいのですが、依然として宇宙については「ほとんど頭が空っぽ」状態ですので、表面的な記事の紹介でご勘弁ください

自衛隊にも宇宙専門部隊が創設されるようですし、今後様々に一般報道される機会が増える「宇宙防衛」ですので、とりあえずご参考まで取り上げました

宇宙作戦センター関連
「商用データもNSDCへ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20-1
「JICSPOCからNSDCに改称」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06
「米空軍が宇宙活動アピール作戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24
「副長官がJICSPOCを高評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28
「宇宙と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01

国家偵察室(NRO)の関連記事
「謎のNROを語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-20-2
「NRO長官が語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

遅延中:米空軍のサイバーとISR&EW部隊合併 [サイバーと宇宙]

今年夏から秋へ
センサーを保有する気象部隊も一緒に

Holmes.jpg今年4月に米空軍が発表し、今年夏を目途に進められてきたはずの第24空軍(サイバー担当部隊)と第25空軍(ISR+EW電子戦担当部隊)の合併が、新たに米空軍気象航空団(557th Weather Wing)も合併することにした当の理由から、今年秋に連れ込んでいる米空軍戦闘コマンドACCのMike Holmes司令官が23日語りました

米空軍協会の朝食会で講演した同司令官は、遠くに大きな問題があるようには語らなかったようですが、宇宙コマンド配下にあった第24空軍(サイバー担当部隊)を2018年夏に文化の異なるACC隷下に移籍させたばかりであり、更に第25空軍(ISR+EW電子戦担当部隊)と統合するとなると色々課題があるのでしょう

ただ、気象レーダーなどセンサーを保有する米空軍気象航空団(557th Weather Wing)も統合する発想は斬新で、その意気込みのほどが伺えます。
24空軍と25空軍を合併した部隊の名称もまだ未定だと言うことですが、部隊を率いる予定のHolmes司令官の発言をご紹介しておきます

23日付米空軍協会web記事によれば
cyber1-82e9c.jpg●Holmes司令官は朝食会で「この秋に、二つの部隊を融合した新部隊が初期運用体制IOC確立を宣言することができる」と語り、ISR、サイバー、電子戦、暗号等の関連部隊を一人の指揮官の下に配置して運用する部隊の運用について、「information spectrum」でどのように運用し、包括するかを引き続き検討していると状況を説明した
●また同司令官は、「2015年からACC配下にある気象航空団も融合することにした。気象団がセンサーを用いて世界中から情報を収集していることを踏まえての判断である。センサーからのデータが処理されネットワークを通じて世界に提供されている。だから一つの家に入ってISRやサイバー任務ともフィットすると考えた」と説明した

●新たな合併部隊の指揮官は、米空軍のサイバー部隊として、統合のメジャーコマンドである米サイバーコマンドに仕えることになり、米空軍内のサイバー任務部隊やチームを率いることにもなる
●また同時に合併部隊の指揮官は、欧州コマンド、米輸送コマンド、米戦略コマンドの空コンポーネントサイバー司令部を司ることにもなり、米空軍の多様なレベルのネットワークを担当することになる

Cyber-EX.jpg●更に暗号分野の空軍司令官として、NSAなどで勤務する米軍人を支援することになると同大将は説明した
●新たな部隊はテキサス州San Antonio-Lackland統合基地に所在することになるようだが、ネブラスカ州Offutt空軍基地にも情報戦(information warfare)のハブが置かれる模様である

●もちろん新設部隊は米空軍サイバー部隊の中心として、グレーゾーンのつばぜり合いから、本格紛争までを担当することになる
●また新部隊は、電子戦の鍵となる役割を担い、15年以上にわたって対テロに集中して(疎かになっていた)電子戦分野で、高度化する電子戦脅威を迅速に分析して対処する役割を担う
///////////////////////////////////////////

今年4月と同じコメントですが・・・
CyberPolicy2.jpgサイバーやっている「ネットオタク」と、地域情勢を扱う「情報分析オタク」が仲良くやっていけるのか? 作戦部隊に近い電子戦EW関係者が、オタクの2大双璧「ネットオタク」「情報分析オタク」と融合できるのか・・・。

上層部が議論する理想と、現場人材の実態がかみ合うのかなど、これまたお手並み拝見したい試みです。もちろんこれら組織を有機的に活動させたいとの狙いと趣旨には抵抗できませんが、現場の様子に興味津々です

「米空軍がサイバー軍とISR軍統合へ」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3

第24空軍関連記事
「ハッカーが空軍ネットをチェック」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-23
「サイバー戦と既存航空戦力」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-17
「SNSで探知目標を攻撃」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-06

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

議会審議を前に宇宙軍の拙速創設反対論 [サイバーと宇宙]

米空軍協会機関紙の編集長が反対論を展開

Space Force.jpg6月号の米空軍協会機関「AirForce Magazine」の巻頭言で、Tobias Naegele編集長が今後数か月行われる議会での予算審議を前に、改めてトランプ大統領が進める「宇宙軍創設」が如何に問題をはらんでいるかを論じています

この米空軍協会機関「AirForce Magazine」は米空軍やそのOB・OGが主要な読者で、関連軍需産業や米空軍がたっぷり協力して編集している月刊誌ですから、米空軍の意向に反する主張を展開するはずの無い性格のものです。

要するに、最高指揮官である大統領が決めたことだから正面切って反対はできないが、米空軍人の多くはこう考えているとの主張を展開していると考えてよいと思います

今後の米国内の「宇宙軍創設」に関する法手続きに詳しくありませんが、憲法レベルの法改正が今後必要であると認識しており、まだまだ波乱がありそうな予感もしますので、同編集長のざっくりとした反対論を改めてご紹介しておきます

6月号「AirForce Magazine」の巻頭言によれば
Space Force2.jpg過去25年ほどの米軍の作戦運用を見てきた者ならば、米軍が宇宙に依存していることに疑問を挟むものはいないだろう。そして中国やロシアは、米国の無防備な宇宙アセットを米軍の弱点だと見ていることだろう。北朝鮮やイランもそうだろう
宇宙軍独立に賛成の者は、このような宇宙の重要性にかんがみ、また中国やロシアが2015年に宇宙重視の国防組織改革を行ったことなどを持ち出して、宇宙に特化した軍の創設を訴えている

宇宙軍独立に反対するものは、空軍からの分離により、これまで養ってきたシナジー効果を失い、軍種間対立に油を注ぎ、新たな能力獲得用の限られた資源を分断し、官僚機構を積み上げる事になる独立に反対している
●そして政府が考えた宇宙軍構想が、現在でも60もの下部政府機関に細分化されている縦割りに何ら改善をもたらさないことや、現在米空軍内で宇宙を担当しいる者をそのまま横移動させるだけで、新たなアセットのインプットが実質ない中で、看板だけ架け替えるような改編が何の意味をも持たない事を反対派は訴えている

米空軍創設の歴史を振り返るべき
Space Force3.jpg新たな軍腫創設の歴史を「米空軍誕生の歴史」から考えてみよう、WW1時に出現した航空戦力について、米陸軍航空隊の人々はWW2までの間に深く研究し、様々な議論を重ねながら戦略・戦術構想に落とし込んでいった。そしてWW2の実際の戦場において試し、新たな技術を投入し、戦いながら革新を追求し、新たな軍構想を固めていった
それが1947年の米空軍創設につながったのである。このような広範な基礎検討や実戦の経験の積み上げを経て、米空軍創設時に、その動きに反対する動きはほとんどなかったのである

●翻って、現在の宇宙軍創設案はどうだろうか? 米軍は現在、宇宙に兵器を保有していないし、いつどのように戦いかの戦略やドクトリンさえも固めていない。米軍の宇宙アセットは有用だが、独立軍のアセットと呼べるレベルにもない
統合参謀本部の戦略計画部長であるDavid W. Allvin空軍中将は、統合作戦の中で宇宙やサイバー能力を生かし、この特徴を反映させる任務を帯びているが、今だ道半ばであり、「我々は全てを融合して全ドメイン体制で臨まなければならないし、サイバーや宇宙はその緊要な要素である」と統合の重要性を述べている

しかし宇宙はサイバーより長い歴史があるが、今でもサイバーより未成熟で、なおかつ最近になって宇宙アセットの脆弱性が急激にクローズアップされることになっている中で、宇宙において何を守るのか? 何を攻撃すればよいのかさえ固まっていない
●このような検討には時間が必要なのだ。新たな軍を創設してから、これらコンセプトをほぼ無から構築し、同時に軍としての活動を並行して行っていくことになるが、この点を米議会はよく念頭に置いて、また米陸軍から空軍を創設した経緯や時間をもう一度振り返り、慎重に本件を審議してほしい

段階的に慎重に進むべきではないか
Space Force4.jpg米議会は、まず米空軍内に「Space Corps」又は「Space Force」を創設し、戦略やドクトリン、更に必要な手段を準備し、陸軍や海軍やNRO等から人材を段階的に受け入れ、徐々に国家安全保障の計画や政策立案に組み込んでいく事が適当ではないか

経費面でも問題が多い。米議会予算室CBOの試算によれば、宇宙軍創設による新たな司令部組織等の新設で、年間900億円から1400億円国防省予算が増加し、別に初期費用として1200~3500億円が必要となると見積もっている。上で示した我々の段階的案なら、これら経費を圧縮できる
このような重要なことを拙速に急ぐからいけないのだ私の意見は極めて常識的なものだと思う。政権側が持ち出し案件であるが、議会が議論する時が来た。慎重にリスクの少ない道を、将来の選択肢にも配慮して進むべき
///////////////////////////////////////////////////

「宇宙軍創設」に正面切って反対はせず、時間をかけて段階的にと主張することで、宇宙軍創設のモメンタムを削ぐことを狙う作戦でしょうか? 「いったん白紙に戻して、一から議論しなおそう」は、日本の野党の典型的なアプローチの様で気になりますが、トランプ大統領が宇宙軍創設の必要性を誰から吹き込まれたのか? どれほどの信念があるのか疑問も多いので、ご紹介しておきます

Trump cyber.jpg一方で米空軍は戦闘機や爆撃機ばかりに投資するから宇宙アセットに資金がきちんと配分されないとか、戦闘機パイロットが支配している組織だから宇宙への適切な資源配分は期待できない・・・等の疑問に、米空軍側は答える必要があります

資源配分について何も編集長が言及していないのは、「今現在もしっかり公平にやっているから問題視する必要はない」との信念からかもしれませんが・・・

米空軍と宇宙
「宇宙軍で考えるべきこと」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-18
「宇宙攻撃能力を示せ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-11
「宇宙飛行士女性が次期長官?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-22
「大統領が宇宙軍創設を訴え」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-21

宇宙軍を巡る動向
「宇宙軍宣言に国防省内は冷ややか」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-21
「国防副長官が火消しに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-29
「トランプの宇宙軍発言に真っ青」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-17
「下院が独立法案承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-14-1
「下院が宇宙軍独立案を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-22-1
nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

「GPSが30日間停止したら」民間被害見積レポート [サイバーと宇宙]

米国を対象とした分析
最大計5兆円の損失で最大被害は農業

GPS outage.jpgRTI Internationalなる研究機関が、国立基準技術研究所の委託で、GPSの経済効果「Economic Benefits of the Global Positioning System」なる300ページ強のレポートを発表し、その中で商務省が求めた「30日間GPSが中断した際の損失額」についても見積もりました

1980年代から正確な位置情報、航法情報、時刻情報を提供しているGPSシステムに、これまで1日を超えるような中断が発生したことはない様ですが、この安定性ゆえに広範な民生分野がこの「公共財」的なGPSを当然の存在として活用しており、仮に敵対者の電波妨害や物理的衛星破壊行為により同サービスが中断するようなことになれば、その影響は計り知れません

GPS III.jpg同レポートは前半部分で、GPSの米国民間セクターにもたらしている経済効果を分析していますが、2010年と比較した2017年の経済効果は10倍になっており、その背景にはGPS技術を利用する分野に毎年平均1400億円もの投資が2010年以降なされている事があるようです。

特にワイヤレス通信、船の航法援助、ロジスティック分野への位置情報、スマホなど小型デバイスへの位置情報の経済効果が大きな部分で比較的効果増加に貢献しているようです

そんなGPSが「30日間中断した場合の経済損失」について、同レポートは発電、金融、位置情報、鉱山、海洋、石油、ガス、調査、無線通信、農業などの分野で見積もっています

17日付C4isrnet記事によれば
●上記の分野での被害見積もりを総合すると、「GPS30日間中断」の経済損失額は季節により異なり、米国農業の植え付けのシーズンに中断が発生した場合、約5兆円もの最高の損失が発生し、その他の季節の場合は1.兆8000億円から3兆9000億円までさまざまである
GPS III 2.jpg米国農業の植え付け時期とは4-5月の間を指し、トウモロコシや大豆、大麦、小麦、米、ピーナツ、綿花などを、GPSを活用した自動操縦トラクター等で種まきすることから、GPSが活用できないとこれら種まき車両が使用できず、約17%の収益源を招き大きな打撃を受けると言うものである。なおこの見積もりの誤差は6%である

海運業界は約1兆円の損失を生じ、特に港湾運営への影響が6500億円を占める。混雑する港湾の海上交通整理や艦船誘導にGPSが必須となっており、その機能停止は港湾作業の混乱を招くと見積もられている。特にロス港とロングビーチ港の損失がそれぞれ2400億円と2100億円と大きくなる
GPS機能停止の第1日目と10日目では損失額に違いがあるが、農業分野以外の経済損失は、日平均1000億円とざっくり見積もることが出来る
///////////////////////////////////////////////

もう少し突っ込んでご紹介すべきですが、C4isrnet記事以外にも4ページのレポートサマーを確認しましたが、そこまでで得られる情報はここまでです。

ご興味のある方はレポート現物(約3.3MB)をご覧ください
https://www.rti.org/sites/default/files/gps_finalreport.pdf 

もともとDARPAが軍事用に開発したGPSですが、GPS提供の位置情報と時刻情報の活用は、広範な民生分野に拡大しています。民間の通信や物流などロジ分野への浸透も著しく、位置情報の面では農作物の種まき・植え付けが大きく依存しているとの分析に驚かされました

space aware2.jpg宇宙アセットへの妨害や攻撃が、ただ事ではない影響を及ぼすことを肝に銘じる契機といたしましょう

日本ではどうなんでしょうか? 農業や鉱山が大きな影響を受けるとは考えにくいですし、通信とか物流でしょうか? 卒業論文にどなたかいかがですか?

宇宙での戦いに備えて
「代替衛星の24時間以内打ち上げを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-01
「宇宙攻撃力示して抑止を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-11
「日本が米の宇宙演習に参加」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-25
「JSpOCからCSpOCへ 日本も」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-3
「同盟国にも訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-2
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1

宇宙アセットへの脅威分析
「米高官が露衛星の怪しい動きを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-15
「別のレポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-15
「CSISレポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-14-3 
nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

24時間以内の衛星緊急打ち上げを目指して [サイバーと宇宙]

有事の宇宙アセット機能停止に備えて
素人にはICBMを大型にしたらOKのような気がしますが

Falcon 9.jpg5月30日、米空軍が衛星打ち上げ関連企業に対し、有事に重要な宇宙アセットが敵攻撃などで機能停止に陥った場合の代替として要求から24時間以内で衛星などを打ち上げ可能な態勢について提案を求める要求書を発出しました

ULA、Space-X、Blue Origin 、Northrop Grummanの各社の反応は全般に、それほど大きな技術的革新が必要ではなく、検討に値するとの感触で、将来的には2社に絞られるであろう「枠」を巡り、4社がそれぞれに提案書を出す模様です

7月には関係企業を集めて「rapid space launch industry day」なるイベントも計画され、実際の打ち上げデモや集中検討会が行われるようで、ここにも顔を出すお馴染みのWill Roper氏がけん引し、 それなりの勢いを持った取り組みとなっているようです。

31日付米空軍協会web記事によれば
space-based 4.jpg●米空軍が5月30日に発出した技術情報調査告知(sources-sought notice)は、「米空軍は要求から24時間以内に打ち上げ可能な体制確立に向けた第一歩に踏み出す。これは、戦いの推移により迅速に対応可能な体制を目指すもので、従来の打ち上げまでに数週間から数か月必要な状態を有事避けるためであると」記している
●また関連企業が24時間の縛りを困難と感じた場合には、国家的危機状態を仮定した場合に、どの程度なら対応可能かを提案するよう求めている

4月に米空軍調達担当次官補であるWill Roper氏は、「我々は迅速に打ち上げできる体制を確立しなければならない。急に新たな能力のアセットを打ち上げるというよりも、代替機能を持った衛星を打ち上げるイメージである」と語っていたところである
米空軍の情報提供要求によれば、まず小さな220㎏程度の搭載物の迅速な打ち上げ体制の確立から取り組んで可能性をデモンストレーションし、将来的に国家安全保障を支える宇宙アセット規模に能力アップする流れを追及するようである

5月に開催された「Satellite 2019 conference」で、上記4社の幹部がこの米空軍の構想について語り、それほど大きな革新が必要ではないとの感触を語っている
space aware2.jpgULAのCEOは、問題なく可能で、同社では既に打ち上げロケット生産と打ち上げサイクルの短縮に取り組んでいると語り、同社のVulcan rocketが11日で現在準備可能であると述べ、「全てのサイクルを見直す必要があり、現在要望があってから準備するサイクルを見直すことである」と表現している

SpaceXのCOOは現時点で打ち上げ準備に1か月半必要だと述べ、「今でも2-3日で打ち上げは可能な体制は取れるし、空軍の要求に答える技術はある。問題はコストだ」と端的に語っている
Northrop Grumman副社長は、ICBMやSLBMから取り外したロケットエンジンを活用すれば、発射までの時間を短縮できるのではないかとコメントしている

7月29-30日に米空軍は「rapid space launch industry day」開催を加州で計画し、低高度軌道への打ち上げデモを予定しており、併せて検討会や模擬演習なども行われる。
新たに編成される宇宙軍隷下の宇宙開発庁は、超超音速兵器探知や通信用の低高度衛星打ち上げを検討しており、米空軍も強靭性のある衛星網構築を計画している。これら衛星の緊急バックアップのため、24時間以内の打ち上げ態勢確立が検討対象になっている
////////////////////////////////////////////////////////

Atlas-muos.jpg「空軍の要求に答える技術はある。問題はコストだ」」とのSpaceX幹部の発言が端的に実態を表現していると思いますが、Northrop Grumman副社長の発言にあるICBMやSLBMのロケットエンジンを活用が可能なら、ICBMのように保管しておけばすぐにでも打ち上げ可能じゃないかと思うのですが、素人で専門知識がないのでよくわかりません

4社幹部の発言は、ともに搭載アセットの課題でなく、打ち上げ用ロケット準備について言及しており、ロケット準備のコストなんだろうと想像します。

引き続き宇宙に関しては基礎知識不足です。自衛隊に宇宙専門の職域が誕生するようですが、米空軍長官が述べていた人材育成が最も大きな課題なのかもしれません

宇宙アセットへの脅威分析
「米高官が露衛星の怪しい動きを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-15
「別のレポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-15
「CSISレポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-14-3 

宇宙での戦いに備えて
「日本が米の宇宙演習に参加」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-25
「JSpOCからCSpOCへ 日本も」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-3
「同盟国にも訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-2
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

新たな時代:サイバー攻撃に対し即座に武力で反撃 [サイバーと宇宙]

5月5日、静かに世界は新たな武力行使の歴史を刻む

土屋大洋4.jpg10日付ニューズウィークJapan電子版が、慶応大の土屋大洋教授によるコラム「サイバー攻撃にミサイルで対抗:イスラエルはサイバー・ルビコン川を渡ったか」を掲載し5月5日にイスラエルがパレスチナ武装勢力ハマスが行ったサイバー攻撃に対する反撃として、ハマスのサイバー拠点を同日中に無人機からミサイル攻撃したこと取り上げました。

この攻撃(反撃)はイスラエル国防軍が5日中にツイッターで明らかにしたもので、サイバー攻撃に対して火力を用いて反撃する可能性があることを明確に示した点で、武力紛争史における新たな時代を告げるものとして注目を集めているとコラムは紹介しています

コラムはハマスのサイバー攻撃について
●イスラエルは詳細を明らかにしていないが、「イスラエル市民の生活の質」を損なうことを目的としたサイバー攻撃だったとしている。おそらく重要インフラストラクチャを狙ったのだろう。
●しかし、ハマスのサイバー攻撃はそれほど洗練されたものではなかったためにすぐに阻止された。そして、すぐさまイスラエルがハマスのサイバー拠点にミサイルを撃ち込んでサイバー攻撃ができないようにした。

コラムは本攻撃の注目点として
土屋大洋.jpg●もはやサイバー攻撃は密かに行われるものではなく、米国もイスラム国などにサイバー攻撃を行っていることを公言しているし、程度や質の差はあれ、中国、ロシア、北朝鮮、イランなどはサイバー攻撃の黒幕として見られることが多い。しかし、それへの報復がこれほど短時間で、そしてサイバー攻撃ではなく火力を用いて行われたことが注目を集めた。
●今回のようにサイバー攻撃への反撃として火力を直接的に短時間で用いたことはおそらくなかっただろう。仮にそういうことがあったとしても、政府や軍がそれを明言したことはなかった。その点が今回の事件は新しい

短時間でハマスのサイバー拠点を反撃攻撃したということは、事前にその建物がハマスのサイバー攻撃の拠点であることをつかんでいたと見るべき。サイバー攻撃のアトリビューション(誰がどこからやったのかの特定)は一朝一夕にはできない
●数時間の単位で一気にアトリビューションを行えるとは考えにくい。普段からイスラエル軍は各種のサイバー攻撃グループを特定し、監視下に置いていた。だからこそ素早い措置がとれたのだろう。

サイバー攻撃への対抗措置の経緯について
●米国の例
土屋大洋2.jpg---2014年末にソニーピクチャーズ・エンタテインメントがサイバー攻撃を受けた際、米国政府はすぐに北朝鮮政府に責任があるとアトリビューション(名指し)し、その後、北朝鮮のインターネットが一時不通になったため、米国が報復措置をとったのではと見られたが、米国国務省は「コメントしない」とした
---2015年に米国政府人事局(OPM)から大量の個人情報が盗まれ、経済的なサイバースパイ活動も大規模に行われたことから、オバマ米大統領は習近平に詰め寄り、経済目的のサイバー攻撃を相互に行わないという合意を
---2016年の米国大統領選挙でロシア政府が介入を行ったと判断すると、オバマ大統領は政治的制裁に踏み切り、スパイ活動を行っていたロシアの外交官を追放し、ロシア政府が使っていた米国内の拠点2カ所を没収

国際法上、制裁や報復には均衡性の原則があり、イスラエルの物理反撃を「Too Much」として批判する声も多い。かつてはサイバー攻撃に核兵器との声もあったが、さすがに行き過ぎだろうと多くの国際法学者は考えている。
●しかし、誰がやったのかわかりにくく、攻撃そのものが潜伏型で行われることが多いサイバー攻撃では、何をもって均衡がとれているとするのか、判断がきわめて難しい

「先例になるのか」に関しコラムは
土屋大洋3.jpgこれまでも、サイバー攻撃に対して物理的な攻撃による反撃があることは否定されていなかった。「あらゆる措置をとる」とする政府が多く、サイバー攻撃にはサイバー攻撃で対抗しなければならないとする政府はほとんどない。そこには選択肢を残しておきたいとする気持ちが表れている。
●(ただし、)サイバー攻撃が「武力攻撃」と認められるほど苛烈であることを前提とし、単に個人情報が抜かれたという程度では武力攻撃とはいえない。電力網が広範囲に停止させられたり、何かが爆発したり、あるいは非常に危険な事態になることが明白な場合に限定との考え方が一般的

日本についてコラムは
2018年3月の衆議院安全保障委員会で当時の小野寺五典防衛相が、他国からサイバー攻撃を受けた場合、対抗手段としてサイバー攻撃をすることは可能とする認識を示している。これはサイバー攻撃にはサイバー攻撃で対応することができるという解釈である。
2019年4月25日の参議院外交防衛委員会で岩屋毅防衛相は、さらに踏み込んで、日本が外国からサイバー攻撃を受ければ自衛隊による防衛出動もあり得るとの認識を示し、「武力攻撃の排除のために必要な措置を取るのは当然だ。物理的手段を講ずることが排除されているわけではない」と述べた
/////////////////////////////////////////////////////////

Cyber-new1.jpg土屋教授はコラムの最後で、このような反撃やサイバー対処には、陸海空宇宙サイバーといったドメインの垣根を超えた作戦運用が求められていることを指摘し、昨年12月に決定された新しい防衛計画の大綱が「多次元統合防衛力」をキーワードにした点に期待を寄せ、さらある発展を求めています

サイバー攻撃に即時武力反撃を行ったイスラエルを、「ルビコン川を渡る判断をしたカエサル」に例える論調もあるようですが、人目に触れないように闇夜に紛れて川を渡ったり、その渡り方を検討しているのが中国ロシア米国などなど世界の国々ですから、何でもありを前提に、日ごろから備えに怠りなく・・・があるべき姿勢でしょう。

最近のサイバー関連記事
「NATOが選挙妨害サイバー演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-13
「ナカソネ司令官が米軍サイバーを仕切る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-17
「大活躍整備員から転換サイバー戦士」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-3
「サイバー戦略がもたらすもの」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-02
「市販UAVの使用停止へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-07-1
「サイバーコマンドの課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-04
「サイバー時代の核兵器管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02

「人材集めの苦悩」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-31
「米空軍ネットをハッカーがチェック」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-23
「米国政府サイバー予算の9割は攻撃用!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31
「装備品のサイバー脆弱性に対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

米空軍:抑止のため攻撃的宇宙能力を示すべき [サイバーと宇宙]

何か意味深な言いぶりです
安価小型を多数の方向に変化?
数か月後に細部を公表すると

Wilson6.jpg10日、Wilson空軍長官が宇宙関連のシンポジウムで講演し、今年2月に2年ぶりにまとめた「米空軍の宇宙戦略」の内容について「ぼんやりと」語り、敵を抑止するために攻撃的な能力を保有していることを相手に認識させる必要性や、多数の小型衛星を使用して脆弱性を克服する考え方の限界、また民間衛星会社との協力等について触れました

この2年ぶりの分析結果に基づく戦略については、数か月後(同空軍長官が退任後)に詳細を明らかにするとして細部に言及することは避けたようですが、多数のウォーゲームや机上演習での検証・分析を経てまとめられたもののようで、統合参謀本部や地域コマンド、、NROや研究開発機関であるDARPAも強い関心を持っていると空軍長官自らアピールしています

退任直前のWilson長官の表現には微妙な言い回しがあり、どう解釈すべきか悩むところもあるのですが、とりあえず詳細が出回る前の「前振り」として同長官の発言をご紹介しておきます

10日付米空軍協会web記事によれば
space aware2.jpg●10日、Space Foundation主催の宇宙シンポジウムの会場で空軍長官は記者団に、米国は宇宙での攻撃能力をデモンストレーションすることになるだろうと述べ、「敵対的な相手に割れの能力を理解させることが必要だ」と語った
●そして「我々に何ができるかをある程度、少なくとも大まかにでも、相手に知らせることが必要だ。抑止の最後の重要点は不確かさであり、我の能力に関し、相手がどれだけ確信をもっているかにかかっている。なぜなら相手の心には誤解のリスクが存在するからだ」と表現した

●更に同長官は細部に触れることをかけたが、米空軍が2年ぶりに4か月間かけてまとめた宇宙関連文書において、(攻撃的な)能力について検討していると言及した
●その検討文書について、「ミサイル早期警戒から通信・情報収集まで、全ての宇宙関連分野を検討の対象とした」、「脅威と我の行動に反応する仮想敵を可能な限りベストな形で想定して分析した」と説明した

●また、同分析は現在の予算計画の有効性を確信させるもので、統合参謀本部や地域コマンド、NROやDARPAからも関心を寄せられていると長官は説明した
wilson7.jpg特に米空軍は、新しいlSpace Development Agencyも検討している低軌道の低コスト商用衛星システムへの資源投資のやり方について検討し、「単一の答えが全ての状況に当てはまることはなく」、多様な対応が求められており、単に衛星を多数打ち上げて解決するものではないとの結論に至ったと同長官は語った

●更に、商用の低軌道衛星と「not well-aligned」な宇宙任務は、自身を守るための変更が可能な点で実際は優れているのだ、と同長官は表現した ●そして「米空軍は低軌道衛星システムや商用システムに投資している。しかし、数百個の安価な衛星を毎年打ち上げているだけでは、前線兵士を支える複雑なシステムの代替にはならない。分析結果が明確に示している」とも明言した

●また同空軍長官は、民間衛星会社との大きな協力のチャンスが見えていると表現し、米軍全ての軍種で、低コストのマルチバンド衛星通信装置が、全ての装備品に求められていると現状を語った
////////////////////////////////////////////

これまでまんぐーすは、高コストで多機能の少数の衛星に頼っていいると、敵の衛星兵器や妨害電話で無効化された場合のリスクが大きいので、低コストで小機能の衛星を多数打ち上げる方向に米軍はあると単純に考えていましたが、そんなにシンプルではない・・・との分析結果の様です(たぶん・・)

space-based 2.jpg空軍長官や米空軍が言いたいのは、高機能で高価格な衛星も必要だと言いことなんでしょうか? 攻撃的な能力保有を相手に認知させるとは、どんな能力のことなんでしょうか?

数か月後の詳細な発表を待つことといたしましょう。元気があればフォローします

宇宙とサイバー関連の記事150本
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302888136-1
nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

NATOが選挙妨害サイバー演習 なぜか韓国も [サイバーと宇宙]

エストニアという象徴的な場所を中心に
1000人以上が参加という規模の大きさ

Cyber-EX.jpg8日付Fifthdomain.comが、9日から4日間にわたり行われたNATOサイバー演習「Locked Shields 2019」を取り上げ仮想のとある国の総選挙に外部勢力がサイバー攻撃を仕掛ける・・・との如何にもありそうなシナリオで行われた演習を紹介しています

今回が初めてではない「Locked Shields」演習は、複数のチームがサイバー防衛部隊として演習に参加し、サイバー攻撃から如何に国を防衛したかを争い、最終的に優秀チームが表彰される形式の様で、昨年はNATOの「Communications and Information Agency」チームが優勝しているようです

事柄の性質上、どこで開催されたのかもはっきりしない(サイバー空間上で開催か?)など、細部は不明のサイバー演習ですが、なぜか韓国からも参加しているようですのでご紹介しておきます

8日付Fifthdomain.com記事によれば
Cyber-new2.jpg●NATOサイバー演習「Locked Shields 2019」は、9日から4日間、エストニアのタリンに所在するNATOの「Cooperative Cyber Defence Centre of Excellence」による仕切りで行われた。
●演習は、仮想の国「ベリーリア:Berylia」の総選挙に併せて外部勢力が国家全体を対象にした大規模サイバー攻撃を仕掛け、通信、浄水、電源、4Gネットワークや主要社会サービスを麻痺させることで選挙結果に対する国民の受け止めを操作し、社会に混乱をもたらす想定で行われた

演習には6つのサイバー防御チームが競い合う形で参加し、総勢1000名が演習に参加すると見られている。各チームは演習サイバー空間で「ベリーリア:Berylia」国に向けられた様々なサイバー攻撃に対処し、その結果は「実弾演習のように」演習仮想空間上で効果として現れるように準備されている
NATOチームは昨年優勝の「Communications and Information Agency」を中心として編成されており、他にもエストニア国防軍やフィンランド軍、米欧州コマンド、そして韓国国家安全保障研究所も、演習「オーガナイザー」として参加している

Cyber Top4.jpgこのエストニアはITを国家として積極的に導入し、公共機関や社会インフラ、住民サービスにネットワークを活用したIT活用先進国として知られていたが、2007年にロシアからと思われる大規模なサイバー攻撃を受け、国家機能がマヒした経験を持つ
●この経験を踏まえ、国としてのサイバー防衛体制を強化に取り組み、今やサイバー先進国として知られてるが、国際的なサイバー対処規範を目指す「タリンマニュアル」作成にリーダーシップを発揮する等の取り組みでも知られている
///////////////////////////////////////////////////////

選挙に合わせて政情不安・社会不安をサイバー攻撃で煽る・・・いかにもなシナリオ設定で感心させられますが、EUの足並みが乱れ、難民問題で揺れる欧州諸国にとっては切実な問題でしょうし、大統領選挙を迎える米国にとっても関心の深いシナリオでしょう

cybercrime1-.jpg最近の日本のマスコミの報道具合を見ると、既に外国勢力の工作の餌食になっているのでは・・・と感じてしまいますが、サイバー攻撃をに対する備えも当然怠ってはいけません。

それにしても・・・なぜ韓国が???


最近のサイバー関連記事
「ナカソネ司令官が米軍サイバーを仕切る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-17
「大活躍整備員から転換サイバー戦士」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-3
「サイバー戦略がもたらすもの」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-02
「市販UAVの使用停止へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-07-1
「サイバーコマンドの課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-04
「サイバー時代の核兵器管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02

「人材集めの苦悩」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-31
「米空軍ネットをハッカーがチェック」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-23
「米国政府サイバー予算の9割は攻撃用!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31
「装備品のサイバー脆弱性に対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

初代格上げサイバー司令官は日系3世 [サイバーと宇宙]

ナカソネ司令官のご活躍に期待
他省庁とのサイバー協力にも力点

Nakasone.jpg14日、格上げされたサイバーコマンド司令官Paul Nakasone陸軍大将(兼ねてNSA長官)が上院軍事委員会で、最近のサイバーコマンドの取組等について語りました。
ナカソネ大将は3代目のサイバーコマンド司令官で、またサイバーコマンドが2018年4月に大統領直属の「Unified Command」に格上げされて最初の司令官です。

この「Unified Command」とは、太平洋軍や中央軍などの地域コマンド6つと、特殊作戦軍や戦略軍など機能コマンド4つの計10コマンドを指し、隷下に4軍の部隊を戦力として運用し、先に述べたようにその司令官は大統領が直接の上司になる作戦単位の最上位部隊単位です

Cyber-new1.jpg言うまでもなくサイバードメインは今最も関心の高い分野ですが、国としての防衛を考える際、敵が狙うのは軍事目標だけでなく、重要な社会インフラである通信、エネルギー、金融、交通インフラなど国防省が管轄していない目標であることから、その仕切りが民主主義国にとっては悩ましい課題となっています

つまり、多くが民間の商業ベースで運営されていたり、また個人のプライバシーにかかわる社会インフラ分野で、「軍の役割は以下にあるべきか?」という難問が、サイバーコマンドの作戦議論の前に立ちはだかっている状態が続いています。

大前提は国防省のネットワークを担当するのが主任務ですが、国家安全保障を考えた場合、そこで立ち止まっていてはすぐに限界に直面する難しさがサイバードメインの宿命です。

日系2世の父親はWW2で情報将校の陸軍大佐として活躍され、自身も同じく陸軍の情報将校としてキャリアを重ね、将官昇任後にサイバー分野に関わるようになったナカソネ司令官のご活躍を祈念し、サイバーコマンドの状況をご紹介します

14日付米空軍協会web記事によれば
Nakasone cyber2.jpg●ナカソネ司令官は上院軍事委員会で、主要な懸念対象である中国、ロシア、北朝鮮、イランやならず者国家に対応するため、133個のサイバー対処チームを統合部隊として編成完了したが、あくまでこれは初期段階に過ぎず、さらに増強する必要があると証言した
●同大将は「様々な脅威対象への即応体制を考えた場合、現有の戦力はその構成要素であるが、これらに戦略的縦深性を増すため、陸軍の予備役や州軍にもサイバー対処チームを編成する取り組みを始めている」と述べた

133の「Cyber Mission Force teams」は計画よりも編成が少し遅れたが、昨年態勢を整えた。なお、このほかに国防省には、別の攻撃と防御作戦を担うサイバー作戦チームが存在する
●「Cyber Mission Force teams」は約6200名で構成されており、以下の4つの任務区分に分かれている
---Cyber national mission teamsは、敵の活動を察知し、攻撃をブロックして撃退する
---Cyber combat mission teamsは、世界中の地域コマンドにサイバー作戦能力を提供する
---Cyber protection teamsは、主に国防省ネットワークの防御に当たりつつ、攻勢的サイバー作戦の準備もする
---Cyber support teamsは、サイバー関連分析を提供し、「national and combat mission teams」の計画支援を行う

いくつかある課題の中で、同司令官は中核となる優秀な人材に触れ、「ソフト開発やマルウェア分析に、通常の兵士の10倍20倍の能力を持つ人材(10 or 20 x type of people):the best of the best」の確保・維持が課題だと述べた
●また司令官は、同司令部幹部が、敵対的行動をとるものに対して官僚機構の制約なくより迅速に対処できるような枠組み整備のため、議会に要望や働きかけを行っているとも説明した

Nakasone cyber.jpg●議会の理解を得て、2019年国家授権法がサイバーコマンドから国土安全保障省に対する支援を迅速に行える枠組みを整えたおかげで、エネルギー関連インフラの安全確保などでの連携が円滑になったと感謝の意を同大将は述べた
●「国防省内に他省庁との協力強化のための先駆的プログラムを立ち上げ、国土安全保障とは定期的な情報共有会議を設け、エネルギー省とは定期的な協議の場を持てるようになった」と進展を説明した

●今後について同司令官は、更なるサイバー関連インフラ、センサー、人材を含む能力強化により、デジタル戦争体制を強化することで米国全体の能力を進展させる必要があるとし、併せて、サイバー衛生環境やソフトセキュリティーの基準設定の重要性についても訴えた
●そして同司令官は「今最も重要なのは、それが米軍内組織であろうと他省庁であろうとも、パートナーを機能できるようにすること(to enable our partners)」で、「国土安全保障省やFBIを例に、near-peer 敵対者に備え、力をつけてもらうことである」と表現した
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////

まだまだ「定期的な」情報共有なりミーティングレベルと言えばそれまでですが、民主主義国の限界でしょうか・・・。

Cyber-new2.jpg縄張り意識が強く、かつ新たな仕事に消極的な各省庁を動かすのは大統領でありホワイトハウスなんでしょうが、安全保障は「票」になりにくいですから、負担やコストが増しそうな、ややこしそうなサイバーに取り組ませるのは難しいのでしょう。日本などもっと難しそうな気がします・・・

ナカソネ大将のご活躍に期待いたしましょう。日本も巻き込んでくださいね!

サイバー関連の関連記事
「大活躍整備員から転換サイバー戦士」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-3
「サイバー戦略がもたらすもの」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-02
「市販UAVの使用停止へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-07-1
「サイバーコマンドの課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-04
「サイバー時代の核兵器管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02

「人材集めの苦悩」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-31
「米空軍ネットをハッカーがチェック」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-23
「米国政府サイバー予算の9割は攻撃用!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31
「装備品のサイバー脆弱性に対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

整備員からサイバーに職種転換した兵士が大活躍 [サイバーと宇宙]

米空軍が職種転換でサイバー要員養成を検討
整備員出身者がサイバークラスで他を圧倒

Cyber-EX.jpg17日、米空軍の州空軍幹部がペンタゴンで記者団に対し、輸送機の機種更新に伴い余剰人員となった整備員の一部をサイバー分野に職種転換させたところ、サイバーコマンドから「こんな人材がほしかった!」と言われるほどの優秀なサイバー部隊員になっていると語りました

米軍は民間企業とのサイバー人材確保競争において、給与水準や勤務環境の差から、民間企業に不利な立場にあり、ますます部隊での需要が高まっているサイバー部隊兵士の確保に大変苦労しており、その対策の一環として、現在米軍内に存在する他職種の人材から、必要な資質を持った兵士を探す試みを行っているようです。

必ずしも学生時代にコンピュータ学位を取得した者でなくても、採用時にプログラム技術者経験がなくても、米軍内の他の職種で組織人として仕事をこなしてきた人材が、失礼ながら「オタクぞろい」のサイバー部隊でも頭角を現すとのお話は、何かうれしい話ですのでご紹介します

以下の記事が取り上げる整備員からの転換だけが好成績なのか、他の職種からの転換も試しているのか、その辺りはよくわかりませんが、「灯台下暗し」の例え通り、案外、人は融通が利くのかもしれません

17日付DEfense-News記事によれば
maintainers2.jpg●メリーランド州州空軍第175航空団の副司令官であるJori Robinson大佐は記者団に対し、「我々は一般に物事を直線的に考えがちだ。サイバー部隊にはコンピュータの学位やプログラム経験のある人材が必要だと考えがちで、そのような経歴の背景が良いサイバー戦士を生む要素だと見なしている」と語り始めたが、
米空軍が今、目の当たりにしているのは、「コンピュータやプログラムの学位や経験が、必ずしもサイバー作戦を学ぶに必要な能力とは限らない・・・という事実である」と説明した

●そして、「最近のいくつかの経験や調査から明らかになってきたのは、例えば、過去15年間に渡りペンチやスパナをもって航空機のボルトを扱っていた整備員の例だ。彼らは実際にサイバー分野で優れた能力を持ち、ネットワークを理解して優れた仕事を成し遂げられることを証明しているのである」とも述べ、
●更に、「米空軍が保有する関連人材の中でも、最も熟達して素晴らしいサイバーオペレーターに成長して見せてくれている」、「我々は元整備員をサイバー職に転換させたが、(学位や経験を持つ)同期生を追い抜いている。サイバーコマンドが組織にほしいと探し求めていた人材に、彼らがぴったりだったのだ」とうれしい想定外を興奮した様子で記者団に説明した

maintainers3.jpg●またウエストバージニア州空軍のサイバー担当Jody Ogle中佐も、C-5輸送機からC-17輸送機への機種更新を契機に生じた余剰の整備員を、「民間に教育委託して職種転換を図ったところ、大成功を収めている」と語り、具体的に50名の元整備員をサイバー職に転換させたと付け加えた
●同中佐は、「サイバーは防御だけではない。ドメインを構成するなら、情報技術の側面もあり、ITメンテナンスの側面も当然考えなくてはならないのである」とも表現している
/////////////////////////////////////////////////////////////

最後の中佐の発言だけに注目すると、元航空機整備員が職種転換し、サイバー部隊のシステムメンテナンスを担当しているようにも聞こえますが、決してそれだけではないと思います

Cyber College2.jpg最先端のアルゴリズムやプログラム解析を行うポストには学位保有者や経験者が必要でしょうが、根気のいる日常の対応や組織的活動には、現場でチームとして作戦機を扱ってきた人材が必要で、元整備員の中でプログラムやPCにアレルギーが無ければ貴重な戦力になりえるのでしょう・・・

サイバーコマンドの人材募集も狙った記者会見の側面もあるでしょうが、「人の可能性を先入観で狭めてはいけない」典型的な例のような気もします・・・。続報に期待いたしましょう

サイバーと兵器管理
「市販UAVの使用停止へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-07-1
「サイバーコマンドの課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-04
「サイバー時代の核兵器管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02
「人材集めの苦悩」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-31
「米空軍ネットをハッカーがチェック」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-23
「米国政府サイバー予算の9割は攻撃用!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31
「装備品のサイバー脆弱性に対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

日本初の宇宙演習Schriever Wargame参加 [サイバーと宇宙]

12回目の演習に日本が初めて参加
FVEYに加え、独仏と日本が・・・

Schriever Wargame6.jpg11月25日付朝日新聞デジタル版が、10月9-19日にアラバマ州の空軍基地で開催されたサイバー宇宙机上演習「Schriever Wargame」に、日本が初めて参加し、自衛官だけでなく、防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのメンバーがチームとして課題に取り組んだと報じています

このサイバー宇宙机上演習「Schriever Wargame」は、ICBM開発や宇宙活用に貢献したシュリーバー退役空軍大将の名を冠し、官民一体となって宇宙空間での戦いを想定した状況対処に挑むもので、米軍の宇宙関連の部隊や米政府機関からの約350人のほか、日本を含む7か国(米英加豪NZ仏独)が参加しました

Schriever Warg3.jpg本演習が官民一体型で多国間協力を重視するのは、宇宙ドメインのプレーヤーが多岐にわたり、各プレーヤーのアセットや能力を総動員しないと、何が起こっているかの状況把握さえも難しく、更に級の周り全周の宇宙状況を把握するには、地球の裏側の国と協力せざるを得ないからです

また宇宙アセットへの敵の攻撃や我の行動は、衛星通信等を通じて金融やメディア等々の活動への影響も大きく、軍や官だけで作戦判断を下すことが難しいからです。

まぁ演習の性格上、その細部は不明なのですが、日本ではめったに見られなく極めて珍しい複数の政府機関が参加した祈念すべき第1回の参加ですので、ここに至るまでの関係者の努力に敬意を表し、朝日新聞の記事をご紹介いたします(有料記事でさわりだけですが・・・)

11月25日付朝日新聞デジタル版記事によれば
●米アラバマ州マックスウェル空軍基地内の一室。米国、英国など国ごとに仕切られたブースの一つで、日本の防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの職員が机上のパソコン画面を見つめていた
Schriever Wargame4.jpg●今年で12回目。NATO加盟国の一部が加わった年もあったが、多くは軍事情報収集の世界で「Five Eyes」と呼ばれる米、英、豪州、カナダ、ニュージーランドの5カ国を中心に続けられてきた。そんな「極めて秘匿性が高いインナーサークル」(自衛隊幹部)の演習に日本が招待を受け、今年、初めて参加したのだ。

●演習の内容は「機密」扱いだが、複数の政府関係者によれば、想定はこんなシナリオだったという。
想定シナリオ→→2028年。太平洋からインド洋の東側までを担当する米インド太平洋軍の管内で、米国の偵察衛星や通信衛星が「ある競合国」から攻撃や電波妨害を受け、軍事作戦に欠かせないGPSシステムもダウンした・・・

●演習では、シミュレーションが繰り返されたという。衛星が使えなくなった米軍が作戦を続けるために、欧州の測位衛星システム「ガリレオ」や「日本版GPS」と呼ばれる準天頂衛星「みちびき」では、どんな支援ができるのか
米軍が他国の暗号コードを使うための技術的な課題やそれぞれの国の国内法上の制約は何か。各国で対応を検討し、米国と調整を重ねた。もはや日本も無縁でなくなっている

Schriever Warg.jpg●背景にあるのは、現代戦における「宇宙」の比重の大きさだ。新たな防衛大綱の策定に関わる政府関係者はこう話す。
●「弾道ミサイル発射の兆候も含めて情報収集や警戒監視、通信、測位、気象観測……。陸海空の作戦と装備は、宇宙に深く依存している。相手の宇宙インフラを使えなくすれば、死傷者を出さずに陸海空の戦いで圧倒的に有利になる。だから、現代の戦争は宇宙とサイバーから始まる。宇宙を制する者は現代戦を制すだ

●宇宙政策に詳しい鈴木一人・北海道大学大学院教授は「南シナ海で米中の軍事的衝突の恐れが高まった時、最初に狙われるのは宇宙システム。米国の衛星が攻撃を受けたときに、同盟国と連携して被害を最小限にとどめ、リスクを分散し、機能を維持していけるのかを探るのが演習の狙い」と解説する
●宇宙を舞台に「米VS.中国・ロシア」という対決の構図が鮮明になりつつある。一方、人工衛星やロケット開発で生じた大量の宇宙ゴミは、各国共通のリスクだ。防衛省・自衛隊は、後者の解決への協力を窓口に、宇宙への関わりを深めようとしている

ご参考
米軍のアジア太平洋エリアでの宇宙作戦の問題点
中東戦域での様々な作戦要求に対応するため、運用要領や戦術や人員配置を改革してきたが、その代償としてアジア太平洋地域への対応準備が不十分
Schriever Wargame5.jpgアジア太平洋戦域での宇宙管制任務は、極めて難しいものになる。そして大きな課題の一つが技術的なもので、マルチバンド周波数の必要性関連で、太平洋域の厳しい軍事環境では周波数ホッピングが求められるが、単一バンド周波数対応の現在の受信機にはその能力がない
●更にそのような厳しい環境下で任務遂行するための最先端の訓練が不十分で、また部隊体制も整っていない
///////////////////////////////////////////////////////////

いつまでたっても日本はこの重要な演習に関われないで情けない・・・と、このブログでボヤいていたら、ツイッター上で読者の方から、「まだ公にはなりませんが、着実に前進しています」といった趣旨のアドバイスを頂いたことがあります

「外圧」もあるのかもしれませんが、あまり仲がよさそうとも思えない、防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共に参加したということですから、素晴らしい1歩とお伝えしておきましょう・・・

防衛省はどんなメンバー編成で参加したのでしょうか? 航空総隊に宇宙空間担当部隊を新編するとの予算要求のニュースも耳にしましたが・・・

宇宙での戦いに備え
「同盟国にも訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-2
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1
「米高官が不審な露衛星を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-15

Schriever Wargame関連の記事
「米国が日本を誘う・・・」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-3
「日本は不参加:米軍宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「Schriever Wargame」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

米サイバー戦略がもたらすもの [サイバーと宇宙]

米国内での調整が不十分だと不安視する見方がある中

Trump cyber3.jpg1日付.fifthdomainが、9月末に出た米国のサイバー戦略に関し、サイバー関連情報サイト主催のイベントで有識者たちが語った内容を取り上げつつ、同戦略が攻撃的なサイバー作戦を重視していることから注目されるサイバー攻撃犯特定と必要とされる新たな手法や、議会の動きについて報じています

犯人特定といっても決して簡単なことではなく、膨大な労力が必要なことや、一方で攻撃的な活動を試行する中で必要なチェック機能整備が進んでいないことなど、勇猛果敢だが支離滅裂(どこかで聞いたことがあるフレーズ)な感があるトランプ政権のサイバー戦略発表後の動きを、断片的ながら色々な側面からとらえようとしています

1日付.fifthdomain記事によれば
Cyber-new2.jpgホワイトハウスとペンタゴンからサイバー戦略を発表したことによる「突風」は、一連のサイバー関連の道具や戦術を必要とすると、CyberCon conferenceに参加した政府関係者や専門家は語った
●政権のサイバー戦略はより攻撃的なサイバー作戦を約束するものだったが、そのためには米国は、犯人特定能力を上げ、更にそのために情報収集能力を強化しなければならないと専門家たちは口をそろえた

NSAのサイバー対処作戦リーダーは、同戦略がもたらした最も大きな変化は、犯人特定を重視していることだと語った。

●またシンクタンクのサイバー専門家は、諸外国のハッカー摘発は、他国からのサイバー攻撃を抑止することにつながるとその効用を説明した
●そして犯人摘発が犯人逮捕につなげることは容易ではないが、無秩序なサイバー空間に一定の規範を生み出すことの意義は小さくないと語った

●別の専門家は一方で、犯人特定は一般に考えられているよりはるかに複雑なプロセスで、これを追求していくには、官民一体となって新たな手法や道具を生み出す必要があると訴え、
●「高い精度で犯人特定を行うために必要な情報や基礎資料の量を考えると、それはうんざりするほどのものになる」と現状を表現した

Cyber-new.jpg●また同戦略は、犯人特定より更に一歩進んで「defending forward」、つまり敵がサイバー攻撃作戦を仕掛ける前にその動きを察知することを追求している。そしてこのためにも、何らかの新たな手法や道具が必要になると専門家は語った
●この戦略に対する米議会の動きであるが、米議会の議員は四半期に一度、国防省から攻撃的なサイバー作戦について報告を受けている

●しかし、議会にはトランプ大統領のサイバー作戦に関する権限を制限しようとの動きはほとんどない。むしろ複数の議員たちは、より拡大したサイバー作戦を支持し、サイバー作戦の監視や制限についてはそれほど熱心ではない

●このように同戦略が新たなサイバー作戦の時代を開いたように見え、新たな手法や道具を求めているように思えるが、一方で複数の専門家が、結局はデジタル時代の作戦を支えるのは人間の力だと強調し
●「技術は重要である。しかし、以前の戦略であれ、今回の戦略であれ、さらに将来の戦略であれ、最も重要なのはそれを支える人なのだ」と強調した
/////////////////////////////////////////////////////

Trump cyber.jpg米国のサイバー戦略が公表された際にスルーしていたので、断片的ながら関連記事で、間接的に取り上げさせていただきました

サイバードメインで、攻撃を重視し、そのために犯人特定を重んじ、そのための情報収集や技術開発に取り組むとの方向性の様です

この方向性は結構リスクを伴うと考えられますが、議会の雰囲気は行政の動きを制約する方向にはなく、「もっとやれ」的な方向にあるようです。あまりにも断片的な記事のご紹介で注意が必要ですが、この話題をフォローする視点としてご活用ください

現物:National Cyber Strategy
https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2018/09/National-Cyber-Strategy.pdf#search=%27National+Cyber+Strategy%27

米国防省のサイバー戦略 →https://media.defense.gov/2018/Sep/18/2002041658/-1/-1/1/CYBER_STRATEGY_SUMMARY_FINAL.PDF

サイバーと兵器管理
「サイバー懸念で市販UAV使用禁止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-07-1
「サイバー時代の核兵器管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02
「米国政府サイバー予算の9割は攻撃用!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31
「装備品のサイバー脆弱性に対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02
nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース
前の15件 | - サイバーと宇宙 ブログトップ