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米宇宙軍の戦術演習Space Flagに同盟3か国が参加へ [サイバーと宇宙]

統合国家演習に格上げされ、12月に豪加英が参加
今年2月に「7か国宇宙作戦ビジョン2031」を発表した仲間から
「Black」「Red」「Blue」Skies演習も目的を絞って実施へ

Space Flag.jpg11月14日付米空軍協会web記事が、米宇宙軍が主催して12月予定の演習「Space Flag 23-1」に、今年2月に「7か国宇宙作戦ビジョン2031」を米国と共に作成発表した仏、独、英、加、豪、NZの中から、豪加英3か国軍が参加することになったと紹介しています

「Space Flag」演習は、宇宙軍が編成される前から米空軍宇宙コマンドによって2017年から実施されてきた戦術レベルの技量向上を目指す演習ですが、2022年から他軍種を参加させることを条件に「Joint National Training Capability」レベルの演習に格上げされた演習で、担当の宇宙訓練&即応態勢コマンド(STARCOM)が、サイバーと情報関係者がより多く参加するよう準備しているとアピールしている演習です

Space Flag4.jpg「Space Flag」のほか米宇宙軍訓練コマンド(STARCOM)は、「Black Skies」、「Red Skies」、「Blue Skies」との色の名前を冠した訓練分野を絞り込んだSkies演習を開始しており、「Black Skies」演習は実兵器の発射を伴う電子戦演習、「Red Skies」演習は衛星軌道上での戦い、「Blue Skies」演習はサイバー戦と宇宙を扱った訓練に取り組んでいます
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Space Flag2.jpg2010年代には、米宇宙軍の前身の米空軍宇宙コマンドが主催する「Schriever Wargame」との演習をよくご紹介しましたが、国防省以外の米国政府機関や同盟国からも広い分野から参加を受け入れ、宇宙が軍事以外にも社会経済活動とどのようにかかわっているかを「実感」してもらうことが主眼のような演習だったとの印象を持っています。

「Schriever」演習など地道な活動の成果もあり、2021年7月には米宇宙軍No2が同盟国等の姿勢の急変に言及し・・・

Thompson4.jpg・最近数年間で同盟国の宇宙ドメインへの関心が急速に高まったことにより、以前は米国活動への協力に消極的だった同盟国も含め、米宇宙軍活動への協力や資金協力申し出が急増している
・過去数年間の変化はドラマチックで、背景には潜在的敵対国による宇宙活動活発化への危機感があり、効果的な協力が得られなかった国々からも、協力できる分野は無いか? 我々は何をすべきだろうか? などの問い合わせをいただいている・・・・と語っていたところです

対中国最前線の日本も、早く「Space Flag」演習演習に参加できるようになりたいですね。・・・このように言うと、「大っぴらにはできないが、実は・・・」とのコメントを頂戴することもありますが・・・

米宇宙軍と同盟国との連携強化
「7か国で宇宙作戦ビジョン2031」→https://holylandtokyo.com/2022/02/25/2753/
「米宇宙軍に同盟国からの申し出急増中」→https://holylandtokyo.com/2021/08/04/2064/

Schriever Wargame関連記事
「2019年は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-18
「日本初参加の2018年の同演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-25
「米国が日本を誘う・・・」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-3
「日本は不参加:米軍宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「Schriever Wargame」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

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X-37Bが記録更新の908日宇宙滞在後に帰還 [サイバーと宇宙]

従来の780日間をさらに更新
2010年から運用開始の同機の後継は民間企業製か

X-37B 908.jpg11月12日、米宇宙軍が運用する再利用可能な実験無人宇宙船X-37Bが、記録更新の908日間の宇宙飛行を終えフロリダ州Cape Canaveral宇宙センターに無事帰還しました。2020年5月17日に打ち上げられた同機6回目の飛行で、5回目に記録していた780日間の宇宙滞在記録を更新しました

X-37Bは「9m×4.5m×3m」とマイクロバス弱程度の大きさで、ロケットの先端に取り付けて打ち上げられ、帰還時は滑走路に着陸する無人宇宙船です。OTV(Orbital Test Vehicle)が正式名称の実験船ですが、、宇宙でどんな実験を行っているのか非公開部分が多く「謎の宇宙船」とも言われ、追跡マニアが「中露の衛星を追跡している」等々の「噂」や「推測」を流して時に話題になったりしていました

X-37B 908 4.jpg2010年4月に最初の打ち上げられた1回目の宇宙滞在が224日間、2回目が468日間、3回目が675日、そして2017年5月に帰還の4回目は718日間、2019年10月に帰還した5回目は780日で、この記録が今回6回目の飛行で908日に更新されたわけです。

「謎の宇宙船」と呼ばれながらも少しずつ情報公開の動きも見られ、6回目のフライトでは以下のような試験・実験を実施していると「ほんの一部分」ながら公開されています

●米空軍士官学校の教授や学生が運用している実験小型衛星「FalconSat-8」の運搬放出
●米海軍研究所の太陽光発電エネルギーを電磁波送信するアンテナ試験
X-37B 908 5.jpg●NASAによる素材研究実験「METIS-2」→耐熱コーティング、放射線シールド素材等の試験と、「植物の種子実験」→宇宙環境が植物の種子に与える影響を、将来の惑星間飛行や他惑星への移住計画に備え確認
●帰還のための大気圏再突入の際、「リング形状」の装置を機体後方に付けて飛行し、着陸前に切り離す空力特性試験を実施

米宇宙軍は、X-37Bが今後あと何回宇宙飛行実験を行うか等について明確にしていませんが、2年前から宇宙軍はX-37Bの後継検討の必要性を発信し始めており、折しも民間企業Sierra Spaceの「Dream Chaser」とのX-37Bとそっくりの宇宙船が、国際宇宙ステーションへの物資輸送を2023年夏に実施する予定となっており、有力後継候補と言われているようです
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X-37B 908 3.jpgこのX-37Bを最初にブログでご紹介したのが2010年4月で、あれから12年・・・。しみじみしております。

あまり深い付き合いはなく、道ですれ違って挨拶する程度ですが、昔から知ってるご近所の方・・・のようなX-37Bでした

X-37B関連の記事
「宇宙滞在記録を更新中」→https://holylandtokyo.com/2022/07/29/3458/ 
「2020年5月打上時:少しソフト路線に?」→https://holylandtokyo.com/2020/05/15/672/
「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-11
「中国版X-37B?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-15
「中国衛星を追跡?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-07
「Sシャトルの代替?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「米が宇宙アセット防護計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16
「関連小ネタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-04
「X-37Bをご存じですか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20

「Dream Chaser」解説のwikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%BC_(%E5%AE%87%E5%AE%99%E8%88%B9)

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豪州がサイバー能力大拡大の10年計画推進中 [サイバーと宇宙]

Australia China.jpg11月7日付Defense-Newsは、豪国防省の内部組織ASD(Australian Signals Directorate)が今後10年をかけ取り組むサーバー能力大増強計画Redspice(Resilience, Effects, Defence, Space, Intelligence, Cyber, Enablers)の概要文書を紹介し、約1兆円の予算で挑戦する計画の当初4年間で、予算を優先確保に動くなど豪州政府の動きを紹介しています

事柄の性質上から細部は不明な部分が多いのですが、10年計画で「サイバー攻撃能力」を3倍に、「継続的なデジタル界の捜索探知能力」を2倍に、「世界的な拠点数」を4倍にし、先進人工知能や機械学習能力開発に取り組み、そのために新たに1900名の人員を増強する意欲的な計画が、Scott Morrison前首相時の今年3月に発表され既に開始されているとのことです

Redspice2.jpg背景には、中国との対立姿勢を明確にする豪州の姿勢からか、豪州社会へのサイバー攻撃が激増していることがあり、9月には豪州2位の携帯電話会社から豪州国民の1/3に相当する個人情報が大量に流出し、10月26日には豪州最大手の医療保険会社から400万人の病歴や治療歴を流出されると恫喝する事件が発生して社会的な不安が高まっていることもあるようです

1900人の人員増も、2023-24年に400名、24-25年に600名、25-26年に500名、26-27年に200名と前のめりに行われる計画で、10年で約1兆円の予算の内、スターダッシュの4年間に4200億円を投入する計画で、うち3600億円は政府の国防優先予算(Integrated Investment Program)に割り当てられ優先扱いとなっているようです

Redspice.jpgそれでも経費ねん出のため、現国防装備計画からの削減が求められると言われており、無人偵察攻撃機機MQ-9を海上活動に改修したMQ-9B SkyGuardianを導入する約1300億円の計画がキャンセルされたり、450両導入が計画され機種選定が進んでいた歩兵戦闘車両の調達数が300両程度の圧縮されるとの報道が出たりしているようです。

同時に、豪州の国力に比し大規模過ぎとも言われるRedspice計画を精査すべきとの声もあるようですが、ASDトップのRachel Noble長官は、3本柱であるサイバー攻撃強化、情報収集分析能力強化、情勢認識&対応能力強化のどれもあきらめるつもりは無いと明言し、同国専門家もデジタル社会の変化速度を考えれば、極めて緊急性の高い課題だと本計画の推進に期待しているようです
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Redspice4.jpg日本のサイバー体制強化の現状は、先進国の中でも「極めて寂しい」状況にあると言われており、喫緊の最重要課題のはずです・・・

Twitterが少しは見られるようになって嬉しいのですが、「検討する」から「検討を加速する」に進歩したと言われる日本のリーダーは大丈夫なんでしょうか。

豪州国防省ASDによるRedspice計画説明文書13ページ
https://www.asd.gov.au/sites/default/files/2022-05/ASD-REDSPICE-Blueprint.pdf

最近のサイバー関連記事
「なぜ露は大規模サイバー攻撃やGPS妨害をしない」→https://holylandtokyo.com/2022/07/26/3497/
「ウ侵略は衛星通信へのサイバー攻撃で開始」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウのサイバー副首相」→https://holylandtokyo.com/2022/03/23/2942/

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米宇宙軍が少佐&大佐級の教育課程をSAIS内に設置へ [サイバーと宇宙]

中上級クラスの高等教育をJohns Hopkins大学と協力し
陸海空軍が軍内に教育機関を保有する中
DCに設置して卒業後の引っ越し負担の軽減も
たぶん他軍種の士官クラスは羨望のまなざしを・・・

SAIS Space forces.jpg10月26日、米宇宙軍とJohns Hopkins大学が、少佐&大佐クラス上級幹部の教育課程を、同大学内の著名なSAIS(School of Advanced International Studies:ワシントンDC)内に宇宙軍用に新設し、2023年夏から開講すると発表しました

米軍の各軍種は、中上級クラス幹部の教育課程を各軍種の大学内に設置しており、宇宙軍も現在は、米空軍がアラバマ州マックスウェル空軍基地「Air University」内で行っている教育課程で、米空軍少佐&大佐クラスらとカリキュラムを一部共有する形で教育を行っていますが、この宇宙軍課程と教官をSAISに移し、SAIS教授陣からの支援も受けて「ワシントンDC」で行うとのことです

SAIS Space.JPG宇宙軍が他軍種と異なる形で中上級クラス教育機関を軍外に独立して立ち上げるのは、宇宙軍の規模が他軍種に比して小さく独自の課程運営が難しいことが大きな理由の一つですが、同課程卒業生の多くがペンタゴン勤務になる現状から、家族も含めた引っ越し負担を軽減することも、結果として意味が大きいと宇宙軍の教育担当Shawn N. Bratton少将は正直に語っています

本件を報じる米空軍協会web記事は、例えば米空軍の同課程は前述のようにアラバマ州マックスウェル基地に所在するが、基地周辺の子弟用学校のレベルが低く、配偶者の就職口も限定されることから、課程を履修する大佐クラスから批判的な声が上がっており、また10か月の課程履修後に再び引っ越しをすることへの負担感も人事上の課題となっているようです

Bratton Space.jpgまた同課程履修で得られる上級ポスト昇進にも重要なJPME資格(Joint Professional Military Education)取得に関し、陸海空軍の場合、選抜され著名一般大学院で高等教育を受ける者は、各軍種の軍事知識を各軍種の教育課程の「通信教育」で並行履修する苦行を強いられますが、SAIS内新課程に配置される宇宙軍人教官からも教育を受ける宇宙軍課程卒業者は、「通信教育」なしでJPME資格を得ることができる点でも軍人学生のメリットが大きいようです

細かな「引っ越し負担」や「卒業時の資格」を最初に説明しましたが、何と言っても大きいのは、宇宙ドメイン問題が単に軍事だけに留まらず、国の経済や社会生活を支える基盤としてクローズアップされる中で、宇宙軍の近未来にリードする人材を、国際関係教育で世界第3位に位置づけられるSAIS教授陣の力も得て、ワシントンDCで行えることのメリットは計り知れないと思います

Space guardian.JPG同時にJohns Hopkins大学のSAISにとっても、今ホットな宇宙問題に現場で立ち向かってきた優秀な30代前半と40代前半の米軍人を学内に毎年60~80名受け入れ、学界での理論研究と結び付ける機会を得ることは、「実践的な政策提案能力獲得」を目指すSAISにとっても大きなメリットと考えられます

現在少佐&大佐クラスの教育機関を、陸軍はペンシルバニア州に、海軍はロードアイランド州に、空軍はアラバマ州に設置していますが、陸海軍の今後同課程で教育を受ける可能性のあるエリートクラスは、宇宙軍のアイディアを「羨望のまなざし」で見ていることでしょう。

宇宙軍を取り巻く環境は、トランプ政権による強引な創設時の熱気が薄れかけており、陸海空軍との予算争いや人材面や政治力等々の側面から厳しさを増すと考えられ、決して明るい見通しはないと思いますが、本件に関しては「逆境をチャンスに変えた」好例としてご紹介しておきます

米宇宙軍関連の記事
「宇宙軍武官の派遣」→https://holylandtokyo.com/2022/08/10/3530/
「地上移動目標の情報を求め」→https://holylandtokyo.com/2022/06/09/3309/
「衛星を地上観測から宇宙監視用へ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/22/2825/
「7か国で宇宙作戦ビジョン制定」→https://holylandtokyo.com/2022/02/25/2753/
「熱核推進システムを応援」→https://holylandtokyo.com/2022/01/27/2622/
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holylandtokyo.com/2021/09/28/2233/
「同盟国から協力申し出急増中」→https://holylandtokyo.com/2021/08/04/2064/
「核熱推進システム設計を3企業と」→https://holylandtokyo.com/2021/04/20/111/
「衛星延命に企業と連携」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-17

最近の宇宙関連記事
「早急な能力向上に民間衛星企業をまず活用」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
「露はなぜ大サイバー攻撃やGPS妨害しない?」https://holylandtokyo.com/2022/07/26/3497/
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/

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Musk氏が「ウ」支援衛星ネット費用を米国防省に要求 [サイバーと宇宙]

政府を支える民間衛星が被攻撃時、米国は防御してくれるか?とも
Musk氏が「ウ」大統領にクリミア半島はあきらめろとSNSで

Zelenskyy Starlink.jpg10月14日付Defense-Newsが報じる匿名情報(最初にCNNが報道)によれば、ウクライナの対ロシア軍事行動に不可欠な衛星インターネット通信を「自腹で」提供しているSpaceX社のElon Musk氏が米国防省に対し、同通信サービス料を国防省で負担するよう要求している模様です

Spacex社はロシアのウクライナ侵攻直後から、ウクライナ副首相(IT担当相兼務)からのSNS上での要請に数日で対応し、同社の「Starlink」サービスをウクライナに提供した約15万個の地上ステーション装置を通じて支えており、地上施設費用だけでも毎月30億円、これに低高度軌道に配置された衛星の製造や打ち上げ費用等を含めると数百億円規模(570億円との報道あり)とも推定されています

Elon Musk3.jpg14日の政府記者会見では、本件に関する質問が国防省や大統領府に多数向けられましたが、国防省報道官は「同リンクに関しSpaceX社とコンタクトしている」とのみ述べ細部には触れず、Sabrina Singh大統領府副報道官も「国防省はウ国防省と協議している。このネットサービスが必要で、ウクライナ軍とウクライナのために安定した通信環境を確保したいと考えている」と述べるにとどまっています

この問題を背景で複雑にしているのは、3日の週にMusk氏が「(露が占領した地域を)ウクライナに戻すべきか、露に支配させておくべきか」とのネット投票をツイッター上で呼び掛けたことに端を発する、Musk氏と「ウ」大統領の意見相違の表面化です

Elon Musk Zelenskyy2.jpgこのネット投票呼びかけツイートに対し「ウ」大統領が、「Musk氏は、ウクライナ支援者とロシア支援者のどちらが好きなのか?」と疑問を投げかけ、これに対しMusk氏が「ウクライナを強く支援しているが、これ以上の戦争エスカレーションは「ウ」や世界への影響が害が大きすぎる」とツイートして食い違いが表面化したことが、今回の米国防省への費用負担要求に関連しているとも言われています

このツイッターのやり取りでMusk氏は、クリミア半島のロシア支配をウクライナが認め、ウクライナによるNATO加盟申請を取り下げ、ウクライナは中立的政治姿勢を取るべきとまで主張しており、米国政府との意見の相違も明らかになっています

Zelenskyy Starlink3.jpg更にMusk氏は一連のツイートの中で、国家安全保障分野で宇宙ドメインの重要性が急速に増加し、かつ民間衛星事業者が軍事や安全保障分野で大きな役割を果たしている中で、「我々はサイバー攻撃や妨害と日々戦っているが、民間事業者が攻撃を受けたなら、米国は我々を守ってくれるのか?」との究極に重い課題をストレートにぶつけて話題となっているところでもあります。
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SpaceXが提供している「Starlink」は、ウクライナ軍による軍事作戦の極めて重要なインフラとなっており、ドローン運用や目標照準や偵察活動などなど多方面に置いて不可欠で、米軍幹部が「system has proven exceptionally effective」と表現するものです

Tremper.jpgまたこのサービスを維持するSpaceXの努力も目を見張るものがあり、4月に国防省電子戦担当幹部が講演で、ロシアの電子戦やサンバー妨害から「Starlink」を守り維持しているSpaceX社の対応を「泣けるほど素晴らしい」と讃え、その迅速性と適切性から米政府は学ぶべきだと訴えた程です 

最近繰り返しご紹介しているように、国家安全保障分野の民間衛星事業者への依存度は急速に固まっており、「民間事業者が攻撃を受けたなら、米国は我々を守ってくれるのか?」は極めて重い問いかけです。宇宙に限らず、サイバー空間でも同様の問いが発せられていると認識すべきです

Elon Musk率いるSpaceX社の頑張り
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/

ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
「国防省有志が民間技術迅速活用求める」→https://holylandtokyo.com/2022/09/16/3609/
「民阿寒衛星を守る国際規範を」→https://holylandtokyo.com/2022/09/05/3601/
「米宇宙軍の能力向上に民間衛星をまず活用」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/

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宇宙監視望遠鏡SSTの米から豪への移設順調 [サイバーと宇宙]

2013年に米豪でSST移設合意
2027年にニューメキシコ州から移設後、試験経てIOC宣言
完全な運用態勢確立は2023年に
南半球への設置で切れ目ない宇宙監視網SSN構築へ

SST4.jpg9月末、2017年に米国ニューメキシコ州から豪州西部に移設されたDARPAとMITが共同開発した宇宙監視望遠鏡(SST:Space Surveillance Telescope)について、所要の調整や試験を経て初期運用態勢を確立したと米宇宙軍が発表しました。なお移設場所は西部豪州とのみ報道されており、細部位置は不明です

この宇宙望遠鏡SSTの移設は、2012年の米豪2+2での議論を経て2013年に両国で合意されたもので、合意には宇宙望遠鏡移設のほか、カリブ海島国アンティグア(Antigua)の米空軍施設に配備していた宇宙監視レーダー「C-Band ground-based radar system」を2014年に豪州西部に移設することも含む、宇宙監視ネットワークSSN強化全体を目指したものです

SST7.jpgただSSTの性能については、2012年に初めて取り上げた時点から一貫して「従来宇宙望遠鏡に比し桁違いの能力を有し、広範な視野と小さな物体を遠方でも探知追尾でき、物体の写真撮影が可能である」とのみ公表されているのみで、細部は不明です。豪州に設置することにより、静止軌道上の宇宙物体をより多く監視できるようです

北米大陸から南半球への監視センサーの移動は、地球の裏側にセンサーを移して監視網を拡大充実させようとの試みですが、既に移設されている「C-Band」宇宙監視レーダーは、アジアからのロケットやミサイル発射を追尾することが可能な点で中国や北朝鮮への監視強化効果も期待されています

SST6.jpgこれら宇宙監視ネットワーク強化による宇宙状況認識能力への取り組みへの背景には、例えば4月に発表された「懸念する科学者連合:Union of Concerned Scientists」による推計によると、宇宙軌道上に存在する衛星の数が、2015年に1400個だったものが、2022年4月時点で5500個に急増し、今後10年間で58000個まで爆発的に増えるとの見積もりがあり、

また9月29日付の米会計検査院GAOレポートが、増加する衛星が通信やネットワーク接続性向上に大きく貢献する一方で、衛星や宇宙ゴミの増加による物理的衝突リスクの増加のほか、衛星や宇宙ゴミからの電磁波放射や太陽光反射の増加による通信や天文学への悪影響を強く懸念し、その影響には予測不可能なものもある現実があります

SST5.jpgまた関連で米宇宙軍No2のDavid Thompson副作戦部長は、機能停止した衛星の破棄等に関する国際的な基準やルールの設定の重要性を訴え、GAOも同様のルールや基準設定のオプションを4例示し、国際的な議論を活性化すべきと米政府や関係機関に呼び掛けています
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「機能停止した衛星の破棄等に関する国際的な基準やルールの設定」や「国際的議論の活性化」は、現在の国際情勢を見ると絶望的な感がしますが、「宇宙兵器の制限」と合わせ、このような問題に地道に取り組む米国には頭が下がります。

SST10.jpg引き続き「宇宙」に関しては基礎知識が絶対的に不足しているまんぐーすですが、日本のJAXAや航空自衛隊のレーダーで、宇宙監視に協力する検討があったと思うのですが、どの程度進んでいるのでしょうか・・・。最近は防衛省の概算要求資料を見るのもサボっていますので、反省しております

2012年当時の米豪協議関連記事
「米軍が豪に宇宙監視レーダー移設」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2012-11-15

宇宙兵器問題への取り組み
「民間衛星を守る国際規範を」→https://holylandtokyo.com/2022/09/05/3601/
「国防宇宙戦略を発表」→https://holylandtokyo.com/2020/06/23/629/
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holylandtokyo.com/2020/06/01/611/

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国防省有志が宇宙での大戦略や民間技術迅速活用求める [サイバーと宇宙]

「2022年宇宙産業基盤状況レポート」で
米国政府に官民をまとめる宇宙大戦略作成求める
日進月歩の民間技術を迅速に大規模に導入可能にすべきと

Space Industrial B4.jpg8月25日付Defense-Newsは、米国宇宙産業界約250名の意見も踏まえ、米国防省や空軍研究所や宇宙軍有志が取りまとめた「2022 State of the Space Industrial Base」の概要を取り上げ、同レポートが4年連続で「米国の官民宇宙活動を束ねる大戦略を早急に定めないと、窮迫する中国に戦略的にも技術的にも2032年頃までに追い越される」との危機感を紹介しています

例えば同レポートでは、国防省や米軍や西側同盟国が、規則に縛られ新技術や新手法導入を遅延させられている官僚機構問題を早期に解決し、米国民間企業で日進月歩で進む技術的進歩を、より迅速により大胆に獲得可能なプロセスを確立する必要があると訴え、

Space Industrial B5.jpg具体的に、少なくとも米宇宙軍は年間予算の20%を宇宙産業界から調達するよう規定すべきだとの昨年2021年レポートの要求を再び記載し、2023年度予算において大きな変化が見られなかったことへの宇宙産業界の落胆が示されているようです。

背景には、前述のように2032年頃までに宇宙分野で中国に追い越されるとの危機感があり、同時に宇宙への関心の高まりから、米産業界では2021年の宇宙への投資額が前年比倍増の約2兆円($15.4 billion)に達し、商用宇宙アセトを活用した画像・通信・分析能力が、ウクライナ侵略でもその実力を遺憾なく発揮している現状があります

SPACE INDUSTRIAL B.jpg米国防省の民間技術迅速導入担当部署であるDIU(Defense Innovation Unit)の宇宙担当部長のSteve Butow氏は、「米国政府としての大戦略は、今後10年と言ったスパンではなく、21世紀全体を見据えたものである必要があり、共通の長期ビジョンのもと、(官民が協力して)望ましい宇宙の将来を達成する道筋を描く必要がある」と訴えています
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繰り返しになりますが、このレポートは国防省DIUと空軍研究所と宇宙軍有志が、最近毎年春開催のworkshop(写真下)に参加した米国軍需産業界関係者約250名の意見も踏まえて取りまとめたもので、その狙いは、「大戦略」の必要性や調達改革を米国政府に対し求め、かつ米議会や米国民に現状を説明して改善に理解を求めるためのものと推測しています

SPACE INDUSTRIAL B2.jpg軍需産業基盤の現状レポートには、国防省がまとめて政府や議会や国民に窮状を訴えるものや、有識者によるものなどさまざまあるのですが、「宇宙軍予算の2割を民間からの調達に充てよ」との具体的な要望が、国防省や米軍有志によるレポートに含まれることに、最近注目を集めるこの分野への理解不足を反省しております

宇宙産業基盤レポートの現物(136ページ)
https://assets.ctfassets.net/3nanhbfkr0pc/3wpHArrpttx99gFk5vfymS/873bf925beb44e0cf30a07170927acf5/State_of_the_Space_Industrial_Base_2022_Report.pdf

米国軍需産業の分析レポート
「中国資本の浸透警戒」→https://holylandtokyo.com/2020/03/27/791/
「2019年世界の軍需産業TOP100」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-23
「2019年版 米国防省軍需産業レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-28
「2018年版レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1

ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
「米宇宙軍の能力向上に民間衛星をまず活用」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/

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民間衛星の軍事利用が進む中で民間衛星を守る国際規範を [サイバーと宇宙]

ウクライナ侵略が示した民間衛星の重要性
国家間紛争時に民間衛星を守る「国際規範」を考察
今のロシアや中国を見るに、極めて困難とも思うが

Space debris2.jpg8月23日、宇宙政策を研究する米シンクタンク「Center for Space Policy and Strategy」が、ますます国家安全保障分野での重要性を高める民間衛星システムを、軍事紛争発生時に守るための「国際規範」のようなものを準備する必要性を指摘し、「特に宇宙ゴミ等の影響が、衛星の用途に関わらず急速に無差別に拡散すること等」から、民間衛星会社も関与して検討すべきだと主張するレポートを発表しました

ウクライナ侵略開始の緒戦において、ウクライナにインターネットや通信サービスを提供していたSpaceX社の「Starlink」やViasat社の衛星通信サービスに大規模妨害行為が行われた現実がありながら、例えば米宇宙軍は宇宙状況把握(space domain awareness)能力や同能力の強靭性を高めるため、西側諸国の「大きなアドバンテージだ」として米国や同盟国の民間衛星サービス利用を積極的に推進しています。

Space debris3.jpg一方でこれら宇宙アセットは官民の別を問わず、「無人アセットであり、攻撃に関する政治的敷居が低い」、「誰が攻撃したのか把握するのが困難」等の地上アセットとは異なる特徴を持つことから、サイバー攻撃と同様に民間宇宙アセットが無差別な攻撃を受けやすく、かつ影響も大きい点で、抑止を含めた概念の整理が難しい分野です

また、今の南シナ海での中国やウクライナでのロシアの動きを見ていると、「国際規範」との言葉のむなしさを感じざるを得ず、またが国際社会からの厳しい非難を浴びつつも、中国やロシアが軍民両方の衛星を危険にさらす「宇宙ゴミ」を生む衛星破壊兵器実験で強行してきた経緯を考えると、発表された「Commercial Normentum: Space Security Challenges, Commercial Actors, and Norms of Behavior」とのレポートの意義に疑問を感じる方がいても当然だと思います

Dickey Space.jpg避けて通れない宇宙アセットが直面する課題であることから、基礎的な思考の枠組み案の一つとして、全体像を把握していないながら同シンクタンクレポートの概要の概要の概要のさわり部分を、26日付米空軍協会web記事よりご紹介します。(同記事を読んでも良くわかりませんが・・・)

同レポートでは、まず過去に陸海空ドメインで、民間アセットが軍事紛争に巻き込まれて攻撃を受けた例を3カテゴリーに分けて紹介し、宇宙アセット攻撃に関する「国際規範」確立の思考枠組みとして同レポートは準備しています

陸海空ドメインで民間アセットが攻撃を受けるケース3つ
Space debris4.jpg●地上での「地雷」敷設のケース。軍民を問わず影響を与える点で、衛星攻撃兵器で生じる宇宙デブリと類似。なお国際宇宙ステーションが特別警戒対象とした2022年の宇宙デブリ681個の内、505個が露の2021年11月のASAT試験で生じたもの

●民間航空機が軍事紛争絡みで撃墜されるケース。確認できた範囲で、少なくとも6機。いずれも関連紛争では民間機の安全確保に関する「国際規範」は確立していなかった
●商船が、軍需物資を運搬したり、軍事活動を支援しているとの理由で攻撃目標となるケース

Space debris.jpgそして、宇宙での「国際規範」に考える場合、宇宙では物理的破壊だけでなく、巧妙な電子妨害、衛星へのサイバー攻撃、衛星センサー等へのエネルギー兵器(レーザー等)攻撃でも大きな影響を与えられる点を考慮することが重要で、「衛星システムへの攻撃」の定義を明らかにしておくことも重要だと指摘しています

また当然のことながら「国際規範」は、関連プレーヤーである全ての国家や団体に「受け入れられ」「行動枠組みとして機能する」ことが大前提で、そのためには最低限2つの条件、つまり軍事活動を行う官側と民間衛星企業とのやり取り情報の公開・共有、更に宇宙アセットを運用する全ての団体との公式な意思疎通ラインが確保されていることが満たされる必要があるとも議論を展開しています

そしてレポート筆者のRobin Dickey女史は、3つの「国際規範方針」候補をレポート内で議論しているようです(細部は確認していません)
Dickey Space CNAS.jpg●全ての民間衛星を保護する。軍事行動に利用されているか否かに関わらず、全てを保護し、全ての衛星システムへの攻撃を禁止する。この際、前述の「攻撃の定義」も重要な論点
●緊要な民間衛星のみを保護する。この場合、多くの民間衛星は「国際規範」上で保護される対象から外れるが、「規範」として国際的に受け入れられるハードルは低くなる
●軍事とかかわりのない民間衛星のみを保護する。他国に「軍事と関係ない衛星」について、用途や目的を明確に示して誤解を防止することが重要
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space awareness4.JPG2020年6月にCSISが、宇宙兵器を制限するための議論を促進する基礎の基礎として、「宇宙兵器の6分類」を提案するレポートを発表していますが、それと同様に、如何にその道が難しく険しかろうと、重要だと思う分野の道を切り開く地道な取り組みとしてご紹介しました

このような地道な取り組みを前にすると、「平和」と目指すにあたっての基本姿勢として、以下の言葉を思い出します。
「人間の本性における突然の革命にではなく、人間の制度の漸進的な進化に基礎を置く、もっと実際的でもっと達成可能な平和に我々の焦点を合わせよう。人間の制度の漸進的な進化がそれである」・・・。平和平和と口うるさく叫ぶのではなく、地道な取り組みを大切にして・・・

同シンクタンクのレポート紹介ページ
→ https://csps.aerospace.org/papers/commercial-normentum-space-security-challenges-commercial-actors-and-norms-behavior   
同レポート原文(33ページ)
→ https://csps.aerospace.org/sites/default/files/2022-08/Dickey_CommercialNormentum_20220819.pdf 

宇宙兵器問題への取り組み
「国防宇宙戦略を発表」→https://holylandtokyo.com/2020/06/23/629/
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holylandtokyo.com/2020/06/01/611/

宇宙軍が商用衛星利用を加速
「宇宙軍がまず民間衛星企業利用を考える」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「地上移動目標探知技術を求め」→https://holylandtokyo.com/2022/06/09/3309/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/

ロシアの宇宙兵器関連
「ウクライナの第1撃は宇宙で?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/
「衛星破壊兵器でデブリばらまく」→https://holylandtokyo.com/2021/11/17/2435/
「ロシア衛星が謎の物体射出」→https://holylandtokyo.com/2020/07/30/584/
「4月中旬のロシア衛星破壊兵器試験を批判」→https://holylandtokyo.com/2020/04/22/732/
「怪しげなロシア衛星問題提起」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-04

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米宇宙軍が外国大使館に武官派遣検討 [サイバーと宇宙]

最初の派遣国は英国が有力、独仏伊豪カナダが続くか?
人員不足で当初は空軍武官兼務も
日本・メキシコ・韓国・印・デンマークも可能性?

space attaches.jpg8月1日付米空軍協会web記事が、米宇宙軍が同盟国等との宇宙ドメイン協力関係や能力&人的戦力強化するためのRSA(Regional Space Advisor)計画を検討中で、その一環として在外米国大使館に従来の陸海空軍武官(attaches)に加えて宇宙軍武官派遣を検討していると報じ、最初の派遣国として世界3位の衛星保有国である英国の可能性が高いと紹介しています

RSA計画全体がまだ固まったものではなく、在外米国大使館を外交一元化の観点から統括する「国務省」や派遣先国との調整も今後の予定とのことですが、宇宙軍が陸海空軍&海兵隊の「引き立て役(enabler)」ではなく、陸海空ドメインと並立する重要分野であることを示す象徴的な人事として注目を集めているようです。

space attaches2.jpgどの国に宇宙軍武官を派遣するかについては、宇宙軍報道官は「宇宙ドメインでestablished と emerging space powersの両方から選定中」だとしていますが、在ロンドン米空軍武官のMetrolis大佐は「英国が最初の米宇宙軍武官を派遣する国になるだろう」と語っています

記事は英国が派遣先の一番になりそうな背景として、軌道上の衛星数が米国と中国に次いで世界第3位で更に増える方向にあること、軍内に宇宙コマンドを持つ数少ない国であること、今年2月に米英宇宙コマンドが協力強化覚書に署名していることを理由に挙げています。

space attaches4.jpgまた、英国に次いで武官派遣可能性が高い国として、宇宙コマンドや宇宙師団を持ち、軍用衛星を保有している独仏伊カナダをあげ、軍用衛星を運用している日本、韓国、インド、メキシコ、デンマークも将来の検討対象だろうと記事は言及しています

ただし、米宇宙軍が創設されて間もなく人的戦力が不足している現状を踏まえると、宇宙軍独自に武官を派遣できる国は限定せざるを得ないと考えられ、空軍武官との兼任も現実的なオプションとなろう・・・とも記事は説明しています
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上の記述では、宇宙軍の地位向上を示すための「象徴的な人事」と表現してしまいましたが、米宇宙軍武官派遣との捉え方よりも、宇宙に関する軍事専門知識を持つ人材を海外に派遣して、同盟国等との連携を図る必要性が急激に高まっているということでしょう。

space attaches3.JPGロシアによるウクライナ侵略において、ロシア地上部隊侵攻直前に、いわゆる「第1撃」が行われた対象が民間衛星通信会社のネットワークであったことや、ウクライナの海外との意思疎通や情報発信を支えたインターネットサービスを全力で支え続けたのがSpaceX社であり同社の「Starlink」であったように、宇宙アセットに関する話ができる人材を同盟国等に常駐させる重要性が認識されつつあるということでしょう

とりあえずのコンタクト先が確保できれば、業務の流れはずいぶん違うと思います

ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/

最近の宇宙関連記事
「早急な能力向上に民間衛星企業をまず活用」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
「露はなぜ大規模サイバー攻撃やGPS妨害を実施しないのか?」→https://holylandtokyo.com/2022/07/26/3497/ 

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謎の無人宇宙船X-37Bが連続宇宙滞在記録を更新中 [サイバーと宇宙]

2020年5月17日から今年7月7日で780日の記録更新
地球周回軌道上で数々の謎の実権を継続実施中

X-37B.jpg再利用可能な実験無人宇宙船X-37B Orbital Test Vehicleが、7月7日に自らが持つ宇宙滞在連続記録780日を更新し、引き続き宇宙空間で「謎の実験」に取り組んでいます。米宇宙軍が保有&運用するX-37Bですが、宇宙軍が何機同型機を保有しているのか、2年以上も宇宙空間を漂って何をしているかについて、ほとんど公開されていません。

X-37B4.jpgX-37Bは「9m×4.5m×3m」とマイクロバス弱程度の大きさで、ロケットの先端に取り付けて打ち上げ、帰還時は無人のスペースシャトルのように滑走路に着陸する無人宇宙船です。OTV(Orbital Test Vehicle)が正式名称の実験船で、当初はNASA所管でスペースシャトルの貨物室に搭載する予定でしたが、同シャトル計画が中断されて2004年以降は国防省が引き継いでいます

2010年4月に最初の打ち上げられた1回目の宇宙滞在が224日間、2回目が468日間、3回目が675日、そして2017年5月に帰還の4回目は718日間、2019年10月に帰還した5回目は780日で、この記録が今回6回目の飛行で更新されたわけです。

X-37B2.jpg記録を更新した今回6回目の打ち上げは、2020年5月17日にいつものフロリダ州Cape Canaveral基地で行われ、打ち上げ前には極めて珍しいことですが、宇宙で放出される搭載物のうち2種類が明らかにされました。

一つは米空軍士官学校作成のFalconSAT-8実験衛星5個で、もう一つは米海軍研究所作成の太陽光発電エネルギーを電磁波に変えて地上に送信するアンテナモジュールの2つで、X-37Bの役割をアピールか・・・と話題になりました。また5枚目の飛行では、イオンエンジンの一種「Hall Effect thruster」も試験の一つだと公表されていました

Dream Chaser.jpgその任務の大半が非公開であることから、アマチュア天文家が競ってその様子を地上から観測し、中国衛星に接近しているとか、様々な憶測を呼んでいるところです。中国やロシアもX-37Bが「攻撃兵器だ」と疑いをかけているようですが、X-37Bの動きは地上からでもフォロー可能で、宇宙軍が説明しているように「逃げも隠れもしない。見たまま」の状態だそうです

米国政府は2023年に、X-37Bをより洗練されたデザインにしたような民間企業Sierra Spaceが運用する無人宇宙船「Dream Chaser」によるミッションを開始する予定で、NASAはこれを使用して国際宇宙ステーションへの物資補給に利用するとのことです
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Dream Chaser2.jpgSierra Space社の「Dream Chaser」が、X-37Bにとって代わるのか等については承知していませんが、「Dream Chaser」がX-37Bにそっくりなので驚きました。機能を突き詰めていくと、スペースシャトル以来の形状に落ち着くということなのでしょう

これ以上のコメントができませんが、12年前からフォローしておりますので、引き続きネタにさせていただきます

X-37B関連の記事
「2020年5月打上時:少しソフトな路線に???」→https://holylandtokyo.com/2020/05/15/672/
「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-11
「中国版X-37B?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-15
「X-37Bは中国衛星を追跡?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-07
「X-37BがSシャトルの代替?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「米が宇宙アセット防護計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16
「X-37B関連小ネタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-04
「X-37Bをご存じですか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20

「Dream Chaser」解説のwikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%BC_(%E5%AE%87%E5%AE%99%E8%88%B9)

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米宇宙軍の早急な能力向上に民間衛星企業をまず活用 [サイバーと宇宙]

ウクライナ侵略事案が民間衛星の能力を改めて示す
地域コマンド司令官が軽易に商用衛星情報入手できるシステムを
NROやNGAも続々と民間会社との契約増やす

Space Systems Com4.jpg7月9日付Defense-Newsは、米国政府機関や米宇宙軍が保有する宇宙アセットの脆弱性や能力不足を補い、迫りくる中国等の宇宙での追い上げに対抗するため、早急に出来ることとして、ウクライナ侵略でもその有用性や重要性が示されている民間の衛星画像や衛星通信企業との連携や契約を、急速に増加させていると報じました

一つは米空軍研究所AFRLが、民間や同盟国ISR情報へのアクセス向上のため取り組んできたHAD(Hybrid Architecture Demonstration)計画から派生したGLUE(Global Unified Environment)で、地域戦闘コマンドが商用衛星画像情報や同盟国衛星情報を容易に入手できるようにするインターフェイスです。

Space Systems Com3.jpg米宇宙軍は、現有能力の脆弱性克服を大きな課題と捉えていますが、手っ取り早い能力の多様化や重複化施策として、多様な軌道で多くの小型衛星を運用している民間衛星画像会社を同盟国衛星情報と共に活用しようと考えており、宇宙軍担当幹部は「我々が急がないと、敵はあっという間に我を追い越してしまう。急がないと2030年にはそうなってしまう」と危機感を語っているところです

具体的には、近未来に実現可能な宇宙軍能力向上策として、現在米空軍研究所が開発しているGLUEを2024年に宇宙軍に移管し、2026年には本格運用が開始できるようにしたいと、米宇宙軍システムコマンドのMichael Guetlein中将が語っています

Space Systems Com.jpg米宇宙軍以外でも、米国防省で民間スタートアップ企業や新興有力企業からの最新技術導入を推進するDIU(Defense Innovation Unit)が、衛星通信のデータ共有・ソフト保全・クラウド分析・ネットワーク情報保全強化のため、4企業(Aalyria Technologies, Anduril Industries, Atlas Space Operations and Enveil)と共に宇宙で能力実証デモンストレーションを行うと7月7日に発表しています

DIUの担当責任者Rogan Shimmin氏は、「民間企業の最新技術を生かし、多様で大量な衛星画像情報をオンデマンドで入手して分析を提供し、見通し線外の戦術情報収集能力強化にまず生かしたい」と発表に際し語っています

Space Systems Com2.jpg米宇宙軍以外の米国政府情報機関であるNRO(National Reconnaissance Office)も、今年5月に民間衛星会社3社(Maxar Technologies, Planet Labs and BlackSky)と10年契約を結んで情報収集能力を強化し、NGA(国家画地情報庁:National Geospatial-Intelligence Agency)も2021年に商用衛星画像利用量を2倍に拡大させているようです
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非常に断片的な情報の羅列紹介になってしまいましたが、上記で紹介した企業以外でも、SpaceXやViasatなどの宇宙関連企業がウクライナ関連で示した能力と影響力は、世界の軍関係者や専門家に改めて戦いの様相の変化を印象付けたと思います

引き続き宇宙関連の話題への「リテラシー」が向上しないまんぐーすですが、チマチマと取り組んでいきたいと思います

ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
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なぜ露は大規模サイバー攻撃やGPS妨害をしないのか? [サイバーと宇宙]

露のウクライナ侵略で西側が予期し恐れていたが未だに・・・
ウクライナを支援する国への報復攻撃を懸念していたが
米国の専門家も様々に憶測中・・・

cyberattack4.jpg7月21日と22日付Defense-Newsは、ウクライナ侵略に関連し西側が予期し恐れていた、露によるウクライナやウクライナ支援国に対する大規模サイバー攻撃やGPS妨害が未だ確認されていないことに関し、米国専門家の見方を紹介しています

「なぜロシアは大規模サイバー攻撃やGPS妨害を行わないのか?」との疑問に対する西側専門家の結論は出ておらず、様々に専門家が仮説を出している段階ですが、いろいろ頭の体操になりますのでご紹介します。大規模サイバー攻撃関連の「なぜ?」に関しては浅い議論ですが、GPS妨害に対しては具体的仮説が提起されています

露はなぜ大規模サイバー攻撃をしていない?(21日付記事)
cyberattack2.jpg●ウクライナ侵略開始直前の2月24日から、ウクライナ軍民両方に高速大容量衛星通信サービスを提供していた「Viasat」へ大規模サイバー攻撃が行われ、露によるウクライナの国家指揮統制混乱を意図したものだったと分析されているが、西側が恐れていた米国やNATO諸国の電力網や社会インフラに関する大規模サイバー攻撃は確認されていない

●20日Anne Neubergerサイバー担当米大統領副補佐官は、3月にバイデン大統領が、ロシアが「かなり影響が大きいと予期される」大規模なサイバー攻撃を準備しつつあると警鐘を発したが、そのような動きは当時から情報分析やサイバー専門家の間で詳細にフォローされており、現在も同様の状態であることを示唆した
Neuberger.jpg●また米サイバーコマンドは、ウクライナの隣国リトアニアに米軍チームを3か月間派遣し、ロシアによる大規模サイバー攻撃に備えた準備に取り組み、そこで得られた教訓をNATO全体の能力強化のためNATO諸国に提供したりしていると説明し、露のサイバー能力に警戒を緩めていない

●同副補佐官は露のサイバー攻撃が本格化しない理由について、「2021年5月の米国内石油パイプラインColonial Pipelineへのサイバー攻撃時に、バイデン大統領がプーチンと会談して米国の覚悟を伝えたことでロシアを抑止できていると考える見方や、ウクライナや西側同盟国が協力してサイバー攻撃対処体制を強化したことが功を奏した主張する者もいる。一方で全く理由がわからないと考える者も多い」と述べた
●そして、前職がNSAサイバー対処責任者だった同副補佐官は現時点での結論として、「議論は続いている」と語った

なぜ露は大規模GPS妨害を行っていない?(22日付)
GPS jamming.jpg2021年11月にロシアが衛星破壊兵器実験を行い、プーチンの代弁者と言われる露TV解説者が「ロシアは全てのGPS衛星を無効化することができる」と同実験を解説して世界を緊張させたが、ウクライナ侵略が始まって以降、世界の専門家が予期していたような攻撃を露は見せていない。

この理由について、米大統領へのPNT(Positioning, Navigation and Timing)諮問会議のメンバーであるDana A. Goward氏は、以下のような様々な推測が存在すると寄稿している

露のGPS妨害能力は本当は大したことない?
Goward PNT2.jpg・この見方も存在するが、多くの専門家は支持していない。例えばロシアは北部ノルウェー国境付近に、露国内の離れた場所から、非常に強力なGPS妨害を正確に繰り返し行っており、米GPSと極めて近い周波数を利用するGLONASS(ロシア版GPS)への影響なくGPS妨害を実施可能な能力の高さを証明しているからである
・この他、モスクワや黒海沿岸地域で、たびたびGPSが機能しなかったり誤位置を表示する状況が外国政府関係者や専門家により確認されているなど、ロシアのGPS妨害能力の高さを示す事例には事欠かない

露軍もGPSを頼りにしている?
GPS jamming2.jpg・ウクライナで撃墜されたロシア軍機内で簡易GPS表示装置が発見されていること、GLONASS(ロシア版GPS)の端末が大型で使いづらいこと、前線部隊への普及が不十分なこと等から、露軍もかなり米国GPSに依存しているのではないかと推測されており、このため本格的GPS妨害を避けている可能性がある
・また、ウクライナが通信・インターネット・電力網等々の社会インフラの重要部分でGPSに依存しており、仮にGPS妨害を本格化すると、侵攻したロシア軍のウクライナ国内での活動や地域支配が困難になるため妨害を控えている可能性もある

将来の対米・対NATO対決に備え妨害能力出し惜しみ?
Goward PNT.jpg・露とウクライナでは圧倒的戦力差が存在し、基本的に露は全力を出す必要なくウクライナでの軍事目標を達成できるとの認識の下、ウクライナよりGPSへの依存度が高い米軍やNATO軍に対し、ロシアは手の内を隠したのではないか・・・との見方がある
・ウクライナ軍は西側の支援を受け、GPSを活用する最新兵器も使用しているが、依然としてGPSに依存しない旧ソ連時代の旧式装備も多数保有しており、GPS妨害の効果が限定的との見方が露軍内にある可能性も指摘されている

GPS妨害を行えば、妨害発信位置がすぐ暴露し攻撃を受けるから?
GPS妨害装置は強力な特定周波数を継続的に発信するため、敵から比較的容易に発見され攻撃を受けやすく、ロシア軍が必要性の高くないGPS妨害を控えた可能性もある
////////////////////////////////////////////

cyberattack.jpg核保有国であるロシアが紛争当事国となっているウクライナ侵攻では、核抑止の威力が改めて強く認識され、米国もウクライナへ提供する兵器の選定に「手加減」せざるを得ない状況となっていますが、ロシアにも米国内の社会インフラに大規模サイバー攻撃を行えば「一線を越える」との認識がロシア側にあるのかもしれません

GPS妨害に関しても基礎知識が不足していますが、「対米・対NATO対決に備え出し惜しみ」と「露もGPSに依存」との理由から、ロシアが本格攻撃を控えているとの案をとりあえず支持させていただきます。

いずれにしても、非常に興味深い議論ですので、今後の展開や新情報の公開に期待したいと思います

ウ国でのサイバーや宇宙関連記事
「ウ侵略は衛星通信へのサイバー攻撃で開始」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/
「露の衛星兵器試験で国際宇宙S危険に」→https://holylandtokyo.com/2021/11/17/2435/

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ジャンボ機から空中発射衛星打上Virgin Orbitロケット [サイバーと宇宙]

7月1日に米宇宙軍の試験衛星7個軌道投入に成功
今年4回目の商用打ち上げで、初の夜間打ち上げに成功
空中発射なので小型衛星を安価に打ち上げ可能
日本の大分空港が打ち上げ飛行場受け入れ検討中

Virgin Orbit2.jpg7月1日、Virgin Orbit社の小型衛星打ち上げロケット「LauncherOne」が同社保有の専用ジャンボ機から高度約12000mで分離され、無事ロケットエンジンに点火して宇宙空間に到達し、ジャンボ機から分離1時間後には米宇宙軍委託の試験衛星7個を所定の軌道に投入しました。2022年4回目の打ち上げ成功で、初の夜間打ち上げ成功だったようです

Virgin Orbit社は、ヴァージンアトランテック航空等の創業者である英国人Richard Branson氏により2017年に創設され、ジャンボジェット機(B747-400)から衛星打ち上げロケットを発射するという画期的な手法に挑んだ会社で、2021年1月に同方式による初の打ち上げに成功しました。

Virgin Orbit5.jpgその後初めての営業打ち上げとして、2021年6月20日に米軍やオランダ空軍の衛星7個の投入に成功して事業を「軌道に乗せ」、2022年には7回、2023年には18回の打ち上げを計画しており、ロケットの投下&発射母機となるジャンボジェット機を追加で2機契約&改修に入っているとも報道されています

この打ち上げ方式の特長は、
(下のYouTube映像の説明から)

Virgin Orbit.jpg●地上打ち上げに比較してロケットが小型化&シンプル化でき、ロケットは使い捨てだが価格面で気にならず、打ち上げ費用が200㎏衛星で13億円程度と安価
●航空機からの打ち上げで、緊急の打ち上げ要請に、より柔軟に対応可能
●基本的には世界中の飛行場から母機ジャンボが離陸可能で、離陸後30分から4時間飛行で到達可能な海上から、地上への落下物の心配なく比較的自由な方向に発射でき、様々な衛星軌道に投入可能

ジャンボ機から空中発射Virgin Orbitロケット解説(10分)


日本の空港では、Virgin Orbit社が大分空港利用に向けた交渉を大分県や関係機関と進めており、2022年以降の10年間で計20回の打ち上げ用離陸飛行場として考えているようです。

Virgin Orbit3.jpgその他小ネタとしては、Virgin Orbit社が発射母機として追加購入したジャンボジェット機(B747-400)が日本の航空自衛隊が政府専用機として運用していた機体で、大分への展開で「里帰り」が実現する日が期待されていることです。政府専用機は丁寧に使用されていますから、Virgin Orbit社の目の付け所に感心します

より細かな地上打ち上げとの比較ができればよいのですが、大分空港からの母機離陸やロケット「Launcher-One」の打ち上げが実施されれば大きな話題になるでしょうから、ご期待ください

Virgin Orbit社関連の2020年4月の記事
「航空機を利用衛星打上計画」→https://holylandtokyo.com/2020/04/17/729/

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ウクライナ侵略は衛星通信へのサイバー攻撃で始まっていた [サイバーと宇宙]

昨年11月の露の衛星破壊実験と共に「侵略の兆候」だったと
仏軍宇宙軍司令官が欧州の事前予想を証明したと

Viasat2.jpg6月15日、フランス軍宇宙コマンド司令官Michel Friedling少将がパリ郊外の軍事見本市で講演し、ロシアのウクライナ侵略は「地上軍の侵攻に先立って、サイバーや宇宙ドメインで開始された」と語り、「長く欧州軍首脳が想定してきたことが現実になった。大きな教訓だ」と表現しました

Friedling.jpg具体的にFriedling少将は、「ロシア地上部隊の進軍に先立つ2月24日、民間衛星通信会社Viasatに対してサイバー攻撃が大規模に行われたが、これは極めて興味深い大きな出来事だった」と述べ、米国加州に拠点を置く高速大容量衛星通信サービスを軍民両方に提供していた「Viasat」への大規模攻撃は、ウクライナの国家指揮統制をロシア侵攻を前に混乱させることを意図したものだった語りました

また、侵攻に先立つ数か月前の2021年11月15日、ロシア衛星「Cosmos 1408」を標的としてロシアが強行した地上発射型兵器による衛星破壊実験は、1500以上の宇宙ゴミを生み出し、ロシアも関与する国際宇宙ステーションにまで防御態勢を強いることになったが、

Viasat.jpg「ロシアが米国宇宙アセットを拒否する準備を完了していることを示す狙いがあったものと考えている」、「宇宙デブリにより、ロシア自身の宇宙アセット使用が妨げられても、必要なら衛星攻撃を実施する覚悟を示したと考えている」との評価をFriedling仏少将は披露した

更に同少将は、「Viasat」だけでなく、ロシア軍の装備や活動状況を衛星写真で提供してきた民間企業「Maxar Technologies」や、衛星インターネットをウクライナに提供してロシアの電子妨害からも守った企業「SpaceX」も、日々のウクライナ情勢に密接に絡むようになっており、敵にとってその役割はますます複雑曖昧に(blurry)なってきていると表現し、そして「これは将来への問いかけである」と話を結んでいます
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Friedling2.jpg「Viasat」への地上侵攻直前の大規模サイバー攻撃ついては、米英高官も5月中旬に明らかにしていたようですが、ロシアの脅威をより身近に感じる欧州大陸の大国軍人によって語られることに意味アリとしてご紹介いたしました

民間企業の国家間の軍事作戦に重要な役割を果たす・・・・。もちろん歴史上の戦いでも、民間企業が輸送や兵站支援を担ったこともあるでしょうし、兵器製造は民間企業が担っているのでしょうが、最前線の戦いに直結する情報や通信の中核を担うとなると事情は違ってきそうです

何をどこまで期待してよいのか、情報保全や平時の関係は如何にあるべきか・・・など、仏将軍ならずとも、経験のない課題に直面しそうです

関連の記事
「ロシアの電子戦に迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/
「露の衛星兵器試験で国際宇宙S危険に」→https://holylandtokyo.com/2021/11/17/2435/

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米宇宙軍が地上移動目標情報収集技術を産業界に求める [サイバーと宇宙]

企業から関連情報を収集する「逆産業デー」開
宇宙からの送信データの秘匿化と情報分析のAI利用が焦点

Space tactical ISR4.jpg5月16日の週に米宇宙軍が、急速にニーズが高まる宇宙アセットでの地上移動目標情報収集&分析技術に関する最新情報を民間企業から聞き取る「逆産業デーreverse industry day」を開催し、特に「宇宙からのデータ送信時のデータ秘匿化」や「膨大な情報分析へのAI活用」に強い関心を持っていると宇宙軍幹部が説明しました

普通の「産業デー:industry day」は、米軍や国防省が兵器開発の構想や要求性能について関連企業を集めて説明を行い、企業側から実現可能性や課題に関する意見聴取を行う場ですが、今回は将来宇宙軍の重要な任務となることが明確になりつつある「戦術的ISR情報収集」、つまり「宇宙からの地上移動目標情報収集」に関し、最新技術を持つ企業から技術動向を収集しようとの試みが行われまし

Space tactical ISR.jpg宇宙軍は米空軍と連携し、過去1年間「宇宙からの地上移動目標情報収集」の可能性と関連技術についてレビューしてきており、この春に結果をまとめるようですが、その締めくくりのイベントとして「逆産業デー」が開催された模様です

宇宙軍は米空軍との協力の他、陸海海兵隊とも「宇宙からの地上移動目標情報収集」について検討するため特別チームを編成しており、各軍種からの情報ニーズを念頭に置きつつ、対処法検討に取り組んでいます。

以下では、この「逆産業デー」に」関する宇宙軍幹部の関連発言をご紹介いたします

5月19日付Defense-News記事によれば
Guetlein2.jpg●18日宇宙システムコマンド司令官Michael Guetlein中将はCSIS講演で、「宇宙軍の関連プロジェクト長やメンバーが部屋に陣取り、関連情報を開発したり、応用法を編み出した企業関係者の来訪を歓迎して話を聞いている」、「我々が知らないような、産業界の第一線で開発されつつある技術や関連情報を得る機会を設けた」と説明している
●また同中将は、従来米国政府の宇宙機関NROやNGIAは衛星画像入手やその分析に専従していたが、「宇宙からの地上移動目標情報収集」へのニーズの急速な高まりや、衛星打ち上げのコスト低下がパラダイムシフトをもたらしつつあるとも語った

●宇宙軍作戦・サイバー・核担当部長Chance Saltzman中将は19日の記者懇談会で、「産業界や情報分析コミュニティーとの意見交換を踏まえ、将来の宇宙からの地上移動目標情報収集がどのようにあるべきかを固めていきたい」と説明している

Saltzman2.jpg●Saltzman部長はまた、現在感じている「ギャップ」(技術不足分野)について、まず「宇宙から送信される情報のセキュリティ強化」だと述べ、「極めて重要ながら脆弱な情報を可能な限り保護する技術が必要だ」と強調した
●更に同部長は、「宇宙センサーから提供されるであろう膨大な情報処理に担当者が忙殺されないよう、当然のこととしてAIや機械学習技術が活用される手法に強い関心を持っている」と述べている
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米空軍がE-3を退役させてもE-7に期待する役割は限定的で、将来的には宇宙アセットからの移動目標情報も含めた各種センサー情報を融合して使用する構想をぶち上げていましたが、宇宙軍としての取り組みをご紹介するのは初めてとなりました。

Space tactical ISR2.jpg今になって必死に民間企業から情報取集していて「大丈夫か?」・・・とも思いますが、中国A2AD網の内部に従来のセンサー機を送り込むことが難しいとなれば、宇宙アセットに頼るほかありません。進展に期待いたしましょう

最近の宇宙軍関連の記事では、「宇宙状況把握のため衛星を地上観測から宇宙観測用へ」との取り組みを取り上げましたが、「戦術的ISR情報収集」、つまり「宇宙からの地上移動目標情報収集」との関係はどうなっているのでしょうか? まだまだ宇宙関連の話題には「疎い」まんぐーすです

最近の宇宙関連記事
「宇宙状況把握のため衛星を地上観測から宇宙観測用へ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/22/2825/
「7か国で宇宙作戦ビジョン制定」→https://holylandtokyo.com/2022/02/25/2753/
「ウクライナ紛争の最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/
「熱核推進システムを応援」→https://holylandtokyo.com/2022/01/27/2622/
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holylandtokyo.com/2021/09/28/2233/
「同盟国から協力申し出急増中」→https://holylandtokyo.com/2021/08/04/2064/
「核熱推進システム設計を3企業と」→https://holylandtokyo.com/2021/04/20/111/
「衛星延命に企業と連携」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-17
「画期的:衛星が推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holylandtokyo.com/2020/02/28/839/

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