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米宇宙軍が外国大使館に武官派遣検討 [サイバーと宇宙]

最初の派遣国は英国が有力、独仏伊豪カナダが続くか?
人員不足で当初は空軍武官兼務も
日本・メキシコ・韓国・印・デンマークも可能性?

space attaches.jpg8月1日付米空軍協会web記事が、米宇宙軍が同盟国等との宇宙ドメイン協力関係や能力&人的戦力強化するためのRSA(Regional Space Advisor)計画を検討中で、その一環として在外米国大使館に従来の陸海空軍武官(attaches)に加えて宇宙軍武官派遣を検討していると報じ、最初の派遣国として世界3位の衛星保有国である英国の可能性が高いと紹介しています

RSA計画全体がまだ固まったものではなく、在外米国大使館を外交一元化の観点から統括する「国務省」や派遣先国との調整も今後の予定とのことですが、宇宙軍が陸海空軍&海兵隊の「引き立て役(enabler)」ではなく、陸海空ドメインと並立する重要分野であることを示す象徴的な人事として注目を集めているようです。

space attaches2.jpgどの国に宇宙軍武官を派遣するかについては、宇宙軍報道官は「宇宙ドメインでestablished と emerging space powersの両方から選定中」だとしていますが、在ロンドン米空軍武官のMetrolis大佐は「英国が最初の米宇宙軍武官を派遣する国になるだろう」と語っています

記事は英国が派遣先の一番になりそうな背景として、軌道上の衛星数が米国と中国に次いで世界第3位で更に増える方向にあること、軍内に宇宙コマンドを持つ数少ない国であること、今年2月に米英宇宙コマンドが協力強化覚書に署名していることを理由に挙げています。

space attaches4.jpgまた、英国に次いで武官派遣可能性が高い国として、宇宙コマンドや宇宙師団を持ち、軍用衛星を保有している独仏伊カナダをあげ、軍用衛星を運用している日本、韓国、インド、メキシコ、デンマークも将来の検討対象だろうと記事は言及しています

ただし、米宇宙軍が創設されて間もなく人的戦力が不足している現状を踏まえると、宇宙軍独自に武官を派遣できる国は限定せざるを得ないと考えられ、空軍武官との兼任も現実的なオプションとなろう・・・とも記事は説明しています
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上の記述では、宇宙軍の地位向上を示すための「象徴的な人事」と表現してしまいましたが、米宇宙軍武官派遣との捉え方よりも、宇宙に関する軍事専門知識を持つ人材を海外に派遣して、同盟国等との連携を図る必要性が急激に高まっているということでしょう。

space attaches3.JPGロシアによるウクライナ侵略において、ロシア地上部隊侵攻直前に、いわゆる「第1撃」が行われた対象が民間衛星通信会社のネットワークであったことや、ウクライナの海外との意思疎通や情報発信を支えたインターネットサービスを全力で支え続けたのがSpaceX社であり同社の「Starlink」であったように、宇宙アセットに関する話ができる人材を同盟国等に常駐させる重要性が認識されつつあるということでしょう

とりあえずのコンタクト先が確保できれば、業務の流れはずいぶん違うと思います

ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/

最近の宇宙関連記事
「早急な能力向上に民間衛星企業をまず活用」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
「露はなぜ大規模サイバー攻撃やGPS妨害を実施しないのか?」→https://holylandtokyo.com/2022/07/26/3497/ 

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謎の無人宇宙船X-37Bが連続宇宙滞在記録を更新中 [サイバーと宇宙]

2020年5月17日から今年7月7日で780日の記録更新
地球周回軌道上で数々の謎の実権を継続実施中

X-37B.jpg再利用可能な実験無人宇宙船X-37B Orbital Test Vehicleが、7月7日に自らが持つ宇宙滞在連続記録780日を更新し、引き続き宇宙空間で「謎の実験」に取り組んでいます。米宇宙軍が保有&運用するX-37Bですが、宇宙軍が何機同型機を保有しているのか、2年以上も宇宙空間を漂って何をしているかについて、ほとんど公開されていません。

X-37B4.jpgX-37Bは「9m×4.5m×3m」とマイクロバス弱程度の大きさで、ロケットの先端に取り付けて打ち上げ、帰還時は無人のスペースシャトルのように滑走路に着陸する無人宇宙船です。OTV(Orbital Test Vehicle)が正式名称の実験船で、当初はNASA所管でスペースシャトルの貨物室に搭載する予定でしたが、同シャトル計画が中断されて2004年以降は国防省が引き継いでいます

2010年4月に最初の打ち上げられた1回目の宇宙滞在が224日間、2回目が468日間、3回目が675日、そして2017年5月に帰還の4回目は718日間、2019年10月に帰還した5回目は780日で、この記録が今回6回目の飛行で更新されたわけです。

X-37B2.jpg記録を更新した今回6回目の打ち上げは、2020年5月17日にいつものフロリダ州Cape Canaveral基地で行われ、打ち上げ前には極めて珍しいことですが、宇宙で放出される搭載物のうち2種類が明らかにされました。

一つは米空軍士官学校作成のFalconSAT-8実験衛星5個で、もう一つは米海軍研究所作成の太陽光発電エネルギーを電磁波に変えて地上に送信するアンテナモジュールの2つで、X-37Bの役割をアピールか・・・と話題になりました。また5枚目の飛行では、イオンエンジンの一種「Hall Effect thruster」も試験の一つだと公表されていました

Dream Chaser.jpgその任務の大半が非公開であることから、アマチュア天文家が競ってその様子を地上から観測し、中国衛星に接近しているとか、様々な憶測を呼んでいるところです。中国やロシアもX-37Bが「攻撃兵器だ」と疑いをかけているようですが、X-37Bの動きは地上からでもフォロー可能で、宇宙軍が説明しているように「逃げも隠れもしない。見たまま」の状態だそうです

米国政府は2023年に、X-37Bをより洗練されたデザインにしたような民間企業Sierra Spaceが運用する無人宇宙船「Dream Chaser」によるミッションを開始する予定で、NASAはこれを使用して国際宇宙ステーションへの物資補給に利用するとのことです
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Dream Chaser2.jpgSierra Space社の「Dream Chaser」が、X-37Bにとって代わるのか等については承知していませんが、「Dream Chaser」がX-37Bにそっくりなので驚きました。機能を突き詰めていくと、スペースシャトル以来の形状に落ち着くということなのでしょう

これ以上のコメントができませんが、12年前からフォローしておりますので、引き続きネタにさせていただきます

X-37B関連の記事
「2020年5月打上時:少しソフトな路線に???」→https://holylandtokyo.com/2020/05/15/672/
「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-11
「中国版X-37B?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-15
「X-37Bは中国衛星を追跡?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-07
「X-37BがSシャトルの代替?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「米が宇宙アセット防護計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16
「X-37B関連小ネタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-04
「X-37Bをご存じですか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20

「Dream Chaser」解説のwikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%BC_(%E5%AE%87%E5%AE%99%E8%88%B9)

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米宇宙軍の早急な能力向上に民間衛星企業をまず活用 [サイバーと宇宙]

ウクライナ侵略事案が民間衛星の能力を改めて示す
地域コマンド司令官が軽易に商用衛星情報入手できるシステムを
NROやNGAも続々と民間会社との契約増やす

Space Systems Com4.jpg7月9日付Defense-Newsは、米国政府機関や米宇宙軍が保有する宇宙アセットの脆弱性や能力不足を補い、迫りくる中国等の宇宙での追い上げに対抗するため、早急に出来ることとして、ウクライナ侵略でもその有用性や重要性が示されている民間の衛星画像や衛星通信企業との連携や契約を、急速に増加させていると報じました

一つは米空軍研究所AFRLが、民間や同盟国ISR情報へのアクセス向上のため取り組んできたHAD(Hybrid Architecture Demonstration)計画から派生したGLUE(Global Unified Environment)で、地域戦闘コマンドが商用衛星画像情報や同盟国衛星情報を容易に入手できるようにするインターフェイスです。

Space Systems Com3.jpg米宇宙軍は、現有能力の脆弱性克服を大きな課題と捉えていますが、手っ取り早い能力の多様化や重複化施策として、多様な軌道で多くの小型衛星を運用している民間衛星画像会社を同盟国衛星情報と共に活用しようと考えており、宇宙軍担当幹部は「我々が急がないと、敵はあっという間に我を追い越してしまう。急がないと2030年にはそうなってしまう」と危機感を語っているところです

具体的には、近未来に実現可能な宇宙軍能力向上策として、現在米空軍研究所が開発しているGLUEを2024年に宇宙軍に移管し、2026年には本格運用が開始できるようにしたいと、米宇宙軍システムコマンドのMichael Guetlein中将が語っています

Space Systems Com.jpg米宇宙軍以外でも、米国防省で民間スタートアップ企業や新興有力企業からの最新技術導入を推進するDIU(Defense Innovation Unit)が、衛星通信のデータ共有・ソフト保全・クラウド分析・ネットワーク情報保全強化のため、4企業(Aalyria Technologies, Anduril Industries, Atlas Space Operations and Enveil)と共に宇宙で能力実証デモンストレーションを行うと7月7日に発表しています

DIUの担当責任者Rogan Shimmin氏は、「民間企業の最新技術を生かし、多様で大量な衛星画像情報をオンデマンドで入手して分析を提供し、見通し線外の戦術情報収集能力強化にまず生かしたい」と発表に際し語っています

Space Systems Com2.jpg米宇宙軍以外の米国政府情報機関であるNRO(National Reconnaissance Office)も、今年5月に民間衛星会社3社(Maxar Technologies, Planet Labs and BlackSky)と10年契約を結んで情報収集能力を強化し、NGA(国家画地情報庁:National Geospatial-Intelligence Agency)も2021年に商用衛星画像利用量を2倍に拡大させているようです
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非常に断片的な情報の羅列紹介になってしまいましたが、上記で紹介した企業以外でも、SpaceXやViasatなどの宇宙関連企業がウクライナ関連で示した能力と影響力は、世界の軍関係者や専門家に改めて戦いの様相の変化を印象付けたと思います

引き続き宇宙関連の話題への「リテラシー」が向上しないまんぐーすですが、チマチマと取り組んでいきたいと思います

ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/

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なぜ露は大規模サイバー攻撃やGPS妨害をしないのか? [サイバーと宇宙]

露のウクライナ侵略で西側が予期し恐れていたが未だに・・・
ウクライナを支援する国への報復攻撃を懸念していたが
米国の専門家も様々に憶測中・・・

cyberattack4.jpg7月21日と22日付Defense-Newsは、ウクライナ侵略に関連し西側が予期し恐れていた、露によるウクライナやウクライナ支援国に対する大規模サイバー攻撃やGPS妨害が未だ確認されていないことに関し、米国専門家の見方を紹介しています

「なぜロシアは大規模サイバー攻撃やGPS妨害を行わないのか?」との疑問に対する西側専門家の結論は出ておらず、様々に専門家が仮説を出している段階ですが、いろいろ頭の体操になりますのでご紹介します。大規模サイバー攻撃関連の「なぜ?」に関しては浅い議論ですが、GPS妨害に対しては具体的仮説が提起されています

露はなぜ大規模サイバー攻撃をしていない?(21日付記事)
cyberattack2.jpg●ウクライナ侵略開始直前の2月24日から、ウクライナ軍民両方に高速大容量衛星通信サービスを提供していた「Viasat」へ大規模サイバー攻撃が行われ、露によるウクライナの国家指揮統制混乱を意図したものだったと分析されているが、西側が恐れていた米国やNATO諸国の電力網や社会インフラに関する大規模サイバー攻撃は確認されていない

●20日Anne Neubergerサイバー担当米大統領副補佐官は、3月にバイデン大統領が、ロシアが「かなり影響が大きいと予期される」大規模なサイバー攻撃を準備しつつあると警鐘を発したが、そのような動きは当時から情報分析やサイバー専門家の間で詳細にフォローされており、現在も同様の状態であることを示唆した
Neuberger.jpg●また米サイバーコマンドは、ウクライナの隣国リトアニアに米軍チームを3か月間派遣し、ロシアによる大規模サイバー攻撃に備えた準備に取り組み、そこで得られた教訓をNATO全体の能力強化のためNATO諸国に提供したりしていると説明し、露のサイバー能力に警戒を緩めていない

●同副補佐官は露のサイバー攻撃が本格化しない理由について、「2021年5月の米国内石油パイプラインColonial Pipelineへのサイバー攻撃時に、バイデン大統領がプーチンと会談して米国の覚悟を伝えたことでロシアを抑止できていると考える見方や、ウクライナや西側同盟国が協力してサイバー攻撃対処体制を強化したことが功を奏した主張する者もいる。一方で全く理由がわからないと考える者も多い」と述べた
●そして、前職がNSAサイバー対処責任者だった同副補佐官は現時点での結論として、「議論は続いている」と語った

なぜ露は大規模GPS妨害を行っていない?(22日付)
GPS jamming.jpg2021年11月にロシアが衛星破壊兵器実験を行い、プーチンの代弁者と言われる露TV解説者が「ロシアは全てのGPS衛星を無効化することができる」と同実験を解説して世界を緊張させたが、ウクライナ侵略が始まって以降、世界の専門家が予期していたような攻撃を露は見せていない。

この理由について、米大統領へのPNT(Positioning, Navigation and Timing)諮問会議のメンバーであるDana A. Goward氏は、以下のような様々な推測が存在すると寄稿している

露のGPS妨害能力は本当は大したことない?
Goward PNT2.jpg・この見方も存在するが、多くの専門家は支持していない。例えばロシアは北部ノルウェー国境付近に、露国内の離れた場所から、非常に強力なGPS妨害を正確に繰り返し行っており、米GPSと極めて近い周波数を利用するGLONASS(ロシア版GPS)への影響なくGPS妨害を実施可能な能力の高さを証明しているからである
・この他、モスクワや黒海沿岸地域で、たびたびGPSが機能しなかったり誤位置を表示する状況が外国政府関係者や専門家により確認されているなど、ロシアのGPS妨害能力の高さを示す事例には事欠かない

露軍もGPSを頼りにしている?
GPS jamming2.jpg・ウクライナで撃墜されたロシア軍機内で簡易GPS表示装置が発見されていること、GLONASS(ロシア版GPS)の端末が大型で使いづらいこと、前線部隊への普及が不十分なこと等から、露軍もかなり米国GPSに依存しているのではないかと推測されており、このため本格的GPS妨害を避けている可能性がある
・また、ウクライナが通信・インターネット・電力網等々の社会インフラの重要部分でGPSに依存しており、仮にGPS妨害を本格化すると、侵攻したロシア軍のウクライナ国内での活動や地域支配が困難になるため妨害を控えている可能性もある

将来の対米・対NATO対決に備え妨害能力出し惜しみ?
Goward PNT.jpg・露とウクライナでは圧倒的戦力差が存在し、基本的に露は全力を出す必要なくウクライナでの軍事目標を達成できるとの認識の下、ウクライナよりGPSへの依存度が高い米軍やNATO軍に対し、ロシアは手の内を隠したのではないか・・・との見方がある
・ウクライナ軍は西側の支援を受け、GPSを活用する最新兵器も使用しているが、依然としてGPSに依存しない旧ソ連時代の旧式装備も多数保有しており、GPS妨害の効果が限定的との見方が露軍内にある可能性も指摘されている

GPS妨害を行えば、妨害発信位置がすぐ暴露し攻撃を受けるから?
GPS妨害装置は強力な特定周波数を継続的に発信するため、敵から比較的容易に発見され攻撃を受けやすく、ロシア軍が必要性の高くないGPS妨害を控えた可能性もある
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cyberattack.jpg核保有国であるロシアが紛争当事国となっているウクライナ侵攻では、核抑止の威力が改めて強く認識され、米国もウクライナへ提供する兵器の選定に「手加減」せざるを得ない状況となっていますが、ロシアにも米国内の社会インフラに大規模サイバー攻撃を行えば「一線を越える」との認識がロシア側にあるのかもしれません

GPS妨害に関しても基礎知識が不足していますが、「対米・対NATO対決に備え出し惜しみ」と「露もGPSに依存」との理由から、ロシアが本格攻撃を控えているとの案をとりあえず支持させていただきます。

いずれにしても、非常に興味深い議論ですので、今後の展開や新情報の公開に期待したいと思います

ウ国でのサイバーや宇宙関連記事
「ウ侵略は衛星通信へのサイバー攻撃で開始」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/
「露の衛星兵器試験で国際宇宙S危険に」→https://holylandtokyo.com/2021/11/17/2435/

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ジャンボ機から空中発射衛星打上Virgin Orbitロケット [サイバーと宇宙]

7月1日に米宇宙軍の試験衛星7個軌道投入に成功
今年4回目の商用打ち上げで、初の夜間打ち上げに成功
空中発射なので小型衛星を安価に打ち上げ可能
日本の大分空港が打ち上げ飛行場受け入れ検討中

Virgin Orbit2.jpg7月1日、Virgin Orbit社の小型衛星打ち上げロケット「LauncherOne」が同社保有の専用ジャンボ機から高度約12000mで分離され、無事ロケットエンジンに点火して宇宙空間に到達し、ジャンボ機から分離1時間後には米宇宙軍委託の試験衛星7個を所定の軌道に投入しました。2022年4回目の打ち上げ成功で、初の夜間打ち上げ成功だったようです

Virgin Orbit社は、ヴァージンアトランテック航空等の創業者である英国人Richard Branson氏により2017年に創設され、ジャンボジェット機(B747-400)から衛星打ち上げロケットを発射するという画期的な手法に挑んだ会社で、2021年1月に同方式による初の打ち上げに成功しました。

Virgin Orbit5.jpgその後初めての営業打ち上げとして、2021年6月20日に米軍やオランダ空軍の衛星7個の投入に成功して事業を「軌道に乗せ」、2022年には7回、2023年には18回の打ち上げを計画しており、ロケットの投下&発射母機となるジャンボジェット機を追加で2機契約&改修に入っているとも報道されています

この打ち上げ方式の特長は、
(下のYouTube映像の説明から)

Virgin Orbit.jpg●地上打ち上げに比較してロケットが小型化&シンプル化でき、ロケットは使い捨てだが価格面で気にならず、打ち上げ費用が200㎏衛星で13億円程度と安価
●航空機からの打ち上げで、緊急の打ち上げ要請に、より柔軟に対応可能
●基本的には世界中の飛行場から母機ジャンボが離陸可能で、離陸後30分から4時間飛行で到達可能な海上から、地上への落下物の心配なく比較的自由な方向に発射でき、様々な衛星軌道に投入可能

ジャンボ機から空中発射Virgin Orbitロケット解説(10分)


日本の空港では、Virgin Orbit社が大分空港利用に向けた交渉を大分県や関係機関と進めており、2022年以降の10年間で計20回の打ち上げ用離陸飛行場として考えているようです。

Virgin Orbit3.jpgその他小ネタとしては、Virgin Orbit社が発射母機として追加購入したジャンボジェット機(B747-400)が日本の航空自衛隊が政府専用機として運用していた機体で、大分への展開で「里帰り」が実現する日が期待されていることです。政府専用機は丁寧に使用されていますから、Virgin Orbit社の目の付け所に感心します

より細かな地上打ち上げとの比較ができればよいのですが、大分空港からの母機離陸やロケット「Launcher-One」の打ち上げが実施されれば大きな話題になるでしょうから、ご期待ください

Virgin Orbit社関連の2020年4月の記事
「航空機を利用衛星打上計画」→https://holylandtokyo.com/2020/04/17/729/

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ウクライナ侵略は衛星通信へのサイバー攻撃で始まっていた [サイバーと宇宙]

昨年11月の露の衛星破壊実験と共に「侵略の兆候」だったと
仏軍宇宙軍司令官が欧州の事前予想を証明したと

Viasat2.jpg6月15日、フランス軍宇宙コマンド司令官Michel Friedling少将がパリ郊外の軍事見本市で講演し、ロシアのウクライナ侵略は「地上軍の侵攻に先立って、サイバーや宇宙ドメインで開始された」と語り、「長く欧州軍首脳が想定してきたことが現実になった。大きな教訓だ」と表現しました

Friedling.jpg具体的にFriedling少将は、「ロシア地上部隊の進軍に先立つ2月24日、民間衛星通信会社Viasatに対してサイバー攻撃が大規模に行われたが、これは極めて興味深い大きな出来事だった」と述べ、米国加州に拠点を置く高速大容量衛星通信サービスを軍民両方に提供していた「Viasat」への大規模攻撃は、ウクライナの国家指揮統制をロシア侵攻を前に混乱させることを意図したものだった語りました

また、侵攻に先立つ数か月前の2021年11月15日、ロシア衛星「Cosmos 1408」を標的としてロシアが強行した地上発射型兵器による衛星破壊実験は、1500以上の宇宙ゴミを生み出し、ロシアも関与する国際宇宙ステーションにまで防御態勢を強いることになったが、

Viasat.jpg「ロシアが米国宇宙アセットを拒否する準備を完了していることを示す狙いがあったものと考えている」、「宇宙デブリにより、ロシア自身の宇宙アセット使用が妨げられても、必要なら衛星攻撃を実施する覚悟を示したと考えている」との評価をFriedling仏少将は披露した

更に同少将は、「Viasat」だけでなく、ロシア軍の装備や活動状況を衛星写真で提供してきた民間企業「Maxar Technologies」や、衛星インターネットをウクライナに提供してロシアの電子妨害からも守った企業「SpaceX」も、日々のウクライナ情勢に密接に絡むようになっており、敵にとってその役割はますます複雑曖昧に(blurry)なってきていると表現し、そして「これは将来への問いかけである」と話を結んでいます
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Friedling2.jpg「Viasat」への地上侵攻直前の大規模サイバー攻撃ついては、米英高官も5月中旬に明らかにしていたようですが、ロシアの脅威をより身近に感じる欧州大陸の大国軍人によって語られることに意味アリとしてご紹介いたしました

民間企業の国家間の軍事作戦に重要な役割を果たす・・・・。もちろん歴史上の戦いでも、民間企業が輸送や兵站支援を担ったこともあるでしょうし、兵器製造は民間企業が担っているのでしょうが、最前線の戦いに直結する情報や通信の中核を担うとなると事情は違ってきそうです

何をどこまで期待してよいのか、情報保全や平時の関係は如何にあるべきか・・・など、仏将軍ならずとも、経験のない課題に直面しそうです

関連の記事
「ロシアの電子戦に迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/
「露の衛星兵器試験で国際宇宙S危険に」→https://holylandtokyo.com/2021/11/17/2435/

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米宇宙軍が地上移動目標情報収集技術を産業界に求める [サイバーと宇宙]

企業から関連情報を収集する「逆産業デー」開
宇宙からの送信データの秘匿化と情報分析のAI利用が焦点

Space tactical ISR4.jpg5月16日の週に米宇宙軍が、急速にニーズが高まる宇宙アセットでの地上移動目標情報収集&分析技術に関する最新情報を民間企業から聞き取る「逆産業デーreverse industry day」を開催し、特に「宇宙からのデータ送信時のデータ秘匿化」や「膨大な情報分析へのAI活用」に強い関心を持っていると宇宙軍幹部が説明しました

普通の「産業デー:industry day」は、米軍や国防省が兵器開発の構想や要求性能について関連企業を集めて説明を行い、企業側から実現可能性や課題に関する意見聴取を行う場ですが、今回は将来宇宙軍の重要な任務となることが明確になりつつある「戦術的ISR情報収集」、つまり「宇宙からの地上移動目標情報収集」に関し、最新技術を持つ企業から技術動向を収集しようとの試みが行われまし

Space tactical ISR.jpg宇宙軍は米空軍と連携し、過去1年間「宇宙からの地上移動目標情報収集」の可能性と関連技術についてレビューしてきており、この春に結果をまとめるようですが、その締めくくりのイベントとして「逆産業デー」が開催された模様です

宇宙軍は米空軍との協力の他、陸海海兵隊とも「宇宙からの地上移動目標情報収集」について検討するため特別チームを編成しており、各軍種からの情報ニーズを念頭に置きつつ、対処法検討に取り組んでいます。

以下では、この「逆産業デー」に」関する宇宙軍幹部の関連発言をご紹介いたします

5月19日付Defense-News記事によれば
Guetlein2.jpg●18日宇宙システムコマンド司令官Michael Guetlein中将はCSIS講演で、「宇宙軍の関連プロジェクト長やメンバーが部屋に陣取り、関連情報を開発したり、応用法を編み出した企業関係者の来訪を歓迎して話を聞いている」、「我々が知らないような、産業界の第一線で開発されつつある技術や関連情報を得る機会を設けた」と説明している
●また同中将は、従来米国政府の宇宙機関NROやNGIAは衛星画像入手やその分析に専従していたが、「宇宙からの地上移動目標情報収集」へのニーズの急速な高まりや、衛星打ち上げのコスト低下がパラダイムシフトをもたらしつつあるとも語った

●宇宙軍作戦・サイバー・核担当部長Chance Saltzman中将は19日の記者懇談会で、「産業界や情報分析コミュニティーとの意見交換を踏まえ、将来の宇宙からの地上移動目標情報収集がどのようにあるべきかを固めていきたい」と説明している

Saltzman2.jpg●Saltzman部長はまた、現在感じている「ギャップ」(技術不足分野)について、まず「宇宙から送信される情報のセキュリティ強化」だと述べ、「極めて重要ながら脆弱な情報を可能な限り保護する技術が必要だ」と強調した
●更に同部長は、「宇宙センサーから提供されるであろう膨大な情報処理に担当者が忙殺されないよう、当然のこととしてAIや機械学習技術が活用される手法に強い関心を持っている」と述べている
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米空軍がE-3を退役させてもE-7に期待する役割は限定的で、将来的には宇宙アセットからの移動目標情報も含めた各種センサー情報を融合して使用する構想をぶち上げていましたが、宇宙軍としての取り組みをご紹介するのは初めてとなりました。

Space tactical ISR2.jpg今になって必死に民間企業から情報取集していて「大丈夫か?」・・・とも思いますが、中国A2AD網の内部に従来のセンサー機を送り込むことが難しいとなれば、宇宙アセットに頼るほかありません。進展に期待いたしましょう

最近の宇宙軍関連の記事では、「宇宙状況把握のため衛星を地上観測から宇宙観測用へ」との取り組みを取り上げましたが、「戦術的ISR情報収集」、つまり「宇宙からの地上移動目標情報収集」との関係はどうなっているのでしょうか? まだまだ宇宙関連の話題には「疎い」まんぐーすです

最近の宇宙関連記事
「宇宙状況把握のため衛星を地上観測から宇宙観測用へ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/22/2825/
「7か国で宇宙作戦ビジョン制定」→https://holylandtokyo.com/2022/02/25/2753/
「ウクライナ紛争の最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/
「熱核推進システムを応援」→https://holylandtokyo.com/2022/01/27/2622/
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holylandtokyo.com/2021/09/28/2233/
「同盟国から協力申し出急増中」→https://holylandtokyo.com/2021/08/04/2064/
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米軍宇宙プログラムの情報開示基準を再検討中 [サイバーと宇宙]

米国防省や宇宙軍が前向きなのか微妙です
相手を抑止するために我の能力開示はある程度必要も
サイバーと並び宇宙ドメインでの抑止は難しい課題

Plumb.jpg5月11日、米上院軍事委員会の小委員会でJohn Plumb宇宙政策担当国防次官補が証言し、2022年国防授権法で求められている宇宙関連事業に関する「公開or非公開」区分の見直し等について、確認作業が終了して現状の秘密区分は「probably appropriately classified」と官僚とは思えないいい加減な表現で説明し、「公開or非公開」区分基準見直しについては議会と共に検討を進めたいと述べています

Plumb次官補の証言ぶりからは前向きな姿勢をあまり感じませんが、米宇宙軍トップのJay Raymond大将は昨年3月、「宇宙軍の主任務は、紛争が宇宙から始まったり、宇宙に拡散することを抑止することだ」と語り、「敵との意思疎通が重要だ」、「全てを秘密にして非公開にしていては、我の抑止力を制限することになる」とナショナルプレスクラブで説明しています

Space Force.jpgそしてその2か月後の2021年5月には、従来秘密計画として非公開だった「宇宙配備の地上移動目標探知追尾アセット配備計画」の存在を同大将が公開して注目を浴びています。(同計画は現時点で未実現)

また、宇宙軍と他の米政府宇宙機関は、能力向上計画や脅威動向に関する情報公開増に協力して取り組んでいると言われているようでもあります

一方でPlumb次官補は、我の宇宙能力強化プログラムの公開基準と、敵からの脅威に関するインテリジェンス情報の公開基準は異なったプロセスであるべきだと議会で証言し、「敵脅威情報の公開基準についても絶えず再検討が必要であり、我々も取り組んでいるが、我々は我のインテリジェンス活動全般への利点と欠点を慎重に見極め、万事に対応する必要がある」と議員たちに説明しています

Fischer2.jpg同小委員会の主要メンバーで(先日は空軍が今後5年間で1000機航空機削減を計画していると誤情報を基に空軍幹部に迫っていた)共和党のDeb Fischer議員は、国民には可能な限り情報公開すべきで、「国民や国のシステムが情報を入手する機会を妨げてはならない」と、引き続き国防省や軍に、2022年国防授権法で規定の事項履行を求めていく姿勢を示しています
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米宇宙軍トップのJay Raymond大将と、議会証言したPlumb次官補には温度差が感じられるようにも見えますが、ご紹介したRaymond大将の発言や行動は1年前のものであり、Plumb次官補の議会証言は今年の5月11日のものである点に注意が必要です。

Raymond.jpg新たに急速に注目を集め始め、抑止への影響が読みにくいサイバーや宇宙ドメインに関することですから、個々の事業や政策や敵の脅威行動に応じ、様々な角度から慎重に検討する必要がある問題だと思いますし、緊密な意思疎通が図られていると思います

特にウクライナ関連では、米国は宇宙からがっつり状況を把握して「ウ国」に提供しているでしょうが、ロシアへの刺激を避けるため公開することには慎重だと推測いたします

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米国防省の一大クラウド事業が更に8か月遅れ [サイバーと宇宙]

Amazon対Microsoftドロ沼訴訟でご破算のJEDI仕切直しJWCC
4月契約予定が4企業混合体制?で年末にずれ込み

Sherman CIO.jpg3月29日、米国防省CIO(Chief Information Officer)のJohn Sherman氏が説明会を行い、国防省&米軍データの8割を管理する一大クラウドサービス事業で、2021年7月に事業の仕切り直しで名称を「JEDI」から「JWCC」に変更したプロジェクトについて、今年4月に契約予定だったが、年末までしっかり検討してまとめることになったと遅延を記者団に説明しました

この国防省の大規模クライド事業は、国防省と米軍が扱う普通・秘密・機密情報全体の8割を扱うこれまでにない大規模な改革事業で、2017年からマイクロソフト、アマゾン、オラクルを対象に企業選定に入り、2019年10月にMicrosoftが勝者となりました

JWCC.jpgしかし、下馬評でアマゾン(Amazon Web Services)有利と言われていたのにMicrosoft が選ばれたのは、Jeff Bezos前アマゾンCEOと時のトランプ大統領が公開の場で口論するなど関係が悪化していた背景を受け、「政権が恣意的な介入をした」とアマゾン側が法廷闘争に持ち込んで長期ドロ沼が避けられない状況となり、「JEDI」は身動きできなくなりました

そこで国防省は、2021年7月に両社合意の上で「JEDI:Joint Enterprise Defense Infrastructure」を白紙に戻し、新事業「JWCC:Joint Warfighter Cloud Capability」として再立ちあげし、2社とも参画する方向で仕切り直すことにしました。ただ、2社体制+αとの寝技決着であり、「2025年以降の契約については、完全オープンな形で再度企業選定する」との前提を置いての仕切り直しでした

Sherman CIO3.jpgその後、2021年10月に提案要求を2社に提示して対応可能と返答した両社を採用し、同時に産業界にも問いかけ、条件を満たす企業があれば2022年4月に追加で参加企業を最終発表することになっていました

国防省は、マイクロソフトとアマゾン以外に、オラクルとグーグルに参加を呼び掛けており、Sherman米国防省CIOは、「ベンダー4社と協議しており、少し予定より遅れているが、秋には態勢を固め、12月には正式発表したい」、「4社より少ない体制でのスタートは想定していない」と説明会で語っており、関係国防高官も(4社による協議は、)実質的で前向きなものだと述べているようです

JWCC2.jpgまたSherman米国防省CIOは、事業経費についてJEDI時と同様に「$9 billion(約1.1兆円)がシーリングだ」と説明会で強調しており、JEDIより一段と成熟した形で、かつ経費面でも従来枠内で納めることで順調に進んでいると説明しました
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マイクロソフトとアマゾンとオラクルとグーグルが共同参画し、米国防省の新時代にふさわしい一大クラウド事業に取り組む・・・・とは誠に素晴らしいお話ですが、心配ばかりが先に建つのは私だけでしょうか?

Sherman CIO2.jpg余計な心配なら良いのですが、例えば、4月にまとめようとしていたら、半導体など材料に等々の値上がりで、またウクライナ紛争優先の国防省ニーズもあり、Sherman米国防省CIOの「$9 billion(約1.1兆円)がシーリング」との前提が4社から猛反発を受けているとか、色々と悪い可能性ばかりが頭に浮かびます

それにしても、米空軍のABMSの話題が全く聞かれなくなりました

JEDIからJWCCへのゴタゴタ
「将来戦の鍵クラウド事業出直し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-09

将来戦に向けた指揮統制改革:JADC2、AIDA、ABMS関連
「国防副長官がAIDA開始発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-23
「具現化第1弾でKC-46に中継ポッド」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-22
「3回目はアジア太平洋設定で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/05/425/
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holylandtokyo.com/2020/09/09/476/
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「今後の統合連接C2演習は」→https://holylandtokyo.com/2020/05/14/671/
「連接演習2回目と3回目は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「国防長官も連接性を重視」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
「将来連接性を重視しアセット予算削減」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28

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露VSウのサイバー戦風景とFedorov副首相 [サイバーと宇宙]

戦前のロシア側圧倒的有利の予想が今や・・・
31歳の副首相&デジタル大臣Mykhailo Fedorov氏が大活躍
ウ国側の組織化程度は不明も、国際義勇軍が奮闘の模様

hacktivist2.jpeg3月21日付のYahooサイトが、ウクライナ戦争でのサイバー戦状況を解説するため、山田敏弘氏なるMIT出身のジャーナリスト47歳による「NEWSポストセブン」掲載記事を引用していますので、まんぐーすの勉強も兼ねご紹介させていただきます

山田敏弘氏は、ウクライナ軍による必死の抵抗が続く中、SNSを中心とした情報戦においてはウクライナがロシアを圧倒しており、それを指揮するミハイロ・フョードロフ副首相兼デジタル転換相(31歳)の初動対処など、その動向を紹介しています。

Mykhailo Fedorov(フョードロフ)とはどんな人物か
fedorov.jpg●1991年生まれで、ウクライナ南部の大学を卒業、デジタル系のサービスを提供する企業を立ち上げている。ゼレンスキー大統領の選挙戦でSNS関連を彼が仕切っていたこともあり、2019年に28歳の若さで副首相兼デジタル転換相に就任
●フョードロフ副首相が広く知られるようになったのは、露のウクライナ侵攻開始後の2月27日、「われわれはIT軍を立ち上げる。デジタル才能が必要だ」とツイートからだ。そして同副首相はウクライナのサイバー民兵たちを率いてサイバー攻撃を行うと同時に、世界の著名人に直接SNSでメッセージを送る。

イーロン・マスクに直談判・楽天にも
fedorov4.jpg●例えば、イーロン・マスク。テスラ創業者のマスクは、「スターリンク」と呼ばれる衛星利用高速インターネットシステムを立ち上げている。このスターリンクを使うことできれば、従来のインターネット網がロシアに破壊されても、ウクライナでインターネットを継続利用できる
●フョードロフはマスクにツイッターで「ウクライナにスターリンクを送ってほしい」と直談判し、マスクがそれに反応。「スターリンクのサービスをウクライナでスタートさせた。通信機器を送る」──そして48時間以内に、フョードロフはウクライナに届いた多量のスターリンクを写真で公開した。とんでもない時代である。

fedorov7.jpg●更にフョードロフは、ロシアでビジネス展開する欧米企業トップに連絡し、ロシアビジネス停止を要請。要請に際しては公式文書を公開し、国際世論を後ろ盾にする手法を執った
●例えば日本の楽天も無料通信アプリのViberのサービス停止を要請された。楽天は要請に応じなかったが、その代わりに、ウクライナに10億円を寄付することになり、資金は対ロシア戦に投入されている

更にSNS等を通じて様々な情報戦を
fedorov2.jpg●さらにフョードロフは、無料メッセージングアプリであるTelegramチャンネルを開設し、チャンネル登録の30万人以上のハッカーやプログラマーなどにサイバー工作を実施するよう指示を出している
●例えばTelegramで、ロシアに進出しているドイツ卸売店「メトロ」を撤退させる作戦を行ない、IT軍の兵士らに、同社のFacebookページに批判メッセージを送るよう英語の文面まで掲載している

●またある投稿では、ロシアのニュース機関のYouTubeチャンネルを凍結させるべく、YouTubeに「不適切なコンテンツ」であると通報する方法を指南している
fedorov3.jpg●ツイッターでは、破壊された街の様子や、住民を助けるウクライナ兵の写真を掲載したり、世界に向けて現場の惨状を伝えている。フェイスブックでも同様の投稿が掲載されているが、それ以外にも、ロシアのプーチン大統領とショイグ国防相の電話の会話を盗聴したと思われる音声も公開されている

●また、ロシア在住ロシア人にウクライナの実態を知らせるため、SMSや電子メール、無料通信アプリのメッセージをランダムにロシア人に送信し、直接、ロシア人にアクセスしようする試みも行われている。こうしたSNSの投稿などと合わせて、ウクライナがロシアに抵抗を続けるための資金の寄付も募っている

義勇軍的なウクライナIT軍
Fedorov8.jpg●ウクライナには米軍のようなサイバー軍は存在しない。そこで、サイバー攻撃やネットでの反ロシア活動をできる「民兵」を募集したのである。実は、ウクライナは他国に比べてIT技術の高い人が多い。またこうしたSNS発進で世界中から寄付なども集まり、対ロシア情報戦が成立している様相になっている
●ちなみに2014年にその精強さを「ハイブリッド戦」遂行能力で世界に見せつけたロシアサイバー部隊は、今回、ほとんど目立った活動をしていないように見える。その理由の一つは、ロシア侵攻数か月前の2021年10月に、米軍サイバー軍の関係者がウクライナ入りし、さまざまな対策を実施していたからだ

どんなサイバー「民兵」たちが動いているのか
hacktivist.jpeg●ウ紛争では多くのサイバー攻撃集団が立ち上がっている。有名なのは、「Anonymous」や「IT Army of Ukraine」。主な戦術は、ロシアの政府機関や団体などへのDDoS攻撃(大量のデータを送付でシステムダウン企図)や、ウェブサイトの改ざんである

●「Anonymous」は、以前からハクティビスト(ハッカーとアクティビストを足した言葉)として知られるハッカーの集合体で、今回は、反ロシアの平和主義活動を行なっている。リーダーもおらず、各自が攻撃を行なう。ロシアの政府系機関や国営メディアを攻撃して、一瞬であるが、DDoS攻撃で公式サイトをダウンさせたと主張している
hacktivist5.jpeg●「IT Army of Ukraine」は、ツイッターなどで世界にメッセージを発信している。IT軍に参加したいハッカーたちはオンライン上のフォームに得意分野や経歴を記載して登録し、電力網や水供給システムなど重要インフラのセキュリティを担当したり、ウクライナ軍による偵察活動などを支援している

●また、ある裕福なウ人が、ロシア政府機関のサイバー攻撃「脆弱性」通報を10万ドルで募集していたり、DDoS攻撃用のマルウェア提供している人もいる。ロシア国内の鉄道のチケットシステムを一時的に停止させた例も報告されている
●海外を拠点とするベラルーシの「Belarusian Cyber Partisans」、フランスに拠点を置く「AgainstTheWest」、フィンランドの「NB65-Finland」、トルコの「Monarch Turkish Hacktivists」とのハクティビストが参加している

ロシア側のサイバー正規兵と「民兵」
hacktivist6.jpeg●KGBはソ連崩壊後も事実上生き残り、主に国内担当のFSB(ロシア連邦保安庁)と、国外諜報担当のSVR(ロシア対外情報庁)として任務を続けている。こうした組織が政府系サイバー攻撃を担当。また、軍スパイ機関であるGRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)もサイバー攻撃を実施している
●更にウクライナ侵攻では、ロシアでもサイバー「民兵」が活発に動いている。有名なのは捏造記事や偽記事などをばら撒く「UNC1151(Ghostwriter)」で、ウクライナを貶めるために確認されている。ロシア拠点のランサムウェア攻撃を世界中で行なってきた「Conti」も参戦を宣言している(この「Conti」は最近、ウクライナ側からのサイバー攻撃を受けて、内部情報を暴露される失態が話題に)

●そのほか、「SandWorm」「Zatoichi」といった組織は偽情報などを拡散させる活動を、CoomingProject」はフランスに拠点を置き、「ロシア政府をサイバー攻撃するものは報復する」と表明している
民間のこうした争いは紛争が長期化するにつれて、激化していく可能性がある。今後に注目したい
//////////////////////////////////////

fedorov5.jpg「サイバー民兵」と言われる人達は、政府間や国際機関の仲介による物理的戦闘の「停戦」や「休戦」や「終戦」や「講和」が成立し場合、その枠組みに従うのでしょうか?

とても収まらない気がしますし、表面上の「終戦」や「講和」が成立した後の油断をついて、更なる果実を求めてうごめく気がします

完全に関連インフラを破壊しつくすまで、延々と「仁義なき戦い」が続きそうで怖いです・・・

仁義なきサイバー戦争の一端
「サイバー傭兵の動向」→https://holylandtokyo.com/2020/08/05/515/
「ハイブリッド情報戦に備えて」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-05
「ドキュメント誘導工作」を読む→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1

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宇宙状況把握のため衛星を地上観測から宇宙観測用へ [サイバーと宇宙]

地面を向いていたものを、宇宙空間観測に
民間衛星に地上観測を任せ、軍用をspace awareness向上に

Dickinson3.jpg3月10日、米宇宙コマンド司令官James H. Dickinson陸軍大将が講演し、昨年11月15日にロシアが行って国際的な非難を浴びた衛星破壊兵器試験に関連し、国際宇宙ステーションにまで危険が及んだ宇宙デブリ拡散は極めて憂慮すべき事態だったが、宇宙コマンドが過去2年間努力してきた「宇宙状況把握能力:space domain awareness」向上の成果を示すことができた出来事だったと語りました

同司令官は当時を振り返り、「宇宙コマンドの対応状況を非常にうれしく感じた」、「極めて短時間で、宇宙空間で何が起こっているかを探知分析して整理することができ、国家レベルの指導者に必要な情報を迅速に提供できた」と語っています

そして同司令官は、「宇宙軍創設以来の2年間のハードワークと、関係者が取り組んできた人材確保と育成の成果」を確認することができたとも表現し、宇宙ドメイン状況把握能力向上のための取り組みについて、地上監視用の衛星を宇宙監視用に任務転換したり、そのために民間衛星を活用したり等の手法を語っています

10日付米空軍協会web記事によれば同司令官は
Dickinson.JPG●「宇宙状況把握能力:space domain awareness」向上は私の最重要優先任務であったが、我がコマンドはまず、我々の担当領域である宇宙戦域において、何を把握できているのかについて信じがたいほどの時間をかけて掌握した
●この過程で改めて問題となったのは、我々の保有センサーの大部分が「space domain awareness」用には設計されておらず、弾道ミサイル発射監視用や地上偵察用であったことである

●これら地球方向を向いているセンサーの「極めて特異な」能力を生かすことが大きな課題となったが、NASAや民間企業でも月や火星を目指す動きが活発化する中、宇宙コマンドとして「深宇宙」の「domain awareness」向上の重要性が強く認識され、その解決に全力を挙げた
space awareness.jpg●単純に言えば、地球表面を、つまり下を向いているセンサー群の監視方向を、宇宙方向に、上向き監視に変える取り組みである

●もう一つの解決法は民間セクター宇宙アセットを活用することで、我がコマンドの商用アセット融合を推進する部署が窓口となり、我々の関心のある民間アセット能力の融合に取り組んだ
●民間アセットを利用することで、宇宙コマンドのアセットを必要な分野に振り向ける場合もあるし、民間セクターのアセットを我がコマンドの緊要な能力補完に活用することもある
///////////////////////////////////////////

space awareness4.JPG「深宇宙:deep space」や「月までの空間:deep space」への関心が高まっている話と、衛星への攻撃や妨害作戦が行われる地球周回軌道の話が混ざっているような気がしますが、地球を向いていたセンサーを宇宙に向けるとの課題を初めて聞いて、単純に面白いと思いました

「宇宙」に関する知識の無さを、改めて思い知らされた宇宙コマンド司令官の講演でした。

ロシアの宇宙活動
「衛星破壊兵器でデブリばらまく」→https://holylandtokyo.com/2021/11/17/2435/
「ロシア衛星が謎の物体射出」→https://holylandtokyo.com/2020/07/30/584/
「4月中旬のロシア衛星破壊兵器試験を批判」→https://holylandtokyo.com/2020/04/22/732/

最近の宇宙関連記事
「7か国で宇宙作戦ビジョン制定」→https://holylandtokyo.com/2022/02/25/2753/
「ウクライナ紛争の最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/
「熱核推進システムを応援」→https://holylandtokyo.com/2022/01/27/2622/
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holylandtokyo.com/2021/09/28/2233/
「同盟国から協力申し出急増中」→https://holylandtokyo.com/2021/08/04/2064/
「核熱推進システム設計を3企業と」→https://holylandtokyo.com/2021/04/20/111/
「衛星延命に企業と連携」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-17
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露企業が米軍事衛星打ち上げのアキレス腱に恫喝 [サイバーと宇宙]

2014年のウクライナ危機で表面化した驚きの状況
米国の大型軍事衛星打ち上げが露製エンジン依存の現状に恫喝
露製ロケットエンジンRD-180の輸出停止・支援停止
米空軍長官は「今のところ問題ない」と語る・・・

RD-180 Rogozin3.jpg3月3日、ロシア企業で大型衛星打ち上げ用ロケットエンジン「RD-180」を製造するRoscosmos社Dmitry Rogozin社長が、現下の状況に鑑み、米国への同エンジン輸出と輸出済エンジンへの技術サポートを停止すると明らかにし、同エンジンを使用する米国の「Atlas Vロケット」に大型軍事衛星打ち上げを依存している米国関係者を恫喝しました

これに対し3月4日Kendall空軍長官は、「今のところ、関連の懸念事項の報告は受けていない」、「2022年中にロシア製エンジンに依存しない態勢を構築するとの(2016年制定の)国防省戦略に沿い、目標を達成できると思う」、「SpaceXが代替手段開発に名乗りを上げ、ULAも取り組んでいる」と強気の姿勢を示しました

RD-180 5.jpg米国の安全保障を支える大型衛星打ち上げ(米ULA社製 Atlas Vによる)が、ロシア製ロケットエンジンに依存しているという信じがたい「アキレス腱」が明らかになったのは2014年ウクライナ危機の際で、米露関係が悪化し、ロシア国防相がRD-180の米国輸出打ち切りを示唆して米国内が大騒ぎになりました

2014年当時、数年分のRD-180在庫はあったのですが、米国産の新ロケットエンジン開発は容易ではなく、「米国の威信をかけて短期間で完成させろ。できるはずだ」派と、「リスクは受け入れがたく、屈辱に耐え、ロシアにRD-180追加緊急購入依頼をすべき」派の論争が続きました

RD-180 Rogozin2.jpg結果的に2016年、「できるはず派」の議会が、「屈辱受け入れ派」の米空軍や一部企業の要求を退け、8基程度のRD-180在庫でしのげるギリギリの2022年までに米国産ロケットエンジン&ロケットを開発する事となりました

その後2021年6月時点では、SpaceX社の「Falcon Heavy rocket」や Blue Origin社の「BE-4ロケット」が成熟度を高め、ULA社も新ロケット「Vulcan Centaur」初打ち上げ試験を2022年に行って「Atlas V」を2025年に引退させる計画を明らかにするなど米国製開発が進み、米宇宙軍幹部が議会で「あと6回のRD-180使用で依存を脱却可能」と証言していました

RD-180 Rogozin5.jpgSpaceXやULA社「Vulcan Centaur」で、「Atlas V」の代替が完全に確保できたというレベルにあるのか、Kendall空軍長官の発言ぶりからは「ぼんやり感」がぬぐえませんが、購入済のRD-180でしのげる時間を活用して米国製ロケットの信頼性を高めて正式承認するのでしょう

後は、購入済RD-180使用に際し、ロシア側からの「技術支援」が得られなくて大丈夫かですが、これに関しULAのTory Bruno社長は「ロシア側技術者の支援が得られなくても、予期せぬトラブルに対応可能なレベルの技術的ノウハウを蓄積してきた」と一応語っています

Kendall SASC.jpgKendall空軍長官は、2014年にRD-180依存問題が表面化した際、国防省の調達&技術開発担当次官を務めていた人物で、「米国製推進派」か「屈辱甘受・露に土下座派」のどちらであったかは不明ですが、議会の指示に従い「2022年までに露製依存脱却」戦略をまとめた次官ですので、その手腕に期待いたしましょう

2014年当時に米国へのRD-180禁輸をちらつかせたロシア国防相も、結局のところ、(恐らく)ロシア軍需産業の苦境を目の当たりにしてRD-180禁輸に踏み切れなかった過去があり、ロシアにとっても痛みを伴う措置でしょうが、国防省や米空軍内も強気の姿勢を示しつつも、「ついに来る時が来たか・・・」と不安が広がっているのではないでしょうか・・・・

ロシア製ロケットエンジン依存で窮地
「あと6回でロシア製依存から脱却」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-04-1
「露製エンジンRD-180無しでロケット開発へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-10-07
「混迷の露製エンジンめぐる論争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-24
「10年ぶり米軍事衛星打上げに競争導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-03
「国産開発が間に合わない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-29-1
「露製エンジンを何基購入?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-2
「米国安堵;露製エンジン届く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-22
「露副首相が禁輸示唆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-22

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米国と6か国が3ページの宇宙作戦ビジョン作成共有 [サイバーと宇宙]

仏、独、英、加、豪、NZが米国と
「連合宇宙作戦ビジョン2031」と名付け
「Combined Space Operations Vision 2031」

Combined Space Op.jpg2月22日、米国防省が6か国(豪、加、仏、独、英、NZ)と共に「連合宇宙作戦ビジョン2031:CSpO:Combined Space Operations Vision 2031」との3ページの文書を作成したと発表し、相互運用性と宇宙ドメインでの責任ある行動推進を進める方針を共同で示しました

3ページの文書は「Vision」「Mission」「The Importance of Space」「Objectives」「Lines of Effort」「Conclusion」との6項目で構成され、関係国間での宇宙での協力をさらに推進し、宇宙での安全保障を確かなものにすることを目指すことを謳っています

Combined Space Op2.jpg●Visionは
パートナー国が責任あるアクターとして、国際法に基づき、宇宙での敵対的な行動から防御する体制準備を追求する
●Missionは
協力、協調、相互運用性の機会を作為して改善し、宇宙での行動の自由を維持し、資源の最適化を図り、任務遂行と強靭さを確実にし、紛争を抑止する

●The Importance of Spaceでは
様々な角度から重要性を述べた後、以下の基本方針を語る
Freedom of Use of Space
Responsible and Sustainable Use of Space
Partnering While Upholding Sovereignty
Upholding International Law

●「Vision」「Mission」を実現するためObjectivesとして
prevention of conflicts
unity of effort
mission assurance
defense and protection

●そして上記のための取り組み「Lines of Effort」として
Combined Space Op3.jpgDevelop and operate resilient, interoperable architectures
Enhance command, control, and communications capabilities and other operational linkages among CSpO Participants
Foster responsible military behaviors in space
Collaborate on strategic communications efforts
Share intelligence and information
Professionalize space cadres and training

●Conclusionとして
関係国は、各国と共通の利害追求のため、ビジョンにコミットする。
拡大する機会と宇宙ドメインからの挑戦は、対処行動を推進するため協力強調を必要とする
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3ページの同ビジョン原文
https://media.defense.gov/2022/Feb/22/2002942522/-1/-1/0/CSPO-VISION-2031.PDF?source=GovDelivery

なぜ今、このタイミングでこの文書が出たのか不明ですが、内容に特段の目新しさはなさそうで、Defense-Newsの報道も、内容の「切り貼り」紹介だけです

ロシアがウクライナ関連で、宇宙での作戦を始めているのかもしれませんね・・・

恐らく日本も、上記7か国と肩を並べての行動や「情報共有」仲間には入れてもらえないのでしょうが、できることは協力していく方向にあるのでしょう。多分・・・

最近の宇宙関連記事
「ウクライナ紛争の最初の一撃は宇宙で!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-17
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「画期的:衛星が推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-27

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ウクライナ紛争の最初の一撃は宇宙で!? [サイバーと宇宙]

公にならない目立たない手法で?
ウクライナ紛争は最初の宇宙戦となるかも?

Space Weapon.jpg2月15日付Military.com記事は、米国の複数の専門家の意見を紹介しつつ、ウクライナ紛争が生起した場合、米軍機によるISR等が難しい状況から宇宙アセットへの依存度が高まるが、そんな米国の宇宙依存を知るロシア側は、物理的破壊を伴わない巧妙な宇宙アセット妨害や盲目化手法を「第1撃」として繰り出すのではないか・・・と論じています

そして同記事はまた、理由は明確にしていませんが、そのようなロシア側による米国宇宙アセットへの妨害や無効化工作は、公には成らないのではないかとの専門家意見も紹介しています。

russia anti-satellite2.jpgまんぐーすが想像するに、宇宙アセットが機能不全を起こしたとしても、それが外部からの電波妨害や攻撃に起因するものだとの断定が難しく、また我の宇宙アセット被害を明らかにすることは、敵に我の被害状況を明らかにして「敵の攻撃効果」を敵に知らせることになる可能性があるからだと推測します

記事は、過去のロシアの宇宙アセット攻撃訓練行動を紹介しつつ、最後に「ロシア側による米国宇宙アセットへの妨害や無効化工作は、多様な手段による一時的なものになるのでは」、「公には成らないのではないか」と締めくくる流れとなっており、宇宙に詳しい方にとってはこれが常識的な考え方かもしれませんので、ご紹介しておきます

2月15日付Military.com記事によれば
russia anti-satellite.jpg●2021年11月にロシアが突然、地上発射ミサイルによる衛星破壊実験を行い、デブリを大量に宇宙にまき散らし、国際宇宙ステーションにまで危険を及ぼした際、米国をはじめ国際社会は直ちにこの実験を非難する声明を出した
●しかしこのような国際的な非難にもかかわらず、ウクライナ関連で米国のISRや通信が宇宙アセットに依存していることをロシアはよく理解しており、ウクライナ関連で宇宙が最初の戦場になる可能性は高い

Harrison.jpg●これは同時に、トランプ政権が創設した米宇宙軍が、立ち上げ早々に第一線で活動する場を与えられることでもあり、その存在意義を公に知らせることになる戦いとなる可能性はある。しかし一方で、その活動がどれほど国民の目に触れるかは定かではなく、静かに裏で行われる可能性もあると、CSISのTodd Harrison研究員は述べている

●初代宇宙軍副参謀総長だったDavid Thompson退役大将は、ロシアは昨年11月の衛星攻撃用地上発射ミサイル試験の他にも、例えば2019年以降、不審なロシア衛星を米国衛星に接近させ衝突させそうにしたり、小型目標を放出して飛翔体で攻撃したりする行動を繰り返しており、米国に対して能力を誇示しているようだとコメントしている
●ただ、実際に他国の衛星を物理的に破壊した事例は報じられておらず、衛星へのサイバー攻撃や電波&電子妨害行為についても、公に語られることはない。実際、米宇宙軍にロシアからの衛星攻撃による被害を問い合わせても、「衛星システムは設計通りに稼働を続けている」との回答しかない

Venable.jpg●ヘリテージ財団のJohn Venable研究員は、ロシアのウクライナ侵攻に際して、米宇宙アセットへの妨害がエスカレートする可能性はあるが、「ロシアが持つ多様な手法を使用した一時的な妨害行為が行われる可能性がある」、「ロシアは洗練されたセンサー妨害や盲目化能力を保有している」と述べる一方で、「物理的攻撃はプーチンにとって賢明な手段ではない」とコメントしている
///////////////////////////////////////////

ウクライナ情勢については様々な報道がなされており、何がどうなるか予断を許しませんが、米国が備えようとする「大国間の紛争」の一側面とも考えられ、先日ご紹介した無人機での戦いや、宇宙アセットを巡る戦いの想定など、興味深い側面を秘めています

ウクライナと言えば「ハイブリッド戦」が頭に浮かび、サイバー攻撃から始まるとの報道も耳にしますが、一般の目に触れることのない宇宙での戦いにも注目いたしましょう。

ウクライナで戦闘機による制空の時代は終わる?
「米空軍大佐告発投稿:air littoralがカギ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-08

小泉悠氏によるウクライナ情勢分析
2月2日→https://holylandtokyo.com/2022/02/07/2698/
12月中旬→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-22

ロシアの宇宙兵器関連
「衛星破壊兵器でデブリばらまく」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-16
「ロシア衛星がなどの物体射出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-24
「4月中旬のロシア衛星破壊兵器試験を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-17
「怪しげなロシア衛星問題提起」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-04
「再び同高官が指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-26

宇宙兵器問題への取り組み
「国防宇宙戦略を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-28

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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熱核推進システムを応援する研究レポート [サイバーと宇宙]

核エネルギー推進技術とか、核熱推進(NTP)とか、DRACO計画との言葉を覚えておきましょう

Stone.JPG1月13日、米空軍協会ミッチェル研究所で「Maneuver Warfare in Space: The Strategic Mandate for Nuclear Propulsion」とのレポート発表が行われ、衛星に対する多様なニーズや衛星の防御力向上のため、米国防省研究機関が様々なアプローチで進めている核エネルギーによる衛星推進装置の開発促進などなどを訴えました

同レポートは「institute’s Spacepower Advantage Center of Excellence」のChristopher Stone氏によるもので、中露による宇宙兵器開発に対抗するには衛星に核エネルギー推進装置を搭載して機動性を強化することが不可欠だと訴えています

DRACO.jpg従来の衛星推進装置は太陽光発電やバッテリーをエネルギー源とした装置で、宇宙ゴミとの衝突を避けるための一時的な軌道修正用の限定的能力しかなく、また技術進歩により衛星の小型化が加速し、「cubesats」との手のひらサイズ衛星の大量打ち上げ方向にある中、従来サイズの衛星推進装置が搭載困難になって核エネルギー推進のニーズが高まっているとも主張しています

米国防省では、DARPAがDRACO(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations)計画の一環として、「NTP:核熱推進」システムの設計契約を、3企業(General Atomics, Blue Origin and Lockheed Martin)と2021年4月に結んでいます

DRACO2.jpgまた同年9月には、最新民間技術を国防省に取り込むために設けたDIU(Defense Innovation Unit)が、軽量で長期間使用可能な核エネルギー推進技術(nuclear-powered propulsion technology)を持つ企業の募集募集を開始したと報道されました

核エネルギー利用は小型で大きな出力を長期間得ることができる等のメリットがある反面、依然として安全性への懸念が高いハードルになっているようですが、技術進歩によりリスクよりメリットがはるかに大きく、中露に対抗するには不可欠な技術だとChristopher Stone氏は訴えたようです

13日付米空軍協会web記事によれば
n-powered propu.jpg●Stone氏は、最新の核エネルギーエンジンは少なくとも現在の化学推進エンジンと同等に安全で、より早く移動でき燃費もよいと訴え、「この推進装置を実用化しないことによる国家安全保障への影響は、核の安全性や環境への影響懸念よりはるかに大きい」と述べた
●そして、例えば核熱推進システムは。従来の化学反応推進装置のように排気を伴わず、水素ガスを加熱して推進に用いるのみだと主張した

n-powered propu3.jpg●また核エネルギー推進は、従来の衛星が地球周回軌道上での微修正だったのに対し、その外側の「cislunar space」への出入りを可能にし、その機動性で衛星が防御行動をとることができると利点を主張した
●例えば、地上発射対衛星ミサイルや宇宙配備のレーザー兵器からの回避能力が今後の衛星には必要だが、現在の衛星は防御をほとんど考慮していないと語った

●そしてStone氏は、「中国は既に、地上&宇宙配備の宇宙兵器と組み合わせた、宇宙での機動作戦戦略に切り替え、2040年までに熱核推進衛星を含むアーキテクチャーを構成しようとしている」とも語った

●Stone氏はレポートの中で米国が成すべきこととして、
NTP3.jpg迅速に宇宙での機動的作戦が可能な宇宙戦力構成を導入せよ
NASAやエネルギー省と協力し、核熱推進の開発導入を推進せよ
DARPAのDRACO計画(前述)の実現を加速せよ。DRACOは低濃縮ウラン利用で手続きハードルが低い

中露の宇宙アセットにリスクを与える宇宙や地上配備の対衛星兵器を開発配備せよ。現有のstandard missileやMD用ミサイルの応用を考えよ
衛星延命装置(Mission Extension Vehicle)の開発に注力し、GPSや重要衛星網に限定的でも防御的移動能力を提供して抑止力を強化せよ
米宇宙軍は、米宇宙アセットが直面している脅威や堅強な宇宙戦力を構築する必要性を、国民や議会に教育すべきだ
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実際の技術成熟の程度や、国防省機関が取り組み各種プロジェクトの煮詰まり具合をよく理解していませんが、核エネルギー推進技術(nuclear-powered propulsion technology)とか、核熱推進(NTP:nuclear thermal propulsion)とか、DRACO(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations)計画との言葉だけでも覚えておきましょう

衛星に機動性を求める米国防省の取り組み
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-12
「核熱推進システム設計を3企業と」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-14

衛星の延命や機動性付与技術
「衛星延命に企業と連携」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-17
「画期的:衛星が推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-27

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

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