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衛星の衝突防止を担う米宇宙軍18宇宙防衛隊(18SDS) [サイバーと宇宙]

未だ宇宙交通管理システムが構築できない状態の中
追尾可能な4万以上の衛星や宇宙ゴミを日夜監視
地道な活動の一端をご紹介

SDS.jpg11月22日付米空軍協会web記事が、米宇宙軍第18宇宙防衛隊(18SDS :18th Space Defense Squadron)を取り上げ、兄弟部隊である第19宇宙防衛隊と共に、地球周回軌道上に存在する探知追尾可能な10㎝以上の衛星や宇宙デブリ45000個以上を、地上配備の宇宙監視観測装置や衛星監視衛星等を活用して常時モニターし、軌道や状態の変化を察知して「その場その場でinformalにad hocな」宇宙物体の衝突回避活動を行う様子を紹介しています

記事は、新しく創設されて米国民からなじみの薄い米宇宙軍や宇宙コマンドが、自己紹介のため公表し始めている部隊概要や活動報告説明資料を基に、「感謝祭休暇」期間の紙面穴埋め記事として作成されたと思われる「部隊紹介記事」ですが、まんぐーすの様な宇宙初心者には貴重な情報ですのでご紹介させていただきます

11月22日付米空軍協会web記事によれば
SDS3.jpg●米宇宙軍第18宇宙防衛隊(18SDS)は、兄弟部隊の19SDSと共に、地球周回軌道に存在する観測可能な人工物体の全てを監視追尾し、これらの衝突や異常接近を回避することで、衛星や宇宙飛行士や宇宙開発の取り組みの安全を確保する任務を負っている

●18SDSは加州のVandenberg宇宙軍基地に拠点を置き、45000以上の物体を「U.S. Space Surveillance Network (SSN)」を使用して監視追尾しており、SSNは以下のセンサーで構成される。

AN FPS-85.jpg--- 地上から夜空の光学写真を撮影し、コンピュータ画像情報処理で衛星やデブリの位置や動きを把握する「Ground-Based Electro-Optical Deep Space Surveillance System」
--- 地上設置のレーダーで宇宙物体を観測して数百の物体をリアルタイム探知追尾する「AN/FPS-85とAN/FYS-3 Phased Array Radars」

Space fense.jpg--- 太平洋上のマーシャル諸島に設置され、特定周波数の電波でフェンスを宇宙空間に向け設け、そのフェンスを通過する物体を把握する「Space Fence」
--- 大気圏の気象や太陽光に観測を妨げられない、軌道上に配置された「Space-Based Space Surveillance satellite」による監視

●宇宙デブリ(ゴミ)発生原因の4分類
--- Corrosion, Fatigue:人工衛星の機材劣化・金属疲労等により人工衛星が分解等して部品がデブリ化(飛散度小)
--- Breakups:意図的な衛星破壊兵器実験による破片の爆発的飛散や、意図せぬ衛星の爆発(気体や化学薬品タンクの事故破裂など)によるデブリ発生(飛散度大)

--- Collisions:例:2009年発生のロシア軍事衛星とイリジウム通信衛星の衝突破壊によるデブリ飛散(飛散度大)
--- Mission-related:意図に関わらず衛星から放出や分離した部品や物体(飛散度小)

SSN.jpg●宇宙軍18SDSは、各種センサーや監視装置からのデータを、特別なソフトウェアを使用して分析し、軌道上物体からのガス噴出や状態の変化、それに伴う軌道の変化、新たな浮遊物体の発生を監視し、その発生原因や起源、更に将来の影響を予測する。ただ大きさ10㎝以下の物体については、大きな破壊力を持つが小さすぎて探知追尾不可能であり、大きな脅威となっている
●衝突の危険を察知した際は関係者に警報を発することになるが、この要領は関係する国や機関や対象物等々により様々であり、しっかりした枠組みが無いのが現状である。

SDS2.jpg●2023年年初にRAND研究所は、「国際的な宇宙交通管理システム:STM:international space traffic management system」構築により、国際的な各種宇宙物体運用者の連携を円滑にし、直面している課題に対応すべきと訴えるレポートを発表し、現状の宇宙物体管理を「非公式で、その場しのぎで、場当たり的で、連携不十分な」状態だと非難し、
●「過去40年以上に渡り、10を超える各種会議やレポートや報告書がSTMの必要性を訴え続けているが、未だに実のある成果が生まれておらず、危機的な事案が発生するまで待っているかのような現状が続いており、世界の宇宙関係者は、直ちに重要な宇宙アセットの安全性確保のために立ち上がるべきだ」と訴えているところ
/////////////////////////////////

18SDS.jpg記事は、このような国際的枠組みやSTMが存在しない難しい環境下で、事態は日々困難度を増しているが、米宇宙軍第18宇宙防衛隊(18SDS)は、今日も日夜その活動を全力で続けていると結んでいます。

頭の下がる思いです。18SDSの皆様の取り組みに感謝申し上げます。また、航空自衛隊の「宇宙作戦隊」との更なる連携に期待いたします

宇宙物体の監視網構築関連
「宇宙監視望遠鏡SSTの米から豪への移設」→https://holylandtokyo.com/2022/10/05/3724/
「衛星を地上観測から宇宙観測用へ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/22/2825/
「国防宇宙戦略の発表」→https://holylandtokyo.com/2020/06/23/629/
「Space Fence1号機が試験運用」→https://holylandtokyo.com/2019/12/17/2845/

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米軍衛星が地上局とのLink-16通信試験に成功 [サイバーと宇宙]

低高度軌道上の小型衛星3基とFive Eyes国の地上局が
衛星収集戦術データの即時ネットワーク共有へ大きな一歩
米SDAのProliferated Warfighter Space Architectureで

PWSA SDA4.jpg11月28日、米国防省の宇宙開発庁SDA(Space Development Agency)が、11月21-27日の間で実施したデモ試験で、高度1200マイル上空の低高度軌道上を周回する小型衛星3基と地上通信局間で、戦術データ情報リアルタイム共有用に航空機・艦艇・地上施設間で使用中の「Link-16」による通信テストに成功したと発表しました

「Link-16」は、例えば空飛ぶレーダーE-3やE-7や海軍のE-2Dが補足追尾する敵機情報を、リアルタイムで戦闘機に送信して戦闘機のレーダー画面に表示し、一刻を争う最前線での敵情報共有を支えるデータ通信手段で、弾道ミサイル防衛でもイージス艦補足の敵弾道ミサイル情報を、BMDシステムを経由して地上配備のパトリオットPAC-3ミサイル迎撃部隊と即時共有することにも利用されている最前線の情報命脈です

PWSA SDA5.jpg従来の衛星センサー情報の地上システムへの送信要領をまんぐーすは説明できませんが、現在の航空機・艦艇・地上部隊の戦術データ共有の中核を担っている「Link-16」を人工衛星が利用可能になることで、既存の航空機・艦艇・地上部隊の戦術データネットワークに、衛星情報をスムーズに取り込むことが可能となることから、「a significant milestone」とSDAトップのDerek Tournear氏が歓喜の声明を発表するのも理解できます

まだ基礎的な技術実証の段階で、「Link-16」信号を衛星軌道上から米本土地上に向け送信することに関し、連邦航空局(FAA:Federal Aviation Administration)の承認が得られておらず、今回のデモ試験は、米国以外のFive Eyes国(英豪加NZ)のどこかの地上局(非公開)を使用して行われたとのことです。なおFive Eyesは、米英豪加NZの5か国のみで構成される高度秘密情報共有のグループです

PWSA SDA2.jpg担当する宇宙開発庁SDAは2019年に創設された組織で、既存の大型&多機能&少数&高価な衛星で構成される衛星ネットワークに、小型&機能限定&安価&多数(hundreds)な低高度軌道衛星を加えて迅速に強化して「Proliferated Warfighter Space Architecture」を構築するための組織ですが、

現在までに「transport satellites」19機、「missile tracking satellites」8機で構成される「Tranche 0」の小型衛星網を構成し、今回のデモ試験もこの衛星の一部(Transport Layerの衛星)を使用したとのことですが、2024年から打ち上げを開始する「Tranche 1」では、「transport satellites」126機、「missile tracking satellites」35機を軌道投入する予定とのことです

Tournear SDA3.jpg前出のSDA長官Derek Tournear氏(SDA創設時から4年以上同ポスト)は声明文で、「今後もSDAはその任務であるProliferated Warfighter Space Architecture構築に尽力し、同Space Architectureが最前線の兵士たちに既存の戦術データネットワークを通じて兵器管制情報(fire control information)を提供可能なことを検証していく」と、衛星による「Link-16」使用技術の成熟への決意を新たにしています
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正直なところ、「Link-16」が衛星とのデータ通信に使用できていなかったことを初めて知りました。航空機・艦艇・地上部隊間の通信距離が長くても数百㎞のところ、衛星と地上の距離が1200マイル(約2000㎞)ともなれば、小型衛星で実現するには技術的ハードルも高いのでしょう。またコッソリFive Eyes内で協力して進めている辺りに、この技術の重要性や機密性を感じます

Tournear SDA2.jpgTournear長官は2019年10月の米陸軍協会総会で、「SDAは3分野に注力しており、一つは超超音速兵器や弾道ミサイルの追尾、2つ目は宇宙状況認識を高める取り組み、そして3つ目が一刻を争う地上脅威目標の探知追尾である」と語っており、3つ目の米陸軍と連携して進める衛星からの地上目標情報提供「Kestrel Eye計画」が「Link-16」と関連が深いものです。

E-8 JSTARS(退役間近)、E-3やE-7早期警戒管制機の役割の引継ぎが期待されている、衛星からの地上目標情報提供技術に関する取り組みのお話でした

米宇宙開発庁SDA関連の記事
「Kestrel Eye計画:衛星で目標情報をリアルタイムに地上部隊へ」→https://holylandtokyo.com/2019/11/05/2967/

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中国関与TikTok等の米軍兵士への情報戦影響を局限せよ [サイバーと宇宙]

サイバー&ISR任務を持つ第16空軍の取り組み
最先任軍曹が中国等の情報戦に注意喚起も

Kennedy Jr5.jpg2019年10月に米空軍内の第24空軍(サイバー担当部隊)と第25空軍(ISR+EW電子戦担当部隊)が合併して編成され、サイバー&ISR&電子戦任務を併せ持った「情報制圧組織:“information dominance” organization」として誕生した第16空軍司令官のKevin B. Kennedy空軍中将が、米空軍協会ミッチェル研究所のイベントで11月13日に講演し、中国やロシアによる米軍兵士の意識偏向操作を狙う「情報戦:information warfare」への対処について語りました

Kennedy Jr3.jpg第16空軍は編制以来、2020年3月には従来のサイバー戦指揮センター(第624作戦センター)とISR作戦センター(第625・・)を融合して第616作戦センターを立ち上げ、2021年7月には電子戦専門部隊として第350航空団を独立編制する等に取り組んできましたが、Kennedy司令官は兵士が直接接するネットやSNS情報を利用した敵からの情報戦(反政府思想の流布や活動気運醸成)への取り組みについて語っています

誰もがスマホを保有し、自由にネットやSNS情報にアクセス可能な今の時代に、中国起源TikTokアプリの活用にも踏み込んだ脅威認識が同司令官から示され、最先任上級軍曹など下士官組織のリーダーも巻き込んだ取り組みが興味深いことから、きわめて抽象的で具体的内容が不明確なお話ですが、とりあえずご紹介いたします

Kennedy第16空軍司令官はイベント講演で
Kennedy Jr.jpg●第16空軍には、(敵の情報戦に対処するため、)米国国民のみならず世界の人々に適切なメッセージを発信する訓練や準備をしている対外広報担当兵士が所属し、またサイバー空間に関する専門知識を備えた専門家兵士もいる。またISR任務に従事するエキスパートもそろっている
●ただし、我々が現在取り組んでいるのは、これら各分野の専門性強化に資する新兵器の活用ではなく、これら第16空軍内の各分野の専門性を一体的に行動させ、空軍内の全組織が「(敵の仕掛けてくる情報戦に関する)ベースラインとなる脅威認識」を共有状態にする取り組みである

●我々の部隊任務の特殊性から、第16空軍は「competition-based framework」の考え方に基づき、戦況に応じて各作戦部隊の人員や情報を我が部隊で活用し、例えば太平洋軍や欧州軍の要員を第16空軍の任務である「reveal, conceal, expose, or disruption’ type of activities」のために動いてもらう枠組みになっている
●最近の取り組みの一つとして、中国やロシア航空機や艦艇による、米軍や同国軍艦艇や航空機への極めて危険な行動を記録した映像や画像を、全世界に向けてまとめて公開している

Kennedy Jr4.jpg●また第16空軍は米サイバーコマンドやFBIや他の政府機関と協力しつつ、SNS上などに大量に誤情報や偏向情報を流布させる敵の情報戦の狙いを破砕する取り組みも行っている
●米国メディアでこのような情報戦目的の偏向情報を見つけた場合、米国のメディア規定に沿って違反行為として対処可能だが、大きな影響力を持ち中国当局とのつながりが確認されているTikTok等による世論操作やデータ収集狙いの活動への対処は単純ではない

●TikTok上での情報収集活動はそれほど懸念していないが、反政府思想の流布や活動気運醸成につながるような主張の繰り返し発信には注意や対応が求められる
Bass6.JPG●米空軍の最先任上級下士官であるJoAnne S. Bass軍曹は、9月の空軍協会航空宇宙サーバー会議でこの問題を取り上げてくれ、「誤情報や偏向情報を集中してSNS上で発信する組織、SNS上での炎上やあおりを引き起こすグループ、特定の話題を集中投稿して世間の注目を集める操り人形集団などの存在は、物理的な破壊行為は伴わないが、無秩序無制限な戦いの一形態と認識されるべき」と下士官団に注意喚起を行っている

●第16空軍は、他のナンバー空軍に要員を常駐派遣し、各ナンバー空軍内で確認できる我が情報戦の成果や敵情報戦の各部隊への影響を迅速に把握できるよう取り組みを開始し、前線部隊の情報戦関連の現状を踏まえ、有るべき状態「ベースライン」達成に向け必要な取り組みを部隊指揮官と議論共有できるようにしたいと考えている
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Kennedy Jr6.jpg同司令官が言うところの第16空軍が行う任務「reveal, conceal, expose, or disruption’ type of activities」が具体的にイメージできておらず、女性初の米空軍最先任軍曹であるJoAnne S. Bass軍曹の言葉も感覚的にしか理解できませんが、自衛隊での下士官組織による服務指導が「飲酒」「金銭管理」「交通安全」「各種ハラスメント」等を重視しているところに加え、「情報戦」分野も対象にして組織全体で対応しようとの米空軍の姿勢に興味を覚えました

人材募集難の中、皆がスマホで自分の世界に没入しやすい社会で、SNSの影響を局限する難しさは計り知れませんが、対処が必要な「影の戦線」であることを確認させていただきます

第16空軍の関連記事
「電子戦専門第350航空団発足」→https://holylandtokyo.com/2021/07/09/1967/
「電子戦専門航空団編制へ」→https://holylandtokyo.com/2020/11/17/389/ 
「第16空軍の編成完結」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-19
「遅延中、ISRとサイバー部隊の合併」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-24
「米空軍がサイバー軍とISR軍統合へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3

JoAnne S. Bass米空軍最先任軍曹の関連
「グアム島基地通信死守の一等兵を讃える」→
「兵士慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/10/27/5149/
「米空軍下士官トップにアジア系女性」→https://holylandtokyo.com/2020/06/22/628/

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米宇宙軍が電子戦EW演習Black Skiesを拡大中 [サイバーと宇宙]

Space Flag演習から発展的分離で電子戦演習に
今年3回目の演習で1回目の3倍の参加者
陸軍と空軍も参加して様々なEWの影響を体感

Black Skies.jpg10月6日付米空軍協会web記事が、9月23日に実施された米宇宙軍訓練即応態勢コマンド主催による電子戦演習「Black Skies 23-3」を取り上げ、2022年9月に「Space Flag」演習から発展的分離で始まった同演習が、各方面からの注目を集めて今年だけで既に3回目を数え、他軍種からの参加者も含め今年1回目から3倍増の参加者170名を得て急速に拡大していると紹介しています

電子戦演習「Black Skies」は、宇宙に関連するあらゆる電子妨害を対象として扱い、GPS妨害から通信妨害、具体的には衛星からの位置情報や衛星通信を活用した無人機コントロールなどなど、様々な分野の電子妨害を対象に扱い、CDO環境(contested, degraded, and operationally-limited)下での作戦運用とその特性を、宇宙軍内のみならず他軍種を交えて学ぶ内容となっている模様です

Black Skies4.jpg主催者側で中心的役割を果たしていると推測される第392 Combat Training隊の隊長Scott Nakatani中佐は、「統合運用環境においてEW環境は「不可欠なピース」であり、他軍種の様々な部隊と厳しい環境下での対処要領をチームとして演練しておくことが不可欠だ」と10月4日付の声明で強調しており、

また記事は、「Black Skies 23-3」演習参加部隊かどうかは明示していませんが、宇宙関連のEW攻撃を担当するであろう米宇宙軍の第4Space Control Squadronの様な部隊には、極めて重要な教訓を得る機会だろうと表現しています

Black Skies2.jpg更に記事は、同演習に参加したCombined Space Operations Center (CSpOC)のような多様な軍種の多様な部署と連携を図る部隊に対しては、実環境とシム環境での演習想定を同時に提供し、効果的な訓練が可能なように準備されていると紹介しています

実環境では、関連部隊は不明ながら「敵の位置情報への妨害」を想定したと推定される実弾射撃訓練が「Black Skies 23-3」に組み込まれ、シム環境では米陸軍第1宇宙旅団が無人機操作信号に対する様々な妨害対処を訓練した模様です
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Black Skies3.jpg電子戦演習「Black Skies」に同盟国が参加しているのかについて記事に言及はありませんが、その規模と始まったばかりの状況からすると、現時点では米軍内の宇宙を絡めた電子戦への基礎教育を開始し、米軍内への展開を加速している段階と考えられます

最近の米宇宙軍の話題
「米宇宙軍とSPACECOMが同盟強化」→https://holylandtokyo.com/2023/10/04/5103/
「NOAAから衛星譲受」→https://holylandtokyo.com/2023/09/28/5070/
「27時間で打ち上げ:記録更新」→https://holylandtokyo.com/2023/09/22/5057/
「24時間以内での緊急衛星打上へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/30/4992/
「初のTargeting Squadron」→https://holylandtokyo.com/2023/08/23/4970/
「空自と米宇宙軍の本格協議開始」→https://holylandtokyo.com/2023/07/26/4884/
「宇宙経由の輸送企業募集」→https://holylandtokyo.com/2023/07/10/4819/
「衛星への軌道上補給検討」→https://holylandtokyo.com/2023/03/01/4320/

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米宇宙軍とSPACECOMが同盟関係強化 [サイバーと宇宙]

9月下旬の7か国演習や米軍人の同盟国訪問で

Space multinational2.jpg10月3日付米空軍宇宙軍協会web記事が、9月18日から22日に米宇宙コマンドSPACECOM主催の7か国(米英加豪独仏NZ)机上演習がColorado Springsで実施されたことや、これら7か国に加えて日本も参加した毎年開催の米宇宙軍主催(STARCOM :Space Training and Readiness Command担当)の机上演習が3月に行われたことを報じ、

併せて同記事は、5月には米宇宙軍の宇宙作戦&サイバー&核兵器部長がNATO宇宙センター(仏に設置)を訪問し、7月には米宇宙コマンド司令官James Dickinson陸軍大将が欧州各国を歴訪、そして9月には米宇宙軍トップのSaltzman大将が日本を訪れるなど、宇宙分野での西側同盟国間の協力強化に向けた米軍の活発な動きを紹介しています

Space multinational.jpg米宇宙軍とSPACECOMは別の組織で、厳密にいえば役割は違いますが、上記演習の目的は
●SPACECOM演習は、「情報やインテル共有量の増強、標準的な多国間指揮統制要領の一層の確立、任務遂行分野の拡大など」を目的に掲げ、持って多国間軍による任務遂行能力や強靭性強化を図り、宇宙の安全や持続性をサポートする分野の進展を狙いだと、同コマンドが発表しています
●宇宙軍STARCOM演習はその担当部署(Training and Readiness Command)からして、米軍人と併せ、主要同盟国軍の宇宙関連要員の能力向上を狙ったものと推定できます

Space multinational3.jpgこれらの演習について参加同盟国は高く評価しており、例えばカナダ軍参加幹部は「継続的な宇宙へのアクセスを、同盟国と協力して守り保護することへのカナダ軍のコミットメントを示すものだ」と語り、

仏軍宇宙コマンドの幹部も、「脅威が宇宙にまで拡散しており、将来は宇宙での攻撃が発生しうるとの認識が広がっている」、「(多国間の協力で)宇宙における多様なオプション確保を我々は追求している」、「米SPACECOMと協力しながら、宇宙で何が発生しているのかを情報交換により迅速正確に把握し、同盟国全体をいかに守るかに皆で取り組んでいく」と表現しています

Saltzman Japan.jpg英軍と仏軍は、既に統合の宇宙コマンドを創設しており、各国内でも宇宙の重要性への認識が急速に高まっている様子が伺えます。なんとなく、よくわからない宇宙作戦や関連組織を、外から眺めている状態のまんぐーすですが、「進化&深化」しているということです

最近の米宇宙軍の話題
「NOAAから衛星譲受」→https://holylandtokyo.com/2023/09/28/5070/ 
「27時間で打ち上げ:記録更新」→https://holylandtokyo.com/2023/09/22/5057/
「24時間以内での緊急衛星打上へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/30/4992/
「初のTargeting Squadron」→https://holylandtokyo.com/2023/08/23/4970/
「空自と米宇宙軍の本格協議開始」→https://holylandtokyo.com/2023/07/26/4884/
「宇宙経由の輸送企業募集」→https://holylandtokyo.com/2023/07/10/4819/
「衛星への軌道上補給検討」→https://holylandtokyo.com/2023/03/01/4320/

サイバーと宇宙関連の記事約240本
https://holyland.blog.ss-blog.jp/archive/c2302888136-1

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米宇宙軍が海洋大気庁NOAAから衛星入手し活用 [サイバーと宇宙]

インド洋や西半球の雲や気象を静止衛星で
他省庁や商用情報を有効活用し自前衛星より経費低減
GOES-15衛星を「EWS-G2」と改名して運用へ

EWS-G2 3.jpg9月22日、米宇宙軍が米国海洋大気庁(NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration)の可視光と赤外線気象衛星GOES-15衛星を、米議会承認(2023年6月)を経て正式に譲り受け、新たに 「EWS-G2」(EO/IR(Electro-Optical/Infrared) Weather System – Geostationary satelliteの2号機)と名付けたと発表しました

「EWS-G2」は2023年11月までには軌道修正を完了し、現在活動中で2024年2月頃に燃料切れ活動停止が予期される「EWS-G1」の後継衛星として、インド洋を中心とした西半球を静止軌道から常続監視する役割を担い、気候変動が著しい最近の状況を受け米軍が力を入れている、米軍部隊の作戦運用に不可欠な当該地域の雲や視程の状況把握や気象予報に大きな役割を期待されています

EWS-G2 4.jpg米宇宙軍は自らが衛星を調達して打ち上げる方法だけでなく、なるべく費用対効果の優れた宇宙アセット確保にあらゆる手段を模索しており、NOAAのような他省庁だけでなく、商用データの活用も含めオプション検討を行っており、譲受が完了したばかりの「EWS-G2」が寿命を迎える2030年頃に備え、その任務をどのような形で引き継ぎ&継続するかの検討も既に始まっているとのことです

「譲り受けて衛星の名称も変更した」と言っても、衛星「EWS-G2」の運用自体は(「EWS-G1」と同様に)引き続き米宇宙軍からの委託を受けた形でNOAAが行い、NOAAが保有の米本土と豪州の施設を使って地球の裏側の静止衛星を操作するとのことです。

EWS-G2.jpg「EWS-G2」について米宇宙軍は、地表から約4万km上空の静止軌道に配置され、可視光と赤外線で常続的に雲の状況を観測するほか、軍事作戦に不可欠な地表や上空の視程や、航空機や兵器弾薬の性能発揮に影響を与える大気現象の評価や予報を行い、軍事作戦のタイミングや場所の判断を助け、兵站面での見積もり・戦力保全・展開部隊への環境影響を評価予測するために重要な役割を果たすと説明しています

EWS-G2 2.jpgちなみに米商務省の下部組織として1970年創設のNOAAは、沿岸測地測量局(1807年創立)、国立気象局(1870年創立)、商用漁業局(1871年創立)、及び環境科学業務局 (1965年創立) を吸収合併して誕生した広範な任務を担う観測研究機関で、気象、大気、海洋、漁業資源、環境との主要5つの部局で構成され、

自然災害から人命や財産を保護し、環境への理解を深め、更に海洋資源有効利用のための調査・探査・開発推進等を目的とした機関で、米軍が基礎データ入手の面で大変お世話になっていそうな政府機関です

最近の米宇宙軍の話題
「27時間で打ち上げ:記録更新」→https://holylandtokyo.com/2023/09/22/5057/
「24時間以内での緊急衛星打上へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/30/4992/
「初のTargeting Squadron」→https://holylandtokyo.com/2023/08/23/4970/
「空自と米宇宙軍の本格協議開始」→https://holylandtokyo.com/2023/07/26/4884/
「宇宙経由の輸送企業募集」→https://holylandtokyo.com/2023/07/10/4819/
「衛星への軌道上補給検討」→https://holylandtokyo.com/2023/03/01/4320/

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指示から27時間で衛星打上げで最短記録更新 [サイバーと宇宙]

宇宙軍が22年9月に契約の衛星とロケット企業により
衛星網緊急補完目指す「Victus Nox」計画の試験成功
次段階「Victus Haze」計画は24時間を地上センター含め

Victus Nox2.jpg9月14日、米宇宙軍が計画する衛星緊急打ち上げ態勢確立のための準備第1弾「Victus Nox」計画に基づき、宇宙軍SSC(Space Systems Command)が昨年9月に契約した衛星企業「Millennium Space Systems」とロケット打ち上げ企業「Firefly Aerospace」が、指示から27時間での衛星打ち上げに成功し、従来記録の21日間を大幅に更新しました

衛星システム対する脅威は年々高まり、ロシアや中国は地上発射型で軌道上衛星を直接攻撃する兵器や衛星を無効化する物体を射出する衛星、宇宙空間で他の衛星をロボットアームで捕獲する能力を持つ衛星を試験した等と言われていますが、

Victus Nox.jpgこのような対衛星兵器の攻撃を受け被害が出た場合にも、迅速に「代替衛星」を投入することができれば、宇宙能力全体に穴をあけること無く任務が継続できることから、そのための様々な検討が米国防省内で継続的に実施されており、今回の「Victus Nox」計画の契約が22年9月に、続く「Victus Haze」計画の企業募集が今年8月に開始されたところです

準備第1弾「Victus Nox」計画では、宇宙軍からの「hot standby態勢」指示で衛星製造企業とロケット提供企業が60時間で打ち上げ可能な待機態勢に入ることがまず求められ、「hot standby態勢」が完了後は、実際の打ち上げ指示から24時間以内の打ち上げ実施を目指していました

Victus Nox3.jpg宇宙軍と契約した2企業は8月から「hot standby態勢」に入り、14日の打ち上げに向け求められていた「60時間」以内の58時間で待機態勢をとることに成功しました。この間に衛星企業「Millennium Space Systems」が衛星を自社保管場所から165マイル離れた加州のVandenberg宇宙基地に運び込み、衛星の最終チェックと衛星燃料充填を完了して打ち上げ企業「Firefly Aerospace」のロケットAlpha launch vehicleに搭載完了しました

そして実際の打ち上げ指令から27時間後の9月14日に打ち上げが行われ、冷蔵庫ほどの大きさの衛星を低高度軌道(low-Earth orbit)に投入することに成功したとのことです。なお「Victus Nox」計画では、軌道投入後、48時間以内に衛星が所要の運用を開始することまでを求めています

Victus Nox4.jpg続く準備第2弾の「Victus Haze」計画では、「hot standby態勢」指示で衛星製造企業とロケット提供企業に加え、地上管制センターも含め、「48時間以内」に打ち上げ可能な待機態勢に入ることがまず求められ、続く「alert態勢」指示で、「hot standby態勢」を30日間維持できる態勢確立を求められます。

そして、その後に出される「notice to launch」指示で、最終的に24時間以内に打上げ可能な態勢を確立を条件に、企業募集が8月24日から行われました(9月8日締め切り。結果未確認)
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Victus Nox5.jpg第1弾「Victus Nox」計画と第2弾の「Victus Haze」計画の理解やその差異の説明については、まんぐーすの理解に「怪しい」部分があります。ご注意ください

第1弾の「Victus Nox」計画の検討開始から、まだ1年経過していないとの「迅速」推進振りで、宇宙軍が国防省DIU等を巻き込んで進める優先度の高い取り組みです。民間企業の活躍が目覚ましい分野であり、引き続き基礎知識不十分ながら、見ていきたいと思います

Victus Nox計画を発展させたVictus Haze計画の企業募集
「24時間以内での緊急衛星打上を目指し」→https://holylandtokyo.com/2023/08/30/4992/
2019年の米空軍検討&調査
「24時間以内の緊急打ち上げへ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-01

最近の宇宙軍動向と民間脅威レポート
「初のTargeting Squadron」→https://holylandtokyo.com/2023/08/23/4970/
「別の脅威レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-15
「CSIS宇宙脅威レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-14-3

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国防省が24時間での緊急衛星打上の提案募集 [サイバーと宇宙]

衛星メーカーは1年-1.5年猶予で衛星を準備
「hot standby」指示でまず48時間待機
「alert」指示で30日間態勢維持
「notice to launch」指示で24時間以内の打上態勢へ

Victus Haze.jpg8月24日、米国防省の革新調達部署DIUが米宇宙軍のSpace Systems Commandと連携しつつ、関連企業に「24時間以内の緊急衛星打ち上げ態勢確立」向けた提案を9月7日までに求める要請書を発出しました。同様の初期的な情報要請は、2019年5月に当時の米空軍Roper調達担当次官らが実施していますが、今回は米議会も今後3年間で少なくとも160億円を準備し、本格検討&準備する模様です

Victus Haze6.jpg衛星システム対する脅威への危機感は年々高まっており、ロシアが既に地上発射型で軌道上衛星を直接攻撃する兵器(direct ascent anti-satellite weapons)や衛星を無効化する物体を射出する衛星(nesting doll)を試験し、中国も直接攻撃兵器の他、宇宙空間で他の衛星をロボットアームで捕獲する能力を持つ衛星を試験した等と言われています

このような対衛星兵器の攻撃を受け被害が出た場合にも、迅速に「代替衛星」を投入することができれば、宇宙能力全体に穴をあけること無く任務が継続できることから、そのための様々な検討が米国防省内で継続的に実施されていた模様です

Victus Haze3.jpg2019年に米空軍主導で実施した実施した企業を巻き込んだ調査検討時は、4つの企業(ULA、Space-X、Blue Origin 、Northrop Grumman)に「実現可能性に関する感触」を問いかけ、概して言えば「現状で11日から1か月半で打ち上げ可能で、要求があれば2-3日以内発射の態勢は今でも確保可能」、「空軍の要求に答える技術はある。問題はコストだ」、「前提を置いて準備サイクルを見直す必要」、「ICBM等のロケットエンジン活用で、準備時間を短縮できるのでは」等の意見が企業側からあった模様です

Victus Haze4.jpgこれら以前からの検討も踏まえ、「Victus Haze」計画と呼称された24日の提案要請は、発射関連地上施設と発射ロケットと衛星の準備を含め、以下のような「運用手順」を「前提」として関連企業に提示し、提案を求めたようです。

●衛星の準備は、要請から1年から1.5年以内で実施し、同じサイズで異なった任務に対応する装置を搭載した衛星を準備する
●宇宙軍からの「hot standby態勢」指示で、ロケット提供者と衛星製造企業と地上管制施設は、まず48時間で打ち上げ可能な待機態勢に入る

●続く「alert態勢」指示で、「hot standby態勢」を30日間維持できる態勢に入る
●その後に出される「notice to launch」指示で、24時間以内に打上げ可能な態勢を確立する

Victus Haze5.jpgまた緊急打ち上げされる衛星には、軌道上に到着後48時間以内に任務遂行可能態勢を確立し、他衛星に接近して当該衛星を査察して分析する「rendezvous and proximity operations」を遂行する能力が求められ、同任務遂行を少なくとも6か月間実施可能な状態を維持することが要求されているようです

更に、この「Victus Haze」計画は「全てを企業能力を活用して遂行」との大前提で進められ、同計画の前段階である「Victus Nox」計画の担当企業が、2022年9月に2社選定(衛星担当Millennium Space Systemsと打ち上げ担当Firefly Aerospace)が発表済で、細部は未確認ですが、協力体制を整え待機しているとのことです
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Victus Haze2.jpg引き続き宇宙分野に関する基礎知識が不足しているため、関連企業に提示された前提となる「運用手順」などなど、元ネタとなっている8月25日付米空軍協会web記事のまんぐーすによる翻訳や解釈は、「かなり信頼性が低い」ですのでご注意ください

どんな難しさがあるのか、ボトルネックはどこなのか等、基礎知識不足は否めませんが、今後の展開に注目いたしましょう

2019年の米空軍検討&調査
「24時間以内の緊急打ち上げへ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-01

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米宇宙軍に初の「Targeting Squadron」誕生 [サイバーと宇宙]

敵の宇宙関連アセット無効化手法の分析専門部隊
中佐指揮官の「第75 ISR Squadron」編制

75th ISRS7.jpg8月11日、米宇宙軍のコロラド州Peterson宇宙軍基地の「Space Delta 7」部隊内に、仮想敵の宇宙アセットの状況を常日頃から様々なソースの情報を基に分析し、米統合軍にその無効化手法オプションを提供する初めての専門部隊「75th ISRS:第75 ISR Squadron」が編制されました

2019年12月に米宇宙軍が創設された当時から同部隊編成構想が検討され、4年越しの部隊立ち上げとのことでしすが、米空軍内に宇宙部門があった当初から同様のアイディアが検討されてきており、長年の関係者の努力がやっと実ったことになります

75th ISRS2.jpg米空軍協会ミッチェル研究所の宇宙研究員のCharles Galbreath退役大佐は、「75th ISRSは、仮想敵の宇宙アセットを構成する3要素(衛星と地上の管制装置とその2つを結ぶ信号)の視点から対象アセットを普段から分析整理し、必要時にそれら敵アセットを如何に効率的に無効化するかの最善策を統合部隊に提言する任務を担い」、

「例えば、米軍の通信妨害システムから妨害電波を出し、敵の地上管制センターと敵衛星の通信を妨害したり、時には米軍爆撃機から敵地上管制センターにJDAMを投下する等の選択肢を助言する」と同部隊の役割を説明しています

75th ISRS4.jpg中国が相手のケースを想定すると、中国大陸内部の衛星管制施設を爆撃やミサイル攻撃で物理的破壊することが難しい場合は、サイバー攻撃もオプションになるでしょうし、それが困難であれば衛星との通信を妨害したり、衛星に直接作用する手段を最適オプションに推薦することも考えられます

同部隊編成を報じる8月17日付米空軍協会web記事によれば、米空軍時代には宇宙担当の情報幹部がそのような役割を持っていたとも言えなくはないが、仮想敵の脅威レベルの高まりや技術レベルの発達を背景に、より専門的な要員養成や組織的対処が必要となり、「75th ISRS」編制に繋がった模様です

75th ISRS6.jpgGalbreath研究員は脅威に関し、「中国は、既に地上には物理的衛星破壊兵器やレーザー兵器、サイバー能力、電子戦兵器を配備し、今はさらに宇宙空間に電子妨害機能やレーザー兵器のほか、ロボットアームを備えた衛星を配備する準備を進めている」と危機感を強調しています

そして同研究員は、このような宇宙脅威の中で、米国はもちろん「宇宙における国際行動規範確立」、「敵の攻撃に対処可能な強靭な宇宙システムの開発」、「宇宙状況把握能力の向上」にも取り組む必要があるが、現状で限定された能力しかない米国にとって、「強力なCounterspace能力確保」も欠くことができない重要要素だと主張し、

75th ISRS5.jpg米国が冷戦後にCounterspace能力開発を「避けてきた」現実を振り返りつつも、4月に米宇宙軍のSaltzman参謀総長(正確には作戦部長ですが・・)が細部不明ながら、「2026年までに、Substantial On-orbit Capabilityの完全運用態勢を構築する」と米議会に約束したことに期待しつつ、宇宙兵器分野で米国が多様なオプションを保持すべきと強調しています
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17日付米空軍協会web記事は、図で「Counterspace能力」を6種類紹介し、「衛星への物体衝突」「通信電波妨害」「レーザー光線」「化学物質吹き付け」「高出力マイクロ波照射」「ロボットアームでの破壊」の6つを図示しています

75th ISRS3.jpg中佐が指揮官の「75th ISRS」は、50-100名前後の規模と推定されますが、任務の重要性や特殊性からして、様々な関係部隊との連携が重要な部隊と拝察いたします。日本も特定地域や国の分析の一端を担うことで、関連技量を高め、米軍との関係強化にもつなげたいところです

自衛隊と米宇宙軍の関係強化
「本格協議SETスタート」→https://holylandtokyo.com/2023/07/26/4884/

米宇宙軍の兵器
「米宇宙軍初の攻撃兵器CCS」→https://holylandtokyo.com/2020/04/14/725/

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米陸軍2万名が私物スマホ等で陸軍ネットに接続可 [サイバーと宇宙]

「Hypori」社の「Halo」とのアプリ使用で
「very, very, very secure」だと陸軍IT部長が力説

hypori halo army.jpg8月15日付Defense-Newsが、同日実施されたIT電子技術関連イベントでのJohn Morrison米陸軍ITサイバー部長(中将)の発言を取り上げ、米陸軍が過去1年以上の検討&検証を経て、許可された私物スマホや私物タブレット等を陸軍ネットワークに接続可とする「BYOD構想:bring-your-own-device initiative」を実現し、約2万名の陸軍勤務者(正規兵、予備役、州軍、文民職員)が柔軟かつ迅速な情報共有や指揮統制に活用していると紹介しています

同中将は、許可された勤務者と私物デバイスに小規模ベンチャー企業「Hypori」社提供のアプリ「Halo」を使用させることで、「陸軍ネットワークに私物デバイスをroot アクセスさせることなく、かつ私物デバイスに情報を保存させることなく、端末に情報をリモート送信することを実現」していると説明し、この仕組みが「very, very, very secure」だと語っています

hypori halo army2.jpgまた同陸軍ITサイバー部長は「我々はクラウド技術が実現可能な情報提供能力の最先端を目の当たりにしている」、「(陸軍用と私物の)2台の端末を持ち歩く必要はもうない。信頼性が極めて高い」、「週末に仕事の連絡があるときは、私物スマホに連絡をくれと指示している」と述べ、

Kenneth McNeill州軍CIOは「私物デバイスを業務に活用できることで、行動の柔軟性と重要事項に対する対応時間を改善できている」、「州軍の全員に官製スマホなど端末を支給することは不可能だが、これで職場に全員が出勤して情報を確認する必要がなくなった。米国政府や国防省の未来の活動様式を示すものだ」とBYODを高く評価しています
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hypori halo army3.jpg私物スマホ等でどのレベルの秘密情報までアクセス&使用可能なのか?、どのような私物デバイス承認プロセスを踏んでいるのか?、許可された私物デバイスを紛失して悪意ある第3者の手に渡って大丈夫なのか?・・・等々、いろいろ気になるところ山盛りですが、米陸軍だけでなく民間分野でも大いに需要がありそうな技術で気になります

それにしても2万人が使用中とは、展開の速さに驚きます。世の中の動きの速い事早い事・・・

HYPORI社の関連webページ
https://www.hypori.com/

サイバー関連最近の記事
「Eメール「.MIL」と「.ML」の誤送信で情報流出」→https://holylandtokyo.com/2023/07/19/4861/
「豪が能力大拡大の10年計画推進中」→https://holylandtokyo.com/2022/11/16/3911/
「ウ支援衛星ネット費用を米国防省に要求」→https://holylandtokyo.com/2022/10/18/3770/

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空自宇宙部隊と米宇宙軍の本格協議SETスタート [サイバーと宇宙]

イスラエルとブラジルに続く3か国目のSET開設
アジア太平洋諸国とは初のSET開始

Japan SET.jpg7月13日、米宇宙軍が諸外国との協力関係強化のために行っているSET(Space Engagement Talks)が、イスラエルとブラジルに続き、アジア太平洋諸国で初めて日本の航空自衛隊との間で開始され、東京市ヶ谷の航空幕僚監部で将官級協議(SET)や作業部会に分かれての部門別協議が行われました

米側は米宇宙軍計画部長のPhilip A. Garrant中将とアジア太平洋宇宙軍(昨年10月創設)司令官のAnthony J. Mastalir准将が率いるアジア太平洋宇宙軍スタッフで構成され、日本側は空幕防衛部長の坂梨弘明空将補(パイロットでない防衛部長!)を筆頭に、2022年3月創設の宇宙作戦群(2020年5月創設の宇宙作戦隊が拡大)スタッフが参加した模様です

Japan SET3.jpg自衛隊とのSET開始は、今年1月の「2+2」で合意された「宇宙での状況認識・相互運用性・作戦面での協力を更に深化&強化し、有事にそれぞれが攻撃を受けた際は相互に防御行動をとる新たなコミットメント確認」を受けたもので、

昨年3月の宇宙コマンド司令官James Dickinson大将や同10月の宇宙軍参謀総長(正確には作戦部長)Raymond大将の訪日から更に前進し、具体的協力関係強化に向けた実務的協議を推進するものです

Japan SET5.jpgSETについてアジア太平洋宇宙軍の報道官は、「宇宙ドメイン状況認識、宇宙情報、教育訓練、部隊構築、能力向上、アジア太平洋宇宙軍との調整要領などなど、SETで取り上げられた項目について、作業部会(Space Working Group)で具体的なアクションアイテムの設定や時程等を議論した」と説明し、

またMastalirアジア太平洋宇宙軍司令官はアジア太平洋地域国との初のSET創設に当たり、「SETは、同盟国等との新たな協力を推進するメカニズムであり、地域の安定と宇宙環境の長期的な維持に大きく貢献するものだ」と表現しているところです
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Japan SET2.jpg米国から見て地球の裏側に存在する自衛隊部隊は、宇宙監視面で米軍を補完可能な地理的メリットを持っていますが、宇宙関連のアセットが極めて限定的な自衛隊に、米軍との協力で何が可能なのか、さっぱりイメージアップできませんが、

パイロットでない空幕防衛部長・坂梨空将補の采配に、大いに期待したいと思います!!!

米宇宙軍関連の記事
「宇宙輸送企業の選定へ」→https://holylandtokyo.com/2023/07/10/4819/
「衛星への軌道上補給に企業活用へ」→https://holylandtokyo.com/2023/03/01/4320/
「衛星のSM&L重視」→https://holylandtokyo.com/2023/01/18/4130/
「有志が民間企業大量導入訴え」→https://holylandtokyo.com/2022/09/16/3609/

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Eメール「.MIL」と「.ML」の誤送信で米軍情報流出 [サイバーと宇宙]

「.MIL」のつもりが「.ML」へメール送信
「.ML」はロシアと近いアフリカのマリ共和国のドメイン名
秘密情報の送信記録はないと報道も数百万通のメール

mali5.jpg7月17日付Defense-News記事は、米国防省や米軍勤務者が誤ってメール送信先アドレスに、「.MIL」のつもりで「.ML」と誤タイプ入力したために、秘密指定の内容は含まれていないと報道されているようですが、外交文書、納税申告書、パスワード、幹部の渡航詳細等の情報が誤発信されていたと報じています。(最初に報じたのはフィナンシャル・タイムズ紙FT紙の模様)

FT紙によれば、誤タイプの性格から、誤送信は相当以前からあったと想像され、誤送信メール総数は数百万通とも報じられていますが、「.ML」ドメインを管理するオランダ人起業家のJohannes Zuurbier氏がこの誤送信メールの存在に最初に気付いたらしく、同氏は同紙に対し「このリスクは現実のものであり、米国の敵対者によって悪用される可能性がある」と語っているようです

mali.jpgまた同氏は本件を受け、「.ML」ドメインの管理権をマリ政府に移譲するとしており、最近ロシアとの接近が話題になっているマリから、ロシアに関連情報が流出する可能性が指摘されているようです

米国防省報道官は、事態を深刻に受け止めて対応しているとし、米国防省のメールアドレスから「.ML」ドメインアドレスに送信されたメールは、誤送信とシステムが認識して「返送:Bounce」される仕組みになっていると説明していますが、個人アドレスを使用して「.ML」アドレスに送信した場合は対応できないと認めています。

mali2.jpgもちろん国防省や米軍は、個人アドレスでの業務内容を含むメール送信を許可していませんが、「.MIL」のつもりで「.ML」に誤送信したメールには、X線写真と医療データ、身分証明書情報、船舶の乗組員リスト、基地の職員リスト、施設の地図、基地の写真、海軍査察報告書、契約書、いじめに関する内部調査、公式旅行日程などが含まれていた模様です

特にFT紙は、今年5月のマコンビル陸軍参謀総長とその代表団のインドネシア訪問旅行計画が含まれていたことを例に挙げ、高官の移動日程は通常公開されるべきものではないはずだと指摘しているようです

mali3.jpgこの他にも、オランダのドメインを示す「.NL」と「.ML」を間違え、オランダ国防省やオランダ軍宛てを意図していたメールがマリのドメインに配信されたこともあったようですが、Defense-Newsからの問い合わせに対し、在米オランダ大使館から返答はない模様です。
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個人のアドレスで業務上の内容を含む情報をメール送信した「誤り」が根本にありますが、「.MIL」のつもりで「.ML」へ誤送信する可能性は誰にでもありそうなことで、「他山の石」としたいと思います。

mali4.jpg誤送信されたメールは、誰かが閲覧できるような状態にあるのでしょうか? デジタルデータのことですから、エラーメッセージが出たメールでも、どこかのサーバーに残されているんでしょうねぇ・・・

それにしても、どこの国にもありそうな案件ですねぇ・・・。日本の「.jp」に似たドメインには、「.je 英国のジャージー代官管轄区」、「.jm ジャマイカ」「.jo ヨルダン」「.kp 北朝鮮」「.np ネパール」なんかが挙げられます。
関係者の皆様は、連休明け早々から「暑い夏」をお過ごしのことでしょう・・・

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国防省革新推進部署が宇宙輸送企業選定へ [サイバーと宇宙]

地球と宇宙と宇宙間の3タイプ輸送提案募集
2年後に具体的契約目指す構想
2018年からの実現性検討から1歩踏み出す

Space Delivery.jpg6月30日、米国防省のDIU(Defense Innovation Unit)が、「Novel Responsive Space Delivery」コンセプトを煮詰めるため、地上から宇宙、宇宙から地上、宇宙の軌道間輸送の3タイプの貨物輸送に関する企業提案募集を開始しました

「Novel Responsive Space Delivery」コンセプトは2年後に具体的な事業契約締結を目指し、契約前半では選定された提案の実現可能性をより精査し、具体的な貨物輸送ロケット打ち上げ要領を煮詰め、契約後半では貨物の精密輸送技術の成熟と、救命救助や災害対処宇宙空輸運用を煮詰めることを狙いとしているとのことです

Space Delivery2.jpgこの計画は、2018年頃から段階的に国防省や米軍内で進められてきた検討を1歩進めたもので、2018年から国防省が開始した「運用構想と調達戦略検討」、同時期に米輸送コマンドがSpaceXや Blue Origin等々と共同検討を開始した成果や、

2021年に米空軍研究所が開始した「Rocket Cargo」計画に基づき、2022年にSpaceX社と約150億円で結んだ「(ロケットでの人員貨物のピンポイント輸送も狙う)Starship rocket開発データの入手」契約に基づく検討の成果、更に宇宙軍が2026年までに米本格公式始動を狙う宇宙輸送検討の結果等々を踏まえたものと考えられています

Space Delivery3.jpgちなみに、3つのタイプの宇宙貨物輸送(地上から宇宙、宇宙から地上、宇宙の軌道間輸送の3タイプ)のどのタイプの提案でもOKで、また、DIUが発出した提案要請には、費用対効果の高さや商用ベース展開可能性が高い事、更に宇宙ゴミの最小化の追求も含まれているようです
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Starship SpaceX2.jpgSpaceX社の「Starship」の打ち上げ試験が4月20日に行われ、打ち上げ後にロケットが回転したり、1段目と2段目の切り離しに失敗したりで素人的には「失敗」でしたが、SpaceX的には最大空気抵抗速度を超える目的は達成したとのことで、管制室が対照的に「大喜び状態」の面白い光景が見られました

ロケットによる貨物輸送も、まだ基礎的な技術確認段階でしょうが、この面でもSpaceXとイーロンマスク氏には大いに期待したいと思います

米輸送コマンド司令官が2020年10月に語る
「物量輸送を宇宙経由で世界中に1時間以内で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/23/439/ 

SpaceXによるウクライナ支援
「国防省がウクライナ提供用にStaralink契約」→https://holylandtokyo.com/2023/06/21/4776/ 
「露の電子戦に迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/ 

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宇宙軍が衛星への軌道上補給に企業活用へ [サイバーと宇宙]

必要性に迫られ、懸命に民間企業との連携模索
昨年立ち上げた専門部署中心に、議会の理解も得て

MEV.jpg2月22日付Defense-Newsは、米宇宙軍で衛星の延命や機動性確保が喫緊の課題となる中、軍内に専門部署を立ち上げ、民間企業が進める衛星への燃料補給や維持整備提供サービスの情報を収集しつつ、軍内受けれ体制整備構築や具体的手順等を宇宙軍が思案中だと報じています

末尾にご紹介している様々な過去記事で、宇宙ゴミや敵衛星を避けるために衛星に機動性を持たせるニーズの高まりや、搭載装備は健全でも電源切れで機能停止に至る高価な衛星が多いこと等を課題としてご紹介し、民間通信衛星や地上観測衛星とドッキングして燃料補給や軌道修正や維持整備を行う民間企業が生まれつつある様子も取り上げてきましたが、ニーズに迫られた宇宙軍が「救いの手」を関連企業に求め始めたということです

MEV2.jpg具体的には、昨年8月に宇宙軍内に衛星軌道&維持支援(director of operations for servicing and maneuver)部署に大佐が任命され、監督する少将も指名されています。そして昨年9月には衛星支援関連の企業を集めたイベントを開催し、民間企業が持つ技術の情報収集を行っています

担当少将はインタビューで事の緊急性に触れ、「対処を早急に迫られている課題であり、何が必要で、利用可能などのような技術が存在し、どのように宇宙軍に導入するかを至急見分ける必要がある」、「宇宙軍内の担当人員の確保や企業との各種契約に至るまでの調整体制構築」、「衛星に軌道上で燃料や維持整備支援を受けられるハード面での整備も必要」等々と語り、予算を確保出来次第取り掛かりたいと述べています

MEV3.jpg予算面では、米空軍時代から宇宙軍創設当時は、国防省内や米議会の理解を十分得ることができなかったが、最近やっと米議会の応援を得られるようになり約40億円の追加予算を獲得し、NASAや国防省DIUとも協力しつつ、衛星維持整備技術や宇宙ゴミ対処技術を有する一般企業との連携を模索しているとも説明しています

ただ、いずれの取り組みも宇宙軍の具体的ニーズや企業への要求事項をしっかり固める段階にも至っておらず、2月21日の関連イベントで宇宙軍幹部は正直に、「世にある技術を取り組むには時間がかかるだろう:will likely take slow steps toward embracing these capabilities」、「我々はまだまだよちよち歩きの段階:We are taking baby steps.」とも語っています
/////////////////////////////////////////

MEV4.jpg末尾の過去記事でもご紹介しているように、2020年2月末に、民間企業がインテルサット通信衛星に別の衛星をドッキングさせ、地球周回軌道の高度を上げる等して通信衛星寿命を約5年延命する画期的手法に成功したとご紹介しましたが、米軍衛星へのこのような技術導入はまだまだ時間が必要なようです

2022年年9月には、国防省・宇宙軍・空軍や関連企業の関係者有志250名が一堂に会し、「日進月歩の民間技術を迅速に大規模に導入可能にすべき」との提言をまとめていますが、予算制約や官僚機構や法令面での難しさ等も多く立ちはだかっているのでしょう。

衛星に機動性を求める米国防省の取り組み
「宇宙軍は衛星のSM&L重視」→https://holylandtokyo.com/2023/01/18/4130/
「国防省宇宙軍有志が民間企業大量導入訴え」→https://holylandtokyo.com/2022/09/16/3609/
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holylandtokyo.com/2021/09/28/2233/
「核熱推進システム設計を3企業と」→https://holylandtokyo.com/2021/04/20/111/

衛星の延命や機動性付与技術
「衛星用の熱核推進システム推奨」→https://holylandtokyo.com/2022/01/27/2622/
「衛星延命に企業と連携」→https://holylandtokyo.com/2021/11/10/2350/
「画期的:推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holylandtokyo.com/2020/02/28/839/
「米国防省が国防宇宙戦略を発表」→https://holylandtokyo.com/2020/06/23/629/

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ドローンのサイバー安全性診断「BlueとGreen UAS」制度 [サイバーと宇宙]

米国防省DIUが2020年開始の「Blue UAS」認証基礎に
軍用以外のドローン認証Green UASを民間団体が開始
ドローン部品からの情報漏洩リスク診断で安全を

Green UAS.jpg2月23日、民間団体AUVSIが市販ドローンのサイバー情報漏洩リスクを診断して安全なドローンに認証を与える「Green UAS」プログラムを開始したと発表し、米国防省や米軍以外の米国省庁、法執行機関、緊急事態対処帰還、交通機関、エネルギー・通信・農業・食料・製造業などなど、多様なドローン利用関係者の要請に応えていく事になりました

この「Green UAS」プログラムは、2020年に米国防省DIUが既に開始している、国防省&米軍用に米国製市販ドローンのセキュリティー面を検証する制度「Blue UAS」を、国防省以外のユーザー用に展開したもので、「Blue UAS」を運用する国防省DIUと連携し、非営利団体AUVSI(Association for Uncrewed Vehicle Systems International)が開始したものです

Blue UAS.jpg元祖である「Blue UAS」との制度をまんぐーすは今回初めて知りましたが、米国防省や米軍が導入する米国製ドローンに、中国製など外国製部品が組み込まれて使用されることによる情報漏洩リスクの有無を診断し、心配の無い市販ドローンを認証する制度です。

公式Webサイトや関連報道等によると、2020年8月に第一弾「Blue UAS 1.0」として認証した5機種を発表し、2021年10月に第2弾「Blue UAS 2.0」、そして現時点では15機種が「Blue UAS Cleared List」に掲載されています。

関係者が語る「Blue UAS」(約30分)


「Blue UAS」認証は国防省や米軍に採用されるための唯一の道ではありませんが、その手続き等の明確さや官僚制の鈍重さを極力排除した仕組みで高評価を得たことから、他の政府機関や公的機関、更に社会インフラを担う民間企業からも同様の認証制度を求める声が高まり、「Blue UAS」関係者の支援も受けて「Green UAS」制度がスタートしたということです

Green UAS2.jpgAUVSIの幹部は、「Green UASはドローンセキュリティー認証分野における新たな革新であり、日進月歩で進化を続ける市販ドローンが、様々な分野で多様な役割を果たすことを期待する使用者に供するものである」、「この新制度は、ドローンセキュリティーやサプライチェーン確認課題への対応であり、市販ドローン提供者とユーザーと連邦政府のためのものである」、

更に、「安全でセキュリティーが確保されたドローンの提供により、ドローンへの高まる社会の期待と健全な競争環境育成への期待に応えるもの」とその意義を語っています

Blue UAS2.jpgなお、国防省や米軍での使用を想定した「Blue UAS」と、それ以外を対象とした「Green UAS」では多少認証の基準が異なるようですが、双方の関係者は、「Green UAS」認証を受けた市販ドローンが「Blue UAS」認証を受けるための追加基準を明確にし、セキュリティー上の問題がない優れた市販ドローンが有効に活用される仕組みづくりに貢献したいとの姿勢を示しています
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具体的な「Blue UAS」や「Green UAS」の認証基準や手続きについて全く把握していませんが、ご興味のある方は、以下に示す関連webサイトやYouTube映像で細部をご確認ください。

国防省組織DIUによる「Blue UAS」制度
https://www.diu.mil/blue-uas

「Blue UAS」により診断され使用承認されたドローン15機種
(2023年2月25日現在で)
https://www.diu.mil/blue-uas-cleared-list

「Blue UAS」プロジェクト解説記事(英語)
https://advexure.com/blogs/news/everything-you-need-to-know-about-the-blue-uas-program

情報共有と漏洩防止のはざまで
「開発担当次官が課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/ 
「外国製ドローン購入規制」→https://holylandtokyo.com/2021/09/21/2240/
「軍需産業との情報共有に乗り出す」→https://holylandtokyo.com/2021/01/18/300/
「半導体での米国巻き返しを討論」→https://holylandtokyo.com/2021/09/14/2168/
「中国製部品排除に時間的猶予を」→https://holylandtokyo.com/2020/08/15/524/
「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1
「米国製兵器は偽物だらけ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-29
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10

危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holylandtokyo.com/2020/05/11/668/
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holylandtokyo.com/2020/03/27/791/

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