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今年2回目のサイバーフラッグ演習を概観する [サイバーと宇宙]

6月21日開始の今年2回目の同演習
サイバー対処チームの最適編成見極めを狙いに
同盟国や他政府機関チームも参加し相互に学ぶ
V訓練空間で8つのタイムゾーンからオンライン参加
10月の3回目は「Five Eyes」国参加予定

Cyber Flag.JPG6月22日付C4ISRnetが、同週に米サイバーコマンドが実施した今年2回目の演習「Cyber Flag 21-2」を取り上げ、ナカソネ司令官の今年の優先実施事項「(25名前後で編成される」サイバー対処チームの再構築」推進のため、どのような編成・構成のチームが最適かを見極めるために実施されたと紹介しています

演習には米軍、州軍、英軍、カナダ軍の他、下院チームや米郵政サービスなど17チーム約430名が参加し、仮想のアジア太平洋同盟国の物資補給施設(allied logistics support depot)に対する2種類の攻撃、「より高度なdenial and disruption攻撃」と「程度の高くない情報窃盗型攻撃」シナリオに取り組み、最優秀チームを表彰する形で行われたようです

Cyber Flag4.jpg演習は昨年創設されたサイバー演習場「PCTE:Persistent Cyber Training Environment」で実施され、参加チームは8つの異なるタイムゾーンにある各職場からオンラインで参加したとのことです

同演習空間を使用した昨年の演習では、参加チームの任務遂行態勢を評価して任務態勢を認定する(validate teams)することに主眼があったようですが、敵のサーバー攻撃手法や技術が目まぐるしく変化していることから、今年は最新脅威想定シナリオで、現在のサイバー対処チームの編成・構成が適切なのかを評価し、2022年度予算で要求しているサイバーチームの増設と改革の資を得ようと計画された様です

Nakasone.jpg更に、ナカソネ司令官は「ベストプラクティスの抽出と共有」を重視して同盟国や軍組織以外の参加を促進し、広く知見を学んで共有し、全体としての能力アップを目指しており、米郵便サービスや英国チームに仮想演習場PCTE使用の支援を積極的に行い、彼らに能力を発揮してもらうことに最善を尽くす準備を行っています

事柄の性質上、演習の細部については明らかにされていませんが、関係者のコメント等から、米サイバーコマンドの取り組み概要をご紹介しておきます

6月22日付C4ISRnet記事によれば
Cyber Flag3.JPG米サイバーコマンドの演習部長であるChristopher Bartz沿岸警備隊少将は、「我々は継続的に我が部隊の能力を評価し、敵の脅威と比較して不足部分(Gap)を見極めている。また、敵のTTP(戦術、技術、手順)を常に分析し、敵の変化速度に追随して我の訓練の在り方を見直している」と語った
また、「演習では、例えば様々な飛行部隊と共に行動し経験を持つチームや、他の政府機関のチームにも声をかけ、どのような防御作戦手法をとっているのか披露してもらい、国家安全保障のために米国で教訓やノウハウを共有できるように考えた」と説明している

Paul Nakasone司令官は、「サイバーコマンドは国防省ネットワークの防御という任務を確実に遂行しつつ、地域戦闘コマンド司令官に信頼してもらえるようともに取り組んでいる」と議会で述べ、今年の優先事項として「サイバー防御チームの再構築」を掲げている

Cyber Flag2.JPGサイバーコマンド幹部は、今年3回目となる「Cyber Flag 21-3」を10月に予定しており、「Five Eyes intelligence alliance」を構成する、英、加、豪州、NZからの参加を得て、演習のさらなる充実を図る予定だ、と述べている
使用されるサイバー演習場PCTEは、初使用した昨年から5倍の容量に拡大されており、同時に多様な参加者から質問に対応できるような「サポートデスクの常設」や「チャット機能の充実」等を通じ、その使い勝手向上にも尽力している
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追伸:英IISS公表の15か国サイバー能力分析をご紹介
(6月末:Cyber Capabilities and National Power: A Net Assessment)
Cyber IISS.jpg15か国をサイバー能力別に3段階で評価。「戦略とドクトリン」「サイバー空間における世界的リーダーシップ」など7項目で分析
最高の「第1級」は米国のみ。「第2級」は豪州、中国、仏、露、英国など。「第3級」は日本、インド、インドネシア、イラン、北朝鮮など
「少なくとも今後10年は米国の優位が続く可能性が高い」とする一方、中国が「第1級の米国に加わる軌道に乗っている」とも評価

米英など機密情報共有枠組み「Five Eyes」の同盟国として仏、イスラエル、日本を挙げたが、仏とイスラエルを「高いパートナー」と評価したのに対し、日本は「同じく同盟国だが、強力な経済力にもかかわらず、サイバー空間の安全保障面では能力が低い」と指摘
更に日本について、「多くの企業が防衛力強化のためのコストを負担しようとしない」などと問題点も列挙

・・・そんな状況ですから、日本も自衛隊は言うに及ばず、様々な機関や企業がサイバーフラッグに参加できれば良いと思います

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米宇宙軍が陸海海兵隊から初の転換兵士受け入れへ [サイバーと宇宙]

米空軍以外から、まだ受け入れていなかったのか!?
陸海空海兵隊3700名の応募からまず50名を
陸軍40名、海軍7名、海兵隊3名を最初に

Thompson3.jpg6月30日、米宇宙軍は、陸海海兵隊から宇宙軍に完全移籍する50名の士官と下士官を、約3700名の応募者の中から選抜して7月中にも移籍を完了すると発表し、更に追加の350名を7月中にも既応募者の中から選ぶと明らかにしました

宇宙軍は2019年12月に創設され、現時点で前米空軍宇宙コマンドから移籍した約5400名で編成されていますが、陸海海兵隊からの転籍組を含め、2021年末までには新兵300名も加えた約6400名体制となり、2022年末には約8400名体制に拡大する計画となっています

Space guardian.JPG米空軍からはこれまでに、「space operations」や「space systems operations」と言った宇宙特有の職域の要員が空軍から転籍し、今年2月からは共通職ともいえる「情報」「サイバー」「調達」「施設」と言った職域の約3600名の転籍が始まっていたようです

このほかに米空軍では、2020年には空軍士官学校卒業生を80名宇宙軍に「直配」し、2021年にはその数が100名に増加する計画を立てています。(ちなみに最近宇宙軍トップは、宇宙軍士官学校を別途設ける予定はない。少なくとも当面は士官学校用の教官要員を差し出す余裕はない・・・と発言しています)

また宇宙軍によれば、米国防省が2022年から2023年にかけて検討している米陸海海兵隊の宇宙関連任務の宇宙軍への部分移管検討と、今回の陸海海兵隊からの転籍は全く関連しておらず、従来から計画されていた宇宙軍立ち上げ計画に基づくものだと説明しているようです

宇宙軍No2のDavid Thompson大将は本発表に際し
Thompson2.jpg我々宇宙軍は、陸海海兵隊から宇宙軍に志願してくれた士官と下士官諸君の数の多さに圧倒されると同時に、陸海海兵隊から宇宙軍への圧倒的な支援に心から感謝している
米空軍からの転籍者約5200名に他軍種からの転籍者が加わることで、新たな視点や考え方や文化が持ち込まれ、継続する宇宙軍プロセスを構成することを楽しみにしている
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宇宙軍については全く触れていませんでしたので、申し訳程度に、理解できた範囲でご紹介しました

航空自衛隊の中では、亡国のF-35やKC-46やRQ-4の話題から目をそらせるため、僅かな投資額にもかかわらず宇宙の話題や課題を大げさに語ったり、関連の仕事をパイロット以外の職域に押し付けて、余計なことを言わせないようにしているらしいです(風の噂で聞きました)

宇宙軍関連の記事
「次の統参議長は空軍か宇宙軍から?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-28
「大型軍事衛星打ち上げの露依存脱却へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-04-1
「中国の宇宙脅威を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-15
「DARPAが原子力ロケット開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-14
「80トンの物量を世界中に宇宙経由で1時間以内で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-08-1
「国防宇宙戦略を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-28

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初の米海軍女性潜水艦士官が初の女性月面着陸目指す [サイバーと宇宙]

33歳のKayla Barron少佐がNASA宇宙飛行士として
2024年の月着陸めざし、今年10月末にまず国際宇宙船へ
超優秀で文武両道の女性です

Barron.jpg6月18日付Military.comが、女性初の月面着陸を目指すNASAの「Artemis計画」の候補者として、女性初の潜水艦勤務士官でもあるKayla Barron海軍少佐を紹介しています。同少佐は海軍所属のままNASAに出向中で、まず宇宙経験第1弾として、今年10月に国際宇宙ステーションでの初宇宙ミッションに挑むようで

NASAの「Artemis計画」は、人類を初めて月面に送り込んだアポロ計画と「双子」の計画とNASAは呼んでおり、2024年までに「女性と有色人種の宇宙飛行士」を月面に送り、月面での維持可能な活動(sustainable exploration)を初めて実現することを目標としているようです。

具体的なことは調べていませんが、女性と有色人種を月面に送り込んで初めて、人類として月面に降り立ったと認定するのでしょう。いかにも現代のアメリカです

NASAのKayla Barron海軍少佐紹介映像


これまでもいろんな米軍や国防省で勤務する女性をご紹介してきましたが、この33歳のKayla Barron少佐も飛びぬけて優秀な方で、米国が一つの「Role Model」として扱い育てている人物ですので、NASAの「Artemis計画」は脇に置いておいて、同少佐をご紹介したいと思います

Kayla Barron海軍少佐の経歴
Barron4.jpg1987年9月生まれで、ワシントン州育ち。2007年海軍士官学校に入学し、システム工学を専攻する傍ら、長距離走やクロスカントリーでも米海軍代表チーム入りして優秀な成績を納める
2010年海軍士官学校を1051名の同級生中5番で卒業し、優秀卒業生として、ビルゲイツ財団から英国ケンブリッジ大学大学院派遣士官に選ばれ、同大学では原子力工学を学び修士号を取得するとともに、現在の夫である、ハーバード大卒の米陸軍特殊部隊士官と出会う

また、そのリーダーとしての資質と統率力が評価され、米国防省が潜水艦への女性乗艦門戸を開くタイミングにも当たったことから、初の女性潜水艦乗艦士官候補に選ばれる
Barron2.jpg英国ケンブリッジ大学院から帰国後、2013年にオハイオ級戦略原潜Marine乗艦を命ぜられ、3回の長期作戦任務を経験する

2015年8月、母校である海軍士官学校長の副官を命ぜられ、校長のスケジュール管理や補佐官業務を行うとともに、後輩士官候補生にとっての「Role Model」として学生指導にもあたる
2017年、NASAが募集する宇宙飛行士訓練生に18000名の中から選ばれ、2年間の基礎訓練を経て、2021年10月23日打ち上げ予定のSpaceX・Crew-3要員となり、国際宇宙ステーションで「mission specialist」として活動する予定

また、NASAが構想する月面探査「Artemis計画」の宇宙飛行士候補11名に選ばれている

2010年当時のBarron少尉が生い立ちを語る
(米海軍士官のRole Modelとして海軍作成映像に登場)

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Barron3.jpg同少佐は潜水艦から宇宙への転換について、「(最初は戸惑いもあったが、)宇宙船を潜水艦と似ていると考えるようになって、宇宙空間への理解が一気に進んだ。今では潜水艦と宇宙船が同じようだと感じることが無限にある。ム時に囲まれた水中でも、真空の宇宙空間でも、潜水艦での経験が非常に役立っている」と語っています

いろんなことで女性初候補になっている自分については、「NASAの廊下には、女性初のスペースシャトル船長や国際宇宙ステーションリーダーの写真や功績が展示されており、私がそれら先輩の肩の上に乗って将来計画に挑んでいることを実感できる。素直に、シンプルに、それら先輩の後に続きたいとの思いが湧いてくる」と語っています

大きなプレッシャーでしょうが、ぜひ頑張って頂きたいと思います

NASAの「Artemis program」計画webサイト
https://www.nasa.gov/specials/artemis/

Barron海軍少佐の経歴(NASAのwebサイト)
https://www.nasa.gov/astronauts/biographies/kayla-barron/biography

安保関連の女性活躍
「米情報機関トップの女性が中国脅威を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-15
「国防副長官の女性が政策方針を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-03

軍での女性を考える記事
「初の女性空母艦長誕生へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-10
「黒人女性が初めて米海軍戦闘操縦コース卒業」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-12
「初の米空軍下士官トップにアジア系女性」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-20
「GAO指摘:女性の活用不十分」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-20
「初の歩兵師団長」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-10
「超優秀なはずの女性少将がクビに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-11
「3軍長官が士官学校性暴力を討議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-10
「上院議員が空軍時代のレイプ被害告白」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-08
「空自初:女性戦闘機操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-25
「自衛隊は女性登用に耐えられるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
「女性特殊部隊兵士の重要性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-28
「Red Flag演習に女性指揮官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19

「米国防省:全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「ある女性特殊部隊員の死」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27
「珍獣栗田2佐の思い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17
「2012年の記事:栗田2佐」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-11

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米大型軍事衛星打上はあと6回で露製エンジン依存脱却 [サイバーと宇宙]

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2014年のウクライナ危機で表面化した情けない状況
露エンジン使用後はSpaceXやBlue Originロケットへ

AtlasⅤ2.jpg5月26日、米宇宙軍NO2のDavid Thompson中将が上院軍事委員会の戦略小委員会で証言し、2014年のウクライナ危機で表面化した米軍事衛星打ち上げのロシア製ロケットエンジン依存状態について、あと6回の打ち上げで露製エンジン使用は終了できると説明しました

米軍の大型軍事衛星打ち上げは2000年以降、ULA社製のアトラスⅤロケットで行われてきましたが(デルタⅣもあるが高価格)、このアトラスⅤはロシア製RD-180ロケットエンジンを使用していました。米国の安全保障を支える大型衛星打ち上げを、ロシア製ロケットに依存していたという驚きの構図になっているわけです

RD-180 5.jpgそれが2014年、ロシアによるウクライナへの実質侵攻&併合で米露関係が悪化し、米国や西側がロシアへの経済制裁を発動したこと事を受け、ロシア国防相がRD-180の米国輸出打ち切りを示唆して米国内が大騒ぎになります

数年分の打ち上げ用RD-180の在庫はあったのですが、米国産の新ロケットエンジンとロケット開発は容易ではなく、「米国の威信をかけて短期間で完成させろ。できるはずだ」派と、「リスクは受け入れがたく、屈辱に耐え、ロシアにRD-180追加緊急購入依頼をすべき」派の論争が続きました

RD-180 3.jpg結局当時は、「できるはず派」の議会が、「屈辱受け入れ派」の米空軍や一部企業の要求を退け、8基ほどのRD-180在庫でしのげるギリギリの2022年までに次世代ロケットを開発する事となり、今日を迎えています

結果的には、SpaceX社の「Falcon Heavy rocket」と、 Blue Origin社の「BE-4ロケット」に使用目途が立ったので、ロシア製エンジンの追加購入なく、必要な大型軍事衛星打ち上げが可能な体制が準備できたのですが、米国の関係者は購入済RD-180エンジンへのトラブル発生など様々なリスクが顕在化しないよう、ただただ神に祈りをささげる日々を送ってきたわけです

5月26日付Defense-One記事によれば
AtlasⅤ.jpgThompson中将は上院で、米議会からは露製RD-180を使用した軍事衛星打ち上げをあと18回認めて頂いているが、今後RD-180を使用した打ち上げは6回で十分な見通しが立った、と説明した
●(注:米空軍によるRD-180使用の打ち上げが6回との話であり、NASAは別にRD-180使用の打ち上げを計画している)

関係者は、米軍事衛星打ち上げが露製エンジン頼みであることが表面化した後に、故マケイン上院議員が「RD-180を米国が購入することで、プーチンに利益を与え、米国政府が制裁対象にしているロシア人を潤し、ロシア軍の基盤となるロシア軍需産業を支援するような仕組みになっている」と嘆いたことを思い返し
米国産ロケットによる打ち上げに目途が立ったことに安堵している
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RD-180 4.jpg2014年当時に米国へのRD-180禁輸をちらつかせたロシア国防相も、結局のところ、ロシア軍需産業の苦境を目の当たりにして禁輸に踏み切れず、米国の心配は杞憂で終わろうとしています

この事案が特殊な唯一のケースであることを祈りますが、案外と中国あたりに依存している電子部品が多数あるかもしれません。レアアースの中国依存は既に明らかで、米国内開発を加速していますが、そう簡単に解決は難しそうですし・・

ロシア製ロケットエンジン依存で窮地
「露製エンジンRD-180無しでロケット開発へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-10-07
「混迷の露製エンジンめぐる論争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-24
「10年ぶり米軍事衛星打上げに競争導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-03
「国産開発が間に合わない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-29-1
「露製エンジンを何基購入?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-2
「米国安堵;露製エンジン届く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-22
「露副首相が禁輸示唆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-22

レアアース中国依存問題
「中国依存脱却に米国企業への投資強化」→https://holylandtokyo.com/2021/02/25/269/
「レアアース確保に米国が大統領令:中国依存脱却へ」→https://holylandtokyo.com/2020/10/07/427/
「中国がレアアース輸出規制へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-06

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米情報機関トップが中国開発宇宙脅威を語る [サイバーと宇宙]

講道館で柔道を学んだ経験もある女性
オバマ時に女性初のCIA副長官や安全保障大統領副補佐官

Haines.jpg14日、米国の政府情報機関すべてを束ねる国家情報長官(DNI:Director of National Intelligence)に女性として初めて就任しているAvril Haines氏が、上院情報委員会でDNIの年次リスクレポート(Global Risk Assessment report)について証言し、中国の宇宙脅威について語りました

DNIは、911同時多発テロを事前に察知防止できなかった反省を踏まえ、セクショナリズムナリズムに陥っていた米国の政府情報機関(CIAや国防省情報機関などなど)を束ねるポストとして2005年に設立され、大統領と国家安全保障会議の情報補佐官としての役割を担っており、毎日大統領に情報ブリーフィング(President's Daily Brief:大統領と大統領が承認した人物のみ閲覧可能)を行うポストです

Haines5.jpgAvril Haines氏は、高校卒業後に日本に1年間滞在し、その際柔道の講道館に所属した経験がある女性で、シカゴ大学で物理学士を取得した後の20代にはボルチモアの田舎でカフェを経営し、カフェでの詩の朗読を売りにしていた変わった方ですが、33歳でジョージタウン大学法学博士を取得し、国務省の条約局や政治軍事局でキャリアをスタートしています

その後、上院外交委員会の法律副主任として時のバイデン外交委員長を支え、2010年からはオバマ政権のホワイトハウスで安全保障担当スタッフを務め、2013年にオバマ大統領によって初の女性CIA副長官に指名されています。そしてCIA副長官の後は2017年まで女性初の安全保障担当副補佐官を務めました

そんなDNI女性が上院で、ロシアの宇宙脅威を説明するとともに、中国の宇宙能力開発を米国の技術競争力に対する「一番の脅威だ」と語ったようです

14日付Defense-News記事によれば
Haines3.jpgAvril Haines国家情報長官(DNI)は、中国は人民解放軍を中核として、米国を宇宙で出し抜くため、また米国が宇宙での主導権から得ていた軍事・経済面などでの利益を確保するため、米国や同盟国の衛星攻撃能力を多様な手法で獲得する野望に向かって突き進んでおり、既に一部は実用化されていると語った
年次レポートは広範なリスク分析の報告であるが、その中ではロシアの宇宙能力が引き続き脅威であることと共に、中国の宇宙能力開発を米国の技術競争力に対する「一番の脅威だ」と位置付けている

中国が着手した138個の商用地球監視衛星群に関する委員からの質問に対しDNIは、米国の宇宙支配に対する中国による多様な挑戦の一つだと回答したが、米国側の能力について保全上触れなかった
そしてHaines国家情報長官は、「一般常識として、中国は米国の宇宙での指導的立場にとって代わるため、米国よりも多様な分野で懸命な取り組みを続けており、宇宙でリーダーシップを獲得することに焦点があることは疑う余地はない」と語った

滅多に公の場で語らないDNIが議会で証言した背景には、秘密のベールに包まれ、米議会で中国の宇宙脅威への理解が不足しているとの一部議員の危機感と証言実現への働き掛けがあったと言われている

Haines4.jpg米国情報機関は具体的な中国の活動として、中国は2022~24年までに低高度軌道に宇宙ステーションを投入し、ロボットによる継続観測を企図して月面への探査ミッションを継続し、将来的には「断続的な人間チーム派遣」を目指すと分析している
中国の対宇宙兵器開発が増加しつつある状況についてレポートは、2019年に解放軍の宇宙支援部隊が地上発射対衛星兵器の訓練を開始し、既に低高度軌道の衛星のデリケートな光学センサーを無効化(blind or damage)する地上発射ミサイルや地上発射レーザー兵器を配備していると記している

またレポートは、中露両国が対衛星兵器部隊の増勢に取り組み、新たな破壊及び非破壊型対衛星兵器の配備が続いているとし
ロシアについても、「電磁波妨害やサイバー妨害、エネルギー兵器、地上及び衛星からの対衛星兵器で、米国や同盟国衛星を狙っている」、「大規模な偵察、通信、航法衛星ネットワークは、カギとなる対抗者であることを示している」と説明している
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DNIによる年次リスクレポート2021年(20ページ)
https://www.dni.gov/files/ODNI/documents/assessments/ATA-2021-Unclassified-Report.pdf

DNIによる議会証言関連報道
https://www.airforcemag.com/dni-cyber-is-the-common-weapon-among-top-adversaries/

中国が「2022~24年までに低高度軌道に宇宙ステーションを投入」したら、スプートニクショックまではいかないまでも、少しは西側諸国に衝撃が走るのかもしれませんが、コロナの傷がいえるまで、中国の脅威への関心が高まるには時間がかかるのかもしれません

中国とロシアが西側民主主義の限界をチャンスととらえて攻勢を強める中、米国情報機関トップへの期待は高まるばかりです。かつてゲーツ氏が国防長官になる前に打診され断ったDNIポストですが、女性初の壁を何度も突破してきた講道館メンバーのAvril Haines氏に、ここは期待しておきましょう

中露の宇宙関連記事
「中国安全保障レポートはサイバー宇宙情報軍民」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-15
「4月中旬のロシア衛星破壊兵器試験を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-17
「怪しげなロシア衛星問題提起」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-04
「再び同高官が指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-26

最近の宇宙関連記事
「80トンの物量を世界中に宇宙経由で1時間以内で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-08-1
「ロシア衛星がなどの物体射出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-24
「国防宇宙戦略を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-28
「航空機からロケット発射で衛星を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-14
「宇宙軍の最初の攻撃兵器」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-09
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DARPAが核熱推進システム設計を3企業と契約 [サイバーと宇宙]

Nuclear Thermal Propulsion核熱推進との技術
「原子力ロケット」とも呼ばれることも・・・

DRACO2.jpg13日付C4isrnetは、DARPAがDRACO(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations)計画の一環として、「NTP:核熱推進」システムの設計契約を、3企業(General Atomics, Blue Origin and Lockheed Martin)と12日に結んだと紹介しています

「Cislunar Operations」とは地球と月の間の空間での宇宙作戦を意味しており、同空間での迅速機敏な移動を可能にする推進装置を、2025年までに「above low Earth orbit」で実現するため、「NTP:核熱推進」との挑戦的な分野にDARPAが乗り出したようです

DRACO.jpg担当のNathan Greiner空軍少佐は、「選ばれた企業チームは、先進原子炉、推進剤、宇宙船を設計開発する能力を有することを示したメンバーで構成されている」、「我々が追求するNTP技術は、宇宙における将来作戦を支える基礎となることを目指している」と声明を出しています

DARPAは具体的な契約金額を明らかにしていませんが、契約の「Phase 1」では、GA社がNTP用原子炉と推進サブシステムを設計し、Blue OriginとLockheed Martin社がそれぞれ独立して宇宙船を設計することになっており、NTP推進システムの能力をデモすることが主目的となった契約のようです

同少佐は、「Phase 1では、実際に宇宙空間でのデモを行う前段階として、リスク低減を目指すことになる」と述べ、後に続くフェーズ用の設計や関連システム設計製造に必要な検討と資を得ることが主眼となると語っています

まぁ、この報道だけでは「NTP:核熱推進」について全く理解できませんので、以下ではネット情報を拾ってNTPについて簡単にご紹介を「試み」ます

Nuclear Thermal Propulsion:核熱推進とは
NTP.jpgNTPとは、臨界状態の高温の原子炉の炉心に、液体水素などの推進剤を当てて超高温・高圧のガスにし、それを噴射するという単純なものである
ただしNTPロケットは理論上、これまでに実用化されたあらゆるロケットエンジンをはるかに超える、きわめて高い性能を出すことができ、有人月・火星探査はもちろん、その先の宇宙空間への飛行にも大きく役立つ技術だと言われている

最大の特長は効率がとてもよい点にあり、現在の燃料と酸化剤を燃やし、発生ガスを噴射するロケットと比べ、2倍以上も効率(燃費)がよい。つまり同じ量の推進剤でも、より速いスピードを得ることができ、約8か月必要な火星への片道の有人飛行期間を3か月程度に短縮する可能性があり、NASAが1960年代からコンセプトとして何度か取り組んできた
NTP3.jpgロケットはこれまで実用化されたことはないが、1950~70年代には米国とソ連でさかんに研究され、米国では「ナーヴァ」(NERVA)、ソ連では「RD-0410」といったエンジンが実際に造られ、噴射試験まで行われている

欠点は安全性である。打ち上げに失敗すれば、放射性物質が撒き散らされる可能性がある。NTPロケットはその仕組み上、炉心に当たって汚染されたガスを噴射することになるので、大気圏内で使うわけにはいかないし、地上で噴射試験をする場合にも細心の注意を払う必要がある(それでも1950~70年代には米国とソ連が実験を行っていた)
これら問題対処のため、最近では濃縮度5~20%の低濃縮ウラン(HALEU)を採用や、これを炭化ジルコニウム(ZrC)で被覆した頑丈な完全セラミックカプセル化燃料技術等が実用化され、実用化に再び期待がもたれるようになってきた

火星探査などへの活用を目指すNASAは2017年8月、3年計画で米国企業BWXテクノロジーズと組んで、エンジンや核燃料の設計、試験を実施すると発表していたところである
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NTP2.jpg全くの素人で、完全にネット情報つまみ食いのご紹介でしたが、従来ロケットの2倍以上の効率(燃費)を生かし、NASAが惑星探査用に本格開発に乗り出した技術を、米国防省は地球周辺での「Cislunar Operations」に利用しようとしています

怪しげな中国やロシアの衛星を、機敏に動いて無効化するような衛星作戦を考えているのでしょうか? DRACO(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations)との計画名からすると、そんなイメージがわいてきます

「NTP」とか、「DRACO」とか、「Cislunar Operations」とか、「核燃推進」とか・・・そんな言葉を記憶にとどめておきましょう・・・

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昨年の米大統領選挙で米サイバー軍が20回以上作戦を [サイバーと宇宙]

「海外からの妨害や世論操作行為から選挙を守った」
日系のナカソネ司令官が上院軍事委員会で

Nakasone.jpg25日、米軍サイバーコマンド司令官であるPaul Nakasone 空軍大将が上院軍事委員会で証言し、昨年の米大統領選挙では、NSAやFBIや国土安全保障省や各州軍のサイバー部隊と緊密に連携し、20回以上のサイバー作戦を実施して、選挙妨害や誤情報流布を企てる海外脅威に対応したと語りました

同じ敷地内に同居するNSA(National Security Agency)長官も兼務する同大将は、就任当初から「選挙の防衛」が国防省サイバー軍の最も重要な任務と語り、海外敵対勢力によるサイバードメインでの世論誘導工作が極めて深刻な脅威となる中、急拡大するサイバーコマンドを率いて任務を指揮してきましたが、証言では特定の国名に言及することなく、また任務の性格上、細部には言及しませんでしたが、その状況や教訓について証言しています

Nakasone3.jpg2020年の大統領選挙への妨害工作や世論誘導工作については、トランプ大統領が、ロシア政府機関が関与するサイバー集団による誤情報や世論誘導情報拡散行為を米軍サイバーコマンドが撃退したとのメディア報道を追認し、同コマンドからロシアサイバー活動組織や関連ロシア指導層に警告メッセージを発した等と言及していたところです

また、今年3月にDNI(Director of National Intelligence)がまとめた2020大統領選に関する報告書は、ロシア、イラン、キューバ、ベネズエラ、ヒズボラなどが米国民への誘導工作や誤情報流布を企てていた一方で、中国の関与は米情報機関では認められなかった等との分析結果を公表していました

25日付C4ISRnet記事によれば
Nakasone司令官は、2020年大統領選をめぐる米軍サイバーコマンドの各種作戦を振り返り、国土安全保障省やFBI等の国家機関との連携から得た各種情報や教訓を基に対処できたと振り返った
Nakasone4.jpg特に、各州軍サイバー部隊と協力して選挙前に立ち上げた「Cyber 9-Line」との情報共有ポータルサイトで、州軍前線部隊から各地域の脅威情報を迅速に入手し、サイバーコマンドから各地に警報を発したり、脅威の特徴を迅速に共有したりしたことが、新たなツールとして多いに機能したと説明した

その上で、2020年大統領選挙の3つの教訓に同司令官は言及し
--- 必要時に迅速に対処できる態勢を確立しておくこと
脅威は突然やってきて急激に活動を活発化するので、対処のチャンスは移ろいやすい。従って、作戦成功のためには、滑らかな作戦活動のプロセスを確立しておき、関係機関の相互信頼のもと、即応状態で対処することが不可欠

--- サイバーコマンドとNSAの緊密連携は成功のカギ
司令官とNSA長官の兼務を止め、指揮官を分離すべきとの議論もあるが、同じ敷地内の同じ建物内に位置し、共通の指揮官を置くことで、双方のツールや技能や人材を有機的に機能させることは極めて有効である
サイバーコマンドは、NSAが蓄積した海外の信号分析情報から大いに恩恵を受けたし、サイバーコマンドが電子的脅威に対処する特別チームを立ち上げ、NSAと連携を図ったことが大いに役立った

--- 海外や国内パートナーとの協力で、タイムリーに情報共有関係構築
国内産業や同盟国等に脅威情報を提供することで、彼らの活動を活性化させることで、対処能力改善を推進することができた
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Cyber-new3.jpg対象国に対する世論誘導や誤情報流布は、攻撃源を隠しつつ、安価で継続的で試行錯誤が可能な手法であり、米国のことを心配するより、日本のメディアやSNNの状況を心配したいところです

NHKをはじめとする地上波や、ツイッターも最近ひどいですねぇ・・・

関連の記事
「サイバーとISR部隊が統合して大統領選挙対策に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-19
「初代格上げサイバー司令官は日系3世」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-17
「ドキュメント誘導工作」を読む→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1
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「誘導工作の拠点完成!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-08
「過去最大のサイバー演習を完全リモート環境で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-22
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07

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フロリダ水道施設にハッカー:薬品投入量操作 [サイバーと宇宙]

スーパーボール開催地近傍の都市水道施設
外部からマウスを操作し水酸化ナトリウム量を100倍に
人的被害は無し・・・

Oldsmar.jpg8日、フロリダ州Oldsmar市を管轄する保安官が記者会見し、5日に同市の上水道管理システムにハッカーが侵入し、水道水に投入する水酸化ナトリウムの量を既定の約100倍にする操作を行ったことが検知されたが、水道局員が怪しい外部からのマウス操作を察知し、直ちに正常な設定値に修正して上水道への影響はなかったと発表しました

同市は7日にスーパーボウルが開催されたタンパ市に隣接する人口15000名の小規模な都市ですが、同時案発覚後、直ちに周辺の水道管理施設間で情報が共有され、外部からのアクセス遮断やシステム監視の強化などの措置が取られたということです

Oldsmar3.jpg現時点で誰が上水道管理システムに侵入したのか判明しておらず、追跡は困難と言われているようですが、専門家はハッカー初心者が腕試しでサイバーセキュリティが脆弱なシステムに侵入するケースが大半だと指摘する一方で、昨年5月にはイスラエルの水道システムにイランからの組織的侵入があり、塩素投入量の操作が試みられた事例もあると注意喚起しています

また米国では、2013年に同じくイランからニューヨークのダムシステムへのハッキングが行われた事例や、最近ではロシア政府起源と見られるハッカーによる相次ぐ発電送電や製造プラントシステムに侵入事案が報告されており、まさに「今そこにある危機」として米国社会に警鐘を鳴らす事案となったようです

Oldsmar市事案について9日付Military.com記事は
フロリダ州Oldsmar市の水道局員が、5日の朝8時に操作システムを見ていた際、少し変わった動きをする外部アクセスを見つけたが、いつものように同僚がリモートでアクセスしているのだろうと気にしなかった
Oldsmar2.jpeg同日13時30分、同じ水道局員が、再び誰かがシステムにアクセスしたのを認めたが、今度は外部から誰かがマウスを操り、水処理工程の水酸化ナトリウム投入量を変更したのを察知した

外部からの侵入者は、3-5分間システム内で行動した後に退去したが、通常あり得ない数値設定に驚いた水道局員は、直ちに水酸化ナトリウム設定値を通常設定に戻した
当局は本件に関し、仮に水道局のシステム監視者が外部からの侵入や設定値操作を見逃したとしても、定期的に水質検査が行われており、住民に提供される水道に影響が出る前に察知できる体制だと説明した
本件については、地元保安官事務所に加え、FBIとSecret Serviceが協力して操作を行っている

ITセキュリティー会社の専門家は、水処理など工業的プラントへのハッカー侵入事案が頻発しており、多くは組織的でなく実質的な被害もない単発のいたずら事案だが、小規模施設や地方政府管理施設におけるサイバーセキュリティーへの意識の低さが外部侵入を招いていると警告している

Oldsmar4.jpgまた別の専門家は、Oldsmar市のケースは複雑な事案とは考えにくく、ハッカー初心者が腕試しに脆弱なシステムに侵入を試みたもののように見えると評価しつつも、水道管理当局や企業に対し、システム管理の重要性を再認識させる事例だと警鐘を鳴らした
そして、国家レベルが関与するハッカー集団が、電源や水道などの重要社会インフラにダメージを与える可能性が身近に迫っていることに改めて注意を促した
/////////////////////////////////////////////////////

素人ですが、水道管理のシステムなど、外部と遮断すればよいと思うのですが、色々と外部と情報のやり取りが必要な部分があるのでしょうか・・・?

本当に怖い世界です。最近は大規模な情報漏洩も当たり前になりつつあり、非常に多くの不審メールを受信する日々に慣れっこな自身の状態にも改めて恐ろしさを感じます

最近のサイバー関連の記事
「ロシア発:驚愕の大規模サイバー攻撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-18
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「喫緊の脅威は中露からではない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-16
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「サイバーとISR部隊が統合して大統領選挙対策に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-19
「ナカソネ初代司令官が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-17
「大活躍整備員から転換サイバー戦士」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-3

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驚愕のサイバー攻撃:被害の全容不明:潜伏の可能性も [サイバーと宇宙]

6か月に渡り、好き放題に侵入されていた可能性
マルウェア「SUNBURST」または「Solorigate」
被害の深刻度は10段階の「11」

SolarWinds Orion.jpg13日、米セキュリティ企業FireEyeが、ロシアが関与すると推測されるハッカー集団がSolarWindsのソフトウェア「Orion」のアップデート版を「トロイの木馬」化し、世界各地の企業や政府のネットワークを攻撃していると発表しました。これを受け米国土安全保障省は同日、同ソフトの利用を停止するよう警告しました。

攻撃対象となった「Orion」は、集中監視および管理を提供するソフトで、通常は大規模なネットワークに導入され、サーバーやワークステーション、モバイル端末、IoTデバイスなど、ITリソース全般の追跡に使われるソフトだそうです。

SolarWinds Orion5.jpg専門家はその深刻度を10段階評価の「11」だと表現し、「まだ被害の全容さえ分かっていないが、私たちがいま思っているよりも遥かに大きな被害が出ているのは確実だ誰がこの攻撃を受けたのか、まだそれさえ特定できていないのだから」と語っています

14日にSolarWindsが米証券取引委員会(SEC)に提出した文書によれば、同ソフトは「フォーチュン上位500社のうち425社以上」が使用し、少なくとも1万8000社の顧客がOrionのアップデート版をインストールしたと推計されており、それらの企業の社内ネットワークに「トロイの木馬」が存在している模様です

これらの同ソフト使用ネットワークの大半では、「トロイの木馬」が存在していても休眠状態になっている可能性があり、ハッカーは、価値が高い少数の標的にのみ追加のマルウェアを展開してハッキングを行っているとの見方もあるようです

16日現在で判明の被害組織
ホワイトハウス
米国防省
米財務省
米商務省国家電気通信情報局(NTIA)
米国立衛生研究所(NIH)
米Cyber Security Infrastructure Security Agency(CISA)
米国土安全保障省(DHS)
米国務省
NASA

関連の様々な報道からつまみ食い
SolarWinds Orion2.jpgロイター:国家安全保障会議(NSC)は事態を重くみて、発表の12日に大統領官邸で異例の協議を行っていた
WP紙:情報筋は、今回の攻撃をロシアの対外情報庁(SVR)配下のハッカー集団「APT29」と関連づけた。複数の情報筋は米ZDNetに対し、現時点での証拠から判断して、攻撃者はAPT29であるとする米国政府の見立てがおそらく正しいとの見解を示している
 
FireEyeはこのマルウェアを「SUNBURST」と名付けて関連情報を発出し、Microsoftはこのマルウェアを「Solorigate」と名付けて、Windowsに搭載の「Defender Antivirus」に検知ルールを追加した模様
Cyber Security企業「センチネルワン」のマーク・ライトはFOXニュースにで、「送電網などのインフラを狙う類のものではないが、情報、それも機密情報を盗んでいたこと、そしてそれが何カ月にもわたって行われていたことを考えると、きわめて深刻だ」とコメント

SolarWinds Orion3.jpg17日、本件に関し上院で演説した民主党上院No2のDick Durbin議員は、「これはバーチャル侵略だ」、「何らかの対応が必要」と訴え、前日にはCNNで「ロシアによる米国に対するバーチャル宣戦布告だ。真剣に対応しなければならない」と語っている
次期大統領バイデン氏も「厳しく対応する。米国に対する深刻なサイバー攻撃に対し、ぼんやり立ちすくんではいられない」と声明を出している
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日本への影響も懸念されますが、マスゴミからは米国情報の翻訳程度しか流れてきていません・・・

年末年始で社会活動が休眠に入る中、恐ろしい被害が出ないことを祈ります

サイバー関連の記事
「誘導工作の拠点完成!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-08
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「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07
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「ナカソネ初代司令官が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-17
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80トンの物量輸送を世界中に宇宙経由で1時間以内で [サイバーと宇宙]

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SpaceXと米宇宙コマンドが来年にもコンセプト試験へ

Lyons.JPG7日、米輸送コマンドのStephen Lyons司令官が講演で、宇宙空間を経由した「世界中どこへでも1時間以内」の物資輸送に、SpaceXの精力的な取り組みもあって同コマンドが検討を進めており、早ければ来年2021年にも「test the concept」または「conduct a joint proof of principle」をSpaceXと共に行うと述べました

同司令官は具体的に、C-17輸送機が最大搭載可能な80トン級の輸送を宇宙空間経由で想定していると述べ、SpaceXの他に「xArc」との企業名を挙げ、共に予算投入を必要としない協力合意(CRADAs:Cooperative Research and Development Agreements)を今年3月と4月に結んで検討を進めていると説明しています

米輸送コマンド報道官は同司令官の講演後に、早ければ来年にも予定される「test the concept」または「conduct a joint proof of principle」について、検討中であるとして細部に言及しませんでしたが、宇宙を経由すれば、これまでの航空機による空輸には必要だった「領空通過許可」が不要になるなど、なかなか夢のある「世界中どこへでも1時間以内」構想検討ですので、課題と共にご紹介しておきます

7日付C4ISRnet記事によれば
SpaceX starship.jpg7日、Lyons司令官は「National Defense Transpiration Association」での講演で、「とても挑戦的なコンセプトだ」、「宇宙を利用した輸送のproof of principleに、SpaceXと共に取り組んでいるチームの存在にとても興奮している」と述べ
「それが小さな双方の部署による検討であっても、その進捗のスピードは目を見張り、SpaceXは極めて素早くこの分野で前に進んでいる」と語った

米輸送コマンドはSpaceXと「xArc」社との契約に関し、「宇宙を利用した輸送(space-based delivery)について、技術面、法規制面、コスト面から検討している」、「米輸送コマンドは、僻地への兵站支援面や物流業務面で専門知見を提供し、究極的には両企業の月や火星ミッションを目指す努力を支援する」との声明を出し、Win-Winの関係であることをアピールしている

専門家はこの宇宙利用の輸送について、長年提唱されてきたアイディアであると認めるものの、大きな課題も存在すると指摘している
一つは宇宙空間を出入りする際の貨物への「G対策:加速度対策」で、もう一つは米本土からロシアに北極経由では行けるが、南極経由では無理なように、「point to point」では地球上全てをカバーできない限界があり、これを補うには宇宙空間に物資を補完しておく必要があるが、これにはコストがかかる点である

Lyons2.jpgこのように専門家は、「Starshipが point to pointの有効な手段となるには、技術的や経費面での課題が多くあり、法的面でも整理すべき点が残されている」と指摘している
一方でLyons司令官は宇宙利用の利点として、「伝統的に基地使用や上空通過などの外交上の問題が摩擦ポイントとなっており、物資の迅速な輸送の障害となってきた」と指摘し、この点が宇宙利用で解消されると指摘している

この点についてはCSISのTodd Harrison氏も、宇宙条約に沿うならば宇宙軌道上の上空通過に許可は不要だと主張し、「アフガンのような急峻な地形に囲まれた国でもアクセスが容易になる」と述べたが、「大気圏を経由する着陸においては、航空機と同様の着陸許可が必要となろう」としている。「戦いの最中ならば、問題にはならないだろうが」とも付け加えた

宇宙軍No2は「明確なコンセプトは無い」と表現
Saltzman.jpg16日、米空軍協会ミッチェル研究所で講演したChance Saltzman宇宙軍副作戦部長(宇宙軍No2)は、宇宙を活用した物資輸送についての質問に対し、宇宙軍として組織・訓練・装備面でサポートすることはあるだろうが、現時点で明確なヴィジョンはない(I don't have a clear vision for what that looks like yet)と表現した
更に「物資輸送における最も安価な手法ではない」、「しかし検討されている」などと記者団の質問に答え、ICBMと間違えられる恐れがあるのでは・・・との質問に対しては、「わからない」と対応した
////////////////////////////////////////////////////

「米本土からロシアに北極経由では行けるが、南極経由では無理なように、「point to point」では地球上全てをカバーできない限界があり・・」は

SpaceX starship2.jpg「The other is that you’re still limited in where you can go. An ICBM travelling on a ballistic flightpath can go from the U.S. to Russia over the North Pole, but can’t go via the South Pole. If you actually place the payload in orbit it can theoretically go anywhere given enough time, but requires a lot more energy and cost.」の訳ですが、そんなことも知りませんでした

技術面でも、コスト面でもいろいろありそうですが、SpaceXに期待いたしましょう

「SpaceX:失敗場面を集めた映像を明るく発信」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-18 

Space-X社関連の記事
「Space-Xロケット再利用で3回目打ち上げ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-12-08-2
「Facon Heavy試験」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27
「偵察衛星打上げと1段目回収」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-02
「イスラエル通信衛星失敗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-06
「ロケットの着陸回収に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-25

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米軍の「誘導工作:influence operations」の拠点完成 [サイバーと宇宙]

米陸軍の部隊ですが統合戦力として機能すると理解
海外の対象者を米国の国益に沿うように行動させる作戦

Army Cyber.JPG3日、南部ジョージア州の米陸軍Fort Gordon基地に、北部バージニア州から移転してきた米陸軍サイバーコマンドの新しい司令部施設が完成し、約400億円をかけた約32400平方m(縦横180m換算)の新施設では「攻撃的活動」や「誘導工作:influence operations」に重点を置くと、Stephen Fogarty米陸軍サイバーコマンド司令官(中将)がセレモニーで語りました

米陸軍の同基地内には既に「NSA Georgia支所」や米サイバーコマンド配下の「Army’s Joint Force Headquarters-Cyber」が所在していることや、同司令官は「今後はより直接的に攻撃的な任務や誘導工作関連任務を担っていくと」記者団に語り、米陸軍はここ数年でこの分野に勢力を注ぎ習熟・成熟してきたとも述べて自信を示していることから、米軍にとどまらず米国のその方面の任務を大きく担っていくものと勝手に推定しています

Army Cyber 3.jpgこの種の話はガードが固く、勤務者の数や部隊の能力に関する話は一切報道に出てきていませんが、ジョージア州の米陸軍Fort Gordon基地に重要な「誘導工作」の新たな拠点ができたということをお知らせしておきます

忘れてました・・・。「誘導工作:influence operations」の定義は、RAND研究所の「Foundations of Effective Influence Operations」との研究レポートによれば、「外国の対象者が、米国の国益や目的に資する態度や行動や決定を行うように、外交、情報、軍事、経済その他の手段を巧みに組み合わせて働きかける作戦」(かなり短縮して紹介)となっています

また「誘導工作」との訳は、末尾に紹介する読売新聞・飯塚恵子さんの著書から拝借いたしました。米軍の定義は確認していませんが、そんな雰囲気の作戦だとご理解ください

4日付C4isrnet記事によれば
Army Cyber 2.jpg同司令官は、「我々は、より進んだ活動や防御を行い、状況のモニターを行い、毎分ごとにネットワーク環境の変化を把握することができる状態になった」、「我々は、情報戦や電子戦の全ての要素の融合により焦点を当てることが可能になり、更に商用のデータや情報が全て使用可能になったことが極めて重要である」と述べ
更に、「今回の司令部の移転で可能になった部分もあるが、活動の柔軟性が非常に増したという面も大きい」と変化を強調した

また、(新施設内に新たに完成した)新たなInformation Warfare Operations Centerは、かつてなかったレベルで、米陸軍部隊が接続している世界中の情報環境(information environment)をリアルタイムで把握する能力を提供することになる
同センターはまた、伝統的な軍情報機関による商用メディア情報の提供任務も併せて担うことになる。最近陸軍サイバーコマンドは商用インテリジェンス(commercial intelligence)を最大限に活用することを追求している

Army Cyber 4.jpg同司令官はかつて、「米陸軍サイバーコマンド」との名称を、「米陸軍Information Warfare Command」との名称に変更するだろうと述べていたが、3日記者団に、名称変更の正式なタイミングは流動的だが、手続きは進めていると説明している
ただ同司令官は、名称の変更のあるなしにかかわらず、米陸軍サイバーコマンドの10年ビジョンに沿い、より「情報戦:information warfare」に焦点を当てるべくシャープにシフトしていく方向にあり、戦術サイバー戦、電子戦、情報戦の専門部隊の立ち上げや融合を行う計画だと説明した
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「情報戦:information warfare」と「誘導工作:influence operations」の関係や、「サイバー戦」や「電子戦」と「情報戦:information warfare」との関係を整理せずにご紹介して頭が混乱されていると思いますが、「情報戦:information warfare」が、「サイバー戦」や「電子戦」を広く包含し、「誘導工作:influence operations」は「情報戦」より大きな概念だと思います
以下の新書の66ページ参照

iiduka.jpgちなみに以前ご紹介した、読売新聞の飯塚恵子さんによる新書「ドキュメント誘導工作 情報操作の巧妙な罠」の48ページに、「influence operations」は米軍の中でよく使用される用語で、訳として確立されていないが、「一番しっくりくる」のが新書のタイトルでもある「誘導工作」だと紹介し、前述のRANDの定義を厳密に引用されています

また同新書は「情報戦:information warfare」との言葉について、ロシアや中国でよく使用される用語で、ロシアの軍事ドクトリンから大雑把にまとめると、「コンピュータネットワーク上の作戦や、電子戦、心理作戦、情報作戦、などを含む包括的な行動で、軍事力を使わずに政治的目的を達成する戦い」となり、「軍事力を使わず」との点が注目だと説明しています

なお同新書は、「自分の意見が、知らずに誰かに操られている。それが情報工作だ」と記しています

「ドキュメント誘導工作」を読む
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1

関連がありそうな記事
「ハイブリッド情報戦に備えて」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-05
「NATOが選挙妨害サイバー演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-13
「サイバーとISR部隊が統合して大統領選挙対策に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-19
「ナカソネ初代司令官が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-17

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防衛研究所メモ「サイバー傭兵の動向」 [サイバーと宇宙]

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「サイバー傭兵」の事例をイラン・露・中から
更に「開発と攻撃者の分業化・専業化」の視点から

hacktivist.jpeg防衛研究所が定期的に出す「ブリーフィングメモ」として、小野圭司・特別研究官による「サイバー傭兵の動向」との興味深い4ページの論考が掲載されサイバー攻撃を支える「傭兵」とも考えられるハクティビスト(行動主義的なハッカー集団)の動向が紹介されています

ハクティビスト(行動主義的なハッカー集団)が生まれる背景には、まず、ソフトウェア開発が極めて知識集約的であることから、優秀なハッカーが個人や小集団で十分に世界をまたにかける競争力を獲得し得ることまた、サイバー人材は世界で400万人不足しているといわれるほど人材不足状態が続いており、自前で優秀な人材を確保することが難しく「外注化」が広がっておりサイバー攻撃でも同様の傾向が表れていることがあるようです

小野圭司 防研.jpeg技量に優れハクティビストの主要プレーヤーとなるハッカー達は、権威や常識にとらわれず、組織の枠にも収まらないで行動する傾向が強くサイバー攻撃で得た多額の報酬で豪華な生活を送っていることをSNS上でアピールする者もいるようですが

一方で「アノニマス」に参加するハクティビストのように、社会的・政治的正義感から無償でサイバー攻撃に加わる特性も同時に備えるものも多く、このような者達がサイバー攻撃に参加する動機として、報酬以外の比重(自己顕示や達成感、正義感)が大きい場合が少なくなく、問題を複雑にしているようです

以下では、まず「サイバー傭兵」の事例をイラン・ロシア・中国の例で確認し、次に最近のサイバー攻撃の特徴をなしている「開発と攻撃者の分業化・専業化」の視点から、「傭兵」たちの生態に迫りたいと思います

サイバー傭兵の事例
hacktivist2.jpegイランでは軍のサイバー軍設立(2006年)以前から、民間の技術者がハッカー集団(5-10名)を形成し米国のNASAや金融機関への侵入を行っていたが、イラン政府の依頼や指示でも活動するようになり、イラン情報機関への教育を担当したりもしていた。米政府も、イラン政府の依頼を受けたハッカー集団の攻撃を受けたことを公表しており、小組織が「競争力を有する」ことを証明した事例である

2007年4月にエストニア政府機関サイトが攻撃を受けた事案では、ロシア下院議員が、自身の関係者がプーチン政権支持のサイバー技術者と共にDoS/DDoS攻撃を行ったことを認めており、ハクティビスト関与の事例である
2008年の南オセチア事案でも、ロシア政府が犯罪者である民間人技術者が DoS/DDoS 攻撃に動員したと見られている。ロシアが犯罪者を非合法的な活動に従事させるのはソ連時代からの伝統で、例えば 2017 年には露保安庁(FSB)がサイバー犯罪者を使って、政府・報道・金融・交通関係企業者の個人情報をフィッシングしたことが明らかになっている

hacktivist3.jpeg中国でハッカー達は、国家に対して危険を及ばさない限り容認され、一部は国の支援を受けており、数万人から100 万人存在すると見られている
四川省のNCPH(Network Crack Program Hacker)に代表される大学生集団の中には、政府関係機関と密接な関係を有しているものがあり、例えば、2006 年の米国防省を含む米国政府機関への侵入は NCPH が行っている。これらハッカー集団は、中国では「サイバー民兵」や「情報専門民兵」と呼ばれており、2004 年の中国国防白書で初めてその存在を公式に認めている
中国は民間企業主体のサイバー民兵も組織しており背景にはサイバー防衛・セキュリティ需要の急増がある。中国のサイバー防衛市場規模は 2011年には 28 億ドルだったものが、2016 年には 48 億、2021 年には 132億ドルを超えるものと予測されている。代表例の南昊科技公司は、ソフトウェア開発やスキャナなど電子機器製造企業だが、解放軍のサイバー民兵として、また解放軍のサイバー戦要員教育も請け負っている

「開発と攻撃者の分業・専業化」から見る「傭兵」たちの今
hacktivist4.jpeg最近頻発しているランサムウェアのサイバー攻撃(身代金要求型)では、開発と攻撃者の分業化・専業化が指摘されている。かつてランサムウェアの開発者は自ら攻撃を行って収益を得ていたが、ファイル暗号化型ランサムウェアが台頭した 2013 年頃からRaaS(Ransomware-as-a-Service)と呼ばれるサイバー攻撃の請負・代行が確認されるようになった
RaaS では支払われた身代金を、開発者とサイバー攻撃請負・代行者の間で分配する。この仕組みにより、サイバー攻撃請負・代行者はランサムウェアを開発する手間を省いて簡便に金銭目当ての攻撃を行うことができ、逆に RaaS の提供者は自分の手を汚すことなく収益を上げることができる。収益の配分は開発者3-4割、攻撃者が6-7割と言われている

現在では、マルウェアに様々な形式の暗号化や圧縮を行って表面上のコードが異なる「亜種」を作成することで、サイバー防衛側による検出を回避することが常套化しており、また、サイバー攻撃請負・代行者の収益分配率を高くすることで、不特定のサイバー攻撃者を多数動員することが可能になっていると見られている
hacktivist5.jpegかつては、攻撃企画側は報酬用資金を事前に準備する必要があったが、資金力が無くてもソフトウェアの開発能力に優れる者は、ランサムウェアで身代金を獲ることができるので、それを前提にサイバー攻撃の請負・代行者(傭兵)を集めることも可能となる。このようにランサムウェアの普及で、サイバー傭兵の活用やサイバー攻撃代行に新しい傾向(元手は必ずしも必要ない)が生じたと言えよう

IT・サイバー技術者(ハッカー)は「権威や常識にとらわれず、組織の枠にも、はまらない」と述べたが、彼等は自由な情報交換と知識の共有のため非合理的な官僚主義を忌避し、政府や体制に対する批判勢力を形成することがある。その代表的なものの 1 つが、ウィキリークス(WikiLeaks)である
この運動が攻撃代行的なサイバー傭兵と大きく異なるのは、経済的利益(報酬)の追求が動機ではない点にある。つまり彼等は報酬を得ることを目的としておらず、主に行政機関や大企業を対象に、不正や理不尽に関する情報入手し、ネット上で世に告発するという懲悪義賊的な社会貢献を目指していた

注目を集めている集団に、「アノニマス」がある。これは不特定多数のハッカーが、「抽象的ではあるが誰もが賛同しやすい大義」の下に即興的に集まったもので、主にDoS/DDoS 攻撃を実行する。その中核ハッカーの技量は相当高いと見なされるが、不特定多数のハッカーを即興的に集めることから、長期的・計画的な攻撃には向いていない。DoS/DDoS攻撃は攻撃手順も単純で、調整負担も軽くて済むので、即興的組織に適している

付和雷同型のハクティビスト集団は、膨大な人数が徒党を組むことがある。この性質を有する彼等を自らの思う方向に利用した世論の誘導・世論工作も行われている
hacktivist6.jpeg欧米のハクティビストの多くは自由主義的な反体制の政治思想を共有しているが、中国の場合には、特に 2000 年前後に活発に活動した集団(「中国紅客連盟」や「中国鷹派連盟」等)は愛国主義的な傾向を持ち、中国政府もその限りにおいて、外国に対するサイバー攻撃を行う彼等を泳がせていた。その活動が中国の大衆から支持され、「英雄」として祭り上げられたことも、活動の動機として大きな比重を占めていた

ハクティビスト集団は一般に、「不正・理不尽」を正すとの正義感を持っており、中国の集団も、外国は誤っており理不尽だと考えている。ただこの「不正・理不尽」の判断は各ハッカーが独自に行うので、集団の中でこの判断の差異が顕在化すると、集団そのものが瓦解する危険がある。実際にアノニマスも、内部では派閥争いが絶えず生じている。このため中国も習近平政権になってからは、ハクティビストへの監視・管理を強め始めたと言われている
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基礎知識が薄い分野ですので、長々と引用してしまいました。サイバーと宇宙については、なじみの少ない方が多いと思うので、防衛研究所には発信の頻度を上げていただきたいものです

Cyber-new.jpg「ハクティビスト集団」は信用できるのでしょうか? 2重スパイ・3重スパイ的に動き回る者や、ブローカー的な輩が暗躍しないかと心配になります

でもこのような人たちが、クリック一つで社会を混乱させることが可能な世界って何なんでしょうか?抑止の議論が可能なんでしょうか???

「ダークウェブ」との、闇の深い世界のお話でした

防衛研究所webサイト
http://www.nids.mod.go.jp/

サイバー関連の記事
「過去最大のサイバー演習を完全リモート環境で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-22
「海兵隊サイバー隊が艦艇初展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-08
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07
「米国務省のサイバー対策はデタラメ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-27
「やっとサイバー部隊に職務規定が」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-13
「喫緊の脅威は中露からではない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-16
「ハイブリッド情報戦に備えて」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-05
「ドキュメント誘導工作」を読む→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1
「サイバー攻撃に即時ミサイル反撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-11-1
「NATOが選挙妨害サイバー演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-13
「サイバーとISR部隊が統合して大統領選挙対策に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-19
「ナカソネ初代司令官が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-17
「大活躍整備員から転換サイバー戦士」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-3
「サイバー戦略がもたらすもの」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-02
「市販UAVの使用停止へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-07-1
「サイバーコマンドの課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-04
「サイバー時代の核兵器管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02

「人材集めの苦悩」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-31
「米空軍ネットをハッカーがチェック」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-23
「米国政府サイバー予算の9割は攻撃用!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31
「装備品のサイバー脆弱性に対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02

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ロシアが衛星から衛星攻撃物体の射出実験 [サイバーと宇宙]

2017年頃から続く一連の実験
宇宙兵器の制限を訴えるロシアを偽善者と非難

Raymond.jpg23日、初代宇宙コマンド司令官かねて宇宙軍参謀総長Raymond大将が声明を出し、7月15日にロシアが行った「Cosmos 2543衛星から、他のロシア衛星に向け、高速で物体を射出する実験」を、ロシアが軍事ドクトリンで表明している「米国やその同盟国の宇宙アセットを危機にさらす兵器」の試験だと厳しく批判しました

このような衛星破壊を伴わない実験をロシアは以前から行っており、米国務省は2018年に初めてこの問題を国連軍縮会議で取り上げ、今年4月にもChris Ford 国務次官補(当時)が、詳細には言及できないが「2017年にはCosmos 2519が子衛星Cosmos 2521を射出し、更にその子衛星Cosmos 2521が孫衛星Cosmos 2523を速度250km/hで射出する実験を行った」とロシアを非難しています

Cosmos 2543.jpg米国は、ロシアが外交の場で宇宙での軍備管理の必要性を訴え、米国の宇宙活動能力に制限を加えようとする一方で、ロシア自身が宇宙兵器開発を自制する意思を全く示さないのは、ロシアが偽善者であることの動かぬ証拠だと非難し、4月15日にロシアが行った地上発射の直接衛星攻撃兵器実験と合わせてロシアの非道ぶりを訴えているところです

米国防省は6月に「国防宇宙戦略」を発表し、中国やロシアの宇宙開発に強い危機感を示し、米国社会全般に危機感が不足していることや、米国防省の対応も後手に回っていることを認めた上で、同盟国も含めた取り組み強化を誓ったところですが、コロナ危機に付け込んだロシアや中国に全く容赦はないようです

23日付C4isrnet記事によれば
Raymond3.jpg23日付の声明文でRaymond宇宙コマンド司令官は、「7月15日に宇宙軌道上で衛星攻撃兵器の試験を行ったのは、米国の政府衛星に接近したことで我々が年初に懸念を表明した同じロシア衛星である」と述べ、「このロシアの活動は、ロシアの軍事ドクトリンが明記している、米国とその同盟国の宇宙アセットを危険にさらす兵器展開への取り組み」と一致するもので、ロシアは継続的にその実現に動いていると懸念を表明した
ちなみに7月15日の試験に関与したロシア衛星は、2019年11月と12月に打ち上げられたCosmos 2542とCosmos 2543で、打ち上げ後から米国の政府衛星に接近する特異な動きを見せ、米国関係者が懸念を表明していたものである

米国務省はこのようなロシアの宇宙活動を2018年に国連軍縮会議で初めて取り上げ、ロシアの行為が宇宙兵器の制限を主張する発言と食い違う偽善的なものだと非難し、今回の宇宙コマンドの声明でも同様の懸念を表明し
Cosmos 2543 4.jpg「(7月15日のロシアによる)試験は、ロシアによる宇宙兵器制限の主張が偽善によるもので、米国の能力を抑えようとする意図から出たものであることを明確に示している。ロシア自身は宇宙兵器開発を止める考えを全く持っていない。これは地上発射の直接攻撃兵器を含めてのことである」とChris Ford軍備管理担当次官(現在)はコメントしている

米国防省は6月に発表した「国防宇宙戦略」で中国やロシアの活動について危機感を示し、「宇宙アセットは、もはや安全な聖域に存在するものではなくなってきており、様々なレベルの戦いでターゲットになる恐れと直面している。特に中国とロシアは宇宙アセットへの最大の脅威となっており、米国とその同盟国の軍事能力をそぐため、「宇宙の兵器化」に向け、多様な能力の研究・開発・試験を行っている」と表現しているところである
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コロナと大統領選挙で混乱状態の米国を見て、中国が本性を現したかのような振る舞いを世界各地で見せていますが、ロシアも負けていないようです

Cosmos 2543 2.jpg「Cosmos 2519が子衛星Cosmos 2521を射出し、更にその子衛星Cosmos 2521が孫衛星Cosmos 2523を速度250km/hで射出」の部分は、英文の理解が正しいのか自信がありませんが、宇宙に関して非公開の部分が多い中で、米関係者の精いっぱいの表現だと思うので、推測してご紹介しました

2018年の国連軍縮会議以降、米国関係者のこのロシア衛星に関する表現は「ぼんやりした」ものでしたが、今回は具体的に「launched an additional object into space」、「high relative speed of about 250 km per hour,」とまで語っており、米側の状況把握能力を明かしてまで脅威を訴える手段に出たようです

ロシアの宇宙兵器疑惑
「4月中旬のロシア衛星破壊兵器試験を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-17
「怪しげなロシア衛星問題提起」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-04
「再び同高官が指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-26

米国の取り組み
「国防宇宙戦略を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-28
「航空機からロケット発射で衛星を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-14
「宇宙軍の最初の攻撃兵器」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-09
「画期的:衛星が推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-27
「宇宙Fenceレーダー試験開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-12-1
「同盟国にも宇宙関連訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-2
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1
「Space Fence試験レーダー完成」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-29
「米空軍のSpace Fenceを学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-28

その他の宇宙関連記事
「5G企業にGPS干渉の恐れある電波使用許可へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-14

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過去最大のサイバー演習を完全リモート環境で [サイバーと宇宙]

PCTEとのサイバー演習環境を国防省が優先整備
サイバー演習「Cyber Flag」に全世界の基地から参加可能に

cyber flag4.jpg15日付FifthDomeinは、6月15日から26日の間に実施された過去最大のサイバー演習「Cyber Flag」が、米国防省が優先事業として取り組んできたサイバー訓練環境整備の成果物であるバーチャル演習場「PCTE」の使用開始により、世界各地からリモート参加可能な体制で行われたと紹介しています

バーチャル演習場「PCTE:Persistent Cyber Training Environment」は全ての米軍が使用できるサーバー訓練環境で、今現在はプロトタイプ段階ですが、主担当の米陸軍により「TRIDENT:Cyber Training, Readiness, Integration, Delivery and Enterprise Technology」計画として、正規版の提案要求書が6月11日に関係企業へ発出されているということです

cyber flag.jpg過去数年のサイバー演習「Cyber Flag」は、ヴァージニア州のSuffolkにある米統合軍基地の施設で開催され、参加者の大半は、同盟国軍や米国の他政府機関からの参加者を含め、同施設まで出張して演習に参加していたとのことですが、今年は一部の例外を除き、世界中からリモート参加で行われ、規模も過去最大となったといことです。

米軍の実働部隊の場合、海外派遣される前には米陸軍Fort Irwin内に設けられた「National Training Center」に集まって事前訓練を行ってきましたが、従来サイバー戦の世界にはそのような演習環境が十分な形で存在せず、「PCTE」がその状況を一変させたようです

15日付FifthDomein記事によれば
5日、サイバーコマンドのPCTE担当Tanya Trout大佐は、「コロナのパンデミックの中、米サイバーコマンドは即応態勢維持のため、米軍の先陣を切って実戦的な訓練を行い、この新たな環境を活用して運用態勢を整え、部隊を鍛錬する」と述べ、コロナの影響で物理的移動が制約を受ける中での訓練充実に自信を示した
cyber flag2.jpg15日からの「Cyber Flag」演習では、一部の例外を除き、世界中の地域コマンドから関連部隊がリモート参加するが、従来のように一か所に集まって実施していた当時と同様に、敵からのサイバー攻撃への防御訓練などを実施できる、と同大佐は説明した

PCTE計画は今回の「Cyber Flag」演習で、これまでの単一部隊による演習から、より大規模な「Tier-1」レベルの演習も可能なことを確認し、得られた教訓を生かして更なる改良を図る予定である
PCTE計画では今後、PCTE内にあらかじめ準備された幾つかの訓練メニュを準備し、部隊のニーズに応じた訓練を、いつでも世界中からアクセスして可能な環境を整備し、訓練メニューも最新に事象を迅速に反映出来るよう取り組む方向である

PCTE計画の実施に当たり担当の米陸軍は、通常の調達要領とは異なり、小さな契約を積み重ねて最新の技術導入を可能にし、サイバードメインでの日進月歩の技術革新に追従できるよう工夫している
またこの過程で米陸軍担当部署は、現場のサイバー部隊からの意見吸い上げに注力し、現場の声を生かして「使えるシステム」構築と改良を重視している
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<cyber flag3.jpgstrong>コロナ感染が発生する以前から、サイバーコマンドではPCTEを活用したリモート「Cyber Flag」演習を企画していたようで、今後はこれが一つのサイバー演習の標準形になるようです。

皆が集まってブレインストーミングを必要とする様な演習や検討会も必要でしょうが、サイバー部隊の場合は、普段勤務している職場が戦場になるのでしょうから、移動時間も省けて効率的ですね。

ちなみに、記事に登場する「PCTE担当Tanya Trout大佐」は、アジア系の女性です。

今回のコロナ対応で、いろんなことがリモート環境である程度可能なことを否応なしに検証され、この記事がスッキリ身体に沁み込む方も多いでしょう。自衛隊はどうだったんでしょうか? ほとんどリモート化が出来なかった、進まなかった・・・・ような噂を聞きましたが・・・内部部局も含め・・

6月15-26日の「Cyber Flag」演習には、「international partners」も参加していると記事は紹介していますが、自衛隊部隊が参加したかは不明です

サイバー関連の記事
「海兵隊サイバー隊が艦艇初展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-08
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07
「米国務省のサイバー対策はデタラメ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-27
「やっとサイバー部隊に職務規定が」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-13
「喫緊の脅威は中露からではない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-16
「ハイブリッド情報戦に備えて」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-05
「ドキュメント誘導工作」を読む→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1
「サイバー攻撃に即時ミサイル反撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-11-1
「NATOが選挙妨害サイバー演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-13
「サイバーとISR部隊が統合して大統領選挙対策に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-19
「ナカソネ初代司令官が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-17
「大活躍整備員から転換サイバー戦士」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-3
「サイバー戦略がもたらすもの」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-02
「市販UAVの使用停止へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-07-1
「サイバーコマンドの課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-04
「サイバー時代の核兵器管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02

「人材集めの苦悩」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-31
「米空軍ネットをハッカーがチェック」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-23
「米国政府サイバー予算の9割は攻撃用!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31
「装備品のサイバー脆弱性に対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02

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米国防省が国防宇宙戦略を発表 [サイバーと宇宙]

実質9ページの文書(水増し表紙等で18ページ)
国家防衛戦略NDSを支える下部戦略として

Defense Space St.jpg17日、米国防省のStephen Kitay宇宙政策担当次官補代理が会見し、2018年制定の国家防衛戦略NDSを宇宙分野から支える実質9ページの「国防宇宙戦略:Defense Space Strategy」を発表し、概要を説明しました

同戦略にすべて目を通したわけではありませんが、宇宙軍誕生に伴い現在取り組んでいる各種政策を整理紹介している印象です。

そんなに目新しい事実や方針が打ち出されたわけではありませんが、米国軍事宇宙政策の現在位置を確認し、頭を整理するにはよい文書ですので、概要の概要をご紹介いたします

17日付米空軍協会web記事によれば
●同戦略の情勢認識
Defense Space St2.jpg---米国が人工衛星を打ち上げて以来、宇宙アセットは地球内での作戦のサポート的な役割と考えれてきており、その防御についてはあまり考えられてこなかった。しかし今や宇宙アセットは、米国のみならず世界の日常生活を支える極めて重要なアセットであり、米軍事力にとっても必要不可欠なアセットである
---しかし宇宙アセットは、もはや安全な聖域に存在するものではなくなってきており、様々なレベルの戦いでターゲットになる恐れと直面している。特に中国とロシアは宇宙アセットへの最大の脅威となっており、米国とその同盟国の軍事能力をそぐため、「宇宙の兵器化」に向け、中国やロシアは多様な能力の研究・開発・試験を行っている

●米国の問題認識
---これらの脅威に対処するにあたり、我々はいくつかの課題に直面している米国防省自体に宇宙軌道上での戦いに関する経験が不足していること。世界全体の間に、宇宙での作戦に関するグローバルな理解や共通認識が不足していること。更に米国民の間にも、宇宙アセットにどれだけ日常生活が依存しているか等に関する認識が不足している
---そして、我々の日常生活から安全保障に至るまで広範に依存している宇宙アセットが、他国の活動の前にさらされ、その度合いが急増していることが良く認知されていない

●米国の対応状況
Defense Space St3.jpg---米国の脅威となる中国やロシアの宇宙能力開発は急速である一方で、米国は必ずしもすべての側面で迅速だとは言えない状況にある
---ただ、米国も宇宙軍を立ち上げ、作戦を担う宇宙コマンドを創設し、宇宙の重要性への理解も進みつつある。また民間企業の宇宙開発能力も飛躍し、同盟国とともに宇宙分野への取り組みが加速している

●具体的な重点分野
---今後10年追求する主要目標3つ
・ Maintain space superiority
・ Provide support to national, joint, and combined operations
・ Maintain space stability

主要目標3点を達成するための取り組み事項
1. Build a comprehensive military advantage in space
2. Integrate space more into combined operations
3. Shape the strategic environment
4. Cooperate with allies, partners, industry, and other U.S. Government departments and agencies
///////////////////////////////////////////////////////

Defense Space St4.jpg







国防宇宙戦略の現物
https://www.airforcemag.com/app/uploads/2020/06/2020-Defense-Space-Strategy-Summary-1.pdf

もう少し詳しい解説記事(C4isrnet)
https://www.c4isrnet.com/battlefield-tech/space/2020/06/17/pentagon-releases-defense-space-strategy-to-counter-russia-and-china/

取り組み事項にある「Shape the strategic environment」とは、一般国民や政治家等に、宇宙ドメインの重要性を知らしめることを指すのでしょうか?

最近取り上げていなかった宇宙の話題でした

宇宙兵器関連の記事
「提案:宇宙兵器の6分類」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-28
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「再び同高官が指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-26

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「5G企業にGPS干渉の恐れある電波使用許可へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-14
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「Space Fence試験レーダー完成」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-29
「米空軍のSpace Fenceを学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-28

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