宇宙軍が衛星への軌道上補給に企業活用へ [サイバーと宇宙]
必要性に迫られ、懸命に民間企業との連携模索
昨年立ち上げた専門部署中心に、議会の理解も得て
2月22日付Defense-Newsは、米宇宙軍で衛星の延命や機動性確保が喫緊の課題となる中、軍内に専門部署を立ち上げ、民間企業が進める衛星への燃料補給や維持整備提供サービスの情報を収集しつつ、軍内受けれ体制整備構築や具体的手順等を宇宙軍が思案中だと報じています
末尾にご紹介している様々な過去記事で、宇宙ゴミや敵衛星を避けるために衛星に機動性を持たせるニーズの高まりや、搭載装備は健全でも電源切れで機能停止に至る高価な衛星が多いこと等を課題としてご紹介し、民間通信衛星や地上観測衛星とドッキングして燃料補給や軌道修正や維持整備を行う民間企業が生まれつつある様子も取り上げてきましたが、ニーズに迫られた宇宙軍が「救いの手」を関連企業に求め始めたということです
具体的には、昨年8月に宇宙軍内に衛星軌道&維持支援(director of operations for servicing and maneuver)部署に大佐が任命され、監督する少将も指名されています。そして昨年9月には衛星支援関連の企業を集めたイベントを開催し、民間企業が持つ技術の情報収集を行っています
担当少将はインタビューで事の緊急性に触れ、「対処を早急に迫られている課題であり、何が必要で、利用可能などのような技術が存在し、どのように宇宙軍に導入するかを至急見分ける必要がある」、「宇宙軍内の担当人員の確保や企業との各種契約に至るまでの調整体制構築」、「衛星に軌道上で燃料や維持整備支援を受けられるハード面での整備も必要」等々と語り、予算を確保出来次第取り掛かりたいと述べています
予算面では、米空軍時代から宇宙軍創設当時は、国防省内や米議会の理解を十分得ることができなかったが、最近やっと米議会の応援を得られるようになり約40億円の追加予算を獲得し、NASAや国防省DIUとも協力しつつ、衛星維持整備技術や宇宙ゴミ対処技術を有する一般企業との連携を模索しているとも説明しています
ただ、いずれの取り組みも宇宙軍の具体的ニーズや企業への要求事項をしっかり固める段階にも至っておらず、2月21日の関連イベントで宇宙軍幹部は正直に、「世にある技術を取り組むには時間がかかるだろう:will likely take slow steps toward embracing these capabilities」、「我々はまだまだよちよち歩きの段階:We are taking baby steps.」とも語っています
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末尾の過去記事でもご紹介しているように、2020年2月末に、民間企業がインテルサット通信衛星に別の衛星をドッキングさせ、地球周回軌道の高度を上げる等して通信衛星寿命を約5年延命する画期的手法に成功したとご紹介しましたが、米軍衛星へのこのような技術導入はまだまだ時間が必要なようです
2022年年9月には、国防省・宇宙軍・空軍や関連企業の関係者有志250名が一堂に会し、「日進月歩の民間技術を迅速に大規模に導入可能にすべき」との提言をまとめていますが、予算制約や官僚機構や法令面での難しさ等も多く立ちはだかっているのでしょう。
衛星に機動性を求める米国防省の取り組み
「宇宙軍は衛星のSM&L重視」→https://holylandtokyo.com/2023/01/18/4130/
「国防省宇宙軍有志が民間企業大量導入訴え」→https://holylandtokyo.com/2022/09/16/3609/
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holylandtokyo.com/2021/09/28/2233/
「核熱推進システム設計を3企業と」→https://holylandtokyo.com/2021/04/20/111/
衛星の延命や機動性付与技術
「衛星用の熱核推進システム推奨」→https://holylandtokyo.com/2022/01/27/2622/
「衛星延命に企業と連携」→https://holylandtokyo.com/2021/11/10/2350/
「画期的:推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holylandtokyo.com/2020/02/28/839/
「米国防省が国防宇宙戦略を発表」→https://holylandtokyo.com/2020/06/23/629/
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
昨年立ち上げた専門部署中心に、議会の理解も得て

末尾にご紹介している様々な過去記事で、宇宙ゴミや敵衛星を避けるために衛星に機動性を持たせるニーズの高まりや、搭載装備は健全でも電源切れで機能停止に至る高価な衛星が多いこと等を課題としてご紹介し、民間通信衛星や地上観測衛星とドッキングして燃料補給や軌道修正や維持整備を行う民間企業が生まれつつある様子も取り上げてきましたが、ニーズに迫られた宇宙軍が「救いの手」を関連企業に求め始めたということです

担当少将はインタビューで事の緊急性に触れ、「対処を早急に迫られている課題であり、何が必要で、利用可能などのような技術が存在し、どのように宇宙軍に導入するかを至急見分ける必要がある」、「宇宙軍内の担当人員の確保や企業との各種契約に至るまでの調整体制構築」、「衛星に軌道上で燃料や維持整備支援を受けられるハード面での整備も必要」等々と語り、予算を確保出来次第取り掛かりたいと述べています

ただ、いずれの取り組みも宇宙軍の具体的ニーズや企業への要求事項をしっかり固める段階にも至っておらず、2月21日の関連イベントで宇宙軍幹部は正直に、「世にある技術を取り組むには時間がかかるだろう:will likely take slow steps toward embracing these capabilities」、「我々はまだまだよちよち歩きの段階:We are taking baby steps.」とも語っています
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2022年年9月には、国防省・宇宙軍・空軍や関連企業の関係者有志250名が一堂に会し、「日進月歩の民間技術を迅速に大規模に導入可能にすべき」との提言をまとめていますが、予算制約や官僚機構や法令面での難しさ等も多く立ちはだかっているのでしょう。
衛星に機動性を求める米国防省の取り組み
「宇宙軍は衛星のSM&L重視」→https://holylandtokyo.com/2023/01/18/4130/
「国防省宇宙軍有志が民間企業大量導入訴え」→https://holylandtokyo.com/2022/09/16/3609/
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holylandtokyo.com/2021/09/28/2233/
「核熱推進システム設計を3企業と」→https://holylandtokyo.com/2021/04/20/111/
衛星の延命や機動性付与技術
「衛星用の熱核推進システム推奨」→https://holylandtokyo.com/2022/01/27/2622/
「衛星延命に企業と連携」→https://holylandtokyo.com/2021/11/10/2350/
「画期的:推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holylandtokyo.com/2020/02/28/839/
「米国防省が国防宇宙戦略を発表」→https://holylandtokyo.com/2020/06/23/629/
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ドローンのサイバー安全性診断「BlueとGreen UAS」制度 [サイバーと宇宙]
米国防省DIUが2020年開始の「Blue UAS」認証基礎に
軍用以外のドローン認証Green UASを民間団体が開始
ドローン部品からの情報漏洩リスク診断で安全を
2月23日、民間団体AUVSIが市販ドローンのサイバー情報漏洩リスクを診断して安全なドローンに認証を与える「Green UAS」プログラムを開始したと発表し、米国防省や米軍以外の米国省庁、法執行機関、緊急事態対処帰還、交通機関、エネルギー・通信・農業・食料・製造業などなど、多様なドローン利用関係者の要請に応えていく事になりました
この「Green UAS」プログラムは、2020年に米国防省DIUが既に開始している、国防省&米軍用に米国製市販ドローンのセキュリティー面を検証する制度「Blue UAS」を、国防省以外のユーザー用に展開したもので、「Blue UAS」を運用する国防省DIUと連携し、非営利団体AUVSI(Association for Uncrewed Vehicle Systems International)が開始したものです
元祖である「Blue UAS」との制度をまんぐーすは今回初めて知りましたが、米国防省や米軍が導入する米国製ドローンに、中国製など外国製部品が組み込まれて使用されることによる情報漏洩リスクの有無を診断し、心配の無い市販ドローンを認証する制度です。
公式Webサイトや関連報道等によると、2020年8月に第一弾「Blue UAS 1.0」として認証した5機種を発表し、2021年10月に第2弾「Blue UAS 2.0」、そして現時点では15機種が「Blue UAS Cleared List」に掲載されています。
関係者が語る「Blue UAS」(約30分)
「Blue UAS」認証は国防省や米軍に採用されるための唯一の道ではありませんが、その手続き等の明確さや官僚制の鈍重さを極力排除した仕組みで高評価を得たことから、他の政府機関や公的機関、更に社会インフラを担う民間企業からも同様の認証制度を求める声が高まり、「Blue UAS」関係者の支援も受けて「Green UAS」制度がスタートしたということです
AUVSIの幹部は、「Green UASはドローンセキュリティー認証分野における新たな革新であり、日進月歩で進化を続ける市販ドローンが、様々な分野で多様な役割を果たすことを期待する使用者に供するものである」、「この新制度は、ドローンセキュリティーやサプライチェーン確認課題への対応であり、市販ドローン提供者とユーザーと連邦政府のためのものである」、
更に、「安全でセキュリティーが確保されたドローンの提供により、ドローンへの高まる社会の期待と健全な競争環境育成への期待に応えるもの」とその意義を語っています
なお、国防省や米軍での使用を想定した「Blue UAS」と、それ以外を対象とした「Green UAS」では多少認証の基準が異なるようですが、双方の関係者は、「Green UAS」認証を受けた市販ドローンが「Blue UAS」認証を受けるための追加基準を明確にし、セキュリティー上の問題がない優れた市販ドローンが有効に活用される仕組みづくりに貢献したいとの姿勢を示しています
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具体的な「Blue UAS」や「Green UAS」の認証基準や手続きについて全く把握していませんが、ご興味のある方は、以下に示す関連webサイトやYouTube映像で細部をご確認ください。
国防省組織DIUによる「Blue UAS」制度
→https://www.diu.mil/blue-uas
「Blue UAS」により診断され使用承認されたドローン15機種
(2023年2月25日現在で)
→https://www.diu.mil/blue-uas-cleared-list
「Blue UAS」プロジェクト解説記事(英語)
→https://advexure.com/blogs/news/everything-you-need-to-know-about-the-blue-uas-program
情報共有と漏洩防止のはざまで
「開発担当次官が課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「外国製ドローン購入規制」→https://holylandtokyo.com/2021/09/21/2240/
「軍需産業との情報共有に乗り出す」→https://holylandtokyo.com/2021/01/18/300/
「半導体での米国巻き返しを討論」→https://holylandtokyo.com/2021/09/14/2168/
「中国製部品排除に時間的猶予を」→https://holylandtokyo.com/2020/08/15/524/
「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1
「米国製兵器は偽物だらけ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-29
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10
危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holylandtokyo.com/2020/05/11/668/
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holylandtokyo.com/2020/03/27/791/
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軍用以外のドローン認証Green UASを民間団体が開始
ドローン部品からの情報漏洩リスク診断で安全を

この「Green UAS」プログラムは、2020年に米国防省DIUが既に開始している、国防省&米軍用に米国製市販ドローンのセキュリティー面を検証する制度「Blue UAS」を、国防省以外のユーザー用に展開したもので、「Blue UAS」を運用する国防省DIUと連携し、非営利団体AUVSI(Association for Uncrewed Vehicle Systems International)が開始したものです

公式Webサイトや関連報道等によると、2020年8月に第一弾「Blue UAS 1.0」として認証した5機種を発表し、2021年10月に第2弾「Blue UAS 2.0」、そして現時点では15機種が「Blue UAS Cleared List」に掲載されています。
関係者が語る「Blue UAS」(約30分)
「Blue UAS」認証は国防省や米軍に採用されるための唯一の道ではありませんが、その手続き等の明確さや官僚制の鈍重さを極力排除した仕組みで高評価を得たことから、他の政府機関や公的機関、更に社会インフラを担う民間企業からも同様の認証制度を求める声が高まり、「Blue UAS」関係者の支援も受けて「Green UAS」制度がスタートしたということです

更に、「安全でセキュリティーが確保されたドローンの提供により、ドローンへの高まる社会の期待と健全な競争環境育成への期待に応えるもの」とその意義を語っています

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具体的な「Blue UAS」や「Green UAS」の認証基準や手続きについて全く把握していませんが、ご興味のある方は、以下に示す関連webサイトやYouTube映像で細部をご確認ください。
国防省組織DIUによる「Blue UAS」制度
→https://www.diu.mil/blue-uas
「Blue UAS」により診断され使用承認されたドローン15機種
(2023年2月25日現在で)
→https://www.diu.mil/blue-uas-cleared-list
「Blue UAS」プロジェクト解説記事(英語)
→https://advexure.com/blogs/news/everything-you-need-to-know-about-the-blue-uas-program
情報共有と漏洩防止のはざまで
「開発担当次官が課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「外国製ドローン購入規制」→https://holylandtokyo.com/2021/09/21/2240/
「軍需産業との情報共有に乗り出す」→https://holylandtokyo.com/2021/01/18/300/
「半導体での米国巻き返しを討論」→https://holylandtokyo.com/2021/09/14/2168/
「中国製部品排除に時間的猶予を」→https://holylandtokyo.com/2020/08/15/524/
「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1
「米国製兵器は偽物だらけ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-29
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10
危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holylandtokyo.com/2020/05/11/668/
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holylandtokyo.com/2020/03/27/791/
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レポート:宇宙軍は衛星のSM&L(機動とロジ)重視を [サイバーと宇宙]
衛星のSM&L:Space Mobility and Logistics
機動:衛星能力を維持しつつ宇宙での位置を変える
ロジ:機能点検、修理、給油、機能増強など
1月5日Aerospace Corporationが米宇宙軍への政策提言レポートを発表し、宇宙軍も重要性を当初から理解しているものの、技術的な壁等から実質未着手の「衛星のSM&L:Space Mobility and Logistics」分野、つまり「衛星や宇宙船に機動性を持たせ、状況対応力や強靭性を高める」ための軌道上の衛星の機動性確保(つまり移動用燃料補給)や衛星への補給支援(軌道上での点検、修理、給油、能力向上)に、民間活用と民間サービス応用導入と軍独自投資開発等の複数アプローチを選択して取り組むべきと提言しています
「衛星のSM&L」は、宇宙軍が2020年6月発表の最初の文書「Spaceopower」でも、核となる5つの重要分野の一つと記述しているテーマですが、打ち上げ重量の制約の中で技術的ハードルも高く、宇宙軍創設から現在までの数年間は「運用部隊も運用部隊も関連取得計画もなかったし、機会もなかった」と認める状況にある分野だと、「Enabling a New Space Paradigm: Harnessing Space Mobility and Logistics」とのレポートは表現しています。
衛星や宇宙船に機動性を持たせ、状況対応力や強靭性を高めるに必要不可欠な要素の「衛星のSM&L」ですが、現在の衛星は限定的な推進燃料しか搭載されておらず、かつ燃料補給を受ける設計にもなっていないため、慎重な推進燃料使用を心がけているようですが、衛星が搭載する高価な機材が機能しているのに、推進燃料を使い果たして軌道上に浮かんでいるだけの状態になるのが大部分のもようです
もちろん推進燃料の搭載量を増やす検討もあったようですが、打ち上げ重量制約の範囲で、厳しい宇宙環境に耐える主任務機材の信頼性を確保するために重量がかさみ、燃料搭載量は抑えざるを得なかったのが現在の状況です
「SM&L」の「SM:Space Mobility」に直結する推進燃料補給以外にも、「SM&L」の「L:Logistics」に該当する衛星への補給支援(軌道上での点検、部品確保、修理、能力向上)も取り残された重要課題であり、同レポートは「SM&L」の課題を以下の6つに整理し議論しています
なお、「Materiel Logistics」は「衛星等の維持に必要な部品等を宇宙空間に事前集積&保管すること」、「Client Augmentation」は「軌道上の衛星のアップグレードと修理」、「Active Debris Mitigation」は「デブリを破棄するために軌道変更すること」と説明されています
• Inspection
• Orbit Modification
• Materiel Logistics
• Refueling
• Client Augmentation
• Active Debris Mitigation
レポート執筆者はこの「SM&L」改善を通じて「衛星や宇宙船に機動性を持たせ、状況対応力や強靭性を高める」ために、上記6つの各項目の特性や民間市場での自律的発展可能性を踏まえ、4つのアプローチ(参加Participant, 既存サービス調整導入Customized, テナント参加Anchor Tenant, and 自立開発運用Owner)を米宇宙軍は選択して取り組むべきと提言しています
6日付米空軍協会web記事のまとめによれば、6項目の最初の4項目については、民間衛星での需要もあることから、民間企業が進める技術開発とサービスから、打ち上げ能力、宇宙での事前配置されたリソースとデポなど、資材ロジスティクス能力を活用でき、また衛星ライフサイクルのさまざまな段階で衛星軌道を変更することが可能だと同レポートは分析しています
一方で、デブリの軽減とクライアント増強 (軌道上衛星の能力向上や修理) には、そのような機能開発や展開に、宇宙軍による多くの特設投資が必要になる場合もあると主張し、いずれにしても、米宇宙軍を21世紀の戦略環境にふさわしい宇宙戦闘部隊に発展させるには、「SM&L」検討&導入が不可欠だと同レポートの筆者3名は訴えています
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Aerospace Corporationの同レポート紹介webページ
→https://csps.aerospace.org/papers/enabling-new-space-paradigm-harnessing-space-mobility-and-logistics
引き続き、宇宙ドメインについては基礎知識不足を「露呈しぱなっし」のまんぐーすですが、「SM&L」との用語など、小さなことからコツコツと学んでいきたいと思います。
末尾に紹介しております、ブログ「東京の郊外より」支援の会へのサポートについても、年初に当たり改めてご検討をお願い申し上げます
衛星に機動性を求める米国防省の取り組み
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holylandtokyo.com/2021/09/28/2233/
「核熱推進システム設計を3企業と」→https://holylandtokyo.com/2021/04/20/111/
衛星の延命や機動性付与技術
「衛星用の熱核推進システム推奨」→https://holylandtokyo.com/2022/01/27/2622/
「衛星延命に企業と連携」→https://holylandtokyo.com/2021/11/10/2350/
「画期的:衛星が推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holylandtokyo.com/2020/02/28/839/
「米国防省が国防宇宙戦略を発表」→https://holylandtokyo.com/2020/06/23/629/
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機動:衛星能力を維持しつつ宇宙での位置を変える
ロジ:機能点検、修理、給油、機能増強など

「衛星のSM&L」は、宇宙軍が2020年6月発表の最初の文書「Spaceopower」でも、核となる5つの重要分野の一つと記述しているテーマですが、打ち上げ重量の制約の中で技術的ハードルも高く、宇宙軍創設から現在までの数年間は「運用部隊も運用部隊も関連取得計画もなかったし、機会もなかった」と認める状況にある分野だと、「Enabling a New Space Paradigm: Harnessing Space Mobility and Logistics」とのレポートは表現しています。

もちろん推進燃料の搭載量を増やす検討もあったようですが、打ち上げ重量制約の範囲で、厳しい宇宙環境に耐える主任務機材の信頼性を確保するために重量がかさみ、燃料搭載量は抑えざるを得なかったのが現在の状況です

なお、「Materiel Logistics」は「衛星等の維持に必要な部品等を宇宙空間に事前集積&保管すること」、「Client Augmentation」は「軌道上の衛星のアップグレードと修理」、「Active Debris Mitigation」は「デブリを破棄するために軌道変更すること」と説明されています
• Inspection
• Orbit Modification
• Materiel Logistics
• Refueling
• Client Augmentation
• Active Debris Mitigation

6日付米空軍協会web記事のまとめによれば、6項目の最初の4項目については、民間衛星での需要もあることから、民間企業が進める技術開発とサービスから、打ち上げ能力、宇宙での事前配置されたリソースとデポなど、資材ロジスティクス能力を活用でき、また衛星ライフサイクルのさまざまな段階で衛星軌道を変更することが可能だと同レポートは分析しています

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Aerospace Corporationの同レポート紹介webページ
→https://csps.aerospace.org/papers/enabling-new-space-paradigm-harnessing-space-mobility-and-logistics
引き続き、宇宙ドメインについては基礎知識不足を「露呈しぱなっし」のまんぐーすですが、「SM&L」との用語など、小さなことからコツコツと学んでいきたいと思います。
末尾に紹介しております、ブログ「東京の郊外より」支援の会へのサポートについても、年初に当たり改めてご検討をお願い申し上げます
衛星に機動性を求める米国防省の取り組み
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holylandtokyo.com/2021/09/28/2233/
「核熱推進システム設計を3企業と」→https://holylandtokyo.com/2021/04/20/111/
衛星の延命や機動性付与技術
「衛星用の熱核推進システム推奨」→https://holylandtokyo.com/2022/01/27/2622/
「衛星延命に企業と連携」→https://holylandtokyo.com/2021/11/10/2350/
「画期的:衛星が推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holylandtokyo.com/2020/02/28/839/
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米軍が宇宙空間で初の生物学的な実験実施 [サイバーと宇宙]
NASAの月面探査計画の「アルテミス」宇宙船を利用し
チェルノブイリ原発跡で発見された放射線に強い真菌の特性調査
将来の宇宙活動に備え放射線防護の仕組みを菌から学ぶため
12月11日、NASAによる50年ぶりの月探査計画の第1弾準備宇宙船「Artemis I」が、25日間の宇宙飛行を終えて大西洋上に帰還しましたが、この宇宙船に国防省として初の生物学的実験用のサンプルが搭載されていたとして話題になっています
「生物学的実験用のサンプル」と聞くと、生物兵器のような印象を与えて身構えますが、チェルノブイリ原発事故現場で見つかった強い放射線環境の中でも繁栄し続けている「Aspergillus Niger」との「黒化した真菌」から、放射線防護の仕組みや放射線から人間を守るヒントを得られないか、米海軍研究所(NRL)が取り組んでいる研究のための実験です
この「Aspergillus Niger」は地球上で身近にある真菌(fungus)ですが、1986年に発生したチェルノブイリ原発事故後の高レベル電離放射線 (紫外線、X、およびガンマ線) が存在する環境でありながら、同原発の損傷した原子炉壁を覆いつくして繁殖を続けており、これまでの国際宇宙ステーション(ISS)での実験でも、宇宙放射線を苦にすることなく、むしろ放射線の恩恵を受けて発芽と成長を続けることが確認されています
海軍研究所の同研究プロジェクト担当Zheng Wang 博士は、将来米軍が巻き込まれる可能性がある「核戦争」や「核降下物:nuclear fallout」から兵士や国民を守る方法を探るため、更に米軍宇宙船の宇宙放射線環境での耐性を高めるために、「Aspergillus Niger」の放射線からの自己防御の仕組みを解明し、人間や宇宙船を保護するためのコーティング材など作りたいと考えています
今回の宇宙船「Artemis I」による25日間の宇宙滞在は、ISSのような地球周回低高度軌道での滞在とは異なり、2回月に接近する宇宙飛行から、同じ期間でも2倍の放射線を浴びる環境が得られることから、海軍研究所の研究者にとって貴重な実験データが得られると期待されています
チェルノブイリのような場所での放射線は宇宙放射線とは異なりますが、どちらも人間に危険をもたらす点で同じ放射線であり、宇宙船「Artemis I」での搭載実験は環境の違いも踏まえつつ10年の準備期間を経て実現したものだそうです
具体的には、「Aspergillus Niger」の自己防御機能の秘密は「メラニン」にあると推定されていることから、同真菌のメラニン欠乏症タイプやDNA 修復メカニズムが欠損したタイプも「Artemis I」で宇宙に送り込んで、通常の「Aspergillus Niger」との影響の出方等を比較観察した模様です
宇宙船「Artemis I」に搭載されたサンプルの分析は今後進められますが、2023年3月にはSpaceXのロケットで異なる同真菌サンプルをISSに持ち込む実験が予定され、翌2024年には南極で寒さ等が同真菌に与える影響の確認実験が計画されているとのことです
また、NASA関連宇宙ミッションの活用だけでなく、拡大を続ける米宇宙軍の宇宙アセットを活用した関連実験も海軍研究所Wang 博士は検討していると語っています
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チェルノブイリ原発の残骸でたくましく増殖する「Aspergillus Niger」に自然界の奥深さを感じるとともに、自然の中に放射性物質の半減期を早める力が備わっていないか? そんな研究をやってるところは無いのか?・・・などと妄想してしまいました
このような地道で興味深い研究が、宇宙環境を利用してますます推進されんことを祈るばかりです。きな臭い宇宙兵器のことばかりでなく・・・
ここで実験されているかも・・・
謎の宇宙事件船X-37B関連
「908日宇宙滞在後に帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/11/24/3952/
「宇宙滞在記録を更新中」→https://holylandtokyo.com/2022/07/29/3458/
「6回目:少し情報公開?」→https://holylandtokyo.com/2020/05/15/672/
「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-11
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
チェルノブイリ原発跡で発見された放射線に強い真菌の特性調査
将来の宇宙活動に備え放射線防護の仕組みを菌から学ぶため

「生物学的実験用のサンプル」と聞くと、生物兵器のような印象を与えて身構えますが、チェルノブイリ原発事故現場で見つかった強い放射線環境の中でも繁栄し続けている「Aspergillus Niger」との「黒化した真菌」から、放射線防護の仕組みや放射線から人間を守るヒントを得られないか、米海軍研究所(NRL)が取り組んでいる研究のための実験です
海軍研究所の同研究プロジェクト担当Zheng Wang 博士は、将来米軍が巻き込まれる可能性がある「核戦争」や「核降下物:nuclear fallout」から兵士や国民を守る方法を探るため、更に米軍宇宙船の宇宙放射線環境での耐性を高めるために、「Aspergillus Niger」の放射線からの自己防御の仕組みを解明し、人間や宇宙船を保護するためのコーティング材など作りたいと考えています

チェルノブイリのような場所での放射線は宇宙放射線とは異なりますが、どちらも人間に危険をもたらす点で同じ放射線であり、宇宙船「Artemis I」での搭載実験は環境の違いも踏まえつつ10年の準備期間を経て実現したものだそうです

宇宙船「Artemis I」に搭載されたサンプルの分析は今後進められますが、2023年3月にはSpaceXのロケットで異なる同真菌サンプルをISSに持ち込む実験が予定され、翌2024年には南極で寒さ等が同真菌に与える影響の確認実験が計画されているとのことです
また、NASA関連宇宙ミッションの活用だけでなく、拡大を続ける米宇宙軍の宇宙アセットを活用した関連実験も海軍研究所Wang 博士は検討していると語っています
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このような地道で興味深い研究が、宇宙環境を利用してますます推進されんことを祈るばかりです。きな臭い宇宙兵器のことばかりでなく・・・
ここで実験されているかも・・・
謎の宇宙事件船X-37B関連
「908日宇宙滞在後に帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/11/24/3952/
「宇宙滞在記録を更新中」→https://holylandtokyo.com/2022/07/29/3458/
「6回目:少し情報公開?」→https://holylandtokyo.com/2020/05/15/672/
「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-11
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米宇宙軍の戦術演習Space Flagに同盟3か国が参加へ [サイバーと宇宙]
統合国家演習に格上げされ、12月に豪加英が参加
今年2月に「7か国宇宙作戦ビジョン2031」を発表した仲間から
「Black」「Red」「Blue」Skies演習も目的を絞って実施へ
11月14日付米空軍協会web記事が、米宇宙軍が主催して12月予定の演習「Space Flag 23-1」に、今年2月に「7か国宇宙作戦ビジョン2031」を米国と共に作成発表した仏、独、英、加、豪、NZの中から、豪加英3か国軍が参加することになったと紹介しています
「Space Flag」演習は、宇宙軍が編成される前から米空軍宇宙コマンドによって2017年から実施されてきた戦術レベルの技量向上を目指す演習ですが、2022年から他軍種を参加させることを条件に「Joint National Training Capability」レベルの演習に格上げされた演習で、担当の宇宙訓練&即応態勢コマンド(STARCOM)が、サイバーと情報関係者がより多く参加するよう準備しているとアピールしている演習です
「Space Flag」のほか米宇宙軍訓練コマンド(STARCOM)は、「Black Skies」、「Red Skies」、「Blue Skies」との色の名前を冠した訓練分野を絞り込んだSkies演習を開始しており、「Black Skies」演習は実兵器の発射を伴う電子戦演習、「Red Skies」演習は衛星軌道上での戦い、「Blue Skies」演習はサイバー戦と宇宙を扱った訓練に取り組んでいます
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2010年代には、米宇宙軍の前身の米空軍宇宙コマンドが主催する「Schriever Wargame」との演習をよくご紹介しましたが、国防省以外の米国政府機関や同盟国からも広い分野から参加を受け入れ、宇宙が軍事以外にも社会経済活動とどのようにかかわっているかを「実感」してもらうことが主眼のような演習だったとの印象を持っています。
「Schriever」演習など地道な活動の成果もあり、2021年7月には米宇宙軍No2が同盟国等の姿勢の急変に言及し・・・
・最近数年間で同盟国の宇宙ドメインへの関心が急速に高まったことにより、以前は米国活動への協力に消極的だった同盟国も含め、米宇宙軍活動への協力や資金協力申し出が急増している
・過去数年間の変化はドラマチックで、背景には潜在的敵対国による宇宙活動活発化への危機感があり、効果的な協力が得られなかった国々からも、協力できる分野は無いか? 我々は何をすべきだろうか? などの問い合わせをいただいている・・・・と語っていたところです
対中国最前線の日本も、早く「Space Flag」演習演習に参加できるようになりたいですね。・・・このように言うと、「大っぴらにはできないが、実は・・・」とのコメントを頂戴することもありますが・・・
米宇宙軍と同盟国との連携強化
「7か国で宇宙作戦ビジョン2031」→https://holylandtokyo.com/2022/02/25/2753/
「米宇宙軍に同盟国からの申し出急増中」→https://holylandtokyo.com/2021/08/04/2064/
Schriever Wargame関連記事
「2019年は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-18
「日本初参加の2018年の同演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-25
「米国が日本を誘う・・・」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-3
「日本は不参加:米軍宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「Schriever Wargame」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
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今年2月に「7か国宇宙作戦ビジョン2031」を発表した仲間から
「Black」「Red」「Blue」Skies演習も目的を絞って実施へ

「Space Flag」演習は、宇宙軍が編成される前から米空軍宇宙コマンドによって2017年から実施されてきた戦術レベルの技量向上を目指す演習ですが、2022年から他軍種を参加させることを条件に「Joint National Training Capability」レベルの演習に格上げされた演習で、担当の宇宙訓練&即応態勢コマンド(STARCOM)が、サイバーと情報関係者がより多く参加するよう準備しているとアピールしている演習です

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「Schriever」演習など地道な活動の成果もあり、2021年7月には米宇宙軍No2が同盟国等の姿勢の急変に言及し・・・

・過去数年間の変化はドラマチックで、背景には潜在的敵対国による宇宙活動活発化への危機感があり、効果的な協力が得られなかった国々からも、協力できる分野は無いか? 我々は何をすべきだろうか? などの問い合わせをいただいている・・・・と語っていたところです
対中国最前線の日本も、早く「Space Flag」演習演習に参加できるようになりたいですね。・・・このように言うと、「大っぴらにはできないが、実は・・・」とのコメントを頂戴することもありますが・・・
米宇宙軍と同盟国との連携強化
「7か国で宇宙作戦ビジョン2031」→https://holylandtokyo.com/2022/02/25/2753/
「米宇宙軍に同盟国からの申し出急増中」→https://holylandtokyo.com/2021/08/04/2064/
Schriever Wargame関連記事
「2019年は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-18
「日本初参加の2018年の同演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-25
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「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「Schriever Wargame」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
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X-37Bが記録更新の908日宇宙滞在後に帰還 [サイバーと宇宙]
従来の780日間をさらに更新
2010年から運用開始の同機の後継は民間企業製か
11月12日、米宇宙軍が運用する再利用可能な実験無人宇宙船X-37Bが、記録更新の908日間の宇宙飛行を終えフロリダ州Cape Canaveral宇宙センターに無事帰還しました。2020年5月17日に打ち上げられた同機6回目の飛行で、5回目に記録していた780日間の宇宙滞在記録を更新しました
X-37Bは「9m×4.5m×3m」とマイクロバス弱程度の大きさで、ロケットの先端に取り付けて打ち上げられ、帰還時は滑走路に着陸する無人宇宙船です。OTV(Orbital Test Vehicle)が正式名称の実験船ですが、、宇宙でどんな実験を行っているのか非公開部分が多く「謎の宇宙船」とも言われ、追跡マニアが「中露の衛星を追跡している」等々の「噂」や「推測」を流して時に話題になったりしていました
2010年4月に最初の打ち上げられた1回目の宇宙滞在が224日間、2回目が468日間、3回目が675日、そして2017年5月に帰還の4回目は718日間、2019年10月に帰還した5回目は780日で、この記録が今回6回目の飛行で908日に更新されたわけです。
「謎の宇宙船」と呼ばれながらも少しずつ情報公開の動きも見られ、6回目のフライトでは以下のような試験・実験を実施していると「ほんの一部分」ながら公開されています
●米空軍士官学校の教授や学生が運用している実験小型衛星「FalconSat-8」の運搬放出
●米海軍研究所の太陽光発電エネルギーを電磁波送信するアンテナ試験
●NASAによる素材研究実験「METIS-2」→耐熱コーティング、放射線シールド素材等の試験と、「植物の種子実験」→宇宙環境が植物の種子に与える影響を、将来の惑星間飛行や他惑星への移住計画に備え確認
●帰還のための大気圏再突入の際、「リング形状」の装置を機体後方に付けて飛行し、着陸前に切り離す空力特性試験を実施
米宇宙軍は、X-37Bが今後あと何回宇宙飛行実験を行うか等について明確にしていませんが、2年前から宇宙軍はX-37Bの後継検討の必要性を発信し始めており、折しも民間企業Sierra Spaceの「Dream Chaser」とのX-37Bとそっくりの宇宙船が、国際宇宙ステーションへの物資輸送を2023年夏に実施する予定となっており、有力後継候補と言われているようです
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このX-37Bを最初にブログでご紹介したのが2010年4月で、あれから12年・・・。しみじみしております。
あまり深い付き合いはなく、道ですれ違って挨拶する程度ですが、昔から知ってるご近所の方・・・のようなX-37Bでした
X-37B関連の記事
「宇宙滞在記録を更新中」→https://holylandtokyo.com/2022/07/29/3458/
「2020年5月打上時:少しソフト路線に?」→https://holylandtokyo.com/2020/05/15/672/
「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-11
「中国版X-37B?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-15
「中国衛星を追跡?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-07
「Sシャトルの代替?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「米が宇宙アセット防護計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16
「関連小ネタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-04
「X-37Bをご存じですか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20
「Dream Chaser」解説のwikipedia
→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%BC_(%E5%AE%87%E5%AE%99%E8%88%B9)
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2010年から運用開始の同機の後継は民間企業製か

X-37Bは「9m×4.5m×3m」とマイクロバス弱程度の大きさで、ロケットの先端に取り付けて打ち上げられ、帰還時は滑走路に着陸する無人宇宙船です。OTV(Orbital Test Vehicle)が正式名称の実験船ですが、、宇宙でどんな実験を行っているのか非公開部分が多く「謎の宇宙船」とも言われ、追跡マニアが「中露の衛星を追跡している」等々の「噂」や「推測」を流して時に話題になったりしていました

「謎の宇宙船」と呼ばれながらも少しずつ情報公開の動きも見られ、6回目のフライトでは以下のような試験・実験を実施していると「ほんの一部分」ながら公開されています
●米空軍士官学校の教授や学生が運用している実験小型衛星「FalconSat-8」の運搬放出
●米海軍研究所の太陽光発電エネルギーを電磁波送信するアンテナ試験

●帰還のための大気圏再突入の際、「リング形状」の装置を機体後方に付けて飛行し、着陸前に切り離す空力特性試験を実施
米宇宙軍は、X-37Bが今後あと何回宇宙飛行実験を行うか等について明確にしていませんが、2年前から宇宙軍はX-37Bの後継検討の必要性を発信し始めており、折しも民間企業Sierra Spaceの「Dream Chaser」とのX-37Bとそっくりの宇宙船が、国際宇宙ステーションへの物資輸送を2023年夏に実施する予定となっており、有力後継候補と言われているようです
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あまり深い付き合いはなく、道ですれ違って挨拶する程度ですが、昔から知ってるご近所の方・・・のようなX-37Bでした
X-37B関連の記事
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「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-11
「中国版X-37B?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-15
「中国衛星を追跡?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-07
「Sシャトルの代替?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「米が宇宙アセット防護計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16
「関連小ネタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-04
「X-37Bをご存じですか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20
「Dream Chaser」解説のwikipedia
→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%BC_(%E5%AE%87%E5%AE%99%E8%88%B9)
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豪州がサイバー能力大拡大の10年計画推進中 [サイバーと宇宙]

事柄の性質上から細部は不明な部分が多いのですが、10年計画で「サイバー攻撃能力」を3倍に、「継続的なデジタル界の捜索探知能力」を2倍に、「世界的な拠点数」を4倍にし、先進人工知能や機械学習能力開発に取り組み、そのために新たに1900名の人員を増強する意欲的な計画が、Scott Morrison前首相時の今年3月に発表され既に開始されているとのことです

1900人の人員増も、2023-24年に400名、24-25年に600名、25-26年に500名、26-27年に200名と前のめりに行われる計画で、10年で約1兆円の予算の内、スターダッシュの4年間に4200億円を投入する計画で、うち3600億円は政府の国防優先予算(Integrated Investment Program)に割り当てられ優先扱いとなっているようです

同時に、豪州の国力に比し大規模過ぎとも言われるRedspice計画を精査すべきとの声もあるようですが、ASDトップのRachel Noble長官は、3本柱であるサイバー攻撃強化、情報収集分析能力強化、情勢認識&対応能力強化のどれもあきらめるつもりは無いと明言し、同国専門家もデジタル社会の変化速度を考えれば、極めて緊急性の高い課題だと本計画の推進に期待しているようです
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Twitterが少しは見られるようになって嬉しいのですが、「検討する」から「検討を加速する」に進歩したと言われる日本のリーダーは大丈夫なんでしょうか。
豪州国防省ASDによるRedspice計画説明文書13ページ
→https://www.asd.gov.au/sites/default/files/2022-05/ASD-REDSPICE-Blueprint.pdf
最近のサイバー関連記事
「なぜ露は大規模サイバー攻撃やGPS妨害をしない」→https://holylandtokyo.com/2022/07/26/3497/
「ウ侵略は衛星通信へのサイバー攻撃で開始」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウのサイバー副首相」→https://holylandtokyo.com/2022/03/23/2942/
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米宇宙軍が少佐&大佐級の教育課程をSAIS内に設置へ [サイバーと宇宙]
中上級クラスの高等教育をJohns Hopkins大学と協力し
陸海空軍が軍内に教育機関を保有する中
DCに設置して卒業後の引っ越し負担の軽減も
たぶん他軍種の士官クラスは羨望のまなざしを・・・
10月26日、米宇宙軍とJohns Hopkins大学が、少佐&大佐クラス上級幹部の教育課程を、同大学内の著名なSAIS(School of Advanced International Studies:ワシントンDC)内に宇宙軍用に新設し、2023年夏から開講すると発表しました
米軍の各軍種は、中上級クラス幹部の教育課程を各軍種の大学内に設置しており、宇宙軍も現在は、米空軍がアラバマ州マックスウェル空軍基地「Air University」内で行っている教育課程で、米空軍少佐&大佐クラスらとカリキュラムを一部共有する形で教育を行っていますが、この宇宙軍課程と教官をSAISに移し、SAIS教授陣からの支援も受けて「ワシントンDC」で行うとのことです
宇宙軍が他軍種と異なる形で中上級クラス教育機関を軍外に独立して立ち上げるのは、宇宙軍の規模が他軍種に比して小さく独自の課程運営が難しいことが大きな理由の一つですが、同課程卒業生の多くがペンタゴン勤務になる現状から、家族も含めた引っ越し負担を軽減することも、結果として意味が大きいと宇宙軍の教育担当Shawn N. Bratton少将は正直に語っています
本件を報じる米空軍協会web記事は、例えば米空軍の同課程は前述のようにアラバマ州マックスウェル基地に所在するが、基地周辺の子弟用学校のレベルが低く、配偶者の就職口も限定されることから、課程を履修する大佐クラスから批判的な声が上がっており、また10か月の課程履修後に再び引っ越しをすることへの負担感も人事上の課題となっているようです
また同課程履修で得られる上級ポスト昇進にも重要なJPME資格(Joint Professional Military Education)取得に関し、陸海空軍の場合、選抜され著名一般大学院で高等教育を受ける者は、各軍種の軍事知識を各軍種の教育課程の「通信教育」で並行履修する苦行を強いられますが、SAIS内新課程に配置される宇宙軍人教官からも教育を受ける宇宙軍課程卒業者は、「通信教育」なしでJPME資格を得ることができる点でも軍人学生のメリットが大きいようです
細かな「引っ越し負担」や「卒業時の資格」を最初に説明しましたが、何と言っても大きいのは、宇宙ドメイン問題が単に軍事だけに留まらず、国の経済や社会生活を支える基盤としてクローズアップされる中で、宇宙軍の近未来にリードする人材を、国際関係教育で世界第3位に位置づけられるSAIS教授陣の力も得て、ワシントンDCで行えることのメリットは計り知れないと思います
同時にJohns Hopkins大学のSAISにとっても、今ホットな宇宙問題に現場で立ち向かってきた優秀な30代前半と40代前半の米軍人を学内に毎年60~80名受け入れ、学界での理論研究と結び付ける機会を得ることは、「実践的な政策提案能力獲得」を目指すSAISにとっても大きなメリットと考えられます
現在少佐&大佐クラスの教育機関を、陸軍はペンシルバニア州に、海軍はロードアイランド州に、空軍はアラバマ州に設置していますが、陸海軍の今後同課程で教育を受ける可能性のあるエリートクラスは、宇宙軍のアイディアを「羨望のまなざし」で見ていることでしょう。
宇宙軍を取り巻く環境は、トランプ政権による強引な創設時の熱気が薄れかけており、陸海空軍との予算争いや人材面や政治力等々の側面から厳しさを増すと考えられ、決して明るい見通しはないと思いますが、本件に関しては「逆境をチャンスに変えた」好例としてご紹介しておきます
米宇宙軍関連の記事
「宇宙軍武官の派遣」→https://holylandtokyo.com/2022/08/10/3530/
「地上移動目標の情報を求め」→https://holylandtokyo.com/2022/06/09/3309/
「衛星を地上観測から宇宙監視用へ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/22/2825/
「7か国で宇宙作戦ビジョン制定」→https://holylandtokyo.com/2022/02/25/2753/
「熱核推進システムを応援」→https://holylandtokyo.com/2022/01/27/2622/
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holylandtokyo.com/2021/09/28/2233/
「同盟国から協力申し出急増中」→https://holylandtokyo.com/2021/08/04/2064/
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陸海空軍が軍内に教育機関を保有する中
DCに設置して卒業後の引っ越し負担の軽減も
たぶん他軍種の士官クラスは羨望のまなざしを・・・

米軍の各軍種は、中上級クラス幹部の教育課程を各軍種の大学内に設置しており、宇宙軍も現在は、米空軍がアラバマ州マックスウェル空軍基地「Air University」内で行っている教育課程で、米空軍少佐&大佐クラスらとカリキュラムを一部共有する形で教育を行っていますが、この宇宙軍課程と教官をSAISに移し、SAIS教授陣からの支援も受けて「ワシントンDC」で行うとのことです
本件を報じる米空軍協会web記事は、例えば米空軍の同課程は前述のようにアラバマ州マックスウェル基地に所在するが、基地周辺の子弟用学校のレベルが低く、配偶者の就職口も限定されることから、課程を履修する大佐クラスから批判的な声が上がっており、また10か月の課程履修後に再び引っ越しをすることへの負担感も人事上の課題となっているようです

細かな「引っ越し負担」や「卒業時の資格」を最初に説明しましたが、何と言っても大きいのは、宇宙ドメイン問題が単に軍事だけに留まらず、国の経済や社会生活を支える基盤としてクローズアップされる中で、宇宙軍の近未来にリードする人材を、国際関係教育で世界第3位に位置づけられるSAIS教授陣の力も得て、ワシントンDCで行えることのメリットは計り知れないと思います
現在少佐&大佐クラスの教育機関を、陸軍はペンシルバニア州に、海軍はロードアイランド州に、空軍はアラバマ州に設置していますが、陸海軍の今後同課程で教育を受ける可能性のあるエリートクラスは、宇宙軍のアイディアを「羨望のまなざし」で見ていることでしょう。
宇宙軍を取り巻く環境は、トランプ政権による強引な創設時の熱気が薄れかけており、陸海空軍との予算争いや人材面や政治力等々の側面から厳しさを増すと考えられ、決して明るい見通しはないと思いますが、本件に関しては「逆境をチャンスに変えた」好例としてご紹介しておきます
米宇宙軍関連の記事
「宇宙軍武官の派遣」→https://holylandtokyo.com/2022/08/10/3530/
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Musk氏が「ウ」支援衛星ネット費用を米国防省に要求 [サイバーと宇宙]
政府を支える民間衛星が被攻撃時、米国は防御してくれるか?とも
Musk氏が「ウ」大統領にクリミア半島はあきらめろとSNSで
10月14日付Defense-Newsが報じる匿名情報(最初にCNNが報道)によれば、ウクライナの対ロシア軍事行動に不可欠な衛星インターネット通信を「自腹で」提供しているSpaceX社のElon Musk氏が米国防省に対し、同通信サービス料を国防省で負担するよう要求している模様です
Spacex社はロシアのウクライナ侵攻直後から、ウクライナ副首相(IT担当相兼務)からのSNS上での要請に数日で対応し、同社の「Starlink」サービスをウクライナに提供した約15万個の地上ステーション装置を通じて支えており、地上施設費用だけでも毎月30億円、これに低高度軌道に配置された衛星の製造や打ち上げ費用等を含めると数百億円規模(570億円との報道あり)とも推定されています
14日の政府記者会見では、本件に関する質問が国防省や大統領府に多数向けられましたが、国防省報道官は「同リンクに関しSpaceX社とコンタクトしている」とのみ述べ細部には触れず、Sabrina Singh大統領府副報道官も「国防省はウ国防省と協議している。このネットサービスが必要で、ウクライナ軍とウクライナのために安定した通信環境を確保したいと考えている」と述べるにとどまっています
この問題を背景で複雑にしているのは、3日の週にMusk氏が「(露が占領した地域を)ウクライナに戻すべきか、露に支配させておくべきか」とのネット投票をツイッター上で呼び掛けたことに端を発する、Musk氏と「ウ」大統領の意見相違の表面化です
このネット投票呼びかけツイートに対し「ウ」大統領が、「Musk氏は、ウクライナ支援者とロシア支援者のどちらが好きなのか?」と疑問を投げかけ、これに対しMusk氏が「ウクライナを強く支援しているが、これ以上の戦争エスカレーションは「ウ」や世界への影響が害が大きすぎる」とツイートして食い違いが表面化したことが、今回の米国防省への費用負担要求に関連しているとも言われています
このツイッターのやり取りでMusk氏は、クリミア半島のロシア支配をウクライナが認め、ウクライナによるNATO加盟申請を取り下げ、ウクライナは中立的政治姿勢を取るべきとまで主張しており、米国政府との意見の相違も明らかになっています
更にMusk氏は一連のツイートの中で、国家安全保障分野で宇宙ドメインの重要性が急速に増加し、かつ民間衛星事業者が軍事や安全保障分野で大きな役割を果たしている中で、「我々はサイバー攻撃や妨害と日々戦っているが、民間事業者が攻撃を受けたなら、米国は我々を守ってくれるのか?」との究極に重い課題をストレートにぶつけて話題となっているところでもあります。
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SpaceXが提供している「Starlink」は、ウクライナ軍による軍事作戦の極めて重要なインフラとなっており、ドローン運用や目標照準や偵察活動などなど多方面に置いて不可欠で、米軍幹部が「system has proven exceptionally effective」と表現するものです
またこのサービスを維持するSpaceXの努力も目を見張るものがあり、4月に国防省電子戦担当幹部が講演で、ロシアの電子戦やサンバー妨害から「Starlink」を守り維持しているSpaceX社の対応を「泣けるほど素晴らしい」と讃え、その迅速性と適切性から米政府は学ぶべきだと訴えた程です
最近繰り返しご紹介しているように、国家安全保障分野の民間衛星事業者への依存度は急速に固まっており、「民間事業者が攻撃を受けたなら、米国は我々を守ってくれるのか?」は極めて重い問いかけです。宇宙に限らず、サイバー空間でも同様の問いが発せられていると認識すべきです
Elon Musk率いるSpaceX社の頑張り
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
「国防省有志が民間技術迅速活用求める」→https://holylandtokyo.com/2022/09/16/3609/
「民阿寒衛星を守る国際規範を」→https://holylandtokyo.com/2022/09/05/3601/
「米宇宙軍の能力向上に民間衛星をまず活用」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
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Musk氏が「ウ」大統領にクリミア半島はあきらめろとSNSで

Spacex社はロシアのウクライナ侵攻直後から、ウクライナ副首相(IT担当相兼務)からのSNS上での要請に数日で対応し、同社の「Starlink」サービスをウクライナに提供した約15万個の地上ステーション装置を通じて支えており、地上施設費用だけでも毎月30億円、これに低高度軌道に配置された衛星の製造や打ち上げ費用等を含めると数百億円規模(570億円との報道あり)とも推定されています

この問題を背景で複雑にしているのは、3日の週にMusk氏が「(露が占領した地域を)ウクライナに戻すべきか、露に支配させておくべきか」とのネット投票をツイッター上で呼び掛けたことに端を発する、Musk氏と「ウ」大統領の意見相違の表面化です

このツイッターのやり取りでMusk氏は、クリミア半島のロシア支配をウクライナが認め、ウクライナによるNATO加盟申請を取り下げ、ウクライナは中立的政治姿勢を取るべきとまで主張しており、米国政府との意見の相違も明らかになっています

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SpaceXが提供している「Starlink」は、ウクライナ軍による軍事作戦の極めて重要なインフラとなっており、ドローン運用や目標照準や偵察活動などなど多方面に置いて不可欠で、米軍幹部が「system has proven exceptionally effective」と表現するものです

最近繰り返しご紹介しているように、国家安全保障分野の民間衛星事業者への依存度は急速に固まっており、「民間事業者が攻撃を受けたなら、米国は我々を守ってくれるのか?」は極めて重い問いかけです。宇宙に限らず、サイバー空間でも同様の問いが発せられていると認識すべきです
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宇宙監視望遠鏡SSTの米から豪への移設順調 [サイバーと宇宙]
2013年に米豪でSST移設合意
2027年にニューメキシコ州から移設後、試験経てIOC宣言
完全な運用態勢確立は2023年に
南半球への設置で切れ目ない宇宙監視網SSN構築へ
9月末、2017年に米国ニューメキシコ州から豪州西部に移設されたDARPAとMITが共同開発した宇宙監視望遠鏡(SST:Space Surveillance Telescope)について、所要の調整や試験を経て初期運用態勢を確立したと米宇宙軍が発表しました。なお移設場所は西部豪州とのみ報道されており、細部位置は不明です
この宇宙望遠鏡SSTの移設は、2012年の米豪2+2での議論を経て2013年に両国で合意されたもので、合意には宇宙望遠鏡移設のほか、カリブ海島国アンティグア(Antigua)の米空軍施設に配備していた宇宙監視レーダー「C-Band ground-based radar system」を2014年に豪州西部に移設することも含む、宇宙監視ネットワークSSN強化全体を目指したものです
ただSSTの性能については、2012年に初めて取り上げた時点から一貫して「従来宇宙望遠鏡に比し桁違いの能力を有し、広範な視野と小さな物体を遠方でも探知追尾でき、物体の写真撮影が可能である」とのみ公表されているのみで、細部は不明です。豪州に設置することにより、静止軌道上の宇宙物体をより多く監視できるようです
北米大陸から南半球への監視センサーの移動は、地球の裏側にセンサーを移して監視網を拡大充実させようとの試みですが、既に移設されている「C-Band」宇宙監視レーダーは、アジアからのロケットやミサイル発射を追尾することが可能な点で中国や北朝鮮への監視強化効果も期待されています
これら宇宙監視ネットワーク強化による宇宙状況認識能力への取り組みへの背景には、例えば4月に発表された「懸念する科学者連合:Union of Concerned Scientists」による推計によると、宇宙軌道上に存在する衛星の数が、2015年に1400個だったものが、2022年4月時点で5500個に急増し、今後10年間で58000個まで爆発的に増えるとの見積もりがあり、
また9月29日付の米会計検査院GAOレポートが、増加する衛星が通信やネットワーク接続性向上に大きく貢献する一方で、衛星や宇宙ゴミの増加による物理的衝突リスクの増加のほか、衛星や宇宙ゴミからの電磁波放射や太陽光反射の増加による通信や天文学への悪影響を強く懸念し、その影響には予測不可能なものもある現実があります
また関連で米宇宙軍No2のDavid Thompson副作戦部長は、機能停止した衛星の破棄等に関する国際的な基準やルールの設定の重要性を訴え、GAOも同様のルールや基準設定のオプションを4例示し、国際的な議論を活性化すべきと米政府や関係機関に呼び掛けています
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「機能停止した衛星の破棄等に関する国際的な基準やルールの設定」や「国際的議論の活性化」は、現在の国際情勢を見ると絶望的な感がしますが、「宇宙兵器の制限」と合わせ、このような問題に地道に取り組む米国には頭が下がります。
引き続き「宇宙」に関しては基礎知識が絶対的に不足しているまんぐーすですが、日本のJAXAや航空自衛隊のレーダーで、宇宙監視に協力する検討があったと思うのですが、どの程度進んでいるのでしょうか・・・。最近は防衛省の概算要求資料を見るのもサボっていますので、反省しております
2012年当時の米豪協議関連記事
「米軍が豪に宇宙監視レーダー移設」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2012-11-15
宇宙兵器問題への取り組み
「民間衛星を守る国際規範を」→https://holylandtokyo.com/2022/09/05/3601/
「国防宇宙戦略を発表」→https://holylandtokyo.com/2020/06/23/629/
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holylandtokyo.com/2020/06/01/611/
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2027年にニューメキシコ州から移設後、試験経てIOC宣言
完全な運用態勢確立は2023年に
南半球への設置で切れ目ない宇宙監視網SSN構築へ

この宇宙望遠鏡SSTの移設は、2012年の米豪2+2での議論を経て2013年に両国で合意されたもので、合意には宇宙望遠鏡移設のほか、カリブ海島国アンティグア(Antigua)の米空軍施設に配備していた宇宙監視レーダー「C-Band ground-based radar system」を2014年に豪州西部に移設することも含む、宇宙監視ネットワークSSN強化全体を目指したものです

北米大陸から南半球への監視センサーの移動は、地球の裏側にセンサーを移して監視網を拡大充実させようとの試みですが、既に移設されている「C-Band」宇宙監視レーダーは、アジアからのロケットやミサイル発射を追尾することが可能な点で中国や北朝鮮への監視強化効果も期待されています

また9月29日付の米会計検査院GAOレポートが、増加する衛星が通信やネットワーク接続性向上に大きく貢献する一方で、衛星や宇宙ゴミの増加による物理的衝突リスクの増加のほか、衛星や宇宙ゴミからの電磁波放射や太陽光反射の増加による通信や天文学への悪影響を強く懸念し、その影響には予測不可能なものもある現実があります

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「機能停止した衛星の破棄等に関する国際的な基準やルールの設定」や「国際的議論の活性化」は、現在の国際情勢を見ると絶望的な感がしますが、「宇宙兵器の制限」と合わせ、このような問題に地道に取り組む米国には頭が下がります。

2012年当時の米豪協議関連記事
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宇宙兵器問題への取り組み
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国防省有志が宇宙での大戦略や民間技術迅速活用求める [サイバーと宇宙]
「2022年宇宙産業基盤状況レポート」で
米国政府に官民をまとめる宇宙大戦略作成求める
日進月歩の民間技術を迅速に大規模に導入可能にすべきと
8月25日付Defense-Newsは、米国宇宙産業界約250名の意見も踏まえ、米国防省や空軍研究所や宇宙軍有志が取りまとめた「2022 State of the Space Industrial Base」の概要を取り上げ、同レポートが4年連続で「米国の官民宇宙活動を束ねる大戦略を早急に定めないと、窮迫する中国に戦略的にも技術的にも2032年頃までに追い越される」との危機感を紹介しています
例えば同レポートでは、国防省や米軍や西側同盟国が、規則に縛られ新技術や新手法導入を遅延させられている官僚機構問題を早期に解決し、米国民間企業で日進月歩で進む技術的進歩を、より迅速により大胆に獲得可能なプロセスを確立する必要があると訴え、
具体的に、少なくとも米宇宙軍は年間予算の20%を宇宙産業界から調達するよう規定すべきだとの昨年2021年レポートの要求を再び記載し、2023年度予算において大きな変化が見られなかったことへの宇宙産業界の落胆が示されているようです。
背景には、前述のように2032年頃までに宇宙分野で中国に追い越されるとの危機感があり、同時に宇宙への関心の高まりから、米産業界では2021年の宇宙への投資額が前年比倍増の約2兆円($15.4 billion)に達し、商用宇宙アセトを活用した画像・通信・分析能力が、ウクライナ侵略でもその実力を遺憾なく発揮している現状があります
米国防省の民間技術迅速導入担当部署であるDIU(Defense Innovation Unit)の宇宙担当部長のSteve Butow氏は、「米国政府としての大戦略は、今後10年と言ったスパンではなく、21世紀全体を見据えたものである必要があり、共通の長期ビジョンのもと、(官民が協力して)望ましい宇宙の将来を達成する道筋を描く必要がある」と訴えています
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繰り返しになりますが、このレポートは国防省DIUと空軍研究所と宇宙軍有志が、最近毎年春開催のworkshop(写真下)に参加した米国軍需産業界関係者約250名の意見も踏まえて取りまとめたもので、その狙いは、「大戦略」の必要性や調達改革を米国政府に対し求め、かつ米議会や米国民に現状を説明して改善に理解を求めるためのものと推測しています
軍需産業基盤の現状レポートには、国防省がまとめて政府や議会や国民に窮状を訴えるものや、有識者によるものなどさまざまあるのですが、「宇宙軍予算の2割を民間からの調達に充てよ」との具体的な要望が、国防省や米軍有志によるレポートに含まれることに、最近注目を集めるこの分野への理解不足を反省しております
宇宙産業基盤レポートの現物(136ページ)
→https://assets.ctfassets.net/3nanhbfkr0pc/3wpHArrpttx99gFk5vfymS/873bf925beb44e0cf30a07170927acf5/State_of_the_Space_Industrial_Base_2022_Report.pdf
米国軍需産業の分析レポート
「中国資本の浸透警戒」→https://holylandtokyo.com/2020/03/27/791/
「2019年世界の軍需産業TOP100」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-23
「2019年版 米国防省軍需産業レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-28
「2018年版レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1
ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
「米宇宙軍の能力向上に民間衛星をまず活用」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/
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米国政府に官民をまとめる宇宙大戦略作成求める
日進月歩の民間技術を迅速に大規模に導入可能にすべきと

例えば同レポートでは、国防省や米軍や西側同盟国が、規則に縛られ新技術や新手法導入を遅延させられている官僚機構問題を早期に解決し、米国民間企業で日進月歩で進む技術的進歩を、より迅速により大胆に獲得可能なプロセスを確立する必要があると訴え、

背景には、前述のように2032年頃までに宇宙分野で中国に追い越されるとの危機感があり、同時に宇宙への関心の高まりから、米産業界では2021年の宇宙への投資額が前年比倍増の約2兆円($15.4 billion)に達し、商用宇宙アセトを活用した画像・通信・分析能力が、ウクライナ侵略でもその実力を遺憾なく発揮している現状があります

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繰り返しになりますが、このレポートは国防省DIUと空軍研究所と宇宙軍有志が、最近毎年春開催のworkshop(写真下)に参加した米国軍需産業界関係者約250名の意見も踏まえて取りまとめたもので、その狙いは、「大戦略」の必要性や調達改革を米国政府に対し求め、かつ米議会や米国民に現状を説明して改善に理解を求めるためのものと推測しています

宇宙産業基盤レポートの現物(136ページ)
→https://assets.ctfassets.net/3nanhbfkr0pc/3wpHArrpttx99gFk5vfymS/873bf925beb44e0cf30a07170927acf5/State_of_the_Space_Industrial_Base_2022_Report.pdf
米国軍需産業の分析レポート
「中国資本の浸透警戒」→https://holylandtokyo.com/2020/03/27/791/
「2019年世界の軍需産業TOP100」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-23
「2019年版 米国防省軍需産業レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-28
「2018年版レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1
ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
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「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
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民間衛星の軍事利用が進む中で民間衛星を守る国際規範を [サイバーと宇宙]
ウクライナ侵略が示した民間衛星の重要性
国家間紛争時に民間衛星を守る「国際規範」を考察
今のロシアや中国を見るに、極めて困難とも思うが
8月23日、宇宙政策を研究する米シンクタンク「Center for Space Policy and Strategy」が、ますます国家安全保障分野での重要性を高める民間衛星システムを、軍事紛争発生時に守るための「国際規範」のようなものを準備する必要性を指摘し、「特に宇宙ゴミ等の影響が、衛星の用途に関わらず急速に無差別に拡散すること等」から、民間衛星会社も関与して検討すべきだと主張するレポートを発表しました
ウクライナ侵略開始の緒戦において、ウクライナにインターネットや通信サービスを提供していたSpaceX社の「Starlink」やViasat社の衛星通信サービスに大規模妨害行為が行われた現実がありながら、例えば米宇宙軍は宇宙状況把握(space domain awareness)能力や同能力の強靭性を高めるため、西側諸国の「大きなアドバンテージだ」として米国や同盟国の民間衛星サービス利用を積極的に推進しています。
一方でこれら宇宙アセットは官民の別を問わず、「無人アセットであり、攻撃に関する政治的敷居が低い」、「誰が攻撃したのか把握するのが困難」等の地上アセットとは異なる特徴を持つことから、サイバー攻撃と同様に民間宇宙アセットが無差別な攻撃を受けやすく、かつ影響も大きい点で、抑止を含めた概念の整理が難しい分野です
また、今の南シナ海での中国やウクライナでのロシアの動きを見ていると、「国際規範」との言葉のむなしさを感じざるを得ず、またが国際社会からの厳しい非難を浴びつつも、中国やロシアが軍民両方の衛星を危険にさらす「宇宙ゴミ」を生む衛星破壊兵器実験で強行してきた経緯を考えると、発表された「Commercial Normentum: Space Security Challenges, Commercial Actors, and Norms of Behavior」とのレポートの意義に疑問を感じる方がいても当然だと思います
避けて通れない宇宙アセットが直面する課題であることから、基礎的な思考の枠組み案の一つとして、全体像を把握していないながら同シンクタンクレポートの概要の概要の概要のさわり部分を、26日付米空軍協会web記事よりご紹介します。(同記事を読んでも良くわかりませんが・・・)
同レポートでは、まず過去に陸海空ドメインで、民間アセットが軍事紛争に巻き込まれて攻撃を受けた例を3カテゴリーに分けて紹介し、宇宙アセット攻撃に関する「国際規範」確立の思考枠組みとして同レポートは準備しています
陸海空ドメインで民間アセットが攻撃を受けるケース3つ
●地上での「地雷」敷設のケース。軍民を問わず影響を与える点で、衛星攻撃兵器で生じる宇宙デブリと類似。なお国際宇宙ステーションが特別警戒対象とした2022年の宇宙デブリ681個の内、505個が露の2021年11月のASAT試験で生じたもの
●民間航空機が軍事紛争絡みで撃墜されるケース。確認できた範囲で、少なくとも6機。いずれも関連紛争では民間機の安全確保に関する「国際規範」は確立していなかった
●商船が、軍需物資を運搬したり、軍事活動を支援しているとの理由で攻撃目標となるケース
そして、宇宙での「国際規範」に考える場合、宇宙では物理的破壊だけでなく、巧妙な電子妨害、衛星へのサイバー攻撃、衛星センサー等へのエネルギー兵器(レーザー等)攻撃でも大きな影響を与えられる点を考慮することが重要で、「衛星システムへの攻撃」の定義を明らかにしておくことも重要だと指摘しています
また当然のことながら「国際規範」は、関連プレーヤーである全ての国家や団体に「受け入れられ」「行動枠組みとして機能する」ことが大前提で、そのためには最低限2つの条件、つまり軍事活動を行う官側と民間衛星企業とのやり取り情報の公開・共有、更に宇宙アセットを運用する全ての団体との公式な意思疎通ラインが確保されていることが満たされる必要があるとも議論を展開しています
そしてレポート筆者のRobin Dickey女史は、3つの「国際規範方針」候補をレポート内で議論しているようです(細部は確認していません)
●全ての民間衛星を保護する。軍事行動に利用されているか否かに関わらず、全てを保護し、全ての衛星システムへの攻撃を禁止する。この際、前述の「攻撃の定義」も重要な論点
●緊要な民間衛星のみを保護する。この場合、多くの民間衛星は「国際規範」上で保護される対象から外れるが、「規範」として国際的に受け入れられるハードルは低くなる
●軍事とかかわりのない民間衛星のみを保護する。他国に「軍事と関係ない衛星」について、用途や目的を明確に示して誤解を防止することが重要
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2020年6月にCSISが、宇宙兵器を制限するための議論を促進する基礎の基礎として、「宇宙兵器の6分類」を提案するレポートを発表していますが、それと同様に、如何にその道が難しく険しかろうと、重要だと思う分野の道を切り開く地道な取り組みとしてご紹介しました
このような地道な取り組みを前にすると、「平和」と目指すにあたっての基本姿勢として、以下の言葉を思い出します。
「人間の本性における突然の革命にではなく、人間の制度の漸進的な進化に基礎を置く、もっと実際的でもっと達成可能な平和に我々の焦点を合わせよう。人間の制度の漸進的な進化がそれである」・・・。平和平和と口うるさく叫ぶのではなく、地道な取り組みを大切にして・・・
同シンクタンクのレポート紹介ページ
→ https://csps.aerospace.org/papers/commercial-normentum-space-security-challenges-commercial-actors-and-norms-behavior
同レポート原文(33ページ)
→ https://csps.aerospace.org/sites/default/files/2022-08/Dickey_CommercialNormentum_20220819.pdf
宇宙兵器問題への取り組み
「国防宇宙戦略を発表」→https://holylandtokyo.com/2020/06/23/629/
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holylandtokyo.com/2020/06/01/611/
宇宙軍が商用衛星利用を加速
「宇宙軍がまず民間衛星企業利用を考える」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「地上移動目標探知技術を求め」→https://holylandtokyo.com/2022/06/09/3309/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
ロシアの宇宙兵器関連
「ウクライナの第1撃は宇宙で?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/
「衛星破壊兵器でデブリばらまく」→https://holylandtokyo.com/2021/11/17/2435/
「ロシア衛星が謎の物体射出」→https://holylandtokyo.com/2020/07/30/584/
「4月中旬のロシア衛星破壊兵器試験を批判」→https://holylandtokyo.com/2020/04/22/732/
「怪しげなロシア衛星問題提起」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-04
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
国家間紛争時に民間衛星を守る「国際規範」を考察
今のロシアや中国を見るに、極めて困難とも思うが

ウクライナ侵略開始の緒戦において、ウクライナにインターネットや通信サービスを提供していたSpaceX社の「Starlink」やViasat社の衛星通信サービスに大規模妨害行為が行われた現実がありながら、例えば米宇宙軍は宇宙状況把握(space domain awareness)能力や同能力の強靭性を高めるため、西側諸国の「大きなアドバンテージだ」として米国や同盟国の民間衛星サービス利用を積極的に推進しています。

また、今の南シナ海での中国やウクライナでのロシアの動きを見ていると、「国際規範」との言葉のむなしさを感じざるを得ず、またが国際社会からの厳しい非難を浴びつつも、中国やロシアが軍民両方の衛星を危険にさらす「宇宙ゴミ」を生む衛星破壊兵器実験で強行してきた経緯を考えると、発表された「Commercial Normentum: Space Security Challenges, Commercial Actors, and Norms of Behavior」とのレポートの意義に疑問を感じる方がいても当然だと思います

同レポートでは、まず過去に陸海空ドメインで、民間アセットが軍事紛争に巻き込まれて攻撃を受けた例を3カテゴリーに分けて紹介し、宇宙アセット攻撃に関する「国際規範」確立の思考枠組みとして同レポートは準備しています
陸海空ドメインで民間アセットが攻撃を受けるケース3つ

●民間航空機が軍事紛争絡みで撃墜されるケース。確認できた範囲で、少なくとも6機。いずれも関連紛争では民間機の安全確保に関する「国際規範」は確立していなかった
●商船が、軍需物資を運搬したり、軍事活動を支援しているとの理由で攻撃目標となるケース

また当然のことながら「国際規範」は、関連プレーヤーである全ての国家や団体に「受け入れられ」「行動枠組みとして機能する」ことが大前提で、そのためには最低限2つの条件、つまり軍事活動を行う官側と民間衛星企業とのやり取り情報の公開・共有、更に宇宙アセットを運用する全ての団体との公式な意思疎通ラインが確保されていることが満たされる必要があるとも議論を展開しています
そしてレポート筆者のRobin Dickey女史は、3つの「国際規範方針」候補をレポート内で議論しているようです(細部は確認していません)

●緊要な民間衛星のみを保護する。この場合、多くの民間衛星は「国際規範」上で保護される対象から外れるが、「規範」として国際的に受け入れられるハードルは低くなる
●軍事とかかわりのない民間衛星のみを保護する。他国に「軍事と関係ない衛星」について、用途や目的を明確に示して誤解を防止することが重要
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このような地道な取り組みを前にすると、「平和」と目指すにあたっての基本姿勢として、以下の言葉を思い出します。
「人間の本性における突然の革命にではなく、人間の制度の漸進的な進化に基礎を置く、もっと実際的でもっと達成可能な平和に我々の焦点を合わせよう。人間の制度の漸進的な進化がそれである」・・・。平和平和と口うるさく叫ぶのではなく、地道な取り組みを大切にして・・・
同シンクタンクのレポート紹介ページ
→ https://csps.aerospace.org/papers/commercial-normentum-space-security-challenges-commercial-actors-and-norms-behavior
同レポート原文(33ページ)
→ https://csps.aerospace.org/sites/default/files/2022-08/Dickey_CommercialNormentum_20220819.pdf
宇宙兵器問題への取り組み
「国防宇宙戦略を発表」→https://holylandtokyo.com/2020/06/23/629/
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holylandtokyo.com/2020/06/01/611/
宇宙軍が商用衛星利用を加速
「宇宙軍がまず民間衛星企業利用を考える」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「地上移動目標探知技術を求め」→https://holylandtokyo.com/2022/06/09/3309/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
ロシアの宇宙兵器関連
「ウクライナの第1撃は宇宙で?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/
「衛星破壊兵器でデブリばらまく」→https://holylandtokyo.com/2021/11/17/2435/
「ロシア衛星が謎の物体射出」→https://holylandtokyo.com/2020/07/30/584/
「4月中旬のロシア衛星破壊兵器試験を批判」→https://holylandtokyo.com/2020/04/22/732/
「怪しげなロシア衛星問題提起」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-04
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米宇宙軍が外国大使館に武官派遣検討 [サイバーと宇宙]
最初の派遣国は英国が有力、独仏伊豪カナダが続くか?
人員不足で当初は空軍武官兼務も
日本・メキシコ・韓国・印・デンマークも可能性?
8月1日付米空軍協会web記事が、米宇宙軍が同盟国等との宇宙ドメイン協力関係や能力&人的戦力強化するためのRSA(Regional Space Advisor)計画を検討中で、その一環として在外米国大使館に従来の陸海空軍武官(attaches)に加えて宇宙軍武官派遣を検討していると報じ、最初の派遣国として世界3位の衛星保有国である英国の可能性が高いと紹介しています
RSA計画全体がまだ固まったものではなく、在外米国大使館を外交一元化の観点から統括する「国務省」や派遣先国との調整も今後の予定とのことですが、宇宙軍が陸海空軍&海兵隊の「引き立て役(enabler)」ではなく、陸海空ドメインと並立する重要分野であることを示す象徴的な人事として注目を集めているようです。
どの国に宇宙軍武官を派遣するかについては、宇宙軍報道官は「宇宙ドメインでestablished と emerging space powersの両方から選定中」だとしていますが、在ロンドン米空軍武官のMetrolis大佐は「英国が最初の米宇宙軍武官を派遣する国になるだろう」と語っています
記事は英国が派遣先の一番になりそうな背景として、軌道上の衛星数が米国と中国に次いで世界第3位で更に増える方向にあること、軍内に宇宙コマンドを持つ数少ない国であること、今年2月に米英宇宙コマンドが協力強化覚書に署名していることを理由に挙げています。
また、英国に次いで武官派遣可能性が高い国として、宇宙コマンドや宇宙師団を持ち、軍用衛星を保有している独仏伊カナダをあげ、軍用衛星を運用している日本、韓国、インド、メキシコ、デンマークも将来の検討対象だろうと記事は言及しています
ただし、米宇宙軍が創設されて間もなく人的戦力が不足している現状を踏まえると、宇宙軍独自に武官を派遣できる国は限定せざるを得ないと考えられ、空軍武官との兼任も現実的なオプションとなろう・・・とも記事は説明しています
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上の記述では、宇宙軍の地位向上を示すための「象徴的な人事」と表現してしまいましたが、米宇宙軍武官派遣との捉え方よりも、宇宙に関する軍事専門知識を持つ人材を海外に派遣して、同盟国等との連携を図る必要性が急激に高まっているということでしょう。
ロシアによるウクライナ侵略において、ロシア地上部隊侵攻直前に、いわゆる「第1撃」が行われた対象が民間衛星通信会社のネットワークであったことや、ウクライナの海外との意思疎通や情報発信を支えたインターネットサービスを全力で支え続けたのがSpaceX社であり同社の「Starlink」であったように、宇宙アセットに関する話ができる人材を同盟国等に常駐させる重要性が認識されつつあるということでしょう
とりあえずのコンタクト先が確保できれば、業務の流れはずいぶん違うと思います
ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/
最近の宇宙関連記事
「早急な能力向上に民間衛星企業をまず活用」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
「露はなぜ大規模サイバー攻撃やGPS妨害を実施しないのか?」→https://holylandtokyo.com/2022/07/26/3497/
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人員不足で当初は空軍武官兼務も
日本・メキシコ・韓国・印・デンマークも可能性?

RSA計画全体がまだ固まったものではなく、在外米国大使館を外交一元化の観点から統括する「国務省」や派遣先国との調整も今後の予定とのことですが、宇宙軍が陸海空軍&海兵隊の「引き立て役(enabler)」ではなく、陸海空ドメインと並立する重要分野であることを示す象徴的な人事として注目を集めているようです。

記事は英国が派遣先の一番になりそうな背景として、軌道上の衛星数が米国と中国に次いで世界第3位で更に増える方向にあること、軍内に宇宙コマンドを持つ数少ない国であること、今年2月に米英宇宙コマンドが協力強化覚書に署名していることを理由に挙げています。

ただし、米宇宙軍が創設されて間もなく人的戦力が不足している現状を踏まえると、宇宙軍独自に武官を派遣できる国は限定せざるを得ないと考えられ、空軍武官との兼任も現実的なオプションとなろう・・・とも記事は説明しています
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上の記述では、宇宙軍の地位向上を示すための「象徴的な人事」と表現してしまいましたが、米宇宙軍武官派遣との捉え方よりも、宇宙に関する軍事専門知識を持つ人材を海外に派遣して、同盟国等との連携を図る必要性が急激に高まっているということでしょう。
とりあえずのコンタクト先が確保できれば、業務の流れはずいぶん違うと思います
ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
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謎の無人宇宙船X-37Bが連続宇宙滞在記録を更新中 [サイバーと宇宙]
2020年5月17日から今年7月7日で780日の記録更新
地球周回軌道上で数々の謎の実権を継続実施中
再利用可能な実験無人宇宙船X-37B Orbital Test Vehicleが、7月7日に自らが持つ宇宙滞在連続記録780日を更新し、引き続き宇宙空間で「謎の実験」に取り組んでいます。米宇宙軍が保有&運用するX-37Bですが、宇宙軍が何機同型機を保有しているのか、2年以上も宇宙空間を漂って何をしているかについて、ほとんど公開されていません。
X-37Bは「9m×4.5m×3m」とマイクロバス弱程度の大きさで、ロケットの先端に取り付けて打ち上げ、帰還時は無人のスペースシャトルのように滑走路に着陸する無人宇宙船です。OTV(Orbital Test Vehicle)が正式名称の実験船で、当初はNASA所管でスペースシャトルの貨物室に搭載する予定でしたが、同シャトル計画が中断されて2004年以降は国防省が引き継いでいます。
2010年4月に最初の打ち上げられた1回目の宇宙滞在が224日間、2回目が468日間、3回目が675日、そして2017年5月に帰還の4回目は718日間、2019年10月に帰還した5回目は780日で、この記録が今回6回目の飛行で更新されたわけです。
記録を更新した今回6回目の打ち上げは、2020年5月17日にいつものフロリダ州Cape Canaveral基地で行われ、打ち上げ前には極めて珍しいことですが、宇宙で放出される搭載物のうち2種類が明らかにされました。
一つは米空軍士官学校作成のFalconSAT-8実験衛星5個で、もう一つは米海軍研究所作成の太陽光発電エネルギーを電磁波に変えて地上に送信するアンテナモジュールの2つで、X-37Bの役割をアピールか・・・と話題になりました。また5枚目の飛行では、イオンエンジンの一種「Hall Effect thruster」も試験の一つだと公表されていました
その任務の大半が非公開であることから、アマチュア天文家が競ってその様子を地上から観測し、中国衛星に接近しているとか、様々な憶測を呼んでいるところです。中国やロシアもX-37Bが「攻撃兵器だ」と疑いをかけているようですが、X-37Bの動きは地上からでもフォロー可能で、宇宙軍が説明しているように「逃げも隠れもしない。見たまま」の状態だそうです
米国政府は2023年に、X-37Bをより洗練されたデザインにしたような民間企業Sierra Spaceが運用する無人宇宙船「Dream Chaser」によるミッションを開始する予定で、NASAはこれを使用して国際宇宙ステーションへの物資補給に利用するとのことです
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Sierra Space社の「Dream Chaser」が、X-37Bにとって代わるのか等については承知していませんが、「Dream Chaser」がX-37Bにそっくりなので驚きました。機能を突き詰めていくと、スペースシャトル以来の形状に落ち着くということなのでしょう
これ以上のコメントができませんが、12年前からフォローしておりますので、引き続きネタにさせていただきます
X-37B関連の記事
「2020年5月打上時:少しソフトな路線に???」→https://holylandtokyo.com/2020/05/15/672/
「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-11
「中国版X-37B?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-15
「X-37Bは中国衛星を追跡?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-07
「X-37BがSシャトルの代替?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「米が宇宙アセット防護計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16
「X-37B関連小ネタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-04
「X-37Bをご存じですか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20
「Dream Chaser」解説のwikipedia
→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%BC_(%E5%AE%87%E5%AE%99%E8%88%B9)
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地球周回軌道上で数々の謎の実権を継続実施中


2010年4月に最初の打ち上げられた1回目の宇宙滞在が224日間、2回目が468日間、3回目が675日、そして2017年5月に帰還の4回目は718日間、2019年10月に帰還した5回目は780日で、この記録が今回6回目の飛行で更新されたわけです。

一つは米空軍士官学校作成のFalconSAT-8実験衛星5個で、もう一つは米海軍研究所作成の太陽光発電エネルギーを電磁波に変えて地上に送信するアンテナモジュールの2つで、X-37Bの役割をアピールか・・・と話題になりました。また5枚目の飛行では、イオンエンジンの一種「Hall Effect thruster」も試験の一つだと公表されていました

米国政府は2023年に、X-37Bをより洗練されたデザインにしたような民間企業Sierra Spaceが運用する無人宇宙船「Dream Chaser」によるミッションを開始する予定で、NASAはこれを使用して国際宇宙ステーションへの物資補給に利用するとのことです
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これ以上のコメントができませんが、12年前からフォローしておりますので、引き続きネタにさせていただきます
X-37B関連の記事
「2020年5月打上時:少しソフトな路線に???」→https://holylandtokyo.com/2020/05/15/672/
「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-11
「中国版X-37B?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-15
「X-37Bは中国衛星を追跡?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-07
「X-37BがSシャトルの代替?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「米が宇宙アセット防護計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16
「X-37B関連小ネタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-04
「X-37Bをご存じですか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20
「Dream Chaser」解説のwikipedia
→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%BC_(%E5%AE%87%E5%AE%99%E8%88%B9)
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米宇宙軍の早急な能力向上に民間衛星企業をまず活用 [サイバーと宇宙]
ウクライナ侵略事案が民間衛星の能力を改めて示す
地域コマンド司令官が軽易に商用衛星情報入手できるシステムを
NROやNGAも続々と民間会社との契約増やす
7月9日付Defense-Newsは、米国政府機関や米宇宙軍が保有する宇宙アセットの脆弱性や能力不足を補い、迫りくる中国等の宇宙での追い上げに対抗するため、早急に出来ることとして、ウクライナ侵略でもその有用性や重要性が示されている民間の衛星画像や衛星通信企業との連携や契約を、急速に増加させていると報じました
一つは米空軍研究所AFRLが、民間や同盟国ISR情報へのアクセス向上のため取り組んできたHAD(Hybrid Architecture Demonstration)計画から派生したGLUE(Global Unified Environment)で、地域戦闘コマンドが商用衛星画像情報や同盟国衛星情報を容易に入手できるようにするインターフェイスです。
米宇宙軍は、現有能力の脆弱性克服を大きな課題と捉えていますが、手っ取り早い能力の多様化や重複化施策として、多様な軌道で多くの小型衛星を運用している民間衛星画像会社を同盟国衛星情報と共に活用しようと考えており、宇宙軍担当幹部は「我々が急がないと、敵はあっという間に我を追い越してしまう。急がないと2030年にはそうなってしまう」と危機感を語っているところです
具体的には、近未来に実現可能な宇宙軍能力向上策として、現在米空軍研究所が開発しているGLUEを2024年に宇宙軍に移管し、2026年には本格運用が開始できるようにしたいと、米宇宙軍システムコマンドのMichael Guetlein中将が語っています
米宇宙軍以外でも、米国防省で民間スタートアップ企業や新興有力企業からの最新技術導入を推進するDIU(Defense Innovation Unit)が、衛星通信のデータ共有・ソフト保全・クラウド分析・ネットワーク情報保全強化のため、4企業(Aalyria Technologies, Anduril Industries, Atlas Space Operations and Enveil)と共に宇宙で能力実証デモンストレーションを行うと7月7日に発表しています
DIUの担当責任者Rogan Shimmin氏は、「民間企業の最新技術を生かし、多様で大量な衛星画像情報をオンデマンドで入手して分析を提供し、見通し線外の戦術情報収集能力強化にまず生かしたい」と発表に際し語っています
米宇宙軍以外の米国政府情報機関であるNRO(National Reconnaissance Office)も、今年5月に民間衛星会社3社(Maxar Technologies, Planet Labs and BlackSky)と10年契約を結んで情報収集能力を強化し、NGA(国家画地情報庁:National Geospatial-Intelligence Agency)も2021年に商用衛星画像利用量を2倍に拡大させているようです
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非常に断片的な情報の羅列紹介になってしまいましたが、上記で紹介した企業以外でも、SpaceXやViasatなどの宇宙関連企業がウクライナ関連で示した能力と影響力は、世界の軍関係者や専門家に改めて戦いの様相の変化を印象付けたと思います
引き続き宇宙関連の話題への「リテラシー」が向上しないまんぐーすですが、チマチマと取り組んでいきたいと思います
ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
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地域コマンド司令官が軽易に商用衛星情報入手できるシステムを
NROやNGAも続々と民間会社との契約増やす

一つは米空軍研究所AFRLが、民間や同盟国ISR情報へのアクセス向上のため取り組んできたHAD(Hybrid Architecture Demonstration)計画から派生したGLUE(Global Unified Environment)で、地域戦闘コマンドが商用衛星画像情報や同盟国衛星情報を容易に入手できるようにするインターフェイスです。

具体的には、近未来に実現可能な宇宙軍能力向上策として、現在米空軍研究所が開発しているGLUEを2024年に宇宙軍に移管し、2026年には本格運用が開始できるようにしたいと、米宇宙軍システムコマンドのMichael Guetlein中将が語っています

DIUの担当責任者Rogan Shimmin氏は、「民間企業の最新技術を生かし、多様で大量な衛星画像情報をオンデマンドで入手して分析を提供し、見通し線外の戦術情報収集能力強化にまず生かしたい」と発表に際し語っています

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非常に断片的な情報の羅列紹介になってしまいましたが、上記で紹介した企業以外でも、SpaceXやViasatなどの宇宙関連企業がウクライナ関連で示した能力と影響力は、世界の軍関係者や専門家に改めて戦いの様相の変化を印象付けたと思います
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