JPモルガン顧問へ:Odierno前陸軍参謀総長 [経済情勢]
22日付Defense-Newsは、退役したばかりの前陸軍参謀総長Ray Odierno退役大将が、Wall Streetの巨大証券会社JPMorgan ChaseのCEOアドバイザーに就任したと報じ、その背景や理由について考察しています
記事に登場する専門家は、メディア登場していたような高級幹部は、一般的に民間企業での需要が高いと語っています。その辺りの背景について、色んな見方が紹介されているので、ご参考までご紹介します。
聞くところによると我が国の場合、高級幹部はまだ軍需産業や自衛隊と関わりのある企業に再雇用が限られているようなので・・・
22日付Defense-News記事によれば
●最近では、ペトレイアス退役大将が「Kohlberg Kravis Roberts & Co」に、Wesley Clark退役大将が「Blackstone Group」に再就職しているが、Odierno退役大将は金融業界大手にCEO顧問として加わった
●JPMorgan のCEOは「彼の経験やビジョン、極めて困難な問題に対処して印象的な結果や成果を収めてきた経歴は、我が社の指導者層や社員、お客様に多大な価値を提供するだろう」とOdierno退役大将を歓迎している
●軍需産業アナリストの専門家は、「金融業界での退役将軍のアピール点は、広範な経験、大組織を統率してきた人間性、そして人物が持つ威光や威信であろう」と語った
●また「10万人以上の兵士を前線で指揮した人物の意見など簡単に聞けることはない。軍参謀総長としての威光を過小評価すべきではない。ワシントンDCより、Wall Streetでその評価は高いのではないか」と見ている
●また海兵隊の退役少将で企業コンサルタントを勤める人物は、「リスク管理や危機管理が期待されている。企業は退役軍人に作戦計画など聞きたいのではない。リスク管理や最小化の助言を求めているのだ」と説明している
●人材派遣会社CEOは「Odierno氏のような高級退役将軍を再雇用するのは、スマートな政治的行動だ」と説明し、「ワシントンDCに対し、JPMorganが親政府で米国を応援する企業だとのイメージを発進する極めて戦略的な行動だ」と解説した
●そして「元高級将校からの助言を得ることは、良いイメージを生み、クリーンで米国応援団のようなイメージを生み出す」とも語った
ただし政治的な動きのあった人は・・
●前述の軍需産業アナリストは、「ただし、Odierno退役大将は、ただ単に陸軍参謀総長にまで上り詰めたのではない。政治的なトラブルに関与しないよう勤めてきたのだ。これは容易なことではない」とも語った
●Wall Streetの企業にとっては、特定の政党の応援を受けず、政治的に中立で、組織管理能力があり、軍で成果を上げた人物が望ましい、と同アナリストは説明してくれた
●もちろん、経営に余裕のある企業でないと退役軍人にそれなりのサラリーは払えないが・・・とも付け加えた
●Odierno氏クラスでも、現役時に年収が20万ドル(約2500万円)を越えることはない。少なくはないが、民間企業で同様の能力を備えた人材への報酬とは比べようもないだろう。
/////////////////////////////////////////////////////
もちろん大人数の大組織を指揮し、前線から議会対応までの複雑な業務をこなしてきた経験や知識を持つ人材は得難いですが、「企業イメージ」や「ワシントンDC受け」が重要との視点がより正確な分析でしょう
JPMorgan Chaseとは対したものです。下世話な興味ですが、年収いくらでCEOアドバイザーなんでしょうか?
でも、米国資本の「強欲な金融機関」が、足腰の弱い発展途上国の経済を振り回して不安定を生み出しつつ、暴利をむさぼっている事は周知の事実であり、その点でOdierno退役大将の現在の心境はいかがなんでしょうか?
記事に登場する専門家は、メディア登場していたような高級幹部は、一般的に民間企業での需要が高いと語っています。その辺りの背景について、色んな見方が紹介されているので、ご参考までご紹介します。
聞くところによると我が国の場合、高級幹部はまだ軍需産業や自衛隊と関わりのある企業に再雇用が限られているようなので・・・
22日付Defense-News記事によれば
●最近では、ペトレイアス退役大将が「Kohlberg Kravis Roberts & Co」に、Wesley Clark退役大将が「Blackstone Group」に再就職しているが、Odierno退役大将は金融業界大手にCEO顧問として加わった
●JPMorgan のCEOは「彼の経験やビジョン、極めて困難な問題に対処して印象的な結果や成果を収めてきた経歴は、我が社の指導者層や社員、お客様に多大な価値を提供するだろう」とOdierno退役大将を歓迎している
●軍需産業アナリストの専門家は、「金融業界での退役将軍のアピール点は、広範な経験、大組織を統率してきた人間性、そして人物が持つ威光や威信であろう」と語った
●また「10万人以上の兵士を前線で指揮した人物の意見など簡単に聞けることはない。軍参謀総長としての威光を過小評価すべきではない。ワシントンDCより、Wall Streetでその評価は高いのではないか」と見ている
●また海兵隊の退役少将で企業コンサルタントを勤める人物は、「リスク管理や危機管理が期待されている。企業は退役軍人に作戦計画など聞きたいのではない。リスク管理や最小化の助言を求めているのだ」と説明している
●人材派遣会社CEOは「Odierno氏のような高級退役将軍を再雇用するのは、スマートな政治的行動だ」と説明し、「ワシントンDCに対し、JPMorganが親政府で米国を応援する企業だとのイメージを発進する極めて戦略的な行動だ」と解説した
●そして「元高級将校からの助言を得ることは、良いイメージを生み、クリーンで米国応援団のようなイメージを生み出す」とも語った
ただし政治的な動きのあった人は・・
●前述の軍需産業アナリストは、「ただし、Odierno退役大将は、ただ単に陸軍参謀総長にまで上り詰めたのではない。政治的なトラブルに関与しないよう勤めてきたのだ。これは容易なことではない」とも語った
●Wall Streetの企業にとっては、特定の政党の応援を受けず、政治的に中立で、組織管理能力があり、軍で成果を上げた人物が望ましい、と同アナリストは説明してくれた
●もちろん、経営に余裕のある企業でないと退役軍人にそれなりのサラリーは払えないが・・・とも付け加えた
●Odierno氏クラスでも、現役時に年収が20万ドル(約2500万円)を越えることはない。少なくはないが、民間企業で同様の能力を備えた人材への報酬とは比べようもないだろう。
/////////////////////////////////////////////////////
もちろん大人数の大組織を指揮し、前線から議会対応までの複雑な業務をこなしてきた経験や知識を持つ人材は得難いですが、「企業イメージ」や「ワシントンDC受け」が重要との視点がより正確な分析でしょう
JPMorgan Chaseとは対したものです。下世話な興味ですが、年収いくらでCEOアドバイザーなんでしょうか?
でも、米国資本の「強欲な金融機関」が、足腰の弱い発展途上国の経済を振り回して不安定を生み出しつつ、暴利をむさぼっている事は周知の事実であり、その点でOdierno退役大将の現在の心境はいかがなんでしょうか?
本当にエコ?:CO2排出で見た燃料電池車 [経済情勢]
月刊誌Wedge1月号は、トヨタが特許を開示してまで普及を推進する水素燃料電池車(FCV)について特集し、「水しか排出しない究極のエコカー」とのふれ込みが本当にFCVを正しく表現しているのか追求しています
つまり、走行時には「水しか・・」のエコカーであっても、エネルギー源となる「水素」の製造過程まで考えると、「究極の」と表現するほど二酸化炭素CO2が削減できるわけではないとの主張です
もちろん、走行時に排出される窒素酸化物や粉塵・煤煙は「ゼロ」になるのかもしれませんが、地球環境への影響が世界的な議論となっているCO2に関しては、どのような「水素の製造法」を採用するかでFCVの「エコ」の程度は大きく変化し、現在想定されている製造法では、ハイブリッドカー程度の効果しかないとの見積もりだそうです
月刊誌Wedge1月号によれば
●トヨタのFCV車「MIRAI」は、政府の援助も受け価格が670万円+税程度になり、想定を遙かに上回る受注を受けている。
●ライバルである電気自動車EVの問題点である「充電時間」を後目に、FCVは水素補給を3分間で可能にしたのも大きい
●更に、FCV車は災害時に非常用電源車として機能し、通常の家庭であれば通常の家庭であれば「1週間以上」の電気を供給できる点でも日本のニーズに適合している。
●また想定されている水素の販売価格も、ハイブリッド車のガソリン価格程度になるとの見積もりがあり、「水素スタンド」の普及など課題は多いが、注目を集めるのは当然といえよう。
●ただし、走行時に「水しか排出しない」点は「究極のエコ」と認めるとして、「Well to Wheel:井戸から車輪まで」とのスパン、つまり燃料の採掘・調達から車輪走行までの全行程で「CO2エコ度」を吟味すると、そう単純でない事が明らかになる
「Well to Wheel」でのCO2排出量比較
●太陽光発電で電気自動車走行を「1」単位とすると
●ガソリン車走行「141」単位
●ハイブリッド車走行「95」単位
水素燃料電池車FCVの場合:水素製造手法別で
●太陽光発電の電気で水を電気分解で「14」単位
●都市ガスから水素スタンドで水素製造で「79」単位
●天然ガスから産地で水素を取って輸送で「111」単位
世の中には3種のエネルギーしかない
●3つとは、化石燃料、原子力、自然エネルギーである。
●また、現状で水素を製造するには、化石燃料(石炭・石油・天然ガス)を原料に水素を作るか、電気で水を電気分解するか、2つの手法しかない
●現在技術では、どのエネルギーや手法にも欠陥や弱点があり、水素燃料電池車FCVもその課題を克服できていない
FCV車に水素を充填するにも多量の電力が
●軽い水素を大量にFCV車に充填・運搬するため、700万気圧にして強化プラスティックのタンクに入れている。通常の産業用の水素タンクは150気圧で、その5倍の圧力である
●FCV車「MIRAI」のタンクを満タンにするには、水素を700万気圧以上にする必要があり、その為に必要な電力量は電気自動車を100km以上走行させる量である
/////////////////////////////////////////////////
水素の製造は、川崎重工が代表的企業だそうですが、豪州南部で産出する石炭の一種「褐炭」を原料に水素を製造するプラントに取り組んでいるようです
川崎重工もCO2対策に取り組んでいますが、まだまだ課題があるようです
日本が世界に誇る技術ですから、FCV車「MIRAI」の発展普及を大いに期待するのですが、限界も承知しつつ、資源の有効活用や本質的なエコを考えたいモノです
つまり、走行時には「水しか・・」のエコカーであっても、エネルギー源となる「水素」の製造過程まで考えると、「究極の」と表現するほど二酸化炭素CO2が削減できるわけではないとの主張です
もちろん、走行時に排出される窒素酸化物や粉塵・煤煙は「ゼロ」になるのかもしれませんが、地球環境への影響が世界的な議論となっているCO2に関しては、どのような「水素の製造法」を採用するかでFCVの「エコ」の程度は大きく変化し、現在想定されている製造法では、ハイブリッドカー程度の効果しかないとの見積もりだそうです
月刊誌Wedge1月号によれば
●トヨタのFCV車「MIRAI」は、政府の援助も受け価格が670万円+税程度になり、想定を遙かに上回る受注を受けている。
●ライバルである電気自動車EVの問題点である「充電時間」を後目に、FCVは水素補給を3分間で可能にしたのも大きい
●更に、FCV車は災害時に非常用電源車として機能し、通常の家庭であれば通常の家庭であれば「1週間以上」の電気を供給できる点でも日本のニーズに適合している。
●また想定されている水素の販売価格も、ハイブリッド車のガソリン価格程度になるとの見積もりがあり、「水素スタンド」の普及など課題は多いが、注目を集めるのは当然といえよう。
●ただし、走行時に「水しか排出しない」点は「究極のエコ」と認めるとして、「Well to Wheel:井戸から車輪まで」とのスパン、つまり燃料の採掘・調達から車輪走行までの全行程で「CO2エコ度」を吟味すると、そう単純でない事が明らかになる
「Well to Wheel」でのCO2排出量比較
●太陽光発電で電気自動車走行を「1」単位とすると
●ガソリン車走行「141」単位
●ハイブリッド車走行「95」単位
水素燃料電池車FCVの場合:水素製造手法別で
●太陽光発電の電気で水を電気分解で「14」単位
●都市ガスから水素スタンドで水素製造で「79」単位
●天然ガスから産地で水素を取って輸送で「111」単位
世の中には3種のエネルギーしかない
●3つとは、化石燃料、原子力、自然エネルギーである。
●また、現状で水素を製造するには、化石燃料(石炭・石油・天然ガス)を原料に水素を作るか、電気で水を電気分解するか、2つの手法しかない
●現在技術では、どのエネルギーや手法にも欠陥や弱点があり、水素燃料電池車FCVもその課題を克服できていない
FCV車に水素を充填するにも多量の電力が
●軽い水素を大量にFCV車に充填・運搬するため、700万気圧にして強化プラスティックのタンクに入れている。通常の産業用の水素タンクは150気圧で、その5倍の圧力である
●FCV車「MIRAI」のタンクを満タンにするには、水素を700万気圧以上にする必要があり、その為に必要な電力量は電気自動車を100km以上走行させる量である
/////////////////////////////////////////////////
水素の製造は、川崎重工が代表的企業だそうですが、豪州南部で産出する石炭の一種「褐炭」を原料に水素を製造するプラントに取り組んでいるようです
川崎重工もCO2対策に取り組んでいますが、まだまだ課題があるようです
日本が世界に誇る技術ですから、FCV車「MIRAI」の発展普及を大いに期待するのですが、限界も承知しつつ、資源の有効活用や本質的なエコを考えたいモノです
大前研一:日本の農業や漁業の変化 [経済情勢]
久々の経済情報です
11月4日号の雑誌プレジデントに、大前研一氏の「驚きの名案は、疑り深い人間から生まれる」とのエッセーが掲載され、ネット社会でも自分の足で調べないと気づかない事例として、全国を取材して歩いた際にタクシー運転手から聞いた話等を紹介しています
取材の時期は不明ですが、十和田湖から八戸への約90分のタクシー内での運転手の話は、日本の農業や漁業の実態を知る上で、非常に興味深い中身ですのでご紹介します。
ただし、情報の確度や信憑性について大前氏がどれだけ裏を取っているかは不明で、また事象の背景についても語られていませんので、多少消化不良になるかもしれません。その辺はご容赦を・・・
リンゴ農家は台風被害を待っている
●この辺のリンゴ農家は皆、台風が来るのを待っているという。聞けば、台風でリンゴが駄目になると補償金が出るからだそうだ
●昨年の台風ではリンゴが壊滅的な被害を受け、年末にまとまった補償金が入ってきた。あれでハワイや豪州に行った人も多い。また台風来ないですかね
八戸の漁師はロシアから魚を買って楽に
●ロシア船は表の漁港に入れないので、山の裏側の漁港に来ている。ロシア人に卸させて、八戸の漁師は危険な北洋漁業には行かないで楽になっている
●地元の漁師に確認すると、漁は完全に「アウトソーシング」になっている。「来年は冷凍庫を完備した俺たちの船を貸してやろうかと思っているんだ」とあっけらかんと白状した
日本海側では北朝鮮漁船と洋上交換
●日本海側の漁場で境港の漁獲高が一番になったとのニュースを聞いた。しかし奇妙なことに日本海側の漁港の中で、境港だけが漁獲高が増えている。不自然だ。
●境港は朝鮮半島に近いので、北朝鮮の漁船と洋上交換しているのではないかとの仮説を立てて現地に乗り込んだ
●やはり漁師が餌は持たずにドルを抱えて出港し、大漁旗を立てて帰ってきた
ホクレンが出荷する農産物が豪州産
●豪クイーンズランド州の日本向け輸出品リストを見せてもらったとき、どこに向かっているかを豪州に情報公開要求できると知った
●調べてみると、ホクレンと州政府の間のアスパラやブロッコリー契約書が入手できた。また資料には「ホクレンは本契約に神経質なので口外しないように」との脚注が付いていて笑った
●それ以降、「ホクレンのXX」との箱に入っているのは輸入品、北海道産と書いてあれば国産との識別があることが判った
●このことを本に書いたら、ホクレンから出版停止と本の改修を求められた。しかし入手した契約書を見せると、ホクレンは簡単に引き下がった
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
TPPに反対する以前に、日本の農業や漁業の「空洞化」は急激に進んでいるのかもしれません
あの「JA:農協」の皆さんが、農業ビジネスに関心のある企業をわざわざ出向いて訪問し、ノウハウや支援を依頼するケースも増えているようです
社会の高齢化というものは、マスコミが表層的に伝えるモノだけではなく、本質的な部分で社会構造を変化させているんでしょうね・・・
「経済情勢」カテゴリーの過去記事
「植物工場は儲かるか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-14
「温故知新エコン族の生態」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-02
「消費者調査の罠と嘘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-13
「値上げしてもOKのTDL」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-01-1
11月4日号の雑誌プレジデントに、大前研一氏の「驚きの名案は、疑り深い人間から生まれる」とのエッセーが掲載され、ネット社会でも自分の足で調べないと気づかない事例として、全国を取材して歩いた際にタクシー運転手から聞いた話等を紹介しています
取材の時期は不明ですが、十和田湖から八戸への約90分のタクシー内での運転手の話は、日本の農業や漁業の実態を知る上で、非常に興味深い中身ですのでご紹介します。
ただし、情報の確度や信憑性について大前氏がどれだけ裏を取っているかは不明で、また事象の背景についても語られていませんので、多少消化不良になるかもしれません。その辺はご容赦を・・・
リンゴ農家は台風被害を待っている
●この辺のリンゴ農家は皆、台風が来るのを待っているという。聞けば、台風でリンゴが駄目になると補償金が出るからだそうだ
●昨年の台風ではリンゴが壊滅的な被害を受け、年末にまとまった補償金が入ってきた。あれでハワイや豪州に行った人も多い。また台風来ないですかね
八戸の漁師はロシアから魚を買って楽に
●ロシア船は表の漁港に入れないので、山の裏側の漁港に来ている。ロシア人に卸させて、八戸の漁師は危険な北洋漁業には行かないで楽になっている
●地元の漁師に確認すると、漁は完全に「アウトソーシング」になっている。「来年は冷凍庫を完備した俺たちの船を貸してやろうかと思っているんだ」とあっけらかんと白状した
日本海側では北朝鮮漁船と洋上交換
●日本海側の漁場で境港の漁獲高が一番になったとのニュースを聞いた。しかし奇妙なことに日本海側の漁港の中で、境港だけが漁獲高が増えている。不自然だ。
●境港は朝鮮半島に近いので、北朝鮮の漁船と洋上交換しているのではないかとの仮説を立てて現地に乗り込んだ
●やはり漁師が餌は持たずにドルを抱えて出港し、大漁旗を立てて帰ってきた
ホクレンが出荷する農産物が豪州産
●豪クイーンズランド州の日本向け輸出品リストを見せてもらったとき、どこに向かっているかを豪州に情報公開要求できると知った
●調べてみると、ホクレンと州政府の間のアスパラやブロッコリー契約書が入手できた。また資料には「ホクレンは本契約に神経質なので口外しないように」との脚注が付いていて笑った
●それ以降、「ホクレンのXX」との箱に入っているのは輸入品、北海道産と書いてあれば国産との識別があることが判った
●このことを本に書いたら、ホクレンから出版停止と本の改修を求められた。しかし入手した契約書を見せると、ホクレンは簡単に引き下がった
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
TPPに反対する以前に、日本の農業や漁業の「空洞化」は急激に進んでいるのかもしれません
あの「JA:農協」の皆さんが、農業ビジネスに関心のある企業をわざわざ出向いて訪問し、ノウハウや支援を依頼するケースも増えているようです
社会の高齢化というものは、マスコミが表層的に伝えるモノだけではなく、本質的な部分で社会構造を変化させているんでしょうね・・・
「経済情勢」カテゴリーの過去記事
「植物工場は儲かるか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-14
「温故知新エコン族の生態」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-02
「消費者調査の罠と嘘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-13
「値上げしてもOKのTDL」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-01-1
中国政治と経済やぶにらみ概観 [経済情勢]
8月16日放送(配信)の「伊藤洋一のRound Up World Now」が恒例の中国特集を行い、お馴染み富士通総研主席研究員の柯隆さんが登場しました。
伊藤洋一氏との対談形式で行われる恒例の中国特集ですが、中国国内政治、経済政策等々、広範な話題を判り易く短節に伝えています。
ちなみに柯隆さんは1963年中国南京市生まれ。88年来日。94年名古屋大学大学院で経済学修士。長銀総合研究所入社。98年から富士通総研経済研究所で勤務。
財務省関税・外国為替等審議会委員などを歴任。中国問題御意見番で論文、著書多数。中国のCCTVにも毎週のように登場している方です。
習近平の状況
●習近平は政治的信条を明らかにしていないが、習近平は改革推進派(憲法尊重)右派で、現状維持派の左派と対立のように表現されるが、双方の異なった既得権益や利害集団を背景に持つだけであるともいえる
●しかし経済成長に陰りが出る中で、いつまでも外国企業たたきや反日デモをやっていても、共産党の正当性や共産党への支持が得られるわけでもない。中国の政治や経済制度を徐々にでも変えて行くことが不可避である
●前の胡錦濤政権の10年間は何も変わらなかった。しかし北京五輪と上海万博の勢いで何とか成長を維持し続けた。しかし習近平には何もイベントが無い。待ったなしの状況とも言える。
●まず当面1期目の5年間で改革の方向性や道筋を示せば、2期目があるだろう。全てを帰ることなど到底出来ないが、種々の勢力や派閥と調整を行い、方向性やロードマップを示すことは求められる。
●ロードマップには、憲法の尊重(司法の独立尊重、報道の自由)、国有企業や銀行の民営化、金利の自由化、富裕層への適正課税等々が、段階的にでも進むことを示す必要がある
●江沢民が胡錦濤を暗に批判し、習近平を褒めたとの話もあり、上海閥の支持を得て前に進む可能性もある
●オバマ大統領との8時間にも及ぶ会談は具体的な成果を生まなかったといわれるが、互いを知るという観点では意味が無かったということではない
中国の対外政策と対日関係
●中国は粉ミルク問題では欧米の複数の国を訴え、自動車でもVWを訴えている。しかし日本企業が争いの対象にはなっていない。これは明確に日本を外しているからだ
●日本の斉木外務次官の訪中とタイミングを合わせるかのように、数年前の毒入り餃子事件の犯人が突然話題になり、犯人に謝罪の言葉まで言わせている。犯人による謝罪など中国文化には無い習慣であり、明らかに意図を持った動きである。
中国経済の状況
●4~6月の成長率が7.5%と発表されているが、実質的には5%である。失業率も4%程度と一貫して発表されているが、実質は9.6%ほどだろう
●先日杭州から深センまで状況を目で見ながら移動したが、明らかにコンテナ船やコンテナの量が減少している。また交通量も減っており、経済の減速や調整を感じる。一方で欧米のリーマンショックのような破滅的な影響が出ているかというと、そこまでは無い。基盤まで壊れていないが、減速しているのだ
李克強首相の経済運営
●明確なメッセージや目標を未だに示していない。また、市場との関わり方も下手である。経験不足からなのか能力不足なのか不明だが。
●先日、短期金利が急上昇したが、この際も「流動性の供給はしない」と大国の指導者としては考えられない直接的な発言を行って市場の混乱に拍車を掛けている。対応が同じでも「適切に状況を見て対応する」との発言が期待されていたのに。
●最重要な課題の一つである国営企業改革についても、発言や行動が全く無い。各地方政府がそれぞれに全ての業種を持つことは不可能で、現状で相当の余剰生産力を無駄に保有しているのに、これへの対策が全く無い
●国営企業を民営化し、市場のメカニズムに乗せないと解決しない問題である。自動車の生産能力は2000万台だが、1/4の500万台分が余剰能力となっている。鉄鋼なども同様である
一人っ子政策を変更か?
●一人っ子政策により中国は急速に高齢化が進んでおり、特に農村部で影響が大きく、働き手の高齢化で将来の食糧供給への懸念が出ている。世界最大の米の輸入国になる恐れが現実味を帯びてきている
●結婚適齢期の男女人口のアンバランスも深刻。男性3000万人があぶれる状況。ベトナム女性を大量に迎えた村が話題になるほどである。
●一人っ子政策見直しは必至だと考えるが、最大の抵抗勢力は全国の地方政府にまで広がる「一人っ子政策監視組織」の650万人である。自らの仕事を守るため、国益そっちのけで「一人っ子政策死守」に動いている
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////
人口面(市場としての魅力も含め)でも、華僑といわれる人たちの圧倒的な通商能力面でも、世界への発信力という面でも、核戦争をも生き残る広大な縦深性のある国土を持つ点でも、中国はやはり巨大なパワーです。
相互依存の高まる国際社会の中で、到底無視は出来ません。チマチマと断片的にでも中国も勉強しておかないと、「戦闘機」や「陸自現有組織」の防衛だけでは日本の国益には役立ちません。
過去の「Round Up World Now」中国特集
「中国情勢やぶにらみ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-09
「中国経済と指導者交代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-15
「バイデン訪中と密約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
伊藤洋一氏との対談形式で行われる恒例の中国特集ですが、中国国内政治、経済政策等々、広範な話題を判り易く短節に伝えています。
ちなみに柯隆さんは1963年中国南京市生まれ。88年来日。94年名古屋大学大学院で経済学修士。長銀総合研究所入社。98年から富士通総研経済研究所で勤務。
財務省関税・外国為替等審議会委員などを歴任。中国問題御意見番で論文、著書多数。中国のCCTVにも毎週のように登場している方です。
習近平の状況
●習近平は政治的信条を明らかにしていないが、習近平は改革推進派(憲法尊重)右派で、現状維持派の左派と対立のように表現されるが、双方の異なった既得権益や利害集団を背景に持つだけであるともいえる
●しかし経済成長に陰りが出る中で、いつまでも外国企業たたきや反日デモをやっていても、共産党の正当性や共産党への支持が得られるわけでもない。中国の政治や経済制度を徐々にでも変えて行くことが不可避である
●前の胡錦濤政権の10年間は何も変わらなかった。しかし北京五輪と上海万博の勢いで何とか成長を維持し続けた。しかし習近平には何もイベントが無い。待ったなしの状況とも言える。
●まず当面1期目の5年間で改革の方向性や道筋を示せば、2期目があるだろう。全てを帰ることなど到底出来ないが、種々の勢力や派閥と調整を行い、方向性やロードマップを示すことは求められる。
●ロードマップには、憲法の尊重(司法の独立尊重、報道の自由)、国有企業や銀行の民営化、金利の自由化、富裕層への適正課税等々が、段階的にでも進むことを示す必要がある
●江沢民が胡錦濤を暗に批判し、習近平を褒めたとの話もあり、上海閥の支持を得て前に進む可能性もある
●オバマ大統領との8時間にも及ぶ会談は具体的な成果を生まなかったといわれるが、互いを知るという観点では意味が無かったということではない
中国の対外政策と対日関係
●中国は粉ミルク問題では欧米の複数の国を訴え、自動車でもVWを訴えている。しかし日本企業が争いの対象にはなっていない。これは明確に日本を外しているからだ
●日本の斉木外務次官の訪中とタイミングを合わせるかのように、数年前の毒入り餃子事件の犯人が突然話題になり、犯人に謝罪の言葉まで言わせている。犯人による謝罪など中国文化には無い習慣であり、明らかに意図を持った動きである。
中国経済の状況
●4~6月の成長率が7.5%と発表されているが、実質的には5%である。失業率も4%程度と一貫して発表されているが、実質は9.6%ほどだろう
●先日杭州から深センまで状況を目で見ながら移動したが、明らかにコンテナ船やコンテナの量が減少している。また交通量も減っており、経済の減速や調整を感じる。一方で欧米のリーマンショックのような破滅的な影響が出ているかというと、そこまでは無い。基盤まで壊れていないが、減速しているのだ
李克強首相の経済運営
●明確なメッセージや目標を未だに示していない。また、市場との関わり方も下手である。経験不足からなのか能力不足なのか不明だが。
●先日、短期金利が急上昇したが、この際も「流動性の供給はしない」と大国の指導者としては考えられない直接的な発言を行って市場の混乱に拍車を掛けている。対応が同じでも「適切に状況を見て対応する」との発言が期待されていたのに。
●最重要な課題の一つである国営企業改革についても、発言や行動が全く無い。各地方政府がそれぞれに全ての業種を持つことは不可能で、現状で相当の余剰生産力を無駄に保有しているのに、これへの対策が全く無い
●国営企業を民営化し、市場のメカニズムに乗せないと解決しない問題である。自動車の生産能力は2000万台だが、1/4の500万台分が余剰能力となっている。鉄鋼なども同様である
一人っ子政策を変更か?
●一人っ子政策により中国は急速に高齢化が進んでおり、特に農村部で影響が大きく、働き手の高齢化で将来の食糧供給への懸念が出ている。世界最大の米の輸入国になる恐れが現実味を帯びてきている
●結婚適齢期の男女人口のアンバランスも深刻。男性3000万人があぶれる状況。ベトナム女性を大量に迎えた村が話題になるほどである。
●一人っ子政策見直しは必至だと考えるが、最大の抵抗勢力は全国の地方政府にまで広がる「一人っ子政策監視組織」の650万人である。自らの仕事を守るため、国益そっちのけで「一人っ子政策死守」に動いている
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////
人口面(市場としての魅力も含め)でも、華僑といわれる人たちの圧倒的な通商能力面でも、世界への発信力という面でも、核戦争をも生き残る広大な縦深性のある国土を持つ点でも、中国はやはり巨大なパワーです。
相互依存の高まる国際社会の中で、到底無視は出来ません。チマチマと断片的にでも中国も勉強しておかないと、「戦闘機」や「陸自現有組織」の防衛だけでは日本の国益には役立ちません。
過去の「Round Up World Now」中国特集
「中国情勢やぶにらみ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-09
「中国経済と指導者交代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-15
「バイデン訪中と密約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
200兆円のネズミ講?:中国版サブプライム問題 [経済情勢]
大江麻里子アナで評判だったPODCAST「日経ヴェリタス モヤモヤとーく」は大江アナのNY赴任で3月末で終了したのですが、リスナーからの熱い要望に応え「曽根純恵のナルホドそーね」との形で再スタートを切っています。曽根純恵さんの落ち着いた進行が印象的な良い番組です
23日には第3回目が放送され、テーマの一つとして、中国の管理監督が不十分な「シャドーバンキング」が今後の懸念事項として取り上げられました。
中国の主要銀行幹部が「ネズミ講」と呼び、大物投資家ソロス氏が「中国版サブプライムだ」と警告を発した200兆円を超えると噂される投資資金はどうなっているのか? その辺りを放送聞き取りでご紹介します
世界経済は今や融合が進んでいますので、これが弾けたら世界は再び大荒れ必死だそうです
中国の「シャドーバンキング」とは
●シャドーバンキングとは、銀行以外の資金調達の総称を指し、特に理財商品といわれる財テク商品(WMP)がここでの問題になる
●本年1-3月間の中国の成長率は7.7%と発表され、前月より勢いがなくなりつつあり、投機的不動産投資で一攫千金を狙う者や中小企業は銀行から資金を調達しにくくなっている。
●特に、中国の地方政府は地方債の発行を原則認められず、銀行からの借り入れが原則出来ないため、資金調達の手法として独自の受け皿会社(平台)を設置し、資金調達を行っている。
●一方、世界的な低金利の中にあって、中国富裕層などの資金が、有利な投資先を探している状況。また正規の銀行も政府の監視を逃れて、運用会社に「迂回融資」の様な手段で「自らの手は汚さず」高利回りな運用を求めている
●そこで、資金のこのような需給要求を満たすために中国で生まれたのが信託会社が行う「シャドーバンキング」である。中国内の一部で行き先を探している投機的資金を高配当をうたって財テク商品(WMP)に引き寄せ、地方政府が行うインフラ整備や一般業者の投機的住宅整備などに投入して「陰の資金」の流れを作っている
自転車操業的な財テク商品(WMP)
●シャドーバンキングに利用される投機商品の特徴は、償還期間が数ヶ月から1-2年と短く、投機的な投資家心理にも馴染みやすい点である。また利率もかなり高く設定されている
●一方で資金貸し出しはスパンの長いインフラ整備が主体で、性格の異なる需給要求を無理に結びつけている点で、無理が生じやすい懸念がある。
●正確な状況が掴みにくい中国事情だが、「シャドーバンキング」が扱う財テク商品(WMP)の額は200兆円を超えるとの見積もりもあるし、それ以上だとの指摘もある
●中国の主要銀行幹部は、この長期に渡って必要なインフラ整備に、短期的投機資金を活用している様子や、自転車操業的なやりくりの実態を評して「ネズミ講」的だと経済誌で述べている
●また有名な大物投資家ジョージ・ソロス氏は、リーマンショックを引き起こしたサブプライム・ローンに恐ろしいほどそっくりだと警鐘を鳴らしている。
●景気の減速が懸念される中国で、いわばバブル期に誕生したこのような仕組みが今後も継続可能だとは考えにくく、崩壊した場合の影響を懸念する声が高まっている
////////////////////////////////////////////////////////////
あの国民の質からすると、金儲けのために何をやっているか判りません。規制する法整備も不十分な中、西側では想像も出来ないような大きな規模で「無茶」が行われている可能性を感じます
金の亡者は何処にもあり、好き勝手やりやすいのが中国ですから、開けてびっくりもレベルが違うような気がします。
財テク商品(WMP)は中国の「シャドーバンキング」の一部だそうです。今後、耳にする機会が増える言葉かもしれません。ご参考まで!
「経済情勢」カテゴリーの最新記事15本
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300599392-1
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
「戦闘機の呪縛から離脱せよ!Ver.2」
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
戦闘機命派の元将軍→「中国が本土からミサイル攻撃すれば、沖縄の航空機基地はたちまち作戦能力を失い、制空権は消滅するとの主張する有識者もいる。理論的には正しいが、現実離れしている」 あなたは元将軍の仲間ですか???
23日には第3回目が放送され、テーマの一つとして、中国の管理監督が不十分な「シャドーバンキング」が今後の懸念事項として取り上げられました。
中国の主要銀行幹部が「ネズミ講」と呼び、大物投資家ソロス氏が「中国版サブプライムだ」と警告を発した200兆円を超えると噂される投資資金はどうなっているのか? その辺りを放送聞き取りでご紹介します
世界経済は今や融合が進んでいますので、これが弾けたら世界は再び大荒れ必死だそうです
中国の「シャドーバンキング」とは
●シャドーバンキングとは、銀行以外の資金調達の総称を指し、特に理財商品といわれる財テク商品(WMP)がここでの問題になる
●本年1-3月間の中国の成長率は7.7%と発表され、前月より勢いがなくなりつつあり、投機的不動産投資で一攫千金を狙う者や中小企業は銀行から資金を調達しにくくなっている。
●特に、中国の地方政府は地方債の発行を原則認められず、銀行からの借り入れが原則出来ないため、資金調達の手法として独自の受け皿会社(平台)を設置し、資金調達を行っている。
●一方、世界的な低金利の中にあって、中国富裕層などの資金が、有利な投資先を探している状況。また正規の銀行も政府の監視を逃れて、運用会社に「迂回融資」の様な手段で「自らの手は汚さず」高利回りな運用を求めている
●そこで、資金のこのような需給要求を満たすために中国で生まれたのが信託会社が行う「シャドーバンキング」である。中国内の一部で行き先を探している投機的資金を高配当をうたって財テク商品(WMP)に引き寄せ、地方政府が行うインフラ整備や一般業者の投機的住宅整備などに投入して「陰の資金」の流れを作っている
自転車操業的な財テク商品(WMP)
●シャドーバンキングに利用される投機商品の特徴は、償還期間が数ヶ月から1-2年と短く、投機的な投資家心理にも馴染みやすい点である。また利率もかなり高く設定されている
●一方で資金貸し出しはスパンの長いインフラ整備が主体で、性格の異なる需給要求を無理に結びつけている点で、無理が生じやすい懸念がある。
●正確な状況が掴みにくい中国事情だが、「シャドーバンキング」が扱う財テク商品(WMP)の額は200兆円を超えるとの見積もりもあるし、それ以上だとの指摘もある
●中国の主要銀行幹部は、この長期に渡って必要なインフラ整備に、短期的投機資金を活用している様子や、自転車操業的なやりくりの実態を評して「ネズミ講」的だと経済誌で述べている
●また有名な大物投資家ジョージ・ソロス氏は、リーマンショックを引き起こしたサブプライム・ローンに恐ろしいほどそっくりだと警鐘を鳴らしている。
●景気の減速が懸念される中国で、いわばバブル期に誕生したこのような仕組みが今後も継続可能だとは考えにくく、崩壊した場合の影響を懸念する声が高まっている
////////////////////////////////////////////////////////////
あの国民の質からすると、金儲けのために何をやっているか判りません。規制する法整備も不十分な中、西側では想像も出来ないような大きな規模で「無茶」が行われている可能性を感じます
金の亡者は何処にもあり、好き勝手やりやすいのが中国ですから、開けてびっくりもレベルが違うような気がします。
財テク商品(WMP)は中国の「シャドーバンキング」の一部だそうです。今後、耳にする機会が増える言葉かもしれません。ご参考まで!
「経済情勢」カテゴリーの最新記事15本
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300599392-1
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
「戦闘機の呪縛から離脱せよ!Ver.2」
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
戦闘機命派の元将軍→「中国が本土からミサイル攻撃すれば、沖縄の航空機基地はたちまち作戦能力を失い、制空権は消滅するとの主張する有識者もいる。理論的には正しいが、現実離れしている」 あなたは元将軍の仲間ですか???
中国経済統計のいい加減さ [経済情勢]
昨年秋ごろから尖閣関連で中国との関係が難しくなってきましたが、同時期に中国経済の成長鈍化や景気後退の傾向が盛んに報じられるようになりました。
中国経済に注目が集まれば集まるほど、特にその勢いが鈍化するほど、中国を巡る各種経済統計のいい加減さが改めて話題になっていますが、2月26日配信の「日経ヴェリタスもやもやトーク」でも取り上げられていましたのでご紹介します
既にご承知のことかもしれませんが、まんぐーすの勉強のため、お付き合いください
地方経済統計の「底上げ」疑惑
●日本では当然、 47都道府県のGDP合計 = 日本のGDP
しかし中国では、31地方政府GDP合計 > 中国のGDP
中国ではその誤差が85兆円規模で、インドネシア一国分のGDPに相当
●中国の31地方政府等の各成長率をランキング表にすると、全国平均の成長率は何位に?
全国平均の成長率は9.2%だそうですが、その数値は下から4番目
(全国平均より低いのは、上海、北京などのみ)
地方政府の申告が正しければ、全国平均は12%以上になるはずが・・・
2001年以降、江沢民が地方政府の評価基準に経済成長率を組み入れ、2002年のWTO加盟で経済統計に注目が集まり始めたことで、地方政府の統計への信頼度は「うなぎ下がり」
失業率は予測「不要」
●中国の失業率は、過去10年間、ずーーっと4%前半。国家目標の4.5~4.7%以下で推移している。
●IMFは、2017年までの世界各国の失業率予測を公表しているが、中国に関してはずーーっと4.1%と単純予測している
(つまり、中国による発表は、実態にかかわらず4.1%だろうとの痛烈な皮肉)
貿易統計も大いに「まゆつば」もの
●本年1月に中国公表の、中国から韓国や香港への輸出の伸びは11.9%(前年同月比)
●しかし、韓国や香港が発表した中国からの輸入の伸び率ははるかに低い数値
所得格差を示すジニ係数(1に近いほど格差大)も?
●本年1月、12年ぶりにジニ係数が発表されたが、08年:0.491→12年:0.474と格差が縮小傾向にあるとの結果が・・
●この数値には中国人学者からも大きな疑問が。中国の一般研究者からは、0.61など0.5以上の数値が出ている
中国首脳も中国経済統計を信用していないとか・・
●首相に就任予定の李国強も「中国の経済指標は信頼できない。私が参考にしているのは電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資額ぐらいである」と発言したらしい、とネット上で報道されている
●香港在住の著名な複数の中国経済ウォッチャーも、「信頼できない」とコメント
///////////////////////////////////////////////////////////////////
「もやもやトーク」の中では、世界第2位の経済大国として、責任を持って正しい統計発表を期待するとの話になっていましたが、正しい数値を承知していながら公表しないのか、正しい数値を把握できないのか・・・その辺りも気になるところです
恐らく把握できていないんでしょうね・・。
経済関連過去記事:最近の15本
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300599392-1
「植物工場は儲かるか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-14
「温故知新エコン族の生態」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-02
「消費者調査の罠と嘘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-13
「関東大震災時も政治空白」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-08
「ヒト遺伝子解析今は???」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-14
「値上げしてもOKのTDL」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-01-1
中国経済に注目が集まれば集まるほど、特にその勢いが鈍化するほど、中国を巡る各種経済統計のいい加減さが改めて話題になっていますが、2月26日配信の「日経ヴェリタスもやもやトーク」でも取り上げられていましたのでご紹介します
既にご承知のことかもしれませんが、まんぐーすの勉強のため、お付き合いください
地方経済統計の「底上げ」疑惑
●日本では当然、 47都道府県のGDP合計 = 日本のGDP
しかし中国では、31地方政府GDP合計 > 中国のGDP
中国ではその誤差が85兆円規模で、インドネシア一国分のGDPに相当
●中国の31地方政府等の各成長率をランキング表にすると、全国平均の成長率は何位に?
全国平均の成長率は9.2%だそうですが、その数値は下から4番目
(全国平均より低いのは、上海、北京などのみ)
地方政府の申告が正しければ、全国平均は12%以上になるはずが・・・
2001年以降、江沢民が地方政府の評価基準に経済成長率を組み入れ、2002年のWTO加盟で経済統計に注目が集まり始めたことで、地方政府の統計への信頼度は「うなぎ下がり」
失業率は予測「不要」
●中国の失業率は、過去10年間、ずーーっと4%前半。国家目標の4.5~4.7%以下で推移している。
●IMFは、2017年までの世界各国の失業率予測を公表しているが、中国に関してはずーーっと4.1%と単純予測している
(つまり、中国による発表は、実態にかかわらず4.1%だろうとの痛烈な皮肉)
貿易統計も大いに「まゆつば」もの
●本年1月に中国公表の、中国から韓国や香港への輸出の伸びは11.9%(前年同月比)
●しかし、韓国や香港が発表した中国からの輸入の伸び率ははるかに低い数値
所得格差を示すジニ係数(1に近いほど格差大)も?
●本年1月、12年ぶりにジニ係数が発表されたが、08年:0.491→12年:0.474と格差が縮小傾向にあるとの結果が・・
●この数値には中国人学者からも大きな疑問が。中国の一般研究者からは、0.61など0.5以上の数値が出ている
中国首脳も中国経済統計を信用していないとか・・
●首相に就任予定の李国強も「中国の経済指標は信頼できない。私が参考にしているのは電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資額ぐらいである」と発言したらしい、とネット上で報道されている
●香港在住の著名な複数の中国経済ウォッチャーも、「信頼できない」とコメント
///////////////////////////////////////////////////////////////////
「もやもやトーク」の中では、世界第2位の経済大国として、責任を持って正しい統計発表を期待するとの話になっていましたが、正しい数値を承知していながら公表しないのか、正しい数値を把握できないのか・・・その辺りも気になるところです
恐らく把握できていないんでしょうね・・。
経済関連過去記事:最近の15本
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300599392-1
「植物工場は儲かるか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-14
「温故知新エコン族の生態」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-02
「消費者調査の罠と嘘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-13
「関東大震災時も政治空白」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-08
「ヒト遺伝子解析今は???」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-14
「値上げしてもOKのTDL」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-01-1
久々に中国国内情勢を [経済情勢]
9月7日放送(配信)の「伊藤洋一のRound Up World Now」が恒例の中国特集を行い、お馴染み富士通総研主席研究員の柯隆さんが登場しました。
伊藤洋一氏との対談形式で行われる恒例の中国特集ですが、4月以来久々の中国特集でもあり、経済情勢、経済政策、少子高齢化、政権移譲、尖閣問題等々、広範な話題を判り易く短節に伝えています。
ちなみに柯隆さんは1963年中国南京市生まれ。88年来日。94年名古屋大学大学院で経済学修士。長銀総合研究所入社。98年から富士通総研経済研究所で勤務。
財務省関税・外国為替等審議会委員などを歴任。中国問題御意見番で論文、著書多数。中国のCCTVにも毎週のように登場している方です。
中国の経済成長率
●最近の経済情勢から、今年の経済成長目標7.5%が難しいとの見方があるがむしろ逆。7,8月だけで地方政府が90兆円にも及ぶ公共事業投資を打ち、短期的には加熱を懸念。
●一方で銀行借り入れ資金が原始なので、オーバーヒート後の崩壊も懸念される。ただ今年は8%程度の成長率だろう
●欧州の通貨危機で中国の輸出不振を主張する人がいるが、必ずしもそうではない。経済不況で低価格製品に注目が集まり、結果的に安価な中国製品への需要が高まる効果もある
●中国景気減速の原因は、明らかに温家宝首相をはじめとする中央政府による過剰な引き締めである。これに地方政府が反発し、レイムダック化が進む温家宝を無視した公共事業投資が乱発されている
格差拡大の背景
●中国はパイの拡大には成功したが、その分配になんら有効な政策が打てていない。利益の労働分配率は、日本が6割に対し中国では4割。国や企業が搾取しているのである
●所得額に応じた累進課税になってはいるが、相続税が無く、贈与税制度も機能していない。従って裕福な家計は子孫まで裕福であり続ける。
●相続税や贈与税を有効にしたくても、各個人の資産調査が出来ない(機能しない)ので実行可能性が無い状態
少子高齢化の進展と対策
●中国は国際的な基準で2006年に高齢化社会の水準になり、2017年には人口減に転ずる模様。
●中国政府は「一人っ子政策」の撤廃を検討しているが、全国には「一人っ子政策」違反を取り締まり、罰金を徴収して財源にしている部署があり、この雇用が650万人に及ぶといわれている
●雇用だけでなく地方政府高官への「罰金」の還流も伝えられ、その変更にはこのような様々な抵抗が予想される
中国経済を将来牽引する業界は
●安価な製品群を輸出に当てているイメージが現状だが、国内的・内需対応では住宅関連産業は発展するだろう。住宅関連は裾野が広いが、鉄鋼、建材等々は確実に拡大する
●輸出関連では半導体産業が期待できる。企業家精神が旺盛で、エリート育成に躊躇が無い社会なので、格差拡大の半面で突出した技術や人材が出る可能性を秘めている。
政権交代を巡る予想や変化
●首相人事はまだ予断を許さない。李克強が本命であることに変わりはないが、王岐山の可能性は決して排除されていない。6対4の確率であろう
●単純化すると胡錦濤は悲観主義者で過去10年は「失われた10年」とも表現できる。一方で習近平はロマンチストとも表現できる。ただし、長老2名(江沢民と胡錦濤)とその勢力への気遣いや、直面する課題を考えれば、習近平の色を出せる可能性は5割程度と考えられる
●政治改革は中国の中心的課題だが、現実的に進める第一歩は、党内の主要人事を何らかの公式な手法で行うことから始めることであろう
●現状では、江沢民も胡錦濤も習近平も、誰に選ばれたのか誰も説明できない。国や国民のために仕事をするモチベーションが自然に生まれない形を変えるべきである。
尖閣問題を考える
●尖閣問題で国家主席と首相が一度も発言していない。冷静に、この問題が容易に解決できない課題であることを理解しているからであり、韓国大統領の稚拙な行動とは対照的
●中国国営TV(CCTV)も国民をあおるような報道は無く、淡々と事実と専門家的な論評を行うだけ。私(柯隆)は毎週のようにCCTVに出演するが、必ず言われるのは「尖閣問題に触れるな」である。
●ロンドン五輪報道でも、中国選手の活躍を過剰に伝えるのではなく、他国選手のトピック的な話題や文化面を広く紹介している
●政府は国民の不満がデモに発展することを非常に懸念しており、その不満が対日問題より国内問題にあることをよく理解し、慎重に対応している
////////////////////////////////////////////////////////////
中国が難しい舵取りを迫られていることが伺えます
伊藤洋一氏や柯隆さんをどのような人物と判断するかは、読まれる方にお任せします
政治と軍部の関係について同番組では取り上げていませんが、最近は欧米日の識者・研究者から防衛白書まで、「PLAは共産党の軍だから、完全な統制化にある」とは見ていないようです。共通する見方は・・・
●衛星攻撃実験やJ-20初飛行等々の事例から、軍部が政府に相談無く、対外的影響の大きい行動に出ている
●軍への予算配分や装備品開発で、軍部の発言力が増していることは確かである
●一方で、中央軍事委員会や政治委員として、特定の政治勢力と結びついたり影響を与えたりといった段階には無い模様
過去の「Round Up World Now」中国特集
「中国経済と指導者交代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-15
「中国を多様な視点で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-31
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10
「中国を見る視点:経済」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-06-1
「バイデン訪中と密約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
伊藤洋一氏との対談形式で行われる恒例の中国特集ですが、4月以来久々の中国特集でもあり、経済情勢、経済政策、少子高齢化、政権移譲、尖閣問題等々、広範な話題を判り易く短節に伝えています。
ちなみに柯隆さんは1963年中国南京市生まれ。88年来日。94年名古屋大学大学院で経済学修士。長銀総合研究所入社。98年から富士通総研経済研究所で勤務。
財務省関税・外国為替等審議会委員などを歴任。中国問題御意見番で論文、著書多数。中国のCCTVにも毎週のように登場している方です。
中国の経済成長率
●最近の経済情勢から、今年の経済成長目標7.5%が難しいとの見方があるがむしろ逆。7,8月だけで地方政府が90兆円にも及ぶ公共事業投資を打ち、短期的には加熱を懸念。
●一方で銀行借り入れ資金が原始なので、オーバーヒート後の崩壊も懸念される。ただ今年は8%程度の成長率だろう
●欧州の通貨危機で中国の輸出不振を主張する人がいるが、必ずしもそうではない。経済不況で低価格製品に注目が集まり、結果的に安価な中国製品への需要が高まる効果もある
●中国景気減速の原因は、明らかに温家宝首相をはじめとする中央政府による過剰な引き締めである。これに地方政府が反発し、レイムダック化が進む温家宝を無視した公共事業投資が乱発されている
格差拡大の背景
●中国はパイの拡大には成功したが、その分配になんら有効な政策が打てていない。利益の労働分配率は、日本が6割に対し中国では4割。国や企業が搾取しているのである
●所得額に応じた累進課税になってはいるが、相続税が無く、贈与税制度も機能していない。従って裕福な家計は子孫まで裕福であり続ける。
●相続税や贈与税を有効にしたくても、各個人の資産調査が出来ない(機能しない)ので実行可能性が無い状態
少子高齢化の進展と対策
●中国は国際的な基準で2006年に高齢化社会の水準になり、2017年には人口減に転ずる模様。
●中国政府は「一人っ子政策」の撤廃を検討しているが、全国には「一人っ子政策」違反を取り締まり、罰金を徴収して財源にしている部署があり、この雇用が650万人に及ぶといわれている
●雇用だけでなく地方政府高官への「罰金」の還流も伝えられ、その変更にはこのような様々な抵抗が予想される
中国経済を将来牽引する業界は
●安価な製品群を輸出に当てているイメージが現状だが、国内的・内需対応では住宅関連産業は発展するだろう。住宅関連は裾野が広いが、鉄鋼、建材等々は確実に拡大する
●輸出関連では半導体産業が期待できる。企業家精神が旺盛で、エリート育成に躊躇が無い社会なので、格差拡大の半面で突出した技術や人材が出る可能性を秘めている。
政権交代を巡る予想や変化
●首相人事はまだ予断を許さない。李克強が本命であることに変わりはないが、王岐山の可能性は決して排除されていない。6対4の確率であろう
●単純化すると胡錦濤は悲観主義者で過去10年は「失われた10年」とも表現できる。一方で習近平はロマンチストとも表現できる。ただし、長老2名(江沢民と胡錦濤)とその勢力への気遣いや、直面する課題を考えれば、習近平の色を出せる可能性は5割程度と考えられる
●政治改革は中国の中心的課題だが、現実的に進める第一歩は、党内の主要人事を何らかの公式な手法で行うことから始めることであろう
●現状では、江沢民も胡錦濤も習近平も、誰に選ばれたのか誰も説明できない。国や国民のために仕事をするモチベーションが自然に生まれない形を変えるべきである。
尖閣問題を考える
●尖閣問題で国家主席と首相が一度も発言していない。冷静に、この問題が容易に解決できない課題であることを理解しているからであり、韓国大統領の稚拙な行動とは対照的
●中国国営TV(CCTV)も国民をあおるような報道は無く、淡々と事実と専門家的な論評を行うだけ。私(柯隆)は毎週のようにCCTVに出演するが、必ず言われるのは「尖閣問題に触れるな」である。
●ロンドン五輪報道でも、中国選手の活躍を過剰に伝えるのではなく、他国選手のトピック的な話題や文化面を広く紹介している
●政府は国民の不満がデモに発展することを非常に懸念しており、その不満が対日問題より国内問題にあることをよく理解し、慎重に対応している
////////////////////////////////////////////////////////////
中国が難しい舵取りを迫られていることが伺えます
伊藤洋一氏や柯隆さんをどのような人物と判断するかは、読まれる方にお任せします
政治と軍部の関係について同番組では取り上げていませんが、最近は欧米日の識者・研究者から防衛白書まで、「PLAは共産党の軍だから、完全な統制化にある」とは見ていないようです。共通する見方は・・・
●衛星攻撃実験やJ-20初飛行等々の事例から、軍部が政府に相談無く、対外的影響の大きい行動に出ている
●軍への予算配分や装備品開発で、軍部の発言力が増していることは確かである
●一方で、中央軍事委員会や政治委員として、特定の政治勢力と結びついたり影響を与えたりといった段階には無い模様
過去の「Round Up World Now」中国特集
「中国経済と指導者交代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-15
「中国を多様な視点で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-31
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10
「中国を見る視点:経済」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-06-1
「バイデン訪中と密約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
大企業続々参入:植物工場は儲かるか [経済情勢]
週刊東洋経済2012年6月30日号が、表題の記事を掲載しています。
ここでの植物工場とは、光や水、温度を管理した屋内施設で無農薬の野菜を育てる「工場」ですが、このビジネスへの企業参入が相次いでいる模様です。
果たしてその実態は???
「植物工場」の現状
●全国で稼働中の植物工場の数は、2009年には約50カ所だったが、12年3月末には127カ所まで増加した。そのうち100カ所超が密閉された空間で人工光を当てて栽培する完全人工光型。残りは太陽光を併用するタイプ
●工場が急増したきっかけは、農水省と経産省が総額150億円の補助金を出し建設を促したことが大きい。さらに大震災後、津波の塩害や放射能汚染等の中で被災地の復興の手だてとして、「工場」に注目が。
●4月に大和ハウス工業が、レタスなど葉菜類を水耕栽培できる植物工場ユニットを発売したほか、日本GEやパナソニックは、工場の開発・設計を行うみらいと組んで、栽培の実証実験を始める。食品メーカーや外食チェーンなども植物工場の運営に興味を示す。
●植物工場は設備を買えば始められるうえ、飲食店内で栽培可能な小型もあるため、異業種から参入容易
●ただし、生産コストは露地物より高い。工場産レタスは1kg1100~1500円(露地物は300~600円)。露地物に比べて電気や空調代などがかさみ、一定品質を効率よく大量生産する技術が未確立なため
●照明の位置で野菜にバラツキが。最適な大きさを定期的に収穫するには、生育環境や品種の特性などを考え、栽培に適した環境やノウハウを見つける必要。
●みらいの社長は、「温度や二酸化炭素など、さまざまな要素の組み合わせによって、生育速度や野菜の重量が変わってくる。ハード以上に、ソフトが重要」と言う。
●工場の設計、販売や運営サポートを手掛けるリバネスの開発事業部部長も「我々もノウハウを作っている段階。顧客に完全なノウハウを伝えることは難しい」と
外食チェーンも本腰参入
●参入する外食企業は今のところ、実験や企業の宣伝と位置づけて取り組んでいるところが多い。
●日本サブウェイは2010年に、補助金を受けて東京・丸の内に植物工場を併設した店舗「野菜ラボ」を出店。「店産店消」というコンセプトで、店中央に小型植物工場ユニットを設置し、フリルレタスを育成。店舗使用量のわずか3~5%程度の生産で採算は到底合わないが、「野菜への関心をアピールしたい」
●本腰を入れて取り組む企業も。「北海道」などの居酒屋チェーンを展開するコロワイドは、2億円を投じて子会社の神奈川工場に植物工場(敷地346平方m)を設置。6月1日から稼働。 目的は、野菜の仕入れ価格の安定。
●今後は収穫量を増やし、「流通コスト込みで、数年のうちに露地物と同じぐらいの価格まで持っていきたい」(井上社長)と意気込む。
●みらいでは、収穫量を上げることによって1キロ当たり700円まで価格を下げることに成功している。が、それでも露地物より高い。
●対抗するために植物工場の規模をさらに拡大しようとすれば、投資負担は重くなる。参入障壁が低いだけに激しい競争も予想
////////////////////////////////////////////////////
記事が事例紹介している「初期投資500万円の植物工場モデルケース」は、
(サブウェイが導入した店舗内設置ユニットのイメージ)
●初期投資500万円の内訳は、本体設備350万円と設計工事や初期ノウハウ経費が150万円
●その他運営経費は月額45000円。内訳は電気代15000円、肥料水費用5000~15000円、人件費4000円(時給1000円で30分作業を週2回)
●これでフリルレタスが僅か月20株(可食部分が多い結球レタスではない)
味気ない気もしますが、中東の砂漠地帯や太陽や土地がタップリあるところで有効活用できたら良いですね。
「温故知新エコン族の生態」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-02
「消費者調査の罠と嘘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-13
「ヒト遺伝子解析今は???」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-14
「値上げしてもOKのTDL」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-01-1
ここでの植物工場とは、光や水、温度を管理した屋内施設で無農薬の野菜を育てる「工場」ですが、このビジネスへの企業参入が相次いでいる模様です。
果たしてその実態は???
「植物工場」の現状
●全国で稼働中の植物工場の数は、2009年には約50カ所だったが、12年3月末には127カ所まで増加した。そのうち100カ所超が密閉された空間で人工光を当てて栽培する完全人工光型。残りは太陽光を併用するタイプ
●工場が急増したきっかけは、農水省と経産省が総額150億円の補助金を出し建設を促したことが大きい。さらに大震災後、津波の塩害や放射能汚染等の中で被災地の復興の手だてとして、「工場」に注目が。
●4月に大和ハウス工業が、レタスなど葉菜類を水耕栽培できる植物工場ユニットを発売したほか、日本GEやパナソニックは、工場の開発・設計を行うみらいと組んで、栽培の実証実験を始める。食品メーカーや外食チェーンなども植物工場の運営に興味を示す。
●植物工場は設備を買えば始められるうえ、飲食店内で栽培可能な小型もあるため、異業種から参入容易
●ただし、生産コストは露地物より高い。工場産レタスは1kg1100~1500円(露地物は300~600円)。露地物に比べて電気や空調代などがかさみ、一定品質を効率よく大量生産する技術が未確立なため
●照明の位置で野菜にバラツキが。最適な大きさを定期的に収穫するには、生育環境や品種の特性などを考え、栽培に適した環境やノウハウを見つける必要。
●みらいの社長は、「温度や二酸化炭素など、さまざまな要素の組み合わせによって、生育速度や野菜の重量が変わってくる。ハード以上に、ソフトが重要」と言う。
●工場の設計、販売や運営サポートを手掛けるリバネスの開発事業部部長も「我々もノウハウを作っている段階。顧客に完全なノウハウを伝えることは難しい」と
外食チェーンも本腰参入
●参入する外食企業は今のところ、実験や企業の宣伝と位置づけて取り組んでいるところが多い。
●日本サブウェイは2010年に、補助金を受けて東京・丸の内に植物工場を併設した店舗「野菜ラボ」を出店。「店産店消」というコンセプトで、店中央に小型植物工場ユニットを設置し、フリルレタスを育成。店舗使用量のわずか3~5%程度の生産で採算は到底合わないが、「野菜への関心をアピールしたい」
●本腰を入れて取り組む企業も。「北海道」などの居酒屋チェーンを展開するコロワイドは、2億円を投じて子会社の神奈川工場に植物工場(敷地346平方m)を設置。6月1日から稼働。 目的は、野菜の仕入れ価格の安定。
●今後は収穫量を増やし、「流通コスト込みで、数年のうちに露地物と同じぐらいの価格まで持っていきたい」(井上社長)と意気込む。
●みらいでは、収穫量を上げることによって1キロ当たり700円まで価格を下げることに成功している。が、それでも露地物より高い。
●対抗するために植物工場の規模をさらに拡大しようとすれば、投資負担は重くなる。参入障壁が低いだけに激しい競争も予想
////////////////////////////////////////////////////
記事が事例紹介している「初期投資500万円の植物工場モデルケース」は、
(サブウェイが導入した店舗内設置ユニットのイメージ)
●初期投資500万円の内訳は、本体設備350万円と設計工事や初期ノウハウ経費が150万円
●その他運営経費は月額45000円。内訳は電気代15000円、肥料水費用5000~15000円、人件費4000円(時給1000円で30分作業を週2回)
●これでフリルレタスが僅か月20株(可食部分が多い結球レタスではない)
味気ない気もしますが、中東の砂漠地帯や太陽や土地がタップリあるところで有効活用できたら良いですね。
「温故知新エコン族の生態」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-02
「消費者調査の罠と嘘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-13
「ヒト遺伝子解析今は???」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-14
「値上げしてもOKのTDL」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-01-1
中国経済と指導者交代 [経済情勢]
13日放送(配信)の「伊藤洋一のRound Up World Now」が恒例の中国特集を行い、お馴染み富士通総研主席研究員の柯隆さんが登場しました。
伊藤洋一氏との対談形式で行われる恒例の中国特集ですが、今回は本年最初の中国特集でもあり、秋に指導層の交代が控えていることから、将来を展望する内容となっています。
冒頭、薄熙来失脚や江沢民の上海閥と太子党の紐帯、共産党青年団との対立の話もありましたが、何となく着いていけないので省きました。ご興味のある方はPodcastでどうぞ。
温家宝首相の反省会見
●温家宝が自戒の念を込めて語りたかったのは、国有企業の改革や国有銀行の民有化が進まず、逆に民間企業にとっての環境改善も進めることが出来なかった反省である
●首相は強い指導力が個人の資質として不足しており、人脈ネットワークも不十分で、更に国家主席との関係も万全ではなくサポートが得られなかったことが政策を進められなかった原因である
●しかし、残りの任期で何かをやり遂げたいとの意欲を失っておらず、今後動くかもしれない
国有銀行の問題
●国有銀行が中小企業へお金を貸し渋っている。しかし担保が不十分な企業に貸せないのは道理であり、中小企業向けの特別な融資機関を設けないと、首相らが強制しても変化は難しい
●一方で、中国の中小企業の平均寿命は3年半。あまりにも短く、日本の中小企業の様に、独自の技術を蓄えたり人材を育てる役割を果たしていない。短期的な利益追求指向になっている
7.5%成長目標をどう見る?
●継続してきた高成長のゆがみを修正し、産業構造改革を進める狙いの目標下方修正だが、政権最後の数字を飾りたいとの思惑から最終的には公共事業が乱発され、8~9%の成長になると思う
●中国は全産業を55分類しているが、主要な全ての省が55全ての産業を保持しており、国全体での効率的な生産分担が行われていない。非効率な生産が分散して行われている。
●しかし、国があまりにも大きくて分担の話は進まない。地方政府の意地もある。例えば南部沿岸地域内での分担・効率化を考えることが可能な方向か
●人民銀行による金利の引き下げは難しい。何らかの形でのQE2の様な政策の可能性が高い
習近平の長所は?
●癖のない穏健な性格と言われている。長老達に好まれやすい性格である。一方で強力な個性で改革を牽引するタイプではない。
●今後10年に大きな改革は期待できないのでは・・・との見方が強い
「クーデター」デマとネット規制
●ネット上で「クーデター発生」のデマを流した犯人6人が逮捕され、その後数日間、中国版ツイッターでの「返信」や「リツイート」が使用不能に
●当局による情報拡散制御の実験的処置であった。
軍によるクーデターの可能性は
●軍の近代化は引き続き進んでいるが、人事を中央軍事委員会の国家主席が握っており、軍による行動は考えにくい。
●軍よりも国内治安担当部署への予算配分が大きい。対外的な脅威より、中国にとっては国内の暴動やデモへの対処が非常な重要な問題である。
/////////////////////////////////////////
西側諸国はどこも政治的停滞が目立つようになっていますが、中国も同様の傾向にあるようです。
薄熙来の失脚は、一昔前の中国で見られたイデオロギー抗争ではなく、9つの席を争う勢力争いであり、どちらも決め手を欠く・・・との話がありました。
またアップルを訴えている中国企業(倒産済み)は金目当てであるが、アップルは中国進出前に「中国内の掃除」を済ませておくべきだったかもしれない
「中国を多様な視点で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-31
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10
「中国を見る視点:経済」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-06-1
「バイデン訪中と密約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
伊藤洋一氏との対談形式で行われる恒例の中国特集ですが、今回は本年最初の中国特集でもあり、秋に指導層の交代が控えていることから、将来を展望する内容となっています。
冒頭、薄熙来失脚や江沢民の上海閥と太子党の紐帯、共産党青年団との対立の話もありましたが、何となく着いていけないので省きました。ご興味のある方はPodcastでどうぞ。
温家宝首相の反省会見
●温家宝が自戒の念を込めて語りたかったのは、国有企業の改革や国有銀行の民有化が進まず、逆に民間企業にとっての環境改善も進めることが出来なかった反省である
●首相は強い指導力が個人の資質として不足しており、人脈ネットワークも不十分で、更に国家主席との関係も万全ではなくサポートが得られなかったことが政策を進められなかった原因である
●しかし、残りの任期で何かをやり遂げたいとの意欲を失っておらず、今後動くかもしれない
国有銀行の問題
●国有銀行が中小企業へお金を貸し渋っている。しかし担保が不十分な企業に貸せないのは道理であり、中小企業向けの特別な融資機関を設けないと、首相らが強制しても変化は難しい
●一方で、中国の中小企業の平均寿命は3年半。あまりにも短く、日本の中小企業の様に、独自の技術を蓄えたり人材を育てる役割を果たしていない。短期的な利益追求指向になっている
7.5%成長目標をどう見る?
●継続してきた高成長のゆがみを修正し、産業構造改革を進める狙いの目標下方修正だが、政権最後の数字を飾りたいとの思惑から最終的には公共事業が乱発され、8~9%の成長になると思う
●中国は全産業を55分類しているが、主要な全ての省が55全ての産業を保持しており、国全体での効率的な生産分担が行われていない。非効率な生産が分散して行われている。
●しかし、国があまりにも大きくて分担の話は進まない。地方政府の意地もある。例えば南部沿岸地域内での分担・効率化を考えることが可能な方向か
●人民銀行による金利の引き下げは難しい。何らかの形でのQE2の様な政策の可能性が高い
習近平の長所は?
●癖のない穏健な性格と言われている。長老達に好まれやすい性格である。一方で強力な個性で改革を牽引するタイプではない。
●今後10年に大きな改革は期待できないのでは・・・との見方が強い
「クーデター」デマとネット規制
●ネット上で「クーデター発生」のデマを流した犯人6人が逮捕され、その後数日間、中国版ツイッターでの「返信」や「リツイート」が使用不能に
●当局による情報拡散制御の実験的処置であった。
軍によるクーデターの可能性は
●軍の近代化は引き続き進んでいるが、人事を中央軍事委員会の国家主席が握っており、軍による行動は考えにくい。
●軍よりも国内治安担当部署への予算配分が大きい。対外的な脅威より、中国にとっては国内の暴動やデモへの対処が非常な重要な問題である。
/////////////////////////////////////////
西側諸国はどこも政治的停滞が目立つようになっていますが、中国も同様の傾向にあるようです。
薄熙来の失脚は、一昔前の中国で見られたイデオロギー抗争ではなく、9つの席を争う勢力争いであり、どちらも決め手を欠く・・・との話がありました。
またアップルを訴えている中国企業(倒産済み)は金目当てであるが、アップルは中国進出前に「中国内の掃除」を済ませておくべきだったかもしれない
「中国を多様な視点で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-31
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10
「中国を見る視点:経済」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-06-1
「バイデン訪中と密約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
中国を多様な視点で [経済情勢]
昨年12月30日、昨年最後の「伊藤洋一のRound Up World Now」が中国特集を放送し、お馴染みの富士通総研主席研究員の柯隆さんが登場しました。
伊藤洋一氏との対談形式で行われる恒例の中国特集ですが、今回は年末に合わせ、2011年の中国を振り返り将来を展望する内容となっています。冒頭、北朝鮮の話もありましたが、中国関連の話題の概要をご紹介します。
10月の習近平への政権交代
●習近平への移行は既定路線で、司法関連など一部のポストは既にそれを見据えた交代が開始されている。
●しかし首相人事は予断を許さない。李克強が大本命であることに変わりはないが、王岐山の可能性は決して排除されていない
●いずれにしても、国内の難しい問題が山積していおり、次期首相の八年間は極めて困難な任期となろう。
漁船不法操業と韓国人殺害
●今回の事件で明らかになったのは、中国当局の人命に対する配慮のなさ。外交的な問題に関して人命が失われているのに、全く他人事のような初期の対応が如実に示している。
●もちろん国内世論への配慮もあろうが、背景には韓国人に対する特別な感情もあるようだ
●日中戦争時、日本軍と行動を共にした韓国人傭兵の「残忍さ」「横暴さ」は根強く中国国内で語り継がれているようで、今回の韓国との問題を大きくした原因の一つ。ネット上の書き込みは圧倒的に対韓国強硬論であった。
ネット情報の影響力
●中国のネットでは、当局により政権への批判やデモ・ストライキの扇動はチェックされ、ブラックリストが作成されているが、名指しでなければ削除されない場合がほとんど。
●中国のミニブログ利用者の数は3億人を突破。短期的に「アラブの春」のようなことは起こりえないが、長期的には政権への批判を盛り上げるトレンドに寄与する可能性がある。
温家宝の経済運営
●2011年の後半、引き締め政策が効き過ぎて経済の減速傾向が強まったのは、統計の改竄が自らの首を絞めた皮肉な結果である
●2011年2月、インフレを隠すため、中国は値上がりが続いていた食料品の換算率を引き下げて統計数字を操作した。しかしその結果インフレの実態を正しく把握できず、結果的に経済を引き締めすぎたのである。
●国家財政は直接税と各種罰金によって成り立つ変則的な状態で、人々の納税意識は低いが当面大きな問題はない
●問題は地方財政である。非効率な地方政府が運営する第三セクター事業は業績が極端に悪いモノがあり、発覚時点で地方政府全体が手の施しようもない破綻状態に至っているケースが今後出てくるだろう。
不動産価格
●低価格帯と高価格帯の不動産価格はそれほど変わっていない。一方で中価格帯の不動産価格の低下が大きい
●これは所得の格差傾向が一段と進み、中間層が景気減速傾向の影響をもろに受け、また中間層の数が減少傾向にあるためと考えられている。
●政府の文書にも、中間層の育成が政策課題に取り上げられるようになっている。
地場産業・中小企業
●5年前と比較し、地場産業・中小企業の生産高は6割増になっている。小松製作所から技術移転を受けた企業が、ドイツでパテントを獲得する例が見られるようになってきた
●しかし素材産業が育っていない。多くのレアメタルを有してるが、それを生かすような企業がない。
●日本の中小企業に中国関係者を案内すると驚嘆の眼差しを向けるが、その日本の中小企業が資金繰りに苦労している状況は、逆に日本にインキュベーターが不足している現状を示すモノであろう。
//////////////////////////////////////////
柯隆さんと伊藤洋一氏との対談を、継続して4回ほどご紹介してきましたが、危ない危ないと言われながら何とか生き延びているのが中国経済です。
10月の国家主席交代を、中国はどのような形で迎えるのでしょうか。
「バイデン訪中と密約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
「中国インフレの混乱と処方箋」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27
「中国バブル崩壊は秒読み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-06
「中国経済は下り坂」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-30
伊藤洋一氏との対談形式で行われる恒例の中国特集ですが、今回は年末に合わせ、2011年の中国を振り返り将来を展望する内容となっています。冒頭、北朝鮮の話もありましたが、中国関連の話題の概要をご紹介します。
10月の習近平への政権交代
●習近平への移行は既定路線で、司法関連など一部のポストは既にそれを見据えた交代が開始されている。
●しかし首相人事は予断を許さない。李克強が大本命であることに変わりはないが、王岐山の可能性は決して排除されていない
●いずれにしても、国内の難しい問題が山積していおり、次期首相の八年間は極めて困難な任期となろう。
漁船不法操業と韓国人殺害
●今回の事件で明らかになったのは、中国当局の人命に対する配慮のなさ。外交的な問題に関して人命が失われているのに、全く他人事のような初期の対応が如実に示している。
●もちろん国内世論への配慮もあろうが、背景には韓国人に対する特別な感情もあるようだ
●日中戦争時、日本軍と行動を共にした韓国人傭兵の「残忍さ」「横暴さ」は根強く中国国内で語り継がれているようで、今回の韓国との問題を大きくした原因の一つ。ネット上の書き込みは圧倒的に対韓国強硬論であった。
ネット情報の影響力
●中国のネットでは、当局により政権への批判やデモ・ストライキの扇動はチェックされ、ブラックリストが作成されているが、名指しでなければ削除されない場合がほとんど。
●中国のミニブログ利用者の数は3億人を突破。短期的に「アラブの春」のようなことは起こりえないが、長期的には政権への批判を盛り上げるトレンドに寄与する可能性がある。
温家宝の経済運営
●2011年の後半、引き締め政策が効き過ぎて経済の減速傾向が強まったのは、統計の改竄が自らの首を絞めた皮肉な結果である
●2011年2月、インフレを隠すため、中国は値上がりが続いていた食料品の換算率を引き下げて統計数字を操作した。しかしその結果インフレの実態を正しく把握できず、結果的に経済を引き締めすぎたのである。
●国家財政は直接税と各種罰金によって成り立つ変則的な状態で、人々の納税意識は低いが当面大きな問題はない
●問題は地方財政である。非効率な地方政府が運営する第三セクター事業は業績が極端に悪いモノがあり、発覚時点で地方政府全体が手の施しようもない破綻状態に至っているケースが今後出てくるだろう。
不動産価格
●低価格帯と高価格帯の不動産価格はそれほど変わっていない。一方で中価格帯の不動産価格の低下が大きい
●これは所得の格差傾向が一段と進み、中間層が景気減速傾向の影響をもろに受け、また中間層の数が減少傾向にあるためと考えられている。
●政府の文書にも、中間層の育成が政策課題に取り上げられるようになっている。
地場産業・中小企業
●5年前と比較し、地場産業・中小企業の生産高は6割増になっている。小松製作所から技術移転を受けた企業が、ドイツでパテントを獲得する例が見られるようになってきた
●しかし素材産業が育っていない。多くのレアメタルを有してるが、それを生かすような企業がない。
●日本の中小企業に中国関係者を案内すると驚嘆の眼差しを向けるが、その日本の中小企業が資金繰りに苦労している状況は、逆に日本にインキュベーターが不足している現状を示すモノであろう。
//////////////////////////////////////////
柯隆さんと伊藤洋一氏との対談を、継続して4回ほどご紹介してきましたが、危ない危ないと言われながら何とか生き延びているのが中国経済です。
10月の国家主席交代を、中国はどのような形で迎えるのでしょうか。
「バイデン訪中と密約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
「中国インフレの混乱と処方箋」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27
「中国バブル崩壊は秒読み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-06
「中国経済は下り坂」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-30
日本経済にお褒めの言葉 [経済情勢]
ThanksGiving(感謝祭)の休暇で、米国防省も米軍事メディアもお休みモードに入っています。
ということで、本日は米国の高名なエコノミストによる、「日本経済は難局に相対的に上手く」対処してきたが、日本を馬鹿にしてきた米国は、日本のようにうまく対応することは出来ないだろうとの警告をご紹介します。
10月31日付で岡崎久彦氏のブログで紹介された、米PIMCOのMohamed El-Erian社長による主張(ロイター配信)です。
同社長とその主張を岡崎氏は・・
●PIMCOは約108兆円と巨額の運用資産総額を誇る、世界有数のアセットマネジメント会社である。同社の最高経営責任者兼共同最高投資責任者であるエラリアンは、誰もが耳を傾けたがるトップスター級のエコノミスト。
●そうした人物の日本評価は強い浸透力があり、これは、この先しばらく日本についての言説を規定することになるかもしれません。
El-Erian社長の見方は・・
●「日本で起きたようなことは米国では起きない」などともはや言えなくなってきた。米国は自国の経済問題に対処できない日本を馬鹿にしてきたが、今やバブル崩壊後の事態に対処するのがいかに難しいかがわかってきた。
●金融や財政支出による米国史上最大の景気刺激策も効果を発揮しない。低成長が続くと、債務の削減も思うに任せず、経済は上向かないどころか下降を続けてしまう。その間に悪化する雇用不安は弱年層を直撃する
●加えて構造問題がある。政治が必要な改革を実行する能力を失ってしまっているし、国際経済自体が逆風下にある中で、ただでさえ困難なバブル後不況からの脱却はなお一層難しくなる
●これらは日本が経験してきたことだ。ただ、日本は難局に対して「相対的に上手く」処してきた。それを可能にしたのは・・・
---日本社会の一体性と、それがもたらすセーフティネットであり、
---対外純債権だ。米国にはこれが決定的に欠けているので、外からの資金フローの変動に対するクッションがない
●従って米国の方がより深刻で、経済的コストはより高くなり、金融の脆弱性もより深刻になり、社会的混乱も大きくなるだろう。これは既に「ウォール街を占拠せよ」運動で現実化している
●米国当局者は頭を切り替え、日本で起きたことが自分たちに起きるはずはないなどという考えを捨て、マヒ状態の政治を建て直し、必要な施策を打つことに尽きる。米国は下手をすると日本より悪くなる。
///////////////////////////////////
岡崎氏は更に、日本はもっと評価されても良いと・・・
●不況が2~3年続いただけで、米国、英国、その他欧州主要国では街頭運動が起き、治安維持が危機に
●他方、日本は不況と20年付き合い、そうした中でも社会構造は概して破綻がありません。通りに出て乱暴を働く者もいません。311大震災以降も。
●かつ、その間には不良債権をすっかり処理し、今では先進国の中で最も身ぎれいな銀行セクターを持っています
///////////////////////////////////
「お褒めの言葉」といっても、「同類相哀れむ」の感が否めませんが、それでも「ようやくわかってくれたのか」と思います。
米国に余り自信を失ってもらっても困りますが、謙虚に我が身を振り返って欲しいモノです。
ということで、本日は米国の高名なエコノミストによる、「日本経済は難局に相対的に上手く」対処してきたが、日本を馬鹿にしてきた米国は、日本のようにうまく対応することは出来ないだろうとの警告をご紹介します。
10月31日付で岡崎久彦氏のブログで紹介された、米PIMCOのMohamed El-Erian社長による主張(ロイター配信)です。
同社長とその主張を岡崎氏は・・
●PIMCOは約108兆円と巨額の運用資産総額を誇る、世界有数のアセットマネジメント会社である。同社の最高経営責任者兼共同最高投資責任者であるエラリアンは、誰もが耳を傾けたがるトップスター級のエコノミスト。
●そうした人物の日本評価は強い浸透力があり、これは、この先しばらく日本についての言説を規定することになるかもしれません。
El-Erian社長の見方は・・
●「日本で起きたようなことは米国では起きない」などともはや言えなくなってきた。米国は自国の経済問題に対処できない日本を馬鹿にしてきたが、今やバブル崩壊後の事態に対処するのがいかに難しいかがわかってきた。
●金融や財政支出による米国史上最大の景気刺激策も効果を発揮しない。低成長が続くと、債務の削減も思うに任せず、経済は上向かないどころか下降を続けてしまう。その間に悪化する雇用不安は弱年層を直撃する
●加えて構造問題がある。政治が必要な改革を実行する能力を失ってしまっているし、国際経済自体が逆風下にある中で、ただでさえ困難なバブル後不況からの脱却はなお一層難しくなる
●これらは日本が経験してきたことだ。ただ、日本は難局に対して「相対的に上手く」処してきた。それを可能にしたのは・・・
---日本社会の一体性と、それがもたらすセーフティネットであり、
---対外純債権だ。米国にはこれが決定的に欠けているので、外からの資金フローの変動に対するクッションがない
●従って米国の方がより深刻で、経済的コストはより高くなり、金融の脆弱性もより深刻になり、社会的混乱も大きくなるだろう。これは既に「ウォール街を占拠せよ」運動で現実化している
●米国当局者は頭を切り替え、日本で起きたことが自分たちに起きるはずはないなどという考えを捨て、マヒ状態の政治を建て直し、必要な施策を打つことに尽きる。米国は下手をすると日本より悪くなる。
///////////////////////////////////
岡崎氏は更に、日本はもっと評価されても良いと・・・
●不況が2~3年続いただけで、米国、英国、その他欧州主要国では街頭運動が起き、治安維持が危機に
●他方、日本は不況と20年付き合い、そうした中でも社会構造は概して破綻がありません。通りに出て乱暴を働く者もいません。311大震災以降も。
●かつ、その間には不良債権をすっかり処理し、今では先進国の中で最も身ぎれいな銀行セクターを持っています
///////////////////////////////////
「お褒めの言葉」といっても、「同類相哀れむ」の感が否めませんが、それでも「ようやくわかってくれたのか」と思います。
米国に余り自信を失ってもらっても困りますが、謙虚に我が身を振り返って欲しいモノです。
中国を見る視点(経済) [経済情勢]
米軍や米空軍の細かな動きや、予算を巡るいかにも軍事官僚制と産軍複合体の生態ばかりを最近フォローして性格まで暗くなりそうなので、チョット目線を変えて中国に関する論説をご紹介します。
本日は中国経済を巡る議論です。
手抜きですが、両論とも岡崎久彦氏のブログよりです。米国の論文と岡崎氏の論評が混在していますので・・・。
中国の経済社会構造の限界を見よ。悲観するな
●ある国を見る場合、経済や社会の表層ではなく、その構造がどこまで自律的・持続的発展を可能とするものかが重要です。その意味で、中国社会がイノベーションを支えるものかどうかは重要なポイント。
●西暦1000年頃の中国宋王朝は、経済、技術で西欧の600年先を行っていましたが、産業革命は起きませんでした。市場の飽和もありますが、科挙に合格したエリートが富と地位を独占したことが大きな要因だったと思われます。
●現在中国も、共産党が全てを決め、功績を独占していますが、それは全ての責任を背負うことです。そして失敗は、暴動とそれに乗じて登場する新王朝の「革命」によって贖われてきたのが中国の歴史です。
●西側経済の苦境を前に、中国の一部は「中央集権は民主主義に勝る」と誇っていますが、一党独裁の集権制は、決定は速くても、現場がその決定を表向きだけ実行して結果が伴わないことも多く、その実例が相次ぐ鉄道事故と言えます。
●また、中国のモノづくりの費用も増加しており、「輸出基地」としての中国の意味は落ちています。今後の中国経済成長は、建設と消費への依存を一層強めることになるでしょうが、いくら人口が多くても、内需が急速に拡大するわけではありません。
●他方、米国も基幹産業がなく、金融は化けの皮がはがれ、ITは外注が主、というように、十分な雇用を生んで中産階級、大衆を潤わせるような経済構造が失われています。また米国は平等でも豊かでもなくなって、魅力が薄れて、ソフトパワーは米国から去りつつあります。
●世界は、中国への輸出依存度が増えるにつれて中国に個別撃破され、米国も「国債の大顧客」である中国に鈍くなるでしょう。
●そうした中で、日本としては、安全保障・外交両面で台頭する中国に対するバランス確保の手当を着実に続けていくしかなく、米国没落論ばかりに動揺してばかりではいけません。
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////
中国の為替より補助金を非難せよ
中国の補助金体系は、
①重要部門の全ての国有企業・国家統制下企業には予め保証されたに等しい市場シェアが約束されている、
②ほとんどの銀行が国有・国家統制下にあり、国有・国家統制下企業は、優遇金利に基づく政策融資の恩恵に浴すことができる。更に企業の借入金利が物価上昇率より低く抑えられているため、企業は借りれば借りるほど利息を稼げる。
③土地が公有であることから、国有企業は簡単に安価な土地を入手できる。
●このように中国国有企業は、外国企業も含めてそれ以外の企業とはまるで異なる有利な競争条件下にある。超過利潤により、海外の資源確保に乗り出している。例えば、中国石油天然気集団公司(CNPC)とChina Mobileの二社で、中国の最大の私企業500社を合わせたよりも大きな利益を出している。
●土地は生産要素として重要で、その配分を共産党が恣意的に決めることこそ、内外差別の最たるものであり、また共産党が腐敗と汚職から逃れられない構造的要因です。
●ところが、これほど重要な競争条件の非対称性を、米国の中国経済アナリストはこれまで十分指摘してきていない。
●米国は対応策として、技術的困難はあるにしても先ず補助金を金額にして計算し、中国の補助金を可視化することでWTOへ持ち込み、二国間協議の場でも補助金削除を突きだすことができる。
●人民元高をいくら求めたところで効き目はなく、それよりも米国は、中国の重層的な補助金体系を明らかにし、その非を鳴らし続けるべき。
/////////////////////////////////////////////
どちらも既にどこかで耳にされた見方かもしれませんが、最近はギリシャ危機と国内のTPP問題ばかりで飽き飽きですので、過去にさかのぼって取り上げました。
「予想より早期に中国が派遣国?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-03
「バイデン訪中と米中妥協」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
「なぜ中国は最近高圧的か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-12
「中国インフレの混乱と処方箋」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27
本日は中国経済を巡る議論です。
手抜きですが、両論とも岡崎久彦氏のブログよりです。米国の論文と岡崎氏の論評が混在していますので・・・。
中国の経済社会構造の限界を見よ。悲観するな
●ある国を見る場合、経済や社会の表層ではなく、その構造がどこまで自律的・持続的発展を可能とするものかが重要です。その意味で、中国社会がイノベーションを支えるものかどうかは重要なポイント。
●西暦1000年頃の中国宋王朝は、経済、技術で西欧の600年先を行っていましたが、産業革命は起きませんでした。市場の飽和もありますが、科挙に合格したエリートが富と地位を独占したことが大きな要因だったと思われます。
●現在中国も、共産党が全てを決め、功績を独占していますが、それは全ての責任を背負うことです。そして失敗は、暴動とそれに乗じて登場する新王朝の「革命」によって贖われてきたのが中国の歴史です。
●西側経済の苦境を前に、中国の一部は「中央集権は民主主義に勝る」と誇っていますが、一党独裁の集権制は、決定は速くても、現場がその決定を表向きだけ実行して結果が伴わないことも多く、その実例が相次ぐ鉄道事故と言えます。
●また、中国のモノづくりの費用も増加しており、「輸出基地」としての中国の意味は落ちています。今後の中国経済成長は、建設と消費への依存を一層強めることになるでしょうが、いくら人口が多くても、内需が急速に拡大するわけではありません。
●他方、米国も基幹産業がなく、金融は化けの皮がはがれ、ITは外注が主、というように、十分な雇用を生んで中産階級、大衆を潤わせるような経済構造が失われています。また米国は平等でも豊かでもなくなって、魅力が薄れて、ソフトパワーは米国から去りつつあります。
●世界は、中国への輸出依存度が増えるにつれて中国に個別撃破され、米国も「国債の大顧客」である中国に鈍くなるでしょう。
●そうした中で、日本としては、安全保障・外交両面で台頭する中国に対するバランス確保の手当を着実に続けていくしかなく、米国没落論ばかりに動揺してばかりではいけません。
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////
中国の為替より補助金を非難せよ
中国の補助金体系は、
①重要部門の全ての国有企業・国家統制下企業には予め保証されたに等しい市場シェアが約束されている、
②ほとんどの銀行が国有・国家統制下にあり、国有・国家統制下企業は、優遇金利に基づく政策融資の恩恵に浴すことができる。更に企業の借入金利が物価上昇率より低く抑えられているため、企業は借りれば借りるほど利息を稼げる。
③土地が公有であることから、国有企業は簡単に安価な土地を入手できる。
●このように中国国有企業は、外国企業も含めてそれ以外の企業とはまるで異なる有利な競争条件下にある。超過利潤により、海外の資源確保に乗り出している。例えば、中国石油天然気集団公司(CNPC)とChina Mobileの二社で、中国の最大の私企業500社を合わせたよりも大きな利益を出している。
●土地は生産要素として重要で、その配分を共産党が恣意的に決めることこそ、内外差別の最たるものであり、また共産党が腐敗と汚職から逃れられない構造的要因です。
●ところが、これほど重要な競争条件の非対称性を、米国の中国経済アナリストはこれまで十分指摘してきていない。
●米国は対応策として、技術的困難はあるにしても先ず補助金を金額にして計算し、中国の補助金を可視化することでWTOへ持ち込み、二国間協議の場でも補助金削除を突きだすことができる。
●人民元高をいくら求めたところで効き目はなく、それよりも米国は、中国の重層的な補助金体系を明らかにし、その非を鳴らし続けるべき。
/////////////////////////////////////////////
どちらも既にどこかで耳にされた見方かもしれませんが、最近はギリシャ危機と国内のTPP問題ばかりで飽き飽きですので、過去にさかのぼって取り上げました。
「予想より早期に中国が派遣国?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-03
「バイデン訪中と米中妥協」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
「なぜ中国は最近高圧的か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-12
「中国インフレの混乱と処方箋」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27
タグ:中国経済
いやいや中国は普通の大国へ [経済情勢]
先日、Foreign Affairs 9-10月号に掲載の米ピーターソン国際経済研究所Arvind Subramanian氏の論文から、「控えめに見積もっても、2030年に中国が経済的に世界の覇権国となり、その経済力によって米国に自らの意思を押し付けることができるようになるのは避け難い」との主張をご紹介しました。
↓ ↓ ↓
「予想より早期に中国が派遣国?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-03
しかし同じForeign Affairs9-10月号は、上記の論文と対立する意見を主張する豪シドニー大学のSalavatore Babones教授の論文も同時に掲載し、学術雑誌としてのバランスを図っています。
岡崎久彦氏のブログによるとシドニー大の教授は、中国が米国を凌ぐ大国となるように言われるが、中国の今後の成長には数々の障碍があり、成長したとしても、世界中に同盟国や友好国の広汎なネットワークを持つ米国には対抗出来るはずもなく、結局、規模は大きいが通常の大国になるだろう、と予測しています。
Babones教授は論文で・・・
●すなわち、ノーベル経済学賞受賞者Robert Fogelが、2040年には中国のGDPは世界のGDPの40%、(米国は14%、EUは5%)に達すると予測する等、中国が米国を追い越すという予測は多い。しかしこうした議論では、中国の成長を阻害する中期的要因はあまりなく、中国の都市労働者は増え続け、教育水準は上がり続け、外国資本も導入されるとの前提がされている、
●しかし、数年間の傾向を10年単位の分析にあてはめるのは無理がある。韓国の場合も、1960年から90年にかけて1人当たりGNPは米国の13分の1から3分の1になったが、2分の1になるにはその後20年かかっている。戦前すでに先進国だった日本の場合は、その復興なので、例として適切かどうかわからない、
●また、中国は1820年には超経済大国だったのであり、それに戻るだけだという議論もあるが、欧州経済は1800年までに既に進展しており、アヘン戦争前の1820年の中国の1人当たりGNPは欧州の半分以下、その後25%に落ち、1970年にはたった7%になっていた。だから、中国の成長といっても、1870年のレベルに戻っただけだ、
●それに、中国には、少子高齢化、環境、貧富の格差拡大等の問題があり、今後保健への投資も必要になり、今まで通りの成長の型を維持できるかどうか疑問だ。また、政府が富裕層の影響下に入る「ラ米化」という、ブラジル、メキシコ、ロシアと同様の問題も起きている、
●他方、中国の人口が頭打ちで老齢化しているのに対し、米国の人口は移民によって増え続けている。また、米国は広汎な同盟国、友好国に囲まれているが、中国は日本、インド、ロシアなど四面が競争相手だ、
●結局、中国は過去200年の悲劇から立ち直り、大きいが普通の国になりつつあるのであって、それは良いことだ、と言っています。
岡崎久彦氏のコメント
●人間社会には予測不能の事態が起きるので、到底断定できるものではありませんが、どちらかと言えば、先日のSubramanian氏の予想よりこのBabones教授の見通しの方が当たる可能性が大きいと思われます。
●中国には今も成長余力(端的に言えば、労賃の低さ)がある模様ですが、昨今のインフレ、公害、国内騒擾などのニュースを聞くと、ここ20年間で初めて、中国の高度成長もそろそろ曲がり角に来ているかもしれない、という感がなくもありません。
●今後10年の間に、何らかの形で中国経済に急ブレーキがかかり、世界に経済ショックを与える可能性は、無いよりも有る方が大きく、しかもその可能性は、過去10年に比べて遥かに大きくなっているように思われます。もっとも、日本の例からいって、その後もある程度の成長が続く可能性はあるでしょう。
////////////////////////////////////////
今回ご紹介しているBabones教授の説の方が、読んでいてスッキリ治まる気がします。かなり感情的な感想ですが・・・。
前回のSubramanian氏も今回ご紹介のBabones教授も、ともにインド系?の様なお顔立ちです。インドに限らず、南アジアの方々の活躍が世界経済の分野でも
「バイデン訪中と米中妥協」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
「なぜ中国は最近高圧的か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-12
「中国インフレの混乱と処方箋」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27
「中国バブル崩壊は秒読み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-06
↓ ↓ ↓
「予想より早期に中国が派遣国?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-03
しかし同じForeign Affairs9-10月号は、上記の論文と対立する意見を主張する豪シドニー大学のSalavatore Babones教授の論文も同時に掲載し、学術雑誌としてのバランスを図っています。
岡崎久彦氏のブログによるとシドニー大の教授は、中国が米国を凌ぐ大国となるように言われるが、中国の今後の成長には数々の障碍があり、成長したとしても、世界中に同盟国や友好国の広汎なネットワークを持つ米国には対抗出来るはずもなく、結局、規模は大きいが通常の大国になるだろう、と予測しています。
Babones教授は論文で・・・
●すなわち、ノーベル経済学賞受賞者Robert Fogelが、2040年には中国のGDPは世界のGDPの40%、(米国は14%、EUは5%)に達すると予測する等、中国が米国を追い越すという予測は多い。しかしこうした議論では、中国の成長を阻害する中期的要因はあまりなく、中国の都市労働者は増え続け、教育水準は上がり続け、外国資本も導入されるとの前提がされている、
●しかし、数年間の傾向を10年単位の分析にあてはめるのは無理がある。韓国の場合も、1960年から90年にかけて1人当たりGNPは米国の13分の1から3分の1になったが、2分の1になるにはその後20年かかっている。戦前すでに先進国だった日本の場合は、その復興なので、例として適切かどうかわからない、
●また、中国は1820年には超経済大国だったのであり、それに戻るだけだという議論もあるが、欧州経済は1800年までに既に進展しており、アヘン戦争前の1820年の中国の1人当たりGNPは欧州の半分以下、その後25%に落ち、1970年にはたった7%になっていた。だから、中国の成長といっても、1870年のレベルに戻っただけだ、
●それに、中国には、少子高齢化、環境、貧富の格差拡大等の問題があり、今後保健への投資も必要になり、今まで通りの成長の型を維持できるかどうか疑問だ。また、政府が富裕層の影響下に入る「ラ米化」という、ブラジル、メキシコ、ロシアと同様の問題も起きている、
●他方、中国の人口が頭打ちで老齢化しているのに対し、米国の人口は移民によって増え続けている。また、米国は広汎な同盟国、友好国に囲まれているが、中国は日本、インド、ロシアなど四面が競争相手だ、
●結局、中国は過去200年の悲劇から立ち直り、大きいが普通の国になりつつあるのであって、それは良いことだ、と言っています。
岡崎久彦氏のコメント
●人間社会には予測不能の事態が起きるので、到底断定できるものではありませんが、どちらかと言えば、先日のSubramanian氏の予想よりこのBabones教授の見通しの方が当たる可能性が大きいと思われます。
●中国には今も成長余力(端的に言えば、労賃の低さ)がある模様ですが、昨今のインフレ、公害、国内騒擾などのニュースを聞くと、ここ20年間で初めて、中国の高度成長もそろそろ曲がり角に来ているかもしれない、という感がなくもありません。
●今後10年の間に、何らかの形で中国経済に急ブレーキがかかり、世界に経済ショックを与える可能性は、無いよりも有る方が大きく、しかもその可能性は、過去10年に比べて遥かに大きくなっているように思われます。もっとも、日本の例からいって、その後もある程度の成長が続く可能性はあるでしょう。
////////////////////////////////////////
今回ご紹介しているBabones教授の説の方が、読んでいてスッキリ治まる気がします。かなり感情的な感想ですが・・・。
前回のSubramanian氏も今回ご紹介のBabones教授も、ともにインド系?の様なお顔立ちです。インドに限らず、南アジアの方々の活躍が世界経済の分野でも
「バイデン訪中と米中妥協」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
「なぜ中国は最近高圧的か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-12
「中国インフレの混乱と処方箋」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27
「中国バブル崩壊は秒読み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-06
予想より早期に中国が覇権国に? [経済情勢]
Foreign Affairs 9-10月号で、米ピーターソン国際経済研究所のArvind Subramanianが、控えめに見積もっても、2030年に中国が経済的に世界の覇権国となり、その経済力によって米国に自らの意思を押し付けることができるようになるのは避け難い、と警告しています。
同論文は、米国の4倍の人口を持つ中国が力を付け、米国に揺さぶりをかける手段として米国債を売却する等のシナリオを想定している点で興味深いので、岡崎久彦氏のブログからその内容と岡崎氏の楽観的な見方を合わせてご紹介します。
Subramanian氏は論文で
●中国の経済的追い上げで注視すべきは
①その国が動員できる国力を示すGNP、②他の国に対する影響力に関わる貿易量、③債権国であるかどうか、の三つの指標。
●少子高齢化等の影響も勘案して、今後20年間の中国の成長率を7%とし、米国の成長率を過去30年間の平均2.5%として計算すると、2030年には中国のGDPは世界の20%、米国は15%弱となり、中国の一人当たりのGDPは米国の半分になる、
●90年代に日本の挑戦を克服したことはあるが、当時GDPの19%だった米国の財政赤字は、2020年には100%になると予想されており、また、1990年には外国による米国債保有は19%だったが、現在は50%に近く、その多くは中国が保有している、
●何よりも数には勝てない。中国は人口が4倍だから、生活水準が米国の4分の1を越せば経済規模は中国の方が大きくなる。
●中国は、すでに世界が欲しないことが出来るようになっており、中国はアフリカ諸国などに台湾大使館を閉鎖させたりしている。さらに、米国が欲しないことをさせられるようになれば、米国の立場は1956年のスエズ危機の際の英国と同じになる。
●中国が、西太平洋における米軍にはもう我慢できないとして、$4兆ドルの米国債等を売りに出せば、ドルは暴落、米国の信用は落ち、米国債の買い手はなくなる。そうなった時、中国は西太平洋から米軍が引き揚げることを条件に、IMF融資を認めるかもしれない。
●このシナリオは現実性が無いという意見もある。1956年には米国はドルの価値に影響を与えずに英国を締めつけることができたが、中国の場合は元が急騰、通商上の利益を失い、資産も目減りする。米国はその機会に安くなった米国債を買えばよいという考え方だ。
●しかし、10年後の中国は今とは違って、もはや安い元に固執しないかもしれない。これらを総合すると、中国の覇権は予想よりも早く実現するかもしれない。
岡崎氏のコメント
●この論説は、一般の予想より遥かに早い将来、米中の国力が逆転した場合に、中国が米国債を大量に売りに出して起きることを想定して警告を発しているわけです。
●筆者は、実績のある一流の経済学者のようであり、この論文でも、独断的な表現は避け、あり得る反論を掲げ、理論的に議論を進めており、この論文が正しい可能性があることは否定できないのでしょう。第一次大戦前のドイツの経済軍事力も予想外のスピードで拡大しました。
●ただ、私は経済の専門家ではないですが、スエズの場合と違うのは、英通貨はその10年前に主要通貨の地位をドルに譲っていましたが、現在ドルは当分基軸通貨であり続けると予想できます。ドルが基軸通貨(少なくともその一つ)であり、それが高度技術に基づく軍事力に支えられている限り、米国はドルを印刷し続ければ、行き詰ることは無いのではないかと思われます。
/////////////////////////////////////
中国の不安定要因も数多く聞かれるのですが、シンプルに大づかみで概観すると上記のような可能性は十分にあり、2030年を一つの目安として種々考えを巡らすことも意味あることのように思います。
その頃の日本は高齢化が更に進み・・・
「バイデン訪中と米中妥協」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
「なぜ中国は最近高圧的か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-12
「中国インフレの混乱と処方箋」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27
「中国バブル崩壊は秒読み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-06
同論文は、米国の4倍の人口を持つ中国が力を付け、米国に揺さぶりをかける手段として米国債を売却する等のシナリオを想定している点で興味深いので、岡崎久彦氏のブログからその内容と岡崎氏の楽観的な見方を合わせてご紹介します。
Subramanian氏は論文で
●中国の経済的追い上げで注視すべきは
①その国が動員できる国力を示すGNP、②他の国に対する影響力に関わる貿易量、③債権国であるかどうか、の三つの指標。
●少子高齢化等の影響も勘案して、今後20年間の中国の成長率を7%とし、米国の成長率を過去30年間の平均2.5%として計算すると、2030年には中国のGDPは世界の20%、米国は15%弱となり、中国の一人当たりのGDPは米国の半分になる、
●90年代に日本の挑戦を克服したことはあるが、当時GDPの19%だった米国の財政赤字は、2020年には100%になると予想されており、また、1990年には外国による米国債保有は19%だったが、現在は50%に近く、その多くは中国が保有している、
●何よりも数には勝てない。中国は人口が4倍だから、生活水準が米国の4分の1を越せば経済規模は中国の方が大きくなる。
●中国は、すでに世界が欲しないことが出来るようになっており、中国はアフリカ諸国などに台湾大使館を閉鎖させたりしている。さらに、米国が欲しないことをさせられるようになれば、米国の立場は1956年のスエズ危機の際の英国と同じになる。
●中国が、西太平洋における米軍にはもう我慢できないとして、$4兆ドルの米国債等を売りに出せば、ドルは暴落、米国の信用は落ち、米国債の買い手はなくなる。そうなった時、中国は西太平洋から米軍が引き揚げることを条件に、IMF融資を認めるかもしれない。
●このシナリオは現実性が無いという意見もある。1956年には米国はドルの価値に影響を与えずに英国を締めつけることができたが、中国の場合は元が急騰、通商上の利益を失い、資産も目減りする。米国はその機会に安くなった米国債を買えばよいという考え方だ。
●しかし、10年後の中国は今とは違って、もはや安い元に固執しないかもしれない。これらを総合すると、中国の覇権は予想よりも早く実現するかもしれない。
岡崎氏のコメント
●この論説は、一般の予想より遥かに早い将来、米中の国力が逆転した場合に、中国が米国債を大量に売りに出して起きることを想定して警告を発しているわけです。
●筆者は、実績のある一流の経済学者のようであり、この論文でも、独断的な表現は避け、あり得る反論を掲げ、理論的に議論を進めており、この論文が正しい可能性があることは否定できないのでしょう。第一次大戦前のドイツの経済軍事力も予想外のスピードで拡大しました。
●ただ、私は経済の専門家ではないですが、スエズの場合と違うのは、英通貨はその10年前に主要通貨の地位をドルに譲っていましたが、現在ドルは当分基軸通貨であり続けると予想できます。ドルが基軸通貨(少なくともその一つ)であり、それが高度技術に基づく軍事力に支えられている限り、米国はドルを印刷し続ければ、行き詰ることは無いのではないかと思われます。
/////////////////////////////////////
中国の不安定要因も数多く聞かれるのですが、シンプルに大づかみで概観すると上記のような可能性は十分にあり、2030年を一つの目安として種々考えを巡らすことも意味あることのように思います。
その頃の日本は高齢化が更に進み・・・
「バイデン訪中と米中妥協」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-12
「なぜ中国は最近高圧的か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-12
「中国インフレの混乱と処方箋」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27
「中国バブル崩壊は秒読み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-06
ダイソン掃除機と日本製造業 [経済情勢]
休日企画で「話のネタ」を一つご紹介。
テレビショッピングや雑誌広告で最近目にするように英国企業「ダイソン」の製品。
従来の原理とは全く異なる原理で作動する掃除機「サイクロン」や、羽のない扇風機としてその斬新なデザインがこの夏大いに注目を浴びた「エア・マルチプライアー」を製造する企業として名前を聞かれた方も多いでしょう。
今日は10月17日号の雑誌プレジデントに掲載された、茂木健一氏によるダイソン創業者・ジェームズ・ダイソン氏へのインタビューを基にした記事からご紹介します。
20年前に創業し英国の田舎に本社を置く企業が、掃除機や扇風機と言った「成熟製品」分野で画期的な製品を生み出した背景の一端と、それを後押しした日本製造業とその強さをご覧下さい・
ブランドには興味がない
●ダイソンという名前が今や魅力を感じさせる企業名だが、ダイソン氏はブランドには興味が無く、「ある企業が消費者にどう評価されるかと言うことは、その企業が最後に出した製品が全て。ブランドなどは関係がない」と。
●ダイソン社の組織上の構成で画期的なのは、デザイナーとエンジニアの区別がないこと。むしろ全員がエンジニアと言っても良い。ダイソン氏自らがこれまで5500もの製品プロトタイプを造ったように、皆が社内で何らかの技術に取り組んでいる
フラットな会社組織
●英国の教育課程では、エンジニアが同時にデザインの視点を持つことが伝統となっている。このことがダイソン社の様な形態を取ることが可能な背景にある。
●大切なことは、いつまでも現場に居続けること・・とダイソン氏。ダイソン社の組織はフラットで、どんな役員の人も居室はなく、みんなが同じ大部屋で仕事をしている。
●手を動かすことが「偶然の幸運(セレンディピティ)」につながる。羽のない扇風機「エア・マルチプライアー」は、全く別の技術開発中に、偶然空気の流れが増幅できることを発見したことがきっかけ。
日本の強みとお陰で
●ダイソン氏が強調していたのは日本の製造業が置かれた有利な状況。英国ではほとんど消滅してしまった部品などのサプライ・チェーンが、まだまだ日本では健在な点が「大変なプラス要因」。
●ダイソン社の掃除機は、従来型モデルに固執する英国企業に拒否され製品を売り出せないでいたが、日本の会社がライセンス生産を始めたのがきっかけで製品が世に広く知られるようになった。
●日本には恐らく全てがある。無いのはほんの少しの勇気だけ。ダイソン氏の職人魂に日本人は共感する。起用に振る舞う必要など無い。
/////////////////////////////////////////
この記事だけではダイソン社の実態が分かりませんが、田舎に本社の地道だけれど本質追究の会社なのでしょう。
でも掃除機をライセンス生産しようとした日本企業はそれだけの見る目を持っていたと言うことでしょう。
ダイソン社のwebサイト→http://www.dyson.co.jp/
テレビショッピングや雑誌広告で最近目にするように英国企業「ダイソン」の製品。
従来の原理とは全く異なる原理で作動する掃除機「サイクロン」や、羽のない扇風機としてその斬新なデザインがこの夏大いに注目を浴びた「エア・マルチプライアー」を製造する企業として名前を聞かれた方も多いでしょう。
今日は10月17日号の雑誌プレジデントに掲載された、茂木健一氏によるダイソン創業者・ジェームズ・ダイソン氏へのインタビューを基にした記事からご紹介します。
20年前に創業し英国の田舎に本社を置く企業が、掃除機や扇風機と言った「成熟製品」分野で画期的な製品を生み出した背景の一端と、それを後押しした日本製造業とその強さをご覧下さい・
ブランドには興味がない
●ダイソンという名前が今や魅力を感じさせる企業名だが、ダイソン氏はブランドには興味が無く、「ある企業が消費者にどう評価されるかと言うことは、その企業が最後に出した製品が全て。ブランドなどは関係がない」と。
●ダイソン社の組織上の構成で画期的なのは、デザイナーとエンジニアの区別がないこと。むしろ全員がエンジニアと言っても良い。ダイソン氏自らがこれまで5500もの製品プロトタイプを造ったように、皆が社内で何らかの技術に取り組んでいる
フラットな会社組織
●英国の教育課程では、エンジニアが同時にデザインの視点を持つことが伝統となっている。このことがダイソン社の様な形態を取ることが可能な背景にある。
●大切なことは、いつまでも現場に居続けること・・とダイソン氏。ダイソン社の組織はフラットで、どんな役員の人も居室はなく、みんなが同じ大部屋で仕事をしている。
●手を動かすことが「偶然の幸運(セレンディピティ)」につながる。羽のない扇風機「エア・マルチプライアー」は、全く別の技術開発中に、偶然空気の流れが増幅できることを発見したことがきっかけ。
日本の強みとお陰で
●ダイソン氏が強調していたのは日本の製造業が置かれた有利な状況。英国ではほとんど消滅してしまった部品などのサプライ・チェーンが、まだまだ日本では健在な点が「大変なプラス要因」。
●ダイソン社の掃除機は、従来型モデルに固執する英国企業に拒否され製品を売り出せないでいたが、日本の会社がライセンス生産を始めたのがきっかけで製品が世に広く知られるようになった。
●日本には恐らく全てがある。無いのはほんの少しの勇気だけ。ダイソン氏の職人魂に日本人は共感する。起用に振る舞う必要など無い。
/////////////////////////////////////////
この記事だけではダイソン社の実態が分かりませんが、田舎に本社の地道だけれど本質追究の会社なのでしょう。
でも掃除機をライセンス生産しようとした日本企業はそれだけの見る目を持っていたと言うことでしょう。
ダイソン社のwebサイト→http://www.dyson.co.jp/