ロシア社会の停滞と憂鬱 [経済情勢]

最近中国ばかりが話題になるのですが、そんなロシアの雰囲気を外務省ロシア課長経験者の茂田宏氏のブログ「国際情報センター」14日付記事でご紹介します。
茂田氏はエコノミスト誌を引用し・・・

●経済はそう悪くない。08年金融危機でロシアは最も打撃を受けたが、生産は年率4-5%上がっている。石油価格は07年比150%で、インフレは収まりつつあり、雇用も上向きで、消費もしっかりしている。
●にもかかわらず、国民も企業もロシア外にお金を持ち出している。昨年、純資本逃避は340億ドルになった。危機の感覚はなくなったが、その代わりに停滞の感じで出ている。
●ロシアの最大の脆弱性はエネルギーへの依存である。プーチンの下、ロシア輸出の石油・ガスの割合は半分から3分の2になった。そのほとんどは生産増より価格増による。予算も石油収入に依存している。5年前には1バレル50ドルで均衡予算が組めたが、来年は1バレル120でないと組めない。
非効率で汚職のはびこる社会

●外国からの投資も国内投資もロシアの酷いビジネス環境で抑制されている。
●汚職は活動的で才能のある人々の芽を摘んでいる。ロシアの支配層の行動は競争の息を止めている。エリートの多くは治安機関出身者であり、彼らの本能は創造し競争するよりも、捜査し、奪取し、統制し、競争相手を土俵から追い出すことにあり、イノベイションを生まない。
科学者が帰国を望まない
●科学者が帰国したいと思っていない。米に留学したロシア人の科学系学生の77%はロシアに帰らない。最近の調査では、5千万ドル以上の資産を持つロシア人の88%が資産を海外に移動させ、会社を売ろうとしている。子供たちを海外留学させているが、ロシアに返す気はない。
●これは停滞の感覚を育てている。貧困や失業、不安定化や革命の脅威が移住を考えさせているのではない。ロシアではもう何もできないと感じ、国を離れたいと考えている。将来への希望がなくなっている。
●裕福なロシア人は、お金で買えないもの、業績の承認、財産権の保障、安全、医療、子供のための適切な教育を求めている。賄賂を払ったり、政治的理由でビジネスを失ったり、腐敗した官僚のせいで収監されたりしない生活を望んでいる。
ブレジネフ停滞時代の再来
●2ケタ成長が問題を覆い隠してきたが、成長が鈍化するなかで顕在化してきた。ある学者はブレジネフの停滞の時代に似ているとしている。当時も石油価格は高く、消費は伸びていたが、希望のなさで国は疲れてきていた。
●今日のロシア社会全体はソ連時代よりよりシニカルで、不信に満ちている。もちろんロシア人が何百万も国外移住することはないだろう。多くは国にとどまろうが、彼らがどうするか(抗議活動などをするかどうか、現状を容認するか)が問題である
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茂田氏の見方・コメント

●プーチンはエリツィン時代の混乱を国家の強化を通じて安定させたが、その過程で治安関係者中心の政権を作り、結果として国民が創意、工夫、活力を発揮する環境を制約してしまった。
●プーチンの対日強硬策の背景には、大国としてのロシアの復活のような民族主義的アピールしか出来ず、それ以外のビジョンの提示が出来ないからだ。
●中国が権威主義で発展しているのに、ロシアはなぜ上手くいかないのかは興味深い問題である。私はロシア人と中国人の国民的性格の違いが背後にあると考えている。
中国とロシアの比較は興味深いです。
しかし・・・とりあえず当分ロシア軍は、石油収入もあり威勢がよいかも知れません。
「ロシアでCIAの思い出を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-28
「米露が軍事関係改善へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-16
「ロシアの動きを見極めて」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-22
「映像:プーチンが宣伝ロシア戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-19
「ロシアと露軍演習を斬る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-08-1
「露の北方領土への姿勢を斬る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-28
バイデン訪中と米中密約 [経済情勢]

Podcastで配信されたものを聞き取った内容ですので、細部ご関心の方はwebサイト等でご確認下さい。あまり好きになれない感じのバイデン副大統領ですが、外交通の面目躍如の模様です。
恒例の「中国特集」は、富士通総研主席研究員の柯隆(かりゅう)さんが最新の中国情勢を解説する形で番組が進められています。
バイデン訪中の成果について

●ほとんど報じられていないが、この訪中間の副大統領の大きな成果は、中国から米国債の追加引き受けの約束を取り付けた事である。米国債の格付けが下げられ市場も不安定な中、米側は国債を巡る環境を安定させたかった。
●中国側は見返りとして米国から、人民元切り上げ圧力の緩和、台湾への最新F-16戦闘機の売却見送り、更には南シナ海問題での圧力緩和を引き出した。
●中国は外貨準備をどのように運用するかの選択肢が限られており、経済的観点だけでなく外交安全保障全般を見て、リスクの増加した米国債の追加引き受けを選んだのだ。それだけ台湾や南シナ海問題は中国にとっても微妙な側面を持っている。
中国インフレの状況
●人民元切り上げも、中国内インフレ率が6%以上に高止まりの中、なかなか難しいことであり、米の圧力を下げることが必要だった。
●中国のインフレは、家畜用食料の穀物価格高騰や住宅価格の高止まりもあり治まる傾向はない。住宅への投機を抑える政策にもかかわらず住宅価格が下がらないのは、価格の大半を占める土地価格を地方政府が収入減を恐れて意図的に下げないことや石油価格高騰から建材価格が高止まりしているからである。
鉄道事故関連
●鉄道省の旧態然とした体制が問題視され、原因の根本にあるのは間違いないが、現政権は交代の時期に入り鉄道省改革への意欲は薄い。また政権には事の重要性への認識が十分ない。

●ネットで政府の事故対応批判が広まったが、20万人もの中国版twitter使用者が一斉に不満を発信し、言わば「20万人が同時に信号無視」したので当局もどうしようもなかった。その後twitterへの監視が強化されているが、監視・取り締まりの限界も垣間見えた。
●しかし中国当局の報道規制に関する通達の重みに陰りはなかった。
中国進出の日本企業への助言
●中国進出する日本企業は製造業が多く、現地責任者も技術者であるケースが9割である。
●しかし技術者である責任者は、中国内での人付き合いや政治経済を含む情報収集、危機対応に弱く、緊急時にパニックを起こす人が多い。企業はマネージメント力のある人材を送り危機対応力を付けるべき。
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米国弱体化の兆候がいろいろなところで見られますが、中国も綱渡りであることが窺えます。
慌てず騒がず、政権の非難や溝に落ちた人を棒で突くようなことばかりでなく、堅実な代替案を出せるように成るべく「Cool Head, Warm Heart」で参りましょう。
「中国インフレの混乱と処方箋」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27
「中国バブル崩壊は秒読み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-06
消費者アンケートの罠と嘘 [経済情勢]

消費者調査を経て市場に出ているのに、短期間に淘汰される商品が後を絶たない。そんな現実と消費者調査の罠と嘘を、雑誌プレジデント8月1日号が記事にしています。
「人は色んな状況を生き抜くために、意図的に建前や嘘をつく。また脳は融通性高く造られており、いつも揺らいでいる。」と説明する記事の概要は・・・
洗剤「アタックNEO」の例

●消費者調査でも、模擬店舗販売でも、「これは良い」と圧倒的評価。この製品は市場に革命を起こし、占有率5割も夢じゃない・・出だしでも2割はとの見積もり
●しかし実態は、シェア一桁にとどまっている。改めて「なぜ買わないのか?」と聞くと、「こんな少量で以前と同じとは信じられない」や「なぜすすぎ1回で大丈夫なのか不明」と言った本音が。
●メーカー宣伝担当者(経験17年)は、節電節水環境等を強調し、製品の良さが十分アピールできていないと反省
味の素のGABANスパイス・ドレッシングの例

●事前の調査で評判が良かったキャッチコピー「豪華な副菜」を正面に、肉や魚を野菜と混ぜて副菜にするコンセプトを提案。容器もインテリア感覚に溢れるもの
●発売から2ヶ月間は予想の5割り増しの売れ行き。しかしその後は急降下。一回は物珍しさで買ってもらったが、2回目は「副菜まで豪華にしていられない」との消費者の本音に直面し、リピーターが付かなかった。
●「コンセプトは分かるけど、実際は使いこなせないよね」との消費者の本音が後になって判明した。経験18年のマーケティング担当者、「それ良いね」との声を受けて発売したのに、裏切られた思いです。
ヘルシア緑茶の例

●開発段階の消費者調査では「こんな苦いものが飲めるか」とさんざんな結果。ただ、消費者調査の自由回答欄に「苦いけど、なんだか身体に効きそう」との意見に今思うとヒントが
●苦みが意外と消費者にアピールするのでは・・・との思いも確証はなかった。
●しかし発売後、コンスタントに年間300億円売り上げるヒット商品に。
社内意見や消費者調査で出てこなかった「本音」が後から出るケースが多発
●消費者調査で8-9割の人が「買いたい」と答え、社内の審査をパスしても、実際市場で買ってもらえないケースが頻発している。調査では聞けなかった本音が、後から出てくることが、当たり前のように起きている。
●「ジャム」の例のように、時間や状況が変われば簡単に判断を変えるのが消費者で、アンケートの信頼性はそんなもの。本人の気付かない無意識領域で判断していることが多く、外からの観察が困難
●企業内にも課題が。社内会議では、直感的にAがよいと思っていても、論理的に良いと説明できなければ、説明しやすいBを推してしまうことがありがち。
●また社内での説明用に、簡単にネット上で調査し、結果を都合良く使用するケースが多々あるのも現実。先ほどの味の素担当者も「調査結果は如何様にもできる。設計時次第で意図的に誘導できる。だから最後は商品開発や市場調査担当者の嗅覚に掛かっている」
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読者の皆様も既に感じておられた内容かと思いましたが、具体例があって分かりやすかったのでご紹介しました。
ところで・・・最近、民放テレビ局の節電への放送姿勢が微妙です。自信のない番組ばかり放送していると、自局の視聴率ばかりが気になって節電など放送で口にできないのでしょう。あわれ・・。
中国インフレと混乱と処方箋 [経済情勢]

6月24日にラジオ日経で放送され、Podcastで配信されたものを聞き取った内容ですので、細部ご関心の方はwebサイト等でご確認下さい。ちょっとタイトルが「大風呂敷」ですが・・・。

恒例の「中国特集」は、富士通総研主席研究員の柯隆(かりゅう)さんが最新の中国情勢を解説する形で番組が進められました。
インフレと当局の対応
●先日、中国経済のインフレ率が5.5%と発表されたが、直前に食料品の算定比率を下げたからであり、食料品上昇率の11-12%を元の計算式に組み込むと6%になっていたはずの数値。
●中国国民が利用できる預金利子が3.5%程度であるから、庶民は現金を金塊や宝石の「ヒスイ」に交換すべく殺到している状況
●一方で、当局が窓口調整による金融引き締めを行っているため、中小企業は資金繰りが厳しく、特に中小の不動産デベロッパーの倒産が加速的に急増している。

●このような経済の状況から、習近平の下で首相が有力視されている李克強の将来が危ぶまれており、変わりに同じ副首相の王岐山が台頭している。これに中西部の干ばつ被害とここ3週間の洪水による混乱が加わり、次期首相人事は混沌としてきた。
●人民元の切り上げは少しづつ行われているが、基本的に中国経済を支えているのは、為替による価格優位に立つ安価なサンダルやオモチャなどにある構図に変化はなく、中国当局も積極的に切り上げに動くとは思われない。
世界への影響と処方箋?
●世界経済に目を転じると、BRICSの一角ブラジルで政策金利が12,4%、インドも7%にまで上昇する状況でインフレ懸念から成長に陰りが見えてきている。他のBRICS諸国も似たような状況で成長がスローダウンしてきている。
●日本は震災と政治混乱、米はオバマ大統領が選挙をにらんだ慎重な姿勢、欧州は債務問題で混乱中・・・それではどこが世界経済の牽引役を担えるかというと、やはり中国を抜きには語れない。
●今年の新車販売台数が、2000万台を超えることが確実なこの巨大市場の与える影響力は決して過小評価できない。米国経済には回復の兆しもないし、世界的企業の生産拠点は続々中国に移転している現実がある。

●ただ、政権交代が目前に迫る中、現在の指導部が積極的に改革に取り組むとは思えず、新指導部も就任後直ちに新たな方向を打ち出す事は困難であろう。
●ウイグルやモンゴル族自治区では、住民運動を抑えるために密告制度を導入しているようだが、これは将来に禍根を残す手法と言わざるを得ない。
●汚職体質はますます加速。中国新幹線責任者が、スイスの銀行に24億ドルもの巨額の口座を保有していたことで逮捕されたように、途方もないレベルにある

●日本や南シナ海沿岸国との関係では大きな動きはない。ただ、日本の東北にあった下請け産業は、震災を機に中国移転が加速する。
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バブルがはじけると米経済誌などは叫び続けているようですが、北朝鮮の態勢と同じでなかなか西洋人の見立て通りには事態は展開しません。
「アラブの春」のような動きも見られず、いつの間にか世界経済がどっぷり中国に依存する構図が確立しているようです。

悲観的な見方がまんぐーすを含め「読者受け」するからでしょうが、エコノミストの方の分析にも西側感覚とは異なる視点が必要なのかも知れませんねぇ・・・
番組の柯隆さん曰く、「一般に大企業と言われる会社にも、戦略的に中国を見る知見を持った人が非常に少ない」とも。引退後の手習いに中国語でもやりますか? でもどうしてもあのキンキンとした発音には馴染めませんね・・・。
「中国バブル崩壊は秒読み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-06
「中国経済は下り坂」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-30
「中国経済4つの視点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-25
不慣れながらTwitterも始めました・・・@Mongoose2011です。
軽自動車市場がトヨタ拡大で [経済情勢]
箸休め企画!! 休日ですから・・・
でも・・引き続き、2011シャングリラ・ダイアログ関連は以下の記事でフォロー ↓ ↓ ↓ ↓
「米の動向:シャングリラ2011」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
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6月11日付プレジデント誌が「沸騰!軽自動車ウォーズ」との記事を掲載しています。
軽自動車の人気は一時的なモノで、いずれ小型車回帰が起こると考えていた自動車業界の思惑とは異なり、東日本大震災の影響で軽自動車への需要は急上昇。そんな中、これまで壁を作ってきたトヨタが、ダイハツからのOEM(相手ブランド生産)供給を増やし、軽自動車の販売を加速する方向に出たことに業界が大揺れです。
まず基礎的統計で軽自動車の伸びを
●1996年は23.7%だったが、2010年には35.3%まで自動車販売比率を伸ばす。価格・燃費の違いの他、自動車税が軽7200円、普通車34500円(最低)の違いが大きい
●軽自動車のシェア
販売:1位ダイハツ36.6% 2位スズキ32.3%
生産:1位スズキ44.2% 2位ダイハツ37.3%
●トヨタはダイハツから、日産は三菱とスズキから軽自動車の供給を受けている
トヨタの軽自動車販売経緯と狙い
●2003年からダイハツのOEMで約3万台を販売
●2010年9月、更に6万台販売をダイハツと合意
しかし関係者の間では、6万台の増ではとどまらないと見られている。過去2002年、日産がスズキから月3000台の約束で供給を受け始めたが、今年2月の段階で月13000台にまで販売数が達している。客から求められれば拒めないのである。
●車体のエンブレムが異なるだけで車は全く一緒。しかしユーザーの中心である女性は大きなブランドになびきやすい。夫がトヨタに乗っていれば、妻と娘に軽を進める手がある。
●しかしトヨタの販売員にはOEM車を売っても営業成績にならない。一方で客との関係が出来、将来小型車の販売に繋げたい。また修理や車検客としてつなぎたい。一方で軽に手を出すことで自社の小型車ヴィッツへの影響は避けられない。
巨塔ダイハツとススキは・・・
●ダイハツは・・
生産量は2位でも、販売量は日本一でなければならない。みんな富士山しか知らないでしょう。2番手の山なんかみんな知らない。トヨタの販売が伸びればスズキに販売量で負ける恐れがあり危機感。一方で、懸念を強める傘下の販売店には「トヨタにはこれ以上売りませんから・・」と形式的説明振り
●スズキは・・
鈴木修会長のワンマン体制からの改革を、専務の田村実が押し進め「締め支払い」の厳格化が進む。経営体質強化に成功。
2番手でもスズキは問題ない。「無理やお行儀の悪いことはしない」と田村専務。
生産量4番手の三菱自動車は・・
●世界最高水準の安全基準を持つ「軽」はそのまま世界でつうようするき通用する規格。
日本の軽自動車と世界市場
●スズキはインドで、800-1000ccのエンジンを積んで成功。1000ccエンジンのワゴンRが月1000台売れている。
●需要が急増しているインドネシアなどアジアでは、軽の規格は標準になれる。横幅を少し広げるだけで
●これまでトヨタが阻止していた軽のエンジン制限660ccを800ccにまで出来れば、原油高騰や震災復興にも対応が可能
●電気自動車には軽のような小型車がまず一番。このためには国内メーカーの協力体制が必要。軽を巡る供給関係が、他分野での協力関係を促進する可能性にも期待。
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これを書いている時に「トヨタ 軽自動車」でネット検索したら、軽でない小型車「パッソ」のサイトが2番目に出てきました。そして、軽にするならこちらの方が・・と自社小型車パッソの宣伝が・・おそろしやトヨタ。これもサイバー戦か
しかしスズキのインド進出は素晴らしい判断。ワンマンと紹介した鈴木社長が、皆の目が米国に向いている80年代初頭にインド進出を決定。当時インド政府と独占契約にこぎ着けた先見の明に脱帽です。
でも・・引き続き、2011シャングリラ・ダイアログ関連は以下の記事でフォロー ↓ ↓ ↓ ↓
「米の動向:シャングリラ2011」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
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軽自動車の人気は一時的なモノで、いずれ小型車回帰が起こると考えていた自動車業界の思惑とは異なり、東日本大震災の影響で軽自動車への需要は急上昇。そんな中、これまで壁を作ってきたトヨタが、ダイハツからのOEM(相手ブランド生産)供給を増やし、軽自動車の販売を加速する方向に出たことに業界が大揺れです。
まず基礎的統計で軽自動車の伸びを
●1996年は23.7%だったが、2010年には35.3%まで自動車販売比率を伸ばす。価格・燃費の違いの他、自動車税が軽7200円、普通車34500円(最低)の違いが大きい
●軽自動車のシェア
販売:1位ダイハツ36.6% 2位スズキ32.3%
生産:1位スズキ44.2% 2位ダイハツ37.3%
●トヨタはダイハツから、日産は三菱とスズキから軽自動車の供給を受けている
トヨタの軽自動車販売経緯と狙い

●2010年9月、更に6万台販売をダイハツと合意
しかし関係者の間では、6万台の増ではとどまらないと見られている。過去2002年、日産がスズキから月3000台の約束で供給を受け始めたが、今年2月の段階で月13000台にまで販売数が達している。客から求められれば拒めないのである。
●車体のエンブレムが異なるだけで車は全く一緒。しかしユーザーの中心である女性は大きなブランドになびきやすい。夫がトヨタに乗っていれば、妻と娘に軽を進める手がある。
●しかしトヨタの販売員にはOEM車を売っても営業成績にならない。一方で客との関係が出来、将来小型車の販売に繋げたい。また修理や車検客としてつなぎたい。一方で軽に手を出すことで自社の小型車ヴィッツへの影響は避けられない。
巨塔ダイハツとススキは・・・
●ダイハツは・・
生産量は2位でも、販売量は日本一でなければならない。みんな富士山しか知らないでしょう。2番手の山なんかみんな知らない。トヨタの販売が伸びればスズキに販売量で負ける恐れがあり危機感。一方で、懸念を強める傘下の販売店には「トヨタにはこれ以上売りませんから・・」と形式的説明振り
●スズキは・・

2番手でもスズキは問題ない。「無理やお行儀の悪いことはしない」と田村専務。
生産量4番手の三菱自動車は・・
●世界最高水準の安全基準を持つ「軽」はそのまま世界でつうようするき通用する規格。
日本の軽自動車と世界市場

●需要が急増しているインドネシアなどアジアでは、軽の規格は標準になれる。横幅を少し広げるだけで
●これまでトヨタが阻止していた軽のエンジン制限660ccを800ccにまで出来れば、原油高騰や震災復興にも対応が可能
●電気自動車には軽のような小型車がまず一番。このためには国内メーカーの協力体制が必要。軽を巡る供給関係が、他分野での協力関係を促進する可能性にも期待。
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これを書いている時に「トヨタ 軽自動車」でネット検索したら、軽でない小型車「パッソ」のサイトが2番目に出てきました。そして、軽にするならこちらの方が・・と自社小型車パッソの宣伝が・・おそろしやトヨタ。これもサイバー戦か
しかしスズキのインド進出は素晴らしい判断。ワンマンと紹介した鈴木社長が、皆の目が米国に向いている80年代初頭にインド進出を決定。当時インド政府と独占契約にこぎ着けた先見の明に脱帽です。
なぜTDRは値上げしてもOK? [経済情勢]

営業再開に際しては、節電対策に知恵を絞り、同時に来園者の夢を損なわない様に種々の工夫が成されたようで、TVの取材に答える来場者からは節電の影響に全く気付かない方も多いようでした。
本日は雑誌プレジデント5月16日号の48ページより、「なぜ、ディズニーリゾートは値上げしても人が集まったのか」との記事の概要をご紹介します。
まずは、料金の変遷
●(94年5800円)→(99年5200円)→(02年5500円)→(07年5800円)
●そして本年4月からは6200円
入場者数の変遷
●(90年代年間1600万人)→(00年代2500万人)
入場者数の秘密は「地域別価格差別」

●しかし実際は異なる。遠方から飛行機や新幹線、あるいは高速料金を払ってやってくる人は、これだけで数万円が必要。更にリゾート周辺での宿泊費用を合計すると、入園料金の比率は極めて低い、と見ることが出来るのだ。
●入園料の値上げが打撃でないと言えば嘘になるが、数万円かけて遠方から来る人にとって、たかが数百円の値上げなどさほど影響ないのである。仮にこれが入園料2倍ともなれば話は別だろうが。
近傍の利用者には
●一方で、同リゾートに日帰りでやってくる近郊の人たちにとってはどうだろうか。数百円の値上げでも、懐具合が気になる人も多いだろう。
●しかしディズニー側はそんな近郊の人たち用に、割安なチケットをちゃんと用意している。例えば「県民の日パスポート」や「夜間割引チケット」、その他にも期間限定の割引チケットや企業の福利厚生施策と連動した割引制度などで差別化を図り集客に結びつけている。
●遠方からの来訪者で、料金を値上げしても来る人たちには値上げ分を負担願い、値上げに敏感な近傍の利用者には割引チケットを用意する。
●このような「地域別価格差別」の要素を巧みに取り込むことがTDL・TDRの人気が衰えない理由の一つである。
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いい年になりましたが、それでも時々行ってみたくなるのがTDL/TDRです。個人的には、お決まりの場所でお決まりのフレーズで乗客を笑わせる「ジャングルクルーズ」が好きです。
いつまでも1日パスポートを有効に活用できるだけの体力は維持しておきたいモノです。
「本ブログ過去の主要記事一覧」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-23
中国のバブル崩壊は秒読み? [経済情勢]

Holylandは内容の真偽のほどを判断出来ませんし、最近は中国の悪い側面を取り上げると聴取率が上昇する傾向にありますので注意が必要なのですが、極めて判りやすい分析で、そんな所なんだろうなぁー・・・と思わせてくれる解説だったので紹介します。
伊藤洋一さんは、ご存じ住信基礎研究所主席研究員で61才、結構奔放な話し方のように見えて、大人の気配りが随所にあって、安心して聞ける感じです。
大晦日の放送は恒例の「中国特集」で、中国特集の「担当」である富士通総研主席研究員の柯隆(かりゅう)さんが最新の中国情勢を解説する形で番組が進められました。
柯隆(かりゅう)氏の視点による中国経済は・・・
年末の利上げはToo Late

●中国の大部分を占める低所得者層のエンゲル係数は約60%で、食料品の急激な値上がりは極めて大きな打撃である。ただ、年間80万件と言われる各種暴動が、組織化される様子はない。
●年末の0.25%の利上げや預金準備率の引き上げ施策は、この状況への対処にはToo lateであり、効果も期待できない。利上げ等により早くも中国の株価は続落しているが、土曜日に行われた異例の施策は1月の胡錦濤訪米の環境作りの意味合いが強く、温家宝のぎりぎりの選択であったと思う。
●中国元の対ドル切り上げも行われることを見越しての株価低下は、地下の下落、マイナスの資産効果、不良債権の増加に繋がる負のスパイラルの先駆けとなる可能性が高まってきた。
●バブル崩壊の見通しは、黄色信号から赤信号に変わったと思う。温家宝は2011年当初から厳しい批判の中でも経済運営を強いられるだろう。
まだ中国産業の基礎は弱い

●中国の新幹線や衛星技術が目覚ましいと最近話題だが、一部分野に限った突出した業績である。1970年代にソニーや松下電器が世界ブランドとしての地位を確立した時の様子とは明らかに異なる。産業の基盤やすそ野が極めて脆弱である。
●経済発展を牽引してきた広東省の日本企業を複数訪れたが、どの経営者も賃上げにより労働集約型経営の行き詰まりを指摘し、機械化による人減らしの方向にあると言っていた。中国経済の優位性が危うくなってきている。
中国に必要な改革は・・
●金融・為替市場・国営企業の改革が必要である。中国元の切り上げも市場のメカニズムに基づくモノではなく、所詮当局の管理下による見せかけの操作である。
●国有企業で言えば、例えば日本の大店法改正に当たるような流通改革も必要である。中国の地方行政府による他地域の流通業者を閉め出す等の閉鎖的な姿勢も何ら変化がない。
●自動車が年間1800万台購入されたが、それに伴うインフラ整備も全く不足している。13億人を支えるには、東京のような鉄道網の整備も不可欠であろう。
対日強硬派の習近平も調整型リーダー

●江沢民が国内旅行する際、いまだに胡錦濤と全く同じ待遇を受けている。ちなみに習近平は年末にドイツを訪問した際、メルケル首相に江沢民の著書を贈ったそうである。
●対日強硬派の江沢民派と言われる習近平も、難局にあっても強力な施策を打ち出すことは容易なことではない。胡錦濤には江沢民という小姑がいるが、習近平は胡錦濤と江沢民という2人の小姑を抱えることにある。
●ノーベル平和賞を巡る中国の大人げない態度も、何とも言えない不安感にさいなまれる中国指導層の心中を映しているとも言える。
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どこの国でも強力なリーダーシップが求められているようですが・・・その望みが叶わない場合、押しの強さが最後には問われるのでしょうか・・
柯隆(かりゅう)氏の分析過去記事
「Google撤退は業績不振で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-28-3
経済情勢カテゴリー記事は
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300599392-1
淘宝網:売れ筋日本製品 [経済情勢]

『淘宝網』とは中国最大のネットショッピングサイトのことで、中国市場のシェア8割を握るというお化けサイトです。(左はエントリーページ 楕円部分が日本製品ページ)
週刊エコノミスト7月13日号に「『淘宝網』で中国巨大市場を取り込め」との記事が掲載され、宮田将士さんが「淘宝網を使えば、手軽に自社製品を中国で売ることが出来る。
ただし、「中国のネット通販で成功するにはコツが必要」と語っています。
アクティブユーザー1億人、昨年の流通総額は2.6兆円という正に巨大市場、その気がなくても「そそられる」企画記事です。
●『淘宝網』は6月からヤフーと提携、双方のネットショッピング相互乗り入れが可能に。
●ネット人口は03年の7500万人から、10年には4億人を突破。ネット決済利用者も08年5200万人から、09年9400万人に急拡大。
●ヤフージャパンに出店し、ヤフージャパンのクレジットカードサービスに対応していれば、追加費用無く『淘宝網』の日本商品ページに出店可能。
●中国サイトの出店しても、利用者の問い合わせには代理業者が対応するため、中国語で利用者と直接対話する必要はない。
●『淘宝網』の親会社「アリババ」のネット決済サービス「A1ipay」を利用すれば、決済当日のレートで日本円相当の支払いを受ける。

●日本製への信頼から、口に入れるもの、肌に触れるもの、子供や赤ちゃんが使用するものの人気が高い。
●偽物との戦いは大変。人気が出るとすぐ偽物が出現。実際「日本製」を唱う偽物が、大量にネット上で販売されており、これが最大のリスク。(以上が記事概要)
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ちなみに記事に付属している売れ筋日本製品ランキングは・・・
1 三菱中性ボールペン
2 虫除けシール ぴたシャット
4 ウォータークールスカーフ
5 花王 紙おむつメリーズ
6 三菱中性ボールペン 換え芯
7 扇屋食品チーズおやつ
8 鈴木楽器ハーモニカ
9 洗剤の要らないスポンジ メラミンクリーナー
10 アイリスオーヤマ あったカイロ
11 やわらか抹茶あめ
12 明治ミルクほほえみ
13 旭松食品 なっとういち
14 明治ミルクステップ
15 枝豆キーホルダー
(6月13-19日の集計 淘宝網サイトからの集計) 雑誌には30位まで掲載されています。ちなみに3位は明らかに中国製の偽物が掲載されている(雑誌の指摘:虫除け用品)ため省略しました。
また『淘宝網』全体のランキングも掲載されていて興味深いです。
世帯毎の所得分布21年調査 [経済情勢]

そう言えば昔、国際政治の授業で「今日が何の日か知っている人?」と教授に質問され、日本海海戦の日と答えて無条件で「A」をもらった女子学生がいました。副賞に北欧生産の「東郷ビール(通称)」をもらってました・・・。 学生の皆さん! チャンスを逃さないように!
ところで・・・
5月20日、厚生労働省より恒例の「平成21年国民生活基礎調査の概要」が発表されました。既に概要は報道されていますが、昨年紹介して非常に御好評を得ましたので本年も引用させていただきます。
調査の概要トップページ
→http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa09/index.html
世帯毎の所得分布
→http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa09/2-2.html
この統計での所得とは、税金や社会保障費を含む額、つまり一般に「税込み」といわれる額です。手取りはこの額より少ないわけです。「切り貼り」したグラフでは細部が確認できないため、ご自分の「立ち位置」をご確認なさりたい方は、上記の厚生労働省ウェブサイトでご確認下さい。
なお、平成21年調査というのは、平成20年1月から12月の所得を調査したモノだそうです。
全体には昨年より山が左にずれ、、「200~300万円未満」が 13.9%、「300~400万円未満」が 13.3%と昨年より多くなっています。結果的に500万円未満の所得の世帯が過去10年間では最高の56.6%になっています。ちなみに平成12年度調査では48.8%でした。
また、中央値は 427万円であり、平均所得金額(547万5千円)以下の割合は 61.5%となっています。
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「CSBA中国対処構想」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「(その6)CSBA中国対処構想」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-24
「思い出の買い直し」現象 [経済情勢]

●博報堂研究開発局の蔦腹さんによると・・・
多機能化する商品を追いかける事に疲れ、新しさよりも自分の楽しかった記憶や体験を大切にし、当時買いたくても買えなかったモノを追体験で購入する人が増えている。昔の漫画本の復刻等、当時買えなかった人達をターゲットに据える。
●50代の男性の例では・・
M・ジャクソンの追悼番組で「スリラー」等ヒット曲を耳にし、楽しかった学生時代を思い出し、久しぶりにCDを買いたくなった。以来、CD店に立ち寄ることが多くなり、マドンナや山口百恵などのCDを買った。当時は小遣いがなくて買えなかったモノに手が出てしまう。
●企業側も「懐かし商品」を

サントリーは、90年代にヒットした「鉄骨飲料」を3月にリニューアル販売開始し、こちらも好調。「新製品を買って失敗するより安心」との評価
●専門家の見方は・・・
無料情報誌「R25」の柿崎編集長は、「最近は記事の見出しを付ける際、「得する方法」とするより「損しない方法」とした方が読者の反応がよい」
「右下がり」の時代、「(可能性の低い)得より損したくない」という思いが強いのでは・・・と柿崎さんは分析する。「懐かしい」と「損をしたくない」・・・不況下の今、新たな商品・サービスの選択基準となってきている。

歌は昔の方が断然質が高かったと思います。歌詞もメロディーも深みがあったし・・・特徴があった。今の歌番組は過去のベストテン紹介で視聴率を稼いでる様な番組が多くて・・。商品は・・・高度になりすぎてついていけない感じはありますねぇ・・・。
しかしこのコメントは・・・自身の老化現象を的確に表現してるな・・・(遠目ため息)。
Google中国撤退の背景は業績 [経済情勢]

伊藤洋一さんは、ご存じ住信基礎研究所主席研究員で60才、時事通信社のニューヨーク特派員等13年ほど勤務の後、住友信託銀行に86年入社、その後98年に現職に就いた方です。結構奔放な話し方のように見えて、大人の気配りが随所にあって、安心して聞ける感じです。
23日の放送では、富士通総研主席研究員の中国経済専門家である柯隆(かりゅう)さんと対談形式で番組が進められました。
伊藤さんと柯さんのGoogle中国撤退に関する見方は・・・

●一時期、クリントン国務長官までが検閲の問題に言及するような発言が見られ、政治問題化が懸念されたが、今は収まっている。基本的に業績や将来成長の見通しからの企業判断であった事が徐々に明らかになってきたからであろう。

●百度(baidu)は以前から日本にも進出しているが、日本でのシェアは1%程度しかない。これは中国でのノウハウが日本では通用しないことを示している。同様にGoogleは、欧米や日本でのノウハウを生かして中国へ進出したが、結局中国人の心をつかめなかったのである。

中国企業が日本の家電量販店「ラオックス」を買収し、その販売ノウハウを中国流に活用しようとしている所などが参考になるかもしれません。
サイバー攻撃の件は、米軍サイバーコマンド司令官候補者のアレクサンダー中将が「攻撃を受けたら、相手が特定できなくても反撃する」可能性に言及したとの報道もあり、その際、米特殊部隊が攻撃に利用されたサーバーを破壊又は奪取するとの見通しを述べる専門家も現れ、今後が注目です。
「嘉手納から有事早々撤退?」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
「ゲーツ長官が国防省と議会にも宣戦布告」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-09
絶好調な豪経済と日本への示唆 [経済情勢]

豪と言えば資源があるために今回のリーマンショックを比較的軽易に乗り越えたような印象を持っていましたが、それだけではないとの説明です。
みずほ証券の上野氏によれば・・・

●出口戦略を模索する欧米日諸国が利上げを行えない中で、豪は昨年10月から3ヶ月連続で利上げを実施した。
●豪中央銀行総裁の講演によると、豪金融機関のリスクを取らない安定経営、豪企業のバランスシート上の保守的な経営をその好調な背景に上げ、更に人口増加率が高い水準にあることを上げている。
●人口増が経済に及ぼす影響が興味深い。09年の人口増加率2.1%は、自然増が34%で、そのほかは移民によるものである。
●移民は生活を立ち上げ、家を必要とし、家具や電化製品を買う必要があるから需要を生み出す。同時に生活向上のために勤勉に懸命に働いて供給側でも貢献する。
●移民は子供を作り需要を生み出し、行政はインフラ整備を行う。ローンの需要は負担ではなく、不動産開発業者に資金が回るかどうかの、健全な経済政策上の課題である。
●このようにして豪経済は均衡拡大をはかれる形を保っている。

●(JPモルガンCEOと仏知識人アタリ氏が日本の新聞雑誌に寄稿した主張の共通点として・・・)両者に共通するのは人口減少への対応の重要性である。
●更に突き詰めると両者に共通するのは、出生率を上げるか、移民を積極的に受け入れるかどちらかしかない。

日経ヴェリタスのPODCAST番組で、株式部長の井上さんが「日本とブラジルとの移民を通した特別な関係を考えれば、ブラジル移民の受け入れをもっと積極的に考えるべきでは」との主張をされていましたが、一考の余地がありそうです。
(付録)
「QDRから日本は何を読みとるべきか」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
QDRにおける対中国の新作戦構想に関する部分(Holyland推定)
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05
「Joint Air-Sea Battle Conceptは平成の黒船」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-09
中国経済はまもなく下り坂へ [経済情勢]

以前の記事はこちら → 「VOICE12月号が「中国経済」特集」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-25
記事では中国経済の現状を・・・

●レノボや家電のハイアールの活躍は国内が主力で、国外分は買収した外国企業我になっていた部分。純粋の民間企業で世界に羽ばたいた企業はない。
●中国経済の成長の原動力は、90年代から現地進出した安い土地と労働力目当ての外資企業である。中国の輸出の6割は外国企業が担う。
●中国国内の部品産業も外国企業向けに発展。国民所得が工場、税収も増えてインフラ投資が加速している状況。つまり外資牽引型。
●世界経済危機の中で成長を維持している現状は、4兆元の財政出動と金融緩和によるバブルである。ただ、財政赤字はGDP5%程度で、先進国の50%程度や日本の180%よりは余裕がある。
明らかになりつつある問題・課題
●世界の工場たる中国の条件が揺らぎ始めている。つまり、かつて安かった人件費がベトナム、カンボジア、バングラ、インドネシアよりも高くなりつつあり、更に、人口の高齢化で若年労働力不足が迫っている。人口構成でみると、自然成長が期待できるのは2015年ぐらいが最後になるのでは。
●他の先行する先進国は、高度成長期の終わりまでに、高付加価値製品やサービスへの成功したが、中国は次の段階への準備が出来ないまま、高度成長の終焉を迎える。

●経済発展の先頭を走っていた広東省では、労働集約型産業の衰退が始まっている。
●一見グローバルな競争力を付けつつあるような鉄鋼、アルミ、セメント、自動車などの産業は過剰設備で「利益なき繁栄」状態に近い。
必死の産業高度化・・・
●台湾を取り込もうとする必死の取り組みはこの現れ。手っ取り早く高度な技術を獲得しようとする手段。
国内市場の拡大があるだけでも外国企業にとっては「よだれが出る」市場でしょうが、一波乱あるのは間違いないでしょう。同記事は「非連続的な変化」とのぼんやりした表現を使っています。
冷戦当時のソ連へのアプローチと同じ脅威論のみで安全保障を議論している現在の状況には限界がありますね・・・・。
(付録)
「どんな兵器を:Anti-Access環境対応」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
「Anti-Access環境への対応コンセプト」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-03
「QDRから日本は何を読みとるべきか」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
QDRにおける対中国の新作戦構想に関する部分(Holyland推定)
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05
「Joint Air-Sea Battle Conceptは平成の黒船」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-09
天然ガス市場の革命「シェールガス」 [経済情勢]
シェールガスとは、左図のように泥土が堆積して固まった岩の層に閉じ込められているガスで、これまで採掘が難しいことから非在来型の天然ガスと呼ばれていました。この非在来型には他に、CBM(コールベッドメタン:Coalbed Methane)たタイトガスサンドがあります。この非在来型ガスは、近年のガス価格高騰を受け採掘が試みられ、採掘技術改革も行われてきました。
特にシェールガスは、米国では膨大な量が埋蔵されていたが採掘が難しく、放置されていました。ところが90年代を通じた技術進歩で硬い地層からガスを取り出す技術が確立されたことで、数年前から開発が一気に進んだようです。
また、米国天然ガスの確認埋蔵量はわずか3年で2割以上も増加しました。
これに伴い、米国の天然ガス相場は08年7月の13.69ドルをピークに、09年9月には2.4ドルまで急落しました。この結果、行き先を失ったLNG(液化天然ガス)が、激安LNGとして欧州市場に流入。世界的不況によるガス需要の減少も追い打ちをかけ、世界のガス市場は大混乱に陥ったようです。
天然ガスを人質に欧州に強気で臨んでいたロシアの独占天然ガス企業ガスプロムは昨年、西欧向け輸出が3割減少する羽目になっています。また昨年に巨大なLNG基地を完成させ、今年中には世界最大のLNG輸出国となるカタールでは、当て込んでいた米国需要が吹き飛びました。ちなみにカタールの最大のお得意さまは日本です。
当然、ロシアに虐められてきた英独仏をはじめ欧州各国は、ガスプロムの呪縛から逃れようとわれ先にとシェールガス探査に着手している模様です。しかし現時点では、技術面で米国のDevon社がリーダーのようです。
中国にも北米の「シェールガス革命」上陸の兆しが報じられています。2009年11月10日、細部は不明ですが、石油のShellはPetroChinaと「四川盆地富順(Fushun)-永川(Yongchuan)鉱区頁岩気(シェールガス)共同評価協議」を調印し、共同スタディーを開始した模様です。
勿論、日本の総合商社もこの地殻変動に商機を見出し、参戦を始めています。
昨年12月15日、住友商事は「全米最大のシェールガス生産地であるテキサス州バーネット・シェール・フィールドにおいて、中でもコアエリアと呼ばれる地域で天然ガス優良権益の開発生産プロジェクトに参入する」、と日本企業として初めて参画することを明らかにしました。
他の総合商社も参入の機会をうかがっており、三菱商事は韓国ガス公社と組んで、シェールガスの開発をねらっている模様です。
図やグラフを引用させてもらった市原主任研究員は「LNGの価格メカニズムが変革期にきている」と指摘されており、今後もLNGは買い手市場が続き、最大のLNG輸入国の日本も恩恵に浴する可能性が高まってきたと分析しています。
(付録)QDR対中国の新作戦構想に関する部分(Holyland推定)
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05
日韓対決、有機ELテレビはどうなる? [経済情勢]

2010年1月24日夜9時からのNHKスペシャル「メイドイン・ジャパンは生き残れるか」でも取り上げられた分野の話題です。
液晶が働き盛りの大人なら、有機ELは絶大な可能性を秘めた幼児・・と言われるくらいに、次世代テレビが有機ELテレビであることに疑いはなく、その筋の方の間では、2015年頃には普及期を迎えるとの予想もあるようです。
この有機EL、既に携帯電話や自動車オーディオ等の小型表示装置としては使用されていますが、テレビレベルになると格段に難しいようです。

問題は量産化技術の難しさに尽きるらしいです。ガラス基盤に有機ELの素子をいかに均等に並べて吹き付けるか。並べた素子を発光させるさせるための電極の役割をどのように組み込むか。更には、空気に触れると分子構造が変化する有機EL材料の封止技術も難しいとのこと。
開発経費も膨大で、各メーカーの体力勝負との様相を呈している模様です。
記事によれば、ものすごく綺麗で視野も広いようです。Holyland宅は未だ地デジにも対応してません。11年に買い換えたら・・・15年頃また買うのか??