SSブログ

ウクライナ軍のレジスタンス戦は功を奏するか? [安全保障全般]

FacebookとTwitterもご活用ください!
Facebook→http://www.facebook.com/holylandsonettokyo
Twitter→https://twitter.com/Mongoose2011

スマホに優しい「東京の郊外より2」も→https://holylandtokyo.com/
//////////////////////////////////////////////////////

戦況は予断を許しませんが・・・
プーチンのあまりの暴挙に欧米がSWIFT制裁に早々合意の中で 

Ukrainian forces5.jpg2月26日付Defense-Newsが、RAND研究所専門家の寄稿を取り上げ、圧倒的な軍事力差によって劣勢に立たされているウクライナ軍の態勢と動員状況を紹介しつつ、ウクライナ側が重きを置くであろうレジスタンス組織による不正規戦の可能性と難しさを考察しています

ロシア軍が米国など西側の予想をはるかに上回る大規模本格侵攻を開始し、2月27日時点で首都キエフ陥落間近と言われる状況で、予想以上にウクライナ軍が抵抗し、ロシア軍の侵略スピードが鈍っているとの報道もありますが、基礎となる軍事力で圧倒的にロシアに有利であり、その点で「不正規戦・レジスタンツ活動」はウクライナ軍の主要戦術となる可能性が高く、一般論に近い寄稿ですがご紹介いたします

2月26日付Defense-News記事によれば
Ukrainian forces6.jpg●ウクライナ軍は約21万名の正規軍を保有し、2014年以降は西側の訓練支援や軍事援助を受け、能力は上がっている。加えて2月22日にウクライナ大統領は予備役招集を開始ししている
●WW2時にウクライナ人はナチに抵抗し、2014年以降はロシア軍とウクライナ東部地域で志願兵力による抵抗を行っており、歴史的な経験を保有している

●ウクライナは2022年1月に法律で「国家レジスタンス戦略:national resistance strategy」を制定したが、まだ動き出したばかりである
●同戦略は、ウクライナをいくつかの地域に区分した地域防衛軍TDF(Territorial Defense Forces)と、レジスタンス活動を総括する特殊作戦軍(Special Operations Forces)で戦略を推進する体制を規定している

Ukrainian forces2.jpg●2015年以降、米国や西側諸国は、ウクライナ西部の「Yavoriv Combat Training Center」でウクライナ軍の訓練支援を行ってきた。ウクライナ正規軍や予備役兵、レジスタンスを担う特殊作戦軍もその対象であった
●ウクライナ大統領が2月22日に発令した90日間の予備役招集に、何名が応じるかは不透明であるが、世論調査は国民の1/3が応じると回答している状況にある

●ただ、実際のレジスタンス活動遂行は様々なリスクや課題を抱えている。例えば、レジスタンス活動の情報漏洩や内部かく乱を防止するための参加者の慎重な選定、一般国民からのレジスタンス活動への継続的な賛同と支援の確保、レジスタンス要員への継続的なしっかりとした教育訓練の提供などなどである
Ukrainian forces3.jpg●ロシア側はウクライナ側のレジスタンス抵抗を当然予想しており、レジスタンス活動組織への浸透と内部からのかく乱&妨害を図るであろう。またウクライナ国民間に内部通報を促進して国民の分断を図ったり、レジスタンス支援者の処分を行うなどレジスタンス封じを徹底的に動くであろう

●別の視点で、レジスタンス活動をウクライナとして組織化して統制することも容易ではない。実際、ウクライナ東部における2015年以降の活動においては、極端な政治姿勢を持った団体や極右ナショナリスト団体がレジスタンス活動を行い、米国から支援停止対象に指定されるなど足並みの乱れも見られる

Ukrainian forces4.jpg●戦争の今後の展開は予測困難だが、RAND研究所の歴史的なレジスタンス活動の評価は、圧倒的に戦力優位な敵に対しては限定的な効果しか生まないとの結論になっている。
●ウクライナは特に2014年以降、対ロシアの様々な経験と能力構築を行ってきた、しかし外部からの支援なしにレジスタンス活動を効果的に継続することは不可能である。政治的、経済的、そして兵器やISR情報や通信インフラな提供等による軍事的支援がウクライナには不可欠である
//////////////////////////////////////////////

まだ日本のメディアは、今回のプーチンの歴史的な暴挙を、米国やNATO側にも問題があるとの姿勢で報じ、世界の常識から外れた「左旋回」状態です。

Ukrainian forces.jpgしかし日本時間の27日には、ロシアへのエネルギー依存度等から欧州諸国の足並が揃わないのでは・・・と言われていた、SWIFT(国際銀行間通信協会)からのロシア排除であっさりと米英加と欧州が合意しました。

あまりにひどいロシアの姿勢に、ドイツに代表されるロシアより姿勢を示していた欧州諸国も、ロシアへの厳しい姿勢に舵を切ったことを肝の銘じるべきです

ウクライナに関する軍事的な視点
「ウクライナ紛争の最初の一撃は宇宙で!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-17
「ウクライナで戦闘機による制空の時代は終わる?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-08

小泉悠氏によるウクライナ情勢分析
2月2日→https://holylandtokyo.com/2022/02/07/2698/
12月中旬→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-22

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

米国と6か国が3ページの宇宙作戦ビジョン作成共有 [サイバーと宇宙]

仏、独、英、加、豪、NZが米国と
「連合宇宙作戦ビジョン2031」と名付け
「Combined Space Operations Vision 2031」

Combined Space Op.jpg2月22日、米国防省が6か国(豪、加、仏、独、英、NZ)と共に「連合宇宙作戦ビジョン2031:CSpO:Combined Space Operations Vision 2031」との3ページの文書を作成したと発表し、相互運用性と宇宙ドメインでの責任ある行動推進を進める方針を共同で示しました

3ページの文書は「Vision」「Mission」「The Importance of Space」「Objectives」「Lines of Effort」「Conclusion」との6項目で構成され、関係国間での宇宙での協力をさらに推進し、宇宙での安全保障を確かなものにすることを目指すことを謳っています

Combined Space Op2.jpg●Visionは
パートナー国が責任あるアクターとして、国際法に基づき、宇宙での敵対的な行動から防御する体制準備を追求する
●Missionは
協力、協調、相互運用性の機会を作為して改善し、宇宙での行動の自由を維持し、資源の最適化を図り、任務遂行と強靭さを確実にし、紛争を抑止する

●The Importance of Spaceでは
様々な角度から重要性を述べた後、以下の基本方針を語る
Freedom of Use of Space
Responsible and Sustainable Use of Space
Partnering While Upholding Sovereignty
Upholding International Law

●「Vision」「Mission」を実現するためObjectivesとして
prevention of conflicts
unity of effort
mission assurance
defense and protection

●そして上記のための取り組み「Lines of Effort」として
Combined Space Op3.jpgDevelop and operate resilient, interoperable architectures
Enhance command, control, and communications capabilities and other operational linkages among CSpO Participants
Foster responsible military behaviors in space
Collaborate on strategic communications efforts
Share intelligence and information
Professionalize space cadres and training

●Conclusionとして
関係国は、各国と共通の利害追求のため、ビジョンにコミットする。
拡大する機会と宇宙ドメインからの挑戦は、対処行動を推進するため協力強調を必要とする
////////////////////////////////////////////

3ページの同ビジョン原文
https://media.defense.gov/2022/Feb/22/2002942522/-1/-1/0/CSPO-VISION-2031.PDF?source=GovDelivery

なぜ今、このタイミングでこの文書が出たのか不明ですが、内容に特段の目新しさはなさそうで、Defense-Newsの報道も、内容の「切り貼り」紹介だけです

ロシアがウクライナ関連で、宇宙での作戦を始めているのかもしれませんね・・・

恐らく日本も、上記7か国と肩を並べての行動や「情報共有」仲間には入れてもらえないのでしょうが、できることは協力していく方向にあるのでしょう。多分・・・

最近の宇宙関連記事
「ウクライナ紛争の最初の一撃は宇宙で!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-17
「熱核推進システムを応援」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-14
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-12
「核熱推進システム設計を3企業と」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-14
「衛星延命に企業と連携」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-17
「画期的:衛星が推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-27

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

中国が台湾へ軍事支援する米企業に制裁発動 [中国要人・軍事]

台湾のミサイル防衛兵器支援する米2企業が対象
2021年成立の中国法令を根拠に
過去2010,、2015、2019、2020年にも
制裁の具体的内容は不明

Wenbin2.jpg2月21日、中国外務省報道官は定例会見の中で、台湾とミサイル防衛システムの維持整備契約(約110億円)を結んだレイセオンとロッキード社に対し、2021年に中国で成立した「Anti-Foreign Sanctions Law」に基づいて制裁を課すと発表しました

同報道官は会見で細部には言及せず、「中国は再び、米国政府と関係団体に対し、台湾への武器売却を止め、台湾との軍事関係を絶つよう促す」、「中国は国家の主権と安全保障利害を断固死守するため、状況に応じてあらゆる手段を今後もとっていく」とのみ述べています

Taiwan MD.jpg米企業による台湾への武器売却に対する中国の制裁発表は、過去2010,、2015、2019、2020年にもあり、2020年時は、同年10月24日に米国が台湾への大規模武器売却を発表した翌日にロッキード、ボーイング、レイセオン等の軍需部門に対する制裁を発表しています

ただ、いずれの場合も制裁の具体的内容は明らかになっておらず、今回も具体的な制裁内容は明らかになっていません。

同時に、ロッキード、ボーイング、レイセオン等の米国軍需産業は、官民両方の分野で巨大な中国市場を相手に商売を行っており、民需部門への影響も不明です。ちなみに2020年10月時には「軍需部門」のみが対象になっていました
/////////////////////////////////////////////////

Boeing China.jpg米国企業と中国との関係は、それが軍需産業部門を保有する企業であっても微妙なものがあります。

Googleが中国に「AI開発拠点」を設けていることに米国防省幹部や米軍幹部が激怒していることは知られていますが、ボーイングが中国内に民間機生産拠点を保有している点でも微妙な関係です

中国経済の減速や不動産バブル崩壊の中、習近平政権が経済と国際社会との関係のバランスを、どのように取っていくかを見る一つの指標としてご紹介しておきます

2020年10月にも同様の制裁発表
「中国が台湾へ武器輸出する米企業に制裁へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-27

対中国関連の最近の記事
「対中国専属米空母の苦悩」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-15
「米中では極超音速兵器の意味が異なる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-21
「中国が核兵器FOBS開発の可能性」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-21
「2021年版・中国の軍事力レポート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-06

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

空軍長官:高価な極超音速兵器は少数保有で [米空軍]

技術開発担当次官が全力開発を推進し
国防省が空軍に開発ノウハウを陸海軍に学べと言う中

AGM-183A2.jpg2月15日、米空軍協会ミッチェル研究所のイベントでKendall空軍長官が講演し、米空軍の極超音速兵器開発は開発物につきものの課題と格闘中だが、コストダウンには今後も注力するものの、完成してもその高価格や役割から保有兵器数は「small」になると発言しました

米国防省が最優先開発案件としている極超音速兵器開発に陸軍と海軍は協力して取り組んでいますが、空中発射型2タイプを追求している空軍は、空軍長官自身が「米国を遠ざけるために必要としている中国と、抑止力として考える米国とでは、同兵器の重要性が異なる」と以前から主張しており、米国防省から空軍の同兵器開発が不調な点に関し「陸海軍に学べ」と言われても、どこ吹く風の姿勢です

HAWC.jpgまた空軍長官は15日の講演で、米空軍の同兵器開発が不調でも「(比較的同兵器開発が順調な)陸軍をうらやましいとは思わない。空軍を助けて敵の防空網を攻撃してくれたり、敵の攻撃目標を増やして敵を混乱させてくれれば喜ばしい」と余裕を示しているほどです

また、同兵器のコストについては、15日に調達担当次官室が「同兵器開発は企業の寡占化が進み、競争原理が働かず、技術革新の停滞や価格高騰につながる恐れがある」とのレポートを出して、空軍長官の「高価格高止まり」主張を裏付ける結果となっているようです

Kendall空軍長官の発言映像(約44分)


2月15日米空軍協会web記事で空軍長官は
AGM-183A.jpg●極超音速兵器は近い将来価格が低下する見通しはなく、私は同兵器を保有するにしても「比較的小規模になろう」と考えている。もちろん価格低下に空軍としても取り組んでいくし、価格動向を注視することに変わりはない
●米空軍は2タイプの同兵器開発に取り組んでいるが、どちらが有望かについて言及する段階にはなく、成否について言及する段階にもない
---ARRW→B-52搭載をイメージ。ロケットで加速され自ら推進力を持たず射程が長くないたARRM(Air-launched Rapid-Response Weapon:AGM-183A)
---HACM→戦闘機クラス搭載をイメージ。推進装置を持ち射程の長いHACM(Hypersonic Attack Cruise Missile)2021年9月に3度目の試験で基礎試験成功

HAWC5.jpg●2タイプ両方を装備化する可能性もあるが、空軍の空中発射型は航空機に搭載して発射地点まで運搬する必要があり、その点で前方基地や前方配備艦艇から発射可能な他軍種の同兵器より不利な位置にある。(比較的同兵器開発が順調な)陸軍をうらやましいとは思わない。空軍を助けて敵の防空網を攻撃してくれたり、敵の攻撃目標を増やして敵を混乱させてくれれば喜ばしい
●しかしいずれにしても、高価な兵器であり、費用対効果や他の要素からも、慎重に評価して同兵器への投資を検討しなければならない

●米国を遠ざけたい中国と、中国抑止用に同兵器を考えている米国とでは、同兵器の位置づけは異なり、中国と同様に米国が追求する必要は必ずしもない。米国は多数の移動目標に対処する必要があり、少なくとも初期型の同兵器は固定目標に適している点も注意を要する
AGM-183A3.jpg●極超音速兵器は有効な手段だが、米空軍が攻撃する必要のある目標を攻撃する唯一の手段ではなく、低速度の巡航ミサイルは安価であり、ステルス性や敵防空網への妨害と組み合わせれば有効であり、総合的に将来の兵器体系を考える必要がある

●(空軍の同兵器開発試験がトラブルに直面している点への質問に対し、)どの開発案件もすべてが順調だとは限らず、トラブルや経験を積んで成熟していく。空軍は最近の失敗を調査中で、調査結果に応じ必要な判断を下して前進する
///////////////////////////////////////////////////

まんぐーすは剛腕Kendall空軍長官「推し」ですが、深いデータに基づく判断ではなく、感覚的で直感的な見方です。

Kendall 7.jpg米陸軍や海兵隊が長射程攻撃に投資するのはある程度必要だとしても、攻撃対象全体を見積もり、必要な兵器ポートフォリオを費用対効果を見極めて検討することは極めて重要だと考えます

空軍長官は同講演で、今後の兵器開発投資は「前線で違いを生み出せること」、「実験室レベルの成功だけでなく、前線配備可能なレベルであること」が大前提となり、以前のように可能性だけで突っ走る余裕はないと明言して「取捨選択」を徹底するとも語っており、極超音速兵器もその視点で同列に吟味するのでしょう。国防省の最優先指定にもかかわらず

15日公表の調達担当次官「軍需産業基盤」レポート
https://media.defense.gov/2022/Feb/15/2002939087/-1/-1/1/STATE-OF-COMPETITION-WITHIN-THE-DEFENSE-INDUSTRIAL-BASE.PDF

米軍の極超音速兵器開発
「国防省が空軍に極超音速兵器開発の改善提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-30
「技術担当次官:同兵器は最優先事項だ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-23
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-21
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16

「米海軍潜水艦への極超音速兵器は2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19
「米陸軍の極超音速兵器部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-14
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-28
「最近の状況整理&米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「豪州とも協力」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-01
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-28
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

無人機は目指さないがUH-60が無人飛行に成功 [Joint・統合参謀本部]

あくまでも自動化技術獲得が狙い
状況に応じ無人飛行も含めた多様なレベルの自動操縦を選択使用
操縦者はより高次元の意思決定に専念可能に
ヘリの事故に悪天候時の人的ミスが多い教訓も背景に

UH-60A unmanned4.jpgロッキード社傘下のヘリ企業Sikorskyが、米国防省のDARPAとの共同研究(ALIAS)の成果として、2月5日と7日にUH-60 Black Hawkヘリを完全無人で飛行させることに成功したと発表しました。

DARPAやSikorsky社は、必ずしも無人多用途ヘリを開発しようとしているわけではなく、「目的は操縦者が任務に集中できるよう多様な自動操縦オプションを提供すること。自動化システムが操縦者にとって代わることではない」、「今後のカギは、100%有人操縦から、100%自動操縦までの段階的な自動化レベル移行を円滑に行うこと」と表現しているように、へり操縦者負担を軽減し、より高度な作戦判断に集中することが可能な自動操縦システムを追求することのようです

UH-60A unmanned.jpg背景には、ヘリが飛行する低高度域は障害物が多く、敵からの脅威も高く任務遂行に関わる判断事項が多いため、短絡的に無人化追求は難しく、多様な状況に応じて様々な自動操縦オプションを確保しておきたいとのニーズが、米陸軍や特殊部隊、更に救難救助部隊で強いことがあるようです。(もちろん、へり操縦者のポストを確保したいとの職域エゴもあるとは思うが・・・)

またヘリ関連の事故の多くが、悪天候時の人的ミスによって引き起こされていることから、悪天候時に人間の判断をサポートする自動操縦への期待も大きい模様で、現在は有人操縦で運行不可能な天候下での自動運行を可能にする技術開発も目的の一つになっているようです

Cherepinsky.jpg2019年10月にSikorsky社のIgor Cherepinsky自動化部長にインタビューした際は、「我が社は世界に向け、地上からの無人自立飛行を2020年に披露する」と語っていましたが、コロナの影響もあってか、2022年2月まで初の「無人自立飛行」は遅れた模様です

ただし延長期間を無駄にはしていないと主張するためか、実際の飛行はケンタッキー州の陸軍基地で行われた様ですが、自動操縦システムにはマンハッタンの摩天楼を複雑に避けて飛行する場の設定がヴァーチャルで付与され、無人UH-60Hは高度の上げ下げや進路変更を繰り返して仮想高層ビル街での試験飛行に挑戦して成功させた様です

UH-60A unmanned2.jpg今回の試験はDARPAとの共同研究(ALIAS:Aircrew Labor In-Cockpit Automation System)の一環ですが、Sikorsky社は民間ヘリへの応用を視野に置いたSARA(Sikorsky Autonomy Research Aircraft)計画も進めており、そこで開発している「MATRIX」自動操縦システムをALIASでも使用したとのことです。ネット上では「ヘリの操縦が45分でマスターできる」とのキャッチフレーズを同社が使っているようです

UH-60.jpg多様なレベルの自動操縦をニーズに応じて実現する目的の一つは、既存の米軍ヘリにも軽易に費用対効果に見合った自動操縦システムを付加可能なハード&ソフト開発であり、DARPAとSikorsky社の約180億円をかけた6年間の共同研究は、その面でも着実に成果を上げているようです

これら多様な自動操縦技術は、UH-60後継ヘリの開発にも当然活用され、「将来長距離攻撃ヘリ:FLRAA:future long-range assault aircraft」(過去記事参照)などにも組み込まれると考えられています

UH-60後継検討について
「米陸軍UH-60後継の長距離攻撃ヘリの選定開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-13
「米陸軍ヘリは無人化でなく自動化推進の方向か!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-11
「UH-60後継を意識した候補機開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-06-16

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

ウクライナ紛争の最初の一撃は宇宙で!? [サイバーと宇宙]

公にならない目立たない手法で?
ウクライナ紛争は最初の宇宙戦となるかも?

Space Weapon.jpg2月15日付Military.com記事は、米国の複数の専門家の意見を紹介しつつ、ウクライナ紛争が生起した場合、米軍機によるISR等が難しい状況から宇宙アセットへの依存度が高まるが、そんな米国の宇宙依存を知るロシア側は、物理的破壊を伴わない巧妙な宇宙アセット妨害や盲目化手法を「第1撃」として繰り出すのではないか・・・と論じています

そして同記事はまた、理由は明確にしていませんが、そのようなロシア側による米国宇宙アセットへの妨害や無効化工作は、公には成らないのではないかとの専門家意見も紹介しています。

russia anti-satellite2.jpgまんぐーすが想像するに、宇宙アセットが機能不全を起こしたとしても、それが外部からの電波妨害や攻撃に起因するものだとの断定が難しく、また我の宇宙アセット被害を明らかにすることは、敵に我の被害状況を明らかにして「敵の攻撃効果」を敵に知らせることになる可能性があるからだと推測します

記事は、過去のロシアの宇宙アセット攻撃訓練行動を紹介しつつ、最後に「ロシア側による米国宇宙アセットへの妨害や無効化工作は、多様な手段による一時的なものになるのでは」、「公には成らないのではないか」と締めくくる流れとなっており、宇宙に詳しい方にとってはこれが常識的な考え方かもしれませんので、ご紹介しておきます

2月15日付Military.com記事によれば
russia anti-satellite.jpg●2021年11月にロシアが突然、地上発射ミサイルによる衛星破壊実験を行い、デブリを大量に宇宙にまき散らし、国際宇宙ステーションにまで危険を及ぼした際、米国をはじめ国際社会は直ちにこの実験を非難する声明を出した
●しかしこのような国際的な非難にもかかわらず、ウクライナ関連で米国のISRや通信が宇宙アセットに依存していることをロシアはよく理解しており、ウクライナ関連で宇宙が最初の戦場になる可能性は高い

Harrison.jpg●これは同時に、トランプ政権が創設した米宇宙軍が、立ち上げ早々に第一線で活動する場を与えられることでもあり、その存在意義を公に知らせることになる戦いとなる可能性はある。しかし一方で、その活動がどれほど国民の目に触れるかは定かではなく、静かに裏で行われる可能性もあると、CSISのTodd Harrison研究員は述べている

●初代宇宙軍副参謀総長だったDavid Thompson退役大将は、ロシアは昨年11月の衛星攻撃用地上発射ミサイル試験の他にも、例えば2019年以降、不審なロシア衛星を米国衛星に接近させ衝突させそうにしたり、小型目標を放出して飛翔体で攻撃したりする行動を繰り返しており、米国に対して能力を誇示しているようだとコメントしている
●ただ、実際に他国の衛星を物理的に破壊した事例は報じられておらず、衛星へのサイバー攻撃や電波&電子妨害行為についても、公に語られることはない。実際、米宇宙軍にロシアからの衛星攻撃による被害を問い合わせても、「衛星システムは設計通りに稼働を続けている」との回答しかない

Venable.jpg●ヘリテージ財団のJohn Venable研究員は、ロシアのウクライナ侵攻に際して、米宇宙アセットへの妨害がエスカレートする可能性はあるが、「ロシアが持つ多様な手法を使用した一時的な妨害行為が行われる可能性がある」、「ロシアは洗練されたセンサー妨害や盲目化能力を保有している」と述べる一方で、「物理的攻撃はプーチンにとって賢明な手段ではない」とコメントしている
///////////////////////////////////////////

ウクライナ情勢については様々な報道がなされており、何がどうなるか予断を許しませんが、米国が備えようとする「大国間の紛争」の一側面とも考えられ、先日ご紹介した無人機での戦いや、宇宙アセットを巡る戦いの想定など、興味深い側面を秘めています

ウクライナと言えば「ハイブリッド戦」が頭に浮かび、サイバー攻撃から始まるとの報道も耳にしますが、一般の目に触れることのない宇宙での戦いにも注目いたしましょう。

ウクライナで戦闘機による制空の時代は終わる?
「米空軍大佐告発投稿:air littoralがカギ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-08

小泉悠氏によるウクライナ情勢分析
2月2日→https://holylandtokyo.com/2022/02/07/2698/
12月中旬→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-22

ロシアの宇宙兵器関連
「衛星破壊兵器でデブリばらまく」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-16
「ロシア衛星がなどの物体射出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-24
「4月中旬のロシア衛星破壊兵器試験を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-17
「怪しげなロシア衛星問題提起」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-04
「再び同高官が指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-26

宇宙兵器問題への取り組み
「国防宇宙戦略を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-28

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

対中国行動特化の空母カールビンソンを分析 [Joint・統合参謀本部]

対中東から対中国に変化した空母の状況を概観する
“air wing of the future.”空母の先駆者としての視点でも
11月末から5件連続事故の背景は?

Carl Vinson4.jpg2月14日付Defense-Newsが、2月14日に8か月の航海を終えサンディエゴに帰港した空母カールビンソンの活動を振り返り、対中国に特化した米空母の活動の特徴と、同時に初のF-35C搭載など“air wing of the future.”先駆者として位置付けられた同空母の様子を紹介しています

同空母は、昨年11月末から5件連続で艦載機関連の事故を起こした「心配な空母」としても軍事メディアが取り上げていましたが、その活動や艦載機の新たな取り組みに「様々なストレス」の原因があったようなことを示唆する記事となっていますので、3つの視点「艦載機数の増加」「対中国任務の特異性」「コロナ対策」からご紹介いたします

Carl Vinson3.jpgなお同空母は、出撃準備訓練を終了する直前の2021年6月に突然、ハワイ近海に出現したロシア艦隊対処のため同海域に急遽出動を命ぜられ、その対処後に改めて出撃準備訓練と練度チェックを受け8月に中東に向かいました。しかし途中で急遽米軍アフガン撤退があり、引き返す形で初の対中国任務専従として南シナ海やフィリピン海で6か月半継続活動することになった空母で、ハワイ出撃からカウントすると8か月240日余りの活動を行った空母です

記事は「昨年11月末から5件連続の艦載機事故」には一切触れず、3つの視点「艦載機数の増加」「対中国任務の特異性」「コロナ対策」から“air wing of the future.”たる同空母の任務航海を振り返るもので、「連続事故」と「様々なストレス」と「同空母のおかれた環境」を無理やり結び付けているのは、まんぐーすの完全な邪推ですのでご注意ください

1つ目の視点「艦載機数の増加」
F-35C.jpg●同空母にはF-35Cが初艦載されたが、1個飛行隊当たりの機数は14機と、従来の10機から増えており、将来これを20機する検討も海軍内で行われている。そのほかEA-18G電子戦機も2機増、E-2Dも1機増で、かつオスプレイCMB-22部隊も搭載されていた。将来的には艦載ヘリ機数削減を海軍は検討しているが、同空母艦長は必ずしも賛成ではないようだ
●F-35CはFA-18よりも小型だが、地上支援機材が大きく数量も必要で、甲板上の機体の取り回しは複雑になった。空母戦闘軍司令官や空母艦長は、「甲板での機体接触0件の滅多にない優秀な航海だった」と振り返ったが、攻撃能力強化を目指す中、艦載機増加方向で甲板上の運用は難しくなる

2つ目の視点「対中国任務の特殊性」
South China Sea.jpg●中東での戦いを空母が支援してきた過去20年間は、地上の陸軍や海兵隊部隊を艦載機からの地上攻撃で支援する任務が大半だったが、対中国任務は「プレゼンス」を示す行動と有事に備えた訓練が中心になる。空中や海上や水中に脅威の無い環境での対地攻撃任務が、脅威度の高いエリアでの緊張するプレゼンス飛行に変化したことは、乗員の心理的には大きな変化でありストレス源であろう
●同空母は南シナ海やフィリピン海で多くの時間を過ごしたが、特に南シナ海に入ると中国艦艇がすぐにエスコート監視に密着し、空母群艦艇は24時間の監視体制を強いられる。また25ノット以上の高速で航行を原則とし、中国艦艇に行動を読まれないよう不意の方向転換なども頻繁に行う点も、中東での行動と全く異なる

3つ目の視点「コロナ対処」
COVID-19.jpeg●同空母は約8か月間の任務行動の間に、コロナ感染を防ぐため、港に立ち寄っての乗員の休息と物資補給はわずか2回(グアムと横須賀各1回)しか行わなかった
●それでも2回の寄港後は、コロナ患者が艦内で急増し、2-3週間後には沈静化するとのパターンを繰り返したが、任務に支障をきたすほど感染者は増加しなかった
//////////////////////////////////////////////////

中東での任務は脅威度も低く難しくない地上攻撃任務が中心で、かつ空母の戻れば比較的ゆったりとした航海がほとんどだったが、対中国派遣は常に緊張感を強いられ、これと言った具体的な任務があるわけではない「宙ぶらりんな毎日」で、かつ艦載機数が増えた甲板はストレスフルで・・・と言ったところでしょうか

ASBM DF-21D.jpg中東での対テロ作戦から、大国間の大規模紛争を予期した態勢への変換は、現場のストレスを増幅させ事故等の原因を生む出す点で、要注意な環境とも言えるでしょう

せめてコロナが収まって、東南アジアの寄港地での楽しみが戻らなければ、米海軍艦艇勤務希望者はますます少なくなるかもしれません

昨年11月末から5件連続で艦載機事故の同空母関連
1月24日には南シナ海でF-35C海没事故も
「南シナ海の米空母でF-35着陸失敗等事故5件相次ぐ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-26
「日本の海保がF-35C海没場所公示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-01

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

米空軍が航空機の燃料消費削減を開始 [米空軍]

まずC-17輸送機で1月から12月の間
目標はわずか3%削減ですが、とりあえず
燃料空中投棄の戦闘機にまで広げられるか?

C-17 data link.jpg2月2日付米空軍協会web記事が、米空軍省次官補が中心となって2022年1月から開始した、航空機の燃料消費削減に関する取り組み「MEEP:Mission Execution Excellence Program」を紹介しています

まずは空軍最大の燃料消費アセットであるC-17輸送機を対象に、同機が所属するCharleston空軍基地とTravis空軍基地で1月から12月の間に実施し、3%の燃料消費量削減を目指すもので、その後、他基地や他機種への拡大を考えているようです

C-17 Fuel.JPG具体的な取り組みは、以下の示すような極めて地道なエンジン稼働時間の削減や効率的な飛行ルートの設定などですが、「鍵となる6つの効率化テクニック」と称して米空軍省担当部署は売り出そうとしています。

・ 飛行計画段階からの厳密なプランニングで、搭載燃料削減
・ 地上移動段階での稼働エンジン数の安全最低限への削減
・ 地上電源ユニット等を最大限活用し、航空機APUの使用極限
・ エンジン始動から離陸までの時間極限
・ 降下の際は、最小エンジン出力で低ドラッグで「continuous descent」
・ 最適な巡航高度での飛行

Guerrero.JPGまたMEEPプロジェクトでは、今後の更なる燃料消費量削減に向けた検討の資とするためのデータ収集や、パイロットや整備員、運航計画スタッフ等に対する「効率的燃料消費」に関する教育も計画しているということです

米空軍省のRoberto I. Guerrero担当次官補は、この「energy intensity」を高める取り組みを、「複数の民間航空輸送事業者」とのミーティングを重ねて決定したと説明し、C-17を対象とした2022年の取り組みで約90億円の削減が見込めると試算しているようです

とても米国らしいのが、本プロジェクト推進のインセンティブとして、燃料消費量削減量に応じ、「当該航空団Wingの優先プロジェクトに資金を提供する」との仕組みを構築すると同次官補が語っている点です
//////////////////////////////////

C-17 data link4.jpg作戦目的達成最優先&安全最優先で育ってきた現場部隊からは、おそらく「総スカン」だったと思いますし、民間航空会社から学んだなどと説明すれば、「戦場は違う」と、Guerrero担当次官補は猛反発を食らったものと邪推いたします

それでもバイデン政権下で、国家機関最大の燃料消費機関の国防省ですから、妥協の策として細々と開始したものと思います。

基地に戻る際、平気で余った燃料を空中投棄する戦闘機部隊にも触手を伸ばせたら、大したものですが・・・

排出ゼロや気候変動への取組み関連
「米国防省は電気自動車&ハイブリット車導入推進」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-10
「米陸軍が電動戦闘車両導入の本格検討へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-23-1
「米国防省が気候変動対処構想CAP(Climate Adaptation Plan)発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-08

「英空軍トップが熱く語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-25
「英空軍が非化石合成燃料でギネス認定初飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-18
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

2022年も米空軍輸送機で陸自空挺団540名が降下訓練 [Joint・統合参謀本部]

昨年の「Airborne 21」に続いてご紹介
今年は映像付きです!!!
日米共同の力を示し「抑止力」強化に地道な努力

Airborne 22.jpg1月31日付米空軍公式webサイトが、1月25日から26日に日本で実施された「Airborne 22」演習を取り上げ、米空軍横田基地所属のC-130輸送機など13機が、陸上自衛隊第1空挺団の大規模空挺降下訓練を支援し、陸自空挺隊員540名と100個の梱包装備品パッケージを、横田基地から富士演習場に無事輸送&投下したと紹介しています

昨年「Airborne 21」として3月上旬に実施され、米空軍公式webサイトが「日米間で行われた史上最大の兵員&物資空挺投下」、横田基地第374空輸航空団が数か月前から機体整備計画を調整し「最大出撃態勢」で支援したと紹介した日米共同訓練のビックイベントでしたが、2022年もウクライナで国際情勢が緊迫する中、昨年とほぼ同規模で実施されています

Airborne 22 3.JPG細部を見れば、2021年は横田基地所属機12機のみで空挺降下を支援しましたが、2022年は横田基地所属機11機に加え、テキサス州Dyess空軍基地所属機2機が応援に駆け付け、計13機体制でこの空挺訓練支援を遂行しています

演習の流れも昨年と同様で、1日目の1月25日に約540名の陸自第1空挺隊員を横田基地から「Camp Fuji」の降下ゾーンに輸送&投下し、翌26日には「水・燃料・食料・弾薬」を想定した補給物資パッケージ約100個を同じエリアに投下しています

「USA Military Channel 2」が紹介の13分半の映像


今年の「Airborne 22」について記事は参加部隊の声を報じていませんが、昨年は「保有機の80%以上の12機を出撃可能態勢」とするため相当入念な準備を要した横田輸送機部隊にとっての1大イベントで、「この演習を通じ、多数機を数日間にわたり連続出撃させる経験を積むことができた。しかも日本との共同演習で、比類なき抑止力能力を示すことができた」と指揮官の言葉を伝えていました

Airborne 22 4.jpg日米間の作戦計画に、米空軍C-130部隊による陸自空挺団の輸送支援が含まれているとは考えにくく、また日本を取り巻く戦略&戦術環境で、第1空挺団が空挺降下して活躍する場面が思い浮かばないのですが、西太平洋地域で中国に押されっぱなしの日米両軍ですから、抑止力強化のため・・・との表現になるのでしょう

相対的戦力では対中国で厳しい状態にある西太平洋地域ですが、地道な努力が続いていますので、現場の隊員の皆さんの努力に敬意を表し、今年も「Airborne 22」演習をご紹介しました

昨年の同演習と横田C-130関連記事
「米空軍C-130部隊が総力で陸自空挺団500名降下支援」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-14
「横田のC-130はH型からJ型へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-07
「横田C-130部隊も富士山が好き」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2012-06-12-1

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

中東海域で60か国がAI活用海洋演習実施中 [Joint・統合参謀本部]

AIや機械学習や無人システムで海洋SA向上や救難救助に
中東、欧州、アフリカ、南米、アジア、日本、国際警察、国連機関、NATO期間から60海軍組織か

M-east EX2.jpg2月2日付Defense-Newsが、1月31日から2月17日まで中東海域で開催される「International Maritime Exercise 2022」&「Cutlass Express 2022」合同演習を紹介し、AIや機械学習技術に無人システムを活用した海洋状況掌握や捜索救難が主要訓練項目になると取り上げています

演習を主導するのは、第5艦隊隷下に最近設置された新設されAIや無人システムを海洋作戦に導入する任務を負った「Task Force 59」で、2020年12月にプランニングを開始した当初は、「無人システム」の取り込みを想定していなかったそうですが、昨年半ばから構想に取り入れたことで参加国の関心がより一層高まったと語っています

M-east EX3.jpg演習海域はペルシャ湾、アラビア海、紅海、オマーン湾、北インド洋で、第5と第6艦隊担当海域両方にまたがっており、これら海域を東西南北の4つのエリア「task group」に区分し、5つ目の「Task Force X」が一手にAIや機械学習や無人システム統制運用する編成で演習は進められるようです

参加60か国から、9000名と有人艦艇50隻、更には60機の無人システムが参加すると発表され、外交関係のないイスラエルとサウジが同時に参加することでも注目を集めているようです

演習の細部については、作戦運用上の非公開事項とされていますが、演習計画担当のTom McAndrew米海軍少佐は、演習の主要テーマを2つ掲げ、概要以下のように説明しています

●AIと機械学習を活用した海洋状況把握
例えば、1枚の写真からでは把握できる状況は限られているが、他のセンサーや艦艇や航空機やSNSからの情報、更に無人システムからの情報を加味すれば、そして情報をAIや機械学習を活用して取捨選別&整理&融合できれば、エリア担当指揮官の作戦運用に資するよりクリアーな情報として提供可能となる

●捜索救難
Saildrone.jpg無人システムをまとまった数で継続的に配置できれば、有人アセットのみでの捜索救難活動より迅速&正確に遂行可能と考えられ、特定の無人システムは有人アセット到着までの間の人命支援も可能となるだろう

●今回の演習には、全ての参加国が無人システムを持ち込むわけではないが、演習データは公開データとして参加国全てが共有可能とするので、全参加者が無人システムとAIと機械学習を組み合わせた効果を体感できるだろう。ちなみに10か国が無人の空・水上・水中アセットを参加させる予定
////////////////////////////////////////////

参画国のリストは以下ですが、中東、欧州、アフリカ、南米、アジア(日本・韓国含む)、オセアニアの各国海軍のほか、インターポール(国際刑事機構)、国連機関、NATO下部組織、米援助機関など60団体の海軍組織が名を連ねています。
https://www.dvidshub.net/graphic/18822/imx-ce-22-participant-list

中東を舞台にする理由が良くわかりませんが、この手の能力を必要とする途上国が参加しやすいとか、天候が安定しているとか、無人システムを運用する太陽光が得られやすいからとか、そんな理由でしょうか? 「Task Force 59」が第5艦隊隷下で編成された理由が気になるところです

2021年12月に「Task Force 59」が開始した試験
「米海軍がセール(帆)で進む無人水上艇を吟味中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-14

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

国防省が空軍に極超音速兵器開発の改善提言 [米国防省高官]

国防省作戦試験評価局(DOT&E)のレポートで
2021年の空軍ARRW試験が3回とも失敗
3回のうち2回はB-52から分離もできずの惨状に

AGM-183A2.jpg1月27日、米国防省の作戦試験評価局(DOT&E:DOD’s Office of the Director of Operational Test & Evaluation)が報告書を発表し、開発試験の失敗が続く米空軍の空中発射型の極超音速兵器(AGM-183A:ARRW:Air-launched Rapid Response Weapon)に対し、比較的順調な陸海軍の極超音速兵器開発に学べと提言しました

中国やロシアに後れを取っている極超音速兵器開発については、国防省が最重要兵器開発の一つとして推進しており、19日にも技術開発担当次官補が「アクセル全開で取り組む。陸軍と海軍は今年フルスケールの飛行試験に臨む好ましい状況にある」と述べる一方で、空軍の状況には一切触れずに物議をかもしていました

Kendall 7.jpg一方の空軍は、同じ19日にKendall空軍長官が「極超音速兵器は重要だが中国にとっての重要性と米国にとっての重要性は異なる。何が費用対効果で優れているかを熟考して兵器体系を考える必要がある」と述べ、これまで米国防省の一貫した方針だった「何が何でも極超音速兵器実現」モードをけん制する発言して国防省内での対立を匂わせていたところです

米空軍は2タイプの極著音速兵器に取り組み中
HAWC.jpg●ARRW→B-52搭載をイメージ。ロケットで加速され自ら推進力を持たず射程が長くないたARRM(Air-launched Rapid-Response Weapon:AGM-183A)
●HACM→戦闘機クラス搭載をイメージ。推進装置を持ち射程の長いHACM(Hypersonic Attack Cruise Missile)2021年9月に3度目の試験で基礎試験成功

懸念されている2021年空軍ARRW試験の様子
●4月:AGM-183Aが発射母機B-52から分離せず、試験不成立
 本来2020年末に予定されていた試験。原因は非公表も、現場技術者の直前点検チャックリストの確認漏れや、作業員による誤った制御部分の締め付けなど、「単純な凡ミス」と報じられている
●7月:発射母機B-52から分離したが、推進装置に点火せず
4月の試験失敗原因が解消されたことは確認できたが、米空軍は今も失敗原因を調査中
●12月:再び発射母機B-52から分離せず

1月28日付米空軍協会web記事によれば
AGM-183A3.jpg●作戦試験評価局(DOT&E)レポートは、米空軍が掲げている「2022年末までにARRWの生産に入る」とのスケジュール変更までは求めていないが、キャプティブ弾試験の段階でフィンコントロールシステムの再設計必要が明らかになったり、
●現場技術者の「単純な凡ミス」で試験が1回無駄になっている現状を踏まえ、以下のような提言を行っている

●作戦試験評価局(DOT&E)からの提言
AGM-183A5.jpg・国防長官室や(極著音速開発が比較的順調な)陸海軍の関係部署と緊密に連携を取り、ベストプラクティスを学び、試験関連インフラや試験データ管理・分析手法、更にはモデリング法やシミュレーション法をを参考にせよ
・現在使用している全てのモデリングやシミュレーション手法の有効性を再確認せよ
・敵からの厳しいサーバー攻撃を想定した環境でのARRWの有効性検証を実施せよ
///////////////////////////////////////////////

米空軍のARRW開発責任者のCollins准将は2021年9月、2021年末までに(B-52から分離したが点火しなかった)試験失敗の原因が究明できれば、2022年末からの兵器製造開始予定に変更はない、と語っていましたが、米空軍が何か言う前に国防省内部から「意見」されてしまいました

AGM-183A4.jpgKendall空軍長官が主張する、「米軍にとっての極超音速兵器の意義」や「費用対効果検討を踏まえた最適な兵器ミックスの検討」は重要な視点ですが、空軍ARRWの現状は、作戦試験評価局(DOT&E)からの提言にも「一理」ある状況でしょう

ただ、米陸軍は車両搭載型で2023年頃の導入を、米海軍は艦艇発射型を2023年、潜水艦発射型は2024年予定を断念して2028年に導入する目標を掲げていますが、どれも楽観できるものではありません。今後も米国防省の苦闘は続くと考えられます

米軍の極超音速兵器開発
「技術担当次官:同兵器は最優先事項だ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-23
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-21
「米海軍潜水艦への極超音速兵器は2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19
「米陸軍の極超音速兵器部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-14
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-28
「最近の状況整理&米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「豪州とも協力」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-01
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-28
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

ウクライナで戦闘機による制空の時代は終わる [米空軍]

輸送コマンド米空軍大佐が戦闘機族に挑戦状寄稿文
「低高度域:air littoral」を制する露が有利に
無人機の多用や携帯SAMで露が西側を圧倒する
戦闘機による制空の概念とは異なる戦いとなる
NATOは近接航空支援CASが出来ずに苦労する
低高度制空に強気な露を抑止するのは困難
CAS不足を補う地上火砲数でNATOは露に劣る
NATOも無人機を大量調達し火砲を増強すべし
そして戦闘機による制空の概念を再検討せよ

Russian drones.jpg2月7日付Defense-Newsが、米輸送コマンドに所属する空軍大佐と元空軍大学教官の寄稿文を紹介し、ウクライナでの戦いでNATOが前提にしている制空と近接地上支援CASによる侵攻ロシア軍の制圧は非常に危うく、逆に大量の無人機や携帯SAMや電子戦で、通常の制空高度より低い「低高度域:air littoral」を制するロシアが圧倒的に有利だと主張し、NATO側も無人機の導入やCAS不足を補う火砲を早急に増強すべきだと訴えています

寄稿文は冒頭から、欧州米空軍司令官による「同盟国や地上攻撃統制官との連携強化により、NATOの近接航空支援CAS能力に自信を持っている」との発言を「誤った自信だ:such confidence is misplaced」とバッサリ切り捨て、ウクライナでのロシアとの紛争では、ロシア軍の融合された無人機、低高度防空ミサイル、電子戦、在空無人兵器による「低高度域:air littoral」支配が戦いの趨勢を左右し、従来の高高度域の戦闘機等による制空は地上戦闘に十分な影響を与えないと主張しています

Russian drones2.jpgまた寄稿文は、ロシアのゲラシモフ参謀総長が2018年に「近代戦は無人機なしで考えられない。無人機は歩兵、偵察兵、パイロットにも使用される」と語り、ロシアの大量の無人機がレーザー誘導対空火器や短射程SAMや携帯SAMとともに、「低高度域:air littoral」を危険な空間に仕立てるとの構想を示したことを取り上げ、

ロシアが「低高度域:air littoral」を支配すれば、NATOは航空戦力を敵地上部隊に接近させることが困難となり近接航空支援に苦労し、例えF-35を投入しても高高度からしか攻撃できず、ロシア地上部隊に対処余裕時間を与えることになる、と指摘しています

Russian drones3.jpg更に近接航空支援の不足を補うのは地上部隊の火砲だが、NATOは地上支援火力の8割を航空攻撃に依存しているが、ロシア軍は65%を地上火砲で遂行する戦力構成となっており、この点でもロシア軍に有利であると説明しています

もちろんNATO側も、2020年のアゼルバイジャンとアルメニアの「Nagorno-Karabakh紛争」から、無人機が大きな役割を果たす近代戦の変化を学んでいるが、無人機の群れや短射程ミサイルに対する対処能力は不十分であり、低価格で大きな効果を生み出す「低高度域:air littoral」の戦いに適合できていないと喝破しています

Russian drones4.jpg実際、ペンタゴンは無人機対処技術の発掘や開発に懸命に取り組み始めているが、最新の技術を組み合わせても、侵攻する無人機の6割を探知できないのが現状だそうです。

更に重要な点として寄稿文は、ロシアが「低高度域:air littoral」戦法による戦い全体の「a quick victory」に自信を持っているとしたら、NATOが描く従来戦力差での「抑止」が機能しない可能性が高く、極めて危険状態を生み出すとも主張しています

Russian drones5.jpgこの変化に対しNATOが取るべき対応は、CAS不足を補う重火砲と防空システムの緊急増強だがそれには時間が必要であり、現実的な対応は大量に安価な無人機を大量導入したり地上火砲の導入で局所的な航空優勢を確保することであろうと寄稿文は述べています。

ただ、それにもまして、NATO側は「低高度域:air littoral」の重要性を認識していないコンセプトを改め、「航空優勢」や「制空」の考え方を再構築すべきであると寄稿文は訴え、容易ではないがNATOは重要な「低高度域:air littoral」制圧に向かって態勢を整えるとともに、戦闘機や空中戦が輝いた栄光の時代が完全に過ぎ去らないにしても、もはや唯一の重要な要素でないことに気づくべきだ・・・と強烈に結んでいます
////////////////////////////////////////////

Russian drones6.jpgこの寄稿文が米輸送コマンド所属の大佐(つまり戦闘機パイロットでない幹部からの投稿)と元空軍大学教官によるものであることがポイントです

つまり、非戦闘機族から世界の空軍を支配する戦闘機族に対する「挑戦状」だと認識すべきです。うまく訳せていませんが、この寄稿文の最後の一文が全てを表現しています

「The glory days of fighter planes and swirling dog fights may or may not have passed, but they are no longer the only or most important fights in the sky.」

「ドローン使用作戦の一里塚:アゼルバイジャン大勝利」
https://holylandtokyo.com/2020/12/22/348/

小泉悠氏によるウクライナ情勢分析
2月2日https://holylandtokyo.com/2022/02/07/2698/
12月中旬https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-22

くたばれ戦闘機命派
「広中雅之は対領空侵効果に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
「小野田治も戦闘機に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05
「織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06 
「F-3開発の動きと日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02 

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

宇宙軍の訓練担当コマンドが新演習を [安全保障全般]

昨年8月発足のSpace Training and Readiness Command
C2演習Polaris Hammerや●●Skies演習を計画

Bratton.jpg1月26日、米宇宙軍の下部コマンドである「STARCOM:Space Training and Readiness Command」幹部が講演で、2022年から2種類の新たな演習を開始して、宇宙軍の連度向上を図ると語りました

演習だけの紹介では宇宙軍の動きがわからないと思いますが、宇宙軍の組織や予算や制服の整備具合等を全くフォローしていませんでしたので、申し訳程度にご紹介しておきます

CSpOC.JPG要するに、戦闘機など主要な作戦機を保有する米空軍戦闘コマンドACCのように、指揮所演習と、目的を細分化した「・・Flag」のような演習を「・・Sky」と名付けて実施するようです

以下では、同コマンドのShawn N. Bratton准将が空軍協会主催の航空宇宙セミナーで語った、2つの演習についてご紹介します。小さなことからコツコツと・・・の精神で・・・

1月26日付米空軍協会web記事によれば
Bratton2.JPG●昨年8月に創設されたSTARCOMは、早々に訓練ドクトリンと演習計画策定を開始した。もちろん、従来から行っている地域戦闘コマンド等の演習への参加&支援等は継続していく
●2022年の秋には、STARCOM創設以前から要望の強かった宇宙軍用の指揮統制演習「Polaris Hammer」を実施する。これは空軍戦闘部隊でいえばAOCを対象としたもので、加州のCombined Space Operations Centerや、コロラド州のNational Space Defense Center等が関連する演習である

●もう一つ柱は、米空軍戦闘コマンドACCが「Red Flag」、「Black Flag」、「Blue Flag」等の名称で行っている演習と同様に、特定の作戦項目に絞って行う演習を宇宙軍にも導入することで、「Flag」の代わりに「Sky」との呼称を用いた新演習である
CSpOC2.jpg●宇宙軍の総合的な作戦演習である「Space Flag」はこれまで通り実施するが、より目的を絞ったうえで、まずは電子戦を対象とした「Black Skies」を行うべく、数週間後にプランニング会議を予定している

●例えば米空軍では
Red Flagは空中戦闘、Black Flagは兵器システムの大規模試験演習、Blue Flagは現場の部隊用戦術演習、Silver Flagは緊急展開等を想定した施設部隊演習、Green Flagは前線展開前のCASや精密誘導兵器訓練となっており、目的別の演習が実施されている

●宇宙軍の話題ではないが、米空軍はACE(Agile Combat Employment)構想への習熟を狙いに、Blue Flag演習(現場の部隊用戦術演習)の再構築を予定している
/////////////////////////////////////////////

CSpOC3.jpgトランプ大統領が勢いで創設した宇宙軍で、まだ創設時の勢いで進んでいる途中だと思いますが、そのうち米空軍に泣きついてくる、人材面・人材育成面・組織運用面・予算獲得面などで近いうちに生き詰まる・・・と主張する専門家の声をよく目にします

米国から見て地球の裏側になり、中国正面に位置する日本は、豪州と並んで宇宙作戦面で米国から期待されることも多いでしょうから、苦手な分野ではありなすが取り組んでいきたいと思います

最近の宇宙関連記事
「熱核推進システムを応援」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-14
「宇宙太陽光発電エネルギーの電磁波伝送」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-24
「露の衛星兵器試験で国際S危機」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-16
「衛星延命に企業と連携」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-17
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-12
「大型軍事衛星打ち上げの露依存脱却へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-04-1
「中国の宇宙脅威を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-15
「80トン物量を世界中に宇宙経由で1時間以内で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-08-1
「ロシア衛星がなどの物体射出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-24
「国防宇宙戦略を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-28
「航空機からロケット発射で衛星を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-14
「宇宙軍の最初の攻撃兵器」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-09
「炎上中:5G企業へのGPS近傍電波使用許可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-14
「5G企業とGPS関係者がLバンド電波巡り激突中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-22-2

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

小泉悠さんのウクライナ情勢解説25分間 [安全保障全般]

ウクライナ小泉.jpg2月2日、キヤノングローバル戦略研究所YouTubeチャンネルが、ロシア専門家の小泉悠さんを迎えて「ー緊迫度を増すウクライナ、ロシア軍侵攻の可能性ー」との討論を行い、宮家邦彦さんがアンカーを務め、中国専門家の峯村健司さんも交え、様々な角度から本件に迫っています

どう転ぶかわからない情勢が続いていますが、本件について12月中旬から触れていませんので、申し訳程度に、再び「小泉悠さん」頼みです

約25分間と討論の模様


「緊迫度を増すウクライナ、ロシア軍侵攻の可能性」討論の概要
(一部です。論点の提示がなされています)

●ロシア軍の現状は
・全ロシア軍の約1/3はウクライナ周辺に展開(主力の機甲部隊は全て集結)
・戦闘部隊に加え、ほぼ同数の兵站部隊も展開しており十分な態勢
・空爆やハイブリッド戦オプションも含め、如何なる手段も実行可能な状態
・ウクライナ半分を制圧する戦力準備には、もう少し必要か(更に2-3週間必要か)
・雪が解けると侵攻不能との話は極論。少し困難にはなるが可能

●プーチンは侵攻を決断可能か
小泉悠2.jpg・露国民の6-7割は、冷戦後の西側のロシアへの態度・NATOの東方拡大に不満を持っており、ウ侵攻を受け入れる可能性はある
・2024年に任期を迎えるプーチンは支持基盤を固めるタイミングにあり、ウ侵攻を利用する可能性はある
・2014年時のハイブリッド戦時も、最後はプーチン以下4名だけで決断したとされており、プーチンは決断可能
・ウ侵攻と言っても様々な程度があり、プーチンが何を考えているかによる

・2014年当時は露軍の準備期間がなくハイブリッド戦を選択したが、今回は正規軍の準備が十分で、ハイブリッドの必要性は高くない
・反露感情がウクライナ内でも拡大しつつある中、ハイブリッド戦だけでうまくいく可能性は、そう高くはない

●中国との連携は(北京五輪終了に配慮するか)
・ウ侵攻で経済制裁を受けるロシアは、中国への依存が高まることになるが、五輪に配慮するかは?
・中国とロシアの関係、習近平とプーチンの関係がそれほど緊密とは思えない
・習近平は秋の党大会に向け北京五輪成功に取り組んでおり、党大会以前に台湾行動はない

●ただし、ウ侵攻が成功すれば、中国は対台湾の参考にする
・バイデンは早々と「米国単独での軍事介入はない」と発言してしまっており、非常に懸念される
・日本がウ侵攻や対ロシアに毅然とした姿勢を示さなければ、台湾有事の際、欧州から支援を得られなくなる
/////////////////////////////////////////////////////

ウクライナと台湾は連動しており、日本がウクライナ問題から目を背けることは、台湾問題に背を向けることと同義であり、世界や欧州と日本の関係に影響を及ぼすものであることに注意する必要があります

2021年12月中旬公開の小泉悠氏による「ロシアによるウクライナ侵攻の危機」との論考
→米国の選択肢は?ロシアのレッドラインに変化?ロシアの戦略的目標は?ロシアの非在来型介入に注意!正攻法の軍事侵攻の場合ベラルーシに注目など
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-22
https://holylandtokyo.com/2021/12/28/2558/

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

復活F-35兵站支援システムODINまず14セット提供済 [亡国のF-35]

2021年4月には予算不足で「戦略的中断」を発表も
同年7月には計画再開していた模様
米軍内ほか、英・伊・蘭にも提供済とか

F-35 Gilmore.jpg1月31日付Defense-Newsは、米国防省F-35計画室が、新型F-35兵站情報システムであるODINの最初の14個セットを、米空軍や米海軍海兵隊F-35基地やF-35使用国である英伊蘭にも提供したと報じています

ODIN(Operational Data Integrated Network)は、機能不全で部隊や関係機関に大混乱を引き起こした約2兆円のF-35兵站情報システムALISの後継システムで、2020年1月に開発が決定し、2022年12月運用開始に向け準備が行われていましたが、2021年4月に予算不足で「戦略的停止strategic pause」を宣言するに至りました

ODIN2.jpgしかし2021年7月には開発を再開していた模様で、初度出荷のODINシステム14個セットの提供に至った模様です。ALISがロッキード丸抱えだったのに対し、ODINではロッキードはハードのみで、システム全体管理とソフトは国防省が主導・・・に変更して光明が見えて来たようです

F-35計画室長のEric Fick中将は、「世界のF-35兵站支援システム近代化の一里塚となるODINの使用開始だ」、「国防省、関連企業、F-35使用国による共同作業で成しえたものであり、急増するF-35機体を国際的に支える兵站運用管理を大きく飛躍させるもの」と声明を出しています

ODIN8.jpgALISは、ソフト不具合からデータ誤処理を頻発して非稼働F-35を量産し、整備現場や部品管理担当者を大混乱させ、おまけに旧発想設計で使いにくく、データ処理が遅く、機材重要が重く機動展開に不向きなど問題だらけでしたが、ODIN導入により処理速度は約2倍に、機材重量は約1/4になったということです

ALIS時に国防省試験評価局から問題視されていた「サイバー脆弱性」について、F-35計画室は今回の声明で触れていませんが、何らかの強化策が執られたものと思われます

ODIN7.JPGただ、2021年4月に「戦略的中断」を招いた予算問題は引き続き続いており、今もALISに苦しむ部隊に、いつまでにいくつODINが届けられるかは予算次第だということです

今回の初提供14個セットが必要数の何パーセントなのか不明ですし、日本よりオランダやイタリアが先かよ・・・とか、色々疑問もありますが、以下では、14個セットが配分された基地名を列挙ご紹介します
(記事本文にはオランダにも提供、と明記してあるが、配分基地名にオランダの基地名なし???)

米空軍
Eglin Air Force Base, Florida;
Luke Air Force Base, Arizona;
Edwards Air Force Base, California;
(3セット、うち2セットは英と蘭用システム試験支援のため)
Nellis Air Force Base, Nevada;
Hill Air Force Base, Utah;
Eielson Air Force Base, Alaska;

米海軍・海兵隊
Naval Air Station Lemoore, California;
Marine Corps Air Station Miramar, California;
Marine Corps Air Station Beaufort, South Carolina;

製造企業
Lockheed Martin Aeronautics factory in Fort Worth, Texas;
海外
Amendola Air Base, Italy;
Portsmouth Naval Base, U.K.

これどうなった?ALISの後継システムODIN
「ODINの開発中断」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-24
「ODIN提供開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-24
「元凶:ALISとその後継ODINの現在位置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-17
「ALISを断念しODINへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
「ALIS問題を議会で証言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-15
「ALISは依然大きな障害」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-02

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

米軍はこれから検証:5Gと電波高度計 [米空軍]

夏の後半までテストには必要とののんびりムード
敵に5Gで妨害を受けることを知られたくないのか???

Ligado7.jpg米国の民間通信企業による5Gサービス開始に伴い、民間航空機の電波高度計に干渉して精度に影響が出るとして、ボーイング777型機の運航が停止なったり、空港周辺での5Gサービス開始延期が決定がなされるなどドタバタが米国内で起こっていますが、米軍はゆっくり夏後半まで影響を検証するようです

米国の通信大手Verizon とAT&Tは、1月19日から全米で5Gサービスを開始し、4Gよりも早く大容量の通信を売り出していますが、17日に運輸長官・連邦航空局長・連邦通信委員長等が連名で通信会社に電波高度計への影響リスクを訴え、主要飛行場の2マイル以内では5Gを提供するなと書簡を出した結果、上記通信覆大手2社は空港周辺での5Gサービス開始を当面延期すると1月18日発表するに至りました

C-17 data link4.jpg一方で同じ電波高度計を使用する米軍基地周辺での5G運用制限については、米空軍も、上記通信大手2社もメディアに回答せず、状況が良くわからない状態にあります

2021年初のCバンド電波オークションの際も、米国防省として断固阻止する姿勢は示さず、影響を局限する方向を追求するとの態度を示しており、なんとなくもやもや感があります

本件に関し米空軍報道官は、「米国防省は連邦航空局と連携して5G問題に対応している」、「JI-FRAI(Joint Interagency FiveG Radar Altimeter Interference)チームを設置し、5G影響の迅速確認テストを開発する」と説明していますが、実際のテストは1月中に開始するが、結果が出るのは夏の後半になるだろうと同報道官は述べています

C-130J RAAF2.jpgまた米空軍の「安全センター」は、商用ベースの5Gサービス提供は始まったばかりであるが、5Gとの干渉から生ずる問題について現時点では全く報告を受けていないとしているようです

更に、電波高度計の主要メーカーの一つ「Honeywell」は、「我々の製品に対する新たな要求はどの政府機関からも受けていない。わが社の製品は連邦航空局や関係機関の定めたすべての要求事項を満たしている」、「ただし、仮に何か新たな措置が必要になったなら、直ちに対応するし、連邦航空局や国防省、航空機メーカと共に、以前から5G干渉に関する試験に取り組んでいる」と説明しているところです
///////////////////////////////////////////////////

米軍や国防省の落ち着いた・ゆったりっモードの対応は、米軍飛行場が市街地に近くないからなのか、軍事仕様で元から干渉に強い設計になっているのか、下手に騒ぐと中露に弱みを見せるからなのか、よくわかりません

前回の関連記事の繰り返しになりますが、世界の公共財ともいえる「GPS信号」への5G通信の影響が気になります

5Gと干渉問題
「民航機の欠航相次ぐ:5Gと電波高度計干渉」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-19
「電波高度計への5G干渉問題:まず影響確認」→https://holylandtokyo.com/2021/02/02/253/
「5G企業へのCバンド売却で電波高度計に懸念」→https://holylandtokyo.com/2020/12/25/351/
「炎上中:5G企業へのGPS近傍電波使用許可」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-14
「5G企業に国防省大反対の周波数使用許可へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-11
「米議会でも国防省使用の周波数議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-05
「軍事レーダーの干渉確認」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-05
「5G企業とGPS関係者がLバンド電波巡り激突中」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-22-2
「戦略コマンドが5Gとの電波争奪に懸念」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-27

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース