陸軍長官:3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝ [Joint・統合参謀本部]
今年3月19日の試験の話を今になって語る
ロシアの「Zircon」試験に対抗して米国製アピールか
13日、米陸軍協会主催イベントでRyan McCarthy陸軍長官が、今年3月に行われた3軍が共通使用する極超音速兵器のCommon-Hypersonic Glide Body(C-HGB)の第2回目の試験で、弾頭が目標からわずか「20㎝以内: only a mere 6 inches」に着弾していたと、今頃になって明らかにしました
McCarthy陸軍長官はスピーチで、「極超音速ミサイルは、指定された試験用ターゲットに、わずか6インチ(20㎝弱)の誤差で命中した」と3月19日の試験に具体的に言及し、同試験直後に発表されていた「指定された試験目標に向かって超音速で飛翔した」とのプレス発表から大きく踏み込んで開発状況をアピールしました
2020年3月の試験は、2017年10月の第1回目からかなり間隔が空いて実施された試験で、ハワイのカウアイ島発射で実施され、飛翔距離や高度、着弾状況などは全く公開されていませんでしたが、半年以上経過した今頃になって、着弾精度について「6インチ」との具体的数字を突然明らかにしました
この3軍が共通使用を想定して陸海軍が共同開発したボディー部分「C-HGB」は、弾頭、誘導システム、ボディー内配線、熱防護シールドで構成され、3軍はそれぞれにこのボディー開発成果を生かし、地上・艦艇・航空用ランチャーや関連システム開発を進めており、それぞれ陸2023年、海2023年、空2022年配備を目指しているところです
3月の試験や最近の状況は以下の過去記事で
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
なぜ突然、陸軍長官の口から誤差「6インチ」発言が出たかを邪推すれば、それは10月6日にロシア軍が白海上のフリゲート艦「Groshkov」から行った、「米空母キラー」の極超音速対艦兵器「3M22 Zircon」の発射試験成功報道を意識したものと考えられます。
プーチン大統領の誕生日である7日に、Gerasimovロシア軍参謀総長がTV電話で試験成功をプーチン大統領に報告する模様がメディア報道され、プーチンが「最新の比類なき兵器導入」とアピールした模様が、この分野で中露に後れを取っていると米国防省に批判的な米国安全保障関係者や米議会を「刺激」し、米国防省高官として米国のキャッチアップ状況をアピールせざるを得なかったものと考えます
「露が対艦極超音速兵器試験に成功か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-08
ちなみに米軍での取り組み状況は8月時点で
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
●8月5日、米陸軍のNeil Thurgood中将は、2023年部隊配備との野心的な計画を実現すべく、米海軍と協力し2021年には年間3回の「C-HGB」発射飛翔試験を計画していると発言
●その際同中将は、「年3回の試験計画は非常に野心的なものであるが、中国やロシアの動向を見るに、我々は積極的に動かざるを得ない」と述べている
●また併せて同中将は、国防省がすべての資金を出してくれるわけではなく、開発リスクを局限するように見積もりつつ、陸軍の資源を有効活用できるよう、一つの試験で並行していくつかの課題に挑戦することになると財政上の厳しさをアピール
●8月8日、米空軍第412試験飛行団は、米空軍がロッキードと開発を進めている極超音速兵器ARRW(AGM-183A Air-launched Rapid Response Weapon)に関し、最後の「captive-carry試験」を実施し、テレメトリーやGPS信号を地上に送信することに成功したと発表
●ARRWの「captive」弾はB-52爆撃機に搭載され、B-52とARRWの融合適合も併せて確認され、今年後半に予定されている最初の「Booster Test Flight」に向けた一つのヤマを越えた、と試験担当幹部は語っている
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第1回目の試験から2年半の間隔をあけて実施された第2回試験ということで、技術的にも困難であったことが伺えますが、弾頭、誘導システム、ボディー内配線、熱防護シールドで構成されるボディー部分「C-HGB」が誤差20㎝程度で着弾していても、米軍が配備するのは2022年以降ということで、まだまだ開発の山がありそうです
ちなみに米陸軍は、2023年に部隊運用開始を目指す計画ですが、部隊には2022年の7-9月に配備を開始し、訓練や運用開始準備を行わせる模様です
中国の極超音速兵器の話を最近聞きませんが、どうなんでしょうか? 内陸部で試験しているのでしょうか???
プーチンの誕生日に成功報告
「露が対艦極超音速兵器試験に成功か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-08
米軍の極超音速兵器開発
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31
中露の極超音速兵器
「ロシア第3の超超音速兵器3M22 Zircon」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-21
「中国が超超音速兵器で優位」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-1
「プーチンが超超音速兵器を大自慢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-26
「ロシアが新型核兵器続々開発と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
ロシアの「Zircon」試験に対抗して米国製アピールか
13日、米陸軍協会主催イベントでRyan McCarthy陸軍長官が、今年3月に行われた3軍が共通使用する極超音速兵器のCommon-Hypersonic Glide Body(C-HGB)の第2回目の試験で、弾頭が目標からわずか「20㎝以内: only a mere 6 inches」に着弾していたと、今頃になって明らかにしました
McCarthy陸軍長官はスピーチで、「極超音速ミサイルは、指定された試験用ターゲットに、わずか6インチ(20㎝弱)の誤差で命中した」と3月19日の試験に具体的に言及し、同試験直後に発表されていた「指定された試験目標に向かって超音速で飛翔した」とのプレス発表から大きく踏み込んで開発状況をアピールしました
2020年3月の試験は、2017年10月の第1回目からかなり間隔が空いて実施された試験で、ハワイのカウアイ島発射で実施され、飛翔距離や高度、着弾状況などは全く公開されていませんでしたが、半年以上経過した今頃になって、着弾精度について「6インチ」との具体的数字を突然明らかにしました
この3軍が共通使用を想定して陸海軍が共同開発したボディー部分「C-HGB」は、弾頭、誘導システム、ボディー内配線、熱防護シールドで構成され、3軍はそれぞれにこのボディー開発成果を生かし、地上・艦艇・航空用ランチャーや関連システム開発を進めており、それぞれ陸2023年、海2023年、空2022年配備を目指しているところです
3月の試験や最近の状況は以下の過去記事で
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
なぜ突然、陸軍長官の口から誤差「6インチ」発言が出たかを邪推すれば、それは10月6日にロシア軍が白海上のフリゲート艦「Groshkov」から行った、「米空母キラー」の極超音速対艦兵器「3M22 Zircon」の発射試験成功報道を意識したものと考えられます。
プーチン大統領の誕生日である7日に、Gerasimovロシア軍参謀総長がTV電話で試験成功をプーチン大統領に報告する模様がメディア報道され、プーチンが「最新の比類なき兵器導入」とアピールした模様が、この分野で中露に後れを取っていると米国防省に批判的な米国安全保障関係者や米議会を「刺激」し、米国防省高官として米国のキャッチアップ状況をアピールせざるを得なかったものと考えます
「露が対艦極超音速兵器試験に成功か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-08
ちなみに米軍での取り組み状況は8月時点で
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
●8月5日、米陸軍のNeil Thurgood中将は、2023年部隊配備との野心的な計画を実現すべく、米海軍と協力し2021年には年間3回の「C-HGB」発射飛翔試験を計画していると発言
●その際同中将は、「年3回の試験計画は非常に野心的なものであるが、中国やロシアの動向を見るに、我々は積極的に動かざるを得ない」と述べている
●また併せて同中将は、国防省がすべての資金を出してくれるわけではなく、開発リスクを局限するように見積もりつつ、陸軍の資源を有効活用できるよう、一つの試験で並行していくつかの課題に挑戦することになると財政上の厳しさをアピール
●8月8日、米空軍第412試験飛行団は、米空軍がロッキードと開発を進めている極超音速兵器ARRW(AGM-183A Air-launched Rapid Response Weapon)に関し、最後の「captive-carry試験」を実施し、テレメトリーやGPS信号を地上に送信することに成功したと発表
●ARRWの「captive」弾はB-52爆撃機に搭載され、B-52とARRWの融合適合も併せて確認され、今年後半に予定されている最初の「Booster Test Flight」に向けた一つのヤマを越えた、と試験担当幹部は語っている
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第1回目の試験から2年半の間隔をあけて実施された第2回試験ということで、技術的にも困難であったことが伺えますが、弾頭、誘導システム、ボディー内配線、熱防護シールドで構成されるボディー部分「C-HGB」が誤差20㎝程度で着弾していても、米軍が配備するのは2022年以降ということで、まだまだ開発の山がありそうです
ちなみに米陸軍は、2023年に部隊運用開始を目指す計画ですが、部隊には2022年の7-9月に配備を開始し、訓練や運用開始準備を行わせる模様です
中国の極超音速兵器の話を最近聞きませんが、どうなんでしょうか? 内陸部で試験しているのでしょうか???
プーチンの誕生日に成功報告
「露が対艦極超音速兵器試験に成功か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-08
米軍の極超音速兵器開発
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31
中露の極超音速兵器
「ロシア第3の超超音速兵器3M22 Zircon」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-21
「中国が超超音速兵器で優位」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-1
「プーチンが超超音速兵器を大自慢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-26
「ロシアが新型核兵器続々開発と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
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