2024年度も引き続きF-35稼働率低迷 [亡国のF-35]
SSブログ終了に伴う「東京の郊外より」終了のお知らせ
運営会社から突然通知があり、以下の日程でブログ「東京の郊外より」は消滅しますのでご承知おきください。
以後は、現在も記事を同時掲載しているWordPressの「東京の郊外より2」(https://holylandtokyo.com/)に一本化して記事を掲載しますので、引き続きご覧いただければ幸いです。
ただし、SSブログからWordPressブログに記事移行が終了していない「2019年10月以前」の記事については、どこまで移転できるかお約束できませんので、ご承知おきください。
2024年12月4日
→新規ブログ作成・編集機能終了(予約投稿機能が生きていれば、12月9日が最終記事掲載)
2025年3月31日(月)
→ブログサービス終了。既存のブログ記事すべての表示停止
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年度毎の稼働率推移(前年10月から9月末まで)
71.4%→68.8%→56%→51.9%(2023年度空軍)
10%改善目標の取組「War on Readiness」も2.6%成果で
10月21日付DefenseOneは、米会計監査院GAOの米軍主要作戦機の稼働率調査レポートを取り上げ、米軍の主要作戦機15機種の中で、軍が掲げた2023年度目標稼働率を達成した機体が「ゼロ」で、2018年度以降現在に至るまでで目標を達成したのは、F-15CとF-16Cが共に僅か半年間だけ達成したに過ぎないとの悲惨な状況を報じています
また同記事は、特に多額の維持整備費(過去6年間で約1.8兆円)をつぎ込んでいるF-35の状態を会計検査院が問題視し、過去1年間にわたり国防省F-35計画室が10%の稼働率改善を目標に集中的に展開した「War on Readiness:稼働率との闘い」プログラム(2024年3月まで)にもかかわらず、最新の統計では3軍F-35トータルで稼働率は目標に遥かに及ばない2.6%改善にとどまり、55.7%となっていると紹介しています
国防省F-35計画室のMichael Schmidt室長(空軍中将)は、「War on Readiness:稼働率との闘い」で稼働率改善のため対処した稼働率低下要因「トップ40」項目のうち、21項目で大きな改善を実現したが、低下要因の2つの主要課題が手付かずで、依然F-35の即応性を低下させていると説明しています。なお4月に同室長は米議会で、この2要因(具体的内容は非公開)を克服すれば、稼働率70%以上が可能と証言しています
また同室長は「稼働率はまだ必要な水準に達していないが、そこに到達するための道筋を示す要素をシステムに組み込んだと思う」とコメントしていますが、F-35は長年、大規模整備施設での整備の遅れ、スペアパーツの不足、請負業者への過度依存、修理技術データへの現場整備員のアクセス困難など、様々な維持管理上の問題が指摘されており、米議会は2年前に、現在も維持整備統括を続けているロッキード社から、業務を2027年までに国防省が引き継ぐよう法律で義務付けたところです。
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ちなみに、ここでの稼働率とはあくまで、「複数ある当該機種に期待される任務のうち、“少なくとも1つ”の任務を遂行できる時間の割合」を示すものであり、空中戦任務だけが可能で、近接航空支援CASや対地対艦攻撃(航空阻止)や敵防空制圧SEAD等の重要任務が不可能なF-35やF-16やF-15Eも、「稼働状態」とカウントされる「甘々基準」だということを付言しておきます
イスラエル・ハマス紛争や、露中偵察機や爆撃機による偵察&示威飛行の活発化により、米軍作戦機の出番が増加して機体酷使が続く中ですが、厳しい予算から維持整備費への充当が難しいのが現状で、今後も稼働率が向上する見込みはありません。さみしい限りですがこれが現実です
F-35や米空軍機の稼働率低下問題
「F-35稼働率3年連続急降下」→https://holylandtokyo.com/2024/07/18/6077/
「米空軍機稼働率22年と23年比較」→https://holylandtokyo.com/2024/07/03/5968/
「20年と21年の比較」→https://holylandtokyo.com/2021/12/07/2465/
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
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年度毎の稼働率推移(前年10月から9月末まで)
71.4%→68.8%→56%→51.9%(2023年度空軍)
10%改善目標の取組「War on Readiness」も2.6%成果で
10月21日付DefenseOneは、米会計監査院GAOの米軍主要作戦機の稼働率調査レポートを取り上げ、米軍の主要作戦機15機種の中で、軍が掲げた2023年度目標稼働率を達成した機体が「ゼロ」で、2018年度以降現在に至るまでで目標を達成したのは、F-15CとF-16Cが共に僅か半年間だけ達成したに過ぎないとの悲惨な状況を報じています
また同記事は、特に多額の維持整備費(過去6年間で約1.8兆円)をつぎ込んでいるF-35の状態を会計検査院が問題視し、過去1年間にわたり国防省F-35計画室が10%の稼働率改善を目標に集中的に展開した「War on Readiness:稼働率との闘い」プログラム(2024年3月まで)にもかかわらず、最新の統計では3軍F-35トータルで稼働率は目標に遥かに及ばない2.6%改善にとどまり、55.7%となっていると紹介しています
国防省F-35計画室のMichael Schmidt室長(空軍中将)は、「War on Readiness:稼働率との闘い」で稼働率改善のため対処した稼働率低下要因「トップ40」項目のうち、21項目で大きな改善を実現したが、低下要因の2つの主要課題が手付かずで、依然F-35の即応性を低下させていると説明しています。なお4月に同室長は米議会で、この2要因(具体的内容は非公開)を克服すれば、稼働率70%以上が可能と証言しています
また同室長は「稼働率はまだ必要な水準に達していないが、そこに到達するための道筋を示す要素をシステムに組み込んだと思う」とコメントしていますが、F-35は長年、大規模整備施設での整備の遅れ、スペアパーツの不足、請負業者への過度依存、修理技術データへの現場整備員のアクセス困難など、様々な維持管理上の問題が指摘されており、米議会は2年前に、現在も維持整備統括を続けているロッキード社から、業務を2027年までに国防省が引き継ぐよう法律で義務付けたところです。
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ちなみに、ここでの稼働率とはあくまで、「複数ある当該機種に期待される任務のうち、“少なくとも1つ”の任務を遂行できる時間の割合」を示すものであり、空中戦任務だけが可能で、近接航空支援CASや対地対艦攻撃(航空阻止)や敵防空制圧SEAD等の重要任務が不可能なF-35やF-16やF-15Eも、「稼働状態」とカウントされる「甘々基準」だということを付言しておきます
イスラエル・ハマス紛争や、露中偵察機や爆撃機による偵察&示威飛行の活発化により、米軍作戦機の出番が増加して機体酷使が続く中ですが、厳しい予算から維持整備費への充当が難しいのが現状で、今後も稼働率が向上する見込みはありません。さみしい限りですがこれが現実です
F-35や米空軍機の稼働率低下問題
「F-35稼働率3年連続急降下」→https://holylandtokyo.com/2024/07/18/6077/
「米空軍機稼働率22年と23年比較」→https://holylandtokyo.com/2024/07/03/5968/
「20年と21年の比較」→https://holylandtokyo.com/2021/12/07/2465/
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米空軍はF-35 導入ペース低下で調達期間 10年以上延長 [亡国のF-35]
当初は 2030年代で1763機調達終了予定も、今は2049年
以前は年間100 機必須と訴えも、今は年最大48機に
2030年時点で海軍海兵隊が6-7割も、空軍は4割以下
9月7日付米空軍協会 web 記事が、作成(昨年大晦日)から8か月以上遅れの8月7日にやっと一般公開された、米国防省作成の調達報告書(The Selected Acquisition Report)の中から、米軍F-35の今後の調達計画に関する部分を取り上げ、米空軍の1763 機調達完了が、当初の 2030年代から10年以上遅れの2049年になる見通しなどを取り上げています
同報告書によると、米空軍計画の調達ペースで進むと、2023年末時点で米空軍のF-35A保有機数が419機のところ、2029年度末時点でも約700機程度止まりで、総予定機数1763機の 4割に満たない調達レベルだと記事は指摘し、 一方で海軍と海兵隊は、同じく2029年末時点で海軍が219機で総予定機数 340機の約65%で、米海兵隊は 245機で総予定機数353機の約70%にまで達し、海軍海兵隊共に2035年頃には、予定の総調達機数取得をほぼ計画通りに終える予定だと紹介しています。
米空軍当局者は調達ペースダウン理由に関し、
●ソフト改修 Tech Refresh 3の遅れで、米議会が調達制限。また空軍も、当面の完成形 Block 4機体が利用可能になるまで調達を抑えたい
●サプライチェーン問題等でロッキード社が生産数アップに苦労
●無人ウイングマン機 CCA や次世代制空機開発への投資、F-15Cの後継F-15EXの調達など、他の優先事業への資源配分・・・と説明しているようです
/////////////////////////////////
本記事は、米空軍協会機関紙のJohn A. Tirpak 編集長自身の執筆記事ですが、米海軍や海兵隊よりも遥かに遅い調達ペースとなっている米空軍 F-35の現状に鑑みると、米空軍応援団である同機関紙の編集長としても、関係者に広く認識されつつある、「空軍の 1763機導入計画は到底実現不可能」、「航空優勢の定義見直しに空軍 2トップが言及する中、次世代制空機NGADのみならず戦闘機全体への投資見直しは不可避」との現実を無視することが出来ないのでしょう・・・。
この記事の最後を同編集長は以下の文書で結び、官僚的思考のドロ沼に落ちたF-35 を冷めた目で見ています。
「空軍は2005年頃に 1,763機という目標を設定しているが、(様々な脅威の変化や先端技術の進歩に)にもかかわらず、その数字を変更していない。空軍当局者は、導入機数を減らすとF-35の単価が上昇し、この価格上昇によりF-35 計画が(法定基準を超えたコスト上昇や開発 遅延のプロジェクト見直しを定めた) Nunn-McCurdy法に抵触することを意識している」
航空優勢の概念に関する議論
「ドローンでへリ撃墜の衝撃」→https://holylandtokyo.com/2024/08/29/6213/
「重要だが不可能だし必要もない」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
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以前は年間100 機必須と訴えも、今は年最大48機に
2030年時点で海軍海兵隊が6-7割も、空軍は4割以下
9月7日付米空軍協会 web 記事が、作成(昨年大晦日)から8か月以上遅れの8月7日にやっと一般公開された、米国防省作成の調達報告書(The Selected Acquisition Report)の中から、米軍F-35の今後の調達計画に関する部分を取り上げ、米空軍の1763 機調達完了が、当初の 2030年代から10年以上遅れの2049年になる見通しなどを取り上げています
同報告書によると、米空軍計画の調達ペースで進むと、2023年末時点で米空軍のF-35A保有機数が419機のところ、2029年度末時点でも約700機程度止まりで、総予定機数1763機の 4割に満たない調達レベルだと記事は指摘し、 一方で海軍と海兵隊は、同じく2029年末時点で海軍が219機で総予定機数 340機の約65%で、米海兵隊は 245機で総予定機数353機の約70%にまで達し、海軍海兵隊共に2035年頃には、予定の総調達機数取得をほぼ計画通りに終える予定だと紹介しています。
米空軍当局者は調達ペースダウン理由に関し、
●ソフト改修 Tech Refresh 3の遅れで、米議会が調達制限。また空軍も、当面の完成形 Block 4機体が利用可能になるまで調達を抑えたい
●サプライチェーン問題等でロッキード社が生産数アップに苦労
●無人ウイングマン機 CCA や次世代制空機開発への投資、F-15Cの後継F-15EXの調達など、他の優先事業への資源配分・・・と説明しているようです
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本記事は、米空軍協会機関紙のJohn A. Tirpak 編集長自身の執筆記事ですが、米海軍や海兵隊よりも遥かに遅い調達ペースとなっている米空軍 F-35の現状に鑑みると、米空軍応援団である同機関紙の編集長としても、関係者に広く認識されつつある、「空軍の 1763機導入計画は到底実現不可能」、「航空優勢の定義見直しに空軍 2トップが言及する中、次世代制空機NGADのみならず戦闘機全体への投資見直しは不可避」との現実を無視することが出来ないのでしょう・・・。
この記事の最後を同編集長は以下の文書で結び、官僚的思考のドロ沼に落ちたF-35 を冷めた目で見ています。
「空軍は2005年頃に 1,763機という目標を設定しているが、(様々な脅威の変化や先端技術の進歩に)にもかかわらず、その数字を変更していない。空軍当局者は、導入機数を減らすとF-35の単価が上昇し、この価格上昇によりF-35 計画が(法定基準を超えたコスト上昇や開発 遅延のプロジェクト見直しを定めた) Nunn-McCurdy法に抵触することを意識している」
航空優勢の概念に関する議論
「ドローンでへリ撃墜の衝撃」→https://holylandtokyo.com/2024/08/29/6213/
「重要だが不可能だし必要もない」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
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1年半を経てやっとルーマニアに F-35売却許可 [亡国のF-35]
恐らく価格交渉が難航していたものと推定します
米国含め20番目の亡国のF-35導入国です。
9月13日、米国務省がルーマニアへの F-35A 型戦闘機の32機売却を承認したと発表しました。承認した売却価格は約1兆1千億円で、この価格には各機に1機の予備エンジン(Pratt& Whitney F135 エンジン)の他、各種メンテ&兵站支援、航法・通信および暗号機器、弾薬および武器、操縦者と整備員等の要員訓練、シミュレーターも提供も含まれているとのことです
ルーマニアは、この 32機で始めに2個飛行隊(two squadrons)を編成した後、追加でさらに16機を購入し、第3飛行隊を編成したいと考えている模様ですが、契約が成立すれば、ルーマニアはポーランドとチェコ共和国に続き、東欧諸国で3番目のF-35運用国となり、3個飛行隊を完成させれば東欧最大のF-35 保有国となります
米国務省は承認発表に際し、「米国や他のNATO 加盟国との相互運用性を高めながら、国防と地域安全保障の任務遂行装備を一層充実させることで、現在および将来の脅威に対処するルーマニアの能力を向上させる」と述べ、「NATO 同盟国の安全保障向上は、米国の外交政策と国家安全保障の目標を後押しすることになる」との声明を出しています。
//////////////////////////////////////////////
なおルーマニアは現在、ポルトガルから購入した中古のF-16戦闘機を17機保有し、2022年にはノルウェーから同じく中古のF-16戦闘機 32機を購入する契約を結んだところであり、F-35を 32機も導入&維持&運用する負担は重すぎるのでは・・・勝手に心配になります。
またルーマニアのF-35 導入を後押ししたと推察されるロシアのウクライナ侵略では、無人機が「低高度の航空優勢」を左右し、戦闘機による「中~高高度の航空勢」に関係なく「低高度の航空優勢」が戦い全体を支配している現実を、ルーマニアはどのように解釈して 32機のF-35 購入に向かうのでしょうか・・・。
【ご参考】F-35 導入合意国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国) 豪州 (100 機) , Denmark (27), Italy (90), Netherlands (37), Norway (52), # (138). 米国(2443)(空軍 1763、海無隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機) トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM 購入で排除
●FMS 購入国(11か国) Belgium (34 機),Israel (19)、日本(42+100),韓国(40)、シンガポール(当面12機最終的に約50機)、 ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド (64機)、ドイツ(最大35機)、チェコ(24機)、ギリシャ(20-40機)、ルーマニア(32+16 機)
ルーマニアと F-35
「F-35 導入方針決定」→https://holylandtokyo.com/2023/04/18/4519/
最近の亡国の F-35導入決定国
「緊縮財政下のギリシャまで」→https://hoylandtokyo.com/2024/08/14/6168/
「シンガポール追加」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
「カナダがやっと決定」→https://halylandtokyo.com/2023/01/12/4134/
「チェコが東欧で2番目」→https://holylandtokyo.com/2022/07/25/3492/
「フィンランドが 15番目」→https://halylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「スイスが 14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
「ポーランドが 13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
「ドイツも核任務用に」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
購入拒否された軍事政権&中国接近のタイ
「タイの購入打診は拒否」→https://halylandtokyo.com/2023/05/30/4702/
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
米国含め20番目の亡国のF-35導入国です。
9月13日、米国務省がルーマニアへの F-35A 型戦闘機の32機売却を承認したと発表しました。承認した売却価格は約1兆1千億円で、この価格には各機に1機の予備エンジン(Pratt& Whitney F135 エンジン)の他、各種メンテ&兵站支援、航法・通信および暗号機器、弾薬および武器、操縦者と整備員等の要員訓練、シミュレーターも提供も含まれているとのことです
ルーマニアは、この 32機で始めに2個飛行隊(two squadrons)を編成した後、追加でさらに16機を購入し、第3飛行隊を編成したいと考えている模様ですが、契約が成立すれば、ルーマニアはポーランドとチェコ共和国に続き、東欧諸国で3番目のF-35運用国となり、3個飛行隊を完成させれば東欧最大のF-35 保有国となります
米国務省は承認発表に際し、「米国や他のNATO 加盟国との相互運用性を高めながら、国防と地域安全保障の任務遂行装備を一層充実させることで、現在および将来の脅威に対処するルーマニアの能力を向上させる」と述べ、「NATO 同盟国の安全保障向上は、米国の外交政策と国家安全保障の目標を後押しすることになる」との声明を出しています。
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なおルーマニアは現在、ポルトガルから購入した中古のF-16戦闘機を17機保有し、2022年にはノルウェーから同じく中古のF-16戦闘機 32機を購入する契約を結んだところであり、F-35を 32機も導入&維持&運用する負担は重すぎるのでは・・・勝手に心配になります。
またルーマニアのF-35 導入を後押ししたと推察されるロシアのウクライナ侵略では、無人機が「低高度の航空優勢」を左右し、戦闘機による「中~高高度の航空勢」に関係なく「低高度の航空優勢」が戦い全体を支配している現実を、ルーマニアはどのように解釈して 32機のF-35 購入に向かうのでしょうか・・・。
【ご参考】F-35 導入合意国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国) 豪州 (100 機) , Denmark (27), Italy (90), Netherlands (37), Norway (52), # (138). 米国(2443)(空軍 1763、海無隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機) トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM 購入で排除
●FMS 購入国(11か国) Belgium (34 機),Israel (19)、日本(42+100),韓国(40)、シンガポール(当面12機最終的に約50機)、 ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド (64機)、ドイツ(最大35機)、チェコ(24機)、ギリシャ(20-40機)、ルーマニア(32+16 機)
ルーマニアと F-35
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最近の亡国の F-35導入決定国
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「シンガポール追加」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
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「スイスが 14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
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「ドイツも核任務用に」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
購入拒否された軍事政権&中国接近のタイ
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海外F-35パイロット養成基地を米本土に新設 [亡国のF-35]
海外17か国で2400機以上を運用する操縦者養成
アリゾナ州Luke基地は満杯状態
新たに州空軍基地をF-35訓練専従基地に
6月20日付Defense-Newsは、現在はMQ-9無人偵察攻撃機のみを運用しているアーカンソー州のEbbing州空軍基地が、7月2日に海外F-35運用国のパイロット養成専用部隊(第188航空団隷下に第86戦闘飛行群と第57戦闘飛行隊)を「新設」し、9月からポーランド空軍操縦者を皮切りに訓練生を受け入れ開始予定で、その後はフィンランド、ドイツ、スイス、シンガポール(米空軍には無いF-35Bの訓練)操縦者を訓練し、2025年に4名、その後は2030年頃まで毎年35名程度の卒業生を送り出す計画だと紹介しています
現在も維持費が高止まりし、米空軍での稼働率も低迷し続け、最新ソフト搭載の完成度に米空軍が満足せず機体受領を拒否している問題てんこ盛りの「亡国のF-35」が、現時点で世界18か国で3500機導入予定で、そのうち海外に2400機以上が提供され「将来の破局」や「西側空軍による集団自殺」をほう助する異常事態を生み出しているにもかかわらず・・・と最近はコメントする気力さえ消え失せてしまったのですが、
経験や技量レベルが異なり、言葉も十分に通じない様々な世界中のパイロットを、米国に受け入れて最新戦闘機の操縦を教育する米空軍現場の「懐の深さ」や「関係各位の努力」は、到底他国では代替できない取り組みで、国際安全保障の基礎であり根幹を支えていることは間違いのない事実ですので、その概要をご紹介します。
20日付Defense-News記事によれば
●現在のEbbing州空軍基地には約1000名の兵士が所属し、無人偵察攻撃MQ-9運用とISR分析処理、更に宇宙軍関連の目標分析任務(Targetting)を担っているが、戦闘機配備は「ゼロ」の基地である。ただかつては、F-4、F-16、A-10が所属していたこともある
●現在、海外F-35パイロット養成はアリゾナ州Luke空軍基地が担っており、イタリア、ノルウェー、デンマーク、オランダ操縦者が既に教育を受けており、ベルギーからも間もなくLuke基地に到着予定。しかし同基地の受け入れ能力はすでに限界で、追加の訓練基地として2023年3月にEbbing州空軍基地が選定された(政治家も巻き込むミシガン州Selfridge州空軍基地からの猛烈な誘致運動もあったが・・・)
●米空軍は2028年までに計約1300億円を投入し、Ebbing基地のF-35受け入れ各種施設やシミュレーターや訓練空域の整備(空域拡大用の施設準備や模擬SAMなど訓練機材設置等々)を行う予定。特殊な所では、シンガポール空軍が米空軍が保有しないF-35B型訓練を行うことから、垂直着陸に耐えるエプロンの整備や教官確保も行う予定
●Ebbing基地には、24機のF-35と12機のF-16が配備される予定。F-16は現在Luke基地に置かれているシンガポール空軍の米国分遣隊F-16が移動してくるもの。
●Ebbing基地にF-35シミュレータ設置が完了するまでの間は、計7か月間のF-35操縦基礎教育課程の内の当初3か月の訓練はフロリダ州Eglin空軍基地で行い、F-35に関する座学や、シミュレータによる離着陸訓練から基礎的F-35戦術訓練(1対1空中戦など)までをEglin担当とする。Ebbing基地では実機F-35による飛行訓練で、離着陸から基本戦技、対地攻撃CASやSEADや対航空やエスコートやパッケージ行動の基礎を訓練する
●7か月間のF-35操縦基礎教育課程終了後、一部の海外操縦者は再びEglin基地に戻って「教官操縦者」教育課程を受講して母国空軍での教官パイロットとなり、その他の操縦者は母国F-35飛行部隊に戻る。Ebbing基地では、2025年に4名の卒業生を送り出し、その後20230年頃までは毎年35名程度の教育を行う予定
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日本の名前が出てきませんが、航空自衛隊は2016年12月にLuke基地で航空自衛隊用1番機を受領し、2017年から同基地で航空自衛隊パイロットの養成(教官要員を含め)を開始しており、推定ですが、コロナ前の段階で、F-35操縦者や整備員の養成は、既に日本国内で航空自衛隊自ら行える体制を確立していたと思われます
これまで操縦者教育を担ってきたアリゾナ州Luke基地は、F-35飛行隊を6個に機体140機以上を有する「F-35要員教育のメッカ」ですが、Ebbing州空軍基地の地元の皆様は、様々な外国人パイロットをどのように受け入れていくのでしょうか・・・。無人機MQ-9の穏やかなプロペラ音から、最新戦闘機F-35の爆音がとどろく環境への変化を受け入れてくれる社会の存在にも感謝すべきでしょう
航空自衛隊訓練生の米国での墜落死亡事故に学ぶ
「海外訓練生と語学の壁・米空軍の努力」→https://holylandtokyo.com/2023/04/19/4533/
「当該事故調査報告」→https://holylandtokyo.com/2021/10/12/2328/
航空自衛隊操縦者の米国教育は既に終了か
「空自F-35の一番機受領@Luke基地」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-12-03
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アリゾナ州Luke基地は満杯状態
新たに州空軍基地をF-35訓練専従基地に
6月20日付Defense-Newsは、現在はMQ-9無人偵察攻撃機のみを運用しているアーカンソー州のEbbing州空軍基地が、7月2日に海外F-35運用国のパイロット養成専用部隊(第188航空団隷下に第86戦闘飛行群と第57戦闘飛行隊)を「新設」し、9月からポーランド空軍操縦者を皮切りに訓練生を受け入れ開始予定で、その後はフィンランド、ドイツ、スイス、シンガポール(米空軍には無いF-35Bの訓練)操縦者を訓練し、2025年に4名、その後は2030年頃まで毎年35名程度の卒業生を送り出す計画だと紹介しています
現在も維持費が高止まりし、米空軍での稼働率も低迷し続け、最新ソフト搭載の完成度に米空軍が満足せず機体受領を拒否している問題てんこ盛りの「亡国のF-35」が、現時点で世界18か国で3500機導入予定で、そのうち海外に2400機以上が提供され「将来の破局」や「西側空軍による集団自殺」をほう助する異常事態を生み出しているにもかかわらず・・・と最近はコメントする気力さえ消え失せてしまったのですが、
経験や技量レベルが異なり、言葉も十分に通じない様々な世界中のパイロットを、米国に受け入れて最新戦闘機の操縦を教育する米空軍現場の「懐の深さ」や「関係各位の努力」は、到底他国では代替できない取り組みで、国際安全保障の基礎であり根幹を支えていることは間違いのない事実ですので、その概要をご紹介します。
20日付Defense-News記事によれば
●現在のEbbing州空軍基地には約1000名の兵士が所属し、無人偵察攻撃MQ-9運用とISR分析処理、更に宇宙軍関連の目標分析任務(Targetting)を担っているが、戦闘機配備は「ゼロ」の基地である。ただかつては、F-4、F-16、A-10が所属していたこともある
●現在、海外F-35パイロット養成はアリゾナ州Luke空軍基地が担っており、イタリア、ノルウェー、デンマーク、オランダ操縦者が既に教育を受けており、ベルギーからも間もなくLuke基地に到着予定。しかし同基地の受け入れ能力はすでに限界で、追加の訓練基地として2023年3月にEbbing州空軍基地が選定された(政治家も巻き込むミシガン州Selfridge州空軍基地からの猛烈な誘致運動もあったが・・・)
●米空軍は2028年までに計約1300億円を投入し、Ebbing基地のF-35受け入れ各種施設やシミュレーターや訓練空域の整備(空域拡大用の施設準備や模擬SAMなど訓練機材設置等々)を行う予定。特殊な所では、シンガポール空軍が米空軍が保有しないF-35B型訓練を行うことから、垂直着陸に耐えるエプロンの整備や教官確保も行う予定
●Ebbing基地には、24機のF-35と12機のF-16が配備される予定。F-16は現在Luke基地に置かれているシンガポール空軍の米国分遣隊F-16が移動してくるもの。
●Ebbing基地にF-35シミュレータ設置が完了するまでの間は、計7か月間のF-35操縦基礎教育課程の内の当初3か月の訓練はフロリダ州Eglin空軍基地で行い、F-35に関する座学や、シミュレータによる離着陸訓練から基礎的F-35戦術訓練(1対1空中戦など)までをEglin担当とする。Ebbing基地では実機F-35による飛行訓練で、離着陸から基本戦技、対地攻撃CASやSEADや対航空やエスコートやパッケージ行動の基礎を訓練する
●7か月間のF-35操縦基礎教育課程終了後、一部の海外操縦者は再びEglin基地に戻って「教官操縦者」教育課程を受講して母国空軍での教官パイロットとなり、その他の操縦者は母国F-35飛行部隊に戻る。Ebbing基地では、2025年に4名の卒業生を送り出し、その後20230年頃までは毎年35名程度の教育を行う予定
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日本の名前が出てきませんが、航空自衛隊は2016年12月にLuke基地で航空自衛隊用1番機を受領し、2017年から同基地で航空自衛隊パイロットの養成(教官要員を含め)を開始しており、推定ですが、コロナ前の段階で、F-35操縦者や整備員の養成は、既に日本国内で航空自衛隊自ら行える体制を確立していたと思われます
これまで操縦者教育を担ってきたアリゾナ州Luke基地は、F-35飛行隊を6個に機体140機以上を有する「F-35要員教育のメッカ」ですが、Ebbing州空軍基地の地元の皆様は、様々な外国人パイロットをどのように受け入れていくのでしょうか・・・。無人機MQ-9の穏やかなプロペラ音から、最新戦闘機F-35の爆音がとどろく環境への変化を受け入れてくれる社会の存在にも感謝すべきでしょう
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F-35稼働率は3年連続急降下で約5割 [亡国のF-35]
71.4%→68.8%→56%→51.9%(2023年度)
また、昨年発表の2022年65.4%は間違いで実際は56%で、
間違った理由はすぐに説明できないと開き直り
6月27日付米空軍協会web記事は、米空軍が2023年度のF-35稼働率(Mission capable rates)が前年2022年度の「56%」から低下して「51.9%」だったと発表し、その原因としてサプライチェーンの混乱等による「部品の入手困難」を上げていると報じました。なおここでの稼働率とは、F-35が期待されている複数任務の内、一つでも可能な機体状態であれば「稼働状態」だとカウントする「あまあま」な基準に基づくものです
ちなみに米空軍は、F-35に限らず、航空機全体で稼働率が低下傾向にある中、前線に派遣された部隊は優先的に部品の配分等を受け100%近い稼働率を達成可能ながら、派遣先から帰隊後は部品配分優先度が下がり、稼働率も急降下する実態もあり、「稼働率」だけでは部隊状態や任務達成度合いを判断するのは難しい・・・と、今ごろになって苦しいい言い訳をしていますが、新機種導入ばかりに投資し、維持整備を後回しにしていると強い批判を浴びているのが現実です
加えて米空軍報道官は、米空軍が昨年発表していた2022年度のF-35稼働率「65.4%」は誤りで、実際は「56%」だったが、なぜそのような誤った稼働率を発表したのかは「すぐには分からない。誤りを見つけて直ちに訂正している:the reason for the inaccurate number last year isn’t immediately available, but we shared a correction as soon as we realized the error」と記者団に説明し、開き直りとも言えるその姿勢に、さすがの米空軍協会webサイトも「開いた口が塞がらない」状態です
米空軍が恥ずかしいのは、米会計検査院GAO が2024年4月に発表したF-35維持費監査レポートが、米空軍発表の2022年度稼働率「65.4%」を無視し、「これが実態だ」と言わんばかりに今年4月時点で2022年度は「56%」だったと発表し、6月末になって米空軍がこのデータを後追いで認める会見を行っている点です。
なお4月GAO発表の米空軍F-35の稼働率推移は・・・
2020年度→71.4 %
2021年度→68.8 %
2022年度→56 %
2023年度→51.9 %
ちなみに会計検査院GAO報告書は更に
●米空軍はF-35A稼働率の最低目標数値を80%と自ら設定している。ちなみに、米空軍以外のF-35B型やC形も目標稼働率を達成していない
●米空軍が設定した1機あたりの年間維持整備経費は、2023年6月時点で「約6億円」だったが、1年しか経過していない2024年春時点で「約10億円」に約4割も増加している
●年間維持経費を削減するため、米空軍は年間の1機あたりの飛行時間を、当初計画の230時間から187時間まで削減し、機体を約8年間長く使用すると説明している
/////////////////////////////////////////
これ以上突っ込む元気もありませんが、本当にF-35は「亡国のF-35」なんです。
主要戦闘機の稼働率問題など
「2021年稼働率は前年より低下」→https://holylandtokyo.com/2021/12/07/2465/
「Lord次官:F-35稼働率の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「8割目標を放棄」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-08
「海軍FA-18は何とか達成?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-25
「米空軍はF-16のみ達成可能」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-09-06
「戦闘機稼働率8割への課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-09
「マティス国防長官が8割指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-11
「B-1爆撃機の稼働機一桁の衝撃」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-05
「2Bソフト機は稼働率4割台」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-1
「2/3が飛行不能FA-18の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-07
「世界中のF-35稼働率は5割」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-3
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また、昨年発表の2022年65.4%は間違いで実際は56%で、
間違った理由はすぐに説明できないと開き直り
6月27日付米空軍協会web記事は、米空軍が2023年度のF-35稼働率(Mission capable rates)が前年2022年度の「56%」から低下して「51.9%」だったと発表し、その原因としてサプライチェーンの混乱等による「部品の入手困難」を上げていると報じました。なおここでの稼働率とは、F-35が期待されている複数任務の内、一つでも可能な機体状態であれば「稼働状態」だとカウントする「あまあま」な基準に基づくものです
ちなみに米空軍は、F-35に限らず、航空機全体で稼働率が低下傾向にある中、前線に派遣された部隊は優先的に部品の配分等を受け100%近い稼働率を達成可能ながら、派遣先から帰隊後は部品配分優先度が下がり、稼働率も急降下する実態もあり、「稼働率」だけでは部隊状態や任務達成度合いを判断するのは難しい・・・と、今ごろになって苦しいい言い訳をしていますが、新機種導入ばかりに投資し、維持整備を後回しにしていると強い批判を浴びているのが現実です
加えて米空軍報道官は、米空軍が昨年発表していた2022年度のF-35稼働率「65.4%」は誤りで、実際は「56%」だったが、なぜそのような誤った稼働率を発表したのかは「すぐには分からない。誤りを見つけて直ちに訂正している:the reason for the inaccurate number last year isn’t immediately available, but we shared a correction as soon as we realized the error」と記者団に説明し、開き直りとも言えるその姿勢に、さすがの米空軍協会webサイトも「開いた口が塞がらない」状態です
米空軍が恥ずかしいのは、米会計検査院GAO が2024年4月に発表したF-35維持費監査レポートが、米空軍発表の2022年度稼働率「65.4%」を無視し、「これが実態だ」と言わんばかりに今年4月時点で2022年度は「56%」だったと発表し、6月末になって米空軍がこのデータを後追いで認める会見を行っている点です。
なお4月GAO発表の米空軍F-35の稼働率推移は・・・
2020年度→71.4 %
2021年度→68.8 %
2022年度→56 %
2023年度→51.9 %
ちなみに会計検査院GAO報告書は更に
●米空軍はF-35A稼働率の最低目標数値を80%と自ら設定している。ちなみに、米空軍以外のF-35B型やC形も目標稼働率を達成していない
●米空軍が設定した1機あたりの年間維持整備経費は、2023年6月時点で「約6億円」だったが、1年しか経過していない2024年春時点で「約10億円」に約4割も増加している
●年間維持経費を削減するため、米空軍は年間の1機あたりの飛行時間を、当初計画の230時間から187時間まで削減し、機体を約8年間長く使用すると説明している
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これ以上突っ込む元気もありませんが、本当にF-35は「亡国のF-35」なんです。
主要戦闘機の稼働率問題など
「2021年稼働率は前年より低下」→https://holylandtokyo.com/2021/12/07/2465/
「Lord次官:F-35稼働率の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「8割目標を放棄」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-08
「海軍FA-18は何とか達成?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-25
「米空軍はF-16のみ達成可能」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-09-06
「戦闘機稼働率8割への課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-09
「マティス国防長官が8割指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-11
「B-1爆撃機の稼働機一桁の衝撃」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-05
「2Bソフト機は稼働率4割台」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-1
「2/3が飛行不能FA-18の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-07
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事故大破の2機のF-35から1機を生み出す試行 [亡国のF-35]
まずF-35で。他の戦闘機への応用も検討
2020年1月開始で、25年3月完成予定の慎重さ
12月12日付米空軍協会web記事が、F-35の生産&調達ペースが上がらない中で、貴重な受領済機体を最大限に活用するため、事故で大破した2機のF-35の再使用可能な部分を組み合わせ、完全に使用可能な1機のF-35を再生産する米国防省F-35計画室とロッキード社等の共同取り組みについて紹介しています
大破した航空機の修理に、他の航空機の部品を活用することはあると思うのですが、記事の書きぶりからは、共に大破して修復が不可能な2機の利活用可能な部分を寄せ集め(不足部品は新品部品を調達して)、使用制限のない新品同様の戦闘機1機を生み出そうとの「前例のない取り組み」らしく、2020年1月開始で25年3月に完成予定の「新品同様の戦闘機1機」が費用対効果面でもクリアできれば、他の戦闘機への展開も考えているようです
今回対象となる大破F-35は・・・
・2014年に大規模エンジン火災を起こしたエグリン基地所属機
(現在はF-35整備員の機体補修教育訓練用に使用中)
・2020年に全輪が破損して機体前方が大破したヒル基地所属機
このような大破した2機から生み出される1機をフランケンシュタインになぞらえて、国防省F-35計画室は「Franken-bird」と呼称しているようですが、同プロジェクトには中核となる主にロッキード社の約20名の他、米空軍第338戦闘航空団内のOgden空軍補給処等の空軍兵士と文民職員た契約業者が関わっているとのことです
ロッキード社のプロジェクト主任技術者のScott Taylor氏は、「理論的には、全ての航空機の部品は異常が無い限り、分解して他の正常な部品と組み合わせて、新たな「新品」として利活用可能だが、これを実際に大規模に行って1機を完成させた事例は一度もない」、「本プロジェクトの過程は全て文書化等で記録し、将来の手法活用&確立に向けた資料として編纂したい」、
「このプロジェクトは単に大破した2機から1機を生みだすに留まらず、事故で大破した航空機を、最新の技術や工具や製造装置を駆使して、費用対効果面で受け入れ可能な形で修復する技術確立にもつながる意義のある取り組みだ」と位置付けを表現しています
////////////////////////////////////////////////////
極めて大雑把に表現すれば、「エンジン火災事故を起こした機体の前方部分」と「車輪不具合で着陸時に機体前方部分を失った機体」を合体し、他の不足部品は新規調達して「新品同様の戦闘機1機」を生み出すプロジェクトですが、上記のように、将来のための記録や手法標準化を意識した手順確立検討が含まれるためか、2020年1月開始ながら2025年3月まで時間が必要とのことです
ひねくれ者のまんぐーすには、近い将来に米軍はF-35調達予定数を大幅に削減し、例えば米空軍なら現在の約1760機予定を、600~800機前後にまで縮小する可能性が高いため、事故機の利活用可能性を「戦闘機命族」が時間と金を投入して模索している・・・と見えてしまいます
F-35調達機数削減の動き
「デマ流布!? F-35需要増に生産が・・」→https://holylandtokyo.com/2023/07/18/4823/
「F-35削減派が空軍2トップか」→https://holylandtokyo.com/2023/05/19/4648/
「米海軍が調達ペース抑制」→https://holylandtokyo.com/2022/07/07/3420/
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
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2020年1月開始で、25年3月完成予定の慎重さ
12月12日付米空軍協会web記事が、F-35の生産&調達ペースが上がらない中で、貴重な受領済機体を最大限に活用するため、事故で大破した2機のF-35の再使用可能な部分を組み合わせ、完全に使用可能な1機のF-35を再生産する米国防省F-35計画室とロッキード社等の共同取り組みについて紹介しています
大破した航空機の修理に、他の航空機の部品を活用することはあると思うのですが、記事の書きぶりからは、共に大破して修復が不可能な2機の利活用可能な部分を寄せ集め(不足部品は新品部品を調達して)、使用制限のない新品同様の戦闘機1機を生み出そうとの「前例のない取り組み」らしく、2020年1月開始で25年3月に完成予定の「新品同様の戦闘機1機」が費用対効果面でもクリアできれば、他の戦闘機への展開も考えているようです
今回対象となる大破F-35は・・・
・2014年に大規模エンジン火災を起こしたエグリン基地所属機
(現在はF-35整備員の機体補修教育訓練用に使用中)
・2020年に全輪が破損して機体前方が大破したヒル基地所属機
このような大破した2機から生み出される1機をフランケンシュタインになぞらえて、国防省F-35計画室は「Franken-bird」と呼称しているようですが、同プロジェクトには中核となる主にロッキード社の約20名の他、米空軍第338戦闘航空団内のOgden空軍補給処等の空軍兵士と文民職員た契約業者が関わっているとのことです
ロッキード社のプロジェクト主任技術者のScott Taylor氏は、「理論的には、全ての航空機の部品は異常が無い限り、分解して他の正常な部品と組み合わせて、新たな「新品」として利活用可能だが、これを実際に大規模に行って1機を完成させた事例は一度もない」、「本プロジェクトの過程は全て文書化等で記録し、将来の手法活用&確立に向けた資料として編纂したい」、
「このプロジェクトは単に大破した2機から1機を生みだすに留まらず、事故で大破した航空機を、最新の技術や工具や製造装置を駆使して、費用対効果面で受け入れ可能な形で修復する技術確立にもつながる意義のある取り組みだ」と位置付けを表現しています
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極めて大雑把に表現すれば、「エンジン火災事故を起こした機体の前方部分」と「車輪不具合で着陸時に機体前方部分を失った機体」を合体し、他の不足部品は新規調達して「新品同様の戦闘機1機」を生み出すプロジェクトですが、上記のように、将来のための記録や手法標準化を意識した手順確立検討が含まれるためか、2020年1月開始ながら2025年3月まで時間が必要とのことです
ひねくれ者のまんぐーすには、近い将来に米軍はF-35調達予定数を大幅に削減し、例えば米空軍なら現在の約1760機予定を、600~800機前後にまで縮小する可能性が高いため、事故機の利活用可能性を「戦闘機命族」が時間と金を投入して模索している・・・と見えてしまいます
F-35調達機数削減の動き
「デマ流布!? F-35需要増に生産が・・」→https://holylandtokyo.com/2023/07/18/4823/
「F-35削減派が空軍2トップか」→https://holylandtokyo.com/2023/05/19/4648/
「米海軍が調達ペース抑制」→https://holylandtokyo.com/2022/07/07/3420/
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
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F-35需要増に生産が間に合わない??? [亡国のF-35]
米軍が今の総調達数を維持すれば・・・の話ですが
ただし、米軍は空軍を筆頭に調達減少気味の怪
年間156機でも企業側は精いっぱいの模様
7月3日付米空軍協会web記事が、8月にも通算1000機目のF-35が製造されるタイミングや、2日にイスラエルが追加で25機のF-35A導入を発表した等を受け、編集長自らが筆を執って「世界中でF-35需要が高まっており、このままでは製造企業側の生産能力が追い付かない」との根拠の極めてあいまいな記事を書いています
確かに、最近は欧州を中心にF-35導入を決定する国が増え、Finland, Switzerland, Germany, Czechからの発注が159機となって、当面の年間生産数目標156機(2025年までにこの規模を目指すとのロッキード計画)を超えたとF-35命派が騒いでいるところです
その他にも欧州では、Belgium, Denmark, Italy, Norway, U.Kが先行して購入決定又は運用を開始しており、更に経済混乱でアテネの荒廃ぶりが話題のギリシャまでが20機程度の導入を検討していると言われています。北米ではカナダが共同開発国ながら極めて慎重に88機導入に動き始め、アジアでは「赤信号、みんなで渡れば怖くない」方式で日本、韓国、シンガポールが導入数を増やす方向にあります
記事でJohn A. Tirpak編集長は、諸外国の具体的な機体受領年度はほとんど公開されていないが、コロナでサプライチェーンの乱れが残る中、2025年までの目標年間156機生産(2022年は145機、23年と24年は126機)体制確保も容易ではなく、それ以上の製造ペース拡大は胴体など主要構成部品、主要な製造工具類、そして製造ラインに必要な従業員確保の全ての面で容易ではないとの米空軍Hunter計画部長の4月の議会証言を紹介しつつ、国を挙げて対応すべき課題だとのニュアンスで記事を書いています
ただここで注意する必要があるのが米軍、特にF-35最大の購入予定機数1763機(既に約350機導入済)の米空軍の動向です。米空軍は当初計画では年間110機ペースで導入する予定でしたが、実際は80機から始まり、60機に低下し、最近は2028年まで48機にまでペースを落とす計画を明らかにしています
米海軍や海兵隊も同様のペースダウンを予定しており、その理由として、本音の「維持費高止まりでなるべき機数を増やしたくない。調達機数削減を発表するまでは最低の調達ペースで」は包み隠して、F-35の「Block 4 upgrade」や関連する「Technology Refresh 3 upgrade」が試験等を経て成熟してからの完成版F-35を手戻りなく受領したいと説明しているようです
ちなみに、8月に通算1000機目となるF-35がテキサスの工場で製造されるようですが、とりあえずはロッキード社が保管し、上記「Technology Refresh 3 upgrade」が試験等を経て成熟してから、年末か2024年初に空軍に引き渡されるようです
米軍需産業応援団のような米空軍協会や付属のミッチェル研究所などは、戦闘機パイロットOBを巻き込んで、F-35本格フル生産の年間220機体制を支える生産ライン増強を最近メディアで訴えていますが、裏では空軍幹部が議会で証言しているように、サプライチェーンの限界を主張して増産を抑え、海外への売込みは懸命に進めて米軍調達機数削減決定のタイミングを模索している・・・と認識しておくべきでしょう
米軍の調達削減が公になった段階では西側主要国はF-35導入契約を完了しており、もう後へは引けません。そして米空軍等の総生産指数削減決定を引き金に、更に高騰する既にバカ高い維持整備費にF-35導入国の国防費はますます圧迫され、「亡国のF-35」の現実を痛いほど感じることになるのでしょう・・・
F-35調達機数削減の動き
「F-35削減派が空軍2トップか」→https://holylandtokyo.com/2023/05/19/4648/
「米海軍が調達ペース抑制」→https://holylandtokyo.com/2022/07/07/3420/
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
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ただし、米軍は空軍を筆頭に調達減少気味の怪
年間156機でも企業側は精いっぱいの模様
7月3日付米空軍協会web記事が、8月にも通算1000機目のF-35が製造されるタイミングや、2日にイスラエルが追加で25機のF-35A導入を発表した等を受け、編集長自らが筆を執って「世界中でF-35需要が高まっており、このままでは製造企業側の生産能力が追い付かない」との根拠の極めてあいまいな記事を書いています
確かに、最近は欧州を中心にF-35導入を決定する国が増え、Finland, Switzerland, Germany, Czechからの発注が159機となって、当面の年間生産数目標156機(2025年までにこの規模を目指すとのロッキード計画)を超えたとF-35命派が騒いでいるところです
その他にも欧州では、Belgium, Denmark, Italy, Norway, U.Kが先行して購入決定又は運用を開始しており、更に経済混乱でアテネの荒廃ぶりが話題のギリシャまでが20機程度の導入を検討していると言われています。北米ではカナダが共同開発国ながら極めて慎重に88機導入に動き始め、アジアでは「赤信号、みんなで渡れば怖くない」方式で日本、韓国、シンガポールが導入数を増やす方向にあります
記事でJohn A. Tirpak編集長は、諸外国の具体的な機体受領年度はほとんど公開されていないが、コロナでサプライチェーンの乱れが残る中、2025年までの目標年間156機生産(2022年は145機、23年と24年は126機)体制確保も容易ではなく、それ以上の製造ペース拡大は胴体など主要構成部品、主要な製造工具類、そして製造ラインに必要な従業員確保の全ての面で容易ではないとの米空軍Hunter計画部長の4月の議会証言を紹介しつつ、国を挙げて対応すべき課題だとのニュアンスで記事を書いています
ただここで注意する必要があるのが米軍、特にF-35最大の購入予定機数1763機(既に約350機導入済)の米空軍の動向です。米空軍は当初計画では年間110機ペースで導入する予定でしたが、実際は80機から始まり、60機に低下し、最近は2028年まで48機にまでペースを落とす計画を明らかにしています
米海軍や海兵隊も同様のペースダウンを予定しており、その理由として、本音の「維持費高止まりでなるべき機数を増やしたくない。調達機数削減を発表するまでは最低の調達ペースで」は包み隠して、F-35の「Block 4 upgrade」や関連する「Technology Refresh 3 upgrade」が試験等を経て成熟してからの完成版F-35を手戻りなく受領したいと説明しているようです
ちなみに、8月に通算1000機目となるF-35がテキサスの工場で製造されるようですが、とりあえずはロッキード社が保管し、上記「Technology Refresh 3 upgrade」が試験等を経て成熟してから、年末か2024年初に空軍に引き渡されるようです
米軍需産業応援団のような米空軍協会や付属のミッチェル研究所などは、戦闘機パイロットOBを巻き込んで、F-35本格フル生産の年間220機体制を支える生産ライン増強を最近メディアで訴えていますが、裏では空軍幹部が議会で証言しているように、サプライチェーンの限界を主張して増産を抑え、海外への売込みは懸命に進めて米軍調達機数削減決定のタイミングを模索している・・・と認識しておくべきでしょう
米軍の調達削減が公になった段階では西側主要国はF-35導入契約を完了しており、もう後へは引けません。そして米空軍等の総生産指数削減決定を引き金に、更に高騰する既にバカ高い維持整備費にF-35導入国の国防費はますます圧迫され、「亡国のF-35」の現実を痛いほど感じることになるのでしょう・・・
F-35調達機数削減の動き
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米会計検査院:米国防省はF-35の部品管理がでたらめ [亡国のF-35]
米国防省一括管理の世界50か所以上に分散保管の部品
各部品の状態や価値を管理把握できていない状態
F-35使用国は米国防省管理の部品を発注するのに
5月23日に米会計検査院GAOが、価格高騰高止まりが問題となっているF-35の維持整備問題に焦点を当てた特別監察レポートを発表し、世界50か所以上の関連企業や各国軍基地等に分散保管されている数十万から数百万個のF-35部品の保管場所、品質状態、現在価値等の把握不十分で、特に部品状態や現在価値については「現状未把握」で、管理責任を持つ米国防省が説明責任(accountability)を果たせない状態にあり、F-35維持整備に関わる現在の諸問題の根源となっていると厳しく指摘しました
米国防省F-35計画室はこの指摘に対し、「GAOの改善勧告に同意する」、「約15億円をかけ、正確な部品在庫に関する記録を確立するための第一歩を開始している」、「F-35部品の大部分について、米国防省が世界中のサプライチェーンの何処に所在しているかを把握している事を、米国民とF-35使用同盟国には理解いただきたい」、「今後継続して部品管理の説明責任能力と即応体制向上に努めていく」と、ずさんな実態を認める声明をメディアに出しています
F-35では、F-35機体を購入した同盟国等は部品を各国で購入保管するのではなく、米国防省が部品の調達・生産・保管・管理をグローバルサプライチェーンを束ねて一元管理し、迅速に効率的に全世界の使用国をサポートするとの「大宣伝を打って」世界中に売り込んでいますが、
そんな理想とは程遠い「デタラメ状態」で、ロッキード社の持つ部品在庫情報に依存する「業者の言いなり」状態で、維持費高騰高止まり状態を垂れ流している実態を検査員に指摘され、国防省も「改善の第一歩」「大部分の位置は把握」との驚きの言い訳言葉で白状したということです
ここ言う部品とは、エンジン、タイヤ、着陸用脚部などの大型部品から、ボルトやナットなどの細かな部品全てを含み、全世界50か所以上の保管場所には、ロッキー下請け企業の倉庫、米国内や海外購入国軍基地の保管庫など、F-35 supply chainを構成する米国内外の様々な施設が含まれています。
米会計検査院GAOの検査で、米国防省は驚くなかれ5年連続で「不適合」の評価を受けており、今回のF-35部品管理など維持整備分野の問題についてGAOは、「米国防省の連続する検査不適格状態の象徴のような実態であり、責任遂行能力欠如のシンボル的事象である」と酷評し、更に検査官が聞き取りを実施した米国防省職員の言葉をGAOは目立つように報告書で紹介し、海外のF-35購入国からの外圧を期待しているようだと米メディアは報じています。
その国防省員の言葉とは、「F-35維持管理の弱点や課題は、(その量的規模や金額の大きさから)他の装備品の維持管理問題への米国防省の対応を一層困難にするだろう。なぜなら、F-35関連の部品数が途方もない規模で、現在は把握もできていないトータルな部品の現在価値が数千億円とも想定され、その把握掌握が管理責任能力が不足している米国防省に突き付けられているからだ」・・・だとのこと。
注・・・上に掲載した報告書の抜粋図は、とんでもない原始的で無駄が多いF-35部品管理手法を米国防省は世界各地で行っている(行わせている)・・・と説明するためのイラスト部分です
///////////////////////////////////////////
4月にF-35導入を決定したルーマニアを含め、18か国(米国含む)が導入を決定したF-35ですが、最大顧客である1763機導入予定の米空軍は着実に調達数削減方向に向かっており、米海軍海兵隊(260と420機)、英国(138機)、イタリア(90機)も削減必至と予想いたしております
これら削減方向の国の機数の穴埋めは、欧州やアジアの国々では難しく、問題になっているF-35維持費は今後も「高止まり」どころか上昇必至と見るのが自然です。ウクライナとF-16関連に世間の目が向いている中で、「亡国のF-35」はその負の本領を発揮し始めています
米会計検査院GAOの当該報告書35ページ
→https://www.gao.gov/assets/gao-23-106098.pdf
Defense-News記事は過去5年間だけで100万個以上の部品の所在が不明と報道
→https://www.defensenews.com/air/2023/05/30/auditors-over-1-million-f-35-spare-parts-lost-by-dod-and-lockheed/
F-35調達機数削減の動き
「F-35削減派が空軍2トップか」→https://holylandtokyo.com/2023/05/19/4648/
「米海軍が調達ペース抑制」→https://holylandtokyo.com/2022/07/07/3420/
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
「民間監視団体がF-35改善なしと」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holylandtokyo.com/2021/06/25/1949/
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holylandtokyo.com/2021/03/10/157/
最近のF-35購入又は追加購入決定
「小国ルーマニアも」→https://holylandtokyo.com/2023/04/18/4519/
「シンガポール追加」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
「カナダがやっと決定」→https://holylandtokyo.com/2023/01/12/4134/
「チェコが東欧で2番目」→https://holylandtokyo.com/2022/07/25/3492/
「フィンランドが15番目」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
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各部品の状態や価値を管理把握できていない状態
F-35使用国は米国防省管理の部品を発注するのに
5月23日に米会計検査院GAOが、価格高騰高止まりが問題となっているF-35の維持整備問題に焦点を当てた特別監察レポートを発表し、世界50か所以上の関連企業や各国軍基地等に分散保管されている数十万から数百万個のF-35部品の保管場所、品質状態、現在価値等の把握不十分で、特に部品状態や現在価値については「現状未把握」で、管理責任を持つ米国防省が説明責任(accountability)を果たせない状態にあり、F-35維持整備に関わる現在の諸問題の根源となっていると厳しく指摘しました
米国防省F-35計画室はこの指摘に対し、「GAOの改善勧告に同意する」、「約15億円をかけ、正確な部品在庫に関する記録を確立するための第一歩を開始している」、「F-35部品の大部分について、米国防省が世界中のサプライチェーンの何処に所在しているかを把握している事を、米国民とF-35使用同盟国には理解いただきたい」、「今後継続して部品管理の説明責任能力と即応体制向上に努めていく」と、ずさんな実態を認める声明をメディアに出しています
F-35では、F-35機体を購入した同盟国等は部品を各国で購入保管するのではなく、米国防省が部品の調達・生産・保管・管理をグローバルサプライチェーンを束ねて一元管理し、迅速に効率的に全世界の使用国をサポートするとの「大宣伝を打って」世界中に売り込んでいますが、
そんな理想とは程遠い「デタラメ状態」で、ロッキード社の持つ部品在庫情報に依存する「業者の言いなり」状態で、維持費高騰高止まり状態を垂れ流している実態を検査員に指摘され、国防省も「改善の第一歩」「大部分の位置は把握」との驚きの言い訳言葉で白状したということです
ここ言う部品とは、エンジン、タイヤ、着陸用脚部などの大型部品から、ボルトやナットなどの細かな部品全てを含み、全世界50か所以上の保管場所には、ロッキー下請け企業の倉庫、米国内や海外購入国軍基地の保管庫など、F-35 supply chainを構成する米国内外の様々な施設が含まれています。
米会計検査院GAOの検査で、米国防省は驚くなかれ5年連続で「不適合」の評価を受けており、今回のF-35部品管理など維持整備分野の問題についてGAOは、「米国防省の連続する検査不適格状態の象徴のような実態であり、責任遂行能力欠如のシンボル的事象である」と酷評し、更に検査官が聞き取りを実施した米国防省職員の言葉をGAOは目立つように報告書で紹介し、海外のF-35購入国からの外圧を期待しているようだと米メディアは報じています。
その国防省員の言葉とは、「F-35維持管理の弱点や課題は、(その量的規模や金額の大きさから)他の装備品の維持管理問題への米国防省の対応を一層困難にするだろう。なぜなら、F-35関連の部品数が途方もない規模で、現在は把握もできていないトータルな部品の現在価値が数千億円とも想定され、その把握掌握が管理責任能力が不足している米国防省に突き付けられているからだ」・・・だとのこと。
注・・・上に掲載した報告書の抜粋図は、とんでもない原始的で無駄が多いF-35部品管理手法を米国防省は世界各地で行っている(行わせている)・・・と説明するためのイラスト部分です
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4月にF-35導入を決定したルーマニアを含め、18か国(米国含む)が導入を決定したF-35ですが、最大顧客である1763機導入予定の米空軍は着実に調達数削減方向に向かっており、米海軍海兵隊(260と420機)、英国(138機)、イタリア(90機)も削減必至と予想いたしております
これら削減方向の国の機数の穴埋めは、欧州やアジアの国々では難しく、問題になっているF-35維持費は今後も「高止まり」どころか上昇必至と見るのが自然です。ウクライナとF-16関連に世間の目が向いている中で、「亡国のF-35」はその負の本領を発揮し始めています
米会計検査院GAOの当該報告書35ページ
→https://www.gao.gov/assets/gao-23-106098.pdf
Defense-News記事は過去5年間だけで100万個以上の部品の所在が不明と報道
→https://www.defensenews.com/air/2023/05/30/auditors-over-1-million-f-35-spare-parts-lost-by-dod-and-lockheed/
F-35調達機数削減の動き
「F-35削減派が空軍2トップか」→https://holylandtokyo.com/2023/05/19/4648/
「米海軍が調達ペース抑制」→https://holylandtokyo.com/2022/07/07/3420/
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最近のF-35購入又は追加購入決定
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米国がタイへのF-35売却拒否 [亡国のF-35]
セキュリティー、インフラ、整備&操縦能力等を理由に
5-10年後の再検討を米が示し、
最新型F-16やF-15をF-35の代替に提案も
タイの中国への接近に対する警鐘との見方アリ
5月25日、タイ政府が米国に要請していた、老朽化が進むF-16A/B戦闘機やF-5軽攻撃機の後継機としてのF-35戦闘機導入について、米国政府から時間的制約、技術的要件、作戦運用&整備能力などを理由に断りの連絡があったとタイ空軍報道官が発表しました
タイ空軍は、1980年代から運用している初期型F-16を約50機とF-5を約30機、更に2011年に導入したスウェーデン製JAS-39グリペン戦闘機を12機(1機は事故で喪失)を保有していますが、ロイター報道によればF-16とF-5の後継として8機のF-35戦闘機導入を米国に打診していたとのことです
別の5月23日付タイ国内報道では、在バンコクの米国大使が最近タイ空軍司令官を訪問し、タイ空軍基地のセキュリティー状態、飛行場の施設能力、維持整備インフラ施設、作戦運用に必要な操縦者や整備員等の人材確保容易性等の観点から懸念事項があり、これらを改善するには相当な時間と経費が必要になることから、今回のタイ空軍の要望には応じられないと伝達した模様です。
ただ完全にタイ側の要望を却下したわけではなく、上記懸念事項の改善を5-10年後に再度確認し、可能な状態となればタイ側の要望に応じることもあり得ると説明し、現時点での代替案として米国大使は、最新型F-16戦闘機(Block 70)やF-15の売却を提案したとのことです
タイ側からは、追加でグリペン戦闘機を購入する案が有力との「米側をけん制するような」報道も最近出ていましたが、米側の返答が7月になるだろうと予想していた中で、早々と5月中に米国大使館を通じて連絡があったことを受け、米国側のタイへの迷いがない明確な姿勢が示されたと受け止められるのでしょう
タイは最近の総選挙で、2014年のクーデターで誕生した軍事政権が敗北し、今後の政権運営や連立政権の行く末に注目が集まっていますが、2014年以来、中国との軍事協力関係強化が目立っており、例えば中国軍とタイの陸海空軍それぞれが共同演習を行うなど、中国軍と緊密な関係にあるのがタイ軍です
また軍の装備や兵器導入面でも中国とタイは2014年以降緊密で、2017年に中国製潜水艦をタイ海軍が3隻導入したほか、弾薬輸入面でもパイプが太くなってきているところで、今回の米側によるF-35売却拒否は、F-35に関する機密情報がタイから中国に漏洩することを強く懸念したものであり、同時にタイ側に中国との関係を見直すようシグナルを送ったものと多くの専門家が見ているようです
//////////////////////////////////////////////
ASEAN諸国と米国や西側との関係については、フィリピンが中国側の高圧的態度に我慢できずに急速な米側回帰に動いている一方で、カンボジアやインドネシアが依然として中国寄りだと最近ご紹介していますが、タイの動向は気になります
3月の米タイ共同主催の「Cobra Gold演習」は、オブザーバ国含め30か国7400名規模の大演習に復活して、微妙な米タイ関係に改善の兆しか・・・とお伝えしましたが、そう単純ではないようです。
まぁ、米国大使がタイ空軍司令官に説明したように、「タイ空軍基地のセキュリティー状態、飛行場の施設能力、維持整備インフラ施設、作戦運用に必要な操縦者や整備員等の人材確保容易性等の観点の懸念」は否定できないと思いますが、東欧の小国ルーマニアやポーランドやチェコにもF-35売却許可している点からすれば、単純比較はできませんが・・・
タイと米国関係の関連
「Cobra Gold演習がコロナ前規模に」→https://holylandtokyo.com/2023/03/02/4349/
「対中国で分散作戦演習JPMRC」→https://holylandtokyo.com/2022/11/14/3900/
「タイが中国戦車追加購入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-04-05
「タイが中国潜水艦購入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-07-13
他ASEAN諸国と米国関係
「インドネシアは塩対応」→https://holylandtokyo.com/2023/05/24/4640/
「米比が33年ぶり比で空軍演習」→https://holylandtokyo.com/2023/05/08/4597/
「米比とBalikatan演習」→https://holylandtokyo.com/2023/04/20/4524/
「カンボジアに中国軍施設」→https://holylandtokyo.com/2022/06/15/3354/
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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5-10年後の再検討を米が示し、
最新型F-16やF-15をF-35の代替に提案も
タイの中国への接近に対する警鐘との見方アリ
5月25日、タイ政府が米国に要請していた、老朽化が進むF-16A/B戦闘機やF-5軽攻撃機の後継機としてのF-35戦闘機導入について、米国政府から時間的制約、技術的要件、作戦運用&整備能力などを理由に断りの連絡があったとタイ空軍報道官が発表しました
タイ空軍は、1980年代から運用している初期型F-16を約50機とF-5を約30機、更に2011年に導入したスウェーデン製JAS-39グリペン戦闘機を12機(1機は事故で喪失)を保有していますが、ロイター報道によればF-16とF-5の後継として8機のF-35戦闘機導入を米国に打診していたとのことです
別の5月23日付タイ国内報道では、在バンコクの米国大使が最近タイ空軍司令官を訪問し、タイ空軍基地のセキュリティー状態、飛行場の施設能力、維持整備インフラ施設、作戦運用に必要な操縦者や整備員等の人材確保容易性等の観点から懸念事項があり、これらを改善するには相当な時間と経費が必要になることから、今回のタイ空軍の要望には応じられないと伝達した模様です。
ただ完全にタイ側の要望を却下したわけではなく、上記懸念事項の改善を5-10年後に再度確認し、可能な状態となればタイ側の要望に応じることもあり得ると説明し、現時点での代替案として米国大使は、最新型F-16戦闘機(Block 70)やF-15の売却を提案したとのことです
タイ側からは、追加でグリペン戦闘機を購入する案が有力との「米側をけん制するような」報道も最近出ていましたが、米側の返答が7月になるだろうと予想していた中で、早々と5月中に米国大使館を通じて連絡があったことを受け、米国側のタイへの迷いがない明確な姿勢が示されたと受け止められるのでしょう
タイは最近の総選挙で、2014年のクーデターで誕生した軍事政権が敗北し、今後の政権運営や連立政権の行く末に注目が集まっていますが、2014年以来、中国との軍事協力関係強化が目立っており、例えば中国軍とタイの陸海空軍それぞれが共同演習を行うなど、中国軍と緊密な関係にあるのがタイ軍です
また軍の装備や兵器導入面でも中国とタイは2014年以降緊密で、2017年に中国製潜水艦をタイ海軍が3隻導入したほか、弾薬輸入面でもパイプが太くなってきているところで、今回の米側によるF-35売却拒否は、F-35に関する機密情報がタイから中国に漏洩することを強く懸念したものであり、同時にタイ側に中国との関係を見直すようシグナルを送ったものと多くの専門家が見ているようです
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ASEAN諸国と米国や西側との関係については、フィリピンが中国側の高圧的態度に我慢できずに急速な米側回帰に動いている一方で、カンボジアやインドネシアが依然として中国寄りだと最近ご紹介していますが、タイの動向は気になります
3月の米タイ共同主催の「Cobra Gold演習」は、オブザーバ国含め30か国7400名規模の大演習に復活して、微妙な米タイ関係に改善の兆しか・・・とお伝えしましたが、そう単純ではないようです。
まぁ、米国大使がタイ空軍司令官に説明したように、「タイ空軍基地のセキュリティー状態、飛行場の施設能力、維持整備インフラ施設、作戦運用に必要な操縦者や整備員等の人材確保容易性等の観点の懸念」は否定できないと思いますが、東欧の小国ルーマニアやポーランドやチェコにもF-35売却許可している点からすれば、単純比較はできませんが・・・
タイと米国関係の関連
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「対中国で分散作戦演習JPMRC」→https://holylandtokyo.com/2022/11/14/3900/
「タイが中国戦車追加購入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-04-05
「タイが中国潜水艦購入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-07-13
他ASEAN諸国と米国関係
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ルーマニアがF-35導入決定東欧3番目 [亡国のF-35]
2023年8月10日付Defense-Newsは、ルーマニア政府が同国議会に対し、2飛行隊分の32機導入を要望する案を提示したと報じ、同案には3飛行隊目の16機を追加で調達要求する可能性もあると記載されていると紹介しました
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
東欧ではポーランドとチェコに続き3番目
4月11日、ルーマニアのKlaus Iohannis大統領をトップとする最高国防評議会(Romanian Supreme Council on National Defense (CSAT))が、F-35導入を決定しました。購入機数や価格や受け入れ時程などは明らかにされていません
ルーマニアは現在、ポルトガルから購入した中古のF-16戦闘機を17機保有し、昨年2022年にはノルウェーから同じく中古のF-16戦闘機32機を購入する契約を結んだところであり、F-35を導入するにしても常時最低限の運用機数である4-8機を確保できる12機程度の導入が限界かと勝手に邪推いたします
ルーマニア軍は、総兵力7万1500人、(陸軍3万5,500人、海軍6,800人、空軍11,700人、総合軍1万7,500人)ですから、約30機のF-16を維持運用するだけで十分大変だと思いますが、欧州全体で維持整備体制をうまく回して、少数機体の稼働率を確保するつもりでしょうか・・・
同じ東欧では既に2か国が・・・
●2020年1月に、ポーランドが32機のF-35導入を約6200億円で契約と発表
●2022年7月に、チェコが24機のF-35導入を目指し米国と価格交渉を開始すると発表(その後交渉妥結したとの記憶が・・・)
【ご参考】F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(10か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、チェコ(24機)、ルーマニア(機数非公開12機程度か?)
最近のF-35購入又は追加購入決定
「シンガポール追加」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
「カナダがやっと決定」→https://holylandtokyo.com/2023/01/12/4134/
「チェコが東欧で2番目」→https://holylandtokyo.com/2022/07/25/3492/
「ドイツも核任務用に」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/
「フィンランドが15番目」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「スイスが14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
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東欧ではポーランドとチェコに続き3番目
4月11日、ルーマニアのKlaus Iohannis大統領をトップとする最高国防評議会(Romanian Supreme Council on National Defense (CSAT))が、F-35導入を決定しました。購入機数や価格や受け入れ時程などは明らかにされていません
ルーマニアは現在、ポルトガルから購入した中古のF-16戦闘機を17機保有し、昨年2022年にはノルウェーから同じく中古のF-16戦闘機32機を購入する契約を結んだところであり、F-35を導入するにしても常時最低限の運用機数である4-8機を確保できる12機程度の導入が限界かと勝手に邪推いたします
ルーマニア軍は、総兵力7万1500人、(陸軍3万5,500人、海軍6,800人、空軍11,700人、総合軍1万7,500人)ですから、約30機のF-16を維持運用するだけで十分大変だと思いますが、欧州全体で維持整備体制をうまく回して、少数機体の稼働率を確保するつもりでしょうか・・・
同じ東欧では既に2か国が・・・
●2020年1月に、ポーランドが32機のF-35導入を約6200億円で契約と発表
●2022年7月に、チェコが24機のF-35導入を目指し米国と価格交渉を開始すると発表(その後交渉妥結したとの記憶が・・・)
【ご参考】F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(10か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、チェコ(24機)、ルーマニア(機数非公開12機程度か?)
最近のF-35購入又は追加購入決定
「シンガポール追加」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
「カナダがやっと決定」→https://holylandtokyo.com/2023/01/12/4134/
「チェコが東欧で2番目」→https://holylandtokyo.com/2022/07/25/3492/
「ドイツも核任務用に」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/
「フィンランドが15番目」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「スイスが14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
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F-35へのAETPエンジン搭載を断念しF135改修へ [亡国のF-35]
コストとF-35Bへの導入困難が背景に
P&WはF135改修型を2028年から提供開始と
3月10日、Kendall空軍長官は2024年度予算案の説明の場で、過去2年間に渡り議論されてきたF-35エンジン問題について、次期制空機NGAD用に開発されてきたAETP(Adaptive Engine Transition Program)エンジンへの換装をコストとF-35B型機への搭載リスクから断念し、現F135エンジンの改修で対応すると明らかにしました。
F-35エンジン問題は、現在使用のF135(Pratt & Whitney製)のエンジンブレード耐久性が想定より低く、機体稼働率低迷と維持整備コスト増の大きな要因となっていることや、F-35「Block 4」がより大きな電源や冷却性能を必要とすることから持ち上がっていました
米空軍はKendall空軍長官を先頭に、航続距離30%増で推力20%増以上の性能向上が得られ、機体への電力供給余裕も生まれ、対中国等の想定環境に必要な能力提供が可能となると主張してAETPエンジン(GE社のXA100かP&W社のXA101)搭載の決断を国防省に求めてきましたが、F135改修と比較して3倍のコストがかかり、F-35調達数の70-80機削減を迫られる可能性にも言及して国防省に判断をゆだねていたところです
また、米空軍がAETPで突っ走る中、米海軍や海兵隊やF-35購入同盟国がコスト負担に耐えられるかや、F-35B型やC形にAETPが対応可能かが問題として指摘されてきましたが、Kendall長官や国防省幹部は「コスト負担が難しく、またF-35B型機へのAETP搭載の技術的リスクが高い」とAETP断念の理由を説明した模様です
P&W社からF-35エンジン供給を奪還しようとしてAETP搭載を強く推進していたGE社は、F-35B型機への対応問題を解決したと最近発表し、F-35「Block 4」以降へのパワー提供にはAETPが必要だと主張してきましたが、「この判断は大変残念だ」、「しかし2022年12月末に米空軍と締結した(次期制空機NGAD用に向けた)AETP開発予算で、XA100エンジンの更なる成熟に引き続き取り組んでいく」とコメントしています
引き続きF135エンジンの改修を担うことになったP&W社は、既に2023年度予算でF135改修の初期設計に着手しており、2028年から改修F135エンジンを提供可能だとし、既に10年かけて構築され稼働状態にある世界中のF-35エンジン整備施設や装備やサプライチェーンをそのまま使用できる点でも、コスト(AETP導入の1/3)と信頼性面で最も優れた選択だと改めて強調しています
///////////////////////////////////////////////////
剛腕のKendal空軍長官が強烈に押していたAETP採用が、あっさり却下されました。また昨年夏には、米空軍次世代エンジン開発担当技術者が、AETPエンジンを採用しないと「米国の先端航空エンジン産業基盤は1企業のみに縮小して崩壊する(collapse)」とまで発言していましたが、不採用となりました。
F-35を導入した同盟国や海軍海兵隊からの反発も大きかったのだろうと推測します。
米空軍はAETP導入コストとして8000億円との数字を上げていましたが、その1/3でも2600億円で、1機あたりの改修費がどの程度になるのかが気になるところです・・・
F-35のエンジン問題
「GE社とP&W社が異なる主張」→https://holylandtokyo.com/2022/09/29/3681/
「AETP採用なら調達機数削減!覚悟?」→https://holylandtokyo.com/2022/09/13/3644/
「AETP採用しないと産業基盤崩壊訴え」→https://holylandtokyo.com/2022/08/24/3562/
「空軍長官:国防省に下駄預ける」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
「空軍長官:数か月で決着すべき」→https://holylandtokyo.com/2022/05/26/3260/
「上院で議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
「下院軍事委員長がAETPに関心」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/
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P&WはF135改修型を2028年から提供開始と
3月10日、Kendall空軍長官は2024年度予算案の説明の場で、過去2年間に渡り議論されてきたF-35エンジン問題について、次期制空機NGAD用に開発されてきたAETP(Adaptive Engine Transition Program)エンジンへの換装をコストとF-35B型機への搭載リスクから断念し、現F135エンジンの改修で対応すると明らかにしました。
F-35エンジン問題は、現在使用のF135(Pratt & Whitney製)のエンジンブレード耐久性が想定より低く、機体稼働率低迷と維持整備コスト増の大きな要因となっていることや、F-35「Block 4」がより大きな電源や冷却性能を必要とすることから持ち上がっていました
米空軍はKendall空軍長官を先頭に、航続距離30%増で推力20%増以上の性能向上が得られ、機体への電力供給余裕も生まれ、対中国等の想定環境に必要な能力提供が可能となると主張してAETPエンジン(GE社のXA100かP&W社のXA101)搭載の決断を国防省に求めてきましたが、F135改修と比較して3倍のコストがかかり、F-35調達数の70-80機削減を迫られる可能性にも言及して国防省に判断をゆだねていたところです
また、米空軍がAETPで突っ走る中、米海軍や海兵隊やF-35購入同盟国がコスト負担に耐えられるかや、F-35B型やC形にAETPが対応可能かが問題として指摘されてきましたが、Kendall長官や国防省幹部は「コスト負担が難しく、またF-35B型機へのAETP搭載の技術的リスクが高い」とAETP断念の理由を説明した模様です
P&W社からF-35エンジン供給を奪還しようとしてAETP搭載を強く推進していたGE社は、F-35B型機への対応問題を解決したと最近発表し、F-35「Block 4」以降へのパワー提供にはAETPが必要だと主張してきましたが、「この判断は大変残念だ」、「しかし2022年12月末に米空軍と締結した(次期制空機NGAD用に向けた)AETP開発予算で、XA100エンジンの更なる成熟に引き続き取り組んでいく」とコメントしています
引き続きF135エンジンの改修を担うことになったP&W社は、既に2023年度予算でF135改修の初期設計に着手しており、2028年から改修F135エンジンを提供可能だとし、既に10年かけて構築され稼働状態にある世界中のF-35エンジン整備施設や装備やサプライチェーンをそのまま使用できる点でも、コスト(AETP導入の1/3)と信頼性面で最も優れた選択だと改めて強調しています
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剛腕のKendal空軍長官が強烈に押していたAETP採用が、あっさり却下されました。また昨年夏には、米空軍次世代エンジン開発担当技術者が、AETPエンジンを採用しないと「米国の先端航空エンジン産業基盤は1企業のみに縮小して崩壊する(collapse)」とまで発言していましたが、不採用となりました。
F-35を導入した同盟国や海軍海兵隊からの反発も大きかったのだろうと推測します。
米空軍はAETP導入コストとして8000億円との数字を上げていましたが、その1/3でも2600億円で、1機あたりの改修費がどの程度になるのかが気になるところです・・・
F-35のエンジン問題
「GE社とP&W社が異なる主張」→https://holylandtokyo.com/2022/09/29/3681/
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「空軍長官:国防省に下駄預ける」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
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「上院で議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
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シンガポールが追加で8機F-35B型購入へ [亡国のF-35]
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2020年同機4機を発注時の追加オプションを行使へ
60機保有のF-16C/D後継機として
2月27日付Defense-Newsは、シンガポールのNg Eng Hen国防相が同国議会の予算審議で、2020年の4機発注で可能になったF-35シミュレータ使用や電子戦能力確認、更には既に運用を開始している他国への調査等を経て、4機購入時の契約に含まれていた追加購入8機のオプションを行使する決定をした説明したと報じています
同国空軍は、現在60機の能力向上改修を終えたF-16C/D型を3個飛行隊編成で保有していますが、2030年頃から機体寿命によるF-16の退役が始まるようで、その後継機として狭い国土環境等も考慮し、フル装備搭載でも200m程度の離陸滑走で発進でき、垂直着陸が可能なF-35B型を後継機に選定しています
ただし、通常離着陸型のF-35A型の調査も引き続き続けているようで、少佐(!)をリーダーとする5名で特別チームを編成し、2022年夏に豪州主催で実施されたF-35A型(豪州空軍)とB型(米海兵隊:岩国基地所属)の両方が参加したPitch Black演習(8/19~9/9)等の機会を利用して、したたかに柔軟に情報収集する様子を過去記事でご紹介したこともありました。(A型も導入する可能性が現在もあるのかは不明)
シンガポールはマレー半島の先端のマラッカ海峡を望む要衝に位置していますが、国土面積は60余りの島々を合わせても東京23区程度の大きさで、現在狭い国土に5つの飛行場を保有しているものの、都市化の波で内1個を閉鎖する方針が既に決まっているようで、F-35B型のような機体が有事の飛行場被害を想定すれば適しているのでしょう
なお同国は、F-16C/D型機のパイロットや整備員養成部隊を、米軍との合意に基づきアリゾナ州Luke米空軍基地内に設置していますが、今後この米国駐留部隊をアーカンサス州のEbbing州空軍基地に移設し、2026年からのF-35B型機受け入れに備えると予定だそうです
【ご参考】F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(9か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、そして検討中なのがチェコ(24機)
シンガポールとF-35関連記事
「F-35B導入承認済もA型にも興味」→https://holylandtokyo.com/2022/09/15/3638/
「米がF-35B売却許可」→https://holylandtokyo.com/2020/01/15/866/
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2020年同機4機を発注時の追加オプションを行使へ
60機保有のF-16C/D後継機として
2月27日付Defense-Newsは、シンガポールのNg Eng Hen国防相が同国議会の予算審議で、2020年の4機発注で可能になったF-35シミュレータ使用や電子戦能力確認、更には既に運用を開始している他国への調査等を経て、4機購入時の契約に含まれていた追加購入8機のオプションを行使する決定をした説明したと報じています
同国空軍は、現在60機の能力向上改修を終えたF-16C/D型を3個飛行隊編成で保有していますが、2030年頃から機体寿命によるF-16の退役が始まるようで、その後継機として狭い国土環境等も考慮し、フル装備搭載でも200m程度の離陸滑走で発進でき、垂直着陸が可能なF-35B型を後継機に選定しています
ただし、通常離着陸型のF-35A型の調査も引き続き続けているようで、少佐(!)をリーダーとする5名で特別チームを編成し、2022年夏に豪州主催で実施されたF-35A型(豪州空軍)とB型(米海兵隊:岩国基地所属)の両方が参加したPitch Black演習(8/19~9/9)等の機会を利用して、したたかに柔軟に情報収集する様子を過去記事でご紹介したこともありました。(A型も導入する可能性が現在もあるのかは不明)
シンガポールはマレー半島の先端のマラッカ海峡を望む要衝に位置していますが、国土面積は60余りの島々を合わせても東京23区程度の大きさで、現在狭い国土に5つの飛行場を保有しているものの、都市化の波で内1個を閉鎖する方針が既に決まっているようで、F-35B型のような機体が有事の飛行場被害を想定すれば適しているのでしょう
なお同国は、F-16C/D型機のパイロットや整備員養成部隊を、米軍との合意に基づきアリゾナ州Luke米空軍基地内に設置していますが、今後この米国駐留部隊をアーカンサス州のEbbing州空軍基地に移設し、2026年からのF-35B型機受け入れに備えると予定だそうです
【ご参考】F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(9か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、そして検討中なのがチェコ(24機)
シンガポールとF-35関連記事
「F-35B導入承認済もA型にも興味」→https://holylandtokyo.com/2022/09/15/3638/
「米がF-35B売却許可」→https://holylandtokyo.com/2020/01/15/866/
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全世界のF-35エンジン改修へ:事故から2か月でF-35エンジン供給再開へ [亡国のF-35]
【追記情報!】
3月2日、米国防省F-35計画室は、90日以内に全世界のF-35(890機以上)のエンジンの改修(retrofit)を行うよう「期限付技術指令TCTD:Time Compliance Technical Directive」を発表
改修は「安価で負担少ない inexpensive and non-intrusive」と
改修は各部隊で4-8時間で可能と説明
12月の「共振」は60万時間使用で初の稀ケースと
「誰が」改修費用負担するかJPOは語らず・・・
/////////////////////////////////////////
12月受入試験時の事故原因は「高周波共振」
極めて稀なケースとの判断で注意指示を出し飛行も再開へ
2月24日、米国防省F-35計画室JPOが、12月15日の新造機体受け入れ飛行試験でパイロットが緊急脱出するに至った事故を受け、F135エンジン受け入れと新造機等の受け入れ飛行試験を中止(少数の部隊配備機体飛行を含む)した件について、事故原因が「稀にしか発生しないエンジン内の高周波共振」で対策も見つかったので、近々エンジン供給と関係機体の飛行が再開されると声明を出しました
12月15日の事故は、ロッキード社から提供された新造F-35B型機の完成確認飛行試験をFort Worth工場の飛行場で行った際、低空ホバリング状態から機体が急降下して滑走路でバウンドし、機首と翼を地面にぶつけて機体がスピンし、パイロットが射出座席で脱出して軽傷を負った事故で、その直後から新造機及び一部機体が飛行禁止になり、12月27日からF135エンジン提供停止措置が取られ現在に至っています
偶然民間人が撮影していた事故映像(約90秒)
事故当初は高圧燃料チューブの破損が原因ではとの情報が流れましたが、まもなく同チューブには問題がなかったと明らかになり、その後2月9日頃から、「稀に発生する高周波共振:a rare harmonic resonance problem」が原因との発言がエンジン製造のP&W社等から聞かれるようになっていました
2月24日の声明でF-35計画室JPOは、「政府機関と関連企業チームが議論している対策を講じることで、F135エンジンに稀に発生する事象の影響を確実に局限することができ、影響を受けている機体の飛行を再開できるだろう」と明らかにしています。
またF-35計画室JPOは、「現在政府は、飛行停止になっている(一部の少数機を保有する)部隊と(新造機の飛行試験を中断している)ロッキードに対する、安全な飛行再開のための指示事項を取りまとめている」と声明で述べ、関係者は今後1-2週間で関連飛行が再開されるだろうと語っているようです
米空軍報道官は2月中旬に、米空軍の保有F-35で飛行停止指示を受けている機体は無いが、初期型エンジン搭載機体の燃料スロットルバルブの生産に影響があるとのニュアンスで語っていたようですが、主に米空軍部隊用の新造機が出荷停止措置を受け、2月中旬現在で、ロッキード社工場内で21機が出荷待ち状態だそうです。
米空軍はP&W社製F135エンジンの耐久性問題解決やエンジンの能力向上を狙い、次世代エンジンAETPのF-35搭載を決断するよう国防省に要望していますが、AETPエンジンはP&W社とGE社が開発を競っていることもあり、「稀に発生する高周波共振」問題は様々な方面を「揺り動かす」可能性を秘めています。
2月28日にP&W社が会見をやるそうで、追加情報があれば冒頭に追記します。
F-35のエンジン換装問題
「GE社とP&W社が異なる主張」→https://holylandtokyo.com/2022/09/29/3681/
「AETP採用なら調達機数削減!覚悟?」→https://holylandtokyo.com/2022/09/13/3644/
「AETP採用しないと産業基盤崩壊訴え」→https://holylandtokyo.com/2022/08/24/3562/
「空軍長官:国防省に下駄預ける」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
「空軍長官:数か月で決着すべき」→https://holylandtokyo.com/2022/05/26/3260/
「上院で議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
「下院軍事委員長がAETPに関心」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/
次期制空機NGAD用のAETPエンジン開発
「プロトタイプ開発契約に機体メーカーも」→https://holylandtokyo.com/2022/09/01/3581/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
3月2日、米国防省F-35計画室は、90日以内に全世界のF-35(890機以上)のエンジンの改修(retrofit)を行うよう「期限付技術指令TCTD:Time Compliance Technical Directive」を発表
改修は「安価で負担少ない inexpensive and non-intrusive」と
改修は各部隊で4-8時間で可能と説明
12月の「共振」は60万時間使用で初の稀ケースと
「誰が」改修費用負担するかJPOは語らず・・・
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12月受入試験時の事故原因は「高周波共振」
極めて稀なケースとの判断で注意指示を出し飛行も再開へ
2月24日、米国防省F-35計画室JPOが、12月15日の新造機体受け入れ飛行試験でパイロットが緊急脱出するに至った事故を受け、F135エンジン受け入れと新造機等の受け入れ飛行試験を中止(少数の部隊配備機体飛行を含む)した件について、事故原因が「稀にしか発生しないエンジン内の高周波共振」で対策も見つかったので、近々エンジン供給と関係機体の飛行が再開されると声明を出しました
12月15日の事故は、ロッキード社から提供された新造F-35B型機の完成確認飛行試験をFort Worth工場の飛行場で行った際、低空ホバリング状態から機体が急降下して滑走路でバウンドし、機首と翼を地面にぶつけて機体がスピンし、パイロットが射出座席で脱出して軽傷を負った事故で、その直後から新造機及び一部機体が飛行禁止になり、12月27日からF135エンジン提供停止措置が取られ現在に至っています
偶然民間人が撮影していた事故映像(約90秒)
事故当初は高圧燃料チューブの破損が原因ではとの情報が流れましたが、まもなく同チューブには問題がなかったと明らかになり、その後2月9日頃から、「稀に発生する高周波共振:a rare harmonic resonance problem」が原因との発言がエンジン製造のP&W社等から聞かれるようになっていました
2月24日の声明でF-35計画室JPOは、「政府機関と関連企業チームが議論している対策を講じることで、F135エンジンに稀に発生する事象の影響を確実に局限することができ、影響を受けている機体の飛行を再開できるだろう」と明らかにしています。
またF-35計画室JPOは、「現在政府は、飛行停止になっている(一部の少数機を保有する)部隊と(新造機の飛行試験を中断している)ロッキードに対する、安全な飛行再開のための指示事項を取りまとめている」と声明で述べ、関係者は今後1-2週間で関連飛行が再開されるだろうと語っているようです
米空軍報道官は2月中旬に、米空軍の保有F-35で飛行停止指示を受けている機体は無いが、初期型エンジン搭載機体の燃料スロットルバルブの生産に影響があるとのニュアンスで語っていたようですが、主に米空軍部隊用の新造機が出荷停止措置を受け、2月中旬現在で、ロッキード社工場内で21機が出荷待ち状態だそうです。
米空軍はP&W社製F135エンジンの耐久性問題解決やエンジンの能力向上を狙い、次世代エンジンAETPのF-35搭載を決断するよう国防省に要望していますが、AETPエンジンはP&W社とGE社が開発を競っていることもあり、「稀に発生する高周波共振」問題は様々な方面を「揺り動かす」可能性を秘めています。
2月28日にP&W社が会見をやるそうで、追加情報があれば冒頭に追記します。
F-35のエンジン換装問題
「GE社とP&W社が異なる主張」→https://holylandtokyo.com/2022/09/29/3681/
「AETP採用なら調達機数削減!覚悟?」→https://holylandtokyo.com/2022/09/13/3644/
「AETP採用しないと産業基盤崩壊訴え」→https://holylandtokyo.com/2022/08/24/3562/
「空軍長官:国防省に下駄預ける」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
「空軍長官:数か月で決着すべき」→https://holylandtokyo.com/2022/05/26/3260/
「上院で議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
「下院軍事委員長がAETPに関心」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/
次期制空機NGAD用のAETPエンジン開発
「プロトタイプ開発契約に機体メーカーも」→https://holylandtokyo.com/2022/09/01/3581/
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F-35が太陽の無い氷点下40度の最北基地に初展開 [亡国のF-35]
グリーンランドのThule空軍基地へ4機
太陽の出ない最低零下40度の環境下で2週間
NOBLE DEFENDER作戦の一環で
1月31日までの約2週間、米空軍の最北端基地であるグリーンランドのThule空軍基地に4機のF-35Aが初めて展開し、太陽の出ない最低気温零下40度の厳しい環境での訓練を行いました。
報道記録によれば、2018年初旬にアラスカのアイルソン基地にF-35数機が展開した際は、機体バッテリーが低温環境に対応できず、離陸後に警報信号が出て緊急着陸に至った事案もあったようですが、バッテリー保温装置の改良等を経て、無事今回の訓練展開を乗り切ったとのことです。
「訓練」だとご紹介していますが、厳密には北極圏エリアで米軍のプレゼンスを示すため北米防空司令部が行う「Operation NOBLE DEFENDER」との作戦行動の一環で、数か月に1回の頻度で実施されているようですが、今回は米空軍F-35の他にE-3早期警戒管制機、KC-135空中給油機、加えてカナダ空軍からCF-18戦闘機とCC-150輸送機やCH-149輸送ヘリも参加し、厳冬環境での運用能力を示したようです
なお米空軍最北端基地であるThule空軍基地は、基地司令官を米宇宙軍大佐が務める約150名体制の基地で、普段は弾道ミサイル監視レーダー(AN/FPS-132)を運用して米本土の防空最前線を担う基地で、更に今回の訓練ではグリーンランド各地に設置されている「Forward Operating Location」数か所の展開先も含め計約230名の米軍とカナダ軍兵士が展開したと報道されています
これまでも取り上げたように、地球温暖化を受けた北極圏の氷の減少で、北極航路の開拓等の北極を巡る勢力圏争いが激化の様相を呈しており、ロシアの同地域ので活動活発化の他、中国の砕氷船まで進出するなど、米軍としても見過ごすわけにはいかない状況となっています
グリーンランドは現在、デンマーク王国を構成する一つの自治政府として自ら統治していますが、デンマークは既にF-35を導入&運用開始しており、北極圏周辺ではノルウェーも領空保全対処(スクランブル待機)をF-35で開始しています。またカナダも先日88機のF-35導入を決定したところで、極圏でのF-35の運用は一つの重要なパーツとして期待されています
北極圏関連の記事
「ノルウェーがF-35を世界初?の領空保全任務に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/12/2598/
「グリーランドに中国企業」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「北極航路ブームは幻想?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-13
米国防省と米軍の動き
「米唯一の大型稼働砕氷艦が運行不能」→https://holylandtokyo.com/2020/08/28/535/
「大統領が米砕氷艦計画の再評価指示」→https://holylandtokyo.com/2020/07/06/565/
「米空軍2トップの寄稿;北極圏と米空軍」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-13
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02
ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09
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太陽の出ない最低零下40度の環境下で2週間
NOBLE DEFENDER作戦の一環で
1月31日までの約2週間、米空軍の最北端基地であるグリーンランドのThule空軍基地に4機のF-35Aが初めて展開し、太陽の出ない最低気温零下40度の厳しい環境での訓練を行いました。
報道記録によれば、2018年初旬にアラスカのアイルソン基地にF-35数機が展開した際は、機体バッテリーが低温環境に対応できず、離陸後に警報信号が出て緊急着陸に至った事案もあったようですが、バッテリー保温装置の改良等を経て、無事今回の訓練展開を乗り切ったとのことです。
「訓練」だとご紹介していますが、厳密には北極圏エリアで米軍のプレゼンスを示すため北米防空司令部が行う「Operation NOBLE DEFENDER」との作戦行動の一環で、数か月に1回の頻度で実施されているようですが、今回は米空軍F-35の他にE-3早期警戒管制機、KC-135空中給油機、加えてカナダ空軍からCF-18戦闘機とCC-150輸送機やCH-149輸送ヘリも参加し、厳冬環境での運用能力を示したようです
なお米空軍最北端基地であるThule空軍基地は、基地司令官を米宇宙軍大佐が務める約150名体制の基地で、普段は弾道ミサイル監視レーダー(AN/FPS-132)を運用して米本土の防空最前線を担う基地で、更に今回の訓練ではグリーンランド各地に設置されている「Forward Operating Location」数か所の展開先も含め計約230名の米軍とカナダ軍兵士が展開したと報道されています
これまでも取り上げたように、地球温暖化を受けた北極圏の氷の減少で、北極航路の開拓等の北極を巡る勢力圏争いが激化の様相を呈しており、ロシアの同地域ので活動活発化の他、中国の砕氷船まで進出するなど、米軍としても見過ごすわけにはいかない状況となっています
グリーンランドは現在、デンマーク王国を構成する一つの自治政府として自ら統治していますが、デンマークは既にF-35を導入&運用開始しており、北極圏周辺ではノルウェーも領空保全対処(スクランブル待機)をF-35で開始しています。またカナダも先日88機のF-35導入を決定したところで、極圏でのF-35の運用は一つの重要なパーツとして期待されています
北極圏関連の記事
「ノルウェーがF-35を世界初?の領空保全任務に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/12/2598/
「グリーランドに中国企業」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「北極航路ブームは幻想?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-13
米国防省と米軍の動き
「米唯一の大型稼働砕氷艦が運行不能」→https://holylandtokyo.com/2020/08/28/535/
「大統領が米砕氷艦計画の再評価指示」→https://holylandtokyo.com/2020/07/06/565/
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「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02
ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
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カナダが正式に88機F-35A導入発表 [亡国のF-35]
初度4機を2026年に、2032年までに全機を
寒冷地での運用実績やサプライチェーン安定を受け
1月9日、カナダのAnita Anand国防相は、CF-18戦闘機の後継としてF-35を第1候補にすると2022年3月に発表してところ、88機を2032年までに調達する過去30年間でカナダ空軍最大の投資案件になることを正式に決定したと発表し、2026年に4機、27年に6機、28年に6機を当面導入予定だと明らかにしました
また、F-35導入決定が遅れたことで138機保有のCF-18の維持が困難になっていることに関し同女性国防相は、豪州から導入決定している中古FA-18と現有CF-18の延命アップグレードにより、F-35導入完了2032年までの間に戦闘機不足に陥らないよう対応すると説明しています
カナダは8か国の「共同開発国」としてF-35開発開始当初から参画していましたが、策士であるトルドー首相の下、F-35共同開発国ながら同機の開発遅れや価格高騰を理由に購入決定を延期し続け、「つなぎ戦闘機」として豪空軍中古F-18購入まで決断していましたが、2018年頃から複数機種を候補に「情勢をしっかり見極める機種選定」を再開し、2022年3月に「F-35を第1候補、グリペンを第2候補に指定し、F-35で価格交渉がとん挫すればグリペンにする」と「粘り腰」発表していたところです
この「情勢をしっかり見極める機種選定」を振り返り同国防相は、「F-35はこの間に成熟した。サプライチェーン問題も懸念はなく、カナダは同機が期限内に納入されると確信し、CF-18退役を進められると判断した」と述べ、更にカナダ特有の寒冷地運用の懸念に関しても、ノルウェーや米軍アラスカでの運用実績が懸念を払しょくし、北極圏でのドラッグシュート運用や「磁北でなく真北での運用」にも取り組んでいくと説明しています
また同国防相は具体的なカナダでの運用&訓練拠点基地に関し、ケベック州のBagotville基地とアルバータ州のCold Lake基地を計画していると明らかにしました
F-35導入に関連する国内産業への恩恵について、既に共同開発国としての参画で約4000億円規模を確保し、今後25年間は3300もの雇用を生み出すとし、その数値はさらに拡大するだろうと期待を同国防相は表明しています
//////////////////////////////////////////////
価格交渉も想定内で収まり、サプライチェーン問題にも懸念は無いとの発表ですが、F-35の維持費高止まりやエンジン問題などに改善変化が全くない中ですので、種々の国際情勢を総合的に勘案した「政治的決断」と理解するのが適当でしょう
ロッキード社はカナダの発表に併せ、現時点でF-35戦闘機は既に890機以上が9か国の27基地で運用されているとアピールしています。
F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(9か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、そして検討中なのがチェコ(24機)
策士トルドー首相カナダ選定の紆余曲折
「F-35を第1候補に決定」→https://holylandtokyo.com/2022/03/31/3061/
「仕切り直し再開か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-03
「カナダが中古の豪州FA-18購入へ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10
「痛快:カナダがF-35購入5年延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-23
「カナダに軍配:旅客機紛争」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-28
「米加の航空機貿易戦争に英が参戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-16-1
「第2弾:米カナダ防衛貿易戦争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-04
「5月18日が開戦日!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20
「ノルウェーがF-35を領空保全任務に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/12/2598/
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寒冷地での運用実績やサプライチェーン安定を受け
1月9日、カナダのAnita Anand国防相は、CF-18戦闘機の後継としてF-35を第1候補にすると2022年3月に発表してところ、88機を2032年までに調達する過去30年間でカナダ空軍最大の投資案件になることを正式に決定したと発表し、2026年に4機、27年に6機、28年に6機を当面導入予定だと明らかにしました
また、F-35導入決定が遅れたことで138機保有のCF-18の維持が困難になっていることに関し同女性国防相は、豪州から導入決定している中古FA-18と現有CF-18の延命アップグレードにより、F-35導入完了2032年までの間に戦闘機不足に陥らないよう対応すると説明しています
カナダは8か国の「共同開発国」としてF-35開発開始当初から参画していましたが、策士であるトルドー首相の下、F-35共同開発国ながら同機の開発遅れや価格高騰を理由に購入決定を延期し続け、「つなぎ戦闘機」として豪空軍中古F-18購入まで決断していましたが、2018年頃から複数機種を候補に「情勢をしっかり見極める機種選定」を再開し、2022年3月に「F-35を第1候補、グリペンを第2候補に指定し、F-35で価格交渉がとん挫すればグリペンにする」と「粘り腰」発表していたところです
この「情勢をしっかり見極める機種選定」を振り返り同国防相は、「F-35はこの間に成熟した。サプライチェーン問題も懸念はなく、カナダは同機が期限内に納入されると確信し、CF-18退役を進められると判断した」と述べ、更にカナダ特有の寒冷地運用の懸念に関しても、ノルウェーや米軍アラスカでの運用実績が懸念を払しょくし、北極圏でのドラッグシュート運用や「磁北でなく真北での運用」にも取り組んでいくと説明しています
また同国防相は具体的なカナダでの運用&訓練拠点基地に関し、ケベック州のBagotville基地とアルバータ州のCold Lake基地を計画していると明らかにしました
F-35導入に関連する国内産業への恩恵について、既に共同開発国としての参画で約4000億円規模を確保し、今後25年間は3300もの雇用を生み出すとし、その数値はさらに拡大するだろうと期待を同国防相は表明しています
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価格交渉も想定内で収まり、サプライチェーン問題にも懸念は無いとの発表ですが、F-35の維持費高止まりやエンジン問題などに改善変化が全くない中ですので、種々の国際情勢を総合的に勘案した「政治的決断」と理解するのが適当でしょう
ロッキード社はカナダの発表に併せ、現時点でF-35戦闘機は既に890機以上が9か国の27基地で運用されているとアピールしています。
F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(9か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、そして検討中なのがチェコ(24機)
策士トルドー首相カナダ選定の紆余曲折
「F-35を第1候補に決定」→https://holylandtokyo.com/2022/03/31/3061/
「仕切り直し再開か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-03
「カナダが中古の豪州FA-18購入へ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10
「痛快:カナダがF-35購入5年延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-23
「カナダに軍配:旅客機紛争」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-28
「米加の航空機貿易戦争に英が参戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-16-1
「第2弾:米カナダ防衛貿易戦争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-04
「5月18日が開戦日!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20
「ノルウェーがF-35を領空保全任務に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/12/2598/
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