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F-35のエンジン問題とODINへの現場の声 [亡国のF-35]

GAO最新報告書がエンジン問題を酷評も
国防省F-35計画室はいつものように対処中と
導入開始のODINについて現場は「ストレス依然高い」

F-35 Hill AFB6.jpg4月28日、下院軍事委員会でF-35の維持費高止まり問題が取り上げられ、議員からは「維持費問題を無視したF-35導入は止めよ」「F-35はロッキードは金づるになってしまっている」等々と厳しい批判が国防省F-35計画室長や調達担当国防次官に投げつけられ、特にエンジンブレードの耐久性問題が表面化しているF135エンジンや、兵站情報システムALISの後継であるODINへの疑問が噴出しています

2020年に発覚したF135エンジン問題は、タービンブレードの耐久性が想定より低くエンジン故障が頻発し、修理能力限界を超え、40~50機のF-35が搭載エンジン不足から飛行不能に陥っている問題です。

F-35 Greece4.jpgこれに対し国防省F-35計画室長は3つのアプローチで対処すると述べ、修理に必要な時間短縮、修理施設の増設、他の修理サイクルを調整しエンジンの前線部隊所在時間延長に取り組むと言い続けてきましたが、実際には修理能力強化以上に故障が頻発し、例えば2021年5月には38機がエンジン待ち非稼働でしたが、9月末には52機に同様機体が急増していることが暴露されています

また兵站情報システムALISの後継システムODIN(Operational Data Integrated Network)については、2022年1月末に14セットを米国の各軍種用基地や英国とイタリアのF-35拠点基地に提供したとの発表がありましたが、その後について会計検査院が配備先を訪問して聴取した現場の声を記事が取り上げているのでご紹介しておきます

4月28日付米空軍協会web記事によれば
Fick3.jpg●国防省は2021年1月にF-35稼働率が70%に達したと宣伝したが、そこをピークに2021年9月には53%にまで低下しており、2021年全体では目標の65%を下回る61%であった
●そして4月28日に米会計検査院が発表したレポートでは、F-35の稼働率は68%以下と報告されており、同軍事委員会の議員は口々に「受け入れがたい数値だ」と不満を口にし、このような稼働率や維持費高止まりの問題を放置したまま、新たな機体を導入することは許容しがたいとF-35計画室長や国防次官を非難した
●エンジン修理待ちによる非稼働機は2022年2月で36機にのぼり、何か月も30機以上の状態が続いており改善の兆しが見えないとも、同委員会の委員は非難した

●F-35計画室長(Eric T. Fick空軍中将)は前述の3つのアプローチにより、F135エンジン修理能力は向上しつつあり、2021年の77個エンジン修理から、2022年には122個まで修理能力を高める予定だと説明した
Maurer.jpg●そして同室長は、米会計検査院GAOが4月末の報告書で「このままでは、2030年のF-35非稼働機の43%はエンジン問題に起因することになる」指摘した件に関し、必要な対策をとっており、GAOの指摘の様にはならないと反論した

●しかし議員らはGAOが指摘したように、F-35計画室の将来見通しが楽観的な予算配分見通しや故障発生見積もりの前提で導かれている点を懸念しており、この点に関し議論は平行線のままだった
●GAOレポート執筆のDiana MaurerはF-35計画室の説明に関し、同計画室の計画が完全に遂行されることを期待するしかないが、(現実には、これまで様々な課題に関し、)同計画室の計画はその一部が実行されたにすぎない・・・とコメントしている

ALISからODINへの移行について
Fick4.JPG●F-35計画室長は、ALISからODINへの移行によって、スイッチを切り替えるように従来の不具合が解消されると説明したことを反省していると述べた
●同室長は、実際にはF-35の兵站情報システム生態系が、徐々に変化していき、部屋の照明が次第に明るくなるように変化が見えてくるのが現在の状況だと説明した

●このような説明に対し、ODINが導入された前線部隊を視察したGAOのDiana Maurer氏は、前線の維持整備担当兵士は、依然として相当レベルのフラストレーションをODINになっても感じており、改善されているとは思うが、前線兵士が望むレベルにはないと感じていると指摘した
また同氏は、ODINが目指す改善のレベルとその評価をどのように実施するのかを明確にし、改善をしっかり把握して資源投入すべきだとかねてから主張していると訴えている
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Maurer2.jpg米会計検査院GAOがF-35の問題点を指摘すると、国防省F-35計画室は「GAOの指摘は目新しいものではない」「その点は既に把握済で、対処している」と常に答えてきましたが、最終的にはGAOの指摘したとおりに問題が大きく顕在化し、小手先だけの対処措置しか行われなかったことが白日の下にさらされる結果を繰り返してきました

「F135エンジン問題」はさらに悪化の一途をたどるでしょうし、、「ODIN導入」にしても、最終的なしわ寄せは現場の整備員が背負ってカバーすることになるのでしょう・・・・。

これが多かれ少なかれ産軍複合体によって生み出された国防装備品の実態ではありますが、F-35クラスの史上最大の国防装備品ともなると、「亡国のF-35」と呼ぶほどの威力を発揮することになります。担当する皆様は本当にかわいそうです

F-35のエンジン問題
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/

F-35のALISをODINへ
「ODINまず14セット提供」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-02
「ODINの開発中断」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-24
「ODIN提供開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-24
「元凶:ALISとその後継ODINの現在位置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-17
「ALISを断念しODINへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
「ALIS問題を議会で証言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-15
「ALISは依然大きな障害」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-02

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NATO司令官:F-35は少数だが活躍、2030年までに550機 [亡国のF-35]

4-6機がポーランドとルーマニアに展開
16機F-15ポーランドや8機F-16ルーマニア展開と共に

Wolters7.jpg3月30日、NATO司令官で米欧州コマンド司令官を兼任するTod D. Wolters米空軍大将が下院軍事委員会に出席し、ロシアのウクライナ侵略に伴って米本土から東欧諸国に展開している4~6機の米空軍F-35が、ISR任務等に「エレガント」な働きをしていると証言し、現在欧州に100機F-35が存在するが、2030年には計画通り550機規模の戦力になることを期待していると語りました

ウクライナ情勢の緊迫を受け、
米空軍は以下のように米本土から航空戦力を東欧に増強中

●B-52:2月10日米本土から英国基地へ

●F-16:2月11日8機をドイツ基地からルーマニアFetestiへ
●F-15:2月上旬8機を英国基地からポーランドLaskへ
    追加で2月14日に8機米本土からポ国へ

●F-35:2月16日6機米本土からドイツSpangdahlemへ
    2月24日同機が独からポーランドとルーマニアへ更に展開
    3月30日下院軍事委員会でWolters大将「現在は4機が東欧に展開」と証言

3月30日にNATO司令官Wolters大将は議会で
Wolters5.jpg●(米本土Hill空軍基地から)東欧に展開している4機のF-35A型機は、ロシアによるウクライナ侵略に対するNATO対処の一環としてエレガントにISR任務を遂行しているが、将来、現在計画されている欧州へのF-35導入が完了したら、現在よりはるかに大きな戦力であることが明らかになるだろう

●これまで同機が今の情勢下で、抑止と安全保障に貢献してくれているように、今後もNATOの戦略能力、戦況把握と警報発令、指揮統制、ミッション指揮の改善に極めて大きな役割を果たしてくれるだろう
●F-35のNATO諸国への導入が劇的に進みつつあり、現段階で約100機が欧州に存在するが、私はこの数が計画通り増加し、2030年には約550機規模の素晴らしい戦力に成長することを願っている
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Wolter司令官が語った「2030年には約550機」とは以下の合計
Denmark(27機), Italy(90), Netherlands(37),
Norway(52), 英国(138)、Belgium(34)
ポーランド(32)、スイス(32)
フィンランド(64)、ドイツ(最大35)

F-35 Germany.jpgF-35のISR能力の優秀さは各所で語られていますが、同司令官が「550」との数字に言及する際、上記の各購入国が公式に発表している購入予定数の単純合計なのに、わざわざ「our hope is・・・」との表現で語っている点に注目です。

英国の国防相が昨年6月、F-35維持費の高止まりに怒りを爆発させ、英議会で「我々は白紙の小切手にサインするつもりは無い」と導入機数削減に公然と言及するなど、米国との関係からF-35購入を決定した国々も、米国防省のF-35調達機数削減検討を注視しています

まんぐーすのざっくり予想は、欧州全体で最高300機・・・です。200-250機で落ち着く可能性もあると思います。米軍だって半減の勢いですから。

F-35調達機数削減の動き
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/

「民間監視団体がF-35改善なしと」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-17
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holylandtokyo.com/2021/06/25/1949/
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holylandtokyo.com/2021/03/10/157/

最近のF-35購入決定国
「カナダが第1候補に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-29
「ドイツが戦術核運搬用に16番目」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-15
「フィンランドが15番目」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-11
「スイスが14番目の購入国に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-01
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

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カナダが次期戦闘機88機にF-35を1番候補に [亡国のF-35]

総予算範囲で交渉決裂なら選定2番のグリペンへ
2025年に一番機導入予定で交渉へ

Tassi canada.jpg3月28日、カナダの調達担当大臣は、カナダ軍保有のCF-18戦闘機の後継として複数の候補機種を比較検討した結果、1番候補としてF-35が選ばれ、サーブ社のグリペン戦闘機が2番候補になったと語り、まず1番候補のF-35がカナダ政府予算の約1兆8000憶円範囲内で購入できるか交渉を開始すると明らかにしました

仮に、上記予算範囲内で1番機を2025年に受領する契約にロッキード社と合意できなければ、2番候補であるグリペンを求めサーブ社と交渉するとも同大臣は語っています

Trudeau.jpgカナダは策士であるトルドー首相の下、F-35共同開発国でありながら同機の開発遅れや価格高騰を理由に購入決定を延期し続け、一時は138機保有の老朽化CF-18を補完する「つなぎ戦闘機」として豪空軍中古F-18購入案まで持ち出して「戦って」いましたが、2018年頃から複数機種を候補に「ゆったりのんびり情勢をしっかり見極める機種選定」を開始していまし

2018年11月の記事からカナダ機種選定模様を
CF-18 canada.jpg●カナダ空軍はCF-18戦闘機を138機所有しているが、30年以上の使用で機体寿命に達しつつあり、ほどなく77機程度まで使用可能機数が減少することになる
●カナダはCF-18後継を想定してF-35共同開発国に加わり、60機購入を計画していたが、2015年にトルドー政権はF-35計画への不信感をあらわにし、F-35購入を少なくとも5年は延期し、白紙的に検討すると発表

●一方で老朽CF-18の穴埋めとして、ボーイング製FA-18の購入を検討し始めたが、ボーイング社がカナダのボンバルディア社を旅客機のダンピングで訴えたことから米カナダ関係が悪化し、FA-18の購入検討を中止し、中古の豪州空軍FA-18を25機購入を協議中。2018年9月、製造元米国も承認することを表明
F-35 canada.jpg●旅客機ダンピング問題は、2018年1月に米国調停機関がボーイングの訴えを却下して決着したが、トランプ政権の強引な米国製品売り込みの失敗例として、またNAFTAを巡り悪化する米カナダ関係を象徴する事象として大きな話題に

●紆余曲折の末、現有CF-18の老朽化もあり、トルドー政権下のカナダ国防省は本格的な後継機選定を、F-35、タイフーン、ラファール、グリペン、FA-18E/Fを対象として2018年から再開したところ
Gripen SAAB.jpg●カナダ政府は、今回の戦闘機選定を「once-in-a-generation opportunity for the Canadian economy」と見なし、産業政策の重要な柱と見ている。カナダはF-35共同開発国として1000億円の投資を行い、110社のカナダ企業が備品供給や維持整備に関与する資格を得ているが、今後の維持関連業務は費用対効果で定期的に見直されることから、いつ除外されてもおかしくない不安定なものである
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「予算範囲内で1番機を2025年に受領する契約にロッキード社と合意できなければ、2番候補であるグリペンで交渉」との戦術が功を奏するのかどうか「?」ですが、交渉がまとまればフィンランドが15番目で、ドイツが16番目、そしてカナダが17か国目のF-35購入国になります

みんなで渡れば怖くないのか? 

F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)

●共同開発国(8か国とその他1国)
F-35 canada2.jpg 豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(交渉がまとまれば88機
 トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された

●FMS購入国(9か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)

●欧州だけピックアップすると・・・
Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、Belgium(34機)、ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機 2026年から導入)、ドイツ(最大35機)

F-35調達機数削減の動き
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/

策士トルドー首相カナダ選定の紆余曲折
「仕切り直し再開か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-03
「カナダが中古の豪州FA-18購入へ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10
「痛快:カナダがF-35購入5年延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-23

「カナダに軍配:旅客機紛争」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-28
「米加の航空機貿易戦争に英が参戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-16-1
「第2弾:米カナダ防衛貿易戦争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-04
「5月18日が開戦日!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20

最近のF-35購入決定国
「ドイツが戦術核運搬用に16番目」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-15
「フィンランドが15番目」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-11
「スイスが14番目の購入国に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-01
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

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民間監視団体:F-35問題は改善の兆し見えず [亡国のF-35]

エンジン含む部品調達不足やソフト開発で続くトラブル
欠陥箇所総計は870を超え、むしろ増加傾向

Grazier POGO3.jpg3月16日付Defense-Newsが、1月に米国防省の作戦運用試験&評価局が発表した初めての公開版(限定的内容の)「F-35開発プログラムレポート」について、民間監視団体POGO(Project on Government Oversight)がF-35の実態を正しく伝える内容になっていないと主張し、非公開版を入手&公開して批判している様子を紹介しています

Grazier POGO2.jpgF-35については、米空軍を中心とした米軍内で調達機数削減の検討が水面下で進む一方で、F-35導入を避け続けていたドイツまでが3月14日にウクライナ情勢を受け35機以内の導入を決定するなど、西側諸国で「地滑り的」な調達決定が相次ぎ、米国政府を挙げての強硬な売込み活動が伺える状況です

民間団体POGOが批判の対象にしているレポートを作成した作戦運用試験&評価局(DOT&E :Office of the Director, Operational Test and Evaluation)は、議員立法で設置された部署で、国防省の各種開発計画を極めて厳しく評価することで知られた部署ですが、国民向けの公開バージョン報告書で指摘されている内容で、特に以下の3点についてPOGOは不誠実だと指摘しています

部品不足やエンジン問題がF-35稼働率向上を阻害
●国防省は2021年1月にF-35稼働率が70%に達したと宣伝しているが、そこをピークに同年9月には53%にまで低下しており、2021年全体では目標の65%を下回り61%となっている
F-35 F135.jpg●非稼働31%の内訳は、定期修理8%、修理中15%、部品待ち16%で、レポートは7月までは修理労力の少ない新型機導入で高稼働率を維持できたとしているが、2021年後半に稼働率が下がったのが部品供給を維持できないサプライチェーンの根本的問題である点を過小評価している

●別のデータでは、2021年12月時点で、25%の機体が部品待ちで非稼働になっていることが明らかになっている。これは短期的に稼働率を上げても、長期的な改善を維持できる状態にないことの証左で、国防省F-35計画室の楽観的な見通しとはかけ離れている
●同様にF135エンジン問題(タービンブレードの耐久性不足)について、F-35計画室長は対処可能で根本原因を解決すると述べ続けているが、非公開バージョンではF135エンジンは修理工場の能力を超えて故障が発生しており、エンジン不足は悪化の一途をたどっている。例えば2021年5月には38機がエンジン待ち非稼働だったが、9月末には52機にエンジン待ち機体が急増している

ソフト導入時の事前チェックが不十分で問題多発
ODIN5.jpg●F-35は「ソフトウェアの塊」とも言え、新ソフト導入時の事前確認が極めて重要だが、ソフト試験予算が十分ではなく様々な問題が発生している。公開レポートでは削除されているが、新しいAMRAAMソフトを導入した際、旧ソフトとの適合確認が不十分で旧ソフトを破壊した事案が非公開レポートでは紹介されている
●上記のようなトラブルを避けるため、F-35「Block 4」導入に向け、F-35計画室はC2D2との半年ごとに細かなバグや修正を継続的に行う手法の導入を試みたが、この手法も「持続的実施不可能」と同計画室が判断するに至っている

●同計画室はC2D2が完全にはうまくいかなかったが、「Block 4」導入に向け多くの役割を果たしたと強調しているが、新ソフト導入時の試験確認予算不足は致命的であり、ALIS後継のODIN開発がソフト開発予算不足で一時中断したように、このソフト導入時のトラブルは今後も続くとPOGOは警鐘を鳴らしている

不具合件数(deficiencies)は増加し続けている
POGO4.jpg●F-35関連の不具合件数(deficiencies)は公開レポートには含まれていないが、非公開版では2020年に871件(最高度のCategory 1不具合10件含む)で、2021年9月末には845件(Category 1不具合6件含む)となって若干の削減を示している

POGO2.jpg●しかし2022年3月時点では873件(Category 1不具合5件含む)となっており、不具合件数は増加傾向を示している。F-35計画室は、F-35使用者から直ちに影響する不具合ではないと確認しているとか、パイロットや整備員の業務マニュアルに明記して注意喚起しているとか言い訳しているが、800以上の不具合とは異常である
●F-35計画室は2021年に不具合171件を解決したとアピールしているが、要求性能を満たすための新たな改修や不具合是正に伴い、新たな不具合を生み出している状態で、終わりが見えない状態が続いている「一歩進んで2-3歩後退」との表現が正しいと感じる
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POGOのwebサイト(スタッフ50名規模)
https://www.pogo.org/

F-35 luke AFB.jpg民間団体に指摘されるまでもなく、非公開の生々しいレポートを少なくとも米軍関係者は見ており、米空軍は高止まりしているF-35維持整備費が確定する2025年に現在の調達予定数1763機を再検討し、米海兵隊も司令官も購入機数見直しを示唆しています。最大の同盟国英国も国防相が維持費高止まりに激怒し、調達機数半減を検討との報道も出ているところです

ドイツで16か国目となるF-35導入国ですが、「みんなで渡れば怖くない」ではなく、各国がそれぞれ、足元の安全を確認しながら進まないと「金食い虫F-35」どころか、「亡国のF-35」が現実になりつつあります
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F-35 Bloomberg.jpg3月16日付Bloombergによれば、米国防省は3月28日公表予定の2023年度予算案で、F-35調達機数を当初予定の「94機」から35%削減して「61機」にする模様です

性能について評価する声は操縦者や作戦運用関係者からあるが、あまりにも維持費や整備費が高価で多く購入しても維持できない・・・のが理由です

結果として米軍のF-35調達機数の経変変化は
2020年度 98機
2021年度 85機
2022年度 85機
2023年度要求 94機→61機へ

米国が「亡国のF-35」から静かに引き始めている中、海外への売り込み攻勢を強めている現実がここにあります

F-35調達機数削減の動き
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holylandtokyo.com/2021/06/25/1949/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
「フィンランドが15か国目に」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holylandtokyo.com/2021/03/10/157/

F-35のエンジン問題
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/

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https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

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https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

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ドイツが戦術核共有任務にF-35導入発表 [亡国のF-35]

仏との第6世代戦闘機開発の障害と拒否してきたが
ウクライナ情勢受けNATOや米国との関係重視
「最大35機」との微妙な表現で、タイフーン15機と共に

F-35 Germany3.jpg3月14日、ドイツ国防相がドイツ空軍参謀総長を従えて会見を行い、現在トーネード戦闘機が担っているNATO任務の戦術核運用を、トーネード戦闘機の老朽退役が始まる2030年までに引き継ぐため、F-35を35機導入すると発表しました

また併せて、ユーロファイターを15機、トーネードが担っていた電子戦や随伴任務の後継機として導入すると明らかにしました

トーネード後継の最終決定は2023-24年までに行えばよいものと考えていましたが、以前から続いていた米国からドイツへの国防支出増額要求に加え、今次のウクライナ侵攻を受けたドイツの政策大転換もあり、このような発表に至ったものと推測しています

German Lambrecht.jpg今回の決定に際しドイツのChristine Lambrecht国防相は、「プーチンのウクライナ侵略に対する唯一の対応である。NATOの一体性と信頼にたる抑止のため、F-35以外の選択肢はない」と表現し、Ingo Gerhartzドイツ空軍参謀総長は、既にF-35を購入している欧州諸国との協力体制も選択の背景だと語り、英国、オランダ、ベルギー、イタリア、デンマーク、ノルウェーに加え、最近スイスとフィンランドもF-35導入を決定したいることを利点として説明しています

ドイツはメルケル政権が退陣した後、「信号機政権(主張の異なる多様な政党の連立政権)」とも揶揄される複雑な連立政権が誕生しましたが、今年1月に大きな一つの安全保障政策の試金石であった「戦術核兵器シェアリング」継続を表明し、次の段階として複雑な要因が絡むトーネード後継戦闘機選定に注目が集まっていました

トーネード後継選定に絡む複雑な背景は・・・
Tornado-b61.jpg●戦術核運搬対応機は、トーネードのほかF-16があるが、将来オプションとしては現在核対応改修中のF-35のみで、FA-18の改修可能性は未定で、ユーロファイターとなると米側の協力が期待薄
●欧州は次世代戦闘機開発を2つのグループ(独仏と英伊)で進めており、次世代戦闘機と重なるF-35導入に政治的抵抗感が強い
●独仏チームの次世代戦闘機開発は、仏ダッソー社(ラファール製造)が役割分担交渉で強気姿勢を崩さず、独との共同開発協議が暗礁に乗り上げ状態

FA-18 block Ⅲ.jpg上記の状況下、最新型FA-18(電子戦機EA-18G含む。FA-18が戦術核搭載任務担う)とユーロファイターを同数程度購入する案で検討中との独高官発言が2018年にはありましたが、ドイツ政治の混乱の中でFA-18を除外してユーロファイター1本で検討するとの話が出たこともありまし

2020年春には独仏の戦闘機開発協議が停滞する中で、「上の2機種に加え、F-35も含めた3機種混合案も検討中(F-35を戦術核任務に)」との報道出て、同ドイツ政府高官が3機種混合案の議論を認める発言をしたりしていたところでした

Parly France.jpg14日付Defense-Newsによれば、3月9日にドイツ国防相がフランスを訪問し、仏のFlorence Parly国防相(両名とも女性)と会談してF-35導入決定について仏側に説明すると同時に、独仏の戦闘機開発計画「FCAS program」への継続コミットも確認しています。ただし14日のF-35購入独発表に関し、仏国防省報道官はノーコメント状態だそうです

一方で、ドイツはトーネード戦闘爆撃機80機を戦術核運搬任務の他にも電子戦やSEAD任務でも使用しており、「最高35機」のF-35調達だけではトーネードの穴埋めには不十分であることから、ユーロファイター15機も電子戦用等として購入を決定した模様です

typhoon3.jpgDefense-Newsの記事はF-35調達(「will buy up to 35 F-35」との微妙な発表表現もあり)だけを伝え、ユーロファイター15機の話を報じておらず、まんぐーすは混乱しましたが、トーネード80機を「F-35X35機 + ユーロファイターX15機」でカバーするのであればあり得る話であり、ドイツ国防省とドイツ空軍には悩ましい課題は一挙に解決です

ついでに、F-35を最大35機に抑えたことで、独仏の次世代戦闘機開発「FCAS program」への継続コミットも維持する形を残したということでしょう

独仏の次期戦闘機開発に関わる仏側企業ダッソー社CEOは3月上旬、ドイツは欧州製機体にも関心を示す姿勢を見せつつも、米国から核任務用にF-35を購入するよう圧力をかけられていると吐き捨てるように語っており、まだまだ次期戦闘機を巡るドロドロはまだまだ続きますが・・・
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F-35 Germany.jpgいろんな話が絡み合っており、どのような流れでご説明するか混乱したまま記事にしてしまいました

とりあえず、ドイツがF-35を「最大で35機」購入すると発表し、2030年までに導入してNATOドクトリンに示された戦術核運搬に使用するということす。ついでにユーロファイター15機導入も決め、退役するトーネード80機の穴埋め問題にも回答したということです。

欧州の戦闘機開発
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2

「独仏が混合C-130飛行隊を発足」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-03

ドイツの核兵器共有の後継機問題
「問題の整理:独新政権が核兵器共有継続」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-13
「独3機種混合案検討を認める」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-23-1
「独トーネード後継を3機種混合で?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-29
「トーネード後継でFA-18優位?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-08
「独の戦闘機選定:核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28

戦術核兵器とF-35等
「F-35への戦術核搭載へ第一歩」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-06
「米空軍に追加の戦術核は不要」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-04
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

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復活F-35兵站支援システムODINまず14セット提供済 [亡国のF-35]

2021年4月には予算不足で「戦略的中断」を発表も
同年7月には計画再開していた模様
米軍内ほか、英・伊・蘭にも提供済とか

F-35 Gilmore.jpg1月31日付Defense-Newsは、米国防省F-35計画室が、新型F-35兵站情報システムであるODINの最初の14個セットを、米空軍や米海軍海兵隊F-35基地やF-35使用国である英伊蘭にも提供したと報じています

ODIN(Operational Data Integrated Network)は、機能不全で部隊や関係機関に大混乱を引き起こした約2兆円のF-35兵站情報システムALISの後継システムで、2020年1月に開発が決定し、2022年12月運用開始に向け準備が行われていましたが、2021年4月に予算不足で「戦略的停止strategic pause」を宣言するに至りました

ODIN2.jpgしかし2021年7月には開発を再開していた模様で、初度出荷のODINシステム14個セットの提供に至った模様です。ALISがロッキード丸抱えだったのに対し、ODINではロッキードはハードのみで、システム全体管理とソフトは国防省が主導・・・に変更して光明が見えて来たようです

F-35計画室長のEric Fick中将は、「世界のF-35兵站支援システム近代化の一里塚となるODINの使用開始だ」、「国防省、関連企業、F-35使用国による共同作業で成しえたものであり、急増するF-35機体を国際的に支える兵站運用管理を大きく飛躍させるもの」と声明を出しています

ODIN8.jpgALISは、ソフト不具合からデータ誤処理を頻発して非稼働F-35を量産し、整備現場や部品管理担当者を大混乱させ、おまけに旧発想設計で使いにくく、データ処理が遅く、機材重要が重く機動展開に不向きなど問題だらけでしたが、ODIN導入により処理速度は約2倍に、機材重量は約1/4になったということです

ALIS時に国防省試験評価局から問題視されていた「サイバー脆弱性」について、F-35計画室は今回の声明で触れていませんが、何らかの強化策が執られたものと思われます

ODIN7.JPGただ、2021年4月に「戦略的中断」を招いた予算問題は引き続き続いており、今もALISに苦しむ部隊に、いつまでにいくつODINが届けられるかは予算次第だということです

今回の初提供14個セットが必要数の何パーセントなのか不明ですし、日本よりオランダやイタリアが先かよ・・・とか、色々疑問もありますが、以下では、14個セットが配分された基地名を列挙ご紹介します
(記事本文にはオランダにも提供、と明記してあるが、配分基地名にオランダの基地名なし???)

米空軍
Eglin Air Force Base, Florida;
Luke Air Force Base, Arizona;
Edwards Air Force Base, California;
(3セット、うち2セットは英と蘭用システム試験支援のため)
Nellis Air Force Base, Nevada;
Hill Air Force Base, Utah;
Eielson Air Force Base, Alaska;

米海軍・海兵隊
Naval Air Station Lemoore, California;
Marine Corps Air Station Miramar, California;
Marine Corps Air Station Beaufort, South Carolina;

製造企業
Lockheed Martin Aeronautics factory in Fort Worth, Texas;
海外
Amendola Air Base, Italy;
Portsmouth Naval Base, U.K.

これどうなった?ALISの後継システムODIN
「ODINの開発中断」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-24
「ODIN提供開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-24
「元凶:ALISとその後継ODINの現在位置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-17
「ALISを断念しODINへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
「ALIS問題を議会で証言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-15
「ALISは依然大きな障害」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-02

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2022年を占う:米海兵隊F-35調達削減の予兆 [亡国のF-35]

米海軍273機に対し、海兵隊は420機調達予定も
米海兵隊司令官は2020年当時から機数削減示唆

F-35C VMFA 314.jpg1月3日付Defense-Newsは、「2022年を占う:New in 2022」シリーズ記事の一つとして、「海兵隊はF-35を必要としているが、その将来は複雑だ」との論点記事を掲載し、米海軍よりも多い420機のF-35調達予定の米海兵隊は、その調達機数削減を検討していると示唆しています

米海兵隊F-35は、全ての米軍F-35の先陣を切り、海兵隊F-35B型が2015年に初期運用態勢を最初に宣言し、2018年9月にアフガンで初実戦投入されたほか、海兵隊F-35C型も2021年7月に完全運用態勢確立を宣言し、2022年に空母搭載任務が予定されています

Queen Elizabeth2.jpgまた、英海軍の新型空母エリザベスにも米海兵隊F-35Bが派遣され、米英F-35が同空母で共同運用態勢に入るなど、米海兵隊はF-35活用に積極的で、C型の運用では米海軍よりも数歩前を進んでいます

しかし同記事は、米海兵隊司令官の発言や操縦者不足や育成状況、更には米海兵隊が無人機重視に向かいつつある様子から、米海兵隊による420機のF-35調達(B型350機、C型70機)計画は縮小される方向で検討されていると示唆しています

1月3日付Defense-News記事等々によれば
Berger2.jpg●David Berger海兵隊司令官自らが指揮し、「No. 1 priority」と呼んでまとめた米海兵隊の2030年のあるべき姿を描いた構想「Force Design 2030」(2020年3月23日発表)では、対中国を強く意識し、戦車部隊の廃止、歩兵部隊や回転翼部隊の削減、総兵数の削減、ロケット部隊や対艦部隊や無人システムの増加や電子戦の強化などが柱になっている
●また同構想は、「米海兵隊を強固に防御された戦域への遠征部隊、海軍と連携した戦力に再設計するもの」で、「現下の資源制約の下で、最新技術や変革を取り込むため、旧来装備を取り除き、現在より小ぶりで軽快な態勢に再編する」方向を目指すものとなっている

F-35B.jpg●2021年7月、米海兵隊は米海軍に先立ち、空母でのカタパルト運用を想定したF-35C型の完全運用態勢確立を宣言し、2022年に空母での運用開始を予定しているが、その飛行隊VMFA 314)は限定的なF-35C操縦者しか養成しておらず、米海兵隊内での操縦者不足も米空軍等と同様に解決の目途が立っていない

●2020年の米議会証言でDavid Berger海兵隊司令官は、F-35の優れた能力の必要性と重要性をアピールしつつも、種々の環境の変化を踏まえた現実的な可能性として、「私は軍事産業界に、米軍が作戦環境に適応していくように、我々も修正に備える必要があるとシグナルを発している」、「現時点では調達計画に変更はないが、我々は作戦環境や敵の動向に応じて適応していく必要がある」と語って調達数削減を匂わせている
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Smith2.jpg米議会は、2025年にF-35の維持整備経費の削減可能度合いが確定する時点で、総調達機数(現在は1763機)の削減を判断する条項を国防授権法に盛り込んだとされており、Brown空軍参謀総長も同様の考え方だと発言しています

軍需産業政策全体にも関わることでもあり、米海兵隊だけで先行して調達数削減を打ち出すことは容易ではないでしょうが、何事も先陣を切る海兵隊だからこそ、言い出しやすい面があるかもしれません

過去にピューリッツアー賞最終候補にも残ったこともある元海兵隊員Todd South記者の執筆記事からご紹介しました

関連のF-35記事
「2025年に調達上限設定を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-01
「海兵隊C型が完全運用態勢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-08
「スイスが14番目の購入国に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-01
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-24-1
「英国は調達機数半減か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-24
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-06
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13

F-35のエンジン問題
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-15
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「F-35エンジン改良検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-06-01-2
「AETPの開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-07-02-1

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ノルウェーがF-35を世界初(?)の領空保全任務に [亡国のF-35]

北緯68度39分の厳しい環境の基地で
42年任務を果たしたF-16と交代で

Norway F-35.jpg1月6日、ノルウェー空軍がF-35を領空保全任務(NATO quick-reaction alert mission:日本でいう対領空侵犯措置任務)に就けたと発表し、42年間同任務を果たしてきたF-16と交代することになりました。

同国F-35が緊急発進態勢をとったのは、北緯68度39分にあるEvenes空軍基地で、従来F-16が待機していたBodø空軍基地より180㎞も北に位置し、緯度でいうとロシアとアラスカに挟まれたベーリング海峡の最狭部と同じ緯度の北極エリアです

F-35 Norway3.jpgEvenes空軍基地で15分以内に緊急発進できる態勢をとったのは3機のF-35で、これまで任務を担ってきたF-16の同任務飛行時に随伴し、対処要領等の学んで任務に備えてきたということです。なお、F-35部隊の主力は同国南部のØrland空軍基地に配備されるようで、Evenes基地は任務用前線展開基地の位置づけのようです

同国空軍は52機のF-35導入を予定しており、2025年には全機が揃って同機運用態勢を確立する予定だそうですが、暖流の影響で緯度のイメージよりは気温が上がるとはいえ、この場所での戦闘機運用は容易ならざるものがあると思われます

F-35 Norway4.jpg一例として、ノルウェー空軍F-35は世界で唯一ドラッグシュートを装備し、凍結した滑走路でもスリップなく既定の範囲内で制動できるよう改修されています

なおノルウェーはEvenes空軍基地を拡大しつつあり、P-8対潜・海洋哨戒機の北方配備基地としても準備しているようです。

米空軍戦力のロシア正面での展開先は、スカンジナビア半島と欧州大陸に囲まれたバルチック海エリアににらみを利かすポーランドで、1月6日に米空軍F-16が展開配備され、ポーランドやベルギー空軍F-16とともに任務に臨むとNATO声明が出されています
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F-35 Norway2.jpgF-35がいわゆるスクランブル待機態勢に入ったということですが、F-35をロシアの各種偵察機や情報収集機にも接近対処させ、ロシアの情報収集網に飛び込んで任務させる覚悟が米国で固まったということでしょうか?

先日、UAEへのF-35輸出交渉が難航しており、そのネックの一つが米国がUAEに要求している「F-35の運用制限」だとご紹介し、中露に近接する日本のF-35にも何らかの制約が課せられているのでは・・・・と邪推しましたが、その辺りはどうなのでしょうか?

米国との関係において、ノルウェーと日本とUAEにどのような差があるのか・・・気になるところです

中東と米国の関係
「UAEが米国との武器購入交渉停止表明」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-16
「UAEへの武器輸出を国務省次官補が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-17
「UAE空軍司令官視察:イスラエル最大の多国間空軍演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-04
「米国防省の武器輸出担当DSCA長官が怒りの辞任」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-15

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フィンランドが15番目のF-35購入国に [亡国のF-35]

欧州で9番目の購入国に
64機を2026年から導入開始予定

F-35 Finland.jpg12月10日、フィンランド国防省がF-18戦闘機の後継機種選定に関し、F-35、F-18 Super Hornet、Dassault’s Rafale、Eurofighter Typhoon とSaab’s Gripenを比較した結果、F-35に決定したと発表しました

フィンランド空軍は、64機のF-35を約6000億円で購入し、併せて空対空ミサイル(AMRAAM and Sidewinder)を約960億円で購入する予算を組んでいるとのことです。また、2030年までの維持整備パッケージとして、約3700億円を計上するそうです

F-35 Finland2.jpgフィンランドは選定理由として、F-35の軍事的能力の他、部品を含めた供給の安定性、製造過程へのフィンランド軍需産業への参画度、費用対価格の優位性の他、多くの購入国が形成するコミュニティーの存在を上げています

この結果、F-35購入国は15か国となり、欧州だけで9か国となりました。

今後、購入決定の可能性があるのは、共同開発国でありながら購入決断を先送りして計画の落ち着きを待っている策士カナダと、トーネード後継と戦術核運用が新連立政権の課題となっているドイツといわれています

F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)

●共同開発国(7か国とその他2国)
 豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)
 カナダは共同開発国ながら選定を延々と実施中で、今年結果発表予定
 トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された

●FMS購入国(8か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)

●欧州だけピックアップすると・・・
Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、Belgium(34機)、ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機 2026年から導入)
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F-35 Finland3.jpg兵站情報システムODIN開発がとん挫したままのF-35は、維持整備費が高止まり状態にあり、米議会や英国等から不満の声が上がっていますが、今後も低下する見通しはありません。

また、米空軍が1763機の調達予定機数を削減することは「ほぼ暗黙の了解」(2025年の維持費状態を見て決断予定)状態にあり、機体や部品価格の高騰は避けがたく、「亡国のF-35」の道まっしぐらです

最近のF-35
「安価版シム装置発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-03
「欧州最初の米飛行隊編成」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-04
「新型戦術核B61-12投下試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-06
「2025年に調達上限設定を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-01
「酸素生成装置問題を解決せよ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-03
「海兵隊C型が完全運用態勢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-08
「スイスが14番目の購入国に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-01
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-24-1
「英国は調達機数半減か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-24
「伊軽空母に海兵隊F-35B展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-14-1
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-06
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「F-35稼働率の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「新型戦術核搭載飛行試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-28
「5月の事故対策改修は秘密」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-24
「中東でかく戦えり」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「機種別機数が第3位に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07
「B型とC型が超音速飛行制限甘受」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「ボルトの誤使用:調査もせず放置へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-29
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

これどうなった?ALISの後継システムODIN
「ODINの開発中断」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-24
「ODIN提供開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-24
「元凶:ALISとその後継ODINの現在位置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-17
「ALISを断念しODINへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
「ALIS問題を議会で証言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-15
「ALISは依然大きな障害」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-02

F-35維持費削減は極めて困難
「国防省F-35計画室長が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-03
「米空軍参謀総長が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-02
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「維持費をF-16並みにしたい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-01-1

エンジンブレードの耐熱性不足
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-15
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21

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ロッキードがF-35用廉価版シム訓練装置開発 [亡国のF-35]

豪華版と同じソフトでハード削減も75%の訓練可能
豪華版の1/8のスペースで使用可、分解持ち運び容易
価格非公表も豪華版の数分の一の模様

F-35 MRT LITE.jpg11月30日、ロッキード社が全世界のF-35使用者の要望に応え、現在100台余りが使用されている豪華版F-35訓練シミュレータの小型簡易版を開発したと発表し、9割部品を削減して小型で分解持ち運び容易性を高め、かつ訓練可能科目も豪華版の75%をカバーする装置を実現したと説明しました

第5世代機は能力が高すぎ、実環境で性能を最大発揮する訓練が難しいことや、飛行時間当たりの維持整備費が高価なことから、バーチャル訓練と呼ばれるシミュレーターでの訓練の重要性が叫ばれ、F-35用には360度の映像を映し出すMRT(Mission Rehearsal Trainer)との豪華版シム装置が提要され、DMT(Distributed Mission Training)とのシステムで世界中のシム装置と連接し、異機種混合の大規模バーチャル訓練体制構築を目指しています

F-35 MRT LITE2.jpgそのような豪華版MRTが約100台米軍を中心に世界で使用されているようですが、価格非公開ながら高価格と想定され、F-35運用者からは安価版や小規模版を求める声が相次いでいたようで、ロッキードは発表で、F-35使用者の要望やニーズを基に設計開発したので、宣伝や売込みの必要なく商談が成立するだろうと語っています

以下では2日付Defense-News記事から、安価小型版MRT LITEの概要をご紹介します

MRT LITE(Mission Rehearsal Trainer Lightning Integrated Training Environment)の概要
豪華版より9割ハードを削減し、豪華版1台のスペースに、8台を設置可能
豪華版1台の価格で、“a number of these(MRT LITE)”を購入可能

F-35 3-type.jpg豪華版が360度映像投影だが、廉価版は前方スクリーン3枚
豪華版から緊急事態対処用のみに関連する操作スイッチ等を無くしたが、5世代機に重要な目視範囲外(beyond-visual-range)任務など、豪華版の75%の任務訓練が可能

廉価版は数時間で分解・組み立てが可能で、空母内での使用も可能
18か月間の開発とF-35使用者へのデモと意見聴取で現在に至る

現在は公開ソフトのみ使用可能で、秘匿ソフトの導入を今後実施。他の部分も含め、具体的な開発完了時期やコストには発表会見で言及せず
ロッキード社は、国防省F-35計画室やF-35使用者と具体的な導入・提供に向けた協議を並行して進めている
////////////////////////////////////////////////

F-35 Gilmore.jpg豪華版だけでなく、最初から廉価版も作れよ!・・・とロッキードに突っ込みたくなりますが、F-35の維持整備費が高止まり状態で、米軍や米国議会のみならず、英国からも辛らつな批判を浴びているロッキードが、ようやく重い腰を少し上げたのでしょう

日本が豪華版を導入しているのか把握していませんが、飛行時間削減及び維持整備費削減のため、この廉価版導入を検討してはいかがでしょうか

世界中で100台使用のF-35豪華版シム訓練装置
「F-35新型シム装置DMTで他基地他機種ともシム訓練可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-02
「DMT構想について」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-06

5世代機とバーチャル訓練
「米空軍が人工知能シム訓練アイディア募集」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-26
「5世代機のため訓練エリア拡大要望」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-12-09-1
「5世代機の訓練はシムと実機併用で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-11-24-1
「シム訓練でF-22飛行時間削減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-11-1
「F-35SIM連接の課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-05
「移動簡易F-35用シミュレーター」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-02
「5世代機はバーチャル訓練で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-28-1

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欧州で初の米空軍F-35部隊設立 [亡国のF-35]

施設工事遅延で1年遅れも英国で
12月から機体受け入れ、最終的には2個飛行隊へ

495th Fighter S.jpg1日、英国のLakenheath英空軍基地で、米空軍初の欧州F-35飛行隊となる第495飛行隊が約30年ぶりに再立ち上げされ、飛行隊長が12月から機体受け入れを開始すると明らかにしました

「約30年ぶりに再立ち上げ」とご紹介したのは、同飛行隊がWW2時代に創設されて終戦時にいったん活動を終えた後、冷戦に伴い再編成され、1977年から1991年12月までF-111F戦闘爆撃機の部隊として「砂漠の盾」作戦などで活躍した歴史を持つからです

コロナの影響か、当初は2020年再立ち上げ予定が1年遅れのようですが、欧州全体で2030年までに450機のF-35を運用予定との予定の元、他の欧州導入国と連携して「がんばるぞ!」との同飛行隊長や欧州米空軍司令官の決意のほどをご紹介しておきます

先ずその前に、欧州諸国のF-35導入構想は
●共同開発国では(()内は導入予定機数)
 Denmark(27機), Italy(90機), Netherlands(37機), Norway(52機), 英国(138機)
●FMS購入国
 Belgium(34機), Israel(19機),ポーランド(32機)、スイス(32機)

495th Fighter S3.jpg上記を合計すると461機となり、これに米国がLakenheath英空軍基地に配備予定の2個飛行隊(第495飛行隊含む)48機を加えると500機を超えるのですが、2030年までだと地域合計450機になるようです

ただ、コロナ等による経済危機により、イタリアの90機や英国の138機は早くも赤信号で、イスラエルは50機以上の可能性があるものの、先行きの不透明感はぬぐえません

1日付米空軍協会web記事によれば
495th Fighter S2.jpg●1日に再編成された第48戦闘航空団隷下の第495飛行隊は、12月から機体を受け入れ、47機と人員約60名で活動する。更に同基地には追加でF-35飛行隊が編成される予定で、将来的には2個飛行隊48機で運用される予定である

●第495飛行隊長のIan D. McLaughlin中佐は1日、飛行隊のニックネームは伝統の「Valkyries」(戦場での生死を決める寓話上の女性)を引き継ぐと明らかにし、「冬に機体を受け入れるまでにやるべきことは山ほどあるが、伝統ある飛行隊を戦力化し、欧州最初のF-35飛行隊として欧州全体の戦力増強につなげたい」と決意を述べた
●欧州米空軍司令官のJeffrey L. Harrigian大将は9月の米空軍協会航空宇宙サイバー会議で、欧州でF-35をかつてない規模で運用する同盟国等と緊密に連携し、「既に計画中の欧州戦域F-35全体でのleverage構想により、相互運用性を高めるなどして地域におけるF-35の重要性を示していきたい」と抱負を語っていたところ
/////////////////////////////////////////////

495th Fighter S4.jpg現在のF-35の論点は、維持費の高止まりを如何に改善するかです。現在は第4世代機の2倍の維持経費が必要で、今後当初の要求性能を満たす「Block4」レベルへの機体改修などに必要な経費とその維持費見通しからすると、劇的な改善は困難との見方が一般的で、米議会幹部も米空軍幹部も、維持費レベルが確定した時点で調達機数削減を決定する意向を示しているところです

米空軍の導入予定機数は1760機程度ですが、これが800機程度に縮小されたとしても、既に一大戦力ですからしっかり活用して頂かないと困ります

兵站支援情報システムODINの開発中断など、現場のご苦労には頭が下がるばかりですが、頑張って頂くほかありません。B型も含め、140機以上の導入構想がある航空自衛隊も同様です

F-35のエンジン問題
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-15
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「F-35エンジン改良検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-06-01-2
「AETPの開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-07-02-1

最近のF-35
「2025年に調達上限設定を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-01
「酸素生成装置問題を解決せよ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-03
「海兵隊C型が完全運用態勢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-08
「スイスが14番目の購入国に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-01
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-24-1
「英国は調達機数半減か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-24
「伊軽空母に海兵隊F-35B展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-14-1
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-06
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「F-35稼働率の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「新型戦術核搭載飛行試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-28
「5月の事故対策改修は秘密」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-24
「中東でかく戦えり」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「機種別機数が第3位に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07
「B型とC型が超音速飛行制限甘受」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「ボルトの誤使用:調査もせず放置へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-29
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

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F-35への戦術核搭載へ第一歩:投下試験終了 [亡国のF-35]

設計承認後は作戦運用態勢承認のため配備基地の態勢整備へ
核搭載改修するF-35の配備先は不明
遠くない将来に配備先等も明らかになるとか

F-35 B61-127.jpg4日、米空軍戦闘コマンドACCが、F-35への戦術核爆弾(B61-12)搭載承認への第一歩として、2機のF-35がネバダ州の試験演習場で、模擬戦術核爆弾の投下試験に成功したと認めました

この模擬弾の投下試験は、戦術核搭載承認の第1段階である「nuclear design certification」の一環で、今後国防省とエネルギー省が試験データを分析して「nuclear designレベル」での承認に向けた審査を行うとのことです

その後の第2段階「nuclear operational certification」では、実際に核搭載型F-35が配備される部隊に対し、必要な訓練が実施され維持整備を含む部隊能力が備わっているかを確認する運びとなります

F-35 B61-126.jpgACC関係者は、今後の承認プロセスの時程や「operational certification」対象となる配備基地について言及を避けましたが、遠くない将来に明らかになろうと述べたようです

またACC関係者は、核搭載型F-35への主要な機体改修内容として、機内兵器庫に設けられる地上で操作が必要な「mission select switch」と、操縦席でパイロットが操作する「nuclear consent switch」があると説明していますが、核爆発で発生する電磁パルス(EMP)からの防御機構も付加する必要があると考えられます

ACC関係者は、現在F-15EとF-16(更に独空軍のトーネード)が戦術核を搭載可能だが、ステルス機であるF-35が自由落下型のB61-12戦術核を搭載可能となることで、攻撃目標により接近して正確な攻撃が可能になると意義を強調しています

F-35 B61-124.jpg一方で戦闘爆撃機に戦術核を搭載する必要性については様々な議論があり、特に対ロシアを巡る西側欧州諸国で議論のあることです。現在、米軍の戦術核兵器がドイツ、ベルギー、オランダ、イタリー、トルコに計200発程度保管され、必要時には各国戦闘爆撃機に搭載して使用できる態勢がとられていますが、対ロシア抑止の手段ではあるものの、各国政府は各国民の理解を今後も得ることは容易でないと考えています

費用面でも戦術核を維持することは大きな負担で、老朽化した旧式B61戦術核を全て「B61-12」に置き換えるには約1兆円必要だとも見積もられており、シンクタンクの中には、「B61-12」への置き換えは限定数にとどめ、戦闘爆撃機への戦術核搭載は止め、B-21次期爆撃機に搭載して使用しては・・・との提言も見られます

この場合、冷戦期から行われているドイツ、ベルギー、オランダ、イタリー、トルコと米国との「核シェアリング」が無くなることを意味し、政治的には大きなインパクトがあると考えられ、なかなか欧州関係国やNATO内で考え方を一本化することが難しいようです

F-35 B61-123.jpg大きくとらえれば、サイバー戦や宇宙戦までも含めた戦いの変化の中で、核抑止や核戦力をどう位置付けるかの議論にも発展する「リトマス試験紙」の意味合いもあり、末尾の過去記事でご覧いただけるようにチマチマとフォローしております。

ご興味のある方は、過去記事もぜひ覗いてみてください。本日はとりあえず、模擬戦術核投下試験に成功したACC関係者の言葉をご紹介しておきます

5日付米空軍協会web記事によれば試験関係者は
F-35 B61-122.jpg●ACC戦略抑止副部長(中佐)は、「潜在的敵対国は、作戦開始前により多くの可能性を想定したゲームプランを考える必要に迫られるだろう」と、F-35への戦術核爆弾(B61-12)搭載承認を得ることの意義を語った
●また「非ステルス機では実現不可能な、より戦闘地域深くへの侵攻攻撃が可能になる」、「重力投下型のB61-12戦術核は、より目標に接近できれば、より正確に目標を攻撃できる」と、模擬弾での試験成功の意義を強調した

●別のACC幹部(中佐)は、「第5世代機が全く新しい戦略的レベルの能力獲得に近づき、米国の核抑止を強化することになる」と述べる一方で、「全てのF-35が戦術核型になるわけではない」と述べた
●更に同中佐は、「それほど遠くない将来、design certificationに加え、配備基地においてoperational certificationを獲得し、地域戦闘コマンド司令官に供することになろう」と説明した
//////////////////////////////////////////////

F-35 B61-125.jpgドイツ空軍は、戦術核運搬機としてトーネード戦闘爆撃機を保有していますが、老朽化に伴う後継機選定を迫られており、戦術核搭載承認を得るのが容易でない欧州製のタイフーンやFA-18にするか、承認を得た高価なF-35を選ぶのか、又は上記3機種混合調達かの選択を迫られています。

戦術核絡みで「F-35を押し売り」されたくないとの思惑がドイツや欧州諸国にはあり、ドイツや欧州国民感情もあり、メルケル政権後のドイツ連合政権の動向もあり・・・、本日ご紹介した米空軍中佐レベルの言葉だけではとても語りきれないF-35戦術核搭載試験のお話でした

戦術核兵器とF-35等
「米空軍に追加の戦術核は不要」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-04
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

ドイツと戦闘機選定関連記事
「独3機種混合案検討を認める」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-23-1
「独トーネード後継を3機種混合で?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-29
「トーネード後継でFA-18優位?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-08
「独の戦闘機選定:核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28

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下院軍事委員長が再びF-35に噛みつく [亡国のF-35]

生存性は期待ほど高くなく、維持費が高止まり
エンジン問題で稼働率上がらず→AETP早期導入要望
無人機の群れの方が有効な投資先だ
2025年の維持費を見て調達数上限を決める

Smith3.jpg8月31日、Brookings主催のイベントにAdam Smith下院軍事委員長が登場し、来年度予算を決定する2022年国防授権法の議論について語り、特に同議長が問題視するF-35問題について、維持費が高止まりすれば調達機数を制限する規定や次世代エンジンAETPをF-35に導入する可能性検討を命ずる案を含めたいと語りました

また、F-35設計当時に想定されていたより脅威環境が厳しくなり、同機の生存性が低下していると指摘し、最近の事例も踏まえて「無人機の群れ」に優先投資すべきとの考え方を示しました

Smith4.jpgAdam Smith下院軍事委員長は3月に同じくBrookingで、「どぶに金を捨てるようなF-35への投資を止めさせたい」、「金食い虫のF-35に今後35年も頼らなくてよいような道を探るべき」と訴え大きな話題になりましたが、その第2弾をぶちかましています

このイベントの内容を一番早く報じたのが、米空軍応援団の米空軍協会webサイトですので、恐らく米空軍内外にも同委員長意見に賛同する者が多数存在すると推測いたします

31日付米空軍協会web記事によれば同委員長は
F-35 F135.jpgF-35の維持費が高止まりしていることを米議会でも多くの議員が問題視しており、2022年国防授権法の下院軍事委員長案には、2025年度の同機の年間維持費が米空軍が目標とする1機年間約4.5億円以下に低下しなかったら、米空軍が何機F-35を維持できるかを見積り、調達予定機数1763機を削減する条項を盛り込んだ

また、F-35のPratt & Whitney社製 F135エンジンの整備時間や整備コストが膨らんでいる問題に関連し、維持整備費削減策の一つとして、GE社とPratt & Whitney社が開発を競い合っている次世代エンジン計画AETP(Adaptive Engine Transition Program)を活用できないかと考えている
AETPは一般に、次世代制空機NGAD計画(Next-Generation Air Dominance program)用とされているが、F-35に導入する可能性があると考えており、2社が競い合う体制であることも好ましいことから、2022年国防授権法の下院軍事委員長案に、調達担当国防次官にAETPをF-35に導入する開発&融合戦略を策定するよう規定を含めている

F-35 Greece4.jpg全く別の視点だが、F-35の戦闘空域での生存性が、敵の防空ミサイル等の迎撃能力向上により、F-16など第4世代機の生存性レベルに低下し始めていると懸念している。脅威の変化については細部に言及できないが
このような厳しい脅威環境では、F-35は機体が大きすぎて敵に発見されずに侵攻することが難しい。そこで、より小型で生存性が高い無人機に投資するのが好ましいと考えている

最近目にした、シリアやアルメニアとアゼルバイジャンの戦いが示すように、探知困難なドローンの群れは強烈なパンチを見舞うことができる。探知できず、探知しても迎撃することが短時間で困難な点など、大型アセットが不可能な役割を果たしてくれると期待でき、今後の投資先にふさわしいと考えている

緊急追記:Brown参謀総長もF-35調達数制限に同意
(維持整備費が低下しなかった場合の措置として)
Brown.jpg9月8日、Brown米空軍参謀総長はDefense-News主催イベントで、米議会からの提案は私の考え方と同一線上にあると語り、維持整備費が計画の2倍程度の高止まりしている状況が改善されなければ、調達機数1763機の削減を考えざるを得ないと述べた
同大将は「米議会からの意見や提案は、米空軍が検討している方向と同じである」、「我々はF-35計画を資金的に維持可能なものにすることに目標を定めており。それが焦点となっている」と表現した
////////////////////////////////////////

同イベントの模様(約1時間)


Smith下院軍事委員長が3月5日に「どぶに金を捨てるようなF-35への投資を止めさせたい」と口火を切り、6月23日には英国防相が英議会で「維持費を下げなければ、支払い不可能な請求書に縛られるつもりは無い」、「F-35を計画通り買ってほしければ、コストを抑えろ」、「白紙の小切手を渡すつもりは毛頭ない」と米国と米企業を非難する事態に至っています

なぜF-35反対の先頭に立つSmith下院軍事委員長までが、2025年度の維持費実績が出るまで調達機数削減判断を先延ばしする案を出しているのか不明ですが、国内産業政策とか、海外の調達契約国との関係とか、整理するにはそれぐらいの期間が必要なのかもしれません。

F-35のエンジン問題
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-15
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「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「F-35エンジン改良検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-06-01-2
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最近のF-35
「酸素生成装置問題を解決せよ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-03
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米議会が再度F-35酸素供給装置の調査指示へ [亡国のF-35]

2017年頃からくすぶり続ける低酸素症問題
昨年10月のNASA報告書でも残る疑義に再調査要求へ
これまでに40件以上の異常発生報告があり・・・

F-35 Japan1.jpg7月28日、下院軍事委員会が2022年度予算関連法付属書案で、F-35酸素供給装置関連でパイロットに多数発生している低酸素症などの根本原因調査を国防省に求めていることが明らかになりました。同委員会所属議員の補佐官が記者団に明らかにしたものです

F-35操縦者に発生する低酸素症など生理学的異常事例(physiological episodes)は、2017年にF-35操縦者養成のメッカであるLuke空軍基地で問題になり、5件近くの事例報告があったことから約2週間飛行停止にして調査しましたが理由は判然とせず、海軍や海兵隊でも同様事象の発生が判明しましたが、当時は実質的にはそのまま飛行を再開し、後に酸素供給装置のソフト改修を行って今日に至っています

F-35 OBOGS.jpg本件に関しては、2021年度予算関連法でも調査が求められ、NASAが複数の操縦者への聞き取りとF-35地上試験結果を踏まえて2020年11月に報告書を出しましたが、3軍のF-35全てから40件以上の低酸素症のような体調不良発生がレポートされ、操縦者が搭乗時に呼吸回数を増やして機体に対応している様子や、一度酸素不足症状に襲われた操縦者が数日から数か月にもわたり呼吸器官全般に不調を訴えていることなど、「相当な懸念事項が見つかった」ようです

今回の調査指示案は、昨年11月発表のNASA報告を受け、更に調査を深堀する必要があると判断した下院軍事委員会の「Tactical Air and Land Forces小委員会」の要求で、法的な要求事項案になったとのことです

2日付Defense-News記事によれば
F-35 OBOGS3.jpg●再調査を求めた議員の補佐官は記者団に、「(国防省が本問題を自ら解明する姿勢を見せず、)議会が命ずる形になったことは不幸なことだと思う」と冒頭で述べ、議会が要求した包括的調査により本件の根本的な技術的原因が解明され、国防省がF-35に関する大規模で高価な機体改修を決定する前に、必要な改修策が確定され組み込まれる必要があると訴えた
●我々はF-35に適応するよう強制されているパイロットに成り代わり、酸素供給装置(OBOGS:onboard oxygen-generation system)が本来求められている基準を満たし、操縦者が機内での呼吸に負担を強いられることなく、本来の任務に集中でき環境を提供したいと同補佐官は語った

●同補佐官は、これまでに40件以上の生理学的異常がF-35操縦者からレポートされており、そのうち27件が米空軍用のF-35A型で発生していると述べ、
F-35 OBOGS2.jpg●中には2020年5月に発生した着陸失敗事故で機体が修理不能になったケースも含まれ、事故報告書が「労力を要するF-35での呼吸で、操縦者の認知能力が低下していたことも副因となった可能性あり」とされたことで、F-35酸素供給装置の問題に再び関心が集まっているとも説明した

●米空軍協会機関紙の調査によれば、2017年に9件確認された事象は、18年には4件、19年に3件、20年に5件と推移している
●今後この調査要求指示法案は、下院軍事委員会で審議され、了承されれば上院ともすり合わせて法案化が決定される
///////////////////////////////////////////

2017年にLuke空軍基地で問題になり飛行再開した際は、「問題が発生した高度帯の飛行を極力避ける」「身体への影響を局限する地上での離陸前手順や地上訓練を追加する」「追加の予備酸素を機体に搭載する」「飛行中の身体データを記憶するセンサーを装着するオプションを提供する」との措置が取られています

F-22Hawaii.jpgF-22も似たような酸素供給装置トラブルを経験してリ、2005年運用開始の3年後から問題が確認され始め、7年後にやっと原因が酸素供給装置の欠陥バルブとフィルターだと特定され対策が打たれたとの経緯があります。

酸素精製装置のソフトが改修された後の現在でも、操縦者が「work too hard at breathing」な状態なら、何とかしてあげてほしいものです。F-35に問題があっても、操縦者に罪はなく、むしろ被害者ですから・・・。

労力を要するF-35内の呼吸による操縦者の認知能力低下も副因の一つの可能性と
「F-35着陸大事故の対策機体改修は秘密」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-24

鬼門のF-35酸素供給装置
「F-35で謎の低酸素症多発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-06-11

F-22事案を振り返る
「最終的に飛行再開・原因特定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-25
「不沈F-35と低酸素F-22」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-09
「F-22再度飛行停止と再開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-24
「F-22操縦者に謎の症状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-31

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F-35はエンジン不足で15%が飛行できず [亡国のF-35]

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米空軍保有機約290機の41機がエンジンなし
トルコ除外による部品不足や整備時間長期化もあるが
エンジンブレード耐熱不足問題がどっしりと[exclamation]

F-35 F135.jpg13日、下院軍事小委員会で国防省F-35計画室長などが証言し、エンジン関連が原因で運用態勢にない米空軍F-35が41機あり、他軍種や同盟国機も含めると計46機が搭載可能なエンジンが無い状態にあると説明しました。

米空軍のエンジン無し比率「約15%」がどれほど問題なのか、比較可能なデータがないので不明ですが、2021年初から関係高官が、F-35稼働率が上がらない原因として「F135エンジン問題」に言及しており、コロナ感染拡大やトルコが部品サプライチェーンから除外されたことに起因する部品不足だけでなく、「エンジンブレード耐熱不足問題」がじわじわと表面化しそうな雰囲気です

繰り返しご紹介しているように、F-35の製造コストは低下傾向(最新Block 4は?)も、維持整備コストが第4世代機の2倍程度に高止まりし、更に一つの完成型である「Block 4」以前の機体は「Block 4」にアップグレード改修を行う必要があることから、総コストは上昇の見通ししかありません。そんな中でのエンジン問題に、「泣きっ面にハチ」状態のF-35購入国です

「エンジン問題について」各種報道から
Fick2.JPG国防省F-35計画室長Eric Fick空軍中将は下院で、「エンジンの維持コストは課題である。だた、新造機の納入には影響はない。まもなくエンジン使用2000時間の定期整備を迎えるエンジンが現れコスト増に注意が必要だが、最近はコストがフラットになる傾向を見せつつある」と述べつつも
エンジン整備遅延問題に対処するため「3つのアプローチに取り掛かっており、一つはTinker基地エンジン整備所の整備時間短縮取り組みであり、もう一つは他にもエンジン整備拠点を設ける検討、そしてエンジンの整備間隔を延長する検討である」と説明した

F-35 F135 2.jpgJay Stefany米海軍開発担当次官補代理は下院で、「関連企業及びF-35エンジン修理施設と緊密に連携し、エンジン整備の遅れを取り戻すべく尽力している」、「整備人員の増強など」と説明したが、エンジンブレード表面処理の問題は人の増強では解決できない
現場でのエンジン不足問題を受け、F-35が所属する米空軍戦闘コマンドは、2021年に各所で開催予定だった航空ショーへのF-35派遣を縮小することを決定している

F-35 F135 5.jpgF-35用のF135エンジンを製造するPratt & Whitney社のMatthew Bromberg社長は、4月にエンジン不足問題についてメディアに、「2つの理由がある。コロナ感染対策による部品製造の遅れと、トルコが部品供給チェーンから抜けたこで、予定していた効率アップが進まなかった」と説明している
ちなみにトルコは約1000個の部品供給に関わっていたが、その中には188個のエンジン関連部品が含まれていた。同社長はタービンブレードの耐熱コーティングに関しては言及しなかった
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大きくF-35の稼働率が上がらない理由を考えると、兵站情報管理システム(ALISに代わりODIN)トラブルや部品確保サプライチェーンの混乱、想定以上の部品故障率や整備員の技量未熟等々・・・複数の大きな原因が背景に上がりますが、性能発揮の制約になりそうなのがエンジン問題です。

以下では関連の高官発言を時系列でご紹介します特に今年2月のBrown空軍参謀総長発言に注目です。「フェラーリ(F-35)で毎日通勤することはない。日曜日に乗ればよい」と発言したことで、この問題の深刻さが広く知られるようになったからです

Lord調達担当国防次官
Lord2.jpg2019年11月下院委員会で→戦闘任務にあたる飛行部隊での稼働率は、2018年10月の55%から、2019年9月の73%に上昇
2020年7月下院委員会で→F-35稼働率は、2020年1月には60%であったが、同年6月には70%に上昇。また全ての任務が可能な機体比率は、同期間で40%から50%に上昇
退任前日の2021年1月19日会見で→F-35稼働率は、「複数ある任務の一つでも可能な機体は69%で、全ての任務が可能な機体は39%、稼働率低迷の主な理由は、キャノピーの表面剥離やF135エンジン関連問題にある

国防省F-35計画室幹部(2021年2月12日) 
エンジンブレードの問題は、耐熱コーティングが想定より早く劣化する問題である。F-35関連各級指揮官がF-35関連の種々の課題を議論する会議を開催し、F135エンジン問題に関する議論も行われた
Pratt & Whitney社は声明で
2020年からエンジンブレード改良処理過程を導入開始し、製造ラインに投入している

Brown空軍参謀総長(2021年2月17日)
Brown.jpg(F-35エンジン問題に関する質問に問題の存在を認めつつ、)最新鋭機へのニーズが高いことから使用頻度が高くなり、F-35のエンジンの故障率が上昇している
この問題対処に維持整備方式や整備施設の体制検討を中将大将レベルで行っている。シンプルにはF-35の使用頻度を下げることが対処法だ(simply be to use the F-35 less)
「フェラーリで毎日通勤することはないだろう。フェラーリは日曜日に運転すればいいんだ。F-35はハイエンド環境の装備であり、ローエンド環境で常に使用する必要はない」と述べつつも、「この考え方にも異論があるだろう。反論も予期している」
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よくわかりませんが、「Pratt & Whitney社声明」をそのまま信じれば、2020年以降のエンジンブレードは耐久性が改善され、米空軍でいえばそれまでに受領していた200機強だけが問題を抱えているとも解釈できます。

でもそうであれば、Brown空軍参謀総長のような発言にはならない気がします。突き放したようなその表現に、F-35が既に米軍内で「お荷物」になりつつある気配さえ感じます

エンジンブレードの耐熱性不足
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21

最近のF-35
「海兵隊C型が完全運用態勢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-08
「スイスが14番目の購入国に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-01
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-24-1
「英国は調達機数半減か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-24
「伊軽空母に海兵隊F-35B展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-14-1
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-06
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「F-35稼働率の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「新型戦術核搭載飛行試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-28
「5月の事故対策改修は秘密」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-24
「中東でかく戦えり」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「機種別機数が第3位に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07
「B型とC型が超音速飛行制限甘受」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「ボルトの誤使用:調査もせず放置へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-29
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

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