F-35へのAETPエンジン搭載を断念しF135改修へ [亡国のF-35]
コストとF-35Bへの導入困難が背景に
P&WはF135改修型を2028年から提供開始と
3月10日、Kendall空軍長官は2024年度予算案の説明の場で、過去2年間に渡り議論されてきたF-35エンジン問題について、次期制空機NGAD用に開発されてきたAETP(Adaptive Engine Transition Program)エンジンへの換装をコストとF-35B型機への搭載リスクから断念し、現F135エンジンの改修で対応すると明らかにしました。
F-35エンジン問題は、現在使用のF135(Pratt & Whitney製)のエンジンブレード耐久性が想定より低く、機体稼働率低迷と維持整備コスト増の大きな要因となっていることや、F-35「Block 4」がより大きな電源や冷却性能を必要とすることから持ち上がっていました
米空軍はKendall空軍長官を先頭に、航続距離30%増で推力20%増以上の性能向上が得られ、機体への電力供給余裕も生まれ、対中国等の想定環境に必要な能力提供が可能となると主張してAETPエンジン(GE社のXA100かP&W社のXA101)搭載の決断を国防省に求めてきましたが、F135改修と比較して3倍のコストがかかり、F-35調達数の70-80機削減を迫られる可能性にも言及して国防省に判断をゆだねていたところです
また、米空軍がAETPで突っ走る中、米海軍や海兵隊やF-35購入同盟国がコスト負担に耐えられるかや、F-35B型やC形にAETPが対応可能かが問題として指摘されてきましたが、Kendall長官や国防省幹部は「コスト負担が難しく、またF-35B型機へのAETP搭載の技術的リスクが高い」とAETP断念の理由を説明した模様です
P&W社からF-35エンジン供給を奪還しようとしてAETP搭載を強く推進していたGE社は、F-35B型機への対応問題を解決したと最近発表し、F-35「Block 4」以降へのパワー提供にはAETPが必要だと主張してきましたが、「この判断は大変残念だ」、「しかし2022年12月末に米空軍と締結した(次期制空機NGAD用に向けた)AETP開発予算で、XA100エンジンの更なる成熟に引き続き取り組んでいく」とコメントしています
引き続きF135エンジンの改修を担うことになったP&W社は、既に2023年度予算でF135改修の初期設計に着手しており、2028年から改修F135エンジンを提供可能だとし、既に10年かけて構築され稼働状態にある世界中のF-35エンジン整備施設や装備やサプライチェーンをそのまま使用できる点でも、コスト(AETP導入の1/3)と信頼性面で最も優れた選択だと改めて強調しています
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剛腕のKendal空軍長官が強烈に押していたAETP採用が、あっさり却下されました。また昨年夏には、米空軍次世代エンジン開発担当技術者が、AETPエンジンを採用しないと「米国の先端航空エンジン産業基盤は1企業のみに縮小して崩壊する(collapse)」とまで発言していましたが、不採用となりました。
F-35を導入した同盟国や海軍海兵隊からの反発も大きかったのだろうと推測します。
米空軍はAETP導入コストとして8000億円との数字を上げていましたが、その1/3でも2600億円で、1機あたりの改修費がどの程度になるのかが気になるところです・・・
F-35のエンジン問題
「GE社とP&W社が異なる主張」→https://holylandtokyo.com/2022/09/29/3681/
「AETP採用なら調達機数削減!覚悟?」→https://holylandtokyo.com/2022/09/13/3644/
「AETP採用しないと産業基盤崩壊訴え」→https://holylandtokyo.com/2022/08/24/3562/
「空軍長官:国防省に下駄預ける」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
「空軍長官:数か月で決着すべき」→https://holylandtokyo.com/2022/05/26/3260/
「上院で議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
「下院軍事委員長がAETPに関心」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/
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P&WはF135改修型を2028年から提供開始と

F-35エンジン問題は、現在使用のF135(Pratt & Whitney製)のエンジンブレード耐久性が想定より低く、機体稼働率低迷と維持整備コスト増の大きな要因となっていることや、F-35「Block 4」がより大きな電源や冷却性能を必要とすることから持ち上がっていました

また、米空軍がAETPで突っ走る中、米海軍や海兵隊やF-35購入同盟国がコスト負担に耐えられるかや、F-35B型やC形にAETPが対応可能かが問題として指摘されてきましたが、Kendall長官や国防省幹部は「コスト負担が難しく、またF-35B型機へのAETP搭載の技術的リスクが高い」とAETP断念の理由を説明した模様です

引き続きF135エンジンの改修を担うことになったP&W社は、既に2023年度予算でF135改修の初期設計に着手しており、2028年から改修F135エンジンを提供可能だとし、既に10年かけて構築され稼働状態にある世界中のF-35エンジン整備施設や装備やサプライチェーンをそのまま使用できる点でも、コスト(AETP導入の1/3)と信頼性面で最も優れた選択だと改めて強調しています
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F-35を導入した同盟国や海軍海兵隊からの反発も大きかったのだろうと推測します。
米空軍はAETP導入コストとして8000億円との数字を上げていましたが、その1/3でも2600億円で、1機あたりの改修費がどの程度になるのかが気になるところです・・・
F-35のエンジン問題
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シンガポールが追加で8機F-35B型購入へ [亡国のF-35]
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2020年同機4機を発注時の追加オプションを行使へ
60機保有のF-16C/D後継機として
2月27日付Defense-Newsは、シンガポールのNg Eng Hen国防相が同国議会の予算審議で、2020年の4機発注で可能になったF-35シミュレータ使用や電子戦能力確認、更には既に運用を開始している他国への調査等を経て、4機購入時の契約に含まれていた追加購入8機のオプションを行使する決定をした説明したと報じています
同国空軍は、現在60機の能力向上改修を終えたF-16C/D型を3個飛行隊編成で保有していますが、2030年頃から機体寿命によるF-16の退役が始まるようで、その後継機として狭い国土環境等も考慮し、フル装備搭載でも200m程度の離陸滑走で発進でき、垂直着陸が可能なF-35B型を後継機に選定しています
ただし、通常離着陸型のF-35A型の調査も引き続き続けているようで、少佐(!)をリーダーとする5名で特別チームを編成し、2022年夏に豪州主催で実施されたF-35A型(豪州空軍)とB型(米海兵隊:岩国基地所属)の両方が参加したPitch Black演習(8/19~9/9)等の機会を利用して、したたかに柔軟に情報収集する様子を過去記事でご紹介したこともありました。(A型も導入する可能性が現在もあるのかは不明)
シンガポールはマレー半島の先端のマラッカ海峡を望む要衝に位置していますが、国土面積は60余りの島々を合わせても東京23区程度の大きさで、現在狭い国土に5つの飛行場を保有しているものの、都市化の波で内1個を閉鎖する方針が既に決まっているようで、F-35B型のような機体が有事の飛行場被害を想定すれば適しているのでしょう
なお同国は、F-16C/D型機のパイロットや整備員養成部隊を、米軍との合意に基づきアリゾナ州Luke米空軍基地内に設置していますが、今後この米国駐留部隊をアーカンサス州のEbbing州空軍基地に移設し、2026年からのF-35B型機受け入れに備えると予定だそうです
【ご参考】F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(9か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、そして検討中なのがチェコ(24機)
シンガポールとF-35関連記事
「F-35B導入承認済もA型にも興味」→https://holylandtokyo.com/2022/09/15/3638/
「米がF-35B売却許可」→https://holylandtokyo.com/2020/01/15/866/
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2020年同機4機を発注時の追加オプションを行使へ
60機保有のF-16C/D後継機として

同国空軍は、現在60機の能力向上改修を終えたF-16C/D型を3個飛行隊編成で保有していますが、2030年頃から機体寿命によるF-16の退役が始まるようで、その後継機として狭い国土環境等も考慮し、フル装備搭載でも200m程度の離陸滑走で発進でき、垂直着陸が可能なF-35B型を後継機に選定しています

シンガポールはマレー半島の先端のマラッカ海峡を望む要衝に位置していますが、国土面積は60余りの島々を合わせても東京23区程度の大きさで、現在狭い国土に5つの飛行場を保有しているものの、都市化の波で内1個を閉鎖する方針が既に決まっているようで、F-35B型のような機体が有事の飛行場被害を想定すれば適しているのでしょう

【ご参考】F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(9か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、そして検討中なのがチェコ(24機)
シンガポールとF-35関連記事
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全世界のF-35エンジン改修へ:事故から2か月でF-35エンジン供給再開へ [亡国のF-35]
【追記情報!】
3月2日、米国防省F-35計画室は、90日以内に全世界のF-35(890機以上)のエンジンの改修(retrofit)を行うよう「期限付技術指令TCTD:Time Compliance Technical Directive」を発表
改修は「安価で負担少ない inexpensive and non-intrusive」と
改修は各部隊で4-8時間で可能と説明
12月の「共振」は60万時間使用で初の稀ケースと
「誰が」改修費用負担するかJPOは語らず・・・
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12月受入試験時の事故原因は「高周波共振」
極めて稀なケースとの判断で注意指示を出し飛行も再開へ
2月24日、米国防省F-35計画室JPOが、12月15日の新造機体受け入れ飛行試験でパイロットが緊急脱出するに至った事故を受け、F135エンジン受け入れと新造機等の受け入れ飛行試験を中止(少数の部隊配備機体飛行を含む)した件について、事故原因が「稀にしか発生しないエンジン内の高周波共振」で対策も見つかったので、近々エンジン供給と関係機体の飛行が再開されると声明を出しました
12月15日の事故は、ロッキード社から提供された新造F-35B型機の完成確認飛行試験をFort Worth工場の飛行場で行った際、低空ホバリング状態から機体が急降下して滑走路でバウンドし、機首と翼を地面にぶつけて機体がスピンし、パイロットが射出座席で脱出して軽傷を負った事故で、その直後から新造機及び一部機体が飛行禁止になり、12月27日からF135エンジン提供停止措置が取られ現在に至っています
偶然民間人が撮影していた事故映像(約90秒)
事故当初は高圧燃料チューブの破損が原因ではとの情報が流れましたが、まもなく同チューブには問題がなかったと明らかになり、その後2月9日頃から、「稀に発生する高周波共振:a rare harmonic resonance problem」が原因との発言がエンジン製造のP&W社等から聞かれるようになっていました
2月24日の声明でF-35計画室JPOは、「政府機関と関連企業チームが議論している対策を講じることで、F135エンジンに稀に発生する事象の影響を確実に局限することができ、影響を受けている機体の飛行を再開できるだろう」と明らかにしています。
またF-35計画室JPOは、「現在政府は、飛行停止になっている(一部の少数機を保有する)部隊と(新造機の飛行試験を中断している)ロッキードに対する、安全な飛行再開のための指示事項を取りまとめている」と声明で述べ、関係者は今後1-2週間で関連飛行が再開されるだろうと語っているようです
米空軍報道官は2月中旬に、米空軍の保有F-35で飛行停止指示を受けている機体は無いが、初期型エンジン搭載機体の燃料スロットルバルブの生産に影響があるとのニュアンスで語っていたようですが、主に米空軍部隊用の新造機が出荷停止措置を受け、2月中旬現在で、ロッキード社工場内で21機が出荷待ち状態だそうです。
米空軍はP&W社製F135エンジンの耐久性問題解決やエンジンの能力向上を狙い、次世代エンジンAETPのF-35搭載を決断するよう国防省に要望していますが、AETPエンジンはP&W社とGE社が開発を競っていることもあり、「稀に発生する高周波共振」問題は様々な方面を「揺り動かす」可能性を秘めています。
2月28日にP&W社が会見をやるそうで、追加情報があれば冒頭に追記します。
F-35のエンジン換装問題
「GE社とP&W社が異なる主張」→https://holylandtokyo.com/2022/09/29/3681/
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「空軍長官:国防省に下駄預ける」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
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「上院で議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
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次期制空機NGAD用のAETPエンジン開発
「プロトタイプ開発契約に機体メーカーも」→https://holylandtokyo.com/2022/09/01/3581/
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3月2日、米国防省F-35計画室は、90日以内に全世界のF-35(890機以上)のエンジンの改修(retrofit)を行うよう「期限付技術指令TCTD:Time Compliance Technical Directive」を発表
改修は「安価で負担少ない inexpensive and non-intrusive」と
改修は各部隊で4-8時間で可能と説明
12月の「共振」は60万時間使用で初の稀ケースと
「誰が」改修費用負担するかJPOは語らず・・・
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12月受入試験時の事故原因は「高周波共振」
極めて稀なケースとの判断で注意指示を出し飛行も再開へ

12月15日の事故は、ロッキード社から提供された新造F-35B型機の完成確認飛行試験をFort Worth工場の飛行場で行った際、低空ホバリング状態から機体が急降下して滑走路でバウンドし、機首と翼を地面にぶつけて機体がスピンし、パイロットが射出座席で脱出して軽傷を負った事故で、その直後から新造機及び一部機体が飛行禁止になり、12月27日からF135エンジン提供停止措置が取られ現在に至っています
偶然民間人が撮影していた事故映像(約90秒)
事故当初は高圧燃料チューブの破損が原因ではとの情報が流れましたが、まもなく同チューブには問題がなかったと明らかになり、その後2月9日頃から、「稀に発生する高周波共振:a rare harmonic resonance problem」が原因との発言がエンジン製造のP&W社等から聞かれるようになっていました

またF-35計画室JPOは、「現在政府は、飛行停止になっている(一部の少数機を保有する)部隊と(新造機の飛行試験を中断している)ロッキードに対する、安全な飛行再開のための指示事項を取りまとめている」と声明で述べ、関係者は今後1-2週間で関連飛行が再開されるだろうと語っているようです

米空軍はP&W社製F135エンジンの耐久性問題解決やエンジンの能力向上を狙い、次世代エンジンAETPのF-35搭載を決断するよう国防省に要望していますが、AETPエンジンはP&W社とGE社が開発を競っていることもあり、「稀に発生する高周波共振」問題は様々な方面を「揺り動かす」可能性を秘めています。
2月28日にP&W社が会見をやるそうで、追加情報があれば冒頭に追記します。
F-35のエンジン換装問題
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次期制空機NGAD用のAETPエンジン開発
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F-35が太陽の無い氷点下40度の最北基地に初展開 [亡国のF-35]
グリーンランドのThule空軍基地へ4機
太陽の出ない最低零下40度の環境下で2週間
NOBLE DEFENDER作戦の一環で
1月31日までの約2週間、米空軍の最北端基地であるグリーンランドのThule空軍基地に4機のF-35Aが初めて展開し、太陽の出ない最低気温零下40度の厳しい環境での訓練を行いました。
報道記録によれば、2018年初旬にアラスカのアイルソン基地にF-35数機が展開した際は、機体バッテリーが低温環境に対応できず、離陸後に警報信号が出て緊急着陸に至った事案もあったようですが、バッテリー保温装置の改良等を経て、無事今回の訓練展開を乗り切ったとのことです。
「訓練」だとご紹介していますが、厳密には北極圏エリアで米軍のプレゼンスを示すため北米防空司令部が行う「Operation NOBLE DEFENDER」との作戦行動の一環で、数か月に1回の頻度で実施されているようですが、今回は米空軍F-35の他にE-3早期警戒管制機、KC-135空中給油機、加えてカナダ空軍からCF-18戦闘機とCC-150輸送機やCH-149輸送ヘリも参加し、厳冬環境での運用能力を示したようです
なお米空軍最北端基地であるThule空軍基地は、基地司令官を米宇宙軍大佐が務める約150名体制の基地で、普段は弾道ミサイル監視レーダー(AN/FPS-132)を運用して米本土の防空最前線を担う基地で、更に今回の訓練ではグリーンランド各地に設置されている「Forward Operating Location」数か所の展開先も含め計約230名の米軍とカナダ軍兵士が展開したと報道されています
これまでも取り上げたように、地球温暖化を受けた北極圏の氷の減少で、北極航路の開拓等の北極を巡る勢力圏争いが激化の様相を呈しており、ロシアの同地域ので活動活発化の他、中国の砕氷船まで進出するなど、米軍としても見過ごすわけにはいかない状況となっています
グリーンランドは現在、デンマーク王国を構成する一つの自治政府として自ら統治していますが、デンマークは既にF-35を導入&運用開始しており、北極圏周辺ではノルウェーも領空保全対処(スクランブル待機)をF-35で開始しています。またカナダも先日88機のF-35導入を決定したところで、極圏でのF-35の運用は一つの重要なパーツとして期待されています
北極圏関連の記事
「ノルウェーがF-35を世界初?の領空保全任務に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/12/2598/
「グリーランドに中国企業」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「北極航路ブームは幻想?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-13
米国防省と米軍の動き
「米唯一の大型稼働砕氷艦が運行不能」→https://holylandtokyo.com/2020/08/28/535/
「大統領が米砕氷艦計画の再評価指示」→https://holylandtokyo.com/2020/07/06/565/
「米空軍2トップの寄稿;北極圏と米空軍」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-13
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02
ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09
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太陽の出ない最低零下40度の環境下で2週間
NOBLE DEFENDER作戦の一環で

報道記録によれば、2018年初旬にアラスカのアイルソン基地にF-35数機が展開した際は、機体バッテリーが低温環境に対応できず、離陸後に警報信号が出て緊急着陸に至った事案もあったようですが、バッテリー保温装置の改良等を経て、無事今回の訓練展開を乗り切ったとのことです。


これまでも取り上げたように、地球温暖化を受けた北極圏の氷の減少で、北極航路の開拓等の北極を巡る勢力圏争いが激化の様相を呈しており、ロシアの同地域ので活動活発化の他、中国の砕氷船まで進出するなど、米軍としても見過ごすわけにはいかない状況となっています

北極圏関連の記事
「ノルウェーがF-35を世界初?の領空保全任務に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/12/2598/
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米国防省と米軍の動き
「米唯一の大型稼働砕氷艦が運行不能」→https://holylandtokyo.com/2020/08/28/535/
「大統領が米砕氷艦計画の再評価指示」→https://holylandtokyo.com/2020/07/06/565/
「米空軍2トップの寄稿;北極圏と米空軍」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-13
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02
ロシアの北極圏活動
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「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
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カナダが正式に88機F-35A導入発表 [亡国のF-35]
初度4機を2026年に、2032年までに全機を
寒冷地での運用実績やサプライチェーン安定を受け
1月9日、カナダのAnita Anand国防相は、CF-18戦闘機の後継としてF-35を第1候補にすると2022年3月に発表してところ、88機を2032年までに調達する過去30年間でカナダ空軍最大の投資案件になることを正式に決定したと発表し、2026年に4機、27年に6機、28年に6機を当面導入予定だと明らかにしました
また、F-35導入決定が遅れたことで138機保有のCF-18の維持が困難になっていることに関し同女性国防相は、豪州から導入決定している中古FA-18と現有CF-18の延命アップグレードにより、F-35導入完了2032年までの間に戦闘機不足に陥らないよう対応すると説明しています
カナダは8か国の「共同開発国」としてF-35開発開始当初から参画していましたが、策士であるトルドー首相の下、F-35共同開発国ながら同機の開発遅れや価格高騰を理由に購入決定を延期し続け、「つなぎ戦闘機」として豪空軍中古F-18購入まで決断していましたが、2018年頃から複数機種を候補に「情勢をしっかり見極める機種選定」を再開し、2022年3月に「F-35を第1候補、グリペンを第2候補に指定し、F-35で価格交渉がとん挫すればグリペンにする」と「粘り腰」発表していたところです
この「情勢をしっかり見極める機種選定」を振り返り同国防相は、「F-35はこの間に成熟した。サプライチェーン問題も懸念はなく、カナダは同機が期限内に納入されると確信し、CF-18退役を進められると判断した」と述べ、更にカナダ特有の寒冷地運用の懸念に関しても、ノルウェーや米軍アラスカでの運用実績が懸念を払しょくし、北極圏でのドラッグシュート運用や「磁北でなく真北での運用」にも取り組んでいくと説明しています
また同国防相は具体的なカナダでの運用&訓練拠点基地に関し、ケベック州のBagotville基地とアルバータ州のCold Lake基地を計画していると明らかにしました
F-35導入に関連する国内産業への恩恵について、既に共同開発国としての参画で約4000億円規模を確保し、今後25年間は3300もの雇用を生み出すとし、その数値はさらに拡大するだろうと期待を同国防相は表明しています
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価格交渉も想定内で収まり、サプライチェーン問題にも懸念は無いとの発表ですが、F-35の維持費高止まりやエンジン問題などに改善変化が全くない中ですので、種々の国際情勢を総合的に勘案した「政治的決断」と理解するのが適当でしょう
ロッキード社はカナダの発表に併せ、現時点でF-35戦闘機は既に890機以上が9か国の27基地で運用されているとアピールしています。
F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(9か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、そして検討中なのがチェコ(24機)
策士トルドー首相カナダ選定の紆余曲折
「F-35を第1候補に決定」→https://holylandtokyo.com/2022/03/31/3061/
「仕切り直し再開か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-03
「カナダが中古の豪州FA-18購入へ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10
「痛快:カナダがF-35購入5年延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-23
「カナダに軍配:旅客機紛争」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-28
「米加の航空機貿易戦争に英が参戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-16-1
「第2弾:米カナダ防衛貿易戦争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-04
「5月18日が開戦日!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20
「ノルウェーがF-35を領空保全任務に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/12/2598/
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寒冷地での運用実績やサプライチェーン安定を受け

また、F-35導入決定が遅れたことで138機保有のCF-18の維持が困難になっていることに関し同女性国防相は、豪州から導入決定している中古FA-18と現有CF-18の延命アップグレードにより、F-35導入完了2032年までの間に戦闘機不足に陥らないよう対応すると説明しています

この「情勢をしっかり見極める機種選定」を振り返り同国防相は、「F-35はこの間に成熟した。サプライチェーン問題も懸念はなく、カナダは同機が期限内に納入されると確信し、CF-18退役を進められると判断した」と述べ、更にカナダ特有の寒冷地運用の懸念に関しても、ノルウェーや米軍アラスカでの運用実績が懸念を払しょくし、北極圏でのドラッグシュート運用や「磁北でなく真北での運用」にも取り組んでいくと説明しています

F-35導入に関連する国内産業への恩恵について、既に共同開発国としての参画で約4000億円規模を確保し、今後25年間は3300もの雇用を生み出すとし、その数値はさらに拡大するだろうと期待を同国防相は表明しています
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ロッキード社はカナダの発表に併せ、現時点でF-35戦闘機は既に890機以上が9か国の27基地で運用されているとアピールしています。
F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(9か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、そして検討中なのがチェコ(24機)
策士トルドー首相カナダ選定の紆余曲折
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「仕切り直し再開か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-03
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「カナダに軍配:旅客機紛争」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-28
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欧州F-35運用国が集結して機体の相互整備議論 [亡国のF-35]
TornadoやEurofighterで実績のある手法
共同訓練や有事展開の際の相互支援で国境をまたぐ柔軟運用
整備作業の標準化(standardization)で
11月22日、イタリアで実施中の多国間航空演習「Falcon Strike 2022」のタイミングに併せ、欧州でF-35を運用中または導入予定の11か国の空軍トップが一堂に会し、F-35が国境を越えて機動展開した際に、展開先のF-35保有国が燃料補給や弾薬搭載を含む基礎的な整備作業を相互支援(shared maintenanceとかcross servicingと表現)することを話し合った模様です
同空軍トップ会議への欧州からの参加国は、Finland, Poland, Belgium, Israel, Norway, Denmark, the Netherlands, Italy, the U.K.で、これに米国とカナダが加わった11か国と23日付Defense-News記事は紹介していますが、会議場のパネルには、日本の国旗のようなデザインも見られ、気になることろです
このような基礎的整備作業の相互運用性確立は、既に欧州共同開発の「Tornado」や「Eurofighter」で実績のある手法らしく、当日は「Falcon Strike 2022」に参加中のオランダ空軍兵士がイタリア空軍F-35の再発進準備を行う模様がメディアや各国空軍トップに披露されたそうです
この相互整備の利点について伊空軍トップは、「現在は伊F-35をオランダに展開すると、約100名の伊空軍兵士を派遣する必要があるが、オランダから「shared maintenance」支援を受けることで、派遣要員を30~50人にまで縮小することが可能」とメディアに語っています
同時に会議に参加のオランダ空軍トップは、「イタリア北部のCameri飛行場に設置されているF-35のFACO(最終組み立て工場)で、整備作業も可能になればよいと思う。同施設の組み立て品質等の能力評価を行って検討すべきだ」、「フェラーリが作れる国なんだから、F-35だって大丈夫だ・・・と皆で話し合っていたところだ」とも語り、欧州内でのF-35維持整備体制の強化にも話が及んでいることを示唆しています
このようなF-35整備作業の標準化(standardization)の機運が高まている背景には、現時点で既に欧州諸国保有F-35が約140機に達し、2034年にはこの数が600機を超える可能性があり、整備作業の標準化が大きな効果を発揮する素地が生まれつつがあるからです
更に言うまでもなく、ウクライナを侵略するロシアへの欧州やNATOとしての団結強化をアピールする手段として、非常に重要な役割を果たすと関係国に認識されており、James Hecker欧州アフリカ米空軍司令官は、
「NATOに敵対する者への強いメッセージとなる」、「ウクライナでは誰も航空優勢(air superiority)を確保していないから数十万人もの死傷者が出ている。西側が航空優勢を握っていた20年間のアフガンでの戦いより圧倒的に犠牲者が多い」、「航空優勢の重要性をウクライナは示している」と、整備作業の標準化による基礎的整備作業の相互運用性確立を航空優勢の基礎として重要だと訴えています
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F-35の基礎的な整備作業の標準化(standardization)により、国境をまたいで展開するF-35の整備作業を国家間で相互支援(shared maintenanceとかcross servicing)するという素晴らしい取り組みで、「Tornado」や「Eurofighter」での実績もある実効性のあるチャレンジです。ぜひ取り組みが成熟することを祈ります
ただ、欧州諸国購入と米国が欧州に展開するF-35が「2034年には600機を超える可能性」については明確に否定しておきます。戦闘機の重要性がテレビの視聴率並みに急激右肩下がりの中で、機体価格が右肩上がりになり、維持費も高止まりなF-35を、計画通りに購入し続ける国など欧州には無いと思います
ウクライナで「誰も航空優勢を確保していない」とのご主張ですが、戦闘機で航空優勢を確保することはもっと難しい時代になっていることに気付くべきだと思います。戦闘機で航空優勢を確保したつもりでも、そんな戦闘機の根拠基地はすぐにミサイルや無人機やサイバー攻撃で安価に無効化されますよ。ウクライナの現実に素直に目を向けるべきです
戦闘機による航空優勢なんて・・・
「イラン製無人機がウで猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「ウ侵略は通信へのサイバー攻撃で開始」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ウで戦闘機による制空の時代は終焉」→https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
「嘉手納F-15撤退を米空軍の構想から見る」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
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共同訓練や有事展開の際の相互支援で国境をまたぐ柔軟運用
整備作業の標準化(standardization)で

同空軍トップ会議への欧州からの参加国は、Finland, Poland, Belgium, Israel, Norway, Denmark, the Netherlands, Italy, the U.K.で、これに米国とカナダが加わった11か国と23日付Defense-News記事は紹介していますが、会議場のパネルには、日本の国旗のようなデザインも見られ、気になることろです

この相互整備の利点について伊空軍トップは、「現在は伊F-35をオランダに展開すると、約100名の伊空軍兵士を派遣する必要があるが、オランダから「shared maintenance」支援を受けることで、派遣要員を30~50人にまで縮小することが可能」とメディアに語っています

このようなF-35整備作業の標準化(standardization)の機運が高まている背景には、現時点で既に欧州諸国保有F-35が約140機に達し、2034年にはこの数が600機を超える可能性があり、整備作業の標準化が大きな効果を発揮する素地が生まれつつがあるからです

「NATOに敵対する者への強いメッセージとなる」、「ウクライナでは誰も航空優勢(air superiority)を確保していないから数十万人もの死傷者が出ている。西側が航空優勢を握っていた20年間のアフガンでの戦いより圧倒的に犠牲者が多い」、「航空優勢の重要性をウクライナは示している」と、整備作業の標準化による基礎的整備作業の相互運用性確立を航空優勢の基礎として重要だと訴えています
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ただ、欧州諸国購入と米国が欧州に展開するF-35が「2034年には600機を超える可能性」については明確に否定しておきます。戦闘機の重要性がテレビの視聴率並みに急激右肩下がりの中で、機体価格が右肩上がりになり、維持費も高止まりなF-35を、計画通りに購入し続ける国など欧州には無いと思います
ウクライナで「誰も航空優勢を確保していない」とのご主張ですが、戦闘機で航空優勢を確保することはもっと難しい時代になっていることに気付くべきだと思います。戦闘機で航空優勢を確保したつもりでも、そんな戦闘機の根拠基地はすぐにミサイルや無人機やサイバー攻撃で安価に無効化されますよ。ウクライナの現実に素直に目を向けるべきです
戦闘機による航空優勢なんて・・・
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F-35エンジン問題にGE社とP&W社が異なる主張 [亡国のF-35]
共に2016年からAETPエンジンを開発するライバル同士
GE社がF-35エンジン換装を強く主張するも
P&W社はAETPへの換装に反対で現F135改修を主張
9月12日、2016年から次世代戦闘機用エンジン開発計画AETP(Adaptive Engine Transition Program)にそれぞれ取り組んでいる2社(GE社とP&W社:米空軍と契約)の一つGE Aviation社が、テネシー州にある米空軍の開発施設(AEDC)で3月から8月にかけ実施していた同社製XA100エンジンの性能確認試験をクリアし、契約が求める大きな関門を突破し本格的な開発製造段階に向けた大きな一歩を達成したと発表しました
AETPに関しては繰り返しご紹介しているように、現在使用されているF-35用エンジンF135(Pratt & Whitney製)のエンジンブレード耐久性が想定より低く、機体稼働率低迷と維持整備コスト増の大きな要因となっていることから、次期制空機NGAD用に開発中のAETPエンジンをF-35にも応用開発して搭載するか、現F135エンジン改修を行うか、現F135エンジンの維持整備体制等を強化して「しのぐ」か等の選択を迫られている状態にあり、本日もF-35エンジン問題対処関連でご紹介しているものです
GE社は発表声明で、「わが社はAETPエンジンXA100の設計開発段階に進む準備を完了し、F-35に2020年代末までに同エンジンを提供する準備を確立した」、「この試験は、本格生産AETPエンジン変わらない規模重量の試作エンジンに対して行われ、F-35(Block 4)に対し、現装備エンジンより航続距離3割増し・推力2割推力増しのエンジン提供が可能なことを示した。わが社のXA100は米空軍の目指す性能を満たした唯一の戦闘機エンジンとなった」と自信を示しました
このGE発表に対し、同じくAETPエンジン開発を行っているPratt & Whitney社は、同社のAETPエンジン(XA101)開発は計画通り進んでいるとの声明を発表すると同時に、AETPは開発の本来目的である次世代制空機NGADへの搭載が最適であり、F-35への搭載は推奨できず、F-35のP&W社製F135エンジン問題に対しては安全リスクや価格から、F135改修案(EEP:Enhanced Engine Package)が最適だと主張しています
以下では、GE社とP&W社の主張の違いをご紹介
(論点はかみ合っていませんが、各種報道より)
GE社の主張
●AETPエンジン(XA100)搭載により、航続距離30%増、推力20%増以上の性能向上得られ、また機体への電力供給余裕も生まれて、対中国等の想定環境に必要な能力提供が可能となる
●単発エンジン機であるF-35のエンジン換装に関し、安全リスクを指摘する意見があるが、同じ単発エンジン機で世界的ベストセラーの戦闘機F-16でも、当初P&W社製だったエンジンを、後のバージョンでGE製に換装した経験もあり、問題がないことを示している
P&W社の主張
●F135エンジン改修案(EEP:Enhanced Engine Package)は、最も迅速に、費用対効果良く、低リスクでF-35(Block 4)の要求性能を提供でき、同時にライフサイクルコストを5兆円抑制する案である
●単発エンジン機であるF-35に、今になってエンジン換装を行うのは極めて安全上のリスクが高く、かつ高コストである。また垂直着陸型F-35BにはAETPは搭載できない。(問題はあるが)F135エンジンは既に100万時間の飛行実績を重ねた頼れるエンジンである。
●このようなエンジン換装を持ち出すことは、F-35導入決断した同盟国等との関係にダメージを与えることになる
注・・・AETPコストはKendall空軍長官によれば、AETPをF-35に搭載するには開発費等初期投資とエンジン調達費に約8000億円必要で、F135エンジン改修EEPオプション費用の3倍で、ライフサイクルコスト換算だと4兆3000億円も現エンジン改修より高価
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F-35エンジン問題をしつこく取り上げているのは、米空軍を中心とした米軍予算への影響が極めて大きいこともありますが、P&W社も持ち出している「F-35導入決断した同盟国との関係へのダメージ」が気になるからです。
このままだと、F-35導入機数で米国に次ぐ機数になりそうな日本への影響が気になるからです。「もう、F-35のことを取り上げないでくれ・・・」とのコメントを頂くことがありますが、日本の限られた防衛予算を考えると、F-35への投資が極めて大きな負のインパクトを与えることは、コメントされた方ご自身が一番わかっていらっしゃると思います
引き続き生暖かく「亡国のF-35」を見ていきたいと思います。
F-35のエンジン問題
「AETP採用なら調達機数削減!覚悟?」→https://holylandtokyo.com/2022/09/13/3644/
「AETP採用しないと産業基盤崩壊訴え」→https://holylandtokyo.com/2022/08/24/3562/
「空軍長官:国防省に下駄預ける」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
「空軍長官:数か月で決着すべき」→https://holylandtokyo.com/2022/05/26/3260/
「上院で議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
「下院軍事委員長がAETPに関心」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/
次期制空機NGAD用のAETPエンジン開発
「プロトタイプ開発契約に機体メーカーも」→https://holylandtokyo.com/2022/09/01/3581/
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GE社がF-35エンジン換装を強く主張するも
P&W社はAETPへの換装に反対で現F135改修を主張




以下では、GE社とP&W社の主張の違いをご紹介
(論点はかみ合っていませんが、各種報道より)
GE社の主張

●単発エンジン機であるF-35のエンジン換装に関し、安全リスクを指摘する意見があるが、同じ単発エンジン機で世界的ベストセラーの戦闘機F-16でも、当初P&W社製だったエンジンを、後のバージョンでGE製に換装した経験もあり、問題がないことを示している
P&W社の主張

●単発エンジン機であるF-35に、今になってエンジン換装を行うのは極めて安全上のリスクが高く、かつ高コストである。また垂直着陸型F-35BにはAETPは搭載できない。(問題はあるが)F135エンジンは既に100万時間の飛行実績を重ねた頼れるエンジンである。
●このようなエンジン換装を持ち出すことは、F-35導入決断した同盟国等との関係にダメージを与えることになる

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F-35エンジン問題をしつこく取り上げているのは、米空軍を中心とした米軍予算への影響が極めて大きいこともありますが、P&W社も持ち出している「F-35導入決断した同盟国との関係へのダメージ」が気になるからです。

引き続き生暖かく「亡国のF-35」を見ていきたいと思います。
F-35のエンジン問題
「AETP採用なら調達機数削減!覚悟?」→https://holylandtokyo.com/2022/09/13/3644/
「AETP採用しないと産業基盤崩壊訴え」→https://holylandtokyo.com/2022/08/24/3562/
「空軍長官:国防省に下駄預ける」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
「空軍長官:数か月で決着すべき」→https://holylandtokyo.com/2022/05/26/3260/
「上院で議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
「下院軍事委員長がAETPに関心」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
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「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/
次期制空機NGAD用のAETPエンジン開発
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F-35エンジン換装なら調達機数削減示唆 [亡国のF-35]
空軍長官がAETPエンジン導入主張しつつ意味深発言
「AETPは高価なエンジン」「概算で70機分削減だ」
AETP採用しないと軍需産業崩壊発言には「言い過ぎ」
9月7日、Kendall空軍長官がDefense-News主催のパネル討議でF-35エンジン問題について国防省レベルでの早期決断を促すとともに、自身が希望する新エンジンAETPへの換装を選択した場合、F-35用への開発だけで8000億円以上必要なことから、米空軍は概算でF-35調達機数を70機削減する厳しい選択を迫られると語りました
繰り返しご紹介してきたようにこの問題は、現在使用されているF-35用エンジンF135(Pratt & Whitney)のエンジンブレードの耐久性が想定より低く、機体稼働率低迷と維持整備コスト増の大きな要因となっていることから、次期制空機用に開発中のAETPエンジンをF-35に適応開発して搭載するか、現F135エンジン改修を行うか、現F135エンジンの維持整備体制等を強化して「しのぐ」か等の選択を迫られている件です
空軍長官はかねてより、高価(F135改修の3倍)だが出力や燃料消費効率が3割近く改善するAETP採用を希望していますが、一方でF-35が米海軍海兵隊や同盟国でも広く採用されていることから、国防省レベルで2024年度予算議論の中で早期決断すべきであり、「いつまでもAETPのF-35適応開発検討に予算を注ぎ込んでいられない」と国防副長官や調達担当国防次官に訴えてきたところです
7日のパネル討議で空軍長官は、「既に数百機のF-35を保有している我々は、高価な開発費が必要なAETPエンジンをどのようにどの程度導入するかを考えねばならない。概算で開発費は70機分のF-35に相当し、新エンジンを導入するには70機少ないF-35で我慢することが求められる」と具体的に語っています
AETPのF-35用適応開発費は8000億円強で70機相当なのかもしれませんが、AETP導入でライフサイクルコストが4兆3000億円に膨らむとも報道されており、F135改修案よりも遥かに高額で、これを米空軍内で納めようとすると70機の削減では済まないとも考えられます
また同空軍長官はパネル討議で、8月11日に空軍エンジン開発担当幹部が「AETPへの換装を選択しないと、エンジン関連の軍需産業基盤が崩壊する」と発言して物議を醸している件については、「言い過ぎだ:overstatement」と述べ、軍需産業界に健全な競争環境を維持することは関係者が常々考えていることで、引き続き念頭に置いておく必要がある課題だと述べるにとどめています
更に次期制空機NGAD用のエンジンAETPプロトタイプ製造契約に関し、それぞれにエンジン試作中のGE 社(XA100エンジン)とPratt & Whitney社(XA101エンジン)に加え、競い合っているはずの機体開発3企業ボーイング、ロッキード、N-グラマンも含むことを8月19日に米空軍が発表して話題になりましたが、この件についてKendall長官は「製造されるエンジン数は、F-35と比較するとmodestだ」と語り、1期数百億円だと同長官が表現したNGADの調達機数が少なくなることを示唆しています
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7日のパネル討議で「70機」という数字を出したKendall空軍長官の意図はよくわかりません。
単に、8000億円以上と言われる高価な開発費のイメージを表現したのか、空軍は70機調達機数を削減してでもAETPを希望すると主張したかったのか、ライフサイクルコストまで含めると跳ね上がる経費を飲み込むため、現在の1763機調達予定数を350-400機削減することへの前振りなのか、同盟国等への迷惑な強制情報提供なのか・・・
益々「亡国のF-35」との表現がふさわしい戦闘機となってきたF-35について、今後とも生暖かく見守っていきますが、世界各国の空軍でF-35を担当させられている有能な働き盛りの皆様が直面する苦悩を思うと、本当に胸が痛みます
F-35のエンジン問題
「AETP採用しないと産業基盤崩壊訴え」→https://holylandtokyo.com/2022/08/24/3562/
「空軍長官:国防省に下駄預ける」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
「空軍長官:数か月で決着すべき」→https://holylandtokyo.com/2022/05/26/3260/
「上院で議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
「下院軍事委員長がAETPに関心」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/
次期制空機NGAD用のAETPエンジン開発
「プロトタイプ開発契約に機体メーカーも」→https://holylandtokyo.com/2022/09/01/3581/
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「AETPは高価なエンジン」「概算で70機分削減だ」
AETP採用しないと軍需産業崩壊発言には「言い過ぎ」

繰り返しご紹介してきたようにこの問題は、現在使用されているF-35用エンジンF135(Pratt & Whitney)のエンジンブレードの耐久性が想定より低く、機体稼働率低迷と維持整備コスト増の大きな要因となっていることから、次期制空機用に開発中のAETPエンジンをF-35に適応開発して搭載するか、現F135エンジン改修を行うか、現F135エンジンの維持整備体制等を強化して「しのぐ」か等の選択を迫られている件です

7日のパネル討議で空軍長官は、「既に数百機のF-35を保有している我々は、高価な開発費が必要なAETPエンジンをどのようにどの程度導入するかを考えねばならない。概算で開発費は70機分のF-35に相当し、新エンジンを導入するには70機少ないF-35で我慢することが求められる」と具体的に語っています

また同空軍長官はパネル討議で、8月11日に空軍エンジン開発担当幹部が「AETPへの換装を選択しないと、エンジン関連の軍需産業基盤が崩壊する」と発言して物議を醸している件については、「言い過ぎだ:overstatement」と述べ、軍需産業界に健全な競争環境を維持することは関係者が常々考えていることで、引き続き念頭に置いておく必要がある課題だと述べるにとどめています

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7日のパネル討議で「70機」という数字を出したKendall空軍長官の意図はよくわかりません。

益々「亡国のF-35」との表現がふさわしい戦闘機となってきたF-35について、今後とも生暖かく見守っていきますが、世界各国の空軍でF-35を担当させられている有能な働き盛りの皆様が直面する苦悩を思うと、本当に胸が痛みます
F-35のエンジン問題
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F-35データを僻地展開先から伝送する試験に成功 [亡国のF-35]
4-5月にアラスカで予備試験し、6月にパラオでの演習で検証
大尉以下5名のチームがPACAFの命を受け挑戦し成功
7日間で100ソーティー分50ギガバイト情報を伝送
8月19日付米空軍協会web記事が、F-35運用開始以来の課題とされてきた、「AFNet:Air Force Network」に接続できない設備不十分な基地をF-35が拠点にした場合の膨大な蓄積データの伝送に関し、前線通信部隊の提案を太平洋空軍が予算を付けて検証させ、様々な許認可や組織の壁を乗り越えて世界中で使用可能な手法を生み出し、ACE構想(agile combat employment)推進に大きく貢献していると紹介しています
提案したのはグアムのアンダーセン基地に拠点を置く第644戦闘通信隊で、同部隊の大尉以下5名のチームが今年4月から5月にかけての30日間、西太平洋の離島に見立てたアラスカのアイルソン基地に展開し、F-35を開発したロッキード社や国防省ネットワークシステム庁、更に各地の戦闘通信部隊と連携しつつ、同部隊が保有する約250㎏の機動展開用通信キットを少し改良し、各種ネットワーク連接許可を「官僚制の壁」を乗り越えて獲得し、衛星通信利用許可も得て成功したということです
アラスカでの30日間の検証の成果は、直ちに6月に実施された「Valiant Shield」演習でも試され、パラオに展開したF-35データの伝送利用に成功した模様で、F-35が世界中のどの辺鄙な場所を拠点として活動しても、「空飛ぶ計算機」とか「空飛ぶデータセンター」と呼ばれるF-35集積蓄積したデータを迅速に共有して有効活用可能にする基礎技術が確立された模様です
具体的に第644戦闘通信隊の大尉以下5名のチームが、どのような手法を用いて長年の課題を克服したかまんぐーすは記事から理解できませんでしたが、5名のチームを率いた大尉は、12年の空軍キャリアのうちの9年間も各地に展開してネットワーク構築する業務に従事し、陸海海兵隊のほか同盟国との現地調整に当たってきた経験を持つ「現場を熟知した」人材で、現場目線で温めてきたアイディアをチャンスを生かして実現したようです
記事には、通常辺鄙な展開先に確立される通信速度や通信容量の細い戦術ネットワークを組み合わせ、少し大きい衛星通信用のアンテナを用い、太平洋空軍司令部の「お墨付き」を背景に各種のネットワーク接続許可や衛星通信使用許可も得て実現に至ったと説明されています。また、F-35展開先に必ずしも通信ネットワーク装備を展開させなくても、「hub-and-spoke concept」で実現可能なシステム構成になっているようです
様々な試行錯誤を経てネットワークを構築し、最終的にアラスカのアイルソン基地で、「7日間でF-35が蓄積した100ソーティー分の情報50ギガバイト分を伝送」できたことがどれほどの意味を持つのかまんぐーすは説明できませんが、同チームの軍曹は「これで世界中のどこにF-35が降り立っても、データを共有できる」と語っています
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F-35が「空飛ぶ計算機」とか「空飛ぶデータセンター」と呼ばれる意味をよく理解しておらず、記事が伝えようとしているこの試験の意義を十分に把握できていないまんぐーすですが、通信ネットーク構築と言う極めて重要ながら一部の専門家しか理解していない事項が、「軍事組織の官僚機構」の中で「最適化」されずに放置されている様子が伺えるような気がします
記事の中には「官僚機構」「許可申請」との言葉が何回か使用され、太平洋空軍司令部の「お墨付き」で壁を乗り越えていった様子が示唆されており、現場の意見やアイディアが改善に結び付きにくい現状を暴露した事例のような気がしてなりません
SpaceXがロシアの妨害に負けず、「Starlink」を生かしてウクライナのネット接続を守った迅速適切な対応を、国防省電子戦担当幹部が「涙が出るほど素晴らしい」「国防省ではこれほど迅速な対応はできない」と吐露した教訓も生々しいところですが、なかなが巨大な軍事組織が変われない事例が一つF-35関連で明らかになったと理解しています
SpaceXがウクライナへのネット接続を死守
「ロシアの電子戦に迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
最近のF-35関連記事
「エンジン換装問題の早期決着を要求」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
「射出座席問題で飛行停止」→https://holylandtokyo.com/2022/08/04/3531/
「チェコが18番目の導入候補国に」→https://holylandtokyo.com/2022/07/25/3492/
「米海軍が調達ペース抑制へ」→https://holylandtokyo.com/2022/07/07/3420/
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大尉以下5名のチームがPACAFの命を受け挑戦し成功
7日間で100ソーティー分50ギガバイト情報を伝送

アラスカでの30日間の検証の成果は、直ちに6月に実施された「Valiant Shield」演習でも試され、パラオに展開したF-35データの伝送利用に成功した模様で、F-35が世界中のどの辺鄙な場所を拠点として活動しても、「空飛ぶ計算機」とか「空飛ぶデータセンター」と呼ばれるF-35集積蓄積したデータを迅速に共有して有効活用可能にする基礎技術が確立された模様です


様々な試行錯誤を経てネットワークを構築し、最終的にアラスカのアイルソン基地で、「7日間でF-35が蓄積した100ソーティー分の情報50ギガバイト分を伝送」できたことがどれほどの意味を持つのかまんぐーすは説明できませんが、同チームの軍曹は「これで世界中のどこにF-35が降り立っても、データを共有できる」と語っています
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記事の中には「官僚機構」「許可申請」との言葉が何回か使用され、太平洋空軍司令部の「お墨付き」で壁を乗り越えていった様子が示唆されており、現場の意見やアイディアが改善に結び付きにくい現状を暴露した事例のような気がしてなりません

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「エンジン換装問題の早期決着を要求」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
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恫喝:F-35に新エンジン搭載しないと産業基盤崩壊と [亡国のF-35]
AETPをF-35に搭載しないと1企業のみ生存と訴え
現装備F135エンジン改修より3倍高コストのAETP推進
燃費25%・航続距離30%・推力倍増とアピールの亡国ぶり
8月11日、米空軍主催の「Life Cycle Industry Day」で米空軍次世代戦闘機エンジン開発担当John Sneden氏が記者団に、耐久性不足で稼働率が低迷するF-35エンジン問題に対し、仮に米国防省が新型次世代エンジンAETP(Adaptive Engine Transition Program)への換装を選択せず、現F135エンジンの継続使用や同エンジンの改修案を採用したなら、米国の先端航空エンジン産業基盤は1企業のみに縮小して「崩壊する:collapse」と恫喝しました
この問題は、F-35のF135エンジンのエンジンブレード耐久性が不足し、当初予想より修理整備作業が頻発してF-35稼働率を低迷させている件で、現F135エンジンを改修するオプションか、新エンジンAETPへの換装を進めるかの選択を2024年度予算案取りまとめ課程で決断を迫られているものです。
ただでさえ維持整備費が第4世代機の2倍近くに高止まりして英国等のF-35購入国から非難の声が上がり、米軍内で調達機数削減の検討が行われている中、傷口に塩を刷り込むように米空軍長官らが国防省調達担当次官やF-35計画室に高価な新エンジンAETPへの換装決断を迫っているものです
8月16日付Defense-News記事によれば、F-35導入中の他軍種や同盟国等との関係があるので国防省がどのオプションを採用するか最終決定を行うべきだと米空軍が「下駄を預けた」形になっている本件に関し、新エンジンAETP採用なら開発費等を含めて生産に約8000億円の見積もりで、F135エンジン改修オプションの費用3倍で、ライフサイクルコスト換算だと4兆3000億円も現エンジン改修より高価だそうです。
ただGE 社(XA100)とPratt & Whitney社(XA101)がそれぞれ独自開発しているAETPはデモ段階で、燃費25%改善・航続距離30%増・推力倍増の結果を示しているそうで、対中国作戦には不可欠だと米空軍は主張しているようです
同時に同エンジン開発担当John Sneden氏は記者団に、恫喝とも泣き落としとも思われる作戦を繰り出し、国防省がAETPをF-35新エンジンに採用してくれたなら、2024年から本格開発フェーズに入って2030年までに提供可能となり、NGADのエンジン選定が予定される2024年のタイミングとも合致して丁度良いが、仮に採用されないと米国先進エンジン開発産業基盤は1社体制になって競争環境を失い「崩壊する:collapse」との論を展開しています
各オプションのコストやスケジュールやエンジン性能改善貢献度を、米海空海兵隊の協力を得て国防省F-35計画室が今年夏に取りまとめる予定で、更に米空軍は別途、各オプションが実際の作戦運用場面でのどのようなインパクトを与えるのかを検討して9月にまとめるようです
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足元では、7月末にチェコ共和国が18番目のF-35購入候補国に名乗りを上げたところですが、皆さん懐具合は大丈夫なんでしょうか? 現時点で1760機を購入予定としている米空軍は、恐らくエンジン問題対処へのコストも含めて総調達機数の削減案を検討するでしょうし、1000機を切ることは確実でしょう。
規模の縮小は更なる維持整備コストのアップにつながり、他軍種や同盟国等の購入機数削減縮小を導きます。そしてこの「負のスパイラル」が「亡国のF-35」の本質であり、意思決定に時間が必要な日本は負の影響をたっぷり受けることになるでしょう・・・残念ながら。本当にこの件に関係する人材は気の毒です・・・
F-35のエンジン問題
「空軍長官:国防省に下駄預ける」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
「空軍長官:数か月で決着すべき」→https://holylandtokyo.com/2022/05/26/3260/
「上院で議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
「下院軍事委員長がAETPに関心」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/
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現装備F135エンジン改修より3倍高コストのAETP推進
燃費25%・航続距離30%・推力倍増とアピールの亡国ぶり

この問題は、F-35のF135エンジンのエンジンブレード耐久性が不足し、当初予想より修理整備作業が頻発してF-35稼働率を低迷させている件で、現F135エンジンを改修するオプションか、新エンジンAETPへの換装を進めるかの選択を2024年度予算案取りまとめ課程で決断を迫られているものです。

8月16日付Defense-News記事によれば、F-35導入中の他軍種や同盟国等との関係があるので国防省がどのオプションを採用するか最終決定を行うべきだと米空軍が「下駄を預けた」形になっている本件に関し、新エンジンAETP採用なら開発費等を含めて生産に約8000億円の見積もりで、F135エンジン改修オプションの費用3倍で、ライフサイクルコスト換算だと4兆3000億円も現エンジン改修より高価だそうです。

同時に同エンジン開発担当John Sneden氏は記者団に、恫喝とも泣き落としとも思われる作戦を繰り出し、国防省がAETPをF-35新エンジンに採用してくれたなら、2024年から本格開発フェーズに入って2030年までに提供可能となり、NGADのエンジン選定が予定される2024年のタイミングとも合致して丁度良いが、仮に採用されないと米国先進エンジン開発産業基盤は1社体制になって競争環境を失い「崩壊する:collapse」との論を展開しています

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足元では、7月末にチェコ共和国が18番目のF-35購入候補国に名乗りを上げたところですが、皆さん懐具合は大丈夫なんでしょうか? 現時点で1760機を購入予定としている米空軍は、恐らくエンジン問題対処へのコストも含めて総調達機数の削減案を検討するでしょうし、1000機を切ることは確実でしょう。

F-35のエンジン問題
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空軍長官が国防省にF-35への新エンジンAETP搭載迫る [亡国のF-35]
米議会や他軍種や他国からの追い風がなさそうな状態なのに
2024年度予算案に組み込む必要性を訴え
最後は国防省調達担当次官の判断だと
7月26日、kendall空軍長官が講演で、耐久性に問題がありF-35稼働率低迷の一つの要因となっているF135エンジン問題に関し、2024年度予算空軍案を決める夏に、新型AETP(Advanced Engine Transition Program)エンジン導入の方向を決定したいと訴えつつ、米海軍やや海兵隊にも関係する問題であるので、LaPlante調達担当国防次官に最終判断が委ねられていると述べました
新型AETPエンジンは、もともと次世代制空機NGAD用に開発されてきたエンジンで、これを今頃F-35に搭載しようとすると7000億円以上の追加経費が必要な上、垂直着陸型F-35Bには搭載不可能な構造になっていることから、先日退官したFick国防省F-35計画室長(空軍中将)は、「異なる道に進むなら、他者へのコスト増が無いように、米空軍独自の経費でやるべきだ」と突き放した発言をしていた所です
また、これまでのところ、米空軍以外で新型AETPエンジンを導入したいと表明している軍種やF-35導入国はありませんし、現在のF135エンジン改修搭載案にも前向きな発言を聞いたことがありません。(F-35維持費が高止まりしている中、他軍種も他国もそれどころではない状態です)
そんな中でもKendall空軍長官は講演で、「だらだらとF-35への搭載検討研究開発費を投入したくない」と述べつつ、「私は強くATEPエンジンを希望している。F-35の更なる能力向上につながるからだ」、「最終的な決断は、他軍種やF-35他形態との国防省としての立場の一体性から、調達担当国防次官に委ねられるだろう」と語っています
米議会の中は様々なようで、2022年度国防授権法では、AETPエンジンであるGE社 XA-100 とPratt & Whitney社XA-101エンジンを2027年までに「Block 4」形態以降のF-35に搭載可能かについて、よく吟味するよう国防省に検討を求めている一方で、
35名の超党派議員団は LaPlante調達担当次官にレターを送り、F-35が本格大量生産に入る中で極めて改修リスクが高く、追加費用も膨大なF-35へのAETP搭載案を断念するよう要求し、F-35計画の屋台骨である「兵站分野の共有化」をAETPエンジン導入でぶち壊すことがあってはならないと警鐘を鳴らしています
ちなみに、AETPエンジン導入のメリットについて空軍長官は講演で触れなかったようですが、26日付米空軍協会web記事によれば企業関係者は、推力の増加やステルス性の向上、更に電子戦能力向上やエネルギー兵器搭載を容易にする発電量増加を挙げているようです
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今年5月17日の上院証言でKendall長官は、「空軍単独で進むことは考えない」との方向性を示唆していたようですが、このような他軍種や議会やF-35導入国との関係にあまり配慮しているようには見えない発言の真意はどこにあるのでしょうか?
F135エンジンの改修型導入か、AETPエンジン導入か、はたまた現在のF135の修理体制を増強して、予想より頻発する故障に対応しながら付き合っていくのか・・・極めて大きな「亡国のF-35」を巡る動きですので注視してまいりましょう
F-35のエンジン問題
「空軍長官:数か月で決着すべき」→https://holylandtokyo.com/2022/05/26/3260/
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「下院軍事委員長がAETPに関心」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「民間監視団体が酷評」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
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2024年度予算案に組み込む必要性を訴え
最後は国防省調達担当次官の判断だと


また、これまでのところ、米空軍以外で新型AETPエンジンを導入したいと表明している軍種やF-35導入国はありませんし、現在のF135エンジン改修搭載案にも前向きな発言を聞いたことがありません。(F-35維持費が高止まりしている中、他軍種も他国もそれどころではない状態です)

米議会の中は様々なようで、2022年度国防授権法では、AETPエンジンであるGE社 XA-100 とPratt & Whitney社XA-101エンジンを2027年までに「Block 4」形態以降のF-35に搭載可能かについて、よく吟味するよう国防省に検討を求めている一方で、

ちなみに、AETPエンジン導入のメリットについて空軍長官は講演で触れなかったようですが、26日付米空軍協会web記事によれば企業関係者は、推力の増加やステルス性の向上、更に電子戦能力向上やエネルギー兵器搭載を容易にする発電量増加を挙げているようです
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F135エンジンの改修型導入か、AETPエンジン導入か、はたまた現在のF135の修理体制を増強して、予想より頻発する故障に対応しながら付き合っていくのか・・・極めて大きな「亡国のF-35」を巡る動きですので注視してまいりましょう
F-35のエンジン問題
「空軍長官:数か月で決着すべき」→https://holylandtokyo.com/2022/05/26/3260/
「上院でエンジンとODIN議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
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米軍F-35が不良射出座席カートリッジで飛行停止に [亡国のF-35]
射出用カートリッジ発火装置に製造過程で欠損
2700個点検して3個に欠損発見
4月に欠損部品発見も、なぜか今頃前線部隊で総点検
7月29日付米軍事メディアが、米空軍F-35A型機の射出座席で、座席射出用点火装置に点火剤であるマグネシウムが欠損したカートリッジが「4月」に見つかった件で、米空軍最大のF-35保有部隊である米空軍戦闘コマンドACC報道官が同日、「29日に、ほぼすべてのF-35A型機の飛行を取りやめ(stand-down)指示が出て、データを分析している」と明らかにしたと報じました。
同報道官は、発表時点でどれだけの確認が終了し、確認終了までにどれだけ時間が必要かには触れず、「飛行取りやめは週末を通じて続き、来週(8月1日の週)前半には通常体制に戻ることになろう」と明らかにし、欧州米空軍や太平洋空軍F-35A型機も同様の措置が取られ、翌日からは空軍教育訓練コマンド所属のT-38練習機の半数や6機のT-6初等練習機も飛行を取りやめたとも報道されています
問題の米空軍F-35A型機の射出座席は「英国」Martin-Baker社製で、同社製造工程におけるミスで発生したもので、特定期間に製造された米空軍F-35A用の「CAD:cartridge-actuated device」に十分な量の起爆用マグネシウム剤が充填されなかったことが原因と判明しているようです(原因判明時期は報道無し)
Martin-Baker社は特定期間製造の米空軍用F-35Aのみが対象と説明したようですが、同じ工場で製造されたF-35Bs/Cs, F/A-18s, EA-18s, T-45s, and F-5Ns用の射出座席を使用する米海軍や、T-38とT-6を使用する空軍教育コマンドも、念のため同社同工場製の射出座席を使用する機種の飛行を取りやめ、この動きは同社製の射出座席を使用する他の85か国の軍の機体に広がっているようです(航空自衛隊の対応は不明)
F-35A型機の点検は、機体から射出座席を取り外せば「目視数秒」で確認可能とのことで、座席の機体からの取り外しも含めて1日飛行停止すればチェックは終了するそうで、7月29日付報道には同社報道官の言葉として「米空軍F-35A型機の70%の点検は終了」、「わずかな不良CADが見つかった」と紹介する記事や、「2700個のCADを確認し、3個の不具合品を特定した」との情報を報じるメディアもある状況です
最初にCADの異常を「4月」に見つけたのは米空軍Hill飛行場の整備員で、「CADが異常に軽い」と感じて検査したらマグネシウム発火剤が欠損していたらしいですが、国防省F-35計画室は時期不明ながら「緊急TCTD(Time Compliance Technical Directive)」を出し「90日以内の点検」を指示しましたが、その後時期不明ながら「通常TCTD」で「90日以内の点検」に指示を変更しており、これら経緯も含め7月29日になってやっとACCが「飛行取りやめ(stand-down)指示」を出した流れが「???」です
米空軍関係者はこの「飛行取りやめ(stand-down)」(飛行完全停止(grounding)とは異なり、チェックが終了した機体や座席は直ちに飛行可能)の影響は軽微で、飛行取りやめ期間に他の機体部分の定期整備作業を行うことで、トータルの飛行時間は取り返せる等と語っているようです
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いつものように、何か裏がありそうなF-35関連事案とその対応ですが、整備支援システムALISや後継ODINの混乱の中、前線部隊整備員の皆様の負担がこれ以上増えないことを祈るばかりです
この英国Martin-Baker社製の射出座席は、2015年から17年にかけ、体重が軽い操縦者が緊急脱出した場合に首を負傷するリスクがあることが判明し、対策として、体重に応じた切り替えスイッチを座席に付加して射出のタイミングを調整可能とすること、射出時に頭を支えるパネルを座席に付加すること、操縦者用ヘルメットHMDの重量を約250g削減する改善策3点セットで操縦者の体重制限がやっと解除された前科がある座席です
製造企業が英国籍企業であることから、米国製の射出座席に変更すべきだとの声が米議員の間から上がり、F-35開発の更なる遅延を恐れた国防省やMartin-Baker社が猛反発し、共同開発国である英国への思いやりもあり、何とか継続採用することになった座席でもあります
英国製F-35の射出座席問題2015-17年
「F-35座席問題の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-02-15-1
「射出座席問題に部分的対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-09
「米空軍に国防省と企業が反論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06-1
「米空軍が代替座席の検討依頼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-25
「座席対策は2018年までか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09-1
「責任譲り合い:F-35射出座席」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-17
「F-35軽量操縦者が飛行停止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-02
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2700個点検して3個に欠損発見
4月に欠損部品発見も、なぜか今頃前線部隊で総点検


問題の米空軍F-35A型機の射出座席は「英国」Martin-Baker社製で、同社製造工程におけるミスで発生したもので、特定期間に製造された米空軍F-35A用の「CAD:cartridge-actuated device」に十分な量の起爆用マグネシウム剤が充填されなかったことが原因と判明しているようです(原因判明時期は報道無し)

F-35A型機の点検は、機体から射出座席を取り外せば「目視数秒」で確認可能とのことで、座席の機体からの取り外しも含めて1日飛行停止すればチェックは終了するそうで、7月29日付報道には同社報道官の言葉として「米空軍F-35A型機の70%の点検は終了」、「わずかな不良CADが見つかった」と紹介する記事や、「2700個のCADを確認し、3個の不具合品を特定した」との情報を報じるメディアもある状況です


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いつものように、何か裏がありそうなF-35関連事案とその対応ですが、整備支援システムALISや後継ODINの混乱の中、前線部隊整備員の皆様の負担がこれ以上増えないことを祈るばかりです

製造企業が英国籍企業であることから、米国製の射出座席に変更すべきだとの声が米議員の間から上がり、F-35開発の更なる遅延を恐れた国防省やMartin-Baker社が猛反発し、共同開発国である英国への思いやりもあり、何とか継続採用することになった座席でもあります
英国製F-35の射出座席問題2015-17年
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「射出座席問題に部分的対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-09
「米空軍に国防省と企業が反論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06-1
「米空軍が代替座席の検討依頼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-25
「座席対策は2018年までか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09-1
「責任譲り合い:F-35射出座席」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-17
「F-35軽量操縦者が飛行停止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-02
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チェコが東欧で2番目のF-35購入国へ進む [亡国のF-35]
ポーランドに続き24機導入の交渉開始を発表
物価上昇中で早く交渉に決着付けたいと
18番目の購入国になるか。
韓国も追加で20機F-35A導入決定
7月20日、チェコ共和国のPetr Fiala首相が、現在2027年までリース契約中のグリペンC?D型戦闘機14機の後継として、米国政府と24機のF-35A購入交渉に入ると発表し、交渉役にJana Cernochova国防相を指名しました。また同首相は同時に、スウェーデン製の歩兵戦闘車両導入交渉も進めると語ったようです
F-35購入交渉役のCernochova国防相(女性)は、もし価格交渉で2023年10月までに米側と折り合わなければ候補機種から外し、Typhoonやグリペン能力向上型を指向する旨を示唆したようですが、関連素材や部品価格が上昇を続ける中で、早期に決着したい意向も示したようす。
仮に米国との交渉がまとまれば、2020年1月に32機のF-35購入を表明したポーランドに続く東欧2番目の購入国になり、世界では18番目の、そして欧州では10番目に購入又は具体的な検討表明をした国となります
チェコ軍のKarel Rehka参謀総長はF-35Aを高く評価し、「他機種に比べ極めて高性能で、2040年代はおろか、2060年代まで有効だろう」と軍としてF-35を強く希望していることを隠さず、「F-35は多機能戦闘機で、単に戦闘機や戦闘爆撃機としてではなく、戦場ネットワークの指揮統制センターとして機能し、同時に高性能センサーを備えたスパイ機でもある」と表現しています
欧州の軍事情報筋は、ギリシャがF-35購入検討を行っているほか、他の「several」ヵ国の欧州諸国がF-35導入を検討していると、Defense-Newsに語っているようです
ロッキード社報道官は、「チェコ共和国がF-35に関心を示していただいて光栄である。同国の関心にこたえるため如何なる支援も惜しまない」、「交渉に関する情報は両国政府から提供されるだろう」と述べるにとどめています
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ロシアによるウクライナ侵略を受け、米空軍が2-4機のF-35を欧州に派遣していますが、購入可能性のある欧州諸国にその能力をデモする意図もあるのかもしれません。
ただ一方で、末尾の過去記事で取り上げているように、米軍や英軍はF-35維持経費の高止まり等を受け、F-35調達数削減の方向にあることを忘れてはなりません。
なお、韓国は7月15日、従来の40機に加え、追加で20機F-35Aを調達することを決定しました
F-35導入を決定又は具体的協議表明した国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国とその他1国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(交渉がまとまれば88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(9か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40機。追加20機を2022年7月決定)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)
●欧州だけピックアップすると・・・
Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、Belgium(34機)、ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機 2026年から導入)、ドイツ(最大35機)、チェコ(交渉まとまれば24機)、ギリシャも交渉中とか・・・
最近のF-35購入決定国
「カナダがF-35を88機の1番候補に」→https://holylandtokyo.com/2022/03/31/3061/
「ドイツが戦術核運搬用に16番目」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/
「フィンランドが15番目」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「スイスが14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
F-35調達機数削減の動き
「米海軍が2023年度予算で調達抑制」→https://holylandtokyo.com/2022/07/07/3420/
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
「民間監視団体がF-35改善なしと」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/
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物価上昇中で早く交渉に決着付けたいと
18番目の購入国になるか。
韓国も追加で20機F-35A導入決定


仮に米国との交渉がまとまれば、2020年1月に32機のF-35購入を表明したポーランドに続く東欧2番目の購入国になり、世界では18番目の、そして欧州では10番目に購入又は具体的な検討表明をした国となります

欧州の軍事情報筋は、ギリシャがF-35購入検討を行っているほか、他の「several」ヵ国の欧州諸国がF-35導入を検討していると、Defense-Newsに語っているようです

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ロシアによるウクライナ侵略を受け、米空軍が2-4機のF-35を欧州に派遣していますが、購入可能性のある欧州諸国にその能力をデモする意図もあるのかもしれません。

なお、韓国は7月15日、従来の40機に加え、追加で20機F-35Aを調達することを決定しました
F-35導入を決定又は具体的協議表明した国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国とその他1国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(交渉がまとまれば88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(9か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40機。追加20機を2022年7月決定)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)
●欧州だけピックアップすると・・・
Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、Belgium(34機)、ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機 2026年から導入)、ドイツ(最大35機)、チェコ(交渉まとまれば24機)、ギリシャも交渉中とか・・・
最近のF-35購入決定国
「カナダがF-35を88機の1番候補に」→https://holylandtokyo.com/2022/03/31/3061/
「ドイツが戦術核運搬用に16番目」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/
「フィンランドが15番目」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「スイスが14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
F-35調達機数削減の動き
「米海軍が2023年度予算で調達抑制」→https://holylandtokyo.com/2022/07/07/3420/
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
「民間監視団体がF-35改善なしと」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/
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米海軍が製造可能数よりF-35C調達数を抑え優先事業へ予算 [亡国のF-35]
FA-18の延命措置等で必要艦載機数は確保可能と判断
海軍海兵隊全体の優先順位を踏まえF-35調達予算削減
当初は製造ペースが上がらない為としていたが今では・・・
6月28日付Defense-Newsは、米海軍が今後5年間は毎年20機調達予定だとしてきたF-35C型機を、2023年度予算では9機しか調達せず(2022年度は15機)、その理由として当初はコロナ禍のサプライチェーン混乱による製造&調達リスクを上げていたのに、最近になってFA-18と合わせた艦載機数の確保に目途が立ちつつあり、他の優先事項に予算を投入したいためと説明ぶりが変化している、と指摘しています。
同記事は様々な関係者の話を細切れに紹介して読みにくいものとなっていますが、まんぐーすは、従来から開発が遅延するF-35導入を米軍内で最も後回しにしていた米海軍が、維持整備費高止まりのF-35調達をさらに遅らせ、最終的に総調達数(260機:現在50機程度か)削減につなげようとする動きの一つと邪推しております
結論として、米海軍がF-35C調達ペースを大幅にダウンすることができるのは、FA-18の機体寿命を4000時間も伸ばす「Super Hornet Service Life Modification (SLM)」改修に必要な時間を、現在の18か月間から2023年までには15か月に短縮し、最終的に2024年には12か月にまで短縮して、運用可能なFA-18機数を、これまでの341機から360機に上方修正できる目途が立ったことが大きいと米海軍首脳が明らかにしています
この結果、これまで米海軍艦載機の不足状態解消に2030年までかかると見積もっていたところ、この問題を2025年には解消可能になったため、F-35C調達ペースを下げ、その分の予算を他の優先分野に配分できるようになったと米海軍は説明しています
記事執筆者は、この春の2023年度予算案を議会提出した際から5月中旬まで、海軍長官や米海軍作戦部長は複数の議会説明で、F-35要求数を9機に削減した理由は、コロナの影響でサプライチェーンに課題が残っているからと説明していたことからの変節を指摘しつつ、最近は米海軍報道官が明確に「ロッキードはコロナ禍改善によりF-35Cを年間30機製造可能になっているが、他の優先事項への投資を選択肢として考えられるようになった」と解説しています
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ロシアによるウクライナ侵略で、様々な米軍装備品調達のグダグダが表面化しなくなっていますが、F-35も、フォード級空母も、KC-46も、次期ICBMも、「日暮れて途遠し」状態だと認識しております。
F-35調達機数削減の動き
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
「民間監視団体がF-35改善なしと」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holylandtokyo.com/2021/06/25/1949/
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holylandtokyo.com/2021/03/10/157/
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海軍海兵隊全体の優先順位を踏まえF-35調達予算削減
当初は製造ペースが上がらない為としていたが今では・・・

同記事は様々な関係者の話を細切れに紹介して読みにくいものとなっていますが、まんぐーすは、従来から開発が遅延するF-35導入を米軍内で最も後回しにしていた米海軍が、維持整備費高止まりのF-35調達をさらに遅らせ、最終的に総調達数(260機:現在50機程度か)削減につなげようとする動きの一つと邪推しております

この結果、これまで米海軍艦載機の不足状態解消に2030年までかかると見積もっていたところ、この問題を2025年には解消可能になったため、F-35C調達ペースを下げ、その分の予算を他の優先分野に配分できるようになったと米海軍は説明しています

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ロシアによるウクライナ侵略で、様々な米軍装備品調達のグダグダが表面化しなくなっていますが、F-35も、フォード級空母も、KC-46も、次期ICBMも、「日暮れて途遠し」状態だと認識しております。
F-35調達機数削減の動き
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
「民間監視団体がF-35改善なしと」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holylandtokyo.com/2021/06/25/1949/
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holylandtokyo.com/2021/03/10/157/
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初期型F-35を活用して敵役を演じる部隊編成 [亡国のF-35]
実戦使用不可で、改修費が捻出できない初期型機体の有効活用
6月9日、米空軍はF-35A戦闘機で構成する初めてのアグレッサー部隊(訓練演習で敵機部隊を演じる専門組織。敵の戦術等を普段から研究し米空軍を鍛える役割)として、「第65アグレッサー飛行隊:65th Aggressor Squadron」を航空戦術研究のメッカNellis空軍基地で再立ち上げし、再立ち上げ式典(reactivation ceremony)を行いました
式典には来賓として米空軍戦闘機族のボスであるMark D. Kelly空軍戦闘コマンド司令官も参加し、式典に先立って自らF-15Eに搭乗して新アグレッサー飛行隊長が操縦するF-35と空中戦を行って技量を確認したようです
航空戦術研究のメッカとご紹介したNellis空軍基地は、米空軍の精鋭パイロットを養成する「Weapons School:通称トップガンスクール」が所在するほか、実戦同様の訓練環境を提供する大規模航空演習「Red Flag」を実施する基地でもあり、F-16戦闘機で敵機を演じる「第64アグレッサー飛行隊」も所属しています
「再立ち上げ」とご紹介した「65th Aggressor Squadron」は、WW2時の1942年にP-40プロペラ戦闘機で創設され、その後P-47に機種更新され、1969–1989年の間はF-5Eでソ連機の戦術を模擬しました。いったん閉鎖し再開後の2005–2014年の間はF-15で編成され、その後再び休眠状態になっていましたが、今回F-35Aで復活再立ち上げとなったものです
ただ、おめでたいニュースにケチをつけるようで申し訳ないですが、フロリダのエグリン空軍基地から「65th Aggressor Squadron」に配属される9機のF-35は、F-35がまだ開発途中だった頃に製造された初期型の実戦投入不可な「non-combat-coded aircraft」で、実戦投入可能にするには多額の改修費が必要で米空軍が対応に苦慮していたものです
開発が大幅に遅れ、要員養成や部隊建設準備用に装備や完成度不十分と知りつつ製造した機体が、将来問題になると知りつつ見切り発車した「開発と製造を同時進行」の「負の遺産」ですが、このような形で表面上は「有効活用舞台」を準備できた・・・と米空軍は説明するのでしょう
式典参加のKelly司令官は、「PRC(中国)が開発する第5及び第6世代戦闘機戦闘機の脅威を受け、我々はLangley, Elmendorf, Hill, Eielsonの各基地に配備された実戦部隊の最新鋭機を(敵機役として)使用しなければならなかったが、本日(戦術研究の拠点である)Nellis空軍基地に第5世代機の能力を演じることが可能な専門部隊を立ち上げた」、「確かな脅威が存在する中、第5世代能力を持つ敵機役が訓練で必要ならば、その役割は専門部隊が担う必要がある」と同飛行隊の重要性を訴えています
米空軍では前線部隊からの強い要求を受け、第5世代機を敵機役とした演習が2021年夏の「Red Flag 21-3」から実施されていたようですが、Kelly司令官が言及したように専門知識や能力が不足する空軍内5世代機部隊が「臨時の敵役」を務める形で実施され、訓練効果が「いまいち」だったようで、「負の遺産」の有効活用ですが米空軍作戦機部隊からは大きな期待が寄せられています
F-35アグレッサー部隊「65th Aggressor Squadron」の初代隊長はBrandon Nauta中佐で、お写真から拝見すると東洋系のようなお顔立ちですが、2020年4月の「Red Flag アラスカ」にF-16アグレッサー部隊員として参加された記録があるので、航空自衛隊の中にもご存じの方がおられるかも・・・
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30数年ぶりに続編が公開されたトム・クルーズ主演の「トップガン・マーベリック」が大ヒット中で、ハリウッド映画の王道を行く娯楽大作としてまんぐーすも音響の良い映画館で大いに楽しませていただきました。
この映画の撮影に全面協力してパイロット不足解消に必死な米海軍に負けじと、米空軍も「Weapons School:通称トップガンスクール」所在のNellis空軍基地とアグレッサー部隊のアピールに懸命な模様です
初代の映画「トップガン」公開時には、米海軍パイロットへの志願者が10倍以上になったらしいですが、続編大ヒットの勢いに乗って、米軍のパイロット志願者不足がどこまで解消されるかにも注目です
米空軍パイロット不足関連
「コロナ後の民間との操縦者争奪戦」→https://holylandtokyo.com/2021/10/17/2271/
「女性登用増に航空機設計基準変更」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-20
「ヘリ操縦者養成から固定翼削除試行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-06
「米空軍がパイロット募集の身長基準を廃止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-23
「Fly-only管理の募集中止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-15
「5年連続養成目標数を未達成」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-19
「採用の身長基準を緩和」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-18
「操縦者養成3割増に向けて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-21-1
「下士官パイロットは考えず」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-3
「F-35操縦者養成部隊の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12-3
「下士官パイロット任務拡大?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-22
「仮想敵機部隊も民間委託へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1
「不足さらに深刻化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-10
トップガン関連の記事
「太平洋軍司令官はトップガンパイロット」→https://holylandtokyo.com/2020/12/07/337/
「さらに公開延期でも」→https://holylandtokyo.com/2020/04/12/722/
「予告編第2弾」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-18
「予告編公開:映画トップガンの続編」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-20-1
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式典には来賓として米空軍戦闘機族のボスであるMark D. Kelly空軍戦闘コマンド司令官も参加し、式典に先立って自らF-15Eに搭乗して新アグレッサー飛行隊長が操縦するF-35と空中戦を行って技量を確認したようです

「再立ち上げ」とご紹介した「65th Aggressor Squadron」は、WW2時の1942年にP-40プロペラ戦闘機で創設され、その後P-47に機種更新され、1969–1989年の間はF-5Eでソ連機の戦術を模擬しました。いったん閉鎖し再開後の2005–2014年の間はF-15で編成され、その後再び休眠状態になっていましたが、今回F-35Aで復活再立ち上げとなったものです
開発が大幅に遅れ、要員養成や部隊建設準備用に装備や完成度不十分と知りつつ製造した機体が、将来問題になると知りつつ見切り発車した「開発と製造を同時進行」の「負の遺産」ですが、このような形で表面上は「有効活用舞台」を準備できた・・・と米空軍は説明するのでしょう

米空軍では前線部隊からの強い要求を受け、第5世代機を敵機役とした演習が2021年夏の「Red Flag 21-3」から実施されていたようですが、Kelly司令官が言及したように専門知識や能力が不足する空軍内5世代機部隊が「臨時の敵役」を務める形で実施され、訓練効果が「いまいち」だったようで、「負の遺産」の有効活用ですが米空軍作戦機部隊からは大きな期待が寄せられています

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30数年ぶりに続編が公開されたトム・クルーズ主演の「トップガン・マーベリック」が大ヒット中で、ハリウッド映画の王道を行く娯楽大作としてまんぐーすも音響の良い映画館で大いに楽しませていただきました。

初代の映画「トップガン」公開時には、米海軍パイロットへの志願者が10倍以上になったらしいですが、続編大ヒットの勢いに乗って、米軍のパイロット志願者不足がどこまで解消されるかにも注目です
米空軍パイロット不足関連
「コロナ後の民間との操縦者争奪戦」→https://holylandtokyo.com/2021/10/17/2271/
「女性登用増に航空機設計基準変更」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-20
「ヘリ操縦者養成から固定翼削除試行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-06
「米空軍がパイロット募集の身長基準を廃止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-23
「Fly-only管理の募集中止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-15
「5年連続養成目標数を未達成」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-19
「採用の身長基準を緩和」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-18
「操縦者養成3割増に向けて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-21-1
「下士官パイロットは考えず」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-3
「F-35操縦者養成部隊の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12-3
「下士官パイロット任務拡大?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-22
「仮想敵機部隊も民間委託へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1
「不足さらに深刻化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-10
トップガン関連の記事
「太平洋軍司令官はトップガンパイロット」→https://holylandtokyo.com/2020/12/07/337/
「さらに公開延期でも」→https://holylandtokyo.com/2020/04/12/722/
「予告編第2弾」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-18
「予告編公開:映画トップガンの続編」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-20-1
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1