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ポ大統領がNATO核兵器共有への参加意欲示す [安全保障全般]

「もしNATOが決断すれば、受け入れる用意がある」
ポ国民合意はおろか、政府内議論も議論予定も今は無いが
露核兵器のベラルーシや露飛び地への搬入に危機感

Duda nuclear sharing.jpg4月22日、ポーランドのAdrzej Duda大統領が地元メディア「Fakt」とのインタビューで、「もしNATOが現在5か国と行っている核兵器共有(nuclear sharing)国を拡大する決断をするなら、ポーランドは受け入れる用意がある」、「ただし、ポ政府内で決定したわけでもなく、国民的議論を行う必要がある極めて大きな決断であり、現時点ではポーランドとして意思決定の時程などを具体的に設定しているわけではない」と語り大きな話題となっています

Duda nuclear sharing2.jpgポ大統領が慎重な言い回しの中にも、「ポーランドは核兵器共有にabsolutely positiveにならなければならない」と、国家指導者としての強い決意を示した背景には、ロシアがWW2後に奪取した飛び地である「Kaliningrad」の軍事要塞化を進め、またウクライナの北に位置するベラルーシにロシアが戦術核を持ち込み(ベラルーシ大統領が2023年に認める)、露とベラルーシが「Poland, Estonia, Latvia and Lithuania」への侵略ウォーゲームを行うなど、ロシアが「核兵器を盾」にした周辺国への恫喝をたびたび行っていることがあります

NATOが現在5か国(独、蘭、伊、ベルギー、トルコ)と行っている核兵器共有(nuclear sharing)とは、有事の必要な場合には、NATOの指示で、これら5か国国内に保管されている「米国製戦術核兵器」を「各国の戦闘機や戦闘爆撃機に搭載して使用する」任務をNATOが付与している事を指しており、5か国は同戦術核兵器を搭載可能な機体(現在はF-16やトーネード、今後はトルコ除きF-35へ移行)を保有しています

Duda nuclear sharing4.jpgちなみにポーランドは、2022年にF-35を32機導入することを決定しており、2025年からポーランド用機体を使用して米本土のLuke米空軍基地でポランド人操縦者や整備員の養成を開始し、2030年に全機を受領して運用態勢を確立する予定となっています

もちろんポーランド大統領の発言にロシアは即座に反応し、ロシア国防相が「米国製核兵器をポーランドに持ち込まれることになれば、ロシアが安全確保のために必要な反撃を行う要件をポーランドがすべて満たすことになる」と警告した模様です

Duda nuclear sharing3.jpgなお約10年の期間を要して進められてきた、F-35への核兵器搭載を可能にする各種改修や試験や審査が2023年秋に終了後、16もの米国政府機関がサインする必要がある正式承認決定が2024年3月に降りたばかりで、米空軍として50キロトンの「B61-12戦術核兵器」を搭載可能なF-35をどこに配備しているかを明確にしていませんが、英国のLakenheath英空軍基地に配備の機体が従来になってきた任務であり、同基地に同兵器貯蔵施設があることから、そのまま任務を引き継ぐものと考えられています
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Duda nuclear sharing5.jpgNATOが現在5か国(独、蘭、伊、ベルギー、トルコ)と行っている核兵器共有(nuclear sharing)が、米国を含むNATOの合意と、ポーランド国民の合意を経て簡単に「拡大」するとはとは思えませんが、一国の指導者が明確な意思を示したことは大きな動きです

長期間を要した「F-35への戦術核搭載改修や承認」が、2024年3月に終了していたことと併せ、皆様にご紹介しておきます

事例:独のドイツの核兵器共有の後継機問題
「F-35を後継機に決定」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/
「独新政権が核兵器共有継続」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-13
「3機種混合案検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-23-1

戦術核兵器とF-35等
「F-35への戦術核搭載へ第一歩」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-06
「米空軍に追加の戦術核は不要」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-04
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

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https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/

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