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米軍退役軍人の1/3が刑務所のお世話になる現実 [ふと考えること]

元国防長官2名を含む民間研究チームが対策検討へ
退役軍人以外も1/5以下程度が刑務所経験との米国社会だが
戦場でのストレス、除隊後の社会復帰支援等の問題を分析へ

CCJ veterans.jpg8月23日、犯罪に関する社会問題を研究する米シンクタンクCCJ(Council on Criminal Justice)が、退役軍人の約1/3が生涯に一度以上逮捕されたり刑務所行になるとの衝撃的な統計データを明らかにし、元国防長官2名を含む15名のチームを編成して原因分析と対策検討研究を行うと発表しました

「退役軍人の約1/3が生涯に一度以上逮捕されたり刑務所行になる」との統計に加え、「退役軍人以外の人が生涯に一度以上逮捕されたり刑務所行になる比率は2割以下程度」との同シンクタンクの発表データも衝撃的で、米国社会のゆがんだ側面を突き付けられた気がしますが、本日の話題は「退役軍人の犯罪率が、それ以外の人より高い」ことへの分析と対策検討が民間シンクタンクで始まるとのニュースです

CCJ veterans4.jpg米司法省公表のデータによると、退役軍人の刑務所収監者は、2016年に10万7400名だったところ、2021年には18万1500名に増加しており、98%が男性で半数が陸軍出身とのことですが、米退役軍人省や国防省や米軍だけでなく、米国社会全体にとって大きな問題となっているようです

15名の検討チームは、ヘーゲル元国防長官(Chuck Hagel)が取りまとめ役となり、パネッタ元国防長官(Leon Panetta)、元海兵隊先任軍曹、ジョージア州最高裁判所裁判長、逮捕歴のある退役軍人2名などで構成され、ヘーゲル氏は「退役軍人が法を犯す原因となるリスク要因の分析だけでなく、除隊した兵士が一般社会に円滑に移行するにはどうしたらよいかや、犯罪を犯した退役軍人を司法制度がどのように扱うべきかについても検討したい」とコメントを出しています

CCJ veterans2.jpgシンクタンクCCJによれば、退役軍人が犯罪を犯す背景は多様多岐にわたり、前線での戦闘経験から来る脳へのダメージやストレスからくる後遺症、軍内での規律違反が原因で除隊の場合に社会復帰への支援がないこと、また退役後の社会復帰支援メカニズムに一貫性が無い点などなどが存在し、

米陸軍や海軍が、軍勤務により生じた脳ダメージやメンタル障害を抱える退役軍人による犯罪行為に関する分析や対策検討に近年着手しているものの、包括的な分析や対応は不十分だとの問題認識をCCJは持っているようです

CCJ veterans5.jpg米国社会全体で取り組む必要がある根の深い問題で、退役軍人犯罪者が激増している点からも喫緊の課題だと思いますが、格差拡大が著しく、経済見通しも明るくない中、大変重い問題です。ヘーゲル&パネッタ両国防長官経験者が検討メンバーを引き受けた心意気と、米国社会の復元力に期待したいと思います

大昔の退役軍人関連記事
「退役軍人省と協力し自殺防止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2012-06-25
「退役軍人の自殺防止策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2009-06-23

パネッタ長官関連記事70本
https://holyland.blog.ss-blog.jp/archive/c2301808881-1
ヘーゲル長官関連記事54本
https://holyland.blog.ss-blog.jp/archive/c2303720019-1

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64日間連続飛行で終了:Zephyr太陽光無人機 [ちょっとお得な話]

「予期せぬ出来事で飛行停止」と米陸軍発表
予定していた今夏の再飛行は2023年に延期
連続飛行のデータ分析や飛行中断原因分析へ

Zephyr2.jpg8月23日付Defense-Newsは、米陸軍Futures Commandが主導して行っていたエアバス社製「Zephyr太陽光無人機」の連続飛行が、8月18日に「予期せぬ終了:unexpected termination of this flight」を迎えたが、それでも6月15日からの連続飛行で、従来の連続飛行記録26日を大幅に更新する64日間の飛行を達成したとの同コマンド発表を紹介しています

太陽光発電電力を動力源として、雲や天候の影響を受けず、民間航空機の飛行高度の約2倍以上の7万フィート越の成層圏を飛行する「Zephyr」シリーズは、昼間に太陽光発電電力をリチウムイオン電池に蓄え、夜間も連続して飛行可能な無人機で、2003年に当初英国企業が開発をはじめ、英国防省が常続的な通信中継や監視&偵察活動への応用を最初に試験を開始しました

Zephyr-S.jpg「Zephyr」シリーズの最新型で今回米陸軍計画で記録を更新した「Zephyr-8 (又はS)」は、横幅25mの太陽光パネルを搭載した大きな翼を持ちながら、24㎏のバッテリーを搭載しても総重量75㎏程度の軽量で、Web情報によれば5㎏のセンサー等を搭載可能で、例えば20X30km範囲を可視光監視するセンサーなどが使用出来るようです

今回の記録更新は、米陸軍APNT/Space CFチーム(Assured Positioning, Navigation and Timing/Space Cross-Functional Team)の計画した飛行試験で達成されましたが、同チームのMichael Monteleoneリーダーは7月22日に、「この試験を通じ、多様な搭載装備をデモし、成層圏使用無人機の軍事使用を探り、遠方監視による偵察や目標照準、強靭な通信確立を検討する資を得ることができた」、「Ultra-long在空能力のある無人機は、極めて大きな軍事利用の可能性を持っている」とコメントを出していたところです

Zephyr-S2.jpg飛行の細部について記事は報じていませんが、今回の飛行はアリゾナ州ユマで離着陸が行われ、世界記録更新発表があった7月22日の時点までで、初の公海上の国際空域飛行を成功させ、衛星通信経由の管制下での連続飛行記録も更新したとのことです。また7月時点では、数週間後には次なる試験を予定し、その際は太平洋上空を複数の米軍地域コマンドをまたがって飛行し、様々な装備の搭載試験も実施する計画だと報じられていたところでした

8月18日の「予期せぬ終了」において、負傷者や他航空機にリスクを及ぼす可能性はなかったと発表されていますが、原因については調査中で、調査が終了したら追加情報を公開すると米陸軍はしており、併せてこの夏予定だった複数の米軍コマンドをまたぐ太平洋上空飛行については2023年まで延期すると発表されています

monteleone.jpg前出の担当チーム長Monteleone氏は、「不意の飛行中断はあったが、機体の耐久性や電力蓄電能力など、高高度飛行での貴重なデータを得ることができた。飛行中断の原因分析と膨大なデータ分析のため、次回飛行の延期を決定した」、「得られた知見も元に、成層圏におけるより信頼性が高い飛行を前線兵士に提供できるよう分析改善を継続する」とコメントを発表しています
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元々の計画では、6月15日からの飛行と、夏の間に更に一回連続飛行を計画していたということですから、6月15日からの1回目の飛行は30-40日間程度の連続飛行を予期していたということでしょうか?

Zephyr3.jpg「太平洋上空を複数の米軍地域コマンドをまたがって飛行」を計画していたのであれば、様々な事前調整や準備が各方面の協力を得て進んでいたと考えられ、「64日間の連続飛行記録達成」と「予期せぬ飛行停止」が両面でインパクトが大きく、分析しがいのある教訓が得られたということでしょう

軍事利用の可能性については突っ込んで語れませんが、太陽光だけで連続飛行が可能な飛行機に夢がありますのでご紹介しておきます

長時間在空世界記録Zephyr関連の記事
「世界記録更新して継続飛行中」→https://holylandtokyo.com/2022/08/02/3503/
「英国防省が太陽光無人機Zephyrを試験へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-02-18
「冬の南半球で連続11日飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-29-1

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F-35データを僻地展開先から伝送する試験に成功 [亡国のF-35]

4-5月にアラスカで予備試験し、6月にパラオでの演習で検証
大尉以下5名のチームがPACAFの命を受け挑戦し成功
7日間で100ソーティー分50ギガバイト情報を伝送

644th Combat 3.jpg8月19日付米空軍協会web記事が、F-35運用開始以来の課題とされてきた、「AFNet:Air Force Network」に接続できない設備不十分な基地をF-35が拠点にした場合の膨大な蓄積データの伝送に関し、前線通信部隊の提案を太平洋空軍が予算を付けて検証させ、様々な許認可や組織の壁を乗り越えて世界中で使用可能な手法を生み出し、ACE構想(agile combat employment)推進に大きく貢献していると紹介しています

644th Combat 2.JPG提案したのはグアムのアンダーセン基地に拠点を置く第644戦闘通信隊で、同部隊の大尉以下5名のチームが今年4月から5月にかけての30日間、西太平洋の離島に見立てたアラスカのアイルソン基地に展開し、F-35を開発したロッキード社や国防省ネットワークシステム庁、更に各地の戦闘通信部隊と連携しつつ、同部隊が保有する約250㎏の機動展開用通信キットを少し改良し、各種ネットワーク連接許可を「官僚制の壁」を乗り越えて獲得し、衛星通信利用許可も得て成功したということです

アラスカでの30日間の検証の成果は、直ちに6月に実施された「Valiant Shield」演習でも試され、パラオに展開したF-35データの伝送利用に成功した模様で、F-35が世界中のどの辺鄙な場所を拠点として活動しても、「空飛ぶ計算機」とか「空飛ぶデータセンター」と呼ばれるF-35集積蓄積したデータを迅速に共有して有効活用可能にする基礎技術が確立された模様です

644th Combat 5.jpg具体的に第644戦闘通信隊の大尉以下5名のチームが、どのような手法を用いて長年の課題を克服したかまんぐーすは記事から理解できませんでしたが、5名のチームを率いた大尉は、12年の空軍キャリアのうちの9年間も各地に展開してネットワーク構築する業務に従事し、陸海海兵隊のほか同盟国との現地調整に当たってきた経験を持つ「現場を熟知した」人材で、現場目線で温めてきたアイディアをチャンスを生かして実現したようです

644th Combat.jpg記事には、通常辺鄙な展開先に確立される通信速度や通信容量の細い戦術ネットワークを組み合わせ、少し大きい衛星通信用のアンテナを用い、太平洋空軍司令部の「お墨付き」を背景に各種のネットワーク接続許可や衛星通信使用許可も得て実現に至ったと説明されています。また、F-35展開先に必ずしも通信ネットワーク装備を展開させなくても、「hub-and-spoke concept」で実現可能なシステム構成になっているようです

様々な試行錯誤を経てネットワークを構築し、最終的にアラスカのアイルソン基地で、「7日間でF-35が蓄積した100ソーティー分の情報50ギガバイト分を伝送」できたことがどれほどの意味を持つのかまんぐーすは説明できませんが、同チームの軍曹は「これで世界中のどこにF-35が降り立っても、データを共有できる」と語っています
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644th Combat 6.JPGF-35が「空飛ぶ計算機」とか「空飛ぶデータセンター」と呼ばれる意味をよく理解しておらず、記事が伝えようとしているこの試験の意義を十分に把握できていないまんぐーすですが、通信ネットーク構築と言う極めて重要ながら一部の専門家しか理解していない事項が、「軍事組織の官僚機構」の中で「最適化」されずに放置されている様子が伺えるような気がします

記事の中には「官僚機構」「許可申請」との言葉が何回か使用され、太平洋空軍司令部の「お墨付き」で壁を乗り越えていった様子が示唆されており、現場の意見やアイディアが改善に結び付きにくい現状を暴露した事例のような気がしてなりません

644th Combat 4.jpgSpaceXがロシアの妨害に負けず、「Starlink」を生かしてウクライナのネット接続を守った迅速適切な対応を、国防省電子戦担当幹部が「涙が出るほど素晴らしい」「国防省ではこれほど迅速な対応はできない」と吐露した教訓も生々しいところですが、なかなが巨大な軍事組織が変われない事例が一つF-35関連で明らかになったと理解しています

SpaceXがウクライナへのネット接続を死守
「ロシアの電子戦に迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/

最近のF-35関連記事
「エンジン換装問題の早期決着を要求」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
「射出座席問題で飛行停止」→https://holylandtokyo.com/2022/08/04/3531/
「チェコが18番目の導入候補国に」→https://holylandtokyo.com/2022/07/25/3492/
「米海軍が調達ペース抑制へ」→https://holylandtokyo.com/2022/07/07/3420/

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米空軍がKC-YとKC-Zの検討予定に言及 [米空軍]

KC-Yの要求性能を今秋に固めて調達方針を来春に
KC-Zは予定を数年早めて2024年には要求性能検討開始

blended wing3.jpg8月11日、米空軍マテリアルコマンドの「Life Cycle Industry Days」で米空軍の空中給油機計画担当Paul Waugh氏が、KC-46と将来給油機KC-Zの間を支える「つなぎ給油機KC-Y:bridge tanker」の要求性能を今秋にも固め、2023年春にはどのような方針で調達するか明らかにすると述べ、更にこれまで2030年代に入ってから検討するとしていた「KC-Z」について2024年から要求性能検討を開始すると説明しました

blended wing5.jpg先ず、「つなぎ給油機KC-Y:bridge tanker」については、Kendall空軍長官が今年3月に「機種選定はやらない方向」「ボーイング製KC-46の改良型で」との方向を示唆しましたが、対抗馬に名乗りを上げていたロッキードとエアバス社合同チームのLMXT(modified A330 Multi-Role Tanker Transport)に配慮したのか、その後同長官が「米空軍による正式な要求性能検討を踏まえて決定する」「技術動向分析を行って」等と慎重な発言をしているところです

「KC-Z」に関しては、第5世代戦闘機に随伴可能なステルス性を持つ機体までを含めた検討が示唆され、例えば最近BWB(blended wing body)機の技術成熟度を見極める情報収集が関連企業を巻き込んで行われるなどの動きがみられますが、これも空軍長官が従来の予定からの大幅前倒し検討を指示して予備的検討が6-7年前倒しの2023年から開始されることになったとWaugh氏が説明した模様です

「KC-Y」に関してWaugh氏は・・・
LMXT.jpg●米空軍から「requirements:要求性能など」が示されるのを待っており、それが公表された後、KC-Y検討をリードする米空軍輸送コマンドが細部を空軍司令部と詰め、統合要求性能評議会(Joint Requirements Oversight Council)などと調整して決定される。具体的な日程は把握していないが、今秋には要求性能が明らかになるだろう。そして調達方針(acquisition decision)は2023年春に決定されるだろう

●同時に我がマテリアルコマンドでは、2つの企業グループであるボーイングとロッキードからの提供情報などを踏まえた「技術動向の背景調査」を進めており、必要な情報提供を空軍省や空軍司令部に行っている

※ なお7月のFarnborough航空ショーでロッキード社担当幹部は、(機種選定の無いKC-Y機種決定ではなく、)「公平な競争の機会が与えられると期待している」と発言して米空軍の動きをけん制している

「KC-Z」に関してWaugh氏は・・・
KC-Z 3.jpg●当初は2030年代にKC-Zの要求性能等について固める方針だったが、Kendall空軍長官からもっと早く進めよとの指示があり、優先して検討を進めている
●マテリアルコマンドの「Life Cycle Management Center」は、空軍輸送コマンドと連携して2023年には「pre-analysis of alternatives:要求性能の事前検討」を開始し、2024年には同検討を公式に開始する

●その「analysis of alternatives:要求性能」検討を受け、「a family of systems」の中でのKC-Zの位置づけや性格付けを行い、それに基づいて情報提供要求(RFI: request for information)を発出し、KC-Zが追求する残存性、相互運用性、自立運用性程度に応じた実現可能性に関する情報収集を行って具体化に見受けた検討を深化する予定だ
●このKC-Z検討過程で得られた知見は、KC-Zだけでなく、KC-YやKC-46やKC-135の今後の計画にも生かされる予定である
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KC-46A9.jpg8月10日~12日に開催された「Life Cycle Industry Days」会議から、「デジタル設計」「F-16の今後」そして「KC-YとZ検討の今後」についてご紹介してきました。

「東京の郊外より」でこの会議を取り上げるのは初めてだと思いますが、Kendall空軍長官やBrown空軍参謀総長が以前から述べてきた「2024年度予算案から本格的な革新」との言葉を予感させるものとなっています

単発の3つの話題だけでは全体像が見えませんが、今秋からの米空軍の動きを予感させるものとしてご紹介しておきます。空中給油機については、「KC-Y」でドロ沼機種選定を避けるためには、「KC-Z」のイメージも見据えつつ「KC-Y」はKC-46改良型でよいとの結論にしたいのでしょう

空中給油機検討の関連記事
「BWB機の技術動向調査」→https://holylandtokyo.com/2022/08/05/3508/
「将来給油機体制検討に企業へ情報提供依頼」→https://holylandtokyo.com/2022/07/11/3425/
「給油機のミニマム必要機数を削減」→https://holylandtokyo.com/2022/06/13/3319/
「KC-XYZの再検討再整理表明」→https://holylandtokyo.com/2022/04/18/3151/
「KC-Yにロッキードが名乗り」→https://holylandtokyo.com/2021/10/05/2260/
「つなぎ空中給油機KC-Yに着手へ」→https://holylandtokyo.com/2020/12/01/333/
「2016年当時の空中給油機後継プラン」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-09-22

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米空軍のF-16後継や将来検討に進展なし!? [米空軍]

昨年の2030年代も使用発言が、14日には2040年代までと
現有約900機で、2030年時点でも約700機以上保有

F-16 Viper2.jpg8月14日、米空軍マテリアルコマンド主催の「Life Cycle Industry Days」でF-16担当幹部が講演し、2021年5月頃にBrown空軍参謀総長らが表明した「将来戦闘機体系の検討開始」の中で示唆された、F-16後継想定のMR-X(malti-role Fighter)開発やT-7練習機の改修に関する指示は全くないと述べ、依然として米空軍司令部や戦闘コマンドACC検討チームの掌中にあると言及しました

そして、約20年間の延命を可能にする1機数億円相当のF-16への延命改修SLEP(service life extension program)改修はほぼ終了し、現時点で約900機保有で、2026年までに124機削減しても2030年時点で700機以上保有しているF-16は、2040年代まで現役として活躍しているであろうと表現しました。

F-16 Viper5.jpgこの「2040年代にも」との表現は、昨年5月頃に将来戦闘機体系検討の話が出た当時の「2030年代にも」との表現を一歩拡大したもので、2030年代半ばに登場が示唆されていた「MR-F」検討に新たな指示なしとの話と合わせ、予算難の米空軍にあって、今後も多様な任務に対応可能なF-16が重宝されそうな方向に益々傾いていることを示しています

具体的に同イベントで担当空軍幹部は・・・

●F-16計画担当リーダーTim Bailey大佐
「我々は2040年代に入っても、数百機のF-16が現役として活躍していることを予期している。」

●戦闘機担当計画執行責任者Dale White准将
White F-16.JPG「F-16後継機検討開始に関する指示は一切受けていない。MR-FやMR-Xと呼ばれるものや、T-7練習機の改修案などに関しても、米空軍マテリアルコマンドには一切要望は届いていない」

※ なお、MR-Fに関してBrown参謀総長は2021年5月当時、「5世代機マイナス」「ステルス機は意図していない」「必ずしも高い生存性は求めていない」「費用対効果」と表現し、当時のACC司令官Homes大将はT-7練習機を武装することも一つのオプションで、資金や維持整備能力に限界のある諸外国への輸出用にも可能性があると発言していました
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ちなみに、2021年5月当時の将来戦闘機検討の方向性は

現在の7機種から「4機種+1」へ
・「4機種」とは、F-22後継イメージのNGAD、F-35、F-15EX、そしてF-16かその後継機
・「+1」はA-10攻撃機

2021年から今後10年の方向性
(2021年5月14日付米空軍協会web記事報道)

・米空軍が旧式アセット早期引退を急ぐ背景
— 航空アセットの44%が当初の運用寿命オーバーで使用中
— 米空軍航空機の平均年齢は28.6歳 老朽化
— ちなみに米陸軍は15.3歳、海軍は14.4歳
— 豪空軍は8.9歳、英空軍は16.6歳
・以下の早期引退進め、近代化加速でも、年間7-8千億円資金不足

・米空軍が2026年までに退役させたい戦闘機421機
(以下の退役規模は2010年初頭の250機以来の規模)
— F-15C/Dを234機、F-16を124機(残り812機に)
— A-10を63機 (ただし2023年までに:現281機)
・一方で2026年までに新規導入希望304機
— F-35Aを220機、F-15EXを84機

・F-22は2030年から退役開始
— NGADが後継となる方向
— 今も近代化改修中も、20年後はハイエンドで戦えない
・F-15EXの方向性
— 2022年に11機、23年に14機、その後年19機導入
— 遠方からハイエンド紛争に参画、それ以外では制空任務も
— 極超音速兵器や、空対地ミサイルAGM-183A・ARRW搭載へ
— また中国の長射程空対空ミサイルPL-15に対抗
長射程空対空ミサイルAIM-260搭載か

・維持費高止まりのF-35調達ペースは
— 2022年度は48機要求も、以後2023-26年は年43機ペースに落とす
— これにより2023-26年調達機数を240機から220機に削減
— 当初の年間1機維持費見積4.5億円だったが、現時点では2036年でも8.5億円
— F-16とA-10全ての後継機のはずが、維持費下がらず方向転換へ
— 一応空軍は「Block4」が完成したら調達ペース上げると言い訳

・2035年頃から導入MR-X(malti-role Fighter)
— 約600機のF-16後継をイメージ。6-8年後から検討開始
— デジタル設計技術導入で、開発期間短く、短期間使用で維持費抑制
— 早いサイクルで次世代機導入で陳腐化避ける
— ハイエンド紛争には限定的役割も、多用途で任務あり
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LCID.jpgF-35のエンジン問題(AETPへ換装か、現F135改修か)や、NGADが1機数百億円するとのKendall空軍長官発言もあり、とても戦闘機の将来体制を議論する余裕がないのが現実でしょう

対中国作戦での戦闘機操縦者の救難救助体制再構築も全く見通しが立たない中、今年の夏も盛りを過ぎようとしています・・・・

F-16関連の記事
「世界中で根強い人気のF-16」→https://holylandtokyo.com/2021/06/01/1784/
「米海軍が中古空軍F-16購入へ」→https://holylandtokyo.com/2021/06/17/1873/
「F-16人気にロッキードニンマリ」→https://holylandtokyo.com/2020/04/29/739/
「F-16生産移設であと200機」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-3
「米軍F-16延命へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「稼働率8割はF-16だけが達成見込み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-06
「インド選定に特別仕様F-16で挑む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-22
「台湾F-16V型ようやく納入」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27-2

米空軍の戦闘機構成議論
「戦闘機の近未来体制は」→https://holylandtokyo.com/2021/05/21/1709/
「戦闘機は7機種から4機種へ」→https://holylandtokyo.com/2021/05/18/1496/
「戦闘機混合比や5世代マイナス機検討」→https://holylandtokyo.com/2021/02/22/266/

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恫喝:F-35に新エンジン搭載しないと産業基盤崩壊と [亡国のF-35]

AETPをF-35に搭載しないと1企業のみ生存と訴え
現装備F135エンジン改修より3倍高コストのAETP推進
燃費25%・航続距離30%・推力倍増とアピールの亡国ぶり

AETP XA100.jpg8月11日、米空軍主催の「Life Cycle Industry Day」で米空軍次世代戦闘機エンジン開発担当John Sneden氏が記者団に、耐久性不足で稼働率が低迷するF-35エンジン問題に対し、仮に米国防省が新型次世代エンジンAETP(Adaptive Engine Transition Program)への換装を選択せず、現F135エンジンの継続使用や同エンジンの改修案を採用したなら、米国の先端航空エンジン産業基盤は1企業のみに縮小して「崩壊する:collapse」と恫喝しました

この問題は、F-35のF135エンジンのエンジンブレード耐久性が不足し、当初予想より修理整備作業が頻発してF-35稼働率を低迷させている件で、現F135エンジンを改修するオプションか、新エンジンAETPへの換装を進めるかの選択を2024年度予算案取りまとめ課程で決断を迫られているものです。

AETP XA100 2.jpgただでさえ維持整備費が第4世代機の2倍近くに高止まりして英国等のF-35購入国から非難の声が上がり、米軍内で調達機数削減の検討が行われている中、傷口に塩を刷り込むように米空軍長官らが国防省調達担当次官やF-35計画室に高価な新エンジンAETPへの換装決断を迫っているものです

8月16日付Defense-News記事によれば、F-35導入中の他軍種や同盟国等との関係があるので国防省がどのオプションを採用するか最終決定を行うべきだと米空軍が「下駄を預けた」形になっている本件に関し、新エンジンAETP採用なら開発費等を含めて生産に約8000億円の見積もりで、F135エンジン改修オプションの費用3倍で、ライフサイクルコスト換算だと4兆3000億円も現エンジン改修より高価だそうです

AETP XA-100 3.jpgただGE 社(XA100)とPratt & Whitney社(XA101)がそれぞれ独自開発しているAETPはデモ段階で、燃費25%改善・航続距離30%増・推力倍増の結果を示しているそうで、対中国作戦には不可欠だと米空軍は主張しているようです

同時に同エンジン開発担当John Sneden氏は記者団に、恫喝とも泣き落としとも思われる作戦を繰り出し、国防省がAETPをF-35新エンジンに採用してくれたなら、2024年から本格開発フェーズに入って2030年までに提供可能となり、NGADのエンジン選定が予定される2024年のタイミングとも合致して丁度良いが、仮に採用されないと米国先進エンジン開発産業基盤は1社体制になって競争環境を失い「崩壊する:collapse」との論を展開していま

AETP XA-100 2.jpg各オプションのコストやスケジュールやエンジン性能改善貢献度を、米海空海兵隊の協力を得て国防省F-35計画室が今年夏に取りまとめる予定で、更に米空軍は別途、各オプションが実際の作戦運用場面でのどのようなインパクトを与えるのかを検討して9月にまとめるようです
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足元では、7月末にチェコ共和国が18番目のF-35購入候補国に名乗りを上げたところですが、皆さん懐具合は大丈夫なんでしょうか? 現時点で1760機を購入予定としている米空軍は、恐らくエンジン問題対処へのコストも含めて総調達機数の削減案を検討するでしょうし、1000機を切ることは確実でしょう。

AETP XA100 3.jpg規模の縮小は更なる維持整備コストのアップにつながり、他軍種や同盟国等の購入機数削減縮小を導きます。そしてこの「負のスパイラル」が「亡国のF-35」の本質であり、意思決定に時間が必要な日本は負の影響をたっぷり受けることになるでしょう・・・残念ながら。本当にこの件に関係する人材は気の毒です・・・

F-35のエンジン問題
「空軍長官:国防省に下駄預ける」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
「空軍長官:数か月で決着すべき」→https://holylandtokyo.com/2022/05/26/3260/
「上院で議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
「下院軍事委員長がAETPに関心」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/

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デジタル設計技術で審査短縮や新規参入促進も [米空軍]

Digital Designの利点を空軍幹部が産業界に訴え
新規開発だけでなく、既存装備の一部にも導入と

digital design.jpg8月10日、米空軍の研究開発を担うマテリアルコマンドのDuke Richardson司令官がイベントで、「デジタル設計:digital design」技術について、例えばT-7練習機の開発設計工数が8割削減できたほか、皆が参集して会議形式で実施していた非効率で退屈な重要設計審査(critical design reviews)を日常業務可できる可能性や、軍需品への中小事業者の新規参入を促進する効果も大いに期待できると導入を促しました

digital design T-7.jpg発言は同コマンドが主催する「Life Cycle Industry Days」に参加した産業界関係者や米空軍の研究開発関係者に対して行われ、デジタル設計を「システム設計開発を根本的に変革するものだ」と表現して、単に開発設計の現場だけでなく、開発計画の過程に付き物の様々な審議や検討会の効率化や、書類業務の迅速化にも大いに貢献するとその効用を訴えるものとなっています

まんぐーすは「デジタル設計」について、パソコン画面上でCAD使用し、様々な試験をバーチャル環境で実施可能にして、設計上の問題点や要求性能の妥当性について効率的に判断してシステム開発を迅速化するものだとイメージしていましたが、

digital design2.jpg様々な開発過程のデータや書類を「日常的に共有all the time; every single day」し、「印刷された関連書類を卓上に積み上げての検討会プロセス」の効率化や、「契約に必要な書類の稟議チェック」を同時進行にすることにつなげるなどの効用があることを初めて知りました。これら非効率な仕事の仕方は「官僚制あるある」で、「デジタル設計」導入を契機にメスを入れとは、なるほどなぁ・・・と思います。

もちろん、まんぐーすがイメージしていた実地試験のバーチャルへの置き換え効果等々も非常に大きく、同司令官はマテリアルコマンド幹部にも「この技術が使えるようトレーニングを受けることを強く推奨してきたが、まだ道半ばだ」と軍内への普及も同時進行する必要性も認めています

Richardson M.jpgただRichardson司令官は、閉鎖的な軍需産業界に新たな企業、特に中小新興企業を招き入れる契機にしたいと考えており、「軍需産業界の皆さんには、このデジタル設計技術が如何に業務要領を変える可能性があるか検討してほしい」と述べつつ、「小さなビジネスを営んでおられる事業主の方には、この手法が厄介な仕事を排除して、大きな道を切り開く可能性があることを認識してほしい」と訴えています

また同司令官は、「デジタル設計技術」が次期ICBMのSentinelやNGADやT-7練習機と言った大型新規事業だけでなく、B-52エンジン換装やF-15EX開発と言った従来装備品の改修などにも導入され始めている点を強調し、全てに適応されるわけではないが、中規模の改修や能力向上事業には重要となるので、「バスに乗り遅れないでほしい」と表現しています
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digital design3.jpg「デジタル設計:digital design」を実際に行った経験もなく、同設計を使用したプロジェクトに関与したこともないまんぐーすは、Richardson司令官のアピールをそのままご紹介するしかできないのですが、この技術は民生技術を軍事にも応用したようなイメージですが、どうなんでしょうか?

日本でも普及が進むことを期待いたします

デジタル設計技術の活用
「F-22の能力向上」→https://holylandtokyo.com/2021/11/16/2410/
「F-15EX」→https://holylandtokyo.com/2021/03/22/166/
「戦闘機構成の検討開始」→https://holylandtokyo.com/2021/02/22/266/
「NGADのデモ機初飛行済」→https://holylandtokyo.com/2020/09/17/482/
「女性用にコックピット機銃変更へ」→https://holylandtokyo.com/2020/08/26/533/

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米空軍オスプレイ飛行停止も海軍海兵隊は継続運用中:9月2日に飛行再開指示 [Joint・統合参謀本部]

米空軍特殊作戦軍がオスプレイ飛行再開指示

飛行停止から約18日後の9月2日(金)に、3日又は4日に飛行再開と発表
離陸後すぐにフルパワーにするのではなく、クラッチ滑りがないことを確認するため 2 秒間のホバリング確認を指示
飛行停止にしていない米海兵隊が以前から行っていたと同様の確認手順を追加して飛行再開へ
クラッチにスリップが発生する根本原因は依然不明も・・・
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エンジンとプロペラを繋ぐクラッチのスリップ問題
2010年以降15件の同事案発生も、最近6週間で2件空軍で
過去大事故や負傷者なしで、10件発生の海兵隊は対処徹底済と

osprey v-22.jpg8月17日に米空軍が空軍特殊作戦軍保有のオスプレイ(CV-22)全52機に対し、エンジン動力をプロペラに伝える「クラッチ:clutch」関連のスリップ(slip)トラブルが過去6週間で2件連続して発生したことを受け、飛行停止を命じたのに対し、

オスプレイ(MV-22)を296機保有する米海兵隊は、同問題を2020年から把握して対応要領を十分教育等しているので飛行停止にはしないと同18日に明らかにしました。なお、同トラブル発生経験がない米海軍(約40機輸送機CMV-22Bとして保有)も継続飛行すると明らかにしています

Osprey V-22 2.JPGこのオスプレイのクラッチトラブルは、エンジンの回転をプロペラに伝えるギアボックス内のクラッチにスリップが発生して動力が十分にプロペラに伝わらない現象で、発生時にはもう一つの正常なエンジンに動力源が自動的に切り替わって墜落を防止するように設計されていますが、トラブル発生時には直ちに安全な場所に緊急着陸するよう運用マニュアルが定めています

18日の発表で米海兵隊は、2010年から同事案を把握しており、米軍全体で過去に15件同事案が発生して内10件が海兵隊保有機で発生していると明らかにしましたが、いずれも緊急着陸して対処し、機体の破損や死傷者の発生はありません

Osprey V-22 3.jpgオスプレイの米軍全体での総飛行時間は約68万時間で、その内53万時間を米海兵隊機が占めており、海兵隊はこれまでの経験から「同事象の2/3は離陸直後に発生」「米海兵隊が定める、離陸直後に高度約10mのホバリング状態で行う機体チェックで兆候察知が重要」「事象発生時の対処要領を十分教育訓練している」とし、

更に「海兵隊機(海軍機も)は、離陸後直ちに艦艇や空母周辺の比較的安全な地域での洋上飛行になることが多く、空軍特殊作戦軍機が脅威に近接した地域で運用されるのとは使用環境が異なる」等の理由で飛行停止にしないと海軍報道官等が説明しているようです

Osprey V-22 4.JPG一方の米空軍は、17日の飛行停止発表で「2017年以降、同事象を把握している」と述べ、米海兵隊の認識(2010年から把握)とずれていると記者団から突っ込まれているようですが、何時まで飛行停止するのか? 飛行停止をしてどのような措置を行うか等について明らかにしていません。

ただ、飛行継続を決定した海兵隊も同事象を放置しているわけではなく、追加で同事象発生を早期に搭乗員に知らせるアラームを今後数年かけて装備する検討を進めており、海空軍とも以前から緊密にオスプレイの状況については情報共有を図っているとしています

ちなみに同事象が発生した場合、トラブル程度によりギアボックスやエンジンの交換を行う必要があり、最低でも3億円が修理に必要になるということです。
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Osprey V-22 5.jpg垂直離着陸を行う回転翼機は、機体振動が大く、機体にねじれトルクがかかることもあり極めてデリケートです。本事象の陸上自衛隊保有機(現状9機、計17機導入予定)への影響が気になるところです

導入時にあれだけ「空飛ぶ棺桶」等と揶揄されたオスプレイですが、運用開始後は安定した飛行を継続しており、今年3月に4名、6月に5名の死亡事故が発生して海兵隊は1日飛行停止にして安全教育を再徹底したところですが、人的ミスが原因らしく、装備安全性の面では「優等生」だと思います。

既に計400機以上が納入され、68万時間以上の飛行実績があるオスプレイですから、そろそろ「クラッチのスリップ」問題にも根本的対策が打たれるよう願うところです。

2015年以前のオスプレイ関連記事
「海兵隊:オスプレイ需要急増」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-08-19
「オスプレイと空中給油」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-12
「空軍は救難には活用せず」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-03
「海軍もオスプレイ導入へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-17-1
「ミサイル発射試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-14
「日本がオスプレイ導入決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-19
「オスプレイ整備拠点で日韓対決」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-14
「イスラエルへ海外初輸出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-02
「少なくとも100機海外で売る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-19

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米海兵隊stand-in force構想実現に3MLRが奮闘中 [Joint・統合参謀本部]

2023年9月の運用態勢確立に向けRIMPACで訓練
センサー、通信機能、対空兵器、打撃力等をセットで「In」
米空母打撃軍の進出を支援するため敵艦艇を撃破など
約2000名体制で任務に応じて派遣部隊をチョイス

3rd MLR.jpg8月10日付Defense-Newsは、2021年12月発表の「A Concept for Stand-In Forces」に基づき米海兵隊が新たに編成した「Stand-In」部隊3MLR(第3沿岸海兵旅団:3rd Marine Littoral Regiment)が、2023年9月の初期運用態勢確立IOCに向け、組織編制や装備品選定や運用要領確立のための訓練や検討を精力的に進めている様子を紹介しています

3rd MLR6.jpgこの「Stand-In Forces」構想に基づく第3MLRは、通常の海兵隊部隊が有事に一番乗りで敵の戦力域内WEZ(weapons engagement zone)に乗り込む構想なのに対し、第一列島線上を想定した敵WEZ内に存在して敵情をリアルタイムで味方と共有するほか、「sea-denialやsea-control」作戦を行い、味方統合戦力部隊の進出を助けるイメージの部隊です

記事は典型的な運用例として、米空母戦闘群CSGが通峡するような場合に、第3MLRからの派遣部隊がWEZ内の島の沿岸部に位置し、自ら探知又はネットワークから入手した敵艦艇を攻撃するパターンを、6月末から8月4日まで実施されていたRIMPACで訓練したと伝えています

3rd MLR2.JPG2022年3月に約2000名で仮編制されたばかりの第3MLRは、この任務を遂行するため多様な機能を指揮官である大佐の下に機能的に編成することを目指していますが、検討すべき事項も多く残されており、どの機能にどの程度の装備と人員を保有するかや、どのような新装備を導入すべきか、またどのような状況でどの程度の派遣部隊を編成するかを今後の演習とを通じて検証していくとのことです。

対中国作戦で、遠方からの極超音速兵器や長射程精密誘導ミサイルや巡航ミサイルなどの攻撃能力強化ばかりが話題になる米軍にあって、数少ない前線密着部隊ですので、近況を断点的ながらご紹介しておきます

8月10日付Defense-News記事によれば
3rd MLR3.JPG●第3MLR 内に、2022年2月に対空監視から味方部隊の航空管制までも担当する「対空大隊」を編成し、6月には攻撃能力を担う「第3沿岸戦闘チーム」や文字通りの「戦闘兵站大隊」が再編成され、RIMPACでも訓練に参加した
●2023年9月の初期運用態勢確立に向けては、軽着上陸用艦艇の「stern landing vessel」や、長距離運航が可能な「unmanned surface vessel」導入が重要なカギとなるが、無人艦艇に関しては検討チームの調査が夏に開始される。このように「stand-in force」の迅速かつ適時の機動展開に向けた検討も佳境を迎える

3rd MLR5.JPG●2022年秋には、第3MLRの打撃力強化の大きな柱である、前述の「第3沿岸戦闘チーム」の下に「Medium Missile部隊」が編成される予定である
●2023年2月には、米海兵隊が第3MLRのための大規模演習を南部加州で計画し、その成果を踏まえてフィリピンでの「Balikatan演習」に臨む予定である。フィリピンは西太平洋の同盟国の中でも第3MLRに関心の高い国の一つで、似たような機能の部隊を自国で編成しており、同盟国との連携強化面でも米国として重要な演習となる

●そして2023年秋には太平洋軍米海兵隊として大規模な演習を行い、第3MLR以外の米海兵隊の多様な能力との連携も披露し、第3MLRの初期運用態勢確立につなげる計画となっている
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3rd MLR4.jpg記事では上で紹介した以外に、目標情報をはじめとする各種情報のリアルタイム共有方法や、同盟国等も含めたセンサー情報や攻撃力の融合運用など、様々な課題の存在を示唆しています。

「stand-in force」なのですが、任務に応じて適切な派遣部隊を編成して展開させる・・・とのイメージで説明されており、また、3MLR(第3沿岸海兵旅団:3rd Marine Littoral Regiment)の部隊や本部がハワイに所在する実態からも、「stand-in force」の意味するところを慎重に理解する必要がありそうです

自衛隊との連携も密になると考えられる部隊ですので、「3rd Marine Littoral Regiment」をよく覚えておきましょう

2022年5月時点でのstand-in force構想進捗
「米海兵隊のstand-in force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/

「A Concept for Stand-In Forces」の現物32ページ
https://www.hqmc.marines.mil/Portals/142/Users/183/35/4535/211201_A%20Concept%20for%20Stand-In%20Forces.pdf?ver=EIdvoO4fwI2OaJDSB5gDDA%3d%3d

遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「米陸軍は2023年から遠方攻撃兵器で変わる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-09
「スタンドオフ重視を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19-1
「遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「米空軍トップも批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

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独タイフーン戦闘機6機がアジア豪星日韓へ展開訓練 [安全保障全般]

2021年8月の独海軍フリゲート艦アジア派遣に続き
欧州諸国の対中国への姿勢を示す1か月以上の長期派遣
A400M輸送機4機とA330空中給油機3機と共に展開

Rapid Pacific 2022.jpg8月15日午後、ドイツ空軍のタイフーン戦闘機6機が独空軍基地(Neuburg)を飛び立ち、中東アブダビ経由で24時間かけA400M輸送機4機とA330空中給油機3機と共にシンガポールに展開しました。今後更に豪州北部のダーウィンに移動し、8月19日から9月9日の間で実施される多国間空軍演習「Pitch Black 2022」に参加します

Rapid Pacific 2022 2.jpgこのドイツ空軍戦闘機初のアジア太平洋地域への展開は、昨年8月の独海軍フリゲート艦「バイエルン」の派遣(6か月間に12港に寄港)に続く独軍のアジア太平洋関与姿勢を強調するもので、2020年にドイツ政府が発表したアジア太平洋戦略文書や、今年NATOが発表した「Strategic Compass document」に基づき、「欧州とアジア太平洋を結ぶサプライチェーンルートへの障害は、ドイツに大きな問題をもたらす」との危機感を背景に、遠く離れたアジアへの関与を深める姿勢を改めて明確にするものです

A400M germany.jpg多国間空軍演習「Pitch Black 2022」は、インドを含む周辺アジア諸国のほか、米英独仏蘭加やUAEも参加し、日本と韓国とドイツが初参加で大きな注目を集めている大規模演習で、ドイツ空軍は空対空や空対地作戦や防空訓練に参加を予定していると発表されています

空軍演習「Pitch Black 2022」に参加後は、豪海軍との艦艇防御演習「Kakadu exercise」に9月12日から26日の間参加し、その後はシンガポール空軍との航空作戦訓練を行い、更に後には派遣部隊を分割して日本と韓国を訪問して訓練を実施するとのことです

Rapid Pacific 2022 5.jpgご紹介している写真のタイフーン戦闘機の特別塗装や訓練参加者用のワッペンをご覧ください。日本や韓国やシンガポールや豪州やUAE等の国旗をあしらった特別塗装やパッチから、「Rapid Pacific 2022」と名付けられた今回の派遣訓練に対するドイツ軍の意気込みが伺えます。

Rapid Pacific 2022 6.jpg航空自衛隊も今回の「Pitch Black 2022」参加のため、豪空軍A330から空中給油特別訓練を受けて臨む力の入れようですので、対中国の包囲網が強固であることを示すため成果大なることを期待しつつ、独タイフーン戦闘機来日の際には大歓迎したいと思います

ドイツ空軍から航空自衛隊は、現在ドイツ空軍ではトーネード戦闘爆撃機が担っている「戦術核共有運用」について是非学んでほしいものです

ドイツやPB演習関連の記事
「独が戦術核共有にF-35導入へ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/
「豪州KC-30A給油機と空自F-2の給油適合試験」→https://holylandtokyo.com/2022/05/10/3211/
「独海軍艦艇バイエルンのアジア派遣」→https://holylandtokyo.com/2021/08/05/2076/

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米宇宙軍が外国大使館に武官派遣検討 [サイバーと宇宙]

最初の派遣国は英国が有力、独仏伊豪カナダが続くか?
人員不足で当初は空軍武官兼務も
日本・メキシコ・韓国・印・デンマークも可能性?

space attaches.jpg8月1日付米空軍協会web記事が、米宇宙軍が同盟国等との宇宙ドメイン協力関係や能力&人的戦力強化するためのRSA(Regional Space Advisor)計画を検討中で、その一環として在外米国大使館に従来の陸海空軍武官(attaches)に加えて宇宙軍武官派遣を検討していると報じ、最初の派遣国として世界3位の衛星保有国である英国の可能性が高いと紹介しています

RSA計画全体がまだ固まったものではなく、在外米国大使館を外交一元化の観点から統括する「国務省」や派遣先国との調整も今後の予定とのことですが、宇宙軍が陸海空軍&海兵隊の「引き立て役(enabler)」ではなく、陸海空ドメインと並立する重要分野であることを示す象徴的な人事として注目を集めているようです。

space attaches2.jpgどの国に宇宙軍武官を派遣するかについては、宇宙軍報道官は「宇宙ドメインでestablished と emerging space powersの両方から選定中」だとしていますが、在ロンドン米空軍武官のMetrolis大佐は「英国が最初の米宇宙軍武官を派遣する国になるだろう」と語っています

記事は英国が派遣先の一番になりそうな背景として、軌道上の衛星数が米国と中国に次いで世界第3位で更に増える方向にあること、軍内に宇宙コマンドを持つ数少ない国であること、今年2月に米英宇宙コマンドが協力強化覚書に署名していることを理由に挙げています。

space attaches4.jpgまた、英国に次いで武官派遣可能性が高い国として、宇宙コマンドや宇宙師団を持ち、軍用衛星を保有している独仏伊カナダをあげ、軍用衛星を運用している日本、韓国、インド、メキシコ、デンマークも将来の検討対象だろうと記事は言及しています

ただし、米宇宙軍が創設されて間もなく人的戦力が不足している現状を踏まえると、宇宙軍独自に武官を派遣できる国は限定せざるを得ないと考えられ、空軍武官との兼任も現実的なオプションとなろう・・・とも記事は説明しています
////////////////////////////////////////////////////

上の記述では、宇宙軍の地位向上を示すための「象徴的な人事」と表現してしまいましたが、米宇宙軍武官派遣との捉え方よりも、宇宙に関する軍事専門知識を持つ人材を海外に派遣して、同盟国等との連携を図る必要性が急激に高まっているということでしょう。

space attaches3.JPGロシアによるウクライナ侵略において、ロシア地上部隊侵攻直前に、いわゆる「第1撃」が行われた対象が民間衛星通信会社のネットワークであったことや、ウクライナの海外との意思疎通や情報発信を支えたインターネットサービスを全力で支え続けたのがSpaceX社であり同社の「Starlink」であったように、宇宙アセットに関する話ができる人材を同盟国等に常駐させる重要性が認識されつつあるということでしょう

とりあえずのコンタクト先が確保できれば、業務の流れはずいぶん違うと思います

ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/

最近の宇宙関連記事
「早急な能力向上に民間衛星企業をまず活用」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
「露はなぜ大規模サイバー攻撃やGPS妨害を実施しないのか?」→https://holylandtokyo.com/2022/07/26/3497/ 

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空軍長官が国防省にF-35への新エンジンAETP搭載迫る [亡国のF-35]

米議会や他軍種や他国からの追い風がなさそうな状態なのに
2024年度予算案に組み込む必要性を訴え
最後は国防省調達担当次官の判断だと

AETP XA-100.jpg7月26日、kendall空軍長官が講演で、耐久性に問題がありF-35稼働率低迷の一つの要因となっているF135エンジン問題に関し、2024年度予算空軍案を決める夏に、新型AETP(Advanced Engine Transition Program)エンジン導入の方向を決定したいと訴えつつ、米海軍やや海兵隊にも関係する問題であるので、LaPlante調達担当国防次官に最終判断が委ねられていると述べました

AETP XA-101.jpg新型AETPエンジンは、もともと次世代制空機NGAD用に開発されてきたエンジンで、これを今頃F-35に搭載しようとすると7000億円以上の追加経費が必要な上、垂直着陸型F-35Bには搭載不可能な構造になっていることから、先日退官したFick国防省F-35計画室長(空軍中将)は、「異なる道に進むなら、他者へのコスト増が無いように、米空軍独自の経費でやるべきだ」と突き放した発言をしていた所です

また、これまでのところ、米空軍以外で新型AETPエンジンを導入したいと表明している軍種やF-35導入国はありませんし、現在のF135エンジン改修搭載案にも前向きな発言を聞いたことがありません。(F-35維持費が高止まりしている中、他軍種も他国もそれどころではない状態です)

Kendall 7.jpgそんな中でもKendall空軍長官は講演で、「だらだらとF-35への搭載検討研究開発費を投入したくない」と述べつつ、「私は強くATEPエンジンを希望している。F-35の更なる能力向上につながるからだ」、「最終的な決断は、他軍種やF-35他形態との国防省としての立場の一体性から、調達担当国防次官に委ねられるだろう」と語っています

米議会の中は様々なようで、2022年度国防授権法では、AETPエンジンであるGE社 XA-100 とPratt & Whitney社XA-101エンジンを2027年までに「Block 4」形態以降のF-35に搭載可能かについて、よく吟味するよう国防省に検討を求めている一方で、

AETP XA-100 2.jpg35名の超党派議員団は LaPlante調達担当次官にレターを送り、F-35が本格大量生産に入る中で極めて改修リスクが高く、追加費用も膨大なF-35へのAETP搭載案を断念するよう要求し、F-35計画の屋台骨である「兵站分野の共有化」をAETPエンジン導入でぶち壊すことがあってはならないと警鐘を鳴らしています

ちなみに、AETPエンジン導入のメリットについて空軍長官は講演で触れなかったようですが、26日付米空軍協会web記事によれば企業関係者は、推力の増加やステルス性の向上、更に電子戦能力向上やエネルギー兵器搭載を容易にする発電量増加を挙げているようです
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AETP XA-100 4.jpg今年5月17日の上院証言でKendall長官は、「空軍単独で進むことは考えない」との方向性を示唆していたようですが、このような他軍種や議会やF-35導入国との関係にあまり配慮しているようには見えない発言の真意はどこにあるのでしょうか?

F135エンジンの改修型導入か、AETPエンジン導入か、はたまた現在のF135の修理体制を増強して、予想より頻発する故障に対応しながら付き合っていくのか・・・極めて大きな「亡国のF-35」を巡る動きですので注視してまいりましょう

F-35のエンジン問題
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「上院でエンジンとODIN議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
「下院軍事委員長がAETPに関心」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「民間監視団体が酷評」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/

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秋にも米空軍MQ-9が日本拠点に東シナ海監視スタートか!? [米空軍]

6月のValiant Shield演習で少人数&省装備での展開能力示す
従来55人から10名で展開可に。C-17でなくオスプレイで展開OK

MQ-9 Reaper.jpg8月3日付米空軍協会web記事が、アジア太平洋戦域で活躍の場を模索するMQ-9無人偵察攻撃機の第55試験評価飛行隊長にインタビューし、6月のValiant Shield演習でパラオに展開して自動離着陸能力ATLCを活用した「より少人数」「より少ない展開装備」での前線展開能力を実証し、更に2022年秋には日本に恒久拠点(permanent home)を立ち上げ東シナ海でのISR活動に乗り出すとの内容を紹介しています

MQ-9 Reaperは中東での対テロ作戦で大活躍した無人偵察攻撃機で、現在米空軍は約320機保有していますが、テロとの戦いから中国との本格紛争に体制を切り替えつつある米空軍にとって、ステルス性のないMQ-9をアジア太平洋でいかに活用するかが以前から検討議論されてきました

MQ-9 Reaper2.jpg6月のValiant Shield演習では、ATLC(automatic takeoff and landing capability)活用により、離着陸の操縦を現地に展開した地上要員が実施せず米本土から遠隔操作できるようになり、その他再発進準備も、エンジン始動と給油を除いて全て衛星通信遠隔操作で可能となったことから、展開させる装備品も減り、前線展開要員も従来の55名から僅か10名で可能となったということです。

具体的には、従来MQ-9部隊が前線展開するには、3-4日かけてMQ-9や操縦用コックピットや通信アンテナ等々を分解してC-17に積み込み、展開先到着後には再度すべてを組み立てて現地体制を確立する必要があったようですが、ATLC活用により、約180㎝四方のコンテナパック展開装備と10名が輸送可能なCV-22オスプレイやC-130輸送機で軽易に前線展開が可能になったとのことです

MQ-9 Reaper3.jpgこのような革新的な展開能力向上は米空軍ACE構想に中で「RACE:Reaper ACE」と呼ばれ、Valiant Shield演習では、ハワイからグアム経由で展開経験のないパラオに初展開し、軽装備少人数による低コストで計画した訓練を遂行したようです。

また、単に軽快迅速に展開しただけでなく、MQ-9に海上目標補足用のESMポッドを搭載し、広範囲を長時間連続で偵察飛行してリアルタイムで海上移動目標の状況をレポートしたり、敵側の攻撃準備を早期にキャッチして味方に知らせる事にも成功して、20時間連続飛行可能なMQ-9の有効性を演習参加部隊指揮官たちに示せたと飛行隊長は述べています

MQ-9 Reaper4.jpgそれでも、MQ-9が低速でステルス性のないアセットであることや、高価な衛星通信に依存していること、またATCL依存の展開にはリスクが伴うとの指摘もあり、米空軍内にはMQ-9のアジア太平洋戦域での活用に消極的な意見もあるようで、今回のValiant Shield演習の成果検証をまとめ、更なる改善のための提言を同飛行隊が中心になってまとめているようです

ただし、少なくとも平時からグレーゾーン時のISR活動へのMQ-9活用強化は着々と進んでいるようで、同飛行隊長Chmielewski中佐は、「基地整備の遅れから恒久配備(permanent employment)が遅れていたが、2022年秋までには、日本の航空基地に恒久展開拠点permanent homeが立ち上がるだろう」、「第一列島線上に配備し、南シナ海まではカバーしないだろうが、東シナ海にアクセスすることになろう」とインタビューで語っています
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MQ-9 Reaper5.JPG「2022年秋までには日本の空軍基地に恒久拠点」は初耳でした。

同飛行隊長は、「1週間程度の(今回実証できた)軽装備展開を地域の各地に行い、求められる常続的監視網の提供を行いたい」と抱負を語っており、三沢か嘉手納か配備先がわかりませんが、日本も高価なRQ-4から早くトンずらして、中古のMQ-9に移行することを考えてはどうでしょうか?

MQ-9関連の記事
「一般公道で離発着訓練」→https://holylandtokyo.com/2022/07/12/3426/
「4大シンクタンクがMQ-9の継続活用要望」→https://holylandtokyo.com/2021/11/29/2464/
「2回目の対中国応用演習」→https://holylandtokyo.com/2021/05/01/211/
「豪州へ12機輸出承認」→https://holylandtokyo.com/2021/04/29/119/
「本格紛争用に約1/4を改修&延命へ」→https://holylandtokyo.com/2021/04/28/118/
「JDAM完成弾運搬役も」→https://holylandtokyo.com/2021/03/09/156/
「無人機MQ-9の対中国海上作戦への応用演習」→https://holylandtokyo.com/2020/10/02/424/

日本が買わされた黄昏のRQ-4
「Block 40でも今後8年程度の賞味期限」→https://holylandtokyo.com/2021/07/28/2036/
「日本用RQ-4が米国で試験初飛行」→https://holylandtokyo.com/2021/04/21/112/
「自衛隊が希望していないRQ-4を買わされる件」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-22

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米国防省が胴体と翼一体型BWBの輸送機等の技術情報収集 [米空軍]

BWB(blended wing body)機の技術成熟度を見極めるため
空軍の輸送機と給油機、更に民航機への応用可能性を問う
少なくとも30%の空力特性効率化の提案を要望

blended wing.jpg7月21日付米空軍協会web記事は、米国防省の革新推進チームDIU(Defense Innovation Unit)と米空軍が企業に対し、BWB(blended wing body)型航空機技術の輸送機や空中給油機への応用可能性についての提案を8月2日までに求めており、同技術の民間航空機への応用によるコスト削減可能性にも関心を持っていると紹介しています

BWB(blended wing body)型航空機とは、翼と胴体が一体となった形状の航空機で、一般に内部搭載スペースが大きく、その形状から空力特性が良く燃料消費率が低く抑えられ、また形状から電波反射率が低くステルス性に優れていると考えられている機体です

X-48 boeing.jpg例えば、ボーイング社は2007年にX-48とのプロジェクト名でBWB形状の小型モデル機の飛行試験を行い、ロッキード社も何年にもわたりBWB形状期の輸送機や空中給油機への応用について研究を行っていると知られています

今回の企業側への情報要求に関し、米空軍は(KC-46A空中給油機の次のつなぎ給油機)KC-Yとの関連は否定していますが、KC-Yの次のステルス機の可能性も含め検討されているKC-Zとの関係については言及を避けています

blended wing5.jpgまた米空軍は現在、現在の主力輸送機であるC-17の将来について、C-17の延命策を追求するか、全く新しい輸送機を開発すべきかについて検討を開始しており、将来輸送機検討にも影響を与えるBWB情報収集だと見られているようです

情報要求書で国防省DIUは、政府機関が消費する全燃料の77%を国防省が消費しており、その大部分が航空機燃料であるが、数十年に及ぶBWB研究で燃料消費率の大幅な向上可能性が高まり、同形状機体の大幅航続距離延伸や燃料消費量削減が期待できるようになったと背景を述べ、「projected 2030」エンジン開発と融合すれば、少なくとも6割以上の燃費改善が期待できるとまで述べているようです

blended wing4.jpg具体的な情報要求事項としてDIUと米空軍は、機体形状、機体とサブシステムの想定パフォーマンスデータ、同機体の開発リスクと関連技術の成熟程度、機体実現までの開発設計等の計画、ライフサイクルコスト、ソフト設計計画などなどを要請しているようです

また同時にDIUは、民航機へのBWB技術の応用可能性についても情報提供を依頼しており、民間市場への応用可能性、市場戦略、狙いとする機体顧客、市場拡大の潜在性などを問いかけることで、BWB形状機体開発の国防省負担を軽減できる可能性を確認しようとしている模様です
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BWB(blended wing body)の利&不利点をググってみると

●利点は・・・
空気力学的効率の向上(効力の低減と揚力の増加)
騒音低減(突起物や表面積を減らし騒音低下)
積載物配置の自由度向上(従来型より内部空間が大きく、多様な形状の荷物受入れ可)
構造重量低減(機体全体が翼で、機体全体に揚力発生で強度確保用の重量削減可)

●欠点としては・・・
超音速飛行が難しい
積載物への負担増(機体横転時の左右翼端の貨物への負担台)
胴体構造の耐圧性減少(円形胴体に比し、耐圧性が低い)
旅客機にした場合は窓側席減少

様々な最新機体素材の開発等により、色々なアイディアが実現されれば面白いと思います。今後に期待です

BWB形状機体の研究
「米空軍が飛行の効率性改善研究」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2013-08-07-1
「BWBは超音速飛行に不向き」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2012-07-17-1

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米軍F-35が不良射出座席カートリッジで飛行停止に [亡国のF-35]

射出用カートリッジ発火装置に製造過程で欠損
2700個点検して3個に欠損発見
4月に欠損部品発見も、なぜか今頃前線部隊で総点検

F-35 Martin Baker3.jpg7月29日付米軍事メディアが、米空軍F-35A型機の射出座席で、座席射出用点火装置に点火剤であるマグネシウムが欠損したカートリッジが「4月」に見つかった件で、米空軍最大のF-35保有部隊である米空軍戦闘コマンドACC報道官が同日、「29日に、ほぼすべてのF-35A型機の飛行を取りやめ(stand-down)指示が出て、データを分析している」と明らかにしたと報じました。

F-35 stand-down.jpg同報道官は、発表時点でどれだけの確認が終了し、確認終了までにどれだけ時間が必要かには触れず、「飛行取りやめは週末を通じて続き、来週(8月1日の週)前半には通常体制に戻ることになろう」と明らかにし、欧州米空軍や太平洋空軍F-35A型機も同様の措置が取られ、翌日からは空軍教育訓練コマンド所属のT-38練習機の半数や6機のT-6初等練習機も飛行を取りやめたとも報道されています

問題の米空軍F-35A型機の射出座席は「英国」Martin-Baker社製で、同社製造工程におけるミスで発生したもので、特定期間に製造された米空軍F-35A用の「CAD:cartridge-actuated device」に十分な量の起爆用マグネシウム剤が充填されなかったことが原因と判明しているようです(原因判明時期は報道無し)

F-35 Martin Baker2.jpgMartin-Baker社は特定期間製造の米空軍用F-35Aのみが対象と説明したようですが、同じ工場で製造されたF-35Bs/Cs, F/A-18s, EA-18s, T-45s, and F-5Ns用の射出座席を使用する米海軍や、T-38とT-6を使用する空軍教育コマンドも、念のため同社同工場製の射出座席を使用する機種の飛行を取りやめ、この動きは同社製の射出座席を使用する他の85か国の軍の機体に広がっているようです(航空自衛隊の対応は不明)

F-35A型機の点検は、機体から射出座席を取り外せば「目視数秒」で確認可能とのことで、座席の機体からの取り外しも含めて1日飛行停止すればチェックは終了するそうで、7月29日付報道には同社報道官の言葉として「米空軍F-35A型機の70%の点検は終了」、「わずかな不良CADが見つかった」と紹介する記事や、「2700個のCADを確認し、3個の不具合品を特定した」との情報を報じるメディアもある状況です

F-35 Martin Baker4.jpg最初にCADの異常を「4月」に見つけたのは米空軍Hill飛行場の整備員で、「CADが異常に軽い」と感じて検査したらマグネシウム発火剤が欠損していたらしいですが、国防省F-35計画室は時期不明ながら「緊急TCTD(Time Compliance Technical Directive)」を出し「90日以内の点検」を指示しましたが、その後時期不明ながら「通常TCTD」で「90日以内の点検」に指示を変更しており、これら経緯も含め7月29日になってやっとACCが「飛行取りやめ(stand-down)指示」を出した流れが「???」です

F-35 stand-down2.jpg米空軍関係者はこの「飛行取りやめ(stand-down)」(飛行完全停止(grounding)とは異なり、チェックが終了した機体や座席は直ちに飛行可能)の影響は軽微で、飛行取りやめ期間に他の機体部分の定期整備作業を行うことで、トータルの飛行時間は取り返せる等と語っているようです
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いつものように、何か裏がありそうなF-35関連事案とその対応ですが、整備支援システムALISや後継ODINの混乱の中、前線部隊整備員の皆様の負担がこれ以上増えないことを祈るばかりです

F-35 Martin Baker.jpgこの英国Martin-Baker社製の射出座席は、2015年から17年にかけ、体重が軽い操縦者が緊急脱出した場合に首を負傷するリスクがあることが判明し、対策として、体重に応じた切り替えスイッチを座席に付加して射出のタイミングを調整可能とすること、射出時に頭を支えるパネルを座席に付加すること、操縦者用ヘルメットHMDの重量を約250g削減する改善策3点セットで操縦者の体重制限がやっと解除された前科がある座席です

製造企業が英国籍企業であることから、米国製の射出座席に変更すべきだとの声が米議員の間から上がり、F-35開発の更なる遅延を恐れた国防省やMartin-Baker社が猛反発し、共同開発国である英国への思いやりもあり、何とか継続採用することになった座席でもあります

英国製F-35の射出座席問題2015-17年
「F-35座席問題の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-02-15-1
「射出座席問題に部分的対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-09
「米空軍に国防省と企業が反論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06-1
「米空軍が代替座席の検討依頼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-25
「座席対策は2018年までか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09-1
「責任譲り合い:F-35射出座席」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-17
「F-35軽量操縦者が飛行停止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-02

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JADC2への取り組みは各軍種バラバラ [米国防省高官]

米空軍&宇宙軍サイバー首席補佐官が懸念隠さず
米陸軍の調達担当次官補も同様の懸念を

Jones-Heath.jpg7月26日、米空軍と宇宙軍の首席サイバー補佐官で前空軍CIOであるWanda Jones-Heath氏が、米軍の各軍種はそれぞれのプロジェクト名を付け、迅速な各種情報の共有と指揮統制を目指した指揮統制改革に着手しているが、国防省として取り組んでいるJADC2(Joint All-Domain Command and Control)への関与方向はそれぞれにバラバラで、JADC2として一体化する方向には向かっていないと警鐘を鳴らしました

Jones-Heath3.jpgJones-Heath首席補佐官は現状についてPotomac Officers Clubでの講演で、「私は陸海空軍の各プロジェクト関連文書に全て目を通したが、各軍種はそれぞれ独自にJADC2を解釈している」、「(結果として3軍は)相互運用性があるシステム構築に向けたあるべき方向に向いていない(We are not aligned with what we need to be to be interoperable)」と述べ、JADC2実現には陸海空軍がそれぞれが一体化に向け取り組む必要があると訴えています

Hicks3.jpg現在Kathleen Hicks国防副長官が取りまとめて推進しているJADC2は、今年に入り推進戦略や実行計画を策定して機能横断的な推進チームも立ち上げ、今年3月には公開版の戦略文書も発表した国防省全体の大きな取り組みで、各軍種も陸軍「Project Convergence」、海軍「Project Overmatch」、空軍「ABMS:Advanced Battle Management System」との名称で各軍種数千億円規模の事業に着手していますが、現状はありがちな状態のようです

Bush Army.jpg同様の懸念は他軍種高官からも出ており、7月11日に米陸軍のDoug Bush調達担当次官補も、無人機への対処兵器調達に関して統合の視点から国防省等が各軍種の調整を図った例を引き合いに出し、「JADC2専従室の編成も考慮すべきではないか」との考えを示しており、Jones-Heath首席補佐官も「我々を進むべき方向にプッシュする誰かが必要だ」と26日に語っています

この問題を従来から繰り返し訴えているJones-Heath補佐官はまた、各軍種独特の特異性を持ったそれぞれ数千億円を投入するプロジェクトが、陸海空宇宙ドメイン間で切れ目なく情報が流れるものになるかに疑念・懸念を抱いているとも語ったようです

Jones-Heath2.jpgまた、米議会も巨額の予算が投入されるJADC2や各軍種プロジェクトを注視しており、JADC2の必要予算総額や進捗状況、今後の予定や現状の課題等について、特に統合司令部を近々立ち上げるアジア太平洋地域に関心を持って国防省に報告を求めているところです
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先日は「大平洋軍に予算投入増も米軍の統合運用進まず」との記事で、陸海空軍がそれぞれの思惑で対中国作戦準備を進めており、各軍の利害優先で統合作戦が煮詰まらず、過去からの課題解決もほとんど進んでいないとの米軍OBや専門家の厳しい意見をご紹介しましたが、JADC2との指揮統制改革や迅速な情報共有の面でも同様の状態にあるということです

JADC2 2.jpg米軍の統合運用態勢整備については明るい話題がありませんが、中国でも不動産バブル崩壊の兆しや当局の対応への不満の高まりなど、アジア太平洋全体の不安定につながる動きも見られる中、日本は日本でしっかり自らを守る体制整備を行う覚悟が必要です

将来戦に向けた指揮統制改革:JADC2、AIDA、ABMS関連
「陸軍プロジェクトの教訓」→https://holylandtokyo.com/2021/12/21/2514/
「国防副長官がJADC2推進を語る」→https://holylandtokyo.com/2021/07/01/1943/
「具現化第1弾でKC-46に中継ポッド」→https://holylandtokyo.com/2021/05/31/1727/
「3回目はアジア太平洋設定で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/05/425/
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holylandtokyo.com/2020/09/09/476/
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「今後の統合連接C2演習は」→https://holylandtokyo.com/2020/05/14/671/
「連接演習2回目と3回目は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「国防長官も連接性を重視」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
「将来連接性を重視しアセット予算削減」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28

JEDIからJWCCへのゴタゴタ
「米国防省の一大クラウド事業が更にれ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/08/3078/
「将来戦の鍵クラウド事業出直し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-09

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