米軍F-35が不良射出座席カートリッジで飛行停止に [亡国のF-35]
射出用カートリッジ発火装置に製造過程で欠損
2700個点検して3個に欠損発見
4月に欠損部品発見も、なぜか今頃前線部隊で総点検
7月29日付米軍事メディアが、米空軍F-35A型機の射出座席で、座席射出用点火装置に点火剤であるマグネシウムが欠損したカートリッジが「4月」に見つかった件で、米空軍最大のF-35保有部隊である米空軍戦闘コマンドACC報道官が同日、「29日に、ほぼすべてのF-35A型機の飛行を取りやめ(stand-down)指示が出て、データを分析している」と明らかにしたと報じました。
同報道官は、発表時点でどれだけの確認が終了し、確認終了までにどれだけ時間が必要かには触れず、「飛行取りやめは週末を通じて続き、来週(8月1日の週)前半には通常体制に戻ることになろう」と明らかにし、欧州米空軍や太平洋空軍F-35A型機も同様の措置が取られ、翌日からは空軍教育訓練コマンド所属のT-38練習機の半数や6機のT-6初等練習機も飛行を取りやめたとも報道されています
問題の米空軍F-35A型機の射出座席は「英国」Martin-Baker社製で、同社製造工程におけるミスで発生したもので、特定期間に製造された米空軍F-35A用の「CAD:cartridge-actuated device」に十分な量の起爆用マグネシウム剤が充填されなかったことが原因と判明しているようです(原因判明時期は報道無し)
Martin-Baker社は特定期間製造の米空軍用F-35Aのみが対象と説明したようですが、同じ工場で製造されたF-35Bs/Cs, F/A-18s, EA-18s, T-45s, and F-5Ns用の射出座席を使用する米海軍や、T-38とT-6を使用する空軍教育コマンドも、念のため同社同工場製の射出座席を使用する機種の飛行を取りやめ、この動きは同社製の射出座席を使用する他の85か国の軍の機体に広がっているようです(航空自衛隊の対応は不明)
F-35A型機の点検は、機体から射出座席を取り外せば「目視数秒」で確認可能とのことで、座席の機体からの取り外しも含めて1日飛行停止すればチェックは終了するそうで、7月29日付報道には同社報道官の言葉として「米空軍F-35A型機の70%の点検は終了」、「わずかな不良CADが見つかった」と紹介する記事や、「2700個のCADを確認し、3個の不具合品を特定した」との情報を報じるメディアもある状況です
最初にCADの異常を「4月」に見つけたのは米空軍Hill飛行場の整備員で、「CADが異常に軽い」と感じて検査したらマグネシウム発火剤が欠損していたらしいですが、国防省F-35計画室は時期不明ながら「緊急TCTD(Time Compliance Technical Directive)」を出し「90日以内の点検」を指示しましたが、その後時期不明ながら「通常TCTD」で「90日以内の点検」に指示を変更しており、これら経緯も含め7月29日になってやっとACCが「飛行取りやめ(stand-down)指示」を出した流れが「???」です
米空軍関係者はこの「飛行取りやめ(stand-down)」(飛行完全停止(grounding)とは異なり、チェックが終了した機体や座席は直ちに飛行可能)の影響は軽微で、飛行取りやめ期間に他の機体部分の定期整備作業を行うことで、トータルの飛行時間は取り返せる等と語っているようです
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いつものように、何か裏がありそうなF-35関連事案とその対応ですが、整備支援システムALISや後継ODINの混乱の中、前線部隊整備員の皆様の負担がこれ以上増えないことを祈るばかりです
この英国Martin-Baker社製の射出座席は、2015年から17年にかけ、体重が軽い操縦者が緊急脱出した場合に首を負傷するリスクがあることが判明し、対策として、体重に応じた切り替えスイッチを座席に付加して射出のタイミングを調整可能とすること、射出時に頭を支えるパネルを座席に付加すること、操縦者用ヘルメットHMDの重量を約250g削減する改善策3点セットで操縦者の体重制限がやっと解除された前科がある座席です
製造企業が英国籍企業であることから、米国製の射出座席に変更すべきだとの声が米議員の間から上がり、F-35開発の更なる遅延を恐れた国防省やMartin-Baker社が猛反発し、共同開発国である英国への思いやりもあり、何とか継続採用することになった座席でもあります
英国製F-35の射出座席問題2015-17年
「F-35座席問題の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-02-15-1
「射出座席問題に部分的対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-09
「米空軍に国防省と企業が反論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06-1
「米空軍が代替座席の検討依頼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-25
「座席対策は2018年までか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09-1
「責任譲り合い:F-35射出座席」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-17
「F-35軽量操縦者が飛行停止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-02
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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2700個点検して3個に欠損発見
4月に欠損部品発見も、なぜか今頃前線部隊で総点検
7月29日付米軍事メディアが、米空軍F-35A型機の射出座席で、座席射出用点火装置に点火剤であるマグネシウムが欠損したカートリッジが「4月」に見つかった件で、米空軍最大のF-35保有部隊である米空軍戦闘コマンドACC報道官が同日、「29日に、ほぼすべてのF-35A型機の飛行を取りやめ(stand-down)指示が出て、データを分析している」と明らかにしたと報じました。
同報道官は、発表時点でどれだけの確認が終了し、確認終了までにどれだけ時間が必要かには触れず、「飛行取りやめは週末を通じて続き、来週(8月1日の週)前半には通常体制に戻ることになろう」と明らかにし、欧州米空軍や太平洋空軍F-35A型機も同様の措置が取られ、翌日からは空軍教育訓練コマンド所属のT-38練習機の半数や6機のT-6初等練習機も飛行を取りやめたとも報道されています
問題の米空軍F-35A型機の射出座席は「英国」Martin-Baker社製で、同社製造工程におけるミスで発生したもので、特定期間に製造された米空軍F-35A用の「CAD:cartridge-actuated device」に十分な量の起爆用マグネシウム剤が充填されなかったことが原因と判明しているようです(原因判明時期は報道無し)
Martin-Baker社は特定期間製造の米空軍用F-35Aのみが対象と説明したようですが、同じ工場で製造されたF-35Bs/Cs, F/A-18s, EA-18s, T-45s, and F-5Ns用の射出座席を使用する米海軍や、T-38とT-6を使用する空軍教育コマンドも、念のため同社同工場製の射出座席を使用する機種の飛行を取りやめ、この動きは同社製の射出座席を使用する他の85か国の軍の機体に広がっているようです(航空自衛隊の対応は不明)
F-35A型機の点検は、機体から射出座席を取り外せば「目視数秒」で確認可能とのことで、座席の機体からの取り外しも含めて1日飛行停止すればチェックは終了するそうで、7月29日付報道には同社報道官の言葉として「米空軍F-35A型機の70%の点検は終了」、「わずかな不良CADが見つかった」と紹介する記事や、「2700個のCADを確認し、3個の不具合品を特定した」との情報を報じるメディアもある状況です
最初にCADの異常を「4月」に見つけたのは米空軍Hill飛行場の整備員で、「CADが異常に軽い」と感じて検査したらマグネシウム発火剤が欠損していたらしいですが、国防省F-35計画室は時期不明ながら「緊急TCTD(Time Compliance Technical Directive)」を出し「90日以内の点検」を指示しましたが、その後時期不明ながら「通常TCTD」で「90日以内の点検」に指示を変更しており、これら経緯も含め7月29日になってやっとACCが「飛行取りやめ(stand-down)指示」を出した流れが「???」です
米空軍関係者はこの「飛行取りやめ(stand-down)」(飛行完全停止(grounding)とは異なり、チェックが終了した機体や座席は直ちに飛行可能)の影響は軽微で、飛行取りやめ期間に他の機体部分の定期整備作業を行うことで、トータルの飛行時間は取り返せる等と語っているようです
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いつものように、何か裏がありそうなF-35関連事案とその対応ですが、整備支援システムALISや後継ODINの混乱の中、前線部隊整備員の皆様の負担がこれ以上増えないことを祈るばかりです
この英国Martin-Baker社製の射出座席は、2015年から17年にかけ、体重が軽い操縦者が緊急脱出した場合に首を負傷するリスクがあることが判明し、対策として、体重に応じた切り替えスイッチを座席に付加して射出のタイミングを調整可能とすること、射出時に頭を支えるパネルを座席に付加すること、操縦者用ヘルメットHMDの重量を約250g削減する改善策3点セットで操縦者の体重制限がやっと解除された前科がある座席です
製造企業が英国籍企業であることから、米国製の射出座席に変更すべきだとの声が米議員の間から上がり、F-35開発の更なる遅延を恐れた国防省やMartin-Baker社が猛反発し、共同開発国である英国への思いやりもあり、何とか継続採用することになった座席でもあります
英国製F-35の射出座席問題2015-17年
「F-35座席問題の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-02-15-1
「射出座席問題に部分的対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-09
「米空軍に国防省と企業が反論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06-1
「米空軍が代替座席の検討依頼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-25
「座席対策は2018年までか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09-1
「責任譲り合い:F-35射出座席」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-17
「F-35軽量操縦者が飛行停止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-02
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