米韓大統領が韓国に米戦略原潜寄港復活で合意 [安全保障全般]
韓国の核武装追求を避けるための苦心策
韓国側の核兵器保有又は米核戦力展開要求に対応
米韓同盟70周年の祝賀の中
4月26日付Military.com記事は、米政権高官による匿名ブリーフィングを基に、ワシントンで開催された米韓同盟70周年の節目を飾る米韓首脳会談で、韓国内に40年ぶりの米海軍戦略原子力潜水艦の寄港を柱とする合意文書「ワシントン宣言:Washington Declaration」に米韓大統領が署名したと報じています
両国首脳会談の結果発表に先立ち、匿名で記者団に説明した米政府高官は、この戦略原潜寄港の合意に至るまでには数か月の精力的な準備協議があったと説明し、「必要時には」米国の拡大抑止能力を「極めて明確にデモンストレーションする」ことも合意に含まれているとも説明しましたが、関連報道は韓国が自身で核武装を追求するのを防ぐための方策だと解説しています
注意を要する点として匿名の米政府高官が強調したのは、「極めて明確なことは、朝鮮半島に戦術核など全てのタイプの核兵器を再び持ち込む計画がない点であり、弾道ミサイル原潜の韓国港湾利用や、それに続く現在より頻繁な米軍爆撃機や空母の訪韓を予定している点である」と釘を刺していますが、
北朝鮮の弾道ミサイル試験が頻発し、4月には固体燃料式ICBMらしき弾道ミサイル試験成功をアピールする北朝鮮の脅威を受け、韓国内で米国に米軍核兵器の再展開配備(1991年撤退)を求めたり、韓国自身による核兵器開発を求める声が高まる中、米韓の関係者による「苦心の合意」と思われます
ただ、この「40年ぶりに米海軍戦略原子力潜水艦の韓国寄港」合意については、両大統領の会見や7000名を集めた同盟70周年式典でも言及されず、北朝鮮への刺激を恐れたのか、「ロープロファイル」な合意公表となっています
米軍の戦術核は朝鮮戦争終了後から韓国へ持ち込まれ、冷戦最盛期の1970年代には、米海軍の核ミサイル搭載原潜が韓国を月に2-3回訪れ、数百発の核弾頭が韓国内に保管されていたと言われていますが、1992年に韓国と北朝鮮が「核兵器の製造・保有・展開・持ち込み・使用」を禁ずる宣言に合意する前年の1991年に、米軍は韓国から全ての核兵器を撤収しています
なお韓国大統領は米国到着時にスピーチし、朝鮮戦争時に馳せ参じた米軍兵士を讃えて、「見知らぬ韓国人のために、米本土からはるか離れた地に展開し、戦いに従事した米軍人は何のために命を懸けたのか? それは自由を守るとの神聖な一つの目的のためである」と語り、米海同盟の重要性を韓国人に向けて訴えています
米国の極東での外交と対中国態勢強化の動きは続き、来週(5月1日の週)はフィリピンのFerdinand Marcos Jr.大統領をワシントンDCに迎える予定だそうです
余談ですが、米軍兵士による機密情報漏洩で、米国が韓国に対し、ウクライナ支援のため155㎜砲弾30万発を迅速に提供するよう迫っており、今回の会談で韓国大統領は回答を迫られているとの情報(韓国NSCでの議事内容など)がリークされ、33万発との膨大な砲弾数もあり、「米国は韓国の防衛を考えているのか?」との韓国内の反米論吹きすさぶ中での首脳会談だったようです
まぁ・・・日本でも、あっという間に「(良くできた)国防戦略3文書」が出来上がり、巡航ミサイル・トマホーク400発一括購入での導入が決まるなど、すさまじい勢いで物事が進みましたし、背景には米国からの・・・と考えてしまいます
CSISによる2023年1月の提言レポート
「韓国への核配備オプションを事前検討せよ」→https://holylandtokyo.com/2023/01/24/4195/
北朝鮮の核兵器開発
「津波攻撃用の水中核搭載無人艇」→https://holylandtokyo.com/2023/03/27/4452/
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韓国側の核兵器保有又は米核戦力展開要求に対応
米韓同盟70周年の祝賀の中
4月26日付Military.com記事は、米政権高官による匿名ブリーフィングを基に、ワシントンで開催された米韓同盟70周年の節目を飾る米韓首脳会談で、韓国内に40年ぶりの米海軍戦略原子力潜水艦の寄港を柱とする合意文書「ワシントン宣言:Washington Declaration」に米韓大統領が署名したと報じています
両国首脳会談の結果発表に先立ち、匿名で記者団に説明した米政府高官は、この戦略原潜寄港の合意に至るまでには数か月の精力的な準備協議があったと説明し、「必要時には」米国の拡大抑止能力を「極めて明確にデモンストレーションする」ことも合意に含まれているとも説明しましたが、関連報道は韓国が自身で核武装を追求するのを防ぐための方策だと解説しています
注意を要する点として匿名の米政府高官が強調したのは、「極めて明確なことは、朝鮮半島に戦術核など全てのタイプの核兵器を再び持ち込む計画がない点であり、弾道ミサイル原潜の韓国港湾利用や、それに続く現在より頻繁な米軍爆撃機や空母の訪韓を予定している点である」と釘を刺していますが、
北朝鮮の弾道ミサイル試験が頻発し、4月には固体燃料式ICBMらしき弾道ミサイル試験成功をアピールする北朝鮮の脅威を受け、韓国内で米国に米軍核兵器の再展開配備(1991年撤退)を求めたり、韓国自身による核兵器開発を求める声が高まる中、米韓の関係者による「苦心の合意」と思われます
ただ、この「40年ぶりに米海軍戦略原子力潜水艦の韓国寄港」合意については、両大統領の会見や7000名を集めた同盟70周年式典でも言及されず、北朝鮮への刺激を恐れたのか、「ロープロファイル」な合意公表となっています
米軍の戦術核は朝鮮戦争終了後から韓国へ持ち込まれ、冷戦最盛期の1970年代には、米海軍の核ミサイル搭載原潜が韓国を月に2-3回訪れ、数百発の核弾頭が韓国内に保管されていたと言われていますが、1992年に韓国と北朝鮮が「核兵器の製造・保有・展開・持ち込み・使用」を禁ずる宣言に合意する前年の1991年に、米軍は韓国から全ての核兵器を撤収しています
なお韓国大統領は米国到着時にスピーチし、朝鮮戦争時に馳せ参じた米軍兵士を讃えて、「見知らぬ韓国人のために、米本土からはるか離れた地に展開し、戦いに従事した米軍人は何のために命を懸けたのか? それは自由を守るとの神聖な一つの目的のためである」と語り、米海同盟の重要性を韓国人に向けて訴えています
米国の極東での外交と対中国態勢強化の動きは続き、来週(5月1日の週)はフィリピンのFerdinand Marcos Jr.大統領をワシントンDCに迎える予定だそうです
余談ですが、米軍兵士による機密情報漏洩で、米国が韓国に対し、ウクライナ支援のため155㎜砲弾30万発を迅速に提供するよう迫っており、今回の会談で韓国大統領は回答を迫られているとの情報(韓国NSCでの議事内容など)がリークされ、33万発との膨大な砲弾数もあり、「米国は韓国の防衛を考えているのか?」との韓国内の反米論吹きすさぶ中での首脳会談だったようです
まぁ・・・日本でも、あっという間に「(良くできた)国防戦略3文書」が出来上がり、巡航ミサイル・トマホーク400発一括購入での導入が決まるなど、すさまじい勢いで物事が進みましたし、背景には米国からの・・・と考えてしまいます
CSISによる2023年1月の提言レポート
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嘉手納F-15C型戦闘機は9月末までに撤退完了 [米空軍]
昨年10月末の撤退発表時は「2年かけて」だったのに
在沖縄48機の内、既に18機が撤退済で・・・
F-15E追加展開に併せ米空軍報道官がサラリと語る
4月22日、米空軍嘉手納基地に機数非公開のF-15Eストライクイーグルが追加展開したタイミングで、米空軍報道官がサラリと「米空軍は残っているF-15C戦闘機について、2023年度内に撤退する計画である」と明らかにしました。米国の予算年度は「10月1日から翌年9月末まで」であり、今年2023年9月末までにF-15Cは撤退完了することになります
嘉手納基地に配備されている48機の老朽化が著しいF-15C及びD型(2人乗り)に関し、米空軍は昨年10月28日に突然、「11月1日から段階的に今後2年かけて米本土に帰国し、当面は一時的なローテーション方式で第4又は第5世代戦闘機を派遣して嘉手納でのプレゼンスを維持する」と発表し、現在までに18機が撤退したということですが、「今後2年かけて」の予定が、いつの間にか「(11か月後の)9月末まで」になったわけです
米空軍報道官がアピールしたかったのは、3月末にアラスカから展開したF-35に加え、4月8日展開のF-15Eを増強する追加機体が別の米本土基地から4月22日に飛来した点ですが、F-35やF-15Eの嘉手納基地への展開機数は作戦運用に関する情報として非公開となっています
嘉手納基地は声明で、「引き続きF-15戦闘機の段階的撤退を続けつつ、米国防省は(F-15戦闘機より)新しくより進んだ先進機の一時的派遣を穴埋めとして行うことで、安定した戦闘機プレゼンスを維持するだろう」と述べ、実際に以下に整理したように、米空軍は保有する全ての戦闘機(F-35、F-22、F-16、F-15E)を嘉手納基地にローテーション展開させ、台湾から「450 miles」の前線基地で「姿勢」を見せています
ただ、本当に台湾有事が切迫した場合、中国軍の弾道ミサイルや巡航ミサイル攻撃、サイバー攻撃や電子戦攻撃、それ以前に予期される様々な在沖縄不法分子による嘉手納基地への破壊工作などの脅威を自然に考えれば、嘉手納基地に高価な航空アセットを配備し、軍事的合理性に反して「座して死を待つ」ことはあり得ません。
改めて、米空軍保有戦闘機全機種による嘉手納基地へのローテーション派遣は、「平時の賑わいに過ぎない」と申し上げておきましょう。
「今後2年かけて」撤退の予定が、いつの間にか「(11か月後の)9月末まで」になったように、まずは「非公開」となっているローテーション展開機数が、少しづつ時間をかけて削減されていくのでしょう。最後には最小単位の2機にまで・・・
F-15C戦闘機(48機)の撤退発表後の動き
●2022年11月1日 F-15C戦闘機の段階的撤退発表
●同年11月5日 アラスカからF-22(推定8機)展開
●同年12月1日 F-15C撤収第一弾(推定8機)が米本土へ帰還
●2023年1月16日 ドイツからF-16(推定16機)展開
●同年3月28日 アラスカからF-35展開
●同年4月8日 F-15EがN.C州Seymour Johnson基地から展開
●同年4月8日 F-22アラスカへ帰還、同10日F-16ドイツへ帰還
●同年4月22日 F-15Eがアイダホ州Mountain Home基地から展開
嘉手納基地F-15撤退と代替戦力派遣
「F-22とF-16が去り、F-15Eが新展開」→https://holylandtokyo.com/2023/04/12/4511/
「アラスカからF-35展開」→https://holylandtokyo.com/2023/04/04/4482/
「ドイツからF-16展開」→https://holylandtokyo.com/2023/01/19/4178/
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/
「嘉手納でelephant walk」→https://holylandtokyo.com/2022/11/25/3981/
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在沖縄48機の内、既に18機が撤退済で・・・
F-15E追加展開に併せ米空軍報道官がサラリと語る
4月22日、米空軍嘉手納基地に機数非公開のF-15Eストライクイーグルが追加展開したタイミングで、米空軍報道官がサラリと「米空軍は残っているF-15C戦闘機について、2023年度内に撤退する計画である」と明らかにしました。米国の予算年度は「10月1日から翌年9月末まで」であり、今年2023年9月末までにF-15Cは撤退完了することになります
嘉手納基地に配備されている48機の老朽化が著しいF-15C及びD型(2人乗り)に関し、米空軍は昨年10月28日に突然、「11月1日から段階的に今後2年かけて米本土に帰国し、当面は一時的なローテーション方式で第4又は第5世代戦闘機を派遣して嘉手納でのプレゼンスを維持する」と発表し、現在までに18機が撤退したということですが、「今後2年かけて」の予定が、いつの間にか「(11か月後の)9月末まで」になったわけです
米空軍報道官がアピールしたかったのは、3月末にアラスカから展開したF-35に加え、4月8日展開のF-15Eを増強する追加機体が別の米本土基地から4月22日に飛来した点ですが、F-35やF-15Eの嘉手納基地への展開機数は作戦運用に関する情報として非公開となっています
嘉手納基地は声明で、「引き続きF-15戦闘機の段階的撤退を続けつつ、米国防省は(F-15戦闘機より)新しくより進んだ先進機の一時的派遣を穴埋めとして行うことで、安定した戦闘機プレゼンスを維持するだろう」と述べ、実際に以下に整理したように、米空軍は保有する全ての戦闘機(F-35、F-22、F-16、F-15E)を嘉手納基地にローテーション展開させ、台湾から「450 miles」の前線基地で「姿勢」を見せています
ただ、本当に台湾有事が切迫した場合、中国軍の弾道ミサイルや巡航ミサイル攻撃、サイバー攻撃や電子戦攻撃、それ以前に予期される様々な在沖縄不法分子による嘉手納基地への破壊工作などの脅威を自然に考えれば、嘉手納基地に高価な航空アセットを配備し、軍事的合理性に反して「座して死を待つ」ことはあり得ません。
改めて、米空軍保有戦闘機全機種による嘉手納基地へのローテーション派遣は、「平時の賑わいに過ぎない」と申し上げておきましょう。
「今後2年かけて」撤退の予定が、いつの間にか「(11か月後の)9月末まで」になったように、まずは「非公開」となっているローテーション展開機数が、少しづつ時間をかけて削減されていくのでしょう。最後には最小単位の2機にまで・・・
F-15C戦闘機(48機)の撤退発表後の動き
●2022年11月1日 F-15C戦闘機の段階的撤退発表
●同年11月5日 アラスカからF-22(推定8機)展開
●同年12月1日 F-15C撤収第一弾(推定8機)が米本土へ帰還
●2023年1月16日 ドイツからF-16(推定16機)展開
●同年3月28日 アラスカからF-35展開
●同年4月8日 F-15EがN.C州Seymour Johnson基地から展開
●同年4月8日 F-22アラスカへ帰還、同10日F-16ドイツへ帰還
●同年4月22日 F-15Eがアイダホ州Mountain Home基地から展開
嘉手納基地F-15撤退と代替戦力派遣
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次の太平洋空軍司令官は元在日米軍司令官 [米空軍]
米空軍司令部のスタッフ長Schneider 中将(大将へ昇任)
2019年2月から21年8月まで在日米軍司令官
PACAF参謀長やIndo-PACOM参謀長経験もある地域専門家
4月24日、米国防省はバイデン大統領が次の太平洋空軍司令官に、2019年2月から21年9月まで在日米軍司令官&第5空軍司令官を務め、PACAF参謀長やIndo-PACOM参謀長経験もある「地域の専門家」であるKevin B. Schneider中将を推挙し、同時に大将への昇任も推薦したと発表しました
ご承知のとおり、太平洋空軍司令官は対中国有事や台湾有事において、西太平洋に展開する陸海空海兵隊の保有する全ての航空宇宙戦力を束ねて指揮する統合航空司令官(JFACC:Joint Force Air Component Commander)としての任務を負うことになる重要なポストで、現在の司令官Kenneth Wilsbach大将も、地域情勢の緊迫を受け、アジア太平洋のプロ(アジア太平洋地域しか勤務経験がない)でした
在日米軍司令官を離任した2021年9月以降現在まで、Schneider中将はワシントンDCの空軍司令部で「director of staff at Headquarters Air Force」とのポストにあり、数百人存在する空軍司令部スタッフ間の政策方針や業務分担や諸計画や人事などなどについて「synchronizes and integrates」する任務に就いていたということで、空軍司令部や空軍全体に「顔が利く」存在としてもありがたい存在です
Schneider中将の略歴を下でご紹介しますが、米空軍士官学校1988年卒業で、年齢や期別は防衛大学校でいうと32期相当で、現在の自衛隊の幕僚長や主要コマンド司令官と同期レベルでもあり、その点でも航空自衛隊をはじめとする自衛隊幹部とも円滑な意思疎通が期待できます
現在のPACAF司令官であるKenneth Wilsbach大将は、2020年7月から3年近く同職を務めており、ACE構想の生みの親として同構想を実現浸透させるため、第5世代機であるF-22を初めてフィリピンやテニアン島に展開させたり、昨年11月には老朽化が著しい嘉手納基地所属F-15C/D戦闘機の2年かけての順次退役を発表し、正式な穴埋め機種未定の中で空軍全戦闘機をローテーションで嘉手納に派遣させ、「対面」を保つ措置に奔走して頂きました
Wilsbach大将の次のポストや予定について何も発表がないようですが、60歳ですから勇退の年齢かもしれません
Schneider新司令官候補の主要経歴
●1988年に空軍士官学校を卒業(防大32期相当か)後、F-16操縦者として最初の勤務地は韓国のOSAN基地で、次が三沢基地で1995年12月まで勤務。戦闘機パイロットとして最初の5年間は極東防衛に従事
●その後は操縦技量と識見ともに優れた士官として、ネリス空軍基地のWeaponスクール教官パイロトを務め、またペンタゴンで少佐として空軍参謀総長の副官室勤務を経験する
●飛行隊長は再び韓国駐留のF-16飛行隊で努め、その後、ドイツ勤務等を経て、同盟国操縦者の飛行教育を担当する航空団の司令官を経験する
●統合職としては、中佐でJ-5の軍政関係担当を務め、空軍司令部では大佐で人的戦力管理部で将軍人事マネジメント課長を務める
●UAE内陸の米空軍戦力展開基地司令官、中央軍空軍の副司令官、太平洋空軍の参謀長、そして太平洋軍の参謀長を2016年7月から2年間努めた
●2019年2月5日に在日米軍司令官&第5空軍司令官に就任し、2021年9月に米空軍司令部「director of staff at Headquarters Air Force」に転出
//////////////////////////////////////////////
Kevin Schneider新PACAF司令官候補の経歴
→https://www.af.mil/About-Us/Biographies/Display/Article/108888/major-general-kevin-b-schneider/
在日米軍司令官就任時のご紹介記事
「Schneider在日米軍司令官の着任とご紹介」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-06
現司令官Wilsbach大将は日本ハワイ中東アラスカ韓国のみ勤務
(ペンタゴン勤務無し)
「ACE構想の生みの親が語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「今すぐE-7ほしい発言」→https://holylandtokyo.com/2021/03/01/150/
「F-35はF-35らしく:F-22の失敗に学べ」→https://holylandtokyo.com/2020/11/05/379/
「Wilsbach太平洋空軍司令官の紹介」→https://holylandtokyo.com/2020/05/18/674/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
2019年2月から21年8月まで在日米軍司令官
PACAF参謀長やIndo-PACOM参謀長経験もある地域専門家
4月24日、米国防省はバイデン大統領が次の太平洋空軍司令官に、2019年2月から21年9月まで在日米軍司令官&第5空軍司令官を務め、PACAF参謀長やIndo-PACOM参謀長経験もある「地域の専門家」であるKevin B. Schneider中将を推挙し、同時に大将への昇任も推薦したと発表しました
ご承知のとおり、太平洋空軍司令官は対中国有事や台湾有事において、西太平洋に展開する陸海空海兵隊の保有する全ての航空宇宙戦力を束ねて指揮する統合航空司令官(JFACC:Joint Force Air Component Commander)としての任務を負うことになる重要なポストで、現在の司令官Kenneth Wilsbach大将も、地域情勢の緊迫を受け、アジア太平洋のプロ(アジア太平洋地域しか勤務経験がない)でした
在日米軍司令官を離任した2021年9月以降現在まで、Schneider中将はワシントンDCの空軍司令部で「director of staff at Headquarters Air Force」とのポストにあり、数百人存在する空軍司令部スタッフ間の政策方針や業務分担や諸計画や人事などなどについて「synchronizes and integrates」する任務に就いていたということで、空軍司令部や空軍全体に「顔が利く」存在としてもありがたい存在です
Schneider中将の略歴を下でご紹介しますが、米空軍士官学校1988年卒業で、年齢や期別は防衛大学校でいうと32期相当で、現在の自衛隊の幕僚長や主要コマンド司令官と同期レベルでもあり、その点でも航空自衛隊をはじめとする自衛隊幹部とも円滑な意思疎通が期待できます
現在のPACAF司令官であるKenneth Wilsbach大将は、2020年7月から3年近く同職を務めており、ACE構想の生みの親として同構想を実現浸透させるため、第5世代機であるF-22を初めてフィリピンやテニアン島に展開させたり、昨年11月には老朽化が著しい嘉手納基地所属F-15C/D戦闘機の2年かけての順次退役を発表し、正式な穴埋め機種未定の中で空軍全戦闘機をローテーションで嘉手納に派遣させ、「対面」を保つ措置に奔走して頂きました
Wilsbach大将の次のポストや予定について何も発表がないようですが、60歳ですから勇退の年齢かもしれません
Schneider新司令官候補の主要経歴
●1988年に空軍士官学校を卒業(防大32期相当か)後、F-16操縦者として最初の勤務地は韓国のOSAN基地で、次が三沢基地で1995年12月まで勤務。戦闘機パイロットとして最初の5年間は極東防衛に従事
●その後は操縦技量と識見ともに優れた士官として、ネリス空軍基地のWeaponスクール教官パイロトを務め、またペンタゴンで少佐として空軍参謀総長の副官室勤務を経験する
●飛行隊長は再び韓国駐留のF-16飛行隊で努め、その後、ドイツ勤務等を経て、同盟国操縦者の飛行教育を担当する航空団の司令官を経験する
●統合職としては、中佐でJ-5の軍政関係担当を務め、空軍司令部では大佐で人的戦力管理部で将軍人事マネジメント課長を務める
●UAE内陸の米空軍戦力展開基地司令官、中央軍空軍の副司令官、太平洋空軍の参謀長、そして太平洋軍の参謀長を2016年7月から2年間努めた
●2019年2月5日に在日米軍司令官&第5空軍司令官に就任し、2021年9月に米空軍司令部「director of staff at Headquarters Air Force」に転出
//////////////////////////////////////////////
Kevin Schneider新PACAF司令官候補の経歴
→https://www.af.mil/About-Us/Biographies/Display/Article/108888/major-general-kevin-b-schneider/
在日米軍司令官就任時のご紹介記事
「Schneider在日米軍司令官の着任とご紹介」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-06
現司令官Wilsbach大将は日本ハワイ中東アラスカ韓国のみ勤務
(ペンタゴン勤務無し)
「ACE構想の生みの親が語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「今すぐE-7ほしい発言」→https://holylandtokyo.com/2021/03/01/150/
「F-35はF-35らしく:F-22の失敗に学べ」→https://holylandtokyo.com/2020/11/05/379/
「Wilsbach太平洋空軍司令官の紹介」→https://holylandtokyo.com/2020/05/18/674/
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米国大使館員の国外退避は米国民間人1.6万人置き去りで [Joint・統合参謀本部]
在スーダンの米国一般人約16000名は放置
100名の米軍特殊部隊がヘリ3機で70名の米大使館員を
AP通信を引用した22日付MIlitary.comは、4月23日の日曜日に行われた在スーダン米国大使館員の国外避難は、スーダンに残る約1.6万人の米国一般人を置き去りにしたままの脱出作戦だったと報じています
在スーダンの米国大使館は、22日土曜日早朝に在スーダン米国民に対し、「首都ハルツームの不安定な状況や空港閉鎖のため、一般米国民の米国政府主導による退避を企てられる状況にはない」との緊急情報を発出していたとのことです
作戦は、3機のMH-47特殊作戦ヘリに分乗した約100名の米軍特殊作戦部隊兵が、スーダンの首都ハルツームにある米国大使館内のヘリポートに展開し、約70名の大使館員をヘリに収容し、着陸から1時間以内に再離陸して、隣国エチオピアの飛行場まで輸送したもので、作戦間に攻撃を受けたりけが人が出たとの情報は無い様です
記事によれば米国政府は、スーダン内で内戦状態にある2つの勢力の両方とコンタクトを取りつつ、米大使館員が国外退去するから攻撃等するなと最低限の連携を取りつつ、作戦を進めたようです
バイデン大統領は、作戦終了後直ちに米軍の行動に感謝する声明を発表し、同時には「私は米大使館員の類まれなる任務への貢献、それを支えた勇気とプロ意識、彼らが体現したスーダン国民との友情と絆を誇りに思う」と大使館員にメッセージを寄せ、Mark Milley米統合参謀本部議長は「大使館員を無事に国外脱出させた比類なき米軍兵士の技量に感謝する」と声明を出しています
更にバイデン大統領は、同国に残されている約1万6千名の米国一般人のスーダン国外退避を支援している専門チームからの情報を逐次受け、「(一般米国民のスーダン国外への避難を)可能な限り支援する(assist remaining Americans in Sudan “to the extent possible)」と述べています
しかし現実は厳しく、米国政府関係者は、残されている16000名の米国民の国外退避を支援する「大規模な作戦:a broader evacuation mission」は、情勢があまりにも厳しく実施不可能だ語ったと記事は紹介しています
米国務省のMolly Pheeアフリカ担当次官補は、スーダンの米国大使館を離陸したヘリ3機は、エチオピア政府の許可を得て、スーダンから場所非公表のエチオピア国内の飛行場にいったん着陸し、同飛行場で給油を受けたと明らかにし、他にジブチとサウジ政府の支援を得て実施した避難作戦だったと語ったようです
米国大使館員が米軍によって国外退避することは極めて珍しい事象で、2021年にアフガニスタンから米国民が緊急退避した以外は、ほとんどのケースで米大使館員は民間輸送手段でこれまでは任国から国外退避してきたとのことです
まぁ・・・米国政府として全力を尽くしたことは間違いありませんし、これ以上どうしようもなかった状況だったと思いますが、後々様々に議論されるであろう米国大使館員約70名のスーダン脱出作戦をご紹介しておきます
アフガニスタン緊急避難作戦
「米軍によるアフガン避難民輸送作戦」→https://holylandtokyo.com/2021/08/25/2158/
「C-17輸送機1機に823名も」→https://holylandtokyo.com/2021/08/22/2152/
アフガン避難関連
「約2万名のアフガン避難民が米軍基地に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/18/2606/
「米本土米軍基地にアフガン避難民5.3万人」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-26
「アフガン語通訳1.8万人を特別移民認定へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-26
「タリバンに渡った米国製兵器」→https://holylandtokyo.com/2021/08/31/2175/
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100名の米軍特殊部隊がヘリ3機で70名の米大使館員を
AP通信を引用した22日付MIlitary.comは、4月23日の日曜日に行われた在スーダン米国大使館員の国外避難は、スーダンに残る約1.6万人の米国一般人を置き去りにしたままの脱出作戦だったと報じています
在スーダンの米国大使館は、22日土曜日早朝に在スーダン米国民に対し、「首都ハルツームの不安定な状況や空港閉鎖のため、一般米国民の米国政府主導による退避を企てられる状況にはない」との緊急情報を発出していたとのことです
作戦は、3機のMH-47特殊作戦ヘリに分乗した約100名の米軍特殊作戦部隊兵が、スーダンの首都ハルツームにある米国大使館内のヘリポートに展開し、約70名の大使館員をヘリに収容し、着陸から1時間以内に再離陸して、隣国エチオピアの飛行場まで輸送したもので、作戦間に攻撃を受けたりけが人が出たとの情報は無い様です
記事によれば米国政府は、スーダン内で内戦状態にある2つの勢力の両方とコンタクトを取りつつ、米大使館員が国外退去するから攻撃等するなと最低限の連携を取りつつ、作戦を進めたようです
バイデン大統領は、作戦終了後直ちに米軍の行動に感謝する声明を発表し、同時には「私は米大使館員の類まれなる任務への貢献、それを支えた勇気とプロ意識、彼らが体現したスーダン国民との友情と絆を誇りに思う」と大使館員にメッセージを寄せ、Mark Milley米統合参謀本部議長は「大使館員を無事に国外脱出させた比類なき米軍兵士の技量に感謝する」と声明を出しています
更にバイデン大統領は、同国に残されている約1万6千名の米国一般人のスーダン国外退避を支援している専門チームからの情報を逐次受け、「(一般米国民のスーダン国外への避難を)可能な限り支援する(assist remaining Americans in Sudan “to the extent possible)」と述べています
しかし現実は厳しく、米国政府関係者は、残されている16000名の米国民の国外退避を支援する「大規模な作戦:a broader evacuation mission」は、情勢があまりにも厳しく実施不可能だ語ったと記事は紹介しています
米国務省のMolly Pheeアフリカ担当次官補は、スーダンの米国大使館を離陸したヘリ3機は、エチオピア政府の許可を得て、スーダンから場所非公表のエチオピア国内の飛行場にいったん着陸し、同飛行場で給油を受けたと明らかにし、他にジブチとサウジ政府の支援を得て実施した避難作戦だったと語ったようです
米国大使館員が米軍によって国外退避することは極めて珍しい事象で、2021年にアフガニスタンから米国民が緊急退避した以外は、ほとんどのケースで米大使館員は民間輸送手段でこれまでは任国から国外退避してきたとのことです
まぁ・・・米国政府として全力を尽くしたことは間違いありませんし、これ以上どうしようもなかった状況だったと思いますが、後々様々に議論されるであろう米国大使館員約70名のスーダン脱出作戦をご紹介しておきます
アフガニスタン緊急避難作戦
「米軍によるアフガン避難民輸送作戦」→https://holylandtokyo.com/2021/08/25/2158/
「C-17輸送機1機に823名も」→https://holylandtokyo.com/2021/08/22/2152/
アフガン避難関連
「約2万名のアフガン避難民が米軍基地に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/18/2606/
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デジタル設計の優等生T-7練習機が3年遅れに [米空軍]
【追加情報】
IOCは更に2027年春まで遅延
4月21日Hunter空軍調達担当次官が追加で明らかに、
射出座席以外にも試験段階で「wing rock」問題など複数発覚
当初24年、4月上旬26年、そして27年春へ
///////////////////////////////////////////////////
小柄な女性対応可能な射出座席開発が難航
初号機提供が契約2023年から25年12月以降に
初期運用態勢確立は24年から26年以降に遅れ
4月14日付米空軍協会web記事が、老朽化が激しい機体年齢60歳以上のT-38練習機の後継で、最新のデジタル設計技術を駆使した開発優等生で、価格的にも米空軍見積もりを大きく下回る契約で話題を集めていたボーイング製のT-7A練習機開発について、女性を意識して小柄な操縦者にも対応した緊急脱出用射出座席の開発などが難航し、初号機提供が当初予定の2023年から早くても2025年12月までずれ込むとの米空軍発表を取り上げています
2018年に5つの提案から「ボーイングとSaab」チーム提案が選定された次期練習機T-7Aは、最近事故が多発している約400機のT-38練習機後継として早期配備を求められ、既存成熟技術を総動員した迅速開発の期待を一身に集め、実際に機体や翼の設計など主要部分の基本設計を構想から3年で完成する超迅速対応で期待に答えてきましたが、航空機の開発は一筋縄では行かないようです
価格面でも、最低351機調達の前提の契約で、空軍予定1兆3400億円のところ、1兆2000億円でボーイングチームが応札して落札し、この面でも「優等生」の評価を得ていたプロジェクトです
2022年12月に米空軍は、射出座席や飛行管理ソフトの開発遅れで、機体提供開始が1年程度遅れると発表しましたが、それから半年も経過しない2023年4月に、少なくとも約3年遅れの発表となり、当初2024年度予算に430億円計上されていた関連予算も「ゼロ」にすると米空軍報道官が明らかにしています
米空軍報道官は、2022年6月にスケジュール再検討を行っていると発表した際の説明で、「飛行試験の遅れ」「部品の品質確保遅れ」「契約下請け企業のや初期設計や不備改善の遅れ」「航空工学上の3つの問題」「射出脱出装置の問題」「コロナ関連の部品確保遅れ」に言及していましたが、今回の発表では他の問題はおおむね解決して射出座席問題が残っていることを示唆しています
射出座席問題は2022年前半の試験で明らかになったもので、射出時に座席パラシュートが開く段階でパイロットが装着するヘルメットのバイザーが激しい振動で脱落する恐れがあるとの問題です。発覚当時は試験に使用された人型人形の設置が不適切だったとか、データ計測が不適切だったとか企業側からクレームがありましたが、
2023年3月にHunter空軍調達担当次官は予算案説明時に、「射出座席は解決に向けて順調に進んでいる」と説明し、今回の再延期説明時に空軍報道官は「座席の射出ロジックを修正することで安全リスクを低減させており、2023年を通じ追加の対策を行っていき、9月に飛行試験を再開したい」と説明しています
T-7A練習機の射出座席は、従来の米空軍機の射出座席が60-70年代のパイロットの平均体格(結果として男性の体格)データから設計されていたところ、パイロット不足もあり、女性も含む空軍入隊資格基準を満たす者全てが搭乗できるように大幅な設計見直しを行っていた装備で、米会計検査院GAO等から「リスクの高い困難な開発」と以前から指摘されていた案件です
「初号機提供が当初予定の2023年から早くても2025年12月までずれ込む」との表現は、別の言い方にすると低レート量産開始が可能となる「Milestone C」承認が当初計画の2022年から2025年2月になる・・との表現になるようですが、既に様々な計画を「ぎゅうぎゅう」に詰め込んでおり、これ以上の前倒しは不可能と米空軍と企業は説明しており、裏を返せば「これ以上遅れる可能性が十分にある」と言うことでしょう
昨年12月と同じコメントになりますが、B-787や大統領専用機やKC-46Aで「身から出たサビ」で散々な目にあい、コロナウイルスで瀕死の状態にあるボーイング社にこれ以上の負担は酷な気がすることもあり、T-7A練習機のトラブル早期解決を祈念申し上げておきます
T-7A練習機(T-X計画)関連の記事
「優等生T-7が1年遅れ:女性意識の射出座席が」→https://holylandtokyo.com/2022/12/19/4065/
「デ設計技術で審査短縮や新規参入促進」→https://holylandtokyo.com/2022/08/23/3550/
「中東諸国も関心」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-20
「ボーイング提案を採用」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-28
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IOCは更に2027年春まで遅延
4月21日Hunter空軍調達担当次官が追加で明らかに、
射出座席以外にも試験段階で「wing rock」問題など複数発覚
当初24年、4月上旬26年、そして27年春へ
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小柄な女性対応可能な射出座席開発が難航
初号機提供が契約2023年から25年12月以降に
初期運用態勢確立は24年から26年以降に遅れ
4月14日付米空軍協会web記事が、老朽化が激しい機体年齢60歳以上のT-38練習機の後継で、最新のデジタル設計技術を駆使した開発優等生で、価格的にも米空軍見積もりを大きく下回る契約で話題を集めていたボーイング製のT-7A練習機開発について、女性を意識して小柄な操縦者にも対応した緊急脱出用射出座席の開発などが難航し、初号機提供が当初予定の2023年から早くても2025年12月までずれ込むとの米空軍発表を取り上げています
2018年に5つの提案から「ボーイングとSaab」チーム提案が選定された次期練習機T-7Aは、最近事故が多発している約400機のT-38練習機後継として早期配備を求められ、既存成熟技術を総動員した迅速開発の期待を一身に集め、実際に機体や翼の設計など主要部分の基本設計を構想から3年で完成する超迅速対応で期待に答えてきましたが、航空機の開発は一筋縄では行かないようです
価格面でも、最低351機調達の前提の契約で、空軍予定1兆3400億円のところ、1兆2000億円でボーイングチームが応札して落札し、この面でも「優等生」の評価を得ていたプロジェクトです
2022年12月に米空軍は、射出座席や飛行管理ソフトの開発遅れで、機体提供開始が1年程度遅れると発表しましたが、それから半年も経過しない2023年4月に、少なくとも約3年遅れの発表となり、当初2024年度予算に430億円計上されていた関連予算も「ゼロ」にすると米空軍報道官が明らかにしています
米空軍報道官は、2022年6月にスケジュール再検討を行っていると発表した際の説明で、「飛行試験の遅れ」「部品の品質確保遅れ」「契約下請け企業のや初期設計や不備改善の遅れ」「航空工学上の3つの問題」「射出脱出装置の問題」「コロナ関連の部品確保遅れ」に言及していましたが、今回の発表では他の問題はおおむね解決して射出座席問題が残っていることを示唆しています
射出座席問題は2022年前半の試験で明らかになったもので、射出時に座席パラシュートが開く段階でパイロットが装着するヘルメットのバイザーが激しい振動で脱落する恐れがあるとの問題です。発覚当時は試験に使用された人型人形の設置が不適切だったとか、データ計測が不適切だったとか企業側からクレームがありましたが、
2023年3月にHunter空軍調達担当次官は予算案説明時に、「射出座席は解決に向けて順調に進んでいる」と説明し、今回の再延期説明時に空軍報道官は「座席の射出ロジックを修正することで安全リスクを低減させており、2023年を通じ追加の対策を行っていき、9月に飛行試験を再開したい」と説明しています
T-7A練習機の射出座席は、従来の米空軍機の射出座席が60-70年代のパイロットの平均体格(結果として男性の体格)データから設計されていたところ、パイロット不足もあり、女性も含む空軍入隊資格基準を満たす者全てが搭乗できるように大幅な設計見直しを行っていた装備で、米会計検査院GAO等から「リスクの高い困難な開発」と以前から指摘されていた案件です
「初号機提供が当初予定の2023年から早くても2025年12月までずれ込む」との表現は、別の言い方にすると低レート量産開始が可能となる「Milestone C」承認が当初計画の2022年から2025年2月になる・・との表現になるようですが、既に様々な計画を「ぎゅうぎゅう」に詰め込んでおり、これ以上の前倒しは不可能と米空軍と企業は説明しており、裏を返せば「これ以上遅れる可能性が十分にある」と言うことでしょう
昨年12月と同じコメントになりますが、B-787や大統領専用機やKC-46Aで「身から出たサビ」で散々な目にあい、コロナウイルスで瀕死の状態にあるボーイング社にこれ以上の負担は酷な気がすることもあり、T-7A練習機のトラブル早期解決を祈念申し上げておきます
T-7A練習機(T-X計画)関連の記事
「優等生T-7が1年遅れ:女性意識の射出座席が」→https://holylandtokyo.com/2022/12/19/4065/
「デ設計技術で審査短縮や新規参入促進」→https://holylandtokyo.com/2022/08/23/3550/
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サウジと国交回復のイランが軍の日を祝う [安全保障全般]
3月10日の中国仲介による衝撃の両国国交回復
イラン大統領はイスラエルを厳しく非難し
地域安定を願う国は歓迎とサウジに間接言及
4月18日、イランはエブラヒム・ライシ大統領出席の元、イラン正規軍の記念日である「Army Day」の記念式典と軍事パレードを行い、3月10日に中国の仲介により国交を回復したサウジアラビアとの関係改善を間接的な表現で歓迎する一方、イスラエルを厳しく非難する内容の式辞をライシ大統領が行いました。
イラン核合意が崩壊状態になった昨年以降、イスラエルの関与が疑われるイランへの攻撃が発生していることを受け、イスラエルに対し同大統領は、「敵、特にシオニスト国家による我が国に対する小さな手出しであっても、テルアビブやハイファ(イスラエル北部の主要都市)の破壊を伴う、わが軍による厳しい対応を招くことを知るべきである」と述べ、更に米国に対しては、中東地域から立ち去るよう要求しました。
一方で、サウジとの国名には言及しないながらも、3月10日のサウジとの国交回復や両国首脳の相互訪問に歓迎の意を示し、「わが軍は、地域の安全保障を確立する意図を持った地域国との握手を温かく歓迎する」と述べています
これを機に、中国の仲介により実現したイランとサウジの国交回復について、ネット情報(六辻彰二さんの見解)を以下の4つの視点でごく簡単にご紹介しておきます
●アメリカができなかったことに中国が成功
米国とサウジ関係が、サウジ人権問題への米国の非難姿勢や、シェールオイル増産による米国の石油市場での位置取り変化、などなどを受けギクシャクする中、イエメンでのイランとサウジの代理戦争やイランからのドローン攻撃などの問題解決に中国が乗り出し、イランとサウジの利害と合致して関係改善に成功
●不安定な中東情勢に改善の兆しが生まれた
上記のようなイスラエルとイランの対立関係や、イスラエルとアラブ諸国との関係改善(アブラハム合意)の流れとの関係は不透明ながら、史上最悪の人道上の惨劇と呼ばれるイエメン内戦の鎮静化や、サウジへのイラン起源と推測される攻撃の停止が少なくとも期待され、中東情勢のリスク要因が減少
●世界の多極化がさらに進みやすくなった
米国による両国関係の仲介が無視された中、米国が出来なかった大きな外交案件に中国が成功したインパクト。サウジやイランが持つ、米国の中東政策に対する不満や不信感の裏返しながら、米国の威信低下のイメージ拡大
●中国のエネルギー安全保障が強化される
イランの石油開発に中国は乗り出していたが、米国主導の制裁で現時点で輸入には至っていない。しかしサウジがイラン内の石油施設へのテコ入れに協力すれば、中国によるイラン産原油確保の可能性が開かれ、エネルギー確保の多様化が進む。また、イランとの関係深化により、中国は中東からパキスタン、アフガニスタン、あるいは中央アジア各国を経由する陸上パイプラインで燃料を輸送する道も開ける
///////////////////////////////////////////////
ウクライナや台湾情勢に目を奪われがちですが、イランとサウジの国交回復は、中東での大きな変化につながる動きです。
ただ、上で紹介した中ではサウジと米国の関係悪化イメージですが、B-52をサウジ戦闘機が護衛するような飛行を昨年11月には行ったり、中東での米軍主導の無人艇艦隊創設にサウジが協力するなど、そこは中東のことですから、単純ではありません
イランの「Army Day」記念式典と軍事パレードについては、18日付Defense-News記事をご紹介していますが、記事にはパレードに参加した各種兵器の写真が13枚と約1分の映像が掲載されていますので、ご興味のある方はご確認ください
イランやサウジ関連の記事
「イラン製無人攻撃機がウで猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「米中央軍で対イランの動き2つ」→https://holylandtokyo.com/2021/09/15/2224/
「サウジも協力100隻規模の無人艇部隊を中東で」→https://holylandtokyo.com/2023/01/06/4118/
「米B-52をサウジ戦闘機が護衛」→https://holylandtokyo.com/2022/11/17/3957/
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イラン大統領はイスラエルを厳しく非難し
地域安定を願う国は歓迎とサウジに間接言及
4月18日、イランはエブラヒム・ライシ大統領出席の元、イラン正規軍の記念日である「Army Day」の記念式典と軍事パレードを行い、3月10日に中国の仲介により国交を回復したサウジアラビアとの関係改善を間接的な表現で歓迎する一方、イスラエルを厳しく非難する内容の式辞をライシ大統領が行いました。
イラン核合意が崩壊状態になった昨年以降、イスラエルの関与が疑われるイランへの攻撃が発生していることを受け、イスラエルに対し同大統領は、「敵、特にシオニスト国家による我が国に対する小さな手出しであっても、テルアビブやハイファ(イスラエル北部の主要都市)の破壊を伴う、わが軍による厳しい対応を招くことを知るべきである」と述べ、更に米国に対しては、中東地域から立ち去るよう要求しました。
一方で、サウジとの国名には言及しないながらも、3月10日のサウジとの国交回復や両国首脳の相互訪問に歓迎の意を示し、「わが軍は、地域の安全保障を確立する意図を持った地域国との握手を温かく歓迎する」と述べています
これを機に、中国の仲介により実現したイランとサウジの国交回復について、ネット情報(六辻彰二さんの見解)を以下の4つの視点でごく簡単にご紹介しておきます
●アメリカができなかったことに中国が成功
米国とサウジ関係が、サウジ人権問題への米国の非難姿勢や、シェールオイル増産による米国の石油市場での位置取り変化、などなどを受けギクシャクする中、イエメンでのイランとサウジの代理戦争やイランからのドローン攻撃などの問題解決に中国が乗り出し、イランとサウジの利害と合致して関係改善に成功
●不安定な中東情勢に改善の兆しが生まれた
上記のようなイスラエルとイランの対立関係や、イスラエルとアラブ諸国との関係改善(アブラハム合意)の流れとの関係は不透明ながら、史上最悪の人道上の惨劇と呼ばれるイエメン内戦の鎮静化や、サウジへのイラン起源と推測される攻撃の停止が少なくとも期待され、中東情勢のリスク要因が減少
●世界の多極化がさらに進みやすくなった
米国による両国関係の仲介が無視された中、米国が出来なかった大きな外交案件に中国が成功したインパクト。サウジやイランが持つ、米国の中東政策に対する不満や不信感の裏返しながら、米国の威信低下のイメージ拡大
●中国のエネルギー安全保障が強化される
イランの石油開発に中国は乗り出していたが、米国主導の制裁で現時点で輸入には至っていない。しかしサウジがイラン内の石油施設へのテコ入れに協力すれば、中国によるイラン産原油確保の可能性が開かれ、エネルギー確保の多様化が進む。また、イランとの関係深化により、中国は中東からパキスタン、アフガニスタン、あるいは中央アジア各国を経由する陸上パイプラインで燃料を輸送する道も開ける
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ウクライナや台湾情勢に目を奪われがちですが、イランとサウジの国交回復は、中東での大きな変化につながる動きです。
ただ、上で紹介した中ではサウジと米国の関係悪化イメージですが、B-52をサウジ戦闘機が護衛するような飛行を昨年11月には行ったり、中東での米軍主導の無人艇艦隊創設にサウジが協力するなど、そこは中東のことですから、単純ではありません
イランの「Army Day」記念式典と軍事パレードについては、18日付Defense-News記事をご紹介していますが、記事にはパレードに参加した各種兵器の写真が13枚と約1分の映像が掲載されていますので、ご興味のある方はご確認ください
イランやサウジ関連の記事
「イラン製無人攻撃機がウで猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「米中央軍で対イランの動き2つ」→https://holylandtokyo.com/2021/09/15/2224/
「サウジも協力100隻規模の無人艇部隊を中東で」→https://holylandtokyo.com/2023/01/06/4118/
「米B-52をサウジ戦闘機が護衛」→https://holylandtokyo.com/2022/11/17/3957/
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米比2+2でマルチロール戦闘機提供が話題に [安全保障全般]
米軍1.7万名参加のバリカタン演習開始に併せ
比へ続々と装備品提供を今後5-10年で
4月11日、ワシントンDCで米国とフィリピンの外務と国防大臣が一堂に会する「2+2」会合(U.S.-Philippines Ministerial Dialogue)が開催され、会合後の両国防大臣会見で、米から比への今後5-10年を見据えた国防支援ロードマップを議論し、レーダー、無人機、軍用輸送機、沿岸や防空システム等を含むプラットフォームが話題になったと明らかにしました
ただそれよりも軍事メディアが注目したのは、両国防相会見では言及がなかったものの、「2+2」会合結果がまとめられ記者団に配布された「fact sheet」に、「2022年秋に約130億円の軍事援助資金提供で支援を発表した比の中型ヘリ調達推進」に加え、「両国が優先すべき国防能力近代化項目として、フィリピン空軍へのマルチロール戦闘機提供計画について焦点を当てて議論がなされた」と記載されていた点です
フィリピン空軍は2022年6月から、現有の練習機発展型FA-50軽攻撃機(韓国製)だけでは能力不足だと、第4世代の多用途戦闘機選定を開始しており、当時の比空軍トップが米国製F-16とスウェーデン製JAS-39グリペンから提案を受け検討していると表明していたところでした
フィリピンは中国との関係が微妙な国ですが、2021年には5機の新型C-130J輸送機追加購入を決め、米軍からC-130H型の移管を最近受けています。また2022年2月には32機のUH-60 Black Hawkヘリの導入決定も明らかになっていたところです
米比の関係は、ドゥテルテ前大統領時の強力な麻薬撲滅対策について、米国政府が「人権問題」を持ち出してギクシャクしましたが、中国の南シナ海での既成事実積み上げや軍事力増強を受け風向きが変わりつつあり、マルコスJr大統領の2022年6月就任以降は、特に米比関係好転が目立っています
今年2月にはオースチン国防長官が訪比し、米軍の比軍基地へのアクセス可能基地を従来の4個から8個に拡大することに合意し、3月には米軍第5世代機として初めてF-22がフィリピンに展開してFA-50と南シナ海上で訓練したところでした
そして今回の「2+2」にタイミングを合わせるかのように始まった「Balikatan」演習は、米軍1.7万名の大規模参加で、しかも米海兵隊が対中国用に改編した新部隊MLR(Marine Littoral Regiment)も投入してフィリピン側と連携を深めるとのことで、フィリピン軍も積極的な訓練姿勢を見せていると言われています
なおMLRは、第一列島線上の敵WEZ内に存在して敵情をリアルタイムで味方に通報し、「sea-denialやsea-control」作戦を行い、味方統合戦力部隊の進出を助けるイメージの部隊で、最初の部隊がハワイに3MLR(第3沿岸海兵旅団)として編成され、9月の正式作戦運用開始に向け訓練を積んでいるところです(2個目のMLRは沖縄で第12MLRとして編成予定:23年1月の日米2+2で合意)
フィリピン関連の記事
「5世代機初展開F-22」→https://holylandtokyo.com/2023/03/24/4442/
「第3沿岸海兵旅団の編成」→https://holylandtokyo.com/2022/11/14/3900/
「前政権時の米とのギクシャク」→https://holylandtokyo.com/2021/08/02/2065/
「三菱製レーダーを提供へ」→https://holylandtokyo.com/2020/08/31/536/
沖縄で第12MLR編制に合意
「沖縄海兵隊の主力旅団が縮小改編MLRへ」→https://holylandtokyo.com/2023/01/13/4148/
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
比へ続々と装備品提供を今後5-10年で
4月11日、ワシントンDCで米国とフィリピンの外務と国防大臣が一堂に会する「2+2」会合(U.S.-Philippines Ministerial Dialogue)が開催され、会合後の両国防大臣会見で、米から比への今後5-10年を見据えた国防支援ロードマップを議論し、レーダー、無人機、軍用輸送機、沿岸や防空システム等を含むプラットフォームが話題になったと明らかにしました
ただそれよりも軍事メディアが注目したのは、両国防相会見では言及がなかったものの、「2+2」会合結果がまとめられ記者団に配布された「fact sheet」に、「2022年秋に約130億円の軍事援助資金提供で支援を発表した比の中型ヘリ調達推進」に加え、「両国が優先すべき国防能力近代化項目として、フィリピン空軍へのマルチロール戦闘機提供計画について焦点を当てて議論がなされた」と記載されていた点です
フィリピン空軍は2022年6月から、現有の練習機発展型FA-50軽攻撃機(韓国製)だけでは能力不足だと、第4世代の多用途戦闘機選定を開始しており、当時の比空軍トップが米国製F-16とスウェーデン製JAS-39グリペンから提案を受け検討していると表明していたところでした
フィリピンは中国との関係が微妙な国ですが、2021年には5機の新型C-130J輸送機追加購入を決め、米軍からC-130H型の移管を最近受けています。また2022年2月には32機のUH-60 Black Hawkヘリの導入決定も明らかになっていたところです
米比の関係は、ドゥテルテ前大統領時の強力な麻薬撲滅対策について、米国政府が「人権問題」を持ち出してギクシャクしましたが、中国の南シナ海での既成事実積み上げや軍事力増強を受け風向きが変わりつつあり、マルコスJr大統領の2022年6月就任以降は、特に米比関係好転が目立っています
今年2月にはオースチン国防長官が訪比し、米軍の比軍基地へのアクセス可能基地を従来の4個から8個に拡大することに合意し、3月には米軍第5世代機として初めてF-22がフィリピンに展開してFA-50と南シナ海上で訓練したところでした
そして今回の「2+2」にタイミングを合わせるかのように始まった「Balikatan」演習は、米軍1.7万名の大規模参加で、しかも米海兵隊が対中国用に改編した新部隊MLR(Marine Littoral Regiment)も投入してフィリピン側と連携を深めるとのことで、フィリピン軍も積極的な訓練姿勢を見せていると言われています
なおMLRは、第一列島線上の敵WEZ内に存在して敵情をリアルタイムで味方に通報し、「sea-denialやsea-control」作戦を行い、味方統合戦力部隊の進出を助けるイメージの部隊で、最初の部隊がハワイに3MLR(第3沿岸海兵旅団)として編成され、9月の正式作戦運用開始に向け訓練を積んでいるところです(2個目のMLRは沖縄で第12MLRとして編成予定:23年1月の日米2+2で合意)
フィリピン関連の記事
「5世代機初展開F-22」→https://holylandtokyo.com/2023/03/24/4442/
「第3沿岸海兵旅団の編成」→https://holylandtokyo.com/2022/11/14/3900/
「前政権時の米とのギクシャク」→https://holylandtokyo.com/2021/08/02/2065/
「三菱製レーダーを提供へ」→https://holylandtokyo.com/2020/08/31/536/
沖縄で第12MLR編制に合意
「沖縄海兵隊の主力旅団が縮小改編MLRへ」→https://holylandtokyo.com/2023/01/13/4148/
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語学の壁:空自訓練生の米国での墜落事故から2年 [米空軍]
外国人訓練生の英語教育担当機関担当が語る
極めて難しい問題に取り組む人がいます
4月13日付Defense-Newsが、2021年2月19日に米空軍練習機が墜落し、米空軍教官操縦者と航空自衛隊の飛行訓練生が亡くなった事故から2年経過を機会に、事故原因とも大いに関係あるとされている外国人飛行訓練生の英語能力問題と、英語教育を担当するテキサス州に所在する米空軍DLI「Defense Language InstituteのEnglish Language Center」の事故後の取り組みを紹介しています
当該事故は、航空自衛隊が米空軍に飛行教育を委託していた飛行訓練生ウエサキ2等空尉(事故当時:25歳)と同乗していた教官操縦者Scot Ames Jr.中尉(事故当時:24歳)が操縦するT-38ジェット練習機が、モンゴメリー地方空港(Montgomery Regional Airport)着陸直前に滑走路手前に墜落し、2名とも射出脱出することなく亡くなった事故です(事故の細部は末尾紹介の過去記事をご確認ください)
同年10月に米空軍公開した事故調査報告書によると、
●Ames中尉が、最終着陸進入時に訓練生の十分な状況把握を行わず、ウエサキ訓練生が長時間エンジン出力をアイドル状態にしていたことに気づくのが遅れ、危険な状態への対応が遅れた
●ウエサキ訓練生は、着陸直前の多様な操作手順に「飽和状態」になり、スロットルをアイドル状態にしたままにして事故を導くこととなった
●事故調査官は、T-38訓練生がこのような行動(着陸直前の段階でアイドル状態を維持する)を執ることは、搭乗者を極めて不安な状況に置くことから極めて珍しい、と報告書に記し、
●操縦教官は地面に近い着陸直前の段階では、訓練生のスロットル操作から片時も目を離さず、訓練生の誤操作には直ちに介入する態勢にあることが通常であると報告している
更にウエサキ訓練生の語学力の影響について
●英語能力が劣る外国人訓練生は、飛行訓練前に約6か月間の語学教育を受けるが、そこでの卒業成績は「平均、または平均の少し上」であった
●ただ、当該日本人訓練生は飛行訓練を通じ、飛行航空用語での発言や聞き取りに困難を感じており、教官の指示や無線通信内容の理解に影響を与えていた
●事故の直接的な原因は、教官操縦者が滑走路への最終進入段階で訓練生操縦機体の状態をよく把握せず、危険な状態からの回復にタイムリーな措置を取らなかったことにあるが、日本人訓練生の英語対話能力が原因となって、着陸直前の多くの機体操作が必要な段階で訓練生の思考を飽和させ、エンジン出力を最低限レベルに絞ったまま飛行し続けたことが大きく影響している
13日付Defense-News記事が紹介している内容
●過去10年間で外国人飛行訓練生の死亡事故は4件あり、日本人事例以外の3件は全てF-16単独操縦中の事例(2015, 2016 and 2017年に発生)で、イラク人2名と台湾人1名の事故である
●米空軍は毎年約50名の外国人操縦訓練生を教育しているが、2013年からの統計では、米空軍内での飛行事故死亡者80名の内、8%が外国人訓練生で、人数比率は高いとは言えない。(ちなみにパイロット以外も含めると、年間100か国以上から約6000名の外国軍人英語教育を米空軍は行っている)
●ただ、2021年2月の事故では成績優秀な米空軍教官パイロットも同時に死亡したことから米空軍幹部の問題意識が高まり、外国人訓練生の英語教育を担当するテキサス州の機関(DLI:Defense Language InstituteのEnglish Language Center)の訓練内容に注目が集まっている
●インタビューに対応してくれた同機関英語教官のTerry Harsh氏は、DLIはその役割を果たしており、部隊活動の映像教材などの導入も進めているが、実際に飛行訓練をこなすための英語能力を身に着けさせるには、現在の6か月間の英語教育期間に加え、追加で6か月が必要だと語り、資金や時間確保に関係者の理解を得ようと試みたが、「誰もそれを払いたがらない」と実現するのは容易ではないと語っている
●訓練生個々の能力進捗程度把握など、各訓練生が抱えている語学上の課題のより細かなフォローにも米空軍は取り組んでいる。飛行訓練部隊の教官が訓練生の語学レベルを細かくチェックする新しい評価シートの作成や、DLI教育の状況を定期的に上級部隊が確認することなども行われている。ただ、限られたカリキュラム期間と陣容で、限界もある。
●語学教育機関DLIと卒業生が進む飛行訓練部隊との訓練生の情報共有、更には全体を監督する空軍教育訓練コマンドや訓練生派遣国との定期的意思疎通も重要だと認識され、2021年2月の事故調査のためだけでなく、例えば今年2月にも米国内関係者の会同が行われている
●そのほかHarsh氏は個人的な意見として、語学教育機関と飛行訓練部隊を繋ぐ軍務に詳しい連絡役の配置や、飛行訓練に進んだ卒業生からの語学機関へのフィードバックを効率的に入手する仕組みの導入を提案していた
●最後にHarsh氏は、米国人が日本や韓国やアラブ諸国に赴任し、現地の言葉で操縦訓練を受けることを想像し、粘り強く米国での外国人訓練生教育に対応することが重要だと述べつつ、外国人訓練生が最初に接する米国組織であるDLIが、上官との関係や米国社会での一般的行動様式などを交えて語学教育に取り組んでることも強調していた
//////////////////////////////////////////////
色々言うのは簡単ですが、Harsh氏のインタビューから、日本や韓国や中東諸国からの操縦訓練生の受け入れに苦労している様子が伺えます。それでも、毎年文化や習慣が異なる100か国以上から6000名を受け入れ、英語教育を提供している米国の努力には頭が下がります。
なお上記記事によれば、事故から1年経過した2022年2月に、ウエサキ2尉のお母さまから、米国での語学教育や操縦教育を担当していた米空軍教育訓練コマンド司令官宛てに、様々な配慮に感謝する旨のレターが届けられたとのことです
注意:上記でご紹介した内容は、13日付Military.com記事と事故調査報告書から、まんぐーすが抽出した内容ですので、必ずしも米空軍の当該事故を受けた対応や現在のDLIの状況、更に事故報告書の内容を正確に反映しているとは限りません。ご注意ください。
当該墜落死亡事故の調査報告紹介記事
「当該事故調査報告」→https://holylandtokyo.com/2021/10/12/2328/
42ページの事故調査委員会報告書
(少将が事故調査委員長)
→https://www.afjag.af.mil/Portals/77/AIB-Reports/2021/AIB%20Report%20Columbus%20T-38_Final.pdf
航空機事故関連の記事
「F-35事故対策改修内容は秘密」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-24
「三沢F-16の整備部隊がでたらめで墜落事故」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-22
「在日米軍が空自救難隊員にメダル授与」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-19
「B-52が飛行中にエンジン1個落下」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-01-08
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極めて難しい問題に取り組む人がいます
4月13日付Defense-Newsが、2021年2月19日に米空軍練習機が墜落し、米空軍教官操縦者と航空自衛隊の飛行訓練生が亡くなった事故から2年経過を機会に、事故原因とも大いに関係あるとされている外国人飛行訓練生の英語能力問題と、英語教育を担当するテキサス州に所在する米空軍DLI「Defense Language InstituteのEnglish Language Center」の事故後の取り組みを紹介しています
当該事故は、航空自衛隊が米空軍に飛行教育を委託していた飛行訓練生ウエサキ2等空尉(事故当時:25歳)と同乗していた教官操縦者Scot Ames Jr.中尉(事故当時:24歳)が操縦するT-38ジェット練習機が、モンゴメリー地方空港(Montgomery Regional Airport)着陸直前に滑走路手前に墜落し、2名とも射出脱出することなく亡くなった事故です(事故の細部は末尾紹介の過去記事をご確認ください)
同年10月に米空軍公開した事故調査報告書によると、
●Ames中尉が、最終着陸進入時に訓練生の十分な状況把握を行わず、ウエサキ訓練生が長時間エンジン出力をアイドル状態にしていたことに気づくのが遅れ、危険な状態への対応が遅れた
●ウエサキ訓練生は、着陸直前の多様な操作手順に「飽和状態」になり、スロットルをアイドル状態にしたままにして事故を導くこととなった
●事故調査官は、T-38訓練生がこのような行動(着陸直前の段階でアイドル状態を維持する)を執ることは、搭乗者を極めて不安な状況に置くことから極めて珍しい、と報告書に記し、
●操縦教官は地面に近い着陸直前の段階では、訓練生のスロットル操作から片時も目を離さず、訓練生の誤操作には直ちに介入する態勢にあることが通常であると報告している
更にウエサキ訓練生の語学力の影響について
●英語能力が劣る外国人訓練生は、飛行訓練前に約6か月間の語学教育を受けるが、そこでの卒業成績は「平均、または平均の少し上」であった
●ただ、当該日本人訓練生は飛行訓練を通じ、飛行航空用語での発言や聞き取りに困難を感じており、教官の指示や無線通信内容の理解に影響を与えていた
●事故の直接的な原因は、教官操縦者が滑走路への最終進入段階で訓練生操縦機体の状態をよく把握せず、危険な状態からの回復にタイムリーな措置を取らなかったことにあるが、日本人訓練生の英語対話能力が原因となって、着陸直前の多くの機体操作が必要な段階で訓練生の思考を飽和させ、エンジン出力を最低限レベルに絞ったまま飛行し続けたことが大きく影響している
13日付Defense-News記事が紹介している内容
●過去10年間で外国人飛行訓練生の死亡事故は4件あり、日本人事例以外の3件は全てF-16単独操縦中の事例(2015, 2016 and 2017年に発生)で、イラク人2名と台湾人1名の事故である
●米空軍は毎年約50名の外国人操縦訓練生を教育しているが、2013年からの統計では、米空軍内での飛行事故死亡者80名の内、8%が外国人訓練生で、人数比率は高いとは言えない。(ちなみにパイロット以外も含めると、年間100か国以上から約6000名の外国軍人英語教育を米空軍は行っている)
●ただ、2021年2月の事故では成績優秀な米空軍教官パイロットも同時に死亡したことから米空軍幹部の問題意識が高まり、外国人訓練生の英語教育を担当するテキサス州の機関(DLI:Defense Language InstituteのEnglish Language Center)の訓練内容に注目が集まっている
●インタビューに対応してくれた同機関英語教官のTerry Harsh氏は、DLIはその役割を果たしており、部隊活動の映像教材などの導入も進めているが、実際に飛行訓練をこなすための英語能力を身に着けさせるには、現在の6か月間の英語教育期間に加え、追加で6か月が必要だと語り、資金や時間確保に関係者の理解を得ようと試みたが、「誰もそれを払いたがらない」と実現するのは容易ではないと語っている
●訓練生個々の能力進捗程度把握など、各訓練生が抱えている語学上の課題のより細かなフォローにも米空軍は取り組んでいる。飛行訓練部隊の教官が訓練生の語学レベルを細かくチェックする新しい評価シートの作成や、DLI教育の状況を定期的に上級部隊が確認することなども行われている。ただ、限られたカリキュラム期間と陣容で、限界もある。
●語学教育機関DLIと卒業生が進む飛行訓練部隊との訓練生の情報共有、更には全体を監督する空軍教育訓練コマンドや訓練生派遣国との定期的意思疎通も重要だと認識され、2021年2月の事故調査のためだけでなく、例えば今年2月にも米国内関係者の会同が行われている
●そのほかHarsh氏は個人的な意見として、語学教育機関と飛行訓練部隊を繋ぐ軍務に詳しい連絡役の配置や、飛行訓練に進んだ卒業生からの語学機関へのフィードバックを効率的に入手する仕組みの導入を提案していた
●最後にHarsh氏は、米国人が日本や韓国やアラブ諸国に赴任し、現地の言葉で操縦訓練を受けることを想像し、粘り強く米国での外国人訓練生教育に対応することが重要だと述べつつ、外国人訓練生が最初に接する米国組織であるDLIが、上官との関係や米国社会での一般的行動様式などを交えて語学教育に取り組んでることも強調していた
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色々言うのは簡単ですが、Harsh氏のインタビューから、日本や韓国や中東諸国からの操縦訓練生の受け入れに苦労している様子が伺えます。それでも、毎年文化や習慣が異なる100か国以上から6000名を受け入れ、英語教育を提供している米国の努力には頭が下がります。
なお上記記事によれば、事故から1年経過した2022年2月に、ウエサキ2尉のお母さまから、米国での語学教育や操縦教育を担当していた米空軍教育訓練コマンド司令官宛てに、様々な配慮に感謝する旨のレターが届けられたとのことです
注意:上記でご紹介した内容は、13日付Military.com記事と事故調査報告書から、まんぐーすが抽出した内容ですので、必ずしも米空軍の当該事故を受けた対応や現在のDLIの状況、更に事故報告書の内容を正確に反映しているとは限りません。ご注意ください。
当該墜落死亡事故の調査報告紹介記事
「当該事故調査報告」→https://holylandtokyo.com/2021/10/12/2328/
42ページの事故調査委員会報告書
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航空機事故関連の記事
「F-35事故対策改修内容は秘密」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-24
「三沢F-16の整備部隊がでたらめで墜落事故」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-22
「在日米軍が空自救難隊員にメダル授与」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-19
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ルーマニアがF-35導入決定東欧3番目 [亡国のF-35]
2023年8月10日付Defense-Newsは、ルーマニア政府が同国議会に対し、2飛行隊分の32機導入を要望する案を提示したと報じ、同案には3飛行隊目の16機を追加で調達要求する可能性もあると記載されていると紹介しました
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
東欧ではポーランドとチェコに続き3番目
4月11日、ルーマニアのKlaus Iohannis大統領をトップとする最高国防評議会(Romanian Supreme Council on National Defense (CSAT))が、F-35導入を決定しました。購入機数や価格や受け入れ時程などは明らかにされていません
ルーマニアは現在、ポルトガルから購入した中古のF-16戦闘機を17機保有し、昨年2022年にはノルウェーから同じく中古のF-16戦闘機32機を購入する契約を結んだところであり、F-35を導入するにしても常時最低限の運用機数である4-8機を確保できる12機程度の導入が限界かと勝手に邪推いたします
ルーマニア軍は、総兵力7万1500人、(陸軍3万5,500人、海軍6,800人、空軍11,700人、総合軍1万7,500人)ですから、約30機のF-16を維持運用するだけで十分大変だと思いますが、欧州全体で維持整備体制をうまく回して、少数機体の稼働率を確保するつもりでしょうか・・・
同じ東欧では既に2か国が・・・
●2020年1月に、ポーランドが32機のF-35導入を約6200億円で契約と発表
●2022年7月に、チェコが24機のF-35導入を目指し米国と価格交渉を開始すると発表(その後交渉妥結したとの記憶が・・・)
【ご参考】F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(10か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、チェコ(24機)、ルーマニア(機数非公開12機程度か?)
最近のF-35購入又は追加購入決定
「シンガポール追加」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
「カナダがやっと決定」→https://holylandtokyo.com/2023/01/12/4134/
「チェコが東欧で2番目」→https://holylandtokyo.com/2022/07/25/3492/
「ドイツも核任務用に」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/
「フィンランドが15番目」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「スイスが14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
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東欧ではポーランドとチェコに続き3番目
4月11日、ルーマニアのKlaus Iohannis大統領をトップとする最高国防評議会(Romanian Supreme Council on National Defense (CSAT))が、F-35導入を決定しました。購入機数や価格や受け入れ時程などは明らかにされていません
ルーマニアは現在、ポルトガルから購入した中古のF-16戦闘機を17機保有し、昨年2022年にはノルウェーから同じく中古のF-16戦闘機32機を購入する契約を結んだところであり、F-35を導入するにしても常時最低限の運用機数である4-8機を確保できる12機程度の導入が限界かと勝手に邪推いたします
ルーマニア軍は、総兵力7万1500人、(陸軍3万5,500人、海軍6,800人、空軍11,700人、総合軍1万7,500人)ですから、約30機のF-16を維持運用するだけで十分大変だと思いますが、欧州全体で維持整備体制をうまく回して、少数機体の稼働率を確保するつもりでしょうか・・・
同じ東欧では既に2か国が・・・
●2020年1月に、ポーランドが32機のF-35導入を約6200億円で契約と発表
●2022年7月に、チェコが24機のF-35導入を目指し米国と価格交渉を開始すると発表(その後交渉妥結したとの記憶が・・・)
【ご参考】F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(10か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、チェコ(24機)、ルーマニア(機数非公開12機程度か?)
最近のF-35購入又は追加購入決定
「シンガポール追加」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
「カナダがやっと決定」→https://holylandtokyo.com/2023/01/12/4134/
「チェコが東欧で2番目」→https://holylandtokyo.com/2022/07/25/3492/
「ドイツも核任務用に」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/
「フィンランドが15番目」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「スイスが14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
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米印空軍演習参加にB-1爆撃機がインド再展開 [安全保障全般]
「Cope India 2023」演習が4月10-24日の間で
米空軍はF-15EとC-130Jも参加、B-1は2月にも
航空自衛隊員もオブザーバ参加
4月13日付米空軍協会web記事が、インド国防省による米印空軍演習「Cope India 2023」に関する12日付プレスリリースなどを紹介しつつ、今年2月に開催のインド航空ショー(Aero India)に続き、B-1爆撃機がインドに展開するなど、米軍とインド軍との関係が強化されつつある様子を伝えています
なおインド国防省発表はわずか6行の短いものですが、最後に「航空自衛隊員がオブザーバー参加し、米印空軍と交流する(Personnel from the Japanese Air Self Defence Force will also observe the exercise and interact with the two participating air forces)」と記されており、アジア・インド太平洋地域において日本に期待される役割が急速に拡大していることを伺わせます
訓練は、4月10日から開始の第1フェーズ「空輸フェーズ」で始まり、横田基地C-130やハワイヒッカム基地のC-17による空輸訓練が行われ、この間にWilsbach太平洋空軍司令官がインド空軍のロシア製SU-30MKI後席に搭乗して飛行する画像が公開されるなど、両国空軍の親密ぶりをアピールする場面が今後も発信されていくものと考えられます
13日から始まった第2フェーズは「航空作戦フェーズ」で、米空軍からはF-15EストライクイーグルにB-1爆撃機、インド空軍はSu-30 MKI, Rafale, Tejas, Jaguar戦闘機、更にインド空軍の空中給油機やAWACSも投入して、24日まで訓練することになっています
米印空軍演習「Cope India」は2004年に初回が実施され、その後2005, 2006, 2009年に実施されていますが、その後は2018年の再開まで間隔が空いており、米印関係のバロメータのような演習となっています。
その他、隔年開催のインド航空ショー(Aero India)の視点で見てみると、2021年開催の同イベントにB-1がインド初展開参加して大きな話題になりましたが、2023年2月開催時にはB-1が大サービスで超音速飛行を行ったほか、F-35の性能展示飛行や三沢F-16デモ飛行チームによるアクロバット飛行なども披露され、会場を大いに盛り上げ、インドメディアで大きく取り上げられたとのことです
///////////////////////////////
フィリピンでは米軍17000名が参加する大規模演習「Balikatan」が始まり、豪州では7月に米豪演習「Talisman Sabre」が兵站に特化して過去最大の兵站演習として計画されるなど、不動産バブル崩壊で弱みも見せつつある中国に、「対中国」包囲網構築を見せつけるかのような、米軍とアジア太平洋地域諸国との訓練が花盛りであり、誠に素晴らしいことです
インド国防省プレスリリース12日付
→ https://pib.gov.in/PressReleaseIframePage.aspx?PRID=1915928
2021年のB-1爆撃機インド初展開
「米軍爆撃機が75年ぶりインド訪問」→https://holylandtokyo.com/2021/02/10/259/
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米空軍はF-15EとC-130Jも参加、B-1は2月にも
航空自衛隊員もオブザーバ参加
4月13日付米空軍協会web記事が、インド国防省による米印空軍演習「Cope India 2023」に関する12日付プレスリリースなどを紹介しつつ、今年2月に開催のインド航空ショー(Aero India)に続き、B-1爆撃機がインドに展開するなど、米軍とインド軍との関係が強化されつつある様子を伝えています
なおインド国防省発表はわずか6行の短いものですが、最後に「航空自衛隊員がオブザーバー参加し、米印空軍と交流する(Personnel from the Japanese Air Self Defence Force will also observe the exercise and interact with the two participating air forces)」と記されており、アジア・インド太平洋地域において日本に期待される役割が急速に拡大していることを伺わせます
訓練は、4月10日から開始の第1フェーズ「空輸フェーズ」で始まり、横田基地C-130やハワイヒッカム基地のC-17による空輸訓練が行われ、この間にWilsbach太平洋空軍司令官がインド空軍のロシア製SU-30MKI後席に搭乗して飛行する画像が公開されるなど、両国空軍の親密ぶりをアピールする場面が今後も発信されていくものと考えられます
13日から始まった第2フェーズは「航空作戦フェーズ」で、米空軍からはF-15EストライクイーグルにB-1爆撃機、インド空軍はSu-30 MKI, Rafale, Tejas, Jaguar戦闘機、更にインド空軍の空中給油機やAWACSも投入して、24日まで訓練することになっています
米印空軍演習「Cope India」は2004年に初回が実施され、その後2005, 2006, 2009年に実施されていますが、その後は2018年の再開まで間隔が空いており、米印関係のバロメータのような演習となっています。
その他、隔年開催のインド航空ショー(Aero India)の視点で見てみると、2021年開催の同イベントにB-1がインド初展開参加して大きな話題になりましたが、2023年2月開催時にはB-1が大サービスで超音速飛行を行ったほか、F-35の性能展示飛行や三沢F-16デモ飛行チームによるアクロバット飛行なども披露され、会場を大いに盛り上げ、インドメディアで大きく取り上げられたとのことです
///////////////////////////////
フィリピンでは米軍17000名が参加する大規模演習「Balikatan」が始まり、豪州では7月に米豪演習「Talisman Sabre」が兵站に特化して過去最大の兵站演習として計画されるなど、不動産バブル崩壊で弱みも見せつつある中国に、「対中国」包囲網構築を見せつけるかのような、米軍とアジア太平洋地域諸国との訓練が花盛りであり、誠に素晴らしいことです
インド国防省プレスリリース12日付
→ https://pib.gov.in/PressReleaseIframePage.aspx?PRID=1915928
2021年のB-1爆撃機インド初展開
「米軍爆撃機が75年ぶりインド訪問」→https://holylandtokyo.com/2021/02/10/259/
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豪州でのTalisman Sabreを過去最大の兵站演習に [Joint・統合参謀本部]
米豪主催で日韓インドネシアが参加
兵站を重点に従来の4倍規模の装備物資輸送
米軍兵站指揮所を始めて海外に設置
日本の補給拠点も有事用に再構築予定
4月7日付Defense-Newsは、米陸軍が7月から豪州を中心に行う隔年実施の米豪共同陸軍演習「Talisman Sabre」を、対中国を想定した兵站(物資輸送・補給・維持整備)に特化した演習として計画しており、日韓インドネシアを巻き込み、装備物資輸送量が従来比4倍規模になる史上最大規模の兵站演習になろうと紹介しています
先日取り上げたように、米陸軍は大きな課題となっている対中国作戦の兵站支援問題や、ウクライナの教訓から兵站改革の必要性を痛感し、陸軍内に専門の改革チームCFT(cross-functional teams)を創設して、米本土から遠く、かつ厳しい戦いが予期される戦域での「contested logistics」戦略や実施計画を煮詰めると発表しているところです。
米太平洋陸軍はその一環として、年間に複数回計画されている「Operation Pathways」演習を通じ、「兵站改革」に取り組むことになっており、特に昨年から力を入れているフィリピンでの同演習では、地域全体の兵站を支える「Theater Distribution Center」を設置して年間の同演習を支える体制を構築したり、フィリピン内複数拠点と連携して物資配分等する訓練をより複雑化して強化を予定しているようです
今年7月からの豪での「Talisman Sabre」演習は、これまで陸上作戦主体だったものを「兵站中心」に大きく変更して兵站重視を打ち出したもので、遅まきながらの感は否めませんが、米陸軍としての姿勢を良く反映しています。以下では今年の「Talisman Sabre」演習の特徴をご紹介します
●米太平洋陸軍の演習の兵站司令部は、従来ハワイのオアフ島に置かれていたが、今回は初めて海外設置に挑戦して豪州東海岸中部ブリスベーンに置き、他軍種や豪州のメンバーも同居する全く新しい合同兵站センター形態で行う
●豪州内2か所の兵站活動拠点も、実戦を想定して分散した2か所(一つは豪北海岸のTownsville、もう一つは約2600㎞離れた東海岸北部のDarwin)に置き、西太平洋地域の広大な兵站支援を体感する場とする
●経験のない17両のM1戦車輸送や400個もの備蓄パック輸送を含む輸送負荷を課し、事前備蓄品洋上保管船(Army Prepositioned Stock Afloat ship)や未整備な海岸に「映画プライベートライアン風に」上陸する着上陸輸送船(watercraft)、約400mの人工埠頭を活用する西太平洋の島々への物資輸送想定の訓練実施
●不整地海岸の上陸地点から兵站活動拠点Townsvilleまで、約160㎞を戦車部隊が自力で移動する訓練実施
●我の兵站活動全般に対する敵の妨害活動を付与し、兵站活動の強靭性や脆弱性を検証
●豪州の外来生物進入への厳しい姿勢に対応するため、例えば「マダラコウラナメクジ:leopard snail」が車両に付着して侵入しないよう、ハワイの施設で豪州へ持ち込む車両や装備の徹底的な洗浄を数か月かけて行っている
/////////////////////////////////////
同記事は、どの演習での実施事項か、演習外での実施かは明確にしていませんが、日本に既に配備されている「配送センター:distribution center」の「再構築・改編:reconfigure」を、米陸軍が計画していると説明しています
また記事は、フィリピンでの活動拠点が昨年演習時の4か所から、今年は9か所に増強されるとも報じており、対中国でアジアの重要なピースであるフィリピンと米国の関係が改善&強化されつつあるのであれば、それは素晴らしいことだと思います。
兵站支援関連の記事
「兵站改革目指しCFT設置」→https://holylandtokyo.com/2023/04/10/4469/
「ウの対中国教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウへの補給物資輸送拠点」→https://holylandtokyo.com/2022/05/11/3197/
「改善提案最優秀:燃料と水輸送負担軽減策」→https://holylandtokyo.com/2022/05/06/2781/
「ウへの武器提供」→https://holylandtokyo.com/2022/03/02/2772/
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兵站を重点に従来の4倍規模の装備物資輸送
米軍兵站指揮所を始めて海外に設置
日本の補給拠点も有事用に再構築予定
4月7日付Defense-Newsは、米陸軍が7月から豪州を中心に行う隔年実施の米豪共同陸軍演習「Talisman Sabre」を、対中国を想定した兵站(物資輸送・補給・維持整備)に特化した演習として計画しており、日韓インドネシアを巻き込み、装備物資輸送量が従来比4倍規模になる史上最大規模の兵站演習になろうと紹介しています
先日取り上げたように、米陸軍は大きな課題となっている対中国作戦の兵站支援問題や、ウクライナの教訓から兵站改革の必要性を痛感し、陸軍内に専門の改革チームCFT(cross-functional teams)を創設して、米本土から遠く、かつ厳しい戦いが予期される戦域での「contested logistics」戦略や実施計画を煮詰めると発表しているところです。
米太平洋陸軍はその一環として、年間に複数回計画されている「Operation Pathways」演習を通じ、「兵站改革」に取り組むことになっており、特に昨年から力を入れているフィリピンでの同演習では、地域全体の兵站を支える「Theater Distribution Center」を設置して年間の同演習を支える体制を構築したり、フィリピン内複数拠点と連携して物資配分等する訓練をより複雑化して強化を予定しているようです
今年7月からの豪での「Talisman Sabre」演習は、これまで陸上作戦主体だったものを「兵站中心」に大きく変更して兵站重視を打ち出したもので、遅まきながらの感は否めませんが、米陸軍としての姿勢を良く反映しています。以下では今年の「Talisman Sabre」演習の特徴をご紹介します
●米太平洋陸軍の演習の兵站司令部は、従来ハワイのオアフ島に置かれていたが、今回は初めて海外設置に挑戦して豪州東海岸中部ブリスベーンに置き、他軍種や豪州のメンバーも同居する全く新しい合同兵站センター形態で行う
●豪州内2か所の兵站活動拠点も、実戦を想定して分散した2か所(一つは豪北海岸のTownsville、もう一つは約2600㎞離れた東海岸北部のDarwin)に置き、西太平洋地域の広大な兵站支援を体感する場とする
●経験のない17両のM1戦車輸送や400個もの備蓄パック輸送を含む輸送負荷を課し、事前備蓄品洋上保管船(Army Prepositioned Stock Afloat ship)や未整備な海岸に「映画プライベートライアン風に」上陸する着上陸輸送船(watercraft)、約400mの人工埠頭を活用する西太平洋の島々への物資輸送想定の訓練実施
●不整地海岸の上陸地点から兵站活動拠点Townsvilleまで、約160㎞を戦車部隊が自力で移動する訓練実施
●我の兵站活動全般に対する敵の妨害活動を付与し、兵站活動の強靭性や脆弱性を検証
●豪州の外来生物進入への厳しい姿勢に対応するため、例えば「マダラコウラナメクジ:leopard snail」が車両に付着して侵入しないよう、ハワイの施設で豪州へ持ち込む車両や装備の徹底的な洗浄を数か月かけて行っている
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同記事は、どの演習での実施事項か、演習外での実施かは明確にしていませんが、日本に既に配備されている「配送センター:distribution center」の「再構築・改編:reconfigure」を、米陸軍が計画していると説明しています
また記事は、フィリピンでの活動拠点が昨年演習時の4か所から、今年は9か所に増強されるとも報じており、対中国でアジアの重要なピースであるフィリピンと米国の関係が改善&強化されつつあるのであれば、それは素晴らしいことだと思います。
兵站支援関連の記事
「兵站改革目指しCFT設置」→https://holylandtokyo.com/2023/04/10/4469/
「ウの対中国教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウへの補給物資輸送拠点」→https://holylandtokyo.com/2022/05/11/3197/
「改善提案最優秀:燃料と水輸送負担軽減策」→https://holylandtokyo.com/2022/05/06/2781/
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ロッキードがLRASMとJASSM増産ライン開設 [Joint・統合参謀本部]
LRASMとJASSMあわせ年500発製造体制から
年間1000発製造体制用の生産ラインオープンと
ただ海空軍の予算要求総計は2024年度118発
4月3日付米空軍協会web記事が、対中国や台湾有事に最もニーズが高いのに備蓄量が不足している兵器の一つで、射程約1000㎞の空中発射型の兄弟巡航ミサイルLRASM(対艦攻撃用)とJASSM(対地攻撃用)に関し、製造企業ロッキード社が2番目の製造ラインを開設して従来の2倍の生産能力(2弾種併せて年間500発強の従来製造能力から、年間計1000発体制に)を確保しつつあると報じています
特に台湾有事に最もニーズが高いと言われているLRASMは、研究者によれば800-1000発少なくとも必要だと見積もられていますが、現保有量は200発程度で、過去2022年までの調達量は年間海空軍併せて38発、2023年は88発で、必要数に達するのに10年必要だと各方面から懸念の声が上がっていたところです
ちなみに、米議会で議論が始まっている2024年度予算案では、ウクライナの教訓から弾薬の調達数が増加しており、LRASMを海軍が91発、空軍が27発の計118発要求しているとのことで、更に米空軍は年間調達量を4倍にして、2028年まで計380発を契約したいと求めている模様です
LRASMは1発が約4億円だそうですが、ロッキードのLRASM担当営業責任者は、4月3日に米海軍協会Sea-Air-Space会議で、「国防省から弊社に対し、製造能力を大増強しろとの強い要請があり対応した」、「米軍からの要請に応じて対応可能な生産能力確保に取り組んでおり、従来のアラバマ州Troyの工場に第2製造ラインを開設し、自動化推進や製造効率改良に努めている」と説明しています。
また、地上攻撃型のJASSMとも構造や部品の共通性が高く、同じ製造ラインで生産可能と言うことで、柔軟にLRASMとJASSMの生産増強要望に対応できるとも同責任者は語っています
更に同ロッキード責任者は、米軍がウクライナに提供して活躍している多連装ロケット発射機HIMARSに、LRASMを搭載して発射できるよう改良に取り組んでいるとも語り、機動性のあるHIMARSに搭載して発射機の残存性を確保しつつ、空対艦ミサイルのLRASMを地対艦ミサイルとして活用しようとしていることを明らかにしています
また、現在は空軍B-1爆撃機と海軍FA-18からのみ発射可能なLRASMを、F-35戦闘機や対潜哨戒機P-8から発射できるよう取り組んでいるとも語りました
////////////////////////////////////////
B-1からのLRASM発射と標的命中映像約1分
ロシアによるウクライナ侵略勃発後、元米太平洋軍作戦部長やCSIS研究レポート等々から、LRASM生産増や備蓄増が極めて重要だとお伝えしてきましたが、現在でもLRASMとJASSMあわせ年500発製造可能で、その製造能力が1000発に拡大との話を聞き、拍子抜けいたしました(本当なのか、よく確認する必要を感じております)
ただ実際には、CSISレポートによれば、空対艦ミサイルLRASM、空対地ミサイルJASSM、艦対艦ミサイルSM-6、対艦トマホークミサイル等の新規発注&製造には(原材料や部品の確保を含めて)20か月以上が必要であるとの指摘もあり、「(大規模紛争の場合)保有備蓄量は僅か1週間で底をつく程度」の現状への危機感は持ち続ける必要があるのでしょう
それにしても、1発が約4億円程度のLRASMを、どうして年間100発程度調達して備蓄しておく動きが無かったのでしょうか・・・戦闘機や空母が優先で、弾薬は2の次との慣習が根強く残っていることが問題です。それから、LRASMやJASSM以外の弾薬兵器が、このように簡単に増産できるとは限りませんのでご注意を
LRASM不足関連の記事
「CSISが台湾有事のWar-Game」→https://holylandtokyo.com/2023/01/11/4135/
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
米空軍の弾薬関連予算
「2023年度予算案の各弾薬要求数」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-04-04
JASSM-ER関連記事
「高市議員のCHAMPはJASSM搭載」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-11
「JASSMまだまだ射程延伸」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-15
「更なる射程延伸開発契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-09
「ポーランドに70発輸出承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-30
「B-52をJASSM搭載に改良」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「JASSM-ERを本格生産へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17-1
LRASM関連の記事
「LRASM開発状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17-1
「米軍は対艦ミサイル開発に力点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-18
「ASB検討室の重視10項」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-04
「LRASMの試験開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-23
「新対艦ミサイルLRASM」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
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年間1000発製造体制用の生産ラインオープンと
ただ海空軍の予算要求総計は2024年度118発
4月3日付米空軍協会web記事が、対中国や台湾有事に最もニーズが高いのに備蓄量が不足している兵器の一つで、射程約1000㎞の空中発射型の兄弟巡航ミサイルLRASM(対艦攻撃用)とJASSM(対地攻撃用)に関し、製造企業ロッキード社が2番目の製造ラインを開設して従来の2倍の生産能力(2弾種併せて年間500発強の従来製造能力から、年間計1000発体制に)を確保しつつあると報じています
特に台湾有事に最もニーズが高いと言われているLRASMは、研究者によれば800-1000発少なくとも必要だと見積もられていますが、現保有量は200発程度で、過去2022年までの調達量は年間海空軍併せて38発、2023年は88発で、必要数に達するのに10年必要だと各方面から懸念の声が上がっていたところです
ちなみに、米議会で議論が始まっている2024年度予算案では、ウクライナの教訓から弾薬の調達数が増加しており、LRASMを海軍が91発、空軍が27発の計118発要求しているとのことで、更に米空軍は年間調達量を4倍にして、2028年まで計380発を契約したいと求めている模様です
LRASMは1発が約4億円だそうですが、ロッキードのLRASM担当営業責任者は、4月3日に米海軍協会Sea-Air-Space会議で、「国防省から弊社に対し、製造能力を大増強しろとの強い要請があり対応した」、「米軍からの要請に応じて対応可能な生産能力確保に取り組んでおり、従来のアラバマ州Troyの工場に第2製造ラインを開設し、自動化推進や製造効率改良に努めている」と説明しています。
また、地上攻撃型のJASSMとも構造や部品の共通性が高く、同じ製造ラインで生産可能と言うことで、柔軟にLRASMとJASSMの生産増強要望に対応できるとも同責任者は語っています
更に同ロッキード責任者は、米軍がウクライナに提供して活躍している多連装ロケット発射機HIMARSに、LRASMを搭載して発射できるよう改良に取り組んでいるとも語り、機動性のあるHIMARSに搭載して発射機の残存性を確保しつつ、空対艦ミサイルのLRASMを地対艦ミサイルとして活用しようとしていることを明らかにしています
また、現在は空軍B-1爆撃機と海軍FA-18からのみ発射可能なLRASMを、F-35戦闘機や対潜哨戒機P-8から発射できるよう取り組んでいるとも語りました
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B-1からのLRASM発射と標的命中映像約1分
ロシアによるウクライナ侵略勃発後、元米太平洋軍作戦部長やCSIS研究レポート等々から、LRASM生産増や備蓄増が極めて重要だとお伝えしてきましたが、現在でもLRASMとJASSMあわせ年500発製造可能で、その製造能力が1000発に拡大との話を聞き、拍子抜けいたしました(本当なのか、よく確認する必要を感じております)
ただ実際には、CSISレポートによれば、空対艦ミサイルLRASM、空対地ミサイルJASSM、艦対艦ミサイルSM-6、対艦トマホークミサイル等の新規発注&製造には(原材料や部品の確保を含めて)20か月以上が必要であるとの指摘もあり、「(大規模紛争の場合)保有備蓄量は僅か1週間で底をつく程度」の現状への危機感は持ち続ける必要があるのでしょう
それにしても、1発が約4億円程度のLRASMを、どうして年間100発程度調達して備蓄しておく動きが無かったのでしょうか・・・戦闘機や空母が優先で、弾薬は2の次との慣習が根強く残っていることが問題です。それから、LRASMやJASSM以外の弾薬兵器が、このように簡単に増産できるとは限りませんのでご注意を
LRASM不足関連の記事
「CSISが台湾有事のWar-Game」→https://holylandtokyo.com/2023/01/11/4135/
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
米空軍の弾薬関連予算
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「高市議員のCHAMPはJASSM搭載」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-11
「JASSMまだまだ射程延伸」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-15
「更なる射程延伸開発契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-09
「ポーランドに70発輸出承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-30
「B-52をJASSM搭載に改良」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「JASSM-ERを本格生産へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17-1
LRASM関連の記事
「LRASM開発状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17-1
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「ASB検討室の重視10項」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-04
「LRASMの試験開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-23
「新対艦ミサイルLRASM」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
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嘉手納からF-22とF-16が去り、F-15Eが新展開 [米空軍]
3月28日にF-35が展開して約2週間後
現在はF-35とF-15EとF-15Cの3機首@沖縄
4月10日付米空軍協会web記事は、老朽化著しいF-15C戦闘機が徐々に米国に帰還し始めている米空軍嘉手納基地に、4月8日、米本土ノースカロライナ州からF-15Eストライクイーグル戦闘爆撃機が展開し、F-22とF-16が母基地に帰還したと伝えています
F-15Eの展開により、米空軍が昨年11月に嘉手納基地から2年間かけてのF-15C段階的撤退を発表してからの約5か月間で、米空軍の保有する全ての戦闘機クラス(F-15C/Ds, F-15Es, F-16s, F-22s, and F-35s)が嘉手納に展開した事になります
F-15C戦闘機(48機)の撤退発表後の動き
●2022年11月1日 F-15C戦闘機の段階的撤退発表
●同年11月5日 アラスカからF-22(推定8機)展開
●同年12月1日 F-15C撤収第一弾(推定8機)が米本土へ帰還
●2023年1月16日 ドイツからF-16(推定16機)展開
●同年3月28日 アラスカからF-35展開
●同年4月8日 F-22アラスカへ帰還、同10日F-16ドイツへ帰還
F-15Eの嘉手納への到着を受け、同基地の第18作戦群司令官は「F-15Eは既に実戦で証明されたいくつかの特異な能力を備えており、既にわが基地に展開している強固な戦力との組み合わせで、実力を発揮してくれるだろう」と語っています
なお、昨年11月から嘉手納に展開し、4月8日に帰還するまでアジア太平洋地域で活動したF-22部隊は、フィリピンとテニアン島(グアム島近傍)に初展開して第5世代機のプレゼンスを示し、展開期間中に総計1100ソーティーもの飛行を行ったとの事です
//////////////////////////////////
すこし「ひねくれた」表現になりますが、ウクライナでロシアと米軍含むNATOの両方の戦闘機が全く活躍できないことに、米空軍幹部の心中は穏やかではありません
「事態のエスカレーションを避けるため」との大義名分はありますが、ロシアの地対空ミサイルS-400などの強固な防空網を前に、リスクを冒せない現実もあり、米空軍幹部による「航空優勢の重要性が改めて確認されている」などの関連発言には「歯切れの悪さ」が目立ちます
台湾有事の際にも、恐らく「核戦争へのエスカレーションを避けるため、中国本土への攻撃は避ける・・・」との縛りが、少なくとも開戦当初はあるはずで、パイロットの救難救助体制も不十分な中国や台湾正面で、ステルス機であっても戦闘機の活躍場面は限られるはずです
欧州大陸とは異なり、中国が保有する大量の弾道&巡航ミサイルを前に、戦闘機クラスが展開する拠点確保自体が難しい中、「平時」のうちに戦闘機をアピールしておくしかないのかもしれません
嘉手納基地F-15撤退と代替戦力派遣
「アラスカからF-35展開」→https://holylandtokyo.com/2023/04/04/4482/
「ドイツからF-16展開」→https://holylandtokyo.com/2023/01/19/4178/
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/
「嘉手納でelephant walk」→https://holylandtokyo.com/2022/11/25/3981/
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現在はF-35とF-15EとF-15Cの3機首@沖縄
4月10日付米空軍協会web記事は、老朽化著しいF-15C戦闘機が徐々に米国に帰還し始めている米空軍嘉手納基地に、4月8日、米本土ノースカロライナ州からF-15Eストライクイーグル戦闘爆撃機が展開し、F-22とF-16が母基地に帰還したと伝えています
F-15Eの展開により、米空軍が昨年11月に嘉手納基地から2年間かけてのF-15C段階的撤退を発表してからの約5か月間で、米空軍の保有する全ての戦闘機クラス(F-15C/Ds, F-15Es, F-16s, F-22s, and F-35s)が嘉手納に展開した事になります
F-15C戦闘機(48機)の撤退発表後の動き
●2022年11月1日 F-15C戦闘機の段階的撤退発表
●同年11月5日 アラスカからF-22(推定8機)展開
●同年12月1日 F-15C撤収第一弾(推定8機)が米本土へ帰還
●2023年1月16日 ドイツからF-16(推定16機)展開
●同年3月28日 アラスカからF-35展開
●同年4月8日 F-22アラスカへ帰還、同10日F-16ドイツへ帰還
F-15Eの嘉手納への到着を受け、同基地の第18作戦群司令官は「F-15Eは既に実戦で証明されたいくつかの特異な能力を備えており、既にわが基地に展開している強固な戦力との組み合わせで、実力を発揮してくれるだろう」と語っています
なお、昨年11月から嘉手納に展開し、4月8日に帰還するまでアジア太平洋地域で活動したF-22部隊は、フィリピンとテニアン島(グアム島近傍)に初展開して第5世代機のプレゼンスを示し、展開期間中に総計1100ソーティーもの飛行を行ったとの事です
//////////////////////////////////
すこし「ひねくれた」表現になりますが、ウクライナでロシアと米軍含むNATOの両方の戦闘機が全く活躍できないことに、米空軍幹部の心中は穏やかではありません
「事態のエスカレーションを避けるため」との大義名分はありますが、ロシアの地対空ミサイルS-400などの強固な防空網を前に、リスクを冒せない現実もあり、米空軍幹部による「航空優勢の重要性が改めて確認されている」などの関連発言には「歯切れの悪さ」が目立ちます
台湾有事の際にも、恐らく「核戦争へのエスカレーションを避けるため、中国本土への攻撃は避ける・・・」との縛りが、少なくとも開戦当初はあるはずで、パイロットの救難救助体制も不十分な中国や台湾正面で、ステルス機であっても戦闘機の活躍場面は限られるはずです
欧州大陸とは異なり、中国が保有する大量の弾道&巡航ミサイルを前に、戦闘機クラスが展開する拠点確保自体が難しい中、「平時」のうちに戦闘機をアピールしておくしかないのかもしれません
嘉手納基地F-15撤退と代替戦力派遣
「アラスカからF-35展開」→https://holylandtokyo.com/2023/04/04/4482/
「ドイツからF-16展開」→https://holylandtokyo.com/2023/01/19/4178/
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/
「嘉手納でelephant walk」→https://holylandtokyo.com/2022/11/25/3981/
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米空軍は輸送機による燃料輸送にも取り組むが [米空軍]
米空軍輸送機が燃料空輸試行も
専門家は極めて懐疑的な視線を
4月3日付米空軍協会web記事は、米空軍がC-5Mなどの輸送機を利用した燃料輸送を試行的に行っている様子を紹介しつつ、同時に有事初動には輸送機による少量の燃料空輸が役立つこともあろうが、相当規模の紛争を支えるには膨大な燃料補給が必要であり、根本的な燃料輸送能力不足解消には、前線基地に大規模地下燃料施設を建設したり、大規模海洋輸送船団の準備が必要だとの専門家意見を取り上げています
また、有事には輸送機に武器弾薬装備などの膨大な輸送任務が控えており、米空軍が試験的に検討している兵器発射プラットフォームや指揮統制機能ハブとしての役割を含め、燃料輸送など輸送機に期待すべきでないとの、専門家意見を紹介しています
輸送機による燃料輸送試行
●2023年2月に第9空輸飛行隊C-5M輸送機が、半分のエンジンを停止して、C-5M近傍に駐車したR-11燃料輸送車に機内燃料を提供し、C-5輸送機による燃料輸送が可能なことを立証した。
●同飛行隊は「理論的には、輸送機が不便な分散基地着陸して至短時間に燃料を提供し、最短時間で再移動できることを確認できた」と声明を発表した
●過去には、2020年にC-130がハワイで2機のF-22に地上給油した例や、2022年12月にC-17が加州でB-2爆撃機に給油したことがある。また同様に簡易燃料タンクや飛行場の一般的な燃料施設にも燃料を提供できる
シンクタンク研究者の見方
●米空軍が西太平洋地域で分散運用しようとしている基地候補には、船舶タンカーから燃料を陸揚げできる施設がないことから、輸送機による燃料輸送は一つの手段であり、C-5Mなら約6機のF-35に給油可能で、C-130だと3機弱に可能だと見積もった研究がある
●ただしハドソン研究所のTimothy Walton氏やBryan Clark氏は、有事の輸送機には膨大な輸送所用が発生することから、燃料輸送だけでなく、米空軍が検討している兵器発射プラットフォームや指揮統制センターとしての機能を担わせる余裕は、輸送機には既にないはずだと強く主張している
●また有事の必要燃料量は膨大で、作戦初動段階では緊急援助的に輸送機の燃料輸送が役立つ場面があるかもしれないが、C-5M輸送機が輸送可能な9万バレル程度の量は大勢に影響を与えられない現実に目を向けるべきだと両名は主張している
●両氏の結論は、コストがかかっても、西太平洋の島に自然環境に配慮した爆撃にもある程度耐えられる「地下燃料タンク」を設置したり、長期作戦を支えることを考えれば、強固に防御された海上タンカー船団を準備する以外はないということである
●ここで問題になるのが米国政府が外国船籍のタンカーに大きく依存していることで、両氏は大規模紛争を支えるには少なくとも80隻の米国籍タンカー船団が必要だが、実際には10隻確保を目指すプロジェクトが、米議会が米運輸省に命じて動き出した程度である
//////////////////////////
米空軍輸送コマンドは、恐らく米空軍全体のACE構想に取り組んでいる姿勢を見せるため、一応オプションとして実施可能なことを検証しているのでしょうが、ハドソンのWalton氏やClark氏の主張は完全な正論です
いろいろな兵器開発やプロジェクト発表の「華やかさ」に惑わされることなく、対中国作戦の難しさの足元をしっかりと踏まえておく必要があります
輸送機からの兵器投下検討
「巡航ミサイル投下&攻撃試験」→https://holylandtokyo.com/2021/12/20/2550/
「Rapid Dragonを本格検証へ」→https://holylandtokyo.com/2020/11/06/380/
「兵器投下に反対 Stand-inとoffのバランス不可欠」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/
「空軍計画部長が語る」→https://holylandtokyo.com/2020/06/09/619/
「MC-130からパレタイズ兵器投下試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-01
輸送能力や弾薬量の圧倒的不足
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
「民間海空輸送力活用のための取組」→https://holylandtokyo.com/2022/10/21/3780/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
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専門家は極めて懐疑的な視線を
4月3日付米空軍協会web記事は、米空軍がC-5Mなどの輸送機を利用した燃料輸送を試行的に行っている様子を紹介しつつ、同時に有事初動には輸送機による少量の燃料空輸が役立つこともあろうが、相当規模の紛争を支えるには膨大な燃料補給が必要であり、根本的な燃料輸送能力不足解消には、前線基地に大規模地下燃料施設を建設したり、大規模海洋輸送船団の準備が必要だとの専門家意見を取り上げています
また、有事には輸送機に武器弾薬装備などの膨大な輸送任務が控えており、米空軍が試験的に検討している兵器発射プラットフォームや指揮統制機能ハブとしての役割を含め、燃料輸送など輸送機に期待すべきでないとの、専門家意見を紹介しています
輸送機による燃料輸送試行
●2023年2月に第9空輸飛行隊C-5M輸送機が、半分のエンジンを停止して、C-5M近傍に駐車したR-11燃料輸送車に機内燃料を提供し、C-5輸送機による燃料輸送が可能なことを立証した。
●同飛行隊は「理論的には、輸送機が不便な分散基地着陸して至短時間に燃料を提供し、最短時間で再移動できることを確認できた」と声明を発表した
●過去には、2020年にC-130がハワイで2機のF-22に地上給油した例や、2022年12月にC-17が加州でB-2爆撃機に給油したことがある。また同様に簡易燃料タンクや飛行場の一般的な燃料施設にも燃料を提供できる
シンクタンク研究者の見方
●米空軍が西太平洋地域で分散運用しようとしている基地候補には、船舶タンカーから燃料を陸揚げできる施設がないことから、輸送機による燃料輸送は一つの手段であり、C-5Mなら約6機のF-35に給油可能で、C-130だと3機弱に可能だと見積もった研究がある
●ただしハドソン研究所のTimothy Walton氏やBryan Clark氏は、有事の輸送機には膨大な輸送所用が発生することから、燃料輸送だけでなく、米空軍が検討している兵器発射プラットフォームや指揮統制センターとしての機能を担わせる余裕は、輸送機には既にないはずだと強く主張している
●また有事の必要燃料量は膨大で、作戦初動段階では緊急援助的に輸送機の燃料輸送が役立つ場面があるかもしれないが、C-5M輸送機が輸送可能な9万バレル程度の量は大勢に影響を与えられない現実に目を向けるべきだと両名は主張している
●両氏の結論は、コストがかかっても、西太平洋の島に自然環境に配慮した爆撃にもある程度耐えられる「地下燃料タンク」を設置したり、長期作戦を支えることを考えれば、強固に防御された海上タンカー船団を準備する以外はないということである
●ここで問題になるのが米国政府が外国船籍のタンカーに大きく依存していることで、両氏は大規模紛争を支えるには少なくとも80隻の米国籍タンカー船団が必要だが、実際には10隻確保を目指すプロジェクトが、米議会が米運輸省に命じて動き出した程度である
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米空軍輸送コマンドは、恐らく米空軍全体のACE構想に取り組んでいる姿勢を見せるため、一応オプションとして実施可能なことを検証しているのでしょうが、ハドソンのWalton氏やClark氏の主張は完全な正論です
いろいろな兵器開発やプロジェクト発表の「華やかさ」に惑わされることなく、対中国作戦の難しさの足元をしっかりと踏まえておく必要があります
輸送機からの兵器投下検討
「巡航ミサイル投下&攻撃試験」→https://holylandtokyo.com/2021/12/20/2550/
「Rapid Dragonを本格検証へ」→https://holylandtokyo.com/2020/11/06/380/
「兵器投下に反対 Stand-inとoffのバランス不可欠」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/
「空軍計画部長が語る」→https://holylandtokyo.com/2020/06/09/619/
「MC-130からパレタイズ兵器投下試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-01
輸送能力や弾薬量の圧倒的不足
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
「民間海空輸送力活用のための取組」→https://holylandtokyo.com/2022/10/21/3780/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
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米陸軍が対中国年頭に兵站改革チームCFT創設へ [Joint・統合参謀本部]
今頃感ありありですがcross-functional teamsを
2040年代を目指す遠大な・・・
自動化、事前備蓄、強靭化、ウクライナ教訓
3月29日付Defense-Newsが、米陸軍のFutures Commandと兵站コマンドが協力し、陸軍体制改革に取り組む「CFT:cross-functional teams」を対中国を念頭とした兵站(物資輸送・補給・維持整備)改革のために立ち上げ、米本土から遠く、かつ厳しい戦いが予期される戦域での「contested logistics」戦略や実施計画を煮詰めると報じています
このCFTは米陸軍Futures Command内に2018年に3分野(長射程精密攻撃火力Long-Range Precision Fires, 次世代戦闘車両Next-Generation Combat Vehicles and 将来垂直離陸型輸送ヘリFuture Vertical Lift)で編成されましたが、今回の兵站専用CFTは上記3分野以外で初のCFTとなる模様です
新CFTの細部は数か月後に発表するとFutures Command司令官のJames Rainey大将が28日に講演で語っていますが、兵站コマンドの関与を指示したWormuth陸軍長官は、従来のように敵の妨害なく自由に輸送活動が可能な環境に無い場所で、大規模な兵員や弾薬や装備輸送をどのように実現するかを検討する使命であり、「contested logistics」検討だと表現し、
Futures Command司令官は、「Top focus areas」として軍需産業界と協力し、輸送経路の安全性を改良向上し、輸送部隊の生存性や交戦能力を増強し、兵站物資の軽量化を図ることなどに言及しています
兵站コマンドで新CFT業務を所掌するMohan副司令官は、「2040年までに完全な改革を目指すもので、CFTはアジア太平洋戦域に焦点をあて戦略や実施計画を立案する。最も厳しい戦いが予期され、米本土から極めて遠く、海に隔てられている困難な環境での検討だ」と述べ、数週間後から複数の関連WarGameを開始すると語っています
更に米軍全体で分散運用を目指す観点から、地域諸国との関係を強化して小規模な展開拠点を新たに設置する努力を続けることや、併せてそれら拠点に弾薬や装備の事前集積を強化する考えをMohan副司令官は示しています
前線基地での装備や弾薬の事前備蓄について同副司令官は、ウクライナへの支援活動を通じて多くの教訓が得られ、敵の妨害がない場合の輸送能力把握に役立ったが、相手先の受け入れ態勢整度合いや保管設備はケースバイケースであり、事前備蓄と有事緊急輸送のバランスは場所により平時から慎重に見極めておく必要があることを強く感じたとコメントしています
更に、米陸軍の指揮統制システム改革(Project Convergence)と「contested logistics」を有機的に連携させ、必要な物資や装備の存在場所をリアルタイム把握とニーズ発生場所をAIも活用して結び付け、効率的な輸送計画作成や必要な機材の配分優先順位決定に活用して効率化を進めたいとMohan副司令官は語っています
////////////////////////////////////////////
2026年には中国による台湾への作戦が始まる恐れがあると太平洋軍司令官が危機感を表明する中、2040年に完成を目指す「contested logistics」検討を数か月後から具体的に進めるよ言われても、その時間感覚は大丈夫ですか? 新CFTプロジェクトの説明ぶりとしてはよく考えた方が良いのでは? とご忠告したくなるのは私だけでしょうか?
まぁ、現段階では細部が良くわからない取り組みですので、とりあえず・・・と言うことでご紹介しておきます
兵站支援関連の記事
「ウの対中国教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウへの補給物資輸送拠点」→https://holylandtokyo.com/2022/05/11/3197/
「米空軍改善提案の最優秀:燃料と水輸送負担軽減策」→https://holylandtokyo.com/2022/05/06/2781/
「ウへの武器提供」→https://holylandtokyo.com/2022/03/02/2772/
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2040年代を目指す遠大な・・・
自動化、事前備蓄、強靭化、ウクライナ教訓
3月29日付Defense-Newsが、米陸軍のFutures Commandと兵站コマンドが協力し、陸軍体制改革に取り組む「CFT:cross-functional teams」を対中国を念頭とした兵站(物資輸送・補給・維持整備)改革のために立ち上げ、米本土から遠く、かつ厳しい戦いが予期される戦域での「contested logistics」戦略や実施計画を煮詰めると報じています
このCFTは米陸軍Futures Command内に2018年に3分野(長射程精密攻撃火力Long-Range Precision Fires, 次世代戦闘車両Next-Generation Combat Vehicles and 将来垂直離陸型輸送ヘリFuture Vertical Lift)で編成されましたが、今回の兵站専用CFTは上記3分野以外で初のCFTとなる模様です
新CFTの細部は数か月後に発表するとFutures Command司令官のJames Rainey大将が28日に講演で語っていますが、兵站コマンドの関与を指示したWormuth陸軍長官は、従来のように敵の妨害なく自由に輸送活動が可能な環境に無い場所で、大規模な兵員や弾薬や装備輸送をどのように実現するかを検討する使命であり、「contested logistics」検討だと表現し、
Futures Command司令官は、「Top focus areas」として軍需産業界と協力し、輸送経路の安全性を改良向上し、輸送部隊の生存性や交戦能力を増強し、兵站物資の軽量化を図ることなどに言及しています
兵站コマンドで新CFT業務を所掌するMohan副司令官は、「2040年までに完全な改革を目指すもので、CFTはアジア太平洋戦域に焦点をあて戦略や実施計画を立案する。最も厳しい戦いが予期され、米本土から極めて遠く、海に隔てられている困難な環境での検討だ」と述べ、数週間後から複数の関連WarGameを開始すると語っています
更に米軍全体で分散運用を目指す観点から、地域諸国との関係を強化して小規模な展開拠点を新たに設置する努力を続けることや、併せてそれら拠点に弾薬や装備の事前集積を強化する考えをMohan副司令官は示しています
前線基地での装備や弾薬の事前備蓄について同副司令官は、ウクライナへの支援活動を通じて多くの教訓が得られ、敵の妨害がない場合の輸送能力把握に役立ったが、相手先の受け入れ態勢整度合いや保管設備はケースバイケースであり、事前備蓄と有事緊急輸送のバランスは場所により平時から慎重に見極めておく必要があることを強く感じたとコメントしています
更に、米陸軍の指揮統制システム改革(Project Convergence)と「contested logistics」を有機的に連携させ、必要な物資や装備の存在場所をリアルタイム把握とニーズ発生場所をAIも活用して結び付け、効率的な輸送計画作成や必要な機材の配分優先順位決定に活用して効率化を進めたいとMohan副司令官は語っています
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2026年には中国による台湾への作戦が始まる恐れがあると太平洋軍司令官が危機感を表明する中、2040年に完成を目指す「contested logistics」検討を数か月後から具体的に進めるよ言われても、その時間感覚は大丈夫ですか? 新CFTプロジェクトの説明ぶりとしてはよく考えた方が良いのでは? とご忠告したくなるのは私だけでしょうか?
まぁ、現段階では細部が良くわからない取り組みですので、とりあえず・・・と言うことでご紹介しておきます
兵站支援関連の記事
「ウの対中国教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウへの補給物資輸送拠点」→https://holylandtokyo.com/2022/05/11/3197/
「米空軍改善提案の最優秀:燃料と水輸送負担軽減策」→https://holylandtokyo.com/2022/05/06/2781/
「ウへの武器提供」→https://holylandtokyo.com/2022/03/02/2772/
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新兵募集難に米空軍が体脂肪基準緩和へ [米空軍]
手&首入れ墨、マリファナ陽性緩和に加え
新兵採用数の目標達成困難な見通し受け
4月4日付Military.comは、米軍全体で新兵採用が厳しさを増す中、米空軍が今年の新兵採用目標を約10%程度達成できない状況等を踏まえ、新規採用者の「肥満基準(体脂肪率)」を緩和する方向だと報じました。
米空軍は、今年1月に新規採用者のマリファナ試験(THCテスト)の緩和や、2月にも手や首に入れ墨がある者の入隊を認めるなどの入隊基準緩和策を打ち出してきましたが、採用数確保のため引き続き次々と対策を打ち出しています
米空軍報道官は、「単純な基準緩和ではなく、国防省全体の政策を踏まえての調整だ」と説明し、採用時の「肥満基準(体脂肪率)」緩和もあくまで採用時の基準の話であって、継続的に勤務するためにクリアする必要のある基準に変更はないとコメントしていますが、「入り口」を大きくしたことは事実です
米国社会全体では、肥満や犯罪歴や麻薬使用歴などから、米軍採用対象年齢人口の内、わずか30%程度しか米軍の採用対象にならないとの統計が出ているらしく、空軍だけでなく陸軍海軍海兵隊も似たような困難に直面しているとご理解いただいてよいと思います
4月4日に米空軍担当部署報道官がMilitary.com取材に対し認めた「肥満基準(体脂肪率)」緩和は、男性で従来20%→26%に、女性は28&→36%にするものらしいですが、これにより年間の採用数が50 ~ 100名増加する効果を空軍は期待しているようです
(まんぐーす推定→約40万人規模の米空軍は毎年1万人新規採用が必要だとざっくり見積もられ、この増加数は1%弱程度と推測)
他軍種も、新規採用対象者の「肥満問題」に頭を悩ませており、例えば米陸軍は肥満基準を満たさない潜在採用候補者に「入隊前フィットネスクラス:pre-boot camp physical fitness classes」を提供開始し、米海軍も同様の「physical fitness prep course」提供を最近開始したということです
そのほか米空軍は採用促進策として、上限850万円の奨学金ローン一時肩代わりなどを検討しているようですが、軍隊への入隊希望者減少傾向は世界的な傾向であり、少子化先進国である日本でも「明日は我が身」の問題です
第22代国防長官ロバート・ゲーツ語録100選より
(https://holylandtokyo.com/2022/03/26/2046/)
「米軍と社会の遊離を懸念」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10
採用難の一側面
米空軍パイロット不足関連
「コロナ沈静化で米空軍の離職率増加」→https://holylandtokyo.com/2023/01/10/4125/
「コロナ後の操縦者争奪戦に備え」→https://holylandtokyo.com/2021/10/17/2271/
「女性登用増に航空機設計基準変更」→https://holylandtokyo.com/2020/08/26/533/
「米空軍がパイロット身長基準を廃止」→https://holylandtokyo.com/2020/05/27/682/
「女性登用増に航空機設計基準変更」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-20
「ヘリ操縦者養成から固定翼削除試行」→https://holylandtokyo.com/2020/08/07/517/
「Fly-only管理の募集中止」→https://holylandtokyo.com/2020/03/25/789/
「5年連続養成目標数を未達成」→https://holylandtokyo.com/2020/02/27/838/
「採用の身長基準を緩和」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-18
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
新兵採用数の目標達成困難な見通し受け
4月4日付Military.comは、米軍全体で新兵採用が厳しさを増す中、米空軍が今年の新兵採用目標を約10%程度達成できない状況等を踏まえ、新規採用者の「肥満基準(体脂肪率)」を緩和する方向だと報じました。
米空軍は、今年1月に新規採用者のマリファナ試験(THCテスト)の緩和や、2月にも手や首に入れ墨がある者の入隊を認めるなどの入隊基準緩和策を打ち出してきましたが、採用数確保のため引き続き次々と対策を打ち出しています
米空軍報道官は、「単純な基準緩和ではなく、国防省全体の政策を踏まえての調整だ」と説明し、採用時の「肥満基準(体脂肪率)」緩和もあくまで採用時の基準の話であって、継続的に勤務するためにクリアする必要のある基準に変更はないとコメントしていますが、「入り口」を大きくしたことは事実です
米国社会全体では、肥満や犯罪歴や麻薬使用歴などから、米軍採用対象年齢人口の内、わずか30%程度しか米軍の採用対象にならないとの統計が出ているらしく、空軍だけでなく陸軍海軍海兵隊も似たような困難に直面しているとご理解いただいてよいと思います
4月4日に米空軍担当部署報道官がMilitary.com取材に対し認めた「肥満基準(体脂肪率)」緩和は、男性で従来20%→26%に、女性は28&→36%にするものらしいですが、これにより年間の採用数が50 ~ 100名増加する効果を空軍は期待しているようです
(まんぐーす推定→約40万人規模の米空軍は毎年1万人新規採用が必要だとざっくり見積もられ、この増加数は1%弱程度と推測)
他軍種も、新規採用対象者の「肥満問題」に頭を悩ませており、例えば米陸軍は肥満基準を満たさない潜在採用候補者に「入隊前フィットネスクラス:pre-boot camp physical fitness classes」を提供開始し、米海軍も同様の「physical fitness prep course」提供を最近開始したということです
そのほか米空軍は採用促進策として、上限850万円の奨学金ローン一時肩代わりなどを検討しているようですが、軍隊への入隊希望者減少傾向は世界的な傾向であり、少子化先進国である日本でも「明日は我が身」の問題です
第22代国防長官ロバート・ゲーツ語録100選より
(https://holylandtokyo.com/2022/03/26/2046/)
「米軍と社会の遊離を懸念」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10
採用難の一側面
米空軍パイロット不足関連
「コロナ沈静化で米空軍の離職率増加」→https://holylandtokyo.com/2023/01/10/4125/
「コロナ後の操縦者争奪戦に備え」→https://holylandtokyo.com/2021/10/17/2271/
「女性登用増に航空機設計基準変更」→https://holylandtokyo.com/2020/08/26/533/
「米空軍がパイロット身長基準を廃止」→https://holylandtokyo.com/2020/05/27/682/
「女性登用増に航空機設計基準変更」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-20
「ヘリ操縦者養成から固定翼削除試行」→https://holylandtokyo.com/2020/08/07/517/
「Fly-only管理の募集中止」→https://holylandtokyo.com/2020/03/25/789/
「5年連続養成目標数を未達成」→https://holylandtokyo.com/2020/02/27/838/
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