ゲーツ国防長官時の米中軍事関係(2009-11年) [ゲーツ前国防長官]
アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアログ)を機に振り返る
「両国関係者が対話の重要性を確認する」過程で相手を探る
対テロ作戦でドロ沼の中、中国と相互訪問交流を行いつつ・・・
6月2日から4日にかけ、アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアログ)が開催され、米中関係に注目が集まっているとNHKなどが適当な報道を行っていたところですが、本日は普段と趣向を変え、オバマ政権誕生当時の2009年から11年頃の間に、当時のゲーツ国防長官が行っていた「両国軍事関係者が対話の重要性を確認する」ための会談や相互訪問から、中東に足を取られながらも、中国の出方を探っていた当時の様子を振り返ります
今や習近平政権は、中国経済大混乱の中、米国との対立姿勢を鮮明にするしかない危機的な状態に立ち至っていますが、2009年から11年頃は、中央軍事委員会副主席の徐才厚(Gen. Xu Caihou)が訪米してCSISで講演(2009年)まで行い、2011年1月にゲーツ長官が訪中して胡錦濤主席、Yang Jiechi外交部長、徐才厚と会談までしていた時代がありました
ゲーツ国防長官が訪中するくらいですから、マレン統合参謀本部議長や各軍種参謀総長の訪中なんてのもあった時代ですが、結局「両国軍事関係者が対話の重要性を確認する」するまでには至らず、中国側は中国が世界の中心との「中華思想」から抜け出ず、南シナ海を始め世界各地で好き放題・盗み放題行為を繰り返し、今や世界の主要国から「総スカン状態」になりつつあるのですが、本日は、たまには・・・と言うことで昔を振り返ります
2009年10月中央軍事委員会副主席の徐才厚の訪米CSIS講演より
●中国は平和に価値を置く国家である。胡錦濤主席が60周年記念行事で述べたように、「中国は揺るぎなく平和外交政策を維持する」。中国の国防政策は防衛的なものである。戦略的に、相手が攻撃を始めてからのみ対応する。
●しかし、中国は未だ統一をなしえていない。台湾、東トルキスタン、チベットで依然分離独立運動が進行している。
●中国は他国を挑発したり脅かしたりはしない。勿論米国に対しても。中国は、覇権、軍備拡張、軍備競争を決して追求しない。
●約600年前、鄭和が率いる当時世界最大の艦隊がインド洋から中東・アフリカ方面にまで遠征したが、領土拡大の野心は全くなかった。これが歴史が示す中国の平和思考の証
2009年10月ゲーツ長官と徐才厚会談
●「もう、再開、中止の繰り返しは止めにしましょう」とゲーツ長官が先方に語りかけ、1時間以上会談し、以下を提案
●高官相互訪問の促進:ゲーツ長官は来年早々に訪中 マレン統合参謀本部議長は中国カウンターパートが訪米した後に訪中
●人道・災害対処での協力推進:海上での共同捜索救難訓練に合意
●医療協力:特にパンデミック対処部門、専門家の交流促進
●各軍種レベルでの交流促進、陸軍同士、中下級士官の交流強化(中国側からの提案の模様)
2010年11月&12月フロノイ政策担当次官
●米国は経済や外交関係と同様に、軍事部門でも関係を維持したいと考えている。しかしその代わりに、両国の軍事交流は彼らがスイッチを握っているようにオン・オフを繰り返している。
●台湾へ防衛的な武器を売却したり、大統領がダライ・ラマをホワイトハウスに招くとスイッチがオフになる。
●既に米中軍事関係者はハワイで、海上の安全保障と安全航行に関する議論のテーブルに付いた。喜ばしいことだ。来年1月にゲーツ長官が訪中する
●南シナ海問題に関し、“We don’t take any sides in those disputes,”(米国はどちらにも付かない)
●馬曉天・人民解放軍副参謀総長(General Ma Xiaotian)との協議は前向きな議論であった。全ての問題で双方が合意したわけではないが、意見を異にする分野で、我々は率直で飾らない生産的な意見交換を行った。今時の議論は、米中間や米中軍間のより生産的な関係へ向けての基礎を形作る物である。
2011年1月ゲーツ長官訪中での会見
(訪中で胡錦濤主席、Yang Jiechi外交部長、徐才厚・中央軍事委員会副主席と会談)
●J-20(中国製ステルス戦闘爆撃機)の初飛行を私の訪問に併せて行ったのか、と胡錦濤主席との会談で直接質問したが、主席は関係ない偶然だと答えた。
●胡錦濤主席を含め、同席の中国側文民関係者は誰一人初飛行の件について知らないようだった
●現代社会において、純粋に軍事と政治を切り分けることは難しい。このような時代に中国内部で軍と政府の間の意思疎通が不足しているのでは、との懸念を以前から持っていた。
●これが今回の訪問で、軍人と政府の両方と会談した一つの理由である。軍人と文民が共にテーブルを囲む戦略対話の必要性が高い。
●戦略対話の焦点は、核兵器、ミサイル防衛、宇宙、サイバーの4分野であるべき。
●胡錦濤主席は、米側の対話への提案を真摯に受け止めると述べた。中国側との訪中間の会談は、全て大変丁寧で親しみやすいものであった。
●しかし、関係構築には時間が掛かる。この分野はドラマチックな展開や大きな見出し期待するような分野ではない。むしろ徐々に進化成長する種類のモノである。
2011年1月ゲーツ長官の訪日講演@慶応大学
●(中国との軍事交流再開について)特別な合意を生み出さなくても対話は相互理解を促進し、誤解や誤認識の教訓を学ぶ機会を与える。冷戦時のソ連とは環境が異なるが、対話の重要は変わらない
●中国の文民と軍人の間には結節の兆候がある。数年前のインペカブルへの対応や3年前の衛星破壊実験を中国文民指導者は事前に知らなかったようだし、J-20の初飛行の件も
2011年6月ゲーツ長官シャングリラ講演
●2008年のこの集まりで、大統領選挙後に国防長官(ゲーツ氏)は交代すると考えていたから、正直に政権が変わってもアジア政策や関与は変化無いと述べた。実際私が留任した様に米国政策に変化はなく、むしろ関係は強化発展してきた。同様のことが後任のパネッタ新国防長官の元で起こることを確信している。
●米国の経済や財政状況、2つの戦い(アフガンとイラク)や米国民の忍耐が切れてきたことを見て、米国のアジアへの関与の信頼性や継続性に疑問を持つのは自然なことである。しかし太平洋国家として、貿易等でアジアと関係が深い米国にとってアジアへの関与に変化はない。これは米国政府や議会の共通の認識である。
●我々は今後も米軍のプレゼンスを維持強化するために努力を続けるが、今後は展開兵力数(boots on the ground)のみをコミットメントの尺度とすべきではない。今後は艦隊訪問、海軍活動、多様な訓練の実施により、同盟国等との関係を強化し、同盟国等の能力を強化する
●(中国側代表の梁光烈(General Liang Guanglie)国防部長(国防大臣)と同会議内でバイ会談し、繰り返し対話の重要性を語り、戦略対話(核兵器、ミサイル防衛、宇宙、サイバーの4分野)推進を提案するも、曖昧な中国側の姿勢変わらず)
/////////////////////////////////////////
その後、米国が2020年頃まで中東での対テロ作戦に足を取られている間に、米国の足元を見た中国は、台湾への武器供与問題や南シナ海問題への米国の批判をネタに、米中関係の「オンとオフ」を繰り返しながら時間を稼ぎ、南シナ海埋め立てや要塞化を完成させ、強大な軍事力を構築し、世界各地に「アメとムチ」で拠点やシンパを確立することになります
まんぐーすは、当時のゲーツ長官の取り組みを「無駄だ」と言いたいのではなく、対ソ連の戦略対話がそうであったように、議論が実を結ぶ可能性が低いことを十分に想定しつつ、対話の中に垣間見える相手側の内部事情や変化を「偵察」する高等手段としての「戦略対話」のようなものが存在し得ると申し上げたかっただけです。
もちろんそのためには、たたき上げ分析官からCIA長官にまで上り詰めたゲーツ国防長官のような、冷徹な視点と頭脳を持ち合わせたリーダーの存在が不可欠であり、それなりに成熟した国民や議会が必要ですが・・・・
皆さんは2009年のオバマ政権誕生から2011年頃まで、どのような日々をお過ごしだったでしょうか?
安全保障を考える「体幹」を鍛えるために
ロバート・ゲーツ(Robert M. Gates)語録100選
→https://holylandtokyo.com/2022/03/26/2046/
2010-11年頃の米中軍事交流
「2011年のアジア安全保障会議」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2011-06-01
「中国軍トップ訪米と美人士官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-18
「1月ゲーツ長官の中国訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1
「フロノイ次官の会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-12
「米中軍事交流の今後」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-23
「米中軍事交流再開へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-10
「米中激論:シャングリラ演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05
「ゲーツ長官と軍事委員会副主席会談」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2009-10-28
「徐才厚の訪米CSIS講演」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2009-11-09
アジア安全保障会議(Shangri-La Dialogue)関連記事
「2021年は中止」→https://holylandtokyo.com/2021/06/04/1783/
「2019年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-31-1
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「2012年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-25
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対テロ作戦でドロ沼の中、中国と相互訪問交流を行いつつ・・・
6月2日から4日にかけ、アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアログ)が開催され、米中関係に注目が集まっているとNHKなどが適当な報道を行っていたところですが、本日は普段と趣向を変え、オバマ政権誕生当時の2009年から11年頃の間に、当時のゲーツ国防長官が行っていた「両国軍事関係者が対話の重要性を確認する」ための会談や相互訪問から、中東に足を取られながらも、中国の出方を探っていた当時の様子を振り返ります
今や習近平政権は、中国経済大混乱の中、米国との対立姿勢を鮮明にするしかない危機的な状態に立ち至っていますが、2009年から11年頃は、中央軍事委員会副主席の徐才厚(Gen. Xu Caihou)が訪米してCSISで講演(2009年)まで行い、2011年1月にゲーツ長官が訪中して胡錦濤主席、Yang Jiechi外交部長、徐才厚と会談までしていた時代がありました
ゲーツ国防長官が訪中するくらいですから、マレン統合参謀本部議長や各軍種参謀総長の訪中なんてのもあった時代ですが、結局「両国軍事関係者が対話の重要性を確認する」するまでには至らず、中国側は中国が世界の中心との「中華思想」から抜け出ず、南シナ海を始め世界各地で好き放題・盗み放題行為を繰り返し、今や世界の主要国から「総スカン状態」になりつつあるのですが、本日は、たまには・・・と言うことで昔を振り返ります
2009年10月中央軍事委員会副主席の徐才厚の訪米CSIS講演より
●中国は平和に価値を置く国家である。胡錦濤主席が60周年記念行事で述べたように、「中国は揺るぎなく平和外交政策を維持する」。中国の国防政策は防衛的なものである。戦略的に、相手が攻撃を始めてからのみ対応する。
●しかし、中国は未だ統一をなしえていない。台湾、東トルキスタン、チベットで依然分離独立運動が進行している。
●中国は他国を挑発したり脅かしたりはしない。勿論米国に対しても。中国は、覇権、軍備拡張、軍備競争を決して追求しない。
●約600年前、鄭和が率いる当時世界最大の艦隊がインド洋から中東・アフリカ方面にまで遠征したが、領土拡大の野心は全くなかった。これが歴史が示す中国の平和思考の証
2009年10月ゲーツ長官と徐才厚会談
●「もう、再開、中止の繰り返しは止めにしましょう」とゲーツ長官が先方に語りかけ、1時間以上会談し、以下を提案
●高官相互訪問の促進:ゲーツ長官は来年早々に訪中 マレン統合参謀本部議長は中国カウンターパートが訪米した後に訪中
●人道・災害対処での協力推進:海上での共同捜索救難訓練に合意
●医療協力:特にパンデミック対処部門、専門家の交流促進
●各軍種レベルでの交流促進、陸軍同士、中下級士官の交流強化(中国側からの提案の模様)
2010年11月&12月フロノイ政策担当次官
●米国は経済や外交関係と同様に、軍事部門でも関係を維持したいと考えている。しかしその代わりに、両国の軍事交流は彼らがスイッチを握っているようにオン・オフを繰り返している。
●台湾へ防衛的な武器を売却したり、大統領がダライ・ラマをホワイトハウスに招くとスイッチがオフになる。
●既に米中軍事関係者はハワイで、海上の安全保障と安全航行に関する議論のテーブルに付いた。喜ばしいことだ。来年1月にゲーツ長官が訪中する
●南シナ海問題に関し、“We don’t take any sides in those disputes,”(米国はどちらにも付かない)
●馬曉天・人民解放軍副参謀総長(General Ma Xiaotian)との協議は前向きな議論であった。全ての問題で双方が合意したわけではないが、意見を異にする分野で、我々は率直で飾らない生産的な意見交換を行った。今時の議論は、米中間や米中軍間のより生産的な関係へ向けての基礎を形作る物である。
2011年1月ゲーツ長官訪中での会見
(訪中で胡錦濤主席、Yang Jiechi外交部長、徐才厚・中央軍事委員会副主席と会談)
●J-20(中国製ステルス戦闘爆撃機)の初飛行を私の訪問に併せて行ったのか、と胡錦濤主席との会談で直接質問したが、主席は関係ない偶然だと答えた。
●胡錦濤主席を含め、同席の中国側文民関係者は誰一人初飛行の件について知らないようだった
●現代社会において、純粋に軍事と政治を切り分けることは難しい。このような時代に中国内部で軍と政府の間の意思疎通が不足しているのでは、との懸念を以前から持っていた。
●これが今回の訪問で、軍人と政府の両方と会談した一つの理由である。軍人と文民が共にテーブルを囲む戦略対話の必要性が高い。
●戦略対話の焦点は、核兵器、ミサイル防衛、宇宙、サイバーの4分野であるべき。
●胡錦濤主席は、米側の対話への提案を真摯に受け止めると述べた。中国側との訪中間の会談は、全て大変丁寧で親しみやすいものであった。
●しかし、関係構築には時間が掛かる。この分野はドラマチックな展開や大きな見出し期待するような分野ではない。むしろ徐々に進化成長する種類のモノである。
2011年1月ゲーツ長官の訪日講演@慶応大学
●(中国との軍事交流再開について)特別な合意を生み出さなくても対話は相互理解を促進し、誤解や誤認識の教訓を学ぶ機会を与える。冷戦時のソ連とは環境が異なるが、対話の重要は変わらない
●中国の文民と軍人の間には結節の兆候がある。数年前のインペカブルへの対応や3年前の衛星破壊実験を中国文民指導者は事前に知らなかったようだし、J-20の初飛行の件も
2011年6月ゲーツ長官シャングリラ講演
●2008年のこの集まりで、大統領選挙後に国防長官(ゲーツ氏)は交代すると考えていたから、正直に政権が変わってもアジア政策や関与は変化無いと述べた。実際私が留任した様に米国政策に変化はなく、むしろ関係は強化発展してきた。同様のことが後任のパネッタ新国防長官の元で起こることを確信している。
●米国の経済や財政状況、2つの戦い(アフガンとイラク)や米国民の忍耐が切れてきたことを見て、米国のアジアへの関与の信頼性や継続性に疑問を持つのは自然なことである。しかし太平洋国家として、貿易等でアジアと関係が深い米国にとってアジアへの関与に変化はない。これは米国政府や議会の共通の認識である。
●我々は今後も米軍のプレゼンスを維持強化するために努力を続けるが、今後は展開兵力数(boots on the ground)のみをコミットメントの尺度とすべきではない。今後は艦隊訪問、海軍活動、多様な訓練の実施により、同盟国等との関係を強化し、同盟国等の能力を強化する
●(中国側代表の梁光烈(General Liang Guanglie)国防部長(国防大臣)と同会議内でバイ会談し、繰り返し対話の重要性を語り、戦略対話(核兵器、ミサイル防衛、宇宙、サイバーの4分野)推進を提案するも、曖昧な中国側の姿勢変わらず)
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その後、米国が2020年頃まで中東での対テロ作戦に足を取られている間に、米国の足元を見た中国は、台湾への武器供与問題や南シナ海問題への米国の批判をネタに、米中関係の「オンとオフ」を繰り返しながら時間を稼ぎ、南シナ海埋め立てや要塞化を完成させ、強大な軍事力を構築し、世界各地に「アメとムチ」で拠点やシンパを確立することになります
まんぐーすは、当時のゲーツ長官の取り組みを「無駄だ」と言いたいのではなく、対ソ連の戦略対話がそうであったように、議論が実を結ぶ可能性が低いことを十分に想定しつつ、対話の中に垣間見える相手側の内部事情や変化を「偵察」する高等手段としての「戦略対話」のようなものが存在し得ると申し上げたかっただけです。
もちろんそのためには、たたき上げ分析官からCIA長官にまで上り詰めたゲーツ国防長官のような、冷徹な視点と頭脳を持ち合わせたリーダーの存在が不可欠であり、それなりに成熟した国民や議会が必要ですが・・・・
皆さんは2009年のオバマ政権誕生から2011年頃まで、どのような日々をお過ごしだったでしょうか?
安全保障を考える「体幹」を鍛えるために
ロバート・ゲーツ(Robert M. Gates)語録100選
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2010-11年頃の米中軍事交流
「2011年のアジア安全保障会議」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2011-06-01
「中国軍トップ訪米と美人士官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-18
「1月ゲーツ長官の中国訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1
「フロノイ次官の会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-12
「米中軍事交流の今後」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-23
「米中軍事交流再開へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-10
「米中激論:シャングリラ演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05
「ゲーツ長官と軍事委員会副主席会談」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2009-10-28
「徐才厚の訪米CSIS講演」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2009-11-09
アジア安全保障会議(Shangri-La Dialogue)関連記事
「2021年は中止」→https://holylandtokyo.com/2021/06/04/1783/
「2019年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-31-1
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再掲載:温故知新:ロバート・ゲーツ語録100選一部 [ゲーツ前国防長官]
まんぐーすがブログ「東京の郊外より・・・」を本格的に始めることにしたのは、ロバート・ゲーツ(Robert Michael Gates、1943年9月25日生)第22代国防長官(2006年12月18日~2011年6月30日)の考え方や発言に触れ、是非広く紹介したいと考えたからです。
その発言やメッセージは、圧倒的な知力や史実や国際政治の裏側に接した経験に裏打ちされ、非常に味わい深いものとなっています。是非ご覧いただき、参考にしていただければ幸いです。
完全版は長いので、兄弟ブログ「輪になって踊らず」に掲載
↓ ↓ ↓ ↓
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
ロバート・ゲーツ語録100選の一部をご紹介する前に・・・
まず、ゲーツ氏退任式でのオバマ大統領のスピーチを
「私は知っている。彼が真に困難な議論や決断に直面した時、人間の真の姿が問われる時にどのような態度を取ったか。大統領執務室で、機密会議室で、最前線で」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-23
次に、ゲーツ氏の功績を讃える各方面の声を
米大学生が選ぶ2010 Man of the Year
「大学生は、自分たちが社会システムを変革する力や能力を持つと信じる者たちである。その彼らがtrue role model(真の生きた模範)として選んだのがゲーツ国防長官である」
「ゲーツ長官が正しい事のために敢然と立ち上がり、議論紛糾の困難な2つの戦争の最中にあっても、政党間の誤魔化しでなく、現実の問題に焦点を当てて歴史的なシステムの変革を成し遂げた事を讃えて本賞を贈ることとした」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-24
日立財団の表彰理由
「イラクとアフガニスタンにおける2つの戦争の時代に優れた業績を挙げた。また、彼は、米国史上で唯一、政権交代時に新大統領から留任を要請を受けた国防長官である」
「米国史において下級職の連邦政府公務員から閣僚にまで上りつめた人物は2人だけしかおらず、ゲーツ氏はそのうちの1人である」
→http://www.hitachifoundation.org/news-ja/news-releases/420-robert-m-gates-receives-2012-richardson-award-j
以下では、ロバート・ゲーツ語録100選の一部18個を
ロバート・ゲーツ語録1
→外交文書漏洩で外交に影響は?と問われ→「米国と関係を持つ国は、国益のためにそうするのであって、米国が好きだからではなく、米国を信用しているからでもなく、また米国が秘密を守ると信じているからでもない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-02
ロバート・ゲーツ語録2
→海軍は空母が支配し、戦闘機と爆撃機が空軍を支配し、戦車が陸軍を、そして着上陸用車両が海兵隊を支配しているのが実態である。→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
ロバート・ゲーツ語録3
→皆に気づいて欲しい。空軍の歴史の大部分は空中戦と爆撃機の能力で彩られているが、ベトナム戦争以来、空軍パイロットは空中戦で相手を撃墜していない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
ロバート・ゲーツ語録5
→次の本格紛争には主に海軍と空軍が関与するであろう現実に、陸軍は向き合うべき。 アジアや中東へ大規模地上部隊を派遣するよう大統領に進言する国防長官が仮に現れたら、頭の検査を受けさせるべきだと思う→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
ロバート・ゲーツ語録10
→米軍には20世紀の世界観が根強く残っており、変化を妨げている。米軍は戦闘で40年間航空機を失っておらず、朝鮮戦争以来、敵の攻撃を受けていない。しかし、21世紀の制空権は米軍の従来の想定とは全く異なるであろう→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録11
→米空軍は、空対空戦闘と戦略爆撃に捕らわれすぎており、他の重要な任務や能力を無視しがちである。ある意味で空軍は、その成功の犠牲者とも言える→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録12
→私がCIA長官の時、イスラエルが無人機を有効使用することを知った。そこで米空軍と共同出資で無人機の導入を働きかけたが1992年に米空軍は拒否した。私は3年前、今度は無人機導入のため牙をむいて4軍と立ち向かった→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録18
→海空軍のため、米軍のため、我が国のため、キャリア指向や旧思考をやめよ。規律正しく、創造的で、改革指向であれ。誠実なリーダーであれ。どのポストに就きたいではなく、何を成し遂げたいかを語れ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-10
ロバート・ゲーツ語録21
→国防省で制服幹部をたしなめている。陸軍は未だにフルダ・ギャップでの戦いを望むのか? 海軍はまだミッドウェー海戦を夢見ているのか? 海兵隊は仁川上陸作戦をもう一度なのか? 空軍は単に飛んでいたいのか?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02
ロバート・ゲーツ語録30
→上品さとは、周りの人、特に部下とどのように接するかで測られる。公平さと敬意を持って接することである。トルーマン大統領は「君たちに反論できない人達とどのように接するか」と表現した→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
ロバート・ゲーツ語録33
→全ての潜在的敵対者、つまりテログループ、ならず者国家、ライジングパワー、これら全てが共通に学び得たものは、米国と通常戦の手法で正面から対峙するのは賢明ではないとの認識である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
ロバート・ゲーツ語録50
→私は歴代のどの国防長官よりも、外交や開発支援等、ソフトパワーの重要性を訴えた。でも間違ってはならない。20世紀のように21世紀でも、侵略者や独裁者やテロリストへの対処を究極で保障するのはハードパワーだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
ロバート・ゲーツ語録56
→私が2006年にこの職について政府の仕事に戻っ際、(貿易摩擦が激化した1992年頃のCIA長官時代と比べ)最も驚いたことが2つある。一つはインドとの関係改善であり、もう一つは日本との関係改善である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
ロバート・ゲーツ語録62
→ベトナム戦争以来、次にどこで軍事力を使用するかの予想において、我が国の指導者は完璧な記録を更新している。つまり完璧に外し続けている→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-07-1
ロバート・ゲーツ語録65
→米国は他国を厳しく批判する前に、自身が現在に至るまでの長い道のりを振り返らねばならない。フランス革命に背を向け、奴隷制度を維持した国が、アフリカ系米国人大統領を持つまでに至った長い道のりを→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-16
ロバート・ゲーツ語録77
→胡錦濤主席を含め、同席の中国側文民関係者は誰一人J-20初飛行の件について知らないようだった。これが軍人と政府の両方と会談した一つの理由である。軍人と文民が共にテーブルを囲む戦略対話の必要性が高い→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1
ロバート・ゲーツ語録93
→2つの戦争が継続中で、多くの若者が日々命を落としていた。このような状況で、もし続投を要請されたらYesと答えるしかなかった。だから私は要請されないように早い段階から「続投しない」と発言してきたのだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-17-1
ロバート・ゲーツ語録100
→日本と韓国は、米国のパートナーとして適当であるよう調整を続けてきた。しかし依然として、パートナーとして準備し、全ての、くり返すが同盟国としての全ての義務を果たすことができるパートナーでなければならない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-29
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改めてご紹介! あと82語録は下記に
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
その発言やメッセージは、圧倒的な知力や史実や国際政治の裏側に接した経験に裏打ちされ、非常に味わい深いものとなっています。是非ご覧いただき、参考にしていただければ幸いです。
完全版は長いので、兄弟ブログ「輪になって踊らず」に掲載
↓ ↓ ↓ ↓
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
ロバート・ゲーツ語録100選の一部をご紹介する前に・・・
まず、ゲーツ氏退任式でのオバマ大統領のスピーチを
「私は知っている。彼が真に困難な議論や決断に直面した時、人間の真の姿が問われる時にどのような態度を取ったか。大統領執務室で、機密会議室で、最前線で」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-23
次に、ゲーツ氏の功績を讃える各方面の声を
米大学生が選ぶ2010 Man of the Year
「大学生は、自分たちが社会システムを変革する力や能力を持つと信じる者たちである。その彼らがtrue role model(真の生きた模範)として選んだのがゲーツ国防長官である」
「ゲーツ長官が正しい事のために敢然と立ち上がり、議論紛糾の困難な2つの戦争の最中にあっても、政党間の誤魔化しでなく、現実の問題に焦点を当てて歴史的なシステムの変革を成し遂げた事を讃えて本賞を贈ることとした」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-24
日立財団の表彰理由
「イラクとアフガニスタンにおける2つの戦争の時代に優れた業績を挙げた。また、彼は、米国史上で唯一、政権交代時に新大統領から留任を要請を受けた国防長官である」
「米国史において下級職の連邦政府公務員から閣僚にまで上りつめた人物は2人だけしかおらず、ゲーツ氏はそのうちの1人である」
→http://www.hitachifoundation.org/news-ja/news-releases/420-robert-m-gates-receives-2012-richardson-award-j
以下では、ロバート・ゲーツ語録100選の一部18個を
ロバート・ゲーツ語録1
→外交文書漏洩で外交に影響は?と問われ→「米国と関係を持つ国は、国益のためにそうするのであって、米国が好きだからではなく、米国を信用しているからでもなく、また米国が秘密を守ると信じているからでもない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-02
ロバート・ゲーツ語録2
→海軍は空母が支配し、戦闘機と爆撃機が空軍を支配し、戦車が陸軍を、そして着上陸用車両が海兵隊を支配しているのが実態である。→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
ロバート・ゲーツ語録3
→皆に気づいて欲しい。空軍の歴史の大部分は空中戦と爆撃機の能力で彩られているが、ベトナム戦争以来、空軍パイロットは空中戦で相手を撃墜していない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
ロバート・ゲーツ語録5
→次の本格紛争には主に海軍と空軍が関与するであろう現実に、陸軍は向き合うべき。 アジアや中東へ大規模地上部隊を派遣するよう大統領に進言する国防長官が仮に現れたら、頭の検査を受けさせるべきだと思う→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
ロバート・ゲーツ語録10
→米軍には20世紀の世界観が根強く残っており、変化を妨げている。米軍は戦闘で40年間航空機を失っておらず、朝鮮戦争以来、敵の攻撃を受けていない。しかし、21世紀の制空権は米軍の従来の想定とは全く異なるであろう→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録11
→米空軍は、空対空戦闘と戦略爆撃に捕らわれすぎており、他の重要な任務や能力を無視しがちである。ある意味で空軍は、その成功の犠牲者とも言える→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録12
→私がCIA長官の時、イスラエルが無人機を有効使用することを知った。そこで米空軍と共同出資で無人機の導入を働きかけたが1992年に米空軍は拒否した。私は3年前、今度は無人機導入のため牙をむいて4軍と立ち向かった→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録18
→海空軍のため、米軍のため、我が国のため、キャリア指向や旧思考をやめよ。規律正しく、創造的で、改革指向であれ。誠実なリーダーであれ。どのポストに就きたいではなく、何を成し遂げたいかを語れ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-10
ロバート・ゲーツ語録21
→国防省で制服幹部をたしなめている。陸軍は未だにフルダ・ギャップでの戦いを望むのか? 海軍はまだミッドウェー海戦を夢見ているのか? 海兵隊は仁川上陸作戦をもう一度なのか? 空軍は単に飛んでいたいのか?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02
ロバート・ゲーツ語録30
→上品さとは、周りの人、特に部下とどのように接するかで測られる。公平さと敬意を持って接することである。トルーマン大統領は「君たちに反論できない人達とどのように接するか」と表現した→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
ロバート・ゲーツ語録33
→全ての潜在的敵対者、つまりテログループ、ならず者国家、ライジングパワー、これら全てが共通に学び得たものは、米国と通常戦の手法で正面から対峙するのは賢明ではないとの認識である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
ロバート・ゲーツ語録50
→私は歴代のどの国防長官よりも、外交や開発支援等、ソフトパワーの重要性を訴えた。でも間違ってはならない。20世紀のように21世紀でも、侵略者や独裁者やテロリストへの対処を究極で保障するのはハードパワーだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
ロバート・ゲーツ語録56
→私が2006年にこの職について政府の仕事に戻っ際、(貿易摩擦が激化した1992年頃のCIA長官時代と比べ)最も驚いたことが2つある。一つはインドとの関係改善であり、もう一つは日本との関係改善である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
ロバート・ゲーツ語録62
→ベトナム戦争以来、次にどこで軍事力を使用するかの予想において、我が国の指導者は完璧な記録を更新している。つまり完璧に外し続けている→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-07-1
ロバート・ゲーツ語録65
→米国は他国を厳しく批判する前に、自身が現在に至るまでの長い道のりを振り返らねばならない。フランス革命に背を向け、奴隷制度を維持した国が、アフリカ系米国人大統領を持つまでに至った長い道のりを→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-16
ロバート・ゲーツ語録77
→胡錦濤主席を含め、同席の中国側文民関係者は誰一人J-20初飛行の件について知らないようだった。これが軍人と政府の両方と会談した一つの理由である。軍人と文民が共にテーブルを囲む戦略対話の必要性が高い→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1
ロバート・ゲーツ語録93
→2つの戦争が継続中で、多くの若者が日々命を落としていた。このような状況で、もし続投を要請されたらYesと答えるしかなかった。だから私は要請されないように早い段階から「続投しない」と発言してきたのだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-17-1
ロバート・ゲーツ語録100
→日本と韓国は、米国のパートナーとして適当であるよう調整を続けてきた。しかし依然として、パートナーとして準備し、全ての、くり返すが同盟国としての全ての義務を果たすことができるパートナーでなければならない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-29
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「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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リーダーたる者は(海軍士官学校卒業式で) [ゲーツ前国防長官]
まんぐーすが一番好きなスピーチです
2011年5月、ゲーツ氏が参加した最後の士官学校卒業式で
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信念は心の炎。人の心を温め、照らすもの。そして人が君たちに従おうとする力にもなる。
自信を持つリーダーは、日陰にあって他(部下が)が注目や称賛を浴びることを見つめ、他の成長を妨げる大きな陰を作らない。
27日、ゲーツ長官は海軍士官学校の卒業式に臨み、この戦時にこの道を選択した士官候補生に敬意と祝意を表するとともに、卒業生にリーダーが備えるべき資質について述べました。いわば主催者側としての卒業式スピーチを、まんぐーすは初めて読んだ気がしますが、「直球ど真ん中ストレート」です。
この卒業生は、ゲーツ長官が就任後、最初に入学した学生であり、また国防大臣としての最後の士官学校卒業式でもあることから、その思いが原稿から伝わってくるような気がして目頭が・・・。30年前のCIAでの失敗から先日のビンラディン作戦成功まで・・こんな思いも抱えていたんですねぇ・・。
本当は、若者が「耳にたこ」ほど聞かされていても良い話(年寄りも)だと思いますが、最近日本であまり聞かないお話で・・ストレートにずしんと聞かせて(読ませて)いただきました。
うまくご紹介できるか自信がありませんが、挑戦する価値有りと思いますので・・・ぜひ原文で。
卒業生諸君(Notre Dame大学に昨秋フットボールで勝った)へ
●2007年、イラクで死傷者が最悪になり成功への道が見えにくかった時期に入学し、海軍のリーダーとしての選択をしてくれた今回の卒業生諸君である。
●ルーズベルト大統領は言った「国家の正否は平均的な国民の働きに掛かっており、平均的な国民が良くなければならない。同時に、国家指導者のレベルが図抜けて高くなければ、その国民のレベルを高く保つことは出来ないのだ」と。君たちは平均的な国民ではない。単に平均的国民であることに満足することは許されない。全てに高いレベルの指導者でなければならない。
●私も46年前に大学を卒業して8人の大統領に仕える公務をスタートしたが、真のリーダーシップとは、希にしか出会えない貴重なものである。それは人が部分部分しか持ち合わせず、全体として発揮されることが滅多にない。
リーダーの資質(brief thoughts on those qualities)
●Vision
日常やその日のことばかりでなく、将来を見通し可能性や潜在性に目を向けることである。そのためには他人がやらない又は出来ないことに目を向けることである。
●深いConviction(信念)
それは心の中の炎であり、人の心を温め、照らすものである。それは人が君たちに従おうとする力にもなる。
●Self-confidence(自信)
世の中に広く見られるエゴや過信とは異なる。それは他人に責任と成功の両方を与えるものであり、日陰にあって他人が注目や称賛を浴びることを見つめる能力である。つまりこれを持つ指導者は他の成長を妨げる大きな陰を作らない。
●Courage(勇気)
単に前線で見せる肉体的な勇気だけではない。新たな道を歩む勇気であり、見栄えのすることだけでなく正しいことを行う勇気をである。最近では軍でもビジネスの世界でも、チームワークが求められ君たちも学んだろう。しかしリーダーとして君たちは必ず、一人で立ち向かい、これは間違いだ、皆さんに同意できない、こうあるべきだと言わねばならない場面に直面する。この時こそ真の勇気を発揮すべき時である。
●Integrity(誠実さ)
これなくして真のリーダーシップはあり得ない。最近ではこれが、奇妙な目で古めかしいもののように見られている。今日成功したと伝えられる人達の中には、この要素を感じない人が少なくない。しかし真の指導者にとって、自立心、自制心、ほこり、正直さと言ったものは絶対的な構成要素であり、基礎である。
●Common Decency(上品さ・目下への誠実な態度)
君たちの周りの人、特に部下とどのように接するかである。公平さと敬意を持って接することである。トルーマン大統領は「君たちに反論できない人達とどのように接するか」と表現し、指導者のリトマス試験紙とも言われている。
失敗や成功にどう向き合うか
●人なら誰でも、成功も失敗も経験する。しかし失敗も成功も、君たちの信義に従い、正しく誇り高くあるべきことを知っていれば最終的な成功に導かれるだろう。大事なことは、どのように受け止め対応するかである。約40年前、ガソリン運搬船でブイに突っ込みエンジンをだめにしたような海軍士官がいた。私は今彼と毎日仕事をしている。マレン統合参謀本部議長のことである。
●約30年前、今も忘れない1980年4月24日の夜。私がCIA長官の上級補佐官として、計画段階から携わったテヘランの米大使館人質救出作戦の夜である。危険のある作戦だったが、正直私は成功すると信じていた。しかし違った。焼けこげたヘリの映像と乗員の遺体写真が遺体写真が世界を駆けめぐり、米国の威信を大きく傷つけた。
●しかし特殊作戦に当たる者たちは、米軍もともに、反省し改善し前を向き、ひたむきに訓練し批判にも耐えてきた。そして約1ヶ月前、私はホワイトハウスで同じように緊張の午後を迎えていた。ヘリ墜落の知らせに一瞬30年前がよみがえったが、作戦は別の結果を迎えた。大量殺人者は相応しい最後を迎え、世界は米国の軍事力に驚嘆した。国は正義の実現を目にし、政府が困難なことを正しく為し得ることを知った。民主的な文明に成り代わり、最も危険な恐れを知らぬ敵に一撃を与えたのだ。
私を支えてきた思いは・・
●今朝この会場を訪れて思い出した。大学の学長から国防長官に着任した当時の思いだ。Texas A&M大学では18-25歳の学生がTシャツや半ズボンで楽しくやっていた。しかし就任後最初に訪れた前線では、全く同じ年代の若者が、防弾チョッキに身を包みライフルを手に、米国民のために命をかけて戦っていた。彼らの何人かは国に戻れないだろうと思い、実際にそうであった。
●以来私は、制服を着て戦う若者を自分の息子や娘として、責任を持って責務を果たすべく毎日を過ごしてきた。君たちが誇りを胸に戦い、安全に帰還することを唯一の願いとして。君たちがこの道を選んでくれたことに忠心より感謝し、最大の敬意を持って君たちのために尽くすことを誓う。
●May you have fair winds and following seas. Congratulations.
/////////////////////////////////////////
対ビンラディン作戦をゲーツ長官はこのような思いで見ていたんですねぇ・・・。30年の思いを込めて・・。
真の正しいリーダーとしての「自信」と「勇気」と「誠実さ・上品さ」・・いくつになっても大切にしたいです。そうだよな・・真のリーダーの自信とは・・・。
「君たちが誇りを胸に戦い、安全に帰還することを唯一の願いとして・・・」・
安全保障感覚の「体幹」を鍛えるために!
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
当時のゲーツ長官関連記事
「暴露ビンラディン作戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-03
「秘話映像イラン人質作戦準備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-07
士官候補生への講演シリーズ
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2
2011年5月、ゲーツ氏が参加した最後の士官学校卒業式で
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信念は心の炎。人の心を温め、照らすもの。そして人が君たちに従おうとする力にもなる。
自信を持つリーダーは、日陰にあって他(部下が)が注目や称賛を浴びることを見つめ、他の成長を妨げる大きな陰を作らない。
27日、ゲーツ長官は海軍士官学校の卒業式に臨み、この戦時にこの道を選択した士官候補生に敬意と祝意を表するとともに、卒業生にリーダーが備えるべき資質について述べました。いわば主催者側としての卒業式スピーチを、まんぐーすは初めて読んだ気がしますが、「直球ど真ん中ストレート」です。
この卒業生は、ゲーツ長官が就任後、最初に入学した学生であり、また国防大臣としての最後の士官学校卒業式でもあることから、その思いが原稿から伝わってくるような気がして目頭が・・・。30年前のCIAでの失敗から先日のビンラディン作戦成功まで・・こんな思いも抱えていたんですねぇ・・。
本当は、若者が「耳にたこ」ほど聞かされていても良い話(年寄りも)だと思いますが、最近日本であまり聞かないお話で・・ストレートにずしんと聞かせて(読ませて)いただきました。
うまくご紹介できるか自信がありませんが、挑戦する価値有りと思いますので・・・ぜひ原文で。
卒業生諸君(Notre Dame大学に昨秋フットボールで勝った)へ
●2007年、イラクで死傷者が最悪になり成功への道が見えにくかった時期に入学し、海軍のリーダーとしての選択をしてくれた今回の卒業生諸君である。
●ルーズベルト大統領は言った「国家の正否は平均的な国民の働きに掛かっており、平均的な国民が良くなければならない。同時に、国家指導者のレベルが図抜けて高くなければ、その国民のレベルを高く保つことは出来ないのだ」と。君たちは平均的な国民ではない。単に平均的国民であることに満足することは許されない。全てに高いレベルの指導者でなければならない。
●私も46年前に大学を卒業して8人の大統領に仕える公務をスタートしたが、真のリーダーシップとは、希にしか出会えない貴重なものである。それは人が部分部分しか持ち合わせず、全体として発揮されることが滅多にない。
リーダーの資質(brief thoughts on those qualities)
●Vision
日常やその日のことばかりでなく、将来を見通し可能性や潜在性に目を向けることである。そのためには他人がやらない又は出来ないことに目を向けることである。
●深いConviction(信念)
それは心の中の炎であり、人の心を温め、照らすものである。それは人が君たちに従おうとする力にもなる。
●Self-confidence(自信)
世の中に広く見られるエゴや過信とは異なる。それは他人に責任と成功の両方を与えるものであり、日陰にあって他人が注目や称賛を浴びることを見つめる能力である。つまりこれを持つ指導者は他の成長を妨げる大きな陰を作らない。
●Courage(勇気)
単に前線で見せる肉体的な勇気だけではない。新たな道を歩む勇気であり、見栄えのすることだけでなく正しいことを行う勇気をである。最近では軍でもビジネスの世界でも、チームワークが求められ君たちも学んだろう。しかしリーダーとして君たちは必ず、一人で立ち向かい、これは間違いだ、皆さんに同意できない、こうあるべきだと言わねばならない場面に直面する。この時こそ真の勇気を発揮すべき時である。
●Integrity(誠実さ)
これなくして真のリーダーシップはあり得ない。最近ではこれが、奇妙な目で古めかしいもののように見られている。今日成功したと伝えられる人達の中には、この要素を感じない人が少なくない。しかし真の指導者にとって、自立心、自制心、ほこり、正直さと言ったものは絶対的な構成要素であり、基礎である。
●Common Decency(上品さ・目下への誠実な態度)
君たちの周りの人、特に部下とどのように接するかである。公平さと敬意を持って接することである。トルーマン大統領は「君たちに反論できない人達とどのように接するか」と表現し、指導者のリトマス試験紙とも言われている。
失敗や成功にどう向き合うか
●人なら誰でも、成功も失敗も経験する。しかし失敗も成功も、君たちの信義に従い、正しく誇り高くあるべきことを知っていれば最終的な成功に導かれるだろう。大事なことは、どのように受け止め対応するかである。約40年前、ガソリン運搬船でブイに突っ込みエンジンをだめにしたような海軍士官がいた。私は今彼と毎日仕事をしている。マレン統合参謀本部議長のことである。
●約30年前、今も忘れない1980年4月24日の夜。私がCIA長官の上級補佐官として、計画段階から携わったテヘランの米大使館人質救出作戦の夜である。危険のある作戦だったが、正直私は成功すると信じていた。しかし違った。焼けこげたヘリの映像と乗員の遺体写真が遺体写真が世界を駆けめぐり、米国の威信を大きく傷つけた。
●しかし特殊作戦に当たる者たちは、米軍もともに、反省し改善し前を向き、ひたむきに訓練し批判にも耐えてきた。そして約1ヶ月前、私はホワイトハウスで同じように緊張の午後を迎えていた。ヘリ墜落の知らせに一瞬30年前がよみがえったが、作戦は別の結果を迎えた。大量殺人者は相応しい最後を迎え、世界は米国の軍事力に驚嘆した。国は正義の実現を目にし、政府が困難なことを正しく為し得ることを知った。民主的な文明に成り代わり、最も危険な恐れを知らぬ敵に一撃を与えたのだ。
私を支えてきた思いは・・
●今朝この会場を訪れて思い出した。大学の学長から国防長官に着任した当時の思いだ。Texas A&M大学では18-25歳の学生がTシャツや半ズボンで楽しくやっていた。しかし就任後最初に訪れた前線では、全く同じ年代の若者が、防弾チョッキに身を包みライフルを手に、米国民のために命をかけて戦っていた。彼らの何人かは国に戻れないだろうと思い、実際にそうであった。
●以来私は、制服を着て戦う若者を自分の息子や娘として、責任を持って責務を果たすべく毎日を過ごしてきた。君たちが誇りを胸に戦い、安全に帰還することを唯一の願いとして。君たちがこの道を選んでくれたことに忠心より感謝し、最大の敬意を持って君たちのために尽くすことを誓う。
●May you have fair winds and following seas. Congratulations.
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対ビンラディン作戦をゲーツ長官はこのような思いで見ていたんですねぇ・・・。30年の思いを込めて・・。
真の正しいリーダーとしての「自信」と「勇気」と「誠実さ・上品さ」・・いくつになっても大切にしたいです。そうだよな・・真のリーダーの自信とは・・・。
「君たちが誇りを胸に戦い、安全に帰還することを唯一の願いとして・・・」・
安全保障感覚の「体幹」を鍛えるために!
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
当時のゲーツ長官関連記事
「暴露ビンラディン作戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-03
「秘話映像イラン人質作戦準備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-07
士官候補生への講演シリーズ
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2
温故知新「他国はなぜ米国と付き合うか」 [ゲーツ前国防長官]
温故知新シリーズ
2010年12月の記事です
「国際関係論」や「安全保障論」の教科書を書くなら、この言葉を引用したいもの・・・
2010年11月30日に行われた記者会見で、記者からの「wikileaksによる外交電報の漏洩公開が、外国との情報共有に影響があるか」との質問に、ゲーツ国防長官が以下のように答えています。
長い回答の一部分ですが、CIA叩き上げの職員そしてCIA長官として、また国防長官として、国益を賭けて外国と接してきた男の冷徹な「眼」がそこに感じられるのでご紹介します。記者会見のトランスクリプトは昨日と同じですが・・・
ゲーツ長官はまず、国防省として情報漏洩がこれ以上起こらないように様々な対策を実施し、更に情報管理の強化に今後も努力すると述べた後で・・・・・
記者会見でゲーツ国防長官は
●1970年代に、外国との情報交換で得た情報を米議会に提供することになれば、漏洩を恐れた諸外国が米国との情報交換を停止するのでは、との懸念が広く米国内にあった。しかしそれは間違った考えであったことが後に明らかになっている。米国との情報交換を停止した国はなかったのである。
●現実はこうである。米国と関係を持つ国は、その国の国益のためにそうしているのであって、米国が好きだからではなく、米国を信用しているからでもなく、また米国が秘密を守ってくれると信じているからでもない。
●いくつかの国は米国を恐れるが故に米国と関係を持っている。またいくつかの国は米国を尊敬しているからかも知れない。しかし大部分の国は米国が必要だから米国との関係を維持しているのだ。
●我が米国は依然として、これまでもそういわれてきたように、欠くことが出来ない国家なのである。
●故に、他国は今後も米国との関係を続けるだろるし、共に仕事に取り組むだろう。我々は我々で、今後も他国と機微な情報の交換を続けていくだろう。
////////////////////////////////
wikileaksによる漏洩は大問題で、決して無視は出来ません。米国は社会が危ない状況なのかも知れません。これに関してはブログ「国際情報センター」をご覧下さい。
→ http://blogs.yahoo.co.jp/kokusaijoho_center/36604484.html
一方で・・・
「国際関係論」や「安全保障論」の教科書を書くなら、紹介したゲーツ長官の言葉を冒頭で引用したいモノです。そのくらい冷徹な真実で有りながら、日本のプレスが言わない事実だと思います。
また、当たり前のことですが、上記の内容を発言しても問題にならないところが、国家やプレスの成熟度を示しています。また同時に、ゲーツ国防長官への信頼感の表れとHolylandは考えます。
/////////////////////////////////
おまけです。
同記者会見で、「今回の情報漏洩が公になる前に、どこかの国へ事前に知らせたりお詫びをしたか?」との記者の質問に対し、
ゲーツ長官は「何もしていない」
マレン議長「私は連絡した。(どこへ?)パキスタンのカヤニ大将(軍のトップ)へである」
この辺りにも、米国が今どこに気を遣っているのかが現れています。
ロバート・ゲーツ語録100選
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
2010年12月の記事です
「国際関係論」や「安全保障論」の教科書を書くなら、この言葉を引用したいもの・・・
2010年11月30日に行われた記者会見で、記者からの「wikileaksによる外交電報の漏洩公開が、外国との情報共有に影響があるか」との質問に、ゲーツ国防長官が以下のように答えています。
長い回答の一部分ですが、CIA叩き上げの職員そしてCIA長官として、また国防長官として、国益を賭けて外国と接してきた男の冷徹な「眼」がそこに感じられるのでご紹介します。記者会見のトランスクリプトは昨日と同じですが・・・
ゲーツ長官はまず、国防省として情報漏洩がこれ以上起こらないように様々な対策を実施し、更に情報管理の強化に今後も努力すると述べた後で・・・・・
記者会見でゲーツ国防長官は
●1970年代に、外国との情報交換で得た情報を米議会に提供することになれば、漏洩を恐れた諸外国が米国との情報交換を停止するのでは、との懸念が広く米国内にあった。しかしそれは間違った考えであったことが後に明らかになっている。米国との情報交換を停止した国はなかったのである。
●現実はこうである。米国と関係を持つ国は、その国の国益のためにそうしているのであって、米国が好きだからではなく、米国を信用しているからでもなく、また米国が秘密を守ってくれると信じているからでもない。
●いくつかの国は米国を恐れるが故に米国と関係を持っている。またいくつかの国は米国を尊敬しているからかも知れない。しかし大部分の国は米国が必要だから米国との関係を維持しているのだ。
●我が米国は依然として、これまでもそういわれてきたように、欠くことが出来ない国家なのである。
●故に、他国は今後も米国との関係を続けるだろるし、共に仕事に取り組むだろう。我々は我々で、今後も他国と機微な情報の交換を続けていくだろう。
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wikileaksによる漏洩は大問題で、決して無視は出来ません。米国は社会が危ない状況なのかも知れません。これに関してはブログ「国際情報センター」をご覧下さい。
→ http://blogs.yahoo.co.jp/kokusaijoho_center/36604484.html
一方で・・・
「国際関係論」や「安全保障論」の教科書を書くなら、紹介したゲーツ長官の言葉を冒頭で引用したいモノです。そのくらい冷徹な真実で有りながら、日本のプレスが言わない事実だと思います。
また、当たり前のことですが、上記の内容を発言しても問題にならないところが、国家やプレスの成熟度を示しています。また同時に、ゲーツ国防長官への信頼感の表れとHolylandは考えます。
/////////////////////////////////
おまけです。
同記者会見で、「今回の情報漏洩が公になる前に、どこかの国へ事前に知らせたりお詫びをしたか?」との記者の質問に対し、
ゲーツ長官は「何もしていない」
マレン議長「私は連絡した。(どこへ?)パキスタンのカヤニ大将(軍のトップ)へである」
この辺りにも、米国が今どこに気を遣っているのかが現れています。
ロバート・ゲーツ語録100選
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
ゲーツ元長官「オバマは米軍を信頼していない」 [ゲーツ前国防長官]
お久しぶりRobert Gates元国防長官!
まんぐーすがブログを本格的に始めたのは、この人物が国防長官だった当時の「言葉」を伝えたかったからです
最下層のCIA職員からCIA長官に上り詰め、更に政党の異なる2つの政権で、大統領に請われ継続して国防長官を務めた男の言葉
→ロバート・ゲーツ語録100選
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
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15日、TV番組(Fox NewsのSpecial Report)に出演したゲーツ元国防長官が、シリア情勢やオバマ政権と軍の関係等についてコメントしています。
断片的で全体の流れがよく分かりませんが、その率直さと核心を突く指摘は今も健在です
ゲーツ発言:シリア対策について
●外部のものが国外で訓練を施し、その者をシリアに送り返して機能させるなどと言うアイディアは「nuts:馬鹿げている」だ
●シリアでの人道的な問題や悲劇を食い止める唯一の道は、(シリア国内に)安全地帯(safe haven)を設けることであり、達成可能だと思う
●ただし、内戦状態にあるシリアへの米国の関与は制限し、米軍の地上部隊を送るべきではない。
ゲーツ発言:オバマ政権と米軍
●オバマ大統領は軍隊を信頼していない(distrust)。特にアフガニスタンではそうだった
●ホワイトハウス内には、オバマ大統領に軍を信頼するなと常々言い続けている人達がいる。名前は挙げたくないが・・・
●(バイデン副大統領はその一人か、との質問に対し)そう思うし、彼からそのように言われたこともある
●そんなホワイトハウスのスタッフ達は大統領に対し、米軍はあなたを身動きできなくするとか、あなたを騙すとか、あなたを侮辱するとか、あなたが望まないことをさせるとか、言い続けているのだ。
/////////////////////////////////////////////////////////
米国の大統領選で、バイデンが民主党の候補に名乗りを上げるかが注目されていますが、クリントン女史が失速し、バイデン副大統領が浮くようになれば大変です。
ゲーツ氏の発言にも「Offshore Balancing論的」な考え方が見え隠れしていますが、バイデンはもっと強力な「内向き指向」の臭いを発しており、米国の軍事同盟国にとっては厳しくなること確実です
2014年1月にゲーツ長官「回想録」の出版に際しメディアで
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-12
●はっきり申し上げるが、私はブッシュ大統領とオバマ大統領に大息敬意を抱いている(have a lot of respect)
●しかしオバマ大統領を批判したいと考えている人々は、私の書いたことを利用していろいろ表現しているのだ
しかし副大統領や大統領府スタッフには厳しく
●NSCスタッフとは何度も口論となった。特に、4つ星の将軍に直接電話するような「攻撃的な」若いホワイトハウススタッフの不遜な態度には閉口した。
●(バイデン副大統領が40年以上に渡り外交問題で誤りを続けている、との記述について弁解せず、)1970年代からバイデン氏の姿勢には不同意だった。彼が70年代に南ベトナム支援に反対した事、イランでのシャーの排除を人権問題の改善と評価したこと、更にレーガン大統領の国防力強化に反対したこと等々に対してである
●率直に言って、長い間、ずっと彼は誤っていると感じ続けていた
韓国に関し興味深い記述が(読売報道)
●2007年11月、当時の韓国大統領だった盧武鉉氏は「アジアでの最大の安保上の脅威は米国と日本だ」と会談で述べた。「反米でおそらく頭が少しおかしい」と思った
イラク問題と日韓のお話
●米軍駐留継続をめぐるイラクとの交渉のさなか、長期にわたり米軍を受け入れている日韓に見解を尋ねたらどうかとイラク側に促したところ、逆効果だった
●日韓とイラクは、受け入れ国の法律を破る米兵への憤りを共有しただけに終わり、自身の提案は「最悪のアイデア」だった
/////////////////////////////////////////////////////////
まとまりのない内容になりましたが、そんなオバマ大統領の安全保障関連補佐官が、次々と退任している今日この頃です
ゲーツ国防長官(当時)の活躍は以下の記事150本で
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300801461-1
そしてもう一度!
最下層のCIA職員からCIA長官に上り詰め、更に政党の異なる2つの政権で、大統領に請われ継続して国防長官を務めた男の言葉
→ロバート・ゲーツ語録100選
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
追記:ゲーツ氏は厳しい人物で、日本の民主党政権時の2011年6月にDCで開催された「2+2」では、日本の同盟強化に関する煮え切らない態度に不満を前面に表現し、左の写真を同「2+2」を伝える米国防省webサイトのトップページに掲載しました
日本では、共同記者会見や4人が手を携える場面の写真が報道されていましたし、米国防省のwebサイトには、他の「外交的に映りの良い写真」が多数資料映像としてサイトの末尾に格納されていましたが、あえて「不満顔」をトップに採用していました
日本だけでなく、国防費を軒並み削減していた当時の欧州NATO諸国にも辛辣な言葉を投げかけていました。そんな男です。ゲーツ氏は・・・
まんぐーすがブログを本格的に始めたのは、この人物が国防長官だった当時の「言葉」を伝えたかったからです
最下層のCIA職員からCIA長官に上り詰め、更に政党の異なる2つの政権で、大統領に請われ継続して国防長官を務めた男の言葉
→ロバート・ゲーツ語録100選
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
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15日、TV番組(Fox NewsのSpecial Report)に出演したゲーツ元国防長官が、シリア情勢やオバマ政権と軍の関係等についてコメントしています。
断片的で全体の流れがよく分かりませんが、その率直さと核心を突く指摘は今も健在です
ゲーツ発言:シリア対策について
●外部のものが国外で訓練を施し、その者をシリアに送り返して機能させるなどと言うアイディアは「nuts:馬鹿げている」だ
●シリアでの人道的な問題や悲劇を食い止める唯一の道は、(シリア国内に)安全地帯(safe haven)を設けることであり、達成可能だと思う
●ただし、内戦状態にあるシリアへの米国の関与は制限し、米軍の地上部隊を送るべきではない。
ゲーツ発言:オバマ政権と米軍
●オバマ大統領は軍隊を信頼していない(distrust)。特にアフガニスタンではそうだった
●ホワイトハウス内には、オバマ大統領に軍を信頼するなと常々言い続けている人達がいる。名前は挙げたくないが・・・
●(バイデン副大統領はその一人か、との質問に対し)そう思うし、彼からそのように言われたこともある
●そんなホワイトハウスのスタッフ達は大統領に対し、米軍はあなたを身動きできなくするとか、あなたを騙すとか、あなたを侮辱するとか、あなたが望まないことをさせるとか、言い続けているのだ。
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米国の大統領選で、バイデンが民主党の候補に名乗りを上げるかが注目されていますが、クリントン女史が失速し、バイデン副大統領が浮くようになれば大変です。
ゲーツ氏の発言にも「Offshore Balancing論的」な考え方が見え隠れしていますが、バイデンはもっと強力な「内向き指向」の臭いを発しており、米国の軍事同盟国にとっては厳しくなること確実です
2014年1月にゲーツ長官「回想録」の出版に際しメディアで
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-12
●はっきり申し上げるが、私はブッシュ大統領とオバマ大統領に大息敬意を抱いている(have a lot of respect)
●しかしオバマ大統領を批判したいと考えている人々は、私の書いたことを利用していろいろ表現しているのだ
しかし副大統領や大統領府スタッフには厳しく
●NSCスタッフとは何度も口論となった。特に、4つ星の将軍に直接電話するような「攻撃的な」若いホワイトハウススタッフの不遜な態度には閉口した。
●(バイデン副大統領が40年以上に渡り外交問題で誤りを続けている、との記述について弁解せず、)1970年代からバイデン氏の姿勢には不同意だった。彼が70年代に南ベトナム支援に反対した事、イランでのシャーの排除を人権問題の改善と評価したこと、更にレーガン大統領の国防力強化に反対したこと等々に対してである
●率直に言って、長い間、ずっと彼は誤っていると感じ続けていた
韓国に関し興味深い記述が(読売報道)
●2007年11月、当時の韓国大統領だった盧武鉉氏は「アジアでの最大の安保上の脅威は米国と日本だ」と会談で述べた。「反米でおそらく頭が少しおかしい」と思った
イラク問題と日韓のお話
●米軍駐留継続をめぐるイラクとの交渉のさなか、長期にわたり米軍を受け入れている日韓に見解を尋ねたらどうかとイラク側に促したところ、逆効果だった
●日韓とイラクは、受け入れ国の法律を破る米兵への憤りを共有しただけに終わり、自身の提案は「最悪のアイデア」だった
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まとまりのない内容になりましたが、そんなオバマ大統領の安全保障関連補佐官が、次々と退任している今日この頃です
ゲーツ国防長官(当時)の活躍は以下の記事150本で
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300801461-1
そしてもう一度!
最下層のCIA職員からCIA長官に上り詰め、更に政党の異なる2つの政権で、大統領に請われ継続して国防長官を務めた男の言葉
→ロバート・ゲーツ語録100選
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
追記:ゲーツ氏は厳しい人物で、日本の民主党政権時の2011年6月にDCで開催された「2+2」では、日本の同盟強化に関する煮え切らない態度に不満を前面に表現し、左の写真を同「2+2」を伝える米国防省webサイトのトップページに掲載しました
日本では、共同記者会見や4人が手を携える場面の写真が報道されていましたし、米国防省のwebサイトには、他の「外交的に映りの良い写真」が多数資料映像としてサイトの末尾に格納されていましたが、あえて「不満顔」をトップに採用していました
日本だけでなく、国防費を軒並み削減していた当時の欧州NATO諸国にも辛辣な言葉を投げかけていました。そんな男です。ゲーツ氏は・・・
ゲーツ元国防長官が機能不全な議会を酷評 [ゲーツ前国防長官]
いやぁ・・お久しぶりです。
10月30日、ゲーツ元国防長官が安全保障関連イベントで講演し、「米国防省や米軍が苦心の末に作成した優れた予算削減案を拒絶」するなど機能不全に陥っている米議会を厳しく批判し、「米議会の議員は、中学生の歴史の教科書で話し合いと妥協の精神を勉強し直せ」と訴えました
懐かしい「ゲーツ節」にうれしさ一杯ですが、講演の中身は心を暗くさせる米国内政治の「停滞」と「機能不全」と「責任放棄」を指摘し、犠牲になっているモノの「重さ」を強調して議会に訴えるものです。
30日付Defense-Newsによれば
●30日、SAP National Security Services主催の情報・国家安全保障フォーラムで講演したRobert Gates元国防長官は、国家予算を巡る議論で妥協点を見いだせない議会により、米軍、米本土防衛、他の重要な政府活動が「深刻なダメージ」を受けていると訴えた
●ゲーツ氏は「議会の責任放棄を如実に表しているのは、予算の強制削減である。これ以上愚かな国家予算削減策を思いつかないほどだ」と議会を痛烈に批判した
●更に、米国の国家安全保障に対する最大の脅威は「国防投資の削減や軍隊の即応態勢を不十分にする政治的な機能不全である」と断言し、国家の負債を国防費削減で賄おうとすれば、軍隊の能力を著しく傷つけると主張した
●ゲーツ氏は強制削減の根本原因を「民主共和両党とホワイトハウスが、2011年に債務削減案に合意できなかったためで、税収と国内施策に対する考え方の相違を埋められ無かったからだ」と語った
●また、「強制削減は米軍事力の技術的優位を危うくし、一番大切なモノを削減すると同時に、悪しき結果を招く事も行っているのだ」とも表現した
●そして「議会の中にまだ残っている大人に期待し、予算交渉で妥協点を見いだすことを微かにまだ期待している」と語る一方で、「タカ派と孤立主義者、古典的なリベラル派の両方に責任がある」と指摘した
●更にゲーツ氏は、ヘーゲル国防長官とデンプシー統合参謀本部議長がまとめた人件費改革、戦力削減、基地統廃合計画を「recommended」と評価し、これを拒絶した議会を批判した
●「予算を大幅に削減し、話し合いを拒否し、国防省の改革案まで阻止し、議会は国防省を最悪の立場に追い込みつつある」と表現した
対外的な国防政策にも言及し
●オバマ大統領を表してゲーツ氏は、「海図もなしに、ますます危険な航海に臨んでいる」と言及し、イラクとアフガンでの戦いを曖昧に終わらせ、地上部隊無しに海空戦力だけでイスラム国に対峙しようとしていると述べた
●ゲーツ氏は中国やロシア、非国家脅威やテロ組織等、多様な予想できない脅威や紛争に対応するため、「想定される広範な紛争に備え、最大の敏捷性をもつ多様な能力を、バランスを取って装備すべき」と持論を述べた
●アジアに関しては、挑発のためでなく抑止のため、ミサイル防衛、宇宙アセットやサイバー網防御、無人機を含む長距離システムを導入すべきと主張した
●聴衆からの米国教育制度に関する質問に対し、ゲーツ氏は「全議員を中学2年生に戻して米国の歴史を学習させたい。そうすれば議員達も建国者の精神を学び、異なる意見の勢力が集まった場合、妥協を通じて物事を進めるしかないことを知るだろう」と皮肉たっぷりに対応した
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////
「ゲーツ節」炸裂、その指摘は国防長官在任時から一貫しています。細部は下記の「長官退任間際、怒濤の連続スピーチ」及び「語録100選」でご確認下さい
しかし・・・米国内政治の混迷は底が見えません。「予算を大幅に削減し、話し合いを拒否し、国防省の改革案まで阻止し、議会は国防省を最悪の立場に追い込みつつある」との表現も残念ながら適切でしょう
チャーチルは米国を評し、「米国は最終的に正しい判断をする。しかしそれまでに、他の悪い選択肢を全て試した後にだ」と表現しました。まだまだ「その他」の選択肢を試し続けるのでしょうか?
長官退任間際、怒濤の連続スピーチ
「警告する、NATOの2極化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12
「米国の姿勢シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「政治家よ目をそらすな議論を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「米国がやらねば他はやらぬ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
「米国の将来を悲観するな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09
「リーダーたる者は:最後の卒業式」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2
まんぐーすが独断で選定!
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
10月30日、ゲーツ元国防長官が安全保障関連イベントで講演し、「米国防省や米軍が苦心の末に作成した優れた予算削減案を拒絶」するなど機能不全に陥っている米議会を厳しく批判し、「米議会の議員は、中学生の歴史の教科書で話し合いと妥協の精神を勉強し直せ」と訴えました
懐かしい「ゲーツ節」にうれしさ一杯ですが、講演の中身は心を暗くさせる米国内政治の「停滞」と「機能不全」と「責任放棄」を指摘し、犠牲になっているモノの「重さ」を強調して議会に訴えるものです。
30日付Defense-Newsによれば
●30日、SAP National Security Services主催の情報・国家安全保障フォーラムで講演したRobert Gates元国防長官は、国家予算を巡る議論で妥協点を見いだせない議会により、米軍、米本土防衛、他の重要な政府活動が「深刻なダメージ」を受けていると訴えた
●ゲーツ氏は「議会の責任放棄を如実に表しているのは、予算の強制削減である。これ以上愚かな国家予算削減策を思いつかないほどだ」と議会を痛烈に批判した
●更に、米国の国家安全保障に対する最大の脅威は「国防投資の削減や軍隊の即応態勢を不十分にする政治的な機能不全である」と断言し、国家の負債を国防費削減で賄おうとすれば、軍隊の能力を著しく傷つけると主張した
●ゲーツ氏は強制削減の根本原因を「民主共和両党とホワイトハウスが、2011年に債務削減案に合意できなかったためで、税収と国内施策に対する考え方の相違を埋められ無かったからだ」と語った
●また、「強制削減は米軍事力の技術的優位を危うくし、一番大切なモノを削減すると同時に、悪しき結果を招く事も行っているのだ」とも表現した
●そして「議会の中にまだ残っている大人に期待し、予算交渉で妥協点を見いだすことを微かにまだ期待している」と語る一方で、「タカ派と孤立主義者、古典的なリベラル派の両方に責任がある」と指摘した
●更にゲーツ氏は、ヘーゲル国防長官とデンプシー統合参謀本部議長がまとめた人件費改革、戦力削減、基地統廃合計画を「recommended」と評価し、これを拒絶した議会を批判した
●「予算を大幅に削減し、話し合いを拒否し、国防省の改革案まで阻止し、議会は国防省を最悪の立場に追い込みつつある」と表現した
対外的な国防政策にも言及し
●オバマ大統領を表してゲーツ氏は、「海図もなしに、ますます危険な航海に臨んでいる」と言及し、イラクとアフガンでの戦いを曖昧に終わらせ、地上部隊無しに海空戦力だけでイスラム国に対峙しようとしていると述べた
●ゲーツ氏は中国やロシア、非国家脅威やテロ組織等、多様な予想できない脅威や紛争に対応するため、「想定される広範な紛争に備え、最大の敏捷性をもつ多様な能力を、バランスを取って装備すべき」と持論を述べた
●アジアに関しては、挑発のためでなく抑止のため、ミサイル防衛、宇宙アセットやサイバー網防御、無人機を含む長距離システムを導入すべきと主張した
●聴衆からの米国教育制度に関する質問に対し、ゲーツ氏は「全議員を中学2年生に戻して米国の歴史を学習させたい。そうすれば議員達も建国者の精神を学び、異なる意見の勢力が集まった場合、妥協を通じて物事を進めるしかないことを知るだろう」と皮肉たっぷりに対応した
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「ゲーツ節」炸裂、その指摘は国防長官在任時から一貫しています。細部は下記の「長官退任間際、怒濤の連続スピーチ」及び「語録100選」でご確認下さい
しかし・・・米国内政治の混迷は底が見えません。「予算を大幅に削減し、話し合いを拒否し、国防省の改革案まで阻止し、議会は国防省を最悪の立場に追い込みつつある」との表現も残念ながら適切でしょう
チャーチルは米国を評し、「米国は最終的に正しい判断をする。しかしそれまでに、他の悪い選択肢を全て試した後にだ」と表現しました。まだまだ「その他」の選択肢を試し続けるのでしょうか?
長官退任間際、怒濤の連続スピーチ
「警告する、NATOの2極化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12
「米国の姿勢シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「政治家よ目をそらすな議論を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「米国がやらねば他はやらぬ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
「米国の将来を悲観するな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09
「リーダーたる者は:最後の卒業式」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2
まんぐーすが独断で選定!
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
ゲーツ元長官の回想録出版記念 [ゲーツ前国防長官]
14日、ゲーツ元国防長官の長官在任中の回想録「Duty: Memoirs of a Secretary of War」が出版されました。
その概要は、先週の記事(http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-08)でご紹介しましたが、ご紹介した以外にも、ゲーツ氏の厳しい視線は米軍幹部にも向けられており、今後更に話題になること必至の本です。
個人的には、空軍長官と空軍参謀総長を同時更迭した件やF-22生産打ち切り決断等、米空軍に関する記述も「盛りだくさん」との「噂」もあり、楽しみにしています
米空軍2トップ同時更迭については、回想録の中では「B-52による知らずに核爆弾6発輸送」事件が唯一の理由だと説明されているようで、同空軍長官退任式に招待された際の複雑な心境や「長官の孫から罵声を浴びるのでは」と本当に心配した等の記述もあるようです
ゲーツ氏:回顧本報道に不満!?
13日、TVやラジオに出演のゲーツ氏は
(13日付Defense-Newsによれば)
●この本はとても公明正大なモノであり、何人をも中傷誹謗するモノではない。はっきり申し上げるが、私はブッシュ大統領とオバマ大統領に大息敬意を抱いている(have a lot of respect)
●メディア報道に欠けているのは、私がオバマ大統領の下した決断のほとんどに同意しているという点である。アフガニスタンにおける米国の戦いに関して
●しかしオバマ大統領を批判したいと考えている人々は、私の書いたことを利用していろいろ表現しているのだ
しかし副大統領や大統領府スタッフにはフォロー無く
●NSCスタッフとは何度も口論となった。特に、4つ星の将軍に直接電話するような「攻撃的な」若いホワイトハウススタッフの不遜な態度には閉口した。
●(バイデン副大統領が40年以上に渡り外交問題で誤りを続けているとの記述について弁解せず、)1970年代からバイデン氏の姿勢には不同意だった。彼が70年代に南ベトナム支援に反対した事、イランでのシャーの排除を人権問題の改善と評価したこと、更にレーガン大統領の国防力強化に反対したこと等々に対してである
●率直に言って、長い間、ずっと彼は誤っていると感じ続けていた
韓国に関し興味深い記述が(読売報道)
●2007年11月、当時の韓国大統領だった盧武鉉氏は「アジアでの最大の安保上の脅威は米国と日本だ」と会談で述べた。「反米でおそらく頭が少しおかしい」と思った
●2010年11月の北朝鮮による韓国・延坪島砲撃では、韓国が当初「我々から見て過度に攻撃的な報復計画」を準備していたが、米大統領と私が数日間説得して納めた
イラク問題と日韓のお話
●米軍駐留継続をめぐるイラクとの交渉のさなか、長期にわたり米軍を受け入れている日韓に見解を尋ねたらどうかとイラク側に促したところ、逆効果だった
●日韓とイラクは、受け入れ国の法律を破る米兵への憤りを共有しただけに終わり、自身の提案は「最悪のアイデア」だった
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大統領には一応、表面上だけでも礼儀を尽くしたということでしょう
報道されている回顧本の内容が残るのであり、そこでの表現ぶりは「アフガン撤退ばかりにこだわり、最高指揮官としての現場の兵士への愛情が感じられない」オバマ大統領に厳しいモノである事に変わりありませんから・・・
・・・ということは、バイデン副大統領や大統領府スタッフには「鉄槌」をくれてやりたかったのでしょう。
韓国は「やっぱり」な国なんですね・・・。よく米韓同盟が持ちましたね・・・
ところで本日は、回顧録出版を記念し、ゲーツ氏の人柄を知っていただくためにまとめた「ゲーツ元長官語録100選」の紹介記事を再掲載させていただきます
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まんぐーすがブログ「東京の郊外より・・・」を本格的に始めることにしたのは、ロバート・ゲーツ(Robert Michael Gates、1943年9月25日生)第22代国防長官(2006年12月18日~2011年6月30日)の考え方や発言に触れ、是非広く紹介したいと考えたからです。
その発言やメッセージは、若き頃に歴史学者を目指した程の歴史観、明晰な頭脳、CIAで下級職員から長官まで勤める中で国際政治の裏側に接した経験等々に裏打ちされ、非常に味わい深いものとなっています。是非ご覧いただき、参考にしていただければ幸いです。
完全版は長いので、兄弟ブログ「輪になって踊らず」に掲載
↓ ↓ ↓ ↓
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
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ロバート・ゲーツ語録100選の一部をご紹介する前に・・・
まず、ゲーツ氏退任式でのオバマ大統領のスピーチを
「私は知っている。彼が真に困難な議論や決断に直面した時、人間の真の姿が問われる時にどのような態度を取ったか。大統領執務室で、機密会議室で、最前線で」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-23
次に、ゲーツ氏の功績を讃える各方面の声を
米大学生が選ぶ2010 Man of the Year
「大学生は、自分たちが社会システムを変革する力や能力を持つと信じる者たちである。その彼らがtrue role model(真の生きた模範)として選んだのがゲーツ国防長官である」
「ゲーツ長官が正しい事のために敢然と立ち上がり、議論紛糾の困難な2つの戦争の最中にあっても、政党間の誤魔化しでなく、現実の問題に焦点を当てて歴史的なシステムの変革を成し遂げた事を讃えて本賞を贈ることとした」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-24
日立財団の表彰理由
「イラクとアフガニスタンにおける2つの戦争の時代に優れた業績を挙げた。また、彼は、米国史上で唯一、政権交代時に新大統領から留任を要請を受けた国防長官である」
「米国史において下級職の連邦政府公務員から閣僚にまで上りつめた人物は2人だけしかおらず、ゲーツ氏はそのうちの1人である」
→http://www.hitachifoundation.org/news-ja/news-releases/420-robert-m-gates-receives-2012-richardson-award-j
その他にも、「優れた官僚操縦術者」、「最後の侍」、「無駄装備カッター」等々としても知られ、米国内外の多様な方面から賛辞を送られてる人物です。
細部については、「完全版:語録100選」で紹介していますのでご覧下さい
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以下では、「ロバート・ゲーツ語録100選」の一部を
ロバート・ゲーツ語録1
→外交文書漏洩で外交に影響は?と問われ→「米国と関係を持つ国は、国益のためにそうするのであって、米国が好きだからではなく、米国を信用しているからでもなく、また米国が秘密を守ると信じているからでもない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-02
ロバート・ゲーツ語録2
→海軍は空母が支配し、戦闘機と爆撃機が空軍を支配し、戦車が陸軍を、そして着上陸用車両が海兵隊を支配しているのが実態である。→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
ロバート・ゲーツ語録3
→皆に気づいて欲しい。空軍の歴史の大部分は空中戦と爆撃機の能力で彩られているが、ベトナム戦争以来、空軍パイロットは空中戦で相手を撃墜していない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
ロバート・ゲーツ語録5
→次の本格紛争には主に海軍と空軍が関与するであろう現実に、陸軍は向き合うべき。 アジアや中東へ大規模地上部隊を派遣するよう大統領に進言する国防長官が仮に現れたら、頭の検査を受けさせるべきだと思う→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
ロバート・ゲーツ語録10
→米軍には20世紀の世界観が根強く残っており、変化を妨げている。米軍は戦闘で40年間航空機を失っておらず、朝鮮戦争以来、敵の攻撃を受けていない。しかし、21世紀の制空権は米軍の従来の想定とは全く異なるであろう→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録11
→米空軍は、空対空戦闘と戦略爆撃に捕らわれすぎており、他の重要な任務や能力を無視しがちである。ある意味で空軍は、その成功の犠牲者とも言える→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録12
→私がCIA長官の時、イスラエルが無人機を有効使用することを知った。そこで米空軍と共同出資で無人機の導入を働きかけたが1992年に米空軍は拒否した。私は3年前、今度は無人機導入のため牙をむいて4軍と立ち向かった→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録18
→海空軍のため、米軍のため、我が国のため、キャリア指向や旧思考をやめよ。規律正しく、創造的で、改革指向であれ。誠実なリーダーであれ。どのポストに就きたいではなく、何を成し遂げたいかを語れ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-10
ロバート・ゲーツ語録21
→国防省で制服幹部をたしなめている。陸軍は未だにフルダ・ギャップでの戦いを望むのか? 海軍はまだミッドウェー海戦を夢見ているのか? 海兵隊は仁川上陸作戦をもう一度なのか? 空軍は単に飛んでいたいのか?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02
ロバート・ゲーツ語録30
→上品さとは、周りの人、特に部下とどのように接するかで測られる。公平さと敬意を持って接することである。トルーマン大統領は「君たちに反論できない人達とどのように接するか」と表現した→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
ロバート・ゲーツ語録33
→全ての潜在的敵対者、つまりテログループ、ならず者国家、ライジングパワー、これら全てが共通に学び得たものは、米国と通常戦の手法で正面から対峙するのは賢明ではないとの認識である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
ロバート・ゲーツ語録50
→私は歴代のどの国防長官よりも、外交や開発支援等、ソフトパワーの重要性を訴えた。でも間違ってはならない。20世紀のように21世紀でも、侵略者や独裁者やテロリストへの対処を究極で保障するのはハードパワーだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
ロバート・ゲーツ語録56
→私が2006年にこの職について政府の仕事に戻っ際、(貿易摩擦が激化した1992年頃のCIA長官時代と比べ)最も驚いたことが2つある。一つはインドとの関係改善であり、もう一つは日本との関係改善である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
ロバート・ゲーツ語録62
→ベトナム戦争以来、次にどこで軍事力を使用するかの予想において、我が国の指導者は完璧な記録を更新している。つまり完璧に外し続けている→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-07-1
ロバート・ゲーツ語録65
→米国は他国を厳しく批判する前に、自身が現在に至るまでの長い道のりを振り返らねばならない。フランス革命に背を向け、奴隷制度を維持した国が、アフリカ系米国人大統領を持つまでに至った長い道のりを→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-16
ロバート・ゲーツ語録77
→胡錦濤主席を含め、同席の中国側文民関係者は誰一人J-20初飛行の件について知らないようだった。これが軍人と政府の両方と会談した一つの理由である。軍人と文民が共にテーブルを囲む戦略対話の必要性が高い→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1
ロバート・ゲーツ語録93
→2つの戦争が継続中で、多くの若者が日々命を落としていた。このような状況で、もし続投を要請されたらYesと答えるしかなかった。だから私は要請されないように早い段階から「続投しない」と発言してきたのだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-17-1
ロバート・ゲーツ語録100
→日本と韓国は、米国のパートナーとして適当であるよう調整を続けてきた。しかし依然として、パートナーとして準備し、全ての、くり返すが同盟国としての全ての義務を果たすことができるパートナーでなければならない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-29
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改めてご紹介! あと82語録は下記に
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
その概要は、先週の記事(http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-08)でご紹介しましたが、ご紹介した以外にも、ゲーツ氏の厳しい視線は米軍幹部にも向けられており、今後更に話題になること必至の本です。
個人的には、空軍長官と空軍参謀総長を同時更迭した件やF-22生産打ち切り決断等、米空軍に関する記述も「盛りだくさん」との「噂」もあり、楽しみにしています
米空軍2トップ同時更迭については、回想録の中では「B-52による知らずに核爆弾6発輸送」事件が唯一の理由だと説明されているようで、同空軍長官退任式に招待された際の複雑な心境や「長官の孫から罵声を浴びるのでは」と本当に心配した等の記述もあるようです
ゲーツ氏:回顧本報道に不満!?
13日、TVやラジオに出演のゲーツ氏は
(13日付Defense-Newsによれば)
●この本はとても公明正大なモノであり、何人をも中傷誹謗するモノではない。はっきり申し上げるが、私はブッシュ大統領とオバマ大統領に大息敬意を抱いている(have a lot of respect)
●メディア報道に欠けているのは、私がオバマ大統領の下した決断のほとんどに同意しているという点である。アフガニスタンにおける米国の戦いに関して
●しかしオバマ大統領を批判したいと考えている人々は、私の書いたことを利用していろいろ表現しているのだ
しかし副大統領や大統領府スタッフにはフォロー無く
●NSCスタッフとは何度も口論となった。特に、4つ星の将軍に直接電話するような「攻撃的な」若いホワイトハウススタッフの不遜な態度には閉口した。
●(バイデン副大統領が40年以上に渡り外交問題で誤りを続けているとの記述について弁解せず、)1970年代からバイデン氏の姿勢には不同意だった。彼が70年代に南ベトナム支援に反対した事、イランでのシャーの排除を人権問題の改善と評価したこと、更にレーガン大統領の国防力強化に反対したこと等々に対してである
●率直に言って、長い間、ずっと彼は誤っていると感じ続けていた
韓国に関し興味深い記述が(読売報道)
●2007年11月、当時の韓国大統領だった盧武鉉氏は「アジアでの最大の安保上の脅威は米国と日本だ」と会談で述べた。「反米でおそらく頭が少しおかしい」と思った
●2010年11月の北朝鮮による韓国・延坪島砲撃では、韓国が当初「我々から見て過度に攻撃的な報復計画」を準備していたが、米大統領と私が数日間説得して納めた
イラク問題と日韓のお話
●米軍駐留継続をめぐるイラクとの交渉のさなか、長期にわたり米軍を受け入れている日韓に見解を尋ねたらどうかとイラク側に促したところ、逆効果だった
●日韓とイラクは、受け入れ国の法律を破る米兵への憤りを共有しただけに終わり、自身の提案は「最悪のアイデア」だった
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大統領には一応、表面上だけでも礼儀を尽くしたということでしょう
報道されている回顧本の内容が残るのであり、そこでの表現ぶりは「アフガン撤退ばかりにこだわり、最高指揮官としての現場の兵士への愛情が感じられない」オバマ大統領に厳しいモノである事に変わりありませんから・・・
・・・ということは、バイデン副大統領や大統領府スタッフには「鉄槌」をくれてやりたかったのでしょう。
韓国は「やっぱり」な国なんですね・・・。よく米韓同盟が持ちましたね・・・
ところで本日は、回顧録出版を記念し、ゲーツ氏の人柄を知っていただくためにまとめた「ゲーツ元長官語録100選」の紹介記事を再掲載させていただきます
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まんぐーすがブログ「東京の郊外より・・・」を本格的に始めることにしたのは、ロバート・ゲーツ(Robert Michael Gates、1943年9月25日生)第22代国防長官(2006年12月18日~2011年6月30日)の考え方や発言に触れ、是非広く紹介したいと考えたからです。
その発言やメッセージは、若き頃に歴史学者を目指した程の歴史観、明晰な頭脳、CIAで下級職員から長官まで勤める中で国際政治の裏側に接した経験等々に裏打ちされ、非常に味わい深いものとなっています。是非ご覧いただき、参考にしていただければ幸いです。
完全版は長いので、兄弟ブログ「輪になって踊らず」に掲載
↓ ↓ ↓ ↓
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
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ロバート・ゲーツ語録100選の一部をご紹介する前に・・・
まず、ゲーツ氏退任式でのオバマ大統領のスピーチを
「私は知っている。彼が真に困難な議論や決断に直面した時、人間の真の姿が問われる時にどのような態度を取ったか。大統領執務室で、機密会議室で、最前線で」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-23
次に、ゲーツ氏の功績を讃える各方面の声を
米大学生が選ぶ2010 Man of the Year
「大学生は、自分たちが社会システムを変革する力や能力を持つと信じる者たちである。その彼らがtrue role model(真の生きた模範)として選んだのがゲーツ国防長官である」
「ゲーツ長官が正しい事のために敢然と立ち上がり、議論紛糾の困難な2つの戦争の最中にあっても、政党間の誤魔化しでなく、現実の問題に焦点を当てて歴史的なシステムの変革を成し遂げた事を讃えて本賞を贈ることとした」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-24
日立財団の表彰理由
「イラクとアフガニスタンにおける2つの戦争の時代に優れた業績を挙げた。また、彼は、米国史上で唯一、政権交代時に新大統領から留任を要請を受けた国防長官である」
「米国史において下級職の連邦政府公務員から閣僚にまで上りつめた人物は2人だけしかおらず、ゲーツ氏はそのうちの1人である」
→http://www.hitachifoundation.org/news-ja/news-releases/420-robert-m-gates-receives-2012-richardson-award-j
その他にも、「優れた官僚操縦術者」、「最後の侍」、「無駄装備カッター」等々としても知られ、米国内外の多様な方面から賛辞を送られてる人物です。
細部については、「完全版:語録100選」で紹介していますのでご覧下さい
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以下では、「ロバート・ゲーツ語録100選」の一部を
ロバート・ゲーツ語録1
→外交文書漏洩で外交に影響は?と問われ→「米国と関係を持つ国は、国益のためにそうするのであって、米国が好きだからではなく、米国を信用しているからでもなく、また米国が秘密を守ると信じているからでもない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-02
ロバート・ゲーツ語録2
→海軍は空母が支配し、戦闘機と爆撃機が空軍を支配し、戦車が陸軍を、そして着上陸用車両が海兵隊を支配しているのが実態である。→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
ロバート・ゲーツ語録3
→皆に気づいて欲しい。空軍の歴史の大部分は空中戦と爆撃機の能力で彩られているが、ベトナム戦争以来、空軍パイロットは空中戦で相手を撃墜していない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
ロバート・ゲーツ語録5
→次の本格紛争には主に海軍と空軍が関与するであろう現実に、陸軍は向き合うべき。 アジアや中東へ大規模地上部隊を派遣するよう大統領に進言する国防長官が仮に現れたら、頭の検査を受けさせるべきだと思う→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
ロバート・ゲーツ語録10
→米軍には20世紀の世界観が根強く残っており、変化を妨げている。米軍は戦闘で40年間航空機を失っておらず、朝鮮戦争以来、敵の攻撃を受けていない。しかし、21世紀の制空権は米軍の従来の想定とは全く異なるであろう→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録11
→米空軍は、空対空戦闘と戦略爆撃に捕らわれすぎており、他の重要な任務や能力を無視しがちである。ある意味で空軍は、その成功の犠牲者とも言える→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録12
→私がCIA長官の時、イスラエルが無人機を有効使用することを知った。そこで米空軍と共同出資で無人機の導入を働きかけたが1992年に米空軍は拒否した。私は3年前、今度は無人機導入のため牙をむいて4軍と立ち向かった→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録18
→海空軍のため、米軍のため、我が国のため、キャリア指向や旧思考をやめよ。規律正しく、創造的で、改革指向であれ。誠実なリーダーであれ。どのポストに就きたいではなく、何を成し遂げたいかを語れ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-10
ロバート・ゲーツ語録21
→国防省で制服幹部をたしなめている。陸軍は未だにフルダ・ギャップでの戦いを望むのか? 海軍はまだミッドウェー海戦を夢見ているのか? 海兵隊は仁川上陸作戦をもう一度なのか? 空軍は単に飛んでいたいのか?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02
ロバート・ゲーツ語録30
→上品さとは、周りの人、特に部下とどのように接するかで測られる。公平さと敬意を持って接することである。トルーマン大統領は「君たちに反論できない人達とどのように接するか」と表現した→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
ロバート・ゲーツ語録33
→全ての潜在的敵対者、つまりテログループ、ならず者国家、ライジングパワー、これら全てが共通に学び得たものは、米国と通常戦の手法で正面から対峙するのは賢明ではないとの認識である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
ロバート・ゲーツ語録50
→私は歴代のどの国防長官よりも、外交や開発支援等、ソフトパワーの重要性を訴えた。でも間違ってはならない。20世紀のように21世紀でも、侵略者や独裁者やテロリストへの対処を究極で保障するのはハードパワーだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
ロバート・ゲーツ語録56
→私が2006年にこの職について政府の仕事に戻っ際、(貿易摩擦が激化した1992年頃のCIA長官時代と比べ)最も驚いたことが2つある。一つはインドとの関係改善であり、もう一つは日本との関係改善である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
ロバート・ゲーツ語録62
→ベトナム戦争以来、次にどこで軍事力を使用するかの予想において、我が国の指導者は完璧な記録を更新している。つまり完璧に外し続けている→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-07-1
ロバート・ゲーツ語録65
→米国は他国を厳しく批判する前に、自身が現在に至るまでの長い道のりを振り返らねばならない。フランス革命に背を向け、奴隷制度を維持した国が、アフリカ系米国人大統領を持つまでに至った長い道のりを→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-16
ロバート・ゲーツ語録77
→胡錦濤主席を含め、同席の中国側文民関係者は誰一人J-20初飛行の件について知らないようだった。これが軍人と政府の両方と会談した一つの理由である。軍人と文民が共にテーブルを囲む戦略対話の必要性が高い→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1
ロバート・ゲーツ語録93
→2つの戦争が継続中で、多くの若者が日々命を落としていた。このような状況で、もし続投を要請されたらYesと答えるしかなかった。だから私は要請されないように早い段階から「続投しない」と発言してきたのだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-17-1
ロバート・ゲーツ語録100
→日本と韓国は、米国のパートナーとして適当であるよう調整を続けてきた。しかし依然として、パートナーとして準備し、全ての、くり返すが同盟国としての全ての義務を果たすことができるパートナーでなければならない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-29
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改めてご紹介! あと82語録は下記に
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
ゲーツ氏が回顧本でオバマ痛烈批判 [ゲーツ前国防長官]
14日にゲーツ元国防長官の回顧本「Duty: Memoirs of a Secretary of War」が出版されるらしく、その内容についてNYT紙とWP紙が報道したようです。
タイトル通り、イラクやアフガンでの戦いに関するゲーツ氏の回顧録のようですが、オバマ大統領やホワイトハウス関係者が軍やその戦略を信頼せず、現場の細部に直接口を出す様子を痛烈に批判しているようです
国防長官時は、現役国防高官や軍幹部による政策批判や情報リークを厳しく諫め、意見は言うが命令には忠実だったマーシャル将軍を手本としたゲーツ氏ですが、退任後2年半を経て、再び国のために立ち上がったのかもしれません
早くもレームダック化が公然と囁かれるオバマ政権ですが、人気者ゲーツ氏の言葉は、オバマ大統領だけでなく、バイデン副大統領にも強烈な一撃を与えており、痛手となるでしょう。
7日付Defense-News記事によれば
●2011年3月の会議でゲーツ氏は感じた。「大統領は部下である現場指揮官を信頼していなかった。カルザイ大統領に対してもそうだし、彼の自身の戦略さえも信じていなかった。戦争のことを考えていないと私は感じた」、「彼にとって撤退のみが頭にあったのだ」
●とげとげしいホワイトハウスとの激論の末、大統領が3万人の増派を増派を許可しておきながら、大統領は疑念に取り付かれ、軍への不信感に満ちた文民補佐官に囲まれていた。「失敗するとまでは確信していなかったにせよ、大統領は懐疑的だった」
●(大統領の部下である)国防長官としての落ち着いた腰の低い姿勢とは対照的に、彼は回顧録の中で時に辛辣な表現で攻撃を行っている
●ニクソン政権時代から下級のCIA職員として時々の政権に仕えてきたゲーツ氏であるが、オバマ政権のホワイトハウスが持つ「管理したい体質」、つまり文民補佐官が軍事作戦に理解不足でありながら、常々から国防省の所掌業務に干渉することに対し不満を表明している
●大統領や副大統領を含むホワイトハウス高官の間には、あまりにも早い段階から軍の主要幹部に対する会議や不信感がはびこっており、国防長官として軍指揮官である大統領と米軍指揮官との関係を保つのに多いに苦労した
●オバマ政権のホワイトハウスが、あまりにも戦いの不確かさや予測不可能性に理解を示さないので、アフガンに関する2009年9月の会議の後、ゲーツ氏は辞任寸前の状態にあった。
●当時のクリントン国務長官をゲーツ氏は高く評価しているが、2007年にブッシュ政権が決断して行われたイラクへの兵員増強に関し、大統領とクリントン国務長官が公に、ゲーツ氏もブッシュ政権時に努力した増派に反対していたことを、ゲーツ氏の前で認めたことに衝撃を受けた
●一方で、ゲーツ氏が当初反対したオバマ大統領によるビンラディン作戦実施の決断を、「これまでホワイトハウスで目にした中で、最も勇気ある決断の一つだった」とゲーツ氏は表現している
米NSCのHayden報道官は大統領を擁護し
●オバマ大統領がアフガンでの戦いの収拾に向けた明確な計画を持ちつつ、継続してアルカイダ撲滅に関与していることは周知の通りである。
●ゲーツ氏はバイデン大統領が過去40年間にわたりほぼ全ての安全保障や外交案件について誤った態度をとり続けていると主張しているが、大統領はこの主張に不同意である。バイデン氏はこの時代を代表する政治家であり、米国の世界における指導力の進展に貢献してきた
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
政治に対する閉塞感や不満が渦巻く米国ですから、ゲーツ氏のような「惜しまれつつ」政権を去った人の言葉は大きなインパクトを持つような気がします
日本で翻訳本が出る可能性は低いと思われますが、是非どなたかに取り組んで頂きたいものです
それにしても「過去40年間にわたり、ほぼ全ての安全保障や外交案件について誤った態度をとり続けている」と、これ以上ない言葉で酷評されているバイデン氏。奥様を含め、良い評判を全く聞きませんが、その通りの方のようですね。
WSJも報道
→http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140108-00000051-wsj-int
ゲーツ元国防長官の関連記事146本
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300801461-1
まんぐーすがこのブログを始めた契機は、ゲーツ氏の言葉を伝えたかったからです
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
タイトル通り、イラクやアフガンでの戦いに関するゲーツ氏の回顧録のようですが、オバマ大統領やホワイトハウス関係者が軍やその戦略を信頼せず、現場の細部に直接口を出す様子を痛烈に批判しているようです
国防長官時は、現役国防高官や軍幹部による政策批判や情報リークを厳しく諫め、意見は言うが命令には忠実だったマーシャル将軍を手本としたゲーツ氏ですが、退任後2年半を経て、再び国のために立ち上がったのかもしれません
早くもレームダック化が公然と囁かれるオバマ政権ですが、人気者ゲーツ氏の言葉は、オバマ大統領だけでなく、バイデン副大統領にも強烈な一撃を与えており、痛手となるでしょう。
7日付Defense-News記事によれば
●2011年3月の会議でゲーツ氏は感じた。「大統領は部下である現場指揮官を信頼していなかった。カルザイ大統領に対してもそうだし、彼の自身の戦略さえも信じていなかった。戦争のことを考えていないと私は感じた」、「彼にとって撤退のみが頭にあったのだ」
●とげとげしいホワイトハウスとの激論の末、大統領が3万人の増派を増派を許可しておきながら、大統領は疑念に取り付かれ、軍への不信感に満ちた文民補佐官に囲まれていた。「失敗するとまでは確信していなかったにせよ、大統領は懐疑的だった」
●(大統領の部下である)国防長官としての落ち着いた腰の低い姿勢とは対照的に、彼は回顧録の中で時に辛辣な表現で攻撃を行っている
●ニクソン政権時代から下級のCIA職員として時々の政権に仕えてきたゲーツ氏であるが、オバマ政権のホワイトハウスが持つ「管理したい体質」、つまり文民補佐官が軍事作戦に理解不足でありながら、常々から国防省の所掌業務に干渉することに対し不満を表明している
●大統領や副大統領を含むホワイトハウス高官の間には、あまりにも早い段階から軍の主要幹部に対する会議や不信感がはびこっており、国防長官として軍指揮官である大統領と米軍指揮官との関係を保つのに多いに苦労した
●オバマ政権のホワイトハウスが、あまりにも戦いの不確かさや予測不可能性に理解を示さないので、アフガンに関する2009年9月の会議の後、ゲーツ氏は辞任寸前の状態にあった。
●当時のクリントン国務長官をゲーツ氏は高く評価しているが、2007年にブッシュ政権が決断して行われたイラクへの兵員増強に関し、大統領とクリントン国務長官が公に、ゲーツ氏もブッシュ政権時に努力した増派に反対していたことを、ゲーツ氏の前で認めたことに衝撃を受けた
●一方で、ゲーツ氏が当初反対したオバマ大統領によるビンラディン作戦実施の決断を、「これまでホワイトハウスで目にした中で、最も勇気ある決断の一つだった」とゲーツ氏は表現している
米NSCのHayden報道官は大統領を擁護し
●オバマ大統領がアフガンでの戦いの収拾に向けた明確な計画を持ちつつ、継続してアルカイダ撲滅に関与していることは周知の通りである。
●ゲーツ氏はバイデン大統領が過去40年間にわたりほぼ全ての安全保障や外交案件について誤った態度をとり続けていると主張しているが、大統領はこの主張に不同意である。バイデン氏はこの時代を代表する政治家であり、米国の世界における指導力の進展に貢献してきた
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政治に対する閉塞感や不満が渦巻く米国ですから、ゲーツ氏のような「惜しまれつつ」政権を去った人の言葉は大きなインパクトを持つような気がします
日本で翻訳本が出る可能性は低いと思われますが、是非どなたかに取り組んで頂きたいものです
それにしても「過去40年間にわたり、ほぼ全ての安全保障や外交案件について誤った態度をとり続けている」と、これ以上ない言葉で酷評されているバイデン氏。奥様を含め、良い評判を全く聞きませんが、その通りの方のようですね。
WSJも報道
→http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140108-00000051-wsj-int
ゲーツ元国防長官の関連記事146本
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300801461-1
まんぐーすがこのブログを始めた契機は、ゲーツ氏の言葉を伝えたかったからです
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
ロバート・ゲーツ元国防長官語録100選 [ゲーツ前国防長官]
まんぐーすがブログ「東京の郊外より・・・」を本格的に始めることにしたのは、ロバート・ゲーツ(Robert Michael Gates、1943年9月25日生)第22代国防長官(2006年12月18日~2011年6月30日)の考え方や発言に触れ、是非広く紹介したいと考えたからです。
その発言やメッセージは、圧倒的な知力や史実や国際政治の裏側に接した経験に裏打ちされ、非常に味わい深いものとなっています。是非ご覧いただき、参考にしていただければ幸いです。
完全版は長いので、兄弟ブログ「輪になって踊らず」に掲載
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「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
ロバート・ゲーツ語録100選の一部をご紹介する前に・・・
まず、ゲーツ氏退任式でのオバマ大統領のスピーチを
「私は知っている。彼が真に困難な議論や決断に直面した時、人間の真の姿が問われる時にどのような態度を取ったか。大統領執務室で、機密会議室で、最前線で」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-23
次に、ゲーツ氏の功績を讃える各方面の声を
米大学生が選ぶ2010 Man of the Year
「大学生は、自分たちが社会システムを変革する力や能力を持つと信じる者たちである。その彼らがtrue role model(真の生きた模範)として選んだのがゲーツ国防長官である」
「ゲーツ長官が正しい事のために敢然と立ち上がり、議論紛糾の困難な2つの戦争の最中にあっても、政党間の誤魔化しでなく、現実の問題に焦点を当てて歴史的なシステムの変革を成し遂げた事を讃えて本賞を贈ることとした」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-24
日立財団の表彰理由
「イラクとアフガニスタンにおける2つの戦争の時代に優れた業績を挙げた。また、彼は、米国史上で唯一、政権交代時に新大統領から留任を要請を受けた国防長官である」
「米国史において下級職の連邦政府公務員から閣僚にまで上りつめた人物は2人だけしかおらず、ゲーツ氏はそのうちの1人である」
→http://www.hitachifoundation.org/news-ja/news-releases/420-robert-m-gates-receives-2012-richardson-award-j
以下では、ロバート・ゲーツ語録100選の一部18個を
ロバート・ゲーツ語録1
→外交文書漏洩で外交に影響は?と問われ→「米国と関係を持つ国は、国益のためにそうするのであって、米国が好きだからではなく、米国を信用しているからでもなく、また米国が秘密を守ると信じているからでもない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-02
ロバート・ゲーツ語録2
→海軍は空母が支配し、戦闘機と爆撃機が空軍を支配し、戦車が陸軍を、そして着上陸用車両が海兵隊を支配しているのが実態である。→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
ロバート・ゲーツ語録3
→皆に気づいて欲しい。空軍の歴史の大部分は空中戦と爆撃機の能力で彩られているが、ベトナム戦争以来、空軍パイロットは空中戦で相手を撃墜していない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
ロバート・ゲーツ語録5
→次の本格紛争には主に海軍と空軍が関与するであろう現実に、陸軍は向き合うべき。 アジアや中東へ大規模地上部隊を派遣するよう大統領に進言する国防長官が仮に現れたら、頭の検査を受けさせるべきだと思う→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
ロバート・ゲーツ語録10
→米軍には20世紀の世界観が根強く残っており、変化を妨げている。米軍は戦闘で40年間航空機を失っておらず、朝鮮戦争以来、敵の攻撃を受けていない。しかし、21世紀の制空権は米軍の従来の想定とは全く異なるであろう→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録11
→米空軍は、空対空戦闘と戦略爆撃に捕らわれすぎており、他の重要な任務や能力を無視しがちである。ある意味で空軍は、その成功の犠牲者とも言える→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録12
→私がCIA長官の時、イスラエルが無人機を有効使用することを知った。そこで米空軍と共同出資で無人機の導入を働きかけたが1992年に米空軍は拒否した。私は3年前、今度は無人機導入のため牙をむいて4軍と立ち向かった→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録18
→海空軍のため、米軍のため、我が国のため、キャリア指向や旧思考をやめよ。規律正しく、創造的で、改革指向であれ。誠実なリーダーであれ。どのポストに就きたいではなく、何を成し遂げたいかを語れ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-10
ロバート・ゲーツ語録21
→国防省で制服幹部をたしなめている。陸軍は未だにフルダ・ギャップでの戦いを望むのか? 海軍はまだミッドウェー海戦を夢見ているのか? 海兵隊は仁川上陸作戦をもう一度なのか? 空軍は単に飛んでいたいのか?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02
ロバート・ゲーツ語録30
→上品さとは、周りの人、特に部下とどのように接するかで測られる。公平さと敬意を持って接することである。トルーマン大統領は「君たちに反論できない人達とどのように接するか」と表現した→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
ロバート・ゲーツ語録33
→全ての潜在的敵対者、つまりテログループ、ならず者国家、ライジングパワー、これら全てが共通に学び得たものは、米国と通常戦の手法で正面から対峙するのは賢明ではないとの認識である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
ロバート・ゲーツ語録50
→私は歴代のどの国防長官よりも、外交や開発支援等、ソフトパワーの重要性を訴えた。でも間違ってはならない。20世紀のように21世紀でも、侵略者や独裁者やテロリストへの対処を究極で保障するのはハードパワーだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
ロバート・ゲーツ語録56
→私が2006年にこの職について政府の仕事に戻っ際、(貿易摩擦が激化した1992年頃のCIA長官時代と比べ)最も驚いたことが2つある。一つはインドとの関係改善であり、もう一つは日本との関係改善である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
ロバート・ゲーツ語録62
→ベトナム戦争以来、次にどこで軍事力を使用するかの予想において、我が国の指導者は完璧な記録を更新している。つまり完璧に外し続けている→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-07-1
ロバート・ゲーツ語録65
→米国は他国を厳しく批判する前に、自身が現在に至るまでの長い道のりを振り返らねばならない。フランス革命に背を向け、奴隷制度を維持した国が、アフリカ系米国人大統領を持つまでに至った長い道のりを→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-16
ロバート・ゲーツ語録77
→胡錦濤主席を含め、同席の中国側文民関係者は誰一人J-20初飛行の件について知らないようだった。これが軍人と政府の両方と会談した一つの理由である。軍人と文民が共にテーブルを囲む戦略対話の必要性が高い→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1
ロバート・ゲーツ語録93
→2つの戦争が継続中で、多くの若者が日々命を落としていた。このような状況で、もし続投を要請されたらYesと答えるしかなかった。だから私は要請されないように早い段階から「続投しない」と発言してきたのだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-17-1
ロバート・ゲーツ語録100
→日本と韓国は、米国のパートナーとして適当であるよう調整を続けてきた。しかし依然として、パートナーとして準備し、全ての、くり返すが同盟国としての全ての義務を果たすことができるパートナーでなければならない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-29
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改めてご紹介! あと82語録は下記に
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
その発言やメッセージは、圧倒的な知力や史実や国際政治の裏側に接した経験に裏打ちされ、非常に味わい深いものとなっています。是非ご覧いただき、参考にしていただければ幸いです。
完全版は長いので、兄弟ブログ「輪になって踊らず」に掲載
↓ ↓ ↓ ↓
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
ロバート・ゲーツ語録100選の一部をご紹介する前に・・・
まず、ゲーツ氏退任式でのオバマ大統領のスピーチを
「私は知っている。彼が真に困難な議論や決断に直面した時、人間の真の姿が問われる時にどのような態度を取ったか。大統領執務室で、機密会議室で、最前線で」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-23
次に、ゲーツ氏の功績を讃える各方面の声を
米大学生が選ぶ2010 Man of the Year
「大学生は、自分たちが社会システムを変革する力や能力を持つと信じる者たちである。その彼らがtrue role model(真の生きた模範)として選んだのがゲーツ国防長官である」
「ゲーツ長官が正しい事のために敢然と立ち上がり、議論紛糾の困難な2つの戦争の最中にあっても、政党間の誤魔化しでなく、現実の問題に焦点を当てて歴史的なシステムの変革を成し遂げた事を讃えて本賞を贈ることとした」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-24
日立財団の表彰理由
「イラクとアフガニスタンにおける2つの戦争の時代に優れた業績を挙げた。また、彼は、米国史上で唯一、政権交代時に新大統領から留任を要請を受けた国防長官である」
「米国史において下級職の連邦政府公務員から閣僚にまで上りつめた人物は2人だけしかおらず、ゲーツ氏はそのうちの1人である」
→http://www.hitachifoundation.org/news-ja/news-releases/420-robert-m-gates-receives-2012-richardson-award-j
以下では、ロバート・ゲーツ語録100選の一部18個を
ロバート・ゲーツ語録1
→外交文書漏洩で外交に影響は?と問われ→「米国と関係を持つ国は、国益のためにそうするのであって、米国が好きだからではなく、米国を信用しているからでもなく、また米国が秘密を守ると信じているからでもない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-02
ロバート・ゲーツ語録2
→海軍は空母が支配し、戦闘機と爆撃機が空軍を支配し、戦車が陸軍を、そして着上陸用車両が海兵隊を支配しているのが実態である。→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
ロバート・ゲーツ語録3
→皆に気づいて欲しい。空軍の歴史の大部分は空中戦と爆撃機の能力で彩られているが、ベトナム戦争以来、空軍パイロットは空中戦で相手を撃墜していない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
ロバート・ゲーツ語録5
→次の本格紛争には主に海軍と空軍が関与するであろう現実に、陸軍は向き合うべき。 アジアや中東へ大規模地上部隊を派遣するよう大統領に進言する国防長官が仮に現れたら、頭の検査を受けさせるべきだと思う→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
ロバート・ゲーツ語録10
→米軍には20世紀の世界観が根強く残っており、変化を妨げている。米軍は戦闘で40年間航空機を失っておらず、朝鮮戦争以来、敵の攻撃を受けていない。しかし、21世紀の制空権は米軍の従来の想定とは全く異なるであろう→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録11
→米空軍は、空対空戦闘と戦略爆撃に捕らわれすぎており、他の重要な任務や能力を無視しがちである。ある意味で空軍は、その成功の犠牲者とも言える→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録12
→私がCIA長官の時、イスラエルが無人機を有効使用することを知った。そこで米空軍と共同出資で無人機の導入を働きかけたが1992年に米空軍は拒否した。私は3年前、今度は無人機導入のため牙をむいて4軍と立ち向かった→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録18
→海空軍のため、米軍のため、我が国のため、キャリア指向や旧思考をやめよ。規律正しく、創造的で、改革指向であれ。誠実なリーダーであれ。どのポストに就きたいではなく、何を成し遂げたいかを語れ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-10
ロバート・ゲーツ語録21
→国防省で制服幹部をたしなめている。陸軍は未だにフルダ・ギャップでの戦いを望むのか? 海軍はまだミッドウェー海戦を夢見ているのか? 海兵隊は仁川上陸作戦をもう一度なのか? 空軍は単に飛んでいたいのか?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02
ロバート・ゲーツ語録30
→上品さとは、周りの人、特に部下とどのように接するかで測られる。公平さと敬意を持って接することである。トルーマン大統領は「君たちに反論できない人達とどのように接するか」と表現した→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
ロバート・ゲーツ語録33
→全ての潜在的敵対者、つまりテログループ、ならず者国家、ライジングパワー、これら全てが共通に学び得たものは、米国と通常戦の手法で正面から対峙するのは賢明ではないとの認識である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
ロバート・ゲーツ語録50
→私は歴代のどの国防長官よりも、外交や開発支援等、ソフトパワーの重要性を訴えた。でも間違ってはならない。20世紀のように21世紀でも、侵略者や独裁者やテロリストへの対処を究極で保障するのはハードパワーだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
ロバート・ゲーツ語録56
→私が2006年にこの職について政府の仕事に戻っ際、(貿易摩擦が激化した1992年頃のCIA長官時代と比べ)最も驚いたことが2つある。一つはインドとの関係改善であり、もう一つは日本との関係改善である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
ロバート・ゲーツ語録62
→ベトナム戦争以来、次にどこで軍事力を使用するかの予想において、我が国の指導者は完璧な記録を更新している。つまり完璧に外し続けている→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-07-1
ロバート・ゲーツ語録65
→米国は他国を厳しく批判する前に、自身が現在に至るまでの長い道のりを振り返らねばならない。フランス革命に背を向け、奴隷制度を維持した国が、アフリカ系米国人大統領を持つまでに至った長い道のりを→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-16
ロバート・ゲーツ語録77
→胡錦濤主席を含め、同席の中国側文民関係者は誰一人J-20初飛行の件について知らないようだった。これが軍人と政府の両方と会談した一つの理由である。軍人と文民が共にテーブルを囲む戦略対話の必要性が高い→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1
ロバート・ゲーツ語録93
→2つの戦争が継続中で、多くの若者が日々命を落としていた。このような状況で、もし続投を要請されたらYesと答えるしかなかった。だから私は要請されないように早い段階から「続投しない」と発言してきたのだ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-17-1
ロバート・ゲーツ語録100
→日本と韓国は、米国のパートナーとして適当であるよう調整を続けてきた。しかし依然として、パートナーとして準備し、全ての、くり返すが同盟国としての全ての義務を果たすことができるパートナーでなければならない→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-29
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改めてご紹介! あと82語録は下記に
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
ゲーツ前長官の肖像画がペンタゴンに [ゲーツ前国防長官]
お気楽な話題です
30日、米国の政経中枢がハリケーンで麻痺していた中で、ゲーツ前国防長官の肖像画お披露目式典がペンタゴン内で行われたようです。
本当にお久しぶりです・・・ゲーツ氏も登場しました。
極めて米国防省や米軍内で評判の悪かったラムズフェルド元長官の肖像画は、このタイミングで取り払われたとのこと
ゲーツ長官時代から勤務する職員も多く駆けつけ、和やかな雰囲気の中、パネッタ長官とゲーツ前長官のジョークも飛び交い、ささやかながら印象深いセレモニーだったようです
パネッタ長官は式典で・・・
●ゲーツ氏が長官に就任した際、3つの優先課題があった。一にイラク、二にイラク、三にイラクである。そして彼は現場指揮官や兵士が任務達成に必要な装備を如何に届けるかに奔走した
●IED(仕掛け爆弾)に強い兵員装甲車MRAPsを前線に届けるため、強固にはびこった国防官僚組織の抵抗を打破し、現場の要望に応えたその姿勢は記憶に新しい。
●今も前線から届く同装甲車の高い評価を聞くたびに、ボブ(ゲーツ氏の愛称)を思い出す
(その後も、ゲーツ氏が成しえた数々の功績を讃えた後に・・・)
●個人的にはゲーツ氏との忘れられない思い出がある。2006年にイラク調査チームのメンバーとして共にバクダット等を訪問した時のことだ。
●移動に利用した航空機は、敵の対空砲火を避けるためジェットコースターのような機動で着陸し、その後も武装ヘリで移動を重ねた
●訪れた先では、お茶ばかりを頂くことになった(we drank tea after tea after tea after tea:砂糖いっぱいの甘い紅茶)。
●でも最後は我慢できなくなり、現地のCIA本部内にあるバーに2人で駆け込み「a decent drink」を共に味わった。ボブが私と同じタイプの人間だと悟った瞬間だった
ゲーツ前長官は肖像画を前に・・・
●描いてくれた画家(Ray Kinstler)は7人の大統領と60人以上の閣僚の肖像画を描いた著名な人物である。幸い私はCIA長官を退任した1993年にも彼に描いてもらったことがある
●先日1993年の肖像画を見る機会があったが、ほとんど違いはなかった(笑)。すこしばかり軽量に、少しばかり背が高く描かれていた。背の分は白髪の分量の差であるが(爆笑)
●ワシントンDCのような場所に長く居すぎると、このように時代を経た姿を比較されることになる
●この肖像画を見て思い出してほしいのは、私が国防長官としての日々をシンプルな問いかけをしながら送っていたことです。
●その問いかけとは・・・前線部隊が任務達成のために、また無事帰還するために、更に傷ついた場合に最善の治療が受けられるように、我々は必要な全てを供給する努力を行っているか・・・との問いかけです
////////////////////////////////////////////////
久々に「ゲーツ節」を聞かせていただきました。しみじみモードになりますねぇ・・・(遠目涙)
こんな嵐の日に・・・やはり嵐を呼ぶ男なんでしょうか・・・
まんぐーすが大好きなゲーツ前長官のスピーチ
海軍士官学校卒業式で・・「リーダーとしての自信とは・・・上品さとは・・・信念とは・・・勇気とは・・・」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28 何度でも読み返したい
ゲーツ前長官の退任式
オバマ大統領の送別の辞→「私は知っている。彼が真に困難な議論や決断に直面した時、人間の真の姿が問われる時にどのような態度を取ったか。大統領執務室で、機密会議室で、最前線で・・・」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-23
ゲーツ前国防長官カテゴリー記事140本で「ゲーツ節」を・・
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300801461-1
30日、米国の政経中枢がハリケーンで麻痺していた中で、ゲーツ前国防長官の肖像画お披露目式典がペンタゴン内で行われたようです。
本当にお久しぶりです・・・ゲーツ氏も登場しました。
極めて米国防省や米軍内で評判の悪かったラムズフェルド元長官の肖像画は、このタイミングで取り払われたとのこと
ゲーツ長官時代から勤務する職員も多く駆けつけ、和やかな雰囲気の中、パネッタ長官とゲーツ前長官のジョークも飛び交い、ささやかながら印象深いセレモニーだったようです
パネッタ長官は式典で・・・
●ゲーツ氏が長官に就任した際、3つの優先課題があった。一にイラク、二にイラク、三にイラクである。そして彼は現場指揮官や兵士が任務達成に必要な装備を如何に届けるかに奔走した
●IED(仕掛け爆弾)に強い兵員装甲車MRAPsを前線に届けるため、強固にはびこった国防官僚組織の抵抗を打破し、現場の要望に応えたその姿勢は記憶に新しい。
●今も前線から届く同装甲車の高い評価を聞くたびに、ボブ(ゲーツ氏の愛称)を思い出す
(その後も、ゲーツ氏が成しえた数々の功績を讃えた後に・・・)
●個人的にはゲーツ氏との忘れられない思い出がある。2006年にイラク調査チームのメンバーとして共にバクダット等を訪問した時のことだ。
●移動に利用した航空機は、敵の対空砲火を避けるためジェットコースターのような機動で着陸し、その後も武装ヘリで移動を重ねた
●訪れた先では、お茶ばかりを頂くことになった(we drank tea after tea after tea after tea:砂糖いっぱいの甘い紅茶)。
●でも最後は我慢できなくなり、現地のCIA本部内にあるバーに2人で駆け込み「a decent drink」を共に味わった。ボブが私と同じタイプの人間だと悟った瞬間だった
ゲーツ前長官は肖像画を前に・・・
●描いてくれた画家(Ray Kinstler)は7人の大統領と60人以上の閣僚の肖像画を描いた著名な人物である。幸い私はCIA長官を退任した1993年にも彼に描いてもらったことがある
●先日1993年の肖像画を見る機会があったが、ほとんど違いはなかった(笑)。すこしばかり軽量に、少しばかり背が高く描かれていた。背の分は白髪の分量の差であるが(爆笑)
●ワシントンDCのような場所に長く居すぎると、このように時代を経た姿を比較されることになる
●この肖像画を見て思い出してほしいのは、私が国防長官としての日々をシンプルな問いかけをしながら送っていたことです。
●その問いかけとは・・・前線部隊が任務達成のために、また無事帰還するために、更に傷ついた場合に最善の治療が受けられるように、我々は必要な全てを供給する努力を行っているか・・・との問いかけです
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久々に「ゲーツ節」を聞かせていただきました。しみじみモードになりますねぇ・・・(遠目涙)
こんな嵐の日に・・・やはり嵐を呼ぶ男なんでしょうか・・・
まんぐーすが大好きなゲーツ前長官のスピーチ
海軍士官学校卒業式で・・「リーダーとしての自信とは・・・上品さとは・・・信念とは・・・勇気とは・・・」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28 何度でも読み返したい
ゲーツ前長官の退任式
オバマ大統領の送別の辞→「私は知っている。彼が真に困難な議論や決断に直面した時、人間の真の姿が問われる時にどのような態度を取ったか。大統領執務室で、機密会議室で、最前線で・・・」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-23
ゲーツ前国防長官カテゴリー記事140本で「ゲーツ節」を・・
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300801461-1
ゲーツ長官退任式:最後の挨拶とオバマ送別の辞 [ゲーツ前国防長官]
あれからちょうど1年・・
まんぐーすがブログを続けられたのは、この人を、この人物の言葉を紹介したかったからです。
この人は、親日家とか日本応援団ではありません。
クリントン政権下のCIA長官時は、対日貿易摩擦解消のための対日戦略(日本を頭打ち)をその立場で支えた人物です。
国防長官としての来日時も、日本の態度が煮え切らないと、儀礼式典や夕食会を平気で断る冷徹な国益主義者の側面も持っていた人物でした。
しかしその考え方や仕事ぶりに、まんぐーすは感銘を受けました。
今も本ブログには約140本のゲーツ氏関連記事を掲載していますが、そのスピーチや記者会見やインタビューで語った内容は、普遍的な意味を持っていると思うのです。
うまく説明できませんが、あんな風に日本の安全保障を考え語れるようになりたいと思い、「東京の郊外より・・・」を続けています。
以下は、2011年6月30日に行われた離任式の模様を紹介した記事です。
●オバマ大統領がゲーツ氏を紹介する部分は、大切な人を送る時にぜひ自分でも使ってみたい大好きなところです。
●ゲーツ氏の離任の辞は、極めて抑えたトーンで、淡々とお世話になった人々への謝辞が続きます。
●そして最後の部分、ゲーツ氏が尊敬し、その肖像画を執務室に掲げていたマーシャル将軍(後に国務長官や国防長官を歴任。戦後欧州復興のマーシャルプランで有名 ノーベル平和賞)の言葉を引用する部分は、マーシャル将軍のように大統領への礼を尽くしつつも「男の最後の意地」を見せた部分でしょう。
ゲーツ氏が惜しまれつつ国防長官を辞した様子は以下にも
離任式報道:これほど惜しまれつつ・・
→http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/516100/
日立財団の表彰理由
→http://www.hitachifoundation.org/news-ja/news-releases/420-robert-m-gates-receives-2012-richardson-award-j
米大学生が選ぶ2010 Man of the Year
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-24
ゲーツ氏の官僚操縦術
→http://www.canon-igs.org/column/security/20110706_946.html
最後の侍が去った(2011年7月11日部分)
→http://www.takashi-kawakami.com/blog.html
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オバマ大統領送別の辞(一部)
私が大統領に決定した時、ボブは既に7人の大統領に仕えてきた。そして記者達に8人目はどうですかと質問され、「全く考えられない」と答えた(笑)。
では、なぜ彼は職を継続することに同意してくれたのか? 当然、彼とベッキー夫人もどうすべきか悩んだであろうが・・・。
しかし私は知っている。彼が真に困難な議論や決断に直面した時、人間の真の姿が問われる時にどのような態度を取ったか。大統領執務室で、機密会議室で、最前線で・・その態度から、「なぜ」への答えは明らかだ。
この人物の比喩やジョーク、そしてワシントンへの愛(笑)、更に私が知り、尊敬するに至ったこの男は、謙虚で常識ある上品な愛国者で、我が国最高の公僕の一人である。
ボブ、あなたが残してゆく伝統の最大のものは、あなたが救い励ました兵士達が、彼らのことを常に考えて支え、彼らを愛し、そして彼らのために戦ってくれる国防長官がいたことを胸に刻んでいることである。
(中略)
この偉大な公僕を前に、彼が残した教訓、特に米国の若者に対して・・公に尽くすことの重要性を強調しておきたい。国家の要望に応え、我が祖国をより良く強く子孫に伝えてゆく、公の立場の役割を誰かが担って行かねばならないことを。
(中略)
本日の式典の予定にはないが、他に私はあなたの働きに報いる手段を知らないのだ。どうぞ立ち上がって、これを受け取って欲しい。
大統領自由勲章・表彰文
「22代国防長官ボブ・ゲーツは、己を捨てて人生を米国民のために捧げた。彼は与野党両方の8人の大統領に揺るぎなき愛国心を持って仕えた。兵士達のchampionとして、イラクとアフガンでの戦いの中で国防省を勇気と自信を持って率い、現在と将来の両方の戦への備えができた米国軍を確保した。アメリカ合衆国は、彼のずば抜けた指導力と生涯をかけた国家への貢献を讃える」
(ゲーツ長官の離任スピーチは、写真の後に・・・)
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30日、オバマ大統領から大統領自由勲章を授与されたゲーツ前国防長官は、坦々と最後のスピーチを始めました。
スピーチは順序を追って、在任間にお世話になった人たちへの謝辞で埋め尽くされています。唯一、内向きになりつつある米国と現政権への警告とも取れる「エンディング」を除いては・・・
関係者への謝辞は、まず国民の代表たる議会へ、2人の大統領、側近のスタッフ、4軍のリーダーとマレン議長と前任のペース議長、他政府機関(特に国務省関係者と2人の女性長官)、国防省の文民職員、米軍兵士(昨日、別途メッセージを配信済み)、そして最後にベッキー夫人へ送られました。
以下では、まんぐーすの興味ある部分のみをつまみ食いします。
大統領から予期せぬ自由勲章(最高位)を贈られ・・・
「完全な奇襲攻撃です。あなたがここ数ヶ月、工作活動を得意としていることにもっと注意を払うべきだった(涙目・・)」
先の大統領選挙後、パネッタ氏は新聞にただ一人、「ゲーツを留任させるべき」との記事を書いた。だから今回、オバマ大統領から後任者の推薦を求められたとき、彼を推薦してお返しが出来た(爆笑)
●私のレオン(パネッタ次期国防長官)へのアドバイスは、やりたいようにやるべきだ、です。彼は彼が考えているより長期間ここで勤務することになると思う。
●オバマ大統領へは、それまで面識の全くない私のような人間を、(政権交代時に留任させるという)歴史的一歩を踏み出すときに信頼してくださり、その後も変わらぬ信頼を寄せていただいたことに感謝。
●私が就任して最初に行ったベストの決断は、ラムズフェルド前長官時の主要スタッフをそのまま引き継いだことであり、大部分は今日まで私を支えてくれた。
●マレン統合参謀本部議長は、私に反対することに全く躊躇がなかった。しかし、大統領や私が決断したことに関しては、一貫して頑ななまでに忠実であった。
●国務省に関する私の見方は大きく進化した。私が国家安全保障評議会のメンバーだったニクソン政権時代、彼らの働きはお世辞にも褒められてものではなかった。私が公務に就いている期間の大部分で、国務長官と国防長官が相互に話しかけることがほとんどなかったぐらいである。
●ライスとクリントン国務長官とは、この強力な2人の女性と話し合うだけでなく、助け合う同僚や良き友人として過ごすことができた。私は国務省の予算を増やすように大演説をしたいぐらいである。同時に米国の外交官、援助機関の人々等、世界各地でリスクを冒しながら世界や米国のために尽力する人たちに感謝したい。
●前線兵士を支える仕事をする際、私は限りいフラストレーションを国防省の官僚組織に感じた。しかしながら同時に、この仕組みの中で物事を進めようと、適切な評価を受けることがなくとも、日々悪戦苦闘しているのが国防省の文民職員であることも忘れてはいない。感謝する。
●米軍の兵士諸君へ。既に昨日メッセージを発信した。ここでは改めて、私の人生最後の日まで、前線で戦いそして逃げない若者達のことを考え続けることを誓う。
●家内のベッキーへ。2005年の1月、私が新設のDNIポスト就任を依頼されたとき、さんざん悩んだあげく、家内が「ワシントンDCへは戻りたくない」と言ってくれたら決断できると考え、ベッキーに相談した。彼女の答えは「貴方がやらなければならないことを、私たちはやらなければならない」であった。
●911事案以降、展開命令を受けた兵士の家庭で、このような光景が数え切れないほど繰り返されたのではないかと思う。約5年前に国防長官への就任を打診された時も、ベッキーの反応は同じであり、この仕事を受ける決断を容易にしてくれた。
●ベッキー、今度こそは本当に家に帰ろう。約45年前にインディアナ州でのお見合いで出会って以来の愛情と支えに感謝する。
「Well, Becky, we’re really going home this time.」・
●私は間もなくこの建物から去っていきます。
(離任の辞のエンディング)
国防省の私のオフィスには、既に私物は何も残っていないが、私のヒーローであり人生の師であるアイゼンハワー将軍とマーシャル将軍の肖像画はまだ残っている。そのマーシャル将軍の言葉を最後に紹介したい。
それは約60年前、冷戦黎明期の大学卒業生への言葉で、マーシャルが考えるその世代への重要な「やらねばならない」事項の指摘である。それは・・・
「世界の秩序と安全保障への責任感を涵養せよ、そして国家の行動と行動を怠ることの重大性を認識せよ」とのメッセージである。
この極めて危険な21世紀の最中にある今、マーシャルがこの言葉を最初に用いたときと同様に、米国のみが担いうる世界的な責務と、米国が成すことと成さざる事の重大さが、今も変わらない「やらねばならない」事項だと認識されなければならない。
我々が決して忘れてはならず、軽々に扱うべきでない義務であり、皆さんが継続して果たすであろうと確信している義務である。有り難う。我が軍と祖国に神の祝福が有らんことを。
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オバマ大統領の送別の辞には、これまでゲーツ長官が訴えてきたことや最近のスピーチやインタビューで語ったことがちりばめられており、よく練られた準備されたスピーチです。それをすぐ感じ取ったゲーツ長官は、思わず「ぐっと来た」んでしょう。
ゲーツ長官の挨拶は抑えたトーンです。しかし例えば国務省の職員や予算への言及など、最後の連続怒濤のスピーチで触れることができなかった持論を持ち出している辺りが、最後まで国への愛情が薄れない愛国者の面目躍如です。
退任間際、怒濤の連続スピーチ
「警告する、NATOの2極化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12
「米国の姿勢シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「政治家よ目をそらすな議論を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「米国がやらねば他はやらぬ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
「米国の将来を悲観するな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09
「リーダーたる者は:最後の卒業式」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2
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米海空軍トップが連名でAir-Sea Battleやるぞ宣言!
「概要海空軍トップのASB論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
上記論文のキーワード
「Networked, Integrated Attack-in-Depth 3D」や海空融合作戦例を解説
「抄訳海空軍トップのAS-Battle」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
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過去の主要記事リスト(1100記事記念)を作成しました
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-06-25
まんぐーすがブログを続けられたのは、この人を、この人物の言葉を紹介したかったからです。
この人は、親日家とか日本応援団ではありません。
クリントン政権下のCIA長官時は、対日貿易摩擦解消のための対日戦略(日本を頭打ち)をその立場で支えた人物です。
国防長官としての来日時も、日本の態度が煮え切らないと、儀礼式典や夕食会を平気で断る冷徹な国益主義者の側面も持っていた人物でした。
しかしその考え方や仕事ぶりに、まんぐーすは感銘を受けました。
今も本ブログには約140本のゲーツ氏関連記事を掲載していますが、そのスピーチや記者会見やインタビューで語った内容は、普遍的な意味を持っていると思うのです。
うまく説明できませんが、あんな風に日本の安全保障を考え語れるようになりたいと思い、「東京の郊外より・・・」を続けています。
以下は、2011年6月30日に行われた離任式の模様を紹介した記事です。
●オバマ大統領がゲーツ氏を紹介する部分は、大切な人を送る時にぜひ自分でも使ってみたい大好きなところです。
●ゲーツ氏の離任の辞は、極めて抑えたトーンで、淡々とお世話になった人々への謝辞が続きます。
●そして最後の部分、ゲーツ氏が尊敬し、その肖像画を執務室に掲げていたマーシャル将軍(後に国務長官や国防長官を歴任。戦後欧州復興のマーシャルプランで有名 ノーベル平和賞)の言葉を引用する部分は、マーシャル将軍のように大統領への礼を尽くしつつも「男の最後の意地」を見せた部分でしょう。
ゲーツ氏が惜しまれつつ国防長官を辞した様子は以下にも
離任式報道:これほど惜しまれつつ・・
→http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/516100/
日立財団の表彰理由
→http://www.hitachifoundation.org/news-ja/news-releases/420-robert-m-gates-receives-2012-richardson-award-j
米大学生が選ぶ2010 Man of the Year
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-24
ゲーツ氏の官僚操縦術
→http://www.canon-igs.org/column/security/20110706_946.html
最後の侍が去った(2011年7月11日部分)
→http://www.takashi-kawakami.com/blog.html
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オバマ大統領送別の辞(一部)
私が大統領に決定した時、ボブは既に7人の大統領に仕えてきた。そして記者達に8人目はどうですかと質問され、「全く考えられない」と答えた(笑)。
では、なぜ彼は職を継続することに同意してくれたのか? 当然、彼とベッキー夫人もどうすべきか悩んだであろうが・・・。
しかし私は知っている。彼が真に困難な議論や決断に直面した時、人間の真の姿が問われる時にどのような態度を取ったか。大統領執務室で、機密会議室で、最前線で・・その態度から、「なぜ」への答えは明らかだ。
この人物の比喩やジョーク、そしてワシントンへの愛(笑)、更に私が知り、尊敬するに至ったこの男は、謙虚で常識ある上品な愛国者で、我が国最高の公僕の一人である。
ボブ、あなたが残してゆく伝統の最大のものは、あなたが救い励ました兵士達が、彼らのことを常に考えて支え、彼らを愛し、そして彼らのために戦ってくれる国防長官がいたことを胸に刻んでいることである。
(中略)
この偉大な公僕を前に、彼が残した教訓、特に米国の若者に対して・・公に尽くすことの重要性を強調しておきたい。国家の要望に応え、我が祖国をより良く強く子孫に伝えてゆく、公の立場の役割を誰かが担って行かねばならないことを。
(中略)
本日の式典の予定にはないが、他に私はあなたの働きに報いる手段を知らないのだ。どうぞ立ち上がって、これを受け取って欲しい。
大統領自由勲章・表彰文
「22代国防長官ボブ・ゲーツは、己を捨てて人生を米国民のために捧げた。彼は与野党両方の8人の大統領に揺るぎなき愛国心を持って仕えた。兵士達のchampionとして、イラクとアフガンでの戦いの中で国防省を勇気と自信を持って率い、現在と将来の両方の戦への備えができた米国軍を確保した。アメリカ合衆国は、彼のずば抜けた指導力と生涯をかけた国家への貢献を讃える」
(ゲーツ長官の離任スピーチは、写真の後に・・・)
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30日、オバマ大統領から大統領自由勲章を授与されたゲーツ前国防長官は、坦々と最後のスピーチを始めました。
スピーチは順序を追って、在任間にお世話になった人たちへの謝辞で埋め尽くされています。唯一、内向きになりつつある米国と現政権への警告とも取れる「エンディング」を除いては・・・
関係者への謝辞は、まず国民の代表たる議会へ、2人の大統領、側近のスタッフ、4軍のリーダーとマレン議長と前任のペース議長、他政府機関(特に国務省関係者と2人の女性長官)、国防省の文民職員、米軍兵士(昨日、別途メッセージを配信済み)、そして最後にベッキー夫人へ送られました。
以下では、まんぐーすの興味ある部分のみをつまみ食いします。
大統領から予期せぬ自由勲章(最高位)を贈られ・・・
「完全な奇襲攻撃です。あなたがここ数ヶ月、工作活動を得意としていることにもっと注意を払うべきだった(涙目・・)」
先の大統領選挙後、パネッタ氏は新聞にただ一人、「ゲーツを留任させるべき」との記事を書いた。だから今回、オバマ大統領から後任者の推薦を求められたとき、彼を推薦してお返しが出来た(爆笑)
●私のレオン(パネッタ次期国防長官)へのアドバイスは、やりたいようにやるべきだ、です。彼は彼が考えているより長期間ここで勤務することになると思う。
●オバマ大統領へは、それまで面識の全くない私のような人間を、(政権交代時に留任させるという)歴史的一歩を踏み出すときに信頼してくださり、その後も変わらぬ信頼を寄せていただいたことに感謝。
●私が就任して最初に行ったベストの決断は、ラムズフェルド前長官時の主要スタッフをそのまま引き継いだことであり、大部分は今日まで私を支えてくれた。
●マレン統合参謀本部議長は、私に反対することに全く躊躇がなかった。しかし、大統領や私が決断したことに関しては、一貫して頑ななまでに忠実であった。
●国務省に関する私の見方は大きく進化した。私が国家安全保障評議会のメンバーだったニクソン政権時代、彼らの働きはお世辞にも褒められてものではなかった。私が公務に就いている期間の大部分で、国務長官と国防長官が相互に話しかけることがほとんどなかったぐらいである。
●ライスとクリントン国務長官とは、この強力な2人の女性と話し合うだけでなく、助け合う同僚や良き友人として過ごすことができた。私は国務省の予算を増やすように大演説をしたいぐらいである。同時に米国の外交官、援助機関の人々等、世界各地でリスクを冒しながら世界や米国のために尽力する人たちに感謝したい。
●前線兵士を支える仕事をする際、私は限りいフラストレーションを国防省の官僚組織に感じた。しかしながら同時に、この仕組みの中で物事を進めようと、適切な評価を受けることがなくとも、日々悪戦苦闘しているのが国防省の文民職員であることも忘れてはいない。感謝する。
●米軍の兵士諸君へ。既に昨日メッセージを発信した。ここでは改めて、私の人生最後の日まで、前線で戦いそして逃げない若者達のことを考え続けることを誓う。
●家内のベッキーへ。2005年の1月、私が新設のDNIポスト就任を依頼されたとき、さんざん悩んだあげく、家内が「ワシントンDCへは戻りたくない」と言ってくれたら決断できると考え、ベッキーに相談した。彼女の答えは「貴方がやらなければならないことを、私たちはやらなければならない」であった。
●911事案以降、展開命令を受けた兵士の家庭で、このような光景が数え切れないほど繰り返されたのではないかと思う。約5年前に国防長官への就任を打診された時も、ベッキーの反応は同じであり、この仕事を受ける決断を容易にしてくれた。
●ベッキー、今度こそは本当に家に帰ろう。約45年前にインディアナ州でのお見合いで出会って以来の愛情と支えに感謝する。
「Well, Becky, we’re really going home this time.」・
●私は間もなくこの建物から去っていきます。
(離任の辞のエンディング)
国防省の私のオフィスには、既に私物は何も残っていないが、私のヒーローであり人生の師であるアイゼンハワー将軍とマーシャル将軍の肖像画はまだ残っている。そのマーシャル将軍の言葉を最後に紹介したい。
それは約60年前、冷戦黎明期の大学卒業生への言葉で、マーシャルが考えるその世代への重要な「やらねばならない」事項の指摘である。それは・・・
「世界の秩序と安全保障への責任感を涵養せよ、そして国家の行動と行動を怠ることの重大性を認識せよ」とのメッセージである。
この極めて危険な21世紀の最中にある今、マーシャルがこの言葉を最初に用いたときと同様に、米国のみが担いうる世界的な責務と、米国が成すことと成さざる事の重大さが、今も変わらない「やらねばならない」事項だと認識されなければならない。
我々が決して忘れてはならず、軽々に扱うべきでない義務であり、皆さんが継続して果たすであろうと確信している義務である。有り難う。我が軍と祖国に神の祝福が有らんことを。
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オバマ大統領の送別の辞には、これまでゲーツ長官が訴えてきたことや最近のスピーチやインタビューで語ったことがちりばめられており、よく練られた準備されたスピーチです。それをすぐ感じ取ったゲーツ長官は、思わず「ぐっと来た」んでしょう。
ゲーツ長官の挨拶は抑えたトーンです。しかし例えば国務省の職員や予算への言及など、最後の連続怒濤のスピーチで触れることができなかった持論を持ち出している辺りが、最後まで国への愛情が薄れない愛国者の面目躍如です。
退任間際、怒濤の連続スピーチ
「警告する、NATOの2極化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12
「米国の姿勢シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「政治家よ目をそらすな議論を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「米国がやらねば他はやらぬ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
「米国の将来を悲観するな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09
「リーダーたる者は:最後の卒業式」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
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「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2
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米海空軍トップが連名でAir-Sea Battleやるぞ宣言!
「概要海空軍トップのASB論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
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「Networked, Integrated Attack-in-Depth 3D」や海空融合作戦例を解説
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DNIが上院軍事委員会で語る [ゲーツ前国防長官]
1月31日、上院軍事委員会に米国情報機関のトップ4人が勢揃いし、代表して総元締めのDNI(director of national intelligence)クラッパー長官(James R. Clapper Jr)が概況説明を行っています。
また、2月2日には下院情報委員会にも同じメンバーで登場です。爆弾発言があったわけではありませんが、全体を網羅していますのでご紹介します。
特に、サイバー戦の脅威を米国防省webサイトが強調していますので、サイバーの部分は最後に集めました。
ちなみに勢揃いしたのは、DNIの他、CIAのペトレイアス長官、FBIのムエラー長官、DIAのバーガス陸軍中将です。
クラッパー長官は元空軍中将で、ゲーツ前長官の盟友です。当時国防省の情報組織管理の責任者だったクラッパーがDNI候補になった際、軍出身者の登用に反対意見もありましたが、そのバランス感覚と情報組織の垣根排除に尽力してきた姿勢を高く評価するゲーツ長官等の根回しもあり、現在のポストに就いています。
「ゲーツ長官がDNI候補者を評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-07
クラッパーDNI長官は・・・
●情報機関が、これほど複雑で高度で困難な環境下での任務遂行を求められたことは過去にない。技術、能力、ノウハウ、通信、環境ファクターが国境を飛び越え、驚くべき速度で国家をまたぐ混乱を引き起こしている。
●全ての情報機関は、引き続き複雑な環境と戦い、組織間の融合により脅威に対処し、新技術や効率性の追求やハードワークで困難を乗り越えようとしている。しかし全ての組織が縮小する予算に苦しんでいる
●ビンラディンの死によりジハード運動はアイコンを失い指導者層も薄くなってきている。しかし地方に根付いたジハード運動の小組織や個人活動家が、世界のジハード活動を先導する事になろう
●WMD獲得や拡散の動きも引き続き脅威である。イランのウラン濃縮技術の進歩に関する見積もりは強固に成りつつある。仮にイランの指導者が選択すれば、兵器レベルの濃縮ウランを生産する能力がある。
●北朝鮮は引き続き、イランやシリアを含む数カ国へ、弾道ミサイルや関連部品を輸出している。新しい指導者に金正恩が就任後も、各情報機関では変化を確認していない
●アフガン内では、ISAFが主に活動している地域ではタリバンの支配は失われつつある。しかしタリバンは引き続きパキスタン領内に聖域を保持している
●ISAFはアフガン治安機関を育成し協力することに努力を傾注しているが、アフガン内の腐敗と統治能力は、引き続きアフガン治安機関の有効性を脅かしている。
●アフガンの成功には国際社会の支援が欠かせないが、特に欧州で(米軍撤退の)2014年以降、どのように資金援助するかについて疑問が広まっている
●イラクでは、米軍撤退後に散発的にテロや暴力行為が発生している。イラク政府の動きはスンニ派との緊張を高めているが、現時点ではスンニ派も政治的プロセスを踏むことが改革につながると考えているようだ。
●中東やアフリカ諸国では、宗教や民族分断、民主制の経験不足、弱い経済、軍や治安機関の反発、地域部族勢力による蜂起等による不安定が拡散している。また、指導者が排除されたリビア、エジプト、チュニジアのような国では、対立するグループ間の複雑な交渉等を経て、政治システムが再構築されなければならない
●シリアでは、アサド政権が引き続き治安機関に反抗する市民への武力行使を命じている。この暴力事態が継続することにより、シリア国内の争乱が地域全体に危機につながる可能性もある
●イエメンでは政権の委譲が続いているが、暴力事案により治安の悪化が続いており、国家の分断が現実味を帯びてきている。
●世界中のどこで危機が起ころうとも、その危機が水、食料、天然資源、疾病、経済危機、組織犯罪のいずれであろうとも、その影響は世界を巡り、必ずや米国に影響を及ぼす。
サイバー脅威について特に強調
クラッパー長官は・・・
●サイバー分野の脅威は危険水準に上昇している。新技術が開発され、対策が採られる前に使用されている状況である。国家アクターとしては、中国とロシア内の組織を特に懸念している
●非国家組織も破壊的で致死的なサイバー攻撃を可能なレベルにある。サイバー世界での大きな2つの課題は、誰が攻撃を仕掛けているかの判定と米国内の膨大な脆弱性をどう管理するかにある。
●昨年リン前国防副長官が始めた、政府部門と民間企業間でのサイバー戦に関する情報の共有を促進する法律の制定を強く要望する。
●本日述べたように危機は迫っており、自らが予言した落とし穴に落ちないよう、何かをすべき時に来ている
●本年で有効期限が切れる「Foreign Intelligence Surveillance Act」の継続をお願いしたい。情報収集活動に不可欠な法律である
ムエラーFBI長官は・・・
●20の国家機関は、大規模なネットワーク侵入事案があった際、一堂に会して状況を確認し対応を検討するテーブルに着くことになっている
●しかし各州は、サイバー攻撃被害の状況についてそれぞれが異なった形式の報告を定めており、また民間企業に至っては報告の義務すらない。被害が把握できなければ、対応の採りようもない状態にある
●私は将来、サイバー脅威がテロの脅威を上回ると考えている
//////////////////////////////////////
サイバー脅威については、最近岡崎久彦氏が米海軍大学教授と国防大学研究者の見解を紹介し、その脅威レベルについて注意喚起しています。
つまり、「中国が開発しているサイバー攻撃能力・衛星破壊能力は核を無能化しうるものであり、これは米国や米国の同盟国に新たな戦略的挑戦を突きつけている」と紹介しています。
→http://blog.canpan.info/okazaki-inst/archive/1449
公開情報が限られる中、想像だけで脅威を煽りたくはないのですが、安価で効果的であれば誰もが使用するのは当然です。
日本も当然考慮すべきです。
「前半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
「誰がサイバー攻撃に対応するか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-12
「1/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28
「2/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-1
また、2月2日には下院情報委員会にも同じメンバーで登場です。爆弾発言があったわけではありませんが、全体を網羅していますのでご紹介します。
特に、サイバー戦の脅威を米国防省webサイトが強調していますので、サイバーの部分は最後に集めました。
ちなみに勢揃いしたのは、DNIの他、CIAのペトレイアス長官、FBIのムエラー長官、DIAのバーガス陸軍中将です。
クラッパー長官は元空軍中将で、ゲーツ前長官の盟友です。当時国防省の情報組織管理の責任者だったクラッパーがDNI候補になった際、軍出身者の登用に反対意見もありましたが、そのバランス感覚と情報組織の垣根排除に尽力してきた姿勢を高く評価するゲーツ長官等の根回しもあり、現在のポストに就いています。
「ゲーツ長官がDNI候補者を評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-07
クラッパーDNI長官は・・・
●情報機関が、これほど複雑で高度で困難な環境下での任務遂行を求められたことは過去にない。技術、能力、ノウハウ、通信、環境ファクターが国境を飛び越え、驚くべき速度で国家をまたぐ混乱を引き起こしている。
●全ての情報機関は、引き続き複雑な環境と戦い、組織間の融合により脅威に対処し、新技術や効率性の追求やハードワークで困難を乗り越えようとしている。しかし全ての組織が縮小する予算に苦しんでいる
●ビンラディンの死によりジハード運動はアイコンを失い指導者層も薄くなってきている。しかし地方に根付いたジハード運動の小組織や個人活動家が、世界のジハード活動を先導する事になろう
●WMD獲得や拡散の動きも引き続き脅威である。イランのウラン濃縮技術の進歩に関する見積もりは強固に成りつつある。仮にイランの指導者が選択すれば、兵器レベルの濃縮ウランを生産する能力がある。
●北朝鮮は引き続き、イランやシリアを含む数カ国へ、弾道ミサイルや関連部品を輸出している。新しい指導者に金正恩が就任後も、各情報機関では変化を確認していない
●アフガン内では、ISAFが主に活動している地域ではタリバンの支配は失われつつある。しかしタリバンは引き続きパキスタン領内に聖域を保持している
●ISAFはアフガン治安機関を育成し協力することに努力を傾注しているが、アフガン内の腐敗と統治能力は、引き続きアフガン治安機関の有効性を脅かしている。
●アフガンの成功には国際社会の支援が欠かせないが、特に欧州で(米軍撤退の)2014年以降、どのように資金援助するかについて疑問が広まっている
●イラクでは、米軍撤退後に散発的にテロや暴力行為が発生している。イラク政府の動きはスンニ派との緊張を高めているが、現時点ではスンニ派も政治的プロセスを踏むことが改革につながると考えているようだ。
●中東やアフリカ諸国では、宗教や民族分断、民主制の経験不足、弱い経済、軍や治安機関の反発、地域部族勢力による蜂起等による不安定が拡散している。また、指導者が排除されたリビア、エジプト、チュニジアのような国では、対立するグループ間の複雑な交渉等を経て、政治システムが再構築されなければならない
●シリアでは、アサド政権が引き続き治安機関に反抗する市民への武力行使を命じている。この暴力事態が継続することにより、シリア国内の争乱が地域全体に危機につながる可能性もある
●イエメンでは政権の委譲が続いているが、暴力事案により治安の悪化が続いており、国家の分断が現実味を帯びてきている。
●世界中のどこで危機が起ころうとも、その危機が水、食料、天然資源、疾病、経済危機、組織犯罪のいずれであろうとも、その影響は世界を巡り、必ずや米国に影響を及ぼす。
サイバー脅威について特に強調
クラッパー長官は・・・
●サイバー分野の脅威は危険水準に上昇している。新技術が開発され、対策が採られる前に使用されている状況である。国家アクターとしては、中国とロシア内の組織を特に懸念している
●非国家組織も破壊的で致死的なサイバー攻撃を可能なレベルにある。サイバー世界での大きな2つの課題は、誰が攻撃を仕掛けているかの判定と米国内の膨大な脆弱性をどう管理するかにある。
●昨年リン前国防副長官が始めた、政府部門と民間企業間でのサイバー戦に関する情報の共有を促進する法律の制定を強く要望する。
●本日述べたように危機は迫っており、自らが予言した落とし穴に落ちないよう、何かをすべき時に来ている
●本年で有効期限が切れる「Foreign Intelligence Surveillance Act」の継続をお願いしたい。情報収集活動に不可欠な法律である
ムエラーFBI長官は・・・
●20の国家機関は、大規模なネットワーク侵入事案があった際、一堂に会して状況を確認し対応を検討するテーブルに着くことになっている
●しかし各州は、サイバー攻撃被害の状況についてそれぞれが異なった形式の報告を定めており、また民間企業に至っては報告の義務すらない。被害が把握できなければ、対応の採りようもない状態にある
●私は将来、サイバー脅威がテロの脅威を上回ると考えている
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サイバー脅威については、最近岡崎久彦氏が米海軍大学教授と国防大学研究者の見解を紹介し、その脅威レベルについて注意喚起しています。
つまり、「中国が開発しているサイバー攻撃能力・衛星破壊能力は核を無能化しうるものであり、これは米国や米国の同盟国に新たな戦略的挑戦を突きつけている」と紹介しています。
→http://blog.canpan.info/okazaki-inst/archive/1449
公開情報が限られる中、想像だけで脅威を煽りたくはないのですが、安価で効果的であれば誰もが使用するのは当然です。
日本も当然考慮すべきです。
「前半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
「誰がサイバー攻撃に対応するか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-12
「1/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28
「2/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-1
懐かしのゲーツ前長官が吠える [ゲーツ前国防長官]
ああ・・お懐かしや
13日、6月末で国防長官を退任したゲーツ氏が久々に公の場で発言しています。懐かしさで、思わず顔もほころぶ「まんぐーす」です。
発言の中身は、議会の機能不全を嘆く内容で、併せて欧州との一体感欠如にも及んでいます。
スピーチの場は、フォード及び初代ブッシュ大統領の安全保障担当補佐官として名声を誇ったスコウクロフト将軍の功績を讃える、Atlantic Councilによる夕食会です。
スピーチの冒頭はお馴染みのジョーク。初代ブッシュ大統領が閣僚の「居眠り度」を3つの側面から評価し、スコウクロフト氏が2側面で満点を取り「居眠り王」に選ばれたとの逸話(?)です。
しばしばゲーツ氏が、居眠りをする士官候補生へのジョークで使っていました。ちなみに3側面は、居眠りの長さ、深さ、復帰力で、深さ側面でいびきで高得点になります。また復帰力は、目覚める時に手元のカップを押し倒したりすると高得点で、同氏は長さと復帰力で満点だったそうです。
ところでゲーツ氏はスピーチで・・・
●上下院議員には、妥協する力の無さや党派の垣根を越えた戦略を形成する能力の欠如しており、更に我が国の真に重大な課題への政策立案への取り組みも欠けている
●ワシントンDCは、「肥大したエゴと縮小した信念(oversized egos and undersized backbones)の街」となっている。「ゼロサム」政治とイデオロギー占領戦が新たな決まりとなってしまっている。
●我々の政治システムの基礎となる穏健な中道精神が失われている。この背景には、共和と民主両党に於いて、各党のイデオロギー基盤となる重要な守るべき議員の議席を保つ施策を制限している事がある。
●かつては、議会の委員会に強力な委員長が存在し、党派を超えて妥協点を探る働きをしていたが、今では妥協が「売り切れ」状態になっている。
●また、かつて米国と欧州の関係を取り持っていた強力で影響力ある仲介者が公務から去りつつある。
●我々に続く世代の者たちは、我々世代の様な歴史的、親交的、そして感情的な絆を欧州と共有していない。そして欧州の防衛に再び投資することに価値を見出しはしないだろう。
/////////////////////////////////////////
この行事には、スコウクロフト氏の他、ブレジンスキー、キッシンジャー、ジョーンズ、ハドレー前大統領補佐官等が出席し、パネルディスカッションも行われています。
それでもAtlantic Councilは、ゲーツ氏のスピーチのみを全文を掲載してその主張に賛同の意を表しています。
どこかの国にも通用するような内容のお話でした。「Defense News」にも記事有り
退任間際、ゲーツ前長官が怒濤の連続スピーチ
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「米国の姿勢シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「政治家よ目をそらすな議論を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「米国がやらねば他はやらぬ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
「米国の将来を悲観するな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09
「戦車、空母、戦闘機に捕らわれている」→http://t.co/tyFxLrq
「ロシアでCIAの思い出を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-28
「リーダーたる者は:最後の卒業式」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2
13日、6月末で国防長官を退任したゲーツ氏が久々に公の場で発言しています。懐かしさで、思わず顔もほころぶ「まんぐーす」です。
発言の中身は、議会の機能不全を嘆く内容で、併せて欧州との一体感欠如にも及んでいます。
スピーチの場は、フォード及び初代ブッシュ大統領の安全保障担当補佐官として名声を誇ったスコウクロフト将軍の功績を讃える、Atlantic Councilによる夕食会です。
スピーチの冒頭はお馴染みのジョーク。初代ブッシュ大統領が閣僚の「居眠り度」を3つの側面から評価し、スコウクロフト氏が2側面で満点を取り「居眠り王」に選ばれたとの逸話(?)です。
しばしばゲーツ氏が、居眠りをする士官候補生へのジョークで使っていました。ちなみに3側面は、居眠りの長さ、深さ、復帰力で、深さ側面でいびきで高得点になります。また復帰力は、目覚める時に手元のカップを押し倒したりすると高得点で、同氏は長さと復帰力で満点だったそうです。
ところでゲーツ氏はスピーチで・・・
●上下院議員には、妥協する力の無さや党派の垣根を越えた戦略を形成する能力の欠如しており、更に我が国の真に重大な課題への政策立案への取り組みも欠けている
●ワシントンDCは、「肥大したエゴと縮小した信念(oversized egos and undersized backbones)の街」となっている。「ゼロサム」政治とイデオロギー占領戦が新たな決まりとなってしまっている。
●我々の政治システムの基礎となる穏健な中道精神が失われている。この背景には、共和と民主両党に於いて、各党のイデオロギー基盤となる重要な守るべき議員の議席を保つ施策を制限している事がある。
●かつては、議会の委員会に強力な委員長が存在し、党派を超えて妥協点を探る働きをしていたが、今では妥協が「売り切れ」状態になっている。
●また、かつて米国と欧州の関係を取り持っていた強力で影響力ある仲介者が公務から去りつつある。
●我々に続く世代の者たちは、我々世代の様な歴史的、親交的、そして感情的な絆を欧州と共有していない。そして欧州の防衛に再び投資することに価値を見出しはしないだろう。
/////////////////////////////////////////
この行事には、スコウクロフト氏の他、ブレジンスキー、キッシンジャー、ジョーンズ、ハドレー前大統領補佐官等が出席し、パネルディスカッションも行われています。
それでもAtlantic Councilは、ゲーツ氏のスピーチのみを全文を掲載してその主張に賛同の意を表しています。
どこかの国にも通用するような内容のお話でした。「Defense News」にも記事有り
退任間際、ゲーツ前長官が怒濤の連続スピーチ
「警告する、NATOの2極化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12
「米国の姿勢シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「政治家よ目をそらすな議論を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「米国がやらねば他はやらぬ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
「米国の将来を悲観するな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09
「戦車、空母、戦闘機に捕らわれている」→http://t.co/tyFxLrq
「ロシアでCIAの思い出を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-28
「リーダーたる者は:最後の卒業式」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2
「A Balanced Strategy」を振り返る [ゲーツ前国防長官]
日本時間の今日まで、米国は引き続きThanksgiving休暇ですので、少し昔を・・・原点を振り返り、しみじみしたいと思います。
「温故知新」といっては著者に失礼かもしれません。その論文はそんなに古くなく、2009年1月・2月号に掲載されたゲーツ前国防長官の「A Balanced Strategy」です。
この論文は、大統領に選出されたオバマ氏が史上初のケースとして、政党の垣根を越えて国防長官留任をゲーツ氏を依頼し、留任を受けた直後にゲーツ氏が「決意表明」(戦いののろし)として発表した論文です。
発表当時、日本でどれだけ話題になったか記憶がありませんが、オバマフィーバーの中で注目する人など無かったかもしれません。今となっては「その通り」の指摘も、イラク情勢の混乱とアフガン情勢の悪化の中で「目が泳いでいた」当時、その意味するところを肌で感じていた人がどれだけいたでしょうか・・・
本日はそんな「A Balanced Strategy」の一部をご紹介します。
備えるべき脅威の変化と能力のずれ
●全ての潜在的敵対者、つまりテログループ、ならず者国家、ライジングパワー、これら全てが共通に学び得たものは、米国と通常戦の手法で正面から対峙するのは賢明ではないとの認識である。
●過去40数年にわたって米軍が関わってきた戦いを振り返るとき、おおよそ終始通常戦であった点で湾岸戦争は唯一の例である。・・・西側の軍隊は、溺愛している「湾岸戦争の息子」ではなく、望まない「チェチェンの嫡子」に直面している。
●朝鮮半島であれ、ペルシャ湾であれ、台湾海峡であれ、必要性が生じれば、侵略を抑止して懲らしめるに足る豊富な(通常)戦力を我が海空軍は保有している。
ここは09年4月に補足で・・
★私は全てのスペクトラムの紛争・戦争に備えなければならないと考えているのである。・・・間違わないでいただきたい。私はこれまで整備してきたものを、不正規戦対処能力に置き換えようとしているのではない。私は単に、不正規戦対処能力にも他の能力と同じ地位を与えたいと考えているのだ。
極めて制度化され硬直化した軍民の体制
●ローテクでも現場ニーズに則した装備が必要で、そのような装備を現場にいち早く供給することを考える時が来ている。
●伝統型の軍事力整備へのサポートが「国防省予算、官僚機構、軍需産業そして議会にも深く根付いている」
●敵を撃破殲滅するために訓練していた軍隊が、相手を説得して(反政府活動を)思いとどまらせ、地元の治安機関を育成する任務に迅速適切に適応できるだろうか。
●海外の軍に助言して訓練し、装備品を提供するような重要な任務が、米軍内の優秀と目される幹部にとって、キャリア管理上魅力無いものと見なされているのではないか。
西太平洋地域の情勢認識と対応
●中国の投資に対応して、米国は、見通し線外からの攻撃力やBMD配備に重点を置き、また短距離システムから次世代爆撃機のような長距離システムへのシフトを求められるだろう。
●(日本と韓国に)パートナーとして完全に準備し、全ての、くり返すが、同盟国としての全ての義務を果たすことができるパートナーでなければならない。
この部分に関しては09年9月に補足し・・
★中国のような軍備増強している国を考える際、対称的な挑戦、つまり戦闘機対戦闘機や艦艇対艦艇のような挑戦を米国が懸念する必要はそれ程ないだろう。しかし、彼らが我々の機動を妨げ選択肢を狭める能力には懸念をもつべきであろう。
★彼らのサイバー戦、対衛星・対空・対艦兵器、弾道ミサイルへの投資は、米軍の主要なプロジェクション能力と同盟国の支援能力を脅かす。特に前線海外基地と空母機動部隊に対して顕著である。
またそれらへの投資は、足の短い戦闘機の有効性を殺ぎ、どのような形であれ遠方攻撃能力の重要性を増す。
そして日本など地域の同盟国には同年5月
★米国は、地域でのプレゼンスや直接行動へのコミットメントを維持する一方で、これまでにも増して、パートナーがより良く自ら防衛任務を果たせるような能力構築に力点を置いていく。
/////////////////////////////////////////////////
確認ですが、●印は「A Balanced Strategy」からの引用、★は同論文発表後のゲーツ氏の発言です。
いまの米国の国防政策や予算削減の方向性、更に日本など同盟国への要求は、全てこの論文にさかのぼることが出来ると思います。
ちょうど3年前の今頃発表された論文です。しみじみ・・・。
→http://www.foreignaffairs.com/articles/63717/robert-m-gates/a-balanced-strategy#
→http://www.comw.org/qdr/fulltext/0901gates.pdf
「戦車、空母、戦闘機に捕らわれている」→http://t.co/tyFxLrq
「ロシアでCIAの思い出を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-28
「リーダーたる者は:最後の卒業式」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2
「温故知新」といっては著者に失礼かもしれません。その論文はそんなに古くなく、2009年1月・2月号に掲載されたゲーツ前国防長官の「A Balanced Strategy」です。
この論文は、大統領に選出されたオバマ氏が史上初のケースとして、政党の垣根を越えて国防長官留任をゲーツ氏を依頼し、留任を受けた直後にゲーツ氏が「決意表明」(戦いののろし)として発表した論文です。
発表当時、日本でどれだけ話題になったか記憶がありませんが、オバマフィーバーの中で注目する人など無かったかもしれません。今となっては「その通り」の指摘も、イラク情勢の混乱とアフガン情勢の悪化の中で「目が泳いでいた」当時、その意味するところを肌で感じていた人がどれだけいたでしょうか・・・
本日はそんな「A Balanced Strategy」の一部をご紹介します。
備えるべき脅威の変化と能力のずれ
●全ての潜在的敵対者、つまりテログループ、ならず者国家、ライジングパワー、これら全てが共通に学び得たものは、米国と通常戦の手法で正面から対峙するのは賢明ではないとの認識である。
●過去40数年にわたって米軍が関わってきた戦いを振り返るとき、おおよそ終始通常戦であった点で湾岸戦争は唯一の例である。・・・西側の軍隊は、溺愛している「湾岸戦争の息子」ではなく、望まない「チェチェンの嫡子」に直面している。
●朝鮮半島であれ、ペルシャ湾であれ、台湾海峡であれ、必要性が生じれば、侵略を抑止して懲らしめるに足る豊富な(通常)戦力を我が海空軍は保有している。
ここは09年4月に補足で・・
★私は全てのスペクトラムの紛争・戦争に備えなければならないと考えているのである。・・・間違わないでいただきたい。私はこれまで整備してきたものを、不正規戦対処能力に置き換えようとしているのではない。私は単に、不正規戦対処能力にも他の能力と同じ地位を与えたいと考えているのだ。
極めて制度化され硬直化した軍民の体制
●ローテクでも現場ニーズに則した装備が必要で、そのような装備を現場にいち早く供給することを考える時が来ている。
●伝統型の軍事力整備へのサポートが「国防省予算、官僚機構、軍需産業そして議会にも深く根付いている」
●敵を撃破殲滅するために訓練していた軍隊が、相手を説得して(反政府活動を)思いとどまらせ、地元の治安機関を育成する任務に迅速適切に適応できるだろうか。
●海外の軍に助言して訓練し、装備品を提供するような重要な任務が、米軍内の優秀と目される幹部にとって、キャリア管理上魅力無いものと見なされているのではないか。
西太平洋地域の情勢認識と対応
●中国の投資に対応して、米国は、見通し線外からの攻撃力やBMD配備に重点を置き、また短距離システムから次世代爆撃機のような長距離システムへのシフトを求められるだろう。
●(日本と韓国に)パートナーとして完全に準備し、全ての、くり返すが、同盟国としての全ての義務を果たすことができるパートナーでなければならない。
この部分に関しては09年9月に補足し・・
★中国のような軍備増強している国を考える際、対称的な挑戦、つまり戦闘機対戦闘機や艦艇対艦艇のような挑戦を米国が懸念する必要はそれ程ないだろう。しかし、彼らが我々の機動を妨げ選択肢を狭める能力には懸念をもつべきであろう。
★彼らのサイバー戦、対衛星・対空・対艦兵器、弾道ミサイルへの投資は、米軍の主要なプロジェクション能力と同盟国の支援能力を脅かす。特に前線海外基地と空母機動部隊に対して顕著である。
またそれらへの投資は、足の短い戦闘機の有効性を殺ぎ、どのような形であれ遠方攻撃能力の重要性を増す。
そして日本など地域の同盟国には同年5月
★米国は、地域でのプレゼンスや直接行動へのコミットメントを維持する一方で、これまでにも増して、パートナーがより良く自ら防衛任務を果たせるような能力構築に力点を置いていく。
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確認ですが、●印は「A Balanced Strategy」からの引用、★は同論文発表後のゲーツ氏の発言です。
いまの米国の国防政策や予算削減の方向性、更に日本など同盟国への要求は、全てこの論文にさかのぼることが出来ると思います。
ちょうど3年前の今頃発表された論文です。しみじみ・・・。
→http://www.foreignaffairs.com/articles/63717/robert-m-gates/a-balanced-strategy#
→http://www.comw.org/qdr/fulltext/0901gates.pdf
「戦車、空母、戦闘機に捕らわれている」→http://t.co/tyFxLrq
「ロシアでCIAの思い出を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-28
「リーダーたる者は:最後の卒業式」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2
(追加ゲーツ長官離任の辞)涙の大統領自由勲章 [ゲーツ前国防長官]
大統領から予期せぬ自由勲章(最高位)を贈られ・・・
「完全な奇襲攻撃です。あなたがここ数ヶ月、工作活動を得意としていることにもっと注意を払うべきだった(涙目・・)」
先の大統領選挙後、パネッタ氏は新聞にただ一人、「ゲーツを留任させるべき」との記事を書いた。だから今回、オバマ大統領から後任者の推薦を求められたとき、彼を推薦してお返しが出来た(爆笑)
//////////////////////////////////////////////////////////////
オバマ大統領送別の辞(一部)
私が大統領に決定した時、ボブは既に7人の大統領に仕えてきた。そして記者達に8人目はどうですかと質問され、「全く考えられない」と答えた(笑)。
では、なぜ彼は職を継続することに同意してくれたのか? 当然、彼とベッキー夫人もどうすべきか悩んだであろうが・・・。
しかし私は知っている。彼が真に困難な議論や決断に直面した時、人間の真の姿が問われる時にどのような態度を取ったか。大統領執務室で、機密会議室で、最前線で・・その態度から、「なぜ」への答えは明らかだ。
この人物の比喩やジョーク、そしてワシントンへの愛(笑)、更に私が知り、尊敬するに至ったこの男は、謙虚で常識ある上品な愛国者で、我が国最高の公僕の一人である。
ボブ、あなたが残してゆく伝統の最大のものは、あなたが救い励ました兵士達が、彼らのことを常に考えて支え、彼らを愛し、そして彼らのために戦ってくれる国防長官がいたことを胸に刻んでいることである。
(中略)
この偉大な公僕を前に、彼が残した教訓、特に米国の若者に対して・・公に尽くすことの重要性を強調しておきたい。国家の要望に応え、我が祖国をより良く強く子孫に伝えてゆく、公の立場の役割を誰かが担って行かねばならないことを。
(中略)
本日の式典の予定にはないが、他に私はあなたの働きに報いる手段を知らないのだ。どうぞ立ち上がって、これを受け取って欲しい。
大統領自由勲章・表彰文
「22代国防長官ボブ・ゲーツは、己を捨てて人生を米国民のために捧げた。彼は与野党両方の8人の大統領に揺るぎなき愛国心を持って仕えた。兵士達のchampionとして、イラクとアフガンでの戦いの中で国防省を勇気と自信を持って率い、現在と将来の両方の戦への備えができた米国軍を確保した。アメリカ合衆国は、彼のずば抜けた指導力と生涯をかけた国家への貢献を讃える」
(ゲーツ長官の離任スピーチは、写真の後に・・・)
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
(離任の辞のエンディング)
国防省の私のオフィスには、既に私物は何も残っていないが、私のヒーローであり人生の師であるアイゼンハワー将軍とマーシャル将軍の肖像画はまだ残っている。そのマーシャル将軍の言葉を最後に紹介したい。
それは約60年前、冷戦黎明期の大学卒業生への言葉で、マーシャルが考えるその世代への重要な「やらねばならない」事項の指摘である。それは・・・
「世界の秩序と安全保障への責任感を涵養せよ、そして国家の行動と行動を怠ることの重大性を認識せよ」とのメッセージである。
この極めて危険な21世紀の最中にある今、マーシャルがこの言葉を最初に用いたときと同様に、米国のみが担いうる世界的な責務と、米国が成すことと成さざる事の重大さが、今も変わらない「やらねばならない」事項だと認識されなければならない。
我々が決して忘れてはならず、軽々に扱うべきでない義務であり、皆さんが継続して果たすであろうと確信している義務である。有り難う。我が軍と祖国に神の祝福が有らんことを。
//////////////////////////////////////////////
30日、オバマ大統領から大統領自由勲章を授与されたゲーツ前国防長官は、冒頭に紹介したジョークを大統領とパネッタ氏へ投げかけ、坦々と最後のスピーチを始めました。
スピーチは順序を追って、在任間にお世話になった人たちへの謝辞で埋め尽くされています。唯一、内向きになりつつある米国と現政権への警告とも取れる上記の「エンディング」を除いては・・・
関係者への謝辞は、まず国民の代表たる議会へ、2人の大統領、側近のスタッフ、4軍のリーダーとマレン議長と前任のペース議長、他政府機関(特に国務省関係者と2人の女性長官)、国防省の文民職員、米軍兵士(昨日、別途メッセージを配信済み)、そして最後にベッキー夫人へ送られました。
以下では、まんぐーすの興味ある部分のみをつまみ食いします。
●私のレオン(パネッタ次期国防長官)へのアドバイスは、やりたいようにやるべきだ、です。彼は彼が考えているより長期間ここで勤務することになると思う。
●オバマ大統領へは、それまで面識の全くない私のような人間を、(政権交代時に留任させるという)歴史的一歩を踏み出すときに信頼してくださり、その後も変わらぬ信頼を寄せていただいたことに感謝。
●私が就任して最初に行ったベストの決断は、ラムズフェルド前長官時の主要スタッフをそのまま引き継いだことであり、大部分は今日まで私を支えてくれた。
●マレン統合参謀本部議長は、私に反対することに全く躊躇がなかった。しかし、大統領や私が決断したことに関しては、一貫して頑ななまでに忠実であった。
●国務省に関する私の見方は大きく進化した。私が国家安全保障評議会のメンバーだったニクソン政権時代、彼らの働きはお世辞にも褒められてものではなかった。私が公務に就いている期間の大部分で、国務長官と国防長官が相互に話しかけることがほとんどなかったぐらいである。
●ライスとクリントン国務長官とは、この強力な2人の女性と話し合うだけでなく、助け合う同僚や良き友人として過ごすことができた。私は国務省の予算を増やすように大演説をしたいぐらいである。同時に米国の外交官、援助機関の人々等、世界各地でリスクを冒しながら世界や米国のために尽力する人たちに感謝したい。
●前線兵士を支える仕事をする際、私は限りいフラストレーションを国防省の官僚組織に感じた。しかしながら同時に、この仕組みの中で物事を進めようと、適切な評価を受けることがなくとも、日々悪戦苦闘しているのが国防省の文民職員であることも忘れてはいない。感謝する。
●米軍の兵士諸君へ。既に昨日メッセージを発信した。ここでは改めて、私の人生最後の日まで、前線で戦いそして逃げない若者達のことを考え続けることを誓う。
●家内のベッキーへ。2005年の1月、私が新設のDNIポスト就任を依頼されたとき、さんざん悩んだあげく、家内が「ワシントンDCへは戻りたくない」と言ってくれたら決断できると考え、ベッキーに相談した。彼女の答えは「貴方がやらなければならないことを、私たちはやらなければならない」であった。
●911事案以降、展開命令を受けた兵士の家庭で、このような光景が数え切れないほど繰り返されたのではないかと思う。約5年前に国防長官への就任を打診された時も、ベッキーの反応は同じであり、この仕事を受ける決断を容易にしてくれた。
●ベッキー、今度こそは本当に家に帰ろう。約45年前にインディアナ州でのお見合いで出会って以来の愛情と支えに感謝する。
●私は間もなくこの建物から去っていきます。(以下、上記で紹介のエンディングへ)
//////////////////////////////////////////
オバマ大統領の送別の辞には、これまでゲーツ長官が訴えてきたことや最近のスピーチやインタビューで語ったことがちりばめられており、よく練られた準備されたスピーチです。それをすぐ感じ取ったゲーツ長官は、思わず「ぐっと来た」んでしょう。
ゲーツ長官の挨拶は抑えたトーンです。しかし例えば国務省の職員や予算への言及など、最後の連続怒濤のスピーチで触れることができなかった持論を持ち出している辺りが、最後まで国への愛情が薄れない愛国者の面目躍如です。
「Well, Becky, we’re really going home this time.」・・・本当に米北西部ワシントン州の田舎へ引っ込んでしまうのですか???
まんぐーすは、しばらく夏の冬眠に入りたい気分です(茫然自失、遠目涙・・・)
退任間際、怒濤の連続スピーチ
「警告する、NATOの2極化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12
「米国の姿勢シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「政治家よ目をそらすな議論を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「米国がやらねば他はやらぬ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
「米国の将来を悲観するな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09
「リーダーたる者は:最後の卒業式」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2
「ゲーツ長官引用の名言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-18-1
不慣れながらTwitterも始めました・・・@Mongoose2011です
「完全な奇襲攻撃です。あなたがここ数ヶ月、工作活動を得意としていることにもっと注意を払うべきだった(涙目・・)」
先の大統領選挙後、パネッタ氏は新聞にただ一人、「ゲーツを留任させるべき」との記事を書いた。だから今回、オバマ大統領から後任者の推薦を求められたとき、彼を推薦してお返しが出来た(爆笑)
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オバマ大統領送別の辞(一部)
私が大統領に決定した時、ボブは既に7人の大統領に仕えてきた。そして記者達に8人目はどうですかと質問され、「全く考えられない」と答えた(笑)。
では、なぜ彼は職を継続することに同意してくれたのか? 当然、彼とベッキー夫人もどうすべきか悩んだであろうが・・・。
しかし私は知っている。彼が真に困難な議論や決断に直面した時、人間の真の姿が問われる時にどのような態度を取ったか。大統領執務室で、機密会議室で、最前線で・・その態度から、「なぜ」への答えは明らかだ。
この人物の比喩やジョーク、そしてワシントンへの愛(笑)、更に私が知り、尊敬するに至ったこの男は、謙虚で常識ある上品な愛国者で、我が国最高の公僕の一人である。
ボブ、あなたが残してゆく伝統の最大のものは、あなたが救い励ました兵士達が、彼らのことを常に考えて支え、彼らを愛し、そして彼らのために戦ってくれる国防長官がいたことを胸に刻んでいることである。
(中略)
この偉大な公僕を前に、彼が残した教訓、特に米国の若者に対して・・公に尽くすことの重要性を強調しておきたい。国家の要望に応え、我が祖国をより良く強く子孫に伝えてゆく、公の立場の役割を誰かが担って行かねばならないことを。
(中略)
本日の式典の予定にはないが、他に私はあなたの働きに報いる手段を知らないのだ。どうぞ立ち上がって、これを受け取って欲しい。
大統領自由勲章・表彰文
「22代国防長官ボブ・ゲーツは、己を捨てて人生を米国民のために捧げた。彼は与野党両方の8人の大統領に揺るぎなき愛国心を持って仕えた。兵士達のchampionとして、イラクとアフガンでの戦いの中で国防省を勇気と自信を持って率い、現在と将来の両方の戦への備えができた米国軍を確保した。アメリカ合衆国は、彼のずば抜けた指導力と生涯をかけた国家への貢献を讃える」
(ゲーツ長官の離任スピーチは、写真の後に・・・)
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(離任の辞のエンディング)
国防省の私のオフィスには、既に私物は何も残っていないが、私のヒーローであり人生の師であるアイゼンハワー将軍とマーシャル将軍の肖像画はまだ残っている。そのマーシャル将軍の言葉を最後に紹介したい。
それは約60年前、冷戦黎明期の大学卒業生への言葉で、マーシャルが考えるその世代への重要な「やらねばならない」事項の指摘である。それは・・・
「世界の秩序と安全保障への責任感を涵養せよ、そして国家の行動と行動を怠ることの重大性を認識せよ」とのメッセージである。
この極めて危険な21世紀の最中にある今、マーシャルがこの言葉を最初に用いたときと同様に、米国のみが担いうる世界的な責務と、米国が成すことと成さざる事の重大さが、今も変わらない「やらねばならない」事項だと認識されなければならない。
我々が決して忘れてはならず、軽々に扱うべきでない義務であり、皆さんが継続して果たすであろうと確信している義務である。有り難う。我が軍と祖国に神の祝福が有らんことを。
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30日、オバマ大統領から大統領自由勲章を授与されたゲーツ前国防長官は、冒頭に紹介したジョークを大統領とパネッタ氏へ投げかけ、坦々と最後のスピーチを始めました。
スピーチは順序を追って、在任間にお世話になった人たちへの謝辞で埋め尽くされています。唯一、内向きになりつつある米国と現政権への警告とも取れる上記の「エンディング」を除いては・・・
関係者への謝辞は、まず国民の代表たる議会へ、2人の大統領、側近のスタッフ、4軍のリーダーとマレン議長と前任のペース議長、他政府機関(特に国務省関係者と2人の女性長官)、国防省の文民職員、米軍兵士(昨日、別途メッセージを配信済み)、そして最後にベッキー夫人へ送られました。
以下では、まんぐーすの興味ある部分のみをつまみ食いします。
●私のレオン(パネッタ次期国防長官)へのアドバイスは、やりたいようにやるべきだ、です。彼は彼が考えているより長期間ここで勤務することになると思う。
●オバマ大統領へは、それまで面識の全くない私のような人間を、(政権交代時に留任させるという)歴史的一歩を踏み出すときに信頼してくださり、その後も変わらぬ信頼を寄せていただいたことに感謝。
●私が就任して最初に行ったベストの決断は、ラムズフェルド前長官時の主要スタッフをそのまま引き継いだことであり、大部分は今日まで私を支えてくれた。
●マレン統合参謀本部議長は、私に反対することに全く躊躇がなかった。しかし、大統領や私が決断したことに関しては、一貫して頑ななまでに忠実であった。
●国務省に関する私の見方は大きく進化した。私が国家安全保障評議会のメンバーだったニクソン政権時代、彼らの働きはお世辞にも褒められてものではなかった。私が公務に就いている期間の大部分で、国務長官と国防長官が相互に話しかけることがほとんどなかったぐらいである。
●ライスとクリントン国務長官とは、この強力な2人の女性と話し合うだけでなく、助け合う同僚や良き友人として過ごすことができた。私は国務省の予算を増やすように大演説をしたいぐらいである。同時に米国の外交官、援助機関の人々等、世界各地でリスクを冒しながら世界や米国のために尽力する人たちに感謝したい。
●前線兵士を支える仕事をする際、私は限りいフラストレーションを国防省の官僚組織に感じた。しかしながら同時に、この仕組みの中で物事を進めようと、適切な評価を受けることがなくとも、日々悪戦苦闘しているのが国防省の文民職員であることも忘れてはいない。感謝する。
●米軍の兵士諸君へ。既に昨日メッセージを発信した。ここでは改めて、私の人生最後の日まで、前線で戦いそして逃げない若者達のことを考え続けることを誓う。
●家内のベッキーへ。2005年の1月、私が新設のDNIポスト就任を依頼されたとき、さんざん悩んだあげく、家内が「ワシントンDCへは戻りたくない」と言ってくれたら決断できると考え、ベッキーに相談した。彼女の答えは「貴方がやらなければならないことを、私たちはやらなければならない」であった。
●911事案以降、展開命令を受けた兵士の家庭で、このような光景が数え切れないほど繰り返されたのではないかと思う。約5年前に国防長官への就任を打診された時も、ベッキーの反応は同じであり、この仕事を受ける決断を容易にしてくれた。
●ベッキー、今度こそは本当に家に帰ろう。約45年前にインディアナ州でのお見合いで出会って以来の愛情と支えに感謝する。
●私は間もなくこの建物から去っていきます。(以下、上記で紹介のエンディングへ)
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オバマ大統領の送別の辞には、これまでゲーツ長官が訴えてきたことや最近のスピーチやインタビューで語ったことがちりばめられており、よく練られた準備されたスピーチです。それをすぐ感じ取ったゲーツ長官は、思わず「ぐっと来た」んでしょう。
ゲーツ長官の挨拶は抑えたトーンです。しかし例えば国務省の職員や予算への言及など、最後の連続怒濤のスピーチで触れることができなかった持論を持ち出している辺りが、最後まで国への愛情が薄れない愛国者の面目躍如です。
「Well, Becky, we’re really going home this time.」・・・本当に米北西部ワシントン州の田舎へ引っ込んでしまうのですか???
まんぐーすは、しばらく夏の冬眠に入りたい気分です(茫然自失、遠目涙・・・)
退任間際、怒濤の連続スピーチ
「警告する、NATOの2極化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12
「米国の姿勢シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「政治家よ目をそらすな議論を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「米国がやらねば他はやらぬ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
「米国の将来を悲観するな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09
「リーダーたる者は:最後の卒業式」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
「空軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2
「ゲーツ長官引用の名言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-18-1
不慣れながらTwitterも始めました・・・@Mongoose2011です