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米陸軍迷走:3千億円投入済のヘリFARA開発中止 [Joint・統合参謀本部]

今年後半に候補2機種の攻撃&偵察ヘリ飛行評価予定も
もう有人機偵察中心の時代ではない・ウの教訓から
過去10年で最大の開発中止案件に

同時に旧式の現有無人機2機種2万機破棄、新型HH60Vも導入中止
UH-60s, AH-64エンジン更新も停止
現有Black Hawks M型とCH-47F Block II、FLRAAに集中

FARA.jpg2月8日、米陸軍がなんと、過去約20年に渡り運用構想や要求性能を練り、2回にわたり企業提案募集やプロトタイプ製造に進みながら計画中断を繰り返し、2018年から3回目のトライとして3000億円を投入して2企業2機種のプロトタイプを製造して今年飛行評価テストを行う予定だった将来偵察攻撃ヘリFARA計画(Future Attack Reconnaissance Aircraft)を、ウクライナの教訓や無人機や宇宙アセットの偵察能力向上を背景に中止すると発表しました

また同時に米陸軍は、現有のUH60やCH47ヘリの能力向上機導入計画や、UH60やAH64アパッチヘリの能力向上エンジン導入計画の中止または停止、更に陳腐化から本格紛争用には不十分として現有の小型無人機ShadowやRavenを計2万機破棄するなど、無人機等の最新技術を生かしつつ、厳しい予算化で実現可能な能力向上策を追求すると明らかにしました

FARA2.jpgまんぐーすは米陸軍の決定を評価したいと思いますが、2022年12月に機種選定が難産の末に終了した2000機のUH60後継機で「米陸軍で過去40年間で最大のヘリ調達案件」「米陸軍航空部隊の歴史上、最も大規模で複雑な機種選定であった」と陸軍が表現したFLRAA(Future Long-Range Assault Aircraft)選定でも露呈した、「対中国等本格紛争での米陸軍の役割や任務の迷走」問題が再び顕在化したといって良いでしょう

以下では、FARA構想の過去約20年間のグダグダや今回の中止決定に関する米陸軍の説明等を、2月9日付Defense-Newsからご紹介いたします

FARA検討のグダグダ経緯
FARA3.jpg●ベトナム戦争時に偵察&攻撃任務になっていたOH-58 Kiowaが退役後、陸軍は任務の重要性を強調しつつもその後継機を決められず、性能的にはToo MuchなAH64アパッチに担わせてきた
●この状況を打開するため、21世紀に入って陸軍は「Comanche program」を立ち上げ、1兆円以上を投入して2企業に2つのプロトタイプ製造までさせたが、うまくいかず2004年に計画を中止。更に4年後の2008年にも仕切り直して進めた「Armed Reconnaissance Helicopter」計画を再び中止

●その後陸軍は、既存の商用ヘリから偵察任務ヘリ(commercial off-the-shelf aircraft)から選定することを試み、複数の提案機の飛行評価「fly-off」まで行ったが、最終的に2013年に所望の性能を持つ機体が見つからなかったとして計画をまたも中止
●2018年、陸軍は新設した将来検討専門組織「Army Futures Command」にFARA構想推進を託し、鳴り物入りで「高価装備品の新たな調達モデルの見本を示す」と豪語して2030年までに部隊導入すると宣言してプロジェクトを開始し、これまでに約3000億円を使用し、今後5年間で更に7400億円の予算計画を立て、今年2機種のプロトタイプ(Bell TextronとLockheed Martin Sikorsky)の飛行評価を予定していた

今回のFARA計画中止の理由
Shadow UAS.jpg●FARA計画の責任者であるJames Rainey陸軍大将は、「この決定は失敗を意味するものではなく、ヘリ近代化計画のオーバーホールを通じて、より大きな進歩を目指すものだ」と語り、「ウクライナの教訓や、無人機や宇宙センサーの技術的成熟や急速な普及に伴い、高性能な装備が安価に導入可能となってきている事などを踏まえ、偵察攻撃任務を有人ヘリだけに頼るのではなく、有人機と無人アセットの融合をどうすべきか考えることが重要」だとFARA中止の背景に言及
●さらに踏み込んで同大将は、「ウクライナでの戦いの様相に米陸軍は影響を受けた。航空偵察は根本的に変化したのだ。無人機搭載のセンサーや兵器、そして軌道上の衛星は、より広範囲をカバーして活用が容易になり、かつてないほど急速にコストも低下している」とも表現
●そして3000億円を投入したFARA計画については、「これまでの成果を他のプログラムで利活用可能にするため、2024年度末までに開発技術等を取りまとめて終結させる」と説明

今後の米陸軍ヘリへの投資方向性
Raven UAS.jpg●FARA中止によりどの程度の資源が陸軍ヘリ全体や航空偵察任務に再投資可能かは判然としないが、米陸軍は高性能で残存性が高く、人命への懸念が少ない無人偵察機開発により大きな投資をし、2022年に契約した「Jump20 System」に加え、更に2023年9月には5社の候補提案から2社に絞り、現在は2025年度中に部隊配備開始ができるようにプロトタイプ製造段階にある

●垂直離着陸型の有人機開発がFLRAA1機種のみになった現状から、現有ヘリUH60やCH47への投資方向も大きく変更。UH60L型の後継として開発中のV型については、コストアップでL型更新に15年以上必要な見通しとなっているため、V型開発を中止し、現有で最新型のM型を継続製造してL型の後継とする
UH60V.jpg●FLRAAやFARA計画推進予算確保のため、2018年にCH-47F Block IIの正規部隊への導入を見送ったが、この決定を見直し正式に量産体制に入る
●また陸軍は、FARAやUH60やAH64用を想定した6種類の次世代エンジンを現在テスト中で、更に5月には追加で2つのエンジンがUH60での試験を予定しているが、既に数年の遅れが出ているこれらエンジンの本格調達は無期限延期する

●以前から性能の陳腐化等から本格紛争での能力発揮が疑問視されていた、約570機保有の小型無人機Shadowと約19000機保有のRavenについてはこれを全廃し、本格紛争を生き延びて任務遂行可能な高性能将来無人機FTUAS導入に注力する
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CH-47F Block II.jpg2022年12月、FLRAA(Future Long-Range Assault Aircraft)をBell社のティルロータ型「V-280 Valor」に決定した後から、米陸軍は何度となく、議会やメディアや専門家から、FLRAAとFARAを同時推進は可能なのかと繰り返し問われ続け、そのたびに「可能か否かの問題ではなく、必要不可欠な避けられない調達案件だ」と浪花節説明してきたわけですが、ついにウクライナの現実や予算の現実を直視し、大幅方針転換に踏み切った模様です

これが世界の軍隊における、ウクライナ教訓を反映した各種方針や構想の大転換の「呼び水」になるような気がします。もちろん陸軍だけでなく、空軍戦闘機もそうだと思いますし、対中国最前線の自衛隊への風当たりもつようくなろうと予想いたします

40年間決められなかった米陸軍がやっと・・
「Black Hawk 2000機の後継FLRAA選定」→https://holylandtokyo.com/2022/12/09/4043/
「陸軍UH-60後継の選定開始」→https://holylandtokyo.com/2021/07/16/2009/
「米陸軍ヘリは無人化でなく自動化推進!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-11
「UH-60後継を意識した候補機開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-06-16

対中国を想定した太平洋陸軍の演習
「対中国で分散作戦演習JPMRC」→https://holylandtokyo.com/2022/11/14/3900/

米陸軍ウクライナの教訓
「米陸軍は2024年に部隊の大幅削減含む改編不可避」→https://holylandtokyo.com/2024/01/04/5394/
「米陸軍が評価中の様々な教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/10/13/5129/
「22年6月:米陸軍首脳が教訓を」→https://holylandtokyo.com/2022/06/01/3245

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辛口の国防省評価局が陸軍GPS改良品を高評価 [Joint・統合参謀本部]

GPS外情報と妨害下のGPS信号を融合して地上航法に
第1と第1.2世代を改良の第2世代DAPS GEN IIが高評価
先ず700台を米陸軍がTRX Systemsと21億円で契約済

DAPS GEN II3.jpg2月7日付Defense-Newsは、米陸軍が妨害電波に脆弱なGPS地上航法装置の代替品(正確には改良&性能強化装置?)として、TRX Systems社(ACR Groupの配下企業)と検討してきた個人携帯型のDAPS(Dismounted Assured Positioning, Navigation and Timing System)に関し、辛口の厳しい評価で知られる米国防省のOT&E局(試験&評価局)が「最新GPS装置よりも優れ効果的だ」と今年1月の報告書で評価していると紹介しています

DAPS GEN II2.jpgDAPSの細部仕組みや性能をまんぐーすは把握していませんが、2023年4月12日付Defense-Newsの関連記事は、米陸軍とTRX Systems社との第2世代DAPS GEN II製造契約発表(23年4月11日)に際し、「米陸軍のDAPS開発責任者Mike Trzeciak氏が『(敵の妨害下でも、)軍事GPS信号にアクセスを確保し、更に他の航法技術から得た時刻等の関連情報と融合する技術を活用』」と説明した、と紹介しています

DAPS GEN II.jpg米陸軍とTRX Systems社が何時頃からDAPS開発に着手したのか記事からは不明ですが、今回OT&E局(試験&評価局: Office of the Director of Operational Test and Evaluation)が高く評価した「第2世代DAPS GEN II」の前段階で、DAPSの第1と第1.2世代である「GEN Iや1.2」が2023年9月末までに数百台米陸軍内に試験配布され、現場からの「改善提案」を基に生まれたのが「DAPS GEN II」とのことです

米陸軍は昨年4月11日にTRX Systems社と約590億円の「DAPS GEN II」製造契約を結び、その中で初期納入700台分と関連支援サービスを約21.5億円で調達することになってる模様で、21.5億円を単純に700台で割ると、「DAPS GEN II」1台当たりの価格は約309万円と計算可能です

DAPS GEN II4.jpg以前、米陸軍がGPS妨害対処訓練の一環として、スマホを使い慣れた世代の新兵教育の中で、GPSを使用しない「地図とコンパス」による地上航法訓練を取り入れ始めたところ、基本的な「地図とコンパス」航法をマスターできない不合格者が続出して対応に苦慮・・・とご紹介したことがありましたが、「DAPS GEN II」が救世主になれるのでしょうか?

DAPSの細部仕組みや性能細部が不明ですが、チマチマとフォローしていきたいと思います

敵のGPS電波妨害対処訓練は若者には高いハードル
「米陸軍兵士がGPS無しの訓練に苦労」→https://holylandtokyo.com/2022/12/22/4077/

被害状況下での戦いを想定せよ
「陸軍兵士がGPS無し訓練に苦労」→https://holylandtokyo.com/2022/12/22/4077/
「基本的な防御手段を復習せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-10
「米海軍将軍:妨害対処を徹底する」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-21
「空軍OBも被害対処を重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23-1
「被害状況下で訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-23

本格紛争に向けた地上部隊の備え
「米陸軍が対中国の分散演習」→https://holylandtokyo.com/2022/11/14/3900/
「機動性&生存性の高い前線指揮所を」→https://holylandtokyo.com/2022/08/01/3519/
「米海兵隊が歩兵の多兵器習熟を試行中」→https://holylandtokyo.com/2021/05/07/1490/
「歩兵の多能兵士化を推進中」→https://holylandtokyo.com/2021/04/27/117/
「海兵隊で歩兵が砲兵を支援する新形態演習」→https://holylandtokyo.com/2021/04/15/107/
「米陸軍の前線電子戦部隊構想」→https://holylandtokyo.com/2021/03/11/158/
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「無人機に偵察されたら」→https://holylandtokyo.com/2020/08/06/516/

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米宇宙軍が衛星への燃料補給方式異なる2企業と並行連携 [サイバーと宇宙]

NG社がまず認証:大型給油衛星方式
ベンチャー企業は他衛星サービス企業と連携し
2025-6年のサービス開始を目指す迅速さ

orbit fab rafti2.jpg2月5日付米空軍協会web記事は、1月29日にNorthrop Grumman社が米宇宙軍から、衛星が他の衛星から「宇宙給油」を受ける際に受け側衛星が装備すべき「ガスタンクへの注入口」「ガスタンクの蓋」仕様について、同社開発のPassive Refueling Module (PRM)が宇宙受油用インターフェースとして初の認証を得たと発表し、2025年までにPRM搭載衛星を打ち上げる予定だと報じるとともに、

米宇宙軍はNG社だけでなく、スタートアップ企業Orbit Fab社が開発したRapidly Attachable Fluid Transfer Interface (RAFTI)を8個ほど空軍研究所AFRLが既に入手し、2024年から確認を行うとともに、Orbit Fab社は「宇宙給油」の早期実用化に向け、他スタートアップ企業「ClearSpace(宇宙でのAAAを目指す企業)」や「Astroscale」と連携し、宇宙軍の「Prototype Servicer for Refueling (APS-R)」プロジェクト推進に取り組んでいる伝えています

PRM NG.jpgいきなり複数企業名が飛び交って恐縮ですが、従来は軌道上の衛星機器がまだ使用可能でも、姿勢制御や軌道維持&修正のための燃料枯渇により、衛星が役割を終える事を受け入れてきましたが、宇宙アセットの脆弱性重要性やコスト意識が高まる中、軌道上の衛星に燃料補給して延命したり、故障した衛星部品を「宇宙軌道上で修理」して長く活用する技術開発に注目が集まり、技術成熟もあり、宇宙軍は2020年代半ばに「衛星への宇宙での燃料補給」を実現したい意向です

Northrop Grumman社の構想は
●同社が宇宙軍から認証を受けたPRM方式の「燃料タンクへの注入口」を生かすため、宇宙軍とNG社は宇宙給油衛星GAS-T(Geosynchronous Auxiliary Support Tanker)の開発契約を既に締結。GAS-Tは十分な燃料を搭載して、燃料補給を求める衛星に自ら移動&接近し給油する方式
PRM NG3.jpg●GAS-T自身の搭載燃料が少なくなった場合には、宇宙燃料補給所(Depot)に立ち寄り、GAS-T自身が給油を受けて他衛星への給油を続ける構想もNG社は持っているが、まずは複数の衛星への給油可能な燃料搭載量を持つ、技術的にも十分に成熟しているGAS-Tの実現に取り組む。その後の判断は宇宙軍に委ねる
●なお、NG社はPRM方式の特許を既に確保済だが、開発費を宇宙軍から支援されており、宇宙軍が他衛星企業にPRM方式「燃料タンクへの注入口」搭載を要望する場合、当該衛星企業は特許使用料を支払う必要はない

Orbit Fab社の構想は
orbit fab rafti.jpg●同社は3万ドルの使用料でRAFTIを他企業に提供する事業形態を想定している
●同社は宇宙での給油を迅速に実現するため、今後数年以内に「宇宙ガスステーション:Gas Stations in Space」を宇宙空間に配備する計画だが、当該「宇宙ガスステーション」と給油を受けたい衛星の間を行き来するサービスは、他のベンチャー企業「ClearSpace(宇宙でのAAAを目指す企業)」や「Astroscale」に委託する方式を想定している

●例えば「ClearSpace社」は宇宙でのAAA(日本のJAFに相当)を目指す企業で、地上で故障して道路わきに停車した自動車にレッカー車を派遣して修理工場までけん引したり、故障現場で修理作業を提供する総合衛星サービス提供企業を目指しており、そのサービスの一つとしてOrbit Fab社のガソリンスタンドから燃料切れ衛星への燃料輸送担当を期待されている
●またOrbit Fab社は、別のベンチャー企業Astroscaleとも連携協議を進めている
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PRM NG2.jpg引き続きこの分野で「ど素人」状態のまんぐーすは、衛星に給油する燃料ってどんな燃料(Fuel)? 「Gas Stations in Space」はどれくらいの規模の宇宙船になるの? どうやって燃料を運ぶの? どのくらいの頻度で? 等々の疑問が次々に浮かんできますが、少しづつ学んでいく事といたしましょう

それにしても、日本は戦闘機開発に人材や資金や時間を費やしている場合なんでしょうか? 

衛星の機動性SM&ロジL重視
「衛星への軌道上補給に企業活用へ」→https://holylandtokyo.com/2023/03/01/4320/
「宇宙軍は衛星のSM&L重視」→https://holylandtokyo.com/2023/01/18/4130/
「衛星延命に企業と連携」→https://holylandtokyo.com/2021/11/10/2350/
「推進力衛星とドッキングで延命」→https://holylandtokyo.com/2020/02/28/839/

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米国政府:露が核使用の対衛星兵器開発中 [安全保障全般]

米議員の問題提起を契機に米大統領府報道官が認める
ロシアによる「宇宙条約」違反のやりたい放題

Turner House.jpg2月14日の米下院情報委員会(House Intelligence Committee)委員長Mike Turner議員(共和党)による米国政府への情報開示請求に端を発し、メディアを巻き込んで話題となっている「ロシアによる核を用いた宇宙配備の対衛星兵器開発」に関し、15日にはJohn Kirbyホワイトハウス報道官が記者会見で自ら冒頭から本件を切り出して、「この場で説明できる範囲は限定されるが、米国情報機関は以前から本件を察知してフォローしており、大統領にも報告されている」と説明しました

Turner Russia Asat.jpgまずTurner委員長は米国時間14日に、「深刻な国家安全保障上の脅威に関する懸念事項が生起しつつあり、同盟国を含めてどう対処すべきかを議論するため、バイデン大統領に関連の情報を秘密制限解除して説明するように求めた」と米下院のXアカウントを通じて明らかにし、そこから「ロシアによる核を用いた対衛星兵器開発」に関する件だとメディアや専門家が発信してこのような事態になっている模様です

15日の定例記者会見でのKirby報道官の説明
●Turner委員長が言及した脅威については、その秘密レベルからこの場で共有できることは限られるが、ロシアが開発中の対衛星兵器に関するものである
Kirby White House.jpg●同兵器はまだ完成しておらず使用可能な状態にはないが、ロシアが開発中の同兵器は宇宙に配備することを想定したもので、仮に同兵器をロシアが打ち上げられるようなことになれば、露を含む130国以上の国が批准(1967年発効で、日本は同年に批准)している宇宙条約(Outer Space Treaty)が定めた、核兵器の宇宙への展開を禁じた条項に違反することとなる

●ロシアはこの種の兵器開発に、何年も前からではないが、何か月も前から取り組んでいたが、米国情報機関がここ数週間で、ロシアが本兵器開発をどのように進めているかに関しより確度の高い情報を入手できた
●(記者から、ウクライナ支援に対する共和党の反対姿勢に対抗するための議会対策として、このようなロシア関連情報を利用しているのでは、との憶測も報じられているがとの質問に対し、一言で回答、) Bollocksだ(たわごとに過ぎない!)

Haines Reagan2.jpgAvril Haines国家情報長官(Director of National Intelligence:講道館へ1年間柔道修行留学したこともある異色の女性長官です!)による2023年脅威分析報告書では
●ロシアは引き続き、宇宙関連ロシア軍部隊の強化と、米国やその同盟国の宇宙活動能力を破砕し低下させる兵器の配備に努めており、破壊と非破壊手段の両方で、地上発射と宇宙配備型の電磁波、サイバー、エネルギーを利用した兵器を含む開発に取り組んでいる・・・と記述されています

更にまた米宇宙軍トップのSaltzman大将は13日に、
●我々は、ロシアや中国による「nefarious:極悪非道」な宇宙兵器開発を目の当たりにしている。他に適切な形容詞があればぜひ教えてほしいが、とても、極めて憂慮すべきレベルである
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Russia nuclear Asat.jpg2月16日には、ロシアで反政府・反プーチン活動を行って逮捕拘留されていたナワヌルイ氏が、北極圏内にある刑務所で死亡したとのニュースが世界を駆け巡りましたが、プーチンの「nefarious:極悪非道」ぶりは留まるところを知りません。

具体的にどのような対衛星兵器なのかわかりませんが、人類共通の公共財である宇宙空間を、核爆発による強烈な電磁波やそれによって生じる宇宙ゴミで無差別に破壊しかねない試みに、心の底から怒りを覚えます

Mike Turner下院情報委員長の声明文(Xへの投稿)
https://twitter.com/houseintel/status/1757805804885823775?s=46&t=pYNJFAcMl-cz2vCabuai5g

Haines国家情報長官の関連記事
「ロシアの弾薬不足」→https://holylandtokyo.com/2022/12/08/4032/
「中国の宇宙兵器開発」→https://holylandtokyo.com/2021/04/27/116/

宇宙条約(Outer Space Treaty)等に関する外務省の解説
https://www.disarm.emb-japan.go.jp/itpr_ja/chap12.html

John Kirby大統領府報道官の会見トランスクリプト
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/press-briefings/2024/02/15/press-briefing-by-press-secretary-karine-jean-pierre-and-white-house-national-security-communications-advisor-john-kirby-3/

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米空軍が大規模改革アクションを発表 [米空軍]

具体的な実施スケジュールには触れず
将来装備検討や開発専従の新コマンド創設
戦闘・空輸・CSコマンドは戦いと態勢維持に集中
ACE構想を全ての基準として一貫した教育体系を
Kendall長官の任期切れまでに間に合うか・・・

Kendall AFA2024 4.jpg2月12日、米航空宇宙協会Warfare SymposiumでKendall空軍長官とAllvin空軍参謀総長と宇宙軍トップのSaltzman宇宙作戦部長が登壇し、昨年秋から空軍省が検討してきた間近に迫った本格紛争で任務遂行可能な体制を早急に整備するための、冷戦後最大級の組織的改革24アクションが発表されました

基本的には既存の予算内で実施可能なコストで、新規事業に必要な予算措置は予算作成サイクルに組み込み可能な2026年度予算案からと説明されたアクションについて、大きな組織改革を含めてその具体的実施時期が明らかにされない「迅速に検討中」状態での発表ながら、Kendall長官がプレゼンで「We are out of time」「do so with a sense of urgency」と繰り返し言及する勢いだった模様です。まんぐーすの考える重要ポイントは・・・

Kendall AFA2024 2.jpg●装備品の導入構想や要求性能や開発管理専従の「将来体制を検討する専門コマンド」を中将トップで創設し、戦闘・輸送・CSコマンドは日々の作戦運用とそのための即応態勢維持に集中させ、戦闘機や輸送機や爆撃機の将来構想検討の中心から距離を置く

●戦闘・輸送・CSコマンドの戦闘能力強化のため、冷戦期の手引きを復活させ、コマンドの枠を超えた大規模演習や事前通告なしの戦闘能力点検を復活させるなどに取り組み、部隊航空団を前方展開即応部隊や基地機能維持部隊等に明確に区分してその求めるところを明確に区分し態勢維持状態を確認する

Kendall AFA2024 5.jpg●教育訓練では、ACE構想遂行可能な多能力を備えた兵士育成に空軍全体の基準として取り組み、新兵教育から上級教育までを含めた一貫した体系で実現する・・・との方向に整理できると考えましたが、理解不十分な点はご容赦いただき、12日付Defense-News記事からアクションの細部についてご紹介いたします

中将司令官のIntegrated Capabilities Command創設
Kendall AFA2024 6.jpg●今回発表された空軍改革の中で、他の改革と比較して格段に大きな変革は、Kendall空軍長官の2年半に渡る長官経験と50年近くの国防省での装備要求構想作成や兵器開発管理経験を踏まえた集大成的改革であり、兵器開発における要求性能取りまとめと開発管理を戦闘・空輸・CSコマンドから切り離し、長期的視点から専従で行う新設の「Integrated Capabilities Command」に権限を集中して実施させる決断である
●同コマンドは、例えば従来空軍戦闘コマンドACCが担ってきた戦闘機開発性能要求策定任務や、輸送コマンドの輸送機要求性能作成任務を引き継ぎ、ACCや輸送コマンドの意見聞き取りや議論はともに行うものの、空軍省内の全ての能力開発計画や要求性能取りまとめ、資源配分を中央集権的に采配する役割を担う
●Kendall長官は「前線部隊の兵士や運用者(ACCや輸送コマンド等)には部隊の即応態勢獲得や維持に集中してもらい、空軍の将来像を考えることは別の組織に専従で行わせたい」と表現

戦闘・輸送・CSコマンドの戦闘能力強化
Allvin AFA.jpg●米空軍の中心的戦力発揮組織である「Air Combat Command」、「Air Mobility Command」、「Global Strike Command」は、配下部隊の即応態勢維持により焦点を当てた取り組みを強化するため、空軍長官と参謀総長が自ら冷戦時代の「playbook:手引書」に立ち返り、過去30年間の中東での作戦支援の継続で記憶から失われた、大規模作戦演習や事前通告なしの戦闘能力点検や査察を再び導入する
●空軍長官は本件に関し、「前線派遣態勢が整っているはずの航空団が、本当に必要な全ての任務遂行能力を具備していることを確実にする。きちんと訓練する機会を設け、その上で部隊の能力を評価していく」とインタビューで語っている

●作戦運用を担う航空団「Wing」は、その役割に応じて3つに区分され、作戦遂行部隊と作戦運用航空団を支えたり基地運営を担う航空団との違いを明確に表現した名称を付与し、「Deployable Combat Wing」、「In-Place Combat Wing」、「Combat Generation Wing」とする
●現在空軍戦闘コマンドACCの配下にあり、情報戦と電子戦を担当する第16空軍は、空軍長官と参謀総長に直属する「Air Forces Cyber」に格上げされる。指揮官は現在と同じ少将

Saltzman AFA.jpg●宇宙軍も新たに現代の厳しい脅威下を踏まえた部隊即応態勢の基準を設定し、新たな体系の演習を導入して部隊能力を強化する。宇宙軍トップのSaltzman大将は「現在の宇宙軍は商船運用会社のようなものであり、その組織を米海軍のように鍛える必要がある」と厳しい表現を用い、「我々が成し遂げるべき改革革新を理解する必要がある」と現実を直視した
●ローテーションで統合の宇宙コマンドを支援する新たな「Space Force Combat Squadrons」を立ち上げる。また統合の地域コマンド(インド太平洋軍や中央軍など)や機能コマンド(サイバーコマンドや輸送コマンドなど)を支援する役割を、既存の宇宙軍組織を再整理して「Space Force component commands」として立ち上げる

教育訓練体系の再整理
Kendall AFA2024 7.jpg●教育訓練コマンド(Air Education and Training Command)を「Airman Development Command」に改編し、ACE構想(Agile Combat Development)を作戦運用の基準として掲げ、これまでの「多能力兵士Multi-Capable Airmen」養成との認識でなく、多能力兵士が標準との認識を表現する「Mission-Ready Airmen」養成を目指し、新兵教育から上級者レベル教育まで一貫して取り組み体制を構築する
●IT分野とサイバー分野にとりあえず限定し、空軍内で最初に上級レベルの高い練度を保有する兵士に「Warrant Officer:准尉」の階級を創設して、能力相応の給与水準向上を目指すだけでなく、専門技能分野に特化した高い技量を伴う専門家のキャリアパスを、通常の士官養成とは異なるルートで設定可能にする

●Air Force Materiel Commandは内部再編し、以下の3つのセンターとオフィスに役割を再整理して業務の円滑推進を目指す
Information Dominance Centerは、C3BM(Battle Management)とサイバー、電子戦、空軍全体の情報システム&インフラの側面から、空軍と宇宙軍を支援
Air Force Nuclear Systems Centerは、現存のNuclear Weapons Centerを拡充して核兵器管理の改善を担い、ICBM計画担当少将のICBM再構築を監督する
Air Dominance Systems Centerは、Life Cycle Management Centerを改編し、航空機と兵器開発の同期を図ることに焦点を絞る
・•Integration Development Officeは、新たな運用構想や技術導入が、技術的成熟度や全体のバランスから見て適切かどうかを見積もり評価する役割を担う
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Kendall AFA2024.jpg5 か月の集中検討の成果として公開された内容ですが、Kendall長官は様々な提案を審議する中で、例えば陸軍や海軍のように複数の 主要コマンドをを単一の軍司令部に統合する等のより劇的な提案のいくつかは破棄され、洗練されたと説明しています

また発表した内容は空軍長官の権限で実施可能だが、事前に国防長官や副長官、更に他軍種の長官にも事前説明し、改革の方向性について一切の疑念なく「正しい道を歩んでいる」との評価を頂いているとも語った上で、今後について、「方向性を決定したので、その詳細に取り組む」、「詰めるべき詳細が多数あり、大変な作業になるが、やり遂げる準備は出来ている。私たちは官僚的な抵抗を克服するアプローチを採用している」と会場に列席の空軍主要幹部と空軍OBや軍需産業関係者と専門家ににらみを利かせたようです

政治任用者であるKendall空軍長官の任期は、11月の大統領選挙に伴う新政権誕生までと考えるのが普通で、時間が限られた中での本改革が可能なのか、様々な議論を既に巻き起こしていますが、まんぐーすはその意気込みに素直に感動しましたし、その使命感と熱意を学びたいと思いました。今後に注目したいと思います

Kendall空軍長官が宣言
「米空軍総レビュー実施」→https://holylandtokyo.com/2023/09/07/5012/

この改革に向けたAllvin参謀総長の推薦図書など
「米空軍制服トップが推薦図書等を公表」→https://holylandtokyo.com/2024/01/31/5473/
「Kendall空軍長官の推薦図書19冊」→https://holylandtokyo.com/2023/06/19/4736/

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台湾近傍フィリピン北端に米国支援で軍施設増強中 [安全保障全般]

バシー海峡の真ん中の島にも港湾施設増強
フィリピン北端エリアの空港や港湾再整備

Philli Batnes.jpg2月5日付Defense-Newsは、対中国を念頭に置いたフィリピンと米国間の防衛協力合意(2014年締結:EDCA:Enhanced Defense Cooperation Agreement)に基づき、米国支援によりフィリピン国内で進む港湾や空港や倉庫や兵舎等整備について取り上げ、特に台湾とフィリピン間の国境となるバシー海峡に面するフィリピン北端地域や、バシー海峡中間にあるフィリピン領の島での施設整備など、中国が発狂して「力でねじ伏せる」とわめきちらす取り組みをご紹介します

特にフィリピンは、2022年7月に就任したマルコスJr大統領が対中国を意識して米国との連携強化に大きくかじを取り、米軍が対中国で「戦力の分散運用」を目指す中で、分散展開先や物資集積場所等になりそうな場所提供を積極的に進め始めており、2014年のEDCA締結後に5か所、2023年には追加で4か所の計9か所で港湾や空港や倉庫や兵舎等のプロジェクトが進んでおり、最近もオースチン国防長官がマルコス大統領と米軍プレゼンス拡大に合意したところです

Phili EDCA.jpg当然フィリピン側にも中国の「息のかかった」と推測される、某沖縄知事の様な反米親中政治家がおり、「米軍基地が整備されると中国の攻撃目標になり、戦争に巻き込まれる」と叫んでおり、米国もフィリピン政府側も9か所でのプロジェクトについては「ロープロファイル」の説明ぶりで、

例えば2014年から23年までのプロジェクト数について、米国報道官が14プロジェクト約84億円と言えば、元フィリピン側関係者は実際には21プロジェクト約120億円相当と語るなど細部不明な状態ですが、2024年度はフィリピン政府発表が14プロジェクトで、米側関係者は34プロジェクトと語る共同プロジェクト花盛りの急激右肩上がり状態で米比関係が加速推進されています

Philli Lal-Lo.jpg注目すべきプロジェクトは、台湾との国境となるフィリピン北端「Cagayan province」で進む、比「Naval Base Camilo Osias」やその約60㎞西側で具体的検討が進む比「Lal-Lo Airport」での燃料貯蔵施設や指揮統制センター建設プロジェクト、更にバシー海峡中間点付近の島々で構成される比「Batanes province」で進む港湾施設計画で、比海軍が昨年10月から先行展開して着々と準備が進むプロジェクトなどです

まんぐーす自作の見づらい地図を1つ添付していますが、中国政府が「米国はこれらプロジェクトが災害対処や地域経済振興の一環だと主張し、フィリピン政府関係者は難民対策にもなる等と意味不明の言い訳をしているが、単純にして明確に、米国が先導する米同盟国をそそのかした中国囲い込み政策だ」、「フィリピン政府の協力姿勢は、極めて深刻にフィリピンの国益を損なうことになり、地域の安定も危険にさらすことになる」とわめき叫ぶのも納得の大胆さです

Phill EDCA2.jpg感心するのはフィリピンの元比政府外交関係者で現在政府系コンサルタント会社を率いるフィリピン識者が、「米国側関係者と面談すると、台湾有事への備えが最優先事項だと鼻息荒いが、我々はその際は当てにしないでくれ・・・と米側には言っている」、「でもフィリピンでは、米国が比を去ることをだれも望んでいない、なぜなら、米が去れば、中国がもっと攻撃的になると知っているからだ」と達観した現実的な視点を根っこに持っている点です
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Phill Lal-Lo2.jpgドゥテルテ大統領時代に、米国が同大統領の麻薬撲滅作戦を「人道的に問題」などと非難しなければ、5年以上前から米比関係は右肩上がりの改善を見せたと思いますが、フィリピンの動きは日本も是非学びたいものです

中国経済の限界が不動産バブル崩壊によって顕在化し、金融崩壊に至る今となっては中国共産党支配体制の崩壊まで見えてきそうな様相となっていますが、今がチャンスです。中国包囲網を強化いたしましょう!!!

フィリピン関連の記事
「米空軍F-22が初展開」→https://holylandtokyo.com/2023/03/24/4442/
「米軍のアジア太平洋協力強化」→https://holylandtokyo.com/2023/02/20/4294/
「比の新大統領は中国寄り?」→https://holylandtokyo.com/2022/07/08/3450/
「日本製監視レーダー提供へ」→https://holylandtokyo.com/2020/08/31/536/

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太平洋軍司令官候補が議会で燃料と兵站の重要性を [Joint・統合参謀本部]

議会承認を得るため上院軍事委員会で所信を語る
空中給油や輸送コマンドとの連携兵站重視と
昨年6月には一時次の米海軍制服トップと報じられた方

Paparo6.jpg2月1日、現在の米太平洋海軍司令官で、次のアジア太平洋軍司令官(正確にIndo-Pacific Command司令官)候補にノミネートされているSamuel J. Paparo Jr海軍大将が、上院軍事委員会で承認を得るための質疑に臨み、中国の台湾侵攻に関しては慎重な回答をしつつ、対中国作戦に向けては「more forward, more distributed posture:より前方に、より分散した戦力配備態勢で」との基本方針を語り、

Paparo5.jpg更に脅威情勢に対応し、兵站支援面で「効率」より「効力効果:effectiveness」を重視した準備の必要性を主張し、具体的に西太平洋での燃料不足を取り上げ、空中給油能力の不足や無人空中給油機の開発の必要性を示唆するような発言までしています。また太平洋軍と輸送コマンドとのメジャーコマンド連携が極めて重要になるとも語っています

まずはPaparo海軍大将のご経歴概要を
●1964年生まれ。米海軍士官学校出身「ではない」空母艦載戦闘機パイロットで、F-14やFA-18やF-15Cで飛行時間6千時間以上・着艦1100回以上のトップガンスクール出身者。
●海軍パイロットながら、米空軍戦闘機部隊への交換操縦者として空軍F-15C部隊に配属され、サウジに展開して実任務を遂行した経験もあるほか、米空軍指揮幕僚大学ACSCやAWCコースも履修し、空軍との人的つながりも太い

Paparo7.jpg●横須賀配属空母のF-14操縦者として勤務を開始し、艦載機飛行隊長や空母航空団司令官や空母戦闘群司令官を歴任し、中東担当の第5艦隊司令官も務め、米中央軍海軍と米太平洋軍海軍司令官(現在ポスト)を経験している
●統合職として、米中央軍の作戦部長(J3)経験のほか、珍しい職歴として、アフガニスタンの「Nuristan Province」復興担当指揮官として、米陸軍第10山岳師団第3旅団や第173空挺旅団と共に活動した経歴アリ

Franchetti5.jpg●何と言っても最近では、昨年6月12日に全米各種メディアが「次の米海軍制服トップ候補に国防長官がPaparo海軍大将を推薦」と複数の匿名海軍や国防省幹部の証言付きで報じながら、同7月21日には当初から大本命とされてきた女性のLisa Franchetti大将の正式候補推薦がバイデン大統領から発表されるとのドタバタに巻き込まれた人物

(太平洋海軍司令官が、一段上の太平洋軍司令官に就任するのは、現在のJohn Aquilino司令官など多くの実績があるルートであり、米空軍とのパイプもある点からも、順当で適切な人事だと上院でも全く反対意見はないようです)

Paparo海軍大将は議会で証言し・・・
Paparo.jpg●(中国による台湾侵攻の可能性について問われ、)習近平主席の考え方や行動予測は語れないが、中国が軍事力を背景に国境を再設定を狙い、復興主義者、修正主義者、拡張主義国家として侵略を拡大する大胆な動きを目にしており、ますます無秩序&混沌に向かう世界情勢を体感している
●このような情勢を受け米太平洋軍は、「more forward, more distributed posture:より前方により分散した戦力配備態勢」に転換する必要がある

●またこのような体制と作戦運用を支えるため、「効率性efficiency」の原則を基に構築されてきた兵站態勢を、「効力効果effectiveness」の原則で再検討すべきと考えている
●(未だ要求性能を満たせない状態で正式運用を開始したKC-46空中給油機に対する評価と問われ、)統合戦闘力を発揮するうえで、ダイナミックに機動する必要がある航空作戦構想から、空中給油能力を懸念している。統合戦力として(空中給油のために)足の長い、無人の、multi-domain platformsが、作戦機と輸送機用に必要だ

Paparo2.jpg●また(分散運用を支えるだけの)地域全体への燃料供給も極めて重要だ。抑止面で、競争面で、危機紛争対処面で、米輸送コマンドとのメジャーコマンド間協力(COCOM-to-COCOM relationship)が最も重要だ。2つのコマンドが常続的に顔を突き合わせるように作戦計画を煮詰め、有事に備えている

(ご参考:昨年夏に、米本土とハワイ・グアム、豪州、日本の拠点を巻き込み、航空機70機と3000名以上が参加し、空軍輸送コマンドと米輸送コマンドが連携して史上最大のMobility Guardian演習が実施され、「more forward, more distributed posture」体制を支える準備が実施されている)

Samuel Paparo海軍大将の公式経歴
祖父・父も米海軍勤務の筋金入りです
→ https://www.cpf.navy.mil/Leaders/Article/2628260/admiral-samuel-j-paparo/

Paparo大将も巻き込まれた人事ゴタゴタ
「大統領は初の女性トップ指名」→https://holylandtokyo.com/2023/07/24/4888/
「Paparo大将を国防長官が推薦報道」→https://holylandtokyo.com/2023/06/13/4747/

2023年の史上最大の空輸演習@西太平洋
「Mobility Guardian演習が初めて海外で」→https://holylandtokyo.com/2023/07/13/4852/

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Bamboo Eagle:初のACE構想統合&多国間演習 [Joint・統合参謀本部]

Red Flag 24-1演習(1月15-26日)に引き続き26日から8日間
米空軍主催で英豪空軍、米海軍海兵隊航空機も参加し
加州の5基地での分散運用で対中国ACE作戦訓練

Bamboo Eagle.jpg1月30日付米空軍協会web記事が、初めてのACE構想に基づく分散基地運用(practicing the hub-and-spoke concept along with Agile Combat Employment)演習「Bamboo Eagle」が、「Red Flag 24-1演習」最終日1月26日とオーバーラップする日程で2月2日まで(推定)実施されると紹介しています。

なお、「Red Flag 24-1」がラスベガス近傍のネリス空軍基地で行われたので、「Red Flag 24-1」参加機の大部分が、「Bamboo Eagle」参加のため、ネリスから加州5つの(想定)分散運用基地への機動展開を含むACE構想の実戦的演習に取り組んでいるということです

Bamboo Eagle3.jpgACE構想(Agile Combat Employment)は米空軍が対中国を強く意識し、米空軍全体で運用能力向上を図っている構想で、従来のように設備充実の大規模根拠飛行場を中心とした航空作戦では、中国の弾道&巡航ミサイル攻撃により運用不能に陥る懸念があることから、不便で設備不十分でも残存性が少しでも高い基地に戦力を分散しつつも、指揮統制や兵站面をしっかりやって強靭で生存性の高い戦力運用を目指す構想です

初の本格的統合&多国間ACE構想演習となっている「Bamboo Eagle」では、米空軍航空戦術(空対空や空対地航空作戦が主体)演習「Red Flag 24-1」の演習項目に加え、(台湾有事をたぶんに想定した)対艦攻撃訓練や、ACE構想の重要要素となる不便な分散基地への迅速な展開と現地での兵站や指揮統制を含む態勢確立が、実戦とバーチャル訓練を交えて実施されるとのことです

参加者は米軍全軍種から兵員3000名と航空機約150機、そして英空軍と豪州空軍から300名が参加する大規模なものとなった模様で、その内訳は・・・

Bamboo Eagle4.jpg●米空軍→B-2爆撃機、F-35、F-22, F-15E, and F-16 戦闘機、 C-130 and C-17 輸送機、KC-135 and KC-46空中給油機、EC-130電子戦機、HC-130特殊作戦機(兵員投入回収機)、HH-60救難ヘリ
●米海兵隊→F-35B、MQ-9無人偵察攻撃機
●米海軍→EA-18電子戦攻撃機

●英空軍→ユーロファイターとA330空中給油機
●豪州空軍→F-35A ・・・・です。

初の「Bamboo Eagle」演習で、分散運用基地(practicing the hub-and-spoke concept)に設定された5基地は全て加州の5基地

●米海軍のNaval Air Station North Island,
●米空軍のBeale Air Force Base, Travis Air Force Base, Edwards Air Force Base
●海兵隊のCamp Pendleton

Bamboo Eagle5.jpgBamboo Eagle演習を計画運用する米空軍Warfare Centerの公式発表は演習を・・・

「東太平洋の海洋と空域を作戦空域に見立て、海洋ドメイン作戦も組み入れた実戦的な全ドメイン訓練環境を設定し、訓練参加者が米本土西部の複数の(分散運用)基地から作戦行動を開始し、分散基地の指揮統制や兵站運用や空中給油等も含めた訓練を行った」と紹介しています
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Bamboo Eagle6.jpg台湾有事の対中国作戦では、西太平洋の島々や第1&第2列島線上の同盟国等の分散運用基地に展開し、指揮統制や兵站支援体制も確立して作戦運用することを前提とし、その実行力獲得を狙った初の「Bamboo Eagle」演習ですが、陸続きの加州の5つの基地と、環境が整わない西太平洋に分散する島や国々の基地とでは大きな違いがあります。

それでもこれだけの米空軍の参加規模で、海軍や海兵隊も主旨に賛同し、英軍や豪州軍も馳せ参じての演習は大きな一歩だと思います。「Bamboo Eagle」との演習名は、竹(Bamboo)の「しなやかさ」や外部からの力への「対応力や強靭性」を期待しての表現かな・・・

米空軍のACE構想関連記事
「PACAFはACE運用態勢未確立」→https://holylandtokyo.com/2023/09/19/5048/
「生みの親が現状語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「米空軍がACEドクトリン発表」→https://holylandtokyo.com/2021/12/17/2532/
「欧州米空軍がACE確認演習」→https://holylandtokyo.com/2021/10/27/2317/
「GuamでF-35等が不整地離着陸訓練」→https://holylandtokyo.com/2021/01/29/310/
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/

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映画「トップガン」の第3弾にパラマウントが着手 [ちょっとお得な話]

『トップガン マーベリック』の製作陣/キャストが再集結か
ただクルーズの予定は2025年又は26年まで余裕なしとか
現在61歳(1962年生)のクルーズはどんな役割を?

Tom Cruise6.jpg1月11日付米映画情報専門サイト「Puck」によれば、大ヒット映画「トップガン」の第3弾にパラマウントが着手した模様です。主演のトム・クルーズ(Tom Cruise)は先日、米ワーナー・ブラザースとパートナー契約を締結したのですが、独占的な契約ではないため、今後も『トップガン』『ミッション:インポッシブル』シリーズでパラマウントと連携していくとのことです。

1986年公開「トップガン」の続編である2022年公開「トップガン マーヴェリック」は、トム・クルーズのキャリア史上最高となる14億9000万ドル(約2160億円)の世界興行収入を記録。作品賞を含むアカデミー賞6部門にノミネートされ、音響賞を受賞しています。

Tom Cruise5.jpg大ヒットの「トップガン マーヴェリック」の脚本を共同執筆したアーレン・クルーガーが、同人気シリーズの最新作に向けて脚本の草稿に取り掛かっているとも報じられています。

「Puck」によれば、3作目では主演のトム・クルーズをはじめ、ルースター役のマイルズ・テラー(Miles Teller)やハングマン役のグレン・パウエル(Glen Powell)といったキャストの復帰も見込まれているとのこと。またジェリー・ブラッカイマーとデヴィッド・エリソンも引き続きプロデューサーを務める見込みだという。

Tom Cruise2.jpg更に、前作でメガホンをとったジョセフ・コシンスキーが、監督もしくは次作に戻ってくる可能性もあるという。

ただ、トム・クルーズには現在、『ミッション:インポッシブル』シリーズ第8弾や、ダグ・ライマン監督と共に宇宙で撮影する新作映画が控えているとも言われており、「Puck」は「クルーズの予定は2025年又は26年まで余裕がないのでは?」とも報じています

Tom Cruise.jpg「トップガン マーヴェリック」の監督で、3作目でもメガホンを握る、又はプロデューサーとして関わる可能性があるらしいコシンスキー氏は、第2弾が大成功を収めた理由をハリウッド記者団に以下のように語っていました。

●我々はこの映画が可能な限り最上の大きなスクリーンで楽しんでもらえるように製作しました。最新設備の映画館ならば、(コロナ下の)ここ数年皆が待ち望んでいた経験を観客の皆さんが劇場で再発見できると感じたから。成功の理由はそこに関係していると思う。

Tom Cruise4.jpg●ストーリーが人々の心に響いたことも大きいだろう。人々は35年ぶりにトムがマーヴェリックを再演するのを観ずにはいられなかったし、それは本当にスリリングなことであった。だから昔流の映画を作りたかったんだ」「昔流のやり方に最新のハイテク装置を装備して撮影した。観客はその実践的な映画の撮影につぎ込まれた我々のすべての努力を感じてくれたんだと思う
●座席の端をつかむような手に汗握る映画だったという感想が絶えないよ。ストーリーが語られる中での、実践的な映画製作の力が本当に評価されたんだと実感している
////////////////////////////////////////

SNS上では3作目の場面設定を、「海軍を定年退官したマーベリックは、タイのリゾート地近くで小型機での遊覧飛行や操縦体験を提供する暮らしを始めていた。地元の人達とも馴染み、かつての緊張の日々から解放されたそんな一日が終わりを告げる夕暮れ時、仕事を終えシャワーを浴びたマーベリックがビール片手に南国の風に吹かれていると・・・。かつての同僚が突然訪ねてきた。マーベリック、頼みを聞いてくれないか・・・」と語る人まで現れています

Tom Cruise3.jpg以上の出だしが、嘘か誠か全く分かりませんが、既にファンの期待や妄想は「千里を駆け巡る」レベルになっているのでしょう。まんぐーすは「トップガン マーヴェリック」見る前、突拍子もない場面設定や、現実とかけ離れた作戦任務が描かれて白けるのでは・・・と一抹の懸念を抱いていましたが、大迫力の音響と映像で、コロナ下で縮んでいた心を開放してもらいました。3作目にも期待いたしましょう

映画トップガン関連の記事
「太平洋軍トップはトップガン出身」→https://holylandtokyo.com/2020/12/07/337/
「コロナで第2弾公開延期」→https://holylandtokyo.com/2020/04/12/722/
「第2弾の予告編2」→https://holylandtokyo.com/2019/12/19/2847/

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米空軍が電動固定翼機の3か月間のお試し試験終了 [米空軍]

Joby Aviation社電動ヘリ試験に続き固定翼Aliaでも
負傷者搬送やF-35部品輸送の低コスト運用
トラック車両輸送より「早くて安い」とアピール

Alia BETA3.jpg1月28日、電動固定翼機「Alia」を開発したBETA Technologies社が、米空軍と共に10月末からフロリダ州Duke飛行場(Tyndall空軍基地から約120㎞)を拠点として取り組んできた同機(機体はBETA社保有)の3か月間に及ぶお試し試行運用を終了し、従来C-130輸送機が行ってきた負傷者の高度医療機関近傍への空輸や、設備不十分な飛行場に着陸したF-35に修理用部品を空輸する試験飛行などを行ったと発表しました

米空軍は2020年2月から、日進月歩の民生電動ヘリ&航空機を活用するプロジェクト「Agility Prime」を本格的に立ち上げ、空軍研究所のAFWERXチームが主導で10社以上の企業と様々なレベルの契約を締結して「民間活力活用」を図っており、2023年年9月には「電動ヘリeVTOL」として、トヨタ自動車も600億円出資しているJoby Aviation社から初号機を入手し、加州エドワーズ空軍基地で同じく3か月間のお試し使用試験を行ったところです

Alia BETA4.jpg電動ヘリ&電動固定翼機の用途を空軍は多様な側面から検討中ですが、従来型ヘリでは危険な特殊部隊員の侵入・帰還輸送や敵領域での救難救助、静粛性を活用した偵察、最前線の分散運用基地での輸送任務、広大な演習や試験場での移動用など、66項目の将来想定任務がアイディアとして米空軍プロジェクトチーム内で検討されているとのことです。

また「無人機」開発の教訓から、民間主導の競争に任せすぎると価格競争になり、結果として中国製部品や中国企業がサプライチェーンに大きく絡んで米国防省が採用できなくなる問題の再発を防ぐため、民間企業の競争や柔軟な発想を妨げない「ほどほど」の米国防省による関与で、米国内の電動ヘリ&航空機産業を成長させつつ、米国内サプライチェーンも育成する姿勢で取り組んでいるようです。

電動固定翼機「Alia」の3か月お試し試験では
Alia BETA5.jpg●まず「Alia」は、幅約50フィート(15m)、航続距離250マイル(450㎞)、最大速度138ノット(時速250㎞)でペイロードは1000ポンド(約450㎏)、騒音レベルは通常ヘリの10%程度レベル。
●「Alia」には、垂直離着陸可能なティルローター形式の型もあるが、空軍は通常離着陸型をお試し。機体の受け入れ前に、3基のシュミレータ(うち1台は移動可能型)と2機の充電設備を入手済で、2023年10月に米国防省初の充電設備としてDuke飛行場に設置

●1月11日実施の患者輸送試験の概要
・救難救助ヘリHH-60Wが、患者を最前線基地想定のジョージア州Moody空軍基地から、安全な後方基地を想定したフロリダ州Eglin基地に空輸。その後Eglin基地に待機していた「Alia」機内にストレッチャー毎患者を移し、高度医療施設近傍をイメージした約120㎞先のDuke飛行場へ、従来のC-130輸送機ではなくAliaで移送

ALIA Beta2.jpg・BETA Technologies社は、「僅か10分でのHH-60ヘリからAliaへの乗り換えは、一刻を争う患者輸送にとって重要なポイント」(C-130の場合、機体への患者の固定、エンジン始動から離陸までの時間もより多く必要)、「この120㎞飛行にC-130は乗員3名と燃料費約1600ドルが必要だが、Aliaは乗員2名と燃料費わずか5ドルで可能」(エンジン推進航空機と比較し、単純な構造の電動航空機は、維持整備費も安価)とアピール
・米空軍の試験飛行担当部隊指揮官は、「Aliaの様な低コスト輸送アセットを導入することで、前線での空輸任務に必要なC-130の負担軽減が可能」と電動航空機の利点をアピール

●F-35部品の輸送試験
・「Maintenance Recovery Team (MRT) mission」として、Duke飛行場に緊急着陸したF-35の修理に必要な部品を、Eglin基地との間を往復してAliaが空輸
・BETA Technologies社は、「この任務を車両による陸上輸送で行うと、4時間とガソリン代45ドルが必要だが、Aliaだと1時間と燃料代25ドルで可能」とアピール
///////////////////////////////////////////

Archer Aviation.jpg米空軍は上記でご紹介したJoby社とBETA Technologies社製の電動ヘリや航空機の「お試し試験」の他に、既にArcher Aviation社と約210億円で6機の電動eVTOL機購入契約を結んでいるとのことで、「まず電動ヘリや電動固定翼機の特性を米空軍内に周知する」フェーズから、徐々に「本格的な任務アサインと部隊戦力化」フェーズに進んでいる模様です

どの機体もデザインが洗練されており、既存の軍需産業が生み出す航空機とは一味違いますねぇ・・・・。完全に素人目線ですが・・・

米空軍の「Agility Prime」計画
「電動固定翼機Aliaの試験開始」→https://holylandtokyo.com/2023/12/05/5267/
「Joby社電動ヘリで本格試験開始」→https://holylandtokyo.com/2023/10/05/5076/
「米空軍が電動ヘリ導入検討開始」→https://holylandtokyo.com/2022/06/29/3370/
「電動ヘリeVTOLでACE構想推進へ」→https://holylandtokyo.com/2021/04/13/105/

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米海軍が募集難を受け「高卒」条件を撤廃へ [Joint・統合参謀本部]

米海軍は2000年に一年間だけ緩和した過去が
陸空海兵宇宙軍はそこまでの緩和を許容せず
「コックや甲板長など」可能な仕事がある・・・と

Navy recruits2.jpg1月27日付Military.com記事が、米海軍司令部人事計画部長であるRick Cheeseman海軍中将へのAPによるインタビュー記事を引用しつつ、新兵募集難に苦しむ米海軍が、採用学力テストで一定の成績を納めれば、高校卒業資格の無い若者を24年ぶりに採用に踏み切ると報じています。陸空海兵隊宇宙軍が「最後の一線として」原則維持している「高卒以上」採用の原則を断念する決定に、波紋が広がっています

コロナ感染予防対策として、高校や各種イベントでの採用活動自粛を強いられ、コロナ後は一般企業の好条件を武器にした旺盛な採用活動の後塵を拝して人材集めに苦悩する米軍全体にあって、2023年度目標の3万7700名の募集目標数に対し、31800名(目標の84%)しか採用できなかった米海軍は、前線の人手不足を賄うため、2024年度は4万600名の採用目標を掲げています。ちなみに2024年度の米海軍予算定員は33万8000名で、募集目標の占める大きさが衝撃的です

Navy recruits6.jpgこの2024年度採用目標について同中将は、「我々はこれだけの新人が必要で、募集担当官に4万600名かき集めて来いとはっぱをかけている。完全に達成可能な数字だとは考えていないが、この目標に向かっていく」と語っており、単なる悲壮感を超えた、どうしようもない現実へ、底なしの対応を迫られている感さえ漂っています。

ただ昨年の募集目標達成率で米海軍の84%より低い米陸軍(75%)は、「高卒」基準の放棄まで踏み込んでおらず、同じく目標を達成できなかった米空軍も含め、これまでの採用期間を延長したり、採用前に数週間から数か月の準備教育を「高卒以上」の入隊希望者に行い、入隊者の質確保に取り組んだりしているところです

Navy recruits5.jpg記事によると、米海軍は2023年度に「高卒以上」資格が無い入隊希望者2442名を「門前払い」したということですが、今回の「高卒資格以上」の条件撤廃決定に伴い、決定後72時間以内に2442名全てに当該決定を伝え、改めて米海軍への入隊意思確認の接触を図ったと同中将は語っています

厳密にいえば、例えば米空軍も入隊採用試験で100点満点の65点以上取れば、「高卒以上」の資格が無くても採用しているようですが、その比率は0.5%以下で、例外的に優秀な場合のみに受け入れているようです。

Navy recruits4.jpg募集目標未達で目標の75%しか採用できなかった米陸軍は、米海軍のように採用学力試験で50点以上取れば「高卒以上」の資格が無くても採用との方針で進むと、採用後の新兵教育部隊で脱落者が増えるだけだ・・・との問題意識から「高卒以上」条件を崩すつもりは無いようです

この懸念に関して米海軍人事部長Cheeseman中将は、「学力が低い新入兵士の初期教育機関での脱落率は11.4%で、学力の高いグループの脱落率6.5%より高いが、それほど大きな差だとは考えていない」、「コックや甲板長(cook or boatswain mate)等の役割を期待する新兵にそれほど高い学力は必要ない。必要な教育を行えば任務を十分果たしてくれる」、

「米海軍は並行して人材確保策を検討しているが、学力レベルを下げて採用する手法もリスクをとって試してみたい。我々は決断した。やってみようと・・・」と、実に正直に語っています
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Navy recruits.jpg2024年度の目標数に関し「完全に達成可能な数字だとは考えていないが、この目標に向かっていく」・・と語る同中将の目には、現在の米海軍最前線部隊の様子はどう映っているのでしょうか? 

一昔前では考えられなかったような、様々な問題や異常事態が前線部隊では起こっているのでしょうが、日本にとっても、決して「対岸の火事」ではないはずです。

新兵募集難&離職者増への対応
「空軍が募集年齢上限を42歳に」→https://holylandtokyo.com/2023/10/31/5184/
「空軍が24年ぶりに募集10%未達へ」→https://holylandtokyo.com/2023/09/25/5035/
「入隊学力試験に電卓持ち込み可へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/29/4976/
「募集難に合法移民へ猛烈アプローチ」→https://holylandtokyo.com/2023/06/16/4743/
「兵士慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/12/4608/
「米空軍が体脂肪基準緩和へ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/07/4494/
「歩きスマホやポケットハンドOK」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/

米空軍パイロット不足関連
「コロナ後の操縦者争奪戦に備え」→https://holylandtokyo.com/2021/10/17/2271/
「女性登用増に航空機設計基準変更」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-20
「ヘリ操縦者養成から固定翼削除試行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-06
「米空軍がパイロット募集の身長基準を廃止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-23
「Fly-only管理の募集中止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-15
「5年連続養成目標数を未達成」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-19
「採用の身長基準を緩和」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-18
「操縦者不足緩和?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-12
「操縦者養成3割増に向けて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-21-1
「下士官パイロットは考えず」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-3
「F-35操縦者養成部隊の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12-3

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女性陸軍大佐が男性部下への性的襲撃で解任 [Joint・統合参謀本部]

アジア太平洋同盟国への支援協力担当部隊長
女性が加害者の性的襲撃は約6%との米国防省統計
襲撃複数回のほか、あそこを握るとかも・・

Sullivan.jpg1月23日付Military.comが、昨年10月13日に第5安全保障支援旅団(5th SFAB : 5th Security Force Assistance Brigade)の第5工兵大隊長(5th Brigade Engineer Battalion)だったMeghann Sullivan大佐(女性)を、男性部下に性的襲撃(sexual assault)で同ポストから解任していたことを、米陸軍報道官が最近になって公表したと報じました

解任されたSullivan大佐はまだ米陸軍に所属しているものの、現在は異なる基地(5th SFABはワシントン州のLewis-McChord統合基地所在)の第1軍団隷下部隊に異動しており、弁護士を付けて係争中なのか等、それ以上の細部は明らかになっていませんが、5th SFSBに対しては電子メールや音声記録等々を含む部隊調査が行われ、結果として解任されたSullivan大佐の上司たる5th SFSB司令官Jonathan Chun大佐も解任され、後に米陸軍を離職しているとのことです

Sullivan5.jpg同事案に関与した一人の匿名情報源によれば、解任されたSullivan大佐は、少なくとも2名の男性部下を性的襲撃し、他に数名の男性隊員にセクハラ行為を行い、右事案のいくつかは飲酒強要などアルコールにも絡むもので、中には男性部下に無理やりキスしたり、相手の同意なく男性兵士のベルトの下部分を手でつかんだりしたとの容疑がかけられていたとのことです。

なお、第5安全保障支援旅団のようなSFAB(Security Force Assistance Brigade)は、2017年から2020年にかけ、同盟国軍の訓練や能力向上を支援するために新設された部隊で、5th SFABはアジア太平洋地域の中でも豪州、日本、モンゴルなど対中国で重要な同盟国を主担当にしており、Sullivan大佐は同旅団で最初の女性大隊長だったとのことです

性的襲撃関連の米国防省2022年対象調査によれば
Sullivan2.jpg●性的襲撃被害者の中で、男性兵士の占める割合は約10%であるが、被害者が恥ずかしくて上司等への報告を控えているケースが相当数あるのではないか、と国防省は考えている
●また性的襲撃の中で、女性が加害者である件数は約6%であるが、この場合も同じく被害者が訴え出ていないケースが多数あるのではないか、と国防省は見ている
●男性の上級士官が加害者であるケースは8%を占めているが、女性上級士官が加害者のケースは極めて稀で、国防省の統計の中でほとんど確認できない(加害者を性別で区分していない報告も多い)
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Sullivan3.jpg以前、華やかな経歴の米空軍女性戦闘機パイロット少将が、「部下を罵倒する」「会議で不規則発言を繰り返す」「電話で喚き散らす」などの行為を繰り返し、職務を解任され退職したケースをご紹介したことがありましたが、男性の部下をレイプする大佐のケースは初めて見聞きしました。米軍のような大きな組織は社会の縮図ですから、中にはそんな人が紛れ込んでいるのでしょう・・・

ただ2022年を対象とした米国防省の性的襲撃関連調査で、「男性兵士の被害者は約10%」「女性が加害者である件数は約6%」との部分について、国防省が「周囲からの偏見を恐れ、未報告の事案が(相当数)存在している:is seen by the Pentagon as underreported due to societal stigma」と分析している点は興味深いところです

女性士官に関するいろいろ案件
「超優秀なはずの女性少将Pがクビに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-11
「女性上院議員が空軍P時代のレイプ被害告白」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-08

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米がトルコへの最新F-16と改修キット売却承認 [安全保障全般]

トルコのスウェーデンNATO加盟承認を受け
F-35計画から排除されたトルコに代替戦闘機として
トルコの「米国戦術核兵器シェアリング」にも貢献か

sweden nato4.jpg1月27日付Defense-Newsが、スウェーデンのNATO加盟に反対していたトルコが賛成すると米国政府に約束したことを受け、米国務省が40機の最新F-16と79機分のF-16近代化改修キットを$23 billion(約3兆4000億円)で売却することを承認(正確には米議会に通知)したと報じています。米議会内にはトルコの人権問題を理由にF-16売却に反対する有力議員も存在するようですが、トルコが人権問題を改善すると一応コミットしたことで、この話は進むようです

トルコがスウェーデンのNATO加盟に反対している表面上の理由は、トルコに対し反政府活動をしているクルド人等へのスウェーデンの姿勢が不適切との説明ですが、一般にはトルコが「駆け引き材料」としてスウェーデンのNATO加盟承認を利用している見られていました

一方でトルコの戦闘機問題の経緯は・・・
sweden nato2.jpg●トルコは約200機のF-16戦闘機を保有運用しているが、その中の旧式F-16約100機をF-35に更新し、残り約100機(現在は79機)を能力向上するとの構想の下、F-35共同開発メンバー(部品の製造分担を含む)に当初から参加していたが、2019年にトルコが防空ミサイル選定でロシア製S-400の導入決定したことでトルコ防空を実質支えてきた西側諸国が猛反発、トルコをF-35計画から排除することを米国トランプ政権が2019年9月に決定

F-16 turkey3.jpg●F-35導入の道を断たれたトルコには、ロシアがSU-35やステルス機SU-57E売り込んだり、トルコ自身が国産ステルス戦闘機TF-X開発に本腰との動きもあったが、有効性や実行可能性の問題から話は進まず、また100機のF-16能力向上についてもとん挫。ただ、NATO唯一のイスラム国であるトルコとの関係も米には重要で、F-35部品調達のトルコ完全脱却も時間が必要等の点から、2021年10月に「米がトルコにF-16売却提案」との報道が。
●別の視点として、欧州NATO諸国(ドイツ、ベルギー、オランダ、イタリア、トルコ)による「米国戦術核兵器シェアリング」任務で、有事必要時には、5か国の戦闘爆撃機によりB61戦術核爆弾が運搬&投下する約束がなされていますが、この役割をトルコに継続させるため、長く使用可能な最新F-16をトルコに提供する意味も多少はあると思料

sweden nato3.jpg2022年2月からのロシアによるウクライナ侵略を受けた「中立国スウェーデンやフィンランドのNATO加盟の動き」は、2023年4月に露と長い国境線を持つフィンランドの加盟が実現して大きく前進しましたが、スウェーデンの加盟については、トルコとハンガリーの反対で1年以上ごたごたしています。

残るはハンガリーだけですが、トルコの態度変更を受け、ハンガリー首相が反対姿勢転換の方向性を示すも、翌1月25日には同じ政党所属の議会議長が「判断を急ぐ必要はない」と発言しており、「露骨にロシアに肩入れし、ウクライナ支援や北欧国の新規加盟を妨害し続けている」ハンガリーに対し、NATOや西側諸国からは「NATOはハンガリーに対する安全保障の部分的停止も視野に入れるべき」、「ハンガリーをEUから蹴り出せ」との声も高まっています

忘れてました・・・同記事はギリシャが40機のF-35を購入することも、米国務省が承認したと報じています。諸経費を含め1.26兆円とか・・破綻国家に売却して大丈夫なのでしょうか・・・?

スウェーデン関連の記事
「欧州戦闘機計画とス」→https://holylandtokyo.com/2023/12/18/5352/
「欧州空の盾計画にスが参加」→https://holylandtokyo.com/2023/07/12/4828/
「B-1爆撃機が初展開」→https://holylandtokyo.com/2023/06/22/4780/

トルコへのF-35提供停止などの経緯
「F-35代替でF-16提案か?」→https://holylandtokyo.com/2021/10/20/2357/
「トルコへのF-35部品依存」→https://holylandtokyo.com/2020/10/14/432/
「トルコ代替で米で部品製造」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-27
「トルコをF-35計画から除外」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-17
「S-400がトルコに到着」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14

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B-21次期爆撃機は既に低レート量産入り [米空軍]

残念な追記です・・・
(1月25日の報道を踏まえて)

Warden CEO.jpg1月25日開催のNG社CEO会見(四半期決算説明会)で、B-21開発製造事業について、米空軍との初期開発&5ロット製造契約(2015年)は「固定経費」契約で1機あたり「$550 million」となっているが、諸物価の高騰等により現在は「$778 million」となっており、1機あたりの差額「$75 million」(約110億円)の損失を生じることとなっていると語り、初期5ロット製造(推定21機)で約2300億円の損失を抱えると明らかにしました

CEOのKathy Warden女史は、2015年契約段階で米空軍幹部が「少なくとも100機調達」と述べ、最近では運用担当のGSコマンドが「150-200機必要」と主張していること等を背景に、トータルのB-21計画ではNG社にしっかりした利益をもたらすことになろうと株主に説明していますが、同時に「今後は固定価格契約にはより慎重に臨む所存だ」とも説明しています

超優等生だったB-21開発に「けち」がついて残念ですが、NG社にとってはそれよりも問題なのが、Kendall空軍長官も頭を抱える「GBSDプロジェクト(ICBM:ミニットマンⅢ)」で、2020年契約時から2029年運用開始を目指す計画で、既に37%のコスト増(約4.5兆円アップ)見積りの「超難事業」となっていると1月29日付の記事(https://holylandtokyo.com/2024/01/29/5478/)でご紹介したところです。核抑止3本柱の維持は難しいかもしれません・・・
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(以下は、1月18日付の報道を基にしたベースの記事です)

昨秋に調達担当次官が承認と明かす
試験機を量産ラインで製造し成熟度を確認済と
当初計画2020年代半ばに運用態勢確立に向け着々

B-21 low-rate2.jpg1月22日、米国防省のWilliam LaPlante調達担当次官(元空軍副長官)が声明を発表し、昨年11月10日に初飛行に成功した次期ステルス爆撃機B-21に関し、地上試験や飛行試験の順調な進み具合や、試験用機体を量産機製造ラインで組み立てる等、製造設備や製造ライン技術者&作業従事者の技量を十分に成熟したレベルに高めていることが確認できたことから、2023年秋に「低レート量産:low-rate production」の承認を出していた、と明らかにしました。

B-21は、2022年12月2日に限定された形での機体お披露目式典が行われ、2023年11月10日に初飛行(製造拠点の加州Palmdale工場から、同州内Edwards空軍基地)が確認され、その後は同空軍基地で地上滑走など本格的な地上確認試験が継続されていたところ、2024年1月17日には同空軍基地での初飛行も目撃(空軍報道官も認める)されていました

LaPlante B-21 2.jpg2023年秋に同次官が承認したという「低レート量産:low-rate production」が、どの程度の製造ペースを指すのか不明ですが、計画では「2020年代半ばに初期運用態勢確立」、「2030年代には老朽化が進むB-1およびB-2爆撃機の後継機となり、エンジン更新を含む近代化改修を終えた76機のB-52Jと共に、米空軍爆撃機2機種体制を構築」、「少なくとも100機調達」と米空軍は発信を続けており、

B-21の持つステルス性能を生かし、強固な防空網を持つ本格的な敵対国に対しても、「通常兵器と核兵器の両方を搭載&使用可能な機体仕様」で「penetrating deep strike missions」が遂行可能な能力を米空軍に提供するアセットだとも説明されてきています。なお同爆撃機の調達&運用&維持整備に関する30年間の総コストは$203 billion(約30.0兆円)で、機体1機の平均価格は$692 million(1020億円)と見積もられています

B-21 low-rate.jpg複数の米空軍高官は2023年下旬時点で、「初披露した初号機を含め、現在6機が様々な製造段階にある」と述べ、これらの機体は様々な初期試験用の特別仕様や計測機材搭載の形態となっているが、所要の試験終了後は部隊配備用に機体改修して実戦部隊に提供されると説明しており、従来の新型機体開発&製造の流れと比べ、「開発試作&試験段階から、効率的な量産態勢確立への円滑な移行」を強く意識した計画が極めて順調に実行されている様子が伺えます

またNorthrop Grumman社関係者は、「米空軍と協力し、B-21の全ライフサイクルをカバーするdigital ecosystem構築に取り組んでおり、個々の機体の製造段階から部隊提供後の維持整備や各種運用データを一括管理することで、現場の整備員や空軍技術者と弊社開発関係者が一体となって、B-21の効率的な製造・使用・維持につなげる体制を構築しつつある」ともアピールしています
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B-21 low-rate3.jpgB-21爆撃機の開発が順調な理由について以前米空軍関係者が、「計画が開始された後は、要求性能を一切変更しなかった。設計や技術審査がある程度順調に進むと、様々な方面から、様々なコネやルートを経て、この能力も付加してはどうかとか、新たに開発や研究が始まっているこの技術をB-21で試してみないか・・・等々の話が持ち込まれたが、一切受け付けなかった」と話していましたが、高官や政治的な「横やり」が「グダグダ開発」の一番の原因かもしれません

米軍や米国防省が取り組む様々な新規開発案件の中で、「唯一」と断言しても良いくらい信じがたいレベルで順調なB-21開発計画の、今後の「武運長久」を心から祈念申し上げます

B-21関連記事
「初飛行を12の視点で分析」→https://holylandtokyo.com/2023/12/01/5284/ 
「11月10日早朝の初飛行」→https://holylandtokyo.com/2023/11/13/5238/
「Taxi Tests開始」→https://holylandtokyo.com/2023/10/30/5180/
「エンジン稼働試験開始&屋外写真」→https://holylandtokyo.com/2023/09/15/5041/
「最近power on試験実施」→https://holylandtokyo.com/2023/08/03/4911/
「豪州も購入検討した」→https://holylandtokyo.com/2023/05/15/4588/
「B-21導入で米空軍爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「初披露のメディア扱い」→https://holylandtokyo.com/2022/12/14/4027/
「映像:B-21初披露式典」→https://holylandtokyo.com/2022/12/05/4015/
「10の視点で:NG社事前リリース」→https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/
「12月2日に初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/10/24/3796
(これ以前に2011年から25本の記事アリ)

米空軍の爆撃機体制
「B-21導入で爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「爆撃機管理は今後5-7年が多難」→https://holylandtokyo.com/2021/08/06/2024/

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「ウ」への米国支援兵器約2400億円分が記録不十分も [安全保障全般]

22年2月開戦から23年6月までの国防省監察官調査
23年末で総額6兆6000億円の援助物資の4%以下
「汚職による横流し等の形跡は一切ない」「記録は改善中」

Javelin FMG-148.jpg1月11日付DefenseOne記事が、米国防省監察官が米国からウクライナへの支援供給武器の管理追跡状況(2022年2月の開戦から2023年6月までの記録を監査)について調査&監査した結果、開戦時の各種混乱、米国監視担当官の開戦時不在やその後の要員不足、安全確保面からの前線状況確認不足、ウクライナ及び米国側双方の事務作業の遅れ等々から、

開戦後から大量に援助された携帯防空兵器Stingerや対戦車ミサイルJavelins等々の追跡記録が、約1.67Billiomドル(約2400億円)相当分(2023年末時点で援助装備品総額は約6兆6000億円で、その3.7%に相当)に関し不明確だと指摘している、と報じています

Stinger SAM.jpgただ、記録不十分な責任が米側の事務処理不備に起因する部分も相当部分含まれ、また米国からの援助装備品の追跡管理は時間が経過するほど改善されており、かつ援助品がウクライナ側担当者の汚職により横流し転売されたりした形跡は全くなく、

むしろ貴重な援助兵器をウクライナ兵士が死守しようとして落命したケースも多数あり、現在もウクライナ兵約8000名の生死や所在が不明な全面戦争の混乱の中、教訓とすべき点はあるが致し方ない側面が多い、との論調のDefenseOne記事となっています

記録不備の原因等として報告書は
ukuraine UAV.jpg●在ウクライナ米国大使館が、開戦の2022年2月から同年5月まで閉鎖されており、この5か月間に現地で支援物資をフォローする人員が不在だった
●同大使館再開後も、監査を担う国防協力室の職員配置がウクライナ各地のオフィスに一か所1名で、かつ米国政府が危険な前線地域への米職員の立ち入りを制限したことから、2022年春頃から大量に提供された支援兵器を前線で十分に追跡記録&確認できなかった

●米本土側でも、通常の支援物資の流れとは異なる多様なルートで、短期間に大量の兵器が提供されたことから、事務スタッフのデータ処理が追い付かず、入力漏れ等の事態が多発した
●それでも、2023年2月時点では総データの87%が規定で定められた期限までに把握&データベース入力されなかったが、2023年6月時点でデータベース更新不備率が56%にまで低下している

ウクライナ議会の支援物資監視担当議員のコメント
ukraine war lesson2.jpg●(開戦当初の混乱はあったかもしれないが、)現時点で米側監査官は24時間いつでもどこでも監査することができ、午前2時に対戦車ミサイルの保管状況確認を受け入れることもある。
●我が国はロシアの侵略を受けた全面戦争下にあり、現在約8000名のウクライナ軍兵士が生死不明の状態だが、そのような混乱の中でも、物質追跡が出来なくなったものについては「追跡不能」や「所在不明」として報告している
●わが軍兵士は援助兵器を大切に使用しており、貴重な兵器を守るために犠牲となった兵士が多数いることも忘れないでほしい

在ウクライナ米国大使経験者のJohn Herbst氏は、
●支援物資追跡に関しては、支援対象国の管理要員が不足しているケースが多いのだから、米国がリーダーシップを発揮して監視要員を増員すべき

CSISのMark Cancian研究員
Ukraine air defense.jpg●支援物資の追跡管理に関しては、米国主導で民間業者の人員を投入することで、米国政府職員のオーバープレゼンスを避けつつ、管理レベルを向上させることが得策
●ロシアの戦車を目の前にして、援助兵器使用記録を適時に入力することが困難なのは当然であり、ウクライナ側の状況は致し方ない
//////////////////////////////////////

この監査は、武器援助を担当する米国防省自身が行っている点で不十分だとのご意見もありましょうし、2400億円との不明援助装備等の規模に関しても決して小さいとは言えません。

DefenseOne記事の英文タイトルは如何にもですが、記事の内容は冷静な視点を維持していると感じますし、まんぐーすも致し方ないと思います。今後の教訓とすればよいと思います。

様々な視点から「ウ」の教訓
「23106月:米陸軍首脳「ウ」の教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/10/13/5129/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「イラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「22年6月:米陸軍首脳のウの教訓」→https://holylandtokyo.com/2022/06/01/3245/
「SpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

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