ドローンのサイバー安全性診断「BlueとGreen UAS」制度 [サイバーと宇宙]
米国防省DIUが2020年開始の「Blue UAS」認証基礎に
軍用以外のドローン認証Green UASを民間団体が開始
ドローン部品からの情報漏洩リスク診断で安全を
2月23日、民間団体AUVSIが市販ドローンのサイバー情報漏洩リスクを診断して安全なドローンに認証を与える「Green UAS」プログラムを開始したと発表し、米国防省や米軍以外の米国省庁、法執行機関、緊急事態対処帰還、交通機関、エネルギー・通信・農業・食料・製造業などなど、多様なドローン利用関係者の要請に応えていく事になりました
この「Green UAS」プログラムは、2020年に米国防省DIUが既に開始している、国防省&米軍用に米国製市販ドローンのセキュリティー面を検証する制度「Blue UAS」を、国防省以外のユーザー用に展開したもので、「Blue UAS」を運用する国防省DIUと連携し、非営利団体AUVSI(Association for Uncrewed Vehicle Systems International)が開始したものです
元祖である「Blue UAS」との制度をまんぐーすは今回初めて知りましたが、米国防省や米軍が導入する米国製ドローンに、中国製など外国製部品が組み込まれて使用されることによる情報漏洩リスクの有無を診断し、心配の無い市販ドローンを認証する制度です。
公式Webサイトや関連報道等によると、2020年8月に第一弾「Blue UAS 1.0」として認証した5機種を発表し、2021年10月に第2弾「Blue UAS 2.0」、そして現時点では15機種が「Blue UAS Cleared List」に掲載されています。
関係者が語る「Blue UAS」(約30分)
「Blue UAS」認証は国防省や米軍に採用されるための唯一の道ではありませんが、その手続き等の明確さや官僚制の鈍重さを極力排除した仕組みで高評価を得たことから、他の政府機関や公的機関、更に社会インフラを担う民間企業からも同様の認証制度を求める声が高まり、「Blue UAS」関係者の支援も受けて「Green UAS」制度がスタートしたということです
AUVSIの幹部は、「Green UASはドローンセキュリティー認証分野における新たな革新であり、日進月歩で進化を続ける市販ドローンが、様々な分野で多様な役割を果たすことを期待する使用者に供するものである」、「この新制度は、ドローンセキュリティーやサプライチェーン確認課題への対応であり、市販ドローン提供者とユーザーと連邦政府のためのものである」、
更に、「安全でセキュリティーが確保されたドローンの提供により、ドローンへの高まる社会の期待と健全な競争環境育成への期待に応えるもの」とその意義を語っています
なお、国防省や米軍での使用を想定した「Blue UAS」と、それ以外を対象とした「Green UAS」では多少認証の基準が異なるようですが、双方の関係者は、「Green UAS」認証を受けた市販ドローンが「Blue UAS」認証を受けるための追加基準を明確にし、セキュリティー上の問題がない優れた市販ドローンが有効に活用される仕組みづくりに貢献したいとの姿勢を示しています
//////////////////////////////////////////
具体的な「Blue UAS」や「Green UAS」の認証基準や手続きについて全く把握していませんが、ご興味のある方は、以下に示す関連webサイトやYouTube映像で細部をご確認ください。
国防省組織DIUによる「Blue UAS」制度
→https://www.diu.mil/blue-uas
「Blue UAS」により診断され使用承認されたドローン15機種
(2023年2月25日現在で)
→https://www.diu.mil/blue-uas-cleared-list
「Blue UAS」プロジェクト解説記事(英語)
→https://advexure.com/blogs/news/everything-you-need-to-know-about-the-blue-uas-program
情報共有と漏洩防止のはざまで
「開発担当次官が課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「外国製ドローン購入規制」→https://holylandtokyo.com/2021/09/21/2240/
「軍需産業との情報共有に乗り出す」→https://holylandtokyo.com/2021/01/18/300/
「半導体での米国巻き返しを討論」→https://holylandtokyo.com/2021/09/14/2168/
「中国製部品排除に時間的猶予を」→https://holylandtokyo.com/2020/08/15/524/
「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1
「米国製兵器は偽物だらけ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-29
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10
危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holylandtokyo.com/2020/05/11/668/
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holylandtokyo.com/2020/03/27/791/
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
軍用以外のドローン認証Green UASを民間団体が開始
ドローン部品からの情報漏洩リスク診断で安全を

この「Green UAS」プログラムは、2020年に米国防省DIUが既に開始している、国防省&米軍用に米国製市販ドローンのセキュリティー面を検証する制度「Blue UAS」を、国防省以外のユーザー用に展開したもので、「Blue UAS」を運用する国防省DIUと連携し、非営利団体AUVSI(Association for Uncrewed Vehicle Systems International)が開始したものです

公式Webサイトや関連報道等によると、2020年8月に第一弾「Blue UAS 1.0」として認証した5機種を発表し、2021年10月に第2弾「Blue UAS 2.0」、そして現時点では15機種が「Blue UAS Cleared List」に掲載されています。
関係者が語る「Blue UAS」(約30分)
「Blue UAS」認証は国防省や米軍に採用されるための唯一の道ではありませんが、その手続き等の明確さや官僚制の鈍重さを極力排除した仕組みで高評価を得たことから、他の政府機関や公的機関、更に社会インフラを担う民間企業からも同様の認証制度を求める声が高まり、「Blue UAS」関係者の支援も受けて「Green UAS」制度がスタートしたということです

更に、「安全でセキュリティーが確保されたドローンの提供により、ドローンへの高まる社会の期待と健全な競争環境育成への期待に応えるもの」とその意義を語っています

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具体的な「Blue UAS」や「Green UAS」の認証基準や手続きについて全く把握していませんが、ご興味のある方は、以下に示す関連webサイトやYouTube映像で細部をご確認ください。
国防省組織DIUによる「Blue UAS」制度
→https://www.diu.mil/blue-uas
「Blue UAS」により診断され使用承認されたドローン15機種
(2023年2月25日現在で)
→https://www.diu.mil/blue-uas-cleared-list
「Blue UAS」プロジェクト解説記事(英語)
→https://advexure.com/blogs/news/everything-you-need-to-know-about-the-blue-uas-program
情報共有と漏洩防止のはざまで
「開発担当次官が課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「外国製ドローン購入規制」→https://holylandtokyo.com/2021/09/21/2240/
「軍需産業との情報共有に乗り出す」→https://holylandtokyo.com/2021/01/18/300/
「半導体での米国巻き返しを討論」→https://holylandtokyo.com/2021/09/14/2168/
「中国製部品排除に時間的猶予を」→https://holylandtokyo.com/2020/08/15/524/
「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1
「米国製兵器は偽物だらけ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-29
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10
危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holylandtokyo.com/2020/05/11/668/
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holylandtokyo.com/2020/03/27/791/
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昨年12月DARPAがコッソリAI無人機の空中戦試験 [米国防省高官]
細部は全く不明も1週間で複数回の飛行試験
専門家は自動車の自動運転より容易だと
「Air Combat Evolution」プロジェクトの一環
2月22日付military.com記事は、米国防省の最上位研究機関DARPAが細部には言及せず、昨年12月に1週間かけ、F-16を改修してAI搭載無人機にした「X-62A」が、他機との空中戦闘を複数回(several times during a single week)行ったと発表したと紹介しています
同記事は、どのような空中戦闘で、他機がどの機種なのかなどに全く触れておらず、推測や専門家の見解なども掲載していませんが、加州Edwards空軍基地で、緊急事態対処に備え人間操縦者が「X-62A」に登場していたとのみ言及しています
DARPAは米空軍研究所AFRLなどと協力し、「Air Combat Evolution」プロジェクトとしてAI搭載ジェット機の試験をシュミレータから開始し、F-16改修の「X-62A」での実飛行試験に進んでいるようです
「Air Combat Evolution」プロジェクトは、単純にAI搭載無人戦闘機に空中戦させることを目的としているわけではなく、過去記事でご紹介している2020年頃の米空軍幹部の構想によれば
●人間操縦者が大局的な状況判断や戦術判断に集中できるよう、それ以外の部分をAIが代替可能か、どの程度任せられるかを確認する
●有人作戦機とチームを組む無人作戦機にAIを搭載し、地上や有人作戦機からの指示に従って行動可能な無人ウイングマン等として行動可能なAI操縦技術を確立する
●「数千時間の飛行経験がある優秀な戦闘機パイロットを、様々な英知を集めて学ばせた人工知能でサポートしたら、どれほどの能力を発揮可能か・・・」・・・等の夢や狙いを持って開始されたものです
また、作戦機をAI操縦させることへの懸念や組織抵抗を見せる「戦闘機命派」に、人工知能AIの特性や能力を知ってもらう狙いが「入口」としてある、と関係者が語っていたところです。
末尾掲載の2020年頃の過去記事では、シュミレーション環境でAI操縦者と現役バリバリ操縦者が対決し「5-0」でAIが圧勝とか、2021年7月には実機を用いてAI操縦者と人間操縦者の空中戦試験を予定との発表をご紹介していますが、当時の「盛り上がり」ぶりと比べると、今回のDARPAの細部非公開のコッソリ発表に大きなギャップを感じ、なぜ?・・・との思いがよぎります
「Air Combat Evolution」プロジェクトは2020年に開始され、3年計画で2023年春終了の予定だったと記憶していますが、この辺への言及がないのも不思議です・・・
まんぐーすの邪推ですが、恐らく、2020年頃の盛り上がりに「有人戦闘機命派」が反発し、「世の中に誤解を与え、有人戦闘機不要論を高める懸念アリ」などと不満を訴え、ロープロファイルでのプロジェクト進行と対外発表になったものと考えます
無人機空中戦の検討プロジェクト
「8企業がAI空中戦でF-16パイロットに挑む」→https://holylandtokyo.com/2020/08/19/528/
「米空軍研究所AFRLは2021年に実機で」→https://holylandtokyo.com/2020/06/10/620/
「無人機含む空中戦を支えるAI開発本格化」→https://holylandtokyo.com/2020/05/22/678/
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専門家は自動車の自動運転より容易だと
「Air Combat Evolution」プロジェクトの一環

同記事は、どのような空中戦闘で、他機がどの機種なのかなどに全く触れておらず、推測や専門家の見解なども掲載していませんが、加州Edwards空軍基地で、緊急事態対処に備え人間操縦者が「X-62A」に登場していたとのみ言及しています

「Air Combat Evolution」プロジェクトは、単純にAI搭載無人戦闘機に空中戦させることを目的としているわけではなく、過去記事でご紹介している2020年頃の米空軍幹部の構想によれば
●人間操縦者が大局的な状況判断や戦術判断に集中できるよう、それ以外の部分をAIが代替可能か、どの程度任せられるかを確認する
●有人作戦機とチームを組む無人作戦機にAIを搭載し、地上や有人作戦機からの指示に従って行動可能な無人ウイングマン等として行動可能なAI操縦技術を確立する
●「数千時間の飛行経験がある優秀な戦闘機パイロットを、様々な英知を集めて学ばせた人工知能でサポートしたら、どれほどの能力を発揮可能か・・・」・・・等の夢や狙いを持って開始されたものです

末尾掲載の2020年頃の過去記事では、シュミレーション環境でAI操縦者と現役バリバリ操縦者が対決し「5-0」でAIが圧勝とか、2021年7月には実機を用いてAI操縦者と人間操縦者の空中戦試験を予定との発表をご紹介していますが、当時の「盛り上がり」ぶりと比べると、今回のDARPAの細部非公開のコッソリ発表に大きなギャップを感じ、なぜ?・・・との思いがよぎります

まんぐーすの邪推ですが、恐らく、2020年頃の盛り上がりに「有人戦闘機命派」が反発し、「世の中に誤解を与え、有人戦闘機不要論を高める懸念アリ」などと不満を訴え、ロープロファイルでのプロジェクト進行と対外発表になったものと考えます
無人機空中戦の検討プロジェクト
「8企業がAI空中戦でF-16パイロットに挑む」→https://holylandtokyo.com/2020/08/19/528/
「米空軍研究所AFRLは2021年に実機で」→https://holylandtokyo.com/2020/06/10/620/
「無人機含む空中戦を支えるAI開発本格化」→https://holylandtokyo.com/2020/05/22/678/
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米空軍は弾薬調達の効率性優先を変更する [米空軍]
平時消費分を前提の効率重視調達を改め
非効率でも有事増産が効く体制構築追及へ
また高価な高性能弾薬とそれ以外のバランス重視も
2月13日、Brown米空軍参謀総長がBrookings研究所で講演し、弾薬消耗が非常に激しい近代戦に備え、平時の所要数を基に効率的な生産体制を維持してきた従来の考え方を変更し、有事の増産対応確保も考慮した、平時には効率面で最適でない製造体制受け入れることで、態勢全体として前進することを考える必要があると述べました
同参謀総長は、ロシアのウクライナ侵略で改めて示された近代戦における弾薬消費の激しさを踏まえ、現在の弾薬備蓄量と近代戦における弾薬所要量をより詳細に調査分析(deeper dives on these issues to take a really hard look at where we are, from a munitions standpoint)した結果だと説明し、併せて(限られた予算枠を踏まえ、)高性能弾薬と安価で高性能ではない弾薬の適切な保有組み合わせバランスを検討しているとも語りました
更にBrown大将は、米空軍はWW2の教訓を思い出し、またコロナ禍で痛感したサプライチェーンの死活的重要性も肝に銘じ、同時にデジタル設計やモジュラー設計の有効性が我々の大きな助けになることを忘れずに、(弾薬ロードマップ検討で煮詰めている)「mix-and-match」方式で弾頭としーカーと推進装置を組み上げる能力確保を追求したい考えており、実際に幾つかの軍需企業を訪問し、従来より自動化され迅速に弾薬製造が可能となりつつある様子も確認している述べています。
そして最後に空軍トップらしく現状での弾薬不足を否定して、現在の米空軍の弾薬備蓄量は適切で基準に適合しているが、わずかな「十分さ」に満足することはできないし、相手に対し圧倒的な優位でありたいと付け加えています
なお、この講演を紹介している2月14日付米空軍協会web記事は、中国による台湾侵攻を想定すると、米軍は5万個の目標を攻撃する必要があり、現状では2週間以内に弾薬庫が空になるとの米空軍協会ミッチェル研究所レポート(2022年3月)を紹介しています(2023年1月末発表のCSISレポートでは1週間で枯渇と分析)
このところ繰り返ししつこいほどの「弾薬問題」を取り上げ、退役軍人やシンクタンクや上院軍事委員長の弾薬問題への懸念をご紹介してきましたが、現役の軍種トップが具体的に発言する段階に入りました。
3月には2024年度予算案が議会に提出され、本格的な議論が開始される「前振り」でしょうが、今後どこまで具体化されるか見ていきましょう。日本の防衛省がトマホーク一括購入に踏み切ったのは、米側の動きとも関係しているのでしょう
弾薬量の圧倒的不足問題
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「上院軍事委員長:弾薬が最大教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/02/10/4288/
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→https://holylandtokyo.com/2023/02/09/4208/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「賛否交錯:輸送機からミサイル投下」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
「Stand-inとoffのバランス不可欠」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/
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非効率でも有事増産が効く体制構築追及へ
また高価な高性能弾薬とそれ以外のバランス重視も

同参謀総長は、ロシアのウクライナ侵略で改めて示された近代戦における弾薬消費の激しさを踏まえ、現在の弾薬備蓄量と近代戦における弾薬所要量をより詳細に調査分析(deeper dives on these issues to take a really hard look at where we are, from a munitions standpoint)した結果だと説明し、併せて(限られた予算枠を踏まえ、)高性能弾薬と安価で高性能ではない弾薬の適切な保有組み合わせバランスを検討しているとも語りました

そして最後に空軍トップらしく現状での弾薬不足を否定して、現在の米空軍の弾薬備蓄量は適切で基準に適合しているが、わずかな「十分さ」に満足することはできないし、相手に対し圧倒的な優位でありたいと付け加えています

このところ繰り返ししつこいほどの「弾薬問題」を取り上げ、退役軍人やシンクタンクや上院軍事委員長の弾薬問題への懸念をご紹介してきましたが、現役の軍種トップが具体的に発言する段階に入りました。

弾薬量の圧倒的不足問題
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「上院軍事委員長:弾薬が最大教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/02/10/4288/
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→https://holylandtokyo.com/2023/02/09/4208/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「賛否交錯:輸送機からミサイル投下」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
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米海軍が駆逐艦Zumwaltへの極超音速兵器契約 [Joint・統合参謀本部]
併せて米陸軍用の追加ミサイルと発射機も契約
2025年末に艦艇側受け入れ改修終了予定
その後に同ミサイルと艦艇の融合試験開始へ
2月17日、米海軍とロッキード社は、米海軍のZumwalt級ステルス駆逐艦に極超音速兵器を搭載する契約を約1600億円で結んだと発表しました。また同時に、基本的に米海軍用と同じミサイルで米陸軍用タイプのミサイルと発射機を追加で、米陸軍に提供する契約も約2900億円で結んだと公表しました
米海軍と陸軍は発射機が異なるものの、同じ基本構造の極超音速兵器をロッキード社と開発し、米海軍はこの極超音速兵器をCPS(Conventional Prompt Strike)と呼び、米陸軍はLRHW(Long Range Hypersonic Weapon)と呼んでいますが、米陸軍は今年あと2回の試験を行った後、今年中にワシントン州の部隊に初度配備する計画になっているところです。
米海軍はCPSをZumwalt級ステルス駆逐艦に搭載すべく、既にIngalls Shipbuilding社と契約し、同駆逐艦の米海軍で一般的なMk 41垂直発射管を大幅改修し、従来ミサイルより大型のCPSを収納できるようロッキード社が開発する発射機を収納する改修作業を計画しており、この発射管改修が終了する2025年末から、ロッキード社開発のCPSやCSP管制装置と艦艇の融合試験を開始する計画を持っているようです
米国防省はこの契約に関し、艦艇への搭載改修設計、システム融合、調達に長時間必要な材料の調達、ミサイル製造に必要な特殊治具や装置の準備も含まれると説明しているようです
ロッキード社は契約発表にあたり、「陸海軍と協力して実施してきたこのミサイル開発を通じ、極超音速攻撃能力の発展に引き続き寄与していく」「既に初期設計作業を開始している」と声明を出しています
////////////////////////////////////////////
米海軍幹部は2021年時点では、同兵器の米海軍艦艇への搭載は2025年頃で、攻撃型原潜への搭載は2028年以降と言及していましたが、その予定から数年遅れで進んでいるイメージです
米議会の試算によれば、米陸軍用のLRHWは1発50億円以上と推定されており、使い道を絞り込んで配備段数等を算定しないと予算的に持たないと思います。とりあえず契約締結に関する事実関係をご紹介しておきます
米陸軍と海軍の極超音速兵器開発
「陸軍はあと2回試験」→https://holylandtokyo.com/2023/01/17/4107/
「米海軍潜水艦への極超音速兵器は2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「米陸軍が実ミサイル以外を受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-14
「最近の状況整理&2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27
米空軍は慎重に
「バカ高い極超音速兵器:米議会が試算」→https://holylandtokyo.com/2023/02/08/4261/
「高価な極超音速兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/
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2025年末に艦艇側受け入れ改修終了予定
その後に同ミサイルと艦艇の融合試験開始へ

米海軍と陸軍は発射機が異なるものの、同じ基本構造の極超音速兵器をロッキード社と開発し、米海軍はこの極超音速兵器をCPS(Conventional Prompt Strike)と呼び、米陸軍はLRHW(Long Range Hypersonic Weapon)と呼んでいますが、米陸軍は今年あと2回の試験を行った後、今年中にワシントン州の部隊に初度配備する計画になっているところです。

米国防省はこの契約に関し、艦艇への搭載改修設計、システム融合、調達に長時間必要な材料の調達、ミサイル製造に必要な特殊治具や装置の準備も含まれると説明しているようです
ロッキード社は契約発表にあたり、「陸海軍と協力して実施してきたこのミサイル開発を通じ、極超音速攻撃能力の発展に引き続き寄与していく」「既に初期設計作業を開始している」と声明を出しています
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米議会の試算によれば、米陸軍用のLRHWは1発50億円以上と推定されており、使い道を絞り込んで配備段数等を算定しないと予算的に持たないと思います。とりあえず契約締結に関する事実関係をご紹介しておきます
米陸軍と海軍の極超音速兵器開発
「陸軍はあと2回試験」→https://holylandtokyo.com/2023/01/17/4107/
「米海軍潜水艦への極超音速兵器は2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「米陸軍が実ミサイル以外を受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-14
「最近の状況整理&2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27
米空軍は慎重に
「バカ高い極超音速兵器:米議会が試算」→https://holylandtokyo.com/2023/02/08/4261/
「高価な極超音速兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/
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輸送機の省人化無人化検討に向け米空軍と契約 [米空軍]
現有輸送機を対象に何が出来るかの分析実施
Reliable Roboticsとの民間機も手掛ける企業と
対中国での空輸要求増に備え既存輸送機の最大活用
2月8日、Reliable Robotics社が米空軍と、輸送機の自立運用(autonomy:省人化から無人化までを含む多様なレベルの自動化イメージ)に向けた「feasibility:実行可能性」検討契約を結んだと発表し、過去3回(2021年5月、2022年4月、2022年10月)の同様の小規模革新研究に続く4つ目の契約だと説明しました(過去3回の契約内容は不明)
米空軍輸送コマンドはこれまで、対中国作戦では米本土等から大量の輸送所用が発生することから、既存輸送アセットを最大限有効活用するため、輸送機や空中給油機の連続飛行時間延伸テストや、現状より少人数での航空機運用にチャレンジしてきましたが、今回の契約では、Reliable Robotics社が民間大型機でも検討を進めている省人化や無人化技術を、どの程度空軍輸送機に適用できるかを、空軍と協力して検討するとのことです
同社副社長でであるDavid O’Brien退役空軍少将は・・・
●わが社が持つ様々なオプションや技術を、米空軍の様々な機体と米空軍のニーズを踏まえつつ、どのように組み合わせると何が可能かを、米空軍と議論を重ね、機体の現状を把握しながら検討していく事になる
●空軍が(対中国の作戦エリアである西太平洋地域で)輸送機をどのように運用しようと考えているか、どのような環境で何が求められているのか、どのような自立運用が役に立つのかを話し合っていく事になろう
●現有輸送機を、任務に応じて、遠隔操作で無人運用する手法、最小限の搭乗人員で運用する手法、フル人員で運用する場合など、様々な場面で省人化を進め柔軟性を増す方向で検討を進める。仮に空軍が現在と同じ任務を自立運用技術を活用して行えば、輸送速度や輸送テンポを上げることができ輸送機の活用度が向上できるだろう
●米空軍は戦闘空域での作戦機の自立運用や無人機化に注目してきたが、輸送機にも適用可能なことがあり、作戦投入可能な輸送機増や輸送量増に焦点を当てた手法を追求している
●わが社の技術は現有機の操縦席を取り除くことなく、機体の天井や側面に設置導入するもので、現有の操縦機能や装置を生かしたまま継続使用できる点が特長であり、また空軍輸送機に近い民間機にも我が社技術へのニーズが高まっており、民航機への適用技術をそのまま空軍機が利用可能である点でも米空軍の関心が高い
●民間機への導入技術については、既に連邦航空局FAAの使用承認申請に進んでいる技術もあるが、空軍との関係では、まず空軍ニーズと期待特性を踏まえたオプションや「feasibility:実行可能性」検討を進めることになる
//////////////////////////////////////////
企業側からの発表であり、またこれから「feasibility:実行可能性」検討を行う契約ですので、きわめて抽象的な内容の記事紹介になってしまいました
機体の自動操縦技術は既に高度なレベルにあり、事前にデータ設定することで、離着陸も含め脅威が低い空域での輸送機運航であれば、現在でも十分無人運用が可能だと思いますが、人員や組織定員の削減が絡む問題は、硬直的な軍組織では、軍事的合理性以外の要因にも大きく左右されます
ですので、過去3回のReliable Robotics社と米空軍の契約業務の結果について報道された記憶がありませんし、輸送機を対象とした今回4回目の検討結果も、直ちに表に出ることはないと思いますが、対中国作戦に必要な輸送能力が圧倒的に不足しており、様々なオプション検討が行われていることを覚えておきましょう
対中国での輸送力不足対処
「大型水上離着陸機の候補発表」→https://holylandtokyo.com/2023/02/15/4268/
「民間海空輸送力を対中国で活用検討」→https://holylandtokyo.com/2022/10/21/3780/
「ウの対中国教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「無人艦艇を電車のように連結構想」→https://holylandtokyo.com/2020/06/12/622/
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Reliable Roboticsとの民間機も手掛ける企業と
対中国での空輸要求増に備え既存輸送機の最大活用


同社副社長でであるDavid O’Brien退役空軍少将は・・・
●わが社が持つ様々なオプションや技術を、米空軍の様々な機体と米空軍のニーズを踏まえつつ、どのように組み合わせると何が可能かを、米空軍と議論を重ね、機体の現状を把握しながら検討していく事になる

●現有輸送機を、任務に応じて、遠隔操作で無人運用する手法、最小限の搭乗人員で運用する手法、フル人員で運用する場合など、様々な場面で省人化を進め柔軟性を増す方向で検討を進める。仮に空軍が現在と同じ任務を自立運用技術を活用して行えば、輸送速度や輸送テンポを上げることができ輸送機の活用度が向上できるだろう
●米空軍は戦闘空域での作戦機の自立運用や無人機化に注目してきたが、輸送機にも適用可能なことがあり、作戦投入可能な輸送機増や輸送量増に焦点を当てた手法を追求している

●民間機への導入技術については、既に連邦航空局FAAの使用承認申請に進んでいる技術もあるが、空軍との関係では、まず空軍ニーズと期待特性を踏まえたオプションや「feasibility:実行可能性」検討を進めることになる
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企業側からの発表であり、またこれから「feasibility:実行可能性」検討を行う契約ですので、きわめて抽象的な内容の記事紹介になってしまいました

ですので、過去3回のReliable Robotics社と米空軍の契約業務の結果について報道された記憶がありませんし、輸送機を対象とした今回4回目の検討結果も、直ちに表に出ることはないと思いますが、対中国作戦に必要な輸送能力が圧倒的に不足しており、様々なオプション検討が行われていることを覚えておきましょう
対中国での輸送力不足対処
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「民間海空輸送力を対中国で活用検討」→https://holylandtokyo.com/2022/10/21/3780/
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米軍のアジア太平洋協力強化を担当次官補が語る [米国防省高官]
「日本が更に安保貢献できるように」と意味深に
更なる自衛隊基地共用化や統合司令部設置に期待
2月10日、米国防省のMara Karlin戦略計画担当次官補がBrookingsで講演し、国家防衛戦略に基づく今後のアジア太平洋諸国との協力強化について語り、特に日本との協力強化や日本の貢献拡大に強い期待感を示しました
同次官補は豪州や韓国やフィリピンとの協力強化メニューについてももちろん語っていますが、日本政府による防衛3文書改訂のインパクトとその実現への期待は相当に高い模様で、講演の様子を報じる10日付米空軍協会web記事は、冒頭から日本関連部分を大きく取り上げています
講演はアジア太平洋関連事項を中心に進められ、もちろんウクライナ関連を中心とした対ロシアについても言及していますが、なんとなく講演後半の付けたしのような印象となっており、本日はアジア太平洋関連部分だけをご紹介いたします
日本との関係強化
●嘉手納基地配備のF-15Cの交代として、第5世代機を含む先進機ローテーション派遣を行っている。また海上自衛隊鹿屋基地にMQ-9無人偵察攻撃機の運用拠点を開設して情勢認識能力を強化し、1月には海兵隊沿岸戦闘旅団MLRの沖縄配備について政府間合意が成立した
●このような協力強化の動きは、当該地域における、より最新で機動性を持つ全分野にわたる攻撃力強化要請に対応するものであり、最近日本が改定した自衛隊への投資の根本的増強などを含む防衛戦略と一致するものである(really sings nicely with Japan’s updated defense strategy)
●更に、米陸軍海洋機動力を向上させる水上艇導入や、日本の地域安全保障への貢献をよりアクティブにするための役割分担の見直しも日本との間で進める
●また、日本が(2024年以降に市ヶ谷に)設置を決めた統合司令部と指揮統制協力の強化や相互運用性向上に取り組むとともに、自衛隊等との施設共用(sharing facilities in Japan)拡大や訓練演習の増加についても、南西諸島方面を含めて検討を進める
豪州や英国との協力強化
●AUKUSについては、通常兵器搭載の原子力潜水艦提供に焦点が当たりがちだが、ブリンケン国務長官が12月に豪英と協議した最新技術提供も重要な分野であり、ここには水中ISR能力強化のため米英豪が自立型無人システム開発に協力することや、演習で最新技術試験を行うこと、更に極超音速兵器や無人システム開発協力等々が含まれている
韓国とは
●米空軍爆撃機や戦闘機のローテーション派遣の強化を計画しており、韓国との共同演習などにより多くの爆撃機や戦闘機を含める計画をしている
フィリピン新政権とも
●最近発表された米比間の「Enhanced Defense Cooperation Agreement」において、追加でフィリピン軍の4つの基地への米軍アクセスが合意された。これにより米比軍間の相互運用性向上のための演習訓練がより充実出来、人道支援や被害復旧訓練と合わせての訓練も通じ統合程度の強化を推進可能になる。
●また、南シナ海での共同海上パトロールも再開する予定だ
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中国の不動産バブル崩壊に端を発した「中国成長メカニズム」崩壊の兆しが漏れ聞こえるようになり、具体的には、警察や「地方行政」の混乱から地方都市での住民デモの発生が増えている・・・とのネット情報も増えているようです
このような中国の国家体制の揺らぎから中国人民の目をそらすため、敵を国外に求めるような動きにならないことを願うばかりです・・・
米軍とアジア諸国の協力関連
「鹿屋基地に米空軍MQ-9拠点」→https://holylandtokyo.com/2022/10/27/3811/
「比の新大統領は中国寄り?」→https://holylandtokyo.com/2022/07/08/3450/
「AUKUS 締結発表」→https://holylandtokyo.com/2021/09/20/2255/
「米豪で無人ウイングマン研究」→https://holylandtokyo.com/2020/05/06/664/
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更なる自衛隊基地共用化や統合司令部設置に期待

同次官補は豪州や韓国やフィリピンとの協力強化メニューについてももちろん語っていますが、日本政府による防衛3文書改訂のインパクトとその実現への期待は相当に高い模様で、講演の様子を報じる10日付米空軍協会web記事は、冒頭から日本関連部分を大きく取り上げています
講演はアジア太平洋関連事項を中心に進められ、もちろんウクライナ関連を中心とした対ロシアについても言及していますが、なんとなく講演後半の付けたしのような印象となっており、本日はアジア太平洋関連部分だけをご紹介いたします
日本との関係強化
●このような協力強化の動きは、当該地域における、より最新で機動性を持つ全分野にわたる攻撃力強化要請に対応するものであり、最近日本が改定した自衛隊への投資の根本的増強などを含む防衛戦略と一致するものである(really sings nicely with Japan’s updated defense strategy)

●また、日本が(2024年以降に市ヶ谷に)設置を決めた統合司令部と指揮統制協力の強化や相互運用性向上に取り組むとともに、自衛隊等との施設共用(sharing facilities in Japan)拡大や訓練演習の増加についても、南西諸島方面を含めて検討を進める
豪州や英国との協力強化

韓国とは
●米空軍爆撃機や戦闘機のローテーション派遣の強化を計画しており、韓国との共同演習などにより多くの爆撃機や戦闘機を含める計画をしている
フィリピン新政権とも

●また、南シナ海での共同海上パトロールも再開する予定だ
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このような中国の国家体制の揺らぎから中国人民の目をそらすため、敵を国外に求めるような動きにならないことを願うばかりです・・・
米軍とアジア諸国の協力関連
「鹿屋基地に米空軍MQ-9拠点」→https://holylandtokyo.com/2022/10/27/3811/
「比の新大統領は中国寄り?」→https://holylandtokyo.com/2022/07/08/3450/
「AUKUS 締結発表」→https://holylandtokyo.com/2021/09/20/2255/
「米豪で無人ウイングマン研究」→https://holylandtokyo.com/2020/05/06/664/
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フォード級空母はEMALSと着艦フック信頼性がカギ [Joint・統合参謀本部]
国防省試験評価部(DOT&E)が年次評価レポート
異なる評価基準で海軍と試験評価部で言い分異なる
米国防省試験評価部(DOT&E)が今年1月発表の2022年年次レポートで、当初計画から6年遅れで暫定的とも言える作戦任務航海を昨年秋行った米海軍の新型空母フォード級1番艦について、新規導入した電磁式カタパルト(EMALS)や着艦フック等の信頼性の低さから、2024年末(2024年9月末)までに完了予定の運用試験(operational testing)終了が危ういと厳しい評価を下しています
一方の3日付Defense-News記事によれば米海軍は、2022年8月から9月の大西洋運航時に出た関連トラブルで、任務航海を中止して運用開始評価チェックをクリアできなかったトラブルはあったが、その後必要な部品の交換等を行って同年10月から11月の間は故障は発生しても短時間で修復できており、問題なく任務を継続遂行できており今後の計画に問題ないと主張しています
このフォード級空母は、沿岸戦闘艦LCSやステルス駆逐艦DDG-100、更に価格が高騰している次期戦略原潜コロンビア級などと共に、「何をやってもダメな米海軍」と揶揄される象徴的な主力装備品で、大型艦艇のミサイル攻撃への脆弱性が問題視される中にあって、従来のニミッツ級空母価格の2倍(1隻1兆7000億円:艦載機を除く)でも物議を醸しているものです
更に当初書計画から6年遅れでも、未だに地域コマンド司令官の指揮下で運用できず、運用開始と言えども米海軍の管理下で、緊張感の薄い大西洋で2022年秋に3か月間限定の任務航海に入ったところ、鳴り物入り新規装備の電磁カタパルトや「jet blast deflector:離陸時のジェット排気遮蔽版」不具合で任務中止&帰港となり、すこぶる評判の良くない状態にあります
国防省試験評価部(DOT&E)は年次報告書で、「昨年秋の航海で、部品の錆から、4つある全てのjet blast deflectorが正常に作動しないなど、引き続きカタパルトや着艦フック信頼性を含め、艦載機の離発着数や運用効率に負の影響を与えている」と厳しく現状を評価し、
「空母運用に緊要なサブシステム信頼性が、引き続き2024年末(2024年9月末)までに完了予定の運用試験(operational testing)終了に関する主要なリスクとなっている」と年次レポートに記載して、電磁カタパルトEMALSと着艦フックの故障回数や故障からの平均回復時間が基準を満たさず、昨年9月には各数値が低下傾向を示していること等を問題視しています
そして試験評価部(DOT&E)は、米海軍は今後も継続してこれら重要サブシステムの信頼性改善に注目し、より良い部品の入手に努めるべき、と年次報告書で要求しているところです
一方で米海軍は、10月以降は問題ないと主張し、秋の教訓は2番艦以降の設計建造に教訓として生かすと説明し、更に試験評価部(DOT&E)は故障発生回数で評価しているが、米海軍は稼働時間率で評価してさほど問題ないと反論するなど、双方の見解には隔たりがあります
////////////////////////////////////////////////////////
国防省試験評価部(DOT&E)は、米議会が国防省のでたらめな装備品プロジェクト管理を監視するために設けた部署で、国防省や米軍に遠慮することなく、厳しい指摘を行うことで知られた組織です。
米海軍は、懸念されているサブシステムは直近で98%の稼働時間率を記録していると説明していますが、大事な昨年秋の航海で、艦載機運用に欠かせない「jet blast deflector:離陸時のジェット排気遮蔽版」が、「関連部品のサビで4基すべてに不具合」との情けない状態では、誰も安心させることはできないでしょう・・・。
同空母は、2023年末または2024年上旬から、本来の姿である地域コマンド指揮下で任務行動に投入予定だそうですが、そのころまでには「真の状態」が明らかになるでしょう
試験評価部(DOT&E)の年次報告書412ページ
(国防省の全ての開発プロジェクト等を評価)
→https://www.dote.osd.mil/Portals/97/pub/reports/FY2022/FY22DOTEAnnualReport.pdf
フォード級空母関連の記事
「初任務航海は米海軍の監督下で」→https://holylandtokyo.com/2022/03/04/2692/
「6年遅れ空母フォード不具合修復完了」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-26
「新型空母フォードの計画責任者更迭」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-08
「お披露目演習でEMALS故障」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-12
「空母フォード:3年遅れで米海軍へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-03
「米海軍真っ青?トランプ「EMALSはだめ」」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-13
「空母を値切って砕氷艦を!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19
「フォード級空母を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「解説:電磁カタパルトEMALS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10
空母の存在意義を巡る議論
「対中国専従空母の厳しさ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-15
「国防省が空母2隻削減と無人艦艇案!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-22
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10
「半年かけて空母の将来像を至急検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-12
「レーザー兵器搭載に自信」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-05
「国防次官が空母1隻とミサイル2000発の効果比較」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-20
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
異なる評価基準で海軍と試験評価部で言い分異なる


このフォード級空母は、沿岸戦闘艦LCSやステルス駆逐艦DDG-100、更に価格が高騰している次期戦略原潜コロンビア級などと共に、「何をやってもダメな米海軍」と揶揄される象徴的な主力装備品で、大型艦艇のミサイル攻撃への脆弱性が問題視される中にあって、従来のニミッツ級空母価格の2倍(1隻1兆7000億円:艦載機を除く)でも物議を醸しているものです

国防省試験評価部(DOT&E)は年次報告書で、「昨年秋の航海で、部品の錆から、4つある全てのjet blast deflectorが正常に作動しないなど、引き続きカタパルトや着艦フック信頼性を含め、艦載機の離発着数や運用効率に負の影響を与えている」と厳しく現状を評価し、

そして試験評価部(DOT&E)は、米海軍は今後も継続してこれら重要サブシステムの信頼性改善に注目し、より良い部品の入手に努めるべき、と年次報告書で要求しているところです

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国防省試験評価部(DOT&E)は、米議会が国防省のでたらめな装備品プロジェクト管理を監視するために設けた部署で、国防省や米軍に遠慮することなく、厳しい指摘を行うことで知られた組織です。

同空母は、2023年末または2024年上旬から、本来の姿である地域コマンド指揮下で任務行動に投入予定だそうですが、そのころまでには「真の状態」が明らかになるでしょう
試験評価部(DOT&E)の年次報告書412ページ
(国防省の全ての開発プロジェクト等を評価)
→https://www.dote.osd.mil/Portals/97/pub/reports/FY2022/FY22DOTEAnnualReport.pdf
フォード級空母関連の記事
「初任務航海は米海軍の監督下で」→https://holylandtokyo.com/2022/03/04/2692/
「6年遅れ空母フォード不具合修復完了」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-26
「新型空母フォードの計画責任者更迭」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-08
「お披露目演習でEMALS故障」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-12
「空母フォード:3年遅れで米海軍へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-03
「米海軍真っ青?トランプ「EMALSはだめ」」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-13
「空母を値切って砕氷艦を!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19
「フォード級空母を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「解説:電磁カタパルトEMALS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10
空母の存在意義を巡る議論
「対中国専従空母の厳しさ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-15
「国防省が空母2隻削減と無人艦艇案!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-22
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10
「半年かけて空母の将来像を至急検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-12
「レーザー兵器搭載に自信」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-05
「国防次官が空母1隻とミサイル2000発の効果比較」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-20
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
CSISも今度は弾薬調達&提供問題レポート [安全保障全般]
台湾有事に緊要な兵器弾薬が1週間で枯渇の現状
それら緊要兵器の製造には2年以上必要で・・・
従来から指摘されていた問題を再提起
1月23日、CSISのSeth Jones国際安全保障部長で副理事長が「戦時に空っぽの弾薬庫:Empty Bins in a Wartime Environment」とのレポートを発表し、米軍や西側諸国軍の弾薬不足問題を軍需産業側面から指摘しています。
最近、各方面からの弾薬関連の課題指摘をご紹介していますが、特にロシアによるウクライナ侵略で、大国が間接的にでも対峙する戦いでは長期化が避けられず、その中で弾薬や兵器が想定以上のペースで消費されることが明らかになったことを契機として、以前から繰り返し指摘されていた(紛争時には表面化するが、戦後に忘却の繰り返し)問題や課題が、再びクローズアップされた形になっています
CSISは予算制度、官僚的鈍重な手続き、必要数見積もりの甘さと長期計画の欠落、法的規制の存在などの視点から問題を指摘して改善を提言しています。これまでの提言と重なる部分も多いと思いますが、米国がこの状態なら、日本をはじめ西側諸国は更に悲惨な状況だと言えますので、繰り返しになってもご紹介しておきます
弾薬や兵器の現状
●例えば米軍は、ウクライナに160両の160両のM777 155mm榴弾砲を提供した結果、米陸軍の在庫は「Low」状態になったが、製造企業のBAE Systems社は、毎年150両の発注を数年継続してくれる約束が無ければ、製造ライン再立ち上げは採算に合わないと主張している
●同じくウクライナに8000発提供(保有総数約15000発から提供)したJavelin携帯式対戦車ミサイルは、提供分を補充するのに現状の軍需産業能力だと12年必要である
●中国の強力な防空網下で戦うことが求められる台湾有事には、長射程の精密誘導ミサイルが極めて重要で、空対艦ミサイルLRASM、空対地ミサイルJASSM、艦対艦ミサイルSM-6、対艦トマホークミサイル等の確保が重要だが、これの保有量は僅か1週間で底をつく程度で、新規発注&製造には20か月以上が必要である。(最重要のLRASMは、必要数確保に最低10年は必要との見積もりあり)
●つまり戦いは始まってからでは補充弾薬を新規提供することは不可能であり、予算制度、官僚的鈍重な手続き、必要数見積もりの甘さ、法的規制の存在等々の多様な視点から改善を図って平時から備えておくことが必要である
Defense-News報道のCSIS提言概要
●国防製造法(Defense Production Act)で、調達に時間を要する原材料(long-lead subcomponents)、例えば関連金属、推進剤、関連電子部品などを、国家戦略備蓄(strategic munitions reserve)として確保しておき、非常時の弾薬調達を1-2年短縮する。(完成弾での国家戦略備蓄も含まれていると推測)
●米議会の理解を得て、予算科目の枠を超え、柔軟に弾薬調達予算を確保できるような枠組みの確立
●米軍だけでなく、同盟国を含めた弾薬や兵器の必要数の再見積もりと、同見積もりを基礎とした長期的な弾薬調達計画作成と軍需産業との長期的な製造協議
●鈍重で非効率でリスク回避志向の強い現在のFMS(foreign military sales)制度の改革。一般商業ベース取引より2年も余分に時間が必要な現FMS制度の改革
●併せて、緊要な同盟国が相手であっても、重要技術情報が関係すると更に12-18ヵ月余分に輸出承認手続きが必要な現制度の改善
//////////////////////////////////////////////
CSIS関連webページ
→https://www.csis.org/analysis/empty-bins-wartime-environment-challenge-us-defense-industrial-base
報告書現物44ページ
→https://csis-website-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/2023-01/230119_Jones_Empty_Bins.pdf?VersionId=mW3OOngwul8V2nR2EHKBYxkpiOzMiS88
筆者による報告書YouTube解説(4分弱)
44ページのレポートを確認しておらず、1月23日付Defense-News記事だけで同レポートをご紹介していますので、多分に誤解がある恐れがあります。ご容赦ください。ただ、断片的な紹介になっているCSISの提言にも、容易に実行可能なものは全くなく、繰り返す歴史の中で改善できなかった困難な課題が山積していると考えてよいでしょう。中国やロシアだって似たようなものだと推測されます
過去記事でもご紹介した、最もニーズが高く、不足の危機感が共有されている空対艦ミサイルLRASMの例だと、800-1200発必要と想定される中で200発しか保有しておらず、現在年間35発の製造能力を2023年に88発まで増強する計画ですが、それでも必要数確保までには10年必要な計算になります
自衛隊の現状? 「たまに撃つ 弾が無いのが 玉に傷」との川柳があるくらいで、上記レポートの「1週間」程度よりも寂しく、この川柳でググってみると、「3日」以下とか、「3回」以下とか、「出撃2回」以下とか、様々に表現されている方がいらっしゃいます・・・
弾薬量の圧倒的不足問題
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「賛否交錯:輸送機からミサイル投下」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
「Stand-inとoffのバランス不可欠」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
それら緊要兵器の製造には2年以上必要で・・・
従来から指摘されていた問題を再提起

最近、各方面からの弾薬関連の課題指摘をご紹介していますが、特にロシアによるウクライナ侵略で、大国が間接的にでも対峙する戦いでは長期化が避けられず、その中で弾薬や兵器が想定以上のペースで消費されることが明らかになったことを契機として、以前から繰り返し指摘されていた(紛争時には表面化するが、戦後に忘却の繰り返し)問題や課題が、再びクローズアップされた形になっています

弾薬や兵器の現状
●例えば米軍は、ウクライナに160両の160両のM777 155mm榴弾砲を提供した結果、米陸軍の在庫は「Low」状態になったが、製造企業のBAE Systems社は、毎年150両の発注を数年継続してくれる約束が無ければ、製造ライン再立ち上げは採算に合わないと主張している

●中国の強力な防空網下で戦うことが求められる台湾有事には、長射程の精密誘導ミサイルが極めて重要で、空対艦ミサイルLRASM、空対地ミサイルJASSM、艦対艦ミサイルSM-6、対艦トマホークミサイル等の確保が重要だが、これの保有量は僅か1週間で底をつく程度で、新規発注&製造には20か月以上が必要である。(最重要のLRASMは、必要数確保に最低10年は必要との見積もりあり)
●つまり戦いは始まってからでは補充弾薬を新規提供することは不可能であり、予算制度、官僚的鈍重な手続き、必要数見積もりの甘さ、法的規制の存在等々の多様な視点から改善を図って平時から備えておくことが必要である
Defense-News報道のCSIS提言概要

●米議会の理解を得て、予算科目の枠を超え、柔軟に弾薬調達予算を確保できるような枠組みの確立
●米軍だけでなく、同盟国を含めた弾薬や兵器の必要数の再見積もりと、同見積もりを基礎とした長期的な弾薬調達計画作成と軍需産業との長期的な製造協議

●併せて、緊要な同盟国が相手であっても、重要技術情報が関係すると更に12-18ヵ月余分に輸出承認手続きが必要な現制度の改善
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CSIS関連webページ
→https://www.csis.org/analysis/empty-bins-wartime-environment-challenge-us-defense-industrial-base
報告書現物44ページ
→https://csis-website-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/2023-01/230119_Jones_Empty_Bins.pdf?VersionId=mW3OOngwul8V2nR2EHKBYxkpiOzMiS88
筆者による報告書YouTube解説(4分弱)
44ページのレポートを確認しておらず、1月23日付Defense-News記事だけで同レポートをご紹介していますので、多分に誤解がある恐れがあります。ご容赦ください。ただ、断片的な紹介になっているCSISの提言にも、容易に実行可能なものは全くなく、繰り返す歴史の中で改善できなかった困難な課題が山積していると考えてよいでしょう。中国やロシアだって似たようなものだと推測されます

自衛隊の現状? 「たまに撃つ 弾が無いのが 玉に傷」との川柳があるくらいで、上記レポートの「1週間」程度よりも寂しく、この川柳でググってみると、「3日」以下とか、「3回」以下とか、「出撃2回」以下とか、様々に表現されている方がいらっしゃいます・・・
弾薬量の圧倒的不足問題
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「賛否交錯:輸送機からミサイル投下」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
「Stand-inとoffのバランス不可欠」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/
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DARPAが大型水上離着陸機の候補2社発表 [米国防省高官]
対中国での西太平洋地域への輸送力不足対処に
C-17級の搭載力と「地面効果」低空飛行可な機体
エンジン12基とか8基とかの巨大機体です
2月1日、米国防省の研究機関DARPAが、(対中国を想定して)提案募集していた海面離着陸可能な大型輸送機(Liberty Lifter Seaplane Wing-in-Ground Effect)構想について、「General Atomics」と「(ボーイング子会社の)Aurora Flight Sciences」が提案したタイプの異なる2機種を選定し、今後具体的な技術成熟や機体設計やデモ機製造計画について1年半かけて煮詰める、「Phase 1」契約(10億円程度)をそれぞれと締結したと発表しました
2日付Defense-News記事によれば、「Phase 1」契約終了後は2024年半ばから「Phase 2」契約に進み、機体設計や細部仕様を煮詰めてフルスケールデモ機製造を行い、米軍のどこかの軍種及び同盟国等と協力し、作戦用の機体へと成熟させていく構想になっているようです
海面離着陸可能な大型輸送機(通称Liberty Lifter)は、様々な報道からの寄せ集め情報によると、詳細な要求性能を固めているわけではないようですが、C-17輸送機並みの搭載量100トン程度(M1戦車69トン、フル装備空挺兵士100名、担架上の患者34名)や、巡航飛行高度3000m程度で、高度30m以下の海面近くを飛行すると大きな揚力を得られる「地面効果」を利用可能な機体で、低価格な長距離輸送機を求めているとのことです
また荒天下でも活動可能な能力も追求しており、通常の小型ボートの運用限界である「sea state 3(波高4 feet)」より厳しい、「sea state 4(波高8 feet)」で離着水可能で、補給艦から戦闘艦への海上補給が困難になる「sea state 5(波高13 feet)」でも海上活動が可能な能力を要求しているとも報じられています
更に記事は、以前ご紹介したMC-130米空軍特殊作戦機用に水上離着陸可能なフロートを開発するプロジェクトや、GPS誘導JDAMを艦艇攻撃用に改良するプロジェクトと同じ流れで、対中国作戦を想定し、従来航空分野で主に活用してきた能力を、海と島々で構成される西太平洋戦域で活用するための検討(adapt traditionally air-related capabilities to a maritime environment)の一つが、「Liberty Lifter」構想だと紹介しています
以下では選定された2機種の概要をご紹介
Aurora Flight Sciences社の提案
・DARPAは「空飛ぶボート」と呼ぶ
・単胴、高位置翼、幅広い水平尾翼
・8つのターボプロップエンジン
・翼の翼端が下にカーブ形状(海面に触れない設計)
・Gibbs & Cox社&ReconCraft社と設計協力
General Atomics社の提案
・海上での安定を2つの胴体と翼で確保
・12基のターボシャフトエンジン
・機体前方が上に開いて貨物積み下ろし
・Maritime Applied Physics社と設計協力
///////////////////////////////////////////////////
ネット上に出回る機体イメージ図には、地上飛行場に車輪で着陸&駐機している姿がなく、飛行場が母基地になるのか、湖や海に面した港が母基地になるのかも推定できない「ど素人」状態ですが、DARPAが検討の進捗をみて「少なくと一つの軍種とチームを組んで」と微妙な表現をするように、機体が完成したとしても、実際の維持整備や目的地での荷下ろし運用等などが相当に難しい印象です
このような機体の検討までしなければならないほど、米本土から遠く離れた海と島々で構成された西太平洋地域は、兵器や弾薬や人員や燃料や補給物資を輸送するのが困難な場所だということです。陸つづきのウクライナとは全く異なる環境だということです。
Liberty Lifter構想と同じ流れの検討
「艦艇攻撃用に改良のGPS誘導JDAM試験」→https://holylandtokyo.com/2022/05/13/3219/
「対中国にC-130用水上着陸フロート開発」→https://holylandtokyo.com/2021/10/13/2296/
西太平洋では兵站確保が重要
「ウのアジア太平洋への教訓は兵站支援」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウは世界初の防空兵器の消耗戦に」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「台湾は非対称戦術を」→https://holylandtokyo.com/2023/01/16/4160/
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C-17級の搭載力と「地面効果」低空飛行可な機体
エンジン12基とか8基とかの巨大機体です

2日付Defense-News記事によれば、「Phase 1」契約終了後は2024年半ばから「Phase 2」契約に進み、機体設計や細部仕様を煮詰めてフルスケールデモ機製造を行い、米軍のどこかの軍種及び同盟国等と協力し、作戦用の機体へと成熟させていく構想になっているようです

また荒天下でも活動可能な能力も追求しており、通常の小型ボートの運用限界である「sea state 3(波高4 feet)」より厳しい、「sea state 4(波高8 feet)」で離着水可能で、補給艦から戦闘艦への海上補給が困難になる「sea state 5(波高13 feet)」でも海上活動が可能な能力を要求しているとも報じられています

以下では選定された2機種の概要をご紹介
Aurora Flight Sciences社の提案
・DARPAは「空飛ぶボート」と呼ぶ
・単胴、高位置翼、幅広い水平尾翼
・8つのターボプロップエンジン
・翼の翼端が下にカーブ形状(海面に触れない設計)
・Gibbs & Cox社&ReconCraft社と設計協力
General Atomics社の提案
・海上での安定を2つの胴体と翼で確保
・12基のターボシャフトエンジン
・機体前方が上に開いて貨物積み下ろし
・Maritime Applied Physics社と設計協力
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このような機体の検討までしなければならないほど、米本土から遠く離れた海と島々で構成された西太平洋地域は、兵器や弾薬や人員や燃料や補給物資を輸送するのが困難な場所だということです。陸つづきのウクライナとは全く異なる環境だということです。
Liberty Lifter構想と同じ流れの検討
「艦艇攻撃用に改良のGPS誘導JDAM試験」→https://holylandtokyo.com/2022/05/13/3219/
「対中国にC-130用水上着陸フロート開発」→https://holylandtokyo.com/2021/10/13/2296/
西太平洋では兵站確保が重要
「ウのアジア太平洋への教訓は兵站支援」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウは世界初の防空兵器の消耗戦に」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
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英と伊国防相が日本を恫喝「逃げるなよ!」 [安全保障全般]
英伊国防相が2国協議後の共同記者会見で
3月の3か国戦闘機共同開発GCAP協議を前に釘差し
In for a penny, in for a pound:一度決めた以上、やり通せ
開始後におじけ付いて(get cold feet)逃げるな・・・とも
F-1レースでは英伊日は完璧なチーム力発揮実績ありと
2月9日、ローマを訪問したBen Wallace英国防相がGuido Crosetto伊国防相と会談後に共同会見し、昨年12月に英伊日3か国で合意した次世代戦闘機共同開発(GCAP: Global Combat Air Programme)に関し3月に日本で予定の3か国協議を前に、途中で計画から逃げ出すことは破滅的結果をもたらすことになり許されないと強調し、日本に釘を刺しました
日本での3月の協議に臨む前に英国とイタリア国防相が事前に話し合い、その会見後に第3の相手(日本)に「In for a penny, in for a pound:一度決めた以上、やり通せ」「開始後におじけ付いて(get cold feet)逃げるな」「政治的にも、協力体制の重要性から、誰かが抜けることはできない」等々と、改めて本合意への決意を示せと迫るような恫喝的な言いぶりに、まんぐーすは「背筋の凍る」思いがいたしました
まぁ・・これまで米国製兵器一辺倒だった日本が、いろんな意味で大きな戦闘機プロジェクトを欧州諸国と組んで進めると言うのですから、英国やイタリアが不安を持つのも致し方ないと思います。以下では共同会見で率直に語った両国国防省の発言をご紹介いたします
Ben Wallace英国防相は・・・
●政治的にも、誰かが脱落することができない重要な共同開発だ。3か国は皆、10年後には新型戦闘機を必要としており、皆が誰も脱落しない「no dropping out」が求められる
●(脱落すれば、)我々は永久に我々自身で我々の将来の能力を否定することになる。途中で誰かがおじけづき、脱落するようなことになれば、外交政策的にも、戦略的にも、産業政策上も、極めて3か国にとって悪い状況に至る
●日本は車や鉄道車両を輸出してきたが、憲法や政治的な制約から国防装備品の輸出は無かった。伊と英はトーネードやタイフーン戦闘機を輸出してきたが、今後は財政的にも成り立つように大きなグループで取り組む必要がある。この点で日本とともに取り組めることに興奮している
●この3か国の協力は、F-1レースで既に最大の貢献をしている実績から驚くにはあたらない。最新技術分野で、我々3か国は新参者ではないのだ
●政治家と、軍人と、軍需産業関係者が共に協力して取り組むことが不可欠である。(3月に日本で3か国協議を行うことに関し、)最も重要なことは、この3者(政軍民)が共に次のステージに進むことであり、あらゆる機会をとらえて3者が一堂に会して協議することである。一堂に会して議論することこそが、今後立ちはだかる課題や官僚的問題を断ち切る唯一の方法である
Guido Crosetto伊国防相は・・・
●この3か国共同開発は、世界が変化していることを示すものである。日本が変われば、それは世界が変化しているということだ
●この共同開発を通じて日本と国防協力同盟を形成することは、イタリアにとって将来に備えた堅実な判断である。我々の脅威はロシアでなく中国であり、共通の脅威に対峙する国との関係を深化することはますます重要になってきている
●日本は新型戦闘機を最も緊急に欲している国である。初号機を2035年までに完成させる必要があるが、私はこの期限に間に合わせることが可能だと確信している
////////////////////////////////////////////////
読めば読むほど・・・この戦闘機プロジェクトが、ただならぬ意味合いを持っていることがわかります。日本の地理的な位置取りを考える時、戦闘機にこんなに資金や人材や労力をかける必要があるのか・・・と繰り返し言い続けてきましたが、改めて問いたいです。「本当に戦闘機がそんなに大切なの? 日本の有事に役立つの?」
Wallace英国防相は「政治家と、軍人と、軍需産業関係者が共に協力して取り組むことが不可欠である」と強調していますが、安倍総理亡き後、これが可能なんでしょうか?
それからもう一つ、欧州での戦闘機開発は、英スウェーデン伊グループと、独仏スペインの2グループが競っていますが、その行く末と英伊日の共同開発はどう絡んでいくのでしょうか? 英と伊だって大丈夫か?・・と聞いてみたいです
英国や伊の関連話題
「伊空軍トップ来日で協議」→https://holylandtokyo.com/2022/09/27/3699/
「2027年までにデモ機を作成発表」→https://holylandtokyo.com/2022/07/22/3480/
「英国がTyphoonレーダー換装推進」→https://holylandtokyo.com/2022/06/10/3303/
「英空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2021/05/19/1493/
「138機のF-35購入計画は多くて60-72機へ!?」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
欧州の戦闘機開発バトル
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
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3月の3か国戦闘機共同開発GCAP協議を前に釘差し
In for a penny, in for a pound:一度決めた以上、やり通せ
開始後におじけ付いて(get cold feet)逃げるな・・・とも
F-1レースでは英伊日は完璧なチーム力発揮実績ありと


まぁ・・これまで米国製兵器一辺倒だった日本が、いろんな意味で大きな戦闘機プロジェクトを欧州諸国と組んで進めると言うのですから、英国やイタリアが不安を持つのも致し方ないと思います。以下では共同会見で率直に語った両国国防省の発言をご紹介いたします
Ben Wallace英国防相は・・・

●(脱落すれば、)我々は永久に我々自身で我々の将来の能力を否定することになる。途中で誰かがおじけづき、脱落するようなことになれば、外交政策的にも、戦略的にも、産業政策上も、極めて3か国にとって悪い状況に至る
●日本は車や鉄道車両を輸出してきたが、憲法や政治的な制約から国防装備品の輸出は無かった。伊と英はトーネードやタイフーン戦闘機を輸出してきたが、今後は財政的にも成り立つように大きなグループで取り組む必要がある。この点で日本とともに取り組めることに興奮している

●政治家と、軍人と、軍需産業関係者が共に協力して取り組むことが不可欠である。(3月に日本で3か国協議を行うことに関し、)最も重要なことは、この3者(政軍民)が共に次のステージに進むことであり、あらゆる機会をとらえて3者が一堂に会して協議することである。一堂に会して議論することこそが、今後立ちはだかる課題や官僚的問題を断ち切る唯一の方法である
Guido Crosetto伊国防相は・・・

●この共同開発を通じて日本と国防協力同盟を形成することは、イタリアにとって将来に備えた堅実な判断である。我々の脅威はロシアでなく中国であり、共通の脅威に対峙する国との関係を深化することはますます重要になってきている
●日本は新型戦闘機を最も緊急に欲している国である。初号機を2035年までに完成させる必要があるが、私はこの期限に間に合わせることが可能だと確信している
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Wallace英国防相は「政治家と、軍人と、軍需産業関係者が共に協力して取り組むことが不可欠である」と強調していますが、安倍総理亡き後、これが可能なんでしょうか?

英国や伊の関連話題
「伊空軍トップ来日で協議」→https://holylandtokyo.com/2022/09/27/3699/
「2027年までにデモ機を作成発表」→https://holylandtokyo.com/2022/07/22/3480/
「英国がTyphoonレーダー換装推進」→https://holylandtokyo.com/2022/06/10/3303/
「英空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2021/05/19/1493/
「138機のF-35購入計画は多くて60-72機へ!?」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
欧州の戦闘機開発バトル
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
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米空軍がステルス空中給油機計画を開始 [米空軍]
2040年運用開始を目途に「KC-Z」検討開始
まずは企業に情報提供要求RFIを1月末に発出
米空軍がKendall空軍長官の肝いりで大幅前倒し推進している「KC-Z」こと将来ステルス空中給油機プロジェクトに関し、正式名称をNGAS(Next-Generation Air-Refueling System)として1月31日に関連企業に米空軍構想に沿うどんな機体が提案可能かの情報提供を求めるRFI(request for information)を発出し、正式にプロジェクトをスタートさせました
2040年運用開始(初期IOC)を目途に、2032年段階で十分に成熟済技術を使用した提案情報を3月2日締め切りで求めるもので、ステルス性を意味する強固に防御された空域での作戦能力のほか、おなじみのデジタル設計技術活用やオープンアーキテクチャーでの順次近代化等の要求はもちろんのこと、
緊急整備された設備不十分な基地での運用能力、サイバー戦を含む将来脅威への対処能力、気候変動対処能力(燃費効率、温室効果ガス排出削減など)、作戦運用と維持整備支援面で現有給油機からの変化事項など、広範で盛りだくさんな情報要求となっているようです
1月中旬にKendall長官がCFRで講演し、ステルス性があり燃料効率面でも期待が持てるBWB(blended wing body)形状機体に強い関心を示し、国防省独自研究推進を語ったところですが、「KC-Z:NGAS」にはロッキードやボーイングが大型機から戦闘機タイプまで様々なアイディアを公開していることを受けてか、RFIは具体的にBWB形状を前提とせず、機体の大きさや性能に関し細部を指定しない「open to all ideas」な姿勢で発出されているようです
ただし、このRFIについて専門家からは、「てんこ盛りすぎ」「月を仰いで夢見ているよう」「予算の現実を踏まえた構想にすべき」等との辛らつなコメントが出ているところですが、とりあえず軍事メディアが報じるRFIの内容概要を「つまみ食い」紹介させていただきます
RFIの「前提」や「情報提供」を求めている内容
●デジタル設計とシム技術の活用、「modular, open-systems architecture」はマスト
●主担当企業と非軍事企業によるチーム編成で、機体設計や製造体制確立に多様な経験を導入すること
●Technology Readiness Level of 6レベルの技術を使用すること(2032年までにプロトタイプ等で試験して十分に成熟が確認できる技術使用)
●他機への給油だけでなく、自機も空中給油を受けられること
●機体の大きさ、重量、離着陸・上昇・巡航飛行など任務飛行性能
●地方や臨時設置など通常とは異なる基地での運用可能性程度
●実用化までの時程計画(特に設計や導入技術の成熟計画や開発リスク低減策)
●完成機体が空中給油方式にもたらす変化や、運用及び維持整備支援体制に求める変化についての説明と対策
●サイバー脅威を含む将来予想される脅威への対処法
●エンジンタイプと現存空中給油機と比較した燃料消費効率化能力
●無人機への空中給油手法
////////////////////////////////////////////////
思いっきり「ひねくれた」まんぐーすの解釈は・・・
「KC-X」がKC-46Aで、「KC-Z」がこのNGASで、その間の「つなぎ給油機」が「KC-Y」と呼ばれていますが、このつなぎ「KC-Y」で泥沼になりかねない機種選定(ボーイングVSロッキード+エアバス)を避け、「KC-X」のKC-46Aをチョイ改修して乗り切ろうと考えている米空軍が、「KC-Z」NGASで盛り上げ、「KC-Y」の話題を吹き消そうとしている・・・です
このRFIに関するHeritage のJohn Venable上席研究員の、「てんこ盛りすぎ」「月を仰いで夢見ているよう」「予算の現実を踏まえた構想にすべき」等との辛らつなコメントや、戦闘機や関連攻撃システムの姿も見えない中で、2040年運用開始想定の給油機の話だけが先行する様子に、そんなことを考えました
空中給油機検討の関連記事
「長官がステルス給油機に積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/
「空軍がKC-YとKC-Zの検討予定に言及」→https://holylandtokyo.com/2022/08/26/3558/
「BWB機の技術動向調査」→https://holylandtokyo.com/2022/08/05/3508/
「将来給油機体制検討に企業へ情報提供依頼」→https://holylandtokyo.com/2022/07/11/3425/
「給油機のミニマム必要機数を削減」→https://holylandtokyo.com/2022/06/13/3319/
「KC-XYZの再検討再整理表明」→https://holylandtokyo.com/2022/04/18/3151/
「KC-Yにロッキードが名乗り」→https://holylandtokyo.com/2021/10/05/2260/
こんなドロ沼を「KC-Y」で何としても避けたい米空軍
選定やり直し3回:KC-46機種選定の泥沼
「KC-X決定!泥沼回避可能か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
まずは企業に情報提供要求RFIを1月末に発出

2040年運用開始(初期IOC)を目途に、2032年段階で十分に成熟済技術を使用した提案情報を3月2日締め切りで求めるもので、ステルス性を意味する強固に防御された空域での作戦能力のほか、おなじみのデジタル設計技術活用やオープンアーキテクチャーでの順次近代化等の要求はもちろんのこと、

1月中旬にKendall長官がCFRで講演し、ステルス性があり燃料効率面でも期待が持てるBWB(blended wing body)形状機体に強い関心を示し、国防省独自研究推進を語ったところですが、「KC-Z:NGAS」にはロッキードやボーイングが大型機から戦闘機タイプまで様々なアイディアを公開していることを受けてか、RFIは具体的にBWB形状を前提とせず、機体の大きさや性能に関し細部を指定しない「open to all ideas」な姿勢で発出されているようです

RFIの「前提」や「情報提供」を求めている内容
●デジタル設計とシム技術の活用、「modular, open-systems architecture」はマスト

●Technology Readiness Level of 6レベルの技術を使用すること(2032年までにプロトタイプ等で試験して十分に成熟が確認できる技術使用)
●他機への給油だけでなく、自機も空中給油を受けられること
●機体の大きさ、重量、離着陸・上昇・巡航飛行など任務飛行性能
●地方や臨時設置など通常とは異なる基地での運用可能性程度

●完成機体が空中給油方式にもたらす変化や、運用及び維持整備支援体制に求める変化についての説明と対策
●サイバー脅威を含む将来予想される脅威への対処法
●エンジンタイプと現存空中給油機と比較した燃料消費効率化能力
●無人機への空中給油手法
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思いっきり「ひねくれた」まんぐーすの解釈は・・・

このRFIに関するHeritage のJohn Venable上席研究員の、「てんこ盛りすぎ」「月を仰いで夢見ているよう」「予算の現実を踏まえた構想にすべき」等との辛らつなコメントや、戦闘機や関連攻撃システムの姿も見えない中で、2040年運用開始想定の給油機の話だけが先行する様子に、そんなことを考えました
空中給油機検討の関連記事
「長官がステルス給油機に積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/
「空軍がKC-YとKC-Zの検討予定に言及」→https://holylandtokyo.com/2022/08/26/3558/
「BWB機の技術動向調査」→https://holylandtokyo.com/2022/08/05/3508/
「将来給油機体制検討に企業へ情報提供依頼」→https://holylandtokyo.com/2022/07/11/3425/
「給油機のミニマム必要機数を削減」→https://holylandtokyo.com/2022/06/13/3319/
「KC-XYZの再検討再整理表明」→https://holylandtokyo.com/2022/04/18/3151/
「KC-Yにロッキードが名乗り」→https://holylandtokyo.com/2021/10/05/2260/
こんなドロ沼を「KC-Y」で何としても避けたい米空軍
選定やり直し3回:KC-46機種選定の泥沼
「KC-X決定!泥沼回避可能か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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ブログサポーターご紹介ページ
→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
上院軍事委員長が「ウ支援」や中国気球を語る [安全保障全般]
民主党の重鎮で米国軍事政策のキーマンの一人
F-16など今後の軍事支援の考え方や気球への「?」
軍事予算10%カット(2022年規模への縮小)には否定的
2月7日、民主党の重鎮で上院軍事委員会委員長であるJack Reed議員が軍事記者団とのオンライン懇談を行い、ウクライナ支援の今後の考え方や中国気球事案、更にウクライナ支援で急膨張する軍事費を抑制する声が高まっている件に関しかなり率直に語りました
ウクライナ支援に関しては、F-16戦闘機より、弾薬や長射程地上火砲や情報&ノウハウ&ソフト支援等が当面の重要項目だと述べ、併せてウクライナで浮き彫りになった弾薬不足と軍需産業基盤問題を最大の教訓だと表現し、中国気球に関しては誰が何のために何をしたかったのか等々の基本的な疑問から解決する必要があると語っています
オンライン懇談会の全体を把握しているわけではありませんが、7日付米空軍協会web記事が上記内容を報じていますので、様々な思惑や意見が交錯して情報が混乱している事象に関するキーマンの発言でもあり、頭の整理にご紹介しておきます
ウクライナ支援について
●ウクライナからの軍事支援要望への対応を考える際、米国は戦いの現状と何が違いを生み出すかに基づいて判断する必要がある。今の段階では、F-16戦闘機の要望は最も緊急性が高いものとは考えられず、既存兵器の弾薬や戦車を含む戦闘車両、HIMARSなど長射程ロケットシステムが、よりインパクトを与え、かつウクライナ軍が迅速に円滑に受け入れ可能な兵器だと考える
●ロシア側の強固な防空体制を勘案すれば、ウクライナ軍はF-16戦闘機を有効に使用できる状態には無い。現状でウクライナ軍戦闘機等は、ロシア防空網の脅威でほとんど活動できていないし、飛行しても超低空を這うように侵攻し、目標直前で安全な範囲で高度を上げ爆弾等を投下する程度の極めて限定的な作戦しかできていないし、それでも操縦者を失っている
●ウクライナ空軍は胸に手を当ててよく考えるべきだ。F-16の提供を受けて何が変わるのか? 現状の強固な露防空網を前にしてF-16を生かすことができるのか? 長期的な視点でF-16の有効性を否定することはできないが、現時点では優先度は低い
●米議会では、すでに提供済のGMLRS(Guided Multiple Launch Rocket System)より射程の長い、ATACMS(Army Tactical Missile Systems)を推す声がある。既にGMLRS投入でロシアは前線指揮所を後退させざるを得なくなっており、ATACMS導入が更なる効果を生むとの期待からである。また米だけでなく、NATOや西側諸国からの様々な軍事的助言やインテル提供やソフト改修支援なども、極めて重要な役割を果たしている
●(ロシアが反撃準備を進めているとの一部の分析に関し、)ウクライナ軍は優秀で士気が高く、露の攻撃に耐え、西側提供の戦闘車両等々を巧みに使用&維持整備して反撃できると考えている。ウクライナ軍は電子戦にも優れた能力を発揮している
●(一方で、ロシアが大規模に後退を迫られるような事態になった場合、)特に、2014年にロシアが併合したクリミア半島にウクライナ軍が迫るようなことになれば、ロシアによる核兵器投入の危険性が高まるのではないかと懸念している
ウクライナの教訓と米国防費への影響
●ウクライナから得た最も大きな教訓は、弾薬の緊急調達や緊急製造に対応できない軍需産業の問題であり、議会として今後取り組まねばならない大きな課題である
●(ウクライナ支援を含め国防費が急膨張していることへの懸念から、)一部共和党議員からでている、国防予算を約10%カットして2022年予算レベルを上限に押さえる案については、8-10兆円の削減を意味するが、紛争が進行中であることや中国軍事行動が活発化している中では、多くの支持を得ることは難しいと思う
米本土に進入した中国の気球に関して
●米国は大統領の指示に基づき、適切に対応して撃墜した。
●多くの米議員が疑問を持っているように、既に活動している中国の偵察衛星で、気球より多くの情報を得ているはずなのに、なぜ? 何の目的で? 何がきっかけで? あんな気球を送り込んだのか理解に苦しむ。習近平を含む中国指導部の政治的判断が絡まない、下層レベルの判断で行われた可能性も高いと思う
●いずれにしても、気球を回収して調査しており、中国にとって不都合な結果が出る可能性もある。米議会は来週(13日の週)に調査報告を受ける予定になっている
●いかなる結果になろうとも、米議会は中国に限らず、領空侵犯を許さないし、今回の事案で明らかになった領空監視能力等のギャップを見極め対処していく
/////////////////////////////////////////////////////
ウクライナのF-16要求を、米国として受け入れがたい理由は、Jack Reed委員長の発言や戦いのエスカレーションを望まない米国の思惑、そして現実的な面からは先日ご紹介した米空軍大佐による軍事メディア寄稿に表現された「戦闘機では露にかなわない論」など、様々に表現されており、実現は難しいのでしょう
中国の気球に関しては、2月8日に米国防省報道官が記者会見を行い、数年前から世界中で同様の気球偵察活動を行っていると説明し、2月13日の週の米議会への国防省報告が注目されます
ロバート・ゲーツ語録75
→中国の文民と軍人の間にはすき間の兆候がある。2009年の音響測定艦インペカブルへの対応や2007年の衛星破壊実験を中国文民指導者は事前に知らなかったようだし、私が訪中間の2010年1月のステルス戦闘機J-20初飛行も→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-14
弾薬量の圧倒的不足問題
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→https://holylandtokyo.com/2023/02/09/4208/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「賛否交錯:輸送機からミサイル投下」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
「Stand-inとoffのバランス不可欠」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/
ウクライナでの戦い
「ウクライナでイラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
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F-16など今後の軍事支援の考え方や気球への「?」
軍事予算10%カット(2022年規模への縮小)には否定的

ウクライナ支援に関しては、F-16戦闘機より、弾薬や長射程地上火砲や情報&ノウハウ&ソフト支援等が当面の重要項目だと述べ、併せてウクライナで浮き彫りになった弾薬不足と軍需産業基盤問題を最大の教訓だと表現し、中国気球に関しては誰が何のために何をしたかったのか等々の基本的な疑問から解決する必要があると語っています

ウクライナ支援について
●ウクライナからの軍事支援要望への対応を考える際、米国は戦いの現状と何が違いを生み出すかに基づいて判断する必要がある。今の段階では、F-16戦闘機の要望は最も緊急性が高いものとは考えられず、既存兵器の弾薬や戦車を含む戦闘車両、HIMARSなど長射程ロケットシステムが、よりインパクトを与え、かつウクライナ軍が迅速に円滑に受け入れ可能な兵器だと考える

●ウクライナ空軍は胸に手を当ててよく考えるべきだ。F-16の提供を受けて何が変わるのか? 現状の強固な露防空網を前にしてF-16を生かすことができるのか? 長期的な視点でF-16の有効性を否定することはできないが、現時点では優先度は低い

●(ロシアが反撃準備を進めているとの一部の分析に関し、)ウクライナ軍は優秀で士気が高く、露の攻撃に耐え、西側提供の戦闘車両等々を巧みに使用&維持整備して反撃できると考えている。ウクライナ軍は電子戦にも優れた能力を発揮している
●(一方で、ロシアが大規模に後退を迫られるような事態になった場合、)特に、2014年にロシアが併合したクリミア半島にウクライナ軍が迫るようなことになれば、ロシアによる核兵器投入の危険性が高まるのではないかと懸念している
ウクライナの教訓と米国防費への影響

●(ウクライナ支援を含め国防費が急膨張していることへの懸念から、)一部共和党議員からでている、国防予算を約10%カットして2022年予算レベルを上限に押さえる案については、8-10兆円の削減を意味するが、紛争が進行中であることや中国軍事行動が活発化している中では、多くの支持を得ることは難しいと思う
米本土に進入した中国の気球に関して

●多くの米議員が疑問を持っているように、既に活動している中国の偵察衛星で、気球より多くの情報を得ているはずなのに、なぜ? 何の目的で? 何がきっかけで? あんな気球を送り込んだのか理解に苦しむ。習近平を含む中国指導部の政治的判断が絡まない、下層レベルの判断で行われた可能性も高いと思う
●いずれにしても、気球を回収して調査しており、中国にとって不都合な結果が出る可能性もある。米議会は来週(13日の週)に調査報告を受ける予定になっている
●いかなる結果になろうとも、米議会は中国に限らず、領空侵犯を許さないし、今回の事案で明らかになった領空監視能力等のギャップを見極め対処していく
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中国の気球に関しては、2月8日に米国防省報道官が記者会見を行い、数年前から世界中で同様の気球偵察活動を行っていると説明し、2月13日の週の米議会への国防省報告が注目されます
ロバート・ゲーツ語録75
→中国の文民と軍人の間にはすき間の兆候がある。2009年の音響測定艦インペカブルへの対応や2007年の衛星破壊実験を中国文民指導者は事前に知らなかったようだし、私が訪中間の2010年1月のステルス戦闘機J-20初飛行も→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-14
弾薬量の圧倒的不足問題
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ウクライナでの戦い
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米空軍弾薬ロードマップのイメージは? [米空軍]
担当准将が「mix-and-match」方式を念頭にと
目的に応じてシーカーと弾頭と推進装置を組み換え
軍需産業と綿密に事前協議して基盤安定と効率化を
昨年末あたりからKendall空軍長官など米空軍幹部が言及し始めた「弾薬ロードマップ:Munitions Roadmap」について、担当するJason Bartolomei空軍准将が米空軍協会のインタビューに答え、情勢変化に応じて柔軟に弾薬調達は進める必要があり、目標に応じて柔軟に対応可能なシーカーや弾頭や推進装置を組み換え可能な「mix-and-match」方式を追求したいと語っています
同准将は元々空軍司令部弾薬部長ですが、2022年秋に空軍長官から「Munitions Crosscutting Operational Enabler, or COE」に命じられ、同ロードマップとりまとめの共同責任者に就任しているとのことです
2024年度予算(2023年10月以降をカバー)は「暫定弾薬ロードマップ」で予算案を組みつつあるが、同ロードマップは主に今後5年間に焦点を置きつつも、その先の展開も見据えて柔軟に変更する「生きた文書」ととらえ、その中では「very well be modular」であることを追求すると慎重に語っています
同准将は、同ロードマップが柔軟に修正しつつ活用される性質のものであることから、公開版を作成するかについて回答を避けていますが、作戦運用者と兵站調達関係者等々が一つになって慎重にニーズを検討して進めるべきものだと表現しています
そして、同ロードマップ作製チームは、作戦運用、情報、調達、科学技術分野からそれぞれの担当専門家が参加して編成されており、一時的なチームではなく、継続的に本件を米空軍全体の視点からフォローしていくパートナーとして存在しており、新たな技術情報や考え方が絶えず注入されているチームだとも語っています
また同ロードマップの大きな方向性として同准将は、「open systems architecture and modularity」導入を前提として、多様な目標に包括的対応が可能となるような、シーカーや弾頭や推進装置の「mix-and-match」方式が適していると語っています
そしてそこでは、チームの各担当者が軍需企業とより協力分野を絞り込み、組み合わせるパーツ選定に注力して製造コスト減につなげつつ、各パーツのシステム融合が可能となるような意思統一に努力して、全ての作戦ニーズに対応可能な形を目指していると説明しています
同時にLaPlante調達担当国防次官が最近強調している、弾薬調達予算が安定せず、原材料調達や機器や人員がきわめて非効率に投入されてきた歴史的事実及び、ウクライナ事案から痛いほど学んだ安定的で有事増産に対応できる弾薬製造基盤の重要性を踏まえた、将来の弾薬ロードマップが考慮すべき要素も加味されていると1月20日付米空軍協会web記事は紹介しています
更に同ロードマップが同盟国等の役割も含め規定しているかとの質問に対し、同准将は検討対象で関心を持っていると慎重に言葉を選びつつ、同ロードマップ検討が米空軍のみならず、米海軍や同盟国等の広範な理解が必要な大きなタスクであるとのみ語っています
////////////////////////////////////
Kendall空軍長官は昨年12月のCFR講演で、弾薬だけでなく、輸送機&空中給油機、そして電子戦を極めて重要な「cross-cutting capabilities」としてロードマップ作成を指示していると語っており、同准将もトップの強い意向を受け努力しているところです
同准将の述べた方向性は「なるほど」と思わせる内容ですが、インタビューでは「情勢に応じて変化すべきもの」、「当面5年間を見据えつつ」などと、長期的な縛りは避けたいとの思いもにじんでおり、空軍長官に対する「面従腹背」的な印象もぬぐえません(完全なマングースの邪推ですが・・・)
弾薬というものは、主要装備の「残予算」で、「おまけ」「付け足し」「つじつま合わせ」で購入されてきた黒歴史を持つもので、その流れを硬直的な軍社会で帰るのは容易ではない・・・ということです
米国情報機関トップのDNIが語る
「露は弾薬不足に対処できそうもない」→https://holylandtokyo.com/2022/12/08/4032/
弾薬量の圧倒的不足
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
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目的に応じてシーカーと弾頭と推進装置を組み換え
軍需産業と綿密に事前協議して基盤安定と効率化を
同准将は元々空軍司令部弾薬部長ですが、2022年秋に空軍長官から「Munitions Crosscutting Operational Enabler, or COE」に命じられ、同ロードマップとりまとめの共同責任者に就任しているとのことです

同准将は、同ロードマップが柔軟に修正しつつ活用される性質のものであることから、公開版を作成するかについて回答を避けていますが、作戦運用者と兵站調達関係者等々が一つになって慎重にニーズを検討して進めるべきものだと表現しています

また同ロードマップの大きな方向性として同准将は、「open systems architecture and modularity」導入を前提として、多様な目標に包括的対応が可能となるような、シーカーや弾頭や推進装置の「mix-and-match」方式が適していると語っています

同時にLaPlante調達担当国防次官が最近強調している、弾薬調達予算が安定せず、原材料調達や機器や人員がきわめて非効率に投入されてきた歴史的事実及び、ウクライナ事案から痛いほど学んだ安定的で有事増産に対応できる弾薬製造基盤の重要性を踏まえた、将来の弾薬ロードマップが考慮すべき要素も加味されていると1月20日付米空軍協会web記事は紹介しています
更に同ロードマップが同盟国等の役割も含め規定しているかとの質問に対し、同准将は検討対象で関心を持っていると慎重に言葉を選びつつ、同ロードマップ検討が米空軍のみならず、米海軍や同盟国等の広範な理解が必要な大きなタスクであるとのみ語っています
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同准将の述べた方向性は「なるほど」と思わせる内容ですが、インタビューでは「情勢に応じて変化すべきもの」、「当面5年間を見据えつつ」などと、長期的な縛りは避けたいとの思いもにじんでおり、空軍長官に対する「面従腹背」的な印象もぬぐえません(完全なマングースの邪推ですが・・・)
弾薬というものは、主要装備の「残予算」で、「おまけ」「付け足し」「つじつま合わせ」で購入されてきた黒歴史を持つもので、その流れを硬直的な軍社会で帰るのは容易ではない・・・ということです
米国情報機関トップのDNIが語る
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バカ高い極超音速兵器:議会が推定価格試算 [Joint・統合参謀本部]
空軍用空中発射型1発19億円!
陸軍用地上発射型は1発53億円!
空中発射対地巡航ミサイルJASSM-ERが2億円弱で
地上発射弾道ミサイルは終末機動型でも33億円
2月1日付米空軍協会web記事が、米議会予算室(CBO:Congressional Budget Office)が公開情報のみを使用して推測した、極超音速兵器単価や20年を想定した維持費含む総経費を報じ、あくまで「概算」とは言え、例えば空中発射型を同射程距離の対地攻撃用巡航ミサイルとの比較で価格約10倍と見積るなど、改めてその「バカ高さ」が話題となっています
米議会予算室(CBO)は、空軍用空中発射型(爆撃機搭載用の射程約1000㎞のARRW:Air-Launched Rapid Response Weapon)と陸軍用地上発射型(射程3000㎞のLRHW:Long-Range Hypersonic Weapon)のコストを推計し、
空中発射型については同射程距離の空中発射運航ミサイルJASSM-ERと比較し、地上発射型については終末機動能力を持った中距離弾道ミサイル価格を推計して比較しています
それぞれの性能や特徴比較は後回しにしてまず単純比較
●空軍用空中発射型(射程1000㎞級)について
・爆撃機搭載用の極超音速兵器ARRW
1発19億円、20年で総経費6900億円(300発製造で)
(100発のみ製造だと1発23億円)
・戦闘機クラス搭載用HACMは未成熟で推計不能
・対地巡航ミサイルJASSM-ERは1発2億円弱
●陸軍用地上発射型(射程3000㎞級)について
・LRHW, Long-Range Hypersonic Weapon
1発53億円、20年で総経費2.3兆円(300発製造で)
・中射程弾道ミサイルMaRVs機能付き
1発33億円、20年で総経費1.7兆円(300発製造で)
コストで単純比較できない各兵器の特徴や課題
●同じ極超音速兵器でも、陸軍地上発射型は移動式でも安全な発射場所確保が必要だが、空軍爆撃機は射程距離が短く攻撃目標に接近する必要があるが、任意の場所(空中)から攻撃発射可能
●空中発射型の中では、同程度の射程でも対地巡航ミサイルJASSM-ERは飛翔速度が1/10程度と非常に遅い。一方の極超音速兵器ARRWは15-30分以内に価値の高い敵目標を攻撃可能であることから、開戦初期段階で有効と考えられる
●地上発射型では、終末機動能力があっても弾道予測がある程度可能な弾道ミサイルより、大気圏内を機動性を持って高速移動する極超音速兵器LRHWの方が生存性が高く攻撃成功確率が高い
●ただし、空中発射でも地上発射型でも、極超音速兵器の抱える根本的な問題、つまり「飛翔時の大気との摩擦熱(約1650度C)」から精密な搭載電子回路や空力操縦系統をどう守るかについての課題を克服することが大前提となる
●2019年以来、米国防省は既に約1兆1千億円を極超音速兵器開発に投入し、2023-27年に間に追加で約1兆7千億円を技術開発につぎ込む計画になっている(この金額には陸軍と空軍用の同兵器製造コスト2600億円は含まれていない。なお海軍はまだ同兵器予算要求を決定していない)
/////////////////////////////////////////////
米国防省が極超音速兵器を「最優先事項」として取り組む姿勢を打ち出す一方で、Kendall空軍長官は以前から繰り返し以下を主張しています
●極超音速兵器は近い将来価格低下の可能性は低く、私は同兵器を保有しても「比較的小規模」と考える。無論価格低下に空軍も取り組む。しかし高価であり、費用対効果等々から慎重に投資を検討しなければならない
●同兵器は有効な手段だが、米空軍が要攻撃目標を攻撃する唯一の手段ではなく、低速度でも巡航ミサイルは安価であり、ステルス性や敵防空網妨害との組み合わで有効であり、総合的に将来兵器体系を考える必要がある
●米国を遠ざけたい中国と、中国抑止用に同兵器を考えている米国とでは、同兵器の位置づけは異なり、中国と同様に米国が追求する必要は必ずしもない。米国は多数の移動目標に対処する必要があり、少なくとも初期型の同兵器は固定目標に適している点も注意を要する
極超音速兵器に搭載可能な弾頭重量(恐らく大きくはない)も勘案すれば、少しはKendall空軍長官の気持ちがわかった気がします。それから「飛翔時の大気との摩擦熱(約1650度C)」克服については、未解決なんですねぇ・・
極超音速兵器開発に注目が集まる中でも、この亜音速の大ベテラン兵器トマホークの新型「Block V」が米軍内で存在感を保ち、SM-6やNaval Strike Missileと共に今後も重要な役割を果たすと考えられる理由を、5つの視点から考察→https://holylandtokyo.com/2020/12/23/349/
米軍の極超音速兵器開発
「迎撃兵器開発を2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/
「米潜水艦配備は2028年以降」→https://holylandtokyo.com/2021/11/26/2450/
「陸軍部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holylandtokyo.com/2021/10/18/2342/
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holylandtokyo.com/2021/09/30/2281/
「米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holylandtokyo.com/2021/08/30/2169/
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holylandtokyo.com/2021/07/30/2037/
「豪州とも協力」→https://holylandtokyo.com/2020/12/10/340/
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holylandtokyo.com/2020/11/04/378/
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holylandtokyo.com/2020/10/16/434/
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holylandtokyo.com/2020/08/21/530/
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31
米空軍と国防省の同兵器開発の対立
「米空軍が戦闘機搭載型HAWC契約」→https://holylandtokyo.com/2022/12/27/4090/
「3回連続ARRW成功」→https://holylandtokyo.com/2022/12/16/4061/
「空軍:高価な同兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「国防省が空軍に改善提言」→https://holylandtokyo.com/2022/02/10/2670/
「国防次官:同兵器は最優先事項だ」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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陸軍用地上発射型は1発53億円!
空中発射対地巡航ミサイルJASSM-ERが2億円弱で
地上発射弾道ミサイルは終末機動型でも33億円


空中発射型については同射程距離の空中発射運航ミサイルJASSM-ERと比較し、地上発射型については終末機動能力を持った中距離弾道ミサイル価格を推計して比較しています
それぞれの性能や特徴比較は後回しにしてまず単純比較
●空軍用空中発射型(射程1000㎞級)について
・爆撃機搭載用の極超音速兵器ARRW
1発19億円、20年で総経費6900億円(300発製造で)
(100発のみ製造だと1発23億円)
・戦闘機クラス搭載用HACMは未成熟で推計不能
・対地巡航ミサイルJASSM-ERは1発2億円弱
●陸軍用地上発射型(射程3000㎞級)について
・LRHW, Long-Range Hypersonic Weapon
1発53億円、20年で総経費2.3兆円(300発製造で)
・中射程弾道ミサイルMaRVs機能付き
1発33億円、20年で総経費1.7兆円(300発製造で)
コストで単純比較できない各兵器の特徴や課題

●空中発射型の中では、同程度の射程でも対地巡航ミサイルJASSM-ERは飛翔速度が1/10程度と非常に遅い。一方の極超音速兵器ARRWは15-30分以内に価値の高い敵目標を攻撃可能であることから、開戦初期段階で有効と考えられる
●地上発射型では、終末機動能力があっても弾道予測がある程度可能な弾道ミサイルより、大気圏内を機動性を持って高速移動する極超音速兵器LRHWの方が生存性が高く攻撃成功確率が高い

●2019年以来、米国防省は既に約1兆1千億円を極超音速兵器開発に投入し、2023-27年に間に追加で約1兆7千億円を技術開発につぎ込む計画になっている(この金額には陸軍と空軍用の同兵器製造コスト2600億円は含まれていない。なお海軍はまだ同兵器予算要求を決定していない)
/////////////////////////////////////////////

●極超音速兵器は近い将来価格低下の可能性は低く、私は同兵器を保有しても「比較的小規模」と考える。無論価格低下に空軍も取り組む。しかし高価であり、費用対効果等々から慎重に投資を検討しなければならない
●同兵器は有効な手段だが、米空軍が要攻撃目標を攻撃する唯一の手段ではなく、低速度でも巡航ミサイルは安価であり、ステルス性や敵防空網妨害との組み合わで有効であり、総合的に将来兵器体系を考える必要がある

極超音速兵器に搭載可能な弾頭重量(恐らく大きくはない)も勘案すれば、少しはKendall空軍長官の気持ちがわかった気がします。それから「飛翔時の大気との摩擦熱(約1650度C)」克服については、未解決なんですねぇ・・
極超音速兵器開発に注目が集まる中でも、この亜音速の大ベテラン兵器トマホークの新型「Block V」が米軍内で存在感を保ち、SM-6やNaval Strike Missileと共に今後も重要な役割を果たすと考えられる理由を、5つの視点から考察→https://holylandtokyo.com/2020/12/23/349/
米軍の極超音速兵器開発
「迎撃兵器開発を2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/
「米潜水艦配備は2028年以降」→https://holylandtokyo.com/2021/11/26/2450/
「陸軍部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holylandtokyo.com/2021/10/18/2342/
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holylandtokyo.com/2021/09/30/2281/
「米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holylandtokyo.com/2021/08/30/2169/
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holylandtokyo.com/2021/07/30/2037/
「豪州とも協力」→https://holylandtokyo.com/2020/12/10/340/
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holylandtokyo.com/2020/11/04/378/
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holylandtokyo.com/2020/10/16/434/
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holylandtokyo.com/2020/08/21/530/
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31
米空軍と国防省の同兵器開発の対立
「米空軍が戦闘機搭載型HAWC契約」→https://holylandtokyo.com/2022/12/27/4090/
「3回連続ARRW成功」→https://holylandtokyo.com/2022/12/16/4061/
「空軍:高価な同兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「国防省が空軍に改善提言」→https://holylandtokyo.com/2022/02/10/2670/
「国防次官:同兵器は最優先事項だ」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/
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F-35が太陽の無い氷点下40度の最北基地に初展開 [亡国のF-35]
グリーンランドのThule空軍基地へ4機
太陽の出ない最低零下40度の環境下で2週間
NOBLE DEFENDER作戦の一環で
1月31日までの約2週間、米空軍の最北端基地であるグリーンランドのThule空軍基地に4機のF-35Aが初めて展開し、太陽の出ない最低気温零下40度の厳しい環境での訓練を行いました。
報道記録によれば、2018年初旬にアラスカのアイルソン基地にF-35数機が展開した際は、機体バッテリーが低温環境に対応できず、離陸後に警報信号が出て緊急着陸に至った事案もあったようですが、バッテリー保温装置の改良等を経て、無事今回の訓練展開を乗り切ったとのことです。
「訓練」だとご紹介していますが、厳密には北極圏エリアで米軍のプレゼンスを示すため北米防空司令部が行う「Operation NOBLE DEFENDER」との作戦行動の一環で、数か月に1回の頻度で実施されているようですが、今回は米空軍F-35の他にE-3早期警戒管制機、KC-135空中給油機、加えてカナダ空軍からCF-18戦闘機とCC-150輸送機やCH-149輸送ヘリも参加し、厳冬環境での運用能力を示したようです
なお米空軍最北端基地であるThule空軍基地は、基地司令官を米宇宙軍大佐が務める約150名体制の基地で、普段は弾道ミサイル監視レーダー(AN/FPS-132)を運用して米本土の防空最前線を担う基地で、更に今回の訓練ではグリーンランド各地に設置されている「Forward Operating Location」数か所の展開先も含め計約230名の米軍とカナダ軍兵士が展開したと報道されています
これまでも取り上げたように、地球温暖化を受けた北極圏の氷の減少で、北極航路の開拓等の北極を巡る勢力圏争いが激化の様相を呈しており、ロシアの同地域ので活動活発化の他、中国の砕氷船まで進出するなど、米軍としても見過ごすわけにはいかない状況となっています
グリーンランドは現在、デンマーク王国を構成する一つの自治政府として自ら統治していますが、デンマークは既にF-35を導入&運用開始しており、北極圏周辺ではノルウェーも領空保全対処(スクランブル待機)をF-35で開始しています。またカナダも先日88機のF-35導入を決定したところで、極圏でのF-35の運用は一つの重要なパーツとして期待されています
北極圏関連の記事
「ノルウェーがF-35を世界初?の領空保全任務に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/12/2598/
「グリーランドに中国企業」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「北極航路ブームは幻想?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-13
米国防省と米軍の動き
「米唯一の大型稼働砕氷艦が運行不能」→https://holylandtokyo.com/2020/08/28/535/
「大統領が米砕氷艦計画の再評価指示」→https://holylandtokyo.com/2020/07/06/565/
「米空軍2トップの寄稿;北極圏と米空軍」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-13
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02
ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09
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太陽の出ない最低零下40度の環境下で2週間
NOBLE DEFENDER作戦の一環で

報道記録によれば、2018年初旬にアラスカのアイルソン基地にF-35数機が展開した際は、機体バッテリーが低温環境に対応できず、離陸後に警報信号が出て緊急着陸に至った事案もあったようですが、バッテリー保温装置の改良等を経て、無事今回の訓練展開を乗り切ったとのことです。


これまでも取り上げたように、地球温暖化を受けた北極圏の氷の減少で、北極航路の開拓等の北極を巡る勢力圏争いが激化の様相を呈しており、ロシアの同地域ので活動活発化の他、中国の砕氷船まで進出するなど、米軍としても見過ごすわけにはいかない状況となっています

北極圏関連の記事
「ノルウェーがF-35を世界初?の領空保全任務に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/12/2598/
「グリーランドに中国企業」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「北極航路ブームは幻想?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-13
米国防省と米軍の動き
「米唯一の大型稼働砕氷艦が運行不能」→https://holylandtokyo.com/2020/08/28/535/
「大統領が米砕氷艦計画の再評価指示」→https://holylandtokyo.com/2020/07/06/565/
「米空軍2トップの寄稿;北極圏と米空軍」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-13
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02
ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09
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シリア米軍拠点への無人機襲撃をCoyoteで撃墜 [Joint・統合参謀本部]
最新の無人機対処兵器Coyoteで2機撃墜
3機の自爆無人機の1機は着弾し2名負傷
映像で無人機対処システムCoyoteとC-RAMをご紹介
1月20日、シリア東部のイランやヨルダンとの国境に近い米軍拠点Al Tanfに出所不明の自爆型無人機3機が来襲し、うち2機を最近配備された無人機迎撃システムCoyote(Raytheon)で迎撃に成功したが、1機は同拠点内に着弾し、米軍が教育訓練を行っているシリア人2名が負傷したと米国防高官が明らかにしました
米中央軍は、3機の自爆無人機を誰が操作していたのかや、米軍拠点Al Tanfを防御していた米軍部隊がどのように対処したのか説明するのには時間が必要との立場ですが、国防省高官によれば、同襲撃に関する事前情報やウォーニングは全く無かった模様です
Al Tanf拠点は米軍主導で2016年に設置された、イラクとヨルダンとシリア3か国国境の近傍にある対ISIS作戦の最前線拠点で、シリア領内のイスラム過激派を支援するイランがその設置に強く反対している軍事施設です。
この拠点付近はイラン製無人機による攻撃を以前から受けており、2017年6月にはイラン製Shahed-129無人機が米空軍F-15発射の空対空ミサイルAIM-120で迎撃されましたが、迎撃前に爆弾1発が米軍に協力するシリア人勢力に投下される事案が発生し、同事案と同時期に更にもう1機のイラン製無人機がF-15に撃墜される事案が発生しています
Al Tanf拠点事態も2022年8月15日にイラン支援の武装勢力の襲撃を受け、同月後半に米国が報復作戦を実施したほか、今年2023年1月18日にも同地域でIS地域指導者を捕獲する作戦が遂行されたばかりで、米中央軍はシリアに駐留する約900名とイラク駐留約2500名が中東の安定にしっかり関与して行くと声明を出しているところです
今回迎撃に成功した米陸軍運用の「Coyote」は、もともとRaytheon Technologiesが開発した発射管から打ち出される形式の無人機システムでしたが、2018年に陸軍がこれを改良して無人迎撃兵器として使用することを決定し、シーカーや弾頭を射出型無人機に付加した形態での試験に2021年成功して昨年配備されたものです
下でご紹介しているYouTube映像が示すように、「Coyote」は敵無人機に直接命中するのではなく「近接爆発」で相手を無効化するシステムで、地上固定配備型や車両搭載型があり、共に無人機捜索追尾レーダーと一体運用される仕組みになっています
記事で紹介のCoyote無人機迎撃システム
ロシアがイランから緊急輸入し、ウクライナのエネルギー関連施設やウクライナ国民の生活インフラを無差別攻撃して大きな脅威となっている無人機兵器の例が示すように、安価で対処が難しい無人機兵器はますます脅威度を高めており、同兵器への対処法確立は全ての国にとって喫緊の課題です
でも、どの対処法も高コストで「敵の思うつぼ」ですねぇ・・・
本日は20日に活躍した「Coyote」以外にもう一つ、艦艇近接防空用のCIWSを改良したC-RAM(Counter-Rocket, Artillery, Mortar)ガンシステムの映像もご紹介しておきます
C-RAM(Counter-Rocket, Artillery, Mortar)ガン
(30秒くらいから発射映像)
無人機対処にレーザーや電磁波
「対処用のエネルギー兵器動向」→https://holylandtokyo.com/2022/07/14/3432/
「JCOが小型無人機対処3機種吟味」→https://holylandtokyo.com/2022/05/17/3233/
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holylandtokyo.com/2021/06/02/1708/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
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3機の自爆無人機の1機は着弾し2名負傷
映像で無人機対処システムCoyoteとC-RAMをご紹介

米中央軍は、3機の自爆無人機を誰が操作していたのかや、米軍拠点Al Tanfを防御していた米軍部隊がどのように対処したのか説明するのには時間が必要との立場ですが、国防省高官によれば、同襲撃に関する事前情報やウォーニングは全く無かった模様です

この拠点付近はイラン製無人機による攻撃を以前から受けており、2017年6月にはイラン製Shahed-129無人機が米空軍F-15発射の空対空ミサイルAIM-120で迎撃されましたが、迎撃前に爆弾1発が米軍に協力するシリア人勢力に投下される事案が発生し、同事案と同時期に更にもう1機のイラン製無人機がF-15に撃墜される事案が発生しています


下でご紹介しているYouTube映像が示すように、「Coyote」は敵無人機に直接命中するのではなく「近接爆発」で相手を無効化するシステムで、地上固定配備型や車両搭載型があり、共に無人機捜索追尾レーダーと一体運用される仕組みになっています
記事で紹介のCoyote無人機迎撃システム
ロシアがイランから緊急輸入し、ウクライナのエネルギー関連施設やウクライナ国民の生活インフラを無差別攻撃して大きな脅威となっている無人機兵器の例が示すように、安価で対処が難しい無人機兵器はますます脅威度を高めており、同兵器への対処法確立は全ての国にとって喫緊の課題です
でも、どの対処法も高コストで「敵の思うつぼ」ですねぇ・・・
本日は20日に活躍した「Coyote」以外にもう一つ、艦艇近接防空用のCIWSを改良したC-RAM(Counter-Rocket, Artillery, Mortar)ガンシステムの映像もご紹介しておきます
C-RAM(Counter-Rocket, Artillery, Mortar)ガン
(30秒くらいから発射映像)
無人機対処にレーザーや電磁波
「対処用のエネルギー兵器動向」→https://holylandtokyo.com/2022/07/14/3432/
「JCOが小型無人機対処3機種吟味」→https://holylandtokyo.com/2022/05/17/3233/
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holylandtokyo.com/2021/06/02/1708/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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