韓国空軍が追加でE-7早期警戒管制機4機導入へ [安全保障全般]
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以後は、現在も記事を同時掲載しているWordPressの「東京の郊外より2」(https://holylandtokyo.com/)に一本化して記事を掲載しますので、引き続きご覧いただければ幸いです。
ただし、SSブログからWordPressブログに記事移行が終了していない「2019年10月以前」の記事については、どこまで移転できるかお約束できませんので、ご承知おきください。
2024年12月4日
→新規ブログ作成・編集機能終了(予約投稿機能が生きていれば、12月9日が最終記事掲載)
2025年3月31日(月)
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既に初期型737 Peace Eagle運用中も追加Or後継
米国務省が11月4日にFMS承認
4機で約7500億円(米空軍の初度2機が3800億円)
11月4日、米国務省は韓国が要請していたボーイング製E-7早期警戒管制機4機の追加購入に関し、FMS(foreign military sale)を約7500億円で承認すると発表しました。韓国は既にE-7の初期型であるE-737 Peace Eagleを4機、2012年から運用していますが、これらに追加(又は後継機として)する形で最新型E-7の購入を希望していたところです
発表に際し米国務省は、「E-7を韓国に売却することで、主要同盟国の安全保障が向上し、米国の外交政策と国家安全保障の目標達成を支援することになる。E-7は、ISRや空中早期警戒管制能力を向上させ、韓国空軍と米軍の連携を改善するだろう」とコメントしています
本日はこの米国務省発表を機会として、豪州、韓国、トルコが既に運用中で、英国と米国、更にNATOも発注済み、更に米英豪が2023年に「能力向上開発試験&相互運用&維持整備&教育訓練」で協力合意を締結し、西側早期警戒管制機の「世界標準」となりつつあるE-7の導入状況を、まんぐーすの「ざっくり調査」で簡単にご紹介いたします
●豪州 2012年から
ボーイングと「Project Wedgetail」として開発段階から連携し、1999年にB-737旅客機にレーダーを搭載した形態の開発製造(4機+オプションで3機)契約を締結。2009年から機体導入を開始し、2012年に初期運用態勢IOC確立を宣言し、現在は6機体制で運用中
●韓国 2012年から
E-737 AEW&C Peace Eagleとして2012年から4機を運用中。2023年から同4機に追加(実質的には後継機)4機の機種選定を実施し、最終的に「E-7」「Saab Global Eye」「L3Harris Gulfstream-based」の3機種からE-7に決定して米国にFMS購入を要請していたところ
●トルコ 2014年から
2006年にE-737 AEW&C Peace Eagleとして4機を発注し、2015年に4機目を受領して運用開始。2023年には近代化改修する契約を結ぶ(トルコ軍需産業が主に受注かも)
●英国 2024年から機体受領
2018年後半からE-3D後継機の検討をボーイングと協議開始。Saab社や野党等から随意契約への反対意見が出たが、2019年には豪州で運用中のE-7をベースとした機体の導入を正式決定。レーダーを搭載する機体の調達や改修企業検討で遅れるも、4機導入を2023年と設定。その後遅れが発生し2024年導入見込み。また財政事情等から機数は3機と下方修正も、英空軍は5機への上方修正を要望中
●米国 計26機を2027年から受け入れ開始
米空軍はE-3後継機導入ではなく、衛星と他のセンサーを組み合わせたシステムで空中&地上移動目標の探知追尾を実施したい意向を持つも、技術面&財政面で目途が立たず、現有E-3の老朽化&稼働率2割の惨状もあり、2022年に急遽E-7導入を決定。ボーイングと価格交渉で揉めて1年遅れの2027年から計26機を導入予定
●NATO 2031年初期運用態勢確立
NATOは加盟国が共同購入&運用要員も加盟国が差し出す形で14機のE-3(独基地が主拠点)を保有も、後継機として加盟7か国で構成するNSPA(NATO Support and Procurement Agency:7か国:ベルギー、独、ルクセンブルグ、蘭、ノルウェー、ルーマニア、米で構成)により、2022年下旬から機種選定開始(4機種から:E-7・Saab Global Eye・Bombardier Global 6500・E-2D)。2023年11月にE-7(とりあえず6機)に決定
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企業としては存続の危機にあるボーイング社ですが、E-7 Wedgetailに関しては「世界標準」の道を歩んでいます。日本がE-767やE-2Dの体制をどうしていくのかとも合わせ、注視していきたいと思います
世界的に導入が進むE-7
「NATOもE-7導入へ」→https://holylandtokyo.com/2023/11/21/5262/
「今後の能力向上を米英豪共同で」→https://holylandtokyo.com/2023/07/21/4871/
米軍とE-7導入関連の記事
「プロトタイプ2機のみ価格合意」→https://holylandtokyo.com/2024/08/30/6218/
「空軍とボーイングの価格交渉難航」→https://halylandtokyo.com/2024/03/11/5621/
「E-7とE-3違いを概観」→https://holylandtokyo.com/2023/03/30/4447/
「初号機を2027年納入契約」→https://holylandtokyo.com/2023/03/06/4358/
「導入を正式発表」→https://holylandtokyo.com/2022/04/28/3186/
「E-3は2023年から退役へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/01/3074/
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既に初期型737 Peace Eagle運用中も追加Or後継
米国務省が11月4日にFMS承認
4機で約7500億円(米空軍の初度2機が3800億円)
11月4日、米国務省は韓国が要請していたボーイング製E-7早期警戒管制機4機の追加購入に関し、FMS(foreign military sale)を約7500億円で承認すると発表しました。韓国は既にE-7の初期型であるE-737 Peace Eagleを4機、2012年から運用していますが、これらに追加(又は後継機として)する形で最新型E-7の購入を希望していたところです
発表に際し米国務省は、「E-7を韓国に売却することで、主要同盟国の安全保障が向上し、米国の外交政策と国家安全保障の目標達成を支援することになる。E-7は、ISRや空中早期警戒管制能力を向上させ、韓国空軍と米軍の連携を改善するだろう」とコメントしています
本日はこの米国務省発表を機会として、豪州、韓国、トルコが既に運用中で、英国と米国、更にNATOも発注済み、更に米英豪が2023年に「能力向上開発試験&相互運用&維持整備&教育訓練」で協力合意を締結し、西側早期警戒管制機の「世界標準」となりつつあるE-7の導入状況を、まんぐーすの「ざっくり調査」で簡単にご紹介いたします
●豪州 2012年から
ボーイングと「Project Wedgetail」として開発段階から連携し、1999年にB-737旅客機にレーダーを搭載した形態の開発製造(4機+オプションで3機)契約を締結。2009年から機体導入を開始し、2012年に初期運用態勢IOC確立を宣言し、現在は6機体制で運用中
●韓国 2012年から
E-737 AEW&C Peace Eagleとして2012年から4機を運用中。2023年から同4機に追加(実質的には後継機)4機の機種選定を実施し、最終的に「E-7」「Saab Global Eye」「L3Harris Gulfstream-based」の3機種からE-7に決定して米国にFMS購入を要請していたところ
●トルコ 2014年から
2006年にE-737 AEW&C Peace Eagleとして4機を発注し、2015年に4機目を受領して運用開始。2023年には近代化改修する契約を結ぶ(トルコ軍需産業が主に受注かも)
●英国 2024年から機体受領
2018年後半からE-3D後継機の検討をボーイングと協議開始。Saab社や野党等から随意契約への反対意見が出たが、2019年には豪州で運用中のE-7をベースとした機体の導入を正式決定。レーダーを搭載する機体の調達や改修企業検討で遅れるも、4機導入を2023年と設定。その後遅れが発生し2024年導入見込み。また財政事情等から機数は3機と下方修正も、英空軍は5機への上方修正を要望中
●米国 計26機を2027年から受け入れ開始
米空軍はE-3後継機導入ではなく、衛星と他のセンサーを組み合わせたシステムで空中&地上移動目標の探知追尾を実施したい意向を持つも、技術面&財政面で目途が立たず、現有E-3の老朽化&稼働率2割の惨状もあり、2022年に急遽E-7導入を決定。ボーイングと価格交渉で揉めて1年遅れの2027年から計26機を導入予定
●NATO 2031年初期運用態勢確立
NATOは加盟国が共同購入&運用要員も加盟国が差し出す形で14機のE-3(独基地が主拠点)を保有も、後継機として加盟7か国で構成するNSPA(NATO Support and Procurement Agency:7か国:ベルギー、独、ルクセンブルグ、蘭、ノルウェー、ルーマニア、米で構成)により、2022年下旬から機種選定開始(4機種から:E-7・Saab Global Eye・Bombardier Global 6500・E-2D)。2023年11月にE-7(とりあえず6機)に決定
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企業としては存続の危機にあるボーイング社ですが、E-7 Wedgetailに関しては「世界標準」の道を歩んでいます。日本がE-767やE-2Dの体制をどうしていくのかとも合わせ、注視していきたいと思います
世界的に導入が進むE-7
「NATOもE-7導入へ」→https://holylandtokyo.com/2023/11/21/5262/
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米軍とE-7導入関連の記事
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第1弾:トランプ政権の国防政策を考える [安全保障全般]
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前回のトランプ政権最後の国防長官が語る
トランプ政権への提言「プロジェクト2025」中心人物が
11月7日付DefenseOneが、来年1月に発足するトランプ政権の国防政策を占う一つの視点として、トランプ政権誕生を想定してヘリテージ財団が2022年から2023年かけ実施した大規模な政策提言企画「2025 Presidential Transition Project」において、国防政策分野の取りまとめを担当したChristopher Miller氏(前トランプ政権で最後の国防長官:正確には国防長官代理)へのインタビュー記事を掲載していますので、この種の記事紹介の第1弾として取り上げます
Miller氏は混乱のトランプ前政権終末期の2020年11月から21年1月までの3か月だけ「国防長官代理」を務めた人物で、2014年に陸軍特殊部隊大佐で退役(50歳)し、民間企業を経たのち、2018年から国家安全保障評議会NSCの対テロ担当大統領特別補佐官、2020年1月から特殊作戦担当の国防次官補代理、その後次官補に昇進、2020年8月から国家対テロセンター長を務めていた経歴の人物で、細部は末尾の過去記事をご覧ください
以下ではMiller氏発言の概要の概要をご紹介
●軍事革新の推進に関し
・最新の技術や作戦運用の革新を現状よりはるかに迅速に進めるため、前線部隊からの「ボトムアップ」や「分散型イノベーション」を重視する
・そのためにイノベーション基金を設け、米軍全軍の数百人規模部隊単位に配分し、監察官により同資金の使用法を厳しくチェックさせつつも、軍の中間指揮層にはびこっている「リスク回避文化」を突破して現場のアイデアを生かしたい
●非正規戦や特殊作戦能力に関し
・米軍全体で特殊作戦部隊削減の動きがあるが、この動きを阻止し、非正規戦が今後ますます重要視されるだろう南米、中米、アフリカを特殊作戦軍の主担当地域とし、他の米軍主力部隊は中国と対峙するインド太平洋軍と、ロシアと対峙する欧州軍等に集中させる
・このアイデアは2001年の中東紛争初期頃から米国防省内で真剣に議論された案だが、当時は911同時多発テロの混乱の中で、大きな変化を避け、自身の特権や権限が縮小されることを恐れた地域コマンド司令官等の強い反対もありつぶされた構想である。今なら当時より自然にこの構想は受け入れられるだろう
●インテリジェンス組織
・SNSやネット上での個人レベルでの情報発信が活発になる現在社会の必然として、公開情報インテリジェンス能力の充実が不可欠である。この分野はまだまだ縦割りのサイロの中での活動状態が見られ、改革が必要だ
・急速に変化する地政学的機に対応するため、国防情報機関と特殊作戦部門が一体となってインテリジェンス活動を強化すべき。既に10年前から提唱されている特殊作戦軍の一部を準情報機関に転換する案の採用も現実的な案として考えるべき。特殊作戦軍の情報活動への関与に、反射的な不安感を抱く米国民もあろうが、心配には及ばない
●宇宙及び戦術核兵器
・宇宙に関し、現在国防省は宇宙アセットの生存性確保のため、安価な低軌道衛星の大量配備に動いているが、それだけでは不十分で、宇宙の兵器化を制限する条約を考慮し推進する必要がある。サイバー分野でも同様だ
・「Project 2025」報告書が、白熱した議論の末に「戦域レベルでの新たな能力を含め、必要な規模や洗練度を備えた核兵器開発」を提言しているように、低出力戦術核兵器の追加保有を検討する必要がある
●州 兵
・大都市の不法移民を排除して国外追放するための部隊として、他の州の州兵を州知事の意向に反して派遣する一部共和党政策立案者の案には否定的
・一方で、不法移民の流入を防ぐ国境警備に関しては、州兵がこれまでになってきた任務との共通性もあり、自然に対応可能だろう。また各州知事の了解を得て、国防省が州兵に装備や訓練を提供し、国外の潜在脅威抑止に活用することも自然な方向だ
●同盟国との関係
・前政権でのトランプ氏が、NATOからの離脱を追求していたとの認識は誤っており、NATO諸国による集団防衛への予算支出を増加させることが狙いであった。NATOや他の組織からの全面撤退を懸念するのは大げさであり、負担の適切な分担がねらいである
・国防費の増額期待は、韓国などの同盟国に及ぶだろう。例えば現在の米国の造船能力では、米海軍が目指す350~380隻体制確立は不可能だが、日本や韓国の造船能力を含めて真剣に協議してはどうだろうか。豪州やフィリピンを含めた議論も考えられる
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DefenseOneへのインタビューは6月に実施されたとのことですが、11月7日付の記事では、複数のトランプ周辺関係者が新政権にChristopher Miller氏(59歳)が関与する可能性を示唆しているとのことです。
上記インタビューは、Miller氏が米陸軍特殊作戦部隊出身で対テロ作戦に深く関与してきた点を差し引いてみる必要もありましょうが、日本人が普段考えない論点も含まれていますので、関連の第1弾としてご紹介しました
「臨時国防長官Christopher Miller氏はどんな人?」
→https://holylandtokyo.com/2020/11/11/384/
ヘリテージ財団の「Project 2025」サイト
→https://www.heritage.org/conservatism/commentary/project-2025
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前回のトランプ政権最後の国防長官が語る
トランプ政権への提言「プロジェクト2025」中心人物が
11月7日付DefenseOneが、来年1月に発足するトランプ政権の国防政策を占う一つの視点として、トランプ政権誕生を想定してヘリテージ財団が2022年から2023年かけ実施した大規模な政策提言企画「2025 Presidential Transition Project」において、国防政策分野の取りまとめを担当したChristopher Miller氏(前トランプ政権で最後の国防長官:正確には国防長官代理)へのインタビュー記事を掲載していますので、この種の記事紹介の第1弾として取り上げます
Miller氏は混乱のトランプ前政権終末期の2020年11月から21年1月までの3か月だけ「国防長官代理」を務めた人物で、2014年に陸軍特殊部隊大佐で退役(50歳)し、民間企業を経たのち、2018年から国家安全保障評議会NSCの対テロ担当大統領特別補佐官、2020年1月から特殊作戦担当の国防次官補代理、その後次官補に昇進、2020年8月から国家対テロセンター長を務めていた経歴の人物で、細部は末尾の過去記事をご覧ください
以下ではMiller氏発言の概要の概要をご紹介
●軍事革新の推進に関し
・最新の技術や作戦運用の革新を現状よりはるかに迅速に進めるため、前線部隊からの「ボトムアップ」や「分散型イノベーション」を重視する
・そのためにイノベーション基金を設け、米軍全軍の数百人規模部隊単位に配分し、監察官により同資金の使用法を厳しくチェックさせつつも、軍の中間指揮層にはびこっている「リスク回避文化」を突破して現場のアイデアを生かしたい
●非正規戦や特殊作戦能力に関し
・米軍全体で特殊作戦部隊削減の動きがあるが、この動きを阻止し、非正規戦が今後ますます重要視されるだろう南米、中米、アフリカを特殊作戦軍の主担当地域とし、他の米軍主力部隊は中国と対峙するインド太平洋軍と、ロシアと対峙する欧州軍等に集中させる
・このアイデアは2001年の中東紛争初期頃から米国防省内で真剣に議論された案だが、当時は911同時多発テロの混乱の中で、大きな変化を避け、自身の特権や権限が縮小されることを恐れた地域コマンド司令官等の強い反対もありつぶされた構想である。今なら当時より自然にこの構想は受け入れられるだろう
●インテリジェンス組織
・SNSやネット上での個人レベルでの情報発信が活発になる現在社会の必然として、公開情報インテリジェンス能力の充実が不可欠である。この分野はまだまだ縦割りのサイロの中での活動状態が見られ、改革が必要だ
・急速に変化する地政学的機に対応するため、国防情報機関と特殊作戦部門が一体となってインテリジェンス活動を強化すべき。既に10年前から提唱されている特殊作戦軍の一部を準情報機関に転換する案の採用も現実的な案として考えるべき。特殊作戦軍の情報活動への関与に、反射的な不安感を抱く米国民もあろうが、心配には及ばない
●宇宙及び戦術核兵器
・宇宙に関し、現在国防省は宇宙アセットの生存性確保のため、安価な低軌道衛星の大量配備に動いているが、それだけでは不十分で、宇宙の兵器化を制限する条約を考慮し推進する必要がある。サイバー分野でも同様だ
・「Project 2025」報告書が、白熱した議論の末に「戦域レベルでの新たな能力を含め、必要な規模や洗練度を備えた核兵器開発」を提言しているように、低出力戦術核兵器の追加保有を検討する必要がある
●州 兵
・大都市の不法移民を排除して国外追放するための部隊として、他の州の州兵を州知事の意向に反して派遣する一部共和党政策立案者の案には否定的
・一方で、不法移民の流入を防ぐ国境警備に関しては、州兵がこれまでになってきた任務との共通性もあり、自然に対応可能だろう。また各州知事の了解を得て、国防省が州兵に装備や訓練を提供し、国外の潜在脅威抑止に活用することも自然な方向だ
●同盟国との関係
・前政権でのトランプ氏が、NATOからの離脱を追求していたとの認識は誤っており、NATO諸国による集団防衛への予算支出を増加させることが狙いであった。NATOや他の組織からの全面撤退を懸念するのは大げさであり、負担の適切な分担がねらいである
・国防費の増額期待は、韓国などの同盟国に及ぶだろう。例えば現在の米国の造船能力では、米海軍が目指す350~380隻体制確立は不可能だが、日本や韓国の造船能力を含めて真剣に協議してはどうだろうか。豪州やフィリピンを含めた議論も考えられる
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上記インタビューは、Miller氏が米陸軍特殊作戦部隊出身で対テロ作戦に深く関与してきた点を差し引いてみる必要もありましょうが、日本人が普段考えない論点も含まれていますので、関連の第1弾としてご紹介しました
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英国が日英伊戦闘機開発に踏み留まる [安全保障全般]
11月5日の英新政権閣僚会議でやっと合意の模様
ただし正式発表には数週間必要とか
10月20日に3か国合弁企業設立合意も、後追いで
11月9日付日経新聞が英紙 FTの記事を引用し、正式発表は数週間後だとしながらも、7月に誕生した英国労働党新政権(14年ぶり)が行っていた「戦略防衛見直し」で、巨額の開発費が問題となり「日英伊3か国戦闘機共同開発 GCAP:Global Combat Air Program」からの離脱検討が9月下旬に報じられていた件に関し、11月5日に英首相や関係閣僚が計画継続に合意したと紹介しています
なお、既に2週間前の10月20日には、イタリアのナポリに3か国の国防大臣(中谷大臣、ヒーリー英国防相、クロセット伊国防相)が集まり、3か国共同の次期戦闘機開発を効率的に進めるため、開発の司令塔たる国際機関を日本人トップで 2024年内に設置することを再確認した上で、共同開発の効率的推進のため、同国際機関と一括して契約する合弁企業新設で合意していたところです
つまり、英国は新政権内での戦闘機共同開発承認を得る前に、「見切り発車的」に、「開発の司令塔たる国際機関を日本人トップで2024年内に設置」や「同国際機関と一括して契約を結ぶ合弁企業の新設」の3か国合意に英国としてコミットしていたこととなり、如何にこの GCAP プロジェクトが参加国内で「薄氷もの」であるかが表面化した事案となっています
9月下旬に労働党新政権による「離脱検討」が噂された際には、英シンクタンク IISSが「代替案を示さずに撤退すれば国際社会での信頼失墜につながる」と普鐘を鳴らしており、記事にてご紹介(https://holylandtokyo.com/2024/09/24/6364/)し、更にまんぐーすの私見として「GCAPからの早期撤退」意見を申し述べましたが、米国が次期制空機開発を大幅ダウングレードすることが明確になりつつある中で、以下に再掲載させていただきます
GCAP へのまんぐーすの思い
●防衛省&航空自衛隊は、開発の司令塔となる国際機関をリードする役割を担う立場から、英国やイタリアと早期に協議の場を設け、まず日英伊の戦闘機開発について「一時停止」又は「再検討」措置を執り、最終的には3か国の国益の観点から共同開発を「白紙化」することにより、戦闘機投資の全面見直しを主導すべき
●米国が7月末から次期制空機NGAD計画を一時停止&再検討しており、背景には米軍予算不足とウクライナや中東情勢を踏まえた将来戦に関する優先度再評価があるが、根本には米空軍 2トップが吐露しているように、従来空軍が戦闘機を主戦力として担ってきた「航空優勢」獲得の重要性や実行可能性への疑念がある。
●Allvin米空軍参謀総長や Slife副参謀総長が明言しているように、低高度を支配する無人機による空襲で、70年ぶりに米国人が死亡する時代を迎え、米空軍は「従来のように航空優勢を常続的に維持するのはコスト面で不可能」との認識に至って戦闘機投資の優先度再検討中で、Kendall 空軍長官は当初「F-35の3倍」のコストを見込んでいたNGADに関し、「F-35 より安価に」と発言し始めている。
●海外への戦力投射を主目的とする米空軍と、日英伊空軍が戦闘機に期待する役割は完全に一致するわけではないが、無人機以前から課題となっている各種弾頭&巡航ミサイル対処(極超音速兵器を含む)、サイバー戦、電子戦、宇宙を巡る攻防など、安全保障上の軍事脅威は戦闘機が担う範囲をはるかに超えて拡大しており、戦闘機への投資は再検討されるべき
●特にF-35 導入を決めてしまった国(英伊を含む)は、今後30年以上にわたり脅威にミスマッチな戦闘機経費負担に苦しむことが確定しており、早急に次世代戦闘機開発を見直し、脅威の変化を正面から見つめ直すべき。以上です
次世代制空機NGAD の再検討関連
「再検討は年内終結」→https://holylandtokyo.com/2024/10/31/6478/
「NGAD は F-35より安価に」→https://holylandtokyo.com/2024/09/19/6351/
「再検討の方向性」→https://holylandtokyo.com/2024/09/10/6315/
「数か月間保留する」→https://holylandtokyo.com 2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://halylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
日英伊の共同次世代戦闘機 GCAP開発
「英が見直し検討???」→https://holylandtokyo.com/2024/09/24/6364/
「日英伊がやっと合意」→https://holylandtokyo.com/2023/12/18/5352/
「英伊が日恫喝:逃げるな!」→https://halylandtokyo.com/2023/02/14/4299/
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ただし正式発表には数週間必要とか
10月20日に3か国合弁企業設立合意も、後追いで
11月9日付日経新聞が英紙 FTの記事を引用し、正式発表は数週間後だとしながらも、7月に誕生した英国労働党新政権(14年ぶり)が行っていた「戦略防衛見直し」で、巨額の開発費が問題となり「日英伊3か国戦闘機共同開発 GCAP:Global Combat Air Program」からの離脱検討が9月下旬に報じられていた件に関し、11月5日に英首相や関係閣僚が計画継続に合意したと紹介しています
なお、既に2週間前の10月20日には、イタリアのナポリに3か国の国防大臣(中谷大臣、ヒーリー英国防相、クロセット伊国防相)が集まり、3か国共同の次期戦闘機開発を効率的に進めるため、開発の司令塔たる国際機関を日本人トップで 2024年内に設置することを再確認した上で、共同開発の効率的推進のため、同国際機関と一括して契約する合弁企業新設で合意していたところです
つまり、英国は新政権内での戦闘機共同開発承認を得る前に、「見切り発車的」に、「開発の司令塔たる国際機関を日本人トップで2024年内に設置」や「同国際機関と一括して契約を結ぶ合弁企業の新設」の3か国合意に英国としてコミットしていたこととなり、如何にこの GCAP プロジェクトが参加国内で「薄氷もの」であるかが表面化した事案となっています
9月下旬に労働党新政権による「離脱検討」が噂された際には、英シンクタンク IISSが「代替案を示さずに撤退すれば国際社会での信頼失墜につながる」と普鐘を鳴らしており、記事にてご紹介(https://holylandtokyo.com/2024/09/24/6364/)し、更にまんぐーすの私見として「GCAPからの早期撤退」意見を申し述べましたが、米国が次期制空機開発を大幅ダウングレードすることが明確になりつつある中で、以下に再掲載させていただきます
GCAP へのまんぐーすの思い
●防衛省&航空自衛隊は、開発の司令塔となる国際機関をリードする役割を担う立場から、英国やイタリアと早期に協議の場を設け、まず日英伊の戦闘機開発について「一時停止」又は「再検討」措置を執り、最終的には3か国の国益の観点から共同開発を「白紙化」することにより、戦闘機投資の全面見直しを主導すべき
●米国が7月末から次期制空機NGAD計画を一時停止&再検討しており、背景には米軍予算不足とウクライナや中東情勢を踏まえた将来戦に関する優先度再評価があるが、根本には米空軍 2トップが吐露しているように、従来空軍が戦闘機を主戦力として担ってきた「航空優勢」獲得の重要性や実行可能性への疑念がある。
●Allvin米空軍参謀総長や Slife副参謀総長が明言しているように、低高度を支配する無人機による空襲で、70年ぶりに米国人が死亡する時代を迎え、米空軍は「従来のように航空優勢を常続的に維持するのはコスト面で不可能」との認識に至って戦闘機投資の優先度再検討中で、Kendall 空軍長官は当初「F-35の3倍」のコストを見込んでいたNGADに関し、「F-35 より安価に」と発言し始めている。
●海外への戦力投射を主目的とする米空軍と、日英伊空軍が戦闘機に期待する役割は完全に一致するわけではないが、無人機以前から課題となっている各種弾頭&巡航ミサイル対処(極超音速兵器を含む)、サイバー戦、電子戦、宇宙を巡る攻防など、安全保障上の軍事脅威は戦闘機が担う範囲をはるかに超えて拡大しており、戦闘機への投資は再検討されるべき
●特にF-35 導入を決めてしまった国(英伊を含む)は、今後30年以上にわたり脅威にミスマッチな戦闘機経費負担に苦しむことが確定しており、早急に次世代戦闘機開発を見直し、脅威の変化を正面から見つめ直すべき。以上です
次世代制空機NGAD の再検討関連
「再検討は年内終結」→https://holylandtokyo.com/2024/10/31/6478/
「NGAD は F-35より安価に」→https://holylandtokyo.com/2024/09/19/6351/
「再検討の方向性」→https://holylandtokyo.com/2024/09/10/6315/
「数か月間保留する」→https://holylandtokyo.com 2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://halylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
日英伊の共同次世代戦闘機 GCAP開発
「英が見直し検討???」→https://holylandtokyo.com/2024/09/24/6364/
「日英伊がやっと合意」→https://holylandtokyo.com/2023/12/18/5352/
「英伊が日恫喝:逃げるな!」→https://halylandtokyo.com/2023/02/14/4299/
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5日の大統領選挙と上下院選挙の影響を小ネタで概観 [安全保障全般]
次の国防長官候補を大統領別に
上院と下院の結果で軍事委員会委員長は・・
米空軍出身の空軍応援団議員の当落予想は
11月1日付米空軍協会 web 記事が、5日火曜日に行われる米国大統領選挙と上下院議員選挙の影響を「次の国防長官候補」や「上下院軍事委員長の予想」や「米空軍応援団議員の当落予想」や「米空軍出身者の当落予想」と絡めて主に米空軍への影響の視点で掲載していますので、余り突っ込んだ分析ではありませんが、「ハリスかトランプか?」だけの視点ではない、大統領&上下院選挙の見方として取り上げます
まんぐーすは、日本メディアによる吐き気を催すほどの「ハリス押し・トランプ下げ」にも関わらず、「ハリス押し」だった米メディアが次々と「にわか中立」を表明する様子や「掛け率」 等から、トランプの地滑り的勝利を予想しておりますが、こればかりは開票以降のお楽しみとして、記事を上記の視点でご紹介します
●次の国防長官は誰に?
・現在のオースティン国防長官(71歳)は、任期の4年間をがんと闘いながらの勤務で、交代は確実
・トランプ大統領誕生時は、複数メディアがTom Cotton(R-Ark)上院議員が最有力だと報じている。同議員は米空軍計画支持者であり、最近は現計画を超える 100機以上のB-21爆撃機を取得すべきだと主張している
・ハリス氏が勝利すれば、初の女性大統領が初の女性国防長官を任命すると予想されており、複数のメディアが有力候補として Christine Wormuth 現陸軍長官と、オバマ時代に政策担当国防次官だった Michelle Flournoy 女史を上げている。Flournoy 女史は4年前も最有力候補だったが、突然オースチン氏が指名された経緯がある。
・Wormuth 氏は陸軍長官ながら陸軍人との関係が良くないとの批判的意見があり、Flournoy 女史には軍需産業との関係が深すぎるとの見方もある
・ハリス大統領誕生時の「穴馬」としては、米空軍懐疑派の Adam Smith下院議員が挙げられている。同議員はF-35を痛烈に批判し続け、核兵器三本柱のICBM 不要論も展開しており、予算超過で大問題の次期ICBM計画 GBSDにも大反対の論陣を張っている人物である
・他の文民高官人事では、政権交代の有る無しにかかわらず、現在の政策実現のため留任を強<希望しているKendall空軍長官の処遇が注目されている。来年1月に76歳になる同長官だが、調達&開発担当国防次官経験や空軍長官としての働きぶりから能力を疑問視する声はなく、次の大統領や国防長官次第であろう
●上下院選挙の結果影響は?
・上院は、共和党が75%の確率で勝利して過半数を確保すると予想されており、その場合、国防政策決定に大きな影響力を持つ上院軍事委員会の委員長は民主党から共和党議員に代わる。その場合の委員長には、戦闘機を大幅増の340機規模にし、B-21次期爆撃機を空軍計画の2倍の200機導入を提唱しているRoger Wicker(R-Miss.)議員が就任することになる
・大統領が誰になろうと、予想が難しい下院の議会選挙結果(現在は共和党が多数派)が国防政策のカギを握ると考えられている。共和党が多数を維持すれば、宇宙軍創設の中心推進者である Mike Rogers(Ala.)委員長が留まるか、F-35に強い不満を示しているRoo Wittman(R-Va.)が委員長候補である
・仮に下院で民主党が多数を確保した場合、前述の米空軍懐疑派 Adam Smith 下院議員が国防長官にならない場合に限り、同議員が下院軍事委員長に就任することになる。スミス議員が国防長官就任の場合は、空軍退役軍人の Chrissy Houlahan (D-Pa.)議員が委員長になる可能性がある
●空軍大応援団:2名の共和党議員(共にネブラスカ州)は?
・Don Bacon 下院議員は空軍准将で、戦闘機部隊、特に空軍州兵の再編を推進し、また新長の採用と定着を促すため、下級兵士の大幅な給与引き上げを主張してきたが、世論調査では民主党候補に後れを取っている
・Deb Fischer 上院議員は上院軍事戦略部隊小委員会の委員長を務め、核兵器近代化の熱心な支持者だが、海軍の退役軍人で無所属で組織も資金力もない Dan Osborne 候補と接戦となっている
●退役軍人の上下院議員立候補状況と見通しは?
・上下院議員を現在務めている元空軍・予備役・州長兵士はわずか 2名だが、今回の選挙には 30名が立候補している
・メディア分析専門の Five Thirty Eight によれば、5日の選挙で米空軍出身議員が大幅に増加する予想となっており、30名の内、11名が当選確率99%で、3名も有利な選挙戦を進めている。逆に残り 16名には勝利の見通しはない。
/////////////////////////////////////////////////////
だからどうなんだ!・・・とのご指摘を受けそうですが、雑談の「小ネタ」にご活用言頂ければ幸いです
大統領選挙を受けての「政治任用」で、極めて特異な例として語り継がれているのが、大統領が共和党の2代目ブッシュから民主党のオバマに政権交代した2009年に、オバマに請われて留任したロバート・ゲーツ国防長官です。
特に、オバマ大統領が「Change:変革」を掲げて当選した初の黒人大統領であり、2代目ブッシュが始めたイラク戦争後の混乱が中東全域に拡大する中にあった当時、新しい国防長官を任命しての「人心一新」を誰もが予想していた中での留任が、大きな話題となりました
ロバート・ゲーツ国防長官について、ここで改めて語るつもりはありません。以下の過去記事 2本から、まんぐ一すがこのブログを始める契機ともなったゲーツ長官という人物を振り返ってみてください
「ロバート・ゲーツ語録 100選」→https://holylandtokyo.com/2022/03/26/2046/
「土官学校卒業式で語る」→https://holylandtokyo.com/2020/03/08/776/
【おまけのご参考】
米大統領選、投票日はなぜ火曜日? 11月にも理由が
→毎日新聞記事 https://mainichi.ip/articles/20241103/k00/00m/030/075000c
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上院と下院の結果で軍事委員会委員長は・・
米空軍出身の空軍応援団議員の当落予想は
11月1日付米空軍協会 web 記事が、5日火曜日に行われる米国大統領選挙と上下院議員選挙の影響を「次の国防長官候補」や「上下院軍事委員長の予想」や「米空軍応援団議員の当落予想」や「米空軍出身者の当落予想」と絡めて主に米空軍への影響の視点で掲載していますので、余り突っ込んだ分析ではありませんが、「ハリスかトランプか?」だけの視点ではない、大統領&上下院選挙の見方として取り上げます
まんぐーすは、日本メディアによる吐き気を催すほどの「ハリス押し・トランプ下げ」にも関わらず、「ハリス押し」だった米メディアが次々と「にわか中立」を表明する様子や「掛け率」 等から、トランプの地滑り的勝利を予想しておりますが、こればかりは開票以降のお楽しみとして、記事を上記の視点でご紹介します
●次の国防長官は誰に?
・現在のオースティン国防長官(71歳)は、任期の4年間をがんと闘いながらの勤務で、交代は確実
・トランプ大統領誕生時は、複数メディアがTom Cotton(R-Ark)上院議員が最有力だと報じている。同議員は米空軍計画支持者であり、最近は現計画を超える 100機以上のB-21爆撃機を取得すべきだと主張している
・ハリス氏が勝利すれば、初の女性大統領が初の女性国防長官を任命すると予想されており、複数のメディアが有力候補として Christine Wormuth 現陸軍長官と、オバマ時代に政策担当国防次官だった Michelle Flournoy 女史を上げている。Flournoy 女史は4年前も最有力候補だったが、突然オースチン氏が指名された経緯がある。
・Wormuth 氏は陸軍長官ながら陸軍人との関係が良くないとの批判的意見があり、Flournoy 女史には軍需産業との関係が深すぎるとの見方もある
・ハリス大統領誕生時の「穴馬」としては、米空軍懐疑派の Adam Smith下院議員が挙げられている。同議員はF-35を痛烈に批判し続け、核兵器三本柱のICBM 不要論も展開しており、予算超過で大問題の次期ICBM計画 GBSDにも大反対の論陣を張っている人物である
・他の文民高官人事では、政権交代の有る無しにかかわらず、現在の政策実現のため留任を強<希望しているKendall空軍長官の処遇が注目されている。来年1月に76歳になる同長官だが、調達&開発担当国防次官経験や空軍長官としての働きぶりから能力を疑問視する声はなく、次の大統領や国防長官次第であろう
●上下院選挙の結果影響は?
・上院は、共和党が75%の確率で勝利して過半数を確保すると予想されており、その場合、国防政策決定に大きな影響力を持つ上院軍事委員会の委員長は民主党から共和党議員に代わる。その場合の委員長には、戦闘機を大幅増の340機規模にし、B-21次期爆撃機を空軍計画の2倍の200機導入を提唱しているRoger Wicker(R-Miss.)議員が就任することになる
・大統領が誰になろうと、予想が難しい下院の議会選挙結果(現在は共和党が多数派)が国防政策のカギを握ると考えられている。共和党が多数を維持すれば、宇宙軍創設の中心推進者である Mike Rogers(Ala.)委員長が留まるか、F-35に強い不満を示しているRoo Wittman(R-Va.)が委員長候補である
・仮に下院で民主党が多数を確保した場合、前述の米空軍懐疑派 Adam Smith 下院議員が国防長官にならない場合に限り、同議員が下院軍事委員長に就任することになる。スミス議員が国防長官就任の場合は、空軍退役軍人の Chrissy Houlahan (D-Pa.)議員が委員長になる可能性がある
●空軍大応援団:2名の共和党議員(共にネブラスカ州)は?
・Don Bacon 下院議員は空軍准将で、戦闘機部隊、特に空軍州兵の再編を推進し、また新長の採用と定着を促すため、下級兵士の大幅な給与引き上げを主張してきたが、世論調査では民主党候補に後れを取っている
・Deb Fischer 上院議員は上院軍事戦略部隊小委員会の委員長を務め、核兵器近代化の熱心な支持者だが、海軍の退役軍人で無所属で組織も資金力もない Dan Osborne 候補と接戦となっている
●退役軍人の上下院議員立候補状況と見通しは?
・上下院議員を現在務めている元空軍・予備役・州長兵士はわずか 2名だが、今回の選挙には 30名が立候補している
・メディア分析専門の Five Thirty Eight によれば、5日の選挙で米空軍出身議員が大幅に増加する予想となっており、30名の内、11名が当選確率99%で、3名も有利な選挙戦を進めている。逆に残り 16名には勝利の見通しはない。
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だからどうなんだ!・・・とのご指摘を受けそうですが、雑談の「小ネタ」にご活用言頂ければ幸いです
大統領選挙を受けての「政治任用」で、極めて特異な例として語り継がれているのが、大統領が共和党の2代目ブッシュから民主党のオバマに政権交代した2009年に、オバマに請われて留任したロバート・ゲーツ国防長官です。
特に、オバマ大統領が「Change:変革」を掲げて当選した初の黒人大統領であり、2代目ブッシュが始めたイラク戦争後の混乱が中東全域に拡大する中にあった当時、新しい国防長官を任命しての「人心一新」を誰もが予想していた中での留任が、大きな話題となりました
ロバート・ゲーツ国防長官について、ここで改めて語るつもりはありません。以下の過去記事 2本から、まんぐ一すがこのブログを始める契機ともなったゲーツ長官という人物を振り返ってみてください
「ロバート・ゲーツ語録 100選」→https://holylandtokyo.com/2022/03/26/2046/
「土官学校卒業式で語る」→https://holylandtokyo.com/2020/03/08/776/
【おまけのご参考】
米大統領選、投票日はなぜ火曜日? 11月にも理由が
→毎日新聞記事 https://mainichi.ip/articles/20241103/k00/00m/030/075000c
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NATO感激!ウクライナ開発の音響ドローン探知システム [安全保障全般]
1個数万円の音響センサーとスマホを組み合わせ
約1万セット配置でも安価にロシアドローンを探知し機銃迎撃
独やルーマニアで NATO諸国に披露され大反響
9月18日、米空軍協会「All, Space & Cyber Conference」での北極圏活動をテーマにしたパネル討議で、欧州米空軍司令官とNATO空軍司令官を兼務するJames B. Hecker 米空軍大将が、北極圏におけるロシア軍活動活発化等を受け、地域の空地状況把握のため厳しい気象環境での中~高高度無人偵察機 MQ-9やRQ-4運用に挑戦していると語り、北米空軍アラスカコマンド司令官のほか、ノルウェーとスウェーデン空軍トップが、気候変動で北極圏の地政学的位置受けが大きく変化しつつある状況を説明し、北極圏での空地状況把握の重要性を訴えました
そんなパネル討議の中で、Hecker 大将が「中~高高度の監視や状況把握も重要だが、ウクライナや中東で大きな注目を集めている低高度域での監視&状況把握も強化が必要」と述べ、ウクライナ技術者が開発した安価で画期的な対ドローン音響センサーネットワーク「Sky Fortress」を紹介していますので、取り上げます
Hecker 大将はパネル討議で・・・
●ウクライナ軍の費用対効果の高いISR システム「Sky Fortress」は、音でドローンを検知するスマホ活用の音響センサーネットワークである。これらセンサーは位置情報等データをドローン迎撃機動部隊に中継し、最小限の訓練でドローン撃墜を可能にする
●独のRamstein 空軍基地やルーマニアの基地に同システムを持ち込み、数か国関係者が見守る中で検証し、うまく機能することが分かった。更にNATO 諸国の空軍トップを集め、技術原理を含めて「Sky Fortress」を説明したが、皆一様に興奮を隠せない様子だった
●センサー1個当たり数百ドルと手頃な価格で非常に効果的なシステムで、ロシアのドローンに対し有効性が既に証明されている
7月25日付の別報道が「Sky Fortress」を紹介し・・・
●ウクライナの技術者2名が開発した「Sky Fortress」は、約2m弱のポールにつけられた「マイクとスマホ」で、飛来するドローンの音を検知するという、シンプルながら効果的な技術を使用
●ウクライナは 9,500個の「マイクとスマホ」からなる広範なネットワークを展開し、収集データを一元管理し、iPad 経由で迎撃機動部隊にドローン移動情報を提供して防空能力を大幅に強化した。このシステム使用で数時間程度の訓練とコストで、ドローンを対空砲火で効果的に無力化することが可能になった
●前出の Hecker 大将は「Sky Fortress」の費用対効果の良さを強調し、センサー1台あたりの価格は400~500ドルで、ネットワーク全体の価格はパトリオットミサイル2発よりも安い。ウクライナは、イラン製無人機を含むロシアの膨大な低コスト攻撃無人機と戦っているため、この費用対効果は極めて重要と語っている
●また、「Sky Fortress」は電磁波使用のレーダーと異なり、「地形による電波の影」の影響を受けにくい点で、またドローンの通信周波数妨害機能を備えることで撃退効果を高めている
●ロシアのドローン 84機による大規模な攻撃の際、ウクライナ軍は 80機のドローン迎撃に成功し、「Sky Fortress」の大規模ドローン攻撃対処能力を証明した。「Sky Fortress」に他のNATO 諸国が強い関心を示している
////////////////////////////////////////////////
ウクライナの人々の祖国防衛への強い思いが生んだ素晴らしいアイデアが、軍事の世界に革命をもたらしています。
久々に、背筋が伸びるような思いがするニュースをお伝え出来てうれしいです!
無人機対処の検討関連
「50kwレーザー兵器断念」→https://holylandtokyo.com/2024/05/16/5780/
「マイクロ波兵器本格検証へ」→https://holylandtokyo.com/2023/11/20/5211/
「安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「米国防省の対処戦略」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
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約1万セット配置でも安価にロシアドローンを探知し機銃迎撃
独やルーマニアで NATO諸国に披露され大反響
9月18日、米空軍協会「All, Space & Cyber Conference」での北極圏活動をテーマにしたパネル討議で、欧州米空軍司令官とNATO空軍司令官を兼務するJames B. Hecker 米空軍大将が、北極圏におけるロシア軍活動活発化等を受け、地域の空地状況把握のため厳しい気象環境での中~高高度無人偵察機 MQ-9やRQ-4運用に挑戦していると語り、北米空軍アラスカコマンド司令官のほか、ノルウェーとスウェーデン空軍トップが、気候変動で北極圏の地政学的位置受けが大きく変化しつつある状況を説明し、北極圏での空地状況把握の重要性を訴えました
そんなパネル討議の中で、Hecker 大将が「中~高高度の監視や状況把握も重要だが、ウクライナや中東で大きな注目を集めている低高度域での監視&状況把握も強化が必要」と述べ、ウクライナ技術者が開発した安価で画期的な対ドローン音響センサーネットワーク「Sky Fortress」を紹介していますので、取り上げます
Hecker 大将はパネル討議で・・・
●ウクライナ軍の費用対効果の高いISR システム「Sky Fortress」は、音でドローンを検知するスマホ活用の音響センサーネットワークである。これらセンサーは位置情報等データをドローン迎撃機動部隊に中継し、最小限の訓練でドローン撃墜を可能にする
●独のRamstein 空軍基地やルーマニアの基地に同システムを持ち込み、数か国関係者が見守る中で検証し、うまく機能することが分かった。更にNATO 諸国の空軍トップを集め、技術原理を含めて「Sky Fortress」を説明したが、皆一様に興奮を隠せない様子だった
●センサー1個当たり数百ドルと手頃な価格で非常に効果的なシステムで、ロシアのドローンに対し有効性が既に証明されている
7月25日付の別報道が「Sky Fortress」を紹介し・・・
●ウクライナの技術者2名が開発した「Sky Fortress」は、約2m弱のポールにつけられた「マイクとスマホ」で、飛来するドローンの音を検知するという、シンプルながら効果的な技術を使用
●ウクライナは 9,500個の「マイクとスマホ」からなる広範なネットワークを展開し、収集データを一元管理し、iPad 経由で迎撃機動部隊にドローン移動情報を提供して防空能力を大幅に強化した。このシステム使用で数時間程度の訓練とコストで、ドローンを対空砲火で効果的に無力化することが可能になった
●前出の Hecker 大将は「Sky Fortress」の費用対効果の良さを強調し、センサー1台あたりの価格は400~500ドルで、ネットワーク全体の価格はパトリオットミサイル2発よりも安い。ウクライナは、イラン製無人機を含むロシアの膨大な低コスト攻撃無人機と戦っているため、この費用対効果は極めて重要と語っている
●また、「Sky Fortress」は電磁波使用のレーダーと異なり、「地形による電波の影」の影響を受けにくい点で、またドローンの通信周波数妨害機能を備えることで撃退効果を高めている
●ロシアのドローン 84機による大規模な攻撃の際、ウクライナ軍は 80機のドローン迎撃に成功し、「Sky Fortress」の大規模ドローン攻撃対処能力を証明した。「Sky Fortress」に他のNATO 諸国が強い関心を示している
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ウクライナの人々の祖国防衛への強い思いが生んだ素晴らしいアイデアが、軍事の世界に革命をもたらしています。
久々に、背筋が伸びるような思いがするニュースをお伝え出来てうれしいです!
無人機対処の検討関連
「50kwレーザー兵器断念」→https://holylandtokyo.com/2024/05/16/5780/
「マイクロ波兵器本格検証へ」→https://holylandtokyo.com/2023/11/20/5211/
「安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
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ついにフーシ派攻撃にB-2ステルス爆撃機まで [安全保障全般]
米海軍と米空軍の合同フーシ派攻撃作戦で
地下弾薬庫攻撃に大型貫通爆弾使用か?
兵器等の自力製造を推進する同派の基盤攻撃
2017年1月の2機でのリビア爆撃以来の実任務投入
10月17日、イランの支援を受け紅海やアデン湾等を航行する西側船舶やイスラエルへの攻撃を続けるフーシ派拠点を、米海軍と空軍戦力が攻撃し、この攻撃に初めてステルス大型爆撃機であるB-2が少なくとも2機投入されたと、会議のため訪問中のNATO本部でオースチン国防長官が明らかにしました。
また更に同国防長官は、「5か所の強化された地下兵器貯蔵施設を攻撃した」、「敵がどんなに深く地中に埋もれ、堅固に守られ、要塞化されていても、世界規模でその施設を攻撃できる米国の能力を示した」と述べ、米中央軍報道官は、「標的にはミサイル、兵器部品、および地域全体の軍艦や民間船舶を狙うために使用されるその他の弾薬等、様々な先進的な通常兵器が含まれていた」と説明しています
本件を報じる17日付米空軍協会web記事は、専門家らによる「イランのフーシ派への影響力は、他の支援先グループほど強くない」との分析や、米国安保当局者の「フーシ派は我々が以前考えていたよりも武器部品の多くを自前で生産可能で、イランへの部品依存度は低いが、イランは依然として高性能な部品等を供給している」との見方を紹介しつつ、今回のB-2による大型貫通爆弾使用の可能性の背景を説明しています
西側とフーシ派の戦い激化を過去記事から
●フーシ派は、2023年10月2日にハマスがイスラエルへの奇襲攻撃を行って以来、イスラエルによるハマスへの軍事行動を阻止するためとの名目で、ミサイルやドローンで 90隻以上の西側船舶を攻撃し、船1隻を拿捕し、2隻を沈没させ、船員4人を殺害しているが、攻撃を受けた船の多くは紛争とは全く関係がなく、イラン行きの商船も含まれているのが実態
●Hudson研究員のBrian Clerk 氏は強い危機感を示しフーシ派との闘いを、「疑いの余地なく、米海軍がWW2以降で経験した最も長期にわたる激しい戦闘である」、「フーシ派は、イラン提供兵器を使用した実戦経験を積み重ねて能力を高めており、米軍が阻止できないレベルになる寸前だ。フーシ派は有能で、豊富な経験を能力向上につなげている」と分析
●現地に展開する米空母戦闘群を指揮する米海軍少将は、「イランは資金や物資援助だけでなく情報支援も行ってる可能性が非常に高い。少なくともフーシ派は海上輸送船や米軍艦攻撃訓練をイランから受けているのは事実だ」と言及
6月14日付Military.com記事
●(フーシ派への攻撃をなぜもっと強めないのか、との不満の声が米海軍乗組員の間で上がっていることを認めつつ、)国際情勢は単純ではなく、欧米海軍が周辺海域で防御態勢をとっている一方で、サウジはフーシ派との和平協定を模索し、ほぼ沈黙を守っている。報道では一部の中東諸国は米国に、自国領土からフーシ派攻撃を行わないよう要請しており、米空母の存在に依存している
●また、米国政府もフーシ派の行動をイスラエルVSハマス戦争と同レベルで議論しておらず、イランがイスラエルに大規模なドローンとミサイル攻撃を行っても、間接的にイランとの緊張を緩和しようと努めているように見える
///////////////////////////////////////////////////
イスラエルの北方、レバノンとイスラエルの紛争が激化していますが、イスラエルのはるか南方に位置するイエメン所在フーシ派との戦いも、「フーシ派は注目を集めることで、ある意味で利益を得ている」と米関係筋が分析するフーシ派の姿勢を背景として、「ロープロファイル」を望む世界の雰囲気を見透かすように、B-2ステルス大型爆撃機を投入するレベルに拡大しているということです。
中国の経済崩壊を受けた中国の不安定化が気になるところですが、予断は禁物ながら、中国は諸外国から経済支援や投資を呼び込むため、「明らかに対外的な強硬姿勢を緩めている」と考えてよいと思います。九州西方男女群島の領空侵犯など、国としての姿勢ではなく、前線部隊の士気低下に伴う「ケアレス操縦ミス」と見るのが自然だと思います
そんな中、中東情勢は心配です・・・
フーシ派関連の記事
「米輸送軍の教訓」→https://holylandtokyo.com/2024/10/17/6374/
「原油15万トン流出危機」→https://holylandtokyo.com/2024/09/05/6311/
「米海軍がフーシ派とWW2以来の激戦」→https://holylandtokyo.com/2024/07124/6044/
「イスVSイラン防研速攻解説」→https://hotylandtokyo.com/2024/04/25/5847/
「対処で防御迅速改善」→https://holylandtokyo.com/2024/04/15/5741/
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地下弾薬庫攻撃に大型貫通爆弾使用か?
兵器等の自力製造を推進する同派の基盤攻撃
2017年1月の2機でのリビア爆撃以来の実任務投入
10月17日、イランの支援を受け紅海やアデン湾等を航行する西側船舶やイスラエルへの攻撃を続けるフーシ派拠点を、米海軍と空軍戦力が攻撃し、この攻撃に初めてステルス大型爆撃機であるB-2が少なくとも2機投入されたと、会議のため訪問中のNATO本部でオースチン国防長官が明らかにしました。
また更に同国防長官は、「5か所の強化された地下兵器貯蔵施設を攻撃した」、「敵がどんなに深く地中に埋もれ、堅固に守られ、要塞化されていても、世界規模でその施設を攻撃できる米国の能力を示した」と述べ、米中央軍報道官は、「標的にはミサイル、兵器部品、および地域全体の軍艦や民間船舶を狙うために使用されるその他の弾薬等、様々な先進的な通常兵器が含まれていた」と説明しています
本件を報じる17日付米空軍協会web記事は、専門家らによる「イランのフーシ派への影響力は、他の支援先グループほど強くない」との分析や、米国安保当局者の「フーシ派は我々が以前考えていたよりも武器部品の多くを自前で生産可能で、イランへの部品依存度は低いが、イランは依然として高性能な部品等を供給している」との見方を紹介しつつ、今回のB-2による大型貫通爆弾使用の可能性の背景を説明しています
西側とフーシ派の戦い激化を過去記事から
●フーシ派は、2023年10月2日にハマスがイスラエルへの奇襲攻撃を行って以来、イスラエルによるハマスへの軍事行動を阻止するためとの名目で、ミサイルやドローンで 90隻以上の西側船舶を攻撃し、船1隻を拿捕し、2隻を沈没させ、船員4人を殺害しているが、攻撃を受けた船の多くは紛争とは全く関係がなく、イラン行きの商船も含まれているのが実態
●Hudson研究員のBrian Clerk 氏は強い危機感を示しフーシ派との闘いを、「疑いの余地なく、米海軍がWW2以降で経験した最も長期にわたる激しい戦闘である」、「フーシ派は、イラン提供兵器を使用した実戦経験を積み重ねて能力を高めており、米軍が阻止できないレベルになる寸前だ。フーシ派は有能で、豊富な経験を能力向上につなげている」と分析
●現地に展開する米空母戦闘群を指揮する米海軍少将は、「イランは資金や物資援助だけでなく情報支援も行ってる可能性が非常に高い。少なくともフーシ派は海上輸送船や米軍艦攻撃訓練をイランから受けているのは事実だ」と言及
6月14日付Military.com記事
●(フーシ派への攻撃をなぜもっと強めないのか、との不満の声が米海軍乗組員の間で上がっていることを認めつつ、)国際情勢は単純ではなく、欧米海軍が周辺海域で防御態勢をとっている一方で、サウジはフーシ派との和平協定を模索し、ほぼ沈黙を守っている。報道では一部の中東諸国は米国に、自国領土からフーシ派攻撃を行わないよう要請しており、米空母の存在に依存している
●また、米国政府もフーシ派の行動をイスラエルVSハマス戦争と同レベルで議論しておらず、イランがイスラエルに大規模なドローンとミサイル攻撃を行っても、間接的にイランとの緊張を緩和しようと努めているように見える
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イスラエルの北方、レバノンとイスラエルの紛争が激化していますが、イスラエルのはるか南方に位置するイエメン所在フーシ派との戦いも、「フーシ派は注目を集めることで、ある意味で利益を得ている」と米関係筋が分析するフーシ派の姿勢を背景として、「ロープロファイル」を望む世界の雰囲気を見透かすように、B-2ステルス大型爆撃機を投入するレベルに拡大しているということです。
中国の経済崩壊を受けた中国の不安定化が気になるところですが、予断は禁物ながら、中国は諸外国から経済支援や投資を呼び込むため、「明らかに対外的な強硬姿勢を緩めている」と考えてよいと思います。九州西方男女群島の領空侵犯など、国としての姿勢ではなく、前線部隊の士気低下に伴う「ケアレス操縦ミス」と見るのが自然だと思います
そんな中、中東情勢は心配です・・・
フーシ派関連の記事
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映像:露軍Su-35が米軍F-16へ驚きの危険飛行 [安全保障全般]
ロシア機の礼文島領空で初の空自フレア警告と同日
9月23日アラスカ防空識別圏内での出来事
Tu-95爆撃機を護衛の露戦闘機が数mに急接近
飛行姿勢も接近要領もunsafe, unprofessional
ロシア車は中国軍と異なり「大人」対応だったのに
9月30日、北米軍司令官である Gregory Guillo空軍大将が映像と声明を発表し、同23日にアラスカの米防空識別圏に侵入していた2機のロシア軍戦略爆撃機Tu-95に対し緊急発進&監視普戒を行っていた米空軍F-16戦闘機に、Tu-95をエスコートしていた2機の露 Su-35戦闘機の 1機が危険な急接近飛行を行ったと非難しました
声明でGuilo 司令官は、「NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)が緊急発進させた我が戦闘機は、安全かつ規律正しく接近して監視飛行を実施していた。(これに対し、)ロシアのSu-35の行動は不安全でプロの行動ではなく、すべてを危険にさらした。プロの空軍が行う行為ではない」と表現し、危機感を示しています
米空軍公開の危険飛行映像(約20秒)
NORAD は当日のロシア機飛行について、露爆撃機がこの空域で頻繁に行っているタイプの飛行で、米国領土まで 200nmまで接近したと紹介し、大型爆撃機とはいえ米領土までの距離も離れていることから、緊急発進した米軍F-16が「安全かつ規律正しく」対応したことを強調しており、ロシア戦闘機による突然の急接近危険飛行に驚きと怒りを隠さず、映像公開に踏み切った模様です
///////////////////////////////////////////////
ロシア軍機は冷戦後も日本近傍にも度々現れ、最近では中国機と緩やかな連携飛行のようなことも日本周辺で行っていますが、一般にはパターン化した偵察飛行や作戦航法訓練でした。
ところが、アラスカ沖での露 Su-35危険飛行と同日には、露IL-38哨戒機が日本時間の午後に3度も北海道礼文島北方の領空をし、航空自衛隊機が史上初のフレア使用管告を行う事態となっており、時差はあれども世界で同時に、露車が行動を先鋭化させています
こんな嫌がらせ行動を露が行っても、何の効果も利もないと思うので、露軍全体、特に前線部隊に蔓延する「フラストレーション」「ぶつけ様のない怒り」のようなものが背景にあるのでは・・・と考えてしまいます。
東シナ海や南シナ海で中国軍戦闘機が米軍偵察機や哨戒機に危険接近飛行を何度か繰り返していますが、そんな映像を見た露軍やパイロットが、深い考えもなくやらかしている様な気がしてなりません
ロシア空軍関連の記事
「ウクライナでの露空軍評価」→https://holylandtokyo.com/2022/03/17/2929/
「戦闘機での制空の時代は終わる?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
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9月23日アラスカ防空識別圏内での出来事
Tu-95爆撃機を護衛の露戦闘機が数mに急接近
飛行姿勢も接近要領もunsafe, unprofessional
ロシア車は中国軍と異なり「大人」対応だったのに
9月30日、北米軍司令官である Gregory Guillo空軍大将が映像と声明を発表し、同23日にアラスカの米防空識別圏に侵入していた2機のロシア軍戦略爆撃機Tu-95に対し緊急発進&監視普戒を行っていた米空軍F-16戦闘機に、Tu-95をエスコートしていた2機の露 Su-35戦闘機の 1機が危険な急接近飛行を行ったと非難しました
声明でGuilo 司令官は、「NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)が緊急発進させた我が戦闘機は、安全かつ規律正しく接近して監視飛行を実施していた。(これに対し、)ロシアのSu-35の行動は不安全でプロの行動ではなく、すべてを危険にさらした。プロの空軍が行う行為ではない」と表現し、危機感を示しています
米空軍公開の危険飛行映像(約20秒)
NORAD は当日のロシア機飛行について、露爆撃機がこの空域で頻繁に行っているタイプの飛行で、米国領土まで 200nmまで接近したと紹介し、大型爆撃機とはいえ米領土までの距離も離れていることから、緊急発進した米軍F-16が「安全かつ規律正しく」対応したことを強調しており、ロシア戦闘機による突然の急接近危険飛行に驚きと怒りを隠さず、映像公開に踏み切った模様です
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ロシア軍機は冷戦後も日本近傍にも度々現れ、最近では中国機と緩やかな連携飛行のようなことも日本周辺で行っていますが、一般にはパターン化した偵察飛行や作戦航法訓練でした。
ところが、アラスカ沖での露 Su-35危険飛行と同日には、露IL-38哨戒機が日本時間の午後に3度も北海道礼文島北方の領空をし、航空自衛隊機が史上初のフレア使用管告を行う事態となっており、時差はあれども世界で同時に、露車が行動を先鋭化させています
こんな嫌がらせ行動を露が行っても、何の効果も利もないと思うので、露軍全体、特に前線部隊に蔓延する「フラストレーション」「ぶつけ様のない怒り」のようなものが背景にあるのでは・・・と考えてしまいます。
東シナ海や南シナ海で中国軍戦闘機が米軍偵察機や哨戒機に危険接近飛行を何度か繰り返していますが、そんな映像を見た露軍やパイロットが、深い考えもなくやらかしている様な気がしてなりません
ロシア空軍関連の記事
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米情報機関トップが民間部門との協力強化語る [安全保障全般]
日進月歩のサイバーやIT技術に追随するため
自身や相手の脆弱性把握には民間企業の力が・・
一方で民間企業の官保有情報へのアクセス改善に努力
8月27日、米国の各種情報機関を束ねる国家情報長官(DNI : Director of National Inteligence)のAvril Haines女史が、情報機関支援団体INSAで講演し、2015年のCybersecurity 情報共有法により、民間と政府機関協力が拡大可能になったが、依然として改善の余地があると指摘されていることを踏まえ、
「改善には困難が伴う可能性があります。ですから、時間をかけて改善するため、忍耐と協力をお願いしたい」、「皆さんが常に本件に時間を割けないことも承知しつつ、大きな負担をお願いしているが、我々は皆さんを必要としており、皆さんも私たちを必要としていると思う」と、言葉を尽くし、日進月歩のサイバーやIT技術を駆使する必要に迫られている国家安全保障の最前線への協力を懸命に訴えました
その背景を8月27日付 DefenseOne 記事は
●特に21世紀に入り、国家情報機関の分析官やサイバー監視要員は、海外監視対象のフォローや米国インフラへのハッキング防止技術を民間分野に大きく依存しており、例えば、相手システムに侵入するための「脆弱性」は、多くが民間企業で発見され、国家情報庁等に売却されたものだ
同記事は Avril Haines 国家情報長官の発言を紹介し
●国家安全保障にとって不可で極めて重要な分野で、政府機関が保有しない、独自の専門的能力、知識、才能を有する民間部門の皆さんの存在を、国家情報長官として強く認識している。我々国家情報機関が懸命に取り組んでいる、テロリストの追跡、サイバー攻撃の阻止、各種データ分析に、皆さんの更なる協力をお願いしたい
●取り組みを促進するため、国家安全保障局の「National Security Agency's Cybersecurity Collaboration Center」に見習い、サイバー犯罪者や国家主導ハッカー情報の共有を促進する長官直属の「Office of Partnership Engagement」を設立し、
●また政府機関職員の職務達成評価項目の一つに「民間部門への関与:private-sector engagement」を加え、本件の推進が政府職員の評価対象になったことを明確化する。更に、皆さんから提供いただいたデータへの職員のアクセス性を改善し、情報の有効活用にも取り組んでいる
●民間機関への、政府機関保有の情報提供も我々の取り組みの重要な部分で、政府情報コミュニティーには、民間関係機関に情報提供可能なように情報を加工する手法を学ばせ、また提供可能情報のライブラリー化も進めている。 ●更に政府情報コミュニティーには、企業側との機密情報共有に必要な機密区分情報施設(SCIF:sensitive compartmented information facilities)を設けるよう、指針を示して担当官が各部署に働きかけている
DefenseOne 記事は官民協力の課題について
●政府機関の「縦割り」により、せっかく政府機関に提供された民間からの情報が、適切に政府内で共有されず、例えば航空機ハイジャックの阻止失敗につながるような「民間情報の分断」が発生している
●更に懸念事項として記事は、FBIやNSA等の機関は、国家安全保障調査に利用するためであれば、民間の通信事業者に対し、「監視対象者」に関するデータ提供を強制することができるが、官民関係を取り持つ団体 CISAには「不適切な管理に関する苦情」も民間企業等から届いており、2024年は業界からの反発が増加している
///////////////////////////////////////////
宇宙軍担当分野だけでなく、情報収集分析やサイバー対処まで、軍事技術が道を開き、民間に波及する流れは「過去のもの」となりました。
日本で柔道を学ぶため、講道館で1年間修業した経験をお持ちの Avril Haines 国家情報長官に置かれましては、「和をもって貴しとなす」日本の心をもって、せめて政府機関の「縦割り」による「民間情報の分断」は、何とかしていただきたいと思います
Haines 国家情報長官の関連記事
「露の核使用対星兵器」→https://holylandtokyo.com/2024/02/19/5599/
「ロシアの弾業不足」→https://holylandtokyo.com/2022/12/08/4032/
「同長官紹介&中国宇宙兵器」→https://holylandtokyo.com/2021/04/27/116/
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自身や相手の脆弱性把握には民間企業の力が・・
一方で民間企業の官保有情報へのアクセス改善に努力
8月27日、米国の各種情報機関を束ねる国家情報長官(DNI : Director of National Inteligence)のAvril Haines女史が、情報機関支援団体INSAで講演し、2015年のCybersecurity 情報共有法により、民間と政府機関協力が拡大可能になったが、依然として改善の余地があると指摘されていることを踏まえ、
「改善には困難が伴う可能性があります。ですから、時間をかけて改善するため、忍耐と協力をお願いしたい」、「皆さんが常に本件に時間を割けないことも承知しつつ、大きな負担をお願いしているが、我々は皆さんを必要としており、皆さんも私たちを必要としていると思う」と、言葉を尽くし、日進月歩のサイバーやIT技術を駆使する必要に迫られている国家安全保障の最前線への協力を懸命に訴えました
その背景を8月27日付 DefenseOne 記事は
●特に21世紀に入り、国家情報機関の分析官やサイバー監視要員は、海外監視対象のフォローや米国インフラへのハッキング防止技術を民間分野に大きく依存しており、例えば、相手システムに侵入するための「脆弱性」は、多くが民間企業で発見され、国家情報庁等に売却されたものだ
同記事は Avril Haines 国家情報長官の発言を紹介し
●国家安全保障にとって不可で極めて重要な分野で、政府機関が保有しない、独自の専門的能力、知識、才能を有する民間部門の皆さんの存在を、国家情報長官として強く認識している。我々国家情報機関が懸命に取り組んでいる、テロリストの追跡、サイバー攻撃の阻止、各種データ分析に、皆さんの更なる協力をお願いしたい
●取り組みを促進するため、国家安全保障局の「National Security Agency's Cybersecurity Collaboration Center」に見習い、サイバー犯罪者や国家主導ハッカー情報の共有を促進する長官直属の「Office of Partnership Engagement」を設立し、
●また政府機関職員の職務達成評価項目の一つに「民間部門への関与:private-sector engagement」を加え、本件の推進が政府職員の評価対象になったことを明確化する。更に、皆さんから提供いただいたデータへの職員のアクセス性を改善し、情報の有効活用にも取り組んでいる
●民間機関への、政府機関保有の情報提供も我々の取り組みの重要な部分で、政府情報コミュニティーには、民間関係機関に情報提供可能なように情報を加工する手法を学ばせ、また提供可能情報のライブラリー化も進めている。 ●更に政府情報コミュニティーには、企業側との機密情報共有に必要な機密区分情報施設(SCIF:sensitive compartmented information facilities)を設けるよう、指針を示して担当官が各部署に働きかけている
DefenseOne 記事は官民協力の課題について
●政府機関の「縦割り」により、せっかく政府機関に提供された民間からの情報が、適切に政府内で共有されず、例えば航空機ハイジャックの阻止失敗につながるような「民間情報の分断」が発生している
●更に懸念事項として記事は、FBIやNSA等の機関は、国家安全保障調査に利用するためであれば、民間の通信事業者に対し、「監視対象者」に関するデータ提供を強制することができるが、官民関係を取り持つ団体 CISAには「不適切な管理に関する苦情」も民間企業等から届いており、2024年は業界からの反発が増加している
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宇宙軍担当分野だけでなく、情報収集分析やサイバー対処まで、軍事技術が道を開き、民間に波及する流れは「過去のもの」となりました。
日本で柔道を学ぶため、講道館で1年間修業した経験をお持ちの Avril Haines 国家情報長官に置かれましては、「和をもって貴しとなす」日本の心をもって、せめて政府機関の「縦割り」による「民間情報の分断」は、何とかしていただきたいと思います
Haines 国家情報長官の関連記事
「露の核使用対星兵器」→https://holylandtokyo.com/2024/02/19/5599/
「ロシアの弾業不足」→https://holylandtokyo.com/2022/12/08/4032/
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チャンス!英国が日英伊戦闘機開発から離脱模索? [安全保障全般]
英国新政権内で開発費への懸念浮上
IISS は「対案なしで撤退は英国への信頼失墜」と警鐘も
米空軍が次期制空機大幅ダウングレード模索の中
絶好のチャンス!日本も撤退を模索すべき!
9月20日付共同通信が、7月に発足した英国の労働党新政権が進める英国防衛戦略見直しの中で、日英伊が共同開発で合意している次期戦闘機(GCAP:Global Combat Air Program)開発の費用に懸念が浮上している件に関し、英シンクタンクIISSが「代替案を示さずに撤退すれば国際社会での頼失墜につながる」と普鐘を鳴らしていると報じました
本日ご紹介する情報は以上ですが、以下では本報道を受けてのまんぐーすの思いをつぶやきます
●防衛省&航空自衛隊は、英国労働党政権や英国防相と直ちに水面下でコンタクトを取り、可能ならイタリアとも連携し、まず日英伊の戦闘機開発について「一時停止」又は「再検討」措置を検討し、最終的には共同開発の「白紙化」により、戦闘機投資の全面見直しにつなげるべき
●米国が7月末から次期制空機NGAD計画を一時停止&再検討しており、背景には米軍予算不足とウクライナや中東情勢を踏まえた将来戦に関する優先度再評価があるが、根本には米空軍 2トップが吐露しているように、従来空軍が戦闘機を主戦力として担ってきた「航空優勢」獲得の重要性や実行可能性への疑念がある。
●AIlvin米空軍参謀総長や Slife副参謀総長が明言しているように、低高度を支配する無人機による空襲で、70年ぶりに米国人が死亡する時代を迎え、米空軍は「従来のように航空優勢を常続的に維持するのはコスト面で不可能」との認識に至って戦闘機投資の優先度再検討中で、Kendall 空軍長官は当初「F-35の3倍」のコストを見込んでいたNGADに関し、「F- 35より安価に」と発言し始めている。
●海外への戦力投射を主目的とする米空軍と、日英伊空軍が戦闘機に期待する役割は完全に一致するわけではないが、無人機以前から課題となっている各種弾頭&巡航ミサイル対処(極超音速兵器を含む)、サイバー戦、電子戦、宇宙を巡る攻防など、安全保障上の軍事脅威は戦闘機が担う範囲をはるかに超えて拡大しており、戦闘機への投資は再検討されるべき
●特にF-35 導入を決めてしまった国(日英伊を含む)は、今後30年以上にわたり膨大で脅威にミスマッチな経費負担に苦しむことが確定しており、早急に次世代戦闘機開発を見直し、脅威の変化を正面から見つめ直すべき。 以上です
次世代制空機 NGAD の再検討関連
「NGADはF-35より安価に」→https://holylandtokyo.com/2024/09/19/6351/
「再検討の方向性」→https://holylandtokyo.com/2024/09/10/6315/
「数か月間保留する」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://halylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGAD の将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/
航空優勢に関する議論
「ドローンでヘリ撃墜の衝撃」→https://holylandtokyo.com/2024/08/29/6213/
「不可能だし必要もない」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「初の対無人機の防空兵器消耗戦」→https://halylandtokyo.com/2023/01/2714220/
「戦闘機による制空の時代終焉」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
日英伊戦闘機 GCAP 開発
「日英伊がやっと合意」→https://holylandtokyo.com/2023/12/18/5352/
「英伊が日恫喝:逃げるな!」→https://holylandtokyo.com/2023/02/14/4299/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
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IISS は「対案なしで撤退は英国への信頼失墜」と警鐘も
米空軍が次期制空機大幅ダウングレード模索の中
絶好のチャンス!日本も撤退を模索すべき!
9月20日付共同通信が、7月に発足した英国の労働党新政権が進める英国防衛戦略見直しの中で、日英伊が共同開発で合意している次期戦闘機(GCAP:Global Combat Air Program)開発の費用に懸念が浮上している件に関し、英シンクタンクIISSが「代替案を示さずに撤退すれば国際社会での頼失墜につながる」と普鐘を鳴らしていると報じました
本日ご紹介する情報は以上ですが、以下では本報道を受けてのまんぐーすの思いをつぶやきます
●防衛省&航空自衛隊は、英国労働党政権や英国防相と直ちに水面下でコンタクトを取り、可能ならイタリアとも連携し、まず日英伊の戦闘機開発について「一時停止」又は「再検討」措置を検討し、最終的には共同開発の「白紙化」により、戦闘機投資の全面見直しにつなげるべき
●米国が7月末から次期制空機NGAD計画を一時停止&再検討しており、背景には米軍予算不足とウクライナや中東情勢を踏まえた将来戦に関する優先度再評価があるが、根本には米空軍 2トップが吐露しているように、従来空軍が戦闘機を主戦力として担ってきた「航空優勢」獲得の重要性や実行可能性への疑念がある。
●AIlvin米空軍参謀総長や Slife副参謀総長が明言しているように、低高度を支配する無人機による空襲で、70年ぶりに米国人が死亡する時代を迎え、米空軍は「従来のように航空優勢を常続的に維持するのはコスト面で不可能」との認識に至って戦闘機投資の優先度再検討中で、Kendall 空軍長官は当初「F-35の3倍」のコストを見込んでいたNGADに関し、「F- 35より安価に」と発言し始めている。
●海外への戦力投射を主目的とする米空軍と、日英伊空軍が戦闘機に期待する役割は完全に一致するわけではないが、無人機以前から課題となっている各種弾頭&巡航ミサイル対処(極超音速兵器を含む)、サイバー戦、電子戦、宇宙を巡る攻防など、安全保障上の軍事脅威は戦闘機が担う範囲をはるかに超えて拡大しており、戦闘機への投資は再検討されるべき
●特にF-35 導入を決めてしまった国(日英伊を含む)は、今後30年以上にわたり膨大で脅威にミスマッチな経費負担に苦しむことが確定しており、早急に次世代戦闘機開発を見直し、脅威の変化を正面から見つめ直すべき。 以上です
次世代制空機 NGAD の再検討関連
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航空優勢に関する議論
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「戦闘機による制空の時代終焉」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
日英伊戦闘機 GCAP 開発
「日英伊がやっと合意」→https://holylandtokyo.com/2023/12/18/5352/
「英伊が日恫喝:逃げるな!」→https://holylandtokyo.com/2023/02/14/4299/
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フーシ派攻撃でタンカーから原油15万トン流出危機 [安全保障全般]
8月21日フーシ派の無人艇・飛び道具攻撃で炎上
乗員25名は救出も、9月3日にEU 連合が曳航断念
9月3日付 Mitary.com 記事は、紅海を原油 15万トン(100万バレル)を積んで航行中だったギリシャ船籍のタンカー「スニオン号 Sunion」が、8月21日にイランが支援するイエメンの反政府組織フーシ派による攻撃で火災を起こし、エンジンも停止して自力航行困難となっていたが、同タンカーの曳航を請け負った民間サルベージ企業も、フーシ派による更なる攻撃示唆で作業の安全確保が困難だと曳航作業断念した、とEU 連合が発表しました
EU 連合は米国や西側諸国と協力し、紅海を航行する西側船舶の安全確保作戦「Operation Aspides」を遂行しており、攻撃を受けた同タンカーから乗員 25名を何とか無事救出し、近傍のジブチに避難させたのも仏海軍の駆逐艦でしたが、タンカーの状況とフーシ派の攻撃により、作業継続は難しいと判断した模様です
タンカー「スニオン号」は大量の原油を積載しており、フーシ派による無人艇や追撃弾(projecties)攻撃により発生した火災も収まらず、既に積載原油流出が始まっているとの報道もあり、米国務省は、同タンカーからの流出は「1989年にアラスカで起きたエクソン・バルディーズ号惨事の4倍の規模」になる可能性があると警告しています
フーシ派は、2023年 10月にガザ地区で戦争が始まって以来、イスラエルによるハマスへの軍事行動を阻止するためとの名目で、ミサイルやドローンで 80隻以上の西側船舶を攻撃し、船1隻を拿捕し、2隻を沈没させ、船員4人を殺害していますが、攻撃を受けた船の多くは紛争とは全く関係がなく、イラン行きの商船も含まれているのが実態とのことです
EU 連合は「民間サルベージ企業による行作業」断念時、「民間企業により代替策が検討されている」とも発表していますが、容易でないことは想像でき、米国務省が懸念を表明している米国勢力も、イスラエルに対するイランの報復に備え急遽中東に展開している米空母ルーズベルトとリンカーンはオマーン湾所在で、紅海に米海軍艦艇は確認されておらず、本件に関するAP通信の取材に米中央軍はノーコメント対応とのことです
/////////////////////////////////////////////
フーシ派は、9月2日に別の西側船舶への攻撃を実施し、タンカー「スニオン号」の曳行作業を容認する姿勢を示唆しているとの見方もあるようですが、フーシ派は以前にもイエメン沖で、別の石油タンカーを攻撃して「環境へのリスク」だとして悪用したことがあり、懸念が高まっています
紅海は美しいサンゴ礁でダイバー憧れの地となっており、フーシ派による事実上の無差別攻撃と自然を人質にとるような行動は、神が許さないだろうと言じたいです
フーシ派関連の記事
「米海軍がフーシ派とWW2以来の激戦」→https://holylandtokyo.com/2024/07/24/6044/
「イスラエルVS イランを防研が速攻解説」→https://hotylandtokyo.com/2024/04/25/5847/
「フーチ派対処で防御迅速改善」→https://holylandtokyo.com/2024/04/15/5741/
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乗員25名は救出も、9月3日にEU 連合が曳航断念
9月3日付 Mitary.com 記事は、紅海を原油 15万トン(100万バレル)を積んで航行中だったギリシャ船籍のタンカー「スニオン号 Sunion」が、8月21日にイランが支援するイエメンの反政府組織フーシ派による攻撃で火災を起こし、エンジンも停止して自力航行困難となっていたが、同タンカーの曳航を請け負った民間サルベージ企業も、フーシ派による更なる攻撃示唆で作業の安全確保が困難だと曳航作業断念した、とEU 連合が発表しました
EU 連合は米国や西側諸国と協力し、紅海を航行する西側船舶の安全確保作戦「Operation Aspides」を遂行しており、攻撃を受けた同タンカーから乗員 25名を何とか無事救出し、近傍のジブチに避難させたのも仏海軍の駆逐艦でしたが、タンカーの状況とフーシ派の攻撃により、作業継続は難しいと判断した模様です
タンカー「スニオン号」は大量の原油を積載しており、フーシ派による無人艇や追撃弾(projecties)攻撃により発生した火災も収まらず、既に積載原油流出が始まっているとの報道もあり、米国務省は、同タンカーからの流出は「1989年にアラスカで起きたエクソン・バルディーズ号惨事の4倍の規模」になる可能性があると警告しています
フーシ派は、2023年 10月にガザ地区で戦争が始まって以来、イスラエルによるハマスへの軍事行動を阻止するためとの名目で、ミサイルやドローンで 80隻以上の西側船舶を攻撃し、船1隻を拿捕し、2隻を沈没させ、船員4人を殺害していますが、攻撃を受けた船の多くは紛争とは全く関係がなく、イラン行きの商船も含まれているのが実態とのことです
EU 連合は「民間サルベージ企業による行作業」断念時、「民間企業により代替策が検討されている」とも発表していますが、容易でないことは想像でき、米国務省が懸念を表明している米国勢力も、イスラエルに対するイランの報復に備え急遽中東に展開している米空母ルーズベルトとリンカーンはオマーン湾所在で、紅海に米海軍艦艇は確認されておらず、本件に関するAP通信の取材に米中央軍はノーコメント対応とのことです
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フーシ派は、9月2日に別の西側船舶への攻撃を実施し、タンカー「スニオン号」の曳行作業を容認する姿勢を示唆しているとの見方もあるようですが、フーシ派は以前にもイエメン沖で、別の石油タンカーを攻撃して「環境へのリスク」だとして悪用したことがあり、懸念が高まっています
紅海は美しいサンゴ礁でダイバー憧れの地となっており、フーシ派による事実上の無差別攻撃と自然を人質にとるような行動は、神が許さないだろうと言じたいです
フーシ派関連の記事
「米海軍がフーシ派とWW2以来の激戦」→https://holylandtokyo.com/2024/07/24/6044/
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小型ドローンで軍用攻撃へリ撃墜の衝撃 [安全保障全般]
8月7日ウクライナ軍が露軍Mi-28 攻撃へリを
ウで顕在化しつつあった有人へリの脆弱性を証明
ますます困難になる有人ヘリの前線利用
8月8日付 Defense-News は、同7日にウクライナ軍が公開した「カメラ付きドローンがロシア軍攻撃ヘリMi-28の回転翼に命中する映像」を取り上げ、ドローンによる航空機迎撃の可能性と、ウクライナで顕在化しつつあった回転機の脆弱性について取り上げています
記事は Sam Bendett米海軍分析官のコメントを紹介し、「高速飛行する軍用ヘリにドローンを操縦して指向するのは容易ではない」とし、「ウクライナのドローンが軍ヘリを追跡する試みは何度も確認されていたが、それら攻撃は全てニアミスに終わっていた」と、ドローンによる大型航空機の撃墜はこれまで成功していないと紹介していますが、
同時に、低コストのFPV (first-person-view)と呼ばれるカメラ付きドローンは日進月歩で進化しており、飛行範囲が当初の平均3~5kmから、現在では15~20kmにまで拡大するなど開発が進んでおり、「ウクライナの戦場上空には、大物を狙って日々進化を続ける高速飛行 FPV が溢れ、仮にヘリの脂弱な後部プロペラ等に誘導できれば、大きな損害を与え得るレベルに達しつつあったことも事実だ」とも述べ、今回の事象を世界の軍事関係者が強い関心をもって注視しているとしています
2022年2月にロシアがウクライナ侵略を開始して以降、ロシア軍は326機のヘリを失った可能性があるとウ軍情報部は見積っており、様々な防空システムの展開により、戦場前線でのヘリの有人飛行が極めて困難になりつつあることが多くの軍事関係者の間で共通認識となりつつあるとも同分析官は語っています
同分析官は更に、ドローンはその威力を増すために「群れやグループ」での飛行能力向上に向けた開発が進んでおり、顕在化しつつあったヘリの脂弱性を無視できなくなりつつあると語っています。
またウクライナ国防省の Serhii Kuzan元顧問は、「戦闘でのヘリコプターの将来使用は、特に無人システムの発展に伴い、再考される可能性があり、またそうすべきだ」、「ロシア・ウクライナ戦争後、攻撃手段としてのヘリコプターの役割が変わる可能性は大いにある。潜在的に、この機能は攻撃ドローンや無人ヘリコプターによっ置き換わる可能性があるからだ」と Defense-Newsに述べています
/////////////////////////////////////////////
ウクライナや中東で猛威を振るう無人機の現状を踏まえ、戦闘機が担ってきた「中及び高高度域」を押さえる「航空優勢」の概念を再考し、無人機が支配しつつある「低高度の航空優勢」含めて再定義すべきと訴え、次期制空機NGAD 開発を「再精査すべき」とか「一つのオプションに過ぎない」と米空軍首脳が語り始める中で、同様の大きな変革の流れで、無人機と活動高度帯が重なる「低高度帯域」で生きてきた軍用ヘリコプターの将来が不透明になりつつあるということです。
この迫りくる軍事変革の波を、今でも空を支配していると錯覚している戦闘機命派はどのように見ているのでしょうか? 脅威の変化の最前線に位置しながら、F-35を100機以上も導入する愚行を犯し、更に英国とイタリアに巻き込まれ、泥沼の役立たず次世代戦闘機開発を進める航空自衛隊の戦闘機命派に、天はどのような裁きを下されるのでしょうか・・・
航空優勢を再考する
「重要だが不可能だし必要もない」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
米空軍は次世代制空機あきらめムード
「数か月保留で再精査」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/
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ウで顕在化しつつあった有人へリの脆弱性を証明
ますます困難になる有人ヘリの前線利用
8月8日付 Defense-News は、同7日にウクライナ軍が公開した「カメラ付きドローンがロシア軍攻撃ヘリMi-28の回転翼に命中する映像」を取り上げ、ドローンによる航空機迎撃の可能性と、ウクライナで顕在化しつつあった回転機の脆弱性について取り上げています
記事は Sam Bendett米海軍分析官のコメントを紹介し、「高速飛行する軍用ヘリにドローンを操縦して指向するのは容易ではない」とし、「ウクライナのドローンが軍ヘリを追跡する試みは何度も確認されていたが、それら攻撃は全てニアミスに終わっていた」と、ドローンによる大型航空機の撃墜はこれまで成功していないと紹介していますが、
同時に、低コストのFPV (first-person-view)と呼ばれるカメラ付きドローンは日進月歩で進化しており、飛行範囲が当初の平均3~5kmから、現在では15~20kmにまで拡大するなど開発が進んでおり、「ウクライナの戦場上空には、大物を狙って日々進化を続ける高速飛行 FPV が溢れ、仮にヘリの脂弱な後部プロペラ等に誘導できれば、大きな損害を与え得るレベルに達しつつあったことも事実だ」とも述べ、今回の事象を世界の軍事関係者が強い関心をもって注視しているとしています
2022年2月にロシアがウクライナ侵略を開始して以降、ロシア軍は326機のヘリを失った可能性があるとウ軍情報部は見積っており、様々な防空システムの展開により、戦場前線でのヘリの有人飛行が極めて困難になりつつあることが多くの軍事関係者の間で共通認識となりつつあるとも同分析官は語っています
同分析官は更に、ドローンはその威力を増すために「群れやグループ」での飛行能力向上に向けた開発が進んでおり、顕在化しつつあったヘリの脂弱性を無視できなくなりつつあると語っています。
またウクライナ国防省の Serhii Kuzan元顧問は、「戦闘でのヘリコプターの将来使用は、特に無人システムの発展に伴い、再考される可能性があり、またそうすべきだ」、「ロシア・ウクライナ戦争後、攻撃手段としてのヘリコプターの役割が変わる可能性は大いにある。潜在的に、この機能は攻撃ドローンや無人ヘリコプターによっ置き換わる可能性があるからだ」と Defense-Newsに述べています
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ウクライナや中東で猛威を振るう無人機の現状を踏まえ、戦闘機が担ってきた「中及び高高度域」を押さえる「航空優勢」の概念を再考し、無人機が支配しつつある「低高度の航空優勢」含めて再定義すべきと訴え、次期制空機NGAD 開発を「再精査すべき」とか「一つのオプションに過ぎない」と米空軍首脳が語り始める中で、同様の大きな変革の流れで、無人機と活動高度帯が重なる「低高度帯域」で生きてきた軍用ヘリコプターの将来が不透明になりつつあるということです。
この迫りくる軍事変革の波を、今でも空を支配していると錯覚している戦闘機命派はどのように見ているのでしょうか? 脅威の変化の最前線に位置しながら、F-35を100機以上も導入する愚行を犯し、更に英国とイタリアに巻き込まれ、泥沼の役立たず次世代戦闘機開発を進める航空自衛隊の戦闘機命派に、天はどのような裁きを下されるのでしょうか・・・
航空優勢を再考する
「重要だが不可能だし必要もない」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
米空軍は次世代制空機あきらめムード
「数か月保留で再精査」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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北朝鮮の核戦略:エスカレーションではなく核で開戦 [安全保障全般]
核による先制攻撃のための偵察衛星
「いまや戦争の脅しは、核戦争の脅しにかわった。北朝鮮が戦争をしていないことは平和を必ずしも意味せず、戦争するとの脅迫が続くことでもあり得る。この強要戦略に必要なドクトリンが、核で戦争を始める先制である。」
8月6日付防衛研究所 NIDS コメンタリーで、渡邊式・地域研究部アジア・アフリカ研究室長が「北朝鮮の先制ドクトリンー核へのエスカレーションではなく、核で始まる戦争」との、やや難解な論考を発表していますで、想像をたくましくしながら、まんぐーすが少しアレンジしながら勝手な理解でご紹介します
まず、日本語の「先制」は単に先に攻撃を仕掛ける意味が含まれるが、本稿でいう「先制」は、英語 Preemptionの語意に従い、相手が攻撃に着手するなど差し迫った脅威を除去する行動を指している・・・との脚注1に留意して読む必要がある論考ですが、最近は誰も相手にしない北朝鮮が、通常兵器で米韓に大劣勢である状況や、韓国国民をも核「先制」攻撃の対象として脅迫するまでに追い込まれている現状を、改めて思い知らされる論考ですので取り上げます。
渡邊アジア・アフリカ研究室長によれば
●核兵器使用に関し、ロシアは「先行」使用(First Use、戦時に相手より先に核へのエスカレートをする方針)を 2020年6月にプーチンが署名した文書で明確に示し、ロシアは「国家の存在を危険にある」場合、「通常兵器」による攻撃に対しても核で報復し得るし、政府や軍の重要施設への攻撃があり、それが核戦力の行動を難しくするならば、敵の攻撃手段が核でなくてもロシアの対応は核によるものとなり得る、と表現している
●同様に北朝鮮も、2022年9月公式化のドクトリンでは、ほぼ同様な条件での「先行」使用を表明し、「国家指導部と国家核戦力指揮機構」に対する「核および非核攻撃」、あるいは「国家の重要戦略対象」への「軍事的攻撃」には、核兵器で対応すると表現していた。
●ただ北朝鮮がロシアと異なるのは、これら非核攻撃がまだ現実化していなくても、「差し迫った」ならぱ核兵器を使用するという、「先制」も表明している点である。北ドクトリンは、自らに対する「核兵器またはその他大量破壊兵器攻撃が敢行されるか、差し迫ったと判断される場合」に核を使用するとしている
●北朝鮮が「先行」だけでなく「先制」にまで踏み込んだのは、北朝鮮は通常戦力で米韓に対し著しく劣勢で、ロシアのように軍事攻撃のエスカレーションとして敵より先に核使用する形は難しく、北朝鮮にとって「先行」使用の有用性は限られる
●また北朝鮮は、開戦を脅迫のオプションとして維持している。プーチンはウクライナとの戦争を始めてしまった結果、ウクライナに戦争を仕掛けると脅迫できなくなった。対照的に金正恩は戦争を保留していることで、戦争すると脅迫し続けられる。
●実際、2023年12月末、金正恩は「核兵器」を含む手段を動員して「南朝鮮全領土を平定する」準備を進めると演説しており、これは、開戦していないから可能な脅迫である。開戦を脅しに核を最大限に活用する手段は、開戦した後で核にエスカレートする先行使用ではなく、開戦が核使用を意味する先制であろう。
●劣勢の通常兵器で開戦すると脅迫しても信ぴょう性は低い。核兵器によって開戦する先制ドクトリンがあれば、金正恩が本当に発言通りに行動するかもしれないとの切迫感を韓国側に抱かせ得るのである。
///////////////////////////////////////////////////////
渡邊室長は論考の後半で・・・
●北朝鮮幹部が、韓国軍を「無慈悲にせん滅」するとか、韓国軍が北朝鮮を「先制打撃」すれば、核攻撃により「南朝鮮軍は壊滅、全滅に近い凄惨な運命」に直面するのであり「核保有国を相手とする軍事的妄想を控えねばならない」との発言をしていること、
●また、危険を招く現政権をなぜ韓国国民がそのままにするのかと述べ、文在政権時には「少なくともソウルは我々の標的ではなかった」と警告していることから、韓国市民への核攻撃を示唆して脅迫することに使用している・・・との見方も紹介しています
最近は特にNK内の食糧事情が厳しく、異常気象による水害多発等もあり、かりあげクンが政権幹部や軍部等による反逆やクーデターを真剣に懸念しているとの噂に接することが多いのですが、核兵器での「開戦」や「先制」カードをちらつかせるほど、内部的には弱みを見せることにつながっているのでは・・・といらぬ心配をしてしまいます
数少ない最近のNK関連記事
「北朝鮮からハマスへの武器提供」→https://holylandtokyo.com/2023/10/24/5166/
「水中核爆発津波兵器をアピール」→https://holylandtokyo.com/2023/03/27/4452/
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「いまや戦争の脅しは、核戦争の脅しにかわった。北朝鮮が戦争をしていないことは平和を必ずしも意味せず、戦争するとの脅迫が続くことでもあり得る。この強要戦略に必要なドクトリンが、核で戦争を始める先制である。」
8月6日付防衛研究所 NIDS コメンタリーで、渡邊式・地域研究部アジア・アフリカ研究室長が「北朝鮮の先制ドクトリンー核へのエスカレーションではなく、核で始まる戦争」との、やや難解な論考を発表していますで、想像をたくましくしながら、まんぐーすが少しアレンジしながら勝手な理解でご紹介します
まず、日本語の「先制」は単に先に攻撃を仕掛ける意味が含まれるが、本稿でいう「先制」は、英語 Preemptionの語意に従い、相手が攻撃に着手するなど差し迫った脅威を除去する行動を指している・・・との脚注1に留意して読む必要がある論考ですが、最近は誰も相手にしない北朝鮮が、通常兵器で米韓に大劣勢である状況や、韓国国民をも核「先制」攻撃の対象として脅迫するまでに追い込まれている現状を、改めて思い知らされる論考ですので取り上げます。
渡邊アジア・アフリカ研究室長によれば
●核兵器使用に関し、ロシアは「先行」使用(First Use、戦時に相手より先に核へのエスカレートをする方針)を 2020年6月にプーチンが署名した文書で明確に示し、ロシアは「国家の存在を危険にある」場合、「通常兵器」による攻撃に対しても核で報復し得るし、政府や軍の重要施設への攻撃があり、それが核戦力の行動を難しくするならば、敵の攻撃手段が核でなくてもロシアの対応は核によるものとなり得る、と表現している
●同様に北朝鮮も、2022年9月公式化のドクトリンでは、ほぼ同様な条件での「先行」使用を表明し、「国家指導部と国家核戦力指揮機構」に対する「核および非核攻撃」、あるいは「国家の重要戦略対象」への「軍事的攻撃」には、核兵器で対応すると表現していた。
●ただ北朝鮮がロシアと異なるのは、これら非核攻撃がまだ現実化していなくても、「差し迫った」ならぱ核兵器を使用するという、「先制」も表明している点である。北ドクトリンは、自らに対する「核兵器またはその他大量破壊兵器攻撃が敢行されるか、差し迫ったと判断される場合」に核を使用するとしている
●北朝鮮が「先行」だけでなく「先制」にまで踏み込んだのは、北朝鮮は通常戦力で米韓に対し著しく劣勢で、ロシアのように軍事攻撃のエスカレーションとして敵より先に核使用する形は難しく、北朝鮮にとって「先行」使用の有用性は限られる
●また北朝鮮は、開戦を脅迫のオプションとして維持している。プーチンはウクライナとの戦争を始めてしまった結果、ウクライナに戦争を仕掛けると脅迫できなくなった。対照的に金正恩は戦争を保留していることで、戦争すると脅迫し続けられる。
●実際、2023年12月末、金正恩は「核兵器」を含む手段を動員して「南朝鮮全領土を平定する」準備を進めると演説しており、これは、開戦していないから可能な脅迫である。開戦を脅しに核を最大限に活用する手段は、開戦した後で核にエスカレートする先行使用ではなく、開戦が核使用を意味する先制であろう。
●劣勢の通常兵器で開戦すると脅迫しても信ぴょう性は低い。核兵器によって開戦する先制ドクトリンがあれば、金正恩が本当に発言通りに行動するかもしれないとの切迫感を韓国側に抱かせ得るのである。
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渡邊室長は論考の後半で・・・
●北朝鮮幹部が、韓国軍を「無慈悲にせん滅」するとか、韓国軍が北朝鮮を「先制打撃」すれば、核攻撃により「南朝鮮軍は壊滅、全滅に近い凄惨な運命」に直面するのであり「核保有国を相手とする軍事的妄想を控えねばならない」との発言をしていること、
●また、危険を招く現政権をなぜ韓国国民がそのままにするのかと述べ、文在政権時には「少なくともソウルは我々の標的ではなかった」と警告していることから、韓国市民への核攻撃を示唆して脅迫することに使用している・・・との見方も紹介しています
最近は特にNK内の食糧事情が厳しく、異常気象による水害多発等もあり、かりあげクンが政権幹部や軍部等による反逆やクーデターを真剣に懸念しているとの噂に接することが多いのですが、核兵器での「開戦」や「先制」カードをちらつかせるほど、内部的には弱みを見せることにつながっているのでは・・・といらぬ心配をしてしまいます
数少ない最近のNK関連記事
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紛争地域周辺で発生する民間機等へのGPS妨害 [安全保障全般]
波及効果(スピルオーバー)かハイブリッド攻撃かの判断が必要
ジュネーブ条約に沿った見極めが適当なのか?
東欧や北欧諸国での事例でケーススタディー
7月13日付共同通信が、世界の紛争地周辺で GPSなど衛星利用測位システムへの妨害が深刻化し、民間機が航路を外れたり、着陸できなかったりする事案や、地図アプリの不具合など近隣国の市民生活にも支障が出ていると取り上げ、トルコの首都アンカラや黒海沿岸、エジプトのシナイ半島、ミャンマーの国境付近では少なくとも過去半年間、GPS が不安定な状態が続いていると報じています。(注・・・中東シリア周辺では10年以上も)
また、原因は軍事拠点を無人機やミサイル攻撃から守るための紛争当事国による局地的な妨害行為であるが、ロシアのウクライナ侵攻やイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘開始以降に妨害が急増し、例えばFT 紙は今年4月だけで民間機も3万機が誤誘導を狙った妨害電波(スプーフィング)の影響を受けたと報じている模様です。
以下では、7月10日付米空軍協会 web 記事が掲載した、ロシアが発信源のGPS妨害電波により、バルト 3国や北欧・東欧諸国が影響を受けている状況と、その法的な解釈についてご紹介し、本問題への対処の難しさを考える機会としたいと思います
バルト 3国や北欧・東欧諸国が影響を受けている現状
●ロシア領内の地上から発言されたGPSと同周波数の強力な電波信号により、エストニア第2の規模のタルトゥ空港が閉鎖に追い込まれたり、民間航空機が迂回を余儀なくされる事態が、ラトビアとリトアニアの一部、バルト海を挟んだフィンランドとスウェーデン、さらには遠くはポーランドとドイツにも及んでいる
●分析によれば、妨害電波はラトビアとポーランドに挟まれたバルト海沿岸の港湾飛び地力 リーニングラードを含むロシア領内の地上 3か所から発信されている
●エストニア外相はこの妨害を、同国へのサイバー攻撃、同国内での倉庫や造船所での謎の火災など、NATO軍事行動を発動する第5条の基準にギリギリ抵触しない、ロシアによる「グレーゾーン」なハイブリッド戦争の一部だと非難し、スウェーデンとリトアニアの当局者も同じ立場で主張をしている
ロシアの周辺への GPS妨害は攻撃行為か?
●欧州の非政府系組織ハイブリッド CoE(ヘルシンキ所在のハイブリッド脅威対策研究センター)は、この妨害は、ロシアが自国軍や発電所など重要施設へのウクライナのGPS 誘導ドローン攻撃を阻止するために発信している妨害電波による波及効果(スピルオーバー)の可能性が高く、周辺の民航機や空港に危害を加える戦略的意図を持ったものではないことから、ハイブリット攻撃とは言えないとの見解を示している
●この見方については、米サイバー軍法務幹部を務めた軍事弁護士のサンガー退役海兵隊中佐など他の専門家も、ロシアの妨害が周辺国の地上に影響を与えていないことや、ロシアにとって GPSを使用するウクライナ軍は合法的な標的であることから、ハイブリット攻撃ではなく波及効果(スピルオーバー)で、ジュネーブ条約違反とは言い難いとみている
●ただ、NATO幹部は西側専門家の見解に理解を示しつつも、「ロシアの不注意な妨害活動」や「波及効果(スピルオーバー)に対する西側とは全く異なる無責任な判断基準」が、1日平均 350便の民間航空便に影響を与え、安全上のリスクとなっている現状を強く懸念し、米国や西側諸国は一般に、国際法で定められた基準よりも高い基準を自らに課していると主張している
ジュネーブ条約による解釈への疑問
●ジュネーブ条約は一般的に、戦闘員に対し、軍事攻撃や作戦が非戦闘員に与える影響が、それによって得られる軍事的利益よりも大きいかどうか、比較検討するよう義務付けている。バルト海周辺地域で見られたGPS妨害は、直接的な人命損失や財産の破壊を引き起こしていないため、たとえ経済的損失が深刻であったとしても、ジュネーブ条約に抵触しない可能性が高い
●ただ米国関係者は、エストニアで 2番目に大きな空港が閉鎖に追い込まれた事態を取り上げ、「ポストンやロサンゼルス国際空港が1か月閉鎖に追い込まれて、それを現代社会において波及効果(スピルオーバー)として見過ごすことができるだろうか」と強い疑問を投げかけている。
●別の専門家は、サイバー攻撃による被害と反撃強度の判断と同様に、グレーゾーン活動に付随する対応措置列度レベル判断の難しさを示す典型的な例だとし、GPS妨害について、いつ、どのようにハイブリッド活動だと特定するかの問題は、関連の対応も含め政治的リーダーシップの役割が最重要になると述べている。
/////////////////////////////////////////////
ここで議論の土台となっているジュネーブ条約など、戦争や紛争を議論する基礎となってきた基準が、現代の紛争議論に必ずしも適さなくなってきたことを示す、更なる事例ということでしょう
ところで、本題からは離れますが、冒頭でご紹介した共同通信による「世界の紛争地周辺でGPS妨害が深刻化」との記事は、ロシアやイスラム過激派によるGPS妨害活動が原因であることに全く触れておらず、共同通信の「中国や過激派(日本共産党を含む)に寄り添う」姿勢を明確に示している点でも興味深いです
GPS 妨害に備えて
「妨害に強いGPS衛星開発」→https://holylandtokyo.com/2024/02/25/5571/
「米陸軍の妨害対処 GPS機器が高評価」→https://holylandtokyo.com/2024/02/21/5559/
「GPS妨害に備え地磁気航法」→https://holylandtokyo.com/2023/06/13/4731/
「陸軍兵士がGPS なし訓練に苦労」→https://holylandtokyo.com/2022/12/22/4077/
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ジュネーブ条約に沿った見極めが適当なのか?
東欧や北欧諸国での事例でケーススタディー
7月13日付共同通信が、世界の紛争地周辺で GPSなど衛星利用測位システムへの妨害が深刻化し、民間機が航路を外れたり、着陸できなかったりする事案や、地図アプリの不具合など近隣国の市民生活にも支障が出ていると取り上げ、トルコの首都アンカラや黒海沿岸、エジプトのシナイ半島、ミャンマーの国境付近では少なくとも過去半年間、GPS が不安定な状態が続いていると報じています。(注・・・中東シリア周辺では10年以上も)
また、原因は軍事拠点を無人機やミサイル攻撃から守るための紛争当事国による局地的な妨害行為であるが、ロシアのウクライナ侵攻やイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘開始以降に妨害が急増し、例えばFT 紙は今年4月だけで民間機も3万機が誤誘導を狙った妨害電波(スプーフィング)の影響を受けたと報じている模様です。
以下では、7月10日付米空軍協会 web 記事が掲載した、ロシアが発信源のGPS妨害電波により、バルト 3国や北欧・東欧諸国が影響を受けている状況と、その法的な解釈についてご紹介し、本問題への対処の難しさを考える機会としたいと思います
バルト 3国や北欧・東欧諸国が影響を受けている現状
●ロシア領内の地上から発言されたGPSと同周波数の強力な電波信号により、エストニア第2の規模のタルトゥ空港が閉鎖に追い込まれたり、民間航空機が迂回を余儀なくされる事態が、ラトビアとリトアニアの一部、バルト海を挟んだフィンランドとスウェーデン、さらには遠くはポーランドとドイツにも及んでいる
●分析によれば、妨害電波はラトビアとポーランドに挟まれたバルト海沿岸の港湾飛び地力 リーニングラードを含むロシア領内の地上 3か所から発信されている
●エストニア外相はこの妨害を、同国へのサイバー攻撃、同国内での倉庫や造船所での謎の火災など、NATO軍事行動を発動する第5条の基準にギリギリ抵触しない、ロシアによる「グレーゾーン」なハイブリッド戦争の一部だと非難し、スウェーデンとリトアニアの当局者も同じ立場で主張をしている
ロシアの周辺への GPS妨害は攻撃行為か?
●欧州の非政府系組織ハイブリッド CoE(ヘルシンキ所在のハイブリッド脅威対策研究センター)は、この妨害は、ロシアが自国軍や発電所など重要施設へのウクライナのGPS 誘導ドローン攻撃を阻止するために発信している妨害電波による波及効果(スピルオーバー)の可能性が高く、周辺の民航機や空港に危害を加える戦略的意図を持ったものではないことから、ハイブリット攻撃とは言えないとの見解を示している
●この見方については、米サイバー軍法務幹部を務めた軍事弁護士のサンガー退役海兵隊中佐など他の専門家も、ロシアの妨害が周辺国の地上に影響を与えていないことや、ロシアにとって GPSを使用するウクライナ軍は合法的な標的であることから、ハイブリット攻撃ではなく波及効果(スピルオーバー)で、ジュネーブ条約違反とは言い難いとみている
●ただ、NATO幹部は西側専門家の見解に理解を示しつつも、「ロシアの不注意な妨害活動」や「波及効果(スピルオーバー)に対する西側とは全く異なる無責任な判断基準」が、1日平均 350便の民間航空便に影響を与え、安全上のリスクとなっている現状を強く懸念し、米国や西側諸国は一般に、国際法で定められた基準よりも高い基準を自らに課していると主張している
ジュネーブ条約による解釈への疑問
●ジュネーブ条約は一般的に、戦闘員に対し、軍事攻撃や作戦が非戦闘員に与える影響が、それによって得られる軍事的利益よりも大きいかどうか、比較検討するよう義務付けている。バルト海周辺地域で見られたGPS妨害は、直接的な人命損失や財産の破壊を引き起こしていないため、たとえ経済的損失が深刻であったとしても、ジュネーブ条約に抵触しない可能性が高い
●ただ米国関係者は、エストニアで 2番目に大きな空港が閉鎖に追い込まれた事態を取り上げ、「ポストンやロサンゼルス国際空港が1か月閉鎖に追い込まれて、それを現代社会において波及効果(スピルオーバー)として見過ごすことができるだろうか」と強い疑問を投げかけている。
●別の専門家は、サイバー攻撃による被害と反撃強度の判断と同様に、グレーゾーン活動に付随する対応措置列度レベル判断の難しさを示す典型的な例だとし、GPS妨害について、いつ、どのようにハイブリッド活動だと特定するかの問題は、関連の対応も含め政治的リーダーシップの役割が最重要になると述べている。
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ここで議論の土台となっているジュネーブ条約など、戦争や紛争を議論する基礎となってきた基準が、現代の紛争議論に必ずしも適さなくなってきたことを示す、更なる事例ということでしょう
ところで、本題からは離れますが、冒頭でご紹介した共同通信による「世界の紛争地周辺でGPS妨害が深刻化」との記事は、ロシアやイスラム過激派によるGPS妨害活動が原因であることに全く触れておらず、共同通信の「中国や過激派(日本共産党を含む)に寄り添う」姿勢を明確に示している点でも興味深いです
GPS 妨害に備えて
「妨害に強いGPS衛星開発」→https://holylandtokyo.com/2024/02/25/5571/
「米陸軍の妨害対処 GPS機器が高評価」→https://holylandtokyo.com/2024/02/21/5559/
「GPS妨害に備え地磁気航法」→https://holylandtokyo.com/2023/06/13/4731/
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緊縮財政下のギリシャまでF-35購入へ [安全保障全般]
8月15日と16日はお休みします
財政破綻から回復途上で5年もの交渉の末に
まず20機で40機まで増加のオプション付き
米国含め19か国目のF-35契約国に
7月25日、ギリシャ国防省が米国とF-35導入交渉で合意に達したと発表し、具体的には2028年から機体提供開始、少なくとも20機を関連整備機材や初度部品等を含め約5300億円で、また追加オプションとして計40機までを約1兆3000億円で話がまとまったと明らかにしました。これでF-35導入に合意した国は、米国も含め19か国となります
ギリシャは2009年に表面化した財政悪化とポピュリズム政権誕生を受け「国家の破綻処理」まで検討された国で、当時は労働者の1/4が国家公務員で、財政悪化にもかかわらず公務員給与を毎年引き上げる大衆迎合政治が行われ、更に55歳から年金支給開始との甘々な放漫財政運営でした。その後EUからの「強い外圧」で財政改革を迫られ、徐々にその効果が見え始め、2023年9月にギリシャ国債が久しぶりに投資適格レベルの「トリプルB」に回復したところです。
ただ、依然としてギリシャのGDPはピーク時から3割減レベルにあり、またEU「外圧」による厳しい緊縮財政により、例えばごみ回収や様々な公共サービスが混乱状態で、アテネなど重要産業である観光を支える中心都市でも市街地にごみが散乱して治安が悪化する等、悲惨な社会状態にあることが漏れ聞こえてくる状態です
そんな中でのギリシャF-35導入合意ですが、ギリシャ政府は長年国境をめぐる係争を続けているトルコが、F-35導入には失敗したものの、F-16能力向上改修を縮小しEurofighter Typhoons戦闘機導入検討を示唆する動きに出ていることもあり、15年以上も事実上放置されてきた国防強化&投資に乗り出そうとしていると、7月25日付米空軍協会web記事は紹介しています
現在ギリシャ空軍は、F-16 Block 52数十機(大部分をF-16Vに改修中)を中心に、仏空軍の中古機を含むMirage 2000やRafaleを30機程度運用していますが、能力向上対象外のF-16や仏製戦闘機の売却を検討中と報じられており、ウクライナを含む国が相手先候補となっている模様です
//////////////////////////////////////
今もEU監視下で財政再建中のギリシャがなぜF-35???・・・と不思議な気がしていましたが、なんと同じNATO加盟国のトルコとの対立が背景の一つにあるとのこと。米国もロッキードも産軍複合体もめちゃくちゃですねぇ・・・。アジアのタイには厳しいくせに・・・
なお、2023年9月にF-35導入を政府決定したルーマニアが19か国目だと思っていましたが、まだ価格交渉がまとまっておらず9月まで米国との合意がづれ混む模様で、ギリシャがお先に19か国目になった模様です
ギリシャ観光を考えておられる方は、十分ご注意ください。相当治安がひどいみたいですから。また米民主党の大統領候補になりそうなカマラ・ハリス女史が司法長官を務めていた米カリフォルニア州も、サンフランシスコやロスを中心に、治安崩壊&企業や商業施設撤退で、相当混乱しているようです。野球の大谷翔平&ドジャース試合観戦目的の方も、警戒を怠りなく
【ご参考】ギリシャ以前のF-35導入合意国(購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(10か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、チェコ(24機)
最近のF-35関連話題の国
「ルーマニアも」→https://holylandtokyo.com/2023/04/18/4519/
「シンガポール追加」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
「カナダがやっと決定」→https://holylandtokyo.com/2023/01/12/4134/
「チェコが東欧で2番目」→https://holylandtokyo.com/2022/07/25/3492/
「フィンランドが15番目」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「スイスが14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
「ドイツも核任務用に」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
購入実質拒否された軍事政権で中国接近のタイ
「タイの購入打診は拒否」→https://holylandtokyo.com/2023/05/30/4702/
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財政破綻から回復途上で5年もの交渉の末に
まず20機で40機まで増加のオプション付き
米国含め19か国目のF-35契約国に
7月25日、ギリシャ国防省が米国とF-35導入交渉で合意に達したと発表し、具体的には2028年から機体提供開始、少なくとも20機を関連整備機材や初度部品等を含め約5300億円で、また追加オプションとして計40機までを約1兆3000億円で話がまとまったと明らかにしました。これでF-35導入に合意した国は、米国も含め19か国となります
ギリシャは2009年に表面化した財政悪化とポピュリズム政権誕生を受け「国家の破綻処理」まで検討された国で、当時は労働者の1/4が国家公務員で、財政悪化にもかかわらず公務員給与を毎年引き上げる大衆迎合政治が行われ、更に55歳から年金支給開始との甘々な放漫財政運営でした。その後EUからの「強い外圧」で財政改革を迫られ、徐々にその効果が見え始め、2023年9月にギリシャ国債が久しぶりに投資適格レベルの「トリプルB」に回復したところです。
ただ、依然としてギリシャのGDPはピーク時から3割減レベルにあり、またEU「外圧」による厳しい緊縮財政により、例えばごみ回収や様々な公共サービスが混乱状態で、アテネなど重要産業である観光を支える中心都市でも市街地にごみが散乱して治安が悪化する等、悲惨な社会状態にあることが漏れ聞こえてくる状態です
そんな中でのギリシャF-35導入合意ですが、ギリシャ政府は長年国境をめぐる係争を続けているトルコが、F-35導入には失敗したものの、F-16能力向上改修を縮小しEurofighter Typhoons戦闘機導入検討を示唆する動きに出ていることもあり、15年以上も事実上放置されてきた国防強化&投資に乗り出そうとしていると、7月25日付米空軍協会web記事は紹介しています
現在ギリシャ空軍は、F-16 Block 52数十機(大部分をF-16Vに改修中)を中心に、仏空軍の中古機を含むMirage 2000やRafaleを30機程度運用していますが、能力向上対象外のF-16や仏製戦闘機の売却を検討中と報じられており、ウクライナを含む国が相手先候補となっている模様です
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今もEU監視下で財政再建中のギリシャがなぜF-35???・・・と不思議な気がしていましたが、なんと同じNATO加盟国のトルコとの対立が背景の一つにあるとのこと。米国もロッキードも産軍複合体もめちゃくちゃですねぇ・・・。アジアのタイには厳しいくせに・・・
なお、2023年9月にF-35導入を政府決定したルーマニアが19か国目だと思っていましたが、まだ価格交渉がまとまっておらず9月まで米国との合意がづれ混む模様で、ギリシャがお先に19か国目になった模様です
ギリシャ観光を考えておられる方は、十分ご注意ください。相当治安がひどいみたいですから。また米民主党の大統領候補になりそうなカマラ・ハリス女史が司法長官を務めていた米カリフォルニア州も、サンフランシスコやロスを中心に、治安崩壊&企業や商業施設撤退で、相当混乱しているようです。野球の大谷翔平&ドジャース試合観戦目的の方も、警戒を怠りなく
【ご参考】ギリシャ以前のF-35導入合意国(購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(10か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、チェコ(24機)
最近のF-35関連話題の国
「ルーマニアも」→https://holylandtokyo.com/2023/04/18/4519/
「シンガポール追加」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
「カナダがやっと決定」→https://holylandtokyo.com/2023/01/12/4134/
「チェコが東欧で2番目」→https://holylandtokyo.com/2022/07/25/3492/
「フィンランドが15番目」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「スイスが14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
「ドイツも核任務用に」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
購入実質拒否された軍事政権で中国接近のタイ
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イランの攻撃に備え米軍がイスラエル防衛部隊増強へ [安全保障全般]
8月1日の米イ首脳電話会談受け2日国防長官指示
細部は検討中も、派道元も派遣先も派遣情報公開に慎重
空母を維持し、4月と同様に戦闘機とミサイル防衛装備増派へ
8月2日付各種メディアは、7月30日のベイルートでのヒズボラ幹部フアード・シュクルの暗殺や、同31日のテヘランでのハマス指導者イスマイル・ハニヤの暗殺への対応として、イランがイスラエルへの報復を明らかにしたことを受け、1日の米イスラエル首脳電話会談での合意を踏まえ、2日に米国防長官がイスラエル防衛のための戦闘機や艦艇の追加増強を発表したと伝えています
具体的には、4月の150発以上の弾道&巡航ミサイルや、130機以上の無人機によるイランによるイスラエル攻撃時にも緊急追加派遣した、弾道ミサイル迎撃能力がある巡洋艦・駆逐艦や地上配備迎撃ミサイル部隊の周辺地域追加派遣や、戦闘機部隊の派遣など、防空能力強化のための幅広い選択肢を検討中と国防省報道官が説明しています。
匿名の米国当局者は、現在中東にいる米海軍の駆逐艦2隻が紅海を北上し地中海に向かう予定で、必要なら、少なくとも 1隻は地中海に留まる可能性があると語った模様ですが、受け入れ国が米軍の増派に非常に敏感で動きを公表したくないと要望しているらしく、どこまで派遣部隊の詳細が明らかになるかは不透明です
ただ、太平洋から中東に再展開して過去 2か月間この地域を担当していた空母「セオドア・ルーズベルト」打撃群に代わり、空母「エイブラハム・リンカーン」打撃群を派遣することは同報道官が明らかにしています。
//////////////////////////////
4月13日のイランによるイスラエル攻撃時は、防衛研究所・西野主任研究官によれば・・・・
●イランは攻撃による事態エスカレーションを望まず、イランのイスラエルに対する強い姿勢を自国民に見せるため、攻撃を大規模に見せかけつつ、攻撃による大きな被害を出さないよう対策した。
●イスラエル側の被害発生を防ぐため、イランは攻撃の実施時期や概要を、事前にトルコ、サウジアラビア、UAE など中東諸国に事前通告することで、情報を間接的に米国やイスラエルへ届けて、イスラエル側が十分な防衛体制を準備できるようにした。
●イスラエル軍は米英軍などと連携・協力し、情報を生かしてイラン攻撃に対処した。
・・・らしいですが、今回は果たして・・・・。 五輪開催中ではありますが、緊張感高まる 中東情勢です。
4月のイラン攻撃とイスラエル対応
「西野主任研究官によれば」→https://holylandtokyo.com/2024/04/25/5847/
「出来すぎのイラン攻撃への迎撃作戦概要」→https://holylandtokyo.com/2024/04/16/5812
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細部は検討中も、派道元も派遣先も派遣情報公開に慎重
空母を維持し、4月と同様に戦闘機とミサイル防衛装備増派へ
8月2日付各種メディアは、7月30日のベイルートでのヒズボラ幹部フアード・シュクルの暗殺や、同31日のテヘランでのハマス指導者イスマイル・ハニヤの暗殺への対応として、イランがイスラエルへの報復を明らかにしたことを受け、1日の米イスラエル首脳電話会談での合意を踏まえ、2日に米国防長官がイスラエル防衛のための戦闘機や艦艇の追加増強を発表したと伝えています
具体的には、4月の150発以上の弾道&巡航ミサイルや、130機以上の無人機によるイランによるイスラエル攻撃時にも緊急追加派遣した、弾道ミサイル迎撃能力がある巡洋艦・駆逐艦や地上配備迎撃ミサイル部隊の周辺地域追加派遣や、戦闘機部隊の派遣など、防空能力強化のための幅広い選択肢を検討中と国防省報道官が説明しています。
匿名の米国当局者は、現在中東にいる米海軍の駆逐艦2隻が紅海を北上し地中海に向かう予定で、必要なら、少なくとも 1隻は地中海に留まる可能性があると語った模様ですが、受け入れ国が米軍の増派に非常に敏感で動きを公表したくないと要望しているらしく、どこまで派遣部隊の詳細が明らかになるかは不透明です
ただ、太平洋から中東に再展開して過去 2か月間この地域を担当していた空母「セオドア・ルーズベルト」打撃群に代わり、空母「エイブラハム・リンカーン」打撃群を派遣することは同報道官が明らかにしています。
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4月13日のイランによるイスラエル攻撃時は、防衛研究所・西野主任研究官によれば・・・・
●イランは攻撃による事態エスカレーションを望まず、イランのイスラエルに対する強い姿勢を自国民に見せるため、攻撃を大規模に見せかけつつ、攻撃による大きな被害を出さないよう対策した。
●イスラエル側の被害発生を防ぐため、イランは攻撃の実施時期や概要を、事前にトルコ、サウジアラビア、UAE など中東諸国に事前通告することで、情報を間接的に米国やイスラエルへ届けて、イスラエル側が十分な防衛体制を準備できるようにした。
●イスラエル軍は米英軍などと連携・協力し、情報を生かしてイラン攻撃に対処した。
・・・らしいですが、今回は果たして・・・・。 五輪開催中ではありますが、緊張感高まる 中東情勢です。
4月のイラン攻撃とイスラエル対応
「西野主任研究官によれば」→https://holylandtokyo.com/2024/04/25/5847/
「出来すぎのイラン攻撃への迎撃作戦概要」→https://holylandtokyo.com/2024/04/16/5812
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