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プーチンが新型戦闘機Checkmateを披露 [安全保障全般]

20日開会のMAKS-2021航空宇宙ショーで
F-35に機種選定で敗れた米企業候補機の特徴酷似?
西側制裁下で青息吐息の露軍需産業も必死
ロシア国産エンジン搭載の旅客機MS-21も披露へ

Putin checkmate.jpg20日、恒例のロシア最大の航空宇宙展示会&航空ショー「MAKS-2021 International Aviation and Space Salon」がスタートし、プーチン大統領自らがロシアのスホーイ社が開発中の新型戦闘機「Checkmate」開発をアピールしました

「Checkmate」は「LTS:Light Tactical Aircraft」計画として開発が進められており、同航空ショーではモックアップが展示されるだけですが、2023年初飛行、2026年に提供開始を予定している西側でいう「第5世代」戦闘機カテゴリー機で、ロシアは海外輸出も狙っているようです

Sukhoi checkmate5.jpgロシアの最新ステルス機と言われるツインエンジンのSu-57より小型で、シングルエンジンの「Checkmate」は、速度マック1.8~2、航続距離3000㎞と宣伝されています

また今どきの戦闘機の流れに乗り遅れないよう、「Checkmate」は無人型も製造可能で、AI搭載で自律的な作戦運用にも対応可能だとスホーイ社を保有する巨大ロシア国営軍需企業Rostecは説明し、加えてF-35に対抗するように、維持整備コストの低さをアピールしています

21日付米空軍協会web記事によれば
●航空ショーでのスホーイ公式説明
・ 価格は1機27億~34億円、アフリカ、インド、ベトナムに約300機の需要を見込む
・ 「他の第5世代機を上回り、第6世代機にも対抗可能」
・ 短距離離着陸STOL性能を備え、兵装含め最大離陸重量は15000ポンド
・ 戦闘行動半径は930nm(F-35は770nm)
・ 最大対応荷重は8G(F-35Aは9G、BとC型は7.5G)
・ エンジン推力は32000ポンド(F-35は40000ポンド)
・ AESAレーダー搭載 

●会場での目視確認によれば
・ コックピット計器は大ディスプレー1台と小型複数(F-35は大1台)
・ 操縦者ヘルメットは不明、ガンも不明

スホーイ社の公式紹介映像?(約24分)


19日付米空軍協会web記事によれば
「Checkmate」は奇妙なことに、1990年代に今のF-35との機種選定に敗れた2種類の機体の特徴を持っている

Sukhoi CheckMate.jpg例えば、ボーイングが提案していたX-32のような、胴体下部に三角形に飛び出した大きなエンジン空気取り込み口や、胴体尾部にまで届かない程度の短めのデルタ翼を採用している
また、スタビライザーやエレベーターも、X-32やMcDonnell Douglas社のYF-23のように、斜めになった形状となっている。ちなみにYF-23は、ロッキードF-22に敗れた機体である

Checkmateの尾部は、レーダー反射面積を減らすため、また機動性を追求するため、表面積を減らす形状を追求している
最近のミグ社やスホーイ社の戦闘機と同じ流れで、キャノピーはバブル型で後方にスライドし、赤外線追尾用IRSTも搭載されている

様々な写真やネット上に出回っているが、Checkmateは「Saturn AL-41F1」エンジンの派生形を搭載すると予期されており、一方でエンジン付近の外形がF-35用のF135エンジンに似ているとみる専門家もいる
ネット上の写真には内装爆弾庫の扉が開いた状態のものがあるが、その細く長い形状から長射程空対空ミサイルを1発か、小型の空対空ミサイルR-60 Aphid級を複数搭載するのではないかと見られている。KH-59MK対艦ミサイル搭載のイメージ図も同航空ショーで見られたが、主要兵器と考えられているのかは不明

Sukhoi CheckMate2.jpg西側戦闘機では標準となりつつある「active electronically scanned array radar」の搭載については、写真等からは判断が難しい。またF-35では機体各所に装着されている各種センサーの状態についてもよくわからない
翼の付け根等が大きくらんでいることから、燃料搭載量増を意識していると考えられる。また外装燃料タンク装着を意図している証拠は確認できない

ステルス性については、もう少し多方向からの写真がないと判断は難しいが、Su-57が全方面ステルス性を保有していなかったように、前方方向からのみのステルス性を追求している可能性はある

TBS報道(21日TBS)


テレ東Biz報道(21日)


20日付Military.com記事によれば
Rostec社は数日前から同機の宣伝活動を活発化させており、黒いベールで隠した同機のシルエットをあしらった映像や、インド、UAE、アルゼンチン、ベトナムからの顧客が興味深く同機を見つめ評価する様子をプロモーション映像として流している

MS-21 Russia.jpgまた同航空ショーでロシアは、MS-21との新型旅客機のプロモーションにも力を入れている。この機体はボーイングやエアバス社などの欧米勢に対抗するため設計されたものであるが、2014年のウクライナ併合による西側からの経済制裁でエンジンなど主要部品の輸入が出来なくなり開発が遅れていたものである
ロシアは何とか旅客機用エンジンを自国開発してMS-21に搭載し、MAKS-2021航空宇宙ショーでの展示にこぎつけた

プーチン大統領は同航空ショーの開会イベントでスピーチし、「この場で我々は、ロシアの航空宇宙業界が如何に競争力ある航空機などを生み出せる潜在能力を保有しているかを、内外に示すことになる」と語った
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Sukhoi CheckMate3.jpg西側で言う第5世代機クラスであるならば、F-35の他にもライバルは多く、韓国のKF-21、トルコのTF-X、中国のFC-31、日本のF-2後継機、仏独西共同開発のFuture Combat Air Systemなどが競争相手とも考えられます

Su-57も相当開発が遅れ、海外に買い手はなく、ロシア国内でも配備も始まったかどうかのだったような気がしますが、経済制裁の中、2023年に初飛行、2026年配備開始とのCheckmate計画が、どこまで可能なのか、生暖かく見守りましょう・・・

最近のロシア戦闘機の話題(古い記事ですが)
「プーチンがトルコ大統領にSu-57Eを売り込み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-28-1
「トルコはSU-35に興味か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-29

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NATOが米本土に初の統合軍司令部JFC- Norfolk [安全保障全般]

対露潜水艦作戦を主に大西洋と北極圏をカバー
司令官は上記作戦専門の米海軍第2艦隊指揮官と兼務
主要幹部には海軍士官がずらり

Milley NATO.jpg15日、NATOの新たな統合軍司令部(JFC- Norfolk:Joint Force Command Norfolk)がヴァージニア州Norfolkで完全運用態勢に入り、Norfolk港に停泊中の米海軍強襲揚陸艦USS Kearsarge上で行われた式典で、司令官のAndrew Lewis米海軍中将やMark Milley米統合参謀本部議長がその意義を式辞の中で語りました

NATOの複雑な軍事機構については、外務省作成のわかりやすいパワポ資料でお勉強いただくとして、ざっくり申し上げると・・・

●ブラッセルに連合軍最高司令部(SHAPE)があり、その下に
・欧州大陸を見る統合軍司令部JFC- Brunssum(オランダ)
・地中海を見るJFC- Naples(イタリア)
・大西洋&北極圏を見るJFC- Norfolk(米)が誕生

分かりやす~い外務省作成のNATO説明パワポ資料
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100156880.pdf

Milley NATO3.jpgJFC- Norfolk司令官Lewis米海軍中将は、北大西洋での対ロシア潜水艦作戦を用に2019年末に創設された米海軍「第2艦隊」の司令官を兼務しており、つまりのところ、この「JFC- Norfolk」はロシア潜水艦対処をNATOとして行う作戦司令部だと考えてOKです

ですから「JFC- Norfolk」は、米海軍「第2艦隊」が完全運用体制を確立した2019年12月末に「初期運用態勢」を確立し、約1年半後の7月15日に「完全運用態勢」確立して作戦司令部が正式発足に至ったという流れの中にあります

米海軍「第2艦隊」は任務が対露潜水艦作戦に絞られ、基本的に潜水艦情報を集約して作戦指揮することに特化していることから人員が200名程度と小規模ですが、「JFC- Norfolk」がどの程度の規模なのか不明です。おそらく、「第2艦隊」に欧州NATO加盟国からの潜水艦作戦関係者が派遣増強されて構成されているものと推察します

NATO Norfolk.jpgご紹介している写真は15日の式典の様子や式典後の司令官による部隊視察の様子ですが、Milley米統合参謀本部議長以外は海軍の白い制服を着た勤務者ばかりであることが見て取れます

以下では、15日の式典でのLewis新司令官やMilley議長のスピーチの一部をご紹介しますが、同議長が20分間もスピーチして、将来の大規模紛争を避けるために一丸となって取り組む必要があると強調しています(以下では概要のみ紹介ですが、Defense-News記事が多く引用してますので興味のある方はリンクから見てください)

15日付Defense-News記事によれば
Lewis.jpgLewis司令官は「第3の統合軍司令部となるJFC- Norfolkの創設は、北米と欧州を結ぶリンクを構築し、NATOの集団安全保障を望まれる全方位態勢に深化させるものである」、「JFC- Norfolkは初の北米所在のNATO統合軍司令部として、NATO内で大西洋の重要性を訴え、即応態勢を維持することに貢献する」と式典で述べた
そして同司令官は「我々はもはや、WW2後に確保していた大西洋のコントロールを維持できていない」、「気候変動によるハリケーンなど強力な自然災害や、北極圏での氷の融解に起因する地下資源等を巡る争いの激化などが懸念材料として浮上してきている」、「我々はこの水域で脅威に直面している。(ロシアや中国は)大西洋の北極圏から南極に至る地域でプレゼンスを増大させている」と情勢認識を語った

Milley NATO2.jpgMilley米統合参謀本部議長は、「JFC- Norfolkの任務は、有事に大西洋で戦うことである」、「WW2の歴史を振り返れば、ドイツのUボートに連合軍の海上輸送が苦しめられた苦い経験がある」、「欧州における将来戦の成否や、ひいてはNATOの生存は、この新コマンドの成否によるところが大である」と述べ、
「今後世界は不安定な時代に入ってゆく。WW2後に世界秩序を支えてきた国際協力のシステムを、幾つかの国やテロ組織やならず者国家が脅かそうとしているからだ」、「我々は今後10~15年に起こる技術革新がもたらす戦いの変化に乗り遅れることなく、相手に先んじて新技術に習熟して使いこなし、軍事ドクトリン改革を並行して進めることで、優位を確保し、大規模紛争を防止する必要がある」と訴えた
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トランプ政権時代に、NATO欧州諸国の国防費のGDP比率で大いにもめ始めましたが、その件に関しMilley議長は、「即応態勢の維持と装備近代化のバランスが重要だが、相手の近代化速度は急激であり、将来を考える時、組織全体で焦点を当て取り組むべきだ」と間接的な表現にとどめています

NATO.jpg外務省の資料を眺めてみると、いかにもNATOは複雑な組織です。NATO事務局長がいて、軍事機構には軍事委員会委員長がいて、ブラッセルの連合軍最高司令部(SHAPE)の下には、JFCのほかにも陸上司令部がトルコに、海上司令部が英国に、航空司令部がドイツに、統合支援司令部がドイツに・・と大変です

とにかく、米本土にNATOの統合軍司令部が初めて誕生したという点で意義あることだと関係者は強調していますが、作戦指揮や作戦統制が円滑に行われるよう祈念申し上げます

分かりやす~い外務省作成のNATO説明パワポ資料(12ページ)
日本とNATOの関係を整理した説明も
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100156880.pdf

2019年末発足の米海軍「第2艦隊」について
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-03

NATO関連の記事
「NATO会議の雰囲気は変わるか?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-17
「アジアやNATOにGDP2%要求」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-19
「B-52が全NATO諸国でプレゼンス飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-29-1
「NATO70周年の首脳会合は葬式の様相に?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-18-1

バイデン政権の国防姿勢関連
「オースチン長官が米軍態勢見直し指示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-06
「国防副長官が所信を述べる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-03
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09

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Bryan Clark氏意見投稿:ミニ原発開発は中止せよ [安全保障全般]

ミニ原発は攻撃目標となり危険とのシンプルな主張
展開先候補になる、日本、豪州、フィリピン等は今から頭の体操を

Portable nuclear3.jpg15日付Defense-Newsが、米国防省SCO(戦略的能力迅速計画室)が進めるサイバー攻撃等による電力網中断に備えた「ミニ原発開発」に反対するハドソン研Bryan Clark氏らの意見投稿を掲載し、中国やロシアの精密誘導兵器が進歩を遂げる中、標的となりやすい「ミニ原発」は非常に危険であり、他の代替手段検討に投資すべきとの主張を紹介しています

このミニ原発は、サイバー攻撃で電源網が被害を受けた際の主要基地機能確保や、僻地前線部隊の電源確保、レーザー兵器やレールガン等の大電力を必要とする新装備電源確保、また航空アセットを施設不十分な飛行場などで分散運用する場合の電力源等々として期待されるもので、ググると日本の東芝を含め基礎的な構想は主要な原発企業は古くから温めています

Portable nuclear5.jpg米国防省SCOを中心とした移動可能なタイプも含む「ミニ原発開発」は「Project Pele」と呼ばれ、サイバー攻撃による社会インフラへの脅威が現実のものとなる中、昨年3月当時の調達担当国防次官が「Project Pele」の重要性と事業加速の必要性を会見で訴えるなどしてきました

なお2022年度予算案には、「Project Pele」用に約65億円が計上されているようが、多方面の軍事問題でメディアからコメントを求められ、バランスの取れたコメントで信頼されているBryan Clark氏がわざわざ本件に意見投稿をしている点に注目し、ご紹介しておきますと

まず先に「Project Pele」関連の概要から・・・

2019年国防授権法が描くミニ原発活用構想
portable nuclear2.jpg2-10メガワット級を想定し、デモ機の効率性や安全性等を確認・実証するため、2023年にエネルギー省の試験施設での初期段階試験を構想
上記初期段階試験で所望の成果が得られた場合、米国原子力規制評議会の許可を受け、商業ベースで具体的開発を進め、2027年までに米本土の米軍基地で1号機の固定デモ運用構想

ミニ原発を基地内で運用開始後は、運用民間会社から電力を購入する形式で利用
約9割の米本土米軍基地の電力は40メガワット級の発電所でまかなえるが、サイバー攻撃停電に備え、ミニ原発で2-10メガワット程度を確保する方向目指す

Project Peleについて
portable nuclear.jpg2020年3月、1~5メガワット級の移動可能ミニ原発デザイン設計を競わせるため、3企業と総額約44億円の設計契約
安全かつ迅速に展開設置が可能で、かつ陸海空路で輸送可能なものを目指す
国防省のSCO(戦略的迅速計画室)が担当し、2年後に最も優れたものを1社選び、更にデモ機製造へ進む予定も、提案の成熟度によっては実用化しない可能性もあり

3企業とそれぞれとの契約額は・・・
--- BWX Technologies 約15億円
--- Westinghouse Government Services 約13億円
--- X-energy 約16億円

Bryan Clark氏とHenry Sokolski氏は反対意見を投稿し
Clark.jpg2007年に開始された「Project Pele」は、過去20年間の対テロ戦争時代を生き延びてきたが、今後の中露との対峙を見据えた時代には「時代遅れ」と言わざるを得ない
精密打撃力や我が方の基地を攻撃する能力の無い敵との戦いの時代には、ミニ原発も考慮の対象だったかもしれないが、精密誘導ミサイルや高性能攻撃用ドローンを使用する中露などを相手に想定するとき、第1の攻撃目標となるミニ原発を前線基地や前線の同盟国で運用することが可能だろうか?

小型原発が前線基地に十分な電力を供給し、エネルギー兵器や電動車両の運用が可能になり、前線への燃料輸送の負担が軽減されるにしても、多数の小型弾頭やタングステンの槍を装備した中国の弾道ミサイル攻撃も想定される前線基地に、ミニ原発を配備できるだろうか?
Portable nuclear4.jpg太平洋地域で対中国の前線を形成する重要な同盟国、つまり日本や豪州やフィリンピンは核に対する反発が強いが、果たしてミニ原発の展開を受け入れ、攻撃を受けた際の核汚染リスクを引き受けてくれるだろうか?

たとえそれが米国の影響力が強いグアム島や北マリアナ諸島だとしても、中国のミサイル射程内にあるこれらの島々の地元住民が、ミニ原発を歓迎するとは到底考えられない
仮にミニ原発を無事使用できたとしても、運用要員が使用した衣服や道具や廃棄物は全て「放射性廃棄物」として米本土に持ち帰る必要があろうし、その輸送や扱いは神経を要するだろう。つまり、ミニ原発は得られる恩恵よりもさらに大きな問題を我々にもたらすのだ

Portable nuclear6.jpgNASAやエネルギー省が、極地や惑星探査用にミニ原発開発に取り組むのは別として、「Project Pele」を大電力を要するエネルギー兵器や新型センサーや電子戦装備導入のために開発するのは正しい道ではない
これら大電力装備のために、国防省はより広範な技術分野に目を向け、発電や蓄電の次世代技術開発により焦点を当て、賞金付きコンテストを行ったり資金を出す道を選ぶべきである
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対中国の最前線国となる「日本や豪州やフィリンピン」での運用が想定されていることを忘れてはいけない問題です。

世界的なCO2排出量削減運動と同じで、代替手段に目途が立っていない中での「危険なミニ原発開発を中止せよ」論でした

常温核融合とか、発電や蓄電の世界で夢のある技術的ブレークスルーに期待するしかないのでしょうか? 元ZOZOの前澤さんも、もう少しこのような分野に「お金配り」してくれたらなぁ・・・と思います

Lord調達担当国防次官が必要性を訴えていた
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07

前CSBAのBryan Clark氏関連の記事
「イージスアショア撤退の日本に提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-28
「F-35搭載可能強襲揚陸艦の火災について」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-15
「FA-18後継機について」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-17
「F-35BとC型超音速飛行に制約」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「フォード級空母にレーザー兵器を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-05
「CSBA:大型艦艇中心ではだめ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10
「FA-18から2機の同機を操縦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-05-1
「空母の脆弱性を海軍トップに詰問」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-07

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米国家情報長官DNIがUFOレポート発表 [安全保障全般]

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正確には「予備的な未確認空中現象アセスメント」
2004年以降の144件について調査
確実に存在し、安全保障上の脅威と認定
引き続き謎が多く、国防省内に継続調査&データ収集を指示

UAP Report.jpg6月25日、米国政府情報機関の元締めDNI(Director of National Intelligence)が、UAP(俗称UFO、未確認空中現象:unidentified aerial phenomena)に関するレポートを公表し、バールーンだと判明した1件を除き、「質の高い報告」が限定的なため断定的な結論には至らないと述べつつも、信頼に足る複数のセンサーで同時に補足されているUAPが相当数あり、飛行安全上の問題や安全保障上の脅威となりえるとレポートしています

本レポートは2021年国防授権法に基づき米議会から要求されたもので、米国政府系の各種情報機関が保有している2004年以降に記録されてた144件の事象について精査したものですが、レポートのタイトルが「予備的な未確認空中現象アセスメント:Preliminary Assessment・・・」となっているように、DNIはより体系的で組織化された情報報告と分析継続の必要性を最後に提言しています

UAP3.jpgこの提言部分を受け、Kathleen Hicks国防副長官は同日午後、現在国防省内の特別チーム「Unidentified Aerial Phenomena Task Force」が行っている関連調査を、正式な国防省と米軍の任務として位置付け、組織的な取り組みとする計画作成を省内に命じたようです

以下では、25日付Military.com記事や現物レポートから、レポート概要をご紹介します

25日付Military.com記事等によれば同レポートは
分析対象となった144件の事象の多くは、米軍航空機搭乗員や信頼できる各種センサーによって観測されたものである。きちんと整理された報告が限られているため精査が困難であるが、以下の5つのどれかに当てはまると考えられる
UAP5.jpg5分類とは、大気中に漂う単なる物体、何らかの大気中の自然現象、米国政府または米国企業の開発中物体、敵対的な他国のシステム、その他の様々な物体(a catchall “other” bin.)の5つである(「extraterrestrial」地球外との表現は一度も使用されていない)

144件の事象の内、80件は目視も含め複数のセンサー(レーダー、赤外線、電磁センサーや兵器のシーカー)で探知&追尾されており、その点でUAFは大部分が実態として存在する物体だと考えられる

いくつかの限られたケースでは、UAPが普通は考えにくい飛行パターンを示している(空中で静止、突然の急激な移動、推進装置の存在が確認できない高速移動など)が、観測センサーや目撃者の誤認識の可能性も残されている
また、幾つかのケースでは、UAP目撃箇所で無線周波数出力が確認されている

UAP.jpg報告された事象には、米軍の演習場や試験エリア周辺のものが多いが、これは最新のセンサーが同エリアに集まっていることや、人間の注目程度が高いエリアだからだろう
UAPが中国やロシア等が開発した未知の技術に立脚したものの可能性や、米国内の極秘プロジェクトに由来する可能性もあるが、確証が得られたものはない
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9ページの同レポート現物
https://www.dni.gov/files/ODNI/documents/assessments/Prelimary-Assessment-UAP-20210625.pdf 

UAP2.jpgHicks副長官は上述の指示文書で、「全ての米軍航空機搭乗員や関係者は、軍事訓練や作戦の妨げとなる全ての航空機や他の物体について報告しなければならず、これにはUAPも当然含まれる」と指示し、継続的な情報収集を行う姿勢を示しています

ちなみに米議会から要求の本レポートですが、DNIはレポートの締めを「Some of these steps are resource-intensive and would require additional investment」と「予算よこせ」メッセージで結んでいます。当然ですね

続々とUFO調査の指示が・・・
「米国防省監査官が省内のUFO対応を調査へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-05
「国防省等の米国情報機関が公式UFO報告書作成へ」→https://holylandtokyo.com/2021/01/07/293/
「英国防省:地球外生物ETは存在しそうもない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2013-06-22-1

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カンボジア海軍基地への中国進出警戒感高まる [安全保障全般]

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米国武官の同海軍基地訪問を妨害
米豪支援の施設を破壊し、中国支援施設拡充中
南シナ海に臨む海軍基地に中国軍アクセスの秘密協定か

Ream Naval Base2.jpg12日付Military.comは、数年前から中国の進出が懸念されているカンボジアの南シナ海に臨む海軍基地「Ream Naval Base」について取り上げ、米国務副長官が同国を最近訪問して合意したはずの同基地への米国武官の定期視察が、カンボジア側からの厳しい行動制限で妨害されたと報じています

カンボジアは、1985年にHun Sen首相が就任以来、国民への人権弾圧が強まり、法治体制がおろそかにされ、更に中国寄りの姿勢を強めています。2018年には時のペンス副大統領が中国との接近や中国軍基地の誘致疑念を問いただす書簡を送りましたが、同首相は嫌疑を否定していました

Ream Naval Base.jpgしかし2019年7月にWall Street Journal誌が、カンボジアと中国が同基地に中国軍事施設を建設し、装備や兵器を備蓄することを定めた有効期間30年(その後は自動的に10年継続延長)の秘密協定の草案を入手したと報じ、米国防省がカンボジア政府に事実関係を問い合わせたところ、カ国防省から「同基地では将来変化があるだろう」との曖昧な返答がなされ、Hun Sen首相は「根拠のない言いがかりだ」と反論していたところでした

同基地には、2012年に米国が資金を出し、両国合意に基づく「Tactical Headquarters of the National Committee for Maritime Security」が設置され、海洋監視用の「Rigid-Hulled Inflatable Boat (RHIB)」の停泊場所や整備施設が建設され、2017年には同施設の改修や装備補強が米豪により行われていました

Ream Naval Base4.jpgところが、2020年秋に同ボート整備格納庫が取り壊され、同時に基地内近傍で中国支援の施設整備が開始されたことがCSISによる衛星写真分析レポートで明らかになり、事態は急速に緊迫し始めます。同ボート施設の修理を米国に依頼していたカンボジア側も突然その頃に態度を豹変し、同施設を約20nm離れたより広い敷地に移動させる等の言い訳をし始めましたが、米国側への説明はころころ変化して要領を得ない状態なようです

このような状況の中、今年6月1日にバイデン政権誕生後で初の米高官訪問を行ったWendy Sherman国務副長官に対しHun Sen首相は、中国軍施設の設置を否定して同海軍基地は「どこ国の艦艇も歓迎する」と発言し、疑念を深める米側の要請に応じて米国武官の同基地定期訪問を許可したところでした

Ream Naval Base5.jpgただし、いくらカンボジアがごまかそうとしても、同基地周辺では北京政府と関係が深い中国リゾート開発会社による沿岸地域での謎の「リゾート開発」が始まっており、その一つとして同基地5㎞北の湾内で目的不明の埋め立て工事が進んでいる様子もCSISによる衛星写真分析で確認され、米国側の疑念は深まるばかりの状況です

そんな中で行われた、カンボジア駐在米国武官による初めてのReam Naval Base訪問ですが、色々カンボジア側の妨害にあったようです

12日付Military.com記事によれば
在カンボジアの米国大使館は、米国務副長官とカンボジア政府との合意に基づき、カンボジア側との調整を経て実現したMarcus M. Ferrara米国武官(大佐)のReam Naval Base訪問であったが、カンボジア側のフルアクセス拒否により十分な視察が出来なかったと不満を表明し、制限なき視察を要求して再視察を要求していると発表した
Ream Naval Base3.jpgこれに対しカンボジア政府報道官は、カンボジア政府は要請に応じて完全に対応したが、米側が不満であれば、カンボジアの主権を尊重してスパイ行為に当たらない範囲で再度要求するべきだと対応し

更にカンボジア国防省は、「米国はカンボジアの主権と法を尊重すべきだ。彼らは地政学的な利益追求のため、隠された訪問目的を持っている」と不満を示し、米国武官に同行したカンボジア側高官は「米国武官は事前要求がなかった場所や必要のない場所を探そうとした」等と非難した
米国武官の基地訪問に先立ち、6月1日に行われたWendy Sherman米国務副長官とHun Sen首相との会談では、米側が「カンボジアはどこへ向かうつもりなのか?」と厳しく問いただし、中国軍事施設の建設と米支援施設の解体に対し深い懸念を示し、中国軍事施設は当地域の安全と米カンボジア関係に負の影響を与えると主張したとされている
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CSISによる同基地衛星写真の詳細分析
https://amti.csis.org/changes-underway-at-cambodias-ream-naval-base/

習近平 愛される国.jpg5月31日、習近平は中共中央政治局の学習会で「愛される国」になる外交を展開せよと強調し、「開放的で自信に満ち、控えめで謙虚で、「可信、可愛、可敬」(信頼され、愛され、敬愛される)な中国の心象を創り上げていかなければならない」と指示しました

英国で6月11日から開催されたG7を念頭に、G7の対中国包囲網を「ひるませる」狙いの発言とも考えられますし、これを中国外交方針が変化するシグナルと解釈する人はいないと思いますが、カンボジアでも繰り広げられる「いつもの中国の姿」を改めて確認し、対中国を厳しく考えていきましょう 

「信頼され、愛され、尊敬される中国の印象」を形成せよ・・・ですから

めっきり減った南シナ海の話題
「中国大型機16機がマレーシア威嚇飛行」→https://holylandtokyo.com/2021/06/03/1868/
「航行の自由作戦活発化???」→https://holylandtokyo.com/2020/02/13/827/
「初のASEANと米国の海洋演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-03
「次期米軍トップが中国脅威を強調」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14-1
「海洋プレッシャー戦略に唖然」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「F-35搭載艦艇がFONOP」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-07
「中国艦艇が米艦艇に異常接近」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-06-1

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バイデン大統領にミサイル防衛削減提案 [安全保障全般]

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16日の米露首脳会談で議題にするよう60名の有力者が
軍拡競争につながる無駄予算だと
日米共同開発のSM-3 Block IIA開発配備制限も要求

Biden Putin.jpg6月16日にジュネーブで予定されている初の米露首脳会談を前に、元国防長官ら60名の識者が3日、ミサイル防衛への投資を削減して米露中の軍拡競争を鎮静化するよう要求する文書をバイデン大統領あてに公開しました。

Perry元国防長官やオバマ政権時の安保担当大統領補佐官Ben Rhodes氏、バイデン大統領が上院議員だった際にともに上院議員だった元議員などによるレターは、大陸間弾道弾ICBMのミッドコース迎撃を狙うGMD(Ground-based Midcourse Defense)システム開発は失敗を繰り返して税金を浪費し、同時に中露を巻き込んだ軍拡競争を引き起こしていると訴えています

GMD4.jpg背景にはバイデン大統領が上院議員時代の2002年にミサイル防衛制限条約からの米国脱退に反対していた点や、上院外交委員長だった当時にミサイル防衛への投資を「ミサイル防衛への神学的な信頼」と厳しく批判していたことがあり、その筋の皆さんが「バイデンよ、昔はMD大反対派だったよな!」と声を上げ始めたという構図です

大統領あての書簡では、まず手始めに、日米が共同開発し、苦労の末2020年11月に模擬ICBMの迎撃試験に初成功した「SM-3 Block IIA」の製造や、同ミサイル搭載可能なイージス艦の建造を制限するよう求めているようです

バイデン政権は先週発表の2022年度予算案で、GMD開発に約1000億円、またイージスシステム調達に約1100億円、海上発射ミサイル迎撃体開発配備に約700億円を要求しており、この書簡の要求に沿ってバイデン政権が動くとも考えにくいところですが、バイデンという人はBMDに対して上記のような態度をとってきた方だということを、これを機会に覚えておきましょう

3日付Defense-News記事によれば
GMD3.jpg3日付で書かれた同レターはCouncil for a Livable Worldとの団体によって取りまとめられ、「(16日の米露種の会談は)米国のミサイル防衛システムと中露による攻撃兵器開発の軍拡競争を止める重要な機会だ」との認識を示し
「GMDシステム開発は、混迷の中で突き進んでおり、試験の失敗と多額の税金の浪費を招く極めて非生産的な様相を呈しながら、中露による米攻撃用核兵器の保有拡大という軍拡競争を加速する役割を果たしてしまっている」と現状を批判した

GMD5.jpgまた昨年10月のSM-3 Block IIAによる模擬ICBM迎撃試験の成功を「中露の戦略抑止への信頼を脅かすものだ」と否定的に捕え、SM-3 Block IIAの製造やイージス艦調達速度に制限を加えることで、軍拡競争を抑え戦略的安定を回復するようバイデン大統領に促している

このレターをハドソン研究所のRebecca Heinrichs研究員は、「プーチンを喜ばすために、米国本土の防衛を疎かにするなどばかげた提案である」、「ならず者国家でミサイル能力改良に日々取り組んでいる北朝鮮に、チャンスを与えるようなものだ」、「米本土の防御システムを構築することは、何ら挑発的な行為ではない」と厳しく評価している
//////////////////////////////////////////////

ミサイル防衛というものは、敵のミサイルを、敵のミサイル価格の100倍以上(それ以上かも)のコストをかけて迎撃する点で、つまり、敵から大きなコストを押し付けられることを許容した点で、「敵の思うつぼ」に落ち込むことを選択した政策とも言えます

GMD6.jpg今話題のイスラエルの「アイアンドーム」にしても、PAC-3にしても、SM-3にしても、GMDにしても、敵のミサイル飛翔速度が上がる後者ほど、迎撃コストは急上昇します。

それでいて、敵のミサイルが同時多数で襲ってきたら、全てを迎撃することは不可能ですし、中露が保有する(おそらく北朝鮮も)弾道ミサイルの数量からすれば、完全な迎撃は到底不可能なことは、頭に置いておく必要があります。対応余裕時間のない日本では、迎撃成功率はさらに低下するということも・・・

トランプ時代のミサイル防衛議論
「MDRミサイル防衛見直しやっと発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-01-19
「MDRはまだなのか?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-25-1
「米ミサイル防衛の目指すべき道」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「戦略国防次官にMD伝道者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-1
「BMDRはMDRに変更し春発表予定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24-1
「米ミサイル防衛庁の2017年予算」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-12

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シャングリラダイアログ中止:本会合概要と過去記事をご紹介 [安全保障全般]

Shangri-La.jpgシャングリラダイアログ(6月4-5日予定:日本での呼び名:アジア安全保障会議)が、昨年に続きコロナで中止になったので、この重要な会議を忘れないために、本イベントの概要と過去記事をご紹介しておきます

シャングリラダイアログ(Shangri-La Dialogue)は、英国の民間シンクタンクIISS(International Institute for Strategic Studies)が主催するアジアの安全保障問題を3日間にわたり議論するイベントで、シンガポールのシャングリラホテルで2019年まで18回開催されてきました

Shangri-La1.jpgアジア地域最大の安全保障イベントとして知られる会議は、アジアや主要国の国防相が一堂に会し、講演やパネルディスカッションや質疑を公式行事として行う形式ですが、舞台裏では各国国防相や軍人トップがバイ会談や多国間協議などが多数セットされ、地域安全保障の課題に向き合う貴重な機会となっています

ちなみに2019年の同会議に国防相が出席した国は
アジア地域からは
日、中、韓、マレーシア、ベトナム、フィリピン、インドネシア、タイ、豪州、NZ、シンガポール
他地域の主要国からは
米、英、仏、カナダ、EU、NATO
Shangri-La.jpg・・・ですが、国防相が出席できない国は、必ず副大臣レベルが参加しており、また多くの国は軍人トップ(統合参謀本部長など)を伴って参加しています

会場の聴講者も豪華で、地域国の閣僚だったり、米国の有力上院員議員だったり、著名なシンクタンク研究者だったりで、5月末から6月初めの金~日は、シンガポール中が厳重な警備体制の中にも活発な外交や議論が繰り広げられてきました

同会議の流れは
Shangri-La5.jpg金曜夜に夕食会でシンガポール首相か各国トップの基調講演
土曜日は米国防長官のアジア政策プレゼンで実質討議を開始し、主要国国防相登壇のパネル討議が次々開催
日曜日昼頃まで、多数のパネル討議等が並行して行われ、裏では2国間や多国間協議が同時進行

特に米国に新しい国防長官が就任した年は、米国のアジア政策を本格的に包括して説明する場と従来なってきており、バイデン新政権が誕生した今年のイベントには関心が集まっていたところでした

Shangri-La4.jpgまぁ、地域の関心の中心である中国からは、実質的に力のない国防大臣が例年参加しており、中央軍事委員会メンバーからの参加がないことから、中国との対話との意味では不完全燃焼ですが、中国代表が結構辛らつに米国や西側諸国を非難することもあり、話題になったこともありました

中国が慎重に事を進めてきた時代とは異なり、あからさまに好き放題を始めた最近では、本イベントの意義や役割も変化が求められるのかもしれませんが、世界にワクチンがいきわたり、来年は再開されることを祈念いたします

今年は過去記事をご覧ください
「2019年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-31-1
「2018年」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-2
「2017年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-01-3
「2016年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-30
「2015年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-28
「2014年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-27
「2013年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-31
「2012年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-25
「2011年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「2010年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05

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中国軍大型機16機がマレーシアへ威嚇接近飛行 [安全保障全般]

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マレーシアの排他的経済水域内の浅瀬の領有権主張
マレーシア防空レーダー域内に初の大規模編隊侵入
マレーシア軍機がスクランブル発進で対応

IL-76 china.jpg5月31日、中国空軍の大型輸送機16機の大編隊が、マレーシアの排他的経済水域内で、中国が「九段線」を根拠に浅瀬の領有権を主張する空域に侵入し、最短でマレーシア沿岸から60マイルまで接近した模様です。マレーシア軍は軽戦闘機(Hawk 208)をスクランブル発進しましたが、状況を見守るしかなかったようです

Malaysia3.jpg飛来したのは中国空軍の大型輸送機Y-20とIL-76を合わせた16機で、マレーシア北東部の南シナ海に面した「Luconia Shoals」や「James Shoal」など、マレーシア領土であった浅瀬に中国が最近領有権を主張し始めた場所上空を飛行した模様です

マレーシアが公開した飛行経路図でご覧いただけるように、上記浅瀬をかすめるような飛行ではなく、大型機16機がマレーシアのボルネオ島領土に垂直侵攻するかの如くの威圧的な飛行コースをとっており、これまでの同種接近飛行から、一気に緊張レベルを高める挑発的な行動に中国が出たようです

Malaysia.jpgマレーシア軍のプレス発表では、5月31日の午前11時53分に同軍レーダーで初度探知され、「戦闘行動編隊隊形:tactical formation」で中国軍機は飛行したとされていますが、事前の飛行計画提出なく、マレーシアの航空交通管制圏内に侵入した後も、マレーシア管制官の呼びかけには応じず、高度23,000 ~27,000 feetで飛行したようです

1日付Defense-News記事は情報筋の話として、飛来した16機は中国本土の基地を離陸したものであり、中国が南シナ海で造成した埋め立て人工島の飛行場からではないと報じています

Hishammuddin Husseinマレーシア外相は
「航空管制機関との交信を拒絶し、中国側が一方的な領土要求を始めた地域上空を大規模編隊で飛行する行為は、航空交通安全と国家安全保障に対する深刻な脅威だ」との声明をだし
「外交ルートで中国に抗議を行う」と明らかにした

一方で在マレーシア中国大使館は
シンガポールのチャンネル・ニュース・アジアに対し、「航空機は国際法に従って上空飛行を行っている。マレーシアの領空には入っていない」と強調した
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以下の写真は緊急発進したHawk 208
Hawk 2082.jpg
中国が「九段線」を根拠に領有権を主張し始めた「Luconia Shoals」や「James Shoal」周辺海域には、最近、中国「海警局」所属の艦艇が常駐する状態になっているようです。尖閣と同じです

コロナで西側諸国が弱っている間にも、着々と中国は「好き放題」度合いをエスカレートさせています。

ここに至っても中国の横暴を報じない、日本の反日マスゴミや反日野党に怒りを禁じえません

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1970年代導入のF-16戦闘機は2070年代まで運用 [安全保障全般]

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現在まで4550機製造も、5000機到達の勢い
米空軍の2030年代後半まで使用示唆で、海外需要大復活へ
現時点でもロッキードは約7兆円の受注

F-16V2.jpg23日付米空軍協会web記事は、第5世代戦闘機や次世代の戦闘機開発が話題になる中でも、手頃な第4世代戦闘機F-16への需要は根強く、更に米空軍が2030年代後半までの継続使用示唆で部品供給への不安が薄らいだこともあり、今後もF-16の新規導入や近代化改修は当面続き、2060年代での使用は現時点でも固く、2070年代でも運用の可能性が極めて高いと紹介しています

1970年代に導入開始のF-16は約4550機が全世界に提供され、世界25か国で現在も使用されており、現時点でも128機が製造待ち(バーレーン、ブルガリア、スロバキア、台湾、非公開国)です。米空軍だけでも現在約930機を運用しています。

F-16V.jpgその米空軍が最近、初期型F-16を123機2026年までに退役させたいが、残る800機程度は徐々に減勢しながらも2030年代半ばでも600機程度使用するイメージを打ち出し、F-35の出来次第(維持費削減の程度次第)ではあるものの、部品供給や維持整備支援が長期にわたり安定する見通しが立ってきたことから、F-16運用中の中小国が一斉に継続運用や最新型導入に傾き始めたということです

もう一つは、機体寿命の延び傾向にあります。インドが114機の導入検討中と言われるF-16最新型のインド国内生産型「F-21」は、機体寿命が米空軍使用中の約2倍の12000時間を目指すと言われており、約32年の運用を想定することになります

F-16V3.jpg更にF-35製造ライン増設のため、F-16製造ラインをテキサス州からサウスカロライナ州のGreenvill工場に移転するのに伴い、部品や技術支援の供給体制の長期安定への期待が高まったこともあり、世界のF-16使用国から近代化改修や最新型に関する問い合わせが急増しているようです

実際、今年1月現在で、405機の近代化改修を含めて約7兆円の受注契約を抱えた状態で、F-16の今後には明るい見通ししかなく、128機の受注残以外に、予想される将来受注量は300機から500機と様々にロッキード幹部が発言している状況です

F-16運用国はABC順で
Bahrain, Bulgaria, Chile, Columbia, Croatia, Egypt, Greece, India, Indonesia, Jordan, Morocco, Korea, Oman, Pakistan, the Philippines, Poland, Romania, Singapore, Slovakia, Slovenia, Taiwan, Thailand, Turkey, UAE, USA the United Arab Emirates

日本は「亡国のF-35」ではなく、F-15Jの仲間でもあるF-15EXや、世界中で運用されているF-16最新型を導入しておけばよかったと思います。日本のような環境では、有事に戦闘機が活躍する場面は極めて限定されると思うからです

F-16関連の記事
「F-16人気にロッキードニンマリ」→https://holylandtokyo.com/2020/04/29/739/
「F-16生産移設であと200機」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-3
「米軍F-16延命へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「稼働率8割はF-16だけが達成見込み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-06
「インド選定に特別仕様F-16で挑む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-22
「台湾F-16V型ようやく納入」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27-2

米空軍の戦闘機構成議論
「戦闘機の近未来体制は」→https://holylandtokyo.com/2021/05/21/1709/
「戦闘機は7機種から4機種へ」→https://holylandtokyo.com/2021/05/18/1496/
「戦闘機混合比や5世代マイナス機検討」→https://holylandtokyo.com/2021/02/22/266/

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韓国への弾道ミサイル性能制限撤廃に米国同意 [安全保障全般]

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射程800㎞以下の制約が撤廃
米国は対中国に期待も、日本にとっては懸念材料のみ
まぁ、日本も射程を伸ばしているので、静観の構えか

Hynmoo-4.jpg5月21日、米韓首脳会談に臨んだ韓国大統領は会談後、「(韓国の弾道及び巡航ミサイル開発を制限していた)米韓ミサイルガイドライン撤廃に合意した」と米韓共同記者会見で明らかにしました

下記でご紹介するように、1979年に米韓で設定された韓国保有弾道ミサイルに関する制限は、2012年には巡航ミサイルにも制限を広げましたが、北朝鮮側のミサイル開発に伴い順次制限が緩和され、日本の半分が射程に入る弾頭重量無制限の弾道ミサイル開発が可能となっていました

Korea US2.jpg巡航ミサイルでは、既に射程1500㎞の兵器が10年前から配備開始されており、弾道ミサイルと合わせ少なくとも1500発以上を韓国は保有し、2000発まで増強する計画を持っています

25日付Defense-Newsは、韓国が射程1000~5000㎞の中距離弾道ミサイル開発に進み、潜水艦発射型の弾道ミサイルや極超音速兵器開発に進む可能性も高いと分析し、元韓国国防開発庁長官の「我々は長年に渡り長射程ミサイルの技術獲得を追求してきたが、米韓ガイドラインの制約で成しえなかった。しかし今や我々はどんなタイプのミサイル開発も可能になった」との言葉を紹介しています

Hyunmoo-3.jpg米国メディアは、北朝鮮の脅威を背景に韓国が宿願を果たしたと報道していますが、一般の日本人にとっては「脅威」としか思えません。

記事末尾に紹介する日本の信頼できる専門家は、日本も長射程兵器導入に進みつつあり、「もはやお互い様になりつつあるので、放っておいた方がフェア」とのコメントですが、気になるので同ガイドラインの経緯や韓国弾道&巡航ミサイル概要をご紹介しておきます

韓国保有の弾道&巡航ミサイルへの制約経緯
(米韓の取り決めの経緯)
1979年 射程距離180㎞以内 弾頭500㎏以下 
 一方で米国は、韓国に韓国産ミサイル開発のため技術提供を行う
1997年 射程距離300㎞以内 弾頭500㎏以下

2012年 射程距離800㎞以内 弾頭500㎏以下
(巡航ミサイルは、射程300㎞以上は弾頭500㎏以下、それ以外は無制限)
2017年 射程距離800㎞以内 弾頭制限撤廃

2020年 同条件:固体燃料ロケット開発同意
2021年5月 全ての制約撤廃
Hynmoo-2.JPG








韓国が既に開発中の中射程弾道ミサイル「玄武:Hynmoo」
韓国は既に、下記の玄武-2と玄武-3を合わせて1500発以上保有しており、2000発まで増強する計画である
韓国は既に弾道及び巡航ミサイルを保有している
--- 弾道ミサイル玄武-1及び発展型の玄武-2は、射程距離800㎞以内
--- 巡航ミサイル玄武-3は、射程1500㎞で201年に部隊配備と報道

制限撤廃を見据え、韓国は中距離弾道ミサイル玄武-4開発中
--- 射程800㎞以上、弾頭2トンのバンカーバスター型貫通弾
--- 2020年3月に2発の発射試験
///////////////////////////////////////////////////////////

ハドソン研:村野将さんのコメント(5月20日Twitter)
Murano.jpg元々の米韓ミサイル指針は、射程とともにペイロードの重量制限を設けていたというのがポイント。それが2017年の改定で、800kmの射程制限を残しつつも、ペイロード制限を撤廃していたので、この時点で既に有名無実化していた(ペイロードを軽くすれば、射程は伸ばせるので)

日本が既に取得することが決まっている各種スタンドオフミサイルや、将来的な高速滑空弾の射程延伸を踏まえたときに、もし韓国政府がこれに抗議してくるようであれば、指針撤廃に抗議してもいいような気がしますが、もはやお互い様になりつつあるので、放っておいた方がフェア

韓国が国として堂々とやっている一方で、日本は反日野党や反日メディアに気を使って「こそこそ」進めている印象で悔しいです

もう一つ、ソウルと北京の距離は約920㎞で、中国政府の反応がどうなるのか興味深いです。どなたかご存じですか???

韓国関連記事
「KF-21デモ機披露」→https://holylandtokyo.com/2021/04/12/104/
「米検査院の日韓駐留経費評価」→https://holylandtokyo.com/2021/03/23/167/
「トルコ戦車へ禁断のエンジン供給へ」→https://holylandtokyo.com/2021/03/12/159/
「AWACSとSIGINT機追加購入」→https://holylandtokyo.com/2020/08/12/521/
「韓国軍人の巨星没す」→https://holylandtokyo.com/2020/07/14/571/

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台湾が統合強化と権限分散の軍改革へ [安全保障全般]

陸軍軍団が各地域を分割担当している現状から
「統合戦域司令部」を5つ設け、海空軍人トップの可能性も

Chiu Kuo-cheng2.jpg10日、台湾国防相が議会で、2022年1月から台湾軍組織を改編し、陸軍中心から統合を重視した体制や、より各地域司令部に権限を委譲して被害下でも作戦遂行が可能な態勢を追求すると証言しました

また報道によれば、この改編を契機とし、数で圧倒する中国軍に対抗するため、非対称な戦いを追求する体制を強化するとも言われているようです

17日付Defense-News記事の専門家は評価するコメントをしていますが、先日ご紹介した米中経済安保評議会に登場した米国の専門家は、硬直的で改革に消極的な高級台湾軍人を厳しく批判しており、装備なども含め、本当に改革が進むのか今後とも注視する必要があるでしょう

現在の台湾軍の指揮統制体制をよく把握せず、台湾より更に硬直的な日本人が、偉そうに批評できる立場にはありませんが、学べるところは学んでいきましょう

17日付Defense-News記事によれば
Taiwan-China.jpg10日、台湾のChiu Kuo-cheng国防相は台湾議会で、2022年1月から、これまで台湾各地域を担当指揮してきた陸軍の澎湖、華東、第6、第8、第10軍団が、台湾西部の澎湖諸島、台湾東部、北部、南部、中部の各地域を担当する第1から第5からなる各戦闘地域司令部に改編されると説明し
同国防相はまた、各戦闘地域司令部司令官は担当地域に所在する陸海空軍部隊の連携に責任を持ち、統合運用体制を強化するとともに、平時の災害対処から有事の本格紛争対処までをコーディネートすると説明したが、これにより各戦闘地域がより独立的に作戦行動を遂行することが可能になると考えられる

国防相は、現在は台湾を地域分割する各軍団司令官に陸軍人が就任しているが、新たな各戦闘地域司令部司令官には海軍や空軍幹部が就任する可能性もあると説明した

Chiu Kuo-cheng.jpg台湾国防研究所のSu Tzu-yun氏はこの発表を歓迎するとともに、台湾本島東部と台湾東部海域の島々を担当する第2戦闘地域司令部司令官には、地域の特性から海軍や空軍人が就任する可能性があるとコメントしている
また同氏は、陸海軍の統合作戦遂行が容易な態勢になることで、数で圧倒する中国軍から被害を受けて中央からの指示が得られない中でも、粘り強く作戦継続することが可能となると評価し、更に非対称戦を追求する台湾の「Overall Defense Concept」とも方向性が一致していると見ている

一方で、現在は陸軍軍団から独立した立場を与えられている、中国本土と台湾の間に存在する金門と馬祖島の防衛司令部にどのように影響するかは不明
また、陸軍軍団から独立している陸軍の航空および特殊作戦軍が現在の状態を維持するのか、再編後に別の戦闘地域司令部の管轄下に入るのかは不明
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Chiu Kuo-cheng3.jpgChiu Kuo-cheng国防相は元陸軍人で、元統合参謀長です。国防相には2月末に就任したばかりで、その前は台湾情報機関のトップでした

台湾政府だけではなく、米国や各方面の専門家からも改革を迫られている「誇り高き台湾軍」ですが、これを積極的な改革姿勢の一つと見るのか、仕方なくひねり出した言い訳の改革案と見るのか微妙なところです

でも日本にとっては参考にするところ大でしょう

最近の台湾関連記事
「DIA長官の中国脅威認識」→https://holylandtokyo.com/2021/05/02/212/
「米空軍の台湾シナリオWar Game」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/109/
「台湾軍の対中国体制に危機感」→https://holylandtokyo.com/2021/03/08/155/
「中国は6年以内に台湾併合」→https://holylandtokyo.com/2021/03/19/165/
「フロノイ氏が今こそ語る中国抑止策」→https://holylandtokyo.com/2021/04/05/99/

CSBA提言の台湾新軍事戦略に学ぶ
まとめ→https://holylandtokyo.com/2020/11/08/381/
その1:総論→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
その2:各論:海軍と空軍へ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-1
その3:各論:陸軍と新分野→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27

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英空軍トップが3月公表の国防予算計画を語る [安全保障全般]

Defense-Newsの独占インタビューです
Aaron Mehta副編集長が語る

Arron UK.jpg9日付Defense-Newsが、4月に訪米した英空軍参謀総長Mike Wigston大将に行った独占インタビューを紹介し、3月23日に英国防省が発表した国防予算計画「Defence in a competitive age」で、F-35購入機数に言及していない点やE-3後継のE-7早期警戒管制機の導入機数削減、更には次世代戦闘機TEMPEST開発予算の影響を受けるた事業について問いただしています

もちろん、疑問にきっぱり回答しているわけではありませんが、重要視している基本的考え方は参考になりますし、米軍と最も関係が深い同盟国英国の考え方を想像したいと思います

Aaron Mehta副編集長質問の背景には、
2021 UK.jpg●「Defence in a competitive age」では、「英国は、既に発注した48機を超えてF-35戦力拡大に取り組んでいく」と記されているが、2015年の国防計画文書SDSRに明示されていた138機体制構築計画への言及が全くなかった
同国防予算計画で、従来5機とされてきたE-3後継のE-7早期警戒管制機の導入機数が、3機に削減されている
仏独伊の共同開発連合に対抗し、スウェーデンとの共同開発がスタートしている次世代戦闘機TEMPESTの開発費に、今後4年間で約3000億円もの巨費を投じる計画が同国防予算計画で明らかにされている

Mike Wigston英空軍参謀総長は
質問1:国防予算計画では、本格紛争能力に多額の投資が行われる一方で、削減された計画もあり、極端すぎるとの批判も一部にあるがどうか?

Mosquito.jpg我々は過去数十年間、量と質のトレードオフに悩んでいた。しかし現在成熟しつつある技術は、8機のタイフーン戦闘機を、100機の無人機の群れや、また10機の無人ウイングマンと2機の有人戦闘機に置き換えることを可能にするかもしれない可能性を持っている
我々は大きな転換点に立っており、量と技術の両方を追求できると考えている

また我々は新たに備えるべき能力として、宇宙、データ分析、デジタル設計技術など新たな分野で、人材を確保育成する必要に迫られている
更に人材を育成する訓練手法においてバーチャルリアリティーや総合トレーニング等の新手法を導入する必要があり、また兵站や基地機能維持部門などでの高度な自動化を追求したいと考えている。これらは民間分野ですでに起こりつつある変革であり、その進歩を軍にも導入したい

質問2:E-7の導入機数が5機でなく3機に削減されたのはなぜ?

E-7 2.jpgまず英国政府が早期警戒管制機の重要性を認識し、老朽化するE-3後継としてE-7導入に同意してくれたことを喜んでいる。E-7はE-3に比し、飛躍的に高度なデジタル技術でセンサーを運用し、他機とのデータ共有も円滑に可能となる
5機から3機となれば能力が制約されることは明確だが、米空軍やNATO加盟国との連携を踏まえた広い視野で作戦運用して対応することを想定している。E-7のデータ共有能力をもってすれば、同盟国機との連携強化で相当部分が穴埋めできると考えている。将来的に5機に増強することを排除したわけではない。現時点では3機で対応しようということだ

質問3:138機のF-35購入目標はどうなった?まだ頭にある数字か?

F-35B.jpg我々はF-35導入の初期段階にある。当初の48機発注の内21機しか受領していない。今後来年は33機、その後は48機になる計画である。我々はF-35部隊の成長に取り組んでおり、その点で何も変わっていない
今も米国防省F-35計画室やロッキードと導入についての継続的に協議を行っている。このプラットフォームを潜在的に50年間運用する予定であり、短期的に最終的な数字に到達することを急いでいない

F-35B型購入から、A型購入に変更するオプションについては今も議論があるが、その決定は私の後任者の時代になされることであろう。今は空母エリザベスと空母プリンスオブウェールズに必要な十分な機体と運用要員を確保することに集中すべき時だ

質問4;次期戦闘機TEMPEST計画の犠牲になる他装備は?
英政府は今後4年間で約3000億円をTEMPEST計画に投資するが、政府が英軍に投資する全体額は3.7兆円であり、他の計画とのトレードオフはないと考えている

質問5:無人ウイングマン機Mosquitoの完成見込みは
TEMPESTは2030年代後半からの運用を想定しているが、Mosquitoは今後10年で最前線に送ることを目標に取り組んでいる。国際協力の機会であることは間違いない。米国や豪州の動きも注目している
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「質問1」に対するWigston英空軍参謀総長の対応は、今の空軍関連の技術動向を的確に表現していると思います

F-35 Sun-Set.jpg「現在成熟しつつある技術は、8機のタイフーン戦闘機を、100機の無人機の群れや、また10機の無人ウイングマンと2機の有人戦闘機に置き換えることを可能にするかもしれない」
「新たに備えるべき能力として、宇宙、データ分析、デジタル設計技術など新たな分野で、人材を確保育成する必要」
「人材を育成する訓練手法においてバーチャルリアリティーや総合トレーニング等の新手法を導入する必要があり、また兵站や基地機能維持部門などでの高度な自動化を追求したい」

残念ながら、F-35を共同開発国でもないのに大量購入する(させられる)日本は、F-35の購入費と維持費で破産し、英空軍参謀総長の考える上記重要分野に配分する資源が残らないでしょう

英国防予算計画「Defence in a competitive age」関連
「英国の138機F-35購入計画は多くて60-72機へ!?」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/

英空母エリザベスの悲しき現実
「英空母エリザベス米英のF-35B搭載で初出撃」→https://holylandtokyo.com/2021/05/11/1492/
「英新型空母と米駆逐艦が空母攻撃群を編成へ」→https://holylandtokyo.com/2021/01/27/308/
「英空母エリザベスは米軍F-35B部隊と一体運用へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-26-1
「英空母が航空機不足で米軍にお願い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03

欧州の戦闘機開発
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2

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英空母エリザベス米英のF-35B搭載で初出撃 [安全保障全般]

地中海、中東、インド洋、南シナ海、台湾を経て日本へも
米英の悲しきWin-Win関係とも見えるのですが・・・

Queen Elizabeth.jpg5日、英海軍の新型空母エリザベスが、米海兵隊F-36Bを10機と英海軍F-35Bを8機搭載し、地中海、中東、インド洋、南シナ海を経て日本へも立ち寄る初の作戦航海に出港しました。

そしてこの英米F-35Bを混合搭載した新型空母は、米海軍のアーレイバーク級イージス駆逐艦Sullivansと行動を共にし、空母戦闘群として行動することが今年1月に英米国防大臣から大々的に発表されていたところです

米海兵隊F-35Bと英空母エリザベスの一体運用は少なくとも2019年頃から議論され、2020年秋には10機の米海兵隊F-35が空母エリザベスに展開し、同空母に最大負荷をかけての戦闘能力点検を共に突破して連携を深めてきました

Queen Eliz Map.jpg米英両国はこの一体運用を強固な同盟関係のシンボルとしてアピールし、英空母が南シナ海や東シナ海などアジアにも展開して中国ににらみを利かせることから、日本でも大きく報道されています

ただ何回かご紹介しているように、英軍は空母エリザベス搭載用のF-35Bを十分な機数調達できず、米海軍と海兵隊は「虎の子」のF-35B搭載可能強襲揚陸艦Bonhomme Richardを昨年7月の放火火災で失っており、偶然かもしれませんが、英米間の「悲しきWin-Win関係」が成立しているわけです

ただ注意が必要なのは、英国はスウェーデンと組んで次世代戦闘機「Tempest」の共同開発を国内軍需産業保護の観点から強力に進めており、独仏チームに対抗し今後4年間で3000億円の開発費を投じる方針を発表しており、約130機調達予定だったF-35の調達数を半減させる方向だと報じられており、「疑心暗鬼含みの悲しきWin-Win関係」とも言えそうです

5日付Military.com記事によれば
米海兵隊の10機はアリゾナのFighter Attack Squadron 211から派遣され、英軍の617 Squadron 「The Dambusters.」と共に行動することとなった
James Heappey英国軍相は「この出港は、英国軍が世界の同盟国と共に、世界の脅威と対峙する覚悟を示す実例である」、「世界に冠たる英国が行動する姿である」と出港に際して語った

Yael Lempert駐英米国大使は、「英国ほど緊密な同盟国はなく、我々は共に共有する価値を守るため、インド太平洋地域などの安保問題に関与し、同時にNATOへの強固な関与を改めて示す覚悟である」と語っている
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Queen Elizabeth2.jpg地中海からアラビ海でシリア・イラン・そして米軍が撤収を開始したアフガンににらみを利かせ、シンガポールでアジア同盟国からたっぷり補給を受けて南シナ海に進出し、台湾東岸を通過して横須賀に入る行程ですが、機材トラブル等なく航海が進むことを祈念いたします

しかし、このコロナ禍に大変な任務です。ワクチン接種など準備万端でしょうが、初作戦行動にしてはあまりにも荷が重いような気がします

英空母エリザベスの悲しき現実
「英新型空母と米駆逐艦が空母攻撃群を編成へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-22
「コロナ下で800名乗艦で最終確認試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-01
「英空母エリザベスは米軍F-35B部隊と一体運用へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-26-1
「英海軍と英空軍共有のF-35Bが初任務」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-27
「米海兵隊F-35が英空母へ展開へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-09
「米軍F-35Bを英空母に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16
「英空母が航空機不足で米軍にお願い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03

「英国の138機F-35購入計画は多くて60-72機へ!?」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-24

F-35搭載改修終了直前の惨事(放火)
「強襲揚陸艦Bonhomme Richard火災の衝撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-15

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米国務省が豪州へのMQ-9B輸出許可 [安全保障全般]

今後、議会承認や価格交渉があるも12機が豪州へ
関連機材や兵器やセンサー等含め約1800億円

MQ-9B.jpg4月23日、米国務省が豪州への12機の無人偵察攻撃機MQ-9B SkyGuardian売却をFMS形式で承認すると発表しました。

この承認は、あくまで米国政府として安全保障などの国際関係上問題ないとの判断を示したもので、今後米議会の承認を受け、その後に具体的な価格交渉に入るとの前段階の審査結果ですが、対中国で米国とガッチリスクラムの豪州が相手ですから、価格面で折り合えば何の問題もなく売却に進みます

MQ-9B2.jpg豪州は2018年に豪空軍用の中高度長期在空無人機の選定に入り、MQ-9 Reaperと今回承認を受けたMQ-9B SkyGuardianを候補に挙げて比較検討しているようです

MQ-9 Reaperと今回承認を受けたMQ-9B SkyGuardianの違いは、原型であるMQ-9 Reaperを改良し、有人機と無人機が同一空域で飛行可能な条件として欧州が定めた飛行規制に対応ている点です。一方で、NATOの装備規格STANAG 4671は引き続き満たしており、MQ-9の海外輸出版とも呼ばれています。

MQ-9B3.jpgMQ-9Bは2018年7月に大西洋横断に成功し、大きく報道されたところです

輸出版MQ-9であるMQ-9B SkyGuardianの購入国は、英国空軍のほか、台湾空軍が4機予定しており、ベルギーとUAEも購入を計画していると報じられています

MQ-9B4.jpgまたMQ-9の非武装型であるMQ-9ガーディアンは、米国の税関・国境警備隊で使用されており、沿岸警備隊は海洋監視用に改修した「シーガーディアン」を使用しています。日本の海上保安庁も、東シナ海の海洋監視を目的として、2020年から実証実験を行っています

国務省が承認した交渉の出発点となる価格は1800億円とされており、これには機体12機、エンジン、地上操作装置、訓練用シュミレータ、衛星通信用装置、操縦者や操作員と機体との通信装置の価格が含まれているようです

具体的な装備としては
Targeting System-D electro-optical/infrared sensors;
Lynx AN/APY-8 synthetic aperture radars;
Leonardo’s SAGE 750 electronic support measure system;
Rio communication intelligence systems; and
six Joint Direct Attack Munition tail kits が含まれているようです

MQ-9の概要:Wikipedia情報によれば
製作: General Atomics
操縦員(遠隔操作): 2名(操縦者1名、センサー員1名)
エンジン: Honeywell TPE331-10Tターボプロップエンジン、出力950 SHP(712 kW)
最大燃料搭載量: 1,815 kg (4,000 lb)
長さ: 11 m (36 ft) 翼幅: 20 m (66 ft)
機体重量: 2,223 kg (4,900 lb) 最大離陸重量:4,760 kg (10,500 lb)
最高高度: 15,200m (50,000 ft) 運用高度:7,600m (25,000 ft)
滞空時間: 14〜28時間
航続距離: 5,926 km (3,200 nmi,)
ペイロード: 3,750 lb (1,700 kg)
最高速度:482 km/h (260 knots)、巡航速度:276-313 km/h (150-170 knots)

自衛隊が海上保安庁に先を越された形です。RQ-4グローバルホークなんかじゃなくて、MQ-9にしておけばよかったのに・・・。戦闘機命派や有人対潜哨戒機命派の強固な組織防衛のため、無人機導入に関し、全てで後手後手になっている自衛隊です

関連の記事
「本格紛争対応に一部を機体改修へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-22
「JDAM完成弾運搬役も」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-04
「無人機MQ-9の対中国海上作戦への応用演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-26
「CSBAが米空軍の将来体制を提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24

「ハドソン研:68機MQ-4では不十分」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-23
「米海軍のMQ-4グアム配備」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-29
「CSISが米空軍の無人機用に苦言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-31

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ちょっと古いが米軍の即応態勢評価 [安全保障全般]

GAOによる2017-2019年の米軍即応態勢報告
議会に2020年1月までに報告された内容の公開版
国防省が評価指標を整備しないため部隊指揮官に調査

GAO readiness.jpg7日、米会計検査院GAOが米議会の指示で作成した米軍の即応態勢評価レポートの2017年~19年部分(議会には2018年8月から2020年1月に報告済)を、公開可能部分だけを公表しました
その中身は、地上部隊は改善を示したものの、海分野は低下し、空・宇宙・サイバー分野は分野によりさまざまとの結果だったようです

なお、国防省は既に米議会に報告されている同レポートの内容について、概ね同意しているとGAOはコメントしています

この調査は、故マケイン議員らが中心となり2019年国防授権法で規定されたもので、約20年に及ぶ対テロ戦により米軍の本格紛争への即応態勢が低下しているとの危機感から米議会が求めたもので、2017年を基準年として2022年まで継続評価&議会報告することを法的に求めているものです

F-22Hawaii.jpg議会の命を受けたGAOは、2019年5月に国防省に対して即応態勢評価の指標を定めて改善状況を把握できるようにすべきだと指摘しましたが、国防省側は即応体制回復に取り組んで予算審議等の中で報告しており、各軍種も把握していると指標整備提言を無視する形で今日に至っています

そのような中、GAOは「Resource readiness:人員装備の充足状況等」と「Mission capability readiness:統合作戦任務の遂行可能状況」の2側面から、各部隊指揮官に「即応態勢にある」「条件付きで即応態勢にある」「そのレベルにない」の3段階で自身の部隊を評価して回答するよう依頼し、調査結果としてまとめています

GAO readiness3.jpg調査では、陸海空に加え、宇宙とサイバーの5つのドメイン分野から、19個のミッションエリアの部隊を選び、上記のような指揮官への質問を行って集計した模様です
米空軍の場合、19個のミッションエリアには、爆撃機部隊、戦闘機部隊、空中給油部隊、戦闘ヘリ部隊の4つのミッションエリアが選ばれ、部隊指揮官に対し質問したようです

GAOのwebサイトで約40ページのレポートが7日に公開されていますが、その中身の確認はサボって、8日付米空軍協会web記事から、レポートのさわりのさわりの概要だけをご紹介します

8日付米空軍協会web記事によれば
GAOのDiana Maurer国防能力管理部長によるレポートは、「Resource Readiness」の視点で、19のミッションエリアで10エリアが改善傾向を示したが、海上分野は全てのエリアで改善が見られなかったと評価している
AH-1Z.jpg「Mission capability readiness」の視点では、19エリアの中で、地上部隊関連の5エリアのみで改善が見られ、海空宇宙サイバー分野は全て低下傾向を示している

個別に見ていくと、米空軍ではハリケーンで大きな被害を受けたF-22部隊へのダメージが大きく、陸軍のAH-64アパッチに代表される操縦者不足が、また海兵隊の軽攻撃ヘリは修理施設の能力限界などなどが、即応態勢低下の大きな原因となっている

GAO readiness2.jpg海上ミッションエリアでは、艦艇の修理補修を支える民間と国防省の造船修理施設の能力不足が、即応体制向上の大きな障害となっている
宇宙分野では、まだ即応体制の目標設定が不明確な部門も多く、評価が難しいとGAOレポートはコメントしている
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これだけの内容では米軍の即応態勢について語れませんが、本格紛争態勢が十分ではないとの危機感が米国にあることや、海空軍で厳しい状態にある傾向はご覧いただけると思います

海軍艦艇の修理施設については何回か取り上げましたが、予算不足で部品や人の確保が困難となり、艦艇修理計画が連続で組めず、熟練作業員の雇用維持も若手の計画的採用や育成もできず、悲惨な状況にあることが話題となる惨状です。米海軍は衝突や火災事故も多く、人事のゴタゴタモ頻発しており、本当に心配です

艦艇修理の大問題
「米空母と潜水艦修理の75%が遅延」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-22
「空母故障で空母なしで出撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-16
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24
「空母定期修理が間に合わない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09
「優秀な横須賀修理施設」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-05
「空母確保困難でMQ-25給油機3年遅れか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-11
「軍需産業レポート2019」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-28
「2018年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1

GAO関連の記事
「日韓への米軍駐留効果を評価」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-18
「米軍の女性採用&離職防止努力不足を指摘」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-20
「F-35部品供給が増産に追い付かず」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-13
「不明瞭な操縦者養成&訓練を非難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-06-14
「米空軍の無人機操縦者処遇を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-04-16

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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