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ロシアTU-160爆撃機が南アフリカ展開へ [安全保障全般]

アフリカ大陸への関与拡大の一環として
ソチでの初のRussia-Africaサミット開催に合わせるように

Tu-160 2.jpg21日、南アフリカ国防省がロシア軍戦略長距離爆撃機や大型輸送機を同国に招待したと発表し22日にもTu-160 Blackjack戦略爆撃機2機がヨハネスブルグ北約60kmの「Waterkloof」空軍基地に到着するようです

アフリカ大陸を「最後のフロンティア」と見なす各国の覇権争いが激しさを増す中、ロシアも「中国に見習って」アフリカへの影響力強化の一環として軍事協力強化を図っていると軍事メディアは紹介していますが、2016年に一度計画されながらシリアでの軍事作戦が忙しくて仕切りなおしになっていた爆撃機派遣だそうです

Russia-Africa.jpg冒頭でご紹介したように時を同じくしてロシアは23-24日に初の「Russia-Africa Summit」をソチで開催(エジプト大統領と共催)してアフリカ諸国の取り込みに懸命で、その結果か過去10年間でアフリカ諸国とロシアとの貿易額が4倍に拡大し、軍事面でもロシアは2015年以降にアフリカ諸国と20以上の軍事協定に合意しているようです

表面上確認できるものだけでなく、ウクライナでロシアが用いた不正規戦闘員や「little green men」や「民間軍事会社」のアフリカ大陸での活動活発化も米国の懸念となっており、大陸全体の経済成長に合わせるように、情勢は厳しさを増しているようです

21日付Military.com記事によれば
Tu-160 3.jpg●南アフリカ国防省はTU-160のほかに、Il-62旅客機(兵員輸送機)やAn-124大型輸送機も招待したと21日明らかにし、22日までに同国に展開すると発表した
ロシアは同じタイミングの10月23から24日間に、初の「Russia-Africa Summit」をソチでエジプトと共催する形で実施し、47名のアフリカ諸国元首や高官の参加を得てロシアとの2国間関係を強化することになっている

●21日、プーチン大統領は本サミットやアフリカとの関係強化の背景について、「米国など西側諸国は、アフリカ大陸の資源に対し、正当な対価や補償なしに優位な立場を得ている」と厳しく非難し、「西側諸国が圧力や恫喝や恐喝でアフリカ諸国を利用している」と西側諸国の不当性を訴えた
●そしてプーチンは、「今こそロシアが、アフリカの虐げられた諸国に対し、前提条件のない経済的解決策を提供する時である」と国営メディアを通じて訴えた

Russia-Africa 2.jpg●このようなロシアの動きに米国は懸念を強めており、Stephen Townsend米アフリカコマンド司令官は4月に上院軍事委員会で、特にロシアの傭兵のような「不正規兵」「民間軍事会社」の動きに警戒感を示していた
●同司令官は「ウクライナでも活動したロシアの民間軍事会社Wagner Groupのような傭兵が、正規軍が従うルールを省みない行動をとることを心配している」と述べ、ハイブリッド戦がアフリカ大陸で展開されることへの懸念を示した
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中国を見習って・・・と紹介される辺りが国として右肩下がりのロシアの悲しさですが、西側への嫌がらせへの情熱だけは失っていないようなので注意が必要です

日本でラグビーW杯を盛り上げてくれている南アですが、同大会や台風や即位の礼で日本のメディアが埋め尽くされている間にも、ロシアや中国の浸潤が粛々と進んでいるようです。

秋のこの季節は祝日や祭日が多く、ぼんやり気味の頭はトランプ大統領がらみのニュースだけでいっぱいにもなりますが、チマチマとその他のニュースも拾って行きたいと思います

対露の各種動き
「対露の大規模機動展開演習を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-08-1
「オープンスカイズ条約から離脱か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-10
「ハイブリッド情報戦に備え」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-05

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独トーネード後継に核任務絡みでFA-18優位!? [安全保障全般]

FA-18とタイフーンが戦う中で
米国がタイフーンの核任務承認に時間必要と
NATO規定の核兵器運搬任務を担う必要性に縛られ

Tornado2.jpgあくまでもドイツ紙「Süddeutsche Zeitung」の報道ですが、約80機のドイツ空軍トーネード戦闘機の後継争いで競い合うユーロファイターとFA-18に関し、米国から核爆弾搭載能力承認に必要な時間について、ユーロファイターにはFA-18よりはるかに長い3-5年が必要との回答があり、FA-18が後継選定レースで優位になったようです

ドイツのトーネードが担っている米国戦術核兵器の搭載任務は、NATO作戦における象徴的な任務分担ですが、核戦争に巻き込まれる等の懸念からドイツの前政権は極力触れないよう画策し、トーネードの延命とFA-18又はユーロファイターとの共存を検討してきたようですが、老朽化が進み部品確保が困難なトーネード維持は現場に大きな負担となることから難しい選択の様です

今年年初までは、F-35も後継候補に含まれていたようですが、仏独宇スペインで2040年を目指し第6世代機開発( Future Combat Air Systems)を開始したこともあり、それへの影響を避けるため、「つなぎ機種」として第4世代機に後継対象を絞ったと言われています

4日付Defense-News記事によれば
FA-18 2.jpgFA-18とタイフーンに絞られた機種選定の結果は2020年初めに出ると予期されているが、ドイツ紙はドイツ国防省が米国防省から、タイフーン戦闘機が核兵器搭載承認を受けるのに必要な期間が3-5年で、米軍内では既に核兵器搭載承認を得ているFA-18よりはるかに長いとの情報を得たと報じ
●この報道に対し、独国防省報道官は直接のコメントを避け、米国とドイツ国防省関係者間で継続して本件を協議していると述べるに留まった

ドイツ国防相Annegret Kramp-Karrenbauer女史は9月に米国を訪問し、「我々は本件の扱いについて、協力して取り組む」と述べ、トーネードの担ってきた役割の中断が最小限になるように望むとも表現しつつ、トーネード後継スケジュールには時間的余裕が無いとも語った
タイフーン側関係者は仏独スペイン共同開発の第6世代機(Future Combat Air Systems)に円滑に移行するには、ドイツはユーロファイターを選択すべきだし、欧州全体の経済にも大きく貢献できると述べた

Eurofighter2.jpgまた「後継選定に時間的余裕が無い」と発言したドイツ国防相に対し、トーネードの退役には10年程度の時間がまだあり、機種選定を急ぐ必要性はどこにもないと述べ、ドイツ紙報道の核兵器任務に必要な認証手続きの時間は十分にあると主張している
●タイフーン製造のエアバス社報道官はDefense-Newsに対し、トランプ政権が「米国ファースト」の強硬な姿勢で米国製を売り込んでくることは予期しているが、「我々にとっては、状況に変化はない」と述べた
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新しく就任したばかりのドイツ国防相が、なぜ「後継選定はtight scheduleだ」と述べたのか不明ですが、米国から急がされているのかもしれません

F-18-2.jpg一方のユーロファイター側は、トランプさえいなくなれば、欧州側のもの・・・と考えているのでしょう・・・


欧州経済も正念場でしょうから、簡単には戦闘機を譲れないのでしょう

ドイツと戦闘機関連記事
「独の戦闘機選定:核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2

戦術核兵器とF-35等
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06
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日本が譲渡のヘリ部品でフィリピンUH-1が復活へ [安全保障全般]

3月に譲渡したものを今頃やっと感・・・
自衛隊法の「不用装備品の無償譲渡」規定に基づ

UH-1.jpg11日付Defense-Newsは、フィリピン空軍報道官が政府系webサイトで、部品不足で故障していた同空軍保有の7機のUH-1ヘリコプター(1960年代製造)が、陸上自衛隊から3月に無償提供された部品を使用して運用可能状態に復帰すると明らかにしたと報じています

この自衛隊から他国軍への装備品や部品譲渡は、平成29年に年成立した不用装備品の無償譲渡等を可能とする自衛隊法上の規定によるもので、今回のUH-1部品譲渡が2件目のケースとなります。ちなみに1件目は、海上自衛隊のTC-90練習機を同じくフィリピンに計5機無償譲渡したケースです

UH-1の部品譲渡は、2018年6月に当時の小野寺防衛大臣とフィリピン国防相の間で合意され、2019年3月12日にフィリピン国防次官に東京で1回目の部品譲渡が行われ、2回目の部品譲渡が9月12日に行われています

TC-90.jpg譲渡された海自のTC-90は南シナ海などの海洋監視用に2018年1月から運用が開始されており、対中国能力強化のためTC-90の追加機体提供を防衛省は行う方向ですが、救難救助をメインとしつつも、対テロから災害対処、偵察活動など多様な任務が可能なUH-1の稼働率アップにも貢献することで、米国による地域同盟国の能力アップをサポートしたいところです

11日付Defense-News記事によれば
フィリピン軍報道官のAristides Galang少佐は、日本政府から譲渡されたUH-1の部品を用いて、フィリピン空軍のUH-1ヘリ7機が運用可能状態に復帰すると明らかにした
10月初旬に同空軍の第205戦術ヘリ航空団のチームが、譲渡された部品の保管倉庫をチェックし、7機を修理するのに必要な部品が揃っていることを確認した。確認した部品には、メインブレードやテールブレードのほか、ローター回転軸などの主要部品が含まれており、同部隊関係者は早速翌日に部品を部隊に持ち帰った

UH-1 2.jpgフィリピン空軍は、米軍から譲り受けた機体も含めた多数の1960年代製UH-1へリを保有しているが、最近は維持が困難になりつつあり、長期保管状態(mothballed)にしたり、故障したまま放置されている
●同報道官は、UH-1の運用体制復帰は「人道支援から災害対処、IRSや輸送や偵察活動にきわめて重要である」と述べ、まだ未利用の部品はUH-1の稼働率と即応体制を維持するために有効活用されるだろうと語った

第205戦術ヘリ航空団以外にも、第505へり航空団でUH-1ヘリが保有されており、対テロや対共産主義活動家対処にも活用されている
フィリピン軍は老朽化が否めないUH-1の維持努力にあわせ、16機のS-70i Blackhawkへり購入契約を済ませ、16機のロシア製Mi-17輸送ヘリの調達契約も間もなく行う予定と言われている
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3月に譲渡式を行った部品を、10月半ばになって現場ヘリ部隊関係者が確認したと言う「のんびり」フィリピン仕事ですが、恐らく日本から派遣されている防衛駐在官が、フィリピン空軍に速く譲渡部品を使用した成果を見せてくれとお願いしてフィリピン空軍を動かしたのではないかと推察いたします(勝手な邪推です

海自から提供したTC-60も、良く見ていないと野ざらしにされたりしないか心配になります。他国を支援すると言うことは、それくらい根気が要るということです

防衛省の関連webページ検索
https://www.mod.go.jp/j/search_r.html?q=UH-1%E3%80%80%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%94%E3%83%B3

最近のフィリピン関連記事
「比大統領は特攻隊の慰霊碑を自費で建立していた」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-11-2
「露とアジアの関係を2点から」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-23
「東南アジア3か国が共同警戒へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-18
「比が米軍に南シナ海共同警戒中止を通告!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-08

最近のアジアでの米軍動向
「「戦後初」米空軍トップがベトナム訪問」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-14
「初のASEANと米国の海洋演習AUMX開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-03
「アジア太平洋地域で基地増設を検討中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-28

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米国オープンスカイズ条約脱退の噂にざわめく [安全保障全般]

互いに相手国上空の飛行して監視し合う枠組み
1992年に24か国署名で2002年から開始
現在は30数か国が参加の条約

OC-135B.jpg8日付各種軍事メディアは、トランプ政権がオープンスカイ条約からの脱退を検討しているとの情報を受け民主党の主要議員らが国務長官と国防長官に対し、「政権内部でこそこそ検討するな。重要な条約だからオープンに議論すべきだ。噂されている脱退には断固反対だ」との主旨のレターを送ったと報じています

この条約(Treaty of Open Skies)の経緯は古く1955年にアイゼンハワーが基本理念を提唱しましたが冷戦激化で実らず、1989年に父ブッシュが再び持ち出し、1992年3月にNATOと旧 WTOの 25ヵ国が調印して条約が成立しましたが、実際の相互査察飛行は2002年になって実現した代物です。

条約に基づく査察飛行は条約調印国の全領土上空からの査察を対象とし、年間の査察回数は査察を受けた回数は認められ、査察用航空機やセンサーは相互に協議して合意の上実施、査察結果は共有データとする、などの原則に沿って行われることになっています

Treaty of Open Skies.jpg西側の査察は実質的に米空軍の2機の老朽機体OC-135Bが担い、ロシア側はTu-214が行っていますが、運行開始から60年以上経過したOC-135Bは故障が頻発し、2018年は一度も査察飛行が出来なかった「情けない」状況にあり、後継機や維持経費検討を巡ってオープンスカイ条約が最近話題に上ることが増えていました

最近米国が離脱した「INF全廃条約」については、ホワイトハウス、国防省、国務省間である程度のコンセンサスがあったようですが、このオープンスカイズ条約からの脱退については意見が割れている状況で、共和党内でも賛否両論あるようです

離脱派は衛星等の手段がある中、またロシアが特定地域の上空査察を拒否したりしている中、条約維持に意味はないと主張し、継続派はウクライナ上空飛行など周辺同盟国等に対する情報提供データが得られ、同盟国へのコミットメントを示すうえで重要で、また問題はあってもショートノーティスの上空飛行で得られる情報は有用と主張しています

知識不足で正確にお伝えできるか疑問ですが、話題になりそうなのでとりあえず取り上げます

8日付米空軍協会web記事によれば
Treaty of Open Skies2.jpg下院外交委員長のEliot Engel下院議員(民主党)等はレターの中で、ロシアが条約を十分に履行していないとの長年の懸念はあるものの、「ウクライナ上空での査察飛行から得られる情報は、ロシアのウクライナでの活動を把握する上で有用で、更なるロシアに侵略行為を防止するために役立っている」

●また「条約からの撤退は、大西洋をまたぐ西側同盟を弱体化させ、欧州同盟国に対して米国が安定した予測可能な同盟国だとの信頼を失うことにつながる」と訴え、条約撤退を思いとどまるよう求め、「政府機関横断的な同条約の重要性レビューと、米議会との協議を通じ、透明性ある議論」を求めると主張している

●8日、査察飛行を担当する米戦略コマンドは、査察飛行を支持する米空軍OBのDon Bacon下院議員の発言「OC-135Bによる非武装で平和的な査察飛行は、30か国以上の条約加盟国の軍事力や軍事活動を観察して貢献している」をツイートし、同条約が信頼醸成や透明性確保に貢献していると間接的に主張している

OC-135B2.jpg条約離脱派はロシアがカリーニングラード(バルト3国に隣接の飛び地)、南オセチア、グルジア周辺地域上空の査察を認めないことや、米軍査察機の乗員のロシア国内宿泊を拒否するなどの行為を条約違反と非難しているが、Engel下院軍事委員長ら条約継続派はロシアの違反行為を問題視しすぎて条約離脱の理由にしてはならないと主張している
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台風19号接近で「東京の郊外」でもちょっと緊張してきましたが、今後オープンスカイ条約も、ノーベル賞とラグビーW杯等の隙間でニュースになると思われるので取り上げました

シリア北部からの米軍撤退と言い、色々なトランプ政権の動き・・・台風19号と同様に、波風が大きそうです

米空軍の老朽情報収集機がピンチ
「OC-135Bらは後継機無しの方向?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-28-1
「OC-135Bらの維持がピンチ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-08-1
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ドイツ製パッシブレーダーがF-35を150㎞追尾していた [安全保障全般]

So-netの都合で、昨日からブログのURLが変更になっています。ご注意下さい!
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以前ご紹介したHensoldt製のTwInvis
2018年4月末のベルリン航空ショーのF-35帰隊時に
なぜかF-35がデモ飛行しなかった同航空ショー

TwInvis.jpgドイツのHensoldt社が、自社製のTwInvisパッシブレーダーが2018年4月末のベルリン航空ショーに飛来した2機のステルス戦闘機F-35を約150㎞にわたって追尾したと明らかにした模様です

いつ、どのような形で同社がF-35のレーダー探知追尾を明らかにしたのか9月30日付C4ISRnet記事は明らかにしていませんが、関連の記事が軍事メディアで複数取り上げられていますのでご紹介します

なお同パッシブレーダーについては昨年11月に、世界が注目し、ドイツ軍が自ら試験をした後、導入する方向で進めていると以下の記事でご紹介したものです

「新型パッシブレーダーが大注目で独軍が試験へ」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-17-1

復習:Hensoldt社製のTwInvisパッシブレーダーとは
TwInvis2.jpg通常の航空機探知追尾用のレーダーは、自ら航空機の探知追尾に適した周波数の電波を発射し、目標航空機が反射する電波を探知して位置や飛行方向や速度を把握するが、このパッシブレーダーは、ラジオやTV局が発する放送用電波や携帯電話の通信電波などが目標航空機に反射したものを集めて探知追尾に活用する

世のステルス機は、航空機探知用レーダーの周波数に対して、機体からの反射を局限する形状や表面塗装でステルス性を確保するが、他の周波数に対しては必ずしもステルス性を発揮するとは限らな
●また自ら電波を発射しないパッシブレーダーは、自分の存在や位置を対象航空機や敵に知られることがない点でも、利点がある

TwInvis3.jpg一方でラジオやTV局が発する放送用電波や携帯電話の通信電波などを利用することから、目標航空機の位置特定の精度や分解能は低く、パッシブレーダーだけでミサイルなどを誘導することはできない同レーダーの大まかな探知位置に赤外線ミサイルを発射したり、他のセンサーを指向してより正確な情報を得ることに活用可能
またラジオやTV局など一般の電波が少ない地域では活用が難しい。(想像ですが、日本が東シナ海や日本海方面で同パッシブレーダーの原理を活用することは難しいかもしれません

2018年4月のベルリン航空ショーでの探知状況
同航空ショーは、ポーランドとの国境から70kmほどにあるSchönefeld Airportで行われ、ポーランドのFM放送局からの強力な放送電波も活用できたことからパッシブレーダーの機能発揮に貢献した
米国は同航空ショーをドイツ並びに欧州への売り込みの重要イベントと位置づけ、米本土から過去同機最大の11時間もの移動時間をかけて2機のF-35を派遣したが、なぜか地上展示だけでデモ飛行を行わなかった

TwInvis4.jpg当時現場では、Hensoldt社製のTwInvisパッシブレーダーの展示がやデモが急きょ決まったため、これを警戒してF-35がデモ飛行を取りやめたとの噂でもちきりだった
Hensoldt社は、F-35の帰路を狙ってTwInvisの能力を確認すべく、また米側に警戒されないよう、航空ショーの会場から機材を撤収したと見せかけ、会場から数キロ離れた「馬牧場(ポニー牧場)」に機材を移動させ、F-35の帰路離陸を待った

●管制塔とF-35編隊の無線交信から離陸を察知したHensoldt社関係者は、F-35が搭載の航空交通管制用トランスポンダーが発する信号と、TwInvisが探知する機体位置を照合しつつ、約150㎞に渡りF-35編隊を追尾した
ちなみにF-35などステルス機は航空交通路の移動の際、飛行安全を確保するためレーダー波反射装置(リフレクター: Luneburg lenses)を装着して通常のレーダーに探知されやすいようにするが、TwInvisは通常の航空機探知用レーダーと異なる周波数を活用するので、リフレクターの有無に探知能力は左右されないとHensoldt社関係者は説明している

TwInvis5.jpg●Hensoldt社がF-35の探知に成功したと明らかにしたことに関し、米国防省F-35計画室の報道官は「ノーコメント」と対応した
このF-35探知を受け、仏独スペイン共同の6世代機開発プロジェクトにおいて、ステルス性追求の程度が変化したと言われている
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物理学における電磁波の法則から理論的には可能と分かっていても、現実の世界での実現には様々な障害があった様ですが、データの処理技術やプロセッサーの進歩により、TwInvis開発が成功したとHensoldt社は説明しています

既にこの技術は中国に流れているのでしょうか。流れていると考えるのが自然でしょうねぇ・・・。

様々な制約があるパッシブレーダーですが、TwInvisを導入したと宣伝するだけで、ステルス機運用側は行動を制約されることになります。リスクは簡単に置かせませんから・・・

「新型パッシブレーダーが大注目で独軍が試験へ」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-17-1

対ステルス関連の記事
「中国の対ステルスレーダー」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-24
「中国にステルス対処の受動レーダー出現」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-05
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
「ステルスVS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「米イージス艦のIAMD進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「バイスタティック無人機で対処」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-26

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「戦後初」米空軍トップがベトナム訪問 [安全保障全般]

戦後44年を経て、父が戦った地を訪問
1995年に国交回復も空軍トップ訪問は戦後初
今の米軍首脳の親はベトナム経験者なんだと気づきました

Gold  Vietnam.jpg12日付米空軍公式web記事が、8月19日の週に米空軍参謀総長としてベトナム戦争後に初めてベトナムを訪問したGoldfein大将と、同行しているBrown太平洋空軍司令官の「感慨深い」同地訪問を伝えています

もちろん米空軍トップとしては少なくとも44年ぶりのベトナム訪問で、またトランプ大統領が強く問題視している米ベトナム貿易不均衡で両国間がギクシャクな中での訪問のですので、それだけで十分「感慨深い」のですが、特に二人の米空軍首脳にとっては、父親が命をかけて戦い、その様子を父親から聞いて育った世代として特に印象深いものだったと記事は紹介しています

父親が操縦するF-4や輸送機から見たであろう通称「Red River Valley」や、故マケイン上院議員らが収容され拷問を受けた「Hanoi Hilton」など、父親世代が敵として戦った北ベトナムの様子を目の当たりにしつつ、40年以上を経て変化した国際環境をベトナム軍関係者と共通の認識に立って語る機会を得るたことは、米空軍大将の二人にとって「感慨深い」ものであったろうと思います

具体的な軍事協力の話が紹介されているわけではありませんが現在の米軍首脳にとっての「ベトナム」を考えさせる記事ですので、少し「センチメンタル・ジャーニー」ですがご紹介しておきます。

12日付米空軍公式web記事によれば
Gold  Vietnam2.jpg●フィリピンからベトナムに移動する機内からGoldfein空軍参謀総長は、彼の父親がF-4戦闘機の操縦席から見たと聞いている泥で赤く染まった大きな川の流れ「Red River Valley」を見つめていた。
●参謀総長に同行していたBrown太平洋空軍司令官も、彼の父が特殊情報作戦兵や輸送部隊兵として2度にわたり戦ったベトナムの様子を感慨深く上空から眺めつつ、まだ若かった父親が戦場に向かった当時の思いに思考をめぐらせていた

●Goldfein参謀総長世代には、特に米軍兵士第2世代にとってベトナムは、戦後44年が経過し、国交回復25年を迎えても特別な思いが伴う場所である。また戦後初の米空軍トップ訪問を、ベトナム側がどのように考えているかも両大将は予想できなかった
●しかし心配は杞憂だった。参謀総長は「本当に誠実で暖かなもてなしだった」と語り、太平洋空軍司令官は「ベトナム戦争時の捕虜の扱いとは正反対の歓迎をベトナム側から受けた」と表現した。

Gold  Vietnam3.jpg2007年にWTOに加盟したベトナムは、米国にとって16番目の貿易相手国であり、インドネシア、マレーシアと並び地域情勢を考える上での重要な「strategic partnership」国であり、国際法や国際秩序を尊重し、航行の自由など共通の原則や価値観を共有する国である
●軍事分野では、ベトナム人民軍空軍(Vietnam People’s Air Force)などと毎年複数の演習や訓練を行い、2国間や多国間の相互運用性強化に努めているところである

●参謀総長はベトナム側との会談を振り返り、「戦いあった戦士の第2世代である我々は、その後の時の流れをかみ締めつつ、両国関係について語り合った」「両国の貿易不均衡が関係発展を一時足踏みさせることはあるが、中国の地域への影響力拡大は、両国の戦略的利害関係を接近させる」と表現し、
●「ベトナム戦闘時の負の遺産であるダイオキシン除去の問題についても率直に意見交換し、また、遺骨帰還への取り組みについても話し合った」と触れ、Brown大将は「先立つフィリピン訪問も含め、国家の安全保障を確保する取り組みがますますwhole-of-government体制で求められることを認識した」と語った

Hanoi Hilton.jpg●一連の会談の合間に両大将は、宿泊するホテルからもその悪名高かった赤い屋根が見えるかつての捕虜収容所「Hanoi Hilton」を訪れた
●今回の海外訪問中に捕虜経験者の回想録を読んでいる参謀総長は「故マケイン議員らが過ごした独房の前に立つと、超現実的な感覚に囚われ心動かされる」、太平洋空軍司令官は「私はほんの数分コンクリート製の独房を経験しただけだが、劣悪な環境下で何年もの時間を過ごした米軍捕虜がいたことを考えると、身の引き締まる思いだ」と述べた
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一つの疑問は訪問からなぜ3週間も経過した9月12日に、この記事が米空軍公式webサイトに掲載されたかです。べトナム側の了解を得る必要があったのでしょうか? 両大将の行動は、8月16-22日の間に、フィリピン、ベトナム、豪州を巡るもので、なぜ掲載までにこれほど時間が必要だったのか不明です。

Trump1.jpg記事には「trade imbalance could temporarily stall progress」との表現があり、まさかホワイトハウスまでお伺いを立ててから掲載したのか?・・・なんて邪推してしまいます

先日ご紹介した「軍事クーデター」関連の人権問題で関係停滞のタイではありませんが、南シナ海をとりまく重要パートナーであるべきはずのベトナム(それも貿易額16番目)と貿易不均衡で揉めている場合でしょうか?

ベトナムと米国関係
「戦争後初:米空母がベトナム訪問へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-24
「米国武器フル解禁発表」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-21
「2015年カーター長官訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-02
「武器輸出緩和発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13-2
「ベトナムへ武器輸出解禁か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-28

「50年ぶり米軍トップが訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-16
「ベトナムと中国と関係改善の兆し?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-28

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タイが中国製着上陸部隊輸送艦を契約 [安全保障全般]

中国製戦車や装甲車を保有し、潜水艦も購入
タイの軍事クーデター(2014年)で米国が冷たくするから

Type 071E.jpg12日付Defense-News記事によれば、9日北京で、左写真が示す最新の中国製着上陸部隊用輸送艦(amphibious transport)購入契約の署名式が行われタイ海軍が25000トンの最新鋭艦艇を中国から購入することになったようです

購入が決まったのはType 071Eで、中国海軍が既に6隻保有し、更に2隻を建造中のType 071(Yuzhao LPD)の輸出バージョンで、中国軍webサイトは「輸出用E型は、Type 071に最新の能力向上を複数施したもので、総合力でType 071よりも強力で技術的にも進んでいる」と紹介しているようです

米国からすれば、タイは常にアジアの重要な同盟国として名前が挙がる国で、シャングリラダイアログの米国防長官演説でも必ずタイに言及する習わしとなっていますが、冒頭でご紹介したように中国との地理的近接性や経済関係からタイも中国を無視できず、既に中国製の戦車や装甲車を導入し、潜水艦まで購入することになっています

またタイ軍と中国軍は定期的に「Falcon Strike exercises」演習を行っており、最近も中国空軍のJ-10戦闘機とAWACSがタイ北部の空軍基地に展開し、タイ海空軍との演習を行ったところです

12日付Defense-News記事によれば
Type 071E 3.jpgタイ海軍がいつ同艦艇を入手できるのか等についてタイ海軍は明らかにしていないが、タイの地元紙は以前、建造には3年を要すると報じていた。価格については1500億円から2400億円との数字が報道されているが、明らかになっていない
●Type 071Eの原型であるType 071は、全長約200m、排水量2500トンで、ボバークラフト式の兵員輸送艇を4隻と、2隻の強襲揚陸艇を装備し、ヘリ4機を格納輸送でき、着上陸兵士6-800名を輸送できる性能を持っているので、 Type 071Eは少なくとも同等以上の能力を持つと考えられる

●タイは、同艦艇の2つのヘリパッド等を活用し、同艦艇をHADR(人道支援と災害救援)に使用し、有事には着上陸作戦に使用すると説明している
タイが現在保有する同種の輸送艦艇は、全長約140mのシンガポール製艦艇で、2012年から運用を開始している。ちなみに同海軍はヘリ空母HTMS Chakri Naruebetも保有して運用している
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Type 071E 2.jpg背景には2014年のタイ軍事クーデター以降、オバマ政権下の米国がタイに冷たくしたことも潮目となり、2015年7月に中国製潜水艦3隻(2000トン級のType 039A Yuan級攻撃潜水艦)購入の発表(最終決定は2016年末)し、タイが全方位外交(米国離れ)に向かっている現実があります。

タイ北部のウタパオ海軍飛行場に米軍が、災害対処用の物資を事前集積したいと申し出たら、タイ側が断ったとの話が数年前ありました。兵器の集積ではなく、災害対処資材でもこの塩対応です・・・

また、日本企業の進出が盛んなタイですが、日本の外食産業が進出しても、華僑のコミュニティー力に押され、中華系の外食チェーンに負けが続いているとの報道も見た覚えがあります

防衛大学校には早くからタイの留学生が入港しており、確かタイ海軍司令官になった人材も出ているのですが、今の留学生当たりの話を聞くと、中国と米国の比重は「50対50」とはっきり答えるようで、「日本ほど単純ではない」と説明してくれるようです。

トランプ政権の姿勢は把握していませんが、ちょっと巻き返さないと・・・南シナ海に面するタイですらこの状況ですから・・・

米タイ関係を考える記事
「タイ軍が中国製潜水艦に続き戦車を追加購入へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-05
「2015年7月の中国潜水艦導入発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-13
「米タイ軍事関係50年ぶりの仕切り」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-16

南シナ海関連記事
「初のASEAN海軍との共同訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-09-03
「F-35搭載艦が初の南シナ海航行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-07
「2020年米陸軍が南シナ海機動展開演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-30
「中国空母で夜間離発着訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-01

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英戦闘機開発にイタリアも参加へ [安全保障全般]

追記:10日夕刻、英と伊が共同開発の政府間合意文書に署名
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戦闘機Tempest開発にスウェーデンに続いて
独仏スペイン連合に対抗し第6世代機機開発
DSEIの会場で発表の模様  

Tempest UK.jpg10日付Defense-Newsは、10日から13日の間、ロンドン郊外で開催されている兵器見本市DSEI(Defence and Security Equipment International)で英国が2018年7月に開発開始を打ち出した第6世代機Tempest開発計画に、スウェーデンに続いてイタリア参加が発表されると報じています。英伊の政治関係が微妙なため発表のタイミングが微妙になっているとも伝えていますが・・・

欧州では、2018年4月に独仏が第6世代機の共同開発を発表して他の参画国を募集し始め、スペインが参加を表明していますが、3か月遅れの2018年7月に英国国防相が負けじとTempest開発計画を発表し、今年の7月18日にスウェーデンが英国との共同開発に署名しているところです。また、日本やトルコにも英国からお誘いが来ているようです

ちなみに独仏スペイン連合はFCAS(Future Combat Air System)との呼び名の元、Airbus社とDassault社がリードする形となっており、英国側チームはBAEシステムズやロールスロイス、仏のMBDAそしてSaabなど欧州企業が参加することになっており、欧州を2分する形となっています

英戦闘機産業の年間売上高は60億ポンド超で、過去10年間の防衛輸出額の8割以上を占める重要分野であり、EU離脱で英製造業の先行きに不透明感が漂うなか、重点分野として独仏に負けられない戦いですが、併せて英空軍の主力「ユーロファイター・タイフーン」の後継として、2035年(2040年との報道も)までに実戦配備を目指し、計画の初期段階として20億ポンド(約3000億円)を投入するとしています

第6世代機Tempestのイメージは(各種報道より)
Tempest UK2.jpgTempestは無人飛行が可能になる模様だ。さらに、スウォーミング(群れ飛行)技術によって複数のドローンを制御するほか、レーザーに代表されるような指向性エネルギー兵器を装備する。
指向性エネルギー兵器への大容量の電力供給を実現すべく、ロールスロイスが革新的なガスタービンを開発するという報道も一部に出ている。
複雑なデータネットワークとクラウド技術を活用し、兵器とセンサーを結びつけるコンセプトも打ち出されている
(ちなみに、仏独スペイン連合の次世代機もドローンの遠隔操作機能を搭載予定と報道されており、米空軍の検討方向と非常に似ています)

10日付Defense-News記事によればイタリアは
10日午後の段階で、関係高官は、英国とイタリア政府との間でどのような形式の発表がなされるのか不透明であると語り、英伊間の波風の多い政治情勢が不透明感の原因だとコメントしている
●恐らくDSEI期間中に、両国の国防相が共同声明文書をイベントを開催して発表することになるだろうとも同高官は述べている

Tempest UK3.jpg国家間の協力関係確立はまだ成立していないが、既に企業レベルでは協力が始まっており、例えばイタリアのLeonardo社はセンサーやアビオニクス分野で協力することを昨年発表している。仮に国家間合意が成立した場合、この企業協力が変化するかは不明である
関係者の間では、イタリアの関与具合がスウェーデンを超えるのではないかとの噂もあり、DSEIでどこまで明らかのなるか注視されている

7月の記者会見でSaab社のCEOは、「我が社にとって、短期的なTempest計画参加の目的は、我が社製グリペン戦闘機の能力向上に役立てる事だ」、「現代の戦闘機は75%ソフトウェアで成り立っており、ハードの変更なく能力向上が可能だ」と表現していた
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欧州の第6世代機開発については2018年4月に独仏の計画をご紹介して以来放置していたのでイタリアの行く先は不確かながら、Tempest開発計画を切り口に現状をご紹介しました

2035~2040年頃に、戦闘機がどの様な位置づけを維持しているのかはなはだ疑問ではありますが、英国のEU離脱が避けられそうもない混乱にEUが突き進む中、「独仏スペイン」 VS「 英伊スウェーデン」の戦いが勃発しているということです

いずれの陣営も、本当に開発資金がねん出できるのか?・・・との点が本当の関心事かと思われますが、とりあえずご紹介まで・・・

欧州の戦闘機関連話題
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
「独の戦闘機選定:F-35除外も核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28

米空軍の次世代制空機検討PCA
「NGAD予算確保に空軍苦闘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-21
「PCA価格はF-35の3倍?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28

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B-2ステルス爆撃機がアイスランドに初展開 [安全保障全般]

「グリーンランド買いたい」への忖度!?
ホット給油だけの一時的な滞在だったようですが
北極圏を巡る争いにプレゼンスを示す意図か

B-2.jpg29日米欧州コマンド空軍が、28日にアイスランド沿岸警備隊基地に1機のB-2ステルス爆撃機が初めて着陸しエンジンを停止しないまま燃料給油を行ったと発表しました

B-2が着陸したのはKeflavik航空基地と呼ばれるアイスランド沿岸警備隊基地で、数十年に渡り米軍機を受け入れてきた実績のある基地の様ですが、日本にも着陸したことのない大型爆撃機B-2をNoエンジンカットとはいえ、受け入れられるとは大したものですす

一方でエンジンを停止しないまま燃料給油は「hot-pit refueling」と呼ばれますが、他の原因も併せ、仮にB-2がトラブルで離陸できなくなったら、特別仕様の格納庫も整備機材も地上支援資材もないアイスランドでB-2を野ざらしにするリスクまで犯して対露プレゼンスを示したということでしょう

米欧州コマンド空軍は発表で・・・
B-2evening.jpg●この飛行の目的は、搭乗員に地域完熟させること、および、世界的な米軍の展開能力を示すことで、地域の同盟国等に米国の地域へのコミットメントをあきらかにすることである、としている
●またB-2爆撃機がアイスランドへ展開することで、ドイツの米空軍基地から同アイスランド沿岸警備隊基地に展開してきていたF-16と合流した、と明らかにした

米軍は2006年まで、アイスランドの同基地に「Naval Air Station Keflavik: 米海軍Keflavik航空基地」を約50年間維持してきたが、米海軍基地撤収後は、NATOが戦力をローテ-ションで派遣してきた
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米国防長官が中国を最優先課題と公言するようになる中、対ロシアの欧州正面もやりくりに苦心しつつ頑張っています。

Putin4.jpgロシアによるハイブリッドな「誘導工作」に対処するサイバー演習や情報戦演習を取り上げがちになっていますが、Baltopとかの実働演習も粛々と行われています

次はバルカン半島があぶないとか、EUにくさびを打ち込む情報戦だとか、氷が急速減少中の北極が・・・など話題には事欠きませんが、ロシアの飽くなき嫌がらせには逆に感心します

「米空軍2トップの寄稿;北極圏と米空軍」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-13

「ドキュメント誘導工作を読む」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1

北極に関する話題
「グリーランドに中国企業」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「北極航路ブームは幻想?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-13
「トランプ:空母削って砕氷艦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02

北極圏:米国防省と米軍の動き
「米軍C-17が極地能力強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-02
「北極海での通信とMUOS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-25-1
「米国防省の北極戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-23-1
「米海軍が北極対応を検討中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-20

ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09
「ロシア軍が北方領土に地対艦ミサイル配備へ」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-26

欧州・北極圏に関連する記事
「NATOが選挙妨害演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-13
「グリーンランドに中国企業進出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「セルビアが危ない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-2
「B-1とB-52欧州展開等」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-24-1
「対露の欧州米軍予算4倍を説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-2
「欧州への派遣や訓練を増加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08-1
「F-35初海外はやっぱり英国」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-21
「F-35海外展開訓練発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-15
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プーチンがトルコ大統領にSu-57Eを売り込み [安全保障全般]

ロシア航空ショー「MAKS-2019」会場で
非公式に2人は1時間以上話したとか・・・
実質、写真しかない報道ですが

Turkey Su-57.jpg27日、ロシアのZhukovsky国際空港で開催されている恒例の航空ショー「MAKS-2019」を訪れたトルコのエルドワン大統領はプーチン大統領に案内されてロシア製ステルス戦闘機(と言われている)SU-57を見学しました

米国やNATO加盟国からの度重なる忠告にもかかわらず、ロシアから高性能地対空ミサイルシステムS-400を輸入したことで米国からF-35計画からの除外され、購入予定だった約100機のF-35に代わる戦闘機が必要になるトルコに対し、ロシアがすかさずトップセールスです

エルドワン大統領は興味津々でSU-57の機体や操縦席をのぞき込み、プーチン大統領に「売ってもらえるんですか?」と尋ねたところ、プーチン大統領はすかさず「もちろん、購入できますよ」と答えたとか・・・

28日付米空軍協会web記事によれば
4世代機SU-35とステルス機SU-57を視察
SU-57.jpg●プーチン大統領に同行してトルコ大統領を案内したロシア関係者は、トルコからの要望があれば2-3年後には両機種ともトルコに提供できると述べ、トルコには単なる貿易パートナーではなく、同盟国扱いで対応すると述べた
ロシア側がステルス機と呼ぶSU-57は、従来のSUシリーズに比してレーダー反射率が多少低く抑えられている程度と西側専門家はみているが、ロシア空軍から第1段階として76機の発注を受けたばかりで運用開始していない

SU-57の輸出用はSU-57Eで、今年春にロシア政府が認可したばかりで、現時点で海外からの発注はない模様である。ロシアからの説明にトルコ側は強い関心を示したと露国営メディアは伝えているが、契約に向けた具体的な話までは進んでいない模様
●SU-57については、当初インドがロシアと共同開発を行っていたが、ロシア側がしつこくインドに更なる資金提供を要求し、逆に技術移転について消極的だったことから、2018年にインドは共同開発中止を発表している

SU-35はSU-27フランカーシリーズ最新型機の第4世代機であり、ロシア空軍に8年前から配備が始まり、現時点で約70機を保有している。中国とインドmo 同機を発注している
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Esper_dunford.jpg ちなみにエスパー国防長官は28日の会見でトルコがF-35計画に復帰するためには、S-400をトルコの倉庫に格納してF-35と並行運用しないようにする程度では不十分で、S-400をトルコ内から除去する必要があると念を押しました

また、トルコとロシア間にはシリア北西部へのロシアが支援するシリア大統領軍の進軍により、非武装地帯である同地域に所在するトルコ軍が脅かされるとの問題があり、トルコ大統領が「シリア軍が対テロとの名目で当地域の民間人も巻き添えにしている」との表現で抗議したが、プーチンは「非武装地帯は軍隊が保護され軍事作戦を開始するエリアではない」とトルコの主張に反論した模様です

「トランプ政権がトルコをF-35計画から除外」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-17

米トルコ関係
「トルコの代わりに米で部品製造」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-27
「S-400がトルコに到着」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14
「米がトルコに最後通牒」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-09
「6月第1週に決断か」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-23
「トルコが米国内不統一を指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-2
「もしトルコが抜けたら?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-21
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初めて中国企業も推計:世界の軍需産業Top100 [安全保障全般]

米企業がTop3も、Top15に中国企業が6つも
米英共同チームが苦心の中国企業推計

100 Top.jpg22日付Defense-Newsが、2001年から毎年集計発表している「世界の軍需産業トップ100リスト」を公表し初めて中国企業を含めたランキングを作成して話題を集めています

西側企業の場合は、ロシア企業も含め、企業活動に関する情報開示が行われていますが、兵器製造に当たる中国企業の多くは巨大国営企業であることから情報開示が十分ではなく、その推計にDefense-Newsと英国IISS合同チームは苦労したようです。

厳密に西側企業と同レベルで収入(defense revenue)が把握されているかは疑問符もありますが、この点について合同チームは以下のように説明しています

J-31 2nd4.jpg●中国巨大国営企業の推計に当たっては、民生部門と軍需部門の売り上げを区別することが大きな課題だったが、各巨大国営企業の数百の下請け企業まで追跡し、各下請け企業が民需か軍需かを見極め、配分を推計した
●全体8位のChina North Industries Group Corporation Limited(Norinco)のみが民需と軍需を分けて情報開示していることから、上記手法をこのNorincoに適用して手法の正確性を検証したところ、Defense-Newsと英国IISS合同チームの手法で導いた数値と公開数値がほぼ一致することが確認でき、手法の確度を証明できたと考えている

リストからトップ15とその2018年軍需収入額は

1 ロッキード  5.5兆円
2 ボーイング  3.7兆円
3 ノースロップ・グラマン 2.7兆円
4 レイセオン  2.7兆円
5 Aviation Industry Corporation of China  2.6兆円

6 GD  2.6兆円
7 BAE システム 2.4兆円
8 China North Industries Group Corporation Limited  1.6兆円
9 エアバス 1.5兆円
10 China Aerospace Science and Industry Corporation 1.1兆円

11 China South Industries Group Corporation  1.1兆円
12 China Electronics Technology Group  1.1兆円
13 Leonardo (イタリア) 1.1兆円
14 China Shipbuilding Industry Corporation  1.05兆円
15 Almas-Antey (ロシア) 1.0兆円

トップ100のリストは
https://people.defensenews.com/top-100/ 

22日付Defense-Newsはトップ100リストを眺めて
China Aircraft Ind..jpg試算した中国の主要な巨大国営軍需産業の収入合計は約11兆円で、これを超える米国軍需産業合計に次ぐ第2位である。またこの額は欧州全域の軍需産業収入合計とほぼ同額である
●分析したIISS研究者によれば、中国企業は大きなプレーヤーだが、世界市場でどれほど大きいかはよく吟味する必要がある。世界の国々は米国製か中国製兵器選択を迫られることになるが、近い将来において現在米国製を使用している国で、中国製に乗り換えるたいと考えている国はない

中東諸国で中国製無人機を導入したとの事例はあるが、中国企業は(技術流失を恐れて)輸出を制限している
中国軍需企業の納入先の大半は中国軍向けで、輸出は大部分バングラデッシュ、アルジェリア、ミャンマー、パキスタンに限られ、パキスタン向けが輸出の36%を占めている。これは中国との共同開発戦闘機JF-17の生産によるものである

Luyang III 052D.jpgロシアや欧州の軍需産業は企業存続のため輸出する必要があるが、中国や米国企業は国内市場で生き残れる。また米国が世界各国に中国製兵器の導入規制を課しているため、中国企業は当面中国市場に焦点を絞らざるを得ない
●仮に中国企業の輸出による影響を懸念するとしたら、それはロシア企業だろう。ラテンアメリカやアフリカ諸国は予算が限られることから低コストの兵器を求めており、中露が市場を争う可能性がある

中国軍需企業の鍵となる弱点は3つある航空機エンジン、艦艇推進システム、戦闘コントロールシステムの3つである。これら分野でのテコ入れのため、国を挙げた開発センターを整備したり、外国企業と協力体制を構築したりしている

Liaoning-Dalian.jpg中国大規模企業の合併も政府が主導して進めている。米国では、軍需産業の合併は競争機会の喪失や開発コスト増大の元凶とみられることが多いが、中国は政府監督による統制があり、シナジー効果やイノベーション促進、重複部門の効率化などを期待する見方が多い。
●かねてから噂の「China State Shipbuilding Corporation」と「China Shipbuilding Industry Corporation」の合併が成立すれば、本リストの9位に相当する巨大造船企業が誕生することになる。中国海軍は、今年前半だけで11隻の戦闘艦艇を就航させるが、当面旺盛な艦艇建造を効率化する狙いがあるようである
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Defense-Newsと英国IISSの合同チームとは柔軟な組み合わせです。米軍事メディアと英シンクタンクが協力し、このような基礎的なデータ集計を行い、分析を提供するとは大したものです

この辺りが安全保障研究における伝統の重み、懐の深さ、基礎研究を怠らない足腰の強さなのでしょう。

トップ100リストは、2000年のデータ分析結果まで遡ってご覧いただけますので、色々な視点で眺めて見てはいかがでしょうか。

トップ100のリストは
https://people.defensenews.com/top-100/ 

米国軍需産業の分析レポート
「2019年版 米国防省軍需産業レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-28
「2018年版レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1

艦艇の修理や兵たんの課題
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24
「空母定期修理が間に合わない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09
「優秀な横須賀修理施設」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-05
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トランプ政権はトルコをF-35計画から除外 [安全保障全般]

トランプ大統領「トルコにはF-35を売らないと伝えた」
トルコ企業の部品供給契約は2020年初めまで
米国に550~700億円の追加経費発生

S-400 Turkey.jpg16日、定例閣議の前にトランプ大統領は記者団に、「トルコにF-35を売却するオプションはなくなった」と語り12日にトルコ政府がS-400受け入れ開始を発表して以来、初めて米国政府としての姿勢を明らかにしました

トランプ大統領は本件に関し、オバマ政権時代にトルコに米国製地対空ミサイルシステム・パトリオットを売らなかったことで、トルコはS-400をロシアから購入せざるを得なくなったと最近主張していましたがトルコが自国軍需産業への技術情報開示を要求したことで話がまとまらなかったのが真実で、トランプ流の「強弁」の一種と理解しておきましょう

S-400とF-35の件はさておき、米トルコ同盟は引き続き重要だ・・・がトランプ大統領のスタンスのようで、対イランも見据えてこれ以上事を荒立てない雰囲気ですが、外交安全保障関係者のトルコへの不信感を払しょくすることは難しく、今後の両国関係は予断を許さないものなのでしょう

16日付Military.com記事によれば
Trump9.jpg16日トランプ大統領は、「大変難しい状況だ」と述べつつ、トルコにF-35を売却するオプションはなくなったと語り、トルコがS-400受け入れ開始後、初めて米国政府として本件への態度を明らかにした
●また大統領は、「トルコに対しては、我々が推薦するものとは異なるミサイルシステムを買わざるを得なくなったことを受け、米国はトルコにF-35を売らない」と伝えたところだと語った

●更に大統領は、「色々な側面から議論され、色々と試みたが、大変残念だが、このような結果を見ることになる。トルコ側は購入したいだろうが、私はトルコの行為を弁護することはできない」と述べ、一方で「エルドワン大統領とは依然として良い関係を維持している」とも語った

国防長官就任の承認を得るため上院軍事委員会に出席したエスパー前陸軍長官(前臨時国防長官)は、トルコによるS-400購入決断は誤った選択だと語った。この発言は、トルコがS-400を受領開始した後の、国防省関係者としての初めての言及だった

F-35 Front.jpg前の国防省F-35計画室長Chris Bogdan退役中将は電話取材に対し、F-35関連の情報を保全するため、S-400とF-35の同国内での運用はあり得ない選択肢だと述べ、同氏が室長を務めていた2012年~17年までの間、外交や政治など、あらゆる手段を交えてS-400導入をやめさせようとしたと振り返り、今回の結果を残念だと表現した
●またBogdan退役中将は、F-35計画パートナー国が途中で抜けることについては、このような大規模な計画では避けられないことだと語り、カナダが政権交代でF-35導入に慎重な姿勢に変化しつつある点に言及した

トルコはF-35パートナー国として、937種類の部品製造にかかわっており、サプライチェーンの再編過程で部品コスト上昇や需要を満たせない可能性があるが、Lord米国防省調達担当次官は、トルコ軍需産業との部品供給契約を終了する予定の2020年初めまでには、米国をサプライヤーを中心に徐々に代替企業に仕事を引き継いでもらうと語っていた

17日調達担当次官はコストについて
●17日、Ellen Lord調達担当次官は、2020年3月までにトルコから部品等製造を米国等の企業に移管するために、550~700億円の経費が発生すると述べた
●またトルコ軍需産業がF-35計画から除外されることにより、トルコ軍需産業は約1兆円のビジネス機会を失うことになるとも述べた
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トルコは次の戦闘機をどうするんでしょうか? F-35がダメであれば、FA-18だって容易ではないでしょうし、欧州のタイフーンやグリペンだって慎重になるでしょう。

Turkey USA.jpgロシアから買うんでしょうか? エルドワン大統領の強引なやり方に、トルコ空軍幹部もさぞかしイライラしている事でしょう・・・

最初にも述べたように、対イランも見据えて、トランプ大統領はこれ以上事を荒立てない雰囲気ですが、米国の外交安全保障関係者のトルコへの不信感を払しょくすることは難しく、今後の両国関係は予断を許さないものなのでしょう

米トルコ関係
「S-400がトルコに到着」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14
「米がトルコに最後通牒」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-09
「6月第1週に決断か」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-23
「トルコが米国内不統一を指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-2

「もしトルコが抜けたら?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-21
「来年10月S-400がトルコ配備」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27-1
「マティス長官がトルコF-35を擁護」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24

「6月に1番機がトルコに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-15
「露製武器購入を見逃して」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28-1
「連接しないとの言い訳?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-30

カナダ首相がF-35から「足抜け」を狙う
「やり直し機種選定開始」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-03
「カナダが中古の豪州FA-18購入へ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10
「米加の航空機貿易戦争に英が参戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-16-1
「第2弾:米カナダ防衛貿易戦争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-04
「痛快:カナダがF-35購入5年延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-23
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トルコにロシア製S-400の第一弾ついに到着 [安全保障全般]

ついにルビコン川を渡ってしまったのか
気になるトランプ発言の行く先は?

S-400 Turkey.jpgついに11日夕刻、トルコにロシア製の高性能地対空ミサイルS-400地対空ミサイルの第一弾が到着し今後数週間で段階的に残りの関連部品や整備試験機材等が到着するようです。

米国時間12日朝にトルコ政府が同ミサイルの到着を発表も、米国防省は本件の会見を当初同日午前1145に設定も、後に2時間半遅らせるとしたまま会見は未だに開催されず・・・。

米国は国として6月6日付で当時のShanahan臨時国防長官がトルコ国防相へレターを出し、S-400のトルコ搬入が行われれば、F-35共同開発国で同機を100機購入予定のトルコを、F-35計画から排除し、既に完成している4機の機体も引き渡さないし、米国内でF-35の操縦や機体整備の訓練を受けているトルコ軍兵士を国外退去させると最後通牒しています

S-400-launch.jpgShanahan臨時長官は同レターに先立ち、トルコ国防相と同書簡の内容について5月末に電話で話し、イスラム教の国として唯一のNATO加盟国であり、米軍の地域拠点であるインジュリック空軍基地を擁するトルコと米国の関係は、いよいよ正念場に差し掛かっていましたが、一線を越えてしまった感があります

6月6日付の最後通牒の直接のきっかけは、トルコがS-400の操作要領等を学ばせるため、トルコ軍の操作員や整備員をロシアに派遣したことが最近明らかになったための様ですが、西側最新兵戦闘機であるF-35を、ロシア製最新鋭SAMと同居させることで機密が漏洩すると、トルコ側には数年前からあらゆるチャネルを用いて警告してきたにも関わらず、反米のエルドワン大統領は一歩も引かない姿勢でS-400導入を進めてきました

6月7日に会見した米国防省のEllen Lord担当次官は、S-400の代替として、米議会の許可も得てパトリオットシステムをトルコに輸出する準備も整っているとトルコ側に呼び掛けていますが、トルコ側はこれまで、米側とNATO加盟国からのこのような要請に対し、「S-400導入は既に決定済で契約済の案件だ」として全く聞く耳を持たない様子です

Turkey USA3.jpgしかしです、トランプ大統領がG20開催直前のTVインタビューで、オバマ政権時代にS-400の代替になりうるパトリオットシステムのトルコへの売却を許可しなかったから、トルコはS-400を購入せざるを得なくなったのだと、トルコのエルドワン大統領の弁解を丁寧に説明しており、この発言の意味するところが気になります

だからトランプ大統領は、国防省や米軍が訴えてきたF-35の機密漏洩の懸念を無視し、100機のF-35売却による儲けを優先し、F-35計画への継続参加を認めると言うのか、F-35計画から除外をするが、重要な米国とトルコの同盟関係は重要だからこれまでと変化ないというのか・・・気になるところですし、米側の反応を見守りたいところです・・・

米トルコ関係
「米がトルコに最後通牒」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-09
「6月第1週に決断か」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-23
「トルコが米国内不統一を指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-2

「もしトルコが抜けたら?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-21
「来年10月S-400がトルコ配備」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27-1
マティス長官がトルコF-35を擁護」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24

「6月に1番機がトルコに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-15
「露製武器購入を見逃して」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28-1
「連接しないとの言い訳?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-30

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中国が米軍需産業を標的にレアアース禁輸へ [安全保障全般]

人民日報「Don’t say we didn’t warn you」
警告してあげたことは忘れないでね
この言葉、1979年以来初、史上4回目の使用とか・・

rare earth5.jpg3日付Defense-Newsが、米中貿易摩擦への中国側からの報復措置として一般社会への影響が少ない点でメディア上のインパクトは少ないが、米政権に短刀を突き付けるような効果がある「米軍需産業へのレアアース輸出規制」が持ち出されていると報じています

話の発端は、中国の経済計画を審議するNDRC(National Development and Reform Commission)が、6月17日に行った「米国の軍需産業は中国からのレアアース輸出制限を受けるだろう」との発表で、その数週間前に「レアアース輸出制限」を米国への報復措置として検討しているとの中国メディア報道が具体的になったとことにあります

記事は、様々な対策により直接的な影響はそれほど大きくないような雰囲気で書かれていますが、地球上での採掘量と産地に偏りがある元素17種類を指す「レアアース:希土類」の、リサイクル利用の活性化など同盟国を巻き込んだ取り組みの必要を訴えています

3日付Defense-News記事によれば
rare earth.jpg●もう何年も前から、米国材料サプライチェーンの専門家は、米軍やその同盟国を支える重要な兵器(第5世代戦闘機や精密誘導兵器)に不可欠な希少材料へのアクセスが絶たれる懸念について警告してきた。そして、例え僅かでも入荷量が減少すれば製品価格が急騰し、入荷制限が長引けば、国家安全保障を根本で支えるシステム製造企業を脅かすと主張してきた
だが、多くの人は自由貿易に相互依存するこの世界で、そのような過激な手段に中国が出るとは考えなかった。しかし6月17日の中国当局の発表は、中国が如何に巧妙に米側の緊要な部分に牙を突きつけ、貿易戦争を戦おうとしているかを示すものだ

中国側の戦略は冷徹な計算に基づいている。米国の軍需産業だけを標的にすることで米軍装備のコストを引き上げ、製造リードタイムが伸びることは、米国政府中枢に影響を与えるが、一般民衆には大きな影響えず反発を招かないとの目算である
クラウゼビッツを学んだものなら誰でも、これが米国の「重心」を突く攻撃だと理解できるだろう

rare earth4.jpg●報道によれば、中国NDRC当局はレアアース措置に関し3回会議を開き、これは習近平主席がレアアース採掘場を視察し、中国メディアが冒頭紹介した「Don’t say we didn’t warn you」との言葉を30年ぶりに発した数週間後に行われている。これらすべては偶然に重なったわけではない

●幸いにも、米国政府はレアアースや他の緊要な材料物質の安定確保に向けた対策を進めており、7月4日発表の「Federal Strategy to Ensure Secure and Reliable Supplies of Critical Minerals」もその点に触れ、2019年度の国家授権法でも、米軍需産業が中国など非同盟国からのレアアースに依存することを制限しており、
国防省も軍需産業にサプライチェーンの再構築とレアアース再利用の能力を確認しているところである。またレアアース改修と再利用の検討の予算増額を議会に働きかけている
●また議会では、外国資源への依存を減らすため、米国内でのレアアース等の採掘を制限していた法律の改正しようとする議員たちの動きがみられる

rare earth3.jpg中国は数十年にわたる努力で、レアアースを戦略物資として各国のサプライチェーンに供給するルートを固め、米国軍需産業もその中に組み込まれている
●中国NDRCの6月17日の発表は、最後の手段だと考えるべきではない。米国は現状を良く分析し、長期的視点で議会と協力して戦略や政策文書に示された課題や対策を具体化していかなければならない
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本当に米国政府として安心していられる状況なのか、記事を読みながら不安になってきましたが、そこは見守るしかないのでしょう・・・

日本の商社が、簡単に横流しできるものではないでしょうし・・・。 米国内で採掘を可能にするためと解釈した「Mine-permitting reform」ですが、環境団体とかがうるさいのでしょうか?

いずれにしても、レアアースは「レア」なので、目が離せない展開になってきました・・・

米中関係を考える記事
「CSBA対中国戦略レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「2019年アジア安全保障会議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-31-1
「2019年中国の軍事力レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-06
「グーグルからAI技術流出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-31-1

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SIPRIが核兵器数などの年次報告 [安全保障全般]

世界の90%を占める米露の削減で総量減少
しかし、中、英、パキ、恐らくNKは増加

SIPRI 2019.jpg6月16日付Defrense-Newsは、SIPRIが発表した世界各国の核兵器保有数を含むレポート(SIPRI Yearbook 2019)を紹介し2019年初時点で、米露が保有する核兵器数は新START条約に沿って削減(米が265発、露が350発削減)されましたが、中、英、パキ、NKは増加(イスラエルも恐らく増加)、印と仏は変化なしと取り上げています。

また全体数は減りましたが、全ての国で兵器の近代化がすすめられているとSIPRIはしています

世界全体の核兵器数13865個(2018年初時点では約14465個)が前年より減少したのは、全体の約90%を保有する米露が新START条約の規定弾頭数まで2018年中に削減した結果ですが、2021年までにこの条約が延長されなければ、この減少傾向はどうなるかわかりません。現在の米露関係を考えると悲観的な見方が広がっています

nuclear bomb.jpgまた、2018年にトランプ政権として発表した核体制見直しNPRで、オバマ政権の核兵器削減方針を転換し、現有兵器の近代化と低出力核兵器を潜水艦発射巡航ミサイルに搭載する方向を打ち出しており、この低出力核弾頭開発が他の核保有国に影響を与えているとSIPRIは見ています

SIPRI(Stockholm International Peace Research Institute)が核保有国として取り上げた国は9か国で、保有数が多い順番で露、米、仏、中、英、パキ、印、イスラエル、NKとなっています。

めったに目にしない数字ですので、各国ごとにご紹介します。米英仏は数を公表していますが、その他は核実験や核分裂物質の利用状況などからSIPRIが推計したもので、他にもいろいろな推定数が出回っているのでしょうが・・・

16日付Defrense-News記事はSIPRI分析を紹介し
米国は現在6185発の核弾頭を保有しているが、その中の約1000発の低出力弾頭を搭載する重量投下爆弾と空中発射巡航ミサイルに加え、潜水艦発射巡航ミサイル用の低出力弾頭を加えようとしている
nuclear bomb3.jpgロシアは現在6500発の核弾頭を保有しているが、この規模と非戦略型弾頭の構成は、米国の通常戦力優位に対抗するためのもので、米国の非戦略弾頭やその総トン数に対抗するものではない

●しかし米国が長射程戦略核の増強に併せ、潜水艦発射巡航ミサイルに低出力核弾頭を搭載し、欧州やアジアでの非戦略核のプレゼンスを追求することで、ロシアは非戦略型核兵器への依存傾向を強め、中国にも同様の兵器導入を考えさせる契機となるだろう
●なおロシアは現在、約1830発の非戦略型核弾頭を保有しているとみられる

ロシアは引き続き核戦力搭載可能な長距離航空部隊の長距離展開を北極海、大西洋、太平洋地域で行っており、2018年12月には大統領を巡る混乱が続くベネズエラに2機のTU-160派遣を行っている。
中国も核戦力拡大に努めており、約290弾頭を保有していると見積もられている。核の先制使用をしないと宣言しているが、核による報復能力の改善に努力している

nuclear bomb2.jpgインドとパキスタンについては情報が少ないが、両国ともそれぞれ弾頭数を10-20個増やし、インドが130-140、パキスタンが150-160個と見積もられている
北朝鮮についてはさらに情報が乏しいが、20-30弾頭を保有すると推定され、2018年時点の推定から10個程度増加と見積もっている
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2011年2月5日に米露間で批准書が交換され新START条約が発効しましたが、有効期限は10年間(最大5年の延長が可能)であり、2021年2月の期限に向け、核兵器が注目を浴びることになります

ICBM James.jpg北朝鮮が少数でも核保有を宣言して世界を振り回し、イランの件でも世界の原油市場を巻き込んだ不安材料となっています。

サイバーだ宇宙だと言っても、やはりその御威光が衰えることがない核兵器の基礎データでした

昨年のSIPRIレポート
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-20

新STASRT条約は延長の危機
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-21

NPR(核態勢見直し)関連
「リーク版NPR」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-13
「次期ICBMと核巡航ミサイルの企業選定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-27-1
「マティス長官がNPRに言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-15-1
「トランプ政権NPRの課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-09

「2010年NPR発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-07
「NPR発表3回目の延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-02
「バイデンが大幅核削減を公言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-19

米国核兵器を巡る動向
「今後10年の核関連予算見積が23%増」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26
「核兵器輸送がNo2任務」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-11
「ついにINF条約破棄へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-1
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「サイバー時代の核管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02
「リーク版:核態勢見直しNPR」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-13
「議会見積:今後30年で140兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02-1

21世紀の抑止概念を目指す
「3本柱はほんとに必要か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-22
「米戦略軍も新たな抑止議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「21世紀の抑止と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
「相殺戦略特集イベント」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「期限を過ぎてもサイバー戦略発表なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-25

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