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レアメタル中国依存脱却に米国企業への投資強化 [安全保障全般]

Lynas USA2.jpg1日、米国防省が米国内でレアアース(希土類:rare earth)の採掘精製に従事する企業との約30億円の契約発表を行い、レアアースの中国依存を脱却する一歩だとアピールしました。

レアアースに関しては、昨年9月30日に当時のトランプ大統領がレアアース確保に関する大統領令を発出しレアアースの世界市場を中国が牛耳っている危機的な状況に警鐘を鳴らし、米国政府を挙げて米国内採掘処理を活性化させて備蓄を増やすとともに、中国産の輸入を抑える関税などの措置検討に入ったところでした

rare earth3.jpg実際、米国はレアアースの約8割を中国から直接輸入しており、残りの部分にも第3国経由で中国産を輸入している鉱物が含まれているなど、米中対立が激化し緊張感が高まる中、中国側にアキレス腱をゆだねているような状態にあります

米国防省も重要な装備・兵器(ミサイル、弾薬、極超音速兵器、電子機器の放射線防護から携帯電話まで多様な装備)に不可欠なレアアース17種類を重要素材と指定し、Lord前調達担当次官が昨年10月に上院軍事委員会で、レアアース確保備蓄に向けた戦略作成や柔軟な予算運用が可能となるよう議会の協力を求めていたところでした

今回の30億円契約先は、中国企業以外で世界最大のレアアース採掘精製企業「Lynas Rare Earths Limited」の米国支社「Lynas USA」で、同社は米国防省からの資金でテキサス州に「light rare earth」の精製施設を建設するということです

1日付C4ISRnet記事によれば
Lynas USA.jpg●今回契約発表があった精製処理施設が完成すれば、Lynas社は世界のレアアースの1/4を採掘精製する規模となる見込みである
昨年4月にも国防省は、同社がテキサス州に建設する「heavy rare earth metals」処理施設に、他のベンチャー企業と共に資金を拠出しており、また昨年11月にはレアアース国内産出増加のために3件で計約13億円の契約を民間企業と結んでいるところ

rare earth2.jpg国防省は今回の契約に際し、「(トランプ大統領による)大統領令13817で指示された貴重で重要な鉱物資源確保に向け、米国防省が近年取り組んできた資源調達やサプライチェーン強化の一環である」と声明を出している
また専門家は「この契約の重要性は、米国防省が継続的に国家安全保障上重要なレアアース確保政策推進に取り組んでいることを示した点にある」、「レアアースはほとんどすべての国防装備品や兵器に不可欠な素材である」とコメントしている
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中国に8割依存とは厳しい現実です。また埋蔵量でも、中国が35%、旧ソ連圏で20%以上など、西側にとっては頭の痛い話です

rare earth.jpg日本の排他的経済水域内の海底に、多くの貴重な鉱物(レアアース?)が眠っていると耳にしたことがありますが、日本も貢献できそうならばぜひ投資を考えてはどうかと思います。詳しくないので素人アイディアですが・・・


レアアース関連記事
「レアアース確保に米国が大統領令:中国依存脱却へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-03
「中国がレアアース輸出規制へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-06

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コロナ下でもUAEで巨大兵器見本市 [安全保障全般]

アブダビに1300企業が集結しアクチャルで
国交樹立のイスラエル企業含め5か国が初参加

IDEX NAVDEX.jpg2月21日から25日にかけ、UAEの首都アブダビで巨大兵器見本市(IDEX and NAVDEX)が実際に人や企業を集めて開催され、初参加5か国を含む世界各国から1300以上の企業が、自慢の武器兵器を展示アピールするようです

コロナ下で、実際に人や企業を集めて開催される本格的な兵器見本市は初めてで、体温感知センサーの入場口への配置はもちろん、滅菌の霧散布装置などハイテクコロナ設備を大挙投入し、出品企業関係者と見本市参加者は全員PCR検査「陽性」証明を提示する必要があるとの厳格な体制下ですが、バーチャルでない開催とはUAEの統制力を感じます

IDEX NAVDEX2.jpg15回目となるIDEX(International Defence Exhibition and Conference)と、NAVDEX (Naval Defence and Maritime Security Exhibition)の同時開催で、NAVDEXには複数の国から新型艦艇が参加展示される予定となっています

初参加の5か国は、UAEと歴史的な国交樹立を果たしたイスラエルの他、アゼルバイジャン、ポルトガル、ルクセンブルグ、北マケドニアで、特にイスラエルの初参加について、UAE国防省や参謀本部と連携して同イベントを開催運営する企業ADNEC幹部は、「如何にこのイベントが地域の平和維持を先頭に立ってけん引するものであるかを示す」、「中東地域の国防戦略の敷石となる重要イベントだ」とアピールしています

IDEX NAVDEX3.jpg今回の重要テーマは、サイバー、研究開発、サプライチェーン、人工知能、第4の産業革命などで「(コロナ拡散以降)世界で初めて、国防関係者や軍需産業関係者が一堂に会し、軍事情勢や新たな兵器技術について意見交換し、交渉する絶好の機会である」と同イベント関係者は説明しています

同イベント間のメディアイベントを取り仕切る関係企業によれば、5日間に40以上のビジネス発表、20以上の新製品の披露イベント、50以上の自立型・無人型車両、精密誘導兵器、海洋パトロール艇、電子戦機器、メンテナンス機材等々の新機能の紹介イベントが予定されているそうです

IDEXのwebサイトhttps://idexuae.ae/
NAVDEXのwebサイトhttps://www.navdex.ae/

Defense-NewsのIDEX特集ページ
https://www.defensenews.com/digital-show-dailies/idex/
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この手の商売人の皆様の、いろんな意味での底力を見る思いがします

コロナ下で西側諸国が「瀕死」の状態にある中でも、無人機を使った作戦で戦史の一ページを飾る戦いが行われたり、サイバー戦分野でその脅威が現実化したりと、兵器武器世界は変化の歩調を緩めてはくれません。

参加者がどの程度になるか不明ですが、開催するからにはそれなりの「目算」があるのでしょう・・・

世界の軍事関係者に衝撃
「攻撃無人機でアゼルバイジャン圧勝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-21
「米国防省が小型無人機対処戦略を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-10

最近のサイバー関連の記事
「ロシア発:驚愕の大規模サイバー攻撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-18
「フロリダ水道施設にハッカー:薬品投入量操作」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-10

無人機対処にレーザーや電磁波
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-20-1
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
「米軍のエネルギー兵器が続々成熟中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-30-1

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バイデン大統領指示:4か月で対中国軍事態勢見直し [安全保障全般]

大統領として初のペンタゴン訪問で発表
取りまとめは元大統領副補佐官で現長官の中国担当補佐官

Biden pentagon5.jpg10日、バイデン大統領がハリス副大統領を伴って就任後初めてペンタゴンを訪問し、今後4か月以内に対中国軍事戦略のレビューを行うと発表しました

同レビューのとりまとめはEly Ratner中国担当国防長官補佐官(元バイデン大統領の安全保障担当副補佐官)が行い、国防長官室や統合参謀本部、地域コマンドや情報機関から、文民と軍人を合わせ15名程度で構成される「China Task Force」が検討を担当するとのことです

Biden pentagon6.jpg国防省発表の同レビュー「Fact Sheet」によれば、レビューでは、軍事戦略、作戦運用コンセプト、装備近代化や投資対象技術の優先順位、戦力配備や基地配備の在り方、情報態勢、同盟国との関係などに焦点を当て、広範な検討が試みられる模様です

ただ、このレビュー結果は「No final public report is anticipated」ということで、公にはならないようで、米議会にはしかるべく報告されるようですが、今後の関連政策や予算配分から、なんとなく雰囲気を想像するしかなさそうです。

関連報道によれば
Biden pentagon4.jpgバイデン大統領は国防省ブリーフィング室で本レビューに関し、「今後数か月で、国防省のChina Task Forceが、中国関連問題についての対応方針を明確にするため、新たな優先順位と決定すべき点(decision points)の検討を行う」
また「対中国戦略は、政府を挙げての取り組みとなり、米議会超党派の支持や同盟国等からの協力が必要となる。これが、中国の挑戦に対して如何に米国が立ち向かうかの基本だ」と語った

国防省発表の「Fact Sheet」は「China Task Force」が議論対象となる重要事項検討に「疾走:Sprint」すると表現し、短期間での集中的な取り組みであることを強調している

また本発表前に軍事力に関する大統領の所信を述べ
Biden pentagon3.jpg私は、必要時に軍事力の使用を躊躇することは決してないが、軍事力の使用はあくまで最終手段(tool of last resort)である
求められれば戦って勝利を収める態勢を保持しつつ、敵の侵略を抑止することが任務の中心である

我が国は、「力の例示」ではなく、「例示の力」によって、より安全に強くなる。米国は今世紀の課題に対峙するにあたり、安全保障について優先順位を再考する必要がある
中国は特に「growing threat」であり、新技術を生かし、サイバー能力を高め、宇宙での競争にも立ち向かう

(かつて、現役時代のオースチン国防長官の下でイラクに大尉で従軍した息子(米国内で事故で死亡)を例に出し、)バイデン一家は軍人家族である。志願して国のために勤務する皆さんに、大きな責任を負っていることを感じている。我が政権は決して、皆さんの名誉を傷つけたり、皆さんに政治的な行動を求めたりしない
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大統領選挙期間中に、中国寄りだ、中国に弱みを握られている・・・等々のうわさが飛び交ったバイデン大統領ですので、それを打ち消すため、中国に対する厳しい姿勢を各所で表現しています

Biden pentagon7.JPG話は飛んで恐縮ですが、でも最終的には、日本はどうするのか? 覚悟はあるのか?・・・に行きつきますので、きちんと正面から情勢を見つめることが必要なのでしょう

アーミテージ氏が最近投げかけた、「日本は、中国に対してタフになる心構えは出来ているのか?」との問いに、答えることができるのか・・・です

関連の記事
「オースチン長官が米軍態勢見直し指示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-06
「国防副長官が所信を述べる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-03
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09
「新政権がトランスジェンダー勤務許可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-26

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民間衛星で商用電波を収集し安全保障に活用 [安全保障全般]

民間会社「HawkEye 360」の衛星を利用して
中国漁船や中国の怪しげな調査船、密猟者の動きも
商用情報なので同盟国等との共有も容易

HawkEye360.jpg26日付C4ISRnetは、米国のNGA(米地理空間情報庁:National Geospatial-Intelligence Agency)が民間会社「HawkEye 360」と協力し、商用に使用されている無線やレーダー電波情報を収集して、従来分析対象だった軍事電波衛星以外の、広範膨大な商用電波情報を分析に活用する試験プログラムを開始していると紹介しています

従来安全保障当局が分析に使用していたのは、細部不明ながら限られた範囲の電波情報です。一方で今回対象とするのは民間船舶が使用する通信や海上捜索レーダー、商用衛星通信や携帯電話電波で、衛星からの情報収集で位置特定や特異な動きの兆候を察知できるようです

HawkEye3602.jpg民間会社「HawkEye 360」のwebサイトでは、中国漁船の違法操業や中国調査船の動きを捉えることが出来るとか、密輸や不正行為につながる艦船動向の察知とか、アフリカの動物保護区での密猟者の動き特定とか、武漢でのコロナ騒動を河川海上交通の動きから分析できるとか・・・商用無線通信情報の収集が様々な可能性を秘めているとアピールし、民間分野への情報提供だけでなく、安全保障機関との緊密な連携も紹介しています

軍事衛星情報との差は明確になっていませんが、商用衛星による商用電波収集で得られた情報は、同盟国等との共有に制限がなく、ややこしい情報共有や情報管理の取り決め仕組みやハード整備の必要がないことが売りで、友好国との関係強化の強いカードとして米国は重視しているようです

日本でも(株)衛星ネットワークが「HawkEye 360」のサービス提供窓口になっているようで、分かりやすいwebページが開設されていますので、一度覗いていただいてみてはいかがでしょうか

26日付C4ISRnet記事によれば
hawkeye3606.jpgこのNGAの試験プログラムは、2019年にNRO(National Reconnaissance Office)とHawkEye 360社が結んだ契約に基づくもので、これで同社が集める商用衛星による商用通信や商用電波情報が入手できることになった。そして国家機関であるNROはこれら情報を、国防省の関係機関や他の情報機関に提供している

HawkEye 360は、3個の衛星で1セットを構成する最初の衛星セットを2018年に打ち上げ、今年1月にSpaceXのFalcon 9で追加の1セットを打ち上げているが、今年後半には更なる衛星追加打ち上げを予定している
衛星セットを増やすことにより、より多くの情報を収集できることは無論だが、同じ目標の情報収集に当たる時間間隔を短くできる点で大きな効果が期待できる

HawkEye3603.jpg現在は5時間おきに再観測可能な体制だが、間もなく2時間おきの観測が可能となり、年末には1時間おきの観測間隔が実現可能となる((株)衛星ネットワークのwebサイトでは、今年から12-35分間隔の情報収集が可能と記載されている。恐らく日本周辺のサービスレベルは高いかも
また同社は地上インフラへの投資も進め、衛星情報をより迅速に顧客へ届ける体制構築も進めている

HawkEye 360社のCEOであるJohn Serafini氏は、「NGAは膨大な商用通信電波にアクセスせず、独自衛星の非常に高度な非公開情報だけで分析を行ってきたが、商用データを使用した分析結果は、同盟国やパートナー国との情報共有を容易にする」とその意味を説明した
世界中の商用電波を分析して得られる発信源の位置情報や電波の変化情報から、識別装置をオフにして活動する船舶の動きを把握したり、戦場での通信電波状況把握で兵士たちに貢献するなど、様々な活用法が考えられてい

(株)衛星ネットワークのwebサイトによれば
測定可能出力は、未知信号で5W以上で、既知信号:1W以上

HawkEye3605.jpg提供情報は ①電波発信場所の特定
②電波特性解析による対象物(船舶等)の特定
③指定電波の電波密度を測定し、対象エリアの変化を観測

●想定利用例
AIS情報の正誤判定、AIS以外の電波信号による船舶検出
不審船の追跡
電波ヒートマップからの異常検出
GPS妨害電波発信源の特定
レーダー電波発信源の特定

対象物から発信される電波(VHF、UHF、L-band、X-band 等)を受信解析し、その対象物の位置を特定
特定周波数の電波(レーダー、衛星TT&C信号、GPSジャミング信号 等)の電波密度を測定し電波ヒートマップを作成。その発信源の特定や電波パターンの変化による異常事態の発生を検知
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HawkEye 360社のwebサイト
https://www.he360.com/

(株)衛星ネットワークのwebサイト関連ページ
https://www.snet.co.jp/planet/hawkeye360/

HawkEye3604.jpg(株)衛星ネットワークwebサイトには、小型ミカン箱程度の衛星概要や、電波密度ヒートマップなどなど、様々な情報を掲載しています。日本でこの情報を誰を対象に売るのか興味深いですが、自衛隊や海上保安庁や・・・でしょうか?

衛星技術の進歩や衛星打ち上げの商用化推進によってこのようなビジネスが成立するようになって来たのかと思いますが、国の予算も投入して、上手く活用して頂きたいものです

電波関連さまざま
「5G企業へのCバンド売却で電波高度計に懸念」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-22
「炎上中:5G企業へのGPS近傍電波使用許可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-14
「5G企業に国防省大反対の周波数使用許可へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-11
「米議会でも国防省使用の周波数議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-05
「ファーウェイ5G使用は米国との関係に障害」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-17
「軍事レーダーの干渉確認」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-05
「5G企業とGPS関係者がLバンド電波巡り激突中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-22-2
「戦略コマンドが5Gとの電波争奪に懸念」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-27
「GPSが30日間停止したら」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-18
「5G試験のため民間に演習場提供案」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-14

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英新型空母と米駆逐艦が空母攻撃群を編成し作戦行動へ [安全保障全般]

艦載機F-35を必要数購入できない英軍と
F-35搭載可能な強襲揚陸艦火災損失の米海軍
悲哀に満ちた「win-win」関係とも考えられ・・・

Queen Elizabeth.jpg18日、英海軍の新型空母エリザベスと米海軍の駆逐艦Sullivansが空母攻撃群を編成し、空母エリザベスの指揮のもと、2021年後半から作戦行動を行う旨の合意文書に、米国防長官(20日退任のMiller臨時長官)とBen Wallace英国防大臣が署名しました。具体的には、今年後半に英国ポーツマス港から艦隊として行動を開始する予定だそうです

この米英混合編成の空母攻撃群については、昨年11月に英国のジョンソン首相が、「空母エリザベスが英国と同盟国の空母攻撃群をリードし、最近20年間余りで最も期待に満ちた作戦行動を開始する」、「我々はより多くの海軍アセットを世界で最も重要な地域に派遣し、我が国を支える海上交通路を守る」、更に「地中海やインド洋や東アジアで任務に就く予定」で、英米同盟のさらなる深化を象徴するものだと説明していたところです

Sullivans USS.jpgちなみに空母エリザベスは、2017年春に進水し、昨年2018年夏から秋にF-35B搭載試験を米東海岸沖で3機の英軍F-35Bで開始し、2020年の秋は更に搭載機数や運用レベルを上げて「作戦能力試験:Operational Trials」を終了させ、2020年12月に初期運用態勢を宣言したばかりの英海軍新型空母です

ただし同空母は35機のF-35B搭載可能な設計になっていますが、厳しい財政事情から英軍は現時点でも最大24機の調達計画した打ち出せず、昨年夏時点で17機しか入手できていない状況です。その穴を埋めるかのように、米海兵隊F-35Bを同空母で運用させる枠組み作りや訓練が実施され、実際に昨年9月の同空母最大能力発揮試験は、10機の米海兵隊F-35Bが同空母に展開支援して米東海岸沖で行われたと記憶しております

F-35B.jpg米英力軍はこの試みを、単なる「相互運用性: interoperability」ではなく、相互に保有アセットを入れ替えても作戦運用可能な「戦力互換性:interchangeability」を目指す取り組みだと「美辞麗句」で表現していますが、英軍F-35機数不足加え、F-35搭載に向け改修中だった米海兵隊強襲揚陸艦Bonhomme Richardが昨年7月の火災で再起不能となり、F-35搭載可能艦艇の不足に悩む米海軍海兵隊にとっても「頼みの綱」の空母エリザベス様・・・状態となっています

もちろん、難しい空母運用を異なる国のアセット混合で行うことは非常にハイレベルな作戦運用であり、「戦力互換性:interchangeability」との一段高いレベルが米英同盟本領発揮の象徴であることは疑う余地がないのですが、互いの苦しい台所事情を慰めあう悲哀に満ちた「win-win」関係とも表現できましょう

20日付Military.com記事によれば
18日、米国防省は合意文書への両国の署名を受け、「この合意は、米国防戦略NDS実行のカギとなる米英同盟の強固さと相互運用性が、更に進化していることを裏付けるものである」との声明を出している
Wallace UK.jpgWallace英国防大臣も、「英国が21世紀の空母攻撃群を保有できたことを喜びとするとともに、これを可能にしてくれた過去10年余りにわたる米国の揺ぎ無き支援や協力に感謝する」と語った

米海兵隊の元航空部隊司令官であるSteven Rudder退役中将は本件に関し、空母エリザベスへの米海兵隊F-35の搭載運用について、「新たな運用形態標準:new normとなるだろう」と述べている
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「戦力互換性:interchangeability」確保に向けて努力されてきた米英両軍の皆さんにとって、少し失礼な表現の紹介となってしまったことを反省しております

Queen Elizabeth2.jpg日本が導入予定のF-35Bも、「新たな運用形態標準:new norm」への参加を打診されるのでしょう・・・。少なくとも訓練レベルでは

この法的整理は難しいでしょうねぇ・・・。作戦運用面では、航空自衛隊のパイロットが操縦ですから、海軍海兵隊式の運用になれることも容易ではないと思います

英空母エリザベスの悲しき現実
「コロナ下で800名乗艦で最終確認試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-01
「英空母エリザベスは米軍F-35B部隊と一体運用へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-26-1
「英海軍と英空軍共有のF-35Bが初任務」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-27
「米海兵隊F-35が英空母へ展開へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-09
「米軍F-35Bを英空母に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16
「英空母が航空機不足で米軍にお願い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03

F-35搭載改修終了直前の惨事(放火)
「強襲揚陸艦Bonhomme Richard火災の衝撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-15

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2月5日失効目前:新START条約5年延長提案 [安全保障全般]

27日、ロシア議会は新START条約の5年延長を承認。プーチン大統領はこれを「正しいステップだ」と歓迎の意を公式の場で表明。
ロシア政府は、数日後に延長手続きが完了すると。

トランプ政権時は「1年延長。加えて条約以外の核開発も含めて1年間凍結」案で戦っていたが、バイデン政権は「無条件」で延長を選択しました
片手落ちの条約でも「ないよりまし・・・」との判断でしょうか・・・
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最新の追記情報
Biden8.jpgバイデン大統領は21日(日本時間22日)、2月5日に期限が切れるロシアとの新START条約について、5年間の延長を目指す意向を明らかに
サキ大統領報道官は記者会見で、「条約で認められている通り、米国は新STARTの5年延長を求める意向だ」と発表。「ロシアとの関係が現在のように敵対的なときにこそ、この延長がより大きな意味を持つ」と表現

提案を受けたロシアのDmitry Peskov報道官は「われわれは条約の延長を歓迎するのみだ」とし、条約の延長をするかどうかの判断は「提案の詳細次第だ」

→→→(まんぐーす注)トランプ政権時の昨年10月頃は、米側が「とりあえず1年延長、その間は(New START範囲外の核兵器も含め)現状変更しない」との条件を付けていたことを受けた発言と推測
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バイデン政権誕生の翌日にロシアに提案か
延長歓迎ムードも、条約外で中露が好き放題状況を忘るべからず

New START3.jpg20日各種メディアが、核兵器管理の最後の枠組みである米露間の新START条約について、10年間の有効期限が切れる2月5日を前に、誕生直後のバイデン政権がロシア側に、現行条約の規定にある5年間延長の申し出を行ったと報じています

当初WP紙が最初に報じた内容を、Defense-Newsが独自ルートで匿名の政権関係者に確認したところ、バイデン大統領就任式翌日の1月21日午後に、バイデン大統領のJake Sullivan安全保障担当補佐官が在米Anatoly Antonovロシア大使に対し、5年間延長を提案したとのことです

missile_defense.jpgこの提案が真実であれば、NATOや米国同盟国から歓迎されるだろうと報じられており、例えばNATOのJens Stoltenberg事務総長は21日記者団に、「核弾頭について(条約が失効して)制限がなくなることは避けるべき。このままでは新START条約が失効してしまう」との危機感を示し、米国とロシア双方に、まず同条約を延長手続きを行い、その後に条約の枠組み拡大など発展的な改定を検討すべきと訴えているようです

今後の公式な米国政府の発表等が待たれるところですが、ロシアが極超音速兵器や戦術核や中距離ミサイルを配備して好き放題な中、トランプ前政権が「とりあえず1年延長、その間は現状変更しない」案を出して昨年10月にはまとまりかけたのに、大統領選挙情勢等からプーチン大統領が「無条件でとりあえず1年延長」との「ちゃぶ台返し逆提案」を持ち出したドロドロの交渉経緯もありますので、少し復習しておきましょう

New START.jpg新START条約は米露間で2011年2月5日に発効したもので、双方の戦略核弾頭上限を1550発とし、その運搬手段である戦略ミサイルや爆撃機配備数上限を700に制限する条約。有効期限は10年間で、最大5年の延長を可能とし、条約の履行検証は米露両国政府による相互査察により行うこととなっている。

核兵器管理の条約には新STARTとINF全廃条約が存在していたが、1987年12月8日に米露が署名し、相互に射程500kmから5500kmの地上発射弾道ミサイルの廃棄と保有禁止を約束するINF全廃条約は、ロシアが条約を履行していないとして、トランプ政権が2019年8月2日に破棄通告

INF全廃条約破棄を受け、新START条約が核兵器管理の唯一の枠組みとなったことから、多くの専門家が同条約の延長すべきと主張も、トランプ大統領は本条約を「オバマ時代の悪いディールだ」と呼び、新START条約の延長はせず、中国も含めた米中露の3カ国で核兵器管理の合意を追及すべきだと発言

New START2.jpg一方ロシアは、新START条約の規定に沿って5年延長を提案していたが、トランプ政権提案の露中米3カ国取り決め追求については、米露と比較して少ない核兵器しか保有しない中国が、保有核兵器削減を求める可能性のある議論を拒んでいる現実を踏まえ、「非現実的だ」と突っぱねていた

条約消滅の危機が迫る中、米側は米露中での新条約案を一旦わきに置き、「とりあえず1年延長、その間は(New START範囲外の核兵器も含め)現状変更しない」案を持ち出し、2020年10月2日のジュネーブでの米露交渉ではロシア側も同意していたとトランプ政権のRobert O'Brien米大統領補佐官は主張

しかし2020年10月16日、米側の「とりあえず1年延長、その間は現状変更しない」案に対し、プーチン大統領が「無条件でとりあえず1年延長」ならOKとちゃぶ台返し反応を示し、O'Brien米大統領補佐官が「話にならない(non-starter)」「大統領選の様子見か!?」と不信感をあらわに

B-2takeoff.jpg2020年11月20日、ロシア外務省が突然、米国提案の「とりあえず1年延長、その間は現状変更しない」案を受け入れると発表し、米国務省報道官が「歓迎する。すぐにも合意手続きを進める用意がある」と反応

昨年11月20日に「とりあえず1年延長、その間は現状変更しない」案をロシア側が受け入れ、「すぐにも合意手続きを進める用意がある」と米国務省報道官が語ったとの報道があった以降、どのような動きで今年1月21日の報道に至っているのか把握していませんが、このような一筋縄ではいかない交渉案件だということです

より大きな視点で新STARTの位置づけを考えてみると中国が核弾頭搭載可能な中距離弾道ミサイルを配備し、ロシアが戦術核や核搭載可能な中距離ミサイルや極超音速兵器を実質好き放題配備する中、INFが失効して階層的な軍備管理枠組みが前提だった新STARTは米国にとって不完全な条約になっています

SSBN.jpg不完全でも基礎なのだから、新STARTはそのままにしておくべきだという議論と、不安定な基礎の上に積み上げても仕方ないから、一度更地にして土台から作り直すべきだという意見があるべきですが、世界の雰囲気には、あわただしかったトランプ時代から少し落ち着きたい・・・だからとりあえず新START延長してくれ・・・との思いが強いようです

でも、米国の「とりあえず1年延長、その間は現状変更しない」案を巡り、「ちゃぶ台返し」で「無条件」提案を返してきたロシアの姿勢を忘れてはなりませんし、仮に5年間延長がまとまったとしても、「不完全」な状態に置かれるだけだということを肝に銘じておくべきでしょう

新START期限切れ関連
「ドタキャン後にまた受け入れ表明」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-17
「延長へ米露交渉始まる!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-18-1
「Esper新長官アジアへ中距離弾導入発言と新STARTの運命」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-04
「IISS:対中国軍備管理とミサイル導入は難しい」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-09

ロシアの兵器開発とINF条約関連経緯
「第3の超超音速兵器Zircon」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-21
「トランプが条約離脱発表」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-1
「露は違反ミサイルを排除せよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-06
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15

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イスラエルが欧州軍から中央軍管轄に [安全保障全般]

国防省は具体的な作戦運用の変化を語らず
兵器や弾薬の事前集積が進むのも変化の一つか?

CENTCOM.jpg15日付米空軍協会web記事は、隔年ごとに行われる地域コマンドの担当範囲見直しの一環で、従来米欧州軍の管轄エリアであったイスラエルが、大統領交代1週間前のタイミングで、米中東軍の担当エリアに変更になったと伝えています。

イスラエルは、北はシリアやレバノン、東はヨルダン、南はサウジやエジプトに囲まれている国であり、周辺の国が全て米中央軍の担当エリアになっていることからすれば、極めて自然な「米中東軍管轄」への移行ですが、それが出来なかったのが中東の政治力学でした

CENTCOM2.jpg軍事・安保の世界だけでなく、例えばサッカーW杯の地域予選でイスラエルは欧州諸国の予選リーグを戦いますが、周辺の中東諸国はアジア予選リーグを戦う組み分けになっています。地域の情勢からすれば、イスラエル対シリアや、イスラエル対イラン等の対戦を組むことが困難との配慮からだと考えられます

同じように、イスラエルが中央軍管轄だと、中央軍主催で担当エリア諸国軍との意見交換会議を開催したくても、アラブ諸国とイスラエル代表が同席する場を設定することが、アラブ諸国の国民感情的に受け入れられないことや、イスラエル軍と対話している中央軍司令官とアラブ諸国軍首脳が対話できる雰囲気になかったと考えられます

Israel.jpg今回のイスラエル中央軍管轄への移行の背景には、昨年9月に署名されたイスラエルとUAE&バーレーンの国交樹立(アブラハム合意)や、この流れに乗ったモロッコとスーダンとの国交確立があります。今後サウジやオマーンもこれに続くと考えられており、この中東変化の大きな流れが中東軍移管の背景です。アジア諸国でも、昨年12月にブータンと国交を樹立し、対立してきたインドネシアとの協議も進んでいるようです

イスラエルが欧州軍から中東軍管轄になることでの作戦運用面の変化について、国防省はコメントを避けていますが、イラン及びイランが支援するイスラム過激派を地域最大の脅威と深刻にとらえているアラブ諸国と、米中央軍を仲立ちとしたイスラエルとの実質的な軍事的協力が進むであろうことは間違いなく中東からの米軍削減が進む中で、米軍の地域での役割変化に注目です

15日付米空軍協会web記事によれば
Israel IDF.jpgイスラエルが欧州軍から中東軍管轄になることに関し米国防省は、「イスラエルとUAE&バーレーンの国交樹立(アブラハム合意)に導かれた地域の緊張緩和が、地域共通の脅威に立ち向かう米国と中東同盟国等との関係を強化する機会を与えてくれた」
「イスラエルは地域における米国の主要な戦略パートナーであり、この改編は地域の中央軍パートナー国に更なる協力強化の機会を提供するとともに、これまで構築されてきた欧州同盟国とイスラエルとの協力関係を維持するものである」と声明を発表している

米国防省は作戦運用面での変化についてコメントせず、作戦環境に応じた2年毎の見直しの一環だと述べるにとどめているが、世界で初めてF-35を実戦投入したイスラエル空軍と米空軍は、昨年10月に両国軍のF-35が参加する3度目の「Enduring Lightning」演習を行って作戦運用面での連携強化を図ってきた

Israel2.jpgイスラエルの中央軍移管を歓迎するMike Jones元中央軍参謀長は、「イスラエル関連の問題は、そのほとんどが米中央軍エリアの国との問題であり、米国の政策的視点からすれば意味あることだ」と述べ、インドがアジア太平洋軍の管轄に移行したのと同じ意味を持つと評価している
ユダヤ米国安全保障研究所は本件に関し、「より具体的に、米国防省が地域活動にイスラエルをより円滑に利用することができる。最も直接的には、例えば、米軍の装備弾薬の事前備蓄を更新することになるだろう」と評価する声明を出している
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トランプ政権が仕掛けた中東の地殻変動は、バイデン政権でどのように扱われ、どのように変化するのでしょうか? 

Israel IDF2.jpgバイデン大統領がイランとの核合意への復帰を目指すとして、イランがイスラエルとアラブ諸国との関係改善に水を差す条件を課す可能性や、トランプ政権の流れを抑える可能性があるのでしょうか?

興味津々です


中東とF-35
「政権交代前にUAEへのF-35契約署名へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-11
「イスラエルがUAEへのF-35に事実上合意」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-26
「米大統領:UAEへのF-35輸出は個人的にはOK」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-18
「米大統領:UAEはF-35を欲している」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-21
「中東第2のF-35購入国はUAEか?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-11-05
「湾岸諸国はF-35不売で不満」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16
「イスラエルと合意後に湾岸諸国へ戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-17

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トランプ政権間にUAEとのF-35輸出契約か [安全保障全般]

UAEへのF-35輸出合意文書が、バイデン大統領就任式の数時間前に署名された模様
(ロイターが関係筋情報で報じ、Defense-Newsも別ソースで確認)
50機のF-35と18機のMQ-9などをFMS枠組みで輸出の模様
https://www.defensenews.com/global/mideast-africa/2021/01/20/just-hours-before-bidens-inauguration-the-uae-and-us-come-to-a-deal-on-f-35-sales/
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担当国務次官補が「手続きは順調」と
MQ-9や関連弾薬を含め2.5兆円規模の輸出パッケージか

F-35 Greece4.jpg8日、米国務省の政軍関係担当Clarke Cooper国務次官補が記者団に、UAEへのF-35輸出手続きの現状について、1月20日のバイデン大統領就任式までに契約署名が完了すべく「全てが順調に進んでいる:Everything is on that trajectory」と語りました

かねてから中東湾岸諸国を中心に最新兵器導入を望む声は大きく、特にイランに後押しされたイスラム原理主義の拡大の中でその声は大きくなっており、UAEは5年以上前からF-35を米国に求めていたと言われていますが、中東で「イスラエルの軍事優位を維持確保する」との大原則の前に進展がありませんでした

Israel UAE.jpgそれがトランプ政権の仲介による昨年8月のイスラエルとUAEとの国交樹立によって一気に風向きが変化し、10月にはイスラエルがUAEへのF-35輸出を黙認することを事実上表明したことで大きく動き始めます

従来はイスラエルとパレスチナの和平問題解決が中東諸問題進展の前提条件でしたが、パレスチナがイスラム原理主義勢力に支配された現状では、イスラエルとパレスチナの和平は前提とすべき条件ではなく、他の穏健アラブ諸国とイスラエルの関係改善を直接進めることの方が実態に即しているとの認識が、イスラム過激派との20年にわたる対テロ戦争の中で広く地域に共有されるに至ったからだと理解しています

US UAE Israel Ba3.jpg実際、UAEに続いてバーレーン、オマーン、モロッコなどがイスラエルとの関係改善に進み、イスラエル首相がサウジを極秘訪問したとの報道も出ている状況で、トルコ大統領もイスラエルに秋風を送る動きを見せるなど、中東世界は大きな変化を見せつつあります。日本の主流と言われる中東学者が頭を切り替えられない中で・・・

米大使館のエルサレム移転等で物議をかもしたトランプ政権ですが、今となってはオバマ時代より圧倒的に中東の安定に寄与した政権であり、オバマ時代回帰を目指すように見えるバイデン政権誕生までに、UEAへのF-35輸出を固めようとする強い意志が現政権にあるように感じます

8日付Defense-News記事によれば
UAEへの武器売却は、50機までのF-35を約1.1兆円、18機のMQ-9攻撃型無人機を3兆円、約1.1兆円の空対空及び空対地兵器などを含む総計約2.5兆円規模になると推定されている
Sea Guardian.jpgバイデン政権で国務長官となるAnthony Blinken氏は昨年10月、UEAへのF-35輸出について「この件は、極めて慎重に注意深く検討しなければならない問題だ」と述べ慎重な姿勢を示していた

実際昨年、この売却提案は、UAEが中国やロシアとの軍事面での関係を持つことや、「イスラエル軍事力の質的優位:qualitative military edge」を維持する必要性を主張する議員が多い米議会で不評であることが明らかになったが、12月の上院での輸出阻止動議は無人機と弾薬輸出の件が46-50で否決され、F-35輸出が47-49で否決されている

F-35 Gilmore.jpg7日Cooper国務次官補は、「UAEへの輸出契約は複数の様々な契約で構成されており、様々な契約書類への署名がそれぞれの製造や納品スケジュールに応じて準備されている」、「(F-35との複雑な最新システムが)様々な企業群と様々な条件の下で支えられているからだ」
「しかし、全ては完結に向けた放物線を描いていると言える。売却に向けたすべての手続きは取りまとめられ、米議会の議論も経たものとなっている」と手続きの進捗に自信を見せた
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トランプ政権は大統領選挙後にグダグダの様相を見せていますが、中東ではクシュナー補佐官の尽力でカタールとサウジ等の国交が回復されたりと、地道で着実な外交努力が実を結んでいます

US UAE Israel Ba2.jpgバイデン政権の外交・安全保障メンバーが、中東・欧州経験者で占められる方向にあり、対中国姿勢に大きな懸念がもたれていますが、トランプ政権が築いた新たな中東の動きがどのように新政権で扱われるのかも、大いに気になるところです

中東とF-35
「イスラエルがUAEへのF-35に事実上合意」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-26
「米大統領:UAEへのF-35輸出は個人的にはOK」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-18
「米大統領:UAEはF-35を欲している」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-21
「中東第2のF-35購入国はUAEか?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-11-05
「湾岸諸国はF-35不売で不満」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16
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国防省等の米国情報機関が公式UFO報告書作成へ [安全保障全般]

2020年12月成立の法律で求められた報告
米国情報機関全体の情報集約をルビオ上院議員らが要求

Navy UFO2004 2.jfif4日付Military.comは、米海軍操縦者を中心に増加しつつある「UFO」(またはUAP:unidentified aerial phenomena 未確認空中現象)の目撃証言等を受け、有力議員提案で2020年12月に成立した法律が米国情報関連機関に対し、UFO関連情報の集約レポートを180日以内提出を求めている件を取り上げ紹介しています

この件は、2020年4月に米海軍が初めて公式に、訓練中の空母艦載機FA-18が目撃・撮影した3件のUFO(未確認飛行物体)映像(2004年11月と2015年1月2件)を公開したことで大きな注目を集めましたが、それ以前から米海軍操縦者を中心とした目撃情報等が増加しており、2007年から12年にかけ「Advanced Aerospace Threat Identification Program」を国防省が米海軍に命じて実施した経緯もあります

Navy UFO2004 3.jpg報道では、米海軍がこれらUFOやUAP目撃情報を部隊から公式報告させるフォーマットや報告要領を定めた結果、例えば2014~15年の間に米東海岸沖で空母艦載機がUFOと衝突直前にまで至った事象や、2004年に西海岸サンディエゴ沖で「腕時計型」の大型空中浮遊物体が目撃されている事象などが米海軍内で公式報告されているらしいです

最近では、2020年8月にDavid Norquist国防副長官が「Unidentified Aerial Phenomena Task Force」を編成し、国家安全保障上問題となる空中からの脅威を把握する目的で情報収集を開始し、この背景には地球外に由来する未確認物体だけでなく、中国やロシアが開発する新技術由来の飛行物体の可能性も想定されていると言われているます

4日付Military.com記事は議員立法について
Rubio3.jpg共和党のルビオ上院議員などにより提案され、2020年12月に成立した「2021年情報授権法」は、米国情報機関によるUFOやUAP関連情報収集により多くの資源を投入することを定め、更に法案成立後180日以内に、国防省やFBIや関連情報機関がUFOやUAFに関するレポートをまとめて報告するよう命じている
報道によればこの報告書は、公開情報の報告書としてまとめられ、添付資料として一部が秘密情報扱いになる模様である

同報告レポートを求める法案は、「潜在的な脅威であるのにもかかわらず、米国政府機関内に、UFOやUAF関連情報収集・整理・分析に関する統一された包括的プロセスが存在しないことを懸念する」と提案理由を述べ
同報告書には「関連情報がどの機関によって収集保管されているかに関わらず、全ての画像地理情報、電磁波信号情報、人的情報、文書や写真等々の情報を対象として取りまとめる」ことを求めている
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Navy UFO2004.jpg一方でMilitary.comは2020年末に、「2020年で最も奇妙でばかげた軍事記事10本」と題した記事をアップし、その筆頭で「米海軍による公式UFO情報3件発表」を取り上げています

米本土上空の訓練空域で訓練することが多い米空軍ではなく、空母が移動する公海上空の様々な空域で訓練する空母艦載機による目撃情報が多いことが興味深い点です

中国やロシアによる新兵器の可能性も含めることで、「鼻で笑う」「真剣に取り合わない」人達への説明材料にしている気もしますが、とりあえず結論は簡単に出ないにしても、各情報機関が知りえた情報を集約する仕組みの整理は重要だと思います

英国防省は2013年6月に
「地球外生物ETは存在しそうもない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2013-06-22-1

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インド軍向け:FA-18がスキージャンプ離陸試験 [安全保障全般]

インド空母搭載機種選定にアピール
米印2+2での安全保障協力強化を受け?

FA-18 block Ⅲ.jpg12月21日付でボーイングが、メリーランド州Patuxent River 海軍航空基地でFA-18によるスキージャンプ方式での離陸試験に成功したと発表し、インド海軍が進める新たなインド空母艦載機選定にアピールし、併せて10月末の米印2+2での両国関係強化を意識し、両国海軍間の連携強化にも貢献できると訴えています

インド海軍は、ロシア艦艇を改造した空母「INS Vikramaditya」を保有し、初の国産空母「INS Vikrant」を2023年就航に向け建造中ですが、共にカタパルトを装備していないため、スキージャンプ式で離陸可能な艦載機が必要です。

US-India 2+2.jpgまたインド海軍は、現在艦載機として使用しているロシア製のMiG-29Kなど稼働率が悪い機体を退役させ、新たな艦載機57機の選定に2017年頃から入っており、フランス製ラファールと後継機を巡ってボーイングのFA-18新バージョン「Block 3」が争っている状況です

FA-18「Block 3」は、機体寿命を3千時間伸ばして9000時間とし、新型エンジンで推力を増し、ネットワーク力を強化し、搭載兵器を増やし、操縦席表示を刷新し、視認性低下塗装を採用するなど改良を行ったうえで、諸外国の高性能4世代機よりも低く抑えた機体で、民航機部門が苦境で、KC-46空中給油機もグダグダ状態のボーイングの命運を握る機体とも言われています

ただ、戦闘機の機種選定にありがちな、様々に複雑な側面も抱えており、各種報道から「つまみ食い」でその状況を不確かな側面も含めご紹介します

各種報道によれば
Sea Guardian.jpg10月末の米印2+2では、FA-18のほか、海面監視バージョンの無人機MQ-9である「Sea Guardian」(海上保安庁も試験運用中)の提供も米側が提案した模様
(ちなみに、海上保安庁がこの運用で成果を上げたら、海空自衛隊はどうするんでしょうねぇ・・・。有人機の必要性を必死で訴えるんでしょうか・・・後ろ向きに・・・)

インド軍は、インド海軍と空軍が同機種を導入(海軍57機、空軍117機)することで、維持整備の効率化を図りたいと考えている模様であるが、インド空軍はFA-18導入に反対の模様。 ●また、米国が別件でインドに課している経済制裁に反発するインド国内勢力が、米国製戦闘機の導入に異を唱えている状況
更に、インドの国防研究開発機関が国産の艦載機開発を強く推進しており、インド海軍が57機の調達要求機数を、36機に削減することを検討しているとも報道されている

FA-18 block Ⅲ2.jpg米海軍はFA-18「Block 3」の試作機2機を受領して機体性能を確認中で、2022年から導入開始する契約を結んでおり、500機の「Block 2」の「Block 3」への改修と、約80機の「Block 3」新規導入構想を持っていた
しかし最近、次期艦載機の開発調達に進むべきとの方針を米海軍が固めたことから米議会と対立する構図となっており、「Block 3」の新規導入が30機程度で終了する恐れもあり、ボーイングはインドへの売込みに力を入れている
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米国とインドとは是非仲良くして頂いて、対中国体制を強化してほしいのですが、インドも単純ではありません。でも、カシミール付近での小競り合いの火が大きくなりつつあるようなので、これを機に対中国で関係強化に向かってほしいと思います

それにしてもインドは、長年ロシア製の兵器に苦しめられているのに、また欧州製の兵器でも必ずしもうまくいっていないのに、米国製兵器への警戒が強いですねぇ・・・

インド空母や艦載機関連の記事
「インド検査院がロシア製空母艦載機を酷評」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-08-11-1
「7年前:インド空母の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09-2

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Defense-Newsが選ぶ今年の「Top stories」10選 [安全保障全般]

12月29日から1月4日の間は、原則、年末年始のお休みです

選定理由は不明です:アクセス数か、編集部の好みなのか?
10個のうち、まんぐーすは6個ご紹介しています(自慢!)

21日付Defense-Newsが、今年の「Top stories」として10個の過去記事を紹介しています

NGAD5.jpg何を判断基準に「Top stories」10個を選定したのか説明がありませんが、「Defense News スタッフ」の選定という事なので、ご紹介しておきます

10個のうち、まんぐーすは6個を取り上げており、なかなか「いい線言ってる」と自画自賛しているのですが、取り上げていない4個は、海軍艦艇の情けない様子や重要だとは思うがこれがなぜ「Top stories」なのかよくわからないエスパー長官の中国脅威話です

まんぐーすが取り上げた6個には、戦闘機関連記事が4つ含まれており、大きなお金が動き、今後の戦いの変化を示すバロメータやリトマス試験紙であろう戦闘機に、「Defense News スタッフ」又は「読者」の方の関心が高かったことが伺えます

まず、まんぐーす既紹介の6個の記事をDefense-News紹介順で

●「大激震:米空軍は次期制空機のデモ機を既に初飛行済
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16

Roper2.jpg9月14日、米空軍調達開発担当次官補Will Roper氏が、検討は行われているが先送り状態とご紹介してきた「次期制空機:NGAD:Next Generation Air Dominance」について、最新のバーチャル設計開発技術と最新製造技術を駆使し、要求性能設定から1年足らずで既にデモ機の初飛行を終えているとDefense-Newsに明らかにし、メディアや関係者が大仰天!!!

Roper氏は、初飛行の時期やデモ機の特徴、何機デモ機を製造したかや関与した企業の有無、有人機か無人運用可能か、ステルス性や航続距離や搭載兵器等々の具体的事項への質問に一切答えず、いつごろ本格生産可能かとの問いにも「pretty fast」とだけ回答

秘密プロジェクトが多く、予算獲得に必要な米議会の理解を得るのに苦労している米空軍が、本来隠しておきたかった開発状況を語らざるを得なかったのでは・・・と邪推しています

●「トルコ用F-35を米空軍が購入へ:機種別機数第3位へ」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07

7月20日、NATO加盟国なのにロシアから最新防空システムS-400を購入したトルコがF35計画から排除され、トルコ用に製造した8機の行方が話題となっていたところ、とりあえず8機を米空軍が購入して米空軍用に改修することが明らかに。そのほか何らかの製造段階にある20機もこの方向だとの噂です

●「強襲揚陸艦Bonhomme Richard火災の衝撃」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-15

Bonhomme.jpg定期修理&F-35B搭載用改修のためサンディエゴ港で停泊していた強襲揚陸艦Bonhomme Richardで7月12日朝に発生した大規模火災は、恐らく艦艇を使用不能または長期使用不可能にする可能性が高く、F-35B搭載の強襲揚陸艦ローテーション派遣を困難にし、米海軍と米海兵隊にとって大きな痛手に

艦内の火災温度が1000度に達し、艦艇を構成する鉄材の強度や形状を変質させる温度に至っていると報道されており、複数の専門家が艦艇としての再使用は困難と見積もっているようです→後に、修理は費用対効果から断念と米海軍発表

●「F-35B型とC型が超音速飛行制限甘受」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27

F-35 4.jpg4月末、米国防省F-35計画室が、F-35のB型とC型で明らかになった重大不具合に関し、「何も対策をせず、運用制限でリスクを回避する」方法で「米軍内の合意」を得たと明らかにして各方面がビックリ。主要な要求項目であるはずの超音速飛行要求を、いまさら影響なしという姿勢に唖然・・・との声が各方面から

問題は「高高度:extremely high altitudes」で超音速飛行を継続すると機体尾部の構造とステルス塗装に影響を及ぼすリスクが高く、尾部の各種アンテナにも被害が出るとの不具合ですが、F-35にはそれほど超音速飛行が必要ないことや、この不具合改修するには、長期にわたる設計開発と飛行試験が必要となることから、高速飛行に運用制限を課すことで対処することに決定とか

●「サイバー停電に備えミニ原発開発」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07

mini nuclear.jpg3月6日、辣腕でおなじみのEllen Lord調達担当国防次官が講演で、電源供給網に対するサイバー攻撃の脅威が無視できなくなっていることから、米軍基地の重要施設へのバックアップ電源として、小型の原子力発電を検討していると述べ、重要装備品の迅速な調達を担当するSCO(Strategic Capabilities Office)を中心に関連企業と検討を進めていると明らかに

その数日後、3企業と総額約44億円のミニ原発設計契約を結び、1-5メガワット級のデザイン設計を競わせる計画も明らかに。
「安全かつ迅速に展開設置が可能で、かつ陸海空路で輸送可能なものを目指す」、「国防省のSCOが担当し、2年後に最も優れたものを1社選び、更にデモ機製造へ進む予定も、提案の成熟度によっては実用化しない可能性もあり」とのこと

●「インドネシアが欧州の中古戦闘機購入打診」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-21

Eurofighters.jpg同じく7月20日、インドネシア国防相がオーストリア国防相に書簡を送り、オーストリアが2002年から導入した15機のEurofighter Typhoon戦闘機を全て購入したいと提案

オーストリアのタイフーン戦闘機購入を巡り、オーストリア内で汚職がらみの問題が浮上し、あわせてタイフーン戦闘機のコストと能力についても疑問の声が上がり、「より効果的で、より費用対効果の高い解決策を求めて、2017年にオーストリアが同戦闘機の早期退役を決定」した事を受けたインドネシアの動きとか


取り上げていなかった4つの記事概要は

3月7日付 イージス艦の10年延命を米海軍断念
https://www.defensenews.com/naval/2020/03/07/destroyers-left-behind-us-navy-cancels-plans-to-extend-service-lives-of-its-workhorse-ddgs/  
酷使で痛みが激しいアーレイバーク級イージス艦を約10年延命する計画を、費用対効果の観点から米海軍が諦めると明らかに 現在の290隻体制から355隻体制を目指すと言い続けた米海軍だが、この後は、無人艦艇を大量に導入して隻数を拡大させ、敵の攻撃目標を分散させる路線に動き出す

3月19日付 エスパー長官が中国の脅威を語る
https://www.defensenews.com/opinion/commentary/2020/03/19/espers-dark-vision-for-us-china-conflict-makes-war-more-likely/ 
アフガンや中東での戦いから、中国やロシアとの戦いに向けた体制転換の必要性を各所で訴えてきたエスパー長官の発言等をまとめて紹介した記事

3月27日付 初のステルス駆逐艦が4年でやっと兵装完了か
https://www.defensenews.com/naval/2020/03/27/nearly-4-years-after-commissioning-the-us-navy-is-about-to-get-a-fully-working-stealth-destroyer/
鳴り物入りで海軍が開発したステルス駆逐艦Zumwalt級がやっと形になりそうだが、建造コスト急騰と計画遅延で、当初は28隻購入予定が7隻になり、今では3隻も危ないと言われる惨状。海軍は何をやっても駄目だと言われる一つの典型的な事例

10月28日付 沿岸戦闘艦LCSの推進システムがまた故障
https://www.defensenews.com/naval/2020/10/28/another-littoral-combat-breaks-down-on-deployment/  
南米での任務に出向した沿岸戦闘艦Detroitの推進装置が故障し、2015年16年に続く同種艦艇の推進装置トラブル。沿岸戦闘艦は他のタイプもトラブルや事故が多く、当初建造された4隻を改修する経費が費用対効果から見送られ、モスボール保管に。これも海軍は何をやっても駄目だと言われる一つの原因
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21日付Defense-Newsが掲載した、各記事の順序が何を示すのかも説明がありません。でも一番が「次期制空機のデモ機を既に初飛行済」なら、納得な気がします。驚きましたから・・・

electoric warfare.jpgクリスマス休暇前に、休暇中に掲載する記事を無理やり書きためた印象ですが、トランプ大統領関連やコロナ関連記事(米空母での集団感染で艦長と海軍長官が更迭など)が含まれていないのが意外な気もします

F-35をUAEに輸出」はまだ山あり谷ありの雰囲気ですが、中東の流れが激変した事の象徴としてインパクト大でしたし、ドイツから駐留米軍1.2万人削減発表にも驚きました。最近では、フロノイ女史が次期国防長官から外れた件も「大きなため息」ものでした

皆さまはこの年の瀬に、何を思い出されますか???

Top storiesの中の6記事
「激震:米空軍は次期制空機のデモ機を既に初飛行済」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16
「トルコ用F-35を購入へ:機種別機数第3位へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07
「強襲揚陸艦Bonhomme Richard火災の衝撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-15
「F-35B型とC型が超音速飛行制限甘受」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07
「インドネシアが欧州の中古戦闘機購入打診」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-21

その他関連の記事
「UAEへの輸出に事実上合意」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-26
「独から1.2万名削減計画を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「Austin元大将が国防長官になる高いハードル 」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-02
「コロナで艦長と海軍長官更迭の空母」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-27

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5G企業へのCバンド売却で電波高度計に懸念 [安全保障全般]

航空関係団体がCバンド売却に大反対もFCCは突っ走る
Lバンド売却でGPSへの干渉懸念もある中・・・

FCC C band2.jpg21日付Defense-Newsは、8日から米連邦通信委員会FCCが「5G」企業に「Cバンド」電波オークションを開始したことに関し、連邦航空局FAAや民間航空団体が「電波高度計」に干渉して安全上の重大な懸念事項となると猛反発している様子を報じています

米連邦数新委員会FCCは、衛星通信に使用する「Lバンド」電波を5G企業LINDOに売却したことで、GPS信号への干渉を懸念する国防省から猛反発され、今も議会を巻き込んで係争中と理解していますが、新たに「Cバンド」でも5Gのため強行突破を試みているようです

FCC 5G.jpg今回話題となっているのはCバンドの「3.7〜3.98 GHz」周波数帯で、従来この部分を静かに使用していた衛星事業者に他の周波数帯へ移行してもらい、代わりに5G事業者に対し「電波オークション」を開始したとのことで、17日の時点で既に50人以上の入札者が150億ドル以上を提示したと報じられています

問題はこの周波数に近い「4.2〜4.4 GHz」帯を数十年に渡り使用している電波高度計で、航空関係団体で構成するRTCAが10月の報告書で、電波高度計に有害な干渉を引き起こすリスクがあると警告を鳴らしたことから、FCCと航空関係者との戦いが本格的になっています

国防省、国土安全保障省や運輸省(連邦航空局FAA)も電波高度計への懸念で動きを始めており、仮に電波高度計をリスク回避のため交換する必要が生じるような場合、数千億円規模の投資が必要だとの話にまで伝わってきており、コロナで瀕死状態の航空業界や政府関係機関を巻き込み、「5Gに乗り遅れるな」VS「安全第一」の構図と、中国の5G覇権に負けられない・・・との思いが交錯し、泥沼乱戦模様になっているようです

21日付Defense-News記事によれば
FCC C band5.jpeg8日にCバンド電波オークションを開始するにあたり、連邦通信委員会FCC委員長は「5Gにおける米国の消費者と米国のリーダーシップにとって大きな日だ」とコメントしたが、12を超える商用航空グループで構成されるRTCAは「売却が複数の死者の可能性を伴う壊滅的な失敗につながる可能性がある」と警告した
この懸念は連邦航空局FAAと運輸省でも共有されており、安全性問題をより綿密に精査するためFCCに販売一時停止を求めているが、FCCは独自技術調査でリスクがほとんど又は全くないと主張し、今後も前進していくと述べている

国防省は軍用機への影響に対し正式な立場を決めておらず、21日に国防省、国土安全保障省ら関係者が会合を持ち、「調査結果を基に省庁の考えをまとめる」との方向を打ち出したところだが、同会合に電波高度計メーカーのHoneywellも呼ばれ、現高度計に干渉防止措置を施す等の措置について聞かれたとして話題を集めている
FCC 5G2.jpg電波高度計は、気圧高度計の誤差が大きくなる高度2500フィート以下になると特に重要になり、他の計測機器で代替不可能で、航空機離着陸時の安全確保に非常に重要な役割を果たす計器である

FCC報道官は懸念の声に対し、「Cバンドでの5G操作が電波高度計に有害な干渉を引き起こすと信じる理由は存在しない。FCCは、私たちの規則に沿ってCバンド周波数帯が使用されれば、電波高度計を保護すると結論付けた」とコメントしている
現在「3.7〜3.98 GHz」帯を使用している衛星事業者は、電波オークション売却代金の一部を受け取り、周波数帯移動費用に充てることができるが電波高度計に依存する民間、商業、および政府機関に資金が提供される予定はない

最近の多くの軍用機も電波高度計を使用しているが、1970年代設計のF-15C戦闘機などは装備しておらず、操縦者は目視で行動することに慣れているが、民航機と似ている輸送機や空中給油機は電波高度計に頼るところが大きいとみられる
また特殊作戦部隊が使用する輸送機やヘリは、夜間に低高度を飛行する作戦遂行が求められるため、電波高度計の精度は非常に重要となる

FCC 5G3.jpg関係者は、民間を含めたすべての電波高度計を干渉対策を施したものに交換するには数十億ドル(数千億円)と膨大な時間が必要との概算見積もりを示しているが、国防省内でも、新しい高度計の開発と調達、各プラットフォームのテストと再認証、そして潜在的に数百または数千の新しい装備の装着作業に数億ドルを投資する必要があり、「数十年とまではいかなくても、何年は必要」と考えかれている
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この問題も、5G企業への「Lバンド」帯使用許可問題(GPS信号への干渉懸念問題)と同じく、既得権を盾に航空業界が懸念を示しているのか、5Gで中国に負けたくない一心で連邦通信委員会FCCが暴走しているのか、よくわからない部分があります

でも、これだけ航空業界や政府関係機関がまとまって調査を行い懸念を示しているので、国防省だけが問題視している「Lバンド」問題よりも大きな動きになりそうな気がします。特にコロナ感染で苦しむ航空業界への影響がありますから、政治問題化しそうな予感です

「第3者的」視点で分析し、干渉の可能性や電波高度計への影響を示してくれる機関があればいいのですが、どうなることやら・・・。トランプ政権の強引さもFCCの背景にあるような気がしますので、政権交代後の動きにも注目です

RTCAのwebサイト
https://www.rtca.org/

5GのGPS信号への干渉問題
「炎上中:5G企業へのGPS近傍電波使用許可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-14
「5G企業に国防省大反対の周波数使用許可へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-11
「米議会でも国防省使用の周波数議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-05
「ファーウェイ5G使用は米国との関係に障害」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-17
「軍事レーダーの干渉確認」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-05
「5G企業とGPS関係者がLバンド電波巡り激突中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-22-2
「戦略コマンドが5Gとの電波争奪に懸念」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-27
「GPSが30日間停止したら」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-18
「5G試験のため民間に演習場提供案」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-14

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ドローン使用作戦の一里塚:アゼルバイジャン大勝利 [安全保障全般]

ロシア兵器使用のアルメニア軍に圧勝
イスラエル製やトルコ製のドローン多用で劣勢を一気に挽回

azel.jpg21日付読売新聞は、9月下旬から11月上旬にかけ戦われた、アゼルバイジャン領ナゴルノ・カラバフ自治州を巡るアルメニア軍とアゼルバイジャン軍の大規模戦闘で、軍用無人機(ドローン)を駆使したアゼルバイジャン側が圧勝を納め、ドローンの実戦使用に新たな1ページを刻み、アルメニア軍を装備面で支援していたロシア軍に衝撃を与えていると報じています

ソ連崩壊前に勃発した両国間の戦いは、ロシア製兵器に依存した国同士の戦いでしたが、ロシアとの同盟関係を生かしたアルメニアが優勢だと言われてきました。しかし、旧ソ連製の旧式兵器も多いアルメニアに対し、アゼルバイジャンはイスラエル製やトルコ製の比重を徐々に高め、今回の大規模戦闘では、旧ソ連やロシア製兵器の運用思想から脱却したアゼルバイジャンが、一気に劣勢を覆したようです

戦いは9月下旬から44日間に及び、双方に6000人近い死者を出した戦闘は11月10日に停戦が発効しましたが、アゼルバイジャンがアルメニア側からナゴルノ・カラバフ自治州の大半を奪還したようです

両国の戦いの様相について15日付読売新聞は
azel2.jpg作戦面では、特にトルコの影響が色濃かったと言われている。アゼルバイジャン軍は、第2次大戦直後に旧ソ連が開発した複葉機を無人機に改造して「おとり」に使い、アルメニア側の防空網に対応させ、その配置や使用周波数などをあぶり出した
その後、イスラエル製の自爆型ドローン「ハーピー」、トルコ製の攻撃ドローン「TB2」や新型ミサイルを多用しアルメニア防空設備を破壊し、地上部隊が進攻した。米シンクタンクCSISはトルコ製「TB2」の活躍が目立ったとの報告書を今月まとめ、「従来型兵器と新型兵器を巧みに融合させることが、現代の戦場では重要だ」と指摘している
 
TB2 Turkey.JPG戦闘での被害を分析した専門家グループによると、アルメニア側はロシア製の地対空ミサイル「S-300」等26基や戦車「T-72」130両以上を破壊された。いずれも武器輸出大国ロシアの看板商品である
一方で、アゼルバイジャン軍のドローン損失は僅か25機にとどまり有人機に比べてコストを低く抑えられるドローンの有効性が改めて歴然と証明されたことで、軍事関係者の注目を集めている。また無人機を用いた「小国同士の軍事衝突が増える可能性」を指摘する声も聴かれる

ロシア製兵器は、リビアやシリアの戦場でも苦戦を強いられており、周辺国にも波紋を起こしている。米国との本格的な戦闘への備えを最重視するロシアは、偵察用ドローンは配備しているものの、攻撃ドローンの開発は後回しにしてきた
harpy israel.jpgニュースサイト「ガゼータ・ルー」は、「ロシアはドローン革命で眠り続けている」と指摘し、攻撃ドローンの開発推進を求めた。ロシアに南部クリミアを併合されたウクライナは昨年、トルコとTB2の購入契約を結び、国内生産に向けても協議しているという
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ロシア軍も無人機の有用性は承知しているものの、人間パイロット族の組織防衛により、攻撃任務を無人機に委ねるまでの構造改革には踏み込めず、結果として敵の無人機攻撃の可能性に「目を背ける」ことになり、兵器体系の変革に後れを取ったのでしょう

米軍だって、程度の差はあれその傾向はあり、西側諸国も同列ですし日本の自衛隊は対応&変革の遅さでは最後尾を走っていると考えてよいかもしれません

アゼルバイジャンのアリエフ大統領は18日、旧ソ連諸国の独立国家共同体(CIS)オンライン首脳会議で、「戦闘はもはや過去形で語るものになった」と「歴史的勝利」を振り返ったようですが、ドローンを巧みに使用する戦いは今後ますます普及するのでしょう

無人機対処にレーザーや電磁波
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-20-1
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
「米軍のエネルギー兵器が続々成熟中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-30-1
「米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24

「無人兵器の群れ制御に苦戦」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-30

米空軍の無人ウイングマン計画
「デモ機作成3企業決定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-09
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-21
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1

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Austin元中央軍司令官が国防長官候補に [安全保障全般]

長官就任には「いばらの道」とご紹介しましたが
軍退役後7年以上との規定の「例外」が再び承認されるか
とりあえずご経歴をご紹介

Austin.jpg日本時間の8日米メディアが、次期大統領バイデン氏が国防長官候補に、元中央軍司令官のLloyd J. Austin退役陸軍大将(2016年退役)を推薦すると報じました

7日付Military.comはAP報道を引用し、次期政権人選を行うバイデンチームの4名から別々に、Austin退役陸軍大将が国防長官に推挙されると紹介しています

Austin退役陸軍大将の国防長官可能性については、以下の12月3日付の記事でその可能性を報じる報道をご紹介し、同時に「軍人退役後7年以上経過」が条件で、マティス氏がトランプ政権スタート時の国防長官として同条件の「例外」を承認された当時と、現在の米議会の雰囲気が異なることから、Austin氏が「例外」承認を得ることは困難だろうとの見方をご紹介したところでした

「Austin元大将が国防長官になる為の高いハードル」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-02

それでも、初の黒人国防長官として、バイデンチームが推挙するにはそれなりの勝算があってのことだと思いますので、メディア報道からAustin退役陸軍大将(2016年退役)のご経歴(バイデン氏との接点を中心に)ご紹介しておきます

7日付Military.com記事によれば
Austin3.jpgAustin退役陸軍大将は、1953年8月アラバマ州生まれでジョージア州育ち。典型的な南部の出身の68歳。1971年陸軍士官学校卒業の歩兵部隊士官として勤務し、2016年に中央軍司令官を最後に退役し、大手軍需産業Raytheon取締役等の民間企業役員やコンサルファームの経営を行っていた
米陸軍式幕僚大学や米陸軍大学卒業。1986年のアラバマ州アーバン大学で教育カウンセラー修士号、1989年にウエブスター大学からMBAを取得している

オバマ氏が大統領に当選した2008年、イラク駐留多国籍部隊の司令官を務めており、その後、2010~2011年の間、その一つ上のイラク駐留米軍司令官を務め、オバマ政権(バイデン副大統領)の下で困難な対IS作戦の正面で指揮官を務めた
2011年12月、同大将は黒人初の陸軍副参謀総長に就任し、そのわずか1年後の2013年3月から米中央軍司令官を務め、2014年のモスル奪還など対IS作戦を指揮し、2016年4月に退役した

Austin2.jpgAustin退役陸軍大将は対外的には寡黙で、メディアの前でインタビューに答えることもほとんどなかったし、大衆の目を避けるように行動するタイプだが、強いリーダーシップを発揮する、誠実で知性あふれる人物として知られている
ただ一方で、米議会など証言の機会を与えられると率直な物言いで知られ、ISが北西イラク地方に侵攻を企てた際、イラクのスンニ派がイラク政府支援を拒否するだけでなく、ISの味方をして便宜を図ったと率直に語ったり

約50億円を投入した対ISのためのシリア反政府勢力教育訓練の成果を、当時のマケイン上院議員に「養成した要員が何名ぐらい前線でISと戦っているのか?」と質問され、「4-5人です」と正直に回答し、マケイン議員から「30年上院軍事委員会にいて、こんなにばかげた話を聞いたことがない」と酷評されるほど率直・正直な人物として知られている
それでもオバマ政権下で同大将は高い評価を得ていたが、オバマ大統領が決定した2011年12月のイラクからの米軍撤退について反対姿勢を示している

また、Austin退役大将の軍での経歴が中東に偏っており、対中国シフトへの転換が重要課題となっている中で、果たして大丈夫かと懸念する声もある
一方で、バイデン政権はコロナ対策のワクチン配給に軍の兵站組織を活用しようと考えており、中東での危機管理を担っていた同退役大将の手腕に期待しての選考だとの声も聴かれる
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Austin4.jpg女性初の国防長官でなく、初の黒人国防長官を選んだ・・・との表現の報道もあります

良く存じ上げない人物ですので、今後の動きを見守りたいと思います

ウィキペディアのAustin退役陸軍大将経歴
https://en.wikipedia.org/wiki/Lloyd_Austin

「Austin元大将が国防長官になる為の高いハードル」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-02

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米海軍が日本海でも「航行の自由作戦」 [安全保障全般]

竹島でも大和堆でもなく「ピョートル大帝湾」で
1984年に旧ソ連が「内水」と主張し始めた係争地

Peter the Great.jpg11月24日、米海軍第7艦隊は、ロシアが領海と主張する日本海北西部ウラジオストク周辺の「Peter the Great Bay:ピョートル大帝湾」の海域付近で、米海軍のイージス駆逐艦「USS John S. McCain」が「航行の自由作戦:freedom of navigation operation」を実施したと発表しました

ロシア国防省は米海軍発表に先立ち、米海軍の駆逐艦がロシアの「領海に侵入した」と発表してところです。 ロシア国防省は、米駆逐艦が24日、ロシアの領海に約2km「違法侵入」したと指摘し、ロシアの対潜駆逐艦「Admiral Vinogradovアドミラル・ビノグラドフ」が発見し警告、米駆逐艦はロシア艦艇からの警告を受けてただちに公海に出たと主張しています

USS McCain.jpgこれに対し米海軍報道官のJoe Keiley大尉は、「ロシア側の主張は誤りで、駆逐艦マッケインは如何なる国の領海からも排除されてはいない」、「同駆逐艦は国際法に基づき、航行の自由作戦を引き続き公海上で継続する。米海軍は決して脅迫に屈することなく、またロシア連邦が主張するような不当な領海主張を受け入れることはない」との声明を出しています

第7艦隊は2017年以来、中国による南シナ海や黄海における不当な領海主張のような行為に対し「航行の自由作戦」を増加させてきており、今年も中国が領有を主張する海域に少なくとも6隻の艦艇を派遣していますが、「ピョートル大帝湾」へのロシアの主張に対する同作戦の実施は2018年12月以来となります

24日付Military.com記事によれば
Peter the Great2.jpg旧ソ連邦は1984年、通常の領海(海岸など領海基線から12海里)を超え「ピョートル大帝湾」の入り口に約106nmのラインを設定し、その内側を国際法上の「歴史的湾」との解釈で艦船の無害通航権を認めない「内水」だと主張をはじめ、ソ連邦崩壊後のロシアでも同様の主張を引き継いでいる
米国は、ロシアによる「歴史的湾」との解釈からくる「内水」主張は、国際法を反映した海洋法条約に違反しているとし、それを示すために航行の自由作戦を実施している

ピョートル大帝について
ピョートル大帝はピョートル1世の呼び名で、ロシアのロマノフ朝の繁栄を出現させた皇帝(在位1682~1725年)。ロシアの専制君主政治であるツァーリズムの体制を完成させた
1967年から2年間、皇帝でありながら欧州各国の視察を自ら行う。その旅行で刺激を受けて積極的な西欧化政策を推進、西欧の技術者を多数招聘し、産業の近代化を行った。オランダとイギリスでは造船所で一職工として働き、ハンマーをふるって造船技術を習得、博物館、病院、裁判所、砲弾工場なども見学した

Peter the Great3.jpg南方では、オスマン帝国とその属国であるハン国が領有する黒海沿岸に進出し、さらに黒海から地中海方面に勢力を拡大する、いわゆる「ロシアの南下政策」の端緒をつくった
北方では、バルト海の覇権をめぐってスウェーデンのカール12世との北方戦争を戦った。バルト海の制海権を得たロシアは1712年に新都ペテルブルクを建設して西欧への窓口とし、バルトの覇者としての地歩を確保した。軍備では特に海軍の育成に努め、ペテルブルク近郊を拠点にバルチック艦隊を創設した

また東方ではシベリア進出を推し進め、清との間で1689年にネルチンスク条約を締結し、ロシアと清朝の間での最初の国境を画定した。これは清(中国)がヨーロッパ諸国と結んだ最初の条約であった。また部下にカムチャツカ探検を命じ、日本との通商路を探った。晩年にはベーリングを派遣してカムチャツカ、アラスカ方面を探検させ、ベーリングは1728年にアラスカに到達した
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USS McCain2.jpg駆逐艦マッケインは、2017年8月21日、マラッカ海峡シンガポール沖でリベリア船籍の石油タンカー Alnic MC と衝突して乗組員10人が死亡する大事故を起こし、乗組員寝所、機関室、通信室などの区画が浸水する被害を受けた艦艇です

2019年10月末に復帰し、第7艦隊横須賀に配属されており、汚名返上の任務遂行ですが、今後の活躍にも期待いたしましょう

めっきり減った南シナ海の話題
「航行の自由作戦活発化というけれど」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-06
「初のASEANと米国の海洋演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-03
「次期米軍トップが中国脅威を強調」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14-1
「海洋プレッシャー戦略に唖然」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「F-35搭載艦艇がFONOP」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-07
「アジア安全保障会議2019」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-31-1
「中国艦艇が米艦艇に異常接近」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-06-1

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