核兵器シェアリング担う独トーネード後継問題 [安全保障全般]
民航機の欠航が相次ぐ米国での5Gと電波高度計問題
「電波高度計への5G干渉問題:まず影響確認」→https://holylandtokyo.com/2021/02/02/253/
「5G企業へのCバンド売却で電波高度計に懸念」→https://holylandtokyo.com/2020/12/25/351/
「炎上中:5G企業へのGPS近傍電波使用許可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-14
「軍事レーダーの干渉確認」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-05
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ドイツの新政権誕生後のドロドロ具合は・・・
メルケル首相が率いるドイツ政権が退任し、新たな連立政権が米国から提供される戦術核兵器シェアリングを続け、ベルギー、オランダ、イタリー、トルコと並んで、米国から預かった重量投下戦術核を各国戦闘爆撃機で投下するNATO任務を継続すると2021年末に決断&発表し話題になりました
今後の注目は、ドイツ空軍で現在当該任務を担うトーネード戦闘爆撃機90機が退役開始する2030年以降の後継機を、2023-24年までにどう決断するかに集まっています。
2019年頃は最新型FA-18(電子戦機EA-18G含む。FA-18が戦術核搭載任務担う)とユーロファイターを同数程度購入する案で検討中との発言もありましたが、2020年春には「この2機種に加え、F-35も含めた3機種混合案も検討中(F-35を戦術核任務に)」との報道出ていたところです
まず前提として、この機種選定が複雑な背景は・・・
●後継機は戦術核投下のため米国の承認を受けた機体である必要があり、F-35は承認に向けた試験等が進められているが、FA-18もユーロファイターも承認の可能性は未知数
●FA-18は初期型FA-18が同承認を得ていることから、ボーイングは最新FA-18承認に楽観的な見通しを根拠不明ながら述べている一方で、米国機を売り込む米国が、欧州製のユーロファイター承認には消極的と言われている
●一方で、欧州各国は次世代戦闘機開発を2つのグループ(独仏と英伊)で進めており、戦術核使用承認が近くても次世代戦闘機と重なるF-35導入への抵抗感が強い。ただし、戦術核は強固な防空兵器を保有するロシア相手の使用が想定されるので、戦術核運搬機にはステルス機が必要なはず・・との主張はドイツ空軍内に根強くあり、軍事専門家にもF-35を推す声も強い
●英独仏共同開発のユーロファイターには、欧州次世代戦闘機開発まで製造ラインや技術者を維持するために新規需要が必要だが、西側戦闘機市場での機種選定でF-35に連敗続きである。
そんな中、1月10日と12日付でDefense-Newsが、本件を巡るドロドロ具合を報じていますのでご紹介します
●新政権誕生で仕切り直しになっているトーネード後継機選定であるが、仏独共同開発の次世代戦闘機を阻害するとして2019年当時の国防相が葬り去ったF-35が、再び議論のテーブルに戻ってきた可能性がある
●新政権の首相と国防相が10日に本件を協議したと報道されたが、独国防省は政府内協議であるとノーコメントとしている。昨年12月には独国防相が欧州製機体を核任務に就けたい意向を示していると伝えられたが、米国は米国製機しか核承認しないとも言われていることから、「全てのオプションを検討している」と独国防相は述べていた
●一方で、次世代戦闘機(FCAS:Future Combat Air System)の共同開発を目指す仏独チーム内は一枚岩ではなく、中心となる仏Dassault社がエアバス社と同等レベルの開発パートナーとなることを拒み、主要アビオ部分の独占や情報非開示を主張して協議が難航していると伝えられている
●また全く別の動きとして、電子戦機に関しては、エアバス社等を筆頭とするドイツ軍需産業界が強力に欧州製電子戦機材導入を求めており、FA-18の電子戦型機EA-18G導入に反対している
●1月11日ボーイング社ドイツ支局は、仮にドイツがFA-18をトーネード後継に選定したら、ドイツ企業の部品等供給ネットワークを拡大すると発表し、具体的企業名は伏せたが、10社以上が新たにFA-18とEA-18Gの部品供給企業に仲間入りして4500億円ビジネスになるとアピールした
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1月10日と12日付Defense-News記事は結論めいたことは述べず、「魑魅魍魎」の世界を断片的ニュースで紹介しているにすぎません。
上記で紹介した部分だけから無理やり推論すれば、次期戦闘機FCASでの仏Dassault社の「我がまま」をけん制するため独政府がF-35にも興味を示しつつ、同時にボーイングにも秋風を送って機種選定全体の環境を整えようとしているようにも見えます
明らかなことは、コロナで傷んだ経済や産業界を背負い、欧州各国政府と米国が、戦闘機にながれる大金を狙ってドロドロの争いを今後2-3年続けると言うことです
戦術核兵器とF-35等
「F-35への戦術核搭載へ第一歩」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-06
「米空軍に追加の戦術核は不要」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-04
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06
ドイツと戦闘機選定関連記事
「独3機種混合案検討を認める」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-23-1
「独トーネード後継を3機種混合で?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-29
「トーネード後継でFA-18優位?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-08
「独の戦闘機選定:核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
「電波高度計への5G干渉問題:まず影響確認」→https://holylandtokyo.com/2021/02/02/253/
「5G企業へのCバンド売却で電波高度計に懸念」→https://holylandtokyo.com/2020/12/25/351/
「炎上中:5G企業へのGPS近傍電波使用許可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-14
「軍事レーダーの干渉確認」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-05
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ドイツの新政権誕生後のドロドロ具合は・・・
メルケル首相が率いるドイツ政権が退任し、新たな連立政権が米国から提供される戦術核兵器シェアリングを続け、ベルギー、オランダ、イタリー、トルコと並んで、米国から預かった重量投下戦術核を各国戦闘爆撃機で投下するNATO任務を継続すると2021年末に決断&発表し話題になりました
今後の注目は、ドイツ空軍で現在当該任務を担うトーネード戦闘爆撃機90機が退役開始する2030年以降の後継機を、2023-24年までにどう決断するかに集まっています。
2019年頃は最新型FA-18(電子戦機EA-18G含む。FA-18が戦術核搭載任務担う)とユーロファイターを同数程度購入する案で検討中との発言もありましたが、2020年春には「この2機種に加え、F-35も含めた3機種混合案も検討中(F-35を戦術核任務に)」との報道出ていたところです
まず前提として、この機種選定が複雑な背景は・・・
●後継機は戦術核投下のため米国の承認を受けた機体である必要があり、F-35は承認に向けた試験等が進められているが、FA-18もユーロファイターも承認の可能性は未知数
●FA-18は初期型FA-18が同承認を得ていることから、ボーイングは最新FA-18承認に楽観的な見通しを根拠不明ながら述べている一方で、米国機を売り込む米国が、欧州製のユーロファイター承認には消極的と言われている
●一方で、欧州各国は次世代戦闘機開発を2つのグループ(独仏と英伊)で進めており、戦術核使用承認が近くても次世代戦闘機と重なるF-35導入への抵抗感が強い。ただし、戦術核は強固な防空兵器を保有するロシア相手の使用が想定されるので、戦術核運搬機にはステルス機が必要なはず・・との主張はドイツ空軍内に根強くあり、軍事専門家にもF-35を推す声も強い
●英独仏共同開発のユーロファイターには、欧州次世代戦闘機開発まで製造ラインや技術者を維持するために新規需要が必要だが、西側戦闘機市場での機種選定でF-35に連敗続きである。
そんな中、1月10日と12日付でDefense-Newsが、本件を巡るドロドロ具合を報じていますのでご紹介します
●新政権誕生で仕切り直しになっているトーネード後継機選定であるが、仏独共同開発の次世代戦闘機を阻害するとして2019年当時の国防相が葬り去ったF-35が、再び議論のテーブルに戻ってきた可能性がある
●新政権の首相と国防相が10日に本件を協議したと報道されたが、独国防省は政府内協議であるとノーコメントとしている。昨年12月には独国防相が欧州製機体を核任務に就けたい意向を示していると伝えられたが、米国は米国製機しか核承認しないとも言われていることから、「全てのオプションを検討している」と独国防相は述べていた
●一方で、次世代戦闘機(FCAS:Future Combat Air System)の共同開発を目指す仏独チーム内は一枚岩ではなく、中心となる仏Dassault社がエアバス社と同等レベルの開発パートナーとなることを拒み、主要アビオ部分の独占や情報非開示を主張して協議が難航していると伝えられている
●また全く別の動きとして、電子戦機に関しては、エアバス社等を筆頭とするドイツ軍需産業界が強力に欧州製電子戦機材導入を求めており、FA-18の電子戦型機EA-18G導入に反対している
●1月11日ボーイング社ドイツ支局は、仮にドイツがFA-18をトーネード後継に選定したら、ドイツ企業の部品等供給ネットワークを拡大すると発表し、具体的企業名は伏せたが、10社以上が新たにFA-18とEA-18Gの部品供給企業に仲間入りして4500億円ビジネスになるとアピールした
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1月10日と12日付Defense-News記事は結論めいたことは述べず、「魑魅魍魎」の世界を断片的ニュースで紹介しているにすぎません。
上記で紹介した部分だけから無理やり推論すれば、次期戦闘機FCASでの仏Dassault社の「我がまま」をけん制するため独政府がF-35にも興味を示しつつ、同時にボーイングにも秋風を送って機種選定全体の環境を整えようとしているようにも見えます
明らかなことは、コロナで傷んだ経済や産業界を背負い、欧州各国政府と米国が、戦闘機にながれる大金を狙ってドロドロの争いを今後2-3年続けると言うことです
戦術核兵器とF-35等
「F-35への戦術核搭載へ第一歩」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-06
「米空軍に追加の戦術核は不要」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-04
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06
ドイツと戦闘機選定関連記事
「独3機種混合案検討を認める」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-23-1
「独トーネード後継を3機種混合で?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-29
「トーネード後継でFA-18優位?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-08
「独の戦闘機選定:核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
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