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謎の無人宇宙船X-37Bが連続宇宙滞在記録を更新中 [サイバーと宇宙]

2020年5月17日から今年7月7日で780日の記録更新
地球周回軌道上で数々の謎の実権を継続実施中

X-37B.jpg再利用可能な実験無人宇宙船X-37B Orbital Test Vehicleが、7月7日に自らが持つ宇宙滞在連続記録780日を更新し、引き続き宇宙空間で「謎の実験」に取り組んでいます。米宇宙軍が保有&運用するX-37Bですが、宇宙軍が何機同型機を保有しているのか、2年以上も宇宙空間を漂って何をしているかについて、ほとんど公開されていません。

X-37B4.jpgX-37Bは「9m×4.5m×3m」とマイクロバス弱程度の大きさで、ロケットの先端に取り付けて打ち上げ、帰還時は無人のスペースシャトルのように滑走路に着陸する無人宇宙船です。OTV(Orbital Test Vehicle)が正式名称の実験船で、当初はNASA所管でスペースシャトルの貨物室に搭載する予定でしたが、同シャトル計画が中断されて2004年以降は国防省が引き継いでいます

2010年4月に最初の打ち上げられた1回目の宇宙滞在が224日間、2回目が468日間、3回目が675日、そして2017年5月に帰還の4回目は718日間、2019年10月に帰還した5回目は780日で、この記録が今回6回目の飛行で更新されたわけです。

X-37B2.jpg記録を更新した今回6回目の打ち上げは、2020年5月17日にいつものフロリダ州Cape Canaveral基地で行われ、打ち上げ前には極めて珍しいことですが、宇宙で放出される搭載物のうち2種類が明らかにされました。

一つは米空軍士官学校作成のFalconSAT-8実験衛星5個で、もう一つは米海軍研究所作成の太陽光発電エネルギーを電磁波に変えて地上に送信するアンテナモジュールの2つで、X-37Bの役割をアピールか・・・と話題になりました。また5枚目の飛行では、イオンエンジンの一種「Hall Effect thruster」も試験の一つだと公表されていました

Dream Chaser.jpgその任務の大半が非公開であることから、アマチュア天文家が競ってその様子を地上から観測し、中国衛星に接近しているとか、様々な憶測を呼んでいるところです。中国やロシアもX-37Bが「攻撃兵器だ」と疑いをかけているようですが、X-37Bの動きは地上からでもフォロー可能で、宇宙軍が説明しているように「逃げも隠れもしない。見たまま」の状態だそうです

米国政府は2023年に、X-37Bをより洗練されたデザインにしたような民間企業Sierra Spaceが運用する無人宇宙船「Dream Chaser」によるミッションを開始する予定で、NASAはこれを使用して国際宇宙ステーションへの物資補給に利用するとのことです
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Dream Chaser2.jpgSierra Space社の「Dream Chaser」が、X-37Bにとって代わるのか等については承知していませんが、「Dream Chaser」がX-37Bにそっくりなので驚きました。機能を突き詰めていくと、スペースシャトル以来の形状に落ち着くということなのでしょう

これ以上のコメントができませんが、12年前からフォローしておりますので、引き続きネタにさせていただきます

X-37B関連の記事
「2020年5月打上時:少しソフトな路線に???」→https://holylandtokyo.com/2020/05/15/672/
「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-11
「中国版X-37B?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-15
「X-37Bは中国衛星を追跡?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-07
「X-37BがSシャトルの代替?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「米が宇宙アセット防護計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16
「X-37B関連小ネタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-04
「X-37Bをご存じですか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20

「Dream Chaser」解説のwikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%BC_(%E5%AE%87%E5%AE%99%E8%88%B9)

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英空軍が敵防空無効化用の無人機の群れ試験成功発表も [安全保障全般]

敵の防空システムを飽和させる無人機の群れ開発
「ウ」侵略の大教訓:防空強固で両軍航空戦力が活躍できない
ただ「無人機の群れ」を如何に敵防空網に投入するかが大課題

Global Air4.jpg7月13日頃、ロンドンで世界の空軍&宇宙軍トップ会議が開催され、英空軍のMike Wigston参謀総長が「過去3年間、5種類のドローンに様々な搭載物を乗せ、無人機の群れとして敵防空網を飽和させる試験を13回実施し、作戦運用上有効な能力を獲得した」と明らかにしました

しかし一方で、「無人機の群れを攻撃対象となる敵防空網内に運搬&投入する能力開発は、現在も継続中」と語り、安価で使い捨てで損耗が負担にならないと一般に考えられている小型ドローンを、遠方に存在する最前線の敵防空網に如何に投入するかが課題だと語っています

Global Air 2.jpg本発表を紹介している7月14日付Defense-News記事は、英国の王立軍研究所(Royal United Services Institute)のJustin Bronk氏の見方を紹介し、露にウクライナ侵略において、両国の防空網が互いに相当強固なため、両国空軍戦力が十分能力を発揮できずに地上軍によるドロドロとした戦いに持ち込まれているが、

このような戦況は、死傷者が多数発生する可能性が高い地上戦闘をなるべく避け、空軍戦力による早期の軍事紛争決着を図りたいNATOなど西側諸国軍にとっては大きな衝撃であり、ここに来て強固な敵防空網を無効化する手段として「無人機の群れ」が注目を集めていると背景を解説しています

Global Air 5.jpg具体的にWigston英空軍参謀総長は、英空軍の第216試験評価飛行隊と英空軍RCO(Rapid Capabilities Office)が、「3Dプリンターを活用して作成した双発ジェットトエンジンの無人機Pizookieから、市場で調達可能な多様な装備搭載可能な大型ドローン、4発式の大型ヘリ型ドローンについて、増産と新たなモデルの投入手法(new models of capability delivery)の開発に取り組んでいる」と現状を説明していますが、

これに対しJustin Bronk氏は、敵の防空レーダーや迎撃ミサイル等を、大量の安価なドローンの群れで飽和させて無効化するアイディアは有効だが、小型で安価なドローンには航続距離や速度が不足しており、これを補うためにジェット推進のドローン投入を考えるとコスト面で大きな負担となり、何らかの安価小型ドローンの大量輸送投入手段導入もコスト負担を伴うものになると指摘しています
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UK Pizookie.jpg非常に断片的な記事で、英空軍の「無人機の群れ」実験や「We are exploring new models of capability delivery」の内容が全く分かりませんが、この記事が示唆する重要ポイントは、世界に普通に出回っている防空システムに直面すると、各国指導者や軍幹部は高価な4世代機や5世代機であっても有人機の作戦投入に躊躇する・・・と言うことです

先日もご紹介したように、特に対中国作戦の場合、敵領域内やその近傍での味方操縦者の救難救助体制が極めて不十分であり、有人アセットの投入のハードルが高くなるということです。

Global Air 3.jpg基本的にドローンは安価で取り組みやすい装置ですから、英国でも「無人機の群れ」開発が可能なようで期待するところ大ですが、敵も同じことに挑戦するでしょうから、「脅威」としても考えておく必要があるということです

この戦前の予想と現状は異なりますが・・・
「ウクライナで戦闘機による制空の時代は終わる」→https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

無人機に関する関連話題
「中国による無人機売込みに警告」→https://holylandtokyo.com/2022/06/16/3339/
「無人機の分類定義を明確にせよ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/10/2716/
「C-130による無人機の空中投下と改修」→https://holylandtokyo.com/2021/11/18/2422/

「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-30
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26
「無人機の群れに空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-3

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米宇宙軍の早急な能力向上に民間衛星企業をまず活用 [サイバーと宇宙]

ウクライナ侵略事案が民間衛星の能力を改めて示す
地域コマンド司令官が軽易に商用衛星情報入手できるシステムを
NROやNGAも続々と民間会社との契約増やす

Space Systems Com4.jpg7月9日付Defense-Newsは、米国政府機関や米宇宙軍が保有する宇宙アセットの脆弱性や能力不足を補い、迫りくる中国等の宇宙での追い上げに対抗するため、早急に出来ることとして、ウクライナ侵略でもその有用性や重要性が示されている民間の衛星画像や衛星通信企業との連携や契約を、急速に増加させていると報じました

一つは米空軍研究所AFRLが、民間や同盟国ISR情報へのアクセス向上のため取り組んできたHAD(Hybrid Architecture Demonstration)計画から派生したGLUE(Global Unified Environment)で、地域戦闘コマンドが商用衛星画像情報や同盟国衛星情報を容易に入手できるようにするインターフェイスです。

Space Systems Com3.jpg米宇宙軍は、現有能力の脆弱性克服を大きな課題と捉えていますが、手っ取り早い能力の多様化や重複化施策として、多様な軌道で多くの小型衛星を運用している民間衛星画像会社を同盟国衛星情報と共に活用しようと考えており、宇宙軍担当幹部は「我々が急がないと、敵はあっという間に我を追い越してしまう。急がないと2030年にはそうなってしまう」と危機感を語っているところです

具体的には、近未来に実現可能な宇宙軍能力向上策として、現在米空軍研究所が開発しているGLUEを2024年に宇宙軍に移管し、2026年には本格運用が開始できるようにしたいと、米宇宙軍システムコマンドのMichael Guetlein中将が語っています

Space Systems Com.jpg米宇宙軍以外でも、米国防省で民間スタートアップ企業や新興有力企業からの最新技術導入を推進するDIU(Defense Innovation Unit)が、衛星通信のデータ共有・ソフト保全・クラウド分析・ネットワーク情報保全強化のため、4企業(Aalyria Technologies, Anduril Industries, Atlas Space Operations and Enveil)と共に宇宙で能力実証デモンストレーションを行うと7月7日に発表しています

DIUの担当責任者Rogan Shimmin氏は、「民間企業の最新技術を生かし、多様で大量な衛星画像情報をオンデマンドで入手して分析を提供し、見通し線外の戦術情報収集能力強化にまず生かしたい」と発表に際し語っています

Space Systems Com2.jpg米宇宙軍以外の米国政府情報機関であるNRO(National Reconnaissance Office)も、今年5月に民間衛星会社3社(Maxar Technologies, Planet Labs and BlackSky)と10年契約を結んで情報収集能力を強化し、NGA(国家画地情報庁:National Geospatial-Intelligence Agency)も2021年に商用衛星画像利用量を2倍に拡大させているようです
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非常に断片的な情報の羅列紹介になってしまいましたが、上記で紹介した企業以外でも、SpaceXやViasatなどの宇宙関連企業がウクライナ関連で示した能力と影響力は、世界の軍関係者や専門家に改めて戦いの様相の変化を印象付けたと思います

引き続き宇宙関連の話題への「リテラシー」が向上しないまんぐーすですが、チマチマと取り組んでいきたいと思います

ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/

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なぜ露は大規模サイバー攻撃やGPS妨害をしないのか? [サイバーと宇宙]

露のウクライナ侵略で西側が予期し恐れていたが未だに・・・
ウクライナを支援する国への報復攻撃を懸念していたが
米国の専門家も様々に憶測中・・・

cyberattack4.jpg7月21日と22日付Defense-Newsは、ウクライナ侵略に関連し西側が予期し恐れていた、露によるウクライナやウクライナ支援国に対する大規模サイバー攻撃やGPS妨害が未だ確認されていないことに関し、米国専門家の見方を紹介しています

「なぜロシアは大規模サイバー攻撃やGPS妨害を行わないのか?」との疑問に対する西側専門家の結論は出ておらず、様々に専門家が仮説を出している段階ですが、いろいろ頭の体操になりますのでご紹介します。大規模サイバー攻撃関連の「なぜ?」に関しては浅い議論ですが、GPS妨害に対しては具体的仮説が提起されています

露はなぜ大規模サイバー攻撃をしていない?(21日付記事)
cyberattack2.jpg●ウクライナ侵略開始直前の2月24日から、ウクライナ軍民両方に高速大容量衛星通信サービスを提供していた「Viasat」へ大規模サイバー攻撃が行われ、露によるウクライナの国家指揮統制混乱を意図したものだったと分析されているが、西側が恐れていた米国やNATO諸国の電力網や社会インフラに関する大規模サイバー攻撃は確認されていない

●20日Anne Neubergerサイバー担当米大統領副補佐官は、3月にバイデン大統領が、ロシアが「かなり影響が大きいと予期される」大規模なサイバー攻撃を準備しつつあると警鐘を発したが、そのような動きは当時から情報分析やサイバー専門家の間で詳細にフォローされており、現在も同様の状態であることを示唆した
Neuberger.jpg●また米サイバーコマンドは、ウクライナの隣国リトアニアに米軍チームを3か月間派遣し、ロシアによる大規模サイバー攻撃に備えた準備に取り組み、そこで得られた教訓をNATO全体の能力強化のためNATO諸国に提供したりしていると説明し、露のサイバー能力に警戒を緩めていない

●同副補佐官は露のサイバー攻撃が本格化しない理由について、「2021年5月の米国内石油パイプラインColonial Pipelineへのサイバー攻撃時に、バイデン大統領がプーチンと会談して米国の覚悟を伝えたことでロシアを抑止できていると考える見方や、ウクライナや西側同盟国が協力してサイバー攻撃対処体制を強化したことが功を奏した主張する者もいる。一方で全く理由がわからないと考える者も多い」と述べた
●そして、前職がNSAサイバー対処責任者だった同副補佐官は現時点での結論として、「議論は続いている」と語った

なぜ露は大規模GPS妨害を行っていない?(22日付)
GPS jamming.jpg2021年11月にロシアが衛星破壊兵器実験を行い、プーチンの代弁者と言われる露TV解説者が「ロシアは全てのGPS衛星を無効化することができる」と同実験を解説して世界を緊張させたが、ウクライナ侵略が始まって以降、世界の専門家が予期していたような攻撃を露は見せていない。

この理由について、米大統領へのPNT(Positioning, Navigation and Timing)諮問会議のメンバーであるDana A. Goward氏は、以下のような様々な推測が存在すると寄稿している

露のGPS妨害能力は本当は大したことない?
Goward PNT2.jpg・この見方も存在するが、多くの専門家は支持していない。例えばロシアは北部ノルウェー国境付近に、露国内の離れた場所から、非常に強力なGPS妨害を正確に繰り返し行っており、米GPSと極めて近い周波数を利用するGLONASS(ロシア版GPS)への影響なくGPS妨害を実施可能な能力の高さを証明しているからである
・この他、モスクワや黒海沿岸地域で、たびたびGPSが機能しなかったり誤位置を表示する状況が外国政府関係者や専門家により確認されているなど、ロシアのGPS妨害能力の高さを示す事例には事欠かない

露軍もGPSを頼りにしている?
GPS jamming2.jpg・ウクライナで撃墜されたロシア軍機内で簡易GPS表示装置が発見されていること、GLONASS(ロシア版GPS)の端末が大型で使いづらいこと、前線部隊への普及が不十分なこと等から、露軍もかなり米国GPSに依存しているのではないかと推測されており、このため本格的GPS妨害を避けている可能性がある
・また、ウクライナが通信・インターネット・電力網等々の社会インフラの重要部分でGPSに依存しており、仮にGPS妨害を本格化すると、侵攻したロシア軍のウクライナ国内での活動や地域支配が困難になるため妨害を控えている可能性もある

将来の対米・対NATO対決に備え妨害能力出し惜しみ?
Goward PNT.jpg・露とウクライナでは圧倒的戦力差が存在し、基本的に露は全力を出す必要なくウクライナでの軍事目標を達成できるとの認識の下、ウクライナよりGPSへの依存度が高い米軍やNATO軍に対し、ロシアは手の内を隠したのではないか・・・との見方がある
・ウクライナ軍は西側の支援を受け、GPSを活用する最新兵器も使用しているが、依然としてGPSに依存しない旧ソ連時代の旧式装備も多数保有しており、GPS妨害の効果が限定的との見方が露軍内にある可能性も指摘されている

GPS妨害を行えば、妨害発信位置がすぐ暴露し攻撃を受けるから?
GPS妨害装置は強力な特定周波数を継続的に発信するため、敵から比較的容易に発見され攻撃を受けやすく、ロシア軍が必要性の高くないGPS妨害を控えた可能性もある
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cyberattack.jpg核保有国であるロシアが紛争当事国となっているウクライナ侵攻では、核抑止の威力が改めて強く認識され、米国もウクライナへ提供する兵器の選定に「手加減」せざるを得ない状況となっていますが、ロシアにも米国内の社会インフラに大規模サイバー攻撃を行えば「一線を越える」との認識がロシア側にあるのかもしれません

GPS妨害に関しても基礎知識が不足していますが、「対米・対NATO対決に備え出し惜しみ」と「露もGPSに依存」との理由から、ロシアが本格攻撃を控えているとの案をとりあえず支持させていただきます。

いずれにしても、非常に興味深い議論ですので、今後の展開や新情報の公開に期待したいと思います

ウ国でのサイバーや宇宙関連記事
「ウ侵略は衛星通信へのサイバー攻撃で開始」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/
「露の衛星兵器試験で国際宇宙S危険に」→https://holylandtokyo.com/2021/11/17/2435/

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チェコが東欧で2番目のF-35購入国へ進む [亡国のF-35]

ポーランドに続き24機導入の交渉開始を発表
物価上昇中で早く交渉に決着付けたいと
18番目の購入国になるか。
韓国も追加で20機F-35A導入決定

Cernochova Czech3.jpg7月20日、チェコ共和国のPetr Fiala首相が、現在2027年までリース契約中のグリペンC?D型戦闘機14機の後継として、米国政府と24機のF-35A購入交渉に入ると発表し、交渉役にJana Cernochova国防相を指名しました。また同首相は同時に、スウェーデン製の歩兵戦闘車両導入交渉も進めると語ったようです

Cernochova Czech.jpgF-35購入交渉役のCernochova国防相(女性)は、もし価格交渉で2023年10月までに米側と折り合わなければ候補機種から外し、Typhoonやグリペン能力向上型を指向する旨を示唆したようですが、関連素材や部品価格が上昇を続ける中で、早期に決着したい意向も示したようす。

仮に米国との交渉がまとまれば、2020年1月に32機のF-35購入を表明したポーランドに続く東欧2番目の購入国になり、世界では18番目の、そして欧州では10番目に購入又は具体的な検討表明をした国となります

Rehka Czech.jpgチェコ軍のKarel Rehka参謀総長はF-35Aを高く評価し、「他機種に比べ極めて高性能で、2040年代はおろか、2060年代まで有効だろう」と軍としてF-35を強く希望していることを隠さず、「F-35は多機能戦闘機で、単に戦闘機や戦闘爆撃機としてではなく、戦場ネットワークの指揮統制センターとして機能し、同時に高性能センサーを備えたスパイ機でもある」と表現しています

欧州の軍事情報筋は、ギリシャがF-35購入検討を行っているほか、他の「several」ヵ国の欧州諸国がF-35導入を検討していると、Defense-Newsに語っているようです

F-35 Czech.jpgロッキード社報道官は、「チェコ共和国がF-35に関心を示していただいて光栄である。同国の関心にこたえるため如何なる支援も惜しまない」、「交渉に関する情報は両国政府から提供されるだろう」と述べるにとどめています
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ロシアによるウクライナ侵略を受け、米空軍が2-4機のF-35を欧州に派遣していますが、購入可能性のある欧州諸国にその能力をデモする意図もあるのかもしれません。

F-35 Greece4.jpgただ一方で、末尾の過去記事で取り上げているように、米軍や英軍はF-35維持経費の高止まり等を受け、F-35調達数削減の方向にあることを忘れてはなりません。

なお、韓国は7月15日、従来の40機に加え、追加で20機F-35Aを調達することを決定しました

F-35導入を決定又は具体的協議表明した国(カッコ内は購入予定機数)

●共同開発国(8か国とその他1国)
 豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(交渉がまとまれば88機
 トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された

●FMS購入国(9か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40機。追加20機を2022年7月決定)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)

●欧州だけピックアップすると・・・
Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、Belgium(34機)、ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機 2026年から導入)、ドイツ(最大35機)、チェコ(交渉まとまれば24機)、ギリシャも交渉中とか・・・

最近のF-35購入決定国
「カナダがF-35を88機の1番候補に」→https://holylandtokyo.com/2022/03/31/3061/
「ドイツが戦術核運搬用に16番目」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/
「フィンランドが15番目」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「スイスが14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

F-35調達機数削減の動き
「米海軍が2023年度予算で調達抑制」→https://holylandtokyo.com/2022/07/07/3420/
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
「民間監視団体がF-35改善なしと」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/

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英国が2027年までに次世代戦闘機デモ機を作成発表 [安全保障全般]

2035年導入予定の次世代戦闘機TEMPESTの技術実証に
TEMPEST連合のイタリア&スウェーデンほか日本との連携示唆

Tempest3.jpg7月18日、ファーンボロー航空ショーで英国のBen Wallace国防相が、今後5年以内(2027年まで)にステルス性を持つ超音速戦闘機のデモ機を飛行させると発表し、2035年からの導入を目指しイタリアとスウェーデンと開発プロジェクトを組む将来戦闘機システム「TEMPEST」実現に向けた要素技術の基礎確認の機会にしたいと説明しました

Wallace6.jpg同国防相は具体的な目標性能や必要予算などには一切言及せず、「TEMPEST」プロジェクトを組むイタリアやスウェーデンや、将来戦闘機開発で協力する方向を打ち出している日本との協力体制についても協議中と述べるに留めましたが、既に英国Prestonにある「TEMPEST」計画の拠点で、同計画の中核4企業(BAE Systems, Leonardo UK, Rolls-Royce and MBDA UK)と開発を開始していると明言しました

「TEMPEST」プロジェクトとは別に、英国と日本とイタリアは、将来戦闘機に関する「joint concept analysis」を実施中で、協力して何が実施できるかを今年中にまとめる予定ですが、この検討との関係も良くわかりません。

18日付Defense-News記事によれば
Wallace4.jpg●Wallace国防相は、「デモ機作成は、我々の技術、技能、産業基盤が将来計画を進めるレベルにあるかを確認するために不可欠である」、「デモ機の設計や製造は、関連技術の融合や試験技量を実証することになり、2035年導入予定の将来戦闘機システム開発に関係する英国産業界に貴重なデータと教訓を提供することにもなる」と意義を説明した

●また同国防相は、イタリア企業との協力体制固めを精力的に進めていると述べるとともに、スウェーデンとの協力に加え「世界中の友好国との協力の利点を示すことになる」と述べ、日本との戦闘機開発協議が進む中での日本との連携についても示唆した

Tempest2.jpg●デモ機開発を主導するBAE社CEOのCharles Woodburn氏は、現在運用されているTyphoon戦闘機(英独伊西共同開発)が数千の雇用を生み出し、「TEMPEST」プロジェクトにつながる技術基盤を育成したことに言及しつつ、このデモ機開発を「once-in-a-generation」のチャンスだと喜んでいる
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先日は、英国防省がTyphoon戦闘機のレーダー換装に追加予算を投入するとの話題を紹介し、日本のF-2後継機開発との関係を邪推しましたが、日本が米国一辺倒ではなく、戦闘機開発で英国との協力に乗り出そうとするときですので、英国の関連動向をチマチマとご紹介しておきます

Tempest.jpg英国は決して経済的に余裕があるとは言えませんが、欧州諸国と競ったり連携したりしながら、航空機開発技術&人的基盤を維持している点で、日本も参考にすべき点があるのでしょう。これだけの記事では、今回のデモ機開発の意味するところが良くわかりませんが、少しづつ学んでまいりましょう

英国の戦闘機関連話題
「英国がTyphoonレーダー換装推進」→https://holylandtokyo.com/2022/06/10/3303/
「英空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2021/05/19/1493/
「英国の138機F-35購入計画は多くて60-72機へ!?」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/

欧州の戦闘機開発
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2

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米海軍Blue Angelsに初の女性パイロット [Joint・統合参謀本部]

76年の歴史を持つアクロバット飛行チームに
下士官から士官に、そして海軍操縦者になった異色の経歴
Amanda Lee大尉のご活躍に期待

Amanda Lee2.jpg7月18日、米海軍アクロバット飛行チームBlue Angelsが、9月から同飛行隊に所属する新メンバーを発表し、同飛行隊が1946年に編制されて以来初めて、演技飛行を行う機体(FA-18 Super Hornets)のパイロットに女性が選ばれたことが明らかになりました。

Blue Angels2.jpgBlue Angelsは、米海軍航空部隊の存在を広く世に知らしめるため、当時米海軍トップだったChester Nimitz提督により1946年に編成され76年の歴史を誇っていますが、55年前に地上勤務要員として同飛行隊への女性受け入れが始まり、2015年にはKatie Cook少佐が同部隊所属の空中給油機KC-130パイロットとしてBlue Angels所属となっていましたが、主役のアクロバット機パイロットへの女性配置は初めてとなるようです

Amanda Lee.jpg史上初として選ばれたのはAmanda Lee大尉で、少し変わったご経歴です。2007年に下士官として米海軍に入隊し、航空機搭載電子機器整備員としてキャリアをスタートしますが、下士官から士官を登用する制度(通称:水兵を提督に計画:Seaman-to-Admiral program (STA-21))により2013年に士官になり、操縦教育カリキュラムを経て2016年4月に米海軍操縦者に認定された経歴の持ち主です

米海軍初の女性パイロットは、1974年に当時のRosemary Mariner大尉ら6名が選ばれていますが、1993年までは戦闘任務部隊への配属は認められず飛行教育部隊のみの配置でした

Mariner2.jpgしかし同大尉はその後1982年に女性初の空母艦載機パイロットとなり、艦上攻撃機A-7コルセアなどを操縦、1992年からの湾岸戦争時には女性初の空母艦載飛行隊長(VAQ-34)として活躍しています。なおMariner氏は24年の米海軍勤務を終え、1997年に大佐で退役されています(故人)
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米海軍Blue Angelsは、高度なアクロバット飛行や編隊飛行を披露する部隊ですので、パイロットとして操縦技量が高くないと選ばれることはありませんが、米海軍のみならず米軍全体でパイロット志願者が激減し、軍操縦者の民間航空会社への流出が止まらない中、Amanda Lee大尉が選抜された背景には、「下士官から士官への登用制度出身者」&「女性初」とのアピールポイントがあるのだろうと邪推しています

Blue Angels.jpg映画「トップガン・マーベリック」の大ヒットで、1986年公開の初代「トップガン」当時に米海軍パイロット志願者が10倍になった「2匹目のどじょう」を狙う米海軍ですが、Blue Angelsへの「女性初」のインパクトはいかほどでしょうか。

誤解なきよう、最後に申し上げますが、下士官から花形ポストBlue Angelsメンバーに選ばれたAmanda Lee大尉には、敬意と尊敬と称賛の思いしかありません。ご活躍と飛行安全を心よりご祈念申し上げます

軍での女性を考える記事
「沿岸警備隊司令官に女性が」→https://holylandtokyo.com/2022/04/07/3112/
「初の女性空母艦長が出撃」→https://holylandtokyo.com/2022/01/07/2587/
「技術開発担当国防次官に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「初の女性月面着陸目指す」→https://holylandtokyo.com/2021/07/05/1935/
「黒人女性が初めて米海軍戦闘操縦コース卒業」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-12
「初の米空軍下士官トップにアジア系女性」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-20
「GAO指摘:女性の活用不十分」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-20
「初の歩兵師団長」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-10
「超優秀なはずの女性少将がクビに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-11
「3軍長官が士官学校性暴力を討議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-10
「上院議員が空軍時代のレイプ被害告白」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-08
「空自初:女性戦闘機操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-25
「自衛隊は女性登用に耐えられるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
「女性特殊部隊兵士の重要性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-28
「Red Flag演習に女性指揮官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19
「米国防省:全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「ある女性特殊部隊員の死」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27
「珍獣栗田2佐の思い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17
「2012年の記事:栗田2佐」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-11

女性徴兵制度がある国
「前線にも:イスラエル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-27
「究極の平等目指し:ノルウェー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16
「社会福祉業務選択肢もオーストリア」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-22

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米本土の巡航ミサイル対処をCSIS提案で議論 [安全保障全般]

従来の大量戦闘機投入による追尾・識別・対処から決別
「Five Layers of Defense」方式で経費を従来案の半分に
AI活用の敵の動向分析、OTHレーダー、管制機関レーダー活用
地域限定の集中監視網、高リスクエリアにのみ戦闘機とAEW

Russia cruise2.jpg7月14日、CSISが米本土の巡航ミサイル防衛に関するレポート発表会&パネル討議を行い、従来の戦闘機大量投入や特殊センサー導入による対処ではなく、Tom Karako研究員らが煮詰めた、より多様な手法を組み合わせつつ対処エリアを絞る「5段階の防衛:Five Layers of Defense」方式を提案しました

同提案は北米軍や北米防空司令部(NORTHCOM/NORAD)の過去の検討を基礎に発展させたもので、現在のNORTHCOM/NORADの検討方向と同じだと7月14日付米空軍協会web記事は紹介しており、少し前まで巡航ミサイル攻撃は核攻撃レベルに至った場合にのみ行われるので核抑止で十分との思考が主流だったが、巡航ミサイルの発達&多様化により、米本土を360度全周から襲う脅威の同ミサイルへの警戒感が高まっている模様です

Russia cruise3.jpg具体的な脅威として、ロシア製の空中発射型ステルス巡航ミサイルAS-23(通常弾頭Kh-101、核搭載Kh-102)が部隊配備され、米国の早期警戒レーダー網の外側やロシア領空内から発射して米本土攻撃が可能になったことや、2030年頃までには中国軍も同様の兵器を保有するとの見積もりがあるようで、CSISのレポート発表会は複数のパネル討議を含む約4時間の大型イベントとなっています

Tom Karako研究員らが提案する「5段階の防衛:Five Layers of Defense」レポートでは、①AI活用の敵の動向分析、②OTHレーダー、③公的管制機関レーダー、④地域限定の集中監視網、⑤高リスクエリアにのみ戦闘機とAEWとの「5段階」で構成され、戦闘機と特殊センサー中心で20年間に総額9兆円から60兆円必要だと言われてきた従来対処構想の半額の、20年間で4兆円で体制構築可能だとの主張が展開されているようです

7月14日付米空軍協会web記事によれば「5段階の防衛」は
Russia cruise.jpg第1段階(first layer)では、人工知能を活用して多様なセンサー情報を総合分析し、「敵の行動の日常パターンの変化:a change in pattern of life」を見極め、敵の巡航ミサイル攻撃の兆候を察知する
●爆撃機や潜水艦基地の通常の動きからの変化をとらえるため、通常の状態や変化のパターン情報を蓄積してAIに学習させ、通常からの離脱の兆候を見出すような分析をAIに実施させ、米本土の準備体制強化のトリガーとして活用する

第2段階(second layer)では、オゾン層で探知波を反射させて遠方監視可能なOTHレーダーで「21世紀版のDEWライン」を構築し、数千km先で敵の侵攻をとらえる
●OTHレーダーには従来防空レーダーのような分解能は期待できないが、より遠方で敵攻撃の兆候を把握でき、他の詳細情報入手可能な宇宙センサーなどをOTHレーダー情報を基に指向して情報制度を高めることが可能となり、対処アセットを効率的に指向可能となる

Russia cruise4.jpg第3段階(third layer)では、連邦航空局FAA保有の航空路管制レーダーや他の官民センサー情報も取り込んで融合し、米軍保有のレーダー等センサー情報補完に活用する

第4段階(fourth layer)は、米本土の全体全てを防御エリアとする従来の考え方を捨て、優先防御エリアPAD(Prioritized Area Defense)を絞り込んで対処する選択である。パネル討議では、どこを重視防御エリアにするかの議論が数十年行われてきたと紹介されている

Kh101 as-23.jpg●CSISレポートでは、以下の3地域の沿岸エリアをPADに選定する提案がなされており、一つは大西洋岸の北東部から中部沿岸、次に太平洋沿岸の大部分、最後に一部の南部地域、となっている
●当該PADエリアには、塔の上に設置されたレーダーや光学センサー19種類で500㎞範囲をカバーするセンサネットワークを構築し、迎撃用アセットとして中射程と長射程の地対空ミサイルを配備する(戦闘機を配備する従来構想とは異なる)

第5段階(fifth layer)では、「Risk-Based Mobile Defense」と呼ぶ脅威が飛来しそうな方向に移動式の防御アセットを展開させる対処である。例えば北極圏飛来シナリオでは、戦闘機とE-7早期警戒管制機を前方展開して重点待ち受け態勢を整える手法である

CSIS Cruise2.jpg●以上の「5段階の防衛」は、従来の単にキャッチャーミットを持って待ち構えるだけでなく、より能動的に敵の発射準備段階から、時間の縦深性を持って対応しようとする考え方である
●これまでの大量の戦闘機とセンサーで対処する方式では、大量の戦闘機を拘束し、かつ多額の費用が必要となるが、「5段階の防衛」は約半分の予算で実現可能で、余った資源を他の重点分野に振り向けることができる

CSIS Cruise3.jpg●更にこの「5段階の防衛」は極超音速兵器や無人機対処にも発展活用の可能性があり、また極超音速兵器用に開発が始まっている「hypersonic Glide Phase Interceptor」用のMK41 Vertical Launching Systemを、長射程迎撃兵器として利用する案もCSISは提起している
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第1~第3段階部分は、日本の自衛隊も大いに参考にしてはどうでしょうか? もちろん第4段階のPADも第5の「Risk-Based Mobile Defense」も頭の体操の材料になると思います。以下のCSISイベントの映像でも見て、頭をリフレッシュして頂きたいものです

CSIS Cruise.jpg特に航空自衛隊は、最近サイバーや宇宙に手を出し始めていますが、対中国の最前線にありながら、従来の防空体制には全く変化がありません。実質的に「座して死を待つ」体制で、信じ難いながら「あぐら」をかいている状態ともいえましょう

なお、ロシアのステルス巡航ミサイルAS-23はウクライナ紛争に既に投入され、残骸から米国製半導体や電子デバイスが32個以上見つかって話題になっていました。ロシアが弾薬切れらしく、無駄に近距離攻撃に使用していたようですが・・・

CSISの当該イベントwebサイト
https://www.csis.org/events/new-time-homeland-cruise-missile-defense 

関連しそうな記事
「米太平洋軍の統合運用進まず」→https://holylandtokyo.com/2022/07/06/3396/
「ACE構想の現状」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「宇宙軍が地上移動目標追尾能力を求め」→https://holylandtokyo.com/2022/06/09/3309/
「E-7導入決定」→https://holylandtokyo.com/2022/04/28/3186/

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米空軍が世界中の作戦天候予報にAI導入推進 [米空軍]

全世界対象を念頭に作戦遂行に不可欠な重要情報の精度向上へ
有事には地上観測データ入手不能を前提に衛星画像等で
未だ軍事作戦は天候に大きく左右されるのが現実

AI weather4.jpg6月14日付Defense-Newsが、同日講演を行った米空軍省のWinston Beauchamp副CIO(Deputy Chief Information Officer)の発言等から、米空軍が世界各地での軍事活動を念頭に、未だ軍事作戦が大きな影響を受ける気象予報精度を上げるため「AI」を導入しようと取り組む様子を紹介しています

普段、我々民間人が目にする天気予報でも、人工知能は当然活用し始めているのでしょうが、それら民間の一般気象予報は、地上に多数設置された日本のみならず世界各地の観測点情報や、船舶や航空機からの情報、観測気球などによって収集された多様な情報・データを集約しておこなわれます。

AI weather5.jpg一方で有事の軍事作戦の場合、作戦場所がどこになるか予想は困難であり、地域の特性を人がすべて把握しておくことは容易ではなく、また普段は問題なく入手可能な地上観測点のデータ等が敵対国から提供されない、又は捏造される可能性も大と考えられるため、軍事作戦用の天候予想は重要かつ難しい課題です

また、いくら精密誘導兵器や各種ミサイルが発達した現代においても、まだまだ気象が軍事作戦に与える影響は大きく、異常気象や激しい気象現象が頻発する近年においては特に、気象予報の重要性は変わらないとBeauchamp副CIOや空軍は訴えています

Beauchamp副CIOは空軍の取り組みについて
AI weather.jpg●AIを活用することで、地上観測点のデータなしで気象予想モデルの精度を上げ、収集可能なデータの範囲で将来予想・推測能力を上げて、世界中の予想精度向上に取り組んできた
●我々が作戦遂行する際は、民間の気象予報士が利用できる全てのデータを利用できる環境に無いにもかかわらず、気象条件の重要性が(軍事技術の発展により)意識されにくくなっている。忘れてはならない。軍事作戦立案において、気象条件は甚大な影響を現代においても与えるのだ

●米空軍は2021年にボストンの「Tomorrow.io社」と約24億円の契約を結び、レーダー搭載の気象観測衛星開発や気象インテリジェンス強化に取り組んでいる。また同年、Oak Ridge国立研究所と連携してスーパーコンピュータ活用の気象予報システムを立ち上げている。なお同システムをエネルギー省は、「世界最先端の気象予報モデルだ」と評価している
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AI weather3.jpgロシアによるウクライナ侵略は、極めて「20世紀的な戦いだ」とも評価されていますが、古今東西の戦史がその重要性を指摘してきた「兵站」「通信」などの戦いの基礎となる要素が改めてクローズアップされた戦いだ・・・ともみることができるでしょう

気象情報や気象予報も「戦いの基礎」となる重要要素であり、ハイテク化した戦いにおいても決して無視できないファクターであることを再確認するため、ぼんやりした記事ですがご紹介いたしました

少しは関連のある過去記事
「米国防省が気候変動対処プランCAPを発表」→https://holylandtokyo.com/2021/10/11/2318/

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対中国作戦での救難救助任務が今ごろ大問題に [米空軍]

米空軍が2023年度予算での救難救助ヘリの調達削減
今の装備では本格紛争での救難救助は困難との認識広がる
しかし現状の無人機では任務遂行には不十分で
脱出した操縦者用無線機や生存キット見直しも最近開始

CSAR2.jpg7月11日付Defense-Newsは、米空軍が2023年度予算案で2020年導入開始直後の最新救難ヘリHH-60Wの購入予算を1/3削減し、対中を意識した本格紛争における救難救助任務の在り方検討を始め、米議会も米空軍に関連の様々な将来計画提出を求めているが、現時点では無人機の活用等のアイディアが出ているものの、任務を単純ではなく課題は極めて大きいと報じています

母国から遠く離れた異国で戦う米軍兵士にとって、敵の勢力下で航空機が撃墜されたり、艦艇が撃沈された場合、または敵領域での地上活動を命ぜられた場合、いざというときに味方が救出してくれるとの「安心感」「信頼感」は士気に直結しますし、米国世論を踏まえれば、救助作戦が遂行不可能なエリアでの活動は、米大統領や米軍指揮官にとって極めて判断の難しいものとなります

HH-60W3.JPGそんな軍事作戦遂行の基盤中の基盤である「救難救助任務:レスキュー」遂行の作戦構想が、今頃になって根本的見直しを迫られているとは驚くべきことですが、どうしようもなく、手を付けられないから今まで放置せざるを得なかった感もあり、静かに対中国作戦の基礎が崩壊しつつあるとも見ることができます

仮に東シナ海で米軍機や米艦艇が撃墜や撃沈された場合、近傍の同盟国である日本が米軍兵士を見捨てることは、米国民感情からも、米軍兵士の目から見ても許容できるものではなく、日本の突き付けられた課題でもあることを念頭に置きつつ、同記事の概要をご紹介します

7月11日付Defense-News記事によれば

どのようにして救助するか
CSAR3.jpg●20年以上続いた中東での戦いでも、イスラム過激派の勢力下に取り残された有軍兵士を救助することは課題であったが、強固な防空システムを備えた中国のような国の防空エリアでF-35が撃墜され、米軍パイロットが脱出した場合、その救助をどのように行うかは大きな課題である
●敵の防空レーダーや地対空ミサイル網が整備された空域に、最新型と言えどもHH-60W戦闘救難へリを投入することは難しいと言わざるを得ない。米空軍が2023年度予算案で1年半前に部隊配備を開始したばかりの最新救助ヘリの調達予算を削減したのはそのためである

CSAR.jpg●そのような危険エリアには、エンジン音が小さく小型で、敵に撃墜されても低コストで済む無人電動ヘリを投入すればよいとのアイディアもあるが、HH-60Wと比較して速度が半分で航続距離も短い無人電動ヘリを投入して任務が遂行できるか疑問が残る
●HH-60Wの無人機型を導入するアイディアもあるが、負傷して動けない救助対象者の場合どうするか・・・との問題が大きくのしかかる。また無人にしてもHH-60Wの機体コストは高く、敵からの剛撃による損耗にコスト面で耐えられない

●無人ヘリの性能アップに投資する案もあるが、人工知能開発には相応の投資が必要で、任務に応じて多様な無人機を準備する必要も生じ、それ相当の初期投資は避けられない。
●いずれの場合も、全てを解決する1種類の新装備を導入すれば解決する問題ではなく、多方面からのアプローチが必要で、今すぐ方針を決めて装備開発等々を開始しても10年は体制整備に時間がかかる問題である

要救助者の延命装備開発
●撃墜され敵勢力下に脱出したパイロットを救助するには、パイロットとの意思疎通を可能にする高性能無線機が不可欠だが、1990年代に導入された現在のパイロット携行無線機を、より小型でバッテリー持続時間が長く、衛星通信可能で、敵に傍受されにくく、よりシンプル操作が可能な新型無線機の検討は始まったばかりで、最短で6年後の調達を目指している状況である

CSAR4.jpg●操縦者が敵領域に脱出した際に利用するサバイバルキットの見直しも急務である。最低限の食料や水や医薬品、自己防御用兵器などが含まれるキットであるが、作戦エリアに応じて中身の優先度が異なるべきとの意見があり、各地域指揮官が選択できるオプションの検討&準備も始まったばかりである
●米空軍はSERE訓練(survival, evasion, resistance and escape)の見直し&強化にも迫られている。専門家を養成して各航空団レベルに派遣し、これまで繰り返されてきた通り一遍の訓練の刷新が必要との意見も聞かれる
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「米空軍はレスキュー任務を再考し始めたが、どこへ向かうのか?」とのタイトルの長い記事ですが、その概要の概要を少しご紹介しました。

HH-60W2.jpg冒頭で「どうしようもなく、手を付けられないから今まで放置せざるを得なかった感」とご紹介しましたが、雰囲気を感じて頂けたかと思います

繰り返しになりますが、果てしなく広がる太平洋を、飛行したり航海してはせ参じる米軍兵士にとって、いざというときに助けに来てくれるかは極めて大きな問題であり、米太平洋軍が抱えるアキレス腱とも言えましょう

無人電動ヘリと救難ヘリHH-60Wの話題
「電動ヘリeVTOL導入に本格始動」→https://holylandtokyo.com/2022/06/29/3370/
「電動ヘリeVTOLでACE構想推進へ」→https://holylandtokyo.com/2021/04/13/105/
「米空軍の新救難ヘリはHH-60Wに」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-11-25-1

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高出力マイクロ波兵器HiJENKSとTHORに進展 [米空軍]

HiJENKSは高市議員も言及したCHAMPの発展型
THORは無人機の群れ撃退用で1年の前線テスト終了
エネルギー兵器とご紹介してきた高出力マイクロ波兵器

CHAMP5.jpg7月1日付Defense-Newsは、2種類の重要エネルギー兵器(高出力マイクロ波兵器HPM:high-power microwave)の開発発展状況を6月24日の説明会模様から紹介し、敵電子システム無効化を狙うCHAMPの発展小型化を狙うHiJENKSと、無人機の群れ対処兵器THORの装備名「Mjölnir」を取り上げています

どちらも、高出力マイクロ波を制御して敵基地や兵器、更には無人機の群れに照射し、高出力マイクロ波が敵システム内部の電子回路内部に強い電流を発生させて破壊する原理の兵器ですが、人や建物に対する被害を抑えながら、兵器システムの中心部分を破壊するいかにも近代的な兵器です

高市早苗.jpg日本では、2021年9月の自民党総裁選挙で候補者の高市早苗議員が、「敵基地を一刻も早く無力化した方が勝ちだ。使えるツールは電磁波や衛星ということになる」、「強い電磁波などいろいろな方法でまず相手の基地を無力化する」と、CHAMPをイメージさせる兵器の導入を主張して話題となりました

いずれにしても謎の多い兵器ですが、CHAMPは2009年から検討が始まり、2019年5月に米空軍が射程約1000㎞の空対地ミサイルJASSM-ERに搭載してを20発保有していると発表し、飛翔中に50目標に対し電磁パルス攻撃が可能と明らかにしているようです。THORは、昨年から試作機が「場所非公開」の海外前線に持ち込まれ、実地にテスト&改良が進められていました

CHAMPの発展型HiJENKS開発
HiJENKS.jpg●6月24日、米空軍研究所AFRLの開発チーム長Jeffry Heggemeier氏が記者団に対し、CHAMP(Counter-electronics High-powered Microwave Advanced Missile Project)の成果を基礎とした、米空軍と米海軍が5年計画の共同開発の最終段階として、2か月間の「capstone tests」に加州の海軍China Lake基地で取り組んでいると説明した
●開発しているのは、CHAMPを発展させ、最新技術でより小型化や強靭性を高めたHiJENKS(High-Powered Joint Electromagnetic Non-Kinetic Strike Weapon)で、主にニューメキシコ州Kirtlandのエネルギー兵器研究部で研究を進めてきたものだと説明した

CHAMP6.jpg●Heggemeier氏は、今回の「capstone tests」結果等を踏まえ、具体的にどの航空機にHiJENKSを搭載するかなど細部について、海空軍それぞれで検討していく事になるが、HiJENKSが(CHAMPより)小型化できたことで搭載機種が拡大できるだろうと記者団に語った。 (なお、CHAMP装置を搭載した空対地ミサイルJASSM-ERは、B-2、B-1、B-52H、F-15E、F-16に搭載可能で、F-35への搭載準備も行われている模様)

無人機の群れ対処THORを「Mjölnir」と呼称して
THOR3.JPG●無人機の群れ攻撃から基地を防御する兵器として開発されてきたTHOR(Tactical High Power Operational Responder)について、米空軍研究所は2月にLeidos社と約32億円の契約を結び、2024年初めに「Mjölnir」との装備名のプロトタイプ作成することになっている
●THORは約1年間の前線テスト(場所非公開)を経て5月に帰国したが、その間、開発チームは現地でテストしながら主にTHORの射程範囲拡大に取り組み出力を5割アップさせ、また現場で実運用する空軍Security Forcesからの意見も踏まえ操作性の改善に取り組んできた

●空軍研究所の開発責任者Adrian Lucero氏らは、「無人機対処兵器には、ガンやレーザー方式、捕獲網方式などがあるが、高出力マイクロ波はより広範囲の無人機により短時間で対処可能な点で優れている」と6月24日に説明した
●またLucero氏とHeggemeier氏は、前線派遣先での実績から「THORは94%の信頼性を証明した」と説明し、今後は海外派遣先から持ち帰ったTHORを分解して部品の損耗程度等を確認し、「Mjölnir」としての開発時の改良に反映すると述べた

Leidos社のTHOR解説映像(約30秒)

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HiJENKSもTHORも、具体的な効果のイメージ把握が難しい兵器ですが、特にTHOR(Mjölnir)は友軍への副次的被害の恐れや射程距離が気になりますし、HiJENKSについては開発者が強調する「小型化」の効果がどの程度で、MQ-9など無人機への搭載が可能になるのか気になります

THOR4.jpg秘匿度の高い装備品だと思いますが、高市議員が政策オプションとして公の場で言及したぐらいのCHAMPですから、空対地ミサイルJASSM-ER 搭載型やHiJENKSの米国からの導入可能性もゼロではないと思いますので、チマチマとフォローしておきましょう

CHAMPとTHOR関連の記事
「高市議員が語った電磁波で敵基地無効化兵器CHAMP」→https://holylandtokyo.com/2021/09/13/2225/
「THOR:強力電磁波で大量の小型無人機を同時無効化」→https://holylandtokyo.com/2021/07/06/1942/

無人機対処にレーザーや電磁波
「JCOが小型無人機対処3機種吟味」→https://holylandtokyo.com/2022/05/17/3233/
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holylandtokyo.com/2021/06/02/1708/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14

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ジャンボ機から空中発射衛星打上Virgin Orbitロケット [サイバーと宇宙]

7月1日に米宇宙軍の試験衛星7個軌道投入に成功
今年4回目の商用打ち上げで、初の夜間打ち上げに成功
空中発射なので小型衛星を安価に打ち上げ可能
日本の大分空港が打ち上げ飛行場受け入れ検討中

Virgin Orbit2.jpg7月1日、Virgin Orbit社の小型衛星打ち上げロケット「LauncherOne」が同社保有の専用ジャンボ機から高度約12000mで分離され、無事ロケットエンジンに点火して宇宙空間に到達し、ジャンボ機から分離1時間後には米宇宙軍委託の試験衛星7個を所定の軌道に投入しました。2022年4回目の打ち上げ成功で、初の夜間打ち上げ成功だったようです

Virgin Orbit社は、ヴァージンアトランテック航空等の創業者である英国人Richard Branson氏により2017年に創設され、ジャンボジェット機(B747-400)から衛星打ち上げロケットを発射するという画期的な手法に挑んだ会社で、2021年1月に同方式による初の打ち上げに成功しました。

Virgin Orbit5.jpgその後初めての営業打ち上げとして、2021年6月20日に米軍やオランダ空軍の衛星7個の投入に成功して事業を「軌道に乗せ」、2022年には7回、2023年には18回の打ち上げを計画しており、ロケットの投下&発射母機となるジャンボジェット機を追加で2機契約&改修に入っているとも報道されています

この打ち上げ方式の特長は、
(下のYouTube映像の説明から)

Virgin Orbit.jpg●地上打ち上げに比較してロケットが小型化&シンプル化でき、ロケットは使い捨てだが価格面で気にならず、打ち上げ費用が200㎏衛星で13億円程度と安価
●航空機からの打ち上げで、緊急の打ち上げ要請に、より柔軟に対応可能
●基本的には世界中の飛行場から母機ジャンボが離陸可能で、離陸後30分から4時間飛行で到達可能な海上から、地上への落下物の心配なく比較的自由な方向に発射でき、様々な衛星軌道に投入可能

ジャンボ機から空中発射Virgin Orbitロケット解説(10分)


日本の空港では、Virgin Orbit社が大分空港利用に向けた交渉を大分県や関係機関と進めており、2022年以降の10年間で計20回の打ち上げ用離陸飛行場として考えているようです。

Virgin Orbit3.jpgその他小ネタとしては、Virgin Orbit社が発射母機として追加購入したジャンボジェット機(B747-400)が日本の航空自衛隊が政府専用機として運用していた機体で、大分への展開で「里帰り」が実現する日が期待されていることです。政府専用機は丁寧に使用されていますから、Virgin Orbit社の目の付け所に感心します

より細かな地上打ち上げとの比較ができればよいのですが、大分空港からの母機離陸やロケット「Launcher-One」の打ち上げが実施されれば大きな話題になるでしょうから、ご期待ください

Virgin Orbit社関連の2020年4月の記事
「航空機を利用衛星打上計画」→https://holylandtokyo.com/2020/04/17/729/

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米空軍や州空軍が一般公道で離着陸&再発進準備訓練 [米空軍]

A-10やプロペラ輸送機やMQ-9無人機を使用して
米本土で初:エンジン稼働のまま、燃料補給や弾薬搭載も
ACE構想訓練の一環と説明

A-10 Michigan.jpg6月30日付米空軍協会web記事は、6月28日と29日の2日間に渡り、米空軍特殊部隊や予備役軍や州空軍部隊の航空機が、ACE(agile combat employment)構想の一環として、ミシガン州の一般公道(Highway M-28)を使用し、A-10地上攻撃機やプロペラ機(U-28A, C-145, C-146, and MC-12W)による離着陸訓練や、エンジン稼働のままの燃料補給や弾薬補給訓練を含む「Northern Agility 22-1」演習を行ったと報じました

A-10 Michigan2.jpg米本土での一般公道を使用した米空軍機の離着陸訓練は、2021年夏に「Northern Strike 21-2」演習としてA-10とC-146輸送機がミシガン州の別の公道で実施したのが「米空軍史上初」とされ、その1か月後にC-130輸送機がワイオミング州の公道に訓練着陸したようですが、着陸後エンジンを停止せずに燃料や弾薬搭載を行う「combat turns」訓練まで行ったのは「Northern Agility 22-1」演習が初めてだったとのことです

ACE(agile combat employment)構想は一般的に、敵のミサイル攻撃等で根拠飛行場が被害を受けることを想定し、近傍の施設不十分な飛行場に航空機や地上支援機材や人員を避難や分散して作戦行動が継続可能な態勢を目指す構想で、主に西太平洋での対中国作戦を想定していますが、一般公道を活用することもACEの一環として基礎的な検証が行われているのかもしれません

U-28 Michigan.jpgなお6月末の「Northern Agility 22-1」演習には、ミシガン州空軍が操作するMQ-9無人機(ノースダコタ州空軍保有機)も参加したと記事は紹介しており、ACE構想をアピールする広報イベント的な訓練とは異なり、かなり練って準備された演習との印象を持ちました

6月30日付米空軍協会web記事によれば
●A-10が一般公道に着陸した訓練は、2016年にエストニアで行われた記録があるが、米本土での訓練は2021年夏の「Northern Strike 21-2」演習が初めてだった
●「Northern Agility 22-1」演習に参加した部隊は、
・米空軍特殊作戦軍: 1st Special Operations Group and 6th Special Operations Squadron;
・米空軍予備役部隊:119th Special Operations Wing;
・ミシガン州空軍:127th Wing ・オクラホマ州空軍:137th Special Operations Wing ・メリーランド州空軍:175th Fighter Wing

A-10 Michigan3.jpg●Bryan J. Teffミシガン州空軍司令官(准将)は、「・・・22-1演習は、米空軍参謀総長が表明している「変化を加速せよ、さもなければ敗北する:accelerate change or lose」を体現したもので、ミシガン州との良好な関係や訓練環境を生かし、ACE構想を推進する中核部隊が我々だと自認している。今回の演習は大成功で、統合戦力の一歩前進に貢献できた」と演習後語っている
/////////////////////////////////////////////

ジェット機が主力となって以降の軍隊で、一般公道を利用した離着陸訓練を行っていたことで広く知られているのはイスラエル軍ですが、近年では行っていません。

Taiwan Highway.jpg最近では台湾空軍が、F-16戦闘機やE-2早期警戒機で行動訓練を実施して対中国の態勢をアピールしていますが、緊急避難の着陸場所として使用することはあり得ても、燃料&弾薬補給や整備支援までを本格的に行うのは、最新型作戦機では難しいと思います

今回のジェット参加機は、エンジンの設置位置が地上から高く異物がエンジンに吸い込まれにくいA-10ですし、他はプロペラ機である点に注目です。A-10の再発進準備にどれほど地上支援機材が必要かは把握していませんが、現場密着のCAS用攻撃機ですから可能だったと考えられます

でも日本は、代替飛行場を真剣に考えるべきで、一般公道ではなく民航機用の一般空港の自衛隊機使用訓練を精力的に進めるべきです。事前に地上支援機材や弾薬や燃料を配置しておき、ヘリでの地上支援要員の緊急輸送をはじめ、戦闘機の離発着訓練など、政治的ハードルをクリアすれば物理的には比較的容易に実施可能な訓練から早急に開始すべきと考えます

公道での軍用機の離発着訓練
「2019年5月台湾空軍が高速道路で離着陸訓練」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-29

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米空軍が将来給油機体制検討に業へ情報提供依頼 [米空軍]

現有給油機とKC-Y、そしてKC-Zを見据え技術情報収集
自己防御能力や整備性や迅速再発進能力向上の他
電子戦やSA把握能力や連接性や自動給油能力等々を期待

KC-Z 3.jpg6月29日付米空軍協会web記事が、米空軍が今後の空中給油機体制構築に資するため、関連技術成熟レベルを企業に問い合わせるRFI(request for information)を発出し、7月8日までに提供を依頼する形で、現有KC-46や135の能力向上をはじめ、つなぎ給油機KC-Y、更にステルス機に随伴し敵空域に進入する可能性まで検討されている小型のKC-Zまでイメージした技術動向調査を行っていると報じています

KC-135 3.jpg米空軍の空中給油機に関しては、40年近くの使用で老朽化&部品調達困難で維持費が爆発しているKC-135や、既に調達総機数の3割以上を受領しながら要求性能を満たすための改修完了が2024年以降にずれ込むKC-46A、つなぎ給油機KC-Yを機種選定なしでKC-46にしようと空軍が動く中、対抗馬に名乗りを上げたロッキードが推すLMXT側から疑念の声が上がるなど、良い話題がありません

しかし対中国作戦を考えると、根拠飛行場が少ない中、広い西太平洋地域をカバーするには空中給油機は極めて重要であり、米空軍として真正面から検討すべき重要課題ですので、米空軍の空中給油機への取り組みの一環としてご紹介します

6月29日付米空軍協会web記事によれば
KC-46A3.jpg●現有のKC-135、導入途中のKC-46をKC-X、つなぎ給油機をKC-Y、そして5世代機や5世代機と行動を共にする無人ウイングマン機に同行するイメージまである次世代給油機をKC-Zとして、これら全体を米空軍はAAR FoS(Advanced Aerial Refueling Family of Systems program)と呼び、将来の戦いに備えた能力向上や要求性能を検討しようとしているが、そのための革新的なアプローチとしてのRFIだと米空軍担当部署は説明している
●米空軍は企業に対し、関連技術を成熟度に併せて段階評価して教えてほしいと依頼しており、コンセプトや実験段階をTRL(technology readiness level)1-2、製造可能段階TRL6-7、実用化済みで能力証明済TRL-10とするよう企業にお願いしている

KC-10.jpg●先進ファミリー空中給油機(AAR FoS)に求める事項として米空軍は、効率的かつ全世界をカバーするC3、被害状況下でも精密航法が可能な装備、厳しい環境下でも高い稼働率を維持することを基礎に挙げ、
●更に、JADC2(統合全ドメイン指揮統制)環境との連接性、オープンアーキテクチャー設計、PNT(positioning, navigation and timing)能力の代替機能、自動給油機能、より迅速な再発進能力、燃費の向上、より多くの飛行場を利用可能な能力、維持整備費と支援負担の低減も求めている

●また、給油機の生存性を高めるための自己防御装置、状況認識SAを高めるための装備、搭載電子戦装備、無人機ウイングマンとの連携運用能力も求めている。
●電子戦装備については、過去B-52を電子戦機にする構想が何度も持ち上がっては中止されているが、より前線近くで運用する空中給油機に期待が集まっている
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どれとどの関連技術が、どの機体に関係するものなのか明確ではありませんが、なんとなくご想像いただければと思います

LMXT.jpgこれら要素技術動向の情報収集が円滑に進み、米空軍の様々な検討や構想推進に役立てばよいのですが、記事によれば、つなぎ給油機KC-Yについてボーイング製KC-46を改良して進めようとの考えを示唆している米空軍に対し、KC-Y機種選定への名乗りを上げていたロッキード推薦LMXTの工場誘致をもくろんでいたアラバマ州選出議員が騒ぎ始めているようで、胸騒ぎの予感です

米空軍空中給油機の整備方針を大転換
「給油機のミニマム必要機数を削減」→https://holylandtokyo.com/2022/06/13/3319/
「KC-XYZの再検討再整理表明」→https://holylandtokyo.com/2022/04/18/3151/
「KC-Yにロッキードが名乗り」→https://holylandtokyo.com/2021/10/05/2260/
「つなぎ空中給油機KC-Yに着手へ」→https://holylandtokyo.com/2020/12/01/333/
「2016年当時の空中給油機後継プラン」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-09-22

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フィリピン新大統領が中国との軍事関係強化示唆 [安全保障全般]

7月6日からの中国外相訪比を前に前向き姿勢を
地域専門家も米軍もMarcos Jr新大統領に不安隠せず
ソロモン諸島に続く中国の西太平洋外交攻勢

Marcos Jr.jpg7月5日、フィリピンの新大統領に就任したばかりのFerdinand Marcos Jr氏が、6日からの中国外相フィリピン訪問を前に、「中国との関係は一次元ではなく、もしそれが役立つのなら、文化交流や教育交流、更には軍事交流にも広げていこう」と語った模様で、米国の対中国戦略の重要ピースであるはずのフィリピンの動静が注目を集めています

折しも中国は、米国や西側諸国がウクライナ問題で足を取られている隙に乗じ、西太平洋の島国国家に外交攻勢をかけており、今年に入りソロモン諸島と、ソロモン側の要請があれば中国警察や中国軍を同島に派遣可能となる「安保協定」を結ぶことに成功するなど、着実に侵食を続けています

Philippine China.jpeg2022年6月末まで比大統領を6年間務めたドゥテルテ前大統領時代も、米国とフィリピンの同盟関係は不安定で、例えば2020年6月、ドゥテルテ前大統領は米軍の比訪問協定(visiting forces agreement)を破棄すると宣言し、約1年後に破棄宣言を撤回して継続意思を明確にするまで米国は大騒ぎだったと記憶しています

6月9日に米空軍協会が行ったインタビューでWilsbach太平洋空軍司令官は、マルコス新大統領の下でフィリピンとの関係強化を望むと述べつつも、「これまでは極めて限定的な訓練しかフィリピンでは行っていない」と吐露し、「ACE構想に向けた訓練を幾らか実施したが、もっと訓練ができればと考えていたところだ」と期待を示していたようです

Cooper 2.jpgしかしAEIのZack Cooper研究員は今後の米比関係について、「Bongbong(マルコス新大統領の通称)の就任で、フィリピンはtricky(狡猾で、扱いにくく、油断ならない)国になるだろう。それでも比は極めて重要な国である」、「他の東南アジア諸国と共にできることもあるだろうが、恐らく極めて限定的だ」、「西太平洋の島々を利用するオプションは極めて重要だが、中国が猛烈な勢いで同地域に進出する様子を我々は目撃しているところだ」と懸念を示しています

Marcos Jr3.jpg太平洋空軍司令官は「政権移行期にあり、これからどのような方向にフィリピンが向かっていくか、変化があるかどうかを見極めていく事になる」とも述べていますが、米国関係者で明るい見通しを持っている人は少ない模様です

米空軍のACE構想も、米海兵隊の「飛び石作戦」も、少しでも多くの西太平洋の拠点を確保することが大前提ですが、「そうは問屋が卸さない」と中国が猛烈な勢いで経済・外交・軍事攻勢をかけており、その最前線フィリピンの動向から目を離せません

フィリピンや西太平洋と米軍関連記事
「PACAF指揮官がACEの現状を語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「極東米海兵隊は「stand-in force」作戦を検討中」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「中国とソロモンの安保協定関連」→https://holylandtokyo.com/2022/04/11/3119/
「比がVFA維持をやっと表明」→https://holylandtokyo.com/2021/08/02/2065/
「米軍アジア太平洋地域で基地増設を検討中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-28
「米軍対中国で米軍配置再検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1

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米海軍が製造可能数よりF-35C調達数を抑え優先事業へ予算 [亡国のF-35]

FA-18の延命措置等で必要艦載機数は確保可能と判断
海軍海兵隊全体の優先順位を踏まえF-35調達予算削減
当初は製造ペースが上がらない為としていたが今では・・・

F-35C Carl.jpg6月28日付Defense-Newsは、米海軍が今後5年間は毎年20機調達予定だとしてきたF-35C型機を、2023年度予算では9機しか調達せず(2022年度は15機)、その理由として当初はコロナ禍のサプライチェーン混乱による製造&調達リスクを上げていたのに、最近になってFA-18と合わせた艦載機数の確保に目途が立ちつつあり、他の優先事項に予算を投入したいためと説明ぶりが変化している、と指摘しています。

同記事は様々な関係者の話を細切れに紹介して読みにくいものとなっていますが、まんぐーすは、従来から開発が遅延するF-35導入を米軍内で最も後回しにしていた米海軍が、維持整備費高止まりのF-35調達をさらに遅らせ、最終的に総調達数(260機:現在50機程度か)削減につなげようとする動きの一つと邪推しております

FA-18 block Ⅲ2.jpg結論として、米海軍がF-35C調達ペースを大幅にダウンすることができるのは、FA-18の機体寿命を4000時間も伸ばす「Super Hornet Service Life Modification (SLM)」改修に必要な時間を、現在の18か月間から2023年までには15か月に短縮し、最終的に2024年には12か月にまで短縮して、運用可能なFA-18機数を、これまでの341機から360機に上方修正できる目途が立ったことが大きいと米海軍首脳が明らかにしています

この結果、これまで米海軍艦載機の不足状態解消に2030年までかかると見積もっていたところ、この問題を2025年には解消可能になったため、F-35C調達ペースを下げ、その分の予算を他の優先分野に配分できるようになったと米海軍は説明しています

F-35C.jpg記事執筆者は、この春の2023年度予算案を議会提出した際から5月中旬まで、海軍長官や米海軍作戦部長は複数の議会説明で、F-35要求数を9機に削減した理由は、コロナの影響でサプライチェーンに課題が残っているからと説明していたことからの変節を指摘しつつ、最近は米海軍報道官が明確に「ロッキードはコロナ禍改善によりF-35Cを年間30機製造可能になっているが、他の優先事項への投資を選択肢として考えられるようになった」と解説しています
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ロシアによるウクライナ侵略で、様々な米軍装備品調達のグダグダが表面化しなくなっていますが、F-35も、フォード級空母も、KC-46も、次期ICBMも、「日暮れて途遠し」状態だと認識しております

F-35調達機数削減の動き
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/

「民間監視団体がF-35改善なしと」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holylandtokyo.com/2021/06/25/1949/
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holylandtokyo.com/2021/03/10/157/

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

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