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米空軍が空軍内意思疎通と搭乗員関連アンケート実施 [米空軍]

共に対象者数万名の大規模意識調査
継続実施で部内意思疎通と搭乗員退職防止策に反映

WAGGI.jpg3月26日付米空軍協会web記事が、米空軍が毎年約4万名の搭乗員全員に対して行っている「Aircrew Engagement Survey:搭乗員意識調査」と、州空軍兵全員と抽出した1万2千名の空軍正規兵士(全体の4.2%)に2年に一回行っている「Where Airmen and Guardians Get Information調査」(通称WAGGI調査:どこからどのように空軍の情報を得ているか調査)について取り上げているのでご紹介します

通称「WAGGI調査」は2011年から、「Aircrew Engagement Survey:搭乗員意識調査」は何時から開始されたか確認できませんでしたが、共に記事の雰囲気から継続的に実施されているアンケート調査で、「搭乗員意識調査」はあるのかもしれませんが、自衛隊で「WAGGI調査」の類が継続的に行われているとの話を聞いたことがありませんので、ご参考まで概要を紹介させていただきます

空軍内の情報共有や意思疎通を問う「WAGGI調査」
WAGGI3.jpg●2011年に開始された2年に1回の調査は、ほぼ全ての州空軍兵士とランダム抽出された正規兵の約4.2%に相当する1万2千名を対象に実施され、米空軍指導層が、兵士がどのような情報を、どのような手段で、どのような頻度で得ているか&求めているか等について調査し、兵士との意思疎通の改善に役立てるために実施されている
●担当する空軍省広報局のTadd Sholtis博士は「本調査は、空軍兵士や州軍兵士が空軍内での様々な意思疎通に関し、どんな部分に懸念を持っているか尋ね、意思疎通をより良い方向に導く対策を検討するためのもの」と説明しており、調査結果を踏まえ、情報伝達手段を紙媒体からデジタルメディアに変更したり、上級指揮官のSNSの使用法改善等につなげている

WAGGI4.jpg●前回2022年調査から、州空軍兵士と正規空軍兵士を対象とした調査を別々にし、よりそれぞれの対象者の特性や課題に焦点を当てた異なった質問内容の調査を行っている
●2022年WAGGI調査の結果、正規空軍兵は空軍内の各種意思疎通が「普通・おおむね良いmoderate」から「良いgood」と感じているが、州軍兵士は「意思疎通が効果的ではない」と感じていることが明らかになっている。また発足したばかりの宇宙軍では、発足当初の様々な業務のために、意思疎通が犠牲になっている部分があるとの結果も示されている

Aircrew Survey.jpg●調査結果を受け、前線兵士に情報を伝えるためのリードタイムを十分に確保する必要性と、対面での会議やミーティング、e-mail、SNS等の意志疎通ツールの適切な使い分けの理解や浸透の必要性が示され、改善が進んでいるかについても2024年調査の内容に含まれている
●2024年の調査は間もなく4週間の回答期限で開始されるが、回答は強制ではなく、自由に意見を記述可能な枠も設定されている。回答結果を踏まえ、より詳細な調査が必要と判断された場合には、回答者の匿名性に配慮しつつ、個別の面談調査が計画されており、2022年調査の際には正規兵157名と州軍兵22名が対象となっている

「Aircrew Engagement Survey:搭乗員意識調査」
WAGGI2.jpg●(本アンケート調査の開始年は不明だが、最近)毎年行われている全ての航空機搭乗員約4万名を対象とした今年の調査は、2月15日から回答が開始され、3月28日が回答期限となっている。15分間程度で回答完了可能なアンケートであり、回答は個人情報と紐づけて個人人事情報として保存されることはなく、アンケート分析部署のみで処理される
●アンケートの目的は、米空軍パイロットや搭乗員の離職が増える中、搭乗員の抱える悩みや離職につながる要因の把握により、離職を防止し、時間をかけて養成した搭乗員に任務継続契約してもらえるような人事施策を検討する資とすることにある

Aircrew Survey2.jpg●例えば昨年のアンケート結果からは、搭乗員が離職を考える理由として、(転勤や長期海外展開による)家庭生活の不安定、金銭的な不安、飛行任務から離れたスタッフ業務への不満があることが明らかになり、配置ポストに関し個人の希望を柔軟に反映する仕組みの導入やボーナス等支給面での修正等につなげている
●本アンケートを空軍司令部で担当するTravolis Simmons准将は、「長期的にデータを蓄積して調査結果を分析することで、搭乗員の採用や育成に役立て、契約延長者を増やすことにつなげたいと考えており、搭乗員の管理を包括的に検討する材料としても活用している」と説明している。
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Aircrew Survey3.jpg調査結果がどの程度公開(空軍内部と一般国民に対し)されているのか把握していませんが、「WAGGI調査」に関しては、世の中にSNS等を通じて誤情報があふれ、敵対国から「印象操作」や「情報戦」が仕掛けられている中、組織が構成員に伝えたい内容が、「部内広報」を通じて正しく伝わっているのかを確認する手段として、自衛隊でも一考の余地ありかもしれません

「搭乗員意識調査」の方は、搭乗員の金銭面での不満にこたえ、ボーナスを増額したと記事は伝えていますが、他の職種の兵士は当然不満を持つと思いますよねぇ・・・「なんでパイロットだけが・・・」と。脅威が変化しているのに、「パイロットだけが重視され、ボーナス貰えるのかよ・・」と。

米空軍パイロット不足関連
「コロナ後の民間との争奪戦に備え」→https://holylandtokyo.com/2021/10/17/2271/
「女性登用増に航空機設計基準変更」→https://holylandtokyo.com/2020/08/26/533/
「ヘリ操縦者養成から固定翼削除試行」→https://holylandtokyo.com/2020/08/07/517/
「身長基準を廃止」→https://holylandtokyo.com/2020/05/27/682/
「Fly-only管理の募集中止」→https://holylandtokyo.com/2020/03/25/789/
「5年連続養成目標数を未達成」→https://holylandtokyo.com/2020/02/27/838/
「採用の身長基準を緩和」→https://holylandtokyo.com/2019/11/29/2985/

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