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30周年の米国州軍と諸外国協力 [Joint・統合参謀本部]

初耳のSPP(State Partnership Program)
100ヶ国以上と米軍の州軍が協力交流枠組み
地上部隊中心から空や宇宙協力に拡大中

SPP 30th6.jpg7月17日から18日にかけ、米軍の州軍(National Guard)が30年前に開始したSPP(State Partnership Program)の30周年記念集会が開催され、当初対ロシアを念頭に13か国の旧ソ連圏東欧諸国と米国各州の州軍の間て結ばれた軍事協力枠組みが、今や100ヶ国以上(活動中なのは88ヶ国と)にまで拡大したが、今後は対象国数の拡大ではなく、現存関係の「質や深さ」を追求していく方向が内外の参加者により確認された模様です

SPP 30th3.jpg本記念集会の様子を伝える7月18日付米空軍協会web記事は、全ての対象国とそれぞれの国とパートナー関係を持っている州軍の一覧表を掲載していますが、対象国には日本や英仏独など「G7」諸国は含まれない一方で、ブラジルやアルゼンチンなど地域の主要国、南アフリカを含むアフリカ諸国、中東から中南米諸国のほか、南シナ海を取り囲むPhilippines, Vietnam, Malaysia, Thailand, IndonesiaがSPP対象パートナー国となっています

SPP 30th.jpg「活動中なのは88ヶ国(88 active partnerships)」との表現で示される「アクティブでない国」の存在が気になるところではありますが、州軍司令部(National Guard Bureau)のWilliam Zana計画部長は、「これまでとは異なった関係の進化や進展を今後目にすることになろう」、「今我々はパートナー国空軍と州空軍の著しい関係発展を目にしており、この傾向は続いて行くだろう」と述べ、

更に宇宙ドメインでの協力が加速している様子について、「パートナー国からの、宇宙分野でより緊密に連携していきたいとのシグナル増加を目にしている」と語り、計1000名以上の州軍兵士が、宇宙分野任務で「6つの国:six states」に派遣されている現状にも触れています

SPP 30th5.jpgそして特に注目している地域として、ウクライナ戦争で緊張が高まっているSPP創設当時からの焦点である東欧諸国や、南シナ海を囲むPhilippines, Vietnam, Malaysia, Thailand, Indonesiaなどの国とのパートナー関係だと同計画部長(少将)は述べ、

あまり目立ってはいないが、SPP枠組みでウクライナと加州軍が連携関係にあったことが、今回のロシア侵略対応の基礎を支えたとして専門家の間で称賛されているともアピールしています

SPP 30th2.jpg当初からのパートナー国の一つルーマニアの参謀総長は、「SPPの更なる発展への努力が米国の対象エリアへの関与を示す戦略的メッセージとなる」とSPPの意義を表現し、米統合参謀本部計画部長のStephen Koehler海軍中将は、「スピードと総合運用性深化の更なる追及が、紛争抑止と有事の任務達成に大きく貢献する」とSPPへの期待を表現しています

課題についてウィスコンシン州空軍のPaul Knapp少将は予算の安定確保と予算年度期間の相違を上げ、パートナー国と予算年度の期間が異なり、訓練や交流の計画が立てづらい点や、昨今の予算圧縮の影響を受け長期的な関係強化計画が困難な点を同記念集会で指摘しています
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SPP 30th4.jpgSPP(State Partnership Program)との言葉と枠組みを初めて知りました。54州とワシントンDC等の州軍が、一つの州軍で複数の国とパートナー関係を持つことが普通にあるようで、州軍の力量も大したものです

州軍に取っての貴重な訓練機会だとも思いますし、パートナー国にとっても「肩ひじ張らずに付き合える」米軍なのかもしれません。実際の活動について全く把握&ご紹介できていませんが、機会があれば次の機会に・・・

州軍関連の記事
「州空軍中心に独で冷戦後最大の演習」→https://holylandtokyo.com/2023/05/01/4515/
「予備役兵の個人スキル把握の試み」→https://holylandtokyo.com/2023/03/29/4428/
「一般公道で離着陸&再発進準備訓練」→https://holylandtokyo.com/2022/07/12/3426/

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陸上自衛隊が豪州で初のミサイル射撃訓練 [安全保障全般]

米豪共同陸軍演習「Talisman Sabre」での一コマ
兵站(物資輸送・補給・維持整備)重視の演習内で
広い演習場を利用し中SAMや12式地対艦誘導弾を

talisman sabre Japan.jpg7月24日付Defense-Newsは、7月20日から8月4日までの約2週間にわたり実施されている米豪陸軍共同演習「Talisman Sabre」演習に、日本の自衛隊と韓国陸軍部隊が参加して、豪州大陸で初めてのミサイルやロケット実弾発射訓練を行っている様子を報じています

米豪陸軍共同演習「Talisman Sabre」は隔年開催の訓練ですが、4月の記事で、今年はこれまでの陸上戦闘中心の演習から、装備物資輸送量が従来比4倍規模になる対中国を意識した史上最大規模の兵站(物資輸送・補給・維持整備)演習になるとご紹介し、日韓インドネシアを兵站拠点として巻き込んで

talisman sabre Japan3.jpg例えば、米太平洋陸軍の演習兵站司令部は、従来ハワイのオアフ島に置かれましたが、今回は初めて海外の豪州東海岸中部ブリスベーンに設置され、他軍種や豪州のメンバーも同居する全く新しい合同兵站センター形態に挑戦したり、関連で日本配備の「配送センター:distribution center」の「再構築・改編:reconfigure」も一連の訓練に含まれているような構想でした

talisman sabre Japan5.jpgもちろん上記のような兵站メインの全体演習構成の中でも、日韓だけでなく、参加国(Fiji, France, Indonesia, New Zealand, Papua New Guinea, Tonga, the United Kingdom, Canada and Germany)や、オブザーバ国(Philippines, Singapore and Thailand)からの要望も聞き取り、日韓それぞれの国では訓練が難しい長射程兵器実弾射撃の場も提供したのでしょう

7月21日にShoalwater Bay 演習場で米海兵隊のM142 HIMARS、豪陸軍のM777A2榴弾砲、韓国軍のK9 Thunder車載自走砲システムやK239 Chunmooロケットシステムが火力デモンストレーション演習を行いましたが、

talisman sabre Japan2.jpg空母型護衛艦いづもを含む海自艦艇3隻も含め、計1500名体制の「史上最大規模」で参加した自衛隊も、同日同演習場で上記演習に参加し、中SAM発射訓練を行い、また別の場所でも同日、射程約200㎞の12式地対艦誘導弾(冒頭写真)の発射訓練も行ったとのことです

豪州陸軍で同演習計画担当のDamian Hill准将は、(兵站面に焦点を当てた今回の同演習の中でも、)同盟国等が各国の装備を持ち寄って共に訓練することで、各兵器システムの特性を互いに確認でき、相互運用性を向上させることができるとデモ射撃演習の意義を語り、

talisman sabre Japan4.jpg陸自12式地対艦誘導弾部隊のSenzaki3等陸佐は、Talisman Sabreへの参加を通じ、豪州陸軍との信頼関係・協力関係を向上させることができたと語っています

約3万名が参加している巨大な多国間演習ですが、兵站面での成果等が確認できればまたご紹介したいと思います

同演習に関する4月の記事
「Talisman Sabreを過去最大の兵站演習に」→https://holylandtokyo.com/2023/04/14/4506/

兵站支援関連の記事
「兵站改革目指しCFT設置」→https://holylandtokyo.com/2023/04/10/4469/
「ウの対中国教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウへの補給物資輸送拠点」→https://holylandtokyo.com/2022/05/11/3197/
「改善提案最優秀:燃料と水輸送負担軽減策」→https://holylandtokyo.com/2022/05/06/2781/
「ウへの武器提供」→https://holylandtokyo.com/2022/03/02/2772/

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一応、米海軍が空母定期修理遅延の対策検討 [Joint・統合参謀本部]

最近では4年の修理が6年に延びる惨状
コロナで労働者散逸&サプライチェーン混乱で部品遅延
長期作戦行動で艦艇酷使で不具合続出の空母

Newport6.jpg7月6日付Defense-Newsが、米海軍担当コマンド報道官からの聞き取りを交え、空母の原子炉燃料交換を伴う空母寿命50年の中間に行う4年計画の大修理が、直近の事例(空母George Washington)で2年超過の6年もかかっている問題を取り上げ、造船所の能力低下やサプライチェーンの混乱、更に空母の長期作戦投入による船体疲労からくる修理箇所の増加等々の根深い問題を紹介しつつ、

調達リードタイムが長期間となる部品の計画備蓄や、大規模修理前の事前艦艇チェックを早期&入念に行って修理計画や物資調達をより早期かつ綿密に行うなどの対策、更に艦艇修理を期間を計画通りに進めることによる契約面でのインセンティブや、各修理フェーズ毎の計画の正確性をフィードバックする契約手法等に米海軍が取り組む様子を紹介しています

最近や近未来の空母大修理の状況

空母George Washington(当初2017年夏~2021年夏予定)
Newport5.jpg●現実には2023年5月23日に2年遅れで修理完了。遅延の背景には、コロナによる操業率低下、サプライチェーン混乱による部品入荷遅延、空母船体酷使からくる想定外修理箇所生起、コロナによる熟練作業員の早期退職等による現場技量低下にも関連する作業ミス手戻りなどあり
●米海軍全体では、新規潜水艦建造を遅らせてまで空母の修理を優先したが、それでも約2年の遅延

空母John C. Stennis(当初は2021年1月~2025年春予定
●造船所の能力限界から、空母Washington修理との重複を極力避けるため、修理開始を2021年5月まで遅らせ、終了を2025年8月に修正した計画で作業開始
Newport4.jpg●しかし結局空母Washingtonの修理が2年超過し、約24か月も空母Stennisと重複したことで造船所の対応が追い付かず、現時点で既に数か月の遅延が出ており、また推進装置に大きなトラブルが見つかったこともあり2025年8月終了計画は再検討を迫られている状況
●米海軍は本空母修理契約に際し、発生経費ベースの費用契約から、修理スケジュール遵守状況により評価するインセンティブ提供の考え方を含めた契約に変更している

空母Harry S. Truman(2025年5月~2029年春予定)
Newport3.jpg●この空母との契約については、空母Stennisの契約より更に契約方式を深化させ、作業段階ごとの契約や、困難な修理項目や確保に時間が必要な部品の必要性について早期に察知して計画に反映することへのインセンティブ等を含めることを米海軍が検討している
●また調達にリードタイムが長期間必要な大型バルブ、発電機関連部品、タービン関連部品などの交換履歴を分析し、将来需要予測をより精緻にして備蓄を増やす検討も行われている

空母Ronald Reagan(2029年から予定)
Newport2.jpg●定期修理に6年要した空母G Washingtonとの交代で2015年に横須賀に展開し、その後は海外派遣状態が続いている極めてまれな空母がReaganで、横須賀派遣の交代空母が派遣予定の2024年まで活動を継続すると、異例の9年間連続派遣運用を経た空母となる
●米本土配備の空母は、通常3年で訓練、実戦運用、修理のサイクルを回しており、その間に半年間以上のドック修理期間が組み込まれ、燃料交換時の大規模修理項目の削減につながっているが、このパターンを踏んでいない空母Ronald Reaganは、燃料交換修理に臨む前の事前点検で空母の状態確認が予定されているものの、本番修理は長期化が予期されている
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Newport.jpg空母だけでなく、一般艦艇や潜水艦の修理施設が労働者の質や数を維持できず、今の時代に若者を引き付ける職業でもないことから、労働力面での回復は難しい状況ですし、修理予算自体の確保も難しくなっているのが「何をやってもダメな米海軍」の現実でしょう。日本が米艦艇の修理を横須賀等で受け入れることで合意したようですが、どの程度の効果があるのか気になるところです

修理に計6年を要した空母Washingtonは、来年2024年横須賀に派遣され空母Ronald Reaganと交代する予定で、6年近くの空白を埋めるべく、同空母搭乗員は2022年夏から同空母で準備を開始していますが、同空母で海に出ていない期間が6年あるのは紛れもない事実です。例えその間に他の空母に臨時勤務し、必要な部署資格を維持してきたとは言え・・・・

米海軍の艦艇建造や修理能力が危機的状況
「耐震強度不足で4ドック使用停止」→https://holylandtokyo.com/2023/02/03/4234/
「米空母と潜水艦修理の75%が遅延」→https://holylandtokyo.com/2020/08/27/534/
「空母故障で空母なしで出撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-16
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24

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空自宇宙部隊と米宇宙軍の本格協議SETスタート [サイバーと宇宙]

イスラエルとブラジルに続く3か国目のSET開設
アジア太平洋諸国とは初のSET開始

Japan SET.jpg7月13日、米宇宙軍が諸外国との協力関係強化のために行っているSET(Space Engagement Talks)が、イスラエルとブラジルに続き、アジア太平洋諸国で初めて日本の航空自衛隊との間で開始され、東京市ヶ谷の航空幕僚監部で将官級協議(SET)や作業部会に分かれての部門別協議が行われました

米側は米宇宙軍計画部長のPhilip A. Garrant中将とアジア太平洋宇宙軍(昨年10月創設)司令官のAnthony J. Mastalir准将が率いるアジア太平洋宇宙軍スタッフで構成され、日本側は空幕防衛部長の坂梨弘明空将補(パイロットでない防衛部長!)を筆頭に、2022年3月創設の宇宙作戦群(2020年5月創設の宇宙作戦隊が拡大)スタッフが参加した模様です

Japan SET3.jpg自衛隊とのSET開始は、今年1月の「2+2」で合意された「宇宙での状況認識・相互運用性・作戦面での協力を更に深化&強化し、有事にそれぞれが攻撃を受けた際は相互に防御行動をとる新たなコミットメント確認」を受けたもので、

昨年3月の宇宙コマンド司令官James Dickinson大将や同10月の宇宙軍参謀総長(正確には作戦部長)Raymond大将の訪日から更に前進し、具体的協力関係強化に向けた実務的協議を推進するものです

Japan SET5.jpgSETについてアジア太平洋宇宙軍の報道官は、「宇宙ドメイン状況認識、宇宙情報、教育訓練、部隊構築、能力向上、アジア太平洋宇宙軍との調整要領などなど、SETで取り上げられた項目について、作業部会(Space Working Group)で具体的なアクションアイテムの設定や時程等を議論した」と説明し、

またMastalirアジア太平洋宇宙軍司令官はアジア太平洋地域国との初のSET創設に当たり、「SETは、同盟国等との新たな協力を推進するメカニズムであり、地域の安定と宇宙環境の長期的な維持に大きく貢献するものだ」と表現しているところです
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Japan SET2.jpg米国から見て地球の裏側に存在する自衛隊部隊は、宇宙監視面で米軍を補完可能な地理的メリットを持っていますが、宇宙関連のアセットが極めて限定的な自衛隊に、米軍との協力で何が可能なのか、さっぱりイメージアップできませんが、

パイロットでない空幕防衛部長・坂梨空将補の采配に、大いに期待したいと思います!!!

米宇宙軍関連の記事
「宇宙輸送企業の選定へ」→https://holylandtokyo.com/2023/07/10/4819/
「衛星への軌道上補給に企業活用へ」→https://holylandtokyo.com/2023/03/01/4320/
「衛星のSM&L重視」→https://holylandtokyo.com/2023/01/18/4130/
「有志が民間企業大量導入訴え」→https://holylandtokyo.com/2022/09/16/3609/

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米空軍が搭乗員用新型CBRNマスクを近々投入 [米空軍]

従来装備より格段に快適で装着も迅速に
ただ依然としてCBRN汚染機体への対応は棚上げ

M69 Joint.JPG7月6日付米空軍協会web記事は、米空軍が数十年更新されてこなかった大型機搭乗員用の新型CBRN対処用マスク&スーツ(化学、生物、放射能、核兵器汚染対処マスク&スーツ)を6月に空軍内に披露し、7月に入ってメディア発表したと紹介しています

新しいCBRN対処マスク&スーツは正式名称が「M69 Joint Service Aircrew Mask Strategic Aircraft assembly」と長いので、マスクと全身スーツ等を合わせて「M69 system」と略して記事では紹介されています。

M69 Joint2.jpg従来の「Unit-19P Aircrew Eye and Respiratory Protection (AERP)」が正確に何時から使用されているのか確認していませんが、「数十年前:decades ago」から使用されていたようで、匿名のC-17パイロットによれば、「分厚いゴミ袋を全身にかぶせられて飛行機を操縦しているようなものだ」「暑く霧が立ち込め、状況認識が大幅に低下し、飛行中に使用するのは非常に危険だ」との代物だったようです

2018年からHH-60W救難ヘリやC-130H輸送機で試験使用が始まり、現在では約2万セットが米空軍部隊に配分されて最終運用確認が行われており、2024年までには初期運用態勢確立IOCが宣言される予定だそうですが、試験着用した輸送機搭乗員は「装備更新の遅れが気になっていたが、M69は素晴らしい。この装置は従来の AERP よりも何光年も先を行っている」と大喜びで感想を語っています

M69 Joint5.jpg新旧マスクシステムの具体的な性能差は公開されていませんが、従来マスク全体の着用には約10分必要だったところ、M69システムでは全身スーツを含めても2分強程度で着用可能で、着用感も涼しく、視界も良好で、かさばらないことから狭い機内での活動にも適しており、対中国など強固に防御された厳しい空域での作戦活動にも対応できる部隊レベルでも高評価な模様です

CBRN汚染された機体の扱いは?
ただ、搭乗員を守るマスクシステムが改善されてみると、CBRNで汚染された機体の扱いについて進展がないことが、改めて課題として米空軍内で再認識され始めているとのことです

C-17 R11.jpg例えばB(生物兵器)対処には、配備数は限定的ながらもコロナ対策で活用され高評価だった、大型機全体を大型シェルターに入れ、湿度管理した60-80度の高温空気を送り込んで、機体装備には影響を与えずにウイルスや細菌を消毒する「Joint Biological Agent Decontamination System (JBADS)」が存在しますが、「CRN」対処は手つかずの状態が現実のようです

米空軍の基本マニュアルには、「大型機の除染が完了するまで、他の航空機から隔離したエリアで駐機させ、空輸任務から除外する必要がある」と記されているようですが、汚染された飛行場に着陸した機体に搭載された乗員と貨物の具体的な扱い方や、極めて緊急度の高い辞任や貨物の場合の対応など疑問は尽きない状態だそうです。

M69 Joint4.jpgまた、汚染された輸送機等の上空通過は、国際的な基準のない現状では同盟国であっても拒否する可能性があり、着陸となると不可能と考えざるを得ないのが現状であり、移動そのものが困難な可能性がある点でも根本的な課題が残っています

それにも増して、1機300億円近いC-17輸送機をCBRN環境で作戦させ、「汚染機体」とする判断が米軍指揮官に可能なのか・・・との意見が、匿名のC-17操縦者から聞かれたと記事は伝えています

救難や患者空輸や気象観測の課題
「気象部隊が対中国に備えIWOSを」→https://holylandtokyo.com/2023/07/04/4807/
「対中国に備える患者空輸医療チーム」→https://holylandtokyo.com/2023/06/27/4772/
「救難救助検討は引き続き迷走中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/23/4592/
「救難救助態勢が今ごろ大問題」→https://holylandtokyo.com/2022/07/15/3463/

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女性大将が米海軍トップに就任へ!!! [Joint・統合参謀本部]

現在の海軍No2である女性Lisa Franchetti大将が
米4軍のトップに女性は初めて
国防長官は別の男性大将を6月に推薦したが・・・
その男性大将は太平洋軍司令官に推薦・・

Franchetti5.jpg7月21日、バイデン大統領が8月21日に退役する米海軍トップ(CNO:Chief of Naval Operations海軍作戦部長)Mike Gilday海軍大将の後任に、現在副CNOである女性のLisa Franchetti大将を推薦し、米議会の承認を得られれば米4軍で初の女性トップになることが明らかになりました(なお沿岸警備隊司令官には、2022年8月から女性のLinda Fagan大将が就任済)

6月14日付ブログ記事でご紹介していたように、春から6月上旬までは、女性のLisa Franchetti大将が次期米海軍トップの大本命だとメディアも専門家も一致して「うわさ」していたのですが、「情報駄々洩れ」状態が災いしたのか、女性への「ガラスの天井」が存在したのか、

Franchetti6.jpg6月13日になって突然、各種メディアが「オースチン国防長官は太平洋海軍司令官であるSamuel Paparo海軍大将を推薦した」と相次いで報じ、その後は米海軍関係者は「本件は大統領の専決事項である」の一点張りでコメントを避け続けていました。

米軍の高級幹部約250名の人事全体は、アラバマ州選出のTuberville上院議員が「妊娠中絶が禁止された州から、許可された州へ移動して手術を受ける女性兵士に、旅費と休暇を付与する制度」に強硬に反対して人事案審議をストップさせており、この膠着状態は4か月以上経過した現在も継続中で、米海軍トップ人事の件も皆忘れかけていたタイミングでの突然の発表でした

Franchetti4.jpg以下に再掲載する6月14日付の記事でご紹介したように、Franchetti大将は1964年生まれで、2回の空母戦闘群司令官や第6艦隊司令官、更に欧州アフリカ艦隊司令官を前線指揮官として勤め、統合参謀本部では重責J-5長経験者でもあり、副CNOを経て何ら問題ない順当な女性海軍トップ候補の誕生です

この米海軍トップ人事のドタバタは前回の交代時にも見られた減少で、今やお家芸レベルに達しています。なお、6月中旬から今まで「次の海軍トップ候補」だった太平洋海軍司令官であるSamuel Paparo海軍大将は、過去の流れに沿ってインドアジア太平洋軍司令官候補者に同時に推薦されています

Lisa Franchetti海軍大将の公式経歴
https://www.navy.mil/Leadership/Flag-Officer-Biographies/BioDisplay/Article/3148210/admiral-lisa-franchetti/

軍での女性を考える記事
「海兵遠征軍レベルの先任軍曹に」→https://holylandtokyo.com/2022/12/20/4072/
「米潜水艦の最先任軍曹に初の女性」→https://holylandtokyo.com/2022/09/02/3619/
「米海軍Blue Angelsに初の女性パイロット」→https://holylandtokyo.com/2022/07/21/3484/
「沿岸警備隊司令官に女性が」→https://holylandtokyo.com/2022/04/07/3112/
「初の女性空母艦長が出撃」→https://holylandtokyo.com/2022/01/07/2587/
「技術開発担当国防次官に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「初の女性月面着陸目指す」→https://holylandtokyo.com/2021/07/05/1935/
「黒人女性が初の海軍戦闘操縦コース卒業」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-12
「初の米空軍下士官トップにアジア系女性」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-20
「GAO指摘:女性の活用不十分」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-20
「初の歩兵師団長」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-10
「超優秀なはずの女性少将がクビに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-11
「3軍長官が士官学校性暴力を討議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-10
「上院議員が空軍時代のレイプ被害告白」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-08
「空自初:女性戦闘機操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-25
「自衛隊は女性登用に耐えられるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
「女性特殊部隊兵士の重要性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-28
「Red Flag演習に女性指揮官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19
「米国防省:全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「ある女性特殊部隊員の死」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27
「珍獣栗田2佐の思い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17
「2012年の記事:栗田2佐」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-11

 女性徴兵制度がある国
「前線にも:イスラエル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-27
「究極の平等目指し:ノルウェー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16
「社会福祉業務選択肢もオーストリア」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-22

/////// 以下は2023年6月14日掲載の記事です //////

現在の太平洋海軍司令官が海軍人トップへ
直前まで女性大将推薦で動いていたはずが
「最悪の人事情報管理」と関係者吐露

Paparo.jpg6月12日NBC News等米メディアが、2019年8月から米海軍トップのCNO(chief of naval operations)を勤め、今年8月21日退役が決定していMike Gilday海軍大将の後任に、オースチン国防長官が大統領に、現在の太平洋海軍司令官であるSamuel Paparo海軍大将を推薦したと報じました。

Franchett2.jpg先週から12日昼の段階では、現在の副CNOである女性Lisa Franchetti大将が初めて女性として4軍のトップになると様々なソースが報じ、実際米海軍や国防省内でもその方向でスタッフが動いていた事実が確認されていたようですが、海軍現役やOB幹部から「最悪の人事情報管理」だ・・・との声が上がるほど「情報だだ漏れ」状態だったようです

米海軍報道官や国防省は「それは大統領が決定する事項だ」とノーコメントを貫いているようで、厳密に言えば、国防長官の推薦を受け、最終的にバイデン大統領が米議会への推薦者を判断することになりますが、12日付Defense-Newsによれば、匿名の2名の関係海軍高官がPaparo海軍大将推薦を認めたようです

Paparo3.jpg太平洋海軍司令官ポストは、対中国作戦を海上・水中作戦を立案&実行する重要ポストですが、これまでは同ポストから一段上の太平洋軍司令官に就任するケースが多く、実際現在のインドアジア太平洋軍司令官(対中国作戦の大統領直属の指揮官)であるJohn Aquilino大将も、太平洋海軍司令官から就任しています

女性Franchetti大将も Paparo大将もともに1964年生まれで、共に空母戦闘群司令官やナンバー艦隊司令官(前者が第6艦隊、後者が第5艦隊)を勤め、前者が欧州アフリカ艦隊司令官、後者が中央軍&太平洋軍海軍司令官を務めた経歴を持ちますが、統合職では前者がJ-5経験者ですが、後者は主要な統合ポスト経験がありません。

Paparo2.jpgアジア太平洋に関しては、前者は在韓米海軍司令官経験のみで、後者は現在の太平洋海軍司令官で分があります。女性Franchetti大将も Paparo大将も、アナポリスの海軍士官学校出身「ではない」点では同じです

なぜ、直前に外野から見て「どんでん返し」になったのかは邪推しかありませんが、「最悪の人事情報管理」による女性トップ誕生との噂流布が国防省レベル以上で嫌われたか、中央軍&太平洋軍海軍司令官の経験がより重視されたのか・・・・もしれません

Franchett.jpgただ米海軍トップ人事のごたごたは現CNO就任時の4年前にもあり、米議会の承認も得て2019年8月1日にCNO就任が決定していた人物が、最終段階の「身辺調査」で不適切な過去が判明し、7月7日に辞任退役に追い込まれる事態が発生(下の過去記事参照)、

グダグダの装備品開発(空母、LCS等々)、艦艇の衝突事故や火災事故、ワイロ事件等々で「何をやってもダメな米海軍」と揶揄される中、米海軍人事全体が大混乱に陥り、本来なら別の大将の中から米海軍トップを選出するはずが候補者が見当たらず、中将の中から選出する「異例中の異例」な経緯をたどった記憶も生々しいところです

海軍トップは大統領の正式推薦まで予断を許さない雰囲気ですが、いずれにしても、統合参謀本部議長も含め、陸海空海兵隊のトップが全て同時に交代する夏の人事となりました。

Samuel Paparo海軍大将の公式経歴
祖父・父も米海軍勤務の筋金入りです
→ https://www.cpf.navy.mil/Leaders/Article/2628260/admiral-samuel-j-paparo/ 

4年前の米海軍トップ交代の大混乱
大本命が最終段階で過去の不始末でクビに
「異例:大将に適任者なく中将から」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-19
「Moran大将突然の辞任」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-09

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空飛ぶレーダーE-7の今後の能力向上開発を米英豪共同で [米空軍]

ロンドンに3空軍トップが集まり合意署名式
米空軍への2027年初号機納入の前倒し策か
豪6機運用中で、英3機と米26機が導入予定のE-7
日本のE-767の今後の維持整備懸念がさらに加速

E-7 statement.jpg7月17日、英国西部のFairford英空軍基地で開催中の航空ショー「Royal International Air Tattoo」の会場で、米・英・豪の3か国空軍トップが一堂に会し、E-7早期警戒管制機の「今後の能力向上開発、試験評価、相互運用性向上、維持整備協力、教育訓練及び安全情報の共有」を3国が緊密に協力して行う旨を文書化した「Joint Vision Statement」に署名しました

E-7 statement3.jpgE-7早期警戒管制機については、豪空軍が既に6機を導入済運用中で、英空軍は2024年運用開始予定で3機発注済、米空軍は今年2月末にボーイング社と2027年に初号機を受領し、計26機を導入する契約を結んだところですが、前述の内容に3か国が協力して取り組むことで、米空軍の導入を少しでも前倒しさせ、3か国全体で同機の能力向上を円滑かつ少しでも安価に進める事を狙った取り組みと見られています

「Joint Vision Statement」の詳細は明らかにされていませんが、今年2月にはKendall米空軍長官が英国訪問時に英国防大臣と本件を協議し、最近ではBrown米空軍参謀総長が豪州に米空軍関係者を派遣し、豪が運用中のE-7で訓練に参加させたりの実質的協力が始まっており、空軍省幹部も米英間でE-7試験飛行データの共有を開始していると語り、ボーイング幹部も米国への機体提供を早める可能性に言及し始めていたところでした

E-7 statement2.jpgそれにしても、軍種レベルで特定の既存機種の能力向上に共同体制を構築する事例は珍しく、米軍事メディアは「画期的」とか「ground-breaking declaration」との表現で17日の英国での合意署名を報じています

この3か国は、2022年にAUKUSを結成して豪州への攻撃型原子力潜水艦提供を確約し、極超音速兵器や最先端技術開発での協力にも同枠組み拡大発表して「蜜月関係」を内外に示していますが、この「E-7」案件がAUKUS案件扱になるかは不明です。

E-7 statement4.jpgもしかしたら、日常業務ベースで当たり前に行われてきた情報共有を、わざわざ「Joint Vision Statement」にして署名式でアピールしただけかもしれませんが、仮にそうであったとしても、「不動産バブル崩壊」を契機に、経済面での負のスパイラルが加速している中国の「傷に塩を刷り込む」効果抜群の合意署名式典だと思います

E-767.jpgただし、E-7導入加速とE-3退役の前倒し可能性に関連して気になるのが、航空自衛隊が運用する早期警戒管制機E-767(E-3と同種のレーダーを搭載)の今後の維持整備問題です。 E-3が早期退役することで、E-767の部品入手がますます困難になったり、ボーイングに部品価格を吊り上げられて「ぼったくられる」可能性を危惧しています。

E-7関連の記事
「E-7とE-3違いを概観」→https://holylandtokyo.com/2023/03/30/4447/
「初号機を2027年納入契約」→https://holylandtokyo.com/2023/03/06/4358/
「導入を正式発表」→https://holylandtokyo.com/2022/04/28/3186/
「E-3は2023年から退役へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/01/3074/
「後継機検討のRFI」→https://holylandtokyo.com/2022/03/01/2711/

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米軍がペルシャ湾やシリア緊迫にF-35派遣 [Joint・統合参謀本部]

シリアでのロシア軍機による威嚇や米軍上空飛行
ペルシャ湾でのイランによる民間タンカー拿捕未遂受け

USS McFaul.jpg7月17日、米中央軍は同軍担当エリアに、F-35戦闘機と追加のF-16戦闘機、更には追加のミサイル駆逐艦を派遣すると発表しました。今年の春以降にシリア上空で駐留米軍や米軍偵察機に対するロシア軍の威嚇飛行が活発化していることや、最近のペルシャ湾やホルムズ海峡でのイラン勢力による商用タンカーへの発砲などの事案を受けての戦力増強です

ペルシャ湾やホルムズ海峡周辺では、7月初めにイラン勢力が2隻の商用タンカーを拿捕しようと試み、内1隻のタンカーにはイラン勢力が発砲する事案が発生し、米海軍ミサイル駆逐艦USS McFaulが急行してタンカーを解放した事案が発生したばかりです

F-35 CENTCOM.jpgこのようなイランの行為に対しては、A-10攻撃機がまず海洋抑止任務に派遣され、次いでF-16戦闘機や米海軍P-8哨戒機派遣で戦力強化が図られ、追加でミサイル駆逐艦USS Thomas Hudnerも決定された模様です。

現在約900名の米軍兵士が展開しているシリアでは、7月に入り、無人偵察攻撃機MQ-9がロシア軍戦闘機にシリア西部上空で威嚇飛行されたり、シリア東部では米軍展開エリア上空を定期的にロシア戦闘機が飛行し、米軍有人機の500フィート以内にロシア戦闘機が接近するなど、ロシア軍による脅威が増しています

F-35 CENTCOM2.jpgこれらシリアでのロシア軍機の活発化を受け、6月に米軍はF-22を中東域に派遣していましたが、その帰国とタイミングに合わせるような形で、オースチン国防長官とMichael Kurilla中央軍司令官が協議してF-35派遣を決定したとのことです 

過去に遡ると、2019年に米軍無人偵察機RQ-4がイラク軍機に撃墜された事案もありましたが、シリアと対イラン正面のペルシャ湾方面の両方に目を光らせる意味を含んだF-35派遣だと国防省高官は記者団に背景を説明した模様です
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USS McFaul2.jpgしばらく中東の話題には触れていませんでしたが、ウクライナや対中国の話題に世界の目が向いている隙をつくように、世界では様々な勢力がうごめいています

ウクライナを巡る世界経済への悪影響、中国経済の「不動産バブル崩壊」による今後20年間は継続するであろう不良債権問題、これらを受けた欧米経済の加速的減速を受け、台湾正面だけでなく、世界各地に不穏な動きが拡大することを強く懸念しています

中東における動き
「サウジとイランが中国仲介で国交」→https://holylandtokyo.com/2023/04/21/4550/
「秋までに100隻規模の無人艇部隊を」→https://holylandtokyo.com/2023/01/06/4118/
「60か国がAI活用海洋演習実施中」→https://holylandtokyo.com/2022/02/14/2685/
「B-52が9か国戦闘機と編隊飛行」→https://holylandtokyo.com/2022/04/06/3105/

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Eメール「.MIL」と「.ML」の誤送信で米軍情報流出 [サイバーと宇宙]

「.MIL」のつもりが「.ML」へメール送信
「.ML」はロシアと近いアフリカのマリ共和国のドメイン名
秘密情報の送信記録はないと報道も数百万通のメール

mali5.jpg7月17日付Defense-News記事は、米国防省や米軍勤務者が誤ってメール送信先アドレスに、「.MIL」のつもりで「.ML」と誤タイプ入力したために、秘密指定の内容は含まれていないと報道されているようですが、外交文書、納税申告書、パスワード、幹部の渡航詳細等の情報が誤発信されていたと報じています。(最初に報じたのはフィナンシャル・タイムズ紙FT紙の模様)

FT紙によれば、誤タイプの性格から、誤送信は相当以前からあったと想像され、誤送信メール総数は数百万通とも報じられていますが、「.ML」ドメインを管理するオランダ人起業家のJohannes Zuurbier氏がこの誤送信メールの存在に最初に気付いたらしく、同氏は同紙に対し「このリスクは現実のものであり、米国の敵対者によって悪用される可能性がある」と語っているようです

mali.jpgまた同氏は本件を受け、「.ML」ドメインの管理権をマリ政府に移譲するとしており、最近ロシアとの接近が話題になっているマリから、ロシアに関連情報が流出する可能性が指摘されているようです

米国防省報道官は、事態を深刻に受け止めて対応しているとし、米国防省のメールアドレスから「.ML」ドメインアドレスに送信されたメールは、誤送信とシステムが認識して「返送:Bounce」される仕組みになっていると説明していますが、個人アドレスを使用して「.ML」アドレスに送信した場合は対応できないと認めています。

mali2.jpgもちろん国防省や米軍は、個人アドレスでの業務内容を含むメール送信を許可していませんが、「.MIL」のつもりで「.ML」に誤送信したメールには、X線写真と医療データ、身分証明書情報、船舶の乗組員リスト、基地の職員リスト、施設の地図、基地の写真、海軍査察報告書、契約書、いじめに関する内部調査、公式旅行日程などが含まれていた模様です

特にFT紙は、今年5月のマコンビル陸軍参謀総長とその代表団のインドネシア訪問旅行計画が含まれていたことを例に挙げ、高官の移動日程は通常公開されるべきものではないはずだと指摘しているようです

mali3.jpgこの他にも、オランダのドメインを示す「.NL」と「.ML」を間違え、オランダ国防省やオランダ軍宛てを意図していたメールがマリのドメインに配信されたこともあったようですが、Defense-Newsからの問い合わせに対し、在米オランダ大使館から返答はない模様です。
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個人のアドレスで業務上の内容を含む情報をメール送信した「誤り」が根本にありますが、「.MIL」のつもりで「.ML」へ誤送信する可能性は誰にでもありそうなことで、「他山の石」としたいと思います。

mali4.jpg誤送信されたメールは、誰かが閲覧できるような状態にあるのでしょうか? デジタルデータのことですから、エラーメッセージが出たメールでも、どこかのサーバーに残されているんでしょうねぇ・・・

それにしても、どこの国にもありそうな案件ですねぇ・・・。日本の「.jp」に似たドメインには、「.je 英国のジャージー代官管轄区」、「.jm ジャマイカ」「.jo ヨルダン」「.kp 北朝鮮」「.np ネパール」なんかが挙げられます。
関係者の皆様は、連休明け早々から「暑い夏」をお過ごしのことでしょう・・・

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F-35需要増に生産が間に合わない??? [亡国のF-35]

米軍が今の総調達数を維持すれば・・・の話ですが
ただし、米軍は空軍を筆頭に調達減少気味の怪
年間156機でも企業側は精いっぱいの模様

F-35 Greece4.jpg7月3日付米空軍協会web記事が、8月にも通算1000機目のF-35が製造されるタイミングや、2日にイスラエルが追加で25機のF-35A導入を発表した等を受け、編集長自らが筆を執って「世界中でF-35需要が高まっており、このままでは製造企業側の生産能力が追い付かない」との根拠の極めてあいまいな記事を書いています

確かに、最近は欧州を中心にF-35導入を決定する国が増え、Finland, Switzerland, Germany, Czechからの発注が159機となって、当面の年間生産数目標156機(2025年までにこの規模を目指すとのロッキード計画)を超えたとF-35命派が騒いでいるところです

F-35 Romania.jpgその他にも欧州では、Belgium, Denmark, Italy, Norway, U.Kが先行して購入決定又は運用を開始しており、更に経済混乱でアテネの荒廃ぶりが話題のギリシャまでが20機程度の導入を検討していると言われています。北米ではカナダが共同開発国ながら極めて慎重に88機導入に動き始め、アジアでは「赤信号、みんなで渡れば怖くない」方式で日本、韓国、シンガポールが導入数を増やす方向にあります

記事でJohn A. Tirpak編集長は、諸外国の具体的な機体受領年度はほとんど公開されていないが、コロナでサプライチェーンの乱れが残る中、2025年までの目標年間156機生産(2022年は145機、23年と24年は126機)体制確保も容易ではなく、それ以上の製造ペース拡大は胴体など主要構成部品、主要な製造工具類、そして製造ラインに必要な従業員確保の全ての面で容易ではないとの米空軍Hunter計画部長の4月の議会証言を紹介しつつ、国を挙げて対応すべき課題だとのニュアンスで記事を書いています

F-35 Finland3.jpgただここで注意する必要があるのが米軍、特にF-35最大の購入予定機数1763機(既に約350機導入済)の米空軍の動向です。米空軍は当初計画では年間110機ペースで導入する予定でしたが、実際は80機から始まり、60機に低下し、最近は2028年まで48機にまでペースを落とす計画を明らかにしています

米海軍や海兵隊も同様のペースダウンを予定しており、その理由として、本音の「維持費高止まりでなるべき機数を増やしたくない。調達機数削減を発表するまでは最低の調達ペースで」は包み隠して、F-35の「Block 4 upgrade」や関連する「Technology Refresh 3 upgrade」が試験等を経て成熟してからの完成版F-35を手戻りなく受領したいと説明しているようです

F-35 Thai.jpgちなみに、8月に通算1000機目となるF-35がテキサスの工場で製造されるようですが、とりあえずはロッキード社が保管し、上記「Technology Refresh 3 upgrade」が試験等を経て成熟してから、年末か2024年初に空軍に引き渡されるようです

米軍需産業応援団のような米空軍協会や付属のミッチェル研究所などは、戦闘機パイロットOBを巻き込んで、F-35本格フル生産の年間220機体制を支える生産ライン増強を最近メディアで訴えていますが裏では空軍幹部が議会で証言しているように、サプライチェーンの限界を主張して増産を抑え、海外への売込みは懸命に進めて米軍調達機数削減決定のタイミングを模索している・・・と認識しておくべきでしょう

F-35 Germany.jpg米軍の調達削減が公になった段階では西側主要国はF-35導入契約を完了しており、もう後へは引けません。そして米空軍等の総生産指数削減決定を引き金に、更に高騰する既にバカ高い維持整備費にF-35導入国の国防費はますます圧迫され、「亡国のF-35」の現実を痛いほど感じることになるのでしょう・・・

F-35調達機数削減の動き
「F-35削減派が空軍2トップか」→https://holylandtokyo.com/2023/05/19/4648/
「米海軍が調達ペース抑制」→https://holylandtokyo.com/2022/07/07/3420/
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/

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米国がまもなく化学兵器全廃完了 [安全保障全般]

サリン等の化学物質は無効化完了
残るはロケット弾頭など9月末期限まで
化学兵器禁止条約未締結国3つと
締結国でも保有&使用疑念のロシアやシリア

M55 rocket4.jpg7月7日付Defense-Newsが、1997年に発効した化学兵器禁止条約に基づき米国が取り組んできた保有化学兵器の破棄措置期限が9月末に迫る中、6月22日にロケット弾頭に充填されていたサリンなどの化学剤3万トンの無効化が完了し、残るは化学兵器運搬手段で化学剤が充填されていたM55ロケット弾等の処分のみになったと紹介しています

化学兵器は1925年(発行28年)のジュネーブ議定書で「使用禁止」とされましたが、その開発、生産および貯蔵までは禁止されておらず、1993年1月にパリで署名され1997年4月29日に発行した「化学兵器禁止条約」(現在まで193か国署名批准、エジプト、NK、南スーダンのみ未締結)で、保有まで禁止されたものです

M55 rocket2.jpg1997年から約10年で既保有化学兵器の破棄が求められましたが10年では完了せず、2011年時点で米露リビアの3か国の破棄未完了が確認され、条約締結国から早期破棄完了が求められました。これを受けロシアが2017年9月、リビアが同年11月に破棄完了を報告しました

ピーク時には3万トンが80万発の弾頭に分かれて保管されていた米軍化学兵器は、破棄場所や手法等をめぐって主要貯蔵施設のあったケンタッキー州やコロラド州の理解がなかなか得られず、太平洋上のジョンストン環礁やユタ州の砂漠施設での化学剤破棄作業から順次開始され、2015-16年からやっとケンタッキー州やコロラド州での破棄作業も追随、2023年6月22日に化学剤破棄処理が完了したもようです

M55 rocket5.jpg現在は、代表的な化学兵器運搬手段であったM55ロケット弾約5万発の破棄作業が9月末の期限に向けて行われており、一部の副生成物は微生物とともに処分されたり、金属部分は540度C以上の温度で無害化されたのち、スクラップ金属として再利用される計画となっているようです

第1次世界大戦で少なくとも10万人が犠牲となったといわれる化学兵器ですが、米国の破棄完了をもって地球上から化学兵器が消滅したと信じている専門家はおらず、米国防省のKingston Reif担当次官補は、未申告の化学兵器保有や使用が疑われているロシアとシリアに対して特に懸念を抱いていると語っています
//////////////////////////////

M55 rocket3.jpg一応は、検証制度の実効性や加盟国数などから、「モデル軍縮条約」とも言われる化学兵器禁止条約ですが、未申告の化学兵器保有や使用が疑われているロシアとシリアなどなど、懸念は尽きることがありません

地下鉄サリン事件を経験した日本の教訓が示すように、カルトやテロリストが比較的容易に入手可能なこの兵器について、改めて考える機会となれば・・・と考えご紹介しました

AI技術で新たな兵器の恐れ
「AI作成の生物兵器に危機感」→https://holylandtokyo.com/2022/10/04/3671/

化学兵器禁止条約の解説(外務省)
中露も締結国ですが・・・
エジプト、NK、南スーダンが未締結、イスラエル未批准
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bwc/cwc/gaiyo.html 

最近の化学兵器使用と最近の取り組み(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol162/index.html 

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米空軍史上最大の空輸演習が初めて西太平洋で [米空軍]

「Mobility Guardian」演習が初めて海外で
Five Eyes(米英加豪NZ)と仏と日本が参加
ハワイ・グアム・豪州・日本の基地に展開訓練

Mobility Guardian.jpg7月5日、米空軍輸送コマンドが今回で4回目となる隔年開催の空輸&空中給油演習「Mobility Guardian 2023」を初めて海外(西太平洋地域)で開始し、参加同盟国(Five Eyes(米英加豪NZ)と仏と日本)空軍と共に、過去最大規模だった2019年の約3倍の規模で、対中国のためのACE構想(Agile Combat Employment)や多能力兵士養成(Multi-Capable Airmen)を支える実験的な訓練を7月21日までの予定で実施しています

Mobility Guardian2.jpg米空軍輸送コマンドからの参加は兵士約3000名と輸送機・空中給油機あわせて70機と公表されていますが、実際には関連航空機が展開するハワイ・グアム・豪州・日本の基地等々で、同盟国兵士等も含め15000名が関連する史上最大の米空軍空輸給油演習となっているようです

3日付空軍輸送コマンドの演習紹介記事も、6日付Defense-News記事も、具体的な演習の設定や予定や同盟国軍の参加規模等について触れていませんが、輸送コマンド記事は空輸や空中給油のほかに「患者空輸」「グローバル空輸支援システムGAMSS」「指揮統制」「人道支援・被害復旧」を主要な演習項目として挙げ

Mobility Guardian4.jpgDefense-News記事は参加兵士の声として、「空軍輸送部隊の新しい展開モデル「AFFORGEN」を実際に試すことに興味を持っている。発電機を抱えて展開し、通信を確立してテントを設営し・・・と言った環境に応じた対処を迫られるが、将来の戦いを考えればこんな訓練機会がもっと必要だ」とのC-17搭乗員の言葉を取り上げ、演習の雰囲気を伝えています

Mobility Guardian3.jpgまた空軍輸送コマンドのMike Minihan司令官は、「Mobility Air Force(MAF)」との言葉を用い、対中国作戦でのACE構想実現に必要な空輸&空中給油所要に対応可能なレベルに空輸能力を高めるため、同盟国アセットを巻き込んだ関連体制強化を図りたい、と本演習に向け抱負を述べています

過去3回の「Mobility Guardian」演習がどのようなものだったか把握していませんが、今回の演習計画担当の中佐は「歴史的にこれまで輸送コマンドは、中東地域での輸送任務に焦点を当ててきた」、「西太平洋地域は全く異なる環境であり、演習の焦点も全く異なる。TTP(戦術・技術・手順)全てでシフトを求められている」と語っており、

Mobility Guardian5.jpg対中国念頭の本演習は初めてなのかもしれません。(前回2021年演習はコロナの渦中で、今年の1/7規模だったようですので、対中国を具体的にイメージできるレベルの設定が困難だったのかも・・・)

今後「Mobility Guardian 2023」で検索いただくと、様々な画像や映像が公開されていくと思いますので、ご興味のある方はご自身でご確認ください。

Mike Minihan司令官関連の記事
「2025年に中国と戦う」→https://holylandtokyo.com/2023/01/31/4241/
「KC-46A空中給油機が36時間連続飛行」→https://holylandtokyo.com/2022/12/12/3974/
「KC-46を操縦者1人で試行運用」→https://holylandtokyo.com/2022/11/02/3881/
「不具合抱えたままKC-46運用開始宣言」→https://holylandtokyo.com/2022/09/21/3688/

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「欧州空の盾」計画に中立国スイス&スウェーデン参加 [安全保障全般]

独が中心となり17国体制で防空システム共同購入
既存NATOシステムとの融合でロシア脅威に備え

ESSI3.jpgドイツが中心となって2022年10月に創設され、ロシアの脅威に対抗する防空&ミサイル防衛システムの共同迅速購入などを目的とし、当初14ヵ国で始まった「欧州空の盾取り組み」(ESSI:European Sky Shield Initiative)に、今年2月のデンマークとスウェーデン追加参加に加え、7月7日に中立国として2番目でスイスが参加署名する予定だと明らかにされました

ESSI.jpg当初の14ヵ国は全てNATO加盟国で、Belgium, Bulgaria, Czechia, Estonia, Germany, Hungary, Latvia, Lithuania, the Netherlands, Norway, Slovakia, Slovenia, Romania, the United Kingdomの14ヵ国でしたが、2月にDenmark and Swedenが加わって16か国となり、7月7日にスイスがドイツで開催されるESSI覚書署名式で17番目に正式加盟するとのことです

具体的にESSIでは、既存のNATO防空システムを強化する方向で、防空&ミサイル防空システムを加盟国が相互運用性を備えた形での導入方針で、市場にある装備品を有効に迅速に開発導入することを目指しており、調達においてはNATOの「Modular Ground-Based Air Defence High Visibility Project」枠組みを活用するそうです

ESSI4.jpgただし、具体的装備としてイスラエル製の「Arrow 3」や米国製の「パトリオット」と言った欧州製でない装備名が上がっていることにフランスが強く反対し、加盟を拒んでいる現状もあるようです。

日本の「左巻き」の皆様が良く事例として取り上げられる「欧州の中立国」ですが、脅威の変化に即し、時代の変化に応じて、柔軟に仲間を作って国益を追求する姿勢を是非学んでいただきたいと思います。
またフランスはフランスだなぁ・・・と改めて感じるESSIでした

ウクライナで学ぶ防空の重要性
「ウクライナで露が制空権で優位に!?」→https://holylandtokyo.com/2023/06/28/4795/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「イラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

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中国要求改ざんを行う映画に米国防省は協力せず [ちょっとお得な話]

中国が北米市場より巨大で利益になびく映画界へ
Ted Cruz上院議員が「中国による検閲禁止法」導入

SCRIPT5.jpg7月7日付MIlitary.comは、共和党のTed Cruz上院議員が中心となって5月に成立させた国防関連法(通称SCRIPT法)で、巨大な中国市場での利益に目がくらみ、中国政府等からの検閲を受け入れて映画の内容を変更するような映画に、国防省や米軍が協力することを禁止する事が規定されたと紹介しています

同議員は最近の事例として、大ヒット映画「Top Gun: Maverick」で、映画スポンサーに名乗りを上げていた中国ネット企業「Tencent」の意向を受け、主人公マーベリックが30年前の作品でも着用していた革ジャンの背中を埋め尽くしていた各国ワッペンから、台湾と日本の国旗をイメージしたワッペンを米映画会社が取り除こうとした件を取り上げ、

SCRIPT4.jpg最終的には「Tencent」がスポンサーから降り、台湾と日本の国旗が除去された革ジャンは「予告編」だけに使用され、公開版映画では元に戻されていたが、「マーベリック(トム・クルーズの役名)が中国共産党を恐れるような行動を映画で見せていたら、どんな誤ったメッセージを世界に発信することになったであろうか・・」と米議会で演説して法案への支持を求めました

ニュースメディア「Politico」によれば、同法令(SCRIPT法:The Stopping Censorship, Restoring Integrity, Protecting Talkies Act)では、中国政府からの中国での映画公開許可を得るために、完成した映画を変更しないとの誓約を映画会社が行わない限り、米軍は技術的な支援を行わない・・・事を規定した法律で、

SCRIPT2.jpg法条文では「中国当局からの要求に応じて制作されたり、中国の国益増進のために中国当局の検閲を受け入れて制作される映画作品に対し、米国防省は制作支援を行わない」等と規定されている模様です

中国が北米市場より大きな映画興行の収益源となっている現状から、中国による検閲を受け入れて内容が変更されたと言われる映画は1990年代から確認されており、

SCRIPT3.jpg最近ではウイグル自治区や台湾や香港関連の中国政府に不都合な内容を含む描写や、同性愛(Bohemian Rhapsody)を示すもの、更には「自由の女神像」の映り込みを拒否され修正に応じた例(Spider-Man)まで報じられています

Ted Cruz上院議員は法案成立に際しニュースメディア「Politico」のインタビューに答え、「SCRIPT法提案者として私は、映画製作会社に(米国か中国か)どちらを選ぶのか明確にさせたい。私は慎重ながら楽観的で、制作会社が適切な選択を行い、中国の脅迫に屈しないことを信じている」と語っています
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SCRIPT.jpg「不動産バブル崩壊」で、中国経済が金融面でも実体経済面でも明確な崩壊の兆しを見せ、欧米企業や日本の大手企業が次々と撤退している中でも、日本のTVやメディアが中国経済の没落状況や、フランス全土に拡大した移民がらみの大暴動を報じないのは極めて「珍妙」ですが

あべガー騒ぎ、コロナ騒ぎ、東京五輪騒ぎなどなどを通じ、日本のマスコミの「マスごみ」具合を学んできた普通の日本人の皆さんは、今やTVなど見ることもなく、YouTube等を通じて発信される「What is going on」から情報を得ておられると思います

日本企業はもっと迅速に中国から撤退すべきですね

映画「Top Gun: Maverick」関連
「トップガン続編の公開延期でも・・・」→https://holylandtokyo.com/2020/04/12/722/
「予告編第2弾」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-18
「予告編公開:映画トップガンの続編」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-20-1

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国防省革新推進部署が宇宙輸送企業選定へ [サイバーと宇宙]

地球と宇宙と宇宙間の3タイプ輸送提案募集
2年後に具体的契約目指す構想
2018年からの実現性検討から1歩踏み出す

Space Delivery.jpg6月30日、米国防省のDIU(Defense Innovation Unit)が、「Novel Responsive Space Delivery」コンセプトを煮詰めるため、地上から宇宙、宇宙から地上、宇宙の軌道間輸送の3タイプの貨物輸送に関する企業提案募集を開始しました

「Novel Responsive Space Delivery」コンセプトは2年後に具体的な事業契約締結を目指し、契約前半では選定された提案の実現可能性をより精査し、具体的な貨物輸送ロケット打ち上げ要領を煮詰め、契約後半では貨物の精密輸送技術の成熟と、救命救助や災害対処宇宙空輸運用を煮詰めることを狙いとしているとのことです

Space Delivery2.jpgこの計画は、2018年頃から段階的に国防省や米軍内で進められてきた検討を1歩進めたもので、2018年から国防省が開始した「運用構想と調達戦略検討」、同時期に米輸送コマンドがSpaceXや Blue Origin等々と共同検討を開始した成果や、

2021年に米空軍研究所が開始した「Rocket Cargo」計画に基づき、2022年にSpaceX社と約150億円で結んだ「(ロケットでの人員貨物のピンポイント輸送も狙う)Starship rocket開発データの入手」契約に基づく検討の成果、更に宇宙軍が2026年までに米本格公式始動を狙う宇宙輸送検討の結果等々を踏まえたものと考えられています

Space Delivery3.jpgちなみに、3つのタイプの宇宙貨物輸送(地上から宇宙、宇宙から地上、宇宙の軌道間輸送の3タイプ)のどのタイプの提案でもOKで、また、DIUが発出した提案要請には、費用対効果の高さや商用ベース展開可能性が高い事、更に宇宙ゴミの最小化の追求も含まれているようです
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Starship SpaceX2.jpgSpaceX社の「Starship」の打ち上げ試験が4月20日に行われ、打ち上げ後にロケットが回転したり、1段目と2段目の切り離しに失敗したりで素人的には「失敗」でしたが、SpaceX的には最大空気抵抗速度を超える目的は達成したとのことで、管制室が対照的に「大喜び状態」の面白い光景が見られました

ロケットによる貨物輸送も、まだ基礎的な技術確認段階でしょうが、この面でもSpaceXとイーロンマスク氏には大いに期待したいと思います

米輸送コマンド司令官が2020年10月に語る
「物量輸送を宇宙経由で世界中に1時間以内で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/23/439/ 

SpaceXによるウクライナ支援
「国防省がウクライナ提供用にStaralink契約」→https://holylandtokyo.com/2023/06/21/4776/ 
「露の電子戦に迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/ 

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米国防省が要注意な中露団体&研究機関リスト公開 [米国防省高官]

国防省が資金提供する米国機関や米国大学等に注意喚起
具体的リスト公開で交流要請や資金提供申し出に注意喚起

Shyu 9.jpg6月30日、米国防省のHeidi Shyu技術開発担当国防次官が緊急声明を発出し、米国防省が資金提供して研究開発を行う米国研究機関や大学等に接近し、研究や人材交流、更には資金提供を持ちかけて米国機関から情報や人材を引き抜こうと画策する要注意な中国やロシア中心の団体リスト(大学、研究機関、一般団体等々)を公開すると同時に、注意を要する外部からのアプローチを察知する注意点を紹介しています

Shyu 6.jpgShyu次官は6月8日にも関連の指示を出し、「全ての国防省研究開発プロジェクトは、国防省内での精査段階で、海外からの影響を排除し、国益を損う潜在的恐れが無いかのレビューを通過しなければならない」と明確に打ち出していたところです

更に6月30日の緊急声明では、中国の対外交策の拠点の一つと見られている「孔子学院:Confucius Institute」を誘致している米高等教育機関は、特別な例外が認められない限り、2024年以降国防省から資金を獲得することができないことも再確認(2021年度国防授権法で規定済)しています

Shyu 7.jpg中露の要注意団体リストは、2019年国防授権法や関連の国家安全保障米大統領指示に基づき作成が開始され、2020年にも米会計検査院GAOから対応を求められる等々の経緯と諸検討を経て作成されたもののようで、

緊急声明内で同次官は、「リスト公開により、国防省として国家予算を責任をもって使用することにコミットすることを再確認し、我が国の国防技術開発に関する緊要な情報の漏洩や窃盗に対する防御強化に取り組む姿勢を明確にする」と決意を示しています

Shyu 8.jpg本件を紹介する7月5日付Defense-News記事は、要注意リスト関連の最近の事案を紹介しており、2008年から18年にかけ「中国海洋大学」との名の下に米国研究者を中国関係機関がリクルートしていた事案や、

米大学から潜水艦技術情報を不法に海外に流して2年の実刑判決を受けた中国人、国防省から資金提供を受けていたハーバード大教授が中国の大学との協力関係を隠していて訴追された件などを紹介し、事態の深刻さを訴えています
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この記事を読まれた多くの方は、「米国より、日本の方が心配だ」と思われているでしょうし、最近のNHKをはじめとするTV報道やYahooなどネットニュースを見ていると、どこまで中国等のお金や「ハニトラ」で骨抜きにされているのか・・・と本当に心配になります

Shyu3.jpg日本政府の資金を得た日本の大学や研究機関などは恐らくもっと激しく・・・。最近の産総研の事例は正に「氷山の一角」ではないでしょうか・・・。スパイ防止法の早期成立を願います

なお、Heidi Shyu技術開発担当国防次官は、お顔立ちから伺えるように、祖父が台湾空軍副司令官だった台湾ルーツの女性です

関連の米国防省プレスリリース(6月30日)
https://www.defense.gov/News/Releases/Release/Article/3445601/department-of-defense-strengthening-efforts-to-counter-unwanted-foreign-influen/ 

要注意組織リストを含む発表資料(20ページ)
18ページから具体的組織名リスト有
https://media.defense.gov/2023/Jun/29/2003251160/-1/-1/1/COUNTERING-UNWANTED-INFLUENCE-IN-DEPARTMENT-FUNDED-RESEARCH-AT-INSTITUTIONS-OF-HIGHER-EDUCATION.PDF 

Shyu技術開発担当国防次官の関連記事
「技術開発担当女性国防次官が優先事項」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/

情報共有と漏洩防止のはざまで
「外国製ドローン購入規制」→https://holylandtokyo.com/2021/09/21/2240/
「軍需産業との情報共有に乗り出す」→https://holylandtokyo.com/2021/01/18/300/
「半導体での米国巻き返しを討論」→https://holylandtokyo.com/2021/09/14/2168/
「中国製部品排除に時間的猶予を」→https://holylandtokyo.com/2020/08/15/524/
「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1

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