SSブログ

更にKC-46 給油機とT-7 練習機開発は遅れます [米空軍]

既に3年以上遅れている両機種ですが、更に1年遅れが確実に
共にB社が前CEO時代に契約獲得のため背伸び提案した案件
共に固定価格契約で、ボーイング社の自腹開発費 1兆円に近付く

KC-46 RVS.jpg3月11日に2025 年度の国防予算案が米議会に提出され、要求予算説明のため、米国防省&米軍高官による説明が様々な場所で始まっていますが、契約時に画期的な固定価格契約や、デジタル設計など最新技術を利用した効率的かっ開発リスクの低い新機種開発を大宣伝していた 2機種が、どろ沼から抜け出せずボーイング社を苦しめています (身から出た錆ですが・・・)

T-7 練習機の運用体制確立は更に1年遅れ 2028年に
T-7A 8.jpg米空軍が老朽化が進むT-38 練習機の後継機として、当初計画では 2024 年に初期運用態勢 IOC を確立するはずだった T-7 練習機は、デジタル設計を取り入れ開発期間や経費を抑制する手法で話題を集め 2018 年に契約が結ばれましたが デジタル設計は「万能ではなく」、ロックウイング問題、射出座席の不具合、部品の欠陥等が次々と露呈し、一度I0Cを2027年に遅らせましたが、諸問題の改善が進まず、更に2028年までずれ込むことが明らかになりました

この開発の遅れにより、2025年度に14機導入を予定(計 351機購入計画)していたところ、予算案では7機にまで削減されています。

米空軍の悩みパイロット不足がさらに悪化
T-7A 7.jpg●T-7 開発の遅れにより、稼働率低下が著しい T-38 練習機を使用した米空軍パイロット養成計画は大きく後れ、パイロット不足を加速させています。
●パイロット養成を担当する第 19空軍司令官は、「エンジン維持整備問題からT-38 飛行時間が制限され、年間 1500名の操縦者養成計画がとん挫している。900人以上が飛行訓練に入る前に立ち往生していると述べ、200 人以上が飛行訓練開始までに 9 カ月以上待つことになっている」と厳しい状況を訴えています

KC-46 の給油操作システム RVS 改修がさらに遅延
KC-46 RVS 2.0.jpg3月12日に下院議員の質問に対応した米空軍ハンター調達担当次官補は、KC-46 の改良型RVS (Remote Vision System:RVS2.0 と呼ばれる)の導入が、米空軍とボーイング社が 2022年に約束した2025年10月には間に合わず、「恐らく2026年にずれ込むことになる。詳細な計画は後ほどお知らせする」と述べ、遅延要因として「スケジュールのプレッシャー(意味不明!)」と「FAA 承認手続き」を挙げ説明しました。

この問題を2020 年ころから延々と取り上げていますが、2020 年にボーイングと米空軍が合意した 2024年3月の提供開始が、サプライチェーンや FAA 承認遅れで25年10月まで再延期され、更に今回延期された「ドロ沼」案件です

KC-46 RVS 2.0 2.jpg米空軍は2022年9月、米空軍輸送コマンド司令官が男気を見せ、「我々が明日の戦いに敗北すれば 10年後はない。私には今KC-46 が必要なのだ」とリスク覚悟で運用制限付きで作戦投入開始宣言を行っていますが、そんな現場の苦労を知ってか知らずか、ボーイングは我が道を進んでおり、連保航空局 FAA の信頼も失って承認手続きに時間がかかる悪循環に陥っています(ボーイング製民間機の各種トラブルも含めた悪名が轟いている状態です)
//////////////////////////////////////////////////

Calhoun Boeing.jpgDavid Calhounボーイング現CEOは、前CEOが契約獲得のため無理な価格や納期条件でKC-46とT-7を固定価格で引き受けたつけを払わされ、すでに1兆円近い開発遅延費用を自腹支出している状態にあることから、E-3 早期警戒管制機の後継 E-7 契約に関し極めて慎重な価格見積もり(高めの設定)で、米空軍と折り合えない状態が続いています

空中給油機は対中国本格紛争対処のカギであり、パイロット不足は航空機運用だけでなく組織運営面(司令部やペンタゴン等での幕僚不足)で大きな足かせとなっており、両機種の度重なる納期遅延は米空軍に重くのしかかっていますが、加えて同じく米空軍最優先案件 E-7 でもボーイングが「悪目立ち」しています

KC-46A 関連記事
「RVS2.0導入2025年まで更に遅延」→https://holylandtokyo.com/2022/10/14/3741
「ゴール動かして運用開始宣言」→https://holylandtokyo.com/2022/09/21/3688/
「空軍長官:KC-46の固定価格契約は誤り」→https://holylandtokyo.com/2022/06/06/3323/
「KC-XYZの再検討再整理表明」→https://holylandtokyo.com/2022/04/18/31511
「RVS 改修案に合意」→https://holylandtokyo.com/2022/04/27/31811
「恒久対策は今も未定」→https://holylandtokyo.com/2022/01/13/2605/
「50機目受領も恒久対策未定」→https://holylandtokyo.com/2021/11/22/2424

T-7練習機(T-X 計画)関連の記事
「デジタル設計の優等生 T-7が3年遅れに」→https://holylandtokyo.com/2023104/24/4539/
「1年遅れ:女性意識の射出座席が」→https://holylandtokyo.com/2022/12/19/4065/
「デ設計技術で審査短縮や新規参入促進」→https://holylandtokyo.com/2022/08/23/3550/

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。