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米空軍が新兵募集年齢上限を42歳に引き上げ [米空軍]

募集難受けこれまでの39歳から3歳引き上げ
米海軍の上限41歳を超え、空軍が最高齢許容へ

age limit2.jpg米空軍&宇宙軍の募集サービス局が、10月26日から新兵受け入れの年齢上限を従来の39歳から42歳に引き上げると発表し、同サービス局報道官が「42歳上限は米空軍と宇宙軍の正規兵(士官と下士官両方)募集に対して適用される」、「この変更は、より多くの米国人に米軍での勤務機会を提供するとの米国防省の大きな方針と合致するものである」と説明しました

また同報道官は「この募集年齢上限引き上げにより、現在の規定上の勤務年齢上限である62歳まで、20年間の勤務機会を提供するものである」とも表現しています。
なお、昨年11月には米海軍も募集年齢上限を引き上げ、39歳から41歳に引き上げていますが、米空軍の今回の引き上げは海軍の「41歳」を上回り「米軍内で最高」となりました

age limit5.jpg本件を報じる10月26日付Military.com記事は、米空軍の2023年度(2022年10月~23年9月まで)の新兵採用結果が公式に発表され、1999年以来24年ぶりに募集目標数を達成できず、未達成数は11%(目標26877名に対し、採用24100名で、不足2777名)にも上る深刻な結果となったことを受けた措置だろうと解説しています

2023年度の新兵募集の厳しさは米空軍だけでなく、米軍全体で非常に厳しい結果となっており、組織の規模から募集人数目標が小さい海兵隊と宇宙軍を除き、陸海空軍の全てが採用目標数を達成できませんでした

age limit6.jpg厳しい新兵募集の背景には、コロナ後の企業活動や社会活動活発化による社会全体での新人採用急増による人の奪い合い、更に、肥満、麻薬、身体&心理健康問題で対象人口の23%しか採用基準を満たせず、対象人口の1割未満しか米軍入隊に関心を持っていない対人接触をあまり好まない「Z世代」へのアピール不足等々が原因だと考えられています。

なお最近の調査では、米軍5軍を言える割合が5割以下との調査結果も出ており、かつて徴兵制を経験した世代が家族や社会に存在して軍経験の話を聞く機会が比較的得られた時代が終わり、軍の存在を身近に感じる機会が減少したことから生じる「忍び寄る社会と軍の遊離」がより深刻な課題だと言われています

age limit4.jpgただし、少なくとも米空軍に関しては、10月から始まった「2024年度」の新兵募集は回復傾向にあり、9月にKendall空軍長官も楽観的な見通しを示していましたが、26日に同報道官も「cautiously optimistic」との表現を用いつつ、「募集は回復傾向を見せており、空軍の目標レベルには達していないが、継続して応募が上昇傾向を示している」と語っています。

この2024年度の回復の背景には、「コロナ後」の社会全体での新規採用急増の落ち着きの他、米空軍が昨年から実施した募集条件の様々な緩和や優遇提供(肥満率や体脂肪率不合格者への一時的猶予、手や首への入れ墨許容範囲拡大、入隊学力試験への電卓持ち込み許容、マリファナ検査陽性者への再受験機会提供、合法移民への帰化手続き迅速化優遇提供、大学学費ローン返済支援)や、募集担当者への成果ボーナスや表彰制度充実などがあると言われています
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age limit Japan.jpg米空軍が昨年から実施している募集条件の様々な緩和や優遇提供が空軍に与える「負の影響」については様々な意見があり、米議会にも共和党を中心に根強い反対派が存在しますが、他に代替案が見つからず米軍全体で同様の方向に進んでいます

ちなみに我が自衛隊では、2018年に従来の「27歳未満」から「33歳未満」に引き上げています(令和5年夏発表の防衛白書P440より)。実際に米軍がどのような職種に30代後半や40代の人間を採用するのか興味深いところですが、サイバーや研究開発等の「特定分野の専門家の中途採用」が狙いではないかと推測します

age limit3.jpgなお米軍では、各階級に昇任できる人数上限が予算で定められ、各階級毎の上限年齢で上の階級に昇任できなければ継続勤務の道は閉ざされ退職しなければならず、上記の「勤務年齢上限である62歳」は軍人最高位の大将に昇任できたものの中でも一部にしか適用されないことにご留意ください

新兵募集難&離職者増への対応
「米空軍が24年ぶりに募集目標10%未達へ」→https://holylandtokyo.com/2023/09/25/5035/
「新兵入隊学力試験に電卓持ち込み可へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/29/4976/
「募集難に合法移民へ猛烈アプローチ」→https://holylandtokyo.com/2023/06/16/4743/
「兵士慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/12/4608/
「米空軍が体脂肪基準緩和へ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/07/4494/
「歩きスマホやポケットハンドOK」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/

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B-21が地上滑走テスト開始 [米空軍]

SNS上での噂を米空軍報道官が公式認定
「2023年内の初飛行(非公開)」に向け順調か!?

B-21 Raider1.jpeg10月25日、SNS上での監視グループや米軍事メディアの「噂」報道(細部は確認できないが、B-21らしき機体が過去2日間Northrop Grumman工場付近で動いている)を受け、「2023年内に初飛行を行う」とKendall空軍長官が言及しているB-21新型ステルス爆撃機がtaxi tests(地上滑走試験)を開始したと米空軍報道官が認めました。同日付米空軍協会web記事がその概要を報じています

B-21は、昨年2022年12月に機体の初披露(限定角度からのお披露目)が行われ、2023年7月にpower on試験(機体に電源を投入しての試験)、9月には地上試験の一環としてengine runs(エンジン稼働試験)を開始したと発表されており、

B-21 Raider3.jpg先輩ステルス爆撃機B-2が1988年の初披露から8か月後に初飛行を実施した例よりは少しゆったりですが、Kendall空軍長官が3月に語った「2023年内に初飛行を行う」予定に変更はないようです(あくまでも空軍関係者は初飛行は、試験の進捗状況により決定するとの姿勢ですが・・・)

地上滑走試験の開始は静止状態でのエンジン駆動試験が順調に進んだことを示し、今後の地上滑走試験では、まず低速での地上移動が円滑に実施できるかが確認され、次第に速度を上げて離陸速度までの地上移動に問題ないかを確認しますが、

YF-16.jpgB-21の様な翼と機体が一体となったflying wing形状機体では、速度を上げた地上滑走試験段階で計画外の「意図していない離陸」が起こらないよう注意が必要な様で、1974年1月にflying wing形状ではないものの研究用開発機体YF-16が高速滑走試験の途中で離陸してしまった例が教訓とされているようです

Northrop Grumman社は機体成熟度に自信を示し、
●同社航空部門担当社長は9月に、試験実施中の機体が本格生産型機体と同様なレベルに成熟したものであることを強調し、「初飛行を行う機体には各種データ収集用の計測器材が搭載されているが、試験終了後は試験用計測機材を取り外して部隊配備用機体として納入することが契約で規定されており、決して試験用や初飛行用だけを目的に開発技術者の手で特別に組み立てられた機体ではない」、
Warden4.jpg●「(初飛行準備を行っている機体は、)本格生産のための製造ラインと製造工具を用い、本格生産を担う現場作業員の手により、本格量産モデルと同様のミッションシステムを搭載し、ステルス塗装を施した、全ての面で本格量産機体と言える機体である」と米空軍協会総会で自信を持って説明

●また開発コストに関してもKathy Warden同社CEOが8月の四半期決算報告会見で、「B-21の初期低レート生産を含む契約は固定価格契約となっており、昨今の物価高騰を受け当面は我が社に利益が発生しない状況になっているが、国防省や米空軍に配慮いただき、約85億円のインフレ対処費を円滑な飛行試験に向け頂けることとなった」と優等生ぶりをアピール
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KC-46 RVS3.jpg「順調すぎて逆に心配になる」B-21開発で、心配性のまんぐーすは、同様に順風満帆だったKC-46A空中給油機開発が最終段階で悪夢(4年以上の遅れ)が見舞われた過去(今も未解決)が頭をよぎるのですが、ここは静かに「非公開で実施される初飛行」を待つことといたしましょう

どうでも良いのですが、前出のNorthrop Grumman社航空部門担当責任者は「Tom Jones」とのお名前で、1970年代を中心に活躍し、タモリがライブのDVDを持っているなど日本でも人気がある歌手(83歳)と同名ですが、代表曲の一つ「思い出のグリーン・グラス- Green, Green Grass Of Home (1966年)」のような、穏やかな気持ちにさせてくれる順調なB-21開発であることを心から祈っております

歌手Tom Jonesの「Green, Green Grass Of Home」


B-21関連記事
「エンジン稼働試験開始&屋外写真」→https://holylandtokyo.com/2023/09/15/5041/ 
「最近power on試験実施」→https://holylandtokyo.com/2023/08/03/4911/
「豪州も購入検討した」→https://holylandtokyo.com/2023/05/15/4588/
「B-21導入で米空軍爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「初披露のメディア扱い」→https://holylandtokyo.com/2022/12/14/4027/
「映像:B-21初披露式典」→https://holylandtokyo.com/2022/12/05/4015/
「10の視点でご紹介:NG社事前リリース」→https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/
「12月2日に初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/10/24/3796/

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5月の巨大台風で一等兵3名がグアム基地通信死守 [米空軍]

米空軍協会総会に招待され全米軍の賞賛浴びる
丸3日530リットルの漏水からハイテク通信機材守る
そんなに「柔な」施設だったの?との突っ込みは置いておき

Guam Mawar.jpg10月13日付米空軍協会web記事が、5月24日から26日にかけ、グアム島を米国基準5段階で2番目に大きい「Category 4 hurricane」状態で直撃し、気圧900HP・風速70m・降水量650㎜の暴風雨で同島やアンダーセン米空軍基地等に甚大な被害を与えた台風「Mawar」の中、アンダーセン基地通信の中核施設である「Mawar」を、上等兵3名が72時間にわたり漏水や浸水等から死守して賞賛されている様子を紹介しています

「data center」は、同基地内と島内関係施設、アジア太平洋軍担当エリアの各拠点、更に米本土国防省中枢や米国の気象庁に相当するNOAA等との通信を担う緊要な施設であり、「巨大台風の直撃とは言え、そんな重要な施設が簡単に台風の影響を受ける施設だったのか?」との素朴な疑問が一番に浮かびますが、とりあえずは上等兵3名の72時間にわたる格闘をご紹介しておきます

Guam Mawar9.jpg●ともに上等兵(Airman 1st Class)のReynold Boateng MirekuとUzziel ToroとNhat Kは、前日5月24日から接近していた台風「Mawar」が25日午前2時ごろに最接近時、暴風雨により基地「data center」の屋根の一部がはがれ雨漏りが始まり、雷鳴が鳴り響く中、各種通信やインターネットを支える電子機器やケーブルが「冷却され」「ぬれずに乾燥状態を保ち」「電源が落ちないように」懸命に取り組んでいた
●3名が担当箇所を決め土嚢やガムテープ等でドア等からの浸水防止対策を行い、屋根が損害を受けた箇所からの雨漏り水には、バケツやモップや最後は着用していたシャツまで用いて排水に努めた、その量は台風通過の26日までにドラム缶3杯分の530リットルにも達した

Guam Mawar2.jpg●予期せぬ出来事として、台風による強風に火災報知器が反応して警報ベルが鳴り続けたが、火災が発生していないことを確認後、意思疎通維持や耳の鼓膜保護の観点から警報スイッチをオフにし、30分毎に皆で施設内の火災チェックを行うことで警報装置の代替を行うこととした
●「data center」を死守するとの使命感が生み出したアドレナリンにより、3名は最初の48時間は一睡もせずに精密機器の状態をモニターし、排水に汗を流した。その後は交代で数時間の睡眠をとり、計72時間に及ぶ台風との戦いに勝利した

3名は9月に開催された米空軍幹部が勢ぞろいする米空軍協会の航空宇宙サーバー会議に招待され、JoAnne Bass米空軍最先任軍曹(アジア系女性)から会場でその奮闘ぶりを紹介され万雷の拍手を浴びたとのことですが、その一人であるMireku上等兵は当時を振り返り、「我々が学んだのはチームワークの重要性です」と語ったとのことです

13日付同web記事によると被害復旧状況は
Guam Mawar8.jpg●民航機用のグアム国際空港が1週間余り閉鎖された中、アンダーセン基地は台風の影響が収まった26日中には滑走路を使用可能な状態に普及させ、支援物資や人員の空輸機受け入れを可能にした。また基地内に甚大な被害が出た中でも、島内一般市民向けに水や食料等を数十万食分米軍兵士の手によって配分している
●台風通過から5が月経過し、アンダーセン基地内は電気も水も問題なく供給されているが、グアム島内全体では依然として一時的な停電や断水が断続的に発生しており、生活インフラで500か所が被害を受け、依然100か所以上で大規模修理が必要な状態が続いている

同基地の普及には約5500億円が必要との試算が提出されているが、国防省の「気候変動対処戦略:Climate Campaign Plan」の方針に沿い、単なる被害復旧だけでなく、将来の同種災害に備えたより強靭な基地づくりの方向性を具体的に検討している最中である。案の中には基地建物のドアや屋根の暴風雨対処能力の強化や電源ケーブルの地下化等々が出ているが、予算枠の話もあり、すんなりと全てが採用されるかは未知数である
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Guam Mawar6.jpg記事はアンダーセン基地や米海軍基地の被害状況について一切具体的に触れていませんが、基地内の運用態勢を表面上問題ないようにとりあえず整えたとしても、島内の生活インフラに甚大な被害が多数残っている段階では、例えばMDAが最優先課題として取り組む「2026年までにミサイル防衛体制整備」等にも大きな負の影響が出ていると認識すべきでしょう

そういえば、グアム島に爆撃機部隊が展開したとか、グアム島で大規模演習が行われたとの話を最近聞きませんねぇ・・・。そういえば米韓同盟70周年を記念する大規模なエアショーが10月17日から22日にソウル空軍基地で行われ、史上初めてB-52が韓国に「着陸」するほか、F-22, F-16, A-10, U-2, E-3, C-17, C-5, KC-135が地上展示されるとか、グアム島やアンダーセン基地は大丈夫なのでしょうか?

5月巨大台風「Mawar」がグアム直撃
「巨大台風でグアム米空軍基地に被害」→https://holylandtokyo.com/2023/05/29/4688/
米空軍の最先任軍曹はアジア系女性
「米空軍下士官トップにアジア系女性」→https://holylandtokyo.com/2020/06/22/628/

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日米韓空軍が初の3か国共同訓練 [安全保障全般]

夏の3か国首脳会談@Camp David受け共同訓練加速

Trilateral Air Ex.jpg10月22日、8月の日米韓キャンプデービッド首脳会談で合意された「複数ドメインにまたがる本格的3か国軍事演習の毎年開催:annual, named, multi-domain trilateral exercises」のプロローグでしょうか、日米韓空軍が「史上初めて」3か国空軍機の編隊飛行訓練などの空軍演習を、韓国南部で九州西方の両国ADIZが重なる空域で実施しました。

米空軍からは韓国に約30年ぶりの着陸(10月18日)を果たしたB-52爆撃機とF-16戦闘機、韓国空軍からはF-15K戦闘機、そして航空自衛隊からはF-2戦闘機が参加して、傘型編隊飛行を行った空中写真が公開されています。

Trilateral Camp David.jpg日韓関係は、日本国民や韓国国民目線から見ると決して改善したとは言い難く、慰安婦や竹島や徴用工や通貨スワップ等々の政治マターだけでなく、サッカー代表チームの試合結果を巡る韓国報道などに至るまで、まんぐーすも含めた大半の日本国民からすると「韓国とは関わりたくない」との思いがあふれ出そうな毎日ですが、

中国や北朝鮮を巡る地域安保情勢を踏まえれば、米国ならずとも日米韓でしっかりスクラムを組まないと「話にならない」現実があり、韓国にユン・ソンニョル大統領(尹錫悦)政権が「首の皮一枚」で存在している間に、韓国経済が崩壊の淵に立っている現状でも、日韓関係は改善の方向に進まなければ両国の国益にはつながりません

Trilateral Navy Ex.jpgそんな中、10月10日前後には米空母Ronald Reaganも交え、韓国済州島南方海上で日米韓3か国海軍の共同演習が実施され、北朝鮮対処を念頭に置いた(弾道ミサイルの)探知追尾対処訓練が行われて8月のキャンプデービット3か国首脳会談の勢いを繋いでいましたが、その勢いそのままに、今回、日米韓が「初めて」の3か国空軍演習を行ったとのことです。

これまでは、例えば米空軍爆撃機が飛来すると、まず航空自衛隊機と共同訓練して編隊飛行写真を公開し、次に韓国空軍との2ショット写真が公開される流れでしたが、これが3か国機が一堂に空中集合するだけで諸調整が大変だったと思います

Korea and Japan ADIZ.JPG23日付米空軍協会web記事によれば、韓国空軍が同訓練が「韓国と日本のADIZ(防空識別圏)が重なるエリアで実施された」と発表したようで、共同訓練の場所選定にあたっては3か国間で様々な「駆け引き」があったことが伺えます

まんぐーす的には、いっそのこと「3か国がF-35を持ち寄って」編隊飛行写真を撮ったら・・・などと野次馬的な発想しか浮かびませんが、「22日の日曜日」に訓練を実施した関係スタッフの皆さんは相当ご苦労されたと思います。改めてここに敬意を表したいと思います

日韓関係関連の記事
「韓国の弾道ミサイル性能制限撤廃に米国同意」→https://holylandtokyo.com/2021/05/27/1785/
「米会計検査院による日本と韓国駐留への評価」→https://holylandtokyo.com/2021/03/23/167/
「同盟国支援下の戦いの厳しさを教えてくれた韓国の巨星没す」→https://holylandtokyo.com/2020/07/14/571/

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豪州が北部重要港湾の中国へのリース継続決定 [安全保障全般]

豪中親密時の2015年に締結の99年リース契約
豪州政権交代で再検討も結論は契約継続
7年ぶり豪首相の中国訪問前に(米訪問もあるが)

Darwin Port2.jpg10月20日、豪州政府は2015年に当時の保守系自由党政権が中国企業と締結した北部の重要港湾ダーウィン港の99年間リース契約について、労働党への政権交代を機に契約継続の是非について再検討を行ってきましたが、安全保障上の問題はないと結論付け契約を継続すると発表しました

契約は山東省に拠点を置く港湾施設企業「山東Landbridge Group」と結ばれていますが、ダーウィン港を管轄する地方政府(Northern Territory政府)が多額の負債を抱えた状態で港湾施設老朽化が問題となっていたタイミングで、かつ中国と豪州関係が最も緊密だった時期に締結され、同中国企業は豪州内投資家を圧倒する約480億円の港湾施設改修投資も約束して「ダーウィン港99年間リース契約」を獲得しています

Darwin Port5.jpg2015年当時の豪州は保守系自由党のターンブル首相政権で、クワッド体制や日本の安保法制整備を強く支持し、中国の南シナ海埋め立てに強い反対姿勢を示していましたが、一方で「豪州の国益を棄損しない限り中国の台頭を歓迎する“現実主義的”親中の立場」からダーウィン港のリースを推進し、当時のオバマ米大統領から「なぜ事前に相談しなかった」と苦言を呈されています

その後、当時の対中蜜月関係は悪化の一途をたどり、2022年の総選挙を経て、当時「ダーウィン港のリース」に反対した中道左派の労働党がアルバニーズ首相の元で政権を担っており、昨年の政権交代後に同契約の再チェックを同首相が指示しましたが、結局10月20日に改めて契約継続方針が示されることとなりました

Darwin Port7.jpg折しも、アルバニーズ豪首相は23日の週に訪米&バイデン大統領との首脳会談を控え、更にその後11月に豪州首相として7年ぶりの中国訪問が計画されている中での決定で、豪首相としても容易な決定ではなかったであろうと想像できますが、これが現在の豪州政府の立ち位置です

豪州国防省や豪州情報機関は、「ダーウィン港のリース」による中国企業活動は、豪政府が確認済の規定に沿って行われ、安全保障上のリスクには当たらないとの公式見解を出していますが、

Darwin Port3.jpg豪州シンクタンク研究者は「(対中国を見据えた米国など同盟国戦力の展開拠点となる北部豪州の重要輸送インフラである)ダーウィン港に中国企業が存在していることで、豪中関係に緊張が高まった場合にどのような影響が出るかは予想もできないリスク要因であり、そのようなリスクを受け入れるべきではない」と主張しています
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2015年当時、中道左派野党の労働党が中国系企業の関与に反対する中、保守系の自由党政権が米国の反対を押し切って実現した信じがたい99年間のリース契約で、自由党のターンブル首相の息子が中国共産党幹部の娘と結婚するような当時の状況も併せて考えると、たった8年前のこととは信じがたい時代です

Darwin Port8.jpg中国経済が崩壊する中、今後中国と仲良くしても良いことはないと思うのですが、豪州産ワインへの220%関税の見直しを中国が発表したようです。労働党アルバニーズ豪首相は岸田首相のように、とりあえず目先の安定や利益だけを考えて決断したのでしょうか?

豪州関連の記事
「一時はB-21ステルス爆撃機導入検討」→https://holylandtokyo.com/2023/05/15/4588/
「豪米が豪で史上最大の兵站演習」→https://holylandtokyo.com/2023/04/14/4506/
「サイバー能力大拡大計画」→https://holylandtokyo.com/2022/11/16/3911/
「米がMQ-9B輸出許可」→https://holylandtokyo.com/2021/04/29/119/

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一つの鍵:北朝鮮からハマスへの武器提供 [安全保障全般]

対戦車ミサイルや対ヘリ攻撃RPGなど
ハマス奇襲攻撃等の映像・画像で専門家指摘

NK Hamas.jpg10月21日付米空軍協会web記事が、7日にハマスがイスラエル奇襲攻撃を行った映像やその後のハマス公開映像・画像から、ハマスが北朝鮮製のRPG(F-7 rocket-propelled grenades)や122㎜砲弾や対戦車ミサイルを入手し使用している模様だと、西側メディアや米国専門家が指摘していると報じていま

本件に関し、ホワイトハウスのKirby戦略報道官は19日に「報道の真偽は確認できていない」と述べ、北朝鮮も国営メディアでイスラエルの行動を非難しつつも北朝鮮製兵器の関与を否定していますが、北朝鮮は1990年代頃から外貨獲得のため北朝鮮製兵器の密輸を行っており、その輸出先は広く世界中の西側民主主義国と対峙している国々です。

NK Hamas2.jpg例えば国連安全保障理事会は、北朝鮮が中東であればEgypt, Iran, Libya, Syria、UAEなどに武器や核関連技術を売却していると指摘し、2009年には北朝鮮が準備した輸送機に35トンものRPGやロケット弾などの兵器が搭載されハマスやヒズボラに輸送途中、タイの空港で摘発された事例等を上げています

RAND研究所のBruce Bennett研究員は、北朝鮮製兵器をハマスが使用していても驚きはなく、北朝鮮から海路や空路でいったんイランに運ばれ、その後エジプトに輸送された後、エジプトから(地下トンネル等を利用して)ガザ地区に持ち込まれた可能性が高いと語る一方で、

NK Hamas3.jpgこの輸送経路上では第3国の艦船や航空機が使用されることから、密輸を輸送中に摘発することは極めて難しいとの見方を示していますが、一つの可能性として、2003年に創設されて106か国が参加しているPSI(Proliferation Security Initiative)賛同国の協力を得ての取り締まり強化を提言しています

北朝鮮絡みのPSIによる密輸摘発実績としては、2014年に砂糖の輸送船に隠して、キューバから北朝鮮へ北朝鮮製兵器を整備のため輸送中の北朝鮮船がパナマ政府によって発見された事例があるようです。

NK Hamas4.jpg今回関連映像や画像でハマスによる使用が疑われている兵器のインパクトに関し、米空軍協会ミッチェル研究所のLarry Stutzriem退役空軍少将は、「game-changersとまでは言えないが、RPGヘリ迎撃用兵器として、また対戦車ミサイルはイスラエル軍の装甲車や戦車の大きな脅威であり、どのくらいの量をハマスが保有しているかがイスラエル軍にとって気になるところだろう」とコメントしています

北朝鮮の核兵器の拡散については、金正恩の昨年2022年の関連発言から、金正恩は核技術の国外提供については慎重な姿勢だが、核弾頭を200-500発程度国内用に確保したなら、輸出にも手を伸ばす可能性があると指摘する前述のBennett研究員は指摘し、RAND研究所は2027年までに北朝鮮が200発の核弾頭を保有すると予測しています
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NK Hamas6.jpg「イスラエルとハマスの戦争」に関し、連日NHKが朝夕の報道番組でTOPニュース扱いし、ガザ地区内の状況や必要性が疑われる現地特派員の「イスラエルの戦車が集結しています」レポートを延々と垂れ流していますが、もう少し全体像や背景など、多角的な視点の報道ができないものでしょうか?

今回の中東情勢混乱の中で日本のマスゴミは、中国経済崩壊の報道を極限まで避け、逆に三菱自動車のEV関連中国撤退を大きく取り上げるなど、中国国営メディアと同列の報道姿勢を隠そうともしていません。恐ろしい時代になりました・・・

PSI(Proliferation Security Initiative)のwebサイト
https://www.psi-online.info/

外務省のPSI解説
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fukaku_j/psi/index.html

イスラエル・ハマス戦争関連
「米国のイスラエル支援状況は」→https://holylandtokyo.com/2023/10/17/5142/

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米国防省が2023年「中国の軍事力」レポート [中国要人・軍事]

核弾頭が毎年100発急増ペース維持
通常弾頭ICBM開発が物議
空対空ミサイルやJ-20やH-20爆撃機など

2023ChineReport90.jpg10月19日、米国防省が毎年恒例の「中国の軍事力」レポート(China Military Power Report)を発表し様々なメディアが取り上げていますが、本日は19日付米空軍協会webとDefense-News記事から、核戦力やロケット軍や空軍の動向を中心にご紹介します

中国はGDPの3割を占める不動産取引市場のバブル崩壊を契機とし、汚職と腐敗に満ちた国家及び地方行政の問題点が一気に噴出し、各方面でデタラメな財政運営が次々と明らかになっていますが、これに対する習近平の毛沢東的とも言える共産党イデオロギーニーによる前時代的な思想に基づく指導や、習近平に「こびへつらう」イエスマンだけが残った党指導部の機能不全から生じるバブル崩壊への「無策」等々が重なり、

今後20-30年は「お先真っ暗」な経済状態が継続しそうですが、現時点で米国防省が中国経済崩壊の中国軍事力への影響を評価するのは困難でしょうから、2023年前半までの状況をまとめた内容からご紹介します

核弾頭の継続増強
ICBM conv.jpg●中国の核戦力増強が猛烈な勢いで続いている。2020年レポートでは「200発台前半(low 200)」と見積もられていた数量が、2022年には「約400発」、そして今年2023年レポートでは「500発」に増えており、以前から米国防省が推計していた2030年までに「1000発」、2035年までに「1500発」に向かって毎年100発ペースで急増している
●2022年には、3か所で固体燃料型ICBMサイトが完成して計300発が格納できる態勢が整い、同サイロへの核ミサイル配備が始まっており、迅速な発射態勢(launch on warning posture)作りが強化されている。またこれら急増する核弾頭を維持整備するための施設にも投資が拡大している

(以下は19日付Defense-News記事から) 
ICBM conv4.jpg●2023年9月、米国防省は「大量破壊兵器対処戦略」を2014年以来初めて改訂した。改定前戦略はテロ組織やならず者国家(NKやイラン等)が核兵器を入手したケースに備える対策を重視していたが、改訂版戦略は中国やロシアの猛烈な核戦力増強を一番の脅威として捉えたものとなっている
●また、核軍備管理枠組みとして存在していたINF全廃条約やオープンスカイズ条約が無効となり、ロシアがウクライナ侵略で「核使用をチラつかせる恫喝」を行っていることから、核抑止の枠組みが変化しつつある点にも留意している

●国防省関係高官は、露が5900発、米が5200発と合計で世界の9割を占める核弾頭保有国である現状から、比較して少数の核弾頭しか保有しない中国は、核戦力の透明性確保に消極的であるが、その保有数が増えるにつれて議論の場に姿を見せる可能性に言及している

ロケット軍の通常弾頭ICBM開発
ICBM conv3.jpg●中国のロケット軍はこれまで、短・中・長距離弾道ミサイルの開発&大量配備に注力してきたが、ハワイやアラスカや米本土を通常弾頭で攻撃可能なミサイルを開発中である。これはロケット軍の発展最終形とも考えられ、中国軍として初めて通常兵器での米本土攻撃力保有を意味し、戦略的安定性の観点から疑念を生むことになる
(as we see them maybe exploring the development of those conventionally-armed ICBMs, it raises some questions about risks to strategic stability)

中国空軍関連
PL-21.jpg●戦闘機が搭載する空対空ミサイルに関し、2021年レポートでは中国のPL-15が米空軍のAIM-120 AMRAAMと同等の性能を持つと紹介され注目を集めたが、2023年レポートでは追加情報はなく、会見でも担当高官は細部への言及を避けた
●一方、会見で高官は、中国が赤外線誘導とレーダー誘導の両方の能力を備えた次世代ミサイルを開発している可能性に言及し、報道で「PL-XXまたはPL-21と言及される次世代空対空ミサイル開発を行っている」と未確認情報が紹介された事との関連が噂されている

●ステルス戦闘機とか重要目標要撃機とも評されるJ-20戦闘機の能力向上開発が行われている
●核と通常兵器両用のH-20爆撃機開発が行われており、別に中距離用と長距離用のステルス爆撃機開発も進められている

y-20u tanker4.jpg●Y-20輸送機の改良派生型としてY-20U空中給油機が配備された。また同派生型として早期警戒管制機型も開発されている模様
●中国空軍の運用面での変化として、米軍機や米同盟国機に対する中国軍機の過激な接近飛行が過去2年間で激増しており、米国防省は10月16日の週に、中国機による危険で威嚇的な飛行を記録した画像や映像を数十点を公開した
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現物2023年版レポート(約210ページ)
https://www.airandspaceforces.com/app/uploads/2023/10/2023-MILITARY-AND-SECURITY-DEVELOPMENTS-INVOLVING-THE-PEOPLES-REPUBLIC-OF-CHINA.pdf

習近平 愛される国.jpg中国軍関連では、習近平によってロケット軍幹部がトップを含め大量に更迭され、中国海軍出身の「ロケット軍門外漢」がトップに就任するなど異様な人事が断行され、最近では国防相が消息不明から更迭されるなど、これまでとは明らかに異なる事態が発生しています

また英国発の「黄海での原潜沈没・搭乗員全員死亡事故」情報など、水面下で中国軍を巡る情報の駆け引きも行われているようでもあり、その辺りの2023年レポートでの扱いも気になります

過去の中国の軍事力レポート
「2021年版」→https://holylandtokyo.com/2021/11/08/2409/ 
「2020年版」→https://holylandtokyo.com/2020/09/03/472/
「2019年版」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-06
「2018年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-18
「2016年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17

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2年前倒しで沖縄海兵隊部隊が12MLRへ [Joint・統合参謀本部]

11月に規模縮小の「海兵沿岸旅団 Marine littoral regiment」へ
歩兵&火砲中心から沿岸偵察部隊へ
海兵隊改編構想「Force Design 2030」の流れ

12MLR5.jpg10月17日、今年1月の日米「2+2」で合意された3200名規模の「第12海兵旅団」を2000名規模の「第12海兵沿岸旅団:MLR:Marine littoral regiment」に2025年までに改編し、対中国作戦により適合した部隊に変更する件について、前倒しして今年2023年11月15日に改編を行うと発表しました

米海兵隊は2020年発表の「Force Design 2030」で、7つ保有する「海兵旅団:MEU:Marine expeditionary unit」の中の3部隊を、対中国作戦を意識し、歩兵や砲兵中心の構成から、中国艦艇を沿岸から監視&攻撃部隊に通報するISRや防空部隊を中心とした小ぶりで軽快に西太平洋の島々を移動する「飛び石作戦」可能な「MLR:Marine littoral regiment」へ改編することを打ち出しました。

12MLR.jpg従来の「海兵旅団:MEU」が世界中の何処へでも一番乗りで展開対処する作戦任務を担っているのに対し、「沿岸海兵旅団MLR」は、「Force Design 2030」構想が示す「stand-in force」として脅威正面地域に当初から配置され、

歩兵小隊を増強した規模の複数の情報偵察部隊(LCT:littoral combat team)を沿岸地域に展開して敵艦艇を監視させ、防空大隊(LAAB:littoral anti-air battalion)でLCTを防御しつつ、兵站大隊(CLB:combat logistics battalion)が活動を支える3個部隊編成で任務遂行する新旅団です

12MLR3.jpg既に在ハワイの3MLRが最初の改編部隊として昨年秋に初期態勢を確立し、2番目の部隊として沖縄のキャンプバトラー所在の「第12海兵旅団」が前倒しで最終準備段階にあり、最後の3つ目は(恐らく)未発表ながら(辺野古埋め立て工事で注目の)沖縄キャンプシュワブ所在の「第4海兵旅団」が改編対象だと言われています

「Force Design 2030」構想発表時には、当時のDavid Berger海兵隊司令官が「日本に最初のMLRを設置する予定」と語っていましたが、地元調整のむつかしさ等から(推測)、まずハワイで最初の第3MLRが創設(2022年3月)され、2023年1月に日米「2+2」とのステップを踏みつつ、「ロープロファイル(米軍事メディアの表現):目立たないように」に種々準備が進められてきた模様です

12MLR2.jpg11月16日付Military.com記事は、11月中旬に「第12海兵沿岸旅団:12MLR」となる部隊は現在、「海兵沿岸旅団」としての態勢確立に向けた訓練を、同盟国日本の攻撃能力を含めた統合打撃火力と連携しつつ、10月末まで日本の南西諸島から北海道にかけての各地の演習場を西太平洋の島々に見立てて実施中だと報じています。
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米海兵隊が2020年3月発表の「Force Design 2030構想」は、当時の海兵隊副司令官Eric Smith大将(今年10月から司令官就任!)を中心に取りまとめられ、当時のDavid Berger司令官が海兵隊内部やOBからの猛烈な反対を押し切って完成させたもので、

12MLR4.jpg一部MEUのMLRへの改編のほか、戦車部隊の廃止、歩兵部隊や回転翼部隊の削減、総兵数の削減、ロケット部隊や対艦部隊や無人システムの増加や電子戦の強化などを柱に、小規模だが軽快な部隊に再編し、海軍と連携して制海に力点を置く将来海兵隊像を明確に打ち出したもので、他軍種にも少なからず影響を与えた海兵隊の生き残りをかけた大改革構想です

そんな大きな海兵隊改革の一環である沖縄での「12MLR」誕生前倒しのニュースで、かつ対中国真正面の極めて脆弱な沖縄駐留米軍を削減し、豪州を含む西太平洋全体での分散運用を追求する「軍事的合理性追求」の米軍動向の一端を示すものですが、日本では未だに、左翼対策の一環である「沖縄の負担軽減策」としてマスゴミが報道する、ため息ものの状態が続いています

米海兵隊の主力海兵旅団改革
「削減沖縄海兵隊の転進先」→https://holylandtokyo.com/2023/02/01/4230/
「沖縄に12MLR設置で日米合意」→https://holylandtokyo.com/2023/01/13/4148/
「ハワイで初創設のMLR」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
「米海兵隊のstand-in force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「MLRを日本にも」→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/726/
「Force Design 2030構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

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60歳B-52のエンジン換装に並行しデジタル計器盤へ [米空軍]

3種類の試作デジタル計器盤を比較テスト中
エンジン&レーダー&通信ナビ換装に併せて検討
大規模改修を76機全てに対し2030年までに

B-52 digital gauges2.jpg10月10日付米空軍協会web記事が、平均機体年齢61歳となるB-52H爆撃機のエンジン換装を中心とした大規模近代化改修(B-52J、更にB-52Kへの改修改名)について取り上げ、主要な改修であるエンジンとレーダーと通信&ナビ装備の更新の陰に隠れて目立たない、デジタル計器盤の導入に先立つ試作品3種類の視認性チェックが行われている様子を紹介しています。

過去数年間にわたる激論を経て、2024年度予算で実施がようやく決断されたB-52H爆撃機76機の大規模近代化改修は、現在のT-33エンジンを、民航機用のロールスロイス製BR725エンジンをベースにしたF130エンジンに換装し、機体寿命のある2050年までオーバーホール修理不要かつ燃費3割アップをめざす改修を中心としたもので、

B-52 CERP3.jpgその他に、部品メーカー撤退で2030年には修理不能になるAPG-166レーダーを、FA-18搭載レーダーAPG-79派生型AESAレーダーに換装し、探知追尾、地上地図作成、電子戦能力に加え、維持整備負担を大幅に改善する計画を含んでいます。更に通信や航法器材の更新に加え、アナログ操縦席をデジタル表示に一変する「グラスコックピット化」も組み込まれた、総額約4500億円のプロジェクトとなっています

そんな中の試作デジタル計器盤のチェックを同記事は
●B-52の操縦席計器盤は、人間が使いやすい機材システムを追求する「human systems integration」の発想が全くなかった1940年代に設計されたもので、狭いコックピット内に、どのように計器類を詰め込むかを中心に設計されたもので、例えば8台のエンジンそれぞれの温度・回転数・油圧・燃料使用量等を表示する計器が30個以上並び、機長と副操縦種の席で計器配置が異なるなど、厄介な代物である
B-52 cockpit.jpg●デジタル計器盤の3種類の試作品が加州エドワーズ空軍基地のテストパイロットや機上エンジニアに提供され、より容易に効率的に機体状況を把握し、より任務遂行に頭脳を使えるようにするには、どの試作品のどの部分が最適か、また好ましくない表示手法が使われていないか等を評価している

●夜間の着陸や厳しい脅威環境での飛行時には、計器類を瞬時にクロスチェックして機体状況を把握する必要があるが、この計器盤デザインや表示要領設定により、読み取り時間を0.25~0.5秒短縮することの積み重ねが、任務全体に大きな影響を与えることをテストパイロットたちは身にしみて感じており、評価にも力が入っている
B-52 digital gauges.jpg●「グラスコックピット化」により、搭乗員の判断を助ける例えば理想的な数値を現状数値に重ねて追加表示したり、表示の色を変えて視認性をよくする効果が得られるが、一方でシステムが推奨する数値を鵜吞みにして過度に依存し、誤った計器示唆に従ってしまう「自動化バイアスautomation bias」や、様々なアラーム表示に慣れて真の危険察知が遅れる「アラーム疲れalarm fatigue」とのデジタル化特有の問題もあり、評価チームは細心の注意を払っている

●試作品評価チームはこれらの課題に関し、軍用エンジンは自動化に依存することが極めて少なく、民航機が時に利用する「自動スロットル」を導入していない点や、既に商用エンジンに組み込まれていたいくつかの表示アルゴリズムを、軍用機には不要だと削除したこと等、「自動化バイアス」や「アラーム疲れ」への対応に抜かりが無いことを強調している
B-52 CERP.jpg●またエンジン製造企業や機体改修担当のボーイング技術者と緊密に連携を図り、様々な新規搭載システムの状況把握と操縦上に必要な表示の在り方を日々議論しながら、3つの試作品の良い点を抽出して最善の操縦席をレイアウトしたいと評価チームは意気込んでい
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ウクライナや台湾海峡だけでなく、地中海東岸のイスラエルにも火の手が上がる厳しい国際情勢となっていますが、そんな中でも、老朽化機体の若返りに地道な努力を続ける現場の様子を取り上げることで、「元気の源」にしていただきたいと思い取り上げました

B-52.jpgそれにしても・・・、あれだけ周到に準備された大規模かつ多様な作戦で構成されたハマスによる奇襲攻撃が、こともあろうに「ヨムキプール」に行われるとは・・・。

「イスラエル情報機関は何をしていた?」、「ハマスは奇襲作戦の落としどころを考えているのか?」、「アブラハム合意を発端とするイスラエルと湾岸アラブ諸国との雪解けの流れはどうなるの?」等々、次から次へと素朴な疑問が湧いてきて、頭がくらくらしております

B-52関連の記事
「インドネシアにも2機展開」→https://holylandtokyo.com/2023/06/23/4785/
「極超音速兵器ARRW導入を断念」→https://holylandtokyo.com/2023/04/05/4478/
「B-21導入による米空軍爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「爆撃機管理は今後5-7年が多難」→https://holylandtokyo.com/2021/08/06/2024/
「重力投下核爆弾の任務除外」→https://holylandtokyo.com/2020/01/29/877/

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米陸軍が国防省最高出力レーザー兵器を契約 [Joint・統合参謀本部]

300kwの「IFPC-HEL」通称Valkyrie
巡航ミサイル対処には出力不足も2025年夏納入
「Directed Energy Roadmap」には既に遅れが

IFPC-HEL2.jpg10月10日、米陸軍が米軍全体で最高出力となる300kw級のレーザー兵器(車両でけん引するタイプ)を小隊レベル装備用に4基購入する契約を締結し、2025年夏に納入する計画だと担当企業のロッキード社が発表しました。

その装備は、米陸軍が「IFPC-HEL:Indirect Fire Protection Capability-High Energy Laser」計画で開発中の通称「Valkyrie」とのレーザー兵器で、「額面上」は無人機、ロケット弾や砲弾や迫撃弾(RAM)の他、巡航ミサイルにも対処可能な装備と予算要求資料ではなっており、電力さえ確保できれば無限に発射でき、極めて精密な目標照準が可能な防御兵器と期待されています。

IFPC-HEL.jpgなおロッキード社は、今回陸軍と契約した「Valkyrie」の初期デモ機を2022年9月に米陸軍に参考提供していますが、同社ではこれを300kw級から500kw級に能力アップするプロジェクトを進めている模様です

このように12日付Military.com記事で「Valkyrie購入契約」ニュースをご紹介すると、非常に順調な印象を受けるかもしれませんが、レーザー兵器は「いつになっても完成まであと5年」と揶揄され続けている「永遠の期待のホープ」で、無人機の台頭や精密誘導兵器の拡散により、前線部隊の防空用を中心に期待が高まって久しいのですが、必ずしも順調ではありません。

Directed Energy Roadmap.jpg例えば2021年に国防省が「Directed Energy Roadmap」を作成し、以下のような目標を掲げましたが、本日ご紹介しているように、300kw級の小隊規模でのお試し配備が2025年夏ごろまで大幅に遅れているのが現状です

●2022年までに、150-300KW級の兵器化
 100Kwでドローン、小型ボート、ロケット、迫撃砲に対処可能
 300kwで巡航ミサイルに対処可能
●2024年までに、極超音速兵器対処を目指す500KW級実現
●2030年までに大陸間弾道弾対処を目指す1GW級実現 

各軍種毎に見ても、例えば米陸軍は、
DE M-SHORAD.jpg●2023年9月、Stryker戦闘車両に搭載する50kw級の通称「Guardian」の「DE M-SHORAD:Directed Energy Maneuver-Short Range Air Defense」を4セット導入
●また、歩兵部隊の車両搭載用に20kw級「ISV:Infantry Squad Vehicle」を導入する計画が進行中

米海軍では、
HELIOS Navy.jpg●数隻のアーレイバーク級イージス艦に、60kw級の防御用レーザー兵器「HELIOS:High Energy Laser with Integrated Optical-dazzler and Surveillance system」を装備しているが、小型艇対処には有効も、弾頭を貫通出来ないため巡航ミサイル対処には出力不足

米空軍では
●2020年7月、戦闘機自己防御用レーザー兵器開発を断念
●2021年10月、AC-130用地上攻撃用レーザー兵器(50-100kw?)が試験のため空軍に提供。その後は良い知らせ無し・・・

統合レベルでは・・・
Drone Kill Drone.jpg●2023年8月、統合参謀本部の無人機対処担当少将が、中央軍、アフリカ軍、アジア太平洋軍に10kw級の機種名不明の無人機対処用レーザー兵器を「作戦適合性確認」のため支給していると発言

最後にご紹介した統合参謀本部のSean Gainey陸軍少将によれば、世界各地の部隊に提供しての確認試験状況から、前線兵士が設備不十分な最前線地域での同兵器の維持整備に苦労している点が大きなネックとして普及の妨げになっている模様で、「広く部隊に配分して有効に活用していくには、維持整備面で改善すべき点が残されている」と同少将が語る現実のようです
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Laser NG2.jpgレーザー兵器の利点は、電力が確保できる限り無限に発射可能で弾薬運搬&補給の負担なし、光速で目標に破壊作用が到達可能で多数目標への対処がより容易、光速到達可能で目標照準が容易、弾の装填時間が不要で連続発射が可能などが挙げられています。

一方で困難な点として、大電力の確保が必要(航空機や小型車両での出力確保が難しい)、精密機材であり航空機や車両の振動の中での運用が容易でない、雨や雲などの大気現象の影響を受けるなどが挙げられており、大きな期待を集めながらも「いつになっても完成まであと5年」と揶揄され続ける状態が今も続いています(まんぐーすの知る限りでは・・・)

なお、X(旧ツイッター)などSNS上に、イスラエルが開発中のレーザーC-RAM(100kw級:対rockets, artillery and mortarsと無人機)兵器「Iron Beam」がハマスのロケットを迎撃するフェイク映像等が多数アップされているようですが、同兵器は2024-25年の運用開始を目指して開発中であり、フェイク映像はビデオゲーム「Arma 3」画面を加工したものだと、チェコの同ゲーム開発企業「Bohemia Interactiv」が注意喚起しています。ご注意ください!

米陸軍の取り組み
「50KW防空レーザー装備の装甲車3台導入へ」→https://holylandtokyo.com/2022/01/21/2623/
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「米陸軍が本格演習試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14-1

海軍や空軍の取り組み
「AC-130用レーザー兵器の企業地上試験終了で空軍へ提供」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-12
「戦闘機防御用から撤退へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-01
「空軍が無人機用の電磁波兵器を試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24
「F-15用自己防御レーザー試験」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-04
「レーザーは米海軍が先行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24
「米空軍大将も慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24

夢見ていた頃
「AC-130に20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06
「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米企業、30kwなら準備万端」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「米陸軍が本格演習試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14-1

懸念の声が何時も付きまとい
「米議会がレーザー兵器開発に懸念で調査要求へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-08
「エネルギー兵器での国際協力」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-27
「レーザーにはまだ長い道が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-18
「国防次官がレーザー兵器に冷水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12

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イスラエルへの米軍派遣戦力や支援物資は・・ [安全保障全般]

とりあえず12日付Defense-News記事で
概要の概要ですが

hamas israel war.jpg10月7日のハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃を受け、イスラエルが予備役兵を招集し、ガザ地区北部を中心とした地上侵攻に備えて周辺に地上戦力を集結させ、近く陸海空戦力を投入した大規模作戦を開始する模様ですが、早々にイスラエル支持と支援を表明した米国の軍事支援動向について、12日付Defense-News記事で概要の概要をご紹介します

基本的に米国はバイデン政権の方針として、米国人がハマスの人質となっている現状でも、人質解放に向けた各種軍事的助言を中心に緊急派遣されたとされている米軍特殊作戦部隊を含め、戦闘に米軍部隊が参加することは認めないとしており、同時にイスラエル政府側も米軍の直接的関与を現時点で求めていないと米国報道官は説明しています

弾薬の提供
Iron Dome6.jpg●数千発の安価なロケット弾による「飽和攻撃」で対処の限界を露呈した形になったイスラエル自慢の「アイアンドーム:Iron Dome」であるが、同迎撃ミサイルシステム10セットを保有するイスラエル軍に、米国内のレイセオン社で大部分が製造されているIron Dome迎撃ミサイル(または関連部品)を、緊急提供した模様。同システムを米陸軍も2セット試験導入しており、米陸軍保有分も多少提供した可能性あり
●誘導装置の無い重量投下型爆弾に装着し、簡易精密誘導爆弾にグレードアップ可能なJDAMキットを緊急提供した模様。また周辺への被害を局限できる高口径爆弾SDB(small diameter bomb)も提供した模様

空母2隻の派遣
Ford CV2.jpg●地中海で実施されたイタリア軍との演習を終え、ローテーション派遣期間が終了する予定だった新型空母フォード級の一番艦空母フォード(F-35C型搭載)を、8日にイスラエル沖に派遣すると米国政府が発表
●更に、ローテーション派遣で同地域に派遣予定だった空母アイゼンハワーを、予定を少し早めて東地中海に派遣し、空母フォードと2隻体制を確立。オースチン国防長官は「イスラエルに対する更なる敵対行動や、ハマス奇襲攻撃に乗じて同地域での紛争拡大を狙う企てを抑止する一連の対処の一つだ」と説明

●空母の戦力としての意味
Eisenhower.jpg・完備した指揮統制システムを活用した「臨時指揮所」機能の提供
・E-2D早期警戒機の海空監視及び情報収集能力、またその連続在空能力からくる通信中継機能や空母指揮所からの指示を伝える機能。また空母搭載各種アセットやセンサーを活用したと「情報戦:information warfare」の拠点としての役割

・FA-18による航空打撃力の提供
・空母の持つ病院機能(集中治療室ICUを完備)。また艦載ヘリによる物資輸送や救命救助機能能力を利用した人道支援能力

●米空軍の航空アセット
・展開先は不明確ながら、7日の奇襲攻撃を受け、既にA-10、F-15、F-16をイスラエル周辺に新規派遣し、同時に対シリア作戦を主任務に既に同地域に展開中のローテーション航空アセットについて、帰国時期を遅らせて戦力増強状態を維持

●その他(英軍の動き含む)
RFA Lyme Bay.jpg・イスラエルとの定期的な軍事演習準備のためイスラエルに展開していた米軍兵士の内、今回の事態対処に直接関与しない要員のC-17による緊急帰国と、特殊作戦軍要員などの事態対処要員の緊急派遣
・英軍は、P-8哨戒機、3機のヘリ、中隊規模の海兵隊を派遣。16日の週には強襲揚陸艦や病院船を含む英海軍タスクフォースが地中海に到着。NATO任務で在地中海のミサイル駆逐艦の動向にも注目。なお英空軍は、キプロス島に英空軍最大の海外基地を持ち、同時に電波情報収集拠点も設置している
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mass media.jpgイスラエル軍によるガザ地区への大規模侵攻が開始された場合は、「イランとして対処せざるを得ない」とイラン軍の司令官が語るなど、緊迫の度が高まっており、この記事を掲載するタイミングでどのような情勢なっているかわかりませんが、基礎的な状況把握の一環として、米軍の動きをご紹介しました

ウクライナのケースでもそうですが、「日本のメディアの劣化」や「偏向された立ち位置」が改めて白日の下に暴かれ、「専門家もどき」が淘汰され、真に地道に研究を積み重ねてこられた地域の専門家が活躍される機会となることを祈っております

イスラエル関連の記事
「Iron Domeをウに提供せず」→https://holylandtokyo.com/2023/08/01/4880/
「米イが8500名規模の巨大統合演習」→https://holylandtokyo.com/2023/01/30/4216/
「なぜ露とウの仲介をイスラエルが?」→https://holylandtokyo.com/2022/03/09/2802/
「4機のKC-46給油機導入発表」→https://holylandtokyo.com/2022/09/06/3629/
「イが中央軍管轄に」→https://holylandtokyo.com/2021/01/19/301/
「イがUAEへのF-35に事実上合意」→https://holylandtokyo.com/2020/10/27/442/

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露軍需産業の象徴?音沙汰無しS-500防空システム [安全保障全般]

2018年にプーチンが生産開始指示との報道
2021年モスクワ圏納入も音沙汰無し
2022年量産型出荷の契約だが・・・

S-500 Prometheus3.jpg10月5日付Defense-News記事が、極超音速兵器迎撃も視野と言われてきたロシア企業Almaz-Antey製の新型防空ミサイルシステムS-500(通称Prometheus)に関する「音沙汰無し」状況について報じ、ウクライナ侵略や西側からの経済制裁によって疲弊する、ロシア軍事産業の象徴するかのような「尻すぼみ」状態を紹介しています

S-500は、現有S-400システムが射程約400㎞と言われる中で、射程約600㎞で高度200㎞の目標にも対処可能なシステムで、極超音速兵器にも対応可能との触れ込みで開発が進められ、2010年に開発が開始、2011年には専用の2工場建設に着手し2016年に完成、プーチン大統領が2018年には量産開始を要請したと報道されていた新兵器です。

S-500 Prometheus.jpgこの新兵器には複数のミサイル(航空機や巡航ミサイル用の40N6Mと、弾道ミサイル対処用の77N6シリーズ)が搭載可能で開発され、その性能は米国のTHAADを上回り、なおかつS-400より小型で機動展開等が容易だと西側研究機関や専門家は分析していました

実際にS-500は2019年に製造開始され、2021年には首都モスクワ周辺防空を専任担当する部隊に納入されたと報道されました。同時に、2022年納入予定で10個大隊用製造の契約が企業と締結されたとも報道され、その後の動向に西側軍事筋が注目していました。

S-500 Prometheus2.jpgしかしその後はS-500に関する高官の言及や報道が無くなり、製造企業のAlmaz-Antey社を含むロシア軍需産業全体に、西側による経済制裁による電子部品を中心とした部品不足や製造機器の維持困難が伝えられ、ロシア軍によるウクライナ侵略後には、ロシア軍需産業における労働力不足も報じられるようになります

少ないながら漏れ聞こえてくる「匿名のロシア軍やロシア軍需産業関係者の話」によると、防空ミサイルの増産大号令をかけているロシア国防省は配備済S-400用のミサイル48N6シリーズに注力し、ウクライナ戦線で必要のないS-500開発を後回しにしているとか、2021年に首都防空専門部隊に初納入されたS-500は「極超音速兵器対処能力を備えていないミサイルを配分されている」状態で、

S-500 Prometheus4.jpg現状では好意的に見ても、S-400よりは部分的に優れているが、現在提供されているミサイルでは射程も400㎞程度とS-400レベルで、大気圏外目標対処能力(exoatmospheric)はなくTHAAD以下の能力だと見られているようです。また極超音速兵器対処能力については、テストの実施はなく、極超音速兵器を模擬する模擬目標もない状態だと伝えられているようです

またコスト面でも、1個のS-500システム(発射機8台)で、当初は1100億円程度だったものが、2023年時点では3500億円程度にまで跳ね上がっている模様で、今のロシア政府の財政状況からしても、近い将来に大きな進展がありそうな予感が無い状況だと記事は伝えています

2023年1月の記事:ロシアの新兵器?
「大改良新型TU-160M2爆撃機開発前進!?」→https://holylandtokyo.com/2023/01/20/4170/

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米陸軍が評価中の様々な「ウ」の教訓 [Joint・統合参謀本部]

米陸軍協会総会で様々な検討状況を取材&紹介
航空戦力が活躍できなかった「ウ」の戦場ですが

ukraine war lesson2.jpg10月9日付Defense-Newsが、10月9日から開催された米陸軍協会総会の場で地上部隊担当Jen Judson記者が取材した、米陸軍が整理検討中の様々な「ウクライナの教訓」を取り上げ、「大砲」「戦車」「指揮所」「兵站」等の視点から紹介していますので、断片的ながらご紹介します

現在進行形のウクライナでの戦いで、まだまだ米陸軍も整理中の段階であり、また有人航空戦力の活躍の場がほとんどない環境で、かつ対中国のアジア太平洋地域とは全く異なる戦域状況ではありますが、陸軍長官や米陸軍参謀総長や将来戦闘コマンド司令官を始め、各専門分野を担当する高官の発言を基に構成されており、様々な示唆に富む内容ですのでご参考に供します(発言者名は省略しています。原文をご確認ください)

砲兵部隊は死活的に重要
artillery.jpg●「ウ」戦線で最も破壊力を提供しているのは通常兵器の砲兵部隊であり、砲兵部隊の精密攻撃が極めて重要であることを関係者は痛感している。これらを受け米陸軍は、2023年末までに「通常火力戦略」を新たに作成する準備を進めている
●「通常火力戦略」では、様々な現場部隊の教訓を基に、火砲のけん引式、自走式、車載型の利点や不利点、また推進薬の進歩により射程が伸びた砲弾特性を踏まえ、従来長射程砲が担ってきた分野を迫撃砲や榴弾砲で代替する等の検討や検証が行われている

●また「ウ」に提供された米国以外の国の火砲や砲弾の優秀さや優れた特性にも注目が集まっており、米陸軍が新規開発するより、外国製を輸入すべきではないかとの意見も強くなっている
●大砲への自動給弾装置など、前線兵士の負担軽減装備の重要性も再認識されている

戦車を巡る議論が活発化
tank damage.jpg●ロシア軍が開戦2か月間で400両以上の戦車を失ったことや、安価な無人機による戦車上空上方からの単純な攻撃による被害が極めて大きかったことから、大きくなりすぎて機動性に課題がある戦車に対する風当たりが強くなっている。これに対し陸軍長官は、まだ結論を出すのは尚早で、ドローンなど滞空型脅威への対策は可能だと語っている

●それでも米陸軍は、以前から進めていたM1戦車近代化改修計画を9月に破棄し、「ウ」の教訓も踏まえ、重くなり過ぎた車体の軽量化(機動性や回収の容易性)、最前線での維持整備負担の軽減、側方攻撃を意識した自己防御システムの再検討等を念頭に、新たな「M1E3」戦車追求に方向転換している
●「ウ」にまず31両のM1戦車が提供開始されているが、その前線での評価を米陸軍は注視している

機動性があり目立たない指揮所を求め
command posts.jpg●現在の戦場は、商用衛星、大小さまざまな無人機や電磁波センサーによって常時監視&偵察されており、従来の様な設営や撤収準備に半日も必要な前線指揮所では生き残れないことから、より小型で電磁波放出が少ない指揮所が求められている

●また、日進月歩の民生技術を迅速に取り入れるための「open architecture」仕様も不可欠である。最近の優れた例では、旅団戦闘チーム(BCT)の指揮機能をストライカー戦闘車両5台(35名)に集約し、市販のPCとタブレットをワイヤレス接続で活用して指揮統制機能を果たした部隊例が注目を集めている
●また通信途絶時や被害状況下での指揮統制活動を念頭に置いた準備にも、米陸軍は注目し、演習等で状況設定を増やしている

リモートによる維持整備支援が大幅拡大
remote mainte.jpg●「ウ」に大量に提供した兵器や装備品の維持整備をどうするかが当初大きな課題となったが、米陸軍がポーランド軍基地内の駐車場に設置した「リモート整備支援施設」から発信される、メールでの整備要領助言、録画映像での維持整備要領教育資料、ライブ映像でのリアルタイム支援の有効性が確認され、米軍提供装備だけでなく、欧州同盟国支援装備品にも同手法が幅広く導入された
●この手法はアジア太平洋戦域でも利用可能と考えられ、陸軍長官は「以前からそのようなアイディアは存在し、机上検討はあったが、実際に行ってノウハウを蓄積し、成果を上げた意義は極めて大きい」と高く評価している

より身近で手軽なドローン対処
counterdrone.jpg●米陸軍が5年前に作成した優先すべき近代化事業の多くはその方向性の正しさが確認されたが、新たな視点での気づきも見つかっている。防空&ミサイル防衛については、その重要性が対中国を意識して強調されてきたが、様々な脅威を念頭に重層的な防御システム構築の必要性が再認識され、柔軟に展開可能なパトリオット部隊の増強も加速しつつある

●小型ドローン対処も重要性が強く意識されてきた分野で、レーザーや電磁波利用の対処兵器開発や選定試験が行われているが、より現場に導入容易な、例えば既存の小銃に装着してすぐ使用可能な、AI活用のドローン照準用小型スコープなども「ウ」現場でニーズが高い事が確認されている
●また、前線に展開する全ての部隊が自己防御用に共通して装備するような、対ドローン兵器の提供も検討すべきとの声が上がっている
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ukraine war lesson.jpgそれぞれが断片的で検討中のものばかりですが、「大砲」「戦車」「指揮所」「兵站」「ドローン対処」の各分野で教訓とすべきある種の「エッセンス」を感じて頂けたと思います

また、別の観点から航空戦力に期待しにくい可能性がある西太平洋地域でも、参考になる点が多いようにあたらめて感じた次第です。ご参考になれば幸いです

2022年6月時点での・・・
「米陸軍首脳がウの教訓語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/01/3245/

様々な視点からウの教訓
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「イラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「SpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

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米国が拿捕のイラン製弾薬100万発をウ支援に [安全保障全般]

昨年12月にイエメンへの密輸船を拿捕押収した弾薬武器
「ウ」支援予算が未承認の中、米国苦心の支援策

Iran Houthi3.jpg10月4日付Defense-Newsは、2024年度米国予算が45日間の「つなぎ予算」だけ承認され、ウクライナ支援予算が未承認の中、昨年12月に米海軍によって拿捕&捕獲された、イランからイエメン反政府組織Houthiへの密輸途中の武器弾薬を、数か月間の交渉の末にウクライナ支援品として活用する許可を米国政府が獲得し、現在ウクライナに向け輸送中だと報じました

具体的な「拿捕&捕獲」場所は非公開ですが、米海軍艦艇によりダウ船「MARWAN」から昨年末に拿捕された密負弾薬兵器には、9000丁以上のライフル銃、284丁の機関銃、194のロケットランチャー、70発の対戦車誘導ミサイル、70万発の弾薬、100万発以上の7.62㎜小銃弾が含まれ、中央軍担当エリア内の倉庫に保管されていたとのことですが、少なくとも100万発以上の7.63㎜弾は現在ウクライナに向け移送中とのことです

Iran Houthi.jpgウクライナ支援により米国保有の武器弾薬の在庫急減少が懸念される中、またウクライナ支援予算確保を巡り米議会内の与野党の摩擦が増す中、バイデン政権は昨年12月の「拿捕&捕獲」した武器弾薬の「米国による押収」許可を数か月間交渉し、7月にやっと許可が下り、品質確認や法的手続きを経てやっとウクライナへ移送が開始されたとのことです

2024年度米国予算を巡っては米議会の機能不全が露呈し、9月30日夜にウクライナ支援予算を含めないことを条件に、約6週間分の「つなぎ予算」がギリギリ暫定成立して「政府機関の閉鎖」や「兵士への賃金未払い」が「寸止め」されましたが、下院議長が辞任するなど、今後6週間で正規の2024年度予算が成立する見通しは立っていません

Iran Houthi2.jpgこの混乱により、米国によるウクライナ支援オプションは限定的となり、上記のような「押収品の提供」との情けない形しかなく、ウクライナ支援で現有武器弾薬を提供した際の、「穴埋め補給予算」が確保できない苦しい状態が11月半ばまで続くとのことです

米国防省報道官は「我々はもう少しの期間だけ、ウクライナ支援を維持することができるが、(その先のために)米議会の行動が必須だ」と訴えていますが、当面は米国の機能不全が続きそうです・・・

2024年度予算巡る泥仕合
「国防長官の年俸1ドル案提出」→https://holylandtokyo.com/2023/10/02/5089/

ウ支援で弾薬不足懸念加速
「CSIS弾薬問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「上院軍事委員長:弾薬が最大教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/02/10/4288/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/

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米宇宙軍とSPACECOMが同盟関係強化 [サイバーと宇宙]

9月下旬の7か国演習や米軍人の同盟国訪問で

Space multinational2.jpg10月3日付米空軍宇宙軍協会web記事が、9月18日から22日に米宇宙コマンドSPACECOM主催の7か国(米英加豪独仏NZ)机上演習がColorado Springsで実施されたことや、これら7か国に加えて日本も参加した毎年開催の米宇宙軍主催(STARCOM :Space Training and Readiness Command担当)の机上演習が3月に行われたことを報じ、

併せて同記事は、5月には米宇宙軍の宇宙作戦&サイバー&核兵器部長がNATO宇宙センター(仏に設置)を訪問し、7月には米宇宙コマンド司令官James Dickinson陸軍大将が欧州各国を歴訪、そして9月には米宇宙軍トップのSaltzman大将が日本を訪れるなど、宇宙分野での西側同盟国間の協力強化に向けた米軍の活発な動きを紹介しています

Space multinational.jpg米宇宙軍とSPACECOMは別の組織で、厳密にいえば役割は違いますが、上記演習の目的は
●SPACECOM演習は、「情報やインテル共有量の増強、標準的な多国間指揮統制要領の一層の確立、任務遂行分野の拡大など」を目的に掲げ、持って多国間軍による任務遂行能力や強靭性強化を図り、宇宙の安全や持続性をサポートする分野の進展を狙いだと、同コマンドが発表しています
●宇宙軍STARCOM演習はその担当部署(Training and Readiness Command)からして、米軍人と併せ、主要同盟国軍の宇宙関連要員の能力向上を狙ったものと推定できます

Space multinational3.jpgこれらの演習について参加同盟国は高く評価しており、例えばカナダ軍参加幹部は「継続的な宇宙へのアクセスを、同盟国と協力して守り保護することへのカナダ軍のコミットメントを示すものだ」と語り、

仏軍宇宙コマンドの幹部も、「脅威が宇宙にまで拡散しており、将来は宇宙での攻撃が発生しうるとの認識が広がっている」、「(多国間の協力で)宇宙における多様なオプション確保を我々は追求している」、「米SPACECOMと協力しながら、宇宙で何が発生しているのかを情報交換により迅速正確に把握し、同盟国全体をいかに守るかに皆で取り組んでいく」と表現しています

Saltzman Japan.jpg英軍と仏軍は、既に統合の宇宙コマンドを創設しており、各国内でも宇宙の重要性への認識が急速に高まっている様子が伺えます。なんとなく、よくわからない宇宙作戦や関連組織を、外から眺めている状態のまんぐーすですが、「進化&深化」しているということです

最近の米宇宙軍の話題
「NOAAから衛星譲受」→https://holylandtokyo.com/2023/09/28/5070/ 
「27時間で打ち上げ:記録更新」→https://holylandtokyo.com/2023/09/22/5057/
「24時間以内での緊急衛星打上へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/30/4992/
「初のTargeting Squadron」→https://holylandtokyo.com/2023/08/23/4970/
「空自と米宇宙軍の本格協議開始」→https://holylandtokyo.com/2023/07/26/4884/
「宇宙経由の輸送企業募集」→https://holylandtokyo.com/2023/07/10/4819/
「衛星への軌道上補給検討」→https://holylandtokyo.com/2023/03/01/4320/

サイバーと宇宙関連の記事約240本
https://holyland.blog.ss-blog.jp/archive/c2302888136-1

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嘉手納F-15Cの一時代替に州空軍F-15C到着 [米空軍]

今年9月までに完全撤退との報道もあったが現状は謎
春にはF-22,35,16,15が勢ぞろいしたことも
所属F-15Cが何機残で、どの機種が何機派遣中かも不明

F-15C 159th.jpg10月4日付米空軍協会web記事は、2022年10月に機体の老朽化を理由に米空軍嘉手納基地から撤退&退役を発表した48機のF-15C型戦闘機の「暫定的なローテーション穴埋め展開」のために、加州とルイジアナ州の州空軍F-15C型戦闘機が10月3日に嘉手納基地に展開したと報じ、関連の米空軍部隊の声明等を紹介しています

この戦闘機ローテーション派遣は、2022年10月28日に突然米空軍が、嘉手納基地に約40年間所在してきた48機のF-15C型戦闘機を「今後2年間で」段階的に米本土へ撤退&退役させると発表し、12月に第一弾として8機のF-15が米本土に帰還したことを受けた対応で、

F-15C 144th3.jpg2023年3月末までに、昨年11月からアラスカ所属のF-22、今年1月からドイツ米空軍所属F-16、3月末からアラスカ所属F-35が派遣、4月上旬からF-15Eが派遣されていますが、各機種の展開機数や撤収時期は良くわからず、今回州空軍F-15Cが展開した時点での嘉手納派遣機種や機数がどのような構成になっているのかは全く情報がありません

また今年3月末にF-35が初展開した際に、米太平洋空軍報道官は「4月以降にF-15の第2弾撤退が行われる」、「F-15帰還は、戦闘機プレゼンスに空白ギャップが生じないよう、十分な展開戦力が確保された後に行う」と述べていましたが、4日付記事は「嘉手納所属F-35Cは、48機のうち、少なくとも18機は嘉手納から撤退したようだ」と記述していますが、「第2弾撤退」がいつ行われたのか、まんぐーすは把握していません

F-15C 144th.jpg今回のF-15C展開に際しても太平洋空軍報道官は、「戦闘機のローテーション派遣は、米国政府によって撤退するF-15Cの後継機が決定され、完全運用態勢を確立するまで嘉手納基地で継続される。このローテーション派遣は、戦力の転換期にある戦略的に極めて緊要な位置にある基地で、「戦闘機の空白」が生じないようするためのものである」との声明を出していますが、

引き続き「作戦運用と戦力配備に関わることであり、展開機数等については言及しない」との米空軍の姿勢は一貫しており、米空軍と宇宙軍応援団である米空軍協会も、一時は「(2022年11月から2年間かけて段階的撤退との発表とは異なり、)2023年9月には撤退完了するのでは」と報じるなど、何がどうなるのかサッパリ見えない状態が続いています。

F-15C 144th2.jpg「へそ曲がり」なまんぐーすは、米ミサイル防衛庁MDAが最優先課題として取り組むグアム島とは対照的に、嘉手納基地の防空体制強化に全く新たな投資が無い状況や、嘉手納基地配備の戦闘機後継機の話題に米空軍幹部も軍事記者も全く言及しない状態から、

今年3月末のように複数の戦闘機機種が偶然重なって展開した際は多いに「戦闘機の空白は生じさせない!」姿勢をアピールしつつも、「作戦運用上の秘密」を理由に派遣戦闘機の機数を段階的に削減し、いつの間にか派遣機数を最低単位の「2機」にまで削減し、ある日コッソリと「嘉手納配備戦闘機の代替は、アジア太平洋地域に関わる有人無人の様々な戦力の総合力で代替する。Family of Systemでの対応だ」との説明ぶりに切り替えるのでは・・・と邪推しています

F-15C 159th2.jpg既に、F-35とF-15Eは「最低単位の2機ではないか?」とまんぐーすは邪推しています。断片的な写真からも・・・

なお、加州州空軍から今回展開のF-15Cは、元嘉手納所属のF-15Cだそうです・・・

F-15C撤退&退役と代替機ローテーション派遣の経緯
●2022年10月28日、約40年間展開してきた48機のF-15C型戦闘機を「今後2年間で」段階的に米本土へ撤退&退役させると発表
●2022年11月4-5日にかけ、アラスカ配備の8機のF-22が嘉手納に展開
●2022年12月1日、第一弾として(恐らく)8機のF-15が米本土に帰還

●2023年1月17日、ドイツの米空軍基地から16機のF-16が展開
●2023年3月28日、アラスカEielson基地第355戦闘飛行隊所属のF-35が展開
(この時点で、各機種の機数は不明ながらF-22やF-16も嘉手納に所在)

●同年4月8日 F-22アラスカへ帰還、同10日F-16ドイツへ帰還
●2023年4月8日、米本土からF-15Eが嘉手納に展開

●2023年10月3日、加州とルイジアナ州の州空軍F-15Cが展開

嘉手納基地F-15撤退と代替戦力派遣
「F-15E展開、F-22とF-16が帰還」→https://holylandtokyo.com/2023/04/12/4511/
「空軍F-35が嘉手納基地に展開」→https://holylandtokyo.com/2023/04/04/4482/
「ドイツからF-16展開」→https://holylandtokyo.com/2023/01/19/4178/
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/
「嘉手納でelephant walk」→https://holylandtokyo.com/2022/11/25/3981/

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