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米空軍特殊作戦軍がプロペラ攻撃機要求への疑念に反論 [米空軍]

「中国だけが脅威じゃない」と過激派対応前面に主張
将来の展開に備えこの程度の機数は必要とどんぶり主張
運用開始すれば新たな斬新な使用法見つけるとも

OA-1K2.jpg9月18日、米空軍特殊作戦軍AFSOCが中東等でのローテク過激派対処用に導入要求中のプロペラ攻撃機について、米議会等から要求機数や要求性能算定の根拠が「余りにもどんぶり勘定だ」と批判されている件に関し、司令官であるMichael E. Conley中将が「将来の想定外の展開に備えて75機は必要だ」「わが部隊のDNAは斬新な手法で同機を有効活用する」と、官僚的でない強引な主張を展開していて興味深いのでご紹介します

AFSOC が要求しているプロペラ攻撃機は、中東地域を主に想定した過激派グループやその他のローテク脅威と戦うため、2020年から「Armed Overwatch」計画の名のもとに、近接航空支援やISR任務用に小型プロペラ機導入に着手したもので、最終的に AFSOC は、Air Tractor社製の農薬散布機OA-1Kに、L3 Harris 社製のセンサーと機銃等を搭載した機体を75機要求することを決定しています

OA-1K4.jpgこの要求に関し Conley司令官は、「米国を上げての中国、中国、中国は理解している。しかし、世界には他の国も存在する。国家として、中央軍の中東での任務はまだ終わっていない」とし、大型攻撃機の数分の1のコスト相当する75機約 3000億円での導入を主張しています。

しかし米議会や会計監査院GAOは、「中国と対峙するような本格紛争で、軽攻撃機 75機は機能しない」、「必要な能力分析前に調達機数を決定している。機体能力の変化が調達必要機数に与える影響を評価していない。検討途中で想定作戦任務の変更があったのに、必要性を再評価をしていない」と、余りにもいい加減な見積もりに基づく AFSOCの要求に疑問を呈し、米議会は国防省に説明責任を果たすよう厳しく要求しているところです

そんな中ですが Conley 司令官は・・・
Conley.JPG●国防省は中国抑止の武器購入に注力しているが、世界は専門家が考えていた以上に混沌としている。太平洋重視は理解できるが、中東の混乱と継続する戦いは、ローテク過激派が依然として脅威であることを示している。
●OA-1k が構想&決定された時点から、世界は少し変わったと思う。しかし、この機体は依然としてコスト効率の高い近接航空支援アセットで、過激派やその他のローテク脅威と戦うため 75機が必要だ。当初計画の時期に75機を購入できない可能性もあるが、それでも必要

OA-1K3.jpg●現在の能力評価や分析で軽攻撃機の有用性を結論付けることは危険だ。現時点での前提や仮定は、このアセットのより幅広い任務に対する有効性や状況適応能力を見落とす恐れがある.
●我々はAC-130やCH-47 の機体側面に機銃や砲を装備した部隊であり、C-130側面にジェット推進装置を追加してイランから脱出した部隊である。それが我々のDNAだ。この航空機を入手し運用開始すれば、搭乗員や整備員が、今だけでなく将来にも役立つ斬新な手法を見つけると思う。
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OA-1K.jpg米空軍特殊作戦軍AFSOC司令官である MichaelE. Conley 中将の、米議会には絶対通用しそうもない、清々しいまでの「人情に訴える」ご主張とお気持ちは十分すぎるほど理解できますし、75機を約 3000億円程度で導入可能なれば、何とかしてあげてほしいと思いました

ただし、米空軍は次期ICBM 計画で、空軍年間予算総額の2倍以上もの予算超過をやらかしてしまい、「一丁目一番地」だったはずの次期制空機NGAD 計画で大幅下方修正しなければならないほど追い込まれています。

准将から飛び級で中将に昇任してAFSOC司令官に就任しているConley中将の武運長久を祈りたいのですが・・・

米空軍特殊作戦軍AFSOCの関連
「AC-130の105mm砲取外し検討」 →https://holylandtokyo.com/2023/11/10/5219/
「MQ-9でネットワーク構成試験」→https://holylandtokyo.com/2023/09/26/5061/
「救難救助検討は迷走中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/23/4592/
「空軍No2に出身者が」 →https://holylandtokyo.com/2022/11/18/3965/

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米海軍トップ:次期艦載戦闘機FA-XX計画に変更なし [Joint・統合参謀本部]

米海軍初の女性トップLisa Franchetti大将が語る
淡々と「3社からの提案を評価中」と・・・
米議会が関連予算を削減し、専門家の目も厳しい中

FA-XX3.jpg10月2日、2023年夏から米海軍トップ(Chief of Naval Operations)に女性として初めて就いているLisa Franchetti大将が次期艦載戦闘機FA-XX計画について軍事記者団に、米空軍が見積価格の「バカ高さ」等から次期制空機NGAD計画ダウングレード見直しを迫られる中でも、またFA-XXに対し議会やOBから批判がある中でも、「空軍の取り組みからその必要性を学んだ」「3社の提案から調達先を選定している」と淡々と語っています

米海軍のF/A-XX は、F/A-18多用途戦闘機と E/A-18電子戦攻撃機の後継機となる予定で、米海軍が導入途中の第5世代戦闘機 F-35Cでは最新の脅威に対し能力不足と想定されている、「航続距離」「センサー能力」「電子戦機能」面等々で能力向上を狙っている機体で、3社(Boeing, Lockheed Martin, Northrop Grumman)の提案から2025年には1つに絞り込む予定とされています

会見でFranchetti大将は・・・
Franchetti5.jpg●第6世代の機体は、高度なセンサーと殺傷力、より優れた航続距離を持ち、有人アセットとして無人アセットを巧みに融合して戦力化できるものと期待している。米空軍の次世代制空機NGAD計画から学んだことの一つは、我々が将来必要とする能力獲得のために、計画を実行する必要があるということだ
●米海軍の航空アセットは、潜水艦戦力と並んで、我が海軍が保有する戦略的優位性の1つである。(FA-XXに関しては、)3社から提案があり、現在調達先を選定しているところだ

●(米空軍のNGAD計画一時停止&再検討は懸念材料か、との質問に対し、)各軍種の将来航空機計画を何らかの形で一致させることは理にかなっているが、空軍の決定がどうなれ、F/A-XXを妨げるほどではない。
FA-XX2.jpg●一般的な視点で述べると、各軍種が相互に学んで相互に補完する関係にあることが大切で、「互いに何を学べるか?」「各軍種が共通性を持つことで、どの分野で互いの能力を固めることが出来るか」を考えることは常に大切

本会見を紹介する2日付米空軍協会web記事は、2024年初め、米海軍は目の前の海軍全体の即応性維持に重点を置くため、F/A-XX への投資約1500億円延期を決定したが、米議会は F/A-XX予算の更なる削減を追求していると紹介しています。そしてその背景には、以下に紹介する専門家や海軍OBが指摘する問題があります(2020年6月30日の記事より)

専門家や海軍OBのFA-XXへの辛らつ批判
Clark.jpg●ハドソン研究所Bryan Clark研究員(海軍OB)の米下院で証言 → 米海軍の財政上の厳しい現実からすれば、新しい機体を開発導入することは事実上難しく、現有航空機の派生形にならざるを得ない。従って、生産ラインを維持するためにも、FA-18調達をゼロにする米海軍案は不適切で、F/A-XXオプションを残す意味でもFA-18製造ラインを維持すべき

Work-Reagan3.jpg●前海軍次官Bob Work氏 → 海軍と海兵隊がF-35のB型とC型、更にFA-18の3機種運用になって維持整備面を含めて既に難しい問題となっているにもかかわらず、4機種目のFA-XXに進む判断に大きな懸念を持っている。、航続距離が必要なら無人機が必要なことは各種分析から明白であり、焦点を絞って無人機へ早く進むべきだ

●元米海軍トップGarry Roughead退役大将(無人艦載攻撃機X-47Bを開発推進していた現役時から、米海軍内の無人攻撃機に対する消極姿勢を問題視)→ 2012年に無人艦載機が初飛行や着艦試験を成功させた後の8年間、その成果は放置されたままだ。これほど重要な新技術に、これだけ怠惰な姿勢は許しがたい
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Franchetti4.jpg最近、Franchetti大将が乳がん闘病中であることが公表され、治療のため短期間職務を離れていたことも明らかになっています。他軍種と比較して、飛びぬけて問題が多い印象の米海軍のかじ取りは「ストレス満載」かと思いますが、頑張って頂きたいと思います

上でご紹介した専門家や海軍OBのご意見だけでなく、まんぐーすが最近見聞きする米海軍関連の艦艇維持整備や新規装備開発の問題、更には高級幹部も含む規律違反の問題等々を考え合わせると、FA-XX計画が計画通りに進むとは到底考えられませんが・・・

米海軍次期艦載戦闘機FA-XX関連の記事
「企業幹部:同計画変更の情報無し」→https://holylandtokyo.com/2024/08/19/6176/
「FA-XXの構想進まず」→https://holylandtokyo.com/2020/06/30/634/

空母艦載の無人攻撃機構想がしぼむ様子
「組織防衛VS無人機導入派」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-08-01
「哀愁漂うUCLASS議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-17
「UCLASSの要求性能復活?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14
「夢しぼむUCLASS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-21

無人艦載攻撃機X-47Bの夢
「夏にRFP発出か:無人艦載機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-28-1
「映像:空母甲板上で試験中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-11
「映像:X-47B地上カタパルト発進」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-01
「X-47Bが空母搭載試験へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-28-1

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ヘリ重大事故率が3倍の米陸軍が根本見直し中 [Joint・統合参謀本部]

2023年度重大事故10件死者14名の惨状
2024年春は事故発生率が過去の3倍に
初級訓練用ヘリ機種の再検討やティルローター機対応も
コスト面からもVR訓練の在り方も含め再検討

US Army Heli all.jpg8月26日付Defense-Newsは、米陸軍でヘリコプター事故が激増し、2023年度は死亡率が2011年の米軍イラク撤退以降の最高となり、死者や装備被害4億円以上が出る「クラスA事故」10件で14人が死亡する深刻な状況で、2023年4月には全陸軍航空部隊が飛行を一斉に停止して安全確認や基本事項の再徹底を行うも、2024年も事故が止まず、2024年春には飛行時間当たりの事故発生率が過去平均の3倍に達する危機的状況だと報じています

対策として米陸軍は、「あらゆる選択肢を排除せず検討する」として多方面からアプローチを行っており、最近の事故の特徴や原因の細部分析と対策、ティルローター機訓練の再検討、初級練習機の再評価、シミュレーションやVR訓練の在り方検討、飛行を中止して安全教育に集中する時間の設定などなど、様々に議論されているようですので、「他山の石」としてご紹介させていただきます

8月26日付Defense-Newsによれば米陸軍は
McCurry.jpg●米陸軍将来コマンド参謀長のMac McCurry少将は、「過去2年間、事故率と原因要因を常に注視し、特に編隊飛行、つまり航空機同士が接近飛行する様子や任務を、任務のタスク毎に評価している。また最近では、環境条件に応じ操縦者がテールローター機をどのように操作するかに焦点を当てている」と述べた
●具体的に同参謀長は「1つの考慮点は、適切な基礎訓練用航空機を保有しているかである」と語り、陸軍が2013年後半にベル社のTH-67単発訓練用ヘリを退役させ、訓練機を双発のLUH-72Aラコタ軽多用途へリコプター約200機に置き換え、運用コストと操作の複雑さを巡り激論を呼んだ決定に言及した。そして「全てが検討の対象となっており、訓練用機首も訓練法も全てが検討されている」と語っている。

US Army Heli uh-60.jpg●また同少将は飛行部隊維持全体と安全確保の両立にも視点を広げ、「航空部隊運用にはコストが掛かる。操縦者訓練には多額の費用が必要で、そのため、コスト面、飛行の基礎面、そしてティルトローターを搭載した将来の航空機の導入による影響などから、現在、最適な前進方法について多くの分析を行っている」と語り、
●更に、「シミュレーションやVR技術の向上で、航空訓練に仮想現実や拡張現実が普及する中、実機に乗らなくても訓練効率を向上可能な部分はどこか? どの訓練項目が最新技術で最適化されるか?」を再確認すべきとも同少将は語っている。また最近まで陸軍航空運用検討センター司令官だった人物は、「ヘリ部隊が有人・無人アセットが混在する複雑な組織へ変化する中、搭乗員のための新たな組織的訓練モデルを検討している」と述べている。

US Army Heli FLRAA.jpg●米陸軍は今年初め、「Aviation Standup」と名付けた基本や基礎に立ち返る安全強化の取り組みを発表し、その狙いを「事故発生時に悪い流れを断ち切り、改めて部隊運用の基礎的な部分に焦点を当てる」と説明し、「必ず何らかの効果が出る」と同参謀長は説明している

●米陸軍は2022年12月に将来型長距離強要機(FLRAA)にベル製の次世代ティルトローター設計機を選択し、一方で今年初めに(既に3000億円以上開発に投入済だった)攻撃・偵察任務用有人ヘリ(FARA)開発を中止して、この役割に無人機投入を決定したが、同少将は本件に絡め「今後 1年以内に、陸軍航空の主要幹部を中心に、FLRAAが部隊投入される前に組織的訓練モデルをどうするか、いくつかの決定がなされる」と語っている
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US Army Heli uh-72.jpg上の記事では、将来導入のFLRAA関連でティルローター機への言及が多くなっていますが、今年7月初めにAH-64アパッチヘリが飛行訓練中に墜落して教官が死亡、訓練生が負傷した調査中の事故に見られるように、米陸軍のヘリ事故はAH-64やUH-60やCH-47や上記練習機LUH-72Aなどの既存機で発生しています

日本の陸上自衛隊でもそうですが、陸軍の主力は歩兵や砲兵や戦車部隊であり、それら部隊出身幹部が組織の本流として出世します。ヘリ部隊は近代戦で重要ですが、ヘリ操縦者が「飛行手当」をもらって歩兵等の本流幹部より「羽振りが良い」ことからイジメられ、昇任面で冷遇されています。(あまりに短絡的な表現ですが、本質はそうです)

US Army Heli ch-47.jpgまた、飛行運用と地上部隊である本流組織では作戦行動への考え方に大きな差もあり、組織文化の隔たりも大きく、飛行部隊に地上部隊幹部が口を出せない雰囲気があり、安全管理が飛行部隊で疎かになっていても、飛行部隊独自には改善が難しい閉鎖性もあります

それからもう一つ、以下の過去記事でも指摘したように、防空兵器やドローンの発達により、ウクライナや中東で顕著になり、各国軍の間で認識が広がりつつある前線での有人ヘリ運用の限界説と、そのような認識の現場部隊士気への負の影響への懸念です。航空優勢獲得に関する戦闘機の有効性への疑問と共に、ドローンによる「低高度の航空優勢確保」がもたらす、静かな、しかし大きな軍事変革の流れがもたらす影響です。

つまり、このような複雑な実態を踏まえると、陸軍ヘリ部隊の改善は容易ではありません。

前線での有人ヘリ運用の限界露呈
「小型ドローンで軍用へリ撃墜の衝撃」→https://holylandtokyo.com/2024/08/29/6213/

米陸軍迷走の象徴!? ヘリ選定のグダグダ
「3千億円投入済のFARAは中止」→https://holylandtokyo.com/2024/02/22/5567/
「Black Hawk 2000機の後継FLRAA選定」→https://holylandtokyo.com/2022/12/09/4043/
「UH-60後継の選定開始」→https://holylandtokyo.com/2021/07/16/2009/
「無人化でなく自動化推進!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-11

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Northrop Grumman がNGADへの再挑戦示唆 [米空軍]

2023年にNGAD 機種選定からの撤退表明も・・・
同社CEOが投資銀行の大規模投資家イベントで
米空軍による要求性能再検討の結果次第で

Warden.jpg9月12日、Northrop Grumman 社のCEOであるKathy Warden 女史が、米空軍が7月に次期制空機 NGAD 計画を「一時停止Pause」して全体構想や要求性能を数か月かけ「再検討」すると決定したことを受け、「再検討」の結果次第では、2023年に同社が撤退表明した NGAD に再び参戦する可能性ありと発言しました

世界的な投資銀行Morgan Stanley 主催の大規模投資家イベント(年1回のみ開催)での同 CEO発言であったことも各方面の注目を集めており、Northrop Grumman 社(以下NG社) として、米空軍内の NGAD 検討に関する相当な情報収集や社内資源配分に関する議論を踏まえた上での覚悟の発言だと捉えられています

Warden2.jpgNG 社は現在、次期ステルス爆撃機 B-21開発を極めて順調に、かつ各方面から称賛を浴びつつ進めていますが、B-21よりはるかに巨大な次期ICBM 計画の方は初期段階で既にドロ沼で、初期計画予算約 11.5兆円が現時点で既に 21兆円にまで膨らむ81%超過で、その超過額が米空軍年間予算総額の2年分を超える「開いた口がふさがらない」状態に陥っており、おまけに開発スケジュールも「少なくとも3年遅延」と、同社の存続にも影響しそうな惨状です

NGAD33.jpgまた同社が空軍NGAD 撤退後も、継続コミットしている米海軍の次世代艦載戦闘機FA-XX計画も、米海軍の予算状況等から事実上「無期限延期」状態となっており、同CEOが「米海軍の予算削減検討は承知も、FA-XX 計画変更の連絡なし」と気丈に語るも、暗い見通ししかない現状です

そんな中での「NGAD への再度挑戦」を示唆する発言ですから、同社の悲壮感と決意の両方を感じさせる CEO発言だと紹介しているメディアもあります。

NGAD Kendall.jpgNGAD から一度撤退したとはいえ、少なくとも2023年5月末時点ではNGAD計画にNG社もどっぷり関わり、Kendall 空軍長官が「空軍側と候補企業技術者がWright-Patterson 基地に集まり、side-by-side で開発業務を進め、かつデジタル設計の利点を生かし、企業側の状況に空軍関係者が何時でもアクセス可能にして、競争させつつ開発と状況確認を効率的に進めている」と語っていたほどでしたから、生暖かく復活を祈りたいと思います

次世代制空機 NGAD の再検討関連
「再検討の方向性」→https://holylandtokyo.com/2024/09/10/6315/
「数か月間保留する」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGAD の将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/

超巨大次期ICBM システム整備の苦悩
「ずさん過ぎる国防省再承認」→https://holylandtokyo.com/2024/07/10/6109/
「国防次官もあきらめムード」→https://holylandtokyo.com/2024/06/05/5929/
「米空軍だけでは対応不可能」→https://holylandtokyo.com/2024/03/01/5591/
「法抵触の議会通知」→https://holylandtokyo.com/2024/01/29/5478/

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1年半を経てやっとルーマニアに F-35売却許可 [亡国のF-35]

恐らく価格交渉が難航していたものと推定します
米国含め20番目の亡国のF-35導入国です。

F-35 Romania5.jpg9月13日、米国務省がルーマニアへの F-35A 型戦闘機の32機売却を承認したと発表しました。承認した売却価格は約1兆1千億円で、この価格には各機に1機の予備エンジン(Pratt& Whitney F135 エンジン)の他、各種メンテ&兵站支援、航法・通信および暗号機器、弾薬および武器、操縦者と整備員等の要員訓練、シミュレーターも提供も含まれているとのことです

F-35 Romania2.jpgルーマニアは、この 32機で始めに2個飛行隊(two squadrons)を編成した後、追加でさらに16機を購入し、第3飛行隊を編成したいと考えている模様ですが、契約が成立すれば、ルーマニアはポーランドとチェコ共和国に続き、東欧諸国で3番目のF-35運用国となり、3個飛行隊を完成させれば東欧最大のF-35 保有国となります

米国務省は承認発表に際し、「米国や他のNATO 加盟国との相互運用性を高めながら、国防と地域安全保障の任務遂行装備を一層充実させることで、現在および将来の脅威に対処するルーマニアの能力を向上させる」と述べ、「NATO 同盟国の安全保障向上は、米国の外交政策と国家安全保障の目標を後押しすることになる」との声明を出しています。
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F-35 Romania4.jpgなおルーマニアは現在、ポルトガルから購入した中古のF-16戦闘機を17機保有し、2022年にはノルウェーから同じく中古のF-16戦闘機 32機を購入する契約を結んだところであり、F-35を 32機も導入&維持&運用する負担は重すぎるのでは・・・勝手に心配になります。

またルーマニアのF-35 導入を後押ししたと推察されるロシアのウクライナ侵略では、無人機が「低高度の航空優勢」を左右し、戦闘機による「中~高高度の航空勢」に関係なく「低高度の航空優勢」が戦い全体を支配している現実を、ルーマニアはどのように解釈して 32機のF-35 購入に向かうのでしょうか・・・。

【ご参考】F-35 導入合意国(カッコ内は購入予定機数)
●共同開発国(8か国) 豪州 (100 機) , Denmark (27), Italy (90), Netherlands (37), Norway (52), # (138). 米国(2443)(空軍 1763、海無隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機) トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM 購入で排除

●FMS 購入国(11か国) Belgium (34 機),Israel (19)、日本(42+100),韓国(40)、シンガポール(当面12機最終的に約50機)、 ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド (64機)、ドイツ(最大35機)、チェコ(24機)、ギリシャ(20-40機)、ルーマニア(32+16 機)

ルーマニアと F-35
「F-35 導入方針決定」→https://holylandtokyo.com/2023/04/18/4519/

最近の亡国の F-35導入決定国
「緊縮財政下のギリシャまで」→https://hoylandtokyo.com/2024/08/14/6168/
「シンガポール追加」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
「カナダがやっと決定」→https://halylandtokyo.com/2023/01/12/4134/
「チェコが東欧で2番目」→https://holylandtokyo.com/2022/07/25/3492/
「フィンランドが 15番目」→https://halylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「スイスが 14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
「ポーランドが 13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
「ドイツも核任務用に」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/

購入拒否された軍事政権&中国接近のタイ
「タイの購入打診は拒否」→https://halylandtokyo.com/2023/05/30/4702/

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映像:露軍Su-35が米軍F-16へ驚きの危険飛行 [安全保障全般]

ロシア機の礼文島領空で初の空自フレア警告と同日
9月23日アラスカ防空識別圏内での出来事
Tu-95爆撃機を護衛の露戦闘機が数mに急接近
飛行姿勢も接近要領もunsafe, unprofessional
ロシア車は中国軍と異なり「大人」対応だったのに

Su-35 F-16 alaska.jpg9月30日、北米軍司令官である Gregory Guillo空軍大将が映像と声明を発表し、同23日にアラスカの米防空識別圏に侵入していた2機のロシア軍戦略爆撃機Tu-95に対し緊急発進&監視普戒を行っていた米空軍F-16戦闘機に、Tu-95をエスコートしていた2機の露 Su-35戦闘機の 1機が危険な急接近飛行を行ったと非難しました

声明でGuilo 司令官は、「NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)が緊急発進させた我が戦闘機は、安全かつ規律正しく接近して監視飛行を実施していた。(これに対し、)ロシアのSu-35の行動は不安全でプロの行動ではなく、すべてを危険にさらした。プロの空軍が行う行為ではない」と表現し、危機感を示しています

米空軍公開の危険飛行映像(約20秒)


NORAD は当日のロシア機飛行について、露爆撃機がこの空域で頻繁に行っているタイプの飛行で、米国領土まで 200nmまで接近したと紹介し、大型爆撃機とはいえ米領土までの距離も離れていることから、緊急発進した米軍F-16が「安全かつ規律正しく」対応したことを強調しており、ロシア戦闘機による突然の急接近危険飛行に驚きと怒りを隠さず、映像公開に踏み切った模様です
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Su-35 F-16 alaska4.jpgロシア軍機は冷戦後も日本近傍にも度々現れ、最近では中国機と緩やかな連携飛行のようなことも日本周辺で行っていますが、一般にはパターン化した偵察飛行や作戦航法訓練でした。

ところが、アラスカ沖での露 Su-35危険飛行と同日には、露IL-38哨戒機が日本時間の午後に3度も北海道礼文島北方の領空をし、航空自衛隊機が史上初のフレア使用管告を行う事態となっており、時差はあれども世界で同時に、露車が行動を先鋭化させています

IL-38 Rebun.jpgこんな嫌がらせ行動を露が行っても、何の効果も利もないと思うので、露軍全体、特に前線部隊に蔓延する「フラストレーション」「ぶつけ様のない怒り」のようなものが背景にあるのでは・・・と考えてしまいます。

東シナ海や南シナ海で中国軍戦闘機が米軍偵察機や哨戒機に危険接近飛行を何度か繰り返していますが、そんな映像を見た露軍やパイロットが、深い考えもなくやらかしている様な気がしてなりません

ロシア空軍関連の記事
「ウクライナでの露空軍評価」→https://holylandtokyo.com/2022/03/17/2929/
「戦闘機での制空の時代は終わる?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

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将来の負傷者搬送担う多用途無人機ARES初飛行 [Joint・統合参謀本部]

陸空軍の共同研究でティルローター初飛行1分間を2回
負傷者搬送・兵員物資輸送・ISR等でACE構想を支える
共通機体のモジュール変更で多様な任務に対応目指す

ARES Piasecki2.jpg9月6日、本格紛争における分散運用をACE構想で追求する米空軍が米陸軍と共同で資金提供し、米空軍用を空軍研究所の技術革新追求部署 AFWERX と新興回転機企業が協力して開発中の、前線での負傷者搬送や人員物資空輸やISR 任務を担う無人回転型機(ティルロータ一型)の初飛行に成功した模様です。

初飛行は Plasecki Aircraft 社のペンシルバニア州エシントンの施設で行われ、地上に係留されたままの試験機を約1分間ホバリングさせる初飛行だったようですが、1分間の飛行を 2回 実施して最新の 3重フライバイワイヤ飛行制御システムが安全に機能することを確認したとのことです

ARES Piasecki3.jpgこの機体は ARES-DV (再構成可能システム実証機: Aerial Reconfigurable Embedded System Demonstration Vehicle)と呼ばれ、共通の機体に、任務に応じて異なったモジュールを組み込み「機体を再構成可能」な形態を目指すことから名づけられており、加えて水素燃料電池で駆動する VTOL 航空機の実証をARES-DV を使ってPiasecki Aircrat 社に求める契約が、2023年11月に約55億円の陸空軍共同資金で締結されているとのことです

9月6日の初飛行は ARES-DV の基礎能力実証の第一歩ですが、今後は地面効果の内外でのホバリング性能確認を経て前方飛行試験へと進む予定で、飛行可能範囲を試験で確認後、陸軍が開発主担当の Mobile Multiple Mission Module(M4)を搭載して負傷者搬送(CASEVAC)試験に臨む予定とのことです

ARES Piasecki.jpgただ本件を報じる9月10日付米空軍協会 web 記事は、現時点で ARES-DV試験機の離陸重量や行動半径は非公開で、今後の飛行試験スケジュールや飛行回数についても情報公表がなかったと報じています

Piasecki Aircraft 社は初飛行成功を受け、「自律型負傷者搬送(CASEVAC)、貸物補給、および分散する小規模戦闘部隊支援等の多目的機能に革命をもたらす ARES の可能性を示す第一歩と声明を発表し、米空軍全体で追及している西太平洋地域での対中国想定ACE 構想を担う意気込みを示しています
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ARES Piasecki4.jpg本格紛争で敵の攻撃被害を避けるため、戦力を分散しかつ戦力を移動させて運用するACE(Agile Combat Employment)構想ですが、そのような環境で生じた負傷兵や被撃墜された搭乗員の救助搬送は、極めて重い未着手課題として残されています

特に西太平洋や台湾周辺での被撃墜や機体から脱出した搭乗員の救助は、未だに米空軍として「隠しておきたい大問題」で、そのような背景から突然無人機ウイングマン CCA大量導入の判断が下されたものと邪推しております

現時点で ARESは、あくまで患者を後方に搭乗員の人命リスクを低く搬送空輸することを狙っており、例えば海面やジャングルから搭乗員をピックアップして生還させる機能までは狙っていないと想像しますが、軍として絶対に必要な機能ですので進展に期待したいと思います

救難救助体制の再検討
「対中国作戦のレスキューは迷走中」→https://halylandtokyo.com/2023/05/23/4592/
「対中国の救難救助態勢が今ごろ大問題」→https://halylandtokyo.com/2022/07/15/3463/
「米空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2022/09/08/3614/

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建造中の中国最新潜水艦沈没を米国防省確認 [中国要人・軍事]

武漢付近の長江(揚子江)沿岸の国営造船所で
5月から6月の間に沈没した模様
6月中旬から引揚作業、8月下旬には作業完了か

Zhou-class3.jpg9月27日付各種メディアが、中国が開発中だった最新型「周(Zhou)」級攻撃型原子力潜水艦が、5月から6月に内陸都市武漢の長江(揚子江)流域の造船所で沈没したと米WS」紙が26日に初報し、米国防高官もこれを認めたと報じています

沈没した潜水艦は最新型である周級(Zhou-class)の1番艦で、機動力向上のために船尾が「X型」になっているのが特徴とされてきました。この造船所で潜水艦沈没事故が発生との疑惑は、商業用衛星画像を基に西側軍事メディアや台湾メディア、SNS上で噂されてきましたが、米国が公に認めたのは今回が初めてとのことです。

Zhou-class2.jpgWSJ紙は米当局者を引用し、沈没した原子力潜水艦は核燃料を載せていた可能性が高いという見方を紹介し、武漢武員の国営造船所で建造されたこの潜水艦は5月末、出港を控えて装備の最終確認等を行っている様子が確認されていた模様だ、とも伝えています。

その後、沈没後と推定される6月15日に撮影された衛星画像には、川面のすぐ下に完全にまたは部分的に沈んでいる潜水艦と、その周囲を救助機材とクレーンが取り囲んでいる様子が写っていた模様です。また、潜水艦から油れ等を防ぐため、周囲にフェンスが設置されていたとも報じられています。

Zhou-class5.jpg更に、8月25日に撮影された衛星画像には、沈没事故が発生した同じ導頭に潜水艦が停泊してる様子が写っているようですが、引き揚げられた潜水艦かは確認できないようです

事故当時、沈没した周級潜水艦に核燃料が積まれていたのか、原子炉が稼働していたのかは不明ですが、事故後、その地域で放射線が検出されたとの情報は現時点でないようです。
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Zhou-class4.jpg中国外務省の報道官は9月27日の定例記者会見で、この問題についてはよく知らないと述べたようですが、中国らしい対応です。

公刊情報によると、中国は2023年時点で、原子力戦略ミサイル潜水艦6隻、攻撃型原子力潜水艦6隻、ディーゼル攻撃型潜水艦 48隻を運用していますが、表面上の「勇ましさ」とは表腹に、給料の未払いや一部カットが伝えられる中国軍や中国社会の状況を踏まえると、このような事故はますます増えそうな気がします

中国軍事に関する過去記事リンク
https://holylandtokyo.com/category/%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e8%a6%81%e4%ba%ba%e3%83%bb%e8%bb%8d%e4%ba%8b/
https://holyland.blog.ss-blog.jp/archive/c2300801487-1

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2030年代前半から衛星で地上&空中移動目標監視を [Joint・統合参謀本部]

米宇宙軍の副参謀総長が語る
E-3やE-7やE-8 JSTARS の任務を宇宙から

satellites MTI.jpg9月4日、Defense-News主催のイベントで Michael Guetlein 宇宙軍副参謀総長(大将)が、敵の防御能力で敵領域に接近して敵行動を監視することがますます困難になるため、米空軍のE-3やE-7やE-8 JSTARS が担ってきた地上移動目標や空中移動目標監視を、宇宙空間の衛星から実施可能にすべく、2030年代前半からの衛星投入を目指し技術開発中だと語りました

同大将は、従来E-8 JSTARSが担ってきた地上移動目標追尾を GMTI (ground moving target indicator) 任務、E-3が担い今後後継機であるE-7 引き継ぐ空中移動目標追尾をAMTI(Airmoving target indicator)住務と呼び、これら任務遂行には今後、より生存性の高い「成層圏外:beyond the stratosphere」配備のアセットが必要だと語っています

satellites MTI2.jpgまた宇宙軍NO2は、「大型目標のGMTI 任務遂行を検討する中で、AMTI の重要性も感じており、現在各方面と協議しながら研究に投資している」、「GMTIとAMTI の両方で、関連のいくつかの能力が実現し始めるのは(start coming online)、恐らく2030年代前半になるだろう」、更に「今後同任務は多層化方向に向かい、生存性向上のため、衛星と航空機の両方のセンサーを活用する方向に向かう」と語りました。

そして同大将は、敵が攻撃可能範囲が拡大して我を遠ざけ、敵領土の監視を困難にする中、我々は高度を上げて「生存性」を確保する必要に迫られているが、宇宙へ移動し目標からの距離が増すと、必要なレベルの目標解像度を得ることが難しくなると述べ、必要な能力獲得に必要な予算投資が必要で検討しているが、このままでは今後数年間は予算や資源不足に直面する恐れがあると訴えました
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satellites MTI4.jpgKendall 空軍長官や米空軍幹部が、E-3 早期戒管制機の稼働率が老朽化で2~3割にまで落ち込むまで後継機選定(E-7に 2023年決定)を先送りにしてきたのは、GMTIやAMTI任務を「一足飛びに衛星に任せたい」との思いが強すぎたためです。

結局、衛星によるGMTIやAMTI 任務遂行には、まだまだ技術開発や予算が必要で時間がかかると諦め、「中継ぎ」として2022年に急遽上のE-7導入に踏み切ったわけですが、衛星がGMTI やAMTI 任務を担うにはまだ時間が必要です。

Guetlein2.jpgまた Guetlein 副参謀長の「多層化のため衛星と航空機センサーの両方利用」発言からすると、E-7など航空アセットは「中継ぎ」では終わらなさそうです・・・。それでも、この種の能力の実現時期や「多層化」追求に関する、米軍幹部による初めての言及だと思います。見守りたいと思います

2022年、急転直下のE-7 導入決定
「E-7 導入を正式発表」→https://holylandtokyo.com/2022/04/28/3186/
「急にE-3後継機が話題に」→https.//holylandtokyo.com/2022/01/31/2669/

最近のE-7導入準備状況
「1年遅れで価格合意」 →https://holylandtokyo.com/2024/08/30/6218/
「NATOもE-7 導入へ」 →https://holylandtokyo.com/2023/11/21/5262/
「能力向上を米英豪共同で」→https://holylandtokyo.com/2023/07121/4871/

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レーダー&通信&電子戦を1面で可能な多機能EMRISアンテナ [Joint・統合参謀本部]

Northrop Grumman社が政府提供機体で数十回試験済
DARPAと全米軍軍種が協力して開発中
飛行中にソフト更新や入れ替え可能

EMRIS 3.jfif8月20日付米空軍協会web記事は、Northrop Grumman社(NG社)が同日、DARPAと協力して開発中だと2023年2月に公表していた多機能統合センサー&アンテナである「EMRIS:Electronically-Scanned Multifunction Reconfigurable Integrated Sensor」に関し、無人ウイングマン機CCAや次世代制空機NGADなど有人及び無人アセットへの搭載を念頭に、米国政府パートナー機関提供の航空機に搭載して既に「数十回」の飛行試験を完了し、一段と高い技術成熟度を確認したとの発表を紹介しています

この「EMRIS」は、一つの平面的なアンテナで、レーダーと通信アンテナと電子戦アンテナを兼用することが可能で、超広帯域の電磁スペクトラムをカバー可能なシステムながら、関連ハードウェアを航空機の機首や翼や兵器に搭載できるほど小型化が可能で、しかも飛行中でも迅速にソフトウェア更新でシステム再構成が可能な優れた特徴を有していると同社はアピールしています

EMRIS.jpgまた同社は、数十回の試験飛行に使用された航空機の機種を明らかにしていませんが、政府機関と同社以外の第三者が航空機への搭載や試験運用を行う公正な環境で飛行試験が実施されたことを強調するとともに、米軍の全軍種の協力を得て飛行試験を実施できたことで、開発期間や経費を抑制することができた点もアピールしています

更に同社は、政府のopen architecture基準の沿ってアップデートが軽易に可能な設計を採用し、またセンサーとしては、DARPAが開発してF-35やF-22等々に搭載済みのAESAレーダー(active, electronically-scanned array radar)方式を利用することで、共通の「構成ブロック化やソフトのコンテナ化」が採用されており、「迅速でコスト効率の高い生産」が可能になるとも説明しています

EMRIS4.jpg一方で同社は、「他プログラム向けに開発された技術を迅速に活用し、複数の実戦装備技術をEMRISに適応可能なことを確認した」と言及しつつも、適応を確認した具体的な「他プログラム用の技術」は明らかにせず、また今後更なる飛行試験を実施するのかや、特定の搭載予定機種については言及を避けています
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専門知識がないので、「レーダーと通信アンテナと電子戦アンテナを兼用可能な小型センサー&アンテナ」の実現が、どれほど大変なことで、どれほどのインパクトがあるのかご説明できませんが、今後の更なる技術的成熟を期待しつつ、この「EMRIS:Electronically-Scanned Multifunction Reconfigurable Integrated Sensor」との言葉をご紹介しておきます

小さなことから、コツコツと・・・

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