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米宇宙軍が外国大使館に武官派遣検討 [サイバーと宇宙]

最初の派遣国は英国が有力、独仏伊豪カナダが続くか?
人員不足で当初は空軍武官兼務も
日本・メキシコ・韓国・印・デンマークも可能性?

space attaches.jpg8月1日付米空軍協会web記事が、米宇宙軍が同盟国等との宇宙ドメイン協力関係や能力&人的戦力強化するためのRSA(Regional Space Advisor)計画を検討中で、その一環として在外米国大使館に従来の陸海空軍武官(attaches)に加えて宇宙軍武官派遣を検討していると報じ、最初の派遣国として世界3位の衛星保有国である英国の可能性が高いと紹介しています

RSA計画全体がまだ固まったものではなく、在外米国大使館を外交一元化の観点から統括する「国務省」や派遣先国との調整も今後の予定とのことですが、宇宙軍が陸海空軍&海兵隊の「引き立て役(enabler)」ではなく、陸海空ドメインと並立する重要分野であることを示す象徴的な人事として注目を集めているようです。

space attaches2.jpgどの国に宇宙軍武官を派遣するかについては、宇宙軍報道官は「宇宙ドメインでestablished と emerging space powersの両方から選定中」だとしていますが、在ロンドン米空軍武官のMetrolis大佐は「英国が最初の米宇宙軍武官を派遣する国になるだろう」と語っています

記事は英国が派遣先の一番になりそうな背景として、軌道上の衛星数が米国と中国に次いで世界第3位で更に増える方向にあること、軍内に宇宙コマンドを持つ数少ない国であること、今年2月に米英宇宙コマンドが協力強化覚書に署名していることを理由に挙げています。

space attaches4.jpgまた、英国に次いで武官派遣可能性が高い国として、宇宙コマンドや宇宙師団を持ち、軍用衛星を保有している独仏伊カナダをあげ、軍用衛星を運用している日本、韓国、インド、メキシコ、デンマークも将来の検討対象だろうと記事は言及しています

ただし、米宇宙軍が創設されて間もなく人的戦力が不足している現状を踏まえると、宇宙軍独自に武官を派遣できる国は限定せざるを得ないと考えられ、空軍武官との兼任も現実的なオプションとなろう・・・とも記事は説明しています
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上の記述では、宇宙軍の地位向上を示すための「象徴的な人事」と表現してしまいましたが、米宇宙軍武官派遣との捉え方よりも、宇宙に関する軍事専門知識を持つ人材を海外に派遣して、同盟国等との連携を図る必要性が急激に高まっているということでしょう。

space attaches3.JPGロシアによるウクライナ侵略において、ロシア地上部隊侵攻直前に、いわゆる「第1撃」が行われた対象が民間衛星通信会社のネットワークであったことや、ウクライナの海外との意思疎通や情報発信を支えたインターネットサービスを全力で支え続けたのがSpaceX社であり同社の「Starlink」であったように、宇宙アセットに関する話ができる人材を同盟国等に常駐させる重要性が認識されつつあるということでしょう

とりあえずのコンタクト先が確保できれば、業務の流れはずいぶん違うと思います

ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/

最近の宇宙関連記事
「早急な能力向上に民間衛星企業をまず活用」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
「露はなぜ大規模サイバー攻撃やGPS妨害を実施しないのか?」→https://holylandtokyo.com/2022/07/26/3497/ 

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空軍長官が国防省にF-35への新エンジンAETP搭載迫る [亡国のF-35]

米議会や他軍種や他国からの追い風がなさそうな状態なのに
2024年度予算案に組み込む必要性を訴え
最後は国防省調達担当次官の判断だと

AETP XA-100.jpg7月26日、kendall空軍長官が講演で、耐久性に問題がありF-35稼働率低迷の一つの要因となっているF135エンジン問題に関し、2024年度予算空軍案を決める夏に、新型AETP(Advanced Engine Transition Program)エンジン導入の方向を決定したいと訴えつつ、米海軍やや海兵隊にも関係する問題であるので、LaPlante調達担当国防次官に最終判断が委ねられていると述べました

AETP XA-101.jpg新型AETPエンジンは、もともと次世代制空機NGAD用に開発されてきたエンジンで、これを今頃F-35に搭載しようとすると7000億円以上の追加経費が必要な上、垂直着陸型F-35Bには搭載不可能な構造になっていることから、先日退官したFick国防省F-35計画室長(空軍中将)は、「異なる道に進むなら、他者へのコスト増が無いように、米空軍独自の経費でやるべきだ」と突き放した発言をしていた所です

また、これまでのところ、米空軍以外で新型AETPエンジンを導入したいと表明している軍種やF-35導入国はありませんし、現在のF135エンジン改修搭載案にも前向きな発言を聞いたことがありません。(F-35維持費が高止まりしている中、他軍種も他国もそれどころではない状態です)

Kendall 7.jpgそんな中でもKendall空軍長官は講演で、「だらだらとF-35への搭載検討研究開発費を投入したくない」と述べつつ、「私は強くATEPエンジンを希望している。F-35の更なる能力向上につながるからだ」、「最終的な決断は、他軍種やF-35他形態との国防省としての立場の一体性から、調達担当国防次官に委ねられるだろう」と語っています

米議会の中は様々なようで、2022年度国防授権法では、AETPエンジンであるGE社 XA-100 とPratt & Whitney社XA-101エンジンを2027年までに「Block 4」形態以降のF-35に搭載可能かについて、よく吟味するよう国防省に検討を求めている一方で、

AETP XA-100 2.jpg35名の超党派議員団は LaPlante調達担当次官にレターを送り、F-35が本格大量生産に入る中で極めて改修リスクが高く、追加費用も膨大なF-35へのAETP搭載案を断念するよう要求し、F-35計画の屋台骨である「兵站分野の共有化」をAETPエンジン導入でぶち壊すことがあってはならないと警鐘を鳴らしています

ちなみに、AETPエンジン導入のメリットについて空軍長官は講演で触れなかったようですが、26日付米空軍協会web記事によれば企業関係者は、推力の増加やステルス性の向上、更に電子戦能力向上やエネルギー兵器搭載を容易にする発電量増加を挙げているようです
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AETP XA-100 4.jpg今年5月17日の上院証言でKendall長官は、「空軍単独で進むことは考えない」との方向性を示唆していたようですが、このような他軍種や議会やF-35導入国との関係にあまり配慮しているようには見えない発言の真意はどこにあるのでしょうか?

F135エンジンの改修型導入か、AETPエンジン導入か、はたまた現在のF135の修理体制を増強して、予想より頻発する故障に対応しながら付き合っていくのか・・・極めて大きな「亡国のF-35」を巡る動きですので注視してまいりましょう

F-35のエンジン問題
「空軍長官:数か月で決着すべき」→https://holylandtokyo.com/2022/05/26/3260/
「上院でエンジンとODIN議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
「下院軍事委員長がAETPに関心」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「民間監視団体が酷評」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/

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秋にも米空軍MQ-9が日本拠点に東シナ海監視スタートか!? [米空軍]

6月のValiant Shield演習で少人数&省装備での展開能力示す
従来55人から10名で展開可に。C-17でなくオスプレイで展開OK

MQ-9 Reaper.jpg8月3日付米空軍協会web記事が、アジア太平洋戦域で活躍の場を模索するMQ-9無人偵察攻撃機の第55試験評価飛行隊長にインタビューし、6月のValiant Shield演習でパラオに展開して自動離着陸能力ATLCを活用した「より少人数」「より少ない展開装備」での前線展開能力を実証し、更に2022年秋には日本に恒久拠点(permanent home)を立ち上げ東シナ海でのISR活動に乗り出すとの内容を紹介しています

MQ-9 Reaperは中東での対テロ作戦で大活躍した無人偵察攻撃機で、現在米空軍は約320機保有していますが、テロとの戦いから中国との本格紛争に体制を切り替えつつある米空軍にとって、ステルス性のないMQ-9をアジア太平洋でいかに活用するかが以前から検討議論されてきました

MQ-9 Reaper2.jpg6月のValiant Shield演習では、ATLC(automatic takeoff and landing capability)活用により、離着陸の操縦を現地に展開した地上要員が実施せず米本土から遠隔操作できるようになり、その他再発進準備も、エンジン始動と給油を除いて全て衛星通信遠隔操作で可能となったことから、展開させる装備品も減り、前線展開要員も従来の55名から僅か10名で可能となったということです。

具体的には、従来MQ-9部隊が前線展開するには、3-4日かけてMQ-9や操縦用コックピットや通信アンテナ等々を分解してC-17に積み込み、展開先到着後には再度すべてを組み立てて現地体制を確立する必要があったようですが、ATLC活用により、約180㎝四方のコンテナパック展開装備と10名が輸送可能なCV-22オスプレイやC-130輸送機で軽易に前線展開が可能になったとのことです

MQ-9 Reaper3.jpgこのような革新的な展開能力向上は米空軍ACE構想に中で「RACE:Reaper ACE」と呼ばれ、Valiant Shield演習では、ハワイからグアム経由で展開経験のないパラオに初展開し、軽装備少人数による低コストで計画した訓練を遂行したようです。

また、単に軽快迅速に展開しただけでなく、MQ-9に海上目標補足用のESMポッドを搭載し、広範囲を長時間連続で偵察飛行してリアルタイムで海上移動目標の状況をレポートしたり、敵側の攻撃準備を早期にキャッチして味方に知らせる事にも成功して、20時間連続飛行可能なMQ-9の有効性を演習参加部隊指揮官たちに示せたと飛行隊長は述べています

MQ-9 Reaper4.jpgそれでも、MQ-9が低速でステルス性のないアセットであることや、高価な衛星通信に依存していること、またATCL依存の展開にはリスクが伴うとの指摘もあり、米空軍内にはMQ-9のアジア太平洋戦域での活用に消極的な意見もあるようで、今回のValiant Shield演習の成果検証をまとめ、更なる改善のための提言を同飛行隊が中心になってまとめているようです

ただし、少なくとも平時からグレーゾーン時のISR活動へのMQ-9活用強化は着々と進んでいるようで、同飛行隊長Chmielewski中佐は、「基地整備の遅れから恒久配備(permanent employment)が遅れていたが、2022年秋までには、日本の航空基地に恒久展開拠点permanent homeが立ち上がるだろう」、「第一列島線上に配備し、南シナ海まではカバーしないだろうが、東シナ海にアクセスすることになろう」とインタビューで語っています
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MQ-9 Reaper5.JPG「2022年秋までには日本の空軍基地に恒久拠点」は初耳でした。

同飛行隊長は、「1週間程度の(今回実証できた)軽装備展開を地域の各地に行い、求められる常続的監視網の提供を行いたい」と抱負を語っており、三沢か嘉手納か配備先がわかりませんが、日本も高価なRQ-4から早くトンずらして、中古のMQ-9に移行することを考えてはどうでしょうか?

MQ-9関連の記事
「一般公道で離発着訓練」→https://holylandtokyo.com/2022/07/12/3426/
「4大シンクタンクがMQ-9の継続活用要望」→https://holylandtokyo.com/2021/11/29/2464/
「2回目の対中国応用演習」→https://holylandtokyo.com/2021/05/01/211/
「豪州へ12機輸出承認」→https://holylandtokyo.com/2021/04/29/119/
「本格紛争用に約1/4を改修&延命へ」→https://holylandtokyo.com/2021/04/28/118/
「JDAM完成弾運搬役も」→https://holylandtokyo.com/2021/03/09/156/
「無人機MQ-9の対中国海上作戦への応用演習」→https://holylandtokyo.com/2020/10/02/424/

日本が買わされた黄昏のRQ-4
「Block 40でも今後8年程度の賞味期限」→https://holylandtokyo.com/2021/07/28/2036/
「日本用RQ-4が米国で試験初飛行」→https://holylandtokyo.com/2021/04/21/112/
「自衛隊が希望していないRQ-4を買わされる件」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-22

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米国防省が胴体と翼一体型BWBの輸送機等の技術情報収集 [米空軍]

BWB(blended wing body)機の技術成熟度を見極めるため
空軍の輸送機と給油機、更に民航機への応用可能性を問う
少なくとも30%の空力特性効率化の提案を要望

blended wing.jpg7月21日付米空軍協会web記事は、米国防省の革新推進チームDIU(Defense Innovation Unit)と米空軍が企業に対し、BWB(blended wing body)型航空機技術の輸送機や空中給油機への応用可能性についての提案を8月2日までに求めており、同技術の民間航空機への応用によるコスト削減可能性にも関心を持っていると紹介しています

BWB(blended wing body)型航空機とは、翼と胴体が一体となった形状の航空機で、一般に内部搭載スペースが大きく、その形状から空力特性が良く燃料消費率が低く抑えられ、また形状から電波反射率が低くステルス性に優れていると考えられている機体です

X-48 boeing.jpg例えば、ボーイング社は2007年にX-48とのプロジェクト名でBWB形状の小型モデル機の飛行試験を行い、ロッキード社も何年にもわたりBWB形状期の輸送機や空中給油機への応用について研究を行っていると知られています

今回の企業側への情報要求に関し、米空軍は(KC-46A空中給油機の次のつなぎ給油機)KC-Yとの関連は否定していますが、KC-Yの次のステルス機の可能性も含め検討されているKC-Zとの関係については言及を避けています

blended wing5.jpgまた米空軍は現在、現在の主力輸送機であるC-17の将来について、C-17の延命策を追求するか、全く新しい輸送機を開発すべきかについて検討を開始しており、将来輸送機検討にも影響を与えるBWB情報収集だと見られているようです

情報要求書で国防省DIUは、政府機関が消費する全燃料の77%を国防省が消費しており、その大部分が航空機燃料であるが、数十年に及ぶBWB研究で燃料消費率の大幅な向上可能性が高まり、同形状機体の大幅航続距離延伸や燃料消費量削減が期待できるようになったと背景を述べ、「projected 2030」エンジン開発と融合すれば、少なくとも6割以上の燃費改善が期待できるとまで述べているようです

blended wing4.jpg具体的な情報要求事項としてDIUと米空軍は、機体形状、機体とサブシステムの想定パフォーマンスデータ、同機体の開発リスクと関連技術の成熟程度、機体実現までの開発設計等の計画、ライフサイクルコスト、ソフト設計計画などなどを要請しているようです

また同時にDIUは、民航機へのBWB技術の応用可能性についても情報提供を依頼しており、民間市場への応用可能性、市場戦略、狙いとする機体顧客、市場拡大の潜在性などを問いかけることで、BWB形状機体開発の国防省負担を軽減できる可能性を確認しようとしている模様です
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BWB(blended wing body)の利&不利点をググってみると

●利点は・・・
空気力学的効率の向上(効力の低減と揚力の増加)
騒音低減(突起物や表面積を減らし騒音低下)
積載物配置の自由度向上(従来型より内部空間が大きく、多様な形状の荷物受入れ可)
構造重量低減(機体全体が翼で、機体全体に揚力発生で強度確保用の重量削減可)

●欠点としては・・・
超音速飛行が難しい
積載物への負担増(機体横転時の左右翼端の貨物への負担台)
胴体構造の耐圧性減少(円形胴体に比し、耐圧性が低い)
旅客機にした場合は窓側席減少

様々な最新機体素材の開発等により、色々なアイディアが実現されれば面白いと思います。今後に期待です

BWB形状機体の研究
「米空軍が飛行の効率性改善研究」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2013-08-07-1
「BWBは超音速飛行に不向き」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2012-07-17-1

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米軍F-35が不良射出座席カートリッジで飛行停止に [亡国のF-35]

射出用カートリッジ発火装置に製造過程で欠損
2700個点検して3個に欠損発見
4月に欠損部品発見も、なぜか今頃前線部隊で総点検

F-35 Martin Baker3.jpg7月29日付米軍事メディアが、米空軍F-35A型機の射出座席で、座席射出用点火装置に点火剤であるマグネシウムが欠損したカートリッジが「4月」に見つかった件で、米空軍最大のF-35保有部隊である米空軍戦闘コマンドACC報道官が同日、「29日に、ほぼすべてのF-35A型機の飛行を取りやめ(stand-down)指示が出て、データを分析している」と明らかにしたと報じました。

F-35 stand-down.jpg同報道官は、発表時点でどれだけの確認が終了し、確認終了までにどれだけ時間が必要かには触れず、「飛行取りやめは週末を通じて続き、来週(8月1日の週)前半には通常体制に戻ることになろう」と明らかにし、欧州米空軍や太平洋空軍F-35A型機も同様の措置が取られ、翌日からは空軍教育訓練コマンド所属のT-38練習機の半数や6機のT-6初等練習機も飛行を取りやめたとも報道されています

問題の米空軍F-35A型機の射出座席は「英国」Martin-Baker社製で、同社製造工程におけるミスで発生したもので、特定期間に製造された米空軍F-35A用の「CAD:cartridge-actuated device」に十分な量の起爆用マグネシウム剤が充填されなかったことが原因と判明しているようです(原因判明時期は報道無し)

F-35 Martin Baker2.jpgMartin-Baker社は特定期間製造の米空軍用F-35Aのみが対象と説明したようですが、同じ工場で製造されたF-35Bs/Cs, F/A-18s, EA-18s, T-45s, and F-5Ns用の射出座席を使用する米海軍や、T-38とT-6を使用する空軍教育コマンドも、念のため同社同工場製の射出座席を使用する機種の飛行を取りやめ、この動きは同社製の射出座席を使用する他の85か国の軍の機体に広がっているようです(航空自衛隊の対応は不明)

F-35A型機の点検は、機体から射出座席を取り外せば「目視数秒」で確認可能とのことで、座席の機体からの取り外しも含めて1日飛行停止すればチェックは終了するそうで、7月29日付報道には同社報道官の言葉として「米空軍F-35A型機の70%の点検は終了」、「わずかな不良CADが見つかった」と紹介する記事や、「2700個のCADを確認し、3個の不具合品を特定した」との情報を報じるメディアもある状況です

F-35 Martin Baker4.jpg最初にCADの異常を「4月」に見つけたのは米空軍Hill飛行場の整備員で、「CADが異常に軽い」と感じて検査したらマグネシウム発火剤が欠損していたらしいですが、国防省F-35計画室は時期不明ながら「緊急TCTD(Time Compliance Technical Directive)」を出し「90日以内の点検」を指示しましたが、その後時期不明ながら「通常TCTD」で「90日以内の点検」に指示を変更しており、これら経緯も含め7月29日になってやっとACCが「飛行取りやめ(stand-down)指示」を出した流れが「???」です

F-35 stand-down2.jpg米空軍関係者はこの「飛行取りやめ(stand-down)」(飛行完全停止(grounding)とは異なり、チェックが終了した機体や座席は直ちに飛行可能)の影響は軽微で、飛行取りやめ期間に他の機体部分の定期整備作業を行うことで、トータルの飛行時間は取り返せる等と語っているようです
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いつものように、何か裏がありそうなF-35関連事案とその対応ですが、整備支援システムALISや後継ODINの混乱の中、前線部隊整備員の皆様の負担がこれ以上増えないことを祈るばかりです

F-35 Martin Baker.jpgこの英国Martin-Baker社製の射出座席は、2015年から17年にかけ、体重が軽い操縦者が緊急脱出した場合に首を負傷するリスクがあることが判明し、対策として、体重に応じた切り替えスイッチを座席に付加して射出のタイミングを調整可能とすること、射出時に頭を支えるパネルを座席に付加すること、操縦者用ヘルメットHMDの重量を約250g削減する改善策3点セットで操縦者の体重制限がやっと解除された前科がある座席です

製造企業が英国籍企業であることから、米国製の射出座席に変更すべきだとの声が米議員の間から上がり、F-35開発の更なる遅延を恐れた国防省やMartin-Baker社が猛反発し、共同開発国である英国への思いやりもあり、何とか継続採用することになった座席でもあります

英国製F-35の射出座席問題2015-17年
「F-35座席問題の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-02-15-1
「射出座席問題に部分的対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-09
「米空軍に国防省と企業が反論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06-1
「米空軍が代替座席の検討依頼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-25
「座席対策は2018年までか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09-1
「責任譲り合い:F-35射出座席」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-17
「F-35軽量操縦者が飛行停止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-02

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JADC2への取り組みは各軍種バラバラ [米国防省高官]

米空軍&宇宙軍サイバー首席補佐官が懸念隠さず
米陸軍の調達担当次官補も同様の懸念を

Jones-Heath.jpg7月26日、米空軍と宇宙軍の首席サイバー補佐官で前空軍CIOであるWanda Jones-Heath氏が、米軍の各軍種はそれぞれのプロジェクト名を付け、迅速な各種情報の共有と指揮統制を目指した指揮統制改革に着手しているが、国防省として取り組んでいるJADC2(Joint All-Domain Command and Control)への関与方向はそれぞれにバラバラで、JADC2として一体化する方向には向かっていないと警鐘を鳴らしました

Jones-Heath3.jpgJones-Heath首席補佐官は現状についてPotomac Officers Clubでの講演で、「私は陸海空軍の各プロジェクト関連文書に全て目を通したが、各軍種はそれぞれ独自にJADC2を解釈している」、「(結果として3軍は)相互運用性があるシステム構築に向けたあるべき方向に向いていない(We are not aligned with what we need to be to be interoperable)」と述べ、JADC2実現には陸海空軍がそれぞれが一体化に向け取り組む必要があると訴えています

Hicks3.jpg現在Kathleen Hicks国防副長官が取りまとめて推進しているJADC2は、今年に入り推進戦略や実行計画を策定して機能横断的な推進チームも立ち上げ、今年3月には公開版の戦略文書も発表した国防省全体の大きな取り組みで、各軍種も陸軍「Project Convergence」、海軍「Project Overmatch」、空軍「ABMS:Advanced Battle Management System」との名称で各軍種数千億円規模の事業に着手していますが、現状はありがちな状態のようです

Bush Army.jpg同様の懸念は他軍種高官からも出ており、7月11日に米陸軍のDoug Bush調達担当次官補も、無人機への対処兵器調達に関して統合の視点から国防省等が各軍種の調整を図った例を引き合いに出し、「JADC2専従室の編成も考慮すべきではないか」との考えを示しており、Jones-Heath首席補佐官も「我々を進むべき方向にプッシュする誰かが必要だ」と26日に語っています

この問題を従来から繰り返し訴えているJones-Heath補佐官はまた、各軍種独特の特異性を持ったそれぞれ数千億円を投入するプロジェクトが、陸海空宇宙ドメイン間で切れ目なく情報が流れるものになるかに疑念・懸念を抱いているとも語ったようです

Jones-Heath2.jpgまた、米議会も巨額の予算が投入されるJADC2や各軍種プロジェクトを注視しており、JADC2の必要予算総額や進捗状況、今後の予定や現状の課題等について、特に統合司令部を近々立ち上げるアジア太平洋地域に関心を持って国防省に報告を求めているところです
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先日は「大平洋軍に予算投入増も米軍の統合運用進まず」との記事で、陸海空軍がそれぞれの思惑で対中国作戦準備を進めており、各軍の利害優先で統合作戦が煮詰まらず、過去からの課題解決もほとんど進んでいないとの米軍OBや専門家の厳しい意見をご紹介しましたが、JADC2との指揮統制改革や迅速な情報共有の面でも同様の状態にあるということです

JADC2 2.jpg米軍の統合運用態勢整備については明るい話題がありませんが、中国でも不動産バブル崩壊の兆しや当局の対応への不満の高まりなど、アジア太平洋全体の不安定につながる動きも見られる中、日本は日本でしっかり自らを守る体制整備を行う覚悟が必要です

将来戦に向けた指揮統制改革:JADC2、AIDA、ABMS関連
「陸軍プロジェクトの教訓」→https://holylandtokyo.com/2021/12/21/2514/
「国防副長官がJADC2推進を語る」→https://holylandtokyo.com/2021/07/01/1943/
「具現化第1弾でKC-46に中継ポッド」→https://holylandtokyo.com/2021/05/31/1727/
「3回目はアジア太平洋設定で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/05/425/
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holylandtokyo.com/2020/09/09/476/
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「今後の統合連接C2演習は」→https://holylandtokyo.com/2020/05/14/671/
「連接演習2回目と3回目は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「国防長官も連接性を重視」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
「将来連接性を重視しアセット予算削減」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28

JEDIからJWCCへのゴタゴタ
「米国防省の一大クラウド事業が更にれ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/08/3078/
「将来戦の鍵クラウド事業出直し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-09

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36日連続飛行を記録:Zephyr太陽光無人機 [ちょっとお得な話]

エアバス社が開発製造の高高度長期在空無人機
成層圏を飛行し昼間は太陽光発電でバッテリーに充電
夜間は高性能バッテリーからの電力で飛行継続

Zephyr-S4.jpg7月22日、エアバス社製の太陽光発電エネルギーで飛行する高高度無人機「Zephyr-8 又はS」が、2018年の連続飛行記録26日間を更新する、36日間連続飛行を更新して飛行を継続中だと、同機の運用可能性試験をしている米陸軍Futures Command(将来戦コマンド)が発表しました

太陽光発電電力を動力源として、雲や天候の影響を受けず、民間航空機の飛行高度の約2倍以上の7万フィート以上の成層圏を飛行する「Zephyr」シリーズは、昼間に太陽光発電電力をリチウムイオン電池に蓄え、夜間も連続して飛行可能な無人機で、2003年に当初英国企業が開発をはじめ、英国防省が常続的な通信中継や監視&偵察活動への応用を最初に試験していました

Zephyr-S3.jpg「Zephyr」シリーズの最新型で今回記録を更新した「Zephyr-8 (又はS)」は、横幅25mの太陽光パネルを搭載した大きな翼をもつものの、24㎏のバッテリーを搭載しても総重量75㎏程度の軽量で、Web情報によれば5㎏のセンサー等を搭載可能で、例えば20X30km範囲を可視光監視するセンサーなどが使用出来るようです

この特異な性能に米軍も関心を持ち始め、今回の連続飛行記録更新は、Army Futures CommandのAPNT/Space CFチーム(Assured Positioning, Navigation and Timing/Space Cross-Functional Team)の計画した実験で達成されましたが、最終的に何日間連続飛行を継続したかは、7月25日時点で不明です

Zephyr-S.jpgただ米陸軍チームの発表によれば、今回の飛行はアリゾナ州で6月15日に始まり、7月22日の時点までで、初の公海上の国際空域飛行を成功させ、衛星通信経由の管制下での連続飛行記録も更新したとのことです。

また米陸軍によれば、数週間後には次なる試験に臨み、その際は太平洋上空を複数の米軍地域コマンドをまたがって飛行し、様々な装備の搭載試験も実施するようです

米陸軍担当チームのMichael Monteleoneリーダーは、「この試験を通じ、多様な搭載装備をデモし、成層圏使用無人機の軍事使用を探り、遠方監視による偵察や目標照準、強靭な通信確立を検討する資を得ることができた」、「Ultra-long在空能力のある無人機は、極めて大きな軍事利用の可能性を持っている」とコメントを出しています
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Zephyr-S2.jpg長期間連続在空型の無人機は、軍用だけでなく、政府機関や民間分野でも様々な可能性がありそうな気もしますが、搭載重量の限界か、搭載装備への電力供給量の限界か、衛星でカバーできるからか、20年近くの開発を経ても本格的な利用は始まっていないようです

ただ、非常に興味深い分野で、蚊トンボのような華奢な機体が空に浮かんでいる様子は好奇心をそそるので、今後も話題になった際はフォローしたいと思っています

長時間在空世界記録Zephyr関連の記事
「英国防省が太陽光無人機Zephyrを試験へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-02-18
「冬の南半球で連続11日飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-29-1

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米陸軍が機動性&生存性の高い前線指揮所を求め [Joint・統合参謀本部]

MASCP:Mobile And Survivable Command Post project本格化
機動性、アンテナ性能、強靭データ貯蔵、隠蔽性、発電力など追

MASCP2.jpg7月27日付Defense-Newsが、米陸軍が開始した将来前線指揮所の在り方検討MASCP(Mobile And Survivable Command Post)projectについてレポートし、本格紛争に備え、様々な専門家や技術者と新たな候補装備品を今年夏にも試験している様子を紹介しています。

米陸軍はこの前線指揮所改革を陸軍の指揮統制改革プロジェクト「Project Convergence」と連携させ、最終的には国防省のJADC2(統合全ドメイン指揮統制プロジェクト)との一体化も2026-27年頃に目指したいとする取り組みですが、現状の前線指揮所が持つ、輸送が大変で、多量の熱や音や電磁波を放出して敵に発見されやすく脆弱で、通信能力が限定的で、最新デジタル技術に追随不十分だ等々の弱点を改善する方向を目指しているようです

MASCP.jpg技術分野で革新を目指している分野には、機動性改善、より遠方と接続可能なアンテナ性能、強靭なデータ貯蔵能力、指揮所のカモフラージュ技術や素材開発、自立可能な自家発電力確保、指揮所全体の物理的防御要領(banking)などが含まれ、プロジェクト責任者Tyler Barton氏は「現状の脆弱性を克服し、本格的脅威に対峙する生存性確保が大きな課題だ」と語っています

今年の夏には、New Jersey州で実施されたNetModX (Network Modernization Experiment)に、MASCP project用の新装備候補がいくつも持ち込まれ、特に今年は機動性確保と熱・音・電磁波放射の抑制に主眼が置かれたテストだったようで、来年は更に対象を拡大して数週間のNetModXに臨む計画だそうです

MASCP3.jpgBarton氏は「送信機やセンサーを高所に配置するタワーなどなど、様々な新インフラ試行導入でチャレンジングなテストを行うことができたが、様々な関係者のチームワークが素晴らしかった」と、様々な産業界の専門家や技術者の支援も得てテストが行われた様子を紹介し、MASCP project初期段階の成果に手ごたえを感じていると語っています
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極めて地道な取り組みながら、極めて重要なプロジェクトだと思います。対テロ戦から本格紛争への頭の切り替えに際し、とても大事なパーツです。以下の話が良くその点を表現しています。

2016年8月の講演で当時のNeller海兵隊司令官は自虐的に
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-06-16
Neller6.jpg●最近のある海兵隊演習で、展開先での前線司令部設置訓練を行い、仮設指揮所に大きなカモフラージュ用ネットが被せられた。敵の航空攻撃を想定する必要が無かった最近の実戦では、あまりやらなかった訓練だ。
●ネットの偽装効果確認のため上空からの映像で検証すると、仮設指揮所の周りの様々な通信ケーブルやワイヤーが太陽光を反射し、敵なら容易に重要な施設が中心に隠されていることが発見できる状態だった。そしてその欠陥に部隊の誰も気付いていなかったのだ
●これまでの対テロ戦の敵とは、異なる相手と本格紛争では対峙する現実を直視し、自分自身の姿を見直し、考え方を変えなければダメだと教育している

米海兵隊の前線指揮所カモフラージュ能力低下の衝撃
「海兵隊司令官が嘆く現状」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-06-16

Project Convergenceについて
「2021年末までの教訓」→https://holylandtokyo.com/2021/12/21/2514/
「米陸軍と海兵隊F-35が情報共有演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-13

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謎の無人宇宙船X-37Bが連続宇宙滞在記録を更新中 [サイバーと宇宙]

2020年5月17日から今年7月7日で780日の記録更新
地球周回軌道上で数々の謎の実権を継続実施中

X-37B.jpg再利用可能な実験無人宇宙船X-37B Orbital Test Vehicleが、7月7日に自らが持つ宇宙滞在連続記録780日を更新し、引き続き宇宙空間で「謎の実験」に取り組んでいます。米宇宙軍が保有&運用するX-37Bですが、宇宙軍が何機同型機を保有しているのか、2年以上も宇宙空間を漂って何をしているかについて、ほとんど公開されていません。

X-37B4.jpgX-37Bは「9m×4.5m×3m」とマイクロバス弱程度の大きさで、ロケットの先端に取り付けて打ち上げ、帰還時は無人のスペースシャトルのように滑走路に着陸する無人宇宙船です。OTV(Orbital Test Vehicle)が正式名称の実験船で、当初はNASA所管でスペースシャトルの貨物室に搭載する予定でしたが、同シャトル計画が中断されて2004年以降は国防省が引き継いでいます

2010年4月に最初の打ち上げられた1回目の宇宙滞在が224日間、2回目が468日間、3回目が675日、そして2017年5月に帰還の4回目は718日間、2019年10月に帰還した5回目は780日で、この記録が今回6回目の飛行で更新されたわけです。

X-37B2.jpg記録を更新した今回6回目の打ち上げは、2020年5月17日にいつものフロリダ州Cape Canaveral基地で行われ、打ち上げ前には極めて珍しいことですが、宇宙で放出される搭載物のうち2種類が明らかにされました。

一つは米空軍士官学校作成のFalconSAT-8実験衛星5個で、もう一つは米海軍研究所作成の太陽光発電エネルギーを電磁波に変えて地上に送信するアンテナモジュールの2つで、X-37Bの役割をアピールか・・・と話題になりました。また5枚目の飛行では、イオンエンジンの一種「Hall Effect thruster」も試験の一つだと公表されていました

Dream Chaser.jpgその任務の大半が非公開であることから、アマチュア天文家が競ってその様子を地上から観測し、中国衛星に接近しているとか、様々な憶測を呼んでいるところです。中国やロシアもX-37Bが「攻撃兵器だ」と疑いをかけているようですが、X-37Bの動きは地上からでもフォロー可能で、宇宙軍が説明しているように「逃げも隠れもしない。見たまま」の状態だそうです

米国政府は2023年に、X-37Bをより洗練されたデザインにしたような民間企業Sierra Spaceが運用する無人宇宙船「Dream Chaser」によるミッションを開始する予定で、NASAはこれを使用して国際宇宙ステーションへの物資補給に利用するとのことです
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Dream Chaser2.jpgSierra Space社の「Dream Chaser」が、X-37Bにとって代わるのか等については承知していませんが、「Dream Chaser」がX-37Bにそっくりなので驚きました。機能を突き詰めていくと、スペースシャトル以来の形状に落ち着くということなのでしょう

これ以上のコメントができませんが、12年前からフォローしておりますので、引き続きネタにさせていただきます

X-37B関連の記事
「2020年5月打上時:少しソフトな路線に???」→https://holylandtokyo.com/2020/05/15/672/
「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-11
「中国版X-37B?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-15
「X-37Bは中国衛星を追跡?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-07
「X-37BがSシャトルの代替?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「米が宇宙アセット防護計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16
「X-37B関連小ネタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-04
「X-37Bをご存じですか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20

「Dream Chaser」解説のwikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%BC_(%E5%AE%87%E5%AE%99%E8%88%B9)

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英空軍が敵防空無効化用の無人機の群れ試験成功発表も [安全保障全般]

敵の防空システムを飽和させる無人機の群れ開発
「ウ」侵略の大教訓:防空強固で両軍航空戦力が活躍できない
ただ「無人機の群れ」を如何に敵防空網に投入するかが大課題

Global Air4.jpg7月13日頃、ロンドンで世界の空軍&宇宙軍トップ会議が開催され、英空軍のMike Wigston参謀総長が「過去3年間、5種類のドローンに様々な搭載物を乗せ、無人機の群れとして敵防空網を飽和させる試験を13回実施し、作戦運用上有効な能力を獲得した」と明らかにしました

しかし一方で、「無人機の群れを攻撃対象となる敵防空網内に運搬&投入する能力開発は、現在も継続中」と語り、安価で使い捨てで損耗が負担にならないと一般に考えられている小型ドローンを、遠方に存在する最前線の敵防空網に如何に投入するかが課題だと語っています

Global Air 2.jpg本発表を紹介している7月14日付Defense-News記事は、英国の王立軍研究所(Royal United Services Institute)のJustin Bronk氏の見方を紹介し、露にウクライナ侵略において、両国の防空網が互いに相当強固なため、両国空軍戦力が十分能力を発揮できずに地上軍によるドロドロとした戦いに持ち込まれているが、

このような戦況は、死傷者が多数発生する可能性が高い地上戦闘をなるべく避け、空軍戦力による早期の軍事紛争決着を図りたいNATOなど西側諸国軍にとっては大きな衝撃であり、ここに来て強固な敵防空網を無効化する手段として「無人機の群れ」が注目を集めていると背景を解説しています

Global Air 5.jpg具体的にWigston英空軍参謀総長は、英空軍の第216試験評価飛行隊と英空軍RCO(Rapid Capabilities Office)が、「3Dプリンターを活用して作成した双発ジェットトエンジンの無人機Pizookieから、市場で調達可能な多様な装備搭載可能な大型ドローン、4発式の大型ヘリ型ドローンについて、増産と新たなモデルの投入手法(new models of capability delivery)の開発に取り組んでいる」と現状を説明していますが、

これに対しJustin Bronk氏は、敵の防空レーダーや迎撃ミサイル等を、大量の安価なドローンの群れで飽和させて無効化するアイディアは有効だが、小型で安価なドローンには航続距離や速度が不足しており、これを補うためにジェット推進のドローン投入を考えるとコスト面で大きな負担となり、何らかの安価小型ドローンの大量輸送投入手段導入もコスト負担を伴うものになると指摘しています
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UK Pizookie.jpg非常に断片的な記事で、英空軍の「無人機の群れ」実験や「We are exploring new models of capability delivery」の内容が全く分かりませんが、この記事が示唆する重要ポイントは、世界に普通に出回っている防空システムに直面すると、各国指導者や軍幹部は高価な4世代機や5世代機であっても有人機の作戦投入に躊躇する・・・と言うことです

先日もご紹介したように、特に対中国作戦の場合、敵領域内やその近傍での味方操縦者の救難救助体制が極めて不十分であり、有人アセットの投入のハードルが高くなるということです。

Global Air 3.jpg基本的にドローンは安価で取り組みやすい装置ですから、英国でも「無人機の群れ」開発が可能なようで期待するところ大ですが、敵も同じことに挑戦するでしょうから、「脅威」としても考えておく必要があるということです

この戦前の予想と現状は異なりますが・・・
「ウクライナで戦闘機による制空の時代は終わる」→https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

無人機に関する関連話題
「中国による無人機売込みに警告」→https://holylandtokyo.com/2022/06/16/3339/
「無人機の分類定義を明確にせよ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/10/2716/
「C-130による無人機の空中投下と改修」→https://holylandtokyo.com/2021/11/18/2422/

「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-30
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26
「無人機の群れに空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-3

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