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米宇宙軍が海洋大気庁NOAAから衛星入手し活用 [サイバーと宇宙]
インド洋や西半球の雲や気象を静止衛星で
他省庁や商用情報を有効活用し自前衛星より経費低減
GOES-15衛星を「EWS-G2」と改名して運用へ
9月22日、米宇宙軍が米国海洋大気庁(NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration)の可視光と赤外線気象衛星GOES-15衛星を、米議会承認(2023年6月)を経て正式に譲り受け、新たに
「EWS-G2」(EO/IR(Electro-Optical/Infrared) Weather System – Geostationary satelliteの2号機)と名付けたと発表しました
「EWS-G2」は2023年11月までには軌道修正を完了し、現在活動中で2024年2月頃に燃料切れ活動停止が予期される「EWS-G1」の後継衛星として、インド洋を中心とした西半球を静止軌道から常続監視する役割を担い、気候変動が著しい最近の状況を受け米軍が力を入れている、米軍部隊の作戦運用に不可欠な当該地域の雲や視程の状況把握や気象予報に大きな役割を期待されています
米宇宙軍は自らが衛星を調達して打ち上げる方法だけでなく、なるべく費用対効果の優れた宇宙アセット確保にあらゆる手段を模索しており、NOAAのような他省庁だけでなく、商用データの活用も含めオプション検討を行っており、譲受が完了したばかりの「EWS-G2」が寿命を迎える2030年頃に備え、その任務をどのような形で引き継ぎ&継続するかの検討も既に始まっているとのことです
「譲り受けて衛星の名称も変更した」と言っても、衛星「EWS-G2」の運用自体は(「EWS-G1」と同様に)引き続き米宇宙軍からの委託を受けた形でNOAAが行い、NOAAが保有の米本土と豪州の施設を使って地球の裏側の静止衛星を操作するとのことです。
「EWS-G2」について米宇宙軍は、地表から約4万km上空の静止軌道に配置され、可視光と赤外線で常続的に雲の状況を観測するほか、軍事作戦に不可欠な地表や上空の視程や、航空機や兵器弾薬の性能発揮に影響を与える大気現象の評価や予報を行い、軍事作戦のタイミングや場所の判断を助け、兵站面での見積もり・戦力保全・展開部隊への環境影響を評価予測するために重要な役割を果たすと説明しています
ちなみに米商務省の下部組織として1970年創設のNOAAは、沿岸測地測量局(1807年創立)、国立気象局(1870年創立)、商用漁業局(1871年創立)、及び環境科学業務局 (1965年創立) を吸収合併して誕生した広範な任務を担う観測研究機関で、気象、大気、海洋、漁業資源、環境との主要5つの部局で構成され、
自然災害から人命や財産を保護し、環境への理解を深め、更に海洋資源有効利用のための調査・探査・開発推進等を目的とした機関で、米軍が基礎データ入手の面で大変お世話になっていそうな政府機関です
最近の米宇宙軍の話題
「27時間で打ち上げ:記録更新」→https://holylandtokyo.com/2023/09/22/5057/
「24時間以内での緊急衛星打上へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/30/4992/
「初のTargeting Squadron」→https://holylandtokyo.com/2023/08/23/4970/
「空自と米宇宙軍の本格協議開始」→https://holylandtokyo.com/2023/07/26/4884/
「宇宙経由の輸送企業募集」→https://holylandtokyo.com/2023/07/10/4819/
「衛星への軌道上補給検討」→https://holylandtokyo.com/2023/03/01/4320/
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他省庁や商用情報を有効活用し自前衛星より経費低減
GOES-15衛星を「EWS-G2」と改名して運用へ

「EWS-G2」は2023年11月までには軌道修正を完了し、現在活動中で2024年2月頃に燃料切れ活動停止が予期される「EWS-G1」の後継衛星として、インド洋を中心とした西半球を静止軌道から常続監視する役割を担い、気候変動が著しい最近の状況を受け米軍が力を入れている、米軍部隊の作戦運用に不可欠な当該地域の雲や視程の状況把握や気象予報に大きな役割を期待されています

「譲り受けて衛星の名称も変更した」と言っても、衛星「EWS-G2」の運用自体は(「EWS-G1」と同様に)引き続き米宇宙軍からの委託を受けた形でNOAAが行い、NOAAが保有の米本土と豪州の施設を使って地球の裏側の静止衛星を操作するとのことです。


自然災害から人命や財産を保護し、環境への理解を深め、更に海洋資源有効利用のための調査・探査・開発推進等を目的とした機関で、米軍が基礎データ入手の面で大変お世話になっていそうな政府機関です
最近の米宇宙軍の話題
「27時間で打ち上げ:記録更新」→https://holylandtokyo.com/2023/09/22/5057/
「24時間以内での緊急衛星打上へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/30/4992/
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久々に特殊情報収集機RCやWC-135に関する記事 [米空軍]
記事は「日没が無い」第55航空団の活躍を紹介するも
後継機なく、センサー網、衛星、地上拠点等で総合対処とか
9月21日付米空軍協会web記事が、ネブラスカ州Offutt空軍基地に拠点を置く第55航空団の特殊情報収集機RCやWC-135を取り上げ、同部隊の影のモットーである「The sun never sets on the Fightin’ Fifty-Fifth」そのままに、28機のRC-135等の運用に奮闘努力する兵士たちの様子を紹介しています
同記事は単純に長時間のフライトを伴う同部隊の任務や隊員の様子を淡々と取り上げるもので、部隊の問題点等には一切触れていませんが、前回同部隊を取り上げた2018年夏から2019年5月頃の話題は、米空軍が打ち出した「RC,WC,OC,NC-135の後継機は調達せず」、「多様なアセットが搭載するセンサーネットワーク、衛星、地上サイトなどから得られる情報全体で代替する」との方針に対し、地元の米議会議員を中心に強い反発があり、
「これら機体搭載のセンサーやその任務を代替できる完全な手段が存在せず、少なくとも2050年代までは、これらISR機が重要な役割を果たす事になるのだから、ISRアセットを含めた明確な将来戦闘プランを持つ必要がある。今後想定される本格紛争を考える必要がある今のタイミングでは特に重要だ」等々と主張していたところですが、
2019年当時のOffutt空軍基地周辺の地元紙の調査によると、「2016年以降だと500回の任務が機体トラブルでキャンセルされ、2015年以降だと12回に1回の割合で任務を断念する事態に至っている」との厳しい現場部隊の状況もあり、「後継機を調達せず」方針に変化はないようです
まずOffutt基地所属RCやOCやWC-135をご紹介
●RC-135U Combat Sent 2機 シグナル情報収集機
●RC-135V/W Rivet Joint 17機 U型を改良した同情報収集機
(敵のレーダー、ミサイル等のレーダー電波情報や位置等を収集分析し、敵の戦力分布や新兵器の配備を把握。また味方機の自己防御用警報装置に敵電波情報をアップデート)
●RC-135S Cobra Ball 3機 弾道ミサイル光学電子情報収集(北朝鮮の弾道ミサイル試験が迫ると日本周辺に飛来)
●WC-135 Constant Phoenik 2機 大気収集機(北朝鮮の核実験報道があると日本海で待機を収集し、核実験の真偽を判定)
●OC-135B Open Skies機 2機 米露のオープンスカイズ条約遂行のための機体だが、トランプ政権が露の姿勢に反発し、2020年に条約破棄を通告。2021年に機体も破棄
21日付米空軍協会web記事からつまみ食い紹介
●第55航空団所属のRCやWC-135は、ほとんどが機体年齢60歳以上で、中東、北朝鮮、中国やロシア周辺での情報収集飛行に多忙な日々を送っているが、最近は油圧系統のトラブルや火災発生まで、多様なトラブルに見舞われている
●同航空団所属の搭乗員は、全員が複数タイプの特殊情報収集機に搭乗可能な資格を保有しており、各搭乗員の専門性を有効活用しつつ能力拡大にも努めており、更に「マンネリ」防止にも効果を発揮している
●機体は老朽化が進んでいるが、搭載機材は数年に1回の頻度で様々な手法で「近代化」が図られており、その面でも兵士は新たな機材への対応に連続して対応しており、飽きが来ないと語る搭乗員が多い
●15時間を超える連続飛行任務が多いが、搭乗員は機内の構造部材を活用した体力強化機材で「懸垂」や「腹筋」や「腕立て伏せ」に取り組んだりしている。一方で、機内に2台装備の冷蔵庫や電子レンジを利用し、チキン料理やピザなどを間食する隊員も多く、搭乗員相互に「食べ過ぎ」に注意している
///////////////////////////////////////
「代替機なし」で、「多様なアセットが搭載するセンサーネットワーク、衛星、地上サイトなどから得られる情報全体で代替する」方針で大丈夫なのか、素人には判断できませんが、未だにRCやWC-135シリーズが大忙しな現状からすると、F-35やNGADなど戦闘機に資金が流れ、単に「無い袖は振れない」状態に陥っているだけでは・・・と勘ぐってしまいます
米空軍ISR関連の記事
「RC,WC,OC,NC-135は後継機なしの方向」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-28-1
「米空軍が新ISRロードマップ決定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-04-3
「情報部長が中露のAI脅威を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「RC-135シリーズがピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-08-1
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後継機なく、センサー網、衛星、地上拠点等で総合対処とか

同記事は単純に長時間のフライトを伴う同部隊の任務や隊員の様子を淡々と取り上げるもので、部隊の問題点等には一切触れていませんが、前回同部隊を取り上げた2018年夏から2019年5月頃の話題は、米空軍が打ち出した「RC,WC,OC,NC-135の後継機は調達せず」、「多様なアセットが搭載するセンサーネットワーク、衛星、地上サイトなどから得られる情報全体で代替する」との方針に対し、地元の米議会議員を中心に強い反発があり、

2019年当時のOffutt空軍基地周辺の地元紙の調査によると、「2016年以降だと500回の任務が機体トラブルでキャンセルされ、2015年以降だと12回に1回の割合で任務を断念する事態に至っている」との厳しい現場部隊の状況もあり、「後継機を調達せず」方針に変化はないようです
まずOffutt基地所属RCやOCやWC-135をご紹介
●RC-135U Combat Sent 2機 シグナル情報収集機
●RC-135V/W Rivet Joint 17機 U型を改良した同情報収集機
(敵のレーダー、ミサイル等のレーダー電波情報や位置等を収集分析し、敵の戦力分布や新兵器の配備を把握。また味方機の自己防御用警報装置に敵電波情報をアップデート)
●RC-135S Cobra Ball 3機 弾道ミサイル光学電子情報収集(北朝鮮の弾道ミサイル試験が迫ると日本周辺に飛来)
●WC-135 Constant Phoenik 2機 大気収集機(北朝鮮の核実験報道があると日本海で待機を収集し、核実験の真偽を判定)
●OC-135B Open Skies機 2機 米露のオープンスカイズ条約遂行のための機体だが、トランプ政権が露の姿勢に反発し、2020年に条約破棄を通告。2021年に機体も破棄
21日付米空軍協会web記事からつまみ食い紹介

●同航空団所属の搭乗員は、全員が複数タイプの特殊情報収集機に搭乗可能な資格を保有しており、各搭乗員の専門性を有効活用しつつ能力拡大にも努めており、更に「マンネリ」防止にも効果を発揮している

●15時間を超える連続飛行任務が多いが、搭乗員は機内の構造部材を活用した体力強化機材で「懸垂」や「腹筋」や「腕立て伏せ」に取り組んだりしている。一方で、機内に2台装備の冷蔵庫や電子レンジを利用し、チキン料理やピザなどを間食する隊員も多く、搭乗員相互に「食べ過ぎ」に注意している
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「代替機なし」で、「多様なアセットが搭載するセンサーネットワーク、衛星、地上サイトなどから得られる情報全体で代替する」方針で大丈夫なのか、素人には判断できませんが、未だにRCやWC-135シリーズが大忙しな現状からすると、F-35やNGADなど戦闘機に資金が流れ、単に「無い袖は振れない」状態に陥っているだけでは・・・と勘ぐってしまいます
米空軍ISR関連の記事
「RC,WC,OC,NC-135は後継機なしの方向」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-28-1
「米空軍が新ISRロードマップ決定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-04-3
「情報部長が中露のAI脅威を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「RC-135シリーズがピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-08-1
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米空軍MQ-9で小型ドローン射出しNetWork構成試験へ [米空軍]
空軍特殊作戦軍が来年3回の試験を予定
MQ-9が上空で射出小型ドローン群を指揮統制
別に1名で3機のMQ-9操作する実験も構想中
9月12日、米空軍特殊作戦軍司令官のTony Bauernfeind中将が講演し、無人機運用の効率化・省人化を進める自立ドローン導入の一環として、更に米軍が統合で進めるJADC2(Joint All Domain Command and Control)の最前線拡大を狙い、無人機母機(capital ships)としてのMQ-9から小型ドローン(UASs)を射出し、MQ-9に指揮統制させるA2Eプロジェクト(adaptive airborne enterprise)の試験を2024年に3回計画中と明らかにしました
米空軍保有約320機のMQ-9の内の約50機を保有する特殊作戦軍での、最優先装備導入プロジェクトだと表現した同司令官は、「MQ-9から射出される小型ドローン(UASs)によって、どの程度networkが拡大可能かはまだ明らかではない」が、「センサー網や通信ネットワークの拡大は、我が特殊作戦軍の敵陣深い作戦域での活動に大きな恩恵をもたらすだろう」とA2Eプロジェクトの意義を語り、
更に8月には担当部隊の第27特殊作戦航空団が、「将来的に我が特殊作戦軍の兵士が、様々な能力を備えたMQ-9から射出される小型ドローン(UASs)を、例えばAC-130特殊攻撃機の機内や地球の裏側のホテルの部屋から操作する能力を持ちたいと考えている」とのイメージを対外発信していたところです
そのそも米特殊作戦軍は、前司令官で現在の空軍作戦部長であるJames C. Slife中将の時から、「無人機の運用態勢は導入当初の1990年代から基本的に大きな変化がなく、一人が1機を操作する極めて人力集中型の運用形態が続いている」との強い問題意識を持ち、
例えば「無人機の自動離着陸や衛星通信利用の離着陸の導入と普及により、35%も最前線活動時間増加させた」、「更に高度なドローン自立運用への挑戦の機が熟しつつある」などドローン自立化への期待が高まっていると同司令官は述べ、若い有能な兵士を無人機のお守りに長時間縛り付けたくはないとも思いを語っています
またBauernfeind司令官は、現時点ではMQ-9の1個紹介点維持のため150名以上の人員が必要となっているが、自動化自立化ソフトの開発等で、操縦者1名が3機を指揮統制可能な体制確立に向けたテストに早期に実施したいとも語っており、ドローンの効率運用に強い意志を示しています
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MQ-9から射出する小型ドローン(UASs)は、1機が重量25㎏以下のドローンが想定されているようですが、既存のドローンを搭載するのか、どのようなセンサーや通信中継装置の搭載をイメージしているのか、ご紹介した19日付米空軍協会web記事は触れていませんが、米空軍のMQ-9最前基地が、鹿児島県の鹿屋海自基地に作戦開設されたばかりのタイミングでもあり、気になるところです。
ご興味のある方は、A2Eプロジェクト(adaptive airborne enterprise)や小型ドローン(UASs:uncrewed aerial systems)に、「AFSOC:Air Force Special Operations Command」を絡めて検索してみてください
Bauernfeind司令官の13日の発言
「滑走路に依存しない能力確保が求められている:we have to have runway-agnostic capabilities」
→ https://holylandtokyo.com/2023/09/19/5048/
前任の空軍特殊作戦軍司令官が空軍作戦部長に
「仰天:作戦部長に特殊作戦部隊一筋の人物が」→https://holylandtokyo.com/2022/11/18/3965/
鹿屋海自基地に米空軍MQ-9部隊が
「部隊編成完了とMQ-9の将来」→https://holylandtokyo.com/2022/10/27/3811/
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MQ-9が上空で射出小型ドローン群を指揮統制
別に1名で3機のMQ-9操作する実験も構想中

米空軍保有約320機のMQ-9の内の約50機を保有する特殊作戦軍での、最優先装備導入プロジェクトだと表現した同司令官は、「MQ-9から射出される小型ドローン(UASs)によって、どの程度networkが拡大可能かはまだ明らかではない」が、「センサー網や通信ネットワークの拡大は、我が特殊作戦軍の敵陣深い作戦域での活動に大きな恩恵をもたらすだろう」とA2Eプロジェクトの意義を語り、

そのそも米特殊作戦軍は、前司令官で現在の空軍作戦部長であるJames C. Slife中将の時から、「無人機の運用態勢は導入当初の1990年代から基本的に大きな変化がなく、一人が1機を操作する極めて人力集中型の運用形態が続いている」との強い問題意識を持ち、

またBauernfeind司令官は、現時点ではMQ-9の1個紹介点維持のため150名以上の人員が必要となっているが、自動化自立化ソフトの開発等で、操縦者1名が3機を指揮統制可能な体制確立に向けたテストに早期に実施したいとも語っており、ドローンの効率運用に強い意志を示しています
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ご興味のある方は、A2Eプロジェクト(adaptive airborne enterprise)や小型ドローン(UASs:uncrewed aerial systems)に、「AFSOC:Air Force Special Operations Command」を絡めて検索してみてください
Bauernfeind司令官の13日の発言
「滑走路に依存しない能力確保が求められている:we have to have runway-agnostic capabilities」
→ https://holylandtokyo.com/2023/09/19/5048/
前任の空軍特殊作戦軍司令官が空軍作戦部長に
「仰天:作戦部長に特殊作戦部隊一筋の人物が」→https://holylandtokyo.com/2022/11/18/3965/
鹿屋海自基地に米空軍MQ-9部隊が
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米空軍が24年ぶりに募集目標0%未達も [米国防省高官]
肥満、麻薬、身体&心理問題で人口の23%のみ応募可
コロナ明け後の雇用急増で若者採用競争
2024年度は回復傾向と自信示す
9月11日、Kendall空軍長官が記者懇談会で、9月末までの2023年度の米空軍新兵募集は目標に約10%届かない模様で、1999年以来24年ぶりに採用目標未達となると語りました。
ただし同空軍長官は、2024年度は米空軍の各種取り組みもあり募集実績は回復傾向にあり、2024年度最初の月となる2023年10月の採用は既に目標を達成しており、11月も目標数を十分クリアできる勢いで採用活動が行われていると自信を示しました
1999年に目標未達だった際は、「1981年から96年に生まれたMillenials世代:Y世代とも言う」が最初に採用対象年齢に達した年だと説明され、その前の未達の1979年は「X世代:親世代の離婚率が上昇し始めた時期に子供世代を過ごしたため、親からの監督が少なくなり始めた世代」が最初に採用対象年齢に達した年だと解釈されています。
2023年度が採用目標未達になる原因として、コロナ禍で2020年ころから公開の場での採用活動やイベントを自粛していた影響、コロナ後の企業活動や社会活動活発化による新人採用急増による人の奪い合い、
更に、対人接触をあまり好まず、米軍5軍を言える割合が5割以下で、肥満、麻薬、身体&心理健康問題で対象人口の23%しか採用基準を満たず、1割未満しか米軍入隊に関心を持っていない「Z世代」へのアピール不足が原因の一つと考えられているようです
これらの「逆風」を克服すべく、米空軍は、入隊により合法移民応募者がスムーズな「帰化」プロセスを享受できる制度、学生ローン肩代わり制度再導入、首や手への入れ墨基準緩和、スマホアプリによる現役兵士からの募集候補者情報収集、募集担当者への成功報酬や表彰制度などなどの施策を次々に導入しました
これらの成果と、コロナからの経済回復による新人採用競争が激化した過去数年間の状況が一段落しつつあること等も加わり、米空軍採用局の報道官は「来年2024年の見通しは良い」、「DEP([delayed-entry program細部不明)活用による応募者が昨年の2倍で、更に増加中」等と、空軍長官の11日の発言を裏付ける現場の様子を紹介しています
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海兵隊と宇宙軍は募集数が小さく募集状況には余裕があると、過去記事「電卓持ち込み可へ」でご紹介しましたが、空軍も2024年度に向け明るい傾向が見えており、各種基準の緩和が気にはなりますが、時代の流れでしょうからしょうがないでしょう。
空軍より状況が厳しそうな、陸軍と海軍の来年2024年度の見通しも聞きたいものです。
新兵募集難&離職者増への対応
「新兵入隊学力試験に電卓持ち込み可へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/29/4976/
「募集難に合法移民へ猛烈アプローチ」→https://holylandtokyo.com/2023/06/16/4743/
「兵士慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/12/4608/
「米空軍が体脂肪基準緩和へ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/07/4494/
「歩きスマホやポケットハンドOK」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/
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コロナ明け後の雇用急増で若者採用競争
2024年度は回復傾向と自信示す

ただし同空軍長官は、2024年度は米空軍の各種取り組みもあり募集実績は回復傾向にあり、2024年度最初の月となる2023年10月の採用は既に目標を達成しており、11月も目標数を十分クリアできる勢いで採用活動が行われていると自信を示しました

2023年度が採用目標未達になる原因として、コロナ禍で2020年ころから公開の場での採用活動やイベントを自粛していた影響、コロナ後の企業活動や社会活動活発化による新人採用急増による人の奪い合い、

これらの「逆風」を克服すべく、米空軍は、入隊により合法移民応募者がスムーズな「帰化」プロセスを享受できる制度、学生ローン肩代わり制度再導入、首や手への入れ墨基準緩和、スマホアプリによる現役兵士からの募集候補者情報収集、募集担当者への成功報酬や表彰制度などなどの施策を次々に導入しました

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空軍より状況が厳しそうな、陸軍と海軍の来年2024年度の見通しも聞きたいものです。
新兵募集難&離職者増への対応
「新兵入隊学力試験に電卓持ち込み可へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/29/4976/
「募集難に合法移民へ猛烈アプローチ」→https://holylandtokyo.com/2023/06/16/4743/
「兵士慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/12/4608/
「米空軍が体脂肪基準緩和へ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/07/4494/
「歩きスマホやポケットハンドOK」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/
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指示から27時間で衛星打上げで最短記録更新 [サイバーと宇宙]
宇宙軍が22年9月に契約の衛星とロケット企業により
衛星網緊急補完目指す「Victus Nox」計画の試験成功
次段階「Victus Haze」計画は24時間を地上センター含め
9月14日、米宇宙軍が計画する衛星緊急打ち上げ態勢確立のための準備第1弾「Victus Nox」計画に基づき、宇宙軍SSC(Space Systems Command)が昨年9月に契約した衛星企業「Millennium Space Systems」とロケット打ち上げ企業「Firefly Aerospace」が、指示から27時間での衛星打ち上げに成功し、従来記録の21日間を大幅に更新しました
衛星システム対する脅威は年々高まり、ロシアや中国は地上発射型で軌道上衛星を直接攻撃する兵器や衛星を無効化する物体を射出する衛星、宇宙空間で他の衛星をロボットアームで捕獲する能力を持つ衛星を試験した等と言われていますが、
このような対衛星兵器の攻撃を受け被害が出た場合にも、迅速に「代替衛星」を投入することができれば、宇宙能力全体に穴をあけること無く任務が継続できることから、そのための様々な検討が米国防省内で継続的に実施されており、今回の「Victus Nox」計画の契約が22年9月に、続く「Victus Haze」計画の企業募集が今年8月に開始されたところです
準備第1弾「Victus Nox」計画では、宇宙軍からの「hot standby態勢」指示で衛星製造企業とロケット提供企業が60時間で打ち上げ可能な待機態勢に入ることがまず求められ、「hot standby態勢」が完了後は、実際の打ち上げ指示から24時間以内の打ち上げ実施を目指していました
宇宙軍と契約した2企業は8月から「hot standby態勢」に入り、14日の打ち上げに向け求められていた「60時間」以内の58時間で待機態勢をとることに成功しました。この間に衛星企業「Millennium Space Systems」が衛星を自社保管場所から165マイル離れた加州のVandenberg宇宙基地に運び込み、衛星の最終チェックと衛星燃料充填を完了して打ち上げ企業「Firefly Aerospace」のロケットAlpha launch vehicleに搭載完了しました
そして実際の打ち上げ指令から27時間後の9月14日に打ち上げが行われ、冷蔵庫ほどの大きさの衛星を低高度軌道(low-Earth orbit)に投入することに成功したとのことです。なお「Victus Nox」計画では、軌道投入後、48時間以内に衛星が所要の運用を開始することまでを求めています
続く準備第2弾の「Victus Haze」計画では、「hot standby態勢」指示で衛星製造企業とロケット提供企業に加え、地上管制センターも含め、「48時間以内」に打ち上げ可能な待機態勢に入ることがまず求められ、続く「alert態勢」指示で、「hot standby態勢」を30日間維持できる態勢確立を求められます。
そして、その後に出される「notice to launch」指示で、最終的に24時間以内に打上げ可能な態勢を確立を条件に、企業募集が8月24日から行われました(9月8日締め切り。結果未確認)
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第1弾「Victus Nox」計画と第2弾の「Victus Haze」計画の理解やその差異の説明については、まんぐーすの理解に「怪しい」部分があります。ご注意ください
第1弾の「Victus Nox」計画の検討開始から、まだ1年経過していないとの「迅速」推進振りで、宇宙軍が国防省DIU等を巻き込んで進める優先度の高い取り組みです。民間企業の活躍が目覚ましい分野であり、引き続き基礎知識不十分ながら、見ていきたいと思います
Victus Nox計画を発展させたVictus Haze計画の企業募集
「24時間以内での緊急衛星打上を目指し」→https://holylandtokyo.com/2023/08/30/4992/
2019年の米空軍検討&調査
「24時間以内の緊急打ち上げへ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-01
最近の宇宙軍動向と民間脅威レポート
「初のTargeting Squadron」→https://holylandtokyo.com/2023/08/23/4970/
「別の脅威レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-15
「CSIS宇宙脅威レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-14-3
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衛星網緊急補完目指す「Victus Nox」計画の試験成功
次段階「Victus Haze」計画は24時間を地上センター含め

衛星システム対する脅威は年々高まり、ロシアや中国は地上発射型で軌道上衛星を直接攻撃する兵器や衛星を無効化する物体を射出する衛星、宇宙空間で他の衛星をロボットアームで捕獲する能力を持つ衛星を試験した等と言われていますが、

準備第1弾「Victus Nox」計画では、宇宙軍からの「hot standby態勢」指示で衛星製造企業とロケット提供企業が60時間で打ち上げ可能な待機態勢に入ることがまず求められ、「hot standby態勢」が完了後は、実際の打ち上げ指示から24時間以内の打ち上げ実施を目指していました

そして実際の打ち上げ指令から27時間後の9月14日に打ち上げが行われ、冷蔵庫ほどの大きさの衛星を低高度軌道(low-Earth orbit)に投入することに成功したとのことです。なお「Victus Nox」計画では、軌道投入後、48時間以内に衛星が所要の運用を開始することまでを求めています

そして、その後に出される「notice to launch」指示で、最終的に24時間以内に打上げ可能な態勢を確立を条件に、企業募集が8月24日から行われました(9月8日締め切り。結果未確認)
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第1弾の「Victus Nox」計画の検討開始から、まだ1年経過していないとの「迅速」推進振りで、宇宙軍が国防省DIU等を巻き込んで進める優先度の高い取り組みです。民間企業の活躍が目覚ましい分野であり、引き続き基礎知識不十分ながら、見ていきたいと思います
Victus Nox計画を発展させたVictus Haze計画の企業募集
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2019年の米空軍検討&調査
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最近の宇宙軍動向と民間脅威レポート
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若手中尉が論文:世界的気温上昇で輸送機効率ダウン [米空軍]
2039年にはC-17輸送機の搭載量が約9%ダウン
2099年には同機搭載量が約3割ダウンの可能性も
米空軍大学が発行している2023年夏号の「Air & Space Operations Review」が、C-17パイロット訓練生である女性中尉の論文「Barriers to Force Projection」を取り上げ、世界的な気候変動による気温上昇により、最悪シナリオでは、2039年までにC-17輸送機の最大搭載量が多くの地域で8.5%減少し、2099年までを想定すると約3割減少する恐れがある、との同中尉の分析を紹介しています
筆者のKaitlyn Benton中尉は、戦闘機パイロット希望もあったものの、修士論文で空軍による戦力輸送にも関係が深い「空間地理情報:geospatial intelligence」を取り上げるためにC-17操縦者の道に進路を変更した人で、「Air & Space Operations Review」掲載論文は、修士論文作成時に浮かんだ疑問に挑んだもののようですが、内容はあくまで個人的な意見と断ったうえで、米空軍協会機関誌に論文概要を語っています
航空機が飛行する空間大気温度が「気候変動:climate change」により上昇すると、同じ高度を飛行しても空気密度が薄くなり、浮力やエンジン推力や燃費効率が低下して、輸送機に搭載可能な貨物重量や輸送機の航続距離が低下する現象を、地球温暖化の最悪シナリオを想定して分析した結果を、同中尉は論文にまとめています
論文の結論部分を要約すると、気候変動による気温上昇度合いは各地で異なりますが・・・
2020年時点と比較して2039年時点では、
●最大搭載重量が8.5%減少する範囲
(8.5%減小は1.45万ポンドでUH-60ヘリ1機に相当)
・中央軍とアジア太平洋軍エリアの約50%の範囲
・米南部軍とアフリカ軍エリアの約85%の範囲
●最大離陸重量への影響
(29.3%減少は約5万ポンドでBradley戦闘車両1台分)
・米アフリカ軍担当エリア全域で17%減少、
・同軍担当エリアの3/4のエリアで29.3%の減少
2020年と2099年の比較
(最大離陸重量減少29.3%の範囲は)
・米中央軍とアジア太平洋軍エリアでは36%
・南米軍エリアでは69%
・米アフリカ軍エリアでは73%
なお、北米軍や欧州軍エリアでは、最大搭載重量が8.5%も減少する影響は出ないが、最大搭載重量や離陸重量の減少量の増加率が、他の地域と比較して高くなっているようです
将来輸送機の検討&導入は、気候変動に伴う気温上昇による飛行効率低下の影響を緩和すると期待され、今年8月にBWB(blended-wing body)機のプロトタイプ作成契約が締結され本格始動し、2027年の飛行試験開始が予定されていますが、C-17後継機として入れ替えが完了するには長期間を要することから、気温上昇に迅速な対応は期待できません
また同様の気温上昇による飛行効率低下は、輸送機だけでなく、爆撃機、空中給油機、回転翼機や戦闘機にも一定程度予期される現象であり、小さな影響が積みあがることで、展開基地や中継基地の配置や選定、必要燃料量や空中給油ポイントの見積もり、また空輸限界を見据えた可能な展開戦力量など、作戦計画の様々な分野に修正を迫るものとなり、より大規模な検討が必要な分野と考えられています
////////////////////////////////////////////
同中尉は、「私の研究論文の対象範囲はほんの一部であり、様々な課題や要検討事項への対応を開始している国防省や各軍種レベルの気候変動対処部署が存在する」、「中国やロシアの脅威のように、広く認識され議論されている脅威ではないが、その影響が決して小さくない課題であり、私も微力ながら引き続き問題に取り組んでいきたい」と論文を締めくくっているようです
気候変動に対処するため、C02排出量の削減だ、太陽光や風力や地熱発電設備の導入だ、2050年までにカーボンニュートラルだ・・・とまで言われると、なんとなく「うさん臭い」印象を受け、中国の裏工作などを疑ってしまうまんぐーすですが、この夏の日本や欧州の猛暑など、世界的な気候の変化は顕著であり、米国防省各レベルで推進中の「気候変動対処計画」が避けて通れないことは認めざるを得ません
2023年夏号の「Air & Space Operations Review」96ページ
→ https://www.airuniversity.af.edu/Portals/10/ASOR/Journals/Volume-2_Number-2/ASOR_Volume_2_Number_2..pdf
国防省内の気候変動対処
「空軍のCAP気候変動対処計画」→https://holylandtokyo.com/2022/11/07/3747/
「国防省が気候変動対処構想発表」→https://holylandtokyo.com/2021/10/11/2318/
「海軍と海兵隊が対処演習強化」→https://holylandtokyo.com/2022/09/28/3666/
「米陸軍が前線電力消費増に対応」→https://holylandtokyo.com/2022/04/25/3138/
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2099年には同機搭載量が約3割ダウンの可能性も

筆者のKaitlyn Benton中尉は、戦闘機パイロット希望もあったものの、修士論文で空軍による戦力輸送にも関係が深い「空間地理情報:geospatial intelligence」を取り上げるためにC-17操縦者の道に進路を変更した人で、「Air & Space Operations Review」掲載論文は、修士論文作成時に浮かんだ疑問に挑んだもののようですが、内容はあくまで個人的な意見と断ったうえで、米空軍協会機関誌に論文概要を語っています

論文の結論部分を要約すると、気候変動による気温上昇度合いは各地で異なりますが・・・
2020年時点と比較して2039年時点では、
●最大搭載重量が8.5%減少する範囲
(8.5%減小は1.45万ポンドでUH-60ヘリ1機に相当)
・中央軍とアジア太平洋軍エリアの約50%の範囲
・米南部軍とアフリカ軍エリアの約85%の範囲
●最大離陸重量への影響
(29.3%減少は約5万ポンドでBradley戦闘車両1台分)
・米アフリカ軍担当エリア全域で17%減少、
・同軍担当エリアの3/4のエリアで29.3%の減少
2020年と2099年の比較
(最大離陸重量減少29.3%の範囲は)
・米中央軍とアジア太平洋軍エリアでは36%
・南米軍エリアでは69%
・米アフリカ軍エリアでは73%

将来輸送機の検討&導入は、気候変動に伴う気温上昇による飛行効率低下の影響を緩和すると期待され、今年8月にBWB(blended-wing body)機のプロトタイプ作成契約が締結され本格始動し、2027年の飛行試験開始が予定されていますが、C-17後継機として入れ替えが完了するには長期間を要することから、気温上昇に迅速な対応は期待できません

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同中尉は、「私の研究論文の対象範囲はほんの一部であり、様々な課題や要検討事項への対応を開始している国防省や各軍種レベルの気候変動対処部署が存在する」、「中国やロシアの脅威のように、広く認識され議論されている脅威ではないが、その影響が決して小さくない課題であり、私も微力ながら引き続き問題に取り組んでいきたい」と論文を締めくくっているようです

2023年夏号の「Air & Space Operations Review」96ページ
→ https://www.airuniversity.af.edu/Portals/10/ASOR/Journals/Volume-2_Number-2/ASOR_Volume_2_Number_2..pdf
国防省内の気候変動対処
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米空軍が新電子戦機EC-37Bの初号機受領 [米空軍]
EC-130後継機として10機調達予定
ビジネスジェットGulfstream G550に装備搭載
搭載装備に大差なしも、航空機性能大幅向上
9月12日、米空軍EC-130電子戦機の後継機として、10機導入が予定されているEC-37B Compass Callの初号機が米空軍に引き渡され、今後米空軍による性能確認&運用試験が開始されると、製造企業であるBAE SystemsとL3Harris Technolgiesが発表しました
また(恐らく)同日、米空軍戦闘コマンド司令官であるMark Kelly大将は記者団に、「EC-130の老朽化が進む中、もっと早期に導入しておくべきだった戦力だ」と予算状況に不満を示しつつも、「EC-37Bのジャミング能力は、米軍の海上および航空戦力を防御し、友軍が敵エリアに接近することを可能にする」と新型機に期待を示しました
同司令官はEC-37Bについて、搭載電子戦機材については、能力向上改修を継続的に続けてきたEC-130と大きな差はないとしつつも、EC-130が速度300ノット程度で上昇高度限界が25000フィートであるのに対し、ビジネスジェットGulfstream G550を原型として機体の信頼性が証明済のEC-37Bは、速度600ノット弱で同高度40000フィートが可能で、
同機の任務である敵の通信やレーダーや航法システムに対する電子妨害により、例えば敵兵器と指揮統制システムとの連携を妨げ、敵の防空兵器システムを無効化することを、より広範囲に所在する敵に対して行うことができる、と説明しました
更に同大将は記者団の質問に応え、米空軍が開発&導入を急いでいる無人ウイングマン機CCA(collaborative combat aircraft)が担う電子戦能力との住み分けについて、CCAがEC-37Bの取って代わることはなく、EC-37Bの能力を、F-35やF-15EXやCCA搭載の電子戦装備が補完するようなイメージだと説明しました
また今後のEC-37B性能確認&運用試験の中で、基本的な性能や自機システムへの干渉影響を確認するとともに、F-35やF-15EXやCCA等と共に同じ作戦エリアで活動する際に、「電子的有軍相撃」を起こすことなく、各電子戦アセットがうまく融合するように種々の確認を行う予定だ、とも述べました
/////////////////////////////////////
秘匿性の高い「電子戦」に関する新装備の導入ですから、いつ企業から空軍に引き渡されたのか、2023年5機導入や試験予定などなど、具体的なことに空軍側も企業側も一切言及しなかったようですが、順調であることを期待します
米空軍は「米空軍にはステルス戦闘機やステルス爆撃機があるから大丈夫」との理屈で、使い捨て電子戦用デコイMALD配備はありますが、F-4G PhantomとEF-111 Raven後継機導入計画はなく、唯一戦闘機タイプの電子戦機である海軍EA-18Gの空軍など他軍種支援用機体も、2025年には退役する予定です
F-35や次期制空機NGADにばかり資金を投入して、電子戦機のような重要な脇役への投資が疎かになっているのでは・・・と米空軍OBから懸念の声が上がっているところです
海軍EA-18G電子戦機の他軍種支援用が2025年に退役
ウクライナ支援でドイツに展開の米海軍EA-18G
「大御所米空軍OB研究者が大懸念」→https://holylandtokyo.com/2022/05/27/3249/
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ビジネスジェットGulfstream G550に装備搭載
搭載装備に大差なしも、航空機性能大幅向上

また(恐らく)同日、米空軍戦闘コマンド司令官であるMark Kelly大将は記者団に、「EC-130の老朽化が進む中、もっと早期に導入しておくべきだった戦力だ」と予算状況に不満を示しつつも、「EC-37Bのジャミング能力は、米軍の海上および航空戦力を防御し、友軍が敵エリアに接近することを可能にする」と新型機に期待を示しました

同機の任務である敵の通信やレーダーや航法システムに対する電子妨害により、例えば敵兵器と指揮統制システムとの連携を妨げ、敵の防空兵器システムを無効化することを、より広範囲に所在する敵に対して行うことができる、と説明しました

また今後のEC-37B性能確認&運用試験の中で、基本的な性能や自機システムへの干渉影響を確認するとともに、F-35やF-15EXやCCA等と共に同じ作戦エリアで活動する際に、「電子的有軍相撃」を起こすことなく、各電子戦アセットがうまく融合するように種々の確認を行う予定だ、とも述べました
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秘匿性の高い「電子戦」に関する新装備の導入ですから、いつ企業から空軍に引き渡されたのか、2023年5機導入や試験予定などなど、具体的なことに空軍側も企業側も一切言及しなかったようですが、順調であることを期待します

F-35や次期制空機NGADにばかり資金を投入して、電子戦機のような重要な脇役への投資が疎かになっているのでは・・・と米空軍OBから懸念の声が上がっているところです
海軍EA-18G電子戦機の他軍種支援用が2025年に退役
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アジア太平洋空軍はACE完全運用態勢にない [米空軍]
ACC司令官にご栄転予定のPACAF司令官が語る
空軍特殊作戦軍司令官は「滑走路は期待薄」とズバリ指摘
9月13日、米空軍協会の航空宇宙サーバー会議でACE構想(Agile Combat Employment)関連のパネル討議が実施され、ACC司令官にご栄転予定のWilsbachアジア太平洋空軍司令官、Bauernfeind空軍特殊作戦コマンド司令官、Minihan空軍輸送コマンド司令官が、様々な取り組み状況を語りました
Wilsbachアジア太平洋空軍司令官は、西太平洋地域に残された全てのWW2時の航空基地痕跡を求めて調査し、分散運用拠点としての活用可能性を追求するなど、様々な取り組みを過去数年で行ってきたが、完全運用態勢(full operational capability)にはさらなる努力が必要だと語り、
Bauernfeind空軍特殊作戦コマンド司令官は、様々な検討を経た現時点では、滑走路が確保できるかどうかわからない状態を受け入れて、滑走路に頼らない空軍特殊作戦軍を目指す必要性を述べ、Minihan空軍輸送コマンド司令官は、5月にグアム島が大きな台風被害を受けたが、7月には「米空軍史上最大の空輸演習」を初めて西太平洋地域で実施してACE構想遂行能力を高めたと語りました
Wilsbachアジア太平洋空軍司令官は
●西太平洋の島々に残されていた、今はジャングルに飲み込まれてたWW2時代の飛行場施設を残さず調査し、ACE構想に沿った最低限の拠点となり得る場所を特定し、ジャングルを取り除き、燃料や弾薬を保管し、兵士が寝起きでき、航空機を再発進可能な必要最小限の施設を備える拠点を、テニアン島などの場所でいくつか整備している
●5月24日に巨大台風Mawarがグアム島を直撃し、アンダーセン基地は約7億円相当の被害を受けたが、被害後に同基地を視察した際、私は基地司令官に「この台風被害は、広範囲に計画された敵による各種ミサイル攻撃被害より甚大であり、ACE構想準備に向けたパーフェクトな準備訓練となり得る」と告げ、前向きにこの台風被害をとらえて対処せよと指示した
●このようにACE構想態勢整備に尽力してきたが、アジア太平洋空軍がACEに関し完全運用態勢FOCを確立したと宣言できるレベルには達していない。前線基地は敵攻撃に耐えられるか、通信は大丈夫か、CBRN攻撃や高性能爆薬攻撃に対処できる準備があるか等々、ACE体制完全確立にはなすべきことが多く残されている
●兵站支援能力の確保も課題だし、多能力を備えた兵士の確保も道半ばであるし、攻撃時に兵士の生命を守る体制確保も課題として残っている。PACAF所属部隊には、日々の活動にACE構想を念頭に置いて取り組み、体がACE実現のための動きを記憶するぐらいにしてほしいと要望している
Minihan空軍輸送コマンド司令官は
●巨大台風Mawarがアンダーセン基地に大きな被害を与えたわずか2か月後に、我々は空輸演習「Mobility Guardian 2023」演習を史上最大規模で、しかも初めての国外である西太平洋地域で計画していたが、これをACE構想に向けての訓練として7月5日から約2週間にわたり実施した
Bauernfeind空軍特殊作戦コマンド司令官は
●我々は様々な角度から分析し、アジア太平洋戦域の航空施設が厳しい脅威下にある状況を改めて強く認識し、滑走路に依存しない能力確保が求められているとの考えに至りつつあり(we have to have runway-agnostic capabilities)、アジア太平洋空軍が適当な前線航空拠点を確保できなくても、作戦運用可能な体制に向け準備を始めている
●海上着粋水が可能なフロート付きMC-130Jプロジェクトを数年前から開始しているほか、DARPAや米特殊作戦軍と協力して、CV-22オスプレイの後継となるような滑走路を必要としない高速航空機開発を目指す「SPRINT :Speed and Runway Independent Technologies program」に着手している
///////////////////////////////////////////////////
固定翼機を中心戦力にする太平洋空軍や輸送コマンド司令官が口が裂けても言えない「滑走路は期待薄」を、空軍特殊作戦コマンド司令官が言葉を慎重に選びながらもズバリ指摘ている点が痛快です。
ところで全く別の話ですが、9月10日にバイデン大統領が訪問先ベトナムでの記者会見で、「中国は困難な経済問題を抱えている」、「中国若年層の失業率上昇や経済政策の失敗等々で、習近平の手はふさがっている」と指摘し、一方で、こうした中国の国内問題が米中対立激化につながらず、中国経済の減速が「中国による台湾侵攻を引き起こすとは思わない」と明言しています。
驚くほど急激な中国経済崩壊の進展を目にすると、正解かどうかは別として、「中国軍事脅威」が遠のくと考えるのは自然な流れであり、これまで中国脅威で「軍事予算確保」に動いてきた米国や日本は、突然の「逆風」に大混乱しているのではないかと推察いたします
本日の記事と関連ある過去記事
「巨大台風でグアム米空軍基地に相当な被害か」→https://holylandtokyo.com/2023/05/29/4688/
「米空軍史上最大の空輸演習が初めて西太平洋で」→https://holylandtokyo.com/2023/07/13/4852/
「2022年6月ACE構想の現状語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「フロート付MC-130J検討」→https://holylandtokyo.com/2021/10/13/2296/
米空軍の将来作戦コンセプトACE関連記事
「米空軍がACEドクトリン発表」→https://holylandtokyo.com/2021/12/17/2532/
「欧州米空軍がACE構想の確認演習」→https://holylandtokyo.com/2021/10/27/2317/
「GuamでF-35とF-16が不整地離着陸」→https://holylandtokyo.com/2021/01/29/310/
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
空軍特殊作戦軍司令官は「滑走路は期待薄」とズバリ指摘

Wilsbachアジア太平洋空軍司令官は、西太平洋地域に残された全てのWW2時の航空基地痕跡を求めて調査し、分散運用拠点としての活用可能性を追求するなど、様々な取り組みを過去数年で行ってきたが、完全運用態勢(full operational capability)にはさらなる努力が必要だと語り、

Wilsbachアジア太平洋空軍司令官は
●西太平洋の島々に残されていた、今はジャングルに飲み込まれてたWW2時代の飛行場施設を残さず調査し、ACE構想に沿った最低限の拠点となり得る場所を特定し、ジャングルを取り除き、燃料や弾薬を保管し、兵士が寝起きでき、航空機を再発進可能な必要最小限の施設を備える拠点を、テニアン島などの場所でいくつか整備している

●このようにACE構想態勢整備に尽力してきたが、アジア太平洋空軍がACEに関し完全運用態勢FOCを確立したと宣言できるレベルには達していない。前線基地は敵攻撃に耐えられるか、通信は大丈夫か、CBRN攻撃や高性能爆薬攻撃に対処できる準備があるか等々、ACE体制完全確立にはなすべきことが多く残されている
●兵站支援能力の確保も課題だし、多能力を備えた兵士の確保も道半ばであるし、攻撃時に兵士の生命を守る体制確保も課題として残っている。PACAF所属部隊には、日々の活動にACE構想を念頭に置いて取り組み、体がACE実現のための動きを記憶するぐらいにしてほしいと要望している

●巨大台風Mawarがアンダーセン基地に大きな被害を与えたわずか2か月後に、我々は空輸演習「Mobility Guardian 2023」演習を史上最大規模で、しかも初めての国外である西太平洋地域で計画していたが、これをACE構想に向けての訓練として7月5日から約2週間にわたり実施した
Bauernfeind空軍特殊作戦コマンド司令官は

●海上着粋水が可能なフロート付きMC-130Jプロジェクトを数年前から開始しているほか、DARPAや米特殊作戦軍と協力して、CV-22オスプレイの後継となるような滑走路を必要としない高速航空機開発を目指す「SPRINT :Speed and Runway Independent Technologies program」に着手している
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固定翼機を中心戦力にする太平洋空軍や輸送コマンド司令官が口が裂けても言えない「滑走路は期待薄」を、空軍特殊作戦コマンド司令官が言葉を慎重に選びながらもズバリ指摘ている点が痛快です。

驚くほど急激な中国経済崩壊の進展を目にすると、正解かどうかは別として、「中国軍事脅威」が遠のくと考えるのは自然な流れであり、これまで中国脅威で「軍事予算確保」に動いてきた米国や日本は、突然の「逆風」に大混乱しているのではないかと推察いたします
本日の記事と関連ある過去記事
「巨大台風でグアム米空軍基地に相当な被害か」→https://holylandtokyo.com/2023/05/29/4688/
「米空軍史上最大の空輸演習が初めて西太平洋で」→https://holylandtokyo.com/2023/07/13/4852/
「2022年6月ACE構想の現状語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「フロート付MC-130J検討」→https://holylandtokyo.com/2021/10/13/2296/
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「米空軍がACEドクトリン発表」→https://holylandtokyo.com/2021/12/17/2532/
「欧州米空軍がACE構想の確認演習」→https://holylandtokyo.com/2021/10/27/2317/
「GuamでF-35とF-16が不整地離着陸」→https://holylandtokyo.com/2021/01/29/310/
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
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B-21がエンジン稼働試験開始&屋外写真公開 [米空軍]
7月の「最近power on試験実施」後の初の発表
依然として「2023年末までには初飛行」維持
Brown参謀総長が「完璧な成功例」と12日スピーチ
9月12日、B-21次期爆撃機について、製造企業Northrop Grumman(NG)社とBrown空軍参謀巣長が別々の場で、NG社が「地上試験の一環として、エンジン稼働試験を開始した」と発表し、
空軍参謀総長は米空軍協会航空宇宙サーバー会議の講演で、以下の側面から「B-21は完璧な成功例」だと讃え、3つの側面「設計コンセプトの実現」、「作戦運用者と装備調達関係者の緊密連携による前線への求められる能力提供」、「極めて重要な航空機の稼働体制を維持する維持整備プロセス技術の開発」を強調しました
初飛行の予定など、以後の開発スケジュールについて両者から追加言及は一切無かった模様ですが、以前から発表されている「2023年末までには初飛行」に向け、淡々と準備が進められている模様です
更に両者が7月31日に撮影されたとされる屋外と格納庫内の新しい写真を公開(空軍が2枚、NG社が1枚)したことから、12日付米空軍協会web記事は、素人にはよくわからない、以下のような機体の特徴解説しています(専門用語なので和訳に自信なしです)
・エンジン用空気取り入れ口が、従来のステルス機よりもはるかに細い。脚の格納庫扉もB-2よりはるかにシンプル。
・翼の操縦翼面が初確認できるが、片翼に3面あるように見えるそれは、B-2よりはるかに大きい
・飛行試験データ測定用の空気取り入れProbe が、機種下に斜め下方向に取り付けられている。機体が上昇姿勢時のデータ収集用かもしれない
・操縦席後方の機体上部に、のこぎり型ギザギザ形状部分が確認できるが、B-2爆撃機と同様に、空中給油用ブームの受け入れ口かもしれない
・B-21の操縦席側方窓は、以前公開された想像図より、はるかに小さく、横長で縦方向が短い
またB-21の維持整備プロセス開発にあたっているRichardson Materiel Command司令官は、「これまでの機体開発や前線部隊での維持整備の教訓を生かすため、開発設計段階から、メンテナンス手法や作業手順の細部にこだわって関与してきた」と空軍協会イベントで力説し、困難なステルス機体の維持整備を容易化するなどに取り組んできたと説明しています
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B-21爆撃機に関しては、2022年12月に機体が初披露(正面からのみ。写真撮影もカメラの能力制限付きで可)後、3月に新たな写真2枚を公開し、7月にNG社CEOが「順調」、「最近power on試験(電源投入)実施」、「2023年末までには初飛行。具体的日程は試験の進捗次第」と発表以来、
引き続き全く細部情報がありませんが、年末までにあると発表されている突然の「初飛行」ニュースを待ちましょう
B-21関連記事
「最近power on試験実施」→https://holylandtokyo.com/2023/08/03/4911/
「豪州もB-21購入検討していた」→https://holylandtokyo.com/2023/05/15/4588/
「B-21導入による米空軍爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「初披露のメディア扱い」→https://holylandtokyo.com/2022/12/14/4027/
「映像で紹介:B-21初披露式典」→https://holylandtokyo.com/2022/12/05/4015/
「10の視点でご紹介:NG社事前リリース」→https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/
「12月2日に初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/10/24/3796/
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依然として「2023年末までには初飛行」維持
Brown参謀総長が「完璧な成功例」と12日スピーチ

空軍参謀総長は米空軍協会航空宇宙サーバー会議の講演で、以下の側面から「B-21は完璧な成功例」だと讃え、3つの側面「設計コンセプトの実現」、「作戦運用者と装備調達関係者の緊密連携による前線への求められる能力提供」、「極めて重要な航空機の稼働体制を維持する維持整備プロセス技術の開発」を強調しました

更に両者が7月31日に撮影されたとされる屋外と格納庫内の新しい写真を公開(空軍が2枚、NG社が1枚)したことから、12日付米空軍協会web記事は、素人にはよくわからない、以下のような機体の特徴解説しています(専門用語なので和訳に自信なしです)
・エンジン用空気取り入れ口が、従来のステルス機よりもはるかに細い。脚の格納庫扉もB-2よりはるかにシンプル。
・翼の操縦翼面が初確認できるが、片翼に3面あるように見えるそれは、B-2よりはるかに大きい
・飛行試験データ測定用の空気取り入れProbe が、機種下に斜め下方向に取り付けられている。機体が上昇姿勢時のデータ収集用かもしれない
・操縦席後方の機体上部に、のこぎり型ギザギザ形状部分が確認できるが、B-2爆撃機と同様に、空中給油用ブームの受け入れ口かもしれない
・B-21の操縦席側方窓は、以前公開された想像図より、はるかに小さく、横長で縦方向が短い

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引き続き全く細部情報がありませんが、年末までにあると発表されている突然の「初飛行」ニュースを待ちましょう
B-21関連記事
「最近power on試験実施」→https://holylandtokyo.com/2023/08/03/4911/
「豪州もB-21購入検討していた」→https://holylandtokyo.com/2023/05/15/4588/
「B-21導入による米空軍爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「初披露のメディア扱い」→https://holylandtokyo.com/2022/12/14/4027/
「映像で紹介:B-21初披露式典」→https://holylandtokyo.com/2022/12/05/4015/
「10の視点でご紹介:NG社事前リリース」→https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/
「12月2日に初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/10/24/3796/
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NZ海軍がほぼ全艦艇の同時更新へ [安全保障全般]
1隻の補給艦を除く、他全8隻の更新提案を募集開始
8隻が2030年代半ばに耐用年数を迎えるとか
単なる更新ではなく、体制・作戦運用・支援体制の変革追及
9月7日、ニュージーランド国防省は同国海軍Royal New Zealand Navy (RNZN)が保有する艦艇9隻のうち、就航3年の最新型補給艦(HMNZS Aotearoa)を除く他の8隻が2030年半ばに耐用年数を迎えることから、11月15日を期限に情報提供要求(RFI:request for information)を発出しました
比較的脅威が薄いニュージーランドの戦略環境を背景に、海洋国家でありながら海軍が全9隻体制とは驚きですが、2019年に同国政府が発表している「Defence Capability Plan」で、既に海軍の「体制や運用全部見直し」が予告されていたようです
まず現在のNZ海軍戦力を確認しておくと
〇更新対象外
1隻2020年就航の最新型補給艦(HMNZS Aotearoa:全長約170m)
〇更新検討対象
2隻のフリゲート艦Anzac級(全長約115m):就航1997年と99年
2隻の沿岸パトロール艦(全長55m):就航2009年
2隻の遠洋パトロール艦(全長85m):就航2010年
1隻の輸送艦HMNZS Canterbury(全長約130m):就航2007年
1隻の水路調査船HMNZS Manawanui(全長約83m):就航2019年
(元は海底油田支援船で2003年就航)
同海軍はRFI発出に伴うプレス発表で、「個々の艦艇をそのまま更新するlike for like approachではなく、このユニークなタイミングを海軍全体の艦艇構成や作戦運用や艦艇支援体制を見直す機会ととらえている」と述べています。
ただし、2019年発表の「Defence Capability Plan」は2024年までを対象に、同国軍全体の投資方向を詳細に記述している模様ですが、ニュージーランドでは10月に総選挙が予定されており、結果次第では同計画の方向性に影響が出る可能性があるようです
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以下の8月の「国防見直し」発表報道のように、中国から9000㎞離れたニュージーランドでも中国の脅威を強く意識しているようですが、10月14日の総選挙に向けた政治情勢は与野党伯仲の混戦模様で、総選挙終了まで、全てが様子見になっているようです
具体的には、アーダーン前首相(美人!)の個人的人気を追い風に6年前に政権奪還を果たした労働党ですが、足下では物価高、治安情勢、住宅価格への対応を理由に支持率は低下傾向が続いています。政党別支持率では国民党が労働党を上回る推移で、差が開く傾向だそうですが、首相候補の人気では現職の労働党ヒプキンス首相が僅差で国民党のラクソン党首を上回るなど、国民党は決め手を欠く状況が続いているようです
8月4日付のロイター「国防見直し」発表報道によれば、
●ニュージーランド(NZ)政府は同日公表の「国防見直し」で、大国間の対立が激化する中、ここ数十年で最も困難な戦略的環境に直面しているとした上で、軍備は将来の課題に適した水準ではないとの分析を表明したが、改善への具体的計画は示さず
●同政府は「国防見直し」に合わせ、初の「国家安全保障戦略」を発表。気候変動や欧米と中国・ロシアの間の戦略的競争といった課題に対応するために、軍事費増額とインド太平洋諸国との関係強化が必要と強調
●「国防見直し」発表に際し、ブリッジマン国防長官は「直面する脅威はより複雑化より困難に」と表明。「当面は現軍隊で対応するが、新たな未来と進化する状況を見据える必要あり」、「強大になる中国は、既存の国際的ルールや規範に挑戦する形で、手段を行使している」との情勢認識を示したが、
●現時点でGDP約1%を占める国防予算の増額や装備の刷新決定は、2024年の追加文書発表までは行われない、とも述べた。
最近のNZ関連記事
「米空軍史上最大の空輸演習@西太平洋」→https://holylandtokyo.com/2023/07/13/4852/
「Talisman Sabreを過去最大の兵站演習に」→https://holylandtokyo.com/2023/04/14/4506/
「7か国で宇宙作戦ビジョン2031」→https://holylandtokyo.com/2022/02/25/2753/
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
8隻が2030年代半ばに耐用年数を迎えるとか
単なる更新ではなく、体制・作戦運用・支援体制の変革追及


まず現在のNZ海軍戦力を確認しておくと
〇更新対象外
1隻2020年就航の最新型補給艦(HMNZS Aotearoa:全長約170m)
〇更新検討対象
2隻のフリゲート艦Anzac級(全長約115m):就航1997年と99年
2隻の沿岸パトロール艦(全長55m):就航2009年
2隻の遠洋パトロール艦(全長85m):就航2010年
1隻の輸送艦HMNZS Canterbury(全長約130m):就航2007年
1隻の水路調査船HMNZS Manawanui(全長約83m):就航2019年
(元は海底油田支援船で2003年就航)

ただし、2019年発表の「Defence Capability Plan」は2024年までを対象に、同国軍全体の投資方向を詳細に記述している模様ですが、ニュージーランドでは10月に総選挙が予定されており、結果次第では同計画の方向性に影響が出る可能性があるようです
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具体的には、アーダーン前首相(美人!)の個人的人気を追い風に6年前に政権奪還を果たした労働党ですが、足下では物価高、治安情勢、住宅価格への対応を理由に支持率は低下傾向が続いています。政党別支持率では国民党が労働党を上回る推移で、差が開く傾向だそうですが、首相候補の人気では現職の労働党ヒプキンス首相が僅差で国民党のラクソン党首を上回るなど、国民党は決め手を欠く状況が続いているようです
8月4日付のロイター「国防見直し」発表報道によれば、

●同政府は「国防見直し」に合わせ、初の「国家安全保障戦略」を発表。気候変動や欧米と中国・ロシアの間の戦略的競争といった課題に対応するために、軍事費増額とインド太平洋諸国との関係強化が必要と強調

●現時点でGDP約1%を占める国防予算の増額や装備の刷新決定は、2024年の追加文書発表までは行われない、とも述べた。
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「米空軍史上最大の空輸演習@西太平洋」→https://holylandtokyo.com/2023/07/13/4852/
「Talisman Sabreを過去最大の兵站演習に」→https://holylandtokyo.com/2023/04/14/4506/
「7か国で宇宙作戦ビジョン2031」→https://holylandtokyo.com/2022/02/25/2753/
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