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無人ウイングマン構想の頭脳ACSが初飛行 [米空軍]

初飛行でいきなり130分間のフライト
Kratos社の試験機「Mako」にACSを搭載して

Mako Kratos.jpg5日米空軍は、4月29日にフロリダ州Tyndall空軍基地を拠点とし、無人ウイングマン構想で当該無人機の頭脳となる自立飛行システム(ACS:autonomy core system)を搭載した無人機が、約130分の初飛行を実施したと発表しました

ACSを搭載しての初飛行を実現したのはKratos社の「UTAP-22 Mako」との試験用無人機で、同社が無人ウイングマン構想の試験機としてこれまで飛行させてきた「XQ-58A Valkyrie」より小型でシンプルそうな機体ですが、縦横6mx3m、高度5万FTまで飛行可能、機体内外に約800ポンドの搭載物が積め、更に両翼にそれぞれ100ポンド搭載可能との機体で、最高速度マック0.9、航続距離1400nmと立派な航空機です

Mako Kratos2.jpg米空軍は、F-35やF-15EXとチームを組んで、有人機にはリスクが高すぎる任務を遂行可能な「a family of Skyborg drones」の開発を計画しており、昨年12月にKratos社と共に、ボーイングとGeneral Atomicsの3社とそれぞれ別々に、同構想のデモ機開発契約を結んだところでした

米空軍は同様の飛行試験を今後数か月で行い、3企業と契約して並行作成させているデモ機が5月末には出来上がってくることから、デモ機も活用して更にACSを成熟させていくものと考えられま

5日付Defense-News記事によれば
米空軍は初飛行について、「ACSは基礎的な飛行能力を披露し、地上からの指示にも対応しつつ、機体の飛行性能を考慮した地形対応の飛行を実現した」と表現し、担当のDale White准将は「開発初期段階のACSによる初飛行に興奮するとともに、今後のSkyborg技術(無人ウイングマン技術)確立に向けたマラソンのような道のりの第一歩だと認識している」と語った
Mako Kratos3.jpgまた、「自立型システムがその能力を示した初飛行となったが、今後も有人機である戦闘機と編隊を組んで作戦行動可能なレベルを目指し、複数の機体で能力を実証していきたい」と声明を出している

今回ACS初飛行の受け皿となった試験機「UTAP-22 Mako」を製造したKratos社CEOのEric DeMarco氏は「Mako はXQ-58A Valkyrieと並ぶ試験用無人機で、多様な顧客の多様なニーズに応え、様々な開発中の装置を搭載して試験飛行が可能で、電子戦センサーや妨害装置、様々なセンサーなど、攻防両方のシステムの試験に活用いただいている」、「MakoやXQ-58A Valkyrieで事前確認しておくことで、他の無人システムにも円滑に搭載することが確認できる」とアピールしている
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この初飛行には、多くのジャーナリストやシンクタンク研究者が招待された模様で、米空軍はその取り組みを懸命にアピールしています

Mako Kratos4.jpgSkyborg構想(無人ウイングマン構想)については、4月上旬に多用途ドローンの投下試験に成功した際も、米空軍がメディア宣伝に力を入れていましたので、「秘密主義で米議や世論へのアピール・説明不足」との汚名挽回を期し、取り組んでいるのでしょう

また試験が行われたフロリダのTyndall空軍基地は、2018年10月に巨大ハリケーンの直撃で壊滅的被害を受けた基地でもあり、復興をアピールする狙いもあったと邪推いたしております

無人機ウイングマン構想
「多用途ドローン投下試験成功」→https://holylandtokyo.com/2021/04/09/103/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holylandtokyo.com/2020/05/24/679/
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
「空母搭載の小型無人機」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-03
「空軍研究所が関連映像公開」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-3

Tyndall空軍基地ハリケーン被害の惨状
「米軍が施設への自然災害で予算枯渇」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-24

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単発中国戦闘機が国産エンジン搭載で初部隊配備か [中国要人・軍事]

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単発J-10C戦闘機に国産WS-10B搭載が演習参加初確認
長年のロシア製エンジンへの依存を断ち切れるのか?

J-10 WS-10B4.jpg11日付Defense-Newsは、中国国営ラジオwebサイトが中国軍の実弾射撃演習を紹介した画像で、部隊配備された単発のJ-10C戦闘機に国産WS-10Bエンジンが搭載されているのを初めて確認したと紹介しています。

これまで中国は戦闘機のエンジンをロシア製に依存し、徐々に双発以上の戦闘機や輸送機に国産エンジンの搭載を試みていた中でしたが、ついに単発の戦闘機にも本格搭載を開始して部隊配備が開始されたのが真実であれば、中国の航空技術が大きな壁「エンジン開発」を乗り越えたことを示すこととなります

J-10C WS-10B.jpg国の工業総合力レベルを示すバロメータと言われるジェットエンジン開発で中国は苦戦が続き、20年以上前から中国産エンジンエンジン開発に取り組んでいると記憶していますが、試験的な搭載機が確認されても実戦配備には至らないケースや、いったん中国製エンジンの搭載を始めても、再びロシア製エンジンに戻ったりしていた記憶があります

例えば、2010年ごろからWS-10型エンジンを双発戦闘機J-11やJ-16に試験搭載しましたが、その後開発が行われた初の中国産空母艦載機J-13や初期型J-10には、結局ロシア製AL-31エンジンが採用されました

J-10 WS-10B2.jpg一方でその後、2018年のZhuhai航空ショーで、J-10B試験機にステルス性の高いWS-10Bを搭載して披露したり、双発のステルス形状攻撃機J-20に国産WS-15エンジンを、また4発のY-20輸送機にWS-10ターボファンエンジンを搭載開始したことが確認されていたところです

エンジンを一つしか搭載せず、エンジントラブルが墜落に直結する単発のJ-10戦闘機に、国産エンジンを搭載して部隊配備が始まっている(らしい)との今回の話は、国産ジェットエンジンへの自信を中国が深めている表れと考えられ、部隊配備の程度が気になるところです

ちなみにJ-10戦闘機は、J-11戦闘機とハイローミックスを構成する第4世代軽戦闘機の位置づけで国産され、1998年初飛行、2005年から運用開始と言われており、中国は450機以上を生産して全土で運用されています。イスラエルのラビ戦闘機の技術導入だとか、様々な情報が乱れ飛んだ中国製戦闘機ですが、公式情報はほとんど公開されていません

11日付Defense-News記事によれば
J-10 WS-10B3.jpgChina National Radioが中国空軍の実弾射撃演習(実施場所不明)を紹介した画像に、J-10C戦闘機が国産WB-10Bエンジンを搭載したことが明確にわかる様子が写っており、部隊配備の単発戦闘機に初めて国産エンジン搭載が確認できたと話題になっている
画像のJ-10C戦闘機の機体番号は画像処理して消されており、所属部隊が判明しないように配慮されているが、西側の中国軍用機専門家は、広東省汕頭市所在の中国空軍部隊のJ-10Cに国産エンジンが搭載され配備されたのだろうと分析している

中国は成都飛機工業公司 (Chengdu Aircraft Industries)製造のJ-10戦闘機に、国産エンジン搭載を2011年頃から試験しており、J-10BやJ-10C試験用航空機への搭載が目撃されていたが、部隊配備用の量産型への搭載開始は明確ではなかった
中国は新型機の部隊配備を公表することは普通ないので、いつから国産WS-10B搭載型のJ-10Cが配備開始されたのか不明である
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Berrier DIA2j.jpg先日ご紹介した国防情報長官(DIA長官)の中国軍事力に関する議会証言で「中国は約6年後には基礎的な軍事近代化を達成し、15年以内に最も破壊的な新たな軍事能力導入を目指している」と延べ、「軍民融合体制」で「特定57分野に照準を定め」、米国を出し抜く決意だとの分析を披露していました

また、人工知能AI、高速計算機、量子計算機、バイオ技術、先進ロボットなど世界が注目する将来技術分野で世界をリードしているとも分析し危機感をあらわにしていたところです。このようなIT関連だけでなく、草の根の工業力全般が試されるジェットエンジン分野でも成熟している中国に恐ろしさを禁じえません

WS-10エンジンが登場する過去記事
「中国航空ショーでのJ-20を評価する」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-1
「J-20が初の海上行動」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-05-12-1
「報道官が戦闘能力発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-1

国防情報長官(DIA長官)の中国軍事力分析
https://holylandtokyo.com/2021/05/02/212/

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対中国想定でMQ-9活用演習2回目実施 [Joint・統合参謀本部]

2回目の「Agile Reaper」演習で海兵隊支援を
米海軍「Unmanned Integrated Battle Problem 21」と並行実施
海兵隊はMQ-9操縦者とセンサー操作員を自前養成中

MQ-9 Agile4.jpg4月28日付Military.comが、4月7日から加州の小島を利用して行われたMQ-9の本格紛争演習「Agile Reaper」2回目の様子を紹介し、昨年9月の1回目がMQ-9現場運用部隊の機動展開や通信環境設定、並びにMQ-9の基本運用の試行だったのに対し、2回目はより少ない展開人員での運用やより本格的な再発進準備訓練や地上攻撃やISR支援など、更に実戦的な演習となった様子を伝えています

またMQ-9の着上陸対地支援能力やISR能力を高く評価した米海兵隊は、米海兵隊兵士のMQ-9操縦者やセンサー操作員を養成することを昨年11月日発表し、今年4月に入ってDavid Berger海兵隊司令官がMQ-9運用部隊の倍増を発表するなど、急速に海兵隊とMQ-9の連携強化が進んでいるようです

MQ-9 Agile.jpg今回の「Agile Reaper」でMQ-9を運用したのはあくまで米空軍第49航空団で、空軍操縦者は無人機遠隔操縦のメッカ米空軍Holloman基地から操作したわけですが、多くの海兵隊操縦要員やセンサー操作員が同基地で演習間訓練を受けたようです。米海兵隊がMQ-9の操作や運用をどこまで担うのか? 前線基地での離着陸や機体整備や兵装などまで担当するつもりなのか不明ですが、そんな勢いがあるMQ-9の沿岸&海洋作戦投入です

同時に行われた米海軍「Unmanned Integrated Battle Problem 21」演習支援では、海洋監視版のMQ-9B Sea Guardianが米海軍ミサイル巡洋艦とタッグを組み、MQ-9Bが艦艇から見えない遠方目標情報を巡洋艦に伝えて大好評を得たようで、空軍MQ-9部隊指揮官には「もっと一緒にやろう」との声が海軍&海兵隊から届いているようです

4月28日付Military.com記事によれば
MQ-9 Agile5.jpg2回目の「Agile Reaper」演習は4月7日から、1回目と同じく加州の米海軍Point Mugu航空基地と加州沖合のSan Clemente島で行われ、3機のMQ-9が(西太平洋の前線展開島をイメージした)San Clemente島に展開し、空軍の現場整備員や離発着・再発進準備要員はC-17輸送機で展開した
今回の演習では、1回目の前回に比して少ない派遣要員で、どれだけ迅速に再発進準備が可能かを試験することが試され、同時に兵装要員もHellfire missilesを再搭載する本格的な訓練を行い、また着上陸時の脆弱な海兵部隊を支援する攻撃任務にも様々なパターンでMQ-9が取り組ん

米空軍第49航空団司令官Ryan Keeney大佐は、「中東とは異なる海洋作戦へのMQ-9の適合を図るため、様々な取り組みを試した」と演習を振り返った
一方の海兵隊は、昨年10月にMQ-9操作職域を新たに設け、MQ-9を使用する本格的な無人機ISRミッションンに挑戦することを宣言している。かつて海兵隊は契約業者に運用を委託してISRに活用したが、自前要員の養成は大きな方向転換である

MQ-9 Agile3.JPG今回の「Agile Reaper」演習で複数の要員がHolloman空軍基地に派遣され、空軍からMQ-9運用を学んでいる。海兵隊司令官は4月にMQ-9運用部隊の倍増計画を明らかにし、「前線に展開するMQ-9運用要員は、統合戦力の目となり耳になる」と語っている
別枠ながら同時に訓練したMQ-9B Sea Guardianと米海軍巡洋艦とのターゲティング連携も併せ、Keeney空軍大佐は「我々にとって新たな挑戦だが、海軍や海兵隊部隊からのフィードバックにはMQ-9の能力に感激したものが多く、更なる連携訓練を望む声が多く励みとなっている」と振り返った。
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MQ-9 Agile2.jpg日本もMQ-9で良かったんじゃないかとつくづく思います。無人機検討を避けに避け続けてきた結果として、希望もしない装備を米国から押し付けられたということです

本題の米空軍MQ-9の米海軍や海兵隊との連携強化ですが、中東という難しい環境で頑張ってきた目立たない空軍無人機部隊が、対中国という新たな分野で底力を発揮し、存在感を発揮することを心から祈ります

最近のMQ-9関連記事
「本格紛争用に約1/4を改修&延命へ」→https://holylandtokyo.com/2021/04/28/118/
「豪州にMQ-9輸出許可」→https://holylandtokyo.com/2021/04/29/119/
「JDAM完成弾運搬役も」→https://holylandtokyo.com/2021/03/09/156/
「無人機MQ-9の対中国海上作戦への応用演習」→https://holylandtokyo.com/2020/10/02/424/

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国防情報局長DIAが中露の脅威を語る [米国防省高官]

中国は2027年までに台湾強制併合可能な軍事レベルに
ロシアは資金資源インフラ不足の中、特定分野で特異な技術追求

Berrier DIA.jpg4月29日、国防情報局長DIAのScott Berrier陸軍中将が上院軍事委員会で中露の軍事脅威について証言し、中国が莫大な投資を背景に軍事力増強を加速させつつあり、約6年後には基礎的な軍事近代化を達成し、15年以内に最も破壊的な軍事能力新規導入に成功する可能性がある一方で、ロシアは資金資源インフラの制約を受け特定分野での軍事分野に注力する傾向が続くと主張しました

また非常に抽象的な表現で細部が不明ながら、全般には、今後20年間で、中国ロシア米国のいずれかが、戦いの性格を変えるような新たな兵器やコンセプトを持ち込むだろうとも証言しています

DIA.jpg中国が米国にとっての最も脅威となる国家で、その勢いが加速しているとの危機感を改めて強調するとともに、中国とロシアが共に宇宙ドメインでの能力を高めつつあり、またサイバー分野で米国社会全体に浸透しつつあり、コロナで混乱する社会問題に付け込む「information warfare」による世論誘導工作で、経済面や政治面で優位な環境を作為しているとも警告しています

4月末で退役したDavidson前インド太平洋軍司令官が3月上旬に、、6年以内に中国が台湾を力で統一する可能性があると議会で証言していましたが、この分析を事前に入手し引用していたのかもしれません。
以下では、中国とロシアに分け、同中将の証言をご紹介します

4月30日付米空軍協会web記事によれば
DIA局長は中国について
Berrier DIA3j.jpg中国は「全政府機関を上げての体制」で軍事力強化に取り組んでおり、「軍民融合military-civil-fusion」により、意図的に民間と軍事技術の境目をあいまいにしてより多くの投資を可能にしており、これが米国の技術優位への最大の脅威である
既に多くの研究分野で、米国と「同レベルかそれに近いレベルを達成」しており、特に「57分野に照準を定め」、米軍事技術を追い越して劣勢な立場に追いやる勢いである

まもなく中国は、中国本土から米軍や同盟国軍を脅威下に置くことが可能となり、戦力投射力も並行して強化している。結果、2027年までに台湾武力併合等を可能とする地域の短期紛争に勝利する能力と、併せて第3者の介入を阻止・抑止するだけの能力を獲得し、2050年までに世界を支配する軍事力を獲得する計画実現に向かっている
中国の軍事力進展を示す事例として、インドとの国境で緊張が高まっている時に、最新のJ-20ステルス攻撃機を国境地域に展開させた

DIA2.jpgまた中国は世界が注目する将来技術分野で世界をリードしており、人工知能AI、高速計算機、量子計算機、バイオ技術、先進ロボットでも世界の主導的立場にある。そしてこれら立場の獲得には、「合法と非合法の手段による海外技術獲得があり、これにより多くの科学分野で現在の地位を確保している
なお中国は、約6か月前に核兵器政策を変更し、核兵器運搬手段を現在の約200から400に倍増することを決定した模様で、加速度的に変化を進めている

このような中国の取り組みにより、中国は米国の技術優位に対する最大の脅威となる可能性が高く、情報コミュニティはこれをとらえて3年前から中国を「pacing threat着実に歩調を進める米軍事力に対する脅威」と表現している

DIA局長はロシアについて
ロシアは膨大な軍需産業群を抱えているが、ロシア独自に先進的な開拓を進めるのではなく、目標と定めた米国やその同盟国が優位にある特定分野で、対抗、対処、優位排除戦力を執ってい
Berrier DIA2j.jpgロシアは大量の兵器生産が可能な態勢にあり、先進技術分野での国産化を進めようとしているが、先進兵器を支えるハイテク部品を製造する下請部門の資金や資源不足、インフラ問題が足かせとなっている

このような通常兵器やIT技術の弱点を相殺するため、ロシアは他国には見られない形で核兵器活用の依存度を高めている。例えば、水中核爆発で津波を発生させて敵国沿岸部に破壊被害を与える兵器の開発追求などであり、この傾向は今後も続くと考えられる

中露共通
中国とロシアはともに、宇宙や対宇宙分野に注力しており、米国のインフラへの影響力を強める形でサイバー空間での活動も増加させている。また両国はコロナパンデミックの機会をとらえ、西側政府や同盟国を情報戦で攻撃して弱体させようとし、経済的政治的利益を得ようとしている
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「2027年までに台湾武力併合等を可能とする地域の短期紛争に勝利する能力と、第3者の介入を阻止・抑止するだけの能力を獲得」と分析されていますが、2027年まで体制整備に時間が必要な分野とはどこでしょうか?

直上陸輸送力、空中給油能力、長射程対艦ミサイルや同ミサイル搭載大型機の開発、洋上目標のターゲティング能力、西太平洋の島々に分散する米軍状況のISR能力などなどでしょうか? 

関連の記事
「フロノイ氏が今こそ語る中国抑止策」→https://holylandtokyo.com/2021/04/05/99/
「中国は6年以内に台湾併合」→https://holylandtokyo.com/2021/03/19/165/
「必要な国防政策を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/08/17/526/
「米議会で中国抑止を議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17
「太平洋軍司令官が追加要望事項レポート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-03

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英空母エリザベス米英のF-35B搭載で初出撃 [安全保障全般]

地中海、中東、インド洋、南シナ海、台湾を経て日本へも
米英の悲しきWin-Win関係とも見えるのですが・・・

Queen Elizabeth.jpg5日、英海軍の新型空母エリザベスが、米海兵隊F-36Bを10機と英海軍F-35Bを8機搭載し、地中海、中東、インド洋、南シナ海を経て日本へも立ち寄る初の作戦航海に出港しました。

そしてこの英米F-35Bを混合搭載した新型空母は、米海軍のアーレイバーク級イージス駆逐艦Sullivansと行動を共にし、空母戦闘群として行動することが今年1月に英米国防大臣から大々的に発表されていたところです

米海兵隊F-35Bと英空母エリザベスの一体運用は少なくとも2019年頃から議論され、2020年秋には10機の米海兵隊F-35が空母エリザベスに展開し、同空母に最大負荷をかけての戦闘能力点検を共に突破して連携を深めてきました

Queen Eliz Map.jpg米英両国はこの一体運用を強固な同盟関係のシンボルとしてアピールし、英空母が南シナ海や東シナ海などアジアにも展開して中国ににらみを利かせることから、日本でも大きく報道されています

ただ何回かご紹介しているように、英軍は空母エリザベス搭載用のF-35Bを十分な機数調達できず、米海軍と海兵隊は「虎の子」のF-35B搭載可能強襲揚陸艦Bonhomme Richardを昨年7月の放火火災で失っており、偶然かもしれませんが、英米間の「悲しきWin-Win関係」が成立しているわけです

ただ注意が必要なのは、英国はスウェーデンと組んで次世代戦闘機「Tempest」の共同開発を国内軍需産業保護の観点から強力に進めており、独仏チームに対抗し今後4年間で3000億円の開発費を投じる方針を発表しており、約130機調達予定だったF-35の調達数を半減させる方向だと報じられており、「疑心暗鬼含みの悲しきWin-Win関係」とも言えそうです

5日付Military.com記事によれば
米海兵隊の10機はアリゾナのFighter Attack Squadron 211から派遣され、英軍の617 Squadron 「The Dambusters.」と共に行動することとなった
James Heappey英国軍相は「この出港は、英国軍が世界の同盟国と共に、世界の脅威と対峙する覚悟を示す実例である」、「世界に冠たる英国が行動する姿である」と出港に際して語った

Yael Lempert駐英米国大使は、「英国ほど緊密な同盟国はなく、我々は共に共有する価値を守るため、インド太平洋地域などの安保問題に関与し、同時にNATOへの強固な関与を改めて示す覚悟である」と語っている
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Queen Elizabeth2.jpg地中海からアラビ海でシリア・イラン・そして米軍が撤収を開始したアフガンににらみを利かせ、シンガポールでアジア同盟国からたっぷり補給を受けて南シナ海に進出し、台湾東岸を通過して横須賀に入る行程ですが、機材トラブル等なく航海が進むことを祈念いたします

しかし、このコロナ禍に大変な任務です。ワクチン接種など準備万端でしょうが、初作戦行動にしてはあまりにも荷が重いような気がします

英空母エリザベスの悲しき現実
「英新型空母と米駆逐艦が空母攻撃群を編成へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-22
「コロナ下で800名乗艦で最終確認試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-01
「英空母エリザベスは米軍F-35B部隊と一体運用へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-26-1
「英海軍と英空軍共有のF-35Bが初任務」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-27
「米海兵隊F-35が英空母へ展開へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-09
「米軍F-35Bを英空母に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16
「英空母が航空機不足で米軍にお願い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03

「英国の138機F-35購入計画は多くて60-72機へ!?」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-24

F-35搭載改修終了直前の惨事(放火)
「強襲揚陸艦Bonhomme Richard火災の衝撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-15

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F-35が機種別保有機数で米空軍第2位の283機に [米空軍]

281機のA-10、234機のF-15C/D、218機のF-15Eを抜く
4世代機の2倍以上の維持費に低下傾向がない中で

Airforce 3 top2.JPG7日、Brown米空軍参謀総長が下院予算小委員会で、F-35の保有機数が283機となり、約450機保有のF-16C/D戦闘機に続いて、保有機数で第2位になったと明らかにしました。ちなみに現時点での米空軍F-35調達予定数は1763機です

同時に同参謀総長は、戦闘機の世代混合比率検討を引き続き行っており、ハイエンド紛争を支えるF-35など第5世代機と、それほど脅威の高くない環境で活躍できる第4世代機や「5世代機マイナス機」の最適構成比率を将来の脅威環境を踏まえつつ導き出したいと説明しました

F-35.jpg民主党政権が誕生してから、F-35への風当たりは厳しさを増しており、Adam Smith下院軍事委員長は3月の講演で「F-35への投資は金をどぶ(rathole)に捨てるようなもの」と怒りをあらわにし、体制維持小委員会のJohn Garamendi委員長も「調達機数を削減して維持費予算の膨張を抑え、戦力全体の健全性を保つべき」と訴えています

折しも、維持費高騰や稼働率低迷の原因であるF-35兵站支援システムALISの代替として部隊配備が一部で始まっていたODINに関し、開発が想定以上の困難と予算不足に直面して中断を余儀なくされ、再開見通しが立たない泥沼に落ちており、同席した空軍長官代理等の表情もさえなかったようです

RQ-4 1.jpg7日の小委員会で米軍幹部は同時に、議会の反対で過去数年全く進展がないA-10やRQ-4やE-8C Joint STARSや老朽給油機の早期退役を強く訴え、浮いた資金を次世代装備導入に振り向けたいとのかねてからの要求を繰り返し述べています

ただ、老朽装備品の早期退役に反対する議員たちは、軍事的な必要性を表面上で訴えていますが、選挙区の基地から装備が削減されて雇用や税金収入が失われることを懸念して抵抗勢力となっているのが実態で、中国の言う「民主主義の限界」を体現したような構図となっています

7日付米空軍協会web記事によれば
Brown参謀総長は、「TacAir検討は戦闘機ポートフォリオを吟味するもので、7種類の異なる戦闘機をどのように組み合わせるのがベストか、将来脅威を踏まえ検討している」と説明し
一方で「単一の答えが出るものではなく、脅威に応じた幅を持ったオプションを提示するようなものとなり、米空軍及び関係者の参考に供することとなろう」と説明するにとどまった

老朽装備の早期退役を訴え
A-10 4.jpgJohn Roth臨時国防長官はBrown参謀総長と共に、「米国は米空軍装備の近代化を、1年はおろか、1か月も1週間も待つことはできない。現在の競争相手で将来の敵対者を抑止し撃破するには、資源配分の方向を今変えなければならない。変化を加速しなければ敗北するのだ。これが我々の要求だ」と訴えた
そして「我々は(老朽装備早期退役の)厳しい決断を今行い、資源投入先の(将来システムへの)変更という難しい決定をしなければならないタイミングにある」、「我々は議会の皆さんと2-3年に渡り本件を議論してきたが、近く政府が議会に提出する予算案は、国家防衛戦略NDS遂行を支えるバランスの取れた案であると申し上げておく」と述べて米空軍の考え方に賛同を求めた

KC-46A3.jpgただ、過去数年間空軍の早期退役要求が認められなかったA-10やRQ-4・Block 30やE-9Cや空中給油機やE-3 AWACS、更に州軍所属のC-130輸送機など具体的な装備名には、予算案提出前でもあり言及せず、各関係部隊と緊密に議論しているとのみ説明した。
同時に資源を振り向けるべき将来に向けての投資に関しても、一般に言われているKC-47給油機やステルス性のある無人ISR機やABMSなどの具体的装備名にも言及しなかった

しかし、核抑止の3本柱の一つであるICBM後継のGBSD開発の重要性については、現有のミニットマンⅢの延命が困難であることと共に、改めて臨時空軍長官と参謀総長は強く訴えた /
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Airforce 3 top.JPG老朽装備の早期退役と次世代装備への投資転換は米空軍としてまっとうな要求だと思いますし、選挙区への利益誘導・既得権絶対死守でこの流れを阻む議員たちの姿は「民主主義の限界」そのものの情けない状況ですが、F-35やKC-46の開発状況がこれだけ「グダグダ」だと、米空軍の訴えも相当に迫力を欠く面があります

次の空軍長官候補となったFrank Kendall氏が正式就任し、その剛腕で議会との折り合いをつけてくれることを祈念申し上げます・・・

F-35では以下のエンジンブレード問題も重いです
「エンジンブレードと整備性問題」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13

「空軍長官候補にKendall氏」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-28

最近のF-35
「ODINの開発中断」→https://holylandtokyo.com/2021/04/26/115/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
「伊軽空母に海兵隊F-35B展開」→https://holylandtokyo.com/2021/03/18/164/
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holylandtokyo.com/2021/03/10/157/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「F-35稼働率の状況」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/
「機種別機数が第3位に」→https://holylandtokyo.com/2020/08/04/514/

要求性能を満たすのにあと数年のKC-46給油機
「恒久対策は2023-24年から」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-30
「今度は燃料漏れ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-31-1
「やっぱりだめで更に1年遅れ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-04

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米海兵隊が歩兵の多兵器習熟を試行中 [Joint・統合参謀本部]

狙撃銃も迫撃砲も機関銃も対戦車ミサイルも扱えるように
「Arms Room Concept」と呼んで3部隊で2年間試行中
対中国本格紛争を見据え、状況や脅威に応じ柔軟運用部隊へ

Austin marine2.jpg4月26日付Military.comは、米海兵隊が対中国など本格紛争対処に備え、従来は狙撃兵、迫撃砲兵、機関銃兵、対戦車ミサイル兵等に細分化されていた歩兵兵士のMOS(特技:military occupational specialty)を、最終的には一つにまとめる方向で試行実験を行っていると紹介しています

米海兵隊はDavid Berger司令官の下で、毎年改定される「Force Design 2030」構想に基づき、10年計画で対テロから本格紛争対処への体制変換を目指しており、機動的に島々を移動する長射程砲で海軍艦艇を支援する作戦中心への転換や、砲兵に歩兵部隊を従属させる組織運用への転換、それに伴う戦車部隊の廃止や長射程対艦火砲の導入などなどを強力に推進しています

marine infantry2.jpgそんな流れの中、現在の狙撃ライフル、迫撃砲、機関銃、対戦車ミサイル等に専門化した各中隊で構成されている歩兵大隊を、一人の兵士が扱える兵器種類を増やすことで中隊の壁をなくす方向で、2年計画の検証試験が進行中のようです

担当の准将は「まだ何も決まっていない。試行実験を通じて提言をまとめ、司令官に報告する」と慎重な言いぶりですが、米海兵隊の3つの歩兵大隊が試行実験に取り組み、海兵隊員養成の基礎課程でも既に教育期間を延長して多能化試行を始めているようで、動きの迅速さに感心させられます

4月26日付Military.com記事によれば
Austin marine.JPG「Arms Room Concept」の名の下に、米海兵隊歩兵兵士の多兵器習熟型への改革が試行実験されている。海兵隊の戦闘開発融合を担当するEric Austin准将は、多様な兵器を武器庫に備えた部隊構築に向けたドラスティックな改革に向かっていると語った
同准将は「米海兵隊歩兵兵士は、状況や任務に応じた兵器を手にして作戦遂行できるよう、全ての兵器に対応できる訓練を受けることになるだろう」、「これにより海兵隊は、より成熟した、マルチドメイン対応の歩兵兵士によって構成された部隊となる」と表現した

具体的には、3つの海兵師団全てから歩兵大隊を一つ選び、一つの大隊は標準モデルで、他の2つの大隊はそれぞれに少し異なる形態で試行実験を行っていると説明した
Berger2.jpgBerger海兵隊司令官は検討の背景として、2020年3月に改訂版「Force Design 2030」構想を発表時に、「将来の歩兵大隊の構成を考える上で、将来作戦環境を正しく分析して検討がなされたかについて自信が持てない」と述べており、これを受け3つの大隊が試行実験に臨むことになっ

Austin准将は同時に海兵隊兵士の基礎課程でも訓練体系を変える試行を行っていると語り、「基礎課程教育期間を従来の9週間から14週間に5割増しし、歩兵海兵隊員が多様な兵器システムに習熟できるよう取り組んでいる」、「脅威に応じて命ぜられた任務に対応し、どの兵器が適切かを選択して前線に向かうことができる方向に取り組んでいる」と述べた
海兵隊は最終的に、歩兵兵士の職域を一つに統合したいと構想しているが、「Arms Room Concept」に対して批判的な声もある。そんなことが可能なのか・・・との率直な意見である
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marine infantry.jpg先日は、対テロも含め従来海兵隊の中心であった歩兵部隊が、砲兵に従属する形で作戦する次世代演習が沖縄伊江島で行われたとご紹介しましたが、対艦長射程兵器を中心に据える海兵隊の改革は勢いを増しています

米海軍や米空軍と比較すると、その柔軟性は際立っており、組織防衛意識は他軍種と同様ですが、方向性は正しいのでしょうし、海空軍には少しは改革意識を学んでいただきたいと思います

米海兵隊の変革関連
「海兵隊NMESISで海上目標攻撃成功」→https://holylandtokyo.com/2021/05/03/213/
「歩兵の多能兵士化を推進中」→https://holylandtokyo.com/2021/04/27/117/
「海兵隊で歩兵が砲兵を支援する新形態演習」→https://holylandtokyo.com/2021/04/15/107/
「対潜水艦作戦にも」→https://holylandtokyo.com/2020/11/09/382/
「在日海兵隊の飛び石演習」→https://holylandtokyo.com/2020/10/26/441/
「司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holylandtokyo.com/2020/09/28/488/
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

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小型無人機対処装備を求めオプション試験中 [Joint・統合参謀本部]

統合検討室を陸軍リードで空軍が支援
まずは副次的被害が少ない対処装備3つを試験

Skylord Griffon2.jpg16日付Defense-Newsは、国防省の小型無人機対処検討の一環として行われている、統合小型無人機対処システム室(JCO:Joint Counter-Small Unmanned Aircraft Systems Office)による候補システム試験の様子を紹介し、まず「副次的被害が少ない:low-collateral effects」対処兵器(小型無人機)の募集と試験を4月上旬に行ったと伝えています

このJCOは陸軍が主導して運用し、試験は陸軍のYUMA試験場で行われていますが、今回の副次的被害の少ない対処兵器試験は依頼を受けた空軍が試験の企画運用を担当する統合らしい分業体制で行われています

MIDAS.jpg候補機種の募集は統合検討室の要求事項に基づいて行われ、約37個の提案があったようですが、国防省の資金支援を受けていない新たな提案からのみ受け付けること等を踏まえ10提案に絞り込み更にプレゼン評価を経て5企業が選ばれた様です。ただ4月の試験には2企業がコロナの影響等で参加できず、3企業のみが参加したようです

米空軍は16個の様々な試験シナリオを準備して3提案を評価し、敵脅威シナリオには様々な速度と高度と飛行パターンを持つ固定翼と回転翼無人機が準備され、提案を様々な側面から吟味したということです

このような試験評価は今後年2回のペースで様々なカテゴリーの小型無人機対処装備について予定され、新たなアイディアと新たな企業の提案を促進するよう計画されているようです

16日付Defense-News記事によれば
Drone Kill Drone.jpgボーイング隷下のAurora Flight Sciencesが提案した「副次的被害が少ない:low-collateral effects」な対処兵器(小型無人機)は、air gunを備えたMIDASとのquadcopterで、敵無人機に接近して約30㎝のひもを付けた弾丸を6連発で発射し、敵無人機のローターやプロペラに絡めて無効化する装置である。2回連射攻撃を行って敵に効果がない場合は、あきらめて次の目標に指向する
2つ目の提案は敵をネット(網)に絡めて無効化するElta North America(イスラエル企業の米国支社)提案無人機Drone Kill Droneで、敵無人機の下部から網を射出し、敵にからめとって自らも共に墜落するタイプである

3つ目も同じく網で固めとるイスラエル企業提案のSkylord Griffonであるが、こちらは敵上部から網をかけ、うまく敵を拘束したら網を切り離して次の敵無人機に向かう方式である
Skylord Griffon.jpg16個の脅威シナリオで評価された3機種は、今後評価レポート受け取り、今後の開発の資とする

JCOと陸軍迅速能力検討室は、同様のデモ試験の機会を9月にも設ける予定で、異なった特性を持った対処装備に焦点をあて、5月には要求性能を公表する予定である
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「副次的被害が少ない:low-collateral effects」な対処兵器部門だけで、37個も提案があったすそ野の広さに感心しきりですが、それだけ脅威認識が高いということです

地道な取り組みの一つですが、陸軍と空軍が協力して取り組んでいる点はうれしいニュースです

世界の軍事関係者に衝撃
「攻撃無人機でアゼルバイジャン圧勝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-21

無人機対処にレーザーや電磁波
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-10
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-20-1
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
「米軍のエネルギー兵器が続々成熟中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-30-1
「米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24

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米海兵隊改革のシンボル:洋上目標ミサイル攻撃成功 [Joint・統合参謀本部]

NMESISで沿岸の無人車両から100nm離れた目標直撃
海兵隊司令官が成功を議会で報告し予算確保要請

NMESIS5.jpg4月29日、David Berger海兵隊司令官が米議会で、無人運用に改良された軽戦闘車両JLTVから発射された「naval strike missile」で、100nm沖合の海上目標攻撃試験に初めて成功したと証言し、2021年度予算で認められなかった本システム(海軍海兵機動型艦艇阻止システムNMESIS:Navy Marine Expeditionary Ship Interdiction System)予算を2022年度予算で確保するよう要望しました

NMESISは、既に沿岸戦闘艦LCS等に搭載されている対艦対地ミサイルと、既に運用実績がある軽戦闘車両JLTVを組み合わせ、JLTVに同ミサイルを搭載し、無人運用を可能にするため「ROGUE:remotely operated ground unit for expeditionary」システムを搭載して無人ミサイル発射兵器に改良したもので、開発リスクを最小限に抑えたものです

発射試験は加州Point Mugu Sea Rangeの地上にNMESISを配置し、その沖合約100nmの洋上に設置した海上目標を攻撃する形で実施され、「naval strike missile」は仮設目標に直撃したということで

NMESIS2.jpg米海兵隊は過去20年間の対テロ作戦体制から、このNMESISや陸上発射型トマホーク巡航ミサイルを迅速に機敏に西太平洋の島々に展開させ、敵水上艦艇や輸送船を射程に収めることで対中統合作戦に貢献する方向に大改革を進めており、NMESIS試験の成功は大きなマイルストーンとなりました

一方で米議会は作戦コンセプト未成熟として、2021年度で米海兵隊が求めた地上発射型トマホーク50発導入予算約150億円を認めず、Davidson太平洋軍司令官が3月に議会で「中国抑止力を削ぐ判断だった」と2022年度予算での復活を強く要求していたところです

Berger海兵隊司令官は議会で、NMESISが既に実績のあるミサイルと戦闘車両の組み合わせでできており、開発リスクの少ない重要新装備だと強調して訴えており、米海兵隊大変革のカギを握る兵器として今後の予算確保が注目されます

4月29日付Military.com記事によれば
Berger2.jpg4月29日David Berger海兵隊司令官は米議会で、同試験におけるミサイル発射写真を議員に示しつつ、NMESIS の信頼性が高いことと対中国抑止に重要な装備であることを説明し、予算確保への協力を訴えた。なお同試験の成功は、前日の4月28日に「naval strike missile」製造のレイセオン社から発表されていた
Berger海兵隊司令官は試験成功を「海兵隊若手担当者と軽戦闘車両JLTV改修に取り組んだOshkosh Defense社の努力の賜物だ」と讃えアピールし、「JLTVの後部を改修してnaval strike missileを搭載し、更にROGUE fires vehicleとの無人運用車両改修に可能にした彼らの努力が成功の原動力だった」と紹介した

更に同司令官は、「これで我々はNMESISを米艦艇や沿岸地域に配備し、敵水上艦艇に脅威を与えることができ、海上交通路を開放することができる」、「このNMESISを有効に活用できる迅速な機動展開運用が我々の目指すべき方向である」と説明した
NMESIS3.jpgそして同司令官は、米海兵隊にとって2022年度予算で地上や艦艇配備の精密誘導火力を確保することが死活的に重要だと訴え、「海洋エリアをバリアに変え、敵の海上交通路を遮断し、我が交通路を確保することが目的だ」と述べた

同司令官はNMESISの信頼性について、「naval strike missileは既に沿岸戦闘艦に搭載され運用実績のある兵器であり、輸送や兵站ルート確保も含めて実証済みである。また搭載車両も運用実績があり信頼できるシステムである」と開発リスクや運用リスクを局限したシステムであることを強調した
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NMESIS4.jpgBerger海兵隊司令官を中心に進められている海兵隊改革が成功するかどうかは「神のみぞ知る」世界ですが、歩兵中心で対テロ作戦を20年以上続けてきた組織が、またそれ以前は歩兵中心の着上陸作戦命で存在意義を見出してきた組織が、脇役だった「砲兵」を柱に組織改革を進める柔軟な姿勢を見せていることに感慨を覚えます

従来中心だった歩兵においても、単一兵器の専門職育成から、複数兵器を扱える多能兵士養成へと大きな改革が試行されており、米海軍や米空軍の硬直性を横目に、大変楽しみな組織力を発揮しています。注目したいです

米海兵隊の変革関連
「海兵隊NMESISで海上目標攻撃成功」→https://holylandtokyo.com/2021/05/03/213/
「歩兵の多能兵士化を推進中」→https://holylandtokyo.com/2021/04/27/117/
「海兵隊で歩兵が砲兵を支援する新形態演習」→https://holylandtokyo.com/2021/04/15/107/
「対潜水艦作戦にも」→https://holylandtokyo.com/2020/11/09/382/
「在日海兵隊の飛び石演習」→https://holylandtokyo.com/2020/10/26/441/
「司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holylandtokyo.com/2020/09/28/488/
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

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米空軍調達を知る剛腕Kendall氏が空軍長官候補に [米空軍]

オバマ政権で調達&開発担当国防次官を4年
陸軍士官学校卒で航空工学修士とMBAと法学博士
F-35低度量産開始時に「米軍の悪しき習慣だ」と酷評
F-35調達数削減配置か? ICBM存続で現ICBM延命か?

Kendall4.jpg27日付各種報道が、バイデン政権が次期空軍長官にFrank Kendall元調達&開発担当国防次官(71歳:シンクタンクCPA上席研究員)を指名し、空軍副長官候補にフィリピン系女性で元空軍士官のGina Ortiz Jones氏(40歳)が初めて有色人種女性として推薦したと報じました

Frank Kendall氏は、オバマ政権時の2010年から12年にかけ調達担当国防次官補を務め、続く12年から16年まで調達兵站&開発担当国防次官として「Better Buying Power initiative」をWork副長官らと推進し、権限委任による国防省調達の迅速化や効率化を強力に進めた剛腕で名をはせた人物です

特に航空機や宇宙アセットの調達改革に取り組みましたが、F-35の開発との同時本格生産開始が決定された際は、「米軍の悪しき習慣だ」、「私が国防省の調達に関わるずっと以前のF-35計画当初に立ち戻れるなら、一つの主契約企業に集中するような事業構造を望まないだろう。より競争を促す構造が健全だと思う」と担当次官らしからぬ本音発言で物議をかもしまし

Gina Ortiz Jones.jpgまた、将来航空戦力検討の過程では「航続距離を求める声も、兵器搭載量増を求める声もアリ、永遠の課題だろう。しかし我々に突きつけられた弾道・巡航ミサイル脅威は、航空機ではなく拠点となる航空基地や空母に向けられており、航続距離への要望はより鋭さを増している」と述べ、足の短い戦闘機への投資にくぎを刺すような発言も遠慮なくしていた剛腕次官でした

一方のGina Ortiz Jones副長官候補は、空軍士官として3年、国防情報局DIAで情報分析官として勤務し、その後米通商代表部でオバマ政権とトランプ政権にまたがって勤務し、2018年にテキサス州上院議員選挙に出馬したが落選し、2019年にも再度挑戦するも2回目の落選を経験している方です。15歳で母親にレズビアンであることを告白するも、当時の米軍の「言わない、聞かない」方針に沿って、空軍勤務間は性的志向を公言しなかった方です

勝手な想像ですがFrank Kendall氏は豊富な経験から、F-35や次期ICBM調達など重要な調達問題目白押しの米空軍での仕切りを期待されてのノミネートで、F-35調達数削減への道を開くことが第一優先任務でしょう。Jones副長官候補は、初のアジア系女性副長官やレズビアン副長官としての「多様性」話題を狙ってのバイデン政権人事だと思われます

Frank Kendall氏のご経歴など
Kendall3.jpg1949年1月生まれの71歳で、陸軍士官学校をJack Reed上院軍事委員長と同期生として卒業。10年間陸軍士官として勤務し、陸軍士官学校で施設工学の教官も務めた経験がある
航空宇宙工学修士を加州工科大学で、MBAをロングアイランド大学で、法学博士号をジョージタウン大で取得

1990年代には軍需産業レイセオンで研究開発副社長として勤務し、国防省入省直前は国防関連コンサル会社Renaissance Strategic Advisorsで経営人の一角を占めていた
国防省では、国防長官室で戦術戦闘検討部長や戦略国防システム担当次官補代理などを務めた

Kendall22.jpgオバマ政権時の2010年から12年にかけ調達担当国防次官補を務め、続く12年から16年まで調達兵站&開発担当国防次官として「Better Buying Power initiative」をWork副長官らと推進し、調達兵站と研究開発の両方を同時に担当した最後の国防次官となった
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上記でご紹介したように、国防予算右肩下がりのオバマ政権時代の調達担当次官で、特にF-35をはじめとする米空軍航空宇宙アセット調達に深くかかわった人物です

Gina Ortiz Jones2.jpg陸軍士官学校卒業ながら航空宇宙工学修士号を持ち、空軍調達には一言もつ剛腕の空軍長官と、初の黒人空軍参謀総長として「変化しなければ敗北する」と背水の陣で改革に臨むBrown大将のコンビに、レズビアン女性アジア系副長官のトリオが、如何なる方向に米空軍を導くのか注目してまいりましょ

Kendall氏が国防次官当時の記事
「米国防省内部でF-35計画見積を巡り内紛」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-12-09
「将来航空機投資を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-10-25
「レーザー兵器は万能薬ではない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-09-12
「F-35をまとめ買いで安く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-05-31
「Offset Strategy」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-09-06-1

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