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バイデン政権はオープンスカイズ条約復帰意思なし!? [安全保障全般]

関係国調整用の外交文書をメディアが入手
昨年11月のトランプ政権による脱退を非難していたが
最近はバイデン政権の方がロシアに強行姿勢

Open Skies.jpg7日付Defense-Newsは、米国務省が3月31日付で作成したオープンスカイズ条約(Treaty of Open Skies)関係国との調整用に作成した外交文書の内容を紹介し、昨年11月のトランプ政権による同条約離脱を批判していたバイデン陣営が、今では同条約への復帰がロシアに誤ったメッセージを送ることになると反対姿勢に転じていると報じました

オープンスカイ条約は非武装の航空機で互いに軍事施設や紛争地域の様子を撮影できることに加盟国が同意する条約で、2002年に発効し、欧州諸国やロシアなど34カ国が加盟しています。米国の離脱を受け、2021年1月にロシアも脱退の意思を示しましたが、2月15日には米国が復帰するならロシアも脱退意思表明を見直すとしていたところです

また、ロシアは欧州加盟国に対し、条約に基づいて得た情報を米国と共有しないことや、欧州にある米軍事施設の上空の査察を制限しないように求めていました

Open Skies2.jpg最近のバイデン政権はロシアに対し、トランプ時代よりも強硬な姿勢を示し始めており、3月の記者からの質問に対しバイデン大統領が、プーチンを「人殺し:killer」と呼んだことが象徴的な事象として、両国の対立関係が伝えられているところです

加えて、4月に入り、米空軍が同条約用に使用していた老朽化が進む2機のOC-135Bを退役させ、「任務がなくなった機体なので、規定に従いアリゾナの砂漠地帯に移送する」と発表したことで、米国務省は「決定ではない」としていますが、事実上、同条約への米国の復帰はなくなったと関係者は見ているようです

7日付Defense-News記事によれば
5日に米国務省は声明で、オープンスカイズ条約に関する最終決定はなされていないと表明しているが、3月31日付の関係国との外交文書(March 31 demarche)は、「ロシアが継続して同条約違反状態にある中で、同条約への復帰意思を示すことは、ロシアに誤ったシグナルを送り、広範な軍備管理案件における米国と立場を損なうと率直に懸念している」と記し
OC-135.jpg更に「ロシアの同条約違反は、INF条約への違反レベルではないが、ロシアが軍備管理の国際的な取り決めの順守や関与を軽視する一連のパターンを示しており、ロシアが協力的に信頼醸成構築に参画する用意があるかについて疑念を生んでいる」と表現している

ただし、同外交文書は完全に米国の復帰可能性を排除してはおらず、「我々はしかし、環境が整えば同条約に米国が復帰することや、他の安全保障上の取り組みに同条約が狙った信頼醸成措置を組み込むやり方があると信じている」とも表現している

5日の声明で米国務省は、将来の同条約への復帰については未決定だとし、「米国は同条約に関連する事項のレビューを精力的に実施中で、同盟国等とも緊密に協議している。その中でロシアによる継続的な条約違反は関心事項である」、「ロシアには条約合意事項を遵守するように働きかけている」としている

OC-135B.jpg3月末の外国文書が明確に条約復帰を否定していないことや、昨年11月にトランプ政権が同条約脱退時にも同条約用航空機OC-135Bを退役させなかったことから、欧州関係国や一部関係者はバイデン政権誕生後の条約への復帰可能性に期待し、2月のNATO会合で米国に復帰を働きかける動きはあったが、米空軍による同機の退役発表で、バイデン政権に復帰意思がないことが明らかになったとの解釈が広がりつつ
米空軍は一時、OC-136Bの後継機としてGulfstreamビジネスジェットの使用を検討したこともあり、代替機の投入による条約復帰の可能性が完全に排除されたわけではないが・・
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Open skies3.jpg軍備管理の議論全体におけるオープンスカイズ条約の位置づけや、その意義については全く語れませんが、脱退した今になって復帰するのは敷居が高いということでしょう

閉鎖的なロシア圏と、SNS等ITツールの拡散でますます可視化が進む西側とでは、この種の条約を公平に運用することが難しいのではないかと思います。条約維持復帰派や欧州条約締結国の気持ちもわかりますが、米側からすれば失うものが多いとの指摘に反論することは難しい気がします

ただ、バイデン大統領の「人殺し」発言はちょっとビックリです。民主党の柱である「人権」や「環境」に縛られ、一部世論やメディアの雰囲気に流されているのでは・・・とちょっと心配になります

オープンスカイズ条約の概要や脱退派と継続派復帰派の主張など
「同条約脱退以降伝達」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-22-1
「脱退の噂にざわめく」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-10

米空軍の老朽情報収集機がピンチ
「OC-135Bらは後継機無しの方向?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-28-1
「OC-135Bらの維持がピンチ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-08-1

軍備管理関連の記事
「新STARTはとりあえず5年延長」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-22-1
「米国:MTCR解釈変更で無人機輸出緩和宣言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-25

米国のINF条約脱退経緯
「トランプが条約離脱発表」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-1
「露は違反ミサイルを排除せよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-06
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「第3の超超音速兵器Zircon」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-21

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米空軍が電動ヘリeVTOLでACE構想推進へ [米空軍]

不便な展開基地での輸送や救助救難任務に
C-130輸送機で一度に数機空輸可能なeVTOL
複数の民生用試作開発機を評価やテスト中
5月のACE演習で一部を試験活用へ

S4.jpg3月31日付Defense-Newsは、米空軍が2020年2月から当時のRoper次官補主導で始めた民生用電動へり(eVTOL:electric vertical-takeoff-and-landing)導入検討(Agility Primeプロジェクト)に関し、3月末に候補の一つで輸送機搭載&輸送試験を行い、5月には本格的な演習(Exercise Bushwhacker)で試作中の電動ヘリの搭載・輸送・組み立て等の検証を計画していると報じています

このような電動ヘリは、米空軍が対中国・対ロシアを想定して全世界で取り組む戦力の分散&機動的運用構想ACE(agile combat employment)における人員や物資輸送、更には救難救助用での活用がメインに想定されているアイディアですが、幾つかの特徴があります

Hexa2.jpg一つは、米空軍が要求性能を出して企業に開発させる方式ではなく、民生用に様々な企業やベンチャーが開発・試作しているものをできるだけ活用し、開発費投入を抑える方式を追求していることで、今回C-130(特殊作戦用HC-130J)に搭載された「Hexa」も、現状では搭載重量や航続距離の点でまだまだですが、その可能性と将来性に賭けている段階です

もう一つは、小型ドローン市場が活性化した際の大きな反省事項として、国防省や国が積極的に関与せずに民間企業の競争に任せていた結果、コストを重視した小型ドローン企業が部品の大半を中国のサプライチェーンに依存することとなり、国防省や米政府機関の導入や使用が困難に直面した苦い過去を踏まえている点で、eVTOLではその過ちを繰り返さないように、民生用の開発であっても「前広に」米軍として関与して行こうとの意図が背景にある点です

米空軍としては、100nm先の場所に、3-8名を輸送でき、速度が100マイル/h程度の電動ヘリ(eVTOL)を、2023年までには実用可能なオプションにまで煮詰めたいとの目標を掲げており、12以上の企業から様々な民生用開発品情報を入手するなど、楽しみなのでご紹介しておきます

3月31日付Defense-News記事によれば
Agility Prime2.jpg2020年2月に開始された「Agility Prime」プロジェクトでは、(取り組みの一つとして)、6企業から民生用のeVTOL開発の情報提供を受け、2020年12月にJoby社の「S4」に米空軍として耐空証明を付与したところであるが、様々な開発途上の技術を生かし、米空軍は2023年までに実用的な形(program of record by 2023)にまとめたいと考えている
(注:6企業は、Phenix Solutions, Joby Aviation, Elroy Air, Moog, Beta Technologies、Lift Aircraft.)

「Agility Prime」プロジェクト担当のJames Bieryla氏は、「我々は従来とは異なる調達法にトライしている」、「厳格な要求性能提示するのではなく、逆の手法で行っている。皆さんの企業では何が出来ますか、と問いかけ、12企業以上から情報を得ることができた。様々な分野で特徴を持つこれら情報をさらに発展させるように促進したいと考えている」と語った
S4 2.jpg同プロジェクトの一環として、3月23-24日に第355航空団(A-10攻撃機を主に、HH-60やHC-130からなる救難部隊を保有)で行われたHC-130J輸送機への搭載試験は、情報提供があった一つであるLift Aircraft社の「Hexa」を使用して行われた

「Hexa」は卵のような形状をした機体で、水上にも着水することができる。3月末の試験ではC-130輸送機に1機のみ搭載したが、機内スペースからすればC-130に一度に「Hexa」を5-6機搭載可能と考えられている。また搭載試験では、「Hexa」1機と支援機材搭載に45分を要したが、手順化すれば15分で搭載可能と考えられる
現時点では「Hexa」は15分程度しか連続飛行できず、1名しか搭乗できないが、基本技術を生かして搭載量を増やすことは可能であろうし、操縦は大部分が自動化されており習熟は容易で、完全自動化運用も開発中である

Hexa.jpgしかし、このようなeVTOLはエンジン駆動と比較して極めて静粛なことから、また輸送の容易性等から、最前線の展開基地での物資輸送の他、偵察要員輸送や安全確保要員の事前派遣等に有用だと、前線部隊から潜在的能力への期待は大きい
米空軍では、複数の候補機体や要素技術の確認試験を行っており、初期段階の各種アイディアに対し、どのように米空軍が関与して行くか等について検討している。その取り組みは民生用として、皆を助ける技術に成熟する可能性を秘めている
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「Hexa」(翼無し)や「S4」(翼あり)の写真からご覧いただけるように、SF映画から飛び出してきたような形状の機体です。そのほかにも「eVTOL」情報収集対象の機体には、興味深い機体が含まれています

Agility Prime.jpg蓄電池でどれだけ推力が得られるのか? どれだけ航続距離が確保できるのか等々、興味は尽きませんが、夢のある話なのでご紹介しておきます

米空軍のACE構想実現には極めて懐疑的なまんぐーすですが、米空軍や専門家の前向きな「知恵だし」や努力には頭が下がります。日本人も知恵を絞らないと・・・と痛切に感じます

米空軍の戦力分散運用ACE関連
「F-15Eに完成弾JDAM輸送任務を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-04
「GuamでF-35とF-16が不整地離着陸」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-28
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-13
「中東派遣F-35部隊も挑戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「三沢でACE訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-21
「太平洋空軍がACEに動く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-12
「太平洋空軍司令官がACEを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「F-22でACEを訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-03-08

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韓国が国産4.5世代機KF-Xデモ機「KF-21」披露 [安全保障全般]

韓国大統領やインドネシア国防相も式典に出席し
ゴタゴタの戦闘機選定を経て、米国の技術支援なく

KF-21文.JPG9日、韓国が進める国産4.5世代機「KF-X」計画のプロトタイプ「KF-21」初号機の完成披露式典が行われ、文在寅韓国大統領のほか、共同開発国であるインドネシア国防相も出席して行われました

KF-Xの道のりは超複雑です。2013年頃、韓国は次期戦闘機にF-15サイレントイーグル導入で固まっており、ハイローミックス装備体系追求で国産KF-XをF-15製造米ボーイングの支援を得て同時に進めようと考えていました

しかし、日本がF-35導入を決めたことで韓国関係者の血が騒ぎ、大どんでん返しでF-35導入を決めたことからボーイングが怒り、国産KF-Xへの米企業支援が得られなくなり、無理やり完全国産に進まざるを得なかった妥協の産物です。なお、F-35導入を決めた後、韓国はロッキードにもレーダー等の技術提供を堂々と要求したらしいですが、「調子に乗るな!」と断られた黒歴史もあるので、「おまけ」で触れておきます

KF-21.jpgまたKF-X計画は、インドネシアとの共同プロジェクトとして始まっており、インドネシアが2割の開発経費を負担して48機を導入し、技術移転も受ける合意があるようですが、インドネシア側が支払予定額のわずか1割(13%)支払いでストップした状態で「足抜け」の噂も出ており、今回の式典前日にも両国国防相が協議したようですが、「失敗に終わった」と報じられていることろです

KF-Xは、韓国空軍F-4とF-5戦闘機の後継機と想定され、2032年までに計120機製造が予定されている戦闘機ですが、エンジンを米GE製F414にせざるを得ないなど、国防装備の国産化でアピールしたい人気急落中の韓国大統領にとっては、いばらの道が目の前に立ちはだかっています

9日付Defense-News記事によれば
KF-21文2.jpg9日、ソウルの南約440㎞のSacheon氏のKAI工場で開催された「KF-21」初号機披露式典で韓国大統領は、「韓国はついに、我々が作り出した超音速戦闘機を手にした」、「我々は国防の新たな時代を切り開き、航空産業発展の歴史的な一里塚を打ち立てた」と国産装備による軍強化方針の成功をアピールした
KF-X開発には、2015年から28年の間に約9000億円が投入され、AESAレーダー、電子戦装備、赤外線や光学ターゲティング装置を国産するなど、65%の部品を国内で調達する計画で進められている。ただしエンジンは米GE社のF414を2機搭載することになた

今後地上での各種試験を進め、2022年7月に初飛行を予定している。その後は約4年間かけ、6機のプロトタイプ機で2200ソーティーの各種試験飛行を行ってから量産フェーズに入る計画である
量産に入ったなら、韓国空軍F-4とF-5戦闘機の後継機として、2028年までに40機を導入し、さらに追加で2032年までに80機を導入する計画になっている

KF-21 3.jpg様々な技術的課題が取りざたされているが、主要な装備となるはずの韓国産空対地巡航ミサイル開発もその一つである。韓国軍需産業は海外ミサイルメーカーとの協力体制で開発を模索しているが、韓国政府は国防省関連の研究開発機関主導での開発を追求しており、開発がストップしている状態にある
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韓国のF-35選定のゴタゴタと、それに絡んでのKF-X計画の紆余曲折ぶりは、韓国ドラマも真っ青の筋書きのないドタバタ劇となっており、ぜひ下記にご紹介の過去記事で振り返って頂きたいと思いますが、そのたくましさを少しは学んでもいいのかもしれません

文在寅大統領の式典参加で力の入れようが伺えますが、お手並み拝見、高みの見物・・・とまいりましょう。

KF-X関連の記事
「KF-Xは欧州のミサイル搭載?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30-1
「米が韓への技術提供拒否」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-28
「KF-X計画公式発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-01-1
「韓国KF-Xは2個エンジン」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-22
「F-35がらみでKF-X支援要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-31

韓国の戦闘機ゴタゴタ(突然F-35調達)とKF-X
「韓国F-35とKF-Xのゴタゴタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-04
「韓国F-35とKF-X」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-25
「韓国がF-35に最終決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-22-1
「急転直下:F-35を選定か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-19

「韓国国産戦車開発も絡み、トルコ戦車に韓国関与」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-09

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無人ウイングマン試験機が多用途ドローン投下試験成功 [米空軍]

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豪州も3機導入し各種試験中のXQ-58A Valkyrieから
6回目のXQ-58A飛行試験で初の内装爆弾庫からの投下試験

XQ-58A ALTIUS.jpg3月26日、米空軍研究所とKratos社が協力し、無人ウイングマン構想の研究機体であるXQ-58A Valkyrieから、ALTIUS-600小型無人機を投下飛行させる試験に成功しました。この際、XQ-58Aの内部爆弾庫(internal weapons bay)を初めて使用し、この面での試験にも成功したとのことです

この無人ウイングマン構想は「Skyborg構想」と呼ばれ中国やロシアなどの強固な防空網を持つ敵との本格紛争を想定し、現在は有人機がすべてを担っているISR偵察や電子戦や攻撃などの任務を、安価で撃墜されても負担が少ないながら、人工知能等活用で多様な任務遂行可能な無人機に実施させようとの開発構想です

Skyborg3.jpg例えば、リスクの高いエリアでのISR任務を無人機が担当し、有人機は敵から遠い空域に在空して無人機からの入手情報を基に指揮統制をしたり、無人機が兵器を多量に搭載してシューターの役割を担い、有人機が各種情報を基に無人兵装機を誘導するなど、様々な任務分担が想定されています

本構想実現に向け昨年2020年12月に、「Kratos社」のほか「Boeing」「General Atomics」社が、以下のような要求性能概要に沿って、今年7月から「Skyborg構想」のデモ機飛行を行う契約を米空軍と結んだところです
---大きな戦闘力を発揮しつつも、現有の有人戦闘機に比して維持整備の負担を最小限に抑えなければならない
---モジュラー式で多様なハードとソフトを搭載可能で、多様な任務に対応可能。またソフトは迅速にアップデート可能
---繰り返し使用可能で使い捨てを前提としたものではないが、低コストで任務遂行中に失われても損害が軽微

ALTIUS-600 2.jpg今回、小型無人機を投下したKratos社のXQ-58A Valkyrieは、恐らく3社のデモ機に提供する基礎技術開発用機体の位置づけで、今回が6回目の試験飛行らしいですが、豪州も同じ機体を昨年5月に豪州首相も隣席の式典で大々的に受け入れ、計3機で試験検討を行っており、米豪空軍協力の象徴ともなっています

他にもXQ-58Aはこれまで、基本的な飛行試験の他、5世代機F-22やF-35を交えた通信中継機としての機能試験などを行ってきており、早ければ2023年にも無人ウイングマン(Skyborg)の仕様を固めたい米空軍の構想(2019年当時の空軍高官の発言)に沿っていろいろ試しているようです

この試験だけで、どうこう言う段階ではありませんが、無人機ウイングマン構想との米空軍だけでなく西側同盟国にとって重要な構想の1段階ですのでご紹介しておきます

5日付Defense-News記事によれば
XQ-58 Valkyrie.jpg5日米空軍は、3月26日にアリゾナ州Yumaの試験場空域で、Kratos社ステルス形状無人機 XQ-58A Valkyrieの内装爆弾庫から、「ALTIUS-600」小型無人機を投下&飛行させる試験に成功したと発表した

「ALTIUS-600」小型無人機は、機体前方に約3kgのセンサー等搭載機材を乗せ、計約13kgの総重量で飛行する無人機で、投下当初はチューブ状の形状で落下し、姿勢が安定した時点で翼などを展開し、電磁波情報収集、電子妨害、ISR、無人機妨害など多様な任務への使用が想定されている装備であ
ALTIUS-600.jpg米陸軍も、「ALTIUS-600」をヘリや移動車両、更には無人機MQ-1C Gray Eagleから投下や射出する試験を昨年から行っており、機体の高い潜在能力に期待が集まっている装備である。様々な母機や発射機から投射する際の、翼展開や推進システム駆動のタイミングにノウハウ蓄積が重要と言われている

米空軍のXQ-58A計画担当者は、今回の試験ではALTIUS-600投射の他に、従来より高高度をより高速で飛行する試験も実施し、30か月間のXQ-58A開発が単なるコンセプト実証から、実戦的な能力証明段階にまで達していることを示していると自信を示した
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「ALTIUS-600」小型無人機は、事前プログラムで飛行させるほか、地上等からリモコン操作も可能な無人機で、安価ながら平地があれば着陸させて再利用の可能な無人機だそうです

Skyborg2.jpgXQ-58A Valkyrieがどこまで試験を続けるのか、「Kratos」のほか「Boeing」「General Atomics」社の3機種のデモ機との関係はどうなるのか、無人ウイングマン構想(Skyborg)はどのような運用構想までを狙っているのか等々、興味は尽きませんが、引き続き続報を待ちたいと思います

無人機ウイングマン構想
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-09
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-21
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
「空母搭載の小型無人機」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-03
「空軍研究所が関連映像公開」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-3

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米空軍大将が陸軍の長射程兵器導入を「ばかげている」と [Joint・統合参謀本部]

大型爆撃機部隊GSC司令官のTimothy Ray大将
重複投資、アジアで受入国探し困難、1発数十億で破産する
米議員に「ばかげている、いい加減にしてくれ」と説明

Ray3.jpg1日、米空軍協会Podcastで公開されたインタビューで、米空軍で大型爆撃機やICBM部隊を管轄するGSC(Global Strike Command)司令官のTimothy Ray大将が、米陸軍が地上発射極超音速ミサイル等を重点装備として遠方攻撃に乗り出す方針を示していることに対し、「ばかげている。いい加減にしてほしい」と辛らつに批判し、くすぶり続けている「米空軍VS米軍地上部隊の長射程兵器導入構想論争」に、一気に火が付きそうな情勢になってきました

翌日2日には、米陸軍と空軍の参謀総長同士が連絡を取り、Brown空軍参謀総長が「米空軍は引き続き他軍種と緊密に協力しながら、米国の要求にこたえていく。4軍はそれぞれに、国家安全保障のため、統合軍としての役割を相互にサポートするため、それぞれを編成、装備、訓練することを担っている」との、沈静化を狙った声明を出していますが、コロナの影響で国防予算は厳しさを増しており、中国と戦う以前に、4軍間の「仁義なき戦い」は激しさを増しています

hypersonic Army2.jpg米空軍側は以前から、「遠方攻撃は既に米空軍が大型爆撃機等で担っており、空軍の極超音速兵器開発も進んでいるから、予算厳しき中で重複投資は無駄だ」、「ウォーゲームが示すように、長射程兵器だけでは勝てない」、「極超音速兵器や長射程精密誘導兵器は高価で、それだけで数万個の目標に対処すると破産する」と地上部隊の動きを批判してきましたが、GSC司令官は更に「欧州や中央アジアでは受け入れ国があるかもしれないが、アジアでは難しい」との点も持ち出して、陸軍を厳しく批判しています

2日付米空軍協会web記事等によれば
1日公開の米空軍協会ミッチェル研究所のインタビューでRay司令官は、「(米陸軍の遠方攻撃追求を最優先とする構想について、)純粋にその構想の信頼性に苦慮している。私は既に米空軍が習熟している分野に、相当額を投資して重複する戦力を編成する案をばかげていると思う」と語った
同司令官は、陸軍が全ドメインで戦うと称して、地上発射型の極超音速兵器を配備し、敵のミサイルや飛行場を迅速に攻撃できると主張し、陸海海兵隊が担ってきた長射程攻撃、海上作戦、着上陸作戦、宇宙作戦の任務に乗り出そうとしていることを批判した

hypersonic Army.jpgまた同司令官は、「地上配備の長射程兵器が機能するには、同盟国等の受け入れ承認が必要だが、欧州や中央アジアのいくつかの国では可能かもしれないが、アジア太平洋地域でにわかに可能になるとは考えにくい」、「陸軍がその能力を部隊配備するまでに少なくとも5年は必要で、実際に部隊配備できても、有事に前線に展開するには2-3か月は必要だろう」と述べ、一方で空軍アセットは直ちに必要な場所に派遣できると語った
そして、「関係しそうな同盟国に尋ねてみたらどうか? これまでなかったそのような兵器の受け入れ可能性について。基地対策で苦労している現状から、更に全く異なる依頼をすることとなる現実を考えるべきだ」と表現した

極超音速兵器に関しても、米空軍の爆撃機搭載用AGM-183Aの試験が4月5日に予定され、B-52やB-1やF-15E等に搭載可能になることがまもなく証明される段階にあると同大将は訴え陸軍の地上発射型より機動力があると主張した
AGM-183A.jpgまた、空軍の大型爆撃機部隊が開始した「Bomber Task Force」は、インドのような新たな場所にも展開先を広げ、数日ではなく、時間単位で展開可能で、長期にわたり変化する情勢に対応する柔軟性もあると語り、「国防省予算が厳しい中で、暴力的に高価な陸軍のアイディアに投資する必要があるのか」と疑問をぶつけた

そして、複数の米議員から陸軍構想について質問されたが、そのたびに「正直に申し上げると、ばかげているし、いい加減にしてほしい」と答えているとまで表現した

インタビューの中でミッチェル研究所の研究部長であるDeptula退役空軍中将は、「アフガンやイラクからの撤収が(政権の)話題の中で、米陸軍は極超音速兵器を追求することで自身の存在意義を主張しようとしている」、「強引に新たな任務を確保し、国家防衛戦略NDSの中で存在感を発揮しようとしている。それが遠方攻撃最優先の背景だ」と厳しく指摘した
Deptula AFA2.jpg更に同部長は、「陸軍は統合戦力を頼ることなく、遠方の目標情報や衛星画像情報を陸軍の航空機や宇宙センサーで獲得しようと構想しているが、これらは米空軍が統合戦力にすでに提供しているもので、完全に重複投資だ」とも訴えた

そして、陸軍は遠方攻撃に投資するために、米陸軍が中核として担ってきた基地防空やミサイル防衛への投資をおろそかにしていると批判し、米軍全体での戦闘能力強化を考えて行動すべきと批判した
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何回も申し上げてきたように、こんな時こそ統合参謀本部が乗り出すとタイミングだと思いますが、議長が陸軍人で、副議長が空軍人の体制では期待できそうもありませんし、仲介の動きさえも聞こえてきません

それでも、第一列島線上に「インサイド部隊」として残存性の高い防空&対艦ミサイル部隊を電子戦能力を強化して配備し、遠方で待機する「アウトサイド部隊」である海空軍部隊の来援まで持ちこたえ、中国が既成事実を積み上げることを阻止する体制づくりが大きな米軍の方向性のようなので、海兵隊を含めた地上部隊の動きは今後も要注目です

対中国新構想「海洋プレッシャー戦略」の中核か?
CSBAの同構想レポートを振り返るhttps://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-13

遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「米陸軍トップが長射程攻撃やSEADに意欲満々」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-12
「米空軍トップが批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

米陸軍の目指す長距離攻撃能力
「米陸軍は2023年から遠方攻撃兵器で変わる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-09
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「射程1000nmの砲開発に慎重姿勢見せる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-10
「射程1000nm砲の第一関門」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-15

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B-21の大きさをシェルター規模から推定 [米空軍]

米空軍が公開のシェルター候補から
B-2爆撃機の縦横8掛けのイメージか

B-21 Shelter.jpg4日付米空軍協会web記事は、米空軍が公開したB-21シェルター候補の写真をB-2爆撃機用シェルターの大きさと比較し、謎に包まれた開発中のB-21爆撃機の大きさを推定しています。

このシェルターとは、封鎖された空間となる「格納庫」とは異なり、飛行場の駐機場(列線:Flight Line)に設ける屋根付き壁無しの駐機スペースのことで、航空自衛隊の基地にはありませんが、米軍の航空基地には広く配備され、在日米軍基地でも岩国などで見られます

シェルターは、直射日光(紫外線など)や雨や雪が機体表面を損耗させるのを防ぎ、積雪地では機体の雪下ろしの手間を省くほか、弾薬搭載や燃料補給などの機体回り作業を開放的な空間で効率的に行うために活用されます

B-21 B-2.jpg特にステルス機の場合は、機体表面のステルスコーティングを守る意味から重要で、本格的な整備作業は封鎖された空間が確保できる「格納庫」で行われますが、格納庫への機体の出し入れは手間がかかるため、B-2爆撃機は輸送可能な移動式簡易シェルターを保有しており、インド洋のディエゴガルシアやグアム島展開の際は臨時に設置されるようです

今回のシェルター候補写真からすると、B-21はB-2の縦横8割程度の大きさのようで、現在B-2が使用している機動展開用簡易シェルターがB-21にもそのまま使用されるのではないか・・・と記事は推測しています

4日付米空軍協会web記事によれば
米空軍が公開したサウスダコタ州のEllsworth空軍基地に設置されたB-21爆撃機用シェルター候補の写真には、全長6mの車両(Ford F-150 又は Chevy Silverado)と複数の人物が含まれており、そこからこのシェルターの大きさを推定した
B-2爆撃機も同様のシェルターを使用しておりその大きさは
--- シェルター 75m×38m
--- B-2の機体 51m×21m(横幅×全長)

写真から推定するB-21シェルターの大きさは
--- シェルター 45m×24m
B-2の例からB-21の機体規模を推定すると
--- B-21の機体 42m×15m(横幅×全長)

B-21 bomber.jpg米空軍GSCのB-21担当大佐によれば、B-2と比較し、B-21はより多くの軽易な整備作業をシェルター内で実施可能な設計思想で開発が行われており、今後他のシェルター候補と数年かけて諸データを収集して比較する予定である
また、B-21配備候補基地はEllsworth空軍基地の他、モンタナ州のWhiteman基地やテキサス州のDyess基地など退役が始まったB-1爆撃機配備基地が予期されるが、Ellsworth空軍基地が最も気象条件が厳しいことからシェルター候補のテスト基地に選ばれたと述べた
///////////////////////////////////////////////////

なお米空軍協会は、独自に以前から「45m×17m以下」と推定していたと自慢しています。B-21の大きさが「42m×15m」と推定されたとして、「それがどうした?」と言われそうですが、こんなことが話題になるほど謎に包まれたB-21爆撃機です

それでも米空軍は、B-21関連情報を小出しにして、開発が順調だと最低限の宣伝には着意しているようで、予算確保への配慮に苦心しているようです

次期制空機NGADについて米空軍大将が、「中国に先を越される前に実現したい」と危機感を示していましたが、中国やロシアがどこまでB-21について把握しているのかも気になります・・・

B-21爆撃機の関連記事
「初飛行は2022年半ばか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-17
「B-21の開発状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「2021年12月3日初飛行予告」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-29
「初期設計段階終了」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30
「米空軍の爆撃機体制計画」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2 
「2017年3月の状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-20
「B-21に名称決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-27

「敗者の訴え却下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-17
「敗者がGAOに不服申し立て」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-07
「結果発表と分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-28

米空軍爆撃機の話題
「B-1の稼働機一桁の惨状」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-05
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春時点の爆撃機構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2

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空母艦載機の無人機比率を将来的には2/3に [Joint・統合参謀本部]

米海軍航空作戦部長が海軍協会のイベントで語る

Harris XX.jpg3月30日、米海軍協会イベントで米海軍航空作戦部長が、空母艦載機における無人機の割合を将来的には6割以上にまで高めることも検討していると語りました

米海軍は3月16日、無人システム活用の将来構想「Unmanned Campaign Plan」を発表しましたが、専門家や米議会から「空虚な言葉や表現ばかりで中身がない」、「今やっていることの説明ばかりで、具体的将来計画がない」等々と厳しい評価を受けていたところですが、そんな評価を気にしての発言かもしれません(完全に邪推です)

FA-18.jpg米海軍はFA-18後継機のFA-XX検討において、米空軍と同じように「family of systems」コンセプトを表明しており、単に特定の戦闘機型プラットフォームだけでなく、センサーや他の兵器システム全体で将来の戦い方を実現したいとしていますが、この方面でも米議会から検討状況が全く見えてこないと批判的な評価を得ているところです

もちろん、中国の軍事力課題が急速に進む中、「手の内」を見せない次世代装備開発が米軍には求められますが、対中国正面ではこれまでとは異なる戦いへの変革を求められていることから、自ら新たな発想を生み出せない&変化を推進できない軍隊の負の側面を見せているとも考えられ、今後の具体的な動きが注目されます

3月30日付Military.com記事によれば
Ford2.jfifNavy Leagueのイベントで米海軍航空作戦部長Gregory Harris少将は、「family of systems」で航空戦力を強化していく一環として、将来的には、無人戦闘機などを含む無人システムで空母艦載機の2/3以上を占める可能性に言及した
同少将は、「family of systemsは有人と無人システムの組み合わせで構成されると予期しており、有人と無人の比率は、無人4割、有人6割の方向に向かい、時間と共にその比率は無人6割・有人4割に向かうことも想定できる」、「空母艦載航空部隊を、5割以上無人システムで構成するようにもっていきたい」と表現した

このため、米海軍はFA-18後継機を検討するFA-XXプロジェクトで、有人機か無人機か部分的自立システム化等の検討を行っていると同少将は説明し、米空軍のNGAD計画が単一の戦闘機型アセットで構成されるものではない点にも留意していると語った
MQ-25.jpg更に同少将は、「米海軍はE-2D後継を将来的に考える必要があり、早期警戒プラットフォームの補完的な役割も考える必要がある」とも語った

そして、現在進めている空母艦載無人空中給油機MQ-25 Stingrayの出来次第で、今後の方向性を煮詰めていく事になるとも語った。なお米海軍はMQ-25に給油任務の他、ISR任務遂行を期待している
一方で、空母上での無人機運用は、安全面など今後慎重に進めるべき課題も残されており、他航空機との兼ね合いも含め、今後実際に空母上でリハーサルを繰り返す中で作戦運用を成熟させていく必要があると語った
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米空母の艦載機は、ニミッツ級でも新型フォード級でも、FA-18やF-35が4個飛行隊計約45機、電子戦機EA-18Gが5機、早期警戒機E-2Dが4機、H-60救難&輸送ヘリが6機、C-2輸送機が2機が一般的な構成ですが、6割以上を無人機にするとなると、戦闘機系列45機に手を付けなければなりません

X-47BFlight.jpgどこまで「無人機6割」の検討が煮詰まっているのか「?」ですが、米海軍協会(Navy League)のイベントは、米海軍主要幹部の他、大物OBや専門家やマスコミや軍需産業幹部が集結する相当規模のイベントですので、それなりの覚悟で発言したものと考えられます

の発言を受け、米空軍幹部にも「海軍は無人機6割の方向だが、空軍は?」との質問が投げかけられるのでしょう・・

上院軍事委員会が米海軍に対し、現状で不明確な米海軍の次世代制空(NGAD)構想について不満を示し、整理して報告するように要求
2021年度予算を22億円要求に対し、7億円しか認めず
「米海軍の次期艦載機F/A-XXの構想進まず」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-17

空母艦載の無人攻撃機構想がしぼむ様子
「組織防衛VS無人機導入派」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-08-01
「哀愁漂うUCLASS議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-17
「UCLASSの要求性能復活?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14
「夢しぼむUCLASS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-21

無人艦載攻撃機X-47Bの夢
「夏にRFP発出か:無人艦載機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-28-1
「映像:空母甲板上で試験中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-11
「映像:X-47B地上カタパルト発進」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-01
「X-47Bが空母搭載試験へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-28-1

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フロノイ氏が今こそ語る:中国を抑止するには [安全保障全般]

皆が期待する国防長官最有力候補だったのに・・・
今もお元気そうで何よりです

Flournoy.jpeg29日、バイデン政権の国防長官最有力候補だったMichèle Flournoy女史(CNAS共同創設者)が、パネッタ元国防長官や陸海軍参謀総長と共にネットワークの重要性を議論するパネル討議に登壇し、どのように中国を抑止すべきかについて語っています

ご存じのようにFlournoy女史は、有力シンクタンクCNASの共同創設者で、その後オバマ政権下で国防省NO3の政策担当次官として活躍し、バイデン政権誕生決定時には、専門家の10人いれば9人は次期国防長官最適任者として名を上げていた人物で、実務能力及び見識及び経験を全て備えた史上初の女性国防長官確実と追われていた女性です

Flournoy3.jpegしかし、なんかよくわからない理由で指名直前に候補から外れ、初の黒人Austin長官が誕生して以来、動静を耳にすることはありませんでした。フロノイ女史が候補から外された背景には、「米産軍複合体の闇を感じる」との噂や話をあちこちで耳にしたところです・・・

そんなFlournoy女史が久々に公の場に登場ですので、断片的ですが、対中国に関するお考えを改めてご紹介しておきます

なお、同女史のお考えは、以下の二つの記事でもご紹介をし、多くの方にご覧いただいておりますのでご参考に予算争いが激しさを増し、何が何かわからなくなっている、米国軍事戦略&戦術の方向性を示した、筋の通った考え方がそこにはあります

フロノイ女史の思考
「必要な国防政策を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-12
「米議会で中国抑止を議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17

29日付米空軍協会web記事によれば
Flournoy2.jpeg3月29日、The Hill主催のwebイベントに参加したMichèle Flournoy元政策担当国防次官は、中国は米国が国家として下り坂に入っていると確信しており、そのような考え方のもとに中国が誤った行動を起こさないよう、米軍内の連接性を向上させる等の未来志向の投資を活性化し、同盟国へのコミットを確かにしなければならないと訴えた

そして、「米国は中国に対し、コロナ禍から立ち上がり、地に足の着いた歩みを取り戻したことを示す必要があり、このため先ず国内諸問題に対処しなければならない」、そして「早期にカギとなる米軍の近代化や改革につながる技術分野へ投資する姿を見せることで、米国が世界のリーダーシップから後退しているとの見方により強く対処しなければならない」と主張した

更にフロノイ氏は、「最近行われた全てのウォーゲームやシミュレーションは、私の知る限り、現在の形態の米軍では次世代の軍事優位を維持することはできないことを示している。我々は抑止力を徐々に失っている状況にある」と警鐘を鳴らした
Flournoy4.jpegまた、「米軍は旧態然とした伝統装備に投資しすぎており、将来の厳しい戦闘環境下で生き残り、たくましく連携しながら機動し、戦い続けるような陸軍部隊や戦闘機部隊や海軍艦艇を生み出す次世代技術に十分投資していない」と問題点を指摘した

中国の軍事ドクトリンは「我が指揮統制、移動、通信、目標照準能力をダウンさせることで、交戦前に戦いを決着させる方向を目指しており、米国はこれに対処するため、強靭な全ドメイン指揮統制ネットワーク網を求められている」と現状認識を示し
最後に、「今後40年間の対中国抑止能力を確保しようとするならば、米国防省は今後4年間に賭けて、必要分野に重点投資しなければならない」と訴えた
/////////////////////////////////////////////

同webイベントでパネッタ元国防長官は中国が莫大な投資を5GやAI分野に投資を行っているのを横目で見ながら、それらの重要性を認識しながら、米国として十分な投資を行ってこなかった現実を直視すべきと語り、米国は中国に5GやAI分野で明白に後れを取っていると現状認識を示しています

Panetta.jpgただバイデン政権はその遅れを認識し、新技術への投資の必要性を認識しているとし、時間が必要だが、民間企業が国防上重要な分野に投資が進むようなインセンティブを与えるべきとの意見を述べています

残念ながら、陸軍と空軍の参謀総長は、遠方攻撃を巡る縄張り争いに関し、互いに議論に踏み込まない姿勢を示し、「それぞれに考えがあるが、4軍として一丸となって戦う」とその場しのぎの発言で終わっています

国防省内は混乱を極めており、中国の言う「下り坂の米国」を象徴するような状態ですが、本日は、良心的な政権外部の有識者から見た、米軍の対中国の現実とあるべき方向性をお伝えしました

フロノイ女史の思考:Biden政権の国防長官最有力候補だった
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「米議会で中国抑止を議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17

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米欧州軍が最高度の警戒態勢:露軍がウ国境に兵力増強 [米国防省高官]

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4月13日には、バイデンとプーチン大統領が電話会談
(近く、両首脳の直接会談をセットで合意とか)
ロシア軍8万人が国境付近集結とウクライナ情報
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米軍トップがロシアとウクライナ軍と意思疎通図る
ロシア軍の演習だろうとの見方もあるが・・・

Kirby2.jpg3月31日、John Kirby米国防省報道官が記者会見で、ロシア軍がクリミア半島付近のウクライナ国境に戦闘車両や兵器システムを増強しており、米軍人トップのMark Milley統合参謀本部議長が、ロシア軍とウクライナ軍のカウンターパートと連絡を取って状況確認と情報収集にあたっていると語りました

米メディア(NYT誌電子版など)は、先週から欧州米軍の当該地域担当部隊が警戒レベルを最高度に引き上げ、監視体制や情報収集体制を強化していると報じている一方で、米国高官が軍事演習の準備だろうと語った等の報道も出ており実態がわかりませんが、米国がコロナや政権交代途中で万全ではない状態で、ロシアや中国にとってチャンスと見えるタイミングですので要注意のためご紹介します

同じタイミングで、ロシア軍は北極海やアラスカ周辺で大型偵察機を繰り出し、米軍やNATO軍が10回以上のスクランブル発進で対応する事案も発生しており、気になる動きです

3月31日付米空軍協会web記事によれば
crimia.jpgJohn Kirby米国防省報道官(元海軍少将・海軍でも報道担当)はロシア軍がクリミア付近のウクライナ国境周辺に軍備増強している件について、3月31日にMilley統合参謀本部議長がロシア軍とウクライナ軍トップに連絡を取り、状況確認を開始したと明らかにした
同報道官は、「ロシア側との接触は始まったばかりである。直接ロシア側に何が起こっているかを確認するため」であり、ロシア勢力のこれ以上のウクライナへの侵入を防止するためでもあると語った

ロシア側高官は「軍事対峙のエスカレーションがみられる」と表現したと伝えられているが、米CBSニュースは米側高官が「軍事演習の準備だろう」と語ったとも報じている
NYT紙は、先週から欧州米軍が地域担当部隊の警戒態勢を最高レベルに引き上げたと報じている

Kirby.jpg同報道官はまた、欧州米軍のTod Wolters司令官が潜在的な脅威を懸念していると語り、この警戒態勢アップにより、欧州米軍の脅威情報収集を強化し、各級指揮官の状況判断を適切にできると説明した
また、そこに注視して監視するに値する対象が存在する、とも表現した
//////////////////////////////////////////////////

「杞憂」であることを祈りますし、米国防省が「ロシアの脅威を忘れるな」と訴え、予算獲得の「追い風」に利用しているのかもしれませんが、ロシアやソ連の前科を見ると、心配になります

crimia2.jpgJohn Kirby氏の姿を見るのは何年ぶりでしょうか・・・。このような形で安保や軍事分野を専門にする報道対応のプロが、日本でも望まれるのでしょう。男性女性関係なく、有能な人材の登用が望まれます

表面上だけでも、静かな週末を祈ります

ロシア関連の記事
「露軍がスーダンで海軍拠点確保」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-14
「セルビアが危ない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-10-2
「ベラルーシ大演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-11-23
「東欧中東戦線でのロシア軍電子戦を概観」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-1
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02

John Kirby米国防省報道官(海軍少将)関連
「マケイン議員が報道官に激怒」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-24
「国防省がHumint強化へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-27

ゲーツ長官とメディア
「最後の記者会見でプレスを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-17-2
「他国はなぜ米国と付き合うか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-02

報道やSNS上に流布する情報を見る上の参考に
新書「ドキュメント誘導工作」をご紹介
米大統領選挙や英国EU離脱国民投票での報道やSNSでの有権者誘導工作など、豊富な事例と専門家説明で平易に解説
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1

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