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米空軍調達を知る剛腕Kendall氏が空軍長官候補に [米空軍]

オバマ政権で調達&開発担当国防次官を4年
陸軍士官学校卒で航空工学修士とMBAと法学博士
F-35低度量産開始時に「米軍の悪しき習慣だ」と酷評
F-35調達数削減配置か? ICBM存続で現ICBM延命か?

Kendall4.jpg27日付各種報道が、バイデン政権が次期空軍長官にFrank Kendall元調達&開発担当国防次官(71歳:シンクタンクCPA上席研究員)を指名し、空軍副長官候補にフィリピン系女性で元空軍士官のGina Ortiz Jones氏(40歳)が初めて有色人種女性として推薦したと報じました

Frank Kendall氏は、オバマ政権時の2010年から12年にかけ調達担当国防次官補を務め、続く12年から16年まで調達兵站&開発担当国防次官として「Better Buying Power initiative」をWork副長官らと推進し、権限委任による国防省調達の迅速化や効率化を強力に進めた剛腕で名をはせた人物です

特に航空機や宇宙アセットの調達改革に取り組みましたが、F-35の開発との同時本格生産開始が決定された際は、「米軍の悪しき習慣だ」、「私が国防省の調達に関わるずっと以前のF-35計画当初に立ち戻れるなら、一つの主契約企業に集中するような事業構造を望まないだろう。より競争を促す構造が健全だと思う」と担当次官らしからぬ本音発言で物議をかもしまし

Gina Ortiz Jones.jpgまた、将来航空戦力検討の過程では「航続距離を求める声も、兵器搭載量増を求める声もアリ、永遠の課題だろう。しかし我々に突きつけられた弾道・巡航ミサイル脅威は、航空機ではなく拠点となる航空基地や空母に向けられており、航続距離への要望はより鋭さを増している」と述べ、足の短い戦闘機への投資にくぎを刺すような発言も遠慮なくしていた剛腕次官でした

一方のGina Ortiz Jones副長官候補は、空軍士官として3年、国防情報局DIAで情報分析官として勤務し、その後米通商代表部でオバマ政権とトランプ政権にまたがって勤務し、2018年にテキサス州上院議員選挙に出馬したが落選し、2019年にも再度挑戦するも2回目の落選を経験している方です。15歳で母親にレズビアンであることを告白するも、当時の米軍の「言わない、聞かない」方針に沿って、空軍勤務間は性的志向を公言しなかった方です

勝手な想像ですがFrank Kendall氏は豊富な経験から、F-35や次期ICBM調達など重要な調達問題目白押しの米空軍での仕切りを期待されてのノミネートで、F-35調達数削減への道を開くことが第一優先任務でしょう。Jones副長官候補は、初のアジア系女性副長官やレズビアン副長官としての「多様性」話題を狙ってのバイデン政権人事だと思われます

Frank Kendall氏のご経歴など
Kendall3.jpg1949年1月生まれの71歳で、陸軍士官学校をJack Reed上院軍事委員長と同期生として卒業。10年間陸軍士官として勤務し、陸軍士官学校で施設工学の教官も務めた経験がある
航空宇宙工学修士を加州工科大学で、MBAをロングアイランド大学で、法学博士号をジョージタウン大で取得

1990年代には軍需産業レイセオンで研究開発副社長として勤務し、国防省入省直前は国防関連コンサル会社Renaissance Strategic Advisorsで経営人の一角を占めていた
国防省では、国防長官室で戦術戦闘検討部長や戦略国防システム担当次官補代理などを務めた

Kendall22.jpgオバマ政権時の2010年から12年にかけ調達担当国防次官補を務め、続く12年から16年まで調達兵站&開発担当国防次官として「Better Buying Power initiative」をWork副長官らと推進し、調達兵站と研究開発の両方を同時に担当した最後の国防次官となった
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上記でご紹介したように、国防予算右肩下がりのオバマ政権時代の調達担当次官で、特にF-35をはじめとする米空軍航空宇宙アセット調達に深くかかわった人物です

Gina Ortiz Jones2.jpg陸軍士官学校卒業ながら航空宇宙工学修士号を持ち、空軍調達には一言もつ剛腕の空軍長官と、初の黒人空軍参謀総長として「変化しなければ敗北する」と背水の陣で改革に臨むBrown大将のコンビに、レズビアン女性アジア系副長官のトリオが、如何なる方向に米空軍を導くのか注目してまいりましょ

Kendall氏が国防次官当時の記事
「米国防省内部でF-35計画見積を巡り内紛」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-12-09
「将来航空機投資を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-10-25
「レーザー兵器は万能薬ではない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-09-12
「F-35をまとめ買いで安く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-05-31
「Offset Strategy」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-09-06-1

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対テロ戦力だったMQ-9を本格紛争用に改修へ [米空軍]

保有270機の中の70機を改良へ
使い道や改良の細部は不明ながら10年延命措置も

Agile Reaper4.jpg21日、米空軍がMQ-9無人偵察攻撃機の本格紛争用への能力向上改修のため、製造企業であるGeneral Atomics社と約300億円の契約を結んだと発表しました。契約には19機の改修経費が含まれ、最終的には保有機270機の中の71機に改修を行うようです。またこの改修には、機体寿命を10-15年延長するための延命措置も含まれているとのことです

これまで、MQ-9改修計画は全く耳にしないとお伝えし、「旧世代兵器は消え去るのみ・・・」などとご紹介したこともあったのですが、水面下で能力向上の検討が行われていたようです

Agile Reaper5.jpgもちろん前線部隊からは、MQ-9の改修型より、ステルス性を持つ新型無人偵察攻撃機「MQ-X」開発を望む声が多いようですが、270機も保有するMQ-9を簡単に捨てるわけにもいかず、残りの寿命を有効に活用する検討が行われていたことはご紹介していました

例えば昨年9月には、演習「Exercise Agile Reaper」が西海岸の海上中心に3週間以上実施され、空母戦闘群や潜水艦など米海軍アセットや、特殊作戦部隊や海兵隊、C-130輸送機なども参加し、MQ-9の航続性能と長時間在空能力を生かし、対中国作戦での「strike coordination and reconnaissance」や「combat search and rescue」などなどに活用する試みが行われ、部隊の機動展開能力向上にも取り組んでいたようです

21日付米空軍協会web記事によれば
Agile Reaper3.JPGGA社との契約発表を行った米空軍Life Cycle Management Center(AFLCMC)は、具体的な能力向上改修の中身は「closely held:閉鎖情報管理」するとしているが、最初の改修は電子妨害対処能力を向上させる「自己防御用の電子妨害対処アンテナシステム」だと説明している
そのほかには、データリンク能力、発電能力、照準センサー関連の能力アップが図られ、「open-architecture」採用による迅速な最新技術受け入れ能力アップも改修項目に含まれている模様である

米空軍AFLCMCはこの改修の背景を、MQ-9は今、過激派組織対処(C-VEO:Counter-Violent Extremist Organizations)のISRや攻撃任務から、強固に防御された厳しい作戦空域での任務にシフトしつつあると説明している
そして改修されたMQ-9は新たな名前を付与され、「MQ-9 Multi-Domain Operations (M2DO) system」と呼ばれるようになり、「2035年まで作戦上有効であり続けるだろう」ともAFLCMCは説明した

ただし、電力供給能力向上に伴い誰もが想定する「電子戦能力向上」に関しては、上記の電子妨害対処用アンテナ改修以外には答えられないと対応した
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Agile Reaper2.jpg昨年9月の演習「Exercise Agile Reaper」をご紹介した際に、MQ-9部隊の指揮官(中佐)が、MQ-9操縦者やセンサー捜査員の教育プログラムを約1か月間延長し、より複雑な作戦地域を想定した内容を付加したと部隊の変革を語っていました

また「この演習は、我が部隊が世界中どこへでも、未経験の場所へでも迅速に機動展開できることを示す良い機会であり、統合戦力に海洋作戦状況を提供する能力を示すチャンスでもある」とアピールし、演習後は「我々が迅速に展開を完了し、MQ-9の運用を開始し始めたことで、他の演習参加者たちを驚かせた」と語っていました

有事に西太平洋の島々へ、MQ-9を展開させる運用する余裕が米軍にあるのか、秘められた活用方法があるのか等、興味は尽きないところですが、いつもながら決してあきらめず「コツコツ」と取り組む姿勢には感心します

関連の記事
「JDAM完成弾運搬役も」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-04
「無人機MQ-9の対中国海上作戦への応用演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-26
「CSBAが米空軍の将来体制を提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「ハドソン研:68機MQ-4では不十分」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-23
「米海軍のMQ-4グアム配備」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-29
「CSISが米空軍の無人機用に苦言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-31

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米空軍による台湾シナリオWar Game [米空軍]

2018年と19年War Gameでの大敗北を受け
2020年秋には大損害も何とか勝利の戦力編成は
2030年を想定し、新たな戦力構成検討に資するため

Hinote.jpg12日付Defense-Newsが、米空軍が米議員も招いて2020年秋に行った2030年想定の台湾シナリオ大規模War Gameの様子を、Clint Hinote米空軍戦略計画部長(中将)へのインタビューをもとに取り上げ、2018年と19年実施のWar Gameでの反省を踏まえ、様々な新装備や新体制を組み込んだ米軍体制で、大損害を被りつつも何とか勝利に持ち込んだ様子の一端を紹介しています

演習の性格から、細部状況は不明ですし、2022年度予算案を提出する前に結果を整理していることから、米空軍の現在の検討や開発方針を支える結果となっている点は否めませんが、本ブログで細切れにご紹介している様々な断片を全体像で捉える機会にもなりますので、長い長い記事ですが、概要の概要をご紹介します

演習の経緯
Agile Reaper2.jpg2018年War Gameは南シナ海を舞台にしてほぼ現状戦力で戦ったが、記録的な短時間で大敗北を喫した。19年台湾シナリオではインサイド部隊とアウトサイド部隊の効果を比較する形式で行い、敗れたが、最善の組み合わせを考える資となった
これら2回の結果を踏まえ、2030年を想定し、まだ具体化されていない装備等を含め、様々な施策を実施した想定で米軍戦力を準備した結果、war game開始直後、仮想中国軍指揮官が戦力配備から台湾侵攻を中国側に不利として躊躇するまでに米側体制準備ができた

米軍の体制(指揮統制や配備)
ABMS2.jpg全ドメイン指揮統制コンセプトを導入完了し、軍種間で各種センサー情報を共有でき、迅速な指揮統制が可能な態勢を確立。空軍はABMSを導入し、海軍の「Project Overmatch」や陸軍の「Project Convergence」と連携連接して円滑な情報や指示共有が可能
米空軍は指揮統制の分散・権限移譲を図り、全軍種のメンバーで構成される5-30名の小指揮統制チームがタブレット等を用いて強靭で柔軟な指揮統制を維持。中国側によるハワイのヒッカム司令部攻撃にも作戦の指揮統制途絶を無くす

西太平洋地域に、滑走路を延長して施設も強化した分散運用基地を複数準備し、各拠点に燃料・部品・運用支援機材を事前集積。戦力を分散配置した結果、どの拠点にも容量の5割以下の戦力しか配置せず、1拠点の被害が全体に大きな影響を与えない体制を強化
台湾も国防支出を増加して現在の国防強化構想実現に成功し、無人システムや電子戦装備を強化し、陸海空軍の増強を完了

戦闘機の構成
NGAD6.jpg次世代戦闘機NGAD、F-35、F-15EX、更にBrown参謀総長が提唱した「5世代機マイナス・4世代機プラス」の4機種構成
NGADは、従来F-35が想定していた敵空域侵入を伴うSAM制圧などの作戦を行い、足の短いF-35は中国艦艇対処や巡航ミサイル対処などに馬車馬のように機能する。ただしここでもF-35は、まだ配備されていない「Block 4」が前提で、現有タイプでは任務遂行は不可能
F-15EXは防御的任務の他、長射程ミサイルや極超音速兵器の発射母機として活躍し、新導入の「4世代プラス機」は本土防空や反乱分子対処に投入

無人機の活用
XQ-58 Valkyrie.jpgMQ-9やRQ-4は台湾シナリオでは活躍の場はなく、現在開発中や構想レベルの戦力が必要となる。台湾海峡には小型安価なドローンで構成される「無人機の群れ」が主としてセンサーや通信中継機として、また時には兵器を搭載し大量投入される

XQ-58A Valkyrieのような無人機は、第2列島線上のグアム島などから発進し、損耗をあまり気にすることなく敵艦艇や敵地上目標を攻撃する
RQ-4の後継的なアセットには、ISRに留まらず、通信データーノードや空中レーダーとしての機能も期待され、老朽化が進むE-3の後継として豪空軍のE-7Aの無人機バージョンも検討されている

爆撃機と輸送機の役割
B-52とB-21を使用し、B-52は危険の少ない遠方から大きな搭載能力を生かしてスタンドオフ攻撃を実施し、B-21はその突破力から敵空域での作戦を担当する
一方、作戦が始まると双方のミサイル射程範囲での空輸は困難となり、水食糧から医療品、燃料・弾薬・整備機材等の事前集積が不可欠であることが明らかになった

palletized munitions3.jpg物資の前線空輸が困難となる輸送機だが、その搭載能力を生かし、パレタイズされた長射程兵器を機内から投下する手法が期待されている。敵からすれば、予期しない場所からミサイルが飛んでくる脅威となり、また攻撃能力が不足しがちな戦域で戦力となる
空中給油はKC-46Aがフル体制で活動したが、敵脅威エリアで活動できなかった。同時にWar Gameでは、空想の小型給油機を大量に配備使用する形と、より大型のタンカーを運用する形態が試された。結果についてHinote中将は、今後の検討の資を得られたが、様々な条件で結果は異なり、単純に結論は得られないと語った

両軍の損耗について
China-USA.jpg2018年のWar Game時より米軍の損害は抑えられ、中国軍はより大きな損害を受けたが、それでも依然として大国との戦いは「破滅的:catastrophic」な被害を両サイドにもたらす
中国の野望に対して軍事力で立ち向かうということは、その損耗を受け入れる覚悟を必要とする。今回のWar Gameには両院軍事委員会のメンバーが招待され、戦いの想定される様相や教訓共有の場となったが、これが今後の予算説明円滑化に資することが期待されている
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対中国を想定し、米陸軍や海兵隊が長射程兵器の導入を中核に据える部隊改編に注力する中、米空軍はWar Gameやシミュレーション等の結果を踏まえてそれらの動きに強く反対する姿勢を示してきましたが、このWar Gameもその主張を支える一つでしょう

両院の軍事委員会メンバー議員を招待するのも大事なことでしょうが、統合参謀本部も含め、陸海海兵隊との意思疎通にも努力してほしいところです

Davidoson太平洋軍司令官が3月に議会軍事委員会で、「6年以内に中国は台湾支配に動く」と発言して以降、富に注目を集めている台湾シナリオですが、日本の役割をどの程度期待し、どの程度の損害が日本に出ているのかとっても気になります

遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「空軍大将が陸軍を痛烈批判」→→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-03
「米陸軍トップが長射程攻撃やSEADに意欲満々」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-12
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「米空軍トップがWar Game結果を踏まえ地上部隊批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02

輸送機からの兵器投下検討
「輸送機から長射程ミサイル投下を本格検証へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-01
「ミッチェル研究所は輸送機からの兵器投下に反対」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19-1
「MC-130からパレタイズ兵器投下試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-01

XQ-58A Valkyrie関連
「小型ドローン投下試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-06
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27

NGADとF-15EXと5世代マイナス機関連
「F-15EX初号機」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-15
「5世代マイナス機検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-19
「NGAD関連」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-27-1

台湾軍事関連
「台湾軍の対中国体制に危機感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-02
「次の太平洋軍司令官候補が台湾に切迫する危機に警鐘」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-25
「台湾の巨大な中国監視レーダー」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2013-11-28

CSBA提言の台湾新軍事戦略に学ぶ
まとめ→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-08
その1:総論→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
その2:各論:海軍と空軍へ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-1
その3:各論:陸軍と新分野→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-2

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F-22が約3週間の岩国展開訓練終了 [米空軍]

4月1日には空自三沢F-35との訓練も
おそらく6機展開も訓練内容など細部一切不明ながら

F-22 iwakuni2.jpg7日付米空軍ニュースサービスは、3月12日から米海軍岩国基地に展開していた米空軍ヒッカム基地(ハワイ)所属のF-22戦闘機が、4月5日に岩国展開訓練を終了し、ACE構想(Agile Combat Employment)の一環としての「DFE:Dynamic Force Employment」を無事終了したと発表しました

なお「DFE:Dynamic Force Employment」は、「戦略的に予想可能ながら、戦術的には予想不可能な」戦力展開として、対中国やロシアを意識した戦術運用に資する方式で、従来米空軍大型爆撃機がプレゼンスを示すために行ってきたCBP(Continuous Bomber Presence)に代わって、戦力ローテーションでなく、事前情報少なく柔軟に機敏に必要地域に航空戦力を展開させる方式で、2020年4月頃から米空軍が行っています

F-22 iwakuni3.jpg約3週間の展開期間中F-22は、岩国基地所属のFA-18やF-35B、更には航空自衛隊三沢基地所属のF-35A戦闘機との訓練も実施し、国家防衛戦略NDSの狙いとする同盟国との協力関係強化や地域の安定に寄与したとしています

報道によれば、F-22はハワイ所属の米空軍第19戦闘飛行隊とハワイ州空軍第199戦闘飛行隊から派遣された6機で、F-22の日本展開は米空軍嘉手納基地への展開が記憶にありますが、そのほかあまり記憶になく、海兵隊基地への展開となるとそれなりに米空軍として力を入れた訓練ですので、中身はさっぱり不明ですが、ご紹介しておきます

まぁ、マニアの方が岩国まで遠征して撮影された映像からわかるように、まんぐーすなんかより、マニアの方の方がはるかに詳しそうです・・

マニアの方の撮影:岩国でのF-22離陸(約6分)


7日付米空軍web記事等々によれば
太平洋空軍の航空サイバー作戦課長であるLansing Pilch少将は、「我々がハイエンド紛争に向けた即応態勢を維持することに焦点を当て訓練を実施した。米海兵隊の第5世代機を含む航空アセットや、共に融合して飛行する可能性のある地域同盟国アセットとも訓練する機会が得られた」と訓練を振り返った
F-22 iwakuni4.jpg岩国海兵隊作戦担当幹部は、「岩国の海兵隊操縦者にとって、我々が保有するF-35Bとは異なる第5世代機F-22との訓練や同盟国との訓練は、我々の高い即応態勢を維持する一つの手段であり、free and openなインドアジア太平洋地域の維持に貢献するものだ」とコメントしている

航空自衛隊の報道発表によれば、4月1日に東北地方西方の日本海上空で、4機のF-22と4機の空自F-35Aが「戦術技量及び日米共同対処能力の向上」訓練を行い、米空軍KC-135空中給油機やF-16戦闘機1機(おそらく写真撮影用)も参加
航空自衛隊三沢基地所属の302飛行隊長Tamura Hidetoshi2等空佐は、「日米両国の戦闘機部隊は、いかなる状況にも対処可能で、迅速に戦術目的を達成可能な能力を保持している」、「また、我々は定期的に2国間訓練を行うことで、地域の安全保障を確かなものとするエアパワーの維持を図る所存である」、「訓練を通じ、日米両国の意図や能力造成方向が完全に一致していることを確認した」と述べている
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全く中身のない記事となりましたが、久々に「DFE:Dynamic Force Employment」との言葉を久々に耳にしました

F-22 iwakuni.JPGでもこの言葉、耳障りは良いものの、米軍の前方展開部隊を米本土や後方に下げることの裏返しであることに留意する必要があります

オースチン国防長官も就任早々、エスパー長官時代から着手していた「体制見直し」を改めて実施すると宣言していましたが、その中には在米海兵隊の大幅削減も含まれていると言われています。引き続き要注意です

米軍再編関連の記事
「オースチン長官が態勢見直し表明」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-06
「在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「9月末までに米軍再編検討を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23

DFEの始まり
「ディエゴガルシアでDFE」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-13
「CBPからDFEへの変化を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-30

終了したグアムCBP
「16年続いた大型爆撃機のグアム駐留CBP終了」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-19
「アジアへの空軍戦力派遣」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-14
「グアムに大型B全機種勢揃い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-12
「B-2がCBPでグアム展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-18
「CBP受入の常設部隊設置へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-13-1
「爆撃機による外交」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-04

中東でのCBP
「18年継続の爆撃機中東派遣終了」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-30-1
「対イランに中東へB-52短期派遣」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-08

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米空軍が電動ヘリeVTOLでACE構想推進へ [米空軍]

不便な展開基地での輸送や救助救難任務に
C-130輸送機で一度に数機空輸可能なeVTOL
複数の民生用試作開発機を評価やテスト中
5月のACE演習で一部を試験活用へ

S4.jpg3月31日付Defense-Newsは、米空軍が2020年2月から当時のRoper次官補主導で始めた民生用電動へり(eVTOL:electric vertical-takeoff-and-landing)導入検討(Agility Primeプロジェクト)に関し、3月末に候補の一つで輸送機搭載&輸送試験を行い、5月には本格的な演習(Exercise Bushwhacker)で試作中の電動ヘリの搭載・輸送・組み立て等の検証を計画していると報じています

このような電動ヘリは、米空軍が対中国・対ロシアを想定して全世界で取り組む戦力の分散&機動的運用構想ACE(agile combat employment)における人員や物資輸送、更には救難救助用での活用がメインに想定されているアイディアですが、幾つかの特徴があります

Hexa2.jpg一つは、米空軍が要求性能を出して企業に開発させる方式ではなく、民生用に様々な企業やベンチャーが開発・試作しているものをできるだけ活用し、開発費投入を抑える方式を追求していることで、今回C-130(特殊作戦用HC-130J)に搭載された「Hexa」も、現状では搭載重量や航続距離の点でまだまだですが、その可能性と将来性に賭けている段階です

もう一つは、小型ドローン市場が活性化した際の大きな反省事項として、国防省や国が積極的に関与せずに民間企業の競争に任せていた結果、コストを重視した小型ドローン企業が部品の大半を中国のサプライチェーンに依存することとなり、国防省や米政府機関の導入や使用が困難に直面した苦い過去を踏まえている点で、eVTOLではその過ちを繰り返さないように、民生用の開発であっても「前広に」米軍として関与して行こうとの意図が背景にある点です

米空軍としては、100nm先の場所に、3-8名を輸送でき、速度が100マイル/h程度の電動ヘリ(eVTOL)を、2023年までには実用可能なオプションにまで煮詰めたいとの目標を掲げており、12以上の企業から様々な民生用開発品情報を入手するなど、楽しみなのでご紹介しておきます

3月31日付Defense-News記事によれば
Agility Prime2.jpg2020年2月に開始された「Agility Prime」プロジェクトでは、(取り組みの一つとして)、6企業から民生用のeVTOL開発の情報提供を受け、2020年12月にJoby社の「S4」に米空軍として耐空証明を付与したところであるが、様々な開発途上の技術を生かし、米空軍は2023年までに実用的な形(program of record by 2023)にまとめたいと考えている
(注:6企業は、Phenix Solutions, Joby Aviation, Elroy Air, Moog, Beta Technologies、Lift Aircraft.)

「Agility Prime」プロジェクト担当のJames Bieryla氏は、「我々は従来とは異なる調達法にトライしている」、「厳格な要求性能提示するのではなく、逆の手法で行っている。皆さんの企業では何が出来ますか、と問いかけ、12企業以上から情報を得ることができた。様々な分野で特徴を持つこれら情報をさらに発展させるように促進したいと考えている」と語った
S4 2.jpg同プロジェクトの一環として、3月23-24日に第355航空団(A-10攻撃機を主に、HH-60やHC-130からなる救難部隊を保有)で行われたHC-130J輸送機への搭載試験は、情報提供があった一つであるLift Aircraft社の「Hexa」を使用して行われた

「Hexa」は卵のような形状をした機体で、水上にも着水することができる。3月末の試験ではC-130輸送機に1機のみ搭載したが、機内スペースからすればC-130に一度に「Hexa」を5-6機搭載可能と考えられている。また搭載試験では、「Hexa」1機と支援機材搭載に45分を要したが、手順化すれば15分で搭載可能と考えられる
現時点では「Hexa」は15分程度しか連続飛行できず、1名しか搭乗できないが、基本技術を生かして搭載量を増やすことは可能であろうし、操縦は大部分が自動化されており習熟は容易で、完全自動化運用も開発中である

Hexa.jpgしかし、このようなeVTOLはエンジン駆動と比較して極めて静粛なことから、また輸送の容易性等から、最前線の展開基地での物資輸送の他、偵察要員輸送や安全確保要員の事前派遣等に有用だと、前線部隊から潜在的能力への期待は大きい
米空軍では、複数の候補機体や要素技術の確認試験を行っており、初期段階の各種アイディアに対し、どのように米空軍が関与して行くか等について検討している。その取り組みは民生用として、皆を助ける技術に成熟する可能性を秘めている
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「Hexa」(翼無し)や「S4」(翼あり)の写真からご覧いただけるように、SF映画から飛び出してきたような形状の機体です。そのほかにも「eVTOL」情報収集対象の機体には、興味深い機体が含まれています

Agility Prime.jpg蓄電池でどれだけ推力が得られるのか? どれだけ航続距離が確保できるのか等々、興味は尽きませんが、夢のある話なのでご紹介しておきます

米空軍のACE構想実現には極めて懐疑的なまんぐーすですが、米空軍や専門家の前向きな「知恵だし」や努力には頭が下がります。日本人も知恵を絞らないと・・・と痛切に感じます

米空軍の戦力分散運用ACE関連
「F-15Eに完成弾JDAM輸送任務を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-04
「GuamでF-35とF-16が不整地離着陸」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-28
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-13
「中東派遣F-35部隊も挑戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「三沢でACE訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-21
「太平洋空軍がACEに動く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-12
「太平洋空軍司令官がACEを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「F-22でACEを訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-03-08

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無人ウイングマン試験機が多用途ドローン投下試験成功 [米空軍]

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豪州も3機導入し各種試験中のXQ-58A Valkyrieから
6回目のXQ-58A飛行試験で初の内装爆弾庫からの投下試験

XQ-58A ALTIUS.jpg3月26日、米空軍研究所とKratos社が協力し、無人ウイングマン構想の研究機体であるXQ-58A Valkyrieから、ALTIUS-600小型無人機を投下飛行させる試験に成功しました。この際、XQ-58Aの内部爆弾庫(internal weapons bay)を初めて使用し、この面での試験にも成功したとのことです

この無人ウイングマン構想は「Skyborg構想」と呼ばれ中国やロシアなどの強固な防空網を持つ敵との本格紛争を想定し、現在は有人機がすべてを担っているISR偵察や電子戦や攻撃などの任務を、安価で撃墜されても負担が少ないながら、人工知能等活用で多様な任務遂行可能な無人機に実施させようとの開発構想です

Skyborg3.jpg例えば、リスクの高いエリアでのISR任務を無人機が担当し、有人機は敵から遠い空域に在空して無人機からの入手情報を基に指揮統制をしたり、無人機が兵器を多量に搭載してシューターの役割を担い、有人機が各種情報を基に無人兵装機を誘導するなど、様々な任務分担が想定されています

本構想実現に向け昨年2020年12月に、「Kratos社」のほか「Boeing」「General Atomics」社が、以下のような要求性能概要に沿って、今年7月から「Skyborg構想」のデモ機飛行を行う契約を米空軍と結んだところです
---大きな戦闘力を発揮しつつも、現有の有人戦闘機に比して維持整備の負担を最小限に抑えなければならない
---モジュラー式で多様なハードとソフトを搭載可能で、多様な任務に対応可能。またソフトは迅速にアップデート可能
---繰り返し使用可能で使い捨てを前提としたものではないが、低コストで任務遂行中に失われても損害が軽微

ALTIUS-600 2.jpg今回、小型無人機を投下したKratos社のXQ-58A Valkyrieは、恐らく3社のデモ機に提供する基礎技術開発用機体の位置づけで、今回が6回目の試験飛行らしいですが、豪州も同じ機体を昨年5月に豪州首相も隣席の式典で大々的に受け入れ、計3機で試験検討を行っており、米豪空軍協力の象徴ともなっています

他にもXQ-58Aはこれまで、基本的な飛行試験の他、5世代機F-22やF-35を交えた通信中継機としての機能試験などを行ってきており、早ければ2023年にも無人ウイングマン(Skyborg)の仕様を固めたい米空軍の構想(2019年当時の空軍高官の発言)に沿っていろいろ試しているようです

この試験だけで、どうこう言う段階ではありませんが、無人機ウイングマン構想との米空軍だけでなく西側同盟国にとって重要な構想の1段階ですのでご紹介しておきます

5日付Defense-News記事によれば
XQ-58 Valkyrie.jpg5日米空軍は、3月26日にアリゾナ州Yumaの試験場空域で、Kratos社ステルス形状無人機 XQ-58A Valkyrieの内装爆弾庫から、「ALTIUS-600」小型無人機を投下&飛行させる試験に成功したと発表した

「ALTIUS-600」小型無人機は、機体前方に約3kgのセンサー等搭載機材を乗せ、計約13kgの総重量で飛行する無人機で、投下当初はチューブ状の形状で落下し、姿勢が安定した時点で翼などを展開し、電磁波情報収集、電子妨害、ISR、無人機妨害など多様な任務への使用が想定されている装備であ
ALTIUS-600.jpg米陸軍も、「ALTIUS-600」をヘリや移動車両、更には無人機MQ-1C Gray Eagleから投下や射出する試験を昨年から行っており、機体の高い潜在能力に期待が集まっている装備である。様々な母機や発射機から投射する際の、翼展開や推進システム駆動のタイミングにノウハウ蓄積が重要と言われている

米空軍のXQ-58A計画担当者は、今回の試験ではALTIUS-600投射の他に、従来より高高度をより高速で飛行する試験も実施し、30か月間のXQ-58A開発が単なるコンセプト実証から、実戦的な能力証明段階にまで達していることを示していると自信を示した
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「ALTIUS-600」小型無人機は、事前プログラムで飛行させるほか、地上等からリモコン操作も可能な無人機で、安価ながら平地があれば着陸させて再利用の可能な無人機だそうです

Skyborg2.jpgXQ-58A Valkyrieがどこまで試験を続けるのか、「Kratos」のほか「Boeing」「General Atomics」社の3機種のデモ機との関係はどうなるのか、無人ウイングマン構想(Skyborg)はどのような運用構想までを狙っているのか等々、興味は尽きませんが、引き続き続報を待ちたいと思います

無人機ウイングマン構想
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-09
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-21
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
「空母搭載の小型無人機」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-03
「空軍研究所が関連映像公開」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-3

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B-21の大きさをシェルター規模から推定 [米空軍]

米空軍が公開のシェルター候補から
B-2爆撃機の縦横8掛けのイメージか

B-21 Shelter.jpg4日付米空軍協会web記事は、米空軍が公開したB-21シェルター候補の写真をB-2爆撃機用シェルターの大きさと比較し、謎に包まれた開発中のB-21爆撃機の大きさを推定しています。

このシェルターとは、封鎖された空間となる「格納庫」とは異なり、飛行場の駐機場(列線:Flight Line)に設ける屋根付き壁無しの駐機スペースのことで、航空自衛隊の基地にはありませんが、米軍の航空基地には広く配備され、在日米軍基地でも岩国などで見られます

シェルターは、直射日光(紫外線など)や雨や雪が機体表面を損耗させるのを防ぎ、積雪地では機体の雪下ろしの手間を省くほか、弾薬搭載や燃料補給などの機体回り作業を開放的な空間で効率的に行うために活用されます

B-21 B-2.jpg特にステルス機の場合は、機体表面のステルスコーティングを守る意味から重要で、本格的な整備作業は封鎖された空間が確保できる「格納庫」で行われますが、格納庫への機体の出し入れは手間がかかるため、B-2爆撃機は輸送可能な移動式簡易シェルターを保有しており、インド洋のディエゴガルシアやグアム島展開の際は臨時に設置されるようです

今回のシェルター候補写真からすると、B-21はB-2の縦横8割程度の大きさのようで、現在B-2が使用している機動展開用簡易シェルターがB-21にもそのまま使用されるのではないか・・・と記事は推測しています

4日付米空軍協会web記事によれば
米空軍が公開したサウスダコタ州のEllsworth空軍基地に設置されたB-21爆撃機用シェルター候補の写真には、全長6mの車両(Ford F-150 又は Chevy Silverado)と複数の人物が含まれており、そこからこのシェルターの大きさを推定した
B-2爆撃機も同様のシェルターを使用しておりその大きさは
--- シェルター 75m×38m
--- B-2の機体 51m×21m(横幅×全長)

写真から推定するB-21シェルターの大きさは
--- シェルター 45m×24m
B-2の例からB-21の機体規模を推定すると
--- B-21の機体 42m×15m(横幅×全長)

B-21 bomber.jpg米空軍GSCのB-21担当大佐によれば、B-2と比較し、B-21はより多くの軽易な整備作業をシェルター内で実施可能な設計思想で開発が行われており、今後他のシェルター候補と数年かけて諸データを収集して比較する予定である
また、B-21配備候補基地はEllsworth空軍基地の他、モンタナ州のWhiteman基地やテキサス州のDyess基地など退役が始まったB-1爆撃機配備基地が予期されるが、Ellsworth空軍基地が最も気象条件が厳しいことからシェルター候補のテスト基地に選ばれたと述べた
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なお米空軍協会は、独自に以前から「45m×17m以下」と推定していたと自慢しています。B-21の大きさが「42m×15m」と推定されたとして、「それがどうした?」と言われそうですが、こんなことが話題になるほど謎に包まれたB-21爆撃機です

それでも米空軍は、B-21関連情報を小出しにして、開発が順調だと最低限の宣伝には着意しているようで、予算確保への配慮に苦心しているようです

次期制空機NGADについて米空軍大将が、「中国に先を越される前に実現したい」と危機感を示していましたが、中国やロシアがどこまでB-21について把握しているのかも気になります・・・

B-21爆撃機の関連記事
「初飛行は2022年半ばか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-17
「B-21の開発状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「2021年12月3日初飛行予告」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-29
「初期設計段階終了」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30
「米空軍の爆撃機体制計画」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2 
「2017年3月の状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-20
「B-21に名称決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-27

「敗者の訴え却下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-17
「敗者がGAOに不服申し立て」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-07
「結果発表と分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-28

米空軍爆撃機の話題
「B-1の稼働機一桁の惨状」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-05
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春時点の爆撃機構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2

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米空軍が最新第4世代機F-15EXの初号機を受領 [米空軍]

本当はF35を希望も、F-15C/D老朽化にF-15EXを
F-15C/D後継機だがF-15Eの後継構想も

F-15EX Eglin.jpg11日、米空軍は最新型第4世代機F-15EXの初号機をフロリダ州Eglin空軍基地で受領し、空軍物資補給コマンド隷下の評価試験飛行隊の所属機体して能力評価試験を行うと発表しました

4月6日に同基地に到着する予定の2番機は作戦運用部隊である米空軍戦闘コマンド所属となり、こちらは実戦部隊による作戦運用試験用に提供使用されるとのことです。なお2番機は、ボーイング社のセントルイス工場からMark Kelly戦闘コマンド司令官自らが操縦して輸送するようで、初の作戦用機体として盛大に歓迎式典を行うそうです

F-15EX Eglin2.JPG米空軍は領空保全に使用している週空軍F-15C/D型の後継としてF-35の導入を想定していましたが、開発の遅れと維持費高止まりで断念し、当時のMattis国防長官らの説得で渋々「最新第4世代機」であるF-15EX導入を2019年2月に受け入れ、2020年6月に契約、2021年2月2日に初飛行、そして今回の初号機引き渡しと超特急で話が進んでいます

F-15は、米空軍が使用するC/D型(約450機)や日本が使用するJ/DJ型以降も進化を続けており、数年前に完成したシンガポール仕様SG型やサウジ使用SA型やカタール用QA型には最新技術が投入されており、今回のF-15EXも第4世代機とは言え、これら3機種の「美味しいとこ取り」で、最新コンピュータ、フライバイワイヤ、コンフォーマル燃料タンク、追加の兵器搭載ポイント、最新の電子戦装備Eagle Passive Active Warning Survivability System等に加え、オープンアーキテクチャー方式でソフト更新を柔軟に行える態勢の機体となっていま

F-15EX Eglin3.JPG2023年までに最初の8機を同基地で受領し、2024年にはオレゴン州Kingsley Field州空軍基地に、2025年には同じくオレゴン州Portland基地で受け入れ最初のF-15EX運用部隊とする計画で、今後10-12年間で計144機を調達する計画ですが、F-15Eストライクイーグル後継との構想もささやかれており、計200機までの追加オプションも契約上は想定されているようです

F-15C/D型は既に機体の平均年齢が37歳に達し老朽化が進んでいますが、F-15EXは2050年代までの使用が想定されているようです

11日付米空軍協会web記事によれば
米空軍でF-15EX計画責任者であるSean Dorey大佐は、「拡張された兵器搭載能力、デジタル化された装備、そしてopen architecture採用で、F-15EXは戦術航空部隊のカギとなるアセットとして第5世代アセットを補完していく」と述べ、「大国との紛争で重要となる極超音速兵器も搭載可能だ」とアピールしている

F-15EX Eglin4.jpgまた初号機受け入れた試験評価部隊を持つAir Force Life Cycle Management Centerは、「F-15EXは、老朽化が進むF-15C/D型リフレッシュの費用対効果の良い迅速な解決法で、F-15E部隊の増強にもつながるアセットであり」、国家安全保障戦略NDSの要求を2040年代にかけ満たすと声明を出している

また初号機を受け入れるArnold Bunch空軍物資補給コマンド司令官は、「コロナ下の困難な状況で、記録的な短期間で最新アセット導入を成し遂げた全てのチーム関係者の労を讃えたい」、「オープンシステムと兵器搭載量増で、将来に渡りF-15EXは優れた能力をわが軍に提供してくれるだろう」とコメントを寄せた
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ご参考まで、米空軍戦闘機の後継構想は
●米空軍の現有作戦機と後継機の関係
--- 約230機のF-15C/D制空戦闘機とF-117ステルス攻撃機
   → 約180機のF-22戦闘機
     (当初は381機調達予定も、ゲーツ長官が計画中止)
--- 約280機のA-10攻撃機と約930機のF-16C/D戦闘爆撃機
   → 約1700機のF-35へ
--- 更に約230機のF-15C/D制空戦闘機の後継
   → 144機程度のF-15EXへ
--- 218機の戦闘爆撃機F-15Eストライクイーグル
   → 未定(F-15EXを米空軍がオプションとして検討)

F-15EX 4.jpgですが、上記コメントや、最近のBrown空軍参謀総長の「TacAir」検討開始指示からすると、F-15EXはF-15E後継として有力だということでしょう。極超音速兵器搭載可能とは頼もしい限りです

またBrown大将が構想する新開発の「第5世代機マイナス」機に関しては、デジタル設計技術や既存成熟技術を活用すれば、このF-15EXのように迅速に実用化できることを示した例として「追い風」になるのでしょう

F-15EX関連の記事
「F-15Eの後継候補?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-02
「イヤイヤF-15EXに進む米空軍」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-30
「国防省高官もF-15EX導入を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-23-1
「統参議長がF-15EX購入を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-2

「F-15EXは空軍の選択ではない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-02
「参謀総長F-15Xを強く示唆」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-31-1
「今頃になってEXのエンジン機種選定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-21-1

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横田米空軍C-130部隊が総力で陸自空挺団500名降下支援 [米空軍]

米空軍C-130を総動員で130個の装備パックも投下
前例のない米空軍と陸自の大規模空挺降下訓練

C-130 Yokota2.JPG12日付横田基地発米空軍web記事が、3月9日から11日かけ、米空軍横田基地所属の第374空輸航空団C-130輸送機12機が、陸上自衛隊第1空挺団の大規模空挺降下訓練を「最大出撃態勢」で支援し、陸自空挺隊員500名と134個の梱包装備品パッケージを富士演習場に無事輸送&投下したと発表しました

「Exercise Airborne 21」と名付けられた大規模空挺降下訓練について、米空軍公式webサイトは「日米間の協力で行われた史上最大の兵員&物資空挺投下だ」と表現していますが、これだけの規模を航空自衛隊輸送機部隊が支えられるとは考えられず、日本史上最大の空挺降下訓練が行われたと表現して過言ではないでしょう

陸自空挺隊員500名のパラシュート降下の後、2日後に134個の梱包装備品パッケージ投下が行われた模様ですが、数か月も前から第374空輸航空団はC-130輸送機の整備計画を練り直し、保有機の80%以上に当たる12機の稼働機投入を可能にしたということで

12日付横田基地発米空軍web記事によれば
C-130 Yokota3.JPG米空軍C-130部隊訓練指揮官であるEspinosa大尉は、「この訓練の主目的は、陸上自衛隊が日本中どこにでも空挺降下で展開できることを示すことにある」、「この演習は、大規模空輸に関わる教訓や、今後の我が部隊の訓練をどうすべきかを考える上での教訓を与えてくれた。また、敵対国を抑止する上でも効果的な事例になったと考える」と演習を振り返った

また同航空団整備部隊のPerkins少佐は、「この演習は一夜で準備できたものではない。保有機の80%以上の12機を出撃可能態勢とするために、広範な兵站支援を計画し、機内仕様を準備し、駐機場の運用を検討し、全てが組み合わさって演習を成功に導くことができた」、「この演習を通じ、12機の機体を数日間にわたり連続出撃させる経験を積むことができた。しかも日本との共同演習においてである。比類なき抑止力能力を示すことができた」と振り返っている

C-130 Yokota4.JPG実際にC-130機内で陸自隊員や物資に対応した空中輸送員Barnette上級軍曹は、「これだけの規模の兵員と物資を、搭載し、空中投下する任務は大きなリスクを伴うが、事前に準備段階で再整理したチェックリストに沿って着実に業務を進めることで、正確で安全な空挺降下を支援できた」と振り返り
「両国が任務遂行を通じて関係を深め、絆を強化することができた。これだけの規模の空輸ミッションは、私の空軍人生の中でも初めてだった。しっかり事前検討し、計画し、訓練して準備してきたが、実際にやり遂げることで、信じがたいほどの経験とすることができた。演習の担当部署のリーダーに指名され、第1空挺団と協力して任務を遂行できたことは素晴らしい経験だった」と語った
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現場の少佐や大尉クラスから軍曹のコメントをご紹介しましたが、経験の一つとしして貴重な大規模訓練だった・・・との内容です。多くが「抑止力」との言葉を使って語っているところが印象的です。日ごろから上司が「抑止力」との言葉を使って語っているのでしょう

C-130 Yokota.JPG日米間の作戦計画に、米空軍C-130部隊による陸自空挺団の輸送支援が含まれているとは考えにくく、また日本を取り巻く戦略&戦術環境で、第1空挺団が空挺降下して活躍する場面が思い浮かばないのですが、西太平洋地域で中国に押されっぱなしの日米両軍ですから、抑止力強化のため・・・との表現になるのでしょう

相対的戦力では対中国で厳しい状態にある西太平洋地域ですが、地道な努力が続いていますので、現場の隊員の皆さんの努力に敬意を表し、「Exercise Airborne 21」をご紹介しました

横田基地関連の話題
「在日米軍司令官はアジアのベテラン」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-06
「横田のC-130はH型からJ型へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-07
「横田C-130部隊も富士山が好き」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2012-06-12-1

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ストライクイーグルにJDAM運搬役を [米空軍]

ACE構想のため輸送機の代わりに完成弾JDAM輸送
現在の9発搭載から15発搭載の試験実施

F-15E JDAM.jpg2日付米空軍公式webサイトは、2月に米空軍の第85試験評価飛行隊で、従来はJDAMを最高9発しか搭載しないF-15Eストライクイーグルに15発搭載する試験を実施し、問題ないことが確認されたと発表しました。

このJDAM搭載量増加試験は、単にF-15Eの攻撃能力強化を狙ったものではなく、F-15Eで組み立てが終了した完成弾JDAMを輸送させることで、C-130輸送機で組み立て前のJDAMと組み立て要員を輸送する負担を軽減する効果を狙ったものらしく、航空アセットを機敏に機動展開させて分散運用するACE構想に資するものだと米空軍はアピールしています

F-15Eの他にも、米空軍は無人機MQ-9に空対地精密誘導兵器AGM-114 Hellfireを従来の2倍の8発搭載する試験を昨年秋に実施し、同じく攻撃力増加と輸送能力強化アップを構想しているようで

2日付米空軍公式webサイト記事や報道によれば
F-15EX 3.jpg2日、第85試験評価飛行隊長のJacob Lindaman中佐は、「ストライクイーグルF-15Eは今や、より多くの完成弾JDAMを搭載して戦闘任務に参加したり、搭載したまま遠方の基地に着陸し、F-35やF-22にJDAMを積み替えて運用する作戦にも貢献できるようになった」と試験の成果を表現した

これまでJDAMを組み立て前の状態でC-130輸送機により運ぶには、JDAM組み立て要員も含めて最低2機の輸送機が必要だったが、完成弾JDAMをF-15Eで輸送できれば、1機のC-130輸送機で対応可能となる

公開された写真では、片側の翼付け根付近に6発の500ポンドJDAMが搭載されており、この方式で両翼付け根に計12発、残り3発の500又は2000ポンドJDAMは胴体下1発と両翼下に1発づつ搭載可能と米空軍は説明している
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MQ-9 4.jpgF-15Eにどれほど期待しているのかよくわかりませんが、MQ-9部隊も取り組んでいる言うことは、C-130等輸送機の負担緩和を目指しているのか、輸送機の残存性考慮や搭乗員の生命を守る観点から、機動性や防御能力の高いF-15Eや、犠牲を許容しやすいMQ-9活用を追求しているのかもしれません

下の過去記事「米空軍若手がACEの課題を語る」が示すように、ACEの実施は容易ではありません。緊急展開先、輸送能力、地上支援機材や弾薬等事前集積物資の確保、展開先で複数の業務をこなせる人材育成などなど、課題は山積していま

そういえば、ダブつき気味のMQ-9を太平洋の海面監視用に活用する試験も行われていましたから、使えるものはF-15Eも含めて何でも使おう・・・との検討の中の一つのアイディアかもしれませんが

米空軍の戦力分散運用ACE関連
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「F-22でACEを訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-03-08

「MQ-9の対中国海上作戦への応用演習」
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米空軍の戦闘機族ボスが謎の次世代制空機NGADを語る [米空軍]

機密度が高いゆえに予算確保が困難だと危機感
参謀総長の戦闘機混合分析検討をけん制か??

Kelly.jpg2月26日、米空軍戦闘コマンド司令官、つまり「戦闘機族のボス」であるMark Kelly大将が記者団と懇談し、記者団からの関連質問もない中で突然自ら次期制空機NGAD(Next Generation Air Dominance)の予算確保への危機感を訴えました

次期制空機NGADについては、4世代機や5世代機とは異なり、他の兵器や装備で構成される「family of systems」の中の構成要素の一つととらえて検討する方向性が語られるのみで、2017年以降情報が全く出ていませんでしたが、昨年9月、当時のRoper空軍調達担当次官補が突然「既にデモ機が初飛行を済ませている」と衝撃発言を行って世界中に激震が走ったところです

NGAD6.jpgしかしその後は再び闇に包まれ、昨年12月に再びRoper次官補が、米空軍の新規開発プログラムは極秘技術に関するものが多いが、米議会に説明するために必要な「機密情報隔離施設:SCIF」がコロナで使用困難で、「次世代制空機計画がコロナに殺されかねない」とまで言及して危機感を訴えていたぐらいしか関連情報がありませんでした

そんな中、期待もしていなかったNGADに関する突然の発言に、参加していた約20名の記者たちも驚いたようで、2月26日付Defense-News記事は「誰もNGADについて質問しようと考えない雰囲気の中、会見の最後に突然Kelly大将が思いを語り始めた・・・」と様子を伝えています

2月26日付Defense-News記事によれば
Kelly2.JPGMark Kelly米空軍戦闘コマンド司令官は記者団に会見の最後に自ら突然、「私は技術開発や試験状況から、NGAD技術が実用化(will get fielded)できるレベルに達していると確信している」、「また敵に大きなダメージを与えることができる技術だと確信している」と技術完成レベルに自信を示すとともに、
一方で、「中国などがこれを実現して我が国に使用する前に、我が国がこの技術に焦点を当て、配備に進む勇気を発揮できるかわからない」と現状への危機感を訴え

ただ同司令官は、いつ頃NGADを配備可能になるのか等、本計画に関する細部への言及を避け、何機デモ機が存在するのか、どの企業が担当して開発しているのかについては触れなかった
ただ「極めて重要な焦点となる技術であり、我々はこの技術がもたらす利益の重要性を国家として訴え続けなければならない。そのことにより米国と統合戦力に航空優勢を提供しなければならない」と重要性を繰り返し訴えていた

NGAD7.jpg同司令官の発言の背景には、開発を加速するために予算増が必要なタイミングにありながら、確保が進まない焦りがあると推測されている。2020年度のNGAD予算が約1000億円だったのに対し、2021年度は空軍要求の1150億円から減額され、昨年以下の約990億円に抑えられたからである
米議会は国防省の独立部署であるコスト分析計画評価局に対し、開発状況が良くわからない米海軍と海軍の次世代戦闘機開発について調査を行うよう命じており、技術的成熟度合いやコストの観点からの分析が2021年度行われる予定となっている

F-35の維持費25000ドル/時間目標@2025年について
この目標達成に確信を持てない状況だがあきらめてはいない。だから私は各部隊整備部署や修理センターや部品調達ルートの話を聞きき、何が出来るのか検討しているのだ
訪れた先では、単に感想を聞くのではなく、取るべきアクションを煮詰めるための議論を行っているが、今ここにいる段階で、目標達成に自信を持てないでいる
///////////////////////////////////////////////////

2月17日のBrown空軍参謀総長による「戦闘機世代別の構成比率検討」開始宣言に対する意見表明のような気がしなくもありませんが、コロナで国家予算の重点配分先が変わりつつある中、いろんな方面でこれまでと異なる環境への対応が求められているのでしょう

NGAD5.jpgNGADに関する情報がここまで管理されているのはある面で素晴らしいことですが、中国やロシアにはしっかり漏れているかもしれません。この米空軍大将が先を越されることを恐れているくらいですから・・・。今後の米軍全体の戦い方の変化を考える上での「試金石」となる装備ですので、今後もその動向に注目したいと思います

F-35に関しては、今になっても新たな機能を盛り込んだりしているため、整備がますます複雑化し、一度は低下した整備コストが増加に転じており、低下の見通しが立たない状態です。

NGADを巡る最近の動き
「戦闘機世代混合比や5世代マイナス機の検討」→→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-19
「SCIF使用困難で戦闘機開発危機」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-12
「次期制空機のデモ機を既に初飛行済」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16

ちょっと以前の関連記事
「戦闘機族ボス:中国正面で戦闘機のニーズは?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-28
「CSBAの米空軍将来提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「連接重視で航空アセット削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「次期制空機検討は急がない、急げない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-19
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05

「戦闘機族のボスがNGAD予算を危惧」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-21
「PCA価格はF-35の3倍?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

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KC-46空中給油機を一部の任務に投入開始 [米空軍]

KC-10やKC-135の負担軽減のため
軽易な国内任務や海外展開支援など
ステルス機への給油は不許可

Ovost6.jpg24日、Jacqueline Van Ovost米空軍輸送コマンド司令官が、空中給油操作システム不具合対策が2023年までかかるKC-46空中給油機に一部任務の遂行を可能とし、負担のかかっている老朽給油機(KC-10やKC-135)の負担軽減を図ると明らかにしました

これに先立つ22日と23日に、Brown空軍参謀総長や米議員代表団を同機に搭乗させ、一部の任務に投入可能な段階にあると確認の場を設けたようです。

現在既に44機が米空軍に納入され、今後も毎月2機ペースで納入されるKC-46Aが実施可能になった「一部の任務」とは「軽い:coronet」任務で、国内の演習訓練や国外へ機動展開する航空機への空中給油で、ステルス機であるB-2,F-22,F-35は対象外だそうです

KC-46A3.jpg給油boomを操作する際に操作員が見るBVS(remote vision system)の画像がゆがんだり、太陽の位置によって見難かったりで、ステルス機の表面コーティングを傷つけた「黒歴史」があるからで、当面給油対象機はF-15やF-16やFA-18などだそうです

それでも、老朽給油機(KC-10やKC-135)の負担軽減は待ったなしの様で、2023年まで時間が必要なRVSのハード改修までの間、KC-46操作員の操作練度が向上するにつれ、関係者の信頼感が高まるにつれ、少しずつ任務範囲を拡大するようです

24日付米空軍協会web記事によれば
24日、Van Ovost米空軍輸送コマンド司令官は記者団に、KC-46Aは米輸送コマンドからの命令に従い、一部の可能な空中給油任務を遂行し、同機の運用態勢確立の遅れに伴い老朽給油機(KC-10やKC-135)にのしかかっている大きな負担を軽減したいと語った
KC-46 Boom3.jpg同司令官は「我々は今後、KC-46空中給油機に、過去数年間に渡り運用試験等で行ってきたと同レベルの任務を実施させることとした。例えば、国内演習でのF-16への給油や、海外へ移動するFA-18やB-52への給油を行えることにすることにより、KC-10やKC-135に余裕時間を与える」と語った

米空軍でKC-46担当のRyan Samuelson准将はこの決定の背景について、まず、米空軍とボーイング社の間でBVS(remote vision system)改修方向に合意でき2023年から部隊提供が可能になったこと、更に米空軍の搭乗員が同機の操作に完熟してきた点を挙げた
KC-46 Boom4.jpg24日の発表に先立ち、空軍参謀総長と米議員団が22-23日に同機に搭乗して任務飛行開始準備状況を確認したが、この件についてVan Ovost司令官は「KC-46と搭乗員の能力を確認いただいたが、同時にRVSの課題についても認識いただけた」と説明した

Samuelson准将は今後のKC-46の任務について、これまではKC-46部隊が運用試験の他に適当な給油チャンスがないか探していたが、今後は米輸送コマンドがKC-46に可能な任務を割り当てることとなると語り、具体的に44機保有で毎月2機増加していく機体の何機を提供可能になるか等の具体的計画をまとめて報告すると説明した
また、米輸送コマンドが計画しやすいように継続的に任務遂行可能な態勢を作り上げると語り、部隊能力の進展に応じ、給油対象機種を拡大する可能性もあるとの「conditions-based approach」をとるとも説明した
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KC-46A1.jpgどのくらいKC-46A型機のBVSが見づらいのかは、同型機を保有する航空自衛隊の方々にお尋ねください。既に器用に使いこなしているかも・・・です

米空軍も、ボーイングに対して振り上げたこぶしの降ろしどころを探っているのかもしれません。ボーイングは、既に契約金額の2倍の金額を開発に自腹投入することになっているようですから

KC-46関連の記事
「恒久対策は2023-24年から」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-30
「今度は燃料漏れ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-31-1
「やっぱりだめで更に1年遅れ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-04
「重大不具合について3月に手打ち!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-21
「空軍トップが新CEOに改善要求」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
「ついに空中給油の民間委託検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-15
「貨物ロックに新たな重大不具合」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-12
「海外売り込みに必死なボーイング」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-22-1
「米空軍2度目の受領拒否」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-1
「機体受領再開も不信感・・・」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-1
「米空軍がKC-46受け入れ中断」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-3
「不具合付きの初号機受領」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-12-2
「初号機納入が更に遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20
「10月納入直前に不具合2つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19
「10月に初号機納入を発表」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-22
「開発が更に遅れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-11-1  

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やっぱり危ういPACAF司令官:E-7ほしい発言 [米空軍]

翌日には空軍参謀総長が時期尚早と即否定
米軍内の不協和音が聞こえてきます・・・残念

Wilsbach3.jpg2月24日、Kenneth Wilsbach太平洋空軍司令官が記者団に、現有のE-3早期警戒管制機は老朽化が進んで稼働率が低下していることから、豪州やトルコや韓国が運用しているE-7早期警戒管制機を後継機として早期に導入したいと突然訴えましたが、翌日Brown空軍参謀総長が「E-7だと決めつけるのは早計だ」ときっぱり否定しました

Wilsbach太平洋空軍司令官はペンタゴン勤務経験がないままに、つまり「DC」の力学を知らずに「大将」になった人物で、Brown大将の後任として昨年夏から太平洋空軍司令官に就任していますが、就任当初から「中国に備えておけば、ロシアや北朝鮮やイラン等への対処は可能」とか、「米空軍はF-22導入から約5年間、その能力を十分使いこなせなかった」とか、その立場からすると「本音すぎる」発言で「危うさ」を感じさせる人物でした

Brown4.jpg今回の「E-7をすぐに欲しい」発言も、E-3の現状からすれば、また対中国航空作戦司令官としての立場からすれば、米空軍内の会議ならあり得る意見提示でしょうが、米空軍が公式には2035年まで使用予定との立場をとっている中、いきなり記者団の前で「E-7」と決めつけて訴えるのは異常であり、黒人として初の空軍トップになったBrown参謀総長へ、露骨に反旗を翻したとも受け取られています

Brown参謀総長は最近、地域コマンド等の反対を覚悟のうえで、新型の「5世代機マイナス」を開発製造するとぶち上げ、「今変えなければ勝てない」との信念で改革の道まっしぐらですが、早くも身近な中国最前戦の部隊指揮官からジャブを繰り出された形になりまし

E-7.jpg話題のE-7 Wedgetail早期警戒管制機は、B-737旅客機をベースに豪州空軍用に開発され、2009年から納入されていますが、その後トルコや韓国も採用し、更に英国も5機発注して2023年から受領予定となっている機体で、2018年にBrown大将も太平洋空軍司令官時代に体験搭乗しています

一方で米空軍が現在31機保有するE-3は、B-707旅客機をベースに1971年から84年の間に製造された機体ですが、米会計検査院GAOは2020年報告書で、「必要な部品調達などの維持整備の難しさから、2011年から19年の間、必要な稼働率を満たしていない」と評価しているところです

26日付Defense-News記事によれば
Wilsbach.jpg24日、Wilsbach太平洋空軍司令官は米空軍協会主催の「Aerospace Warfare Symposium」で記者団に、「現実は、E-3の最近の信頼性度合いから、早急に新たな代替を必要としている。E-3は離陸するのがどんどん困難になっている」、「最新のE-7を早急に導入すべき」と語った
そして更に、将来的には次期制空機NGADや同機搭載兵器の導入を推進すべきと述べ、航空優勢無くしては進歩した将来の敵とは対峙できないと訴えた

E-7 2.jpgしかし翌日の25日、同じ場で記者団と懇談したBrown空軍参謀総長は明確に、「どのような選択肢があるか見極めたい。E-7 Wedgetail早期警戒管制機のファンがいることは承知しているが、決定するのは時期尚早だ。もう少し時間をかけて検討する必要がある」と語った
またBrown大将は、自ら体験搭乗した経験があるE-7について「能力のある機体だ」と表現しつつ、「E-3の稼働率やその維持経費の状況から、対応する必要がある。しかし何をすべきかはまだ未定で、E-7は一つの選択肢だが、唯一の選択肢ではない」と語った
//////////////////////////////////////////////////

改めてWilsbach太平洋空軍司令官の次期制空機NGADを絡めた発言を眺めてみると、2月17日にBrown参謀総長が反対を覚悟のうえで表明した「戦闘機世代間構成の分析検討開始」や「5世代機マイナス」の新規開発への露骨な反発発言であることが伺えます

E-3 2.jpg米軍を取り巻く予算状況や、平時から有事までの幅広い任務を考えると、ハイ&ローミックスの戦力構成を追求せざるを得ないことや、全ての要求に対応できないことを踏まえて改革を目指すBrown参謀総長と、狭い視野で現場の主張をメディアに訴える「立場をわきまえない大将」の印象がぬぐえません

こんな時だからこそ、ペンタゴンと前線部隊が一体感を持って前進して頂きたいのですが・・

「戦闘機世代機構成と5世代機マイナスの検討開始宣言」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-19

ペンタゴン勤務がない異例の大将
日本ハワイ中東アラスカ韓国のみの飛行5000時間の男
「F-35はF-35らしく使用せよ:F-22の失敗に学べ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-29
「Wilsbach太平洋空軍司令官の紹介」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-16

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米空軍が戦闘機世代構成と5世代マイナス機の検討開始 [米空軍]

国防省を巻き込んで「態勢見直し」との横串を狙う
5世代と次世代と「5世代マイナス」の混合編成を検討
地域コマンドや空軍内の反対を覚悟の上
「今変わらなければ勝てない」との危機感を前面に

Brown2.jpg17日、Brown米空軍参謀総長が記者団に、戦闘機の世代構成(force mix)を「数か月間:a months-long」で検討すると語り、5世代機と次世代機(NGAD)と「5世代機マイナスをイメージの新型機」のあるべき混合比率を見極めたいと語り、併せて「5世代機マイナス」の新型機が備えるべき要求性能を明らかにしたいと述べました

またこの米空軍司令部における検討には、国防省のCAPE(コスト見積評価局)のモデル分析やシミュレーション能力の力を借りたいと述べ、併せてオースチン国防長官が表明した「態勢見直し」との連携を少しでも図りたいとの希望も語っています

Fighter mix2.JPG15-20年後の将来脅威を念頭に、平時からグレーゾーン、そして有事のあらゆる場面を想定し、かつ限られた予算等を考慮した検討を想定しているようで、Brown参謀総長の強い信念である「今変わらなければ勝てない。今やらなければ変化を加速できない」との問題意識から、数年後を懸念する地域コマンド司令官や空軍戦闘機族からの大反対は承知の上と言い切ってまで検討を進め、分析結果を基に強く2023年度予算案から舵を切る決意の模様です

特に注目なのは「5世代機マイナス」との4世代機と5世代機の中間能力を備える新型機導入のアイディアで、1月に退任したRoper調達担当次官補が進めようとしていた「F-16導入案」を白紙にし、今回の検討で要求性能を見極め、「デジタル設計技術」を用いて早急に実現したいとの思いも語っています

もう一つの注目はF-35のエンジン問題で、Brown大将は明確に、エンジンが想定よりも早く損耗することからF-35の使用頻度を下げる必要があると語っており、これはこれで大問題になること間違いなしです。既に米空軍がF-35調達機数を、当初の1763機から1050機に削減する案を検討しているとの報道もありますし・・・

17日付米空軍協会web記事によれば
Brown nomination.jpg17日、Brown大将は記者団に、数か月間で「TacAir study:tactical aviation requirements study」を行い、近未来から将来の要求を踏まえたあるべき戦闘機の戦力構成(a force mix)を導き出したいと語った
また同検討には、検討の信頼性確保と国防長官室との意思疎通を図る意味で、国防省のCAPE(Cost Assessment and Program Evaluation)の協力を得たいとの希望を述べ、「態勢見直し」との連関性なく本検討を進めるのはあまりにもナイーブだとも語った

退任したRoper次官補が主張していたF-16導入案は採用しないと明確に述べ、1970年代設計のF-16では迅速なソフト更新に対応できないため、白紙的に新たな「fourth-and-a half/fifth-gen minus」機を導入し、上記検討の中で要求性能や必要機数も煮詰めたいと語った
Fighter mix3.jpg検討の結果に「誰もが同意するとは思わないが、議論の出発点にしたい」、「私の仕事は結果が持つリスクを合わせて見極めること」、「空軍司令部のスタッフには、事実やデータを持ってこい、感情や思いは求めていない」と語った

また、地域コマンドからの反対を予期し、「地域コマンドは私が米空軍参謀総長であることを知っており、戦力構成に関する意思決定する立場だと認識している」、「私の決定は人気のないものとなろう。私を嫌うものも出てくるだろう」、「だが、今意思決定をしなければ、変化を加速できない。私は私がベストだと思う方向に空軍を導きたい。申し訳ないが」とも表現した
更に、「地域コマンド司令官らは、2-3年先の将来を考えて議論するだろうが、私は地域コマンド司令官の5-6代後の時代、つまり15-20年後を見据えている。全ての任務に必要なだけの戦力を準備することはできない」とも表現した

(記者団からのF-35エンジン問題について問われ、問題の存在を認めつつ、)最新鋭機へのニーズが高いことから使用頻度が高くなり、F-35のエンジンが高頻度の使用で故障する率が高まっていると述べ、その問題も本検討の検討要素となると語った
Fighter mix.jpgこの問題対処に維持整備方式や整備施設の体制検討を中将大将レベルで行っていると述べ、シンプルにはF-35の使用頻度を下げることが対処法だ(simply be to use the F-35 less)とBrown大将は語った

「フェラーリで毎日通勤することはないだろう。フェラーリは日曜日に運転すればいいんだ。F-35はハイエンド環境の装備であり、ローエンド環境で常に使用する必要はない」と述べつつも、「この考え方にも異論があるだろう。反論も予期している」とBrown参謀総長は述べた
/////////////////////////////////////////

Brown大将の話しぶりは常に「直球」で、全く回り道をする気配がありません。就任直後に空軍内に配布した「Accelerate Change or Lose」との小冊子のタイトルの信念で、前進あるのみです

Brown4.jpg語弊があるかもしれませんが、「いつクビになっても構わない」と覚悟を決め、「あるべき姿に直進する」決意なのかもしれません

黒人との立場で、既に様々な声が周囲から聞こえてくるのでしょう。これまでの空軍生活の中で受けた差別への思いもあるのでしょう。信念に忠実に、ただ前進あるのみです・・・・。立派だと思います

「オースチン長官が態勢見直し開始」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-06

Brown空軍参謀総長の関連記事
「春完成の電子戦戦略を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-30
「戦闘機新調達方式などを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-24
「行動指針を小冊子で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-01
「米空軍は海兵隊と同じ方向を目指す」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「人種問題を経験から語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-06-1

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

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米空軍トップが春完成の電子戦戦略を語る [米空軍]

国防省電子戦戦略や同ロードマップと連携を図りつつ
もはや電磁スペクトラム優勢確保は不可能な状態だと認め
湾岸戦争後、我々は電子戦分野で居眠り運転だったと吐露

Brown4.jpg1月27日、Brown米空軍参謀総長がオンライン講演し、昨年10月末に発表された国防省電子戦戦略(電磁スペクトラム戦略:Defense-wide electromagnetic spectrum strategy)とその具体化に向けたロードマップが3月に完成する中で、米空軍も今春に大転換の電子戦戦略を取りまとめると語り、その方向性について触れました

「相手に手の内を明かさない」方針から、昨年10月29日に概要だけがブリーフィングされた国防省戦略も「ぼんやり」したものでしたが、空軍参謀総長が語った内容も、具体的な話よりも危機感と姿勢と大きな方向性を述べたもので、「ぼんやり感」は否めません

「さわり国防省電子戦戦略」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-03

それでもしかし、強烈な危機感と現状認識、より攻撃的な態勢を目指すこと、ハードよりソフト面に注力すること、同盟国等を含めた一体性を追求する方向などが述べられており、米国防省全体の方向性を理解する一助となりそうなのでご紹介しておきます

まず昨年10月末の国防省戦略の「さわり部分」復習
Electronic Warfare.jpg新戦略では、従来の伝統的な電子戦分野である電子妨害や心理戦活動、商用・公用・軍用の電磁波運用管理だけでなく、米軍が電磁波の世界で容易に隠れる(Hide)ことが出来たり、商用周波数帯を作戦用により容易に使用出来たりする方向である
また、敵の周波数使用を容易に拒否できるようにする方向を追求する

日々の電磁スペクトラム運用を司る「combatant command」を創設する方向で検討す
具体的なロードマップ(EMS roadmap)は、Hyten統合参謀本部副議長らが中心となり2021年3月までにまとめる
・・・と説明していますが、よくわかりません。軍用の周波数帯を不必要時に民間に貸し出す代わりに、必要時に商用周波数を軍が使用できるような枠組みを含んでいるとの説明もあるようです

Brown空軍参謀総長は新戦略の方向性について
Brown nomination.jpg今春、米空軍は「electromagnetic spectrum warfare strategy」を発表する予定で、米空軍の向かうべき方向を示し、本格紛争においてどのような作戦運用が必要か、どのように資金を確保するか等を描くものとなる
また同戦略を理解しやすいように、司令部スタッフには同戦略内容が実現した際の仮想的な運用シナリオを準備するよう指示しており、同戦略に沿って2030年に到達すべき姿を理解しやすくし、空軍全体で取り組んでより早く達成できるよう考えている。その想定は中国を相手にしたものになろうが、我が目指すレベルに中国よりも早く到達することを望んでいる

空軍の戦略は、アフガンやイラクでの20年の戦いの中で、我々が電子戦を無視してきた流れと決別するものであり、従来の防御的な電子戦から攻撃的な姿勢への大転換を図るもので、決して小さな改善ではない
背景には、我々が必要なレベルで敵対者を抑止できていないとの危機感がある。中国やロシアのサイバー部隊は、宣戦布告なしに米国を侵略しており、情報誘導工作や偽情報作戦で世論操作を行っているが、米国がそれらを抑止できていない現状がある

EA-18G capability.jpgこのまま好きにさせるわけにはいかない。我らは大転換を図る必要がある。従来通りの少しづつ変化していく方法では、我々はシンプルに敗北する。湾岸戦争後30年間、電子戦分野で我々は居眠り運転してきたと考えるべきだ
空軍の戦略は昨年10月末発表の国防省電子戦戦略と完全にリンクしており、Hyten統合参謀本部副議長が3月にまとめ、初めて4軍の役割を指示することになる同国防省戦略ロードマップとも連携を図って進めている

電磁スペクトラム戦での優越はもはや可能ではない。航空優勢は一部の地域で確保可能だろうけれど・・・。電子戦能力を必要な場所と時間に提供できなければならない。しかしこれは、多くの通過点があるゴールがない終わりなき戦いで、我の優位を維持し続ける取り組みであ
単にステルスや自己防御ジャミングと言った防御的なものではない。過去25年使い続けてきたような装備では将来は戦えない。米空軍は電子戦分野で機動し攻撃する攻撃的な態勢を目指

Brown2.jpg投資面での最大の変化は、ハードやプラットフォームからソフト重視への変化である。確かに目に見えにくく、効果確認が難しいいオープンソースなソフト導入のような事業は、米議会の理解を得るのが難しい
一方でソフト投資はミサイル等と比較して安価で効果も期待できる。その点で電子戦の非破壊的な能力確保は、コストで押しつぶされる恐れを減少させてくれる。また一方で、ソフトは最新手法をコードで表現すれば効果を実現でき、数で圧倒してくる中国にも対抗できる

同盟国等をこの電子戦戦略に巻き込むことに米空軍は取り組み、最初から含めておくことで装備が協力的に使用できなくなることを避ける。全ての関連能力を融合して活用できるようにしたい
すでに米空軍は、新たな電子戦戦略やコンセプトを編み出すために、一連の実験演習や仮想ウォーゲームに取り掛かっている。しかし米空軍はあるべき状態にはなっていない。米議会から遅れを指摘され、尻を叩かれている状態であり、困惑することもあるが、叱咤激励が力であることも確かである
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EA-18G Clark3.jpg対中国では、電磁スペクトラム優勢確保はその性格上可能ではない・・・と言い切り、航空優勢も一部地域(localized)でのみ達成可能だろうとハッキリ述べる姿勢は、50億円を投入したシリア兵士養成で、「5-6名」しか前線で活動していないと率直に認めたオースチン国防長官とも通じるものがある気がします

中国軍の電子戦能力がすごいので、防御だけではとても太刀打ちできない・・・やられる前にやっつけなくては・・・との主張だと思います

ハードやプラットフォームより、ソフトで勝負・・・との意味が体で感じられていませんが、まぁそういう時代なのでしょう。湾岸戦争当時から変わっていない状況を、米議会から厳しき指摘されていることを、認めざるを得ない厳しい立場です。Brown大将は・・・

国防省の電子戦戦略と空軍の動き
「さわり国防省電子戦戦略」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-03
「電子戦とサイバーと情報戦を融合目指す」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-03

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