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米空軍は弾薬庫航空機を継続検討中 [米空軍]

国防省SCOで2016年ころから検討中
B-52が有力候補も、B-1やC-17の声も
運用構想の詰めが必要な気がしますが

arsenal plane.jpg4日付米空軍協会web記事は、2016年に当時のカーター国防長官等が打ち出した「弾薬庫航空機:arsenal plane」についての検討が米空軍内の「Global Strike Command」内で引き続き行われており、同コマンド司令官が「a little bit of learning going on:継続検討中」と説明する過程にあるようだと紹介しています

「弾薬庫航空機:arsenal plane」は敵の防空網が強固になる中、敵目標近傍まで接近できるステルス機のような航空アセットの兵器搭載量が限られることから、敵目標近くまで接近して目標位置や移動状況を搭載センサー類で把握してネットワークを通じて伝達する突破型アセットとは別に、多少目標から遠方に所在しても大量に兵器を搭載した空中アセットから補完的に攻撃を行うコンセプトを持った飛行アセットです

arsenal plane3.jpg記事がオプションとして話題に取り上げているのは、ステルス機ではないが搭載量が確保できるB-52やB-1爆撃機か、C-17のような輸送機又は旅客機タイプを改良型になっています。

大型機でなければ、XQ-58のような戦闘機サイズの無人ステルス機もウイングマンとして同行して「弾薬庫航空機:arsenal plane」的な役割は果たせるのですが、米空軍の議論では既存大型機クラスを「弾薬庫航空機:arsenal plane」として議論しています

米空軍協会webサイトが取り上げたのは、9月の米空軍協会主催の航空宇宙会議の場と11月3日の記者会見で記者から質問が出て、2016年以来久々に話題になったからのようで米空軍内で議論が盛り上がっている雰囲気は感じませんが、対中国作戦を考える場合の一つのオプションですので、忘れない程度に紹介しておきます

4日付米空軍協会web記事によれば
国防省のSCO(Strategic Capabilities Office)が数年にわたり扱ってきた「弾薬庫航空機:arsenal plane」について米空軍は、今後いくつかの試験や検討を踏まえての報告を主要幹部に計画しているようである(具体的な日程等については情報は得られていないが)
arsenal plane2.jpg●「弾薬庫航空機」については、2016年に当時のカーター国防長官が「旧式の航空機を、多様な通常兵器の発射母機に改良するアイディア」として打ち出し、米空軍も2016年に説明ビデオを作成し「マルチエンジン機体で、戦闘機や無人機に伴われ、ネットワーク化された半自動兵器を搭載する機体」と解説している

●9月に開催された米空軍協会の航空宇宙総会で、GSCのTimothy Ray司令官は記者団に、構想を成熟させるためにさらに実験を計画しており、空軍上層部への報告を求められていると状況を説明していた
一方同じ会見でRay司令官は、一般にはB-52が最適な機体だと推測されているようだが、輸送機が仲間に加わる可能性もあると述べつつ、「there’s a little bit of learning going on:継続検討中」であり、「言うは易し、行うは難し」だともコメントしていた

●11月3日に米空軍報道官は本件に対し、空軍上級リーダーレベルで「弾薬庫航空機」構想をどのように扱うかについて引き続き議論していると記者団に答えた

●CSISのTodd Harrison研究員は、「輸送機で可能かと問われれば、何を搭載するかによる」と述べ、空対空兵器なら翼下に搭載する必要から輸送機の利用は困難だが、空対地兵器なら後方搭載口から投下可能だとコメントし、
arsenal plane4.jpg●「弾薬庫航空機」は必ずしもステルス機や高速機である必要はなく、大きな搭載量が必要であることから、胴体内と翼下に兵器を搭載可能で、搭載量も大きいのB-52がベターな選択だと述べている

ミッチェル研究所のMark Gunzinger研究員は、輸送機や旅客機タイプを「弾薬庫航空機」に改修するのは実行可能性が低く、また有事には輸送機需要が急増することからも、輸送機や旅客機の転換は適当ではないとの意見を述べている
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拠点(飛行場)の少ない西太平洋で、中国正面で、第一列島線や第2列島線から、如何に攻撃能力を確保するかを必死に考えた末のアイディアの一つです米陸軍の「射程1800kmの砲」もそうですし、「空母1隻とミサイル2000発の比較」も根っこは一緒です

いろんなアイディアを出して検討していく、いろんな人がアイディアを持ち寄り、知恵を絞っていく・・・。この姿勢は見習いたいものです

弾薬庫航空機の構想
「カーター長官が17年度予算案で表明」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-02-03
「弾薬庫航空機に向け改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「同構想とB-52」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-12
「カーター長官が構想を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-10-29-1
「SCOの動き」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-09-10
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米空軍資源再配分の最重要分野は「つながる」投資 [米空軍]

2021年からの5か年計画で4分野に3.3兆円を再配分
4分野で最重要は統合レベルでの「Connect」
「切りしろ」には言及なく、ちょっとモヤモヤですが

connectivity.jpg6日、米空軍協会主催のイベントでGoldfein米空軍参謀総長は、2021年以降の5か年計画(FYDP)におけて資源再配分(redirect)を計画する3.3兆円の4つの重点分野について語り特に将来の脅威に対処するために統合レベルでの「戦力の連接性:Connecting」への投資の重要性を訴え、産業界からの参加者には「連接性」の無い装備には興味がないとまで訴えました

資源再配分(redirect)による3.3兆円のねん出については具体的な言及がありませんが、「全ての保有装備品を対象に、2030-38年の段階で大きな貢献をする装備や計画かを問い直し、答えがノーなら装備や計画の縮小や終了検討を開始する」と説明し、予算枠の拡大が見込めないことを前提に、スクラップ&ビルドで重要な分野への投資を確保するとの考え方を明確にしています

3.3兆円を資源再配分する4つの重点分野と配分額は 
---Connect the Joint Force: $9 billion 
---Offensive and Defensive Space: $9 billion 
---Generating Combat Power: $9 billion
---Logistics Under Attack: $3 billion

・・・の4分野ですが、Goldfein米空軍参謀総長は最初の「Connect the Joint Force」について、重点的に熱く語ったようです

6日付米空軍協会web記事によれば
connectivity2.jpg●Goldfein大将は、「国防省が示した国家防衛戦略NDSを実現するため不可逆的なモメンタムを生み出すには、次年度予算が重要であるが、次のFYDPでは予算枠の増加が期待できない前提で考える必要がある」と語り、資源再配分(redirect)検討の必要性を説明した
●そして「決して素通りできない点として、デジタル化の基礎作りの重要性を強調したい。AIを活用したいなら、超超音速兵器を導入したいのなら、宇宙アセットを防御したければ、エネルギー兵器を必要な目標に指向したければ、量子コンピュータを有効活用するためには、デジタルネットワークを構築し、データクラウド体制を構築しなければならない」と訴えた

●更に「連接するのは米空軍アセットだけでなく、統合戦力である点が極めて重要だ」と述べ、最近実施した机上演習で、最も強力な敵などを想定した厳しい条件設定も拘わらず、2030-38年を想定した将来の米空軍が勝利できた鍵として、統合の指揮統制が機能した点を挙げた
●そして、例えば、衛星、F-35、B-52、イージス艦、地上の海兵隊職種作戦部隊などをすべて結び付ける事で、かつそれら連接ループのほとんどで人間の介入を廃し、キルチェーンの回転を1時間数百回の機械速度に上げる必要があるとも表現した

connectivity3.jpg4か月ごとに実施の大規模演習に合わせ行っている他軍種との連接実験の例として、今年夏の海軍艦隊との連接実験を取り上げ、共通のデータフォーマットを用い、宇宙アセットが怪しい艦艇を見つけてISRアセットに教え、ISRアセットが更なる情報を収集して識別確度を上げ、C2アセット経由で最善の攻撃アセットに目標艦艇情報を流し、流されたイージス艦が目標艦艇を攻撃した例を紹介した
●そして以上のキルチェーン内で、最初に関与する人間はイージス艦勤務者だ」と説明し、人間の関与をなくすことで機械速度のキルチェーン回転の実現と連接の重要性を説明した

●また軍需産業関係者に対して、連接できない装備や兵器の入り込む余地はなくなると述べ、仮に連接性のない装備品や兵器を提案されても受け入れられないと明言した

他の3つの重点分野について
2つ目の「Offensive and Defensive Space」については、特に非公開事項が多くて説明困難で、資源ねん出のためスクラップする事業や兵器の議会説明に骨が折れるが、「宇宙で最初に行動を起こすプレーヤーでなければならない」と表現した

connectivity4.jpg3つ目の「Generating Combat Power」については5つの「P」が重要と説明し、「敵防御網をpenetrate」「高い脅威エリアでpersist」「アセット搭乗員をprotect」「多数の存在でproliferate」「敵アセットをpunish」出来るようなアセットの導入が必要だと説明した

最後の「攻撃を受けながらの兵たん:Logistics Under Attack」は、敵が米軍の兵たんチェーン阻止を狙ってくる中、過去18年間の対テロ作戦時のように、必要な時間と場所に必要な兵站支援を得られるとの思考パターンから脱却し、兵たん確保のための投資を訴えたものである
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Goldfein米空軍参謀総長が強調した「連接性:Connecting」の重要性は、当然米軍内統合のレベルで満足できるはずはなく、同盟国アセットが「つながる」ことを求めてくるのでしょう。

自衛隊の装備品やセンサーがどの程度の「連接性」を備えているのか把握していませんが、ソフト面だけでなく、政治的許容性を含むソフト面でも詰めも必要になってくるのでしょう。

そんな中、日本とのGSOMIAを政治的取引材料のように扱っている韓国に対し、米軍や米国防省、米国安全保障関係者はどんな思いを持っているのでしょうか???

日系クマシロ空軍准将がご活躍
「マルチドメイン指揮統制MDC2に必要なのは?」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-24

米空軍のMドメイン指揮統制検討
「米空軍がマルチD指揮統制演習を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-25
「指揮統制改革に向けて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09
「3つの取り組み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-18
「宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「空軍に新コンセプト期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28
「米空軍の重視事項3つ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13
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米空軍が軽攻撃機2機種を試験購入公式発表 [米空軍]

戦闘コマンドと特殊作戦コマンドが1機種づつ
2-3機づつ、2020年初頭には契約完了

light-attack.jpg25日、米空軍が2年以上検討を続けているプロペラ軽攻撃機について飛行デモ試験などを行ってきた4機種から2機種(A-29 Super Tucano とAT-6 Wolverines)を2-3機づつ購入する契約を2020年までには結ぶと発表しました

2018年初に4機の候補機種のデモンストレーション飛行の場を設けたプロペラ機ですが、データリンクを供え、精密誘導兵器を運用し、グラスコックピットで・・・等々のハイテクプロペラ機で、同盟国等のニーズが高い対テロや国境警備用に活躍が期待されています

軽攻撃機の導入検討は、対テロ作戦など対空脅威の厳しくない環境では、F-16やF-35など運用経費がかさみ機体の維持整備が大変な機体より、安価なプロペラ機が向いているのでは・・・との発想から生まれたものですが、アフガン空軍が米空軍の支援を受け運用実績を挙げていることで、関心が急速に高まっているようです

購入後は2機種を別々の所属の異なる2つの部隊に置き、2つの機種に別々の視点から試験や戦術検討や運用検討を行うことで、2機種から1機種を選ぶ方向なのか、2機種とも活用する方針なのか良くわかりませんが、今年3月に空軍参謀総長は「購入機種決定や要求性能決定時期を、2022年から24年ごろに設定」と議会で証言していますので、それくらいの時間感覚で検討が進むのかもしれません

候補となった機体の製造企業は、これまで手弁当で米空軍の要請を受けてデモ試験飛行や情報提供に2年以上応じてきたこともあり、少なくとも選ばれた2企業は「ほっと一段落」し、将来のまとまった機数購入に希望を繋いだようだ・・・と記事は伝えています

25日付Defense-News記事によれば
AT6LGB.jpg●米空軍発表によれば、AT-6 Wolverines契約は年末までに行われ、機体は戦闘コマンドACCの戦術開発部隊があるネバダ州ネリス空軍基地に配備される。そしてAT-6は「軽攻撃機の戦術戦法や運用法開発を行い、併せて輸出可能な相互運用性を改善する戦術ネットワーク検討も行う」とされている。
●一方、アフガン空軍用に既に米空軍と契約企業が訓練を行っているA-29 Super Tucanoは、2020年初までに契約して空軍特殊作戦コマンドSOCに所在するフロリダ州Hurlburt Field空軍基地に配属され、「急増するパートナー国等からの軽攻撃機ニーズ応えるため、教官操縦者養成プログラム開発に使用される」と紹介されている

Goldfein空軍参謀総長は声明の中で、「米空軍の焦点は、同盟国等が直面する過激派対策や国境対処の課題を支援するため、軽攻撃機をどのように活用できるかを検討することにある」、「米議会の許しを得て可能となった、ここ数年の残予算を使用した少数機を使用する試験機会を活用し、パートナー国と協力しながら、購入しやすい価格の小型軽攻撃機の有用性を段階的に確認していきたい」と述べている
Super Tucano.jpg●機体購入予算は、2018年度余剰から70億円、2019年度余剰から110億円、2020年度予算からは40億円程度を拠出したい意向で議会の理解も得られている模様

今年3月に空軍参謀総長が2機種少数購入の方向性を示した際は、議会内部に優柔不断な空軍の姿勢に批判があり、共和党のJerry Moran上院議員は「米空軍は既に300機の軽攻撃機導入の必要性をまとめた報告を作成しており、結論先延ばしは空軍が精神分裂症に陥っている証拠である」と批判している
●これに対し空軍参謀総長は「通常の機種選定や要求性能検討には5-10年が必要であり、判断な種々のデータ収集に必要な期間だ。空軍はまだ2年しか使っていない」と説明していた
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light-attack 2.jpg「情報共有ネットワーク」の構築も重要な役割となっているようでこのあたりの能力や活用法についても注目です

アフガン空軍用に調達して操縦者や整備員教育の実績があるA-29はそのまま要員養成用に使用し、新装備をAT-6で試しつつ、戦法や運用法確立に使用する方向のようですが、AT-6に拡張性があるということなのでしょうか???

最終的に1機種に絞る前に、協力してくれた2企業にそれなりの「分け前」を配分するんでしょうか? 良くわかりませんが・・・

「アフガン軽攻撃機の要員養成」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-01

軽攻撃機の関連記事
「軽攻撃機2機種をお試し購入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-16
「米空軍2019年の選択4つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-28
「アフガン軽攻撃機がPGM使用」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-2
「米空軍の軽攻撃機選定は?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-03-1

「軽攻撃機の第一弾確認終了」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-07
「米空軍が300機導入に賛成!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-21
「米空軍が検討を開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-07

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米空軍が72年ぶりの昇任審査制度変更へ [米空軍]

全職域まとめて評価から6つの区分別に評価へ
2020年3月の中佐昇任者選抜から適用へ

promotion.jpg21日付各種軍事メディアは、米空軍が72年ぶりに昇任審査制度を見直し2020年3月の中佐昇任者選抜から、全職域まとめて評価から6つの区分別に評価する方式に変更すると報じました

72年ぶりということは、1947年に米空軍が創設されて以来初めての大きな改革ということですが、これまでパイロット、サイバー、情報、広報、調達など様々な職域の士官をまとめて比較して昇任者を選抜していたものを、6つのカテゴリーに分け、各カテゴリーごとに選抜する方式に変更するとのことです

各カテゴリーへの昇任者数の割り振りをどうするのか、差をつけるのか、各カテゴリーごとの昇任者選抜における評価要素がどの様に異なるのか、などは現時点で明らかにされていませんし、変更の背景についても担当高官から細部は語られていませんが、徐々に漏れ聞こえてくるのでしょう・・・

promotion 3.jpg米空軍司令部の人事管理部長が「100%確実なのは、新たな方式が100%完璧な方法とは言い切れないことだ」と述べ、新方式導入後も各種の意見やフィードバックを参考に見直しを進めていくことを明らかにしており、一つの挑戦と言えるでしょう・・

兵器システムの複雑化、任務の複雑化細分化に伴い、米軍兵士の一体感を維持するのが難しい環境になりつつある中、カテゴリーごとの昇任評価の扱いを巡って、様々な噂が乱れ飛び、職域間の対立や気持ちの乖離を生みそうな改革ですが「お手並み拝見」とまいりましょう

21日付米空軍協会web記事によれば

評価単位となる6つのカテゴリー()内は職域番号AFSC
●Air operations and special warfare:
all conventional (11X) and remotely piloted aircraft pilots (18X), along with combat systems (12X), air battle manager (13B), special tactics (13C), combat rescue (13D), and tactical air control party (13L) officers
●Nuclear and missile operations:
nuclear and missile operations (13N) officers

●Space:
Space operations (13S) and astronaut (13A) officers
●Information warfare:
cyber operations (17X), intelligence (14N), operations research analyst (61A), weather (15W), special investigations (71S), information operations (14F), and public affairs (35X) officers

●Combat support:
airfield operations (13M), aircraft maintenance (21A), munitions and missile maintenance (21M), logistics readiness (21R), security forces (31P), civil engineering (32E), force support (38F), contracting (64P), and financial management (65X)
●Force modernization:
chemists (61C), physicist/nuclear engineers (61D), developmental engineers (62E), and acquisition management (63A) officers 

新たな評価方式に関する関係高官の説明
Kelly4.jpg●このような細分化したグループでの評価は、これまで医者など医療関係者、法務関係者、十軍牧師などでそれぞれ行われていたが、これを一般士官にも適用したもの
●新たな方式は今年5月に概案がまとめられ、概案を各部隊に提示して意見を求めるとともに、米空軍司令部の Brian Kelly人事管理部長が米国内外の14か所を訪問して様々な意見を聴取した

●Kelly中将は現場訪問で得た意見について、様々な観点からの意見があり、それぞれに重要なポイントを突いてはいたが、一つの側面しか見ていないものや逆の立場からの意見が同レベル存在するなどの状況であったと振り返り、結果として5月にまとめた案を変更していないと説明した
●一つ付け加えた施策として、昇任審査会での議論の参考や準拠となる、高く評価すべき教育・訓練・経験などをまとめた「Career Field Briefs」なるガイドブックのようなものを、1今年2月か来年1月に発行することにした、と同中将は述べた

●また空軍省の人事制度担当次官補代理のManasco氏とKelly中将は、今回の制度改正の背景として、リーダーシップ能力を求めるにしても、操縦者や戦闘管理担当士官に求めるものや経歴の中で養われるのは、兵たんや施設担当士官が身につけるものとは必然的に異なり、同じ土俵で評価するのは難しいからだと説明した
promotion 2.jpg●そしてその職域にあった独自のスキルを身につける事を評価し、より似通ったカテゴリーのグループ内で比較評価することで、各カテゴリーに求められる士官が育っていくとの考え方に基づくものだと両高官は説明した

●更に選考プロセスの透明化を図るため、空軍長官名で毎年発行する「Memorandum of Instruction:評価選考の指針」を作製し、職域に拘わらず各階級に求める、能力や性格などについて明らかにするとも同中将は説明した
●もちろん、例えば広報担当士官(public affairs)と、サイバーや情報担当士官を同グループで評価することが最適化であるとは言えないが、従来の全員を横並びに評価する方式よりは改善されると両高官は説明した
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まだまだ表面的な説明で、評価される側、昇任時期を迎える士官たちの立場からすると、「?」が3つ4つ頭に浮かぶ内容ですが、部隊の士気に大いに影響する変化ですのでとりあえずご紹介しました

promotion 4.jpg同じ調達担当士官でも、また同じ整備担当士官でも、戦闘機部隊所属とミサイル部隊所属を同列に評価可能なのか、「air battle manager」と「Space operations」は違うカテゴリーなのか・・・などなど、いくらでも突っ込みどころがあり、評価される方は議論百出なのでしょうが・・・・

直接的な背景には、例えば民間企業との奪い合いになるサイバー専門家を高い処遇で採用確保するためにこの方式を考えたのであれば、同じカテゴリーの気象や特別捜査官などは昇任率が極めて困難になるような気がしますが・・・

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米空軍によるアフガン軍操縦者養成は順調 [米空軍]

今日はおめでたい日ですので、数少ない良いニュースを
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A-29軽攻撃機操縦者30名と整備員90名要請済
大統領任命の監査組織SIGARが米空軍の教育を高評価

A-29 USAF.jpg7月29日、アフガニスタン復興支援の監査を担当するSIGAR(Special Inspector General for Afghanistan Reconstruction:トップは大統領が指名)が監査報告書を発表し米空軍によるアフガン空軍A-29部隊の育成が順調で、アフガン国防力強化に貢献していると高く評価した模様です

米軍が関与する外国軍育成は概して成果が良くなく、イラク陸軍の例だと、数百人養成して10人程度しか残らなかったとか、与えた武器が横流しされたとか・・・散々な結果しか残っていませが、アフガン空軍の場合は順調なようです

記憶が明確ではありませんが、養成した操縦者が民間航空会社に流れて問題化・・・といった記事を読んだような気がしましたが、他の国だったでしょうか??? ここはSIGARの報告書ですので信じておきましょう

アフガン空軍のこれまで
A-29 la.jpg●2001年には存在していなかったアフガン空軍を、多くの労力と資金を投入して育成し、2013年7月に女性操縦者養成、2015年8月に攻撃ヘリMD-530で初の航空攻撃、2016年4月にはプロペラ軽攻撃機A-29でも初攻撃を記録するなどニュースを提供してきた

●また2018年3月には、A-29軽攻撃機で初のレーザー誘導爆弾攻撃を成功させ、当時で既に毎日100ソーティー程度の飛行を実現し、多国籍軍の空爆の10%を担っている
2018年春時点でアフガン国内に12機のA-29 を保有し、米国内に訓練用で9機を保有。追加は発注機体も含め、26機体制を整備中

30日付米空軍協会web記事によれば
SIGARの報告書は、「米国内で行われている操縦者と整備員養成教育は、アフガン空軍の質的能力向上につながり、アフガン要員のプロ意識の改善にも貢献している」と評価を記述し、具体的にこれまでA-29軽攻撃機操縦者30名と整備員90名を養成したと記している
A-29 af.jpg米国内での要員養成はジョージア州のMoody空軍基地で行われているが、米国内教育訓練が終了してアフガンに帰国後も、米国人アドバイザーが現地状況に応じた指導や具体的な作戦行動に関して指導を行っている

●また同報告書は、訓練の質自体も向上しており、帰国後の訓練も経て、88%のレーザー誘導兵器を半径1m以内に着弾させるまでに至っていると記載している
●そして報告書は「米空軍による米国内でのアフガン空軍A-29操縦者養成は、アフガン帰国後のフォローアップ訓練との連携性も含め、最高のレベルにあることを証明している」とまで表現している

●2018年12月に国防省監察官が公表したレポートでも、米国や他の西側諸国内で訓練を受けた飛行要員は、そうでない要員に比し、操縦技量の向上や組織内での昇任速度がより速いと評価されている
●SIGAR報告書も、アフガン空軍が今後も任務遂行能力を高めて維持するには、アフガン駐在の操縦及び整備アドバイザーを含めた体制を今後も継続することが重要だ、と記している

A-29 Afghan.jpgしかし、米国は米国内でのアフガン要員訓練を縮小する方向で、2021年には米国内での訓練を止め、アフガン国内での訓練に移行する計画である。一方で、A-29を製造するSierra Nevada社は、今年4月に2024年までの操縦教育契約を45億円で受注している
●ジョージア州Moody基地でのアフガン要員養成は2015年に始まり、当初は2017年に終了する計画だったが、アフガン空軍に追加で6機を供給することとなり、追加で要員養成を行っているところである
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いくら公的機関による監査とはいえ、ここまで高い評価をすることは珍しいと思いますので、アフガン空軍の皆さんの士気が高いのでしょう

プロペラハイテク攻撃機A-29の使い勝手も良く、成果が目に見えて、部隊が好循環で回っているのかもしれません。いやそれよりも、アフガンの人々の本来持っている資質が高いのかもしれません

Dunford55.jpg2016年にダンフォード統合参謀本部議長から、「米空軍は地元軍育成に本気で取り組んでいるのか? やる気はあるのか? 空軍に入っている私の甥に聞いたが、優秀な人材は支援担当部隊には配属されず、選ばれた者の士気が低いらしいじゃないか? やる気あるのか?」と、ボロクソに注意された前科のある米空軍です。巻き返したのかもしれませんし、外注に金をかけたのかもしれません

ご参考の記事
「アフガン空軍機がレーザー誘導爆弾初使用」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-2
「米空軍は外国軍教育を重視せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-29
「アフガン空軍に女性操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-31-2
「朝鮮半島の戦いは汚い戦いに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-10
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新設第16空軍の重要任務は2020年大統領選挙対策 [米空軍]

米空軍のサイバーとISR部隊が合併
電子戦部隊も気象部隊も
情報融合で敵情を把握し迅速に対応へ

16th Air Force.jpg11日、米空軍が2年前から準備を進めてきた第24空軍(サイバー担当部隊)と第25空軍(ISR+EW電子戦担当部隊)の合併改編式典が行われ新たに第16空軍が「情報制圧組織:“information dominance” organization」として編成されました

サイバー空間での情報と、写真・映像・電磁スペクトラムからの情報を総合的に組み合わせて新たなインテリジェンスを生み出し、敵情を迅速に把握して地域コマンドや機能コマンドに提供し、併せて攻撃的な作戦もサイバー空間や電磁スペクトラム領域で行う任務を担うことが期待されています。最後になって世界的なセンサー網を保有する気象部隊も配下に入れる決断もあり、意気込みが伺えます

Haugh.jpg第16空軍の指揮官Timothy Haugh中将も異例の出世で、今年3月末までは准将だったのが、4月に少将に昇任し、更に9月26日には第16空軍司令官になるため議会の承認を得て中将にまで昇任して11日の新編式を迎えた人物です

ご経歴からは、ISRとサイバー両分野で多様なポストを経験した「他に得がたい人材」であることが伺えますが、表現は悪いですがいわゆる「おたく揃い」のサイバーとISR部隊をまとめて機能させるには、実務や組織を知る指揮官の強力なリーダーシップが欠かせないとの判断でしょう

そんな第16空軍ですが、新編指揮に参列した統合の米サイバーコマンド副司令官が「2020年大統領選挙対策が重要な任務になる」とその働きに期待する祝辞を述べており、大きな注目を集めています。

14日付米空軍協会web記事によれば
16th Air Force2.jpg第24空軍(サイバー担当部隊)と第25空軍(ISR+EW電子戦担当部隊)の融合により、米国防省全体がデータ及びデジタル指向認知に向かう中、米空軍はデジタル世界で何が起こっているのかをより明確に把握し、より容易に悪者から我を守って攻撃できることを目指し、バラバラだったRQ-4からRC-135までの多様なアセットと情報処理分配システムの「コラボ」の道を切り開く

●Goldfein空軍参謀総長は「今日から第16空軍は情報ドメインにおける思考のリーダーだ。統合部隊指揮官と米空軍部隊にかつてないレベルの能力を提供してくれる」、「敵が我々の部隊身辺の動きと活動を見て正しく評価したならば、軍事力による国家目的達成を考え直すだろう」と語った
●また参謀総長は米海軍も同様の動きをしていることを意識しつつ、国防省全体で情報融合を進める方向にあると語った

Haugh新第16空軍司令官は、わが部隊はサイバーや電子スペクトラム空間で誰が悪さを働いているのかを迅速に突き止め公にすることで紛争抑止に貢献すると述べ、陸海空ドメインに比して匿名性が高いドメインでの抱負を語り、「他の統合部隊とも協力し、敵の悪事を暴く力で敵の行動を明らかにする機会を拡大し、敵の能力を拒否して行きたい」と語った
16th Air Force3.jpg●第16空軍の隷下に入る各部隊の指揮官も記者団に対し抱負を語り、例えば「敵の統合防空システムIADSについて、味方に迅速により正確な情報を提供して作戦の道を切り開きたい」、「ISRとの連携強化でサイバーの弾薬を活用する」、「開発中の電子戦ツールで、友軍を敵目標により近づけることが可能になる」、「ISRやサーバー(SNS含む)を活用して、敵エリアの気象状況把握能力を向上する」などと語った

●テキサス州ラックランド空軍基地での新編指揮に参列した統合の米サイバーコマンド副司令官Ross Myers海軍中将は祝辞で、2018年の米中間選挙で米空軍サイバー部隊が米欧州コマンドのサイバー戦対処を大いに助けてくれた事を讃えた後、「2020年大統領選挙対策が重要な任務になる」と述べ、米サイバーコマンドが第16空軍と共に来年の大統領選挙を大きな任務として捉えていることを示唆した。
●そしてMyers海軍中将は、「選挙におけるサイバーセキュリティー任務は2020年大統領選挙が終わりではなく、今後我々にとって永遠の任務となるだろう」と表現した
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CyberPolicy2.jpg2020年の大統領選挙に対する外国勢力の「情報操作」や「誘導工作」に対処することに、米サイバーコマンド幹部が明確にコミットすると明らかにしました

かつてオリンピックは「アマチュアの祭典」と呼ばれ、各競技でプロとアマチュアの選別が厳格でしたが、今やそんな話が嘘のようにプロ参加が当たり前となっていますが、かつて軍事組織が国政に絡むことを避けてきたのが嘘のように、大統領選挙の防御を米軍が担う次代になりました

五輪の世界でもそうですが、アマチュアだけでは、または米軍以外では、まともなレベルの競技や選挙防衛が出来ない時代になったと言うことでしょう。

それにしても、Haugh新第16空軍司令官は推定51歳の中将です。活躍をご祈念申し上げます

第16空軍の指揮官Timothy Haugh中将の経歴
https://www.af.mil/About-Us/Biographies/Display/Article/1286007/major-general-timothy-d-haugh/

第16空軍の関連記事
「遅延中、ISRとサイバー部隊の合併」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-24
「米空軍がサイバー軍とISR軍統合へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3

米大統領選挙や英国のEU離脱国民投票を始め、多様な事例や各国の取り組みを紹介する良書
「ドキュメント誘導工作を読む」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1

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B-1爆撃機早期退役でB-21推進検討 [米空軍]

アフガンでの低速中高度飛行多数で機体が疲弊
稼働率向上には多額な経費が必要な可能性大

B-1.jpg 9月17日、Goldfein米空軍参謀総長はAFA航空宇宙サイバー会議での記者会見で、保有機60機に対し稼働機数が「一桁」に落ちていると報じられたB-1爆撃機について触れ、稼働率向上のためにどれほどの予算が必要で、米空軍として今後B-1爆撃機をどのように扱うのが適当かを分析検討していると語りました

そして、B-1への投資を検討する際には、最優先事業の一つであるB-21爆撃機取得促進も考慮要素になると語り、B-1を早期引退させて維持整備費を浮かせ、B-21計画による必要空軍予算の膨らみを抑えることも考慮していると述べました

B-21機種選定の際、米空軍は100機調達を想定して関係企業に提案させてノースロップグラマンに担当企業を決定しましたが、爆撃機を運用するGSCの司令官は、国家防衛戦略を遂行するには他機種を含めて225機の大型爆撃機が必要だと発言しており、B-1とB-2が先に引退するとなると少なくとも140機のB-21が必要となります

米空軍幹部の中にはB-21は175機必要だと述べる者もいてF-35やKC-46と並行してB-21を調達する米空軍にとって、議会頼みだけでなく自ら費用をねん出する姿勢も求められており、そんな一つの知恵なのかもしれません

17日付米空軍協会web記事によれば
B-1 2.jpg●同参謀総長は、中国の脅威がある中、地域の同盟国が爆撃機を保有していないことから、太平洋地域での「爆撃機需要は高い状態が続いている」と述べた
●同時に多くの検討や分析を通じ、より多くの爆撃機、特にB-21が必要だとの結論が導かれており、この点について参謀総長である私も100%の革新と信念を持っており、爆撃機部隊を大きくする必要がある、とも表現した

このような全般状況を語った後にGoldfein大将は、B-1爆撃機の状況に触れ過去18年間にわたる中東での酷使、特にアフガンで重宝された多くの弾薬を搭載しての空中待機と要請に応じた迅速な地上部隊支援対応により機体に想定以上の負荷がかかったと述べた
B-1は設計上、低空を高速で飛行するため可変翼を後方にたたんで行動することを基本として製造されているが、アフガンなどでは中高度を低速で空中待機する時間が長く、可変翼を広げて飛行するため機体に想定以上の負荷・負担が生じている、と同大将は説明した

●結果として「機体に想定外の負荷が蓄積し、数年前からB-1の機体構造部分に深刻な問題が複数発生している」、「米空軍はB-1が十分な即応態勢を回復できるか、そのためのコストは負担に値するかを確認しようとしている」と参謀総長は説明した
B-1 3.jpg米空軍物資補給コマンドのArnold Bunch司令官は別の場で記者団に、B-1の構造疲労テストを数年前に開始したが、突発的なB-1の不具合事象でそのたびに中断してきたが現在は再開していると述べたが、いつ結果が出るかかは語らなかった

●参謀総長は、米空軍指導層で疲労度が高い何機かのB-1を早期退役させ、爆撃機グループへの投資に回す手段についても検討を行っており、その中には、長射程戦略兵器やB-52エンジン換装、KC-46導入ペースダウンやB-21導入加速などのオプションが含まれているとも述べた
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一番最後の部分に、「decreases our tanker requirement」との検討オプションが含まれており驚きましたが俗にいう「聖域なき予算削減検討」が米空軍内で行われているということなのでしょう。

B-1 4.jpg別の記事では、不具合が依然解消されていないKC-46は、今後3-4年は不具合解消に必要との米空軍幹部の発言も紹介されており、今後色々どんでん返しがありそうです

B-1早期引退については、「retire some of the most stressed B-1s」との表現ですから、60機全てに手を付ける検討ではないようです。

爆撃機とロードマップなど
「B-1爆撃機の稼働機一桁の衝撃」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-05
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春のBomber Vector」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2
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5か月経過も米空軍の先進集中開発項目未定 [米空軍]

4月発表の「新科学技術戦略」で決めたのに
空軍研究所組織横断で取り組むと決めたのに

Bunch.jpg9月16日、米空軍研究所AFRLを所掌する米空軍Materiel Command司令官Arnold Bunch大将にDefense-Newsが独占インタビューを行い今年4月に鳴り物入りで発表された米空軍の「new science and technology strategy:新科学技術戦略」の進捗状況について質問し、同戦略の柱の一つである「先進的で前衛的な道を切り開く新しい研究開発プログラム(vanguard programs)」が未だ定まっていないと明らかにしています

この「先進的で前衛的な道を切り開く新しい研究開発プログラム(vanguard programs)」は、米空軍研究所AFRLの資源配分を再整理し、2割のAFRL資源を投入し、AFRLの知恵を組織横断的に通出して短期間に成果を得ようとする試みです

4月の発表された米空軍の「新科学技術戦略」では、以下の5つの「革新的:transformational」成長をもたらす分野を示し、空軍として注力することを明らかにしています
autonomy;
next-generation weapons like hypersonics and directed energy;
resilient information sharing;
distributed sensing;
machine learning that can speed up decision-making

vanguard.jpgですから、「vanguard programs」も5つのエリアに関連する具体的な研究開発項目を絞って取り組むはずですが、5か月経過しても音無で、更にBunch大将は「決定を急がない」ともインタビューで述べています

最近の米空軍幹部の各種発言から想像すると、予算不足が明確になり、空軍参謀総長が中心となって資源配分優先順位議論を行っている最中で、その結論が出るまで研究開発の優先順位を決められない状態になっていると考えられますが、とりあえずBunch大将の話をご紹介しておきます

26日付Defense-News記事によれば
●4月に公表された「新科学技術戦略」では、米空軍研究所AFRLの資源を再構築し、AFRLの2割勢力を複数の「vanguard programs」に投入し、AFRLの英知を「飛躍が予期される技術分野」に持ち寄り、迅速なプロトタイプや実験により推進することを求めている
Bunch2.jpgしかし5か月間経過した現在でも、米空軍として「先進的で前衛的な道を切り開く新しい研究開発プログラム:vanguard programs」を決められずにいる

●しかし、AFRLを配下に置くArnold Bunch米空軍Materiel Command司令官は、「何月何日までにvanguard programsを決定する、といったやり方では進めない」、「急いではいない」と述べ、AFRLはどの様にvanguardを選定して管理すて行くかを引き続き検討していると説明するにとどめた
●現在AFRLは、研究分野ごとに7つの部門に分かれているが、「vanguard programs」が縦割りでない組織横断的な英知結集を狙っていることから、新たにvanguard用の「program office」を設けて、各既存部門からの情報や協力を柔軟に得られるような役割を持たせることも検討していると、同司令官は述べた

vanguard3.jpg●また同司令官は、vanguard用の「program office」に米空軍の調達専門要員を配置し、研究開発初期段階から装備化に向けた成熟を支援する体制を整えることも検討していると説明した
●更に同大将は、このような特別な「program office」設置により、AFRL内の競争を促進することにつなげ、技術革新を刺激したいとも述べた。「我々は敵対国と競争しているが、同時にAFRL内でも競い合ってほしい。進歩を示し、新たな地点に到達しなければならない。前線兵士のニーズに焦点を当て、結果を出さなければならない。そうでなければ、米空軍の資源は他に配分されてしまう」とも表現した
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Bunch司令官が最後に「結果を残さなければ、資源が他に配分されてしまう」と危機感を述べていますが、先日は戦闘機族のボスであるACC司令官Holmes大将も同様の危機感を述べ、米議会スタッフに次世代制空システムへの予算配分の重要性を説明に回っていると説明していたところです

米空軍は主要装備の更新時期を一度に迎えています
F-35、B-21、KC-46、次期練習機(T-38後継のT-7)、次期ICBMなどの調達や研究開発の波が2020年代に押し寄せ、良く見てもわずかな伸びしか期待できない国防予算に収まりきらないことは火を見るより明らかです

米海軍も次期空母フォード級や次期戦略原潜SSBNの導入が同時期に進むことから、なおかつ価格が2倍に跳ね上がっていることから、国防省全体で優先順位の議論が求められています。

Esper3.jpgこんな話は10年前から言われていたことですが、今の今まで放置されてきました。エスパー国防長官は「夜の集中検討会:Night Court」を開催して結論を得る覚悟ですし、各軍種も2021年度予算案をまとめる年末に向け、ぎりぎりの選択を迫られているのでしょう

米国防省と米軍は優先順位の決断を迫られている
「エスポー長官無駄計画削減の決意」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-31
「ACC司令官が制空投資削減を危惧」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-21

「PCA価格はF-35の3倍?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15
「NKのおかげSSBNに勢い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-2
「フォード級空母を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20 

「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24
「空母定期修理が間に合わない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09
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米空軍が次期戦闘機検討でギャンブルを!? [米空軍]

機種選定による1機種大量生産ではなく
複数企業が独自機体を長期契約更新しつつ保持
5年毎に最適なものに乗り換え

Roper2.jpg2日、米空軍の革新的調達推進役であるWill Roper次官補が次期制空機構想の方向性を発表し「Digital Century Series」なる「複数のジェット機」を並行開発する従来とは全く異なるコンセプトを打ち出し、パイロットでないDale White大佐(推定45歳:調達幹部)を長とする「Program Executive Office for Advanced Aircraft」をWright-Patterson空軍基地に立ち上げました

従来の戦闘機開発は、米空軍司令部内に戦闘機パイロットを中心とした検討室を作り、次期戦闘機の要求性能を固めて候補企業に提示し、複数の企業からの提案を評価して1つの機種に絞り、その機種を1000機以上、能力向上を行いつつも20年程度製造を継続するというものでした

しかし今回の基本的考え方は、脅威環境を踏まえて要求性能を検討するのでしょうが、複数の企業と対話しながら、コストを抑えつつ迅速にリスク低く実現可能かを見極め、継続的な革新が可能かや、ソフト更新対応を重視し、構想から5年以下程度で実用化のイメージです。

NGAD5.jpgまた複数企業が並行して開発をを行い、ある段階で最も実現可能な1機種に大量でない小規模機数を製造させるが、1機種を製造開始した後も、他企業の他機種も契約を継続して設計を更新させ、5年程度の周期で脅威環境に最適な機種を再び選んで小規模機数を製造させる考え方です

ただし、まだまだ今回のアプローチ手法は「やわやわ」な様で、新設「Program Executive Office」の最初の仕事は、上記のような「Digital Century Series」なる複数機種を並行存続させる考え方が実現可能か、また複数機種並行存続にどの程度コストが必要かを含む「調達戦略」を9か月以内にまとめる事になっています。

Roper次官補は、「このような世界(this universe)に到達する道筋を、White大佐が見つけてくれることに最上級の自信を持っている」と「Program Executive Office」発足式典で述べたようですが、この表現からして異次元な感じです

Dale White大佐(推定45歳)とはどんな人?
(日本で同様のポストが思い浮かびません)
White.jpg一般大学出身の調達幹部。初級士官課程を成績優秀者として卒業し、ニューメキシコ大学でMBA取得。米海兵隊指揮幕僚大学を成績優秀者として卒業。大佐昇任時期は同期生でトップクラス
●その経歴のほとんどは米空軍マテリアルコマンドで宇宙、サイバー、航空機など多彩な兵器システムの兵站面のマネジメントを仕切る。現在は米空軍ライフサイクル管理センターでISRと特殊作戦軍のProgram Executive Officer (PEO)、その前は空軍省の緊急戦力造成室でB-21のProgram Directorでこの時にRoper次官補の部下だったと考えられる
●その他、米空軍研究所宇宙ミサイルセンター、空軍省調達担当次官室などで、一貫して兵器システムの「producing, testing, modifying, fielding, and supporting」を担当

Roper次官補は同Office発足式典で
White2.jpg●White大佐は、このプログラムを枠に囚われない思考に基づき(based on his out-of-the-box thinking)導くために選ばれ、このプログラムを導くに必要な軍需産業を理解する専門能力を持った者として期待されている
●このプログラムは、軍需産業にとっても良いものでなければ成立しないが、同時に継続して技術革新を導き、より小型で速く機敏なものを追及する。担当企業は1000単位の製品を作る企業であることは必ずしも必要ない。このような世界(this universe)が存在する道を、この大佐が見つけてくれることに、最上級の自信を持っている

また9月にRoper次官補は
従来のように、単一の非常に素晴らしい航空優勢獲得用アセットを製造する企業を選定するのではなく、新たなコスト削減技術(ソフト開発、オープンアーキテクト、デジタル開発等)で複数の戦闘機開発に投資したい
●米空軍は、その中から最も実現可能な機体の提供企業を1つ選んで小規模の製造を依頼するが、他の企業とも契約を継続し設計更新を続けてもらう

NGAD4.jpgこの方式の利点は企業間の競争を増し、最新技術を搭載した戦闘機を約5年ごとに送り出す能力を強化する点にある。企業側が考える可能なことと、わがチームが提言してくれることに基づき、どの程度の間隔で新型機を送り出すかのリズムをセットする必要がある。今は5年毎を想定しているが、違うかもしれない。もっと早ければよいが、5年でも現状と比較して遥かによい
新設「Program Executive Office」の最初の仕事は、上記のような「Digital Century Series」なる複数機種を並行存続させる考え方が実現可能か、また複数機種並行存続にどの程度コストが必要かを含む「調達戦略」の初期報告を6ヵ月後に、最終報告を9か月以内にまとめる事である

White大佐は式典で
●わがチーム前に立ちはだかる任務はタフなものである。しかしその任務は、わが国が世界の舞台で確固たる地位を維持するために「must-do」なものである
我々はもはや、かつて保持していた世界のスーパーパワーの地位を約束されていない。そして今、我々は米国の今日を築いた要素の根元に立ち返り、学び直さなければならない
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NGAD6.jpgWhite大佐はPEO Advanced Aircraftとして、戦闘機の機体だけでなく、NGAD(Next Generation Air Dominance)の一部をなす多くのサブシステム開発も監督下におくことになっているようで、NGAD計画には、並行して多くの新兵器やエンジンやミッションシステム開発が盛り込まれているようです

戦闘機パイロット族はこの動きをどのように見ているのでしょうか? 「当分泳がしておけ」、「そのうち自由に操ってやる」などと考えているのでしょうか? 最後にご紹介した、White大佐の強烈な使命感と危機感を、戦闘機パイロット族はどのように感じるのでしょうか?

結構衝撃的な話ですが、米空軍参謀総長やACC司令官のHolmes大将あたりの決意の程を確認したいものです。

Col. Dale White大佐の経歴
→ https://www.wpafb.af.mil/Welcome/Biographies/Display/Article/1585290/colonel-dale-r-white/

「戦闘機族のボスがNGAD予算を危惧」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-21

米空軍の次世代制空機検討PCA
「PCA価格はF-35の3倍?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28

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マルチドメイン指揮統制MDC2に必要なのは? [米空軍]

ここでも「Uber」が一つの目指すべき姿と・・・
6つの取り組み中分野を挙げて現在位置を

MDC2.jpg9月17日、AFA航空宇宙サイバー会議で「マルチドメイン指揮統制MDC2」ビジョンとのパネル討議に登壇した3名の空軍幹部や専門家が、Goldfein空軍参謀総長の肝いりで進められているMDC2の目指す方向と現在の取り組み、更には未着手の課題等について語りました

マルチドメイン指揮統制MDC2とは高い能力を備えた相手と高烈度紛争を戦う場合、サイバー戦や電子戦が常態の混乱の中で、高性能の兵器が多数飛び交うような状況が予想される複雑な環境の中でも、前線から司令部勤務者までもが情報をリアルタイムに円滑に共有し、迅速適切な意思決定を可能にし、それを多様なドメインを包括して統合で可能にすることを目指すものです

この分野は、かつて米空軍がE-8C(JSTARS)を用いて局所的なエリアでリードした経緯があり、米空軍が将来の米軍でイニシアチブを握るために積極的に取り組んでいるものです。空軍がどの程度統合レベルで調整しているのか明確ではありませんが、実態として戦場データネットワークは航空アセットを支える米空軍が中核にならざるを得ない側面があり、米空軍の姿勢は正しいと思います。

23日付米空軍協会web記事によれば
5G-2.jpg●米空軍先進戦闘管理システム構築責任者のPreston Dunlap氏は求めるMDC2を、民間白タク配車サービスの「Uber」を一つの理想モデルとして挙げつつ、「スマホやタブレットのアプリのように活用でき、自分や近傍の味方の位置を把握でき、各端末の情報を途切れなく、多様なネットワーク(cellular, Wi-Fi, bluetooth, 3G, 4G, 5Gなど )で共有出来るようなもの」と表現し
●また「接続の回線密度に拘わらず、AIや機械学習アルゴリズム機能によって適切に接続され、(Uberが)人と車を結びつけるように機能するMDC2」と表現してイメージを説明した

●そして(Uberのように)、参加者が画面上で近傍の情報を把握でき、それらの戦力を一つの作戦目的のため導けるようなシステムをイメージしていると語った
●「(Uberが)一般社会で我々のために機能しているように、我々の能力を瞬時のうちにあるべき方向・時間・目標に導き、航空機や潜水艦や戦車や衛星や地上兵士を結び付けたいのだ」と語った

●そして米空軍が取り組んでいる6つの取り組み分野を説明した
sensors that can tie information together across classification levels;
the need to get data off of those sensors;
security and data management;
getting data to the right place; crunching data with AI;
reacting with munitions or other effects accordingly;
and reworking the targeting and attack process if needed.

Kumashiro.jpg●米空軍統合戦力融合部長Dave Kumashiro准将は、MDC2を実現するにあたり重視する困難な点に触れ、前線のユーザーの立場に立って如何に使い勝手を良くするか、また皆が新たな脅威に直面した際に、理解でき直ぐに行動に結び付くような言葉や表現を統合システムに導入すること等に言及して説明した
●また、まだ手つかずの課題の例として、システムとして柔軟性や機敏さを追求するものの、軍ネットワークがサイバー攻撃を受けた場合の対応等を挙げた

●元上院スタッフで関連軍需産業部長であるChris Brose氏は、各軍種の上層部はMDC2の重要性を理解して取り組むだろうが、本当に必要なのは、前線レベルの兵士の意見を持ち寄ってボトムアップの変革に結び付けることだと主張し、その間に横たわる軍事官僚制の壁の存在を危惧した
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米空軍の6つの取り組みも訳そうとしたのですが、的外れな当てつけ翻訳になりそうだったので、原文をコピペしました

cyber1-82e9c.jpgGoldfein空軍参謀総長の肝いりなので、これまでも「ちまちま」と取り上げてきましたが、これまでよりは少しは具体的かと思いましたので、ご紹介いたしました。

それにしてもRoper次官補といい、皆さん「Uber」の配車システムがお好きの様で・・・使ったことないので偉そうには言えませんが・・・ 。熊代准将(Kumashiro准将)がんばって下さい

米空軍のMドメイン指揮統制検討
「米空軍がマルチD指揮統制演習を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-25
「指揮統制改革に向けて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09
「3つの取り組み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-18
「宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「空軍に新コンセプト期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28
「米空軍の重視事項3つ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13

マルチドメインの関連
「太平洋軍司令官が米議会にお願い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-29
「対中国で米軍配置再検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1
「射程1000㎞の砲を真剣検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
「RIMPACで日米陸軍が訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21
「再びハリス司令官が陸軍に要請」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16

「尖閣防衛に地対艦ミサイル開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-14
「ハリス大将も南シナ海で期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06
「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12
「CSBA:米陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

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米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ [米空軍]

恐らく中東です
ビーム兵器ではなく電磁波で回路を瞬時に破壊
レイセオン製のPHASER system

PHASER.jpg24日付popularmechanics.comが、23日に米国防省が米議会に対し、高出力マイクロ波(HPM:High Power Microwave)を使用して小型無人機の群れを撃退可能なレイセオン製の「 PHASER system」購入を通知し、海外の実環境で1年間程度試験する方向だと報じています

サウジ石油施設が20以上の無人機や巡航ミサイルで攻撃を受け危機感高まるタイミングですが、 PHASER system自体は長年研究されてきたエネルギー兵器の一つで、プロトタイプ試作結果に米空軍が満足して実環境アセスメント(a year-long assessment)に入るタイミングが偶然一致したというのがレイセオン社の説明です

このPHASER systemはエネルギーをレーザーのようにビームにして照射し、一定時間目標にビームを当て続けて熱で対象を破壊するタイプではなく高出力マイクロ波をストロボのように短時間照射し、無人機の電子回路を瞬時に破壊または一定時間機能不全にすることから、無人機の群れに対処可能とされています

RQ-11 Raven.jpgただし人間が持ち運びできる程度の小型無人機(写真のRQ-11 RavenやScanEagle程度まで )が高度1000m以下程度を比較的低速で飛行する場合にのみ有効な射程範囲で、他の無人機防空手段と併用して「多層的な防御網」を構築する一手段と捉えられているようです

また、残念ながら巡航ミサイルに対しては効果が期待できないと、米空軍もレイセオンも判断しているようです。巡航ミサイルは速度が速いからかもしれません

ScanEagle.jpgご紹介する記事は、米空軍所属時から今まで40年間このHPMに取り組んできたレイセオンの担当者の話が中心で、多少差し引いて考える必要があるかもしれませんが気になるのは、「まだ公にできない、別の防御的な応用先がある」と語っているところですが・・・



レイセオン社Don Sullivan技術者などによれば
米空軍は約180億円を投じてPHASER systemのプロトタイプを作成し、米国外の未公開の場所で約一年間のアセスメント試験を行い、試験は2020年12月20日までに終了すると議会に23日通知した。
●米空軍は同システム以外にも複数の指向性エネルギー兵器の試験購入を進めており、北朝鮮、アフリカ、ウクライナ、そして中東など、敵の無人機脅威が高まっている複数の場所や基地でのアセスメント試験を予定している

PHASER2.jpg●米空軍のアセスメント試験責任者は「今回の議会通知は、最近の2-3の事案を受けてのことではなく、過去数年間に顕在化したニューズを受けての施策である」と説明しする一方で、「ホワイトサンズ演習場で試験を行っていたタイミングとぴったり」とレイセオンのSullivan氏は語っている
●ただDunford統合参謀本部議長が20日に、特定の装備品名には触れずに、米国は中東地域の防空を強化すると発言し、「サウジと協議中」と言及したところである。

●PHASER systemが対処可能な目標は、重量30㎏以下、飛行高度1200-3500フィート、速度100-200ノットで、RQ-11 Ravenや大きくてもScanEagleクラスの無人機である
●従って、あくまでPHASER systemは多層防御アプローチの一翼を担うもので、ビーム兵器を含む多様な防御手段を組み合わせて無人機脅威に対処する構想の一部である

●PHASER systemは高出力マイクロ波を使用し、熱で対象を破壊するのではなく、莫大なエネルギーを相手システムの回路にぶつけて破壊または機能停止にする原理であり、対象への効果は瞬時に発生(マイクロセカンド以内の時間)する。従ってレーザー兵器のように一定時間目標に照射し続ける必要がないストロボのような照射でOK
実際の運用では、まずレーダーで探知し、次にカメラやたセンサーで確認し、それら追尾情報を基にPHASER systemが目標無人機を指向しで高出力マイクロ波を発射する流れとなる

PHASER3.jpg米空軍要員は既に同システムの教育訓練を受け、演習で実際に無人機を撃墜しており、この結果が同システムを購入して海外の実環境でアセスメント試験を行う決断に導いた
●Sullivan氏は「既に複数の回転翼と固定翼の無人機の同時撃墜に成功している」と説明し、「過去にはマイクロ波兵器がその広い指向性から、無差別に味方にも損害を与える事もあったが、無人機の群れ使用が一般的となってきた現代においては、物理的兵器のように弾切れがないことと共に、マイクロ波のこの欠点が強みとなっている」とも言及している

無人機対策以外にも、だれも公には語らないPHASERの使用法があるようで、それは防御目的での使用法だとSullivan氏は認めたが、「秘密事項であるため、無人機対処以外の応用については語ることを許されていないので言及できない」と語った
●Sullivan氏は死屍累々の指向性エネルギー兵器開発を振り返りつつ、最近のエレクトロニクス技術やsolid-stateレーザー技術の発達により、エネルギー兵器の実用化が近づいてきたと語り、2021年に艦艇運用を予定する米海軍の Laser Weapon System (LaWs)や、2022年の運用開始を予定する米陸軍のhigh-energy laser weaponを例に挙げた
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////

PHASER systemがどの程度の指向性があり、周囲への影響をどの程度局限できるのかが気になります

ネットで検索すると、動画を含めた様々な説明資料が見つかりますので、ご興味のある方はどうぞ。でも、日本のように人口が密集している国や地域での使用にはリスクがあるような気がします

2016年公開の試験映像:当時は陸軍が試験を


エネルギー兵器関連
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24
「F-15用自己防御レーザー試験」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-04
「エネルギー兵器での国際協力」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-27
「エネルギー兵器とMD」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「レーザーは米海軍が先行」[→]https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24

「無人機に弾道ミサイル追尾レーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-17-1
「私は楽観主義だ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-23
「レーザーにはまだ長い道が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-18
「AC-130に20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06

国防省高官がレーザーに慎重姿勢
「国防次官がレーザー兵器に冷水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「米空軍大将も慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24

夢見ていた頃
「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米企業30kwなら準備万端」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「米陸軍が本格演習試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14-1
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米空軍電子戦EW改革の方向性を語る [米空軍]

1月にまとめたEWレビューを副参謀総長が語る
4月に紹介したACC司令官とは少し異なる切り口で

Wilson3.jpg18日、Stephen Wilson米空軍副参謀総長がDefense-News単独インタビューで2018年から特別チーム(ECCT:Enterprise Capability Collaboration Team)が1年がかりで取り組み今年1月にまとまった「電子戦レビュー」が示す方向性について語りました。

同レビューの内容については公になっている部分は少なく、今年4月16日に空軍戦闘コマンド(ACC)司令官が講演で内容に触れたところ、記者団から追加情報を求める声が殺到して大騒ぎになりましたが、米空軍側は講演内容以外については答えられないとの姿勢で終始一貫しており、それ以後、追加情報を耳にすることはありませんでした

EW.jpg「電子戦レビュー」は同副参謀総長が2017年に打ち出し、2018年にDavid Gaedecke准将をトップとする前述ECCTを組織して検討させ、2019年1月に結果が米空軍首脳に報告されたもので、米空軍の電子戦取り組みは「あまりにも縦割りで進められ、顕在化している新たな脅威に対応できていない」と厳しく指摘している模様です

米空軍に限らず、末尾添付の電子戦関連記事をご覧いただければわかるように、911以降、米軍が対テロ作戦に20年近く集中し、約20年間にわたり電子戦を片隅に追いやって過ごした結果、今になってロシアや中国の電子戦能力に直面して「米軍全体が呆然と立ちすくんでいる」状態にあります

そんな中での米空軍電子戦レビューに関する貴重なお話ですので、まず4月のACC司令官講演の概要から復習し、後にWilson米空軍副参謀総長インタビューをご紹介します

復習:ACC司令官Holms大将の講演(4月16日)
ECCTが提言した主要な3点や関連事項について説明。提言を実現する具体的な時期や要領等については言及せず

●まず電磁優位確保の責任者を空軍司令部におく
Holmes2.jpg---空軍司令部内に「EMS Superiority Directorate」を設け、将官をトップにつけ、空軍内のEWの優先投資事項を見極めさせる
---担当範囲には、無人デコイのMALD、F-15CやF-15E搭載のEPAWSS電子戦システム、ALQ-131電子自己防御装置、光電赤外線センサーF-35のEOTS、先進スナイパーポッド等々があるが、サイバー攻撃やサイバーモニターシステムが所掌範囲かは不明

●次に、バラバラな電磁優位活動を一つの組織に融合
---米空軍内の電子戦取り組みをまとめるマルチドメイン組織を設置し、ソフト開発などを集約する。本組織は迅速な脅威への対応を実現するため、「machine-to-machine」認知連鎖や適応をリアルタイムで追及し、勝利のため連携した「分散型システム:distributed systems」を敵電子優位システムを撃破するために展開する

●更に、米空軍内の電子線魂を再活性化
---米空軍司令部の電子戦部門長を先頭にして、米空軍全体に電磁優位魂(EMS warrior ethos)を醸成するため、空軍全体を対象とした教育訓練プログラムを構築する。なぜなら情報作戦は電子戦担当者だけでなく米空軍全兵士が関わる戦いだからである
---米空軍のEWに関わっていた者は、10年以上にわたり、米空軍の電子線活動が縦割りで、中露の脅威に対し不適切な状態にあると不満を訴えてきた

●その他、電子専用機で1999年に退役したEF-117のような機体を導入するつもりはないと述べ、「米空軍は今、分散型システム(distributed systems)を追及している」と説明。一方で、突破型の電子攻撃プラットフォームを将来導入する可能性について否定せず、次世代制空のためのシステム検討の中で吟味されると表現

Wilson米空軍副参謀総長インタビュー
●空軍司令部A5/8内に専任「Directorate」設置
Wilson4.jpg---空軍内でバラバラに行われている検討をまとめるため、米空軍司令部A5/8内に専任「Electronic warfare Directorate」設置し、トップにECCTを率いたGaedecke准将をつける
---この新部署は、空軍内メジャーコマンドと他軍種との連携を図り、空軍内と米軍全体のEW事業の整合を図る。装備品の視点だけでなく、各階層に対し今後必要になる膨大な規模と量の教育訓練を統制し、クロスドメイン作戦に欠かせない電磁スペクトラム戦を支配する基礎を確立する

●EWシステムを柔軟ソフト更新対応に変革
---新たなEW脅威が特定されたなら、迅速に対応ソフトウェアーを再プログラムして対応できるようなEWシステムへの更新を推進する。めまぐるしく変化する脅威に対応するハードをここに作成していたのでは敵に対応できないので、迅速なソフト更新で対処可能な体制とシステムを構築する
---認知EW(cognitive EW)の世界に入ろうとしている。AIを搭載したEWシステムで、敵の出方を前線で把握して、前例の無い敵EWにも迅速に柔軟に対応する体制を目指す

●ソフト重視姿勢を多様な取り組みに拡大
EW2.jpg---米空軍は上述の「software-centric approach」を拡大して多用なEW計画と連携して推進
---依然として多様な部署の多様な関係者がバラバラにEWに取り組んでおり、これらの相互連携を増すことで大きな改善効果が期待出来る。互いに学んで、より大きな学びを。
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4月のACC司令官講演と重複する部分も多いのですが、少し表現を変えたり、視点を変えて表現する副参謀総長の表現から「電子戦レビュー」を想像していただきましょう

約20年間、電子戦を真剣に扱ってこなかったとなると、少尉に任官してから大佐に昇進するまで電子戦に真摯に取り組んでこなかったということで、基本的な知識や行動パターンも身に付いていない根本的なレベルの問題です

ですから「教育訓練」を多様な階層レベルで大規模に行う必要があるということです。教える人もいないのが現状かもしれません。

EW関連の記事
アクセス数が多い記事ばかりです。是非チェックを!
「ACC司令官が語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-19
「米空軍がサイバーとISRとEwを統合」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3
「電子戦検討の状況は?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-13
「エスコート方を早期導入へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27

「米空軍電子戦を荒野から」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-17-1
「ステルス機VS電子戦攻撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12

「EA-18Gで空軍の電子戦を担う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-08
「空軍用に海軍電子戦機が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-09
「緊縮耐乏の電子戦部隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-29-1
「MALDが作戦可能体制に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-29-1

ロシアの電子戦に驚愕の米軍
「東欧中東戦線でのロシア軍電子戦を概観」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-1
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02

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KC-46に貨物ロックの新たな重大不具合発覚 [米空軍]

貨物や乗客を乗せるな指示発令
貨物を止めるロックが飛行中に解除事案が続出

KC-46A 2.jpg11日付Defense-=News等複数の軍事メディアが、数々の不具合で試験や本格運用開始が2年以上遅れている米空軍の次期空中給油機KC-46に新たな最高レベル(Category 1)の不具合が発覚し、「同機に貨物や乗客を乗せるな」指示が出たと報じています

ちなみにKC-46Aは空中給油機ですが、空いたスペースは貨物や人員の輸送に活用できるようになっています

米空軍は現在までに18機を受領していますが、現時点でも3つの最高ランク不具合を抱える状態の機体でIOT&E(initial operational test and evaluation)の準備試験を継続中です。

ちなみに、3つの重大不具合の解決には数年必要と言われており、最高レベル(Category 1)の不具合を抱えたまま、なし崩し的に運用を開始するイメージで事が進んでいる状態にあります

KC-46A 3.jpg今年に入ってからも、機体組み立て作業時に「残置」された部品や工具や布や包装紙などが機体内部から次々見つかり、米空軍が3月と4月に2回も「機体引き取り拒否」しましたが、一向に「機内放置異物」がなくなる気配はなく、また試験を進める必要から全機体の完全チャックには時間がかかると空軍も妥協せざるを得ない状況です。

このように、ボーイングへの米空軍の不信感は高まるばかりの中、新たに「Category 1」不具合が確認されたことで、再び試験に遅れが出る恐れが囁かれ始めました。日本も購入する重要な空中給油機ですので、フォローしておきます

11日付Defense-=News記事によれば
今秋から開始される予定のIOT&E(initial operational test and evaluation)に先立つ諸確認のため、海外運航試験を行っていた1機のKC-46Aで、搭載貨物を飛行中に動かないよう固定する拘束装置のロックが、飛行中に解除されアンロック状態になる不具合が複数個所で確認された
●これを重大な不具合事項と判断した米空軍は、「Category 1」レベルの不具合と評価し、KC-46Aの貨物室に貨物や人員を搭載して輸送することを禁止するとの指示を発出した

KC-46A.jpg搭載貨物拘束装置がアンロック状態になったケースでも、当該貨物のすべてのロックが解除されたわけではなく、複数の一部のロックが解除されただけで実際に貨物が機内を移動したりするには至らなかったが、飛行前の貨物搭載作業時に複数の搭乗員で貨物固定作業とロック状態確認を行ったにもかかわらず、複数のロックが解除状態になる事象が確認されたことから重大事象と評価された
●このようなアンロック事例が確認されたのは当該機1機のみで他のKC-46Aではこれまで確認されていないが、仮にロック解除で飛行中に貨物や人員座席が機内を動くようなことになれば、人員のけがや機体の損傷、更に機体重量バランスの急激な変化で飛行自体が危険にさらされる恐れがある

米空軍輸送コマンド報道官は「ボーイング社と協力しつつ原因究明と対策に取り組んでいるが、問題解決まで、我々は乗員と機体の安全を冒すことはできない」と述べ、貨物や人員の輸送禁止指示を説明した
●また「問題が発生した複数の区間のフライトで、搭乗員は完全に拘束装置を貨物にセットし、ロックして十分に確認行為を行ったことが確認されており、にもかかわらず飛行中にアンロック状態に複数の装置がなったことを重大視している」とも説明した

●米空軍は、当該アンロック事象は当該機体のみで確認された事象だが、他の機体でこの問題が発生する可能性を否定できないとして、KC-46A全機への指示を出すことにした
●同報道官は、「KC-46Aは空中給油と共に、患者空輸と空中での治療を行うaeromedical evacuation任務を担っており、患者は輸送用の担架やベッドが安心して固定できないと、求められる任務を果たせない」とも表現した

●ボーイング社は本問題の発生を認め、「米空軍と協力しつつ、本事象の根本原因を究明している。搭乗員と機体の安全は最優先事項であり、原因が究明されたなら、直ちに対策を実行する」と声明を発表している

現在残っている他の3つの「Category 1」不具合
KC-46A RVS.jpg●給油ブーム操作員が、給油ブームの操作や相手機の状態を確認する映像表示システム(RVS)に、太陽の方向など特定の条件下で、操作員に誤解を与えたり操作を誤る可能性がある。ボーイングは包括的なハードとソフト両面での改修に同意しているが、米空軍は問題解決に3-4年は必要だろうとみている

上記RVSの不具合から、給油用ブームで相手機の機体表面に「ひっかき傷」を生じさせるケースが多数発生し、特にステルス機のステルス塗装への影響が問題となっている
●米空軍が後出しで要求事項に加えたものでボーイングの責任ではないが、A-10に給油ブームを差し込む勢いが不足していることから、約600億円を追加投資してブームにアクチュエーターを追加する
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今年5月の記事で米空軍以外に日本しか買い手がいないKC-46の海外売込みにボーイングが必死だとご紹介しましたが、再びの逆風ということでしょうか・・・

KC-46A.jpgしばし様子見ですが、航空自衛隊の皆様もご注意ください不断開けない翼の中とか、機内の空間とか・・・日本にとって空中給油機は重要ですから

KC-46関連の記事
「海外売り込みに必死なボーイング」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-22-1
「米空軍2度目の受領拒否」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-1
「機体受領再開も不信感・・・」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-1
「米空軍がKC-46受け入れ中断」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-3
「不具合付きの初号機受領」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-12-2
「7機種目の対象機を認定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-08-3

「初号機納入が更に遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20
「10月納入直前に不具合2つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19
「10月に初号機納入を発表」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-22
「開発が更に遅れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-11-1
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結局稼働率8割はF-16だけが達成見込み [米空軍]

マティス前国防長官の思いだったのに気合入らず?
米空軍作戦部長の言い訳をお聞きください
(海軍FA-18は恐らく5割を大きく割り込み

F-22Hawaii3.jpg4日、米空軍作戦部長のMark Kelly中将が講演し、昨年10月に当時のマティス国防長官から指示された「主要戦闘機の稼働率を8割以上に回復させよ。2019年度末(2019年9月末)までに」について、米空軍で達成可能なのはF-16だけだと明らかにしました

マティス国防長官が指示した主要戦闘機とは、空軍のF-16、F-22、F-35、そして海軍のFA-18で、2017年の各機種の稼働率は以下の通りでした
・ F-16C 786機 70%
・ FA-18 546機 約半分
・ F-22  187機 49%
・ F-35A 119機 54%

昨年12月にも同作戦部長は本件ついて語り
Kelly2.jpg●米空軍は必要な資源投入を行っている。既に整備員の不足解消には目途が立っている。一方で機体で部品確保が難しく、現状では必要数の半分の部品確保しかできていない
●また、ステルス機のF-22やF-35は、整備で機体内部の作業を行った後に、機体表面のステルスコーティングを「切り貼り」する必要があり、整備時間が長くなって稼働率を悪化させている。「通常6-7時間を機体表面の処理のために要している」と語り、稼働率アップの難しさを強調した

F-16に関しては、既に相当改善できており、目標の81%に近いレベルにきている。しかしステルス機については多くの整備所用を抱えていると認めた
整備員不足については、数の面では対応ができつつあるが、新しい整備員の技量向上には時間が必要であり、現時点では整備員数の増加が整備時間短縮に直接結びついていないと認めた

逆に、新しい整備員の現場での教育や監督にマンアワーととられ、短期的には負担となっている。1日12時間勤務のような状態がまだ続いている。整備員たちの滅私奉公(service before self)精神に依存しているのが現状だと認識している

9月5日付Military.com記事によれば同中将は
Kelly.jpg●Mark Kelly作戦部長は「2019 Defense News Conference」で、前国防長官が定めた稼働率基準を9月末までに満たせる主要戦闘機はF-16のみであると述べ、「正規軍のF-16は既に8割以上あり、州軍機も8割を達成できる見込みである」と説明した
●しかしF-22とF-35に関しては、それぞれの機種の異なる理由で8割の基準を満たすことはできないと述べ、F-22はステルス性維持のために多大な整備労力を要しており、F-35は依然として部隊立ち上げ段階であるが、中東への展開など前線ニーズや訓練参加ニーズが高い状態が続き、稼働率を上げるのが困難となっている

●昨年10月に当時のマティス長官から指示を受けて以来、米空軍は様々な観点から稼働率を左右する要因を分析し改善を図り、その過程で問題の所在や将来成すべきことを多く学んだ
●その上で極論を述べれば、主要戦闘機の飛行を停止すれば稼働率を上昇することが出来るのだが、現在の情勢ではそれは許されず、より多く飛行することを求められているのが現実である

8月にHolms戦闘コマンド司令官はF-22に関し
Holmes.jpgF-22のステルス機体表面処理施設を増やせば稼働率向上に貢献するだろうが、昨年のハリケーンでF-22要員教育部隊のフロリダ州Tyndall基地が壊滅的なダメージを受け、操縦や整備教育が継続できなくなっているほか、ステルス機体表面処理が出来なくなったのが大きな痛手

Tyndall基地のF-22は、分散してアラスカ、ハワイ、バージニア州Langleyの基地にとりあえず移動させたが、米議会はLangley基地に教育部隊を移動させよとしている。しかしLangley基地には十分なステルス機体表面処理施設がない点が問題である
●そこで米空軍はジョージア州の契約企業の施設を利用したり、ニューメキシコ州のHollomanの施設を再開することを検討している
////////////////////////////////////////////////////////

稼働率8割というのは高い目標で、当初から専門家で可能だと主張していた人はいませんでした

この指示が出た際、一部の専門家からは、稼働率は「使用可能機数と保有機数の比率」だから故障の多い老朽化機体を破棄して計算上の稼働率を上げるぐらいしか手段はない・・・との「裏技・奥の手」案も出ていたくらいです

しかしマティス長官は恐らく、米空軍や海軍内には数々の無駄があり、これを主要戦力の稼働率アップという誰にでも理解しやすい目的を示して是正させ、資源の再配分に結びつけることを促したのだと理解しています

F-35 clear.jpg結果としては、米空軍を支配しているはずの戦闘機族でさえも「辣腕」を発揮することが出来ず、資源配分のシェアに手を出せず、ほとんど実質的な改革に着手できなかったと言うことでしょう

もちろん、整備員の量と質の急激な改善や、ステルス表面処理施設の緊急増設は可能な選択肢ではありませんが、稼働率アップを目指す過程で「問題の所在や将来成すべきことを多く学んだ」との言葉を信じ、エスパー国防長官が新たに挑む決意をした「旧思考の事業中断検討」と「将来のための事業への再投資」に取り組んでいただきたいと思います

「エスパー長官がスクラップ&ビルドに強い決意」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-31

「主要戦闘機の稼働率を8割にせよ」関連記事
「戦闘機稼働率8割への課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-09
「マティス国防長官が指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-11

「B-1爆撃機の稼働機一桁の衝撃」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-05
「2Bソフト機は稼働率4割台」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-1
「2/3が飛行不能FA-18の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-07
「世界中のF-35稼働率は5割」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-3
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戦闘機ボスが将来制空投資削減を危惧 [米空軍]

米議会で来年度予算半減を検討とか
議会は開発リスクや効果を懸念

Holmes.jpg8月20日、軍事記者団との朝食会で講演した米空軍戦闘機族のボスである空軍戦闘コマンドACC司令官のMike Holmes大将は次世代制空機(PCA:penetrating counter air)を含むより広範な将来制空確保のための「family of systems」開発予算に関し、議会関係者に重要性を説明して回っているが、疑問疑念を払しょくしきれていないと語りました

2020年度予算案を巡る議会審議が佳境を迎える中での動きですが、2030年代末までに空軍が形にしたいPCAだけでなく、PCAと並んでほとんどが秘密のベールに包まれている多様な技術開発の目的は2040年代までの制空を目指す「NGAD:Next-Generation Air Dominance」と呼ばれ、そのNGAD予算を巡る議論です

最終的には、当初$750 billionで要求した2020年度国防予算を、$738 billionまで削減することを議会が求めているようで、議会から削減を求められなくても、米空軍内で「枠」に納めるために当初要求額から削減する可能性も相当あるようですが、「戦闘機族のボス」と言われる幹部の発言ですのでフォローしておきます

20日付米空軍協会web記事によれば
NGAD2.jpg●同司令官は記者団に対し、8月の米議会休会期間を最大限に活用し、2020年度予算案に計上しているNGAD関連予算の約1000億円の必要性を議会関連スタッフに説明に回り、NGADの重要性を訴えたと語った
●そして、議会関係者間に根強く残っている予算の効率的使用に関する疑念について、「我々は将来に対する備えのため、効果的に与えられた投資を活用できる」、「議会の専門家スタッフと定期的に会い、我々のコンセプトやその必要性について協力を得られるように説明している」と語った

NGADは、2040年代までを想定した将来の制空を確実にするための大部分が秘密の広範な技術開発の取り組みで、その中にはF-22とF-35を補完する新たなステルス機を2030年代までに調達することや、より広範な複数の「family of systems」を研究開発することが含まれている
●同司令官は、敵防空網の強化が進む中でも、米空軍には引き続き敵目標に接近するプラットフォームが必要であり、NGADは敵防空兵器を回避するための手段の一つであると語った

しかし下院が打ち出した修正案では、開発リスクとその効果への疑念から、約1000億円のNGAD予算が半分の約500億円まで削減されている。
NGAD3.jpg●同司令官は引き続き議会関係者への説明説得を続ける必要があると述べる一方で、国防省全体として希望予算額より小さな予算しか得られそうにない中で、米空軍として継続してきた事業の中断など「厳しい選択」を迫られるだろうと悲観的な見方も示した

●そしてGoldfein参謀総長はまさに今、限られた枠の中で何を優先して何を後回しにするかの検討を迫られているところだと同司令官は説明した
//////////////////////////////////////////////////////

中国が西太平洋でA2AD戦略を展開し、「制空」の足場となる米国やその同盟国の飛行場などの作戦基盤を、各種弾道ミサイルや巡航ミサイル、更には電子戦やサイバー戦も絡めて無力化しようとする中制空の重要性は認識するものの、NGAD全体の構想をよほど明確に実現可能性を踏まえつつ描いていただかないと、資金投入は難しいのでしょう

上下院の軍事委員会メンバーには、秘密の部分もある程度説明しているのでしょうが、そのうえで疑問や疑念が絶えないようですから、よほど旧態然としたコンセプトを引きづっているか、夢のような戦いを想定しているのでしょう・・・

せめて日本を巻き込んで余計な物を買わせないよう、お願いしたいものです

米空軍の次世代制空機検討PCA
「PCA価格はF-35の3倍?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28

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