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空軍長官がステルス空中給油機検討に積極言及 [米空軍]

KC-Z検討約7年前倒しの重要性力説
つなぎ給油機KC-Yの継続は不明なまま

blended wing6.jpg昨年12月11日、Kendall空軍長官が外交問題評議会CFRで講演し、中国の防空能力強化&延伸により従来型の米軍輸送機や空中給油機が作戦空域に接近困難になりつつあり、ステルス性を輸送機や空中給油機に求める必要があると訴え、ステルス形状で空軍の気候変動対処構想「Climate Action Plan」にも沿って燃料効率が良く環境にも優しいBWB機(blended wing body aircraft:B-2やB-21形状の機体)の検討を推進すべきと主張しました

そして、将来米空軍の態勢作りをより明確に盛り込む2024年度予算案(2023年10月からの予算)では、この将来輸送機や給油機、長らく放置されてきた電子戦能力強化、更に新構想に基づく弾薬類体系の構築と備蓄量確保に向けた方向性を打ち出すと改めて強調しました

blended wing7.jpg同講演を取り上げた1月13日付米空軍協会web記事は、電子戦や弾薬体制(生産体制拡充や対象攻撃目標に適した弾薬体系の整備方向手順を含む弾薬ロードマップ作製)については発言を詳しく紹介していませんが、以下ではKC-46(KC-X)の次の次に当たる「KC-Z」と呼ばれてきた将来給油機検討についての発言をご紹介いたします

なお「KC-Z」については、2022年春夏頃までは2030年代に検討開始とされてきましたが、米空軍給油機検討担当幹部が2022年8月に「空軍長官から検討大幅前倒し指示を受け、予備的検討が6-7年前倒しの2023年から開始になった」と発言し大きな話題になりました。

LMXT.jpg大幅な前倒し検討開始以外に「話題となった」背景には、KC-46(KC-X)と「KC-Z」の間に「つなぎ給油機KC-Y」として導入される予定で、ロッキードとエアバス社共同で入念に受注を狙って準備を進めてきた「KC-Y」が無くなる可能性も出てきたことで、業界内の「どろどろ」「魑魅魍魎」が動き出したとの懸念があります

「KC-Z」についてKendall空軍長官は
●伝統的に米空軍は、DC-10やB-767などの旅客機を空中給油機や輸送機に改良して使用してきた。もちろん独自開発のC-17輸送機のようなパターンもあるが、両タイプとも今後の作戦様相を考えると生存性が不足しており空軍のニーズをもはや満たさない
blended wing.jpg●例えば中国は、より遠方から我が航空機を迎撃可能になり、我々から行動の自由を奪い始めており、我が輸送機や給油機は生存性を念頭に今後は設計されるべきである

●これらを踏まえ米空軍は、民間機市場では実現しておらず既存機活用ができないBWB機(blended wing body aircraft)について、国防省と協力してプロトタイプ作成に進みたいと考えている
(注:2022年10月の米空軍気候変動対処構想「Climate Action Plan」発表時には、DIU(Defense Innovation Unit)と協力して初期的な設計検討を開始しており、燃料消費量を3割削減可能なBWB機の2027年までの試験飛行を目指すと発表されている)

blended wing2.jpg●空軍は引き続き、老朽化が急速に進む現在の主力空中給油機の近代化や更新に投資を続けていくが、空軍はその段階より先の次世代を見据えて前進しなければならず、現在の関連航空アセットが成し得ない環境でも生き残るアセットを得る必要がある
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同空軍長官はCFRでの講演で、「KC-X」として導入が開始されているKC-46を現計画の179機導入後、従来計画の「つなぎ給油機KC-Y」に進むのか、同長官が頻繁に示唆している「KC-Y」導入中止とKC-46継続購入に進むのか明確にしませんでした

LMXT5.jpg2022年8月には前述の空軍担当幹部が「KC-Y」について、「2022年秋には要求性能が明らかになり、調達が2023年春に決定されるだろう」と語っていたにもかかわらず、方向性が見えなくなってきています。

繰り返しますがこの件は、KC-46機種選定時に3回選定をやり直した末に敗北した「遺恨」や「恨み」を晴らすため、「KC-Y」受注獲得に向け万全の準備進めロッキード社と組んだ「エアバス社」を、如何に納得させるかにかかっている「ドロ沼」です。米空軍はこの「ドロ沼」を避けるため、気候変動問題まで持ち出してBWB機推進を訴えていくのでしょう・・・

空中給油機検討の関連記事
「空軍がKC-YとKC-Zの検討予定に言及」→https://holylandtokyo.com/2022/08/26/3558/
「BWB機の技術動向調査」→https://holylandtokyo.com/2022/08/05/3508/
「将来給油機体制検討に企業へ情報提供依頼」→https://holylandtokyo.com/2022/07/11/3425/
「給油機のミニマム必要機数を削減」→https://holylandtokyo.com/2022/06/13/3319/
「KC-XYZの再検討再整理表明」→https://holylandtokyo.com/2022/04/18/3151/
「KC-Yにロッキードが名乗り」→https://holylandtokyo.com/2021/10/05/2260/

選定やり直し3回:KC-46機種選定の泥沼
「KC-X決定!泥沼回避可能か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25

気候変動対処計画
「米空軍の同計画CAP」→https://holylandtokyo.com/2022/11/07/3747/
「海軍と海兵隊が同計画検証演習」→https://holylandtokyo.com/2022/09/28/3666/
「米国防省が気候変動対処構想発表」→https://holylandtokyo.com/2021/10/11/2318/

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米空軍が推進する戦力管理サイクルAFFORGEN [米空軍]

24か月間を1サイクルとして管理
20年間の中東での戦力酷使を反省材料に
既に少数戦力部隊からは不満の声も・・・

AFFORGEN.JPG1月3日付Defense-Newsが「2023年注目の米軍動向」の一つとして、米空軍が本格的に推進しようとしている「戦力管理サイクル」を取り上げています。

この「戦力管理サイクル」は、米空軍の新しい戦力造成管理計画「new force generation plan : AFFORGEN」の一環とされており、部隊の運用を6か月間単位の4つのステップからなるサイクルで回し、各部隊の「燃え尽き現象」を防止し、「新人の養成やベテランの技量維持」を計画的に行って米空軍全体の能力を適切に維持発展させていくことを狙いとしています

AFFORGEN3.JPG米空軍の苦い経験として、約20年間継続した中東でのテロとの戦いで、中東域への長期に及ぶ連続した部隊派遣により、兵士の「燃え尽き現象」「特定任務の反復による部隊能力維持困難」「兵士の家庭崩壊」などなどの問題が深刻化し、パイロットをはじめとして離職者が激増し、同時に対中国等の本格紛争への転換が困難に直面している現実が背景にあります

6か月間単位の4つのステップサイクルとは
●前線派遣後のアセット修理などリセット期間
  (resetting after a deployment)
●基礎訓練期間
  (basic training)
●応用訓練期間
  (advanced training)
●即応態勢期間
  (mission availability)

AFFORGEN2.JPGただ、特殊任務を持つ少数部隊や、米空軍として保有アセット数が少ない部隊はこのサイクルを守ることが難しく、既に当該部隊の兵士がSNS上で「リセット期間のはずなのに、大量の任務に忙殺されている」等の不満をぶちまける事態となっており、完全にこの方式を適用することは容易ではなさそうです

米空軍は同時に、本格紛争における被害状況下の運用を想定し、戦力を分散して運用するACE(agile combat employment)構想を推進し、その重要なピースとして少ない兵士で戦力運用を継続するための「兵士の多能力化:multi-capable airmen」に着手し、基礎訓練期間(basic training)や応用訓練期間(advanced training)の改革にも取り組んでいるところです
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AFFORGEN4.jpg2023年には、米空軍の「new force generation plan : AFFORGEN」に関連する、取り組みや問題点を指摘する報道が増えそうですのでご紹介しておきます。

それから・・・、2022年11月に、従来は戦闘機パイロットのみが就いていた「空軍司令部作戦部長」ポストに、特殊作戦ヘリMH-53Jと統合部隊も含め特殊作戦部隊一筋の中将が推挙されましたが、背景には「AFFORGEN」を軌道に乗せたいBrown空軍参謀総長の意向が働いたとも言われています

戦力管理ローテーションのための人事とのうわさ
「仰天人事:空軍作戦部長に特殊作戦一筋の男が」
https://holylandtokyo.com/2022/11/18/3965/

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嘉手納にドイツから米空軍F-16展開 [米空軍]

(追記)16日に8機、その後追加で4機到着の模様
撤退開始したF-15戦闘機の穴埋めに一時的な展開
昨年11月展開の8機のF-22と共にプレゼンス維持

F-16 Spangdahlem6.jpg1月16日、ドイツのSpangdahlem空軍基地に所在する米空軍第52戦闘航空団のF-16戦闘機が、嘉手納基地に展開しました。

2022年11月1日から、機体老朽化を理由に約2年間で段階的な米本土への撤収を開始している同基地F-15戦闘機部隊(48機)の一時的な穴埋め戦力で、F-15の後釜戦力が未定の中で、対中国最前線の沖縄での米空軍プレゼンスを維持するためのローテーション派遣と考えられます

F-16 Spangdahlem.jpgこの戦闘機展開に関する声明文で米空軍は、何機のF-16がドイツから展開したか、またいつまで展開するのか言及していませんが、「F-16戦闘機の展開は米空軍のアジアインド太平洋戦略に基づくものであり、同戦闘機の嘉手納での運用開始に伴い、その特徴を生かしつつ、嘉手納チームと一体となって同地域の平和と安定を脅かす攻撃的な行動を抑止し、いざとなればその脅威を打ち負かすであろう」と発表しています

昨年10月末に嘉手納F-15の撤退開始発表時、米空軍は「アジア太平洋正面での戦力向上は最優先課題であり、嘉手納航空アセットの高性能機種への転換は、日米同盟の強固な基盤の上で態勢を強化することへのコミットメントの事例である」と決意を表明していますが、米共和党などからF-15撤退決定に強い反発の声が上がり、有力上院議員等から国防省に対し、今後の対中国正面への戦力展開計画と中国の弾道ミサイル脅威を見据えた地域の対処計画を報告するよう厳しい追及が続いています

F-16 Spangdahlem4.JPG米空軍は嘉手納F-15の撤退開始発表後、11月4-5日にかけアラスカ配備のF-22を8機嘉手納に展開させ、中国正面へのコミットメントが揺ぎ無いことを示し、更に今回欧州ドイツからF-16を派遣して様々な懸念の声に対応しているところです。(現在もF-22が嘉手納に展開中なのかは不明)

本展開についてRAND研究所のDavid Ochmanek上席研究員は、Military.comの取材に応え、「ドイツ基地から嘉手納基地への戦闘機移動ではあるが、ロシアによるウクライナ侵略が継続する中で、欧州米空軍戦力を削減することを意味するものではないだろう。欧州には絶えず米空軍アセットが交代で派遣されている」とコメントしていますが、

F-16 Spangdahlem5.jpgさらに突っ込んで、「F-16やF-22展開は嘉手納にとって力の近代化であるが、どの機種の有人機が嘉手納に派遣されようが、中国の弾道ミサイル攻撃から在日米軍基地を守れるのかとの大問題が無視されてはならない」、

そして、「F-15でも16でも22でも、中国のミサイル攻撃に対しては極めて脆弱であり、何が派遣されようがあまり興味はない。嘉手納だけでなく、地域全体の米軍の体制を、この中国脅威を前にしてどうするのかを知りたい」と米空軍や米軍全体の姿勢を問いただしています
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これ以上何も申し上げることはありません。上記最後の一文がまんぐーすの一番の関心事項でもあり、自衛隊にも向けられた「古くて新しい大きな課題」です

嘉手納基地からのF-15撤退関連
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/
「嘉手納でelephant walk」→https://holylandtokyo.com/2022/11/25/3981/

CSISやCSBAの台湾への提言:非対称戦略へ
「CSISが台湾軍に非対称戦術を迫る」→https://holylandtokyo.com/2023/01/16/4160/
「CSBAは2014年に同要求」→https://holylandtokyo.com/2020/11/08/381/

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コロナ沈静化で米空軍の離職率増加 [米空軍]

コロナで退職&転職を控えていた人材流出再開か
米空軍報道官はもう少し推移を見守る必要ありと言及も

2022 Retension.jpg1月5日付米空軍協会web記事が、米空軍が公表した士官と下士官別の2017年から2022年にかけての年度別「継続勤務者率」と、米空軍報道官のコメントを取り上げ、コロナ感染による社会的混乱の鎮静化に伴い、米国社会全体での求人市場の採用競争が激化傾向にあり、2022年の「継続勤務者率」が過去6年間で最低(つまり離職者率が最高)になったと分析しています

データを公表した米空軍報道官は、「過去6年の継続勤務者率は、コロナの影響を幾らか受けているかもしれないが、全般に横ばいで推移している」、「コロナ感染の影響を見極めるのは時期尚早である」とコメントしていますが、以下のデータから見ると、コロナによる社会的混乱が沈静化しつつあった2022年は、2021年と比較して士官と下士官の両方で継続勤務率が1%以上低下(離職率が1%以上アップ)していることが読み取れます

A-Force retention2.jpgまた、それ以前と比較して、コロナウイルスが猛威を振るった2020年と21年は継続勤務率が上昇(離職率が低下)していることも、士官と下士官の両方で見て取ることが可能です

同記事は、米国労働市場全体の影響を受けやすい下士官のデータの変化に注目し、コロナ前2019年からコロナ感染開始の2020年の間に「1%以上」の変化があり、逆の変化が士官と下士官の両方で2021年から22年の間で見られると指摘しています

継続勤務者率(Retention Rate)の推移
Fiscal Year/ Officer/ Enlisted
2017/ 93.00%/ 90.00%
2018/ 93.20%/ 89.60%
2019/ 93.60%/ 90.00%
2020/ 93.70%/ 91.10%
2021/ 94.10%/ 90.50%
2022/ 93.10%/ 89.40%

A-Force retention3.jpg米空軍側の人事制度も求人市場動向に併せて対応し、2020年感染拡大時(求人容易な時期)には継続勤務者へのボーナス支給対象範囲を絞り込み、コロナ感染沈静化傾向開始(求人困難化時期)の2021年中旬には同ボーナス支給対象を拡大し、2022年には範囲を前年の2倍に拡大したようです

ただ、このように細かな人事施策と支出抑制努力にもかかわらず米空軍の充足率は低下しており、2022予算年度末(22年9月末)時点での米空軍正規兵数は328517名で、予算定員の329220名を僅かながら下回り、2023年度の予算定員はさらに厳しい採用&離職状況を予想して325344名にまで絞られているとのことです
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A-Force retention4.jpg米空軍は20年に及ぶ対テロの戦いでの兵士への海外派遣負担増を受け、更に民間企業の業績好調もあり、パイロットを始めとする人材流失に苦しんでいましたが、コロナ禍で一時期の「息抜き」を得たものの、再び人材確保難の時代を迎えることになりそうです

中国経済バブルの崩壊やウクライナ侵略に端を発する世界経済混乱の影響で、欧米の景気見通しは厳しく、民間の求人採用数の推移は予測が難しいところですが、動乱期を迎えつつあるように見える国際情勢の中で、米軍の継続勤務率(離職率)は米軍の士気を考える重要なバロメータになるような気がいたします

米空軍パイロット流出不足関連
「コロナ後の操縦者争奪戦に備え」→https://holylandtokyo.com/2021/10/17/2271/
「女性登用増に航空機設計基準変更」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-20
「ヘリ操縦者養成から固定翼削除試行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-06
「米空軍がパイロット募集の身長基準を廃止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-23
「Fly-only管理の募集中止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-15
「5年連続養成目標数を未達成」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-19
「採用の身長基準を緩和」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-18
「操縦者不足緩和?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-12
「操縦者養成3割増に向けて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-21-1
「下士官パイロットは考えず」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-3
「F-35操縦者養成部隊の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12-3
「下士官パイロット任務拡大?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-22
「仮想敵機部隊も民間委託へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1
「さらに深刻化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-10

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無人機MQ-9が前線再武装&給油基地から初の再発進 [米空軍]

1月4日まで更新は行いません。皆様、良いお年を!

根拠基地に戻ることなく前線展開拠点から再発進
衛星通信で遠隔「SATCOM Launch and Recovery」実施
HC-130J Combat King IIと地上でつないで給油

MQ-9 FARP.jpg12月21日付米空軍webサイトが、ACE構想の一環として12月10日に米中央軍エリアの非公開飛行場で、無人攻撃機MQ-9が根拠基地ではないFARP(前線再武装&燃料補給拠点:Forward Arming and Refueling Point)で、HC-130J Combat King IIから燃料補給を受け、米本土フロリダから衛星通信経由の遠隔操作離発着「SATCOM Launch and Recovery」を実戦エリア内で初めて行ったと公表しました

ACE構想(Agile Combat Employment)は、従来の設備十分な大規模基地からの航空戦力運用では敵攻撃に脆弱であることから、戦力を設備不十分な基地に分散して運用、又は戦力を機敏かつ柔軟に移動させて運用する構想で、対中国の本格紛争を念頭に米空軍全体で習熟に取り組んでいる構想です

MQ-9 FARP3.jpgACE構想推進の一環として考え出されたFARP(前線再武装&燃料補給拠点)は、航空機の再発進準備(弾薬と燃料補給)を支援する空軍兵士や地上支援設備が不十分な場所でも再発進を可能にした場所で、細部は不明ながら、12月10日は米中央軍配下の最低限人数の兵士がHC-130J Combat King IIとMQ-9をホースでつないでの燃料補給や地上支援を行って、再発進を成功させたとのことです

またMQ-9の離発着に関しても、現場の地上要員になるべく依存せず実施できるように新規開発&導入された衛星通信による「SATCOM Launch and Recovery」システムを活用し、これまで不可能だった「ground operations, taxi, takeoff and land」をフロリダ州Hurlburt Field基地から遠隔操作で初めて実施して、空輸支援や兵站支援負担を大幅に軽減したのことです。

MQ-9 FARP4.jpgご紹介している見難い写真からお分かりのように、米空軍は12月10日の夜に同初ミッションを行ったとしており、11日早朝にシリア東部で行われた対ISIS作戦との関係が噂されているようですが、米空軍も中央軍もノーコメントのようです。

このブログでご紹介するのが初めての2つの言葉、FARP(前線再武装&燃料補給拠点:Forward Arming and Refueling Point)と、「SATCOM Launch and Recovery」を、ACE構想や無人攻撃機MQ-9と合わせてご記憶ください。

MQ-9 FARP2.jpg米空軍MQ-9部隊は、鹿児島県の海上自衛隊の鹿屋基地に「Permanent Home」(日本政府発表は1年間の派遣)を今年10月23日に開設しました。

今回は米中央軍作戦エリアでの「FARP」や「SATCOM Launch and Recovery」ですが、対中国最前線の日本でも、この言葉が使われるようになるのでしょう・・・

MQ-9関連の記事
「海自鹿屋基地に米空軍MQ-9部隊設置」→https://holylandtokyo.com/2022/10/27/3811/
「2022年秋に日本に配備!?」→https://holylandtokyo.com/2022/08/08/3538/
「一般公道で離発着訓練」→https://holylandtokyo.com/2022/07/12/3426/
「4大シンクタンクがMQ-9の継続活用要望」→https://holylandtokyo.com/2021/11/29/2464/
「2回目の対中国応用演習」→https://holylandtokyo.com/2021/05/01/211/
「豪州へ12機輸出承認」→https://holylandtokyo.com/2021/04/29/119/
「本格紛争用に約1/4を改修&延命へ」→https://holylandtokyo.com/2021/04/28/118/

ACE関連記事
「生みの親が語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「米空軍がACEドクトリン発表」→https://holylandtokyo.com/2021/12/17/2532/
「欧州米空軍がACE構想の確認演習」→https://holylandtokyo.com/2021/10/27/2317/
「F-22が岩国展開訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-13
「F-15EにJDAM輸送任務を」→https://holylandtokyo.com/2021/03/09/156/
「GuamでF-35とF-16が不整地離着陸」→https://holylandtokyo.com/2021/01/29/310/
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
「中東派遣F-35部隊も」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「三沢で訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-21

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米空軍が極超音速兵器契約:サプライズな企業と [米空軍]

当初想定のBoeing, Lockheed, Raytheonではなく・・・
戦闘機搭載HAWC型で多様な弾頭やセンサー複数型開発へ
F-15EX胴体下部搭載を当面目標か

Mayhem hyper.jpg12月16日、米空軍は2028年10月までの70か月をかけて取り組む極超音速兵器開発の通称「Mayhem」プロジェクト(正式にはExpendable Hypersonic Air-Breathing Multi-Mission Demonstrator Program)を、新興企業Leidosと約450億円で結ぶことに決定したと発表しました

「Mayhem」プロジェクトは、先日3回連続発射試験成功をご紹介した爆撃機搭載の滑空型ARRW(AGM-183A Air-launched Rapid Response Weapon)とは異なり、戦闘機搭載でロケット加速&スクラムジェット推進方式のHAWC(Hypersonic Air-breathing Weapon Concept)をベースに開発し、ARRWよりは大型ながら戦闘機に搭載可能な規模をイメージし、「弾頭」だけでなく「ISR用センサー」も含む3個程度の複数ペイロードを同時搭載可能なものを目指すということです

Mayhem hyper2.jpg「Mayhem」プロジェクトの担当企業検討が始まった2020年8月時点では、極超音速兵器開発に対応できる企業はBoeing, Lockheed, Raytheonの3社だけだと米空軍は判断し、関連情報を3社のみに原則提供に必要な情報を提供する姿勢でしたが、今回選ばれた企業は大手3社とは異なる「Leidos」との企業が選ばれたことがサプライズだと話題になっているようです

「Leidos」社は、もともとIT、サイバー、デジタル設計技術関連の企業だったようですが、米陸軍の極超音速兵器(Long-Range Hypersonic Weapon programの滑空飛翔体)設計を担った「Dynetics」社を買収して「Mayhem」プロジェクトに名乗りを上げ、競合5提案から選ばれた企業です。(米空軍は3社だけでなく、希望する企業は手を上げろ・・との姿勢だったようです)

Mayhem hyper3.jpg米空軍による「Leidos」社決定を受け同社は声明を発表し、「Calspan、Draper、Kratos社とチームを組み、政府機関、産業界、学界とも協力関係を構築して、プロトタイプ作成のため最新の研究開発能力を提供する」と抱負を語っています

2028年10月15日までの70か月でプロトタイプを完成させる契約の模様ですが、まず「Mayhem」プロジェクト契約の第1段階で「system requirements review and conceptual design review」を約32億円で行い、米空軍は2022年度予算から約11億円を支出し、残りは23年度以降の予算で賄うとのことです
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Mayhem hyper4.jpg「Mayhem」プロジェクトの担当企業決定&契約で、2022年12月の試験で3回連続発射試験に成功した爆撃機搭載の滑空型ARRW(Air-launched Rapid Response Weapon:AGM-183A)の開発がどうなるのか、まんぐーすは全く分かっていません。

「Mayhem」プロジェクトの担当企業検討が始まった2020年8月に、当時のWill Roper担当次官補が、「ARRWの方が有望だと考えていたが、HACWに必要なスクラムジェット技術が十分に成熟していることを最近理解した。嬉しい誤解だった」と述べており、戦闘機搭載型のHACW開発が先行しているのかもしれませんが・・・

Mayhem hyper5.jpg同兵器を搭載する戦闘機クラスの具体的機体について公式なコメント等は出ていませんが、米空軍とボーイング社が、F-15EXの胴体下に7000ポンド程度の兵器を搭載する可能性について議論しているとの報道が2020年にはあったようです

米空軍と国防省の同兵器開発の対立
「3回連続ARRW成功」→https://holylandtokyo.com/2022/12/16/4061/
「空軍:高価な同兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「国防省が空軍に改善提言」→https://holylandtokyo.com/2022/02/10/2670/
「国防次官:同兵器は最優先事項だ」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/

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B-21導入による米空軍爆撃機部隊の今後 [米空軍]

末尾の過去記事でご紹介済も
B-21初披露を機に概要を改めて・・・

b-1b.jpg12月5日付Defense-Newsが、B-21初披露を受け、現在3機種(B-1、B-2、B-52)ある米空軍爆撃機の今後の体制変換について、空軍関係者の説明も含めて紹介していますので、過去にもご紹介した内容ですが、再確認のため取り上げます

結論から申し上げると、
●現在の3機種(B-1、B-2、B-52)から、既に平均の機体年齢が60歳以上で最高齢のB-52のみを残し、B-1とB-2は2031年から32年頃に退役させる。2030年代初頭にはB-21(100機以上)とB-52で米空軍爆撃機部隊を編成する
B-52.jpg●残るB-52(現在76機保有)には、燃費や出力を大幅に向上させるエンジン換装(F130 エンジン導入:Rolls-Royce製:2028年に換装初号機導入)を機体の定期整備に併せて順次行い、2050年代まで使用する方向

●B-1は本来、低空を高速で飛行する運用思想であったが、中東で可変翼を広げて低速で飛行し空中待機する等の任務飛行が重なり、機体に想定以上の負荷がかかって多くのトラブルが発生しており、一時は稼働機数が一けたにまで低下。維持整備コスト等を考慮し、2021年に17機が早期退役し、残る45機も順次退役する
B-2 below.jpg●B-2は高価すぎるため20機程度しか製造できず、軍需産業界のサプライチェーンが元々細く、既に部品の確保が困難で共食い状態に入っており、これも長期の維持は難しく2030年代初頭までに退役する方針

●ただし、B-1やB-2早期退役には米議会に根強い反対論もあり、今後のB-1追加削減は少なくとも2023年9月まで遅らせよとの法案が可決されている。また例えば台湾情勢の緊迫度が高まったり、B-21試験中にトラブルが発生すれば、B-1やB-2早期退役計画が先送りされ、米空軍はその維持費捻出に苦労する可能性がある

B-21爆撃機部隊編成の今後
B-21 B-2 2.jpg●最初のB-21部隊は、South Dakota州(米国の中北部)の現在B-1部隊が所在するEllsworth Air Force Baseに編制される予定で、2020年代半ばに運用開始を見込んでいる。その後ミズーリ州(中中部 B-2所在)Whiteman Air Force Base と、テキサス州Dyess Air Force Base (B-1配備)にも部隊が編成される予定

●最初に配備されるEllsworth 空軍基地には、2022年度予算で施設整備費が計上され、機体のステルス塗装維持に必要な特殊格納庫の建設が2022年から始まってる
●操縦者や整備員の養成はB-21初飛行以降に本格化し、飛行試験を通じて要員養成を進める計画で、B-21配備基地周辺自治体との調整も本格化する
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B-52 2.jpgB-52は機体構造部材の改修が実施済で、翼パイロンに搭載可能な兵器搭載重量を5000ポンドから2万ポンドに増量改修する話も進み、長射程の精密誘導兵器や巨大兵器の搭載に向いたシンプルな機体として重宝しているようです

何と言ってもB-21が無事に試験飛行をクリアし、予定通りに運用態勢を確立することが大前提ですが、対中国の極めて重要なアセットですので、期待して再度ご紹介しておきます

米空軍爆撃機の体制変換
「爆撃機管理は今後5-7年が多難」→https://holylandtokyo.com/2021/08/06/2024/
「B-52から重力投下核任務除外」→https://holylandtokyo.com/2020/01/29/877/
「B-1早期引退でB-21推進?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-19
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春時点の爆撃機構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2

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タグ:B-21 B-1 B-2 B-52 F130
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デジタル設計の旗手T-7練習機開発が1年遅れへ [米空軍]

部隊提供は2023年予定から2024年夏に延期か
飛行制御ソフトと射出座席等の問題が障害に
事故多発の60年経過T-38練習機の後継遅れが・・・

T-7A 4.jpg12月12日米空軍報道官は、デジタル設計技術を駆使した迅速な開発&部隊配備をアピールし、2023年中に量産型の提供を開始するとしていたT-7A練習機について、飛行制御ソフト開発や射出座席開発のトラブルにより、量産型提供開始が1年程度遅れて2024年夏頃になる見積もりだと明らかにしました

2018年に5つの提案から「ボーイングとSaab」チーム提案が選定された次期練習機T-7Aは、使用開始から60年以上が経過して最近事故が多発している約400機のT-38練習機後継として早期配備を求められ、既存成熟技術を総動員した迅速開発の期待に相当程度答えてきましたが、完全に計画通りにはいかないようです

T-7A 5.JPG遅れの主原因とされた2つの問題の内、「飛行制御ソフト問題」はこれまでの原因究明とソフト改修で対処を終え、2023年第一四半期から飛行試験を再開する予定で、2021年末の試験で発覚したもう一つの「射出座席問題」も、一応の改善対策を行って2023年第一四半期から試験を再開するとのことです

T-7A練習機の射出座席は、従来の米空軍機の射出座席が60-70年代のパイロットの平均体格(結果として男性の体格)データから設計されていたところ、パイロット不足もあり、女性も含む空軍入隊資格基準を満たす者が搭乗できるように大幅な設計見直しを行っていた装備で、米会計検査院GAO等から「リスクの高い困難な開発」と以前から指摘されていた案件です

T-7A.jpg米空軍としては、1年程度の遅れであれば、これまで順調だったこともあり「誤差の範囲」としたいところでしょうが、機体平均年齢60歳以上のT-38練習機に最近4年間だけでも10件の重大事故が発生し、今年11月には胴体着陸と離陸直後の制御不能事案が2件連続する状況に余裕がないのが現状です。また稼働時間より整備修理時間が長い、維持整備面での部隊負担が重い点も重くのしかかっているようです。

T-7A 7.jpgデジタル設計技術は、実機による飛行試験や各種確認&開発期間の短縮とコスト削減、また開発段階における設計審査等のペーパーワークの削減面で大いに期待されており、T-7Aの遅れを持って「傷がつく」とは思いたくありませんし、B-21新型爆撃機もデジタル設計を大いに活用していることから、デジタル設計の発展応用には今後も楽しみに注目していきたいと思います(詳しいことを全く理解していませんが・・・)

まぁ・・・B-787や大統領専用機やKC-46Aで散々な目にあい、加えてコロナウイルスで瀕死の状態にあるボーイング社にこれ以上の負担は酷な気がすることもあり、T-7A練習機のトラブル早期解決と武運長久を祈念申し上げます

T-7A練習機(T-X計画)関連の記事
「デジタル設計技術で審査短縮や新規参入促進」→https://holylandtokyo.com/2022/08/23/3550/
「T-7に中東諸国も関心」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-20
「ボーイング提案をT-Xに採用」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-28

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米空軍が3回連続ARRW極超音速兵器試験に成功 [米空軍]

初期の連続失敗を克服し、実用兵器のプロトタイプで初成功
米国防省は最優先指定も、空軍は生暖かく取り組み中

ARRW.jpg12月9日、米空軍が取り組む2種類の極超音速兵器(爆撃機発射型ARRWと戦闘機発射型HACM)の一つであるARRWが、実戦配備を意識したプロトタイプの発射試験に加州沖合で初成功しました。これで今年5月と7月に続く、3回連続の発射試験成功となり、2021年の3回連続失敗の汚名を返上しつつあります

ロッキード社とのプロトタイプ開発契約で進むARRW(Air-Launched Rapid Response Weapon)は、爆撃機B-52に搭載して発射され、ロケットブースターで加速して音速の5倍以上に達した後、エンジンの無い弾頭のみが分離され滑空して目標に向かう極超音速兵器で、比較的射程が短いことから、固定の高価値目標を比較的近距離から攻撃することを想定した兵器と言われています

AGM-183A.jpgもう一方のHACM(Hypersonic Attack Cruise Missile)は、弾頭と極超音速飛行用スクラムジェットが一体化しており、戦闘機に搭載され発射する方式で、爆撃機を他の戦略目標に対して指向させ、戦闘機で一刻を争う高価値の標的を狙うオプションを提供して戦術的柔軟性を作戦司令官に提供することを狙いとしており、2021年9月に3度目の正直で基礎試験に成功し、2022年11月末にレイセオン社とプロトタイプ開発契約を約180億円で締結しています

ARRWは、2021年に4月7月12月に3回連続して発射母機であるB-52から分離しなかったりエンジン点火に失敗していましたが、今年5月からは3回連続で成功し、12月5日の週にはルイジアナ州Barksdale空軍基地で、ARRWをB-52爆撃機に搭載する手順を固める地上確認も行われ、装備化の可否を判断する確認を確実に進めているところです

Kendall air 2.JPGただKendall空軍長官は、航空機から発射する極超音速兵器には慎重姿勢を見せており、完成してもその高価格や役割から保有兵器数は「small」になると2022年2月末に発言し、その理由として・・・

●米国を遠ざけたい中国と、中国抑止用に同兵器を考えている米国とでは、同兵器の位置づけは異なり、中国と同様に米国が追求する必要は必ずしもない。
AGM-183A4.jpg●空軍の空中発射型は航空機で発射地点まで運搬する必要があり、前方基地や前方配備艦艇から発射可能な他軍種の同兵器より不利な位置にある

●極超音速兵器は有効だが、米空軍が攻撃すべき目標を攻撃する唯一の手段ではない。高価で費用対効果や他の要素からも、慎重に投資を検討する必要あり。低速度の巡航ミサイルは安価で、ステルス性や敵防空網への妨害と組み合わせれば有効で、総合的に将来の兵器体系を考える必要がある
AGM-183A7.jpg●少なくとも初期型の同兵器は固定目標対処用になるが、米国は多数の移動目標に対処する必要があり、同兵器の必要程度を点も注意を要する

・・・等と訴えており、極超音速兵器を最優先事項だとする国防省との温度差が厳然と存在しています
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「●」でご紹介したKendall空軍長官の主著には一理あり、今後の米陸海軍の極超音速兵器開発も含めて眺めていきたいと思います。

米軍の極超音速兵器開発
「空軍長官:高価な同兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「国防省が空軍に改善提言」→https://holylandtokyo.com/2022/02/10/2670/
「国防次官:同兵器は最優先事項だ」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「米海軍潜水艦への極超音速兵器は2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19
「米陸軍の極超音速兵器部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-14
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-28
「最近の状況整理&米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「豪州とも協力」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-01
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-28
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

極超音速兵器からの防御検討
「迎撃技術開発に2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/ 

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米空軍「family of systems」の自立無人機CCAを提言 [米空軍]

ミッチェル研究所が空軍、産業界等から意見を聴取して
謎の「family of systems」をB-21絡みで検討提言
第1弾「突破型攻撃3パターン」に必要な自立無人機提言

ACP Mitchell 2.jpg米空軍協会ミッテル研究所が、将来の本格紛争で必要不可欠な要素として米空軍が細部非公開のまま検討中としている自律型無人機(ACP:autonomous collaborative platforms)について、台湾有事など対中国を念頭に必要な同無人機のタイプや必要数を検討分析するレポートをまとめて段階的に発表する模様で、第1弾が「突破型攻撃:Penetrating Strike」をテーマに12月14日にプレゼンが行われる予定です

ACP Mitchell 3.jpgこのレポート作成に当たり同研究所は、夏に米空軍幹部や作戦運用関係者や軍需産業界関係者など40名以上を集めた3日間の集中検討会を行い、その結果を研究所のMark Gunzinger退役大佐らがまとめたとのことですが、米空軍が非公開で進める有人戦闘機や爆撃機と一体となって作戦遂行する「family of systems」の一部をなす無人機について、空軍応援団体とは言え民間研究機関と空軍関係者が共に缶詰検討会「unclassified workshop」を行ってまとめる構図やレポートの位置づけが意味深なところです(世論や専門家の反応を見る「のろし」かな?)

有人戦闘機や爆撃機と一体となって作戦遂行する「family of systems」には有人支援機も含まれるでしょうが、有人戦闘機とチームを組む無人機ウイングマンのイメージでご紹介してきたXQ-58等のCCA(collaborative combat aircraft)などを含む、より広い概念の自立型無人機ACPにはどんなタイプが何機必要かを考えるのがレポートのテーマです

ACP Mitchell _Lee_Caitlin-.jpg今回は検討レポート発表の第1弾として、B-21新型爆撃機による「突破型攻撃:Penetrating Strike」を支える「family of systems」に含まれるべき自立型無人機ACPのタイプや必要機数を、3つの目標攻撃ケース「air base」「maritime threat」「transporter erector launcher:移動式弾道ミサイルなど発射機」に分けて検討したとのことです

検討の前提として、無人機ACPの能力や必要機数について制限は設けなかったとのことですが、40名の専門家議論の結果として、「極端に高性能な無人戦闘機や無人爆撃機」を求める声は上がらなかったと8日付米空軍協会web記事は伝えており、

ACP Mitchell MG-.jpg3つの攻撃目標ケースに応じ多少意見は異なるものの、大きく3つのタイプ、攻撃パッケージを防御する「Defensive counterair ACP」、移動する敵アセットを追尾する「ISR ACP」、敵防空システムを無効化する「SEAD、Jamming、 offensive counterair ACP」が必要とされ、攻撃目標に応じた必要機数を算出しています


上記web記事によれば結論の機数は以下の通り

Air base attack
• ACP 1: Escort, 8
• ACP 2: SEAD, 16 initially, increased to 32
• ACP 3: Jamming, 8

Maritime threat
• ACP 1: Defensive counterair, 40
• ACP 2: ISR, communications relay, 10
• ACP 3: Strike, 20

Transporter erector launcher
• ACP 1: Escort, suppression of enemy air defenses, 10
• ACP 2: ISR, Suppression of enemy air defenses (SEAD), offensive counterair, 144 (24 per bomber)
• ACP 3: ISR, SEAD, offensive counterair, 120 (20 per bomber)

更に第1弾レポートは以下を主張の模様
ACP Mitchell 5.jpg●提案された自立型無人機ACPは、大部分が航続距離が数千マイルで、爆撃機等から発進するタイプ
●自立型無人機ACPの数を確保する必要から、個々のACPの性能についてはそれほど高いものは求めない

●特に「敵の航空基地攻撃」の場合、敵の防空能力が高いことから、最新の爆撃機でも目標近傍まで接近して精密誘導兵器を発射する必要があり、ACPを多数投入しても爆撃機のリスクをあまり下げられない
●在空型で目標に突入攻撃を行う「loitering munitions」タイプのACPの重要性もレポートは訴え
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第一弾レポート発表会(12月14日)案内ページ
https://mitchellaerospacepower.org/event/research-paper-release-the-next-frontier-uavs-for-great-power-conflict-part-i-penetrating-strike/

ACP Mitchell 4.jpg米空軍の非公開検討との関係がどうしても気になりますが、12月14日の第1弾発表会には、米空軍戦闘コマンドACCの計画部長や米空軍開発担当コマンドの戦闘機等担当准将が参加するそうです。

ミッチェル研究所によるレポートが、第1弾の「突破型攻撃:Penetrating Strike」以降、どのようなテーマを掲げて発表されていくのか未公開のようで気になりますが、まずは14日の第1弾注目です

米空軍の無人機検討格上げへ
「無人機自立化と群れ技術を作戦機で装備化へ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/

無人機僚機Skyborg計画関連
「2機種目MQ-20 Avengerで成功」→https://holylandtokyo.com/2021/07/08/1983/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「豪州もXQ-58に参画」→https://holylandtokyo.com/2020/05/06/664/
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27

無人機の群れGolden Horde計画関連
「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holylandtokyo.com/2020/10/12/430/
「SkyborgとGolden Horde計画を優先に」→https://holylandtokyo.com/2019/12/06/2838/

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B-21爆撃機を米軍事メディアはどう報じたか [米空軍]

唯一突っ込んだ観察記事を書いた某編集長の記事より
この道30年John A. Tirpak氏の見方

B-21 Calf.jpg12月2日の夕刻に初披露されたB-21爆撃機に関し、あまりに新たな情報の公開が無かったので、米軍事メディアもこれまでの情報をまとめて改めて紹介する程度の記事しか出ていませんが、まんぐーすの知る限りで、唯一少しは突っ込んだ観察記事を書いているのが米空軍協会機関誌「Air & Space Force Magazine」編集長のJohn A. Tirpak氏ですので、「つまみ食い」紹介いたします

12月2日付で初披露会場周辺等で聞き取りした内容を、そして5日付で正面からのみ遠目で観察した結果から「B-2爆撃機との8つの違い」との記事を米空軍協会webサイトに発表していますので、取り上げます

12月2日付記事によれば 
B-21 Cerem4.jpg●オースチン国防長官はスピーチで、「B-21は他の爆撃機より長い航続距離を誇り、作戦遂行地域に拠点を構えて整備支援を受ける必要がなく、(世界中の)どの目標にも対応可能である。最先端の防空システムであってもB-21を探知することに苦労するだろう」

●Andrew Hunter空軍調達担当次官補は、「デジタル設計技術を駆使して、デジタル空間内で既に完成度を高めており、試験用の6機を製造中だが、6機すべてが量産用機体とほぼ同じと考えており、テスト後6機すべてが作戦投入用に部隊配備される」
●国防省高官「『中国の軍事力レポート2022版』発表とB-21の初披露がほぼ同時期に行われたのは、偶然ではないと考えられるだろう」

B-21 Cerem5.jpg●NG社幹部は会場で、「B-2よりステルス性に優れ、ステルス塗装の維持整備性や信頼性でもB-2より優れており、毎日でも完全ステルスモードで飛行できるだろう」、「B-2で機体の継ぎ目等を隠すために使用していた特別なテープが、B-21では不要になった」
●Brown空軍参謀総長は式典前に記者団に、「B-21はhigh cycle aircraftであり、at great frequencyで任務飛行可能だ」

12月5日付記事「B-2爆撃機との8つの違い」によれば

1 Intake(空気取り入れ口)
B-21 B-2 2.jpg●B-2に比較し、エンジンへの空気取り入れ口が細く、機体からの盛り上がりも小さい。十分な空気取り込みが可能か素人は懸念するが、大気の流れを乱さない小さな取り込み口は、大気の流れを乱さず十分な空気取り込みを可能にする
●2018年にRob Wittman下院議員が、B-21は空気取り入れ口からエンジンまでの空気の流れで課題に直面しており、エンジン製造のP&W社とステルス形状確保を優先する設計側で議論が行われていると、極秘の情報に言及して物議を醸した
2 機体の大きさ
●B-21の機体サイズが非公開で、初披露時も正面からしか確認できなかったので正確なB-2との比較は難しいが、B-21がB-2より小さい。翼部分の長さがB-2の150フィートに対し、22フィートは短い

3 機体の厚み
B-21 Cerem.jpg●B-21はB-2より機体の厚さがあり、より大きな兵器搭載庫や燃料タンクが搭載できると推測できる
●期待を支える足が長く、B-2より機体の高さが高い。ちなみに車輪のタイヤは、B-2が4個だったが、B-21は2個である
4 機体表面の滑らかさ
●B-2はステルス性を上げるため、機体表面の滑らかさ確保に苦労して継ぎ目にテープ等を貼る等の対策を行っていたが、B-21表面はキャノピー部分も含め、テープなど使用することなく極めて滑らかに仕上がっている

5 操縦席の窓
●B-21操縦席の窓は、特殊な形状の2枚の台形型と横長の2枚の窓からできており、機体との段差が全く確認できないような一体化が図られている
6 着陸用足を格納するドア
●B-2のようなギザギザ形状のドアではなく、B-21はシンプルな形状のドアとなっている

7 機体先端のくちばし
B-21 B-2.jpg●B-2には機体の先端にくちばしのように見える形状が見られたが、B-21でも同様な形状が確認でき、B-2より長く平らな印象を受けた
8 機体の色
●B-2爆撃機は夜間作戦を想定して「FS 36118 Gunship Gray」色を機体に採用していたが、B-21はそれよりも少し明るい色で、恐らく「FS36375 Light Compass Ghost Gray」色を採用し、昼間の可視光や赤外線放射の低下を狙っているように見える

B-21 N.jpg機体の後方が確認できず、「エンジンを何機搭載しているか?」さえ明らかになっていないが、開発関係者によれば、出来る限り長く隠せるものは隠す方針の様である。

ただし、屋外でのエンジンテストや地上滑走、更に初飛行を行えば高性能レンズで待ち構えるメディアやマニアにより、様々な角度から機体が撮影されることは時間も問題であり、様々な更なる分析が行われるであろう
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クリスマス前の「記事枯れ」の時期で、しつこくB-21爆撃機をご紹介しています。

B-21に関する過去記事も含め、ご覧ください

最近のB-21関連記事
「映像で紹介:B-21初披露式典」→https://holylandtokyo.com/2022/12/05/4015/
「B-21を10の視点でご紹介:NG社事前リリースより」→https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/
「12月2日に初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/10/24/3796/
「初披露は12月第1週に」→https://holylandtokyo.com/2022/09/22/3695/
「初飛行は2023年にずれ込み」→https://holylandtokyo.com/2022/05/23/3269/
「製造企業CEOが80億円ゲットと」→https://holylandtokyo.com/2022/05/16/3202/

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KC-46A空中給油機が36時間連続飛行 [米空軍]

米本土北部大西洋岸からグアム往復
搭乗3クルーが16回交代で2回空中給油受け
有事生じる膨大な空中給油要求に応えるための模索
RVSやBoom問題は2025-26年まで解決しないが・・・

KC-46 36hours.JPG11月18日、米空軍輸送コマンドは米北東部大西洋沿岸の基地を離陸したKC-46A空中給油機が、11月16~17日にかけ米本土を横断してハワイやグアム上空まで飛行し、途中でF-22に空中給油するなど36時間・16000NM以上の連続飛行で離陸基地に戻ることに成功したと発表しました。

米空軍輸送コマンド(AMC)はMike Minihan大将が2021年10月に司令官に就任以来、今年5月には同機で24時間連続飛行を行い、9月には「第1級不具合」であるRVSと給油ブーム問題を抱えつつも世界中での作戦投入にゴーサインを出し、更に10月25日にはパイロット1名によるKC-46運用試験飛行を行い、様々な意見がある中で膨大な対中国での空中給油要求に応えるための限界を探る挑戦を続けています

KC-46 cockpit.jpg何度もしつこくご紹介しているように、KC-46空中給油機は国防省や米軍にとって理想的な「固定価格契約」(契約時の設定価格を上回って生じたコストは企業負担になる)でスタートしましたが、エアバス社のA330原型給油機との泥沼の機種選定3回を繰り返す中でボーイングが無理な企業提案を行い、結果として3年遅れの2020年に機体提供開始後も、上記問題以外も含めた多数のトラブルに見舞われて、改善措置完了が2026年にまでずれ込む問題プロジェクトになっています

ボーイング社のKC-46関連「自腹超過負担額」も7000億円を上回る規模に膨れ上がっており、民間機部門期待のB-787墜落事故やコロナ航空不況、加えて大統領専用機の「背伸びしすぎ受注」もあり、大変厳しい企業運営を迫られており、11月中旬に同社軍事部門の大規模組織再編を打ち出しているところです

KC-46 RVS.jpg米空軍にとっても、米本土から遠く離れた西太平洋地域での対中国作戦を見据え、KC-135やKC-10給油機の老朽化で維持費が高騰する中、KC-46の早期運用態勢確立は作戦運用上の最優先課題の一つでしたが、当初2018年には運用開始予定が2022年9月まで4年以上遅れ、その上「第1級不具合」を抱えたままの「見切り発車」状態を受け入れた形となっています。

しかしそんな中でもMike Minihan司令官は、「不具合による運用制限の中でも、乗員や整備員に必要な訓練や各種手順の改善徹底を図ることで、リスクを抑えて実戦運用に提供可能だ。我々には今必要でなんだ。今の戦いに敗北すれば将来は無い」と悲壮な決意を隠すことなく堂々と語り、今年9月に作戦投入宣言を行ったところです

Minihan.jpg同時に前職が太平洋軍副司令官で対中国作戦の難しさを知り尽くしたMinihan司令官は、KC-46の最大能力発揮のため、様々な事前訓練やメディカル面での検証や配慮を行いつつ、連続飛行時間延伸の試みや「操縦者1名・給油操作員1名」での運用などに挑戦を続け、最前線の要求に対応しようと模索を続けています

今回の36時間連続飛行の概要は
Minihan2.jpg●ニューハンプシャー州Pease州空軍基地を離陸し、米本土を横断してハワイ沖でF-22への空中給油を行い、日付変更線を超えグアム島近海に進出した後に引き返してPease基地に帰還
●3組の乗員(パイロット、給油操作員、机上整備員)が搭乗し、36時間の中で16回交代しつつ連続飛行を継続

●36時間の中で、別のハワイを離陸したKC-46給油機から2回の空中給油を受けて連続飛行を継続
●機体には航空医官(flight surgeon)が同乗し、飛行中の操縦者等の身体データをNASAも採用しているアプリを用いて継続測定し、身体反応速度や疲労度などの結果分析から、現在の連続飛行制限などの見直しや必要な対策検討に利用する
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Minihan5.JPGC-130輸送機やKC-10空中給油機パイロットである米空軍輸送コマンド(AMC)Mike Minihan司令官には、今後も注目していきたいと思います。

特に、同司令官は輸送機や給油機だけでなく、他の作戦機にも搭乗員を減らしてローテーション交代での連続運用検討を提案しており、これが米空軍の保守本流である戦闘機族や爆撃機族にどのように対応するのかに興味津々です

Minihan6.jpgなおMinihan司令官は、部隊指揮官ポストについている間は、過去の部隊として又は部隊指揮官として授与された勲章しか制服に着用しない(規則上問題なし)との信念の持ち主として、米空軍内や軍事メディアでも良く知られた人物だそうです

Mike Minihan大将関連の記事
「KC-46を操縦者1人で試行運用」→https://holylandtokyo.com/2022/11/02/3881/
「不具合抱えたままKC-46運用開始宣言」→ https://holylandtokyo.com/2022/09/21/3688/

その他KC-46などの関連記事
「空軍長官:KC-46の固定価格契約は誤り」→https://holylandtokyo.com/2022/06/06/3323/
「KC-XYZの再検討再整理表明」→https://holylandtokyo.com/2022/04/18/3151/
「RVS改修案に合意」→https://holylandtokyo.com/2022/04/27/3181/
「恒久対策は今も未定」→https://holylandtokyo.com/2022/01/13/2605/
「50機目受領も恒久対策未定」→https://holylandtokyo.com/2021/11/22/2424/

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嘉手納F-15の撤退開始:8機?旅立つ [米空軍]

11月1日のF-15撤退開始発表から初の具体的動き
今後2年間かけての撤退第1陣

F-15C farewell 3.jpg12月1日米空軍嘉手納基地が、2024年末までに沖縄から撤退すると発表していた48機のF-15C型戦闘機について、第一陣が同基地から飛び立ち、オレゴン州Kingsley Field州空軍基地に向かったと発表しました。

第一陣の機数は明らかにしていませんが、公開された写真には8機が整列して離陸を待つ様子が写っており、太平洋を渡る長距離移動の機数単位としては妥当な機数だと考えられるので、「8機」が嘉手納から撤収したと考えてよいかと思います

F-15C farewell.JPG1979年秋から嘉手納基地に配備されてきたF-15C/D型戦闘機ですが、10月末に嘉手納F-15の老朽化を理由とした撤退が突然発表され、11月5日までに「当面の穴埋め」としてアラスカから8機のF-22が一時的なローテーション派遣で嘉手納に到着しているところです。

米空軍は、当面は戦闘機のローテーション派遣で穴埋めを行い、恒久的な対応については今後決めると言い続けており、報道ではドイツ配備の米空軍F-16部隊の移転や、将来的には最新第4世代機F-15EXの配備が検討されていると言われていますが、極めて政治的な配慮から来るリップサービスに聞こえてしまうのはまんぐーすだけではないと思います。

F-15C farewell 2.jpg嘉手納基地からの米空軍F-15撤退に関連して何度も繰り返し申し上げているように、軍事的合理性から考えれば、また米軍全体で対中国に戦力分散運用で対処しようと取り組んでいることからも明白なように、台湾近傍の米空軍大規模拠点である嘉手納基地が有事に無傷であるはずがないことから、嘉手納基地を根拠基地にして有事に航空戦力を運用することを米軍は全く考えていないと思います

日米同盟や台湾防衛へのコミットメント維持を示す政治的メッセージのため、嘉手納基地に戦闘機や作戦機ローテーション配備や平時のみ配備はあり得るとしても、有事が迫った段階で沖縄から撤退して分散避難することは軍事的には全く正しい判断だと思います

F-15C Kadena.JPGでも、こんなに自明な実態を知ってか知らずか、保守的な日本の論客までもが「F-15よりF-22の方が5世代機で優れている」的な能天気「天然ボケ」コメントをしている日本の現実に寂しいものを感じところです

更に言えば航空自衛隊が、台湾有事に那覇基地配備戦力をどのように運用しようと考えているのかも気になります。あわせて、北日本の三沢基地から配備開始したF-35を、今後どの基地に配備していくのかが気になることろです

嘉手納基地からのF-15撤退関連
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/
「嘉手納でelephant walk」→https://holylandtokyo.com/2022/11/25/3981/

太平洋軍を巡る関係者の発言
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「対中国で米軍配置再検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1
「CSBAの海洋プレッシャー戦略」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13

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映像でB-21爆撃機お披露目式典をご紹介 [米空軍]

オースチン国防長官もスピーチの重視ぶり
しかし、ほんの少しの正面だけ「ちら見せ披露」
実質35分間のお披露目の流れ概要

B-21 Cerem.jpg米国西海岸時間12月2日16時(日本時間3日10時)から、B-2披露以来の米軍34年ぶりの大型爆撃機「初披露式:Unveiling Ceremony」が行われ、YouTubeライブ配信が行われましたので、同映像と共に式典の概要をご紹介しておきます

正直申しまして、「・・・えっ、これだけ・・・」との「正面からのみ、距離を取った上で、ちら見せ」のお披露目で、Northrop Grumman社CEOの冒頭あいさつも、サプライズ登場オースチン国防長官によるスピーチも、11月29日にNG社から事前発表されていた、「B-21を10の視点で紹介」声明の内容をアピールするもので、新たな発表はありませんでした。

B-21の特徴を紹介する11月29日のNG社発表
「B-21を10の視点でご紹介:NG社事前リリースより」
https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/

B-21 Cerem3.jpgまぁ、それでも「34年ぶり」の式典でもあり、実質35分間の式典の流れをご紹介しておきます。あくまで「式典の流れ」のご紹介で、あいさつやスピーチの中身は11月29日リリースそのものですので、上記の過去記事をご覧ください。

またYouTube動画の収録のスピーチ等も、ゆっくりとした分かり易い英語ですので、関連過去記事の内容を頭においていただいて視聴いただけると、頭に入ってくると思います。
数か月後には「初飛行」とのことですので、より細部については、それまで待つことといたしましょう

60分だが実質35分:3名のスピーチが柱のB-21お披露目式動画


動画の内容
24分45秒~26分40秒
・ 米国歌の独唱(少しくせ強め)
・ B-52、B-1、B-2爆撃機の会場上空飛行


B-21 Cerem5.jpg28分30秒から
・ NG社女性CEOのB-21アピール挨拶
34分から37分20秒
・ 扉が開きベール被ったB-21が現れ、ベールが取り除かれ、牽引車で少し前に前進し披露



B-21 Cerem4.jpg37分40秒~
・ Grady統合参謀本部副議長(海軍大将)挨拶と国防長官紹介
42分00秒
・ オースチン国防長官スピーチ「単なる新装備の披露ではない」



B-21 Cerem6.jpg54分00秒
・ 再びNG社CEOにより開発製造関係者の紹介
55分40秒 B-21爆撃機が後方に下がり、扉が閉じお披露目終了



「B-21を10の視点でご紹介:NG社事前リリースより」
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B-21を製造企業発表の10個の視点からご紹介 [米空軍]

「Roll Out」式典を前にNorthrop Grumman社が事前発表
12月2日のB-21初披露前に頭の整理を

B-21 N.jpg11月29日、B-21爆撃機が初披露される12月2日を前に、Northrop Grumman社(以下NG社)がB-21爆撃機に関する事前情報を「10個の視点」で公表していますので、同日付米空軍協会web解説記事も交えてご紹介いたします。

もちろん、過去7年間の開発製造段階で「秘密のベール」に包まれてきたB-21に関し、驚くような新事実が明らかになったわけではありませんが、B-2爆撃機が初披露されて以来34年ぶりの米軍大型爆撃機のお披露目ですので、その特徴を頭に入れるべく取り上げます

1. Sixth Generation
B-21 B-2.jpg・「第6世代」との言葉の定義は明確ではないが、NG社は、過去30年間の攻撃機やステルス機技術を投入し、最新ネットワーク技術やオープンアーキテクチャーも導入して、ハイエンド脅威環境で米空軍の任務達成のための緊要な役割を果たすと説明
・ 同時に、あくまでB-21は「family of systems」の一部をなす戦力であり、非公開の他のアセット(有人機や無人機や地上設備や衛星などなど)との連携で任務を果たすとも説明
・ 最近になってKendall空軍長官は、B-21に随伴する自立型無人機の開発を止めたと発言しているが、B-21からのデコイや電子妨害兵器やISR無人機の射出は否定していない

2. Stealth
・ NG社の30年に渡るステルス技術開発(材料および製造技術)の蓄積には、B-2 爆撃機、YF-23 戦闘機プロトタイプ(F-22開発の敗者)、Tacit Blue stealth demonstrator、AGM-137 Tri-Service Standoff Missileの他、非公開の複数の開発案件の経験が含まれている  
3. Backbone of the Fleet
・ 新世代の柔軟なデータ融合、センサー技術、兵器搭載能力(核兵器を含む多様なスタンドオフ兵器とスタンドイン兵器の搭載能力)で、最も効率的な航空アセットの一つになる

4. A Digital Bomber
B-21 bomber.jpg・ 最新のデジタル設計・製造技術を投入し、最新のソフトや先進的な製造技術を最大限に活用することにより、開発設計製造段階での(遅延や費用膨張などの)リスクを局限し、今後の維持整備上の課題にも柔軟に効率的に対応可能
・ また、事前のデジタル試験を経て、初号機が量産型とほぼ同じまで成熟しており、開発から製造までの時間を大幅に短縮
5. Cloud Technology
・ 新たに地上のクラウド空間内に「Digital Twin:実在機体の双子のB-21」を配備し、製造試験段階からの各種データや運用データを蓄積し、部隊運用&維持整備段階における最適かつ効率的な機体管理に貢献する

6. Open Architecture
・ 脅威環境の変化に迅速に対処すべく、最新技術を随時迅速に機体に導入するためのオープンアーキテクチャを一層有効活用するため、機体の能力向上は従来機のような「block upgrades」方式では行わず、切れ目なく最新ソフトやハードの導入を行う
7. A National Team
・ 2015年にNG社が主担当企業としてB-21開発契約を米空軍と締結して以来、米空軍や軍需産業界から総勢8000名以上が関わって設計試験製造を進めてきて来たほか、全米40州の400以上のサプライヤーが今後も安定した機体製造と維持整備を支えて行く

8. Sustainment
B-21.jpg・ B-21は、設計段階から安定して効率的で持続可能な維持整備体制の確立を優先事項として開発が進められてきており、航空機の要求性能達成と並行して、稼働率の維持など運用継続性と維持整備費用の妥当性も満たすことを重視してきた
9. Global Reach
・ B-21は、米軍爆撃機の柱として国家抑止戦略の中核を支えるための最新の長距離精密攻撃能力を提供するとともに、最近関係者が強調し始めているように、敵陣深いエリアでの「ISR node能力」、「電子戦能力」、「マルチドメインでのネットワーク能力」面でも任務を遂行して国家抑止に貢献することが期待されている

10. Raider
B-21 6.jpg・ B-21の愛称「Raider」は、大平洋戦争時に日本への戦略爆撃に初めて成功し、後の戦いを連合軍優位に導いた、Doolittle中佐率いる80名で構成された16機のB-25爆撃機編隊による「Doolittle Raid」の勇敢な精神を引き継ぐべく採用されたものである(日本人にとっては複雑な思いがあるが・・・)
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NG社のweb発表
https://news.northropgrumman.com/news/features/10-facts-about-northrop-grummans-b-21-raider?_gl=1*vhlvu6*_ga*MjI3OTU1OTU0LjE2Njk3NjQ5MzQ.*_ga_7YV3CDX0R2*MTY2OTc2NDkzNC4xLjAuMTY2OTc2NDkzNC4wLjAuMA

B-21 Unveil.jpg12月2日(金)の「Roll Out」式で、新たな情報や映像画像が発表されれば追記いたします(元気があれば)。

気になるのは、機種選定時には「100機程度製造」とされていたものが、最近米空軍関係部隊関係者が「170機」必要との声も上がっている総調達機数に関する米空軍の考え方や今後の調達ペースです。更に部隊運用開始見通しについても聞きたいところです。更なる情報を待つことといたしましょう

B-21爆撃機の関連記事
「12月2日に初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/10/24/3796/ 
「初披露は12月第1週に」→https://holylandtokyo.com/2022/09/22/3695/
「初飛行は2023年にずれ込み」→https://holylandtokyo.com/2022/05/23/3269/
「製造企業CEOが80億円ゲットと」→https://holylandtokyo.com/2022/05/16/3202/
「無人随伴機も鋭意検討中」→https://holylandtokyo.com/2022/03/24/2938/
「6機製造中」→https://holylandtokyo.com/2022/03/01/2711/
「B-21を5機製造中」→https://holylandtokyo.com/2021/09/27/2270/
「下院軍事委員長も絶賛」→https://holylandtokyo.com/2021/06/23/1896/
「格納庫写真から大きさを推定する」→https://holylandtokyo.com/2021/04/07/101/
「初飛行は2022年半ばか」→https://holylandtokyo.com/2021/01/20/302/
「開発状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「2021年12月3日初飛行予告」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-29
「初期設計段階終了」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30
「米空軍の爆撃機体制計画」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2
「2017年3月の状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-20
「B-21に名称決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-27
「敗者の訴え却下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-17
「敗者がGAOに不服申し立て」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-07
「結果発表と分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-28

米空軍爆撃機の話題
「爆撃機管理は今後5-7年が多難」→https://holylandtokyo.com/2021/08/06/2024/
「B-52から重力投下核任務除外」→https://holylandtokyo.com/2020/01/29/877/
「B-1早期引退でB-21推進?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-19
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春時点の爆撃機構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2

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