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KC-46空中給油機を一部の任務に投入開始 [米空軍]

KC-10やKC-135の負担軽減のため
軽易な国内任務や海外展開支援など
ステルス機への給油は不許可

Ovost6.jpg24日、Jacqueline Van Ovost米空軍輸送コマンド司令官が、空中給油操作システム不具合対策が2023年までかかるKC-46空中給油機に一部任務の遂行を可能とし、負担のかかっている老朽給油機(KC-10やKC-135)の負担軽減を図ると明らかにしました

これに先立つ22日と23日に、Brown空軍参謀総長や米議員代表団を同機に搭乗させ、一部の任務に投入可能な段階にあると確認の場を設けたようです。

現在既に44機が米空軍に納入され、今後も毎月2機ペースで納入されるKC-46Aが実施可能になった「一部の任務」とは「軽い:coronet」任務で、国内の演習訓練や国外へ機動展開する航空機への空中給油で、ステルス機であるB-2,F-22,F-35は対象外だそうです

KC-46A3.jpg給油boomを操作する際に操作員が見るBVS(remote vision system)の画像がゆがんだり、太陽の位置によって見難かったりで、ステルス機の表面コーティングを傷つけた「黒歴史」があるからで、当面給油対象機はF-15やF-16やFA-18などだそうです

それでも、老朽給油機(KC-10やKC-135)の負担軽減は待ったなしの様で、2023年まで時間が必要なRVSのハード改修までの間、KC-46操作員の操作練度が向上するにつれ、関係者の信頼感が高まるにつれ、少しずつ任務範囲を拡大するようです

24日付米空軍協会web記事によれば
24日、Van Ovost米空軍輸送コマンド司令官は記者団に、KC-46Aは米輸送コマンドからの命令に従い、一部の可能な空中給油任務を遂行し、同機の運用態勢確立の遅れに伴い老朽給油機(KC-10やKC-135)にのしかかっている大きな負担を軽減したいと語った
KC-46 Boom3.jpg同司令官は「我々は今後、KC-46空中給油機に、過去数年間に渡り運用試験等で行ってきたと同レベルの任務を実施させることとした。例えば、国内演習でのF-16への給油や、海外へ移動するFA-18やB-52への給油を行えることにすることにより、KC-10やKC-135に余裕時間を与える」と語った

米空軍でKC-46担当のRyan Samuelson准将はこの決定の背景について、まず、米空軍とボーイング社の間でBVS(remote vision system)改修方向に合意でき2023年から部隊提供が可能になったこと、更に米空軍の搭乗員が同機の操作に完熟してきた点を挙げた
KC-46 Boom4.jpg24日の発表に先立ち、空軍参謀総長と米議員団が22-23日に同機に搭乗して任務飛行開始準備状況を確認したが、この件についてVan Ovost司令官は「KC-46と搭乗員の能力を確認いただいたが、同時にRVSの課題についても認識いただけた」と説明した

Samuelson准将は今後のKC-46の任務について、これまではKC-46部隊が運用試験の他に適当な給油チャンスがないか探していたが、今後は米輸送コマンドがKC-46に可能な任務を割り当てることとなると語り、具体的に44機保有で毎月2機増加していく機体の何機を提供可能になるか等の具体的計画をまとめて報告すると説明した
また、米輸送コマンドが計画しやすいように継続的に任務遂行可能な態勢を作り上げると語り、部隊能力の進展に応じ、給油対象機種を拡大する可能性もあるとの「conditions-based approach」をとるとも説明した
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KC-46A1.jpgどのくらいKC-46A型機のBVSが見づらいのかは、同型機を保有する航空自衛隊の方々にお尋ねください。既に器用に使いこなしているかも・・・です

米空軍も、ボーイングに対して振り上げたこぶしの降ろしどころを探っているのかもしれません。ボーイングは、既に契約金額の2倍の金額を開発に自腹投入することになっているようですから

KC-46関連の記事
「恒久対策は2023-24年から」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-30
「今度は燃料漏れ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-31-1
「やっぱりだめで更に1年遅れ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-04
「重大不具合について3月に手打ち!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-21
「空軍トップが新CEOに改善要求」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
「ついに空中給油の民間委託検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-15
「貨物ロックに新たな重大不具合」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-12
「海外売り込みに必死なボーイング」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-22-1
「米空軍2度目の受領拒否」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-1
「機体受領再開も不信感・・・」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-1
「米空軍がKC-46受け入れ中断」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-3
「不具合付きの初号機受領」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-12-2
「初号機納入が更に遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20
「10月納入直前に不具合2つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19
「10月に初号機納入を発表」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-22
「開発が更に遅れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-11-1  

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やっぱり危ういPACAF司令官:E-7ほしい発言 [米空軍]

翌日には空軍参謀総長が時期尚早と即否定
米軍内の不協和音が聞こえてきます・・・残念

Wilsbach3.jpg2月24日、Kenneth Wilsbach太平洋空軍司令官が記者団に、現有のE-3早期警戒管制機は老朽化が進んで稼働率が低下していることから、豪州やトルコや韓国が運用しているE-7早期警戒管制機を後継機として早期に導入したいと突然訴えましたが、翌日Brown空軍参謀総長が「E-7だと決めつけるのは早計だ」ときっぱり否定しました

Wilsbach太平洋空軍司令官はペンタゴン勤務経験がないままに、つまり「DC」の力学を知らずに「大将」になった人物で、Brown大将の後任として昨年夏から太平洋空軍司令官に就任していますが、就任当初から「中国に備えておけば、ロシアや北朝鮮やイラン等への対処は可能」とか、「米空軍はF-22導入から約5年間、その能力を十分使いこなせなかった」とか、その立場からすると「本音すぎる」発言で「危うさ」を感じさせる人物でした

Brown4.jpg今回の「E-7をすぐに欲しい」発言も、E-3の現状からすれば、また対中国航空作戦司令官としての立場からすれば、米空軍内の会議ならあり得る意見提示でしょうが、米空軍が公式には2035年まで使用予定との立場をとっている中、いきなり記者団の前で「E-7」と決めつけて訴えるのは異常であり、黒人として初の空軍トップになったBrown参謀総長へ、露骨に反旗を翻したとも受け取られています

Brown参謀総長は最近、地域コマンド等の反対を覚悟のうえで、新型の「5世代機マイナス」を開発製造するとぶち上げ、「今変えなければ勝てない」との信念で改革の道まっしぐらですが、早くも身近な中国最前戦の部隊指揮官からジャブを繰り出された形になりまし

E-7.jpg話題のE-7 Wedgetail早期警戒管制機は、B-737旅客機をベースに豪州空軍用に開発され、2009年から納入されていますが、その後トルコや韓国も採用し、更に英国も5機発注して2023年から受領予定となっている機体で、2018年にBrown大将も太平洋空軍司令官時代に体験搭乗しています

一方で米空軍が現在31機保有するE-3は、B-707旅客機をベースに1971年から84年の間に製造された機体ですが、米会計検査院GAOは2020年報告書で、「必要な部品調達などの維持整備の難しさから、2011年から19年の間、必要な稼働率を満たしていない」と評価しているところです

26日付Defense-News記事によれば
Wilsbach.jpg24日、Wilsbach太平洋空軍司令官は米空軍協会主催の「Aerospace Warfare Symposium」で記者団に、「現実は、E-3の最近の信頼性度合いから、早急に新たな代替を必要としている。E-3は離陸するのがどんどん困難になっている」、「最新のE-7を早急に導入すべき」と語った
そして更に、将来的には次期制空機NGADや同機搭載兵器の導入を推進すべきと述べ、航空優勢無くしては進歩した将来の敵とは対峙できないと訴えた

E-7 2.jpgしかし翌日の25日、同じ場で記者団と懇談したBrown空軍参謀総長は明確に、「どのような選択肢があるか見極めたい。E-7 Wedgetail早期警戒管制機のファンがいることは承知しているが、決定するのは時期尚早だ。もう少し時間をかけて検討する必要がある」と語った
またBrown大将は、自ら体験搭乗した経験があるE-7について「能力のある機体だ」と表現しつつ、「E-3の稼働率やその維持経費の状況から、対応する必要がある。しかし何をすべきかはまだ未定で、E-7は一つの選択肢だが、唯一の選択肢ではない」と語った
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改めてWilsbach太平洋空軍司令官の次期制空機NGADを絡めた発言を眺めてみると、2月17日にBrown参謀総長が反対を覚悟のうえで表明した「戦闘機世代間構成の分析検討開始」や「5世代機マイナス」の新規開発への露骨な反発発言であることが伺えます

E-3 2.jpg米軍を取り巻く予算状況や、平時から有事までの幅広い任務を考えると、ハイ&ローミックスの戦力構成を追求せざるを得ないことや、全ての要求に対応できないことを踏まえて改革を目指すBrown参謀総長と、狭い視野で現場の主張をメディアに訴える「立場をわきまえない大将」の印象がぬぐえません

こんな時だからこそ、ペンタゴンと前線部隊が一体感を持って前進して頂きたいのですが・・

「戦闘機世代機構成と5世代機マイナスの検討開始宣言」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-19

ペンタゴン勤務がない異例の大将
日本ハワイ中東アラスカ韓国のみの飛行5000時間の男
「F-35はF-35らしく使用せよ:F-22の失敗に学べ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-29
「Wilsbach太平洋空軍司令官の紹介」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-16

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米空軍が戦闘機世代構成と5世代マイナス機の検討開始 [米空軍]

国防省を巻き込んで「態勢見直し」との横串を狙う
5世代と次世代と「5世代マイナス」の混合編成を検討
地域コマンドや空軍内の反対を覚悟の上
「今変わらなければ勝てない」との危機感を前面に

Brown2.jpg17日、Brown米空軍参謀総長が記者団に、戦闘機の世代構成(force mix)を「数か月間:a months-long」で検討すると語り、5世代機と次世代機(NGAD)と「5世代機マイナスをイメージの新型機」のあるべき混合比率を見極めたいと語り、併せて「5世代機マイナス」の新型機が備えるべき要求性能を明らかにしたいと述べました

またこの米空軍司令部における検討には、国防省のCAPE(コスト見積評価局)のモデル分析やシミュレーション能力の力を借りたいと述べ、併せてオースチン国防長官が表明した「態勢見直し」との連携を少しでも図りたいとの希望も語っています

Fighter mix2.JPG15-20年後の将来脅威を念頭に、平時からグレーゾーン、そして有事のあらゆる場面を想定し、かつ限られた予算等を考慮した検討を想定しているようで、Brown参謀総長の強い信念である「今変わらなければ勝てない。今やらなければ変化を加速できない」との問題意識から、数年後を懸念する地域コマンド司令官や空軍戦闘機族からの大反対は承知の上と言い切ってまで検討を進め、分析結果を基に強く2023年度予算案から舵を切る決意の模様です

特に注目なのは「5世代機マイナス」との4世代機と5世代機の中間能力を備える新型機導入のアイディアで、1月に退任したRoper調達担当次官補が進めようとしていた「F-16導入案」を白紙にし、今回の検討で要求性能を見極め、「デジタル設計技術」を用いて早急に実現したいとの思いも語っています

もう一つの注目はF-35のエンジン問題で、Brown大将は明確に、エンジンが想定よりも早く損耗することからF-35の使用頻度を下げる必要があると語っており、これはこれで大問題になること間違いなしです。既に米空軍がF-35調達機数を、当初の1763機から1050機に削減する案を検討しているとの報道もありますし・・・

17日付米空軍協会web記事によれば
Brown nomination.jpg17日、Brown大将は記者団に、数か月間で「TacAir study:tactical aviation requirements study」を行い、近未来から将来の要求を踏まえたあるべき戦闘機の戦力構成(a force mix)を導き出したいと語った
また同検討には、検討の信頼性確保と国防長官室との意思疎通を図る意味で、国防省のCAPE(Cost Assessment and Program Evaluation)の協力を得たいとの希望を述べ、「態勢見直し」との連関性なく本検討を進めるのはあまりにもナイーブだとも語った

退任したRoper次官補が主張していたF-16導入案は採用しないと明確に述べ、1970年代設計のF-16では迅速なソフト更新に対応できないため、白紙的に新たな「fourth-and-a half/fifth-gen minus」機を導入し、上記検討の中で要求性能や必要機数も煮詰めたいと語った
Fighter mix3.jpg検討の結果に「誰もが同意するとは思わないが、議論の出発点にしたい」、「私の仕事は結果が持つリスクを合わせて見極めること」、「空軍司令部のスタッフには、事実やデータを持ってこい、感情や思いは求めていない」と語った

また、地域コマンドからの反対を予期し、「地域コマンドは私が米空軍参謀総長であることを知っており、戦力構成に関する意思決定する立場だと認識している」、「私の決定は人気のないものとなろう。私を嫌うものも出てくるだろう」、「だが、今意思決定をしなければ、変化を加速できない。私は私がベストだと思う方向に空軍を導きたい。申し訳ないが」とも表現した
更に、「地域コマンド司令官らは、2-3年先の将来を考えて議論するだろうが、私は地域コマンド司令官の5-6代後の時代、つまり15-20年後を見据えている。全ての任務に必要なだけの戦力を準備することはできない」とも表現した

(記者団からのF-35エンジン問題について問われ、問題の存在を認めつつ、)最新鋭機へのニーズが高いことから使用頻度が高くなり、F-35のエンジンが高頻度の使用で故障する率が高まっていると述べ、その問題も本検討の検討要素となると語った
Fighter mix.jpgこの問題対処に維持整備方式や整備施設の体制検討を中将大将レベルで行っていると述べ、シンプルにはF-35の使用頻度を下げることが対処法だ(simply be to use the F-35 less)とBrown大将は語った

「フェラーリで毎日通勤することはないだろう。フェラーリは日曜日に運転すればいいんだ。F-35はハイエンド環境の装備であり、ローエンド環境で常に使用する必要はない」と述べつつも、「この考え方にも異論があるだろう。反論も予期している」とBrown参謀総長は述べた
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Brown大将の話しぶりは常に「直球」で、全く回り道をする気配がありません。就任直後に空軍内に配布した「Accelerate Change or Lose」との小冊子のタイトルの信念で、前進あるのみです

Brown4.jpg語弊があるかもしれませんが、「いつクビになっても構わない」と覚悟を決め、「あるべき姿に直進する」決意なのかもしれません

黒人との立場で、既に様々な声が周囲から聞こえてくるのでしょう。これまでの空軍生活の中で受けた差別への思いもあるのでしょう。信念に忠実に、ただ前進あるのみです・・・・。立派だと思います

「オースチン長官が態勢見直し開始」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-06

Brown空軍参謀総長の関連記事
「春完成の電子戦戦略を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-30
「戦闘機新調達方式などを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-24
「行動指針を小冊子で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-01
「米空軍は海兵隊と同じ方向を目指す」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「人種問題を経験から語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-06-1

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米空軍トップが春完成の電子戦戦略を語る [米空軍]

国防省電子戦戦略や同ロードマップと連携を図りつつ
もはや電磁スペクトラム優勢確保は不可能な状態だと認め
湾岸戦争後、我々は電子戦分野で居眠り運転だったと吐露

Brown4.jpg1月27日、Brown米空軍参謀総長がオンライン講演し、昨年10月末に発表された国防省電子戦戦略(電磁スペクトラム戦略:Defense-wide electromagnetic spectrum strategy)とその具体化に向けたロードマップが3月に完成する中で、米空軍も今春に大転換の電子戦戦略を取りまとめると語り、その方向性について触れました

「相手に手の内を明かさない」方針から、昨年10月29日に概要だけがブリーフィングされた国防省戦略も「ぼんやり」したものでしたが、空軍参謀総長が語った内容も、具体的な話よりも危機感と姿勢と大きな方向性を述べたもので、「ぼんやり感」は否めません

「さわり国防省電子戦戦略」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-03

それでもしかし、強烈な危機感と現状認識、より攻撃的な態勢を目指すこと、ハードよりソフト面に注力すること、同盟国等を含めた一体性を追求する方向などが述べられており、米国防省全体の方向性を理解する一助となりそうなのでご紹介しておきます

まず昨年10月末の国防省戦略の「さわり部分」復習
Electronic Warfare.jpg新戦略では、従来の伝統的な電子戦分野である電子妨害や心理戦活動、商用・公用・軍用の電磁波運用管理だけでなく、米軍が電磁波の世界で容易に隠れる(Hide)ことが出来たり、商用周波数帯を作戦用により容易に使用出来たりする方向である
また、敵の周波数使用を容易に拒否できるようにする方向を追求する

日々の電磁スペクトラム運用を司る「combatant command」を創設する方向で検討す
具体的なロードマップ(EMS roadmap)は、Hyten統合参謀本部副議長らが中心となり2021年3月までにまとめる
・・・と説明していますが、よくわかりません。軍用の周波数帯を不必要時に民間に貸し出す代わりに、必要時に商用周波数を軍が使用できるような枠組みを含んでいるとの説明もあるようです

Brown空軍参謀総長は新戦略の方向性について
Brown nomination.jpg今春、米空軍は「electromagnetic spectrum warfare strategy」を発表する予定で、米空軍の向かうべき方向を示し、本格紛争においてどのような作戦運用が必要か、どのように資金を確保するか等を描くものとなる
また同戦略を理解しやすいように、司令部スタッフには同戦略内容が実現した際の仮想的な運用シナリオを準備するよう指示しており、同戦略に沿って2030年に到達すべき姿を理解しやすくし、空軍全体で取り組んでより早く達成できるよう考えている。その想定は中国を相手にしたものになろうが、我が目指すレベルに中国よりも早く到達することを望んでいる

空軍の戦略は、アフガンやイラクでの20年の戦いの中で、我々が電子戦を無視してきた流れと決別するものであり、従来の防御的な電子戦から攻撃的な姿勢への大転換を図るもので、決して小さな改善ではない
背景には、我々が必要なレベルで敵対者を抑止できていないとの危機感がある。中国やロシアのサイバー部隊は、宣戦布告なしに米国を侵略しており、情報誘導工作や偽情報作戦で世論操作を行っているが、米国がそれらを抑止できていない現状がある

EA-18G capability.jpgこのまま好きにさせるわけにはいかない。我らは大転換を図る必要がある。従来通りの少しづつ変化していく方法では、我々はシンプルに敗北する。湾岸戦争後30年間、電子戦分野で我々は居眠り運転してきたと考えるべきだ
空軍の戦略は昨年10月末発表の国防省電子戦戦略と完全にリンクしており、Hyten統合参謀本部副議長が3月にまとめ、初めて4軍の役割を指示することになる同国防省戦略ロードマップとも連携を図って進めている

電磁スペクトラム戦での優越はもはや可能ではない。航空優勢は一部の地域で確保可能だろうけれど・・・。電子戦能力を必要な場所と時間に提供できなければならない。しかしこれは、多くの通過点があるゴールがない終わりなき戦いで、我の優位を維持し続ける取り組みであ
単にステルスや自己防御ジャミングと言った防御的なものではない。過去25年使い続けてきたような装備では将来は戦えない。米空軍は電子戦分野で機動し攻撃する攻撃的な態勢を目指

Brown2.jpg投資面での最大の変化は、ハードやプラットフォームからソフト重視への変化である。確かに目に見えにくく、効果確認が難しいいオープンソースなソフト導入のような事業は、米議会の理解を得るのが難しい
一方でソフト投資はミサイル等と比較して安価で効果も期待できる。その点で電子戦の非破壊的な能力確保は、コストで押しつぶされる恐れを減少させてくれる。また一方で、ソフトは最新手法をコードで表現すれば効果を実現でき、数で圧倒してくる中国にも対抗できる

同盟国等をこの電子戦戦略に巻き込むことに米空軍は取り組み、最初から含めておくことで装備が協力的に使用できなくなることを避ける。全ての関連能力を融合して活用できるようにしたい
すでに米空軍は、新たな電子戦戦略やコンセプトを編み出すために、一連の実験演習や仮想ウォーゲームに取り掛かっている。しかし米空軍はあるべき状態にはなっていない。米議会から遅れを指摘され、尻を叩かれている状態であり、困惑することもあるが、叱咤激励が力であることも確かである
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EA-18G Clark3.jpg対中国では、電磁スペクトラム優勢確保はその性格上可能ではない・・・と言い切り、航空優勢も一部地域(localized)でのみ達成可能だろうとハッキリ述べる姿勢は、50億円を投入したシリア兵士養成で、「5-6名」しか前線で活動していないと率直に認めたオースチン国防長官とも通じるものがある気がします

中国軍の電子戦能力がすごいので、防御だけではとても太刀打ちできない・・・やられる前にやっつけなくては・・・との主張だと思います

ハードやプラットフォームより、ソフトで勝負・・・との意味が体で感じられていませんが、まぁそういう時代なのでしょう。湾岸戦争当時から変わっていない状況を、米議会から厳しき指摘されていることを、認めざるを得ない厳しい立場です。Brown大将は・・・

国防省の電子戦戦略と空軍の動き
「さわり国防省電子戦戦略」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-03
「電子戦とサイバーと情報戦を融合目指す」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-03

関連のC4ISRnet記事
https://www.c4isrnet.com/electronic-warfare/2020/11/17/us-air-force-sets-sights-on-new-spectrum-warfare-wing/

第16空軍の関連記事
「新設第16空軍の重要任務は2020年大統領選挙対策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-19
「遅延中、ISRとサイバー部隊の合併」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-24
「米空軍がサイバー軍とISR軍統合へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3

ロシアの電子戦に驚愕の米軍
「東欧中東戦線でのロシア軍電子戦を概観」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-1
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02

EW関連の記事
「国防省EW責任者が辞任」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-19
「ACC司令官が語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-19
「米空軍がサイバーとISRとEwを統合」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3
「電子戦検討の状況は?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-13
「エスコート方を早期導入へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27
「米空軍電子戦を荒野から」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-17-1
「ステルス機VS電子戦攻撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12

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75年ぶり米軍爆撃機がインド訪問 [米空軍]

インド航空ショーでインド戦闘機のエスコートを受け飛行
C-5輸送機も同航空ショーに:米印関係を示す

B-1 India.jpg8日付米空軍協会web記事は、75年ぶりに米空軍爆撃機(今回はB-1)がインドを訪問し、同国航空ショーでインド空軍戦闘機のエスコートを受けた展示飛行を実施するなど、米印関係強化を示すイベントになったと紹介しています

記事は、トランプ政権が退任直前の1月13日に秘密扱いを解除して公開した「インド太平洋戦略」の方針に沿うものだとB-1爆撃機訪問を取り上げ、同戦略が「インドを、豪州、日本、韓国と合わせた4か国枠組みの一員に加え、中国に対抗する地域の盾」としての位置づけ、「米国は、インドの軍事能力を自国防衛だけでなく、インド洋を超えた地域での活動パートナーとなるよう目指す」と表現していると紹介しています

また同戦略が、上記狙いを達成するため、「軍事貿易を拡大」し、また、米国と日本がインドの「finance projects」を支援し、地域国家の軍事力を連接するために協力していくと表現していることに言及しています

8日付米空軍協会web記事によれば
B-1 India4.jpg3日、米空軍のB-1爆撃機がインドで開催された「Aero India trade show」でインド空軍Tejas戦闘機のエスコートを受けて飛行し、1945年以来初めてインドに降り立った。また同航空ショーにはC-5M大型輸送機も参加し、地上展示を行った

同飛行の前日にDon Heflin駐インド米国大使は、「インドはインド太平洋地域のキープレーヤーである。米印協力は、ルールに基づく国際秩序で全ての国の繁栄と安全を推進するビジョンを広めるものだ」と語った
B-1爆撃機を派遣した米第8空軍司令官のMark E. Weatheringtons少将は、「(B-1派遣は)両国の協力関係を示すだけでなく、「Bomber Task Force concept」の訓練の位置づけでもある」「将来に向けた歴史的な意義を持つ爆撃機の参加だ」と表現した

B-1 India3.jpgまた爆撃機訪問の機会をとらえ、両国国防当局者が協議を行い、両国政府と両国空軍の関係強化に向けた舞台を整えた
インド空軍が戦闘機選定を開始しているが、米国からはロッキードがF-16を生産ラインのインド移転を含め提案し、ボーイングがF-15EXを売り込んでいる
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この航空ショーには、コロナにもかかわらず1.6万人が参加したようです

滑り込みでトランプ政権が公開して物議をかもした「インド太平洋戦略」ですが、このような動きは継続して進めていただきたいものです

少しは関係のある記事
「インド海軍にFA-18提案」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-31
「アジアに第1艦隊編成へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-20

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米空軍の優先研究に「よく考えろ!」提言 [米空軍]

言いたい放題の一般論提言ではありますが・・・
各所で研究課題に挑戦する皆様のヒントになれば・・・

Skyborg3.jpg米空軍が「優先研究項目」として指定し、資源や人材を投入して短期間での実用化を目指す「Vanguard計画」(2019年11月開始)に対し、外部有識者で構成される「米空軍科学諮問評議会:Air Force Scientific Advisory Board」が提言し、より具体的に、広い視野で活用分野を探り、ダメそうなら諦め、よりベンチャー的に取り組め・・・等々との言いたい放題の報告書をまとめた模様です

「Vanguard計画」自体は2019年春に立ち上がりましたが、研究対象を絞り込むのに半年以上がかかり、6つの対象項目で公表されているのは「無人機ウイングマン:Skyborg構想」、「無人機の群れ:Golden Horde構想」、「新たな航法衛星3」の3つだけですが、主導する米空軍研究所AFRLに研究の自由度を保証する代わりに、評価もきちんとやる姿勢で米空軍幹部が臨み、同評議会に開始1年目の評価を依頼したようです

Gremlins swarming.jpg同評議会の提言は言いたい放題で、米空軍研究所やそれを指導する米空軍マテリアルコマンドや空軍省革新能力造成室にとっては「そこまで言うか!」的な内容ですが、お役所研究機関や日本の大企業の研究組織にも当てはまりそうな内容なので、とりあえずご紹介しておきます

ただ具体的な研究項目には触れず、提言部分だけが報道されていますので、具体的にどの研究課題のどの部分に対する提言なのかが示されず、ストレスのたまる「言いたい放題」の紹介となっていますので、その点はご容赦ください

昨年12月18日付米空軍協会web記事によれば
NTS-3.jpg12月に米空軍幹部に提出された同評議会の提言は、「Vanguard計画」をより具体的に、広範な範囲で応用を検討し、ダメらな早めに諦めよと提言し、6項目の対象研究の3つには改善を促し、残り3つには対象から葬り(enshrine)長期的な視点で米空軍内で活用する方向を示唆した
なお、「Vanguard計画」推進に米空軍は2021年予算で約170億円を要求したが、米議会は約60億円削減する方向にあり、本計画の継続・推進にはプロジェクトの継続改善に取り組む姿勢が欠かせない側面もある

同評議会は、優先項目は4年以内にプロトタイプ試験に進めるような対象であるべきで、米空軍省高官が選定判断に関与すべきと提言し、現在の対象があまりに広範であるため絞り込む必要を指摘した。一方で、現場との接点が多い研究開発調達次官室とは緊密に連携を取り、新たなアイディア受け入れにも柔軟であるべきとしてる
Gremlins swarming2.jpgそして、世界中の空軍指揮官の要望を反映し、攻めの姿勢を重視しつつも達成可能な分野に注力し、資源投入先を絞り込む着意が重要で、この過程に米空軍副参謀総長レベルを巻き込めとしている

(優先項目の新陳対処も考慮し、)毎年の優先項目を1-2個選定して進めるべきと提言し、同時に一度選定した項目の目標変更もあり得、ハイリスクの最新技術研究では、特定の戦場環境への適用だけでなく、他の応用可能な分野への適応への方向転換も選択肢に含められるよう提言している
また、きちんとした開発計画に基づかない形で実験室から直接戦場へ提供したり、民間企業に技術の芽と一定資金を提供して研究を託す手法もオプションに取り入れるべきとしている

XQ-58A Valkyrie2.jpg更に「Vanguard計画」を管理する空軍省の革新能力造成室(Transformational Capabilities Office)には、ベンチャーキャピタルのように計画全体を管理し、「Try-anything, freeform startup culture」で革新をリードするよう提言している
問題に直面した研究項目をあきらめる重要性も指摘し、同時に研究を中断する分野でも、それまでの蓄積知識を他に活用する等、失敗を失敗で終わらせない姿勢の重要性を指摘している

最後に同評議会は、いずれにしても、「Vanguard計画」は空軍省レベルの強力な関与がないと成功しないと提言を結んでいる
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絞り込め、しかし柔軟に新たなアイディアを取り込め。具体的に、でもベンチャーのように挑戦して革新を・・・と言われると、事前に予算枠が示されるお役所研究所の米空軍研究所は頭を抱えるしかないのですが、米空軍幹部の裁量と強力な関与で道を開け・・・ということでしょう

9月末には、優先対象の一つ「無人機の群れ制御」に関し、(行き詰ったから)企業や学界や技術使用者の皆さんのアイディアを持ち寄って頂きたいと空軍研究所幹部がお願いするとインタビューで述べていましたが、そんな苦境解決を後押しすべく、同評議会も現場の声を拾った側面もあるのでしょう

今後厳しくなる一方の米国防予算枠の中で、この「Vanguard計画」のような構想の存続は、一つの厳しさのバロメータとなるのでしょう

Vanguard計画関連の記事
「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-30
「決定米空軍研究所が重視する3分野」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-26
「5か月経過もVanguard対象未定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-30

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Cope North GuamでF-35とF-16が不整地離着陸を [米空軍]

ACE(Agile Combat Employment)訓練の一環として
グアム島Northwest Fieldを活用する模様
パラオ国際空港とアンガウル島でも何か訓練(空自機も)

Sloane2.jpg26日、グアム島の米空軍アンダーセン基地司令官&第36航空団司令官であるJeremy T. Sloane准将が、1月末から2月に米日豪軍共同(HADR部分に仏軍も参加)で実施する「Cope North Guam21」について、今年の目玉として、米空軍F-35とF-16が荒れた滑走路や設備の飛行場で離着陸や再発進準備訓練を行うと米空軍協会のバーチャルイベントで明らかにしました

実際の訓練は、アンダーセン基地の北西に位置する「Northwest Field」と呼ばれるWW2当時の飛行場、普段は人が維持管理していないジャングルに囲まれた8000フィート以下の滑走路と限定的な駐機施設しかない場所で計画されているようで、同基地司令官は「no-kidding remote environment:冗談じゃなく本当の僻地環境だ」と表現しています

Northwest Field3.jpegこのような訓練は、対中国などの本格紛争で、アンダーセン基地等の拠点根拠基地は敵からのミサイル攻撃等で被害を受ける可能性が高いことから、戦闘機などを普段は使用しない設備不十分な周辺飛行場に分散して運用するACE(Agile Combat Employment)作戦構想実現に向けたものです

ACE構想実現には、同盟国や友好国の飛行場施設利用承諾、展開先で使用する航空機用の地上機材や燃料弾薬の確保事前備蓄、緊急時の所要人員や機材の輸送力確保、展開先において限られた人員で航空アセットをケアする多能力人材の育成などの多くの課題がありますが、米空軍はアジア太平洋だけでなく、世界各地で同様の取り組みを行い、共通の手順等を確立しようとしているところです

「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-13
「中東派遣F-35部隊も挑戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19

Palau1.jpgなお、今回目玉の不整地使用訓練との関係は不明ですが、「Cope North Guam21」にはパラオ共和国の国際空港や離島(アンガウル島)も訓練場所に含まれており、Sloane准将はコロナワクチン接種での便宜供与や災害対処等で、これら地域との関係強化を図り拠点確保につなげる重要性まで語っています

26日付米空軍協会web記事によれば
Cope North Guam21を統括するSloane航空団司令官は、今回の本訓練で、アラスカから参加のF-35と三沢から参加のF-16が、従来C-130やヘリしか使用したことのない不整地飛行場(rough airfield)での訓練に参加するとともに、小規模な緊急展開チームが航空機到着直前に移動して滑走路を整え、緊急時の移動式バリアを設置し、給油体制を整える訓練も行うとと説明した
Sloane.JPGまた同司令官は「中国やロシアからの脅威はますます高まっており、設備が充実した飛行場依存から脱却しなければならない。長距離爆撃機が我らの弱点を補ってくれるが、足の短い戦闘機等の運用確保ができなければ、良い結果は得られないだろう」とACE構想の重要性を説明した

更に「アンダーセン基地は太平洋地域で最も西側に位置しており、(対中国作戦の)カギとなる位置にある。しかし一方で、攻撃目標になりやすいことも意味している」と危機感を表現した
昨年9月、中国空軍がH-6爆撃機搭載ミサイルでアンダーセン基地を攻撃する挑発的な模擬映像を公開し、これに対して太平洋空軍が「地域に対する脅迫・恫喝行為だ」と非難したが、同基地司令官は「ACE構想の重要性や分散拠点を提供してくれる同盟国等との関係構築の重要性を再認識させてくれるものだ」と言及した

Northwest Field.JPGそして「我々はカギとなる太平洋島嶼国家との積極的関与に努めなくてはならないし、現実的で意味ある関係強化を進めること、つまりコロナワクチン接種支援であったり、話題にならない規模における災害対処支援等を通じて、アクセス確保に取り組む必要がある」と語った
なお今年のCope North Guam21には、米空軍と航空自衛隊と豪空軍から約100機と2500名の人員が参加する予定である。なお昨年の同訓練では、パラオで、F-22がエンジンを回したままC-130から燃料補給を受ける「hot-pit refueling」が行われた
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1月15日付のCope North Guam21関連の航空自衛隊発表によれば、訓練は大きく2つ、日米豪軍の「戦闘戦術訓練」と、日米豪仏軍による「HADR:人道支援・災害対処訓練」から構成されており、両方の訓練がグアム島とパラオの国際空港&アンガウル島で実施されることになっています。ということは、自衛隊機(戦闘機か輸送機)もパラオに着陸して訓練するのでしょう

Palau.jpgまた、「HADR」訓練には空自のC-2輸送機と基地警備教導隊員約10名が参加となっています。「HADR」活動を想定し、活動地域周辺の警備訓練を行うのでしょうか・・・それとも・・・

米軍がグアムの基地の被害を想定して一生懸命訓練しているのですから、日本だって当然何か考えているのでしょうし、考える必要があります。ちなみにパラオには昨年8月、米国防長官として初めてエスパー国防長官が訪問し、関係テコ入れを図りました

1月15日付の航空自衛隊訓練参加発表
千歳F-15と築城F-2と浜松AWACSと美保C-2で約250名
(基地警備教導隊員約10名も含む)
1月18日(月)~2月28日(日)
https://www.mod.go.jp/asdf/news/houdou/R2/20210115.pdf

対中想定の分散運用ACE関連記事
「米空軍若手がACEの課題を語る」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-13
「中東派遣F-35部隊も挑戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「三沢でACE訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-21
「太平洋空軍がACEに動く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-12
「太平洋空軍司令官がACEを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「F-22でACEを訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-03-08

グアム関連の話題
「中国空軍がグアム攻撃動画」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-23
「エスパー長官がパラオ初訪問」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「グアムにイージスアショア熱望」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-23

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次期爆撃機B-21の初飛行は2022年半ばに [米空軍]

最速2021年12月予定が少しずれこみ
1機600億円以下は無理で、100機製造で1機800億強か

B-21 3.jpg15日付米空軍協会web記事が、米軍の優先重要プロジェクトB-21次期爆撃機の開発状況について、米空軍迅速能力開発室(RCO:Rapid Capabilities Office)のRandall Walden室長に独占インタビューを行い、おおむね順調で、初号機を2022年初旬に受領し、2022年半ばに初飛行を予定していると述べました。また、機体強度や耐久性試験を主目的とした2号機の製造も始まっていると明らかにしました

2016年2月に担当企業がB-2製造経験があるNorthrop Grummanに決定したB-21ですが、2020年代半ばに運用開始、強固な防空網を突破可能な性能(ステルス等)、80-100機製造で1機約600億円($550million)以下、無人機もあり得る(正式にはoptionaly manned)、既存成熟技術を活用し開発リスク局限等々の基本方針のみが公表され、細部性能や状況は非公開で開発が続いていました

B-21 bomber.jpgその後、2018年12月に「重要設計審査:critical design review」終了との発表があり、2019年7月には米空軍副参謀総長が講演で、初飛行は「863日後だ」(2021年12月3日)と語り開発の順調さをアピールし、2019年秋に格納庫らしき場所で撮影された写真1枚が公開されましたが、その後は再び秘密の闇に入っています

2020年8月に同じWalden室長は、コロナの影響を受けてはいるが、「全ての困難で重要な設計段階や、難しい製造問題は全て解決済みの過去の話となっている。現在は実際に機体を製造し、飛行試験に進むことに集中している」と状況を説明していました

コロナの影響に関し同室長は、例えば機体を担当する「Spirit AeroSystems社」はボーイングのB-737MAX製造中止を受け会社全体が危機に直面しているが、旅客機部門の人材をB-21に配置転換して危機に対処し、B-21のスケジュールへの影響を局限している等と説明していました

15日付米空軍協会web記事でWalden室長らは
Walden.JPG2019年7月に当時の空軍副参謀総長が述べた2021年12月初飛行との見積もりは「best-case scenario」であり、現時点では2022年半ばと想定するのが「穏当な見通し:good bet」だ。初飛行を目指す初号機はまだ最終組み立て段階にはなく、「爆撃機らしい形になってきた」段階だ
2号機も生産ラインに入ったが、この機体は機体構造の強度や耐久性を確認するために使用予定だ。曲げたり伸ばしたり、様々な負荷を機体構造に加えて試験を行う

B-21搭載システムの試験は、ロッキード社がF-35搭載システム試験にも使用してきた「CATbird」と呼ばれるビジネスジェット改良試験母機を利用して先行的に進めており、ハード面ソフト面の両方で過去2-3か月で成果が出ている

どの航空機開発にもサプライズは付き物で、エンジンの試験運用と関連試験の結果が初飛行の時期に影響を与えているが、「問題ないように修正を図っている」
B-21.jpg本件に関し下院軍事委員会のRob Wittman議員が2018年に、「B-21はエンジン推進排気や空気取り入れ関連の問題に対応している」と述べたことに関しては、「その問題は解決済で、先ほど述べたサプライズの一つだ。対応済だ」と語った

B-21関連予算について、2021年度に研究開発に3000億円強を要求し、2022年には受け入れ施設等に関し300億円を、5年間で1100億円を要求する計画だと説明したが、細部は今後変化する可能性があるとも述べた

1月14日、米空軍司令部の戦略抑止・核抑止担当部長のJames C. Dawkins中将は、B-21の運用開始(be available for service)は2026~27年だろうと述べ、それまでは核抑止任務をB-2とB-52が担うと述べている
コストに関して、米議会調査局は空軍見積もりとして100機で8兆8千億円だと2018年にレポートしている
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Walden2.JPGF-35やKC-46、フォード級空母などと比較すれば順調だと思うので期待していますが、KC-46の例からすると、このあたりから問題が多発した記憶があり、まだまだ安心はできません

政権が代わり、国防省や空軍省の調達担当幹部が変わる中、開発・導入の推進力が失われないよう祈念いたします・・・

B-21爆撃機の関連記事
「B-21の開発状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「2021年12月3日初飛行予告」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-29
「初期設計段階終了」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30
「米空軍の爆撃機体制計画」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2 
「2017年3月の状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-20
「B-21に名称決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-27

「敗者の訴え却下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-17
「敗者がGAOに不服申し立て」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-07
「結果発表と分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-28

米空軍爆撃機の話題
「B-1の稼働機一桁の惨状」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-05
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春時点の爆撃機構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2

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米空軍改革の旗手Roper次官補辞任へ [米空軍]

Barrett空軍長官らも政権交代に合わせ辞任
バイデン大統領就任式の前日に職務終了

Roper.jpg11日、米空軍はBarbara Barrett空軍長官が政権交代に併せて退任すると発表し、14日に離任式を行うと明らかにしましたが、同時に空軍次官や会計監査官と共に、米空軍の装備調達や兵器開発の改革を2018年から先頭になって進めてきたWill Roper調達担当次官補の退任も明らかになりました

Roper次官補は、2017年から当初は国防省のSCO(戦略能力迅速調達室)室長として「無人機の群れ技術」導入などで辣腕を率い、その後米空軍の調達担当次官補としてメディアから「調達のボス:Acquisition Boss」と呼ばれ、末尾の過去記事が示すように、米空軍が取り組む新規からトラブル中の装備も含め、全ての新規装備品調達事業を仕切る八面六臂の活躍でした

Roper3.jpg同時に、米軍全体の指揮統制の将来を握るJADC2(米空軍内ではABMS)を進めるため、先頭に立って実験演習を3回行ってその重要性アピールにも奔走していたところで、4軍の足並みが「今一つ」な中、Roper次官補の辣腕が今後ますます期待されていたところでした

そんな中で突然の退任ニュースです。もちろん、政権が代わって後ろ盾を失う以上、改革が継続できないと考えた既定路線だったかもしれませんが、その影響は甚大と言わざるを得ません。本ブログの読者の方も、名前を憶えていなくても、顔写真には見覚えがあると思いま

これまでRoper次官補が、口八丁手八丁で裁いてきた様々な事業の中で、今後が懸念されるいくつかのプロジェクトを取り上げておきます

●次世代制空機NGAD
NGAD8.jpg昨年9月に、突然、既にデジタル設計技術等の最新技術を生かし、既にデモ機が初飛行済みだと発表して関係者に大きな衝撃を与え、2020年Defense-Newsの10大ニューストップに選ばれています
一方でNGADについては、あまりに秘密情報が多く米議会から賛同を得られていない点に苦慮し、「米空軍にチャンスをくれ」と訴えていたところで、これについてもしっかり引き継いで推進するパワーのある人材が存在するのか懸念されます
8年毎に新機種導入など、陳腐化させず、多くの企業が競争する環境を作り、かつ新規参入を促進する画期的なアイディアがとん挫しそうで心配です・・・

●無人機ウイングマン構想(Skyborg)
Skyborg2.jpg無人ウイングマン構想は、中国やロシアなどの強固な防空網を持つ敵との本格紛争を想定し、現在は有人機がすべてを担っているISR偵察や攻撃を、安価で撃墜されても経済的負担が少ないながら、人工知能で任務遂行可能な無人機開発を目指すものです
昨年12月にデモ機製造企業3企業を決定し、2021年5月までにプロトタイプ初号機が提供され、同7月に試験飛行を開始する予定です。次世代制空機と合わせ、まだ具体的な調達構想に米議会説明等が必要な事業で、道半ばですので、今後の方向性が気がかりです

●レーザー兵器(エネルギー兵器)開発
Laser NG.jpg兵站支援が難しい対中国作戦を念頭に、電力さえあれば弾薬補給の必要がないレーザーなどエネルギー兵器に大きな注目が集まっている中、昨年6月Roper次官補は、米空軍内のチームが優先している戦闘機搭載自己防御レーザー兵器開発について課題が多数残っていると慎重姿勢を見せ、「レーザーがまず目指すべきは、単純だが恐れるべき脅威となっている小型無人機だ。これこそレーザー兵器が成熟すれば対処すべき脅威だ。」と投資や研究の優先順位を再考する考えを示していたところです。今後の方向性を示す人物がいるのでしょうか???

●F-35やKC-46などトラブル装備品
F-35 Greece4.jpg新たに操縦室内から空中給油操作を行う設計にしたKC-46の操作画面が要求性能を満たさず、ハードの根本見直しをボーイングに迫っているKC-46ですが、ハード対策は早くて2024年から開始とRoper次官補は語っており、コロナで瀕死状態のボーイングをどれだけ真剣に動かせるかに後任の力量が問われるところです
F-35は自動兵站情報システムALISが機能せず、後継のODIN導入が始まったところですが、まだまだ山はこれからで、量産開始もコロナによるサプライチェーンの混乱などで先延ばしになっており、心配の種尽きず・・・です

●老朽化装備を早期退役させ、最新装備を導入
A-10 4.jpg老朽化が進んで維持整備費がかさみ、対中国等本格紛争で出番がなさそうな装備を早期退役させ維持費を浮かせ、少しでも新規装備の導入を加速したい米空軍ですが、選挙区への利益誘導で早期退役に反対する議員対に直面し、A-10、RQ-4、MQ-9などの早期退役進まず・・議会との連携を含め、前進させる推進力になる人はいるのでしょうか

●調達改革全般
お役所仕事の旧来の装備品調達手法では、完成品を部隊配備する頃にはコンセプト自体が陳腐化していると問題視されている米軍調達ですが、これをオープンアーキテクチャーやアプリ更新で常に最新技術を活用できる形式に改革する真っただ中にある国防省や米軍で、Roper次官補に続く辣腕が登場するか? 国防省のLord調達担当次官も交代の可能性がある中で・・・

●新設された宇宙軍のバックアップ
出来立てほやほやの宇宙軍ですが、その話題性とは対照的に、全てが不足している状態で、いつ「SOS」が発せられてもおかしくない状態と見る向きも少なくありません。元親の米空軍の支援が不可欠ですが、予算厳しき中、一度袂を分かった宇宙軍をだれがサポートできるのか
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Roper NGAD.jpg米空軍だけでなく、米軍全体の改革の勢いにも影響が出そうですし、フロノイ女史が産軍複合体の「闇」の作用で国防長官に成れず、オースチン元将軍が国防長官に推挙されたあたりから不穏な気配がしていましたが、ついに来たか・・・の思いもします

20日に新政権が誕生しても、国防長官をはじめ多数の政治任用ポストを埋めるには、主要なポストだけでも少なくとも半年は必要ですから、いろいろ停滞するんでしょうねぇ・・・・

Lord2.jpg調達関連の改革を国防省の担当次官として推進してきたLord次官も、20日で退任が明らかになりました。強力な改革推進派だった2名の退任で、しばらく寂しくなりそうです・・・

Will Roper氏の関連記事
「SCIF使用困難で戦闘機開発危機」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-12
「U-2がAI操作員活用で初飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-17
「KC-46の恒久対策は2024年!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-30
「次期制空機のデモ機を既に初飛行済」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16
「女性操縦者増加のため操縦席基準を見直し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-20

「戦闘機防御レーザーから撤退へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-01
「連接演習、3回目は太平洋で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「24時間以内の緊急打ち上げへ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-01
「無人機ウイングマン構想」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-27
「調達担当者を活躍させる体制」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-16

「KC-46Aの異物問題に」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-1
「PGM不足問題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-09
「米空軍重視の9分野」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-4
「維持費削減に新組織RSO」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-23
「ソフト調達が最大の課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-01

「F-35維持費が大問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-20-1
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26 
「無人機の群れに空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「米海軍が103機の無人機群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1

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コロナで機密情報隔離施設SCIF使用困難が戦闘機開発に? [米空軍]

米空軍の挑戦関連の機密情報を議員に説明する場が・・・
コロナに改革の芽をつぶされてはたまらない

Roper.jpgWill Roper調達担当空軍次官補が米空軍協会機関紙のインタビューで、米空軍の新規開発プログラムは極秘技術に関するものが多いが、米議会の理解を得るために説明するために必要な「機密情報隔離施設:SCIF」がコロナ感染で使用が難しくなり、「次世代制空機計画がコロナに殺されかねない」と予算確保への影響に懸念を示しました

ただ、コロナで「3密」を避けるために「機密情報隔離施設:SCIF」の使用が困難になっていることだけが問題だとRoper次官補が主張しているとは思えず、極秘事項が多いので軽易に語ったりアピールできないが、米軍は開発と調達両面の根本改革に挑戦しているからチャンスをくれ・・・との魂の叫び声を上げたと理解しています

SCIF.jpg確かに、先進戦闘管理システムABMSや次期制空機NGADの開発などの「極秘」プロジェクトが、米議会から成功不可能な計画と疑念を目を向けられており、米空軍が説明責任を果たすことが必要だと専門家は主張していますが、上記プロジェクトの重要性を知り、革新的開発を先頭で推進するRoper次官補にとっては、プロジェクトへの疑念の目は我慢ならない思いがあるのでしょう

実際、この疑念を少しでも払しょくしたいと、本来なら隠しておきたかったはずの次期制空機NGADプロトタイプ機が、既に初飛行を終えていると9月に突然発言し、業界や専門家にメガトン級の衝撃を巻き起こしたことは記憶に新しいところです

「次期制空機のデモ機を既に初飛行済」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16

それでも予算厳しき中、また「出る杭は打たれる」のが世の常であり、Roper次官補には様々ないわれなき批判の声が聞こえているのでしょう・・・そんなストレス一杯の同次官の叫びをご紹介します。「チャンスをくれ!」と

インタビューでRoper次官補は・・・
T-7A.jpg次期制空機NGADの今後を占うのは、米議会の人々と極秘レベルで対話が出来るか、できないかにかかっている。NGADについては、「機密情報隔離施設SCIF:Sensitive Compartmented Information Facility」以外で語ることが非常に難しいからだ
NGADより機密度の低い練習機T-7A Red Hawk開発で有効性を証明できたことで、NGAD開発で本格的にフル活用しているデジタル設計技術や民間企業の開発調達手法の有効性や革新性を、机上の空論としてではなく、実際に確立した技術だと少しは理解いただけるようになったと思う

ただし、我々が必死に興奮しながら取り組んでいる最新プログラムをご理解いただくには、「機密情報隔離施設SCIF」の使用が不可欠である。コロナの影響で同施設の利用が困難になった中で、NGADがコロナの犠牲にならないことを祈るばかりである

NGAD8.jpgNGADは米空軍の能力を根本的に変える能力を備えるものだが、同時に、開発&調達面でも革新な迅速化を証明するものになる。我々は冷戦後マンネリ化した軍需産業界に依存してきたが、他の産業は軍需産業が成しえていない開発生産プロセスの近代化を成し遂げている
米空軍が提案しているのはかなり急進的な改革だが、作戦機が真に必要としているものであり、既に自動車業界を変えた革新的な技術の軍需産業へ導入する挑戦である。またこの革新の成功により、従来の軍需企業以外の企業にも参入を促し、胸を張れるような体制を構築したい

開発プロセスを迅速化することで、失敗を恐れず挑戦することが可能になる完全に成功することを確信するまで時間をかけて決定する今のやり方では、変化の速い現実に対応できないのだ。デジタル技術とopen architectureと機敏なソフト開発で、新時代にふさわしい新兵器や装備開発体制を構築したい
NGAD5.jpg米空軍にチャンスを与えてほしい。コロナ感染に打ち勝ち、「機密情報隔離施設SCIF」利用が普通にできるようになり、我々がNGADで挑戦している今は極秘の方式だが、秘密扱いでない当たり前の方式として将来受け入れられるよう我々は全力を尽くしている。そして米軍の他分野にもこれを適用して改革を進めたい
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機密情報隔離施設SCIFの解説
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%9F%E5%AF%86%E6%83%85%E5%A0%B1%E9%9A%94%E9%9B%A2%E6%96%BD%E8%A8%AD

バイデン政権の国防長官候補が、女性フロノイ元政策担当国防次官から初の黒人Austin元中央軍司令官へ変わった背景には、軍需産業絡みの「闇」が感じられる・・・とのコメントをSNS上でいくつか拝見しています

Roper3.jpg西側の国防関連で、期待させるプロジェクトや改革を推進している唯一の人物がRoper次官補だとまんぐーすは思います

彼までもが「出る杭」として抹殺されるようだと、いよいよ「闇」は深まり、暗黒へ向かうような気がしてなりません。同次官補の武運長久を祈らずにはおれません・・・

意思決定先延ばしだと思っていた空軍次期制空機
「次期制空機のデモ機を既に初飛行済」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16
「戦闘機族ボス:中国正面で戦闘機のニーズは?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-28
「CSBAの米空軍将来提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「連接重視で航空アセット削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「次期制空機検討は急がない、急げない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-19
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05

「戦闘機族のボスがNGAD予算を危惧」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-21
「PCA価格はF-35の3倍?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

Will Roper氏の関連記事
「戦闘機防御レーザーから撤退へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-01
「連接演習、3回目は太平洋で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「24時間以内の緊急打ち上げへ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-01
「無人機ウイングマン構想」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-27
「調達担当者を活躍させる体制」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-16
「KC-46Aの異物問題に」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-1
「PGM不足問題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-09
「米空軍重視の9分野」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-4
「維持費削減に新組織RSO」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-23
「ソフト調達が最大の課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-01
「F-35維持費が大問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-20-1
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26 
「無人機の群れに空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「米海軍が103機の無人機群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1

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映像と5つの視点で学ぶシリーズ:スパイ機 [米空軍]

1月3日まではお休みです

SR-71 2.jpg久々に、Military.com提供の「あなたの知らない5つのポイント:5 things you don't know about」シリーズから、「スパイ航空機:Spy Plane」をご紹介します

作成が5年前の約6分間の映像ですので、最新のステルス無人偵察機が登場するわけではありませんが、U-2やSR-71といった懐かしのスパイ機(U-2はまだ現役です)を取り上げて「小ネタ」を提供してくれています

年末年始のお出かけが難しそうですので、まぁ・・・まったりとご覧ください

約5分半の映像です


●U-2 Dragon Lady初号機はわずか9か月で完成
冷戦真っ盛りの1955年7月に初飛行したU-2高高度偵察機だが、冷戦下での緊迫感もあり、発注から初飛行まで、僅か9か月弱しか要しなかった。 僅かな開発製造期間ではあったが、行動半径3000nmの範囲を、ソ連の地対空ミサイル射程高度以上の7万フィートで偵察飛行できる画期的な性能を発揮した

●超音速偵察機SR-71機体製造用のチタンはソ連から
SR-71.jpg音速の3倍で飛行するSR-71の機体表面は900度近くの高温となるため、希少金属チタンを使用した特殊な機体材料を使用することとなったが、米国産チタンは純度が不足していたため、CIAが欧州に複数のダミー会社を設立し、世界中から良質のチタンを買い集めることとした

その結果、複数のルートで確保できたSR-71機体用チタンは、ほとんどがソ連産のものとなった。ソ連国内やソ連の海外派遣部隊を偵察するための航空機製造に、ソ連産の材料が使用される皮肉な結果となった

●試験空域エリア51はスパイ機開発用に準備された
今もUFO目撃情報や宇宙人捕獲のうわさが絶えない立ち入り禁止の試験飛行空域「エリア51」だが、公開された政府文書から、U-2偵察機開発のためにルーズベルト大統領が1955年に命じて設けられた試験エリアだと明らかになっている

●SR-71超音速偵察機は世界最速の実用有人機
SR-71初号機が納入されてから約1年後の1963年7月、高度78000フィート(国際線民航機の2倍以上)で音速の3倍(マック3)での巡航飛行を達成し、これが作戦巡航速度・高度となっている。この記録は実用有人機では最速である

1991年に同機が引退する際、カリフォルニアからワシントンDCまでの飛行を行い、1時間4分20秒の記録を残している

●U-2偵察機は当初2年の運用期間を想定
U-2 AI 3.jpg1955年に短期間で初号機が納入されたU-2は、当初2年間程度の運用しか想定されていなかったが、2015年時点で34機が現役(2020年でも25機)として運用されており、運用60年も見据えている
(米空軍は退役させたいようだが米議会の反対もありなかなか・・・。12月15日には、AIにセンサー操作&戦術航法を担当させて初飛行との報道があり、再び注目を集めている)
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Military.com提供の「あなたの知らない5つのポイント:5 things you don't know about」シリーズからは、以下の過去記事のようなテーマをこれまでご紹介してきました

U-2 AI 2.jpg映像自体が削除されているものがほとんどですが、内容を簡単な記事にまとめていますので、ご興味のある方は「読んで」ください

YouTubeで「5 things you don't know about」と検索すると、色々な話題で作成されている同シリーズが出てきますので、クラシックな話題が多いですが、お好きな方はどうぞ・・

映像で5つの視点から学ぶ
「カモフラージュ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-04-16
「米海軍空母」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-25
「核兵器」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-05
「米海軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-27
「米海軍潜水艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-26
「火炎放射器」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-11-2
「負傷者救出ヘリ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-07
「B-2爆撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01
「AK-47ライフル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-28
「原子力潜水艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-07-1

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AIがセンサー操作員を務めるU-2初飛行 [米空軍]

軍用機運用にAI本格活用は初のケースとか
空軍長官や空軍参謀総長が祝いのメッセージを寄せる

U-2 AI 3.jpg15日、加州beale空軍基地をAIセンサー操作員兼ねて戦術航法士を搭乗させたU-2高高度偵察機が離陸し、空軍少佐がAI戦術航法士の指示で機体操縦を担当する中、敵の防空網の状況などをAIが自ら判断してセンサー類を操作し、情報収集する訓練を行いました

米空軍の新技術導入を推進するWill Roper調達担当次官補は、軍用機においてでAIが任務を担当する運用は初めてだととその意義を説明し、チェスや碁の世界で人間の名人を打ち破ってきた「μZeroゲームアルゴリズム」を使用しているとも語っています

U-2 AI.jpg先日も「AIは孤独に情報もなく判断を迫られる指揮官を助ける」との記事でご紹介しましたが、米国防省や各軍種は、AIを前線部隊で受け入れてもらえるよう、戦闘機パイロットとAI操縦者でバーチャル空中戦をやらせてみたり、演習司令部で指揮官の判断を支援する情報整理・選択オプションを提示させたりしてAIの有効性を知らしめる試みを続けています

「AIは孤独に情報もなく判断を迫られる指揮官を助ける」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-27

今回は、1960年代から運用している超ベテラン(空軍は退役させたいと考えている)にAIを組み合わせ、AIの能力を証明しようとの試みでしょう。具体的なAIの活躍状況は報じられていませんが、とりあえず概要をご紹介

16日付Military.com記事によれば
U-2 AI 2.jpg15日にbeale空軍基地から発進したU-2は、名前非公開の第9偵察航空団所属のコールサイン「Vudu」少佐に操縦され、センサー操作員としてAIのコールサイン「ARTUµ」(R2と発音。映画スターウォーズのR2-D2を真似たもの)を搭乗させた
離陸後、「ARTUµ」はセンサー類の操作を担当し、「Vudu」少佐とデータを共有しながら飛行を進めつつ、敵からのミサイル攻撃を想定した演習に臨み、「Vudu」少佐が敵機の状況を目視監視し、「ARTUµ」が敵の発射するミサイルの監視等を担った

AI「ARTUµ」は約50万回のシミュレーション訓練で自らの任務と判断基準を学習し、15日のフライトに備えた。
15日の飛行では、「(緊迫した場面で)U-2のレーダーを、地上の敵防空ミサイル発射機か、自身の防御用に活用するかの判断もこなしていた」とRoper次官補が明らかにしている

U-2 AI 4.jpg今年10月には、グーグルが提供するソフト管理システム「Kubernetes」を使用し、飛行中にU-2のソフトウェアをアップデートする試験に成功していたが、今回の「ARTUµ」導入にも「Kubernetes」が活用された
空軍幹部は、(Kubernetesのような)オープンソース・アーキテクチャーデザインを活用することで、容易に他のシステムにもAIを転用することが可能になる、と今後の可能性を説明している

またRoper次官補は、「ARTUµ」には、チェスや碁の世界で人間の名人を打ち破ってきた「μZeroゲームアルゴリズム」を使用しているが、人間もAIも強みもあれば弱みも持っており、これらを理解したうえでAI活用に進まないと、「algorithmic warfare」とも言われる新時代の戦いで後れを取ってしまうと述べている

Barrett2.jpg15日のU-2飛行に関しBarbara Barrett空軍長官は、「人間操縦者の専門能力と、AI機械学習の融合により可能となった今回の飛行は、国家防衛戦略が求める自立システムへの投資に合致したものであり、AIイノベーションの導入は航空宇宙ドメインを変革するだろう」とコメントしている
Brown空軍参謀総長は「大国との将来戦に勝利するために、デジタル世界で相手を圧倒していることが不可欠である。このためにAIは重要な役割を果たすことを期待されており、今回のU-2飛行に関わったチームを心から誇りに思う。変化を加速せねばならず、米空軍兵士一人一人が限界に挑戦することが求められている」とメッセージを寄せている
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Dunford AFA.jpg中国にAI開発拠点を持つグーグルの製品を活用していて大丈夫かよ! ダンフォード前統合参謀本部議長が退任直前に、「本件でグーグル幹部に直談判する」と記者会見で宣言したのに大丈夫かよ!・・・との声も聞こえてきそうですが、辣腕で名をはせるWill Roper調達担当次官補にお任せしておきましょう

AI関連の開発資金力や人材確保面で、他を圧倒していると言われる中国がどの程度のレベルにあるのか把握していませんが、だれも反対しそうもないU-2偵察機へのAI導入を契機として、米軍関係者のAIへのアレルギー感が少しでも払しょくされれば・・・と思います

まんぐーす自身は、Yahoo検索やYouTubeで、一度検索したテーマ関連の記事や広告ばかりが表示され、人間を偏らせるようなAI活用としか接していないので、なんとなくAI嫌いですが・・・

「Dunford統参議長がグーグルに怒り」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-23

AI関連の記事
「AIは孤独な指揮官を助ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-27
「AIと人間操縦者の実機対決を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-10
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-21
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「突然前倒し?第3回目は太平洋で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-29
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-05

「人工知能シミュレータ提案を募集」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-26
「AI技術を昆虫に学べ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-12-1
「DARPAが新AIプロジェクトを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-11-1
「中露がAI覇権を狙っている」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「2025年にAIで中国に負ける」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-04
「DARPA:4つの重視事項」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08

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無人ウイングマン構想(Skyborg)デモ機製造3企業決定 [米空軍]

2023年実用化を目指して(?)

Skyborg.jpg7日、米空軍は無人ウイングマン構想(Skyborg構想)デモ機を製造する3企業を決定したと発表し、「Boeing」「General Atomics」「Kratos Unmanned Aerial Systems」の名前を挙げて、2021年5月までにプロトタイプ初号機が提供され、同7月に試験飛行を開始すると明らかにしました

3企業は2年間の契約で企業ごとに異なる金額を与えられるようで、「Boeing」が約27億円、「General Atomics」が約15億円、「Kratos Unmanned Aerial Systems」が約40億円との契約金額が公表されています

Skyborg2.jpg発表した米空軍の同計画責任者Dale White准将は、「この決定はgame-changingなSkyborg構想を前進させる大きなステップであり、その運用実験は構想を実現させる場となる」とコメントしました

デモ機製造企業選定は今年5月に開始され、当時は7月にも決定するとされていましたが、12月まで決定が伸びたようです。決定がここまで遅れた原因は不明ですが、候補に挙がっていた「ロッキードマーチン」が落ち、発表から5か月で初号機納入という短さからすると、ロッキードをなだめて納得させるのに時間がかかったのかもしれません(邪推です)

5月末以来ご紹介していない話題ですので、以下では、5月に選定を開始した当時の要求性能など解説記事を再度ご紹介しておきます

5月24日の記事によれば
Skyborg3.jpgこの無人ウイングマン構想は、中国やロシアなどの強固な防空網を持つ敵との本格紛争を想定し、現在は有人機がすべてを担っているISR偵察や攻撃を、安価で撃墜されても経済的負担が少ないながら、人工知能で任務遂行可能な無人機開発を目指すものである
例えばリスクの高いエリアでのISR任務を無人機が担当し、有人機は敵から遠い空域に在空して無人機からの入手情報を基に指揮統制をしたり、無人機が兵器を多量に搭載してシューターの役割を担い、有人機が各種情報を基に無人兵装機を誘導すなど、様々な任務分担が構想されている

具体的に米空軍研究所が、Kratos社と組んで無人ウイングマン機を想定した試験機XQ-58A Valkyrieで空力特性などの飛行試験を既に4回実施しており、この知見もデモ機開発に生かされる
また豪州とボーイング社が組み、米空軍と同様の構想で3機の試験機導入を決めており、その初号機納入式が5月4日に豪首相も参加して派手に行われたばかりだが、この試験機を通じて得られた知見も、当然米空軍とも共有され、無人ウイングマン構想や無人機全体の活用構想成熟に生かされるものと考えられる

XQ-58 Valkyrie.jpg将来的な計画は明示されていないが、2019年末の空軍高官の発言から、プロトタイプ方式で2023年までに無人ウイングマン(Skyborg)を実現する計画だと考えられている

デモ機製造企業の募集で示された無人ウイングマン機(Skyborg)への要求事項は・・・
---無人ウイングマン機(Skyborg)は、大きな戦闘力を発揮しつつも、維持整備の負担を最小限に抑え、現有の有人戦闘機に比して局限されなければならない
---またSkyborg機は、モジュラー式で多様なハードとソフトを搭載可能で、多様な任務に複数のバージョンで対応することを狙っている。またソフトは迅速に全機に対してアップデート可能であることが期待される
---Skyborg機は、繰り返し使用可能で使い捨てを前提としたものではないが、低コストで任務遂行中に失われても損害が軽微な「attritable system」であることを想定している
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夢のある計画・構想ですので、F-35調達に押されて予算が削減されないよう、戦闘機パイロット族のおもちゃにされないよう祈念いたします

米空軍の計画
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-21
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
「空母搭載の小型無人機」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-03
「空軍研究所が関連映像公開」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-3

無人ウイングマンの背景
「日米が協力すべき4分野」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-18
「戦闘機族ボスがNGADを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-28
「CSBAの米空軍将来提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「連接重視で航空アセット削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「次期制空機検討は急がない、急げない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-19
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05

豪州の取り組み関連
「試験用初号機納入式典」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-05-1
「豪州とボーイングが共同で」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-2

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KC-46給油機の恒久対策は2024年以降に [米空軍]

期待値小の暫定対策ソフト改修にボーイングと合意した模様
ハード交換を伴う恒久対策を現在細部精査中
日本も4機導入するのですが・・・

KC-46A9.jpg11月24日、米空軍省の調達全般を取り仕切るWill Roper次官補が、米空軍の重要事業KC-46空中給油機の給油操作表示装置(RVS:remote vision system)の不具合解消について、ソフト改修による当面の暫定対策案の評価を終了し、本丸である2023-24年から実施予定の恒久対策(RVS2.0の搭載)に向けて本格的に進むと語りました

KC-10やKC135の老朽化が進み維持費が高騰して必要機数確保が困難になる中、また対中国で空中給油が極めて重要になる中、米空軍の最重要事業として2017年に初号機導入の予定だったものが2年遅れ、更に納入後の運用試験で上記トラブルの他に、機内への部品やごみの放置、燃料漏れ、貨物ロック装置の不具合など複数のトラブルで更に運用開始が遅れている状態のKC-46です

KC-46 Boom3.jpgRVSは、従来の給油機では給油捜査員が機体後方の窓から直接相手機を目視確認しながら給油を行っていたところ、KC-46では初めて機体後方のカメラ映像を操縦席内の給油捜査員がモニター画面上で見ながら操作する方式を追求していますが、相手機との遠近感が掴みにくい、夜間は相手機が見にくい、太陽光の角度によっては操作が困難等の不具合が現場から噴出し、実際の試験では給油棒(ブーム)で相手機に引っかき傷をつけてステルス塗装を損傷させる等の問題が多発していました

KC-46A1.jpgこの問題については、米空軍とボーイング間で協議が難航し「要求性能を満たしている」かどうかで1年半近く言い争いが続き、空軍参謀総長がボーイング社の乗り込んで直談判する等を経て、2020年4月に「ソフト改修の暫定対策」と「ハード改修追加を伴う恒久対策」の2段階で行う方向で両者が合意していたところです

しかし今日ご紹介する記事からすると、効果が限定的な「ソフト改修の暫定対策」内容についてしぶしぶようやく合意し、2023-24年からやっと開始の恒久対策についてやっとオプションを出そろい、今後地上試験を経て最終決定する「まだまだ」の段階です

25日付米空軍協会web記事によれば
Roper.jpg24日、Roper次官補は内容の確認が完了して合意した「ソフト改修の暫定対策」について、「いくつかのソフト上の機能を追加導入してRVSの機能改善を図るが、根本的に捜査員の視界を改善したり、劇的な変化が得られるものではない」と表現し、真に部隊運用にとって重要な恒久対策(RVS2.0の搭載)に今後は本腰を入れて取り組んでいくと語った
4月に合意した恒久対策には、追加のカメラ、表示ディスプレー、レーザー距離測定装置等々を含むハードウェアの根本変更が含まれていると同次官補は説明した

恒久対策の現状について同次官補は、「おおむねすべての側面の設計レビューを完了した」と述べ、残っている重要側面として、操縦席内で給油捜査員が確認しつつ操作する表示ディスプレーについて、2つの最終オプションを精査して今後1つに絞り込むと現状を説明した
2つのオプションは
---HDテレビに似た高精細液晶タイプの画面
---平行に配置したミラースクリーン、または訓練シミュレータで使用の大きな丸いスクリーン

KC-46A2.jpg2つのオプションを精査して絞り込んだのち、地上の操縦席を模した試験装置に表示装置を設置し、米空軍の要求に応える装置であるかを確認する
今年4月のボーイングとの合意上では、米空軍が地上で確認し納得した場合、2023年までに12機分の改修装置キットをボーイングが提供し、2024年から機体製造ラインへの投入が始まる予定となっている

Roper次官補は「恒久対策(RVS2.0の搭載)は、現在のRVS1.0とは全く異なる印象を受けており、前線兵士のニーズに応えられる新しい革新的プログラムである」、「新プログラムに取り組むことに喜びを感じている」と語った
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KC-46 Boom4.jpg日本の航空自衛隊も4機導入を決定しているKC-46なので、チマチマと状況をフォローしております

コロナの影響で航空業界への影響は甚大で、ボーイングは需要が確実な軍事分野が唯一の安定収入でしょうから、誠実に取り組んでほしいものです

それにしても、導入は2024年以降となる模様で、ざっと5-6年の遅れとなります。空中給油の民間委託の話も出ていますが、現場の苦労がしのばれます・・

KC-46関連の記事
「今度は燃料漏れ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-31-1
「やっぱりだめで更に1年遅れ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-04
「重大不具合について3月に手打ち!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-21
「空軍トップが新CEOに改善要求」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
「ついに空中給油の民間委託検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-15
「貨物ロックに新たな重大不具合」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-12
「海外売り込みに必死なボーイング」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-22-1
「米空軍2度目の受領拒否」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-1
「機体受領再開も不信感・・・」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-1
「米空軍がKC-46受け入れ中断」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-3
「不具合付きの初号機受領」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-12-2
「初号機納入が更に遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20
「10月納入直前に不具合2つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19
「10月に初号機納入を発表」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-22
「開発が更に遅れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-11-1

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米空軍が「つなぎ」の空中給油機KC-Yに着手へ [米空軍]

KC-46Aが「KC-X」で、つなぎ機が「KC-Y」で
本格次世代給油機が恐らくステルス性のある「KC-Z」
つなぎ機はまた、KC-46とA330で対決!?
年末には関連企業に情報提供要求RFI発出か

KC-46A9.jpg10月27日、米空軍輸送コマンド司令官Jacqueline Van Ovost大将がオンライン講演で、KC-46A空中給油機と現在検討中の次世代給油機の間を埋める「つなぎ給油機:bridge tanker」の要求性能を検討中であるが、開発を伴わない商用機をベースとし、民間委託で国内給油訓練用に使用するとの考えを明らかにしました

米空軍の給油機は、179機が2027年までに製造されるKC-46を「KC-X」、「つなぎ給油機:bridge tanker」を「KC-Y」、そして将来の環境に備えたステルスや無人・自律性を追求する可能性がある次世代給油機「KC-Z」との体形で整備される方向となっており、「つなぎ」の「KC-Y」は、KC-46が製造を修了する2027年頃から、運用70年となる老朽KC-135の後継として導入が想定されている給油機です

A330 MRTT4.jpgKC-46製造終了後から、老朽KC-135の代替として導入を開始するためには、2022年度予算に具体的経費を盛り込む必要があり、そのためには今年2020年末にも関連企業に情報提供要求RFIを出すタイミングにあるようで、年末に向けて動きがありそうです

報道によれば、米空軍の構想する「つなぎ機」の対象となりえるのは、「KC-X」を巡って数回機種選定をやり直す泥沼を戦ったボーイングのKC-46Aと、ロッキード&エアバス社提案のA330 MRTTを多少改修した機体になりそうで、胸騒ぎの予感です

繰り返しますが、「KC-Y」の「つなぎ給油機:bridge tanker」は実戦投入しない国内での米軍機訓練用で、民間業者にその運用を委託する空中給油機です

3日付米空軍協会web記事によれば
Ovost3.JPG10月27日、空輸空中給油協会のイベントで講演したOvost米空軍輸送コマンド司令官は、老朽化が進むKC-135給油機の後継としての位置づけで、「KC-Y」とも言われる「つなぎ給油機:bridge tanker」を「完全にオープンな競争入札方式」で選定する方針で、「KC-Z」と言われる次世代空中給油機までの「つなぎ」として考えていると語った
同司令官は「空軍長官も空中給油機部隊への継続的な投資にコミットしており、我々はつなぎ給油機獲得に向け、機種選定作業に進む」と述べ、まもなく運用開始から70年を迎え維持整備費が高騰しているKC-135の後継としてつなぎ機を考えていると説明した

「つなぎ機」について輸送コマンド報道官は、新たな開発を伴わない既存の証明済みの航空機で、KC-46Aの製造終了後から直ちに導入可能なスケジュールに対応可能な機体を求めていると説明しており、KC-46製造が終了する2027年から「つなぎ機」導入を目指すこととなるだろう
このような米空軍の要求に対応可能な給油機は、KC-46AとA330 MRTT(Multi-Role Tanker Transport)をベースとしたものしか実質存在せず、ボーイングとロッキード&エアバス社チームはこれら既存機体を米空軍の要求に応じ改良して提案することを予期してい

KC-135 4.jpg米空軍は、つなぎ機の後の次世代給油機「KC-Z」の検討も行っており、同司令官は「自立性、パイロットの在り方、ステルス性の必要性など基本要求事項について検討している」と述べる一方で、「つなぎ機」は老朽給油機の後継となる全く別の狙いを持っていると説明している
「つなぎ機」について同司令官は、「実戦展開はなく、米国内での訓練を担い、給油を受ける米軍航空機が即応態勢を維持するために貢献する」と説明している

「KC-X」の座を巡って2011年前後でKC-46とA330 MRTTが争い、KC-46が選定された際は、A330は機体が大きく、多様な基地での受け入れが難しいことも要因となっていたが、大型の機体で輸送力も同時に確保したいとの希望も根強くあり、大型機KC-10の後釜として期待する声も空軍内には存在する
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KC-46 Boom4.jpg最近米空軍では、仮設敵機部隊(通称アグレッサー)の運用も一部民間委託を始めており、兵士の増員が期待できない中で「民間委託」分野が広がっています

泥沼の機種選定を3回もやり直したKC-46AとA330 MRTTをベースとした機体で再び機種選定を行うとの見通しですが、大丈夫なんでしょうか??? 米空軍のことながら、心配になります

2016年当時のKC-X,Y,Zの考え方
「空中給油機後継プラン」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-09-22

選定やり直し3回:KC-46機種選定の泥沼
「KC-X決定!泥沼回避可能か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25

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