デジタル設計の旗手T-7練習機開発が1年遅れへ [米空軍]
部隊提供は2023年予定から2024年夏に延期か
飛行制御ソフトと射出座席等の問題が障害に
事故多発の60年経過T-38練習機の後継遅れが・・・
12月12日米空軍報道官は、デジタル設計技術を駆使した迅速な開発&部隊配備をアピールし、2023年中に量産型の提供を開始するとしていたT-7A練習機について、飛行制御ソフト開発や射出座席開発のトラブルにより、量産型提供開始が1年程度遅れて2024年夏頃になる見積もりだと明らかにしました
2018年に5つの提案から「ボーイングとSaab」チーム提案が選定された次期練習機T-7Aは、使用開始から60年以上が経過して最近事故が多発している約400機のT-38練習機後継として早期配備を求められ、既存成熟技術を総動員した迅速開発の期待に相当程度答えてきましたが、完全に計画通りにはいかないようです
遅れの主原因とされた2つの問題の内、「飛行制御ソフト問題」はこれまでの原因究明とソフト改修で対処を終え、2023年第一四半期から飛行試験を再開する予定で、2021年末の試験で発覚したもう一つの「射出座席問題」も、一応の改善対策を行って2023年第一四半期から試験を再開するとのことです
T-7A練習機の射出座席は、従来の米空軍機の射出座席が60-70年代のパイロットの平均体格(結果として男性の体格)データから設計されていたところ、パイロット不足もあり、女性も含む空軍入隊資格基準を満たす者が搭乗できるように大幅な設計見直しを行っていた装備で、米会計検査院GAO等から「リスクの高い困難な開発」と以前から指摘されていた案件です
米空軍としては、1年程度の遅れであれば、これまで順調だったこともあり「誤差の範囲」としたいところでしょうが、機体平均年齢60歳以上のT-38練習機に最近4年間だけでも10件の重大事故が発生し、今年11月には胴体着陸と離陸直後の制御不能事案が2件連続する状況に余裕がないのが現状です。また稼働時間より整備修理時間が長い、維持整備面での部隊負担が重い点も重くのしかかっているようです。
デジタル設計技術は、実機による飛行試験や各種確認&開発期間の短縮とコスト削減、また開発段階における設計審査等のペーパーワークの削減面で大いに期待されており、T-7Aの遅れを持って「傷がつく」とは思いたくありませんし、B-21新型爆撃機もデジタル設計を大いに活用していることから、デジタル設計の発展応用には今後も楽しみに注目していきたいと思います(詳しいことを全く理解していませんが・・・)
まぁ・・・B-787や大統領専用機やKC-46Aで散々な目にあい、加えてコロナウイルスで瀕死の状態にあるボーイング社にこれ以上の負担は酷な気がすることもあり、T-7A練習機のトラブル早期解決と武運長久を祈念申し上げます
T-7A練習機(T-X計画)関連の記事
「デジタル設計技術で審査短縮や新規参入促進」→https://holylandtokyo.com/2022/08/23/3550/
「T-7に中東諸国も関心」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-20
「ボーイング提案をT-Xに採用」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-28
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飛行制御ソフトと射出座席等の問題が障害に
事故多発の60年経過T-38練習機の後継遅れが・・・

2018年に5つの提案から「ボーイングとSaab」チーム提案が選定された次期練習機T-7Aは、使用開始から60年以上が経過して最近事故が多発している約400機のT-38練習機後継として早期配備を求められ、既存成熟技術を総動員した迅速開発の期待に相当程度答えてきましたが、完全に計画通りにはいかないようです
T-7A練習機の射出座席は、従来の米空軍機の射出座席が60-70年代のパイロットの平均体格(結果として男性の体格)データから設計されていたところ、パイロット不足もあり、女性も含む空軍入隊資格基準を満たす者が搭乗できるように大幅な設計見直しを行っていた装備で、米会計検査院GAO等から「リスクの高い困難な開発」と以前から指摘されていた案件です


まぁ・・・B-787や大統領専用機やKC-46Aで散々な目にあい、加えてコロナウイルスで瀕死の状態にあるボーイング社にこれ以上の負担は酷な気がすることもあり、T-7A練習機のトラブル早期解決と武運長久を祈念申し上げます
T-7A練習機(T-X計画)関連の記事
「デジタル設計技術で審査短縮や新規参入促進」→https://holylandtokyo.com/2022/08/23/3550/
「T-7に中東諸国も関心」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-20
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米空軍が3回連続ARRW極超音速兵器試験に成功 [米空軍]
初期の連続失敗を克服し、実用兵器のプロトタイプで初成功
米国防省は最優先指定も、空軍は生暖かく取り組み中
12月9日、米空軍が取り組む2種類の極超音速兵器(爆撃機発射型ARRWと戦闘機発射型HACM)の一つであるARRWが、実戦配備を意識したプロトタイプの発射試験に加州沖合で初成功しました。これで今年5月と7月に続く、3回連続の発射試験成功となり、2021年の3回連続失敗の汚名を返上しつつあります
ロッキード社とのプロトタイプ開発契約で進むARRW(Air-Launched Rapid Response Weapon)は、爆撃機B-52に搭載して発射され、ロケットブースターで加速して音速の5倍以上に達した後、エンジンの無い弾頭のみが分離され滑空して目標に向かう極超音速兵器で、比較的射程が短いことから、固定の高価値目標を比較的近距離から攻撃することを想定した兵器と言われています
もう一方のHACM(Hypersonic Attack Cruise Missile)は、弾頭と極超音速飛行用スクラムジェットが一体化しており、戦闘機に搭載され発射する方式で、爆撃機を他の戦略目標に対して指向させ、戦闘機で一刻を争う高価値の標的を狙うオプションを提供して戦術的柔軟性を作戦司令官に提供することを狙いとしており、2021年9月に3度目の正直で基礎試験に成功し、2022年11月末にレイセオン社とプロトタイプ開発契約を約180億円で締結しています
ARRWは、2021年に4月7月12月に3回連続して発射母機であるB-52から分離しなかったりエンジン点火に失敗していましたが、今年5月からは3回連続で成功し、12月5日の週にはルイジアナ州Barksdale空軍基地で、ARRWをB-52爆撃機に搭載する手順を固める地上確認も行われ、装備化の可否を判断する確認を確実に進めているところです
ただKendall空軍長官は、航空機から発射する極超音速兵器には慎重姿勢を見せており、完成してもその高価格や役割から保有兵器数は「small」になると2022年2月末に発言し、その理由として・・・
●米国を遠ざけたい中国と、中国抑止用に同兵器を考えている米国とでは、同兵器の位置づけは異なり、中国と同様に米国が追求する必要は必ずしもない。
●空軍の空中発射型は航空機で発射地点まで運搬する必要があり、前方基地や前方配備艦艇から発射可能な他軍種の同兵器より不利な位置にある
●極超音速兵器は有効だが、米空軍が攻撃すべき目標を攻撃する唯一の手段ではない。高価で費用対効果や他の要素からも、慎重に投資を検討する必要あり。低速度の巡航ミサイルは安価で、ステルス性や敵防空網への妨害と組み合わせれば有効で、総合的に将来の兵器体系を考える必要がある
●少なくとも初期型の同兵器は固定目標対処用になるが、米国は多数の移動目標に対処する必要があり、同兵器の必要程度を点も注意を要する
・・・等と訴えており、極超音速兵器を最優先事項だとする国防省との温度差が厳然と存在しています
///////////////////////////////////////////
「●」でご紹介したKendall空軍長官の主著には一理あり、今後の米陸海軍の極超音速兵器開発も含めて眺めていきたいと思います。
米軍の極超音速兵器開発
「空軍長官:高価な同兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「国防省が空軍に改善提言」→https://holylandtokyo.com/2022/02/10/2670/
「国防次官:同兵器は最優先事項だ」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「米海軍潜水艦への極超音速兵器は2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19
「米陸軍の極超音速兵器部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-14
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-28
「最近の状況整理&米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「豪州とも協力」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-01
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-28
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31
極超音速兵器からの防御検討
「迎撃技術開発に2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/
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米国防省は最優先指定も、空軍は生暖かく取り組み中

ロッキード社とのプロトタイプ開発契約で進むARRW(Air-Launched Rapid Response Weapon)は、爆撃機B-52に搭載して発射され、ロケットブースターで加速して音速の5倍以上に達した後、エンジンの無い弾頭のみが分離され滑空して目標に向かう極超音速兵器で、比較的射程が短いことから、固定の高価値目標を比較的近距離から攻撃することを想定した兵器と言われています

ARRWは、2021年に4月7月12月に3回連続して発射母機であるB-52から分離しなかったりエンジン点火に失敗していましたが、今年5月からは3回連続で成功し、12月5日の週にはルイジアナ州Barksdale空軍基地で、ARRWをB-52爆撃機に搭載する手順を固める地上確認も行われ、装備化の可否を判断する確認を確実に進めているところです
●米国を遠ざけたい中国と、中国抑止用に同兵器を考えている米国とでは、同兵器の位置づけは異なり、中国と同様に米国が追求する必要は必ずしもない。

●極超音速兵器は有効だが、米空軍が攻撃すべき目標を攻撃する唯一の手段ではない。高価で費用対効果や他の要素からも、慎重に投資を検討する必要あり。低速度の巡航ミサイルは安価で、ステルス性や敵防空網への妨害と組み合わせれば有効で、総合的に将来の兵器体系を考える必要がある

・・・等と訴えており、極超音速兵器を最優先事項だとする国防省との温度差が厳然と存在しています
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「●」でご紹介したKendall空軍長官の主著には一理あり、今後の米陸海軍の極超音速兵器開発も含めて眺めていきたいと思います。
米軍の極超音速兵器開発
「空軍長官:高価な同兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「国防省が空軍に改善提言」→https://holylandtokyo.com/2022/02/10/2670/
「国防次官:同兵器は最優先事項だ」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「米海軍潜水艦への極超音速兵器は2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19
「米陸軍の極超音速兵器部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-14
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-28
「最近の状況整理&米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「豪州とも協力」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-01
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-28
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31
極超音速兵器からの防御検討
「迎撃技術開発に2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/
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米空軍「family of systems」の自立無人機CCAを提言 [米空軍]
ミッチェル研究所が空軍、産業界等から意見を聴取して
謎の「family of systems」をB-21絡みで検討提言
第1弾「突破型攻撃3パターン」に必要な自立無人機提言
米空軍協会ミッテル研究所が、将来の本格紛争で必要不可欠な要素として米空軍が細部非公開のまま検討中としている自律型無人機(ACP:autonomous collaborative platforms)について、台湾有事など対中国を念頭に必要な同無人機のタイプや必要数を検討分析するレポートをまとめて段階的に発表する模様で、第1弾が「突破型攻撃:Penetrating Strike」をテーマに12月14日にプレゼンが行われる予定です
このレポート作成に当たり同研究所は、夏に米空軍幹部や作戦運用関係者や軍需産業界関係者など40名以上を集めた3日間の集中検討会を行い、その結果を研究所のMark Gunzinger退役大佐らがまとめたとのことですが、米空軍が非公開で進める有人戦闘機や爆撃機と一体となって作戦遂行する「family of systems」の一部をなす無人機について、空軍応援団体とは言え民間研究機関と空軍関係者が共に缶詰検討会「unclassified workshop」を行ってまとめる構図やレポートの位置づけが意味深なところです(世論や専門家の反応を見る「のろし」かな?)
有人戦闘機や爆撃機と一体となって作戦遂行する「family of systems」には有人支援機も含まれるでしょうが、有人戦闘機とチームを組む無人機ウイングマンのイメージでご紹介してきたXQ-58等のCCA(collaborative combat aircraft)などを含む、より広い概念の自立型無人機ACPにはどんなタイプが何機必要かを考えるのがレポートのテーマです
今回は検討レポート発表の第1弾として、B-21新型爆撃機による「突破型攻撃:Penetrating Strike」を支える「family of systems」に含まれるべき自立型無人機ACPのタイプや必要機数を、3つの目標攻撃ケース「air base」「maritime threat」「transporter erector launcher:移動式弾道ミサイルなど発射機」に分けて検討したとのことです
検討の前提として、無人機ACPの能力や必要機数について制限は設けなかったとのことですが、40名の専門家議論の結果として、「極端に高性能な無人戦闘機や無人爆撃機」を求める声は上がらなかったと8日付米空軍協会web記事は伝えており、
3つの攻撃目標ケースに応じ多少意見は異なるものの、大きく3つのタイプ、攻撃パッケージを防御する「Defensive counterair ACP」、移動する敵アセットを追尾する「ISR ACP」、敵防空システムを無効化する「SEAD、Jamming、 offensive counterair ACP」が必要とされ、攻撃目標に応じた必要機数を算出しています
上記web記事によれば結論の機数は以下の通り
Air base attack
• ACP 1: Escort, 8
• ACP 2: SEAD, 16 initially, increased to 32
• ACP 3: Jamming, 8
Maritime threat
• ACP 1: Defensive counterair, 40
• ACP 2: ISR, communications relay, 10
• ACP 3: Strike, 20
Transporter erector launcher
• ACP 1: Escort, suppression of enemy air defenses, 10
• ACP 2: ISR, Suppression of enemy air defenses (SEAD), offensive counterair, 144 (24 per bomber)
• ACP 3: ISR, SEAD, offensive counterair, 120 (20 per bomber)
更に第1弾レポートは以下を主張の模様
●提案された自立型無人機ACPは、大部分が航続距離が数千マイルで、爆撃機等から発進するタイプ
●自立型無人機ACPの数を確保する必要から、個々のACPの性能についてはそれほど高いものは求めない
●特に「敵の航空基地攻撃」の場合、敵の防空能力が高いことから、最新の爆撃機でも目標近傍まで接近して精密誘導兵器を発射する必要があり、ACPを多数投入しても爆撃機のリスクをあまり下げられない
●在空型で目標に突入攻撃を行う「loitering munitions」タイプのACPの重要性もレポートは訴え
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第一弾レポート発表会(12月14日)案内ページ
→https://mitchellaerospacepower.org/event/research-paper-release-the-next-frontier-uavs-for-great-power-conflict-part-i-penetrating-strike/
米空軍の非公開検討との関係がどうしても気になりますが、12月14日の第1弾発表会には、米空軍戦闘コマンドACCの計画部長や米空軍開発担当コマンドの戦闘機等担当准将が参加するそうです。
ミッチェル研究所によるレポートが、第1弾の「突破型攻撃:Penetrating Strike」以降、どのようなテーマを掲げて発表されていくのか未公開のようで気になりますが、まずは14日の第1弾注目です
米空軍の無人機検討格上げへ
「無人機自立化と群れ技術を作戦機で装備化へ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/
無人機僚機Skyborg計画関連
「2機種目MQ-20 Avengerで成功」→https://holylandtokyo.com/2021/07/08/1983/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「豪州もXQ-58に参画」→https://holylandtokyo.com/2020/05/06/664/
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
無人機の群れGolden Horde計画関連
「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holylandtokyo.com/2020/10/12/430/
「SkyborgとGolden Horde計画を優先に」→https://holylandtokyo.com/2019/12/06/2838/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
謎の「family of systems」をB-21絡みで検討提言
第1弾「突破型攻撃3パターン」に必要な自立無人機提言


有人戦闘機や爆撃機と一体となって作戦遂行する「family of systems」には有人支援機も含まれるでしょうが、有人戦闘機とチームを組む無人機ウイングマンのイメージでご紹介してきたXQ-58等のCCA(collaborative combat aircraft)などを含む、より広い概念の自立型無人機ACPにはどんなタイプが何機必要かを考えるのがレポートのテーマです

検討の前提として、無人機ACPの能力や必要機数について制限は設けなかったとのことですが、40名の専門家議論の結果として、「極端に高性能な無人戦闘機や無人爆撃機」を求める声は上がらなかったと8日付米空軍協会web記事は伝えており、

上記web記事によれば結論の機数は以下の通り
Air base attack
• ACP 1: Escort, 8
• ACP 2: SEAD, 16 initially, increased to 32
• ACP 3: Jamming, 8
Maritime threat
• ACP 1: Defensive counterair, 40
• ACP 2: ISR, communications relay, 10
• ACP 3: Strike, 20
Transporter erector launcher
• ACP 1: Escort, suppression of enemy air defenses, 10
• ACP 2: ISR, Suppression of enemy air defenses (SEAD), offensive counterair, 144 (24 per bomber)
• ACP 3: ISR, SEAD, offensive counterair, 120 (20 per bomber)
更に第1弾レポートは以下を主張の模様

●自立型無人機ACPの数を確保する必要から、個々のACPの性能についてはそれほど高いものは求めない
●特に「敵の航空基地攻撃」の場合、敵の防空能力が高いことから、最新の爆撃機でも目標近傍まで接近して精密誘導兵器を発射する必要があり、ACPを多数投入しても爆撃機のリスクをあまり下げられない
●在空型で目標に突入攻撃を行う「loitering munitions」タイプのACPの重要性もレポートは訴え
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第一弾レポート発表会(12月14日)案内ページ
→https://mitchellaerospacepower.org/event/research-paper-release-the-next-frontier-uavs-for-great-power-conflict-part-i-penetrating-strike/

ミッチェル研究所によるレポートが、第1弾の「突破型攻撃:Penetrating Strike」以降、どのようなテーマを掲げて発表されていくのか未公開のようで気になりますが、まずは14日の第1弾注目です
米空軍の無人機検討格上げへ
「無人機自立化と群れ技術を作戦機で装備化へ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/
無人機僚機Skyborg計画関連
「2機種目MQ-20 Avengerで成功」→https://holylandtokyo.com/2021/07/08/1983/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「豪州もXQ-58に参画」→https://holylandtokyo.com/2020/05/06/664/
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
無人機の群れGolden Horde計画関連
「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holylandtokyo.com/2020/10/12/430/
「SkyborgとGolden Horde計画を優先に」→https://holylandtokyo.com/2019/12/06/2838/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
B-21爆撃機を米軍事メディアはどう報じたか [米空軍]
唯一突っ込んだ観察記事を書いた某編集長の記事より
この道30年John A. Tirpak氏の見方
12月2日の夕刻に初披露されたB-21爆撃機に関し、あまりに新たな情報の公開が無かったので、米軍事メディアもこれまでの情報をまとめて改めて紹介する程度の記事しか出ていませんが、まんぐーすの知る限りで、唯一少しは突っ込んだ観察記事を書いているのが米空軍協会機関誌「Air & Space Force Magazine」編集長のJohn A. Tirpak氏ですので、「つまみ食い」紹介いたします
12月2日付で初披露会場周辺等で聞き取りした内容を、そして5日付で正面からのみ遠目で観察した結果から「B-2爆撃機との8つの違い」との記事を米空軍協会webサイトに発表していますので、取り上げます
12月2日付記事によれば
●オースチン国防長官はスピーチで、「B-21は他の爆撃機より長い航続距離を誇り、作戦遂行地域に拠点を構えて整備支援を受ける必要がなく、(世界中の)どの目標にも対応可能である。最先端の防空システムであってもB-21を探知することに苦労するだろう」
●Andrew Hunter空軍調達担当次官補は、「デジタル設計技術を駆使して、デジタル空間内で既に完成度を高めており、試験用の6機を製造中だが、6機すべてが量産用機体とほぼ同じと考えており、テスト後6機すべてが作戦投入用に部隊配備される」
●国防省高官「『中国の軍事力レポート2022版』発表とB-21の初披露がほぼ同時期に行われたのは、偶然ではないと考えられるだろう」
●NG社幹部は会場で、「B-2よりステルス性に優れ、ステルス塗装の維持整備性や信頼性でもB-2より優れており、毎日でも完全ステルスモードで飛行できるだろう」、「B-2で機体の継ぎ目等を隠すために使用していた特別なテープが、B-21では不要になった」
●Brown空軍参謀総長は式典前に記者団に、「B-21はhigh cycle aircraftであり、at great frequencyで任務飛行可能だ」
12月5日付記事「B-2爆撃機との8つの違い」によれば
1 Intake(空気取り入れ口)
●B-2に比較し、エンジンへの空気取り入れ口が細く、機体からの盛り上がりも小さい。十分な空気取り込みが可能か素人は懸念するが、大気の流れを乱さない小さな取り込み口は、大気の流れを乱さず十分な空気取り込みを可能にする
●2018年にRob Wittman下院議員が、B-21は空気取り入れ口からエンジンまでの空気の流れで課題に直面しており、エンジン製造のP&W社とステルス形状確保を優先する設計側で議論が行われていると、極秘の情報に言及して物議を醸した
2 機体の大きさ
●B-21の機体サイズが非公開で、初披露時も正面からしか確認できなかったので正確なB-2との比較は難しいが、B-21がB-2より小さい。翼部分の長さがB-2の150フィートに対し、22フィートは短い
3 機体の厚み
●B-21はB-2より機体の厚さがあり、より大きな兵器搭載庫や燃料タンクが搭載できると推測できる
●期待を支える足が長く、B-2より機体の高さが高い。ちなみに車輪のタイヤは、B-2が4個だったが、B-21は2個である
4 機体表面の滑らかさ
●B-2はステルス性を上げるため、機体表面の滑らかさ確保に苦労して継ぎ目にテープ等を貼る等の対策を行っていたが、B-21表面はキャノピー部分も含め、テープなど使用することなく極めて滑らかに仕上がっている
5 操縦席の窓
●B-21操縦席の窓は、特殊な形状の2枚の台形型と横長の2枚の窓からできており、機体との段差が全く確認できないような一体化が図られている
6 着陸用足を格納するドア
●B-2のようなギザギザ形状のドアではなく、B-21はシンプルな形状のドアとなっている
7 機体先端のくちばし
●B-2には機体の先端にくちばしのように見える形状が見られたが、B-21でも同様な形状が確認でき、B-2より長く平らな印象を受けた
8 機体の色
●B-2爆撃機は夜間作戦を想定して「FS 36118 Gunship Gray」色を機体に採用していたが、B-21はそれよりも少し明るい色で、恐らく「FS36375 Light Compass Ghost Gray」色を採用し、昼間の可視光や赤外線放射の低下を狙っているように見える
機体の後方が確認できず、「エンジンを何機搭載しているか?」さえ明らかになっていないが、開発関係者によれば、出来る限り長く隠せるものは隠す方針の様である。
ただし、屋外でのエンジンテストや地上滑走、更に初飛行を行えば高性能レンズで待ち構えるメディアやマニアにより、様々な角度から機体が撮影されることは時間も問題であり、様々な更なる分析が行われるであろう
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クリスマス前の「記事枯れ」の時期で、しつこくB-21爆撃機をご紹介しています。
B-21に関する過去記事も含め、ご覧ください
最近のB-21関連記事
「映像で紹介:B-21初披露式典」→https://holylandtokyo.com/2022/12/05/4015/
「B-21を10の視点でご紹介:NG社事前リリースより」→https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/
「12月2日に初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/10/24/3796/
「初披露は12月第1週に」→https://holylandtokyo.com/2022/09/22/3695/
「初飛行は2023年にずれ込み」→https://holylandtokyo.com/2022/05/23/3269/
「製造企業CEOが80億円ゲットと」→https://holylandtokyo.com/2022/05/16/3202/
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この道30年John A. Tirpak氏の見方

12月2日付で初披露会場周辺等で聞き取りした内容を、そして5日付で正面からのみ遠目で観察した結果から「B-2爆撃機との8つの違い」との記事を米空軍協会webサイトに発表していますので、取り上げます
12月2日付記事によれば

●Andrew Hunter空軍調達担当次官補は、「デジタル設計技術を駆使して、デジタル空間内で既に完成度を高めており、試験用の6機を製造中だが、6機すべてが量産用機体とほぼ同じと考えており、テスト後6機すべてが作戦投入用に部隊配備される」
●国防省高官「『中国の軍事力レポート2022版』発表とB-21の初披露がほぼ同時期に行われたのは、偶然ではないと考えられるだろう」

●Brown空軍参謀総長は式典前に記者団に、「B-21はhigh cycle aircraftであり、at great frequencyで任務飛行可能だ」
12月5日付記事「B-2爆撃機との8つの違い」によれば
1 Intake(空気取り入れ口)

●2018年にRob Wittman下院議員が、B-21は空気取り入れ口からエンジンまでの空気の流れで課題に直面しており、エンジン製造のP&W社とステルス形状確保を優先する設計側で議論が行われていると、極秘の情報に言及して物議を醸した
2 機体の大きさ
●B-21の機体サイズが非公開で、初披露時も正面からしか確認できなかったので正確なB-2との比較は難しいが、B-21がB-2より小さい。翼部分の長さがB-2の150フィートに対し、22フィートは短い
3 機体の厚み

●期待を支える足が長く、B-2より機体の高さが高い。ちなみに車輪のタイヤは、B-2が4個だったが、B-21は2個である
4 機体表面の滑らかさ
●B-2はステルス性を上げるため、機体表面の滑らかさ確保に苦労して継ぎ目にテープ等を貼る等の対策を行っていたが、B-21表面はキャノピー部分も含め、テープなど使用することなく極めて滑らかに仕上がっている
5 操縦席の窓
●B-21操縦席の窓は、特殊な形状の2枚の台形型と横長の2枚の窓からできており、機体との段差が全く確認できないような一体化が図られている
6 着陸用足を格納するドア
●B-2のようなギザギザ形状のドアではなく、B-21はシンプルな形状のドアとなっている
7 機体先端のくちばし

8 機体の色
●B-2爆撃機は夜間作戦を想定して「FS 36118 Gunship Gray」色を機体に採用していたが、B-21はそれよりも少し明るい色で、恐らく「FS36375 Light Compass Ghost Gray」色を採用し、昼間の可視光や赤外線放射の低下を狙っているように見える

ただし、屋外でのエンジンテストや地上滑走、更に初飛行を行えば高性能レンズで待ち構えるメディアやマニアにより、様々な角度から機体が撮影されることは時間も問題であり、様々な更なる分析が行われるであろう
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クリスマス前の「記事枯れ」の時期で、しつこくB-21爆撃機をご紹介しています。
B-21に関する過去記事も含め、ご覧ください
最近のB-21関連記事
「映像で紹介:B-21初披露式典」→https://holylandtokyo.com/2022/12/05/4015/
「B-21を10の視点でご紹介:NG社事前リリースより」→https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/
「12月2日に初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/10/24/3796/
「初披露は12月第1週に」→https://holylandtokyo.com/2022/09/22/3695/
「初飛行は2023年にずれ込み」→https://holylandtokyo.com/2022/05/23/3269/
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KC-46A空中給油機が36時間連続飛行 [米空軍]
米本土北部大西洋岸からグアム往復
搭乗3クルーが16回交代で2回空中給油受け
有事生じる膨大な空中給油要求に応えるための模索
RVSやBoom問題は2025-26年まで解決しないが・・・
11月18日、米空軍輸送コマンドは米北東部大西洋沿岸の基地を離陸したKC-46A空中給油機が、11月16~17日にかけ米本土を横断してハワイやグアム上空まで飛行し、途中でF-22に空中給油するなど36時間・16000NM以上の連続飛行で離陸基地に戻ることに成功したと発表しました。
米空軍輸送コマンド(AMC)はMike Minihan大将が2021年10月に司令官に就任以来、今年5月には同機で24時間連続飛行を行い、9月には「第1級不具合」であるRVSと給油ブーム問題を抱えつつも世界中での作戦投入にゴーサインを出し、更に10月25日にはパイロット1名によるKC-46運用試験飛行を行い、様々な意見がある中で膨大な対中国での空中給油要求に応えるための限界を探る挑戦を続けています
何度もしつこくご紹介しているように、KC-46空中給油機は国防省や米軍にとって理想的な「固定価格契約」(契約時の設定価格を上回って生じたコストは企業負担になる)でスタートしましたが、エアバス社のA330原型給油機との泥沼の機種選定3回を繰り返す中でボーイングが無理な企業提案を行い、結果として3年遅れの2020年に機体提供開始後も、上記問題以外も含めた多数のトラブルに見舞われて、改善措置完了が2026年にまでずれ込む問題プロジェクトになっています
ボーイング社のKC-46関連「自腹超過負担額」も7000億円を上回る規模に膨れ上がっており、民間機部門期待のB-787墜落事故やコロナ航空不況、加えて大統領専用機の「背伸びしすぎ受注」もあり、大変厳しい企業運営を迫られており、11月中旬に同社軍事部門の大規模組織再編を打ち出しているところです
米空軍にとっても、米本土から遠く離れた西太平洋地域での対中国作戦を見据え、KC-135やKC-10給油機の老朽化で維持費が高騰する中、KC-46の早期運用態勢確立は作戦運用上の最優先課題の一つでしたが、当初2018年には運用開始予定が2022年9月まで4年以上遅れ、その上「第1級不具合」を抱えたままの「見切り発車」状態を受け入れた形となっています。
しかしそんな中でもMike Minihan司令官は、「不具合による運用制限の中でも、乗員や整備員に必要な訓練や各種手順の改善徹底を図ることで、リスクを抑えて実戦運用に提供可能だ。我々には今必要でなんだ。今の戦いに敗北すれば将来は無い」と悲壮な決意を隠すことなく堂々と語り、今年9月に作戦投入宣言を行ったところです
同時に前職が太平洋軍副司令官で対中国作戦の難しさを知り尽くしたMinihan司令官は、KC-46の最大能力発揮のため、様々な事前訓練やメディカル面での検証や配慮を行いつつ、連続飛行時間延伸の試みや「操縦者1名・給油操作員1名」での運用などに挑戦を続け、最前線の要求に対応しようと模索を続けています
今回の36時間連続飛行の概要は
●ニューハンプシャー州Pease州空軍基地を離陸し、米本土を横断してハワイ沖でF-22への空中給油を行い、日付変更線を超えグアム島近海に進出した後に引き返してPease基地に帰還
●3組の乗員(パイロット、給油操作員、机上整備員)が搭乗し、36時間の中で16回交代しつつ連続飛行を継続
●36時間の中で、別のハワイを離陸したKC-46給油機から2回の空中給油を受けて連続飛行を継続
●機体には航空医官(flight surgeon)が同乗し、飛行中の操縦者等の身体データをNASAも採用しているアプリを用いて継続測定し、身体反応速度や疲労度などの結果分析から、現在の連続飛行制限などの見直しや必要な対策検討に利用する
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C-130輸送機やKC-10空中給油機パイロットである米空軍輸送コマンド(AMC)Mike Minihan司令官には、今後も注目していきたいと思います。
特に、同司令官は輸送機や給油機だけでなく、他の作戦機にも搭乗員を減らしてローテーション交代での連続運用検討を提案しており、これが米空軍の保守本流である戦闘機族や爆撃機族にどのように対応するのかに興味津々です
なおMinihan司令官は、部隊指揮官ポストについている間は、過去の部隊として又は部隊指揮官として授与された勲章しか制服に着用しない(規則上問題なし)との信念の持ち主として、米空軍内や軍事メディアでも良く知られた人物だそうです
Mike Minihan大将関連の記事
「KC-46を操縦者1人で試行運用」→https://holylandtokyo.com/2022/11/02/3881/
「不具合抱えたままKC-46運用開始宣言」→ https://holylandtokyo.com/2022/09/21/3688/
その他KC-46などの関連記事
「空軍長官:KC-46の固定価格契約は誤り」→https://holylandtokyo.com/2022/06/06/3323/
「KC-XYZの再検討再整理表明」→https://holylandtokyo.com/2022/04/18/3151/
「RVS改修案に合意」→https://holylandtokyo.com/2022/04/27/3181/
「恒久対策は今も未定」→https://holylandtokyo.com/2022/01/13/2605/
「50機目受領も恒久対策未定」→https://holylandtokyo.com/2021/11/22/2424/
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搭乗3クルーが16回交代で2回空中給油受け
有事生じる膨大な空中給油要求に応えるための模索
RVSやBoom問題は2025-26年まで解決しないが・・・
米空軍輸送コマンド(AMC)はMike Minihan大将が2021年10月に司令官に就任以来、今年5月には同機で24時間連続飛行を行い、9月には「第1級不具合」であるRVSと給油ブーム問題を抱えつつも世界中での作戦投入にゴーサインを出し、更に10月25日にはパイロット1名によるKC-46運用試験飛行を行い、様々な意見がある中で膨大な対中国での空中給油要求に応えるための限界を探る挑戦を続けています

ボーイング社のKC-46関連「自腹超過負担額」も7000億円を上回る規模に膨れ上がっており、民間機部門期待のB-787墜落事故やコロナ航空不況、加えて大統領専用機の「背伸びしすぎ受注」もあり、大変厳しい企業運営を迫られており、11月中旬に同社軍事部門の大規模組織再編を打ち出しているところです

しかしそんな中でもMike Minihan司令官は、「不具合による運用制限の中でも、乗員や整備員に必要な訓練や各種手順の改善徹底を図ることで、リスクを抑えて実戦運用に提供可能だ。我々には今必要でなんだ。今の戦いに敗北すれば将来は無い」と悲壮な決意を隠すことなく堂々と語り、今年9月に作戦投入宣言を行ったところです

今回の36時間連続飛行の概要は

●3組の乗員(パイロット、給油操作員、机上整備員)が搭乗し、36時間の中で16回交代しつつ連続飛行を継続
●36時間の中で、別のハワイを離陸したKC-46給油機から2回の空中給油を受けて連続飛行を継続
●機体には航空医官(flight surgeon)が同乗し、飛行中の操縦者等の身体データをNASAも採用しているアプリを用いて継続測定し、身体反応速度や疲労度などの結果分析から、現在の連続飛行制限などの見直しや必要な対策検討に利用する
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特に、同司令官は輸送機や給油機だけでなく、他の作戦機にも搭乗員を減らしてローテーション交代での連続運用検討を提案しており、これが米空軍の保守本流である戦闘機族や爆撃機族にどのように対応するのかに興味津々です

Mike Minihan大将関連の記事
「KC-46を操縦者1人で試行運用」→https://holylandtokyo.com/2022/11/02/3881/
「不具合抱えたままKC-46運用開始宣言」→ https://holylandtokyo.com/2022/09/21/3688/
その他KC-46などの関連記事
「空軍長官:KC-46の固定価格契約は誤り」→https://holylandtokyo.com/2022/06/06/3323/
「KC-XYZの再検討再整理表明」→https://holylandtokyo.com/2022/04/18/3151/
「RVS改修案に合意」→https://holylandtokyo.com/2022/04/27/3181/
「恒久対策は今も未定」→https://holylandtokyo.com/2022/01/13/2605/
「50機目受領も恒久対策未定」→https://holylandtokyo.com/2021/11/22/2424/
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嘉手納F-15の撤退開始:8機?旅立つ [米空軍]
11月1日のF-15撤退開始発表から初の具体的動き
今後2年間かけての撤退第1陣
12月1日米空軍嘉手納基地が、2024年末までに沖縄から撤退すると発表していた48機のF-15C型戦闘機について、第一陣が同基地から飛び立ち、オレゴン州Kingsley Field州空軍基地に向かったと発表しました。
第一陣の機数は明らかにしていませんが、公開された写真には8機が整列して離陸を待つ様子が写っており、太平洋を渡る長距離移動の機数単位としては妥当な機数だと考えられるので、「8機」が嘉手納から撤収したと考えてよいかと思います
1979年秋から嘉手納基地に配備されてきたF-15C/D型戦闘機ですが、10月末に嘉手納F-15の老朽化を理由とした撤退が突然発表され、11月5日までに「当面の穴埋め」としてアラスカから8機のF-22が一時的なローテーション派遣で嘉手納に到着しているところです。
米空軍は、当面は戦闘機のローテーション派遣で穴埋めを行い、恒久的な対応については今後決めると言い続けており、報道ではドイツ配備の米空軍F-16部隊の移転や、将来的には最新第4世代機F-15EXの配備が検討されていると言われていますが、極めて政治的な配慮から来るリップサービスに聞こえてしまうのはまんぐーすだけではないと思います。
嘉手納基地からの米空軍F-15撤退に関連して何度も繰り返し申し上げているように、軍事的合理性から考えれば、また米軍全体で対中国に戦力分散運用で対処しようと取り組んでいることからも明白なように、台湾近傍の米空軍大規模拠点である嘉手納基地が有事に無傷であるはずがないことから、嘉手納基地を根拠基地にして有事に航空戦力を運用することを米軍は全く考えていないと思います
日米同盟や台湾防衛へのコミットメント維持を示す政治的メッセージのため、嘉手納基地に戦闘機や作戦機ローテーション配備や平時のみ配備はあり得るとしても、有事が迫った段階で沖縄から撤退して分散避難することは軍事的には全く正しい判断だと思います
でも、こんなに自明な実態を知ってか知らずか、保守的な日本の論客までもが「F-15よりF-22の方が5世代機で優れている」的な能天気「天然ボケ」コメントをしている日本の現実に寂しいものを感じところです
更に言えば航空自衛隊が、台湾有事に那覇基地配備戦力をどのように運用しようと考えているのかも気になります。あわせて、北日本の三沢基地から配備開始したF-35を、今後どの基地に配備していくのかが気になることろです
嘉手納基地からのF-15撤退関連
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/
「嘉手納でelephant walk」→https://holylandtokyo.com/2022/11/25/3981/
太平洋軍を巡る関係者の発言
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「対中国で米軍配置再検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1
「CSBAの海洋プレッシャー戦略」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
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今後2年間かけての撤退第1陣

第一陣の機数は明らかにしていませんが、公開された写真には8機が整列して離陸を待つ様子が写っており、太平洋を渡る長距離移動の機数単位としては妥当な機数だと考えられるので、「8機」が嘉手納から撤収したと考えてよいかと思います
米空軍は、当面は戦闘機のローテーション派遣で穴埋めを行い、恒久的な対応については今後決めると言い続けており、報道ではドイツ配備の米空軍F-16部隊の移転や、将来的には最新第4世代機F-15EXの配備が検討されていると言われていますが、極めて政治的な配慮から来るリップサービスに聞こえてしまうのはまんぐーすだけではないと思います。

日米同盟や台湾防衛へのコミットメント維持を示す政治的メッセージのため、嘉手納基地に戦闘機や作戦機ローテーション配備や平時のみ配備はあり得るとしても、有事が迫った段階で沖縄から撤退して分散避難することは軍事的には全く正しい判断だと思います
更に言えば航空自衛隊が、台湾有事に那覇基地配備戦力をどのように運用しようと考えているのかも気になります。あわせて、北日本の三沢基地から配備開始したF-35を、今後どの基地に配備していくのかが気になることろです
嘉手納基地からのF-15撤退関連
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「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/
「嘉手納でelephant walk」→https://holylandtokyo.com/2022/11/25/3981/
太平洋軍を巡る関係者の発言
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映像でB-21爆撃機お披露目式典をご紹介 [米空軍]
オースチン国防長官もスピーチの重視ぶり
しかし、ほんの少しの正面だけ「ちら見せ披露」
実質35分間のお披露目の流れ概要
米国西海岸時間12月2日16時(日本時間3日10時)から、B-2披露以来の米軍34年ぶりの大型爆撃機「初披露式:Unveiling Ceremony」が行われ、YouTubeライブ配信が行われましたので、同映像と共に式典の概要をご紹介しておきます
正直申しまして、「・・・えっ、これだけ・・・」との「正面からのみ、距離を取った上で、ちら見せ」のお披露目で、Northrop Grumman社CEOの冒頭あいさつも、サプライズ登場オースチン国防長官によるスピーチも、11月29日にNG社から事前発表されていた、「B-21を10の視点で紹介」声明の内容をアピールするもので、新たな発表はありませんでした。
B-21の特徴を紹介する11月29日のNG社発表
「B-21を10の視点でご紹介:NG社事前リリースより」
→https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/
まぁ、それでも「34年ぶり」の式典でもあり、実質35分間の式典の流れをご紹介しておきます。あくまで「式典の流れ」のご紹介で、あいさつやスピーチの中身は11月29日リリースそのものですので、上記の過去記事をご覧ください。
またYouTube動画の収録のスピーチ等も、ゆっくりとした分かり易い英語ですので、関連過去記事の内容を頭においていただいて視聴いただけると、頭に入ってくると思います。
数か月後には「初飛行」とのことですので、より細部については、それまで待つことといたしましょう
60分だが実質35分:3名のスピーチが柱のB-21お披露目式動画
動画の内容
24分45秒~26分40秒
・ 米国歌の独唱(少しくせ強め)
・ B-52、B-1、B-2爆撃機の会場上空飛行
28分30秒から
・ NG社女性CEOのB-21アピール挨拶
34分から37分20秒
・ 扉が開きベール被ったB-21が現れ、ベールが取り除かれ、牽引車で少し前に前進し披露
37分40秒~
・ Grady統合参謀本部副議長(海軍大将)挨拶と国防長官紹介
42分00秒
・ オースチン国防長官スピーチ「単なる新装備の披露ではない」
54分00秒
・ 再びNG社CEOにより開発製造関係者の紹介
55分40秒 B-21爆撃機が後方に下がり、扉が閉じお披露目終了
「B-21を10の視点でご紹介:NG社事前リリースより」
→https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/
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しかし、ほんの少しの正面だけ「ちら見せ披露」
実質35分間のお披露目の流れ概要

正直申しまして、「・・・えっ、これだけ・・・」との「正面からのみ、距離を取った上で、ちら見せ」のお披露目で、Northrop Grumman社CEOの冒頭あいさつも、サプライズ登場オースチン国防長官によるスピーチも、11月29日にNG社から事前発表されていた、「B-21を10の視点で紹介」声明の内容をアピールするもので、新たな発表はありませんでした。
B-21の特徴を紹介する11月29日のNG社発表
「B-21を10の視点でご紹介:NG社事前リリースより」
→https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/

またYouTube動画の収録のスピーチ等も、ゆっくりとした分かり易い英語ですので、関連過去記事の内容を頭においていただいて視聴いただけると、頭に入ってくると思います。
数か月後には「初飛行」とのことですので、より細部については、それまで待つことといたしましょう
60分だが実質35分:3名のスピーチが柱のB-21お披露目式動画
動画の内容
24分45秒~26分40秒
・ 米国歌の独唱(少しくせ強め)
・ B-52、B-1、B-2爆撃機の会場上空飛行

・ NG社女性CEOのB-21アピール挨拶
34分から37分20秒
・ 扉が開きベール被ったB-21が現れ、ベールが取り除かれ、牽引車で少し前に前進し披露

・ Grady統合参謀本部副議長(海軍大将)挨拶と国防長官紹介
42分00秒
・ オースチン国防長官スピーチ「単なる新装備の披露ではない」

・ 再びNG社CEOにより開発製造関係者の紹介
55分40秒 B-21爆撃機が後方に下がり、扉が閉じお披露目終了
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B-21を製造企業発表の10個の視点からご紹介 [米空軍]
「Roll Out」式典を前にNorthrop Grumman社が事前発表
12月2日のB-21初披露前に頭の整理を
11月29日、B-21爆撃機が初披露される12月2日を前に、Northrop Grumman社(以下NG社)がB-21爆撃機に関する事前情報を「10個の視点」で公表していますので、同日付米空軍協会web解説記事も交えてご紹介いたします。
もちろん、過去7年間の開発製造段階で「秘密のベール」に包まれてきたB-21に関し、驚くような新事実が明らかになったわけではありませんが、B-2爆撃機が初披露されて以来34年ぶりの米軍大型爆撃機のお披露目ですので、その特徴を頭に入れるべく取り上げます
1. Sixth Generation
・「第6世代」との言葉の定義は明確ではないが、NG社は、過去30年間の攻撃機やステルス機技術を投入し、最新ネットワーク技術やオープンアーキテクチャーも導入して、ハイエンド脅威環境で米空軍の任務達成のための緊要な役割を果たすと説明
・ 同時に、あくまでB-21は「family of systems」の一部をなす戦力であり、非公開の他のアセット(有人機や無人機や地上設備や衛星などなど)との連携で任務を果たすとも説明
・ 最近になってKendall空軍長官は、B-21に随伴する自立型無人機の開発を止めたと発言しているが、B-21からのデコイや電子妨害兵器やISR無人機の射出は否定していない
2. Stealth
・ NG社の30年に渡るステルス技術開発(材料および製造技術)の蓄積には、B-2 爆撃機、YF-23 戦闘機プロトタイプ(F-22開発の敗者)、Tacit Blue stealth demonstrator、AGM-137 Tri-Service Standoff Missileの他、非公開の複数の開発案件の経験が含まれている
3. Backbone of the Fleet
・ 新世代の柔軟なデータ融合、センサー技術、兵器搭載能力(核兵器を含む多様なスタンドオフ兵器とスタンドイン兵器の搭載能力)で、最も効率的な航空アセットの一つになる
4. A Digital Bomber
・ 最新のデジタル設計・製造技術を投入し、最新のソフトや先進的な製造技術を最大限に活用することにより、開発設計製造段階での(遅延や費用膨張などの)リスクを局限し、今後の維持整備上の課題にも柔軟に効率的に対応可能
・ また、事前のデジタル試験を経て、初号機が量産型とほぼ同じまで成熟しており、開発から製造までの時間を大幅に短縮
5. Cloud Technology
・ 新たに地上のクラウド空間内に「Digital Twin:実在機体の双子のB-21」を配備し、製造試験段階からの各種データや運用データを蓄積し、部隊運用&維持整備段階における最適かつ効率的な機体管理に貢献する
6. Open Architecture
・ 脅威環境の変化に迅速に対処すべく、最新技術を随時迅速に機体に導入するためのオープンアーキテクチャを一層有効活用するため、機体の能力向上は従来機のような「block upgrades」方式では行わず、切れ目なく最新ソフトやハードの導入を行う
7. A National Team
・ 2015年にNG社が主担当企業としてB-21開発契約を米空軍と締結して以来、米空軍や軍需産業界から総勢8000名以上が関わって設計試験製造を進めてきて来たほか、全米40州の400以上のサプライヤーが今後も安定した機体製造と維持整備を支えて行く
8. Sustainment
・ B-21は、設計段階から安定して効率的で持続可能な維持整備体制の確立を優先事項として開発が進められてきており、航空機の要求性能達成と並行して、稼働率の維持など運用継続性と維持整備費用の妥当性も満たすことを重視してきた
9. Global Reach
・ B-21は、米軍爆撃機の柱として国家抑止戦略の中核を支えるための最新の長距離精密攻撃能力を提供するとともに、最近関係者が強調し始めているように、敵陣深いエリアでの「ISR node能力」、「電子戦能力」、「マルチドメインでのネットワーク能力」面でも任務を遂行して国家抑止に貢献することが期待されている
・
10. Raider
・ B-21の愛称「Raider」は、大平洋戦争時に日本への戦略爆撃に初めて成功し、後の戦いを連合軍優位に導いた、Doolittle中佐率いる80名で構成された16機のB-25爆撃機編隊による「Doolittle Raid」の勇敢な精神を引き継ぐべく採用されたものである(日本人にとっては複雑な思いがあるが・・・)
//////////////////////////////////////////////////////
NG社のweb発表
→ https://news.northropgrumman.com/news/features/10-facts-about-northrop-grummans-b-21-raider?_gl=1*vhlvu6*_ga*MjI3OTU1OTU0LjE2Njk3NjQ5MzQ.*_ga_7YV3CDX0R2*MTY2OTc2NDkzNC4xLjAuMTY2OTc2NDkzNC4wLjAuMA
12月2日(金)の「Roll Out」式で、新たな情報や映像画像が発表されれば追記いたします(元気があれば)。
気になるのは、機種選定時には「100機程度製造」とされていたものが、最近米空軍関係部隊関係者が「170機」必要との声も上がっている総調達機数に関する米空軍の考え方や今後の調達ペースです。更に部隊運用開始見通しについても聞きたいところです。更なる情報を待つことといたしましょう
B-21爆撃機の関連記事
「12月2日に初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/10/24/3796/
「初披露は12月第1週に」→https://holylandtokyo.com/2022/09/22/3695/
「初飛行は2023年にずれ込み」→https://holylandtokyo.com/2022/05/23/3269/
「製造企業CEOが80億円ゲットと」→https://holylandtokyo.com/2022/05/16/3202/
「無人随伴機も鋭意検討中」→https://holylandtokyo.com/2022/03/24/2938/
「6機製造中」→https://holylandtokyo.com/2022/03/01/2711/
「B-21を5機製造中」→https://holylandtokyo.com/2021/09/27/2270/
「下院軍事委員長も絶賛」→https://holylandtokyo.com/2021/06/23/1896/
「格納庫写真から大きさを推定する」→https://holylandtokyo.com/2021/04/07/101/
「初飛行は2022年半ばか」→https://holylandtokyo.com/2021/01/20/302/
「開発状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「2021年12月3日初飛行予告」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-29
「初期設計段階終了」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30
「米空軍の爆撃機体制計画」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2
「2017年3月の状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-20
「B-21に名称決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-27
「敗者の訴え却下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-17
「敗者がGAOに不服申し立て」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-07
「結果発表と分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-28
米空軍爆撃機の話題
「爆撃機管理は今後5-7年が多難」→https://holylandtokyo.com/2021/08/06/2024/
「B-52から重力投下核任務除外」→https://holylandtokyo.com/2020/01/29/877/
「B-1早期引退でB-21推進?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-19
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春時点の爆撃機構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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12月2日のB-21初披露前に頭の整理を

もちろん、過去7年間の開発製造段階で「秘密のベール」に包まれてきたB-21に関し、驚くような新事実が明らかになったわけではありませんが、B-2爆撃機が初披露されて以来34年ぶりの米軍大型爆撃機のお披露目ですので、その特徴を頭に入れるべく取り上げます
1. Sixth Generation

・ 同時に、あくまでB-21は「family of systems」の一部をなす戦力であり、非公開の他のアセット(有人機や無人機や地上設備や衛星などなど)との連携で任務を果たすとも説明
・ 最近になってKendall空軍長官は、B-21に随伴する自立型無人機の開発を止めたと発言しているが、B-21からのデコイや電子妨害兵器やISR無人機の射出は否定していない
2. Stealth
・ NG社の30年に渡るステルス技術開発(材料および製造技術)の蓄積には、B-2 爆撃機、YF-23 戦闘機プロトタイプ(F-22開発の敗者)、Tacit Blue stealth demonstrator、AGM-137 Tri-Service Standoff Missileの他、非公開の複数の開発案件の経験が含まれている
3. Backbone of the Fleet
・ 新世代の柔軟なデータ融合、センサー技術、兵器搭載能力(核兵器を含む多様なスタンドオフ兵器とスタンドイン兵器の搭載能力)で、最も効率的な航空アセットの一つになる
4. A Digital Bomber

・ また、事前のデジタル試験を経て、初号機が量産型とほぼ同じまで成熟しており、開発から製造までの時間を大幅に短縮
5. Cloud Technology
・ 新たに地上のクラウド空間内に「Digital Twin:実在機体の双子のB-21」を配備し、製造試験段階からの各種データや運用データを蓄積し、部隊運用&維持整備段階における最適かつ効率的な機体管理に貢献する
6. Open Architecture
・ 脅威環境の変化に迅速に対処すべく、最新技術を随時迅速に機体に導入するためのオープンアーキテクチャを一層有効活用するため、機体の能力向上は従来機のような「block upgrades」方式では行わず、切れ目なく最新ソフトやハードの導入を行う
7. A National Team
・ 2015年にNG社が主担当企業としてB-21開発契約を米空軍と締結して以来、米空軍や軍需産業界から総勢8000名以上が関わって設計試験製造を進めてきて来たほか、全米40州の400以上のサプライヤーが今後も安定した機体製造と維持整備を支えて行く
8. Sustainment

9. Global Reach
・ B-21は、米軍爆撃機の柱として国家抑止戦略の中核を支えるための最新の長距離精密攻撃能力を提供するとともに、最近関係者が強調し始めているように、敵陣深いエリアでの「ISR node能力」、「電子戦能力」、「マルチドメインでのネットワーク能力」面でも任務を遂行して国家抑止に貢献することが期待されている
・
10. Raider

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NG社のweb発表
→ https://news.northropgrumman.com/news/features/10-facts-about-northrop-grummans-b-21-raider?_gl=1*vhlvu6*_ga*MjI3OTU1OTU0LjE2Njk3NjQ5MzQ.*_ga_7YV3CDX0R2*MTY2OTc2NDkzNC4xLjAuMTY2OTc2NDkzNC4wLjAuMA

気になるのは、機種選定時には「100機程度製造」とされていたものが、最近米空軍関係部隊関係者が「170機」必要との声も上がっている総調達機数に関する米空軍の考え方や今後の調達ペースです。更に部隊運用開始見通しについても聞きたいところです。更なる情報を待つことといたしましょう
B-21爆撃機の関連記事
「12月2日に初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/10/24/3796/
「初披露は12月第1週に」→https://holylandtokyo.com/2022/09/22/3695/
「初飛行は2023年にずれ込み」→https://holylandtokyo.com/2022/05/23/3269/
「製造企業CEOが80億円ゲットと」→https://holylandtokyo.com/2022/05/16/3202/
「無人随伴機も鋭意検討中」→https://holylandtokyo.com/2022/03/24/2938/
「6機製造中」→https://holylandtokyo.com/2022/03/01/2711/
「B-21を5機製造中」→https://holylandtokyo.com/2021/09/27/2270/
「下院軍事委員長も絶賛」→https://holylandtokyo.com/2021/06/23/1896/
「格納庫写真から大きさを推定する」→https://holylandtokyo.com/2021/04/07/101/
「初飛行は2022年半ばか」→https://holylandtokyo.com/2021/01/20/302/
「開発状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「2021年12月3日初飛行予告」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-29
「初期設計段階終了」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30
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「敗者の訴え却下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-17
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米空軍爆撃機の話題
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嘉手納米空軍が所属機勢ぞろいで勢力誇示 [米空軍]
「カラ元気」に見えてしまうのは私だけ?
淡々と軍事的合理性で行動(F-15撤収)すればいいのに
脅威の変化を日米国民に学んでもらうチャンスなのに
11月22日、老朽化で退役のためF-15戦闘機48機が今後数年間で撤退し、代替戦力は未定で、とりあえずアラスカからF-22戦闘機が8機ほど展開してきている米空軍嘉手納基地で、基地所属機5機種28機と展開中の8機のF-22が滑走路に勢ぞろいし、「elephant walk」との戦力誇示滑走路上行進を行いました
代替戦力は良くてF-15EXかドイツから移転するF-16戦闘機で、恐らく時々やってくるローテーション派遣部隊でしょうし、戦力が派遣されていたとしても、中国に近接する紛争初動で無効化される可能性が極めて高い嘉手納基地から、有事直前に戦力が中国大陸から離れた安全な場所に撤退することは「軍事的合理性」から当然であり、ローテーション派遣戦力は「同盟国の世論対策」や「米国のコミットメントの言い訳」と考えるのが自然です
それでも米空軍の応援団体である米空軍協会のwebサイト記事は、この「elephant walk」がオースチン国防長官と中国国防相(政治的力がない軍人国防相)の初会談当日に行われたとか、11月10日から19日まで実施された日米統合演習(Keen Sword 23:自衛隊2.6万人、米軍1万人、艦艇30隻、航空機370機が参加し、今回はオブザーバとして豪州とカナダの対潜哨戒機柿1機も参加)に引き続き実施されたとか、この航空戦力誇示行進をアピールしています
アラスカから展開中の8機のF-22戦闘機以外で、
嘉手納基地所属機約80機からの参加は・・・
・23機のF-15C戦闘機
・2機のHH-60G救難救助機
・各1機のE-3早期警戒管制機、KC-135空中給油機、RC-135電波情報収集機
・・・でした。
////////////////////////////////////////////////////
冒頭に書いたように、対中国最前線にある日本国民が知り、心構えを作るべきは、今の周辺国の兵器体系で紛争が起こった時に起こり得る事態のイメージをです。
戦闘機による空中戦などは半世紀前の世界の話であって、精密誘導兵器が飛び交い、サイバー戦や電子戦で装備運用が大いに影響を受ける世界のイメージです。前線での戦闘と後方支援の区別のない広域が戦いに巻き込まれる世界です
嘉手納基地からのF-15撤退関連
「米空軍幹部発言や構想から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/
太平洋軍を巡る関係者の発言
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「アジア太平洋地域で基地増設を検討中」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-28
「対中国で米軍配置再検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1
「CSBAの海洋プレッシャー戦略」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「PACAFが緊急避難訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-27
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「岩田元陸幕長の発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-09
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淡々と軍事的合理性で行動(F-15撤収)すればいいのに
脅威の変化を日米国民に学んでもらうチャンスなのに

代替戦力は良くてF-15EXかドイツから移転するF-16戦闘機で、恐らく時々やってくるローテーション派遣部隊でしょうし、戦力が派遣されていたとしても、中国に近接する紛争初動で無効化される可能性が極めて高い嘉手納基地から、有事直前に戦力が中国大陸から離れた安全な場所に撤退することは「軍事的合理性」から当然であり、ローテーション派遣戦力は「同盟国の世論対策」や「米国のコミットメントの言い訳」と考えるのが自然です

アラスカから展開中の8機のF-22戦闘機以外で、
嘉手納基地所属機約80機からの参加は・・・
・23機のF-15C戦闘機
・2機のHH-60G救難救助機
・各1機のE-3早期警戒管制機、KC-135空中給油機、RC-135電波情報収集機
・・・でした。
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戦闘機による空中戦などは半世紀前の世界の話であって、精密誘導兵器が飛び交い、サイバー戦や電子戦で装備運用が大いに影響を受ける世界のイメージです。前線での戦闘と後方支援の区別のない広域が戦いに巻き込まれる世界です
嘉手納基地からのF-15撤退関連
「米空軍幹部発言や構想から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/
太平洋軍を巡る関係者の発言
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「アジア太平洋地域で基地増設を検討中」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-28
「対中国で米軍配置再検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1
「CSBAの海洋プレッシャー戦略」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「PACAFが緊急避難訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-27
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「岩田元陸幕長の発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-09
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無人機自立化と群れ技術を作戦機での装備化へ [米空軍]
基礎技術確認を終え、2023年度から本格開発へ
2024年度予算案で具現化の方向をより明確に
11月10日付米空軍協会web記事は、無人機自立運用の技術開発「Skyborg計画」と無人機の群れ技術開発「Golden Horde計画」が成果を上げ基礎開発段階の終わりを迎えつつあり、2023年から具体的なCCA(Collaborative Combat Aircraft)開発プログラム(program of record)に昇格して具体的な装備化を目指す、とのKirsten J. Baldwin米空軍科学技術開発担当次官補の発言を紹介しています
CCA(Collaborative Combat Aircraft)とは、有人作戦機と無人機が「緩やかな編隊」を構成し、有人機操縦者や地上からの指示を受けつつ、自律的に飛行して任務を遂行する無人僚機(ウイングマン機)を開発しようとのプロジェクトで、対中国作戦で数千とも万とも言われる多数の目標対処に必要な剛撃能力が圧倒的に不足する課題を克服し、かつ敵の強固な防空網での作戦で人的損耗を抑制することが狙いの開発プロジェクトです
「Skyborg計画」と「Golden Horde計画」は、共に2019年に優先投資を受ける重要開発案件「Vanguard program」に選定された3件の中の二つで、良く開発状況がわからないながら、こ断片的にお伝えしてきたところです
2019年12月の記事で、同計画発表時の計画の狙い等を確認すると
「Skyborg計画」は・・・
●無人機が戦闘空域でISRや攻撃を、有人の戦闘機や他の航空機に随伴し、有人機からの任務割り当て指示を基礎に、無人機自身で状況を判断して任務を遂行可能とする人工知能AIの開発
「Golden Horde計画」は・・・
●敵を混乱させるために既存兵器を群れとして使用する自立制御(autonomy)の検討。あくまで人が事前に指定した目標群にのみ対処する「交戦規程を徹底させたセミ自立」を狙うもの
●群れがネットワーク化され、共同して機能し、敵をリアルタイムで把握して対応し、敵の反応に応じて最大の効果を発揮して任務遂行を可能にする群れ制御技術開発
●我の状況の変化や攻撃プランが機能しないと判断した場合は、事前リストの中から次善の目標を捜索し、最善の兵器を再選択し、行動を変更して任務を柔軟に遂行する。例えば共に作戦予定の他編隊の離陸が遅れた場合、互いにネットワーク上で連携を取り、先行編隊が遅れた編隊を待って同時攻撃を作為する等の自律的な行動も期待
Baldwin担当次官補代理が今回明らかにしたのは、
●「Skyborg計画」と「Golden Horde計画」は最終段階を迎えつつあり、各計画で成熟された要素技術を融合させ、2023年には米空軍の戦闘機と先進航空機プログラム開発責任者Dale R. White准将の監督の元、CCA(Collaborative Combat Aircraft)プログラムとして正式開発計画に格上げして進める
●「Skyborg計画」については、これまでXQ-58 ValkyrieやUTAP-22 Mako無人機で自立飛行ソフトのテストを行ってきたが、2023年に別の機体で応用デモ試験を行い、センサー、兵器運用、電子戦攻撃、飛行訓練パターン飛行を確認し、教訓をCCAプログラムに提供したいと考えている
●「Golden Horde計画」についても、例えばSDB(Small Diameter Bomb)の群れ実験を通じ、無人機単独ではなく群れとして、相互に機体が連携して任務を遂行するかを検討し、様々に変化する状況にいかに対応するかを煮詰めてきた
●それら成果を「Golden Horde Colosseum」との仕組みで取りまとめ、テストした以外の兵器や新兵器に成果に取り込むため、設計環境やデジタルモデリング環境を提供している
またBaldwin担当次官補代理は・・
●新たに「Vanguard program」に選ばれた優先投資開発プロジェクトである、ロケットによる物資輸送「Rocket Cargo」構想について言及し、民間企業が実現しているロケットの垂直着陸技術を少しアレンジすることで、大陸間の長距離物資輸送を実現する可能性があり、Kendall空軍長官も推奨するプロジェクトとして推進している
//////////////////////////////////////////////
関連過去記事でご紹介しているように、「Skyborg計画」については豪州も参加して進められているようですが、「Golden Horde計画」は2020年秋頃に壁にぶつかり、学界や民間企業に関連技術や知見の提供を依頼する状況に追い込まれていたところです。その後、持ち直したのか細部不明ですが・・
無人機や無人機の「群れ」の活用は必要な研究開発事項ですが、対中国正面の活動拠点確保が困難なエリアで、どこからどのように作戦空域に投入するかも大きな課題です。これは有人機にも当てはまる大きな課題で、戦闘機クラスに突き付けられた大問題です。10年以上前から指摘されてきた課題ですが・・・
Skyborg計画関連
「2機種目MQ-20 Avengerで成功」→https://holylandtokyo.com/2021/07/08/1983/
「Skyborg構想の頭脳ACSで初飛行2時間」→https://holylandtokyo.com/2021/05/17/1489/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holylandtokyo.com/2020/05/24/679/
「豪州もXQ-58に参画」→https://holylandtokyo.com/2020/05/06/664/
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
Golden Horde計画関連
「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holylandtokyo.com/2020/10/12/430/
「SkyborgとGolden Horde計画を優先開発に」→https://holylandtokyo.com/2019/12/06/2838/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
2024年度予算案で具現化の方向をより明確に


「Skyborg計画」と「Golden Horde計画」は、共に2019年に優先投資を受ける重要開発案件「Vanguard program」に選定された3件の中の二つで、良く開発状況がわからないながら、こ断片的にお伝えしてきたところです
2019年12月の記事で、同計画発表時の計画の狙い等を確認すると
「Skyborg計画」は・・・
●無人機が戦闘空域でISRや攻撃を、有人の戦闘機や他の航空機に随伴し、有人機からの任務割り当て指示を基礎に、無人機自身で状況を判断して任務を遂行可能とする人工知能AIの開発
「Golden Horde計画」は・・・

●群れがネットワーク化され、共同して機能し、敵をリアルタイムで把握して対応し、敵の反応に応じて最大の効果を発揮して任務遂行を可能にする群れ制御技術開発
●我の状況の変化や攻撃プランが機能しないと判断した場合は、事前リストの中から次善の目標を捜索し、最善の兵器を再選択し、行動を変更して任務を柔軟に遂行する。例えば共に作戦予定の他編隊の離陸が遅れた場合、互いにネットワーク上で連携を取り、先行編隊が遅れた編隊を待って同時攻撃を作為する等の自律的な行動も期待
Baldwin担当次官補代理が今回明らかにしたのは、

●「Skyborg計画」については、これまでXQ-58 ValkyrieやUTAP-22 Mako無人機で自立飛行ソフトのテストを行ってきたが、2023年に別の機体で応用デモ試験を行い、センサー、兵器運用、電子戦攻撃、飛行訓練パターン飛行を確認し、教訓をCCAプログラムに提供したいと考えている

●それら成果を「Golden Horde Colosseum」との仕組みで取りまとめ、テストした以外の兵器や新兵器に成果に取り込むため、設計環境やデジタルモデリング環境を提供している
またBaldwin担当次官補代理は・・

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無人機や無人機の「群れ」の活用は必要な研究開発事項ですが、対中国正面の活動拠点確保が困難なエリアで、どこからどのように作戦空域に投入するかも大きな課題です。これは有人機にも当てはまる大きな課題で、戦闘機クラスに突き付けられた大問題です。10年以上前から指摘されてきた課題ですが・・・
Skyborg計画関連
「2機種目MQ-20 Avengerで成功」→https://holylandtokyo.com/2021/07/08/1983/
「Skyborg構想の頭脳ACSで初飛行2時間」→https://holylandtokyo.com/2021/05/17/1489/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holylandtokyo.com/2020/05/24/679/
「豪州もXQ-58に参画」→https://holylandtokyo.com/2020/05/06/664/
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
Golden Horde計画関連
「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holylandtokyo.com/2020/10/12/430/
「SkyborgとGolden Horde計画を優先開発に」→https://holylandtokyo.com/2019/12/06/2838/
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ビジネスジェット改良の通信中継機増強中 [米空軍]
現有3機に加え2機増強、最終的には9機体制へ
本格紛争への投入可能性は不明ですが・・・
11月9日付米空軍協会web記事が、米空軍がビジネスジェット機を改良した通信中継機E-11Aを追加で2機Northrop Grumman社(NG社)と契約し、現在運用中の3機と合わせて5機体制に向かっている報じています
通信中継機E-11は、Bombardier社製のビジネスジェットGlobal Express 6000/BD-700に、NG社製のBACN機器(Battlefield Airborne Communications Nodeシステム)を搭載した機体で、2021年1月に米空軍とNG社が契約を結んで製造開始したもので、今後毎年1機を調達して合計9機体制を目指しているということです
また米空軍は、高高度無人偵察機RQ-4 Global HawkにBACN機材を搭載したEQ-4B を2018年頃から運用して4機保有していすが、米空軍RQ-4が退役を開始したのに合わせEQ-4Bも引退させようとしています
NG社は現存する米空軍BACN搭載機をすべて提供していますが、これまでに合計20万時間以上の飛行任務実績を積み重ねており、「近接航空支援CAS軍事作戦任務のほか、空輸物資投下、兵士救出、人道支援のカギとなる指揮統制を提供している」と今回の2機契約に際し声明を出しています
具体的には、アフガニスタン作戦における山岳地域での空地連携で、山にさえぎられて通信が途絶えがちな地形克服に重要な役割を果たしたほか、互いにデータシステムが全く異なるF-22とF-35の空中でのデータ共有を可能にする中継器としても大きな存在感を発揮しているようです
米空軍は2021年に次世代のBACN機器開発をNG社に契約しており、地上拠点との連携強化や個人装備との連接性強化、4世代機と5世代機のデータ共有能力向上、高い脅威下でも機能するGPSシステム、Link-16、最新の航法装置、機器の信頼性や性能向上、更に機体の残存性を高める自己防御能力強化を目指して開発が始まっているとのことです
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科学技術やIT技術が進歩しても、電波が直進する性質を変えることができないことから、各種データを前線兵士や操縦者と指揮所でリアルタイムで共有して戦いを優位に進めようとする米軍にとって、「通信中継」の役割は極めて重要なのでしょう。ご紹介している写真にはレドームが飛び出したような機体と普通のビジネスジェット機タイプの2つがありますが、両タイプがあるようです
E-11Aの他にも、KC-46A空中給油機に通信中継能力を付与する試験が行われていたり、MQ-9に通信中継を担わせる試みがあったりと、「空飛ぶwifi :wifi in the sky」との愛称で呼ばれるE-11Aへの需要は高まるのでしょう。
そうとは認識しつつも、対中国作戦が予期される台湾周辺や西太平洋で、元がビジネスジェット機であるE-11Aの使用は想定されているのでしょうか? アフガンなど大陸とは異なり、海洋作戦が多くを占める西太平洋では、衛星通信が重要視されるような気がします
通信中継機能も期待される機体には
「MQ-25A艦載無人空中給油機」→https://holylandtokyo.com/2021/09/17/2250/
「KC-46A空中給油機」→https://holylandtokyo.com/2020/01/17/868/
「64日間連続飛行の太陽光無人機」→https://holylandtokyo.com/2022/08/30/3585/
「無人ウイングマン機XQ-58」→https://holylandtokyo.com/2021/04/09/103/
「C-17輸送機でも」→https://holylandtokyo.com/2020/07/10/569/
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本格紛争への投入可能性は不明ですが・・・

通信中継機E-11は、Bombardier社製のビジネスジェットGlobal Express 6000/BD-700に、NG社製のBACN機器(Battlefield Airborne Communications Nodeシステム)を搭載した機体で、2021年1月に米空軍とNG社が契約を結んで製造開始したもので、今後毎年1機を調達して合計9機体制を目指しているということです

NG社は現存する米空軍BACN搭載機をすべて提供していますが、これまでに合計20万時間以上の飛行任務実績を積み重ねており、「近接航空支援CAS軍事作戦任務のほか、空輸物資投下、兵士救出、人道支援のカギとなる指揮統制を提供している」と今回の2機契約に際し声明を出しています

米空軍は2021年に次世代のBACN機器開発をNG社に契約しており、地上拠点との連携強化や個人装備との連接性強化、4世代機と5世代機のデータ共有能力向上、高い脅威下でも機能するGPSシステム、Link-16、最新の航法装置、機器の信頼性や性能向上、更に機体の残存性を高める自己防御能力強化を目指して開発が始まっているとのことです
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E-11Aの他にも、KC-46A空中給油機に通信中継能力を付与する試験が行われていたり、MQ-9に通信中継を担わせる試みがあったりと、「空飛ぶwifi :wifi in the sky」との愛称で呼ばれるE-11Aへの需要は高まるのでしょう。
そうとは認識しつつも、対中国作戦が予期される台湾周辺や西太平洋で、元がビジネスジェット機であるE-11Aの使用は想定されているのでしょうか? アフガンなど大陸とは異なり、海洋作戦が多くを占める西太平洋では、衛星通信が重要視されるような気がします
通信中継機能も期待される機体には
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「KC-46A空中給油機」→https://holylandtokyo.com/2020/01/17/868/
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仰天!米空軍作戦部長に特殊作戦部隊一筋の人物が [米空軍]
代々戦闘機パイロットが占めてきたポストに
特殊作戦ヘリMH-53Jのパイロットが候補に
ACE構想での少人数多機能運用変革に期待か?
11月16日、バイデン大統領が米軍高級幹部人事案を明らかにし、戦闘機パイロットが代々務めてきた米空軍司令部の作戦部長(deputy chief of staff for operations)に、特殊作戦ヘリMH-53J操縦者でペンタゴン勤務がほとんどない、現在米空軍特殊作戦コマンド司令官であるJames C. “Jim” Slife中将が推薦され大きな話題となっています
末尾にリンク掲載の同中将のご経歴を見て頂ければわかりますが、特殊作戦ヘリ操縦者として部隊経験を積み、その後は米中央軍や米特殊作戦コマンドや空軍特殊作戦コマンドで各種指揮官とスタッフを務め、将官になった2013年夏以降は、2015年から2年間の在韓米軍参謀長を除き、
米中央軍計画部長や特殊作戦コマンドの参謀長や副司令官等を歴任しており、米空軍高級幹部の「王道キャリア」である戦闘機パイロットとは全く異なる空軍人生を歩んできた人物です。ちなみに退役予定の現在の空軍作戦部長Joseph T. Guastella中将は、F-16で4000時間(戦闘任務1000時間)の「王道キャリア」の方です
なぜ空軍作戦部長に従来とは全く異なる経歴の人物が推挙されたのか、もちろん国防省や米空軍は説明してくれませんが、11月16日付米空軍協会web記事は、以下のようなSlife中将の仕事ぶりや業績に触れ、Brown空軍参謀総長が推進するACE構想(agile combat employment)推進に不可欠な、多様な能力を備えた少人数での部隊分散運用の態勢づくりを託しての人事ではないかと推測しています
16日付米空軍協会web記事によればSlife中将は
●現在の空軍作戦部長が中心となり導入した、6か月単位で空軍部隊の海外派遣や母基地での訓練などを設定し、24か月で一巡するようなローテーション方式に関し、Slife中将は空軍特殊作戦軍の状況からこの改革に大いに賛同し、その利点をアピールしている
●各軍種に分かれている特殊作戦部隊を一元管理すべきとの意見が根強くあるが、Slife中将はこれに大反対の姿勢を明確にしており、一元管理は一見効率的に見えるが、部隊に負荷がかかる場面では細かな管理ができず戦力不足が顕在化すると主張している
●この問題意識は、米空軍参謀総長Brown大将が推進するACE(agile combat employment)構想の鍵となる、分散運用先で少数兵士による航空戦力運用を可能にするための「兵士の多能力化」の実現に重要だと認識されており、Slife中将が特殊作戦軍で推進した「Mission Sustainment Teams」(異なる職種兵士で構成されるチーム)の考え方が有効だと期待されている可能性がある
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米空軍協会web記事のSlife中将紹介部分は理解しづらい内容ではありますが、米空軍の「王道キャリア」を積んだ戦闘機パイロットには無いものを米空軍は必要としている・・・・とも解釈できます
この人事は米議会上院の承認が必要ですが、中間選挙後の米議会は多忙だとのことで、正式承認が来年1月にずれ込み可能性があるとのことですが、これは本当に大きな人事だと思います
米空軍だけでなく、世界の空軍が「あれッ???」と驚き、その背景を考え、自らを振り返る貴重な機会となれば・・・と思います
James C. Slife中将のご経歴
→ https://www.af.mil/About-Us/Biographies/Display/Article/467467/james-c-jim-slife/
現在のGuastella作戦部長が登場する記事
「航空機維持費増で飛行時間削減へ」→https://holylandtokyo.com/2021/07/07/1965/
米空軍の将来作戦コンセプトACE関連記事
「ACE構想生みの親が語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「米空軍がACEドクトリン発表」→https://holylandtokyo.com/2021/12/17/2532/
「欧州米空軍がACE構想の確認演習」→https://holylandtokyo.com/2021/10/27/2317/
「GuamでF-35とF-16が不整地離着陸」→https://holylandtokyo.com/2021/01/29/310/
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
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特殊作戦ヘリMH-53Jのパイロットが候補に
ACE構想での少人数多機能運用変革に期待か?

末尾にリンク掲載の同中将のご経歴を見て頂ければわかりますが、特殊作戦ヘリ操縦者として部隊経験を積み、その後は米中央軍や米特殊作戦コマンドや空軍特殊作戦コマンドで各種指揮官とスタッフを務め、将官になった2013年夏以降は、2015年から2年間の在韓米軍参謀長を除き、

なぜ空軍作戦部長に従来とは全く異なる経歴の人物が推挙されたのか、もちろん国防省や米空軍は説明してくれませんが、11月16日付米空軍協会web記事は、以下のようなSlife中将の仕事ぶりや業績に触れ、Brown空軍参謀総長が推進するACE構想(agile combat employment)推進に不可欠な、多様な能力を備えた少人数での部隊分散運用の態勢づくりを託しての人事ではないかと推測しています
16日付米空軍協会web記事によればSlife中将は

●各軍種に分かれている特殊作戦部隊を一元管理すべきとの意見が根強くあるが、Slife中将はこれに大反対の姿勢を明確にしており、一元管理は一見効率的に見えるが、部隊に負荷がかかる場面では細かな管理ができず戦力不足が顕在化すると主張している
●この問題意識は、米空軍参謀総長Brown大将が推進するACE(agile combat employment)構想の鍵となる、分散運用先で少数兵士による航空戦力運用を可能にするための「兵士の多能力化」の実現に重要だと認識されており、Slife中将が特殊作戦軍で推進した「Mission Sustainment Teams」(異なる職種兵士で構成されるチーム)の考え方が有効だと期待されている可能性がある
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この人事は米議会上院の承認が必要ですが、中間選挙後の米議会は多忙だとのことで、正式承認が来年1月にずれ込み可能性があるとのことですが、これは本当に大きな人事だと思います
米空軍だけでなく、世界の空軍が「あれッ???」と驚き、その背景を考え、自らを振り返る貴重な機会となれば・・・と思います
James C. Slife中将のご経歴
→ https://www.af.mil/About-Us/Biographies/Display/Article/467467/james-c-jim-slife/
現在のGuastella作戦部長が登場する記事
「航空機維持費増で飛行時間削減へ」→https://holylandtokyo.com/2021/07/07/1965/
米空軍の将来作戦コンセプトACE関連記事
「ACE構想生みの親が語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「米空軍がACEドクトリン発表」→https://holylandtokyo.com/2021/12/17/2532/
「欧州米空軍がACE構想の確認演習」→https://holylandtokyo.com/2021/10/27/2317/
「GuamでF-35とF-16が不整地離着陸」→https://holylandtokyo.com/2021/01/29/310/
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
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欧州演習で初披露:輸送機からミサイル投下攻撃 [米空軍]
2021年12月の@メキシコ湾以来の実発射試験
輸送機のミサイル投下母機使用に賛否渦巻く中
米空軍は様々なオプション求め推進中
11月9日、米特殊作戦軍所属のMC-130J Commando II特殊作戦機が、貨物庫からパレットに乗せられたJASSM-ER空対地スタンドオフミサイルを投下して攻撃する試験をノルウェーの演習場で実施し、海外で初めて成功したと欧州米特殊作戦軍がTwitter発表(発表は10日)しました
輸送機からのミサイル投下は、「Rapid Dragon計画」とのプロジェクト名で2年前に開始されたばかりの取り組みですが、極めて順調だとプロジェクト責任者の米空軍研究所AFRLのDean Evans氏はアピールし、2021年12月のメキシコ湾での試験以来の実射成功に自信を深めているようです
試験は、米軍と欧州諸国が参加する恒例の演習「Atreus」(今回は英、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア参加)内で実施され、ノルウェーの演習場「Andøya Space Defense Range」で行われました。
欧州米空軍がTwitter公開した映像が示すように、MC-130貨物室からパラシュートで引っ張り出されて投下されたJASSM-ER(最大射程1000㎞)は、海面に向いて垂直にぶら下げられた状態でパレットから真下に射出され、翼を広げると同時にエンジンに点火し、海面を這うよう飛翔した後、投下から約2分間に予定通り着弾しました
欧州米特殊作戦軍のTwitter発表
https://twitter.com/i/status/1590382685410582528
https://twitter.com/US_SOCEUR/status/1590382685410582528
10日付Defense-News報道はここまでですが、本日は輸送機から精密誘導兵器を投下する「Rapid Dragon計画」に関する、米空軍側の主張と米空軍OBの反対意見をご紹介します
米空軍の考え方
●対中国作戦は、米本土から遠く離れた西太平洋で実施され、作戦根拠基地が乏しい中、中国軍からの攻撃による被害も想定する必要があり、分散した小さな拠点からの作戦実施が求められ、従来の作戦運用の枠にとらわれない柔軟な発想が必要
●このような戦場環境下、大量の攻撃目標に対応するには従来の爆撃機や攻撃機だけでは不足するので、無人機や無人機ウイングマン機の活用が検討されているが、既存のアセットである輸送機の攻撃活用もオプションの一つである
●爆撃機や戦闘爆撃機だけでなく、輸送機を攻撃に活用することで、敵の攻撃や迎撃計画を複雑化させ負荷をかけることも狙う効果の一つであり、逆にB-52爆撃機を物資空輸に活用することも検討している
空軍OBの反対意見
(空軍協会ミッチェル研究所長や研究員)
●対中国作戦での輸送要求は膨大で、民間輸送力の活用が不可欠な状態なのに、軍用輸送機を攻撃に活用する余裕など全くないはず
●自己防御能力が低く脆弱な輸送機は敵の防空圏内に近づけず、少なくとも1発1億円以上する長射程精密誘導兵器を搭載する必要があるが、数千から万単位の攻撃目標に対処するためには、長射程兵器依存では米国は破産する
●長射程精密誘導兵器による「Stand-off」攻撃オプション重視が米空軍だけでなく、陸海海兵隊部隊の将来構想の中心になりつつあるが、ウォーゲームや各種机上シミュレーション結果に謙虚に向き合えば、1発500万円以下のJDAM等をより有効活用する「Stand-in」攻撃が不可欠なはず。現実を見て統合レベルでよく考えろ!
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オプションの一つとして研究開発する米空軍の姿勢にも一理ありますが、空軍OBの反対意見「Stand-off攻撃だけでは破産するし、兵器も足りない」との主張は極めて重く、対中国作戦の根本的問題をついています。
指揮統制C2改革しかり、作戦拠点の確保問題(同盟国の理解)しかり、輸送力不足問題しかり、弾薬補含む攻撃力不足しかり、中国によるミサイル攻撃に対する脆弱性問題しかり、台湾有事の足音が聞こえてきそうな今日この頃、課題は山積しています
輸送機からの兵器投下検討
「巡航ミサイル投下&攻撃試験」→https://holylandtokyo.com/2021/12/20/2550/
「Rapid Dragonを本格検証へ」→https://holylandtokyo.com/2020/11/06/380/
「反対Stand-inとoffのバランス不可欠」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/
「空軍計画部長が語る」→https://holylandtokyo.com/2020/06/09/619/
「MC-130からパレタイズ兵器投下試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-01
輸送能力や弾薬量の圧倒的不足
「民間海空輸送力活用のための取組」→https://holylandtokyo.com/2022/10/21/3780/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
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輸送機のミサイル投下母機使用に賛否渦巻く中
米空軍は様々なオプション求め推進中

輸送機からのミサイル投下は、「Rapid Dragon計画」とのプロジェクト名で2年前に開始されたばかりの取り組みですが、極めて順調だとプロジェクト責任者の米空軍研究所AFRLのDean Evans氏はアピールし、2021年12月のメキシコ湾での試験以来の実射成功に自信を深めているようです

欧州米空軍がTwitter公開した映像が示すように、MC-130貨物室からパラシュートで引っ張り出されて投下されたJASSM-ER(最大射程1000㎞)は、海面に向いて垂直にぶら下げられた状態でパレットから真下に射出され、翼を広げると同時にエンジンに点火し、海面を這うよう飛翔した後、投下から約2分間に予定通り着弾しました
欧州米特殊作戦軍のTwitter発表
https://twitter.com/i/status/1590382685410582528
https://twitter.com/US_SOCEUR/status/1590382685410582528
10日付Defense-News報道はここまでですが、本日は輸送機から精密誘導兵器を投下する「Rapid Dragon計画」に関する、米空軍側の主張と米空軍OBの反対意見をご紹介します
米空軍の考え方

●このような戦場環境下、大量の攻撃目標に対応するには従来の爆撃機や攻撃機だけでは不足するので、無人機や無人機ウイングマン機の活用が検討されているが、既存のアセットである輸送機の攻撃活用もオプションの一つである
●爆撃機や戦闘爆撃機だけでなく、輸送機を攻撃に活用することで、敵の攻撃や迎撃計画を複雑化させ負荷をかけることも狙う効果の一つであり、逆にB-52爆撃機を物資空輸に活用することも検討している
空軍OBの反対意見
(空軍協会ミッチェル研究所長や研究員)

●自己防御能力が低く脆弱な輸送機は敵の防空圏内に近づけず、少なくとも1発1億円以上する長射程精密誘導兵器を搭載する必要があるが、数千から万単位の攻撃目標に対処するためには、長射程兵器依存では米国は破産する
●長射程精密誘導兵器による「Stand-off」攻撃オプション重視が米空軍だけでなく、陸海海兵隊部隊の将来構想の中心になりつつあるが、ウォーゲームや各種机上シミュレーション結果に謙虚に向き合えば、1発500万円以下のJDAM等をより有効活用する「Stand-in」攻撃が不可欠なはず。現実を見て統合レベルでよく考えろ!
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指揮統制C2改革しかり、作戦拠点の確保問題(同盟国の理解)しかり、輸送力不足問題しかり、弾薬補含む攻撃力不足しかり、中国によるミサイル攻撃に対する脆弱性問題しかり、台湾有事の足音が聞こえてきそうな今日この頃、課題は山積しています
輸送機からの兵器投下検討
「巡航ミサイル投下&攻撃試験」→https://holylandtokyo.com/2021/12/20/2550/
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輸送能力や弾薬量の圧倒的不足
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C-130Hプロペラ亀裂の原因は整備作業の電気放電か [米空軍]
整備作業終了時に使用した「放電エッチングペン」が
10年ほど前からの習慣で使用も半年前に使用停止
11月8日付米空軍協会web記事が米空軍輸送コマンド報道官からの情報として、米空軍C-130H型機で「54H60プロペラ」を使用している機体のプロペラに亀裂が見つかり、9月27日から同型機で同プロペラを使用している116機が飛行停止になった件について、これまでの調査で整備作業終了時に「電気放電エッチングペン」でプロペラに整備完了を示す数字を記入したことが原因らしいと報じました
「電気放電エッチングペン:electric arc etching pens」を使用し、整備が完了したことを示す数字をプロペラに記録する方式は10年前ほどから導入され、6か月前まで行われていたと同報道官は文書で説明したようですが、時には「酸性の液体で数字を記入:acid wash」することもあったとのことで、正式に手順化された手順だったかは不明です
報道官は「一連番号をプロペラに記載するプロセスが、C-130Hで見つかった亀裂を引き起こした。亀裂を引き起こした根本原因や仕組みを理解するには、更なる分析が必要である」、「我々の焦点は、安全にかつ迅速に飛行停止状態にある機体を飛行可能にすることである」と声明で述べていますが、飛行停止になった116機のうち、何機がこれまでに飛行を再開したかについては、作戦運用上の非公開事項だとして明らかにしませんでした
米空軍が保有しているC-130H型機は、2021年9月末時点で141機で、内116機が問題の古いプロペラを使用していたわけですが、全てが州空軍か予備役部隊に配属されている機体です。ただしC-130H型機の改良型である、特殊作戦軍のMC-130H Combat Talon IIと EC-130H Compass Callも影響を受け飛行停止になったようです
米空軍は2021年から、C-130H型の83機に8枚羽の新型「NP2000プロペラ」を導入するよう進めてきましたが、今その動きを加速しようと製造企業Collins Aerospaceと協議をしている模様です
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なぜ「電気放電エッチングペン」を使用して番号をプロペラに記載する必要があったのか? なぜ6か月前にその方法を止めたのか? 「酸性の液体」で記録する手法とどちらが正規の手順なのか? そもそも整備終了時に数字を記載することが正式な手順だったのか?・・・等々、多数の「?」が頭の中に浮かびます・・・
世界のベストセラー機であるC-130ですが、他国で同様の亀裂が見つかったとの話は聞きませんし、航空力学の粋を集めたプロペラ表面に「電気放電」を行う米空軍兵士の大胆さに驚かされるばかりです。でもこれが米空軍整備部隊なのかもしれません・・・
それにしても、飛行停止から40日以上経過していますが、飛行再開になった機体数は少なそうですねぇ・・・
「米空軍C-130H輸送機の飛行停止解除見通し不明」
→https://holylandtokyo.com/2022/10/11/3736/
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10年ほど前からの習慣で使用も半年前に使用停止


報道官は「一連番号をプロペラに記載するプロセスが、C-130Hで見つかった亀裂を引き起こした。亀裂を引き起こした根本原因や仕組みを理解するには、更なる分析が必要である」、「我々の焦点は、安全にかつ迅速に飛行停止状態にある機体を飛行可能にすることである」と声明で述べていますが、飛行停止になった116機のうち、何機がこれまでに飛行を再開したかについては、作戦運用上の非公開事項だとして明らかにしませんでした

米空軍は2021年から、C-130H型の83機に8枚羽の新型「NP2000プロペラ」を導入するよう進めてきましたが、今その動きを加速しようと製造企業Collins Aerospaceと協議をしている模様です
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世界のベストセラー機であるC-130ですが、他国で同様の亀裂が見つかったとの話は聞きませんし、航空力学の粋を集めたプロペラ表面に「電気放電」を行う米空軍兵士の大胆さに驚かされるばかりです。でもこれが米空軍整備部隊なのかもしれません・・・
それにしても、飛行停止から40日以上経過していますが、飛行再開になった機体数は少なそうですねぇ・・・
「米空軍C-130H輸送機の飛行停止解除見通し不明」
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米空軍が「CAP:気候変動対処計画」を発表 [米空軍]
2046年までにゼロ・エミッション目指す
2033年までに5割削減との中間目標も設定
10月5日、米空軍は約20ページの気候変動対処計画「Climate Action Plan」を発表し、2046年までに温室効果ガス排出を「ゼロ」にする目標を打ち出し、近年毎年のように豪雨やハリケーンで米空軍基地が被害を受ける原因とされている地球レベルの気候変動問題に、大量の温室効果ガスを排出している米軍として責任を果たしていく姿勢を明確にしました
背景には、例えば2019年にブラウン大学発表の推計によると、米軍は過去20年間に約12億立方トンの温室効果ガスを排出し、その量はいくつかの先進国を凌駕していると言われており、「国の存立にかかわる軍事だから」とか「国家安全保障のためだから」との言い訳が通用しなくなっていることがあるようです
また実際に、2016年には山火事で加州Vandenberg 基地からのロケット打ち上げが大きく遅延したり、2018年にハリケーンによりTyndall空軍基地が壊滅的被害を受けたり、2019年にオファット空軍基地が洪水で滑走路使用不能に陥ったり等々の実害が毎年発生するようになっており、施設補修整備支出が激増する状態が常態化する事態に迫られています
2021年10月に国防省が気候変動対処プランCAP (Climate Adaptation Plan)を発表して具体的な豪雨や台風被害対処方針を示しましたが、10月5日には米陸軍も同様の気候変動対処イニシアチブを発表(米海軍海兵隊は今年5月発表済)し、各軍種は温室効果ガス削減にまでを含む方針明確化を迫られているようです
軍種毎の排出量や軍種別の排出比率データは手元にありませんが、米空軍の温室効果ガス排出の8割は航空燃料の燃焼から生じており、米軍全体の温室効果ガスを排出量のかなりの量を比率を占めていると推定できることから、米空軍のみならず、英空軍も合成燃料の研究や試験を既にアピールしているように、今後主要国空軍は同様の検討を世界から迫られる立場にあるのかもしれません。
「我々の優先対処事項は3つ、中国と中国と中国だ」と明言しているKendall空軍長官も本計画発表に合わせ、「我々の任務に変わりはないが、世界は加速して襲い掛かってくる気候変動問題に直面しており、これに備えて挑み勝利しなければならないことを認識する必要がある」とのコメントを出しているところです
ただ、2046年までに温室効果ガス排出を「ゼロ」(中間の2033年までに5割削減)目標達成へのプランは、以下の概要のように具体策に欠けると言わざるを得ません。
6日付Military.com記事によれば
●米空軍は、より少ない航空燃料でより大きい戦闘力を提供するため、MEET(Mission Execution Excellence Program)に着手し、空軍兵士が燃料の浪費を防ぎ、効率的使用につながる案を持ち寄ることで対応する
●このMEET計画により具体的には、より航空力学特性に優れた航空機を生み出し、代替燃料の検討を行うこと等により、今後5年間で温室効果ガス排出を3.7%削減できると見積もっている。
●更に、太陽光発電パネルを空軍や宇宙軍基地に増設することや、既にアラスカのEielson空軍基地で国防省がテストを始めている、安全で強靭性のあるカーボンフリー電力源を目指したミニ原発の開発、更に非戦闘車両の2035年までの電気自動車化などで計画達成に取り組んでいく
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民間航空会社も、2050年頃までに「排出ゼロ」目標を掲げていますが、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」・・・的な「言ったもん勝ち」状態になっているような気がしてなりません。
「きな臭い」と多くの日本人が感じている「SDGs」と同様に、これも「怪しさ」を感じざるを得ない取り組みですが、「航空燃料の燃焼による温暖化ガス排出削減」との明確な科学的なテーマですので、技術的なブレイクスルーを期待したいと思います
それと、航空自衛隊も世界の趨勢に乗り遅れないよう、何か削減計画を準備しておいた方が良いと思います。陸海自衛隊も同様に・・・
米空軍の「Climate Action Plan」20ページ
→プラン解説へ https://www.af.mil/News/Article-Display/Article/3178524/department-of-the-air-force-rolls-out-plan-addressing-climate-change/
→プラン現物へ https://www.safie.hq.af.mil/Programs/Climate/
2021年10月の国防省対処指針発表
「米国防省が気候変動対処構想発表」→https://holylandtokyo.com/2021/10/11/2318/
「米空軍が作戦天候予報にAI導入推進」→https://holylandtokyo.com/2022/07/19/3385/
排出ゼロや気候変動への取組み関連
「海軍と海兵隊が対処演習強化」→https://holylandtokyo.com/2022/09/28/3666/
「米陸軍が前線での電力消費増に対応検討」→https://holylandtokyo.com/2022/04/25/3138/
「米空軍が航空燃料消費削減を開始」→https://holylandtokyo.com/2022/02/16/2691/
「米国防省は電気&ハイブリット車導入推進」→https://holylandtokyo.com/2021/11/15/2423/
「米陸軍が電動戦闘車両導入の本格検討へ」→https://holylandtokyo.com/2020/09/25/487/
「英空軍トップが熱く語る」→https://holylandtokyo.com/2021/12/03/2474/
「英空軍が合成燃料でギネス認定初飛行」→https://holylandtokyo.com/2021/11/19/2444/
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
2033年までに5割削減との中間目標も設定

背景には、例えば2019年にブラウン大学発表の推計によると、米軍は過去20年間に約12億立方トンの温室効果ガスを排出し、その量はいくつかの先進国を凌駕していると言われており、「国の存立にかかわる軍事だから」とか「国家安全保障のためだから」との言い訳が通用しなくなっていることがあるようです
2021年10月に国防省が気候変動対処プランCAP (Climate Adaptation Plan)を発表して具体的な豪雨や台風被害対処方針を示しましたが、10月5日には米陸軍も同様の気候変動対処イニシアチブを発表(米海軍海兵隊は今年5月発表済)し、各軍種は温室効果ガス削減にまでを含む方針明確化を迫られているようです

「我々の優先対処事項は3つ、中国と中国と中国だ」と明言しているKendall空軍長官も本計画発表に合わせ、「我々の任務に変わりはないが、世界は加速して襲い掛かってくる気候変動問題に直面しており、これに備えて挑み勝利しなければならないことを認識する必要がある」とのコメントを出しているところです
ただ、2046年までに温室効果ガス排出を「ゼロ」(中間の2033年までに5割削減)目標達成へのプランは、以下の概要のように具体策に欠けると言わざるを得ません。
6日付Military.com記事によれば
●このMEET計画により具体的には、より航空力学特性に優れた航空機を生み出し、代替燃料の検討を行うこと等により、今後5年間で温室効果ガス排出を3.7%削減できると見積もっている。

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民間航空会社も、2050年頃までに「排出ゼロ」目標を掲げていますが、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」・・・的な「言ったもん勝ち」状態になっているような気がしてなりません。

それと、航空自衛隊も世界の趨勢に乗り遅れないよう、何か削減計画を準備しておいた方が良いと思います。陸海自衛隊も同様に・・・
米空軍の「Climate Action Plan」20ページ
→プラン解説へ https://www.af.mil/News/Article-Display/Article/3178524/department-of-the-air-force-rolls-out-plan-addressing-climate-change/
→プラン現物へ https://www.safie.hq.af.mil/Programs/Climate/
2021年10月の国防省対処指針発表
「米国防省が気候変動対処構想発表」→https://holylandtokyo.com/2021/10/11/2318/
「米空軍が作戦天候予報にAI導入推進」→https://holylandtokyo.com/2022/07/19/3385/
排出ゼロや気候変動への取組み関連
「海軍と海兵隊が対処演習強化」→https://holylandtokyo.com/2022/09/28/3666/
「米陸軍が前線での電力消費増に対応検討」→https://holylandtokyo.com/2022/04/25/3138/
「米空軍が航空燃料消費削減を開始」→https://holylandtokyo.com/2022/02/16/2691/
「米国防省は電気&ハイブリット車導入推進」→https://holylandtokyo.com/2021/11/15/2423/
「米陸軍が電動戦闘車両導入の本格検討へ」→https://holylandtokyo.com/2020/09/25/487/
「英空軍トップが熱く語る」→https://holylandtokyo.com/2021/12/03/2474/
「英空軍が合成燃料でギネス認定初飛行」→https://holylandtokyo.com/2021/11/19/2444/
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07
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