60歳B-52のエンジン換装に並行しデジタル計器盤へ [米空軍]
3種類の試作デジタル計器盤を比較テスト中
エンジン&レーダー&通信ナビ換装に併せて検討中
大規模改修を76機全てに対し2030年までに
10月10日付米空軍協会web記事が、平均機体年齢61歳となるB-52H爆撃機のエンジン換装を中心とした大規模近代化改修(B-52J、更にB-52Kへの改修改名)について取り上げ、主要な改修であるエンジンとレーダーと通信&ナビ装備の更新の陰に隠れて目立たない、デジタル計器盤の導入に先立つ試作品3種類の視認性チェックが行われている様子を紹介しています。
過去数年間にわたる激論を経て、2024年度予算で実施がようやく決断されたB-52H爆撃機76機の大規模近代化改修は、現在のT-33エンジンを、民航機用のロールスロイス製BR725エンジンをベースにしたF130エンジンに換装し、機体寿命のある2050年までオーバーホール修理不要かつ燃費3割アップをめざす改修を中心としたもので、
その他に、部品メーカー撤退で2030年には修理不能になるAPG-166レーダーを、FA-18搭載レーダーAPG-79派生型AESAレーダーに換装し、探知追尾、地上地図作成、電子戦能力に加え、維持整備負担を大幅に改善する計画を含んでいます。更に通信や航法器材の更新に加え、アナログ操縦席をデジタル表示に一変する「グラスコックピット化」も組み込まれた、総額約4500億円のプロジェクトとなっています
そんな中の試作デジタル計器盤のチェックを同記事は
●B-52の操縦席計器盤は、人間が使いやすい機材システムを追求する「human systems integration」の発想が全くなかった1940年代に設計されたもので、狭いコックピット内に、どのように計器類を詰め込むかを中心に設計されたもので、例えば8台のエンジンそれぞれの温度・回転数・油圧・燃料使用量等を表示する計器が30個以上並び、機長と副操縦種の席で計器配置が異なるなど、厄介な代物である
●デジタル計器盤の3種類の試作品が加州エドワーズ空軍基地のテストパイロットや機上エンジニアに提供され、より容易に効率的に機体状況を把握し、より任務遂行に頭脳を使えるようにするには、どの試作品のどの部分が最適か、また好ましくない表示手法が使われていないか等を評価している
●夜間の着陸や厳しい脅威環境での飛行時には、計器類を瞬時にクロスチェックして機体状況を把握する必要があるが、この計器盤デザインや表示要領設定により、読み取り時間を0.25~0.5秒短縮することの積み重ねが、任務全体に大きな影響を与えることをテストパイロットたちは身にしみて感じており、評価にも力が入っている
●「グラスコックピット化」により、搭乗員の判断を助ける例えば理想的な数値を現状数値に重ねて追加表示したり、表示の色を変えて視認性をよくする効果が得られるが、一方でシステムが推奨する数値を鵜吞みにして過度に依存し、誤った計器示唆に従ってしまう「自動化バイアスautomation bias」や、様々なアラーム表示に慣れて真の危険察知が遅れる「アラーム疲れalarm fatigue」とのデジタル化特有の問題もあり、評価チームは細心の注意を払っている
●試作品評価チームはこれらの課題に関し、軍用エンジンは自動化に依存することが極めて少なく、民航機が時に利用する「自動スロットル」を導入していない点や、既に商用エンジンに組み込まれていたいくつかの表示アルゴリズムを、軍用機には不要だと削除したこと等、「自動化バイアス」や「アラーム疲れ」への対応に抜かりが無いことを強調している
●またエンジン製造企業や機体改修担当のボーイング技術者と緊密に連携を図り、様々な新規搭載システムの状況把握と操縦上に必要な表示の在り方を日々議論しながら、3つの試作品の良い点を抽出して最善の操縦席をレイアウトしたいと評価チームは意気込んでいる
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ウクライナや台湾海峡だけでなく、地中海東岸のイスラエルにも火の手が上がる厳しい国際情勢となっていますが、そんな中でも、老朽化機体の若返りに地道な努力を続ける現場の様子を取り上げることで、「元気の源」にしていただきたいと思い取り上げました
それにしても・・・、あれだけ周到に準備された大規模かつ多様な作戦で構成されたハマスによる奇襲攻撃が、こともあろうに「ヨムキプール」に行われるとは・・・。
「イスラエル情報機関は何をしていた?」、「ハマスは奇襲作戦の落としどころを考えているのか?」、「アブラハム合意を発端とするイスラエルと湾岸アラブ諸国との雪解けの流れはどうなるの?」等々、次から次へと素朴な疑問が湧いてきて、頭がくらくらしております
B-52関連の記事
「インドネシアにも2機展開」→https://holylandtokyo.com/2023/06/23/4785/
「極超音速兵器ARRW導入を断念」→https://holylandtokyo.com/2023/04/05/4478/
「B-21導入による米空軍爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「爆撃機管理は今後5-7年が多難」→https://holylandtokyo.com/2021/08/06/2024/
「重力投下核爆弾の任務除外」→https://holylandtokyo.com/2020/01/29/877/
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エンジン&レーダー&通信ナビ換装に併せて検討中
大規模改修を76機全てに対し2030年までに

過去数年間にわたる激論を経て、2024年度予算で実施がようやく決断されたB-52H爆撃機76機の大規模近代化改修は、現在のT-33エンジンを、民航機用のロールスロイス製BR725エンジンをベースにしたF130エンジンに換装し、機体寿命のある2050年までオーバーホール修理不要かつ燃費3割アップをめざす改修を中心としたもので、

そんな中の試作デジタル計器盤のチェックを同記事は
●B-52の操縦席計器盤は、人間が使いやすい機材システムを追求する「human systems integration」の発想が全くなかった1940年代に設計されたもので、狭いコックピット内に、どのように計器類を詰め込むかを中心に設計されたもので、例えば8台のエンジンそれぞれの温度・回転数・油圧・燃料使用量等を表示する計器が30個以上並び、機長と副操縦種の席で計器配置が異なるなど、厄介な代物である

●夜間の着陸や厳しい脅威環境での飛行時には、計器類を瞬時にクロスチェックして機体状況を把握する必要があるが、この計器盤デザインや表示要領設定により、読み取り時間を0.25~0.5秒短縮することの積み重ねが、任務全体に大きな影響を与えることをテストパイロットたちは身にしみて感じており、評価にも力が入っている

●試作品評価チームはこれらの課題に関し、軍用エンジンは自動化に依存することが極めて少なく、民航機が時に利用する「自動スロットル」を導入していない点や、既に商用エンジンに組み込まれていたいくつかの表示アルゴリズムを、軍用機には不要だと削除したこと等、「自動化バイアス」や「アラーム疲れ」への対応に抜かりが無いことを強調している

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ウクライナや台湾海峡だけでなく、地中海東岸のイスラエルにも火の手が上がる厳しい国際情勢となっていますが、そんな中でも、老朽化機体の若返りに地道な努力を続ける現場の様子を取り上げることで、「元気の源」にしていただきたいと思い取り上げました

「イスラエル情報機関は何をしていた?」、「ハマスは奇襲作戦の落としどころを考えているのか?」、「アブラハム合意を発端とするイスラエルと湾岸アラブ諸国との雪解けの流れはどうなるの?」等々、次から次へと素朴な疑問が湧いてきて、頭がくらくらしております
B-52関連の記事
「インドネシアにも2機展開」→https://holylandtokyo.com/2023/06/23/4785/
「極超音速兵器ARRW導入を断念」→https://holylandtokyo.com/2023/04/05/4478/
「B-21導入による米空軍爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「爆撃機管理は今後5-7年が多難」→https://holylandtokyo.com/2021/08/06/2024/
「重力投下核爆弾の任務除外」→https://holylandtokyo.com/2020/01/29/877/
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嘉手納F-15Cの一時代替に州空軍F-15C到着 [米空軍]
今年9月までに完全撤退との報道もあったが現状は謎
春にはF-22,35,16,15が勢ぞろいしたことも
所属F-15Cが何機残で、どの機種が何機派遣中かも不明
10月4日付米空軍協会web記事は、2022年10月に機体の老朽化を理由に米空軍嘉手納基地から撤退&退役を発表した48機のF-15C型戦闘機の「暫定的なローテーション穴埋め展開」のために、加州とルイジアナ州の州空軍F-15C型戦闘機が10月3日に嘉手納基地に展開したと報じ、関連の米空軍部隊の声明等を紹介しています
この戦闘機ローテーション派遣は、2022年10月28日に突然米空軍が、嘉手納基地に約40年間所在してきた48機のF-15C型戦闘機を「今後2年間で」段階的に米本土へ撤退&退役させると発表し、12月に第一弾として8機のF-15が米本土に帰還したことを受けた対応で、
2023年3月末までに、昨年11月からアラスカ所属のF-22、今年1月からドイツ米空軍所属F-16、3月末からアラスカ所属F-35が派遣、4月上旬からF-15Eが派遣されていますが、各機種の展開機数や撤収時期は良くわからず、今回州空軍F-15Cが展開した時点での嘉手納派遣機種や機数がどのような構成になっているのかは全く情報がありません
また今年3月末にF-35が初展開した際に、米太平洋空軍報道官は「4月以降にF-15の第2弾撤退が行われる」、「F-15帰還は、戦闘機プレゼンスに空白ギャップが生じないよう、十分な展開戦力が確保された後に行う」と述べていましたが、4日付記事は「嘉手納所属F-35Cは、48機のうち、少なくとも18機は嘉手納から撤退したようだ」と記述していますが、「第2弾撤退」がいつ行われたのか、まんぐーすは把握していません
今回のF-15C展開に際しても太平洋空軍報道官は、「戦闘機のローテーション派遣は、米国政府によって撤退するF-15Cの後継機が決定され、完全運用態勢を確立するまで嘉手納基地で継続される。このローテーション派遣は、戦力の転換期にある戦略的に極めて緊要な位置にある基地で、「戦闘機の空白」が生じないようするためのものである」との声明を出していますが、
引き続き「作戦運用と戦力配備に関わることであり、展開機数等については言及しない」との米空軍の姿勢は一貫しており、米空軍と宇宙軍応援団である米空軍協会も、一時は「(2022年11月から2年間かけて段階的撤退との発表とは異なり、)2023年9月には撤退完了するのでは」と報じるなど、何がどうなるのかサッパリ見えない状態が続いています。
「へそ曲がり」なまんぐーすは、米ミサイル防衛庁MDAが最優先課題として取り組むグアム島とは対照的に、嘉手納基地の防空体制強化に全く新たな投資が無い状況や、嘉手納基地配備の戦闘機後継機の話題に米空軍幹部も軍事記者も全く言及しない状態から、
今年3月末のように複数の戦闘機機種が偶然重なって展開した際は多いに「戦闘機の空白は生じさせない!」姿勢をアピールしつつも、「作戦運用上の秘密」を理由に派遣戦闘機の機数を段階的に削減し、いつの間にか派遣機数を最低単位の「2機」にまで削減し、ある日コッソリと「嘉手納配備戦闘機の代替は、アジア太平洋地域に関わる有人無人の様々な戦力の総合力で代替する。Family of Systemでの対応だ」との説明ぶりに切り替えるのでは・・・と邪推しています
既に、F-35とF-15Eは「最低単位の2機ではないか?」とまんぐーすは邪推しています。断片的な写真からも・・・
なお、加州州空軍から今回展開のF-15Cは、元嘉手納所属のF-15Cだそうです・・・
F-15C撤退&退役と代替機ローテーション派遣の経緯
●2022年10月28日、約40年間展開してきた48機のF-15C型戦闘機を「今後2年間で」段階的に米本土へ撤退&退役させると発表
●2022年11月4-5日にかけ、アラスカ配備の8機のF-22が嘉手納に展開
●2022年12月1日、第一弾として(恐らく)8機のF-15が米本土に帰還
●2023年1月17日、ドイツの米空軍基地から16機のF-16が展開
●2023年3月28日、アラスカEielson基地第355戦闘飛行隊所属のF-35が展開
(この時点で、各機種の機数は不明ながらF-22やF-16も嘉手納に所在)
●同年4月8日 F-22アラスカへ帰還、同10日F-16ドイツへ帰還
●2023年4月8日、米本土からF-15Eが嘉手納に展開
●2023年10月3日、加州とルイジアナ州の州空軍F-15Cが展開
嘉手納基地F-15撤退と代替戦力派遣
「F-15E展開、F-22とF-16が帰還」→https://holylandtokyo.com/2023/04/12/4511/
「空軍F-35が嘉手納基地に展開」→https://holylandtokyo.com/2023/04/04/4482/
「ドイツからF-16展開」→https://holylandtokyo.com/2023/01/19/4178/
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/
「嘉手納でelephant walk」→https://holylandtokyo.com/2022/11/25/3981/
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春にはF-22,35,16,15が勢ぞろいしたことも
所属F-15Cが何機残で、どの機種が何機派遣中かも不明

この戦闘機ローテーション派遣は、2022年10月28日に突然米空軍が、嘉手納基地に約40年間所在してきた48機のF-15C型戦闘機を「今後2年間で」段階的に米本土へ撤退&退役させると発表し、12月に第一弾として8機のF-15が米本土に帰還したことを受けた対応で、

また今年3月末にF-35が初展開した際に、米太平洋空軍報道官は「4月以降にF-15の第2弾撤退が行われる」、「F-15帰還は、戦闘機プレゼンスに空白ギャップが生じないよう、十分な展開戦力が確保された後に行う」と述べていましたが、4日付記事は「嘉手納所属F-35Cは、48機のうち、少なくとも18機は嘉手納から撤退したようだ」と記述していますが、「第2弾撤退」がいつ行われたのか、まんぐーすは把握していません

引き続き「作戦運用と戦力配備に関わることであり、展開機数等については言及しない」との米空軍の姿勢は一貫しており、米空軍と宇宙軍応援団である米空軍協会も、一時は「(2022年11月から2年間かけて段階的撤退との発表とは異なり、)2023年9月には撤退完了するのでは」と報じるなど、何がどうなるのかサッパリ見えない状態が続いています。

今年3月末のように複数の戦闘機機種が偶然重なって展開した際は多いに「戦闘機の空白は生じさせない!」姿勢をアピールしつつも、「作戦運用上の秘密」を理由に派遣戦闘機の機数を段階的に削減し、いつの間にか派遣機数を最低単位の「2機」にまで削減し、ある日コッソリと「嘉手納配備戦闘機の代替は、アジア太平洋地域に関わる有人無人の様々な戦力の総合力で代替する。Family of Systemでの対応だ」との説明ぶりに切り替えるのでは・・・と邪推しています

なお、加州州空軍から今回展開のF-15Cは、元嘉手納所属のF-15Cだそうです・・・
F-15C撤退&退役と代替機ローテーション派遣の経緯
●2022年10月28日、約40年間展開してきた48機のF-15C型戦闘機を「今後2年間で」段階的に米本土へ撤退&退役させると発表
●2022年11月4-5日にかけ、アラスカ配備の8機のF-22が嘉手納に展開
●2022年12月1日、第一弾として(恐らく)8機のF-15が米本土に帰還
●2023年1月17日、ドイツの米空軍基地から16機のF-16が展開
●2023年3月28日、アラスカEielson基地第355戦闘飛行隊所属のF-35が展開
(この時点で、各機種の機数は不明ながらF-22やF-16も嘉手納に所在)
●同年4月8日 F-22アラスカへ帰還、同10日F-16ドイツへ帰還
●2023年4月8日、米本土からF-15Eが嘉手納に展開
●2023年10月3日、加州とルイジアナ州の州空軍F-15Cが展開
嘉手納基地F-15撤退と代替戦力派遣
「F-15E展開、F-22とF-16が帰還」→https://holylandtokyo.com/2023/04/12/4511/
「空軍F-35が嘉手納基地に展開」→https://holylandtokyo.com/2023/04/04/4482/
「ドイツからF-16展開」→https://holylandtokyo.com/2023/01/19/4178/
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
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湾岸戦争で活躍のJSTARS E-8Cが引退へ [米空軍]
最後の2機が11月末には完全引退へ
これも後継機なく多様なセンサーネットワークで対応
旅客機B707ベースの地上移動目標探知追尾機
10月2日付Defense-Newsが、残り2機となったJSTARS E-8Cが、ラストフライトなど最後の時を迎えつつある様子を伝えています。なおE-8C後継機計画は2019年に断念され、先日ご紹介した特殊情報収集機RC,WC-135シリーズと同様に、同アセットの脆弱性や維持整備費の削減等を理由に、衛星や地上センサーや多様なアセット情報のネットワーク融合情報で対応する方針となっています
E-8Cは胴体腹部に搭載した全長の長いセンサーで広範囲の地上移動目標を継続追尾し、その動きをリアルタイムで他の航空戦力や地上部隊と共有して、敵地上部隊の阻止や友軍相撃防止に活躍しました。
同機の実戦デビューは衝撃的で、まだ機材の試験段階だった1991年に湾岸戦争に投入され、クウェートから砂漠の中を撤退するサダムフセインのイラク地上部隊の敗走状況をリアルタイムで把握&伝達し、米軍を中心とした多国籍軍戦闘爆撃機が攻撃したイラク地上部隊は、道路上に延々と列をなす破壊された残骸へと変わり果てました
その後も様々な場面で投入され、2014年や2022年にウクライナ国境付近を移動し終結するロシア軍の動向や、軍事以外でも麻薬組織の密輸行動対処にも力を発揮しました。また、2001年から18年間にわたり中東域に連続展開を行い、2019年に撤退するまで対テロ戦争の最前線で活躍しています
16機製造されたE-8Cは2022年2月から退役を開始し、現在残る2機のうちの1機が9月21日に最後の任務飛行を行ったとのことですが、ドイツのRamstein空軍基地を離陸した当該機の任務については「南欧州を中心に任務を遂行した」とだけ公表され、細部は非公開となっています
残る別の1機は、11月の最終週にアリゾナ州Davis-Monthan空軍基地の退役航空機置き場に向け最後のフライトを行い、この時点でJSTARS E-8Cの完全退役となりますが、それまでの間も緊急の作戦命令に備え、乗員たちは技量維持飛行を続けるとのことです
2002年から2023年までの間に16機で積み上げた総飛行回数は14000ソーティーを超えたということですが、まんぐーすのような世代の人間には、とてもさみしい「JSTARS E-8C」とのお別れです
E-8C関連の記事
「中東地域から18年ぶり撤収」→https://holylandtokyo.com/2019/12/10/2840/
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これも後継機なく多様なセンサーネットワークで対応
旅客機B707ベースの地上移動目標探知追尾機

E-8Cは胴体腹部に搭載した全長の長いセンサーで広範囲の地上移動目標を継続追尾し、その動きをリアルタイムで他の航空戦力や地上部隊と共有して、敵地上部隊の阻止や友軍相撃防止に活躍しました。

その後も様々な場面で投入され、2014年や2022年にウクライナ国境付近を移動し終結するロシア軍の動向や、軍事以外でも麻薬組織の密輸行動対処にも力を発揮しました。また、2001年から18年間にわたり中東域に連続展開を行い、2019年に撤退するまで対テロ戦争の最前線で活躍しています


2002年から2023年までの間に16機で積み上げた総飛行回数は14000ソーティーを超えたということですが、まんぐーすのような世代の人間には、とてもさみしい「JSTARS E-8C」とのお別れです
E-8C関連の記事
「中東地域から18年ぶり撤収」→https://holylandtokyo.com/2019/12/10/2840/
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米空軍が電動ヘリ初号機を受領し本格試験開始 [米空軍]
トヨタも約600億円出資のJoby Aviation社から
米空軍は他にも複数の企業と電動ヘリ(eVTOL)購入契約済
空軍研究所AFWERXチームの「Agility Prime」計画で
9月25日、米空軍が4月に契約したJoby Aviation社から、6つの回転翼を持つ電動ヘリ(eVTOL)初号機を受領し、加州Edward空軍基地でお披露目されました。全米で初の「電動空中タクシー:electric air taxi」機体の「納入」だと同社CEOがアピールしています
米空軍が推進するACE(Agile Combat Employment concept)構想では、部隊の分散運用を追求しているため、米空軍の電動ヘリ導入プロジェクト「Agility Prime」計画(国防省DIUと米海兵隊も協力&出資)では、施設不十分な分散基地や被害を受けた施設での移動に使用したり、作戦準備や初期段階の物資人員輸送や、その静粛性で偵察任務も期待されている模様です。
そのほか、その静粛性から、従来型ヘリでは危険な特殊部隊員の侵入・帰還輸送や敵領域での救難救助のほか、Edward空軍基地周辺の試験場や演習場での人員移動用など、66項目の任務がアイディアとして米空軍プロジェクトチーム内では検討されているとのことです
なお、同機は上昇高度11000フィート、速度時速200マイル以上、行動半径100マイルの性能を持つとJoby Aviation社は説明しています
2024年初には2機目が納入されるJoby Aviation社の機体は、今後同社とNASAも空軍と協力して試験を行う計画で、NASAのテストパイロットは「各協力機関は異なった任務使用を念頭に異なった視点で同機を吟味していくが、重なる部分も多く、効率的に協力して試験を進める」と語っています
この他に米空軍は、4月にArcher Aviation社と別の6機の電動ヘリ購入契約を結んでおり、また9月にはBETA Technologies社と同社製電動ヘリ購入契約のほか、1時間以内での機体フル充電が可能な同社製急速充電設備の工事をフロリダ州Duke Field基地で開始しています
電動ヘリ各種の空軍内試験を担当する第412試験航空団の司令官は、「航空世界の電動化は、疑いなく大きなエネルギー変革の一部分である。誇りをもって人類の将来のために試験に臨みたい」と語っています
///////////////////////////////
昨年時点では、米空軍の担当部署は、「まず空軍内の皆に電動ヘリを見てもらって、その特徴を肌で感じてもらうことが重要」と語っていましたが、今の米空軍内の雰囲気はどうなんでしょうか?
2020年初にトヨタ自動車が同じJoby Aviation社に約600億円の投資を明らかにし、当時の豊田章男社長は「トヨタは、自動車事業に加え、今回、Jobyという力強いパートナーとともに、新たに“空”のモビリティ事業にチャレンジします」と言い切っており、
都市部の渋滞や環境負荷の低減、また過疎地域の輸送手段の確保など、様々な交通課題の解決に向け、電動ヘリ(eVTOL)の移動手段としての可能性追求に大きく踏み出しています
電動ヘリ導入検討「Agility Prime」計画の状況
「米空軍が電動ヘリeVTOL導入検討に始動」→https://holylandtokyo.com/2022/06/29/3370/
「電動ヘリeVTOLでACE構想推進へ」→https://holylandtokyo.com/2021/04/13/105/
米空軍の救難救助体制の再検討
「対中国救難救助検討は引き続き迷走中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/23/4592/
「今ごろ大問題」→https://holylandtokyo.com/2022/07/15/3463/
「米空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2022/09/08/3614/
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米空軍は他にも複数の企業と電動ヘリ(eVTOL)購入契約済
空軍研究所AFWERXチームの「Agility Prime」計画で

米空軍が推進するACE(Agile Combat Employment concept)構想では、部隊の分散運用を追求しているため、米空軍の電動ヘリ導入プロジェクト「Agility Prime」計画(国防省DIUと米海兵隊も協力&出資)では、施設不十分な分散基地や被害を受けた施設での移動に使用したり、作戦準備や初期段階の物資人員輸送や、その静粛性で偵察任務も期待されている模様です。

なお、同機は上昇高度11000フィート、速度時速200マイル以上、行動半径100マイルの性能を持つとJoby Aviation社は説明しています

この他に米空軍は、4月にArcher Aviation社と別の6機の電動ヘリ購入契約を結んでおり、また9月にはBETA Technologies社と同社製電動ヘリ購入契約のほか、1時間以内での機体フル充電が可能な同社製急速充電設備の工事をフロリダ州Duke Field基地で開始しています

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昨年時点では、米空軍の担当部署は、「まず空軍内の皆に電動ヘリを見てもらって、その特徴を肌で感じてもらうことが重要」と語っていましたが、今の米空軍内の雰囲気はどうなんでしょうか?

都市部の渋滞や環境負荷の低減、また過疎地域の輸送手段の確保など、様々な交通課題の解決に向け、電動ヘリ(eVTOL)の移動手段としての可能性追求に大きく踏み出しています
電動ヘリ導入検討「Agility Prime」計画の状況
「米空軍が電動ヘリeVTOL導入検討に始動」→https://holylandtokyo.com/2022/06/29/3370/
「電動ヘリeVTOLでACE構想推進へ」→https://holylandtokyo.com/2021/04/13/105/
米空軍の救難救助体制の再検討
「対中国救難救助検討は引き続き迷走中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/23/4592/
「今ごろ大問題」→https://holylandtokyo.com/2022/07/15/3463/
「米空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2022/09/08/3614/
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米空軍初の女性戦闘機パイロット少将で退役 [米空軍]
F-15Eに搭乗のJeannie M. Leavitt少将(推定56歳)
9月23日、米空軍女性初の戦闘機パイロットとして「初めての壁」をいくつも突破してきたJeannie M. Leavitt少将の退役式典行われ、現時点で唯一の女性空軍大将であるJacqueline D. Van Ovost米輸送コマンド司令官主催の場を最後に、31年間の空軍勤務を後にしました
Leavitt少将は、テキサス大学とスタンフォード大学で航空工学の学士号と修士号(1991年)を取得後、1992年に「優秀ROTC卒業生」として米空軍に入り、1993年に最初の女性操縦者として戦闘機操縦コースに進み、F-15Eストライクイーグル操縦者の資格を得て「女性初の戦闘機パイロット」になりました
その後はF-15E操縦者として米本土の同機種配備基地で部隊経験と積むとともに、「空軍戦術開発・訓練のメッカ」ネリス空軍基地でF-15E教官操縦者資格を取得して後輩の育成に努めるとともに、韓国や米中央軍で作戦幕僚として経験を積みます
前線配置のF-15Eパイロットとしては、総飛行時間3000時間、中東での作戦「Southern Watch」, 「Northern Watch」, 「Iraqi Freedom」, 「Enduring Freedom」で約300時間の戦闘行動飛行を経験しています
飛行隊長の経験はなかったようですが、大佐としてF-15E母基地であるSeymour Johnson基地の第4戦闘航空団司令官を、また准将としてネリス空軍基地の第57航空団司令官を務めています。 また大佐時代には国防長官を補佐する空軍派遣補佐官を2年、CIAでの「Air Force Chief of Staff Fellow:空軍派遣研究員?」を2年勤めています
准将から少将としては、上記のネリス所在航空団司令官を皮切りに、テキサス州にある「空軍募集サービス: Air Force Recruiting Service」の指揮官を2年、空軍教育訓練コマンドの作戦&通信部長を1年、そして現在の最終ポストである「空軍省の安全管理官: Department of the Air Force Chief of Safety」を2年勤めて現在に至っています
退役式典で主催者の米輸送コマンド司令官は、「1990年代初頭に、女性への戦闘任務開放が規則上は進んだが、その先頭を歩んできたLeavitt少将は、前線部隊で女性が実際に受け入れられ、その力を認知してもらうために、皆が知ることがない努力を重ねたであろうことは想像に難くない。それが現在戦闘職域で活躍する女性の道を切り開く極めて重要な役割を果たしたのだ」と讃えています
その通りだと思います。お疲れさまでした。
以下の映像の最後で、後に続く後輩たちに穏やかに語りかける Leavitt少将から、これまでの道のりの苦労を感じ取った次第です
女性の戦闘任務参加30周年記念の映像
(2023年4月米空軍が公開の Leavitt少将編約2分)
Leavitt少将のご経歴
→ https://www.af.mil/About-Us/Biographies/Display/Article/1952656/jeannie-m-leavitt/
女性パイロット関連
「米海軍Blue Angelsに初の女性パイロット」→https://holylandtokyo.com/2022/07/21/3484/
「初の女性月面着陸目指す」→https://holylandtokyo.com/2021/07/05/1935/
「黒人女性が初の海軍戦闘操縦コース卒業」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-12
「超優秀なはずの女性少将がクビに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-11
「上院議員が空軍時代のレイプ被害告白」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-08
「空自初:女性戦闘機操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-25
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Leavitt少将は、テキサス大学とスタンフォード大学で航空工学の学士号と修士号(1991年)を取得後、1992年に「優秀ROTC卒業生」として米空軍に入り、1993年に最初の女性操縦者として戦闘機操縦コースに進み、F-15Eストライクイーグル操縦者の資格を得て「女性初の戦闘機パイロット」になりました

前線配置のF-15Eパイロットとしては、総飛行時間3000時間、中東での作戦「Southern Watch」, 「Northern Watch」, 「Iraqi Freedom」, 「Enduring Freedom」で約300時間の戦闘行動飛行を経験しています

准将から少将としては、上記のネリス所在航空団司令官を皮切りに、テキサス州にある「空軍募集サービス: Air Force Recruiting Service」の指揮官を2年、空軍教育訓練コマンドの作戦&通信部長を1年、そして現在の最終ポストである「空軍省の安全管理官: Department of the Air Force Chief of Safety」を2年勤めて現在に至っています

その通りだと思います。お疲れさまでした。
以下の映像の最後で、後に続く後輩たちに穏やかに語りかける Leavitt少将から、これまでの道のりの苦労を感じ取った次第です
女性の戦闘任務参加30周年記念の映像
(2023年4月米空軍が公開の Leavitt少将編約2分)
Leavitt少将のご経歴
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久々に特殊情報収集機RCやWC-135に関する記事 [米空軍]
記事は「日没が無い」第55航空団の活躍を紹介するも
後継機なく、センサー網、衛星、地上拠点等で総合対処とか
9月21日付米空軍協会web記事が、ネブラスカ州Offutt空軍基地に拠点を置く第55航空団の特殊情報収集機RCやWC-135を取り上げ、同部隊の影のモットーである「The sun never sets on the Fightin’ Fifty-Fifth」そのままに、28機のRC-135等の運用に奮闘努力する兵士たちの様子を紹介しています
同記事は単純に長時間のフライトを伴う同部隊の任務や隊員の様子を淡々と取り上げるもので、部隊の問題点等には一切触れていませんが、前回同部隊を取り上げた2018年夏から2019年5月頃の話題は、米空軍が打ち出した「RC,WC,OC,NC-135の後継機は調達せず」、「多様なアセットが搭載するセンサーネットワーク、衛星、地上サイトなどから得られる情報全体で代替する」との方針に対し、地元の米議会議員を中心に強い反発があり、
「これら機体搭載のセンサーやその任務を代替できる完全な手段が存在せず、少なくとも2050年代までは、これらISR機が重要な役割を果たす事になるのだから、ISRアセットを含めた明確な将来戦闘プランを持つ必要がある。今後想定される本格紛争を考える必要がある今のタイミングでは特に重要だ」等々と主張していたところですが、
2019年当時のOffutt空軍基地周辺の地元紙の調査によると、「2016年以降だと500回の任務が機体トラブルでキャンセルされ、2015年以降だと12回に1回の割合で任務を断念する事態に至っている」との厳しい現場部隊の状況もあり、「後継機を調達せず」方針に変化はないようです
まずOffutt基地所属RCやOCやWC-135をご紹介
●RC-135U Combat Sent 2機 シグナル情報収集機
●RC-135V/W Rivet Joint 17機 U型を改良した同情報収集機
(敵のレーダー、ミサイル等のレーダー電波情報や位置等を収集分析し、敵の戦力分布や新兵器の配備を把握。また味方機の自己防御用警報装置に敵電波情報をアップデート)
●RC-135S Cobra Ball 3機 弾道ミサイル光学電子情報収集(北朝鮮の弾道ミサイル試験が迫ると日本周辺に飛来)
●WC-135 Constant Phoenik 2機 大気収集機(北朝鮮の核実験報道があると日本海で待機を収集し、核実験の真偽を判定)
●OC-135B Open Skies機 2機 米露のオープンスカイズ条約遂行のための機体だが、トランプ政権が露の姿勢に反発し、2020年に条約破棄を通告。2021年に機体も破棄
21日付米空軍協会web記事からつまみ食い紹介
●第55航空団所属のRCやWC-135は、ほとんどが機体年齢60歳以上で、中東、北朝鮮、中国やロシア周辺での情報収集飛行に多忙な日々を送っているが、最近は油圧系統のトラブルや火災発生まで、多様なトラブルに見舞われている
●同航空団所属の搭乗員は、全員が複数タイプの特殊情報収集機に搭乗可能な資格を保有しており、各搭乗員の専門性を有効活用しつつ能力拡大にも努めており、更に「マンネリ」防止にも効果を発揮している
●機体は老朽化が進んでいるが、搭載機材は数年に1回の頻度で様々な手法で「近代化」が図られており、その面でも兵士は新たな機材への対応に連続して対応しており、飽きが来ないと語る搭乗員が多い
●15時間を超える連続飛行任務が多いが、搭乗員は機内の構造部材を活用した体力強化機材で「懸垂」や「腹筋」や「腕立て伏せ」に取り組んだりしている。一方で、機内に2台装備の冷蔵庫や電子レンジを利用し、チキン料理やピザなどを間食する隊員も多く、搭乗員相互に「食べ過ぎ」に注意している
///////////////////////////////////////
「代替機なし」で、「多様なアセットが搭載するセンサーネットワーク、衛星、地上サイトなどから得られる情報全体で代替する」方針で大丈夫なのか、素人には判断できませんが、未だにRCやWC-135シリーズが大忙しな現状からすると、F-35やNGADなど戦闘機に資金が流れ、単に「無い袖は振れない」状態に陥っているだけでは・・・と勘ぐってしまいます
米空軍ISR関連の記事
「RC,WC,OC,NC-135は後継機なしの方向」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-28-1
「米空軍が新ISRロードマップ決定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-04-3
「情報部長が中露のAI脅威を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「RC-135シリーズがピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-08-1
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後継機なく、センサー網、衛星、地上拠点等で総合対処とか

同記事は単純に長時間のフライトを伴う同部隊の任務や隊員の様子を淡々と取り上げるもので、部隊の問題点等には一切触れていませんが、前回同部隊を取り上げた2018年夏から2019年5月頃の話題は、米空軍が打ち出した「RC,WC,OC,NC-135の後継機は調達せず」、「多様なアセットが搭載するセンサーネットワーク、衛星、地上サイトなどから得られる情報全体で代替する」との方針に対し、地元の米議会議員を中心に強い反発があり、

2019年当時のOffutt空軍基地周辺の地元紙の調査によると、「2016年以降だと500回の任務が機体トラブルでキャンセルされ、2015年以降だと12回に1回の割合で任務を断念する事態に至っている」との厳しい現場部隊の状況もあり、「後継機を調達せず」方針に変化はないようです
まずOffutt基地所属RCやOCやWC-135をご紹介
●RC-135U Combat Sent 2機 シグナル情報収集機
●RC-135V/W Rivet Joint 17機 U型を改良した同情報収集機
(敵のレーダー、ミサイル等のレーダー電波情報や位置等を収集分析し、敵の戦力分布や新兵器の配備を把握。また味方機の自己防御用警報装置に敵電波情報をアップデート)
●RC-135S Cobra Ball 3機 弾道ミサイル光学電子情報収集(北朝鮮の弾道ミサイル試験が迫ると日本周辺に飛来)
●WC-135 Constant Phoenik 2機 大気収集機(北朝鮮の核実験報道があると日本海で待機を収集し、核実験の真偽を判定)
●OC-135B Open Skies機 2機 米露のオープンスカイズ条約遂行のための機体だが、トランプ政権が露の姿勢に反発し、2020年に条約破棄を通告。2021年に機体も破棄
21日付米空軍協会web記事からつまみ食い紹介

●同航空団所属の搭乗員は、全員が複数タイプの特殊情報収集機に搭乗可能な資格を保有しており、各搭乗員の専門性を有効活用しつつ能力拡大にも努めており、更に「マンネリ」防止にも効果を発揮している

●15時間を超える連続飛行任務が多いが、搭乗員は機内の構造部材を活用した体力強化機材で「懸垂」や「腹筋」や「腕立て伏せ」に取り組んだりしている。一方で、機内に2台装備の冷蔵庫や電子レンジを利用し、チキン料理やピザなどを間食する隊員も多く、搭乗員相互に「食べ過ぎ」に注意している
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「代替機なし」で、「多様なアセットが搭載するセンサーネットワーク、衛星、地上サイトなどから得られる情報全体で代替する」方針で大丈夫なのか、素人には判断できませんが、未だにRCやWC-135シリーズが大忙しな現状からすると、F-35やNGADなど戦闘機に資金が流れ、単に「無い袖は振れない」状態に陥っているだけでは・・・と勘ぐってしまいます
米空軍ISR関連の記事
「RC,WC,OC,NC-135は後継機なしの方向」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-28-1
「米空軍が新ISRロードマップ決定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-04-3
「情報部長が中露のAI脅威を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
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米空軍MQ-9で小型ドローン射出しNetWork構成試験へ [米空軍]
空軍特殊作戦軍が来年3回の試験を予定
MQ-9が上空で射出小型ドローン群を指揮統制
別に1名で3機のMQ-9操作する実験も構想中
9月12日、米空軍特殊作戦軍司令官のTony Bauernfeind中将が講演し、無人機運用の効率化・省人化を進める自立ドローン導入の一環として、更に米軍が統合で進めるJADC2(Joint All Domain Command and Control)の最前線拡大を狙い、無人機母機(capital ships)としてのMQ-9から小型ドローン(UASs)を射出し、MQ-9に指揮統制させるA2Eプロジェクト(adaptive airborne enterprise)の試験を2024年に3回計画中と明らかにしました
米空軍保有約320機のMQ-9の内の約50機を保有する特殊作戦軍での、最優先装備導入プロジェクトだと表現した同司令官は、「MQ-9から射出される小型ドローン(UASs)によって、どの程度networkが拡大可能かはまだ明らかではない」が、「センサー網や通信ネットワークの拡大は、我が特殊作戦軍の敵陣深い作戦域での活動に大きな恩恵をもたらすだろう」とA2Eプロジェクトの意義を語り、
更に8月には担当部隊の第27特殊作戦航空団が、「将来的に我が特殊作戦軍の兵士が、様々な能力を備えたMQ-9から射出される小型ドローン(UASs)を、例えばAC-130特殊攻撃機の機内や地球の裏側のホテルの部屋から操作する能力を持ちたいと考えている」とのイメージを対外発信していたところです
そのそも米特殊作戦軍は、前司令官で現在の空軍作戦部長であるJames C. Slife中将の時から、「無人機の運用態勢は導入当初の1990年代から基本的に大きな変化がなく、一人が1機を操作する極めて人力集中型の運用形態が続いている」との強い問題意識を持ち、
例えば「無人機の自動離着陸や衛星通信利用の離着陸の導入と普及により、35%も最前線活動時間増加させた」、「更に高度なドローン自立運用への挑戦の機が熟しつつある」などドローン自立化への期待が高まっていると同司令官は述べ、若い有能な兵士を無人機のお守りに長時間縛り付けたくはないとも思いを語っています
またBauernfeind司令官は、現時点ではMQ-9の1個紹介点維持のため150名以上の人員が必要となっているが、自動化自立化ソフトの開発等で、操縦者1名が3機を指揮統制可能な体制確立に向けたテストに早期に実施したいとも語っており、ドローンの効率運用に強い意志を示しています
///////////////////////////////////////////
MQ-9から射出する小型ドローン(UASs)は、1機が重量25㎏以下のドローンが想定されているようですが、既存のドローンを搭載するのか、どのようなセンサーや通信中継装置の搭載をイメージしているのか、ご紹介した19日付米空軍協会web記事は触れていませんが、米空軍のMQ-9最前基地が、鹿児島県の鹿屋海自基地に作戦開設されたばかりのタイミングでもあり、気になるところです。
ご興味のある方は、A2Eプロジェクト(adaptive airborne enterprise)や小型ドローン(UASs:uncrewed aerial systems)に、「AFSOC:Air Force Special Operations Command」を絡めて検索してみてください
Bauernfeind司令官の13日の発言
「滑走路に依存しない能力確保が求められている:we have to have runway-agnostic capabilities」
→ https://holylandtokyo.com/2023/09/19/5048/
前任の空軍特殊作戦軍司令官が空軍作戦部長に
「仰天:作戦部長に特殊作戦部隊一筋の人物が」→https://holylandtokyo.com/2022/11/18/3965/
鹿屋海自基地に米空軍MQ-9部隊が
「部隊編成完了とMQ-9の将来」→https://holylandtokyo.com/2022/10/27/3811/
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MQ-9が上空で射出小型ドローン群を指揮統制
別に1名で3機のMQ-9操作する実験も構想中

米空軍保有約320機のMQ-9の内の約50機を保有する特殊作戦軍での、最優先装備導入プロジェクトだと表現した同司令官は、「MQ-9から射出される小型ドローン(UASs)によって、どの程度networkが拡大可能かはまだ明らかではない」が、「センサー網や通信ネットワークの拡大は、我が特殊作戦軍の敵陣深い作戦域での活動に大きな恩恵をもたらすだろう」とA2Eプロジェクトの意義を語り、

そのそも米特殊作戦軍は、前司令官で現在の空軍作戦部長であるJames C. Slife中将の時から、「無人機の運用態勢は導入当初の1990年代から基本的に大きな変化がなく、一人が1機を操作する極めて人力集中型の運用形態が続いている」との強い問題意識を持ち、

またBauernfeind司令官は、現時点ではMQ-9の1個紹介点維持のため150名以上の人員が必要となっているが、自動化自立化ソフトの開発等で、操縦者1名が3機を指揮統制可能な体制確立に向けたテストに早期に実施したいとも語っており、ドローンの効率運用に強い意志を示しています
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ご興味のある方は、A2Eプロジェクト(adaptive airborne enterprise)や小型ドローン(UASs:uncrewed aerial systems)に、「AFSOC:Air Force Special Operations Command」を絡めて検索してみてください
Bauernfeind司令官の13日の発言
「滑走路に依存しない能力確保が求められている:we have to have runway-agnostic capabilities」
→ https://holylandtokyo.com/2023/09/19/5048/
前任の空軍特殊作戦軍司令官が空軍作戦部長に
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鹿屋海自基地に米空軍MQ-9部隊が
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若手中尉が論文:世界的気温上昇で輸送機効率ダウン [米空軍]
2039年にはC-17輸送機の搭載量が約9%ダウン
2099年には同機搭載量が約3割ダウンの可能性も
米空軍大学が発行している2023年夏号の「Air & Space Operations Review」が、C-17パイロット訓練生である女性中尉の論文「Barriers to Force Projection」を取り上げ、世界的な気候変動による気温上昇により、最悪シナリオでは、2039年までにC-17輸送機の最大搭載量が多くの地域で8.5%減少し、2099年までを想定すると約3割減少する恐れがある、との同中尉の分析を紹介しています
筆者のKaitlyn Benton中尉は、戦闘機パイロット希望もあったものの、修士論文で空軍による戦力輸送にも関係が深い「空間地理情報:geospatial intelligence」を取り上げるためにC-17操縦者の道に進路を変更した人で、「Air & Space Operations Review」掲載論文は、修士論文作成時に浮かんだ疑問に挑んだもののようですが、内容はあくまで個人的な意見と断ったうえで、米空軍協会機関誌に論文概要を語っています
航空機が飛行する空間大気温度が「気候変動:climate change」により上昇すると、同じ高度を飛行しても空気密度が薄くなり、浮力やエンジン推力や燃費効率が低下して、輸送機に搭載可能な貨物重量や輸送機の航続距離が低下する現象を、地球温暖化の最悪シナリオを想定して分析した結果を、同中尉は論文にまとめています
論文の結論部分を要約すると、気候変動による気温上昇度合いは各地で異なりますが・・・
2020年時点と比較して2039年時点では、
●最大搭載重量が8.5%減少する範囲
(8.5%減小は1.45万ポンドでUH-60ヘリ1機に相当)
・中央軍とアジア太平洋軍エリアの約50%の範囲
・米南部軍とアフリカ軍エリアの約85%の範囲
●最大離陸重量への影響
(29.3%減少は約5万ポンドでBradley戦闘車両1台分)
・米アフリカ軍担当エリア全域で17%減少、
・同軍担当エリアの3/4のエリアで29.3%の減少
2020年と2099年の比較
(最大離陸重量減少29.3%の範囲は)
・米中央軍とアジア太平洋軍エリアでは36%
・南米軍エリアでは69%
・米アフリカ軍エリアでは73%
なお、北米軍や欧州軍エリアでは、最大搭載重量が8.5%も減少する影響は出ないが、最大搭載重量や離陸重量の減少量の増加率が、他の地域と比較して高くなっているようです
将来輸送機の検討&導入は、気候変動に伴う気温上昇による飛行効率低下の影響を緩和すると期待され、今年8月にBWB(blended-wing body)機のプロトタイプ作成契約が締結され本格始動し、2027年の飛行試験開始が予定されていますが、C-17後継機として入れ替えが完了するには長期間を要することから、気温上昇に迅速な対応は期待できません
また同様の気温上昇による飛行効率低下は、輸送機だけでなく、爆撃機、空中給油機、回転翼機や戦闘機にも一定程度予期される現象であり、小さな影響が積みあがることで、展開基地や中継基地の配置や選定、必要燃料量や空中給油ポイントの見積もり、また空輸限界を見据えた可能な展開戦力量など、作戦計画の様々な分野に修正を迫るものとなり、より大規模な検討が必要な分野と考えられています
////////////////////////////////////////////
同中尉は、「私の研究論文の対象範囲はほんの一部であり、様々な課題や要検討事項への対応を開始している国防省や各軍種レベルの気候変動対処部署が存在する」、「中国やロシアの脅威のように、広く認識され議論されている脅威ではないが、その影響が決して小さくない課題であり、私も微力ながら引き続き問題に取り組んでいきたい」と論文を締めくくっているようです
気候変動に対処するため、C02排出量の削減だ、太陽光や風力や地熱発電設備の導入だ、2050年までにカーボンニュートラルだ・・・とまで言われると、なんとなく「うさん臭い」印象を受け、中国の裏工作などを疑ってしまうまんぐーすですが、この夏の日本や欧州の猛暑など、世界的な気候の変化は顕著であり、米国防省各レベルで推進中の「気候変動対処計画」が避けて通れないことは認めざるを得ません
2023年夏号の「Air & Space Operations Review」96ページ
→ https://www.airuniversity.af.edu/Portals/10/ASOR/Journals/Volume-2_Number-2/ASOR_Volume_2_Number_2..pdf
国防省内の気候変動対処
「空軍のCAP気候変動対処計画」→https://holylandtokyo.com/2022/11/07/3747/
「国防省が気候変動対処構想発表」→https://holylandtokyo.com/2021/10/11/2318/
「海軍と海兵隊が対処演習強化」→https://holylandtokyo.com/2022/09/28/3666/
「米陸軍が前線電力消費増に対応」→https://holylandtokyo.com/2022/04/25/3138/
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2099年には同機搭載量が約3割ダウンの可能性も

筆者のKaitlyn Benton中尉は、戦闘機パイロット希望もあったものの、修士論文で空軍による戦力輸送にも関係が深い「空間地理情報:geospatial intelligence」を取り上げるためにC-17操縦者の道に進路を変更した人で、「Air & Space Operations Review」掲載論文は、修士論文作成時に浮かんだ疑問に挑んだもののようですが、内容はあくまで個人的な意見と断ったうえで、米空軍協会機関誌に論文概要を語っています

論文の結論部分を要約すると、気候変動による気温上昇度合いは各地で異なりますが・・・
2020年時点と比較して2039年時点では、
●最大搭載重量が8.5%減少する範囲
(8.5%減小は1.45万ポンドでUH-60ヘリ1機に相当)
・中央軍とアジア太平洋軍エリアの約50%の範囲
・米南部軍とアフリカ軍エリアの約85%の範囲
●最大離陸重量への影響
(29.3%減少は約5万ポンドでBradley戦闘車両1台分)
・米アフリカ軍担当エリア全域で17%減少、
・同軍担当エリアの3/4のエリアで29.3%の減少
2020年と2099年の比較
(最大離陸重量減少29.3%の範囲は)
・米中央軍とアジア太平洋軍エリアでは36%
・南米軍エリアでは69%
・米アフリカ軍エリアでは73%

将来輸送機の検討&導入は、気候変動に伴う気温上昇による飛行効率低下の影響を緩和すると期待され、今年8月にBWB(blended-wing body)機のプロトタイプ作成契約が締結され本格始動し、2027年の飛行試験開始が予定されていますが、C-17後継機として入れ替えが完了するには長期間を要することから、気温上昇に迅速な対応は期待できません

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同中尉は、「私の研究論文の対象範囲はほんの一部であり、様々な課題や要検討事項への対応を開始している国防省や各軍種レベルの気候変動対処部署が存在する」、「中国やロシアの脅威のように、広く認識され議論されている脅威ではないが、その影響が決して小さくない課題であり、私も微力ながら引き続き問題に取り組んでいきたい」と論文を締めくくっているようです

2023年夏号の「Air & Space Operations Review」96ページ
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国防省内の気候変動対処
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米空軍が新電子戦機EC-37Bの初号機受領 [米空軍]
EC-130後継機として10機調達予定
ビジネスジェットGulfstream G550に装備搭載
搭載装備に大差なしも、航空機性能大幅向上
9月12日、米空軍EC-130電子戦機の後継機として、10機導入が予定されているEC-37B Compass Callの初号機が米空軍に引き渡され、今後米空軍による性能確認&運用試験が開始されると、製造企業であるBAE SystemsとL3Harris Technolgiesが発表しました
また(恐らく)同日、米空軍戦闘コマンド司令官であるMark Kelly大将は記者団に、「EC-130の老朽化が進む中、もっと早期に導入しておくべきだった戦力だ」と予算状況に不満を示しつつも、「EC-37Bのジャミング能力は、米軍の海上および航空戦力を防御し、友軍が敵エリアに接近することを可能にする」と新型機に期待を示しました
同司令官はEC-37Bについて、搭載電子戦機材については、能力向上改修を継続的に続けてきたEC-130と大きな差はないとしつつも、EC-130が速度300ノット程度で上昇高度限界が25000フィートであるのに対し、ビジネスジェットGulfstream G550を原型として機体の信頼性が証明済のEC-37Bは、速度600ノット弱で同高度40000フィートが可能で、
同機の任務である敵の通信やレーダーや航法システムに対する電子妨害により、例えば敵兵器と指揮統制システムとの連携を妨げ、敵の防空兵器システムを無効化することを、より広範囲に所在する敵に対して行うことができる、と説明しました
更に同大将は記者団の質問に応え、米空軍が開発&導入を急いでいる無人ウイングマン機CCA(collaborative combat aircraft)が担う電子戦能力との住み分けについて、CCAがEC-37Bの取って代わることはなく、EC-37Bの能力を、F-35やF-15EXやCCA搭載の電子戦装備が補完するようなイメージだと説明しました
また今後のEC-37B性能確認&運用試験の中で、基本的な性能や自機システムへの干渉影響を確認するとともに、F-35やF-15EXやCCA等と共に同じ作戦エリアで活動する際に、「電子的有軍相撃」を起こすことなく、各電子戦アセットがうまく融合するように種々の確認を行う予定だ、とも述べました
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秘匿性の高い「電子戦」に関する新装備の導入ですから、いつ企業から空軍に引き渡されたのか、2023年5機導入や試験予定などなど、具体的なことに空軍側も企業側も一切言及しなかったようですが、順調であることを期待します
米空軍は「米空軍にはステルス戦闘機やステルス爆撃機があるから大丈夫」との理屈で、使い捨て電子戦用デコイMALD配備はありますが、F-4G PhantomとEF-111 Raven後継機導入計画はなく、唯一戦闘機タイプの電子戦機である海軍EA-18Gの空軍など他軍種支援用機体も、2025年には退役する予定です
F-35や次期制空機NGADにばかり資金を投入して、電子戦機のような重要な脇役への投資が疎かになっているのでは・・・と米空軍OBから懸念の声が上がっているところです
海軍EA-18G電子戦機の他軍種支援用が2025年に退役
ウクライナ支援でドイツに展開の米海軍EA-18G
「大御所米空軍OB研究者が大懸念」→https://holylandtokyo.com/2022/05/27/3249/
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ビジネスジェットGulfstream G550に装備搭載
搭載装備に大差なしも、航空機性能大幅向上

また(恐らく)同日、米空軍戦闘コマンド司令官であるMark Kelly大将は記者団に、「EC-130の老朽化が進む中、もっと早期に導入しておくべきだった戦力だ」と予算状況に不満を示しつつも、「EC-37Bのジャミング能力は、米軍の海上および航空戦力を防御し、友軍が敵エリアに接近することを可能にする」と新型機に期待を示しました

同機の任務である敵の通信やレーダーや航法システムに対する電子妨害により、例えば敵兵器と指揮統制システムとの連携を妨げ、敵の防空兵器システムを無効化することを、より広範囲に所在する敵に対して行うことができる、と説明しました

また今後のEC-37B性能確認&運用試験の中で、基本的な性能や自機システムへの干渉影響を確認するとともに、F-35やF-15EXやCCA等と共に同じ作戦エリアで活動する際に、「電子的有軍相撃」を起こすことなく、各電子戦アセットがうまく融合するように種々の確認を行う予定だ、とも述べました
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秘匿性の高い「電子戦」に関する新装備の導入ですから、いつ企業から空軍に引き渡されたのか、2023年5機導入や試験予定などなど、具体的なことに空軍側も企業側も一切言及しなかったようですが、順調であることを期待します

F-35や次期制空機NGADにばかり資金を投入して、電子戦機のような重要な脇役への投資が疎かになっているのでは・・・と米空軍OBから懸念の声が上がっているところです
海軍EA-18G電子戦機の他軍種支援用が2025年に退役
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アジア太平洋空軍はACE完全運用態勢にない [米空軍]
ACC司令官にご栄転予定のPACAF司令官が語る
空軍特殊作戦軍司令官は「滑走路は期待薄」とズバリ指摘
9月13日、米空軍協会の航空宇宙サーバー会議でACE構想(Agile Combat Employment)関連のパネル討議が実施され、ACC司令官にご栄転予定のWilsbachアジア太平洋空軍司令官、Bauernfeind空軍特殊作戦コマンド司令官、Minihan空軍輸送コマンド司令官が、様々な取り組み状況を語りました
Wilsbachアジア太平洋空軍司令官は、西太平洋地域に残された全てのWW2時の航空基地痕跡を求めて調査し、分散運用拠点としての活用可能性を追求するなど、様々な取り組みを過去数年で行ってきたが、完全運用態勢(full operational capability)にはさらなる努力が必要だと語り、
Bauernfeind空軍特殊作戦コマンド司令官は、様々な検討を経た現時点では、滑走路が確保できるかどうかわからない状態を受け入れて、滑走路に頼らない空軍特殊作戦軍を目指す必要性を述べ、Minihan空軍輸送コマンド司令官は、5月にグアム島が大きな台風被害を受けたが、7月には「米空軍史上最大の空輸演習」を初めて西太平洋地域で実施してACE構想遂行能力を高めたと語りました
Wilsbachアジア太平洋空軍司令官は
●西太平洋の島々に残されていた、今はジャングルに飲み込まれてたWW2時代の飛行場施設を残さず調査し、ACE構想に沿った最低限の拠点となり得る場所を特定し、ジャングルを取り除き、燃料や弾薬を保管し、兵士が寝起きでき、航空機を再発進可能な必要最小限の施設を備える拠点を、テニアン島などの場所でいくつか整備している
●5月24日に巨大台風Mawarがグアム島を直撃し、アンダーセン基地は約7億円相当の被害を受けたが、被害後に同基地を視察した際、私は基地司令官に「この台風被害は、広範囲に計画された敵による各種ミサイル攻撃被害より甚大であり、ACE構想準備に向けたパーフェクトな準備訓練となり得る」と告げ、前向きにこの台風被害をとらえて対処せよと指示した
●このようにACE構想態勢整備に尽力してきたが、アジア太平洋空軍がACEに関し完全運用態勢FOCを確立したと宣言できるレベルには達していない。前線基地は敵攻撃に耐えられるか、通信は大丈夫か、CBRN攻撃や高性能爆薬攻撃に対処できる準備があるか等々、ACE体制完全確立にはなすべきことが多く残されている
●兵站支援能力の確保も課題だし、多能力を備えた兵士の確保も道半ばであるし、攻撃時に兵士の生命を守る体制確保も課題として残っている。PACAF所属部隊には、日々の活動にACE構想を念頭に置いて取り組み、体がACE実現のための動きを記憶するぐらいにしてほしいと要望している
Minihan空軍輸送コマンド司令官は
●巨大台風Mawarがアンダーセン基地に大きな被害を与えたわずか2か月後に、我々は空輸演習「Mobility Guardian 2023」演習を史上最大規模で、しかも初めての国外である西太平洋地域で計画していたが、これをACE構想に向けての訓練として7月5日から約2週間にわたり実施した
Bauernfeind空軍特殊作戦コマンド司令官は
●我々は様々な角度から分析し、アジア太平洋戦域の航空施設が厳しい脅威下にある状況を改めて強く認識し、滑走路に依存しない能力確保が求められているとの考えに至りつつあり(we have to have runway-agnostic capabilities)、アジア太平洋空軍が適当な前線航空拠点を確保できなくても、作戦運用可能な体制に向け準備を始めている
●海上着粋水が可能なフロート付きMC-130Jプロジェクトを数年前から開始しているほか、DARPAや米特殊作戦軍と協力して、CV-22オスプレイの後継となるような滑走路を必要としない高速航空機開発を目指す「SPRINT :Speed and Runway Independent Technologies program」に着手している
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固定翼機を中心戦力にする太平洋空軍や輸送コマンド司令官が口が裂けても言えない「滑走路は期待薄」を、空軍特殊作戦コマンド司令官が言葉を慎重に選びながらもズバリ指摘ている点が痛快です。
ところで全く別の話ですが、9月10日にバイデン大統領が訪問先ベトナムでの記者会見で、「中国は困難な経済問題を抱えている」、「中国若年層の失業率上昇や経済政策の失敗等々で、習近平の手はふさがっている」と指摘し、一方で、こうした中国の国内問題が米中対立激化につながらず、中国経済の減速が「中国による台湾侵攻を引き起こすとは思わない」と明言しています。
驚くほど急激な中国経済崩壊の進展を目にすると、正解かどうかは別として、「中国軍事脅威」が遠のくと考えるのは自然な流れであり、これまで中国脅威で「軍事予算確保」に動いてきた米国や日本は、突然の「逆風」に大混乱しているのではないかと推察いたします
本日の記事と関連ある過去記事
「巨大台風でグアム米空軍基地に相当な被害か」→https://holylandtokyo.com/2023/05/29/4688/
「米空軍史上最大の空輸演習が初めて西太平洋で」→https://holylandtokyo.com/2023/07/13/4852/
「2022年6月ACE構想の現状語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「フロート付MC-130J検討」→https://holylandtokyo.com/2021/10/13/2296/
米空軍の将来作戦コンセプトACE関連記事
「米空軍がACEドクトリン発表」→https://holylandtokyo.com/2021/12/17/2532/
「欧州米空軍がACE構想の確認演習」→https://holylandtokyo.com/2021/10/27/2317/
「GuamでF-35とF-16が不整地離着陸」→https://holylandtokyo.com/2021/01/29/310/
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
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空軍特殊作戦軍司令官は「滑走路は期待薄」とズバリ指摘

Wilsbachアジア太平洋空軍司令官は、西太平洋地域に残された全てのWW2時の航空基地痕跡を求めて調査し、分散運用拠点としての活用可能性を追求するなど、様々な取り組みを過去数年で行ってきたが、完全運用態勢(full operational capability)にはさらなる努力が必要だと語り、

Wilsbachアジア太平洋空軍司令官は
●西太平洋の島々に残されていた、今はジャングルに飲み込まれてたWW2時代の飛行場施設を残さず調査し、ACE構想に沿った最低限の拠点となり得る場所を特定し、ジャングルを取り除き、燃料や弾薬を保管し、兵士が寝起きでき、航空機を再発進可能な必要最小限の施設を備える拠点を、テニアン島などの場所でいくつか整備している

●このようにACE構想態勢整備に尽力してきたが、アジア太平洋空軍がACEに関し完全運用態勢FOCを確立したと宣言できるレベルには達していない。前線基地は敵攻撃に耐えられるか、通信は大丈夫か、CBRN攻撃や高性能爆薬攻撃に対処できる準備があるか等々、ACE体制完全確立にはなすべきことが多く残されている
●兵站支援能力の確保も課題だし、多能力を備えた兵士の確保も道半ばであるし、攻撃時に兵士の生命を守る体制確保も課題として残っている。PACAF所属部隊には、日々の活動にACE構想を念頭に置いて取り組み、体がACE実現のための動きを記憶するぐらいにしてほしいと要望している

●巨大台風Mawarがアンダーセン基地に大きな被害を与えたわずか2か月後に、我々は空輸演習「Mobility Guardian 2023」演習を史上最大規模で、しかも初めての国外である西太平洋地域で計画していたが、これをACE構想に向けての訓練として7月5日から約2週間にわたり実施した
Bauernfeind空軍特殊作戦コマンド司令官は

●海上着粋水が可能なフロート付きMC-130Jプロジェクトを数年前から開始しているほか、DARPAや米特殊作戦軍と協力して、CV-22オスプレイの後継となるような滑走路を必要としない高速航空機開発を目指す「SPRINT :Speed and Runway Independent Technologies program」に着手している
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固定翼機を中心戦力にする太平洋空軍や輸送コマンド司令官が口が裂けても言えない「滑走路は期待薄」を、空軍特殊作戦コマンド司令官が言葉を慎重に選びながらもズバリ指摘ている点が痛快です。

驚くほど急激な中国経済崩壊の進展を目にすると、正解かどうかは別として、「中国軍事脅威」が遠のくと考えるのは自然な流れであり、これまで中国脅威で「軍事予算確保」に動いてきた米国や日本は、突然の「逆風」に大混乱しているのではないかと推察いたします
本日の記事と関連ある過去記事
「巨大台風でグアム米空軍基地に相当な被害か」→https://holylandtokyo.com/2023/05/29/4688/
「米空軍史上最大の空輸演習が初めて西太平洋で」→https://holylandtokyo.com/2023/07/13/4852/
「2022年6月ACE構想の現状語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「フロート付MC-130J検討」→https://holylandtokyo.com/2021/10/13/2296/
米空軍の将来作戦コンセプトACE関連記事
「米空軍がACEドクトリン発表」→https://holylandtokyo.com/2021/12/17/2532/
「欧州米空軍がACE構想の確認演習」→https://holylandtokyo.com/2021/10/27/2317/
「GuamでF-35とF-16が不整地離着陸」→https://holylandtokyo.com/2021/01/29/310/
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
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B-21がエンジン稼働試験開始&屋外写真公開 [米空軍]
7月の「最近power on試験実施」後の初の発表
依然として「2023年末までには初飛行」維持
Brown参謀総長が「完璧な成功例」と12日スピーチ
9月12日、B-21次期爆撃機について、製造企業Northrop Grumman(NG)社とBrown空軍参謀巣長が別々の場で、NG社が「地上試験の一環として、エンジン稼働試験を開始した」と発表し、
空軍参謀総長は米空軍協会航空宇宙サーバー会議の講演で、以下の側面から「B-21は完璧な成功例」だと讃え、3つの側面「設計コンセプトの実現」、「作戦運用者と装備調達関係者の緊密連携による前線への求められる能力提供」、「極めて重要な航空機の稼働体制を維持する維持整備プロセス技術の開発」を強調しました
初飛行の予定など、以後の開発スケジュールについて両者から追加言及は一切無かった模様ですが、以前から発表されている「2023年末までには初飛行」に向け、淡々と準備が進められている模様です
更に両者が7月31日に撮影されたとされる屋外と格納庫内の新しい写真を公開(空軍が2枚、NG社が1枚)したことから、12日付米空軍協会web記事は、素人にはよくわからない、以下のような機体の特徴解説しています(専門用語なので和訳に自信なしです)
・エンジン用空気取り入れ口が、従来のステルス機よりもはるかに細い。脚の格納庫扉もB-2よりはるかにシンプル。
・翼の操縦翼面が初確認できるが、片翼に3面あるように見えるそれは、B-2よりはるかに大きい
・飛行試験データ測定用の空気取り入れProbe が、機種下に斜め下方向に取り付けられている。機体が上昇姿勢時のデータ収集用かもしれない
・操縦席後方の機体上部に、のこぎり型ギザギザ形状部分が確認できるが、B-2爆撃機と同様に、空中給油用ブームの受け入れ口かもしれない
・B-21の操縦席側方窓は、以前公開された想像図より、はるかに小さく、横長で縦方向が短い
またB-21の維持整備プロセス開発にあたっているRichardson Materiel Command司令官は、「これまでの機体開発や前線部隊での維持整備の教訓を生かすため、開発設計段階から、メンテナンス手法や作業手順の細部にこだわって関与してきた」と空軍協会イベントで力説し、困難なステルス機体の維持整備を容易化するなどに取り組んできたと説明しています
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B-21爆撃機に関しては、2022年12月に機体が初披露(正面からのみ。写真撮影もカメラの能力制限付きで可)後、3月に新たな写真2枚を公開し、7月にNG社CEOが「順調」、「最近power on試験(電源投入)実施」、「2023年末までには初飛行。具体的日程は試験の進捗次第」と発表以来、
引き続き全く細部情報がありませんが、年末までにあると発表されている突然の「初飛行」ニュースを待ちましょう
B-21関連記事
「最近power on試験実施」→https://holylandtokyo.com/2023/08/03/4911/
「豪州もB-21購入検討していた」→https://holylandtokyo.com/2023/05/15/4588/
「B-21導入による米空軍爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「初披露のメディア扱い」→https://holylandtokyo.com/2022/12/14/4027/
「映像で紹介:B-21初披露式典」→https://holylandtokyo.com/2022/12/05/4015/
「10の視点でご紹介:NG社事前リリース」→https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/
「12月2日に初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/10/24/3796/
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依然として「2023年末までには初飛行」維持
Brown参謀総長が「完璧な成功例」と12日スピーチ

空軍参謀総長は米空軍協会航空宇宙サーバー会議の講演で、以下の側面から「B-21は完璧な成功例」だと讃え、3つの側面「設計コンセプトの実現」、「作戦運用者と装備調達関係者の緊密連携による前線への求められる能力提供」、「極めて重要な航空機の稼働体制を維持する維持整備プロセス技術の開発」を強調しました

更に両者が7月31日に撮影されたとされる屋外と格納庫内の新しい写真を公開(空軍が2枚、NG社が1枚)したことから、12日付米空軍協会web記事は、素人にはよくわからない、以下のような機体の特徴解説しています(専門用語なので和訳に自信なしです)
・エンジン用空気取り入れ口が、従来のステルス機よりもはるかに細い。脚の格納庫扉もB-2よりはるかにシンプル。
・翼の操縦翼面が初確認できるが、片翼に3面あるように見えるそれは、B-2よりはるかに大きい
・飛行試験データ測定用の空気取り入れProbe が、機種下に斜め下方向に取り付けられている。機体が上昇姿勢時のデータ収集用かもしれない
・操縦席後方の機体上部に、のこぎり型ギザギザ形状部分が確認できるが、B-2爆撃機と同様に、空中給油用ブームの受け入れ口かもしれない
・B-21の操縦席側方窓は、以前公開された想像図より、はるかに小さく、横長で縦方向が短い

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引き続き全く細部情報がありませんが、年末までにあると発表されている突然の「初飛行」ニュースを待ちましょう
B-21関連記事
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空軍長官が来年1月までに米空軍総レビュー実施宣言 [米空軍]
中国を抑止し、有事に戦える米空軍を目指し
組織・訓練・補給・即応体制等の視点で総点検
レビュー完了後、「実行フェーズ」へ移行
9月5日、Kendall空軍長官が米空軍と宇宙軍勤務者に対しレターを発刊し、中国の米国に対する軍事力行使を抑止し、一朝有事の際は中国に軍事的勝利を上げるための態勢固めを狙いとし、2024年1月までの数か月間で米空軍省配下の米空軍と宇宙軍を「組織・訓練・補給・即応体制等々の全側面」から「根本的レビュー:sweeping review」する、と宣言しました
レビューは、空軍省司令部が中央集権的に主導し、米統合軍の主要コマンドや前線部隊からの支援やインプットを得て実施され、時期的には2025年度空軍予算案がまとまり、米議会に提出される直前に完成することになりますが、このレビューの時程が何を意味するのか・・・「2025年度予算作成のネタを提供するため?」か「2026年度予算案作成の基礎とするため?」かは不明で、Kendall長官自身も細部には触れなかったようでが、レビュー後は「実行フェーズ:implementation phase」に移ると述べています。
9月11-13日に開催される世界の空軍関係者注目の米空軍協会「Air, Space and Cyber conference」で、Kendall長官は「無人ウイングマン機:CCA:Collaborative Combat Aircraft」計画について、国防省主導の「Replicator」計画との兼ね合いも含め、大きな発表をすると噂されていますが、これらすべての推進を後押しするような「レビュー」を空軍長官は意図している模様です
本レビューの背景脅威認識について同長官は、「中国は過去10年間に渡り、西太平洋地域で侵略行動に出ても勝利可能な戦力構築に取り組み、通常戦力強化から入るとともに、最近では核戦力や宇宙戦力の劇的な増強にも着手している」と危機感をあらわにし、
同時に米空軍と宇宙軍について、「因習や硬直性が強固に染みついており、自己レビューは容易ではない」、「立ちはだかる手ごわい脅威に対して対処できる組織構造か?、訓練計画になっているか?」、「我々があるべきレベルに到達しているとは言い難い状態にある」と厳しい現状認識を語っています
そして、同長官が就任時に掲げた「seven Operational Imperatives」を重要課題とし、「過去2年間で通常戦力の近代化計画を練り上げ、2024年度予算にも関連投資を盛り込んでおり、道半ばであるが、改革に向け歩みを開始している」と説明する一方で、
「我々は、より迅速に、よる包括的に取り組む必要がある」、「変革な必要な部分を見定め、変革を加速する必要がある」と訴え、「自己満足に陥ってならない」と米空軍と宇宙軍に対し求めるレターとなっています
/////////////////////////////////////////////////
9月5日付レター現物を確認できておらず、ご紹介した5日付米空軍協会web記事の内容からは「抽象的」との印象はぬぐえませんが、2025年度予算で相当に大きな変革方向、すなわち「従来装備の大胆な早期退役&削減(F-35調達機数削減を含む)」と「新規装備への大幅投資増」をセットで打ち出して米議会などの理解を得るために、
米空軍と宇宙軍のやる気を示す様な「痛みを伴う組織改編や人員再配分」や「組織文化や硬直性にもメスを入れる改革指針」を並行してアピールすることを、来年1月までの「レビュー」で狙ってのでは・・・と推測いたします。
Kendall長官関連記事
「NGAD候補企業が同じ基地内で」→https://holylandtokyo.com/2023/05/25/4678/
「NGADは欧州型とアジア太平洋型追求」→https://holylandtokyo.com/2023/05/10/4604/
「200機と無人僚機1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「ステルス給油機に積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/
2021年12月9日の同長官講演
「7つの優先事項を語る」→ https://holylandtokyo.com/2021/12/13/2521/
Replicator計画関連
「安価で小型でスマートな無人機を大量に」→https://holylandtokyo.com/2023/08/31/4997/
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組織・訓練・補給・即応体制等の視点で総点検
レビュー完了後、「実行フェーズ」へ移行

レビューは、空軍省司令部が中央集権的に主導し、米統合軍の主要コマンドや前線部隊からの支援やインプットを得て実施され、時期的には2025年度空軍予算案がまとまり、米議会に提出される直前に完成することになりますが、このレビューの時程が何を意味するのか・・・「2025年度予算作成のネタを提供するため?」か「2026年度予算案作成の基礎とするため?」かは不明で、Kendall長官自身も細部には触れなかったようでが、レビュー後は「実行フェーズ:implementation phase」に移ると述べています。

本レビューの背景脅威認識について同長官は、「中国は過去10年間に渡り、西太平洋地域で侵略行動に出ても勝利可能な戦力構築に取り組み、通常戦力強化から入るとともに、最近では核戦力や宇宙戦力の劇的な増強にも着手している」と危機感をあらわにし、

そして、同長官が就任時に掲げた「seven Operational Imperatives」を重要課題とし、「過去2年間で通常戦力の近代化計画を練り上げ、2024年度予算にも関連投資を盛り込んでおり、道半ばであるが、改革に向け歩みを開始している」と説明する一方で、
「我々は、より迅速に、よる包括的に取り組む必要がある」、「変革な必要な部分を見定め、変革を加速する必要がある」と訴え、「自己満足に陥ってならない」と米空軍と宇宙軍に対し求めるレターとなっています
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米空軍と宇宙軍のやる気を示す様な「痛みを伴う組織改編や人員再配分」や「組織文化や硬直性にもメスを入れる改革指針」を並行してアピールすることを、来年1月までの「レビュー」で狙ってのでは・・・と推測いたします。
Kendall長官関連記事
「NGAD候補企業が同じ基地内で」→https://holylandtokyo.com/2023/05/25/4678/
「NGADは欧州型とアジア太平洋型追求」→https://holylandtokyo.com/2023/05/10/4604/
「200機と無人僚機1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「ステルス給油機に積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/
2021年12月9日の同長官講演
「7つの優先事項を語る」→ https://holylandtokyo.com/2021/12/13/2521/
Replicator計画関連
「安価で小型でスマートな無人機を大量に」→https://holylandtokyo.com/2023/08/31/4997/
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初めてF-35を受領する米空軍予備役飛行隊 [米空軍]
来年F-35を受領し、30年使用のF-16は仮設敵部隊へ
予備役戦闘機部隊の訓練や作戦運用もご紹介
8月10日付米空軍協会web記事が、米空軍の予備役戦闘機部隊として2024年に初めてF-35を受領し、30年に渡るF-16運用に幕を閉じるテキサスの米海軍航空基地に籍を置く第301戦闘航空団の第457派遣戦闘飛行隊の様子を取り上げていますので、予備役戦闘機部隊の訓練や作戦運用を垣間見る機会としてご紹介します
第457派遣戦闘飛行隊(457th EFS: 457th Expeditionary Fighter Squadron)は、現在サウジのPrince Sultan Air Baseに派遣されており、8月末に帰国する予定ですが、その後にF-16からF-35への機種転換に本格的に取り組む模様です
同飛行隊がF-35を受領するのが2024年となっていますが、現有F-16を手放す時期(ネリス基地でアグレッサー転換し、フロリダ州Homestead空軍基地で第93予備役戦闘飛行隊に移管される)は不明確ながら、過去の正規空軍飛行隊のF-16~F-35への機種転換の様子から、F-35到着の1年前にF-16を送り出すことになろうと考えられています
同飛行隊長の中佐はまず、現在の中東への展開が如何に過酷で、任務遂行を通じて部隊が逞しくなった様子を振り返り、「対ISISのOperations Inherent Resolveや、ロシアによるMQ-9への妨害が頻発する中での地域安定化警戒飛行作戦Spartan Shieldに備え、一般的な展開準備の他に、ACE(Agile Combat Employment)構想演習や近接航空支援訓練を短期間に精力的にこなし」、
中東展開後は、「1回のフライトが7時間に及ぶ連続飛行の中で、様々な任務を緊張感を維持しつつ遂行する任務」や、「暑さ、強い風、砂嵐等の米本土とは異なる厳しい環境の中で、米本土での訓練フェーズに比べてはるかにテンポの速い、作戦→整備、任務の分析検討→休息→作戦準備→作戦のサイクル」を成し遂げてきた部隊の自信が、F-35受け入れに向けた様々な準備の基礎になろうと胸を張っています
また同飛行隊を有する第301戦闘航空団司令官の大佐は、「F-35はその機体特性からSEADへの専門性が高い機種だが、既に多くの正規空軍部隊に配備され、その優れた性能を多様な任務で発揮しており、F-16の後継機種として大いに期待されている」と語り、予備役部隊として最初のF-35を受け入れに万全を期すと決意を新たにしています
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F-35導入が進んでも、米空軍のF-16がまだまだ仮説敵部隊(アグレッサー部隊)で活躍すること、海外派遣部隊が展開前にACE構想演習を実施すること、中東派遣の戦闘機部隊が7時間もの長時間フライトを普通に行っている事、F-35の専門分野を問われれば、空軍内ではSEAD機として認識されていることなどを、この記事から学びました
まだまだ暑い夏が続きますが、皆さま、お体をくれぐれも大切に・・・
米空軍の戦闘機構成議論
「戦闘機の近未来体制は」→https://holylandtokyo.com/2021/05/21/1709/
「戦闘機は7機種から4機種へ」→https://holylandtokyo.com/2021/05/18/1496/
次世代制空機NGADの検討状況
「企業選定開始」→https://holylandtokyo.com/2023/05/22/4656/
「欧州型とアジア太平洋型の2タイプ追求」→https://holylandtokyo.com/2023/05/10/4604/
「NGADは1機が数百億円」→https://holylandtokyo.com/2022/05/09/3193/
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予備役戦闘機部隊の訓練や作戦運用もご紹介

第457派遣戦闘飛行隊(457th EFS: 457th Expeditionary Fighter Squadron)は、現在サウジのPrince Sultan Air Baseに派遣されており、8月末に帰国する予定ですが、その後にF-16からF-35への機種転換に本格的に取り組む模様です

同飛行隊長の中佐はまず、現在の中東への展開が如何に過酷で、任務遂行を通じて部隊が逞しくなった様子を振り返り、「対ISISのOperations Inherent Resolveや、ロシアによるMQ-9への妨害が頻発する中での地域安定化警戒飛行作戦Spartan Shieldに備え、一般的な展開準備の他に、ACE(Agile Combat Employment)構想演習や近接航空支援訓練を短期間に精力的にこなし」、

また同飛行隊を有する第301戦闘航空団司令官の大佐は、「F-35はその機体特性からSEADへの専門性が高い機種だが、既に多くの正規空軍部隊に配備され、その優れた性能を多様な任務で発揮しており、F-16の後継機種として大いに期待されている」と語り、予備役部隊として最初のF-35を受け入れに万全を期すと決意を新たにしています
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米空軍がベンチャー企業にBWBデモ機を [米空軍]
「JetZero社のZ-5」が2027年までに飛行試験
官民両用で燃料効率・輸送効率大幅向上目指す
8月16日、米空軍はBWB(blended wing body)形状機体のプロトタイプ機作成と2027年までのデモ飛行実施を、ベンチャー企業「JetZero」社に委託すると発表し、発表の場でKendall空軍長官が「BWB機は燃料消費を大幅に削減するとともに、航空作戦に変革をもたらし、我々の勝利に必要な戦略的優位をもたらしてくれるだろう」とアピールしました
Kendall長官はBWB機に関し、大幅に検討開始を前倒し(当初2030年代に検討開始予定を、2022年末から検討開始に)している「KC-Z」こと将来空中給油機NGAS(Next-Generation Air-Refueling System)への適用を念頭にこれまで語ることが多かったのですが、今回米空軍はNGAS用だとは説明せず、「燃料消費減で気候変動対処」、「民航機との技術共有でWin-Win」とのBWB機の側面を積極的に打ち出しており、
米空軍の本件発表声明は「BWB技術成熟を目指すデモ機作成は、国防省と民間航空業界の両方に、将来航空プラットフォームの選択肢を提供することを狙いとしている」、「BWB形状は従来機体から空気抵抗を30%削減して飛行効率を向上させ、航続距離、在空時間、搭載輸送の効率の向上と、兵站輸送のリスク低減に大きく貢献する」とアピールしています
米空軍のBWB機体開発には歴史があり、1940年代後半のNG社「YB-35」や2007-13年にボーイングとNASAがデモ開発した「X-48」で培った技術が、B-2やB-21で実用化され実戦配備に結び付いているところです
このBWB技術を更に旅客機や輸送機や給油機に展開を試みる背景には、「最近の機体構造設計技術、材料技術、製造技術などなどの進歩によって、機体の大量生産に目途が立ちつつある」点があると米空軍声明は説明しています
今回選ばれた「JetZero」社は、既に「Z-5」とのBWB機のイメージ図を2023年春に発表しており、従来型機に比較して燃料消費量を5割削減できる可能性があるとしており、NGAS候補にも挑戦したいと明らかにしている企業です
一般的にBWB機は、エンジンが機体上部に搭載されることから地上への騒音が軽減できると考えられており、現状の民航機と同様のルートを飛行可能と想定され、エンジンへの異物混入リスクも低減できると見られています
このプロジェクトには米空軍の他、NASA、国防省のDIUとOffice of Strategic Capitalも関与していますが、民航機への技術転用が想定されることから民間資本の導入も期待されています
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もちろん米空軍として、燃料消費量の6割を占める輸送機と空中給油機の燃料消費効率を高めることは、2022年10月発表の気候変動対処計画「Climate Action Plan」に完全に沿ったものであり、今回の発表姿勢に違和感はありませんが、
「KC-Z」である「NGASへの搭載」を明確に打ち出さなかった背景には、空中給油機「KC-Y」もそうですが、多くの候補企業が名乗りを上げていることがあり、機種選定段階でのゴタゴタにつながらないよう、慎重に技術開発を進めたいとの思惑があるようにまんぐーすは考えています
BWB機開発関連の記事
「ステルス給油機検討開始」→https://holylandtokyo.com/2023/02/13/4281/
「長官が積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/
「空軍がKC-Yと-Zの検討予定に言及」→https://holylandtokyo.com/2022/08/26/3558/
「BWB機の技術動向調査」→https://holylandtokyo.com/2022/08/05/3508/
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官民両用で燃料効率・輸送効率大幅向上目指す

Kendall長官はBWB機に関し、大幅に検討開始を前倒し(当初2030年代に検討開始予定を、2022年末から検討開始に)している「KC-Z」こと将来空中給油機NGAS(Next-Generation Air-Refueling System)への適用を念頭にこれまで語ることが多かったのですが、今回米空軍はNGAS用だとは説明せず、「燃料消費減で気候変動対処」、「民航機との技術共有でWin-Win」とのBWB機の側面を積極的に打ち出しており、

米空軍のBWB機体開発には歴史があり、1940年代後半のNG社「YB-35」や2007-13年にボーイングとNASAがデモ開発した「X-48」で培った技術が、B-2やB-21で実用化され実戦配備に結び付いているところです

今回選ばれた「JetZero」社は、既に「Z-5」とのBWB機のイメージ図を2023年春に発表しており、従来型機に比較して燃料消費量を5割削減できる可能性があるとしており、NGAS候補にも挑戦したいと明らかにしている企業です

このプロジェクトには米空軍の他、NASA、国防省のDIUとOffice of Strategic Capitalも関与していますが、民航機への技術転用が想定されることから民間資本の導入も期待されています
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「KC-Z」である「NGASへの搭載」を明確に打ち出さなかった背景には、空中給油機「KC-Y」もそうですが、多くの候補企業が名乗りを上げていることがあり、機種選定段階でのゴタゴタにつながらないよう、慎重に技術開発を進めたいとの思惑があるようにまんぐーすは考えています
BWB機開発関連の記事
「ステルス給油機検討開始」→https://holylandtokyo.com/2023/02/13/4281/
「長官が積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/
「空軍がKC-Yと-Zの検討予定に言及」→https://holylandtokyo.com/2022/08/26/3558/
「BWB機の技術動向調査」→https://holylandtokyo.com/2022/08/05/3508/
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AI搭載無人機XQ-58Aが集大成3時間飛行 [米空軍]
本格無人ウイングマン機CCA開発にソフト投入へ
「基礎技術確認を終え、2023年からCCA本格開発」の一環
8月2日、米空軍研究所AFRLが5年以上に渡り開発を続けてきた、有人機と協力したり随伴したりして攻撃やISR能力強化を狙うAI搭載無人ウイングマン機を開発する「Skyborg計画」の集大成として、開発した人工知能飛行ソフトを「XQ-58A Valkyrie」無人機に搭載し、7月25日に約3時間にわたる試験飛行をフロリダ州Eglin空軍基地周辺で成功裏に実施したと発表しました
開発責任者のTucker Hamilton大佐は試験成功後に、「この飛行試験成功を持って、機械学習と人工知能技術を総合して開発してきた、近代戦を想定した無人機用の空対空と空対地AIアルゴリズムが、今すぐにでも無人ウイングマン機計画(CCA計画:Collaborative Combat Aircraft)に転用可能なことが公式に示された」と語り、今年2023年に基礎技術開発段階から本格開発段階に入ったCCA計画の順調さをアピールしました
7月25日の3時間の飛行試験内容や具体的な成果は不明で、今後のCCA計画の具体的予定も良くわかりませんが、今年3月末に米空軍のHunter調達担当次官とMoore戦略計画部長が下院軍事委員会で、1000機から2000機導入する前提で検討と3月に空軍長官が語ったCCAを2020年代後半には導入したいと説明し、2030年代初頭導入イメージの次期制空機NGADより先行して導入したいとのスケジュール感を明らかにしていたところです
以下では7月25日を一つの節目と捉え、CCA計画の前段階として米空軍内で行われてきた、無人機用AI開発「Skyborg計画」と、無人機の群れ技術開発「Golden Horde計画」について、簡単に過去記事等からご紹介させていただきます
無人機用AI開発「Skyborg計画」は・・・
●無人機が、戦闘空域でISRや攻撃を、有人戦闘機や他の航空機に随伴し、有人機からの任務割り当て指示を基礎に、無人機自身で状況を判断して任務を遂行可能とする人工知能AIの開発
●(2022年11月にKirsten J. Baldwin米空軍担当次官補は、)これまでXQ-58 ValkyrieやUTAP-22 Mako無人機で自立型AI飛行ソフトのテストを行ってきたが、2023年に別の機体で応用デモ試験を行い、センサー、兵器運用、電子戦攻撃、飛行訓練パターン飛行を確認し、教訓をCCAプログラムに提供したい
無人機の群れ技術開発「Golden Horde計画」は・・・
●敵を混乱させるための、既存兵器を群れとして使用する自立制御(autonomy)の検討。あくまで人が事前に指定した目標群にのみ対処する「交戦規程を徹底させたセミ自立」を狙うもの
●群れがネットワーク化され、共同して機能し、敵をリアルタイムで把握して対応し、敵の反応に応じて最大の効果を発揮して任務遂行を可能にする群れ制御技術開発
●(2022年11月にKirsten J. Baldwin米空軍担当次官補は、)例えばSDB(Small Diameter Bomb)の群れ実験を通じ、無人機単独ではなく群れとして、相互に機体が連携して任務を遂行可能かを検討し、様々に変化する状況にいかに対応するかを煮詰めてきた
●それら成果を「Golden Horde Colosseum」との仕組みで取りまとめ、テストした以外の兵器や新兵器に成果に取り込むため、設計環境やデジタルモデリング環境を提供している
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CCA導入を、当初の2030年代初めから2020年代後半に前倒しすると、今年3月にKendall空軍長官が明らかにし、前述のように「1000機から2000機導入」を各種見積もりや計画の前提条件にして検討を開始していると述べていますが、対中国が一番強く念頭にあるであろうこの「CCA」の運用を考える時、
有人機も同様の問題にぶち当たっていると思いますが、西太平洋の限定的な航空機展開基盤基地に、「如何にCCAを持ち込み、如何に運用可能な状態を維持し、如何に必要とされる最前線まで到達させ、指揮統制するか」の課題には、未だ解決策らしきものが見つかっていない・・と認識しています。大陸続きの欧州戦線ならまだしも・・・
2022年末のAI無人機と「群れ」研究の状況&方向性
基礎技術確認を終え、2023年度から本格開発へ
2024年度予算案で具現化の方向をより明確に
「同技術を作戦機で装備化へ」→ https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/
無人ウイングマンCCA関連
「CCAを2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
「空軍長官:NGADが200機、CCAは1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
Skyborg計画関連
「2機種目MQ-20 Avengerで成功」→https://holylandtokyo.com/2021/07/08/1983/
「Skyborg構想の頭脳ACSで初飛行2時間」→https://holylandtokyo.com/2021/05/17/1489/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holylandtokyo.com/2020/05/24/679/
「豪州もXQ-58に参画」→https://holylandtokyo.com/2020/05/06/664/
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
Golden Horde計画関連
「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holylandtokyo.com/2020/10/12/430/
「SkyborgとGolden Horde計画を優先に」→https://holylandtokyo.com/2019/12/06/2838/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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「基礎技術確認を終え、2023年からCCA本格開発」の一環

開発責任者のTucker Hamilton大佐は試験成功後に、「この飛行試験成功を持って、機械学習と人工知能技術を総合して開発してきた、近代戦を想定した無人機用の空対空と空対地AIアルゴリズムが、今すぐにでも無人ウイングマン機計画(CCA計画:Collaborative Combat Aircraft)に転用可能なことが公式に示された」と語り、今年2023年に基礎技術開発段階から本格開発段階に入ったCCA計画の順調さをアピールしました

以下では7月25日を一つの節目と捉え、CCA計画の前段階として米空軍内で行われてきた、無人機用AI開発「Skyborg計画」と、無人機の群れ技術開発「Golden Horde計画」について、簡単に過去記事等からご紹介させていただきます
無人機用AI開発「Skyborg計画」は・・・

●(2022年11月にKirsten J. Baldwin米空軍担当次官補は、)これまでXQ-58 ValkyrieやUTAP-22 Mako無人機で自立型AI飛行ソフトのテストを行ってきたが、2023年に別の機体で応用デモ試験を行い、センサー、兵器運用、電子戦攻撃、飛行訓練パターン飛行を確認し、教訓をCCAプログラムに提供したい
無人機の群れ技術開発「Golden Horde計画」は・・・
●敵を混乱させるための、既存兵器を群れとして使用する自立制御(autonomy)の検討。あくまで人が事前に指定した目標群にのみ対処する「交戦規程を徹底させたセミ自立」を狙うもの

●(2022年11月にKirsten J. Baldwin米空軍担当次官補は、)例えばSDB(Small Diameter Bomb)の群れ実験を通じ、無人機単独ではなく群れとして、相互に機体が連携して任務を遂行可能かを検討し、様々に変化する状況にいかに対応するかを煮詰めてきた
●それら成果を「Golden Horde Colosseum」との仕組みで取りまとめ、テストした以外の兵器や新兵器に成果に取り込むため、設計環境やデジタルモデリング環境を提供している
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有人機も同様の問題にぶち当たっていると思いますが、西太平洋の限定的な航空機展開基盤基地に、「如何にCCAを持ち込み、如何に運用可能な状態を維持し、如何に必要とされる最前線まで到達させ、指揮統制するか」の課題には、未だ解決策らしきものが見つかっていない・・と認識しています。大陸続きの欧州戦線ならまだしも・・・
2022年末のAI無人機と「群れ」研究の状況&方向性
基礎技術確認を終え、2023年度から本格開発へ
2024年度予算案で具現化の方向をより明確に
「同技術を作戦機で装備化へ」→ https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/
無人ウイングマンCCA関連
「CCAを2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
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Skyborg計画関連
「2機種目MQ-20 Avengerで成功」→https://holylandtokyo.com/2021/07/08/1983/
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