米空軍大改革の演習は来夏Talisman Sabre演習と同時に [米空軍]
演習名「REFORPAC(Return of Forces to the Pacific)」
冷戦時代時の「REFORGER(ドイツへの部隊帰還)」にちなみ
8月16日、ハドソン研究所で講演したAllvin米空軍参謀総長が、2月に発表した米空軍大改革(re-optimization for great power competition project)の主要項目の一つである「即応態勢の向上」の一環として、来夏予定の米豪主催の統合多国籍大規模演習である「Talisman Sabre 2025」と並行して、「REFORPAC(Return of Forces to the Pacific)」との演習名の大規模米空軍演習を行うと明らかにしました
米空軍大改革は、「新規装備品構想や開発管理を一手に担う新コマンドIntegrated Capabilities Command創設」と「ACE構想実現のための兵士多能化等を目指した教育訓練体系改革」に、「即応態勢の向上」を加えた大きく3項目から構成されていますが、
「即応態勢の向上」のため具体的に、「新しい戦力造成ローテーションAFFORGEN導入」、「基礎単位の航空団Wingを前方展開即応部隊や基地機能維持部隊等に区分し、各Wingへの要求を明確に規定」、そして「冷戦期のような無通告能力点検・検閲の復活」と「実戦的演習の強化」に取り組むと2月時点で発表されていましたが、細部は不明だった「実戦的演習の強化」について、具体的な方向性が8月16日に初めて明らかにされたということです
米豪主催の統合多国籍大規模演習である「Talisman Sabre」は、2005年が初回の隔年開催の演習で、毎回7月中旬から8月初旬にかけ2週間程度、豪州や西太平洋地域で実施されており、前回2023年時には米豪の他、13か国(Fiji, France, Indonesia, Japan, South Korea, New Zealand, Papua New Guinea, Tonga, the United Kingdom, Canada and Germany。その他オブザーバ参加が比星タイ)から計35000名が参加し、15の主要訓練イベントが実施されています
「REFORPAC」演習についてAllvin大将は
●「REFORPAC(太平洋への部隊の帰還)」と命名した本演習は、冷戦時代の「REFORGER(ドイツへの部隊の帰還)」にちなんで命名した。REFORGERがドイツ国境を越えて押し寄せるソ連軍への備えに設計されたのと同様に、REFORPACは、潜在的な中国との戦いに米空軍をよりよく準備することを目指している
●演習には、主要メジャーコマンドからは米戦略コマンド、北米コマンド、大平洋コマンドが参加し、空軍輸送コマンドも重要な役割を果たす。これら部隊の戦力がアラスカ、ハワイ、グアム、米国本土から展開して約14日間訓練を行う
●演習で取り組む重要な課題は、最近の(ACE構想演習)「Bamboo Eagle演習」でも強調しているように、設備不十分な難しい環境に展開し、敵の攻撃下でも戦力発揮ができるよう運用基盤を整え、燃料や弾薬を確実に届けて任務を継続的に遂行可能な態勢を確立すること
●実際に現地に赴き、一定期間作戦活動を行うことにより、そしてそれを従来より大規模に試験することで、中国との潜在的な戦闘の規模と困難さを体感し、机上では未知だった課題や不足事項を見つける事が狙い
//////////////////////////////////////////
最近、この米空軍大改革(re-optimization for great power competition project)について記事にすることが多いのですが、最近の中国の経済破綻状況や中国軍への影響を、米国や米国防省や米軍が、どのように分析しているのかが気に成ります
最近の様々な報道やSNS情報からは、習近平の動向が最近つかめなくなっているとか、中国全土で頻発している水害等の自然災害で人民の不満が爆発寸前とか、中国での失業者急増の勢いがすさまじいとか、主要な都市で停電が頻発し始めているとか、各所で公務員や軍人の給料削減や遅配が常態化して組織機能が低下しているとか、尋常ならざる事態が急速に拡大している気配が漂っていますが、どのように米国では評価しているのでしょうか? 気になります
米空軍が大改革アクションを発表
「最大の課題はICC創設と運営」→https://holylandtokyo.com/2024/09/03/6230/
「大改革の概要発表」→https://holylandtokyo.com/2024/02/16/5579/
「改革の目玉ICCコマンド」→https://holylandtokyo.com/2024/05/23/5873/
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冷戦時代時の「REFORGER(ドイツへの部隊帰還)」にちなみ
8月16日、ハドソン研究所で講演したAllvin米空軍参謀総長が、2月に発表した米空軍大改革(re-optimization for great power competition project)の主要項目の一つである「即応態勢の向上」の一環として、来夏予定の米豪主催の統合多国籍大規模演習である「Talisman Sabre 2025」と並行して、「REFORPAC(Return of Forces to the Pacific)」との演習名の大規模米空軍演習を行うと明らかにしました
米空軍大改革は、「新規装備品構想や開発管理を一手に担う新コマンドIntegrated Capabilities Command創設」と「ACE構想実現のための兵士多能化等を目指した教育訓練体系改革」に、「即応態勢の向上」を加えた大きく3項目から構成されていますが、
「即応態勢の向上」のため具体的に、「新しい戦力造成ローテーションAFFORGEN導入」、「基礎単位の航空団Wingを前方展開即応部隊や基地機能維持部隊等に区分し、各Wingへの要求を明確に規定」、そして「冷戦期のような無通告能力点検・検閲の復活」と「実戦的演習の強化」に取り組むと2月時点で発表されていましたが、細部は不明だった「実戦的演習の強化」について、具体的な方向性が8月16日に初めて明らかにされたということです
米豪主催の統合多国籍大規模演習である「Talisman Sabre」は、2005年が初回の隔年開催の演習で、毎回7月中旬から8月初旬にかけ2週間程度、豪州や西太平洋地域で実施されており、前回2023年時には米豪の他、13か国(Fiji, France, Indonesia, Japan, South Korea, New Zealand, Papua New Guinea, Tonga, the United Kingdom, Canada and Germany。その他オブザーバ参加が比星タイ)から計35000名が参加し、15の主要訓練イベントが実施されています
「REFORPAC」演習についてAllvin大将は
●「REFORPAC(太平洋への部隊の帰還)」と命名した本演習は、冷戦時代の「REFORGER(ドイツへの部隊の帰還)」にちなんで命名した。REFORGERがドイツ国境を越えて押し寄せるソ連軍への備えに設計されたのと同様に、REFORPACは、潜在的な中国との戦いに米空軍をよりよく準備することを目指している
●演習には、主要メジャーコマンドからは米戦略コマンド、北米コマンド、大平洋コマンドが参加し、空軍輸送コマンドも重要な役割を果たす。これら部隊の戦力がアラスカ、ハワイ、グアム、米国本土から展開して約14日間訓練を行う
●演習で取り組む重要な課題は、最近の(ACE構想演習)「Bamboo Eagle演習」でも強調しているように、設備不十分な難しい環境に展開し、敵の攻撃下でも戦力発揮ができるよう運用基盤を整え、燃料や弾薬を確実に届けて任務を継続的に遂行可能な態勢を確立すること
●実際に現地に赴き、一定期間作戦活動を行うことにより、そしてそれを従来より大規模に試験することで、中国との潜在的な戦闘の規模と困難さを体感し、机上では未知だった課題や不足事項を見つける事が狙い
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最近、この米空軍大改革(re-optimization for great power competition project)について記事にすることが多いのですが、最近の中国の経済破綻状況や中国軍への影響を、米国や米国防省や米軍が、どのように分析しているのかが気に成ります
最近の様々な報道やSNS情報からは、習近平の動向が最近つかめなくなっているとか、中国全土で頻発している水害等の自然災害で人民の不満が爆発寸前とか、中国での失業者急増の勢いがすさまじいとか、主要な都市で停電が頻発し始めているとか、各所で公務員や軍人の給料削減や遅配が常態化して組織機能が低下しているとか、尋常ならざる事態が急速に拡大している気配が漂っていますが、どのように米国では評価しているのでしょうか? 気になります
米空軍が大改革アクションを発表
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次世代制空機NGAD再考でF-22継続使用へ近代化か!? [米空軍]
NGAD 用に開発のセンサー・兵器・連接性をF-22に
F-22に最近まで 2030年代退役方針だったのに
8月19日付米空軍協会 web 記事は、2030年代退役予定とされてきたF-22や、莫大な開発&導入コストでプログラムの再検討を米空軍指導層が表明しているF-22後継機の次世代制空機NGADに関し、NGAD 計画の再考により、NGAD用に準備されてきた各種技術を利用した F-22 改修&延命の可能性が高まっていると示唆しています
米空軍の先端航空機開発関係者は、F-22をテスト機体としてNGAD 用に開発してきた多数の機密センサー、接続性向上装備、空対空ミサイルなど兵器は、F-22を活用した搭載試験で成功を収めており、この新技術がF-22の耐用年数を伸ばす可能性があると語った模様です
2021年に米空軍は「4+1」戦闘機計画を発表し、F-22を2030年代にNGADに置き換え、F-35、F-15EとEX、F-16を維持(これで4)し、「+1」としてA-10を考慮した体系を想定していましたが、2024年の現時点では、「+1」のA-10は米議会の理解を得て退役が進み、2030年までには全機が退役する見通しとなっています
また、元々F-22の機体自体は2040年代まで使用可能なものの、1980年代設計思想のセンサーやステルス性から、中国等の最新兵器に対応できないと判断され早期退役判断されましたが、F-22用にOpen Architecture のコンピューティング環境「GRACE」が提案され、新たなソフト導入目途が立ったと、空軍開発関係者は説明しています
米空軍の開発関係者だけでなく、7月に戦闘機族のボスとも呼ばれる空軍戦闘コマンド ACC 司令官に就任したばかりの Kenneth Wilsbach 大将(前太平洋空軍司令官)も、かつて米空軍が2度にわたり米議会に早期退役を要請した32機のブロック 20の初期型F-22について、「非常に有能で緊急事態には必要だ」とまで最近発言し始めているようです
米空軍開発関係者は、F-22維持&近代化改修の取り組みは「F-22が世界最高の制空戦闘機として優位性を維持することを保証するもの」と表現し、一方でF-22に利用される新技術は、NGADなど「将来の全ての航空機開発をサポートする」、「今後のあらゆるプラットフォームで全ての新技術を活用していく」とも語り始めています
///////////////////////////////////
1機ざっくり450億円(F-35の3倍以上)とのNGAD 価格見積もりにKendall空軍長官が言及し、NGAD の要求性能や役割分担の再精査のために「NGAD 計画を数か月保留する」と7月末に発言したと思ったら、間髪を入れず、以前から計画を温めていたかの様に、「F-22 近代化改修にNGAD 用に開発してきた新技術を活用し、それら技術は全ての将来アセットや既存機種にも生かされる」との良くできたストーリーを、「戦闘機族」が展開し始めました
一方で Allvin空軍参謀総長や Slife 副参謀総長らは、ウクライナや中東での最近の戦訓を踏まえ、無人機による「低高度域の航空優勢」が制空の概念を変えつつあるとの危機感から、NGAD への投資を「選択肢の一つに過ぎない」と冷めた目で見ています。米空軍内で今後、戦闘機への投資がどのように精査されていくのか見ものです
米空軍にNGAD あきらめムード
「数か月間保留」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」 →https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/
航空優勢概念の再考必須
「2トップが航空優勢再考に言及」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
2021年当時の戦闘機体系構想
「近未来の戦闘機構想」→https://holylandtokyo.com/2021/05/21/1709/
「戦闘機は7機種から 4機種へ」→https://holylandtokyo.com/2021/05/18/1496/
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F-22に最近まで 2030年代退役方針だったのに
8月19日付米空軍協会 web 記事は、2030年代退役予定とされてきたF-22や、莫大な開発&導入コストでプログラムの再検討を米空軍指導層が表明しているF-22後継機の次世代制空機NGADに関し、NGAD 計画の再考により、NGAD用に準備されてきた各種技術を利用した F-22 改修&延命の可能性が高まっていると示唆しています
米空軍の先端航空機開発関係者は、F-22をテスト機体としてNGAD 用に開発してきた多数の機密センサー、接続性向上装備、空対空ミサイルなど兵器は、F-22を活用した搭載試験で成功を収めており、この新技術がF-22の耐用年数を伸ばす可能性があると語った模様です
2021年に米空軍は「4+1」戦闘機計画を発表し、F-22を2030年代にNGADに置き換え、F-35、F-15EとEX、F-16を維持(これで4)し、「+1」としてA-10を考慮した体系を想定していましたが、2024年の現時点では、「+1」のA-10は米議会の理解を得て退役が進み、2030年までには全機が退役する見通しとなっています
また、元々F-22の機体自体は2040年代まで使用可能なものの、1980年代設計思想のセンサーやステルス性から、中国等の最新兵器に対応できないと判断され早期退役判断されましたが、F-22用にOpen Architecture のコンピューティング環境「GRACE」が提案され、新たなソフト導入目途が立ったと、空軍開発関係者は説明しています
米空軍の開発関係者だけでなく、7月に戦闘機族のボスとも呼ばれる空軍戦闘コマンド ACC 司令官に就任したばかりの Kenneth Wilsbach 大将(前太平洋空軍司令官)も、かつて米空軍が2度にわたり米議会に早期退役を要請した32機のブロック 20の初期型F-22について、「非常に有能で緊急事態には必要だ」とまで最近発言し始めているようです
米空軍開発関係者は、F-22維持&近代化改修の取り組みは「F-22が世界最高の制空戦闘機として優位性を維持することを保証するもの」と表現し、一方でF-22に利用される新技術は、NGADなど「将来の全ての航空機開発をサポートする」、「今後のあらゆるプラットフォームで全ての新技術を活用していく」とも語り始めています
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1機ざっくり450億円(F-35の3倍以上)とのNGAD 価格見積もりにKendall空軍長官が言及し、NGAD の要求性能や役割分担の再精査のために「NGAD 計画を数か月保留する」と7月末に発言したと思ったら、間髪を入れず、以前から計画を温めていたかの様に、「F-22 近代化改修にNGAD 用に開発してきた新技術を活用し、それら技術は全ての将来アセットや既存機種にも生かされる」との良くできたストーリーを、「戦闘機族」が展開し始めました
一方で Allvin空軍参謀総長や Slife 副参謀総長らは、ウクライナや中東での最近の戦訓を踏まえ、無人機による「低高度域の航空優勢」が制空の概念を変えつつあるとの危機感から、NGAD への投資を「選択肢の一つに過ぎない」と冷めた目で見ています。米空軍内で今後、戦闘機への投資がどのように精査されていくのか見ものです
米空軍にNGAD あきらめムード
「数か月間保留」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」 →https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/
航空優勢概念の再考必須
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2021年当時の戦闘機体系構想
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ACE構想推進に米議会も国務省も他軍種も協力せよ [米空軍]
研究者 2名が米空軍を代弁するように寄稿
Red Flag 演習と一体化したBamboo Eagle演習押し
議会は予算を、国務省は同盟国へ働きかけ、他軍種は防空を
8月16日付 Defense-News が、米空軍の要望を代弁するかのようなシンクタンク研究者2名の寄稿を掲載し、米空軍が対中露を想定して分散&機動運用追求のACE構想を推進するため、航空戦術演習 Red Fag と一体化した統合&多国籍訓練である Bamboo Eagle 演習を今年に入り3回も実施していることに触れつつ、
米議会には、同演習から得られた教訓や課題を米空軍から聞き取り、改善に必要な予算や法的措置を迅速に行うよう要求し、米国務省に対しては、同盟国内での分散運用先となる飛行場や諸施設へのアクセスの確保、また必要なインフラの整備を相手国に求める働きかけを強化せよと要請していますので、ACE 構想への空軍の取り組みを確認する意味で概要をご紹介しておきます
Red Flag 演習と一体化した ACE構想演習「Bamboo Eagle」
●8月10日から10日間、航空戦術演習Red Flag と一体化した今年3回目となるACE構想演習「Bamboo Eagle」が、米本土西部と東太平洋で実施され、人員 3000名と航空機150機が参加した
(注:8月実施の3回目の細部は不明も、1回目はラスベガス近郊のネリス空軍基地で行われたRed Flag 24-1」参加機の大部分が、引き続き行われた「Bamboo Eagle」演習にも参加し、ネリスからカリフォルニア州の5つの(想定)分散運用基地(米海軍と海兵隊と米空軍基地 5 つ)への機動展開を含む ACE 構想訓練に取り組んだ。参加人員や機数も3回目と同じ規模で)
●ACEでは「戦闘力を生み出しつつ生存率を高めるため、主要な作戦基盤基地から小規模または設備不十分な基地へと柔軟に移動」を求められ、指揮統制、戦力保全、兵站、展開先の防空・ミサイル防衛など、航空戦力発揮におけるあらゆる必要事項の要領を見直すことが求められる
●米空軍はアジア太平洋だけでなく、全ての米空軍部隊にACE構想に基づく作戦準備を要求し、2月発表の米空軍改革の柱として、教育訓練体系の変革までも追及しており、最近のACE 演習では、施設不十分な展開先への装備の展開や航空機へのホットピット給油、機動的な空輸、動的な指揮統制インフラ構築、展開先拠点防衛用の移動式長距離火力の展開なども含まれている
●米空軍の取り組みに賛同して追随する同盟国等も増え、例えばNATO の新加盟国であるスウェーデンとフィンランドでさえ、空軍基地の被害を想定し、高速道路に最新戦闘機を着陸させて給油や弾薬補給訓練を行ったりしている
米議会や国務省や他軍種への要求事項
●米議会と国務省は、まず米空軍が半年間に同盟国空軍も交え3回も実施したBamboo Eagle演習の教訓や、実作戦の改善に必要な措置や対策をまず空軍と共有し、必要な取り組みに協力すべきだ
●米議会はまた第1段階として、より実践的な演習にBamboo Eagle を発展させるため、複数のメジャーコマンドにまたがって訓練が可能なように、演習実施に必要な資金を提供すべきである
●さらに米議会は、米陸軍と米海兵隊に対し、ACE の効果的な運用に必要な、敵の無人機対策を含む防空対策に必要な装備確保のための投資を倍増させるように圧力をかけるべき
●米国務省は、米軍部隊がより多くの同盟国等の飛行場や作戦拠点にアクセス可能となるよう、同盟国等への働きかけを強化すべきである。更に、同盟国等と協力して、作戦用に迅速に転換できる民間インフラを増やせるよう模索すべき。
●例えば、直線道路や高速道路の整備、自立たない装備保管施設の確保、着陸や物資投下を念頭に置いた土地の整地などが含まれる。 低コストであっても、有事に大きな効果を生む投資先は多く存在するので、相手国と調整して働きかけることが必要だ
///////////////////////////////////////
寄稿者の人物像まで把握していませんが、Center on Miltary の Bradley Bowman 氏と、Political Power at the Foundation for Defense of DemocraciesのLydia LaFavor博士の2名です。
以下の過去記事の最後に、4年前に米空軍の少佐2名がまとめた「ACE 構想実現の課題」レポートを紹介していますが、当時抽出された課題が、全て依然として重く未解決のまま残されていることが良く分かります。ご一読を
第1回Bamboo Eagle演習の紹介記事
「初のACE統合&国間演習」→ https://holylandtokyo.com/2024/02/13/5529/
米空軍の ACE 構想関連記事
「PACAF は ACE運用勢未確立」→https://holylandtokyo.com/2023/09/19/5048/
「生みの親が現状語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「米空軍がACE ドクトリン発表」→https://holylandtokyo.com/2021/12/17/2532/
「欧州米空軍が ACE 確認演習」→https://holylandtokyo.com/2021/10/27/2317/
「グアムでF-35等が不整地離着陸訓練」→https://holylandtokyo.com/2021/01/29/310/
「米空軍若手が ACE の課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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Red Flag 演習と一体化したBamboo Eagle演習押し
議会は予算を、国務省は同盟国へ働きかけ、他軍種は防空を
8月16日付 Defense-News が、米空軍の要望を代弁するかのようなシンクタンク研究者2名の寄稿を掲載し、米空軍が対中露を想定して分散&機動運用追求のACE構想を推進するため、航空戦術演習 Red Fag と一体化した統合&多国籍訓練である Bamboo Eagle 演習を今年に入り3回も実施していることに触れつつ、
米議会には、同演習から得られた教訓や課題を米空軍から聞き取り、改善に必要な予算や法的措置を迅速に行うよう要求し、米国務省に対しては、同盟国内での分散運用先となる飛行場や諸施設へのアクセスの確保、また必要なインフラの整備を相手国に求める働きかけを強化せよと要請していますので、ACE 構想への空軍の取り組みを確認する意味で概要をご紹介しておきます
Red Flag 演習と一体化した ACE構想演習「Bamboo Eagle」
●8月10日から10日間、航空戦術演習Red Flag と一体化した今年3回目となるACE構想演習「Bamboo Eagle」が、米本土西部と東太平洋で実施され、人員 3000名と航空機150機が参加した
(注:8月実施の3回目の細部は不明も、1回目はラスベガス近郊のネリス空軍基地で行われたRed Flag 24-1」参加機の大部分が、引き続き行われた「Bamboo Eagle」演習にも参加し、ネリスからカリフォルニア州の5つの(想定)分散運用基地(米海軍と海兵隊と米空軍基地 5 つ)への機動展開を含む ACE 構想訓練に取り組んだ。参加人員や機数も3回目と同じ規模で)
●ACEでは「戦闘力を生み出しつつ生存率を高めるため、主要な作戦基盤基地から小規模または設備不十分な基地へと柔軟に移動」を求められ、指揮統制、戦力保全、兵站、展開先の防空・ミサイル防衛など、航空戦力発揮におけるあらゆる必要事項の要領を見直すことが求められる
●米空軍はアジア太平洋だけでなく、全ての米空軍部隊にACE構想に基づく作戦準備を要求し、2月発表の米空軍改革の柱として、教育訓練体系の変革までも追及しており、最近のACE 演習では、施設不十分な展開先への装備の展開や航空機へのホットピット給油、機動的な空輸、動的な指揮統制インフラ構築、展開先拠点防衛用の移動式長距離火力の展開なども含まれている
●米空軍の取り組みに賛同して追随する同盟国等も増え、例えばNATO の新加盟国であるスウェーデンとフィンランドでさえ、空軍基地の被害を想定し、高速道路に最新戦闘機を着陸させて給油や弾薬補給訓練を行ったりしている
米議会や国務省や他軍種への要求事項
●米議会と国務省は、まず米空軍が半年間に同盟国空軍も交え3回も実施したBamboo Eagle演習の教訓や、実作戦の改善に必要な措置や対策をまず空軍と共有し、必要な取り組みに協力すべきだ
●米議会はまた第1段階として、より実践的な演習にBamboo Eagle を発展させるため、複数のメジャーコマンドにまたがって訓練が可能なように、演習実施に必要な資金を提供すべきである
●さらに米議会は、米陸軍と米海兵隊に対し、ACE の効果的な運用に必要な、敵の無人機対策を含む防空対策に必要な装備確保のための投資を倍増させるように圧力をかけるべき
●米国務省は、米軍部隊がより多くの同盟国等の飛行場や作戦拠点にアクセス可能となるよう、同盟国等への働きかけを強化すべきである。更に、同盟国等と協力して、作戦用に迅速に転換できる民間インフラを増やせるよう模索すべき。
●例えば、直線道路や高速道路の整備、自立たない装備保管施設の確保、着陸や物資投下を念頭に置いた土地の整地などが含まれる。 低コストであっても、有事に大きな効果を生む投資先は多く存在するので、相手国と調整して働きかけることが必要だ
///////////////////////////////////////
寄稿者の人物像まで把握していませんが、Center on Miltary の Bradley Bowman 氏と、Political Power at the Foundation for Defense of DemocraciesのLydia LaFavor博士の2名です。
以下の過去記事の最後に、4年前に米空軍の少佐2名がまとめた「ACE 構想実現の課題」レポートを紹介していますが、当時抽出された課題が、全て依然として重く未解決のまま残されていることが良く分かります。ご一読を
第1回Bamboo Eagle演習の紹介記事
「初のACE統合&国間演習」→ https://holylandtokyo.com/2024/02/13/5529/
米空軍の ACE 構想関連記事
「PACAF は ACE運用勢未確立」→https://holylandtokyo.com/2023/09/19/5048/
「生みの親が現状語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「米空軍がACE ドクトリン発表」→https://holylandtokyo.com/2021/12/17/2532/
「欧州米空軍が ACE 確認演習」→https://holylandtokyo.com/2021/10/27/2317/
「グアムでF-35等が不整地離着陸訓練」→https://holylandtokyo.com/2021/01/29/310/
「米空軍若手が ACE の課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
米空軍大改革の最難関はICC創設とその運営 [米空軍]
新規装備の構想から開発計画を担うICC立ち上げに苦悩か
戦闘機族・爆撃機族・輸送機族のしがらみ克服が課題か
8月14日、Allvin米空軍参謀総長が米空軍協会機関紙とのインタビューに対し、今年2月に打ち出された米空軍大改革の状況について触れ、改革の柱とも考えられる、新規装備品の構想から開発計画管理までを一元的に担うICC(Integrated Capabilities Command)を創設し、従来この役割を担ってきた戦闘コマンドACCや輸送コマンドAMCや世界攻撃コマンドGSCから同役割を分離する改革が最も困難だと述べています
2月12日の空軍協会Warfare Symposiumで、Kendall空軍長官とAllvin参謀総長によってコンセプトが打ち出された米空軍大改革の方向性は、まんぐーすの整理では以下の3点に集約されます
1.将来装備品の構想や開発計画を新コマンドICCに集約
●新規装備品の導入構想や要求性能や開発計画専従の「将来体制を検討する専門コマンド:ICC:Integrated Capabilities Command」を中将トップで創設し、従来この役割を担ってきた戦闘・輸送・CSコマンドは日々の作戦運用とそのための即応態勢維持に集中させ、戦闘機や輸送機や爆撃機の将来構想検討から距離を置かせる
2.戦闘・空輸・CSコマンドは戦いと態勢維持に集中
●戦闘・輸送・CSコマンドの戦闘能力強化のため、冷戦期の手引きを復活させ、コマンドの枠を超えた大規模演習や事前通告なしの戦闘能力点検を復活させるなどに取り組む。この際、基礎単位の航空団Wingを前方展開即応部隊や基地機能維持部隊等に区分し、各Wingへの要求を明確に区分してメリハリのある戦力造成を行う。また、各部隊の前線派遣と母基地での訓練や休養のサイクルを新AFFORGENとして再整理&再構築する。
3.ACE構想を全ての基準として一貫した教育体系を
●教育訓練では、ACE(Agile Combat Employment)構想の実現を教育訓練体系の共通重点目標とし、同構想を遂行可能な多能力を備えた兵士育成に空軍全体として取り組み、新兵教育から上級教育までを含めた一貫した体系で実現する
以上の3つの内、「2.と3.」項目については既に具体的な計画に沿って部隊改編や演習訓練&検閲が開始され、新AFFORGENに沿った戦力の管理ローテーションも順次段階的に始まっているとAllvin大将はインタビューで語っていますが、「1.」のICC創設については、米議会への説明も含め、逆風に直面するかもしれない今後実施すべきことが多く残されていると示唆し、明確な言及を避けつつも以下のように語っています
Allvin大将はICC創設に関し・・・
●ICC創設と司令部創設には米議会から承認が必要で、注目を浴びることになる。現在我々は議会に説明する準備作業を進めている
●(5月時点で同大将は、ICC司令部で当初は5~800名が勤務する予定で、早期に業務に取り掛からせたいが、物理的な引っ越しには時間が必要なため、当面は現所属(ACCやAMCやGSC等)の所在地からリモート勤務で業務を行うと語っていたが・・・)今のところ、今後3~6か月以内にICC暫定司令部を設置し、従来その役割をACCやAMCやGSC等の各機能コマンドで担っていた幕僚要員から、ICC司令部に所属変更になる幕僚に担わせる。議会説明を含む総合的な要件に取り組む機能を開始しなければならない。
●ICC司令部要員が、現所属のACCやAMCやGSC等の各機能コマンド勤務地からリモート勤務することで、現所属組織とICCとの間の「摩擦」が生まれやすくなるとの意見もあるが、実際に任務に従事しているACC等の司令部と近接することで意思疎通や情報の入手が容易になり「近さには価値がある:there is value in proximity」との見方もできる。最終的に幕僚要員が一か所に集まれば解決するだろう
●ICCは、期待している役割のほんの一部から始めるだろう。成熟するにつれ、時間と共に拡大することを目指す。拡大実行するペースは現実的に考えている。米空軍は依然として新規装備品開発のプロセス(Program Objective Memorandum budget process)に沿い、効果的な空軍近代化を進める必要があり確実にする必要があり、その方法について非常に慎重に検討している。
/////////////////////////////////////////////
Allvin参謀総長は5月1日の記者会見で、ICCを2024年末までに立ち上げると語っていましたが、8月14日のインタビューでは「今後3~6か月以内にICC暫定司令部を設置」と年末までの創設が危うくなっているほか、「ICCは、期待している役割のほんの一部から始めるだろう」とも述べ、米空軍内からの反発や各方面との「摩擦」が相当あることを伺わせています
11月の大統領選挙の結果にもよりますが、この改革、特にICC創設をライフワークの集大成として打ち出した剛腕Kendall空軍長官(政治任用)の2024年末での退任も予期され、早く形を固めてしまわないと、ICCの未完や骨抜き創設も懸念されるところです
米空軍が大改革アクションを発表
「大改革の概要発表」→https://holylandtokyo.com/2024/02/16/5579/
「改革の目玉ICCコマンド」→https://holylandtokyo.com/2024/05/23/5873/
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戦闘機族・爆撃機族・輸送機族のしがらみ克服が課題か
8月14日、Allvin米空軍参謀総長が米空軍協会機関紙とのインタビューに対し、今年2月に打ち出された米空軍大改革の状況について触れ、改革の柱とも考えられる、新規装備品の構想から開発計画管理までを一元的に担うICC(Integrated Capabilities Command)を創設し、従来この役割を担ってきた戦闘コマンドACCや輸送コマンドAMCや世界攻撃コマンドGSCから同役割を分離する改革が最も困難だと述べています
2月12日の空軍協会Warfare Symposiumで、Kendall空軍長官とAllvin参謀総長によってコンセプトが打ち出された米空軍大改革の方向性は、まんぐーすの整理では以下の3点に集約されます
1.将来装備品の構想や開発計画を新コマンドICCに集約
●新規装備品の導入構想や要求性能や開発計画専従の「将来体制を検討する専門コマンド:ICC:Integrated Capabilities Command」を中将トップで創設し、従来この役割を担ってきた戦闘・輸送・CSコマンドは日々の作戦運用とそのための即応態勢維持に集中させ、戦闘機や輸送機や爆撃機の将来構想検討から距離を置かせる
2.戦闘・空輸・CSコマンドは戦いと態勢維持に集中
●戦闘・輸送・CSコマンドの戦闘能力強化のため、冷戦期の手引きを復活させ、コマンドの枠を超えた大規模演習や事前通告なしの戦闘能力点検を復活させるなどに取り組む。この際、基礎単位の航空団Wingを前方展開即応部隊や基地機能維持部隊等に区分し、各Wingへの要求を明確に区分してメリハリのある戦力造成を行う。また、各部隊の前線派遣と母基地での訓練や休養のサイクルを新AFFORGENとして再整理&再構築する。
3.ACE構想を全ての基準として一貫した教育体系を
●教育訓練では、ACE(Agile Combat Employment)構想の実現を教育訓練体系の共通重点目標とし、同構想を遂行可能な多能力を備えた兵士育成に空軍全体として取り組み、新兵教育から上級教育までを含めた一貫した体系で実現する
以上の3つの内、「2.と3.」項目については既に具体的な計画に沿って部隊改編や演習訓練&検閲が開始され、新AFFORGENに沿った戦力の管理ローテーションも順次段階的に始まっているとAllvin大将はインタビューで語っていますが、「1.」のICC創設については、米議会への説明も含め、逆風に直面するかもしれない今後実施すべきことが多く残されていると示唆し、明確な言及を避けつつも以下のように語っています
Allvin大将はICC創設に関し・・・
●ICC創設と司令部創設には米議会から承認が必要で、注目を浴びることになる。現在我々は議会に説明する準備作業を進めている
●(5月時点で同大将は、ICC司令部で当初は5~800名が勤務する予定で、早期に業務に取り掛からせたいが、物理的な引っ越しには時間が必要なため、当面は現所属(ACCやAMCやGSC等)の所在地からリモート勤務で業務を行うと語っていたが・・・)今のところ、今後3~6か月以内にICC暫定司令部を設置し、従来その役割をACCやAMCやGSC等の各機能コマンドで担っていた幕僚要員から、ICC司令部に所属変更になる幕僚に担わせる。議会説明を含む総合的な要件に取り組む機能を開始しなければならない。
●ICC司令部要員が、現所属のACCやAMCやGSC等の各機能コマンド勤務地からリモート勤務することで、現所属組織とICCとの間の「摩擦」が生まれやすくなるとの意見もあるが、実際に任務に従事しているACC等の司令部と近接することで意思疎通や情報の入手が容易になり「近さには価値がある:there is value in proximity」との見方もできる。最終的に幕僚要員が一か所に集まれば解決するだろう
●ICCは、期待している役割のほんの一部から始めるだろう。成熟するにつれ、時間と共に拡大することを目指す。拡大実行するペースは現実的に考えている。米空軍は依然として新規装備品開発のプロセス(Program Objective Memorandum budget process)に沿い、効果的な空軍近代化を進める必要があり確実にする必要があり、その方法について非常に慎重に検討している。
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Allvin参謀総長は5月1日の記者会見で、ICCを2024年末までに立ち上げると語っていましたが、8月14日のインタビューでは「今後3~6か月以内にICC暫定司令部を設置」と年末までの創設が危うくなっているほか、「ICCは、期待している役割のほんの一部から始めるだろう」とも述べ、米空軍内からの反発や各方面との「摩擦」が相当あることを伺わせています
11月の大統領選挙の結果にもよりますが、この改革、特にICC創設をライフワークの集大成として打ち出した剛腕Kendall空軍長官(政治任用)の2024年末での退任も予期され、早く形を固めてしまわないと、ICCの未完や骨抜き創設も懸念されるところです
米空軍が大改革アクションを発表
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米空軍新兵教育で訓練用M4小銃の常時携行が復活 [米空軍]
2012年に中止以来、12年ぶりに小銃携行を習慣化
「戦闘員の心構え」を養うための復活
訓練用M4で実弾発射はできない小銃で
今年7月下旬から米空軍の新兵基礎教育課程(7週間半)で、新兵教育部隊に入隊した新人兵士は、「戦闘員の心構え」を養うため、実弾発射が不可能な訓練用ながら、最新式の小銃M4ライフルを基本的に常時携行して教育期間を過ごさせることに変更した模様です
新兵の初期導入教育期間に、室内教育で座学を行う際にも小銃を携行させ、就寝する際にもベット脇の各自のロッカー内に自身の装備品として小銃を管理させる「小銃ライフルを常時携行」方式は、2012年に一度廃止された様ですが、米空軍全体で戦闘部隊を中心に「即応態勢維持」を重視する方針を米空軍改革の柱にAllvin空軍参謀総長が掲げたことを受け、12年ぶりに復活させたとラックランド空軍基地第737教育訓練群司令官のBilly Wilson Jr大佐は説明しています
「小銃ライフルの常時携行」を中止していた過去12年間においても、7週間半の新兵教育課程(BMT:Basic Military Training)では、入隊後の最初の週に兵士としての心構えを躾ける一環として、小銃の基礎教育を行い、第2週目には小銃射撃を実施させていたようですが、常に身近に武器を置くことで「武人の魂」を養おうとの発想です
ラックランド基地の教育部隊で「常時携行」を復活させて約3週間が経過したところですが、前述のWilson教育訓練群司令官大佐は、訓練を受ける新入隊者と教官の両方から本方式に対して肯定的なフィードバックを得ていると語っています
ちなみに、この新兵教育課程BMTにも、2019年からM16ライフルに代り、同じ5.56㎜弾を使用しながらも、より全長が短く軽量で、照準スコープや暗視装置が装着しやすいM4ライフルが導入されています。なお、M4 の操作訓練を受けると、自動的に M16ライフルも使用可能な許可される(逆は不可)とのことで、海兵隊も2016 年から基礎教育プログラムでM16 から M4 に使用小銃を切り替えたとのことです。
//////////////////////////////////////////
米空軍全体で戦闘部隊を中心に「即応態勢維持」を重視する方針が示され、その波に沿って基礎教育期間でも変化が見られるということです。効果のほどは何とも言えませんが、軍隊あるあるの精神重視改革です
M4ライフル導入が進む様子をお伝えしましたが、米陸軍の近接戦闘職種である「歩兵」「特殊部隊」「combat engineers」「空挺」部隊や一部海兵隊部隊では、より威力を強化した新開発の6.8㎜弾薬を使用するM7ライフルとM250機関銃の導入が始まっています。(近接戦闘職種以外は引き続きM4を使用)
M4からM7への変更背景は、最近の戦訓から、最新の防弾チョッキを貫通可能で、5.56㎜弾薬では対処できない簡易陣地を構築するレンガブロックを破壊可能な威力、更に遠距離での威力や照準性能向上が必要と判断されたと言われています
米陸軍一部はM4からM7ライフルへ移行開始
→https://holylandtokyo.com/2023/12/27/5379/
米空軍が大改革アクション発表
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「戦闘員の心構え」を養うための復活
訓練用M4で実弾発射はできない小銃で
今年7月下旬から米空軍の新兵基礎教育課程(7週間半)で、新兵教育部隊に入隊した新人兵士は、「戦闘員の心構え」を養うため、実弾発射が不可能な訓練用ながら、最新式の小銃M4ライフルを基本的に常時携行して教育期間を過ごさせることに変更した模様です
新兵の初期導入教育期間に、室内教育で座学を行う際にも小銃を携行させ、就寝する際にもベット脇の各自のロッカー内に自身の装備品として小銃を管理させる「小銃ライフルを常時携行」方式は、2012年に一度廃止された様ですが、米空軍全体で戦闘部隊を中心に「即応態勢維持」を重視する方針を米空軍改革の柱にAllvin空軍参謀総長が掲げたことを受け、12年ぶりに復活させたとラックランド空軍基地第737教育訓練群司令官のBilly Wilson Jr大佐は説明しています
「小銃ライフルの常時携行」を中止していた過去12年間においても、7週間半の新兵教育課程(BMT:Basic Military Training)では、入隊後の最初の週に兵士としての心構えを躾ける一環として、小銃の基礎教育を行い、第2週目には小銃射撃を実施させていたようですが、常に身近に武器を置くことで「武人の魂」を養おうとの発想です
ラックランド基地の教育部隊で「常時携行」を復活させて約3週間が経過したところですが、前述のWilson教育訓練群司令官大佐は、訓練を受ける新入隊者と教官の両方から本方式に対して肯定的なフィードバックを得ていると語っています
ちなみに、この新兵教育課程BMTにも、2019年からM16ライフルに代り、同じ5.56㎜弾を使用しながらも、より全長が短く軽量で、照準スコープや暗視装置が装着しやすいM4ライフルが導入されています。なお、M4 の操作訓練を受けると、自動的に M16ライフルも使用可能な許可される(逆は不可)とのことで、海兵隊も2016 年から基礎教育プログラムでM16 から M4 に使用小銃を切り替えたとのことです。
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米空軍全体で戦闘部隊を中心に「即応態勢維持」を重視する方針が示され、その波に沿って基礎教育期間でも変化が見られるということです。効果のほどは何とも言えませんが、軍隊あるあるの精神重視改革です
M4ライフル導入が進む様子をお伝えしましたが、米陸軍の近接戦闘職種である「歩兵」「特殊部隊」「combat engineers」「空挺」部隊や一部海兵隊部隊では、より威力を強化した新開発の6.8㎜弾薬を使用するM7ライフルとM250機関銃の導入が始まっています。(近接戦闘職種以外は引き続きM4を使用)
M4からM7への変更背景は、最近の戦訓から、最新の防弾チョッキを貫通可能で、5.56㎜弾薬では対処できない簡易陣地を構築するレンガブロックを破壊可能な威力、更に遠距離での威力や照準性能向上が必要と判断されたと言われています
米陸軍一部はM4からM7ライフルへ移行開始
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米空軍が大改革アクション発表
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約1年遅れで E-7価格に米空軍とボーイング合意!? [米空軍]
2027年初号機領が28年にずれ込み
とりあえずプロトタイプ2機を3800億円で発注
8月9日、米空軍は最優先事業として取り組んでいるE-3早期普戒管制機の後継E-7Aの導入に関し、難交渉の末に当初計画より約1年遅れで、ポーイングと「プロトタイプの E-TA」2機の製造契約を約3800億円で締結したと発表しました。
米空軍は長期的には、老朽化で稼働率が2割程度にまで落ち込んでいるE-3の後継体制として、宇宙アセットによる地上及び空中移動目標監視体制を確立する構想を持っていますが、技術的にも予算的にも同体制確立にはまだ時間が必要なことから、「暫定的な体制」として 2027年にE-7初号機を受領し、2032年までに計26機の体制を構築する計画を持っていました
しかし、ボーイング前CEOのでたらめな契約獲得優先姿勢が原因で、固定価格契約 KC-46と T-7で 1兆円自腹支払いを強いられているポーイング社は、CEOに David Calhoun 氏が就任した 2020年4月以降、厳しい事業精査方針の下で、開発案件のリスク査定を厳格化して受注価格を設定する方針が掲げられ、E-7に関しても米空軍特別仕様部分の価格で米空軍側と2倍の開きが生じ、2023年8月頃から価格交渉が約1年に渡り頓挫状態に陥っていたところでした
E-7 は既に豪、韓、トルコが導入済、更に英も近く受領予定の機体で、NATOも米に続いて発注した国際標準に向かうアセットですが、米空軍は、昨今の中国のサイバー戦能力や航空機攻撃能力強化傾向から、「他国機と相互運用性を維持しながら、米空軍独自の仕様も要求」するものの、「英空軍発注仕様の機体と大きな変化はない」と主張し、ボーイングの姿勢に困惑していた1年間でした
8月9日のプロトタイプ2機契約発表でも、プロトタイプ2機分の価格約 3800億円のみが公表され、2024年7月に計 26機の製造価格について一定の合意がなされたとの報道をフォローするような計画全体の「値札」情報は明らかにならなかったようで、米空軍の当初計画2027年に初号機受領(水面下では更なる前倒し導入を各方面で画策)の目論見は崩れ、少なくとも 2028年以降に遅れることが明らかになったのみでした
///////////////////////////////////////////
E-3の稼働率急落と中国脅威の高まりを受け、米空軍制服幹部は 2023年前半には声をそろえ、一刻も早くE-7を導入したいと訴えていましたが、その後は上記のような「音なし」の停滞期に入っていました
約1年の停滞を経て話が進展した背景は定かではありませんが、厳格な価格設定方針を打ち出していたCEOの Calhoun 氏が、主力旅客機「B-737MAX」の連続墜落事故や扉吹っ飛び事故で3月25日に2024年末までの CEO 退任を発表し、未だ後任が決められない厳しい現状ですが、この Calhoun 氏退任発表が何らかの「風向きの変化」に繋がったのかもしれません
大きな負の造産「KC-47 空中給油機」や「T-7 練習機」はまだまだ危機を脱したとは言い難い状況で、民間部門の柱「B-737MAX」問題も底が見えない現状ですが、米空軍の活動にE-7は不可欠なアセットですので、その早期導入を期待したいと思います
米軍とボーイングの価格交渉難航
「空軍とボーイングの価格交渉難航」→https://halylandtokyo.com/2024/03/11/5621/
世界的に導入が進むE-7
「NATOもE-7導入へ」→https://holylandtokyo.com/2023/11/21/5262/
「今後の能力向上を米英豪共同で」→https://holylandtokyo.com/2023/07/21/4871/
「E-7とE-3違いを概観」→https://holylandtokyo.com/2023/03/30/44471
「初号機を 2027 年納入契約」→https.//holylandtokyo.com/2023/03/06/4358/
「導入を正式発表」→https://holylandtokyo.com/2022/04/28/3186/
「E-3は2023年から退役へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/01/3074/
「後継機検討のRFI」→https://holylandtokyo.com/2022103/01/2711
「米空軍航空機は高齢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-27
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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とりあえずプロトタイプ2機を3800億円で発注
8月9日、米空軍は最優先事業として取り組んでいるE-3早期普戒管制機の後継E-7Aの導入に関し、難交渉の末に当初計画より約1年遅れで、ポーイングと「プロトタイプの E-TA」2機の製造契約を約3800億円で締結したと発表しました。
米空軍は長期的には、老朽化で稼働率が2割程度にまで落ち込んでいるE-3の後継体制として、宇宙アセットによる地上及び空中移動目標監視体制を確立する構想を持っていますが、技術的にも予算的にも同体制確立にはまだ時間が必要なことから、「暫定的な体制」として 2027年にE-7初号機を受領し、2032年までに計26機の体制を構築する計画を持っていました
しかし、ボーイング前CEOのでたらめな契約獲得優先姿勢が原因で、固定価格契約 KC-46と T-7で 1兆円自腹支払いを強いられているポーイング社は、CEOに David Calhoun 氏が就任した 2020年4月以降、厳しい事業精査方針の下で、開発案件のリスク査定を厳格化して受注価格を設定する方針が掲げられ、E-7に関しても米空軍特別仕様部分の価格で米空軍側と2倍の開きが生じ、2023年8月頃から価格交渉が約1年に渡り頓挫状態に陥っていたところでした
E-7 は既に豪、韓、トルコが導入済、更に英も近く受領予定の機体で、NATOも米に続いて発注した国際標準に向かうアセットですが、米空軍は、昨今の中国のサイバー戦能力や航空機攻撃能力強化傾向から、「他国機と相互運用性を維持しながら、米空軍独自の仕様も要求」するものの、「英空軍発注仕様の機体と大きな変化はない」と主張し、ボーイングの姿勢に困惑していた1年間でした
8月9日のプロトタイプ2機契約発表でも、プロトタイプ2機分の価格約 3800億円のみが公表され、2024年7月に計 26機の製造価格について一定の合意がなされたとの報道をフォローするような計画全体の「値札」情報は明らかにならなかったようで、米空軍の当初計画2027年に初号機受領(水面下では更なる前倒し導入を各方面で画策)の目論見は崩れ、少なくとも 2028年以降に遅れることが明らかになったのみでした
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E-3の稼働率急落と中国脅威の高まりを受け、米空軍制服幹部は 2023年前半には声をそろえ、一刻も早くE-7を導入したいと訴えていましたが、その後は上記のような「音なし」の停滞期に入っていました
約1年の停滞を経て話が進展した背景は定かではありませんが、厳格な価格設定方針を打ち出していたCEOの Calhoun 氏が、主力旅客機「B-737MAX」の連続墜落事故や扉吹っ飛び事故で3月25日に2024年末までの CEO 退任を発表し、未だ後任が決められない厳しい現状ですが、この Calhoun 氏退任発表が何らかの「風向きの変化」に繋がったのかもしれません
大きな負の造産「KC-47 空中給油機」や「T-7 練習機」はまだまだ危機を脱したとは言い難い状況で、民間部門の柱「B-737MAX」問題も底が見えない現状ですが、米空軍の活動にE-7は不可欠なアセットですので、その早期導入を期待したいと思います
米軍とボーイングの価格交渉難航
「空軍とボーイングの価格交渉難航」→https://halylandtokyo.com/2024/03/11/5621/
世界的に導入が進むE-7
「NATOもE-7導入へ」→https://holylandtokyo.com/2023/11/21/5262/
「今後の能力向上を米英豪共同で」→https://holylandtokyo.com/2023/07/21/4871/
「E-7とE-3違いを概観」→https://holylandtokyo.com/2023/03/30/44471
「初号機を 2027 年納入契約」→https.//holylandtokyo.com/2023/03/06/4358/
「導入を正式発表」→https://holylandtokyo.com/2022/04/28/3186/
「E-3は2023年から退役へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/01/3074/
「後継機検討のRFI」→https://holylandtokyo.com/2022103/01/2711
「米空軍航空機は高齢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-27
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30機のB-52への核搭載回復改修はわすか7億円 [米空軍]
米議会の要求見基づき米空軍が試算
延長の見込み薄な新START条約失効の2026年見据え
8月2日付 Defense-News 記事は、2021年に何とか5年延長で合意したものの、ロシアの現状から再延長の可能性が極めて薄い新START条約(米露が締結の戦略兵器削減条約)の 2026年2月失効を予期し、米上下院がそれぞれ2025年度国防予算関連法案に盛り込もうとしている、新START条約に従って核兵器搭載装備を除去した30機のB-52 爆撃機(現在 B-52 保有数は計76機)を、再び搭載可能にする改修費が総額わずか7億円だと米空軍が試算したと紹介しています
2010年に米国が批准した新 START 条約は、「2018年までに、戦略核弾頭を 1550発まで、大陸間弾道ミサイル(ICBM)・潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)・戦略爆撃機等の配備数を700基まで削減する」ことを求めており、米国はこの条約履行のため、2015年に保有B-52爆撃機中の30機から、核搭載巡航ミサイルAGM-86B搭載機能を除去する措置を取りました
その後、同条約は2021年に難産の末に何とか5年延長に米露が同意しましたが、2022年2月のロシアのウクライナ侵略を経た2023年3月に、ロシアが一方的に「同条約の履行停止」を決定し、更に2024年6月の会議で米がに新START 後継協定交渉を申し入れたところ、ロシアが明確に交渉する意思がないことを示したとのことで、米議会が同条約破棄に備えた動きに出た模様です。
ただ米議会内には30機のB-52への核搭載能力回復には反対意見も根強く、政権与党の重鎮で、下院軍事委員会の委員長である民主党 Adam Smith 議員ら反対派は、今後の同条約や核兵器管理交渉を複雑化させる恐れがあると「条約延長あきらめ派」に懸念を表明しているところです
米国防省側は、米空軍が予定しているB-52延命のための大規模改修計画を複雑にしかねない「核搭載能力回復改修」には消極的なようですが、改修費用を試算した米空軍B-52担当室の副上級資材リーダーは7月30日、法案で提案されたスケジュール(2026年の条約失効後 1か月以内に改修を開始し、2029年までに完了)は達成可能と述べ、「延命&能力向上改修の作業に組み入れて実施することが恐らく可能だろう」、「回復作業のやり方は分かっており、比較的簡単だと言えるが、詳細には触れない」と発言しているところです
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////
30機の改修費用が7億円程度とは驚きですが、核兵器搭載可能な機体となることで必要になる特別な機体管理や要員の養成&管理などなど、米空軍にとっては様々な負担増が予想されます
核兵器は本当に管理の難しい兵器です。ミニットマンの後継システム開発が、米空軍を破壊しそうなほど難航している現状から見ても、兵器による物理的破壊の前に、扱う人の心を荒廃させるに十分な威力を持っています
30機のB-52に再度核搭載を求める
「上下院の議員団が動く」→https://holylandtokyo.com/2024/07/09/6053/
新START条約の2021年再延長ゴタゴタ
「露の条約不履行を米が非難」→https://holylandtokyo.com/2023/02/02/4251/
「露が土場再延長合意」→https://holylandtokyo.com/2021/01/23/305/
「ドタキャン後に延長表明?」→https://holylandtokyo.com/2020/10/19/435/
B-52 を大改修して「B-52J」へ
「2060年代まで現役に向け」→https://holylandtokyo.com/2024/02/27/5575/
「B-52Jへの熱い取り組み」→https://holylandtokyo.com/2023/10/19/5134/
「米空軍爆撃機部隊の今後」 →https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
次期ICBM 計画の超ドロ沼
「ずさん過ぎる米国防省再承認」→https://holylandtokyo.com/2024/07/10/6109/
「国防次官あきらめムード」→https://holylandtokyo.com/2024/06/05/5929/
「米空軍では対応不能」 -https://holylandtokyo.com/2024/03/01/5591/
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延長の見込み薄な新START条約失効の2026年見据え
8月2日付 Defense-News 記事は、2021年に何とか5年延長で合意したものの、ロシアの現状から再延長の可能性が極めて薄い新START条約(米露が締結の戦略兵器削減条約)の 2026年2月失効を予期し、米上下院がそれぞれ2025年度国防予算関連法案に盛り込もうとしている、新START条約に従って核兵器搭載装備を除去した30機のB-52 爆撃機(現在 B-52 保有数は計76機)を、再び搭載可能にする改修費が総額わずか7億円だと米空軍が試算したと紹介しています
2010年に米国が批准した新 START 条約は、「2018年までに、戦略核弾頭を 1550発まで、大陸間弾道ミサイル(ICBM)・潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)・戦略爆撃機等の配備数を700基まで削減する」ことを求めており、米国はこの条約履行のため、2015年に保有B-52爆撃機中の30機から、核搭載巡航ミサイルAGM-86B搭載機能を除去する措置を取りました
その後、同条約は2021年に難産の末に何とか5年延長に米露が同意しましたが、2022年2月のロシアのウクライナ侵略を経た2023年3月に、ロシアが一方的に「同条約の履行停止」を決定し、更に2024年6月の会議で米がに新START 後継協定交渉を申し入れたところ、ロシアが明確に交渉する意思がないことを示したとのことで、米議会が同条約破棄に備えた動きに出た模様です。
ただ米議会内には30機のB-52への核搭載能力回復には反対意見も根強く、政権与党の重鎮で、下院軍事委員会の委員長である民主党 Adam Smith 議員ら反対派は、今後の同条約や核兵器管理交渉を複雑化させる恐れがあると「条約延長あきらめ派」に懸念を表明しているところです
米国防省側は、米空軍が予定しているB-52延命のための大規模改修計画を複雑にしかねない「核搭載能力回復改修」には消極的なようですが、改修費用を試算した米空軍B-52担当室の副上級資材リーダーは7月30日、法案で提案されたスケジュール(2026年の条約失効後 1か月以内に改修を開始し、2029年までに完了)は達成可能と述べ、「延命&能力向上改修の作業に組み入れて実施することが恐らく可能だろう」、「回復作業のやり方は分かっており、比較的簡単だと言えるが、詳細には触れない」と発言しているところです
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30機の改修費用が7億円程度とは驚きですが、核兵器搭載可能な機体となることで必要になる特別な機体管理や要員の養成&管理などなど、米空軍にとっては様々な負担増が予想されます
核兵器は本当に管理の難しい兵器です。ミニットマンの後継システム開発が、米空軍を破壊しそうなほど難航している現状から見ても、兵器による物理的破壊の前に、扱う人の心を荒廃させるに十分な威力を持っています
30機のB-52に再度核搭載を求める
「上下院の議員団が動く」→https://holylandtokyo.com/2024/07/09/6053/
新START条約の2021年再延長ゴタゴタ
「露の条約不履行を米が非難」→https://holylandtokyo.com/2023/02/02/4251/
「露が土場再延長合意」→https://holylandtokyo.com/2021/01/23/305/
「ドタキャン後に延長表明?」→https://holylandtokyo.com/2020/10/19/435/
B-52 を大改修して「B-52J」へ
「2060年代まで現役に向け」→https://holylandtokyo.com/2024/02/27/5575/
「B-52Jへの熱い取り組み」→https://holylandtokyo.com/2023/10/19/5134/
「米空軍爆撃機部隊の今後」 →https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
次期ICBM 計画の超ドロ沼
「ずさん過ぎる米国防省再承認」→https://holylandtokyo.com/2024/07/10/6109/
「国防次官あきらめムード」→https://holylandtokyo.com/2024/06/05/5929/
「米空軍では対応不能」 -https://holylandtokyo.com/2024/03/01/5591/
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米空軍トップが追加で推薦図書等4つを公開 [米空軍]
今年1月に4アイテム、4月に4つ、そして7月にも
無人機戦、マーシャル論、組織改革、リーダー組織運営
各推薦アイテムへのリンク付きでご紹介
7月1日付米空軍協会web記事が、米空軍参謀総長で空軍大改革をリードしているDavid W. Allvin大将の推薦ライブラリーに追加された、4アイテム(研究レポート、書籍2冊、Podcast)を紹介していますので、概要をお伝えします。
ウクライナ戦争における無人機技術や作戦運用と通じて最新の軍事技術が戦いに与える変化を学ぶシンクタンクCNASのレポート、米陸軍将軍から国防長官、そして国務長官としてWW2期に活躍したGeorge Marshall氏のリーダーシップ像、大学教授で経営コンサルタントによるリーダーの組織運営や活性化策に関する書籍と、より良い職場環境や職場チームの育成法に関するPodcastの4アイテムです
●CNASのウクライナでの無人機使用関連レポート
・以前所属したRAND研究所で米空軍関連プロジェクトを担当していた、現在はCNAS研究員による「Evolution not Revolution: Drone Warfare in Russia’s 2022 Invasion of Ukraine」とのレポート。Allvin参謀総長が「変化し続ける戦争の様相に関する洞察に富むレポート」だと推薦
・ウクライナでの露との戦いにおけるドローンの役割や活用に関する最新状況を、米国防省や米軍・NATO関係者や軍事専門家への聞き取りから取りまとめ独自に分析した報告。ドローンの群れより集積が重要(drone stacks over drone swarms)、長射程カミカゼ無人機の脅威、対ドローンシステム技術への分析が特徴の模様
●マーシャル将軍・国防&国務長官のリーダー像
・WW2期のリーダー像を描いてきた作家による「George Marshall: Defender of the Republic」との書籍。Allvin大将は「マーシャル氏のリーダーシップスタイルや意思決定プロセスから、米空軍兵士は戦略的計画や危機管理に関し多くを学ぶことができ、同時にリーダーシップ複雑な側面や人格の重要性に触れることができる」と推薦
・George Marshall氏はゲーツ元国防長官も繰り返し推薦してきたWW2当時の指導者で、軍人としてだけでなく、WW2後の欧州復興を導いた「マーシャルプラン」でも知られる人物
●ハーバード教授の最新リーダー像事例
・ハーバード大学ビジネススクール教授でコンサルタントの著者による「Leading Change」との書籍。Allvin大将は「変革と革新を追求する空軍兵士の必読本。複数の実例を通じ、様々な障害や組織の抵抗を乗り越え、組織リーダーが組織を導いていくプロセスを紹介。軍人リーダーが状況に応じた機敏で柔軟な対応を学ぶ材料」だと推薦
・著者の一連の組織改革やリーダーシップ論書籍の最初の物で、米空軍が取り組む改革の参考になると推薦
●職場環境改善や現場変革の参考に
・Allvin大将が推薦アイテムに最初に含め始めた「Podcast」媒体から、「Unveiling the Motivation Vacuum in the Workplace」とのエピソード。Allvin大将が「組織構成員それぞれを、チームとして一つの目標に向かって力を結集させ、かつその過程で組織の強さを育成するためのヒントが詰まっている。組織構成員のモチベーションを維持し高め、組織をより生産的な集団に変革する手がかりを提供」と推薦
//////////////////////////////////////////
米空軍参謀総長に就任するまでに読んだ書籍の中から、就任時に参考図書として一度に紹介するのではなく、就任後に、その激務の中で触れた最新のアイテムを、3-4か月毎に3-4アイテムを継続して紹介していく事は、大変強い意志と決意が必要なことだと思いまし、そのこと自体が心ある米空軍人に強く響くと思います
2024年4月に追加の4アイテムは・・・
→https://www.airandspaceforces.com/new-csaf-reading-list-library-masters-of-the-air/
2024年1月最初に公表の4アイテムご紹介記事
「米空軍の大改革に向けて」→https://holylandtokyo.com/2024/01/31/5473/
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無人機戦、マーシャル論、組織改革、リーダー組織運営
各推薦アイテムへのリンク付きでご紹介
7月1日付米空軍協会web記事が、米空軍参謀総長で空軍大改革をリードしているDavid W. Allvin大将の推薦ライブラリーに追加された、4アイテム(研究レポート、書籍2冊、Podcast)を紹介していますので、概要をお伝えします。
ウクライナ戦争における無人機技術や作戦運用と通じて最新の軍事技術が戦いに与える変化を学ぶシンクタンクCNASのレポート、米陸軍将軍から国防長官、そして国務長官としてWW2期に活躍したGeorge Marshall氏のリーダーシップ像、大学教授で経営コンサルタントによるリーダーの組織運営や活性化策に関する書籍と、より良い職場環境や職場チームの育成法に関するPodcastの4アイテムです
●CNASのウクライナでの無人機使用関連レポート
・以前所属したRAND研究所で米空軍関連プロジェクトを担当していた、現在はCNAS研究員による「Evolution not Revolution: Drone Warfare in Russia’s 2022 Invasion of Ukraine」とのレポート。Allvin参謀総長が「変化し続ける戦争の様相に関する洞察に富むレポート」だと推薦
・ウクライナでの露との戦いにおけるドローンの役割や活用に関する最新状況を、米国防省や米軍・NATO関係者や軍事専門家への聞き取りから取りまとめ独自に分析した報告。ドローンの群れより集積が重要(drone stacks over drone swarms)、長射程カミカゼ無人機の脅威、対ドローンシステム技術への分析が特徴の模様
●マーシャル将軍・国防&国務長官のリーダー像
・WW2期のリーダー像を描いてきた作家による「George Marshall: Defender of the Republic」との書籍。Allvin大将は「マーシャル氏のリーダーシップスタイルや意思決定プロセスから、米空軍兵士は戦略的計画や危機管理に関し多くを学ぶことができ、同時にリーダーシップ複雑な側面や人格の重要性に触れることができる」と推薦
・George Marshall氏はゲーツ元国防長官も繰り返し推薦してきたWW2当時の指導者で、軍人としてだけでなく、WW2後の欧州復興を導いた「マーシャルプラン」でも知られる人物
●ハーバード教授の最新リーダー像事例
・ハーバード大学ビジネススクール教授でコンサルタントの著者による「Leading Change」との書籍。Allvin大将は「変革と革新を追求する空軍兵士の必読本。複数の実例を通じ、様々な障害や組織の抵抗を乗り越え、組織リーダーが組織を導いていくプロセスを紹介。軍人リーダーが状況に応じた機敏で柔軟な対応を学ぶ材料」だと推薦
・著者の一連の組織改革やリーダーシップ論書籍の最初の物で、米空軍が取り組む改革の参考になると推薦
●職場環境改善や現場変革の参考に
・Allvin大将が推薦アイテムに最初に含め始めた「Podcast」媒体から、「Unveiling the Motivation Vacuum in the Workplace」とのエピソード。Allvin大将が「組織構成員それぞれを、チームとして一つの目標に向かって力を結集させ、かつその過程で組織の強さを育成するためのヒントが詰まっている。組織構成員のモチベーションを維持し高め、組織をより生産的な集団に変革する手がかりを提供」と推薦
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米空軍参謀総長に就任するまでに読んだ書籍の中から、就任時に参考図書として一度に紹介するのではなく、就任後に、その激務の中で触れた最新のアイテムを、3-4か月毎に3-4アイテムを継続して紹介していく事は、大変強い意志と決意が必要なことだと思いまし、そのこと自体が心ある米空軍人に強く響くと思います
2024年4月に追加の4アイテムは・・・
→https://www.airandspaceforces.com/new-csaf-reading-list-library-masters-of-the-air/
2024年1月最初に公表の4アイテムご紹介記事
「米空軍の大改革に向けて」→https://holylandtokyo.com/2024/01/31/5473/
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タグ:推薦図書 Allvin空軍参謀総長
1953年以降に空襲で死亡した米国人はいなかったが [米空軍]
1月のイスラム過激派ドローン空襲で米兵3名死亡
「1953年以降、空襲で死亡した米国人は皆無」は過去の栄光に
今こそ「航空優勢を再考し、次の戦いに備えるべき」
7月29日、Slife米空軍副参謀総長がミッチェル研究所で講演し、ロシア・ウクライナ戦争やイラク&シリア&イスラエル等の状況、更にフーシ派との戦いを踏まえ、小型で低コストのドローンが航空優勢(Air Superiority)概念に与える影響を再考する必要があると、米空軍首脳が最近言及し始めた課題について改めて語っています。まんぐーす的に言わせてもらえば、「戦闘機支配時代の終わりの始まり」議論です
同副参謀総長は具体的に、今年1月にヨルダン国内に設置の強固に防御された米軍拠点がイスラム過激派のドローン攻撃を受けて3名の米軍兵士が死亡し、「1953年以降、空装で死亡した米国人はいない」との米空軍の栄光とプライドを根本から否定する事態が発生していることに触れ、危機感を訴えています
29日付米空軍協会web記事はSlife大将発言を
●1953年以降、空襲で死亡した米国人はいないと我々は主張していたが、もうその主張はできない。航空優勢がどのようなものなのかを再考する必要に迫られている。朝鮮戦争時の 1953年には、鴨緑江上空3万フィートを支配していればよかったかもしれないが、手榴弾をつり下げた高度 3000フィート以下で飛行してくる無人小型ヘリの脅威も考慮しなければならない時代に我々はいる
●小型無人機は低空飛行し、レーダー反射面積が小さいため探知が難しく、高度な技術を持つ敵が大量に使用する可能性もあり、米空軍と米国の同盟国に深刻なジレンマをもたらしている。更にドローンは米国と同盟国に高価な戦闘機や迎撃ミサイルで対抗することを強い、不釣り合いなコストを負担させる
●2023年 10月以来、上記地域全体での170回を超える小型無人機、ロケット、ミサイル攻撃により、数十人のアメリカ軍人が負傷し、3人が死亡した。また7月初旬にはイエメンのフーシ派が、1000マイル以上飛行侵攻した無人攻撃機でイスラエルのテルアビブを攻撃し、民間人1人を殺害するに至っている
●WW2を振り返るとき、そこでの戦いの革新や新兵器の萌芽は、スペイン内戦やWW2前の各種紛争で確認することが出来る。我々が次の大規模戦争に備えるとしたら、ウクライナや中東やイスラエルで起こっているドローンを巡る現状を真摯に分析し、今後の航空優勢がどのようなものになるか、そして航空優勢をどのように達成するかについて、考える必要がある
/////////////////////////////////////////////
この後 Slife 大将は、米空軍が現在取り組んでいる無人ウイングマン機やネットワーク活用やAIと連携した態勢強化について語っていますが、まんぐーすの印象では全く対策にはなっておらず、現在の予算案を懸命に擁護している的外れな内容で、響くものがありません
一方で Melissa Dalton 米空軍次官は最近の講演で、「米国防省、特に米空軍は量より質を追求してきたが、量が生み出す質について考慮する必要があるのでは・・・」と語っており、本当は言いたいことが一杯あるんだろうな・・・感じさせます
米空軍のよりどころであり存在感を示す事実、「1953年以降、空襲で死亡した米国人はいない」が木っ端微塵となって「過去の業光」となった今、そして戦闘機が確保可能な高度1~3万フィート前後の高高度「航空優勢」ではなく、無人機が暴れまわる3千フィート以下の低高度「航空優勢」がクローズアップされる容赦ない現実が突きつけられた今、戦闘機命派はどのような末路をたどるのでしょうか・・・
航空優勢を考える
「米空軍トップ=航空優勢は重要だが不可能だし必要もない」 →https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02109/2703/
何を考えているのやら・・
「NATO9か国戦闘機が Gun のみ空中戦訓練」→https://holylandtokyo.com/2024/07/02/6023/
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「1953年以降、空襲で死亡した米国人は皆無」は過去の栄光に
今こそ「航空優勢を再考し、次の戦いに備えるべき」
7月29日、Slife米空軍副参謀総長がミッチェル研究所で講演し、ロシア・ウクライナ戦争やイラク&シリア&イスラエル等の状況、更にフーシ派との戦いを踏まえ、小型で低コストのドローンが航空優勢(Air Superiority)概念に与える影響を再考する必要があると、米空軍首脳が最近言及し始めた課題について改めて語っています。まんぐーす的に言わせてもらえば、「戦闘機支配時代の終わりの始まり」議論です
同副参謀総長は具体的に、今年1月にヨルダン国内に設置の強固に防御された米軍拠点がイスラム過激派のドローン攻撃を受けて3名の米軍兵士が死亡し、「1953年以降、空装で死亡した米国人はいない」との米空軍の栄光とプライドを根本から否定する事態が発生していることに触れ、危機感を訴えています
29日付米空軍協会web記事はSlife大将発言を
●1953年以降、空襲で死亡した米国人はいないと我々は主張していたが、もうその主張はできない。航空優勢がどのようなものなのかを再考する必要に迫られている。朝鮮戦争時の 1953年には、鴨緑江上空3万フィートを支配していればよかったかもしれないが、手榴弾をつり下げた高度 3000フィート以下で飛行してくる無人小型ヘリの脅威も考慮しなければならない時代に我々はいる
●小型無人機は低空飛行し、レーダー反射面積が小さいため探知が難しく、高度な技術を持つ敵が大量に使用する可能性もあり、米空軍と米国の同盟国に深刻なジレンマをもたらしている。更にドローンは米国と同盟国に高価な戦闘機や迎撃ミサイルで対抗することを強い、不釣り合いなコストを負担させる
●2023年 10月以来、上記地域全体での170回を超える小型無人機、ロケット、ミサイル攻撃により、数十人のアメリカ軍人が負傷し、3人が死亡した。また7月初旬にはイエメンのフーシ派が、1000マイル以上飛行侵攻した無人攻撃機でイスラエルのテルアビブを攻撃し、民間人1人を殺害するに至っている
●WW2を振り返るとき、そこでの戦いの革新や新兵器の萌芽は、スペイン内戦やWW2前の各種紛争で確認することが出来る。我々が次の大規模戦争に備えるとしたら、ウクライナや中東やイスラエルで起こっているドローンを巡る現状を真摯に分析し、今後の航空優勢がどのようなものになるか、そして航空優勢をどのように達成するかについて、考える必要がある
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この後 Slife 大将は、米空軍が現在取り組んでいる無人ウイングマン機やネットワーク活用やAIと連携した態勢強化について語っていますが、まんぐーすの印象では全く対策にはなっておらず、現在の予算案を懸命に擁護している的外れな内容で、響くものがありません
一方で Melissa Dalton 米空軍次官は最近の講演で、「米国防省、特に米空軍は量より質を追求してきたが、量が生み出す質について考慮する必要があるのでは・・・」と語っており、本当は言いたいことが一杯あるんだろうな・・・感じさせます
米空軍のよりどころであり存在感を示す事実、「1953年以降、空襲で死亡した米国人はいない」が木っ端微塵となって「過去の業光」となった今、そして戦闘機が確保可能な高度1~3万フィート前後の高高度「航空優勢」ではなく、無人機が暴れまわる3千フィート以下の低高度「航空優勢」がクローズアップされる容赦ない現実が突きつけられた今、戦闘機命派はどのような末路をたどるのでしょうか・・・
航空優勢を考える
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在韓米軍も戦闘機の配備変更へ!? [米空軍]
F-16戦闘機をソウル近郊のNK境界線近くに9機移動
機数を増強した「Super Squadron」を編制とか
嘉手納や三沢と共に一連の太平洋空軍の戦闘機再編か
7月23日付米空軍協会web記事が、7月19日米空軍発表(Kunsan基地第7空軍発表の形で)を取り上げ、韓国南部Kunsan空軍基地所属F-16戦闘機の一部9機を、北朝鮮との境界線から僅か約90㎞でソウル近郊のOsan基地に約180㎞北方へ移動させ、Osan基地所属22機のF-16と併せて31機の「スーパー飛行隊:Super Squadron」編成への移行を開始したと報じています。
ただ第7空軍の発表はあくまで、「Super Squadron」の31機編成が訓練実施面や機体維持整備面で効率的かどうかを確認する「約1年間にわたるテスト:a yearlong test」のための、F-16戦闘機の「一時的な移動:temporary shift」だとなっており、北朝鮮への刺激を避けるためか、韓国政府との協議の末の「あいまい」方針なのか、本当に「テスト」だけなのか不明ですが、約150名の操縦者や整備員等々もOsan基地に移動すると紹介しています
しかし23日付米空軍協会web記事は、太平洋空軍が2023年9月に発表した「PACAF’s 2030 Strategy」(現在の戦力配置は約70年前の戦略環境に基づき決定されたもので、現状には不適切・・・との認識が基礎の戦略)に基づく戦力の再編・再配置の一環だとF-16の移動を紹介しており、追加背景としてOsan基地所属の老朽化が著しいA-10攻撃機の退役を米空軍が急いでいる事にも触れています。
また同記事は、7月3日に米国防省が発表した在日米軍戦闘機配備の変更も同じ流れだとし、改めて「Over the next several years」に実施される以下の計画に言及しています
●嘉手納基地:48機のF-15C → 36機のF-15EX
●三沢基地:36機のF-16 → 48機のF-35A
●岩国海兵隊F-35B型(2022年5月から32機体制)→「米海兵隊全体の戦力配備の近代化推進に伴い、F-35B配備機数を変更」
///////////////////////////////////////////
わずか9機のF-16戦闘機の移動で、機動性の高い戦闘機の移動で大騒ぎする必要はないと思うのですが、米国が韓国をどのように扱うのか、北朝鮮との関係をどのようにするのかを考える一つの材料としてご紹介しておきます
それにしても・・・経済崩壊が避けられない崖っぷちにある韓国で、再び反米&反日勢力が盛り返しているようですが、中国と並んでどのような国家崩壊ぶりを世界に晒すことになるのでしょうか・・・。日本への影響が避けられない大事件なのですが・・・
「米国が在日米軍戦闘機変更を発表」→https://holylandtokyo.com/2024/07/05/6097/
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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機数を増強した「Super Squadron」を編制とか
嘉手納や三沢と共に一連の太平洋空軍の戦闘機再編か
7月23日付米空軍協会web記事が、7月19日米空軍発表(Kunsan基地第7空軍発表の形で)を取り上げ、韓国南部Kunsan空軍基地所属F-16戦闘機の一部9機を、北朝鮮との境界線から僅か約90㎞でソウル近郊のOsan基地に約180㎞北方へ移動させ、Osan基地所属22機のF-16と併せて31機の「スーパー飛行隊:Super Squadron」編成への移行を開始したと報じています。
ただ第7空軍の発表はあくまで、「Super Squadron」の31機編成が訓練実施面や機体維持整備面で効率的かどうかを確認する「約1年間にわたるテスト:a yearlong test」のための、F-16戦闘機の「一時的な移動:temporary shift」だとなっており、北朝鮮への刺激を避けるためか、韓国政府との協議の末の「あいまい」方針なのか、本当に「テスト」だけなのか不明ですが、約150名の操縦者や整備員等々もOsan基地に移動すると紹介しています
しかし23日付米空軍協会web記事は、太平洋空軍が2023年9月に発表した「PACAF’s 2030 Strategy」(現在の戦力配置は約70年前の戦略環境に基づき決定されたもので、現状には不適切・・・との認識が基礎の戦略)に基づく戦力の再編・再配置の一環だとF-16の移動を紹介しており、追加背景としてOsan基地所属の老朽化が著しいA-10攻撃機の退役を米空軍が急いでいる事にも触れています。
また同記事は、7月3日に米国防省が発表した在日米軍戦闘機配備の変更も同じ流れだとし、改めて「Over the next several years」に実施される以下の計画に言及しています
●嘉手納基地:48機のF-15C → 36機のF-15EX
●三沢基地:36機のF-16 → 48機のF-35A
●岩国海兵隊F-35B型(2022年5月から32機体制)→「米海兵隊全体の戦力配備の近代化推進に伴い、F-35B配備機数を変更」
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わずか9機のF-16戦闘機の移動で、機動性の高い戦闘機の移動で大騒ぎする必要はないと思うのですが、米国が韓国をどのように扱うのか、北朝鮮との関係をどのようにするのかを考える一つの材料としてご紹介しておきます
それにしても・・・経済崩壊が避けられない崖っぷちにある韓国で、再び反米&反日勢力が盛り返しているようですが、中国と並んでどのような国家崩壊ぶりを世界に晒すことになるのでしょうか・・・。日本への影響が避けられない大事件なのですが・・・
「米国が在日米軍戦闘機変更を発表」→https://holylandtokyo.com/2024/07/05/6097/
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米空軍次期制空機NGAD は「数か月間保留」 [米空軍]
Kendall 空軍長官「正しい方向にあるか確認する」
また「依然、第6世代の有人航空機を開発するつもり」
「無人機の選択肢もあるが、技術的に難しい」とも
7月30日、Kendall 空軍長官が米空軍開発部門主催の企業交流イベント(Life Cycle Industry Days)で次期制空機NGAD 発に関し、「依然、第6世代の有人航空機を開発するつもり」と述べつつも、「担当企業を選定し、単一設計と単一サプライヤーでの前進を決定する前に、適切なブロセスと運用コンセプトを持っているかなど、数か月間、厳しく検討するつもりだ」と述べました
また、「無人機の選択肢もあるが、技術的に難しい」と述べつつも、B-21次期爆撃機の基本構想時と同じように「NGADはオプションで有人機にすることもできる:optionally crewed」と表現するなど、NGADの今後の方向性について非常に振れ幅の大きい表現で語っています
更に同長官は、米空軍は中国軍の急速な技術進歩と、米空軍基地に雨のように降り注ぐ弾道ミサイルに対応しなければならないと指摘し、米空軍が長い滑走路が必要な基地からのみ作戦行動を強いられるならば「我々にとり間題だ」とも語り、戦闘機の限界を示唆するような表現も用いて語った模様です
以上が7月30日付米空軍協会 web 記事が紹介している空軍長官発言ですが、以下では同記事が空軍長官発言にコメントしている内容をご紹介します
●空軍長官は昨年、NGAD 契約締結は 2024年になるだろうと語ったが、7月30日の発言はもはやそうではない可能性を示唆している
●同空軍長官と Allvin 空軍参謀総長は最近、NGAD の膨大な推定コストを削減できるかどうか、厳しく検討していると発言している。更にAllvin大将は、戦闘機が優先的に予算を確保できる時代ではなく、多くの選択肢の中の一つに過ぎなく、それは戦闘機が享受していた岩盤のような揺ぎ無い支援体制からの離別を意味する(NGAD is one of “many choices” on the budget landscape, a departure from the rock-solid support the fighter has had from the service until now) と明確に語っている
●NGAD は無人機ウイングマン機CCAの技術進歩に追い越された感があり、誰の目から見ても大きな進歩を遂げている低コストの同種無人システムと調和させなければならない。
●空軍長官はNGAD を頻繁にアップグレードすることが目標だと述べているが、米空軍の上級幹部は、技術変化の速度が加速している現状から、この手法に疑問を持つものが多い。短期間でのアップグレードを目指す CCAは3年毎のアップグレードを想定しており、CCAを操るNGADもこのペースに追随することが望ましいが、その可否に意見が分かれている
///////////////////////////////////////////////
「米空軍創設以来、戦闘機が享受していた岩盤のような揺ぎ無い支援体制からの離別・・・」との米空軍トップの発言を、日本の戦闘機命派や航空自衛隊を牛耳る戦闘機パイロットはどう受け止めているのでしょうか?
米国に対抗して、日英伊で乗り出してしまった必要性に大きな疑問符が付く次世代戦闘機開発を、どのように納めるつもりでしょうか? いつまで過去の遺産である戦闘機への優先投資を続けるのでしょう?
米空軍は次世代制空機 NGADあきらめムード
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/
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また「依然、第6世代の有人航空機を開発するつもり」
「無人機の選択肢もあるが、技術的に難しい」とも
7月30日、Kendall 空軍長官が米空軍開発部門主催の企業交流イベント(Life Cycle Industry Days)で次期制空機NGAD 発に関し、「依然、第6世代の有人航空機を開発するつもり」と述べつつも、「担当企業を選定し、単一設計と単一サプライヤーでの前進を決定する前に、適切なブロセスと運用コンセプトを持っているかなど、数か月間、厳しく検討するつもりだ」と述べました
また、「無人機の選択肢もあるが、技術的に難しい」と述べつつも、B-21次期爆撃機の基本構想時と同じように「NGADはオプションで有人機にすることもできる:optionally crewed」と表現するなど、NGADの今後の方向性について非常に振れ幅の大きい表現で語っています
更に同長官は、米空軍は中国軍の急速な技術進歩と、米空軍基地に雨のように降り注ぐ弾道ミサイルに対応しなければならないと指摘し、米空軍が長い滑走路が必要な基地からのみ作戦行動を強いられるならば「我々にとり間題だ」とも語り、戦闘機の限界を示唆するような表現も用いて語った模様です
以上が7月30日付米空軍協会 web 記事が紹介している空軍長官発言ですが、以下では同記事が空軍長官発言にコメントしている内容をご紹介します
●空軍長官は昨年、NGAD 契約締結は 2024年になるだろうと語ったが、7月30日の発言はもはやそうではない可能性を示唆している
●同空軍長官と Allvin 空軍参謀総長は最近、NGAD の膨大な推定コストを削減できるかどうか、厳しく検討していると発言している。更にAllvin大将は、戦闘機が優先的に予算を確保できる時代ではなく、多くの選択肢の中の一つに過ぎなく、それは戦闘機が享受していた岩盤のような揺ぎ無い支援体制からの離別を意味する(NGAD is one of “many choices” on the budget landscape, a departure from the rock-solid support the fighter has had from the service until now) と明確に語っている
●NGAD は無人機ウイングマン機CCAの技術進歩に追い越された感があり、誰の目から見ても大きな進歩を遂げている低コストの同種無人システムと調和させなければならない。
●空軍長官はNGAD を頻繁にアップグレードすることが目標だと述べているが、米空軍の上級幹部は、技術変化の速度が加速している現状から、この手法に疑問を持つものが多い。短期間でのアップグレードを目指す CCAは3年毎のアップグレードを想定しており、CCAを操るNGADもこのペースに追随することが望ましいが、その可否に意見が分かれている
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「米空軍創設以来、戦闘機が享受していた岩盤のような揺ぎ無い支援体制からの離別・・・」との米空軍トップの発言を、日本の戦闘機命派や航空自衛隊を牛耳る戦闘機パイロットはどう受け止めているのでしょうか?
米国に対抗して、日英伊で乗り出してしまった必要性に大きな疑問符が付く次世代戦闘機開発を、どのように納めるつもりでしょうか? いつまで過去の遺産である戦闘機への優先投資を続けるのでしょう?
米空軍は次世代制空機 NGADあきらめムード
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タグ:Kendall空軍長官 NGAD
新任米空軍ACC司令官が兵士8万名に服装容儀検査 [米空軍]
「服装容儀の明らかな悪化が見られる」と
服装容儀の乱れは部隊能力の低下を示すバロメータ
「ひげ」が重要論点で「ひげそり教育」実施も
6月10日、2月に太平洋空軍司令官から米空軍戦闘コマンド(ACC:Air Combat Command)司令官に栄転したばかりのKenneth S. Wilsbach大将が、「兵士の大半は服装容儀基準を満たしているが、基準への取り組みには明確な低下が見られる」として、配下の兵士全員8万名に対する「服装容儀点検:Inspections on the Air Force standards for dress and personal appearance」を命じ、7月17日までに各部隊による検査を完了するよう指示しました
なお米空軍戦闘コマンドは、米空軍の戦闘機を始め1000機の航空機等々を軍人文民計15万名で運用する米空軍最大のコマンドで、35個の航空団Wing所属部隊等を全世界263か所で活動させている米空軍の中核組織であり、ACC司令官は米空軍を実質支配する「戦闘機パイロット族のボス」と呼ばれています
ACC報道官はこの命令に関し、2月に更新された「服装容儀基準」の履行状況を確認するためのものであり、「自然な流れだ」とも説明しているようですが、同時に米空軍全体として「大国間の本格的紛争に備えた即応性を重視」する方針が示され、組織改編などに着手している中、ACCとして「即応態勢は服装容儀基準の高レベル順守から始まる」と「基準の履行は秩序と規律維持にとどまらず、基本的な任務の必須事項である」との認識も示しています
検査は、日本人がイメージする単なる見た目の「服装容儀」だけでなく、兵士各個人の健康状態や信仰宗教に配慮した「服装容儀基準の免除」が、現時点での兵士の状況に即して更新されているかも重視する内容となっており、特に「ひげ」に関する「基準免除」の再確認も重視項目に含まれているとのことです。
「ひげ」に関しては、各個人の健康状態と宗教的側面の2側面から「ひげそり免除規定」があり、身体特性や健康面では、「皮膚の特性」から毎日ひげそりすると偽毛包炎(PFB)などの病気を発生させ皮膚に跡が残る兵士には「ひげそり免除」が認められようですが、空軍医官が「ひげそり教育コース」を開設して、安全にひげそりが行える方法を教え、不要に「ひげそり免除」が増えることを防止するようです。
宗教的側面からの「ひげそり免除者」へのアプローチは難しそうですが、免除付与が適切か7月17日までに再確認させるとのことです
「ひげそり免除」の取得は近年容易になってきたらしいですが、ひげ容認推進派からは「ひげをめぐる文化的偏見がまだ残っており、空軍兵士のキャリアを妨げている」との主張が展開されており、一方で下院軍事委員会の議員らが、ひげが安全性、規律、士気、包括性に与える影響を調査する法案を提出して審議がなされているということです
//////////////////////////////////////////
米空軍の最上級曹長が「歴史は、部隊の服装容儀の乱れは、その部隊の軍事能力と即応性低下のバロメータであることを示している」と危機感を示し、新司令官が「(基準の順守状況に」明確な低下が見られる」と感じたならば、それは明らかな問題であり、米国社会全体の劣化を映し出したものなのかもしれません。
別の側面ですが、イスラム教信者が米軍内にも増えて「ひげそり免除者」が増え、部隊内で浮き上がった存在になっていたり、イスラエルVSハマス戦争の激化長期化を受け、イスラム教信仰兵士の存在を危惧する声も部隊内には根強く存在するようで、下院軍事委員会の調査法案は、その辺りをオブラートに包みつつ探ろうとしているのかもしれません
ひげ服装容儀関連の記事
「2021年12月の服装容儀基準変更」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/
「イスラム教信仰兵士にあごひげ許可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-21
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服装容儀の乱れは部隊能力の低下を示すバロメータ
「ひげ」が重要論点で「ひげそり教育」実施も
6月10日、2月に太平洋空軍司令官から米空軍戦闘コマンド(ACC:Air Combat Command)司令官に栄転したばかりのKenneth S. Wilsbach大将が、「兵士の大半は服装容儀基準を満たしているが、基準への取り組みには明確な低下が見られる」として、配下の兵士全員8万名に対する「服装容儀点検:Inspections on the Air Force standards for dress and personal appearance」を命じ、7月17日までに各部隊による検査を完了するよう指示しました
なお米空軍戦闘コマンドは、米空軍の戦闘機を始め1000機の航空機等々を軍人文民計15万名で運用する米空軍最大のコマンドで、35個の航空団Wing所属部隊等を全世界263か所で活動させている米空軍の中核組織であり、ACC司令官は米空軍を実質支配する「戦闘機パイロット族のボス」と呼ばれています
ACC報道官はこの命令に関し、2月に更新された「服装容儀基準」の履行状況を確認するためのものであり、「自然な流れだ」とも説明しているようですが、同時に米空軍全体として「大国間の本格的紛争に備えた即応性を重視」する方針が示され、組織改編などに着手している中、ACCとして「即応態勢は服装容儀基準の高レベル順守から始まる」と「基準の履行は秩序と規律維持にとどまらず、基本的な任務の必須事項である」との認識も示しています
検査は、日本人がイメージする単なる見た目の「服装容儀」だけでなく、兵士各個人の健康状態や信仰宗教に配慮した「服装容儀基準の免除」が、現時点での兵士の状況に即して更新されているかも重視する内容となっており、特に「ひげ」に関する「基準免除」の再確認も重視項目に含まれているとのことです。
「ひげ」に関しては、各個人の健康状態と宗教的側面の2側面から「ひげそり免除規定」があり、身体特性や健康面では、「皮膚の特性」から毎日ひげそりすると偽毛包炎(PFB)などの病気を発生させ皮膚に跡が残る兵士には「ひげそり免除」が認められようですが、空軍医官が「ひげそり教育コース」を開設して、安全にひげそりが行える方法を教え、不要に「ひげそり免除」が増えることを防止するようです。
宗教的側面からの「ひげそり免除者」へのアプローチは難しそうですが、免除付与が適切か7月17日までに再確認させるとのことです
「ひげそり免除」の取得は近年容易になってきたらしいですが、ひげ容認推進派からは「ひげをめぐる文化的偏見がまだ残っており、空軍兵士のキャリアを妨げている」との主張が展開されており、一方で下院軍事委員会の議員らが、ひげが安全性、規律、士気、包括性に与える影響を調査する法案を提出して審議がなされているということです
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米空軍の最上級曹長が「歴史は、部隊の服装容儀の乱れは、その部隊の軍事能力と即応性低下のバロメータであることを示している」と危機感を示し、新司令官が「(基準の順守状況に」明確な低下が見られる」と感じたならば、それは明らかな問題であり、米国社会全体の劣化を映し出したものなのかもしれません。
別の側面ですが、イスラム教信者が米軍内にも増えて「ひげそり免除者」が増え、部隊内で浮き上がった存在になっていたり、イスラエルVSハマス戦争の激化長期化を受け、イスラム教信仰兵士の存在を危惧する声も部隊内には根強く存在するようで、下院軍事委員会の調査法案は、その辺りをオブラートに包みつつ探ろうとしているのかもしれません
ひげ服装容儀関連の記事
「2021年12月の服装容儀基準変更」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/
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異なる通信システムの多国籍軍を繋ぐE-11の活躍 [米空軍]
愛称ベーコンのBACN機は現6機で9機体制へ
現在はガザ物資投下からフーチ派対処等々中東で
第18空中指揮統制飛行隊の中東派遣隊取材
6月21日付米空軍協会web記事が、ビジネスジェットに通信中継装置を搭載したBACN機(愛称ベーコン:Battlefield Airborne Communications Node)であるE-11Aの、中東派遣部隊パイロットへのインタビュー記事を掲載しました。
米国ジョージア州Robins空軍基地が母基地の第18空中指揮統制飛行隊所属機が、中東へ第430電子通信派遣飛行隊として展開している形で、その展開地や展開機数も非公開(派遣操縦者は約20名)で秘密が多い部隊や機体ですが、多国籍の部隊や装備が連携して戦うニーズが高まる中、不可欠な役割を果たしている部隊ですのでご紹介いたします
通信中継機E-11は、Bombardier社製のビジネスジェットGlobal Express 6000(最新型はBD-700)にNG社製のBACN機器を搭載した機体で、2021年1月に米空軍とNG社が契約を結んで製造開始し、現時点で推定6機を米空軍が保有し、今後毎年1機を調達して2027会計年度内に9機体制確立を目指しているそうです。
(なお米空軍は、無人機RQ-4にBACN機器を搭載したEQ-4も2018年頃から運用して4機保有していましたが、米空軍RQ-4の退役開始に合わせEQ-4Bも引退させようとしています)
E-11A型機は導入当初から、直進する性質を持つ電波の覆域補完や遠方「通信中継」機として紹介され、またその役割から広く「空飛ぶwifi :wifi in the sky」として前線兵士から期待され、「近接航空支援CAS、空輸物資投下、兵士救出、人道支援時の通信中継」、「データシステムが全く異なるF-22とF-35間のデータ中継」等に、2022年3月時点で既に20万時間以上の任務実績を積み重ねており、
山岳地帯が多く電波が届きにくいアフガン作戦での活躍が断片的に報じられてきましたが、アフガンからの撤退で、地上攻撃や兵士投入&撤収作戦の空地連携支援などの任務が減少し、ガザ地区への人道物資空中投下、フーチ派対処(攻撃と防御両面)、イラクやシリア内での対IS作戦や展開米軍防御作戦へ中央軍の作戦がシフトする中で、E-11A派遣飛行隊の役割が少し異なってきているようですので、記事から概要をご紹介いたします
21日付記事によれば最近E-11は・・・
●飛行隊長の中佐は、単に通信中継で通信可能距離を延伸するだけではなく、異なる電子形態やフォーマットの電子機器間の通信を繋いで中継し、様々なプラットフォーム間の相互通信性やデータの互換性を確保することが重要な任務だと語っている
●例えば、既に30回以上の支援実績があるガザ地区への人道支援物資空中投下では、この作戦を発案し開始したヨルダン空軍とヨルダン国内に設置された多国籍計画調整指揮所を、数か国の異なる通信アセットを搭載したC-130やエアバスA400輸送機や米空軍C-17とを結ぶ「空中通信中継」の役割を果たした
●同飛行隊長は「我々はガザ物資投下に限定されず、統合航空作戦センターから出されるATO(航空任務命令)に従い、様々な通信形態を繋いで多くの作戦参加者を連携させている」とまでしか発言を許されていないが、イラクとシリアでの米軍を航空脅威から防御し、イランと同盟関係にある民兵組織を空爆したり、フーシ派の商船攻撃阻止を支援したり、対IS作戦「Operation Inherent Resolve」支援のため、24時間体制で地上待機している
●E-11Aは最新型の場合航続距離が6000マイル(1万㎞以上)あり、操縦者2名のみで1回の飛行で複数の任務を時間分割で遂行可能な特長を生かし、海上でも陸上でも、多国籍な部隊が持つ様々な通信方式のの意思疎通ツールを繋ぐ「接着剤」の役割を果たし、現代の軍事作戦だけでなく、国際社会のニーズに応えている
//////////////////////////////////////////
単なる「通信中継」イメージを超え、現代社会が求める「多国間協力」を支えるE-11部隊をご紹介いたしました。なお米空軍は既に、次世代BACN機器開発をNG社と契約しており、地上拠点との連携強化や個人装備との連接性強化、4と 5世代機のデータ共有能力向上、高脅威下で機能するGPS、Link-16、最新の航法装置、機器の信頼性や性能向上、更に機体の残存性を高める自己防御能力強化を目指して開発が始まっているとのことです
ご紹介していて思ったのですが、なぜ有人機であるビジネスジェット改良型を使用することになったのでしょうか? 次世代BACN機器開発開始だそうですが、本格紛争への備えなら、無人機型が必要では? RQ-4の維持が困難になり、搭載量の大きな長期在空無人機の代替が無かったから? 将来は衛星にE-11の役割を引き継がせる構想だから? いろいろ考えてしまいますが、調べる気力がないので、とりあえず今日はここまでとさせていただきます
E-11A関連の記事
「Bジェット改良の通信中継機増強中」→https://holylandtokyo.com/2022/11/21/3920/
通信中継機能も期待される機体には
「MQ-25A艦載無人給油機」→https://holylandtokyo.com/2021/09/17/2250/
「KC-46A給油機」→https://holylandtokyo.com/2020/01/17/868/
「64日間飛行の太陽光無人機」→https://holylandtokyo.com/2022/08/30/3585/
「無人ウイングマン機」→https://holylandtokyo.com/2021/04/09/103/
「C-17輸送機でも」→https://holylandtokyo.com/2020/07/10/569/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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現在はガザ物資投下からフーチ派対処等々中東で
第18空中指揮統制飛行隊の中東派遣隊取材
6月21日付米空軍協会web記事が、ビジネスジェットに通信中継装置を搭載したBACN機(愛称ベーコン:Battlefield Airborne Communications Node)であるE-11Aの、中東派遣部隊パイロットへのインタビュー記事を掲載しました。
米国ジョージア州Robins空軍基地が母基地の第18空中指揮統制飛行隊所属機が、中東へ第430電子通信派遣飛行隊として展開している形で、その展開地や展開機数も非公開(派遣操縦者は約20名)で秘密が多い部隊や機体ですが、多国籍の部隊や装備が連携して戦うニーズが高まる中、不可欠な役割を果たしている部隊ですのでご紹介いたします
通信中継機E-11は、Bombardier社製のビジネスジェットGlobal Express 6000(最新型はBD-700)にNG社製のBACN機器を搭載した機体で、2021年1月に米空軍とNG社が契約を結んで製造開始し、現時点で推定6機を米空軍が保有し、今後毎年1機を調達して2027会計年度内に9機体制確立を目指しているそうです。
(なお米空軍は、無人機RQ-4にBACN機器を搭載したEQ-4も2018年頃から運用して4機保有していましたが、米空軍RQ-4の退役開始に合わせEQ-4Bも引退させようとしています)
E-11A型機は導入当初から、直進する性質を持つ電波の覆域補完や遠方「通信中継」機として紹介され、またその役割から広く「空飛ぶwifi :wifi in the sky」として前線兵士から期待され、「近接航空支援CAS、空輸物資投下、兵士救出、人道支援時の通信中継」、「データシステムが全く異なるF-22とF-35間のデータ中継」等に、2022年3月時点で既に20万時間以上の任務実績を積み重ねており、
山岳地帯が多く電波が届きにくいアフガン作戦での活躍が断片的に報じられてきましたが、アフガンからの撤退で、地上攻撃や兵士投入&撤収作戦の空地連携支援などの任務が減少し、ガザ地区への人道物資空中投下、フーチ派対処(攻撃と防御両面)、イラクやシリア内での対IS作戦や展開米軍防御作戦へ中央軍の作戦がシフトする中で、E-11A派遣飛行隊の役割が少し異なってきているようですので、記事から概要をご紹介いたします
21日付記事によれば最近E-11は・・・
●飛行隊長の中佐は、単に通信中継で通信可能距離を延伸するだけではなく、異なる電子形態やフォーマットの電子機器間の通信を繋いで中継し、様々なプラットフォーム間の相互通信性やデータの互換性を確保することが重要な任務だと語っている
●例えば、既に30回以上の支援実績があるガザ地区への人道支援物資空中投下では、この作戦を発案し開始したヨルダン空軍とヨルダン国内に設置された多国籍計画調整指揮所を、数か国の異なる通信アセットを搭載したC-130やエアバスA400輸送機や米空軍C-17とを結ぶ「空中通信中継」の役割を果たした
●同飛行隊長は「我々はガザ物資投下に限定されず、統合航空作戦センターから出されるATO(航空任務命令)に従い、様々な通信形態を繋いで多くの作戦参加者を連携させている」とまでしか発言を許されていないが、イラクとシリアでの米軍を航空脅威から防御し、イランと同盟関係にある民兵組織を空爆したり、フーシ派の商船攻撃阻止を支援したり、対IS作戦「Operation Inherent Resolve」支援のため、24時間体制で地上待機している
●E-11Aは最新型の場合航続距離が6000マイル(1万㎞以上)あり、操縦者2名のみで1回の飛行で複数の任務を時間分割で遂行可能な特長を生かし、海上でも陸上でも、多国籍な部隊が持つ様々な通信方式のの意思疎通ツールを繋ぐ「接着剤」の役割を果たし、現代の軍事作戦だけでなく、国際社会のニーズに応えている
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単なる「通信中継」イメージを超え、現代社会が求める「多国間協力」を支えるE-11部隊をご紹介いたしました。なお米空軍は既に、次世代BACN機器開発をNG社と契約しており、地上拠点との連携強化や個人装備との連接性強化、4と 5世代機のデータ共有能力向上、高脅威下で機能するGPS、Link-16、最新の航法装置、機器の信頼性や性能向上、更に機体の残存性を高める自己防御能力強化を目指して開発が始まっているとのことです
ご紹介していて思ったのですが、なぜ有人機であるビジネスジェット改良型を使用することになったのでしょうか? 次世代BACN機器開発開始だそうですが、本格紛争への備えなら、無人機型が必要では? RQ-4の維持が困難になり、搭載量の大きな長期在空無人機の代替が無かったから? 将来は衛星にE-11の役割を引き継がせる構想だから? いろいろ考えてしまいますが、調べる気力がないので、とりあえず今日はここまでとさせていただきます
E-11A関連の記事
「Bジェット改良の通信中継機増強中」→https://holylandtokyo.com/2022/11/21/3920/
通信中継機能も期待される機体には
「MQ-25A艦載無人給油機」→https://holylandtokyo.com/2021/09/17/2250/
「KC-46A給油機」→https://holylandtokyo.com/2020/01/17/868/
「64日間飛行の太陽光無人機」→https://holylandtokyo.com/2022/08/30/3585/
「無人ウイングマン機」→https://holylandtokyo.com/2021/04/09/103/
「C-17輸送機でも」→https://holylandtokyo.com/2020/07/10/569/
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80時間連続飛行の無人偵察機が中東アフリカで活動中 [米空軍]
偶然中東での画像が流布しその存在が明らかに
Too MuchなMQ-9より安価で損耗を苦にしない
まず4機を導入し、将来はアジア太平洋でも
7月2日付DefenseOneが、米中央軍がUAE基地に展開中の画像を「うっかり」流布させたことからその存在が明らかになった、DZYNE社製造の連続80時間飛行可能な無人偵察機ULTRA(Ultra Long-Endurance Tactical Reconnaissance Aircraft)について取り上げ、その航続性能からアジア太平洋戦域での活用も視野に置く同社CEOの話などを紹介していますので取り上げます
今年5月にどのような形でULTRAがUEAのAl Dhafra空軍基地で撮影され、その画像が流通したのか把握していませんが、同機は米空軍研究所AFRLと協力して約8年前から研究開発が始まっていたようですが、米国防省主導の「small business innovation research program (SBIR)」との枠組みで、2025年度予算で4機を約53億円で調達(地上管制や整備関連機材や部品を含む価格と推測)することになっているようです
機体は写真でご紹介しているような形状で、コストを抑えるため一般販売されているスポーツ用有人グライダー機体を改良したものだそうですが、偵察器材など約180㎏の最大ペイロードで、空中給油等無しで80時間連続飛行が可能な性能を持ち、例えば東京駅から離陸すると、約2000nm(3600㎞)離れた南シナ海ど真ん中付近で「丸一日」哨戒偵察飛行が可能な能力を持つそうです
現在は写真を撮られた米中央軍担当エリアやアフリカ大陸で活動しているようですが、アフリカでの根拠飛行場確保が難しくなる中、イタリア国内から離陸してサハラ砂漠一体のアフリカ北部全体を偵察範囲としてカバー可能な能力を持つことから、大いに重宝されているようです
ULTRAが開発された背景には、元々無人攻撃機として開発された1機45億円のMQ-9では運用コストや撃墜された際の損失が任務に比して「Too Much」で、現実にはMQ-9の「飛行時間の僅か数%しか」攻撃任務に使用されていない「無駄の垂れ流し状態」を解消するため、より調達や維持運用コストが安価なアセットへの要求が前線部隊で非常に大きくなっていることがあるようです。
今回DefenseOneの取材を受けたDZYNE社CEOのMatt McCue氏は、作戦運用根拠基地が少ないアジア太平洋地域では活用可能な航空偵察アセットが限定されるが、中東やアフリカ戦域での運用経験を踏まえ、アジア太平洋のような環境でこそ我が社のULTRAが真価を発揮するとして、米軍や国防省にアピールしたいと語っています
////////////////////////////////////////
画像から「スポーツ用グライダー」改良品であることがご理解いただけると思いますが、商用部品の使用で機体価格や維持運用コストは相当に抑制できるでしょうが、機体にステルス性があるわけではなく、相当の損耗率も覚悟する必要がありそうです。
1機45億円のMQ-9と比較すれば・・・ですが、ULTRAだって1機5~10億円くらいするんじゃないでしょうか
MQ-9関連の記事
「台湾MQ-9Bを追加」→https://holylandtokyo.com/2024/04/18/5755/
「海自9B東シナ海試験」→https://holylandtokyo.com/2024/03/04/5603/
「米空軍が鹿屋に:今嘉手納」→https://holylandtokyo.com/2022/10/27/3811/
「2回目の対中国応用演習」→https://holylandtokyo.com/2021/05/01/211/
「9B豪州へ輸出許可」→https://holylandtokyo.com/2021/04/29/119/
「本格紛争対応に機体改修」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-22
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Too MuchなMQ-9より安価で損耗を苦にしない
まず4機を導入し、将来はアジア太平洋でも
7月2日付DefenseOneが、米中央軍がUAE基地に展開中の画像を「うっかり」流布させたことからその存在が明らかになった、DZYNE社製造の連続80時間飛行可能な無人偵察機ULTRA(Ultra Long-Endurance Tactical Reconnaissance Aircraft)について取り上げ、その航続性能からアジア太平洋戦域での活用も視野に置く同社CEOの話などを紹介していますので取り上げます
今年5月にどのような形でULTRAがUEAのAl Dhafra空軍基地で撮影され、その画像が流通したのか把握していませんが、同機は米空軍研究所AFRLと協力して約8年前から研究開発が始まっていたようですが、米国防省主導の「small business innovation research program (SBIR)」との枠組みで、2025年度予算で4機を約53億円で調達(地上管制や整備関連機材や部品を含む価格と推測)することになっているようです
機体は写真でご紹介しているような形状で、コストを抑えるため一般販売されているスポーツ用有人グライダー機体を改良したものだそうですが、偵察器材など約180㎏の最大ペイロードで、空中給油等無しで80時間連続飛行が可能な性能を持ち、例えば東京駅から離陸すると、約2000nm(3600㎞)離れた南シナ海ど真ん中付近で「丸一日」哨戒偵察飛行が可能な能力を持つそうです
現在は写真を撮られた米中央軍担当エリアやアフリカ大陸で活動しているようですが、アフリカでの根拠飛行場確保が難しくなる中、イタリア国内から離陸してサハラ砂漠一体のアフリカ北部全体を偵察範囲としてカバー可能な能力を持つことから、大いに重宝されているようです
ULTRAが開発された背景には、元々無人攻撃機として開発された1機45億円のMQ-9では運用コストや撃墜された際の損失が任務に比して「Too Much」で、現実にはMQ-9の「飛行時間の僅か数%しか」攻撃任務に使用されていない「無駄の垂れ流し状態」を解消するため、より調達や維持運用コストが安価なアセットへの要求が前線部隊で非常に大きくなっていることがあるようです。
今回DefenseOneの取材を受けたDZYNE社CEOのMatt McCue氏は、作戦運用根拠基地が少ないアジア太平洋地域では活用可能な航空偵察アセットが限定されるが、中東やアフリカ戦域での運用経験を踏まえ、アジア太平洋のような環境でこそ我が社のULTRAが真価を発揮するとして、米軍や国防省にアピールしたいと語っています
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画像から「スポーツ用グライダー」改良品であることがご理解いただけると思いますが、商用部品の使用で機体価格や維持運用コストは相当に抑制できるでしょうが、機体にステルス性があるわけではなく、相当の損耗率も覚悟する必要がありそうです。
1機45億円のMQ-9と比較すれば・・・ですが、ULTRAだって1機5~10億円くらいするんじゃないでしょうか
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空軍長官:次期制空機NGADは価格低減が必須 [米空軍]
現時点で1機450億円見積もりの衝撃
「少なくともF-35と同レベルまで引き下げたい」!?
一つの課題は新エンジンNGAP(AETP)の価格低減
無人ウイングマンCCAとの任務分担で要求調整も
6月28日、Kendall空軍長官がDefense-Newsとの独占インタビューの中で、次期制空機NGAD (2030年代にF-22後継として導入構想:Next-Generation Air Dominance fighter)の開発計画を放棄するわけではないが、現時点での見積価格がF-35の約3倍となる1機450億円($300 million)状態にあるNGADはコスト抑制が必要だと語り、
高価格の要因であると言われる次世代エンジンを始め、様々な高性能センサーや兵器やネットワークシステムなどの要求性能見直しや、次期制空機検討後に新たに検討が始まった無人ウイングマンCCAとの任務住み分けなど、価格抑制のための再検討等が必要だと語りました。
本件に関しては、6月13日にAllvin空軍参謀総長が2026年度予算案編成の難しさについて言及した際、次期ICBM計画 GBSDやB-21やF-35等々の主要事業が目白押しの中、NGAD候補機体設計や機種選定が山場にある次期制空機 NGADについて「不確実な将来:an uncertain future」に直面していると発言して以来、関係者に驚きと動揺が広がっていたところですが、Kendall長官が更に具体的な価格にまで踏み込んで語ったことで、課題の深刻さがより明らかになりました
Kendall長官は独占インタビューで、Defense-News記者からの「NGADはどの程度の価格なら受け入れ可能なのか?」との率直な質問に対し、「空軍はまだそのような目標を設定するには至っていないが、(笑いながら)理想的には、F-35 より安く、少なくとも F-35 と同程度に抑えたい」と答えたと7月1日付Defense-News記事は伝えていますが、簡単に要求性能とのトレードオフで価格1/3が実現するとは考えにくく、米海軍が次期空母艦載機プログラム予算化を2025年度予算で断念し、無期限延期としと同じような雰囲気が漂い始めています
7月1日付Defense-News記事は上記の内容の他、NGADコストが大きな要因の一つであると目されている次世代エンジン(NGAP(Next-Generation Adaptive Propulsion)とか、AETP(Adaptive Engine Transition Program)と呼ばれる)について解説し、「航続距離と燃料効率を向上させるために開発」「異なる場面(長距離高効率巡航時と戦闘場面)で要求される異なるエンジン性能に柔軟にAdaptiveに対応可能」等々と説明し、開発に関与した退役中将の「私が最後に見た数字は相当に高かった」とのコメントを紹介しています
次期ICBM開発コストが、当初見積もりからの推定超過分だけで「少なくとも米空軍予算総額の1年分」との信じられない事業管理を行っている米空軍ですから、とても恥ずかしくて次期制空機プログラムは最優先だなどと言い続けられないのでしょう・・・・。戦闘機の存在意義にさかのぼった根本的な見直しの好機かもしれません・・・
NGAD関連の記事
「NGADの将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/
「複数企業が競い検討中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/25/4678/
「欧州型とアジア太平洋型の2種類」→https://holylandtokyo.com/2023/05/10/4604/
「NGADが200機、CCAは1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「NGADは1機が数百億円」→https://holylandtokyo.com/2022/05/09/3193/
次期ICBMの苦悩
「国防次官もケツまくり」→https://holylandtokyo.com/2024/06/05/5929/
「米空軍だけでは対応不可能」→https://holylandtokyo.com/2024/03/01/5591/
「法抵触の議会通知」→https://holylandtokyo.com/2024/01/29/5478/
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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「少なくともF-35と同レベルまで引き下げたい」!?
一つの課題は新エンジンNGAP(AETP)の価格低減
無人ウイングマンCCAとの任務分担で要求調整も
6月28日、Kendall空軍長官がDefense-Newsとの独占インタビューの中で、次期制空機NGAD (2030年代にF-22後継として導入構想:Next-Generation Air Dominance fighter)の開発計画を放棄するわけではないが、現時点での見積価格がF-35の約3倍となる1機450億円($300 million)状態にあるNGADはコスト抑制が必要だと語り、
高価格の要因であると言われる次世代エンジンを始め、様々な高性能センサーや兵器やネットワークシステムなどの要求性能見直しや、次期制空機検討後に新たに検討が始まった無人ウイングマンCCAとの任務住み分けなど、価格抑制のための再検討等が必要だと語りました。
本件に関しては、6月13日にAllvin空軍参謀総長が2026年度予算案編成の難しさについて言及した際、次期ICBM計画 GBSDやB-21やF-35等々の主要事業が目白押しの中、NGAD候補機体設計や機種選定が山場にある次期制空機 NGADについて「不確実な将来:an uncertain future」に直面していると発言して以来、関係者に驚きと動揺が広がっていたところですが、Kendall長官が更に具体的な価格にまで踏み込んで語ったことで、課題の深刻さがより明らかになりました
Kendall長官は独占インタビューで、Defense-News記者からの「NGADはどの程度の価格なら受け入れ可能なのか?」との率直な質問に対し、「空軍はまだそのような目標を設定するには至っていないが、(笑いながら)理想的には、F-35 より安く、少なくとも F-35 と同程度に抑えたい」と答えたと7月1日付Defense-News記事は伝えていますが、簡単に要求性能とのトレードオフで価格1/3が実現するとは考えにくく、米海軍が次期空母艦載機プログラム予算化を2025年度予算で断念し、無期限延期としと同じような雰囲気が漂い始めています
7月1日付Defense-News記事は上記の内容の他、NGADコストが大きな要因の一つであると目されている次世代エンジン(NGAP(Next-Generation Adaptive Propulsion)とか、AETP(Adaptive Engine Transition Program)と呼ばれる)について解説し、「航続距離と燃料効率を向上させるために開発」「異なる場面(長距離高効率巡航時と戦闘場面)で要求される異なるエンジン性能に柔軟にAdaptiveに対応可能」等々と説明し、開発に関与した退役中将の「私が最後に見た数字は相当に高かった」とのコメントを紹介しています
次期ICBM開発コストが、当初見積もりからの推定超過分だけで「少なくとも米空軍予算総額の1年分」との信じられない事業管理を行っている米空軍ですから、とても恥ずかしくて次期制空機プログラムは最優先だなどと言い続けられないのでしょう・・・・。戦闘機の存在意義にさかのぼった根本的な見直しの好機かもしれません・・・
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「NGADは1機が数百億円」→https://holylandtokyo.com/2022/05/09/3193/
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