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米空軍:女性登用増に航空機設計基準変更へ [米空軍]

旧設計のF-15は女性の9%しか受け付けない大きさで設計
対象人口の95%に適応する新設計基準作り命じる
人口で4倍の中国に人的戦力の質で対応するため!?

female pilot.jpg19日付米空軍協会web記事は、米空軍航空機や搭乗員操作機器が50年以上前の男性操縦者の身体データを基に設計され、有能な女性の登用を妨げているとして、男女を合わせた対象人口の95%を受け入れ可能な操縦席などの機体設計基準制定に向け、Will Roper米空軍調達担当次官補等を中心に着手したと報じています

また、今後の新型機の設計基準見直しと並行して現在女性の門戸を狭めている各機体の身体基準が適切かを見直し、また女性登用拡大のための改修が可能かコストはどれくらいかを、軍需産業とも協議を米空軍が始めていると紹介しています

Will Roper氏は、単に米空軍の操縦者が不足しているだけでなく、中国との人口差が10年後には4倍に拡大することを踏まえ、有能な人材を根拠なき古い基準で門前払いしていては、中国に対抗できないとの主張まで展開して施策を推進しているようで

19日付米空軍協会web記事によれば
female p.jpg6日にDefense Newsのインタビューに答えたRoper氏は、8月4日付で、今後の米空軍の航空機操縦席や操作装置設計において、対象人口の95%が操作可能になるような大きさの設計基準で考えるよう指示し、女性や有色人種の人材を活用できるよう取り組んでいくと語った
例えば1967年の男性パイロットの身体データを基準に設計されたF-15戦闘機は、女性人口の9%しか適合できない大きさで操縦席が設計されており、今後もこの基準で装備品を設計すれば、高度な装備品を扱う人材の確保段階で劣勢に置かれるとの危機感をRoper氏は訴えた

4日付の指示により、米空軍Lifecycle Management Centerが対象人口の95%を包含するような人間工学的なデータをまとめ、新たな設計基準作りを行うことになった
4日付の指示はまた、新たな基準がまとまるまでは、「疾病管理センター:Centers for Disease Control」から入手した8つの身体特性データを基に、より広範な人口を許容できる仮基準で運用で定め、コックピット、搭乗員の操作卓や搭乗員の装具を設計するよう命じてい

今そこにある壁
Ruttenber.jpg女性搭乗員拡大を推進する「Women’s Initiative Team」のリーダーを務めるJessica Ruttenber中佐(KC-135操縦者)は、女性の1/3を身体基準で門前払いしているC-130やC-17輸送機の問題を訴えつつ、その後継機が現基準を維持すれば今後30年以上問題が続くと訴えている
また、F-35や開発途上にあるT-7練習機は女性の95%が操縦者になりえる大きさで操縦席が設計されているが、F-35操縦者コースに進む前段階で通過しなければいけないT-38練習機は、41%の女性しか適合できない大きさで設計されており「隠れた壁」となっていると訴えた

female pilot 2.jpgRuttenber中佐自身も身長が1-2㎝不足してパイロットコースから排除されかけたが、例外規定の適応を勝ち取るため、複数の輸送機基地を訪問して彼女の身長でも操縦可能であることを証明した経験しており、各機種ごとの現行身体基準の適切性を再確認する必要があると主張している
Roper次官補はまた、新たに導入される4世代機F-15EXが、F-15やF-15Eと同様の設計基準で計画され、女性の9%しか受け付けない方向にあることを問題視し、軍需産業界と交渉を始め、他の運用中の空軍航空機についても身体基準緩和に必要な改修可能性や費用について、ロッキード、ボーイング、グラマン幹部と協議を開始していると語り、産業界の反応は「前向き」だと述べている

今後の設計基準を新たに定めることと、コストのかかる既存航空機の改修は別問題だとRoper氏は述べつつ、いざとなれば牙をむいて予算獲得に動きたいと意欲を見せている
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F-15EX 3.jpg米軍入隊志願者の減少やパイロット希望者の減少など、公表されていない様々な統計数値がここまでの危機感を生んでいるのだと思います。新たな設計基準値がいつ頃まとまるのか不明ですが

海上自衛隊が2000名増員するそうですが、人材募集で最も苦労していると言われる海上自衛隊が、本当に使える人材を2000名増やせるのでしょうか?。陸空自衛隊との人の奪い合いはどのような様相を呈するのか?

今の時代、就職先としての自衛隊はお勧めできる職場だと思います。前線も後方もなくなる時代ですから・・・・。皆様の周辺の若者にも、自衛隊をご推薦いただければ幸いです

米空軍パイロット不足関連
「ヘリ操縦者養成から固定翼削除試行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-06
「米空軍がパイロット募集の身長基準を廃止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-23
「Fly-only管理の募集中止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-15
「5年連続養成目標数を未達成」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-19
「採用の身長基準を緩和」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-18
「操縦者不足緩和?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-12
「操縦者養成3割増に向けて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-21-1
「下士官パイロットは考えず」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-3
「F-35操縦者養成部隊の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12-3
「下士官パイロット任務拡大?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-22
「仮想敵機部隊も民間委託へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1
「さらに深刻化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-10

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

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