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レーダー&通信&電子戦を1面で可能な多機能EMRISアンテナ [Joint・統合参謀本部]

Northrop Grumman社が政府提供機体で数十回試験済
DARPAと全米軍軍種が協力して開発中
飛行中にソフト更新や入れ替え可能

EMRIS 3.jfif8月20日付米空軍協会web記事は、Northrop Grumman社(NG社)が同日、DARPAと協力して開発中だと2023年2月に公表していた多機能統合センサー&アンテナである「EMRIS:Electronically-Scanned Multifunction Reconfigurable Integrated Sensor」に関し、無人ウイングマン機CCAや次世代制空機NGADなど有人及び無人アセットへの搭載を念頭に、米国政府パートナー機関提供の航空機に搭載して既に「数十回」の飛行試験を完了し、一段と高い技術成熟度を確認したとの発表を紹介しています

この「EMRIS」は、一つの平面的なアンテナで、レーダーと通信アンテナと電子戦アンテナを兼用することが可能で、超広帯域の電磁スペクトラムをカバー可能なシステムながら、関連ハードウェアを航空機の機首や翼や兵器に搭載できるほど小型化が可能で、しかも飛行中でも迅速にソフトウェア更新でシステム再構成が可能な優れた特徴を有していると同社はアピールしています

EMRIS.jpgまた同社は、数十回の試験飛行に使用された航空機の機種を明らかにしていませんが、政府機関と同社以外の第三者が航空機への搭載や試験運用を行う公正な環境で飛行試験が実施されたことを強調するとともに、米軍の全軍種の協力を得て飛行試験を実施できたことで、開発期間や経費を抑制することができた点もアピールしています

更に同社は、政府のopen architecture基準の沿ってアップデートが軽易に可能な設計を採用し、またセンサーとしては、DARPAが開発してF-35やF-22等々に搭載済みのAESAレーダー(active, electronically-scanned array radar)方式を利用することで、共通の「構成ブロック化やソフトのコンテナ化」が採用されており、「迅速でコスト効率の高い生産」が可能になるとも説明しています

EMRIS4.jpg一方で同社は、「他プログラム向けに開発された技術を迅速に活用し、複数の実戦装備技術をEMRISに適応可能なことを確認した」と言及しつつも、適応を確認した具体的な「他プログラム用の技術」は明らかにせず、また今後更なる飛行試験を実施するのかや、特定の搭載予定機種については言及を避けています
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専門知識がないので、「レーダーと通信アンテナと電子戦アンテナを兼用可能な小型センサー&アンテナ」の実現が、どれほど大変なことで、どれほどのインパクトがあるのかご説明できませんが、今後の更なる技術的成熟を期待しつつ、この「EMRIS:Electronically-Scanned Multifunction Reconfigurable Integrated Sensor」との言葉をご紹介しておきます

小さなことから、コツコツと・・・

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アジア太平洋での特殊作戦部隊への投資が不十分 [Joint・統合参謀本部]

太平洋軍司令官が不正規戦シンポジウムで語る
「抑止面で影響力が迅速:early leverage in deterring conflict」
「SOFは認知空間でアイデアの空間でもある」と

Paparo5.jpg8月15日、Paparo太平洋軍司令官がハワイで開催されたアジア太平洋戦域に焦点を当てた「不正規戦シンポジウム」で基調講演を行い、同地域で特殊作戦部隊への投資が不十分で、同地域に特殊作戦部隊の活動を集中させるべきだと訴えるとともに、抑止面での重要性や同盟国等との協力が不可だと指摘しています。

同講演を報じる16日付DefenseOne は、要旨のみ手短にしか報じておらず細部が不明で、シンポジウムのテーマである「不正規戦」の関係者にエールを送る発言かもしれませんが、含蓄の在りそうな言葉も使用していますので、今後の情報収集アンテナの参考にご紹介しておきます

Paparo 海軍大将は15日の講演で
SOF5.JPG●太平洋軍は特殊作戦への投資が不十分であり、特殊作戦軍もまた太平洋軍への投資が不十分だと思う。しかし今こそ、できる限り特殊部隊の活動をインド太平洋に集中させるべき時だ
●紛争抑止こそが米軍の最高の義務(highest duty)だと我々は考えているが、紛争を抑止する上で、特殊部隊は影響力が迅速(SOF's greatest power is early leverage in deterring conflict)である。

●一般の人々の多くは、特殊部隊を直接的な行動部隊として捉える傾向があるが、私は特殊作戦車は認知空間であり、アイデアの空間だ(SOF is a cognitive space. It's an idea space)と考えている。
SOF6.jpg●更に、同盟国やパートナー国は、特殊作戦の有効性発揮に絶対に不可だ。

●(シンポジウム参加者からの情報作戦(information operations)に関する質間に答え、)我々は敵の中に入り込むように相手をよく観察し、敵から学ぶべきだ。敵が我々から学ぶべきではない。もし敵が学ぶとしたら、それは間違った教訓であるべきだ
"We should be in and among our adversaries, learning from them. They should never learn from us. If they are learning, it should be the wrong lessons."
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SOF.jpg「early leverage in deterring conflict」「SOF is a cognitive space. It's an idea space」「We should be in and among our adversaries」など、意味深な表現が使用されていますが、いろいろな作戦を準備しているのかもしれません

特殊作戦には様々な分野が含まれまし、「Irregular Warfare」にも色々な分野があると思います。隠密に敵陣に侵入して相手をかく乱・・・等の忍者的イメージの作戦だけでなく、様々な電子情報収集だったり、施設不十分な展開先に一番に乗り込み、味方航空機を迎える管制支援なども特殊作戦部隊の役割です。想像をたくましくして考えていきましょう

特殊作戦部隊の関連記事
「特殊作戦軍を4軍と同格扱いに」→https://holylandtokyo.com/2020/11/20/392/
「特殊作戦軍の予算削減に危機感」→https://holylandtokyo.com/2020/05/29/684/
「アフリカ派遣部隊の削減検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14
「人の感情を察知するセンサー開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-17
「特殊作戦軍で中露と対峙する」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-19
「ドキュメント誘導工作を読む」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1
「ハイブリッド情報戦に備え」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-05
「心理戦を様々な視点で」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-01
「海兵隊は特殊部隊を廃止せよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-13-1
「レーザーに今も熱狂的」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-23
「比で対IS作戦を支援」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-12
「AC-130」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-06

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米情報機関トップが民間部門との協力強化語る [安全保障全般]

日進月歩のサイバーやIT技術に追随するため
自身や相手の脆弱性把握には民間企業の力が・・
一方で民間企業の官保有情報へのアクセス改善に努力

Haines Reagan2.jpg8月27日、米国の各種情報機関を束ねる国家情報長官(DNI : Director of National Inteligence)のAvril Haines女史が、情報機関支援団体INSAで講演し、2015年のCybersecurity 情報共有法により、民間と政府機関協力が拡大可能になったが、依然として改善の余地があると指摘されていることを踏まえ、

「改善には困難が伴う可能性があります。ですから、時間をかけて改善するため、忍耐と協力をお願いしたい」、「皆さんが常に本件に時間を割けないことも承知しつつ、大きな負担をお願いしているが、我々は皆さんを必要としており、皆さんも私たちを必要としていると思う」と、言葉を尽くし、日進月歩のサイバーやIT技術を駆使する必要に迫られている国家安全保障の最前線への協力を懸命に訴えました

その背景を8月27日付 DefenseOne 記事は
Haines Reagan.jpg●特に21世紀に入り、国家情報機関の分析官やサイバー監視要員は、海外監視対象のフォローや米国インフラへのハッキング防止技術を民間分野に大きく依存しており、例えば、相手システムに侵入するための「脆弱性」は、多くが民間企業で発見され、国家情報庁等に売却されたものだ

同記事は Avril Haines 国家情報長官の発言を紹介し
Haines4.jpg●国家安全保障にとって不可で極めて重要な分野で、政府機関が保有しない、独自の専門的能力、知識、才能を有する民間部門の皆さんの存在を、国家情報長官として強く認識している。我々国家情報機関が懸命に取り組んでいる、テロリストの追跡、サイバー攻撃の阻止、各種データ分析に、皆さんの更なる協力をお願いしたい

●取り組みを促進するため、国家安全保障局の「National Security Agency's Cybersecurity Collaboration Center」に見習い、サイバー犯罪者や国家主導ハッカー情報の共有を促進する長官直属の「Office of Partnership Engagement」を設立し、
Haines3.jpg●また政府機関職員の職務達成評価項目の一つに「民間部門への関与:private-sector engagement」を加え、本件の推進が政府職員の評価対象になったことを明確化する。更に、皆さんから提供いただいたデータへの職員のアクセス性を改善し、情報の有効活用にも取り組んでいる

●民間機関への、政府機関保有の情報提供も我々の取り組みの重要な部分で、政府情報コミュニティーには、民間関係機関に情報提供可能なように情報を加工する手法を学ばせ、また提供可能情報のライブラリー化も進めている。 ●更に政府情報コミュニティーには、企業側との機密情報共有に必要な機密区分情報施設(SCIF:sensitive compartmented information facilities)を設けるよう、指針を示して担当官が各部署に働きかけている

DefenseOne 記事は官民協力の課題について
Haines Reagan3.jpg●政府機関の「縦割り」により、せっかく政府機関に提供された民間からの情報が、適切に政府内で共有されず、例えば航空機ハイジャックの阻止失敗につながるような「民間情報の分断」が発生している
●更に懸念事項として記事は、FBIやNSA等の機関は、国家安全保障調査に利用するためであれば、民間の通信事業者に対し、「監視対象者」に関するデータ提供を強制することができるが、官民関係を取り持つ団体 CISAには「不適切な管理に関する苦情」も民間企業等から届いており、2024年は業界からの反発が増加している
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Haines5.jpg宇宙軍担当分野だけでなく、情報収集分析やサイバー対処まで、軍事技術が道を開き、民間に波及する流れは「過去のもの」となりました。

日本で柔道を学ぶため、講道館で1年間修業した経験をお持ちの Avril Haines 国家情報長官に置かれましては、「和をもって貴しとなす」日本の心をもって、せめて政府機関の「縦割り」による「民間情報の分断」は、何とかしていただきたいと思います

Haines 国家情報長官の関連記事
「露の核使用対星兵器」→https://holylandtokyo.com/2024/02/19/5599/
「ロシアの弾業不足」→https://holylandtokyo.com/2022/12/08/4032/
「同長官紹介&中国宇宙兵器」→https://holylandtokyo.com/2021/04/27/116/

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米空軍が同盟国等との下士官協力を強化 [米空軍]

「to become interchangeable」有事の相互運用狙い?
まずは「Five Eyes」同盟国との関係強化
アジア太平洋地域での作戦遂行を見据え

Flosi.jpg8月28日、米空軍が主催した「国際上級下士官サミット」でDavid Flosi米空軍最先任軍曹らが、アジア太平洋地域での(対中国)大規模紛争に備え、米空軍と同盟国軍下士官の間での交換プログラム(international exchange program)を拡大させたいと述べ、その狙いは「単に互いに学ぶ」ことだけではなく、「互いに交換して相互支援可能になる」ことにある(to not only learn from each other, but to become interchangeable)と述べました

そして交流拡大の手始めとして、米国と高レベルの機密情報交換協定を結んでいる「Five Eyes」同盟国(米英豪加NZ:United States、Australia, Canada, New Zealand and the United Kingdom)を対象として進めるとし、既に豪州空軍との間で具体的内容の検討作業を進めているが、迅速に拡大に取り組みたいと説明しています

Senior Enlisted2.JPGDavid Flosi米空軍最先任軍曹は取り組みの背景について、中東では(過去20数年間にわたり)空軍は快適な滑走路、確実なサプライチェーン、強固な通信ネットワーク、そして完全な制空権を備え、比較的争いのない環境で活動していたが、インド太平洋戦域にはそのような環境は存在しないし、滑走路、補給ルート、通信など全てが厳しい状態に置かれている、と語っています

またFlosi米空軍最先任軍曹は、国際下士官交換「international enlisted exchanges」をどのように機能させるかの細部や、実施のスケジュールは検討中だと語りましたが、カウンターパートの豪州空軍Ralph Clifton准尉は先に紹介した、「単に互いに学ぶ」ことだけではなく、「互いに交換して相互支援可能になる:to become interchangeable」、と説明しています

Senior Enlisted3.jpg更にFlosi先任軍曹は、豪州空軍との間では、8月16日にB-2爆撃機を豪州空軍アンバリー基地に派遣した機会にも交流を推進したことに触れ、また「Five Eyes」同盟国以外との交流も機会も推進していると説明し、事例としてサウジとヨルダン空軍の下士官との協力関係の拡大や、NATOの新加盟国であるフィンランドとスウェーデン空軍とも交流する機会を持ったと語っています
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Senior Enlisted5.JPG「To not only learn from each other, but to become interchangeable」をどう解釈するかによりますが、中東と異なり、アジア太平洋では環境が厳しい点を強調していますので、「interchangeable」は、例えば「米軍兵士の代わりに豪州空軍兵士が航空機の再発進支援や機体整備を行う」、「米空軍展開基地の警備や防空を豪州空軍兵士が担う」ことになると考えるのが自然でしょう

Flosi先任軍曹の話や記事に、「日本」との単語は出てきませんが、対中国最前線の日本列島ですから、当然、関係ないでは済まされません

ACE関連記事のいくつか
「ACE 推進演習 Bamboo Eagle」→https://holylandtokyo.com/2024/02/13/5529/
「太平洋空軍はACE 運用態勢にない」→https://holylandtokyo.com/2023/09/19/5048/
「米空軍若手が ACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/

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チャンス!英国が日英伊戦闘機開発から離脱模索? [安全保障全般]

英国新政権内で開発費への懸念浮上
IISS は「対案なしで撤退は英国への信頼失墜」と警鐘も
米空軍が次期制空機大幅ダウングレード模索の中
絶好のチャンス!日本も撤退を模索すべき!

GCAP2.jpg9月20日付共同通信が、7月に発足した英国の労働党新政権が進める英国防衛戦略見直しの中で、日英伊が共同開発で合意している次期戦闘機(GCAP:Global Combat Air Program)開発の費用に懸念が浮上している件に関し、英シンクタンクIISSが「代替案を示さずに撤退すれば国際社会での頼失墜につながる」と普鐘を鳴らしていると報じました

本日ご紹介する情報は以上ですが、以下では本報道を受けてのまんぐーすの思いをつぶやきます

GIGO.jpg●防衛省&航空自衛隊は、英国労働党政権や英国防相と直ちに水面下でコンタクトを取り、可能ならイタリアとも連携し、まず日英伊の戦闘機開発について「一時停止」又は「再検討」措置を検討し、最終的には共同開発の「白紙化」により、戦闘機投資の全面見直しにつなげるべき

●米国が7月末から次期制空機NGAD計画を一時停止&再検討しており、背景には米軍予算不足とウクライナや中東情勢を踏まえた将来戦に関する優先度再評価があるが、根本には米空軍 2トップが吐露しているように、従来空軍が戦闘機を主戦力として担ってきた「航空優勢」獲得の重要性や実行可能性への疑念がある。

GCAP3.jpg●AIlvin米空軍参謀総長や Slife副参謀総長が明言しているように、低高度を支配する無人機による空襲で、70年ぶりに米国人が死亡する時代を迎え、米空軍は「従来のように航空優勢を常続的に維持するのはコスト面で不可能」との認識に至って戦闘機投資の優先度再検討中で、Kendall 空軍長官は当初「F-35の3倍」のコストを見込んでいたNGADに関し、「F- 35より安価に」と発言し始めている。

GCAP55.jpg●海外への戦力投射を主目的とする米空軍と、日英伊空軍が戦闘機に期待する役割は完全に一致するわけではないが、無人機以前から課題となっている各種弾頭&巡航ミサイル対処(極超音速兵器を含む)、サイバー戦、電子戦、宇宙を巡る攻防など、安全保障上の軍事脅威は戦闘機が担う範囲をはるかに超えて拡大しており、戦闘機への投資は再検討されるべき

●特にF-35 導入を決めてしまった国(日英伊を含む)は、今後30年以上にわたり膨大で脅威にミスマッチな経費負担に苦しむことが確定しており、早急に次世代戦闘機開発を見直し、脅威の変化を正面から見つめ直すべき。 以上です

次世代制空機 NGAD の再検討関連
「NGADはF-35より安価に」→https://holylandtokyo.com/2024/09/19/6351/
「再検討の方向性」→https://holylandtokyo.com/2024/09/10/6315/
「数か月間保留する」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://halylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGAD の将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/

航空優勢に関する議論
「ドローンでヘリ撃墜の衝撃」→https://holylandtokyo.com/2024/08/29/6213/
「不可能だし必要もない」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「初の対無人機の防空兵器消耗戦」→https://halylandtokyo.com/2023/01/2714220/
「戦闘機による制空の時代終焉」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

日英伊戦闘機 GCAP 開発
「日英伊がやっと合意」→https://holylandtokyo.com/2023/12/18/5352/
「英伊が日恫喝:逃げるな!」→https://holylandtokyo.com/2023/02/14/4299/

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米国防省の新興企業調達比率は1%だが変化が [米国防省高官]

Silicon Valley企業などStartupや中小企業の参入増
引き続き国防省側の改善や迅速性がカギ

Defense innovation.JPG8月22日付DefenseOneが、米国防省が追求している調達先の多様化、つまり長く国防装備品の設計開発に携わってきた大手の代表的軍需産業だけでなく、Silicon Valley企業に代表されるフレッシュなアイディアを持った小規模企業やStartupからの装備品導入を目指す取り組みが、現状では調達比率1%に過ぎないが成果を上げつつあるも、依然として要改善点は残されていると論じています

Defense innovation2.jpgAI の進歩とIT技術革新が相まって、国防分野での画期的な進歩が、少数の既存の軍需請負業者ではなく、軍隊経験のない若者により、安価で簡単に入手できる部品で、従来業者の数分の1 の時間とコストで実現できる状況になりつつあり、また、若いプログラマーや起業家のマインドが、2018年にグーグル技術者が国防省案件への協力に強く反対して同社が国防省契約を打ち切った時代とは変化し、国家安全保障に直結する大きな案件に関わりたいとの動機で挑戦する雰囲気が出てきていると紹介しています。

同記事は最近の事例として
Defense innovation4.jpg●今年2月、国防省事業と全く接点のなかった24歳の若者ら3名が、偶然ITイベントで接触したウクライナ関係者からの依頼を受け、妨害を受けやすいGPS信号に依存しない、Google Mapと実際の現場カメラ映像をAI技術で照合してナビゲーションする小型無人機を、24時間以内に500ドル未満で作り上げた。現在、米陸軍特殊部隊と共に演習や実験で細部の仕様を調整している
●世界で最も著名なベンチャー資金提供会社である「Y Combinator」は、DoorDash、Instacart、Airbnb などの消費者向け企業創設を支援したが、8月19日の週にAres Industries という会社設立支援を発表した。なんとその企業は低価格の巡航ミサイル開発を目指す企業で、大きなニュースとなった

一方で、国防省事業参入への壁として記事は
Defense innovation5.jpg●克服が容易でない構造的な課題として、第一に、国防省と協力する企業は外国資金を拒否すること求められ、協力を検討する新興企業が、競合業者と資金調達面で愛国心の低い競合企業に本業分野で競争力を失う可能性等がある
●ただ資金量に関しては、「近年は、軍事分野を扱う専門ベンチャー・キャピタルだけでなく、a16zやGeneral Catalystのような一般キャピタル企業も惹きつける国防技術ブームにあり、米国内からの資本は豊富にある」と専門家は述べており、「障害は米国資本の不足ではなく、国防予算を迅速に新技術に振り向ける国防省の予算の柔軟性の欠如だ」との声を記事は取り上げている

●新興企業の若い創業者たちには、国防省資金を利用する結果として政府機関が求める、面倒で労力を要する「監査」や「監視」の準備が大きな負担となる。新興企業関係者が「国防省との仕事には、何千ページもの調達規則やガイドラインに従うことを意味しており、(国防省との交渉は、」一般顧客よりも依然として最も困難だ」と愚痴をこぼす現実がハードルとなっている
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Defense innovation3.jpg上記でご紹介した課題は国防省もよく理解しており、数年前から様々な場で国防省高官も改善への取り組みを語っており、具体的に、国防省や各軍種に設置された迅速能力開発室(RCO:Rapid Capabilities Office)のような組織が、Startupや中小企業への働きかけや説明会や相談会等々を通じて参入を支援したり、複雑な手続きや「監査」簡素化に取り組んだりしているとも聞こえてきますので

米空軍の目玉事業「無人ウイングマン機CCA」有力候補に、新興企業Andurilが選ばれた勢いで、「新興企業から購入比率1%程度」が今後変化することを大いに期待したいと思います

迅速能力開発室(RCO)関連の記事の一部かな
「4企業がCCA候補」→https://holylandtokyo.com/2024/06/21/5988/
「無人機対処ビーム兵器」→https://holylandtokyo.com/2023/11/20/5211/
「50KWレーザー」→https://holylandtokyo.com/2024/05/16/5780/

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米空軍長官:次期制空機NGADはF-35より安価に [米空軍]

米空軍協会の航空宇宙サイバー会議で幹部発言
課題のICCが暫定活動開始とか

Kendall AFA2024 Fall.jpgワシントンDCのお隣メリーランド州で9月16日~18日に実施された米空軍協会恒例の「Air, Space & Cyber Conference」で、空軍長官や参謀総長など主要幹部の講演やパネル討議が実施されましたので、その内容をまんぐーすの興味ある所からつまみ食い紹介いたします

何と言っても衝撃的なのは、Kendall空軍長官が次期制空機NGADの「再検討」状況に関し、様々な要求性能を落として、「次期制空機NGADをF-35より安価に」したいとの思いを明らかにしたことで、ウクライナや中東で無人機が猛威を振るい、高価な戦闘機による「航空優勢」確保が無意味になりつつある現実に、米空軍(もちろん日本を含む世界の空軍が)が対応を迫られている状況が改めて浮き彫りになりました

次期制空機NGADは再検討でF-35より安価に!
Kendall AFA2024 Fall2.jpg●16日Kendall空軍長官は、7月末から要求性能等の「再検討」を開始している次期制空機NGADに関し、今後2-3か月(couple of month)で再検討を終えるとしつつ、NGADの航続距離や搭載能力の縮小見直し、エンジン数の2個から1個への削減、ステルス空中給油機NGAS(Next-Generation Air-refueling System)早期導入によるNGADとのペアリング等々を念頭に、現在のF-35より安価になる可能性もあると語りました
●また、(同時に戦闘機命派の動揺を抑えるために、)米空軍の核となる役割であった航空優勢(air superiority)提供から撤退するつもりは無いが、全てのオプションが検討の対象であり、具体的な要求性能数値等を再検討中だ。でも現在のF-35価格がNGAD価格の上限ぐらいに考えており、2026年度予算案検討に間に合うよう、数か月で結論を出すとも同長官は表現しています

またKendall長官は、「11月の選挙で大統領が交代し、一般的には政治任用である私のようなポストにある人間は交代することになるが、米空軍が大きな改革に取り組み転換点にある今、可能であれば長官職務を続けたい」と異例の発言もしています。

米空軍改革の目玉ICC暫定創設
Allvin AFA2024 fall.jpg●16日Allvin参謀総長は、米空軍大改革の目玉で最も難航していると語っていたICC(Integrated Capabilities Command)が、「暫定形態:provisional status」ながら約100名規模で活動を開始し、2025年には、司令官に就任する少将人事の議会承認、組織編制や主要ポスト格付け承認、司令部配置基地の承認などを得て7-800名規模で完全運用態勢を確立すると述べました
●ただし現時点では、約100名のスタッフは各主要コマンド(戦闘、輸送、GSコマンド等)勤務地からの「リモート勤務」体制で業務を開始しており、現在は州空軍所属でAllvin参謀総長の特別補佐官の立場にあるMark Mitchum少将が、将来中将に昇任してICC初代司令官に就任すると明らかにしています

注:ICCとは装備品構想や開発を一元的に担う新コマンド
●新規装備品の導入構想や要求性能や開発計画専従の「将来体制を検討する専門コマンド:ICC:Integrated Capabilities Command」を中将トップで創設し、従来この役割を担ってきた戦闘・輸送・CSコマンドは日々の作戦運用とそのための即応態勢維持に集中させ、戦闘機や輸送機や爆撃機の将来構想検討から距離を置かせる
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Kendall AFA2024 Fall3.JPG無人機が「低高度」を自由に飛び回って猛威を振るい、戦闘機が担ってきた「中~高高度の航空優勢」の意義が疑問視される中、戦闘機の存在意味や戦闘機への投資優先順位が米空軍内で「再検討」されています。そしてその結論の方向性は、戦闘機の「ダウングレード」です

日本はどうするんでしょうか? F-35の状況に嫌気がさし、米国に対抗するように、英とイタリアと組んで次世代戦闘機開発に乗り出したものの、米国が次世代戦闘機の開発方針を大幅ダウングレード方向で見直ししそうです。OBも含めた航空自衛隊戦闘機族の「狼狽振り」が目に浮かぶようです・・・

次世代制空機 NGAD の再検討関連
「再検討の方向性」→https://holylandtokyo.com/2024/09/10/6315/
「数か月間保留する」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGAD の将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/

航空優勢に関する議論
「ドローンでへリ撃墜の衝撃」→https://holylandtokyo.com/2024/08/29/6213/
「重要だが不可能だし必要もない」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

米空軍大改革アクション
「ICCが最も難題」→https://holylandtokyo.com/2024/09/03/6230/
「大改革の概要発表」→https://holylandtokyo.com/2024/02/16/5579/
「改革の目玉ICCコマンド」→https://holylandtokyo.com/2024/05/23/5873/

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嘉手納米空軍F-15EX 部隊完成は2026年 [米空軍]

嘉手納F-15C/Dは間もなく全て退役も
次のF-15EX 部隊はオレゴン州で2機のみでIOC宣言

F-15EX Northern Edge3.jpg8月26日付米空軍協会 web 記事が、嘉手納基地で40年間前線部隊を支えてきたF-15C/D機の「最終段階」の模様と、F-15C/D 型機の後継として7月3日に米国防省から発表され、2026年に嘉手納で部隊編成を完結する計画のF-15EXの状況を報じていますのでご紹介します

なお、米国防省は7月3日の発表で、「48機の嘉手納F-15Cを36機のF-15EXへ」、「36機の三沢 F-16を48機のF-35Aへ」、「岩国海兵隊 F-35B の機数を調整(Modify)」すると明らかにし、移行時期については「over the next several years」でと具体的時期は曖昧したが、26日付の記事は根拠不明確ながら「notional date for fully equipping Kadena」を 2026年と記載しています

まず記事は嘉手納F-15C/D機の「最終段階」模様を・・・
F-15EX Eglin2.JPG●8月15日、嘉手納基地は所属するF-15Cの1機が同基地で解体され米国に移送される前に最後の飛行を行ったと発表。恐らく、老朽化で構造上脆弱なため、太平洋横断飛行が不可能だと判断されたのであろう
●4機のF-15Cが8月26日、沖縄の嘉手納基地に別れを告げ飛び立った。嘉手納基地は詳細に触れなかったが、離陸した航空機の一部はアリゾナ州 Davis Monthan 空軍基地の「Boneyard :野外駐機 保管場」に送られ、残りは「他の空軍部隊で使用される」と説明した
●また同基地は「嘉手納基地に残っているF-15Cの最終飛行日時はまだ決まっていない」が、残りのF-15Cは「間もなく」出発すると述べた。

記事はF-15C/D機の後継機F-15EXの状況に関し、
F-15EX 4.jpg●今年6月にオレゴン州ポートランド州空軍基地に初号機と2機目が到着すると、空軍戦闘コマンド司令官はF-15EXの初期運用体制確立を宣言し
●追加のF-15EXは、ロット2で製造されたものが2025年1月から納入される

F-15EXの総調達機数に関する議論
F-15EX Oregon5.jpg●米空軍は当初、144機のF-15EX導入を計画も、2025年度予算案では機数を98機にまで削減することを提案している。
●これに反対する米議会は、別の指示を出す可能性がある。下院軍事委員会は、98機に加え 24機の追加導入を指示し、F-15EXを合計 122機保有するよう指示する予算関連法案を準備備しているが、予算案はまだ議会で可決されていない
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F-15EX Northern Edge2.jpgF-15EX開発は、既存の成熟した最先端技術を最大限活用したことや、サウジやカタールやシンガポール等々の国々用に、F-15C/D型の発展形であるF-15SやF-15QAやF-15SGが改良を重ねつつ継続的に製造されていたこと等から極めて順調で、末尾の過去記事にご紹介しているように、初号機がフロリダのエグリン基地に試験用提供された直後から本格演習に参加して現場で好評を得るなど、ボーイング社製とは思えないほど好調な道を歩んでいます

従って初度配備基地であるポートランドで、たった2機でIOC宣言したのは「無理やり」ではないと思います。ただ、中国最前線なはずの嘉手納基地に、ステルス機でもないF-15EXを配備する(順調にいってしかも2026年に)、米空軍首脳の「正直なお気持ち」を是非伺いたいものです

F-15EX 関連の記事
「初号機は正規軍でなく州空軍へ」→https://holylandtokyo.com/2024/06/13/6009/
「試験配備直後に大規模演習参加」→https://holylandtokyo.com/2021/05/25/1710/
「初号機を米空軍受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-15

嘉手納基地 F-15C 撤退発表後の動き
「嘉手納にF-15EXを」→https://holylandtokyo.com/2024/07/05/6097/
「代替ローテ戦闘機の状況」→https://holylandtokyo.com/2024/05/22/5868/
「F-35とF-15C→F-22と F-16へ」→https://halylandtokyo.com/2024/05/02/58031
「ユタ州から F-35派遣」→https.//holylandtokyo.com/2023/11/24/5271/

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米空軍は ACE 分散基地の防空合意文書を陸軍と準備 [Joint・統合参謀本部]

Alvin 参謀総長が記者団に語る
ACEで重要な分散展開基地の防衛が作戦のカギと

Allvin17.jpg8月22日付 DefenseOne は、同21日にAIlvin空軍参謀総長が記者団に語った事項として、同参謀総長は対中国作戦のために推進する分散運用基地からの作戦を基礎とする ACE 構想 (Agile Combat Employment)遂行のカギとなるのは、西太平洋地域に複数設ける分散基地の防衛だとし、

Allvin14.jpgこの重要な分散基地防衛に協力して取り組むため、まだ Allvin大将は署名していないが、米陸軍と国防省長官室と米空軍の間で協議を行い覚書に合意しており、細部への言及は避けたものの、防衛任務分担や防空兵器の配置や輸送方法などの検討を含む内容だと示唆しました

同参謀総長の話しぶりからは、満足しているとの雰囲気は感じませんが、何が可能で何が困難なのかを共有し、出来るところから改善に取り組んでいるようにも感じられますので、ふんわりとした内容ですが、ご紹介しておきます

8月21日にAINin 空軍参謀総長は記者団に
THAAD PAC-34.jpg●米空軍がACE 構想に基づく(対中国の)主要航空作戦計画を成功させるには、空軍と陸軍が太平洋の小規模な前基地防衛をどのように遂行するかにかかっている
●率直に言って、より強力な積極防衛策があれば、ACE構想の推進にもっと自信を持てるだろう。これには米陸軍と協力して取り組んでおり、国防総省も関わってくれている

Patriot missile2.jpg●米陸軍はPAC-3や THAAD 防空システムと人員を基地に提供してきたが、国防省として空軍が想定する小さな分散運用基地全てに防空兵器を配備することはコストがかかりすぎ難しい。また、陸軍とも協議してきたが、陸空両軍の配備優先順位は必ずしも一致しない
●空軍が要望する全てに配備不可なら、どこに配備可能かを決めておきたい。また固定配備だけでなく、機動展開を加味して移動手段やその要領についても事前に検討しておきたい。更にそれら防空装備のカモフラージュ、隠蔽、欺瞞といった伝統的な技術の重要性を再確認し、21世紀の状況に合わせてアップグレードしておきたい

Patriot 3.jpg●(陸軍の関連能力に関しては陸軍に尋ねるよう回答を避けつつ、)陸軍の能力が空軍のニーズをどの程度満たしているかは把握している。一方で、国防省として取り組んでいる、より安価な敵ミサイル迎撃兵器となりえるエネルギー兵器開発に関しては、配備の見通しを把握しいない
●合意文書にはまだ署名していないが、陸空軍と国防長官室で分散基地防衛に関し合意がなされており、陸軍側でも合意に基づく役割をどのように遂行するか検討中で、例えば移動について空軍とどのように協力するかを詰めているところである

●サイバーや電子戦攻撃など、非物理的脅威に関しても防策を強化する必要があり、更なる取り組みが必要だ
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THAAD3.jpg米陸軍は、対中国との戦いでの活躍の場を追い求め、射程 1000NMの巨砲や長射程兵器の導入を夢見たりしていますが、攻撃ヘリや偵察&攻撃機の機種選定を何回もやり直しているように、少なくとも対中国との戦いでの「役割」や「将来像」が描けていません

そんな中で、戦いの主力となりそうな米海軍や空軍の展開基地防衛に注力しろと言われても、力が入るわけがありません。ペトリオット PAC3の追加導入や、グアム島の防空&ミサイル防衛にも、米陸軍には大きな期待がかけられていますが、所詮、米陸軍本流幹部にとっては「付加業務」なのでしょう・・・・道は厳しいと思います。

米陸軍の防空強化
「現 15個部隊を 1個は増強」→https://holylandtokyo.com/2023/09/04/4932/

ACE 関連記事のいくつか
「ACE 推進演習 Bamboo Eagle」→https://holylandtokyo.com/2024/02/13/5529/
「太平洋空軍はACE 運用態勢にない」→https://holylandtokyo.com/2023/09/19/5048/
「米空軍若手が ACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/

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2年ぶり空母艦載無人給油機MQ-25の話題 [Joint・統合参謀本部]

空母ブッシュに世界初のドローン戦闘管制センター設置
2025年の初期運用態勢IOC確立めざし
2021年にFA-18、E-2D、F-35Cへの空中給油に成功済

MQ-25 7.jpg8月21日付 Defense-News が、米海軍が2025年に米空母での初期運用体制確立を予定している空母艦載無人給油機MQ-25 Stingray関連で、最初に同機を受け入れる予定の空母 George H.W.Bushに、無人機を管制する「Air Drone Warfare Center」が設置されたと報じています

MQ-25を取り上げるのが約2年ぶりですので、若干復習しておきますと、当初は空母艦載無人攻撃機として試作機(NG 社のX-47B)が開発され、2013年夏には空母離発着試験まで成功していたものの、2016年に最終的には初の艦載無人機は空中給油機MQ-25Aとして実現することが決定されました。

MQ-25 6.jpgその後機種選定を経て2018年にポーイング社案が選定され、2019年に地上から初飛行、2021 年にはFA-18、E-2D、F-35C への空中給油試験や空母ブッシュ甲板上での取り回し試験が開始され開発は順調に進んでいました

好調な機体開発を受け、また艦載機用給油機として今も活用しているF/A-18の酷使が表面化する中、米空軍幹部は当初の 2024年 MQ-25A運用開始を前倒ししようと全力で取り組みましたが、テロとの戦いによる空母派遣期間の長期化や空母修理施設の負担増大により、MQ-25を最初に搭載予定の空母カールビンソンやブッシュの無人機受け入れ改修が間に合わなくなり、米会計検査院には「3年遅れ」の恐れまで指摘される状態となりました。それでも現時点では、2025年運用開始追求と米海軍は主張し続けているようですが・・・

MQ-25 FA-18.jpg一方米海軍とボーイング側は、初の空母艦載機MQ-25を空中給油以外でも活用できないか模索中で、ISR任務での活用や、MQ-25をFA-18やP-8やE-2Dから遠隔操作することも検討中で、現在までバーチャル環境や水面下で秘密に開発を続けている模様です

過去2年間の記事無しブランクを埋める「復習」が長くなりましたが、8月21日付 Defense-News 記事では、空母ブッシュの「Air Drone Warfare Center」は、MQ-25の管制だけでなく、他の米海軍が将来使用するドローンの管制や、米空軍が開発中の無人ウイングマン機 CCAの管制までも視野に入れたものとなっており、2025年初めから海上試験を開始すると紹介されています

MQ-25 3.jpgまた記事は、2025年度予算では、空母「Carl Vinson」「Theodore Roosevelt」「Ronald Reagan」にも、空母ブッシュと同様の「Air Drone Warfare Center」設置改修が行われるとも紹介しています。
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「2025 年初めから(管制センターの)海上試験を開始する」現状の計画で、2025年のMQ-25初期運用体制確立が可能なのか「?」ですが、会計検査院の指摘した「3年遅れ」にならないことを祈ります

MQ-25 関連の記事
「VRでE-2DやP-8と任務連携」→https://halylandtokyo.com/2022/09/26/3677/
「FA-18への給油に初成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-08
「MQ-25操縦者は准尉で処遇」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-23
「試験用空母確保難で3年遅れか?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-11
「空母艦載機の2/3を無人機に」→https://holylandtokyo.com/2021/04/06/100/
「MQ-25地上から初飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-20
「2019年6月の状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-04
「MQ-25もボーイングに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-01-1
「NG社が撤退の衝撃」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-29-1
「提案要求書を発出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-13
「MQ-25でFA-18活動が倍に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-03
「MQ-25のステルス性は後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-27
「CBARSの名称はMQ-25Aに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-17
「UCLASSはCBARSへ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-02
「UCLASS選定延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-05-1

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初飛行から70周年のC-130輸送機を語る [米空軍]

A型からJ型まで 2500機以上製造で今後も新造機が
最高記録は1機が一度に 452名(操縦席に32名)空輸
空輸からミサイル投下、特殊作戦、台風観測

C-130 YC-130.jpg8月23日付米空軍協会 web 記事が、同日で1954年の試作機YC-130 初飛行から70周年を迎えた世界的大ベストセラー輸送機G-130を紹介する記事を掲載し、様々なエピソードを取り上げていますので、つまみ食い紹介させていただきます

C-130 は、1950年代の朝鮮戦争時に、従来の小型と大型輸送機の間隙を埋める中型輸送機が前線で不可欠との要求を受け開発されました

C-130A.jpgまた、適切な保管場所が確保できない前線での運用要求も強く、様々な要求にこたえる機体として、多用途で耐久性があり、低速時に機体を安定させる巨大な尾翼、エンジンを砂や土埃から守る高く取り付けられたプロペラ、頑丈なタイヤが両側に付いた着陸装置、多様な物を積める低く設計された背の高い完全加圧貨物室、そして支援機材が無くてもエンジン稼働可能な内蔵補助動力装置を備えた機体がC-130として完成しました

C-130H.jpgC-130は驚くほど機動性が高く、1950年代後半には「Four Horsemen」と呼ばれる4機のC-130 航空デモンストレーション チームさえ存在しましたが、ベトナム戦争でその価値を大いにアピールしました。数百人の空挺部隊を輸送し、包囲された海兵隊に多くの物資を着陸または空中投下し、更に救助ヘリコプターの空中給油機、特殊部隊をどこにでも運ぶ「タクシー」、近接航空支援用のガンシップといった新たな役割も果たしました

なお、1975年4月29日のサイゴン陥落の際は、1機のC-130が、32人を操縦席に乗せるなど、少なくとも1万ポンドの過積載状態で合計 452人の難民を一度の飛行でタイに運んだ記録まで残しています

記憶の新しい最近では
AC-130J.jpg●砂漠の盾作戦と砂漠の嵐作戦では、EC-130はイラク軍に降伏を説得するためのラジオ番組を放送し、敵の通信やレーダーを妨害
●1963年、C-130 は空母から離着陸する史上最大かつ最重量の航空機となる

●2021年には、無人機を空中からつかみ取るドローン運搬機として能力を証明
●2022年には、MC-130Jがパレット投下巡航ミサイルの初の実弾発射を実施

平時においても災害対処にも大活躍
●立ち往生している牛に干し草を投下、山火事に消火剤や難燃剤を投下。また洪水の汚水で孵化する蚊や汚物バエを殺す殺虫剤散布ための広範囲空中散布ユニットも装備
●1965年以来、嵐や大気圏の河川に飛び込んでデータを収集する「ハリケーンハンター」の主力航空機
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c130-mtfuji.jpg「内部的には、この飛行機の1950年代の痕跡はほとんど残っていない」と言われるように、C-130 が新たな役割を担い続けることができる理由の1つは、機体が絶えず変化しているからです

初飛行時のYC-130 は、プロペラが3枚しかなかったようですが、今日のG-130Jは6枚羽根のプロペラとグラスコックピットを備えています。 70年間も新品で製造され続け、近い将来も製造され続けるであろうC-130の益々の活躍を祈念しつつ・・・

特殊なC-130の話題
「ハリケーン観測部隊の活躍」→https://holylandtokyo.com/2024/05/29/5898/
「ACから105㎜砲取外し検討」→https://holylandtokyo.com/2023/11/10/5219/
「MCで飛行中航空機のサイバー対処」→https://holylandtokyo.com/2021/12/23/2548/
「AC用のレーザー兵器開発」→https://holylandtokyo.com/2021/10/21/2332/
「MCに海面着陸フロートを」→https://holylandtokyo.com/2021/10/13/2296/
「MCからミサイル投下発射」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/

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グアム島MDの初期能力試験を今年後半に [Joint・統合参謀本部]

C-17から投下した標的ミサイルをSM-3で迎撃
搬入途上のAN/TPY-6レーダーで目標補足&追尾
Combined Command Center設置後に続々装備導入

Guam MD10.jpg8月20日付Defense-Newsが米ミサイル防衛庁(MDA)長官Heath Collins空軍中将へのインタビュー記事を掲載し、2026年運用開始を目指すグアム島の防空&ミサイル防衛システムに関し、2024年後半に最初の能力確認試験として、新設の遠方監視識別レーダーAN/TPY-6の情報を使用し、イージス艦発射のSM-3ミサイルで、C-17輸送機から投下する模擬目標を迎撃する試験を予定しているとの準備状況を説明しています

また同長官は、グアム島のミサイル防衛システムが、陸軍の迅速能力構築室(Rapid Capabilities and Critical Technologies Office)の室長(中将)を取りまとめ役(2023年任命)に、JTIFC(統合戦術統合火器管制:Joint Tactical Integrated Fire Control)の基準標準に基づき、陸軍のペトリPAC-3などを統括する「Integrated Battle Command System」、海軍の「Aegis weapon system」とイージスの地上配備版「Aegis ground(Ashore) system」、

そして空軍の「指揮統制システム」とMDAの「C2BMC:Command Control Battle Management and Communications system」を、島内に建設中のCombined Command Center(統合司令センター)から運用統制する全体像確立に向け、同センターの建設など様々なプロジェクトが同時並行的に進んでいると、改めて説明しています

MDA長官・Collins空軍中将はインタビューで
Guam MD11.jpg●グアム島の防空&ミサイル防衛のため、陸海空軍の様々なシステムを円滑に結び付けて機能させるカギとなるのが「JTIFC規格」であり、MDAは10年以上にわたって、各軍種のMDや指揮統制システムを、この基準に沿う形で導入すべく各軍種と調整を続けてきた
●そして、MDAの指揮統制戦闘管理通信システムである「C2BMC」で運用される建設中のCombined Command Center(統合司令センター)は、「JTIFC規格」に沿った形で今後導入される全てを接続して機能させるための中核となる

Guam MD13.jpg●具体的には、AN/TPY-6レーダーやイージス艦レーダー等々の様々なセンサーと、陸軍のペトリオット指揮システムIBCSやPAC-3発射機や、陸軍が昨年配備を始めた中距離ミサイル(Mid-Range Capability missile)など様々な迎撃兵器を地上部隊が導入する
●陸軍では開発段階にあるが、PCA-3レーダーの代替である「Lower Tier Air and Missile Defense Sensor」や、現在はプロトタイプ段階の「Indirect Fire Protection Capability launchers」などの導入連接も念頭にある。Combined Command Center(統合司令センター)が完成すれば、地上配備発射機VLSも導入される予定だ

●202年度予算から建設資金が投入されるので、1年後には描いた姿が相当程度出来上がるだろう
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Guam MD14.jpgいつものことではありますが、今回の記事紹介は基礎知識が不足していることもあり、中身が相当怪しい部分があります。

この夏の猛暑からくる「夏バテ」の影響もあり、いつも以上に注意してご覧ください。

グアム島の台風被害が気になります
「23年5月の台風被害は甚大だった」→https://holylandtokyo.com/2024/05/30/5903/

グアムのミサイル防衛関連
「本格試験を2024年開始」→https://holylandtokyo.com/2023/08/22/4937/
「グアムMDを再び語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「整備の状況と困難」→https://holylandtokyo.com/2022/04/05/3082/
「分散&機動展開可能型へ」→https://holylandtokyo.com/2021/08/23/2146/

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次期制空機NGAD再検討の方向性 [米空軍]

「何を目指す?」「個別装備よりシステムで何が可能?」
「価格も重要」「その中でNGADに求めるものを再精査中」

NGAD 1.jpeg9月4日、米空軍のHunter調達開発担当次官が講演で、本来なら2025年に機種選定が決着するはずだった次世代制空機NGAD計画を、7月末にKendall空軍長官が第6世代の有人航空機を開発するつもりだと述べつつも、要求内容を再精査&再検討するため「一時停止:Pause」と発表した件に関し、「全ての選択肢を排除しない、しかし元に戻すこともしない」と哲学的な言い回しを駆使しつつ、

様々な軍事技術発達を受け「航空優勢air superiority」概念の再考に迫られる中、米空軍は個々の装備単体で任務を遂行するのではなく、「a family of systems」全体で、かつ配分可能な予算枠の範囲で、所望の成果を得ることを目指しているが、NGAD要求性能検討時の想定より周辺軍事技術(AIやセンサーやネットワーク技術等々)の進化は早く、将来装備全体の中でNGADに求めるものを再検討する必要があると説明(まんぐーす解釈)しました

米空軍協会web記事によれば同次官は
Hunter AF.jpg●米空軍は「一時停止」期間の今、まず「我々は何をやろうとしているのか?」に立ち返って再検討を始め、「大規模紛争の困難な環境下で、如何に航空優勢を確保すべきか」も一つの質問で、別の枠組みで「第6世代の有人戦闘機はどうあるべきか」を再検討している。これら疑問は同じレベルの課題ではない。
●率直に言って、NGAD要求性能の初期分析を行って以後、軍事技術は予想以上に急速に進歩しており、NGAD構想時には存在を想定していなかった、新たなレベルの装備や機能が「a family of systems」内に存在可能になってきた。自立性を持った無人ウイングマン機CCAもその一つであり、米空軍が迅速配備に向け全力投球している

NGAD Kendall.jfif●NGADの「一時停止」により、CCAのような「a family of systems」内の装備や機能が、最新技術を反映して調整できる可能性も出てきている。全ての選択肢を排除しない、しかし元に戻すこともしない。我々は航空優勢実現に必要なパッケージ編成の際に、それが実際のニーズを可能な限り満たし、同時に手頃な価格であることを追求している

●(同時登壇のSlife空軍副参謀総長が、個々の装備より、システム全体での融合戦力発揮を重視と述べた点を踏まえつつ、)航空優勢を確保するのは個別装備ではなく、空軍全体で成すべきことで、今後数十年で我々が導入するF-35やF-15EX部隊も、現有のF-22 も任務を担う。これらアセット全体と新たな技術を結び付け、欠落部分を補完しつつ、「a family of systems」の中でNGADが成すべきことは何かを考えている。
●(聴衆からの質問:米空軍が2025年に契約締結してNGADを再開できる可能性は?、に対し)我々の分析が何をもたらすかは待って見なければならない

同記事は補足情報として以下を紹介
NGAD Kendall.jpg●米空軍ドクトリンでは「航空優勢air superiority」の定義を、「必要な特定の時間と場所で、空やミサイルの脅威による妨害を受けることなく作戦を遂行できる、1つの部隊による空の支配の程度」と定義しているが、「特定の時間と場所」との言葉に関し、
●Allvin空軍参謀総長2 月に、「従来やってきたように、何日も何週間も航空優勢を確保可能なレベルに空軍力を維持するには、費用がかかりすぎる」と述べ、5 月に前述のSlife副参謀総長は「制空権のようなものが意味する従来の概念は変化した」と発言している

●これまで米空軍が明らかにしてきた、F-22戦闘機は2030年頃までに退役させるという計画を、ハンター次官が変更し、2030年以降も保有し続ける可能性があるかは不明だ。しかし、NGAD開発とF-22の近代化計画が一時停止していることを考えると、F-22の延命保有される可能性はありそうだ
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Hunter4.jpg今年の6月まで、NGADは最優先事業で、F-22は早期退役、F-15EXの調達機数は削減、F-35の調達機数も少なくともペースダウン等しても事業を推進すると、米空軍幹部が口をそろえて主張していたのに、この情けない状況です。1機450億円もしそうなNGADは、今の予算状況では導入できないとのシンプルで以前から明白だった結論を、今頃になって「小難しく」言い訳している様子が滑稽です(「結果オーライ」ですが)

今ウクライナや中東で顕在化している、無人機が低高度航空優勢を支配し、戦闘機による従来型航空優勢が無意味なものとなりかけている状況は、ネット上の公開情報だけを片手間で眺めているまんぐーすにも容易に予測でき、米空軍が予測できなかったはずはありません。現実から目を背けていたということです。

NGAD 2.jpgさぁ、日本も参加している欧州の2つの次世代戦闘機計画への影響はどう出るでしょうか? 戦闘機製造の産業基盤が・・とか、米国の言いなりでどうする・・とか、極めて曖昧な論拠で、脅威の変化を無視し続けた「戦闘機命派」には即刻退場して頂きたいと思います。OBも含め・・・

次世代制空機 NGADの再検討関連
「数か月間保留する」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/

航空優勢に関する議論
「ドローンでへリ撃墜の衝撃」→https://holylandtokyo.com/2024/08/29/6213/
「重要だが不可能だし必要もない」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

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米空軍大改革の演習は来夏Talisman Sabre演習と同時に [米空軍]

演習名「REFORPAC(Return of Forces to the Pacific)」
冷戦時代時の「REFORGER(ドイツへの部隊帰還)」にちなみ

REFORPAC2.jpg8月16日、ハドソン研究所で講演したAllvin米空軍参謀総長が、2月に発表した米空軍大改革(re-optimization for great power competition project)の主要項目の一つである「即応態勢の向上」の一環として、来夏予定の米豪主催の統合多国籍大規模演習である「Talisman Sabre 2025」と並行して、「REFORPAC(Return of Forces to the Pacific)」との演習名の大規模米空軍演習を行うと明らかにしました

米空軍大改革は、「新規装備品構想や開発管理を一手に担う新コマンドIntegrated Capabilities Command創設」と「ACE構想実現のための兵士多能化等を目指した教育訓練体系改革」に、「即応態勢の向上」を加えた大きく3項目から構成されていますが、

REFORPAC.jpg「即応態勢の向上」のため具体的に、「新しい戦力造成ローテーションAFFORGEN導入」、「基礎単位の航空団Wingを前方展開即応部隊や基地機能維持部隊等に区分し、各Wingへの要求を明確に規定」、そして「冷戦期のような無通告能力点検・検閲の復活」と「実戦的演習の強化」に取り組むと2月時点で発表されていましたが、細部は不明だった「実戦的演習の強化」について、具体的な方向性が8月16日に初めて明らかにされたということです

米豪主催の統合多国籍大規模演習である「Talisman Sabre」は、2005年が初回の隔年開催の演習で、毎回7月中旬から8月初旬にかけ2週間程度、豪州や西太平洋地域で実施されており、前回2023年時には米豪の他、13か国(Fiji, France, Indonesia, Japan, South Korea, New Zealand, Papua New Guinea, Tonga, the United Kingdom, Canada and Germany。その他オブザーバ参加が比星タイ)から計35000名が参加し、15の主要訓練イベントが実施されています

「REFORPAC」演習についてAllvin大将は
Allvin Hudson3.JPG●「REFORPAC(太平洋への部隊の帰還)」と命名した本演習は、冷戦時代の「REFORGER(ドイツへの部隊の帰還)」にちなんで命名した。REFORGERがドイツ国境を越えて押し寄せるソ連軍への備えに設計されたのと同様に、REFORPACは、潜在的な中国との戦いに米空軍をよりよく準備することを目指している

●演習には、主要メジャーコマンドからは米戦略コマンド、北米コマンド、大平洋コマンドが参加し、空軍輸送コマンドも重要な役割を果たす。これら部隊の戦力がアラスカ、ハワイ、グアム、米国本土から展開して約14日間訓練を行う
Allvin Hudson5.jpg●演習で取り組む重要な課題は、最近の(ACE構想演習)「Bamboo Eagle演習」でも強調しているように、設備不十分な難しい環境に展開し、敵の攻撃下でも戦力発揮ができるよう運用基盤を整え、燃料や弾薬を確実に届けて任務を継続的に遂行可能な態勢を確立すること

●実際に現地に赴き、一定期間作戦活動を行うことにより、そしてそれを従来より大規模に試験することで、中国との潜在的な戦闘の規模と困難さを体感し、机上では未知だった課題や不足事項を見つける事が狙い
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REFORPAC3.jpg最近、この米空軍大改革(re-optimization for great power competition project)について記事にすることが多いのですが、最近の中国の経済破綻状況や中国軍への影響を、米国や米国防省や米軍が、どのように分析しているのかが気に成ります

最近の様々な報道やSNS情報からは、習近平の動向が最近つかめなくなっているとか、中国全土で頻発している水害等の自然災害で人民の不満が爆発寸前とか、中国での失業者急増の勢いがすさまじいとか、主要な都市で停電が頻発し始めているとか、各所で公務員や軍人の給料削減や遅配が常態化して組織機能が低下しているとか、尋常ならざる事態が急速に拡大している気配が漂っていますが、どのように米国では評価しているのでしょうか? 気になります

米空軍が大改革アクションを発表
「最大の課題はICC創設と運営」→https://holylandtokyo.com/2024/09/03/6230/
「大改革の概要発表」→https://holylandtokyo.com/2024/02/16/5579/
「改革の目玉ICCコマンド」→https://holylandtokyo.com/2024/05/23/5873/

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次世代制空機NGAD再考でF-22継続使用へ近代化か!? [米空軍]

NGAD 用に開発のセンサー・兵器・連接性をF-22に
F-22に最近まで 2030年代退役方針だったのに

F-22 NGAD.jpg8月19日付米空軍協会 web 記事は、2030年代退役予定とされてきたF-22や、莫大な開発&導入コストでプログラムの再検討を米空軍指導層が表明しているF-22後継機の次世代制空機NGADに関し、NGAD 計画の再考により、NGAD用に準備されてきた各種技術を利用した F-22 改修&延命の可能性が高まっていると示唆しています

米空軍の先端航空機開発関係者は、F-22をテスト機体としてNGAD 用に開発してきた多数の機密センサー、接続性向上装備、空対空ミサイルなど兵器は、F-22を活用した搭載試験で成功を収めており、この新技術がF-22の耐用年数を伸ばす可能性があると語った模様です

F-22 iwakuni2.jpg2021年に米空軍は「4+1」戦闘機計画を発表し、F-22を2030年代にNGADに置き換え、F-35、F-15EとEX、F-16を維持(これで4)し、「+1」としてA-10を考慮した体系を想定していましたが、2024年の現時点では、「+1」のA-10は米議会の理解を得て退役が進み、2030年までには全機が退役する見通しとなっています

また、元々F-22の機体自体は2040年代まで使用可能なものの、1980年代設計思想のセンサーやステルス性から、中国等の最新兵器に対応できないと判断され早期退役判断されましたが、F-22用にOpen Architecture のコンピューティング環境「GRACE」が提案され、新たなソフト導入目途が立ったと、空軍開発関係者は説明しています

F-22 RAAF.JPG米空軍の開発関係者だけでなく、7月に戦闘機族のボスとも呼ばれる空軍戦闘コマンド ACC 司令官に就任したばかりの Kenneth Wilsbach 大将(前太平洋空軍司令官)も、かつて米空軍が2度にわたり米議会に早期退役を要請した32機のブロック 20の初期型F-22について、「非常に有能で緊急事態には必要だ」とまで最近発言し始めているようです

米空軍開発関係者は、F-22維持&近代化改修の取り組みは「F-22が世界最高の制空戦闘機として優位性を維持することを保証するもの」と表現し、一方でF-22に利用される新技術は、NGADなど「将来の全ての航空機開発をサポートする」、「今後のあらゆるプラットフォームで全ての新技術を活用していく」とも語り始めています
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F-22Hawaii.jpg1機ざっくり450億円(F-35の3倍以上)とのNGAD 価格見積もりにKendall空軍長官が言及し、NGAD の要求性能や役割分担の再精査のために「NGAD 計画を数か月保留する」と7月末に発言したと思ったら、間髪を入れず、以前から計画を温めていたかの様に、「F-22 近代化改修にNGAD 用に開発してきた新技術を活用し、それら技術は全ての将来アセットや既存機種にも生かされる」との良くできたストーリーを、「戦闘機族」が展開し始めました

一方で Allvin空軍参謀総長や Slife 副参謀総長らは、ウクライナや中東での最近の戦訓を踏まえ、無人機による「低高度域の航空優勢」が制空の概念を変えつつあるとの危機感から、NGAD への投資を「選択肢の一つに過ぎない」と冷めた目で見ています。米空軍内で今後、戦闘機への投資がどのように精査されていくのか見ものです

米空軍にNGAD あきらめムード
「数か月間保留」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」 →https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/

航空優勢概念の再考必須
「2トップが航空優勢再考に言及」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/

2021年当時の戦闘機体系構想
「近未来の戦闘機構想」→https://holylandtokyo.com/2021/05/21/1709/
「戦闘機は7機種から 4機種へ」→https://holylandtokyo.com/2021/05/18/1496/

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フーシ派攻撃でタンカーから原油15万トン流出危機 [安全保障全般]

8月21日フーシ派の無人艇・飛び道具攻撃で炎上
乗員25名は救出も、9月3日にEU 連合が曳航断念

Sunion Houthis4.jpg9月3日付 Mitary.com 記事は、紅海を原油 15万トン(100万バレル)を積んで航行中だったギリシャ船籍のタンカー「スニオン号 Sunion」が、8月21日にイランが支援するイエメンの反政府組織フーシ派による攻撃で火災を起こし、エンジンも停止して自力航行困難となっていたが、同タンカーの曳航を請け負った民間サルベージ企業も、フーシ派による更なる攻撃示唆で作業の安全確保が困難だと曳航作業断念した、とEU 連合が発表しました

EU 連合は米国や西側諸国と協力し、紅海を航行する西側船舶の安全確保作戦「Operation Aspides」を遂行しており、攻撃を受けた同タンカーから乗員 25名を何とか無事救出し、近傍のジブチに避難させたのも仏海軍の駆逐艦でしたが、タンカーの状況とフーシ派の攻撃により、作業継続は難しいと判断した模様です

Sunion Houthis.jpgタンカー「スニオン号」は大量の原油を積載しており、フーシ派による無人艇や追撃弾(projecties)攻撃により発生した火災も収まらず、既に積載原油流出が始まっているとの報道もあり、米国務省は、同タンカーからの流出は「1989年にアラスカで起きたエクソン・バルディーズ号惨事の4倍の規模」になる可能性があると警告しています

フーシ派は、2023年 10月にガザ地区で戦争が始まって以来、イスラエルによるハマスへの軍事行動を阻止するためとの名目で、ミサイルやドローンで 80隻以上の西側船舶を攻撃し、船1隻を拿捕し、2隻を沈没させ、船員4人を殺害していますが、攻撃を受けた船の多くは紛争とは全く関係がなく、イラン行きの商船も含まれているのが実態とのことです

Sunion Houthis2.jpgEU 連合は「民間サルベージ企業による行作業」断念時、「民間企業により代替策が検討されている」とも発表していますが、容易でないことは想像でき、米国務省が懸念を表明している米国勢力も、イスラエルに対するイランの報復に備え急遽中東に展開している米空母ルーズベルトとリンカーンはオマーン湾所在で、紅海に米海軍艦艇は確認されておらず、本件に関するAP通信の取材に米中央軍はノーコメント対応とのことです
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Sunion Houthis3.jfifフーシ派は、9月2日に別の西側船舶への攻撃を実施し、タンカー「スニオン号」の曳行作業を容認する姿勢を示唆しているとの見方もあるようですが、フーシ派は以前にもイエメン沖で、別の石油タンカーを攻撃して「環境へのリスク」だとして悪用したことがあり、懸念が高まっています

紅海は美しいサンゴ礁でダイバー憧れの地となっており、フーシ派による事実上の無差別攻撃と自然を人質にとるような行動は、神が許さないだろうと言じたいです

フーシ派関連の記事
「米海軍がフーシ派とWW2以来の激戦」→https://holylandtokyo.com/2024/07/24/6044/
「イスラエルVS イランを防研が速攻解説」→https://hotylandtokyo.com/2024/04/25/5847/
「フーチ派対処で防御迅速改善」→https://holylandtokyo.com/2024/04/15/5741/

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