約1年遅れで E-7価格に米空軍とボーイング合意!? [米空軍]
2027年初号機領が28年にずれ込み
とりあえずプロトタイプ2機を3800億円で発注
8月9日、米空軍は最優先事業として取り組んでいるE-3早期普戒管制機の後継E-7Aの導入に関し、難交渉の末に当初計画より約1年遅れで、ポーイングと「プロトタイプの E-TA」2機の製造契約を約3800億円で締結したと発表しました。
米空軍は長期的には、老朽化で稼働率が2割程度にまで落ち込んでいるE-3の後継体制として、宇宙アセットによる地上及び空中移動目標監視体制を確立する構想を持っていますが、技術的にも予算的にも同体制確立にはまだ時間が必要なことから、「暫定的な体制」として 2027年にE-7初号機を受領し、2032年までに計26機の体制を構築する計画を持っていました
しかし、ボーイング前CEOのでたらめな契約獲得優先姿勢が原因で、固定価格契約 KC-46と T-7で 1兆円自腹支払いを強いられているポーイング社は、CEOに David Calhoun 氏が就任した 2020年4月以降、厳しい事業精査方針の下で、開発案件のリスク査定を厳格化して受注価格を設定する方針が掲げられ、E-7に関しても米空軍特別仕様部分の価格で米空軍側と2倍の開きが生じ、2023年8月頃から価格交渉が約1年に渡り頓挫状態に陥っていたところでした
E-7 は既に豪、韓、トルコが導入済、更に英も近く受領予定の機体で、NATOも米に続いて発注した国際標準に向かうアセットですが、米空軍は、昨今の中国のサイバー戦能力や航空機攻撃能力強化傾向から、「他国機と相互運用性を維持しながら、米空軍独自の仕様も要求」するものの、「英空軍発注仕様の機体と大きな変化はない」と主張し、ボーイングの姿勢に困惑していた1年間でした
8月9日のプロトタイプ2機契約発表でも、プロトタイプ2機分の価格約 3800億円のみが公表され、2024年7月に計 26機の製造価格について一定の合意がなされたとの報道をフォローするような計画全体の「値札」情報は明らかにならなかったようで、米空軍の当初計画2027年に初号機受領(水面下では更なる前倒し導入を各方面で画策)の目論見は崩れ、少なくとも 2028年以降に遅れることが明らかになったのみでした
///////////////////////////////////////////
E-3の稼働率急落と中国脅威の高まりを受け、米空軍制服幹部は 2023年前半には声をそろえ、一刻も早くE-7を導入したいと訴えていましたが、その後は上記のような「音なし」の停滞期に入っていました
約1年の停滞を経て話が進展した背景は定かではありませんが、厳格な価格設定方針を打ち出していたCEOの Calhoun 氏が、主力旅客機「B-737MAX」の連続墜落事故や扉吹っ飛び事故で3月25日に2024年末までの CEO 退任を発表し、未だ後任が決められない厳しい現状ですが、この Calhoun 氏退任発表が何らかの「風向きの変化」に繋がったのかもしれません
大きな負の造産「KC-47 空中給油機」や「T-7 練習機」はまだまだ危機を脱したとは言い難い状況で、民間部門の柱「B-737MAX」問題も底が見えない現状ですが、米空軍の活動にE-7は不可欠なアセットですので、その早期導入を期待したいと思います
米軍とボーイングの価格交渉難航
「空軍とボーイングの価格交渉難航」→https://halylandtokyo.com/2024/03/11/5621/
世界的に導入が進むE-7
「NATOもE-7導入へ」→https://holylandtokyo.com/2023/11/21/5262/
「今後の能力向上を米英豪共同で」→https://holylandtokyo.com/2023/07/21/4871/
「E-7とE-3違いを概観」→https://holylandtokyo.com/2023/03/30/44471
「初号機を 2027 年納入契約」→https.//holylandtokyo.com/2023/03/06/4358/
「導入を正式発表」→https://holylandtokyo.com/2022/04/28/3186/
「E-3は2023年から退役へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/01/3074/
「後継機検討のRFI」→https://holylandtokyo.com/2022103/01/2711
「米空軍航空機は高齢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-27
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
とりあえずプロトタイプ2機を3800億円で発注
8月9日、米空軍は最優先事業として取り組んでいるE-3早期普戒管制機の後継E-7Aの導入に関し、難交渉の末に当初計画より約1年遅れで、ポーイングと「プロトタイプの E-TA」2機の製造契約を約3800億円で締結したと発表しました。
米空軍は長期的には、老朽化で稼働率が2割程度にまで落ち込んでいるE-3の後継体制として、宇宙アセットによる地上及び空中移動目標監視体制を確立する構想を持っていますが、技術的にも予算的にも同体制確立にはまだ時間が必要なことから、「暫定的な体制」として 2027年にE-7初号機を受領し、2032年までに計26機の体制を構築する計画を持っていました
しかし、ボーイング前CEOのでたらめな契約獲得優先姿勢が原因で、固定価格契約 KC-46と T-7で 1兆円自腹支払いを強いられているポーイング社は、CEOに David Calhoun 氏が就任した 2020年4月以降、厳しい事業精査方針の下で、開発案件のリスク査定を厳格化して受注価格を設定する方針が掲げられ、E-7に関しても米空軍特別仕様部分の価格で米空軍側と2倍の開きが生じ、2023年8月頃から価格交渉が約1年に渡り頓挫状態に陥っていたところでした
E-7 は既に豪、韓、トルコが導入済、更に英も近く受領予定の機体で、NATOも米に続いて発注した国際標準に向かうアセットですが、米空軍は、昨今の中国のサイバー戦能力や航空機攻撃能力強化傾向から、「他国機と相互運用性を維持しながら、米空軍独自の仕様も要求」するものの、「英空軍発注仕様の機体と大きな変化はない」と主張し、ボーイングの姿勢に困惑していた1年間でした
8月9日のプロトタイプ2機契約発表でも、プロトタイプ2機分の価格約 3800億円のみが公表され、2024年7月に計 26機の製造価格について一定の合意がなされたとの報道をフォローするような計画全体の「値札」情報は明らかにならなかったようで、米空軍の当初計画2027年に初号機受領(水面下では更なる前倒し導入を各方面で画策)の目論見は崩れ、少なくとも 2028年以降に遅れることが明らかになったのみでした
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E-3の稼働率急落と中国脅威の高まりを受け、米空軍制服幹部は 2023年前半には声をそろえ、一刻も早くE-7を導入したいと訴えていましたが、その後は上記のような「音なし」の停滞期に入っていました
約1年の停滞を経て話が進展した背景は定かではありませんが、厳格な価格設定方針を打ち出していたCEOの Calhoun 氏が、主力旅客機「B-737MAX」の連続墜落事故や扉吹っ飛び事故で3月25日に2024年末までの CEO 退任を発表し、未だ後任が決められない厳しい現状ですが、この Calhoun 氏退任発表が何らかの「風向きの変化」に繋がったのかもしれません
大きな負の造産「KC-47 空中給油機」や「T-7 練習機」はまだまだ危機を脱したとは言い難い状況で、民間部門の柱「B-737MAX」問題も底が見えない現状ですが、米空軍の活動にE-7は不可欠なアセットですので、その早期導入を期待したいと思います
米軍とボーイングの価格交渉難航
「空軍とボーイングの価格交渉難航」→https://halylandtokyo.com/2024/03/11/5621/
世界的に導入が進むE-7
「NATOもE-7導入へ」→https://holylandtokyo.com/2023/11/21/5262/
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小型ドローンで軍用攻撃へリ撃墜の衝撃 [安全保障全般]
8月7日ウクライナ軍が露軍Mi-28 攻撃へリを
ウで顕在化しつつあった有人へリの脆弱性を証明
ますます困難になる有人ヘリの前線利用
8月8日付 Defense-News は、同7日にウクライナ軍が公開した「カメラ付きドローンがロシア軍攻撃ヘリMi-28の回転翼に命中する映像」を取り上げ、ドローンによる航空機迎撃の可能性と、ウクライナで顕在化しつつあった回転機の脆弱性について取り上げています
記事は Sam Bendett米海軍分析官のコメントを紹介し、「高速飛行する軍用ヘリにドローンを操縦して指向するのは容易ではない」とし、「ウクライナのドローンが軍ヘリを追跡する試みは何度も確認されていたが、それら攻撃は全てニアミスに終わっていた」と、ドローンによる大型航空機の撃墜はこれまで成功していないと紹介していますが、
同時に、低コストのFPV (first-person-view)と呼ばれるカメラ付きドローンは日進月歩で進化しており、飛行範囲が当初の平均3~5kmから、現在では15~20kmにまで拡大するなど開発が進んでおり、「ウクライナの戦場上空には、大物を狙って日々進化を続ける高速飛行 FPV が溢れ、仮にヘリの脂弱な後部プロペラ等に誘導できれば、大きな損害を与え得るレベルに達しつつあったことも事実だ」とも述べ、今回の事象を世界の軍事関係者が強い関心をもって注視しているとしています
2022年2月にロシアがウクライナ侵略を開始して以降、ロシア軍は326機のヘリを失った可能性があるとウ軍情報部は見積っており、様々な防空システムの展開により、戦場前線でのヘリの有人飛行が極めて困難になりつつあることが多くの軍事関係者の間で共通認識となりつつあるとも同分析官は語っています
同分析官は更に、ドローンはその威力を増すために「群れやグループ」での飛行能力向上に向けた開発が進んでおり、顕在化しつつあったヘリの脂弱性を無視できなくなりつつあると語っています。
またウクライナ国防省の Serhii Kuzan元顧問は、「戦闘でのヘリコプターの将来使用は、特に無人システムの発展に伴い、再考される可能性があり、またそうすべきだ」、「ロシア・ウクライナ戦争後、攻撃手段としてのヘリコプターの役割が変わる可能性は大いにある。潜在的に、この機能は攻撃ドローンや無人ヘリコプターによっ置き換わる可能性があるからだ」と Defense-Newsに述べています
/////////////////////////////////////////////
ウクライナや中東で猛威を振るう無人機の現状を踏まえ、戦闘機が担ってきた「中及び高高度域」を押さえる「航空優勢」の概念を再考し、無人機が支配しつつある「低高度の航空優勢」含めて再定義すべきと訴え、次期制空機NGAD 開発を「再精査すべき」とか「一つのオプションに過ぎない」と米空軍首脳が語り始める中で、同様の大きな変革の流れで、無人機と活動高度帯が重なる「低高度帯域」で生きてきた軍用ヘリコプターの将来が不透明になりつつあるということです。
この迫りくる軍事変革の波を、今でも空を支配していると錯覚している戦闘機命派はどのように見ているのでしょうか? 脅威の変化の最前線に位置しながら、F-35を100機以上も導入する愚行を犯し、更に英国とイタリアに巻き込まれ、泥沼の役立たず次世代戦闘機開発を進める航空自衛隊の戦闘機命派に、天はどのような裁きを下されるのでしょうか・・・
航空優勢を再考する
「重要だが不可能だし必要もない」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
米空軍は次世代制空機あきらめムード
「数か月保留で再精査」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/
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ウで顕在化しつつあった有人へリの脆弱性を証明
ますます困難になる有人ヘリの前線利用
8月8日付 Defense-News は、同7日にウクライナ軍が公開した「カメラ付きドローンがロシア軍攻撃ヘリMi-28の回転翼に命中する映像」を取り上げ、ドローンによる航空機迎撃の可能性と、ウクライナで顕在化しつつあった回転機の脆弱性について取り上げています
記事は Sam Bendett米海軍分析官のコメントを紹介し、「高速飛行する軍用ヘリにドローンを操縦して指向するのは容易ではない」とし、「ウクライナのドローンが軍ヘリを追跡する試みは何度も確認されていたが、それら攻撃は全てニアミスに終わっていた」と、ドローンによる大型航空機の撃墜はこれまで成功していないと紹介していますが、
同時に、低コストのFPV (first-person-view)と呼ばれるカメラ付きドローンは日進月歩で進化しており、飛行範囲が当初の平均3~5kmから、現在では15~20kmにまで拡大するなど開発が進んでおり、「ウクライナの戦場上空には、大物を狙って日々進化を続ける高速飛行 FPV が溢れ、仮にヘリの脂弱な後部プロペラ等に誘導できれば、大きな損害を与え得るレベルに達しつつあったことも事実だ」とも述べ、今回の事象を世界の軍事関係者が強い関心をもって注視しているとしています
2022年2月にロシアがウクライナ侵略を開始して以降、ロシア軍は326機のヘリを失った可能性があるとウ軍情報部は見積っており、様々な防空システムの展開により、戦場前線でのヘリの有人飛行が極めて困難になりつつあることが多くの軍事関係者の間で共通認識となりつつあるとも同分析官は語っています
同分析官は更に、ドローンはその威力を増すために「群れやグループ」での飛行能力向上に向けた開発が進んでおり、顕在化しつつあったヘリの脂弱性を無視できなくなりつつあると語っています。
またウクライナ国防省の Serhii Kuzan元顧問は、「戦闘でのヘリコプターの将来使用は、特に無人システムの発展に伴い、再考される可能性があり、またそうすべきだ」、「ロシア・ウクライナ戦争後、攻撃手段としてのヘリコプターの役割が変わる可能性は大いにある。潜在的に、この機能は攻撃ドローンや無人ヘリコプターによっ置き換わる可能性があるからだ」と Defense-Newsに述べています
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ウクライナや中東で猛威を振るう無人機の現状を踏まえ、戦闘機が担ってきた「中及び高高度域」を押さえる「航空優勢」の概念を再考し、無人機が支配しつつある「低高度の航空優勢」含めて再定義すべきと訴え、次期制空機NGAD 開発を「再精査すべき」とか「一つのオプションに過ぎない」と米空軍首脳が語り始める中で、同様の大きな変革の流れで、無人機と活動高度帯が重なる「低高度帯域」で生きてきた軍用ヘリコプターの将来が不透明になりつつあるということです。
この迫りくる軍事変革の波を、今でも空を支配していると錯覚している戦闘機命派はどのように見ているのでしょうか? 脅威の変化の最前線に位置しながら、F-35を100機以上も導入する愚行を犯し、更に英国とイタリアに巻き込まれ、泥沼の役立たず次世代戦闘機開発を進める航空自衛隊の戦闘機命派に、天はどのような裁きを下されるのでしょうか・・・
航空優勢を再考する
「重要だが不可能だし必要もない」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
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米空軍は次世代制空機あきらめムード
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B-2から艦艇剛撃用 GPS 誘導JDAM試験か [Joint・統合参謀本部]
7月に「QUICKSINK」試験と米空軍発表
ただし使用兵器の細部には言及せず
8月8日、空軍研究所AFRLが、7月に艦艇攻撃用GPS誘導JDAM と推定される「QUICKSINK」構想の兵器試験を実施し、メキシコ湾上の廃棄貨物船 Monarch Countess を目標にして、B-2 爆撃機から兵器の投下したと発表しました
「QUICKSINK」構想は、米軍が対中国作戦で多数の艦艇を攻撃目標とする必要がある中、高価な魚雷や対艦ミサイルだけでは対処が難しいことから、より安価な攻撃兵器としてJDAM の艦艇攻撃用バージョン具現化を目指したものと言われています
ただ、敵艦艇の防空能力が飛躍的に向上する中、目標命中まで発射母機が目標にレーザー照射を継続する必要があるレーザー誘導型 JDAM (GBU-24)ではJDAM運搬母機のリスクが大きいことから、自ら目標に向かう GPS 誘導型(GBU-31)の改良を追求することになり、2022年4月実施のF-15Eでの「QUICKSINK」構想試験では、艦艇攻撃用に改良されたGPS誘導のGBU-31 JDAM が用いられました。
GPS 誘導型は、レーザー誘導型のように雲や雨に影響されない全天候対応型であることが特長ですが、レーザー誘導型が具体的命中個所を指定しやすいのに対し、GPS誘導で目標艦艇の「艦橋」「推進機関」「弾薬庫」「燃料タンク」などの具体的部分を狙って攻撃できるのかは不明で、米空軍側は 2021年夏の第1回「QUICKSINK」試験から、目標ポイント選択精度への言及は避けています。
しかし空軍研究所は、「QUICKSINK」構想試験を開始した 2021年時点から、標的船の上部、喫水線、水面直下など、標的船の特定の地点に兵器を狙い撃ちしたい語り、2022年4月の試験時にも開発担当幹部が、「JDAMの先端部分を再設計し、水面で爆弾がはじかれずに水面下の目標地点に到達できるよう検討している」と説明しており、2024年7月の試験では何らかの新たな改良がテストされた可能性があります
なお米空軍は、「QUICKSINK」が大型魚雷よりも安価で、更に「Open Systems Architecture」を追求して多様な企業の部品供給競争でコスト低減と性能向上を図っているとアピールし、米空軍のほとんどの戦闘機から発射できる柔軟性も「売り」にしています。
//////////////////////////////////////////////////
米空軍は「QUICKSINK」構想実現に向け、米海軍が進める「Maritime Weapon Program」との連携を図っているようですが、米海軍も中国艦艇攻撃能力の向上を、7月実施の RIMPAC 演習(環太平洋合同演習)でも主要な訓練項目としています。
具体的には、退役した輸送ドック型艦「ドゥビューク」と強襲揚陸艦「タラワ」を、ハワイ沖で米豪蘭韓&マレーシアの航空機と艦船が協力し、長距離対艦ミサイルやRGM-84ハープーンミサイルなどで攻撃し撃沈したようです。
QUICKSINK 計画の関連記事
「艦艇攻撃用に改良の GPS 誘導JDAM」→https://holylandtokyo.com/2022/05/13/3219/
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ただし使用兵器の細部には言及せず
8月8日、空軍研究所AFRLが、7月に艦艇攻撃用GPS誘導JDAM と推定される「QUICKSINK」構想の兵器試験を実施し、メキシコ湾上の廃棄貨物船 Monarch Countess を目標にして、B-2 爆撃機から兵器の投下したと発表しました
「QUICKSINK」構想は、米軍が対中国作戦で多数の艦艇を攻撃目標とする必要がある中、高価な魚雷や対艦ミサイルだけでは対処が難しいことから、より安価な攻撃兵器としてJDAM の艦艇攻撃用バージョン具現化を目指したものと言われています
ただ、敵艦艇の防空能力が飛躍的に向上する中、目標命中まで発射母機が目標にレーザー照射を継続する必要があるレーザー誘導型 JDAM (GBU-24)ではJDAM運搬母機のリスクが大きいことから、自ら目標に向かう GPS 誘導型(GBU-31)の改良を追求することになり、2022年4月実施のF-15Eでの「QUICKSINK」構想試験では、艦艇攻撃用に改良されたGPS誘導のGBU-31 JDAM が用いられました。
GPS 誘導型は、レーザー誘導型のように雲や雨に影響されない全天候対応型であることが特長ですが、レーザー誘導型が具体的命中個所を指定しやすいのに対し、GPS誘導で目標艦艇の「艦橋」「推進機関」「弾薬庫」「燃料タンク」などの具体的部分を狙って攻撃できるのかは不明で、米空軍側は 2021年夏の第1回「QUICKSINK」試験から、目標ポイント選択精度への言及は避けています。
しかし空軍研究所は、「QUICKSINK」構想試験を開始した 2021年時点から、標的船の上部、喫水線、水面直下など、標的船の特定の地点に兵器を狙い撃ちしたい語り、2022年4月の試験時にも開発担当幹部が、「JDAMの先端部分を再設計し、水面で爆弾がはじかれずに水面下の目標地点に到達できるよう検討している」と説明しており、2024年7月の試験では何らかの新たな改良がテストされた可能性があります
なお米空軍は、「QUICKSINK」が大型魚雷よりも安価で、更に「Open Systems Architecture」を追求して多様な企業の部品供給競争でコスト低減と性能向上を図っているとアピールし、米空軍のほとんどの戦闘機から発射できる柔軟性も「売り」にしています。
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米空軍は「QUICKSINK」構想実現に向け、米海軍が進める「Maritime Weapon Program」との連携を図っているようですが、米海軍も中国艦艇攻撃能力の向上を、7月実施の RIMPAC 演習(環太平洋合同演習)でも主要な訓練項目としています。
具体的には、退役した輸送ドック型艦「ドゥビューク」と強襲揚陸艦「タラワ」を、ハワイ沖で米豪蘭韓&マレーシアの航空機と艦船が協力し、長距離対艦ミサイルやRGM-84ハープーンミサイルなどで攻撃し撃沈したようです。
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米陸軍は極超音速「155mm砲弾」開発を目指す [Joint・統合参謀本部]
2025年からの本格評価試験に向け研究開発
「極超音速ミサイルに比し桁違いに安価」
「安価な標的を排除」を目的に開発
8月9日付Defense-News 記事は、米陸軍の Robert Rasch迅速能力開発室長(陸軍中将:Director, Rapid Capabilities and Critical Technologies Office)が、155 mm砲から発射可能な「極超音速砲弾:a hypervelocity projectile」開発に着手し、基礎的な研究や試作を経て2025年から評価試験を行い、2028年度中には作戦運用試験を目指すと明らかにしたと報じています
Rasch 室長は8月8日の Space and Missile Defense Symposiumで記者に、米陸軍は敵攻撃用の極超音速ミサイル開発とは異なり、「桁違いに安価」だが、「非常に高速に飛翔して目標に接近できる」として、極超音速砲弾を「より安価な標的を排除するための潜在的な兵器として」活用すべく開発したい、と狙いを語った模様です。
また同中将は、米陸軍はオクラホマ州 Fort Sil の Fires Center of Excellenceで155mm極超音速砲弾の開発試作を計画しており、砲弾の物理的性質を約3年かけて研究する予定だと明らかにし、「大砲にかかる物理的な圧力はさまざまで、テストを通じて学ばなければならない」と未知への挑戦であることを示唆しています。
更に米陸軍は 155 mm極超音速砲弾に対応する自動装填装置の開発や、センサーと射撃手をつなぐ統合戦闘指揮システムを通じた運用を想定しており、一連の研究開発の一環として行うことを目指しているようです
///////////////////////////////////////////////////
同中将は「これは素晴らしい能力だ」、「これを陸軍プラットフォームに導入するのが楽しみだ」と Defense-News 記者に語っていますが、これから2025年開始構想の評価試験などを含む3年かけて基礎を固め、2028年度中には作戦運用試験を目指すとの「先の長いーーい」お話で、陸軍らしいな・・・と思いました。
安価な標的を迎撃するために、極超音速砲弾へのニーズがどれだけあるのかよく理解していませんが、作戦運用試験を予定していた2028年頃になって、ニーズが変化したから「やーめた」となりそうな気がしております
死屍累々の米陸軍プロジェクト
「混迷:ヘリ精密兵器や射出型無人機」→https://holylandtokyo.com/2024/07/01/6019/
「3千億円投入済のヘリ FARA 開発中止」→https://holylandtokyo.com/2024/02/22/5567/
「M1E3 構想が急遽加速化」→https://holylandtokyo.com/2024/06/19/5977/
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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「極超音速ミサイルに比し桁違いに安価」
「安価な標的を排除」を目的に開発
8月9日付Defense-News 記事は、米陸軍の Robert Rasch迅速能力開発室長(陸軍中将:Director, Rapid Capabilities and Critical Technologies Office)が、155 mm砲から発射可能な「極超音速砲弾:a hypervelocity projectile」開発に着手し、基礎的な研究や試作を経て2025年から評価試験を行い、2028年度中には作戦運用試験を目指すと明らかにしたと報じています
Rasch 室長は8月8日の Space and Missile Defense Symposiumで記者に、米陸軍は敵攻撃用の極超音速ミサイル開発とは異なり、「桁違いに安価」だが、「非常に高速に飛翔して目標に接近できる」として、極超音速砲弾を「より安価な標的を排除するための潜在的な兵器として」活用すべく開発したい、と狙いを語った模様です。
また同中将は、米陸軍はオクラホマ州 Fort Sil の Fires Center of Excellenceで155mm極超音速砲弾の開発試作を計画しており、砲弾の物理的性質を約3年かけて研究する予定だと明らかにし、「大砲にかかる物理的な圧力はさまざまで、テストを通じて学ばなければならない」と未知への挑戦であることを示唆しています。
更に米陸軍は 155 mm極超音速砲弾に対応する自動装填装置の開発や、センサーと射撃手をつなぐ統合戦闘指揮システムを通じた運用を想定しており、一連の研究開発の一環として行うことを目指しているようです
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同中将は「これは素晴らしい能力だ」、「これを陸軍プラットフォームに導入するのが楽しみだ」と Defense-News 記者に語っていますが、これから2025年開始構想の評価試験などを含む3年かけて基礎を固め、2028年度中には作戦運用試験を目指すとの「先の長いーーい」お話で、陸軍らしいな・・・と思いました。
安価な標的を迎撃するために、極超音速砲弾へのニーズがどれだけあるのかよく理解していませんが、作戦運用試験を予定していた2028年頃になって、ニーズが変化したから「やーめた」となりそうな気がしております
死屍累々の米陸軍プロジェクト
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北朝鮮の核戦略:エスカレーションではなく核で開戦 [安全保障全般]
核による先制攻撃のための偵察衛星
「いまや戦争の脅しは、核戦争の脅しにかわった。北朝鮮が戦争をしていないことは平和を必ずしも意味せず、戦争するとの脅迫が続くことでもあり得る。この強要戦略に必要なドクトリンが、核で戦争を始める先制である。」
8月6日付防衛研究所 NIDS コメンタリーで、渡邊式・地域研究部アジア・アフリカ研究室長が「北朝鮮の先制ドクトリンー核へのエスカレーションではなく、核で始まる戦争」との、やや難解な論考を発表していますで、想像をたくましくしながら、まんぐーすが少しアレンジしながら勝手な理解でご紹介します
まず、日本語の「先制」は単に先に攻撃を仕掛ける意味が含まれるが、本稿でいう「先制」は、英語 Preemptionの語意に従い、相手が攻撃に着手するなど差し迫った脅威を除去する行動を指している・・・との脚注1に留意して読む必要がある論考ですが、最近は誰も相手にしない北朝鮮が、通常兵器で米韓に大劣勢である状況や、韓国国民をも核「先制」攻撃の対象として脅迫するまでに追い込まれている現状を、改めて思い知らされる論考ですので取り上げます。
渡邊アジア・アフリカ研究室長によれば
●核兵器使用に関し、ロシアは「先行」使用(First Use、戦時に相手より先に核へのエスカレートをする方針)を 2020年6月にプーチンが署名した文書で明確に示し、ロシアは「国家の存在を危険にある」場合、「通常兵器」による攻撃に対しても核で報復し得るし、政府や軍の重要施設への攻撃があり、それが核戦力の行動を難しくするならば、敵の攻撃手段が核でなくてもロシアの対応は核によるものとなり得る、と表現している
●同様に北朝鮮も、2022年9月公式化のドクトリンでは、ほぼ同様な条件での「先行」使用を表明し、「国家指導部と国家核戦力指揮機構」に対する「核および非核攻撃」、あるいは「国家の重要戦略対象」への「軍事的攻撃」には、核兵器で対応すると表現していた。
●ただ北朝鮮がロシアと異なるのは、これら非核攻撃がまだ現実化していなくても、「差し迫った」ならぱ核兵器を使用するという、「先制」も表明している点である。北ドクトリンは、自らに対する「核兵器またはその他大量破壊兵器攻撃が敢行されるか、差し迫ったと判断される場合」に核を使用するとしている
●北朝鮮が「先行」だけでなく「先制」にまで踏み込んだのは、北朝鮮は通常戦力で米韓に対し著しく劣勢で、ロシアのように軍事攻撃のエスカレーションとして敵より先に核使用する形は難しく、北朝鮮にとって「先行」使用の有用性は限られる
●また北朝鮮は、開戦を脅迫のオプションとして維持している。プーチンはウクライナとの戦争を始めてしまった結果、ウクライナに戦争を仕掛けると脅迫できなくなった。対照的に金正恩は戦争を保留していることで、戦争すると脅迫し続けられる。
●実際、2023年12月末、金正恩は「核兵器」を含む手段を動員して「南朝鮮全領土を平定する」準備を進めると演説しており、これは、開戦していないから可能な脅迫である。開戦を脅しに核を最大限に活用する手段は、開戦した後で核にエスカレートする先行使用ではなく、開戦が核使用を意味する先制であろう。
●劣勢の通常兵器で開戦すると脅迫しても信ぴょう性は低い。核兵器によって開戦する先制ドクトリンがあれば、金正恩が本当に発言通りに行動するかもしれないとの切迫感を韓国側に抱かせ得るのである。
///////////////////////////////////////////////////////
渡邊室長は論考の後半で・・・
●北朝鮮幹部が、韓国軍を「無慈悲にせん滅」するとか、韓国軍が北朝鮮を「先制打撃」すれば、核攻撃により「南朝鮮軍は壊滅、全滅に近い凄惨な運命」に直面するのであり「核保有国を相手とする軍事的妄想を控えねばならない」との発言をしていること、
●また、危険を招く現政権をなぜ韓国国民がそのままにするのかと述べ、文在政権時には「少なくともソウルは我々の標的ではなかった」と警告していることから、韓国市民への核攻撃を示唆して脅迫することに使用している・・・との見方も紹介しています
最近は特にNK内の食糧事情が厳しく、異常気象による水害多発等もあり、かりあげクンが政権幹部や軍部等による反逆やクーデターを真剣に懸念しているとの噂に接することが多いのですが、核兵器での「開戦」や「先制」カードをちらつかせるほど、内部的には弱みを見せることにつながっているのでは・・・といらぬ心配をしてしまいます
数少ない最近のNK関連記事
「北朝鮮からハマスへの武器提供」→https://holylandtokyo.com/2023/10/24/5166/
「水中核爆発津波兵器をアピール」→https://holylandtokyo.com/2023/03/27/4452/
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「いまや戦争の脅しは、核戦争の脅しにかわった。北朝鮮が戦争をしていないことは平和を必ずしも意味せず、戦争するとの脅迫が続くことでもあり得る。この強要戦略に必要なドクトリンが、核で戦争を始める先制である。」
8月6日付防衛研究所 NIDS コメンタリーで、渡邊式・地域研究部アジア・アフリカ研究室長が「北朝鮮の先制ドクトリンー核へのエスカレーションではなく、核で始まる戦争」との、やや難解な論考を発表していますで、想像をたくましくしながら、まんぐーすが少しアレンジしながら勝手な理解でご紹介します
まず、日本語の「先制」は単に先に攻撃を仕掛ける意味が含まれるが、本稿でいう「先制」は、英語 Preemptionの語意に従い、相手が攻撃に着手するなど差し迫った脅威を除去する行動を指している・・・との脚注1に留意して読む必要がある論考ですが、最近は誰も相手にしない北朝鮮が、通常兵器で米韓に大劣勢である状況や、韓国国民をも核「先制」攻撃の対象として脅迫するまでに追い込まれている現状を、改めて思い知らされる論考ですので取り上げます。
渡邊アジア・アフリカ研究室長によれば
●核兵器使用に関し、ロシアは「先行」使用(First Use、戦時に相手より先に核へのエスカレートをする方針)を 2020年6月にプーチンが署名した文書で明確に示し、ロシアは「国家の存在を危険にある」場合、「通常兵器」による攻撃に対しても核で報復し得るし、政府や軍の重要施設への攻撃があり、それが核戦力の行動を難しくするならば、敵の攻撃手段が核でなくてもロシアの対応は核によるものとなり得る、と表現している
●同様に北朝鮮も、2022年9月公式化のドクトリンでは、ほぼ同様な条件での「先行」使用を表明し、「国家指導部と国家核戦力指揮機構」に対する「核および非核攻撃」、あるいは「国家の重要戦略対象」への「軍事的攻撃」には、核兵器で対応すると表現していた。
●ただ北朝鮮がロシアと異なるのは、これら非核攻撃がまだ現実化していなくても、「差し迫った」ならぱ核兵器を使用するという、「先制」も表明している点である。北ドクトリンは、自らに対する「核兵器またはその他大量破壊兵器攻撃が敢行されるか、差し迫ったと判断される場合」に核を使用するとしている
●北朝鮮が「先行」だけでなく「先制」にまで踏み込んだのは、北朝鮮は通常戦力で米韓に対し著しく劣勢で、ロシアのように軍事攻撃のエスカレーションとして敵より先に核使用する形は難しく、北朝鮮にとって「先行」使用の有用性は限られる
●また北朝鮮は、開戦を脅迫のオプションとして維持している。プーチンはウクライナとの戦争を始めてしまった結果、ウクライナに戦争を仕掛けると脅迫できなくなった。対照的に金正恩は戦争を保留していることで、戦争すると脅迫し続けられる。
●実際、2023年12月末、金正恩は「核兵器」を含む手段を動員して「南朝鮮全領土を平定する」準備を進めると演説しており、これは、開戦していないから可能な脅迫である。開戦を脅しに核を最大限に活用する手段は、開戦した後で核にエスカレートする先行使用ではなく、開戦が核使用を意味する先制であろう。
●劣勢の通常兵器で開戦すると脅迫しても信ぴょう性は低い。核兵器によって開戦する先制ドクトリンがあれば、金正恩が本当に発言通りに行動するかもしれないとの切迫感を韓国側に抱かせ得るのである。
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渡邊室長は論考の後半で・・・
●北朝鮮幹部が、韓国軍を「無慈悲にせん滅」するとか、韓国軍が北朝鮮を「先制打撃」すれば、核攻撃により「南朝鮮軍は壊滅、全滅に近い凄惨な運命」に直面するのであり「核保有国を相手とする軍事的妄想を控えねばならない」との発言をしていること、
●また、危険を招く現政権をなぜ韓国国民がそのままにするのかと述べ、文在政権時には「少なくともソウルは我々の標的ではなかった」と警告していることから、韓国市民への核攻撃を示唆して脅迫することに使用している・・・との見方も紹介しています
最近は特にNK内の食糧事情が厳しく、異常気象による水害多発等もあり、かりあげクンが政権幹部や軍部等による反逆やクーデターを真剣に懸念しているとの噂に接することが多いのですが、核兵器での「開戦」や「先制」カードをちらつかせるほど、内部的には弱みを見せることにつながっているのでは・・・といらぬ心配をしてしまいます
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30機のB-52への核搭載回復改修はわすか7億円 [米空軍]
米議会の要求見基づき米空軍が試算
延長の見込み薄な新START条約失効の2026年見据え
8月2日付 Defense-News 記事は、2021年に何とか5年延長で合意したものの、ロシアの現状から再延長の可能性が極めて薄い新START条約(米露が締結の戦略兵器削減条約)の 2026年2月失効を予期し、米上下院がそれぞれ2025年度国防予算関連法案に盛り込もうとしている、新START条約に従って核兵器搭載装備を除去した30機のB-52 爆撃機(現在 B-52 保有数は計76機)を、再び搭載可能にする改修費が総額わずか7億円だと米空軍が試算したと紹介しています
2010年に米国が批准した新 START 条約は、「2018年までに、戦略核弾頭を 1550発まで、大陸間弾道ミサイル(ICBM)・潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)・戦略爆撃機等の配備数を700基まで削減する」ことを求めており、米国はこの条約履行のため、2015年に保有B-52爆撃機中の30機から、核搭載巡航ミサイルAGM-86B搭載機能を除去する措置を取りました
その後、同条約は2021年に難産の末に何とか5年延長に米露が同意しましたが、2022年2月のロシアのウクライナ侵略を経た2023年3月に、ロシアが一方的に「同条約の履行停止」を決定し、更に2024年6月の会議で米がに新START 後継協定交渉を申し入れたところ、ロシアが明確に交渉する意思がないことを示したとのことで、米議会が同条約破棄に備えた動きに出た模様です。
ただ米議会内には30機のB-52への核搭載能力回復には反対意見も根強く、政権与党の重鎮で、下院軍事委員会の委員長である民主党 Adam Smith 議員ら反対派は、今後の同条約や核兵器管理交渉を複雑化させる恐れがあると「条約延長あきらめ派」に懸念を表明しているところです
米国防省側は、米空軍が予定しているB-52延命のための大規模改修計画を複雑にしかねない「核搭載能力回復改修」には消極的なようですが、改修費用を試算した米空軍B-52担当室の副上級資材リーダーは7月30日、法案で提案されたスケジュール(2026年の条約失効後 1か月以内に改修を開始し、2029年までに完了)は達成可能と述べ、「延命&能力向上改修の作業に組み入れて実施することが恐らく可能だろう」、「回復作業のやり方は分かっており、比較的簡単だと言えるが、詳細には触れない」と発言しているところです
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////
30機の改修費用が7億円程度とは驚きですが、核兵器搭載可能な機体となることで必要になる特別な機体管理や要員の養成&管理などなど、米空軍にとっては様々な負担増が予想されます
核兵器は本当に管理の難しい兵器です。ミニットマンの後継システム開発が、米空軍を破壊しそうなほど難航している現状から見ても、兵器による物理的破壊の前に、扱う人の心を荒廃させるに十分な威力を持っています
30機のB-52に再度核搭載を求める
「上下院の議員団が動く」→https://holylandtokyo.com/2024/07/09/6053/
新START条約の2021年再延長ゴタゴタ
「露の条約不履行を米が非難」→https://holylandtokyo.com/2023/02/02/4251/
「露が土場再延長合意」→https://holylandtokyo.com/2021/01/23/305/
「ドタキャン後に延長表明?」→https://holylandtokyo.com/2020/10/19/435/
B-52 を大改修して「B-52J」へ
「2060年代まで現役に向け」→https://holylandtokyo.com/2024/02/27/5575/
「B-52Jへの熱い取り組み」→https://holylandtokyo.com/2023/10/19/5134/
「米空軍爆撃機部隊の今後」 →https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
次期ICBM 計画の超ドロ沼
「ずさん過ぎる米国防省再承認」→https://holylandtokyo.com/2024/07/10/6109/
「国防次官あきらめムード」→https://holylandtokyo.com/2024/06/05/5929/
「米空軍では対応不能」 -https://holylandtokyo.com/2024/03/01/5591/
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延長の見込み薄な新START条約失効の2026年見据え
8月2日付 Defense-News 記事は、2021年に何とか5年延長で合意したものの、ロシアの現状から再延長の可能性が極めて薄い新START条約(米露が締結の戦略兵器削減条約)の 2026年2月失効を予期し、米上下院がそれぞれ2025年度国防予算関連法案に盛り込もうとしている、新START条約に従って核兵器搭載装備を除去した30機のB-52 爆撃機(現在 B-52 保有数は計76機)を、再び搭載可能にする改修費が総額わずか7億円だと米空軍が試算したと紹介しています
2010年に米国が批准した新 START 条約は、「2018年までに、戦略核弾頭を 1550発まで、大陸間弾道ミサイル(ICBM)・潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)・戦略爆撃機等の配備数を700基まで削減する」ことを求めており、米国はこの条約履行のため、2015年に保有B-52爆撃機中の30機から、核搭載巡航ミサイルAGM-86B搭載機能を除去する措置を取りました
その後、同条約は2021年に難産の末に何とか5年延長に米露が同意しましたが、2022年2月のロシアのウクライナ侵略を経た2023年3月に、ロシアが一方的に「同条約の履行停止」を決定し、更に2024年6月の会議で米がに新START 後継協定交渉を申し入れたところ、ロシアが明確に交渉する意思がないことを示したとのことで、米議会が同条約破棄に備えた動きに出た模様です。
ただ米議会内には30機のB-52への核搭載能力回復には反対意見も根強く、政権与党の重鎮で、下院軍事委員会の委員長である民主党 Adam Smith 議員ら反対派は、今後の同条約や核兵器管理交渉を複雑化させる恐れがあると「条約延長あきらめ派」に懸念を表明しているところです
米国防省側は、米空軍が予定しているB-52延命のための大規模改修計画を複雑にしかねない「核搭載能力回復改修」には消極的なようですが、改修費用を試算した米空軍B-52担当室の副上級資材リーダーは7月30日、法案で提案されたスケジュール(2026年の条約失効後 1か月以内に改修を開始し、2029年までに完了)は達成可能と述べ、「延命&能力向上改修の作業に組み入れて実施することが恐らく可能だろう」、「回復作業のやり方は分かっており、比較的簡単だと言えるが、詳細には触れない」と発言しているところです
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30機の改修費用が7億円程度とは驚きですが、核兵器搭載可能な機体となることで必要になる特別な機体管理や要員の養成&管理などなど、米空軍にとっては様々な負担増が予想されます
核兵器は本当に管理の難しい兵器です。ミニットマンの後継システム開発が、米空軍を破壊しそうなほど難航している現状から見ても、兵器による物理的破壊の前に、扱う人の心を荒廃させるに十分な威力を持っています
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新START条約の2021年再延長ゴタゴタ
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B-52 を大改修して「B-52J」へ
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次期ICBM 計画の超ドロ沼
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紛争地域周辺で発生する民間機等へのGPS妨害 [安全保障全般]
波及効果(スピルオーバー)かハイブリッド攻撃かの判断が必要
ジュネーブ条約に沿った見極めが適当なのか?
東欧や北欧諸国での事例でケーススタディー
7月13日付共同通信が、世界の紛争地周辺で GPSなど衛星利用測位システムへの妨害が深刻化し、民間機が航路を外れたり、着陸できなかったりする事案や、地図アプリの不具合など近隣国の市民生活にも支障が出ていると取り上げ、トルコの首都アンカラや黒海沿岸、エジプトのシナイ半島、ミャンマーの国境付近では少なくとも過去半年間、GPS が不安定な状態が続いていると報じています。(注・・・中東シリア周辺では10年以上も)
また、原因は軍事拠点を無人機やミサイル攻撃から守るための紛争当事国による局地的な妨害行為であるが、ロシアのウクライナ侵攻やイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘開始以降に妨害が急増し、例えばFT 紙は今年4月だけで民間機も3万機が誤誘導を狙った妨害電波(スプーフィング)の影響を受けたと報じている模様です。
以下では、7月10日付米空軍協会 web 記事が掲載した、ロシアが発信源のGPS妨害電波により、バルト 3国や北欧・東欧諸国が影響を受けている状況と、その法的な解釈についてご紹介し、本問題への対処の難しさを考える機会としたいと思います
バルト 3国や北欧・東欧諸国が影響を受けている現状
●ロシア領内の地上から発言されたGPSと同周波数の強力な電波信号により、エストニア第2の規模のタルトゥ空港が閉鎖に追い込まれたり、民間航空機が迂回を余儀なくされる事態が、ラトビアとリトアニアの一部、バルト海を挟んだフィンランドとスウェーデン、さらには遠くはポーランドとドイツにも及んでいる
●分析によれば、妨害電波はラトビアとポーランドに挟まれたバルト海沿岸の港湾飛び地力 リーニングラードを含むロシア領内の地上 3か所から発信されている
●エストニア外相はこの妨害を、同国へのサイバー攻撃、同国内での倉庫や造船所での謎の火災など、NATO軍事行動を発動する第5条の基準にギリギリ抵触しない、ロシアによる「グレーゾーン」なハイブリッド戦争の一部だと非難し、スウェーデンとリトアニアの当局者も同じ立場で主張をしている
ロシアの周辺への GPS妨害は攻撃行為か?
●欧州の非政府系組織ハイブリッド CoE(ヘルシンキ所在のハイブリッド脅威対策研究センター)は、この妨害は、ロシアが自国軍や発電所など重要施設へのウクライナのGPS 誘導ドローン攻撃を阻止するために発信している妨害電波による波及効果(スピルオーバー)の可能性が高く、周辺の民航機や空港に危害を加える戦略的意図を持ったものではないことから、ハイブリット攻撃とは言えないとの見解を示している
●この見方については、米サイバー軍法務幹部を務めた軍事弁護士のサンガー退役海兵隊中佐など他の専門家も、ロシアの妨害が周辺国の地上に影響を与えていないことや、ロシアにとって GPSを使用するウクライナ軍は合法的な標的であることから、ハイブリット攻撃ではなく波及効果(スピルオーバー)で、ジュネーブ条約違反とは言い難いとみている
●ただ、NATO幹部は西側専門家の見解に理解を示しつつも、「ロシアの不注意な妨害活動」や「波及効果(スピルオーバー)に対する西側とは全く異なる無責任な判断基準」が、1日平均 350便の民間航空便に影響を与え、安全上のリスクとなっている現状を強く懸念し、米国や西側諸国は一般に、国際法で定められた基準よりも高い基準を自らに課していると主張している
ジュネーブ条約による解釈への疑問
●ジュネーブ条約は一般的に、戦闘員に対し、軍事攻撃や作戦が非戦闘員に与える影響が、それによって得られる軍事的利益よりも大きいかどうか、比較検討するよう義務付けている。バルト海周辺地域で見られたGPS妨害は、直接的な人命損失や財産の破壊を引き起こしていないため、たとえ経済的損失が深刻であったとしても、ジュネーブ条約に抵触しない可能性が高い
●ただ米国関係者は、エストニアで 2番目に大きな空港が閉鎖に追い込まれた事態を取り上げ、「ポストンやロサンゼルス国際空港が1か月閉鎖に追い込まれて、それを現代社会において波及効果(スピルオーバー)として見過ごすことができるだろうか」と強い疑問を投げかけている。
●別の専門家は、サイバー攻撃による被害と反撃強度の判断と同様に、グレーゾーン活動に付随する対応措置列度レベル判断の難しさを示す典型的な例だとし、GPS妨害について、いつ、どのようにハイブリッド活動だと特定するかの問題は、関連の対応も含め政治的リーダーシップの役割が最重要になると述べている。
/////////////////////////////////////////////
ここで議論の土台となっているジュネーブ条約など、戦争や紛争を議論する基礎となってきた基準が、現代の紛争議論に必ずしも適さなくなってきたことを示す、更なる事例ということでしょう
ところで、本題からは離れますが、冒頭でご紹介した共同通信による「世界の紛争地周辺でGPS妨害が深刻化」との記事は、ロシアやイスラム過激派によるGPS妨害活動が原因であることに全く触れておらず、共同通信の「中国や過激派(日本共産党を含む)に寄り添う」姿勢を明確に示している点でも興味深いです
GPS 妨害に備えて
「妨害に強いGPS衛星開発」→https://holylandtokyo.com/2024/02/25/5571/
「米陸軍の妨害対処 GPS機器が高評価」→https://holylandtokyo.com/2024/02/21/5559/
「GPS妨害に備え地磁気航法」→https://holylandtokyo.com/2023/06/13/4731/
「陸軍兵士がGPS なし訓練に苦労」→https://holylandtokyo.com/2022/12/22/4077/
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ジュネーブ条約に沿った見極めが適当なのか?
東欧や北欧諸国での事例でケーススタディー
7月13日付共同通信が、世界の紛争地周辺で GPSなど衛星利用測位システムへの妨害が深刻化し、民間機が航路を外れたり、着陸できなかったりする事案や、地図アプリの不具合など近隣国の市民生活にも支障が出ていると取り上げ、トルコの首都アンカラや黒海沿岸、エジプトのシナイ半島、ミャンマーの国境付近では少なくとも過去半年間、GPS が不安定な状態が続いていると報じています。(注・・・中東シリア周辺では10年以上も)
また、原因は軍事拠点を無人機やミサイル攻撃から守るための紛争当事国による局地的な妨害行為であるが、ロシアのウクライナ侵攻やイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘開始以降に妨害が急増し、例えばFT 紙は今年4月だけで民間機も3万機が誤誘導を狙った妨害電波(スプーフィング)の影響を受けたと報じている模様です。
以下では、7月10日付米空軍協会 web 記事が掲載した、ロシアが発信源のGPS妨害電波により、バルト 3国や北欧・東欧諸国が影響を受けている状況と、その法的な解釈についてご紹介し、本問題への対処の難しさを考える機会としたいと思います
バルト 3国や北欧・東欧諸国が影響を受けている現状
●ロシア領内の地上から発言されたGPSと同周波数の強力な電波信号により、エストニア第2の規模のタルトゥ空港が閉鎖に追い込まれたり、民間航空機が迂回を余儀なくされる事態が、ラトビアとリトアニアの一部、バルト海を挟んだフィンランドとスウェーデン、さらには遠くはポーランドとドイツにも及んでいる
●分析によれば、妨害電波はラトビアとポーランドに挟まれたバルト海沿岸の港湾飛び地力 リーニングラードを含むロシア領内の地上 3か所から発信されている
●エストニア外相はこの妨害を、同国へのサイバー攻撃、同国内での倉庫や造船所での謎の火災など、NATO軍事行動を発動する第5条の基準にギリギリ抵触しない、ロシアによる「グレーゾーン」なハイブリッド戦争の一部だと非難し、スウェーデンとリトアニアの当局者も同じ立場で主張をしている
ロシアの周辺への GPS妨害は攻撃行為か?
●欧州の非政府系組織ハイブリッド CoE(ヘルシンキ所在のハイブリッド脅威対策研究センター)は、この妨害は、ロシアが自国軍や発電所など重要施設へのウクライナのGPS 誘導ドローン攻撃を阻止するために発信している妨害電波による波及効果(スピルオーバー)の可能性が高く、周辺の民航機や空港に危害を加える戦略的意図を持ったものではないことから、ハイブリット攻撃とは言えないとの見解を示している
●この見方については、米サイバー軍法務幹部を務めた軍事弁護士のサンガー退役海兵隊中佐など他の専門家も、ロシアの妨害が周辺国の地上に影響を与えていないことや、ロシアにとって GPSを使用するウクライナ軍は合法的な標的であることから、ハイブリット攻撃ではなく波及効果(スピルオーバー)で、ジュネーブ条約違反とは言い難いとみている
●ただ、NATO幹部は西側専門家の見解に理解を示しつつも、「ロシアの不注意な妨害活動」や「波及効果(スピルオーバー)に対する西側とは全く異なる無責任な判断基準」が、1日平均 350便の民間航空便に影響を与え、安全上のリスクとなっている現状を強く懸念し、米国や西側諸国は一般に、国際法で定められた基準よりも高い基準を自らに課していると主張している
ジュネーブ条約による解釈への疑問
●ジュネーブ条約は一般的に、戦闘員に対し、軍事攻撃や作戦が非戦闘員に与える影響が、それによって得られる軍事的利益よりも大きいかどうか、比較検討するよう義務付けている。バルト海周辺地域で見られたGPS妨害は、直接的な人命損失や財産の破壊を引き起こしていないため、たとえ経済的損失が深刻であったとしても、ジュネーブ条約に抵触しない可能性が高い
●ただ米国関係者は、エストニアで 2番目に大きな空港が閉鎖に追い込まれた事態を取り上げ、「ポストンやロサンゼルス国際空港が1か月閉鎖に追い込まれて、それを現代社会において波及効果(スピルオーバー)として見過ごすことができるだろうか」と強い疑問を投げかけている。
●別の専門家は、サイバー攻撃による被害と反撃強度の判断と同様に、グレーゾーン活動に付随する対応措置列度レベル判断の難しさを示す典型的な例だとし、GPS妨害について、いつ、どのようにハイブリッド活動だと特定するかの問題は、関連の対応も含め政治的リーダーシップの役割が最重要になると述べている。
/////////////////////////////////////////////
ここで議論の土台となっているジュネーブ条約など、戦争や紛争を議論する基礎となってきた基準が、現代の紛争議論に必ずしも適さなくなってきたことを示す、更なる事例ということでしょう
ところで、本題からは離れますが、冒頭でご紹介した共同通信による「世界の紛争地周辺でGPS妨害が深刻化」との記事は、ロシアやイスラム過激派によるGPS妨害活動が原因であることに全く触れておらず、共同通信の「中国や過激派(日本共産党を含む)に寄り添う」姿勢を明確に示している点でも興味深いです
GPS 妨害に備えて
「妨害に強いGPS衛星開発」→https://holylandtokyo.com/2024/02/25/5571/
「米陸軍の妨害対処 GPS機器が高評価」→https://holylandtokyo.com/2024/02/21/5559/
「GPS妨害に備え地磁気航法」→https://holylandtokyo.com/2023/06/13/4731/
「陸軍兵士がGPS なし訓練に苦労」→https://holylandtokyo.com/2022/12/22/4077/
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米空軍トップが追加で推薦図書等4つを公開 [米空軍]
今年1月に4アイテム、4月に4つ、そして7月にも
無人機戦、マーシャル論、組織改革、リーダー組織運営
各推薦アイテムへのリンク付きでご紹介
7月1日付米空軍協会web記事が、米空軍参謀総長で空軍大改革をリードしているDavid W. Allvin大将の推薦ライブラリーに追加された、4アイテム(研究レポート、書籍2冊、Podcast)を紹介していますので、概要をお伝えします。
ウクライナ戦争における無人機技術や作戦運用と通じて最新の軍事技術が戦いに与える変化を学ぶシンクタンクCNASのレポート、米陸軍将軍から国防長官、そして国務長官としてWW2期に活躍したGeorge Marshall氏のリーダーシップ像、大学教授で経営コンサルタントによるリーダーの組織運営や活性化策に関する書籍と、より良い職場環境や職場チームの育成法に関するPodcastの4アイテムです
●CNASのウクライナでの無人機使用関連レポート
・以前所属したRAND研究所で米空軍関連プロジェクトを担当していた、現在はCNAS研究員による「Evolution not Revolution: Drone Warfare in Russia’s 2022 Invasion of Ukraine」とのレポート。Allvin参謀総長が「変化し続ける戦争の様相に関する洞察に富むレポート」だと推薦
・ウクライナでの露との戦いにおけるドローンの役割や活用に関する最新状況を、米国防省や米軍・NATO関係者や軍事専門家への聞き取りから取りまとめ独自に分析した報告。ドローンの群れより集積が重要(drone stacks over drone swarms)、長射程カミカゼ無人機の脅威、対ドローンシステム技術への分析が特徴の模様
●マーシャル将軍・国防&国務長官のリーダー像
・WW2期のリーダー像を描いてきた作家による「George Marshall: Defender of the Republic」との書籍。Allvin大将は「マーシャル氏のリーダーシップスタイルや意思決定プロセスから、米空軍兵士は戦略的計画や危機管理に関し多くを学ぶことができ、同時にリーダーシップ複雑な側面や人格の重要性に触れることができる」と推薦
・George Marshall氏はゲーツ元国防長官も繰り返し推薦してきたWW2当時の指導者で、軍人としてだけでなく、WW2後の欧州復興を導いた「マーシャルプラン」でも知られる人物
●ハーバード教授の最新リーダー像事例
・ハーバード大学ビジネススクール教授でコンサルタントの著者による「Leading Change」との書籍。Allvin大将は「変革と革新を追求する空軍兵士の必読本。複数の実例を通じ、様々な障害や組織の抵抗を乗り越え、組織リーダーが組織を導いていくプロセスを紹介。軍人リーダーが状況に応じた機敏で柔軟な対応を学ぶ材料」だと推薦
・著者の一連の組織改革やリーダーシップ論書籍の最初の物で、米空軍が取り組む改革の参考になると推薦
●職場環境改善や現場変革の参考に
・Allvin大将が推薦アイテムに最初に含め始めた「Podcast」媒体から、「Unveiling the Motivation Vacuum in the Workplace」とのエピソード。Allvin大将が「組織構成員それぞれを、チームとして一つの目標に向かって力を結集させ、かつその過程で組織の強さを育成するためのヒントが詰まっている。組織構成員のモチベーションを維持し高め、組織をより生産的な集団に変革する手がかりを提供」と推薦
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米空軍参謀総長に就任するまでに読んだ書籍の中から、就任時に参考図書として一度に紹介するのではなく、就任後に、その激務の中で触れた最新のアイテムを、3-4か月毎に3-4アイテムを継続して紹介していく事は、大変強い意志と決意が必要なことだと思いまし、そのこと自体が心ある米空軍人に強く響くと思います
2024年4月に追加の4アイテムは・・・
→https://www.airandspaceforces.com/new-csaf-reading-list-library-masters-of-the-air/
2024年1月最初に公表の4アイテムご紹介記事
「米空軍の大改革に向けて」→https://holylandtokyo.com/2024/01/31/5473/
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無人機戦、マーシャル論、組織改革、リーダー組織運営
各推薦アイテムへのリンク付きでご紹介
7月1日付米空軍協会web記事が、米空軍参謀総長で空軍大改革をリードしているDavid W. Allvin大将の推薦ライブラリーに追加された、4アイテム(研究レポート、書籍2冊、Podcast)を紹介していますので、概要をお伝えします。
ウクライナ戦争における無人機技術や作戦運用と通じて最新の軍事技術が戦いに与える変化を学ぶシンクタンクCNASのレポート、米陸軍将軍から国防長官、そして国務長官としてWW2期に活躍したGeorge Marshall氏のリーダーシップ像、大学教授で経営コンサルタントによるリーダーの組織運営や活性化策に関する書籍と、より良い職場環境や職場チームの育成法に関するPodcastの4アイテムです
●CNASのウクライナでの無人機使用関連レポート
・以前所属したRAND研究所で米空軍関連プロジェクトを担当していた、現在はCNAS研究員による「Evolution not Revolution: Drone Warfare in Russia’s 2022 Invasion of Ukraine」とのレポート。Allvin参謀総長が「変化し続ける戦争の様相に関する洞察に富むレポート」だと推薦
・ウクライナでの露との戦いにおけるドローンの役割や活用に関する最新状況を、米国防省や米軍・NATO関係者や軍事専門家への聞き取りから取りまとめ独自に分析した報告。ドローンの群れより集積が重要(drone stacks over drone swarms)、長射程カミカゼ無人機の脅威、対ドローンシステム技術への分析が特徴の模様
●マーシャル将軍・国防&国務長官のリーダー像
・WW2期のリーダー像を描いてきた作家による「George Marshall: Defender of the Republic」との書籍。Allvin大将は「マーシャル氏のリーダーシップスタイルや意思決定プロセスから、米空軍兵士は戦略的計画や危機管理に関し多くを学ぶことができ、同時にリーダーシップ複雑な側面や人格の重要性に触れることができる」と推薦
・George Marshall氏はゲーツ元国防長官も繰り返し推薦してきたWW2当時の指導者で、軍人としてだけでなく、WW2後の欧州復興を導いた「マーシャルプラン」でも知られる人物
●ハーバード教授の最新リーダー像事例
・ハーバード大学ビジネススクール教授でコンサルタントの著者による「Leading Change」との書籍。Allvin大将は「変革と革新を追求する空軍兵士の必読本。複数の実例を通じ、様々な障害や組織の抵抗を乗り越え、組織リーダーが組織を導いていくプロセスを紹介。軍人リーダーが状況に応じた機敏で柔軟な対応を学ぶ材料」だと推薦
・著者の一連の組織改革やリーダーシップ論書籍の最初の物で、米空軍が取り組む改革の参考になると推薦
●職場環境改善や現場変革の参考に
・Allvin大将が推薦アイテムに最初に含め始めた「Podcast」媒体から、「Unveiling the Motivation Vacuum in the Workplace」とのエピソード。Allvin大将が「組織構成員それぞれを、チームとして一つの目標に向かって力を結集させ、かつその過程で組織の強さを育成するためのヒントが詰まっている。組織構成員のモチベーションを維持し高め、組織をより生産的な集団に変革する手がかりを提供」と推薦
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米空軍参謀総長に就任するまでに読んだ書籍の中から、就任時に参考図書として一度に紹介するのではなく、就任後に、その激務の中で触れた最新のアイテムを、3-4か月毎に3-4アイテムを継続して紹介していく事は、大変強い意志と決意が必要なことだと思いまし、そのこと自体が心ある米空軍人に強く響くと思います
2024年4月に追加の4アイテムは・・・
→https://www.airandspaceforces.com/new-csaf-reading-list-library-masters-of-the-air/
2024年1月最初に公表の4アイテムご紹介記事
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タグ:推薦図書 Allvin空軍参謀総長
1953年以降に空襲で死亡した米国人はいなかったが [米空軍]
1月のイスラム過激派ドローン空襲で米兵3名死亡
「1953年以降、空襲で死亡した米国人は皆無」は過去の栄光に
今こそ「航空優勢を再考し、次の戦いに備えるべき」
7月29日、Slife米空軍副参謀総長がミッチェル研究所で講演し、ロシア・ウクライナ戦争やイラク&シリア&イスラエル等の状況、更にフーシ派との戦いを踏まえ、小型で低コストのドローンが航空優勢(Air Superiority)概念に与える影響を再考する必要があると、米空軍首脳が最近言及し始めた課題について改めて語っています。まんぐーす的に言わせてもらえば、「戦闘機支配時代の終わりの始まり」議論です
同副参謀総長は具体的に、今年1月にヨルダン国内に設置の強固に防御された米軍拠点がイスラム過激派のドローン攻撃を受けて3名の米軍兵士が死亡し、「1953年以降、空装で死亡した米国人はいない」との米空軍の栄光とプライドを根本から否定する事態が発生していることに触れ、危機感を訴えています
29日付米空軍協会web記事はSlife大将発言を
●1953年以降、空襲で死亡した米国人はいないと我々は主張していたが、もうその主張はできない。航空優勢がどのようなものなのかを再考する必要に迫られている。朝鮮戦争時の 1953年には、鴨緑江上空3万フィートを支配していればよかったかもしれないが、手榴弾をつり下げた高度 3000フィート以下で飛行してくる無人小型ヘリの脅威も考慮しなければならない時代に我々はいる
●小型無人機は低空飛行し、レーダー反射面積が小さいため探知が難しく、高度な技術を持つ敵が大量に使用する可能性もあり、米空軍と米国の同盟国に深刻なジレンマをもたらしている。更にドローンは米国と同盟国に高価な戦闘機や迎撃ミサイルで対抗することを強い、不釣り合いなコストを負担させる
●2023年 10月以来、上記地域全体での170回を超える小型無人機、ロケット、ミサイル攻撃により、数十人のアメリカ軍人が負傷し、3人が死亡した。また7月初旬にはイエメンのフーシ派が、1000マイル以上飛行侵攻した無人攻撃機でイスラエルのテルアビブを攻撃し、民間人1人を殺害するに至っている
●WW2を振り返るとき、そこでの戦いの革新や新兵器の萌芽は、スペイン内戦やWW2前の各種紛争で確認することが出来る。我々が次の大規模戦争に備えるとしたら、ウクライナや中東やイスラエルで起こっているドローンを巡る現状を真摯に分析し、今後の航空優勢がどのようなものになるか、そして航空優勢をどのように達成するかについて、考える必要がある
/////////////////////////////////////////////
この後 Slife 大将は、米空軍が現在取り組んでいる無人ウイングマン機やネットワーク活用やAIと連携した態勢強化について語っていますが、まんぐーすの印象では全く対策にはなっておらず、現在の予算案を懸命に擁護している的外れな内容で、響くものがありません
一方で Melissa Dalton 米空軍次官は最近の講演で、「米国防省、特に米空軍は量より質を追求してきたが、量が生み出す質について考慮する必要があるのでは・・・」と語っており、本当は言いたいことが一杯あるんだろうな・・・感じさせます
米空軍のよりどころであり存在感を示す事実、「1953年以降、空襲で死亡した米国人はいない」が木っ端微塵となって「過去の業光」となった今、そして戦闘機が確保可能な高度1~3万フィート前後の高高度「航空優勢」ではなく、無人機が暴れまわる3千フィート以下の低高度「航空優勢」がクローズアップされる容赦ない現実が突きつけられた今、戦闘機命派はどのような末路をたどるのでしょうか・・・
航空優勢を考える
「米空軍トップ=航空優勢は重要だが不可能だし必要もない」 →https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02109/2703/
何を考えているのやら・・
「NATO9か国戦闘機が Gun のみ空中戦訓練」→https://holylandtokyo.com/2024/07/02/6023/
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「1953年以降、空襲で死亡した米国人は皆無」は過去の栄光に
今こそ「航空優勢を再考し、次の戦いに備えるべき」
7月29日、Slife米空軍副参謀総長がミッチェル研究所で講演し、ロシア・ウクライナ戦争やイラク&シリア&イスラエル等の状況、更にフーシ派との戦いを踏まえ、小型で低コストのドローンが航空優勢(Air Superiority)概念に与える影響を再考する必要があると、米空軍首脳が最近言及し始めた課題について改めて語っています。まんぐーす的に言わせてもらえば、「戦闘機支配時代の終わりの始まり」議論です
同副参謀総長は具体的に、今年1月にヨルダン国内に設置の強固に防御された米軍拠点がイスラム過激派のドローン攻撃を受けて3名の米軍兵士が死亡し、「1953年以降、空装で死亡した米国人はいない」との米空軍の栄光とプライドを根本から否定する事態が発生していることに触れ、危機感を訴えています
29日付米空軍協会web記事はSlife大将発言を
●1953年以降、空襲で死亡した米国人はいないと我々は主張していたが、もうその主張はできない。航空優勢がどのようなものなのかを再考する必要に迫られている。朝鮮戦争時の 1953年には、鴨緑江上空3万フィートを支配していればよかったかもしれないが、手榴弾をつり下げた高度 3000フィート以下で飛行してくる無人小型ヘリの脅威も考慮しなければならない時代に我々はいる
●小型無人機は低空飛行し、レーダー反射面積が小さいため探知が難しく、高度な技術を持つ敵が大量に使用する可能性もあり、米空軍と米国の同盟国に深刻なジレンマをもたらしている。更にドローンは米国と同盟国に高価な戦闘機や迎撃ミサイルで対抗することを強い、不釣り合いなコストを負担させる
●2023年 10月以来、上記地域全体での170回を超える小型無人機、ロケット、ミサイル攻撃により、数十人のアメリカ軍人が負傷し、3人が死亡した。また7月初旬にはイエメンのフーシ派が、1000マイル以上飛行侵攻した無人攻撃機でイスラエルのテルアビブを攻撃し、民間人1人を殺害するに至っている
●WW2を振り返るとき、そこでの戦いの革新や新兵器の萌芽は、スペイン内戦やWW2前の各種紛争で確認することが出来る。我々が次の大規模戦争に備えるとしたら、ウクライナや中東やイスラエルで起こっているドローンを巡る現状を真摯に分析し、今後の航空優勢がどのようなものになるか、そして航空優勢をどのように達成するかについて、考える必要がある
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この後 Slife 大将は、米空軍が現在取り組んでいる無人ウイングマン機やネットワーク活用やAIと連携した態勢強化について語っていますが、まんぐーすの印象では全く対策にはなっておらず、現在の予算案を懸命に擁護している的外れな内容で、響くものがありません
一方で Melissa Dalton 米空軍次官は最近の講演で、「米国防省、特に米空軍は量より質を追求してきたが、量が生み出す質について考慮する必要があるのでは・・・」と語っており、本当は言いたいことが一杯あるんだろうな・・・感じさせます
米空軍のよりどころであり存在感を示す事実、「1953年以降、空襲で死亡した米国人はいない」が木っ端微塵となって「過去の業光」となった今、そして戦闘機が確保可能な高度1~3万フィート前後の高高度「航空優勢」ではなく、無人機が暴れまわる3千フィート以下の低高度「航空優勢」がクローズアップされる容赦ない現実が突きつけられた今、戦闘機命派はどのような末路をたどるのでしょうか・・・
航空優勢を考える
「米空軍トップ=航空優勢は重要だが不可能だし必要もない」 →https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02109/2703/
何を考えているのやら・・
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企業幹部:米海軍第6世代機計画変更の知らせはない [Joint・統合参謀本部]
NG社CEO、海軍はまだFA-XXの勝者を選考中と発言
「米海軍の予算削減検討は承知も、FA-XX計画変更の連絡なし」
7月25日、Northrop Grumman社CEOのKathy Warden氏が四半期決算説明会の席で、米海軍が 2025年度予算案で第6世代戦闘機FA-XX計画予算を削減していることに関し、米海軍が2025年にFA-XX製造会社を選定する予定までも変更したとは聞いていない、と述べました
具体的には同CEOは、「米海軍がアプローチ方針を変更したことを示すような知らせは受けていない。 我々は 2025年に結論が出る(FA-XX開発&製造企業の)選定に向けて現在競争中だ」と語った、と7月25日付 DefenseOne記事は紹介しています。
また同CEOは、「全般状況からして、わが社は国防省が6世代機を推進すると引き続き信じている。予算の優先順位整理のため、タイミングはやや流動的だが、彼らが前進する時、そしもし前進するならば、我々は良い位置にいると確信している」とも語った模様です。
//////////////////////////////////////
Northrop Grumman 社は2023年、米空軍の次世代制空機NGAD 計画への選定競争に参加しないと発表し、ボーイングとロッキード・マーティンのみが空軍計画受注を争っていますが、FA-18 スーパーホーネットの後継機となる米海軍のFA-XX 計画では競争を続ける意向を示しています。
現在、戦闘機を製造している米国企業はロッキード社とボーイング社の 2社のみですが、Northrop Grumman社は米空軍のB-21爆撃機を製造し、ロッキードのF-35 やボーイングのFA-18にも多くの部品を供給しており、自社の戦闘機製造ウハウ継承のためにも、FA-XXへの思いは相当のものがある模様です。
ただ米海軍に関して言えば、2024年に入って2025年度予算案で FIA-XX関連部分を既に10億ドル削減していますが、議員からは更なる削減要求が出ているところです。
また、米空軍はここ数力月、1機あたり450億円との概算価格を前に、自らの次世代戦闘機計画に疑問を投げかけ、空軍長官や参謀総長は要求性能や任務分担の根本的見直しの必要性を示唆するなど、近未来での前進が困難な雰囲気を漂わせています。
米海軍も米空軍も、そろそろ戦闘機に関して「年の納め時」なのかもしれません・・・。しみじみ思います
米空軍は次世代制空機 NGADに弱気
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/
米海軍の FIA-XX関連(2020年の記事ですが)
「FA-XXの構想進まず」→https://holylandtokyo.com/2020/06/30/634/
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「米海軍の予算削減検討は承知も、FA-XX計画変更の連絡なし」
7月25日、Northrop Grumman社CEOのKathy Warden氏が四半期決算説明会の席で、米海軍が 2025年度予算案で第6世代戦闘機FA-XX計画予算を削減していることに関し、米海軍が2025年にFA-XX製造会社を選定する予定までも変更したとは聞いていない、と述べました
具体的には同CEOは、「米海軍がアプローチ方針を変更したことを示すような知らせは受けていない。 我々は 2025年に結論が出る(FA-XX開発&製造企業の)選定に向けて現在競争中だ」と語った、と7月25日付 DefenseOne記事は紹介しています。
また同CEOは、「全般状況からして、わが社は国防省が6世代機を推進すると引き続き信じている。予算の優先順位整理のため、タイミングはやや流動的だが、彼らが前進する時、そしもし前進するならば、我々は良い位置にいると確信している」とも語った模様です。
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Northrop Grumman 社は2023年、米空軍の次世代制空機NGAD 計画への選定競争に参加しないと発表し、ボーイングとロッキード・マーティンのみが空軍計画受注を争っていますが、FA-18 スーパーホーネットの後継機となる米海軍のFA-XX 計画では競争を続ける意向を示しています。
現在、戦闘機を製造している米国企業はロッキード社とボーイング社の 2社のみですが、Northrop Grumman社は米空軍のB-21爆撃機を製造し、ロッキードのF-35 やボーイングのFA-18にも多くの部品を供給しており、自社の戦闘機製造ウハウ継承のためにも、FA-XXへの思いは相当のものがある模様です。
ただ米海軍に関して言えば、2024年に入って2025年度予算案で FIA-XX関連部分を既に10億ドル削減していますが、議員からは更なる削減要求が出ているところです。
また、米空軍はここ数力月、1機あたり450億円との概算価格を前に、自らの次世代戦闘機計画に疑問を投げかけ、空軍長官や参謀総長は要求性能や任務分担の根本的見直しの必要性を示唆するなど、近未来での前進が困難な雰囲気を漂わせています。
米海軍も米空軍も、そろそろ戦闘機に関して「年の納め時」なのかもしれません・・・。しみじみ思います
米空軍は次世代制空機 NGADに弱気
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/
米海軍の FIA-XX関連(2020年の記事ですが)
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緊縮財政下のギリシャまでF-35購入へ [安全保障全般]
8月15日と16日はお休みします
財政破綻から回復途上で5年もの交渉の末に
まず20機で40機まで増加のオプション付き
米国含め19か国目のF-35契約国に
7月25日、ギリシャ国防省が米国とF-35導入交渉で合意に達したと発表し、具体的には2028年から機体提供開始、少なくとも20機を関連整備機材や初度部品等を含め約5300億円で、また追加オプションとして計40機までを約1兆3000億円で話がまとまったと明らかにしました。これでF-35導入に合意した国は、米国も含め19か国となります
ギリシャは2009年に表面化した財政悪化とポピュリズム政権誕生を受け「国家の破綻処理」まで検討された国で、当時は労働者の1/4が国家公務員で、財政悪化にもかかわらず公務員給与を毎年引き上げる大衆迎合政治が行われ、更に55歳から年金支給開始との甘々な放漫財政運営でした。その後EUからの「強い外圧」で財政改革を迫られ、徐々にその効果が見え始め、2023年9月にギリシャ国債が久しぶりに投資適格レベルの「トリプルB」に回復したところです。
ただ、依然としてギリシャのGDPはピーク時から3割減レベルにあり、またEU「外圧」による厳しい緊縮財政により、例えばごみ回収や様々な公共サービスが混乱状態で、アテネなど重要産業である観光を支える中心都市でも市街地にごみが散乱して治安が悪化する等、悲惨な社会状態にあることが漏れ聞こえてくる状態です
そんな中でのギリシャF-35導入合意ですが、ギリシャ政府は長年国境をめぐる係争を続けているトルコが、F-35導入には失敗したものの、F-16能力向上改修を縮小しEurofighter Typhoons戦闘機導入検討を示唆する動きに出ていることもあり、15年以上も事実上放置されてきた国防強化&投資に乗り出そうとしていると、7月25日付米空軍協会web記事は紹介しています
現在ギリシャ空軍は、F-16 Block 52数十機(大部分をF-16Vに改修中)を中心に、仏空軍の中古機を含むMirage 2000やRafaleを30機程度運用していますが、能力向上対象外のF-16や仏製戦闘機の売却を検討中と報じられており、ウクライナを含む国が相手先候補となっている模様です
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今もEU監視下で財政再建中のギリシャがなぜF-35???・・・と不思議な気がしていましたが、なんと同じNATO加盟国のトルコとの対立が背景の一つにあるとのこと。米国もロッキードも産軍複合体もめちゃくちゃですねぇ・・・。アジアのタイには厳しいくせに・・・
なお、2023年9月にF-35導入を政府決定したルーマニアが19か国目だと思っていましたが、まだ価格交渉がまとまっておらず9月まで米国との合意がづれ混む模様で、ギリシャがお先に19か国目になった模様です
ギリシャ観光を考えておられる方は、十分ご注意ください。相当治安がひどいみたいですから。また米民主党の大統領候補になりそうなカマラ・ハリス女史が司法長官を務めていた米カリフォルニア州も、サンフランシスコやロスを中心に、治安崩壊&企業や商業施設撤退で、相当混乱しているようです。野球の大谷翔平&ドジャース試合観戦目的の方も、警戒を怠りなく
【ご参考】ギリシャ以前のF-35導入合意国(購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(10か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、チェコ(24機)
最近のF-35関連話題の国
「ルーマニアも」→https://holylandtokyo.com/2023/04/18/4519/
「シンガポール追加」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
「カナダがやっと決定」→https://holylandtokyo.com/2023/01/12/4134/
「チェコが東欧で2番目」→https://holylandtokyo.com/2022/07/25/3492/
「フィンランドが15番目」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「スイスが14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
「ドイツも核任務用に」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
購入実質拒否された軍事政権で中国接近のタイ
「タイの購入打診は拒否」→https://holylandtokyo.com/2023/05/30/4702/
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財政破綻から回復途上で5年もの交渉の末に
まず20機で40機まで増加のオプション付き
米国含め19か国目のF-35契約国に
7月25日、ギリシャ国防省が米国とF-35導入交渉で合意に達したと発表し、具体的には2028年から機体提供開始、少なくとも20機を関連整備機材や初度部品等を含め約5300億円で、また追加オプションとして計40機までを約1兆3000億円で話がまとまったと明らかにしました。これでF-35導入に合意した国は、米国も含め19か国となります
ギリシャは2009年に表面化した財政悪化とポピュリズム政権誕生を受け「国家の破綻処理」まで検討された国で、当時は労働者の1/4が国家公務員で、財政悪化にもかかわらず公務員給与を毎年引き上げる大衆迎合政治が行われ、更に55歳から年金支給開始との甘々な放漫財政運営でした。その後EUからの「強い外圧」で財政改革を迫られ、徐々にその効果が見え始め、2023年9月にギリシャ国債が久しぶりに投資適格レベルの「トリプルB」に回復したところです。
ただ、依然としてギリシャのGDPはピーク時から3割減レベルにあり、またEU「外圧」による厳しい緊縮財政により、例えばごみ回収や様々な公共サービスが混乱状態で、アテネなど重要産業である観光を支える中心都市でも市街地にごみが散乱して治安が悪化する等、悲惨な社会状態にあることが漏れ聞こえてくる状態です
そんな中でのギリシャF-35導入合意ですが、ギリシャ政府は長年国境をめぐる係争を続けているトルコが、F-35導入には失敗したものの、F-16能力向上改修を縮小しEurofighter Typhoons戦闘機導入検討を示唆する動きに出ていることもあり、15年以上も事実上放置されてきた国防強化&投資に乗り出そうとしていると、7月25日付米空軍協会web記事は紹介しています
現在ギリシャ空軍は、F-16 Block 52数十機(大部分をF-16Vに改修中)を中心に、仏空軍の中古機を含むMirage 2000やRafaleを30機程度運用していますが、能力向上対象外のF-16や仏製戦闘機の売却を検討中と報じられており、ウクライナを含む国が相手先候補となっている模様です
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今もEU監視下で財政再建中のギリシャがなぜF-35???・・・と不思議な気がしていましたが、なんと同じNATO加盟国のトルコとの対立が背景の一つにあるとのこと。米国もロッキードも産軍複合体もめちゃくちゃですねぇ・・・。アジアのタイには厳しいくせに・・・
なお、2023年9月にF-35導入を政府決定したルーマニアが19か国目だと思っていましたが、まだ価格交渉がまとまっておらず9月まで米国との合意がづれ混む模様で、ギリシャがお先に19か国目になった模様です
ギリシャ観光を考えておられる方は、十分ご注意ください。相当治安がひどいみたいですから。また米民主党の大統領候補になりそうなカマラ・ハリス女史が司法長官を務めていた米カリフォルニア州も、サンフランシスコやロスを中心に、治安崩壊&企業や商業施設撤退で、相当混乱しているようです。野球の大谷翔平&ドジャース試合観戦目的の方も、警戒を怠りなく
【ご参考】ギリシャ以前のF-35導入合意国(購入予定機数)
●共同開発国(8か国)
豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(88機)
トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された
●FMS購入国(10か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)、チェコ(24機)
最近のF-35関連話題の国
「ルーマニアも」→https://holylandtokyo.com/2023/04/18/4519/
「シンガポール追加」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
「カナダがやっと決定」→https://holylandtokyo.com/2023/01/12/4134/
「チェコが東欧で2番目」→https://holylandtokyo.com/2022/07/25/3492/
「フィンランドが15番目」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「スイスが14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
「ドイツも核任務用に」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
購入実質拒否された軍事政権で中国接近のタイ
「タイの購入打診は拒否」→https://holylandtokyo.com/2023/05/30/4702/
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在韓米軍も戦闘機の配備変更へ!? [米空軍]
F-16戦闘機をソウル近郊のNK境界線近くに9機移動
機数を増強した「Super Squadron」を編制とか
嘉手納や三沢と共に一連の太平洋空軍の戦闘機再編か
7月23日付米空軍協会web記事が、7月19日米空軍発表(Kunsan基地第7空軍発表の形で)を取り上げ、韓国南部Kunsan空軍基地所属F-16戦闘機の一部9機を、北朝鮮との境界線から僅か約90㎞でソウル近郊のOsan基地に約180㎞北方へ移動させ、Osan基地所属22機のF-16と併せて31機の「スーパー飛行隊:Super Squadron」編成への移行を開始したと報じています。
ただ第7空軍の発表はあくまで、「Super Squadron」の31機編成が訓練実施面や機体維持整備面で効率的かどうかを確認する「約1年間にわたるテスト:a yearlong test」のための、F-16戦闘機の「一時的な移動:temporary shift」だとなっており、北朝鮮への刺激を避けるためか、韓国政府との協議の末の「あいまい」方針なのか、本当に「テスト」だけなのか不明ですが、約150名の操縦者や整備員等々もOsan基地に移動すると紹介しています
しかし23日付米空軍協会web記事は、太平洋空軍が2023年9月に発表した「PACAF’s 2030 Strategy」(現在の戦力配置は約70年前の戦略環境に基づき決定されたもので、現状には不適切・・・との認識が基礎の戦略)に基づく戦力の再編・再配置の一環だとF-16の移動を紹介しており、追加背景としてOsan基地所属の老朽化が著しいA-10攻撃機の退役を米空軍が急いでいる事にも触れています。
また同記事は、7月3日に米国防省が発表した在日米軍戦闘機配備の変更も同じ流れだとし、改めて「Over the next several years」に実施される以下の計画に言及しています
●嘉手納基地:48機のF-15C → 36機のF-15EX
●三沢基地:36機のF-16 → 48機のF-35A
●岩国海兵隊F-35B型(2022年5月から32機体制)→「米海兵隊全体の戦力配備の近代化推進に伴い、F-35B配備機数を変更」
///////////////////////////////////////////
わずか9機のF-16戦闘機の移動で、機動性の高い戦闘機の移動で大騒ぎする必要はないと思うのですが、米国が韓国をどのように扱うのか、北朝鮮との関係をどのようにするのかを考える一つの材料としてご紹介しておきます
それにしても・・・経済崩壊が避けられない崖っぷちにある韓国で、再び反米&反日勢力が盛り返しているようですが、中国と並んでどのような国家崩壊ぶりを世界に晒すことになるのでしょうか・・・。日本への影響が避けられない大事件なのですが・・・
「米国が在日米軍戦闘機変更を発表」→https://holylandtokyo.com/2024/07/05/6097/
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機数を増強した「Super Squadron」を編制とか
嘉手納や三沢と共に一連の太平洋空軍の戦闘機再編か
7月23日付米空軍協会web記事が、7月19日米空軍発表(Kunsan基地第7空軍発表の形で)を取り上げ、韓国南部Kunsan空軍基地所属F-16戦闘機の一部9機を、北朝鮮との境界線から僅か約90㎞でソウル近郊のOsan基地に約180㎞北方へ移動させ、Osan基地所属22機のF-16と併せて31機の「スーパー飛行隊:Super Squadron」編成への移行を開始したと報じています。
ただ第7空軍の発表はあくまで、「Super Squadron」の31機編成が訓練実施面や機体維持整備面で効率的かどうかを確認する「約1年間にわたるテスト:a yearlong test」のための、F-16戦闘機の「一時的な移動:temporary shift」だとなっており、北朝鮮への刺激を避けるためか、韓国政府との協議の末の「あいまい」方針なのか、本当に「テスト」だけなのか不明ですが、約150名の操縦者や整備員等々もOsan基地に移動すると紹介しています
しかし23日付米空軍協会web記事は、太平洋空軍が2023年9月に発表した「PACAF’s 2030 Strategy」(現在の戦力配置は約70年前の戦略環境に基づき決定されたもので、現状には不適切・・・との認識が基礎の戦略)に基づく戦力の再編・再配置の一環だとF-16の移動を紹介しており、追加背景としてOsan基地所属の老朽化が著しいA-10攻撃機の退役を米空軍が急いでいる事にも触れています。
また同記事は、7月3日に米国防省が発表した在日米軍戦闘機配備の変更も同じ流れだとし、改めて「Over the next several years」に実施される以下の計画に言及しています
●嘉手納基地:48機のF-15C → 36機のF-15EX
●三沢基地:36機のF-16 → 48機のF-35A
●岩国海兵隊F-35B型(2022年5月から32機体制)→「米海兵隊全体の戦力配備の近代化推進に伴い、F-35B配備機数を変更」
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わずか9機のF-16戦闘機の移動で、機動性の高い戦闘機の移動で大騒ぎする必要はないと思うのですが、米国が韓国をどのように扱うのか、北朝鮮との関係をどのようにするのかを考える一つの材料としてご紹介しておきます
それにしても・・・経済崩壊が避けられない崖っぷちにある韓国で、再び反米&反日勢力が盛り返しているようですが、中国と並んでどのような国家崩壊ぶりを世界に晒すことになるのでしょうか・・・。日本への影響が避けられない大事件なのですが・・・
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米宇宙軍が兵士の活動サイクルを刷新 [サイバーと宇宙]
創設期の「常に全力」から「リズムと本格紛争準備」重視へ
24週間(5か月)で3つのフェーズをローテーション
休養&基礎訓練→本格紛争訓練&演習→実任務
上記3フェーズを3週間→6週間→15週間で
7月1日米宇宙軍は、2019年12月創設以来の「常に全力で取り組む:all-in, all-the-time」との戦力維持生成モデル(SPAFORGEN:Space Force Generation Model)を改め、「準備、即応、投入:prepare, ready, and commit」の3フェーズのローテーション方式を全部隊でタイミングをそろえる形で導入し、戦力を各地域担当コマンド等に派遣すると発表しました
米宇宙軍の発表や各種報道を総合すると、「その心」は、宇宙軍草創期には全てのリソースが不足する中で任務を遂行する必要があり、とりあえず全力で目の前の仕事に取り組んできたが、「日々の恒常業務に追われ、本格紛争に備えた高度な訓練や演習が不十分」で、かつ「オン・オフのメリハリがない」状態となっており、この現状を一掃するために宇宙軍独自の戦力維持生成モデル(SPAFORGEN)やサイクル導入を決定したということです
米空軍も最近、対テロ作戦で疲弊し、本格紛争への備えが懸念される部隊状態を問題視し、AFORGEN(Air Force Generation Model)を改め、4フェーズを各4か月間(16か月で1ローテーション)に設定し、「メリハリと本格紛争への備え」を重視する方針を打ち出していますが、
米宇宙軍部隊は、基本的に大規模な装備輸送を伴う機動展開は行わず、「母基地での業務」や「人員と軽易な装備での展開」が主流なため、1ローテーション期間を5か月間と短く設定し、その中で3フェーズ(準備、即応、投入:prepare, ready, and commit)を以下の要領で回すとのことです
●3フェーズはそれぞれ期間が異なる
・Prepare準備(3週間21日) →休養と一般基礎教育や基礎訓練
・Ready 即応(6週間42日)→本格訓練や演習、任務準備態勢の評価
・Commit 投入(15週間105日)→実任務対応
●8つのチームがあると仮定すると、5チームが「Commit 投入」で、3チームが「Prepare準備又はReady 即応」状態となる
宇宙軍現場の実態として、実任務対応に従事する「Commit 投入」間は、「地道な恒常業務の繰り返しであることが多く、中露を相手と想定した本格的紛争を想定した能力向上にはつながりにくい」状態にあることから、明確に「Ready 即応」期間を設定することで、各部隊やチームや兵士個々の能力向上を確実に進めたいとの強い思いが宇宙軍首脳陣にあるようです
また、このようなサイクルを宇宙軍内の一部部隊は採用していたようですが、その期間などがバラバラで、各地域担当コマンドや機能コマンドに戦力を派遣した際に、現場の運用がうまくいかなかった反省も背景にあるようです。
ただ、「言うは易し、行うは難し」で、米宇宙軍部隊を構成する様々な部隊(情報収集&分析、サイバー、宇宙システム運用、システム維持、各種装備導入などなど)の現状や任務要求はまちまちで、米宇宙軍トップ(Chief of Space Operations)のSaltzman大将も本変革を「宇宙軍の設立以降で最も劇的な変化となる」と述べ、同時に「背景にある問題点を解決し、改革に必要な資源を確保してローテーションをうまく回転させるまでには時間がかかるだろう」と率直に述べているところです
///////////////////////////////////////
2019年12月の米宇宙軍創設から現在までの「戦力維持生成モデル(SPAFORGEN)」と比較してご紹介できれば良いのですが、気力体力の限界で中途半端な説明で終わっています。申し訳ありません
まんぐーすは米宇宙軍の方とお会いしたことやお話したことが無いのですが、どんな雰囲気の部隊なんでしょうか・・・。気になるところです
米宇宙軍の人に関する記事
「パートタイム勤務導入へ」→https://holylandtokyo.com/2024/01/30/5479/
「攻撃部隊を語る」→https://holylandtokyo.com/2024/01/17/5424/
「衛星衝突防止を担う18SDS」→https://holylandtokyo.com/2023/12/07/5292/
「電子戦EW演習拡大」→https://holylandtokyo.com/2023/11/02/5124/
「同盟強化」→https://holylandtokyo.com/2023/10/04/5103/
「Targeting 部隊」→https://holylandtokyo.com/2023/08/23/4970/
「空自との本格協議開始」→https://holylandtokyo.com/2023/07/26/4884/
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24週間(5か月)で3つのフェーズをローテーション
休養&基礎訓練→本格紛争訓練&演習→実任務
上記3フェーズを3週間→6週間→15週間で
7月1日米宇宙軍は、2019年12月創設以来の「常に全力で取り組む:all-in, all-the-time」との戦力維持生成モデル(SPAFORGEN:Space Force Generation Model)を改め、「準備、即応、投入:prepare, ready, and commit」の3フェーズのローテーション方式を全部隊でタイミングをそろえる形で導入し、戦力を各地域担当コマンド等に派遣すると発表しました
米宇宙軍の発表や各種報道を総合すると、「その心」は、宇宙軍草創期には全てのリソースが不足する中で任務を遂行する必要があり、とりあえず全力で目の前の仕事に取り組んできたが、「日々の恒常業務に追われ、本格紛争に備えた高度な訓練や演習が不十分」で、かつ「オン・オフのメリハリがない」状態となっており、この現状を一掃するために宇宙軍独自の戦力維持生成モデル(SPAFORGEN)やサイクル導入を決定したということです
米空軍も最近、対テロ作戦で疲弊し、本格紛争への備えが懸念される部隊状態を問題視し、AFORGEN(Air Force Generation Model)を改め、4フェーズを各4か月間(16か月で1ローテーション)に設定し、「メリハリと本格紛争への備え」を重視する方針を打ち出していますが、
米宇宙軍部隊は、基本的に大規模な装備輸送を伴う機動展開は行わず、「母基地での業務」や「人員と軽易な装備での展開」が主流なため、1ローテーション期間を5か月間と短く設定し、その中で3フェーズ(準備、即応、投入:prepare, ready, and commit)を以下の要領で回すとのことです
●3フェーズはそれぞれ期間が異なる
・Prepare準備(3週間21日) →休養と一般基礎教育や基礎訓練
・Ready 即応(6週間42日)→本格訓練や演習、任務準備態勢の評価
・Commit 投入(15週間105日)→実任務対応
●8つのチームがあると仮定すると、5チームが「Commit 投入」で、3チームが「Prepare準備又はReady 即応」状態となる
宇宙軍現場の実態として、実任務対応に従事する「Commit 投入」間は、「地道な恒常業務の繰り返しであることが多く、中露を相手と想定した本格的紛争を想定した能力向上にはつながりにくい」状態にあることから、明確に「Ready 即応」期間を設定することで、各部隊やチームや兵士個々の能力向上を確実に進めたいとの強い思いが宇宙軍首脳陣にあるようです
また、このようなサイクルを宇宙軍内の一部部隊は採用していたようですが、その期間などがバラバラで、各地域担当コマンドや機能コマンドに戦力を派遣した際に、現場の運用がうまくいかなかった反省も背景にあるようです。
ただ、「言うは易し、行うは難し」で、米宇宙軍部隊を構成する様々な部隊(情報収集&分析、サイバー、宇宙システム運用、システム維持、各種装備導入などなど)の現状や任務要求はまちまちで、米宇宙軍トップ(Chief of Space Operations)のSaltzman大将も本変革を「宇宙軍の設立以降で最も劇的な変化となる」と述べ、同時に「背景にある問題点を解決し、改革に必要な資源を確保してローテーションをうまく回転させるまでには時間がかかるだろう」と率直に述べているところです
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2019年12月の米宇宙軍創設から現在までの「戦力維持生成モデル(SPAFORGEN)」と比較してご紹介できれば良いのですが、気力体力の限界で中途半端な説明で終わっています。申し訳ありません
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米陸軍レーダー情報で米海軍ミサイルが迎撃成功 [Joint・統合参謀本部]
パラオ周辺で実施中の演習 Vallant Shield 24で試験
陸軍のLTAMDS データで海軍SM-6ミサイルが
グアム島のミサイル防衛網構築に朗報とか
7月18日レイセオン社が、米陸軍の新型ミサイル防衛レーダーLTAMDS と指揮統制システム IBCSによって誘導された米海軍 SM-6が、アジア太平洋で実施中の演習Valiant Shield 24の一環として行われた試験で、目標迎撃に成功したと発表しました
グアムの防空&MDシステム試験は2023年後半から個別装備単位で始まり、徐々にシステム関連説や融合試験に入っており、今後このような関連試験やテストのニュースが増えると予期されます。全体像については末尾の過去記事をご確認ください
シュミレーションと実機材を組み合わせて実施された本試験は、センサー(LTAMDS : Lower-Tier Air and Missile Defense Sensor)のシミュレーターが提供する迎撃対象目標データと、SM-6交戦制御ソフトからのミサイル制御指令を、陸軍の統合戦闘指揮システム(IBCS)にインプットする形で実施されました
レイセオン社は、本試験により、米海軍ミサイルSM-6が米陸軍防空ミサイルシステムIBCS 内で機能可能なことを証明でき、多様な脅威への対処選択肢を増やすことが出来ると成果を表現し、同社ミサイル部門社長は具体的に「インド太平洋軍にとっての実現可能な選択肢であることを確認できた」とも語っています
また同社長は、本試験は、国防省最優先事業としてグアムで構築中の防空&ミサイル防衛網の機能確認にも極めて重要な意味を持ち、対中国作戦の重要拠点となるグアム島の防衛を担う陸軍のMRC (Mid-Range Capability)発射装置、LTAMDS、IBCSと、SM-3およびSM- 6を運用するイージスシステムが一体運用可能なことを証明するものだとアピールしました
////////////////////////////////////////////
西太平洋の島々を機敏に移動し、中国軍と対することを念頭に置く米軍にとって、西太平洋の島影に配備された陸軍地上レーダーの情報を活用し、陸軍の地上攻撃部隊からだけでなく、米海軍艦艇からも敵を攻撃(や迎撃)できれば好都合ですし、戦力投射範囲の拡大も期待できるでししょう。
グアムの防衛網整備につながるのであれば、大いに期待したいと思います
グアムのミサイル防衛関連
「グアムMD本格試験を2024年開始」→https://holylandtokyo.com/2023/08/22/4937/
「グアムMDを再び語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「整備の状況と困難」→https://holylandtokyo.com/2022/04/05/3082/
「分散&機動展開可能型へ」→https://holylandtokyo.com/2021/08/23/2146/
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陸軍のLTAMDS データで海軍SM-6ミサイルが
グアム島のミサイル防衛網構築に朗報とか
7月18日レイセオン社が、米陸軍の新型ミサイル防衛レーダーLTAMDS と指揮統制システム IBCSによって誘導された米海軍 SM-6が、アジア太平洋で実施中の演習Valiant Shield 24の一環として行われた試験で、目標迎撃に成功したと発表しました
グアムの防空&MDシステム試験は2023年後半から個別装備単位で始まり、徐々にシステム関連説や融合試験に入っており、今後このような関連試験やテストのニュースが増えると予期されます。全体像については末尾の過去記事をご確認ください
シュミレーションと実機材を組み合わせて実施された本試験は、センサー(LTAMDS : Lower-Tier Air and Missile Defense Sensor)のシミュレーターが提供する迎撃対象目標データと、SM-6交戦制御ソフトからのミサイル制御指令を、陸軍の統合戦闘指揮システム(IBCS)にインプットする形で実施されました
レイセオン社は、本試験により、米海軍ミサイルSM-6が米陸軍防空ミサイルシステムIBCS 内で機能可能なことを証明でき、多様な脅威への対処選択肢を増やすことが出来ると成果を表現し、同社ミサイル部門社長は具体的に「インド太平洋軍にとっての実現可能な選択肢であることを確認できた」とも語っています
また同社長は、本試験は、国防省最優先事業としてグアムで構築中の防空&ミサイル防衛網の機能確認にも極めて重要な意味を持ち、対中国作戦の重要拠点となるグアム島の防衛を担う陸軍のMRC (Mid-Range Capability)発射装置、LTAMDS、IBCSと、SM-3およびSM- 6を運用するイージスシステムが一体運用可能なことを証明するものだとアピールしました
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西太平洋の島々を機敏に移動し、中国軍と対することを念頭に置く米軍にとって、西太平洋の島影に配備された陸軍地上レーダーの情報を活用し、陸軍の地上攻撃部隊からだけでなく、米海軍艦艇からも敵を攻撃(や迎撃)できれば好都合ですし、戦力投射範囲の拡大も期待できるでししょう。
グアムの防衛網整備につながるのであれば、大いに期待したいと思います
グアムのミサイル防衛関連
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英空軍中将が米宇宙軍トップの補佐役に [サイバーと宇宙]
英軍の初代 Space Command 司令官だった人物
既にカタール米軍 CAOC部長や米F-16部隊経験あり
英空軍への Tyhoon やF-35B 導入責任者経験あり
7月15日付米空軍協会 web記事が、米宇宙軍トップSalzman大将が、将来構想およびパートナーシップ担当補佐役(新設ポスト:正確には Assistant Chief of Space Operations for Future Concepts and Partnerships)として、初代英軍Space Command 司令官を直前まで3年間務めたPaul Godirey 英空軍中将(推定57歳)を任命したと報じています
同記事は、Godfrey 英空軍中将が、現役の英空軍人としての地位・階級を維持したまま米宇宙軍の上記ポストに就任し、約1か月が経過したような書きぶりとなっており、前例として太平洋空軍副司令官として2023年1月から勤務している Carl Newman 豪州空軍少将(同じ副司令官には LauraL. Lenderman 米空軍中将もダブル配置されている)の存在も紹介し、珍しくないと説明していますが、「中将」との階級で外国軍士官を米軍ポストに迎えるのは初めてだとも解説しています
米宇宙軍で Salzman 大将の直属補佐官のような役割を担うGodfrey 中将は、「同盟国やパートナーを米宇宙軍の能力開発戦略に統合することが期待されている」、「インド太平洋、アフリ力、欧州地域全体の同盟国と連携しながら、世界的にパートナーシップを育むことを目的としている」と報道官は説明し、記事は取材から「国際的な連携を通じて米国の宇宙優位性と強靭性確保成に関わるあらゆる問題について宇宙軍トップに助言する任務を負っている」と解説しています
冒頭でご紹介したように、Godfrey中将は、1991年に英空軍士官に任官した後、英空軍戦闘機パイロットの道に進んでハリアー教官やTyhoon&F-35B 戦闘機導入の中核を務め、米軍との接点としては、米国の Shaw 基地で米空軍F-16 飛行隊交換将校経験や、将官として2020年にカタールの CAOC (Combined Air and Space Operations Center)で多国籍軍航空戦力の作戦運用部長を務めた実績も持つ、米軍運用にも精通した実力者です
Salizman 大将は「米宙軍の成否は、同盟国等とのパートナーシップの強さで決まる」、「我々の人材、政策、プロセスは、同盟国等と意図的に融合されなければならない」と Godfrey 中将を迎える声明で述べ、同中将は「協力関係強化で信頼関係を築き、情報を共有し、作戦を真に統合して強靭性を最大化することにより、敵の攻撃から防御できる体制に構築に協力したい」、「同盟関係を深め、宇宙の安全保障を推進するため、米国の仲間と仕事できることは名誉なことだ」と語っています
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米国と英国や豪州との関係は、WW1やWW2、最近では中東やアフガンで生死を共にして戦った「血の同盟」ですから、言葉の面も含め、これだけの高い階級でポストを提供しても、違和感がないのかもしれません
もう少し具体的な役割や活躍ぶりの過去事例などをご紹介できれば良いのですが、そこまでの知見がありませんので、とりあえず「米軍史上で最も階級の高い外国軍将官の採用」が「米宇宙軍」で行われたことをご紹介しておきます
米宇宙軍の同盟強化や人材確保
「念願の正規兵Part-Time勤務導入」→https://holylandtokyo.com/2024/01/30/5479/
「AUKUSで宇宙監視レーダー」→https://holylandtokyo.com/2023/12/11/5338/
「同盟関係の強化努力」→https://holylandtokyo.com/2023/10/11/5103/
「Space Flagに同盟3か国」 →https://holylandtokyo.com/2022/11/30/3961/
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既にカタール米軍 CAOC部長や米F-16部隊経験あり
英空軍への Tyhoon やF-35B 導入責任者経験あり
7月15日付米空軍協会 web記事が、米宇宙軍トップSalzman大将が、将来構想およびパートナーシップ担当補佐役(新設ポスト:正確には Assistant Chief of Space Operations for Future Concepts and Partnerships)として、初代英軍Space Command 司令官を直前まで3年間務めたPaul Godirey 英空軍中将(推定57歳)を任命したと報じています
同記事は、Godfrey 英空軍中将が、現役の英空軍人としての地位・階級を維持したまま米宇宙軍の上記ポストに就任し、約1か月が経過したような書きぶりとなっており、前例として太平洋空軍副司令官として2023年1月から勤務している Carl Newman 豪州空軍少将(同じ副司令官には LauraL. Lenderman 米空軍中将もダブル配置されている)の存在も紹介し、珍しくないと説明していますが、「中将」との階級で外国軍士官を米軍ポストに迎えるのは初めてだとも解説しています
米宇宙軍で Salzman 大将の直属補佐官のような役割を担うGodfrey 中将は、「同盟国やパートナーを米宇宙軍の能力開発戦略に統合することが期待されている」、「インド太平洋、アフリ力、欧州地域全体の同盟国と連携しながら、世界的にパートナーシップを育むことを目的としている」と報道官は説明し、記事は取材から「国際的な連携を通じて米国の宇宙優位性と強靭性確保成に関わるあらゆる問題について宇宙軍トップに助言する任務を負っている」と解説しています
冒頭でご紹介したように、Godfrey中将は、1991年に英空軍士官に任官した後、英空軍戦闘機パイロットの道に進んでハリアー教官やTyhoon&F-35B 戦闘機導入の中核を務め、米軍との接点としては、米国の Shaw 基地で米空軍F-16 飛行隊交換将校経験や、将官として2020年にカタールの CAOC (Combined Air and Space Operations Center)で多国籍軍航空戦力の作戦運用部長を務めた実績も持つ、米軍運用にも精通した実力者です
Salizman 大将は「米宙軍の成否は、同盟国等とのパートナーシップの強さで決まる」、「我々の人材、政策、プロセスは、同盟国等と意図的に融合されなければならない」と Godfrey 中将を迎える声明で述べ、同中将は「協力関係強化で信頼関係を築き、情報を共有し、作戦を真に統合して強靭性を最大化することにより、敵の攻撃から防御できる体制に構築に協力したい」、「同盟関係を深め、宇宙の安全保障を推進するため、米国の仲間と仕事できることは名誉なことだ」と語っています
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米国と英国や豪州との関係は、WW1やWW2、最近では中東やアフガンで生死を共にして戦った「血の同盟」ですから、言葉の面も含め、これだけの高い階級でポストを提供しても、違和感がないのかもしれません
もう少し具体的な役割や活躍ぶりの過去事例などをご紹介できれば良いのですが、そこまでの知見がありませんので、とりあえず「米軍史上で最も階級の高い外国軍将官の採用」が「米宇宙軍」で行われたことをご紹介しておきます
米宇宙軍の同盟強化や人材確保
「念願の正規兵Part-Time勤務導入」→https://holylandtokyo.com/2024/01/30/5479/
「AUKUSで宇宙監視レーダー」→https://holylandtokyo.com/2023/12/11/5338/
「同盟関係の強化努力」→https://holylandtokyo.com/2023/10/11/5103/
「Space Flagに同盟3か国」 →https://holylandtokyo.com/2022/11/30/3961/
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米空軍次期制空機NGAD は「数か月間保留」 [米空軍]
Kendall 空軍長官「正しい方向にあるか確認する」
また「依然、第6世代の有人航空機を開発するつもり」
「無人機の選択肢もあるが、技術的に難しい」とも
7月30日、Kendall 空軍長官が米空軍開発部門主催の企業交流イベント(Life Cycle Industry Days)で次期制空機NGAD 発に関し、「依然、第6世代の有人航空機を開発するつもり」と述べつつも、「担当企業を選定し、単一設計と単一サプライヤーでの前進を決定する前に、適切なブロセスと運用コンセプトを持っているかなど、数か月間、厳しく検討するつもりだ」と述べました
また、「無人機の選択肢もあるが、技術的に難しい」と述べつつも、B-21次期爆撃機の基本構想時と同じように「NGADはオプションで有人機にすることもできる:optionally crewed」と表現するなど、NGADの今後の方向性について非常に振れ幅の大きい表現で語っています
更に同長官は、米空軍は中国軍の急速な技術進歩と、米空軍基地に雨のように降り注ぐ弾道ミサイルに対応しなければならないと指摘し、米空軍が長い滑走路が必要な基地からのみ作戦行動を強いられるならば「我々にとり間題だ」とも語り、戦闘機の限界を示唆するような表現も用いて語った模様です
以上が7月30日付米空軍協会 web 記事が紹介している空軍長官発言ですが、以下では同記事が空軍長官発言にコメントしている内容をご紹介します
●空軍長官は昨年、NGAD 契約締結は 2024年になるだろうと語ったが、7月30日の発言はもはやそうではない可能性を示唆している
●同空軍長官と Allvin 空軍参謀総長は最近、NGAD の膨大な推定コストを削減できるかどうか、厳しく検討していると発言している。更にAllvin大将は、戦闘機が優先的に予算を確保できる時代ではなく、多くの選択肢の中の一つに過ぎなく、それは戦闘機が享受していた岩盤のような揺ぎ無い支援体制からの離別を意味する(NGAD is one of “many choices” on the budget landscape, a departure from the rock-solid support the fighter has had from the service until now) と明確に語っている
●NGAD は無人機ウイングマン機CCAの技術進歩に追い越された感があり、誰の目から見ても大きな進歩を遂げている低コストの同種無人システムと調和させなければならない。
●空軍長官はNGAD を頻繁にアップグレードすることが目標だと述べているが、米空軍の上級幹部は、技術変化の速度が加速している現状から、この手法に疑問を持つものが多い。短期間でのアップグレードを目指す CCAは3年毎のアップグレードを想定しており、CCAを操るNGADもこのペースに追随することが望ましいが、その可否に意見が分かれている
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「米空軍創設以来、戦闘機が享受していた岩盤のような揺ぎ無い支援体制からの離別・・・」との米空軍トップの発言を、日本の戦闘機命派や航空自衛隊を牛耳る戦闘機パイロットはどう受け止めているのでしょうか?
米国に対抗して、日英伊で乗り出してしまった必要性に大きな疑問符が付く次世代戦闘機開発を、どのように納めるつもりでしょうか? いつまで過去の遺産である戦闘機への優先投資を続けるのでしょう?
米空軍は次世代制空機 NGADあきらめムード
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/
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また「依然、第6世代の有人航空機を開発するつもり」
「無人機の選択肢もあるが、技術的に難しい」とも
7月30日、Kendall 空軍長官が米空軍開発部門主催の企業交流イベント(Life Cycle Industry Days)で次期制空機NGAD 発に関し、「依然、第6世代の有人航空機を開発するつもり」と述べつつも、「担当企業を選定し、単一設計と単一サプライヤーでの前進を決定する前に、適切なブロセスと運用コンセプトを持っているかなど、数か月間、厳しく検討するつもりだ」と述べました
また、「無人機の選択肢もあるが、技術的に難しい」と述べつつも、B-21次期爆撃機の基本構想時と同じように「NGADはオプションで有人機にすることもできる:optionally crewed」と表現するなど、NGADの今後の方向性について非常に振れ幅の大きい表現で語っています
更に同長官は、米空軍は中国軍の急速な技術進歩と、米空軍基地に雨のように降り注ぐ弾道ミサイルに対応しなければならないと指摘し、米空軍が長い滑走路が必要な基地からのみ作戦行動を強いられるならば「我々にとり間題だ」とも語り、戦闘機の限界を示唆するような表現も用いて語った模様です
以上が7月30日付米空軍協会 web 記事が紹介している空軍長官発言ですが、以下では同記事が空軍長官発言にコメントしている内容をご紹介します
●空軍長官は昨年、NGAD 契約締結は 2024年になるだろうと語ったが、7月30日の発言はもはやそうではない可能性を示唆している
●同空軍長官と Allvin 空軍参謀総長は最近、NGAD の膨大な推定コストを削減できるかどうか、厳しく検討していると発言している。更にAllvin大将は、戦闘機が優先的に予算を確保できる時代ではなく、多くの選択肢の中の一つに過ぎなく、それは戦闘機が享受していた岩盤のような揺ぎ無い支援体制からの離別を意味する(NGAD is one of “many choices” on the budget landscape, a departure from the rock-solid support the fighter has had from the service until now) と明確に語っている
●NGAD は無人機ウイングマン機CCAの技術進歩に追い越された感があり、誰の目から見ても大きな進歩を遂げている低コストの同種無人システムと調和させなければならない。
●空軍長官はNGAD を頻繁にアップグレードすることが目標だと述べているが、米空軍の上級幹部は、技術変化の速度が加速している現状から、この手法に疑問を持つものが多い。短期間でのアップグレードを目指す CCAは3年毎のアップグレードを想定しており、CCAを操るNGADもこのペースに追随することが望ましいが、その可否に意見が分かれている
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「米空軍創設以来、戦闘機が享受していた岩盤のような揺ぎ無い支援体制からの離別・・・」との米空軍トップの発言を、日本の戦闘機命派や航空自衛隊を牛耳る戦闘機パイロットはどう受け止めているのでしょうか?
米国に対抗して、日英伊で乗り出してしまった必要性に大きな疑問符が付く次世代戦闘機開発を、どのように納めるつもりでしょうか? いつまで過去の遺産である戦闘機への優先投資を続けるのでしょう?
米空軍は次世代制空機 NGADあきらめムード
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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タグ:Kendall空軍長官 NGAD