MDA:極超音速兵器の迎撃兵器新規開発は急ぐな! [米国防省高官]
米議会議員が迎撃兵器開発を催促する中で
GPIはあくまで 2035年以降の脅威対応だと現実見据え
まずは近未来に可能な選択肢を検討すべきと正論を
6月6日、CSISで登壇した米ミサイル防衛庁 MDA長官のHeath A.Colins 空軍中将は、極超音速兵器の迎撃を目指し、2035年以降の運用を狙って「ゼロからの」開発が日米共同で始まったばかりの GPI( Glide Phase Interceptor)について、極超音速兵器兵器の脅威を懸念する米議会が「2029年までにGPIが初期運用能力を獲得することを義務付ける」との決議を 2023年末に行ったことに関し、
国民の代表たる米議会の決定に対し慎重に言葉を選びつつも、ゼロから開発する最先端兵器の配備を急ぐべきではなく、より即効性のある、現有の能力を組み合わせた現実的な対処案に現時点では注力すべきだと示唆しました。
6日付米空軍協会 web 記事によれば・・・
●ロシアはウクライナで極超音速兵器を使用し、2023年度の国防省報告書では中国が世界をリードする極超音速兵器を保有すると説明しており、これらを受け米議会がGPI 開発を前倒しするように動いている
●しかしMDA予算計画ではGPI 迎撃ミサイルの納入開始は2035年以降にしか予定されていない。米空軍でも兵器開発担当を務め、新規装備開発の難しさを知る同長官は、「(GPI は)今目ではなく、2035 年以降の脅威対処に設計されたシステム」で「重要なプログラムだが、時間がかかるだろう」と語った。
●更に同中将は、「ただ現時点で既に存在し、今後数年で脅威が更に増す極超音速世界での戦闘に、より早く、2029~30年に何らかの能力を持つことが求められており、これには創造的な取り組みが必要だ。おそらく『新兵器の開発』とは異なり、存在する兵器になる可能性が高い」と表現した
●しかし、同長官は細部を語らず、米国防省が既に保有するTHAAD、PAC-3、イージス、SM-6、開発中の Ground-Based Interceptor 迎撃ミサイルなど、多様な選択肢のどれが使えそうか等については全く言及せず、MDAがどう判断するにしても完璧は難しく、全ての脅威に対処可能なものはないだろうとのみ語った
●ただし同長官は、日本がロケットモーターと推進部品の開発を主導することで 5月に日米共同開発に合意したばかりのGPIについて、実行可能性があるならば(米議会が求める速度で)開発を急ぐことに反対ではないと述べた。
●また同中将は、極超音速兵器の発射を検知し追尾するMDA 事業の最新情報として、2月に MDAと宇宙開発庁 SDA が協力し、低高度軌道にMDAのHBTSS や SDAの Tracking Layer spacecrat を含む一連のミサイル追跡衛星を打ち上げ、MDA衛星が1週間以内に探知追尾用の細部機器調整を開始すると説明した。
MDA 長官Collins中将のCSIS発言(約85分)
/////////////////////////////////////////////////////////
極超音速兵器に関して十分な知見がないまんぐ一すですが、米議会が米国として攻撃用の極超音速兵器を保有すべく迅速な開発を促し、同時に強く脅威を認識して迎撃態勢確立を急ぐ一方で、Kendall 空軍長官や本日ご紹介したMDA長官のように、国防省側に「冷静に考えるべき」との冷めた雰囲気があるところに興味津々です
国防省側が目先の他の事業にとらわれすぎなのか、米議会が騒ぎすぎなのか・・・・気になるところですが、現時点でまんぐーすは、直感的に「冷静に考えるべき」派です
迎擊兵器 GPI開発関連
「日米共同開発PAに合意」→https://holylandtokyo.com/2024/06/06/5933/
「米国は予算削減し日本が負担か」→https://holylandtokyo.com/2024/04/11/5732/
「迎撃兵器を日米共同開発で」→https://holylandtokyo.com/2023/03/22/4438/
「迎撃兵器開発を2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/
極超音速兵器はそんなに脅威か?
「突然グアムでARRW講習会」→https://holylandtokyo.com/2024/03/08/5662/
「同兵器を過大評価するな」→https://holylandtokyo.com/2023/12/15/5343/
「ウで次々撃墜:同兵器を過信するな」→https://halylandtokyo.com/2023/06/01/4695/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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GPIはあくまで 2035年以降の脅威対応だと現実見据え
まずは近未来に可能な選択肢を検討すべきと正論を
6月6日、CSISで登壇した米ミサイル防衛庁 MDA長官のHeath A.Colins 空軍中将は、極超音速兵器の迎撃を目指し、2035年以降の運用を狙って「ゼロからの」開発が日米共同で始まったばかりの GPI( Glide Phase Interceptor)について、極超音速兵器兵器の脅威を懸念する米議会が「2029年までにGPIが初期運用能力を獲得することを義務付ける」との決議を 2023年末に行ったことに関し、
国民の代表たる米議会の決定に対し慎重に言葉を選びつつも、ゼロから開発する最先端兵器の配備を急ぐべきではなく、より即効性のある、現有の能力を組み合わせた現実的な対処案に現時点では注力すべきだと示唆しました。
6日付米空軍協会 web 記事によれば・・・
●ロシアはウクライナで極超音速兵器を使用し、2023年度の国防省報告書では中国が世界をリードする極超音速兵器を保有すると説明しており、これらを受け米議会がGPI 開発を前倒しするように動いている
●しかしMDA予算計画ではGPI 迎撃ミサイルの納入開始は2035年以降にしか予定されていない。米空軍でも兵器開発担当を務め、新規装備開発の難しさを知る同長官は、「(GPI は)今目ではなく、2035 年以降の脅威対処に設計されたシステム」で「重要なプログラムだが、時間がかかるだろう」と語った。
●更に同中将は、「ただ現時点で既に存在し、今後数年で脅威が更に増す極超音速世界での戦闘に、より早く、2029~30年に何らかの能力を持つことが求められており、これには創造的な取り組みが必要だ。おそらく『新兵器の開発』とは異なり、存在する兵器になる可能性が高い」と表現した
●しかし、同長官は細部を語らず、米国防省が既に保有するTHAAD、PAC-3、イージス、SM-6、開発中の Ground-Based Interceptor 迎撃ミサイルなど、多様な選択肢のどれが使えそうか等については全く言及せず、MDAがどう判断するにしても完璧は難しく、全ての脅威に対処可能なものはないだろうとのみ語った
●ただし同長官は、日本がロケットモーターと推進部品の開発を主導することで 5月に日米共同開発に合意したばかりのGPIについて、実行可能性があるならば(米議会が求める速度で)開発を急ぐことに反対ではないと述べた。
●また同中将は、極超音速兵器の発射を検知し追尾するMDA 事業の最新情報として、2月に MDAと宇宙開発庁 SDA が協力し、低高度軌道にMDAのHBTSS や SDAの Tracking Layer spacecrat を含む一連のミサイル追跡衛星を打ち上げ、MDA衛星が1週間以内に探知追尾用の細部機器調整を開始すると説明した。
MDA 長官Collins中将のCSIS発言(約85分)
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極超音速兵器に関して十分な知見がないまんぐ一すですが、米議会が米国として攻撃用の極超音速兵器を保有すべく迅速な開発を促し、同時に強く脅威を認識して迎撃態勢確立を急ぐ一方で、Kendall 空軍長官や本日ご紹介したMDA長官のように、国防省側に「冷静に考えるべき」との冷めた雰囲気があるところに興味津々です
国防省側が目先の他の事業にとらわれすぎなのか、米議会が騒ぎすぎなのか・・・・気になるところですが、現時点でまんぐーすは、直感的に「冷静に考えるべき」派です
迎擊兵器 GPI開発関連
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米5軍と並ぶサイバー軍創立検討求める法案提出 [サイバーと宇宙]
国立科学アカデミーでの検討を求める要求
2025年度国防授権法に含める法案
今年度は下院案となるも上院が削除
5月14日付DefenseOne が、複数の共和党下院議員が下院軍事委員会が検討中の2025年度国防授権法:(National Defense Authorization Act)の下院案に、現在のサイマーコマンドを陸海空海兵隊&宇宙軍と同レベルの「サイバー軍」として創設する検討を、国立科学アカデミーに命じる案を提出した紹介しています
米下院議員団は、2024年度の同法律案に同様の内容を盛り込み、下院法案として上院に送った模様ですが、最終的に上院での審議では削除されたとのことで、2025年度の同法律案に「サイバー軍創設の独立機関での検討」を求める案が、最終的に盛り込まれるかは極めて微妙ですが、下院議員団が法案を提由した背景や問題認識を記事からご紹介しておきます
5月14日付 DefenseOne 記事によれば
●現在のサイバーコマンドがサイバー関連の如何なる行動を起こすにも煩雑な手続きが必要だ、と指摘するサイバーコマンド関係者や外部専門家からの調査報告や苦情が絶えない
●例えば3月にFDD (Foundation for Defense of Democracies)が発表したレポートは、現在の同コマンドの位置づけでは、米国がサイバー空間で敵と戦う最良の機会を逃しているとして、空軍、海軍、その他の軍隊と並ぶ新たなサイバー部門を創設するよう議会に促している
●FDDは、国防省による同コマンドへの人員増強計画では、国防省内のサイバー人材を十分活用できず、また兵士の士気を損なう現在の組織文化を改善することは困難だとし、関連要員が多数所属する陸軍兵士などを統合し、約1万人規模で約2兆5千億円の予算規模を持つ新たな車種を創設すべきと提言している
●FDDは一方で、サイバー軍創設の短期的な課題として、例えば、適切なIT人員を新部門に異動させるには時間がかかり、サイバー軍に既に存在する重要な人員が枯渇するリスクがあるとも指摘している
///////////////////////////////////////////
極めて短い記事で、記事が課題だと説明しているサイバーコマンドに求められる「煩雑な手続き」や、FDDが挙げた「不適切な人員増強計画」や「兵士の士気を損なう現在の組織文化」や「IT人材の異動と短期的な人材枯渇」との課題について、もう少し具体的に知りたいところです。補足説明できず申し訳ありません
ただ、軍の高級幹部クラスが、自身が前線部隊勤務だった若手時代に、サーバー戦を身近なものとして経験した世代ではないことから、サイバー人材の特徴や人材育成に必要な体制、その活動に必要な環境について、前線サーバー部隊からの要求が理解できない状態なのだろうと思います
2019年創設の「宇宙軍」が人材確保や育成で苦労しているように、「サイバー軍」として独立するデメリットも多数あると思います。まずは「サイバー」との新ドメインについての理解が広まることだと思います
サイバーコマンド関連記事
「航空機無き州空軍誕生へ」→https://holylandtokyo.com/2024/05/24/5674/
「米大統領選挙で20回以上作戦」→https://holylandtokyo.com/2021/04/01/96/
「過去最大のサイバー演習」→https://holylandtokyo.com/2020/06/24/630/
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holylandtokyo.com/2020/03/11/779/
「ISR部隊と統合で大統領選挙対策に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-19
「初代格上げ司令官は日系3世」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-17
「NATOが選挙妨害サイバー演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-13
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2025年度国防授権法に含める法案
今年度は下院案となるも上院が削除
5月14日付DefenseOne が、複数の共和党下院議員が下院軍事委員会が検討中の2025年度国防授権法:(National Defense Authorization Act)の下院案に、現在のサイマーコマンドを陸海空海兵隊&宇宙軍と同レベルの「サイバー軍」として創設する検討を、国立科学アカデミーに命じる案を提出した紹介しています
米下院議員団は、2024年度の同法律案に同様の内容を盛り込み、下院法案として上院に送った模様ですが、最終的に上院での審議では削除されたとのことで、2025年度の同法律案に「サイバー軍創設の独立機関での検討」を求める案が、最終的に盛り込まれるかは極めて微妙ですが、下院議員団が法案を提由した背景や問題認識を記事からご紹介しておきます
5月14日付 DefenseOne 記事によれば
●現在のサイバーコマンドがサイバー関連の如何なる行動を起こすにも煩雑な手続きが必要だ、と指摘するサイバーコマンド関係者や外部専門家からの調査報告や苦情が絶えない
●例えば3月にFDD (Foundation for Defense of Democracies)が発表したレポートは、現在の同コマンドの位置づけでは、米国がサイバー空間で敵と戦う最良の機会を逃しているとして、空軍、海軍、その他の軍隊と並ぶ新たなサイバー部門を創設するよう議会に促している
●FDDは、国防省による同コマンドへの人員増強計画では、国防省内のサイバー人材を十分活用できず、また兵士の士気を損なう現在の組織文化を改善することは困難だとし、関連要員が多数所属する陸軍兵士などを統合し、約1万人規模で約2兆5千億円の予算規模を持つ新たな車種を創設すべきと提言している
●FDDは一方で、サイバー軍創設の短期的な課題として、例えば、適切なIT人員を新部門に異動させるには時間がかかり、サイバー軍に既に存在する重要な人員が枯渇するリスクがあるとも指摘している
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極めて短い記事で、記事が課題だと説明しているサイバーコマンドに求められる「煩雑な手続き」や、FDDが挙げた「不適切な人員増強計画」や「兵士の士気を損なう現在の組織文化」や「IT人材の異動と短期的な人材枯渇」との課題について、もう少し具体的に知りたいところです。補足説明できず申し訳ありません
ただ、軍の高級幹部クラスが、自身が前線部隊勤務だった若手時代に、サーバー戦を身近なものとして経験した世代ではないことから、サイバー人材の特徴や人材育成に必要な体制、その活動に必要な環境について、前線サーバー部隊からの要求が理解できない状態なのだろうと思います
2019年創設の「宇宙軍」が人材確保や育成で苦労しているように、「サイバー軍」として独立するデメリットも多数あると思います。まずは「サイバー」との新ドメインについての理解が広まることだと思います
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「航空機無き州空軍誕生へ」→https://holylandtokyo.com/2024/05/24/5674/
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「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holylandtokyo.com/2020/03/11/779/
「ISR部隊と統合で大統領選挙対策に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-19
「初代格上げ司令官は日系3世」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-17
「NATOが選挙妨害サイバー演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-13
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B-21の公式飛行試験中写真を3枚初公開 [米空軍]
米空軍が2枚とNG社から1枚公開
別に空軍が格納庫内機体写真も1枚公開
初飛行から少なくとも2回は飛行試験実施
5月22日、米空軍が初めて飛行試験中のB-21写真を2枚(画面左方向へ飛行:1月17日撮影)と格納庫内での機体正面写真1枚(5月22日撮影)を公開し、翌23日にNorthrop Grumman社も飛行試験中の写真(画面右方向へ飛行:4月2日撮影)を1枚公開しました。
この初のB-21公式飛行写真公開を紹介する5月22日付米空軍協会web記事(23日の追加写真公開で22日付記事に追記&修正)は、「2023年11月10日初飛行時に公式写真を一切公表しなかった米空軍が、初めての公式公開した飛行試験中の写真であるが、昨年の初飛行時に一般人によって撮影され、SNS上に流布した多様な角度からの写真と比較すると、新たな情報との観点では得るものは少ない」とする辛口のコメント記事となっていますが、追加分析も含まれているのでご紹介します
追記後の5月22日付米空軍協会web記事は、
●米空軍は昨年11月の初飛行以降、飛行試験の回数やトータルの飛行試験時間等を公開していないが、公開された写真に付属するデータから、初飛行以降、少なくとも2回の飛行試験が実施されたことが確認できる。ただ撮影時刻は非公開で、空軍側の同機に関する情報統制は引き続き厳しい
●エンジンの排気ノズルは、B-2爆撃機と比較しより幅広く薄くなっており、赤外線放射防止に配慮されている。また同ノズル付近が黒ずんでいない点から、飛行回数が少ないことが伺えるが、同時に排気ノズルに達する前に機内で相当程度排気冷却が行われていることも示している
●機体上部に追加のリトラクタブルなエンジン空気取り入れ口が設けられ、離陸時に空いていたが、機体上部にあるメインの薄く横長のエンジン空気取り入れ口では、高迎角飛行時に空気流入量が不足するため、流量補完の役割を果たしているのだろう
●つばさ上部に突出型の航法灯が確認できるが、これは航空交通管制圏内を飛行する際に求められるレーダー反射率を増す「リフレクター」の役割を果たすものであろう。
●5月8日にHunter調達担当空軍次官補がB-21飛行試験進捗について、「計画通りの進捗で、そのユニークな設計上の機体特性が次々と確認されている」、「デジタル設計の効率性や有効性が発揮されている」と上院軍事委員会で証言しているように、「核抑止3本柱」のコロンビア級戦略原潜や次期ICBM計画が大幅な開発コスト超過や期間遅延で問題化している中、その順調振りが際立っている
●B-21の調達機数について、空軍爆撃機部隊幹部らはこれまで「少なくとも100機以上」とか「175機」とかぶち上げていたが、最近Allvin参謀総長が「技術進歩が速い現代世界では、次の機体デザインに進むことが求められており、B-21は100機が最終的な調達規模である」と明確に発言してこの議論を収束させたように見える
//////////////////////////////////////
さすが仕事人のAllvin大将です。旧態然とした米空軍幹部の発想をばっさり切り捨て、B-21は100機が上限だと言い切る判断力と爆撃機族を制する胆力に感服いたしました。
航空自衛隊の「戦闘機族」に中から、まんぐーすのブログなどを読んで、日本の戦闘機総数や戦闘機飛行隊の削減判断が出来る人材が誕生し、陸海自衛隊を引っ張って自衛隊の戦い方を根本的に見直す先頭に立つことを期待しております
初飛行以降のB-21関連記事
「既に低レート量産入り」→https://holylandtokyo.com/2024/02/02/5491/
「初飛行を12の視点で分析」→https://holylandtokyo.com/2023/12/01/5284/
「11月10日早朝の初飛行」→https://holylandtokyo.com/2023/11/13/5238/
その他B-21関連記事→https://holylandtokyo.com/?s=B-21
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別に空軍が格納庫内機体写真も1枚公開
初飛行から少なくとも2回は飛行試験実施
5月22日、米空軍が初めて飛行試験中のB-21写真を2枚(画面左方向へ飛行:1月17日撮影)と格納庫内での機体正面写真1枚(5月22日撮影)を公開し、翌23日にNorthrop Grumman社も飛行試験中の写真(画面右方向へ飛行:4月2日撮影)を1枚公開しました。
この初のB-21公式飛行写真公開を紹介する5月22日付米空軍協会web記事(23日の追加写真公開で22日付記事に追記&修正)は、「2023年11月10日初飛行時に公式写真を一切公表しなかった米空軍が、初めての公式公開した飛行試験中の写真であるが、昨年の初飛行時に一般人によって撮影され、SNS上に流布した多様な角度からの写真と比較すると、新たな情報との観点では得るものは少ない」とする辛口のコメント記事となっていますが、追加分析も含まれているのでご紹介します
追記後の5月22日付米空軍協会web記事は、
●米空軍は昨年11月の初飛行以降、飛行試験の回数やトータルの飛行試験時間等を公開していないが、公開された写真に付属するデータから、初飛行以降、少なくとも2回の飛行試験が実施されたことが確認できる。ただ撮影時刻は非公開で、空軍側の同機に関する情報統制は引き続き厳しい
●エンジンの排気ノズルは、B-2爆撃機と比較しより幅広く薄くなっており、赤外線放射防止に配慮されている。また同ノズル付近が黒ずんでいない点から、飛行回数が少ないことが伺えるが、同時に排気ノズルに達する前に機内で相当程度排気冷却が行われていることも示している
●機体上部に追加のリトラクタブルなエンジン空気取り入れ口が設けられ、離陸時に空いていたが、機体上部にあるメインの薄く横長のエンジン空気取り入れ口では、高迎角飛行時に空気流入量が不足するため、流量補完の役割を果たしているのだろう
●つばさ上部に突出型の航法灯が確認できるが、これは航空交通管制圏内を飛行する際に求められるレーダー反射率を増す「リフレクター」の役割を果たすものであろう。
●5月8日にHunter調達担当空軍次官補がB-21飛行試験進捗について、「計画通りの進捗で、そのユニークな設計上の機体特性が次々と確認されている」、「デジタル設計の効率性や有効性が発揮されている」と上院軍事委員会で証言しているように、「核抑止3本柱」のコロンビア級戦略原潜や次期ICBM計画が大幅な開発コスト超過や期間遅延で問題化している中、その順調振りが際立っている
●B-21の調達機数について、空軍爆撃機部隊幹部らはこれまで「少なくとも100機以上」とか「175機」とかぶち上げていたが、最近Allvin参謀総長が「技術進歩が速い現代世界では、次の機体デザインに進むことが求められており、B-21は100機が最終的な調達規模である」と明確に発言してこの議論を収束させたように見える
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さすが仕事人のAllvin大将です。旧態然とした米空軍幹部の発想をばっさり切り捨て、B-21は100機が上限だと言い切る判断力と爆撃機族を制する胆力に感服いたしました。
航空自衛隊の「戦闘機族」に中から、まんぐーすのブログなどを読んで、日本の戦闘機総数や戦闘機飛行隊の削減判断が出来る人材が誕生し、陸海自衛隊を引っ張って自衛隊の戦い方を根本的に見直す先頭に立つことを期待しております
初飛行以降のB-21関連記事
「既に低レート量産入り」→https://holylandtokyo.com/2024/02/02/5491/
「初飛行を12の視点で分析」→https://holylandtokyo.com/2023/12/01/5284/
「11月10日早朝の初飛行」→https://holylandtokyo.com/2023/11/13/5238/
その他B-21関連記事→https://holylandtokyo.com/?s=B-21
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米空軍が約30年ぶりに外国製戦術ミサイル契約 [米空軍]
ノルウェー企業製のJoint Strike MissilesをF-35用に
JSMは対艦ミサイルLRASMの非ステルス型の様な
計268発を2028年度までの間に調達予定
5月31日、米空軍がノルウェー企業Kongsberg Defense and Aerospaceが製造する射程300nm(540㎞)超の対地&対艦ミサイルJSM(Joint Strike Missiles)の第1弾48発購入契約を$141 million(約220億円)で締結し、2024年度から28年度の間に計268発を調達すると明らかにしました。
米空軍が他国から戦術ミサイルを購入するのは、1990年代上旬にイスラエルのRafael社からB-52爆撃機用に200発の通常弾頭スタンドオフ精密誘導ミサイルPopeye(米軍名AGM-142 Have Nap:2004年に退役済)を導入して以来で、2009年からノルウェーと豪州が資金を出して開発し、2023年夏に日本の防衛省も2024年度予算で同ミサイル購入に動いている同ミサイルに注目が集まっています。
なお、米国防省F-35計画室によれば、JSMは大部分の米軍F-35で使用可能も、全てではないとのことで、更に米空軍によれば、JSM開発は終了しているが、F-35Aへの適合改修は完了していないとのことです。また2024年度の48発契約に続き、2025年度から28年度までの間に各年度50, 54, 57, and 58発の購入を計画しているとのことです
またJMSは、Kongsberg社とレイセオン社が共同開発した「Naval Strike Missile」の派生形と言われているようですが、JMS製造や部品提供にレイセオン社が関与しているかは明らかになっておらず、今回の米空軍とKongsberg社との契約では、2026年8月までノルウェーのKongsberg工場で製造がおこなわれる、とのみ明らかにされているようです
JSMの概要は・・・
●全長3.7mで重量400㎏に弾頭125㎏搭載可能(比較されるJASSMとLRASMは全長4.3mで重量1000㎏に弾頭450㎏)、射程は300nm程度(JASSMとLRASMは500nmで、射程延長型で射程1000nmと推定)
●F-35A内部兵器庫に2発搭載可能で、翼下にもステルス性を犠牲にすれば搭載可。JASSMがステルス性を持つのに対し、JSMには無い
●発射試験は2015年から米空軍F-16を使用してユタ州試験場で始まっているが、初期作戦能力(IOC)の獲得は、F-35のソフト「ブロック4」がリリース以降で、完全運用は2025年の見込み
●GPSと地形判読等で目標に到達し、赤外線イメージシーカーで目標判別可能。また航空機から発射後に、発射母機からの指示や他ミサイルとの意思疎通により、目標変更が可能。艦艇攻撃時は「喫水線:water line」に命中
///////////////////////////////////////////
「子供の使い」の様な情報提供で恐縮です。本来であれば、なぜ米空軍が30年ぶりに外国製戦術ミサイルを導入することになったのかをご説明できれば良いのですが、射程距離の違いとステルス性以外は把握しておりません。(JSMが射程300nm・約500㎞で、JASSMとLRASMは500nm・900㎞。JSMにステルス性無し)
絶対的に「対中国艦艇用の精密誘導兵器数量が不足」していることが「JSMも同時調達」の背景かと推測しますが、JSMの発射試験に米国も協力し、同盟国である日本の航空自衛隊も導入するようですから、色々な背景や必要性があるのでしょう・・・
JSMと関連する記事
「米空軍2023年度の弾薬調達予算案」→https://holylandtokyo.com/2022/04/15/3098/
「空自JASSMに加えJSMも契約」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-17
対艦ミサイル不足が大問題
「CSISも弾薬不足問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
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JSMは対艦ミサイルLRASMの非ステルス型の様な
計268発を2028年度までの間に調達予定
5月31日、米空軍がノルウェー企業Kongsberg Defense and Aerospaceが製造する射程300nm(540㎞)超の対地&対艦ミサイルJSM(Joint Strike Missiles)の第1弾48発購入契約を$141 million(約220億円)で締結し、2024年度から28年度の間に計268発を調達すると明らかにしました。
米空軍が他国から戦術ミサイルを購入するのは、1990年代上旬にイスラエルのRafael社からB-52爆撃機用に200発の通常弾頭スタンドオフ精密誘導ミサイルPopeye(米軍名AGM-142 Have Nap:2004年に退役済)を導入して以来で、2009年からノルウェーと豪州が資金を出して開発し、2023年夏に日本の防衛省も2024年度予算で同ミサイル購入に動いている同ミサイルに注目が集まっています。
なお、米国防省F-35計画室によれば、JSMは大部分の米軍F-35で使用可能も、全てではないとのことで、更に米空軍によれば、JSM開発は終了しているが、F-35Aへの適合改修は完了していないとのことです。また2024年度の48発契約に続き、2025年度から28年度までの間に各年度50, 54, 57, and 58発の購入を計画しているとのことです
またJMSは、Kongsberg社とレイセオン社が共同開発した「Naval Strike Missile」の派生形と言われているようですが、JMS製造や部品提供にレイセオン社が関与しているかは明らかになっておらず、今回の米空軍とKongsberg社との契約では、2026年8月までノルウェーのKongsberg工場で製造がおこなわれる、とのみ明らかにされているようです
JSMの概要は・・・
●全長3.7mで重量400㎏に弾頭125㎏搭載可能(比較されるJASSMとLRASMは全長4.3mで重量1000㎏に弾頭450㎏)、射程は300nm程度(JASSMとLRASMは500nmで、射程延長型で射程1000nmと推定)
●F-35A内部兵器庫に2発搭載可能で、翼下にもステルス性を犠牲にすれば搭載可。JASSMがステルス性を持つのに対し、JSMには無い
●発射試験は2015年から米空軍F-16を使用してユタ州試験場で始まっているが、初期作戦能力(IOC)の獲得は、F-35のソフト「ブロック4」がリリース以降で、完全運用は2025年の見込み
●GPSと地形判読等で目標に到達し、赤外線イメージシーカーで目標判別可能。また航空機から発射後に、発射母機からの指示や他ミサイルとの意思疎通により、目標変更が可能。艦艇攻撃時は「喫水線:water line」に命中
///////////////////////////////////////////
「子供の使い」の様な情報提供で恐縮です。本来であれば、なぜ米空軍が30年ぶりに外国製戦術ミサイルを導入することになったのかをご説明できれば良いのですが、射程距離の違いとステルス性以外は把握しておりません。(JSMが射程300nm・約500㎞で、JASSMとLRASMは500nm・900㎞。JSMにステルス性無し)
絶対的に「対中国艦艇用の精密誘導兵器数量が不足」していることが「JSMも同時調達」の背景かと推測しますが、JSMの発射試験に米国も協力し、同盟国である日本の航空自衛隊も導入するようですから、色々な背景や必要性があるのでしょう・・・
JSMと関連する記事
「米空軍2023年度の弾薬調達予算案」→https://holylandtokyo.com/2022/04/15/3098/
「空自JASSMに加えJSMも契約」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-17
対艦ミサイル不足が大問題
「CSISも弾薬不足問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
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低性能でも大量のEW兵器連携に圧倒される現実 [Joint・統合参謀本部]
米軍幹部がロシア・ハマス・フーチ派EWを語る
また友軍EW装備の相互連携性を高める必要性主張
調達段階から前線との密な連携不可欠と
6月5日付Defense-Newsが、同日開催された「2024 C4ISRNET Conference」で米軍幹部が語った、最近のロシアやハマスやフーチ派との戦いから得られた電子戦EW(EMS:electromagnetic spectrumでの戦い)分野での教訓を取り上げ、ウクライナやガザや紅海で相手は、EW分野で「手ごわい」電子戦ツールを展開しており、「大量の、それほど精巧ではない能力だが、時には、その大量さが、非常に圧倒的になることもある」と語ったと紹介しています
そして本格紛争への備えを強化しつつある米軍は、同時に「このような多様な種類の脅威に対処ために、基本的に全域にわたって電子戦兵器を構築する必要がある」と述べると同時に、(ロシアやハマスやフーチ派のEWから学び、)米軍や西側は、主要な兵器システムへの重点を減らしても、保有する低コストのEW兵器システム間の相互運用性や相互連携能力を高めることがが電子戦に役立つだろう」とまで主張しています。
例えば米陸軍EW担当のEd Barker准将は
●本格紛争で対峙する可能性のある大国(中露)だけでなく、ハマスの様な勢力が強力なEW能力を持っている事を肝に銘じるべき。そして米軍EWシステムはこのような益々厳しさを増すEMS環境でも、指揮官や部隊がEMS世界で行動の自由を確保できるよう準備する必要がある
●(米軍が)少数の高能力EW装備を保有していても、「大量の、それほど精巧ではない敵のEW能力と対峙し、時には、その大量さが、非常に圧倒的になる」こともあり、我々は様々な脅威に備える必要がある
米空軍第350 Spectrum Warfare航空団司令官のKoslov大佐は
●(現有装備で、)今夜本格紛争を戦うことになれば、現有システムの相互運用性を高め、現有装備間のデータ共有能力を高める事を考えなければならない
●このように友軍装備品の相互運用性や情報共有能力を高めるには、前線作戦運用要員と調達部門が極めて緊密(super close)に連携し、相互運用性を推進する要件を最初から明確にしておく必要がある。
●ウクライナとガザ地区で、敵は「戦略的かつ作戦上の影響を及ぼすような」低コストのツールの使用に成功しており、米国はこうしたアプローチに対抗可能なシステム開発が必要
●さらに踏み込んでいえば、「主要な兵器システムへの重点を減らし、それらの兵器システムが使用するデータに重点を置くこと:a reduced focus on major weapon systems, and more of a focus on the data that those weapon systems use」も考えるべき
///////////////////////////////////////
非常に短い記事で、ご紹介した米軍幹部の発言全体のトーンや流れが不明確ですが、想像をたくましくすると、「旧式のEW装備を巧みに連携して使用する敵は極めて大きな脅威で圧倒的」、「これら脅威に、少数の高能力EW装備で対抗しようとしても対応困難」「EWの基本を踏まえた、緊密な部隊間連携やそれが可能な装備調達が米軍には不可欠」とも解釈できます
対テロ作戦に注力した20数年間で米軍内(西側軍でも)のEW基礎能力は失われ、いまその回復に着手し始めたばかりでしょうが、いまや対テロの相手だった敵まで、米軍を上回るEW能力を身に着けつつあるということです。恐ろしい時代です
EW能力再構築への取り組み
「宇宙軍が電子戦EW演習拡大」→https://holylandtokyo.com/2023/11/02/5124/
「空軍が新電子戦機EC-37B受領」→https://holylandtokyo.com/2023/09/20/5052/
「EA-18G他軍種支援用が2025年退役」→https://holylandtokyo.com/2022/05/27/3249/
「陸軍戦闘車両へ電子戦装備TLS」→https://holylandtokyo.com/2023/08/24/4947/
「SpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「空軍が電子戦専門Wing創設」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-30
原点:ロシアの電子戦に驚愕の米軍
「東欧と中東でのロシア軍電子戦を概観」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-1
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02
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また友軍EW装備の相互連携性を高める必要性主張
調達段階から前線との密な連携不可欠と
6月5日付Defense-Newsが、同日開催された「2024 C4ISRNET Conference」で米軍幹部が語った、最近のロシアやハマスやフーチ派との戦いから得られた電子戦EW(EMS:electromagnetic spectrumでの戦い)分野での教訓を取り上げ、ウクライナやガザや紅海で相手は、EW分野で「手ごわい」電子戦ツールを展開しており、「大量の、それほど精巧ではない能力だが、時には、その大量さが、非常に圧倒的になることもある」と語ったと紹介しています
そして本格紛争への備えを強化しつつある米軍は、同時に「このような多様な種類の脅威に対処ために、基本的に全域にわたって電子戦兵器を構築する必要がある」と述べると同時に、(ロシアやハマスやフーチ派のEWから学び、)米軍や西側は、主要な兵器システムへの重点を減らしても、保有する低コストのEW兵器システム間の相互運用性や相互連携能力を高めることがが電子戦に役立つだろう」とまで主張しています。
例えば米陸軍EW担当のEd Barker准将は
●本格紛争で対峙する可能性のある大国(中露)だけでなく、ハマスの様な勢力が強力なEW能力を持っている事を肝に銘じるべき。そして米軍EWシステムはこのような益々厳しさを増すEMS環境でも、指揮官や部隊がEMS世界で行動の自由を確保できるよう準備する必要がある
●(米軍が)少数の高能力EW装備を保有していても、「大量の、それほど精巧ではない敵のEW能力と対峙し、時には、その大量さが、非常に圧倒的になる」こともあり、我々は様々な脅威に備える必要がある
米空軍第350 Spectrum Warfare航空団司令官のKoslov大佐は
●(現有装備で、)今夜本格紛争を戦うことになれば、現有システムの相互運用性を高め、現有装備間のデータ共有能力を高める事を考えなければならない
●このように友軍装備品の相互運用性や情報共有能力を高めるには、前線作戦運用要員と調達部門が極めて緊密(super close)に連携し、相互運用性を推進する要件を最初から明確にしておく必要がある。
●ウクライナとガザ地区で、敵は「戦略的かつ作戦上の影響を及ぼすような」低コストのツールの使用に成功しており、米国はこうしたアプローチに対抗可能なシステム開発が必要
●さらに踏み込んでいえば、「主要な兵器システムへの重点を減らし、それらの兵器システムが使用するデータに重点を置くこと:a reduced focus on major weapon systems, and more of a focus on the data that those weapon systems use」も考えるべき
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非常に短い記事で、ご紹介した米軍幹部の発言全体のトーンや流れが不明確ですが、想像をたくましくすると、「旧式のEW装備を巧みに連携して使用する敵は極めて大きな脅威で圧倒的」、「これら脅威に、少数の高能力EW装備で対抗しようとしても対応困難」「EWの基本を踏まえた、緊密な部隊間連携やそれが可能な装備調達が米軍には不可欠」とも解釈できます
対テロ作戦に注力した20数年間で米軍内(西側軍でも)のEW基礎能力は失われ、いまその回復に着手し始めたばかりでしょうが、いまや対テロの相手だった敵まで、米軍を上回るEW能力を身に着けつつあるということです。恐ろしい時代です
EW能力再構築への取り組み
「宇宙軍が電子戦EW演習拡大」→https://holylandtokyo.com/2023/11/02/5124/
「空軍が新電子戦機EC-37B受領」→https://holylandtokyo.com/2023/09/20/5052/
「EA-18G他軍種支援用が2025年退役」→https://holylandtokyo.com/2022/05/27/3249/
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「SpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「空軍が電子戦専門Wing創設」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-30
原点:ロシアの電子戦に驚愕の米軍
「東欧と中東でのロシア軍電子戦を概観」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-1
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
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4企業が候補:CCA補完の安価高生産性ETV無人機 [Joint・統合参謀本部]
新興企業が「Enterprise Test Vehicles」試作し秋に試験
モジュール式・off the-shelf・readily-available部品で
6月3日、米国防省DIU(Defense Innovation Unit)と米空軍が、本格紛争で既存兵器や無人ウイングマン機CCA等を補完するため、ETV(Enterprise Test Vehicles)との「試験用機体:test platforms」を導入し、安価で既存成熟した部品を使用し高効率大量生産可能な無人機を開発につなげると発表し、100以上の候補企業から既に4社を選定済で、2024年秋頃に試作機体の評価飛行試験を行って量産調達する少なくとも1社を決定すると発表しました
種々の情報を総合して推測すると、DIUは2023年9月に航続距離は500nm(930㎞)で巡航速度が時速100nm以上等の条件で企業募集を行い、国防省や空軍が狙っていた既存軍需産業でない企業を多数含む100社以上の中から選ばれた4社(「Anduril Industries」 「Integrated Solutions for Systems」「Leidos Dynetics」「Zone 5 Technologies」)と、どうやら今年1月に契約締結していた模様ですが、契約金額や内容は非公開で、ETV全体のスケジュール感もよくわかりません
冒頭でご紹介したようなETVの特徴から、2023年8月にヒックス国防副長官が発表した「大量導入&投入効果を発揮するために低コストで高性能なシステムを大規模に生産」することに重点を置いた「Replicator構想」の一角をなすものと推測されており、よく耳にする最近はやりの「モジュール式で随時アップグレード可能で、Off the-shelf・Readily-available部品で価格を抑え、高効率安定生産可能な」設計開発&&調達を目指すものとなっています
3日のDIU発表や関係企業声明を拾っていくと
●高価な材料使用を最小限に抑え、手頃なコストで安定的に大量生産できるモジュール式ドローンの試作品開発のため4企業を選定
●業界の有望なアイデアを活用し、適切な時程で生産可能で改良する機会を提供
●コスト、スケジュール、生産量の目標を達成するために、非伝統的な航空宇宙企業にさらなる機会を提供することが重要
●DIUと空軍は、ETVを大量配備し、多様な発射方法を使用して「防御側の敵に圧倒的なジレンマを生み出す」ことを狙う
●「数十年ではなく数年で機能を提供し、適切なタイムラインで重要機能ギャップを埋める」
●「モジュール式サブシステムで更新可能とし、On-Demandの大規模製造を可能にし、手頃な価格で大量生産を実現」
//////////////////////////////////////////
まんぐーすにとって「初耳」のETVプロジェクトですが、ご紹介したDIUや米空軍開発調達部門の他、空軍研究所 (AFRL)、特殊作戦司令部 (SOCOM)、海軍航空システム司令部 (NAVAIR)、および太平洋軍 (USINDOPACOM) が関与しているようで、皆が関心を持ち必要としているプロジェクトです。
選定された4企業発表の各社候補機体コンセプト図には、「モジュール式・off the-shelf・readily-available部品・・・」重視の結果生まれる「既視感」のあるイメージの案が並んでいますが、官民の知恵を結集した完成品が生まれることを期待したいと思います
小型安価自立型ドローン大量導入をぶち上げ
「再びReplicator語る」→https://holylandtokyo.com/2023/09/08/5016/
「副長官がReplicator構想を発表」→https://holylandtokyo.com/2023/08/31/4997/
関連のCCA計画関連
「2029年までにまず100機」→https://holylandtokyo.com/2024/05/21/5863/
「大手3社がCCA一次選考漏れ」→https://holylandtokyo.com/2024/05/17/5851/
「あと6年で実用化に試験準備」→https://holylandtokyo.com/2023/11/08/5153/
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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モジュール式・off the-shelf・readily-available部品で
6月3日、米国防省DIU(Defense Innovation Unit)と米空軍が、本格紛争で既存兵器や無人ウイングマン機CCA等を補完するため、ETV(Enterprise Test Vehicles)との「試験用機体:test platforms」を導入し、安価で既存成熟した部品を使用し高効率大量生産可能な無人機を開発につなげると発表し、100以上の候補企業から既に4社を選定済で、2024年秋頃に試作機体の評価飛行試験を行って量産調達する少なくとも1社を決定すると発表しました
種々の情報を総合して推測すると、DIUは2023年9月に航続距離は500nm(930㎞)で巡航速度が時速100nm以上等の条件で企業募集を行い、国防省や空軍が狙っていた既存軍需産業でない企業を多数含む100社以上の中から選ばれた4社(「Anduril Industries」 「Integrated Solutions for Systems」「Leidos Dynetics」「Zone 5 Technologies」)と、どうやら今年1月に契約締結していた模様ですが、契約金額や内容は非公開で、ETV全体のスケジュール感もよくわかりません
冒頭でご紹介したようなETVの特徴から、2023年8月にヒックス国防副長官が発表した「大量導入&投入効果を発揮するために低コストで高性能なシステムを大規模に生産」することに重点を置いた「Replicator構想」の一角をなすものと推測されており、よく耳にする最近はやりの「モジュール式で随時アップグレード可能で、Off the-shelf・Readily-available部品で価格を抑え、高効率安定生産可能な」設計開発&&調達を目指すものとなっています
3日のDIU発表や関係企業声明を拾っていくと
●高価な材料使用を最小限に抑え、手頃なコストで安定的に大量生産できるモジュール式ドローンの試作品開発のため4企業を選定
●業界の有望なアイデアを活用し、適切な時程で生産可能で改良する機会を提供
●コスト、スケジュール、生産量の目標を達成するために、非伝統的な航空宇宙企業にさらなる機会を提供することが重要
●DIUと空軍は、ETVを大量配備し、多様な発射方法を使用して「防御側の敵に圧倒的なジレンマを生み出す」ことを狙う
●「数十年ではなく数年で機能を提供し、適切なタイムラインで重要機能ギャップを埋める」
●「モジュール式サブシステムで更新可能とし、On-Demandの大規模製造を可能にし、手頃な価格で大量生産を実現」
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まんぐーすにとって「初耳」のETVプロジェクトですが、ご紹介したDIUや米空軍開発調達部門の他、空軍研究所 (AFRL)、特殊作戦司令部 (SOCOM)、海軍航空システム司令部 (NAVAIR)、および太平洋軍 (USINDOPACOM) が関与しているようで、皆が関心を持ち必要としているプロジェクトです。
選定された4企業発表の各社候補機体コンセプト図には、「モジュール式・off the-shelf・readily-available部品・・・」重視の結果生まれる「既視感」のあるイメージの案が並んでいますが、官民の知恵を結集した完成品が生まれることを期待したいと思います
小型安価自立型ドローン大量導入をぶち上げ
「再びReplicator語る」→https://holylandtokyo.com/2023/09/08/5016/
「副長官がReplicator構想を発表」→https://holylandtokyo.com/2023/08/31/4997/
関連のCCA計画関連
「2029年までにまず100機」→https://holylandtokyo.com/2024/05/21/5863/
「大手3社がCCA一次選考漏れ」→https://holylandtokyo.com/2024/05/17/5851/
「あと6年で実用化に試験準備」→https://holylandtokyo.com/2023/11/08/5153/
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OpenAI 社が中露の生成型AI悪用に関する報告書 [安全保障全般]
現時点では大きな影響を与える悪用は未確認
英語能力に劣る悪者利用による情報拡散が一番の懸念
Al 生成物「ラベル付け」法律制定と識別技術が必要と
5月31日付 DefenseOne が、ChatGPTを提供する生成型AIの先駆者企業「OpenAI社」が発表した「ロシアや中国関連アクターによるOpenAI 生成AI活用の Disinformation 情報拡散」とのレポートの概要の概要を紹介していますので、更につまみ食いして取り上げます
なお、このOpenAI作成レポートを同記事は、AI 生成作成コンテンツが明確に「ラベル付け」されるような法律制定を目指す同社の姿勢をアピールし、そのために同社が開発する「AI 生成作成コンテンツ検出技術」を検証する一環として作成されたものだと指摘し、
(←100万人登録に要した日数比較)「現時点では大きな影響を与える悪用は未確認」だが、悪意ある人物が、同社のような「AI 生成作成コンテンツ検出技術」開発者よりはるかに早く、コンテンツを生成し、拡散できる可能性があることを警告していると解説しています。
同レポートが「一つの主な発見:Acentral finding」として指摘しているのは、生成 AIにより (偽情報拡散に最も活用される)英語(または他の言語)の能力が劣る悪者でも、従来よりも遥かに本物らしく見える投稿やコメントを作成可能となり、ネイティブスピーカーが投稿したように見せることができるという点です
この点は、不自然な言語表現が現時点におけるネットコンテンツの真備を判断する数少ない有効な手段であることから、非常に重要な意味を持つと同レポートは普鐘を鳴らしています。
まぁ・・・、自社の生成型AI「ChatGPT」の悪用事例を、どこまで「OpenAI社」が正直に披露するのか、同レポートにある「現時点では大きな影響を与える悪用は未確認」との説明を信じてよいのか、まんぐーすにコメントできる知見がありませんが、6月中旬開催の「G7首脳会議」でも重要な話題になっているテーマですので、まずは勉強させていただきます
同レポートが挙げた事例には・・・
●親ロシア派の団体「Bad Grammar」は、OpenAI ツールを使って「ウクライナとモルドバの大統領は汚職に手を染めている」、「米国がウクライナを支援すべきではない」等と主張する生成AI作成コメントを大規模に拡散していた
●ロシア拠点のグループ「ドッペルゲンガー」は、OpenAIツールを使って英語、仏語、独語、伊語、ポーランド語のコンテンツを投稿し、実際よりもはるかに人気があるように見せかけた。ただしその発言があまりンもパターン化し、一般ネットユーザーの多くからから「ボット」だと批判されていた
●中国の「Spamouflage」と呼ばれるグループは、情報の拡散手法ではなく、生成 AIを活用し「SNS 分析に関するアドバイスを求め、ニュースや時事問題を調査し、ブログやSNSに公開するコンテンツを生成した」、「生成 AIを活用し、多数のSNS投稿、特に中国語の投稿の感情を要約および分析した」、「(意味理解できず→) The people acting on behalf of IUVM used our models to create website tags, which then appear to have been automatically added to the group's website J
●生成 AIを使用し、Telegram、X、Instagram などのサイトや投稿への大量の短いコメント投稿を行い、アクセス数を水増しすることも広く行われている
//////////////////////////////////////
イタリアで6月13~15日に開催されたG7サミットの共同声明に、AIに関し「軍事分野での責任ある開発と使用を推進する枠組みの必要性」が明記された模様で、日本でも大規模な開発事業者などを対象に法規制の検討が始まっているようです。
サイバーや宇宙だけでも手に負えないのに、生成AIですか・・・。頭が痛い時代になってきましたが、健全な常識を備えた国民の存在こそが、国家安全保障の一番の守護神だ・・・との一念で、ちまちまと今後も投稿を続けたいと思います。後しばらくは・・・
安全保障全般カテゴリー最近の記事 250本
→https://holylandtokyo.com/category/%e5%ae%89%e5%85%a8%e4%bf%9d%e9%9a%9c%e5%85%a8%e8%88%ac/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
英語能力に劣る悪者利用による情報拡散が一番の懸念
Al 生成物「ラベル付け」法律制定と識別技術が必要と
5月31日付 DefenseOne が、ChatGPTを提供する生成型AIの先駆者企業「OpenAI社」が発表した「ロシアや中国関連アクターによるOpenAI 生成AI活用の Disinformation 情報拡散」とのレポートの概要の概要を紹介していますので、更につまみ食いして取り上げます
なお、このOpenAI作成レポートを同記事は、AI 生成作成コンテンツが明確に「ラベル付け」されるような法律制定を目指す同社の姿勢をアピールし、そのために同社が開発する「AI 生成作成コンテンツ検出技術」を検証する一環として作成されたものだと指摘し、
(←100万人登録に要した日数比較)「現時点では大きな影響を与える悪用は未確認」だが、悪意ある人物が、同社のような「AI 生成作成コンテンツ検出技術」開発者よりはるかに早く、コンテンツを生成し、拡散できる可能性があることを警告していると解説しています。
同レポートが「一つの主な発見:Acentral finding」として指摘しているのは、生成 AIにより (偽情報拡散に最も活用される)英語(または他の言語)の能力が劣る悪者でも、従来よりも遥かに本物らしく見える投稿やコメントを作成可能となり、ネイティブスピーカーが投稿したように見せることができるという点です
この点は、不自然な言語表現が現時点におけるネットコンテンツの真備を判断する数少ない有効な手段であることから、非常に重要な意味を持つと同レポートは普鐘を鳴らしています。
まぁ・・・、自社の生成型AI「ChatGPT」の悪用事例を、どこまで「OpenAI社」が正直に披露するのか、同レポートにある「現時点では大きな影響を与える悪用は未確認」との説明を信じてよいのか、まんぐーすにコメントできる知見がありませんが、6月中旬開催の「G7首脳会議」でも重要な話題になっているテーマですので、まずは勉強させていただきます
同レポートが挙げた事例には・・・
●親ロシア派の団体「Bad Grammar」は、OpenAI ツールを使って「ウクライナとモルドバの大統領は汚職に手を染めている」、「米国がウクライナを支援すべきではない」等と主張する生成AI作成コメントを大規模に拡散していた
●ロシア拠点のグループ「ドッペルゲンガー」は、OpenAIツールを使って英語、仏語、独語、伊語、ポーランド語のコンテンツを投稿し、実際よりもはるかに人気があるように見せかけた。ただしその発言があまりンもパターン化し、一般ネットユーザーの多くからから「ボット」だと批判されていた
●中国の「Spamouflage」と呼ばれるグループは、情報の拡散手法ではなく、生成 AIを活用し「SNS 分析に関するアドバイスを求め、ニュースや時事問題を調査し、ブログやSNSに公開するコンテンツを生成した」、「生成 AIを活用し、多数のSNS投稿、特に中国語の投稿の感情を要約および分析した」、「(意味理解できず→) The people acting on behalf of IUVM used our models to create website tags, which then appear to have been automatically added to the group's website J
●生成 AIを使用し、Telegram、X、Instagram などのサイトや投稿への大量の短いコメント投稿を行い、アクセス数を水増しすることも広く行われている
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イタリアで6月13~15日に開催されたG7サミットの共同声明に、AIに関し「軍事分野での責任ある開発と使用を推進する枠組みの必要性」が明記された模様で、日本でも大規模な開発事業者などを対象に法規制の検討が始まっているようです。
サイバーや宇宙だけでも手に負えないのに、生成AIですか・・・。頭が痛い時代になってきましたが、健全な常識を備えた国民の存在こそが、国家安全保障の一番の守護神だ・・・との一念で、ちまちまと今後も投稿を続けたいと思います。後しばらくは・・・
安全保障全般カテゴリー最近の記事 250本
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迷走する米陸軍 M1戦車の新発展型に「M1E3」浮上 [Joint・統合参謀本部]
昨年秋に「M1A2」改修計画がキャンセルしたばかり
2022年頃までは軽戦車MPF 構想もあったような・・・
突然上層部が Bradley 後継M30と同時投入が望ましいと
5月31日付 Defense-News は、米陸軍がM1戦車の新たな発展型(new tank variant)として、2転3転した挙句に 2023年9月に構想を打ち出した「M1E3」新型エイプラハム戦車に関し、General Dynamics Land Systems 社と契約し具体的な要求性能を検討することになったと報じています
M1戦車の最新型?「M1A2」は1998年のコンボ紛争から投入され今や大ベテラン装備品で、1985年導入の初期型「M1A1」も21世紀のイラクやアフガン戦争で使用され、ウクライナ軍にも 2023年9月に提供されたと伝えられていますが、基本的にはメーカー生産は終了し、米軍は車両を修理しながら共食いリサイクル活用している模様です。
この米陸軍戦車については、歩兵部隊に「防護プラットフォーム」、「圧倒的な精密火力」、「様々な地形条件での高い機動力」提供目的で軽戦車(MPF: Mobile Protected Firepower) を2026年に部隊提供する計画があったりもしましたが(現在も存続するのか未確認)、
大ベテラン M1の最新型M1A2に関しては、迷走を重ねつつも煮詰められきた「M1A2 System Enhancement Package」計画を2023年秋に突然中止決定し、戦車の機動性や生存性をより本格的に追及する「近代化」計画を別途追求する方針に転換するなど、米陸軍の「存在意義をめぐる迷走」の象徴とも「やゆ」される状況にあります
昨年秋に突然中止の「M1A2 System Enhancement Package」計画の後に、これまた昨年 9月6日に突然打ち出された戦車の機動性や生存性を本格的に追及する計画が今日ご紹介する「M1E3」ですが、それも以下に記事からご紹介するように、「何が可能か確認する」的な「場当たり」感漂う検討となっています
5月31日付 Defense-Newsは1M1E3」検討について
(担当の Geoffrey Norman 准将が語る)
●米陸軍上層部から、Bradley 歩兵戦闘車両の後継として2社が構想を競っている「M30 機械化戦闘車両」(2027年度末頃に選定結果公表)と、同時期に何とか「M1E3」を部隊配備したいとの要望があり、(M1戦車製造企業) General Dynamics 社と何が可能かを本契約で煮詰めていく。
●必要技術の成熟度合いと、更なる技術成熟に必要な予算確保が「M1E3」部隊配備時期を左右することになろうが、2024年秋ごろまでに、諸要素を加味した現実的なスケジュールを固めたいと思う
●また米陸軍は今後18か月間をかけ、「戦車内の自動装てん装置」「新たな駆動機関(powertrains) 」「active protection systems」等の技術成熟度を確認して高め、「M1E3」に搭載したいと考えている
●また機動性向上の点から、車体重量を現在の73トンから 60トン程度に抑える野心的な構想を持っており、無人や遠隔操作タレットも検討対象となっている
●駆動機関に関しては、燃費改善や静粛性追求のためハイブリッド機関も検討対象となっているが、瞬発力も同時追求している
●(ウクライナ戦争が浮き彫りにした兵土保護の必要性や無人機脅威等を踏まえ、)「Active Protection System」は最も重視される要素の一つとなっている
//////////////////////////////////////////////////
2024年2月に「少なくとも 3000億円を投入し、数十年検討を重ねた末に中止になった」陸軍へリ FARA計画と同様に、「戦車」も迷走を続けています。
「M1E3」が同時投入を目指す Bradley 戦闘車両後継の「M30 機械化戦闘車両」機種選定発表が、2027年度末から28年度初頭との「ゆったりさ」にも「?」感が漂いますが、「M1E3」がどのような運命をたどるのか、生暖かく見つめたいと思います
将来像が描けない米陸軍の迷走
「陸軍2024年に部隊大幅削減含む改編不可避」→https://holylandtokyo.com/2024/01/04/5394/
「3000億円投入済もFARA中止」→https://holylandtokyo.com/2024/02/22/5567/
「とん挫済:軽戦車MPF」→https://holylandtokyo.com/2022/03/29/2914/
「やり直し歩兵戦闘車Bradley後継選定」→https://holylandtokyo.com/2020/07/21/577/
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2022年頃までは軽戦車MPF 構想もあったような・・・
突然上層部が Bradley 後継M30と同時投入が望ましいと
5月31日付 Defense-News は、米陸軍がM1戦車の新たな発展型(new tank variant)として、2転3転した挙句に 2023年9月に構想を打ち出した「M1E3」新型エイプラハム戦車に関し、General Dynamics Land Systems 社と契約し具体的な要求性能を検討することになったと報じています
M1戦車の最新型?「M1A2」は1998年のコンボ紛争から投入され今や大ベテラン装備品で、1985年導入の初期型「M1A1」も21世紀のイラクやアフガン戦争で使用され、ウクライナ軍にも 2023年9月に提供されたと伝えられていますが、基本的にはメーカー生産は終了し、米軍は車両を修理しながら共食いリサイクル活用している模様です。
この米陸軍戦車については、歩兵部隊に「防護プラットフォーム」、「圧倒的な精密火力」、「様々な地形条件での高い機動力」提供目的で軽戦車(MPF: Mobile Protected Firepower) を2026年に部隊提供する計画があったりもしましたが(現在も存続するのか未確認)、
大ベテラン M1の最新型M1A2に関しては、迷走を重ねつつも煮詰められきた「M1A2 System Enhancement Package」計画を2023年秋に突然中止決定し、戦車の機動性や生存性をより本格的に追及する「近代化」計画を別途追求する方針に転換するなど、米陸軍の「存在意義をめぐる迷走」の象徴とも「やゆ」される状況にあります
昨年秋に突然中止の「M1A2 System Enhancement Package」計画の後に、これまた昨年 9月6日に突然打ち出された戦車の機動性や生存性を本格的に追及する計画が今日ご紹介する「M1E3」ですが、それも以下に記事からご紹介するように、「何が可能か確認する」的な「場当たり」感漂う検討となっています
5月31日付 Defense-Newsは1M1E3」検討について
(担当の Geoffrey Norman 准将が語る)
●米陸軍上層部から、Bradley 歩兵戦闘車両の後継として2社が構想を競っている「M30 機械化戦闘車両」(2027年度末頃に選定結果公表)と、同時期に何とか「M1E3」を部隊配備したいとの要望があり、(M1戦車製造企業) General Dynamics 社と何が可能かを本契約で煮詰めていく。
●必要技術の成熟度合いと、更なる技術成熟に必要な予算確保が「M1E3」部隊配備時期を左右することになろうが、2024年秋ごろまでに、諸要素を加味した現実的なスケジュールを固めたいと思う
●また米陸軍は今後18か月間をかけ、「戦車内の自動装てん装置」「新たな駆動機関(powertrains) 」「active protection systems」等の技術成熟度を確認して高め、「M1E3」に搭載したいと考えている
●また機動性向上の点から、車体重量を現在の73トンから 60トン程度に抑える野心的な構想を持っており、無人や遠隔操作タレットも検討対象となっている
●駆動機関に関しては、燃費改善や静粛性追求のためハイブリッド機関も検討対象となっているが、瞬発力も同時追求している
●(ウクライナ戦争が浮き彫りにした兵土保護の必要性や無人機脅威等を踏まえ、)「Active Protection System」は最も重視される要素の一つとなっている
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2024年2月に「少なくとも 3000億円を投入し、数十年検討を重ねた末に中止になった」陸軍へリ FARA計画と同様に、「戦車」も迷走を続けています。
「M1E3」が同時投入を目指す Bradley 戦闘車両後継の「M30 機械化戦闘車両」機種選定発表が、2027年度末から28年度初頭との「ゆったりさ」にも「?」感が漂いますが、「M1E3」がどのような運命をたどるのか、生暖かく見つめたいと思います
将来像が描けない米陸軍の迷走
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2026年度予算で次期制空機 NGADは不確実だ [米空軍]
米空軍トップが空軍協会イベントで語る
無人ウイングマンCCAは耐用年数10年とも
6月13日、Allvin 空軍参謀総長が米空軍協会イベントで2026年度予算案編成の難しさについて言及し、次期ICBM計画 GBSDやB-21やF-35等々の主要事業が目白押しの中、候補機体設計や機種選定が山場にあるとも言われる次期制空機 NGAD (Next-Generation Air Dominancefighter)について、「不確実な将来:an uncertain future」に直面していると発言して関係者に驚きが広がっています
また無人ウイングマンCCA (Collaborative Combat Aircraft)については、「耐用年数は10年以下程度」「25~30年使用可能なCCAは求めていない」と表現し、技術進歩に追随した新たなものを、回転良く効率的に追求する姿勢を示すとともに、米空軍作戦構想全体について、大転換の必要性も認識している事を示唆する発言も飛び出し、注目を集めています
Allvin 空軍参謀総長の発言概要
(6月13日付米空軍協会 web 記事より)
●限られた予算内で多数の近代化事業を進めなければならない米空軍にとって、NGAD は今後数年の間に米空軍が実施すべき多くの「選択肢」の中の1つに過ぎない
(注・・・米空軍は従来、NGADを必須の最優先事業と表現し、例えばKendall 空軍長官は 2023年3月に、2024年度中に機種選定を行い、1機1000億円の可能性もあるNGADを約 200機を調達する構想にまで言及していた)
●(NGADの価格や導入時期に関する質問に対し、)我々は多くの優先事業の中で様々な選択をし、あらゆる面で決定を下さなければならない
●CCAは耐用年数が10年以下になるだろう。25~30年維持するようなCCAは求めていない。25~30年も使用するなら、あらゆる機能を果たさなければならなず、機体価格が上昇し、購入できる機数が減り、機体の減少とコスト上昇の「スパイラル」が生じる
●「長持ちするように作る」ことは 20世紀では素晴らしいことだったし、「長持ち」に価値があると考えられていた。しかし、21世紀の現在でもそれが真実かどうかはわからな い
●10年間も運用すればミッションも変化する。任務の変化に合わせ、新しいプラットフォームを必要とする。また、1つの任務しか実行できない機体を開発することは「失敗」を意味し、モジュール性、つまり適応性を組み込むべきだ
●(厳しさを増す予算の中、効率的な将来米空軍の在り方を考えるべきで、戦闘方法の変更、例えば「スタンドオフ部隊への転換」を余儀なくされるのではないか、との質問に対し、)私が毎晩考えていることで、そうした根本的な質問への答えを考えていかねばならない
●将来の効果的で効率的な空軍とはどのようなものか。どの程度を外部資源に依存するのか。等々の問いに答えを考えねばならない。一度開始した事業やプロセスを放棄できるような、限りない柔軟性を持ち続ける必要がある。さもなければ自滅する運命にある。
●2026年度予算案の議論を空軍内で始めているが、「今日のリスクと明日のリスク、近代化と今日の即応性」のバランスが極めて難しい。26年度は予算案作成が非常に厳しい
////////////////////////////////////////////////////
米海軍は、現在議会で審議中の 2025年度予算要求で、米海軍のF-35C型に続く次期艦載戦闘機 FIA-XX 構想の無期限延期を既に決定していいます。それだけ予算が厳しいということでです
「予算制限による方向大転換の必要性」や「スタンドオフ部隊への転換」についての質問が出て、「開始した事業やプロセスを放棄できるような、限りない柔軟性」とか「私が毎晩考えていること」とのやり取りが行われる・・・そんな時代になったのか・・・としみじみ感じる6月 13日付米空軍協会 web 記事でした
NGAD関連の記事
「複数企業が同基地内で競い検討中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/25/4678/
「欧州型とアジア太平洋型の2種類」→https://holylandtokyo.com/2023/05/10/4604/
「NGADが200機、CCAは1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「NGADは1機が数百億円」→https://holylandtokyo.com/2022/05/09/3193/
CCA 関連の記事
「2029年までにまず100機」→https://holylandtokyo.com/2024/05/21/5863/
「大手3社がCCA一次選考漏れ」→https://holylandtokyo.com/2024/05/17/5851/
「第1弾候補企業を2-3社に」→https://holylandtokyo.com/2023/03/06/5595/
「あと6年で実用化する試験準備」→https://holylandtokyo.com/2023/11/08/5153/
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無人ウイングマンCCAは耐用年数10年とも
6月13日、Allvin 空軍参謀総長が米空軍協会イベントで2026年度予算案編成の難しさについて言及し、次期ICBM計画 GBSDやB-21やF-35等々の主要事業が目白押しの中、候補機体設計や機種選定が山場にあるとも言われる次期制空機 NGAD (Next-Generation Air Dominancefighter)について、「不確実な将来:an uncertain future」に直面していると発言して関係者に驚きが広がっています
また無人ウイングマンCCA (Collaborative Combat Aircraft)については、「耐用年数は10年以下程度」「25~30年使用可能なCCAは求めていない」と表現し、技術進歩に追随した新たなものを、回転良く効率的に追求する姿勢を示すとともに、米空軍作戦構想全体について、大転換の必要性も認識している事を示唆する発言も飛び出し、注目を集めています
Allvin 空軍参謀総長の発言概要
(6月13日付米空軍協会 web 記事より)
●限られた予算内で多数の近代化事業を進めなければならない米空軍にとって、NGAD は今後数年の間に米空軍が実施すべき多くの「選択肢」の中の1つに過ぎない
(注・・・米空軍は従来、NGADを必須の最優先事業と表現し、例えばKendall 空軍長官は 2023年3月に、2024年度中に機種選定を行い、1機1000億円の可能性もあるNGADを約 200機を調達する構想にまで言及していた)
●(NGADの価格や導入時期に関する質問に対し、)我々は多くの優先事業の中で様々な選択をし、あらゆる面で決定を下さなければならない
●CCAは耐用年数が10年以下になるだろう。25~30年維持するようなCCAは求めていない。25~30年も使用するなら、あらゆる機能を果たさなければならなず、機体価格が上昇し、購入できる機数が減り、機体の減少とコスト上昇の「スパイラル」が生じる
●「長持ちするように作る」ことは 20世紀では素晴らしいことだったし、「長持ち」に価値があると考えられていた。しかし、21世紀の現在でもそれが真実かどうかはわからな い
●10年間も運用すればミッションも変化する。任務の変化に合わせ、新しいプラットフォームを必要とする。また、1つの任務しか実行できない機体を開発することは「失敗」を意味し、モジュール性、つまり適応性を組み込むべきだ
●(厳しさを増す予算の中、効率的な将来米空軍の在り方を考えるべきで、戦闘方法の変更、例えば「スタンドオフ部隊への転換」を余儀なくされるのではないか、との質問に対し、)私が毎晩考えていることで、そうした根本的な質問への答えを考えていかねばならない
●将来の効果的で効率的な空軍とはどのようなものか。どの程度を外部資源に依存するのか。等々の問いに答えを考えねばならない。一度開始した事業やプロセスを放棄できるような、限りない柔軟性を持ち続ける必要がある。さもなければ自滅する運命にある。
●2026年度予算案の議論を空軍内で始めているが、「今日のリスクと明日のリスク、近代化と今日の即応性」のバランスが極めて難しい。26年度は予算案作成が非常に厳しい
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米海軍は、現在議会で審議中の 2025年度予算要求で、米海軍のF-35C型に続く次期艦載戦闘機 FIA-XX 構想の無期限延期を既に決定していいます。それだけ予算が厳しいということでです
「予算制限による方向大転換の必要性」や「スタンドオフ部隊への転換」についての質問が出て、「開始した事業やプロセスを放棄できるような、限りない柔軟性」とか「私が毎晩考えていること」とのやり取りが行われる・・・そんな時代になったのか・・・としみじみ感じる6月 13日付米空軍協会 web 記事でした
NGAD関連の記事
「複数企業が同基地内で競い検討中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/25/4678/
「欧州型とアジア太平洋型の2種類」→https://holylandtokyo.com/2023/05/10/4604/
「NGADが200機、CCAは1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「NGADは1機が数百億円」→https://holylandtokyo.com/2022/05/09/3193/
CCA 関連の記事
「2029年までにまず100機」→https://holylandtokyo.com/2024/05/21/5863/
「大手3社がCCA一次選考漏れ」→https://holylandtokyo.com/2024/05/17/5851/
「第1弾候補企業を2-3社に」→https://holylandtokyo.com/2023/03/06/5595/
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中国の台湾侵略を米軍は無人兵器で1か月間阻止 [安全保障全般]
Washington-Post 紙が太平洋軍司令官にインタビュー
「多数の秘密兵器で台湾海峡を地獄絵図に」と
「それは現実的で、調達可能だ」とも語る
6月10日付Washington-Post 紙が、5月3日に就任したばかりの米太平洋軍司令官Samuel J.Paparo Jr 海軍大将へのインタビュー記事を掲載し、同司令官が「中国が台湾に侵攻した場合、米軍が数千の無人機や無人艦を配備し、無人の地獄絵図(Hellscape)を作り出す」と語ったと報じています
米国防省では、2023年8月にHicks 国防副長官が突然「Replicator 計画(Replicator Initiative)」を打ち出し、多量の艦艇やミサイルやマンパワー等で脅威となっている中国軍に対抗し、米国防省は今後2年間に集中して「小型&安価であってもスマートな無人システムを大量に導入する」と明らかにし、
「統合参謀副議長と共に同計画を監督」、「米軍の軍事革新を、損耗覚悟の自立無人システムを大量導入することで促進」、「中国軍に対し、対処の事前計画が困難で、各個撃破がより厄介な対処法で臨む」と基本的考え方を表明していますが、
米国大統領の命令を直接受け、対中国軍事作戦の指揮を執る立場の軍人司令官が、具体的にこのような作戦構想について明らかにするのは極めて異例で、特に中国を刺激しそうな「地獄絵図 (Hellscape)を作り出す」との表現や、米側の弱点に言及したとも言える「1カ月の間、時間を稼ぐ」とまで語ったことに驚きました
有料登録者限定のWP 紙記事の概要を紹介した朝日新聞記事(Yahooサイト掲載)から内容を紹介すると・
●Paparo 司令官は、中国の艦船が台湾侵攻のために台湾海峡の航行を始めた直後に、米軍の無人兵器を展開するとの作戦構想に言及した
●同大将は「多数の無人秘密装備を用い、台湾海峡を無人の地獄絵図にしたい。1カ月の間、(中国側を)惨めな状況にし、これにより、我々が各種対処のための時間を稼ぐことができる」と述べた。
●同司令官は、「多数の秘密装備」について細部への言及を避けたが、「それは現実的で、調達可能だ」とも語った
///////////////////////////////////////
WP紙の6月10日付元記事
→https://www.washingtonpost.com/opinions/2024/06/10/taiwan-china-hellscape-military-plan/
「Replicator 計画」の他にも、米軍内では各軍種が様々な無人兵器構想や開発を進めており、先日も国防省 DIUと空軍が共同でKTV(Enterprise Test Vehicles)との無人兵器関連テストプラットフォーム開発を発表し、その位置づけや狙いがよくわからず、軍事ニュースサイトも公式発表をただ報じて、推測コメントを短く添えるだけの「良くわかりません」状態でした
ただ、5月3日に就任したばかりの Paparo 司令官が、つい口を滑らせて作戦構想やその狙い (米軍が数千の無人機や無人艦を配備し、台湾海峡で中国軍を約1カ月の聞くぎ付けにして。 米側の各種対処のための時間を稼ぐ)を漏らしてしまったとは思えず、「それは現実的で、調達可能だ」とまで述べていることから、中国側を抑止する効果ありと見積もって「手の内を明かした」と考えるべきでしょう
それにしても・・・「多数の無人兵器で約 30日間時間を稼ぐ作戦」は理にかなっているとも言えますし、相当ウォーゲームをやったんだろうな・・・とも思いますが、台湾の人々はどう思うでしょうか?
また、日本への影響は? 更に自衛隊はどのような役割を約30日間期待されるのでしょうか? これまでの防衛力整備の方向が正しかったと言えるでしょうか?(戦闘機とか、こじつけるんでしょうが・・・) 厳しい現実を突きつけられているように思いますが・・・
米国防者の Replicator Initiative など
「DIU と空軍のKTV」 →https://holylandtokyo.com/2024/06/21/5988/
「再びRep構想を説明」→https://holylandtokyo.com/2023/09/08/5016/
「国防副長官がRep構想発表」→https://holylandtokyo.com/2023/08/31/4997/
米議員団「米軍航空機の9割は地上で損壊」の引用元
「CSIS 台湾有事の War Game 結果」→https://holylandtokyo.com/2023/01/11/4135/
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「多数の秘密兵器で台湾海峡を地獄絵図に」と
「それは現実的で、調達可能だ」とも語る
6月10日付Washington-Post 紙が、5月3日に就任したばかりの米太平洋軍司令官Samuel J.Paparo Jr 海軍大将へのインタビュー記事を掲載し、同司令官が「中国が台湾に侵攻した場合、米軍が数千の無人機や無人艦を配備し、無人の地獄絵図(Hellscape)を作り出す」と語ったと報じています
米国防省では、2023年8月にHicks 国防副長官が突然「Replicator 計画(Replicator Initiative)」を打ち出し、多量の艦艇やミサイルやマンパワー等で脅威となっている中国軍に対抗し、米国防省は今後2年間に集中して「小型&安価であってもスマートな無人システムを大量に導入する」と明らかにし、
「統合参謀副議長と共に同計画を監督」、「米軍の軍事革新を、損耗覚悟の自立無人システムを大量導入することで促進」、「中国軍に対し、対処の事前計画が困難で、各個撃破がより厄介な対処法で臨む」と基本的考え方を表明していますが、
米国大統領の命令を直接受け、対中国軍事作戦の指揮を執る立場の軍人司令官が、具体的にこのような作戦構想について明らかにするのは極めて異例で、特に中国を刺激しそうな「地獄絵図 (Hellscape)を作り出す」との表現や、米側の弱点に言及したとも言える「1カ月の間、時間を稼ぐ」とまで語ったことに驚きました
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●Paparo 司令官は、中国の艦船が台湾侵攻のために台湾海峡の航行を始めた直後に、米軍の無人兵器を展開するとの作戦構想に言及した
●同大将は「多数の無人秘密装備を用い、台湾海峡を無人の地獄絵図にしたい。1カ月の間、(中国側を)惨めな状況にし、これにより、我々が各種対処のための時間を稼ぐことができる」と述べた。
●同司令官は、「多数の秘密装備」について細部への言及を避けたが、「それは現実的で、調達可能だ」とも語った
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WP紙の6月10日付元記事
→https://www.washingtonpost.com/opinions/2024/06/10/taiwan-china-hellscape-military-plan/
「Replicator 計画」の他にも、米軍内では各軍種が様々な無人兵器構想や開発を進めており、先日も国防省 DIUと空軍が共同でKTV(Enterprise Test Vehicles)との無人兵器関連テストプラットフォーム開発を発表し、その位置づけや狙いがよくわからず、軍事ニュースサイトも公式発表をただ報じて、推測コメントを短く添えるだけの「良くわかりません」状態でした
ただ、5月3日に就任したばかりの Paparo 司令官が、つい口を滑らせて作戦構想やその狙い (米軍が数千の無人機や無人艦を配備し、台湾海峡で中国軍を約1カ月の聞くぎ付けにして。 米側の各種対処のための時間を稼ぐ)を漏らしてしまったとは思えず、「それは現実的で、調達可能だ」とまで述べていることから、中国側を抑止する効果ありと見積もって「手の内を明かした」と考えるべきでしょう
それにしても・・・「多数の無人兵器で約 30日間時間を稼ぐ作戦」は理にかなっているとも言えますし、相当ウォーゲームをやったんだろうな・・・とも思いますが、台湾の人々はどう思うでしょうか?
また、日本への影響は? 更に自衛隊はどのような役割を約30日間期待されるのでしょうか? これまでの防衛力整備の方向が正しかったと言えるでしょうか?(戦闘機とか、こじつけるんでしょうが・・・) 厳しい現実を突きつけられているように思いますが・・・
米国防者の Replicator Initiative など
「DIU と空軍のKTV」 →https://holylandtokyo.com/2024/06/21/5988/
「再びRep構想を説明」→https://holylandtokyo.com/2023/09/08/5016/
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米議員団「米軍航空機の9割は地上で損壊」の引用元
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国防省がロケット海上打ち上げ企業選定 [サイバーと宇宙]
混雑する陸上打ち上げ基地を補完
衛星や貨物の緊急打ち上げや宇宙輸送に
海上パッドからロケット4基発射成功済
2023年5月にメキシコ湾で各種認可含むデモ試験
5月28日、米国防省の革新的技術導入を担うDIU(Defense Innovation Unit)が、地上ロケット打ち上げ施設のスケジュール混雑が問題化する中、衛星の緊急打ち上げやロケットによる地対地や地対宇宙の貨物輸送などのロケット打ち上げ所要に対応する「海上ロケット発射プラットフォーム:sea-based launch platform」提供企業に、ヴァージニア州に根拠を置く「The Spaceport Company」を選定したと発表しました
DIUは「Novel Responsive Space Delivery」との取り組みの一環で、即応性と精度に優れた衛星打ち上げ能力を提供してくれる企業開拓と試作を目指しており、海上発射プラットフォームには「赤道近傍からの発射能力を向上させるとともに、機敏な発射を可能にし、交通量の多い空域を回避する重要な機能」を期待して、2023年6月に企業募集を開始していたとのとです。
この企業提案募集に対し、関係企業から多くの関心が寄せられたようですが、2023年5月に既に自社で「Sea-Based Launch Platform」コンセプトを実証し、メキシコ湾上の浮かんだ移動式発射台から4つのペイロード打ち上げに成功するだけでなく、
海上打ち上げに関する連邦航空局や沿岸警備隊への許可申請、立ち入り禁止の周知、打ち上げ時の周辺監視、侵入船舶等への対応、不足事態への対応体制確保などなど、打ち上げに関する様々な付随業務面でも円滑な運用が遂行可能であることを実証済の「The Spaceport Company」が、まず第1弾として選ばれたとのことです
DIUは他の興味深い提案を出している企業にもチャンスを与え、「The Spaceport Company」との競争環境を設けたい意向で、民間の能力を利用して、ロケット利用の地球上のある地点から別の地点へ、軌道上の 2 つの衛星間、または宇宙のある場所から別の場所へ貨物輸送を可能にして、
「Novel Responsive Space Delivery」の狙いの一環である、世界中に貨物を迅速に輸送し、動的な打ち上げと軌道上での運用を通じて宇宙でのリアルタイムの脅威に対応することを目指す、と5月28日の契約発表声明でDIUは述べています
////////////////////////////////////////
表面的な記事紹介で恐縮ですが、宇宙分野には次々と新興企業が参入し、様々なアイディア実現に果敢に挑戦している様子が伺え、米国の底力を感じます。
ただ軍事における民間企業の役割の拡大に関しては、有事における民間企業の役割分担を、国家としてどのように整理するかが大きな課題であり、宇宙軍や米国防省の采配に今後も注目して行きたいと思います
衛星緊急打ち上げや宇宙輸送関連
「次のステップVictus Hazeへ」→https://holylandtokyo.com/2024/03/12/5622/
「第1弾Victus Nox成功」→https://holylandtokyo.com/2023/09/22/5057/
「DIUが宇宙輸送企業選定へ」→https://holylandtokyo.com/2023/07/10/4819/
「宇宙物量輸送で世界中に1H以内で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/23/439/
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衛星や貨物の緊急打ち上げや宇宙輸送に
海上パッドからロケット4基発射成功済
2023年5月にメキシコ湾で各種認可含むデモ試験
5月28日、米国防省の革新的技術導入を担うDIU(Defense Innovation Unit)が、地上ロケット打ち上げ施設のスケジュール混雑が問題化する中、衛星の緊急打ち上げやロケットによる地対地や地対宇宙の貨物輸送などのロケット打ち上げ所要に対応する「海上ロケット発射プラットフォーム:sea-based launch platform」提供企業に、ヴァージニア州に根拠を置く「The Spaceport Company」を選定したと発表しました
DIUは「Novel Responsive Space Delivery」との取り組みの一環で、即応性と精度に優れた衛星打ち上げ能力を提供してくれる企業開拓と試作を目指しており、海上発射プラットフォームには「赤道近傍からの発射能力を向上させるとともに、機敏な発射を可能にし、交通量の多い空域を回避する重要な機能」を期待して、2023年6月に企業募集を開始していたとのとです。
この企業提案募集に対し、関係企業から多くの関心が寄せられたようですが、2023年5月に既に自社で「Sea-Based Launch Platform」コンセプトを実証し、メキシコ湾上の浮かんだ移動式発射台から4つのペイロード打ち上げに成功するだけでなく、
海上打ち上げに関する連邦航空局や沿岸警備隊への許可申請、立ち入り禁止の周知、打ち上げ時の周辺監視、侵入船舶等への対応、不足事態への対応体制確保などなど、打ち上げに関する様々な付随業務面でも円滑な運用が遂行可能であることを実証済の「The Spaceport Company」が、まず第1弾として選ばれたとのことです
DIUは他の興味深い提案を出している企業にもチャンスを与え、「The Spaceport Company」との競争環境を設けたい意向で、民間の能力を利用して、ロケット利用の地球上のある地点から別の地点へ、軌道上の 2 つの衛星間、または宇宙のある場所から別の場所へ貨物輸送を可能にして、
「Novel Responsive Space Delivery」の狙いの一環である、世界中に貨物を迅速に輸送し、動的な打ち上げと軌道上での運用を通じて宇宙でのリアルタイムの脅威に対応することを目指す、と5月28日の契約発表声明でDIUは述べています
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表面的な記事紹介で恐縮ですが、宇宙分野には次々と新興企業が参入し、様々なアイディア実現に果敢に挑戦している様子が伺え、米国の底力を感じます。
ただ軍事における民間企業の役割の拡大に関しては、有事における民間企業の役割分担を、国家としてどのように整理するかが大きな課題であり、宇宙軍や米国防省の采配に今後も注目して行きたいと思います
衛星緊急打ち上げや宇宙輸送関連
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「第1弾Victus Nox成功」→https://holylandtokyo.com/2023/09/22/5057/
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F-15EX部隊用初号機は正規軍でなく州空軍へ [米空軍]
オレゴン州空軍へ一番に配備。露爆撃機領空接近対処か
今後1年で13機、さらに数年で18機体制確立へ
新型装備が正規軍に先立ち州空軍配備は史上初か
6月6日、米空軍が米国防省や統合参謀本部など多方面からの圧力を受けた紆余曲折の後に、戦闘機不足対応のため渋々導入を決断した最新技術&装備満載の「新型第4世代機」であるF-15EXの部隊配備用初号機が、正規軍部隊でなく米本土北西に位置するオレゴン州空軍第142航空団に到着し、受け入れ部隊は最新装備が一番に州空軍に配備されたと大喜びで歓迎しています
同航空団は現在保有のF-15Cの後継として、最終的に18機のF-15EXを運用する部隊になる予定ですが、従来のC型と同じ地上支援機材が全て継続使用可能で、フライバイワイヤ方式やグラスコックピットなど最新装備を導入していても、操縦感覚面でも維持整備面でもC型と親和性が高い事から、パイロットも整備員も数か月でEX型に転換可能だということです。仮にF-35導入の場合には数年必要だそうですが・・・
このように前線部隊で機種転換が極めて容易なことから、前線部隊はF-15EX大歓迎で、第142航空団司令官の大佐は「私の知る限り、州空軍が正規部隊より先に主要兵器システムを導入したのは初めてだ。とても興奮しており、同時に恐縮し謙虚な気持ちでもある」と表現していますが、米空軍上層部は「4世代機」のF-15EX導入機数削減を画策しており、当初計画144機から、現在は98機上限だと主張し始めているようです
ただしF-35導入が開発遅延やトラブル多発で遅れに遅れ、米本土領空防衛任務に穴が開くリスクが出始め、かつF-35とF-15EX価格が同水準であっても、維持費が圧倒的に高いF-35導入には否定的な意見も米議会には根強く、空軍の意向に反してF-15EX導入機数を増やすべく、議会がF-15EX予算を積み増す動きまで出ているようです
背景には「F-15EX」の完成度が高い事があります。サウジ、シンガポール、カタール向け各種F-15最新型をベースとし、世界各地で受け入れ実績豊富なF-15シリーズは運用実績が豊富で稼働率も高く、ステルス形状では無いものの、最近の電子戦機器(EPAWSS:Eagle Passive Active Warning Survivability System)を搭載して本格紛争でも相当生存性が向上し、極超音速兵器などF-35が搭載できない大型兵器も搭載可能な実戦向きな汎用性を備え、
更に各種最新センサー情報を高速処理する最新高性能CPUや、燃費や出力が向上して静粛性も増した新型エンジンも搭載したことで、既に完了している開発&&運用試験や、その後の実戦をイメージして参加した19回もの演習でも、F-15EXの前線部隊評価は「うなぎ上り」とのことで、インドネシアなど関心を示す国も増えているようです。
F-35が最新型ソフト導入で問題を抱え、米空軍が引き取りを拒否し、ロッキードの工場が完成済みF-35で溢れかえる「笑えない」状態にあるF-35と対照的に、米空軍上層部を除いて部隊で歓迎されているF-15EXの存在が、奇妙なコントラストとなっているオレゴン州空軍のF-15EX部隊用初号機受け入れの話題でした
///////////////////////////////////////////////
なぜ最初にオレゴン州空軍なのか?・・と問われれば、最近アラスカ方面に進出を増やしているロシア軍爆撃機へのスクランブル対応に、老朽化したF-15C型に変わる機種が急いで必要になっているからでしょう。
目立たないけど重要な役割ですし、外国空軍との接点が多い正規空軍に配備すれば、演習などでF-15EXの素晴らしさが目立ってしまい、F-35の代わりにF-15EXを欲しがる国が増えても困るからかもしれません。邪推ですが・・・
F-15EX関連の記事
「試験部隊配備直後に大規模演習参加」→https://holylandtokyo.com/2021/05/25/1710/
「初号機を米空軍受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-15
「F-15Eの後継候補?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-02
「イヤイヤF-15EXに進む米空軍」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-30
「国防省高官もF-15EX導入を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-23-1
「統参議長がF-15EX購入を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-2
「F-15EXは空軍の選択ではない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-02
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今後1年で13機、さらに数年で18機体制確立へ
新型装備が正規軍に先立ち州空軍配備は史上初か
6月6日、米空軍が米国防省や統合参謀本部など多方面からの圧力を受けた紆余曲折の後に、戦闘機不足対応のため渋々導入を決断した最新技術&装備満載の「新型第4世代機」であるF-15EXの部隊配備用初号機が、正規軍部隊でなく米本土北西に位置するオレゴン州空軍第142航空団に到着し、受け入れ部隊は最新装備が一番に州空軍に配備されたと大喜びで歓迎しています
同航空団は現在保有のF-15Cの後継として、最終的に18機のF-15EXを運用する部隊になる予定ですが、従来のC型と同じ地上支援機材が全て継続使用可能で、フライバイワイヤ方式やグラスコックピットなど最新装備を導入していても、操縦感覚面でも維持整備面でもC型と親和性が高い事から、パイロットも整備員も数か月でEX型に転換可能だということです。仮にF-35導入の場合には数年必要だそうですが・・・
このように前線部隊で機種転換が極めて容易なことから、前線部隊はF-15EX大歓迎で、第142航空団司令官の大佐は「私の知る限り、州空軍が正規部隊より先に主要兵器システムを導入したのは初めてだ。とても興奮しており、同時に恐縮し謙虚な気持ちでもある」と表現していますが、米空軍上層部は「4世代機」のF-15EX導入機数削減を画策しており、当初計画144機から、現在は98機上限だと主張し始めているようです
ただしF-35導入が開発遅延やトラブル多発で遅れに遅れ、米本土領空防衛任務に穴が開くリスクが出始め、かつF-35とF-15EX価格が同水準であっても、維持費が圧倒的に高いF-35導入には否定的な意見も米議会には根強く、空軍の意向に反してF-15EX導入機数を増やすべく、議会がF-15EX予算を積み増す動きまで出ているようです
背景には「F-15EX」の完成度が高い事があります。サウジ、シンガポール、カタール向け各種F-15最新型をベースとし、世界各地で受け入れ実績豊富なF-15シリーズは運用実績が豊富で稼働率も高く、ステルス形状では無いものの、最近の電子戦機器(EPAWSS:Eagle Passive Active Warning Survivability System)を搭載して本格紛争でも相当生存性が向上し、極超音速兵器などF-35が搭載できない大型兵器も搭載可能な実戦向きな汎用性を備え、
更に各種最新センサー情報を高速処理する最新高性能CPUや、燃費や出力が向上して静粛性も増した新型エンジンも搭載したことで、既に完了している開発&&運用試験や、その後の実戦をイメージして参加した19回もの演習でも、F-15EXの前線部隊評価は「うなぎ上り」とのことで、インドネシアなど関心を示す国も増えているようです。
F-35が最新型ソフト導入で問題を抱え、米空軍が引き取りを拒否し、ロッキードの工場が完成済みF-35で溢れかえる「笑えない」状態にあるF-35と対照的に、米空軍上層部を除いて部隊で歓迎されているF-15EXの存在が、奇妙なコントラストとなっているオレゴン州空軍のF-15EX部隊用初号機受け入れの話題でした
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なぜ最初にオレゴン州空軍なのか?・・と問われれば、最近アラスカ方面に進出を増やしているロシア軍爆撃機へのスクランブル対応に、老朽化したF-15C型に変わる機種が急いで必要になっているからでしょう。
目立たないけど重要な役割ですし、外国空軍との接点が多い正規空軍に配備すれば、演習などでF-15EXの素晴らしさが目立ってしまい、F-35の代わりにF-15EXを欲しがる国が増えても困るからかもしれません。邪推ですが・・・
F-15EX関連の記事
「試験部隊配備直後に大規模演習参加」→https://holylandtokyo.com/2021/05/25/1710/
「初号機を米空軍受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-15
「F-15Eの後継候補?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-02
「イヤイヤF-15EXに進む米空軍」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-30
「国防省高官もF-15EX導入を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-23-1
「統参議長がF-15EX購入を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-2
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英空軍のスピットファイア戦闘機が墜落 [ふと考えること]
英本土防空作戦記念飛行隊所属の飛行可能機
スピットファイアを6機保有し記念行事などで飛行
死亡した操縦者をウィリアム王子や英首相が追悼
5月25日英国空軍は、ロンドンの北 200kmに位置する RAF Coningsby 空軍基地「Battle of Britain Memorial Flight: 英本土防空作戦記念飛行隊」に所属する Spitfire 戦闘機6機の内の1機が、同基地近傍に墜落し、搭乗していたパイロット1名が死亡したと発表しました
同空軍は、徹底的な原因究明が完了するまで、事故原因については言及できないとし、またご遺族のご意向を踏まえ、亡くなった操縦者の氏名等公表は避けるとも声明で明らかにしています
亡くなったパイロットに対するウィリアム王子夫妻やスナク英首相の追悼の辞
・王子夫妻:「今日の午後、Coningsby 空軍基地から信じられない悲しい知らせを受けた。私たちは今夜、同飛行士の愛する人々と飛行隊、そして英国空軍各位と共にある」
・スナク首相:「英国空軍に奉職するパイロットの命が、道半ばで断たれたとの悲しい知らせが届いた。私の思いは今、同操縦者のご家族や愛する人々と共にある」
墜落した Spitfire 戦闘機が所属する「Battle of Britain Memorial Flight:英本土防空作戦記念飛行隊」は、Spitfire 戦闘機 6機のほか、Hurricanes 戦闘機2機、Lancaster 爆撃機1機、C47 Dakot輸送機、Chipmunk DHC-1 練習機を飛行可能な状態で維持し、航空ショーなどで飛行させて「Battle of Britain: 英本土防空作戦」の歴史継承に貢献しているとのことです
同飛行隊が名前に掲げる「Battle of Britain」は、航空作戦を学ぶものが必ず通る、第2次世界大戦の中で行われた防空作戦の記念碑的戦い(1940年7月~10月)です。
物量や戦力でドイツに対し圧倒的劣勢だった英国が、レーダー情報と防空兵器と戦闘機の緊急発進を効率的に運用してドイツ軍機を迎え撃ち、一般国民への空襲管報や避難誘導や消防体制を整備して被害極限を図り、国民も一丸となって戦闘機や弾薬や高射砲の増産に取り組んで本土防衛に貢献した、正に国家総動員の防衛戦として知られる歴史です
そんな歴史の語り継ぐため、地道な役割を担っていたパイロットの死に接し、ロイヤルファミリーや国の政治指導者が、直ちに哀悼の意を表明する「普通の国」に日本がなれる日が来るのでしょうか?
日本のため、尊い犠牲を払われた歴史上の様々な人々に、現代に生きる日本人が、こぞって感謝の祈りをささげるような機会を持つ「普通の国」に、日本がなれる日が来るのでしょうか? そんなことを考えさせられる英国発の知らせでした・・・
英国軍関連の記事
「ウ支援で弾薬不足深刻」→https://holylandtokyo.com/2023/03/23/4395/
「英と伊国防省が日本を恫喝」→https://holylandtokyo.com/2023/02/14/4299/
「女王陛下と英国軍」→https://holylandtokyo.com/2022/09/12/3654/
「F-35は多くて 70機!?」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
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スピットファイアを6機保有し記念行事などで飛行
死亡した操縦者をウィリアム王子や英首相が追悼
5月25日英国空軍は、ロンドンの北 200kmに位置する RAF Coningsby 空軍基地「Battle of Britain Memorial Flight: 英本土防空作戦記念飛行隊」に所属する Spitfire 戦闘機6機の内の1機が、同基地近傍に墜落し、搭乗していたパイロット1名が死亡したと発表しました
同空軍は、徹底的な原因究明が完了するまで、事故原因については言及できないとし、またご遺族のご意向を踏まえ、亡くなった操縦者の氏名等公表は避けるとも声明で明らかにしています
亡くなったパイロットに対するウィリアム王子夫妻やスナク英首相の追悼の辞
・王子夫妻:「今日の午後、Coningsby 空軍基地から信じられない悲しい知らせを受けた。私たちは今夜、同飛行士の愛する人々と飛行隊、そして英国空軍各位と共にある」
・スナク首相:「英国空軍に奉職するパイロットの命が、道半ばで断たれたとの悲しい知らせが届いた。私の思いは今、同操縦者のご家族や愛する人々と共にある」
墜落した Spitfire 戦闘機が所属する「Battle of Britain Memorial Flight:英本土防空作戦記念飛行隊」は、Spitfire 戦闘機 6機のほか、Hurricanes 戦闘機2機、Lancaster 爆撃機1機、C47 Dakot輸送機、Chipmunk DHC-1 練習機を飛行可能な状態で維持し、航空ショーなどで飛行させて「Battle of Britain: 英本土防空作戦」の歴史継承に貢献しているとのことです
同飛行隊が名前に掲げる「Battle of Britain」は、航空作戦を学ぶものが必ず通る、第2次世界大戦の中で行われた防空作戦の記念碑的戦い(1940年7月~10月)です。
物量や戦力でドイツに対し圧倒的劣勢だった英国が、レーダー情報と防空兵器と戦闘機の緊急発進を効率的に運用してドイツ軍機を迎え撃ち、一般国民への空襲管報や避難誘導や消防体制を整備して被害極限を図り、国民も一丸となって戦闘機や弾薬や高射砲の増産に取り組んで本土防衛に貢献した、正に国家総動員の防衛戦として知られる歴史です
そんな歴史の語り継ぐため、地道な役割を担っていたパイロットの死に接し、ロイヤルファミリーや国の政治指導者が、直ちに哀悼の意を表明する「普通の国」に日本がなれる日が来るのでしょうか?
日本のため、尊い犠牲を払われた歴史上の様々な人々に、現代に生きる日本人が、こぞって感謝の祈りをささげるような機会を持つ「普通の国」に、日本がなれる日が来るのでしょうか? そんなことを考えさせられる英国発の知らせでした・・・
英国軍関連の記事
「ウ支援で弾薬不足深刻」→https://holylandtokyo.com/2023/03/23/4395/
「英と伊国防省が日本を恫喝」→https://holylandtokyo.com/2023/02/14/4299/
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中国が米軍等の現役退役操縦者を積極隠密リクルート [安全保障全般]
米DNIと英豪加NZ情報機関が自国軍人やOBへ警告
中国との関係を隠し民間会社を装って軍人やOBに接近
パイロットを始め、作戦機搭乗員や作戦指揮所経験者に狙い
6月5日、米国情報機関の元締めDNIや米国と緊密な情報共有を行っている英豪加NZ情報機関がそれぞれのwebサイト等で、米軍やNATO軍の現役や退役したパイロット及び主要作戦運用職種経験者に対し、中国が民間会社を装って接近し、高額な報酬と甘い言葉で西側軍人やOBに専門知識を生かせる仕事をオファーし、西側軍の戦術や技術や作戦運用ノウハウを盗み取ろうとして、少なくとも数百人単位の人間にアプローチしているとの警告文書を一斉に掲載開始したようです
米国情報機関を束ねるDNI(Director of National Intelligence)配下で、いわゆるスパイ対処(Counterintelligence)を担う部門のトップ(Director of the National Counterintelligence and Security Center (NCSC).)は警告文書で、
●中国は軍事作戦の知見不足を補い、中国軍人の教育や作戦立案に役立てるため、世界中で西側企業に見せかけた偽装企業による西側作戦機搭乗員や同OBのリクルートを、高額な報酬などの誘い文句で極めて活発に行っている
●中国は南アフリカ企業所在の企業等と連携し、軍用機パイロット、作戦機搭乗員、作戦指揮センター勤務経験者などに狙いを定めており、具体的企業名としては「Test Flying Academy of South Africa (TFASA)」「Beijing China Aviation Technology Co. (BCAT)」「Stratos」等々がある
●中国の動きを察知した米国政府は、問題のある関連企業活動に制限を課す対応を行っている。また退役米軍人がそのような企業と関係を持つことを禁じる規則改正も既に行っている。このような米国の対処で中国側の企みが最近(負の)影響を受けているが、それでも中国は手法を変えながら引き続き米軍パイロットや同OBリクルートに注力している
米空軍幹部も昨年9月のAFA総会で
●少なくとも数百名の米空軍やNATO軍現役兵士や軍OBが中国関連企業のターゲットになっている。表面的には安全で無害に見えるような職務提案や技術顧問的なオファーで始まるが、次第に中国側の関心が高い情報提供に巻き込まれる巧みな「やり口」が確認されている
●また、リクルートは一般的な求人募集webサイトやヘッドハンティング企業サイトを通じた形でも行われており、もし怪しい誘いを受けた場合や過去に経験がある場合は、軍の捜査局やFBI窓口に相談してほしい
////////////////////////////////////////
中国企業が外国企業の技術を盗むように、中国軍も西側諸国軍の軍事的ノウハウを狙っているということで、もちろん西側諸国軍は脇を締め、変な誘惑に乗らないように軍内教育やOBへの注意喚起に力を入れるべきです
ただ、中国軍人への給与支払いも滞っていると言われる昨今、「金の切れ目が、縁の切れ目」の世界でしょうから、中国側もそう簡単に前進は難しいでしょう。もしかしたら、中国や中国軍内での変化の兆候をつかんだ今のタイミングで、西側「Five Eyes intelligence alliance」を構成する、英、加、豪州、NZが攻勢反転の機会と見て、このような注意喚起情報を積極的に一斉発表したとも考えられます
米国情報機関の元締めDNI関連
女性初の国家情報長官は講道館で1年柔道修行
「中国宇宙脅威を語る」→https://holylandtokyo.com/2021/04/27/116/
「露は弾薬不足に対処できそうもない」→https://holylandtokyo.com/2022/12/08/4032/
「年次報告書を語る」→https://holylandtokyo.com/2021/04/27/116/
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中国との関係を隠し民間会社を装って軍人やOBに接近
パイロットを始め、作戦機搭乗員や作戦指揮所経験者に狙い
6月5日、米国情報機関の元締めDNIや米国と緊密な情報共有を行っている英豪加NZ情報機関がそれぞれのwebサイト等で、米軍やNATO軍の現役や退役したパイロット及び主要作戦運用職種経験者に対し、中国が民間会社を装って接近し、高額な報酬と甘い言葉で西側軍人やOBに専門知識を生かせる仕事をオファーし、西側軍の戦術や技術や作戦運用ノウハウを盗み取ろうとして、少なくとも数百人単位の人間にアプローチしているとの警告文書を一斉に掲載開始したようです
米国情報機関を束ねるDNI(Director of National Intelligence)配下で、いわゆるスパイ対処(Counterintelligence)を担う部門のトップ(Director of the National Counterintelligence and Security Center (NCSC).)は警告文書で、
●中国は軍事作戦の知見不足を補い、中国軍人の教育や作戦立案に役立てるため、世界中で西側企業に見せかけた偽装企業による西側作戦機搭乗員や同OBのリクルートを、高額な報酬などの誘い文句で極めて活発に行っている
●中国は南アフリカ企業所在の企業等と連携し、軍用機パイロット、作戦機搭乗員、作戦指揮センター勤務経験者などに狙いを定めており、具体的企業名としては「Test Flying Academy of South Africa (TFASA)」「Beijing China Aviation Technology Co. (BCAT)」「Stratos」等々がある
●中国の動きを察知した米国政府は、問題のある関連企業活動に制限を課す対応を行っている。また退役米軍人がそのような企業と関係を持つことを禁じる規則改正も既に行っている。このような米国の対処で中国側の企みが最近(負の)影響を受けているが、それでも中国は手法を変えながら引き続き米軍パイロットや同OBリクルートに注力している
米空軍幹部も昨年9月のAFA総会で
●少なくとも数百名の米空軍やNATO軍現役兵士や軍OBが中国関連企業のターゲットになっている。表面的には安全で無害に見えるような職務提案や技術顧問的なオファーで始まるが、次第に中国側の関心が高い情報提供に巻き込まれる巧みな「やり口」が確認されている
●また、リクルートは一般的な求人募集webサイトやヘッドハンティング企業サイトを通じた形でも行われており、もし怪しい誘いを受けた場合や過去に経験がある場合は、軍の捜査局やFBI窓口に相談してほしい
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中国企業が外国企業の技術を盗むように、中国軍も西側諸国軍の軍事的ノウハウを狙っているということで、もちろん西側諸国軍は脇を締め、変な誘惑に乗らないように軍内教育やOBへの注意喚起に力を入れるべきです
ただ、中国軍人への給与支払いも滞っていると言われる昨今、「金の切れ目が、縁の切れ目」の世界でしょうから、中国側もそう簡単に前進は難しいでしょう。もしかしたら、中国や中国軍内での変化の兆候をつかんだ今のタイミングで、西側「Five Eyes intelligence alliance」を構成する、英、加、豪州、NZが攻勢反転の機会と見て、このような注意喚起情報を積極的に一斉発表したとも考えられます
米国情報機関の元締めDNI関連
女性初の国家情報長官は講道館で1年柔道修行
「中国宇宙脅威を語る」→https://holylandtokyo.com/2021/04/27/116/
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ロッキード独自挑戦:VLSから PAC-3発射迎撃試験に成功 [Joint・統合参謀本部]
陸上の White Sands 試験場で模擬巡航ミサイル迎撃
「自腹」で約 150億円を投入
国防省と米海軍に本事業推進を催促
敵の弾道&巡航ミサイル、更に極超音速兵器の発達を受け、既存ミサイル防衛システムの改良&融合により、脅威の変化に迅速に対処し、国防省の取り組むIAMD(統合航空&ミサイル防衛)に貢献しようと、2017年からロッキード社が「自腹」で取り組む海軍艦艇のミサイル垂直発射管VLSからパトリオット PAC-3を発射する検討に関し、
5月20日ロッキード社が、ニューメキシコ州ホワイトサンズ試験場で、陸上に設置した艦艇 VLS 想定の発射機から、MK-70コンテナキャニスターに納されたパトリオットPAC-3 MSE 型を発射し、模擬巡航ミサイルの迎撃に成功したと発表しました
「白紙」からの防空ミサイル開発には長期間を要することから、同社は2024年末までに「自腹」で約150億円を本プロジェクトに投入して、既に実戦経験豊富で改良を重ねている「Battle Tested and Proven」なPAC-3最新型を利用し、現在の米海軍艦艇ミサイル防衛能力の「すき間:ギャップ」を迅速かつ効率的に補填することを狙い、国防省や米海軍の予算化を待つことなく取り組んでいると、繰り返しアピールしています
実際、今次の実射に向けては、地上配備版のイージス・アショア(ポーランドとルーマニアで近日初期運用開始)との初期的なハード連接確認を、MDA 要請を受け2022年秋に実施済で、2023年夏にはPAC-3と米海軍 SPY-1レーダー(約100隻の米海軍艦艇に搭載)との連接試験も行ってデータ融合可能を確認するなど、計画的に既存システム融合に同社は組んできています。
今年1月に「2024年春に、地上設置の垂直発射管 VLSからPAC-3MSE試射を計画」と発表した際も、「試射に成功した場合には、実際のイージス艦 VLSからの発射試験実現に向けた国防省や米海軍からの予算配分や艦艇活用協力をお願いしたい」と訴えていましたが、
5月20日の試験成功を受け、「この実射試験成功で、最新脅威へのわが社の継続的な挑戦と貢献姿勢を証明することができた」、「試験に成功したこのシステムは、機能証明済みのIAMD 能力強化策として国防に貢献できる」、「海軍艦艇での試験への協力や必要予算の確保を、米海軍や国防省が選択することを希望しているが、現時点ではその動きが確認できない」と同社担当責任者は不満をにじませています
/////////////////////////////////////////////////
米軍や国防省の名誉のため補足説明しておくと、今回のホワイトサンズでの試験には、複数の米軍種が協力しているとのことで、完全に100%ロッキードだけでプロジェクトを進めているわけではありません。
ただ、日進月歩のミサイル技術や極超音速兵器技術の進歩、ウクライナでも猛威を振るう無人機の脅威など、従来の「航空優勢」概念の見直しを迫られるほどの変化の中で、限られた予算の配分の中で、事業の優先順位をつける判断が追い付かないのが現状だろうと思います。米国だけでなく、西側主要国はすべて・・・
PAC-3やミサイル防衛関連の記事
「春にPAC-3を VLSから」→https://holylandtokyo.com/2024/01/25/5487/
「米陸軍がPAC-3部隊増強へ」→https://holylandtokyo.com/2023/09/04/4932/
「THAAD に PAC-3 連接迎撃に成功」→https://holylandtokyo.com/2022/03/18/2820/
「グアム防衛を MDA 長官が語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「THAAD が初実戦迎撃成功」→https://holylandtokyo.com/2022/01/24/2640/
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「自腹」で約 150億円を投入
国防省と米海軍に本事業推進を催促
敵の弾道&巡航ミサイル、更に極超音速兵器の発達を受け、既存ミサイル防衛システムの改良&融合により、脅威の変化に迅速に対処し、国防省の取り組むIAMD(統合航空&ミサイル防衛)に貢献しようと、2017年からロッキード社が「自腹」で取り組む海軍艦艇のミサイル垂直発射管VLSからパトリオット PAC-3を発射する検討に関し、
5月20日ロッキード社が、ニューメキシコ州ホワイトサンズ試験場で、陸上に設置した艦艇 VLS 想定の発射機から、MK-70コンテナキャニスターに納されたパトリオットPAC-3 MSE 型を発射し、模擬巡航ミサイルの迎撃に成功したと発表しました
「白紙」からの防空ミサイル開発には長期間を要することから、同社は2024年末までに「自腹」で約150億円を本プロジェクトに投入して、既に実戦経験豊富で改良を重ねている「Battle Tested and Proven」なPAC-3最新型を利用し、現在の米海軍艦艇ミサイル防衛能力の「すき間:ギャップ」を迅速かつ効率的に補填することを狙い、国防省や米海軍の予算化を待つことなく取り組んでいると、繰り返しアピールしています
実際、今次の実射に向けては、地上配備版のイージス・アショア(ポーランドとルーマニアで近日初期運用開始)との初期的なハード連接確認を、MDA 要請を受け2022年秋に実施済で、2023年夏にはPAC-3と米海軍 SPY-1レーダー(約100隻の米海軍艦艇に搭載)との連接試験も行ってデータ融合可能を確認するなど、計画的に既存システム融合に同社は組んできています。
今年1月に「2024年春に、地上設置の垂直発射管 VLSからPAC-3MSE試射を計画」と発表した際も、「試射に成功した場合には、実際のイージス艦 VLSからの発射試験実現に向けた国防省や米海軍からの予算配分や艦艇活用協力をお願いしたい」と訴えていましたが、
5月20日の試験成功を受け、「この実射試験成功で、最新脅威へのわが社の継続的な挑戦と貢献姿勢を証明することができた」、「試験に成功したこのシステムは、機能証明済みのIAMD 能力強化策として国防に貢献できる」、「海軍艦艇での試験への協力や必要予算の確保を、米海軍や国防省が選択することを希望しているが、現時点ではその動きが確認できない」と同社担当責任者は不満をにじませています
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米軍や国防省の名誉のため補足説明しておくと、今回のホワイトサンズでの試験には、複数の米軍種が協力しているとのことで、完全に100%ロッキードだけでプロジェクトを進めているわけではありません。
ただ、日進月歩のミサイル技術や極超音速兵器技術の進歩、ウクライナでも猛威を振るう無人機の脅威など、従来の「航空優勢」概念の見直しを迫られるほどの変化の中で、限られた予算の配分の中で、事業の優先順位をつける判断が追い付かないのが現状だろうと思います。米国だけでなく、西側主要国はすべて・・・
PAC-3やミサイル防衛関連の記事
「春にPAC-3を VLSから」→https://holylandtokyo.com/2024/01/25/5487/
「米陸軍がPAC-3部隊増強へ」→https://holylandtokyo.com/2023/09/04/4932/
「THAAD に PAC-3 連接迎撃に成功」→https://holylandtokyo.com/2022/03/18/2820/
「グアム防衛を MDA 長官が語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
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米空軍2トップ:航空優勢は重要だが不可能だし必要もない [米空軍]
最近のウクライナや中東戦況から吐露
従来の「航空優勢」定義やその追及の要領や必要性再検討
まんぐーすの邪推満載で発言ご紹介
5月14日付米空軍協会web記事が、Allvin米空軍参謀総長(輸送機パイロット)とSlife副参謀総長(特殊作戦ヘリパイロット)が2024年に入ってから行った、ウクライナや中東での最近の戦いを踏まえた「航空優勢(Air superiority)について従来の考え方を改めるべき」とか「航空優勢は依然として重要だが、もはや恐らく不可能で、必ずしも必要ない」との発言を取り上げ、それら発言と米空軍指導者らが最近訴え続けている「IAMD:統合防空・ミサイル防衛」の重要性や、関連する「電子戦の重要性」、「無人機対処の重要性」と絡めて説明を「試みています」
全く論旨が不明確な記事で、米空軍応援団であるAFA米空軍協会(戦闘機命族が支配している)の編集幹部が、記者の原稿を大幅カットまたは編集して意味不明になっているのでは・・・とまんぐーすは考えていますが、今年に入って米空軍制服2トップが、全ての軍事作戦を優位に進める前提として米空軍が「錦の御旗」としてきた、「航空優勢確保が絶対的に重要で、だから空軍が重要(そして戦闘機が必要)」の論理に(間接的&婉曲的ながら)疑問を呈し始めている点は極めて重要ですのでご紹介し、併せてまんぐーすの邪推も語らせていただきます
14日付米空軍協会web記事は航空優勢関連発言を・・・
●13日にAllvin空軍参謀総長はCFR(外交評議会)で講演し、最近のウクライナや中東での作戦状況や教訓を踏まえ、「制空権は依然として重要だが、以前のようには恐らく不可能であり、またその必要もないことを理解する必要がある」と語っている
●また最近Slife副参謀総長も、米空軍はそのドクトリンで重要な位置を占めている「航空優勢」の定義と追求の仕方を、最近の戦いの様相を踏まえて変えるべきだと主張している
●なお2月の空軍協会のイベントでもAllvin大将は、米空軍は制空権が不可欠であると定義しているが、その重要性は任務の目的によって異なり、指揮官は状況や任務目的に応じて制空権の重要性をよく考える能力が必要だとし、制空権の伝統的な重要性は戦争の性質の進化により変化している、と主張している
●13日のCFR講演でAllvin大将は「航空優勢」の考え方見直しの背景について、従来の航空優勢では、味方が敵の防空能力を破壊や後退させ、空での活動の自由を確保して味方の地上部隊等の自由を確保することを意図しているが、ウクライナでは双方に航空優勢を維持する能力がなく、たとえ従来概念の「航空優勢」が確保できたとしても、敵の電子戦能力は生き延びて、味方の自由は確保できない状態になっている、と語っている
●最近Slife副参謀総長は、ウクライナの最前線や中東の米国前線基地への小型攻撃無人機の脅威を引き合いに出し、制空権の変動する力学について語っている
(上記内容を紹介した後に同記事は、米軍が重要課題としている本格的な敵との紛争では、F-35ステルス戦闘機でも電子戦攻撃と組み合わせて運用する必要があるとか、4月13日夜にイランが弾道ミサイル100発以上、巡航ミサイル30機以上、無人機150機で実施したイスラエル攻撃に関し、同盟国も交えた多層的な防空が効果を発揮した点を踏まえ、Allvin大将がIAMD(統合防空・ミサイル防衛)推進の重要性を強調した、と紹介し、意味不明な流れで終わっています)
以下はまんぐーすの邪推ですが・・・
●Allvin米空軍参謀総長やSlife副参謀総長はストレートに表現しないが、従来米空軍が追求してきた戦闘機や爆撃機による「航空優勢」(中高度から高高度の支配)を確保しても、ウクライナや中東で最近顕著なように、敵は利用可能な低高度域を活用した無人機攻撃や、従来「航空優勢」の影響が及ばない電子戦能力で粘りずよく反撃し、従来「航空優勢」が狙った友軍地上部隊や海上部隊の行動の自由が確保できていない
●・・・なので本当は、従来「航空優勢」の考え方再検討を訴えつつ、従来「航空優勢」コンセプトを支えてきた戦闘機への過剰投資見直しに結び付けたいとの思いがあるが、米空軍(同盟国空軍も)を支配する「戦闘機命族」への配慮もあり、とりあえず、過去20年間以上の対テロ作戦で失われた電子戦能力や、本格的な敵との戦いに不可欠なIAMD(統合防空・ミサイル防衛)整備の重要性に言及し、時間が必要な「脅威の変化」への理解浸透を待っているのでは・・・
///////////////////////////////////////////
ウクライナの戦いついて、米空軍の戦闘機族が「様々な制約で戦闘機が投入できないことで戦いが硬直しているウクライナの現状が、まさに戦闘機の重要性を示している」的な論旨で語る様子を見聞きしてきましたが、戦闘機乗りでないAllvin米空軍参謀総長(輸送機パイロット)やSlife副参謀総長(特殊作戦ヘリパイロット)が、2024年に入って従来の「航空優勢確保が命です」コンセプト見直しに正面から言及していることに強い感銘を受けました
また「まんぐーすの邪推」部分で紹介した、「中高度から高高度の支配」と「低高度域の利用」との視点を提言し、「ウクライナで戦闘機による制空の時代は終わる」、「戦闘機や空中戦が輝いた栄光の時代が完全に過ぎ去らないにしても、もはや唯一の重要な要素でないことに気づくべきだ」とウクライナ開戦直前の2022年2月7日に喝破した、勇気ある米空軍輸送機パイロット大佐とその寄稿記事(下記の過去記事参照)に再度敬意を表したいと思います
ウクライナでの航空優勢を考える
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
イラン対イスラエルの攻防を考える
「5月13日の攻防を防研が速攻分析」→https://holylandtokyo.com/2024/04/25/5847/
「出来すぎのイラン攻撃への迎撃作戦概要」→https://holylandtokyo.com/2024/04/16/5812/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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従来の「航空優勢」定義やその追及の要領や必要性再検討
まんぐーすの邪推満載で発言ご紹介
5月14日付米空軍協会web記事が、Allvin米空軍参謀総長(輸送機パイロット)とSlife副参謀総長(特殊作戦ヘリパイロット)が2024年に入ってから行った、ウクライナや中東での最近の戦いを踏まえた「航空優勢(Air superiority)について従来の考え方を改めるべき」とか「航空優勢は依然として重要だが、もはや恐らく不可能で、必ずしも必要ない」との発言を取り上げ、それら発言と米空軍指導者らが最近訴え続けている「IAMD:統合防空・ミサイル防衛」の重要性や、関連する「電子戦の重要性」、「無人機対処の重要性」と絡めて説明を「試みています」
全く論旨が不明確な記事で、米空軍応援団であるAFA米空軍協会(戦闘機命族が支配している)の編集幹部が、記者の原稿を大幅カットまたは編集して意味不明になっているのでは・・・とまんぐーすは考えていますが、今年に入って米空軍制服2トップが、全ての軍事作戦を優位に進める前提として米空軍が「錦の御旗」としてきた、「航空優勢確保が絶対的に重要で、だから空軍が重要(そして戦闘機が必要)」の論理に(間接的&婉曲的ながら)疑問を呈し始めている点は極めて重要ですのでご紹介し、併せてまんぐーすの邪推も語らせていただきます
14日付米空軍協会web記事は航空優勢関連発言を・・・
●13日にAllvin空軍参謀総長はCFR(外交評議会)で講演し、最近のウクライナや中東での作戦状況や教訓を踏まえ、「制空権は依然として重要だが、以前のようには恐らく不可能であり、またその必要もないことを理解する必要がある」と語っている
●また最近Slife副参謀総長も、米空軍はそのドクトリンで重要な位置を占めている「航空優勢」の定義と追求の仕方を、最近の戦いの様相を踏まえて変えるべきだと主張している
●なお2月の空軍協会のイベントでもAllvin大将は、米空軍は制空権が不可欠であると定義しているが、その重要性は任務の目的によって異なり、指揮官は状況や任務目的に応じて制空権の重要性をよく考える能力が必要だとし、制空権の伝統的な重要性は戦争の性質の進化により変化している、と主張している
●13日のCFR講演でAllvin大将は「航空優勢」の考え方見直しの背景について、従来の航空優勢では、味方が敵の防空能力を破壊や後退させ、空での活動の自由を確保して味方の地上部隊等の自由を確保することを意図しているが、ウクライナでは双方に航空優勢を維持する能力がなく、たとえ従来概念の「航空優勢」が確保できたとしても、敵の電子戦能力は生き延びて、味方の自由は確保できない状態になっている、と語っている
●最近Slife副参謀総長は、ウクライナの最前線や中東の米国前線基地への小型攻撃無人機の脅威を引き合いに出し、制空権の変動する力学について語っている
(上記内容を紹介した後に同記事は、米軍が重要課題としている本格的な敵との紛争では、F-35ステルス戦闘機でも電子戦攻撃と組み合わせて運用する必要があるとか、4月13日夜にイランが弾道ミサイル100発以上、巡航ミサイル30機以上、無人機150機で実施したイスラエル攻撃に関し、同盟国も交えた多層的な防空が効果を発揮した点を踏まえ、Allvin大将がIAMD(統合防空・ミサイル防衛)推進の重要性を強調した、と紹介し、意味不明な流れで終わっています)
以下はまんぐーすの邪推ですが・・・
●Allvin米空軍参謀総長やSlife副参謀総長はストレートに表現しないが、従来米空軍が追求してきた戦闘機や爆撃機による「航空優勢」(中高度から高高度の支配)を確保しても、ウクライナや中東で最近顕著なように、敵は利用可能な低高度域を活用した無人機攻撃や、従来「航空優勢」の影響が及ばない電子戦能力で粘りずよく反撃し、従来「航空優勢」が狙った友軍地上部隊や海上部隊の行動の自由が確保できていない
●・・・なので本当は、従来「航空優勢」の考え方再検討を訴えつつ、従来「航空優勢」コンセプトを支えてきた戦闘機への過剰投資見直しに結び付けたいとの思いがあるが、米空軍(同盟国空軍も)を支配する「戦闘機命族」への配慮もあり、とりあえず、過去20年間以上の対テロ作戦で失われた電子戦能力や、本格的な敵との戦いに不可欠なIAMD(統合防空・ミサイル防衛)整備の重要性に言及し、時間が必要な「脅威の変化」への理解浸透を待っているのでは・・・
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ウクライナの戦いついて、米空軍の戦闘機族が「様々な制約で戦闘機が投入できないことで戦いが硬直しているウクライナの現状が、まさに戦闘機の重要性を示している」的な論旨で語る様子を見聞きしてきましたが、戦闘機乗りでないAllvin米空軍参謀総長(輸送機パイロット)やSlife副参謀総長(特殊作戦ヘリパイロット)が、2024年に入って従来の「航空優勢確保が命です」コンセプト見直しに正面から言及していることに強い感銘を受けました
また「まんぐーすの邪推」部分で紹介した、「中高度から高高度の支配」と「低高度域の利用」との視点を提言し、「ウクライナで戦闘機による制空の時代は終わる」、「戦闘機や空中戦が輝いた栄光の時代が完全に過ぎ去らないにしても、もはや唯一の重要な要素でないことに気づくべきだ」とウクライナ開戦直前の2022年2月7日に喝破した、勇気ある米空軍輸送機パイロット大佐とその寄稿記事(下記の過去記事参照)に再度敬意を表したいと思います
ウクライナでの航空優勢を考える
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
イラン対イスラエルの攻防を考える
「5月13日の攻防を防研が速攻分析」→https://holylandtokyo.com/2024/04/25/5847/
「出来すぎのイラン攻撃への迎撃作戦概要」→https://holylandtokyo.com/2024/04/16/5812/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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