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F-35とKC-46Aの小ネタ2つ [亡国のF-35]

ポーランドがF-35を32機購入契約締結
ボーイングが更にKC-46開発で160億円追加負担

全く異なるF-35とKC-46Aに関する「小ネタ」報道ですが、小さなことからコツコツと・・・が信条の「東京の郊外より・・・」ですので、ご紹介しておきます。

ポーランドがF-35を32機購入契約締結

F-35 fuselage2.jpg1月31日、ポーランドの国防相が32機のF-35と同機の予備エンジン33セット(F135)を購入する$4.6 billion(約5100億円)の契約書に署名し、同国のAndrzej Duda大統領がポーランドと周辺地域の安全保障を強化する上で、極めて大きなステップだと表現しています

同契約は昨年9月に米国防省から許可が出ていたものですが、これで先日ご紹介したシンガポールに続き、ポーランドは13カ国目のF-35運用国になる方向です

ちなみに他の12カ国は・・・
(カッコ内の数字は購入予定機数、ちょっと古い数字も含まれます)

共同開発国では、豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(A1763、M420、N260)
FMS購入国では、Belgium(34), Israel(19),、日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機)

共同開発国の中でも、F-35に不信感を持つカナダのトルドー首相は、正式購入決定を先延ばし続けて現在も機種選定中(65機購入予定だった)で、100機購入予定だったトルコは、S-400をロシアから導入したことで、共同開発国から排除されました

31日付米空軍協会web記事によれば
F-35hardpoints2.jpg●31日に結ばれた契約には、機体と予備エンジンのほか、8台の訓練用シミュレータ、維持整備支援、ALIS(?)が含まれ、パイロット24名と整備員約100名の養成訓練も含まれている
機体の受け取りは2024年から始まり、毎年4-6機づつ2030年まで受領する予定。機体は「Block 4」型で、1機当たりの価格は$87.3 million(約96億円)である

●契約セレモニーでMariusz Blaszczak国防相は、F-35は同国が保有するパトリオットやF-16と相互連携運用が可能だと導入メリットをアピールした
●ポーランドは昨年5月にF-35購入希望を米国に伝えていたが、同6月にポーランド大統領がホワイトハウスを訪問した際、トランプ大統領がF-35に上空を飛行させ、メディアで大きく取り上げられたところである


ボーイングが更にKC-46開発で160億円追加負担

KC-46 2.jpg1月31日、ボーイング社が米国の証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)に提出した定期資料で、トラブルが続発して運用態勢確立が遅れている米空軍のKC-46A空中給油機に関し、追加で約160億円の追加出費を強いられたことが明らかになりました

ボーイングは米空軍と、同機の開発と最初の18機納入までを「経費固定契約」で結んでおり、契約金額をオーバーした追加経費部分についてはボーイング社が負担することになっています。

このような契約形態は、既に空中給油装置技術は確立してKC-135やKC-10で実績があり、母体となる旅客機B-767も飛行実績が十分あることを受け、装備品開発における経費高騰と開発遅延の「黒歴史」イメージ払しょくを狙い、米空軍がボーイングと合意して始めたもので、契約当時の記者会見では、当時のドンリー空軍長官が新たな取り組みとして大いにアピールしていました

KC-464.jpgしかし機体開発後半になってトラブルが続発し、初号機の納期が2年近く後れ、納入開始後も米空軍による機体性能試験の過程で様々なトラブルが明らかになり、米空軍が要員養成のため細部には目をつぶって機体を順次受け入れたものの、未だに最重大レベルの不具合3種類が未解決で要求性能を満たせず、「機体開発費」が膨らみ続けてボーイングの自腹持ち出し分が拡大し続けている現状です

ボーイングの持ち出し分は、2018年が約510億円、2019年が約800億円と明らかになっていましたが、今回の新たな報告資料で約170億円が追加され、合計で3300億円を超えるに至っています

技術的な問題以外にも、納入された胴体や翼の中に、工場で使用された工具やゴミが残されたまま見つかるなど、ボーイング社現場の荒廃ぶりが明らかになり、米空軍が2度にわたって機体受け取りを拒否する事態が昨年発生しています

31日付米空軍協会web記事によれば
●米空軍は、特に解決の見通しが立っていないRVS(remote viewing system:給油操作員が空中給油ブームの操作をモニター画面を使用して行う装置。以前の給油機では、機体後方の窓から直接相手機を確認しつつ操作を行っていた)の問題解決には3-4年が必要と見積もっており、それまでKC-46Aを実戦投入出来ないとしている
KC-46 RVS2.jpg国防省の試験評価局も米空軍に対し、空中給油を実施する如何なる環境でも任務遂行可能なレベルにまで改善されることを、確実に確認するよう求めている

●Bloomberg報道によれば、B-737MAXの事故を受けて交代した新たなボーイングCEO、David Calhounに対し米空軍参謀総長が書簡を送り、米空軍が機能不完全なKC-46Aを受領させられ続けている現状から、ボーイングがKC-46A問題により真摯に取り組むよう求めたところである
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ポーランドのF-35購入契約の件では、ポーランド国防省の公式声明に、契約に含まれるものとして「自動兵站情報システムALIS」の名前が含まれているようですが、1月21日に国防省F-35計画室が、「ALISを断念する」、「ODIN(Operational Data Integrated Network)を導入する」と発表したところでもあり、些細なことですが気になります

ボーイングはどうするんでしょうかねぇ・・・。米空軍は空中給油機が不足することから、空中給油業務を民間企業へ一部委託することまで検討を始めており、「世も末」感が更に加速しています

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