SSブログ
Joint・統合参謀本部 ブログトップ
前の15件 | -

米軍がサウジ西岸で米海空軍の拠点探し [Joint・統合参謀本部]

少しでもイランから遠く、ペルシャ湾沿岸でない場所で
反体制ジャーナリスト殺害でサウジとの関係悪化の中でも

McKenzie3.jpg26日付各種軍事メディアは、Frank McKenzie米中央軍司令官が25日に米メディア(Defense OneとWall Street Journal)を同行させてサウジの紅海沿岸の港湾Yanbuを訪問したと報じ、米中央軍が同港とサウジ西岸近くの2つの飛行場を「緊急時」に使用できるようサウジ側と交渉中だとの米軍報道官の発表と合わせて紹介しています

米中央軍は、カタールやバーレーンやクウェートやUAEに米軍を展開させていますが、911同時多発テロ以降、ビンラディンの祖国であるサウジはリスクが高いとして米軍は撤退していました

Saudi Iran.jpgしかし2019年9月にサウジの製油所がイラン製の無人機やミサイルで攻撃されたことでイランへの脅威認識が高まり、トランプ大統領が首都リアド南東のPrince Sultan空軍基地に、2500名規模で米軍戦闘機部隊や防空ミサイル部隊を再展開させて現在に至っているところです

今回のメディア報道では、米軍側は兵力の常駐を意図しているのではなく、緊急時の展開先として構想しているらしいですが、サウジ側は米海軍艦艇受け入れのため港湾改修を行ったとの内容も含まれており、また記者を同行させて中央軍司令官が視察していることからも、米サウジ間では既に緊密な協議が行われていると推測されます

バイデン大統領は選挙期間中、サウジが反政府ジャーナリスト(Khashoggi)暗殺に関与したとして非難していたようですが、今後の新政権の中東政策を占う材料となる動きですので、ご紹介しておきま

26日付Military.com記事によれば
Saudi USF.jpg(左図は2020年1月時点)米中央軍報道官は、紅海に面したYanbu港と、同じく紅海沿岸近くのTabuk(King Faisal空軍基地)とTaif(King Fahd空軍基地)の緊急時の使用を想定して、1年余り評価検討を行ってきたと述べ、「挑発的にならないよう、中東地域やサウジでの存在拡大にならないよう、慎重に一時的な施設へのアクセスの可能性について協議検討を行ってきた」と文書で説明した
また同報道官は「検討してきた緊急時の拠点に対し、サウジ側が支出して施設の改善が既に行われ、今後更なる投資が検討されている」とも説明した

McKenzie司令官はYanbu港で、「ペルシャ湾岸は有事に高リスクエリアになることが想定されるので、湾岸地域から戦力移動させたり、域外からの戦力を受け入れる場所の確保を考えておくのだ」と語ったと報じられている
サウジ政府は、中央軍司令官のYanbu訪問や上記の報道官声明について、26日時点でコメントしていない
米国はサウジ以外でも、例えば、オマーンと同様の必要時の基地使用の合意を締結している模様である

Saudi Map.jpgCNAS研究員のBecca Wasser氏は、このようなサウジ西部・紅海沿岸での拠点模索は、以前McKenzie司令官が米議会で証言した、リスクの高いペルシャ湾岸を避ける新たな兵站ルート「Western Sustainment Network」の一環だろうと推測し、「恒久的な基地だけでなく、バックアップを想定した柔軟な姿勢が必要だ」とコメントしている

米軍のこのような動きにイラン側は敏感に反応し、イランの国連大使報道官は「中東の混乱と不安定を招いている」と外国軍のプレゼンスと米軍の動きを非難し、「緊急事態は、他国がイラン攻撃を試み、イランが自国防衛を決意した際にのみ発生しうる」と語った
今回の中央軍司令官Yanbu港訪問との関係は不明だが、23日にリヤドがミステリアスな攻撃を受けている。ミサイルか無人機よるかも不明で、過去にイランの支援を受け同様の攻撃を行ったことがあるイエメンのHouthi rebelsも関与を否定している
/////////////////////////////////////////////////

世界中に長射程の精密誘導兵器や無人機が拡散しており、対中国でなくても、戦力の分散や避難先の確保、代替運用地の確保は喫緊の課題です。また兵站を支える拠点の代替確保の観点も重要で

McKenzie4.jpgその点で中央軍の動きは自然なものですが、原油価格への介入などもあり、米国とサウジの関係が微妙な雰囲気の中でも、イスラエルとUAEの国交樹立の流れもあり、いろんなことが進んでいるようです

前述したように、バイデン大統領は大統領選挙期間中、サウジを反政府ジャーナリスト(Khashoggi)暗殺に関与したとして非難していたようですが、今後の中東と向き合う姿勢にも注目です

昨年の大統領選挙直後の予想記事
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09

最近の中東関連記事
「イスラエルが中央軍管轄に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-16
「政権交代前にUAEへのF-35契約署名へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-11
「イスラエルがUAEへのF-35に事実上合意」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-26
「大型爆撃機の中東駐留中止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-30
「米政権がサウジとUAEに緊急武器輸出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-25

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

米軍内でコロナ感染者が多かった職域は? [Joint・統合参謀本部]

2020年9月末までの統計です
州兵や予備役でも感染が多い職種は共通とか
退役軍人は高齢者でも重症化(入院)が少ないとか

MSMR2.jpg13日付Military.comが、米軍関連医療施設が診察や入院治療を行ったコロナ患者に関する統計「Medical Surveillance Monthly Report」を取り上げ、12月号のレポートが2020米国予算年度(~2020年9月末)の統計で、米軍人にコロナ感染者の絶対数が多い職域などの統計数値を紹介しています

コロナ感染者のぼんやりとした統計での紹介になっており、各集団の母数で割った「比率」での比較まで突っ込んだ分析を避けて公表している雰囲気があり、また、2020年9月末までの統計で、昨年秋以降に感染者が急増した後の状況が含まれていない統計であることにも注意が必要ですが、貴重なデータですので断片的な報道ながらご紹介しておきます

13日付Military.com記事によれば
COVID-19 vaccine3.jpeg米軍関連医療機関でコロナ感染(その恐れも含む)と診断されたケースは5万3048名だったが、56%が正規兵、19%が兵士家族、12.8%が新規入隊者、5.8%が退役軍人、4.7%が州兵又は予備役兵士だった
(ただし、昨年9月末以降にコロナ感染者は全米で急増し、今年1月11日現在では同統計での累積患者数は18.9万人にまで増えている)
軍種別では、所属数が多い陸軍がトップで、海軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊の順で感染者が多かった。これは所属人数の数の順序と同じ

米軍内の職種別で感染者の比率を見てみると、正規兵(カッコ内は予備役と州兵の統計値)の感染者数は29970名(2498名)で、最も感染者が多かったのは「repair or engineering(整備や施設分野)」で28%(23.3%)、次に「intelligence or communications(情報や通信分野)」で22%(22.9%)、「combat-specific(戦闘職域)」が14%(7.3%)、その他が20%(30%)となっており、医療職域は9%(8.1%)となっている
COVID-19.jpegレポートをまとめた陸軍の免疫学専門家は、職種ごとの感染者比率について説明は困難だとコメントを避けたが、一般に、「repair or engineering(整備や施設分野)」は現場業務で在宅勤務が難しく、「intelligence or communications(情報や通信分野)」も秘密情報や機材を扱う関係からテレワークが困難な職種である

地域別では南部に感染者が多く、正規兵の感染者の62%、新規採用者の64%、州軍の64%、家族の68%、退役軍人の感染者の73%が南部で確認されている
南部に感染者が多いのは、多くの南部の州でマスク着用を義務付けるのが遅かった(ジョージアやフロリダ州では依然着用義務なし)ことが、理由の一つと考えられている

MSMR3.jpg米軍関連医療機関に入院した患者は当該期間内に1803名であったが、(高齢者が多い)退役軍人が34%を占めている。しかし退役軍人コロナ感染者が3000名以上確認された中で、退役軍人の入院患者が600名程度(感染者の約20%)で、高齢者が多い割には驚くほど低かった
退役軍人の入院者比率が低かったのは、一般に軍人は一般市民より健康で、「healthy soldier effect」と呼ばれているが、軍人が退役後も一般市民より健康な状態を維持しているからだろうと、陸軍の免疫学専門家はコメントしている
//////////////////////////////////////////////////////

これだけの統計数値では何とも言い難いところもありますが、現場仕事の「repair or engineering(整備や施設分野)」や、密閉空間での業務が多そうな「intelligence or communications(情報や通信分野)」で患者数が多いのは感覚的に理解できます

医療職域兵士の感染者が、全体の9%(8.1%)という数値は、全兵士数に占める医療関係兵士数の比率と比較する必要があり何とも言えませんが、恐らく多職種より多いと考えられます

COVID-19 2.jpegこの統計を全国民を対象に広げた統計を、特に日本で見てみたいですし、報道してほしいと思います。人種別とか、職業別とか・・

併せて、コロナ対応に投入されている病床数と日本全体の病床数の比率(3%程度で、欧米に比して格段に低い)なども、医師会会長の「医療崩壊」アピールよりも伝えてほしいと思います

コロナ関連の記事
「コロナでSCIF使用困難で戦闘機開発危機」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-12
「旅客機移動でコロナ感染リスク低い」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-16  
「米軍主要幹部が一斉に自主隔離」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-07
「コロナで安全保障環境は激変する」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-25 

「米国防省内の今後のコロナ対処方針」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-07
「RIMPAC、陸軍士官学校、英空母の事例」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-01
「ワクチン完成までの1年間程度は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-24
「米空軍士官学校卒業式2020」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-20
「中国やロシアの情報工作」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-15

「海空アクロチームが激励飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-29-1
「米国防省や米軍のコロナ対処・措置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-19

危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-02
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26
「中国製部品排除に時間的猶予を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

現有ICBM(Minuteman III)の延命措置は不可能 [Joint・統合参謀本部]

複数シンクタンクの提言を真っ向否定の現職将軍
60年経過の老朽兵器には設計図も技術者も存在しないと

Richard6.jpg5日、米戦略軍のCharles Richard司令官(海軍大将)が講演し、更新兵器GBSD導入に約9兆円の予算が必要と見積もられ、バイデン次期政権関係者や一部シンクタンクが反対して延命策を提案している現有ICBM(Minuteman III)について、製造後60年経過した同兵器は設計図や技術者が既に存在せず、サイバー対処の面からもこれ以上の維持は不可能だと突っぱねました

一方で、トランプ政権下の2018年に作成されたNPR(核体制見直し)を新政権が見直す可能性に関しては、いつでも議論に応じる用意があると述べつつ、中国やロシア抑止が一層複雑な任務となりつつある点等に触れ、「核抑止の3本柱」態勢の維持の重要性を主張しました

Minuteman III 5.jpg現在米軍は「核抑止の3本柱」として、46機のB-52H爆撃機と20機のB-2ステルス爆撃機、Trident II SLBMを搭載の14隻のオハイオ級戦略原潜、そして400発のMinuteman III ICBMを保有していますが、後継ICBMとしてNorthrop Grumman社がGBSD(Ground Based Strategic Deterrent)を2029年運用開始目途で開発製造することになっています

そのほかトランプ政権下では、ロシアによる戦術核の配備に対抗して、潜水艦発射型の低出力核兵器W76-2(広島原爆の1/5程度の威力)導入が決定され、既にオハイオ級戦略原潜に搭載開始されているとの報道が出ています(米海軍はコメント拒否)

予算不足から、以前からバイデン政権は核兵器関連予算の削減に手を付けるとの予想が出ていますが、そんな動き関連の動静の一つとして、戦略軍司令官の発言を紹介しておきます

6日付Military.com記事によれば
Richard4.jpg5日、Defense Writers Group主催のZoom会議でRichard米戦略軍司令官は、複数のシンクタンクがバイデン政権にMinuteman IIIの延命措置とGBSD計画中止を提言していることに関し、「はっきりさせておきたい。Minuteman IIIの延命はこれ以上不可能である」と、米本土北西部の5か所に分散し400発保管されているMinuteman IIIについて訴えた
更に「延命は全く不可能である。兵器自体があまりに古く、箇所によっては延命を検討する際に必要な設計図さえ残っていない。6世代も前の工業規格で製造された様なもので、当時の状況をよく理解している技術者も既に存在していない」と理解を求めた

また「私にはまったく理解できない。Minuteman IIIの部品やケーブルなどその構造を把握しておらず、見る機会もないシンクタンクの研究者たちが、なぜ同兵器の今後について提言できるのだろうか?」と不満を示し
「製造後60年を経過した原始的な回路やスイッチ類を、サイバー脅威に対応できる現在基準にマッチしたものに更新し、指揮統制システムに追随できるようにする計画だ」と述べた

Richard5.jpg同司令官は現在の核抑止環境を冷戦時とは異なると説明し、「中国とロシアという2つの大国と同時に対峙する必要があり、それぞれに異なる抑止策を考える必要に迫られている。プーチンと習近平の世界観や判断基準は異なっている」、「脅威は常に変化している」と情勢認識を示し、
2018年のNPRを再考することに全く躊躇はないと述べつつも、バイデン政権の政権移行チームとの複数のミーティングを経て感じた懸念を示唆し、「このようなタイミングで核抑止の3本柱のどれかを廃止するようなことをすれば、中国やロシアの対応を容易にし両国に利することになる」と釘を刺した
また、低出力核兵器について新政権と議論することについても歓迎するとの姿勢を示し、「我が国政治指導者が望むことを遂行する準備ができている」と講演を締めくくった
/////////////////////////////////////////////////

Minuteman III 4.jpg「複数のシンクタンク」によるMinuteman IIIの延命提言の内容を把握していませんが、継続的に機体改修や装備のアップグレードが行われてきたB-52爆撃機とは異なり、実質手つかずだったMinuteman IIIの継続使用が困難だとの現場意見は重いと思います

ただ、ICBMだけで9兆円で、その他の各関連施設の更新やB-21爆撃機開発・調達予算などを含めると、40兆とかそれ以上とかの数字を見た記憶があり、更にサイバーや宇宙ドメインを含また新抑止理論構築が求められる中で、ICBM予算削減の声は簡単に収まりそうもありません

今の雰囲気からすると、バイデン政権はトランプ政権の政策を巻き戻し、オバマ時代に戻すような小手先の変化を見据えているような印象ですが、時代は変わり脅威も変わり、機能しなかったオバマ時代に戻るだけでは立ち行かない気がするのですが・・

21世紀の抑止概念を目指す
「同司令官が中露の軍事力増強と抑止を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-01
「米議会で専門家を交え中国抑止を議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17
「新STASRT条約は延長へ!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-17
「3本柱はほんとに必要か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-22
「米戦略軍も新たな抑止議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「21世紀の抑止と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03

ICBM後継に関する記事
「ボーイング怒りの撤退」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-27
「提案要求書RFP発出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-18
「次期ICBM(GBSD)企業選定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-27-1
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1

米軍「核の傘」で内部崩壊
「ICBMサイト初のオーバーホール」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-15
「屋根崩壊:核兵器関連施設の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-23
「核戦力維持に10兆円?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「国防長官が現場視察」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18
「特別チームで核部隊調査へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-27
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1
「米核運用部隊の暗部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-29

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

艦載無人給油機MQ-25操縦者は准尉で処遇 [Joint・統合参謀本部]

准尉(warrant officer)を5階級に区切って管理
新卒若手や部隊希望者を准尉で採用とか
米空軍は有人機パイロットと同じ士官階級管理だが  

MQ-25.jpg12月22日付Military.comが、米海軍が空母艦載無人空中給油機MQ-25(運用開始2024年予定)の操縦者を階級「准尉(warrant officer)」で処遇し、今後6年から10年かけて約450名のMQ-25操縦操作要員を確保する計画だと報じています

准尉(warrant officer)」は下士官と士官の中間のような階級で、米空軍が無人機操縦者を有人機パイロットと同し士官(officer)として管理しているのとは全く異なる対応です。つまり、他の水兵や海軍士官とは全く別の、特別技能兵士としての管理となります

それでは、MQ-25操縦者が生涯「准尉(warrant officer)」との一つの階級のままなのか・・・と言えばそうではなく、同じ准尉の中を5段階(W-1からW-5)に分け、経験等に応じて昇任する人事管理を行うようです

12月22日付Military.com記事によれば
MQ-25 3.jpg准尉として扱われるMQ-25操縦者は、主に民間人若手層からの新規採用を念頭に置いているが、現在米海軍で下士官として勤務しているものからの応募も募る予定である
採用された者は、まず有人機操縦者と同じく「Officer Candidate School」で士官としての基礎を学び、その後有人機操縦者と同じ「初期操縦課程」に進んでプロペラ機で航空運用全般や飛行安全を含めた飛行の基礎を学ぶ

MQ-25 6.jpg以後、MQ-25無人空中給油機の操縦や空中給油操作に特化した教育に入り、これを終了するまでに15~18か月間を要すると見積もられている
最初の採用となる2022年度予算で、何名を採用するかはまだ検討中だが、約450名のMQ-25操縦操作要員体制完成時には、准尉の中でも最も階級が上のW-5に24名程度、W-4が113名、W-3が135名、W-2と1が179名との体制で、計452名が想定されている

MQ-25操縦に習熟した准尉の中から、何名かはMQ-4C Triton(海洋監視用のRQ-4グローバルホーク)の操縦も担うことになる。MQ-25は空中給油だけでなくISR任務も期待されており、その点でMQ-4Cと共通点がある

MQ-25 7.jpgなお米海軍は72機のMQ-25導入を現時点で計画しているが、まず20機を加州Ventura County海軍航空基地に配備して運用態勢確立を目指す予定である
MQ-25の開発状況についてボーイングは、12月9日に試験用機体に初めて給油用燃料カプセルを搭載して飛行した、と発表している
//////////////////////////////////////////////////////

米空軍と米海軍の文化の違いというか、無人機の任務の違いというか、士官を操縦者にする米空軍と、准尉に限定する米海軍の違いは非常に興味深いところです

72機導入予定のMQ-25用に、約450名の操縦者体制を構築する・・・この数が多いのか少ないのか判断できませんが、空母に乗ってMQ-25を操作するだけでなく、各級司令部や開発拠点や教育部隊にも人材が必要なのでしょう

MQ-25A.jpg英語の理解に自信がないのが、MQ-25操縦者の任期?です
記事本文では「The Navy projects it'll have nearly two dozen chief warrant officer 5s -- the most senior of the warrant officer ranks -- flying the new aircraft within six to 10 years. There will also be 113 warrant officer 4s, 135 warrant officer 3s, and 179 warrant officer 1s and 2s」

・・・となっており、最上級のW-5になるに6-10年の経験が必要との意味なのか、MQ-25操縦としての任期が6-10年なのか(まさか?)、理解できませんでした。超特別な技術者の扱いですから、新陳代謝を早く・・・との考え方もあるのかなぁ・・・と考えつつ

12月9日の空中給油試験映像(イメージ?)


MQ-25関連の記事
「試験用空母確保難で3年遅れか?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-11
「MQ-25地上で初飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-20
「2019年6月の状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-04
「MQ-25もボーイングに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-01-1
「NG社が撤退の衝撃」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-29-1
「提案要求書を発出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-13
「MQ-25でFA-18活動が倍に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-03
「MQ-25のステルス性は後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-27 

「CBARSの名称はMQ-25Aに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-17
「UCLASSはCBARSへ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-02
「UCLASS選定延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-05-1

「米海軍の組織防衛で混乱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-01
「国防省がRFPに待った!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-12
nice!(2)  コメント(1) 
共通テーマ:ニュース

新型トマホーク「Block V」を5つの視点で:まだまだ活躍 [Joint・統合参謀本部]

亜音速の大ベテラン兵器を馬鹿にするなかれ
この射程距離と低コストの魅力は捨てがたし

Tomahawk V.jpg14日Defense-Newsは、12月に米海軍が発射試験を行ったばかりの最新型トマホーク巡航ミサイル(Block V)の特徴を5つの視点で紹介し、極超音速兵器開発に米軍がこぞって全力を挙げる中でも、トマホーク、SM-6、Naval Strike Missileの3種類は、当面組み合わせて使用され、米海軍の貴重な戦力であり続けるだろうと紹介しています

開発中の最新型トマホークBlock Vは、Va型とVb型が製造される方向で、Va型が海上移動目標対処能力を備えるMaritime Strike Tomahawk (MST) で、Vb型はJMEWS弾頭を搭載して貫通力を強化したバージョンになるようです

以下では5つの視点から、亜音速でもまだまだ活躍が期待される、射程2000㎞越えのトマホークBlock Vをご紹介しておきます

14日Defense-News記事によれば

1.能力強化
Tomahawk Maritime.jpg上述のように、新しいシーカーや弾頭を搭載し、Va型とVb型となって、より広範な攻撃能力を提供する。水上艦艇のVLS垂直発射管からだけでなく、潜水艦からの発射可能な点も重要である
中国の中距離弾道ミサイルDF-21の射程が約2400㎞で、DF-24に至っては4500㎞と言われる中、米軍にとってトマホークの2000㎞級の射程距離は極めて重要

2.残存性強化
Block Vでは通信能力や航法能力が強化され、敵の電子妨害への対処能力が向上し、また電波放射を改善して敵から発見される可能性も低下でき残存性が向上する
また恐らく、Block Vは攻撃目標となる敵防空レーダーを妨害して、自らの残存性を高める機能を有している
更に、2017年にレイセオン社のBlock V責任者が、GPSがダウンした状態でも、優秀な航法システムで攻撃任務を完遂できると語っている

3.亜音速飛行の利点は
Tomahawk V3.jpg超音速や極超音速兵器が話題の中心にある時代にあって、トマホークを時代遅れのように見る向きもあるが、トマホークが今後も活躍するには理由がある
まず、亜音速飛行することで燃料消費が抑えられ、射程距離を伸ばすことが出来る点である。仮に超音速ミサイルでトマホーク級の射程を得ようとすると、ミサイル自体が巨大化し、扱いが難しくなる

4.低価格が大きな魅力
トマホークは1発1億円程度だが、音速の3.5倍の速度を持ち、将来は極超音速飛行を目指すSM-6の現在価格はその4倍で、なおかつ射程は検討中の射程延伸型でも300㎞程度である
Tomahawk V4.jpgトマホークの価格だと大量購入が可能で、敵の防空網での損耗があってもそれほど痛くはなく、低価格は最大の特徴であり、長射程と併せ、将来も米海軍が使用し続けると言われる最大の理由である
次の大統領が「あのテロ組織訓練キャンプを叩き潰せ」と命じたなら、米軍はトマホークを一番に用いるだろう

5.兵器の多様性
超音速や極超音速兵器が注目される中でも、安価で射程2000㎞越えのトマホーク(大型艦のVLS搭載)と、射程200㎞程度の対艦ミサイルNaval Strike Missile(沿岸戦闘艦や新型フリゲート艦に搭載) 、本来艦艇防空用のミサイルを対艦用にも使用可能としたSM-6の3種類混合体制が、多様な場面に対応するのに有効だろうと専門家はコメントしている

SM-6 2.jpg将来的には、3軍が協力して取り組む国防省優先事業の極超音速ミサイルが完成し、艦艇の垂直発射VSLに搭載できるようになれば、トマホークに頼る割合は低下するだろう
ただし、極超音速兵器の成熟にはもう少し時間が必要だろう事から、(予算的な制約もあり)、米海軍のミサイル3種ミックス体制は、従来想定されていたより長く続くだろう
/////////////////////////////////////////////

「Block V」というより、トマホーク自体の存在意義をご紹介した形になりました

SM-6とNaval Strike Missileの特徴や用途を把握していないので、舌足らずのご紹介となりましたが、B-52爆撃機のように、末永くトマホークは改良されつつ活躍するのかもしれません

遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「米空軍の課題:他軍種はABMSに懐疑的」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-12
「スタンドオフとインのバランスが重要」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19-1
「遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「米空軍トップも批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02

米陸軍・海兵隊の長射程兵器導入など
「米陸軍は長射程兵器で2023年から変わる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-09
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「中国対処に海兵隊が戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「射程1000nmの砲開発の第一関門間近」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-15
「射程1000nmの砲を真剣検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

AIは孤独に情報もなく判断を迫られる指揮官を助ける [Joint・統合参謀本部]

統合AIセンター(JAIC)とか
AI開発環境JFC(Joint Common Foundation)とか

Groen.jpg11月24日、2018年に新設された統合AIセンター(JAIC)の所長であるMichaelGroen海兵隊中将が国防省で記者会見し、AIに対する米軍内の誤解からくる導入の難しさや、2021年に稼働予定の国防省にAI開発環境を提供するJFC(Joint Common Foundation)についてアピールしました

人口知能AIについては、人間に代わってコンピューターが勝手に判断するとか、AIの意思決定過程がブラックボックスで危険だとの懸念が先行し、今市場にあって米軍内でも活用できる技術が存在しているのに、なかなか導入が難しい現実が米軍内にはあるようで、そのような懸念払しょくのため同中将は語っているような印象を受けました

例えば、8月に人工知能戦闘機操縦者と人間パイロットのバーチャル空中戦対決が行われ、5戦5勝の圧倒的勝利をAI側が納めたことで話題になりましたが、同対決の主催者は、「AIに対する人間の信頼感を高めることが狙い」だと強調していた点が印象的でした

11月25日付Military.com記事によれば
Groen2.JPG2018年に新設された統合AIセンター(JAIC)は、国防省内でAIの力が十分活用されるように推進することが任務であるが、センター長のGroen中将は、AIが単なる情報技術でも、業者提供のブラックボックスでも、デジタルガジェットでもない」と述べ
「状況分析の正確さと意思決定の成否が試される戦闘では、Xともいえる重要なカギとなる情報を把握していれば指揮官は正しい判断ができるが、我がセンターは全てのレベルの指揮官がXにアクセスできるようにしたいと考えている」と役割を説明した

また上記を具現化するための一つとして、8月に国防省がDeloitte Consultingと約110億円の契約を結び、国防省のAI開発環境を提供するJFC(Joint Common Foundation)の設計と構築に取り掛かっていると述べた
Groen3.jpegこのJCFは、AI機能をテスト、検証、およびフィールド化するための開発環境となるもので、米軍部隊や国防省機関で、保有するデータ処理にAIを活用したいが専門家が近くにいなかったり、他の専門家からのアルゴリズム検討支援を希望するユーザーに技術的基盤を提供するもので、2021年に運用体制確立を目指している

同センター長はこれまでの戦場指揮官の意思決定について、「多くの場合、戦闘での意思決定は、多くの経験や成熟した理解を持つと考えられた人間だからということで、不完全な知識に基づいてリアルタイムでの意思決定を強いてきた」と評価し
今後は例えば、「各種センサーの情報を総合して基地に対する脅威の自動検出や脅威の識別を行ったり、無人偵察機にある種の計測器を装着し、1時間後ぐらいに故障が発生する可能性が高いとの評価を事前に警報として送信させたり・・・といったことが現在ある技術で可能だ」とAIの現在位置について説明した

Groen4.jpgそして、「戦域全体の状況を、指揮官が指先の操作で何時でも確認把握できるような技術が利用可能だ」とも表現した
ただし、国防省全体にそのようなAI技術を注入・普及させる時程について具体的には語らず、「一連の技術変革の意味を広く理解するためにやるべきことが多くある。様々なアイディアが市場にあふれており、それを生かして効率的・効果的にならねばならない」とのみ述べた
////////////////////////////////////////////////

米空軍が主導して行われた、3回の統合全ドメイン指揮統制演習JADC2又は先進戦闘管理システムABMS試験では、様々な形で指揮官への情報提供が試みられ、フロリダ州のテントの中で米本土への巡航ミサイル対処指揮が行われたり、太平洋を戦域とした3回目の演習では宇宙ドメインも絡めた指揮統制がAIを活用して行われたと報道されています

この米空軍の動きと、本日ご紹介した統合AIセンター(JAIC)が、どこまで連携しているのか不明ですが、研究投資額や研究者数で中国に対して劣勢と言われているAI分野で、米国防省のみならず、米国全体いや西側が結集して力を発揮していただきたいものです

2024年に実際の戦闘機で披露するそうです
「AIと人間操縦者の実機対決を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-10

米軍情報共有の厚い壁
「データフォーマットの相違」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-12

全ドメイン指揮統制連接実験演習:ABMSとJADC2関連
「突然前倒し?第3回目は太平洋で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-29
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-05
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「国防長官も連接性を重視」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
「将来連接性を重視しアセット予算削減」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

初の女性空母艦長誕生へ [Joint・統合参謀本部]

女性艦載ヘリパイロットの草分け
士官学校卒業時に女性に戦闘艦艇や作戦機への門が開き

Bauernschmidt.jpg9日付Military.comが、米海軍が2022年度(2021年10月から)に空母艦長となる候補者6名を発表し、その中に初めて女性が選ばれていると報じました

初の空母艦長候補者となったのは、1994年に海軍士官学校を卒業したAmy Bauernschmidt海軍大佐(推定49歳)で、卒業後ヘリパイロットコースに進み、いくつものヘリコプター飛行隊で艦艇運用を経験してきた方のようです

Bauernschmidt4.jpg特に2016年、女性として初めて空母リンカーンのXO(executive officer)に就任したことで大きな注目を集めた方です。この「XO」は、空母艦長に次ぐNo2の位置づけで、日々の空母の活動細部を取り仕切る役割を担い、艦長がより大きな視点で作戦全般や戦略的視点で指揮できるよう補佐するポストだそうです

「XO」ポストについていた2018年11月、CBSのインタビューに答えた同大佐は、士官学校卒業した年に米議会で、海軍戦闘艦艇や艦載作戦機への女性搭乗に門戸が開く決定をしたことが人生を大きく変えたと語っています

同大佐のXO勤務を紹介するCBSインタビュー映像
https://www.cbsnews.com/video/navys-1st-female-executive-officer-leads-with-unique-leadership-style/#x

Bauernschmidt3.jpgまた最近まで、空母艦長への登竜門とみなされている強襲揚陸艦San Diegoの艦長を務めていた同大佐は艦長当時の2018年、NBCのインタビューにも答えて空母艦長になることを目指していると語り、強襲揚陸艦艦長としてしっかり任務を果たすことが空母艦長への道につながると決意を述べています

また更に、「空母艦長への道は決してやさしい道ではない。優れた海軍士官と私は競っており、同じような成果を上げてきた人物や道のりを歩んできた人物はたくさんいる。厳しい道だ」と表現し、「私にとって海軍勤務は、日々若い海軍兵士を導くことであり、素晴らしい仕事だ」と語っています

お写真を拝見すると、すっきりと前を見据えた、気持ちの良い人物に見え、上記で紹介したCBSインタビュー映像でも、強い信念が伺えます。素直に応援したいと思いました

Bauernschmidt海軍大佐の公式経歴
https://www.public.navy.mil/surfor/lpd22/Pages/bio1_9September2019-21October2020.aspx

軍での女性を考える記事
「黒人女性が初めて米海軍戦闘操縦コース卒業」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-12
「初の米空軍下士官トップにアジア系女性」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-20
「GAO指摘:女性の活用不十分」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-20
「初の歩兵師団長」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-10
「超優秀なはずの女性少将がクビに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-11
「3軍長官が士官学校性暴力を討議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-10
「上院議員が空軍時代のレイプ被害告白」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-08
「空自初:女性戦闘機操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-25
「自衛隊は女性登用に耐えられるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
「女性特殊部隊兵士の重要性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-28
「Red Flag演習に女性指揮官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19

「米国防省:全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「ある女性特殊部隊員の死」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27
「珍獣栗田2佐の思い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17
「2012年の記事:栗田2佐」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-11

「性犯罪対処室が捜査対象」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-04
「性犯罪は依然高水準」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06-1

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

対中国作戦指揮官はトップガンパイロットへ [Joint・統合参謀本部]

次の太平洋軍司令官候補を大統領が推挙
太平洋海軍を率いるアジア太平洋を熟知する海軍大将

Aquilino4.jpg3日、トランプ大統領が次の太平洋軍司令官(第26代目:U.S. Indo-Pacific Commander)に、現在太平洋海軍(U.S. Pacific Fleet)司令官を務めるJohn C. Aquilino海軍大将を推挙すると発表しました。現在のPhilip S. Davidson太平洋軍司令官は、60歳との年齢から恐らく退役すると思われます

太平洋軍司令官は、対中国有事の際、米軍指揮系統で大統領直属の指揮官となり、中国との戦いの米軍(おそらく有志国連合の指揮官も兼ねる)作戦を遂行する人物で、米軍内の様々な指揮官職の中でも、有事の責任が最も重い指揮官職と考えてよいでしょう

Aquilino3.jpg候補となったAquilino海軍大将は、米中央軍海軍司令官から2018年5月に太平洋海軍司令官に就任し、2年以上インドーアジア太平洋作戦地域の情勢を見てきた人物です。現在のDavidson司令官も同じ2018年5月に太平洋軍司令官に就任していることから、前任者の様子を直属部下として見取り稽古してきた人物でもあります

以下では、空母艦載機F-14やFA-18の優秀なパイロットであるJohn C. Aquilino海軍大将のご経歴をご紹介しておきます

3日付各種報道や公式バイオによれば
John Christopher Aquilino海軍大将は、1962年12月16日ニューヨーク生まれ&育ち(まもなく58歳)で、1984年に海軍士官学校を卒業
Aquilino.jpgその後、空母艦載機のパイロットコースに進み、映画トップガンの部隊となっていたF-14「Navy Fighter Weapons School」を卒業した優秀な艦載機パイロット。F-18C/E/Fの操縦経験もあり、総飛行時間は5100時間以上、空母への着艦回数1150回を数える

空母艦載機のパイロットとしての部隊勤務や指揮官勤務以外に、A-4、F-5、F-16などで編成される仮設敵機部隊(アグレッサー)の教官パイロットや、上記「Weapons School」の運用幹部も務めた
米海軍司令部では米海軍No2(副作戦部長)副官や米艦載機部隊訓練課長、国防長官室の兵器システム開発特別補佐官も経験している

Aquilino2.jpg将官になってからは、今は無いU.S. Joint Forces Commandの戦略政策担当部長、統合参謀本部の副作戦調整部長、米海軍司令部の作戦計画部長、米中央軍海軍司令官を経て、2018年5月から現在の太平洋艦隊司令官を務めている
海軍士官学校で物理学学士、統合幕僚大学卒、ハーバード大ケネディースクール上級国際安全保障コース履修
///////////////////////////////////////////////

2018年5月にAquilino大将やDavidson司令官が太平洋軍内に着任した当時は、2017年に連続して発生した第7艦隊艦艇の複数の衝突事故(計17名の海軍兵士が死亡)や、シンガポールの港湾役務企業絡みの汚職事件等で米海軍幹部が多数更迭され、伝統的に海軍人が務めてきた太平洋軍司令官ポストに空軍大将が最有力候補とまで言われた時期でした

今も米海軍は、コロンビア級SSBNやフォード級空母、相次ぐ艦艇火災やコロナ感染など明るい話題が少ないですが、Davidson現司令官がアジア太平洋経験ほぼゼロで着任したのとは異なり、米議会で承認されれば2年半以上の経験を持った新司令官の誕生となります

米海軍司令部の作戦計画部長時代には、米海軍と英海軍と海上自衛隊との協力協定を合意に導いており、2016年10月当時の関連インタビュー映像が以下ですが、しっかりした方の印象です


Aquilino海軍大将のご経歴
https://www.cpf.navy.mil/leaders/john-aquilino/

太平洋海軍トップに就任直後のAquilino海軍大将の記事
「RIMPAC2018の開始式で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-01

今のDavidson司令官関連の記事
「グアムにイージスアショア配備熱望」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-23
「司令官として米議会に要望」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-29
「太平洋軍が対中で兵力配備再検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-16-1

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

米軍人トップ:現実を見よ、予算増加は見込めない! [Joint・統合参謀本部]

「reality check:現実を見よ」との言葉で現実の厳しさを訴え
大幅減少(decline significantly)が理性的な見方と

Milley3.jpg2日、米軍人トップのMark Milley統合参謀本部議長がブリッキングス研究所主催イベントで講演し、国防予算の実質的増加を予期すべきではないし、コロナ感染対処で国家として重視すべき事項が国防費以外にも列をなしている状況を認識し、2022年度予算検討では真に米国の防衛や安全保障に影響するものかを厳しく精査していると率直に語りました

この発言を受け国防省筋は、同盟国やパートナー国への事前警告だとコメントし、演習経費の削減は避けられないとコメントしているようです。このような見方は、これまでも国防専門家や各方面関係者から漏れ聞こえてきたことですが、Milley統合参謀本部議長が発言ぶりが極めて率直ではっきりしたものだったので、多くのメディアが取り上げています

下手な説明や解説より、説得力があると思いますので、Milley大将の発言をストレートにご紹介いたします

2日付Defense-News記事によれば
Milley2.jpg軍事メディアが11月30日に、米国防省は2022年度予算案の検討前提として、2021年比で2%増の実質前年比レベル据え置き予算を前提としているとスクープ報道をしていたが、Milley統合参謀本部議長は「現実の世界では、3-5%の予算増が物価上昇等を勘案すれば実質的な国防予算増には必要で、装備近代化や即応体制維持には欠かせない」と述べつつ
「必ずしもそのようなことは期待できないし、私自身は予期していない。国防省に勤務する軍人も文民職員も、国家予算や国防費がどのような現実に直面するか現実を良く直視すべきである」、「経済情勢と米国情勢を俯瞰的に見つめ、何が起こるか考えれば、良くて国防費は横ばいで、大幅に減少する(decline significantly)と考えるのが理性的な見方であろう」とも同大将はブリッキングスで語った

Milley4.jpg更に「米国防省は限られた予算で、どこで、何をなすかを厳しく精査しなくてはいけない」、「米国は海外への展開や基地や作戦に多くを出費しているが、それが本当に米国の防衛に、米国の安全保障に必要なのか? その演習は本当に重要なのかを考える時だ
「私は真剣に取り組んでいる。何が必要で重要かを厳しく精査している」、「できる範囲で全力で考え、それに従って米軍を導くことに何の迷いもない」と語った

そしてMilley統合参謀本部議長はコロナ感染の国家への影響の大きさを諭すように、「私は強くて能力の高い米軍を持つべきだと信じている。しかし同時に強い国家経済も必要だし、打たれ強い国家である必要もある。優れた教育体制も必要だし、社会インフラも欠かせない。全てが国防省の裁量の範囲外にある事項だ」
Milley5.jpg「米軍は国家経済の上に存在するものだ。今コロナ感染の嵐の中にあり、国家経済は下降状態にある。失業率は高く、すべてが厳しい状況だ。今最も必要なのはコロナ対処であり、経済に新たな力を投入する必要がある。それが実現できたなら、後に国防や軍備に新たな投資が注ぐことができるだろう」と語った
///////////////////////////////////////////////

軍種間の予算獲得争いを戒める意味も込めた発言かと思いますが、何しろ米軍トップで、大統領に対して軍事的助言を行う最高責任者としての発言ですので重みが違います

普通なら、コロナ厳しき中でも、中国やロシアの動向を訴え、国防費は今こそ重要だ!・・・と訴えることろでしょうが、そこをあえて「現実直視」を訴えるあたりは、予算獲得のパワーゲームになれば、政治家やロビイストの力関係に影響されてしまえば、限られた予算の中で米軍の体制が危ういとの強い危機感があるからでしょう・・

危機感ひしひしです・・・・

バイデン政権の国防政策予想
「必要な国防政策を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-12
「米議会で中国抑止を議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

統合作戦に隠れた大きな壁:Data Formatsの相違 [Joint・統合参謀本部]

陸軍と空軍の2年計画の検討は壁突破の先陣
「これは技術の問題ではなく、文化の問題だ」

ABMS.jpg9日付C4ISRnetは、中露に対抗して行くため米軍各軍種が重要と強調している統合ネットワークによるリアルタイムの情報共有や指揮統制において、その進展を阻んでいるのは各軍種の「データのフォーマットや基準や構成」の相違であり、技術の問題ではなく文化の問題だと指摘しています

そしてこの軍種間の文化の壁を打破するためには、各軍種のリーダーや意思決定者が、過去の経緯へのこだわりを捨て、現在利用可能な最新技術を生かせるような「data standards:テータ基準」の受入れに踏み込むことだと主張しています

Project Convergence3.jpg「データのフォーマや基準や構成: common data format ,standards, and architectures」との言葉が、具体的にどのようなものを指しているのか基礎知識がなく、記事にも説明がないので抽象的にしか書けませんが、複数の責任ある関係者が「最も難しい部分」、「過去の失敗の原因」と指摘していますので捨て置けません

なお、まんぐーすが斜に構え、冷ややかにご紹介した10月の米陸軍と空軍の「JADC2コンセプト共同開発2年計画」合意は、この問題に正面から立ち向かう米軍の中では画期的な第一歩で、この問題に苦悩していた関係者には大きなニュースだった模様です。まんぐーすは反省しております

ただ、米陸軍による長射程攻撃兵器への重点投資について、米空軍が反対の意向を持っていることに変化はなく、次期政権の国防長官にはこの辺りの調整も期待されています

9日付C4ISRnet記事によれば
米空軍が主導して進める全ドメイン統合指揮統制(JADC2)や先進戦闘管理システムABMSは、全ての軍種のセンサー情報を最新AIやIT技術を用いて融合し、各級指揮所や指揮官がリアルタイムで情報を共有し、強靭なネットワークで全軍種の最適な兵器に遅滞なく提供して戦いの主導を握ることを目指している
Project Convergence.jpgここで重要なのは、各種センサー情報や指揮統制指示が、切れ目なくリアルタイムに共有されることだが、そのためには関連データが、合意された基準に基づいた共通の形式であることが不可欠である

しかし複数の専門家は、現在の米軍では、組織文化の壁から、非常に難しい課題となっていると指摘している
軍需産業幹部は「共通のデータ基準を定めることは、生きるか死ぬかの問題だ」とその重要性を強調し、その難しさを元米海軍副CIOの退役少将は「この問題克服は各軍種の文化の壁を乗り越えることで、データ共通基準を追求する過程で、多くの努力がこれまで無駄になってきた経緯がある」と振り返っている

しかし10月に米陸軍と空軍が合意した「Combined Joint All-Domain Command and Control」を目指す2年間の検討合意は画期的で、データ共有の基準やインターフェース検討から開始することになっている
担当する陸軍准将は、「米軍の軍種間にはデータに関して異なった考え方が存在するが、陸軍と空軍は統合作戦遂行の優位性を確保するため、同じ道を歩み始めている」、「両軍はデータのフォーマや基準や構成について緊密な協議を開始している」とこの合意について語っている

Project Convergence4.jpgそして「来年米陸軍は、米空軍のABMSを米陸軍のProject Convergenceと融合させたいと考えている」とのスピード感で取り組んでいると力説した
この動きに関して、元米海軍副CIOは「組織のリーダー同士がオープンに透明性をもって対話することが必要」、「現在利用可能な最新技術を生かせるようなテータ基準の受入れに踏み込むことが必要」とコメントしている

10月上旬に発表された「国防省データ戦略」はこの文化の壁打破を図る必要性を示唆しており、産業界が導入している「open-data architectures」の基準導入を促している。またこの戦略に関し民間コンサルタントは「open-data architectureや基準化は、他では得られない能力獲得への道である」と強調している
国防省のCDO(chief data officer)Dave Spirk氏は10月末に講演で、過去には各軍種のデータ管理に関する担当部署や担当者を、相互に把握していないレベルの状態だったが、今では相互に人的関係を築き、定期的にコミュニケーションをとるまでに至っており、文化の壁を超えつつあると語っている

ABMS2.jpg現存するデータ基準の相違を乗り越えるため、米空軍戦略計画部長のClinton Hinote中将は「翻訳機(translators)」のような機能を構築する事を考えている」と10月中旬に発言しているが、これに対して専門家は「データ間の翻訳はデータ共有に遅れを生じさせる。AIや機械学習の最大活用を考えるとデータ基準の統一が最善のはず」と懸念している
一方で米軍各軍種は、既存のレガシーアセットを今後数十年使用していく必要もあり、新たなデータ基準を導入に踏み切る場合の対応を考える必要がある
///////////////////////////////////////////////////

このような問題が存在することを、頭において今後の報道を見守りたいと思います

それ以上、何もコメントできませんが、「技術の問題ではなく、(軍種間の)文化の壁が問題だ」との言葉に「さもありなん」と腹落ちいたしました

ここにも、中露と戦う前に、陸海空軍海兵隊が相互に戦う様子が見え隠れしています・・・

実は米陸軍と空軍の2年計画は画期的だった
「米陸軍と空軍がJADC2コンセプト共同開発にゆるく合意」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-06

米海軍と海兵隊は我が道なのか
「米海軍の戦術ネットワークProject Overmatch」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-15
「米空軍の課題:他軍種はABMSに懐疑的」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-12

全ドメイン指揮統制連接実験演習:ABMSとJADC2関連
「突然前倒し?第3回目は太平洋で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-29
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-05
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「国防長官も連接性を重視」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
「将来連接性を重視しアセット予算削減」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

米海軍長官がアジアに第1艦隊編成を要望 [Joint・統合参謀本部]

シンガポールか?Andaman島か?
「We want to stand up」との表現で煮詰まっているのかな?

Braithwaite.jpg17日、Kenneth Braithwaite海軍長官が潜水艦協会年次総会で講演し、中国軍の活動が活発になる中、インドーアジア太平洋を第7艦隊だけでカバーするには無理があることから、1973年に一度消滅した「第1艦隊」をインド洋から太平洋をカバーしやすい場所で再編成したいと語りまし

米海軍の「艦隊」と言ってもその規模や形式は様々で、「艦隊」の中でも最大のアジア太平洋担当「第7艦隊」は、横須賀を拠点として約2万の兵士と艦艇・潜水艦70隻(空母攻撃群含む)、航空機150機の大所帯ですが、昨年末に編成された「第2艦隊」は、200名規模でロシア潜水艦探知追尾の指揮統制調整を担う小規模組織で、海軍長官の言う「第1艦隊」がどの程度を意味するのか明確ではありません

Fleet.jpg冒頭でもふれたように「We want to stand up a new numbered fleet」との表現で、今後受け入れ先の調整を丁寧に進める必要性にも言及しており、どこまで煮詰まっているのか不明ですが、「インド洋と太平洋のクロスロードに設けたい」と述べていることから、調整中の微妙なタイミングなのかもしれません

以下では、海軍長官の発言と、「第1艦隊」の拠点となる候補地に関する米軍事メディア記事をご紹介しておきます

19日付Military.com記事によれば
17日、Braithwaite海軍長官は「我々は新たな艦隊を立ち上げ、インド洋と太平洋の間のクロスロードに配備したい。そして同地域のプレゼンスを高めたい」と語った
Braithwaite3.jpg同長官は、アジア太平洋域には米海軍最大の第7艦隊が活動しているが、その担当領域もまた世界最大であり、第3艦隊の支援を受けつつ、なんとか南シナ海での航行の自由作戦などに懸命に対応している現状を説明しつつ、これ以上第7艦隊だけに頼っていられないと訴えた

また、中国軍の急速な戦力増強と活動活発化を訴え、9月には中国海軍空母2隻が同時に海上行動に出るなど、その行動範囲も拡大していると背景を説明し、新たな艦隊はそれら中国軍に対する強力な抑止力になりえると訴えて「だから第1艦隊を立ち上げようとしているのだ」と語った

具体的な配備先に関し海軍長官は、「我々は地域の同盟国やパートナ国であるシンガポールやインドなどと相談しなければならないし、不測の事態に備えて、懸念のある必要な場所に艦隊を配置しなければならない」と語った
Braithwaite2.jpgまた「チョークポイントのそばのシンガポール以外でも、米軍だけでなく、同盟国等にも安心感を与えられるような、アジア太平洋域全体への展開派遣に適した場所に第1艦隊を配置したいと考えている」と述べた

シンガポールには現在既に、米軍関係者約1000名が所在し、沿岸戦闘艦LCSがローテーション派遣されており、西太平洋の海軍兵站群が燃料弾薬食糧などの提供を担い、第7艦隊艦艇への支援も行っている(ので有力な候補地だ)
シンガポール大学のIan Chong准教授は場所・港湾設備・支援施設拡張の余地等からシンガポールは第1艦隊配備の適地だとしつつも、仮に空母攻撃群まで配備するとなれば、中国との関係に神経を使う地域諸国の現状から相当に調整が難航するだろうとコメントしている

他の候補地として、フィリピンのスービック湾も候補だろうが、同国の支援が得られるかは不透明で、同様にマレーシアやインドネシアも協力的とは考えにくく、施設面でも相当のテコ入れが必要
Andaman Island.jpgまたベトナムのカムラン湾も候補にはなるが、ベトナム政府や国民の支援は難しく、同盟国のタイも期待できるとは言い難いと同准教授は見ている

マラッカ海峡に近く、人口密度が低いことから政治的に受け入れ可能性が比較的高いとみられるインド領の「Andaman Island」の可能性を指摘する専門家もいるが、同准教授は関連施設を整備するには莫大な資金と時間が必要な点を懸念している
//////////////////////////////////////////////////

前任者が空母ルーズベルトでのコロナ爆発感染とその後の措置を巡って辞任し、5月末から海軍長官を務めるBraithwaite氏は本ブログ初登場です。海軍士官学校卒業の60歳で、約10年の対潜ヘリや広報担当正規士官勤務をを経て予備役に転換し、「Public Affairs」専門で2011年に准将で退役した人物で

海軍長官の前は、2018年2月から2020年5月までノルウェー大使として赴任していますが、海軍退役後の期間に、「Cambridge Analytica」と言う2016年米大統領選で情報工作に関与したとされる外国企業に所属していた件でメディアの注目を浴びたこともあったようです

予算や艦艇の回しが厳しい中で、あくまで「We want to stand up」との表現の「第1艦隊」復活構想ですので、慎重に見守るべき話だとは思いますし、実現するにしても規模は限定的で名前でアピール的な気がします。外交面でも一筋縄では進まない事業であることを念頭に置く必要がありましょう・・・

アジア太平洋軍関連の記事
「司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「アジア認識を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-07
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「現空軍トップとベトナム訪問」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-14
「アジア太平洋で基地増設検討中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-28 
「太平洋軍司令官が議会に要望」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-29
「中露空軍の連携飛行を警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-31
「PACAFが緊急避難訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-27
「燃料と弾薬の備蓄不足を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-02-1

Wikipedia第1艦隊
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC1%E8%89%A6%E9%9A%8A_(%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E8%BB%8D)

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

米海軍の最優先事業コロンビア級SSBNの初契約 [Joint・統合参謀本部]

オハイオ級2500億円に対しコロンビア級は6000億円以下を目標

Columbia-class.jpg5日、米海軍のコロンビア級戦略原潜計画責任者であるScott Pappano少将が会見し、2031年に運用開始を予定するコロンビア級SSBN(オハイオ級の後継)の1番艦(Columbia)の建造と2番艦(Wisconsin)の建造準備契約を、約1兆円($9.47 billion)でGeneral Dynamics Electric Boatと結んだと発表しました

14隻保有するオハイオ級戦略原潜を、最低12隻のコロンビア級に更新する計画で、2021年から1番艦の建造に着手し、2027年に米海軍に引き渡し、2031年に運用開始を予定するものです

現有のオハイオ級は1970年後半に1番艦が建造され、運用中の14隻は古いもので運用開始から36年、新しいものでも24年が経過しており、米国核兵器の2/3を担うSSBNの更新は米海軍の最優先プロジェクトだと歴代の海軍トップは言い続けたきたところです

Columbia-class2.jpgコロンビア級は全長は約560フィートで、オハイオ級とほぼ同じですが、2万トンを超える潜水艦は米海軍史上最大で、ロシア海軍のボレイ級SSBNと同等の大きさです。SLBM(Trident II D5)搭載数をオハイオ級の24発から16発に削減しますが、新しい電気推進システムを搭載し、42年間燃料交換不要で維持修理費を大幅に削減可能な原子炉の搭載が予定されています

問題は価格です。現在のオハイオ級が1隻2500億円なのに対し、コロンビア級は当初4900億円を目指したものの、現在では5900億円以下を目指すとの流れになっており、米海軍では「核抑止任務は別枠予算で見てほしい」と訴え続けており、今後毎年1隻ペースの調達が継続可能なのか全く目途が立っていません

また一方で、対中国を考えた米海軍の将来体制検討では、攻撃型原潜バージニア級の急速増強(毎年3隻)との数字も出てエスパー前国防長官も推していた状況で、弱体化している海軍用造船所の能力で何が可能で何を優先すべきかも議論になっているようです

6日付Military.com記事によれば
Columbia-class3.jpg5日、Pappano海軍少将は記者会見で、「本日の契約は少なくとも12隻調達するコロンビア級SSBNにとっての重大なマイルストーンとなった」と述べ、海軍省のJames Geurts調達開発担当次官補は「多くの努力によって今日を迎えることができたが、これだけでは不十分であり、皆が協力して巨大プロジェクトを遂行し、核抑止任務遂行に貢献しなければならない」と決意を新たにした

またプロジェクトリーダーのJon Rucker海軍大佐は、「オハイオ級建造計画を1970年代に立ち上げて以来、初の戦略原潜プロジェクトであり、またオハイオ級の老朽状態から、ミスの許されない余裕のない重要プロジェクトだ」と難しさ厳しさを表現
また同大佐は、コロンビア級戦略原潜は2080年代まで長年に渡り運用する重要装備で、一番艦は初期投資も含め約1兆円(the lead ship will cost $9.2 billion)になると語った

Columbia-class4.jpg米海軍は今後毎年1隻ペースでコロンビア級を調達する計画だが、米国防省はバージニア級攻撃原潜の建造ペースアップも重点に挙げており、米海軍艦艇を担当する造船施設の労働力の質の低下問題視され、建造ミスや火災も頻発する最近の状況の中、潜水艦建造の実行可能性に疑問視するレポートがCongressional Research Serviceから10月に出されている
//////////////////////////////////////////////////////

米海軍は、トラブル続きで完成できないフォード級空母がニミッツ級の約2倍の価格で、コロンビア級戦略原潜もオハイオ級の2.5倍の価格と、重要装備品の開発管理がでたらめな軍種として悪名を轟かせており、コロンビア級原潜にも不安の声が多く聞かれる状況です

サイバーや宇宙や電磁波戦も含めた、抑止概念の再整理が叫ばれる中、コロンビア級戦略原潜プロジェクトの将来が明るいとは思えません。せめて、1番艦契約が粛々と遂行されることを祈ります

コロンビア級(オハイオ級の後継)SSBN計画の関連
「NKのおかげSSBNに勢い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-2
「コロンビア級の予定概要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-27
「次期SSBNの要求固まる」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-08-2
「オハイオ級SSBNの後継構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25-1
「SLBMは延命の方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

多くの専門家が核兵器関連予算の縮小を予期
「バイデン政権で予想される国防政策の変化は?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

米海兵隊司令官:対潜水艦作戦にも参画する [Joint・統合参謀本部]

既に北大西洋で対ロシア潜水艦作戦の一翼を
西太平洋での対中国潜水艦にも・・・

Proceeding.jpgDavid Berger米海兵隊司令官が米海軍協会研究所の機関誌「Proceeding」11月号に、ロシアや中国の潜水艦活動の活発化が懸念材料となる中、米海兵隊がその機動力を生かして構築する沿岸地域の拠点が、対潜水艦作戦に大きく貢献することになろうと寄稿し話題を集めているようです

ロシアの潜水艦活動は昨年あたりから急激に活発化して「冷戦後で最高レベル」に至っており、米海軍は北大西洋における対潜水艦作戦の指揮統制の専門部隊として、わざわざ特殊編成の「第2艦隊」を昨年末に立ち上げたところです

Noble Fury3.JPG中国もA2AD網を強化拡大すべく、また南シナ海を戦略原潜の「聖域」とする態勢が整いつつある中、攻撃型と戦略型両方の潜水艦部隊増強を図っており、「水中」での戦いは激化の一歩をたどっています

対潜水艦作戦について詳しくないため、Berger司令官寄稿文の一部からその重要性や位置づけを十分説明することはできませんが、北大西洋で既にある程度の成果を納め、海兵隊の存在感をアピールするだけではない実質的な「役割」もありそうですのでご紹介しておきます

6日付Military.com記事によれば
11月号の「Proceeding」でBerger海兵隊司令官は、米海兵隊は必要な装備を備えて北大西洋での対潜水艦作戦に参入し、米国の懸念となっているロシア潜水艦対処に乗り出しつつあり、同作戦の一部を海兵隊が担うべきだと述べている
Berger.jpg同司令官は、米海兵隊は沿岸地域の拠点から「ロシアの潜水艦活動を妨害したり無効化することができる」と述べ、この作戦コンセプトの中には西太平洋で対中国に使用できるものもあると記している

対潜水艦作戦への参画イメージとして同司令官は、海兵隊の少人数チームによる地上作戦拠点の一時的確保が重要な役割を果たすとし、「最前線のセンサーや攻撃能力、兵站支援の拠点として、水中作戦にも極めて大きな役割を果たすことができる」と記述している

米海兵隊は、戦車部隊の廃止などに着手し、重装備部隊から機動展開が容易な軽量装備重視や無人システムや長射程兵器重視に変革を進めつつあり、新たな装備が対潜水艦戦にも貢献すると考えている
米海兵隊は既に、前進拠点をノルウェー、アイスランド、グリーンランドに設けて「anti-submarine warfare fence」を構成し、ロシア潜水艦をノルウェー海に封じ込めて北大西洋から排除し続けることに取り組んでいる

Noble Fury.jpg同司令官は「同様のコンセプトを太平洋の第一列島線にも適応できる」、「取り囲まれた海域であれば、米海兵隊が中国の潜水艦を探知して攻撃する可能性が増えるだろう」と記している
このような海兵隊の前進拠点はまた、米海軍のP-8など対潜水艦作戦用の航空機を支援でき、周辺地域に防空や空中監視能力を提供可能となり、米海軍戦力が本格展開するまでのプレゼンス拠点ともなる
/////////////////////////////////////////////

Berger司令官のProceedingへの寄稿
https://www.usni.org/magazines/proceedings/2020/november/marines-will-help-fight-submarines

沿岸の拠点から、どのような対潜水艦作戦が可能なのか説明できませんが、「anti-submarine warfare fence」とのキーワードに今後注目したいと思います

David Berger米海兵隊司令官の変革への決意と行動力は目を見張るものがあり、大いに学びたいと思います

米海兵隊の変革
「在日海兵隊の飛び石演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-23
「司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「米空軍はアジアで米海兵隊と同じ方向へ!」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25

北大西洋でロシア潜水艦が活発化
「新設の米海軍第2艦隊はロシア潜水艦対処用」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-03
「冷静後でロシア潜水艦が最も活発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21-1
「米海軍が30年ぶりバレンツ海進出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-06

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

在日海兵隊が対中国想定の「飛び石」機動演習 [Joint・統合参謀本部]

米海空軍も絡めたExercise Noble Fury
島を強襲占領し、火砲を緊急空輸して射撃後すぐ再起動
沖縄本島、伊江島、硫黄島を使用して

Noble Fury3.JPG22日付Militarty.comが、米海兵隊が中国との戦いを想定し、太平洋の島々の間を迅速に機動展開しながら中国軍ISR部隊に負担を強いつつ、ネットワークで共有する敵目標情報を基に必要な打撃力兵器を島々に機敏に展開させ戦う方式を、10月上旬の「Exercise Noble Fury」で初めて本格的に訓練したと報じています

米海兵隊は、戦車部隊を廃止するなど部隊の軽量化・機敏さを目指した改革を進めており、その狙いはインド太平洋地域の島々を所要に応じて迅速に確保して拠点化し、火砲などを機動的に展開可能な部隊体制の構築ですが、その新たな態勢で目指す作戦運用を「Noble Fury」」で検証したとの位置づけです

Noble Fury5.jpg沖縄に司令部を置く第3海兵遠征軍(II Marine Expeditionary Force)が主催した同演習は、沖縄本島、伊江島、硫黄島、強襲揚陸艦Americaや海軍第7艦隊等を主要な演習舞台とし、MV-22オスプレイやAH-1Z攻撃ヘリ、高機動ロケットシステムHIMARSや米空軍のMC-130特殊作戦機が参加する統合作戦の様相を見せています

米海兵隊幹部は演習後に記者団に、「将来の海軍・海兵隊の姿を本演習で披露できた」、「高いレベルで作戦を成功させた」、「本演習は、インド太平洋戦域全体の複数の展開基地に対する指揮統制、兵器の前方展開、展開航空機への支援体制確立などを遂行可能な第3海兵遠征軍の能力を示すものだ」とコメントして成果を強調しており、以下では記事から、演習で実施された作戦の流れをご紹介します

22日付Militarty.com記事によれば
Noble Fury.jpgまず小規模チームからなる海兵隊偵察部隊が占領確保を企図する島に上陸し、その後、上陸部隊本体がAH-1Z攻撃ヘリに援護されたMV-22オスプレイで島に展開して計100名規模で占領し、防御態勢を固めるとともに航空機受け入れ準備を進めた
海兵隊の上陸部隊は拠点確立後、米海軍第7艦隊から同艦隊が攻撃不可能な位置にある敵目標情報を入手し、米空軍MC-130特殊作戦用輸送機で夜間隠密裏に輸送されてきた高機動ロケットシステムHIMARSを素早く作戦可能な状態に準備し、第7艦隊から入手した情報に基づき敵目標を攻撃

Noble Fury2.jpg攻撃を実施後、直ちに再びHIMARSをMC-130輸送機に乗せ、次なる展開前方拠点に向けて離陸させた。海兵隊の発表文書によれば、この間の時間は数分(quickly loaded back into the MC-130J, taking off minutes after landing on the island)であった
HIMARSが離陸したのち、島を継続確保する要員以外は、CH-53E Super Stallionsに搭乗し、次の任務のため直ちに機動展開をした
//////////////////////////////////////////////////

演習場所なった「沖縄本島、伊江島、硫黄島、強襲揚陸艦America」が、それぞれにどのような役割で訓練に関与し、記事のような流れの訓練が行われたのか言及がありませんが、アジア太平洋戦域の広さを考慮した環境設定がなされた演習であることが伺えます

Noble Fury4.jpg太平洋地域の米海兵隊の配置が朝鮮戦争直後に決定された場所から現在まで変化ないことから、David Berger海兵隊司令官は9月に「(対中国を考えると、)将来に向けて良い配置とは言えない」と語り、アジア太平洋の海兵隊配備見直しを検討中と述べ、在沖縄海兵隊に関しては数千人規模の移動を検討中(数か月でまとめる)と示唆しています

在日海兵隊の削減案(中国正面からの転進・削減)が明らかになる前に、このような作戦能力を示す演習を見せて、日本など同盟国の動揺を少しでも抑えたいとの願いも込められた演習と理解いたしまし

米海兵隊の変革関連
「司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「前司令官:基本的な防御手段を復習せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-10
「米空軍はアジアで米海兵隊と同じ方向へ!」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25

米軍再編関連の記事
「9月末までに米軍再編検討を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14
「アジア太平洋で基地増設検討中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-28 
「新統合作戦コンセプトを年末までに」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-18
「ドイツ駐留米軍削減が発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「太平洋軍司令官が議会に要望」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-29

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

米海軍の「Project Overmatch」を覚えておこう [Joint・統合参謀本部]

対中国の戦術ネットワーク構築プロジェクトです
コロンビア級SSBNに次ぐ最重要課題と表現

Gilday2.jpg14日付Defense-Newsは、米海軍トップのMichael Gilday大将が対中国ハイエンド紛争のカギと呼ぶ戦術ネットワーク構築プロジェクト「Project Overmatch」のリーダーに、Douglas Small海軍少将を指名した報じています

記事によれば米海軍は、従来のように空母周辺に戦力を集める形でなく、戦力を広大なエリアに分散し、中国のISRに最大の負荷を強いることを狙っており、このために艦艇や航空機や無人アセットを様々な連接ノードを用いて繋げようと取り組んでおり、そのノードには無人機や艦艇やハイテクのE-2Dなどが期待されているようです

Project Overmatch3.jpgそしてこのネットワークには海軍だけでなく空軍アセットも連接され、様々なセンサーからの敵目標情報を活用し、様々な攻撃兵器の中から最適な兵器を選定して対処することを目指しているようです

このようなネットワーク整備への注力は、海軍や海兵隊が導入に取り組む長射程兵器の活用も念頭にあるようですが、中国やロシアの電子戦能力に伴う妨害力強化を考慮すれば、米海軍は現在のネットワークでは十分に支えることができないとの危機感が明確に認識されています

14日付Defense-News記事によれば
Gilday3.jpgGilday大将は同少将の指名に際しプレスリリースで、米海軍の戦術ネットワークの現状を厳しく表現し、「米海軍の最大の課題は、主要な指揮統制系統に入り込むことだ」、「我々はネットワークを活用する兵器、ネットワークにつながるアセット、指揮統制ノードを導入しつつある。しかし重要なピースである適切なセットワークを保有していない」とはっきり認めた

そして同大将は、「Project Overmatch」をコロンビア級SSBNに次ぐ米海軍最重要のプロジェクトだと呼び、ちょっと前まではWW2当時の原子爆弾開発プロジェクトである「Manhattan Project」に匹敵すると表現していた取り組みを、「制海を可能とする作戦環境に導く、ネットワーク、関連インフラ、データ構築、分析支援能力等々を構築する努力」と語っている

Project Overmatch.jpg更に、「これほど重要で優先度の高い任務はない」、「米海軍を挙げてSmall海軍少将を支援する」、「目指すところは、全ドメインで、全ての方向から、同期された様々な兵器を、時には群れとして米海軍が活用できるようにすることである」と語っている
////////////////////////////////////////////////////

Small.jpgこの記事だけでは中身がわかりませんが、西太平洋に広く分散するであろう艦艇・航空機・無人アセットに、様々なセンサーアセットと連接ノードを結び付ける戦術ネットワーク構築プロジェクトが「Project Overmatch」と呼ばれ、艦艇乗りで電子戦や艦艇センサーやミサイル防衛にも関与してきたDouglas Small海軍少将がプロジェクトリーダーに選ばれたということです

4件連続で発生している米海軍艦艇の火災事故、運用開始が伸び伸びのフォード級空母、コロンビア級SSBNの価格高騰、艦艇修理・建造施設のパフォーマンス低下などなど、良い話題がほとんどない米海軍ですが、頑張っていただきたいものです

米海軍の関連記事
「米国防長官が米海軍体制検討のさわりを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-18-1
「21年初に本格無人システム演習を太平洋で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-10-1 
「米空母と潜水艦修理の75%が遅延」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-22
「潜水艦も無人化を強力推進」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-03
「国防省が空母2隻削減と無人艦艇推進案」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-22
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10
「空母故障で空母なしで出撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-16
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24

全ドメイン指揮統制連接実験演習:ABMSとJADC2関連
「突然前倒し?第3回目は太平洋で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-29
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-05
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「国防長官も連接性を重視」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
「将来連接性を重視しアセット予算削減」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28

遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「米空軍の課題:他軍種はABMSに懐疑的」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-12
「遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「米空軍トップも批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「中国対処に海兵隊が戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース
前の15件 | - Joint・統合参謀本部 ブログトップ