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米海兵隊が歩兵の多兵器習熟を試行中 [Joint・統合参謀本部]

狙撃銃も迫撃砲も機関銃も対戦車ミサイルも扱えるように
「Arms Room Concept」と呼んで3部隊で2年間試行中
対中国本格紛争を見据え、状況や脅威に応じ柔軟運用部隊へ

Austin marine2.jpg4月26日付Military.comは、米海兵隊が対中国など本格紛争対処に備え、従来は狙撃兵、迫撃砲兵、機関銃兵、対戦車ミサイル兵等に細分化されていた歩兵兵士のMOS(特技:military occupational specialty)を、最終的には一つにまとめる方向で試行実験を行っていると紹介しています

米海兵隊はDavid Berger司令官の下で、毎年改定される「Force Design 2030」構想に基づき、10年計画で対テロから本格紛争対処への体制変換を目指しており、機動的に島々を移動する長射程砲で海軍艦艇を支援する作戦中心への転換や、砲兵に歩兵部隊を従属させる組織運用への転換、それに伴う戦車部隊の廃止や長射程対艦火砲の導入などなどを強力に推進しています

marine infantry2.jpgそんな流れの中、現在の狙撃ライフル、迫撃砲、機関銃、対戦車ミサイル等に専門化した各中隊で構成されている歩兵大隊を、一人の兵士が扱える兵器種類を増やすことで中隊の壁をなくす方向で、2年計画の検証試験が進行中のようです

担当の准将は「まだ何も決まっていない。試行実験を通じて提言をまとめ、司令官に報告する」と慎重な言いぶりですが、米海兵隊の3つの歩兵大隊が試行実験に取り組み、海兵隊員養成の基礎課程でも既に教育期間を延長して多能化試行を始めているようで、動きの迅速さに感心させられます

4月26日付Military.com記事によれば
Austin marine.JPG「Arms Room Concept」の名の下に、米海兵隊歩兵兵士の多兵器習熟型への改革が試行実験されている。海兵隊の戦闘開発融合を担当するEric Austin准将は、多様な兵器を武器庫に備えた部隊構築に向けたドラスティックな改革に向かっていると語った
同准将は「米海兵隊歩兵兵士は、状況や任務に応じた兵器を手にして作戦遂行できるよう、全ての兵器に対応できる訓練を受けることになるだろう」、「これにより海兵隊は、より成熟した、マルチドメイン対応の歩兵兵士によって構成された部隊となる」と表現した

具体的には、3つの海兵師団全てから歩兵大隊を一つ選び、一つの大隊は標準モデルで、他の2つの大隊はそれぞれに少し異なる形態で試行実験を行っていると説明した
Berger2.jpgBerger海兵隊司令官は検討の背景として、2020年3月に改訂版「Force Design 2030」構想を発表時に、「将来の歩兵大隊の構成を考える上で、将来作戦環境を正しく分析して検討がなされたかについて自信が持てない」と述べており、これを受け3つの大隊が試行実験に臨むことになっ

Austin准将は同時に海兵隊兵士の基礎課程でも訓練体系を変える試行を行っていると語り、「基礎課程教育期間を従来の9週間から14週間に5割増しし、歩兵海兵隊員が多様な兵器システムに習熟できるよう取り組んでいる」、「脅威に応じて命ぜられた任務に対応し、どの兵器が適切かを選択して前線に向かうことができる方向に取り組んでいる」と述べた
海兵隊は最終的に、歩兵兵士の職域を一つに統合したいと構想しているが、「Arms Room Concept」に対して批判的な声もある。そんなことが可能なのか・・・との率直な意見である
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marine infantry.jpg先日は、対テロも含め従来海兵隊の中心であった歩兵部隊が、砲兵に従属する形で作戦する次世代演習が沖縄伊江島で行われたとご紹介しましたが、対艦長射程兵器を中心に据える海兵隊の改革は勢いを増しています

米海軍や米空軍と比較すると、その柔軟性は際立っており、組織防衛意識は他軍種と同様ですが、方向性は正しいのでしょうし、海空軍には少しは改革意識を学んでいただきたいと思います

米海兵隊の変革関連
「米海兵隊改革のシンボル:洋上目標ミサイル攻撃成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-01
「海兵隊で歩兵が砲兵を支援する新形態演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-05
「対潜水艦作戦にも」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-07
「在日海兵隊の飛び石演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-23
「司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

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小型無人機対処装備を求めオプション試験中 [Joint・統合参謀本部]

統合検討室を陸軍リードで空軍が支援
まずは副次的被害が少ない対処装備3つを試験

Skylord Griffon2.jpg16日付Defense-Newsは、国防省の小型無人機対処検討の一環として行われている、統合小型無人機対処システム室(JCO:Joint Counter-Small Unmanned Aircraft Systems Office)による候補システム試験の様子を紹介し、まず「副次的被害が少ない:low-collateral effects」対処兵器(小型無人機)の募集と試験を4月上旬に行ったと伝えています

このJCOは陸軍が主導して運用し、試験は陸軍のYUMA試験場で行われていますが、今回の副次的被害の少ない対処兵器試験は依頼を受けた空軍が試験の企画運用を担当する統合らしい分業体制で行われています

MIDAS.jpg候補機種の募集は統合検討室の要求事項に基づいて行われ、約37個の提案があったようですが、国防省の資金支援を受けていない新たな提案からのみ受け付けること等を踏まえ10提案に絞り込み更にプレゼン評価を経て5企業が選ばれた様です。ただ4月の試験には2企業がコロナの影響等で参加できず、3企業のみが参加したようです

米空軍は16個の様々な試験シナリオを準備して3提案を評価し、敵脅威シナリオには様々な速度と高度と飛行パターンを持つ固定翼と回転翼無人機が準備され、提案を様々な側面から吟味したということです

このような試験評価は今後年2回のペースで様々なカテゴリーの小型無人機対処装備について予定され、新たなアイディアと新たな企業の提案を促進するよう計画されているようです

16日付Defense-News記事によれば
Drone Kill Drone.jpgボーイング隷下のAurora Flight Sciencesが提案した「副次的被害が少ない:low-collateral effects」な対処兵器(小型無人機)は、air gunを備えたMIDASとのquadcopterで、敵無人機に接近して約30㎝のひもを付けた弾丸を6連発で発射し、敵無人機のローターやプロペラに絡めて無効化する装置である。2回連射攻撃を行って敵に効果がない場合は、あきらめて次の目標に指向する
2つ目の提案は敵をネット(網)に絡めて無効化するElta North America(イスラエル企業の米国支社)提案無人機Drone Kill Droneで、敵無人機の下部から網を射出し、敵にからめとって自らも共に墜落するタイプである

3つ目も同じく網で固めとるイスラエル企業提案のSkylord Griffonであるが、こちらは敵上部から網をかけ、うまく敵を拘束したら網を切り離して次の敵無人機に向かう方式である
Skylord Griffon.jpg16個の脅威シナリオで評価された3機種は、今後評価レポート受け取り、今後の開発の資とする

JCOと陸軍迅速能力検討室は、同様のデモ試験の機会を9月にも設ける予定で、異なった特性を持った対処装備に焦点をあて、5月には要求性能を公表する予定である
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「副次的被害が少ない:low-collateral effects」な対処兵器部門だけで、37個も提案があったすそ野の広さに感心しきりですが、それだけ脅威認識が高いということです

地道な取り組みの一つですが、陸軍と空軍が協力して取り組んでいる点はうれしいニュースです

世界の軍事関係者に衝撃
「攻撃無人機でアゼルバイジャン圧勝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-21

無人機対処にレーザーや電磁波
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-10
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-20-1
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
「米軍のエネルギー兵器が続々成熟中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-30-1
「米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24

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米海兵隊改革のシンボル:洋上目標ミサイル攻撃成功 [Joint・統合参謀本部]

NMESISで沿岸の無人車両から100nm離れた目標直撃
海兵隊司令官が成功を議会で報告し予算確保要請

NMESIS5.jpg4月29日、David Berger海兵隊司令官が米議会で、無人運用に改良された軽戦闘車両JLTVから発射された「naval strike missile」で、100nm沖合の海上目標攻撃試験に初めて成功したと証言し、2021年度予算で認められなかった本システム(海軍海兵機動型艦艇阻止システムNMESIS:Navy Marine Expeditionary Ship Interdiction System)予算を2022年度予算で確保するよう要望しました

NMESISは、既に沿岸戦闘艦LCS等に搭載されている対艦対地ミサイルと、既に運用実績がある軽戦闘車両JLTVを組み合わせ、JLTVに同ミサイルを搭載し、無人運用を可能にするため「ROGUE:remotely operated ground unit for expeditionary」システムを搭載して無人ミサイル発射兵器に改良したもので、開発リスクを最小限に抑えたものです

発射試験は加州Point Mugu Sea Rangeの地上にNMESISを配置し、その沖合約100nmの洋上に設置した海上目標を攻撃する形で実施され、「naval strike missile」は仮設目標に直撃したということで

NMESIS2.jpg米海兵隊は過去20年間の対テロ作戦体制から、このNMESISや陸上発射型トマホーク巡航ミサイルを迅速に機敏に西太平洋の島々に展開させ、敵水上艦艇や輸送船を射程に収めることで対中統合作戦に貢献する方向に大改革を進めており、NMESIS試験の成功は大きなマイルストーンとなりました

一方で米議会は作戦コンセプト未成熟として、2021年度で米海兵隊が求めた地上発射型トマホーク50発導入予算約150億円を認めず、Davidson太平洋軍司令官が3月に議会で「中国抑止力を削ぐ判断だった」と2022年度予算での復活を強く要求していたところです

Berger海兵隊司令官は議会で、NMESISが既に実績のあるミサイルと戦闘車両の組み合わせでできており、開発リスクの少ない重要新装備だと強調して訴えており、米海兵隊大変革のカギを握る兵器として今後の予算確保が注目されます

4月29日付Military.com記事によれば
Berger2.jpg4月29日David Berger海兵隊司令官は米議会で、同試験におけるミサイル発射写真を議員に示しつつ、NMESIS の信頼性が高いことと対中国抑止に重要な装備であることを説明し、予算確保への協力を訴えた。なお同試験の成功は、前日の4月28日に「naval strike missile」製造のレイセオン社から発表されていた
Berger海兵隊司令官は試験成功を「海兵隊若手担当者と軽戦闘車両JLTV改修に取り組んだOshkosh Defense社の努力の賜物だ」と讃えアピールし、「JLTVの後部を改修してnaval strike missileを搭載し、更にROGUE fires vehicleとの無人運用車両改修に可能にした彼らの努力が成功の原動力だった」と紹介した

更に同司令官は、「これで我々はNMESISを米艦艇や沿岸地域に配備し、敵水上艦艇に脅威を与えることができ、海上交通路を開放することができる」、「このNMESISを有効に活用できる迅速な機動展開運用が我々の目指すべき方向である」と説明した
NMESIS3.jpgそして同司令官は、米海兵隊にとって2022年度予算で地上や艦艇配備の精密誘導火力を確保することが死活的に重要だと訴え、「海洋エリアをバリアに変え、敵の海上交通路を遮断し、我が交通路を確保することが目的だ」と述べた

同司令官はNMESISの信頼性について、「naval strike missileは既に沿岸戦闘艦に搭載され運用実績のある兵器であり、輸送や兵站ルート確保も含めて実証済みである。また搭載車両も運用実績があり信頼できるシステムである」と開発リスクや運用リスクを局限したシステムであることを強調した
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NMESIS4.jpgBerger海兵隊司令官を中心に進められている海兵隊改革が成功するかどうかは「神のみぞ知る」世界ですが、歩兵中心で対テロ作戦を20年以上続けてきた組織が、またそれ以前は歩兵中心の着上陸作戦命で存在意義を見出してきた組織が、脇役だった「砲兵」を柱に組織改革を進める柔軟な姿勢を見せていることに感慨を覚えます

従来中心だった歩兵においても、単一兵器の専門職育成から、複数兵器を扱える多能兵士養成へと大きな改革が試行されており、米海軍や米空軍の硬直性を横目に、大変楽しみな組織力を発揮しています。注目したいです

米海兵隊の変革関連
「米海兵隊が歩兵の多兵器習熟を試行中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-27
「歩兵の多能兵士化を推進中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-27
「海兵隊で歩兵が砲兵を支援する新形態演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-05
「対潜水艦作戦にも」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-07
「在日海兵隊の飛び石演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-23
「司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
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戦略爆撃機による核抑止アラート待機復活を示唆 [Joint・統合参謀本部]

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新型ICBM開発が無くなりICBM待機が不可能になった場合
米戦略軍司令官が上院軍事委員会で訴える

Richard1.jpeg20日、上院軍事委員会でCharles Richard戦略軍司令官が証言し、核抑止3本柱の一つであるICBM配備が維持できなくなったら、冷戦終了後に中止した戦略爆撃機のアラート待機を復活させざるをえなくなると訴え、バイデン政権内や民主党左派が検討している次期ICBM(GBSD)開発中止やICBM自体の廃止議論をけん制しました

同司令官が仮定した「もしICBM保有がなくなったら」との表現が、次期ICBM(GBSD: )開発が中止になり、かつ現ICBM(Minuteman III)の老朽化で非稼働になることを懸念しているのか、一気にICBM廃止をバイデン政権が「核態勢見直し: nuclear posture review」で打ち出す可能性を述べているのか不明です

Minuteman III 4.jpgしかし、これまで同司令官が「現ICBM(Minuteman III)の延命は不可能」と訴え、次期ICBM(GBSD)開発予算の削減や開発延期を懸念していたレベルから一気に話が飛躍したことから、核抑止3本柱からICBMを無くし、戦略原潜と戦略爆撃機の2本柱体制への移行が本格的に議論されている可能性を感じさせます

サイバー兵器や宇宙兵器が、国家機能を停止されるほどのインパクトを持ち、なおかつ攻撃発信源の特定が困難な性格を帯びていることから、伝統的な核抑止の役割が低下しているとの議論と、次期ICBM(GBSD)開発に10兆円を超える莫大な予算が必要である現実を踏まえ、米国の核抑止3本柱維持が難しく成りりつつある様子を、戦略軍司令官の証言を機会に考えます

20日付Defnse-News記事によれば
Richard6.jpgRichard戦略軍司令官は、「大統領が命じている全ての任務を遂行するには、核抑止の3本柱の、どの一つが欠けることも許容できない」と述べ
●「既に現在でも、3本柱全が即応態勢にあるわけではない点が忘れられている」、「現時点でも既に即応態勢にあるのは2本柱(ICBMと潜水艦)だけである」とまず現状を説明した

そして同司令官は、「仮にICBMがなくなれば、我々は完全に戦略原潜のみに核抑止を依存する事になる」、「仮にICBMがなくなれば、戦略爆撃機のアラート待機(核兵器を搭載しての滑走路脇での即応体制待機)の復活を要望することになると、私は既に国防長官に告げている」と述べた
ただ同司令官は、ICBMが運用停止した場合に、どの爆撃機をアラート待機につけるかについては言及しなかった

Minuteman III 5.jpg米空軍が保有する爆撃機で核兵器搭載可能なのは、核搭載巡航ミサイルを搭載可能なB-52と、重力投下型核爆弾B61とB83を搭載可能なB-2爆撃機であるが、開発中のLRSO(Long Range Stand Off weapon:しばしばこれも開発中止議論が起こる)は両機種に搭載可能な設計となってる。(B-1はSTART条約で通常弾頭のみ搭載可能)
報道によれば、2017年に米空軍は北朝鮮の核脅威を受け、B-52の核搭載アラート待機準備を進めたと言われているが、最終的な実施指示は出なかったと言われている

また同司令官は同委員会で、繰り返し現ICBM(Minuteman III)は老朽化が進んで延命措置が不可能である点と、2030年代の中国やロシアの脅威に対処するには次期ICBM(GBSD)開発の遅延は許容出来ない点を訴えた
例えば同司令官は「現ICBM管制センターに入るためのスイッチの構造を知る者は既に存在せず、商売にならないそのような装置に取り組もうとする企業も存在しない」と延命の難しさを説明した

なお22日、米空軍Dawkins戦略計画部長は本件について
戦略爆撃機にアラート待機を命じても、現有戦力では長く続けることはできない
より多くのパイロット、爆撃機、整備員、核兵器管理施設、空中給油機を確保する必要がある

次期ICBM開発は、現有ICBM延命措置よりも安価である
・・・と述べ、無理な話だと示唆しています

なお、可能性のあるB-52爆撃機保有76機の内、核兵器搭載可能なのは46機のみです
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Richard2.jpeg核兵器の3本柱議論について「疎い」まんぐーすには、Richard戦略軍司令官の3本柱不可欠論が弱いような気がしますが、配備後半世紀が経過する現ICBM(Minuteman III)の延命が困難なのは理解できる気がします

今後の議論の展開を注視するしかないのですが、ICBM維持に必要な経費が莫大であることを考えると、他に優先順位が高い兵器や装備開発があるような気はします。難しい問題です

GBSD関連の記事
「国防副長官の認識」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-03
「米戦略軍司令官がICBM延命論に怒りの反論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-07
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09

ICBM後継に関する記事
「ボーイング怒りの撤退」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-27
「提案要求書RFP発出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-18
「次期ICBM(GBSD)企業選定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-27-1
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1

米軍「核の傘」で内部崩壊
「ICBMサイト初のオーバーホール」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-15
「屋根崩壊:核兵器関連施設の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-23
「核戦力維持に10兆円?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「国防長官が現場視察」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18
「特別チームで核部隊調査へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-27
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1
「米核運用部隊の暗部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-29

21世紀の抑止概念を目指す
「同司令官が中露の軍事力増強と抑止を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-01
「米議会で専門家を交え中国抑止を議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17
「新STASRT条約は延長へ!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-17
「3本柱はほんとに必要か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-22
「米戦略軍も新たな抑止議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「21世紀の抑止と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03

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海兵隊で歩兵が砲兵を支援する新形態演習 [Joint・統合参謀本部]

昨年10月に続き、海兵隊が海軍艦艇を火力支援する新構想演習
沖縄伊江島とハワイを結び分散型作戦を演習

NMESIS.jpg3月29日付MarineTimesは、3月に第12海兵連隊(在沖縄)を中心として、沖縄の伊江島とハワイに海兵隊砲兵部隊を緊急展開させ、対中国艦艇を視野に米海軍艦艇部隊を支援する演習が、米海空陸軍と宇宙軍の支援も得て実施されたと紹介しています

米海兵隊は、2019年にDavid Berger司令官が就任して以来、戦車部隊を廃止し、より小型軽量で機動性が高い部隊編成と、対艦対地長射程攻撃兵器を柱にした海洋作戦支援部隊への変革に取り組んでおり、その狙いはインド太平洋地域の島々を所要に応じて迅速に確保し、飛行場を使用可能にし、高機動ロケットシステムHIMARSや地上発射トマホークなど火砲を緊急空輸してミニA2AD網を構築・維持する体制の確立にあります

Noble Fury3.JPGこの演習もその一環で、昨年10月に初めて実施された飛び石演習「Exercise Noble Fury」と同列にある演習と考えられ、オスプレイやCH-53E、米空軍特殊部隊(おそらくMC-130輸送機)が輸送を支援し、米海軍艦艇センサーが海兵隊火砲部隊に敵艦艇情報を提供して、指揮統制は沖縄の第12海兵連隊本部が執る形態の「分散海洋作戦:distributed oceanic operation」が試されています

演習指揮官は、まだまだ小規模で、新コンセプトの体験的・試験的な演習だが、将来は同盟国部隊との連携を視野に置いていると語っているところ、当然自衛隊も関わってくると思いますので、昨年10月の飛び石演習「Exercise Noble Fury」に続いてご紹介しておきます

3月29日付MarineTimes記事によれば
Berger.jpg沖縄所在の第12海兵連隊司令官のMichael Roach大佐は、これまでの海兵隊部隊の形であった、歩兵部隊を砲兵媚態が支援する形ではなく、砲兵部隊を歩兵部隊が支援する全く新しい米海兵隊の戦い方の演習を、沖縄とハワイの2か所で同時に3月に行ったと語った
同大佐は「従来とは逆に、砲兵部隊に歩兵部隊が従属し、砲兵部隊指揮官が歩兵部隊を指揮する形で実施した」と、指揮系統を根本的に変える演習だったと振り返り、米海兵隊全体で進める大国との紛争に備えた「沿岸地域からの戦い:littoral fight against a near-peer competitor」の訓練だと説明

海兵隊のDavid Berger司令官が強力に推進するこの戦い方では、米海兵隊は長射程対艦対地兵器と電子戦機材、更に時には敵潜水艦探知装置で、米海軍艦艇の戦力発揮の道を開き、統合戦力と共に敵戦力撃破に貢献する
そしてその結果として、米海兵隊は(過去20年間従事してきた対テロ作戦で中心だった)歩兵部隊重視を改め、戦車部隊を廃止し、米海軍が望むことを海兵隊として全力で支える方向に進んでおり、長射程火力による敵艦艇撃破能力に力を入れている

Noble Fury.jpg演習では、夜間にMV-22Bオスプレイから先遣エリート部隊が伊江島に降り立ち、敵占領部隊を無効化し、飛行場を確保して海兵隊F-35Bを向かい入れた
それに続き、オスプレイやCH-53Eで海兵第8師団第3大隊員が輸送され、主力となる砲兵火力が展開し、長射程精密攻撃能力を不便な前線展開地に確保した

これら主力海兵隊戦力展開の支援には、特殊作戦部隊の特殊輸送能力の他、米陸軍の「Multi-Domain Task Force」、「Air Defense Artillery Regiment」や「8th Theater Sustainment Command」、更には宇宙軍のユニットなども加わった
このような沿岸地域への長射程精密誘導火力の展開は、伊江島とハワイの2か所で同時実施され、指揮統制を沖縄の第12海兵連隊本部が行う「分散海洋作戦:distributed oceanic operation」形式で行われた。

Noble Fury2.jpg展開した海兵隊砲兵部隊には、海上に展開している米海軍艦艇のセンサーから担当エリアの艦艇情報が提供され、砲兵部隊が経験したことのないエリアの情報を目にすることができた
第12海兵連隊司令官のMichael Roach大佐は、従来の陸上戦闘とは兵站支援ルートが全く異なる点に着目し、演習の成果を更なる部隊能力向上につなげたいと語り、「離島での作戦運用の制限と機会を見極めいく」と将来を見据えた
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海兵隊が主力火砲と想定している2つの長射程対艦ミサイルとは、射程100nm以上と言われる「Naval Strike Missile」を無人走行車両に搭載した「NMESIS」(Navy Marine Expeditionary Ship Interdiction System)と、米国のINF全廃条約脱退で導入可能になった射程900nmの巡航ミサイル「Tomahawk」の地上発射版です

3月上旬に米議会各所でDavidson太平洋軍司令官が、海兵隊長射程兵器予算が2021年度予算でカットされたことを嘆いて回っていたように、米軍全体での戦い方の方向性が良く見えず、4軍(宇宙軍を入れると5軍)間での予算争いが目立ち、また伝統的装備の継続調達が幅を利かせている状態に、議会も不満を募らせており、海兵隊の変革がどの程度実現するか不確かですが、間違った方向とは思わないので期待しております

「分散海洋作戦:distributed oceanic operation」に向け、自衛隊とはどのような協力体制構築が検討されているのでしょうか??? まさか・・・先日の米空軍C-130輸送機による陸自第1空挺団員の大規模降下訓練支援は、その一環なのでしょうか???

米海兵隊の変革関連
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「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

Davidson太平洋軍司令官が海兵隊長射程兵器予算カットを嘆く
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横田米空軍C-130部隊が総力で陸自空挺団500名降下支援
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米空軍大将が陸軍の長射程兵器導入を「ばかげている」と [Joint・統合参謀本部]

大型爆撃機部隊GSC司令官のTimothy Ray大将
重複投資、アジアで受入国探し困難、1発数十億で破産する
米議員に「ばかげている、いい加減にしてくれ」と説明

Ray3.jpg1日、米空軍協会Podcastで公開されたインタビューで、米空軍で大型爆撃機やICBM部隊を管轄するGSC(Global Strike Command)司令官のTimothy Ray大将が、米陸軍が地上発射極超音速ミサイル等を重点装備として遠方攻撃に乗り出す方針を示していることに対し、「ばかげている。いい加減にしてほしい」と辛らつに批判し、くすぶり続けている「米空軍VS米軍地上部隊の長射程兵器導入構想論争」に、一気に火が付きそうな情勢になってきました

翌日2日には、米陸軍と空軍の参謀総長同士が連絡を取り、Brown空軍参謀総長が「米空軍は引き続き他軍種と緊密に協力しながら、米国の要求にこたえていく。4軍はそれぞれに、国家安全保障のため、統合軍としての役割を相互にサポートするため、それぞれを編成、装備、訓練することを担っている」との、沈静化を狙った声明を出していますが、コロナの影響で国防予算は厳しさを増しており、中国と戦う以前に、4軍間の「仁義なき戦い」は激しさを増しています

hypersonic Army2.jpg米空軍側は以前から、「遠方攻撃は既に米空軍が大型爆撃機等で担っており、空軍の極超音速兵器開発も進んでいるから、予算厳しき中で重複投資は無駄だ」、「ウォーゲームが示すように、長射程兵器だけでは勝てない」、「極超音速兵器や長射程精密誘導兵器は高価で、それだけで数万個の目標に対処すると破産する」と地上部隊の動きを批判してきましたが、GSC司令官は更に「欧州や中央アジアでは受け入れ国があるかもしれないが、アジアでは難しい」との点も持ち出して、陸軍を厳しく批判しています

2日付米空軍協会web記事等によれば
1日公開の米空軍協会ミッチェル研究所のインタビューでRay司令官は、「(米陸軍の遠方攻撃追求を最優先とする構想について、)純粋にその構想の信頼性に苦慮している。私は既に米空軍が習熟している分野に、相当額を投資して重複する戦力を編成する案をばかげていると思う」と語った
同司令官は、陸軍が全ドメインで戦うと称して、地上発射型の極超音速兵器を配備し、敵のミサイルや飛行場を迅速に攻撃できると主張し、陸海海兵隊が担ってきた長射程攻撃、海上作戦、着上陸作戦、宇宙作戦の任務に乗り出そうとしていることを批判した

hypersonic Army.jpgまた同司令官は、「地上配備の長射程兵器が機能するには、同盟国等の受け入れ承認が必要だが、欧州や中央アジアのいくつかの国では可能かもしれないが、アジア太平洋地域でにわかに可能になるとは考えにくい」、「陸軍がその能力を部隊配備するまでに少なくとも5年は必要で、実際に部隊配備できても、有事に前線に展開するには2-3か月は必要だろう」と述べ、一方で空軍アセットは直ちに必要な場所に派遣できると語った
そして、「関係しそうな同盟国に尋ねてみたらどうか? これまでなかったそのような兵器の受け入れ可能性について。基地対策で苦労している現状から、更に全く異なる依頼をすることとなる現実を考えるべきだ」と表現した

極超音速兵器に関しても、米空軍の爆撃機搭載用AGM-183Aの試験が4月5日に予定され、B-52やB-1やF-15E等に搭載可能になることがまもなく証明される段階にあると同大将は訴え陸軍の地上発射型より機動力があると主張した
AGM-183A.jpgまた、空軍の大型爆撃機部隊が開始した「Bomber Task Force」は、インドのような新たな場所にも展開先を広げ、数日ではなく、時間単位で展開可能で、長期にわたり変化する情勢に対応する柔軟性もあると語り、「国防省予算が厳しい中で、暴力的に高価な陸軍のアイディアに投資する必要があるのか」と疑問をぶつけた

そして、複数の米議員から陸軍構想について質問されたが、そのたびに「正直に申し上げると、ばかげているし、いい加減にしてほしい」と答えているとまで表現した

インタビューの中でミッチェル研究所の研究部長であるDeptula退役空軍中将は、「アフガンやイラクからの撤収が(政権の)話題の中で、米陸軍は極超音速兵器を追求することで自身の存在意義を主張しようとしている」、「強引に新たな任務を確保し、国家防衛戦略NDSの中で存在感を発揮しようとしている。それが遠方攻撃最優先の背景だ」と厳しく指摘した
Deptula AFA2.jpg更に同部長は、「陸軍は統合戦力を頼ることなく、遠方の目標情報や衛星画像情報を陸軍の航空機や宇宙センサーで獲得しようと構想しているが、これらは米空軍が統合戦力にすでに提供しているもので、完全に重複投資だ」とも訴えた

そして、陸軍は遠方攻撃に投資するために、米陸軍が中核として担ってきた基地防空やミサイル防衛への投資をおろそかにしていると批判し、米軍全体での戦闘能力強化を考えて行動すべきと批判した
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何回も申し上げてきたように、こんな時こそ統合参謀本部が乗り出すとタイミングだと思いますが、議長が陸軍人で、副議長が空軍人の体制では期待できそうもありませんし、仲介の動きさえも聞こえてきません

それでも、第一列島線上に「インサイド部隊」として残存性の高い防空&対艦ミサイル部隊を電子戦能力を強化して配備し、遠方で待機する「アウトサイド部隊」である海空軍部隊の来援まで持ちこたえ、中国が既成事実を積み上げることを阻止する体制づくりが大きな米軍の方向性のようなので、海兵隊を含めた地上部隊の動きは今後も要注目です

対中国新構想「海洋プレッシャー戦略」の中核か?
CSBAの同構想レポートを振り返るhttps://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-13

遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「米陸軍トップが長射程攻撃やSEADに意欲満々」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-12
「米空軍トップが批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

米陸軍の目指す長距離攻撃能力
「米陸軍は2023年から遠方攻撃兵器で変わる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-09
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「射程1000nmの砲開発に慎重姿勢見せる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-10
「射程1000nm砲の第一関門」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-15

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空母艦載機の無人機比率を将来的には2/3に [Joint・統合参謀本部]

米海軍航空作戦部長が海軍協会のイベントで語る

Harris XX.jpg3月30日、米海軍協会イベントで米海軍航空作戦部長が、空母艦載機における無人機の割合を将来的には6割以上にまで高めることも検討していると語りました

米海軍は3月16日、無人システム活用の将来構想「Unmanned Campaign Plan」を発表しましたが、専門家や米議会から「空虚な言葉や表現ばかりで中身がない」、「今やっていることの説明ばかりで、具体的将来計画がない」等々と厳しい評価を受けていたところですが、そんな評価を気にしての発言かもしれません(完全に邪推です)

FA-18.jpg米海軍はFA-18後継機のFA-XX検討において、米空軍と同じように「family of systems」コンセプトを表明しており、単に特定の戦闘機型プラットフォームだけでなく、センサーや他の兵器システム全体で将来の戦い方を実現したいとしていますが、この方面でも米議会から検討状況が全く見えてこないと批判的な評価を得ているところです

もちろん、中国の軍事力課題が急速に進む中、「手の内」を見せない次世代装備開発が米軍には求められますが、対中国正面ではこれまでとは異なる戦いへの変革を求められていることから、自ら新たな発想を生み出せない&変化を推進できない軍隊の負の側面を見せているとも考えられ、今後の具体的な動きが注目されます

3月30日付Military.com記事によれば
Ford2.jfifNavy Leagueのイベントで米海軍航空作戦部長Gregory Harris少将は、「family of systems」で航空戦力を強化していく一環として、将来的には、無人戦闘機などを含む無人システムで空母艦載機の2/3以上を占める可能性に言及した
同少将は、「family of systemsは有人と無人システムの組み合わせで構成されると予期しており、有人と無人の比率は、無人4割、有人6割の方向に向かい、時間と共にその比率は無人6割・有人4割に向かうことも想定できる」、「空母艦載航空部隊を、5割以上無人システムで構成するようにもっていきたい」と表現した

このため、米海軍はFA-18後継機を検討するFA-XXプロジェクトで、有人機か無人機か部分的自立システム化等の検討を行っていると同少将は説明し、米空軍のNGAD計画が単一の戦闘機型アセットで構成されるものではない点にも留意していると語った
MQ-25.jpg更に同少将は、「米海軍はE-2D後継を将来的に考える必要があり、早期警戒プラットフォームの補完的な役割も考える必要がある」とも語った

そして、現在進めている空母艦載無人空中給油機MQ-25 Stingrayの出来次第で、今後の方向性を煮詰めていく事になるとも語った。なお米海軍はMQ-25に給油任務の他、ISR任務遂行を期待している
一方で、空母上での無人機運用は、安全面など今後慎重に進めるべき課題も残されており、他航空機との兼ね合いも含め、今後実際に空母上でリハーサルを繰り返す中で作戦運用を成熟させていく必要があると語った
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米空母の艦載機は、ニミッツ級でも新型フォード級でも、FA-18やF-35が4個飛行隊計約45機、電子戦機EA-18Gが5機、早期警戒機E-2Dが4機、H-60救難&輸送ヘリが6機、C-2輸送機が2機が一般的な構成ですが、6割以上を無人機にするとなると、戦闘機系列45機に手を付けなければなりません

X-47BFlight.jpgどこまで「無人機6割」の検討が煮詰まっているのか「?」ですが、米海軍協会(Navy League)のイベントは、米海軍主要幹部の他、大物OBや専門家やマスコミや軍需産業幹部が集結する相当規模のイベントですので、それなりの覚悟で発言したものと考えられます

の発言を受け、米空軍幹部にも「海軍は無人機6割の方向だが、空軍は?」との質問が投げかけられるのでしょう・・

上院軍事委員会が米海軍に対し、現状で不明確な米海軍の次世代制空(NGAD)構想について不満を示し、整理して報告するように要求
2021年度予算を22億円要求に対し、7億円しか認めず
「米海軍の次期艦載機F/A-XXの構想進まず」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-17

空母艦載の無人攻撃機構想がしぼむ様子
「組織防衛VS無人機導入派」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-08-01
「哀愁漂うUCLASS議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-17
「UCLASSの要求性能復活?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14
「夢しぼむUCLASS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-21

無人艦載攻撃機X-47Bの夢
「夏にRFP発出か:無人艦載機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-28-1
「映像:空母甲板上で試験中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-11
「映像:X-47B地上カタパルト発進」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-01
「X-47Bが空母搭載試験へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-28-1

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米海軍の「無人システム計画」が議会等から猛批判浴びる [Joint・統合参謀本部]

空虚な言葉や表現ばかりで中身がない
F級空母やLCSやZumwalt級などの反省がない
何をどうしたいのか全く見えない

Navy Unmanned Plan.jpg18日、米海軍&海兵隊が16日に発表した無人システム活用の将来構想「Unmanned Campaign Plan」に関する質疑が下院軍事委員会で開催され、退役海軍人を含む米議員から「空虚な言葉や表現ばかりで中身がない」、「今やっていることの説明ばかりで、具体的将来計画がない」、「最近の数々の米海軍研究開発の失敗事例との差が感じられない」等々、辛らつな言葉が相次ぎました

また、つい最近まで米海軍トップの補佐官だった元海軍大佐の著名専門家からも、「中身がない」、「なぜ無人システムに投資する必要があるのか理解するのは困難」、「具体的なマイルストーンもなく、米海軍が責任を持って取り組むと感じさせるものが何もない」、「兵器ネットワークへの熱意と対照的」と厳しい言葉が上がっています

Navy Unmanned Plan5.jpg残念ながら米海軍の装備品開発は、フォード級空母、沿岸戦闘艦LCS、Zumwalt級駆逐艦(たった2隻で終了)など「死屍累々」の状態で、「何をやってもダメな米海軍」(現海軍人トップの表現)とのレッテルを否定できない状態にあります

無人システム関連でも、LCSの汚名挽回を狙った無人機雷探知対処システムRMMV(Remote Multi-Mission Vehicle)が、800億円規模の投資を行いながら「爆発物を探知できない」との理由で2016年に計画中止となるなど、米海軍の装備開発は外部の不信感との戦いになっています

18日付Defense-News記事によれば
Navy Unmanned Plan2.jpg退役海軍人であるElaine Luria下院軍事委員(民主党)は、「具体的な内容に欠け、空虚な言葉や表現ばかりの中身に本当にガッカリした」、「最近の米海軍による複数の艦艇開発失敗を踏まえ、本委員会の委員は、新たな技術を前線部隊の戦力に変える米海軍の能力について懐疑的である」と言い放った
また、最近のRMMVの失敗等にも言及して共和党のRob Wittman委員は、「何かを長く続けていれば、良いことが起こるだろうとの甘い認識で失敗した(RMMVの)教訓を、十分生かしていないのではないか?」と、現在の取り組みばかりに言及し、将来の具体的な計画を打ち出せていない点を厳しく指摘した

元CSBA研究員で、昨年まで米海軍作戦部長の上級補佐官を務めていたハドソン研究所のBryan Clark上級研究員も、「どんな任務や作戦が無人システムに有効なのかに関する議論が全くなく、無人システムに予算厳しき中で投資すべきと訴える中身が見当たらない。理解困難な文書だ」と酷評した
そして、「また現在取り組んでいる無人システムの開発がなぜ重要なのか、どの開発の優先度が高いのか等に関する言及もなく、内容が薄い」とも表現している

Navy Unmanned Plan3.jpg更に、「米海軍はこの文書発表で、米議会や政府指導層に米海軍のシステム開発への信頼を取り戻す必要があったが、私が議会関係者だったら、“今何をやっているかの説明をしているだけで、それがなぜ重要で、なぜ次世代の戦いに向け投資が必要なのかがわからない。海軍は何がしたいのだろう”と思うだろう」
また「仮にこの文書が無人システムを巡る海軍の中心文書であるならば、海軍はどのようにシステムを成熟させていきたいのか説明する機会を失したと言える」、「海軍は説明したいと思ったのだろうが、何も説明できなかったと私には思える」とコメントしている

更に同研究員は、例えば無人システムのための特別組織を立ち上げるとか、既存組織を格上げして権限を付与するとか、そんなことでも姿勢が感じられるのだが何もなく、米海軍が西太平洋で兵器とセンサーとプラットフォームを結び付けることに勢力を注いでいるのと対照的だ、とも語っている

Navy Unmanned Plan4.jpg「Unmanned Campaign Plan」発表の際、米海軍担当幹部は公開可能ベースでの文書作成と、開発中の非公開レベルの試みを組み合わせる難しさを記者団に語りつつ、米海軍は有人と無人システムを組み合わせた「ハイブリッド」部隊編成にコミットしていると語った
また別の幹部は、今後の無人システム開発においては、複数のプロトタイプを作成して実現可能性を見極め、現場の意見を聞きながら改良を進めつつ、費用対効果を突き詰めて進めていくと、過去の開発装備との違いを強調した
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中国等の長射程精密誘導兵器が充実する中、米海軍は従来の空母や大型有人艦艇中心の編成の見直しを迫られており、改革の方向性を無人システムの活用構想である「Unmanned Campaign Plan」の中で示すことが期待されていたわけですが、具体的な成果や方向性が見えない「迷子」状態にあることを逆に世に知らしめてしまう結果となったようです

米海軍&海兵隊としては、これはあくまで公開版バージョンであり、非公開で進んでいる重要開発物もあると示唆していますが、それだけが理由でこれだけ厳しい批判を受けるとは考えにくく、連続して発生した事故や火災、現有艦艇や潜水艦の維持整備体制だけでなく、根が深い組織の問題を抱えているような雰囲気を醸し出しています

現物約40ページ
https://www.navy.mil/Portals/1/Strategic/20210315%20Unmanned%20Campaign_Final_LowRes.pdf?ver=LtCZ-BPlWki6vCBTdgtDMA%3d%3d 

米海軍関連web記事
https://www.navy.mil/Press-Office/Press-Releases/display-pressreleases/Article/2538616/navy-marine-corps-release-unmanned-campaign-plan/

米海軍の関連記事
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次の太平洋軍司令官候補が台湾に切迫する危機に警鐘 [Joint・統合参謀本部]

3月23日の上院での指名承認公聴会で
中国のインド国境、香港、ウイグルでの行動をよく見よ
我々が予期していなかった行動を次々と繰り出している

Aquilino4.jpg23日、次の太平洋軍司令官(有事に対中国作戦の米軍指揮を大統領直属で執る)候補であるJohn Aquilino太平洋海軍司令官が上院軍事委員会での指名承認公聴会で、中国は台湾支配に向けた行動を「最優先」にしているとして、「大半の人が考えているよりもはるかに切迫している」と強い危機感を訴えました。

一方で、今の太平洋軍司令官であるDavidson海軍大将が9日に同じ委員会で述べた、「6年以内に」との表現については明確にコメントしませんでした 

この指名承認公聴会は、大半が中国対処問題について費やされ、その他の報道では、グアム島のミサイル防衛が重要な点や、空母11隻体制に関しての質問があったようですが、台湾への危機感を述べた部分が大きな関心を集めていますのでご紹介しておきます

24日付CNN電子版報道によればAquilino大将は
Aquilino5.jpg「この問題は大半の人が考えているよりもはるかに切迫しているというのが私の意見だ。われわれは受けて立たなければならない」
「中国とインドの国境問題にしても、香港での民主化運動弾圧においても、ウイグル族に対する行動にしても、我々が予期していたよりも遥かに速い速度で、中国は攻撃的な姿勢で行動を起こしている」
「だから私は、事態の緊急性について訴え続けているのだ。今すぐに備えなければならない」 ただし、具体的な時程や、この発言の裏付けとなる情報について言及しなかった

また「我々は中国の行動を変えることができなかった。我々が目にしてきた、彼らの願望、意図、過去最大の大規模な軍事能力増強などすべてに対し、何もできなかった」
更に議員からの「中国の台湾侵攻を許すとどのような影響が出るか」との質問に対し、「中国の軍事力が、台湾近傍を通過する世界の物流の2/3を脅かされる恐れがあり、日本・韓国・フィリピンなどアジアの同盟国が米国に寄せる信頼が損なわれる」という2つの大きな懸念があると述べた

グアム島のミサイル防衛強化に関し
Aquilino2.jpg予算化されていない要求事項として、先にDavidson現司令官が2022年度予算に追加で約5000億円を要望し、グアム島のミサイル防衛強化を最優先事項とした件についてAquilino大将は、「ミサイル防衛上の懸念は、戦域全体の課題である」、「グアム島には、17万人の米国市民と2万人の米軍兵士が所在しており、防護強化は絶対的に必要だ」と語った
Aegis Ashoreシステムについて同大将は、ポーランドでの配備でコストや種々の課題が判明している件や、日本が最近導入をキャンセルしたことに触れつつ、これらの教訓を踏まえて取り組みことで、2025年までに配備完了可能と考えると語った

ただし、あくまでもAegis Ashoreは現時点での最適オプションだとの見方を示し、「仮に私が太平洋軍司令官に就くことができ、近未来に実現可能なより良いオプションが見つかれば、耳を傾ける用意がある」と慎重な姿勢も見せ
更に、対抗者が追求している攻撃能力に対処するためには、極超音速システムを攻撃と防御の両方で開発することが重要だと強調した

米海軍の空母11隻体制強化の必要性
米海軍空母の態勢を、現在の11隻体制から16隻体制にすべきと主張している共和党Roger Wicker議員からの、「世界情勢や中国に対処するのに、現在の法律が定める11隻体制で十分なのか? 我々は法律を変えることができる立場にある。考えを聞かせてほしい」と質問に対し
同大将は「新たな情勢の変化がない限り、現時点では今の規模が正しいと考えている」と回答した
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Asia Pacific.jpgDavidson海軍大将が9日に同じ委員会で述べた「中国が今後6年以内に台湾を侵攻して支配下に置く可能性がある」との発言と、23日にAquilino大将が述べた台湾侵攻・支配への懸念度合いのどちらが強いのか、記事によって書き方はまちまちですが、Aquilino大将も相当高い危機感を持っていると感じました

インド国境や香港やウイグルでの動きを、世界がコロナの中で実質上「傍観」している間に、予期せぬ間に、中国にしてやられたのは紛れもない事実であり、その点は肝に銘じておくべきでしょう

「最後の空母をもっと欲しいか?」質問は、ちょっとかわいそうな質問です。厳しき予算や中国の脅威を踏まえ、国防省として空母削減を検討せざるを得ない厳しい状況にあるのですから。現場指揮官に聞かれても・・

次の太平洋軍司令官候補者のご紹介
日本との関係も深い優秀なFA-18パイロットです
「対中国作戦指揮官はトップガンパイロットへ」→→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-06

アジア太平洋軍関連の記事
「海兵隊長射程兵器の予算カットに不満」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-13
「太平洋軍司令官が追加要望事項レポート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-03
「海兵隊司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
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引き続き「第1艦隊」創設をアジア太平洋で検討中 [Joint・統合参謀本部]

昨年11月に当時の海軍長官が初言及の構想
引き続きコンセプトや受け入れ先を検討中???

Davidson7.jpg3月10日、Davidson太平洋軍司令官は下院軍事委員会で、部下であるJohn Aquilino太平洋海軍司令官が米海軍首脳から指示され、対中国のためアジアからインド洋にかけての場所を拠点に「第1艦隊」を創設することをひき続き検討していると語りました

この「第1艦隊」(かつて1943年から73年の間に存在)の復活とアジア配備検討の話は、2020年11月に当時のBraithwaite海軍長官が

「我々は新たな艦隊を立ち上げ、インド洋と太平洋の間のクロスロードに配備したい。そして同地域のプレゼンスを高めたい」
「我々は地域の同盟国やパートナ国であるシンガポールやインドなどと相談しなければならないし、不測の事態に備えて、懸念のある必要な場所に艦隊を配置しなければならない」
「チョークポイント近傍のシンガポール以外でも、米軍だけでなく、同盟国等にも安心感を与えられるような、アジア太平洋域全体への展開派遣に適した場所に第1艦隊を配置したいと考えている」

・・・等と語ったことで明らかになった構想です

RIMPAC 20202.jpg背景には、中国海軍の活動が活発化し、アジア唯一の米海軍艦隊である横須賀拠点の「第7艦隊」だけでは対応が困難になりつつあるとの現実があります。第7艦隊は米海軍最大の「艦隊」で、約2万の兵士と艦艇・潜水艦70隻(空母攻撃群含む)、航空機150機の大所帯ですが、それでも現在でも対中国に第3艦隊など他艦隊からの支援を得てやっと対応している状況です

この発言当時、専門家からはシンガポールが設備面では充実しているが、中国との関係から新艦隊受け入れは政治的に容易ではなく、空母配備ともなれば調整は更に容易ではない・・との意見や、フィリピンのスービック湾の他、豪州、タイ、インドネシアや、ベトナムなども候補ではあるが、設備と政治的状況からハードルはより高いとの評価でした

Andaman-Island.jpg中には、マラッカ海峡に近く、人口密度が低いことから政治的に受け入れ可能性が比較的高いとみられるインド領の「Andaman Island」の可能性を指摘する専門家もいましたが、関連施設を整備の莫大な資金と時間が課題だとしていたところでした

ただ、「艦隊」と言ってもその規模は様々で、兵員2万人規模で最大の「第7艦隊」とは対照的に、ロシア潜水艦対処専門に2019年末に設置された「第2艦隊」は司令部的機能の200名規模であることから、新たな「第1艦隊」がどのようなコンセプトのどのような編成を想定しているのかに関心が集まっています

15日付Military.com記事によれば
Davidson2.jpg10日、Davidson太平洋軍司令官は、米海軍首脳部からの指示に基づき、Aquilino太平洋海軍司令官が「第1艦隊の任務に関する各種オプション検討を行っている」、「引き続き、どのようなコンセプトの艦隊にすべきか、どのような効果や影響があるか、周辺国との関係への影響等々について検討している」と語った

また(保有数の削減が検討されていると報道されている)空母について、「アジア太平洋地域で空母の存在は特に重要だ」、「私は、空母に代わる代替案はないと考えている」とも下院軍事委員会で訴えた
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Davidson太平洋軍司令官は、「Aquilino太平洋海軍司令官has been asked by Navy leadership to look at some options・・・」と表現したようで、なんとなく実際の戦力運用を担当する司令官として、主体性が感じられない雰囲気を漂わせています

Ford2.jfifもしかしたらDavidson司令官は、現場の運用を複雑にする「第1艦隊」を編成するアイディアに否定的なのかもしれません・・・。又は国防省などペンタゴン内部を中心に進められているGPR(世界的な米軍再編検討)について、予算や政治的要因の影響度合いが強く、手を出せない雰囲気があるのかもしれません

それよりも何よりも、Aquilino太平洋海軍司令官が自身の後任候補になっており、6月には退役が見えている気軽さから、怖いものなしで自由に語り始めたDavidson大将の今後が気になります

「米海軍長官がアジアに第1艦隊編成を要望」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-20

アジア太平洋軍関連の記事
「海兵隊長射程兵器の予算カットに不満」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-13
「太平洋軍司令官が追加要望事項レポート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-03
「海兵隊司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「アジア認識を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-07
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「現空軍トップとベトナム訪問」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-14
「アジア太平洋で基地増設検討中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-28 

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米陸軍トップが長射程攻撃やSEADに意欲満々 [Joint・統合参謀本部]

従来この任務を担ってきた米空軍との対立激化へ
統合参謀本部など誰か交通整理してください
内輪もめしている場合じゃないですよ・・・

McConville.jpg11日、James McConville米陸軍参謀総長が記者団に、米陸軍による極超音速兵器や長射程精密誘導兵器導入に伴い、遠方攻撃やSEAD(敵の防空網制圧)、更に米国版A2AD網構成によって米海空軍の作戦を支援することができるようになる等と述べ、将来の統合作戦により広い分野で貢献していくと語りました

対中国作戦で米陸軍の役割と存在感を確保する生き残り戦術ですが従来米空軍が担ってきた遠方攻撃やSEADや航空阻止任務に、他軍種が乗り出すことに米空軍は批判的で、前空軍参謀総長時代から「高価な遠方攻撃頼みでは米軍が破産する」、「予算厳しき折、軍種間の能力重複は避けるべき」、「軍種間の任務見直しはきちんと議論すべき」等と主張してきました。

PrSM3.jpgMcConville米陸軍参謀総長は、SEAD任務に米陸軍はかねてから取り組んできたと主張し、「30年前の湾岸戦争開戦時に、アパッチ攻撃ヘリで敵の前線レーダー基地を粉砕し、米空軍の侵攻ルートを切り開いた」と繰り返し語ったようですが、米空軍協会web記事は、同作戦で米空軍がステルス機や巡航ミサイルや戦闘爆撃機でSEAD任務のほとんどを担ってきたことに陸軍参謀総長が触れていないことを批判的に伝えています

こんな時こそ、統合参謀本部が将来の作戦コンセプトを打ち出し、4軍の役割や予算配分を仕切る役割を果たすべきだと思いますが、予算厳しき中で、各軍種の生き残りと予算確保の動きは「仁義なき戦い」の様相を示しています。Milly統合参謀本部議長は、「予算の伸びは期待できない。せいぜい現状維持が現実の世界だ」と4軍間の争いを戒めていますが・・・・。これが現状であり実態です

11日付米空軍協会web記事によれば
McConville4.jpg11日McConville米陸軍参謀総長は「Defense Writers Group」のバーチャルイベントで、極超音速兵器開発を強力に推進して敵にジレンマを与え、また統合作戦の中でSEAD任務や敵奥地への攻撃(deep strike)にも乗り出していくと語った
●そして「長射程精密攻撃能力は、地域コマンド司令官に複数の作戦オプションを提供する」、「海軍と空軍も敵奥地攻撃に大きな能力を保有しているが、共に統合戦力として任務に取り組んでいく」と表現した

同参謀総長は、このような能力を担う部隊組織として「multi-domain task force」を編成し、太平洋軍エリアに2個、欧州に1個配置する方向だと述べたが、具体的な配備場所については、オースチン国防長官がアジア太平洋を初訪問するタイミングで、地域諸国との話し合いが行われている段階なので、これ以上は言及できないと発言を控えた
Strategic Long2.jpgまた、「task force」を現在アジア太平洋地域で試験中だと述べ、極超音速での精密攻撃能力に加え、防空機能や、情報、サイバー、電子戦、宇宙等の能力を備えた部隊だと語った

米陸軍は新たな任務に挑むのか・・・との質問を受けることもあるが、決してそうではない。米陸軍は30年前の湾岸戦争開戦時、アパッチ攻撃ヘリで2つのイラク防空システムを無効化し、米空軍アセットの侵攻ルートを確保した実績があると、同大将は繰り返し強調した
更に、「現在は当時のような手法ではなく、異なったやり方で行うことになろう」、「陸軍がSEADを担うことは将来必要なことであり、我々は戦略的な距離の遠方から行い、敵の対処をより困難にする」とも表現した

そして、「陸軍の長射程能力で米軍のA2AD網を設定し、敵の海上戦力に圧力をかける」とも表現した
Strategic Long4.jpg米陸軍戦力が従来空軍が担ってきた遠方攻撃になぜ乗り出すのかとの質問に対しては、沈没する恐れの無い機動力を備えた地上戦力は、24時間、常時利用可能な安定した戦力であり、海空軍戦力が機動展開する間を支えるオプションになると説明した

海兵隊と並ぶ陸軍のこのような姿勢に対し、Brown空軍参謀総長は昨年5月議会で、宇宙軍が立ち上がったばかりで、国家防衛戦略NDSに取り組む初年度の今、4軍の任務担当について見直すのは適切なタイミングとは思えないとの意見を述べている
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更に、昨年4月に当時のGoldfein空軍参謀総長は、「現在の厳しい予算状況を勘案すれば、米軍内に重複投資はないか? より4軍が協力して必要能力を獲得維持する方法はないかと考えることが強く求められている」と訴え

Goldfein8.jpg将来戦に関する多くのウォーゲームの結果を引き合いに出し、長射程兵器(standoff missiles)と使い捨て無人機(attritable aircraft)で構成される「outside force」では勝利できていない、と説明し、最も厳しいシナリオでも勝利できたのは、長射程兵器と従来兵器を組み合わせたハイブリッド戦力(hybrid force of both stand-off and stand-in systems)だけだと主張しています

また同参謀総長は「長射程兵器のみ戦力推奨派」に対し、そう主張したいのなら分析結果を示せ、国家防衛の責任を負うなら、勢いだけで主張するなと厳しく表現し、将来戦において勝利できるとの証拠を示すべきだと強く訴えていたところです

「米軍人トップ:現実を見よ、予算増加は見込めない!」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-03

遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「米陸軍は2023年から遠方攻撃兵器で変わる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-09
「遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「米空軍トップも批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

米陸軍の目指す長距離攻撃能力
「射程1000nmの砲開発」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
「射程1000nm砲の第一関門」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-15

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太平洋軍司令官が海兵隊長射程兵器予算カットを嘆く [Joint・統合参謀本部]

海兵隊のトマーホークや改良SM-6予算2021年度予算
今後計画する無人発射装備ROGUEへの資金を懸念

Davidson3.jpg10日、Phil Davidson太平洋軍司令官が下院軍事委員会で、2021年度予算(今年9月末までをカバー)で米海兵隊が求めていたトマホーク対艦巡航ミサイル50発や射程延伸型SM-6対艦対地ミサイル(計約140億円)が米議会で認められなかったことに関し、中国軍事脅威への対処能力を削ぎ、対中国抑止力を低下させると不満を述べました

同週に同司令官は、米議会での様々な証言機会に、「中国による猛烈な軍事力投資により、このままでは2026年までに米国は優位性を失う(China's military investments could leave the U.S. outmatched in the region by 2026)」、9日には上院軍事委員会で「6年以内に台湾を併合する」と具体的時期まで出して危機感を訴えていたところです

ROGUE marine.jpg海兵隊は、トマホークやSM-6の発射機を、現有の車両Joint Light Tactical Vehicleの荷台に搭載し、同車両を無人化して「ROGUE:remotely operated ground unit expeditionary」システムとして装備し、第一列島線上や西太平洋の島々に柔軟に移動させながら使用して、中国海軍艦艇などを攻撃する残存性の高いアセットとして活用することを構想しており、米海空軍戦力の脆弱性を補完するものとして存在感発揮を狙っています

米陸軍も似たような構想を持っており、加えて射程1000nm(1800㎞以上)の砲の開発も構想するなど、地上部隊の存在感アピールを続けていますが、これまで遠方攻撃を担ってきた米空軍幹部は、「高価な遠方攻撃だけでは破産する」「予算厳しき折、きちんと議論すべき」と批判的に各所でコメントしているところです

12日付Military.com記事によれば
Davidson5.jpg10日Davidson司令官は、海兵隊が要求してきた地上発射の長射程&中射程対艦ミサイルの予算約140億円が2021年度予算で認められなかった件について、「このような予算カットが続くことは、中国脅威対処に今求められている能力整備への希望を削ぐことになる」、「そして対中国の抑止力を減ずることになる」と下院軍事委員会で訴えた
また中国の急速な軍事増強について同司令官は、「この状況を攻撃的な態勢整備だと言わずして、中国が現在行っている軍事能力増強を説明することはできない」、「中国は我々に対し、ルールに基づく国際秩序を、中国的な考え方に置き換えると告げているようなものであり、今世紀半ばまでに彼らが成し遂げると宣言していることでもある」と訴えた

同司令官は、米海軍艦艇や米空軍航空機がより自由に移動するために欠かせない能力だと、地上配備長射程兵器の重要性を議員たちに訴え、「敵が、我が攻撃兵器の場所を特定することを困難にすること、これがまさに抑止につながり、敵にコストを負担させることになる」と説明した

Tomahawk.jpg海兵隊の本構想を強力に推進しているDavid Berger海兵隊司令官は、海兵隊の能力整備計画文書の中で、機動力ある対艦攻撃能力獲得について、「全ドメイン関与、抑止、海上制圧、戦力投射のすべての面に貢献するもの」と表現し、更にロケット砲連隊整備がこれに続くと説明している
また「長射程精密誘導の機動力持つ対艦ミサイル兵器が、海軍作戦の成功と抑止への基盤能力だ」とも述べている
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対中国軍事作戦を大統領直属で指揮する太平洋軍司令官としては、作戦基盤が少なく脆弱な海空軍戦力依存では心もとなく、機動力を伴った地上火力部隊に期待を持つのは致し方ないことでしょう

ROGUE marine2.jpgしかし米議会からすれば、4軍内で「内輪揉め」している状態で、気前よく予算を認めるわけにもいかず、特に民主党が優勢の下院では・・・むなしくDavidson司令官の声が響いたのかもしれません

個人的には、米空軍がF-35への投資を絞り込み、米海軍が空母や大型艦艇への投資を見直すことを含む対中国の新たな態勢構想や作戦構想を説明することで、米議会を含むコンセンサスを得る方向しかないと思うのですが・・

「米軍人トップ:現実を見よ、予算増加は見込めない!
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-03

Davidson司令官の動向
「太平洋軍司令官が追加要望事項レポート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-03

遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「米陸軍は2023年から遠方攻撃兵器で変わる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-09
「遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「米空軍トップも批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

米陸軍の目指す長距離攻撃能力
「射程1000nmの砲開発」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
「射程1000nm砲の第一関門」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-15

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米陸軍が射程1000マイル砲開発に慎重姿勢 [Joint・統合参謀本部]

国家科学アカデミーの実行可能性評価を待つとか
担当准将は国防省内の戦略レベル検討もあり慎重に検討と
当初計画の2023年プロトタイプ試験は難しく

strategic long-range.jpg米陸軍で射程1000nm(1800㎞以上)を目指す「Long-Range Precision Fires (LRPF)」又は「Strategic Long-Range Cannon」計画を担当する准将がDefense-Newsに、計画スタート時にはなかった様々な戦略レベルでの検討が国防省で行われていること等を受け、同計画の今後については数か月後発表の国家科学アカデミーの実現可能性レポートを待って慎重に検討すると述べました

この計画は、対中国やロシアを念頭に、遠方から安価に攻撃できる能力を確保しようとの狙いで2018年中ごろから公になったものですが、何せ射程1000nm(1800㎞以上)とは「東京から上海までの距離」に相当し、そのスケールに驚く一方で、米空軍から米軍全体の資源配分を疑問視する声が上がっていたところです

Strategic Long2.jpg担当のJohn Rafferty陸軍准将の話は、今取り掛かっている検討や試験はもちろん継続するが、装備品としての開発決定前に米議会が求めた国家科学アカデミー(National Academy of Sciences)の評価を見る必要があるとの超慎重な姿勢で、おまけに同計画開始当初とは戦略レベルの風向きが変化していると言及していることから、振り上げたこぶしの降ろしどころを探しているようにも聞こえます

予算的な制約なのか、軍事戦略的な話なのか、両方なのか記事からは判然としませんが、米陸軍による射程1000nm(1800㎞以上)砲開発は、早くも収束の方向に向かう気配です。邪推ですが・・

9日付Defense-News記事によれば
Strategic Long3.jpgRafferty陸軍准将はDefense-Newsに対し、LRPF計画は依然として米陸軍の科学技術分野で最優先事業であると述べつつも、陸軍として具体的な装備化や部隊配備を決定していないとし、当初予定されていた2023年にプトロタイプ試験を行う計画も現時点では困難だと語った
そして米議会が2020年度予算法の中で指示し、数か月後に結果がまとまる国家科学アカデミーによる「実現可能性評価:feasibility review」をよく吟味し、そのデータや分析を米陸軍将来コマンドや米陸軍首脳と共に確認して前に進みたいと説明した

また同准将は「同計画の具体化は大きく難しい決断であり、国家科学アカデミーという権威ある機関のレビューは米陸軍にとっても貴重な判断材料となる」と述べたが
一方で、「同計画を開始した当初にはなかった戦略レベルでの出来事が生起しており、例えば、国防省が開始した資源配分レビュー(some portfolio reviews)のようなものが考慮すべき変化だ」と言及した

Strategic Long4.jpgただし同准将は、科学アカデミーの評価を待つだけでなく、同長距離砲開発で開始している種々の検討や開発を継続すると強調し、部分的ないくつかの能力デモを今年中に予定しているとも説明した
また「コロナによる中断や、資金面での余裕から遅れている部分もある」、「既に契約済の事項では、2つの企業と飛翔体開発や輸送用コンテナなどに継続して取り組んでいる」と付け加えた
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以上の他にRafferty准将は、種々の検討や試験が初期段階にあることを伺わせる抽象的な説明をしていますが、ご興味のある方は原文をご確認ください

同准将が言及した「国防省が開始した資源配分レビュー(some portfolio reviews)」が何を指すのかわかりませんが国家としてコロナ対処や経済立て直しが最優先となるのは統合参謀本部議長も認めているところであり、米空軍の次期制空機NGAD関係者が危機感を持つように、いろんな方面で悲鳴が聞こえるようになるのでしょう

ただ、射程1000NM砲の今後については、米軍の戦術面での整理も関係あるような気がしますので、太平洋軍が要望している第一列島線上に射程500㎞以上の火砲を配備する構想も併せ、今後の動きに注目いたしましょう

米軍人トップ「現実を見よ、予算増加は見込めない!」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-03

太平洋軍が2027年までに約3兆円追加要望
第一列島線上に射程500㎞以上の火砲配置構想も
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-03

米陸軍が長長射程砲を開発:LRPF計画
「射程1000nmの砲開発の第一関門間近」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-15
「射程1000nmの砲を真剣検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1

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米陸軍の前線電子戦部隊構想:2027年までに [Joint・統合参謀本部]

前線レベルの部隊整備だけでは対中露には不十分だが
2027年までを目途に各旅団に専門小隊を

EW Army.jpg1月1日付C4ISRnetが、対テロに専念してきた過去20年間で「忘れられ、置き去りにされてきた」米陸軍の電子戦部隊整備について、担当大佐の語る将来構想を紹介しています

過去20年間の対テロ作戦では、イスラム武装集団やテロ組織が相手だったことから「電子戦」を意識する必要がなく、米陸軍だけでなく、米軍全体から「電子戦」のノウハウや経験が失われ、前線兵士から中堅幹部は経験や知識が実質「ゼロ」で、将官クラスでも冷戦時の記憶が微かに残る程度の惨状です

EW Army2.jpgこの危機感が本格的に米軍内で共有されたのは、2014年のロシアによるウクライナへの侵攻時で、ロシア側による最新の情報戦(サイバーやメディア戦を絡めた手法)と電子戦の組み合わせた「ハイブリッド戦」を前に、米軍は茫然と立ちすくす他なく、むしろ米軍が支援に赴いたウクライナ軍から電子戦の基礎を学ぶ羽目になった米軍部隊の教訓からでした

その後、国防省を上げて「電子戦」能力の再構築に取り組み始め、例えば米空軍は「情報戦」と「電子戦」を担当部隊を融合した第16空軍を立ち上げる等の動きを見せていますが、中露を相手にすることへの意識改革も道半ばで、かつ米軍を取り巻く予算不足も重くのしかかり、なかなか体制整備が進まないのが現実です

以下で紹介する米陸軍の取り組みは、あくまでも前線部隊レベルの話で、対中露となれば必要な軍団(Corps)レベルの整備構想が欠如した状態ですが、小さなことからコツコツと・・・の姿勢で、とりあえずご紹介しておきます

1日付C4ISRnet記事によれば
EW Army3.jpg米陸軍司令部で電子戦能力担当マメージャーを務めるDaniel Holland大佐が、C4ISRNETに書面で電子戦への取り組みについて説明してくれた
米陸軍の戦闘単位の中核として機能してきた旅団戦闘チーム(BCT:Brigade Combat Team)に、2027年までを目途に、電子戦専従の「小隊:electronic warfare platoon」を整備し、併せて各種電子戦情報を他部隊と共有して総合戦闘力発揮につなげるネットワーク構成部隊「signals intelligence network support team」も新設する

これら電子戦小隊やネットワークチームは、今後、Strykers戦闘装甲車に搭載した形で導入されるTLS-BCT(Terrestrial Layer System Brigade Combat Team)との電子戦・電子情報収集・サイバー戦プラットフォームを活用して行動する
TLS-BCT開発は、開発リスクを低減するため2つの企業(Lockheed MartinとDigital Receiver Technology)が並行してプロトタイプ作成に取り組んでおり、その中から一つを選択する予定である

EW Army4.jpg現時点までに米陸軍は、太平洋と欧州戦線への配備を念頭に、2つの電子戦用プロトタイプを開発している。一つは電子戦支援と電子攻撃用のTEWS(Tactical Electronic Warfare System)、もう一つはFlyer72搭載用のより小型のTEWL(Tactical Electronic Warfare Light)である
各旅団に新編成される電子戦小隊やネットワークチームは、旅団内に分散して配置されていた要員を一つのまとめて編成される方向である

ハードの整備と並行し、部隊に対する電子戦訓練として米陸軍は、CEMA(cyber and electromagnetic activities)セッションとの電子戦訓練を、大部分の部隊に2022年までに受けさせる計画である
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EW Army5.jpg2つの企業が並行して開発している電子戦装備と、TEWSとTEWLとの装備の関係が良くわかりませんが、とりあえず言葉だけご紹介しておきます

また記事では、第1機甲師団の第3戦闘旅団(BCT)がモデル部隊として、上記の新装備や新編成導入に先行して取り組むと紹介しています

対中国で、米陸軍がどのような役割を果たそうとしているのかよくわかりませんが米海兵隊が機動力を生かして太平洋の島々を機敏に移動しつつ、敵艦艇撃破に注力する方向に取り組むイメージを頭に浮かべつつ、お手並みを拝見したいと思います。そんな悠長な状況にはない日本ではありますが・・・

ロシアの電子戦に驚愕の米軍
「東欧中東戦線でのロシア軍電子戦を概観」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-1
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02

EW関連の記事
「国防省EW責任者が辞任」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-19
「ACC司令官が語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-19
「米空軍がサイバーとISRとEwを統合」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3
「電子戦検討の状況は?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-13
「エスコート方を早期導入へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27

「米空軍電子戦を荒野から」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-17-1
「ステルス機VS電子戦攻撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12

第16空軍の関連記事
「電子戦(spectrum戦)専門の航空団創設へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-03
「新設第16空軍の重要任務は2020年大統領選挙対策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-19
「遅延中、ISRとサイバー部隊の合併」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-24
「米空軍がサイバー軍とISR軍統合へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3

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太平洋軍が今年も追加要望事項レポートを [Joint・統合参謀本部]

3月4日AEIのイベントで司令官自らプレゼン
米議会超党派が推進のPDI太平洋国防イニシアチブとスクラム
ただ国防省は厳しい予算枠の中で動けるはずもなく

Davidson3.jpg2日付Defense-Newsは、昨年に引き続き米太平洋軍が、2027年までの間に約3兆円の追加予算が対中国でアジア太平洋地域に必要だとのレポートをまとめ、4日にAEIでDavidson太平洋軍司令官が発表プレゼンを行うと紹介しています。Defense-News独自入手情報らしいです

このレポートの内容は、数週間後のバイデン政権初の2022年度国防予算案発表に先立って行われ、要するに現状の予算枠ではとても対中国の態勢は構築できないから、これだけ必要だと訴えるもので、超党派の議員団が昨年「PDI:Pacific Deterrence Initiative」として2026年までに約2兆円の投資をアジア太平洋地域に求めた内容をなぞったような要求レポートになるようです

Pacific Deterrence2.jpg元々、予算案から漏れた「優先追加要求事項」を地域コマンドが米議会に提出するのは慣例(法的要求事項?)となっているのですが、その内容があまりに本質的で重要な内容なので、国防省予算案の在り方自体に問題を投げかけ、米議会超党派議員も同じ方向を要求していることから話題になります

同レポートの要求事項の一部は、例えば第一列島線上に射程500㎞以上の火砲部隊を配置して中国をけん制する構想など、国防省予算案にも含まれるようですが、現実の予算枠からすると実現が困難な内容も含まれており、昨年の同レポートや米議会のPDI提案に、国防省担当部局からは「無い袖は振れない」「議会に好き放題予算をいじられては・・・」と困惑の本音も聞こえてくる状態です

結局、ホワイトハウスに国防費の枠拡大を求める軍現場と米議会超党派の陳情のような形になっていますが米国防省の予算案が、F-35など勇ましい正面装備を重視する中で、太平洋軍レポートはグアムのミサイル防衛強化や電子戦能力や第一列島線火砲など、現実的で必要な装備体系も求めており、いわば良心的な国防関係者の本音を見る思いがしますのでご紹介しておきま

とりあえず昨年のレポートやPDI提案は、コロナの大きな波の中で、「風と共に去りぬ」扱いだったと認識しておりますが・・・

2日付Defense-News記事によれば
Davidson.jpg1日、太平洋軍は米議会に、2022年から27年にかけて追加で約3兆円の国防投資を求めるレポートを提出し、まず2022年には約5000億円が追加で必要だと訴えている。4日にAEIでDavidson太平洋軍司令官が発表プレゼンを行う予定になっている

同レポートに含まれている要求項目は例えば・・・
--- 約1兆円 局所的な海上・航空優勢確保費(戦力分散用の港湾や飛行場整備、分散拠点展開先確保のための着上陸戦力強化など)
--- 約1800億円 グアムのミサイル防衛強化(パラオに設置の200億円のレーダーシステム含む)
--- 約2500億円 宇宙配備の早期警戒衛星網整備
--- 約3500億円 第一列島線上に射程500㎞以上の精密誘導火砲を、残存性高く、機動性を持たせてネットワーク配備
--- 約250億円 情報戦(世論操作への誘導工作対応 前回の5倍)
--- 約400億円 兵站強化費
--- 約50億円 電子戦強化費

Pacific Deterrence.jpgDavidson太平洋軍司令官が4日にプレゼンを行うAEIのEric Sayers研究員(昨年の米議会PDIにも関与)は、「米国防省の現在の計画は、アジア太平洋地域に生じている軍事アンバランスに対応するには不十分だ」、」「PDIはバイデン政権が米議会とこのアンバランス問題に協力して取り組む良い機会を提供する」と語っている

ちなみに、太平洋軍が本レポートで要望している2022年度の追加費用の規模約5000億円は、2014年にロシアのウクライナ侵攻を受けて正式に開始された「European Defense Initiative」で、2020年に認められた約7000億円規模と比較すると小さい額である
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US China2.jfifバイデン政権は、ウイグルの人権問題もあり、今のところ中国に厳しい姿勢を示していますが、国防に関しては近く発表される2022年度予算案を見ないといけません。もちろん、トランプ政権の引継ぎが遅れて、十分に新政権の意向が反映できなかったとの言い分もあるでしょうが・・・

欧州では正式に「EDI:European Defense Initiative」が実行されたのに、対中国で実態がない状態では困ります

アジア太平洋でのDefense Initiative
「上下院軍事委員長が対中国抑止PDI推進」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-29
「太平洋軍司令官がグアムミサイル防衛一押し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-23

European Reassurance Initiative関連
「NATO首脳会議は葬式?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-18-1
「ロシアの毒牙にセルビアが危ない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-10-2
「対露の欧州米軍予算4倍を説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-2
「欧州への派遣や訓練を増加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08-1

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