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バカ高い極超音速兵器:議会が推定価格試算 [Joint・統合参謀本部]

空軍用空中発射型1発19億円!
陸軍用地上発射型は1発53億円!
空中発射対地巡航ミサイルJASSM-ERが2億円弱で
地上発射弾道ミサイルは終末機動型でも33億円

HyperSonicW Cost CBO.jpg2月1日付米空軍協会web記事が、米議会予算室(CBO:Congressional Budget Office)が公開情報のみを使用して推測した、極超音速兵器単価や20年を想定した維持費含む総経費を報じ、あくまで「概算」とは言え、例えば空中発射型を同射程距離の対地攻撃用巡航ミサイルとの比較で価格約10倍と見積るなど、改めてその「バカ高さ」が話題となっています

LRHW3.jpg米議会予算室(CBO)は、空軍用空中発射型(爆撃機搭載用の射程約1000㎞のARRW:Air-Launched Rapid Response Weapon)と陸軍用地上発射型(射程3000㎞のLRHW:Long-Range Hypersonic Weapon)のコストを推計し、

空中発射型については同射程距離の空中発射運航ミサイルJASSM-ERと比較し、地上発射型については終末機動能力を持った中距離弾道ミサイル価格を推計して比較しています

それぞれの性能や特徴比較は後回しにしてまず単純比較
●空軍用空中発射型(射程1000㎞級)について
・爆撃機搭載用の極超音速兵器ARRW
1発19億円、20年で総経費6900億円(300発製造で)
 (100発のみ製造だと1発23億円)
・戦闘機クラス搭載用HACMは未成熟で推計不能
・対地巡航ミサイルJASSM-ERは1発2億円弱

●陸軍用地上発射型(射程3000㎞級)について
・LRHW, Long-Range Hypersonic Weapon
1発53億円、20年で総経費2.3兆円(300発製造で)
・中射程弾道ミサイルMaRVs機能付き
 1発33億円、20年で総経費1.7兆円(300発製造で)

コストで単純比較できない各兵器の特徴や課題
ARRW.jpg●同じ極超音速兵器でも、陸軍地上発射型は移動式でも安全な発射場所確保が必要だが、空軍爆撃機は射程距離が短く攻撃目標に接近する必要があるが、任意の場所(空中)から攻撃発射可能

●空中発射型の中では、同程度の射程でも対地巡航ミサイルJASSM-ERは飛翔速度が1/10程度と非常に遅い。一方の極超音速兵器ARRWは15-30分以内に価値の高い敵目標を攻撃可能であることから、開戦初期段階で有効と考えられる
●地上発射型では、終末機動能力があっても弾道予測がある程度可能な弾道ミサイルより、大気圏内を機動性を持って高速移動する極超音速兵器LRHWの方が生存性が高く攻撃成功確率が高い

LRHW4.jpeg●ただし、空中発射でも地上発射型でも、極超音速兵器の抱える根本的な問題、つまり「飛翔時の大気との摩擦熱(約1650度C)」から精密な搭載電子回路や空力操縦系統をどう守るかについての課題を克服することが大前提となる
●2019年以来、米国防省は既に約1兆1千億円を極超音速兵器開発に投入し、2023-27年に間に追加で約1兆7千億円を技術開発につぎ込む計画になっている(この金額には陸軍と空軍用の同兵器製造コスト2600億円は含まれていない。なお海軍はまだ同兵器予算要求を決定していない)
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Kendall 7.jpg米国防省が極超音速兵器を「最優先事項」として取り組む姿勢を打ち出す一方で、Kendall空軍長官は以前から繰り返し以下を主張しています

●極超音速兵器は近い将来価格低下の可能性は低く、私は同兵器を保有しても「比較的小規模」と考える。無論価格低下に空軍も取り組む。しかし高価であり、費用対効果等々から慎重に投資を検討しなければならない
●同兵器は有効な手段だが、米空軍が要攻撃目標を攻撃する唯一の手段ではなく、低速度でも巡航ミサイルは安価であり、ステルス性や敵防空網妨害との組み合わで有効であり、総合的に将来兵器体系を考える必要がある

HAWC.jpg●米国を遠ざけたい中国と、中国抑止用に同兵器を考えている米国とでは、同兵器の位置づけは異なり、中国と同様に米国が追求する必要は必ずしもない。米国は多数の移動目標に対処する必要があり、少なくとも初期型の同兵器は固定目標に適している点も注意を要する

極超音速兵器に搭載可能な弾頭重量(恐らく大きくはない)も勘案すれば、少しはKendall空軍長官の気持ちがわかった気がします。それから「飛翔時の大気との摩擦熱(約1650度C)」克服については、未解決なんですねぇ・

極超音速兵器開発に注目が集まる中でも、この亜音速の大ベテラン兵器トマホークの新型「Block V」が米軍内で存在感を保ち、SM-6やNaval Strike Missileと共に今後も重要な役割を果たすと考えられる理由を、5つの視点から考察https://holylandtokyo.com/2020/12/23/349/

米軍の極超音速兵器開発
「迎撃兵器開発を2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/
「米潜水艦配備は2028年以降」→https://holylandtokyo.com/2021/11/26/2450/
「陸軍部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holylandtokyo.com/2021/10/18/2342/
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holylandtokyo.com/2021/09/30/2281/
「米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holylandtokyo.com/2021/08/30/2169/
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holylandtokyo.com/2021/07/30/2037/
「豪州とも協力」→https://holylandtokyo.com/2020/12/10/340/
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holylandtokyo.com/2020/11/04/378/
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holylandtokyo.com/2020/10/16/434/
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holylandtokyo.com/2020/08/21/530/
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

米空軍と国防省の同兵器開発の対立
「米空軍が戦闘機搭載型HAWC契約」→https://holylandtokyo.com/2022/12/27/4090/
「3回連続ARRW成功」→https://holylandtokyo.com/2022/12/16/4061/
「空軍:高価な同兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「国防省が空軍に改善提言」→https://holylandtokyo.com/2022/02/10/2670/
「国防次官:同兵器は最優先事項だ」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/

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シリア米軍拠点への無人機襲撃をCoyoteで撃墜 [Joint・統合参謀本部]

最新の無人機対処兵器Coyoteで2機撃墜
3機の自爆無人機の1機は着弾し2名負傷
映像で無人機対処システムCoyoteとC-RAMをご紹介

Coyote Raytheon3.jpg1月20日、シリア東部のイランやヨルダンとの国境に近い米軍拠点Al Tanfに出所不明の自爆型無人機3機が来襲し、うち2機を最近配備された無人機迎撃システムCoyote(Raytheon)で迎撃に成功したが、1機は同拠点内に着弾し、米軍が教育訓練を行っているシリア人2名が負傷したと米国防高官が明らかにしました

米中央軍は、3機の自爆無人機を誰が操作していたのかや、米軍拠点Al Tanfを防御していた米軍部隊がどのように対処したのか説明するのには時間が必要との立場ですが、国防省高官によれば、同襲撃に関する事前情報やウォーニングは全く無かった模様です

Al Tanf4.jpgAl Tanf拠点は米軍主導で2016年に設置された、イラクとヨルダンとシリア3か国国境の近傍にある対ISIS作戦の最前線拠点で、シリア領内のイスラム過激派を支援するイランがその設置に強く反対している軍事施設です。

この拠点付近はイラン製無人機による攻撃を以前から受けており、2017年6月にはイラン製Shahed-129無人機が米空軍F-15発射の空対空ミサイルAIM-120で迎撃されましたが、迎撃前に爆弾1発が米軍に協力するシリア人勢力に投下される事案が発生し、同事案と同時期に更にもう1機のイラン製無人機がF-15に撃墜される事案が発生しています

Coyote Raytheon4.jpgAl Tanf拠点事態も2022年8月15日にイラン支援の武装勢力の襲撃を受け、同月後半に米国が報復作戦を実施したほか、今年2023年1月18日にも同地域でIS地域指導者を捕獲する作戦が遂行されたばかりで、米中央軍はシリアに駐留する約900名とイラク駐留約2500名が中東の安定にしっかり関与して行くと声明を出しているところです

Coyote Raytheon2.jpg今回迎撃に成功した米陸軍運用の「Coyote」は、もともとRaytheon Technologiesが開発した発射管から打ち出される形式の無人機システムでしたが、2018年に陸軍がこれを改良して無人迎撃兵器として使用することを決定し、シーカーや弾頭を射出型無人機に付加した形態での試験に2021年成功して昨年配備されたものです

下でご紹介しているYouTube映像が示すように、「Coyote」は敵無人機に直接命中するのではなく「近接爆発」で相手を無効化するシステムで、地上固定配備型や車両搭載型があり、共に無人機捜索追尾レーダーと一体運用される仕組みになっています

記事で紹介のCoyote無人機迎撃システム


ロシアがイランから緊急輸入し、ウクライナのエネルギー関連施設やウクライナ国民の生活インフラを無差別攻撃して大きな脅威となっている無人機兵器の例が示すように、安価で対処が難しい無人機兵器はますます脅威度を高めており、同兵器への対処法確立は全ての国にとって喫緊の課題です

でも、どの対処法も高コストで「敵の思うつぼ」ですねぇ・・・

本日は20日に活躍した「Coyote」以外にもう一つ、艦艇近接防空用のCIWSを改良したC-RAM(Counter-Rocket, Artillery, Mortar)ガンシステムの映像もご紹介しておきます

C-RAM(Counter-Rocket, Artillery, Mortar)ガン
(30秒くらいから発射映像)


無人機対処にレーザーや電磁波
「対処用のエネルギー兵器動向」→https://holylandtokyo.com/2022/07/14/3432/
「JCOが小型無人機対処3機種吟味」→https://holylandtokyo.com/2022/05/17/3233/
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holylandtokyo.com/2021/06/02/1708/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14

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泣き面に蜂:耐震強度不足で米海軍の4ドック使用停止 [Joint・統合参謀本部]

アジア太平洋戦力を支える西海岸の潜水艦修理拠点で
昨年10月の調査で判明し、約100名の専門家動員し対応検討へ
当面影響ないと説明も、潜水艦修理は2倍の待ち行列中

Puget Sound3.jpg1月27日、米海軍が主に潜水艦の定期修理を行う西海岸北部ワシントン州の4つのドライドックで耐震強度不足が見つかり、緊急措置は行ったものの、同日から無期限で同ドックの使用を停止し、米国防省や米海軍や関連企業の専門家約100名のチームによる対策検討を行うと明らかにしました。

これまでも定期的に耐震強度調査は行われてきたとのことですが、地震の発生頻度が高い西海岸施設に対し、新たな大地震想定を盛り込んだモデル分析を新技術も導入して行ったところ、これまで気づかなかった「ドライドックの設計や構築に直接関連する懸念」が見つかり、

Trident Refit.jpg「地震によるドライドックの崩壊により、ドック内の潜水艦や労働者や海軍兵士に危険が及ぶ可能性」や「周辺地域社会の安全や環境への影響」が懸念されるとの指摘が、調査を行ったWSP USA社から昨年10月の調査報告書で明らかにされたとのことです。関係者は「直ちに大きなリスクがあるわけではないが、長期的な視点に立って予防的な措置行う」と強調しているようですが・・・

具体的には、攻撃原潜や空母の修理するPuget Sound Naval Shipyardの4-6ドックと、BangorのTrident Refit Facilityにある戦略原潜用のドック一つに懸念事項が見つかったとのことです。

Puget Sound2.jpg現時点で修理中の潜水艦はなく、当面の使用予定もなかったと米海軍は説明していますが、米海軍全体では現時点で長期計画の2倍の18隻もの潜水艦が整備中か整備待ちの状態にあり、戦力全体の老朽化と修理施設の疲弊が問題となっていたところに降ってわいた「泣き面に蜂」的な事案です

関係者は、上層部の理解&支援を得て2023年度予算から関連費用を捻出し、国防省・海軍・関連企業の専門家約100名からなるチームが今週編成され、どのような対策をどのような計画で実施し、そのコストがどれほどかを検討することになるが、「現時点で結果を推測するのは時期尚早だ」とコメントしています

Trident Refit2.jpgまた海軍関係者は、同施設の残ったドックや埠頭で可能な修理作業を行うことにより、当面は従業員規模を縮小したり、修理計画を修正する必要はないと説明し、現在別ドックで実施中のオハイオ級巡航ミサイル原潜修理にも影響はないと強調していますが、専門家チームの調査や検討を通じ、長期的な影響が見極められるだろうと微妙な説明ぶりにもなっています
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ドライドックが全体で何個あるのか把握しておらず、4個の活動停止の影響を邪推することもできませんが、計画想定の2倍の潜水艦が修理中か修理待ち行列の現状で、調査結果判明から10週間後に100名規模のチームで対応検討開始ともなれば、ただ事ではなさそう・・・と考えるのが自然でしょう

Puget Sound5.jpg2年半前時点で「米空母と潜水艦修理の75%が遅延」状態で、その後のコロナや原材料の高騰で、米海軍の艦艇建造やメンテ部署は更なる混乱と混迷度を深めていると何度も報じられており、アジア太平洋の海軍戦力維持に直結するであろう、西海岸北部ワシントン州の4つのドライドック運用停止の今後が気になるところです

米海軍の艦艇建造や修理能力が危機的状況
「米空母と潜水艦修理の75%が遅延」→https://holylandtokyo.com/2020/08/27/534/
「空母故障で空母なしで出撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-16
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24

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沖縄海兵隊4000名の転進先グアム基地設置式 [Joint・統合参謀本部]

日本の防衛副大臣は「沖縄の負担軽減策」と挨拶し
米国防省は「太平洋に分散」と説明
2024年から沖縄からグアムへ転進開始へ
総額1兆円の移転費用の3700億円を日本負担

Camp Blaz4.jpg1月26日、沖縄海兵隊約4000名が「転進」する予定のグアム島米海兵隊基地「Camp Blaz」の設置式典が行われ、海兵隊にとって70年ぶりの新基地開設でもあることから、Berger海兵隊司令官が参加したほか、日本の木村防衛大臣政務官や吉川外務副大臣も式典に列席して挨拶しています

米海兵隊4000名の沖縄からグアムへの「転進」は、2006年に日米間で合意された在日米軍再編計画で大枠が合意され、転進先として2012年にグアムが米側により決定されていたもので、設置式自体は2020年に計画されていましたが、コロナの影響で延期され、2023年開催となったと報じられています

Camp Blaz2.jpgなおグアム島の米海兵隊拠点は、1899年に初めて設置され、1941年に日本軍によって占領されましたが1944年に海兵隊を中核とした米軍が奪還し、太平洋戦争後に海兵隊Campとして再開し、1992年にいったん閉鎖され現在に至っていたようで、再開にあったての新名称「Camp Blaz」は、グアム原住民チャモロ族出身で初めて将官に昇進したVicente Tomas Garrido Blaz海兵隊准将(退役後に下院議員も務める)にちなんで命名されたとのことです

米国防省副報道官は同基地に約5000名が駐留予定だと説明しましたが、これまでの日米合意から沖縄海兵隊からは約4000名が同基地に転身することになっています。2020年から工事が開始されているようですが、兵舎など基地施設の建設は今も続いており、また日本の各種報道機関は、2024年から兵士の移動が開始されると報じています

Camp Blaz3.JPGまた米側報道発表では、この基地開設や部隊移転に必要な経費約1兆円のうち、約3700億円が日本側負担で実施されることを強調しています

1月11日に開催された「日米2+2」で、在沖縄海兵隊で3200名規模の「第12海兵旅団」を縮小しつつも、対中国作戦により適合した2000名弱規模の「第12海兵沿岸旅団:MLR:Marine littoral regiment」に2025年までに改編で合意した件と関連の動きですが、

Camp Blaz.JPG同時に米海兵隊が歩兵や戦車等の重装備から、対中国を意識した敵艦艇や敵上陸部隊を攻撃する軽快な部隊編成を目指し、対艦ミサイル部隊や防空部隊やISR部隊を中核に据えた部隊編成に改革を進める一環でもあります。

いずれにしても、対中国の真正面の極めて脆弱な沖縄本島駐留米軍を削減し、豪州を含む西太平洋全体での分散運用を追求する「軍事的合理性追求」の米軍と、日本側の未だに「沖縄の負担軽減」との大義名分を持ち出さなければならない立場との奇妙な調和を見せつけられた「Camp Blaz」開設式となりました

米海兵隊の主力海兵旅団の改革
「沖縄にMLR設置で合意」→https://holylandtokyo.com/2023/01/13/4148/
「ハワイで創設のMLR部隊」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
「米海兵隊のstand-in force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「MLRを日本にも」→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/726/
「Force Design 2030構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

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元米海軍造船担当次官補が根本改革訴え [Joint・統合参謀本部]

米海軍は失った信頼回復に厳正な予算管理を
予算内に収まる現実的な戦力造成計画を
装備品調達のコスト管理をかつてのように厳正に

Zumwalt dame.jpg1月17日付Defense-Newsは、元米海軍造船&兵站担当次官補であるEverett Pyatt氏の寄稿文を掲載し、米海軍が沿岸戦闘艦やフォード級空母やコロンビア級戦略原潜やZumwalt級駆逐艦DDG-1000等々のずさんな管理で失った、米議会や国民からの信頼を取り戻し、台頭する中国に備えるには、増加が見込めない予算の現実を受け入れ、予算内で収まるような厳正な装備品開発&調達管理を復活させないと、艦艇規模は現在の半分になってしまうと訴えました

RIMPAC 20202.jpg米海軍の装備品調達の混迷については何回も取り上げてきましたが、沿岸戦闘艦LCSがトラブル多発の中で本格紛争での役割を得られないまま4兆円を無駄にして早期退役を開始したり、フォード級空母がニミッツ級の2倍のコストに膨らんで開発が遅延していること、ステルス駆逐艦のDDG-1000が3隻で建造を終了する惨状で、次期戦略原潜コロンビア級コスト急上昇で艦艇建造コストを圧迫しつつ開発が遅延している等々の惨状を、信頼喪失の原因だとPyatt氏も指摘しています

LCS-2ship3.jpg一方で中国について同氏は、飛躍的な拡大を遂げて世界最大の海軍に成長し、例えば南シナ海の資源を確保せんとするとともに、国有企業経由で世界中の商船企業やコンテナ輸送企業を買収して世界最大規模の商船能力を保有するに至り、数千隻の漁船で世界中の漁業資源を食い荒らしていると危機感を訴えています

同氏は、米海軍の惨状立て直しのために国防授権法で設置された超党派8名で構成される「National Commission on the Future of the Navy」に望みを託し、解決方向はシンプルであり、今後の予算増が望めない現実を受け入れ、予算内で装備品調達が進むように計画管理を厳格化し、企業の競争を促進して、1980年代に予算内で米海軍600隻体制を確立した当時に立ち戻ることだと主張しています

更にEverett Pyatt氏は寄稿文で
Ford CV2.jpg●1980年代当時は、装備品開発や調達の段階ごとに進捗や品質を注意深く確認し、企業の競争環境を作ってプログラムの破綻を回避して安定した艦艇調達を可能にしていた。また輸送船分野では100隻の中古商船を僅か400億円程度で入手して有効活用していた。Navy Materiel Commandを廃止して官僚機構を整理する等の取り組みも成果を生んでいた
●現在は造船業界が衰退して建造能力が低下しているとの指摘もあるが、慎重な調査結果によれば、年間15隻もの建造能力を保有しており、艦艇開発のゴタゴタで単価が上昇することで建造数が低下することによる負のスパイラルが問題点だと指摘されている。

●今は、価格が2倍に高騰した駆逐艦や攻撃型原潜の建造が調達計画に含まれ、航空機調達予算も制約する気配がないが、このような状態が続けば米海軍の艦艇数は、現在の半数までに落ち込むことになってしまう
Columbia-class.jpg●米国や同盟国の予算は限られており、敵の勢いは猛烈である。技術やシステム開発や即応態勢維持や諸計画管理や作戦運用に革新を起こさなければならないことは自明である。限られた予算内でこれらに取り組まない限り、中国の海洋ドメインでの覇権を許容することになってしまう

●「National Commission on the Future of the Navy」の強力なリーダーシップの元、冷戦を勝ち抜き、幾多の海洋問題を解決してきた米国と同盟国の知見を再動員し、今後の10年に立ち向かう必要がある
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F-35C Carl.jpg米海軍内では装備品調達問題だけでなく、虎の子のF-35搭載用に改修した強襲揚陸艦を火災で損失(おそらく放火)、複数の艦艇衝突事故、港湾役務業者との癒着ワイロ事案などなど、人的戦力の問題も顕在化している現状で、明るい話題がありません

筆者は現在83歳の米海軍黄金時代を支えた人物であり、今でも執筆活動を盛んに続けている方です。現在の問題が単純ではないことを承知しつつも、黙っていられない心境なのでしょう

筆者の述べる解決策が簡単に実現できるとは思えませんが、現状把握のためにご紹介しました・・・

米海軍の問題
「3大近代化事業を一つに絞れ」→https://holylandtokyo.com/2021/06/11/1898/
「無人システム構想が酷評受ける」→https://holylandtokyo.com/2021/03/30/173/
「米空母と潜水艦修理の75%が遅延」→https://holylandtokyo.com/2020/08/27/534/
「国防省が空母2隻削減と無人艦艇推進案」→https://holylandtokyo.com/2020/04/23/733/
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holylandtokyo.com/2020/01/14/865/
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24

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米陸軍は2023年極超音速兵器配備までに2回試験 [Joint・統合参謀本部]

2023年末の部隊配備までに陸軍と海軍の共同試験を

LRHW4.jpeg1月1日付Defense-Newsによれば、米陸軍の迅速能力造成室長(Rapid Capabilities and Critical Technologies Office)Robert Rasch中将が、予定している米陸軍部隊への2023年末極超音速兵器の配備前に、時期は非公表ながら陸海軍共同での同兵器のフル装備試験を2回実施すると語った模様です

LRHW.jpg極超音速兵器の陸軍と海軍の共同開発は、陸軍が両軍共用の「hypersonic glide body」を担当し、海軍が「two-stage hypersonic missile booster」開発を担う形で、3年前くらいから加速していましたが、2020年初めにハワイでの試験に成功したものの、2021年後半にはmissile booster試験に失敗し、2022年6月に仕切り直し試験で成功していたところです

更に過去にさかのぼると、10年前に米陸軍は極超音速兵器の基礎試験に成功していますが、一端陸軍は技術的ハードルと必要資金難から開発を中止しています。それでも5年ほど前から陸軍独自に開発を再開しましたが、進捗が芳しくなく、国防省の仲立ちで海軍と協力体制を組んで今日に至っています

LRHW3.jpg2021年5月には、ワシントン州の米陸軍第1軍団に極超音速兵器(LRHW:Long-Range Hypersonic Weapon:通称「Dark Eagle」)の受け入れ部隊が編成され、実ミサイルを除く地上機材や模擬ミサイルキャニスター等を受領し、2023年運用開始に向け、本格的な試験や部隊運用の細部手順検討に向けた準備を開始しています
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陸軍と海軍は、地上や艦艇や潜水艦から「初速ゼロ」で極超音速兵器を発射する共通点があり共同開発していますが、空軍は戦闘機や爆撃機から空中発射することから独自に開発を目指しています。

LRHW5.jpg地上から発射する米陸軍が、2023年末の部隊配備予定で最も先行していますが、米海軍艦艇搭載は早くても2025年、潜水艦への配備は2028年以降となるのが現時点での見積もりで、米空軍は2028年頃に戦闘機搭載型HAWCのプロトタイプを開発製造して正式導入やその規模を判断する模様です

極超音速兵器はロシアや中国が開発&配備面で先行し、米議会等から矢のような催促が国防省や米軍にあるようですが、「中国と米国では、同兵器の位置づけが異なる」とKendall空軍長官が指摘しているように、高価な同兵器の開発に成功しても、その配備や使用先は限定されるとの指摘にも留意する必要があります

米軍の極超音速兵器開発
「迎撃兵器開発を2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/
「米潜水艦配備は2028年以降」→https://holylandtokyo.com/2021/11/26/2450/
「陸軍部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holylandtokyo.com/2021/10/18/2342/
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holylandtokyo.com/2021/09/30/2281/
「最近の状況&米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holylandtokyo.com/2021/08/30/2169/
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holylandtokyo.com/2021/07/30/2037/
「豪州とも協力」→https://holylandtokyo.com/2020/12/10/340/
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holylandtokyo.com/2020/11/04/378/
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holylandtokyo.com/2020/10/16/434/
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holylandtokyo.com/2020/08/21/530/
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

米空軍と国防省の同兵器開発の対立
「米空軍が戦闘機搭載型HAWC契約」→https://holylandtokyo.com/2022/12/27/4090/
「3回連続ARRW成功」→https://holylandtokyo.com/2022/12/16/4061/
「空軍:高価な同兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「国防省が空軍に改善提言」→https://holylandtokyo.com/2022/02/10/2670/
「国防次官:同兵器は最優先事項だ」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/

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秋までに100隻規模の無人艇部隊を中東で [Joint・統合参謀本部]

2021年9月発足の第5艦隊「Task Force 59」が推進
米海軍が20隻、地域同盟国海軍が80隻提供で

surface drone3.jpg1月3日付Defense-Newsが、中東を管轄する米海軍第5艦隊内に2021年9月に創設された「Task Force 59」が中心となり、2023年秋までの立ち上げを目指している無人艦艇と人工知能AI技術を最大限に活用した「多国籍無人艦艇部隊」の準備状況について紹介しています

正式な名称は報じられていませんが、無人艇合計100隻規模で、うち20隻のみを米海軍が軍需産業からリースするなどして提供し、残りの80隻をバーレーンやクウェートなど地域海軍が準備する構想となっているようです

Devil Ray T38.jpg過去の関連報道をさかのぼってみると、ウインドサーフィン形状の「Saildrone Explorer」との太陽光発電で運航する「セール(帆)で進む無人水上艇」が継続的監視を担い、無人の小型ボート「MARTAC Devil Ray T38」が緊急対処を担当したり、有人艦艇から離発着する無人機などもネットワーク化して「海洋状況把握:maritime domain awareness」を向上させるイメージの訓練や試験が紹介されています

2022年2月には、世界60か国から計約6000名、有人艦艇50隻、無人艇60隻が参加する「International Maritime Exercise 2022」&「Cutlass Express 2022」合同演習を米海軍主導で実施したり、海洋情報共有ネットワーク試験を米とサウジ、米とヨルダン、米とイスラエル、米とNATO間で実施して「多国籍無人艦艇部隊」立ち上げ準備を進めてきたようです

Saildrone.jpgネットワークについては、SpaceX社がサービスを提供し始めている「Starlink」をポルトガルでの米NATO訓練では使用し、将来同サービスが中東に提供されることを期待して準備が進んでいる模様です

「Task Force 59」指揮官のMichael Brasseur米海軍大佐によると、2021年9月以降、バーレーンやヨルダン(アカバ)を主要な拠点として無人艦艇の活動実績は2万5千時間に及び、ウインドサーフィン形状の「Saildrone Explorer」に至っては、燃料補給や維持整備無しで連続220日活動を継続するなど着実に実績を積み上げているとのことです

Saildrone2.jpg同大佐は「技術革新は驚くべき速度で進んでいる。中東の厳しい自然環境の中にあっても、軍需産業関係者に我々が投げかける課題は、迅速にかつ新たな能力開発で克服されている」と述べ驚きを表現しています

「Task Force 59」を配下に置く第5艦隊司令官Brad Cooper中将も、「新たな無人艇技術と人工知能を融合することで、我々は地域の海洋安全保障能力と抑止力を向上させている。地域の関係諸国全てが恩恵を受ける取り組みだ」と成果を語っています
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surface drone.jpgなぜ中東海域が最初の無人艇艦隊創設場所に選ばれたのか説明がありませんが、「太陽光が利用しやすい」「スエズ運河、紅海、アラビア海、ペルシャ湾との広大な海域を監視する人的&艦艇戦力資源が不足」「比較的脅威度が低い」などなどの背景が想像されます

ウインドサーフィン形状の「Saildrone Explorer」は、既に2回イランに拿捕されているとのことですが、その対応も気になるところです

2023年に注目される米軍の動向の一つとしてご紹介いたしました

第5艦隊「Task Force 59」関連の記事
「中東海域で60か国がAI活用海洋演習実施中」→https://holylandtokyo.com/2022/02/14/2685/
「米海軍がセール(帆)で進む無人水上艇を吟味中」→https://holylandtokyo.com/2021/12/22/2531/

米海軍の無人システム関連
「無人システム構想が酷評される」→https://holylandtokyo.com/2021/03/30/173/
「21年初に本格無人システム演習を太平洋で」→https://holylandtokyo.com/2020/09/18/483/
「潜水艦も無人化を強力推進」→https://holylandtokyo.com/2020/06/04/614/
「米海軍改革のさわり」→https://holylandtokyo.com/2020/10/01/423/
「国防省が空母2隻削減と無人艦艇推進案」→https://holylandtokyo.com/2020/04/23/733/
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holylandtokyo.com/2020/01/14/865/

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米海軍は当面イルカ&アシカ部隊を維持へ [Joint・統合参謀本部]

無人水中艇が発展する中でも依然として不可欠
年間予算僅か60億円弱の精鋭部隊とか

Dolphins Sea Lions6.jpg2022年12月31日付Military.com記事は、米海軍が1959年から立ち上げに着手した水中哺乳類「イルカやアシカ」を使用した「機雷探知」「海中侵入者の探知」「水中遺失物操作」部隊に関し、近年の無人水中艇の発達で廃止が検討され始めているが、まだまだ無人水中艇機材の能力が水中哺乳類には及ばないことから、(新たに動物を捕獲することはない模様だが)当面維持されるだろうと紹介しています

現在米海軍は、サンディエゴのPoint Loma海軍基地のNaval Information Warfare Center-Pacificで、「Marine Mammal Systems」と呼ばれる77匹のバンドウイルカ(Bottlenose dolphins)と47匹のヒゲアシカ(whiskered sea lion)が所属する部隊を年間約60億円弱で運用し、艦艇やヘリや爆発物処理チームと共に「機雷探知」「海中侵入者の探知」「水中遺失物操作」任務に従事させています

Dolphins Sea Lions4.jpg2023年度に米海軍は、この3つの任務の「機雷探知」を水中無人艇に移管しようと検討しましたが、低コストで無人水中艇より優れたイルカ&アシカ部隊の廃止を禁止する法案を米議会が成立させ、この動きを阻止したとのことです。米海軍の現場部隊関係者からもイルカ&アシカ部隊の有用性を支持する声は高く、能力面からも廃止の方向には近い将来進めないだろうと記事は紹介しています

過去にも断片的にこの「イルカ&アシカ部隊」を紹介したことはありましたが、非常に秘匿度の高い部隊でよく実態がわかりませんでした。そんな中、大みそかの記事が比較的詳しく紹介していますので、これを機会に「イルカ&アシカ部隊」を学びたいと思います

2022年12月31日付Military.com記事によれば
Dolphins Sea Lions3.jpg●1939年にイルカのショーを見せる水族館が現れ、イルカなど水中哺乳類の優秀さを米海軍が利用しようと1959年に本格検討が開始され、数年後に「Marine Mammal Program」が本格スタートした

●当初は、サメ、エイ、ウミガメなども候補として検討されたが、最終的にバンドウイルカとヒゲアシカが対象に選ばれた。バンドウイルカは長い鼻に備わった「biological sonar」が優れ、ヒゲアシカは濁った水中でも優れた視力と聴力を発揮することで、無人水中艇のセンサーに比して優れた「対象物」識別能力を発揮している
●またイルカとアシカは、水深300m程度まで普通に活動可能で、人間が潜水病の懸念がある深度でも自由に活動可能な点で優れているほか、海上交通が多い場所や「藻や海藻」が生い茂る場所、更には海流の流れが速い水中無人艇が活動困難な場所でも活動可能である

Dolphins Sea Lions7.jpg●3大任務「水中遺失物操作」「海中侵入者の探知」「機雷探知」
---「水中遺失物捜索(MK 5 MMS)」はアシカが行い、艦艇からの落下物等を海底で見つけ、引き上げロープをひっかける役割をになっている

---「侵入者阻止(MK 6 MMS)」はイルカとアシカの両方が行い、艦艇や港湾施設に水中から接近する不審者を発見して人間の対処チームに知らせたり、タグを取り付け目立つようにする。またイルカやアシカが体当たりで不審者を阻止する。水中で自由に動けるイルカとアシカの侵入者阻止能力は、他の手段には代えがたい
---「機雷対処(MK 7 MMS)」はイルカが行い、電磁センサーで探知が難しい埋没機雷や電磁センサー対処能力を持つ機雷などにイルカがマーカーを付け、爆発物処置チームに知らせて処分する

Dolphins Sea Lions5.jpg●安価で開発が容易な機雷は現在でも広く利用されており、WW2後に19隻の米艦艇が機雷の被害を受け、ほとんどがイルカやアシカが活動可能な比較的浅い海域で発生している。米海軍のイルカ&アシカ部隊が機雷対処に海外派遣された事例で公表されている作戦には、1970年代のベトナム戦争、1987年のバーレーン近海での艦艇防御、2003年のペルシャ湾北部での掃海任務が記録されている
●また作戦派遣ではない通常訓練時に、加州の港で130年前の古い機雷を2013年にイルカが発見して爆発事故を未然に防いだと報道され話題になった

Dolphins Sea Lions8.jpg●米海軍はいずれ無人水中艇がイルカやアシカにとって代わると考えているが、いつまでたっても「5年後に実現可能」との表現が使われている。多様で多数の海上海中浮遊物の中から危険な機雷や侵入者を迅速に正確に識別する能力は水中哺乳類が圧倒しており、人間にタッチして知らせるインターフェイス面でも「exquisite capability」を発揮しているのが現状である。
●予算には、バンドウイルカの持つ生物センサーの仕組み解明や分析が含まれており、部隊創設以来1200本以上の研究論文が発表されている。その結果は電磁ソナー開発や水中信号処理システムの開発を通じて、米軍だけでなく広く民間の海洋活動に生かされている

生き物を軍事利用することへの批判に対し
Dolphins Sea Lions.jpg●イルカやアシカは浮遊式の「いけす」で普段生活しているが、閉じ込められているわけではない。毎日いけすから出て訓練を行うほか、自由に泳ぎ回る時間を与えられ、与えられる餌以外に自然界の餌を自由に追いかけることや、逃げようと思えば可能な環境を与えられている

●ただ、一度海軍に所属したイルカやアシカが自然界に復帰して自活していく事は難しく、イルカ&アシカ部隊が廃止された場合、米海軍は寿命40-60年のこれら動物を生涯面倒を見ることを海軍長官名で規定している。
●毎年、寿命等で毎年1-2匹のイルカやアシカが死亡し、海軍保有の頭数は命年減少しているが、作戦活動の中でイルカやアシカが死亡したことはない(推測ですが、米海軍は新たにイルカやアシカを捕獲して頭数を維持する考えはないようです)
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Dolphins Sea Lions2.jpg記事が取り上げる複数の専門家は、口をそろえてイルカやアシカ部隊の「多様な環境で運用可能な柔軟性」「無人水中艇では代替不可能な高い探知識別能力」「圧倒的な費用対効果」等々を訴え、無人水中艇がその能力を上回る時代が近く訪れると考えている者は誰もいません。

ただ記事には全く記述はありませんが、動物愛護の時代の流れから、イルカ&アシカ部隊を積極的に維持していく事は難しい時代なのでしょう。記事はロシア軍が重要港湾の防御にイルカ部隊を使用していると紹介していますが、最近のロシア軍の荒廃ぶりから、今後が気になるところです

米海軍イルカ部隊関連
「2018年RIMPACにイルカが参加」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-08-02
「米露がイルカ兵器対決?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-23

水中戦に関する記事
「21年初に本格無人システム演習を太平洋で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-10-1
「潜水艦も無人化を強力推進」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-03
「国防省が空母2隻削減と無人艦艇推進案」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-22
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10

「米特殊作戦コマンドが大型?潜水人員輸送艇を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-29
「水中戦投資への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-28
「米軍の潜水艦優位が危機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-13
「UUVの発進格納技術」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-29
「潜水艦射出の無人偵察機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-07-1
「機雷対処の水中無人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-30-1

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米陸軍兵士がGPS無しの訓練に苦労 [Joint・統合参謀本部]

米陸軍が非戦闘職域にも重視するが合格者半数
GPS使用のスマホナビに浸った若者の意識改革に苦悩
戦闘部隊でも非GFP訓練の必要性浮き彫り

BLC navigation.jpg12月16日付Military.com記事が、米陸軍が非戦闘職域の軍曹昇任レベル若手兵士対象の訓練課程で、妨害を受けやすいGPSを使用しない地上移動や地図判読カリキュラムを試行したところ、914名の受講者の中で半数の兵士が求められるレベルに達しなかったと紹介し、GPSに慣れ切った現代社会の米軍が、本格紛争で直面する電磁波やサイバー妨害の中で部隊活動を遂行する難しさを取り上げています

米陸軍の要請に応じ、GPSを使用しない地上航法訓練を4年ぶりに最近復活させたのは、軍曹に昇任する非戦闘職域兵士を対象とした22日間のBLC(Basic Leader Course)で、背景には陸軍戦闘職種が本格紛争を想定した演習を実施する中で、非戦闘兵隊支援部隊も被害状況下での戦闘部隊支援活動訓練が不可欠だとの認識が広がってきたことがあるようです。

BLC navigation2.jpgそして、被害状況下で必要な代表的スキルとして、部隊移動に欠かせないGPSを使用しない地上航法に注目が集まっているということですが、非GPS訓練は、米陸軍でも最精鋭を養成するレンジャー訓練課程でも6%は不合格になるそうですから、戦闘職種部隊である歩兵や砲兵や戦車部隊でも2-3割の不合格者が出てもおかしくない現状だと推測できます

無人機や衛星などによるISR偵察能力が格段に発達した現在戦では、地上部隊が普通に道路を移動していれば簡単に発見され、精密誘導ミサイルや無人機の攻撃を受けるリスクが高まることから、「道なき道」や「目立たない裏道」を使用する配慮が不可欠ですが、地図など使用せずスマホのナビ機能に慣れ切っている現代人には、「地図とコンパス」を基本とする非GPS地上航法は途方もなく「面倒な作業」で根気が続かないようです

BLC navigation5.jpgGPSを使用しない地上航法訓練の合格を、BLC課程卒業の必須要件にすることまで米陸軍教育訓練コマンドは考えていないようですが、今後数年かけてBLC訓練期間を延長し、また他の訓練課程でもGPS無しの基礎地上航法訓練時間を増やす検討に入っているようです。

また、非戦闘職種部隊の訓練計画に、戦闘地域での活動を念頭に置いた訓練科目を増やすことにも取り組み、戦闘行動に関する技能を習得した兵士に「Expert Soldier Badge」を授与して讃える施策も開始しています
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BLC navigation3.JPG2001年の911事案から20年以上続いた「テロとの戦い」によって、20代前半に少尉に任官した士官が大佐になるまで、又は30歳の大尉が主要な指揮官やスタッフ職を経験して将官になるまでの間、つまり軍隊の部隊活動の基本を学び、主要な組織活動を米軍で経験する期間すべてで、敵から空襲を受けたり、電子妨害を受けたり、自身の根拠基地が攻撃を受けるリスクを無視できる環境で米軍は活動してきました

これにより、米軍の電子戦や敵攻撃からの防御技術は組織から事実上失われた状態にあります。以下の過去記事で取り上げたように、数年前からこの問題は米軍内で危機感を持って捉えられ、少しづつ改善が始まっているようですが、誰も肌身で感じて経験したことのない部隊行動が円滑に復活できるはずもなく、「暗中模索」と表現した方が適切かもしれません

BLC navigation4.jpg日本では「戦略3文書」が閣議決定され、その内容は画期的で良くできたものだと聞いていますが、現場が成すべきことができるのか? 真の変革を成し遂げられるのか? まんぐーす的に言えば「戦闘機命派」が変われるのか・・・に注目したいと思います

被害状況下での戦いを想定せよ
「基本的な防御手段を復習せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-10
「米海軍将軍:妨害対処を徹底する」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-21
「空軍OBも被害対処を重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23-1
「被害状況下で訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-23

本格紛争に向けた地上部隊の備え
「米陸軍が対中国の分散演習」→https://holylandtokyo.com/2022/11/14/3900/
「機動性&生存性の高い前線指揮所を」→https://holylandtokyo.com/2022/08/01/3519/
「米海兵隊が歩兵の多兵器習熟を試行中」→https://holylandtokyo.com/2021/05/07/1490/
「歩兵の多能兵士化を推進中」→https://holylandtokyo.com/2021/04/27/117/
「海兵隊で歩兵が砲兵を支援する新形態演習」→https://holylandtokyo.com/2021/04/15/107/
「米陸軍の前線電子戦部隊構想」→https://holylandtokyo.com/2021/03/11/158/
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「無人機に偵察されたら」→https://holylandtokyo.com/2020/08/06/516/

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米海兵隊初:遠征軍レベルの先任軍曹に女性就任へ [Joint・統合参謀本部]

2023年7月からKitashima上級曹長が沖縄の司令部に
そうです。第3海兵遠征軍の下士官トップに就任へ
お名前から日系人かな?

Kitashima.jpg11月22日米海兵隊は、2023年7月から第3海兵遠征軍(司令部沖縄うるま市:3rd Marine Expeditionary Force, 3MEF)の最先任軍曹(sergeant major)に、女性として初めてJoy Maria Kitashima上級軍曹が就任すると発表しました。

米海兵隊の主力戦闘単位である海兵遠征軍(指揮官は中将)レベルの下士官最先任に、女性が登用されるのは初めてとなります。

Kitashima2.JPGKitashima上級曹長は1976年生まれの46歳で、大学で法律准学士号を取得し、米軍のことをほとんど知らないままリクルーターの誘いに応じ、軍警察で下士官として勤務するため1996年に海兵隊に入隊しました。入隊当時は1任期で退役するつもりで海兵隊に入隊したそうです

最初の赴任地である沖縄の第1海兵航空隊で1年間最前線勤務を経験した後、MP軍警察でのキャリアをNorth Carolina州の基地でスタートしますが、当時の上官軍曹から「海兵隊の体力テストに合格している女性が、海兵隊歩兵学校の海兵隊戦闘教官として必要なんだ」と説得され、MCT海兵隊戦闘教育コースに入ります

Kitashima3.jpg「手りゅう弾ランチャーとロケットランチャーの違いも知らない全くの素人と同じ」だったという同軍曹でしたが、海兵隊下士官として任期を延長し、「知らないことでもとりあえず挑戦してみよう」との海兵隊勤務を通じての同軍曹のモットーに基づき、目の前の課題をクリアーすることで海兵隊戦闘部隊について学んでいきます

そうするうちに、軍警察兵士としてだけでなく、海兵隊員としての自身を考えるようになり、歩兵部隊や後方支援部隊にも勤務範囲を広げ、その過程でアフガニスタン、イラク、ハイチでの海外派遣も経験していきます。

Kitashima5.jpgKitashima軍曹が初めて部隊の先任軍曹となったのは、40歳になった2016年に第5海上火力リエゾン中隊で、2018年には第2海兵遠征軍情報群にランクアップして再び先任軍曹に就任します。更に2020年4月には太平洋軍海兵隊の先任軍曹、2022年からは第2海兵航空団で先任軍曹を務めている引っ張りだこの人材です。

このように6年間も各部隊レベルで先任軍曹経験を積み、満を持して米海兵隊最大の戦闘単位である海兵遠征軍、しかも沖縄と言う地元との関係が複雑で、かつ中国正面で緊張感も高い部隊の下士官トップに、日系(お名前から推測)の女性が就任するのは誇らしい限りです。

Bass5.jpg米軍の下士官女性としては、2022年8月14付で米空軍の下士官トップ(Chief Master Sgt. of the Air Force)に、アジア系女性のJoAnne S. Bass最上級軍曹が就任されていますが、より泥臭い男社会のイメージが強い海兵隊で、メジャーコマンド級最先任軍曹に女性が就任とのニュースであり、「ガラスの天井が打ち破られた」との表現がふさわしい抜擢だと思います

来年夏には、沖縄の町でお見掛けするかもしれないKitashima軍曹の武運長久を祈念申し上げます

軍での女性を考える記事
「米潜水艦の最先任軍曹に初の女性」→https://holylandtokyo.com/2022/09/02/3619/
「米海軍Blue Angelsに初の女性パイロット」→https://holylandtokyo.com/2022/07/21/3484/
「沿岸警備隊司令官に女性が」→https://holylandtokyo.com/2022/04/07/3112/
「初の女性空母艦長が出撃」→https://holylandtokyo.com/2022/01/07/2587/
「技術開発担当国防次官に」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「初の女性月面着陸目指す」→https://holylandtokyo.com/2021/07/05/1935/
「黒人女性が初の海軍戦闘操縦コース卒業」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-12
「初の米空軍下士官トップにアジア系女性」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-20
「GAO指摘:女性の活用不十分」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-20
「初の歩兵師団長」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-10
「超優秀なはずの女性少将がクビに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-11
「3軍長官が士官学校性暴力を討議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-10
「上院議員が空軍時代のレイプ被害告白」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-08
「空自初:女性戦闘機操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-25
「自衛隊は女性登用に耐えられるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
「女性特殊部隊兵士の重要性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-28
「Red Flag演習に女性指揮官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19
「米国防省:全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「ある女性特殊部隊員の死」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27
「珍獣栗田2佐の思い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17
「2012年の記事:栗田2佐」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-11

女性徴兵制度がある国
「前線にも:イスラエル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-27
「究極の平等目指し:ノルウェー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16
「社会福祉業務選択肢もオーストリア」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-22

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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米陸軍が過去40年で最大のヘリ機種選定に結論 [Joint・統合参謀本部]

UH-60 Black Hawk 2000機の後継ヘリFLRAA選定
Bell社の「V-280 Valor」に決定
1980年代から計画と中止を繰り返したヘリ選定の末に
もう一つのヘリFARA機種選定は継続実施中

V-280 Bell.jpg12月5日、米陸軍が2021年夏から実施してきた将来長距離攻撃ヘリ(FLRAA:Future Long-Range Assault Aircraft)機種選定において、争った2機種「Bell社のV-280 Valor」と「SikorskyとBoeingのDefiant X」から、オスプレイのようなティルローター式のV-280 Valorを選定しました。

FLRAAは、UH-60 Black Hawk約2000機の後継ヘリと見なされており、1対1で後継機が導入されるわけではないようですが、「米陸軍で過去40年間で最大のヘリ調達案件」と言われる大きなプロジェクトで、海外需要も含めると10兆円近くの巨大プロジェクトになる可能性があると言われている選定でした

V-280 Bell3.jpg2021年夏からのFLRAA機種選定だと冒頭で申しましたが、2つの候補機種は2017年と2019年に初飛行を行い、その後米陸軍による段階的な様々な検証やフライト試験を経て、2021年夏からの最終評価段階を迎えており、米陸軍担当の少将は「米陸軍航空部隊の歴史上、最も大規模で複雑な機種選定であった」と結果発表会見で述べています。

そのようなコメントが米陸軍幹部から出るのも当然で、米陸軍は1980年代から新規ヘリ導入プロジェクトにことごとく失敗しており、最近では約9000億円の開発費を投じた「Boeing-Sikorsky RAH-66 Comanche」ヘリ導入を、最終段階の2004年に断念するなど、退役済みヘリ2機種の後継機を決められないまま、現有機種と無人機で代替してきた「黒歴史」を刻んでいるところだからです

FLRAA2.jpg今回の選定も、全くタイプが異なる、ティルローター型の「V-280」とステルス形状の従来型ヘリ「Defiant X」が候補機で、目指すところがわかりにくい選定となっており、「米陸軍の対中国等の本格紛争での役割の迷走」と陰口をたたかれる事態となっている選定です

敗れたSikorskyとBoeing側は、米陸軍からの選定結果フィードバックを待って「next steps」を考慮すると意味深な声明を出しており、米陸軍航空関係者は気が気ではないところでしょう。

加えて、FLRAAと同じく2030年部隊配備を目指す将来攻撃偵察ヘリFARA(Future Attack Reconnaissance Aircraft)候補機2機種が2023年末までに初飛行を行い、機種選定の山場を迎える予定となっており、1200機保有のApacheヘリの後継検討も絡んで、米陸軍航空関係者の悩みは尽きないところです

ところで今回FLRAAに選ばれた「V-280」は、
V-280 Bell2.jpg●兵装した12~14名の陸軍や海兵隊兵士を輸送できるティルローター機で、UH-60の約2倍の速度「280」ノットを目指して命名され、テスト飛行では300ノットも記録している
●UH-60の航続距離が320nmであったのに対し、400nmの航続距離を目指している・・・との特徴を持つ機体です

一方の「DefiantX」は、初飛行がBell社製より2年遅れ、その後も開発トラブル続きで素人的には印象は良くありませんでした。最高速度247ノットですが、低高度高速で機動性をアピールしていたところでした
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FARA2.jpg強固に防御された戦域での戦いを米軍が追求し、米陸軍も、部隊が分散し、機動的に移動して戦う演習に取り組む様子を先日ご紹介しましたが、その構想に「Bell V-280」が合致したのでしょう。でも、米陸軍がどこを目指すのか、対中国でどのような戦い方を追求するのか、未だによくわかりません

順調に機種選定結果が受け入れられ、FARA(Future Attack Reconnaissance Aircraft)の選定も順調に進むことを祈念申し上げます

UH-60後継検討について
「米陸軍UH-60後継の長距離攻撃ヘリの選定開始」→https://holylandtokyo.com/2021/07/16/2009/
「米陸軍ヘリは無人化でなく自動化推進の方向か!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-11
「UH-60後継を意識した候補機開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-06-16

対中国を想定した太平洋陸軍の演習
「対中国で分散作戦演習JPMRC」→https://holylandtokyo.com/2022/11/14/3900/

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米陸軍も対中国で分散作戦演習JPMRC [Joint・統合参謀本部]

ハワイの8つの島に分散&機動展開を想定
地域パートナー国も参加して6000名規模で
これまで太平洋地域で大規模陸軍演習がほぼなく

JPMRC Army.jpg10月28日付Defense-Newsが、米太平洋陸軍がハワイの8つの島を使った演習JPMRC(Joint Pacific Multinational Readiness Center)を10月末から11月9日の間で実施し、フィリピン、インドネシア、タイ陸軍や米海空海兵隊も交え、総勢約6000名規模で対中国作戦の訓練を行っていると報じています

従来米陸軍は多くの場合、米本土の広大な演習場を用いて大規模訓練を行ってきたようですが、対中国を想定した環境設定には米本土の演習場は不向きであることから、ハワイの島々を活用し、演習部隊が対中国で分散して協力しながら作戦遂行するイメージを、シミュレーション機材も使用したバーチャル環境も含めた設定で具現化しているとのことです

JPMRC Army5.jpg演習部隊の主力は第25歩兵師団の第2旅団ですが、前述東南アジア3か国からも中隊レベル規模の部隊も参加し、試験的に各種商用通信機器なども使用して8つの島に分散した作戦運用に取り組み、「水上ボート:watercraft」など西太平洋を想定した機材も使用して現実味を持たせる企画となっているようです

中国軍を演じる第196歩兵旅団の2個大隊も、小型ドローンや通信妨害装置など中国軍部隊を想定した活動で、作戦運用面だけでなく兵站ロジ面でも演習部隊にストレスを強いる行動をとり、海を隔てながらも協力した作戦行動を目指す演習部隊の企図を破砕すべく練った対抗行動を行っているようです

JPMRC Army3.jpg米太平洋陸軍は、同様の演習設定JPMRCを今年3月にアラスカでも行い、寒冷地での作戦行動に特化した訓練したようで、Charles Flynn太平洋陸軍司令官は演習開始に当たり10月27日記者団に、このような形式の演習をハワイとアラスカと他所で毎年1回は実施し、米本土の演習場への移動負担を無くして地域の同盟国軍が参加を容易にしつつ、米本土では設定できない実践的な環境下で効果的な演習を行っていくと説明しています
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整理すると、太平洋陸軍が広大な演習場を確保できない地理的環境を克服し、バーチャル環境やハワイの島々での分散運用をも用した米陸軍数十年ぶりの新たな「combat training center」設定演習を、対中国を意識したJPMRC(Joint Pacific Multinational Readiness Center)として立ち上げ、地域同盟国パートナー国を交えて演習を開始しているとのニュースです

JPMRC Army4.jpg対中国で米陸軍の話題としては、射程1000マイルの大砲開発を断念したとか、極超音速兵器の受け入れ部隊を立ち上げたとか、遠方攻撃部隊の話題ばかりでしたが、「Boots on the Ground」部隊の中核部隊も対中国に動き始めているとの話題をお伝えしました。

それでも実際、米陸軍は対中国で何を期待されているんでしょうか???

米陸軍の最近の話題
「機動性&生存性の高い前線指揮所を」→https://holylandtokyo.com/2022/08/01/3519/
「ウクライナの教訓」→https://holylandtokyo.com/2022/06/01/3245/
「射程1000nm巨砲断念」→https://holylandtokyo.com/2022/05/30/3281/
「Project Convergence5つの教訓」→https://holylandtokyo.com/2021/12/21/2514/

米陸軍関連の記事
https://holylandtokyo.com/?s=%E7%B1%B3%E9%99%B8%E8%BB%8D

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米4軍が協力して指揮統制改革に挑む実験演習中 [Joint・統合参謀本部]

米陸軍Project Convergence用の実験演習で
各軍種がバラバラとの批判を受け、改革の第一歩か?
アジア太平洋を舞台に英豪加NZもオブザーバ参加

Project Convergence2.jpg10月20日、米陸海空海兵隊の幹部が揃って記者会見に臨み、各軍種の取り組みがバラバラと厳しい非難を受けているJADC2(統合全ドメイン指揮統制プロジェクト)を一体推進するため、米陸軍の指揮統制改革プロジェクト「Project Convergence」演習に4軍が参加し、同盟国オブザーバーも見守る中、各軍種の兵器やセンサーを結んで円滑な指揮統制や情報の軍種間共有が行えるよう取り組んでいるとアピールしました

Project Conv22.jpg米軍の指揮統制改革JADC2(Joint all-domain command and control)は、対中国での戦力分散運用を見据え、前線の各種センサー情報を軍種を超えリアルタイムで共有してAIも活用した迅速の意思決定を可能にし、その指示を迅速に前線や各種中間司令部に伝え、戦いを優位に進める構想です。また中央集権化された指揮統制が被害を受けても、各部隊が強靭性を持って有機的に行動できる態勢を支えようとするものです

この指揮統制改革の重要性は各軍種も認識し、統合レベルのJADC2を推進すべく、陸軍は「Project Convergence」、海軍は「Project Overmatch」、空軍は「ABMS:Advanced Battle Management System」とのプロジェクトを立ち上げ、各軍種数千億円以上の規模の事業に着手していますが、各軍種の取り組みは「各軍種の利益優先」「バラバラ」と議会や専門家から厳しい批判を受けており、

Project Conv22 2.jpg8月には空軍と宇宙軍の首席サイバー補佐官が、「私は陸海空軍の各プロジェクト関連文書に全て目を通したが、各軍種はそれぞれ独自にJADC2を解釈している」、「(結果として3軍は)相互運用性があるシステム構築に向けたあるべき方向に向いていない」と公の場で辛らつに現状を批判して大きな話題になったところです

「JADC2への姿勢が各軍種バラバラ」→https://holylandtokyo.com/2022/08/03/3524/
「隠れた壁:Data Formatsの相違」→https://holylandtokyo.com/2020/11/24/394/

そんな中、10月から11月にかけアジア太平洋を舞台に行われている米陸軍「Project Convergence」用の「networking-and-tech」実験演習に、米海空海兵隊も参加し、同時に初めて同盟国から英豪加NZもオブザーバ参加して、様々な装備やセンサー連接試験や、関連データのデータフォーマットの相違を乗り越えた共有と指揮統制への迅速活用に取り組んでいると、会見に出席した4軍幹部がアピールしています

Project Conv22 5.jpgなお、今年の本実験演習では、アジア太平洋や欧州での脅威を想定した陸上中心シナリオと海上中心シナリオが準備され、300余りの新技術や手法がテストされる予定で、長射程火砲、無人機、自立走行車両、次世代センサー等々の国境の枠を超えた連接を焦点に試験が設定されいるようです

この会見を報じる21日付Defense-News記事は、この実験演習が具体的にどこでどのように行われているのか触れていませんが、会見はワシントンDCで行われており、「バラバラ」とのJADC2への批判に対応することを強く意識したものとなっています

●米陸軍Gabe Camarillo担当次官
Camarillo.jpg・この実験演習は陸軍だけの実験ではなく、統合実験である。そして完全な4軍参加と、同盟国のオブザーバー参加も得た実験である。昨年から本分野に取り組んでいるが、国防省と4軍が一体となって課題を見出し、継続して解決に取り組む姿勢に変わってきたことを目撃してきた
・データフォーマットに(軍種毎の)様々な形態が存在し、これら異なる形式のデータが作戦遂行のため円滑に流れる仕組みの必要性を4軍が強く認識しており、その実現のために皆で取り組んでいる

●米空軍Clinton Hinote戦略計画部長
Hinote2.jpg・今年の本演習で私が目にしているのは、分散形態の作戦管理が、アイディアを基に信じられないレベルで挑戦が行われており、実現されようとしている取り組みだ。非常に難しい課題だが、現実に進歩を遂げている。
・机上の理論が実現されていく様子が私を興奮させてくれる。我々が今できないことも、皆が協力して学び、実現に向けて着実に前進している。あるべき正しい姿だと感じている

●Kyle Ellison海兵隊戦闘コンセプト研究所長
Ellison.jpg・海兵隊チームも他軍種からの参加者も、皆が積極的に参加しており、この情熱や熱気を持ち続けるだろう。
・実験演習参加者は、単にこの取り組みが「統合」や「相互運用性」だけでなく「融合integrated」されたものである必要性を感じており、その方向での挑戦の様子を目にしている。より相互運用性を高め、融合を目指す機会を逃すことはできない
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最近、米軍の対中国を意識した統合作戦運用や兵站面での準備が、各軍種のエゴや「主要装備重視・維持整備や弾薬輸送軽視」の旧態然とした米軍の風潮(世界中の軍隊共通)の中で全く進んでいないとの報道を多くご紹介してきましたが、少しは明るい話題になればよいと思います

Project Convergence7.jpg各軍種幹部の発言から、「取り組む姿勢の改善」、「問題の共有」は進み始めたようですが、始まったばかりで、データフォーマット相違の克服やデータの円滑な共有が実現する目途が立っているわけではありません。

米本土から遠く離れ、作戦拠点基地がほとんどない西太平洋での作戦運用コンセプトしかり、必要な弾薬確保しかり、輸送力の確保しかり、救命救助態勢しかり、4軍の円滑な情報共有しかり・・・道は遠いです。

将来戦に向けた指揮統制改革:JADC2、AIDA、ABMS関連
「JADC2への姿勢が各軍種バラバラ」→https://holylandtokyo.com/2022/08/03/3524/
「陸軍プロジェクトの教訓」→https://holylandtokyo.com/2021/12/21/2514/
「国防副長官がJADC2推進を語る」→https://holylandtokyo.com/2021/07/01/1943/
「具現化第1弾でKC-46に中継ポッド」→https://holylandtokyo.com/2021/05/31/1727/
「Data Formatsの相違」→https://holylandtokyo.com/2020/11/24/394/
「3回目はアジア太平洋設定で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/05/425/
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holylandtokyo.com/2020/09/09/476/
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「今後の統合連接C2演習は」→https://holylandtokyo.com/2020/05/14/671/

米海軍のProject Overmatch
https://holylandtokyo.com/2020/10/22/438/

米陸軍のProject Convergence
「2021年末までの教訓」→https://holylandtokyo.com/2021/12/21/2514/
「米陸軍と海兵隊F-35が情報共有演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-13

対中国の作戦準備進まず
「統合作戦検討進まず」→https://holylandtokyo.com/2022/07/06/3396/
「民間海空輸送力活用の検討」→https://holylandtokyo.com/2022/10/21/3780/
「米空軍戦術構想ACEの課題」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/

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民間海空輸送アセットを対中国で活用するために [Joint・統合参謀本部]

アフガン脱出作戦での民間輸送力動員の教訓踏まえ
対中国作戦での厳しい「最後の数千マイル」輸送問題

Van Ovost.jpg10月14日、米輸送コマンドの女性司令官Jacqueline Van Ovost空軍大将が記者団に対し、対中国作戦では西太平洋地域に分散して戦うコンセプトが追求され、膨大な兵員・装備・弾薬・補給物資等の輸送を行うには民間海空輸送力の活用が不可欠だが、それら民間輸送アセットが厳しい環境下で有効に活用できるような装備や人員の提供を検討していると語りました

同大将は2021年夏のアフガン退避作戦の教訓を例に、1952年創設の「Civil Reserve Air Fleet;民間予備航空隊」に対し湾岸戦争とイラク戦争に続く3回目の動員を行い、民間航空輸送アセットを避難民輸送に投入したが、これらアセットを軍用機と組み合わせ、どの民間アセットをどの区間で使用するか、どのように意思疎通を図るか等々の検討が極めて複雑で困難な作業となったと振り返り、

Civil Reserve Air.JPG対中国作戦時には遥かに膨大な輸送を可能にし、民間航空アセットだけでなく民間海運アセットを組み合わせ、中国からの攻撃被害を避けるために分散運用を追求している海空軍海兵隊部隊を支えなければならないが、現在の態勢や能力とのギャップを強く懸念していると認め、これまでの能力分析やWarGame等を通じて得た課題と検討中の解決策をテストする演習を来年から数年かけ実施していくと語りました

具体的には、民間の海空輸送アセットにLink-16通信用のキットを搭載することや、民間海運アセットに米海軍の予備役兵を派遣して危険な海域での行動についてサポートすること、民間燃料輸送船に海軍艦艇への給油装置を付加し、港ではなく洋上で給油可能にするオプション等を同司令官が語っていますが、どれもが更に検討や今後検証する段階です

Maritime Security P.jpgVan Ovost司令官は特に海軍海兵隊関連について、「(必要な能力と現状のギャップを把握するため、)米海軍や海兵隊の構想を詳細にフォローしており、今後の海洋作戦補給にどのようなニーズが生じるかや、どのような時程で検討が進むのかを今後数年間。特に注視していく」と述べているところです

また同司令官は、米海軍と海兵隊が次世代の輸送艦として検討している「Light Amphibious Warship」や「Next-Generation Logistics Ship計画」に期待を寄せ、現在は各軍種のアセットとして運用構想が検討されているが、もはや各軍種の枠組みで議論していては実作戦で機能しないとして、その想定能力から統合輸送能力として期待しているとも語っています

Van Ovost2.jpg更に同大将は、輸送力と言う米軍の弱点を中国がついてくると予期し、「中国は米軍の通信妨害に特化した能力を確保し、その範囲は陸海空ドメイン全てに渡っており、米軍による民間輸送力動員を拒否・遅延・低下させることを狙っている」として、北米コマンドやサイバーコマンドとも連携し、民間海空輸会社の拠点である空港や港湾施設へのサイバー妨害や関連調整への妨害を防止することにも言及しています

司令官発言を補足し、米輸送コマンド報道官は、定期的に見直しが行われる輸送ニーズ見積もり「Future Deployment and Distribution Assessment」の最新版をVan Ovost司令官が最終確認中だが、最新の脅威環境や西太平洋を中心とした分散運用を基礎とした作戦構想を踏まえれば、海空輸送に多様な輸送容量と輸送距離能力を持つアセットの適切な配分とチーム編成が不可欠だと説明しています
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Maritime Security P2.jpg米空軍は「ACE構想」を打ちだし、米海兵隊は「stand-in force構想」を打ち出していますが、西太平洋での拠点の確保、必要な弾薬の確保、救難救助体制の問題、そしてこの輸送能力の問題など、作戦運用の基礎に大きな課題が存在していることが次々と明らかになってきています

そんな中でも、空母や戦闘機や爆撃機に大きな予算が配分され、陸海空軍と海兵隊の統合作戦への取り組みは「生煮え」のままです。これだけ台湾などの危機が叫ばれる中ですが、これが現実です

対中国の作戦準備進まず
「統合作戦進まず」→https://holylandtokyo.com/2022/07/06/3396/
「統合指揮システム検討が軍種毎バラバラ」→https://holylandtokyo.com/2022/08/03/3524/
「Data Formatsの相違」→https://holylandtokyo.com/2020/11/24/394/
「米空軍戦術構想ACEの課題」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
「比新大統領が中国との関係強化示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/07/08/3450/

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米海軍と海兵隊が気候変動対処演習を強化 [Joint・統合参謀本部]

今夏に影響大なアジア太平洋対象の机上演習を実施
5月に発表の気候変動対処戦略を検証
米軍の中で海軍海兵隊が最も影響を受けると危機感

Navy Climate Action.JPG9月7日付Defense-Newsは、同日開催のイベントで米海軍施設環境担当次官補が、気候変動がもたらす海面上昇や干ばつや大型台風などの異常気象に対する危機感から、今年5月に発表した米海軍省の気候変動対処戦略「Climate Action 2030 strategy」を検証すべく、今夏に米議会や専門家や(恐らく)同盟国も交えアジア太平洋を対象とした机上演習を実施した教訓などを断片的ながら語ったと紹介しています

米海軍省の「Climate Action 2030 strategy」は、バイデン大統領による大統領令「通称:Tackling the Climate Crisis at Home and Abroad」が示した「気候変動は、我々の時代の最も大きな不安定要因の一つだ」との危機認識を受け、国防省が2021年10月に発表した「気候変動対処プランCAP(Climate Adaptation Plan)」に基づいて作成されたものと位置付けられます

Navy Climate Action2.jpg今夏にDCの「Marine Barracks Washington」で実施された机上演習には、米海軍海兵隊関係者のみならず、米議会、国防省、他政府機関、シンクタンク、産業界、非営利団体等々も参加した模様で、気候変動問題への対応が米軍や国防省の範囲では対応困難であることを示しています

演習で得られた成果や教訓としてMeredith Berger海軍次官補は、関係者間で、気候変動が任務遂行にどのような影響を与え、関係機関の協力により影響がどのように緩和できるかを共有できたことを上げ、更に、全体に影響を与える単一障害点(SPOF:single point of failure)を特定することや、関係する事項の計画段階から気候変動予想を組み込んでおくことの重要性等を上げています

Navy Climate Action3.jpg特に同次官補は、関係者間のパートナーシップの重要性を強調し、関係者の様々な視点を持ち寄ることで、様々な兵站上の懸念事項を浮き彫りにできたと、7日のイベントで語っています

5月に発表した米海軍省の対処戦略では、「我々は気候変動危機に狙われている:are in the crosshairs of the climate crisis」と、米軍の中で最も影響を受けるのが海軍と海兵隊との危機感が強く示され、Norfolk海軍基地やParris Island海兵隊基地などが米本土では海面上昇や風水害の影響を受ける高リスク拠点として挙げられているようです

また記事は、アジア太平洋地域を対象とした夏の机上演習シナリオには、台風に襲われ被害を受ける同盟国対応などが含まれていたと伝えています
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Navy Climate Action4.jpgこの夏にパキスタン国土の1/3が被害を受ける大水害は発生するなど、気候変動の安全保障環境への影響度は目に見えて大きくなっています。

ご紹介できたのは、米海軍と海兵隊が危機感を持ち、広く関係者を集めて夏に机上演習を行い、関係者の協力が重要だとの教訓を得た等々の部分的内容ですが、ここ最近の日本で見られる豪雨等から見ても、「今そこにある危機」になりつつあると考えるべきでしょう

「Climate Action 2030」の現物32ページ
https://www.navy.mil/Portals/1/Documents/Department%20of%20the%20Navy%20Climate%20Action%202030.pdf

2021年10月の国防省対処指針発表
「米国防省が気候変動対処構想発表」→https://holylandtokyo.com/2021/10/11/2318/
「米空軍が世界中の作戦天候予報にAI導入推進」→https://holylandtokyo.com/2022/07/19/3385/ 

排出ゼロや気候変動への取組み関連
「米陸軍が前線での電力消費増に対応戦略検討」→https://holylandtokyo.com/2022/04/25/3138/  
「米空軍が航空燃料消費削減を開始」→https://holylandtokyo.com/2022/02/16/2691/
「米国防省は電気自動車&ハイブリット車導入推進」→https://holylandtokyo.com/2021/11/15/2423/
「米陸軍が電動戦闘車両導入の本格検討へ」→https://holylandtokyo.com/2020/09/25/487/
「英空軍トップが熱く語る」→https://holylandtokyo.com/2021/12/03/2474/
「英空軍が非化石合成燃料でギネス認定初飛行」→https://holylandtokyo.com/2021/11/19/2444/
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07

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