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米軍態勢見直し完了発表もほぼ非公開で日本に言及無し!? [オースチン国防長官]

Indo-Pacific重視、対中国重視が柱だと強調も
予期される在日米軍削減に会見で言及無し

Global Posture R.jpg11月29日、Mara Karlin政策担当国防副次官が会見し、オースチン国防長官が2月に表明していた「米軍の態勢見直し:GPR:Global Posture Review」が完了し、米国防省の重要優先地域であるIndo-Pacific地域への戦力ローテーション、投資、演習訓練等を強化し、ロシア正面の欧州には「信頼に足る抑止のための戦闘力:combat credible deterrent」を強化すると表現しました

ただし同副次官は、再編の細部については安全保障上の理由や同盟国等との関係から非公開事項だとし、強化や増強する一部の概要に言及しただけで、具体的にどこから削減してどこを強化するのか等については触れませんでした

米軍事メディアの中には、喫緊に大きな変更は必要ないとの結論に至ったが、引き続き中東やアジアで分析や関係国との調整を進めることとなった、と報じているところもありますが、よくわかりません

この米軍態勢見直しGPRでは、中国のミサイル射程範囲にがっつり入る在日米軍の脆弱性も大きなテーマのはずで、昨年9月に米海兵隊司令官が「米海兵隊の西太平洋地域での現配置の見直しを行っている。太平洋地域全体に分散した態勢を取らねばならない」と明言し、数千人規模の沖縄からの移動がささやかれていました

Austin GPR.jpgまた、元々この態勢見直しは、2020年1月に当時のエスパー国防長官が開始したもので、同年9月までに固めてしまう(大統領選挙までに固めてしまう)予定でしたが、トランプ大統領とエスパー国防長官の不仲や、同盟国との複雑な調整もあり延び延びになっていたもので、それを引き継ぐ形でオースチン長官が2021年2月に再度仕切り直して開始を命じたものです

トランプ政権からバイデン政権に代わり、国防費増強に消極的なドイツ国内の駐留米軍1.2万人削減案を引っ込めたり、豪州に攻撃原潜を提供するAUKUSとの新枠組みが新たに創設されたりとの話題はありますが、日本にとって肝心の「在日米軍の態勢見直し(つまり大幅撤退)」について全く情報が出てこないのが気になるところです

ご参考:2020年9月23日:Berger海兵隊司令官発言
Berger3.jpg●(中国の脅威増大を背景に、)WW2や朝鮮戦争後に形成された米海兵隊の西太平洋地域での現配置は、今後10年を考える時、統合戦力にとって良い体制(not a great posture)ではない。見直しを行っている
●グアムにも一部を置かねばならない(We have to factor in Guam)。我々は太平洋地域全体に分散した態勢を取らねばならず、これにより地域の同盟国やパートナー国と協力し、中国のような国際規範を書き換えようとする国々を抑止しなければならない

上記発言を受けた当時の各種軍事メディア報道
●米海軍と海兵隊プレゼンスは、西太平洋で日本に大きく依存している。空母や駆逐艦を横須賀で、強襲揚陸艦は佐世保を拠点としている。海兵隊もIII Marine Expeditionary Forceの約1.8万人を沖縄においているが、専門家は、中国からのミサイルや爆撃機攻撃に対して脆弱な固定基地に戦力が集中していることに疑問を呈している
●海兵隊は今後数年(in coming years)で、数千名の兵員と家族を沖縄からグアムに移すことを計画している

11月29日付米空軍協会web記事によれば
Karlin2.JPG●Karlin副次官は会見で、「GPRの多くは、作戦運用上に理由と、同盟国等との協議の秘匿を保つため、引き続き非公開としている」、「国防長官は中国がpacing challengeだとの一貫した姿勢で見直しに取り組んでおり、Indo-Pacificが優先地域である」と述べ、
●「GPRは更なる地域の同盟国等との協議を指示するものであり、中国からの侵略を抑止し、地域の安定に寄与するものである」と表現した

●朝鮮半島情勢に関連して同副次官は、オースチン国防長官は11月30日に韓国を訪問し、「米国のextended deterrenceへの変更について議論する」、「GPRでは、米陸軍攻撃ヘリ部隊や火砲師団司令部のローテーション派遣を恒久配置にする」と述べた
Karlin3.jpg●Indo-Pacific地域への増強話では、9月に豪州国防相が更なる航空ローテーション部隊や弾薬事前集積が来るだろうと述べ、2021年度予算に「Pacific Deterrence Initiative」として約2500億円が承認されグアム島などに投入されるとの話題がある

●更に、GPR取りまとめは、他省庁との議論や、NATO諸国・豪州・韓国・10か国以上の中東アフリカ諸国との協議を踏まえて行われたことを、同副次官は強調した
ただし注意点として、GPRでは、アフガニスタン派遣兵力や特定機能分野である核戦力・宇宙・サイバーについては触れておらず、これは個別に議論すべき課題と分類していると説明した

Karlin.JPGアフリカや南北アメリカについて、会見で同副次官は細部には触れず、アフリカsub-Sahara地域から世論の圧力でフランス軍が5000名を撤退させる中、バイデン大統領が10月に仏大統領との会談で追加アセット提供を約束しているが、細部については依然不明である

●2020年12月にトランプ政権がソマリアからの全面撤退を指示したが、具体的なISRアセットの撤収について具体的な発表は依然としてない
南北アメリカおよび中米地域については、引き続き人道支援や災害対処や麻薬取引対処に取り組むと説明があったが、具体的な戦力の変化等については同副次官は一切述べていない
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Pentagon building.jpg11月30日の昼のNHKニュースでも、このGPR会見で「日本」関連の言及があったとは一言も報じておらず、上記記事を書いた記者が日本に関心が低く、書き漏らしたわけではないようで、Karlin副次官は会見で日本に言及しなかったようです

11月30日にオースチン国防長官が韓国を訪問して「米国のextended deterrenceへの変更について議論する」するそうですが、在韓米軍を削減して豪州や米本土に撤退させ、「遠方から抑止力」を発揮すると説明しそうな雰囲気です

それにしても、大きな本丸とまんぐーすが想定する在日米軍の削減について情報がないのが不思議です。メディアの皆様、視聴率は取れないでしょうが、重要な話ですので頑張ってくださいね

米国防省のプレスリリース
https://www.defense.gov/News/Releases/Release/Article/2855801/dod-concludes-2021-global-posture-review/

米軍の態勢見直し
「オースチン長官が米軍態勢見直し指示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-06
「司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「ドイツ駐留米軍削減発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「在韓米軍削減案報道に長官は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-22
「9月末までに米軍再編検討を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14
「アジア太平洋で基地増設検討中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-28 
「新統合作戦コンセプトを年末までに」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-18
「太平洋軍司令官が議会に要望」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-29

在日米軍基地は有事には
「米空軍はアジアで米海兵隊と同じ方向へ!」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21

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中国がテストした新兵器FOBSを巡る米国防省の動き [オースチン国防長官]

10月27日のMilley統参議長発言で国防省の懸念表面化
同日の国防省報道官会見でも発言
6月から中国タスクフォース編成し隔週で会議開催

Austin.jpg10月27日、Milley統合参謀本部議長が8月に中国が実施した新兵器FOBSに関する危機感をTVインタビューで明らかにし、また本件関連でKirby国防省報道官がAustin国防長官が主宰する対中国検討会が定期開催されている様子を記者会見で語っていますのでご紹介しておきます

まず、10月中旬にFT誌が最初に報じた8月に中国が実施したとされるFOBS(Fractional Orbital Bombardment System)試験ですが、中国は宇宙技術開発試験だと認めていませんが、FOBSは低角度で発射され150マイル程度の宇宙低軌道レベルにしか上昇しない核搭載ミサイルで、一般のICBMが北米大陸北極海沿岸のICBM警戒レーダーで米本土着弾の30分前に探知されるのに対し、FOBSは低高度で探知されにくく、5分程度の対処余裕しかないとされるものです

FOBS.jpgまたFOBSは、米国のミサイル防衛監視網がない南半球経由で米本土を攻撃することも原理的に可能で、「背後から攻撃可能」な新兵器と言われています。この兵器はフルシュチョフ時代のソ連が1970年代に一時保有していましたが、潜水艦搭載のSLBMが開発され、1970年代後半に戦略兵器制限条約SALTⅡで弾道保有上限が議論されるにつれて役割を終えたものです

FT誌が10月に入って報じる前、9月下旬にKendall空軍長官がぼんやり危機感を語っており、米国防省としてフォローしていたと思われますが、FT誌報道の際に国防省報道官はコメントを避けていました

9月下旬に空軍長官がFOBSの存在を示唆
「空軍長官:中国が亡霊核兵器FOBS開発の可能性示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-21

Milley.jpgところが10月27日放送のBloomberg TVのインタビューでMilley統参議長が、中国が新型の核搭載可能な極超音速兵器試験を実施したことを認め、「我々は極めて重大な極超音速兵器システム試験を目撃した。極めて憂慮すべき状態にある」、「スプートニク・ショックのようだと例えるのが適当かわからないが、極めてそれに近いものと私は考えている。我々皆が強い関心を持っている」と発言する様子が放映され、米国防省の危機感が明らかになりました

そんな中、同27日の記者会見でKirby国防省報道官が、Austin国防長官の指示で6月に中国タスクフォース編成し、隔週で主要幹部や軍人リーダーを集めた会議を開催していること等を説明していますので、ご紹介しておきます

10月27日付米空軍協会web記事によれば
Kirby.jpg●Austin国防長官は1月の国防長官就任前の議会証言で、中国を米国防省にとっての「pacing challenge」と表現し、機会あるごとに中国の攻勢的な動きや軍事技術進歩に警戒を示してきた

●その流れで国防長官は、6月にインドアジア太平洋担当Ely S. Ratner国防次官補代理をリーダーとするTask-Forceを立ち上げ、精力的に専門家への聞き取りや関連レポート等文献のレビューを実施させている

●また、Task-Forceが事務局を務め、長官が主導するブリーフィング&検討会を隔週で計画し、各軍種の長官や参謀総長、地域戦闘コマンド司令官、その他関係幹部を参加させ、情勢報告のほか、作戦コンセプトや訓練計画、予算配分や優先事業などなど、「世界的な体制見直し:global posture review」や次の「National Defense Strategy」に繋がる議論が行われている
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FOBS2.jpgKirby国防省報道官の会見とBloomberg TVのMilley統参議長インタビュー放送の時系列関係が不明ですが、10月27日を境に、「FOBS」との兵器が新たな安全保障上の大きなトピックになったということです

まんぐーすも即席Google勉強の途上ですが、以下の過去記事に若干の解説を乗せていますので、ご興味のある方はご覧ください

FOBS解説の動画(約15分)


9月下旬に空軍長官がFOBSの存在を示唆
「空軍長官:中国が亡霊核兵器FOBS開発の可能性示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-21

米軍の極超音速兵器開発
「米陸軍の極超音速兵器部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-14
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-28
「最近の状況整理&米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「豪州とも協力」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-01
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-28
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

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米国防省が気候変動対処プランCAPを発表 [オースチン国防長官]

CO2削減計画でなく、気候変動下でも作戦能力を維持するための対処指針
1月28日付のバイデン大統領令を受けた全省庁取り組みの一環

CAP  DOD.jpg7日Austion国防長官が、バイデン大統領による大統領令を受けた米国政府全体の取り組みの一環として、国防省の気候変動対処プランをまとめたCAP(Climate Adaptation Plan)を公開し、国防省の取り組む姿勢を国防長官声明として発表しました

まんぐーすは誤解して、CO2排出削減活動の指針かと考えていましたが、世界中で猛威を振るっている異常気象下での米国防省と米軍の作戦遂行能力維持のための対処指針をまとめたプランです

ハリケーンによって壊滅的被害を受けたフロリダの空軍基地や、洪水で水没した陸軍や海兵隊基地の惨状が、日常的なニュースになりつつある中での国防長官の声明は、「気候変動は国家安全保障にとっての、生存に係る脅威だ」、「気候変動の加速に伴い、我に係るコストや被害は加速度的に増加するだろう」から始まり、「国防省は避けられない被害に備え、迅速かつ大胆に、課題に挑戦しなければならない」と危機感あふれるものとなっています

CAP View.jpgこのような危機感を受け、対処方針を示したCAP(Climate Adaptation Plan)では、あらゆる研究やデータや革新を取り込んで立ち向かうべき課題だと大前提を置き、米国防省と米軍の全ての意思決定、教育訓練、装備品調達、施設整備、サプライチェーンなど多様な側面から取り組む必要を訴え、併せて国防省外の様々な国家機関や研究機関や民間企業や団体、更に同盟国等との連携の必要性を訴えています

CAPは目指すところとして、気候変動がもたらす厳しい自然環境の中でも、作戦運用の能力を維持し、国家の負託にこたえることだとし、5つの重視ポイントを挙げていますので、当然と言えば当然の内容ですが、日本を振り返る際の参考としてご紹介いたします

1.climate-informed decision-making
・ 最新の科学的知見とデータを絶えず入手し、気候変動が及ぼす影響を可能な限り最善の努力で予想し、資源配分と作戦運用の意思決定の基礎とする。この取り組みは、他の4つの重視ポイントの基盤でもある

2. training and equipping a climate-ready force
・ 厳しい気象状況やその結果として生ずる過酷な作戦環境下でも任務を遂行可能な米軍部隊を維持育成するため、予想される気候変動に応じた部隊訓練を常に意識し、必要な装備品の研究や調達を継続的に効率的に進める着意が不可欠である

3. resiliently built and natural infrastructure
Austin.jpg・ 我々は機動力を飛躍的に向上させつつあるが、依然として各地の基地や施設、更に自然環境が米軍戦力発揮の基盤であり、基地や施設の機能不全や、作戦環境の変化は、任務遂行に大きな負の影響を与える。気候変動の影響を謙虚に見積もり、施設の耐性を再評価し、自然インフラの変化を予測し、耐久性と効率性とコストを勘案した新基準の考慮が必要である

4. supply chain resilience and innovation
・ 国防省や米軍の活動はサプライチェーンに大きく依存しており、気候変動に対する対処は、サプライチェーンも含めて取り組みべき課題である。その一環として、米軍や国防省のエネルギー消費量を削減する事で、特に戦力の分散運用を目指す中、兵站負荷を削減することが可能な点を肝に銘ずるべきである

5.enhanced adaptation and resilience through collaboration.
・ 上記のような重視ポイントを遂行するには、官民を問わず多様な組織や団体との協力か不可欠であり、それら内外との協力関係強化は、国防省レベル、各軍種レベル、各地域コマンドから全世界の基地や部隊レベルでも重視されるべき事項である
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32ページのCAP(Climate Adaptation Plan:9月1日付)
https://media.defense.gov/2021/Oct/07/2002869699/-1/-1/0/DEPARTMENT-OF-DEFENSE-CLIMATE-ADAPTATION-PLAN-2.PDF 

Austin国防長官の声明(10月7日付)
https://www.defense.gov/News/Releases/Release/Article/2803761/statement-by-secretary-of-defense-lloyd-j-austin-iii-on-the-department-of-defen/ 

CAP DOD2.jpgどの重要ポイント(Five lines of effort)も、その通りの内容ながら、その実行実現は一朝一夕にできそうもない課題です

ただ、既に現実問題として、気候変動の影響は日常レベルで日々発生しており、米軍だけでなく、自衛隊もその対応に追われているのが現実です

5つのポイントの最初に上げられている、最新の多様な知見やデータや経験を基礎とした意思決定の段階から、世界各国の連携が進むことを祈念いたします

気候変動関連の記事
「海軍長官が気候変動対処を重視事項に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-20
「自然災害で米軍予算が枯渇」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-24 

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米空軍宇宙軍兵士はワクチン接種期限に間に合うか? [オースチン国防長官]

11月2日までに2回接種後2週間経過が必要も
兵士の約6%は期限に間に合わず罰則対象か?

Austin7.jpg8月25日にAustin国防長官が全米軍兵士へのコロナワクチン接種を速やかに実施するよう各軍種トップに命じたことを受け、各軍種毎に接種期限を設けて全兵士への接種を全力で進めていますが、最も早い11月2日に期限を設定した空軍省隷下の米空軍と宇宙軍正規兵の状況に注目が集まっています

米空軍&宇宙軍正規兵の期限11月2日は、2回目の接種が終わって2週間経過した日を基準と指定しており、1回目の接種と2回目接種の間隔3週間と、2回目後の2週間を合わせた計5週間が必要なことから考えると、11月2日に間に合うには、9月28日までに少なくとも1回目を接種しておく必要がありました

COVID-19 2.jpeg9月28日時点での米空軍&宇宙軍正規兵の接種状況は、2回とも終了75.1%、1回目のみ終了18.8%との合計で計93.9%(約94%)で、3週間前から約20%急増しての約94%であり、急速に接種が進んでいる状況にはありますが、逆に約6%の米空軍&宇宙軍兵士が期限までに間に合わない恐れがあります

8月25日の国防長官指示では、何らかの身体的理由や宗教上の理由での「ワクチン免除」も認めていますが、米軍では海外展開が日常的であることから、既に10数種類のワクチン接種が義務付けられており、宗教上の理由で免除を求める者は「ほぼゼロ」「極めてまれ」と言われており、身体的理由で接種できないケースも特殊な場合のみで、ごく少数と言われています

COVID-19 vaccine.jpegこのような米軍の現状から、期限までに接種を受けない者へは、状況や理由に応じ何らかの罰則(from non-judicial punishment to courts martial)を科すことになっていますが、現時点で期限が最も早い米空軍&宇宙軍でも、「理由なき未接種者」への罰則をどうするか明らかにしていません

Austin国防長官が8月25日にワクチン全員接種を各軍種に命じた以降、軍内のワクチン反対派兵士から命令差し止め訴訟などが既に複数行われており、最近では「コロナに罹患して回復した者は免除せよ」訴訟も開始された様です。

COVID-19 vaccine3.jpeg基本的に米軍内ではファーザー製ワクチン接種を行っており、1回目接種から接種完了までの期間を5週間と見積もっていますが、緊急用のみで使用を認めている接種1回でOKな「Johnson & Johnson製」を導入するのか等、11月2日に向け様々な動きが憶測されているようです

ちなみに、米空軍&宇宙軍正規兵の期限は11月2日ですが、米海軍海兵隊は11月28日、米陸軍は12月15日と期限を設定しています

COVID-19.jpegまた、州兵や予備役兵は正規兵と同じ期限ではないようで、接種率も10%程度遅れているようです

米軍を取り巻く各種政策や装備開発&調達の話題とは異なりますが、米軍を構成する人的戦力を見る一つの視点として、今後話題になる可能性も踏まえご紹介しておきます

自衛隊部隊でのクラスター発生が時々報道されていますが、日本ではどうなんでしょうか?

コロナ関連の記事
「患者が多い職域は?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-14
「コロナでSCIF使用困難で戦闘機開発危機」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-12
「旅客機移動でコロナ感染リスク低い」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-16  
「米軍主要幹部が一斉に自主隔離」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-07
「コロナで安全保障環境は激変する」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-25 

「米国防省内の今後のコロナ対処方針」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-07
「RIMPAC、陸軍士官学校、英空母の事例」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-01
「ワクチン完成までの1年間程度は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-24
「米空軍士官学校卒業式2020」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-20
「中国やロシアの情報工作」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-15

「海空アクロチームが激励飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-29-1
「米国防省や米軍のコロナ対処・措置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-19

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比が米国との兵力派遣合意VFAの維持を表明 [オースチン国防長官]

アジア最古の米比同盟の基礎をなすVFA
米軍の比での軍事作戦や訓練を可能にする法枠組み
比によるワクチン確保のための「駄々っ子外交」か

Philippines2.jpg7月30日、訪比中のオースチン国防長官と会談後の記者会見でフィリピン国防相が、昨年2月からフィリピン大統領が破棄の意向を示していた「訪問米軍に関する地位協定(VFA:Visiting Forces Agreement)」について、比大統領が同協定継続の意向を示したと明らかにしました

1998年に結ばれた「訪問米軍に関する地位協定(VFA)」は、アジア最古で70年の歴史を持つ米比同盟の基礎をなす重要な協定で、米軍がフィリピン国内で合同演習や軍事作戦を展開することを可能にする法的枠組みを提供する極めて重要な合意です

Philippines5.jpg昨年2月に比のドゥテルテ大統領は、世界から人道無視との非難を受けた麻薬撲滅戦争を指揮する側近のビザ(査証)を米国が取り消したことに激怒し、VFAを破棄すると宣言しましたが、宣言後180日で消滅する同協定破棄の米国への最終通知の延期を続け、米国との交渉カードのように使ってきました

7月30日付Military.com記事によれば
30日にオースチン国防長官との会談後にLorenzana比国防相は記者会見で、「比大統領は米国とのVFAを破棄しないことを決定した」、「破棄通知レターは出さない。元通りに戻ることにした」と表明した
Philippines3.jpgオースチン長官はこれに対し、「両国は、気候変動やパンデミックなど様々な課題に直面しており、インド太平洋地域の安全、安定、繁栄に強固な米比同盟は不可欠である。その点でVFAの完全復活は共に目的を達するために大きな力となるだろう」と歓迎の意を述べた

米国とフィリピンは毎年300にも及ぶ大小さまざまな軍事訓練や活動を行ってきており、昨年はコロナ感染で訓練等が大幅に縮小されていたが、VFA破棄表明後も比からの最終通知がない間に、両軍間でBalikatan演習などの準備協議が行われていた
また匿名の比軍高官によれば、米国はVFA騒動の間にも、フィリピンに継続して南シナ海人工島や同海域における中国軍活動に関する画像情報などISR情報を提供し続けており、同情報のお陰で比が中国に対する警戒活動や外交上の抗議を行うことが可能になっている現実がある

Philippines4.jpgLorenzana比国防相は会見でドゥテルテ大統領の「心変わり」の理由は承知していないと述べたが、昨年12月にコロナ感染爆発に苦悩する同大統領が、ワクチン2000万回分を米国が提供しなければVFAを破棄すると発言し、最近320万回分のJohnson & Johnsonワクチン提供を受けていることと結び付けて変化の理由を説明する専門家もいる
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初のASEAN3か国訪問で、シンガポールとベトナムに続いてフィリピンを訪問したオースチン長官は、29日夜にドゥテルテ大統領を表敬し、その翌日のLorenzana比国防相との会談後にVFA維持が表明されたわけですが、「米国がフィリピンを見捨てることはない」と見切ったフィリピンによる「駄々っ子外交」だと識者は見ています

米国も淡々と対応し、「またか・・・」的な反応でお決まりのステップを踏み、落ち着くところに落ち着くのがパターンのようです

Philippines.jpg太平洋戦争時に、フィリピンから出撃した日本の特攻隊が連合軍を撃退してフィリピン独立を助けてくれた恩義を感じ、現地に自費で特攻隊慰霊碑を建て、毎年地元首長として慰霊行事を行ってきたドゥテルテ大統領ファンのまんぐーすですが、対米国「駄々っ子外交」には冷や冷やしてしまうので、お手柔らかにお願いしたいと思います

フィリピン関連記事
「東アジア戦略概観2021」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-27
「三菱の対空監視レーダー輸出契約」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-29
「日本が譲渡のヘリ部品でフィリピンUH-1が復活へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-13
「比大統領は特攻隊の慰霊碑を自費で建立していた」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-11-2
「露とアジアの関係を2点から」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-23
「東南アジア3か国が共同警戒へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-18
「比が米軍に南シナ海共同警戒中止を通告!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-08

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オースチン国防長官がASEAN3か国初訪問 [オースチン国防長官]

シンガポール、ベトナム、フィリピンを歴訪
4月提唱のIntegrated Deterrenceを強調
まだ4本しかオースチン長官の記事がないので

singapore.jpg7月27日、ASEAN3か国(シンガポール、ベトナム、フィリピン)への初訪問を開始したオースチン国防長官がシンガポールで講演を行い、アジアの同盟国が一体となって中国に対抗する4月から提唱中の「integrated deterrence」との考え方について語りました

IISS主催の「Fullerton Lecture」とのイベントで同長官は、平時における嫌がらせ行動からグレーゾーン事案、更には本格紛争に至る全ての局面への抑止と対処について、米国と地域の同盟国・友好国が一体となって、軍事と非軍事の全ての手段を投入して取り組む必要性を強調し、協力を要請しています

singapore2.jpg驚くような発言があるわけではありませんが、1月23日に議会承認を受け活動している同長官について、ほとんど話題にしたことがありませんし、話題となるような動きも見聞きしませんので、忘れないようご紹介しておきます

アフガンに続き、イラクからも2021年末までに米軍を撤退させるとバイデン大統領が宣言し、中央軍司令官経験者としてその方面での業務が多そうなオースチン長官ですが、中東からの引き上げも、各種国防省や米軍の改革も、全ては対中国のための布石ですから、そのお考え「integrated deterrence」の方向性を見ておきましょう

27日付Defense-News記事によれば長官は講演で
integrated deterrence.jpg米国は地域の同盟国や友好国と一体となり、歩調を合わせて軍事と非軍事の全ての手段を用いて、平時における嫌がらせ行動からグレーゾーン事案、更には本格紛争に至る全ての局面への抑止に、「integrated deterrence」との考え方で取り組んでいく
「integrated deterrence」とは、現有する能力だけでなく、新たな能力構築や開発においても地域のネットワークを最大限活用する考え方であり、更にパートナシップのレベルを地域安全保障確保に適するよう発展させていく事を狙いとし、意思疎通の改善や強化、技術革新の迅速化で関係国全体の能力アップを図る取り組みである

地域国家との相互運用性(interoperability)向上もその一つで、例えば最近日本で実施した大規模演習で、HMARS(High Mobility Artillery Rocket System)を日本に展開して発射訓練を実施したことなどは特筆すべき成果だ
中国は国際法上受け入れがたい論理で南シナ海の大半の領有を主張し、他の地域国家の領土領海にも同様の根拠なき主張を展開しているが、尖閣諸島で同様の中国との課題に直面する同盟国日本に対し安保条約に基づき引き続きコミットしていく。これはフィリピンや南シナ海周辺国に対しても同様である

Austin7.jpgまた台湾に関しても、台湾関係法に基づき、台湾に対する嫌がらせや脅威を抑止するため、能力強化や即応態勢向上に協力していく
更に、インド領土への侵攻や台湾周辺地域での軍事活動、またウイグル自治区のイスラム教徒に対する「genocide and crimes against humanity」など、論争を平和的に解決しようとしない中国を非難する

コロナ感染対策として米国は、インドアジア太平洋地域に緊急援助を実施中であり、感染判定キットや酸素呼吸器、医療関係者用に防蟻キットやワクチン提供などを継続している
バイデン政権によるワクチン提供は、インドネシア、ラオス、マレーシア、ベトナムに対し既に4000万回分が行われ、来年には追加で500万回分が世界各地に提供される予定である。そしてこれらワクチン提供は全て、何の見返りも交換条件も求めない純粋な支援である

(質疑応答で英空母のアジア派遣に関し、)インド太平洋のみで協力したいわけではない。英国は他の地域での方がより有用かもしれない
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オースチン国防長官が目立たないのは、アフガンや中東からの米軍撤退に多忙なだけでなく、主要な政治任用ポストの指名承認に標準的な時間がかかっているからともいえます

Kendall22.jpg3軍の長官も、7月26日にやっとFrank Kendall空軍長官が承認されて決着し、主要な国防次官や次官補クラスの承認も夏休みを前に進みつつあるようです

最後の英国に関する発言は、色々波紋を呼びそうですが、対ロシアでもっと頑張ってくれ。F-35を計画通り購入しろとのお怒りかもしれません

オースチン長官の今後のご活躍に期待いたしましょう

米海兵隊の日本での訓練活発化
「海兵隊NMESISで海上目標攻撃成功」→https://holylandtokyo.com/2021/05/03/213/
「海兵隊で歩兵が砲兵を支援する新形態演習」→https://holylandtokyo.com/2021/04/15/107/
「在日海兵隊の飛び石演習」→https://holylandtokyo.com/2020/10/26/441/

オースチン国防長官関連
「2月にNATO国防相会議初参加」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-17
「米軍態勢見直し指示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-06
「トンランスジェンダー再受け入れ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-26
「オースチン氏をご紹介」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-08
「Austin元大将が国防長官になる為の高いハードル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-02

中国による南シナ海諸国への手出し
「カンボジアに海軍拠点か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-13
「マレーシアを大型機の大群で威嚇」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-02
「海南島の拠点強化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-10

空軍長官に承認されたKendall氏
オバマ政権で調達&開発担当国防次官を4年、陸軍士官学校卒で航空工学修士とMBAと法学博士
「Kendall氏の議会証言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-26-1
「空軍長官候補Kendall氏をご紹介」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-28

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NATO国防相会合の雰囲気は変わるか? [オースチン国防長官]

オースチン国防長官初参加:17-18日
バイデン政権は前政権との違いがあるのか?

NATO ministerial3.jpg16日付Defense-Newsは、17日から18日にかけ開催されるNATO国防相会議(バーチャル)に関し、強硬に加盟諸国にGDP比2%国防費支出を要求し、目標達成に消極的だったドイツから駐留米軍を削減する姿勢まで示した(バイデン政権は削減凍結を表明)トランプ政権との違いを示せるのか・・・との視点で同会議の論点を、匿名の国防省高官の話から紹介しています

結論めいて申し上げると、「NATO諸国間の関係の再活性化」や「話し合いの雰囲気醸成」や「アプローチの変化」や「同盟国との協力」とのバイデン政権の姿勢を強調しつつも、「負担の共有」を求める姿勢に変化はないが、国防費のGDP2%枠だけでなく、兵力派遣での貢献も評価する考え方も議論の対象になるかも・・・といった雰囲気です

そのほか、サイバー対処問題、イラクやアフガニスタンへの派遣兵力の増減問題などが焦点になるだろうとの見方ですが、Aaron Mehta副編集長の記事ですのでご紹介しておきます。18日には日本でも少しは報道されると思いますが・・・

16日付Defense-News記事によれば
NATO.jpg15日、17日から開催されるオースチン長官初参加のNATO国防相会議について、2名の国防省高官は別々に、「米国と他加盟国との関係再活性化」や「国防支出増加の要求は引っ込めない」との米国の姿勢を語った
一人の高官は、非常に攻撃的対立的だったトランプ政権とは異なる姿勢を示し、「アプローチの仕方を変える」、「ともに同盟国等と取り組んでいきたい」とのトーンを打ち出していくと述べた

また、「相談する:consulting」ことに焦点を当てると表現し、前政権がドイツ駐留米軍削減を関係国との調整なしに打ち出したようなやり方とは、異なるアプローチをとるとの姿勢を強調した
しかし、凍結されたドイツ駐留米軍の削減とポーランドへの一部移動計画について高官の一人は、「欧州での米軍の態勢は当地の安全保障にとって重要であり、撤退と見られるようなことは考えていない」と述べるに留まった

NATO ministerial4.jpgただ、オースチン長官が異なる姿勢でバーチャル会議に臨むとしても、NATO加盟国に国防支出増加を要求する基本姿勢に変化はないと述べ、「加盟国に対し、既に決定した事項にコミットしていく事を確認したいし、その方向に向かっていることを評価したい。ただ課題があることも承知している」と高官の一人は表現している
同会議を前にした15日にJens Stoltenberg事務総長は、「負担の共有については、2%枠だけでなく、貢献や能力(contributions and capabilities)の話でもある」と表現し、9か国のみが2%枠を満たしている現状と、他の形での貢献も評価すべきとの考えを示唆した

これに対し国防省高官は、「事務総長の述べた3つのC(cash, contributions and capabilities)の考え方はわかるが、最終的にはお金が全てに深くリンクしていることも忘れるべきではない」、「今投資できなければ、将来のあるべき態勢を確立できない」と釘を刺した

NATO ministerial2.jpg上記のような論点の他に、NATO加盟国間にはイラクとアフガンへの派兵問題がある。トランプ政権は派遣兵力を2500名まで削減する決定をしたが、NATO加盟国はバイデン政権がこれを再び増加させることがないかを注視している
これに関し高官の一人は、「政権全体で取り組む米軍の態勢見直しに取り掛かっており、その中で議論される。米国とNATO加盟国は共に戦い、去るときは同じだ」と語った

もう一つの論点は、特別なセッションが設けられている「新たな破壊的な兵器技術」関連で、特に最近米国を揺るがしている「SolarWinds」ソフトを経由した大規模政府系機関ハッキングが問題になっているサイバー関連問題だろう。この問題議論のため、NATO正式加盟国でないスウェーデンやフィンランドの代表者も呼んで議論することになっている
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Austin8.jpgバイデン政権になっても、むしろバイデン政権だから、日本にも「負担の共有」要求は「真綿で首を締める様に」強まると考えるべきでしょう。民主党政権ですから・・・

日本の米軍への「思いやり予算」が、とりあえず1年そのままで、それ以後について継続協議となりましたが、タフな交渉が待ち構えていると考えるべきでしょう

でも先日の記事の繰り返しになりますが、最終的には、日本はどうするのか? 覚悟はあるのか?・・・に行きつきますので、きちんと正面から情勢を見つめることが必要なのでしょう

アーミテージ氏が最近投げかけた、「日本は、中国に対してタフになる心構えは出来ているのか?」との問いに、答えることができるのか・・・です

バイデン政権の国防姿勢関連
「オースチン長官が米軍態勢見直し指示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-06
「国防副長官が所信を述べる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-03
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09

影響深刻:米政府機関に大規模ハッキング
「ロシア発:驚愕の大規模サイバー攻撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-18

ドイツ駐留米軍削減の関連
「国防長官が1.2万名削減計画を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「独駐留米軍を1万人削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-16
「移動先ポーランド大統領と会談」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「米独2000名に安保アンケート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-10
「9月末までに米軍再編検討を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14

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オースチン国防長官が米軍態勢見直し開始を発表 [オースチン国防長官]

昨年1月以前に9月末までの予定でエスパー長官が開始済
在日米軍や在韓米軍の削減・分散も視野に入っていましたが

Posture Review.jpg4日、オースチン国防長官が声明を出し、米軍の全世界的な態勢見直し「global force posture review」を開始し、配置、配置戦力、戦略、任務等のレビューを行うと述べ、統合参謀本部議長と緊密に協議しながら政策担当国防次官が取りまとめると説明しました。ただし、いつまでに見直しを行うかについては言及していません

国防長官の声明文では、同日4日にバイデン大統領が、必要な時に戦う備えは欠かせないが、リスクがあってもまず外交の場で話し合いや協議を行う労を惜しむな、と政権内に指示したことを冒頭で引用し、最後にケネディー大統領の言葉「外交と国防は相反しない。互いに補い、強化しあう。どちらか一方だけでは失敗する」を引用して、態勢見直しにあたり同盟国等との協議を重視する姿勢を強調しています

Austin7.jpg具体的に声明では、「態勢見直しにあたっては同盟国やパートナー国と協議を行う。長官就任初日に述べたように、米国単独で任務は果たせない。世界中で米国は、大小さまざまな、長い古いに関わらず様々な同盟国等と肩を並べて立ち向かわねばならない。それらの国はそれぞれにユニークな能力や知見を有しており、それらとの関係は維持尊重するに値する」と丁寧に述べており、反面、相当にタフで衝撃度の大きい再編議論が予期される雰囲気を漂わせています

ただ冒頭でも示したように、この再編検討は前政権時から始まっています。その大きな狙いは対中国や対ロシアとの本格紛争対応であり、対中国でいえば、中国兵器の射程内に大規模な米軍戦力を放置しておくことはできないとの危機感が背景にあります。つまり、西太平洋地域においては、在日米軍や在韓米軍の削減、そして米本土や後方への分散配備の方向性を強く滲ませるものと考えるべきでしょう

本日は、そんな大きな流れを感じさせる国防長官や米軍関係者の発言を、昨年1月から時系列でご紹介しておきます

2020年1月13日:Milley統合参謀本部議長
Milley3.jpg・(アフリカにローテーション派遣されISRや空中給油や教育訓練等々のために派遣されている約1万人の米軍兵士を)削減して資源を米本土やアジア太平洋にシフトすることも考えられる
・エスパー国防長官は、何を変えるかについて何の意思決定もしていない」と述べ、「我々は国防長官にいくつかのオプションを準備しているのだ。同盟国等と協議しつつ、選択肢を検討しているのだ
解説報道→米国はこのようなアフリカでの米軍プレゼンスを今後2-3年で削減し、中国やロシア対処に振り向けたいと考えている)

同年1月23日:エスパー長官
・地域コマンド間の兵力再編(COCOM-by-COCOM review of U.S. force posture)を計画している。次年度予算期間となる2020年10月1日までにはレビューを完了したい

同年7月21日:エスパー長官
Esper RAND2.jpg・(WSJ紙が、統合参謀本部がホワイトハウスに対し、在韓米軍削減オプションを複数案提示したとの報道に関し、否定せず、)全ての地域戦闘コマンドの状況を見ているところであり、国家防衛戦略NDS遂行のため、最適化した配置を検討している。検討は米国により柔軟性を提供することを狙いとするもの
・最近米空軍爆撃機部隊が始めた、グアム島に駐留派遣する形式ではなく、米本土の基地から必要時に長距離直接派遣を情勢に応じ柔軟に行う「dynamic force employments」方式を、海軍艦艇や地上部隊にも適用するオプションも含まれる

同年7月21日:Davidson太平洋軍司令官
・米軍がF-35など新たな高性能装備を導入する過程で、北朝鮮と今夜から対峙することになっても勝利を収めることが可能な態勢が変化することはあり得る。地域戦闘コマンド司令官として、どのような態勢が任務達成のために必要なのかを見極めることは、司令官としての責務である。どの部隊を新たに導入し、どの部隊を米本国に戻すかをのガイダンスを、情勢に応じて示す必要があ

同年7月21日:Hoffman国防省報道官
・いくつかの地域戦闘コマンドは、より効率的な米軍全体の態勢を考える上で、変更の必要性や可能性がある伝統的な任務や行動を背負っている

同年7月29日:エスパー長官
Esper5.jpeg・(トランプ大統領が6月に発表した「ドイツが国防費を増加させないことへの制裁」としての駐留米軍削減について、)大統領の指示以前から検討していた世界的な米軍再編の一環だ。当初言われていた0.95万人規模より多い約1.2万人規模の削減を計画している
・(米欧州軍司令官と共に会見で)削減する1.2万人の約半数にあたる6400名は米本土へ帰還し、他はポーランドやイタリア、バルト三国や黒海周辺地域に移動してNATO戦力配置をより東に移動させる方向で、ドイツには依然として欧州最大の24000名が残る

同年8月末:エスパー長官
・国防長官として西太平洋のパラオ共和国を初訪問し、パラオとの間で米軍が使用可能な港湾、空港、基地施設に合意

同年9月23日:Berger海兵隊司令官
Berger.jpg(中国の脅威増大を背景に、)WW2や朝鮮戦争後に形成された現在の米海兵隊の西太平洋地域での配置は、今後10年を考える時、統合戦力にとって現在の体制は良い体制(not a great posture)ではない。見直しを行っている
・グアムにも一部を置かねばならない(We have to factor in Guam)。我々は太平洋地域全体に分散した態勢を取らねばならず、これにより地域の同盟国やパートナー国と協力し、中国のような国際規範を書き換えようとする国々を抑止しなければならない

(同発言を受けた各種軍事メディア報道)
→米海軍と海兵隊プレゼンスは、西太平洋で日本に大きく依存している。空母や駆逐艦を横須賀で、強襲揚陸艦は佐世保を拠点としている。海兵隊もIII Marine Expeditionary Forceの約1.8万人を沖縄においているが、専門家は、中国からのミサイルや爆撃機攻撃に対して脆弱な固定基地に戦力が集中していることに疑問を呈している。海兵隊は今後数年(in coming years)で、数千名の兵員と家族を沖縄からグアムに移すことを計画している
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ASB6.jpg独駐留米軍1.2万人の削減については、この態勢見直しが終わるまで凍結・・との方針が示され、欧州の変化がどうなるか見えませんが、大きな流れは本格紛争への備えと分散だと思います

エアシーバトル・コンセプトが公表された10年ほど前から、在日米軍や極東米軍の中国正面からの「転進」可能性について、軍事的合理性に沿ったものだと予想してきましたが、すぐ目の前に迫ってきたということでしょう

ASEANPlus.jpgこの態勢見直しについて日本のメディアが、日本との関係について全く触れていないのがとっても不思議です。関係ないどころが、在日米軍の見直しは本丸の一つだと思いますし、だからあえてバイデン大統領の「外交重視」「協議重視」声明とタイアップして打ち出されたのに・・・

中東でのイスラエルと複数アラブ諸国との国交樹立や、この米軍の態勢見直し開始に関する日本のメディアや論壇を見ると、大丈夫か???と思います

米軍再編関連の記事
「司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「ドイツ駐留米軍削減発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「在韓米軍削減案報道に長官は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-22
「9月末までに米軍再編検討を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14
「アジア太平洋で基地増設検討中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-28 
「新統合作戦コンセプトを年末までに」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-18
「太平洋軍司令官が議会に要望」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-29

在日米軍基地は有事には
「米空軍はアジアで米海兵隊と同じ方向へ!」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21

中国軍事脅威の本質は
「脅威の変化を語らせて下さい」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08
「中国軍事脅威の本質を考えよう」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2012-12-30
「A Balanced Strategyを振り返る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2011-11-27

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バイデン大統領がトランスジェンダーの米軍勤務再許可 [オースチン国防長官]

オバマ政権時2016年7月に認められた措置復活
2017年7月にトランプ大統領が出した禁止令を撤廃
Transgenderとは生まれながらの性に違和感を持つ人

Biden executive order.jpg25日バイデン大統領が、2017年7月26日にトランプ大統領が出した「トランスジェンダーの米軍勤務を認めない」指示を撤回し、オバマ政権時のカーター国防長官が2016年7月から採用した「トランスジェンダーの米軍兵士としての採用を妨げず、性転換医療を提供する」状態に戻すとの大統領令を出しました

2017年7月26日にトランプ大統領が「米軍勤務を認めない」指示をツイッターで発表した際はMattis長官が休暇中で、その直前に当時のMattis国防長官が「認めない指示」の影響や必要措置を十分検討評価する必要があるから2017年12月1日まで変更凍結指示を出した直後のツイートだったこともあり、大統領と国防長官の不一致を白日の下にさらすこととなりました

Trump transgender2.jpg「採用を妨げない」指示が出た2016年にRAND研究所が出したレポートは、米軍が把握していない(公表していない?)トランスジェンダーの人数を「1320名~6630名の間」と推測し、その一部が性転換措置を希望すると見積もって、その医療費(Active component health careまたはtransition-related careと呼称)を負担すると3億円から9億円の医療コストが毎年発生すると推計しています

また、2016年に国防省は「トランスジェンダー者が米軍に勤務しても、作戦遂行や部隊団結上の大きな影響はない」とのレポートを出し、2018年の米議会証言で当時の4軍制服トップはそろって「部隊団結上の問題を感じていない」と述べてたようです

2016年7月から「○」で、2017年7月に「×」になり、2021年2月に再び「○」のジェットコースター状態で、2017年7月時点で米軍内で勤務していたトランスジェンダー兵士がどのような扱いを受けたか把握していませんが、「多様性」を打ち出す民主党バイデン政権の一つの一貫した姿勢ですので、公式発表を中心にご紹介しておきます

25日付米空軍協会web記事によれば
Biden executive order2.jpgバイデン大統領の大統領令を受けホワイトハウスは声明を出し、「バイデン大統領は、性同一性が軍務に服する妨げになってはならないとの信念を持っており、米国の強みは多様性に基づくものだと考えている」、「基準を満たした全ての米国民が軍務に服す権利を有することは、我々の価値観の核心である。米国は包容力を持つことで、国内外でより強くなる。米軍も例外ではない。包容力ある軍はより効果的な軍であり、基準を満たした全ての米国民が軍務に服すことで、米軍や米国はよりよくなる」と述べている

大統領令を受けオースチン国防長官も直ちに声明を出し、「トランスジェンダーだと認識している者は、自身が認識する性別で米軍に入隊し、任務に就くことができる」、「自身が認識する性別(gender identity)により、何人も差別されたり、除隊を命ぜられたり、採用を拒否されたりすることはない」と明示した
Austin transgender.jpgまた「全ての性転換医療(transition-related care)が米軍人に提供される」とも同長官は声明で明らかにし、「我々の基準を満たして能力があり、かつ軍務に服する意志ある者が排除されるようなことがあれば、我々の任務遂行能力は低下する」、「これは正しく、賢明な措置である」と声明は記している

ホワイトハウスは国防省に、大統領令から60日後に、同大統領令の遂行状況を報告するよう求めている
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2017年7月26日にトランプ大統領が「米軍勤務を認めない」指示をツイッターで発表した際は、「米軍の将軍たちや軍事専門家と協議した結果、トランスジェンダーが米軍で勤務することを、どのような形であれ認めないこととした」、「わが軍は決定的で圧倒的な勝利のために集中すべきであり、トランスジェンダーが軍内に存在することで生ずる混乱や医療コストを負担すべきでない」とバッサリ断言しています

Trump transgender.jpgまさにジェットコースターです。想像力に乏しいまんぐーすには米軍前線部隊の状況が想像できないのですが、米軍陸上競技会とか水泳競技会とかが開催された場合、トランスジェンダーの方の性別はどのような扱いになるのでしょうか・・・枝葉末節の話ですが・・・

それにしても、性転換措置の医療費(Active component health careまたはtransition-related care)を負担するとは太っ腹です。巷の手術希望者望者が入隊し、手術後にさっさと除隊するケースも出てくるのでしょう。前線部隊指揮官は大変ですねぇ・・・

昨年の大統領選挙直後の予想記事
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09

ジェンダー関連と米軍
「トランプ大統領、米軍でトランスジェンダー認めない発言」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-28-2
「同性愛者の陸軍長官」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-01
「同性愛者対応の変更に関するゲーツ国防長官メッセージ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-01

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22日米議会がオースチン国防長官を承認:直ちに職務開始 [オースチン国防長官]

ふたを開ければ上院承認投票は93-2の圧倒的支持

Austin3.jpg22日、米議会上院はLloyd Austin元中央軍司令官(67歳)の国防長官就任を、賛成93票、反対2票で承認しました。報道によれば、当日午後(または23日)にも就任の宣誓を行い、直ちに職務を開始するとのことです

元軍人が国防長官に就任するには、退役後7年経過を求める規定がありますが、昨年12月にAustin退役大将が候補者に挙がった際は、この規定の例外を米議会が認めないだろうとの論評が多くみられました

トランプ政権のMattis初代国防長官も、この規定の適応除外を求める必要がありましたが、この時はトランプ氏が安全保障の見識がないことから軍事や国防省をよく知る人物が国防長官就任が望ましいとか、米議会がMattis氏の人柄をよく知り信頼感があった等の理由で承認がスムーズでした

Mattis4.jpg一方でAustin元大将が候補に挙がったタイミングでは、トランプ政権が元軍人を多数国防省の文民ポストに登用していたことや、過去2例しかない元軍人の国防長官がMattis氏から時間を空けず再び誕生することに「シビリアンコントロール上問題がある」、「軍需産業の経営にかかわっていた人物はふさわしくない」との声が民主党内から強く上がり、有力議員から「絶対阻止」との声も上がっていたことから、仮に議会承認を得られるにしても手続きに長時間必要だろうと危惧されていました

それがバイデン大統領就任から僅か2日で新国防長官の承認です。ワシントンDCの細かな政治力学を把握していないまんぐーすですが、やはりトランプ支持派の議会乱入事件を受けて議会の雰囲気が一変し、また同事件を受け国防省主要幹部の相次ぐ退陣で相当現場が混乱していたこともあり、米議会も一転して国防長官を早期に確定して「安定」「事態鎮静化」を図る方向に傾いたものと推測しています

このような背景を受けAustin氏は19日の議会ヒアリングで
Austin7.jpg国防長官就任を承認していただけたなら、全ての国防省職員や米軍兵士のために、差別やハラスメントや憎しみのない職場環境を構築する。国家の安全を守る国防省内に、内なる敵を抱えていては任務が果たせない
性的暴力防止に正面から立ち向かう。過激思想や人種差別的な動きを排除する。国家のため勤務しようとする全ての志ある者が、尊厳をもって勤務できる環境を構築する

また、バイデン政権が中国寄りとの各方面からの懸念を察知し
●世界的には、アジアが国防省の業務の焦点でなければならないと理解している。私は中国が特に国防省にとって迅速に対応すべき課題だと考えている
●(バイデン大統領も希望しているが、過去3代の大統領が追及したが成しえなかった、アフガンからの米軍撤退について、)米軍を引き続きアフガン内に残す選択肢も含め検討すべき課題

なお、Austin氏が2016年に陸軍退役後、4年間に渡り巨大軍需産業レイセオンの役員を務めてきた経緯から、国防長官在任中は、同社関連の国防省議論や判断に一切関わることができません。(同社装備品の選定や導入や評価に関する一切の会話や会議や決定に関与できない)

Austin氏の就任に反対の雰囲気だった議会の声
新任のJack Reed上院軍事委員長(民主党)
(黒人長官の誕生は)非常に大きな歴史的瞬間だ。米軍に多くのアフリカ系米国人やラテン系などが含まれる中、その中から国防省リーダーが誕生した瞬間を目の当たりにしたのだ
Smith2.jpg●Adam Smith下院軍事委員長(民主党)
トランプ政権下の4年間で、国防省では臨時を含め6名も長官が入れ替わっている。これがもたらした国防省内の混乱と無秩序は甚大な被害をもたらしており、米議会は早期に国防長官を承認して事態を収拾し、国防省があるべき形に戻らせることが必要だった。切迫した状態だった

Austin国防長官のご経歴概要
Austin退役陸軍大将は、1953年8月アラバマ州生まれでジョージア州育ち。典型的な南部の出身の67歳。1971年陸軍士官学校卒業で歩兵部隊士官として勤務し、2016年に中央軍司令官を最後に退役し、大手軍需産業Raytheon取締役等の民間企業役員やコンサルファームの経営を行っていた
米陸軍式幕僚大学や米陸軍大学卒業。1986年のアラバマ州アーバン大学で教育カウンセラー修士号、1989年にウエブスター大学からMBAを取得している

Austin.jpgオバマ氏が大統領に当選した2008年、イラク駐留多国籍部隊の司令官を務めており、その後、2010~2011年の間、その一つ上のイラク駐留米軍司令官を務め、オバマ政権(バイデン副大統領)の下で困難な対IS作戦の正面で指揮官を務めた
2011年12月、同大将は黒人初の陸軍副参謀総長に就任し、そのわずか1年後の2013年3月から米中央軍司令官を務め、2014年のモスル奪還など対IS作戦を指揮し、2016年4月に退役した

寡黙で、メディアの前でインタビューに答えることもほとんどなかったし、大衆の目を避けるように行動するタイプだが、強いリーダーシップを発揮する、誠実で知性あふれる人物として知られている
ただ一方で、米議会など証言の機会を与えられると率直な物言いで知られ、ISが北西イラク地方に侵攻を企てた際、イラクのスンニ派がイラク政府支援を拒否するだけでなく、ISの味方をして便宜を図ったと率直に語ったり

Austin2.jpg約50億円を投入した対ISのためのシリア反政府勢力教育訓練の成果を、当時のマケイン上院議員に「養成した要員が何名ぐらい前線でISと戦っているのか?」と質問され、「4-5人です」と正直に回答し、マケイン議員から「30年上院軍事委員会にいて、こんなにばかげた話を聞いたことがない」と酷評されるほど率直・正直な人物として知られている
それでもオバマ政権下で同大将は高い評価を得ていたが、オバマ大統領が決定した2011年12月のイラクからの米軍撤退について反対姿勢を示している
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「トランプ支持派の議会突入」で一気に雰囲気が変わった印象ですが、大本命だったフロノイ女史が「ワシントンDCの闇の力学」で国防長官に成れず、難航しそうだった国防長官選定が早期に決着したことは朗報です

Austin5.jpg個人的には、軍人ほど「シビリアンコントロール」について学び、勤務の中で体感し、最前線の苦闘の中でその在り方を考えてきた人材は他に世の中に存在せず、口先だけで「文民統制」を語る政治家の方がよほど危険だと思います

あまり好きになれない三浦瑠璃さんですが、著書「21世紀の戦争と平和」(副題:徴兵制はなぜ再び必要とされているのか)の中で、近年の戦争指導で、軍事や安全保障に無知な政治家による混乱した「シビリアンコントロール」が大きな犠牲を生んでいる点を指摘されており、その点では同感です

「多様性」との言葉がしっくりと体になじまない世代のまんぐーすですが、Lloyd Austin新国防長官には何の問題も感じません。黒人が米軍社会で上り詰めるには相当の困難がある中で、中央軍司令官まで務めた能力は間違いなく、そのご活躍を祈念申し上げるのみです

オースチン新国防長官関連
「オースチン国防長官候補をご紹介」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-08
「Austin元大将が国防長官になる為の高いハードル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-02

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