SSブログ
オースチン国防長官 ブログトップ

オースチン国防長官がASEAN3か国初訪問 [オースチン国防長官]

シンガポール、ベトナム、フィリピンを歴訪
4月提唱のIntegrated Deterrenceを強調
まだ4本しかオースチン長官の記事がないので

singapore.jpg7月27日、ASEAN3か国(シンガポール、ベトナム、フィリピン)への初訪問を開始したオースチン国防長官がシンガポールで講演を行い、アジアの同盟国が一体となって中国に対抗する4月から提唱中の「integrated deterrence」との考え方について語りました

IISS主催の「Fullerton Lecture」とのイベントで同長官は、平時における嫌がらせ行動からグレーゾーン事案、更には本格紛争に至る全ての局面への抑止と対処について、米国と地域の同盟国・友好国が一体となって、軍事と非軍事の全ての手段を投入して取り組む必要性を強調し、協力を要請しています

singapore2.jpg驚くような発言があるわけではありませんが、1月23日に議会承認を受け活動している同長官について、ほとんど話題にしたことがありませんし、話題となるような動きも見聞きしませんので、忘れないようご紹介しておきます

アフガンに続き、イラクからも2021年末までに米軍を撤退させるとバイデン大統領が宣言し、中央軍司令官経験者としてその方面での業務が多そうなオースチン長官ですが、中東からの引き上げも、各種国防省や米軍の改革も、全ては対中国のための布石ですから、そのお考え「integrated deterrence」の方向性を見ておきましょう

27日付Defense-News記事によれば長官は講演で
integrated deterrence.jpg米国は地域の同盟国や友好国と一体となり、歩調を合わせて軍事と非軍事の全ての手段を用いて、平時における嫌がらせ行動からグレーゾーン事案、更には本格紛争に至る全ての局面への抑止に、「integrated deterrence」との考え方で取り組んでいく
「integrated deterrence」とは、現有する能力だけでなく、新たな能力構築や開発においても地域のネットワークを最大限活用する考え方であり、更にパートナシップのレベルを地域安全保障確保に適するよう発展させていく事を狙いとし、意思疎通の改善や強化、技術革新の迅速化で関係国全体の能力アップを図る取り組みである

地域国家との相互運用性(interoperability)向上もその一つで、例えば最近日本で実施した大規模演習で、HMARS(High Mobility Artillery Rocket System)を日本に展開して発射訓練を実施したことなどは特筆すべき成果だ
中国は国際法上受け入れがたい論理で南シナ海の大半の領有を主張し、他の地域国家の領土領海にも同様の根拠なき主張を展開しているが、尖閣諸島で同様の中国との課題に直面する同盟国日本に対し安保条約に基づき引き続きコミットしていく。これはフィリピンや南シナ海周辺国に対しても同様である

Austin7.jpgまた台湾に関しても、台湾関係法に基づき、台湾に対する嫌がらせや脅威を抑止するため、能力強化や即応態勢向上に協力していく
更に、インド領土への侵攻や台湾周辺地域での軍事活動、またウイグル自治区のイスラム教徒に対する「genocide and crimes against humanity」など、論争を平和的に解決しようとしない中国を非難する

コロナ感染対策として米国は、インドアジア太平洋地域に緊急援助を実施中であり、感染判定キットや酸素呼吸器、医療関係者用に防蟻キットやワクチン提供などを継続している
バイデン政権によるワクチン提供は、インドネシア、ラオス、マレーシア、ベトナムに対し既に4000万回分が行われ、来年には追加で500万回分が世界各地に提供される予定である。そしてこれらワクチン提供は全て、何の見返りも交換条件も求めない純粋な支援である

(質疑応答で英空母のアジア派遣に関し、)インド太平洋のみで協力したいわけではない。英国は他の地域での方がより有用かもしれない
///////////////////////////////////////////////

オースチン国防長官が目立たないのは、アフガンや中東からの米軍撤退に多忙なだけでなく、主要な政治任用ポストの指名承認に標準的な時間がかかっているからともいえます

Kendall22.jpg3軍の長官も、7月26日にやっとFrank Kendall空軍長官が承認されて決着し、主要な国防次官や次官補クラスの承認も夏休みを前に進みつつあるようです

最後の英国に関する発言は、色々波紋を呼びそうですが、対ロシアでもっと頑張ってくれ。F-35を計画通り購入しろとのお怒りかもしれません

オースチン長官の今後のご活躍に期待いたしましょう

米海兵隊の日本での訓練活発化
「海兵隊NMESISで海上目標攻撃成功」→https://holylandtokyo.com/2021/05/03/213/
「海兵隊で歩兵が砲兵を支援する新形態演習」→https://holylandtokyo.com/2021/04/15/107/
「在日海兵隊の飛び石演習」→https://holylandtokyo.com/2020/10/26/441/

オースチン国防長官関連
「2月にNATO国防相会議初参加」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-17
「米軍態勢見直し指示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-06
「トンランスジェンダー再受け入れ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-26
「オースチン氏をご紹介」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-08
「Austin元大将が国防長官になる為の高いハードル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-02

中国による南シナ海諸国への手出し
「カンボジアに海軍拠点か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-13
「マレーシアを大型機の大群で威嚇」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-02
「海南島の拠点強化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-10

空軍長官に承認されたKendall氏
オバマ政権で調達&開発担当国防次官を4年、陸軍士官学校卒で航空工学修士とMBAと法学博士
「Kendall氏の議会証言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-26-1
「空軍長官候補Kendall氏をご紹介」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-28

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

NATO国防相会合の雰囲気は変わるか? [オースチン国防長官]

オースチン国防長官初参加:17-18日
バイデン政権は前政権との違いがあるのか?

NATO ministerial3.jpg16日付Defense-Newsは、17日から18日にかけ開催されるNATO国防相会議(バーチャル)に関し、強硬に加盟諸国にGDP比2%国防費支出を要求し、目標達成に消極的だったドイツから駐留米軍を削減する姿勢まで示した(バイデン政権は削減凍結を表明)トランプ政権との違いを示せるのか・・・との視点で同会議の論点を、匿名の国防省高官の話から紹介しています

結論めいて申し上げると、「NATO諸国間の関係の再活性化」や「話し合いの雰囲気醸成」や「アプローチの変化」や「同盟国との協力」とのバイデン政権の姿勢を強調しつつも、「負担の共有」を求める姿勢に変化はないが、国防費のGDP2%枠だけでなく、兵力派遣での貢献も評価する考え方も議論の対象になるかも・・・といった雰囲気です

そのほか、サイバー対処問題、イラクやアフガニスタンへの派遣兵力の増減問題などが焦点になるだろうとの見方ですが、Aaron Mehta副編集長の記事ですのでご紹介しておきます。18日には日本でも少しは報道されると思いますが・・・

16日付Defense-News記事によれば
NATO.jpg15日、17日から開催されるオースチン長官初参加のNATO国防相会議について、2名の国防省高官は別々に、「米国と他加盟国との関係再活性化」や「国防支出増加の要求は引っ込めない」との米国の姿勢を語った
一人の高官は、非常に攻撃的対立的だったトランプ政権とは異なる姿勢を示し、「アプローチの仕方を変える」、「ともに同盟国等と取り組んでいきたい」とのトーンを打ち出していくと述べた

また、「相談する:consulting」ことに焦点を当てると表現し、前政権がドイツ駐留米軍削減を関係国との調整なしに打ち出したようなやり方とは、異なるアプローチをとるとの姿勢を強調した
しかし、凍結されたドイツ駐留米軍の削減とポーランドへの一部移動計画について高官の一人は、「欧州での米軍の態勢は当地の安全保障にとって重要であり、撤退と見られるようなことは考えていない」と述べるに留まった

NATO ministerial4.jpgただ、オースチン長官が異なる姿勢でバーチャル会議に臨むとしても、NATO加盟国に国防支出増加を要求する基本姿勢に変化はないと述べ、「加盟国に対し、既に決定した事項にコミットしていく事を確認したいし、その方向に向かっていることを評価したい。ただ課題があることも承知している」と高官の一人は表現している
同会議を前にした15日にJens Stoltenberg事務総長は、「負担の共有については、2%枠だけでなく、貢献や能力(contributions and capabilities)の話でもある」と表現し、9か国のみが2%枠を満たしている現状と、他の形での貢献も評価すべきとの考えを示唆した

これに対し国防省高官は、「事務総長の述べた3つのC(cash, contributions and capabilities)の考え方はわかるが、最終的にはお金が全てに深くリンクしていることも忘れるべきではない」、「今投資できなければ、将来のあるべき態勢を確立できない」と釘を刺した

NATO ministerial2.jpg上記のような論点の他に、NATO加盟国間にはイラクとアフガンへの派兵問題がある。トランプ政権は派遣兵力を2500名まで削減する決定をしたが、NATO加盟国はバイデン政権がこれを再び増加させることがないかを注視している
これに関し高官の一人は、「政権全体で取り組む米軍の態勢見直しに取り掛かっており、その中で議論される。米国とNATO加盟国は共に戦い、去るときは同じだ」と語った

もう一つの論点は、特別なセッションが設けられている「新たな破壊的な兵器技術」関連で、特に最近米国を揺るがしている「SolarWinds」ソフトを経由した大規模政府系機関ハッキングが問題になっているサイバー関連問題だろう。この問題議論のため、NATO正式加盟国でないスウェーデンやフィンランドの代表者も呼んで議論することになっている
//////////////////////////////////////////////////

Austin8.jpgバイデン政権になっても、むしろバイデン政権だから、日本にも「負担の共有」要求は「真綿で首を締める様に」強まると考えるべきでしょう。民主党政権ですから・・・

日本の米軍への「思いやり予算」が、とりあえず1年そのままで、それ以後について継続協議となりましたが、タフな交渉が待ち構えていると考えるべきでしょう

でも先日の記事の繰り返しになりますが、最終的には、日本はどうするのか? 覚悟はあるのか?・・・に行きつきますので、きちんと正面から情勢を見つめることが必要なのでしょう

アーミテージ氏が最近投げかけた、「日本は、中国に対してタフになる心構えは出来ているのか?」との問いに、答えることができるのか・・・です

バイデン政権の国防姿勢関連
「オースチン長官が米軍態勢見直し指示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-06
「国防副長官が所信を述べる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-03
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09

影響深刻:米政府機関に大規模ハッキング
「ロシア発:驚愕の大規模サイバー攻撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-18

ドイツ駐留米軍削減の関連
「国防長官が1.2万名削減計画を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「独駐留米軍を1万人削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-16
「移動先ポーランド大統領と会談」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「米独2000名に安保アンケート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-10
「9月末までに米軍再編検討を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

オースチン国防長官が米軍態勢見直し開始を発表 [オースチン国防長官]

昨年1月以前に9月末までの予定でエスパー長官が開始済
在日米軍や在韓米軍の削減・分散も視野に入っていましたが

Posture Review.jpg4日、オースチン国防長官が声明を出し、米軍の全世界的な態勢見直し「global force posture review」を開始し、配置、配置戦力、戦略、任務等のレビューを行うと述べ、統合参謀本部議長と緊密に協議しながら政策担当国防次官が取りまとめると説明しました。ただし、いつまでに見直しを行うかについては言及していません

国防長官の声明文では、同日4日にバイデン大統領が、必要な時に戦う備えは欠かせないが、リスクがあってもまず外交の場で話し合いや協議を行う労を惜しむな、と政権内に指示したことを冒頭で引用し、最後にケネディー大統領の言葉「外交と国防は相反しない。互いに補い、強化しあう。どちらか一方だけでは失敗する」を引用して、態勢見直しにあたり同盟国等との協議を重視する姿勢を強調しています

Austin7.jpg具体的に声明では、「態勢見直しにあたっては同盟国やパートナー国と協議を行う。長官就任初日に述べたように、米国単独で任務は果たせない。世界中で米国は、大小さまざまな、長い古いに関わらず様々な同盟国等と肩を並べて立ち向かわねばならない。それらの国はそれぞれにユニークな能力や知見を有しており、それらとの関係は維持尊重するに値する」と丁寧に述べており、反面、相当にタフで衝撃度の大きい再編議論が予期される雰囲気を漂わせています

ただ冒頭でも示したように、この再編検討は前政権時から始まっています。その大きな狙いは対中国や対ロシアとの本格紛争対応であり、対中国でいえば、中国兵器の射程内に大規模な米軍戦力を放置しておくことはできないとの危機感が背景にあります。つまり、西太平洋地域においては、在日米軍や在韓米軍の削減、そして米本土や後方への分散配備の方向性を強く滲ませるものと考えるべきでしょう

本日は、そんな大きな流れを感じさせる国防長官や米軍関係者の発言を、昨年1月から時系列でご紹介しておきます

2020年1月13日:Milley統合参謀本部議長
Milley3.jpg・(アフリカにローテーション派遣されISRや空中給油や教育訓練等々のために派遣されている約1万人の米軍兵士を)削減して資源を米本土やアジア太平洋にシフトすることも考えられる
・エスパー国防長官は、何を変えるかについて何の意思決定もしていない」と述べ、「我々は国防長官にいくつかのオプションを準備しているのだ。同盟国等と協議しつつ、選択肢を検討しているのだ
解説報道→米国はこのようなアフリカでの米軍プレゼンスを今後2-3年で削減し、中国やロシア対処に振り向けたいと考えている)

同年1月23日:エスパー長官
・地域コマンド間の兵力再編(COCOM-by-COCOM review of U.S. force posture)を計画している。次年度予算期間となる2020年10月1日までにはレビューを完了したい

同年7月21日:エスパー長官
Esper RAND2.jpg・(WSJ紙が、統合参謀本部がホワイトハウスに対し、在韓米軍削減オプションを複数案提示したとの報道に関し、否定せず、)全ての地域戦闘コマンドの状況を見ているところであり、国家防衛戦略NDS遂行のため、最適化した配置を検討している。検討は米国により柔軟性を提供することを狙いとするもの
・最近米空軍爆撃機部隊が始めた、グアム島に駐留派遣する形式ではなく、米本土の基地から必要時に長距離直接派遣を情勢に応じ柔軟に行う「dynamic force employments」方式を、海軍艦艇や地上部隊にも適用するオプションも含まれる

同年7月21日:Davidson太平洋軍司令官
・米軍がF-35など新たな高性能装備を導入する過程で、北朝鮮と今夜から対峙することになっても勝利を収めることが可能な態勢が変化することはあり得る。地域戦闘コマンド司令官として、どのような態勢が任務達成のために必要なのかを見極めることは、司令官としての責務である。どの部隊を新たに導入し、どの部隊を米本国に戻すかをのガイダンスを、情勢に応じて示す必要があ

同年7月21日:Hoffman国防省報道官
・いくつかの地域戦闘コマンドは、より効率的な米軍全体の態勢を考える上で、変更の必要性や可能性がある伝統的な任務や行動を背負っている

同年7月29日:エスパー長官
Esper5.jpeg・(トランプ大統領が6月に発表した「ドイツが国防費を増加させないことへの制裁」としての駐留米軍削減について、)大統領の指示以前から検討していた世界的な米軍再編の一環だ。当初言われていた0.95万人規模より多い約1.2万人規模の削減を計画している
・(米欧州軍司令官と共に会見で)削減する1.2万人の約半数にあたる6400名は米本土へ帰還し、他はポーランドやイタリア、バルト三国や黒海周辺地域に移動してNATO戦力配置をより東に移動させる方向で、ドイツには依然として欧州最大の24000名が残る

同年8月末:エスパー長官
・国防長官として西太平洋のパラオ共和国を初訪問し、パラオとの間で米軍が使用可能な港湾、空港、基地施設に合意

同年9月23日:Berger海兵隊司令官
Berger.jpg(中国の脅威増大を背景に、)WW2や朝鮮戦争後に形成された現在の米海兵隊の西太平洋地域での配置は、今後10年を考える時、統合戦力にとって現在の体制は良い体制(not a great posture)ではない。見直しを行っている
・グアムにも一部を置かねばならない(We have to factor in Guam)。我々は太平洋地域全体に分散した態勢を取らねばならず、これにより地域の同盟国やパートナー国と協力し、中国のような国際規範を書き換えようとする国々を抑止しなければならない

(同発言を受けた各種軍事メディア報道)
→米海軍と海兵隊プレゼンスは、西太平洋で日本に大きく依存している。空母や駆逐艦を横須賀で、強襲揚陸艦は佐世保を拠点としている。海兵隊もIII Marine Expeditionary Forceの約1.8万人を沖縄においているが、専門家は、中国からのミサイルや爆撃機攻撃に対して脆弱な固定基地に戦力が集中していることに疑問を呈している。海兵隊は今後数年(in coming years)で、数千名の兵員と家族を沖縄からグアムに移すことを計画している
////////////////////////////////////////////////

ASB6.jpg独駐留米軍1.2万人の削減については、この態勢見直しが終わるまで凍結・・との方針が示され、欧州の変化がどうなるか見えませんが、大きな流れは本格紛争への備えと分散だと思います

エアシーバトル・コンセプトが公表された10年ほど前から、在日米軍や極東米軍の中国正面からの「転進」可能性について、軍事的合理性に沿ったものだと予想してきましたが、すぐ目の前に迫ってきたということでしょう

ASEANPlus.jpgこの態勢見直しについて日本のメディアが、日本との関係について全く触れていないのがとっても不思議です。関係ないどころが、在日米軍の見直しは本丸の一つだと思いますし、だからあえてバイデン大統領の「外交重視」「協議重視」声明とタイアップして打ち出されたのに・・・

中東でのイスラエルと複数アラブ諸国との国交樹立や、この米軍の態勢見直し開始に関する日本のメディアや論壇を見ると、大丈夫か???と思います

米軍再編関連の記事
「司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「ドイツ駐留米軍削減発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「在韓米軍削減案報道に長官は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-22
「9月末までに米軍再編検討を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14
「アジア太平洋で基地増設検討中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-28 
「新統合作戦コンセプトを年末までに」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-18
「太平洋軍司令官が議会に要望」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-29

在日米軍基地は有事には
「米空軍はアジアで米海兵隊と同じ方向へ!」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21

中国軍事脅威の本質は
「脅威の変化を語らせて下さい」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08
「中国軍事脅威の本質を考えよう」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2012-12-30
「A Balanced Strategyを振り返る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2011-11-27

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

バイデン大統領がトランスジェンダーの米軍勤務再許可 [オースチン国防長官]

オバマ政権時2016年7月に認められた措置復活
2017年7月にトランプ大統領が出した禁止令を撤廃
Transgenderとは生まれながらの性に違和感を持つ人

Biden executive order.jpg25日バイデン大統領が、2017年7月26日にトランプ大統領が出した「トランスジェンダーの米軍勤務を認めない」指示を撤回し、オバマ政権時のカーター国防長官が2016年7月から採用した「トランスジェンダーの米軍兵士としての採用を妨げず、性転換医療を提供する」状態に戻すとの大統領令を出しました

2017年7月26日にトランプ大統領が「米軍勤務を認めない」指示をツイッターで発表した際はMattis長官が休暇中で、その直前に当時のMattis国防長官が「認めない指示」の影響や必要措置を十分検討評価する必要があるから2017年12月1日まで変更凍結指示を出した直後のツイートだったこともあり、大統領と国防長官の不一致を白日の下にさらすこととなりました

Trump transgender2.jpg「採用を妨げない」指示が出た2016年にRAND研究所が出したレポートは、米軍が把握していない(公表していない?)トランスジェンダーの人数を「1320名~6630名の間」と推測し、その一部が性転換措置を希望すると見積もって、その医療費(Active component health careまたはtransition-related careと呼称)を負担すると3億円から9億円の医療コストが毎年発生すると推計しています

また、2016年に国防省は「トランスジェンダー者が米軍に勤務しても、作戦遂行や部隊団結上の大きな影響はない」とのレポートを出し、2018年の米議会証言で当時の4軍制服トップはそろって「部隊団結上の問題を感じていない」と述べてたようです

2016年7月から「○」で、2017年7月に「×」になり、2021年2月に再び「○」のジェットコースター状態で、2017年7月時点で米軍内で勤務していたトランスジェンダー兵士がどのような扱いを受けたか把握していませんが、「多様性」を打ち出す民主党バイデン政権の一つの一貫した姿勢ですので、公式発表を中心にご紹介しておきます

25日付米空軍協会web記事によれば
Biden executive order2.jpgバイデン大統領の大統領令を受けホワイトハウスは声明を出し、「バイデン大統領は、性同一性が軍務に服する妨げになってはならないとの信念を持っており、米国の強みは多様性に基づくものだと考えている」、「基準を満たした全ての米国民が軍務に服す権利を有することは、我々の価値観の核心である。米国は包容力を持つことで、国内外でより強くなる。米軍も例外ではない。包容力ある軍はより効果的な軍であり、基準を満たした全ての米国民が軍務に服すことで、米軍や米国はよりよくなる」と述べている

大統領令を受けオースチン国防長官も直ちに声明を出し、「トランスジェンダーだと認識している者は、自身が認識する性別で米軍に入隊し、任務に就くことができる」、「自身が認識する性別(gender identity)により、何人も差別されたり、除隊を命ぜられたり、採用を拒否されたりすることはない」と明示した
Austin transgender.jpgまた「全ての性転換医療(transition-related care)が米軍人に提供される」とも同長官は声明で明らかにし、「我々の基準を満たして能力があり、かつ軍務に服する意志ある者が排除されるようなことがあれば、我々の任務遂行能力は低下する」、「これは正しく、賢明な措置である」と声明は記している

ホワイトハウスは国防省に、大統領令から60日後に、同大統領令の遂行状況を報告するよう求めている
/////////////////////////////////////////////////////////

2017年7月26日にトランプ大統領が「米軍勤務を認めない」指示をツイッターで発表した際は、「米軍の将軍たちや軍事専門家と協議した結果、トランスジェンダーが米軍で勤務することを、どのような形であれ認めないこととした」、「わが軍は決定的で圧倒的な勝利のために集中すべきであり、トランスジェンダーが軍内に存在することで生ずる混乱や医療コストを負担すべきでない」とバッサリ断言しています

Trump transgender.jpgまさにジェットコースターです。想像力に乏しいまんぐーすには米軍前線部隊の状況が想像できないのですが、米軍陸上競技会とか水泳競技会とかが開催された場合、トランスジェンダーの方の性別はどのような扱いになるのでしょうか・・・枝葉末節の話ですが・・・

それにしても、性転換措置の医療費(Active component health careまたはtransition-related care)を負担するとは太っ腹です。巷の手術希望者望者が入隊し、手術後にさっさと除隊するケースも出てくるのでしょう。前線部隊指揮官は大変ですねぇ・・・

昨年の大統領選挙直後の予想記事
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09

ジェンダー関連と米軍
「トランプ大統領、米軍でトランスジェンダー認めない発言」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-28-2
「同性愛者の陸軍長官」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-01
「同性愛者対応の変更に関するゲーツ国防長官メッセージ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-01

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

22日米議会がオースチン国防長官を承認:直ちに職務開始 [オースチン国防長官]

ふたを開ければ上院承認投票は93-2の圧倒的支持

Austin3.jpg22日、米議会上院はLloyd Austin元中央軍司令官(67歳)の国防長官就任を、賛成93票、反対2票で承認しました。報道によれば、当日午後(または23日)にも就任の宣誓を行い、直ちに職務を開始するとのことです

元軍人が国防長官に就任するには、退役後7年経過を求める規定がありますが、昨年12月にAustin退役大将が候補者に挙がった際は、この規定の例外を米議会が認めないだろうとの論評が多くみられました

トランプ政権のMattis初代国防長官も、この規定の適応除外を求める必要がありましたが、この時はトランプ氏が安全保障の見識がないことから軍事や国防省をよく知る人物が国防長官就任が望ましいとか、米議会がMattis氏の人柄をよく知り信頼感があった等の理由で承認がスムーズでした

Mattis4.jpg一方でAustin元大将が候補に挙がったタイミングでは、トランプ政権が元軍人を多数国防省の文民ポストに登用していたことや、過去2例しかない元軍人の国防長官がMattis氏から時間を空けず再び誕生することに「シビリアンコントロール上問題がある」、「軍需産業の経営にかかわっていた人物はふさわしくない」との声が民主党内から強く上がり、有力議員から「絶対阻止」との声も上がっていたことから、仮に議会承認を得られるにしても手続きに長時間必要だろうと危惧されていました

それがバイデン大統領就任から僅か2日で新国防長官の承認です。ワシントンDCの細かな政治力学を把握していないまんぐーすですが、やはりトランプ支持派の議会乱入事件を受けて議会の雰囲気が一変し、また同事件を受け国防省主要幹部の相次ぐ退陣で相当現場が混乱していたこともあり、米議会も一転して国防長官を早期に確定して「安定」「事態鎮静化」を図る方向に傾いたものと推測しています

このような背景を受けAustin氏は19日の議会ヒアリングで
Austin7.jpg国防長官就任を承認していただけたなら、全ての国防省職員や米軍兵士のために、差別やハラスメントや憎しみのない職場環境を構築する。国家の安全を守る国防省内に、内なる敵を抱えていては任務が果たせない
性的暴力防止に正面から立ち向かう。過激思想や人種差別的な動きを排除する。国家のため勤務しようとする全ての志ある者が、尊厳をもって勤務できる環境を構築する

また、バイデン政権が中国寄りとの各方面からの懸念を察知し
●世界的には、アジアが国防省の業務の焦点でなければならないと理解している。私は中国が特に国防省にとって迅速に対応すべき課題だと考えている
●(バイデン大統領も希望しているが、過去3代の大統領が追及したが成しえなかった、アフガンからの米軍撤退について、)米軍を引き続きアフガン内に残す選択肢も含め検討すべき課題

なお、Austin氏が2016年に陸軍退役後、4年間に渡り巨大軍需産業レイセオンの役員を務めてきた経緯から、国防長官在任中は、同社関連の国防省議論や判断に一切関わることができません。(同社装備品の選定や導入や評価に関する一切の会話や会議や決定に関与できない)

Austin氏の就任に反対の雰囲気だった議会の声
新任のJack Reed上院軍事委員長(民主党)
(黒人長官の誕生は)非常に大きな歴史的瞬間だ。米軍に多くのアフリカ系米国人やラテン系などが含まれる中、その中から国防省リーダーが誕生した瞬間を目の当たりにしたのだ
Smith2.jpg●Adam Smith下院軍事委員長(民主党)
トランプ政権下の4年間で、国防省では臨時を含め6名も長官が入れ替わっている。これがもたらした国防省内の混乱と無秩序は甚大な被害をもたらしており、米議会は早期に国防長官を承認して事態を収拾し、国防省があるべき形に戻らせることが必要だった。切迫した状態だった

Austin国防長官のご経歴概要
Austin退役陸軍大将は、1953年8月アラバマ州生まれでジョージア州育ち。典型的な南部の出身の67歳。1971年陸軍士官学校卒業で歩兵部隊士官として勤務し、2016年に中央軍司令官を最後に退役し、大手軍需産業Raytheon取締役等の民間企業役員やコンサルファームの経営を行っていた
米陸軍式幕僚大学や米陸軍大学卒業。1986年のアラバマ州アーバン大学で教育カウンセラー修士号、1989年にウエブスター大学からMBAを取得している

Austin.jpgオバマ氏が大統領に当選した2008年、イラク駐留多国籍部隊の司令官を務めており、その後、2010~2011年の間、その一つ上のイラク駐留米軍司令官を務め、オバマ政権(バイデン副大統領)の下で困難な対IS作戦の正面で指揮官を務めた
2011年12月、同大将は黒人初の陸軍副参謀総長に就任し、そのわずか1年後の2013年3月から米中央軍司令官を務め、2014年のモスル奪還など対IS作戦を指揮し、2016年4月に退役した

寡黙で、メディアの前でインタビューに答えることもほとんどなかったし、大衆の目を避けるように行動するタイプだが、強いリーダーシップを発揮する、誠実で知性あふれる人物として知られている
ただ一方で、米議会など証言の機会を与えられると率直な物言いで知られ、ISが北西イラク地方に侵攻を企てた際、イラクのスンニ派がイラク政府支援を拒否するだけでなく、ISの味方をして便宜を図ったと率直に語ったり

Austin2.jpg約50億円を投入した対ISのためのシリア反政府勢力教育訓練の成果を、当時のマケイン上院議員に「養成した要員が何名ぐらい前線でISと戦っているのか?」と質問され、「4-5人です」と正直に回答し、マケイン議員から「30年上院軍事委員会にいて、こんなにばかげた話を聞いたことがない」と酷評されるほど率直・正直な人物として知られている
それでもオバマ政権下で同大将は高い評価を得ていたが、オバマ大統領が決定した2011年12月のイラクからの米軍撤退について反対姿勢を示している
///////////////////////////////////////////////////

「トランプ支持派の議会突入」で一気に雰囲気が変わった印象ですが、大本命だったフロノイ女史が「ワシントンDCの闇の力学」で国防長官に成れず、難航しそうだった国防長官選定が早期に決着したことは朗報です

Austin5.jpg個人的には、軍人ほど「シビリアンコントロール」について学び、勤務の中で体感し、最前線の苦闘の中でその在り方を考えてきた人材は他に世の中に存在せず、口先だけで「文民統制」を語る政治家の方がよほど危険だと思います

あまり好きになれない三浦瑠璃さんですが、著書「21世紀の戦争と平和」(副題:徴兵制はなぜ再び必要とされているのか)の中で、近年の戦争指導で、軍事や安全保障に無知な政治家による混乱した「シビリアンコントロール」が大きな犠牲を生んでいる点を指摘されており、その点では同感です

「多様性」との言葉がしっくりと体になじまない世代のまんぐーすですが、Lloyd Austin新国防長官には何の問題も感じません。黒人が米軍社会で上り詰めるには相当の困難がある中で、中央軍司令官まで務めた能力は間違いなく、そのご活躍を祈念申し上げるのみです

オースチン新国防長官関連
「オースチン国防長官候補をご紹介」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-08
「Austin元大将が国防長官になる為の高いハードル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-02

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース
オースチン国防長官 ブログトップ