カンボジア海軍基地への中国進出警戒感高まる [安全保障全般]
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米国武官の同海軍基地訪問を妨害
米豪支援の施設を破壊し、中国支援施設拡充中
南シナ海に臨む海軍基地に中国軍アクセスの秘密協定か
12日付Military.comは、数年前から中国の進出が懸念されているカンボジアの南シナ海に臨む海軍基地「Ream Naval Base」について取り上げ、米国務副長官が同国を最近訪問して合意したはずの同基地への米国武官の定期視察が、カンボジア側からの厳しい行動制限で妨害されたと報じています
カンボジアは、1985年にHun Sen首相が就任以来、国民への人権弾圧が強まり、法治体制がおろそかにされ、更に中国寄りの姿勢を強めています。2018年には時のペンス副大統領が中国との接近や中国軍基地の誘致疑念を問いただす書簡を送りましたが、同首相は嫌疑を否定していました。
しかし2019年7月にWall Street Journal誌が、カンボジアと中国が同基地に中国軍事施設を建設し、装備や兵器を備蓄することを定めた有効期間30年(その後は自動的に10年継続延長)の秘密協定の草案を入手したと報じ、米国防省がカンボジア政府に事実関係を問い合わせたところ、カ国防省から「同基地では将来変化があるだろう」との曖昧な返答がなされ、Hun Sen首相は「根拠のない言いがかりだ」と反論していたところでした
同基地には、2012年に米国が資金を出し、両国合意に基づく「Tactical Headquarters of the National Committee for Maritime Security」が設置され、海洋監視用の「Rigid-Hulled Inflatable Boat (RHIB)」の停泊場所や整備施設が建設され、2017年には同施設の改修や装備補強が米豪により行われていました
ところが、2020年秋に同ボート整備格納庫が取り壊され、同時に基地内近傍で中国支援の施設整備が開始されたことがCSISによる衛星写真分析レポートで明らかになり、事態は急速に緊迫し始めます。同ボート施設の修理を米国に依頼していたカンボジア側も突然その頃に態度を豹変し、同施設を約20nm離れたより広い敷地に移動させる等の言い訳をし始めましたが、米国側への説明はころころ変化して要領を得ない状態なようです
このような状況の中、今年6月1日にバイデン政権誕生後で初の米高官訪問を行ったWendy Sherman国務副長官に対しHun Sen首相は、中国軍施設の設置を否定して同海軍基地は「どこ国の艦艇も歓迎する」と発言し、疑念を深める米側の要請に応じて米国武官の同基地定期訪問を許可したところでした
ただし、いくらカンボジアがごまかそうとしても、同基地周辺では北京政府と関係が深い中国リゾート開発会社による沿岸地域での謎の「リゾート開発」が始まっており、その一つとして同基地5㎞北の湾内で目的不明の埋め立て工事が進んでいる様子もCSISによる衛星写真分析で確認され、米国側の疑念は深まるばかりの状況です
そんな中で行われた、カンボジア駐在米国武官による初めてのReam Naval Base訪問ですが、色々カンボジア側の妨害にあったようです
12日付Military.com記事によれば
●在カンボジアの米国大使館は、米国務副長官とカンボジア政府との合意に基づき、カンボジア側との調整を経て実現したMarcus M. Ferrara米国武官(大佐)のReam Naval Base訪問であったが、カンボジア側のフルアクセス拒否により十分な視察が出来なかったと不満を表明し、制限なき視察を要求して再視察を要求していると発表した
●これに対しカンボジア政府報道官は、カンボジア政府は要請に応じて完全に対応したが、米側が不満であれば、カンボジアの主権を尊重してスパイ行為に当たらない範囲で再度要求するべきだと対応した
●更にカンボジア国防省は、「米国はカンボジアの主権と法を尊重すべきだ。彼らは地政学的な利益追求のため、隠された訪問目的を持っている」と不満を示し、米国武官に同行したカンボジア側高官は「米国武官は事前要求がなかった場所や必要のない場所を探そうとした」等と非難した
●米国武官の基地訪問に先立ち、6月1日に行われたWendy Sherman米国務副長官とHun Sen首相との会談では、米側が「カンボジアはどこへ向かうつもりなのか?」と厳しく問いただし、中国軍事施設の建設と米支援施設の解体に対し深い懸念を示し、中国軍事施設は当地域の安全と米カンボジア関係に負の影響を与えると主張したとされている。
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CSISによる同基地衛星写真の詳細分析
→https://amti.csis.org/changes-underway-at-cambodias-ream-naval-base/
5月31日、習近平は中共中央政治局の学習会で「愛される国」になる外交を展開せよと強調し、「開放的で自信に満ち、控えめで謙虚で、「可信、可愛、可敬」(信頼され、愛され、敬愛される)な中国の心象を創り上げていかなければならない」と指示しました。
英国で6月11日から開催されたG7を念頭に、G7の対中国包囲網を「ひるませる」狙いの発言とも考えられますし、これを中国外交方針が変化するシグナルと解釈する人はいないと思いますが、カンボジアでも繰り広げられる「いつもの中国の姿」を改めて確認し、対中国を厳しく考えていきましょう
「信頼され、愛され、尊敬される中国の印象」を形成せよ・・・ですから
めっきり減った南シナ海の話題
「中国大型機16機がマレーシア威嚇飛行」→https://holylandtokyo.com/2021/06/03/1868/
「航行の自由作戦活発化???」→https://holylandtokyo.com/2020/02/13/827/
「初のASEANと米国の海洋演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-03
「次期米軍トップが中国脅威を強調」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14-1
「海洋プレッシャー戦略に唖然」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「F-35搭載艦艇がFONOP」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-07
「中国艦艇が米艦艇に異常接近」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-06-1
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米国武官の同海軍基地訪問を妨害
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南シナ海に臨む海軍基地に中国軍アクセスの秘密協定か
12日付Military.comは、数年前から中国の進出が懸念されているカンボジアの南シナ海に臨む海軍基地「Ream Naval Base」について取り上げ、米国務副長官が同国を最近訪問して合意したはずの同基地への米国武官の定期視察が、カンボジア側からの厳しい行動制限で妨害されたと報じています
カンボジアは、1985年にHun Sen首相が就任以来、国民への人権弾圧が強まり、法治体制がおろそかにされ、更に中国寄りの姿勢を強めています。2018年には時のペンス副大統領が中国との接近や中国軍基地の誘致疑念を問いただす書簡を送りましたが、同首相は嫌疑を否定していました。
しかし2019年7月にWall Street Journal誌が、カンボジアと中国が同基地に中国軍事施設を建設し、装備や兵器を備蓄することを定めた有効期間30年(その後は自動的に10年継続延長)の秘密協定の草案を入手したと報じ、米国防省がカンボジア政府に事実関係を問い合わせたところ、カ国防省から「同基地では将来変化があるだろう」との曖昧な返答がなされ、Hun Sen首相は「根拠のない言いがかりだ」と反論していたところでした
同基地には、2012年に米国が資金を出し、両国合意に基づく「Tactical Headquarters of the National Committee for Maritime Security」が設置され、海洋監視用の「Rigid-Hulled Inflatable Boat (RHIB)」の停泊場所や整備施設が建設され、2017年には同施設の改修や装備補強が米豪により行われていました
ところが、2020年秋に同ボート整備格納庫が取り壊され、同時に基地内近傍で中国支援の施設整備が開始されたことがCSISによる衛星写真分析レポートで明らかになり、事態は急速に緊迫し始めます。同ボート施設の修理を米国に依頼していたカンボジア側も突然その頃に態度を豹変し、同施設を約20nm離れたより広い敷地に移動させる等の言い訳をし始めましたが、米国側への説明はころころ変化して要領を得ない状態なようです
このような状況の中、今年6月1日にバイデン政権誕生後で初の米高官訪問を行ったWendy Sherman国務副長官に対しHun Sen首相は、中国軍施設の設置を否定して同海軍基地は「どこ国の艦艇も歓迎する」と発言し、疑念を深める米側の要請に応じて米国武官の同基地定期訪問を許可したところでした
ただし、いくらカンボジアがごまかそうとしても、同基地周辺では北京政府と関係が深い中国リゾート開発会社による沿岸地域での謎の「リゾート開発」が始まっており、その一つとして同基地5㎞北の湾内で目的不明の埋め立て工事が進んでいる様子もCSISによる衛星写真分析で確認され、米国側の疑念は深まるばかりの状況です
そんな中で行われた、カンボジア駐在米国武官による初めてのReam Naval Base訪問ですが、色々カンボジア側の妨害にあったようです
12日付Military.com記事によれば
●在カンボジアの米国大使館は、米国務副長官とカンボジア政府との合意に基づき、カンボジア側との調整を経て実現したMarcus M. Ferrara米国武官(大佐)のReam Naval Base訪問であったが、カンボジア側のフルアクセス拒否により十分な視察が出来なかったと不満を表明し、制限なき視察を要求して再視察を要求していると発表した
●これに対しカンボジア政府報道官は、カンボジア政府は要請に応じて完全に対応したが、米側が不満であれば、カンボジアの主権を尊重してスパイ行為に当たらない範囲で再度要求するべきだと対応した
●更にカンボジア国防省は、「米国はカンボジアの主権と法を尊重すべきだ。彼らは地政学的な利益追求のため、隠された訪問目的を持っている」と不満を示し、米国武官に同行したカンボジア側高官は「米国武官は事前要求がなかった場所や必要のない場所を探そうとした」等と非難した
●米国武官の基地訪問に先立ち、6月1日に行われたWendy Sherman米国務副長官とHun Sen首相との会談では、米側が「カンボジアはどこへ向かうつもりなのか?」と厳しく問いただし、中国軍事施設の建設と米支援施設の解体に対し深い懸念を示し、中国軍事施設は当地域の安全と米カンボジア関係に負の影響を与えると主張したとされている。
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CSISによる同基地衛星写真の詳細分析
→https://amti.csis.org/changes-underway-at-cambodias-ream-naval-base/
5月31日、習近平は中共中央政治局の学習会で「愛される国」になる外交を展開せよと強調し、「開放的で自信に満ち、控えめで謙虚で、「可信、可愛、可敬」(信頼され、愛され、敬愛される)な中国の心象を創り上げていかなければならない」と指示しました。
英国で6月11日から開催されたG7を念頭に、G7の対中国包囲網を「ひるませる」狙いの発言とも考えられますし、これを中国外交方針が変化するシグナルと解釈する人はいないと思いますが、カンボジアでも繰り広げられる「いつもの中国の姿」を改めて確認し、対中国を厳しく考えていきましょう
「信頼され、愛され、尊敬される中国の印象」を形成せよ・・・ですから
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「中国大型機16機がマレーシア威嚇飛行」→https://holylandtokyo.com/2021/06/03/1868/
「航行の自由作戦活発化???」→https://holylandtokyo.com/2020/02/13/827/
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「次期米軍トップが中国脅威を強調」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14-1
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