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空軍長官が空軍戦力造成のビジョン語る [米空軍]

386飛行隊は目指さず、質を追求
中国のようにリスクをとっても迅速な開発を
B-21導入機数は必ずしも増やす必要なし
インフレや燃料費高騰は2500億円不足を予想

Kendall air 2.JPG4月2日と3日、Kendall空軍長官とBrown空軍参謀総長が講演(2日@ Brookings)や上院軍事委員会(3日)で証言し、冒頭でご紹介したような2023年度予算案の背景にある今後の米空軍戦力構築のビジョンのようなものを語っています。

もちろん語られた内容はあくまでも空軍幹部の考え方であり、「ウクライナ侵略」によってもたらされたインフレや燃料価格高騰の影響への対処もあり、予算案議会審議の中で国防省や米議会との調整から修正を迫られる可能性があるような気がしますが、「リスクをとっても迅速な開発目指す。中国のように」のように興味深い内容が含まれていますのでご紹介しておきます

現312から386飛行隊への増強は目指さない
Wilson2.jpg●2018年当時のWilson空軍長官とGoldfein参謀総長が表明していた386飛行隊への空軍戦力増強構想は、我々の焦点ではない。私が望むのは、敵を抑止可能な戦力であり、侵略事態発生時に敵を撃破できる戦力である。ウクライナで見られるような、大規模戦力で長引く戦いを遂行するイメージはない
●より戦力の質にこだわっていきたい。より能力が高く、強靭で、厳しい敵の脅威下でも生き延びて戦いに参加し、そして帰還する戦力が必要であり、私の優先リストにはそのような戦力がある

Mattis.jpg●マティス国防長官は優れた人物であったが、現有戦力の能力向上で対処しようとする考え方には賛同できない。将来の戦いの環境に適した戦力導入を優先し、機体の平均年齢が30歳を超える米空軍では、高齢機の早期退役と投資の再配分が重要である
●2023年度予算案では将来のための研究開発費を確保し、B-21爆撃機、次期制空機NGAD、次期空対空ミサイルJATMなどに資源投入し、高齢装備の早期退役を計画している。そして2024年度予算案では、早期退役の方針はさらに大胆に加速する方向にあることを予期していただきたい

E-7はE-3と同規模に必要ではない
E-7 Wedgetail.jpg●老朽機の早期退役と将来装備導入の例として、E-3早期退役とE-7導入があるが、E-7はE-3に比して優れた能力を提供してくれる。この質の向上は量では補えない。E-7に関しては、規模はそれほど重要ではない。迅速に優れた質を前線に届けることが重要。
●更に、E-7導入により維持整備費がE-3より劇的に抑えられる。

B-21は100機以上を必ずしも追求しない
●ロシアや中国からの脅威が顕在化しているが、これにより自動的にB-21次期ステルス爆撃機の要求機数が100機を超えることはない。
B-21 bomber.jpg●現在米空軍では、B-21を何機導入すべきか分析を行っているが、(100機以上)より多くB-21を導入するオプションの他に、B-21に随伴するエスコート無人機の活用も併せて検討しており、単純にB-21機数増を考えているわけではない

●B-21開発は順調で、維持整備や乗員の訓練必要時間を短縮可能な機体に仕上がりつつあり、高い稼働率が期待できる点からも必要機数を検討している。またB-21を無人随伴機と共に「family of systems」と捉え、作戦運用構想を検討している

必要装備の迅速導入に「デモ試験」省略を
Kendall SASC.jpg●必要な装備を迅速に前線部隊に届けるため、関連技術が十分に成熟しているなら、デモ装備による確認フェーズを省略し、リスクを冒しても直接設計製造フェーズに進む方式を追求したい
●理想としては、予算獲得から3年で作戦運用に投入できるようでありたいと考えている。このような攻めの開発は失敗のリスクを伴うが、中国が失敗を重ねつつもアグレッシブに開発する現状に対応するには、リスクをとる姿勢が必要だ

●旧ソ連は米国が装備化するまでは導入しようとしなかったが、中国は異なる。中国の新装備開発管理は米国ほど上手ではないが、中国は米国よりも早く取り掛かり、アグレッシブに失敗を恐れず大規模に開発を進め、旧ソ連時代とは異なる困難な課題を米国に突き付けている

インフレによる燃料価格上昇の影響
KC-46 Flight.JPG●ウクライナ侵略等の影響を受けた物価上昇の影響が懸念されるが、「最も大きく、喫緊の課題は」航空機の維持整備運用経費を直撃する航空燃料価格の高騰である。
●現在の見積もりでは、燃料価格上昇により、必要な作戦任務を遂行するために必要な燃料費が、今年1年間で約2500億円不足する。インフレの行方は予想が難しいこともあり、米議会とは緊密に協議させていただきたい
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米国防省としての優先開発事項なのに、米空軍の熱意が今一つの極超音速兵器開発に関しては、「AGM-183(ARRW)は今度数か月で2回ほど試験を予定しているが、成功しなければ前へ進めない」と淡々と語るのみで、引き続き国防省との温度差はそのままです。

Brown2.jpg上院軍事委員会では、初期型33機の早期退役を提案しているF-22について「導入時は2060年まで使用する」と説明したではないか、維持整備費が高どまりのF-35については「開発と製造を同時進行したからだ。導入試験を疎かにするな」等々と厳しい批判を浴びていますが、Kendall空軍長官ら空軍幹部は「前進あるのみ」の姿勢です

米空軍を巡る将来構想の激動振り
「次期制空機NGADは1機が数百億円」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-034-28
「B-21とNGAD用の無人随伴機開発」→https://holylandtokyo.com/2022/03/24/2938/
「アムラーム後継JATM開発」→https://holylandtokyo.com/2022/04/04/3088/
「E-7導入正式発表」→https://holylandtokyo.com/2022/04/28/3186/
「空中給油機整備方針を大転換」→https://holylandtokyo.com/2022/04/18/3151/
「ウクライナ侵略も米空軍幹部は対中国優先」→https://holylandtokyo.com/2022/03/17/2929/
「2023年度国防省予算案」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-29-1
「E-3・AWACSが2023年から退役へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-30
「極超音速兵器の重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/
「空軍長官:高価な極超音速兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/

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中国のType 093 Shang級の新型巡航ミサイル原潜か? [中国要人・軍事]

遼寧省葫芦島市の造船所の衛星写真より
米国防省2021年「中国の軍事力」が記載した新型?
垂直発射管VLS18基と新型ポンプジェット推進を装備か?

Type 093 Shang.jpg5月16日付Defense-Newsが、民間会社Planet Labsによって5月3日に撮影された衛星写真を取り上げ、米国防省が可能性を予言していたType 093 Shang級の新たなタイプ「Type 093B」誘導ミサイル搭載型原潜ではないかと紹介しています

Huludao  Liaoning.jpeg衛星画像は遼寧省葫芦島市の造船所のドライデッキで撮影されたもので、最初は4月29日に撮影された別の衛星写真で、地理空間情報インテリジェンス会社のAllSourceAnalysisが見つけたようです

5月3日や4月29日撮影の写真とは別に、中国のSNS上に5月上旬、撮影場所不明の6本のミサイル管×3列の18個VLSセルを備えた潜水艦映像が流布され、新型のType 093 Shang級ではないかとネット上で噂されていたタイミングでもありました

Type 093 Shang2.jpg米国防省は「中国の軍事力2021」で、中国が「093B誘導ミサイル原子力潜水艦」を建造し始めていると評価していましたが、5月3日の写真には潜水艦司令塔のすぐ後ろにVLSらしき緑色の部分があり、幕がかけられた推進システムらしき様子がうかがえ、海軍専門家は「潜水艦発射ミサイル用のVLS垂直発射システムセルの列と、ポンプジェット推進装置と高い確率で推測できる」と写真を評価しています

またシンガポールの専門家は、中国が潜水艦のポンプジェット推進の研究を行っていることを、過去の科学論文を基にDefense-Newsに説明し、艦対地攻撃と対艦任務のために巡航ミサイルを発射可能な原子力潜水艦を保有することは、中国の長距離攻撃能力追求に一致し、グアム島やハワイ島など米軍の重要拠点や施設攻撃を狙ったものであろうと語ったようです

Type 093 Shang5.jpg5月3日の写真からは、潜水艦がType 093 Shang級潜水艦(排水量6100トン:全長約110m)とほぼ同じ大きさであり、この点からもType 093 Shang級シリーズの改良型である可能性が高いと記事は推測しています

2006年に最初のA型が就航しているType 093 Shang級原潜は、現時点で6種類が確認されていますが、前述の米国防省「中国の軍事力2021」レポートでは「Type 093B」と表現しています
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対中国軍事力について、西側が有利な数少ない分野は「潜水艦戦」だと以前の記事でご紹介し、米海軍がグアム島配備の潜水艦を2隻から5隻に増強したことを最近記事にしたところですが、中国も黙っているはずがありません。

Type 093 Shang3.jpg仮に取り上げた潜水艦が巡航ミサイル搭載の新型Type 093 Shang級潜水艦だとして、どれくらいのペースで、何隻ぐらい中国は導入する予定なのでしょうか。

グアム島やハワイ米軍基地を攻撃する以前に、日本の米軍基地や自衛隊の基地が、潜水艦搭載巡航ミサイルの一番の標的になりうることを念頭に、ウォッチしていく必要がありましょう

対中国軍事力で、西側が有利な数少ない分野は「潜水艦戦」
「グアム島潜水艦増強:2→5隻へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/26/3166/
「戦略原潜設計チームを攻撃原潜にも投入へ」→https://holylandtokyo.com/2021/11/04/2333/
「極超音速兵器:バージニア級へは2028年以降」→https://holylandtokyo.com/2021/11/26/2450/

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F-35のエンジン問題とODINへの現場の声 [亡国のF-35]

GAO最新報告書がエンジン問題を酷評も
国防省F-35計画室はいつものように対処中と
導入開始のODINについて現場は「ストレス依然高い」

F-35 Hill AFB6.jpg4月28日、下院軍事委員会でF-35の維持費高止まり問題が取り上げられ、議員からは「維持費問題を無視したF-35導入は止めよ」「F-35はロッキードは金づるになってしまっている」等々と厳しい批判が国防省F-35計画室長や調達担当国防次官に投げつけられ、特にエンジンブレードの耐久性問題が表面化しているF135エンジンや、兵站情報システムALISの後継であるODINへの疑問が噴出しています

2020年に発覚したF135エンジン問題は、タービンブレードの耐久性が想定より低くエンジン故障が頻発し、修理能力限界を超え、40~50機のF-35が搭載エンジン不足から飛行不能に陥っている問題です。

F-35 Greece4.jpgこれに対し国防省F-35計画室長は3つのアプローチで対処すると述べ、修理に必要な時間短縮、修理施設の増設、他の修理サイクルを調整しエンジンの前線部隊所在時間延長に取り組むと言い続けてきましたが、実際には修理能力強化以上に故障が頻発し、例えば2021年5月には38機がエンジン待ち非稼働でしたが、9月末には52機に同様機体が急増していることが暴露されています

また兵站情報システムALISの後継システムODIN(Operational Data Integrated Network)については、2022年1月末に14セットを米国の各軍種用基地や英国とイタリアのF-35拠点基地に提供したとの発表がありましたが、その後について会計検査院が配備先を訪問して聴取した現場の声を記事が取り上げているのでご紹介しておきます

4月28日付米空軍協会web記事によれば
Fick3.jpg●国防省は2021年1月にF-35稼働率が70%に達したと宣伝したが、そこをピークに2021年9月には53%にまで低下しており、2021年全体では目標の65%を下回る61%であった
●そして4月28日に米会計検査院が発表したレポートでは、F-35の稼働率は68%以下と報告されており、同軍事委員会の議員は口々に「受け入れがたい数値だ」と不満を口にし、このような稼働率や維持費高止まりの問題を放置したまま、新たな機体を導入することは許容しがたいとF-35計画室長や国防次官を非難した
●エンジン修理待ちによる非稼働機は2022年2月で36機にのぼり、何か月も30機以上の状態が続いており改善の兆しが見えないとも、同委員会の委員は非難した

●F-35計画室長(Eric T. Fick空軍中将)は前述の3つのアプローチにより、F135エンジン修理能力は向上しつつあり、2021年の77個エンジン修理から、2022年には122個まで修理能力を高める予定だと説明した
Maurer.jpg●そして同室長は、米会計検査院GAOが4月末の報告書で「このままでは、2030年のF-35非稼働機の43%はエンジン問題に起因することになる」指摘した件に関し、必要な対策をとっており、GAOの指摘の様にはならないと反論した

●しかし議員らはGAOが指摘したように、F-35計画室の将来見通しが楽観的な予算配分見通しや故障発生見積もりの前提で導かれている点を懸念しており、この点に関し議論は平行線のままだった
●GAOレポート執筆のDiana MaurerはF-35計画室の説明に関し、同計画室の計画が完全に遂行されることを期待するしかないが、(現実には、これまで様々な課題に関し、)同計画室の計画はその一部が実行されたにすぎない・・・とコメントしている

ALISからODINへの移行について
Fick4.JPG●F-35計画室長は、ALISからODINへの移行によって、スイッチを切り替えるように従来の不具合が解消されると説明したことを反省していると述べた
●同室長は、実際にはF-35の兵站情報システム生態系が、徐々に変化していき、部屋の照明が次第に明るくなるように変化が見えてくるのが現在の状況だと説明した

●このような説明に対し、ODINが導入された前線部隊を視察したGAOのDiana Maurer氏は、前線の維持整備担当兵士は、依然として相当レベルのフラストレーションをODINになっても感じており、改善されているとは思うが、前線兵士が望むレベルにはないと感じていると指摘した
また同氏は、ODINが目指す改善のレベルとその評価をどのように実施するのかを明確にし、改善をしっかり把握して資源投入すべきだとかねてから主張していると訴えている
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Maurer2.jpg米会計検査院GAOがF-35の問題点を指摘すると、国防省F-35計画室は「GAOの指摘は目新しいものではない」「その点は既に把握済で、対処している」と常に答えてきましたが、最終的にはGAOの指摘したとおりに問題が大きく顕在化し、小手先だけの対処措置しか行われなかったことが白日の下にさらされる結果を繰り返してきました

「F135エンジン問題」はさらに悪化の一途をたどるでしょうし、、「ODIN導入」にしても、最終的なしわ寄せは現場の整備員が背負ってカバーすることになるのでしょう・・・・。

これが多かれ少なかれ産軍複合体によって生み出された国防装備品の実態ではありますが、F-35クラスの史上最大の国防装備品ともなると、「亡国のF-35」と呼ぶほどの威力を発揮することになります。担当する皆様は本当にかわいそうです

F-35のエンジン問題
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/

F-35のALISをODINへ
「ODINまず14セット提供」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-02
「ODINの開発中断」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-24
「ODIN提供開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-24
「元凶:ALISとその後継ODINの現在位置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-17
「ALISを断念しODINへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
「ALIS問題を議会で証言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-15
「ALISは依然大きな障害」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-02

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国防省JCOが小型無人機対処エネルギー兵器3機種吟味 [米国防省高官]

JCO(統合小型無人機対処検討室)主導で3回目の検証
高出力マイクロ波使用でEMP効果等で無人機無効化狙う
昨年は「副次的被害小」と「安価で携帯可能」な対処兵器検証

JCO high-power micro.jpg5月11日、米国防省で小型無人機対処を検討するJCO(統合小型無人機対処検討室:Joint Counter-Small Unmanned Aircraft Systems Office)が記者懇談会を行い、4月に「高出力マイクロ波」を使用した小型無人機対処装備3機種の確認試験を実施したと説明しました

JCOは、無人機の脅威の高まりを受け、前線部隊や米本土基地等を防御する手段を専門に検討する組織として2019年末に設置され、2021年1月には小型無人機対処戦略(Counter-Small Unmanned Aircraft Systems Strategy)を発表して「情報収集分析」、「防御体制確立」、「他との協力体制構築」の3本柱で取り組みを加速すると宣言している組織です

JCO high-power micro3.jpgその後、2021年4月には第1回目の確認試験として「周辺への副次的被害の少ない対処兵器」を対象に復習機種の評価試験を実施し、同年9月には2回目として「安価で携帯可能な対処兵器」の評価テストを実施しており、「高出力マイクロ波」使用兵器の試験は3回目の分野別評価テストでした

「高出力マイクロ波」使用兵器の試験概要
●4月4~22日にアリゾナ州Yuma Proving Groundで実施
●3企業提案の装備を評価。小型無人機を3つのカテゴリーに重量で区分(G1は20ポンド以下、G2は20-55、G3は55-1320ポンド)し、各カテゴリーの小型無人機に対し、各対処兵器が「どのくらいの距離から」、「どのくらいの対処時間」で無効化が可能か評価

●3企業は「Epirus」「Raytheon Technologies」「Leonardo DRS」で印象は・・・
・「Leonardo DRS」---  vector inversion generatorと呼ばれる放射アンテナの無い特殊な形状で評価が難しかったが、工夫して必要な評価データを得ることができた
・「Raytheon Technologies」--- まだ開発中の段階と言えるが、将来の伸びしろを感じる。対処有効距離は多少短い印象
・「Epirus」--- 現在前線部隊等で行われている対処程度の対処有効距離は確保できているし、将来的な延伸の可能性を秘めている

JCO.jpgこのほか、3回目までに評価試験を行った分野とは異なる、固定装置による対処兵器分野「countering small UAS as a service, or CaaS」でも並行して候補の絞り込みを行っており、25個の提案から5つに絞り込んでデモ試験を行う方向で進んでいるようです

「CaaS」は展開先の運用拠点基地の防御用を想定した対処兵器で、「候補装置はそれぞれに異なった探知、識別、追尾、破壊能力や仕組みを持っており、様々な角度から分析中であるが、来週には国防省内に限定展開して本格的に評価に入っていく」、「様々な要素後術を既存のシステムと組み合わせる等、企業とJCOの頭の体操が多くなるプロセスだ」とJCO幹部は説明しています

またJCOは、昨年1回目及び2回目の評価テストに参加した企業のいくつかと、具体的装備化に向けた契約締結段階に向かいつつあると記者団に述べ、2022年秋に予定する4回目の分野別評価に向けた準備も進めていると説明しましたが、具体的な中身については言及を避けました
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JCO high-power micro2.jpgJCOは、各軍種がバラバラに取り組んでいた小型無人機対処兵器開発&調達を、取りまとめて効率的に行うため設立された組織で、米陸軍少将がトップで陸軍が主導的な役割を果たしている組織です

ご紹介した装備の絞り込みだけでなく、運用ドクトリンや運用&訓練手法などにも統一した基準を示し、米軍として一体的な取り組みを推進することも担っています。また指揮統制システムや既存システムとの連携も重要な課題で、報道では、最も進んだTHAAD指揮統制システムとの連接が極めて重要とのGainey少将の発言も紹介されており、広がりの大きな事業であることを伺わせます

更に、無人機対処と言っても海外展開拠点から国内基地まで環境は様々で、同盟国と協力した海外敵対勢力の無人機脅威分析から、米連邦航空局と連携した米国内で使用される小型無人機の把握などまでの多様な課題を抱え、加えてJCOが2021年1月作成の小型無人機対処戦略は「国内技術開発への投資政策」や「対処装備の海外への売込み」までを視野においており、課題山盛り状態です

JCO(Joint Counter small UAS office)関連の記事
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「米国防省が小型無人機対処戦略」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/

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製造企業幹部がB-21ステルス爆撃機を語り始める [米空軍]

超極秘プロジェクトを語ることを米空軍が少し許可か?
四半期決算発表会なので価格やインフレ影響が話題の中心
インフレを加味すると現在1機880億円です・・・

Warden.jpg4月28日、今年初飛行が予期されている超極秘プロジェクトB-21次期ステルス爆撃機開発について、四半期決算発表の場でNorthrop Grumman社女性CEOのKathy Warden氏が語り、順調な開発状況を米空軍から評価され、報奨金約80億円を臨時収入として計上する予定だと述べ、一方で最近の物価上昇の影響を数年後に始まる本格製造段階の懸念事項としました

製造企業幹部がB-21について語るのは初ではないかと思いますが、性能や製造ペースについては一切触れず、開発段階(EMD:engineering and manufacturing development)の緊要システム融合を含むテスト段階に入っているが、2023年には開発段階EMDと並行して、21機製造する低レート生産段階LRIP(low-rate initial production)に入ると説明しました

Warden3.jpgまた、本格製造段階(production phase)には2024-25年に移行する見通しだと言及しましたが、本格生産時の機体価格については交渉に入っていないと言及を避け、最近の急速なインフレで懸念されているだろうが、効率的製造法を検討しながら開発を進めており、インフレも沈静化するだろうから同社としての利益は安定して伸びるだろうと自信を示しています

まぁ・・・決算発表会なので「お金」の話中心ですが、今後5年間で2兆5000億円が投入される米軍の巨大かつ数少ない順調プロジェクトですので、剛腕女性CEOのお話をご紹介しておきます

28日付米空軍協会web記事によれば
B-21 B-2.jpg●米空軍が認めているように、B-21(の初号機)は初飛行に向けた緊要なシステム融合を含む地上テスト段階に入っており、更に他に5機が様々な用途のための組み立て段階にある
●この開発プロジェクトは、最新のデジタル設計と先端製造技術の活用により、初飛行前に様々な角度からリスク分析を行ってリスク低減措置をとっており、同時に製造の効率性分析を徹底し、固定価格契約となっている21機の低レート製造単価を満たすよう取り組んでいる

●結果として現在見通せる範囲では、開発段階EMDと低レート製造段階LRIPを同時並行で進める2023年の収入は横ばいで、2024年には上昇に転じて10年間は上昇傾向を維持する見込みとなっている
B-21 bomber.jpg●なお、機種選定時の価格要求は2010年物価基準で1機「$550 million」、米空軍による2019年の物価勘案再計算では「$600 million」、そして今日時点での弊社試算では「$741.69 million」となる。本格生産価格を決定する数年後には、現在のインフレ状態が緩和されると予期しているが。

●低レート製造段階21機の価格は固定契約だが、2025-26年からと予期される本格製造段階(production phase)に入るまでには2-3年の検討時間が残されており、物価インフレも落ち着くと予期されるところ、更に経験を踏まえて製造効率性を高めて政府の期待に応えつつ収益性を高めていく所存である
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Warden2.jpg2015年に米空軍が機種選定を行った際の前提では、B-21の総調達機数は80-100機とされましたが、その後米空軍はじわじわと様々な理由をつけて導入機数増を主張してきており、「80-100機」が「100機」となり、いつの間にか「少なくとも100機」が普通になり、今では米空軍GSコマンドは「145機」必要だと言い始めています

今後の初飛行披露や性能をアピールしていく過程で、この機数も米空軍はふくらましていくのでしょう。

B-21爆撃機の関連記事
「無人随伴機も鋭意検討中」→https://holylandtokyo.com/2022/03/24/2938/
「6機製造中」→https://holylandtokyo.com/2022/03/01/2711/
「B-21を5機製造中」→https://holylandtokyo.com/2021/09/27/2270/
「下院軍事委員長も絶賛」→https://holylandtokyo.com/2021/06/23/1896/
「格納庫写真から大きさを推定する」→https://holylandtokyo.com/2021/04/07/101/
「初飛行は2022年半ばか」→https://holylandtokyo.com/2021/01/20/302/
「開発状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1 
「2021年12月3日初飛行予告」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-29
「初期設計段階終了」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30
「米空軍の爆撃機体制計画」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2 
「2017年3月の状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-20
「B-21に名称決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-27
「敗者の訴え却下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-17
「敗者がGAOに不服申し立て」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-07
「結果発表と分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-28

米空軍爆撃機の話題
「爆撃機管理は今後5-7年が多難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-19-1
「B-52から重力投下核任務除外」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-20
「B-1早期引退でB-21推進?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-19
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春時点の爆撃機構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2

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https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

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艦艇攻撃用に改良のGPS誘導JDAMが実弾試験 [米空軍]

昨年8月のGPS誘導模擬弾に続き実弾で
「QUICKSINK」との名称も細部は不明
GPS誘導で艦艇剛撃ポイントを細部指定可能なのか?

JDAM QUICKSINK3.jpg5月4日付Defense-Newsは、米空軍研究所が4月28日に実施した、艦艇攻撃用GPS誘導JDAM(2000ポンド)の実艦艇を目標とした試験が成功したと報じています。なおこの改良型GPS誘導型(GBU-31)JDAMは、「QUICKSINK Joint Capability Technology Demonstration」と呼ばれているようです

対中国作戦を想定するとき、中国軍の多数の艦艇を攻撃目標とする必要がある中、高価な魚雷や対艦ミサイルだけでは対処が難しいことから、より安価な攻撃兵器としてJDAMの艦艇攻撃用バージョンの検討が進められてきました。

JDAM QUICKSINK2.jpgただ、想定する敵艦艇の防空能力が飛躍的に向上する中、JDAMの中でも、目標命中まで発射母機が目標周辺に在空して目標にレーザー照射を継続する必要があるレーザー誘導型JDAM(GBU-24)ではリスクが大きいことから、母機からリリース後は自ら目標に向かうGPS誘導型(GBU-31)の改良を追求することになったようです

GPS誘導型は、レーザー誘導型のように雲や雨に影響されない全天候対応能力を備えていることも特長ですが、更に「QUICKSINK」設計に際し米空軍研究所は、柔軟に多様な企業が部品供給に参加できるよう「open systems architecture」を追求し、企業間競争によるコスト低減と性能向上を狙っているとアピールしています

JDAM QUICKSINK.jpgしかし、レーザー誘導型が艦艇のどの部分に命中させるか選択しやすいのに対し、GPS誘導で目標艦艇の「艦橋」「推進機関」「弾薬庫」「燃料タンク」などの具体的部分を狙って攻撃できるのかは、今回の実弾試験発表でも言及されていません

2021年8月に第1弾試験として模擬JDAM試験を行った際、米空軍研究所AFRLの担当大佐は、『「目標ポイント:aim points」に爆弾を投下可能かを確認するために試験を計画した』と説明していましたが、どの程度の精度で目標ポイントを選択できるかへの言及は避けていました

JDAM QUICKSINK4.jpg一方で同担当大佐は当時、『爆弾の先端部分を再設計し、水面で爆弾がはじかれずに水面下の目標地点に到達できるよう検討している。我々は水面にはじかれないように物理学や運動力学を学ぶ必要がある』と語っており、水面下の艦艇部分も攻撃対象箇所として設計思想に反映されている模様です

なお「QUICKSINK」は、従来のJDAMを搭載可能な航空機全ての搭載可能で、特別な機体改修は必要なく、試験を担当した第85試験評価飛行隊幹部は、地域戦闘コマンド司令官により多くの兵器オプションを提供できると説明しています
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JDAM QUICKSINK5.jpg艦艇剛撃用GPS誘導JDAM「QUICKSINK」の細部性能は今後少しずつ明らかになるでしょうが、対中国で米空軍航空アセットが活躍できるよう、米空軍自らの発案で始まった者でしょう。

いずれにしても、中国の艦艇対処は同盟国にとっても重要な任務ですので、米空軍から航空自衛隊への提供も前向きにご検討いただき、空自も早めにしっかりと首を突っ込んで、F-15やF-35の働き場所を見つけた方が良いかもしれません

米空軍の弾薬調達を考える記事
「2023年度米空軍の弾薬調達予算案を考察」→https://holylandtokyo.com/2022/04/15/3098/
「米空軍が艦艇攻撃用にJDAM改良中」→https://holylandtokyo.com/2021/09/29/2234/
「F-15Eで完成弾JDAMを運搬」→https://holylandtokyo.com/2021/03/09/156/

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米陸軍訓練センターがウクライナ教訓生かした演習 [Joint・統合参謀本部]

敵役部隊はSNSにすぐ映像を上げ印象操作
都市制圧に無差別都市攻撃を行う敵部隊を想定
1350名の敵役部隊が4500名の精鋭訓練部隊を鍛える

National Training Center.jpg4月17日付Military.com記事は、米陸軍が加州の「National Training Center」でウクライナの教訓を生かした6000名規模の演習を実施している様子を取り上げ、敵側がSNSへの迅速な画像映像投稿で印象操作を行ったり、初期段階で侵略計画が破綻した敵側が無差別都市攻撃に出る想定の訓練を紹介しています

Christine Wormuth陸軍長官が2日間に渡って同訓練センターを視察し、「国防省等で将来戦について過去約5年間議論してきたが、今まさにウクライナで生起している事象から米陸軍は必死に学んでいる」、「世界中が目撃しているSNSなど情報ドメインの重要性(ロシア側とゼレンスキー大統領の毎日の発信などを例示)」や「装備近代化方向へのフィードバックの必要性」に言及しています

National Training4.jpg同記事は、米陸軍精鋭部隊4500名が2週間に渡り訓練する様子を紹介していますが、その後はすぐに別の部隊が入れ替わりで訓練センターを訪れ、ロシア語を使用する敵役の1350名規模部隊と、更に新たな戦訓を取り入れた演習を行うことになっているようです。

予算案の議会審議のタイミングでもあり、米陸軍による国民や議会向けアピールの入った対外情報発信の一環でしょうが、6000名規模の演習には長期間の準備が必要であり、記事からはロシアや北朝鮮を意識した寒冷地訓練を実施しているとの記載もあり、興味深いのでご紹介してきます

4月17日付Military.com記事によれば
National Training6.jpg●同訓練センター司令官Curt Taylor准将は、同訓練センタースタッフはロシア軍の教科書を擦り切れるほど読み込み、米軍兵士がロシア軍などと戦っても勝利できるよう日々努力していると語り、情勢に応じて迅速にカリキュラムを変更すると説明した
●例えば、同訓練センターやルイジアナ州にある訓練センターでは、イラクやアフガンでの活動が盛んな時は対テロ重視にシフトし、米軍の焦点変化に伴い、ロシアや北朝鮮を意識して寒冷地での行動訓練にも焦点をあて、ウクライナの緊張が高まるといち早く様々な新たな想定を訓練に取り入れている

National Training7.jpg●現在は第1騎兵師団の4500名が訓練部隊で、対抗部隊を同センター所属の第11機甲化騎兵連隊Blackhorseなど1350名が演じている。しかし対抗部隊は実際の敵がやりそうなことは全て展示可能で、通信妨害、電子妨害から非正規作戦やプロパガンダ作戦まであらゆる手法を駆使して敵を演じ、スマホ片手に利用可能な場面や映像を素早くSNS上にアップする体制でも臨んでいる
●訓練部隊指揮官の一人である大佐は、演習では敵味方とも多数の無人機を偵察&攻撃用に使用しており、上空の無人機から発見されないように部隊を隠すことに神経を使うと語り、その他さまざまなトラブルが発生する前線でSNSやツイッターを気にする余裕はないと語っている

National Training2.jpg●Taylor訓練センター司令官は、現在のウクライナの情勢を踏まえ、無差別に火砲を発射して社会インフラを破壊する敵を相手の都市戦闘シナリオを米軍訓練に提供しており、どのような状況にあっても、味方の他部隊と連携を図って行動する重要性を強調していると説明している
●Wormuth陸軍長官は別の視点で、例えば戦車の今後を考える際、欧州では地盤が柔らかく、中東で必要だった重戦車ではなく軽戦車が重宝しており、戦車に求める機動性や防御力や破壊力をどの程度にするかなどの論点も明らかになっている、と同センター視察時に語っている
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National Training5.jpg中東想定の対テロ作戦重視からロシアや北朝鮮想定の寒冷地作戦重視に移行し、今度は都市に無差別攻撃を行う敵を想定しての訓練を重視する・・・・そんなに次々と重視項目を変えられるのか???とも思いますが、実際にロシア軍を演じてみて疑問点を明らかにし、ウクライナ前線での情報活動に生かすのかもしれません

2014年当時の高度なハイブリッド戦を想定していたら、20世紀を想起させる地上戦が目の前で繰り広げらる様子に、米軍も興味津々なのでしょう。ロシア側の部隊通信も筒抜けで、驚くほどロシア軍の混乱ぶりや戦いぶりが把握されているのかもしれません。分析ネタがありすぎて困惑・・・ぐらいなのかもしれませんねぇ・・・

ウクライナ侵略に関する記事
「ウクライナ新緑は日本への警告だ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-25
「露空軍に対する米空軍幹部や専門家の見方」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-16
「中国への影響は?CIAやDIAが」→https://holylandtokyo.com/2022/03/14/2826/
「なぜイスラエルが仲介に?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-08
「ウ軍のトルコ製無人攻撃機20機が活躍」→https://holylandtokyo.com/2022/03/05/2787/
「ロシア兵捕虜への「両親作戦」」→https://holylandtokyo.com/2022/03/03/2776/
「欧州諸国からウクライナへの武器提供」→https://holylandtokyo.com/2022/03/02/2772/
「ウ軍のレジスタンス戦は功を奏するか?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/28/2763/

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ウ国への軍事支援輸送を支えるECCUをご紹介 [安全保障全般]

ドイツのStuttgartに米欧州コマンドがECCUを設置
ウ国要員も交え約50名規模で24時間支援輸送を采配
ウクライナ国内の輸送網は強靭で効率的

ECCU5.jpg4月29日付米空軍協会web記事が、西側諸国からウクライナへの軍事物資支援輸送をコントロールするドイツのシュツットガルトStuttgartに設置された24時間運用態勢の「米軍欧州コマンド運用センター:ECCU:EUCOM Control Center Ukraine」の様子を紹介しています

ECCU7.jpgロシア侵略に対抗するウクライナを支える重要拠点ながら、これまで報じられることがなかったECCUですが、4月26日にオースチン国防長官とブリンケン国務長官がドイツ訪問して開催された「ウクライナ支援国協議:Ukraine Defense Consultative Workshop」の取材報道陣に対し、ECCU活動紹介ブリーフィングが行われた模様です

ウクライナへの支援は米国やNATO諸国を中心に増えていますが、一方で提供された装備等が本当にウクライナ東部前線に届いているのか?、混乱に乗じて「横流し」されていたりしないのか?、等の疑念の声もSNS]上では見られますが、記事によればウクライナ内の輸送網は多様な形で強靭に維持&再編成されており、外から心配する以上にしっかり機能していると記事は報じています

同記事が紹介するECCUの概要など
ECCU2.jpg●ウクライナへの迅速な軍事装備提供や支援物資輸送を調整するシュツットガルトStuttgart に設置されたECCUは、物流を支えるコールセンターと輸送状況監視センターと各種調整用会議室を組み合わせた施設である
●米海軍少将(欧州米軍J-4)をトップとするECCUには、24時間体制で支援国15か国からのスタッフが常時40-60名が勤務しているが、ウクライナからも数名が加わっている。英軍が准将をトップに運用するIDCC(International Donor Coordination Center)とも緊密に連携しつつ、全ての物流の計画、任務配分、指示、輸送状況モニター、不足事態等への対処を行っている

ECCU.jpg●ECCUは米輸送コマンドと緊密に連携を取り、米国からの物資はC-17輸送機で独Ramstein飛行場に空輸され、その後小型のC-130に積み替えられウクライナ周辺国のウクライナ国境近辺飛行場に空輸される。C-17輸送は当初2日に1回だったが、今やウクライナの要請に迅速対応するため1日10回にまで増加している
●C-130によるウクライナ周辺国への空輸後は、トラックや鉄道網でウクライナ前線へ物資が輸送されていく。当初ECCUは空輸調整中心だったが、地上や鉄道輸送など多様なルートに調整範囲が急速に拡大している。物資が一端ウクライナ国内に入ると、ウクライナは多様な前線への補給ルートを確保しており、困難な情勢下でも極めて効率的な輸送路確保の働きを見せている

ECCU6.jpg●米国防長官と国務長官がキエフに鉄道で移動したことを見たロシアが、ウクライナ鉄道網への攻撃を強化しているが、米国防省高官によれば鉄道網への影響は限定的な模様である。ウクライナへの支援ルートは、ポーランド経由を中心に、ルーマニア、スロバキアなどを経ているが、西側支援物資がどの国をどの程度経由しているかは公開されていない
●ECCU関係者は当初、支援物資が「横流し」されたり、行方不明になる等を危惧していたが、物資の管理や防護は混乱の中でも期待以上にしっかりしており、前線へ確実に輸送されている

155mm Howitzer.jpg●今後はより野戦砲など長射程の攻撃兵器が重視され、携帯型SAMスティンガー等は優先度が下がる方向にあり、ECCUは大型の野戦砲(72門の155mm Howitzerや砲弾)や装甲戦闘車両の輸送に取り組んでいる。多少到着が遅れるかもしれないが、提供した長射程砲が近くロシア側を攻撃開始するだろうとECCU関係者は楽観的である
●輸送支援関係高官は「ロシア軍のパフォーマンスがひどくても、ロシア軍の保有戦力は多量で余剰があり、ウクライナには引き続き我々の支援物資が必要だ」、「防御兵器から長射程攻撃兵器にニーズの変化があるように、今後も先を見越した柔軟な対応がECCUには求められる」と語っている
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バイデン大統領が4月28日に、追加で4兆円近いウクライナ支援パッケージを発表したこともあり、米国からの支援物資がウクライナ前線にしっかり提供され有効活用されていることをアピールするため、ECCU活動ブリーフィングが実施されたのかもしれません

ECCU4.jpgでも、ウクライナが前線の戦いだけでなく、兵站補給路確保と管理においても、国家として極めてしっかり取り組んでいることに疑いはなさそうです。

ロシアのウクライナ侵攻を契機に、国防に関心の薄かった日本国民の間にも、安全保障に関する常識的な危機感や国防への認識が共有されればよいと思います。同時に、左寄りの皆さんの「お花畑思考」の問題点が、自然な形で国民に認識されればよいと思います

ウクライナ関連の記事
「ウ国を守ったSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「スティンガーの後継検討」→https://holylandtokyo.com/2022/04/14/3123/
「米空軍幹部と専門家がロシア空軍について語る」→https://holylandtokyo.com/2022/03/17/2929/
「ウクライナ侵略は日本への警告」→https://holylandtokyo.com/2022/03/28/2949/
「ウクライナのサイバー戦」→https://holylandtokyo.com/2022/03/23/2942/
「台湾への教訓」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
「台湾への影響PACOM・CIA・DIAトップが」→https://holylandtokyo.com/2022/03/14/2826/
「なぜイスラエルが仲介に?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-08
「ウ軍のトルコ製無人攻撃機20機が活躍」→https://holylandtokyo.com/2022/03/05/2787/
「ロシア兵捕虜への「両親作戦」」→https://holylandtokyo.com/2022/03/03/2776/
「欧州諸国からウクライナへの武器提供」→https://holylandtokyo.com/2022/03/02/2772/
「ウ軍のレジスタンス戦は功を奏するか?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/28/2763/
「ウ紛争の最初の一撃は宇宙で!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-17
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-08

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豪州KC-30A給油機と空自F-2の給油適合試験完了 [安全保障全般]

KC-30Aは世界ベストセラー給油機A330MRTTのことです
8月からの「Pitch Black 22」演習への参加準備完了

F-2 KC-30A.jpg4月29日、豪州空軍は日本に派遣していたKC-30A空中給油機(A330型MRTTのこと)による、空自F-2への3週間にわたる空中給油適合性確認試験が終了したと発表しました。

この適合試験は、8月から9月にかけ北部豪州で実施される「Exercise Pitch Black 22」に空自機が参加するために必要な準備の一環で、3月28日に小牧基地に展開した豪空軍KC-30Aが、4月4日から27日にかけ、空自F-2機に計9回のフライトで空中給油を行うことで実施されました

F-2 KC-30A 2.jpg参加したF-2はA型とB型各2機で、日本海と太平洋上の訓練空域で試験は実施された模様です。KC-30はブームシステム(ARBS)と3Dディスプレイシステムを活用し、日中・夕暮れ・夜間の様々な条件下で給油試験が行われ、F-2側も様々な搭載形態(最大兵装は4発の対艦ミサイルとAAM-3空対空ミサイル搭載)で適合性を確認したとのことです

空自機は2020年の「Pitch Black」演習に初参加を目指していましたが、コロナの影響で他の参加予定国(米国、カナダ、フランス、ドイツ、ニュージーランド、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア、韓国)との演習機会を逃していましたが、今回は満を持しての準備完了です

自衛隊と豪軍は、最近のトンガ火山爆発への災害対処&人道支援任務や、「Cope North in Guam」演習, 更に2019年に日本で行われた「Bushido Guardian」演習などを通じて関係を強化しています

豪空軍のDarren Goldie准将は本試験の意義について
F-2 KC-30A 4.jpg●今回の適合試験の成功は、日本の飛行開発実験団と豪空軍ARDU(Aircraft Research and Development Unit)の2年間に及ぶ周到な準備の賜物である
●この試験プログラムの成功により、8月から9月に開催される「Exercise Pitch Black 22」への空自機の参加が可能になる

F-2 KC-30A 5.jpg●初の豪給油機から空自機への空中給油及び適合試験終了は、豪日間の相互運用性を飛躍的に向上させるものであり、両国による作戦協力の高度化と複雑化を可能にすることを意味する
●そして更に、このような豪日の取り組みを通じ、我々は安全で包括的に強靭なインド太平洋地域を更に推進強化し続けることが可能になる
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日豪の関係強化面からの意義はもちろん大きいのですが、世界のベストセラー空中給油機であるKC-30A(A330型MRTTのこと)から、F-2だけでも空中受油可能になったことの重要性も忘れてはなりません。

KC-30A F-2 6.jpgKC-30A(A330型MRTTのこと)は、日米イスラエルだけが使用するKC-46より遥かに普及が進んでおり、自動給油システムなども成熟しています

●導入国がKC-46より多い
--- A330 MRTTは、豪州空軍が初導入後、英、サウジ、UAE、仏、シンガポール、韓国など13か国49機が運用中。25万飛行時間で6万回の空中給油実績実績
--- 更に、米軍機で空中給油認可済は10機種以上で、戦闘機ではF-35、F-22、F-16、F-15、A-10、爆撃機ではB-1、輸送機・哨戒機ではC-17、E-3、P-3及びP-8A対潜哨戒機、そのほかE-7にも給油可能
--- ベースとなるA330は世界で1600機以上使用され、部品調達など機体維持上の問題もない

KC-30A F-2 7.jpg●使用可能飛行場が3割増
--- 翼がKC-46より大きく揚力が大きいため、アジア太平洋地域で利用できる飛行場が3割増(現在150が196に増加)になる

●3か国が導入決定の自動給油装置アリ
--- 「fly-by-wire boom system」で全自動装置を試験中(既に330回給油試験済で今年中に昼間運用認証予定、夜間認証は2023年)
--- 高解像度高精彩3Dの画像システムを使用し、処理速度や反応速度が速い

KC-30A(A330型MRTTのこと)関連の記事
「A330型MRTT解説とLMXT」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-20

米空軍が空中給油機整備方針を大転換
「大転換:KC-YとZはKC-46の改修型へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-04-17

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空軍長官:次期制空機NGADは1機が数百億円 [米空軍]

「multiple hundreds of millions of dollars」と表現
ちなみに米国価格でF-35は約98億円
次期制空関連システム全体で無人機も維持可能なコストに収めると

Kendall SASC.jpg4月27日、Kendall空軍長官が下院軍事委員会で証言し、極秘裏に開発中でデモ機が2020年夏には初飛行を行っている次世代制空機NGADについて、価格は数百億円(multiple hundreds of millions of dollars)になると数字に初めて言及しました

F-22が退役開始する2030年頃を目途に導入されるイメージの次期制空機NGADですが、「(対中国を意識して)航続距離や搭載量確保が重要」「高価格になるが必要」とのボンヤリ発言が米空軍幹部から最近聞かれるようになった一方で、具体的な性能や機数等については具体的な話は出ていません

Brown3.jpg2021年初からBrown参謀総長の指示で始まった「TacAir Study:戦闘機構成の検討」も「8年ぐらい時間をかけて」かつ結果は非公表予定で、Kendall長官も27日には「Brown参謀総長の「4+1構想」に引き続きコミットしている。F-35, F-15EX, F-16, F-22 (NGAD導入まで)。+1はA-10だ」と述べるのみで情報管理が引き続き厳格ですが、価格への米議会や世論の驚きや反発を予期して段階的な「ガス抜き」が始まったと理解してよいでしょう

また同日には、今後5年間の米空軍の航空機数削減計画を含む予算案補足説明文書「J-Books」が米議員に提供された様で、4月7日に共和党Fischer上院議員が軍事委員会で言及した「1468機退役、467機新規導入で、差し引き1001機の機数削減」ではなく、「646機退役、246機新規導入で、差し引き400機の機数削減」が計画であることが判明しています

F-15EX 4.jpg今後5年間で「差し引き1001機削減」だと暴露された時も、最終的に「差し引き400機削減」が明らかになった当日も、議会で米空軍幹部は「J-Booksに示される(示された)通り。将来のために必要な資源配分を検討した結果」と述べるだけで、この数字の変化については何も説明していません。

ただ「J-Books」にはF-15EXの総調達機数削減計画が記載されているようで、従来144機調達予定だったものを計80機にまで削減するようです。

F-15EX Eglin2.JPG一方で、2023年予算案では22年の2倍の24機同機を調達する計画になっており、米空軍幹部は「核抑止力近代化等への資源配分もあり、予算制限から総調達機数を削減せざるを得ないが、搭載可能兵器量も多く5世代機レベル装備も多数搭載した優秀な機体なので、可能な範囲で早期導入する」と説明しています

以下では、Kendall長官の27日の下院軍事委員会におけるNGAD価格発言関連部分をご紹介します

27日付米空軍協会web記事によれば
NGAD6.jpg●この数字は米議会の皆さんや世間の関心を集めると思うが、次世代制空システムを構成する次世代制空機NGAD(Next Generation Air Dominance)は、1機あたり数百億円(multiple hundreds of millions of dollars)になる見通しだ
●調達中のF-35や戦闘機クラスで最も高価だったF-22を超える価格になるが、NGADは将来制空の鍵となるアセットである。私が以前かかわったF-22も高価で話題となったが、その後数十年空の支配に大きく貢献した。NGADも同じである

●NGADは高価な機体となる見込みだが、F-35の教訓を生かし、NGADを効率的な能力向上が可能で、維持費を抑える仕組みを組み込んだものとすることに私は楽観的である。

NGAD8.jpg●次期制空システム全体を構成するアセット群には、高価でない無人システムも組み込んでセンサーや兵器等として活用する方向であり、リスクの高い任務に空軍兵士の命を懸けるリスクを減らすことができ、損耗が打撃とならない安価な手法で任務達成を目指すことができる
●NGADのような高価なアセットに並行して、損耗が受け入れ可能な安価なアセットをシステム群に組み込むことで、「よりaffordableな」空軍戦力構成を目指す必要があると認識している
/////////////////////////////////////

NGAD7.jpg1機数百億円するNGADは、「秘密の塊」なのでF-22のように海外には売り出さないのか、同盟国にごり押し売り込みをするのか不明ですが、F-35の調達予定機数(1763機)をどこまで削減するのかと合わせ、注目していきたいと思います

それにしても、2020年9月以前に初飛行をデモ機で行っていると米空軍が公表しているNGADに関し、写真1枚出回らないのは立派です。・・・というか、この時代に不思議です。

NGAD関連記事
「NGADの無人随伴機開発は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-20
「NGADに発言相次ぐ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-27
「戦闘機族ボスが少し語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-07
「戦闘機族ボスがNGADへの危機感」→https://holylandtokyo.com/2021/03/05/154/
「SCIF使用困難で戦闘機開発危機」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-12
「次期制空機のデモ機を既に初飛行済」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16

戦闘機構成検討TacAir study関連
「近未来の戦闘機構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-16
「戦闘機は7機種から4機種へ」→https://holylandtokyo.com/2021/05/18/1496/
「戦闘機混合比や5世代マイナス機検討」→https://holylandtokyo.com/2021/02/22/266/

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その3:米空軍改善提案コンテスト最終候補 [米空軍]

軍曹2名の提案が国防省全体を巻き込むインパクト
空軍士官候補生1名による提案にもご注目

Project FoX3.JPG3月4日に開催された毎年恒例「米空軍改善提案コンテスト:Spark Tank competition」でプレゼンされた最終候補6件をご紹介するシリーズの第3弾で最終回。

米空軍の前線部隊で勤務する中堅クラスをリーダとして提案される改善提案から、米軍部隊が直面する課題やそれに立ち向かう動きや考え方を知ることで、米軍の今を考えます

本日ご紹介するのは、前線部隊の軍曹2名がチームリーダーの「不便な展開地での燃料と水輸送負担の軽減アイディア」と、士官候補生1名による提案「無人機を輸送機で空中けん引して航続距離拡大」です。

軍曹2名のチームのアイディアはシンプルですが、その基本コンセプトがDARPAや各所を巻き込み大きなプロジェクトになろうとしているとの興味深い事例です

辺鄙な前線部隊での燃料と水輸送負担を軽減する提案

Project Arcwater.jpg●Brent Kenney上級軍曹とMatthew Connelly2等軍曹(ドイツ第52戦闘航空団)がチーム長の「Project Arcwater」
●米空軍では本格紛争に備え、戦力を分散運用するACE構想を推進しているが、分散展開先への装備品、燃料、水、食料等の輸送備蓄が大きな問題。どれも削減不能な要素であるが、特に燃料と水の輸送所用が大きく課題となっている

●「Project Arcwater」のアイディアは極めてシンプルな改革案。まず高性能の太陽光発電パネルの導入(月の光でも発電が継続可能なレベル)、次に高性能な除湿器による前線での水確保(展開先の自然水と合わせて必要量確保)、そして前線部隊の規模に応じた小型発電機の導入による燃料消費量の削
●軍曹2名は市販品レベルで改善効果を試算し、高性能の除湿器で1日に100リットル以上が確保でき、自然水を合わせれば1日に1000リットル確保もそれほど困難でないと試算した。また部隊規模に応じた小型発電機導入で燃料消費量を1/15に削減可能と提案した

Project Arcwater2.jpg●この「コロンブスの卵」的提案は大きな反響を呼び、DARPAをはじめ多くの組織が協力を申し出たり独自検討を深化を進めている。軍曹2名は「Spark Tank」でのプレゼンで資金確保を求めているのではなく、この取り組みを米空軍や米軍のしかるべき組織のしかるべき士官の下で発展させる体制づくりを希望している


無人機を輸送機で空中けん引して行動範囲拡大
 
空軍士官候補生1名による提案
WW2当時のけん引輸送グライダーにヒントを得て
価値特許も申請中

Aerial Tow Rehookup.jpg●空軍士官学校のGrant Schlichting候補生単独での提案「Aerial Tow Rehookup—Novel Range Extension」
●無人機の用途拡大が様々に検討される中、その行動範囲の拡大は重要な課題だが、現在の空中給油は複雑な作戦運用や計画が必要であり、1回の給油量も2000ポンド程度に限定される

●そこで、飛行中の輸送機から伸ばしたけん引ロープの先に取り付け、無人機がロープと結合できるフック「Aerial Tow Rehookup」の制作を思いついた。空軍士官学校の風洞や研究施設を利用して2年間をかけて開発し、仮特許も申請している
Aerial Tow Rehookup2.jpg●同候補生は更なる半年間の研究と試験実施のため、約1.4億円の資金提供を求めている。ただ申請が認められなくても、彼は米空軍の開発拠点の一つであるエドワーズ空軍基地で同フックの開発と試験を続け、その後に卒業後はパイロットコースに進みたいと考えている

●なお、「Spark Tank」の最終候補に士官候補生が残るのは2019年以来で、その際は気象予報を支援するソフト開発を提案していた
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これまで2022年「米空軍改善提案コンテスト:Spark Tank competition」でプレゼンされた最終候補6件をご紹介してきましたが、無人機や3DプリンターやGameやスマホアプリ開発技術など、民生技術を軍事の世界に取り込んで有効に活用する提案が評価されています

Spark Tank.jpgカーター国防長官時代から、国防省主導で民間スタートアップ企業の技術を軍事利用する試みが始まっていますが、民間組織の管理や対象の見極めが難しく、なかなかうまくいっていない中、草の根の提案が組織を活性化させることを期待したいと思います

でも個人的には、本日ご紹介した軍曹2名の「Project Arcwater」に魅力を感じます。兵站支援分野の細かな効率性は、前線で汗を流す兵士しか肌間隔でつかんでおらず、そんな中から生まれた提案が「コロンブスの卵」とは痛快です

なお3月4日の発表会では、外部有識者による審査チームが「Project Arcwater」を最優秀提案に選出したようです。

どの提案の紹介も十分ではなく、読者の皆様も消化不良気味かもしれませんが、細部については「https://www.afwerx.af.mil/spark-tank.html.」をご覧ください

米空軍改善コンテスト最終候補6件をご紹介
「無人機で血液輸送&操縦者酸素マスク改善を3Dで」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-25
「Gameでリーダー教育&戦闘機ソフトをスマホ手法で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-26

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その2:米空軍改善提案コンテスト最終候補 [米空軍]

米空軍の教育に「Game」を
Gameと呼ぶな、「Simulators」だ

Spark Tank 2.jpg3月4日に開催された毎年恒例の「米空軍改善提案コンテスト:Spark Tank competition」に進出した最終候補6件をご紹介するシリーズの第2弾。

米空軍の前線部隊で勤務する中堅クラスをリーダとして提案される改善提案から、米軍部隊が直面する課題やそれに立ち向かう動きを考え方を知ることで、米軍の今を考えます

本日ご紹介するのは、「Gameを使用して意思疎通、リーダーシップ、チームワーク、意思決定を学ぶ」提案と、「スマホアプリ開発の手法で戦闘機ソフト開発&改修を」です。

Gameでリーダーシップを学ぶGame「DAGGER」

DAGGER.jpg●米空軍大学のMatthew Correia氏をリーダーとするチームによる提案
●パイロット教育に「Simulators」教育は不可欠な要素となっているが、基本的には若者に人気の「Game」であり、他の米空軍の技能習得にも応用できるはずである

●最近米空軍が「新たなリーダーシップに求められる資質:new Airman Leadership Qualities」を導入したことを受け、この普及教育用の「Simulators」として、ロールプライングGameを使用することを思いついた
●米空軍大学では、課程を履修した者誰もが忘れられない「一連の障害物コースを仲間と共に協力し、リーダーシップを発揮して乗り越える科目」が組み込まれているが、これをGameで提供する手法に取り組んでいる

Spark Tank.jpg●この「DAGGER」と名付けたGameは、ネット環境があればどこからでも利用でき、世界各国の様々な赴任場所にいる同僚とチームを組んで学びの場に参加できる
●意思疎通、リーダーシップ、チームワーク、意思決定、人材管理、イノベーションを学ぶプログラムであるが、様々な応用分野が考えられる

戦闘機ソフト開発をスマホのアプリ感覚で迅速柔軟に

Project FoX.jpg●第412試験航空団Allen Black少佐がチーム長の「Project FoX」
●スマホのアプリ開発が世界中で同時並行的に複数の開発者によって行われている形を、戦闘機用ソフト開発でも実現したい

●ソフト開発がオープンアーキテクチャー化改修されたF-22を手始めに、戦闘機用コードを一般の商用コードに変換する情報保証されたタブレットを使用し、戦闘機用ソフトを改良&新規作成し、他機種とも共有する
●手始めに3月には、F-35が使用している地対空ミサイルを回避するソフトをタブレットでアレンジし、F-22でも使用できるようにする

Project FoX3.JPG●従来の時間のかかる複雑な試験サイクルを簡素化し、様々な開発者のアイディアを迅速に取り込める。我がチームは約1億3000万円の初期資金を得られれば、まず第5世代戦闘機にこの仕組みを導入したい
●このソフト開発&改修の迅速化手法は、無人ウイングマン構想のソフト開発にも一部企業が導入しており、サイバー戦やAI活用にもつながるものである
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ご紹介した2つの提案は、もう少し具体的な中身がわからないとコメントが難しいところですが、一般社会で存在感のある「Game」や「アプリ」の考え方を、米空軍で利用しようとの挑戦です

このレベルの提案が前線の部隊から出てくるところがうらやましいです

どの提案の紹介も十分ではなく、読者の皆様も消化不良気味かもしれませんが、細部については → https://www.afwerx.af.mil/spark-tank.html. をご覧ください

その1:米空軍改善コンテスト最終候補ご紹介
「無人機で血液輸送&操縦者酸素マスク改善を3Dで」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-25

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その1 米空軍改善提案コンテスト最終候補 [米空軍]

Spark Tank competitionの最終候補をご紹介

Spark Tank.jpg3月4日に米空軍協会戦闘シンポジウム(フロリダ州で開催)の会場で、米空軍の前線部隊から提出された各種改善提案の発表会が開催され、最終候補に残った6つの提案がプレゼンを行いました。

毎年開催の米空軍省主催「Spark Tank competition」との改善提案コンテストが、優秀提案に予算をつけたりするのかは不明ですが、米空軍協会web記事が最終候補を取り上げ紹介していますので、GW中に3回に分けてご紹介することとし、本日は2つの最終候補をご紹介いたします

なお、どの提案が最優秀に選ばれたかについては、「その3」の記事の中でご紹介いたします

Spark Tank 2.jpg1つは「輸血用血液の最前線への最終輸送手段に無人機を」との提案で、もう一つは「操縦者の低酸素症の原因と関係がある酸素マスクのフィット感を改善するシリコン詰め物を3Dプリンターで」との提案です。

いずれも少佐が提案チーム長を務める草の根の提案で、米空軍前線部隊のニーズや部隊のニーズを体現したもので、部隊の現実を知る機会なので取り上げます

輸血用血液の最前線への最終輸送手段に無人機を
 
Blood UAV.jpg●ネリス空軍基地第99医療支援隊の提案:提案チーム長はGiselle Rieschick少佐
●前線での負傷者等に輸血用の血液を緊急輸送する必要が生じた場合、地上に脅威がある場合、乗員6名のUH-60ヘリを輸送手段にすることになるが、搭乗員の命をリスク下に置き、種々の手続きが極めて複雑で煩雑になる。かつてヘリで20分の輸送を対空脅威から断念した経験が今回の提案の背景にある

Blood UAV3.jpg●この課題を解決するため、約50㎏の専用ボックスを搭載し、40マイル以上飛行可能な無人機2機の導入と、通信覆域拡大のためピックアップトラックに搭載可能な通信タワーを約5500万円で導入することを提案する
●「輸血用血液の緊急輸送ニーズ」は米空軍前線部隊だけでなく、陸軍部隊でも、海軍艦艇部隊が沿岸地域から地上部隊を支援する場合にも使用でき、統合レベルでも多様なニーズがあるはずであり、血液以外にも多様な応用が可能である


3Dプリンターで操縦者用酸素マスクのフィット改善シリコン挿入具を

MBU-20P.jpg●空軍士官学校で歯科医として勤務するGiselle Rieschick少佐を中心としたチーム提案
●操縦者の低酸素症が大きな問題となっているが、その要因の一つと考えられている問題に酸素マスクの不適合がある。多くの操縦者が酸素マスクと鼻の接点に不快感を感じ、中には酸素マスクを外して飛行しているパイロットも少なくないと言われている

●歯科医であるRieschick少佐は、歯の詰め物で歯の治療を行う際、10種類のタイプの詰め物の中から患者のあったタイプを選択し、微調整して治療に使用してきたが、操縦者の酸素マスクMBU-20/Pには5種類のタイプしかなく、パイロットは各顔の形状に合わせた微調整もせず使用している状況に驚いた
Oxygen Mask.jpg●例えばF-35操縦者用のHUDヘルメットは4500万円もするというのに、安全に直結する酸素マスクに顔形状にあった選択肢がない状況改善に、歯科医の世界では広く普及し始めていたスマホ撮影の顔写真と3Dプリンターの組み合わせを応用し、酸素マスクのフィッティングを改善する安価なシリコン製挿入具の開発を提案した

●周辺の操縦者にこのアイディアを話すると大きな支持が得られたが、実用化には膨大なデータの蓄積や試験が必要であり、支援を得るため提案コンテストに応募した
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今日ご紹介した「改善提案コンテスト」については、他の4件の最終候補も順次ご紹介します

どの提案の紹介も十分ではなく、読者の皆様も消化不良気味かもしれませんが、細部については → https://www.afwerx.af.mil/spark-tank.html. をご覧ください

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