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遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判 [Joint・統合参謀本部]

厳しい予算状況の中、重複は避けるべき
他軍種はその必要性を自ら証明せよ・・と厳しく!

Wilson3.jpg20日、米空軍協会ミッチェル研究所からの遠隔インビューに臨んだ米空軍副参謀総長Stephen Wilson大将が、今後の米空軍の重点施策について語る中で、コロナ対策で国防予算が削減されそうな中にあって、これまで米空軍が担ってきた遠方攻撃能力に、他軍種が乗り出そうとする状況に苦言を呈し、「重複を避けるべき」「軍種の特徴に応じた力を発揮すべき」と述べて陸海海兵隊をけん制しました

この発言は、中国が各種弾道ミサイルや対艦ミサイルを整備し、そのA2AD領域を第2列島線にまで拡大しようとしている中で、米陸軍が「射程1000nmの砲」開発を開始し、海軍海兵隊が2021年度予算案で「地上や艦艇発射型トマホーク」や「Naval Strike Missileの車両搭載版」導入を柱にすえるなど、長射程攻撃能力の強化投資が米軍内各軍種で同時並行的に進めていることを懸念した発言です

Goldfein8.jpg同様の懸念をGoldfein空軍参謀総長も1日に表現し、その際は、多くの将来戦ウォーゲーム結果を引用し、長射程兵器(standoff missiles)と使い捨て無人機(attritable aircraft)で構成される「outside force」では勝利できないと説明し、最も厳しいシナリオでも勝利でるのは、長射程兵器と「inside force」などの従来兵器を組み合わせたハイブリッド戦力(hybrid force of both stand-off and stand-in systems)だけだと主張し

更に、「長射程兵器のみ戦力推奨派」に対し、そう主張したいのなら分析結果を示せ、国家防衛の責任を負うなら、言葉の勢いだけの主張ではなく、将来戦で勝利可能との証拠を示せと強く訴えていました

ただGoldfein大将は温厚な方なので、米陸軍と海軍が生き残りのため、米空軍の任務や役割を「密漁」しようとしていると空軍内の声に対しては、つまらない考え方だと述べ他軍種の動きを妨げるつもりは毛頭ないと言葉を足してインタビューに応じていました

今回の副参謀総長(B-1とB-52操縦者)は少し表現が強いような気もしますがコロナ対策で国家予算の組み換え議論が米政府内で本格化し、空軍予算削減の話が出ているのかもしれません。B-21新型爆撃機の調達機数を、現在の100機程度から170機以上に大幅増強したいとの思惑を米空軍はかねてから持っており、これを妨げるものは許さないとの思いかもしれません

20日付米空軍協会web記事によれば副参謀総長は
Wilson.jpgコロナウイルス対策のために、国防予算の持ち直し傾向が停止する可能性があるが、これを契機に現在の兵員数でより多くの任務に対応できるよう、現在進めている人工知能AIや機械学習アルゴリズムの活用を加速すべきであろう
米空軍内からも意見が出ているが、他軍種が不必要に遠方攻撃能力のような米空軍能力と重複する分野への予算配分を追求していることに関し、限られた予算を細かく分割するようなことになりそうで懸念している

我々は重複部分を削り、他軍種の持つ力や何で貢献すべきかを彼らに示す必要がある
米空軍は、今年中くらいには爆撃機部隊の拡充に関する計画を打ち出すことになるが、他軍種も彼らの遠方攻撃能力の必要性を正当化できるように証明しなければならない

次の空軍参謀総長候補であるBrown太平洋空軍司令官も最近、国防省と米軍全体で「roles and missions:役割と任務」について見直し、重複部分を切り落とす良いタイミングだと話している
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公開web対談の映像


Goldfein空軍参謀総長が多数のシミュレーションやウォーゲーム等の結果を根拠に語っていたように、米空軍はその主張に相当の自信を持っているようですが、それなら後援団体での講演で語るのではなく、国防省や統合参謀本部の他軍種がいる場で主張して議論してほしいと思います

B-21 bomber.jpg統合の作戦指揮統制管理システムであるABMSや超超音速兵器開発では、国防省も巻き込んで4軍のまとまりが維持できているように思いますが、「遠方攻撃:long-range strike」に関しては、他軍種も存亡をかけた戦いと認識しているのかもしれません・・

しかしです、最近の日本のTwitter等のSNSじゃないですが、米軍内の足並みの乱れを見た中国やロシアが、その隙間にくさびを打ち込むような「情報工作」を仕掛けてきますよ・・・と注意喚起申し上げたいです

「米空軍トップがチクリ批判・誰の任務か?」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02

遠方攻撃に傾く米軍地上部隊
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「射程1000㎞の砲を真剣検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
「中国対処に海兵隊が戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

「再びハリス司令官が陸軍に要請」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「尖閣防衛に地対艦ミサイル開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-14
「ハリス大将も南シナ海で期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06

「海洋プレッシャー戦略に唖然」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-13
「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12
「CSBA:米陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

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https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

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