米陸軍が射程1000マイル砲開発に慎重姿勢 [Joint・統合参謀本部]
国家科学アカデミーの実行可能性評価を待つとか
担当准将は国防省内の戦略レベル検討もあり慎重に検討と
当初計画の2023年プロトタイプ試験は難しく
米陸軍で射程1000nm(1800㎞以上)を目指す「Long-Range Precision Fires (LRPF)」又は「Strategic Long-Range Cannon」計画を担当する准将がDefense-Newsに、計画スタート時にはなかった様々な戦略レベルでの検討が国防省で行われていること等を受け、同計画の今後については数か月後発表の国家科学アカデミーの実現可能性レポートを待って慎重に検討すると述べました
この計画は、対中国やロシアを念頭に、遠方から安価に攻撃できる能力を確保しようとの狙いで2018年中ごろから公になったものですが、何せ射程1000nm(1800㎞以上)とは「東京から上海までの距離」に相当し、そのスケールに驚く一方で、米空軍から米軍全体の資源配分を疑問視する声が上がっていたところです
担当のJohn Rafferty陸軍准将の話は、今取り掛かっている検討や試験はもちろん継続するが、装備品としての開発決定前に米議会が求めた国家科学アカデミー(National Academy of Sciences)の評価を見る必要があるとの超慎重な姿勢で、おまけに同計画開始当初とは戦略レベルの風向きが変化していると言及していることから、振り上げたこぶしの降ろしどころを探しているようにも聞こえます
予算的な制約なのか、軍事戦略的な話なのか、両方なのか記事からは判然としませんが、米陸軍による射程1000nm(1800㎞以上)砲開発は、早くも収束の方向に向かう気配です。邪推ですが・・・
9日付Defense-News記事によれば
●Rafferty陸軍准将はDefense-Newsに対し、LRPF計画は依然として米陸軍の科学技術分野で最優先事業であると述べつつも、陸軍として具体的な装備化や部隊配備を決定していないとし、当初予定されていた2023年にプトロタイプ試験を行う計画も現時点では困難だと語った
●そして米議会が2020年度予算法の中で指示し、数か月後に結果がまとまる国家科学アカデミーによる「実現可能性評価:feasibility review」をよく吟味し、そのデータや分析を米陸軍将来コマンドや米陸軍首脳と共に確認して前に進みたいと説明した
●また同准将は「同計画の具体化は大きく難しい決断であり、国家科学アカデミーという権威ある機関のレビューは米陸軍にとっても貴重な判断材料となる」と述べたが、
●一方で、「同計画を開始した当初にはなかった戦略レベルでの出来事が生起しており、例えば、国防省が開始した資源配分レビュー(some portfolio reviews)のようなものが考慮すべき変化だ」と言及した
●ただし同准将は、科学アカデミーの評価を待つだけでなく、同長距離砲開発で開始している種々の検討や開発を継続すると強調し、部分的ないくつかの能力デモを今年中に予定しているとも説明した
●また「コロナによる中断や、資金面での余裕から遅れている部分もある」、「既に契約済の事項では、2つの企業と飛翔体開発や輸送用コンテナなどに継続して取り組んでいる」と付け加えた
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以上の他にRafferty准将は、種々の検討や試験が初期段階にあることを伺わせる抽象的な説明をしていますが、ご興味のある方は原文をご確認ください
同准将が言及した「国防省が開始した資源配分レビュー(some portfolio reviews)」が何を指すのかわかりませんが、国家としてコロナ対処や経済立て直しが最優先となるのは統合参謀本部議長も認めているところであり、米空軍の次期制空機NGAD関係者が危機感を持つように、いろんな方面で悲鳴が聞こえるようになるのでしょう
ただ、射程1000NM砲の今後については、米軍の戦術面での整理も関係あるような気がしますので、太平洋軍が要望している第一列島線上に射程500㎞以上の火砲を配備する構想も併せ、今後の動きに注目いたしましょう
米軍人トップ「現実を見よ、予算増加は見込めない!」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-03
太平洋軍が2027年までに約3兆円追加要望
第一列島線上に射程500㎞以上の火砲配置構想も
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-03
米陸軍が長長射程砲を開発:LRPF計画
「射程1000nmの砲開発の第一関門間近」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-15
「射程1000nmの砲を真剣検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
担当准将は国防省内の戦略レベル検討もあり慎重に検討と
当初計画の2023年プロトタイプ試験は難しく
米陸軍で射程1000nm(1800㎞以上)を目指す「Long-Range Precision Fires (LRPF)」又は「Strategic Long-Range Cannon」計画を担当する准将がDefense-Newsに、計画スタート時にはなかった様々な戦略レベルでの検討が国防省で行われていること等を受け、同計画の今後については数か月後発表の国家科学アカデミーの実現可能性レポートを待って慎重に検討すると述べました
この計画は、対中国やロシアを念頭に、遠方から安価に攻撃できる能力を確保しようとの狙いで2018年中ごろから公になったものですが、何せ射程1000nm(1800㎞以上)とは「東京から上海までの距離」に相当し、そのスケールに驚く一方で、米空軍から米軍全体の資源配分を疑問視する声が上がっていたところです
担当のJohn Rafferty陸軍准将の話は、今取り掛かっている検討や試験はもちろん継続するが、装備品としての開発決定前に米議会が求めた国家科学アカデミー(National Academy of Sciences)の評価を見る必要があるとの超慎重な姿勢で、おまけに同計画開始当初とは戦略レベルの風向きが変化していると言及していることから、振り上げたこぶしの降ろしどころを探しているようにも聞こえます
予算的な制約なのか、軍事戦略的な話なのか、両方なのか記事からは判然としませんが、米陸軍による射程1000nm(1800㎞以上)砲開発は、早くも収束の方向に向かう気配です。邪推ですが・・・
9日付Defense-News記事によれば
●Rafferty陸軍准将はDefense-Newsに対し、LRPF計画は依然として米陸軍の科学技術分野で最優先事業であると述べつつも、陸軍として具体的な装備化や部隊配備を決定していないとし、当初予定されていた2023年にプトロタイプ試験を行う計画も現時点では困難だと語った
●そして米議会が2020年度予算法の中で指示し、数か月後に結果がまとまる国家科学アカデミーによる「実現可能性評価:feasibility review」をよく吟味し、そのデータや分析を米陸軍将来コマンドや米陸軍首脳と共に確認して前に進みたいと説明した
●また同准将は「同計画の具体化は大きく難しい決断であり、国家科学アカデミーという権威ある機関のレビューは米陸軍にとっても貴重な判断材料となる」と述べたが、
●一方で、「同計画を開始した当初にはなかった戦略レベルでの出来事が生起しており、例えば、国防省が開始した資源配分レビュー(some portfolio reviews)のようなものが考慮すべき変化だ」と言及した
●ただし同准将は、科学アカデミーの評価を待つだけでなく、同長距離砲開発で開始している種々の検討や開発を継続すると強調し、部分的ないくつかの能力デモを今年中に予定しているとも説明した
●また「コロナによる中断や、資金面での余裕から遅れている部分もある」、「既に契約済の事項では、2つの企業と飛翔体開発や輸送用コンテナなどに継続して取り組んでいる」と付け加えた
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以上の他にRafferty准将は、種々の検討や試験が初期段階にあることを伺わせる抽象的な説明をしていますが、ご興味のある方は原文をご確認ください
同准将が言及した「国防省が開始した資源配分レビュー(some portfolio reviews)」が何を指すのかわかりませんが、国家としてコロナ対処や経済立て直しが最優先となるのは統合参謀本部議長も認めているところであり、米空軍の次期制空機NGAD関係者が危機感を持つように、いろんな方面で悲鳴が聞こえるようになるのでしょう
ただ、射程1000NM砲の今後については、米軍の戦術面での整理も関係あるような気がしますので、太平洋軍が要望している第一列島線上に射程500㎞以上の火砲を配備する構想も併せ、今後の動きに注目いたしましょう
米軍人トップ「現実を見よ、予算増加は見込めない!」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-03
太平洋軍が2027年までに約3兆円追加要望
第一列島線上に射程500㎞以上の火砲配置構想も
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-03
米陸軍が長長射程砲を開発:LRPF計画
「射程1000nmの砲開発の第一関門間近」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-15
「射程1000nmの砲を真剣検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
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