対中国作戦の米軍統合指揮官が交代 [Joint・統合参謀本部]
太平洋海軍司令官から Indo-Pacific コマンド司令官に
祖父・父も米海軍勤務の筋金入り
海軍操縦者ながら米空軍 F-15を操縦し実戦経験
5月3日、ハワイで太平洋軍司令官の交代式が実施され、オースチン国防長官が執行者として見守る中、前任者 John Aquilino 海軍大将(40年の軍生活を終え退役)から、直前まで太平洋海軍司令官を務めてきた Samuel J. Paparo Jr 海軍大将に、対中国作戦の指揮官任務が引き継がれました
Paparo 新司令官は式典訓示で、「中国の日増しに増長する拡大主義や浸潤性を目の当たりにし、わが太平洋軍は即応体制を維持する必要がある。今後を見据えるとき、統合戦力軍として、力と決意と自言をもって、この大きな責務に向き合わねばならない」と指揮官としての思いを語り、
「太平洋軍は同盟国等と共に、国際規範に基づく地域の平和を脅かす中国の問題行動に立ち向かい、この先の見えない試練に対し、過去 1世にわたり世界の安全保障と繁栄を支えてきた、安定して開かれた世界を維持しなければならない」と決意を新たにしています
以下では新司令官Paparo 海軍大将を改めてご紹介
●1964年生まれ。米海軍士官学校出身「ではない」空母艦載戦闘機パイロットで、F-14やFA-18や F-15Cで飛行時間6千時間以上・着艦 1100回以上の「Top Gun」スクール出身者。
●海軍操縦者ながら、視野拡大のため米空軍戦闘機部隊への交換操縦者として空軍F-15C部隊に配属され、サウジに展開して実任務を遂行した経験もあるほか、米空軍指揮幕僚大学 ACSCやAWC コースも履修し、空軍との人的つながりも太い
●横須賀配属空母のF-14 操縦者として勤務を開始し、飛行隊長や空母航空団司令官や空母戦闘群司令官を歴任し、中東担当の第5艦隊司令官も務め、米中央軍海軍と米太平洋軍海軍司令官(直近ポスト)を経験している
●統合職としては、米中央軍の作戦部長(J3)経験のほか、珍しい職歴として、アフガニスタンの「Nuristan Province」復興担当指揮官として、米陸軍第10山岳師団第3旅団や第173空挺旅団と共に活動した経歴アリ
2月1日に上院軍事委員会で証言し
●中国の軍事力強化を受け、米太平洋軍は「more forward, more distributed posture:より前方に、より分散した戦力配備態勢」に転換する必要がある
●また作戦運用を支えるため、「効率性 efficiency」原則で構築されてきた兵站態勢を、「効力効果 effectiveness」原則で再検討すべき
●統合戦闘力を発揮するうえで、ダイナミックな戦力機動展開が求められる航空作戦構想から、空中給油能力を念している。統合戦力として(空中給油のために)足の長い、無人の、multi-domain-platformsが、作戦機と輸送機用に必要だ
●また分散運用を支える地域全体への燃料供給も極めて重要だ。抑止面で、競争面で、危機紛争対処面で、米輸送コマンドとの「COCOM-to-COCOM relationship」が最も重要だ。2つのコマンドが常続的に顔を突き合わせるように作戦計画を煮詰め、有事に備えている
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なおPaparo 新司令官が訓示で、中国の度を越えた「侵略的かつ拡張主義的な主張や行動」を表すため、フィリピン軍参謀総長 Brawner 陸軍大将の表現を引用し、「従来のGray Zone との言葉より悪質との意を込め、Brawner 大将の提案する ICAD (illegal, coercive, aggressive and deceptive:違法で強制的で攻撃的で欺瞞的な)に改名する」と発言し、「これも我が同盟国やパートナーの知恵」と紹介したことが話題となっています
ご説明が遅れましたが、米太平洋軍司令官(U.S. Indo-Pacific Command 司令官)は、有事に太平洋軍配下の陸海空海兵隊宇宙軍や有事増強される他コマンドの全部隊を指揮下に置き、アジア太平洋地域での軍事作戦を、大統領直属の米軍指揮官として来配を振るうことになります
また、対中国有事に世界から駆け付ける可能性のある西側諸国軍を束ねて、、実質的な多国籍軍司令官として指揮する立場となる米軍人になります。 2月1日の上院軍事委員会での発言内容からも、アジア太平洋地域での軍事作戦に関する認識は確かなものが感じられる人物ですので、期待したいと思います
Samuel Paparo 海軍大将の公式経歴
祖父・父も米海軍勤務の筋金入りです
→ https://www.cpf.navy.mil/Leaders/Article/2628260/admiral-samuel-i-paparo/
Paparo 大将関連の記事
「議会承認に向け米上院で証言」→https://holylandtokyo.com/2024/02/14/5540/
「大統領は初の女性トップ指名」→https://holylandtokyo.com/2023/07/24/4888/
「Paparo 大将を国防長官が推薦報道」→https://holylandtokyo.com/2023/06/13/4747/
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祖父・父も米海軍勤務の筋金入り
海軍操縦者ながら米空軍 F-15を操縦し実戦経験
5月3日、ハワイで太平洋軍司令官の交代式が実施され、オースチン国防長官が執行者として見守る中、前任者 John Aquilino 海軍大将(40年の軍生活を終え退役)から、直前まで太平洋海軍司令官を務めてきた Samuel J. Paparo Jr 海軍大将に、対中国作戦の指揮官任務が引き継がれました
Paparo 新司令官は式典訓示で、「中国の日増しに増長する拡大主義や浸潤性を目の当たりにし、わが太平洋軍は即応体制を維持する必要がある。今後を見据えるとき、統合戦力軍として、力と決意と自言をもって、この大きな責務に向き合わねばならない」と指揮官としての思いを語り、
「太平洋軍は同盟国等と共に、国際規範に基づく地域の平和を脅かす中国の問題行動に立ち向かい、この先の見えない試練に対し、過去 1世にわたり世界の安全保障と繁栄を支えてきた、安定して開かれた世界を維持しなければならない」と決意を新たにしています
以下では新司令官Paparo 海軍大将を改めてご紹介
●1964年生まれ。米海軍士官学校出身「ではない」空母艦載戦闘機パイロットで、F-14やFA-18や F-15Cで飛行時間6千時間以上・着艦 1100回以上の「Top Gun」スクール出身者。
●海軍操縦者ながら、視野拡大のため米空軍戦闘機部隊への交換操縦者として空軍F-15C部隊に配属され、サウジに展開して実任務を遂行した経験もあるほか、米空軍指揮幕僚大学 ACSCやAWC コースも履修し、空軍との人的つながりも太い
●横須賀配属空母のF-14 操縦者として勤務を開始し、飛行隊長や空母航空団司令官や空母戦闘群司令官を歴任し、中東担当の第5艦隊司令官も務め、米中央軍海軍と米太平洋軍海軍司令官(直近ポスト)を経験している
●統合職としては、米中央軍の作戦部長(J3)経験のほか、珍しい職歴として、アフガニスタンの「Nuristan Province」復興担当指揮官として、米陸軍第10山岳師団第3旅団や第173空挺旅団と共に活動した経歴アリ
2月1日に上院軍事委員会で証言し
●中国の軍事力強化を受け、米太平洋軍は「more forward, more distributed posture:より前方に、より分散した戦力配備態勢」に転換する必要がある
●また作戦運用を支えるため、「効率性 efficiency」原則で構築されてきた兵站態勢を、「効力効果 effectiveness」原則で再検討すべき
●統合戦闘力を発揮するうえで、ダイナミックな戦力機動展開が求められる航空作戦構想から、空中給油能力を念している。統合戦力として(空中給油のために)足の長い、無人の、multi-domain-platformsが、作戦機と輸送機用に必要だ
●また分散運用を支える地域全体への燃料供給も極めて重要だ。抑止面で、競争面で、危機紛争対処面で、米輸送コマンドとの「COCOM-to-COCOM relationship」が最も重要だ。2つのコマンドが常続的に顔を突き合わせるように作戦計画を煮詰め、有事に備えている
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なおPaparo 新司令官が訓示で、中国の度を越えた「侵略的かつ拡張主義的な主張や行動」を表すため、フィリピン軍参謀総長 Brawner 陸軍大将の表現を引用し、「従来のGray Zone との言葉より悪質との意を込め、Brawner 大将の提案する ICAD (illegal, coercive, aggressive and deceptive:違法で強制的で攻撃的で欺瞞的な)に改名する」と発言し、「これも我が同盟国やパートナーの知恵」と紹介したことが話題となっています
ご説明が遅れましたが、米太平洋軍司令官(U.S. Indo-Pacific Command 司令官)は、有事に太平洋軍配下の陸海空海兵隊宇宙軍や有事増強される他コマンドの全部隊を指揮下に置き、アジア太平洋地域での軍事作戦を、大統領直属の米軍指揮官として来配を振るうことになります
また、対中国有事に世界から駆け付ける可能性のある西側諸国軍を束ねて、、実質的な多国籍軍司令官として指揮する立場となる米軍人になります。 2月1日の上院軍事委員会での発言内容からも、アジア太平洋地域での軍事作戦に関する認識は確かなものが感じられる人物ですので、期待したいと思います
Samuel Paparo 海軍大将の公式経歴
祖父・父も米海軍勤務の筋金入りです
→ https://www.cpf.navy.mil/Leaders/Article/2628260/admiral-samuel-i-paparo/
Paparo 大将関連の記事
「議会承認に向け米上院で証言」→https://holylandtokyo.com/2024/02/14/5540/
「大統領は初の女性トップ指名」→https://holylandtokyo.com/2023/07/24/4888/
「Paparo 大将を国防長官が推薦報道」→https://holylandtokyo.com/2023/06/13/4747/
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2024-05-07 05:00
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