無人ウイングマンCCA導入に新職種創設視野 [米空軍]
米空軍司令部担当中将が人材養成の重要性語る
ハード開発に関心集中も、1000機を維持運用する人材は?
新規に急速大量導入する新装備の落とし穴
4月12日、米空軍司令部で将来空軍体制検討を担う新たな部長職(Deputy Chief of Staff, Air Force Futures)にあるDavid A. Harris中将が米空軍協会のイベントに登場し、米空軍が開発最優先で前倒しして2028年からの導入開始(計約1000機導入を想定)を予定する無人ウイングマン機CCA(Collaborative Combat Aircraft)に関し、ハード開発に関心が集まっているが、CCAを受け入れ維持運用する人的戦力管理には「新たな職域(AFSC:Air Force Specialty Codes)」設定も考える必要があると表現し、受け入れ人材育成の重要性とインパクトの大きさに言及しました
CCAに関してまんぐーすは以前から、(対中国作戦のための)有人戦闘機や輸送機や救難救助機の前方展開基地確保や維持整備要員確保の目途も立っていない中で、新たに約1000機もの無人小型ジェット機を導入し、それらをどのような手段で何処に前方展開させ、どのように誰が維持整備して運用するのかが不明確なままで突っ走っている「危うい事業」と指摘してきましたが、やっと疑問の維持運用人材の課題に言及する幹部が現れた・・・と言うことです
12日にDavid A. Harris中将はミッチェル研究所で
●我々はCCA機体開発に注目しがちだが、CCAを支える維持整備運用要員に関連する「基本ドクトリン」や「基本手順やマニュアル」や「教育訓練体系」等々についてもしっかり検討&準備する必要がある
●CCAを必要機数を部隊配備することに集中しがちだが、ハードを適切に維持管理して運用し、教訓を反映して継続的に能力を高めていく仕組みづくりも大変重要で、そのためにCCA専門の新職種を設けることが必要かもしれない
●CCAの維持運用のためには、例えば、無人プラットフォームからリアルタイムでデータを抽出して分析する必要があり、その担当者はデータ分析者で情報分析官で機体整備員でもある必要があり、多様な職能の融合が必要な職域となろう
●最近CCA運用のAIソフト開発を担う米空軍とMIT研究機関を訪問したが、「CCAがどの程度の自律能力を持つべきか」との難しい問題に関し、関係者間で議論が行われている状態で結論は出ていなかった。有人機操縦者が疲労したり思考飽和状態にあれば自立性を高め、別の特定場面では人間の統制を強めるべき等々の議論があった。これは作戦運用面での検討だが、CCAの維持整備運用と人間の関係にも多様な課題があり、担当する人材への要求もこれまでとは異なる
●最も避けるべきは、完成したCCAを担当部隊に持ち込み、「これを運用してくれ。従来の部隊運用手順を、部隊に合うように考えてCCA用にアレンジしてうまくやってくれ」と丸投げするありがちなやり方だ。あるべきは、開発段階から実際の現場運用に携わる要員が関与し、現場での限界を踏まえてCCAを完成させ、並行して維持整備運用手順を確立し、人材育成を進める事だ
//////////////////////////////////////////////
ちなみにHarris中将は、AC-130やMC-130など特殊作戦機のナビゲータと言う極めて特殊な仕事に従事し、空軍特殊部隊の部隊長や統合特殊作戦コマンドの作戦副部長を歴任してきた人材で、現在のポストは恐らく、Kendall空軍長官が2月中旬に発表した米空軍大改革計画の柱である、兵器開発要求性能取りまとめと開発管理を戦闘・空輸・CSコマンドから切り離し、長期的視点から専従で行う新設の「Integrated Capabilities Command」をケアする空軍司令部責任者だと思います
同じく空軍特殊作戦部隊出身で、空軍司令部作戦部長(特殊作戦ヘリ操縦者が異例の就任)から空軍副参謀総長に就任しているJim Slife大将のフォローがあるとは思いますが、戦闘機パイロットが牛耳る米空軍作戦運用と現場部隊運用に関し、特殊作戦機のナビゲータ出身幹部が手を付けるのは決して容易なことではないとお察しいたします。数百機から1000機もの完全な新規導入小型ジェット無人機を維持運用する人材確保など、簡単な仕事ではありませんから・・・
David A. Harris中将のご経歴
→https://www.futures.af.mil/About-Us/Leadership/Display/Article/2719716/david-a-harris
2月12日発表の米空軍大改革計画
「米空軍が大改革アクションを」→https://holylandtokyo.com/2024/02/16/5579/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727
ハード開発に関心集中も、1000機を維持運用する人材は?
新規に急速大量導入する新装備の落とし穴
4月12日、米空軍司令部で将来空軍体制検討を担う新たな部長職(Deputy Chief of Staff, Air Force Futures)にあるDavid A. Harris中将が米空軍協会のイベントに登場し、米空軍が開発最優先で前倒しして2028年からの導入開始(計約1000機導入を想定)を予定する無人ウイングマン機CCA(Collaborative Combat Aircraft)に関し、ハード開発に関心が集まっているが、CCAを受け入れ維持運用する人的戦力管理には「新たな職域(AFSC:Air Force Specialty Codes)」設定も考える必要があると表現し、受け入れ人材育成の重要性とインパクトの大きさに言及しました
CCAに関してまんぐーすは以前から、(対中国作戦のための)有人戦闘機や輸送機や救難救助機の前方展開基地確保や維持整備要員確保の目途も立っていない中で、新たに約1000機もの無人小型ジェット機を導入し、それらをどのような手段で何処に前方展開させ、どのように誰が維持整備して運用するのかが不明確なままで突っ走っている「危うい事業」と指摘してきましたが、やっと疑問の維持運用人材の課題に言及する幹部が現れた・・・と言うことです
12日にDavid A. Harris中将はミッチェル研究所で
●我々はCCA機体開発に注目しがちだが、CCAを支える維持整備運用要員に関連する「基本ドクトリン」や「基本手順やマニュアル」や「教育訓練体系」等々についてもしっかり検討&準備する必要がある
●CCAを必要機数を部隊配備することに集中しがちだが、ハードを適切に維持管理して運用し、教訓を反映して継続的に能力を高めていく仕組みづくりも大変重要で、そのためにCCA専門の新職種を設けることが必要かもしれない
●CCAの維持運用のためには、例えば、無人プラットフォームからリアルタイムでデータを抽出して分析する必要があり、その担当者はデータ分析者で情報分析官で機体整備員でもある必要があり、多様な職能の融合が必要な職域となろう
●最近CCA運用のAIソフト開発を担う米空軍とMIT研究機関を訪問したが、「CCAがどの程度の自律能力を持つべきか」との難しい問題に関し、関係者間で議論が行われている状態で結論は出ていなかった。有人機操縦者が疲労したり思考飽和状態にあれば自立性を高め、別の特定場面では人間の統制を強めるべき等々の議論があった。これは作戦運用面での検討だが、CCAの維持整備運用と人間の関係にも多様な課題があり、担当する人材への要求もこれまでとは異なる
●最も避けるべきは、完成したCCAを担当部隊に持ち込み、「これを運用してくれ。従来の部隊運用手順を、部隊に合うように考えてCCA用にアレンジしてうまくやってくれ」と丸投げするありがちなやり方だ。あるべきは、開発段階から実際の現場運用に携わる要員が関与し、現場での限界を踏まえてCCAを完成させ、並行して維持整備運用手順を確立し、人材育成を進める事だ
//////////////////////////////////////////////
ちなみにHarris中将は、AC-130やMC-130など特殊作戦機のナビゲータと言う極めて特殊な仕事に従事し、空軍特殊部隊の部隊長や統合特殊作戦コマンドの作戦副部長を歴任してきた人材で、現在のポストは恐らく、Kendall空軍長官が2月中旬に発表した米空軍大改革計画の柱である、兵器開発要求性能取りまとめと開発管理を戦闘・空輸・CSコマンドから切り離し、長期的視点から専従で行う新設の「Integrated Capabilities Command」をケアする空軍司令部責任者だと思います
同じく空軍特殊作戦部隊出身で、空軍司令部作戦部長(特殊作戦ヘリ操縦者が異例の就任)から空軍副参謀総長に就任しているJim Slife大将のフォローがあるとは思いますが、戦闘機パイロットが牛耳る米空軍作戦運用と現場部隊運用に関し、特殊作戦機のナビゲータ出身幹部が手を付けるのは決して容易なことではないとお察しいたします。数百機から1000機もの完全な新規導入小型ジェット無人機を維持運用する人材確保など、簡単な仕事ではありませんから・・・
David A. Harris中将のご経歴
→https://www.futures.af.mil/About-Us/Leadership/Display/Article/2719716/david-a-harris
2月12日発表の米空軍大改革計画
「米空軍が大改革アクションを」→https://holylandtokyo.com/2024/02/16/5579/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727
コメント 0