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米空軍制服トップが推薦図書等を公表 [米空軍]

「組織改革や挑戦」に関する4アイテムの簡明さ
書籍2冊、Podcast1本、論文1本
推薦図書等に関する空軍兵士の意見を募るとか

Leadership Lib.jpg1月17日付米空軍協会web記事が、昨年11月に就任したDavid W. Allvin新空軍参謀総長が推薦する書籍等4アイテムを紹介しています

従来は推薦図書を公表するのがお決まりでしたが、統合参謀本部議長に就任したBrown空軍大将が空軍参謀総長時に、「書籍だけでなく、映画やPodcastや他のメディア(論文等を含む)も対象にする」と時代に沿った変更を行い、Allvin新参謀総長は冒頭の4アイテムを選定したとのことです

Allvin16.jpg昨年6月にKendall空軍長官が推薦図書(この時はまだ書籍縛り)を発表した際は、ロシアのウクライナ侵略の真っただ中でしたが、普段から自身の業務の優先事項を3つ挙げろと言われたら、「1にChina、2にChina、3にChinaだ」と公言していたそのままに、約10冊の推薦図書は全て中国に関するもので話題を集めました

Leadership Lib4.jpg今回Allvin新参謀総長が推薦した4アイテムは、いずれも「不確実性の中での組織改革と挑戦」に関するもので、Kendall空軍長官の命で昨年9月から検討が開始され、今年2月12日に発表予定の「米空軍の組織構造、訓練、兵器開発等々」全体に及ぶ改革の「初期実施計画」(最最適化:re-optimization計画)を強く意識したものとなっています

なおAllvin大将は新たな試みとして、推薦書籍等に対する空軍兵士からの意見を求めると明らかにし、「皆からの意見は重要で、組織として何を重視し、皆のリーダーシップ探求の旅に何が不可欠なのかを定義するうえで極めて大切だ」とその理由を説明しています

推薦された4アイテムを、同大将の推薦の弁と共にご紹介

●書籍「One Mission」 by Chris Fussell
元海軍SEALsによるこの本は、「大規模な組織に革命を起こすための重要事項」とともに、「組織改革成功の実例から得られる教訓を学ぶ生々しいテキスト」

Leadership Lib3.jpg●書籍「Analogies at War」 by Yuen Foong Khong
この本はベトナム戦争について考察し、「歴史上の類似事象が政治的意思決定にどのように影響したか」を描いたもので、「政策選択に作用する認知プロセスを明らかにし、仮定に疑問を投げかけ、現代の意思決定における認知の罠を回避するリソースとして役に立つ」と推薦

●論文(Foreign Affairs誌掲載)「The Path to AI Arms Control: America and China Must Work Together to Avert Catastrophe」 by Henry Kissinger and Graham Allison
「AI軍備管理への道:米国と中国は大惨事を回避するため協力すべき」とのタイトルの論考は、「規制無きAI開発がもたらす影響に対処するため、迅速な行動と協力の必要性を訴えている」と推薦

●Podcast「How to Excel When Everything Is Changing」 by Brad Stulberg
4Pアプローチ(Pause, Process, Plan, Proceed)で、「衝動的な反応ではなく、思慮深い対応をするための秘訣」について詳しく説明
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Leadership Lib5.jpg記事は、公表されたリストは今後追加される可能性があると記していますが、過去の参謀総長が7-12冊程度の書籍をリストアップしていたことと比較すると、まず4つに絞り込んできたAllvin大将の姿勢に、仕事人&実務家として名をはせてきた人柄がにじんでいるように感じます

2月12日の米空軍&宇宙協会主催の航空宇宙戦シンポジウムで、Kendall空軍長官がどのような空軍の改革「初期実施計画」(最最適化:re-optimization計画)を持ち出すのか大変気になりますが、剛腕Kendall長官の決定を実行に移すAllvin参謀総長の手腕にも期待です

Kendall空軍長官が宣言
「来年1月までに米空軍総レビュー実施」→https://holylandtokyo.com/2023/09/07/5012/

全てが中国関連の書籍です!!!
「Kendall空軍長官の推薦図書19冊」→https://holylandtokyo.com/2023/06/19/4736/

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米宇宙軍が念願の正規兵パートタイム勤務導入へ [サイバーと宇宙]

政府や議会を2年越しで説得し法制化
現役兵士引き留めと有能部外者募集のため
柔軟性ある勤務オプション提供で人材確保

Space part-time4.jpg1月18日付Military.com記事が、2024年国防授権法の採択により、2019年に発足したばかりで人材確保に苦労している米宇宙軍が、現役兵士引き留めと有能部外者募集のため、最優先事項として過去2年間に渡り政府や議会に強く要望していた、正規兵によるフルタイム勤務とパートタイム勤務の選択制が可能になったと報じています

また一方で同記事は、陸海空海兵隊が保有しているが宇宙軍には認められていない「州軍」や「予備役」に関し、正規兵のパートタイム勤務と並行して宇宙軍が要望し続けているものの、政府や議会からの強い反対に直面して実現の可能性が見えていないと紹介しています

Space part-time.jpg今回宇宙軍が実現にこぎつけた「正規兵のパートタイム勤務制度」は、民間企業での宇宙ビジネスと発展を受け、関連スキルを持つ米軍兵士が高い報酬等で引き抜かれる事例が増えていることから、せめて限定した時間内でも引き続き空軍に貢献してもらえる「働き方」を提供し、人材を引き留めたいとの願いが込められたものです

また同時に、民間企業で活躍する有能な人材に、その能力を国家安全保障分野で発揮してもらうオプションを用意し、「有志の人材」が応募しやすい環境を整備したいとの思いから生まれたものです

Space part-time3.jpg正式には、フルタイム勤務を「sustained duty」、パートタイムを「not on sustained duty」と呼称し、パートタイム製選択を希望する兵士は、以下の2つの基準のいづれか一つを満たす必要があるとのことです

●少なくとも年間に48回の演習や訓練に参加し、かつ年間で15日間以上正規兵として勤務する(participate in at least 48 scheduled drills or training periods during each year and serve on active duty for not less than 14 days (exclusive of travel time) during each year)
●正規兵として年間30日を超えない範囲で勤務する(serve on active duty for not more than 30 days during each year)

Space part-time6.jpgまたパートタイム制選択者は、給与を受け取らない代わりに、未給与期間は、訓練召集されたり、自ら志願する以外は勤務を免除される「inactive status:勤務免除状態?」を選択することも可能と規定された様です

なお、米政府や議会が宇宙軍に「州軍」や「予備役」制度を導入することに反対なのは、1万名以下規模の宇宙軍が、組織運営や維持管理を複雑にする両制度を持つことは、コスト増につながるだけで非効率だとの理由でから、逆に政府や議会は、現在の宇宙軍と宇宙コマンドが並立している状態も非効率だから、2025年1月までに全てを宇宙コマンド隷下に配属する案について、実行可能性や問題点を報告するよう、パートタイム制導入承認と同時に国防省に要求しています
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Space part-time5.jpgトランプ大統領が国防省や米空軍の反対を押し切って強引に創設した「宇宙軍」ですが、軍事の宇宙空間への広がりは急速に進み、陸海空やサイバードメインと並んで重要性を増しており、専門家の養成も急務であることから、独立した「宇宙軍」の存在感が増していることは疑いなく、国防省や米軍の皆様に、トランプ氏の「強引な宇宙軍創設」についての現在の「本音」を是非伺ってみたいものです

民間企業力の活用を渇望する米宇宙軍
「緊急打ち上げへの提案募集」→https://holylandtokyo.com/2023/08/30/4992/
「衛星への軌道上補給に企業活用へ」→https://holylandtokyo.com/2023/03/01/4320/
「宇宙軍有志が民間企業大量導入訴え」→https://holylandtokyo.com/2022/09/16/3609/
「小型衛星核推進装置を求め企業募集」→https://holylandtokyo.com/2021/09/28/2233/
「核熱推進システム設計を3企業と」→https://holylandtokyo.com/2021/04/20/111/
「衛星延命に企業と連携」→https://holylandtokyo.com/2021/11/10/2350/

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次期ICBM開発はコスト&期間増大で法令に抵触 [米空軍]

「Nunn-McCurdy法」要求の国防長官再検討案件に
既にコスト37%増&開発期間2年以上超過の惨状
空軍長官が昨年苦悩吐露した実態の一端が・・・

GBSD.jpg1月18日付の米空軍協会web記事は、2020年に米空軍がNorthrop Grumman社と契約して推進中のGBSD(Ground Based Strategic Deterrent:ICBMミニットマンⅢの後継ミサイルとなるLGM-35A Sentinel や指揮統制システムや通信システムや維持整備施設等々を包括した大規模計画)プロジェクトに関し、米空軍やNG社関係者からの聞き取りを踏まえ、

ミサイル自体の開発はそれほど問題ないが、地上サイロなど発射システムや通信インフラを含む指揮投資システムの開発関連で次々と難題が発覚し、少なくともコストが37%高騰し、開発期間が2年以上遅延する見込みとなっており、グダグダ装備品開発を防止する「Nunn-McCurdy法」の規定に抵触(コストが15%以上増加)することから、プロジェクトの廃止、又は問題や改善方法の明確化、コストやスケジュールに関する国防長官による再審議&承認が必要な事態に陥っていると報じました

まずGBSDプロジェクト概要は・・・
GBSD6.jpg(当初計画では約$96B(約14兆円:研究開発25.5B,各種調達61.6B、各種建設費8.7B)だったものが、少なくとも$125B(18.5兆円)に膨らむ模様)
●約400個の地下発射サイロ再整備(膨大な環境影響調査や地権者や自治体等との調整を含む)と、LGM-35A Sentinel ミサイル634発の開発&調達(450発をミニットマンⅢ後継として約400個の地下サイロに。約160発は定期発射訓練や抑止力アピール用、25発は試験開発用)

●3か所の中核IICBM発射管制センター(F. E. Warren, Malmstrom, and Minot Air Force Bases)、10数か所の発射管制施設、兵器貯蔵庫、維持整備施設等など整備
●上記各施設と上級司令部や大統領等国家要人を結ぶ指揮統制システム(通信ケーブルだけで1万2千㎞以上)、ミサイル運搬用等車両56両など

Kendall SASC.jpg国防省としてGBSDプロジェクト廃止は選択肢にないことから、「Nunn-McCurdy法」の条件を満たす「出直し計画&コスト見積もり」を2024年夏までに準備して各方面の理解を得る必要があるのですが、昨年11月に剛腕&強気で知られるKendall空軍長官までもが、「恐らく空軍が担当した各種開発計画の中でも、最も複雑で困難なプロジェクト」だと語り、その困難さの源泉を、

●ミニットマン開発から50年以上が経過し、知見(各種設計図や製造ノウハウや技術者等)が散逸し、専門家がもはや存命でなく、前進するほど次々と諸問題が表面化
●450個のICBM格納サイロが広範な土地に分散配置されている(日本の中国四国地方を合わせた面積:イメージで縦横130㎞×640㎞)
●資料散逸のサイロと土地再開発調整、サイロと指揮所を結ぶ指揮統制システム開発&建設(通信ケーブルだけでも総延長1万2000㎞以上)などなども含む、総額約14兆円プロジェクト
・・・だと、陰鬱な表情で講演で吐露していたほどでした

「Nunn-McCurdy法」抵触でも事業継続の条件5つ
GBSD7.jpg●国家安全保障上で不可欠な装備品であることの説明
●問題の原因と対策が明確に調査され対策が練られている事
●出直し計画が国防省の監査機関(Cost Assessment and Program Evaluation局)に承認されること
●出直し計画より低コストの代替案が存在しないこと
●他プロジェクト予算を削減しても優先すべきもの

18日付同記事によればコスト増と遅延原因は
●後継ミサイル開発(LGM-35A Sentinel)は大きなコスト増と遅延原因とはなっておらず、おおむね順調でGBSDプロジェクト全体への影響は軽微
GBSD4.jpg●問題の多くは指揮統制システムと発射用地下サイロに関するものが大半を占める。指揮統制システムは現有システムを再利用をベースに考えていたが、装備が旧式すぎて現在必要な周波数帯に適合不能など、根本的見直しを迫られている

●地下サイロ改修も知見散逸(各種設計図や製造ノウハウや技術者等)で根本見直しを迫られ、同時に(辺鄙な場所に分散配置されていること等々から、)必要なセキュリティークリアランスを取得可能な作業員確保が難しい
●現ミニットマンⅢと次期LGM-35A Sentinelの並行運用期間の対応が想定以上に難しい
●世界的なインフレによる物価上昇
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GBSD8.jpg米空軍省のAndrew Hunter技術開発&兵站担当次官補は、本プロジェクトは通常のビックプロジェクトを5つ合算したようなメガプロジェクトだと語り、国防省の開発&調達次官経験者であるKendall空軍長官が「恐らく空軍が担当した各種開発計画の中でも、最も複雑で困難なプロジェクト」と呼ぶGBSDですが、長年に渡り「放置」してきた戦略核部隊からの「つけ」でしょうか・・・。核兵器と言う最終兵器が持つ悲しい運命なのでしょうか・・・

Rocket Force8.jpg記事「中国ロケット軍の幹部汚職と同部隊能力への報道に思う」でもご紹介しましたが、米戦略核部隊は種々問題が表面化した2014年国防省調査で、「忘れ去られた部隊」「インフラの老朽化で部隊の無力感増大」「国防省や米軍幹部の期待レベルと現場の実態の格差が著しい」「予算も手当ても後回し」「兵士の昇任や福利厚生は多職種優先で、現場部隊の士気は士官クラスも含め崩壊」等々と表現され、根本的解決は今もまだ・・・が実態でしょう。どうするんでしょうか?

昨年11月にKendall空軍長官が不安吐露
巨大プロジェクトGBSDへの苦悩隠さず
「次期ICBM開発の苦悩&不安を語る」→https://holylandtokyo.com/2023/11/22/5244/

中国やロシアの核兵器運用部隊も心配
「中国ロケット軍汚職と部隊能力報道に思う」→https://holylandtokyo.com/2024/01/15/5436/

米軍「核の傘」で内部崩壊
「ICBMサイト初のオーバーホール」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-15
「屋根崩壊:核兵器関連施設の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-23
「核戦力維持に10兆円?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「唖然・国防長官が現場視察」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18
「特別チームで核部隊調査へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-27
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「剱持暢子氏の論文:米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1
「米核運用部隊の暗部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-29

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現役米空軍戦闘機パイロットがMiss Americaに [ちょっとお得な話]

空軍士官学校卒でF-16パイロット(16歳で操縦免許)
現在はHarvard Kennedy Schoolへ空軍から派遣中

Marsh4.jpg1月14日、フロリダ州オーランドで開催された「2024 Miss America」コンテストで、空軍士官学校卒業直前に獲得した「2023 Miss Colorado」として参加した米空軍のMadison Marsh少尉が、全米51州の代表51名の中から、4度の予備審査ラウンドを通過して最終審査対象5名に残り、見事「2024 Miss America」の栄冠を獲得しました

「Miss America」コンテストに出場する51名の代表に米軍人が選ばれたのも初めてで、もちろん「Miss America」の栄冠を勝ち取った米軍人も初ですが、16歳で(セスナ機?)操縦免許を取得し、現在は戦闘機パイロットで、なおかつ米軍士官の中でも一握りの優秀な者だけが得られる大学院「Harvard Kennedy School」での就学機会を得ている点で、比類なき才能にあふれる女性として全米の話題となっています

Marsh6.jpgMadison Marsh少尉は2001年8月生まれの22歳で、医師の父と虐待を受けた子供たちを支援する「裁判所任命特別弁護人CASA」を務めていた母の間に生まれ、航空宇宙に興味を持って16歳で操縦資格を取得しています。その後、空軍士官学校で天体物理学を専攻して卒業して戦闘機パイロット(F-16)の道を歩み、現在は将来を嘱望され米空軍からHarvard Kennedy Schoolに派遣され公共政策学を学んでいる学生です

14日の最終審査には51名から予選ラウンドで絞り込まれた11名だけが参加し、「イブニングドレス審査」や「フィットネス審査(runway walkや基本所作動作など)」のほか、「時事問題Q&A:テロ、気候変動、麻薬、最新技術、栄養学等に関する質疑」や「talent performance」などの審査を経て5名に絞られ、最後は10名の審査員と一般視聴者投票を加味して「2024 Miss America」が選出されたとのことです。

Marsh2.jpg最終審査の「時事問題Q&A」では薬物依存や医療制度問題に関する質問に対し、5年前に「すい臓がん」で亡くなった母親の闘病生活や、その体験を基に米国のガン死亡数第3位の「すい臓がん」早期発見運動に取り組む自身の経験を語り、「talent performance」でのプレゼン審査では、16歳に操縦免許を取得してから空軍士官学校を経て戦闘機パイロットを志した「自身のパッション」について堂々と語り、審査員の評価を高めたと報じられています
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15日のご本人出演のTVニュース(約6分)



「Miss America」コンテストに出場する前段階の、「Miss Colorado」コンテストに3回目の挑戦(いずれも士官学校在学中)で栄冠を勝ち取り、今回の「2024 Miss America」出場機会を得、グランプリに選ばれたとのことですが、今後の進路をどのように選択するのでしょうか?

Marsh3.jpg「Miss America」として世界大会への出場義務もあるでしょうし、様々なイベントへの参加義務もコンテスト出場の前提条件に含まれていると思いますが・・・
米空軍協会webが取り上げていない点などから、このままタレント活動に入って、空軍退役の臭いがいたします・・・

先日日本で開催された同種の「ミス日本」コンテストでは、ウクライナから昨年帰化したばかりの実質100%ウクライナ人の女性が選出され、様々にネット上をにぎわせていますが、普通に世間に明るい話題を提供するコンテストであり続けてほしいと思う今日この頃です

女性パイロット関連
「米空軍初の女性戦闘機P少将で退役」→https://holylandtokyo.com/2023/09/29/5077/
「米海軍Blue Angelsに初の女性パイロット」→https://holylandtokyo.com/2022/07/21/3484/
「初の女性月面着陸目指す」→https://holylandtokyo.com/2021/07/05/1935/
「黒人女性が初の海軍戦闘操縦コース卒業」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-12
「超優秀なはずの女性少将がクビに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-11
「上院議員が空軍時代のレイプ被害告白」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-08
「空自初:女性戦闘機操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-25

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今春PAC-3をイージス垂直発射管から発射試験へ [Joint・統合参謀本部]

脅威切迫にロッキードが独自資金開発をアピール
今春試験では地上設置垂直発射VLSから試射
更なる試験等に国防省や海軍からの資金提供を期待

PAC-3 VLS.jpg1月18日付Defense-Newsは、ロッキード社が脅威の変化に迅速に対処するため、既存ミサイル防衛システムの改良&融合により防御能力を改善する自社独自の取り組みとして、2024年末までに自己資金約150億円を投じて、PAC-3最新型ミサイル(PAC-3 MSE)をイージス垂直発射管(VLS)から発射する開発に取り組んでおり、今春に地上設置の垂直発射管VLSからのPAC-3 MSE試射を計画していると報じています

同社は、現在運用されている各種ミサイル防衛システムの隙間「ギャップ」を迅速に埋めるには、高コストと長期間が必要な新規システム開発でなく、従来システムの改良や融合で対処すべきと2017年に決断し、それ以降、主に自己資金でシステム融合に取り組み、例えば2022年初頭には、アジア太平洋戦域の切迫する脅威対処への提案として、THAADシステムからPAC-3ミサイルを発射する試験をWhite Sands試験発射場で成功させているとのことです

PAC-3 VLS2.jpg今春の地上設置VLSからのPAC-3 MSE試射に向けては、米ミサイル防衛庁MDAから限定的な資金提供を受け、太平洋上の発射試験場で実射を伴わないPAC-3 MSEとイージスシステムの連接融合試験「hardware-in-the-loop test」が行われた様ですが、その後同社は独自資金を投入し、2023年夏には米海軍が約艦艇100隻に搭載しているイージスSPY-1レーダーシステムとPAC-3 MSEとの融合が可能なことを確認したとアピールしています

ロッキード社は2024年春に予定している地上設置イージス艦垂直発射管VLSからの試射試験予定発表に際し、仮に試射に成功した場合には、実際のイージス艦VLSからの発射試験等の実現に向けた国防省や米海軍からの予算配分や艦艇利用協力をお願いしたいと訴えています

PAC-3 VLS4.jpgなお、2022年2月からのロシアによるウクライナ侵攻を受け、重要が急増しているPAC-3ミサイルに関し同社は、現在同社アーカンソー州Camdenの製造ラインで年間550発ペースでフル稼働生産されているが、更なる増産に向け設備強化に取り組んでいるとのことです
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弾道ミサイル対処を念頭に始まったミサイル防衛は、巡航ミサイルの拡散に伴い対処脅威の拡大を迫られ、現在は極超音速兵器への対応を検討する段階に至っています。同時に大小各種無人機の急速な普及に伴い、これらへの対処兵器との接細部の扱いも議論の俎上に上がり始めています

PAC-3 VLS3.jpg様々に防御システム開発が進む中で、軍側の防御兵器開発における要求性能の「ふらつき」「混迷」や投資予算の限界もあり、「PAC-3ミサイルのVLS発射」についても、今となっては「なんで今までやってこなかったの?」的な印象を持ちますが、これが現実かもしれませんし、軍と企業の両方に色々と教訓がありそうな気も致します

PAC-3やミサイル防衛関連の記事
「米陸軍がPAC-3部隊増強へ」→https://holylandtokyo.com/2023/09/04/4932/
「THAADにPAC-3連接迎撃に成功」→https://holylandtokyo.com/2022/03/18/2820/
「グアム防衛をMDA長官が語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「THAADが初実戦迎撃成功」→https://holylandtokyo.com/2022/01/24/2640/

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バルカン緊張:米がコソボに対戦車ミサイル輸出許可 [安全保障全般]

コソボとセルビア(ロシアと同盟関係)対立が昨秋から先鋭化
両国国境付近にセルビア部隊が近年にない増強
NATOがコソボの治安部隊を増派中

Kosovo.jpg1月11日、米国安全保障協力庁(U.S. Defense Security Cooperation Agency)が、コソボ共和国から購入要望が出ていた246発の携帯型対戦車ミサイルJavelinと関連装置に関し、米国政府として売却を承認すると発表しました

同ミサイルはウクライナ紛争で大量に米国など西側諸国からウクライナに提供されたため、その在庫が急減し、穴埋めに長期間要すると懸念されていた兵器ですが、増産体制が確保できたのか、バルカン半島地域の緊張を受け、2022年にアルバニアも購入許可を米国から得、2023年12月にはロシアの脅威に直面するルーマニアも263発の購入承認を受けたところです

Javelin FMG-148.jpg本日はこの武器売却を契機に、「イスラエルVSハマス戦争」以降に世界の安全保障環境が流動化する中で、「西側VSイエメンのフーチ派反政府組織」が最近クローズアップされていますが、この戦火が昨年春頃からにわかに緊張感が高まってきた「コソボ(NATO側)VSセルビア(ロシアの同盟国)」に拡大しそうな不穏な状態についてご紹介いたします

2023年春以降の動向(各種報道より)
●1990年代に激しい民族紛争が起こった旧ユーゴスラビアのコソボで、コソボ住民(多数派のアルバニア系住民)と少数派のセルビア系住民の対立が再び先鋭化
Kosovo2.jpg●コソボは2008年に(ロシアと同盟関係にある)セルビアから一方的に独立し、住民の多くはアルバニア系だが、北部ではセルビア系が多数を占め政府との対立が継続

●セルビア側は2023年秋からコソボとの国境地帯への部隊の増強を続けており、北大西洋条約機構(NATO)は2023年10月1日、コソボに駐留する治安部隊の増派を決め、コソボのゲルバラ外相が「近年、これほど国境地帯にセルビア軍部隊が集まったことはなかった」と危機感を表明
●この状態に至るまでには、2023年5月にコソボ北部で、セルビア系住民のデモ隊がNATO主導の平和維持部隊と激しく衝突して多数のけが人が出る事態が発生し、2023年9月末には同じくコソボ北部で、コソボ警察官が襲撃され、1人が死亡、1人がけがをする事態が発生

Kosovo3.jpg●この際にコソボのクルティ首相は、セルビアが支援する部隊の仕業だと主張し、「セルビアの暴力とテロへの支援は、われわれの国家安全保障や国際法などに対するひどい侵害だ」とセルビア側を非難する声明をSNS投稿
●一方、この襲撃を行ったセルビア系住民のメンバー3名が死亡したことに関しセルビアのブチッチ大統領は、襲撃したのはセルビア系住民だと認めた上で、コソボ政府に責任があると主張し、双方の緊張状態が続き現在に至っている
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上記のような状況でのコソボへの携帯型対戦車ミサイルJavelin売却承認ですから、早々にセルビア大統領はこれを非難する声明を出しています。背後で世界の混乱期に乗じ、ロシアがセルビアを煽っているような気がしてなりませんが、かつての「世界の弾薬庫」は、今再びきな臭いにおいを漂わせています
CH-92A china.jpg
なお、以前から航空機産業基盤があるセルビアは、自国製と中国製等の無人機を大量に導入しており、その保有数からバルカン半島内で1番の無人機大国となっており、仮に本格武力衝突となれば、NATO平和維持部隊は相当のリスクを負う可能性があります

小国の対立で際立つ無人機の威力
「コソボと対立のセルビアが無人機大国へ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/29/3970/
「無人機でアゼルバイジャン大勝利」→https://holylandtokyo.com/2020/12/22/348/

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台湾:真の注目は2月1日の台湾議会議長(立法院長)選出 [安全保障全般]

国民党52、民進党51、民衆党8 過半数は57議席
民衆党がキャスティングボードを握るのか?
総統選で候補統一失敗の国民党と民衆党が協力可能か
総統選に勝利の民進党は、民衆党との協力関係なしでは・・・

台湾 立法院.jpg1月16日付で防衛研究所が、13日の台湾総統選挙結果を踏まえ、速攻で中国研究室の五十嵐隆幸・研究員による「台湾・総統選挙の結果と今後の展望」とのクイックレビューを「NIDSコメンタリー」枠組みで発表しました

中国によるSNS等を巧みにフル活用した統一戦線工作「情報化作戦」にもかかわらず、13日の選挙では民進党の頼清徳が当選し、1996 年以降初めて同一政党が3期以上続けて政権を握ることとなりましたが、立法委員選挙では 10 議席を減らし、14 議席を増やした国民党に1議席及ばず、第二党に転落しました

台湾 立法院5.jpgこのため、議会では第一党である国民党でも過半数に5議席足りず、第三党の民衆党の協力関係を、民進党と国民党がどのように構築するかが国政を占うことになり、第三党の民衆党が言わば「キャスティングボード」を握る形になっています

過去を振り返れば、民進党は 2000 年に初めて政権交代を選挙で成し遂げましたが、陳水扁政権の 2 期 8 年は「ねじれ」状態が続き、政局が混乱して低迷を続けた苦い過去を経験しています。

台湾 立法院3.jpg一方で2016 年からの蔡英文政権は、2 期 8 年を通じて立法院の過半数を維持し、多くの政策を推し進めてきましたが、その反面、滲み出る「驕りと慢心」に有権者は不満を募らせ、これを利用した(中国と)国民党が、立法院での選挙で逆転した形となりました

今後台湾では、5月20日に新総統就任式が行われる前に、当選した立法議員が2月1日に初登院し、新たに議長である立法院長が選出されますが、これがある意味「民進党・頼清徳政権」の命運を左右すると言っても過言ではありません。

台湾 立法院7.jpg言い換えれば、1996 年以降初めて同一政党が3期以上続けて政権を握ることになりましたが、「民進党・頼清徳政権」は初めて 1 期 4 年で終わる政権になる可能性も少なくない状態です。総統選挙は1月13日に終わりましたが、「民主党の取り込み」を狙う二大政党の争いが、2月1日の立法院長選出に向け激しさを増していく事になります

五十嵐隆幸氏による「立法院長」選出の解説をご紹介
台湾 立法院4.jpg●野党である民衆党が国民党と組むことで、民進党を少数与党に追い込む可能性がはあるが、民衆党主席の柯文哲は、2014 年の台北市長選挙では民進党の支持を受け、国民党の候補を破って当選した過去がある。
●また今回の総統選挙では、一時は国民党と候補者一本化で合意したが、それを反故にして民衆党トップとして出馬しており、両党関係の悪化は否めない

●一方で、立法院の副院長や閣僚ポストと引き換えに、民衆党は立法院で民進党との協力に合意する可能性はあり、民進党が民衆党と政策協定を結ぶことができない限り、頼清徳は厳しい政権運営を迫られることになる。
台湾 立法院6.jpg●例えば国防政策面では、米国が台湾に対し武器売却を決定したとしても、立法院で予算案が通過しなければ実際の購入は困難になる。議会で予算案や重要法案が通過せずに政策が停滞すれば、蔡英文政権のように高い支持率を維持することは難しくなり、「ねじれ状態下」の陳水扁政権の二の舞になりかねない

●「民進党・頼清徳政権」の「陳水扁政権化」を見越して、民衆党の柯文哲が 4 年後の総統選挙に再チャレンジを狙っているのであれば、国民党とも民進党とも距離を置き、是々非々の路線を取るであろう

●台湾では、これまでにも「第三極の誕生」と期待される現象が起きたが、その度に二大政党のどちらかに吸収されるか、議席を失っている。
●どちらかと組むことを決めれば、民衆党はキャスティングボートを握るどころか、衰退の道を辿ることになるかもしれない。 民衆党は、チェック・アンド・バランス機能を果たすことで、存在感を示す道を選ぶことも可能だろう
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習近平 愛される国.jpg中国の経済崩壊に伴う国力低下が影響し、大半はもう大丈夫だ・・・との雰囲気が日本に漂っていますが、中国によるなりふり構わぬ「情報化作戦」は、ボディーブローのように民進党政権にダメージを与えており、「頼清徳政権が初めて 1 期 4 年で終わる政権になる可能性」は決して低くない模様です

台湾の状況は「対岸の火事」ではありません。日本では岸田政権がフラフラ状態ですが、この隙に・・・と考えるのが大陸の赤い星国でしょう。

7ページの同コメンタリーPDF現物
https://www.nids.mod.go.jp/publication/commentary/pdf/commentary292.pdf

台湾関連の記事
「中国による台湾への非接触型「情報化戦争」」→https://holylandtokyo.com/2024/01/05/5398/
「中国は台湾侵攻どころではない」→https://holylandtokyo.com/2023/12/08/5330/
「中国の影響工作/概要解説」→https://holylandtokyo.com/2023/12/21/5362/

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米海軍無人艦艇4隻がアジアで5か月間の試験終了 [Joint・統合参謀本部]

対中国「Stand-In」戦力の海兵隊や第7艦隊大歓迎
日本にも昨年9月MarinerとRangerが寄港
今後は何を搭載しシステム連接をどうするか精査

USV Ranger3.jpg1月16日、米海軍の無人水上艦艇導入担当Jeremiah Daley中佐が記者会見し、2022年8月7日から2024年1月15日までの間、アジア太平洋軍担当エリアに約5か月間試験展開していた4隻の無人艦艇(USV:Unmanned Surface Vessel)が、ほぼ完全自立運航モードにて4隻合計約47000NMの航海(各艦艇が約50日間の水上運用実施)を経て、日本と豪州にも寄港し、(恐らく出発地のSouthern Californiaの基地に)帰還したと成果を語りました

4隻は、主にDARPAが開発主導の「Sea Hunter」「Sea Hawk」(全長約40m 140トン級)と、国防省Strategic Capabilities Office主導の「Mariner」「Ranger」(全長60mで複数コンテナ搭載可)で、

Sea Hawk2.jpg・「Sea Hunter」「Sea Hawk」は、入出港時の有人操作用装置が狭いエリアにあるだけで、無人運用が基本ベースの構造
・「Mariner」「Ranger」は、大部分を自立航行するが、有人運用も可能な構造とスペース確保・・・となっています

5か月間の航海は、加州Port Huenemeに所在する「Unmanned Operations Center」または、他の水上艦艇からUSVの運行状況を監視&コントロール形式で実施され、試験航海中には、USV監督運用要領の試行(様々な監視&操作人数、管制用コンソールの使用台数、監視&管制人員あたりの監視対象隻数のデータ収集等々)が行われたとのことです

USV Mariner2.jpg今回の5か月間は基本的な航海に関する確認が多かった模様ですが、今後は米海軍が最も重要と考える、「USVに何を搭載するか?」「どのようにセンサーやShooterと連携させるか?」「今後全ての水上艦艇に搭載予定で開発中の「Integrated Combat System」のUSVでの活用法」などが焦点となる試験や試行が予定されているようで、

今回も米太平洋軍の「PACOM Joint Fire Network」との連接も試みられたようですが、僅かに「Mariner」が「virtualized Aegis Combat System」を搭載して使用したとDaley中佐が触れただけで、4隻のUSVが5か月間に何を搭載して試験運行したかには同中佐は言及を避けたとのことです

USV Ranger2.jpg今回4隻のUSVを試行的に受け入れ、試験に協力したアジア太平洋軍の米海軍第7艦隊や米海兵隊第3海兵遠征軍関係者は、将来の活用法や運用要領に関する想像を「興奮しながら」膨らませたとDaley中佐は記者会見で説明し、

「特にStand-in Forceとして活動する海兵隊の着上陸作戦部隊や関連する第7艦隊関係者からは非常にポジティブな反応が得られ、様々な参加メンバー間のsynergyとenergyを生み出しながら、多くの将来に向けての発展的な提案や改善意見を得られた」と説明しています
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Sea Hawk.jpg人不足が大きな問題となっている昨今、日本や海上自衛隊でも積極的にUSV(Unmanned Surface Vessel)導入を検討してはどうでしょうか? 空では既に「RQ-4」や「MQ-9」などが三沢や鹿屋基地等を拠点に日本周辺を飛び回っているのですから、艦艇分野での遅れが目立つような気がします

米海軍の無人艦艇を巡る動向
「中東から西海岸までの航海」→https://holylandtokyo.com/2021/06/22/1908/
「海軍の無人システム計画が議会から猛批判」→https://holylandtokyo.com/2021/03/30/173/
「21年初に本格無人システム演習を太平洋で」→https://holylandtokyo.com/2020/09/18/483/
「Sea Train:無人艦艇を電車のように連結」→https://holylandtokyo.com/2020/06/12/622/
「潜水艦も無人化を強力推進」→https://holylandtokyo.com/2020/06/04/614/
「空母2隻削減と無人艦艇推進案」→https://holylandtokyo.com/2020/04/23/733/
「CSBA:大型艦艇中心では戦えない」→https://holylandtokyo.com/2020/01/14/865/

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E-4B:国家危機空中指揮機 (NEACP)をご紹介 [米空軍]

VR訓練機材を充実し多忙な中で人員要請強化中との報道あり
これを機会にE-4B:国家危機空中指揮機NEACPをお勉強

E-4B4.jpg1月11日付米空軍協会web記事が、米空軍が4機保有するE-4B:国家危機空中指揮機 (NEACP:通称NightWatch)に関し、常に緊急事態用に大統領に寄り添って緊急発進態勢にあるほか、大規模災害対処にも出動する忙しさの中で要員養成を計画的に実施するため、機体運用要員と整備要員を対象としたバーチャルリアリティーVR訓練機材導入に、空軍Global Strike Commandと連携して、機体運用&管理を担う第55航空団が取り組む様子を報じています

本日は、VR訓練機材の積極導入に関してご紹介するとともに、今まで本ブログで取り上げたことのないE-4B:国家危機空中指揮機 (NEACP)について、ネット情報をかき集めてご紹介いたします

先ず同機部隊へのVR訓練機材の積極導入に関して
E-4B5.jpg●機体への需要が極めて高い中、4機しか保有機が無いため、機体の定期修理や部品交換なども考慮すると、搭乗員や整備員が技量維持や能力向上のために機体を使用する機会が限定されるため、2021年からVR訓練機材の導入に取り組み、現在は初期型4台で、操縦者、搭乗員、整備員が訓練を行っている
●このVR訓練環境をさらに充実させるため、3次元機体スキャン機能を活用し、E-4B機体の内部と外部を仮想空間上で再現可能なシステムを現在開発中で、7台導入予定の初号機が2月に納入予定である他、整備員用に特化した別のVR訓練装置14台開発予算も確保済で、3月から開発が本格化する

●また整備員用VR機材の開発本格開始に先立ち、Global Strike Comman主導の開発プログラムから生まれたプロトタイプの「Weapon System Maintenance Trainer」が既に導入されており、実機体を使用しないで、機体トラブル時の故障個所探求や対処訓練が実施でき、要員の整備資格維持や技量向上に活用されており、更なる改良への部隊意見の聴取にも活用されている
●これらVR機材は、仮想空間利用の中でもレベルの一段高い「XR:extended reality」で作成されており、より現実の運用や整備環境に近い環境が仮想空間内で再現可能な設計となっている

以下では、このE-4Bについて概要をご紹介

E-4B・NightWatchについて
E-4B6.jpg●同機は、Boeing製B747-200Bを改造し、米国の国家空中作戦センター(NAOC:National Airborne Operations Center)として使用されている航空機で、4機保有し、第55航空団に所属する
●冷戦後の戦略環境の変化を受け、核戦争だけでなく、大規模災害対応のため、FEMA長官の要請で被災地域支援にも活用されるようになっている。そのため、現在の国家緊急空中指揮所 (NEACP National Emergency Airborne Command Post) との呼称へ名称が変更された

●核戦争・大規模災害などに際し、大統領や国防長官などの国家指揮権限(NCA)保持者および指揮幕僚が、地上で指揮が取れない場合に搭乗し、米軍を空中から指揮する。特に搭載通信機器を介し、米軍ICBM部隊・SLBM部隊・戦略爆撃部隊の指揮任務が重視される。
●米大統領の近くには必ず1機以上のE-4Bが待機し、大統領がエアフォースワン(VC-25)で外遊する場合などでも必ず随行。現在では国防長官の外国訪問にも使用され、飛行中に同行した記者団との会見も行われている

E-4B3.jpg●当初はEC-135を同任務に宛てていたが、より機体の大きいB747-200Bベースの機体にEC-135と同様の装備を搭載してE-4A型機とし、1973年6月に初飛行して4機が調達された
●その後、空中指揮センターとしての機能充実が求められ、EC-135より搭載容量が大きいE-4Aの特徴を生かし、空中給油機能や核戦争に備えたEMP対策強化等々を含む搭載装備の充実が図られ、改修型E-4Bとして1979年12月から導入が始まり、4機体制で現在に至る

●第55航空団が運用や維持整備を担っている模様だが、普段の所在地や動静は公開されていない。しかしネブラスカ州オファット空軍基地が2017年6月23日に竜巻被害を受けた際に、軍用機10機も被害を受けたが、その中の2機がE-4Bであったことが明らかになり、注目を集めた

E-4Bの特徴
E-4B2.jpg●キャビン内には国家指揮権限作業区画、会議室、ブリーフィングルーム、戦闘幕僚作業室、通信管制センター、休憩室、記者会見室などが設けられている。
●空中給油受油装置の付与→任務から長時間在空が求められることからE-4B導入時に空中受油装備を備える。しかし、エンジンオイルは空中で補充出来ない為、連続航続時間はエンジンオイルがなくなるまでの72時間に限られる。受油口は機首に設置された。なお、無給油では12時間の航続能力を持つ。
●各種電子機器の追加→機体搭載の電子機器は核爆発によるEMP対処のシールド措置済。EHF(ミリ波)通信による衛星通信能力、VLF(超長波)通信による対潜水艦通信能力なども備える。機体上部の出っ張りはSHF/EHFアンテナ。LF/VLFアンテナは長さ6kmで、機体尾部から曳航する。

E-4B後継機の検討開始
E-4B SACO Survivable.jpg●大統領専用機(VC-25 その後継機も検討中)の充実を受け、2000年頃からE-4Bの廃止が検討されたこともあったが、2030年代初期に機体寿命からE-4Bが退役することから、2020年に「SACO:Survivable Airborne Operations Center」計画としてE-4B後継機計画が本格スタート

●「E-4Bと同等の機体サイズを持つ、民間機ベースの機体を最高で4機調達する。中古機体も検討対象(up to four potentially used)」との前提で、2020年に関連企業に提案を要請。ボーイングとSierra Nevada Corpが手を上げたが、2020年12月にボーイングが撤退(Boeing confirmed that it has been excluded from the competition)したことを認め、現在は1社のみが残っているが、正式決定発表には至っていない
●同計画用予算として、2023年度予算には約140億円だったが、2024年度には約1300億円が盛り込まれている

米空軍のE-4B公式解説webページ
https://www.af.mil/About-Us/Fact-Sheets/Display/Article/104503/e-4b/

大統領専用機(VC-25)の後継機問題
ボーイングのいい加減さが再び露呈
バイデン政権が方向転換した可能性もありますが・・・
「2024年予定から2-3年遅」→https://holylandtokyo.com/2022/05/31/3291/

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米空軍がアラビア語やアフガン語専門家を中国語へ急速転換 [米空軍]

暗号分析官が語学転換に挑戦
急速多数養成のため軍語学学校ではなく都会のBerlitzで
14か月間の集中コースとのことですが・・・

Berlitz Odenton.jpg1月8日付米空軍協会web記事は、米空軍第70 ISR航空団が、国家防衛戦略NDSにより示された対テロから本格紛争対処体制への米軍の移行に伴い、もはや部隊で需要が激減しつつあるアラビア語やアフガニスタン地域で使用されているパシュトゥン語の言語分析専門家(正確には暗号言語分析官 CLA:cryptologic language analysts)を、中国語の同職専門家に転換させる14か月の教育コースが、民間企業ベルリッツの運営で、8名に対して開始されていると伝えています

同専門家CLAは、NSA(National Security Agency)と連携し、地上や電磁波情報収集機(RC-135シリーズやEC-130H)で集めた言語や信号による通信情報を分析する任務を持っていますが、アラビア語やアフガン語の専門家は軍内で職を失いつつあり、管理的なポストや別の業務の責任者業務就いていることが多く、中国語専門家へのニーズが急増する中で、言語専門家としての経験を生かすため、中国語への転換教育開始を空軍として決定したとのことです

Berlitz Odenton3.jpg米空軍第70 ISR航空団で同教育を担当する軍曹は正直に、「言語をマスターすることは容易ではなく、私はこの転換コース参加者をうらやましいとは思わない」と語っていますが、中東言語への需要が激減し、ロシア語や中国語専門化への需要が急速に高まる中で、他言語であってもCLAであった専門家の知見を、空軍として無駄にはできないとしています

従来米空軍の言語教育コースは、加州Montereyの「Defense Learning Institute Foreign Language Center」や、ペンタゴン近傍の「Defense Language Institute-East」で行われてきましたが、中国語需要が養成能力限界を超えたことから、第70 ISR航空団所在のメリーランド州で、語学教育会社ベルリッツの力を借りて中国語習得コースを立ち上げることになったとのことです

Berlitz Odenton2.jpg担当軍曹はその利点を、民間教育リソースを利用することで、転勤旅費や教育予算を節約でき、かつ生活の質の高いメリーランド州に所在する同航空団基地内に居住することで兵士の福利厚生面での向上にもつながると強調し、このような教育手法をアピール材料に、中国語専門家を希望する一般空軍兵士も募り、言語専門家需要の急増に応え養成数を増やしたいとの意向を示しているようです
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記事はベルリッツの教室で中国語に取り組む受講生数名の様子をとらえた写真を掲載していますが、中東言語の専門家として相応の年齢であり、「中国語専門家のニーズが高い」とはいっても、中国語への興味だけでは職責を果たせるレベルに14か月間で達することは容易ではないでしょう

Berlitz Odenton4.jpg中国語への転換教育を受けている8名は、5名がアラビア語の様々な方言の専門家で、3名がアフガン地域語パシュツゥン語で貢献してきたCLAとのことで、担当軍曹の「参加者をうらやましいとは思わない」発言は、正直すぎる率直な感想と言えましょう

中国経済の崩壊が不動産バブル崩壊から金融システム崩壊に飛び火し、習近平が経済の苦境を認めるに至っていますが、まだまだ中国の混乱は序の口で、中国共産党政権は国民の預金に手を付けようとしている模様だとの気配も報じられています。

様々な意味で中国語へのニーズが高まっているとのことは理解しますが、アラビア語から漢字世界への転換とは・・、苦行以外の何物でもないと思いますが・・・

中国に関する記事31本
https://holylandtokyo.com/category/%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e8%a6%81%e4%ba%ba%e3%83%bb%e8%bb%8d%e4%ba%8b/

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宇宙軍幹部が宇宙攻撃Counterspace部隊を語る [サイバーと宇宙]

Counterspaceの訳が「宇宙攻撃」で適切かは疑問ながら
昨年創設の第75及び第76 ISR Squadronを語る

Burt5.jpg1月5日、米宇宙軍の作戦部長であるDeAnna M. Burt中将がミッチェル研究所で講演し、米国にとっての「Counterspace:宇宙攻撃」任務の重要性について力説し、全ドメインからの情報収集を基に、敵宇宙アセットの想定攻撃目標や敵宇宙脅威を常続的に分析してファイリングしている、宇宙軍が昨年立ち上げた「第75及び第76 ISR Squadron」の任務をアピールしていますのでご紹介します

75 ISR.jpg背景には、例えば中国は既に地上に物理的衛星破壊兵器、レーザー兵器、サイバー能力や電子戦兵器を配備し、今はさらに宇宙空間に電子妨害機能やレーザー兵器のほか、ロボットアームを備えた衛星を配備する準備を進めている現状への強い危機感があり、

このような宇宙脅威の中で、米国はもちろん「宇宙における国際行動規範確立」、「敵の攻撃に対処可能な強靭な宇宙システムの開発」、「宇宙状況把握能力の向上」にも取り組む必要があるが、現状で限定された「Counterspace」能力しかない米国にとって、「強力なCounterspace能力確保」が欠くことができない重要要素だとの米宇宙軍関係者の信念があります

75 ISR2.jpg一般に「Counterspace:宇宙攻撃」任務は、単に敵の衛星を無効化するだけではなく、敵の宇宙アセットを構成する3要素(衛星と地上の管制装置とその2つを結ぶ信号)に作用しての友軍に有利な状況を生み出すことを指し、そのためには普段から常続的に、敵の宇宙アセットのどの部分に作用すれば、政治・経済・安全保障等の総合安全保障の観点から最適かを分析し、リストとして準備しておくことが望まれます

Burt中将(女性)は2つの部隊について
●2023年8月11日に編成完結した75th ISR Squadronは「space target」に焦点を当て、その直後に立ち上げられた75th ISR Squadronは「space threats」を重視する部隊である

Burt4.jpg●「space target」重点の75th部隊は、「宇宙空間の衛星だけでなく、地上管制施設、通信送受信施設、電磁波による通信信号、光ファイバー施設などなど」の攻撃対象オプションを常続的情報収集から分析検討し、オプションとして何時でも統合任務部隊に提供できるように準備することが任務
●「space threats」重視の76th部隊は、信号情報に限らず、人的情報や他の収集手段もフルに活用した「all-source intelligence部隊」で、75th部隊の準備する「space target」情報も情報ソースとして活用し、様々な視点で友軍への宇宙関連脅威情報を分析&提供する

●なお、第75と第76 ISR Squadronは「Delta 7」に所属しているが、作戦時に「Delta 7」の情報を活用して指揮統制を行う「National Space Defense Center」は、「Delta 15」部隊によって運用されている
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75 ISR3.jpg例えば中国が相手のケースを想定すると、中国大陸内部の衛星管制施設を爆撃やミサイル攻撃で物理的破壊することがエスカレーションの危険等から総合的に難しい場合は、サイバー攻撃もオプションになるでしょうし、それが困難であれば衛星との通信を妨害したり、衛星に直接作用する手段を最適オプションに推薦することも考えられます

なお、宇宙空間での衛星無効化手法としては、「衛星への物体衝突」「通信電波妨害」「レーザー光線」「化学物質吹き付け」「高出力マイクロ波照射」「ロボットアームでの破壊」などが考えられている模様です

米宇宙軍のCounterspace部隊と活動
「初の攻撃オプション検討部隊」→https://holylandtokyo.com/2023/08/23/4970/
「米宇宙軍初の攻撃兵器CCS」→https://holylandtokyo.com/2020/04/14/725/

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米議員団が太平洋軍への「ミニ原発」導入プッシュ [Joint・統合参謀本部]

2025年度予算に更に「追加」して予算確保すべきだと議員団
対中国作戦を支えるに必要な燃料輸送の負担軽減を目指し
議員さんはミニ原発のリスクをどうお考えなのか???

Portable nuclear3.jpg1月9日付米空軍協会web記事は、共和党有力下院議員2名が公開書簡をAquilino太平洋軍司令官に送り、(対中国)本格紛争準備の中で大きな課題として浮き上がっている西太平洋の米軍根拠基地の電源確保に関し、国防省も検討を進めている「ミニ原発」導入をより加速すべきか等について太平洋軍で検討し、

その必要性が認められたならば、2025年度予算案で関連予算を増額するよう行動すべきと要求し、実質的には同書簡で、対中国作戦基地での電力確保と、現状では大きな負担となり解決のめどが立っていない発電用燃料輸送問題を解決すべく、「ミニ原発」導入を積極的に米軍として要求すべきだと訴えています

portable nuclear.jpg米国防省は現在、Strategic Capabilities Officeが「Project Pele」との旗の下、ミニ原発開発企業の「BWX Technologies」と2022年に契約し、米空軍とDefense Logistics Agencyが協力して、アラスカ州アイルソン空軍基地で2027年までに「ミニ原発」を稼働状態にすべく取り組んでおり、同基地が必要な15-megawattの石炭火力発電能力に、ミニ原発で5-megawattを追加供給することを目指しています

書簡の中で両議員は「ミニ原発」の重要性について
(Rob Wittman軍事小委員長と元海軍ヘリパイのJen Kiggans議員)

Kiggans Wittman.jpg●米太平洋軍が使用しようとしている緊要な前線基地や分散運用基地は、燃料輸送の目途が立っていないにもかかわらず、輸入燃料に大きく依存する計画となっている点が問題だ。この問題は太平洋軍に限らず、本格紛争を戦ううえで、他の地域軍でも今後避けて通れない問題である
●この問題を容易に解決しうる極めて優れた代替案(ミニ原発)が存在するのに、この利用を考慮しないことほど、馬鹿げたことはない。今後の戦いでは、ミサイル防衛や作戦指揮所でのIT装備品の電力需要が高まる一方だが、敵の攻撃可能圏内では燃料輸送リスクも高まる一方である。この点「ミニ原発」は、戦略戦術面で極めて価値の高いシステムだ

portable nuclear2.jpgこの種の議員団の動きが、直ちに米軍を動かすとは考えにくいですが、国防省のミニ原発プロジェクト「Project Pele」説明では、ミニ原発が敵の攻撃を受けた際の安全性等の問題がクローズアップされ、検討が入り口でとん挫させられことを避けるため、使用先として北極圏や山間部など送電施設維持が負担となる辺鄙な基地や、ICBMサイロ等への電力供給を例に挙げ、ミニ原発の検討必要性を説明していたと記憶しています

Kiggans Wittman2.jpgですので米国防省や米空軍の本音としては、「頼むから、当面の間はProject Peleの件はそっとしておいてくれ」、「ミニ原発への懸念の声が、西太平洋の島国国家フィリピンや日本やインドネシアから今の段階で上がるようになると、今後のプロジェクト推進が相当困難になる」でしょうから、「追い風で前に倒れそう」との懸念の声で渦巻いているのでしょう 

ミニ原発関連の記事
「デモ機製造企業決定」→https://holylandtokyo.com/2022/06/20/3344/
「航空輸送可能なミニ原発配備へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/19/3147/
「ミニ原発反対論」→https://holylandtokyo.com/2021/06/29/1960/
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holylandtokyo.com/2020/03/11/779/
「米陸軍が前線での電力消費増に対応戦略検討」→https://holylandtokyo.com/2022/04/25/3138/
「国防省の気候変動対策」→https://holylandtokyo.com/2021/10/11/2318/

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中国ロケット軍の幹部汚職と同部隊能力への報道に思う [中国要人・軍事]

1月6日のブルームバーグ報道に絡めて思うことを
米軍の例もあり、特に核戦力部隊の実態は気になる・・・
なお水混入可能な液体燃料ロケットの比率は1割未満

Rocket Force8.jpg1月6日付の米ブルームバーグ通信が、2023年12月末の中国全人代で理由不明のまま中国のロケット軍司令官や高級幹部5名が突然解任(汚職疑惑との報道あり)され、同部隊の後任司令官にロケット軍経験の全くない中国海軍将軍が任命される等の異例の状態になっていた中国軍ロケット部隊に関し、匿名の米情報機関関係者の分析結果だとして、同ロケット軍のとんでもない状況の一端を報じていますので、米軍の核戦略部隊の問題も絡め、まんぐーすの個人的意見満載でご紹介しておきます

ちなみに、2015年までは第2砲兵と呼ばれていた部隊を、2016年に陸海空軍と同等のロケット軍に改編して軍内での位置づけを強化したように、通常戦力で米国等の西側諸国に劣っていると認識している中国軍にとって、短距離弾道ミサイルからICBMまでを運用するロケット軍は対西側戦力の柱であり、実際に中国のA2AD戦略戦術は、対中国正面に拠点の少ない西太平洋地域の米軍にとって、現在でも答えのない極めて対応困難なものだと思います

まず1月6日付の米ブルームバーグ報道概要
Rocket Force.jpg●習近平国家主席による徹底的な軍幹部粛清の背景には、腐敗の広がりが軍近代化の取り組みを損ない、戦争する能力に疑問が生じたことがあったと、米情報機関の分析が示した。この分析について詳しい複数の関係者が明らかにした。
●関係者が匿名条件で語ったところによれば、人民解放軍ロケット軍内部および国防産業全体の腐敗は非常に広範囲に及んでおり、習主席が向こう数年間に大規模な軍事行動を検討する可能性は、そうした問題がなかった場合と比較すると低いと、米当局者は考えている。

Rocket Force2.jpg●そして関係者は汚職の影響の例を幾つか挙げ、燃料の代わりに水がミサイルに注入されていたり、ミサイル格納庫のふたが機能せず迅速に発射できない不備があったりしたと米情報当局が分析していると語った。
●米国は、人民解放軍、特にロケット軍内部の腐敗がその能力全体に対する信頼を失墜させ、習主席が掲げる近代化の最優先課題の一部を後退させたと分析している。過去6カ月間の腐敗捜査では軍高官十数人が対象となり、軍への取り締まりとしては現代中国で史上最大とみられている。

この報道への村野将氏(米ハドソン研究所研究員)のコメント
Murano.jpg●人民解放軍の腐敗の影響力を過小評価すべきではありませんが、これをもってその脅威を過小評価すべきではないでしょう。
●第一に、習近平がこれらの腐敗を発見して、人事刷新を行っているということは、彼らが本気で戦える体制を作ろうとしているということを意味します。
●第二に、中国が配備を続けている弾道ミサイルのほとんどは「固体燃料」ミサイルです。これらに使われているコンポジット燃料を製造過程で水に置き換えて誤魔化すなどということは、構造上不可能です。

●となると、水に置き換えられていたミサイルは「液体燃料」ミサイルになりますが、中国が現在運用している「液体燃料」ミサイルは旧式のDF-5と一部の巡航ミサイルだけで、これは中国保有のミサイル戦力の1割未満です。
●実際、中国は年に百数十回もの弾道ミサイル発射(訓練や威嚇射撃)を行っているわけで、これらは紛れもなく本物のミサイルです。

米軍の核運用部隊の惨状(今も本質に変化なしと推測)
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-11-18
Minuteman III 4.jpg●2010年ごろから米軍戦略核部隊の問題が表面化し始め、部隊能力点検時のペーパーテストでの士官による集団カンニング事案(海軍と空軍両方で。さかのぼれる範囲で過去7年間継続)、B-52が模擬核爆弾だと誤認識したまま複数回米大陸の横断飛行を行っていたことが判明等々の事案を受け、部隊に対する特別調査(ヘーゲル国防長官時)が2014年秋に行われた結果・・・

●2014年11月の調査報告書は、単に戦略核運用部隊の問題ではなく、海軍や空軍による戦略核運用部隊の扱いに関する悪しき染みついた文化の問題だと断罪し、「過去数年間に発生した事案の深さや幅は、関連部隊への国防省や軍幹部の無関心や問題分野への薄い関心を明示している」、「指導層が語り信じている兵士のレベルと、実際の任務に就いている兵士のレベルの大きな差異が極めて深刻」、
●「継続して誰も核運用部隊に注目せず、資源配分もされなかった結果、核運用部隊の士官に、将来の伸展や昇進の見込みがない無視された分野に配属されたとの意識が染みついている」、「ICBM部隊は組織改編の度に、空軍内のメジャーコマンド間をたらい回しにされ、予算も人的施策も後回しにされ続け、部隊から誇りも気概も消え失せた」、

Minuteman III 5.jpg●「米空軍の核運用部隊には、意味ある能力評価の基準が無く、過度に完璧を求めて100名もの士官のカンニングを誘発している」、「インフラの老朽化により、装備の維持が益々困難で時間も経費もかさむ傾向にあり、部隊兵士の無力感に拍車をかけている」、「ICBM基地であるMinot基地勤務は、人里離れた僻地にある分散したICBMサイトを転々とし、買い物も満足に出来無い度を超して過酷な状況で、士気を低下させている」
●「海軍SLBM部隊でのカンニング事案で34名が免職になったケースでは、事案が7年間も続いていた。その試験は地上勤務である原子力推進機関の教育部隊に勤務するための資格と関係しており、(つまらないSLBM潜水艦勤務を避け、)地上部隊である教育部隊勤務を求めた結果であった」

Hagel icbm.jpg●装備品老朽化と部品不足への無関心状態を示す例として報告書は、「装備不足も深刻で、分散した3つのICBM基地に弾頭を固定する工具が1個しか無く、3個基地で使い回しするしかなく、しかもその輸送に民間宅急便を使用している状態」、「装備老朽化により、上級軍曹がミサイルや航空機の維持整備にのみ集中せざるを得ず、若手のスキルアップへの取り組みが不十分」などの事例が報告され、
●そして、組織的な投資配分、所属兵士の昇任、指導者、当該部隊への査察等の問題を指摘した報告書に、予算の増額を含む約100個の提言が盛り込まれた

Hagel icbm2.jpg●この報告書を受け、2014年当時のヘーゲル国防長官は、米空軍の要求であったGSC(Global Strike Command)司令官の大将への格上げや核兵器運用部隊の司令官の中将格上げを認め、国防省に海空軍の核兵器運用部隊部隊の予算を、2016年度予算案から5年間10%づつ増加させるよう要求するよう指示
●また人的側面では、米空軍が検討している人員削減から核兵器運用部隊4000名は除外し、GSCの整備、運用、警備分野に1100名を増員するよう指示している。海軍に対しては、2500名を工廠や教育機関に増員する予算案が指示された

まんぐーすが思うこと・・・
Rocket Force9.jpg●戦略核抑止任務を担うICBMやSLBM部隊(活躍の場が訪れる可能性は極めて低く、士気が低下しやすく、軍上層部や文民指導者の関心が薄い部隊)だけでなく、数百キロ射程からグアムやハワイを射程に収めそうな長射程弾道ミサイルを保有する中国ロケット軍と、米国の海軍SLBM潜水艦部隊や空軍ICBM部隊とを単純に比べることに無理があるとは思いますが、
●米軍のSLBM潜水艦やICBM部隊と同様に、更に加えて中国の軍人を含む中国公務員社会に根付く汚職体質も加わって、中国ロケット軍部隊が現場士気や運用能力面で大きな問題を抱えている可能性は十分考えられます

Rocket Force7.jpg●例えば2022年10月に米空軍大学の中国航空宇宙研究所(China Aerospace Studies Institute)が、中国ロケット軍の組織や部隊配備や部隊指揮官名簿や運用思想や訓練状況等に関する極めて詳細な内容を含む250ページ以上の報告書をWeb上で公開発表しましたが、その内容があまりにも詳細すぎ、中国軍内部からのリーク情報を基に作成されたものに違いないと西側専門家の多くが推測しています
●情報を外にリークするぐらいなら日本にリスクはなくメリットですが、核兵器や核物質を闇市場を通じて怪しげな過激派組織やテロ組織や「悪の帝国」に密売されるようなことがあればたまったものではありません。ロシアと共に、とても心配です

Rocket Force6.jpg●「PLA Rocket Force」でググってみると、ロケット軍をアピールするTV連続ドラマが制作&大宣伝されていたり、新しいロケット軍の制服が出来ましたとか、ロケット軍の部隊ワッペンや制服徽章が制定されましたとか、女性ロケット軍兵士が笑顔で談笑する写真が何枚も表示されるなど、部隊のイメージ刷新に中国が必死で取り組んでいる様子が伺えます。・・・その背景は・・・

米空軍大学China Aerospace Studies Instituteによる
中国ロケット軍レポート約250ページ(2022年10月)
https://www.airuniversity.af.edu/Portals/10/CASI/documents/Research/PLARF/2022-10-24%20PLARF%20Organization.pdf

米空軍大学China Aerospace Studies Instituteのwebサイト
https://www.airuniversity.af.edu/CASI/Articles/Tag/196622/pla-rocket-force/

米軍「核の傘」で内部崩壊
「ICBMサイト初のオーバーホール」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-15
「屋根崩壊:核兵器関連施設の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-23
「核戦力維持に10兆円?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「唖然・国防長官が現場視察」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18
「特別チームで核部隊調査へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-27
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「剱持暢子氏の論文:米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1
「米核運用部隊の暗部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-29

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謎の実験宇宙船X-37B:7回目の任務開始 [Joint・統合参謀本部]

前回6回目は908日の最長宇宙空間滞在を記録
大半の実験内容は秘密も「Falcon Heavy」で高高度に?
12月14日には中国も同様の「神龍」を3回目の打ち上げ

X-37B2.jpg12月28日、米宇宙軍が運用する再利用可能な「謎の」実験無人宇宙船X-37Bが、7回目の実験任務のため、SpaceX社の「Falcon Heavy」ロケットで打ち上げられました。ちなみにX-37Bの打ち上げは、当初5回はULA社の「Altas V」でおこなわれ、2022年11月12日に終了した6回目は、2020年5月にSpaceX社の「Falcon 9」ロケットで打ち上げられています

X-37B4.jpgX-37Bは「9m×4.5m×3m」とマイクロバス弱程度の大きさで、ロケットの先端に取り付けて打ち上げられ、帰還時は滑走路に着陸する無人宇宙船です。OTV(Orbital Test Vehicle)が正式名称の実験船ですが、宇宙でどんな実験を行っているのか非公開部分が多く「謎の宇宙船」とも言われ、追跡マニアが「中露の衛星を追跡している」等々の「噂」や「推測」を流して時に話題になったりしています

それでも6回目の任務時には、一部の試験内容が公開されました。
●米空軍士官学校の教授や学生が運用する実験小型衛星「FalconSat-8」の運搬放出
●米海軍研究所の太陽光発電エネルギーを電磁波送信するアンテナ試験
●NASAによる素材研究実験「METIS-2」→耐熱コーティング、放射線シールド素材等の試験、及び「植物の種子実験」→宇宙環境が植物の種子に与える影響を、将来の惑星間飛行や他惑星への移住計画に備え確認

今回7回目でも任務の一部が公開され
X-37B 908.jpg●前回に引き続きNASAによる植物の種子実験「Seeds-2」
●細部は不明ながら「future space domain awareness technologies」の実験・・・が発表されています

今回7回目の飛行も宇宙空間滞在期間は非公開ですが、2010年4月打ち上げの1回目の宇宙滞在が224日間、2回目が468日間、3回目が675日、2017年5月に帰還の4回目は718日間、2019年10月帰還の5回目は780日と任務の度に滞在日数を更新しており、最長記録は6回目の908日間となっています

Shenlong3.jpeg今回の特徴は出力が巨大な「Falcon Heavy」で打ち上げられたことです。6回目までの打ち上げは低高度軌道(高度110-150マイル)でしたが、計算上は高度22000マイルの静止軌道にも投入可能な能力を持つロケットで、可能ペイロードも格段に増えており、試験内容の拡大が予期されるところです

もう一つ、X-37B打ち上げに先立つ12月14日、中国がX-37Bそっくりの「神龍:Shenlong」なる実験宇宙船の3回目の打ち上げ(初回は2020年)を行っており、既に6つの物体を軌道上に投入したということでアマチュアを含めた観測家の注目を集めています
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Dream Chaser5.jpg仮に7回目の飛行で908日間を更新するとなると、2026年6月末に達成が見積もられますが、もしこのブログが続いていればご紹介したいと思います。

なお米宇宙軍は、X-37Bが今後あと何回宇宙飛行実験を行うか等について明確にしていませんが、3年前からX-37Bの後継検討「実験宇宙船」の必要性を宇宙軍は発信し始めており、折しも民間企業Sierra Spaceの「Dream Chaser」とのX-37Bとそっくりの宇宙船が、国際宇宙ステーションへの物資輸送に向け、2023年11月に完成したと発表されたところです

このX-37Bを最初にブログでご紹介したのが2010年4月で、あれから間もなく14年・・・。2024年に新年の空を見上げ、しみじみしております。

X-37B関連の記事
「6回目:記録更新の908日宇宙滞在」→https://holylandtokyo.com/2022/11/24/3952/
「宇宙滞在記録を更新中」→https://holylandtokyo.com/2022/07/29/3458/
「6回目打ち上げ:少しソフト路線に?」→https://holylandtokyo.com/2020/05/15/672/
「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-11
「中国版X-37B?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-15
「中国衛星を追跡?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-07
「Sシャトルの代替?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「米が宇宙アセット防護計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16
「関連小ネタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-04
「X-37Bをご存じですか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20

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B-2とRose Bowl会場を上空から撮影するプロ [ちょっとお得な話]

高度1000mのB-2を高度1500mのセスナ機から撮影
今年15回目の撮影に写真家Mark Holtzman氏が
飛行する米空軍部隊からも期待される達人

2024 Rose Bowl B-2 2.jpg1月1日、米大学フットボール界の頂点の一つ「Rose Bowl」が加州Pasadenaで開催され、ミシガン大学とアラバマ大学が27-20の好試合を繰り広げたようですが、試合に先立って行われる「Rose Parade」と「Rose Bowl」の両方に花を添えた米空軍B-2爆撃機のフライバイを上空から撮影し続け、一瞬のタイミングをとらえて今年15回目を迎えた写真家Mark Holtzman氏の活躍を写真と共にご紹介いたします

2024 Rose Bowl B-2 3.jpgこのようなイベントでの航空機上空飛行は、イベントプログラムの特定のタイミングに合わせた「Just On Time」の上空通過が求められ、米国の場合、米国国歌斉唱のラストフレーズでの通過が求められることが多いようですが、イベントの進行(関係者のスピーチやアトラクション等々)の時間のずれを会場担当者から秒単位で入手し、微妙なスロットル調整で数秒間の時間調整をパイロットは飛行しながら必死で行い「定時定点必達」を期します

写真家Mark Holtzman氏は、セスナ機(Cessna 206)に操縦者と副操縦者、アシスタントの息子と4名で乗り込み、B-2爆撃機と会場担当者を結ぶ無線回線と同じ周波数で会場進入時刻の微妙な調整具合をモニターし、併せて飛行安全の確保のための連絡体制を確保しつつ、「Rose Parade」と「Rose Bowl」の両方の撮影を行います

2024 Rose Bowl B-2 5.jpg「Rose Bowl」スタジアム上空からの撮影では、スタジアム全体を写真フレーム内に収めつつ、スタジアムのグランドに描かれた「ミシガン大学」と「アラバマ大学」の文字と、B-2爆撃機を重なることなく撮影する必要があり、操縦者と緊密に連携を取りつつ、当日の雲と太陽の位置関係を計算して最適なアングルで時速360㎞で通過するB-2を、時速180㎞で旋回するセスナ機から捉えることに全神経を集中するとのことです

昨年2023年の「Rose Parade」では、機体の問題で全機が飛行不可となっていたB-2に代わり、B-1爆撃機2機がフライバイの役を担いましたが、Holtzman氏撮影の写真は米空軍内で広く知られており、毎年「Rose Bowl」の時期が近付くと、フライバイ担当飛行部隊からHoltzman氏に「今年もあなたが撮影してくださるのですか?」との問い合わせがあるようです

2024 Rose Bowl B-2 4.jpg最近は、SNSで様々な画像だけでなく映像も素早く拡散され、Holtzman氏も自身の旧ツイッターで撮影の映像を翌2日には公開していますが、様々な思いや背景を詰め込んだ1枚の写真が持つインパクトは、いつの時代も変わらないものがあると思います。

B-2の会場上空飛行の映像
https://twitter.com/i/status/1742006612527845857

Holtzman氏の旧ツイッター
https://twitter.com/westcoastaerial/status/1742006612527845857?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1742006612527845857%7Ctwgr%5E960a2055f58771e3f9d3f1c3f8dd2de6f4e4f161%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.airandspaceforces.com%2Fair-force-b-2-rose-bowl-flyover%2F

米空軍爆撃機の今後
「米空軍爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「爆撃機は今後5~7年の管理が悩み」→https://holylandtokyo.com/2021/08/06/2024/
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春時点の爆撃機構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2

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米本土を横断した中国気球は米商用ネット利用 [中国要人・軍事]

細部は引き続き非公開も主に進路指示入手か
米商用ネットを通じ短時間に高密度情報やり取りか
米政府は早期撃墜より監視から情報入手選択か

spy balloon5.jpg12月29日付米NBC放送web記事は、2023年2月初旬に米大陸を横断し、2月4日に米空軍F-22戦闘機によりサウスカロライナ州沖の大西洋上で撃墜され、海上に落下した中国製のバルーンを米当局が回収&分析した結果の一端について、複数の現役及び元米政府関係者の証言を基に、中国製バルーンが中国との通信のため、米国企業が提供する商用インターネット回線を利用していたと報じています

匿名の2名の現役米政府関係者と元関係者によれば、当時バイデン政権は非公開で司法当局に、当該企業提供のネット通信のモニター権限を請求して許可され、あえて中国製バルーンを早期に撃墜することなく、米本土を西海岸側から東海岸まで横断させてバルーンの行動や中国との情報のやり取りを監視&情報収集することを選択したとのことです。

spy balloon2.jpgそして当該バルーンは、多数のアンテナと搭載機器を積み、更にそれら機器を駆動させるに必要な電力を確保するに十分な太陽光発電パネルを具備していたが、バルーンが米本土横断中に直接中国と通信をする能力はなかったと、匿名証言者は語ったとしています

ただし、情報通信や自身の位置情報を得るためバルーンが装備していた多数のアンテナ活用し、短時間で大量の情報を送信するための高周波通信が可能な能力を保有し、主に中国から飛行進路に関する指示信号を入手していた模様だが、気球が収集した電子信号には基地職員間の通信や兵器システムからの信号が含まれていた可能性があるとも語った模様です

spy balloon3.jpgまた同バルーンが米本土を横断する間の米軍の対応について、NBCは2023年12月に米空軍北米防空司令部NORAD司令官のGlen VanHerck大将にインタビューし、「米軍核戦力の運用を担う米戦略コマンドと連携し、核兵器の運用に関する重要事項を世界各地の核兵器担任部隊に指示する等の、秘匿度の極めて高い情報を含むEAM(Emergency action messages)の発信を、バルーン飛行中は制限して傍受されることを避けるよう関係部署に徹底した」との情報を得ています

本件に関し、在ワシントン中国大使館の報道官は、以前からの中国の立場を繰り返し、「当該バルーンは気象観測用であり、偏西風と自力航法能力の限界から、意図せず米本土を飛行することになったものだ」との主張をNBC放送や米メディアに繰り返している模様です

spy balloon4.jpgまた複数の米政府関係者によれば、過去に中国情報機関関係者が様々な国での活動において、隠れて商用インターネット回線をバックアップ回線として使用したことが確認されているが、中国関係者は一般的には、暗号により秘匿化された情報漏洩の可能性の低い回線の利用を指向している模様です
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NBC放送は当該記事において、中国製バルーンが利用したネット回線提供の米企業名を明らかにしていませんが、当該企業の「わが社の調査や米当局者との協議から、我が社提供の回線が同バルーンによってに使用された事実はない」との主張を紹介しています

spy balloon6.jpg別報道機関は、2023年夏に情報漏洩で逮捕された21歳の州空軍兵士によってリークされた米国防省文書も元に、同バルーンが電磁データを使用して高解像度画像を作成する合成開口レーダーを搭載していた可能性がある、と報じた模様です

2023年2月4日に撃墜された同バルーンに関しては、FBIを中心とした調査チームが非公開の調査報告書を出していますが、中身は秘匿され、限定された人にしか公開されていないようです。

中国の経済崩壊が、中国共産党支配の中国体制を崩壊させるのでは・・・との憶測も飛び交い始めた今日この頃ですが、2023年2月の奇妙なバルーン事件が、後世においてどのように位置づけられるのか興味深いところです

防衛研究所の対中国姿勢がわかる公刊物
「中国の台湾への接触型「情報化戦争」」→https://holylandtokyo.com/2024/01/05/5398/
「「中国の影響工作」概要解説」→https://holylandtokyo.com/2023/12/21/5362/
「異様な中国安全保障レポート2024」→https://holylandtokyo.com/2023/11/28/5299/

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