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国防副長官候補の女性が政策方針を語る [米国防省高官]

議会承認に何の問題もないと評判の元政策担当次官
国防省業務移行チーム長だったKathleen Hicks女史
出勤初日から「即戦力」の呼び声高く

Hicks5.jpg2日、国防副長官候補のKathleen Hicks元政策担当国防次官が、議会承認を得るため上院軍事委員会ヒアリングに臨み、3時間以上に渡り重鎮議員からの広範な質問に対応しましが、予想されていたように極めてスムーズな対応で、「光速で承認されるだろう」「出勤第1日目から即戦力」とメディアは予想しています

Kathleen Hicks女史は、1996年から2006年の間に最初のペンタゴン勤務を経験し、その後2009年までCSISで国防関係研究に従事し、2009年から戦略計画担当国防次官、2021年から政策担当国防次官を務めました。2013年に退任後も複数の米議会評議会のメンバーを務めつつ、同時にCSISの研究員として活躍し、直近ではバイデン政権の国防省業務移行チーム長を務めていた実力派です

Hicks.jpg国防副長官に就任が認められれば、女性として初めて正式な国防副長官(Christine Fox女史が2013-14年に臨時副長官)が誕生しますし、実務面で国防省を引っ張ると言われる人物ですので、議会での発言からDefense-Newsが注目した発言をご紹介しておきます

2日付Defense-News記事によればHicks女史は上院で
厳しい予算配分や運用について
Hicks4.jpg--- 良くて現状維持と言われる予算状況の中、部隊装備や規模拡大が望めないと米軍内が沈滞することを防止するため、統合戦力発揮に資することを大前提に、士官の昇任枠などインセンティブには配慮し、部隊の活力を維持したい
--- また4軍への予算配分については、既得権益にとらわれず、良いアイディアを出した軍種予算を守る方針で臨みたい。また米空軍予算内ながら、実質は他政府機関に流れる部分については、空軍の主張にも耳を傾けて対応したい

米海軍の艦艇建造計画
--- トランプ政権時代にまとめられた艦艇建造計画については、大きな方向性は間違いないし、自立性自動化の導入加速、戦力の分散運用追求、現在より小型の水上艦艇指向などについては同意する
--- 一方で、艦艇建造数については、その算定根拠や見積もり手法の精査が必要と考えている。米海軍指導部の体制を早期に固め、バイデン政権のプランをまとめる

同盟国への国防費増額要求
Hicks3.jpg--- (トランプ大統領がNATOや韓国や日本に対し、国防支出を増やすように強硬に求めた件に関し、)米国は常に負担の共有を訴え、同盟国にはそのコミットメントを果たすよう求めてきたが、大きな同盟の戦略的価値を戦術的な問題が上回ることはあり得る(tactical issue that overrides the strategic value of the alliances)し、非戦略的なこともあり得
--- 同盟国に求めるコミットメントの意味を戦略的に考えるべきだ。時には支出を通じてであろうし、国防支出を通じてだろう。しかし時にはそれが他の手段であることも考えられる。コミットメントについて戦略的に考える必要がある

レイセンオン社関連案件にオースチン国防長官が関与不可
--- 国防長官就任以前にレイセオン社の役員であったオースチン国防長官は、国防長官として同社関連の案件には一切関与できないことから、国防省にとっての大きな案件である核兵器近代化事業の次期ICBMのGBSD計画やLRSO(核搭載巡航ミサイル)計画は、他のミサイル防衛システム関連事業と合わせ、副長官が一切を取り仕切ることになる。(提出書面でこの任をHicks女史が負うと説明している)

核兵器の近代化事業について
Hicks2.jpg--- 核兵器の近代化全般には賛成だが、個々の事業についての姿勢を示さなかったオースチン長官と同様に、全ての核兵器近代化プログラムを支持するとまでは言及しなかった。特に前述のGBSDやLRSOに対して民主党内や非拡散推進派から強い反対論があることを踏まえた姿勢とみられる
--- 核抑止の3本柱は良く機能しており、安定に寄与しているが、(バイデン政権が出すと言われている)「核兵器先制不使用」宣言は、高いレベルでの判断である。また核兵器の近代化等は「予算」からではなく、戦略に基づき決定されるべき
--- バイデン政権下で新たにNPR(核体制見直し)を国防省が行う。本件に関し専門家は、低出力核弾頭導入を求めたトランプ政権時のNPRとは、幾つかの点で異なった方向性を示すと見ている

政権移行作業の遅れと2022年度予算
--- (大統領選挙結果をトランプ前大統領がなかなか受け入れなかったことで、一部の前政権関係者が業務引継ぎ作業を妨げたと言われている件に関し、)一部の者が政権移行業務を難しくした。その結果として2022年度予算案の提出が遅れる可能性がある
--- 前政権が作業した2022年度案に初めて目を通したのが1月末だった。この遅れにより春には議会に提出するはずの予算編成作業が、通常より遅れる可能性があることに関し、米議会皆様にはご理解いただきたい
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Hicks6.jpgレイセオン関連の案件を全てHicks女史が仕切ることになる影響の大きさを改めて認識しました。ミサイルや誘導兵器のほとんどにレイセオンは関係しているしょうから、国防長官が参加する会議の仕分けだけでも大変そうです

日本では全く見かけない雰囲気の、とても聡明そうな方ですので期待いたしましょう。きれいな方ですね!

米海軍の関連記事
「米国防長官が米海軍体制検討のさわりを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-18-1
「21年初に本格無人システム演習を太平洋で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-10-1 
「国防省が空母2隻削減と無人艦艇推進案」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-22
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10

GBSD関連の記事
バイデン政権関係者やシンクタンクのICBMミニットマンⅢの延命措置提言に、米戦略軍司令官が真っ向反論
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-07

同盟国に国防支出増を強行要求
「日本などにも2%要求」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-19
「国防長官が1.2万名削減計画を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「独駐留米軍を1万人削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-16
「基地勤務の韓国人5千名レイオフ開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-01

昨年の大統領選挙直後の予想記事
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09
オースチン国防長官のご紹介記事
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-23

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電波高度計への5G干渉問題:まず影響確認実地試験を [米国防省高官]

政府は12月からの電波オークションで既に巨額の応札を
後戻り困難と判断し、国防省は影響局限策追求か

Burke 5G.jpg21日付Defense-Newsは、米連邦通信委員会FCCが昨年12月から開始した「5G」企業への「Cバンド:3.7–3.98 GHz」の電波オークションについて、5G通信企業がCバンドを使用することで民間航空機や軍用機の電波高度計に干渉が起きて飛行安全上の問題となる恐れが指摘されている中でも、国防省はFCCのオークションを中止させるのではなく、まず影響の確認と対策検討に集中する姿勢だと報じています

この件に関しては、オークション対象の周波数帯に近い「4.2〜4.4 GHz」帯を長年使用する電波高度計に狂いが生じる恐れがあると、民間航空関係団体で構成するRTCAが昨年10月の報告書で指摘したにもかかわらず、「5G」企業への「Cバンド:3.7–3.98 GHz」売却オークションをFCCが強行したことで大問題となり、米国防省も12月21日にFAAや国土安全保障省や電波高度計メーカーを読んで検討会を開くなど対応を協議していたところでした

Ligado7.jpg一方で12月8日開始の電波オークションには、5G進出を狙う通信企業が殺到し、1月15日現在で既に電波オークション史上最高の8兆円以上の応募があり、これをひっくり返すのは事実上困難な状況に立ち立っているようです

民間航空会社や連邦航空局FAAは昨年10月に干渉の恐れをレポートにまとめていますが、軍用機への影響については「試験環境が整っていない」等の理由で整理されておらず、FCCに反論するにも明確な根拠がないのが国防省の現状でもあり、慎重な姿勢のようです

ただ、米軍から「GPS干渉の恐れがある」と大反対されながらも、5G企業への衛星通信用電波売却を強行したFCC(まだ揉めてます)ですが、政権交代と共に委員長も交代することになり、各方面から相当な反発を受けているようでもあり、今後の動向が注目されますので、状況をご紹介しておきます

21日付Defense-News記事によれば
Burke1.jpg7日のインタビューで国防省の航空サイバー特別チーム(interagency Aviation Cyber Initiative Task Force)のリーダーであるAlan Burke氏は、国防省はFCCのCバンドオークションを中止させる方向ではなく、全米の都市を中心に今後構成される5Gネットワーク網が、軍用機の電波高度計に与える影響をまず確認し、その影響を局限する策を検討することにまず焦点を当てると語った
具体的には「大都市圏への5G展開を遅延させるべきではなく、航空業界が(電波高度計の)保護対策を強化するまでの間の影響局限策や技術開発を急ぐべきだ」と表現した

トランプ政権下で進められた5G普及計画下で進められたオークションでは、「Cバンド:3.7–3.98 GHz」の5000以上のライセンスが対象とされ、オークションの第一段階で既に史上最高額となる8兆円以上の応札となっている
一方で退任するFCC委員長Ajit Pai氏は声明を出し、「FCCは本オークションに関し、多くの技術的、法的、政治的問題に直面している」、「計画を遅らせることは容易だが、我々はあるべき方向に前進を続け、全ての障害を克服する。その結果として米国は5G分野での指導的立場を確保し、5Gの恩恵を米国が迅速に享受できるようになる」との意思を示している

Ligado5.jpg12月21日に国防省が主催し、国土安全保障省やFAAや高度計企業Honeywell(RTCAレポートにも参加)を交えて行われた検討会では、軍用機への影響について更なる実地試験の必要性が指摘されており、国防省のBurke検討チーム長は、喫緊の問題は実地試験に必要な試験場を確保することだと語っている
また同チーム長は「FCCとの交渉力を確保するために、我々の主張を裏付ける実地試験でのデータが欠かせない」と訴え、「省庁間や関係機関の間の協力体制を構築するべく協議を行っていおる」と説明した

軍用機の中でも、輸送機や空中給油機が計器飛行着陸で電波高度計への依存度が高く、5G通信の影響を受ける恐れがあるが、軍用の電波高度計はある程度の電波干渉防御機能を備えており、その能力発揮の程度に関心が集まっている
仮に防御機能にもかかわらず5G干渉が避けられない場合には、空港周辺に離着陸に影響を与えない「5G信号排除ゾーン」を設けて航空機の安全を確保する案などを並行して国防省は検討している模様

FCC 5G.jpgまた高度計の改修案としては、使用する「4.2〜4.4 GHz」帯以外を電波フィルターで排除する案があるが、政府関係者からは、それにより高度計の誤差が大きくなる恐れも指摘されている
国防省では、将来的には5G通信ネットワークが都市周辺で構築されることを前提とした、新たな工業規格(new industrial standards)を国として定め、5G環境の干渉に強い高度計を普及させる方向が望ましいとの意見も出ている
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5G関連では、サイバー安全保障上の懸念がある中国企業の排除進める一方で、技術面や価格面で遅れている西側及び米国企業の5G開発を促進して「穴埋め」をする必要に西側諸国は迫られており、西側企業を応援することに西側各国政府は必死です

FCC 5G3.jpgトランプ政権下のFCCは、この流れで強硬に電波の優先使用を5G企業に与えるべく動いたと想像されますが、バイデン政権の新しいFCC委員長がどのようなかじ取りをするのかに注目です

FCCの「干渉が生ずるとの根拠はない。既得権の乱用だ」主張と、FAAや民間航空会社の「干渉の恐れがある」主張のどちらに分があるのか、技術的な知識やデータを把握していないのでコメントが難しいのですが、世界中で出そうな問題でもありますのでご紹介いたしました

5Gと電波高度計環境問題
「5G企業へのCバンド売却で電波高度計に懸念」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-22

5GのGPS信号への干渉問題
「炎上中:5G企業へのGPS近傍電波使用許可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-14
「5G企業に国防省大反対の周波数使用許可へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-11
「米議会でも国防省使用の周波数議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-05
「ファーウェイ5G使用は米国との関係に障害」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-17
「軍事レーダーの干渉確認」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-05
「5G企業とGPS関係者がLバンド電波巡り激突中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-22-2
「戦略コマンドが5Gとの電波争奪に懸念」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-27

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軍需産業との機密情報共有拡大に踏み出す [米国防省高官]

Lord次官最後のお仕事です
対象企業名や数は非公開ながら
もしかして軍需産業からの撤退の脅しに屈したか?

Lord.jpg4日付米空軍協会web記事は、昨年12月15日付でLord調達担当国防次官が関係企業に対し、過去数年間「pilot initiative」として取り組んできた特定企業グループとの機密情報共有拡大で兵器・装備開発を円滑にする「SAP:special-access programs」を、公式にスタートすると通知したと報じています

このSAPは、特定の兵器&装備開発にかかわる企業に、従来限定的にしか開示してこなかった担当装備品の全体像や関連装備品開発状況や関連技術を、より広範にアクセスを強化することで、各企業が持つ知見や関連技術を装備品開発に取り込もうとする狙いを持った取り組みです

Lord3.jpg秘密情報漏洩が心配されるところですが、そこは管理体制を強化するとの姿勢を示すことで目をつぶり、兵器&装備開発に国防省外部の力を呼び込もうとの狙いを先行させた施策と理解いたしまし

事柄の性質上、具体的な対象装備や関連企業名が一切明らかにされないSAPの公式スタートですが、中国に後れを取ってはならないとの必死な米国防省の取り組みの一つですので、ご紹介しておきます

4日付米空軍協会web記事によれば
Lord4.jpg12月15日付の軍需産業界へのメモでLord次官は、「世界が大国間の紛争に備える環境に戻りつつある中、国防省は国家安全保障上の課題により迅速にかつ費用対効果良く対応するため、軍需産業界との関係を強化しなければならない
一方で同時に、急速に最新技術の拡散が進む新たな現象がみられる中で、米国の技術的優位を守るため、技術情報保護のレベルを高める必要もある。この重要情報保護と緊要な情報の共有との両立を目指すSAPは、前線兵士に最新技術を組み込んだ兵器や装備を迅速に届ける上で極めて重要な意味を持つ」とその狙いを語っている

●メモによればSAPは4つの目標を掲げている
--- 企業に、彼らが取り組む事業に関するより高い透明性をSAPを通じて提供しすることで、各企業が担当分野に他の知見や手法を導入することを容易にし、技術開発と費用対効果を改善する
--- 企業に、関連している他企業とのつながりに関する基礎的情報を提供し、当該企業が開発目標を設定しやすくすることで国防システムの開発に資する
Lord2.jpg--- 秘密情報を保護するために、関連企業の情報管理スタッフに必要な情報へのアクセス権を認める
--- 企業の管理者たちにSAPへのアクセスを認めることで、企業の責務遂行を促進する
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恐らく企業側から、新技術開発における官製事業の比重が益々低くなり、国防に協力することで得られるメリットが小さくなりつつあるのだから、せめて少しでも「秘密情報」に接する機会を増やしてくれないと事業から撤退する・・・等の脅しを受けているのかもしれません

同時に、「Give contractors’ security staff the access they need to protect classified information」(秘密情報を保護するために、関連企業の情報管理スタッフに必要な情報へのアクセス権を認める)との表現など、アクセス権拡大に伴う「情報保護」強化の対策が良くわかりませんが、情報漏洩のリスクを冒してでも、開発を費用対効果良く推進したいとの強い思いがあるのでしょう

特に西側の産業界は軍需産業の引き留めが難しくなりつつあり、米国以外でもこのような動きが進むのかもしれません。でも、くれぐれも中国やロシアへの情報流出にはご注意いただきたいものです

Lord次官関連記事
「中国製部品排除に時間的猶予を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15
「半年以内に武器輸出制限を緩和したい」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「中国資本の米企業への接近警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-02
「サイバー攻撃停電に備えミニ原発開発中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07
「レアアース確保に米国が大統領令」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-03

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米国防省が小型無人機対処戦略を発表 [米国防省高官]

国防省のJCO:Joint Counter-sUAS officeが作成
情報収集、防御体制確立、他との協力体制構築の3本柱で

CUAS3.jpg7日、米国防省が小型無人機対処戦略(Counter-Small Unmanned Aircraft Systems Strategy)を発表し、「体制整備&情報収集分析」、「防御体制確立」、「他との協力体制構築」の3本柱で取り組みを加速すると明らかにしています。担当は国防省のJCO(Joint Counter-sUAS office)で、リーダーを米陸軍のSean A. Gainey少将が務めています

背景には、急速に普及・拡散が進む無人機技術とその脅威に対処するため、各軍種各部隊がバラバラに様々な対処装備を次々と導入して「無駄」や「重複」や「混乱」が生じているとの危機感があり、調達担当次官が無人機対処兵器を数種類に絞り込みたいと昨年秋に発言するまでに至っていた事態があります

CUAS.jpg装備の絞り込みだけでなく、運用ドクトリンや運用や訓練手法なども統合レベルで統一した基準を示し、米軍として一体的な取り組みを推進することも本戦略の重要な狙いとなっています。また指揮統制システムや既存システムとの連携も重要な課題で、報道では、最も進んだTHAAD指揮統制システムとの連接が極めて重要とのGainey少将の発言も紹介されており、広がりの大きな事業であることを伺わせます

更に、無人機対処と言っても海外展開拠点の防御から国内基地の警備まで対処環境は様々で、同盟国と協力した海外敵対勢力の無人機脅威分析から、米連邦航空局と連携した米国内で使用される小型無人機の把握などまで、多様なことを考える必要のある大きな課題で、加えて同戦略は「国内技術開発への投資政策」や「対処装備の海外への売込み」までを視野において記述されており、中身「山盛り」感のあるものとなっています

昨年末の記事で、アゼルバイジャンとアルメニアの紛争で、前者が攻撃型無人機で後者を圧倒し、ロシア製最新兵器を粉砕して世界の軍事関係者に「ついに現実になったか・・・」との衝撃が走っているとご紹介しましたが、米国防省も遅ればせながら本格的に動き出した形です

CUAS2.jpg1月中に本戦略遂行のための具体的なロードマップ計画が示されるようで、その中に4月にYumaの陸軍試験場で陸空軍が協力して行う「複数の企業提案対処装備の評価実験」も含まれており、既選定済の海兵隊採用車両搭載型「Light-Mobile Air Defense Integrated System」や、Bal Chatri社製の手持ち兵器「DronebusterとSmart Shooter」に続く対処装備の選定が行われるようです

本戦略の背景や概要をご紹介しましたが、以下では戦略の3本柱である「情報収集分析:Ready the force」、「防御体制確立:defend the force」、「他との協力体制構築:build the team」の3本柱(Ready the force, defend the force and build the team)について、つまみ食いでご紹介します

7日付Defense-News記事によれば

●To prepare the force
--- 脅威分析のため、現在と将来の脅威情報収集と分析体制を確立し、具体的な情報要求や収集優先順位を設定する
--- 無人機対処技術開発のため、科学技術投資先の見極め評価基準を統制し、この活動を米本土内だけでなく、同盟国との間でも行う必要がある
--- これらを推進するため情報共有枠組みを構築する必要があり、標準化されたインターフェースや相互運用性のある仕組みが求められる。企業が提案する防御装備の評価や審査に関する評価標準も必要となる

●To defend the force
--- 平時から大規模紛争時までをカバーする作戦運用ドクトリンやコンセプト開発が必須で、装備品、訓練、政策、運用管理組織を有機的に束ねる必要がある
--- またこのドクトリンやコンセプトは投資選択の基準としても重要で、一連の対処装備をファミリーとして整備していく上での基礎ともなる

●To build a team
--- 米国内だけでなく同盟国やパートナー国を含めた作戦運用協力や技術開発協力が重要である。特に最新技術を導入するために、新たなパートナーをひきつけなければならない
--- 多様な協力関係を構築するための民間機関との協力合意形成や、法執行機関や展開先ホスト国との協力体制や共通手順の作成が重要となる
--- 作戦運用や情報収集面だけでなく、必要な装備品の売却や提供の円滑化迅速化を図る必要もある
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ちなみに本戦略では、「小型無人機」の重量25㎏以下(55ポンド)のものを「小型」と定義しているようです

CUAS4.jpg小型無人機の運用に関しては、米国内でも諸外国でも法体系の整備が「道半ば」「日々変化中」で、米国防省の対応も大変そうです

5日の週には、米連邦航空局FAAが小型ドローンの登録制度を強化(?)し、米軍基地周辺を飛行する小型無人機の識別や対処に有用な情報が得られやすくなるようですが、たとえ悪意のない小型無人機であっても無害であるとは限らず、平時の対応は法執行機関との調整を必要とします

これが海外の展開先ともなれば一層困難です。在基地米軍基地周辺を小型ドローンが飛行していたとして、国土交通省のwebサイト上に識別や対処に必要な情報が公開されているかと言えば心もとない限りでしょうし、迎撃兵器を使用すれば周辺住宅への落下被害の恐れもあり・・・・複雑です

この戦略関連で様々な報道や情報が提供されており、まとまりのないご紹介となりましたが、それだけ差し迫った「Clear and Present Danger」だということです

米国防省の小型無人機対処戦略(1月7日)
Counter-Small Unmanned Aircraft Systems Strategy
→ https://media.defense.gov/2021/Jan/07/2002561080/-1/-1/1/DEPARTMENT-OF-DEFENSE-COUNTER-SMALL-UNMANNED-AIRCRAFT-SYSTEMS-STRATEGY.PDF

世界の軍事関係者に衝撃
「攻撃無人機でアゼルバイジャン圧勝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-21

無人機対処にレーザーや電磁波
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-20-1
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
「米軍のエネルギー兵器が続々成熟中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-30-1
「米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24

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米空軍に海軍戦術核を補完する追加戦術核は必要ない [米国防省高官]

米国防省の核戦略担当次官補代理が語る
B61-12でOK、後は潜水艦発射W76-2弾頭で!?

Soofer.jpg3か月前の9月2日、米空軍協会ミッチェル研究所主催のオンラインイベントに登場した米国防省のRobert Soofer核戦略担当次官補代理が「米空軍は既に核兵器運用や核抑止に関して十分なシェアの役割を果たしており、空軍に核に関してこれ以上お願いする必要性はないと考える」と語りました

実際米空軍は、ICBMミニットマンⅢをN-グラマン社「Ground-Based Strategic Deterrent」への2020年代後半更新に着手し、2020年代半ば運用開始のB-21ステルス爆撃機の開発を進め、核搭載も狙う巡航ミサイルLRSOを2026年配備に向け開発中で、更に戦術核爆弾B61の後継B61-12(20キロトン以下)を2022-25年の間で調達する予定の大忙し状態です

B61-12 2.jpgただ本音としては、欧州諸国にも保管をお願いしている現有の戦術核は政治的意味合いもあり機種更新して現状維持も、ロシアや中国の強固な防空網や攻撃能力を考えると、米空軍航空アセットからの戦術核投射リスクは高まるばかりで、代わりに2019年末に配備が始まった潜水艦搭載戦術核弾頭「W76-2 弾頭」(5キロトン)に期待するとの意味を込めた発言だと思います

以下では、同次官補の発言とあわせ、通常戦と核戦争の区分が益々あいまいになりつつある中で、米空軍の対応を検討している米空軍司令部のRichard M. Clark核戦略担当部長(中将)による8月19日の情勢認識説明もご紹介しておきます

2日付米空軍協会web記事は次官補発言について
W76-2.jpg米国防省のRobert Soofer核戦略担当次官補代理は、「米空軍は既に核兵器運用や核抑止に関して十分なシェアの役割を果たしており、私としては空軍に核に関してこれ以上お願いする必要性を感じない」と語り、米海軍が2019年末から潜水艦への配備を始めた戦術核「W76-2弾頭」を補完するため、米空軍が追加で更に現在より小さい戦術核を保有する必要はないと示唆した

ちなみに、米海軍が2019年末に配備を開始した戦術核「W76-2弾頭」は「5キロトン」で、SLBM用戦略核の「W76-1 90キロトン」や「W88 455キロトン」、空軍が今後製造する戦術核B61-12の20キロトン以下よりも小さく、広島・長崎に投下された原爆の1/4程度である
なお、今後の核兵器については、使用の柔軟性を確保するため、状況に応じて破壊力を調整(dial a yield)可能な能力が重要になると言われている

8月19日付米空軍協会web記事はClark中将発言を
Clark.jpg8月19日、米空軍司令部のRichard M. Clark核戦略担当部長(中将)は同じくミッチェル研究所のイベントで講演し、通常戦と核戦争の区分が益々あいまいに流動的になりつつある中で、約1年半にわたり米空軍の新たな核兵器戦略を検討していると語った
同中将は、30年前にはソ連との間の核抑止を考えればよかったが、核戦力を強化している中国や行動が読めない北朝鮮など核兵器の使用を一つの兵器としか見ない考え方の台頭で、核戦略を取り巻く情勢が複雑になりつつあることを指摘し、「通常戦と核戦争の融合:conventional and nuclear integration」検討を迫られていると説明した

ロシアは地域的な戦いの場で、そのドクトリンや能力、戦術核を蓄積している様子から、明らかに(戦術核の使用を)作戦計画や戦略プロセスに組み込んでいると同中将は分析した
W76-2 sub-L.jpgまた中国に関し同部長は、核戦力の近代化更新を進めているが、これまで曖昧ながら基本としてきた「先制核攻撃はしない」姿勢から今後離れ、自身の防御のためには「Launch on Warning:我への危機が迫れば使用する」方向に向かうと見ていると述べた
さらに北朝鮮については、通常戦に核兵器を持ち込むカードを切る考えを持っていると語った

そして同部長は、核兵器を保有することで相手を抑止することが引き続き最優先であるが、中露北朝鮮などは通常戦力で米軍に圧倒されていると認識し、他の手段での対抗しようとしており抑止が崩壊した場合に備える体制が米軍にとって重要だと説明し、核兵器運用に関する指揮統制、訓練、技術などすべてを刷新して複雑な情勢に対応する必要があると述べた
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これまで戦術核については、欧州の戦術核を、ドイツ軍のトーネード後継検討や在ドイツ米軍の削減などを絡めてご紹介してきましたが、やっと米海軍が潜水艦に新たに配備開始した戦術核「W76-2弾頭」の話にたどり着きました

B61-12.jpg基礎知識不足で誤って紹介している部分がありそうですが、日本で核兵器の話となれば、被爆者団体や核実験反対団体しかメディアに登場しない「思考停止状態」なので、誤りを覚悟で取り上げております

「核兵器の時代に核兵器を持たないと馬鹿になる」と誰かの言葉を振りかざすつもりはありませんが、サイバー兵器も宇宙兵器も出現し、その影響が国家運営や国民生活に甚大な影響を与える時代です。核兵器も含めた実のある議論をしたいものです。健全な判断ができる国民の存在こそが、国家安定の最大の担保ですから・・・

ドイツと戦闘機関連記事
「独3機種混合案検討を認める」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-23-1
「独トーネード後継を3機種混合で?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-29
「トーネード後継でFA-18優位?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-08
「独の戦闘機選定:核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28

戦術核兵器とF-35等
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

ドイツ駐留米軍削減の関連
「米軍削減でドイツのNATO核任務に影響は?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-14
「国防長官が1.2万名削減計画を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「独駐留米軍を1万人削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-16
「移動先ポーランド大統領と会談」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「米独2000名に安保アンケート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-10
「9月末までに米軍再編検討を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14 

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米国防省が豪州と極超音速兵器で共同生産見据え合意 [米国防省高官]

豪州は2か国目で、ノルウェーが最初
豪州とは過去15年間基礎研究で協力してきたとか

Kratsios.jpg11月30日、米国防省のMichael Kratsios技術開発担当次官が、豪州と極超音速兵器のプロトタイプ迅速作成と将来の量産体制確立を念頭に置いた「SCIFiRE」(南十字星飛行研究実験:The Southern Cross Integrated Flight Research Experiment)に合意したと発表しました

このような極超音速兵器技術のプロトタイプ開発国際協力プロジェクトの取り組み(U.S.-run Allied Prototyping Initiative)は昨年米国防省が打ち出したものですが、1番に手を挙げたのがノルウェーの「固体燃料ラムジェット」共同開発で、今回の豪州との合意は2番目との事です

ARRW.jpg米国の陸海空軍は、極超音速兵器に関して共通部分を共同開発し、それぞれの搭載兵器や運用法に応じ、個別にランチャー等の開発にあたっており、陸2023年、海2023年、空2022年配備を目指してそれぞれが精力的に取り組んでいます

なお、米空軍は以下の2種類に取り組み中とのことです
「Mayhem」→air-breathing Hypersonic Attack Cruise Missile(ARRWより大きく、多様な弾頭を搭載可能)
「ARRW」→Air-Launched Rapid-Response Weapon 

以下では、細部不明ながら2番目の極超音速兵器の開発国際協力合意に達した豪州との取り組みについて、断片的にご紹介しておきます

11月30日付米空軍協会web記事によれば
Collins.JPG米空軍の計画リーダーであるHeath A. Collins准将は、「SCIFiRE:南十字星飛行研究実験」取り組みでは、米豪が協力して極超音速兵器のフルサイズ長射程プロトタイプを作成し、実戦的な飛行デモで検証すると計画を説明している
国防省によれば豪州との今回の合意は、「将来可能性のある極超音速兵器共同生産を追求する取り組みでもある。過去15年あまり、HIFiRE(Hypersonic International Flight Research Experimentation)との枠組みで同兵器開発で協力してきた両国の成果をてこにして取り組む」もので

「SCIFiRE:南十字星飛行研究実験」には、米空軍、米海軍、豪空軍、豪国防科学技術グループが協力して取り組む
Mayhem.jpg米国防省の研究開発担当次官室の下で運用されている「Allied Prototyping Initiative」は、世界中の軍事技術基盤を結んで迅速に最新技術を装備化する取り組みで、国際協力の重要性を説いている国家防衛戦略NDSに沿ったものである

Mel Hupfeld豪空軍参謀総長は合意に関し、「豪州の国防技術科学者と、米空軍をはじめ米国防省全体の最新の知見を持ち寄って、最新最高の成果を両空軍チームに提供したい」と述べている
////////////////////////////////////////////////////

「Allied Prototyping Initiative」が極超音速兵器のみを対象として始まっているのか、他の分野にも展開されているのか把握していませんが、「人工知能AI」や「無人機の群れ」関連を含め、今になって「大学との連携強化」とか「民間企業との連携強化」とかを打ち出す動きが広がっています

もちろん必要なことで、日本の「学術会議」のようなお寒い組織との戦いレベルからすると格段の違いなのですが、中国が国内のみならず「千人計画」なるもので国外にも触手を伸ばしている現状からすれば、極めて厳しい状況を言わざるを得ません。しかしこれが現実です・・・

日本もガッチリかかわっていきたいところですが・・・

米軍の極超音速兵器開発
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-28
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

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国防省政治任用ポストの4割が議会未承認のまま [米国防省高官]

平均未承認空席期間は1980年代以降で最長
8つの次官級ポストの内、5つが議会未承認

Undersecretary6.jpg20日付Defense-Newsは、米国防省の政治任用ポスト60個の内、4割の24ポストが米議会の承認を得ない臨時代理又は代行者(acting or performing-the-duties-of capacity)で占められる異常な状態のまま、来年1月の政権交代を迎えるだろうと紹介しています

人選や議会承認にレーガン政権時代以降40年間で最長の時間を要している理由として記事は、辞任者や更迭が多いこと以外にも、政権が指名する候補者の質が低く承認審議が難航していることや、政権自体が議会承認を重視せず臨時の状態を気にしていないこと、が背景にあるとの専門家意見を紹介しています

Undersecretary2.jpg議会未承認24ポストの中には、議会承認待ちの様々な段階にあるポストが「11個」あるようですが、米議会の年末までの稼働日数や他の優先課題等を考えれば、これ以上正式承認者が出る可能はなく、実質2か月足らずの任期のために承認を進める意欲をだれも持ち合わせていないのが現状だそうで

専門家は、臨時や代行者がいて業務を進められる部分はあるが、大きな課題になるほど、政府機関内や米議会との調整に「議会承認を受けた」立場が「見えない力」として必要であり、また文民重要ポストに未承認者が多いことで、軍人(統合参謀本部)の発言力が強くなりシビリアンコントロール上の懸念も出てくると教科書的な問題点を指摘しています

Undersecretary.JPG実態として「多数の未承認ポスト」の影響を理解していませんが、なし崩し的に組織制度が変わることには不安があるので、次期政権では解消されるでしょうが、未承認ポスト24個と解説記事の概要をご紹介しておきます

なお、国防省の本部(国防長官室)には、大きく6つの部署(政策、人的戦力管理、調達&兵站、研究開発、情報、改革Reform)があり、それぞれのトップに次官が指名され、監察官(Inspector General)や会見監査(Comptroller)と合わせて8つの次官級ポストがあり、その5つが未承認状態です。また陸海海軍省も次官補レベルまで政治任用のようで未承認ポストがあります

60ある政治任用ポストで未承認の24個は

国防長官
政策
Undersecretary of Defense for Policy
Deputy Undersecretary of Defense for Policy
Assistant Secretary of Defense for Legislative Affairs
Assistant Secretary of Defense for Space Policy
Assistant Secretary of Defense for Readiness
Assistant Secretary of Defense for Indo‐Pacific Security Affairs
Assistant Secretary of Defense for International Security Affairs
Assistant Secretary of Defense for Nuclear, Chemical, and Biological Defense Programs
Assistant Secretary of Defense for Special Operations and Low Intensity Conflict
Director of Cost Assessment and Program Evaluation

人的戦力管理
Deputy Undersecretary of Defense for Personnel and Readiness
Assistant Secretary of Defense for Manpower and Reserve Affairs

調達&兵站
未承認なし
研究開発
Undersecretary of Defense for Research and Engineering
Deputy Undersecretary of Defense for Research and Engineering

情報
Undersecretary of Defense for Intelligence and Security
Deputy Undersecretary of Defense for Intelligence and Security
改革
未承認なし

監察官や会見監査官
Inspector General of the department
Undersecretary of Defense (Comptroller)
Deputy Undersecretary of Defense ‐ Comptroller

陸海空軍省
Undersecretary of the Navy
Undersecretary of the Air Force
Assistant Secretary of the Air Force for Space Acquisition and Integration
General Counsel of the Army(米陸軍法務官)

20日付Defense-News記事によれば
Undersecretary3.jpg人選と承認に要した議会審議時間を見てみると、オバマ政権時代には平均で、人選に5か月、承認手続きに2か月だったが、トランプ政権ではそれぞれ、7.5か月と3.5か月要しており、トランプ政権の時間はレーガン政権以降で最長となっている
これを次官級ポストに絞って見てみると、トランプ政権は人選と承認で合計約6か月と、オバマ時代の2倍の時間を要している

人選が終わって議会承認を申請している段階にあるケースが11ポストあり、11月16日に申請された国際安全保障担当次官補ポストから、3月に申請されて承認の見込みがないものまで、様々な段階のものがあるが、今後政権交代まで米議会で承認審議が行われる見込みはない

このような状態になっている理由について政治任用者を審議する上院軍事委員会のTim Kaine議員(民主党・バージニア州)は、「様々な理由がある。政権側が更迭するケースや辞職者が多いことに加え、後任候補者が共和党優位の上院でも承認を躊躇するレベルであることも影響している」と述べ
Undersecretary4.jpgまた「トランプ大統領が上院の審議にさらされる承認手続きを好まず、臨時や代理で良しと考えるタイプの人物で、戦略的な業務が多い国防省ポストに関してはこの傾向が強い」ともコメントしており、臨時の政策担当次官である反イスラム姿勢が顕著なAnthony Tata氏の承認手続きが夏にとん挫したままでも、継続して「臨時」で職務を継続している例を挙げている

共和党系のシンクタンクAEIのMackenzie Eaglen女史はこの現状に関し、「大きな官僚組織であるペンタゴンは、ある程度の空席状態には対応してきた」と述べる一方で、正式な承認手続きを経た官僚でないと乗り越えられない重要な政策調整の「見えないゴールポスト:invisible goal posts」が障害物として厳然と存在する」と指摘している
また文民統制の観点から、承認を得ない国防省官僚が増えることで、ペンタゴン内での文民官僚の影響力が低下し、文民と軍人の力関係のバランスが変化することに関する懸念に触れ、次期政権ではこれ以上議会承認手続きを経ない臨時官僚が増えることに警鐘を鳴らしている
///////////////////////////////////////////////

Undersecretary5.jpg「見えないゴールポスト」や「文民統制」の視点での懸念はあるのでしょうが、政策担当次官との国防省No3ポストに加え、研究開発や情報担当次官のポストでも臨時や代理で回っている(らしい)現実から、議会承認を軽視する方向にならないか注視する必要があるのでしょう

トランプ大統領がツイートを多用したことで、バイデン氏のツイートが少ないと評価する人が出てくるくらい従来の「常識」を変えたトランプ政権ですから、後の人は色々大変そうです

バイデン政権の国防長官最有力候補フロノイ女史の思考
「必要な国防政策を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-12
「米議会で中国抑止を議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17
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ミラー臨時長官が特殊作戦軍を4軍と同格扱いに [米国防省高官]

特殊作戦担当次官補に長官への直接報告を指示
陸海空軍長官と同等の扱いに

Miller8.jpg18日、Christoper Miller臨時国防長官が米軍特殊作戦部隊の「母基地」との位置づけにあるノースカロライナ州の米陸軍Fort Braggを初の部隊訪問として訪れ、米軍の特殊作戦担当高官が国防長官に直接報告するように指示したと明らかにし、具体的にはEzra Cohen-Watnick特殊作戦軍担当次官補(臨時)が、政策担当次官を介することなく直接報告できるように仕組みを変更しました

Miller6.jpg国防長官への直接報告は、陸軍、海軍、空軍の各長官に認められているものですが、Cohen-Watnick次官補に同等の権利を与えることで、米軍の重要な役割を担いながら現場の意見や不満が中央に届いていないとの特殊作戦軍関係者の不満に、その道のプロである臨時長官として「いの一番に」答えたということでしょう

この扱いが一時的なものか、恒常的なものになるのか位置づけがよくわかりませんし、予算とか行政運用面での変化があるとも考えにくいのですが、アフガンとイラクの米軍兵士削減を発表した翌日に、この発表を同基地の米陸軍特殊作戦部隊記念碑の前で行った模様で、約2か月間の短期間に賭けるミラー臨時長官の思いが詰まった動きの様なのでご紹介しておきます

18日付Military.com記事によれば
Miller5.jpg18日ミラー臨時長官は、長官として初の部隊訪問先として選んだFort BraggのArmy Special Operations Command Memorial Plazaの前で、「私は特殊作戦担当の文官職員に対し、国防長官に直接報告するよう指示した。初めて陸海空軍長官と同等に扱うことにしたのだ」、「この改革は、国防省と米軍の機敏性を改善し、意思決定を円滑にし、より迅速に現場指揮官と陸海空海兵隊の関連兵士たちを支えるためである」と説明した
また「トランプ大統領の支持を得て、米国特殊作戦軍の新たな歴史を開き、改革の分岐点とする。今ここから、我々はより強固な文民監督のもと、重要な特殊作戦を擁護し支援していく」と指示の背景を説明し、この動きは2017年国防授権法で認められたものだと述べた

また同臨時長官は、特殊作戦軍の地位向上は、16日に示した同長官の3つの目標(アフガン及びイラクでの戦いの終結、対中露を重視する国家防衛戦略NDSの継続遂行、transnational threats対応の加速)と、方向を同じくするものだとも述べ、1987年に特殊作戦コマンドが編成されて以来の関係者の不満に対応するものだと説明した
Cohen-Watnick.JPG更に同長官は、ここ最近の国防省内の人事の動きや同長官の取り組みが反発を生んでいることに触れつつも、トルーマン大統領の言葉「ワシントンDCで友人を得たければ、犬を飼え」を引用し、気にしない姿勢を示唆した

具体的に陸海空軍長官並みの直接報告権を与えられるのは、Ezra Cohen-Watnick特殊作戦&低列度紛争担当次官補で、上司である政策担当次官を通じてではなく、直接報告することが認められることになる
Cohen-Watnick次官補は、「臨時長官の指示は、60年前に当時のケネディー大統領が予言していた特殊作戦の地位や重要性向上のビジョンを、トランプ大統領の下で具体化したものだ」と表現している
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特殊作戦担当次官補が陸海空軍長官と同等の直接報告権を得たことが、どれほどの影響があるのか理解できていませんが、来年1月20日までの短期間で、特殊作戦部隊重視で突っ走ろうとの姿勢はよくわかりました

Miller7.jpg「ワシントンDCで友人を得たければ、犬を飼え:If you want a friend in Washington, buy a dog」は直訳的に解釈すれば、様々な人々の思いが交錯する政治の町ワシントンDCで、人間の友人を得ることは難しいから、犬でも飼って話相手にした方が良い・・・との言葉ですが、何をやっても反対する人はいるのだから、自分の信じる道を進ませてもらう・・とのミラー長官の決意表明と受け取っておきましょう

「トランプ大統領の支持を得て」との言葉が複数回使用されており、今のトランク氏の状況からすると心配ではありますが、自らがアフガンなど中東で特殊作戦に従軍した元大佐の決意ですので、その成り行きを見守りましょう・・・

話題のEzra Cohen-Watnick次官補は、エスパー長官更迭を受け辞任した情報担当次官の臨時後任に指名されたはずなのですが、その辺りの関係はよくわかりません

対テロ専門家の臨時国防長官をご紹介
「臨時国防長官Christopher Miller氏はどんな人」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-10
「16日に3つの目標を全国防省宛てに明示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-18
「アフガンとイラク派遣兵力削減指示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-17

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Miller臨時国防長官が3つの目標を示す [米国防省高官]

13日の全国防省&米軍宛メモの補足文書の位置づけで
16日に「私の目標:my goals」を示す

miller1116.jpg16日、Christopher C. Miller臨時国防長官が13日発信の全国防省&米軍勤務員宛就任メッセージに続き、勤務に当たり国防長官として目標とする点を「より絞り込んで正確に: more finite and precise statement」伝えるための文書を、再び国防省と米軍勤務者全員に向け発信し、3つの具体的優先事項を明らかにしました

17日にアフガニスタンやイラク派遣米軍を政権交代直前の1月15日までに相当数削減する事を記者会見で公式表明し、全世界にその姿を初披露した同臨時長官ですが、その前日に著名なアメリカンフットボール監督の言葉を引用しつつ、3つの「目標」を達成するため、各人が持ち場でそれぞれの仕事・任務を果たすことを期待すると呼びかけています

3つの目標と臨時長官の思い
現在の戦いを、責任ある形で終わらせ、米国民の安全を確保する
引き続き2018年国家防衛戦略NDS遂行に努め、特に将来の戦略環境に対応しつつ、大国間の紛争(great power competition)への備えに焦点を当てて取り組む
米国政府が全政権を挙げて取り組む「transnational threats」対処に、国防省としてよりスピード感をもって取り組む

この明確な目標に向かって前進するにあたり、私が良く思い浮かべるシンプルだが力強いフットボールコーチBill Belichick氏の言葉「Do your job」を紹介しておく

我々はチームであり、この言葉を心に刻んでもらいたい
////////////////////////////////////////////

「Transnational Threats」とは、非国家組織による、テロ、組織的国際犯罪、大量破壊兵器の入手などに代表される、特定国家がもたらす脅威とは異なる種類の現代的脅威で、交通や通信技術の発達と普及を受け大きな脅威となり、携帯電話や電子メールやインターネットの発達普及により世界中に拡散しつつある脅威(ブリタニカ百科事典)・・・です

Belichick.jpgBill Belichick氏は、現在ニューイングランド・ペイトリオッツのヘッドコーチで、ヘッドコーチとして6回のスーパーボウルを制覇している名将です。4年間で3回優勝を果たしたヘッドコーチは彼だけ。また、ニューヨーク・ジャイアンツ守備コーチとしても2度のスーパーボウル優勝に貢献しています

アメフトのような複雑な戦略・戦術を繰り出すのでしょうか・・・・。対テロとTransnational Threatsの間に、great power competitionが挟まれている構図のようです。今後2か月間は・・・

16日の臨時長官メモ現物
https://www.airforcemag.com/app/uploads/2020/11/MESSAGE_TO_THE_DEPARTMENT_ACTING_SECRETARY_MILLERS-GOALS_OSD010972_20_FOD_FINAL1.pdf

対テロ一筋の臨時国防長官をご紹介
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バイデン政権の予想
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トランプ大統領アフガンとイラク派遣兵力削減指示へ [米国防省高官]

11月17日、Miller臨時国防長官が正式に発表しました!
https://www.military.com/daily-news/2020/11/17/trump-makes-it-official-troop-reductions-iraq-afghanistan.html
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

大統領交代直前の1月15日期限で
対テロ専門家の臨時国防長官指名はこのため!?
イラン攻撃が話題な中ですが・・・

Trump8.jpg16日付Military.comが、トランプ政権が来年1月15日までにアフガニスタンとイラク駐留米軍兵力数を、それぞれ現在のアフガン約5000名を2500名に、イラク約3000名を2500名に削減する大統領指示を準備しているとの政府高官の発言を紹介しています

トランプ大統領はこれまで、2020年末までにアフガンとイラクから全ての米軍兵士を撤退させると主張してきましたが、さすがに国防省など各所からの反対意見が強く、上記レベルの削減に落ち着く模様だと報じられています

Miller.jpg更迭されたエスパー前長官の後任に指名された「対テロ専門家」のChristopher Miller臨時国防長官も、職務開始直後の13日に国防省全職員宛てメモで、中東での米軍の戦いの終了を考えることの重要性を強調しており、来年1月20日のバイデン政権スタートまでの期間で、臨時国防長官が重点として取り組む方向が明らかになってきたような気がします

現場を担当する米軍司令官は兵力削減に反対で、早急な米軍削減発表が現地勢力との交渉を不利にするとの懸念の声も聞こえる中、先の週末には関連米軍指導者たちにトランプ政権の方針が伝えられた模様です

米軍削減指示の具体的内容については細部を検討中とのことですが、米国はクリスマス休暇返上で、様々な動きがありそうな雰囲気です

16日付Military.com記事によれば
この兵力削減が期限までに実行されれば、バイデン政権誕生の5日前に完了することになる。ただこの発表にあまり驚きはなく、エスパー前長官の更迭や後任者人事からこの動きを予想していた関係者も少なくない
バイデン氏は選挙期間中、兵力撤退について具体的なことは述べず、対テロに焦点を当てた幾らかの兵力のみを残すべきと述べており、「米国は長引く戦いを憂いており、戦いを状況に応じ終わらせねばならない。その際、米本土が二度と攻撃を受けないよう確実にすることが必要」とぼんやり表現している

Miller4.jpg一方Miller臨時国防長官は、職務開始直後の13日に国防省全職員宛てメモで、「我々は過去の戦略的過ちを繰り返さないよう、終わりを見据えて戦わねばならない。全ての戦いは終わらせねばならない」、「戦いは長く犠牲は膨大で、私を含め皆が懸念している。終結には妥協と協力が不可欠である。我々はこの課題に全力で対応してきたが、今や国に帰る時だ」と述べている
トランプ政権の姿勢は安定せず、10月7日に大統領が「少数の精鋭部隊を残し、クリスマスまでに派遣兵士を帰還させる」とツイートしたが、O’Brien大統領補佐官はこのツイートに関する記者団の質問に対し「大統領は希望を述べたに過ぎない」と説明したが、併せて「アフガン派遣兵士を2500名まで削減する方向だ」と述べが、その時点で米軍や国防省は何も話を聞かされておらず、現場が大いに混乱した経緯がある

McKenzie.jpgFrank McKenzie中央軍司令官などは、早急な兵力削減発表や実施は、タリバンと現アフガン政権や関係勢力代表たちとの話し合いに水を差すことや、イスラム国勢力掃討に影響すると難色を示してきたところである。また兵力削減は、共に行動してきた同盟国等と慎重に協議する必要があると訴えてきたところである
米軍幹部はまた、アフガン現地には米国に持ち帰るべき大量の重要で非公開の装備が持ち込まれており、その撤収には相当の時間が必要と主張してきた

McKenzie司令官などは兵力削減加速に反対姿勢であったが、政府高官によれば、対テロ作戦継続に必要な戦力を残し、緊要な装備品の引き上げには余裕を与える前提で、兵力削減を受け入れたと言われている
タリバン側はアフガン軍への激しい攻撃を毎日のように行っており、タリバンとアフガン政府との協議は、カタールで1か月間以上断続的に行われているが、ほとんど進捗がない状況と伝えられている
//////////////////////////////////////////////////

McKenzie2.jpgアフガニスタンやイラクの情勢をほとんどフォローしておりませんが、Miller臨時国防長官は約2か月の任期で、この問題に重点的に取り組むということです。対イランとの噂もありますが・・

現場の兵士が危険にさらされることがないよう、また中東の一般市民に犠牲者が出ないことを祈るばかりです

対テロ一筋の臨時国防長官をご紹介
「臨時国防長官Christopher Miller氏はどんな人」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-10

バイデン政権の予想
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バイデン政権の国防長官最有力候補
初の女性長官誕生か:フロノイ女史の思考
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極超音速兵器開発も今頃学会に技術情報収集 [米国防省高官]

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国防省が今後5年間毎年20億投資
大学を束ね技術情報収集Consortium設立へ
同兵器の推進装置や飛翔体素材に新たな知見を求め

Hypersonic3.jpg10月26日、米国防省が極超音速兵器の開発促進のため、技術を持つ約10大学からなるコンソーシアムを立ち上げ、毎年約20億円を投入して同兵器の推進装置や機体素材等に関する最新技術情報の提供を受ける仕組みを立ち上げると明らかにし、テキサスA&M大学教授にまとめ役をお願いすると発表しました

国防省の担当幹部は、文献によれば中国の極超音速兵器開発では、中国の学生が同兵器開発の風洞試験からプロトタイプ飛行試験まで、全ての段階に関与して開発を進めている点を指摘し、研究の最前線からの技術情報の迅速な製造現場や軍需産業への提供が重要だと訴えています

hypersonic5.jpg先日、米空軍が優先研究対象の一つとする「兵器や無人機の群れ制御」に関し、研究の行き詰まりから、米空軍が産業界や学会から情報提供を求める動きにかじを切ったとお伝えしましたが、国防省が陸海空軍を挙げて取り組む最優先プロジェクトである極超音速兵器においても同じ動きになりました

中国やロシアが先行すると言われ、ロシアが試験成功をプーチン大統領の誕生日に報告し、対抗するかのように米陸軍長官が「3月の試験では誤差6インチで着弾した」とアピールする極超音速兵器開発の動きをご紹介しておきます

10月27日付Defense-News記事によれば
Hypersonic4.jpg26日米国防省は、極小音速兵器の開発に関する大学との協力関係を強化するため、Texas A&M大学の航空工学教授で極超音速飛翔体研究所の所長であるRodney Bowersox教授をリーダーとする、全米約10の大学を束ねるコンソーシアムを今秋に立ち上げ、今後約5年間活動すると発表した
担当する国防省のGillian Bussey統合極超音速移行室長は、「国防省は極超音速兵器に相当の投資を行ってきた。しかし、試験の中で最新技術を対象兵器に投入する必要のある分野がありながら、新鮮な先進研究の「血」が健全に製造現場や軍需産業に流入していない」と語り、大学研究機関で生まれつつある最新技術活用の重要性を訴えている

このコンソーシアムは国防省や他の関係政府機関の直属となり、大学の研究機関と軍需産業界を結び付ける役割を果たす。Bussey室長は「コンソーシアムは、極超音速飛翔体を開発して飛ばすことが目的(The gold standard)だ」と表現している
この秋に立ち上がるコンソーシアムは、例えば海軍研究所(極超音速兵器を担当)が特定した問題に関し、極秘や管理された軍事秘密であっても関与して解決策を検討する

Hypersonic22.jpgコンソーシアムに参加する専門家(A board of experts)は以下の大学から参加する。MIT、ミネソタ大学、イリノイ大学、アリゾナ大学、テネシー大学、モルガン州立大学、カリフォルニア工科大学、ジョージア工科大学、パデュー大学
国防省は2021年度予算案で、極超音速兵器開発に3300億円を要求している
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新兵器に対する「必死さ」が伝わってくるのですが、中国の例を出してまで説明する必要があったのかは「?」です。「必死さ」より、「焦り」や「遅れ」や「壁」を感じさせるコンソーシアム設立発表です。

ロシアや中国の「出来栄え」がどれほどなのか情報を持ち合わせませんが、「なりふり構わぬ」必死さが功を奏することを祈念いたします

日本の「学術会議」の皆様に、本件に関するご所見を伺いたいところです

中国の極超音速兵器開発
「中国空軍H-6Nに空中発射極超音速兵器搭載か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-20
「中国が超超音速兵器で優位」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-1
「中国が優位なのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-14

ロシアの極超音速兵器
「露が対艦極超音速兵器試験に成功か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-08
「ロシア第3の超超音速兵器3M22 Zircon」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-21
「プーチンが超超音速兵器を大自慢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-26
「ロシアが新型核兵器続々開発と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1
「ロシアも取り組み表明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-11

米軍の極超音速兵器開発
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

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レアアース確保に米国が大統領令:中国依存脱却へ [米国防省高官]

米国政府全体で国内採掘処理活性化や備蓄に資金投入へ
国防省も米議会と予算枠や戦略巡り議論

rare earth3.jpg9月30日、トランプ大統領がレアアース(希土類)確保に関する大統領令を発出し、幅広い産業製品から軍事装備に欠かせないレアアースの世界市場を中国が牛耳っている危機的な状況に警鐘を鳴らし、米国政府を挙げて米国内採掘処理を活性化させ備蓄を増やすとともに、中国産の輸入を抑える関税などの措置検討に入りました

これを受け、重要な装備・兵器(ミサイル、弾薬、極超音速兵器、電子機器の放射線防護から携帯電話まで多様な装備)に不可欠なレアアース17種類を重要素材と指定している米国防省も、1日にLord調達担当次官が上院軍事委員会で、レアアース確保備蓄に向けた戦略作成や柔軟な予算運用が可能となるよう議会の協力を求めました

rare earth2.jpg大統領令は「極めて重要な鉱物資源を、敵対的な国からの輸入に過度に依存している現在の状況は、米国の安全保障、外交、経済に対する尋常でない極めて大きな脅威である」と表現し、トランプ政権が指定している35種類の鉱物資源を、貴重でありその確保が危うくなる可能性が高いと危機感を表しています

実際、米国はレアアースの80%を中国から直接輸入しており、残りの部分にも第3国経由で中国産を輸入している鉱物が含まれているなど、米中対立が激化し緊張感が高まる中、予断を許さない綱渡り状態が続いているようですが、以下では米議会でのLord次官の発言をご紹介します

1日付Defense-News記事によればLord次官の議会で
Lord.jpg米国のレアアース確保戦略には、米議会による法的根拠設定と予算配分措置を伴って、特定レアアースの国家備蓄推進、新たな促進政策と規制緩和による米国内のレアアース処理施設の再立ち上げ、関連の処理技術や代替品の研究開発を推進する等の必要があり、米議会の支援が欠かせない
短期的には、国内埋蔵レアアースの採掘量増加、緊要なレアアースの国家備蓄増量推進、更に代替資源の探求研究が考えられる

米国は貴重な国防関連のレアアース備蓄を拡大する途上にある。コロナ感染の結果、米国民は重要な物資や製品の調達先を選ぶ重要性に気づくことができた
昨日発出された大統領令を根拠とし、関係政府機関との連携を図り、これまで既に進んでいる国家備蓄の更なる増強と種類拡大に向かう

rare earth.jpg来月もう一度米議会にお邪魔し、具体的にどのような支援を議会にお願いするかを説明したい

レアアース確保に関し米国防省は議会に対し、レアアースを使用する兵器の購入予算の増加と、極超音速兵器予算への上限規制の撤廃を要望し、また予算使用の裁量枠拡大を願い出ている
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米国の国内レアアース採掘処理が廃れたのは、中国埋蔵量が膨大で価格競争で太刀打ちできないからだと思うのですが、米国内処理施設再興や採掘増加対策で、どれだけ中国産の穴を埋められるのか「?」です

代替品もそう簡単に見つかるような気がしませんし、それこそ国際協力で中国に対抗したい分野でしょう。日本の海底資源開発も貢献できるかもしれません

基礎知識不足ですが、重要な米国の動きですのでご紹介しておきます

「中国がレアアース輸出規制へ」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-06

米中関係を考える記事
「CSBA対中国戦略レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「2019年アジア安全保障会議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-31-1
「グーグルからAI技術流出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-23

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米国防省「新たな統合作戦コンセプト」を年末までに [米国防省高官]

エスパー長官肝いりで年末までに
前線と後方の線引きをなくすが合言葉

Hyten New Concept.jpeg14日付Defense-Newsが、米国防省がエスパー国防長官の肝いりで年末完成マストで精力的に取り組む「新たな統合作戦コンセプト:a new joint war-fighting concept」作成について取り上げ、将来の予算編成にも直結するコンセプトについて、John Hyten統合参謀副議長とVictorino Mercado戦略計画担当次官補の言葉を紹介しています

Hyten副議長が「私が軍人として経験した全てと相反するコンセプト」、「前線と後方の区別をなくす」と語れば、Mercado次官補は「過去4軍を束ねるような作戦コンセプトは一度も存在しなかった」、「(策定中の統合コンセプトは)各コマンドの見積もりを束ね今後の投資を形作るもの」と述べるなど、米軍の装備や作戦運用を予算制約がある中でも大きく変革しようとの意気込みを感じさせてくれます

Hyten New Concept2.jpegただ、完成したコンセプトを公にするかについては、広く変化を知らしめることのメリットと、中国やロシア等に知られることのデメリットの釣り合いをよく考えて今後検討されるだろうと述べるにとどまっており、想像をたくましくするしかないような気配もしますが、「同盟国」も巻き込むような話しぶりもありますので、日本で最近話題の「敵地攻撃(策源地攻撃)」との関係も邪推しながらご紹介します

14日付Defense-News記事によれば
12日、ハドソン研究所での講演でJohn Hyten統合参謀副議長は「新たな統合作戦コンセプト」について、「私が軍人キャリアで行ってきた全てと全く異なる方向性のコンセプトで、一番大きな違いは、従来存在した前線と後方を区別するような境界線がなくなることだ」と表現し、数10年続いてきた伝統的な考え方を捨て去ることを要求する考え方だと述べた
Hyten.jpg従来のコンセプトについて副議長は、「ここまでが作戦エリアで、前線ラインがここで、陸軍がここで、空軍はここで作戦すると区分して考えてきた」、「ラインを引いて地域を分割して全ての作戦を計画してきた」と説明した

しかし新コンセプトについて同大将は、今後の強固に防御され地域においては「地域を区分してきたラインが消え去る」と表現し、今後作戦に参加する全ての部隊は、統一された指揮統制を受けつつ、自ら自身を防御しつつ、同時に敵奥地を遠方攻撃(deep-strike)でき、敵をくぎ付けにする必要があるとし、「海軍部隊も、空軍部隊も、海兵隊部隊もだ」と述べた
に副議長は、同盟国もそうであるべきと述べ、多国籍編成は同盟国等も一体となって融合して行動できることで可能となるとし、このためには開発中の統合全ドメイン指揮統制能力の獲得が必要になるとも説明した

Mercado.jpegHyten副議長の講演に先立ち、13日にVictorino Mercado戦略計画担当次官補は記者団に対し、「これまで米軍は各軍種が別々のコンセプトを持って戦っていたようなもので、4軍が一体となって戦うようなことは一度もなかった」とまで表現し、新たな作戦コンセプトが画期的なものであることを強調した
そして同次官補は新作戦コンセプトについて、我々の将来投資のいくつかを直接司り、各コマンドのレビューや米海軍の艦艇建造計画等も結び付けることになると述べ、指揮統制も、兵站要領も、ある程度共通のものを新コンセプトで規定し、ギャップを埋めるものだとし、今存在すればよかったのに・・・ともつぶやいた

同副議長も同次官補も、エスパー長官が設定した年末までの新コンセプト完成に自信を見せたが、国防省が完成した新コンセプトの詳細を公開するかに関する質問に対して同次官補は、「新コンセプトを広く共有すべきとの観点はあるが、作戦上の秘密として扱うべきとの観点も踏まえ、慎重に発言すべきと考える」と対応した
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9 月末までにまとめる米軍部隊の世界的再編検討と並行して、年末までの「新たな統合作戦コンセプト:a new joint war-fighting concept」検討が進められてきたものと推測します

Hyten2.jpgた、同盟国にも「自身を守りつつ、敵奥地を遠方攻撃(deep-strike)」を求める方向の影響を受け、最近日本でも「敵地攻撃(策源地攻撃)」という議論が突然吹きあがってきたと邪推いたします

米大統領が、米政権が、変わっても方向性は変わらないのか気になりますが、エスパー長官の決意は固いようです。

米国防省が実施中の「世界的な米軍再編」検討の一環で、ドイツ駐留米軍削減が発表され、在韓米軍削減検討も進む
「ドイツ駐留米軍削減が発表」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「在韓米軍削減検討も進む」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-22

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8企業がAI空中戦でF-16パイロットに挑む [米国防省高官]

速報「AlphaDogfight Trials」
人間操縦者とAI操縦者によるバーチャル空中戦対決の結果

F-16想定のシミュレーター対決(Gun攻撃のみ)
AI側は8企業チームの総合評価で最強の「Heron Systems社」
人間はWeapon School卒業直後の州空軍操縦者「Banger」2千時間以上の経験
5回「Basic fighter maneuver」シナリオで対決
5-0でAI側の圧勝で終了!

対決後の人間操縦者コメント「米空軍が通常の訓練で安全上から設けている、敵側との高度差500フィートやGun攻撃時のAOA(angle of attack)制限にAI側はとらわれていなかった。最初の対決でこの点に気づき、2回目以降は私もより攻撃的に行動し、生存時間を徐々に伸ばすことができた。AI操縦者は判断が人間よりも格段に早く、その差も出たように感じた」と述べている

詳しくは20日付米空軍協会やC4ISRnet記事をご覧ください
https://www.airforcemag.com/artificial-intelligence-easily-beats-human-fighter-pilot-in-darpa-trial/
https://www.c4isrnet.com/artificial-intelligence/2020/08/21/ai-algorithm-defeats-human-fighter-pilot-in-simulated-dogfight/

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実際には8企業の勝者のみがF-16パイロットに挑戦
8月18-20日にバーチャル環境で

AlphaDogfight.jpeg米国防省最上位の研究機関であるDARPAが3年計画(2023年春頃まで)で進めている、人工知能AIを作戦機に搭載して空中戦に活用し、人間操縦者をより大局的な判断やAI搭載無人機の「指揮統制」に従事させようとするACEプロジェクト(Air Combat Evolution)の一環として、先進AIが人間操縦者とバーチャル空間で空中戦対決を試みる「AlphaDogfight Trials」を、8月18-20日の間に開催するとDARPAが発表しました

当初は、7月末にラスベガスで開催された「AFWERX」との米空軍技術展示商談会で決勝戦を披露する予定だったようですが、コロナの影響で上記期間にオンライン開催されることになったようです

AlphaDogfight2.jpeg「AlphaDogfight Trials」ついては後程ご説明するとして、2019年5月に発表されたDARPAのACEプロジェクトについて復習しておくと・・・・
--- 空中戦を中心とした航空作戦全般にAIを導入し、操縦者負担を軽減して他の大局的な判断に集中させることを狙いとし、更に有人機と無人機の連携を、様々なシナリオ下で可能にする技術開発にも重点を置く
--- 空中戦シナリオを、異機種、多数機、作戦レベルの多様なシナリオへ広げ、これらの過程で、人工知能による自動化への人間の信頼感を高めることを大きな狙いとする
--- 目指すところは、一人の操縦者が複数の自律的に行動可能なAI無人機を従え、より大きな作戦を遂行可能なミッションシステム指揮官となることを可能にすること

--- ACEは以下の4つの技術分野があり、複数の企業が担当
---- 第1に、空中戦アルゴリズムを構築
---- 第2に、操縦者と無人機の間の信頼感構築と信頼度測定
---- 第3に、第1,2、4分野の進捗具合を把握し規模を拡大
---- 第4に、実際の有人機と無人機での融合(integrate)でデモ飛行 

AlphaDogfight3.jpegDARPAのACEプロジェクトのほかにも、米空軍研究所AFRLが既存の戦闘機にAIを搭載し、2021年に人間が操縦する戦闘機と空中戦を行うプロジェクトを進めており、プロジェクトの成果については「多数進行中の他のAI活用システム」に融合・統合されて利用されることになっているようです

いずれのプロジェクトも、「人間操縦者をAIにサポートさせたら素晴らしい」とか、米空軍が優先推進する「Skyborg:無人ウイングマン構想」に生かすとか、空中だけでなく地上の維持整備にもAIを生かすなど、人間の領域を冒さないよう表現して「戦闘機族」を刺激しない、AI科学者たちの「心遣い」が感じられる今日この頃です

そんな「心遣い」と「やさしさ」に包まれた、「AlphaDogfight Trials」(囲碁のAlpha碁をまねた?)の計画をご紹介いたします

7日付C4isrnet記事によれば
F-16 RefuelAFG.jpg●7日、DARPAが発表した「AlphaDogfight Trials」計画によれば、8月18-20日の間に昨年選ばれた8つの企業のAIチームがバーチャル空間で優劣を競い、優勝AIチームが決勝戦で人間のパイロットとバーチャル空間で空中戦対決を行うことになる
昨年選ばれた8社は、Aurora Flight Sciences, EpiSys Science, Georgia Tech Research Institute, Heron Systems, Lockheed Martin, Perspecta Labs, PhysicsAI and SoarTechの8社であるが、昨年の企業選定から1年余りの期間で、AI空中戦に関して目覚ましい進歩を遂げているとDARPAは説明してい

まず「AlphaDogfight Trials」の第1ラウンドでは、Johns Hopkins 大学応用物理研究室が開発した5種類のAIシステムと8チームが個別に戦い各企業の出来栄えを基礎評価し、第2ラウンドでは8チームが総当たり戦で優劣を決める
第3ラウンドは、総当たり戦の上位4チームがトーナメント方式で戦い、勝者が決勝戦で人間操縦のF-16と戦うことになる

F-16.jpg当初の計画では、7月末にラスベガスで開催された「AFWERX」で決勝戦を披露する予定だったが、この計画では近傍に所在するネリス空軍基地の「Air Force Weapons School」から操縦者を招いて対決してもらう計画だったが、8月20日の決勝戦で誰が人間側の操縦をするかは不明
DARPAは「AlphaDogfight Trials」のオンライン観戦が可能だとし、米空軍のみならず、海軍海兵隊戦闘機操縦者や、米軍指導者やAI研究者の観戦登録を呼びかけている
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米軍以外の人間が観戦できるのか不明ですが、夏休み明けには刺激的なイベントになりそうです

DARPAが掲げる本プロジェクトの目的には、「人工知能AIに対する人間の信頼感を高めることを大きな狙いとする」と掲げられており、「人間の壁」が大きいことが感じられます

AlphaDogfight4.jpegAIへの人間の信頼感が向上していかない大きな理由の一つに、なぜAIが「なぜ」その結論に至ったかの「思考過程」を説明してくれない(できない・解析できない)点にある、とよく言われます。ビジネスや医療の分野にも進出が進むAIですが、そのあたりの突破にも期待したいところです

無人機空中戦の検討プロジェクト
「無人機含む空中戦を支えるAI開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-19
「米空軍研究所AFRLは2021年に実機で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-05

米空軍の計画
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
「空母搭載の小型無人機」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-03
「空軍研究所が関連映像公開」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-3

豪州とボーイングの取り組み
「試験初号機を披露」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-05-1
「豪州とボーイングが共同で」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-2

無人ウイングマンの位置づけ
「日米が協力すべき4分野」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-18
「戦闘機族ボスがNGADを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-28
「CSBAの米空軍将来提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「連接重視で航空アセット削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「次期制空機検討は急がない、急げない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-19
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05

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米国防省:中国製部品排除に時間的猶予を [米国防省高官]

8月13日からの規制第2弾を9月末まで延期
軍需産業界は法執行の1年程度延期を要望

Section 889.jpeg14日付Defense-Newsは、米国が2018年国防権限法(NDAA)第889項で定めた、今年8月13日が期限の「特定中国企業5社の製品を使っている企業は米国政府との取引を禁止」との条項に関しその執行を9月末まで延期すると国防省に伝えたと報じました

2018年の国防権限法(NDAA)第889項(Section 889 of the 2019 National Defense Authorization Act)は、中国への情報や技術流出を防止するために、中国への警戒感を強めている米議会が超党派の賛成で可決してトランプ大統領が2018年8月13日に署名して成立している法律で、排除される「特定中国企業5社」は、通信機器大手「ファーウェイ」や「ZTE」、監視カメラメーカー「ハイクビジョン」や「ダーファテクノロジー」、無線通信「ハイテラ」の5社です

Section 889 2.jpeg2018年の国防権限法(NDAA)第889項は2段階で上記企業製品の排除を求めており、2019年8月に「第1弾」として上記5社からの「製品やサービスの政府(直接)調達」を禁じ、今年8月13日からは「第2弾」として、「中国5社の製品などを使う一般企業からの政府調達」を禁じています

しかし上記5社の製品はすでに広く米国企業が使用しており、多くの階層下請け企業から構成される軍需産業界を考えるとき、Lord調達担当次官が議会で「例えば第7次下請け企業が、(国防省契約と関連のない仕事で)駐車場の監視カメラに特定5社のカメラを使っていた場合までを調べ、その下請け企業をサプライヤーにしている主要軍需産業との関係を無効にするような法規制の遂行には猶予が必要だ」と訴えたように、実効性の点で問題があるようです

14日付Defense-News記事によれば
Ratcliffe.jpegDefense Newsが入手した政府内の「memo」によれば、米国防省は政府機関全体からファーウェイ製等の製品や部品を排除する法律の執行に関し、時間的猶予を与えられた模様である
本来であれば今年8月13日から効力を発する2018年国防権限法(NDAA)第889項の「中国企業5社からの製品やサービスの政府調達禁止」について、9月30日まで猶予された模様である

国家情報長官DNIであるJohn Ratcliffe氏から、Lord調達担当次官あてに出されたmemoは、「米軍が戦争を抑止し、米国の安全保障を守る米国防省の任務遂行のためのサービスや物品の調達が、2018年国防権限法(NDAA)第889項の遂行と同等に、国家安全保障の利害に直結するものだと理解する」と述べ、
Lord次官に対し、同法律執行に関する現実のリスクとリスク緩和対策、調達禁止製品に関する代替品調達の計画状況について情報提供するようにmemoは求めている

Lord2.jpg第889項の規定により、国防省関係機関には、自ら関連中国企業の製品を使用していないと証明できない企業とは契約変更や締結ができない状況で困惑が広がっていたところ、この「執行猶予」は一時的な安らぎにはなろう
しかしそれ以前に、コロナ対応の軍需産業支援「追加」策が政党間の争いに巻き込まれてとん挫している中、国防省や軍需産業関係者からは、「まずコロナ対策に集中すべきだ」、「現実的に迅速な実行不可能(far-reaching)なルール強制には、1年程度の猶予期間が必要だ」との声が各所から上がっている
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これが米国軍需産業の現実だということでしょう少なくとも2年前には米議会で可決され、トランプ大統領が署名していた法律ですから、色々努力もなされてきたのでしょうが、世界のサプライチェーンから中国製部品を排除することが如何に困難なことかを改めて示しています

最近も同様の中国企業排除の大統領指示が次々に出ていますが、実行に移すには相当な労力が必要だということです。ただ中国の姿勢を考えるとき、中国製品排除は必要なことでしょうから、皆で協力して取り組むことが必要だということでしょう

今回の国防省への「執行猶予」で気を緩めることなく、日本企業にも中国製品排除に取り組んでいただきたいものです

偽部品関連の記事
「米国防省の兵站&調達次官が改革」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-29-1
「偽部品識別にDNAを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-24
「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1
「米国製兵器は偽物だらけ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-29
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10

危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-02
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26

米国の武器輸出管理の緩和問題
「Lord次官:半年以内に武器輸出制限を緩和したい」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「2018年の武器輸出促進策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-2
「輸出手続きの迅速化措置」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06

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