米国防省の新興企業調達比率は1%だが変化が [米国防省高官]
Silicon Valley企業などStartupや中小企業の参入増
引き続き国防省側の改善や迅速性がカギ
8月22日付DefenseOneが、米国防省が追求している調達先の多様化、つまり長く国防装備品の設計開発に携わってきた大手の代表的軍需産業だけでなく、Silicon Valley企業に代表されるフレッシュなアイディアを持った小規模企業やStartupからの装備品導入を目指す取り組みが、現状では調達比率1%に過ぎないが成果を上げつつあるも、依然として要改善点は残されていると論じています
AI の進歩とIT技術革新が相まって、国防分野での画期的な進歩が、少数の既存の軍需請負業者ではなく、軍隊経験のない若者により、安価で簡単に入手できる部品で、従来業者の数分の1 の時間とコストで実現できる状況になりつつあり、また、若いプログラマーや起業家のマインドが、2018年にグーグル技術者が国防省案件への協力に強く反対して同社が国防省契約を打ち切った時代とは変化し、国家安全保障に直結する大きな案件に関わりたいとの動機で挑戦する雰囲気が出てきていると紹介しています。
同記事は最近の事例として
●今年2月、国防省事業と全く接点のなかった24歳の若者ら3名が、偶然ITイベントで接触したウクライナ関係者からの依頼を受け、妨害を受けやすいGPS信号に依存しない、Google Mapと実際の現場カメラ映像をAI技術で照合してナビゲーションする小型無人機を、24時間以内に500ドル未満で作り上げた。現在、米陸軍特殊部隊と共に演習や実験で細部の仕様を調整している
●世界で最も著名なベンチャー資金提供会社である「Y Combinator」は、DoorDash、Instacart、Airbnb などの消費者向け企業創設を支援したが、8月19日の週にAres Industries という会社設立支援を発表した。なんとその企業は低価格の巡航ミサイル開発を目指す企業で、大きなニュースとなった
一方で、国防省事業参入への壁として記事は
●克服が容易でない構造的な課題として、第一に、国防省と協力する企業は外国資金を拒否すること求められ、協力を検討する新興企業が、競合業者と資金調達面で愛国心の低い競合企業に本業分野で競争力を失う可能性等がある
●ただ資金量に関しては、「近年は、軍事分野を扱う専門ベンチャー・キャピタルだけでなく、a16zやGeneral Catalystのような一般キャピタル企業も惹きつける国防技術ブームにあり、米国内からの資本は豊富にある」と専門家は述べており、「障害は米国資本の不足ではなく、国防予算を迅速に新技術に振り向ける国防省の予算の柔軟性の欠如だ」との声を記事は取り上げている
●新興企業の若い創業者たちには、国防省資金を利用する結果として政府機関が求める、面倒で労力を要する「監査」や「監視」の準備が大きな負担となる。新興企業関係者が「国防省との仕事には、何千ページもの調達規則やガイドラインに従うことを意味しており、(国防省との交渉は、」一般顧客よりも依然として最も困難だ」と愚痴をこぼす現実がハードルとなっている
///////////////////////////////////////////
上記でご紹介した課題は国防省もよく理解しており、数年前から様々な場で国防省高官も改善への取り組みを語っており、具体的に、国防省や各軍種に設置された迅速能力開発室(RCO:Rapid Capabilities Office)のような組織が、Startupや中小企業への働きかけや説明会や相談会等々を通じて参入を支援したり、複雑な手続きや「監査」簡素化に取り組んだりしているとも聞こえてきますので、
米空軍の目玉事業「無人ウイングマン機CCA」有力候補に、新興企業Andurilが選ばれた勢いで、「新興企業から購入比率1%程度」が今後変化することを大いに期待したいと思います
迅速能力開発室(RCO)関連の記事の一部かな
「4企業がCCA候補」→https://holylandtokyo.com/2024/06/21/5988/
「無人機対処ビーム兵器」→https://holylandtokyo.com/2023/11/20/5211/
「50KWレーザー」→https://holylandtokyo.com/2024/05/16/5780/
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引き続き国防省側の改善や迅速性がカギ
8月22日付DefenseOneが、米国防省が追求している調達先の多様化、つまり長く国防装備品の設計開発に携わってきた大手の代表的軍需産業だけでなく、Silicon Valley企業に代表されるフレッシュなアイディアを持った小規模企業やStartupからの装備品導入を目指す取り組みが、現状では調達比率1%に過ぎないが成果を上げつつあるも、依然として要改善点は残されていると論じています
AI の進歩とIT技術革新が相まって、国防分野での画期的な進歩が、少数の既存の軍需請負業者ではなく、軍隊経験のない若者により、安価で簡単に入手できる部品で、従来業者の数分の1 の時間とコストで実現できる状況になりつつあり、また、若いプログラマーや起業家のマインドが、2018年にグーグル技術者が国防省案件への協力に強く反対して同社が国防省契約を打ち切った時代とは変化し、国家安全保障に直結する大きな案件に関わりたいとの動機で挑戦する雰囲気が出てきていると紹介しています。
同記事は最近の事例として
●今年2月、国防省事業と全く接点のなかった24歳の若者ら3名が、偶然ITイベントで接触したウクライナ関係者からの依頼を受け、妨害を受けやすいGPS信号に依存しない、Google Mapと実際の現場カメラ映像をAI技術で照合してナビゲーションする小型無人機を、24時間以内に500ドル未満で作り上げた。現在、米陸軍特殊部隊と共に演習や実験で細部の仕様を調整している
●世界で最も著名なベンチャー資金提供会社である「Y Combinator」は、DoorDash、Instacart、Airbnb などの消費者向け企業創設を支援したが、8月19日の週にAres Industries という会社設立支援を発表した。なんとその企業は低価格の巡航ミサイル開発を目指す企業で、大きなニュースとなった
一方で、国防省事業参入への壁として記事は
●克服が容易でない構造的な課題として、第一に、国防省と協力する企業は外国資金を拒否すること求められ、協力を検討する新興企業が、競合業者と資金調達面で愛国心の低い競合企業に本業分野で競争力を失う可能性等がある
●ただ資金量に関しては、「近年は、軍事分野を扱う専門ベンチャー・キャピタルだけでなく、a16zやGeneral Catalystのような一般キャピタル企業も惹きつける国防技術ブームにあり、米国内からの資本は豊富にある」と専門家は述べており、「障害は米国資本の不足ではなく、国防予算を迅速に新技術に振り向ける国防省の予算の柔軟性の欠如だ」との声を記事は取り上げている
●新興企業の若い創業者たちには、国防省資金を利用する結果として政府機関が求める、面倒で労力を要する「監査」や「監視」の準備が大きな負担となる。新興企業関係者が「国防省との仕事には、何千ページもの調達規則やガイドラインに従うことを意味しており、(国防省との交渉は、」一般顧客よりも依然として最も困難だ」と愚痴をこぼす現実がハードルとなっている
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上記でご紹介した課題は国防省もよく理解しており、数年前から様々な場で国防省高官も改善への取り組みを語っており、具体的に、国防省や各軍種に設置された迅速能力開発室(RCO:Rapid Capabilities Office)のような組織が、Startupや中小企業への働きかけや説明会や相談会等々を通じて参入を支援したり、複雑な手続きや「監査」簡素化に取り組んだりしているとも聞こえてきますので、
米空軍の目玉事業「無人ウイングマン機CCA」有力候補に、新興企業Andurilが選ばれた勢いで、「新興企業から購入比率1%程度」が今後変化することを大いに期待したいと思います
迅速能力開発室(RCO)関連の記事の一部かな
「4企業がCCA候補」→https://holylandtokyo.com/2024/06/21/5988/
「無人機対処ビーム兵器」→https://holylandtokyo.com/2023/11/20/5211/
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突然!超静粛無人偵察機XRQ-73を今年初飛行発表 [米国防省高官]
燃料を電力に変換するハイブリッド電気システム推進
2011年から極秘開発の「Hybrid Electric Propulsion」計画
重量600㎏以下ながら「即実戦投入」の可能性示唆
6月24日米国防省研究機関DARPAが、2011年頃から極秘開発されてきた「hybrid electric system」との極めて静かな新型推進装置を備えた、開発中の「flying wing」形状の無人偵察機「X-plane」を「XRQ-73」と命名し、今年中に初飛行すると発表し、「すぐに実戦投入可能になる」レベルに成熟した開発案件だとアピールしました
先ず「XRQ-73」は重量1250ポンド(約570㎏)と、例えばMQ-9の2200㎏と比較すると小型無人機で、無人機分類の「グループ3」に属する飛行高度 18,000 フィート以下、飛行速度 100~250 ノットレベルの性能ですが、「(偵察機として)必要なミッションシステムを搭載可能」とDARPAは発表しています
このクラスの無人機は比較的低高度を飛行するため敵に発見されやすくなる「騒音」が問題になるそうですが、「XRQ-73」は、2011年頃から研究開発が始まった「Great Horned Owl:アメリカンミミズク」計画とその実証機「XRQ-72」の成果を踏まえ、4年前から始まった新型推進装置開発プロジェクト「SHEPARD:Series Hybrid Electric Propulsion AiR Demonstration」で成熟した推進装置で、「超静粛推進:extra-quiet propulsion」実現を目指すとのことです
この新型推進装置について6月25日付米空軍協会web記事によれば・・
●燃料を電力に変換(converts fuel to electric power)するハイブリッド電気システムを搭載
●「XRQ-72」当時はガソリンかディーゼルで駆動すると報じられていた
●「hybrid power」使用は、ギアボックスから出る騒音を排除するために選択された
●プロジェクト「SHEPARD」は、NG社の子会社Scaled Composites社を中心に、空軍研究所や海軍開発機関も協力している開発案件
またDARPA発表では
●新技術を取り入れつつ、新技術導入リスクを最小化し、迅速に配備可能な長時間飛行航空機設計を行う
●無人機ウイングマン機CCAとの直接的関係には言及しなかったが、当然国防省内では必要な技術情報共有は行っているとコメントしている
////////////////////////////////////////
まんぐーすの基礎知識ではこのくらいしかご説明できませんが、ご興味のある方は、「Hybrid Electric Propulsion」とか、「hybrid electric system」とか、「Great Horned Owl project」とかでググってみてください。
6月25日付米空軍協会web記事にはいくつかイメージ図が掲載されていますが、B-2やB-21爆撃機のような「flying wing」形状の機体のようです。今年も残すところあと半年です。今年実施予定の初飛行の知らせを待つことといたしましょう
BWB機開発関連の記事
「ベンチャー企業にBWBデモ機」→https://holylandtokyo.com/2023/08/21/4962/
「ステルス給油機検討開始」→https://holylandtokyo.com/2023/02/13/4281/
「長官が積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/
「BWB機の技術動向調査」→https://holylandtokyo.com/2022/08/05/3508/
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2011年から極秘開発の「Hybrid Electric Propulsion」計画
重量600㎏以下ながら「即実戦投入」の可能性示唆
6月24日米国防省研究機関DARPAが、2011年頃から極秘開発されてきた「hybrid electric system」との極めて静かな新型推進装置を備えた、開発中の「flying wing」形状の無人偵察機「X-plane」を「XRQ-73」と命名し、今年中に初飛行すると発表し、「すぐに実戦投入可能になる」レベルに成熟した開発案件だとアピールしました
先ず「XRQ-73」は重量1250ポンド(約570㎏)と、例えばMQ-9の2200㎏と比較すると小型無人機で、無人機分類の「グループ3」に属する飛行高度 18,000 フィート以下、飛行速度 100~250 ノットレベルの性能ですが、「(偵察機として)必要なミッションシステムを搭載可能」とDARPAは発表しています
このクラスの無人機は比較的低高度を飛行するため敵に発見されやすくなる「騒音」が問題になるそうですが、「XRQ-73」は、2011年頃から研究開発が始まった「Great Horned Owl:アメリカンミミズク」計画とその実証機「XRQ-72」の成果を踏まえ、4年前から始まった新型推進装置開発プロジェクト「SHEPARD:Series Hybrid Electric Propulsion AiR Demonstration」で成熟した推進装置で、「超静粛推進:extra-quiet propulsion」実現を目指すとのことです
この新型推進装置について6月25日付米空軍協会web記事によれば・・
●燃料を電力に変換(converts fuel to electric power)するハイブリッド電気システムを搭載
●「XRQ-72」当時はガソリンかディーゼルで駆動すると報じられていた
●「hybrid power」使用は、ギアボックスから出る騒音を排除するために選択された
●プロジェクト「SHEPARD」は、NG社の子会社Scaled Composites社を中心に、空軍研究所や海軍開発機関も協力している開発案件
またDARPA発表では
●新技術を取り入れつつ、新技術導入リスクを最小化し、迅速に配備可能な長時間飛行航空機設計を行う
●無人機ウイングマン機CCAとの直接的関係には言及しなかったが、当然国防省内では必要な技術情報共有は行っているとコメントしている
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まんぐーすの基礎知識ではこのくらいしかご説明できませんが、ご興味のある方は、「Hybrid Electric Propulsion」とか、「hybrid electric system」とか、「Great Horned Owl project」とかでググってみてください。
6月25日付米空軍協会web記事にはいくつかイメージ図が掲載されていますが、B-2やB-21爆撃機のような「flying wing」形状の機体のようです。今年も残すところあと半年です。今年実施予定の初飛行の知らせを待つことといたしましょう
BWB機開発関連の記事
「ベンチャー企業にBWBデモ機」→https://holylandtokyo.com/2023/08/21/4962/
「ステルス給油機検討開始」→https://holylandtokyo.com/2023/02/13/4281/
「長官が積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/
「BWB機の技術動向調査」→https://holylandtokyo.com/2022/08/05/3508/
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ずさん過ぎる次期ICBM計画の米国防省再承認 [米国防省高官]
計画のMilestone B承認取り消し再検討を2年以内で
コストは31%増ではなく現時点で81%増
増加分は米空軍負担が原則
ただしコスト増が発生する5年後以降までに対処検討
7月8日、コスト超過と開発期間遅延で法律(Nunn-McCurdy Act)に抵触し、米国防省が再検討を求められていた次期ICBM計画(Sentinel計画:GBSD計画とも)に関し、LaPlante調達担当国防次官が記者会見を開き、本計画に対する2020年9月の「Milestone B承認」を取り消し、今後1年半から2年で計画全体を再検討した後に再度「Milestone B承認」審査を行って計画を適切に管理していくとの国防省案を説明しました
同次官は説明会見で、2020年9月「Milestone B承認」時点でのICBM発射地下施設や地上管制システムに関する知見が不十分であったため、コストや開発期間の適切な見積もりが米空軍や国防省内で出来ていなかったことがNunn-McCurdy法に抵触した原因で、その後に明らかになった現状等を踏まえて計画管理をより適切に行うと語りましたが、現時点でコスト超過は1月時点での37%から81%にまで膨らみ、計画遅延も少なくとも2年から「少なくとも3年」になると明らかにしました
つまり、本計画の当初予算は約11.5兆円でしたが、法抵触を報告した1月時点で予算が15.7兆円に膨らみ、現時点では21兆円にまで膨らんでいるという信じがたい状況です。米空軍の年間予算が総計で5兆円台ですから、空軍予算の2年分の超過コストが発生すると平然と説明したわけです
当然記者団からは「天文学的な数字のコスト超過分をどのようにカバーするのか?」との質問が出ていますが、これに対しLaPlante国防次官は「とりあえず今後5年間はコスト超過分は発生しないから、検討の時間はある」、「再度Milestone B承認を行う1年半から2年後までや、実際にコスト超過が発生する5年後以降までに、コスト超過原因箇所の再精査&&検討やトレードオフの対象となる他空軍プログラムを検討する」と、信じがたいレベルの「問題先送り」「後任者負担」説明を行いました
米空軍幹部も、例えばHunter空軍調達担当次官が「本計画継続のためにどのようなトレードオフを行う必要があるかは、ずっと先の判断になるだろう」とか、「空軍省内にNuclear Oversight Committeeを立ち上げ、戦略爆撃機やICBM事業や作戦運用に関する監督を強化する」とか、「本計画専従のprogram executive officer(PEO)を配置した」とか、「Air Force nuclear weapons centerトップを少将から中将に格上げする」とか、仕事をしたような「ふり」をしている状態です
次期ICBM計画のNunn-McCurdy法抵触を受けた米国防省の「計画再承認」は以上のような信じがたいレベルの「問題先送り」でお茶を濁していますが、これを受けた米議会はどのような姿勢を示すのでしょうか・・・? 恐らく「米空軍を中心とした再検討の結果を見て・・・」等の「判断先送り」になりそうな気がしております。それにしてもひどすぎます。
超巨大次期ICBMシステム整備の苦悩
「国防次官もあきらめムード」→https://holylandtokyo.com/2024/06/05/5929/
「米空軍だけでは対応不可能」→https://holylandtokyo.com/2024/03/01/5591/
「法抵触の議会通知」→https://holylandtokyo.com/2024/01/29/5478/
「長官が苦悩&不安を語る」→https://holylandtokyo.com/2023/11/22/5244/
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コストは31%増ではなく現時点で81%増
増加分は米空軍負担が原則
ただしコスト増が発生する5年後以降までに対処検討
7月8日、コスト超過と開発期間遅延で法律(Nunn-McCurdy Act)に抵触し、米国防省が再検討を求められていた次期ICBM計画(Sentinel計画:GBSD計画とも)に関し、LaPlante調達担当国防次官が記者会見を開き、本計画に対する2020年9月の「Milestone B承認」を取り消し、今後1年半から2年で計画全体を再検討した後に再度「Milestone B承認」審査を行って計画を適切に管理していくとの国防省案を説明しました
同次官は説明会見で、2020年9月「Milestone B承認」時点でのICBM発射地下施設や地上管制システムに関する知見が不十分であったため、コストや開発期間の適切な見積もりが米空軍や国防省内で出来ていなかったことがNunn-McCurdy法に抵触した原因で、その後に明らかになった現状等を踏まえて計画管理をより適切に行うと語りましたが、現時点でコスト超過は1月時点での37%から81%にまで膨らみ、計画遅延も少なくとも2年から「少なくとも3年」になると明らかにしました
つまり、本計画の当初予算は約11.5兆円でしたが、法抵触を報告した1月時点で予算が15.7兆円に膨らみ、現時点では21兆円にまで膨らんでいるという信じがたい状況です。米空軍の年間予算が総計で5兆円台ですから、空軍予算の2年分の超過コストが発生すると平然と説明したわけです
当然記者団からは「天文学的な数字のコスト超過分をどのようにカバーするのか?」との質問が出ていますが、これに対しLaPlante国防次官は「とりあえず今後5年間はコスト超過分は発生しないから、検討の時間はある」、「再度Milestone B承認を行う1年半から2年後までや、実際にコスト超過が発生する5年後以降までに、コスト超過原因箇所の再精査&&検討やトレードオフの対象となる他空軍プログラムを検討する」と、信じがたいレベルの「問題先送り」「後任者負担」説明を行いました
米空軍幹部も、例えばHunter空軍調達担当次官が「本計画継続のためにどのようなトレードオフを行う必要があるかは、ずっと先の判断になるだろう」とか、「空軍省内にNuclear Oversight Committeeを立ち上げ、戦略爆撃機やICBM事業や作戦運用に関する監督を強化する」とか、「本計画専従のprogram executive officer(PEO)を配置した」とか、「Air Force nuclear weapons centerトップを少将から中将に格上げする」とか、仕事をしたような「ふり」をしている状態です
次期ICBM計画のNunn-McCurdy法抵触を受けた米国防省の「計画再承認」は以上のような信じがたいレベルの「問題先送り」でお茶を濁していますが、これを受けた米議会はどのような姿勢を示すのでしょうか・・・? 恐らく「米空軍を中心とした再検討の結果を見て・・・」等の「判断先送り」になりそうな気がしております。それにしてもひどすぎます。
超巨大次期ICBMシステム整備の苦悩
「国防次官もあきらめムード」→https://holylandtokyo.com/2024/06/05/5929/
「米空軍だけでは対応不可能」→https://holylandtokyo.com/2024/03/01/5591/
「法抵触の議会通知」→https://holylandtokyo.com/2024/01/29/5478/
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MDA:極超音速兵器の迎撃兵器新規開発は急ぐな! [米国防省高官]
米議会議員が迎撃兵器開発を催促する中で
GPIはあくまで 2035年以降の脅威対応だと現実見据え
まずは近未来に可能な選択肢を検討すべきと正論を
6月6日、CSISで登壇した米ミサイル防衛庁 MDA長官のHeath A.Colins 空軍中将は、極超音速兵器の迎撃を目指し、2035年以降の運用を狙って「ゼロからの」開発が日米共同で始まったばかりの GPI( Glide Phase Interceptor)について、極超音速兵器兵器の脅威を懸念する米議会が「2029年までにGPIが初期運用能力を獲得することを義務付ける」との決議を 2023年末に行ったことに関し、
国民の代表たる米議会の決定に対し慎重に言葉を選びつつも、ゼロから開発する最先端兵器の配備を急ぐべきではなく、より即効性のある、現有の能力を組み合わせた現実的な対処案に現時点では注力すべきだと示唆しました。
6日付米空軍協会 web 記事によれば・・・
●ロシアはウクライナで極超音速兵器を使用し、2023年度の国防省報告書では中国が世界をリードする極超音速兵器を保有すると説明しており、これらを受け米議会がGPI 開発を前倒しするように動いている
●しかしMDA予算計画ではGPI 迎撃ミサイルの納入開始は2035年以降にしか予定されていない。米空軍でも兵器開発担当を務め、新規装備開発の難しさを知る同長官は、「(GPI は)今目ではなく、2035 年以降の脅威対処に設計されたシステム」で「重要なプログラムだが、時間がかかるだろう」と語った。
●更に同中将は、「ただ現時点で既に存在し、今後数年で脅威が更に増す極超音速世界での戦闘に、より早く、2029~30年に何らかの能力を持つことが求められており、これには創造的な取り組みが必要だ。おそらく『新兵器の開発』とは異なり、存在する兵器になる可能性が高い」と表現した
●しかし、同長官は細部を語らず、米国防省が既に保有するTHAAD、PAC-3、イージス、SM-6、開発中の Ground-Based Interceptor 迎撃ミサイルなど、多様な選択肢のどれが使えそうか等については全く言及せず、MDAがどう判断するにしても完璧は難しく、全ての脅威に対処可能なものはないだろうとのみ語った
●ただし同長官は、日本がロケットモーターと推進部品の開発を主導することで 5月に日米共同開発に合意したばかりのGPIについて、実行可能性があるならば(米議会が求める速度で)開発を急ぐことに反対ではないと述べた。
●また同中将は、極超音速兵器の発射を検知し追尾するMDA 事業の最新情報として、2月に MDAと宇宙開発庁 SDA が協力し、低高度軌道にMDAのHBTSS や SDAの Tracking Layer spacecrat を含む一連のミサイル追跡衛星を打ち上げ、MDA衛星が1週間以内に探知追尾用の細部機器調整を開始すると説明した。
MDA 長官Collins中将のCSIS発言(約85分)
/////////////////////////////////////////////////////////
極超音速兵器に関して十分な知見がないまんぐ一すですが、米議会が米国として攻撃用の極超音速兵器を保有すべく迅速な開発を促し、同時に強く脅威を認識して迎撃態勢確立を急ぐ一方で、Kendall 空軍長官や本日ご紹介したMDA長官のように、国防省側に「冷静に考えるべき」との冷めた雰囲気があるところに興味津々です
国防省側が目先の他の事業にとらわれすぎなのか、米議会が騒ぎすぎなのか・・・・気になるところですが、現時点でまんぐーすは、直感的に「冷静に考えるべき」派です
迎擊兵器 GPI開発関連
「日米共同開発PAに合意」→https://holylandtokyo.com/2024/06/06/5933/
「米国は予算削減し日本が負担か」→https://holylandtokyo.com/2024/04/11/5732/
「迎撃兵器を日米共同開発で」→https://holylandtokyo.com/2023/03/22/4438/
「迎撃兵器開発を2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/
極超音速兵器はそんなに脅威か?
「突然グアムでARRW講習会」→https://holylandtokyo.com/2024/03/08/5662/
「同兵器を過大評価するな」→https://holylandtokyo.com/2023/12/15/5343/
「ウで次々撃墜:同兵器を過信するな」→https://halylandtokyo.com/2023/06/01/4695/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
GPIはあくまで 2035年以降の脅威対応だと現実見据え
まずは近未来に可能な選択肢を検討すべきと正論を
6月6日、CSISで登壇した米ミサイル防衛庁 MDA長官のHeath A.Colins 空軍中将は、極超音速兵器の迎撃を目指し、2035年以降の運用を狙って「ゼロからの」開発が日米共同で始まったばかりの GPI( Glide Phase Interceptor)について、極超音速兵器兵器の脅威を懸念する米議会が「2029年までにGPIが初期運用能力を獲得することを義務付ける」との決議を 2023年末に行ったことに関し、
国民の代表たる米議会の決定に対し慎重に言葉を選びつつも、ゼロから開発する最先端兵器の配備を急ぐべきではなく、より即効性のある、現有の能力を組み合わせた現実的な対処案に現時点では注力すべきだと示唆しました。
6日付米空軍協会 web 記事によれば・・・
●ロシアはウクライナで極超音速兵器を使用し、2023年度の国防省報告書では中国が世界をリードする極超音速兵器を保有すると説明しており、これらを受け米議会がGPI 開発を前倒しするように動いている
●しかしMDA予算計画ではGPI 迎撃ミサイルの納入開始は2035年以降にしか予定されていない。米空軍でも兵器開発担当を務め、新規装備開発の難しさを知る同長官は、「(GPI は)今目ではなく、2035 年以降の脅威対処に設計されたシステム」で「重要なプログラムだが、時間がかかるだろう」と語った。
●更に同中将は、「ただ現時点で既に存在し、今後数年で脅威が更に増す極超音速世界での戦闘に、より早く、2029~30年に何らかの能力を持つことが求められており、これには創造的な取り組みが必要だ。おそらく『新兵器の開発』とは異なり、存在する兵器になる可能性が高い」と表現した
●しかし、同長官は細部を語らず、米国防省が既に保有するTHAAD、PAC-3、イージス、SM-6、開発中の Ground-Based Interceptor 迎撃ミサイルなど、多様な選択肢のどれが使えそうか等については全く言及せず、MDAがどう判断するにしても完璧は難しく、全ての脅威に対処可能なものはないだろうとのみ語った
●ただし同長官は、日本がロケットモーターと推進部品の開発を主導することで 5月に日米共同開発に合意したばかりのGPIについて、実行可能性があるならば(米議会が求める速度で)開発を急ぐことに反対ではないと述べた。
●また同中将は、極超音速兵器の発射を検知し追尾するMDA 事業の最新情報として、2月に MDAと宇宙開発庁 SDA が協力し、低高度軌道にMDAのHBTSS や SDAの Tracking Layer spacecrat を含む一連のミサイル追跡衛星を打ち上げ、MDA衛星が1週間以内に探知追尾用の細部機器調整を開始すると説明した。
MDA 長官Collins中将のCSIS発言(約85分)
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極超音速兵器に関して十分な知見がないまんぐ一すですが、米議会が米国として攻撃用の極超音速兵器を保有すべく迅速な開発を促し、同時に強く脅威を認識して迎撃態勢確立を急ぐ一方で、Kendall 空軍長官や本日ご紹介したMDA長官のように、国防省側に「冷静に考えるべき」との冷めた雰囲気があるところに興味津々です
国防省側が目先の他の事業にとらわれすぎなのか、米議会が騒ぎすぎなのか・・・・気になるところですが、現時点でまんぐーすは、直感的に「冷静に考えるべき」派です
迎擊兵器 GPI開発関連
「日米共同開発PAに合意」→https://holylandtokyo.com/2024/06/06/5933/
「米国は予算削減し日本が負担か」→https://holylandtokyo.com/2024/04/11/5732/
「迎撃兵器を日米共同開発で」→https://holylandtokyo.com/2023/03/22/4438/
「迎撃兵器開発を2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/
極超音速兵器はそんなに脅威か?
「突然グアムでARRW講習会」→https://holylandtokyo.com/2024/03/08/5662/
「同兵器を過大評価するな」→https://holylandtokyo.com/2023/12/15/5343/
「ウで次々撃墜:同兵器を過信するな」→https://halylandtokyo.com/2023/06/01/4695/
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次期ICBM計画に国防次官も実質「けつまくり」 [米国防省高官]
次期ICBM計画のコストと期間超過の再承認がどうなろうと
核抑止3本柱は2022年Nuclear Posture Review既定方針だ
5月15日、1月に米空軍が議会に通知して明らかになった、MinutemanⅢシステムの後継となる次期ICBM計画(Sentinel計画:GBSD計画とも)の現時点で既に37%予算超過と開発期間の最低2年延長見積もりで、国防省事業の適正管理を定めた「Nunn-McCurdy法」に抵触し、その原因や改善策を取りまとめて国防長官再承認を得て議会に説明する期限が夏(7月中旬ころか!?)に迫っている中、LaPlante調達担当国防次官が上院の予算関連小委員会に出席し、
この問題の原因や改善策に関する検討状況に現時点では言及できないが、その取りまとめ結果がどのようなものになろうとも、核抑止3本柱(ICBM、空軍爆撃機、戦略原潜)の必要性は現政権でまとめられた「2022 Nuclear Posture Review」や「National Defense Strategy」で確認されており、絶対不可欠なものだとの趣旨を前面に押し出して証言し、その「けつまくり」具合に、議員有志が「次期ICBMスキップ(とりあえず爆撃機と戦略原潜だけ進める)」法案を提出する状況となっています
次期ICBM計画(Sentinel計画)の概要については末尾の過去記事でご確認いただくとして、当初計画約13兆円が、米空軍の年間予算に匹敵する約5兆2千億円も超過の約18.5兆円で、今後細部が明らかになるにつれさらに膨らむことが確実と見られている惨状で、
LaPlante調達担当国防次官はその背景に関し、「契約時の企業間競争の欠如」、「担当Northrop Grummanと下請け企業の連携不足」、「インフラコストの評価能力欠如」などと「言い訳にもならない」内容を語りつつ、「Nunn-McCurdy法」の定めるコスト&開発期間の超過&遅延原因の明確化と改善計画立案を行い、Sentinel計画計画の代替案がない事とその必要性をしっかり説明したいと、まともに実現可能と誰も思わないカラ手形を切っています
このずさんな超巨大プロジェクトが生まれた背景について、1月以降に空軍長官や空軍副長官や空軍調達担当次官は「正直」に・・・
●米空軍は、次期ICBM計画ほどの巨大施設関連事業をMinuteman Ⅲ体制を構築した50年前から行っておらず、現状の施設状態に関する細部アセスメントが実施されるまで、必要な施設建設規模が把握できなかった
●Sentinelミサイル開発自体に大きな問題は発生しておらず、大きな課題は関連施設整備面に存在する。つまり現有施設の再利用を見込んでいた、ミサイル格納サイロ、地下の指揮統制施設、各種指揮統制装置やケーブルなどの通信装置インフラ等々の問題だ
●50年以上実質的にICBM施設を放置してきた結果、施設に関するコスト推計の知見が失われており、アナログ回線を使用しているMinuteman Ⅲの地下&地上施設や指揮統制通信インフラの大部分を換装する必要が明らかになった。また、サイロや地下指揮統制施設も細部検討を進める中で老朽化から再利用が困難と判明する結果となった、
●ICBM運用に関連する3つの基地と関連施設が分散配置されている5つの州(日本の中国&四国地域を合わせた地理的範囲:かつ交通インフラや人材確保が困難な辺鄙な場所だらけ)で、これだけ秘匿度の高い施設整備事業を遂行する困難さも、本格検討を始めて初めて明らかになってきた。加えて昨今の世界的なインフレ、サプライチェーン問題、労働力コストアップが次期ICBM計画のコスト上昇につながっている。
●米空軍の他の近代化予算から次期ICBM計画に予算を振り分けることはできない。仮に米空軍が超過分を出すことになると、他の全ての必要経費が制約を受けることになる。関連議論を直ちに始める必要がある。ただ、通常の国防省予算編成の流れで扱える問題ではない。空軍の予算内で議論することは難しく、国防省全体予算で議論してほしい
//////////////////////////////////////////////
ICBM部隊(海軍のSLBM部隊も同様)を「日陰者」「忘れ去られた部隊」「無視された部隊」扱いしてきた空軍と国防省と米国政府と米国民全てへの、「巨大なブーメラン&しっぺ返し」となっています。
米戦略核部隊は種々問題が表面化した2014年の国防省調査で、「忘れ去られた部隊」「インフラの老朽化で部隊の無力感増大」「国防省や米軍幹部の期待レベルと現場の実態の格差が著しい」「予算も手当ても後回し」「兵士の昇任や福利厚生は他職種優先で、現場部隊の士気は士官クラスも含め崩壊」等々と表現され、根本的解決は今もまだ・・・が実態でしょう。どうするんでしょうか?
超巨大プロジェクト次期ICBMシステム整備の苦悩
「米空軍だけでは対応不可能」→https://holylandtokyo.com/2024/03/01/5591/
「法抵触の議会通知」→https://holylandtokyo.com/2024/01/29/5478/
「長官が苦悩&不安を語る」→https://holylandtokyo.com/2023/11/22/5244/
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核抑止3本柱は2022年Nuclear Posture Review既定方針だ
5月15日、1月に米空軍が議会に通知して明らかになった、MinutemanⅢシステムの後継となる次期ICBM計画(Sentinel計画:GBSD計画とも)の現時点で既に37%予算超過と開発期間の最低2年延長見積もりで、国防省事業の適正管理を定めた「Nunn-McCurdy法」に抵触し、その原因や改善策を取りまとめて国防長官再承認を得て議会に説明する期限が夏(7月中旬ころか!?)に迫っている中、LaPlante調達担当国防次官が上院の予算関連小委員会に出席し、
この問題の原因や改善策に関する検討状況に現時点では言及できないが、その取りまとめ結果がどのようなものになろうとも、核抑止3本柱(ICBM、空軍爆撃機、戦略原潜)の必要性は現政権でまとめられた「2022 Nuclear Posture Review」や「National Defense Strategy」で確認されており、絶対不可欠なものだとの趣旨を前面に押し出して証言し、その「けつまくり」具合に、議員有志が「次期ICBMスキップ(とりあえず爆撃機と戦略原潜だけ進める)」法案を提出する状況となっています
次期ICBM計画(Sentinel計画)の概要については末尾の過去記事でご確認いただくとして、当初計画約13兆円が、米空軍の年間予算に匹敵する約5兆2千億円も超過の約18.5兆円で、今後細部が明らかになるにつれさらに膨らむことが確実と見られている惨状で、
LaPlante調達担当国防次官はその背景に関し、「契約時の企業間競争の欠如」、「担当Northrop Grummanと下請け企業の連携不足」、「インフラコストの評価能力欠如」などと「言い訳にもならない」内容を語りつつ、「Nunn-McCurdy法」の定めるコスト&開発期間の超過&遅延原因の明確化と改善計画立案を行い、Sentinel計画計画の代替案がない事とその必要性をしっかり説明したいと、まともに実現可能と誰も思わないカラ手形を切っています
このずさんな超巨大プロジェクトが生まれた背景について、1月以降に空軍長官や空軍副長官や空軍調達担当次官は「正直」に・・・
●米空軍は、次期ICBM計画ほどの巨大施設関連事業をMinuteman Ⅲ体制を構築した50年前から行っておらず、現状の施設状態に関する細部アセスメントが実施されるまで、必要な施設建設規模が把握できなかった
●Sentinelミサイル開発自体に大きな問題は発生しておらず、大きな課題は関連施設整備面に存在する。つまり現有施設の再利用を見込んでいた、ミサイル格納サイロ、地下の指揮統制施設、各種指揮統制装置やケーブルなどの通信装置インフラ等々の問題だ
●50年以上実質的にICBM施設を放置してきた結果、施設に関するコスト推計の知見が失われており、アナログ回線を使用しているMinuteman Ⅲの地下&地上施設や指揮統制通信インフラの大部分を換装する必要が明らかになった。また、サイロや地下指揮統制施設も細部検討を進める中で老朽化から再利用が困難と判明する結果となった、
●ICBM運用に関連する3つの基地と関連施設が分散配置されている5つの州(日本の中国&四国地域を合わせた地理的範囲:かつ交通インフラや人材確保が困難な辺鄙な場所だらけ)で、これだけ秘匿度の高い施設整備事業を遂行する困難さも、本格検討を始めて初めて明らかになってきた。加えて昨今の世界的なインフレ、サプライチェーン問題、労働力コストアップが次期ICBM計画のコスト上昇につながっている。
●米空軍の他の近代化予算から次期ICBM計画に予算を振り分けることはできない。仮に米空軍が超過分を出すことになると、他の全ての必要経費が制約を受けることになる。関連議論を直ちに始める必要がある。ただ、通常の国防省予算編成の流れで扱える問題ではない。空軍の予算内で議論することは難しく、国防省全体予算で議論してほしい
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ICBM部隊(海軍のSLBM部隊も同様)を「日陰者」「忘れ去られた部隊」「無視された部隊」扱いしてきた空軍と国防省と米国政府と米国民全てへの、「巨大なブーメラン&しっぺ返し」となっています。
米戦略核部隊は種々問題が表面化した2014年の国防省調査で、「忘れ去られた部隊」「インフラの老朽化で部隊の無力感増大」「国防省や米軍幹部の期待レベルと現場の実態の格差が著しい」「予算も手当ても後回し」「兵士の昇任や福利厚生は他職種優先で、現場部隊の士気は士官クラスも含め崩壊」等々と表現され、根本的解決は今もまだ・・・が実態でしょう。どうするんでしょうか?
超巨大プロジェクト次期ICBMシステム整備の苦悩
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在日米軍兵士や軍属への医療体制改善を米議会も要求 [米国防省高官]
米軍基地医療施設も不十分で日本の病院も受入拒否多発
過去2年間で日本病院が 24 人拒否し4名が死亡が
「日本では日本人に対しても救急医療体制が不足」と指摘
1月4日及び3月21日付 Military.com 記事が、在日米軍基地の救急医療体制及び日本の病院の救急医療体制不足により、在日米軍人や軍属およびその家族が十分な救急医療を受けられない不安や現実から、軍人や軍属が日本を離れるケースが出ているとして、アジア太平洋軍や国防保健庁(Defense Health Agency)が改善対応を行っているが、米議会もこれを問題視して国防省に医療体制改善を求めていると報じています。
記事は、米軍基地の医療体制の問題と日本の病院の受け入れ態勢の両方の問題を指摘し、米議会が「土気や定着率に与える影響に関する報告を引き続き懸念」しており、日本の医療体制については「日本人も同じ問題に直面している」としながらも、
国防省監察官報告書は「言葉の壁、医療へのアプローチの違い、特定の医薬品の入手可能性の欠如など、基地外の医療リソースを利用する際の重大な課題が判明」とも分析しており、在日米軍約11万人(軍人約 54,000人、軍人家族約 45,000人、国防省文民職員や請負業者8,000人)への医療提供体制は、頭在化すると大きな日米間の電製になる可能性もあり感念されます。
両記事が記載している事案例など、
●2023 年初め、沖縄海軍病院の深刻な人員不足を受けて、豪手納空軍基地医療スタッフは、妊娠中の軍人、配偶者、扶養家族 を出産のため国外に送り出す準備を始めた。
●横須賀と沖縄の軍治療施設は 2021 年以降、銃撃による算傷や重大な自動車事故、二段ベッドから転落して肝臓裂傷を負った事故など、重傷の兵士や家族の治療ができていない。
●在日米海重と海兵隊によれば、過去2年間で少なくとも 24人の米軍人や国防総省職員、または扶養家族が日本の病院から の救急医療を拒否され、4人が死亡している。
●あるケースでは、エスカレータから約 15 メートル転落して脳損傷を負った7歳の子供が、救急車が搬送先医療施設が見つからず 35分も立ち往生して死亡している
●日本では救急医療専門分野が発達しておらず、救急救命室ERを24時間維持可能な救急医が不足している。救急専門医が勤務していない場合、救急治療能力が不十分な医師が関与することがある。
●このため、患者は治療を拒否される可能性もある。この状況は米国人だけではなく、日本国民にも当てはまる。2022年12月に日本では8,000人以上の患者が救急医療を拒否され、2023年1月には1万6,000人が拒否されている。
●このように厳しい医療環境から、米軍人や国防省職員や家族を支える教師や児童臨床心理士までもが日本を離れるケースが出ており、在日11万人の米軍関係者に小児心理学者が1人しか存在しない状態となっている。
国防保健庁は2022年12月に、軍病院で治療できる場合は対応するが、収容不可の場合は日本の医療機関に依頼するとの方針を発表しましたが、軍人軍属や家族からの反発が強く、表現を改め、引き続き軍病院で慢性疾患の治療を行うが、救急医療は空き状況に応じて継続すると苦しい発表をしています。
その後国防省は2023年12月に、新たな医療システム構築に関する戦路計画を発表し、医療システム安定のため医療関係者の人員配置を改善し、即応性を高めると発表しましたが、米議員の元には苦情が続いており、「国防保健庁の戦略対応計画の進捗や、国防省監察官監査結果への対応について注視していく」と米議員は国防省に書簡を出しているところです。
またアジア太平洋軍司令官 John Aquilino 海軍大将は、3月21日の予算案関連の上院軍事委員会での証言で、本件への対応状況について説明する予定だそうです(議会証言は終わっていますが、関連内容に関する報道無し)
/////////////////////
米軍を受け入れる目本の医療体制が、他の米軍駐常国と比較してどうなのか記事は取り上げていませんが、米国人と日本人では医療への期待度や考え方が異なる面もあると思います。いずれにしても、本件が日米関係に影響を与えることが無い様祈り ます。
ちょっと気になるのは、沖縄の医師会などが米軍関係者への医療提供を拒んでいるとか、積極的でないなどの実態がないのか・・・との点です。そうでないことも願うばかりですが・・・
在日米軍に関連の記事
「太平洋空軍司令官は元在日米軍司令官」→https://holylandtokyo.com/2023/04/26/4567/
「米空軍大改革で太平洋空軍演習強化」→https://holylandtokyo.com/2024/02/29/5587/
「横田基地部隊が緊急退避や被害対処訓練」→https://holylandtokyo.com/2023/11/07/5194/
「極東の戦闘機は?軍事的合理性から考える」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
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過去2年間で日本病院が 24 人拒否し4名が死亡が
「日本では日本人に対しても救急医療体制が不足」と指摘
1月4日及び3月21日付 Military.com 記事が、在日米軍基地の救急医療体制及び日本の病院の救急医療体制不足により、在日米軍人や軍属およびその家族が十分な救急医療を受けられない不安や現実から、軍人や軍属が日本を離れるケースが出ているとして、アジア太平洋軍や国防保健庁(Defense Health Agency)が改善対応を行っているが、米議会もこれを問題視して国防省に医療体制改善を求めていると報じています。
記事は、米軍基地の医療体制の問題と日本の病院の受け入れ態勢の両方の問題を指摘し、米議会が「土気や定着率に与える影響に関する報告を引き続き懸念」しており、日本の医療体制については「日本人も同じ問題に直面している」としながらも、
国防省監察官報告書は「言葉の壁、医療へのアプローチの違い、特定の医薬品の入手可能性の欠如など、基地外の医療リソースを利用する際の重大な課題が判明」とも分析しており、在日米軍約11万人(軍人約 54,000人、軍人家族約 45,000人、国防省文民職員や請負業者8,000人)への医療提供体制は、頭在化すると大きな日米間の電製になる可能性もあり感念されます。
両記事が記載している事案例など、
●2023 年初め、沖縄海軍病院の深刻な人員不足を受けて、豪手納空軍基地医療スタッフは、妊娠中の軍人、配偶者、扶養家族 を出産のため国外に送り出す準備を始めた。
●横須賀と沖縄の軍治療施設は 2021 年以降、銃撃による算傷や重大な自動車事故、二段ベッドから転落して肝臓裂傷を負った事故など、重傷の兵士や家族の治療ができていない。
●在日米海重と海兵隊によれば、過去2年間で少なくとも 24人の米軍人や国防総省職員、または扶養家族が日本の病院から の救急医療を拒否され、4人が死亡している。
●あるケースでは、エスカレータから約 15 メートル転落して脳損傷を負った7歳の子供が、救急車が搬送先医療施設が見つからず 35分も立ち往生して死亡している
●日本では救急医療専門分野が発達しておらず、救急救命室ERを24時間維持可能な救急医が不足している。救急専門医が勤務していない場合、救急治療能力が不十分な医師が関与することがある。
●このため、患者は治療を拒否される可能性もある。この状況は米国人だけではなく、日本国民にも当てはまる。2022年12月に日本では8,000人以上の患者が救急医療を拒否され、2023年1月には1万6,000人が拒否されている。
●このように厳しい医療環境から、米軍人や国防省職員や家族を支える教師や児童臨床心理士までもが日本を離れるケースが出ており、在日11万人の米軍関係者に小児心理学者が1人しか存在しない状態となっている。
国防保健庁は2022年12月に、軍病院で治療できる場合は対応するが、収容不可の場合は日本の医療機関に依頼するとの方針を発表しましたが、軍人軍属や家族からの反発が強く、表現を改め、引き続き軍病院で慢性疾患の治療を行うが、救急医療は空き状況に応じて継続すると苦しい発表をしています。
その後国防省は2023年12月に、新たな医療システム構築に関する戦路計画を発表し、医療システム安定のため医療関係者の人員配置を改善し、即応性を高めると発表しましたが、米議員の元には苦情が続いており、「国防保健庁の戦略対応計画の進捗や、国防省監察官監査結果への対応について注視していく」と米議員は国防省に書簡を出しているところです。
またアジア太平洋軍司令官 John Aquilino 海軍大将は、3月21日の予算案関連の上院軍事委員会での証言で、本件への対応状況について説明する予定だそうです(議会証言は終わっていますが、関連内容に関する報道無し)
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米軍を受け入れる目本の医療体制が、他の米軍駐常国と比較してどうなのか記事は取り上げていませんが、米国人と日本人では医療への期待度や考え方が異なる面もあると思います。いずれにしても、本件が日米関係に影響を与えることが無い様祈り ます。
ちょっと気になるのは、沖縄の医師会などが米軍関係者への医療提供を拒んでいるとか、積極的でないなどの実態がないのか・・・との点です。そうでないことも願うばかりですが・・・
在日米軍に関連の記事
「太平洋空軍司令官は元在日米軍司令官」→https://holylandtokyo.com/2023/04/26/4567/
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「横田基地部隊が緊急退避や被害対処訓練」→https://holylandtokyo.com/2023/11/07/5194/
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再利用可能な極超音速テスト飛行体Talon-A開発 [米国防省高官]
母機から発射し、自力で着陸帰投する機体目指し
2回目の飛行で極超音速達成
国防省計画の極超音速機体用センサー等試験に利用
3月15日付Defense-Newsは、米国防省との契約に基づき、「Stratolaunch」社が再利用可能な極超音速飛翔体Talon-A開発のため3月9日に2回目の試験飛行(TA-2)を行い、目標としていた極超音速飛行に成功して太平洋上に落下したと報じました。試験はロスの北方約100㎞に所在する「Mojave Air and Space Port」を拠点に実施されたとのことですが、現時点では、試験での飛翔高度や正確な飛翔速度など具体的な試験内容は非公開となっているようです
このTalon-Aは、国防省が2022年に開始した「SkyRange計画」に基づき、極超音速飛翔体(航空機や兵器)に使用または搭載する素材やセンサーや各種搭載装備の試験用飛翔体として開発されており、今後は母機から発射されたTalon-Aが、搭載された各種素材や搭載装備の極超音速試験飛行後に、飛行場に自力で帰還着陸して再利用可能になり、「毎週1回飛行可能」な体制がとれるよう「Stratolaunch」社が開発を続けていくとのことです。
Talon-Aが今後どのようなスケジュールで「自力で飛行場に着陸帰還」して再利用可能態勢を確立する計画なのかも非公開のようですが、次回の試験飛行(TA-3)は2024年後半に予定されており、この際は「SkyRange計画」の一貫であるMACH-TB (Multi-Service Advanced Capability Hypersonics Test Bed program)用のセンサー等を、Talon-Aに載せた1回目の試験飛行を行うことが2023年11月に契約済(合計5回の試験飛行契約)だそうです
Stratolaunch社CEOであるZachary Krevor氏はまた、Talon-Aを上空まで運搬して投下する「Roc」との「母機」(翼幅115m、搭載可能重量23トン・50万ポンド)が、次回15回目の飛行で飛行時間60時間に達する予定だが、より高く上昇可能なように準備中で、同時に連邦航空局FAAの飛行承認を得るための審査飛行にもなる予定だと説明しています
そして「Roc」とは別の追加「母機」として、2023年春に倒産したVirgin Orbitが保有していたB-747型機を購入&改修して準備中で、2025年のTalon-A試験飛行には投入する予定だと説明し、「細部には言及できないが、2024年の最終四半期には、(Talon-A以外の)別の顧客にB-747でサービスを提供する予定だ」とも語っています
///////////////////////////////////////
Defense-News記事は、米国防省にとって、米国用の極超音速兵器開発に加え、中国やロシアの極超音速兵器対処面でも、この極超音速環境での試験を提供する「Talon-A」は重要だと紹介しています
この極超音速技術の応用先がどのように広がっていくのか理解できていませんが、とりあえず「Stratolaunch社」や「SkyRange計画」や「MACH-TB」との言葉をTake Noteしておきましょう
米軍の極超音速兵器開発
「突然グアムにARRW」→https://holylandtokyo.com/2024/03/08/5662/
「同兵器を過大評価するな」→https://holylandtokyo.com/2023/12/15/5343/
「米陸軍の配備は24年に持ち越し」→https://holylandtokyo.com/2023/11/15/5224/
「ウで次々撃墜:同兵器を過信するな」→https://holylandtokyo.com/2023/06/01/4695/
「空軍がARRW配備断念」→https://holylandtokyo.com/2023/04/05/4478/
「バカ高い極超音速兵器」→https://holylandtokyo.com/2023/02/08/4261/
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2回目の飛行で極超音速達成
国防省計画の極超音速機体用センサー等試験に利用
3月15日付Defense-Newsは、米国防省との契約に基づき、「Stratolaunch」社が再利用可能な極超音速飛翔体Talon-A開発のため3月9日に2回目の試験飛行(TA-2)を行い、目標としていた極超音速飛行に成功して太平洋上に落下したと報じました。試験はロスの北方約100㎞に所在する「Mojave Air and Space Port」を拠点に実施されたとのことですが、現時点では、試験での飛翔高度や正確な飛翔速度など具体的な試験内容は非公開となっているようです
このTalon-Aは、国防省が2022年に開始した「SkyRange計画」に基づき、極超音速飛翔体(航空機や兵器)に使用または搭載する素材やセンサーや各種搭載装備の試験用飛翔体として開発されており、今後は母機から発射されたTalon-Aが、搭載された各種素材や搭載装備の極超音速試験飛行後に、飛行場に自力で帰還着陸して再利用可能になり、「毎週1回飛行可能」な体制がとれるよう「Stratolaunch」社が開発を続けていくとのことです。
Talon-Aが今後どのようなスケジュールで「自力で飛行場に着陸帰還」して再利用可能態勢を確立する計画なのかも非公開のようですが、次回の試験飛行(TA-3)は2024年後半に予定されており、この際は「SkyRange計画」の一貫であるMACH-TB (Multi-Service Advanced Capability Hypersonics Test Bed program)用のセンサー等を、Talon-Aに載せた1回目の試験飛行を行うことが2023年11月に契約済(合計5回の試験飛行契約)だそうです
Stratolaunch社CEOであるZachary Krevor氏はまた、Talon-Aを上空まで運搬して投下する「Roc」との「母機」(翼幅115m、搭載可能重量23トン・50万ポンド)が、次回15回目の飛行で飛行時間60時間に達する予定だが、より高く上昇可能なように準備中で、同時に連邦航空局FAAの飛行承認を得るための審査飛行にもなる予定だと説明しています
そして「Roc」とは別の追加「母機」として、2023年春に倒産したVirgin Orbitが保有していたB-747型機を購入&改修して準備中で、2025年のTalon-A試験飛行には投入する予定だと説明し、「細部には言及できないが、2024年の最終四半期には、(Talon-A以外の)別の顧客にB-747でサービスを提供する予定だ」とも語っています
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Defense-News記事は、米国防省にとって、米国用の極超音速兵器開発に加え、中国やロシアの極超音速兵器対処面でも、この極超音速環境での試験を提供する「Talon-A」は重要だと紹介しています
この極超音速技術の応用先がどのように広がっていくのか理解できていませんが、とりあえず「Stratolaunch社」や「SkyRange計画」や「MACH-TB」との言葉をTake Noteしておきましょう
米軍の極超音速兵器開発
「突然グアムにARRW」→https://holylandtokyo.com/2024/03/08/5662/
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「米陸軍の配備は24年に持ち越し」→https://holylandtokyo.com/2023/11/15/5224/
「ウで次々撃墜:同兵器を過信するな」→https://holylandtokyo.com/2023/06/01/4695/
「空軍がARRW配備断念」→https://holylandtokyo.com/2023/04/05/4478/
「バカ高い極超音速兵器」→https://holylandtokyo.com/2023/02/08/4261/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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Microgridでホスト国から海外基地をエネルギー独立に [米国防省高官]
国防省の担当特別補佐官中佐が論文
再生可能エネルギーや蓄電や管制施設完備で
米陸軍は2035年目標に全基地に基盤整備目指す
10月31日付米空軍協会web記事が、米国防省のNathan Olsen担当特別補佐官(中佐:開発研究次官の配下)による秋号「Air & Space Operations Review」誌への投稿論文「Microgrid」を取り上げ、米軍の海外駐留基地がホスト国の電力供給に依存している現状に危機感を訴え、海外基地がホスト国に依存しない独自の再生可能エネルギー発電装置やミニ原発、蓄電能力や制御装置を備えた「Microgrid」を早急に整備すべきだと訴えています
軍事基地にとっての電力の重要性は言わずもがなですが、ウクライナでのロシアによる電力施設集中攻撃による社会危機や、ハリケーンなど自然災害で電力会社からの電力供給が停止して基地機能が停止した米本土基地事例が最近増加しており、多くの米軍基地が保有する1週間程度の化石燃料使用の現状の自家発電能力では、本格紛争は戦い抜けないとの危機感を同中佐は訴えています
米軍の海外基地がホスト国から「電力面で独立」するためにOlsen中佐が主張している「Microgrid」整備とは、海外基地の地理的な特性に応じた再生可能エネルギー発電(太陽光、風力、バイオマス、地熱発電)やコンテナサイズの「ミニ原発」を蓄電装置とセットで整備し、
それら多様な発電源を基地ニーズに応じて最適制御する管制装置でコントロール可能な仕組みの確立を意味しており簡単ではありませんが、「脅威の最前線」にありながらほとんど自衛隊基地に関して議論されていない分野ですので、注意喚起の意味を込めご紹介させていただきます
同中佐が紹介の具体的事例の一部
●再生可能エネルギー発電(太陽光、風力、バイオマス、地熱発電)については、「気候変動対処戦略」に沿って、各軍種や各基地で少しづつ取り組みが始まっているが、期待の高いコンテナ1台で基地一戸全ての電力を提供可能な「ミニ原発」は技術進歩も著しく、2027年にはアラスカのEielson空軍基地で先行試行使用が開始される計画
●同中佐の基準で既に「Microgrid」が導入されているのは、(中国脅威最前線の)米空軍横田基地、(ハリケーンで大打撃を受けた)フロリダ州のTyndall空軍基地、そして様々な代替電力の組み合わせで3週間の運用可能な体制を構築している海兵隊Miramar航空基地(映画トップガンの舞台@加州)のみで、より積極的な投資が国防省や米議会には期待される
●米軍の中では陸軍が最も積極的で、ミサイル防衛装備やロケット開発発射試験場に活用されている南太平洋マーシャル諸島の「Kwajalein Island」で、太陽光発電や他の発電設備による「Microgrid」運用を行っているほか、陸軍全体で2035年までに「Microgrid」を全基地に導入完了し、2040年までに再生可能エネルギー発電と蓄電設備で主要な任務活動をすべて賄える態勢整備完了する目標を掲げている
//////////////////////////////////////
Olsen論文掲載の「Air & Space Operations Review」秋号
→https://www.airuniversity.af.edu/Portals/10/ASOR/Journals/Volume-2_Number-3/ASOR_Volume_2_Number_3..pdf
再生可能エネルギー発電(太陽光、風力、バイオマス、地熱発電)は、不安定、量的に不十分、特定地域でのみ可能な発電手段で、基地レベルの電力安定確保には「ミニ原発」しか方法はないように思いますが、精密誘導兵器大拡散の現状で普及が難しいのが現状です。ではありますが・・・まずは防衛省・自衛隊でも議論を立ち上げて頂きたいと思います
Olsen中佐が取り上げた米空軍横田基地の「Microgrid」はどの程度のレベルのものでしょうか? 論文のいい加減な斜め読みでは「Yokota」「Tyndall」「Miramar」の名前を発見できず、ご紹介できないのですが、空自の横田基地勤務の皆様でご存じの方にご教授いただければ幸いです
ミニ原発や気候変動の記事
「空輸可能ミニ原発を契約」→https://holylandtokyo.com/2022/06/20/3344/
「航空輸送可能なミニ原発配備へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/19/3147/
「ミニ原発反対論」→https://holylandtokyo.com/2021/06/29/1960/
「サイバー停電に備えミニ原発」→https://holylandtokyo.com/2020/03/11/779/
「国防省の気候変動対策」→https://holylandtokyo.com/2021/10/11/2318/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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再生可能エネルギーや蓄電や管制施設完備で
米陸軍は2035年目標に全基地に基盤整備目指す
10月31日付米空軍協会web記事が、米国防省のNathan Olsen担当特別補佐官(中佐:開発研究次官の配下)による秋号「Air & Space Operations Review」誌への投稿論文「Microgrid」を取り上げ、米軍の海外駐留基地がホスト国の電力供給に依存している現状に危機感を訴え、海外基地がホスト国に依存しない独自の再生可能エネルギー発電装置やミニ原発、蓄電能力や制御装置を備えた「Microgrid」を早急に整備すべきだと訴えています
軍事基地にとっての電力の重要性は言わずもがなですが、ウクライナでのロシアによる電力施設集中攻撃による社会危機や、ハリケーンなど自然災害で電力会社からの電力供給が停止して基地機能が停止した米本土基地事例が最近増加しており、多くの米軍基地が保有する1週間程度の化石燃料使用の現状の自家発電能力では、本格紛争は戦い抜けないとの危機感を同中佐は訴えています
米軍の海外基地がホスト国から「電力面で独立」するためにOlsen中佐が主張している「Microgrid」整備とは、海外基地の地理的な特性に応じた再生可能エネルギー発電(太陽光、風力、バイオマス、地熱発電)やコンテナサイズの「ミニ原発」を蓄電装置とセットで整備し、
それら多様な発電源を基地ニーズに応じて最適制御する管制装置でコントロール可能な仕組みの確立を意味しており簡単ではありませんが、「脅威の最前線」にありながらほとんど自衛隊基地に関して議論されていない分野ですので、注意喚起の意味を込めご紹介させていただきます
同中佐が紹介の具体的事例の一部
●再生可能エネルギー発電(太陽光、風力、バイオマス、地熱発電)については、「気候変動対処戦略」に沿って、各軍種や各基地で少しづつ取り組みが始まっているが、期待の高いコンテナ1台で基地一戸全ての電力を提供可能な「ミニ原発」は技術進歩も著しく、2027年にはアラスカのEielson空軍基地で先行試行使用が開始される計画
●同中佐の基準で既に「Microgrid」が導入されているのは、(中国脅威最前線の)米空軍横田基地、(ハリケーンで大打撃を受けた)フロリダ州のTyndall空軍基地、そして様々な代替電力の組み合わせで3週間の運用可能な体制を構築している海兵隊Miramar航空基地(映画トップガンの舞台@加州)のみで、より積極的な投資が国防省や米議会には期待される
●米軍の中では陸軍が最も積極的で、ミサイル防衛装備やロケット開発発射試験場に活用されている南太平洋マーシャル諸島の「Kwajalein Island」で、太陽光発電や他の発電設備による「Microgrid」運用を行っているほか、陸軍全体で2035年までに「Microgrid」を全基地に導入完了し、2040年までに再生可能エネルギー発電と蓄電設備で主要な任務活動をすべて賄える態勢整備完了する目標を掲げている
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Olsen論文掲載の「Air & Space Operations Review」秋号
→https://www.airuniversity.af.edu/Portals/10/ASOR/Journals/Volume-2_Number-3/ASOR_Volume_2_Number_3..pdf
再生可能エネルギー発電(太陽光、風力、バイオマス、地熱発電)は、不安定、量的に不十分、特定地域でのみ可能な発電手段で、基地レベルの電力安定確保には「ミニ原発」しか方法はないように思いますが、精密誘導兵器大拡散の現状で普及が難しいのが現状です。ではありますが・・・まずは防衛省・自衛隊でも議論を立ち上げて頂きたいと思います
Olsen中佐が取り上げた米空軍横田基地の「Microgrid」はどの程度のレベルのものでしょうか? 論文のいい加減な斜め読みでは「Yokota」「Tyndall」「Miramar」の名前を発見できず、ご紹介できないのですが、空自の横田基地勤務の皆様でご存じの方にご教授いただければ幸いです
ミニ原発や気候変動の記事
「空輸可能ミニ原発を契約」→https://holylandtokyo.com/2022/06/20/3344/
「航空輸送可能なミニ原発配備へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/19/3147/
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米国が新型の重力投下核爆弾B61-13開発へ [米国防省高官]
政府や議会等の様々な勢力が絡む駆け引きの中で
維持費かさむ旧式B83やB61-7破棄を進めたい国防省
中露の拡大増強を受け、核戦力強化狙う共和党など
10月27日、米国防省が重量投下型核爆弾B-61シリーズの新型爆弾として、「B61-13」の開発検討を開始すると発表しました。
核兵器の問題は、バイデン政権が作成した新たな方針「2022 Nuclear Posture Review」が示すように、それ以前のテロ組織やならず者国家(北朝鮮やイラン)等への核拡散防止重視から、中国やロシアの核戦力大増強や核軍縮&監視条約(INF全廃条約やオープンスカイズ条約)無効化の中での対応に焦点が変化し、
同時に、サイバーや宇宙ドメインと言った国家存続に直結するリスク分野や関連兵器が登場したことで、核兵器の位置づけや抑止の在り方の再整理が求められて久しい状態にありますが、核兵器関連施設の老朽化による核兵器維持コストが増大する時期を迎え、政策担当者には頭の痛い問題となっています
米国防省は厳しい予算の中、何とか効率的に従来核戦力を更新&維持したいと考えていますが、現有装備老朽化更新に伴う核兵器運搬手段開発(B-21ステルス爆撃機やコロンビア級戦略原潜開発)や新規ICBM開発(ミニットマンⅢ後継のGround-Based Strategic Deterrent開発)に加え、廃止も含めた非常に多様な意見が存在する重量投下型核爆弾の維持など、大きな投資を要するプロジェクトが同時に発生する難しいタイミングにあります
政治面では、オバマ前大統領に代表される米民主党は核軍縮を目指し、トランプ前大統領が分かり易い例の共和党には「中露に後れを取るな」の姿勢で核戦力の根本的見直し増強を主張する勢力が多数おり、米国防省は難しいかじ取りを迫られており、そんな中での「B61-13」爆弾の開発検討開始の決定について、知識不十分ながら27日付Defense-News記事から概要の概要をご紹介します
10月27日付Defense-News記事によれば
●米軍の重量投下型核爆弾の保有状況(総数4-500発)
・国防省が早期退役狙う維持費がかさむ老朽爆弾
--B83-1 →1200キロトン(1.2メガトン=広島型の威力80倍)
--B61-7 →360キロトン
・最近導入開始の核爆弾
--B61-12 →20~50キロトン
●開発検討開始の新爆弾「B61-13」
--B61-13 →B61-7と同等の威力(360キロトンレベル)
・・誘導能力付与のため尾部に誘導翼キット装着
・・製造弾数は「a few dozen」:B61-12製造計画数を削減した分だけ、B61-13を製造し、総量を増やさない
・・開発中B-21爆撃機に搭載予定、F-35に搭載予定なし
●「B61-13」開発検討開始の背景
(FASの核兵器専門家Hans Kristensen氏の見方)
・大型の核爆弾B81-1はオバマ政権時に廃止の方向となったが、トランプ政権が維持に方向転換。その後バイデン政権は再びB81-1廃止の検討中
・国防省は、維持費がかさむ40年前製造のB81-1を、厳しい予算状況から同じく老朽化進むB61-7と共に早期に破棄したいが、単純な破棄では上院で多数を占める共和党核軍拡派を説得できないため、「B61-13」開発検討開始を持ち出した
・「B61-13」は400キロトン程度で、1200キロトンのB83には及ばないが、誘導精度を高める「tail kit」を付加することで攻撃効果を維持
・共和党の共和党核軍拡派は「B61-13」開発検討開始を、「非常にささやかな前進だが、正しい方向ではある」と評価している
////////////////////////////////////////////
非常に政治的な匂いの漂う「B61-13」開発検討開始だと考えて頂ければよいと思います
本来であれば、弾種別の数量や維持費や開発費等の見積もり状況もお伝えできれば良いと思いますが、そこまでの気力なく、今日は記事内容のご紹介までとさせていただきます
米軍の重力投下核爆弾関連
「独が戦術核任務にF-35導入決定」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/
「空軍は海軍戦術核の補完不要」→https://holylandtokyo.com/2020/12/17/345/
「F-35がB61-12搭載試験終了」→https://holylandtokyo.com/2020/12/08/338/
「独の戦闘機選定:核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-01
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
核兵器の経費関連記事
「核戦力維持に10兆円?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「オハイオ級SSBNの後継構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25-1
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維持費かさむ旧式B83やB61-7破棄を進めたい国防省
中露の拡大増強を受け、核戦力強化狙う共和党など
10月27日、米国防省が重量投下型核爆弾B-61シリーズの新型爆弾として、「B61-13」の開発検討を開始すると発表しました。
核兵器の問題は、バイデン政権が作成した新たな方針「2022 Nuclear Posture Review」が示すように、それ以前のテロ組織やならず者国家(北朝鮮やイラン)等への核拡散防止重視から、中国やロシアの核戦力大増強や核軍縮&監視条約(INF全廃条約やオープンスカイズ条約)無効化の中での対応に焦点が変化し、
同時に、サイバーや宇宙ドメインと言った国家存続に直結するリスク分野や関連兵器が登場したことで、核兵器の位置づけや抑止の在り方の再整理が求められて久しい状態にありますが、核兵器関連施設の老朽化による核兵器維持コストが増大する時期を迎え、政策担当者には頭の痛い問題となっています
米国防省は厳しい予算の中、何とか効率的に従来核戦力を更新&維持したいと考えていますが、現有装備老朽化更新に伴う核兵器運搬手段開発(B-21ステルス爆撃機やコロンビア級戦略原潜開発)や新規ICBM開発(ミニットマンⅢ後継のGround-Based Strategic Deterrent開発)に加え、廃止も含めた非常に多様な意見が存在する重量投下型核爆弾の維持など、大きな投資を要するプロジェクトが同時に発生する難しいタイミングにあります
政治面では、オバマ前大統領に代表される米民主党は核軍縮を目指し、トランプ前大統領が分かり易い例の共和党には「中露に後れを取るな」の姿勢で核戦力の根本的見直し増強を主張する勢力が多数おり、米国防省は難しいかじ取りを迫られており、そんな中での「B61-13」爆弾の開発検討開始の決定について、知識不十分ながら27日付Defense-News記事から概要の概要をご紹介します
10月27日付Defense-News記事によれば
●米軍の重量投下型核爆弾の保有状況(総数4-500発)
・国防省が早期退役狙う維持費がかさむ老朽爆弾
--B83-1 →1200キロトン(1.2メガトン=広島型の威力80倍)
--B61-7 →360キロトン
・最近導入開始の核爆弾
--B61-12 →20~50キロトン
●開発検討開始の新爆弾「B61-13」
--B61-13 →B61-7と同等の威力(360キロトンレベル)
・・誘導能力付与のため尾部に誘導翼キット装着
・・製造弾数は「a few dozen」:B61-12製造計画数を削減した分だけ、B61-13を製造し、総量を増やさない
・・開発中B-21爆撃機に搭載予定、F-35に搭載予定なし
●「B61-13」開発検討開始の背景
(FASの核兵器専門家Hans Kristensen氏の見方)
・大型の核爆弾B81-1はオバマ政権時に廃止の方向となったが、トランプ政権が維持に方向転換。その後バイデン政権は再びB81-1廃止の検討中
・国防省は、維持費がかさむ40年前製造のB81-1を、厳しい予算状況から同じく老朽化進むB61-7と共に早期に破棄したいが、単純な破棄では上院で多数を占める共和党核軍拡派を説得できないため、「B61-13」開発検討開始を持ち出した
・「B61-13」は400キロトン程度で、1200キロトンのB83には及ばないが、誘導精度を高める「tail kit」を付加することで攻撃効果を維持
・共和党の共和党核軍拡派は「B61-13」開発検討開始を、「非常にささやかな前進だが、正しい方向ではある」と評価している
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非常に政治的な匂いの漂う「B61-13」開発検討開始だと考えて頂ければよいと思います
本来であれば、弾種別の数量や維持費や開発費等の見積もり状況もお伝えできれば良いと思いますが、そこまでの気力なく、今日は記事内容のご紹介までとさせていただきます
米軍の重力投下核爆弾関連
「独が戦術核任務にF-35導入決定」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/
「空軍は海軍戦術核の補完不要」→https://holylandtokyo.com/2020/12/17/345/
「F-35がB61-12搭載試験終了」→https://holylandtokyo.com/2020/12/08/338/
「独の戦闘機選定:核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-01
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
核兵器の経費関連記事
「核戦力維持に10兆円?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
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米空軍が24年ぶりに募集目標0%未達も [米国防省高官]
肥満、麻薬、身体&心理問題で人口の23%のみ応募可
コロナ明け後の雇用急増で若者採用競争
2024年度は回復傾向と自信示す
9月11日、Kendall空軍長官が記者懇談会で、9月末までの2023年度の米空軍新兵募集は目標に約10%届かない模様で、1999年以来24年ぶりに採用目標未達となると語りました。
ただし同空軍長官は、2024年度は米空軍の各種取り組みもあり募集実績は回復傾向にあり、2024年度最初の月となる2023年10月の採用は既に目標を達成しており、11月も目標数を十分クリアできる勢いで採用活動が行われていると自信を示しました
1999年に目標未達だった際は、「1981年から96年に生まれたMillenials世代:Y世代とも言う」が最初に採用対象年齢に達した年だと説明され、その前の未達の1979年は「X世代:親世代の離婚率が上昇し始めた時期に子供世代を過ごしたため、親からの監督が少なくなり始めた世代」が最初に採用対象年齢に達した年だと解釈されています。
2023年度が採用目標未達になる原因として、コロナ禍で2020年ころから公開の場での採用活動やイベントを自粛していた影響、コロナ後の企業活動や社会活動活発化による新人採用急増による人の奪い合い、
更に、対人接触をあまり好まず、米軍5軍を言える割合が5割以下で、肥満、麻薬、身体&心理健康問題で対象人口の23%しか採用基準を満たず、1割未満しか米軍入隊に関心を持っていない「Z世代」へのアピール不足が原因の一つと考えられているようです
これらの「逆風」を克服すべく、米空軍は、入隊により合法移民応募者がスムーズな「帰化」プロセスを享受できる制度、学生ローン肩代わり制度再導入、首や手への入れ墨基準緩和、スマホアプリによる現役兵士からの募集候補者情報収集、募集担当者への成功報酬や表彰制度などなどの施策を次々に導入しました
これらの成果と、コロナからの経済回復による新人採用競争が激化した過去数年間の状況が一段落しつつあること等も加わり、米空軍採用局の報道官は「来年2024年の見通しは良い」、「DEP([delayed-entry program細部不明)活用による応募者が昨年の2倍で、更に増加中」等と、空軍長官の11日の発言を裏付ける現場の様子を紹介しています
/////////////////////////////////////////
海兵隊と宇宙軍は募集数が小さく募集状況には余裕があると、過去記事「電卓持ち込み可へ」でご紹介しましたが、空軍も2024年度に向け明るい傾向が見えており、各種基準の緩和が気にはなりますが、時代の流れでしょうからしょうがないでしょう。
空軍より状況が厳しそうな、陸軍と海軍の来年2024年度の見通しも聞きたいものです。
新兵募集難&離職者増への対応
「新兵入隊学力試験に電卓持ち込み可へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/29/4976/
「募集難に合法移民へ猛烈アプローチ」→https://holylandtokyo.com/2023/06/16/4743/
「兵士慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/12/4608/
「米空軍が体脂肪基準緩和へ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/07/4494/
「歩きスマホやポケットハンドOK」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/
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コロナ明け後の雇用急増で若者採用競争
2024年度は回復傾向と自信示す
9月11日、Kendall空軍長官が記者懇談会で、9月末までの2023年度の米空軍新兵募集は目標に約10%届かない模様で、1999年以来24年ぶりに採用目標未達となると語りました。
ただし同空軍長官は、2024年度は米空軍の各種取り組みもあり募集実績は回復傾向にあり、2024年度最初の月となる2023年10月の採用は既に目標を達成しており、11月も目標数を十分クリアできる勢いで採用活動が行われていると自信を示しました
1999年に目標未達だった際は、「1981年から96年に生まれたMillenials世代:Y世代とも言う」が最初に採用対象年齢に達した年だと説明され、その前の未達の1979年は「X世代:親世代の離婚率が上昇し始めた時期に子供世代を過ごしたため、親からの監督が少なくなり始めた世代」が最初に採用対象年齢に達した年だと解釈されています。
2023年度が採用目標未達になる原因として、コロナ禍で2020年ころから公開の場での採用活動やイベントを自粛していた影響、コロナ後の企業活動や社会活動活発化による新人採用急増による人の奪い合い、
更に、対人接触をあまり好まず、米軍5軍を言える割合が5割以下で、肥満、麻薬、身体&心理健康問題で対象人口の23%しか採用基準を満たず、1割未満しか米軍入隊に関心を持っていない「Z世代」へのアピール不足が原因の一つと考えられているようです
これらの「逆風」を克服すべく、米空軍は、入隊により合法移民応募者がスムーズな「帰化」プロセスを享受できる制度、学生ローン肩代わり制度再導入、首や手への入れ墨基準緩和、スマホアプリによる現役兵士からの募集候補者情報収集、募集担当者への成功報酬や表彰制度などなどの施策を次々に導入しました
これらの成果と、コロナからの経済回復による新人採用競争が激化した過去数年間の状況が一段落しつつあること等も加わり、米空軍採用局の報道官は「来年2024年の見通しは良い」、「DEP([delayed-entry program細部不明)活用による応募者が昨年の2倍で、更に増加中」等と、空軍長官の11日の発言を裏付ける現場の様子を紹介しています
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海兵隊と宇宙軍は募集数が小さく募集状況には余裕があると、過去記事「電卓持ち込み可へ」でご紹介しましたが、空軍も2024年度に向け明るい傾向が見えており、各種基準の緩和が気にはなりますが、時代の流れでしょうからしょうがないでしょう。
空軍より状況が厳しそうな、陸軍と海軍の来年2024年度の見通しも聞きたいものです。
新兵募集難&離職者増への対応
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再び国防副長官がReplicator構想に言及 [米国防省高官]
継続細部不明も、新たな予算や専従組織は必要ない!と
名称「Replicator」は最新最善手法の迅速横展開を狙い
結局「already doing」を「under one roof」かも
9月6日、Defense-News主催イベントで講演したHicks国防副長官が、8月28日に初披露した「Replicator Initiative」に再び言及し、引き続き細部は不明確ながら、「新たな予算や専従組織は必要ない」、「海空のドローン中心で、地上ドローンもあり得る」、「既に実施している事の多くを一つ屋根の下に」等と説明し、「官僚主義に陥ることなく、国防省が主導的に課題を克服できるかが懸念である鍵である」とも語りました
8月の講演時に説明した同構想の方向性である、多量(Mass)の艦艇やミサイルや人力等で脅威となっている中国に対抗し、今後2年間に集中して「小型&安価であってもスマートな無人システムを大量」に導入するとの説明を繰り返しつつ、
6日には更にウクライナの戦況も交えて必要性を主張し、「ウクライナでは月に1万機のドローンが投入されているとの推計もあるが、結果として、より大規模な敵の侵攻を小規模な部隊で阻止することに成功し、前線配置の人員や兵站補給の負担削減を可能にして、同時に戦いのテンポを格段に向上させている」とも同構想の意味を説明しています。
また本構想の位置づけについて副長官は「特定の無人システムを新規開発することに力点があるのではなく、国防省のmindsetやcultureの変革の意味合いが強い」と説明し、「技術革新と共に組織文化の変革を推進し、best practicesを迅速に他システムや装備に横展開(replicating)して、良い点の恩恵を素早く共有享受することを目指す」と同構想遂行に当たっての着眼点を述べています
副長官は注力する特定の自立型ドローンシステムを上げることはしませんでしたが、「Replicator Initiative」の目指す方向性を体現するプロジェクトとして、宇宙軍による「大型&高価&多機能衛星から、小型衛星で構築される衛星網(web of satellites)への移行による宇宙アセット全体の強靭化」や「中央軍が推進する、少数の有人艦艇による体制から、商用無人水上艇の大量導入による海洋監視網の構築」の事例を取り上げ、
また将来像の一例として、「大型航空機や地上・海上部隊から射出や投入される、様々な役割を担うドローン(ADA2:all-domain attritable autonomy)が、様々な高度に群れを成して配置され、活躍する姿をイメージしてほしい」と語りました
////////////////////////////////////////////////////
フォローしてませんでしたが、来月10月から始まる米国2024年度の予算は、未だ米議会で未承認の「異常事態」らしいので、Hicks国防副長官も「Replicator Initiative」に多額の新規資金が必要になりそうな印象を米議会や国民に与え、2024年度予算成立を邪魔するようなことを避けたかったのかもしれません
8月28日の副長官講演の後で、担当報道官が「あくまで現有の各種計画の再整理だ。コストも数百億円程度だ」とプレスにメール配信して話題の沈静化を図った節があり、いきなり「味噌をつけた」形の本構想ですが、「既存の事業を一つ屋根の下に」置くことで、「官僚主義に邪魔される」ことなく、「mindsetやcultureの変革」につなげて頂きたいと思います
今後2年間で小型安価な自立型ドローン大量導入をぶち上げる
「国防副長官がReplicator構想を発表」→https://holylandtokyo.com/2023/08/31/4997/
大型で高価な無人機CCA関連
「XQ-58Aが集大成3時間飛行」→https://holylandtokyo.com/2023/08/08/4922/
「CCAを2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
「長官:NGAD 200機、CCA 1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
名称「Replicator」は最新最善手法の迅速横展開を狙い
結局「already doing」を「under one roof」かも
9月6日、Defense-News主催イベントで講演したHicks国防副長官が、8月28日に初披露した「Replicator Initiative」に再び言及し、引き続き細部は不明確ながら、「新たな予算や専従組織は必要ない」、「海空のドローン中心で、地上ドローンもあり得る」、「既に実施している事の多くを一つ屋根の下に」等と説明し、「官僚主義に陥ることなく、国防省が主導的に課題を克服できるかが懸念である鍵である」とも語りました
8月の講演時に説明した同構想の方向性である、多量(Mass)の艦艇やミサイルや人力等で脅威となっている中国に対抗し、今後2年間に集中して「小型&安価であってもスマートな無人システムを大量」に導入するとの説明を繰り返しつつ、
6日には更にウクライナの戦況も交えて必要性を主張し、「ウクライナでは月に1万機のドローンが投入されているとの推計もあるが、結果として、より大規模な敵の侵攻を小規模な部隊で阻止することに成功し、前線配置の人員や兵站補給の負担削減を可能にして、同時に戦いのテンポを格段に向上させている」とも同構想の意味を説明しています。
また本構想の位置づけについて副長官は「特定の無人システムを新規開発することに力点があるのではなく、国防省のmindsetやcultureの変革の意味合いが強い」と説明し、「技術革新と共に組織文化の変革を推進し、best practicesを迅速に他システムや装備に横展開(replicating)して、良い点の恩恵を素早く共有享受することを目指す」と同構想遂行に当たっての着眼点を述べています
副長官は注力する特定の自立型ドローンシステムを上げることはしませんでしたが、「Replicator Initiative」の目指す方向性を体現するプロジェクトとして、宇宙軍による「大型&高価&多機能衛星から、小型衛星で構築される衛星網(web of satellites)への移行による宇宙アセット全体の強靭化」や「中央軍が推進する、少数の有人艦艇による体制から、商用無人水上艇の大量導入による海洋監視網の構築」の事例を取り上げ、
また将来像の一例として、「大型航空機や地上・海上部隊から射出や投入される、様々な役割を担うドローン(ADA2:all-domain attritable autonomy)が、様々な高度に群れを成して配置され、活躍する姿をイメージしてほしい」と語りました
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フォローしてませんでしたが、来月10月から始まる米国2024年度の予算は、未だ米議会で未承認の「異常事態」らしいので、Hicks国防副長官も「Replicator Initiative」に多額の新規資金が必要になりそうな印象を米議会や国民に与え、2024年度予算成立を邪魔するようなことを避けたかったのかもしれません
8月28日の副長官講演の後で、担当報道官が「あくまで現有の各種計画の再整理だ。コストも数百億円程度だ」とプレスにメール配信して話題の沈静化を図った節があり、いきなり「味噌をつけた」形の本構想ですが、「既存の事業を一つ屋根の下に」置くことで、「官僚主義に邪魔される」ことなく、「mindsetやcultureの変革」につなげて頂きたいと思います
今後2年間で小型安価な自立型ドローン大量導入をぶち上げる
「国防副長官がReplicator構想を発表」→https://holylandtokyo.com/2023/08/31/4997/
大型で高価な無人機CCA関連
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「CCAを2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
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ウへの弾薬や兵器提供で米軍に問題は生じていない! [米国防省高官]
調達担当国防次官がきっぱりと言い切る
将来のニーズ変化と必要量見積りに苦心と語る
「オンライン装備メンテ指導」などの新手法もアピール
8月28日、元米空軍副長官で現在はウクライナへの武器弾薬支援に奔走するWilliam LaPlante調達担当国防次官が軍需産業連合会(National Defense Industrial Association)イベントの基調講演を行い、「メディアは、ウクライナへ○○ミサイルや××弾薬を提供しすぎて、米軍用備蓄が不足している」等々と報道しているが、「事実ではない」とキッパリ否定し、
約6兆円相当の弾薬や装備品提供等を行った現在でも、「米軍用の装備が不足する状況には全くない」、「我々は全てを管理下に置いており、米軍の態勢維持に必要な兵器や装備数や調達可能数を念頭に、国防長官と統合参謀本部議長が、ウからの要望事項リストを完全に精査して対応している」、「許容範囲を超える要望には応じていない」と主張しました
開戦当初に「ウ」へ大量提供した「Stinger携行対空ミサイル」や「Javelin対戦車ミサイル」の備蓄数穴埋めに、10年以上が必要等々の報道や専門家の分析が相次ぎ、米議会からも懸念の声が高まっていることを意識した発言ですが、LaPlante次官は、軍需産業界の支援を得て弾薬等の調達次官の大幅短縮を成し遂げつつあるとアピールし、
更に本当に同次官らが苦心しているのは、戦況や戦いの推移に応じて変化する「ウ」のニーズの変化とその必要量を予測して備え、必要時に調達方法や輸送手段を含めた兵站支援を完遂することだと語り、開戦当初から現在の反転攻勢フェーズでは「ウ」のニーズが変化し、そのニーズに対応するため米議会に特別措置を依頼したり、同盟国等からの提供を要請するなど多方面の検討&調整を同時並行で進めている様子を改めて紹介しています
また弾薬等の消費量予測において、約1年半の実績からWW2のデータが参考になっている一方で、過去のWarGameの結果で、近代戦での精密誘導兵器の消耗は極めて激しいことや、戦いが長引いた場合の備えが不十分であることが指摘されていながら、「十分に予算対処してこなかった」ことを率直に認めつつも、
米議会への様々な状況説明や軍需産業界との意見交換などを経て、米国防省や米軍内を含め関係者の「考え方:mindset」が変化してきており、例えば「多年度にわたる調達計画方式導入」により、企業側も安心して生産能力拡大投資に踏み切れる環境が整いつつあると説明しています
米軍内においても、例えばM-1戦車の提供に際し、ロシア側に見られたくない機微な装備品取り外しを想定の1/3の期間で完了したり、ウへ輸送した戦車の現地での整備支援に、新たなオンライン活用の整備支援方式「tele-maintenance」を考案して米軍人や米軍契約企業要員のリスク低減に工夫していると紹介しています
///////////////////////////////////////
LaPlante次官を責めるつもりは全くありませんが、「ウに提供しすぎて米軍用が不足との報道は事実ではない」、「許容範囲を超える要望には応じていない」と主張しても、ご本人も「十分に予算対処してこなかった」と率直に認め、Hicks国防副長官らが「ウの教訓は弾薬確保など兵站支援分野だ」と明らかにしており、西側もロシア側も弾薬装備の枯渇は明らかです
ただ同次官が語る、「苦心しているのは、戦況や戦いの推移に応じて変化する「ウ」のニーズの変化とその必要量を予測して備え、必要時に調達方法や輸送手段を含めた兵站支援の完遂」、「弾薬等の消費量予測において、約1年半の実績からWW2のデータが参考になっている」との細かな点は貴重なお話ですのでご紹介しました
弾薬量の圧倒的不足問題
「英軍も不足深刻」→ https://holylandtokyo.com/2023/03/23/4395/
「空軍は弾薬調達の効率性優先を変更」→https://holylandtokyo.com/2023/02/24/4304/
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「上院軍事委員長:弾薬が最大教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/02/10/4288/
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→https://holylandtokyo.com/2023/02/09/4208/
「初の対無人機の防空消耗戦に直面するウ」→ https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
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将来のニーズ変化と必要量見積りに苦心と語る
「オンライン装備メンテ指導」などの新手法もアピール
8月28日、元米空軍副長官で現在はウクライナへの武器弾薬支援に奔走するWilliam LaPlante調達担当国防次官が軍需産業連合会(National Defense Industrial Association)イベントの基調講演を行い、「メディアは、ウクライナへ○○ミサイルや××弾薬を提供しすぎて、米軍用備蓄が不足している」等々と報道しているが、「事実ではない」とキッパリ否定し、
約6兆円相当の弾薬や装備品提供等を行った現在でも、「米軍用の装備が不足する状況には全くない」、「我々は全てを管理下に置いており、米軍の態勢維持に必要な兵器や装備数や調達可能数を念頭に、国防長官と統合参謀本部議長が、ウからの要望事項リストを完全に精査して対応している」、「許容範囲を超える要望には応じていない」と主張しました
開戦当初に「ウ」へ大量提供した「Stinger携行対空ミサイル」や「Javelin対戦車ミサイル」の備蓄数穴埋めに、10年以上が必要等々の報道や専門家の分析が相次ぎ、米議会からも懸念の声が高まっていることを意識した発言ですが、LaPlante次官は、軍需産業界の支援を得て弾薬等の調達次官の大幅短縮を成し遂げつつあるとアピールし、
更に本当に同次官らが苦心しているのは、戦況や戦いの推移に応じて変化する「ウ」のニーズの変化とその必要量を予測して備え、必要時に調達方法や輸送手段を含めた兵站支援を完遂することだと語り、開戦当初から現在の反転攻勢フェーズでは「ウ」のニーズが変化し、そのニーズに対応するため米議会に特別措置を依頼したり、同盟国等からの提供を要請するなど多方面の検討&調整を同時並行で進めている様子を改めて紹介しています
また弾薬等の消費量予測において、約1年半の実績からWW2のデータが参考になっている一方で、過去のWarGameの結果で、近代戦での精密誘導兵器の消耗は極めて激しいことや、戦いが長引いた場合の備えが不十分であることが指摘されていながら、「十分に予算対処してこなかった」ことを率直に認めつつも、
米議会への様々な状況説明や軍需産業界との意見交換などを経て、米国防省や米軍内を含め関係者の「考え方:mindset」が変化してきており、例えば「多年度にわたる調達計画方式導入」により、企業側も安心して生産能力拡大投資に踏み切れる環境が整いつつあると説明しています
米軍内においても、例えばM-1戦車の提供に際し、ロシア側に見られたくない機微な装備品取り外しを想定の1/3の期間で完了したり、ウへ輸送した戦車の現地での整備支援に、新たなオンライン活用の整備支援方式「tele-maintenance」を考案して米軍人や米軍契約企業要員のリスク低減に工夫していると紹介しています
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LaPlante次官を責めるつもりは全くありませんが、「ウに提供しすぎて米軍用が不足との報道は事実ではない」、「許容範囲を超える要望には応じていない」と主張しても、ご本人も「十分に予算対処してこなかった」と率直に認め、Hicks国防副長官らが「ウの教訓は弾薬確保など兵站支援分野だ」と明らかにしており、西側もロシア側も弾薬装備の枯渇は明らかです
ただ同次官が語る、「苦心しているのは、戦況や戦いの推移に応じて変化する「ウ」のニーズの変化とその必要量を予測して備え、必要時に調達方法や輸送手段を含めた兵站支援の完遂」、「弾薬等の消費量予測において、約1年半の実績からWW2のデータが参考になっている」との細かな点は貴重なお話ですのでご紹介しました
弾薬量の圧倒的不足問題
「英軍も不足深刻」→ https://holylandtokyo.com/2023/03/23/4395/
「空軍は弾薬調達の効率性優先を変更」→https://holylandtokyo.com/2023/02/24/4304/
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「上院軍事委員長:弾薬が最大教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/02/10/4288/
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「初の対無人機の防空消耗戦に直面するウ」→ https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
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米軍は今後2年で数千の損耗覚悟の自立無人システムを [米国防省高官]
国防副長官が「Replicator」計画を発表
量で勝負の中国に対抗:詳細は数週間後に発表
既存予算の再整理程度だとの話もあるが・・・
8月28日、Kathleen Hicks国防副長官が軍需産業連合会(National Defense Industrial Association)のイベント講演で、多量(Mass)の艦艇やミサイルや人力等で脅威となっている中国に対抗し、米国防省は今後2年間に集中して「小型&安価であってもスマートな無人システムを大量」に導入する「Replicator」計画を遂行すると明らかにし、細部は「in the coming weeks」に発表すると語りました
Hicks副長官は計画について、「統合参謀副議長と共に同計画を監督する」、「展開が鈍重だと言われる米軍の軍事革新を、損耗覚悟(attritable)の自立無人システムを大量導入することで促進する」、「大量の艦艇やミサイル等を前面に押し出す中国軍に対し、我々は対処の事前計画が困難で、各個撃破が難しく、我の計画阻止がより厄介な対処法で臨む」と本計画の基本的考え方を語っています
また副長官は、「従来から保有する、大型で特別で高価で少数のプラットフォームも活用していくが、本計画では最近国防省が注力している、自立型システム開発への投資を加速することに特に焦点を当てていく」とも説明し、前国防省DIU責任者Mike Brown氏が「hedge strategy」で提唱した短期間に小型無人システムを大量導入する考え方を実現するものとも語りました
更に副長官は、2021年時点で既に約680個存在している関連プロジェクトに、2024年度予算で2500億円要求し、25年度にも米下院の後押しも得て1400億円も投入し、「Replicator」計画としてまとめて再整理し、より大規模に推進したいと語り、
「リスクはあるが、大きな賭けをすべき時だ。我々にはできる」、「中国対処が念頭にあるが、米国社会全体が追求すべき、我が世代が担う挑戦(generational challenge to American society)でもある」と計画実行への意欲を示しました
/////////////////////////////////////////////
追加情報で、副長官直属の報道官が「あくまで現有の各種計画の再整理だ。コストも数百億円になると考えている」とメディアにメール連絡したとの報道が出ており、Hicks副長官の「盛りすぎ疑惑」が浮上している今現在ですが、「in the coming weeks」に発表される予定の細部計画を待ちましょう
でもそうですよねぇ・・・中国軍の戦闘機や艦艇やミサイルに対抗して、米国やその同盟国が戦闘機数や艦艇数で張り合っても、兵器や人員や補給物資の中国正面への輸送力やアセットを配備する拠点確保面で「既に圧倒的に不利」ですから、「小型&安価で、スマートな無人システムを短期間に大量導入」は素晴らしいアイディアです。日本も是非その方向を追求して頂きたいと思います
大型で高価な自立無人機開発は・・・
無人ウイングマンCCA関連
「CCAを2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
「長官:NGAD 200機、CCA 1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「同技術を作戦機で装備化へ」→ https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/
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量で勝負の中国に対抗:詳細は数週間後に発表
既存予算の再整理程度だとの話もあるが・・・
8月28日、Kathleen Hicks国防副長官が軍需産業連合会(National Defense Industrial Association)のイベント講演で、多量(Mass)の艦艇やミサイルや人力等で脅威となっている中国に対抗し、米国防省は今後2年間に集中して「小型&安価であってもスマートな無人システムを大量」に導入する「Replicator」計画を遂行すると明らかにし、細部は「in the coming weeks」に発表すると語りました
Hicks副長官は計画について、「統合参謀副議長と共に同計画を監督する」、「展開が鈍重だと言われる米軍の軍事革新を、損耗覚悟(attritable)の自立無人システムを大量導入することで促進する」、「大量の艦艇やミサイル等を前面に押し出す中国軍に対し、我々は対処の事前計画が困難で、各個撃破が難しく、我の計画阻止がより厄介な対処法で臨む」と本計画の基本的考え方を語っています
また副長官は、「従来から保有する、大型で特別で高価で少数のプラットフォームも活用していくが、本計画では最近国防省が注力している、自立型システム開発への投資を加速することに特に焦点を当てていく」とも説明し、前国防省DIU責任者Mike Brown氏が「hedge strategy」で提唱した短期間に小型無人システムを大量導入する考え方を実現するものとも語りました
更に副長官は、2021年時点で既に約680個存在している関連プロジェクトに、2024年度予算で2500億円要求し、25年度にも米下院の後押しも得て1400億円も投入し、「Replicator」計画としてまとめて再整理し、より大規模に推進したいと語り、
「リスクはあるが、大きな賭けをすべき時だ。我々にはできる」、「中国対処が念頭にあるが、米国社会全体が追求すべき、我が世代が担う挑戦(generational challenge to American society)でもある」と計画実行への意欲を示しました
/////////////////////////////////////////////
追加情報で、副長官直属の報道官が「あくまで現有の各種計画の再整理だ。コストも数百億円になると考えている」とメディアにメール連絡したとの報道が出ており、Hicks副長官の「盛りすぎ疑惑」が浮上している今現在ですが、「in the coming weeks」に発表される予定の細部計画を待ちましょう
でもそうですよねぇ・・・中国軍の戦闘機や艦艇やミサイルに対抗して、米国やその同盟国が戦闘機数や艦艇数で張り合っても、兵器や人員や補給物資の中国正面への輸送力やアセットを配備する拠点確保面で「既に圧倒的に不利」ですから、「小型&安価で、スマートな無人システムを短期間に大量導入」は素晴らしいアイディアです。日本も是非その方向を追求して頂きたいと思います
大型で高価な自立無人機開発は・・・
無人ウイングマンCCA関連
「CCAを2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
「長官:NGAD 200機、CCA 1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「同技術を作戦機で装備化へ」→ https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/
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米軍の新兵入隊学力試験に電卓持ち込み可へ [米国防省高官]
募集難&応募者の学力不振不合格増を背景に
米大学入試に要提出のSATやACTで持ち込み可受け
8月18日付Military.com記事は、新兵応募者の基礎学力不足や応募者の減少を受け、米国防省が米軍への新兵採用学力試験(ASVAB:Armed Services Vocational Aptitude Battery)に、電卓計算機の持ち込み許可の方向で検討中と伝えています
米軍に入隊を希望するものは、学力試験と身体検査で基準を満たす必要がありますが、身体検査で肥満・麻薬使用等の理由で基準を持たさない若者の比率が増え、特に陸海空軍で募集目標数未達状態が続いているとご紹介してきましたが(海兵隊と宇宙軍は募集数小で募集状況は余裕)、学力面での受験者の能力低下も重い問題となっているようです
米国社会全体の状況として、大学入学を目指すものが希望大学に事前提出を求められる「SAT」や「ACT」試験のスコアが、2022年SAT試験で過去30年で最低レベルを記録し、受験者の25%以下の者だけしか、大学入学可能レベルとされる基準を満たさなかった惨状があり、特に低所得家庭出身者の学力低下が顕著だと公表されている模様です
米陸軍は昨年から、入隊希望者が試験を通過できるレベルに達するよう90日間の準備トレーニングを提供する「Future Soldier Preparatory Course」を開始し、約9200名の同トレーニング修了者のうち、約7000名が学力補習コースを、約2100名が身体改善コースを受講したとのことで、今後12000名の受け入れ態勢で臨む方針だそうで、学力問題の高い比率が示されています
今回の入隊学力試験ASVABへの電卓計算機持ち込み検討が、いつ結論を得て実現するのか国防省関係者は明示せず、「電卓導入の影響をシステマチックに見積もり、導入に向けた道筋を検討している」と慎重な姿勢を示しているようですが、
既に大学入学希望者に求められる「SAT」や「ACT」試験では」以前から電卓持ち込みが認められている事や、長年にわたりASVAB試験の内容が学校教育現場での電卓活用や他の技術導入に対応していないとの批判もあり、導入は時間の問題と考えられている模様です
ただし、前述の「SAT」試験結果が示す受験層の読解力や計算力の現状からすると、たとえ電卓計算機のASVAB試験へ持ち込みが許可されても、改善効果は限定的だとの見方もあるようです。
また米議会には、特に共和党議員から、米軍の募集難への対応策として行われている一連の「基準の緩和」(肥満や入れ墨や麻薬検査関連の基準緩和など)を快く思わない勢力も強く、今後どのような議論を経て結論に至るか予断を許さない状況にあるようです
////////////////////////////////////////////////////
世界中で、軍隊への入隊希望者減少は深刻な問題であり、自衛隊も例外ではありません。「他山の石」として・・・
新兵募集難&離職者増への対応
「募集難に合法移民へ猛烈アプローチ」→https://holylandtokyo.com/2023/06/16/4743/
「兵士慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/12/4608/
「米空軍が体脂肪基準緩和へ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/07/4494/
「歩きスマホやポケットハンドOK」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/
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米大学入試に要提出のSATやACTで持ち込み可受け
8月18日付Military.com記事は、新兵応募者の基礎学力不足や応募者の減少を受け、米国防省が米軍への新兵採用学力試験(ASVAB:Armed Services Vocational Aptitude Battery)に、電卓計算機の持ち込み許可の方向で検討中と伝えています
米軍に入隊を希望するものは、学力試験と身体検査で基準を満たす必要がありますが、身体検査で肥満・麻薬使用等の理由で基準を持たさない若者の比率が増え、特に陸海空軍で募集目標数未達状態が続いているとご紹介してきましたが(海兵隊と宇宙軍は募集数小で募集状況は余裕)、学力面での受験者の能力低下も重い問題となっているようです
米国社会全体の状況として、大学入学を目指すものが希望大学に事前提出を求められる「SAT」や「ACT」試験のスコアが、2022年SAT試験で過去30年で最低レベルを記録し、受験者の25%以下の者だけしか、大学入学可能レベルとされる基準を満たさなかった惨状があり、特に低所得家庭出身者の学力低下が顕著だと公表されている模様です
米陸軍は昨年から、入隊希望者が試験を通過できるレベルに達するよう90日間の準備トレーニングを提供する「Future Soldier Preparatory Course」を開始し、約9200名の同トレーニング修了者のうち、約7000名が学力補習コースを、約2100名が身体改善コースを受講したとのことで、今後12000名の受け入れ態勢で臨む方針だそうで、学力問題の高い比率が示されています
今回の入隊学力試験ASVABへの電卓計算機持ち込み検討が、いつ結論を得て実現するのか国防省関係者は明示せず、「電卓導入の影響をシステマチックに見積もり、導入に向けた道筋を検討している」と慎重な姿勢を示しているようですが、
既に大学入学希望者に求められる「SAT」や「ACT」試験では」以前から電卓持ち込みが認められている事や、長年にわたりASVAB試験の内容が学校教育現場での電卓活用や他の技術導入に対応していないとの批判もあり、導入は時間の問題と考えられている模様です
ただし、前述の「SAT」試験結果が示す受験層の読解力や計算力の現状からすると、たとえ電卓計算機のASVAB試験へ持ち込みが許可されても、改善効果は限定的だとの見方もあるようです。
また米議会には、特に共和党議員から、米軍の募集難への対応策として行われている一連の「基準の緩和」(肥満や入れ墨や麻薬検査関連の基準緩和など)を快く思わない勢力も強く、今後どのような議論を経て結論に至るか予断を許さない状況にあるようです
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世界中で、軍隊への入隊希望者減少は深刻な問題であり、自衛隊も例外ではありません。「他山の石」として・・・
新兵募集難&離職者増への対応
「募集難に合法移民へ猛烈アプローチ」→https://holylandtokyo.com/2023/06/16/4743/
「兵士慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/12/4608/
「米空軍が体脂肪基準緩和へ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/07/4494/
「歩きスマホやポケットハンドOK」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/
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グアム島のMDシステム本格試験を2024年開始 [米国防省高官]
今年後半から各パート試験がスタートし
MDA長官が空席のままなようですが・・・
8月9日、米陸軍主催の「Space and Missile Defense Symposium」でミサイル防衛庁長官代理のDoug Williams海軍少将(本来長官出席予定が上院の承認遅れで・・・)が講演し、ミサイル防衛庁最優先事業である対中国作戦の一大根拠基地グアム島のミサイル防衛体制構築に向けた各種試験を、今年後半から各パーツ毎に開始し、一連の第1弾防御兵器群が配備される2024年には、イージスシステムとSM-3 Block IIA対象の初の飛翔体対象試験も開始すると説明しました
2022年5月に当時のHill長官は、グアム島の防衛は、極超音速兵器から弾道ミサイル及び巡航ミサイル等の多様な脅威を想定した重層的なものが計画されているとし、以下のような方向性を示していました
●ルーマニアやポーランド配備のAegis Ashoreのような固定システムだけではなく、移動式ランチャー活用や移動可能型指揮統制センターが実現できないか検討している
●米海軍のSM-3やSM-6、陸軍のPAC-3、そして現有のTHAADの組み合わせを基本とするが、米陸軍が2023年に配備予定の「Mid-Range Capability missile」などの将来装備導入も検討
●指揮統制システムとして米陸軍「Integrated Battle Command System」での連接を柱に、「イージスシステムの火器管制能力」も活用。まず弾道ミサイルと極超音速兵器対処に取り組んみ、その後にPAC-3の持つ優れた巡航ミサイル対処能力を米陸軍C2システムを通して融合させる
●2013年から配備&運用しているTHAADに加え、PAC-3 MSEを地上配備を完了することで、グアム島周辺海域でローテーション待機するイージス艦を3-4隻を開放することができる
8月9日のWilliams長官代理講演では、昨年5月のHill長官発言の内容が2024年度予算に組み込まれ、米海軍は約1140億円、陸軍は900億円の予算で強力にグアム島ミサイル防衛を推進する方向が再確認され、特に米海軍に比して遅れ気味だった米陸軍は、低層用の「Lower Tier Air and Missile Defense Sensors」やPAC-3 MSEミサイル3セットのグアム島へ導入を進める模様です
イージスシステムの地上配備では、アラスカに設置されている宇宙監視センサー「Long Range Discrimination Radar」技術を導入した、新型の機動センサー「AN/TPY-6 radars」を4セット導入してシステムの脆弱性を削減しつつ能力強化を進めており、8月16日には大陸間弾道弾ICBM探知追尾試験が計画されている模様です
更に12月には、ミッドコースでのミサイル防衛能力「Ground-based Midcourse Defense system」を強化する新型迎撃体(two-stage selectableが特徴)の試験も計画され、その後続々と、SM-3 Block IIA、THAAD、PAC-3 MSEの試験が実施される計画だと同長官代理は説明しました
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グアム島のミサイル防衛の難しさは、もともと島の地籍が限られる中、火山活動で出来た凹凸の激しい地形によりミサイル防衛装備展開可能エリアが限定され、地元先住民が先祖から受け継ぐ「神聖な場所」への配慮も欠かせないパズルを解くような点にあり、Williams長官代理がこの面でどのように現状を語ったのかが気になります
また、米海軍イージスシステムと陸軍の防空システム群の、センサー情報や指揮統制融合も大きな課題であったはずですが、この方面に関しても特段の報道はなく、順調なのかどうか「?」な状況です
ここ1か月余りで、中国経済崩壊が怒涛の勢いで進み、台風5号による河北省や北京の洪水など習近平体制の基礎がぐらつく事案が続いていますが、米軍の皆様には粛々と対中国体制構築を続けて頂きたいと思います
グアムのミサイル防衛関連
「グアムMDを再び語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「整備の状況と困難」→https://holylandtokyo.com/2022/04/05/3082/
「分散&機動展開可能型へ」→https://holylandtokyo.com/2021/08/23/2146/
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MDA長官が空席のままなようですが・・・
8月9日、米陸軍主催の「Space and Missile Defense Symposium」でミサイル防衛庁長官代理のDoug Williams海軍少将(本来長官出席予定が上院の承認遅れで・・・)が講演し、ミサイル防衛庁最優先事業である対中国作戦の一大根拠基地グアム島のミサイル防衛体制構築に向けた各種試験を、今年後半から各パーツ毎に開始し、一連の第1弾防御兵器群が配備される2024年には、イージスシステムとSM-3 Block IIA対象の初の飛翔体対象試験も開始すると説明しました
2022年5月に当時のHill長官は、グアム島の防衛は、極超音速兵器から弾道ミサイル及び巡航ミサイル等の多様な脅威を想定した重層的なものが計画されているとし、以下のような方向性を示していました
●ルーマニアやポーランド配備のAegis Ashoreのような固定システムだけではなく、移動式ランチャー活用や移動可能型指揮統制センターが実現できないか検討している
●米海軍のSM-3やSM-6、陸軍のPAC-3、そして現有のTHAADの組み合わせを基本とするが、米陸軍が2023年に配備予定の「Mid-Range Capability missile」などの将来装備導入も検討
●指揮統制システムとして米陸軍「Integrated Battle Command System」での連接を柱に、「イージスシステムの火器管制能力」も活用。まず弾道ミサイルと極超音速兵器対処に取り組んみ、その後にPAC-3の持つ優れた巡航ミサイル対処能力を米陸軍C2システムを通して融合させる
●2013年から配備&運用しているTHAADに加え、PAC-3 MSEを地上配備を完了することで、グアム島周辺海域でローテーション待機するイージス艦を3-4隻を開放することができる
8月9日のWilliams長官代理講演では、昨年5月のHill長官発言の内容が2024年度予算に組み込まれ、米海軍は約1140億円、陸軍は900億円の予算で強力にグアム島ミサイル防衛を推進する方向が再確認され、特に米海軍に比して遅れ気味だった米陸軍は、低層用の「Lower Tier Air and Missile Defense Sensors」やPAC-3 MSEミサイル3セットのグアム島へ導入を進める模様です
イージスシステムの地上配備では、アラスカに設置されている宇宙監視センサー「Long Range Discrimination Radar」技術を導入した、新型の機動センサー「AN/TPY-6 radars」を4セット導入してシステムの脆弱性を削減しつつ能力強化を進めており、8月16日には大陸間弾道弾ICBM探知追尾試験が計画されている模様です
更に12月には、ミッドコースでのミサイル防衛能力「Ground-based Midcourse Defense system」を強化する新型迎撃体(two-stage selectableが特徴)の試験も計画され、その後続々と、SM-3 Block IIA、THAAD、PAC-3 MSEの試験が実施される計画だと同長官代理は説明しました
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グアム島のミサイル防衛の難しさは、もともと島の地籍が限られる中、火山活動で出来た凹凸の激しい地形によりミサイル防衛装備展開可能エリアが限定され、地元先住民が先祖から受け継ぐ「神聖な場所」への配慮も欠かせないパズルを解くような点にあり、Williams長官代理がこの面でどのように現状を語ったのかが気になります
また、米海軍イージスシステムと陸軍の防空システム群の、センサー情報や指揮統制融合も大きな課題であったはずですが、この方面に関しても特段の報道はなく、順調なのかどうか「?」な状況です
ここ1か月余りで、中国経済崩壊が怒涛の勢いで進み、台風5号による河北省や北京の洪水など習近平体制の基礎がぐらつく事案が続いていますが、米軍の皆様には粛々と対中国体制構築を続けて頂きたいと思います
グアムのミサイル防衛関連
「グアムMDを再び語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「整備の状況と困難」→https://holylandtokyo.com/2022/04/05/3082/
「分散&機動展開可能型へ」→https://holylandtokyo.com/2021/08/23/2146/
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