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在日米軍兵士や軍属への医療体制改善を米議会も要求 [米国防省高官]

米軍基地医療施設も不十分で日本の病院も受入拒否多発
過去2年間で日本病院が 24 人拒否し4名が死亡が
「日本では日本人に対しても救急医療体制が不足」と指摘

Naval Hospital okinawa3.jpg1月4日及び3月21日付 Military.com 記事が、在日米軍基地の救急医療体制及び日本の病院の救急医療体制不足により、在日米軍人や軍属およびその家族が十分な救急医療を受けられない不安や現実から、軍人や軍属が日本を離れるケースが出ているとして、アジア太平洋軍や国防保健庁(Defense Health Agency)が改善対応を行っているが、米議会もこれを問題視して国防省に医療体制改善を求めていると報じています。

記事は、米軍基地の医療体制の問題と日本の病院の受け入れ態勢の両方の問題を指摘し、米議会が「土気や定着率に与える影響に関する報告を引き続き懸念」しており、日本の医療体制については「日本人も同じ問題に直面している」としながらも、

Naval Hospital Okinawa.jpg国防省監察官報告書は「言葉の壁、医療へのアプローチの違い、特定の医薬品の入手可能性の欠如など、基地外の医療リソースを利用する際の重大な課題が判明」とも分析しており、在日米軍約11万人(軍人約 54,000人、軍人家族約 45,000人、国防省文民職員や請負業者8,000人)への医療提供体制は、頭在化すると大きな日米間の電製になる可能性もあり感念されます。

両記事が記載している事案例など、
●2023 年初め、沖縄海軍病院の深刻な人員不足を受けて、豪手納空軍基地医療スタッフは、妊娠中の軍人、配偶者、扶養家族 を出産のため国外に送り出す準備を始めた。
●横須賀と沖縄の軍治療施設は 2021 年以降、銃撃による算傷や重大な自動車事故、二段ベッドから転落して肝臓裂傷を負った事故など、重傷の兵士や家族の治療ができていない。

Naval Hospital Okinawa2.jpg●在日米海重と海兵隊によれば、過去2年間で少なくとも 24人の米軍人や国防総省職員、または扶養家族が日本の病院から の救急医療を拒否され、4人が死亡している。
●あるケースでは、エスカレータから約 15 メートル転落して脳損傷を負った7歳の子供が、救急車が搬送先医療施設が見つからず 35分も立ち往生して死亡している

●日本では救急医療専門分野が発達しておらず、救急救命室ERを24時間維持可能な救急医が不足している。救急専門医が勤務していない場合、救急治療能力が不十分な医師が関与することがある。
●このため、患者は治療を拒否される可能性もある。この状況は米国人だけではなく、日本国民にも当てはまる。2022年12月に日本では8,000人以上の患者が救急医療を拒否され、2023年1月には1万6,000人が拒否されている。

Defense Health Agency2.jpg●このように厳しい医療環境から、米軍人や国防省職員や家族を支える教師や児童臨床心理士までもが日本を離れるケースが出ており、在日11万人の米軍関係者に小児心理学者が1人しか存在しない状態となっている。

国防保健庁は2022年12月に、軍病院で治療できる場合は対応するが、収容不可の場合は日本の医療機関に依頼するとの方針を発表しましたが、軍人軍属や家族からの反発が強く、表現を改め、引き続き軍病院で慢性疾患の治療を行うが、救急医療は空き状況に応じて継続すると苦しい発表をしています。

Defense Health Agency.jpgその後国防省は2023年12月に、新たな医療システム構築に関する戦路計画を発表し、医療システム安定のため医療関係者の人員配置を改善し、即応性を高めると発表しましたが、米議員の元には苦情が続いており、「国防保健庁の戦略対応計画の進捗や、国防省監察官監査結果への対応について注視していく」と米議員は国防省に書簡を出しているところです。

またアジア太平洋軍司令官 John Aquilino 海軍大将は、3月21日の予算案関連の上院軍事委員会での証言で、本件への対応状況について説明する予定だそうです(議会証言は終わっていますが、関連内容に関する報道無し)
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Defense Health Agency3.jpg米軍を受け入れる目本の医療体制が、他の米軍駐常国と比較してどうなのか記事は取り上げていませんが、米国人と日本人では医療への期待度や考え方が異なる面もあると思います。いずれにしても、本件が日米関係に影響を与えることが無い様祈り ます。

ちょっと気になるのは、沖縄の医師会などが米軍関係者への医療提供を拒んでいるとか、積極的でないなどの実態がないのか・・・との点です。そうでないことも願うばかりですが・・・

在日米軍に関連の記事
「太平洋空軍司令官は元在日米軍司令官」→https://holylandtokyo.com/2023/04/26/4567/
「米空軍大改革で太平洋空軍演習強化」→https://holylandtokyo.com/2024/02/29/5587/
「横田基地部隊が緊急退避や被害対処訓練」→https://holylandtokyo.com/2023/11/07/5194/
「極東の戦闘機は?軍事的合理性から考える」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/

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再利用可能な極超音速テスト飛行体Talon-A開発 [米国防省高官]

母機から発射し、自力で着陸帰投する機体目指し
2回目の飛行で極超音速達成
国防省計画の極超音速機体用センサー等試験に利用

Talon-A.jpg3月15日付Defense-Newsは、米国防省との契約に基づき、「Stratolaunch」社が再利用可能な極超音速飛翔体Talon-A開発のため3月9日に2回目の試験飛行(TA-2)を行い、目標としていた極超音速飛行に成功して太平洋上に落下したと報じました。試験はロスの北方約100㎞に所在する「Mojave Air and Space Port」を拠点に実施されたとのことですが、現時点では、試験での飛翔高度や正確な飛翔速度など具体的な試験内容は非公開となっているようです

Talon-A2.jpgこのTalon-Aは、国防省が2022年に開始した「SkyRange計画」に基づき、極超音速飛翔体(航空機や兵器)に使用または搭載する素材やセンサーや各種搭載装備の試験用飛翔体として開発されており、今後は母機から発射されたTalon-Aが、搭載された各種素材や搭載装備の極超音速試験飛行後に、飛行場に自力で帰還着陸して再利用可能になり、「毎週1回飛行可能」な体制がとれるよう「Stratolaunch」社が開発を続けていくとのことです。

Talon-Aが今後どのようなスケジュールで「自力で飛行場に着陸帰還」して再利用可能態勢を確立する計画なのかも非公開のようですが、次回の試験飛行(TA-3)は2024年後半に予定されており、この際は「SkyRange計画」の一貫であるMACH-TB (Multi-Service Advanced Capability Hypersonics Test Bed program)用のセンサー等を、Talon-Aに載せた1回目の試験飛行を行うことが2023年11月に契約済(合計5回の試験飛行契約)だそうです

Talon-A3.jpgStratolaunch社CEOであるZachary Krevor氏はまた、Talon-Aを上空まで運搬して投下する「Roc」との「母機」(翼幅115m、搭載可能重量23トン・50万ポンド)が、次回15回目の飛行で飛行時間60時間に達する予定だが、より高く上昇可能なように準備中で、同時に連邦航空局FAAの飛行承認を得るための審査飛行にもなる予定だと説明しています

そして「Roc」とは別の追加「母機」として、2023年春に倒産したVirgin Orbitが保有していたB-747型機を購入&改修して準備中で、2025年のTalon-A試験飛行には投入する予定だと説明し、「細部には言及できないが、2024年の最終四半期には、(Talon-A以外の)別の顧客にB-747でサービスを提供する予定だ」とも語っています
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Talon-A4.jpgDefense-News記事は、米国防省にとって、米国用の極超音速兵器開発に加え、中国やロシアの極超音速兵器対処面でも、この極超音速環境での試験を提供する「Talon-A」は重要だと紹介しています

この極超音速技術の応用先がどのように広がっていくのか理解できていませんが、とりあえず「Stratolaunch社」や「SkyRange計画」や「MACH-TB」との言葉をTake Noteしておきましょう

米軍の極超音速兵器開発
「突然グアムにARRW」→https://holylandtokyo.com/2024/03/08/5662/
「同兵器を過大評価するな」→https://holylandtokyo.com/2023/12/15/5343/
「米陸軍の配備は24年に持ち越し」→https://holylandtokyo.com/2023/11/15/5224/
「ウで次々撃墜:同兵器を過信するな」→https://holylandtokyo.com/2023/06/01/4695/
「空軍がARRW配備断念」→https://holylandtokyo.com/2023/04/05/4478/
「バカ高い極超音速兵器」→https://holylandtokyo.com/2023/02/08/4261/

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Microgridでホスト国から海外基地をエネルギー独立に [米国防省高官]

国防省の担当特別補佐官中佐が論文
再生可能エネルギーや蓄電や管制施設完備で
米陸軍は2035年目標に全基地に基盤整備目指す

Olsen microgrids.jpg10月31日付米空軍協会web記事が、米国防省のNathan Olsen担当特別補佐官(中佐:開発研究次官の配下)による秋号「Air & Space Operations Review」誌への投稿論文「Microgrid」を取り上げ、米軍の海外駐留基地がホスト国の電力供給に依存している現状に危機感を訴え、海外基地がホスト国に依存しない独自の再生可能エネルギー発電装置やミニ原発、蓄電能力や制御装置を備えた「Microgrid」を早急に整備すべきだと訴えています

軍事基地にとっての電力の重要性は言わずもがなですが、ウクライナでのロシアによる電力施設集中攻撃による社会危機や、ハリケーンなど自然災害で電力会社からの電力供給が停止して基地機能が停止した米本土基地事例が最近増加しており、多くの米軍基地が保有する1週間程度の化石燃料使用の現状の自家発電能力では、本格紛争は戦い抜けないとの危機感を同中佐は訴えています

Olsen microgrids3.jpg米軍の海外基地がホスト国から「電力面で独立」するためにOlsen中佐が主張している「Microgrid」整備とは、海外基地の地理的な特性に応じた再生可能エネルギー発電(太陽光、風力、バイオマス、地熱発電)やコンテナサイズの「ミニ原発」を蓄電装置とセットで整備し、

それら多様な発電源を基地ニーズに応じて最適制御する管制装置でコントロール可能な仕組みの確立を意味しており簡単ではありませんが、「脅威の最前線」にありながらほとんど自衛隊基地に関して議論されていない分野ですので、注意喚起の意味を込めご紹介させていただきます 

同中佐が紹介の具体的事例の一部
Olsen microgrids4.jpg●再生可能エネルギー発電(太陽光、風力、バイオマス、地熱発電)については、「気候変動対処戦略」に沿って、各軍種や各基地で少しづつ取り組みが始まっているが、期待の高いコンテナ1台で基地一戸全ての電力を提供可能な「ミニ原発」は技術進歩も著しく、2027年にはアラスカのEielson空軍基地で先行試行使用が開始される計画
●同中佐の基準で既に「Microgrid」が導入されているのは、(中国脅威最前線の)米空軍横田基地、(ハリケーンで大打撃を受けた)フロリダ州のTyndall空軍基地、そして様々な代替電力の組み合わせで3週間の運用可能な体制を構築している海兵隊Miramar航空基地(映画トップガンの舞台@加州)のみで、より積極的な投資が国防省や米議会には期待される

Olsen microgrids5.jpg●米軍の中では陸軍が最も積極的で、ミサイル防衛装備やロケット開発発射試験場に活用されている南太平洋マーシャル諸島の「Kwajalein Island」で、太陽光発電や他の発電設備による「Microgrid」運用を行っているほか、陸軍全体で2035年までに「Microgrid」を全基地に導入完了し、2040年までに再生可能エネルギー発電と蓄電設備で主要な任務活動をすべて賄える態勢整備完了する目標を掲げている
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Olsen論文掲載の「Air & Space Operations Review」秋号
https://www.airuniversity.af.edu/Portals/10/ASOR/Journals/Volume-2_Number-3/ASOR_Volume_2_Number_3..pdf

再生可能エネルギー発電(太陽光、風力、バイオマス、地熱発電)は、不安定、量的に不十分、特定地域でのみ可能な発電手段で、基地レベルの電力安定確保には「ミニ原発」しか方法はないように思いますが、精密誘導兵器大拡散の現状で普及が難しいのが現状です。ではありますが・・・まずは防衛省・自衛隊でも議論を立ち上げて頂きたいと思います

Olsen microgrids6.jpgOlsen中佐が取り上げた米空軍横田基地の「Microgrid」はどの程度のレベルのものでしょうか? 論文のいい加減な斜め読みでは「Yokota」「Tyndall」「Miramar」の名前を発見できず、ご紹介できないのですが、空自の横田基地勤務の皆様でご存じの方にご教授いただければ幸いです

ミニ原発や気候変動の記事
「空輸可能ミニ原発を契約」→https://holylandtokyo.com/2022/06/20/3344/
「航空輸送可能なミニ原発配備へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/19/3147/
「ミニ原発反対論」→https://holylandtokyo.com/2021/06/29/1960/
「サイバー停電に備えミニ原発」→https://holylandtokyo.com/2020/03/11/779/
「国防省の気候変動対策」→https://holylandtokyo.com/2021/10/11/2318/

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米国が新型の重力投下核爆弾B61-13開発へ [米国防省高官]

政府や議会等の様々な勢力が絡む駆け引きの中で
維持費かさむ旧式B83やB61-7破棄を進めたい国防省
中露の拡大増強を受け、核戦力強化狙う共和党など

b61-13 5.jpg10月27日、米国防省が重量投下型核爆弾B-61シリーズの新型爆弾として、「B61-13」の開発検討を開始すると発表しました。

核兵器の問題は、バイデン政権が作成した新たな方針「2022 Nuclear Posture Review」が示すように、それ以前のテロ組織やならず者国家(北朝鮮やイラン)等への核拡散防止重視から、中国やロシアの核戦力大増強や核軍縮&監視条約(INF全廃条約やオープンスカイズ条約)無効化の中での対応に焦点が変化し、

B61-13.jpg同時に、サイバーや宇宙ドメインと言った国家存続に直結するリスク分野や関連兵器が登場したことで、核兵器の位置づけや抑止の在り方の再整理が求められて久しい状態にありますが、核兵器関連施設の老朽化による核兵器維持コストが増大する時期を迎え、政策担当者には頭の痛い問題となっています

米国防省は厳しい予算の中、何とか効率的に従来核戦力を更新&維持したいと考えていますが、現有装備老朽化更新に伴う核兵器運搬手段開発(B-21ステルス爆撃機やコロンビア級戦略原潜開発)や新規ICBM開発(ミニットマンⅢ後継のGround-Based Strategic Deterrent開発)に加え、廃止も含めた非常に多様な意見が存在する重量投下型核爆弾の維持など、大きな投資を要するプロジェクトが同時に発生する難しいタイミングにあります

B61-13 3.jpg政治面では、オバマ前大統領に代表される米民主党は核軍縮を目指し、トランプ前大統領が分かり易い例の共和党には「中露に後れを取るな」の姿勢で核戦力の根本的見直し増強を主張する勢力が多数おり、米国防省は難しいかじ取りを迫られており、そんな中での「B61-13」爆弾の開発検討開始の決定について、知識不十分ながら27日付Defense-News記事から概要の概要をご紹介します

10月27日付Defense-News記事によれば

●米軍の重量投下型核爆弾の保有状況(総数4-500発)
・国防省が早期退役狙う維持費がかさむ老朽爆弾
--B83-1 →1200キロトン(1.2メガトン=広島型の威力80倍)
--B61-7 →360キロトン

・最近導入開始の核爆弾
--B61-12 →20~50キロトン

●開発検討開始の新爆弾「B61-13」
--B61-13 →B61-7と同等の威力(360キロトンレベル)
・・誘導能力付与のため尾部に誘導翼キット装着
・・製造弾数は「a few dozen」:B61-12製造計画数を削減した分だけ、B61-13を製造し、総量を増やさない
・・開発中B-21爆撃機に搭載予定、F-35に搭載予定なし

●「B61-13」開発検討開始の背景
(FASの核兵器専門家Hans Kristensen氏の見方)
Kristensen.jpg・大型の核爆弾B81-1はオバマ政権時に廃止の方向となったが、トランプ政権が維持に方向転換。その後バイデン政権は再びB81-1廃止の検討中
・国防省は、維持費がかさむ40年前製造のB81-1を、厳しい予算状況から同じく老朽化進むB61-7と共に早期に破棄したいが、単純な破棄では上院で多数を占める共和党核軍拡派を説得できないため、「B61-13」開発検討開始を持ち出した

・「B61-13」は400キロトン程度で、1200キロトンのB83には及ばないが、誘導精度を高める「tail kit」を付加することで攻撃効果を維持
・共和党の共和党核軍拡派は「B61-13」開発検討開始を、「非常にささやかな前進だが、正しい方向ではある」と評価している
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B61-13 4.jpg非常に政治的な匂いの漂う「B61-13」開発検討開始だと考えて頂ければよいと思います

本来であれば、弾種別の数量や維持費や開発費等の見積もり状況もお伝えできれば良いと思いますが、そこまでの気力なく、今日は記事内容のご紹介までとさせていただきます

米軍の重力投下核爆弾関連
「独が戦術核任務にF-35導入決定」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/
「空軍は海軍戦術核の補完不要」→https://holylandtokyo.com/2020/12/17/345/
「F-35がB61-12搭載試験終了」→https://holylandtokyo.com/2020/12/08/338/
「独の戦闘機選定:核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-01
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22

核兵器の経費関連記事
「核戦力維持に10兆円?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「オハイオ級SSBNの後継構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25-1

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米空軍が24年ぶりに募集目標0%未達も [米国防省高官]

肥満、麻薬、身体&心理問題で人口の23%のみ応募可
コロナ明け後の雇用急増で若者採用競争
2024年度は回復傾向と自信示す

airforce recruit7.jpg9月11日、Kendall空軍長官が記者懇談会で、9月末までの2023年度の米空軍新兵募集は目標に約10%届かない模様で、1999年以来24年ぶりに採用目標未達となると語りました。

ただし同空軍長官は、2024年度は米空軍の各種取り組みもあり募集実績は回復傾向にあり、2024年度最初の月となる2023年10月の採用は既に目標を達成しており、11月も目標数を十分クリアできる勢いで採用活動が行われていると自信を示しました

airforce recruit8.jpg1999年に目標未達だった際は、「1981年から96年に生まれたMillenials世代:Y世代とも言う」が最初に採用対象年齢に達した年だと説明され、その前の未達の1979年は「X世代:親世代の離婚率が上昇し始めた時期に子供世代を過ごしたため、親からの監督が少なくなり始めた世代」が最初に採用対象年齢に達した年だと解釈されています。

2023年度が採用目標未達になる原因として、コロナ禍で2020年ころから公開の場での採用活動やイベントを自粛していた影響、コロナ後の企業活動や社会活動活発化による新人採用急増による人の奪い合い、

airforce recruit9.jpg更に、対人接触をあまり好まず、米軍5軍を言える割合が5割以下で、肥満、麻薬、身体&心理健康問題で対象人口の23%しか採用基準を満たず、1割未満しか米軍入隊に関心を持っていない「Z世代」へのアピール不足が原因の一つと考えられているようです

これらの「逆風」を克服すべく、米空軍は、入隊により合法移民応募者がスムーズな「帰化」プロセスを享受できる制度、学生ローン肩代わり制度再導入、首や手への入れ墨基準緩和、スマホアプリによる現役兵士からの募集候補者情報収集、募集担当者への成功報酬や表彰制度などなどの施策を次々に導入しました

airforce recruit3.jpgこれらの成果と、コロナからの経済回復による新人採用競争が激化した過去数年間の状況が一段落しつつあること等も加わり、米空軍採用局の報道官は「来年2024年の見通しは良い」、「DEP([delayed-entry program細部不明)活用による応募者が昨年の2倍で、更に増加中」等と、空軍長官の11日の発言を裏付ける現場の様子を紹介しています
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airforce recruit4.jpg海兵隊と宇宙軍は募集数が小さく募集状況には余裕があると、過去記事「電卓持ち込み可へ」でご紹介しましたが、空軍も2024年度に向け明るい傾向が見えており、各種基準の緩和が気にはなりますが、時代の流れでしょうからしょうがないでしょう。

空軍より状況が厳しそうな、陸軍と海軍の来年2024年度の見通しも聞きたいものです。

新兵募集難&離職者増への対応
「新兵入隊学力試験に電卓持ち込み可へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/29/4976/
「募集難に合法移民へ猛烈アプローチ」→https://holylandtokyo.com/2023/06/16/4743/
「兵士慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/12/4608/
「米空軍が体脂肪基準緩和へ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/07/4494/
「歩きスマホやポケットハンドOK」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/

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再び国防副長官がReplicator構想に言及 [米国防省高官]

継続細部不明も、新たな予算や専従組織は必要ない!と
名称「Replicator」は最新最善手法の迅速横展開を狙い
結局「already doing」を「under one roof」かも

Hicks Replicator.jpg9月6日、Defense-News主催イベントで講演したHicks国防副長官が、8月28日に初披露した「Replicator Initiative」に再び言及し、引き続き細部は不明確ながら、「新たな予算や専従組織は必要ない」、「海空のドローン中心で、地上ドローンもあり得る」、「既に実施している事の多くを一つ屋根の下に」等と説明し、「官僚主義に陥ることなく、国防省が主導的に課題を克服できるかが懸念である鍵である」とも語りました

8月の講演時に説明した同構想の方向性である、多量(Mass)の艦艇やミサイルや人力等で脅威となっている中国に対抗し、今後2年間に集中して「小型&安価であってもスマートな無人システムを大量」に導入するとの説明を繰り返しつつ、

Hicks Replicator2.jpg6日には更にウクライナの戦況も交えて必要性を主張し、「ウクライナでは月に1万機のドローンが投入されているとの推計もあるが、結果として、より大規模な敵の侵攻を小規模な部隊で阻止することに成功し、前線配置の人員や兵站補給の負担削減を可能にして、同時に戦いのテンポを格段に向上させている」とも同構想の意味を説明しています。

また本構想の位置づけについて副長官は「特定の無人システムを新規開発することに力点があるのではなく、国防省のmindsetやcultureの変革の意味合いが強い」と説明し、「技術革新と共に組織文化の変革を推進し、best practicesを迅速に他システムや装備に横展開(replicating)して、良い点の恩恵を素早く共有享受することを目指す」と同構想遂行に当たっての着眼点を述べています

Hicks Replicator3.jpg副長官は注力する特定の自立型ドローンシステムを上げることはしませんでしたが、「Replicator Initiative」の目指す方向性を体現するプロジェクトとして、宇宙軍による「大型&高価&多機能衛星から、小型衛星で構築される衛星網(web of satellites)への移行による宇宙アセット全体の強靭化」や「中央軍が推進する、少数の有人艦艇による体制から、商用無人水上艇の大量導入による海洋監視網の構築」の事例を取り上げ、

また将来像の一例として、「大型航空機や地上・海上部隊から射出や投入される、様々な役割を担うドローン(ADA2:all-domain attritable autonomy)が、様々な高度に群れを成して配置され、活躍する姿をイメージしてほしい」と語りました
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Hicks Replicator4.jpgフォローしてませんでしたが、来月10月から始まる米国2024年度の予算は、未だ米議会で未承認の「異常事態」らしいので、Hicks国防副長官も「Replicator Initiative」に多額の新規資金が必要になりそうな印象を米議会や国民に与え、2024年度予算成立を邪魔するようなことを避けたかったのかもしれません

8月28日の副長官講演の後で、担当報道官が「あくまで現有の各種計画の再整理だ。コストも数百億円程度だ」とプレスにメール配信して話題の沈静化を図った節があり、いきなり「味噌をつけた」形の本構想ですが、「既存の事業を一つ屋根の下に」置くことで、「官僚主義に邪魔される」ことなく、「mindsetやcultureの変革」につなげて頂きたいと思います

今後2年間で小型安価な自立型ドローン大量導入をぶち上げる
「国防副長官がReplicator構想を発表」→https://holylandtokyo.com/2023/08/31/4997/

大型で高価な無人機CCA関連
「XQ-58Aが集大成3時間飛行」→https://holylandtokyo.com/2023/08/08/4922/
「CCAを2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
「長官:NGAD 200機、CCA 1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/

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ウへの弾薬や兵器提供で米軍に問題は生じていない! [米国防省高官]

調達担当国防次官がきっぱりと言い切る
将来のニーズ変化と必要量見積りに苦心と語る
「オンライン装備メンテ指導」などの新手法もアピール

LaPlante8.jpg8月28日、元米空軍副長官で現在はウクライナへの武器弾薬支援に奔走するWilliam LaPlante調達担当国防次官が軍需産業連合会(National Defense Industrial Association)イベントの基調講演を行い、「メディアは、ウクライナへ○○ミサイルや××弾薬を提供しすぎて、米軍用備蓄が不足している」等々と報道しているが、「事実ではない」とキッパリ否定し、

約6兆円相当の弾薬や装備品提供等を行った現在でも、「米軍用の装備が不足する状況には全くない」、「我々は全てを管理下に置いており、米軍の態勢維持に必要な兵器や装備数や調達可能数を念頭に、国防長官と統合参謀本部議長が、ウからの要望事項リストを完全に精査して対応している」、「許容範囲を超える要望には応じていない」と主張しました

LaPlante7.jpg開戦当初に「ウ」へ大量提供した「Stinger携行対空ミサイル」や「Javelin対戦車ミサイル」の備蓄数穴埋めに、10年以上が必要等々の報道や専門家の分析が相次ぎ、米議会からも懸念の声が高まっていることを意識した発言ですが、LaPlante次官は、軍需産業界の支援を得て弾薬等の調達次官の大幅短縮を成し遂げつつあるとアピールし、

更に本当に同次官らが苦心しているのは、戦況や戦いの推移に応じて変化する「ウ」のニーズの変化とその必要量を予測して備え、必要時に調達方法や輸送手段を含めた兵站支援を完遂することだと語り、開戦当初から現在の反転攻勢フェーズでは「ウ」のニーズが変化し、そのニーズに対応するため米議会に特別措置を依頼したり、同盟国等からの提供を要請するなど多方面の検討&調整を同時並行で進めている様子を改めて紹介しています

LaPlante6.jpgまた弾薬等の消費量予測において、約1年半の実績からWW2のデータが参考になっている一方で、過去のWarGameの結果で、近代戦での精密誘導兵器の消耗は極めて激しいことや、戦いが長引いた場合の備えが不十分であることが指摘されていながら、「十分に予算対処してこなかった」ことを率直に認めつつも、

米議会への様々な状況説明や軍需産業界との意見交換などを経て、米国防省や米軍内を含め関係者の「考え方:mindset」が変化してきており、例えば「多年度にわたる調達計画方式導入」により、企業側も安心して生産能力拡大投資に踏み切れる環境が整いつつあると説明しています

LaPlante9.jpg米軍内においても、例えばM-1戦車の提供に際し、ロシア側に見られたくない機微な装備品取り外しを想定の1/3の期間で完了したり、ウへ輸送した戦車の現地での整備支援に、新たなオンライン活用の整備支援方式「tele-maintenance」を考案して米軍人や米軍契約企業要員のリスク低減に工夫していると紹介しています
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LaPlante次官を責めるつもりは全くありませんが、「ウに提供しすぎて米軍用が不足との報道は事実ではない」、「許容範囲を超える要望には応じていない」と主張しても、ご本人も「十分に予算対処してこなかった」と率直に認め、Hicks国防副長官らが「ウの教訓は弾薬確保など兵站支援分野だ」と明らかにしており、西側もロシア側も弾薬装備の枯渇は明らかです

LaPlante5.jpgただ同次官が語る、「苦心しているのは、戦況や戦いの推移に応じて変化する「ウ」のニーズの変化とその必要量を予測して備え、必要時に調達方法や輸送手段を含めた兵站支援の完遂」、「弾薬等の消費量予測において、約1年半の実績からWW2のデータが参考になっている」との細かな点は貴重なお話ですのでご紹介しました

弾薬量の圧倒的不足問題
「英軍も不足深刻」→ https://holylandtokyo.com/2023/03/23/4395/
「空軍は弾薬調達の効率性優先を変更」→https://holylandtokyo.com/2023/02/24/4304/
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「上院軍事委員長:弾薬が最大教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/02/10/4288/
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→https://holylandtokyo.com/2023/02/09/4208/
「初の対無人機の防空消耗戦に直面するウ」→ https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/

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米軍は今後2年で数千の損耗覚悟の自立無人システムを [米国防省高官]

国防副長官が「Replicator」計画を発表
量で勝負の中国に対抗:詳細は数週間後に発表
既存予算の再整理程度だとの話もあるが・・・

Hicks NDIA.jpg8月28日、Kathleen Hicks国防副長官が軍需産業連合会(National Defense Industrial Association)のイベント講演で、多量(Mass)の艦艇やミサイルや人力等で脅威となっている中国に対抗し、米国防省は今後2年間に集中して「小型&安価であってもスマートな無人システムを大量」に導入する「Replicator」計画を遂行すると明らかにし、細部は「in the coming weeks」に発表すると語りました

Hicks副長官は計画について、「統合参謀副議長と共に同計画を監督する」、「展開が鈍重だと言われる米軍の軍事革新を、損耗覚悟(attritable)の自立無人システムを大量導入することで促進する」、「大量の艦艇やミサイル等を前面に押し出す中国軍に対し、我々は対処の事前計画が困難で、各個撃破が難しく、我の計画阻止がより厄介な対処法で臨む」と本計画の基本的考え方を語っています

Hicks NDIA3.jpgまた副長官は、「従来から保有する、大型で特別で高価で少数のプラットフォームも活用していくが、本計画では最近国防省が注力している、自立型システム開発への投資を加速することに特に焦点を当てていく」とも説明し、前国防省DIU責任者Mike Brown氏が「hedge strategy」で提唱した短期間に小型無人システムを大量導入する考え方を実現するものとも語りました

更に副長官は、2021年時点で既に約680個存在している関連プロジェクトに、2024年度予算で2500億円要求し、25年度にも米下院の後押しも得て1400億円も投入し、「Replicator」計画としてまとめて再整理し、より大規模に推進したいと語り、

Hicks.jpg「リスクはあるが、大きな賭けをすべき時だ。我々にはできる」、「中国対処が念頭にあるが、米国社会全体が追求すべき、我が世代が担う挑戦(generational challenge to American society)でもある」と計画実行への意欲を示しました
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追加情報で、副長官直属の報道官が「あくまで現有の各種計画の再整理だ。コストも数百億円になると考えている」とメディアにメール連絡したとの報道が出ており、Hicks副長官の「盛りすぎ疑惑」が浮上している今現在ですが、「in the coming weeks」に発表される予定の細部計画を待ちましょう

Hicks NDIA4.jpgでもそうですよねぇ・・・中国軍の戦闘機や艦艇やミサイルに対抗して、米国やその同盟国が戦闘機数や艦艇数で張り合っても、兵器や人員や補給物資の中国正面への輸送力やアセットを配備する拠点確保面で「既に圧倒的に不利」ですから、「小型&安価で、スマートな無人システムを短期間に大量導入」は素晴らしいアイディアです。日本も是非その方向を追求して頂きたいと思います

大型で高価な自立無人機開発は・・・
無人ウイングマンCCA関連
「CCAを2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
「長官:NGAD 200機、CCA 1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「同技術を作戦機で装備化へ」→ https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/

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米軍の新兵入隊学力試験に電卓持ち込み可へ [米国防省高官]

募集難&応募者の学力不振不合格増を背景に
米大学入試に要提出のSATやACTで持ち込み可受け

ASVAB5.jpg8月18日付Military.com記事は、新兵応募者の基礎学力不足や応募者の減少を受け、米国防省が米軍への新兵採用学力試験(ASVAB:Armed Services Vocational Aptitude Battery)に、電卓計算機の持ち込み許可の方向で検討中と伝えています

米軍に入隊を希望するものは、学力試験と身体検査で基準を満たす必要がありますが、身体検査で肥満・麻薬使用等の理由で基準を持たさない若者の比率が増え、特に陸海空軍で募集目標数未達状態が続いているとご紹介してきましたが(海兵隊と宇宙軍は募集数小で募集状況は余裕)、学力面での受験者の能力低下も重い問題となっているようです

ASVAB4.jpg米国社会全体の状況として、大学入学を目指すものが希望大学に事前提出を求められる「SAT」や「ACT」試験のスコアが、2022年SAT試験で過去30年で最低レベルを記録し、受験者の25%以下の者だけしか、大学入学可能レベルとされる基準を満たさなかった惨状があり、特に低所得家庭出身者の学力低下が顕著だと公表されている模様です

米陸軍は昨年から、入隊希望者が試験を通過できるレベルに達するよう90日間の準備トレーニングを提供する「Future Soldier Preparatory Course」を開始し、約9200名の同トレーニング修了者のうち、約7000名が学力補習コースを、約2100名が身体改善コースを受講したとのことで、今後12000名の受け入れ態勢で臨む方針だそうで、学力問題の高い比率が示されています

ASVAB.jpg今回の入隊学力試験ASVABへの電卓計算機持ち込み検討が、いつ結論を得て実現するのか国防省関係者は明示せず、「電卓導入の影響をシステマチックに見積もり、導入に向けた道筋を検討している」と慎重な姿勢を示しているようですが、

既に大学入学希望者に求められる「SAT」や「ACT」試験では」以前から電卓持ち込みが認められている事や、長年にわたりASVAB試験の内容が学校教育現場での電卓活用や他の技術導入に対応していないとの批判もあり、導入は時間の問題と考えられている模様です

ASVAB2.jpgただし、前述の「SAT」試験結果が示す受験層の読解力や計算力の現状からすると、たとえ電卓計算機のASVAB試験へ持ち込みが許可されても、改善効果は限定的だとの見方もあるようです。

また米議会には、特に共和党議員から、米軍の募集難への対応策として行われている一連の「基準の緩和」(肥満や入れ墨や麻薬検査関連の基準緩和など)を快く思わない勢力も強く、今後どのような議論を経て結論に至るか予断を許さない状況にあるようです
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世界中で、軍隊への入隊希望者減少は深刻な問題であり、自衛隊も例外ではありません。「他山の石」として・・・

新兵募集難&離職者増への対応
「募集難に合法移民へ猛烈アプローチ」→https://holylandtokyo.com/2023/06/16/4743/
「兵士慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/12/4608/
「米空軍が体脂肪基準緩和へ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/07/4494/
「歩きスマホやポケットハンドOK」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/

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グアム島のMDシステム本格試験を2024年開始 [米国防省高官]

今年後半から各パート試験がスタートし
MDA長官が空席のままなようですが・・・

Guam MD9.jpg8月9日、米陸軍主催の「Space and Missile Defense Symposium」でミサイル防衛庁長官代理のDoug Williams海軍少将(本来長官出席予定が上院の承認遅れで・・・)が講演し、ミサイル防衛庁最優先事業である対中国作戦の一大根拠基地グアム島のミサイル防衛体制構築に向けた各種試験を、今年後半から各パーツ毎に開始し、一連の第1弾防御兵器群が配備される2024年には、イージスシステムとSM-3 Block IIA対象の初の飛翔体対象試験も開始すると説明しました

2022年5月に当時のHill長官は、グアム島の防衛は、極超音速兵器から弾道ミサイル及び巡航ミサイル等の多様な脅威を想定した重層的なものが計画されているとし、以下のような方向性を示していました

Guam MD6.jpg●ルーマニアやポーランド配備のAegis Ashoreのような固定システムだけではなく、移動式ランチャー活用や移動可能型指揮統制センターが実現できないか検討している
●米海軍のSM-3やSM-6、陸軍のPAC-3、そして現有のTHAADの組み合わせを基本とするが、米陸軍が2023年に配備予定の「Mid-Range Capability missile」などの将来装備導入も検討

●指揮統制システムとして米陸軍「Integrated Battle Command System」での連接を柱に、「イージスシステムの火器管制能力」も活用。まず弾道ミサイルと極超音速兵器対処に取り組んみ、その後にPAC-3の持つ優れた巡航ミサイル対処能力を米陸軍C2システムを通して融合させる
●2013年から配備&運用しているTHAADに加え、PAC-3 MSEを地上配備を完了することで、グアム島周辺海域でローテーション待機するイージス艦を3-4隻を開放することができる

Guam MD8.jpg8月9日のWilliams長官代理講演では、昨年5月のHill長官発言の内容が2024年度予算に組み込まれ、米海軍は約1140億円、陸軍は900億円の予算で強力にグアム島ミサイル防衛を推進する方向が再確認され、特に米海軍に比して遅れ気味だった米陸軍は、低層用の「Lower Tier Air and Missile Defense Sensors」やPAC-3 MSEミサイル3セットのグアム島へ導入を進める模様です

イージスシステムの地上配備では、アラスカに設置されている宇宙監視センサー「Long Range Discrimination Radar」技術を導入した、新型の機動センサー「AN/TPY-6 radars」を4セット導入してシステムの脆弱性を削減しつつ能力強化を進めており、8月16日には大陸間弾道弾ICBM探知追尾試験が計画されている模様です

Guam MD7.jpg更に12月には、ミッドコースでのミサイル防衛能力「Ground-based Midcourse Defense system」を強化する新型迎撃体(two-stage selectableが特徴)の試験も計画され、その後続々と、SM-3 Block IIA、THAAD、PAC-3 MSEの試験が実施される計画だと同長官代理は説明しました
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グアム島のミサイル防衛の難しさは、もともと島の地籍が限られる中、火山活動で出来た凹凸の激しい地形によりミサイル防衛装備展開可能エリアが限定され、地元先住民が先祖から受け継ぐ「神聖な場所」への配慮も欠かせないパズルを解くような点にあり、Williams長官代理がこの面でどのように現状を語ったのかが気になります

Williams.jpgまた、米海軍イージスシステムと陸軍の防空システム群の、センサー情報や指揮統制融合も大きな課題であったはずですが、この方面に関しても特段の報道はなく、順調なのかどうか「?」な状況です

ここ1か月余りで、中国経済崩壊が怒涛の勢いで進み、台風5号による河北省や北京の洪水など習近平体制の基礎がぐらつく事案が続いていますが、米軍の皆様には粛々と対中国体制構築を続けて頂きたいと思います

グアムのミサイル防衛関連
「グアムMDを再び語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「整備の状況と困難」→https://holylandtokyo.com/2022/04/05/3082/
「分散&機動展開可能型へ」→https://holylandtokyo.com/2021/08/23/2146/

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米国防省が要注意な中露団体&研究機関リスト公開 [米国防省高官]

国防省が資金提供する米国機関や米国大学等に注意喚起
具体的リスト公開で交流要請や資金提供申し出に注意喚起

Shyu 9.jpg6月30日、米国防省のHeidi Shyu技術開発担当国防次官が緊急声明を発出し、米国防省が資金提供して研究開発を行う米国研究機関や大学等に接近し、研究や人材交流、更には資金提供を持ちかけて米国機関から情報や人材を引き抜こうと画策する要注意な中国やロシア中心の団体リスト(大学、研究機関、一般団体等々)を公開すると同時に、注意を要する外部からのアプローチを察知する注意点を紹介しています

Shyu 6.jpgShyu次官は6月8日にも関連の指示を出し、「全ての国防省研究開発プロジェクトは、国防省内での精査段階で、海外からの影響を排除し、国益を損う潜在的恐れが無いかのレビューを通過しなければならない」と明確に打ち出していたところです

更に6月30日の緊急声明では、中国の対外交策の拠点の一つと見られている「孔子学院:Confucius Institute」を誘致している米高等教育機関は、特別な例外が認められない限り、2024年以降国防省から資金を獲得することができないことも再確認(2021年度国防授権法で規定済)しています

Shyu 7.jpg中露の要注意団体リストは、2019年国防授権法や関連の国家安全保障米大統領指示に基づき作成が開始され、2020年にも米会計検査院GAOから対応を求められる等々の経緯と諸検討を経て作成されたもののようで、

緊急声明内で同次官は、「リスト公開により、国防省として国家予算を責任をもって使用することにコミットすることを再確認し、我が国の国防技術開発に関する緊要な情報の漏洩や窃盗に対する防御強化に取り組む姿勢を明確にする」と決意を示しています

Shyu 8.jpg本件を紹介する7月5日付Defense-News記事は、要注意リスト関連の最近の事案を紹介しており、2008年から18年にかけ「中国海洋大学」との名の下に米国研究者を中国関係機関がリクルートしていた事案や、

米大学から潜水艦技術情報を不法に海外に流して2年の実刑判決を受けた中国人、国防省から資金提供を受けていたハーバード大教授が中国の大学との協力関係を隠していて訴追された件などを紹介し、事態の深刻さを訴えています
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この記事を読まれた多くの方は、「米国より、日本の方が心配だ」と思われているでしょうし、最近のNHKをはじめとするTV報道やYahooなどネットニュースを見ていると、どこまで中国等のお金や「ハニトラ」で骨抜きにされているのか・・・と本当に心配になります

Shyu3.jpg日本政府の資金を得た日本の大学や研究機関などは恐らくもっと激しく・・・。最近の産総研の事例は正に「氷山の一角」ではないでしょうか・・・。スパイ防止法の早期成立を願います

なお、Heidi Shyu技術開発担当国防次官は、お顔立ちから伺えるように、祖父が台湾空軍副司令官だった台湾ルーツの女性です

関連の米国防省プレスリリース(6月30日)
https://www.defense.gov/News/Releases/Release/Article/3445601/department-of-defense-strengthening-efforts-to-counter-unwanted-foreign-influen/ 

要注意組織リストを含む発表資料(20ページ)
18ページから具体的組織名リスト有
https://media.defense.gov/2023/Jun/29/2003251160/-1/-1/1/COUNTERING-UNWANTED-INFLUENCE-IN-DEPARTMENT-FUNDED-RESEARCH-AT-INSTITUTIONS-OF-HIGHER-EDUCATION.PDF 

Shyu技術開発担当国防次官の関連記事
「技術開発担当女性国防次官が優先事項」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/

情報共有と漏洩防止のはざまで
「外国製ドローン購入規制」→https://holylandtokyo.com/2021/09/21/2240/
「軍需産業との情報共有に乗り出す」→https://holylandtokyo.com/2021/01/18/300/
「半導体での米国巻き返しを討論」→https://holylandtokyo.com/2021/09/14/2168/
「中国製部品排除に時間的猶予を」→https://holylandtokyo.com/2020/08/15/524/
「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1

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米空軍長官が推薦図書19冊を発表:全て中国関連本! [米国防省高官]

歴史、現状、軍近代化、地政学的分析、地域関係の5分野

Kendall Reading.JPGウクライナでの戦いの最中でも、「空軍長官としての優先事項は、1に中国、2に中国、3に中国だ」と繰り返し発言している剛腕Frank Kendall空軍長官ですが、この度公表された空軍長官の推薦図書19冊が、全て中国関連書籍だと明らかになり、改めて話題となっています。

下に紹介する19冊のリストには、中国の歴史、現状、軍近代化、地政学的分析、地域関係の5分野に焦点を当てた書籍がリストアップされており、Kendall長官は「国防省や政府機関で働き始めた最初の20年間は冷戦真っただ中だったが、その経験から、まず潜在的敵国への理解を深めることが重要であることを学んだ」と図書推薦の弁を述べ、

Kendall Reading3.JPG更に「ソ連を詳細に学ぶことで、当時の我々は相手の動機、戦略的意図、作戦や行動手法、戦術などについて、より良く評価できるようになった」、「そしてこれにより、紛争防止や紛争への備えで助けられた。我々が獲得したソ連の行動を予測し対処する能力は、ソ連を効率的に抑止し、最終的にはソ連を崩壊に導いた」と敵対国を学んだ経験を述べています

そして現在の対象である中国について、「中国の急速な軍事力強化と増々増長する自己中心的な行動は、米国の国益、米本土や地域の安定に対する極めて大きな脅威となっている」、「この挑戦への対処に時間の無駄は許されない。中国を学んでよく理解することは、最適な抑止法や必要時に我々への脅威を跳ね返すための、賢明な判断を下す必要条件である」と述べています

そのリストとは
(なお、まんぐーすは1冊も読んでいません)

• “On China” by Henry Kissinger
• “The Search for Modern China” by Jonathan D. Spence
• “The Rise and Fall of Imperial China” by Yuhua Wang
• “Stilwell and the American Experience in China, 1911-1945″ by Barbara W. Tuchman
• “The World According to China” by Elizabeth C. Economy
• “The Avoidable War” by Kevin Rudd
• “China’s New Red Guards: The Return of Radicalism and the Rebirth of Mao Zedong” by Jude D. Blanchette
• “The People’s Republic of Amnesia: Tiananmen Revisited” by Louisa Lim
• “The Party: The Secret World of China’s Communist Rulers” by Richard McGregor
• “Active Defense: China’s Military Strategy Since 1949” by M. Taylor Fravel
• “Fire on the Water: China, America, and the Future of the Pacific” by Robert Haddick
• “The Long Game: China’s Grand Strategy to Displace American Order” by Rush Doshi
• “The Hundred-Year Marathon: China’s Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower” by Michael Pillsbury
• “The Third Revolution: Xi Jinping and the New Chinese State” by Elizabeth C. Economy
• “China’s Quest for Great Power: Ships, Oil, and Foreign Policy” by Bernard D. Cole
• “Where Great Powers Meet: America and China in Southeast Asia” by David Shambaugh
• “The Elephant and the Dragon” by Robyn Meredith
• “The Future Is Asian” by Parag Khanna
• “The Trouble with Taiwan: History, the United States, and a Rising China” by Kerry Brown and Kalley Wu Tzu Hui

Kendall Reading2.jpg最近、米国のみならず、欧州でも中国に対する厳しい批判が各方面から上がっていますが、日本でNHKやYahooニュースなど見ていると、中国人が書いた記事か? 中国の主張そのままタレ流しか? と疑うような中国寄りの報道が相変わらず多くを占めています

そんな中で、米空軍の先頭に立つ空軍長官のきっぱりとした姿勢にはスッキリさわやかです。キッシンジャーからピューリッツァー賞受賞者や著名な米国人中国専門家などの筆による、様々な書籍が並んでいますが、ご興味のある方はどうぞ・・・

最近のKendall長官関連記事
「NGAD候補企業が同じ基地内で」→https://holylandtokyo.com/2023/05/25/4678/
「NGADは欧州型とアジア太平洋型追求」→https://holylandtokyo.com/2023/05/10/4604/
「200機と無人僚機1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「ステルス給油機に積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/

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DARPAが「動翼」の無い航空機X-65イメージ公開 [米国防省高官]

試験飛行を2025年開始予定
「動翼」なく「Active Flow Control」で機体制御
機体の軽量化・耐久性強化・ステルス性向上など狙い

X-65 2.jpg5月16日付TheDeBreifなど複数の米航空メディアが、同15日にDARPAが公開した、「動翼」の無い航空機開発計画「CRANE:Control of Revolutionary Aircraft with Novel Effecters」の試験開発機体X-65イメージ図を報じています

航空機の「動翼」とは、エルロン、エレベーター、およびラダーからなる操縦翼面(いわゆる舵面)で、3つはそれぞれ航空機の回転(ロール)、上下(ピッチ)、左右(ヨー)方向の動きを制御するものですが、「CRANE」計画ではこの動翼(traditional, exterior-moving flight controls)を、AFC技術(Active Flow Control)に置き換えようとしています

X-65.jpgそしてDARPAはこのAFC技術を用いて、機体周辺の空気の流れを制御して機体を動かす実験的な無人機(X-65:experimental uncrewed aircraft that maneuvers by controlling the air flow around it)を製造し、2025年からの試験飛行開始を「CRANE」計画で目指しています。

DARPAの「CRANE」計画は数年前から開始されていたらしいですが、本格的に表面化したのはDARPAが2023年1月に「Aurora Flight Sciences社」と契約し、Phase 1「基本コンセプト成熟」、Phase 2「飛行制御ソフト開発と制御技術開発」、Phase 3「機体重量7000ポンド(3トン強)のX-65試験飛行」の3段階で進めることを明らかにしてからで、その後わずか5か月でイメージ図が公表されたことで話題となっています

X-65 3.jpgこの「動翼」をAFC技術(Active Flow Control)に置き換えることのメリットは、部品の可動部分や接続部分を無くすことで、機械的複雑さを無くして信頼性向上や軽量化が図られ、関連部品の摩耗等による交換不要で維持整備負担が軽減され、更にステルス性向上にもつながる等とされているようです

またDARPAは実験機X-65に、「モジュラー構造の翼:modular wing configurations」を要求しており、今後民間機への応用も期待されるAFC技術(Active Flow Control)が官民挙げての研究で日進月歩で進化することも想定し、最新技術を開発途中でも容易に取り込める配慮もしています

Aurora Flight.jpgこのAFC技術が確立されると、航空機産業界への影響が少なくないと思われますので、折に触れ今後もフォローしていきたいと思いますし、以下の過去記事で「AI空中戦ソフト技術」や「小型無人機対処兵器」開発にも関わっているボーイング傘下の企業「Aurora Flight Sciences社」にも、引き続き注目したいと思います

Aurora Flight Sciences社案は以下のDARPA計画候補機にも
「大型水上離着陸機の候補」→https://holylandtokyo.com/2023/02/15/4268/

同社の名前が出てくる記事
「小型無人機対処装備を求めオプション試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「8企業がAI空中戦でF-16人間操縦者に挑む」→https://holylandtokyo.com/2020/08/19/528/

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CO2から航空燃料を:夢のような企業と国防省が契約 [米国防省高官]

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既に水空気太陽光のみからウォッカ製造の企業と
展開先の不便な場所での航空燃料製造を目指し
「Air Company」社とDIUが85億円契約

Air Company3.jpg3月3日付Defense-Newsは、米国防省の革新技術導入を担う組織DIU(Defense Innovation Unit)の、戦時の厳しい環境にある最前線基地に迅速展開可能な小型の合成燃料装置(Synthetic Fuels for the Contested Environment)開発を目指す「Project SynCE」チームが、NY市に拠点を置く「Air Company」社と約85億円の契約を締結し、CO2から航空燃料を最前線で製造する装置開発を行うと報じました

Air Company.jpgこの「Air Company」社は、既に水と空気中のCO2と太陽光だけから、世界初のカーボン・ネガティブ(排出よりも除去する二酸化炭素が多い)な「AIR Vodka(エアウォッカ)」との高純度「アルコール度数40度」の上質蒸留酒ウォッカを製造可能な技術を確立しており、敵が強固に防御している危険な最前線での燃料製造との極めてハードルの高い開発に挑むに相応しい夢のような企業です

記事は、同社がウォッカを製造するプロセスと似通った手法で、「AIRMADE」と呼ばれるジェット燃料をカーボン・ネガティブに製造する技術に挑戦と紹介しており、その基本原理は「光合成」と同様だとも紹介しています。

Air Company2.jpg末尾にご紹介している日本語メディア記事では「AIR Vodka」製造プロセスについて、「二酸化炭素の収支が完全ゼロの独自開発工程を採用している。ボトル1本あたり空気中から二酸化炭素をおよそ1ポンド(約450グラム)取り出し、太陽光を基本とする再生可能エネルギーを使って水と混合し、純粋なエタノールを生産する」と解説しており、ウォッカの容器も100%リサイクル・リユース可能との筋金入りの取り組みのようです

「AIR Vodka」を紹介する以下のYouTube映像に登場する同社経営者で、開発リーダーでもある技術者のStafford Sheehan氏は本契約に際し、「サステナビリティに加え、我が社の技術は、燃料供給や確保能力をパートナーに提供するものである」、「DIUとの協力により、我が社の技術に更なるmodularityや信頼性や現場での製造効率性面での前進をもたらすことが可能になる」と意義を語っています

CO2から作るウォッカ「AIR Vodka」紹介映像110秒


米国防省は米国政府機関の中で最大の燃料消費機関であり、その金額は2022年に1兆4千億円に上り、軍用航空機が最大の燃料消費者である点から米空軍航空アセットの対応に注目が集まっていますが、DIUの「Project SynCE」リーダーである米空軍Nicole Pearl中佐は、

Air company4.jpg「我々は、世界的な燃料サプライチェーンの負担軽減に役立つ信じられないほどのチャンスを獲得し、同時に任務遂行効率を犠牲にすることなくCO2削減にも貢献できる機会を得た」、「オンサイトでの燃料製造技術開発により、米軍統合戦力に更なる強靭性と持続可能性を提供できる」と興奮気味に本契約について語っています
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世界中で日本だけが変に盛り上がっている「SDG’s」の話題や、温室効果ガス削減を極端に訴える活動家の声を耳にすると、その「左巻きプンプン」の香ばしい香りに対し、途端に「斜に構えて」しまう最近のまんぐーすですが、「Air Company」社や「AIR Vodka」の技術や「Project SynCE」チームの頑張りには驚き&感心いたしました。

Air Company5.jpgなおこのプロジェクトにはDIUと共に、米空軍、エネルギー省、米陸軍開発室、Operational Energy Capability Improvement Fundが参加しているとのことです

コストとか、様々な応用可能性とか、商用ベースでの可能性とか、色々楽しみな「AIRMADE」開発の話題でした

Air Company 社のサイトhttps://aircompany.com/
「Air Vodka(エアウォッカ)」の日本語解説https://chizaizukan.com/property/426/

辺鄙な前線基地運用への改善提言が最優秀賞
「軍曹2名の燃料と水輸送負担を軽減する提案」→https://holylandtokyo.com/2022/05/06/2781/

2021年10月の国防省対処指針発表
「米国防省が気候変動対処構想発表」→https://holylandtokyo.com/2021/10/11/2318/
「米空軍の気候変動対処計画CAP」→https://holylandtokyo.com/2022/11/07/3747/

排出ゼロや気候変動への取組み関連
「海軍と海兵隊が対処演習強化」→https://holylandtokyo.com/2022/09/28/3666/
「米陸軍が前線での電力消費増に対応検討」→https://holylandtokyo.com/2022/04/25/3138/
「米空軍が航空燃料消費削減を開始」→https://holylandtokyo.com/2022/02/16/2691/
「米国防省は電気&ハイブリット車導入推進」→https://holylandtokyo.com/2021/11/15/2423/
「米陸軍が電動戦闘車両導入の本格検討へ」→https://holylandtokyo.com/2020/09/25/487/
「英空軍トップが熱く語る」→https://holylandtokyo.com/2021/12/03/2474/
「英空軍が合成燃料でギネス認定初飛行」→https://holylandtokyo.com/2021/11/19/2444/
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07

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昨年12月DARPAがコッソリAI無人機の空中戦試験 [米国防省高官]

細部は全く不明も1週間で複数回の飛行試験
専門家は自動車の自動運転より容易だと
「Air Combat Evolution」プロジェクトの一環

X-62A 2.jpg2月22日付military.com記事は、米国防省の最上位研究機関DARPAが細部には言及せず、昨年12月に1週間かけ、F-16を改修してAI搭載無人機にした「X-62A」が、他機との空中戦闘を複数回(several times during a single week)行ったと発表したと紹介しています

同記事は、どのような空中戦闘で、他機がどの機種なのかなどに全く触れておらず、推測や専門家の見解なども掲載していませんが、加州Edwards空軍基地で、緊急事態対処に備え人間操縦者が「X-62A」に登場していたとのみ言及しています

Air Combat Evolution.jpgDARPAは米空軍研究所AFRLなどと協力し、「Air Combat Evolution」プロジェクトとしてAI搭載ジェット機の試験をシュミレータから開始し、F-16改修の「X-62A」での実飛行試験に進んでいるようです

「Air Combat Evolution」プロジェクトは、単純にAI搭載無人戦闘機に空中戦させることを目的としているわけではなく、過去記事でご紹介している2020年頃の米空軍幹部の構想によれば

●人間操縦者が大局的な状況判断や戦術判断に集中できるよう、それ以外の部分をAIが代替可能か、どの程度任せられるかを確認する
●有人作戦機とチームを組む無人作戦機にAIを搭載し、地上や有人作戦機からの指示に従って行動可能な無人ウイングマン等として行動可能なAI操縦技術を確立する

●「数千時間の飛行経験がある優秀な戦闘機パイロットを、様々な英知を集めて学ばせた人工知能でサポートしたら、どれほどの能力を発揮可能か・・・」・・・等の夢や狙いを持って開始されたものです

Air Combat Evolution2.jpgまた、作戦機をAI操縦させることへの懸念や組織抵抗を見せる「戦闘機命派」に、人工知能AIの特性や能力を知ってもらう狙いが「入口」としてある、と関係者が語っていたところです。

末尾掲載の2020年頃の過去記事では、シュミレーション環境でAI操縦者と現役バリバリ操縦者が対決し「5-0」でAIが圧勝とか、2021年7月には実機を用いてAI操縦者と人間操縦者の空中戦試験を予定との発表をご紹介していますが、当時の「盛り上がり」ぶりと比べると、今回のDARPAの細部非公開のコッソリ発表に大きなギャップを感じ、なぜ?・・・との思いがよぎります

X-62A.jpg「Air Combat Evolution」プロジェクトは2020年に開始され、3年計画で2023年春終了の予定だったと記憶していますが、この辺への言及がないのも不思議です・・・

まんぐーすの邪推ですが、恐らく、2020年頃の盛り上がりに「有人戦闘機命派」が反発し、「世の中に誤解を与え、有人戦闘機不要論を高める懸念アリ」などと不満を訴え、ロープロファイルでのプロジェクト進行と対外発表になったものと考えます

無人機空中戦の検討プロジェクト
「8企業がAI空中戦でF-16パイロットに挑む」→https://holylandtokyo.com/2020/08/19/528/
「米空軍研究所AFRLは2021年に実機で」→https://holylandtokyo.com/2020/06/10/620/
「無人機含む空中戦を支えるAI開発本格化」→https://holylandtokyo.com/2020/05/22/678/

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