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米国防省の調達担当次官候補に元空軍調達次官 [米国防省高官]

国防省高官の議会承認進捗は、
承認済22、承認待ち22、候補未定13
調達担当次官の直属部下(副次官or次官代理)も未定

LaPlante5.jpg11月30日、ホワイトハウスが米国防省の調達担当次官候補に、元米空軍省調達担当次官であるWilliam LaPlante氏を推挙すると発表しました。
同氏の議会承認に関し米軍事メディアは全く問題ないと予想していますが、具体的な議会内手続きは年明け2022年初頭になると報じています

前任のLord国防省調達担当次官はトランプ政権と同時に退任しており、約9か月間同ポストが空席で「臨時代理」者が職務を代行していますが、海軍長官と並んで、政治任用者が未決定な重要空白ポストととして各方面から早期の人材充当が求められているところです

LaPlante4.jpgWilliam LaPlante氏は2014年初めから2015年末まで空軍省調達担当次官を務め、今や数少ない順調な開発状況にあるB-21次期爆撃機の契約をまとめた功績で国防関係者や議会での評価が高く、同時期に国防省調達次官を務めていたKendall現空軍長官とも良好な関係だと言われています

空軍省調達担当次官を務めていた前後は、技術研究開発企業で国家予算が多く投入されているMitre社の国家安全保障事業担当の副社長や重役を務め、現在は工学系非営利企業のDraper Laboratory社の会長兼CEOを務める傍ら、「National Defense Industrial Association」や「Naval Research Advisory Committee」等々のボードメンバーを務めています

LaPlante3.jpgまたLaPlante氏はもともとJohns Hopkins大学の学部長を勤めた経験もある理論物理学者で、、Mitre社ではBMD分析部長なども歴任しており、学問分野を極めつつ、現場の開発案件や行政経験もある実力者です

LaPlante氏が議会承認された場合、調達担当次官として担う課題は大きく、F-35維持費高騰問題やシステム成熟、米海軍の規模拡大、核戦力の近代化、本格紛争に備えた能力を提供する軍事産業基盤との協力体制強化、ソフトウェア調達改革などなどで、重責であることは間違いありません

米議会も含め、LaPlante氏への信頼が厚いことに期待し、2022年早々の議会承認と同ポストでのご活躍を祈念したいと思います

同氏が役員である企業webサイトでの紹介
https://aerospace.org/person/honorable-william-laplante
https://www.iafastro.org/biographie/william-a-laplante.html

米空軍調達担当次官当時のLaPlante氏関連記事
「LaPlante氏の退任会見」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-11-25
「次期爆撃機選定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-10-01
「F-35の急激増産が課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-10-1
「2023年は装備計画が大集中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-07-14
「軍需産業と計画段階から意思疎通」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-02-17

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無人機X-61をC-130輸送機が空中発進&回収成功 [米国防省高官]

X-61 Gremlins Air Vehiclesとの全長4mの多用途無人機
飛行中のC-130輸送機がマジックハンドでつかみ取る

X-61 Gremlins.jpg11月5日、米国防省最高位の研究開発機関DARPAが、C-130の翼下から発進した多用途無人機X-61 Gremlins Air Vehiclesを、同じC-130輸送機のマジックハンドで飛翔中に回収することに成功したと発表しました

このX-61 Gremlinsは、2016年から第1段階デモ開発が始まり、2018年に第3段階開発プログラムを開始したターボファン推進の無人機で、光学センサーや赤外線カメラ、電子戦装備や兵器など多様な装備兵器を搭載可能で、最高速度マック0.6、航続距離560㎞の性能を有すると言われています

X-61 Gremlins2.jpgまた、既存の航空機の兵器搭載ポイントに装着輸送&発進可能に設計されており、半自立飛行が可能で有人母機や地上管制施設1か所から同時に8機をコントロールできることから、「無人機の群れ」として行動する技術開発実証を狙っているようです

X-61の概要
・全長4.2m、Wingspan 3.5m、幅高さ各約50cm、重さ680㎏

以下のYouTube映像でご覧いただけるように、X-61は自立飛行でC-130に近接して編隊飛行し、マジックハンドで回収されやすい位置を維持して飛行しており、DARPAが発表声明で述べたように「長年に渡るハードワークの成果」と思われます

X-61のC-130による空中回収


5日付米空軍協会web記事によれば
●DARPAのX-61責任者Paul Calhoun中佐は、「回収実験により、安全で信頼に足る空中回収技術を証明できた」、「回収した機体を修復し、24時間以内に再飛行させることが可能なことも実証した」と試験飛行を説明し、
X-61 Gremlins3.jpg●「空中発進可能な自立型無人機が空中回収可能となれば、劇的に無人機の活動距離が延伸でき、その可能性が広がる」とその意義を語った

●5機製造されたX-61は、2021年1月に初めての飛行試験を行ってデータリンクや飛行性能など無人機としての基本性能を確認した以降、電気系統の故障等により2機を失っているが、現有3機で試験開発を継続し、30分以内に4機を空中回収可能なことを実証することは可能だとDARPAは説明している
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米国防省の無人機開発について久々にご紹介したような気がしますが、無人機開発の動き全体がどうなっているのかさっぱり表に出てきません。無人機からの防御については色々話が出ていますが・・・

無人機の群れ関連
「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-30
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26 
「無人機の群れに空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「米海軍が103機の無人機群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1

無人機ウイングマン構想
「頭脳ACSを2機種目で試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-02
「Skyborg構想の頭脳ACSで初飛行2時間」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-06
「多用途ドローン投下試験成功」→https://holylandtokyo.com/2021/04/09/103/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holylandtokyo.com/2020/05/24/679/
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1

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国防副長官がハイブリッドや電気自動車の導入推進と [米国防省高官]

戦術車両はまずハイブリッド車へ
基地内使用の非戦闘車両は直接電気自動車へ
ただ、カギとなるバッテリー生産の2/3が中国とのジレンマ

Hicks.jpg11月8日、Hicks国防副長官が講演で、バイデン政権の温室効果ガス削減方針に沿って、政府機関で最大の化石燃料使用組織である国防省は、ハイブリット車や電気自動車の導入を積極的に進めると語り、17万両の基地内利用非戦闘車両は電気自動車に、戦術車両はまずハイブリッド車化を目指すと語りました

米政府機関の中で最大の車両保有組織は米国郵政サービスだそうですが、化石燃料使用量はダントツで国防省がトップで、原因は燃費の良くないHumveeのような戦術車両を陸軍だけで24万両以上も保有しているからです。

Mabus1.jpgオバマ政権時にも化石燃料消費削減への取り組みがあり、特に当時のMabus海軍長官は熱心で、2009年に発表したプランでは、2020年までに海軍と海兵隊の化石燃料消費量を5割削減するとの高い目標を掲げ、トウモロコシや動物の脂肪や排泄物から代替燃料を得る計画をぶち上げました

しかし、その後の原油価格の下落や代替燃料確保の困難から計画は行き詰まり、オバマ政権の終わりと共に計画は消えてしまいました
Hicks4.jpgHicks副長官のハイブリッド車や電気自動車導入促進は、オバマ政権当時の動きと重なるイメージがありますが、当時と同様にその実現は容易ではありません

9日付Military.comは記事はHicks副長官構想の課題として、ハイブリッド車や電気自動車導入のカギを握るリチウムイオン電池の2/3を中国が供給している点や、戦場での電力供給手法の確立を上げていますが、どちらも重い課題で、米国産業界など民間の知恵も動員して取り組みたいと副長官は語っていますが「道遠し」の印象です

9日付Military.com記事によれば
Hicks3.jpg●Hicks副長官は電気自動車導入メリットを、「電気自動車は静かで、熱発生量が少なく赤外線で捉えにくい一方で、信じられないレベルのトルクを確保できる。また車両の構成部品が少なく済むことから、車両維持整備のための兵站負担を軽減することが可能になる」と強調した
●同時に副長官は、このように電気自動車導入は軍事力拡大に寄与するが、民間企業の力を借りないと乗り越えられないハードルにも直面していると認めつつ、最先端の国防技術開発と自動車業界の技術革新が国防省プラン実現の鍵だと訴えた

●例えば米陸軍は、将来戦場での電力供給網を確保するため「new micro-grid technology」開発に取り組んでおり、米国自動車業界でもGMは2035年までにガソリン車を廃止するなど、ハイブリッド車や電気自動車への動きが業界全体で加速しており、そのような動きに期待している

micro-grid.jpg●ただし、ここで重要なリチウムイオン電池は2つの問題を抱えている。一つは中国が世界の生産量の2/3を占めており、米国の計画はこのままだと中国に依存しなければならない点と、同電池が廃棄時に毒物になり環境に悪影響を与える可能性がある点である
●米国は同電池の生産量を固めるための施策を打ち始めているが、中国が10年に渡る莫大な投資で獲得した地位を超えることは容易ではない

●副長官は「市場にシグナルを送り、必要なプロセスが進むようにすることが必要だ」、「国防省としても国家安全保障の点からその重要性を訴え、米国で産業界を含めた動きが加速するように取り組んでいく」と語った
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Humvee2.jpgこのような改革構想発表の際は、「・・・initiative」とか「・・・vision」との名称やキャッチフレーズが飛び出したりするのですが、少なくとも記事にはそのような言葉は出てきません

ところで、トヨタ自動車の豊田社長が訴えていた、電気自動車導入には電力を確保する必要があり、単純に温室効果ガス削減にはつながらない・・・との正論に、米国防省はどのように答えてくれるのでしょうか? 

「熱発生量が少なく赤外線で捉えにくく、車両の構成部品が少なく済むことから、車両維持整備のための兵站負担を軽減することが可能」・・・とのメリットで突っ走るのでしょうか?

電気自動車導入など関連記事
「米陸軍が電動戦闘車両導入の本格検討へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-23-1
「米国防省が気候変動対処構想CAP(Climate Adaptation Plan)発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-08
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07

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米国防省がアフガン人が写る画像映像記録公開停止 [米国防省高官]

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12万枚以上の写真と1.7万本の映像を当面の間
米国に協力したアフガニスタン人をタリバンから守るため

Kirby4.jpg11月1日、米国防省のJohn Kirby報道官が会見で、米国に協力したアフガニスタン人をタリバンから守るため、米国防省や米軍の活動を画像&映像で公開しているDVIDS(Defense Visual Information Distribution Service)で当面の間、アフガニスタン人が写った写真や映像を公開しない措置をとると明らかにしました

膨大な画像や映像から、関連画像や映像を非公開にする作業はアフガニスタンがタリバンの手に落ちた8月中から開始され、2か月以上を経た今も継続していると同報道官は語っており、過去約20年間の記録から、既に12万枚以上の写真と1.7万本の映像を非公開にしたと説明しています

DVIDS.jpgあくまでも当面の間の「非公開」であり、適当なタイミングで再び公開する予定で、あくまでも非公開措置であり削除するわけではないと同報道官は強調していますが、数年で再び公開されるとも考えにくく、軍の展開と撤収に伴う難しい問題の一つとして記憶にとどめるべく、ご紹介しておきます

1日付米空軍協会記事によればKirby報道官は会見で
●私は、過去20年間の戦いを通じて蓄積されてきた、(米国を支援した)個人やその家族が特定されるような画像や映像を、当面の間、非公開にするよう指示した。私の提案であるこの措置は、NSCや今もアフガン人の国外脱出を手助けしている国務省と相談の上で実施している
afgan interpreters3.jpg●膨大な労力を要するこの作業は、8月から9月にかけて行われたアフガニスタン人の国外避難作戦の間も静かに進められていたが、2か月以上経過した今も続いている

●我々は、タリバンが(米国活動を支援したアフガニスタンの人々を)親戚や家族を含めて見つけ出すことを懸念している。
●これまでのところ、タリバンがDVIDSを使用して、アフガニスタン人を特定したり標的にする特別の情報や兆候は察知していないが、このような懸念は明らかであり、非公開のする判断に躊躇はない

afgan interpreters.jpg●私はこの非公開措置が正しい判断であると信じており、我々はこの措置をお世話になったアフガニスタン人へのリスペクトと注意深さから実施している
●非公開にした画像や映像が消去されることはない。再び公開する適当な時期が来たら再公開する
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Defense Visual Information Distribution Service
https://www.dvidshub.net/

いろんな意味で、海外で軍隊が活動することの深い意味とその後々への影響を考えさせられます

アフガン避難民関連の記事
「米本土米軍基地にアフガン避難民5.3万人」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-26
「アフガン避難者輸送作戦最初の10日」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-24
「C-17輸送機1機に823名も」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-22
「アフガン語通訳1.8万人を特別移民認定へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-26
「タリバンに渡った米国製兵器」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-30

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米国防省の兵器輸出責任者が怒りの辞任 [米国防省高官]

バイデン政権の「人道主義」で輸出手続き停滞
中東に中国が無人機猛烈輸出の中で米はお手上げ状態
トランプ合意のUAEへのF-35やサウジへの精密誘導兵器輸出も

Grant4.jpg13日、米国防省で武器輸出を取り仕切るDSCA(Defense Security Cooperation Agency)トップのHeidi Grant長官が、勤務15か月で辞任を表明(正式離職は11月7日)し、発表前日の講演で、バイデン政権の武器輸出への消極姿勢を非難する発言をしていたことから、怒りの辞任との見方が世界で報じられています

Heidi Grant長官は、昨年春から文民として初めてDSCA長官職に就任しましたが、その前に30年近く空軍省で勤務し、空軍関連装備の輸出や国家間協力を担当していた同分野のスペシャリストで、世界中に人脈がある人物として知られた方です

米国は、トランプ政権時に「人道主義」を前面に出したオバマ政権時の方針を大きく転換し、武器輸出に積極的な姿勢を見せ、イスラエルを説得してUAEへのF-35輸出交渉を進め、「MTCR(ミサイル技術管理レジーム)」解釈変更による攻撃型無人機輸出への道を進んでいました

Grant5.jpgしかしバイデン政権は、発足当初こそ中国やトルコ等による中東などへの無人機輸出攻勢や、イランの軍事脅威を意識し、武器輸出に関するトランプ政権の方向性を維持する姿勢と報じられたものの、その後は全く動きがなく、UAEへのF-35輸出やMTCR解釈に関しても、全く動きがみられない状況が続いています

米国の武器輸出に慎重な勢力は、イエメン等の紛争地域で民間人が犠牲になる恐れや地域の軍事バランスを不安定化させる懸念、軍事技術の海外流出を懸念材料としていますが、Grant長官は、米国が進出しなければ他の競争者が進出するだけだ・・・と、中国等がその穴を埋めるだけだと警鐘を鳴らし続けていたところでした

13日付Defense-News記事によれば
Grant6.jpg●退任発表前日の12日、Heidi Grant長官は米陸軍協会総会で武器輸出に関するパネル討議に登壇し、米国が中東諸国などに無人機を売却しない姿勢を保っていることで、中国による無人機輸出を許すことになっていると不満を述べている
●同長官は「米国が無人機をそれらの国に提供し、使用法を訓練し、相互運用性を高め、当該地域で存在感を示して長期的な友好関係を構築するチャンスがあったのに・・・・こんな状態だから」と講演で悔しさをにじませた

Grant-AFA2.jpg●また同長官は、地域の軍事バランスを崩さないことや機微な軍事技術の流出を避けるためとの理由で武器輸出に反対する勢力に対し、戦略的競争環境は既に変化しており、従来の考え方を変えるべきだとと述べた
●そして「我々が出ていかなければ、戦略的敵対者がその空白を埋めるだけだ。技術流失のリスクより、そのリスクの方が大きいのではないか?」と疑問を呈した

●バイデン政権の初期、バイデン政権がトランプ政権の武器輸出緩和姿勢を概ね引き継ぐとの観測報道も見られたが、8月にはロイターが、バイデン政権が議会に、人権を重視する立場から兵器輸出方針全体を見直すと説明したと報じている。この件についての続報はないが。
Grant7.jpg●バイデン政権は、トランプ政権が合意したUAEへの約2兆5000億円のF-35輸出や、サウジへの約8500億円の精密誘導兵器輸出を無期限停止にしたままである

●ちなみに、DSCA報道官は「長官は以前から辞任のタイミングを検討しており、DSCAが組織改編して新たな態勢への変革を実施したタイミングで辞任を判断したものだ」と、前日の講演での発言との関係を否定している
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まんぐーすはGrant長官支持派で、中国に空白を埋められるぐらいなら、米国が進出すべきだ・・・と考えますが、単純すぎるでしょうか?

Grant9.jpgHeidi Grant女史の辞任の真の理由をご本人は語っていませんが、11月7日以降のご発言に期待いたしましょう

なお14日、ボーイング社はGrant女史を11月8日付で、同社の「defense, space and government services sales teams」担当副社長として迎えると発表しています。手ごわそうです

中国無人機が中東で増殖中
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「中国無人攻撃機が中東で増殖中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-06-2

中東へ初のF-35輸出はUAEか
「バイデン就任直前に輸出契約か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-11
「イスラエルがUAEへのF-35に事実上合意」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-26
「米大統領:UAEへのF-35輸出は個人的にはOK」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-18

米国の武器輸出管理の緩和問題
「半年以内に武器輸出制限を緩和したい」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCR解釈変更で無人機輸出へ?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-25
「国防次官:半年で武器輸出規制緩和へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「2018年の武器輸出促進策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-2
「中国無人攻撃機が中東で増殖中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-06-2
「輸出手続きの迅速化措置」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「肩透かし無人機輸出緩和」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-3
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06
「無人機輸出規制の見直し開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04

Heidi Grant女史:空軍省時代のご活躍
「同盟国等へ:米軍の弾薬を今後頼りにするな」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-11-21-1
「米空軍幹部が企業に海外売り込み助言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-02-27
「欧州とISRや空中給油や空輸で協力模索」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-04-02
「陸軍国が航空戦力強化に関心」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2013-09-28

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米国防省が外国製ドローン購入ガイダンス示す [米国防省高官]

情報漏洩につながる中国製排除狙い
噂のDa Jiang Innovations (DJI)などが対象か

Hicks3.jpg10日、Kathleen Hicks国防副長官が、市場で販売されている市販ドローンを米軍や国防省関係機関が購入する際の「Guidance」を定めたと発表し、これにより米国安全保障の脅威となるドローン購入を防止し、同時に日進月歩で技術革新が進む無害で有用な市販ドローン活用を促進することができると説明しました

「Guidance」が具体的に何を示しているのかは公表されていませんが、米軍や国防省機関が市販のドローンを購入する際は、国防省CIO(chief information officer)と調達担当国防次官の承認を得ることが定められているようです

DJI Drone.jpgこのガイダンス制定の背景には、2019年に国土安全保障省が、中国企業Da Jiang Innovations (DJI)製造の小型drawを使用すると、関連運用データが中国側に送信される恐れがあると警告し、内務省がDJI製ドローン中止を決定した経緯があるようです

米国防省報道官は、過去にドローン関連で情報漏洩が発生したかどうかについて言及を避けたようですが、新ガイダンスにより外国製ドローン購入が厳格に規定されると語っています

13日付米空軍協会web記事によれば
DJI Drone2.jpg10日の国防省発表は、国防省組織がどの企業製のドローンを購入可能かについて管理することで、市販の全てのサイズのドローン購入を容易にするとともに、市販ドローン使用により中国のような国への情報漏洩につながらないようにするものだと新ガイダンスを説明している
新ガイダンスは同時に、国防省によって規制されない安全な市販ドローン購入をより自由かつ容易にするため、国防省機関による購入手続きを明確にするものだと国防省は説明している

DJI Drone4.jpg国防副長官は、2020年度国防授権法が定めた中国製ドローンへの規制を求めた指示に沿って新ガイダンスを定めた
今年7月23日に国防省は、中国DJI製のドローンが国家安全保障上の脅威になると明らかにし、「DJI製を含む小型ドローンの脅威を除去することは、国防省機関すべてにとっての最優先事項だ」との声明を出していたところである

DJI Drone5.jpg13日、Jessica Maxwell国防省報道官は、「国防省は機微な情報を守るため必要なアクションを執った。このガイドラインは国防省の市販ドローン購入をより明確に規定するものとなる」、「同時に民間企業の技術革新成果を有効に活用するための規定でもある」とコメントしている
なおトランプ前大統領は最後の大統領令の一つで、中国製電子部品やソフトがもたらすリスクを背景として米国製ドローン購入促進を指示しており、今回発表のガイダンスはこの大統領令に沿ったものだとも報道官は説明した
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10日付米国防省の発表
https://www.defense.gov/Newsroom/Releases/Release/Article/2770897/department-guidance-on-procurement-and-operation-of-dod-unmanned-aircraft-syste/

日本の経産省や国交省、もちろん防衛省にも注意していただきたいと思います

情報共有と漏洩防止のはざまで
「軍需産業との情報共有に乗り出す」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-05-1
「半導体での米国巻き返しを討論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-25
「中国製部品排除に時間的猶予を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15
「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1
「米国製兵器は偽物だらけ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-29
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10

危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-02
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26

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米空軍省のソフト開発責任者が怒りの辞任 [米国防省高官]

元は著名なIT&サイバー&ソフト開発若手企業家
頭の固い変化に追随不能な指導者だらけ
IT無知な少佐&中佐クラスの人事配置に怒り心頭
官僚的な縦割り行政とエゴだらけの意思決定&不作為
3年間の不満をSNS上でぶちまけ辞職

Chaillan CSO.jpg2日、2018年5月から米空軍省のソフト開発責任者CSO(chief software officer)を務めた35歳(推定)のフランス人Nicolas M. Chaillan氏が、米空軍や国防省のソフト開発やIT事業に関する理解の無さをネット上にぶちまけ、辞任しました

Chaillan氏はわずか15歳でソフト開発企業を立ち上げ、これまでに12ものソフト関連事業を起こしたフランスでは著名なIT&サイバー&ソフト開発企業家で、ソフト開発者としても最近8年間だけでも澄明なソフトを150本作製し、500企業で採用されているその道のプロです

そんな華々しいご経歴の新進気鋭の若手ですが、どのような経緯か不明ながら米国政府機関に縁があったようで、国土安全保障省でサイバー特別補佐官を2016年10月から1年半を務め、2018年8月からは空軍省勤務と並行して国防省国防長官室でクラウド&ソフト開発特別補佐官を務めていました(おそらく国防省も同時に辞任したと推測)

Chaillan CSO2.JPGご本人によれば、「米国防省のような巨大組織で成果を上げられれば、世界のどんな組織でも変えられる」との「青雲の志」をもって乗り込んでこられたのでしょうが、残念な結果となってしまいました

フランスの民間で華々しい実績を上げた若手が、巨大官僚組織である米国防省や空軍省に来れば、フラストレーションがたまるのも当たり前ですし、自らのアイディアを聞き入れない組織への不満も募るでしょう。そんな怒りが爆発状態でのSNS上への暴露ですから慎重にみる必要がありますが、「さもありなん」な内容ですので、ご参考まで紹介します

理解力も能力もあったWill Roper前調達担当空軍次官補やその関係者が政権交代と共にペンタゴンを去り、ますます動きにくくなったのでしょう・・・・。残念です

2日付米空軍協会web記事によれば

Chaillan氏の功績
Chaillan CSO3.JPGWill Roper調達担当空軍次官補、Lauren Barrett Knausenberger空軍省CIO、Preston Dunlap主任IT組織改革等のIT技術に見識のある空軍省指導層と共に空軍省のIt改革に尽力し、また国防省のクラウド&ソフト開発特別補佐官として、ソフト開発を迅速化する「DevSecOps Initiative」を推進した
この「DevSecOps Initiative」はソフト作成を分割し、ソフトの定期的反復改善を推奨する方式で、従来の方式と比較して「Windows XT PCとWindows 10 PCほどの差がある」と言われている

またソフト改革による戦力増強事例として、老朽機であるU-2偵察機に飛行中でも新ソフトを導入可能なシステムを導入し、大きな話題を呼んだ

そんなChaillan氏は辞任理由をSNS上で
Chaillan CSO4.jpg縦割り行政の非効率や官僚制の鈍重さにいらだっていたが、宇宙軍が空軍から分離することで、ますます縦割りのサイロが増えることになり、大きな誤判断だと感じている
ITやサイバーの見識がない少佐や中佐クラスを、お決まりの人事ローテーションで日進月歩のITやサイバー分野に配置することを止めるべきだ。飛行訓練を受けていない士官をパイロットとして部隊配置しないだろう。この問題はそれほど大きな障害となっている

米軍の指導層の、IT技術やIT関連投資への反応の無さや関心の無さは、私の辞任を早めることになった大きな理由の一つである。過去3年間に渡り必要な改革に向けた疲れる戦いを続けてきたが、ペンタゴン内のITチーム編成を変える力は私にはなかった
より悪いことに、国防省の規模が大きいことを言い訳に改革案を非難する者、、組織防衛のエゴや個人の栄達のため反対する者、国防でなく各軍種の利益を優先するものなど、投資の無駄を考えない者に多数遭遇することとなった

Chaillan CSO5.jpg辞任の直接の引き金となったのは、国防省や統合参謀本部が最優先事業だと公言し、私にCSOとして4か月との短期間で取りまとめるよう命じたMVP(Minimum Viable Product)について、私が現場ニーズを短期間で吸い上げ、プロジェクトにまとめる過程を承知していながら、2022年度予算案で「予算配分ゼロ」にした決定である
国防省は約10万ものソフト開発を進めている地球上最大のソフト依存組織である。ただそこでは、10万のソフト開発が相互連携や協力がほとんど皆無な縦割り体制で行われており、無駄な重複が多数存在する。開発の多様性の利益を主張する者がいるが、ほとんどの場合、偏狭な組織防衛が背景にあるのが現状である

私は、20年後の米国の子供たちが、世界で圧倒的な人口や開発力を有する中国に対抗するチャンスを失って茫然と立ちすくむ将来を恐れている。中国のハードワークな人口と対抗するには、より賢明で効率的で前向きな姿勢で機敏さと改革志向な態勢である必要があるのに。米国は時代に先んじリードする立場になければならないのに。後塵を拝することは許されないのに
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Chaillan氏による怒りの投稿
「It is time to say Goodbye!」
https://www.linkedin.com/pulse/time-say-goodbye-nicolas-m-chaillan/

Chaillan氏の華々しいご経歴
(急いでみないと消去されますよ)
https://www.af.mil/About-Us/Biographies/Display/Article/1926281/nicolas-m-chaillan/

恐らくWill Roper前調達担当空軍次官補がChaillan氏を呼んできたんじゃないかと思いますが、米空軍や国防省が最優先課題としているJADC2の中心的担当者が辞任したということなのでしょう

最近JADC2やABMS関連のニュースがないなぁ・・・と思っていたのですが、Chaillan氏の動きも背景にあったのかなぁ・・・と懸念しています

米国防省クラウド事業がドロ沼
「将来戦の鍵クラウド事業出直し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-09

老朽機U-2をソフト改修で刷新試行
「U-2にAIセンサー操作員搭載」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-17

全ドメイン指揮統制JADC2演習関連
「理解容易な2事業から開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-29
「国防副長官がAIDA開始発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-23
「具現化第1弾でKC-46に中継ポッド」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-22
「3回目はアジア太平洋設定で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/05/425/
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holylandtokyo.com/2020/09/09/476/
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「今後の統合連接C2演習は」→https://holylandtokyo.com/2020/05/14/671/
「連接演習2回目と3回目は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「国防長官も連接性を重視」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
「将来連接性を重視しアセット予算削減」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28

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イージスアショアは分散&機動展開可能型へ? [米国防省高官]

ポーランドでの2号機事業行き詰まりを受け
グアム配備に向けMDAが分散&機動展開型を模索か?

Hill.jpg20日付Defense-Newsは、ポーランドで建設中のAegis Ashoreの2号機が、工事の複雑さからとん挫状態にあり、運用開始予定から3年経過しても完成見込みが立たない状況にあることや、固定式ミサイル防衛システムが持つ脆弱性問題を勘案し、グアム配備装備を「分散&機動展開可能型」にする検討がなされていると関係者の話から報じています

Aegis Ashoreの1号機は2016年からルーマニアのDeveseluで運用開始していますが、2018年に運用開始予定だったポーランドRedzikowo配備の2号機は、95%完成していると言われながら、構造の複雑さから地元建設業者では対応不可な部分があるようで、専門家が細部を吟味中ながら、早くても完成は2022年にずれ込む見込みとなっているようです

Aegis Ashore Map.jpgまた、中国やロシアとの本格紛争を想定すれば、地上固定型ミサイル防衛施設が脆弱だとの議論も今頃になって持ち上がり、グアムへのミサイル防衛装備配備計画を煮詰めるタイミングとも重なり、現在のレーダー装置と指揮統制&ミサイル発射装置の2か所分散固定形態から、レーダー、発射機、指揮統制装置の分散配備&機動展開可能形態追求の話が持ち上がっているようです

Aegis Ashore施設の複雑さは、耐震構造やEMP効果対処構造と言ったところから生じているようで、日本のAegis Ashore計画が「ちゃぶ台返し」になった背景との関連も勘繰りたくなりますが、とりあえず記事をご紹介しておきます

20日付Defense-News記事によれば
Hill2.jpgミサイル防衛庁MDA長官のJon Hill海軍中将はSpace and Missile Defense Symposiumで、ポーランドで入札により工事を請け負った企業が、システムを支える代替の指揮統制、電源、暖冷房等に関する契約履行にに苦労しており、MDAの担当責任者が現地で状況確認を行っていると説明した
同長官はまた、同担当責任者が現地から戻るまで、今後のポーランド事業の方向性について何も語れないが、稼働中のルーマニアと建設中のポーランドの案件からMDAは多くを学び、将来のAegis Ashoreを恒久的な施設として建設すべきか、短期的な仮設施設で将来の移動を想定した形態にすべきかを決める必要があると述べた

更に同長官は、機動性を持たせれば、地震への耐久性やEMP攻撃対処性能をそれほど考える必要はなく、恒久施設の複雑性の課題を軽減できることから、移動可能な形態にAegis Ashoreを戻すことを提唱したいと述べた
そしてAegis Ashoreは元々、米国で製造したものを現地に輸送して組み立てており、基本的にモジュラー構成になっているとしたが、一方で、Aegis Ashoreをどのように展開して構築するかは国防省の決定事項だとし、MDAの権限ではないと語った

Karako.jpgまた同長官は、固定配備装備の脆弱性にも結び付け、Aegis Ashoreを現状よりも分散し、センサーとミサイル発射機と指揮統制装置を別々に分散配置することの有効性も主張した
分散配備に関してはCSISのTom Karako研究員も以前から主張しており、中国やロシアと対峙することを考えれば、各パーツの分散や機動性確保、装備の欺瞞隠蔽はミサイル防衛装備の具備すべき基本要素だとしている

またKarako氏は、2018年のNDSでも、2019年のMDRでも戦力分散の重要性を指摘しているが、航空&ミサイル防衛装備に関しては直接的な言及を避けていると問題点を指摘している
いま話題のグアム島ミサイル防衛の検討は、分散及び機動展開性の追求度合いが試されると同研究員は見ている。なお、MDAはグアムのミサイル防衛計画を公表していないが、議会報告用の構想案をまとめ、2023年度予算案に盛り込む方向で、国防省内でMDA案の検討が行われている
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Karako2.jpg中国やロシアによる弾道ミサイルや極超音速兵器の急速な開発・性能向上・配備を目の当たりにし、「ミサイル防衛」の有効性と費用対効果を、もう一度立ち止まって考える必要に迫られているのではないでしょうか。

これは米国防省やMDAだけの課題ではなく、日本にとってより深刻な課題です

以下の過去記事の、専門家による「日本への提言」もご参考にご覧ください

イージスアショアやPDI関連の記事
「太平洋軍司令官が追加要望事項レポート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-03
「同司令官がグアムミサイル防衛要望」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-23
「上下院軍事委員長が対中国抑止PDI推進」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-29
「イージスアショア撤退の日本に提言」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-28
「1年前の太平洋軍要望事項」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-29

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将来戦の鍵クラウド事業出直し:米国防省のJEDI [米国防省高官]

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国防省&米軍データの8割を管理する1兆円事業のドロ沼
Microsoftとアマゾンの法廷闘争で業者選定混迷
2025年までは2社とも採用方向で新事業として出直し
対中国の柱であるJADC2やAIDAやABMSを直撃中

JEDI.jpg7日付米各種報道は、米軍作戦活動を含む全データの8割を扱う国防省の一大クラウドサービス事業で、企業選定を2017年から開始していた1兆円強規模の「JEDI:Joint Enterprise Defense Infrastructure」に関し、マイクロソフトを選択した国防省決定に不服なアマゾンからの訴訟で事業がとん挫状態にあることから、両社合意の上で国防省がJEDIを白紙に戻し、新事業「JWCC:Joint Warfighter Cloud Capability」として再整理し、2社とも参画する方向で仕切りなおすと報じました

国防省は、形式的に2社の他にも参加を募り、条件を満たせば3社以上の協力体制で事業を進めるとしていますが、企業選定に2社以外で参戦していた「オラクル」や、他の新規企業が手を上げるかは微妙でなようです

JEDI5.jpg2019年10月の国防省決定で勝者になったはずのマクロソフトが、白紙撤回&仕切り直しに応じた背景には、下馬評ではアマゾン(Amazon Web Services)有利と言われていたのに、Jeff Bezos前アマゾンCEOと時のトランプ大統領が公開の場で口論するなど関係が悪化していたため、「政権による恣意的な選定への介入」が、公然と報じられていることがあるようです

ただ、2社体制(+αの可能性あり)の寝技決着であり、国防省も長くこのまま国防省クラウドを運用すれは批判を免れないことから、「非常に重要な事業であり、これ以上の遅れは受け入れがたい(実際その通り)」、「2025年には、以後の契約について完全オープンな態勢で企業選定する」と言い訳して、両社採用の折衷案で突き進むようです

7日更新C4ISRnet記事等から経緯の概要は
JEDI2.jpg2017年にJEDIの業者選定開始。1兆円事業を巡り、要求性能や選定の流れ説明の段階から、マイクロソフト、アマゾン、オラクルが激しいつばぜり合いで、選定手続きがしばしば中断延期
2019年10月、国防省がマイクロソフト選択を発表も、即日アマゾンはトランプ大統領による介入で選定がゆがめられたと法廷闘争へ

2020年、裁判所は国防省と勝者のマイクロソフトに、JEDI事業の停止を命令
2021年初、裁判所はアマゾンの訴えを却下することはせず、長期にわたる法廷闘争になると明らかに

今後の新事業JWCCの進め方
2021年10月、提案要求を2社に提示し、対応可能との返事があれば2社は採用へ。
同時に、産業界にも問いかけ、条件を満たす企業があれば、2022年4月に参加企業を最終発表

米国防省発表で報道官は
JEDI3.jpg(2019年10月の決定から時間が経過し、)要求したJEDIのスペックが、もはや国防省のクラウド要求を満たさなくなったことから、能力を有すると判断した2社と仕切り直して代替案を追求する
仮に第3の企業が条件を満たせば、その企業にも参画してもらう可能性がある

マイクロソフトのToni Townes-Whitley社長は
わが社は前進することに切り替えた。前線の兵士たちは、重要だが満たされていないニーズを抱えており、クラウドやAI技術を待ち望んでいる
我々は、国防省が前進するためのサポートを何時でも行える体制で臨んでいく

アマゾン(AWS)報道官は決定を讃え
我々は国防省の決断に同意する。不幸にも、以前の決定は外部からの影響力を受けたもので、正しい事実に基づかない決定であった。我々はこれから、最高の品質を最高の価格で提供することに、これまで以上に取り組んでいく
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JEDI4.jpg真偽のほどはわかりませんが、「Trump interference」が諸悪の根源である可能性は否定できません

ただ、残念ながら、米国の安全保障を支える根幹システムの選定にまで、税金をほとんど納めていないGAFAMの利権争いが影響を与えている側面もありましょう

ITとクラウドの話になると、腰が引けてしまうまんぐーすですが、ドロドロが透けて見える本事案にため息しか出ません。JADC2もABMSも何度も取り上げた重要事業で、AIDA(Artificial Intelligence and Data Accelerator)も始まったばかりなのに・・・

将来戦に向けた指揮統制改革:JADC2、AIDA、ABMS関連
「国防副長官がAIDA開始発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-23
「具現化第1弾でKC-46に中継ポッド」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-22
「3回目はアジア太平洋設定で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/05/425/
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holylandtokyo.com/2020/09/09/476/
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「今後の統合連接C2演習は」→https://holylandtokyo.com/2020/05/14/671/
「連接演習2回目と3回目は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「国防長官も連接性を重視」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
「将来連接性を重視しアセット予算削減」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28

米海軍と海兵隊は我が道なのか
「米海軍の戦術ネットワークProject Overmatch」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-15
「米空軍の課題:他軍種はABMSに懐疑的」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-12
「陸軍と海兵隊F-35が情報共有演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-13
「統合にデータフォーマットの壁」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-12

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地域戦闘コマンドにJADC2を段階展開へ [米国防省高官]

国防副長官がAIDAイニシアチブを発表
各地に専門チームを派遣し、演習等を通じ煮詰める
具体的日程や細部については非公開も

Hicks6.jpg6月22日、Kathleen Hicks国防副長官が国防省AI Symposiumで、人工知能AIやデータ融合により作戦運用&意思決定支援を狙うJADC2構想推進のため、各地域戦闘コマンドに施策促進チームを派遣し、各コマンドの演習や訓練を同構想の沿って支援し、その教訓を束ねて全米軍にフィードバックするAIDAイニシアチブ(Artificial Intelligence and Data Acceleration Initiative)を開始すると語りました

これまでJADC2(Joint All-Domain Command and Control)は、各軍種司令部が主導(陸は「Project Convergence」、海は「Project Overmatch、空は「ABMS」として)して各軍種内で取り組んできましたが、それを統合作戦組織である地域コマンドに展開する点で、ついに本丸に国防省自身が動き始めたということです

Hicks4.jpg作戦運用の根幹や最新データ技術やAI技術に関わることですので、具体的な内容には触れていませんが、最近オースチン国防長官が国防省の「JADC2戦略(非公開)」を承認したようで、同戦略に沿って動き始めたということでしょう

ただし、統合参謀本部でJADC2を担当するJ-6のDennis Crall中将は本件に関し別の場で、国防省としてJADC2実現のために「何が不足しているか」を精査するギャップ分析を開始したと語り、「全ての必要な技術要素を活用しても、我々が目指すJADC2を遂行するには、なすべきことが長いリストとなって残されている」と表現し、先行きが容易ではないことを示唆しています

22日付C4ISRnet記事によればHicks国防副長官は
Hicks7.jpgAIを活用したデータ重視のJADC2構想を迅速に前進させるため、各地域コマンドに専門チームを派遣し、大量のデータを融合し、その中から必要なものを各級指揮官から前線兵士にまで迅速に提供するネットワーク確立させるAIDAイニシアチブを推進する
派遣された専門チームは、各地域コマンドにJADC2構想実現のひな型や実施要領を提供し、各コマンドが実施する演習や訓練を通じて、データ収集や収集データのAI分析を意思決定に有効活用できるようになるまで支援でし、そこでの教訓やノウハウを収集して国防省に持ち帰る

Hicks3.jpg国防省は各地域コマンドでのJADC2実施上の教訓やノウハウを集積し、特定コマンドの教訓を他コマンドにも生かせるよう情報共有を図る
また、各コマンドのJADC2構想関連演習や訓練の状況をいち早く入手し、特定コマンドで検証できなかったJADC2構想の部分を他コマンドの演習や訓練で検証させるなど、全コマンドを巻き込む形でコンセプトの成熟に取り組む

そして、究極的には、リアルタイムでセンサー等のデータ融合が可能で、そのデータに基づいて必要な指揮統制事項が自動的に提示され、更に情報システムに必要なISR指示提案ができるようなプラットフォームを生み出したい
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Hicks.jpg事柄の性質上、AIDAイニシアチブの具体的な日程や中身は非公開とされているようですが、各軍種が進めている陸の「Project Convergence」、海の「Project Overmatch、空の「ABMS」との関係が気になります

また、J-6のDennis Crall中将が「なすべきことが長いリストとなって残されている」と発言している点に関し、文民サイドによる取り組みアピール先行に対する「チクリ」が含まれているような気がしないでもありません

しばらく様子を見守りましょう。いつもですけど・・・

全ドメイン指揮統制連接実験演習:ABMS関連
「具現化第1弾でKC-46に中継ポッド」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-22
「3回目はアジア太平洋設定で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/05/425/
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holylandtokyo.com/2020/09/09/476/
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「今後の統合連接C2演習は」→https://holylandtokyo.com/2020/05/14/671/
「連接演習2回目と3回目は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「国防長官も連接性を重視」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
「将来連接性を重視しアセット予算削減」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28

米海軍と海兵隊は我が道なのか
「米海軍の戦術ネットワークProject Overmatch」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-15
「米空軍の課題:他軍種はABMSに懐疑的」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-12
「陸軍と海兵隊F-35が情報共有演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-13
「統合にデータフォーマットの壁」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-12

実は米陸軍と空軍の2年計画は画期的だった
「米陸軍と空軍がJADC2コンセプト共同開発にゆるく合意」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-06

遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「米空軍の課題:他軍種はABMSに懐疑的」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-12
「遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「米空軍トップも批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「中国対処に海兵隊が戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

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海軍長官候補にキューバ移民の元イージス艦艦長 [米国防省高官]

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1歳でキューバから両親と共にNY移住し
海軍士官学校卒業後、22年間優秀な米海軍士官として勤務
退役後は海軍関連コンサル会社CEOとして実績
同企業が「2020 Small Business Success Story」賞受賞
ヒスパニックを代表する100名にも選出
StimsonセンターのBoardメンバーも

Del Toro.jpg11日、バイデン政権が海軍長官候補として上記のような経歴を持ち、海軍でも実業界でも実績のある60歳のキューバ移民のCarlos Del Toro氏を推挙しました。上院下院共にこの指名を歓迎しており、早めれば6月中にも新海軍長官が誕生するかもしれません

海軍長官ポストは、オバマ政権間はRay Mabus氏が8年間連続で務めましたが、トランプ政権4年間では、艦艇事故や空母でのコロナ大発生事案等もあり交代が相次ぎ、議会承認を得た長官が2名と臨時長官3名激しく後退する状態が続いていました

Bonhomme2.jpg最近の米海軍は、装備品開発では予算超過と開発期間超過、ついでに期待の性能発揮ができないケースが沿岸戦闘艦LCSやフォード級空母で連続し、部隊運用でも艦艇の衝突や火災事故が頻発、艦艇修理も補給処の根深い問題と予算不足で遅延が頻発、更にはシンガポール港湾業者による海軍士官へのワイロ事件などもあり、「何をやらしてもダメな米海軍」とのレッテルを議会や専門家から貼られる厳しい状況です

ついでに言えば、米海軍人トップの選考でも、ダントツの本命で期待の星と言われた人物が、就任直前に不適切な業務処理で候補から外れ退役となり、予想外の人物が現在の海軍人トップを務めているなど、負の話題が山積み状態です

そんな中ですが、単にバイデン政権が好きな多様性を理由のヒスパニック系押しとの理由だけでなく、米海軍士官としても、実業界での仕事ぶりでも立派な方のようですので、以下でご紹介しておきます

11日付Defense-News等によればCarlos Del Toro氏は
Del Toro2.jpg1961年キューバのハバナ生まれの60歳で、1歳の時にマンハッタンに両親とともに移住
1983年、海軍士官学校を電子工学の学位を取得して卒業し、水上艦艇担当士官のキャリアを開始。湾岸戦争に艦艇士官として参戦

中佐として、当時最新のイージス艦(Bulkeley)艦長を命じられ、進水、艤装、運用試験・実用試験全てを指揮しつつ、任務就航を果たす。同時に同イージス艦は女性を初めて受け入れる艦艇に指定され、艦内の様々な課題を整理解決して最初の道を開く
ペンタゴンでは国防長官室の事業評価分析部長補佐として、また米議会では予算管理部署の部長補佐として、更にホワイトハウスでは米海軍担当の法令戦略問題士官や研究員として勤務した経験を持つ

USS McCain.jpg米海軍で22年間勤務後、中佐を最後に退役し、艦艇建造や人工知能やサイバーや宇宙関連の事業提案やコンサルを行う「SBG Technology Solutions」を設立、その後17年間CEOや社長として経営の一線で活躍している
海軍退役後の活躍はヒスパニック系のローモデルとして広く知られ、同企業が「2020 Small Business Success Story」賞受賞するほか、ヒスパニックを代表する100名にも選出されたり等、多くの役職を務めており、日本の安保関係者が多くお世話になっているStimsonセンターのBoardメンバーも務めている

米海軍大学で国家安全保障修士号、ジョージタウン大学で法学修士、奥様とお子様4名、お孫さん1名
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NGAD Navy.jpg陸軍長官には女性で国防省の政策担当次官経験者のChristine Wormuthが既に議会承認を得ており、空軍長官も元調達&技術開発担当国防次官であるFrank Kendallが上院の最終投票を待つばかりの段階にあります

バイデン新政権誕生から約6か月、これまで政治任用者の承認でゴタゴタした話は聞きませんので、円滑に承認手順が進んでも各軍種長官が決まるまでに半年かかるということです。民主主義も大変です

米海軍の課題&問題の一端
「3大近代化事業から1つを選べ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-09
「第1艦隊復活を検討中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-20
「F-35搭載用強襲揚陸艦火災の衝撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-15
「コロナで艦長と海軍長官更迭の空母」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-27
「空母や艦艇修理の3/4が遅延」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-22
「空母フォード責任者更迭」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-08
「NGADの検討進まず」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-17
「米海軍トップ確定者が急きょ辞退退役へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-09

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米国防省EW室長が「Electronic Protection」超重視 [米国防省高官]

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電子妨害や電子情報収集より前に
通信やPNTやISRを機能させる根幹
これまであまりにも日陰者扱いだったが

Tremper.jpg最近米国防省の電子戦課長(director of electronic warfare for the Office of SOD)に就任したDave Tremper氏が、各所でこれまで無視又は日陰者扱いを受け、予算面でも「切りしろ」扱いされてきた「EP:Electronic Protection」分野の重要性を強調して回っていると話題になっています

「Electronic Protection」とは、敵の電磁波を使用した攻撃からISR、PNT(position, navigation and timing)や通信関連装備を守ることを意味し、Tremper氏が所掌する「electronic attack:電子攻撃」や「electronic support:電子戦のための電子情報収集」とは異なり、極めて重要な分野でありながら、ISRやPNTや通信担当部署がそれぞれの装備に対して個別に取り組んできたことから後回しにされている分野だと警鐘を鳴らしています

Electronic Protection3.jpgググってみると「EP:Electronic Protection」には他にも、味方の実施する電子戦の影響局限、周波数重複使用による障害の回避・対策、スペクトラム管理といった概念も含まれるようです

米国防省では最近、「Electronic Warfare:電子戦」との用語の使用を止め、「EMSO:Electromagnetic Spectrum Operations:電磁スペクトラム作戦」との用語を使用し、電子戦と電磁スペクトラム管理を組み合わせた包括的取り組みの必要性を強調することにしたようですが、EPを無視することで、レーダーやセンサーや通信機器開発関係者をEMSO議論から除外してしまっていると同課長は訴えています。

1日付C4ISRnet記事によれば
Electronic Protection2.jpgTremper氏は電子戦関係者の団体(Association of Old Crows)主催のサイバー電子戦総会で、「EPはこれまで多くの場合、予算制約や時間的制約を言い訳に予算をカットされ続けてきた。EPは最初にやるべきことなのに・・・」と語り、「EPは紛争のphase 0、つまりグレーゾーンでは影響を感じないが、紛争の初期段階で攻撃を受け初めて問題を認識する課題だ」と認識を新たにするよう訴えた
また「紛争直前のphase 0では課題を認識できないが、EP対処しておけば紛争緒戦でのリスクを緩和できるから必要なのだ」と説明した

Electronic Protection.jpgまた同課長は、ISRやPNTや通信装備を支えるレーダーやセンサーの残存性を高めるには、EPが不可欠であり、「EPがEMSOの一部として認知され実行されて、初めてEMSOが機能する」とも表現している
更に、「電子攻撃や電子戦のための情報収集、また電子スペクトラム管理ばかりに関心を向け、EPを除外していると、戦いを支えるレーダーやPNT装備や通信装備開発者を議論の外においてしまい、電磁スペクトラムの戦いにおいて優位を確保できない」とも語った

Electronic Protection4.jpgそしてTremper氏は、EPの重要性を主要幹部に理解してもらうための大規模な教育活動に取り組んでおり、従来「protection」と言えば航空アセットの防御を指すことが多かったが、これからはよりセンサー防御にも注目するよう働きかけている、と述べた

同課長は「It’s features, not systems(EPはシステムの防御でなく、機能の防御だ)」との言葉を多用し、EPの重要性を訴えている
例えば、国防省の電子戦関連の概念には、EPに全く触れていないコンセプトが存在しているが、国防省の主要幹部にこの問題を懸命に訴えているとも語っている。例えば「Counter Remote Controlled Improvised Explosive Device (RCIED) Electronic Warfare, or CREW」である
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20年間対テロに注力した結果として、忘れられ、余計な仕事(EW=Extra-Work)と扱われた電子戦、いやEMSOを本流に戻すには、一世代20年間は必要なのかもしれません。厳しい道のりです

大きな被害がない範囲で、皆が冷や汗をびっしょり流すような経験が必要かもしれませんねぇ・・・意識改革には・・・

EW関連の記事
「空軍トップが電子戦構想の方向を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-30
「米陸軍は2027年までに前線電子戦部隊整備」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-04
「国防省EW責任者が辞任」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-19
「ACC司令官が語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-19
「米空軍がサイバーとISRとEwを統合」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3
「電子戦検討の状況は?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-13
「エスコート方を早期導入へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27

「米空軍電子戦を荒野から」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-17-1
「ステルス機VS電子戦攻撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12

ロシアの電子戦に驚愕の米軍
「東欧中東戦線でのロシア軍電子戦を概観」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-1
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02

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米国防省監査官が省内のUFO対応を調査へ [米国防省高官]

法律が政府情報機関へのUFO報告を6月末に求める中
2020年4月に米海軍がUFOらしき画像公開後関心急上昇
中国の無人偵察機との懸念も大

UFO investigation.jpg3日、米国防省監察官が省内のUFOへの対処状況について調査・捜査(investigation)を開始すると発表しました。

発表メモは、「国防省がどの程度「未確認空中現象:unidentified aerial phenomena」に「has taken actions」しているかを評価する」としていますが、「監査の進捗で明らかになった結果を基に、その目的は柔軟に拡大や変化する」ともしており、秘密のベールに包まれた通称「UFO」に関する関心が急速に高まってることを感じさせます

一つの契機は、米海軍が各種UFO情報を公式報告させるフォーマットや報告要領を定め集めた情報を2020年4月に初公表し、訓練中の空母艦載機FA-18が目撃・撮影した3件のUFO(未確認飛行物体)映像(2004年11月と2015年1月2件)が公になったことです

UAP3.jpgそのほかにも、例えば2014~15年の間に米東海岸沖で空母艦載機がUFOと衝突直前にまで至った事象や、2004年に西海岸サンディエゴ沖で「腕時計型」の大型空中浮遊物体が目撃されている事象などが、米海軍内で公式報告されていると報じられているところです

これらを受け、2020年8月には当時のDavid Norquist国防副長官が「Unidentified Aerial Phenomena Task Force」を編成して国家安全保障上問題となる情報収集を開始し、また共和党ルビオ上院議員などの議員立法で2020年12月に成立した「2021年情報授権法」は、180日以内に国防省やFBIや関連情報機関にUFOやUAFに関するレポートをまとめて報告するよう命じました

背景には地球外に由来する未確認物体だけでなく、中国やロシアが開発する新技術由来の飛行物体の可能性も想定されていると言われています

4日付military.com記事によれば
Stone.jpg3日、米国防省監察官室はRandolph Stone監察官補(宇宙・情報・技術開発担当)が中心となり、「国防省がどの程度「未確認空中現象:unidentified aerial phenomena」に「has taken actions」しているかを評価する」ため、国防長官室、各軍種、メジャーコマンド、戦闘支援機関などを調査すると発表した
ただし、調査の範囲や対象は今後の監査の進捗で拡大する可能性があるとも発表メモは述べている

UFOに関しては、昨年8月に国防省自身が海軍が中心として、国家安全保障に影響する米軍兵士とUFOとの遭遇について調査を開始し、また2020年12月に成立した「2021 Intelligence Authorization Act」でも、180日以内に国家情報機関にUFO関連情報について報告するよう求めているところである
ただ、一般にはUFOと言えば地球外生物との関連を連想しがちであるが、今年4月に「The Drive」webサイトが報じたところによれば、UFOに関する調査の結果、これら未確認飛行物体の大部分が、米軍事力をスパイする目的をもったドローンや無人機だと結論付けられている模様である
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UAP2.jpg2020年12月成立の「2021年情報授権法」に含まれている「180日以内に報告せよ」指示への対応状況を「監査」するためなのか、今回発表の監査の目的が良くわかりませんが、「未確認飛行物体の大部分が、米軍事力をスパイする目的をもったドローンや無人機」であるならば、国防省としても大いにアピールすべきと考えますが・・

様々な取り組みが進んでいますので、数か月後には一部なりとも明らかになるであろう、調査や監査や報告書を楽しみにしておきましょう・・・

UFO関連の記事
「国防省等の米国情報機関が公式UFO報告書作成へ」→https://holylandtokyo.com/2021/01/07/293/
「英国防省:地球外生物ETは存在しそうもない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2013-06-22-1

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国防情報局長DIAが中露の脅威を語る [米国防省高官]

中国は2027年までに台湾強制併合可能な軍事レベルに
ロシアは資金資源インフラ不足の中、特定分野で特異な技術追求

Berrier DIA.jpg4月29日、国防情報局長DIAのScott Berrier陸軍中将が上院軍事委員会で中露の軍事脅威について証言し、中国が莫大な投資を背景に軍事力増強を加速させつつあり、約6年後には基礎的な軍事近代化を達成し、15年以内に最も破壊的な軍事能力新規導入に成功する可能性がある一方で、ロシアは資金資源インフラの制約を受け特定分野での軍事分野に注力する傾向が続くと主張しました

また非常に抽象的な表現で細部が不明ながら、全般には、今後20年間で、中国ロシア米国のいずれかが、戦いの性格を変えるような新たな兵器やコンセプトを持ち込むだろうとも証言しています

DIA.jpg中国が米国にとっての最も脅威となる国家で、その勢いが加速しているとの危機感を改めて強調するとともに、中国とロシアが共に宇宙ドメインでの能力を高めつつあり、またサイバー分野で米国社会全体に浸透しつつあり、コロナで混乱する社会問題に付け込む「information warfare」による世論誘導工作で、経済面や政治面で優位な環境を作為しているとも警告しています

4月末で退役したDavidson前インド太平洋軍司令官が3月上旬に、、6年以内に中国が台湾を力で統一する可能性があると議会で証言していましたが、この分析を事前に入手し引用していたのかもしれません。
以下では、中国とロシアに分け、同中将の証言をご紹介します

4月30日付米空軍協会web記事によれば
DIA局長は中国について
Berrier DIA3j.jpg中国は「全政府機関を上げての体制」で軍事力強化に取り組んでおり、「軍民融合military-civil-fusion」により、意図的に民間と軍事技術の境目をあいまいにしてより多くの投資を可能にしており、これが米国の技術優位への最大の脅威である
既に多くの研究分野で、米国と「同レベルかそれに近いレベルを達成」しており、特に「57分野に照準を定め」、米軍事技術を追い越して劣勢な立場に追いやる勢いである

まもなく中国は、中国本土から米軍や同盟国軍を脅威下に置くことが可能となり、戦力投射力も並行して強化している。結果、2027年までに台湾武力併合等を可能とする地域の短期紛争に勝利する能力と、併せて第3者の介入を阻止・抑止するだけの能力を獲得し、2050年までに世界を支配する軍事力を獲得する計画実現に向かっている
中国の軍事力進展を示す事例として、インドとの国境で緊張が高まっている時に、最新のJ-20ステルス攻撃機を国境地域に展開させた

DIA2.jpgまた中国は世界が注目する将来技術分野で世界をリードしており、人工知能AI、高速計算機、量子計算機、バイオ技術、先進ロボットでも世界の主導的立場にある。そしてこれら立場の獲得には、「合法と非合法の手段による海外技術獲得があり、これにより多くの科学分野で現在の地位を確保している
なお中国は、約6か月前に核兵器政策を変更し、核兵器運搬手段を現在の約200から400に倍増することを決定した模様で、加速度的に変化を進めている

このような中国の取り組みにより、中国は米国の技術優位に対する最大の脅威となる可能性が高く、情報コミュニティはこれをとらえて3年前から中国を「pacing threat着実に歩調を進める米軍事力に対する脅威」と表現している

DIA局長はロシアについて
ロシアは膨大な軍需産業群を抱えているが、ロシア独自に先進的な開拓を進めるのではなく、目標と定めた米国やその同盟国が優位にある特定分野で、対抗、対処、優位排除戦力を執ってい
Berrier DIA2j.jpgロシアは大量の兵器生産が可能な態勢にあり、先進技術分野での国産化を進めようとしているが、先進兵器を支えるハイテク部品を製造する下請部門の資金や資源不足、インフラ問題が足かせとなっている

このような通常兵器やIT技術の弱点を相殺するため、ロシアは他国には見られない形で核兵器活用の依存度を高めている。例えば、水中核爆発で津波を発生させて敵国沿岸部に破壊被害を与える兵器の開発追求などであり、この傾向は今後も続くと考えられる

中露共通
中国とロシアはともに、宇宙や対宇宙分野に注力しており、米国のインフラへの影響力を強める形でサイバー空間での活動も増加させている。また両国はコロナパンデミックの機会をとらえ、西側政府や同盟国を情報戦で攻撃して弱体させようとし、経済的政治的利益を得ようとしている
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「2027年までに台湾武力併合等を可能とする地域の短期紛争に勝利する能力と、第3者の介入を阻止・抑止するだけの能力を獲得」と分析されていますが、2027年まで体制整備に時間が必要な分野とはどこでしょうか?

直上陸輸送力、空中給油能力、長射程対艦ミサイルや同ミサイル搭載大型機の開発、洋上目標のターゲティング能力、西太平洋の島々に分散する米軍状況のISR能力などなどでしょうか? 

関連の記事
「フロノイ氏が今こそ語る中国抑止策」→https://holylandtokyo.com/2021/04/05/99/
「中国は6年以内に台湾併合」→https://holylandtokyo.com/2021/03/19/165/
「必要な国防政策を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/08/17/526/
「米議会で中国抑止を議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17
「太平洋軍司令官が追加要望事項レポート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-03

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米欧州軍が最高度の警戒態勢:露軍がウ国境に兵力増強 [米国防省高官]

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4月13日には、バイデンとプーチン大統領が電話会談
(近く、両首脳の直接会談をセットで合意とか)
ロシア軍8万人が国境付近集結とウクライナ情報
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米軍トップがロシアとウクライナ軍と意思疎通図る
ロシア軍の演習だろうとの見方もあるが・・・

Kirby2.jpg3月31日、John Kirby米国防省報道官が記者会見で、ロシア軍がクリミア半島付近のウクライナ国境に戦闘車両や兵器システムを増強しており、米軍人トップのMark Milley統合参謀本部議長が、ロシア軍とウクライナ軍のカウンターパートと連絡を取って状況確認と情報収集にあたっていると語りました

米メディア(NYT誌電子版など)は、先週から欧州米軍の当該地域担当部隊が警戒レベルを最高度に引き上げ、監視体制や情報収集体制を強化していると報じている一方で、米国高官が軍事演習の準備だろうと語った等の報道も出ており実態がわかりませんが、米国がコロナや政権交代途中で万全ではない状態で、ロシアや中国にとってチャンスと見えるタイミングですので要注意のためご紹介します

同じタイミングで、ロシア軍は北極海やアラスカ周辺で大型偵察機を繰り出し、米軍やNATO軍が10回以上のスクランブル発進で対応する事案も発生しており、気になる動きです

3月31日付米空軍協会web記事によれば
crimia.jpgJohn Kirby米国防省報道官(元海軍少将・海軍でも報道担当)はロシア軍がクリミア付近のウクライナ国境周辺に軍備増強している件について、3月31日にMilley統合参謀本部議長がロシア軍とウクライナ軍トップに連絡を取り、状況確認を開始したと明らかにした
同報道官は、「ロシア側との接触は始まったばかりである。直接ロシア側に何が起こっているかを確認するため」であり、ロシア勢力のこれ以上のウクライナへの侵入を防止するためでもあると語った

ロシア側高官は「軍事対峙のエスカレーションがみられる」と表現したと伝えられているが、米CBSニュースは米側高官が「軍事演習の準備だろう」と語ったとも報じている
NYT紙は、先週から欧州米軍が地域担当部隊の警戒態勢を最高レベルに引き上げたと報じている

Kirby.jpg同報道官はまた、欧州米軍のTod Wolters司令官が潜在的な脅威を懸念していると語り、この警戒態勢アップにより、欧州米軍の脅威情報収集を強化し、各級指揮官の状況判断を適切にできると説明した
また、そこに注視して監視するに値する対象が存在する、とも表現した
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「杞憂」であることを祈りますし、米国防省が「ロシアの脅威を忘れるな」と訴え、予算獲得の「追い風」に利用しているのかもしれませんが、ロシアやソ連の前科を見ると、心配になります

crimia2.jpgJohn Kirby氏の姿を見るのは何年ぶりでしょうか・・・。このような形で安保や軍事分野を専門にする報道対応のプロが、日本でも望まれるのでしょう。男性女性関係なく、有能な人材の登用が望まれます

表面上だけでも、静かな週末を祈ります

ロシア関連の記事
「露軍がスーダンで海軍拠点確保」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-14
「セルビアが危ない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-10-2
「ベラルーシ大演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-11-23
「東欧中東戦線でのロシア軍電子戦を概観」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-1
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02

John Kirby米国防省報道官(海軍少将)関連
「マケイン議員が報道官に激怒」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-24
「国防省がHumint強化へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-27

ゲーツ長官とメディア
「最後の記者会見でプレスを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-17-2
「他国はなぜ米国と付き合うか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-02

報道やSNS上に流布する情報を見る上の参考に
新書「ドキュメント誘導工作」をご紹介
米大統領選挙や英国EU離脱国民投票での報道やSNSでの有権者誘導工作など、豊富な事例と専門家説明で平易に解説
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1

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