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極超音速兵器の迎撃技術開発に2企業と契約 [米国防省高官]

米MDAが2020年夏に一端中断も、21年に再開
2027年夏に基本システム設計審査を目指すとか

GFI 3.jpg6月24日国防省ミサイル防衛庁MDAが、極超音速兵器を中間飛翔段階で迎撃する「GPI:Glide Phase Interceptor」開発に向け、Raytheon及びNorthrop Grummanとプロトタイプ設計に向けた契約を結ぶことに決定したと発表しました

2021年11月に上記2社にロッキードを加えた3社と、それぞれ約45億円の基本設計契約を結び、その結果を踏まえて「設計をさらに加速させる」契約を2社に絞り込み、追加で2社に約20億円を投資して「コンセプトデザインを加速させる」契約を結ぶとのことです

GFI 2.jpg24日付Defense-Newsによれば、MDAは「GFI」の検討を2020年夏に一端中止したようですが、2021年にはミサイル防衛庁長官Jon Hill海軍中将が企業から入手した最新技術動向を基に可能性を確信し、「恐れず開発を進めるべき」と述べ、極超音速兵器が最も脆弱な「glide phase」段階に狙いを絞り検討を再開したところでした

全体計画の詳細は未公表ですが、主導する米ミサイル防衛庁(MDA)は2028年夏に「GPI」の「weapon system and missile systems preliminary design reviews」を行う予定だと、2023年度予算案関連文書に記載されているようです

GFI 4.jpg「GFI」は米海軍イージス艦搭載を当面の目標とし、「Baseline 9 Aegis Weapon System」と融合させ垂直発射システム(VLS)から発射させるイメージで設計されており、イージス艦でうまくいけば、地上配備型が検討されるようです

「GFI」を使用した迎撃の流れは、まず極超音速兵器の発射段階で早期警戒衛星が探知し、地上の指揮統制センターに情報を伝達するところから開始します。その追尾情報を地上センターから通信衛星経由でイージス艦に伝送し、イージス艦は自艦のレーダーで探知していない段階でも迎撃体GFIを発射し対処します。

もちろん迎撃の最終段階でイージス艦レーダーが極超音速兵器を探知できれば迎撃に活用しますが、極超音速兵器が弾道ミサイルより遥かに低空を這うように進入することから、イージス艦自ら探知追尾できる範囲は限定的にならざるを得ません。詳しくは、下の解説映像をご覧ください
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「GFI」の解説動画by米ミサイル防衛庁MDA(約8分)


選ばれた2社から外れたロッキードですが、「GFI」の進展具合によってはロッキードの復帰もありうるとMDAはコメントしており、極超音速兵器開発において空中発射型の米空軍用「HAWC」と「ARRW」を担当し、米海軍用の「Conventional Prompt Strike」や陸軍用「Long Range Hypersonic Weapon」システムとりまとめも担当するロッキードへの期待も依然高いようです

GFI 5.jpg弾道ミサイルより遥かに高価な「極超音速兵器」ですが、それを迎撃するとなると、恐らく「極超音速兵器」自体の数倍~数十倍のコストが掛かると想像いたします。

相手が「脆弱」な「glide phase」段階で迎撃を目指すにしても、迎撃成功確率は対弾道ミサイルよりも低下すると思われ、ますますロシアや中国のような無法者国家に有利な軍事環境になるわけです

JSFさんによる分かり易いGFI解説記事
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20220114-00277179

米国による極超音速兵器の開発(GFIではない)
「空軍:高価な同兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「国防省が空軍に極超音速兵器開発の改善提言」→https://holylandtokyo.com/2022/02/10/2670/
「技術担当次官:同兵器は最優先事項だ」→https://holylandtokyo.com/2022/01/26/2649/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/
「米海軍潜水艦への極超音速兵器は2028年」→https://holylandtokyo.com/2021/11/26/2450/
「米陸軍の極超音速兵器部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holylandtokyo.com/2021/10/18/2342/

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MDA長官がグアム防衛について再び語る [米国防省高官]

中国から2500nmに位置する重要作戦拠点のミサイル防衛
弾道・巡航ミサイルそして極超音速兵器から守るには
狭いグアム島の限られた土地への配備に苦労

THAAD3.jpg5月23日、米ミサイル防衛庁MDAのJon A. Hill長官(海軍中将)がCSISで講演し、2026年までの運用開始が至上命題で、米太平洋軍ほか各方面からの早期実現求める声が高まるグアム島ミサイル防衛体制整備について語っていますので、3月末の2023年度予算案説明時の関連説明を、補足説明する形でご紹介いたします

繰り返してご説明するまでもなく、中国大陸から約2500nmの距離で中国の弾道ミサイル射程内に入っているグアム島は、米軍の対中国作戦の起点となる西太平洋の数少ない作戦基盤であり、海軍艦艇・潜水艦への弾薬補給や修理施設、空軍作戦機の一大発進基地&燃料弾薬補給施設、海兵隊の拠点などなど、重要な役割を担っています。

Hill2.jpgそして中国は当然のごとく、弾道ミサイルのみならず、大型爆撃機搭載の巡航ミサイルや極超音速兵器を開発配備し、更に最近では巡航ミサイル搭載の原子力潜水艦まで建造しているのではないかと報道されているところです

以下では、3月末の2023年度予算案説明時のMDA長官や関係幹部発言と並列表記して、CSIS講演の概要をご紹介いたします。発言内容に齟齬があるわけではなく、補完関係にあると考えたので併記形式といたしました

5月25日付米空軍協会web記事によれば
(●は3月末の予算説明、→→は5月23日のCSIS講演内容)
●2023年度予算案でグアムMD用に約660億円を要求し、多層なミサイル防衛体制構築のための配備装備や配備場所の調査検討、レーダーや兵器用部品調達費用に使用する
●現状のMDシステムは北朝鮮からの弾道ミサイル対処能力はあるが、中国からのミサイルを含む脅威は日進月歩の勢いで変化している

Guam MD3.jpg→→グアム島の防衛は、米国本土のミサイル防衛に続き2番目に重要な任務と考えている。グアム島は、弾道&巡航ミサイルや極超音速兵器から防御可能な態勢とはなっておらず、グアム島を360度全周警戒するセンサーと迎撃用ミサイルシステム、そして指揮統制センターを整備する計画を2023年度予算で推進する。
→→最も重要なのは、米空軍が多くのセンサー情報を持っているが、宇宙、地上、海上配備の様々なセンサー情報を集約し、指揮官が一目で状況把握できる指揮統制システム構築で、最も難しい部分だと考えている

●ルーマニアやポーランド配備のAegis Ashoreのような固定システムだけではなく、分散型システムを検討しており、移動式ランチャー活用にも関心を持っている
→→敵もグアム島の米軍施設攻撃を狙っており、搭載迎撃ミサイル数が減り兵站負担が増すことになっても、迎撃兵器は車両搭載移動型を導入することに決定したように、指揮統制センターも移動可能型にできないか検討している

Aegis FMS.jpg●米海軍のSM-3やSM-6、PAC-3、そして現有のTHAADの組み合わせを基本とするが、米陸軍が2023年に配備予定の「Mid-Range Capability missile」などの将来装備も、可能になったタイミングで組み入れることも検討する
●上述の各迎撃用ミサイルシステムは指揮統制システムとして米陸軍の「Integrated Battle Command System」で連接されるが、「イージスシステムの火器管制能力」も活用する。現時点では、弾道ミサイルと極超音速兵器対処に取り組んでいるが、その後にPAC-3の持つ優れた巡航ミサイル対処能力を米陸軍C2システムを通して融合させる

→→2013年から配備&運用しているTHAADに加え、パトリオットPCA-3を地上配備を完了することで、グアム島ミサイル防衛用に周辺海域でローテーション待機するイージス艦を3-4隻を開放することができる
→→イージス艦の指揮統制&火器管制装置は、艦艇搭載のSM-3 やSM-6など迎撃兵器以外に、弾道ミサイルや極超音速兵器防衛の指揮統制を強化することができる

Guam MD.jpg●課題は、グアム島でミサイル防衛システムに使用可能な土地が限られていること
→→シカゴ市ほどの面積のグアム島では、多くの場所が観光資源等として保護地域となっており、利用可能な面積は27%しかなく、陸海空軍海兵隊間で土地の確保競争になっている
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グアム島は、かつて日本からの観光&買い物ツアーが盛んでしたが、今や中国団体ツアーが島を席巻して日本人は遠ざかり、更には中国人女性がグアム島で出産して子供に米国籍を取得させようとして問題化している、との報道をコロナ前に見たことがあります

PAC-3 5.jpgグアム島には原住民の皆さんの聖地が多く存在して土地利用が容易でない面もありますが、観光用景観確保で軍事使用や開発を規制しているのであれば、中国人のために規制しているとも言えなくもなく、極めて皮肉な状態になっています

グアム島ミサイル防衛が極めて重要なら、日本列島のミサイル防衛も重要なはずですが、くれぐれも日本の皆様には、ミサイル防衛の限界も理解していただく必要があると思います。迎撃できる範囲や迎撃ミサイルの数には限界があり、攻撃兵器の価格と比較し、その防御には数十倍・数百倍のコストが必要なことも、忘れてはなりません

MDA長官が3月末に同テーマで語った内容
「グアムMD整備の状況と困難を語る」→https://holylandtokyo.com/2022/04/05/3082/

関連の記事
「イージスアショアは分散&機動展開可能型へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-21
「太平洋軍司令官がグアムミサイル防衛一押し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-23
「上下院軍事委員長が対中国抑止PDI推進」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-29
「太平洋軍が今年も追加要望事項レポート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-03

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Kirby国防省報道官が米大統領府NSC戦略広報官へ [米国防省高官]

初の黒人移民女性同性愛者報道官Jean-Pierre女史を支援
米海軍+国務省+国防省(2回)の報道官経験者

Kirby6.jpg5月20日バイデン大統領は、国防省のJohn Kirby報道官がホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)の戦略広報調整官に就くと発表しました。バイデン政権の安全保障政策に関する情報発信を強化する狙いがあると見られています。

ホワイトハウスの報道官ポストは、バイデン氏が大統領就任時から務めていたJen Psaki女史が5月13日に退任し、後任には「黒人」「同性愛者」「移民女性」の3側面で初の大統領府報道官だと16日の就任時に自己紹介したKarine Jean-Pierre女史(前副報道官)が就任しています

Jean-Pierre.jpgしかし、激務の大統領府報道官職の後任選定過程では、常にJohn Kirby氏が有力候補としてホワイトハウス内で検討&議論されてきたと報じられています

いかにもバイデン政権らしいJean-Pierre新報道官の指名でしたが、安全保障政策や軍事問題に関しては経験不足との懸念もあり、米海軍士官経験があり、報道官職(spokesman)を米海軍(2021年から)→国防省(2013年12月から)→国務省(2015年5月~2017年1月)→国防省(2021年1月~)と歴任して百戦錬磨のJohn Kirby氏が、新設の戦略広報調整官ポストに迎えられた模様です

Jean-Pierre2.jpg「百戦錬磨」とご紹介したJohn Kirby氏ですが、特にバイデン政権下では、大混乱の中で行われた米軍のアフガニスタン撤収や、現在も続くロシアによるウクライナ侵攻についての厳しい記者団からの質問にも、的確に粘りずよく対応&情報発信を続け、国防省からバイデン政権の姿勢を落ち着いて広報したとして一段と評価を高め、今回の起用に至ったと20日付で各社が報じています

ホワイトハウスへ移籍後は、通常の記者会見はKarine Jean-Pierre新報道官が担うものの、時にはJohn Kirby氏も会見を担当するとのことです。
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Kirby.jpg最近のウクライナ情勢に関する国防省会見で、Kirby氏が「ウクライナから伝えられる現場映像は、その悲惨な状況から見るに堪えない」と述べて言葉に詰まる場面が広く報じられましたが、どこからも批判的な声は上がらず、逆に普段から丁寧に誠実に報道機関対応に臨んできたJohn Kirby氏の人柄を評価するコメントが多くみられました

Kirby4.jpg米海軍+国務省+国防省(2回)の報道官経験者は極めて異例で、途中で民間報道機関や広報コンサル会社への転身の誘いも多数あったと思いますが、ストレスフルで一般には平均勤務期間が短い「公務」報道官に長期間従事する姿勢にも頭が下がります。

バイデン政権の姿勢には、個人的に「?」な部分も多いのですが、推定59歳、フロリダ出身で元海軍少将であるJohn Kirby氏の益々のご活躍を祈念申し上げます

追伸・・・Psaki前大統領府報道官とKirby氏は、国務省報道官の前任と後任(Kirby氏)だったようです。激務でかつ世間に顔が知られるポストとなると、成り手が限定されるのかもです

Kirby国防省報道官関連
「アフガン人が写る国防省映像公開停止」→https://holylandtokyo.com/2021/11/03/2400/
「苦悩深くアフガン避難民の米国受け入れ」→https://holylandtokyo.com/2021/10/28/2375/

米国防省報道官(海軍少将時代)関連
「マケイン議員が報道官に激怒」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-24
「国防省がHumint強化へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-27

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国防省JCOが小型無人機対処エネルギー兵器3機種吟味 [米国防省高官]

JCO(統合小型無人機対処検討室)主導で3回目の検証
高出力マイクロ波使用でEMP効果等で無人機無効化狙う
昨年は「副次的被害小」と「安価で携帯可能」な対処兵器検証

JCO high-power micro.jpg5月11日、米国防省で小型無人機対処を検討するJCO(統合小型無人機対処検討室:Joint Counter-Small Unmanned Aircraft Systems Office)が記者懇談会を行い、4月に「高出力マイクロ波」を使用した小型無人機対処装備3機種の確認試験を実施したと説明しました

JCOは、無人機の脅威の高まりを受け、前線部隊や米本土基地等を防御する手段を専門に検討する組織として2019年末に設置され、2021年1月には小型無人機対処戦略(Counter-Small Unmanned Aircraft Systems Strategy)を発表して「情報収集分析」、「防御体制確立」、「他との協力体制構築」の3本柱で取り組みを加速すると宣言している組織です

JCO high-power micro3.jpgその後、2021年4月には第1回目の確認試験として「周辺への副次的被害の少ない対処兵器」を対象に復習機種の評価試験を実施し、同年9月には2回目として「安価で携帯可能な対処兵器」の評価テストを実施しており、「高出力マイクロ波」使用兵器の試験は3回目の分野別評価テストでした

「高出力マイクロ波」使用兵器の試験概要
●4月4~22日にアリゾナ州Yuma Proving Groundで実施
●3企業提案の装備を評価。小型無人機を3つのカテゴリーに重量で区分(G1は20ポンド以下、G2は20-55、G3は55-1320ポンド)し、各カテゴリーの小型無人機に対し、各対処兵器が「どのくらいの距離から」、「どのくらいの対処時間」で無効化が可能か評価

●3企業は「Epirus」「Raytheon Technologies」「Leonardo DRS」で印象は・・・
・「Leonardo DRS」---  vector inversion generatorと呼ばれる放射アンテナの無い特殊な形状で評価が難しかったが、工夫して必要な評価データを得ることができた
・「Raytheon Technologies」--- まだ開発中の段階と言えるが、将来の伸びしろを感じる。対処有効距離は多少短い印象
・「Epirus」--- 現在前線部隊等で行われている対処程度の対処有効距離は確保できているし、将来的な延伸の可能性を秘めている

JCO.jpgこのほか、3回目までに評価試験を行った分野とは異なる、固定装置による対処兵器分野「countering small UAS as a service, or CaaS」でも並行して候補の絞り込みを行っており、25個の提案から5つに絞り込んでデモ試験を行う方向で進んでいるようです

「CaaS」は展開先の運用拠点基地の防御用を想定した対処兵器で、「候補装置はそれぞれに異なった探知、識別、追尾、破壊能力や仕組みを持っており、様々な角度から分析中であるが、来週には国防省内に限定展開して本格的に評価に入っていく」、「様々な要素後術を既存のシステムと組み合わせる等、企業とJCOの頭の体操が多くなるプロセスだ」とJCO幹部は説明しています

またJCOは、昨年1回目及び2回目の評価テストに参加した企業のいくつかと、具体的装備化に向けた契約締結段階に向かいつつあると記者団に述べ、2022年秋に予定する4回目の分野別評価に向けた準備も進めていると説明しましたが、具体的な中身については言及を避けました
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JCO high-power micro2.jpgJCOは、各軍種がバラバラに取り組んでいた小型無人機対処兵器開発&調達を、取りまとめて効率的に行うため設立された組織で、米陸軍少将がトップで陸軍が主導的な役割を果たしている組織です

ご紹介した装備の絞り込みだけでなく、運用ドクトリンや運用&訓練手法などにも統一した基準を示し、米軍として一体的な取り組みを推進することも担っています。また指揮統制システムや既存システムとの連携も重要な課題で、報道では、最も進んだTHAAD指揮統制システムとの連接が極めて重要とのGainey少将の発言も紹介されており、広がりの大きな事業であることを伺わせます

更に、無人機対処と言っても海外展開拠点から国内基地まで環境は様々で、同盟国と協力した海外敵対勢力の無人機脅威分析から、米連邦航空局と連携した米国内で使用される小型無人機の把握などまでの多様な課題を抱え、加えてJCOが2021年1月作成の小型無人機対処戦略は「国内技術開発への投資政策」や「対処装備の海外への売込み」までを視野においており、課題山盛り状態です

JCO(Joint Counter small UAS office)関連の記事
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「米国防省が小型無人機対処戦略」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/

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ロシアの電子戦に迅速対処したSpaceXに学べ [米国防省高官]

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ウクライナでのロシアの電子戦に触れつつ
ウ国に提供したStarlinkを防御したSpaceXの対処に驚嘆
国防省専門家「目を見張るほど」「涙が出るほど」素晴らしい

Starlink spaceX.jpg4月20日のイベントで国防省や米空軍の幹部が、ロシアの電子妨害に対処してウクライナのインターネット接続を確保したSpaceX社の迅速で見事な対応を取り上げ、国防省をはじめとする政府機関もこの柔軟で迅速な対処を学ぶべきだと訴えました

イーロン・マスクが率いるSpaceX社は、ロシアのウクライナ侵略開始直後に、31歳のウクライナ副首長兼ねてデジタル相からの要請を受け、48時間以内に衛星利用インターネットサービス「Starlink」をウクライナに提供し、同時に関連端末を多量にウクライナに届けました。

Starlink spaceX2.jpgこれを受け、ロシアもウクライナをインターネットから遮断すべく直ちに電子戦(EW:electromagnetic warfare)を開始したようですが、翌日にはSpaceXが「Starlink」ソフトの妨害対象部分を見つけ出し、直ちに修復してロシアの妨害を無効化し、ウクライナのネット接続を今日まで確保し続けているとのことです

20日付Defense-News記事によれば
●米国防長官室のDave Tremper電子戦室長は、「SpaceXのElon Musk社長は、開戦時に数千のスターリンク端末を届けてウクライナを支援したが、ロシアの電子妨害にも迅速に対処して翌日には無効化している」、「電子戦において理想的な素晴らしい対処であり、その様子は涙が出るほど素晴らしい」と讃えた
Tremper.jpg●そして同時に同室長は、「仮にこれを政府機関が行っていたら、このようなコード修正に多くの手間をかけた分析を行い、意思決定に時間を要し、契約と実行まで含まると途方もない時間が必要だったろう」と語り、「我々にはこのような機敏さが必要で、電磁スペクトラム戦に向き合う姿勢や大胆に挑戦して変革することを可能にしなければならない」と訴えた

●また同室長は、システムの2重化・複数化の重要性を強調し、一つが被害を受けても、生き残ったもう一つで機能を維持する重要性を訴えた。そしてEW装置を更新する際には、単なる更新ではなく、システムの強靭性アップを図るべきだと主張した
●更に、AIや機械学習の導入による装備の処理速度向上や、デジタル設計活用による調達の迅速性追求も重要だと述べ、開発中の電子戦機EC-37B(Compass Call)がこの技術を活用し、地上で様々な新たな電子妨害手法を運用者と煮詰めている様子を紹介した

electromagnetic war.jpg●ウクライナにおけるロシアの電子戦について同室長は、米国防省が予期していたほど強力ではない(Pentagon expected a much stronger EW showing from Russia)と述べつつも、侵攻部隊を前進させながら電子戦を同時進行するロシア軍の同期された活動と、高度で洗練されたEW装備から多くを学んでいると語った
●また、ロシア軍のような電子戦を実戦で行うには、電子戦担当部隊や兵士の教育訓練が極めて重要で、士官から下士官レベルに至る全ての関係者が理解するまでの徹底した準備訓練と知識の浸透が欠かせないと表現した

electromagnetic war4.jpg●米空軍電磁スペクトラム課長のTad Clark准将は、今後の戦いは電磁波を絡める比率が一層高まると予想され、特に緒戦において電磁波領域を支配することが、戦い全体を優位に進める上で不可欠になると語った
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民間から改革の「旗手」や「担い手」として招かれながら、2-3年勤務後に国防省や各軍種の「硬直性」「改革意欲欠如」「複雑怪奇な手続き」「様々な抵抗」などに不満をぶちまけつつ去っていく事例が続いています。

不満をつづった文書をネット上に公開して昨年9月に辞任した国防省CSOに続き、2019年から空軍省CAO(chief architect officer)を務めていたPreston Dunlap氏が、web上に「国防省官僚制を改革するため成すべきこと」との8ページもの文書を投稿して数週間後に辞任することを明らかにしました

Conley.jpgDave Tremper電子戦室長の前任者であるWilliam Conley氏は「車いす上の改革者」と呼ばれましたが、この方も道半ばにして辞任しており、その際各方面から「電子戦の改善改革を考え抜き、民間の革新的技術の早期導入を推進し、敵に負担を強いる戦略を思慮していた人物」で、「新たなセンサー技術や電磁スペクトラム兵器のアイディアを膨らましていた人物」として惜しむ声が上がった方でした。軍の改革は難しいということです

ウクライナにおけるサイバー&電子戦
「露VSウのサイバー戦とFedorov副首相」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-22

最近のEW関連記事
「米空軍が電子戦専門航空団創設」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-30
「Electronic Protection超重視」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-03
「2021年春完成の電子戦戦略を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-30
「米陸軍は2027年までに前線電子戦部隊整備」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-04
「電子戦専門の航空団創設へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-03
「さわり国防省電子戦戦略」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-03
「国防省の電子戦担当少将が語る:道遠し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-19

原点:ロシアの電子戦に驚愕の米軍
「東欧中東戦線でのロシア軍電子戦を概観」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-1
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02

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米国防省が航空輸送可能なミニ原発配備へ [米国防省高官]

僻地基地での使用を想定し、数か月で企業選定
2025年にデモ運用開始を目指し
C-17輸送機に搭載可能で1-5メガワット発電目指す
1960-70年代の失敗を教訓に
敵攻撃への脆弱性懸念の反対予期も

Portable nuclear3.jpg4月13日米国防省戦略能力開発室(SCO:Strategic Capabilities Office)が、人里離れた僻地基地で使用するC-17輸送機で空輸可能なミニ原発を開発し、2025年にはデモ運用を開始すると発表しました。

ミニ原発は重量40トンで、輸送機の貨物室に搭載可能なコンテナに収まるサイズに設計され、1-5メガワットの発電が可能ながら3年間は燃料補給が不要なものを想定しているとのことです。

portable nuclear2.jpg今後数か月以内に2つの候補企業「BWXT Advanced Technologies」と「X-energy」から一つを選び、SCOによる環境影響評価を行い、2024年にテスト評価、2025年にデモ運用開始を計画しています

4月15日付Defense-Newsからは、具体的な初号機の配備場所が決まっているのか、ミニ原発用の新型核燃料開発が行われている「Idaho国立研究所」でデモするのか、環境影響評価の結果によってアラスカやグアムやDiego Garciなど11の候補地から選ぶのか不明確ですが、過去の構想にあった「展開先の前線基地」での使用ではなく、「不便な僻地基地」で使用するとの説明ぶりになっています

microreactors.jpg米軍のミニ原発への取り組みは、以下のように冷戦時に一度ピークを迎えていますが、「信頼性が低く高コスト」であったことや、敵から攻撃を受けた際の放射能汚染が懸念され、計画は頓挫しています

Army Nuclear Power Program(1954 ~ 1977)
●8つの右原発が製造され、5基がワイオミング州、グリーンランド、南極、パナマ運河地域で4-12年運用(1962-1977年)された。
●上記場所に設置運用される前の1961年に、「Idaho国立研究所」で3名が死亡するメルトダウン事故を起こしている

以下では4月15日付Defense-News記事から、「Project Pele」担当責任者と反対派研究者の主張を簡単にご紹介しておきます

「Project Pele」担当責任者Jeff Waksman博士
waksman.jpg●「Project Pele」で使用される技術は、軍用だけでなく商用利用にも活用できる画期的な技術である。1970年代当時より安全性が向上した「3構造低濃縮ウラン」燃料を使用した「高温ガス炉」方式で計画している
●核燃料は直径1㎜以下の小さなカプセル梱包された形状に準備され、小さな単位で防御された形で使用される

●従来の重油仕様の発電機は、燃料輸送や発電施設維持補修に多くの兵站支援が必要だったが、ミニ原発は3年間燃料補給が不要である
●冷戦期の経験、2010年頃からの基礎研究、更に2019年年度からの関連投資で必要な要素技術は格段に成熟しており、2025年のデモ運用開始は十分に可能である

反対論者のテキサス大学Alan J. Kuperman教授らは
Kuperman.jpg●敵攻撃に脆弱なミニ原発への反発を避けるため、「展開先の前線基地」配備構想を引っ込め、「不便な僻地基地」での使用を打ち出しているが、技術的ハードルが高く高コストの航空機輸送可能な設計を行うなど、有事に「展開先の前線基地」配備を狙ったものであることは明らかで、敵攻撃を受ける危険なプロジェクトだ

●小型カプセル化した核燃料は、攻撃を受けた場合周辺に飛散し、放射能汚染を拡散させることになる
●2019年度に約50億円、2020年度の85億円規模の投資を国防省は行っているが、未だにしっかりした設計は完成しておらず、実際の部品準備も未着手な中、2025年に運用開始とは極めてリスクが高い無謀な計画だ

ちなみに、2018年米陸軍研究レポートで配備候補11か所とは
• Thule, Greenland
• Kwajalein Atoll
• Guantanamo Bay, Cuba
• Diego Garcia
• Guam
• Ascension Island
• Fort Buchanan, Puerto Rico
• Bagram Air Base, Afghanistan
• Camp Buehring, Kuwait
• Fort Greely, Alaska
• Lajes Field, Azores
/////////////////////////////////////////////////

microreactors2.jpg米国防省と反対派の主張のどちらに分があるのか判断できませんが、大型の原子力発電所とは異なり、ミニ原発は敵の攻撃の目標になりそうな気がするので懸念の声があるのは理解できます

一方で、米軍が進める気候変動対策や陸軍の電動戦闘車両導入、前線への兵站輸送の負担軽減などなどを考えると、ミニ原発の魅力は捨てがたく、研究は止められないのでしょう

展開候補地に日本は入っていませんが、グアムが含まれるぐらいですから、硫黄島や第2列島線上には可能性がありそうですのでフォローしておきましょう。ちなみに「Project Pele」の「Pele」は、ハワイの火山や炎の神様からとった名前だそうです

ミニ原発関連の記事
「ミニ原発反対論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-16
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07
「米陸軍が前線での電力消費増に対応戦略検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-04-13
「国防省の気候変動対策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-08

「米国防省は電気自動車&ハイブリット車導入推進」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-10
「米陸軍が電動戦闘車両導入の本格検討へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-23-1

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2023年度国防予算案は4%増だが大荒れの予感 [米国防省高官]

22年度より4%増も、ウクライナ危機の物価上昇考慮間に合わず
共和党は予算額773Bドルを875Bにまで増額要求
米議会は2022年も753Bを782Bに増額させた実績あり

Pentagon.jpg3月28日、米国政府が2023年度予算案(2022年10月~23年9月カバー)を公表し、前年予算案から約4%増の773Bドルを要求しました。

バイデン大統領は同予算案公表に合わせ、「安全保障関連予算の歴史の中で、史上最大の投資計画の一つとなる」とその額をアピールし、ホワイトハウス高官も「2022年と23年の予算の伸び合計は9.8%となり、必要な軍事能力強化と維持のための予算額を確保した」とその妥当性を強調しています

2023 Budget.jpgしかし、以前から中国等対処を念頭に最低でも前年比5%の国防費増額を求めてきた共和党議員を中心に「不十分だ」「適切でない」との声が既に上がっており、昨年2022年度予算案753Bを米議会の力で782Bに増額させた実績を踏まえ、今年は875Bドルを目指すとの声が共和党議員から聞こえています

予算案773Bドルの予算案に対し、「875Bドルを目指す」とは少し飛躍が過ぎるとのご意見もありましょうが、この予算案は実質的に今年1月末には既に固まっており、その後のウクライナ危機によるエネルギーや各種原材料費高騰など物価上昇分が全く考慮されていない額であり、国防省幹部も「実質購買力は低下している」「最近の物価上昇への対応は今後の検討課題」と素直に認めているところです

28日付Defense-News記事から全般概要を見ると
hypersonic subm7.jpg軍種別の伸び率は海空宇宙を重視
 陸軍と海兵隊の伸び率1.7%
 海軍は4.8% 空軍は3.4% 宇宙軍はなんと35.4%
●研究開発費は過去最大の9.5%伸び確保
 極超音速兵器開発に4.7Bドル(5600億円)、マイクロ電子と5Gに3.3Bドル(4000億円)、バイオテクノロジーに1.3Bドル(1500億円) 

●米議会の選挙区への配慮で難航の旧式装備早期退役
 旧式装備早期退役で2.7Bドル(3250億円)を他分野へ再投資
 米空軍が140機を早期退役計画、100機のMQ-9を他の政府機関へ移管
 米海軍は艦艇24隻を退役(巡洋艦5隻、LCSを9隻、潜水艦2隻、うちLCSなど16隻は早期退役)
●欧州抑止イニシィアティブに6.2Bドル(7450億円) ウクライナにはこのうち360億円

Columbia-class4.jpg●核抑止3本柱の近代化に34.4Bドル(4兆2000億円)
 6.3Bドル(7500億円)をコロンビア級戦略原潜に、5Bドル(6000億円)をB-21ステルス爆撃機に、3.6Bドル(4300億円)を次期ICBM(GBSD)、4.8Bドル(5200億円)を核抑止指揮統制システムに
●サプライチェーン強化に
 3.3Bドルをマイクロ電子関連に、0.6Bドルを極超音速兵器とエネルギー兵器関連に、0.25Bドルを稀少材料に65億円を溶接や鍛造部門に、52億円をバッテリーや電源貯蔵に


28日付米空軍協会web記事で空軍関連では
 
Kendall air 2.JPG●Kendall空軍長官は「2023年度予算案はtransformationalな予算案だ」「小出しの変化では脅威の変化に対応できない」と述べる中で、「研究開発費が大幅増額となっているが、これは他の分野で大幅カットを受け入れざるを得ないことを意味する。2024年度予算案では、より一層厳しい選択を行うことになる」と表現している
●更に同長官は、「輸送力についてはおおむね固まっているが、transformationは戦術戦力やglobal strike分野に焦点を当てて行う」とも語っている。他の空軍幹部も「深遠なtransformational changesとなる2024年度予算のプレリュードとなる23年度予算案」と語っている

●研究開発費は前年度比で20%増、調達経費は15%増、作戦運用&維持整備費は4%増
F-22 iwakuni2.jpg●航空機の早期退役や他への移管は約240機。 33機のBlock 20 model で近代化改修に経費がかさむF-22を含む。なおF-22の残りの機体には約400億円の近代化改修費が予算化されている

●240機を削減(早期退役140機とMQ-9を100機他機関へ移管)と、新規導入82機で、全体でプラスマイナスで158機減少。早期退役には大部分のE-3 AWACSとE-8 J STARSを含む
(ちなみに、2022年度予算では最終的に、要求した早期退役201機のうち、42機のA-10以外は退役が議会で認められている)

F-35 Germany.jpg●F-35については、2022年に48機が、2023年予算では33機に大幅減少。ロッキード社のBlock 4成熟待ちが理由。同長官は総調達数1763機に依然コミットしていると最近発言も
●F-15EX購入は、22年度12機から23年度は24機に倍増。NGADとB-21用の無人機ウイングマン関連は150億円、NGADは2000億円でF-35Aにも約1200億円

●極超音速兵器は戦闘機用HACMと爆撃機用ARRWに計680億円
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あくまでも「米国防省がまとめた予算案」です。

また、これからウクライナ問題で安全保障環境が激変する中、ウクライナ問題発生前に固まった予算案が、議席数が伯仲する米議会で議論されるわけです。大変です

国防予算関連の最近の記事
「F-35調達機数は減少へ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/
「海軍は3大近代化から1つに絞れ」→https://holylandtokyo.com/2021/06/11/1898/
「空軍の戦闘機構想」→https://holylandtokyo.com/2021/05/21/1709/
「陸軍は2023年で変わる」→https://holylandtokyo.com/2020/09/11/478/
「海兵隊は対中国で戦車部隊廃止へ」→https://holylandtokyo.com/2020/03/26/790/

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国防省が空軍に極超音速兵器開発の改善提言 [米国防省高官]

国防省作戦試験評価局(DOT&E)のレポートで
2021年の空軍ARRW試験が3回とも失敗
3回のうち2回はB-52から分離もできずの惨状に

AGM-183A2.jpg1月27日、米国防省の作戦試験評価局(DOT&E:DOD’s Office of the Director of Operational Test & Evaluation)が報告書を発表し、開発試験の失敗が続く米空軍の空中発射型の極超音速兵器(AGM-183A:ARRW:Air-launched Rapid Response Weapon)に対し、比較的順調な陸海軍の極超音速兵器開発に学べと提言しました

中国やロシアに後れを取っている極超音速兵器開発については、国防省が最重要兵器開発の一つとして推進しており、19日にも技術開発担当次官補が「アクセル全開で取り組む。陸軍と海軍は今年フルスケールの飛行試験に臨む好ましい状況にある」と述べる一方で、空軍の状況には一切触れずに物議をかもしていました

Kendall 7.jpg一方の空軍は、同じ19日にKendall空軍長官が「極超音速兵器は重要だが中国にとっての重要性と米国にとっての重要性は異なる。何が費用対効果で優れているかを熟考して兵器体系を考える必要がある」と述べ、これまで米国防省の一貫した方針だった「何が何でも極超音速兵器実現」モードをけん制する発言して国防省内での対立を匂わせていたところです

米空軍は2タイプの極著音速兵器に取り組み中
HAWC.jpg●ARRW→B-52搭載をイメージ。ロケットで加速され自ら推進力を持たず射程が長くないたARRM(Air-launched Rapid-Response Weapon:AGM-183A)
●HACM→戦闘機クラス搭載をイメージ。推進装置を持ち射程の長いHACM(Hypersonic Attack Cruise Missile)2021年9月に3度目の試験で基礎試験成功

懸念されている2021年空軍ARRW試験の様子
●4月:AGM-183Aが発射母機B-52から分離せず、試験不成立
 本来2020年末に予定されていた試験。原因は非公表も、現場技術者の直前点検チャックリストの確認漏れや、作業員による誤った制御部分の締め付けなど、「単純な凡ミス」と報じられている
●7月:発射母機B-52から分離したが、推進装置に点火せず
4月の試験失敗原因が解消されたことは確認できたが、米空軍は今も失敗原因を調査中
●12月:再び発射母機B-52から分離せず

1月28日付米空軍協会web記事によれば
AGM-183A3.jpg●作戦試験評価局(DOT&E)レポートは、米空軍が掲げている「2022年末までにARRWの生産に入る」とのスケジュール変更までは求めていないが、キャプティブ弾試験の段階でフィンコントロールシステムの再設計必要が明らかになったり、
●現場技術者の「単純な凡ミス」で試験が1回無駄になっている現状を踏まえ、以下のような提言を行っている

●作戦試験評価局(DOT&E)からの提言
AGM-183A5.jpg・国防長官室や(極著音速開発が比較的順調な)陸海軍の関係部署と緊密に連携を取り、ベストプラクティスを学び、試験関連インフラや試験データ管理・分析手法、更にはモデリング法やシミュレーション法をを参考にせよ
・現在使用している全てのモデリングやシミュレーション手法の有効性を再確認せよ
・敵からの厳しいサーバー攻撃を想定した環境でのARRWの有効性検証を実施せよ
///////////////////////////////////////////////

米空軍のARRW開発責任者のCollins准将は2021年9月、2021年末までに(B-52から分離したが点火しなかった)試験失敗の原因が究明できれば、2022年末からの兵器製造開始予定に変更はない、と語っていましたが、米空軍が何か言う前に国防省内部から「意見」されてしまいました

AGM-183A4.jpgKendall空軍長官が主張する、「米軍にとっての極超音速兵器の意義」や「費用対効果検討を踏まえた最適な兵器ミックスの検討」は重要な視点ですが、空軍ARRWの現状は、作戦試験評価局(DOT&E)からの提言にも「一理」ある状況でしょう

ただ、米陸軍は車両搭載型で2023年頃の導入を、米海軍は艦艇発射型を2023年、潜水艦発射型は2024年予定を断念して2028年に導入する目標を掲げていますが、どれも楽観できるものではありません。今後も米国防省の苦闘は続くと考えられます

米軍の極超音速兵器開発
「技術担当次官:同兵器は最優先事項だ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-23
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-21
「米海軍潜水艦への極超音速兵器は2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19
「米陸軍の極超音速兵器部隊が実ミサイル以外を受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-14
「米空軍が3度目の正直でHAWC成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-28
「最近の状況整理&米海軍が2段目ロケット試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-27
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
「豪州とも協力」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-01
「今頃学会と情報収集枠組み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-28
「3月の極超音速兵器テストは誤差20㎝」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-14
「3軍協力で極超音速兵器開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15-1
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

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技術開発担当女性国防次官が優先事項を語る [米国防省高官]

祖父が台湾空軍副司令官だった女性です
陸軍省での技術&兵站担当次官補を経て
米空軍科学諮問委員会の委員長経験も
空軍との極超音速兵器等を巡る対立も匂わせ 

Shyu.jpg1月19日、昨年7月就任のHeidi Shyu技術開発担当国防次官が講演で技術開発優先事項について語り、オースチン国防長官から「強固に防御されたエリア:contested regions」での作戦遂行能力強化を求められており、人工知能AIや自律的システム、それを支える指揮統制ネットワーク、極超音速兵器やレーザー、量子技術や5Gに続く6G・7G新規格等の対象分野を上げています

一方で、国防省開発体制の問題点を示唆するように、スターアップ等の最新技術を取り込む仕組みが乱立して投資効果確認が難しくなっている点や、国防省内研究機関の施設老朽化問題に対する取り組みの必要性にも触れつつ、また新空軍長官が率いる米空軍との関係が技術開発分野で微妙な雰囲気になることを示唆するような発言もあり、優先事項より気になる内容となっています

Shyu5.JPGHeidi Shyu次官は1953年台湾生まれで、祖父が台湾空軍副司令官との家系で、米国で工学系の大学や大学院を卒業後、軍需産業であるヒューズ、グラマン等を経てレイセオン社で技術者として長く勤務した後、2000年から2010年の間に米空軍科学諮問委員を務め、その間副委員長や委員長を5年間も経験しています

国防省での勤務は、2011年から16年の間に陸軍省の兵站&技術開発担当次官補として経験しており、技術開発担当の国防次官としては、国防省の技術開発事業全般を取り仕切り、DARPA、MDA、SDA宇宙開発庁、DIU(Defense Innovation Unit)等の開発機関を監督することになります

20日付米空軍協会web記事によれば同次官は講演で
Shyu3.jpg●(19日のPotomac Officer’s Clubでの講演で、)オースチン国防長官が「contested regionsやhighly defended areas」で戦う手段追求を重視していることを受け、技術開発で重視する事項をまとめる最終段階にある
●AI、自立化システム、ネットワーク強化や極超音速兵器やmicroelectronics分野が含まれるが、既に市場にある技術・製品を最大限に活用し、効率的に迅速に必要なものを前線に届ける姿勢で臨みたい

●米議会からは半導体製品の7割をアジアからの輸入に依存している点を問題として強く指摘されており、商務省や半導体企業と連携して半導体産業の国内回帰に取り組みたい
●また、複雑化する国防システムを前線兵士が効率的に使いこなせるよう、短時間で兵器やシステムに習熟可能な装備品開発や、システムと兵士のインターフェイス改善にも注力したい

個別開発分野について同次官は
hypersonic subm7.jpg極超音速兵器開発は開発推進と停滞を繰り返して進んできたが、国防長官も高い関心を持っており、今後はアクセル全開で取り組む。陸軍と海軍は今年フルスケールの飛行試験に臨む好ましい状況にある(同兵器の費用対効果から、19日に慎重姿勢を空軍長官表明した米空軍の空中発射型開発には言及せず、会場が微妙な雰囲気に)
レーザー開発でも、30年の長きにわたる取り組みを経て、陸軍と海軍では攻撃的活用にも本格的に踏み込みつつある(ここでも米空軍について語らず、微妙な雰囲気に)

量子技術活用については、量子コンピュータ分野に研究者2000名動員の中国に対し、米国は100社が参入して取り組んでおり、目を離さず取り組む。量子通信や量子センサーにも関心を持っている
Quantum Tech3.jpg通信技術分野では、世界の動きに追随するような形ではなく、5Gに続く次世代の6G・7Gを国防省が率先して切り開いていくような形に関心を持っている。5G通信による軍レーダーや高度計への干渉が問題にならないよう、確実な対応を行う。

●Hicks国防副長官から指示を受け、国防省や各軍種の研究開発インフラの課題や問題点を取りまとめており、1月末にはご説明したい。課題解決には約6000億円の投資が必要と見積もっているが、民間企業、産業界、大学や学界との関係強化を生かしつつ、研究開発インフラのギャップ改善に取り組みたい
Shyu4.jpg●小規模企業やスタートアップ企業から最新技術を取り入れて技術開発を促進する取り組みは、20以上にのぼる国防省内の担当組織(AFWERX, SOFWERX, and the Army’s Rapid Capabilities and Critical Technologies Office.)の存在もあり、投資効果の確認が難しくなりつつある。多様な組織の任務や役割を再確認&整理し、対象企業との連携連絡手段を整備し、更に契約メカニズムもはっきりさせてアイディアが形になるよう、強力に管理していく

●各軍種毎の能力不足分析ではなく、統合レベルでの地域戦闘コマンドの能力不足分野を特定するため、200もの課題から約30の重要テーマに絞り込み、これを各地域に関連する4つのシナリオに落とし込んで分析を進める。「Rapid Defense Experimentation Reserve」との検討枠組みで、2023年度から段階的に取り組みたい
/////////////////////////////////////////////////

ABMS4.jpg冒頭で申し上げたように、優先事項そのものよりも、米空軍との不協和音や、優先事項から伺える現状の問題点が興味深いところです。

また、これら分野を統括する国防次官に、100%中国・台湾系の血が流れる女性が就任していることにも注目したいと思います。現場視察の様子を紹介するお写真をご紹介していますが、現場に飛び込んでいくタイプの方のようです

情報共有と漏洩防止のはざまで
「外国製ドローン購入規制」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-14
「軍需産業との情報共有に乗り出す」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-05-1
「半導体での米国巻き返しを討論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-25
「中国製部品排除に時間的猶予を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15

「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1
「米国製兵器は偽物だらけ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-29
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10

危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-02
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26

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米国防省の調達担当次官候補に元空軍調達次官 [米国防省高官]

国防省高官の議会承認進捗は、
承認済22、承認待ち22、候補未定13
調達担当次官の直属部下(副次官or次官代理)も未定

LaPlante5.jpg11月30日、ホワイトハウスが米国防省の調達担当次官候補に、元米空軍省調達担当次官であるWilliam LaPlante氏を推挙すると発表しました。
同氏の議会承認に関し米軍事メディアは全く問題ないと予想していますが、具体的な議会内手続きは年明け2022年初頭になると報じています

前任のLord国防省調達担当次官はトランプ政権と同時に退任しており、約9か月間同ポストが空席で「臨時代理」者が職務を代行していますが、海軍長官と並んで、政治任用者が未決定な重要空白ポストととして各方面から早期の人材充当が求められているところです

LaPlante4.jpgWilliam LaPlante氏は2014年初めから2015年末まで空軍省調達担当次官を務め、今や数少ない順調な開発状況にあるB-21次期爆撃機の契約をまとめた功績で国防関係者や議会での評価が高く、同時期に国防省調達次官を務めていたKendall現空軍長官とも良好な関係だと言われています

空軍省調達担当次官を務めていた前後は、技術研究開発企業で国家予算が多く投入されているMitre社の国家安全保障事業担当の副社長や重役を務め、現在は工学系非営利企業のDraper Laboratory社の会長兼CEOを務める傍ら、「National Defense Industrial Association」や「Naval Research Advisory Committee」等々のボードメンバーを務めています

LaPlante3.jpgまたLaPlante氏はもともとJohns Hopkins大学の学部長を勤めた経験もある理論物理学者で、、Mitre社ではBMD分析部長なども歴任しており、学問分野を極めつつ、現場の開発案件や行政経験もある実力者です

LaPlante氏が議会承認された場合、調達担当次官として担う課題は大きく、F-35維持費高騰問題やシステム成熟、米海軍の規模拡大、核戦力の近代化、本格紛争に備えた能力を提供する軍事産業基盤との協力体制強化、ソフトウェア調達改革などなどで、重責であることは間違いありません

米議会も含め、LaPlante氏への信頼が厚いことに期待し、2022年早々の議会承認と同ポストでのご活躍を祈念したいと思います

同氏が役員である企業webサイトでの紹介
https://aerospace.org/person/honorable-william-laplante
https://www.iafastro.org/biographie/william-a-laplante.html

米空軍調達担当次官当時のLaPlante氏関連記事
「LaPlante氏の退任会見」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-11-25
「次期爆撃機選定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-10-01
「F-35の急激増産が課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-10-1
「2023年は装備計画が大集中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-07-14
「軍需産業と計画段階から意思疎通」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-02-17

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無人機X-61をC-130輸送機が空中発進&回収成功 [米国防省高官]

X-61 Gremlins Air Vehiclesとの全長4mの多用途無人機
飛行中のC-130輸送機がマジックハンドでつかみ取る

X-61 Gremlins.jpg11月5日、米国防省最高位の研究開発機関DARPAが、C-130の翼下から発進した多用途無人機X-61 Gremlins Air Vehiclesを、同じC-130輸送機のマジックハンドで飛翔中に回収することに成功したと発表しました

このX-61 Gremlinsは、2016年から第1段階デモ開発が始まり、2018年に第3段階開発プログラムを開始したターボファン推進の無人機で、光学センサーや赤外線カメラ、電子戦装備や兵器など多様な装備兵器を搭載可能で、最高速度マック0.6、航続距離560㎞の性能を有すると言われています

X-61 Gremlins2.jpgまた、既存の航空機の兵器搭載ポイントに装着輸送&発進可能に設計されており、半自立飛行が可能で有人母機や地上管制施設1か所から同時に8機をコントロールできることから、「無人機の群れ」として行動する技術開発実証を狙っているようです

X-61の概要
・全長4.2m、Wingspan 3.5m、幅高さ各約50cm、重さ680㎏

以下のYouTube映像でご覧いただけるように、X-61は自立飛行でC-130に近接して編隊飛行し、マジックハンドで回収されやすい位置を維持して飛行しており、DARPAが発表声明で述べたように「長年に渡るハードワークの成果」と思われます

X-61のC-130による空中回収


5日付米空軍協会web記事によれば
●DARPAのX-61責任者Paul Calhoun中佐は、「回収実験により、安全で信頼に足る空中回収技術を証明できた」、「回収した機体を修復し、24時間以内に再飛行させることが可能なことも実証した」と試験飛行を説明し、
X-61 Gremlins3.jpg●「空中発進可能な自立型無人機が空中回収可能となれば、劇的に無人機の活動距離が延伸でき、その可能性が広がる」とその意義を語った

●5機製造されたX-61は、2021年1月に初めての飛行試験を行ってデータリンクや飛行性能など無人機としての基本性能を確認した以降、電気系統の故障等により2機を失っているが、現有3機で試験開発を継続し、30分以内に4機を空中回収可能なことを実証することは可能だとDARPAは説明している
///////////////////////////////////////////

米国防省の無人機開発について久々にご紹介したような気がしますが、無人機開発の動き全体がどうなっているのかさっぱり表に出てきません。無人機からの防御については色々話が出ていますが・・・

無人機の群れ関連
「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-30
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26 
「無人機の群れに空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「米海軍が103機の無人機群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1

無人機ウイングマン構想
「頭脳ACSを2機種目で試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-02
「Skyborg構想の頭脳ACSで初飛行2時間」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-06
「多用途ドローン投下試験成功」→https://holylandtokyo.com/2021/04/09/103/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holylandtokyo.com/2020/05/24/679/
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1

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国防副長官がハイブリッドや電気自動車の導入推進と [米国防省高官]

戦術車両はまずハイブリッド車へ
基地内使用の非戦闘車両は直接電気自動車へ
ただ、カギとなるバッテリー生産の2/3が中国とのジレンマ

Hicks.jpg11月8日、Hicks国防副長官が講演で、バイデン政権の温室効果ガス削減方針に沿って、政府機関で最大の化石燃料使用組織である国防省は、ハイブリット車や電気自動車の導入を積極的に進めると語り、17万両の基地内利用非戦闘車両は電気自動車に、戦術車両はまずハイブリッド車化を目指すと語りました

米政府機関の中で最大の車両保有組織は米国郵政サービスだそうですが、化石燃料使用量はダントツで国防省がトップで、原因は燃費の良くないHumveeのような戦術車両を陸軍だけで24万両以上も保有しているからです。

Mabus1.jpgオバマ政権時にも化石燃料消費削減への取り組みがあり、特に当時のMabus海軍長官は熱心で、2009年に発表したプランでは、2020年までに海軍と海兵隊の化石燃料消費量を5割削減するとの高い目標を掲げ、トウモロコシや動物の脂肪や排泄物から代替燃料を得る計画をぶち上げました

しかし、その後の原油価格の下落や代替燃料確保の困難から計画は行き詰まり、オバマ政権の終わりと共に計画は消えてしまいました
Hicks4.jpgHicks副長官のハイブリッド車や電気自動車導入促進は、オバマ政権当時の動きと重なるイメージがありますが、当時と同様にその実現は容易ではありません

9日付Military.comは記事はHicks副長官構想の課題として、ハイブリッド車や電気自動車導入のカギを握るリチウムイオン電池の2/3を中国が供給している点や、戦場での電力供給手法の確立を上げていますが、どちらも重い課題で、米国産業界など民間の知恵も動員して取り組みたいと副長官は語っていますが「道遠し」の印象です

9日付Military.com記事によれば
Hicks3.jpg●Hicks副長官は電気自動車導入メリットを、「電気自動車は静かで、熱発生量が少なく赤外線で捉えにくい一方で、信じられないレベルのトルクを確保できる。また車両の構成部品が少なく済むことから、車両維持整備のための兵站負担を軽減することが可能になる」と強調した
●同時に副長官は、このように電気自動車導入は軍事力拡大に寄与するが、民間企業の力を借りないと乗り越えられないハードルにも直面していると認めつつ、最先端の国防技術開発と自動車業界の技術革新が国防省プラン実現の鍵だと訴えた

●例えば米陸軍は、将来戦場での電力供給網を確保するため「new micro-grid technology」開発に取り組んでおり、米国自動車業界でもGMは2035年までにガソリン車を廃止するなど、ハイブリッド車や電気自動車への動きが業界全体で加速しており、そのような動きに期待している

micro-grid.jpg●ただし、ここで重要なリチウムイオン電池は2つの問題を抱えている。一つは中国が世界の生産量の2/3を占めており、米国の計画はこのままだと中国に依存しなければならない点と、同電池が廃棄時に毒物になり環境に悪影響を与える可能性がある点である
●米国は同電池の生産量を固めるための施策を打ち始めているが、中国が10年に渡る莫大な投資で獲得した地位を超えることは容易ではない

●副長官は「市場にシグナルを送り、必要なプロセスが進むようにすることが必要だ」、「国防省としても国家安全保障の点からその重要性を訴え、米国で産業界を含めた動きが加速するように取り組んでいく」と語った
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Humvee2.jpgこのような改革構想発表の際は、「・・・initiative」とか「・・・vision」との名称やキャッチフレーズが飛び出したりするのですが、少なくとも記事にはそのような言葉は出てきません

ところで、トヨタ自動車の豊田社長が訴えていた、電気自動車導入には電力を確保する必要があり、単純に温室効果ガス削減にはつながらない・・・との正論に、米国防省はどのように答えてくれるのでしょうか? 

「熱発生量が少なく赤外線で捉えにくく、車両の構成部品が少なく済むことから、車両維持整備のための兵站負担を軽減することが可能」・・・とのメリットで突っ走るのでしょうか?

電気自動車導入など関連記事
「米陸軍が電動戦闘車両導入の本格検討へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-23-1
「米国防省が気候変動対処構想CAP(Climate Adaptation Plan)発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-08
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07

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米国防省がアフガン人が写る画像映像記録公開停止 [米国防省高官]

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12万枚以上の写真と1.7万本の映像を当面の間
米国に協力したアフガニスタン人をタリバンから守るため

Kirby4.jpg11月1日、米国防省のJohn Kirby報道官が会見で、米国に協力したアフガニスタン人をタリバンから守るため、米国防省や米軍の活動を画像&映像で公開しているDVIDS(Defense Visual Information Distribution Service)で当面の間、アフガニスタン人が写った写真や映像を公開しない措置をとると明らかにしました

膨大な画像や映像から、関連画像や映像を非公開にする作業はアフガニスタンがタリバンの手に落ちた8月中から開始され、2か月以上を経た今も継続していると同報道官は語っており、過去約20年間の記録から、既に12万枚以上の写真と1.7万本の映像を非公開にしたと説明しています

DVIDS.jpgあくまでも当面の間の「非公開」であり、適当なタイミングで再び公開する予定で、あくまでも非公開措置であり削除するわけではないと同報道官は強調していますが、数年で再び公開されるとも考えにくく、軍の展開と撤収に伴う難しい問題の一つとして記憶にとどめるべく、ご紹介しておきます

1日付米空軍協会記事によればKirby報道官は会見で
●私は、過去20年間の戦いを通じて蓄積されてきた、(米国を支援した)個人やその家族が特定されるような画像や映像を、当面の間、非公開にするよう指示した。私の提案であるこの措置は、NSCや今もアフガン人の国外脱出を手助けしている国務省と相談の上で実施している
afgan interpreters3.jpg●膨大な労力を要するこの作業は、8月から9月にかけて行われたアフガニスタン人の国外避難作戦の間も静かに進められていたが、2か月以上経過した今も続いている

●我々は、タリバンが(米国活動を支援したアフガニスタンの人々を)親戚や家族を含めて見つけ出すことを懸念している。
●これまでのところ、タリバンがDVIDSを使用して、アフガニスタン人を特定したり標的にする特別の情報や兆候は察知していないが、このような懸念は明らかであり、非公開のする判断に躊躇はない

afgan interpreters.jpg●私はこの非公開措置が正しい判断であると信じており、我々はこの措置をお世話になったアフガニスタン人へのリスペクトと注意深さから実施している
●非公開にした画像や映像が消去されることはない。再び公開する適当な時期が来たら再公開する
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Defense Visual Information Distribution Service
https://www.dvidshub.net/

いろんな意味で、海外で軍隊が活動することの深い意味とその後々への影響を考えさせられます

アフガン避難民関連の記事
「米本土米軍基地にアフガン避難民5.3万人」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-26
「アフガン避難者輸送作戦最初の10日」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-24
「C-17輸送機1機に823名も」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-22
「アフガン語通訳1.8万人を特別移民認定へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-26
「タリバンに渡った米国製兵器」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-30

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米国防省の兵器輸出責任者が怒りの辞任 [米国防省高官]

バイデン政権の「人道主義」で輸出手続き停滞
中東に中国が無人機猛烈輸出の中で米はお手上げ状態
トランプ合意のUAEへのF-35やサウジへの精密誘導兵器輸出も

Grant4.jpg13日、米国防省で武器輸出を取り仕切るDSCA(Defense Security Cooperation Agency)トップのHeidi Grant長官が、勤務15か月で辞任を表明(正式離職は11月7日)し、発表前日の講演で、バイデン政権の武器輸出への消極姿勢を非難する発言をしていたことから、怒りの辞任との見方が世界で報じられています

Heidi Grant長官は、昨年春から文民として初めてDSCA長官職に就任しましたが、その前に30年近く空軍省で勤務し、空軍関連装備の輸出や国家間協力を担当していた同分野のスペシャリストで、世界中に人脈がある人物として知られた方です

米国は、トランプ政権時に「人道主義」を前面に出したオバマ政権時の方針を大きく転換し、武器輸出に積極的な姿勢を見せ、イスラエルを説得してUAEへのF-35輸出交渉を進め、「MTCR(ミサイル技術管理レジーム)」解釈変更による攻撃型無人機輸出への道を進んでいました

Grant5.jpgしかしバイデン政権は、発足当初こそ中国やトルコ等による中東などへの無人機輸出攻勢や、イランの軍事脅威を意識し、武器輸出に関するトランプ政権の方向性を維持する姿勢と報じられたものの、その後は全く動きがなく、UAEへのF-35輸出やMTCR解釈に関しても、全く動きがみられない状況が続いています

米国の武器輸出に慎重な勢力は、イエメン等の紛争地域で民間人が犠牲になる恐れや地域の軍事バランスを不安定化させる懸念、軍事技術の海外流出を懸念材料としていますが、Grant長官は、米国が進出しなければ他の競争者が進出するだけだ・・・と、中国等がその穴を埋めるだけだと警鐘を鳴らし続けていたところでした

13日付Defense-News記事によれば
Grant6.jpg●退任発表前日の12日、Heidi Grant長官は米陸軍協会総会で武器輸出に関するパネル討議に登壇し、米国が中東諸国などに無人機を売却しない姿勢を保っていることで、中国による無人機輸出を許すことになっていると不満を述べている
●同長官は「米国が無人機をそれらの国に提供し、使用法を訓練し、相互運用性を高め、当該地域で存在感を示して長期的な友好関係を構築するチャンスがあったのに・・・・こんな状態だから」と講演で悔しさをにじませた

Grant-AFA2.jpg●また同長官は、地域の軍事バランスを崩さないことや機微な軍事技術の流出を避けるためとの理由で武器輸出に反対する勢力に対し、戦略的競争環境は既に変化しており、従来の考え方を変えるべきだとと述べた
●そして「我々が出ていかなければ、戦略的敵対者がその空白を埋めるだけだ。技術流失のリスクより、そのリスクの方が大きいのではないか?」と疑問を呈した

●バイデン政権の初期、バイデン政権がトランプ政権の武器輸出緩和姿勢を概ね引き継ぐとの観測報道も見られたが、8月にはロイターが、バイデン政権が議会に、人権を重視する立場から兵器輸出方針全体を見直すと説明したと報じている。この件についての続報はないが。
Grant7.jpg●バイデン政権は、トランプ政権が合意したUAEへの約2兆5000億円のF-35輸出や、サウジへの約8500億円の精密誘導兵器輸出を無期限停止にしたままである

●ちなみに、DSCA報道官は「長官は以前から辞任のタイミングを検討しており、DSCAが組織改編して新たな態勢への変革を実施したタイミングで辞任を判断したものだ」と、前日の講演での発言との関係を否定している
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まんぐーすはGrant長官支持派で、中国に空白を埋められるぐらいなら、米国が進出すべきだ・・・と考えますが、単純すぎるでしょうか?

Grant9.jpgHeidi Grant女史の辞任の真の理由をご本人は語っていませんが、11月7日以降のご発言に期待いたしましょう

なお14日、ボーイング社はGrant女史を11月8日付で、同社の「defense, space and government services sales teams」担当副社長として迎えると発表しています。手ごわそうです

中国無人機が中東で増殖中
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「中国無人攻撃機が中東で増殖中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-06-2

中東へ初のF-35輸出はUAEか
「バイデン就任直前に輸出契約か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-11
「イスラエルがUAEへのF-35に事実上合意」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-26
「米大統領:UAEへのF-35輸出は個人的にはOK」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-18

米国の武器輸出管理の緩和問題
「半年以内に武器輸出制限を緩和したい」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCR解釈変更で無人機輸出へ?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-25
「国防次官:半年で武器輸出規制緩和へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「2018年の武器輸出促進策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-2
「中国無人攻撃機が中東で増殖中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-06-2
「輸出手続きの迅速化措置」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「肩透かし無人機輸出緩和」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-3
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06
「無人機輸出規制の見直し開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04

Heidi Grant女史:空軍省時代のご活躍
「同盟国等へ:米軍の弾薬を今後頼りにするな」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-11-21-1
「米空軍幹部が企業に海外売り込み助言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-02-27
「欧州とISRや空中給油や空輸で協力模索」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-04-02
「陸軍国が航空戦力強化に関心」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2013-09-28

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米国防省が外国製ドローン購入ガイダンス示す [米国防省高官]

情報漏洩につながる中国製排除狙い
噂のDa Jiang Innovations (DJI)などが対象か

Hicks3.jpg10日、Kathleen Hicks国防副長官が、市場で販売されている市販ドローンを米軍や国防省関係機関が購入する際の「Guidance」を定めたと発表し、これにより米国安全保障の脅威となるドローン購入を防止し、同時に日進月歩で技術革新が進む無害で有用な市販ドローン活用を促進することができると説明しました

「Guidance」が具体的に何を示しているのかは公表されていませんが、米軍や国防省機関が市販のドローンを購入する際は、国防省CIO(chief information officer)と調達担当国防次官の承認を得ることが定められているようです

DJI Drone.jpgこのガイダンス制定の背景には、2019年に国土安全保障省が、中国企業Da Jiang Innovations (DJI)製造の小型drawを使用すると、関連運用データが中国側に送信される恐れがあると警告し、内務省がDJI製ドローン中止を決定した経緯があるようです

米国防省報道官は、過去にドローン関連で情報漏洩が発生したかどうかについて言及を避けたようですが、新ガイダンスにより外国製ドローン購入が厳格に規定されると語っています

13日付米空軍協会web記事によれば
DJI Drone2.jpg10日の国防省発表は、国防省組織がどの企業製のドローンを購入可能かについて管理することで、市販の全てのサイズのドローン購入を容易にするとともに、市販ドローン使用により中国のような国への情報漏洩につながらないようにするものだと新ガイダンスを説明している
新ガイダンスは同時に、国防省によって規制されない安全な市販ドローン購入をより自由かつ容易にするため、国防省機関による購入手続きを明確にするものだと国防省は説明している

DJI Drone4.jpg国防副長官は、2020年度国防授権法が定めた中国製ドローンへの規制を求めた指示に沿って新ガイダンスを定めた
今年7月23日に国防省は、中国DJI製のドローンが国家安全保障上の脅威になると明らかにし、「DJI製を含む小型ドローンの脅威を除去することは、国防省機関すべてにとっての最優先事項だ」との声明を出していたところである

DJI Drone5.jpg13日、Jessica Maxwell国防省報道官は、「国防省は機微な情報を守るため必要なアクションを執った。このガイドラインは国防省の市販ドローン購入をより明確に規定するものとなる」、「同時に民間企業の技術革新成果を有効に活用するための規定でもある」とコメントしている
なおトランプ前大統領は最後の大統領令の一つで、中国製電子部品やソフトがもたらすリスクを背景として米国製ドローン購入促進を指示しており、今回発表のガイダンスはこの大統領令に沿ったものだとも報道官は説明した
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10日付米国防省の発表
https://www.defense.gov/Newsroom/Releases/Release/Article/2770897/department-guidance-on-procurement-and-operation-of-dod-unmanned-aircraft-syste/

日本の経産省や国交省、もちろん防衛省にも注意していただきたいと思います

情報共有と漏洩防止のはざまで
「軍需産業との情報共有に乗り出す」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-05-1
「半導体での米国巻き返しを討論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-25
「中国製部品排除に時間的猶予を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-15
「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1
「米国製兵器は偽物だらけ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-29
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10

危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-02
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26

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