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空軍士官学校経験者が大谷翔平を目指す [ちょっとお得な話]

MLB2023年ドラフトで1番指名最有力候補
163㎞の速球で大学野球最高の投手と
2年生まで米空軍士官学校で過ごした逸材

Skenes2.jpg7月9日に行われる米大リーグ野球の新人ドラフト「Major League Baseball draft」で、米空軍士官学校で2年生まで過ごし、その後ルイジアナ州立大学に転向してその日を迎えるPaul Skenes投手(21歳)が大きな話題となっています

Skenes投手は、102マイル(約163㎞)の速球を投げる全米大学野球史上でも最高の投手の一人と評価されており、また大谷翔平選手にあこがれて「二刀流」を目指している選手として、2022年11月放送のNHKスペシャル「メジャーリーガー大谷翔平 2022 アメリカの新たな伝説へ」で、大谷選手に強く影響を受けて後を追う有望若手選手として紹介されたほどの実力の持ち主です

Skenes.jpg6月26日に野球の全米大学選手権でフロリダ大学を破って優勝したルイジアナ州立大学(LSU)のエース投手として、Skenes投手への評価はさらに上昇しており、6月29日現在でMLB公式サイトが運営している「ドラフト有力候補選手ランキング」では、投手と野手総合ランキングで第2位につけており、ドラフト指名1巡目での指名が確実視されているようです

同投手の公式紹介映像(約8分半)をMLBが公開していますので、以下で是非ご覧ください。いくつかの逸話をご紹介すると・・・


・ロス出身の同投手は、高校時代はキャッチャーと三塁手をやっており、投手としてもクローザーをやっていたとのこと。高校のチームにキャッチャーがいなかったのが原因とか
・軍経験のある3名の叔父(2名が海軍、1名が沿岸警備隊)の影響で、空軍士官学校に入学(簡単には入れませんよ! 学業とリーダーシップの両面で優秀でないと)

Skenes3.jpg・空軍士官学校1年生で、1年生で唯一全米代表メンバーに選出。空軍士官学校から全米代表になったのは約30年ぶりとか。1年時の成績は打率4割強で、ホームラン王にも輝き、投手としても既に160㎞の速球で最多セーブ賞を獲得
・2年生でも打率3割強、防御率2.7台で、再び全米代表メンバーに選出され、この年から設定された全米大学「最優秀二刀流選手」に選出された。また53年ぶりに空軍士官学校を全米選手権へ導いた

・空軍士官学校では学業も優秀で、MLB紹介YouTube映像でも、20歳の若者のインタビューとは思えない落ち着いた受け答えが確認できる
Skenes4.jpg・空軍士官学校では、3年まで在籍すると卒業後5年間の軍務が義務となることから、悩んだ結果ルイジアナ州立大学へ転籍することを決断。ただその後も空軍士官学校や米軍とのつながりを忘れず、LSUで士官学校時代に事故で亡くなった同級生の背番号「20」を選択し、軍人遺族支援団体への協力を引き続き行っていることでも知られている

・LSU3年生のシーズンでは、防御率1点台、奪三振率が1試合当たり17を超え、前述のMLB紹介映像では「The best pitcher in college baseball」と紹介されている

Skenes5.jpg6月27日付Military.comは、同選手の空軍士官学校時代のチームメートやコーチが、「優れた人物で、普通はあり得ないが、2年生時にキャプテンを務めた」、「留学生には特に優しく親身になって接していた」、「(投手コーチの言葉)彼からの質問で私はコーチとして成長できた」、「彼の転校決断に皆が賛成した」等々と語っている様子を紹介しており、士官候補生としても優れた資質を発揮していたことが伺えます

映像を見ると、背中を丸めるように投げるフォームが、不滅の5000奪三振と7度のノーヒットノーラン達成のカリフォルニア超特急「ノーラン・ライアン」に似ているような気もしますが、7月9日のMLB新人ドラフトにぜひ注目したいと思います

「Paul Skenes baseball」で検索すると、たくさん映像も見られるので、Paul Skenes投手の速球とスライダーをぜひご確認ください

米空軍士官学校関連
「卒業生86名が宇宙軍へ」→https://holylandtokyo.com/2020/04/25/735/
「士官学校でのセクハラ問題議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-10
「出て行ってくれ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-09-30-2
「校内内通者が反旗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-10-1
「性犯罪対処室が捜査対象」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-04

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米議会が国防省や陸空軍に無人機防御策レポート要求 [Joint・統合参謀本部]

分散や機動重視の作戦運用構想で展開先をどう防御するの?
来年2~3月期限で具体的な構想を要求

JCO high-power micro3.jpg6月13日付米空軍協会web記事は、米下院軍事委員会小委員会が2024年度予算関連法案の中で、米空軍が対中国を主に念頭に置く、航空戦力の小規模分散&機動展開構想ACE(Agile Combat Employment)でカギとなる、施設不十分な機動展開先飛行場の無人機脅威等からの防御体制(機動展開可能な防空システム計画、コスト見積もり、計画時程、想定装備調達や開発や運用に必要な判断事項など)を、2023年2月1日までに報告要求すると報じています

JCO2.jpgまた同記事は、米議会は米空軍だけでなく、来年3月1日期限で国防省に対しても、敵の無人機に対して、レーザーや電磁パルス兵器などのエネルギー兵器をどのように活用するのかに関する具体的な計画、例えば、他の防空兵器とのシステム一体化の検討状況、エネルギー兵器を使用した場合の周辺空域や人や社会インフラへの副次的な悪影響、兵士への教育訓練方針、調達規模や兵器維持に関する見積もり等々を要求しています

特に米陸軍に対して取り組みの遅れを厳しく指摘し、同様の期限で、統合の小型無人機対処検討チーム(JCO:Joint Counter-small Unmanned Systems Office)が検討&提案している対策案を、どのように取り入れる計画なのかを求め、「特に陸軍は、既に有効性が他軍種等で確認されているシステム導入にも、米特殊作戦軍と共に実戦環境で使用しているシステムにも、JCOが推奨システムにも、具体的に進む決定をしていない」と非難しています

Coyote Raytheon3.jpg既に「今そこにある危機」として脅威に直面している米中央軍のGuillot副司令官は具体的に、「高度150~300mを、速度15~30㎞で飛来する小型ドローンやその群れを、様々な防空システムを融合して、多層的に対処可能な防御態勢確立を求めている」、「複数でなく、1個スクリーンに脅威情報や対処状況がまとめて表示されるような仕組みを望んでいる」と訴え、

同じく中央軍のRenshaw作戦部長は、「Amazonで手りゅう弾や小型無人機が簡単に入手可能な今の時代は、誰もが見通し外の範囲を射程に収める攻撃力保有者になれる」と危機感を訴えています

THOR AFRL3.jpg米中央軍が直面するこのような課題は、対中国作戦を司る太平洋軍にも突き付けられた課題であり、グアム島のアンダーセン基地司令官等が不可欠な基地防空の重要性を訴え、また最近12名の多能力整備員チームで2機のF-35再発進準備に実験演習で挑戦した部隊指揮官も、敵の空からの脅威に対する守りの重要性を大前提として期待していたところです
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対中国作戦で米軍が分散&機動展開拠点として使用したい西太平洋の島々でも、米中央軍が直面しているような小型無人機の脅威を当然想定する必要があると思います。

solomon3.jpg既にソロモン諸島は中国治安部隊の駐留を可能にするような安保協定を中国と結び、インドネシアの米国への塩対応など、中国の西太平洋への浸透は、「南シナ海埋め立て要塞化」ほど目に見えないものの、「札束攻勢」で草の根レベルで根を張っていると考えるべきで、小型ドローン攻撃実施など簡単でしょう

沖縄はもちろんのこと、西日本の米軍や自衛隊基地も、当然のことながら「脅威下にある」と考えておくべきでしょう

西太平洋への中国の浸透
「インドネシアは米に塩対応」→https://holylandtokyo.com/2023/05/24/4640/
「ソロモン諸島と安保協定」→https://holylandtokyo.com/2022/04/11/3119/

THOR関連の記事
「電磁パルス兵器THOR群れ対処試験に成功」→https://holylandtokyo.com/2023/05/26/4663/
「装備名Mjölnirで24年にプロトタイプ作成へ」→https://holylandtokyo.com/2022/07/14/3432/
「マイクロ波で小型無人機の群れ無効化狙う」→https://holylandtokyo.com/2021/07/06/1942/

物理的破壊方式のCoyoteなど
「シリア拠点で実戦防御に成功」→https://holylandtokyo.com/2023/02/06/4201/

米軍の小型無人機対処関連
「JCOが小型無人機対処3機種吟味」→https://holylandtokyo.com/2022/05/17/3233/
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holylandtokyo.com/2021/06/02/1708/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14

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米陸軍トップ:ウクライナで露が制空権で優位に!? [Joint・統合参謀本部]

航空優勢は「どこも握っていない」と言いつつも
露の攻撃型ヘリや安価なドローンで「ウ」が苦戦と
西側提供の多様な防空兵器の連携運用が必要とも
ウ外相は「最大の問題は、ロシアが空を支配している事だ」と

McConville7.jpg6月23日、まもなく退役予定のMcConville米陸軍参謀総長が、ドイツで開催された33か国の欧州陸軍首脳が参加した会議後に記者会見を行い、ウクライナ軍の反転攻勢がロシア側の安価なドローンや攻撃ヘリによる航空攻撃で困難に直面していることを示唆し、西側から提供された多様な防空システムのセンサー情報や指揮統制を一元的に管理して運用することの重要性に言及しています

同日付米空軍協会web記事によれば、McConville米陸軍大将は、ウクライナ側もロシア側も戦場における「航空優勢」は握っていないと述べつつも、ロシア軍が投入している安価なイラン製ドローンによって、ウクライナ側の防空システムが飽和させられるようなことがあってはならないと表現し、防空ミサイルの弾薬不足が指摘される中で相当の危機感をにじませた模様です

Stinger SAM.jpg更にMcConville参謀総長は、6月から開始されているウクライナの反転攻勢が難航している背景として、ロシア軍の攻撃ヘリを主とする航空戦力が活動を活発化していることに警戒感を示した模様です

23日にはウクライナのDmytro Kuleba外相がBBCに対し、「地上戦においてわが軍が直面している最大の問題は、ロシアが空を支配している(dominance of Russia in the air)ことである」と語っており、McConville米陸軍参謀総長よりも明確に、 ロシア側に空の支配が握られつつある現状に言及しています

McConville3.jpg夏に退役予定のMcConville大将は前述のように「空の支配が一方に握られていない」としつつも、米軍として「各国がウクライナに提供した様々な防空システムが、センサー情報や指揮統制が融合して一元的に実施できるように、関係同盟国等と緊密に協議しつつ「Integrated Battle Command System」を導入しつつある」とも、現在の取り組みを説明しつつ、

更に対中国で注目を浴びているグアム島の防空体制強化にも導入が進められている米陸軍の防空システムについては特に問題があるわけではない、と強気の姿勢を崩す事はなかったようです。

なお同参謀総長は、この機をとらえて「HIMARS」の有効性を強調し、敵の兵站拠点や指揮統制司令部を攻撃することで、最前線の作戦を大いに支援出来ているとアピールし、米陸軍が対中国で取り組んでいる「遠方からの攻撃力強化」の正しさを主張しています
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Ukraine air defense.jpg最近のウクライナ大統領の会見では、ロシア側が配置した大量の地雷が、ウクライナ軍反転攻勢の大きな障害となっているとの説明がありましたが、西側提供の防空兵器の枯渇がじわじわとウクライナの防空能力を弱体化させ、ロシア軍の「航空優勢」確保と航空戦力投入機会を与えつつあるのかもしれません

攻撃ヘリの威力もそうですが、攻撃兵投入に至る前段階で、大量の安価な無人機投入により、ウクライナの防空兵器を消耗させる作戦が成果を上げつつあるのかもしれません。残念ながら・・・

ウクライナでの無人機脅威を考える
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦に直面」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「イラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

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対中国に備えた患者空輸医療チームの取り組み [米空軍]

負傷者空輸量の多くなかった中東20年から意識転換
患者トリアージなど厳しい選択を迫られるケース増に備え
中東からの空輸の2倍以上の飛行時間も課題

911thAE.jpg6月16日付米空軍協会web記事が、過去20年間の中東での戦いとは異なる対中国本格紛争に備え、米本土を拠点とする第911患者空輸医療隊が部隊レベルで取り組む様子を報じ、アジア太平洋での戦いの厳しさを改めて紹介しています

第911患者空輸医療隊は、多くの場合C-17に応急措置を施した負傷兵を乗せ、前線基地から欧州や米本土の大規模医療施設に移送する役割を担っている部隊で、最大60名患者用担架ベッドを設置できるC-17輸送機を、

911thAE2.jpg通常は患者空輸を2名の看護師と3名の衛生技術兵(medical technicians)、又は3名の看護師と4名の衛生技術兵で担当が基準ですが、これを対中国では1名の看護師と2名の衛生技術兵で担当せねばならない可能性が見積もられているようです。

また、患者の空輸準備や飛行中の様態急変時に、この看護師と医療技術兵は無線等を通じて医師・救急ケア専門の看護師・呼吸器専門家から編成されるCritical Care Air Transport Teams (CCATTs)に助言を求めるますが、本格紛争時には通信途絶も予想されることから、より厳しい判断を患者空輸医療隊の搭乗員が求められる事も想定されています

911thAE6.jpgこのような厳しい場面を想定し、同部作戦担当幹部であるFoster中佐は、月に2回以上「不足事態対処」の訓練を組み込み、例えば、離陸した後に、追加の患者輸送を命ぜられて引き返して対処したり、症状の軽い患者に重症患者の「止血」措置支援を「同意を得た上で」お願いする訓練等々を行っていると語っています

また、2021年8月のアフガニスタンからの脱出飛行の際に、数百人が押し込まれたC-17輸送機内をたった一名の医療技術兵で対処し、避難民の協力も得て「出産に成功した事例」等も教材に、予期せぬ事態での柔軟な対処や、原点に立ち返って最善を尽くすメンタル面での準備にも取り組んでいるとも説明しています

911thAE4.jpgもちろん部隊独自だけでなく上級司令部とも連携し、緊急事態での搭乗医療チームへの権限移譲をどこまで可能にするか等の協議や、有事に使用可能な輸送機が限定されることを想定し、他の搭載物資(兵員、弾薬、物資等)と「患者を混載」する要領等について検討も行っている模様です

またFoster中佐は、アジア太平洋からの空輸は、中東からの作戦に比して長時間フライトとなる事への難しさにも触れ、「例えば日本から米本土へ空輸する場合、(カタールからドイツへの空輸の2-3倍の)12-15時間フライトが予期されるが、これは搭乗員にも患者にも極めて厳しいフライトとなる」と述べています

911thAE5.jpg更に同中佐は、アジアの同盟国軍にも患者空輸組織が存在しているが、長距離をそれなりの規模で空輸可能な組織は米空軍のみであり、同盟国負傷への支援も考慮すべき課題だと触れています

その他、米空軍の輸送機不足が明白になっている中、同盟国の輸送機を使用した患者空輸訓練にも着手しているとし、例えばカナダ空軍保有のC-130より小型の「Twin Otter」輸送機で訓練した経験にも触れています
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911thAE3.jpg日本のメディアや専門家が取り上げることはありませんが、ウクライナでの戦いで表面化し、改めて重要性が顧みられることとなった対中国作戦での「弾薬不足」や「輸送能力不足」に加え、撃墜や撃沈された航空機や艦艇の乗員を救出する「救難救助体制」の不備や、今回ご紹介した「救急医療や負傷者輸送能力」の不足は、

有事になって表面化した場合、米国世論に大きな影響を与え、米国政府として戦いの継続是非の判断を迫られる極めて重要な要素だと思います。

同盟国の負傷兵空輸にまで頭を使ってくれている「第911患者空輸医療隊」に甘えることなく、日本もこれを契機に、何ができるか、何をすべきかをチェックすべき課題だと思います

関連で対中国作戦の「救難救助体制」不備
「救難救助検討は引き続き迷走中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/23/4592/
「救難救助態勢が今ごろ大問題」→https://holylandtokyo.com/2022/07/15/3463/
「米空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2022/09/08/3614/

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ベルギーの欧州戦闘機開発関与希望がさざ波を [安全保障全般]

ベルギーが仏独スペインのFCASへオブザーバ参加希望か
FCAS主要企業の賛否が分かれる中
ニッチ分野への自国軍需産業関与狙いか

Dedonder.jpg6月16日付Defense-Newsは、F-35のFMS購入国であるベルギー国防相が最近数か月間に繰り返し、欧州で進んでいる2つの次世代戦闘機開発プロジェクトのどちらにどの程度関与するのかを明確にすべきだと同国政府に要望しているが、実質的には「仏独スペイン」チームが進めるFCAS計画への「オブザーバー」参加を求め、同チーム国に打診していると報じています。

この報道を理解するため、2018年頃からスタートしている2つの次世代戦闘機開発プロジェクトを復習しておくと・・・

「独仏スペイン」のFCAS(Future Combat Air System)
→独Airbus, 仏Dassault, スペインIndra、仏Thales, 仏MBDA and 仏Safranなど
「英伊スウェーデン+日本」のGCAS(Global Combat Air System)
「TEMPEST」計画とも呼ばれる
→英BAE、英ロールスロイス、スウェSaab、日MHI、伊Leonardoなど

FCAS.jpg・・・の2つですが、本日取り上げるベルギーは、日本が昨年参画を表明した「英伊スウェーデン」チームのGCASではなく、「独仏スペイン」チームのFCAS計画の方に「オブザーバ」参加を打診しているとのことです。

ちなみにベルギーは、F-16戦闘機の後継として、2018年に34機のF-35A導入を決定し、2030年までに34機導入完了する契約を結んでおり、最初の4機を2023年に受領することになっています(ただ、コロナの影響で今年は2機のみ受領になりそうとか)

FCAS2.jpg記事は、「オブザーバ参加」の定義は明確になっていないとしつつも、複数のベルギー関係者の話として、ベルギーは当面の間はとりあえず正式共同開発国ではなく「オブザーバ」の位置づけでFCASに関与し、特許や中核的技術部分へのアクセスや製造参画は追求せず、ニッチな装置や部品提供を通じてベルギー軍需産業界のFCASへの関与を追及しているのではないか・・・と伝えています

「独仏スペイン」チームのFCAS計画は現在、独仏スペイン3か国政府と主要関連企業である独Airbus, 仏Dassault, スペインIndraを交えた「シェア争い」が続いており、より多くのシェアを要求して一歩も譲ろうとしない仏Dassaultの強硬な姿勢を受け、「着地点を探して上空で旋回中」との状態継続中とのことですが、FCAS関係企業のベルギーの希望に対する反応は様々です

Trappier.jpg警戒心を強く打ち出しているのは仏Dassault社のCEOであるÉric Trappier氏で、「オブザーバ参加」について排除するとまでは言及していないようですが、F-35購入国が「独仏スペイン」と同等の共同開発国に入ることには強く反対し、

5月の講演で「ベルギーの関心事項を耳にしてはいる」、「F-35購入国がFCAS計画メンバーに入ることは賛成できない。F-35を選択した国の関係者に、なぜ私の工場やオフィスで場所を提供する必要があるのか?」、「ベルギーにも仕事を分けてやれよと言う人がいるが、私は賛成しないし、戦う用意がある。なぜベルギーに仕事を分け与える必要があるのだ」と声を荒げて語ったようです。

(ちなみに独は2023年3月にF-35導入決定しており、NATOの核運搬任務遂行のためとの大義名分はあるものの、仏としては不満があるのかも・・・)

Dedonder2.jpgこの発言に対しベルギーの女性国防相Ludivine Dedonder氏はDefense-Newsに対し、「仏Dassault,社CEOの発言は想定していた内容だが、一つの企業のCEO発言より遥かに重い国益が掛かった問題であり、将来の戦闘機、それがFCASか、GCASかに関わらず、我が国防上の重要プログラムであり、我が国の企業が参画していることが重要なのだ」と政治的な問題であることまで示唆し、強い意志を示しています

FCASに関与している他の企業では、仏Safran社CEOは「英伊スウェ日本のGCAS側で参画されるより、我がFCAS側に関与してくれる方が望ましい」とコメントし、Airbus社報道官はベルギーの参画可能性についてコメントを避けつつ、新たな参加国受け入れの是非については、仏独スペイン3か国の政治的判断にゆだねられる問題だと述べるに止めてぃます
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F-35 Greece4.jpg現代の戦いの中での戦闘機の位置づけや重要性が急降下する中でも、大きな「お金」が動く戦闘機開発や売込みの世界には、相変わらず様々な思惑がうごめいています。

ウクライナ問題で大きな経済的打撃を受けている欧州経済を背景に、主要なF-35調達国である「米英伊」などが維持費高止まりや戦い方の変化を受けてF-35調達数削減に向けた動きを加速する中、34機のF-35導入を決定してしまった小国ベルギーも、様々に国益確保のため動き出したと見るべきでしょう・・・

仏独スペインのFCAS開発
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2

英スウェ伊+日本のGCAS開発
「英伊が日本恫喝:逃げるなよ!」→https://holylandtokyo.com/2023/02/14/4299/
「伊が訪日し協議」→https://holylandtokyo.com/2022/09/27/3699/
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11

最近のF-35購入又は追加購入決定
「小国ルーマニアも」→https://holylandtokyo.com/2023/04/18/4519/ 
「シンガポール追加」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/
「ドイツも核任務用に」→https://holylandtokyo.com/2023/03/10/4343/ 
「カナダがやっと決定」→https://holylandtokyo.com/2023/01/12/4134/
「チェコが東欧で2番目」→https://holylandtokyo.com/2022/07/25/3492/
「フィンランドが15番目」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「スイスが14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

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インドネシアにもB-52が2機初展開 [米空軍]

Cope West演習に参加・中国から遠い場所ですが
中国とも近く、米国に塩対応が多いインドネシアですが・・・
天皇皇后両陛下のご訪問とスウェーデンB-1初展開と同タイミング

B-52 Indonesia2.jpg6月19日、インドネシアに米空軍のB-52戦略爆撃機が史上初めて展開し、12日から22日の間で実施されている米国との戦闘機メインの空軍演習「Cope West」に参加すると、米太平洋空軍報道官が発表しました。スウェーデンにB-1爆撃機が2機展開したのと同じ日の出来事でした・・・

インドネシアに展開(Kualanamu Airport)したB-52は、定例の爆撃機ローテーション派遣「BTF:Bomber Task Force」の一環として、6月14日に米本土(Minot Air force Base, N.D)からグアム島のアンダーセン基地に約200名の要員と共に展開した4機の一部で、乗員の時差解消もそこそこに、インドネシアに初着陸したようです

B-52 Indonesia.jpgインドネシアは、多数の島々を合わせると世界で10番目の面積を有し、人口では世界4番目で、世界最大のイスラム国家との位置づけにある国ですが、経済成長著しい東南アジア諸国においても、有望な市場として期待される国の一つで、日本企業の進出も盛んな国です。

難点は、対中国姿勢が不明瞭で、中国と米国など西側諸国を天秤にかけているような「イライラさせる国」である事で、日本との関係では新幹線導入を「どたキャン」し、金に目がくらんで中国製を選択して大後悔している様子が日本のSNSで「面白おかしく」報じられていましたが、突然のびっくり仰天、B-52展開と同じタイミングで日本の天皇皇后両陛下が久々の海外訪問先として選ばれ、現地での歓迎模様が大きく報じられたところです

B-52 Indonesia3.jpgB-52の初展開を報じた21日付米空軍協会web記事は、ハーバード大研究機関の「歴史的に西側と中国の両方との関係維持を目指してきた国であり、米中間の緊張が高まった際には、インドネシアの非同盟姿勢が試されるだろう」との分析を紹介し、

更に米空軍大学教授の「情勢緊迫時に米国と中国が軍事的対立状態に至った場合にも、似たような周辺国と共に米国側について参戦するとは考えにくいが、課題や懸案は存在しても、意志と創造的な努力で課題を乗り越え、関係を強化することが可能だ」との4月の論文の一節を紹介しています
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B-52 Indonesia4.jpg一方で5月11日には、同国を訪問した米陸軍参謀総長に対しインドネシア国防相が、「インドネシアは全ての国、特に全てのmajor powers国との関係維持を望んでいる」と強調するなど、「非同盟」を貫く同国の姿勢は、そう簡単には変わらない(変われない)のかもしれません

最近よくASEAN諸国の対米姿勢をご紹介していますが、フィリピンがマルコスJr大統領就任後、米政府報道官が「驚くべき:stunning」と表現したほど米国寄り姿勢を鮮明に打ち出したほかは、インドネシアもタイ(F-35購入希望を米が拒否)も動きが鈍いです。

blinken China.jpgただ、習近平や中国外交トップがブリンケン米国務長官との会談を6月21日に受け入れるなど、中国に毒された日本のメディアが報じない中で、「不動産バブル崩壊で中国経済大失速&大混乱」を受け、ひたひたと中国情勢のベースは変化しつつあるような気がします

最近の米インドネシア関係
「インドネシアは米国に塩対応継続」→https://holylandtokyo.com/2023/05/24/4640/
「戦闘機の機種選定」→https://holylandtokyo.com/2022/01/06/2581/
「米軍が活動拠点求め」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-16-1

フィリピンとタイの米国関係関連の記事
「米比が33年ぶりに比で空軍演習」→https://holylandtokyo.com/2023/05/08/4597/
「米比2+2とBalikatan演習」→https://holylandtokyo.com/2023/04/20/4524/
「タイがF-35購入拒否される」→https://holylandtokyo.com/2023/05/30/4702/

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NATO加盟直前のスウェーデンに史上初B-1B展開 [安全保障全般]

7月のNATOサミット(@リトアニア)でのNATO加盟直前に
2機の大型爆撃機がロシアににらみを利かす

B-1 Sweden2.jpg6月19日、米空軍の超音速爆撃機B-1が2機、史上初めてスウェーデンの空軍基地に展開着陸し、スウェーデン空軍のグリペン戦闘機と編隊飛行を披露するなど、7月のNATOサミットで32番目の加盟国となる予定のスウェーデンと米国が、加盟前の段階でも既に強固な関係にあることを改めて誇示しました

NATOでは、4月にフィンランドが31番目の加盟国として承認されたところですが、スウェーデン加盟にはトルコが反対し手続きが遅延していましたが、トルコが反対姿勢を軟化させたことから、7月ーにリトアニアで開催されるNATO首脳会議で加盟が正式承認される見通しとなっているところです

B-1 Sweden.jpgスウェーデンの南部に広がるバルチック海(ボスニア湾)に面する「Luleå Kallax Airbase」に展開した2機のB-1爆撃機は、米本土テキサス州Dyess空軍基地から英国空軍Fairford空軍基地にローテーション展開中の4機の一部で、既にスウェーデンがNATOの一部として自然に作戦行動の一部に組み込まれている状況を象徴しています

これまでもB-1爆撃機は、スウェーデン領空や周辺空域を飛行して同国空軍と訓練を実施した実績がありますが、今回は同国空軍基地に着陸し、展開期間は非公開ながら、C-130輸送機で同時展開した整備員や整備器材とともに、しばらくスウェーデン空軍基地を拠点として活動することになります

B-1 Sweden4.jpgB-1の初着陸展開に関し欧州米空軍は、「米軍は北極圏での演習訓練を行ってきたが、今回の着陸展開を伴う訓練は、米スウェーデンの友情だけでなく、欧州集団防衛の強化に資するものである」とのコメントを出し、

米国防省Sabrina Singh副報道官は、「スウェーデンは極めて高い能力の軍を有しており、長年にわたり米・NATO・スウェーデンは、共に肩を並べて訓練を重ねてきた」、「公式に32番目のメンバーとなった暁には、更に関係を深化させることを楽しみにしている」と会見で語っています。

またスウェーデン国防省も、「展開目的は、スウェーデンの領土と領空防衛のための訓練である」との声明を発表していますが、両国とも、今後同様のNATO装備展開等が増加するかには言及しませんでした
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B-1 Sweden5.jpg中立的な姿勢を長年維持してきた北欧の国々が、あっという間にNATO加盟に至りました。

一方で、なかなか対中国の連携が進まないのがASEAN諸国です。とりあえず7月11~12日にリトアニアの首都ビリニュスで開催されるNATOサミットに注目いたしましょう

NATO関連の記事
「2022年10月恒例の核兵器演習」→https://holylandtokyo.com/2022/10/13/3751/
「2030年までにF-35が500機に」→https://holylandtokyo.com/2022/04/12/3087/
「米本土に初の統合軍司令部:JFC- Norfolk」→https://holylandtokyo.com/2021/07/21/2023/

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米国防省がウクライナ提供用にStaralink契約 [安全保障全般]

昨年2月の開戦からSpaceX自腹支援を肩代わり
契約細部は価格も内容も非公表
SpaceX側の戦闘直接使用禁止要請へも対応か

Starlink2.jpg6月1日、米国防省がウクライナ国内へのSpaceX社の衛星通信サービス「Starlink」提供について、米国防省がSpaceX社から同サービスを借り上げる形で、ウクライナへの衛星通信サービスを継続することでSpaceX社と合意していることを声明文で認めました

SpaceX社の「Starlink」サービスは、2022年2月の開戦直後にウクライナ副首相(IT担当)がSNS上でイーロンマスク氏に直接要請したところ、すぐさまマスク氏が対応し、地上の衛星通信アンテナや通信端末などを速攻でウクライナ国内に届け、しかもSpaceXが通信設備や通信料を全て自腹負担したことで、世界中から喝采を浴びたサービスです

Starlink.jpgただ、長引く戦争でさすがのSpaceX社もその費用負担に耐えかね、2022年10月にマスク氏が、これまでに約100億円を同社が負担してウクライナを支援してきたが、これ以上の継続が難しいと明らかにし、後に同発言をマスク氏が同発言を取り下げたものの、米国防省は状況についてSpaceX社と協議を始めていることを当時認めています

その後の国防省とSpaceX社の交渉については表面化しませんでしたが、今年2月にSpaceXのGwynne Shotwell社長が、ウクライナ軍が同社との「Starlink」使用合意枠外である、直接的な戦場通信や攻撃連携に衛星通信を使用していることを「(同通信機能の)Weaponization」だと懸念を表明するなど、なんとなくギクシャク感が漂う状況に立ち至っていました

Starshield2.jpg一方で2022年12月にSpaceX社は、「Starlink」サービスとは異なる「Starshield」とのサービスを開始し、「Starlink」とは別枠の、国家安全保障関連サービスに特化した衛星通信や地表観測サービスを提供しており、6月1日に米国防省が認めたSpaceXとの契約によるウクライナ支援が、「Starshield」サービス関連だとも言われています

6月1日付米国防省声明は、「我々は引き続き、ウクライナが必要とする衛星や通信能力を確保できるよう、一連のグローバル企業と協同していく」、「衛星通信はウクライナの様々な通信能力の中で緊要な役割を担っており、米国防省はこの種の能力提供のためStarlinkと契約した」と発表していますが、契約時期、契約内容、関連コストについては安全保障上の非公開事項だと回答を拒否しています
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Starshield.jpg2022年2月の開戦直後に「Starlink」関連地上装備を迅速に大量にウクライナに提供しただけでなく、その後ロシア側が全力で「Starlink」に電子妨害攻撃を仕掛けた際には、

国防省の電子妨害戦担当幹部が、「泣けるほど素晴らしい迅速な対処だった」「官僚的な国防省や米軍では到底なしえなかった光速の素晴らしい仕事」と絶賛した仕事ぶりでウクライナを支えたSpaceX社を、米国防省が放置することなど到底できなかったのでしょう

また国防省や米軍内から、宇宙分野で先進技術をもつ民間会社との連携を、十分な資金を投入し、迅速に進めるべきとの請願が繰り返し各所から出ており、この点からも必要性が認められたということでしょう

ウクライナとSpaceX関連
「ウ衛星ネット費用を米国防省に要求」→https://holylandtokyo.com/2022/10/18/3770/
「国防省有志が民間技術迅速活用求める」→https://holylandtokyo.com/2022/09/16/3609/
「米宇宙軍の能力向上に民間衛星をまず活用」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
「露の電子戦に迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/

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米海軍が8月導入のIT等技術支援対話型AI [Joint・統合参謀本部]

電話やテキスト文書で会話して手続きや問題解決支援
約190億円をかけGeneral Dynamics社IT部門が提供

Amelia.jpg6月13日付Defense-Newsは、米海軍が今年8月から運用開始を予定している、海軍勤務者に対する装備品故障対処、IT関連トラブル対処、種々手続き等々に関する問い合わせ対応等を行う、「Amelia」との女性水兵をイメージした名称の対話型AI(conversational artificial intelligence)準備状況を紹介しています

この対話がAIは、米海軍勤務中に兵士たちが直面するトラブル特定や解決法を効率的に提供する目的で、米海軍が2021年下旬にGeneral Dynamics社IT部門と約190億円で開発契約したもので、米海軍内に存在する約90か所の「ITヘルプデスク」を統合して一本化することと抱き合わせの背策です

Amelia2.jpg米海軍勤務者で所定の手続きや審査を経て「common access card」を取得した者なら誰でも、電話や文書と通じて「Amelia」利用可能になる予定で、同時に100万アクセスにも対応可能なサーバーを備えて、AI学習等で様々なノウハウを学習後に投入され、将来的には秘密情報も扱えるように順次発展拡大させる計画になっているようです

ただ単に、様々な質問への回答を記憶しているのではなく、質問者の語り口や質問文書表現から、質問者のAI対応への「不満度:frustration」を感じ取り改善に役立てたり、質問者の疑問に十分こたえられない場合には、人間に取り次ぐ機能も備えているようで、

Amelia4.jpg試験段階では質問の9割に「Amelia」が適切に対応し、人間のITヘルプデスク等が対応していた際に生じていた、電話待ちを我慢できずに質問をあきらめた「abandoned calls:捨て去られた質問者」を大幅に削減する成果を上げているようです
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兵士だけでなく、軍人家族にも利用が拡大され、転勤引っ越しに伴う様々な疑問に気楽に対応してくれるなどのサービス提供も可能になれば、兵士離職率抑制にも貢献できるのでは、・・・などと思いつきました

Amelia3.jpgその他、新兵の入隊教育への応用や各基地転入者への導入教育への活用など、対話型「AI」側から質問を投げかけて会話をスタートさせる、教育的活用にも可能性を感じました。多分、まんぐーすが思いつく遥か前から、そんな取り組みは始まっているのでしょうけど・・

ところで、このAmeliaイメージの女性合成画像、文化が出るな―――と感じております。

AI関連の記事
「AI無人機で空中戦」→https://holylandtokyo.com/2023/02/27/4326/
「AI生成の生物兵器を懸念」→https://holylandtokyo.com/2022/10/04/3671/
「データ無き場所の気象予報に」→https://holylandtokyo.com/2022/07/19/3385/
「海洋作戦に活用」→https://holylandtokyo.com/2022/02/14/2685/
「孤独な指揮官助ける」→https://holylandtokyo.com/2020/12/15/343/

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米空軍長官が推薦図書19冊を発表:全て中国関連本! [米国防省高官]

歴史、現状、軍近代化、地政学的分析、地域関係の5分野

Kendall Reading.JPGウクライナでの戦いの最中でも、「空軍長官としての優先事項は、1に中国、2に中国、3に中国だ」と繰り返し発言している剛腕Frank Kendall空軍長官ですが、この度公表された空軍長官の推薦図書19冊が、全て中国関連書籍だと明らかになり、改めて話題となっています。

下に紹介する19冊のリストには、中国の歴史、現状、軍近代化、地政学的分析、地域関係の5分野に焦点を当てた書籍がリストアップされており、Kendall長官は「国防省や政府機関で働き始めた最初の20年間は冷戦真っただ中だったが、その経験から、まず潜在的敵国への理解を深めることが重要であることを学んだ」と図書推薦の弁を述べ、

Kendall Reading3.JPG更に「ソ連を詳細に学ぶことで、当時の我々は相手の動機、戦略的意図、作戦や行動手法、戦術などについて、より良く評価できるようになった」、「そしてこれにより、紛争防止や紛争への備えで助けられた。我々が獲得したソ連の行動を予測し対処する能力は、ソ連を効率的に抑止し、最終的にはソ連を崩壊に導いた」と敵対国を学んだ経験を述べています

そして現在の対象である中国について、「中国の急速な軍事力強化と増々増長する自己中心的な行動は、米国の国益、米本土や地域の安定に対する極めて大きな脅威となっている」、「この挑戦への対処に時間の無駄は許されない。中国を学んでよく理解することは、最適な抑止法や必要時に我々への脅威を跳ね返すための、賢明な判断を下す必要条件である」と述べています

そのリストとは
(なお、まんぐーすは1冊も読んでいません)

• “On China” by Henry Kissinger
• “The Search for Modern China” by Jonathan D. Spence
• “The Rise and Fall of Imperial China” by Yuhua Wang
• “Stilwell and the American Experience in China, 1911-1945″ by Barbara W. Tuchman
• “The World According to China” by Elizabeth C. Economy
• “The Avoidable War” by Kevin Rudd
• “China’s New Red Guards: The Return of Radicalism and the Rebirth of Mao Zedong” by Jude D. Blanchette
• “The People’s Republic of Amnesia: Tiananmen Revisited” by Louisa Lim
• “The Party: The Secret World of China’s Communist Rulers” by Richard McGregor
• “Active Defense: China’s Military Strategy Since 1949” by M. Taylor Fravel
• “Fire on the Water: China, America, and the Future of the Pacific” by Robert Haddick
• “The Long Game: China’s Grand Strategy to Displace American Order” by Rush Doshi
• “The Hundred-Year Marathon: China’s Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower” by Michael Pillsbury
• “The Third Revolution: Xi Jinping and the New Chinese State” by Elizabeth C. Economy
• “China’s Quest for Great Power: Ships, Oil, and Foreign Policy” by Bernard D. Cole
• “Where Great Powers Meet: America and China in Southeast Asia” by David Shambaugh
• “The Elephant and the Dragon” by Robyn Meredith
• “The Future Is Asian” by Parag Khanna
• “The Trouble with Taiwan: History, the United States, and a Rising China” by Kerry Brown and Kalley Wu Tzu Hui

Kendall Reading2.jpg最近、米国のみならず、欧州でも中国に対する厳しい批判が各方面から上がっていますが、日本でNHKやYahooニュースなど見ていると、中国人が書いた記事か? 中国の主張そのままタレ流しか? と疑うような中国寄りの報道が相変わらず多くを占めています

そんな中で、米空軍の先頭に立つ空軍長官のきっぱりとした姿勢にはスッキリさわやかです。キッシンジャーからピューリッツァー賞受賞者や著名な米国人中国専門家などの筆による、様々な書籍が並んでいますが、ご興味のある方はどうぞ・・・

最近のKendall長官関連記事
「NGAD候補企業が同じ基地内で」→https://holylandtokyo.com/2023/05/25/4678/
「NGADは欧州型とアジア太平洋型追求」→https://holylandtokyo.com/2023/05/10/4604/
「200機と無人僚機1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「ステルス給油機に積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/

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米軍が新兵募集難に合法移民に猛烈アプローチ [Joint・統合参謀本部]

新兵教育部隊入隊時に迅速帰化手続き開始し、
教育終了時に米国籍宣誓式典との特別制度導入
米陸軍は半年で2900名、ジャマイカ、メキシコ、ハイチ等から

legal immigrant6.jpg6月11日付Military.comは、新兵募集の目標達成が難しい状況にある陸空軍(海兵隊のみが目標達成見込み)が、合法的な移民が米軍に入隊することで、米国籍取得(帰化:naturalization)手続きを特別優遇で迅速化する特典を昨年末から開始したところ、中南米、アフリカ、アジア等出身者から「米国への愛国心を持つ」多数の入隊希望者が応募し、新兵確保に貢献していると報じています

例えば、2022年10月から同特典を開始した米陸軍は、制度開始前の半年で2200名だった採用数が、制度後の半年で2900名入隊に増加し、384名のジャマイカを筆頭に、メキシコ、ハイチ、Nepal, Nigeria, Ghana, Cameroon, Colombia Dominica等々からの入隊者を得ているとのことです

legal immigrant.jpg米空軍も2023年から同制度を導入し、最初の14名(Cameroon, Jamaica, Kenya, the Philippines, Russia、South Africa)が7週間の新兵教育訓練を終え、4月に帰化して米国籍を取得したということです

この制度を実現するため、陸空軍は緊密に米政府機関「U.S. Citizenship and Immigration Services」と連携を図り、セキュリティークリアランス調査の迅速化を可能にしましたが、多くの場合、本制度利用の新兵が「top secret」クリアランスが必要な職種に最初から配属されることは無く、最初の14名は医療や輸送関連職などに配置されたということです

legal immigrant3.jpgそれでも米空軍では今年5月中旬までに、同制度利用の合法移民100名が新兵教育訓練開始と同時に「帰化手続き」を開始し、既に40名が帰化完了しているとのことです

担当する米空軍募集事務局のEd Thomas少将は、英語能力やセキュリティークリアランス調査の壁はあるが、合法移民の中には「米国の役に立つ米国民になりたい」との純粋な愛国心を持つものが確実に相当程度存在し、米軍の募集難を解決するほどの数ではないが、貴重な人材であることに変わりはないとし、

legal immigrant2.jpg志のある合法移民の若者に同制度を知らせるため、多様なSNSで多様な言語の動画メッセージを発信したり、入隊済の多様な元国籍兵士をリクルーターとして活用する手法にも力を入れていると語っています

また同少将は、同制度で帰化した新人兵士が、その感激を語る場面に何度も立ち会ったことがあると振り返り、「米国のために尽くしたい」「努力して米軍で必要とされる人間になる」と純粋に目を輝かせる姿を、米空軍内のいろんな場所で語って、同制度をアピールしていると熱く語っています
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legal immigrant5.jpgこの制度で入隊した新兵を受け取った現場部隊の声を聞いてみたいところですが、米国民の米軍募集対象年齢人口の中で、犯罪歴や肥満や薬物使用や入れ墨等々の理由から、わずか2割の米国民しか米国の採用基準をクリアーできない厳しい現実を考えれば、合法移民グループは「宝の山」なのかもしれません

しかし、元国籍は多様ですねぇ・・・・。

新兵募集難&離職者増への対応
「兵士慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/12/4608/
「米空軍が体脂肪基準緩和へ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/07/4494/
「歩きスマホやポケットハンドOK」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/

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米輸送コマンド女性司令官が燃料輸送の大役を語る [Joint・統合参謀本部]

今年4月の大統領命で国防省機関から任務引き継ぐ
大部分の燃料輸送担う艦船確保に着手したばかり
陸空海兵隊の機動的新運用構想を支える重責

Van Ovost.jpg6月6日、米輸送コマンドの女性司令官Jacqueline Van Ovost空軍大将がブルッキングスで講演し、4月に大統領命で従来「Defense Logistics Agencyの Energy office」が担っていた米軍用燃料輸送任務を、アジア太平洋地域での困難な同任務遂行を念頭に、米輸送コマンドが新たに引き継ぐことになったと現状の取り組みを説明しました

米軍は対中国で、例えば米空軍はACE(Agile Combat Employment)構想により、ハブ基地を中心としつつも航空戦力を分散して敵攻撃からの被害を局限しつつ、敵の行動を混乱させる作戦を追求し、陸軍は長射程兵器の機敏な展開、海兵隊は対艦ミサイル部隊と偵察部隊の「(西太平洋の島々の)飛び石移動作戦」を構想しており、燃料に限らず有事の輸送要求は膨大なものが予期されています

Van Ovost3.jpgそんな中でも重要な燃料輸送に関し、ウクライナでの教訓を踏まえつつ、更にウクライナのように陸続きでない西太平洋の島々で繰り広げられるであろう対中国輸送大作戦に向け、やっと重い腰を米国政府としてあげて改革に着手するため、

今回国防省機関から統合の輸送コマンドに任務が移管されたわけですが、文民中心の平時の効率的燃料輸送仕切り組織から、有事の輸送を優先した「非常事態対処」に舵を切ったとも言えましょう

しかし問題は単純ではなく、同司令官によれば・・・
TRANSCOM2.jpg米輸送コマンドは艦艇500隻と輸送機500機を保有しているが、米軍が保有する輸送艦船「ローロー船」や米空軍空中給油機は1950年代調達アセット中心で老朽化が著しい状態
●燃料輸送の主力となるのは海上輸送だが、国防省は、有事必要時に商用タンカーを10隻徴用する「maritime tanker security program」に着手したが、西太平洋の第1列島線と第2列島線の間の島々に輸送するには、水深の浅い海域でも使用できる喫水の浅いタンカーなど多様な船舶を必要としている

(注:ハドソン研究所によれば、米国は外国船籍タンカーに過剰依存状態。大規模紛争支援には少なくとも80隻の米国籍タンカー船団が必要だが、実際には10隻確保を目指すプロジェクトが動き出した程度)
「輸送機による燃料輸送にも取り組むが」→https://holylandtokyo.com/2023/04/11/4490/

そんな中でも同司令官は
TRANSCOM.jpg●米輸送コマンドが培った指揮統制能力や計画能力、更には全世界に配置されている部隊を活用し、いつでもどこでも必要なものを届けられるよう取り組んでいく
●ACE構想を推進する米空軍は、2024年度予算案に燃料貯蔵施設など関連海外インフラ拡充予算を劇的に増加する案を議会に出しているが、わがコマンドは既に机上検討War Gameを米空軍と実施し、様々な検討の資としている
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TRANSCOM3.jpg西太平洋地域における対中国作戦の課題は様々に議論され、ウクライナ戦争を通じて改めて突きつけられた問題の大きさに皆で「たじろいでいる」状態ですが、作戦拠点の確保&防衛(分散基地含む)、弾薬確保、輸送力確保、救難救助体制の確立が、小手先ではどうしようもない巨大な壁となっているような気がします

米輸送コマンドの女性司令官Jacqueline Van Ovost空軍大将は、「多様性」を追求するバイデン政権により、Brown大将の後の空軍参謀総長に推薦される可能性もあるとの噂報道がありますが、対中国作戦における輸送問題という大問題に、現在は全力投球です

輸送能力の圧倒的不足
「輸送機による燃料輸送にも取り組むが」→https://holylandtokyo.com/2023/04/11/4490/
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
「民間海空輸送力活用のための取組」→https://holylandtokyo.com/2022/10/21/3780/

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米海軍トップも交代へ:再びドタバタの差し替え劇? [Joint・統合参謀本部]

現在の太平洋海軍司令官が海軍人トップへ
直前まで女性大将推薦で動いていたはずが
「最悪の人事情報管理」と関係者吐露

Paparo.jpg6月12日NBC News等米メディアが、2019年8月から米海軍トップのCNO(chief of naval operations)を勤め、今年8月21日退役が決定していMike Gilday海軍大将の後任に、オースチン国防長官が大統領に、現在の太平洋海軍司令官であるSamuel Paparo海軍大将を推薦したと報じました。

Franchett2.jpg先週から12日昼の段階では、現在の副CNOである女性Lisa Franchetti大将が初めて女性として4軍のトップになると様々なソースが報じ、実際米海軍や国防省内でもその方向でスタッフが動いていた事実が確認されていたようですが、海軍現役やOB幹部から「最悪の人事情報管理」だ・・・との声が上がるほど「情報だだ漏れ」状態だったようです

米海軍報道官や国防省は「それは大統領が決定する事項だ」とノーコメントを貫いているようで、厳密に言えば、国防長官の推薦を受け、最終的にバイデン大統領が米議会への推薦者を判断することになりますが、12日付Defense-Newsによれば、匿名の2名の関係海軍高官がPaparo海軍大将推薦を認めたようです

Paparo3.jpg太平洋海軍司令官ポストは、対中国作戦を海上・水中作戦を立案&実行する重要ポストですが、これまでは同ポストから一段上の太平洋軍司令官に就任するケースが多く、実際現在のインドアジア太平洋軍司令官(対中国作戦の大統領直属の指揮官)であるJohn Aquilino大将も、太平洋海軍司令官から就任しています

女性Franchetti大将も Paparo大将もともに1964年生まれで、共に空母戦闘群司令官やナンバー艦隊司令官(前者が第6艦隊、後者が第5艦隊)を勤め、前者が欧州アフリカ艦隊司令官、後者が中央軍&太平洋軍海軍司令官を務めた経歴を持ちますが、統合職では前者がJ-5経験者ですが、後者は主要な統合ポスト経験がありません。

Paparo2.jpgアジア太平洋に関しては、前者は在韓米海軍司令官経験のみで、後者は現在の太平洋海軍司令官で分があります。女性Franchetti大将も Paparo大将も、アナポリスの海軍士官学校出身「ではない」点では同じです

なぜ、直前に外野から見て「どんでん返し」になったのかは邪推しかありませんが、「最悪の人事情報管理」による女性トップ誕生との噂流布が国防省レベル以上で嫌われたか、中央軍&太平洋軍海軍司令官の経験がより重視されたのか・・・・もしれません

Franchett.jpgただ米海軍トップ人事のごたごたは現CNO就任時の4年前にもあり、米議会の承認も得て2019年8月1日にCNO就任が決定していた人物が、最終段階の「身辺調査」で不適切な過去が判明し、7月7日に辞任退役に追い込まれる事態が発生(下の過去記事参照)、

グダグダの装備品開発(空母、LCS等々)、艦艇の衝突事故や火災事故、ワイロ事件等々で「何をやってもダメな米海軍」と揶揄される中、米海軍人事全体が大混乱に陥り、本来なら別の大将の中から米海軍トップを選出するはずが候補者が見当たらず、中将の中から選出する「異例中の異例」な経緯をたどった記憶も生々しいところです

海軍トップは大統領の正式推薦まで予断を許さない雰囲気ですが、いずれにしても、統合参謀本部議長も含め、陸海空海兵隊のトップが全て同時に交代する夏の人事となりました。

Samuel Paparo海軍大将の公式経歴
祖父・父も米海軍勤務の筋金入りです
→ https://www.cpf.navy.mil/Leaders/Article/2628260/admiral-samuel-j-paparo/ 

4年前の米海軍トップ交代の大混乱
大本命が最終段階で過去の不始末でクビに
「異例:大将に適任者なく中将から」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-19
「Moran大将突然の辞任」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-09

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米空軍輸送機がGPS障害に備え地磁気航法で飛行試験 [米空軍]

単なるコンパス飛行ではなく地磁気の誤差解析で
機体装備が発する電磁気ノイズ除去にAIを導入し

MagNav project3.jpg6月7日付米空軍協会web記事が、米空軍がMITや民間AIソフト会社等々と協力し、GPSシステムが妨害や被害を受けた際の航空機航法の代替として、地球の各地点が発する微妙に異なる磁気を探知して自らの位置情報を導く「Magnetic Navigation (MagNav) project」の状況を紹介し、5月11-15日に西海岸で「量子磁気センサー:quantum magnetic sensor」を搭載したC-17輸送機が飛行試験を行ったと報じています

MagNav project.jpg一般に現代の航空機は、外部からの信号に依存せず、機体搭載センサーで機体の進行方向や速度や加速度を感じて合算することで自分の位置を更新把握し続ける慣性航法装置(INS:inertial navigation system)を主に使用していますが、このINSは時間と共に誤差が大きくなることから、定期的にGPSでINSの誤差補正を行いながらナビゲーションを行います

ただGPSはGPS衛星の物理的破壊や妨害電波やサイバー攻撃に脆弱であり、対中国等の本格紛争に備えてGPSの代替を求め、「天体航法:celestial navigation」や「テレビ・ラジオ・WiFi等々の電波を利用する航法:signals of opportunity,」や「terrain-relative navigation」などが研究されていますが、「MagNav project」は各地点の地殻の相違が生む磁気の誤さを分析して位置を割り出す手法だということです。

MagNav project5.jpgこの手法を航空機で利用する難しさの一つは、現代の航空機が通常搭載しているコンピュータ、通信機、照明器具等々の電気器具が発する電磁気の中で、地表が発する僅かな磁気の変化を読み取ってリアルタイムに分析し続けることにありますが、「MagNav project」では機械学習(machine learning)で能力を高めたAIに機体電磁気ノイズを除去させ、微弱な地表の磁気とその変化を正確に抽出する仕組みに挑戦したとのことです。

5月中旬の「量子磁気センサー:quantum magnetic sensor」をC-17に搭載した飛行試験は成功したようですが、軍用航空機が「MagNav systems」を搭載して任務飛行を行うには、まだまだ長い道のりが待っていると米空軍の担当少佐が語っています
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MagNav project4.jpg「MagNav systems」の仕組みが記事からは良く把握できませんが、機体搭載の「量子磁気センサー:quantum magnetic sensor」が探知した情報から、AIの手を借りて機体の電磁気ノイズを除去し、事前に作成しておいた飛行したい地域の「magnetic mapping」と照合するような形で自分の位置を割り出す様なイメージを持ちました

記事はまた、「天体航法:celestial navigation」等々との並行&融合使用で航法制度を高めることも今後の課題のように表現しており、まだまだ成熟が必要な技術との印象ですが、地道にいろんな研究を米国はやってるんだなぁ・・・と感心した次第です

MagNav project6.jpgちなみに参画しているのは、「MIT’s Lincoln Laboratory」, 「the Air Force Research Laboratory Sensors Directorate」,「the Air Force Institute of Technology Autonomy and Navigation Center」「the Software-as-a-service company SandboxAQ」・・・だそうです

GPSなどの被害を前提に訓練せよ
「米陸軍兵士がGPS無しの訓練に苦労」→https://holylandtokyo.com/2022/12/22/4077/
「なぜ露はウでGPS妨害しない?」→https://holylandtokyo.com/2022/07/26/3497/
「米海軍将軍:妨害対処を徹底」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-21
「空軍OBも被害対処重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23-1
「被害状況下で訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-23

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米空軍が19年ぶりに空対空戦闘競技会復活へ [米空軍]

通称「William Tell」競技会が9月中旬に
アジア太平洋での戦い(VS中国戦闘機)を想定
F-35、F-22、F-15部門で「Top Gun」を争う
過去27年間で1回のみ開催の歴史の遺物ですが・・・

William Tell.jpg6月7日付Defense-News記事によれば、米空軍が戦闘機による空対空戦闘競技会「William Tell」を2004年以来19年ぶりに開催することを発表し、9月11-15日の間に南部ジョージア州の州空軍基地「Savannah Air National Guard Base」で開催されることになった模様です

空軍戦闘コマンドACC報道官等によれば、競技会はアジア太平洋での戦いを想定し、敵の防空兵器の脅威下で、敵の熟練操縦者が搭乗する最新鋭戦闘機との対戦が場として設定され、F-35、F-22、F-15部門で最優秀トロフィーと「Top Gun」の称号を目指して競技が繰り広げられるようです

William Tell 2.JPGチーム構成は大尉のパイロットをリーダーとする10名から14名で編制(機種毎に異なる)され、各チームは8名までの操縦者、2名の情報員、3名の兵器搭載整備員で構成され、戦闘機保有の航空団から指揮統制要員各3名も参加する模様で、空中戦闘競技以外に、兵器搭載部門、指揮統制部門、情報分析部門の競技会も同時に行われるようです

空中戦部門で誰が「敵機」を演じるのか明らかにされておらず、「第4及び第5世代機が対抗機を行う」とのみ同報道官は言及しており、F-16やミラージュF-1で仮設敵機役を行う民間会社「Top Aces」や「Textron subsidiary ATAC」の参加や、F-16を無人機に改修したQF-16の参加が噂されているようです

William Tell 4.jpgまた同報道官は、「敵機に対する攻撃と防御の技量が試される」「伝統的なバナー標的への空対空ガン射撃も行われる」「僚機と協力して既成概念にとらわれず最もよく考えたチームがfighter integration teamとして表彰される」「個人賞とチーム賞を設ける」と明らかにしています
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同協議会は冷戦初期の1954年に第1回目が開催され、概ね隔年で開催されてきたようですが、1996年を最後に開催が見送られ、2004年に同競技会50周年を機に1回だけ実施されていますが、その後は再び休眠状態が続いていたものです

William Tell 5.JPG湾岸戦争頃からの航空戦の実態を踏まえ、1996年には「休眠状態」にして事実上葬ったはずの古式騒然とした「空中戦競技会」を、夏に退役予定の「戦闘機族のボス」Mark Kelly戦闘コマンド司令官が「置き土産」として強引に復活させたような気がいたします

米空軍のみならず米軍全体が中国の巡航&弾道ミサイル攻撃脅威を見据え、分散運用や機敏な機動展開を繰り返す作戦に力点を移そうと取り組んでいる最中に、「アジア太平洋での先端戦闘機との戦いを想定し」とか言われても、「バナー標的の戦闘機ガン射撃競技」と言われても、なんとなくすき間風が・・・の雰囲気です。開催場所も、各種評価装備や広大な空域確保が可能とは思えないローカルな州空軍基地ですし・・・

William Tell 3.jpgあくまで邪推ではありますが、最近若者に人気がなく志願者が急減し、コロナ沈静化で若手操縦者の民間航空会社への転職が増加する中、パイロット募集&パイロット引き留め策の一つと受け止めました。 ところで航空自衛隊は、今でも戦闘機の戦技協議会を実施しているのでしょうか?  いろんな意見があると思うので、

人工知能AIが人間パイロットを圧倒する現実
「DARPAがAI無人機空中戦試験」→https://holylandtokyo.com/2023/02/27/4326/
「企業AIが模擬空中戦でF-16操縦者を圧倒」→https://holylandtokyo.com/2020/08/19/528/
「米空軍研究所AFRLは2021年に実機で」→https://holylandtokyo.com/2020/06/10/620/
「無人機含む空中戦を支えるAI開発本格化」→https://holylandtokyo.com/2020/05/22/678/

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2機のF-35再発進(給油&給弾)を12名で [米空軍]

多能地上支援整備員MCAによる少人数チームの試行演習
同チームは機敏に移動し航空戦力の分散運用を支援する構想
「任務成功のため、より多くのリスクを甘受する」

Agile Flag 23-1 3.JPG6月2日付米空軍協会web記事は、ユタ州Hill空軍基地所在でF-35を運用している第355戦闘航空団が、12名の多様な能力を備えた地上整備員(Multi-Capable Airmen (MCA))で編成された特別チーム(mission-generating element)が、展開先の施設不十分な分散運用基地に展開した想定で、F-35戦闘機2機の再発進準備(給油&弾薬搭載)を行う訓練を、ACE(Agile Combat Employment)構想実現に向けた実験演習「Agile Flag 23-1」でこの初春に実施したと報じています

Agile Flag 23-1 2.JPGACE構想は、敵からの弾道・巡航ミサイル攻撃等で我の大規模作戦根拠飛行場が被害を受けることを想定し、戦力を施設不十分な地域内の基地に航空戦力を分散して柔軟に強靭に戦いを継続する考え方で、分散運用先の辺鄙な基地で、少人数で作戦機の再発進準備や燃料&弾薬の補給を行う体制が必要で、燃料弾薬の輸送や事前集積、必要な人員機材の輸送、少人数で対処するための多能力兵士育成、分散運用状態の迅速な把握と指揮統制などが求められる戦い方です

同演習では、ジョージア州の米陸軍Hunter航空基地を12名の整備員チームの母基地拠点とし、分散展開先に見立てたジョージア州や南カロライナ州の各所に12時間単位で限定的な装備と共に同チームを機動展開させ、2機のF-35の再発進準備(給油&弾薬搭載)を実施し、また装備をまとめてC-130輸送機などで母基地拠点に戻り、必要な補給の後、再び他の場所に展開して航空機の再発進を支援する活動を行ったようです

Agile Flag 23-1 4.JPG通常のこの再発進準備を何名の地上整備員で行っているのかは明示されていませんが、チームの機動展開を容易にするため省人化が図られ、例えば普段は弾薬運搬と機体搭載だけを行う要員がパイロットとの連携や指示伝達も行ったり、普通は専門の周辺警備要員を配置するところ、整備員全体を監督する整備員クルーチーフが同任務を兼務するなど、「兵士の多能化」を図って「12名」に絞り込んだとのことです

また今回は12時間シフトの派遣ローテーションでしたが、2-3日間の展開を想定した宿泊等装備の検討や検証も同演習内で行われているとのことです。もちろんまだまだ基礎的な検証で、展開先に弾薬や燃料の「事前備蓄」がある前提での訓練であり、また敵の脅威がある場合の対処や必要な装備など難しい課題もありますが、機敏に装備を移動して敵の攻撃を避け、敵の偵察能力に付加をかける発想が背景にあります

Agile Flag 23-1 5.jpg弾薬や燃料の「事前備蓄」や敵脅威への対応問題の他にも、例えば味方航空機が敵攻撃で被害を受けている場合、再び離陸を許可するには通常大佐レベルの承認が必要となりますが、十分な通信確保が難しい展開先の若手士官や軍曹レベルに権限移譲可能かなど、様々なレベルの課題が浮かび上がっているようです

更に根本には、このような再発進チームを機敏に展開先へ移動させる輸送力確保が可能か・・・との問題も未解決で、陸軍や海兵隊の輸送所用で空軍輸送機はフライトスケジュールが一杯なのに、米空軍の要請と言えども輸送機が少数の戦闘機のために確保可能とは考えにくい・・・との指摘もドッシリ存在したままのようです

Agile Flag 23-1 6.jpgそんな中の試験演習ですが、同航空団でこの試験演習に参加した整備部隊の隊長である少佐は、「リスクを冒してよい。それが任務遂行には必要なんだから:take more risks, because it is required for mission success」と、安全に留意しつつも、貴重な試行演習の中から様々な教訓を得ようと前向きな姿勢で臨んでおり、普段直接連携することがない人との関りや新たな役割を経験することで生まれる発想の転換に期待していると語っています

Agile Flag 23-1.JPG先にも述べたように、普段何名で行っている任務を「12名」の「Multi-Capable Airmen (MCA)」で行っているのか、「12名」のチームが何個ぐらい演習に参加しているのか、どの程度の地上支援機材を「12名」と共に機動展開させているのか等、色々と気になる演習ではありますが、「12名で2機のF-35再発進準備」との情報が開示されているだけで貴重なデータと考えておきましょう

米空軍の将来作戦コンセプトACE関連記事
「生みの親が語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/
「米空軍がACEドクトリン発表」→https://holylandtokyo.com/2021/12/17/2532/
「欧州米空軍がACE構想の確認演習」→https://holylandtokyo.com/2021/10/27/2317/
「F-22が岩国展開訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-13
「F-15EにJDAM輸送任務を」→https://holylandtokyo.com/2021/03/09/156/
「GuamでF-35とF-16が不整地離着陸」→https://holylandtokyo.com/2021/01/29/310/
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holylandtokyo.com/2020/11/27/397/
「中東派遣F-35部隊も」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「三沢で訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-21
「太平洋空軍がACEに動く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-12
「太平洋空軍司令官がACEを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「F-22でACEを訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-03-08

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