ウクライナ紛争の最初の一撃は宇宙で!? [サイバーと宇宙]
公にならない目立たない手法で?
ウクライナ紛争は最初の宇宙戦となるかも?
2月15日付Military.com記事は、米国の複数の専門家の意見を紹介しつつ、ウクライナ紛争が生起した場合、米軍機によるISR等が難しい状況から宇宙アセットへの依存度が高まるが、そんな米国の宇宙依存を知るロシア側は、物理的破壊を伴わない巧妙な宇宙アセット妨害や盲目化手法を「第1撃」として繰り出すのではないか・・・と論じています
そして同記事はまた、理由は明確にしていませんが、そのようなロシア側による米国宇宙アセットへの妨害や無効化工作は、公には成らないのではないかとの専門家意見も紹介しています。
まんぐーすが想像するに、宇宙アセットが機能不全を起こしたとしても、それが外部からの電波妨害や攻撃に起因するものだとの断定が難しく、また我の宇宙アセット被害を明らかにすることは、敵に我の被害状況を明らかにして「敵の攻撃効果」を敵に知らせることになる可能性があるからだと推測します
記事は、過去のロシアの宇宙アセット攻撃訓練行動を紹介しつつ、最後に「ロシア側による米国宇宙アセットへの妨害や無効化工作は、多様な手段による一時的なものになるのでは」、「公には成らないのではないか」と締めくくる流れとなっており、宇宙に詳しい方にとってはこれが常識的な考え方かもしれませんので、ご紹介しておきます
2月15日付Military.com記事によれば
●2021年11月にロシアが突然、地上発射ミサイルによる衛星破壊実験を行い、デブリを大量に宇宙にまき散らし、国際宇宙ステーションにまで危険を及ぼした際、米国をはじめ国際社会は直ちにこの実験を非難する声明を出した
●しかしこのような国際的な非難にもかかわらず、ウクライナ関連で米国のISRや通信が宇宙アセットに依存していることをロシアはよく理解しており、ウクライナ関連で宇宙が最初の戦場になる可能性は高い
●これは同時に、トランプ政権が創設した米宇宙軍が、立ち上げ早々に第一線で活動する場を与えられることでもあり、その存在意義を公に知らせることになる戦いとなる可能性はある。しかし一方で、その活動がどれほど国民の目に触れるかは定かではなく、静かに裏で行われる可能性もあると、CSISのTodd Harrison研究員は述べている
●初代宇宙軍副参謀総長だったDavid Thompson退役大将は、ロシアは昨年11月の衛星攻撃用地上発射ミサイル試験の他にも、例えば2019年以降、不審なロシア衛星を米国衛星に接近させ衝突させそうにしたり、小型目標を放出して飛翔体で攻撃したりする行動を繰り返しており、米国に対して能力を誇示しているようだとコメントしている
●ただ、実際に他国の衛星を物理的に破壊した事例は報じられておらず、衛星へのサイバー攻撃や電波&電子妨害行為についても、公に語られることはない。実際、米宇宙軍にロシアからの衛星攻撃による被害を問い合わせても、「衛星システムは設計通りに稼働を続けている」との回答しかない
●ヘリテージ財団のJohn Venable研究員は、ロシアのウクライナ侵攻に際して、米宇宙アセットへの妨害がエスカレートする可能性はあるが、「ロシアが持つ多様な手法を使用した一時的な妨害行為が行われる可能性がある」、「ロシアは洗練されたセンサー妨害や盲目化能力を保有している」と述べる一方で、「物理的攻撃はプーチンにとって賢明な手段ではない」とコメントしている
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ウクライナ情勢については様々な報道がなされており、何がどうなるか予断を許しませんが、米国が備えようとする「大国間の紛争」の一側面とも考えられ、先日ご紹介した無人機での戦いや、宇宙アセットを巡る戦いの想定など、興味深い側面を秘めています
ウクライナと言えば「ハイブリッド戦」が頭に浮かび、サイバー攻撃から始まるとの報道も耳にしますが、一般の目に触れることのない宇宙での戦いにも注目いたしましょう。
ウクライナで戦闘機による制空の時代は終わる?
「米空軍大佐告発投稿:air littoralがカギ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-08
小泉悠氏によるウクライナ情勢分析
2月2日→https://holylandtokyo.com/2022/02/07/2698/
12月中旬→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-22
ロシアの宇宙兵器関連
「衛星破壊兵器でデブリばらまく」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-16
「ロシア衛星がなどの物体射出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-24
「4月中旬のロシア衛星破壊兵器試験を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-17
「怪しげなロシア衛星問題提起」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-04
「再び同高官が指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-26
宇宙兵器問題への取り組み
「国防宇宙戦略を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-28
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
ウクライナ紛争は最初の宇宙戦となるかも?
2月15日付Military.com記事は、米国の複数の専門家の意見を紹介しつつ、ウクライナ紛争が生起した場合、米軍機によるISR等が難しい状況から宇宙アセットへの依存度が高まるが、そんな米国の宇宙依存を知るロシア側は、物理的破壊を伴わない巧妙な宇宙アセット妨害や盲目化手法を「第1撃」として繰り出すのではないか・・・と論じています
そして同記事はまた、理由は明確にしていませんが、そのようなロシア側による米国宇宙アセットへの妨害や無効化工作は、公には成らないのではないかとの専門家意見も紹介しています。
まんぐーすが想像するに、宇宙アセットが機能不全を起こしたとしても、それが外部からの電波妨害や攻撃に起因するものだとの断定が難しく、また我の宇宙アセット被害を明らかにすることは、敵に我の被害状況を明らかにして「敵の攻撃効果」を敵に知らせることになる可能性があるからだと推測します
記事は、過去のロシアの宇宙アセット攻撃訓練行動を紹介しつつ、最後に「ロシア側による米国宇宙アセットへの妨害や無効化工作は、多様な手段による一時的なものになるのでは」、「公には成らないのではないか」と締めくくる流れとなっており、宇宙に詳しい方にとってはこれが常識的な考え方かもしれませんので、ご紹介しておきます
2月15日付Military.com記事によれば
●2021年11月にロシアが突然、地上発射ミサイルによる衛星破壊実験を行い、デブリを大量に宇宙にまき散らし、国際宇宙ステーションにまで危険を及ぼした際、米国をはじめ国際社会は直ちにこの実験を非難する声明を出した
●しかしこのような国際的な非難にもかかわらず、ウクライナ関連で米国のISRや通信が宇宙アセットに依存していることをロシアはよく理解しており、ウクライナ関連で宇宙が最初の戦場になる可能性は高い
●これは同時に、トランプ政権が創設した米宇宙軍が、立ち上げ早々に第一線で活動する場を与えられることでもあり、その存在意義を公に知らせることになる戦いとなる可能性はある。しかし一方で、その活動がどれほど国民の目に触れるかは定かではなく、静かに裏で行われる可能性もあると、CSISのTodd Harrison研究員は述べている
●初代宇宙軍副参謀総長だったDavid Thompson退役大将は、ロシアは昨年11月の衛星攻撃用地上発射ミサイル試験の他にも、例えば2019年以降、不審なロシア衛星を米国衛星に接近させ衝突させそうにしたり、小型目標を放出して飛翔体で攻撃したりする行動を繰り返しており、米国に対して能力を誇示しているようだとコメントしている
●ただ、実際に他国の衛星を物理的に破壊した事例は報じられておらず、衛星へのサイバー攻撃や電波&電子妨害行為についても、公に語られることはない。実際、米宇宙軍にロシアからの衛星攻撃による被害を問い合わせても、「衛星システムは設計通りに稼働を続けている」との回答しかない
●ヘリテージ財団のJohn Venable研究員は、ロシアのウクライナ侵攻に際して、米宇宙アセットへの妨害がエスカレートする可能性はあるが、「ロシアが持つ多様な手法を使用した一時的な妨害行為が行われる可能性がある」、「ロシアは洗練されたセンサー妨害や盲目化能力を保有している」と述べる一方で、「物理的攻撃はプーチンにとって賢明な手段ではない」とコメントしている
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ウクライナ情勢については様々な報道がなされており、何がどうなるか予断を許しませんが、米国が備えようとする「大国間の紛争」の一側面とも考えられ、先日ご紹介した無人機での戦いや、宇宙アセットを巡る戦いの想定など、興味深い側面を秘めています
ウクライナと言えば「ハイブリッド戦」が頭に浮かび、サイバー攻撃から始まるとの報道も耳にしますが、一般の目に触れることのない宇宙での戦いにも注目いたしましょう。
ウクライナで戦闘機による制空の時代は終わる?
「米空軍大佐告発投稿:air littoralがカギ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-08
小泉悠氏によるウクライナ情勢分析
2月2日→https://holylandtokyo.com/2022/02/07/2698/
12月中旬→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-22
ロシアの宇宙兵器関連
「衛星破壊兵器でデブリばらまく」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-16
「ロシア衛星がなどの物体射出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-24
「4月中旬のロシア衛星破壊兵器試験を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-17
「怪しげなロシア衛星問題提起」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-04
「再び同高官が指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-26
宇宙兵器問題への取り組み
「国防宇宙戦略を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-28
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
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