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国防省JCOが小型無人機対処エネルギー兵器3機種吟味 [米国防省高官]

JCO(統合小型無人機対処検討室)主導で3回目の検証
高出力マイクロ波使用でEMP効果等で無人機無効化狙う
昨年は「副次的被害小」と「安価で携帯可能」な対処兵器検証

JCO high-power micro.jpg5月11日、米国防省で小型無人機対処を検討するJCO(統合小型無人機対処検討室:Joint Counter-Small Unmanned Aircraft Systems Office)が記者懇談会を行い、4月に「高出力マイクロ波」を使用した小型無人機対処装備3機種の確認試験を実施したと説明しました

JCOは、無人機の脅威の高まりを受け、前線部隊や米本土基地等を防御する手段を専門に検討する組織として2019年末に設置され、2021年1月には小型無人機対処戦略(Counter-Small Unmanned Aircraft Systems Strategy)を発表して「情報収集分析」、「防御体制確立」、「他との協力体制構築」の3本柱で取り組みを加速すると宣言している組織です

JCO high-power micro3.jpgその後、2021年4月には第1回目の確認試験として「周辺への副次的被害の少ない対処兵器」を対象に復習機種の評価試験を実施し、同年9月には2回目として「安価で携帯可能な対処兵器」の評価テストを実施しており、「高出力マイクロ波」使用兵器の試験は3回目の分野別評価テストでした

「高出力マイクロ波」使用兵器の試験概要
●4月4~22日にアリゾナ州Yuma Proving Groundで実施
●3企業提案の装備を評価。小型無人機を3つのカテゴリーに重量で区分(G1は20ポンド以下、G2は20-55、G3は55-1320ポンド)し、各カテゴリーの小型無人機に対し、各対処兵器が「どのくらいの距離から」、「どのくらいの対処時間」で無効化が可能か評価

●3企業は「Epirus」「Raytheon Technologies」「Leonardo DRS」で印象は・・・
・「Leonardo DRS」---  vector inversion generatorと呼ばれる放射アンテナの無い特殊な形状で評価が難しかったが、工夫して必要な評価データを得ることができた
・「Raytheon Technologies」--- まだ開発中の段階と言えるが、将来の伸びしろを感じる。対処有効距離は多少短い印象
・「Epirus」--- 現在前線部隊等で行われている対処程度の対処有効距離は確保できているし、将来的な延伸の可能性を秘めている

JCO.jpgこのほか、3回目までに評価試験を行った分野とは異なる、固定装置による対処兵器分野「countering small UAS as a service, or CaaS」でも並行して候補の絞り込みを行っており、25個の提案から5つに絞り込んでデモ試験を行う方向で進んでいるようです

「CaaS」は展開先の運用拠点基地の防御用を想定した対処兵器で、「候補装置はそれぞれに異なった探知、識別、追尾、破壊能力や仕組みを持っており、様々な角度から分析中であるが、来週には国防省内に限定展開して本格的に評価に入っていく」、「様々な要素後術を既存のシステムと組み合わせる等、企業とJCOの頭の体操が多くなるプロセスだ」とJCO幹部は説明しています

またJCOは、昨年1回目及び2回目の評価テストに参加した企業のいくつかと、具体的装備化に向けた契約締結段階に向かいつつあると記者団に述べ、2022年秋に予定する4回目の分野別評価に向けた準備も進めていると説明しましたが、具体的な中身については言及を避けました
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JCO high-power micro2.jpgJCOは、各軍種がバラバラに取り組んでいた小型無人機対処兵器開発&調達を、取りまとめて効率的に行うため設立された組織で、米陸軍少将がトップで陸軍が主導的な役割を果たしている組織です

ご紹介した装備の絞り込みだけでなく、運用ドクトリンや運用&訓練手法などにも統一した基準を示し、米軍として一体的な取り組みを推進することも担っています。また指揮統制システムや既存システムとの連携も重要な課題で、報道では、最も進んだTHAAD指揮統制システムとの連接が極めて重要とのGainey少将の発言も紹介されており、広がりの大きな事業であることを伺わせます

更に、無人機対処と言っても海外展開拠点から国内基地まで環境は様々で、同盟国と協力した海外敵対勢力の無人機脅威分析から、米連邦航空局と連携した米国内で使用される小型無人機の把握などまでの多様な課題を抱え、加えてJCOが2021年1月作成の小型無人機対処戦略は「国内技術開発への投資政策」や「対処装備の海外への売込み」までを視野においており、課題山盛り状態です

JCO(Joint Counter small UAS office)関連の記事
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「米国防省が小型無人機対処戦略」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/

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