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つなぎ給油機KC-YにロッキードがLMXTで名乗り [米空軍]

KC-46と争ったA330ベースMRTTの発展型LMXT
13か国で約50機が運用中のMRTTに自動給油装置加え
ボーイングはKC-46でKC-Yに参戦予定でバトル再び

LMXT.jpg9月17日、ロッキード社は米空軍が選定を開始した「つなぎ空中給油機KC-Y」に、現在英豪など13か国で運用中のA330ベースのMRTT給油機を発展させたLMXT(Lockheed Martin “Next” Tanker)で挑戦すると発表し、その実績や利用可能飛行場が多い点、また全てを米国内で製造する等の点をアピールしました

米空軍の給油機は、以下の体形で整備の方向です
●179機が2027年までに製造されるKC-46を「KC-X」
●「つなぎ給油機:bridge tanker」を「KC-Y」、KC-46の製造修了の2027年頃から、運用70年となる老朽KC-135や、KC-10の後継として導入予定
●将来作戦環境に備えステルスや無人・自律性を追求可能性がある「KC-Z」

Ovost6.jpg2020年10月末、Ovost米空軍輸送コマンド司令官(女性)は「(KC-Y)は戦闘空域での使用は想定しておらず、米国内での訓練や海外への機動展開支援を担い、給油を受ける米軍航空機が即応態勢を維持するために貢献する」と説明しています

上記のスケジュールで「KC-Y」を導入するには、2022~23年度予算に具体的経費を盛り込む必要があり、米空軍は2020年末から情報提供要求RFIを出し機種選定が動きだしていますが、「つなぎ機」の対象となりえるのは、「KC-X」を巡って数回機種選定をやり直す「泥沼を」戦ったボーイングのKC-46Aと、ロッキード&エアバス社提案のA330 MRTTを多少改修したご紹介する「LMXT」機体になりそうで、既に胸騒ぎの予感です

本日は、ロッキード社のTony Frese担当副社長がアピールした「LMXT」の特長についてご紹介いたします

19日付米空軍協会web記事によれば「特長」は

●ベースとなるMRTTの実績十分
LMXT2.jpg--- A330 MRTTは、豪州空軍が初導入後、現在では英、サウジ、UAE、仏、シンガポール、韓国など13か国で49機が作戦運用されており、これまでに25万飛行時間で6万回の空中給油実績実績
--- 更に、米軍機で空中給油認可済は10機種以上で、戦闘機ではF-35、F-22、F-16、F-15、A-10、爆撃機ではB-1、輸送機・哨戒機ではC-17、E-3、P-3及びP-8A対潜哨戒機、そのほかE-7にも給油可能
--- ベースとなるA330は世界で1600機以上使用され、部品調達など機体維持上の問題がない

●使用可能飛行場が3割増
--- 翼がKC-46より大きく揚力が大きいため、アジア太平洋地域で利用できる飛行場が3割増(現在150が196に増加)になる
--- 英語解釈が難しいが→LMXT could “nearly double” the KC-46’s reach in the Indo-Pacific, with longer time on station, assuming a full load of fuel.

●JADC2のネットワークシステム運用装置搭載可能
--- 機体の上部デッキ3か所にJADC2ネットワークシステムを搭載可能

●3か国が導入決定の自動給油装置アリ
--- 「fly-by-wire boom system」で全自動装置を試験中(既に330回給油試験済で今年中に昼間運用認証予定、夜間認証は2023年)
--- 高解像度高精彩3Dの画像システムを使用し、処理速度や反応速度が速い

●100%米国製との要求を満たす
--- 製造場所は複数案検討中だが、かつてC-5輸送機を製造してスペースに空きがあり4機同時製造が可能なジョージア州Marietta工場や、A320旅客機を製造中のアラバマ州Mobile工場などを中心に検討中
--- 様々なオプションが可能で検討中だが、部品調達は少なくとも全米34州の150企業から行い、その数は今後さらに増える
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LMXT3.jpg「使用可能飛行場が3割増」の部分は、機体重量許容性や翼が大きいための駐機場所の確保可能性を加味したものか、また米空軍の評価基準との関係は不明です

また「“nearly double” the KC-46’s reach in the Indo-Pacific」との英語表現が、何を意味しているのかよく分かりません、ネット情報では航続距離はほとんどKC-46と差がないので・・・

いずれにしても、KC-46が「グダグダ」状態ですので、実績あるLMXTとの機種選定は「ドロドロ」ドロ沼の危険性を秘めており、気になるところです

KC-X,Y,Zの考え方
「つなぎ空中給油機KC-Yに着手へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-05
「2016年当時の空中給油機後継プラン」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-09-22

選定やり直し3回:KC-46機種選定の泥沼
「KC-X決定!泥沼回避可能か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

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