「欧州空の盾構想」への中立国参加を巡る考察 [安全保障全般]
ESSI : European Sky Shield Initiatve 構想を巡り
中立国スイスも参加意思表明済
改めて中立性との関連議論を確認
7月11日付 Derense-News が、ロシアの脅威に対抗する防空&ミサイル防衛システムの共同迅速購入等を目的とし、ドイツが中心となって 2022年 10 月に開始された「欧州空の盾構想:ESSI: European Sky Shield Initiative」に、中立国スイスが参加意思表明していることに関する、スイス国防省や専門家の見解を紹介しています
ESSIは、既存のNATO 防空システムを強化する基本方向で、防空&ミサイル防衛システムを加盟国が相互運用性を備えた形で導入することを狙った構想で、市場にある装備品を有効に迅速に効率的に導入することを目指しており、調達においては NATO の「Modular Ground-Based Air Defence High Visibility Project」枠組みを活用して、加盟国の負担軽減につなげるものです
ESSI立ち上げ当初の加盟15か国は全てNATO加盟国 (Belgium, Bulgaria, the Czech Republic, Estonia, Finland, Germany, Hungary, Latvia, Lithuania, the Netherlands, Norway, Slovakia, Slovenia, Romania, the United Kingdom)で、2023年2月にDenmark and Sweden 加盟で17か国となり、2024年2月に Greece and Turkey も加盟意思を示しています。
2023年7月に中立国スイスとオーストリアも参加意思を示しましたが、スイスの加盟についとは「中立性」との整理について、2024年夏に他加盟国間で議論されるとのことです。仮にスイスが加盟すれば ESSIは21か国参加となります
このような状態にある ESSIですが、スイス国防省やチューリッヒエ科大学の Marcel Berni 講師は、「中立国」スイスの加盟に問題はないと以下のように説明しています
●スイスは現時点で、弾道ミサイル攻撃を受けた場合に防衛する手段を保有しておらず、ESSI 加盟は自国防衛のための手段である
●スイスはESSIへの参加範囲や程度を自ら決定できる。スイスの主な加盟の狙いは調達調整と訓練および兵站面協力である。防空ネットワークへの統合は想定されていない
●ESSI 枠組み合意には「国家間の武力紛争への参加や関与を排除する条項」が含まれている
////////////////////////////////////////////
スイス以外の ESSI 加盟国が、どのような理由でスイス加盟を慎重に議論するのか説明できませんが、日本で左系の方が時節持ち出してくる平和の象徴のような「中立国」も、きちんと脅威の変化に応じ適切に柔軟に対処し、国防努力を怠っていないことをご紹介しておきます
ただ、欧州諸国でESSIに反対する国もあります。ESSI内で共同で効率的調達を検討する具体的装備として、イスラエル製の「AITOW 3」や米国製の「パトリオット」と言った装備名が上がっていることから、仏伊共同開発の「SAMP-T system」が不当に排除されているとして、仏伊スペインがESSIに反対し、2023年6月に仏が代替構想討を提案して欧州一丸になっていない現実もあります
ESSI 関連の記事
「欧州空の盾計画に中立国スイス参加意思表明」→ https://holylandtokyo.com/2023/07/12/4828/
ウクライナに学ぶ防空の重要性
「ウクライナで露が制空権で優位に!?」→https://holylandtokyo.com/2023/06/28/4795/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「イラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/37871
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
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中立国スイスも参加意思表明済
改めて中立性との関連議論を確認

ESSIは、既存のNATO 防空システムを強化する基本方向で、防空&ミサイル防衛システムを加盟国が相互運用性を備えた形で導入することを狙った構想で、市場にある装備品を有効に迅速に効率的に導入することを目指しており、調達においては NATO の「Modular Ground-Based Air Defence High Visibility Project」枠組みを活用して、加盟国の負担軽減につなげるものです

2023年7月に中立国スイスとオーストリアも参加意思を示しましたが、スイスの加盟についとは「中立性」との整理について、2024年夏に他加盟国間で議論されるとのことです。仮にスイスが加盟すれば ESSIは21か国参加となります
このような状態にある ESSIですが、スイス国防省やチューリッヒエ科大学の Marcel Berni 講師は、「中立国」スイスの加盟に問題はないと以下のように説明しています

●スイスはESSIへの参加範囲や程度を自ら決定できる。スイスの主な加盟の狙いは調達調整と訓練および兵站面協力である。防空ネットワークへの統合は想定されていない
●ESSI 枠組み合意には「国家間の武力紛争への参加や関与を排除する条項」が含まれている
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スイス以外の ESSI 加盟国が、どのような理由でスイス加盟を慎重に議論するのか説明できませんが、日本で左系の方が時節持ち出してくる平和の象徴のような「中立国」も、きちんと脅威の変化に応じ適切に柔軟に対処し、国防努力を怠っていないことをご紹介しておきます

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ウクライナに学ぶ防空の重要性
「ウクライナで露が制空権で優位に!?」→https://holylandtokyo.com/2023/06/28/4795/
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「イラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/37871
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
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海外F-35パイロット養成基地を米本土に新設 [亡国のF-35]
海外17か国で2400機以上を運用する操縦者養成
アリゾナ州Luke基地は満杯状態
新たに州空軍基地をF-35訓練専従基地に
6月20日付Defense-Newsは、現在はMQ-9無人偵察攻撃機のみを運用しているアーカンソー州のEbbing州空軍基地が、7月2日に海外F-35運用国のパイロット養成専用部隊(第188航空団隷下に第86戦闘飛行群と第57戦闘飛行隊)を「新設」し、9月からポーランド空軍操縦者を皮切りに訓練生を受け入れ開始予定で、その後はフィンランド、ドイツ、スイス、シンガポール(米空軍には無いF-35Bの訓練)操縦者を訓練し、2025年に4名、その後は2030年頃まで毎年35名程度の卒業生を送り出す計画だと紹介しています
現在も維持費が高止まりし、米空軍での稼働率も低迷し続け、最新ソフト搭載の完成度に米空軍が満足せず機体受領を拒否している問題てんこ盛りの「亡国のF-35」が、現時点で世界18か国で3500機導入予定で、そのうち海外に2400機以上が提供され「将来の破局」や「西側空軍による集団自殺」をほう助する異常事態を生み出しているにもかかわらず・・・と最近はコメントする気力さえ消え失せてしまったのですが、
経験や技量レベルが異なり、言葉も十分に通じない様々な世界中のパイロットを、米国に受け入れて最新戦闘機の操縦を教育する米空軍現場の「懐の深さ」や「関係各位の努力」は、到底他国では代替できない取り組みで、国際安全保障の基礎であり根幹を支えていることは間違いのない事実ですので、その概要をご紹介します。
20日付Defense-News記事によれば
●現在のEbbing州空軍基地には約1000名の兵士が所属し、無人偵察攻撃MQ-9運用とISR分析処理、更に宇宙軍関連の目標分析任務(Targetting)を担っているが、戦闘機配備は「ゼロ」の基地である。ただかつては、F-4、F-16、A-10が所属していたこともある
●現在、海外F-35パイロット養成はアリゾナ州Luke空軍基地が担っており、イタリア、ノルウェー、デンマーク、オランダ操縦者が既に教育を受けており、ベルギーからも間もなくLuke基地に到着予定。しかし同基地の受け入れ能力はすでに限界で、追加の訓練基地として2023年3月にEbbing州空軍基地が選定された(政治家も巻き込むミシガン州Selfridge州空軍基地からの猛烈な誘致運動もあったが・・・)
●米空軍は2028年までに計約1300億円を投入し、Ebbing基地のF-35受け入れ各種施設やシミュレーターや訓練空域の整備(空域拡大用の施設準備や模擬SAMなど訓練機材設置等々)を行う予定。特殊な所では、シンガポール空軍が米空軍が保有しないF-35B型訓練を行うことから、垂直着陸に耐えるエプロンの整備や教官確保も行う予定
●Ebbing基地には、24機のF-35と12機のF-16が配備される予定。F-16は現在Luke基地に置かれているシンガポール空軍の米国分遣隊F-16が移動してくるもの。
●Ebbing基地にF-35シミュレータ設置が完了するまでの間は、計7か月間のF-35操縦基礎教育課程の内の当初3か月の訓練はフロリダ州Eglin空軍基地で行い、F-35に関する座学や、シミュレータによる離着陸訓練から基礎的F-35戦術訓練(1対1空中戦など)までをEglin担当とする。Ebbing基地では実機F-35による飛行訓練で、離着陸から基本戦技、対地攻撃CASやSEADや対航空やエスコートやパッケージ行動の基礎を訓練する
●7か月間のF-35操縦基礎教育課程終了後、一部の海外操縦者は再びEglin基地に戻って「教官操縦者」教育課程を受講して母国空軍での教官パイロットとなり、その他の操縦者は母国F-35飛行部隊に戻る。Ebbing基地では、2025年に4名の卒業生を送り出し、その後20230年頃までは毎年35名程度の教育を行う予定
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日本の名前が出てきませんが、航空自衛隊は2016年12月にLuke基地で航空自衛隊用1番機を受領し、2017年から同基地で航空自衛隊パイロットの養成(教官要員を含め)を開始しており、推定ですが、コロナ前の段階で、F-35操縦者や整備員の養成は、既に日本国内で航空自衛隊自ら行える体制を確立していたと思われます
これまで操縦者教育を担ってきたアリゾナ州Luke基地は、F-35飛行隊を6個に機体140機以上を有する「F-35要員教育のメッカ」ですが、Ebbing州空軍基地の地元の皆様は、様々な外国人パイロットをどのように受け入れていくのでしょうか・・・。無人機MQ-9の穏やかなプロペラ音から、最新戦闘機F-35の爆音がとどろく環境への変化を受け入れてくれる社会の存在にも感謝すべきでしょう
航空自衛隊訓練生の米国での墜落死亡事故に学ぶ
「海外訓練生と語学の壁・米空軍の努力」→https://holylandtokyo.com/2023/04/19/4533/
「当該事故調査報告」→https://holylandtokyo.com/2021/10/12/2328/
航空自衛隊操縦者の米国教育は既に終了か
「空自F-35の一番機受領@Luke基地」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-12-03
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アリゾナ州Luke基地は満杯状態
新たに州空軍基地をF-35訓練専従基地に
経験や技量レベルが異なり、言葉も十分に通じない様々な世界中のパイロットを、米国に受け入れて最新戦闘機の操縦を教育する米空軍現場の「懐の深さ」や「関係各位の努力」は、到底他国では代替できない取り組みで、国際安全保障の基礎であり根幹を支えていることは間違いのない事実ですので、その概要をご紹介します。
20日付Defense-News記事によれば
●現在、海外F-35パイロット養成はアリゾナ州Luke空軍基地が担っており、イタリア、ノルウェー、デンマーク、オランダ操縦者が既に教育を受けており、ベルギーからも間もなくLuke基地に到着予定。しかし同基地の受け入れ能力はすでに限界で、追加の訓練基地として2023年3月にEbbing州空軍基地が選定された(政治家も巻き込むミシガン州Selfridge州空軍基地からの猛烈な誘致運動もあったが・・・)
●Ebbing基地には、24機のF-35と12機のF-16が配備される予定。F-16は現在Luke基地に置かれているシンガポール空軍の米国分遣隊F-16が移動してくるもの。

●7か月間のF-35操縦基礎教育課程終了後、一部の海外操縦者は再びEglin基地に戻って「教官操縦者」教育課程を受講して母国空軍での教官パイロットとなり、その他の操縦者は母国F-35飛行部隊に戻る。Ebbing基地では、2025年に4名の卒業生を送り出し、その後20230年頃までは毎年35名程度の教育を行う予定
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これまで操縦者教育を担ってきたアリゾナ州Luke基地は、F-35飛行隊を6個に機体140機以上を有する「F-35要員教育のメッカ」ですが、Ebbing州空軍基地の地元の皆様は、様々な外国人パイロットをどのように受け入れていくのでしょうか・・・。無人機MQ-9の穏やかなプロペラ音から、最新戦闘機F-35の爆音がとどろく環境への変化を受け入れてくれる社会の存在にも感謝すべきでしょう
航空自衛隊訓練生の米国での墜落死亡事故に学ぶ
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新任米空軍ACC司令官が兵士8万名に服装容儀検査 [米空軍]
「服装容儀の明らかな悪化が見られる」と
服装容儀の乱れは部隊能力の低下を示すバロメータ
「ひげ」が重要論点で「ひげそり教育」実施も
6月10日、2月に太平洋空軍司令官から米空軍戦闘コマンド(ACC:Air Combat Command)司令官に栄転したばかりのKenneth S. Wilsbach大将が、「兵士の大半は服装容儀基準を満たしているが、基準への取り組みには明確な低下が見られる」として、配下の兵士全員8万名に対する「服装容儀点検:Inspections on the Air Force standards for dress and personal appearance」を命じ、7月17日までに各部隊による検査を完了するよう指示しました
なお米空軍戦闘コマンドは、米空軍の戦闘機を始め1000機の航空機等々を軍人文民計15万名で運用する米空軍最大のコマンドで、35個の航空団Wing所属部隊等を全世界263か所で活動させている米空軍の中核組織であり、ACC司令官は米空軍を実質支配する「戦闘機パイロット族のボス」と呼ばれています
ACC報道官はこの命令に関し、2月に更新された「服装容儀基準」の履行状況を確認するためのものであり、「自然な流れだ」とも説明しているようですが、同時に米空軍全体として「大国間の本格的紛争に備えた即応性を重視」する方針が示され、組織改編などに着手している中、ACCとして「即応態勢は服装容儀基準の高レベル順守から始まる」と「基準の履行は秩序と規律維持にとどまらず、基本的な任務の必須事項である」との認識も示しています
検査は、日本人がイメージする単なる見た目の「服装容儀」だけでなく、兵士各個人の健康状態や信仰宗教に配慮した「服装容儀基準の免除」が、現時点での兵士の状況に即して更新されているかも重視する内容となっており、特に「ひげ」に関する「基準免除」の再確認も重視項目に含まれているとのことです。
「ひげ」に関しては、各個人の健康状態と宗教的側面の2側面から「ひげそり免除規定」があり、身体特性や健康面では、「皮膚の特性」から毎日ひげそりすると偽毛包炎(PFB)などの病気を発生させ皮膚に跡が残る兵士には「ひげそり免除」が認められようですが、空軍医官が「ひげそり教育コース」を開設して、安全にひげそりが行える方法を教え、不要に「ひげそり免除」が増えることを防止するようです。
宗教的側面からの「ひげそり免除者」へのアプローチは難しそうですが、免除付与が適切か7月17日までに再確認させるとのことです
「ひげそり免除」の取得は近年容易になってきたらしいですが、ひげ容認推進派からは「ひげをめぐる文化的偏見がまだ残っており、空軍兵士のキャリアを妨げている」との主張が展開されており、一方で下院軍事委員会の議員らが、ひげが安全性、規律、士気、包括性に与える影響を調査する法案を提出して審議がなされているということです
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米空軍の最上級曹長が「歴史は、部隊の服装容儀の乱れは、その部隊の軍事能力と即応性低下のバロメータであることを示している」と危機感を示し、新司令官が「(基準の順守状況に」明確な低下が見られる」と感じたならば、それは明らかな問題であり、米国社会全体の劣化を映し出したものなのかもしれません。
別の側面ですが、イスラム教信者が米軍内にも増えて「ひげそり免除者」が増え、部隊内で浮き上がった存在になっていたり、イスラエルVSハマス戦争の激化長期化を受け、イスラム教信仰兵士の存在を危惧する声も部隊内には根強く存在するようで、下院軍事委員会の調査法案は、その辺りをオブラートに包みつつ探ろうとしているのかもしれません
ひげ服装容儀関連の記事
「2021年12月の服装容儀基準変更」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/
「イスラム教信仰兵士にあごひげ許可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-21
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服装容儀の乱れは部隊能力の低下を示すバロメータ
「ひげ」が重要論点で「ひげそり教育」実施も

なお米空軍戦闘コマンドは、米空軍の戦闘機を始め1000機の航空機等々を軍人文民計15万名で運用する米空軍最大のコマンドで、35個の航空団Wing所属部隊等を全世界263か所で活動させている米空軍の中核組織であり、ACC司令官は米空軍を実質支配する「戦闘機パイロット族のボス」と呼ばれています

検査は、日本人がイメージする単なる見た目の「服装容儀」だけでなく、兵士各個人の健康状態や信仰宗教に配慮した「服装容儀基準の免除」が、現時点での兵士の状況に即して更新されているかも重視する内容となっており、特に「ひげ」に関する「基準免除」の再確認も重視項目に含まれているとのことです。

宗教的側面からの「ひげそり免除者」へのアプローチは難しそうですが、免除付与が適切か7月17日までに再確認させるとのことです

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米空軍の最上級曹長が「歴史は、部隊の服装容儀の乱れは、その部隊の軍事能力と即応性低下のバロメータであることを示している」と危機感を示し、新司令官が「(基準の順守状況に」明確な低下が見られる」と感じたならば、それは明らかな問題であり、米国社会全体の劣化を映し出したものなのかもしれません。

ひげ服装容儀関連の記事
「2021年12月の服装容儀基準変更」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/
「イスラム教信仰兵士にあごひげ許可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-21
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異なる通信システムの多国籍軍を繋ぐE-11の活躍 [米空軍]
愛称ベーコンのBACN機は現6機で9機体制へ
現在はガザ物資投下からフーチ派対処等々中東で
第18空中指揮統制飛行隊の中東派遣隊取材
6月21日付米空軍協会web記事が、ビジネスジェットに通信中継装置を搭載したBACN機(愛称ベーコン:Battlefield Airborne Communications Node)であるE-11Aの、中東派遣部隊パイロットへのインタビュー記事を掲載しました。
米国ジョージア州Robins空軍基地が母基地の第18空中指揮統制飛行隊所属機が、中東へ第430電子通信派遣飛行隊として展開している形で、その展開地や展開機数も非公開(派遣操縦者は約20名)で秘密が多い部隊や機体ですが、多国籍の部隊や装備が連携して戦うニーズが高まる中、不可欠な役割を果たしている部隊ですのでご紹介いたします
通信中継機E-11は、Bombardier社製のビジネスジェットGlobal Express 6000(最新型はBD-700)にNG社製のBACN機器を搭載した機体で、2021年1月に米空軍とNG社が契約を結んで製造開始し、現時点で推定6機を米空軍が保有し、今後毎年1機を調達して2027会計年度内に9機体制確立を目指しているそうです。
(なお米空軍は、無人機RQ-4にBACN機器を搭載したEQ-4も2018年頃から運用して4機保有していましたが、米空軍RQ-4の退役開始に合わせEQ-4Bも引退させようとしています)
E-11A型機は導入当初から、直進する性質を持つ電波の覆域補完や遠方「通信中継」機として紹介され、またその役割から広く「空飛ぶwifi :wifi in the sky」として前線兵士から期待され、「近接航空支援CAS、空輸物資投下、兵士救出、人道支援時の通信中継」、「データシステムが全く異なるF-22とF-35間のデータ中継」等に、2022年3月時点で既に20万時間以上の任務実績を積み重ねており、
山岳地帯が多く電波が届きにくいアフガン作戦での活躍が断片的に報じられてきましたが、アフガンからの撤退で、地上攻撃や兵士投入&撤収作戦の空地連携支援などの任務が減少し、ガザ地区への人道物資空中投下、フーチ派対処(攻撃と防御両面)、イラクやシリア内での対IS作戦や展開米軍防御作戦へ中央軍の作戦がシフトする中で、E-11A派遣飛行隊の役割が少し異なってきているようですので、記事から概要をご紹介いたします
21日付記事によれば最近E-11は・・・
●飛行隊長の中佐は、単に通信中継で通信可能距離を延伸するだけではなく、異なる電子形態やフォーマットの電子機器間の通信を繋いで中継し、様々なプラットフォーム間の相互通信性やデータの互換性を確保することが重要な任務だと語っている
●例えば、既に30回以上の支援実績があるガザ地区への人道支援物資空中投下では、この作戦を発案し開始したヨルダン空軍とヨルダン国内に設置された多国籍計画調整指揮所を、数か国の異なる通信アセットを搭載したC-130やエアバスA400輸送機や米空軍C-17とを結ぶ「空中通信中継」の役割を果たした
●同飛行隊長は「我々はガザ物資投下に限定されず、統合航空作戦センターから出されるATO(航空任務命令)に従い、様々な通信形態を繋いで多くの作戦参加者を連携させている」とまでしか発言を許されていないが、イラクとシリアでの米軍を航空脅威から防御し、イランと同盟関係にある民兵組織を空爆したり、フーシ派の商船攻撃阻止を支援したり、対IS作戦「Operation Inherent Resolve」支援のため、24時間体制で地上待機している
●E-11Aは最新型の場合航続距離が6000マイル(1万㎞以上)あり、操縦者2名のみで1回の飛行で複数の任務を時間分割で遂行可能な特長を生かし、海上でも陸上でも、多国籍な部隊が持つ様々な通信方式のの意思疎通ツールを繋ぐ「接着剤」の役割を果たし、現代の軍事作戦だけでなく、国際社会のニーズに応えている
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単なる「通信中継」イメージを超え、現代社会が求める「多国間協力」を支えるE-11部隊をご紹介いたしました。なお米空軍は既に、次世代BACN機器開発をNG社と契約しており、地上拠点との連携強化や個人装備との連接性強化、4と 5世代機のデータ共有能力向上、高脅威下で機能するGPS、Link-16、最新の航法装置、機器の信頼性や性能向上、更に機体の残存性を高める自己防御能力強化を目指して開発が始まっているとのことです
ご紹介していて思ったのですが、なぜ有人機であるビジネスジェット改良型を使用することになったのでしょうか? 次世代BACN機器開発開始だそうですが、本格紛争への備えなら、無人機型が必要では? RQ-4の維持が困難になり、搭載量の大きな長期在空無人機の代替が無かったから? 将来は衛星にE-11の役割を引き継がせる構想だから? いろいろ考えてしまいますが、調べる気力がないので、とりあえず今日はここまでとさせていただきます
E-11A関連の記事
「Bジェット改良の通信中継機増強中」→https://holylandtokyo.com/2022/11/21/3920/
通信中継機能も期待される機体には
「MQ-25A艦載無人給油機」→https://holylandtokyo.com/2021/09/17/2250/
「KC-46A給油機」→https://holylandtokyo.com/2020/01/17/868/
「64日間飛行の太陽光無人機」→https://holylandtokyo.com/2022/08/30/3585/
「無人ウイングマン機」→https://holylandtokyo.com/2021/04/09/103/
「C-17輸送機でも」→https://holylandtokyo.com/2020/07/10/569/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
現在はガザ物資投下からフーチ派対処等々中東で
第18空中指揮統制飛行隊の中東派遣隊取材

米国ジョージア州Robins空軍基地が母基地の第18空中指揮統制飛行隊所属機が、中東へ第430電子通信派遣飛行隊として展開している形で、その展開地や展開機数も非公開(派遣操縦者は約20名)で秘密が多い部隊や機体ですが、多国籍の部隊や装備が連携して戦うニーズが高まる中、不可欠な役割を果たしている部隊ですのでご紹介いたします

(なお米空軍は、無人機RQ-4にBACN機器を搭載したEQ-4も2018年頃から運用して4機保有していましたが、米空軍RQ-4の退役開始に合わせEQ-4Bも引退させようとしています)

山岳地帯が多く電波が届きにくいアフガン作戦での活躍が断片的に報じられてきましたが、アフガンからの撤退で、地上攻撃や兵士投入&撤収作戦の空地連携支援などの任務が減少し、ガザ地区への人道物資空中投下、フーチ派対処(攻撃と防御両面)、イラクやシリア内での対IS作戦や展開米軍防御作戦へ中央軍の作戦がシフトする中で、E-11A派遣飛行隊の役割が少し異なってきているようですので、記事から概要をご紹介いたします
21日付記事によれば最近E-11は・・・

●例えば、既に30回以上の支援実績があるガザ地区への人道支援物資空中投下では、この作戦を発案し開始したヨルダン空軍とヨルダン国内に設置された多国籍計画調整指揮所を、数か国の異なる通信アセットを搭載したC-130やエアバスA400輸送機や米空軍C-17とを結ぶ「空中通信中継」の役割を果たした

●E-11Aは最新型の場合航続距離が6000マイル(1万㎞以上)あり、操縦者2名のみで1回の飛行で複数の任務を時間分割で遂行可能な特長を生かし、海上でも陸上でも、多国籍な部隊が持つ様々な通信方式のの意思疎通ツールを繋ぐ「接着剤」の役割を果たし、現代の軍事作戦だけでなく、国際社会のニーズに応えている
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ご紹介していて思ったのですが、なぜ有人機であるビジネスジェット改良型を使用することになったのでしょうか? 次世代BACN機器開発開始だそうですが、本格紛争への備えなら、無人機型が必要では? RQ-4の維持が困難になり、搭載量の大きな長期在空無人機の代替が無かったから? 将来は衛星にE-11の役割を引き継がせる構想だから? いろいろ考えてしまいますが、調べる気力がないので、とりあえず今日はここまでとさせていただきます
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「64日間飛行の太陽光無人機」→https://holylandtokyo.com/2022/08/30/3585/
「無人ウイングマン機」→https://holylandtokyo.com/2021/04/09/103/
「C-17輸送機でも」→https://holylandtokyo.com/2020/07/10/569/
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80時間連続飛行の無人偵察機が中東アフリカで活動中 [米空軍]
偶然中東での画像が流布しその存在が明らかに
Too MuchなMQ-9より安価で損耗を苦にしない
まず4機を導入し、将来はアジア太平洋でも
7月2日付DefenseOneが、米中央軍がUAE基地に展開中の画像を「うっかり」流布させたことからその存在が明らかになった、DZYNE社製造の連続80時間飛行可能な無人偵察機ULTRA(Ultra Long-Endurance Tactical Reconnaissance Aircraft)について取り上げ、その航続性能からアジア太平洋戦域での活用も視野に置く同社CEOの話などを紹介していますので取り上げます
今年5月にどのような形でULTRAがUEAのAl Dhafra空軍基地で撮影され、その画像が流通したのか把握していませんが、同機は米空軍研究所AFRLと協力して約8年前から研究開発が始まっていたようですが、米国防省主導の「small business innovation research program (SBIR)」との枠組みで、2025年度予算で4機を約53億円で調達(地上管制や整備関連機材や部品を含む価格と推測)することになっているようです
機体は写真でご紹介しているような形状で、コストを抑えるため一般販売されているスポーツ用有人グライダー機体を改良したものだそうですが、偵察器材など約180㎏の最大ペイロードで、空中給油等無しで80時間連続飛行が可能な性能を持ち、例えば東京駅から離陸すると、約2000nm(3600㎞)離れた南シナ海ど真ん中付近で「丸一日」哨戒偵察飛行が可能な能力を持つそうです
現在は写真を撮られた米中央軍担当エリアやアフリカ大陸で活動しているようですが、アフリカでの根拠飛行場確保が難しくなる中、イタリア国内から離陸してサハラ砂漠一体のアフリカ北部全体を偵察範囲としてカバー可能な能力を持つことから、大いに重宝されているようです
ULTRAが開発された背景には、元々無人攻撃機として開発された1機45億円のMQ-9では運用コストや撃墜された際の損失が任務に比して「Too Much」で、現実にはMQ-9の「飛行時間の僅か数%しか」攻撃任務に使用されていない「無駄の垂れ流し状態」を解消するため、より調達や維持運用コストが安価なアセットへの要求が前線部隊で非常に大きくなっていることがあるようです。
今回DefenseOneの取材を受けたDZYNE社CEOのMatt McCue氏は、作戦運用根拠基地が少ないアジア太平洋地域では活用可能な航空偵察アセットが限定されるが、中東やアフリカ戦域での運用経験を踏まえ、アジア太平洋のような環境でこそ我が社のULTRAが真価を発揮するとして、米軍や国防省にアピールしたいと語っています
////////////////////////////////////////
画像から「スポーツ用グライダー」改良品であることがご理解いただけると思いますが、商用部品の使用で機体価格や維持運用コストは相当に抑制できるでしょうが、機体にステルス性があるわけではなく、相当の損耗率も覚悟する必要がありそうです。
1機45億円のMQ-9と比較すれば・・・ですが、ULTRAだって1機5~10億円くらいするんじゃないでしょうか
MQ-9関連の記事
「台湾MQ-9Bを追加」→https://holylandtokyo.com/2024/04/18/5755/
「海自9B東シナ海試験」→https://holylandtokyo.com/2024/03/04/5603/
「米空軍が鹿屋に:今嘉手納」→https://holylandtokyo.com/2022/10/27/3811/
「2回目の対中国応用演習」→https://holylandtokyo.com/2021/05/01/211/
「9B豪州へ輸出許可」→https://holylandtokyo.com/2021/04/29/119/
「本格紛争対応に機体改修」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-22
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Too MuchなMQ-9より安価で損耗を苦にしない
まず4機を導入し、将来はアジア太平洋でも
今年5月にどのような形でULTRAがUEAのAl Dhafra空軍基地で撮影され、その画像が流通したのか把握していませんが、同機は米空軍研究所AFRLと協力して約8年前から研究開発が始まっていたようですが、米国防省主導の「small business innovation research program (SBIR)」との枠組みで、2025年度予算で4機を約53億円で調達(地上管制や整備関連機材や部品を含む価格と推測)することになっているようです
現在は写真を撮られた米中央軍担当エリアやアフリカ大陸で活動しているようですが、アフリカでの根拠飛行場確保が難しくなる中、イタリア国内から離陸してサハラ砂漠一体のアフリカ北部全体を偵察範囲としてカバー可能な能力を持つことから、大いに重宝されているようです
今回DefenseOneの取材を受けたDZYNE社CEOのMatt McCue氏は、作戦運用根拠基地が少ないアジア太平洋地域では活用可能な航空偵察アセットが限定されるが、中東やアフリカ戦域での運用経験を踏まえ、アジア太平洋のような環境でこそ我が社のULTRAが真価を発揮するとして、米軍や国防省にアピールしたいと語っています
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1機45億円のMQ-9と比較すれば・・・ですが、ULTRAだって1機5~10億円くらいするんじゃないでしょうか
MQ-9関連の記事
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米海軍がイラン支援のフーシ派とWW2以来の長期激戦に [Joint・統合参謀本部]
中露との本格紛争に備えるはずが
フーシ派の無尽蔵無人機や巡航&弾道ミサイル対処に忙殺
フーシ派に対する地上攻撃は制約下に?
紅海やスエズ運河交通量は激減で終わり見えず
6月14日付 Military.com 記事が、イスラエルとハマス戦争やウクライナ戦争の陰に隠れて注目度が低下気味だが、紅海周辺で米軍主導で実施している対フーシ派作戦は、米海軍が直面しているWW2以降で最も激しい海戦になっている、との米海軍幹部や専門家の意見を紹介しています
2023年11月から始まった、フーシ派が「パレスチナ人支援が目的」だと主張する、紅海を航行する西側艦艇や船舶に対するドローンや巡航&弾道ミサイル攻撃への西側対処作戦は、イランから支援を受け、無尽蔵ともいえる上記兵器を保有するフーシ派との戦いとなっており、米海軍艦艇は休みない対応を迫られています
ラマダン期間の攻撃低下期間を除き、フーシ派はほぼ毎日、紅海・アデン湾や近傍の水路でミサイルやドローン(水中・水上を含む)攻撃等を仕掛けており、例えば1月9日の1回の攻撃への対処は、米イージス艦や空母艦載FA-18で、フーシ派発射のドローン18機、対艦巡航ミサイル2発、弾道ミサイル1発を撃墜する激しい戦闘として記録されています
Hudson 上級研究員(元海軍士官)Brian Clerk 氏は危機感を
●疑いの余地なく、米海軍がWW2以降で経験した最も長期にわたる激しい戦闘である
●フーシ派は、イラン提供兵器を使用した実戦経験を積み重ねて能力を高めており、米軍が阻止できないレベルになる寸前だ。フーシ派は有能で、豊富な経験を能力向上につなげている
米海軍空母戦闘群を率いるミゲス海軍少将は
●イランが資金援助だけでなくインテリジェンス支援も行ってることに、相当な確信をもっている。少なくともフーシ派が、海上輸送船や米軍艦を標的にする訓練も受けていることは事実だ
●(イランがフーシ派攻撃の標的を選定しているのかとの質問に対し、)イラン政府とフーシ派は協力関係にある。国連決議でワーシ派への武器供与が禁止されているにもかかわらず、イランはフーシ派に武器供給し続けている
●5月30日の米英によるフーシ派一斉攻撃は、350発以上の爆弾とミサイル50発以上を投入したものだったが、米海軍幹部は「フーシ派の地対空戦闘能力を大幅に低下させたが、彼らはまだ存在している」、「我々は常にフーシ派からの攻撃に備えている」とコメントしている
●フーシ派への攻撃をなぜもっと強めないのか、との不満の声が米海軍乗組員の間で上がっていることを海軍幹部も認めている
●ただ、国際情勢は単純ではなく、欧米海軍が周辺海域で防御態勢をとっている一方で、サウジはフーシ派との和平協定を模索し、ほぼ沈黙を守っている。報道では一部の中東諸国は米国に、自国領土からフーシ派攻撃を行わないよう要請しており、米空母の存在に依存している
●また、米国政府もフーシ派の行動を、イスラエルVSハマス戦争と同レベルで議論しておらず、イランがイスラエルに大規模なドローンとミサイル攻撃を行っても、間接的にイランとの緊張を緩和しようと努めているように見える
米海軍部隊の負担とエジプト等への影響
●現地で踏ん張る空母アイゼンハワー戦闘群は、10月7日のハマスによるイスラエル攻撃の 1週間後の展開以来、たった1回寄港しただけで作戦を継続しており、イージス艦は7日の内6日間は緊張を強いられる即時体制を継続している
●フーン派の攻撃で、この地域の船舶輸送は停滞しており、エジプトの低迷する経済にとって重要な外貸獲得源であるスエス連河収入は、攻撃開始以来半減している
///////////////////////////////////////////////////
ボディーブローのように、米海軍を中心とした米軍の能力を奪っている・・・と考えてよいと思います
定性的な記事内容の紹介しかできませんが、イスラエルとハマス戦争から派生する世界の動きは、皆の感覚がマヒしていく中で、大きなうねりとなっているような気がします
最近の中東やフーシ派関連の記事
「イスラエルVS イランを防研が速攻解説」→htps://holylandtokyo.com/2024/04/25/5847/
「フーチ派対処で防御態勢迅速改修改善」→https://holylandtokyo.com/2024/04/15/5741/
「出来すぎのイラン攻撃への迎撃作戦」→https://halylandtokyo.com/2024/04/16/581
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フーシ派の無尽蔵無人機や巡航&弾道ミサイル対処に忙殺
フーシ派に対する地上攻撃は制約下に?
紅海やスエズ運河交通量は激減で終わり見えず
2023年11月から始まった、フーシ派が「パレスチナ人支援が目的」だと主張する、紅海を航行する西側艦艇や船舶に対するドローンや巡航&弾道ミサイル攻撃への西側対処作戦は、イランから支援を受け、無尽蔵ともいえる上記兵器を保有するフーシ派との戦いとなっており、米海軍艦艇は休みない対応を迫られています

Hudson 上級研究員(元海軍士官)Brian Clerk 氏は危機感を
●疑いの余地なく、米海軍がWW2以降で経験した最も長期にわたる激しい戦闘である
●フーシ派は、イラン提供兵器を使用した実戦経験を積み重ねて能力を高めており、米軍が阻止できないレベルになる寸前だ。フーシ派は有能で、豊富な経験を能力向上につなげている
米海軍空母戦闘群を率いるミゲス海軍少将は
●(イランがフーシ派攻撃の標的を選定しているのかとの質問に対し、)イラン政府とフーシ派は協力関係にある。国連決議でワーシ派への武器供与が禁止されているにもかかわらず、イランはフーシ派に武器供給し続けている
●5月30日の米英によるフーシ派一斉攻撃は、350発以上の爆弾とミサイル50発以上を投入したものだったが、米海軍幹部は「フーシ派の地対空戦闘能力を大幅に低下させたが、彼らはまだ存在している」、「我々は常にフーシ派からの攻撃に備えている」とコメントしている
●フーシ派への攻撃をなぜもっと強めないのか、との不満の声が米海軍乗組員の間で上がっていることを海軍幹部も認めている
●また、米国政府もフーシ派の行動を、イスラエルVSハマス戦争と同レベルで議論しておらず、イランがイスラエルに大規模なドローンとミサイル攻撃を行っても、間接的にイランとの緊張を緩和しようと努めているように見える
米海軍部隊の負担とエジプト等への影響
●フーン派の攻撃で、この地域の船舶輸送は停滞しており、エジプトの低迷する経済にとって重要な外貸獲得源であるスエス連河収入は、攻撃開始以来半減している
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定性的な記事内容の紹介しかできませんが、イスラエルとハマス戦争から派生する世界の動きは、皆の感覚がマヒしていく中で、大きなうねりとなっているような気がします
最近の中東やフーシ派関連の記事
「イスラエルVS イランを防研が速攻解説」→htps://holylandtokyo.com/2024/04/25/5847/
「フーチ派対処で防御態勢迅速改修改善」→https://holylandtokyo.com/2024/04/15/5741/
「出来すぎのイラン攻撃への迎撃作戦」→https://halylandtokyo.com/2024/04/16/581
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カナダ軍トップに女性大将が就任 [ふと考えること]
主要先進国20か国G20軍隊で初の女性軍人トップ
就任時から内閣女性比率5割のトルドー首相が任命
最優先課題は「採用難と継続勤務率向上対策」
7月18日、カナダ軍全体の指揮官職(カナダ軍参謀総長の位置づけ)となる「chief of the Defence Staff」に、Jennie Carignan大将が女性として初めて就任し、カナダのトルドー首相から主要先進20か国で最初の女性軍隊トップの誕生だと紹介されました
Carignan陸軍大将は、1990年にカナダ軍士官学校(Royal Military College of Canada)で土木工学を修めて卒業し、カナダ軍で女性として初の戦闘部隊指揮官に就任したほか、施設部隊長、カナダ軍大学校長、第2師団長等の部隊指揮官を経験した後、2019年11月から1年間NATO軍イラク派遣部隊指揮官を務めたほか、ボスニア-ヘルツェゴヴィナ・ゴラン高原(シリア)・アフガニスタンへの派遣部隊勤務も経験した人物です
また、2021年から23年の間は、2021年にカナダ軍内で発生した「性的不適切スキャンダル」事案を受けて新設された「chief of professional conduct and culture」とのポストで、関連の対応をリードしたとのことです
一般大学でMBAを、米陸軍大学の指揮幕僚学科でも修士号を取得しているCarignan大将は、上記のカナダ軍勤務と私生活を両立させ、4名のお子様を育て、うち2名がカナダ軍に奉職されているとのことです
18日の就任式典でトルドー首相は、「あなたは、世界の主要先進国20か国の中で初めて軍のトップに女性として就任する。カナダ人のみならず、全世界のrole modelである」と讃え、Carignan大将は「女性が成し得ることに関し、新たな変化を生み出すことができた。大きな一歩であり、カナダ軍の長い長い歴史の結実の一つである」、「I'm ready for this. I've worked all of this time」と力強く同式典であいさつしています
Carignan大将は自身の優先課題をカナダ軍兵士の採用難と兵士の離職防止だと語っているようですが、本件を報じる19日付Defense-News記事は、カナダ軍はNATOから、国防費がGDP2%に満たないとして厳しく指摘され続けており、最近政府として2032年までに2%目標を達成すると表明したばかりとも紹介しており、同大将の前には大きな仕事が待ち構えているようです。ご活躍を祈念申し上げます
なお、トルドー首相は2015年に就任以来、自身の編成する内閣の閣僚の半分以上を女性とし、2018年にはカナダ警察(Royal Canadian Mounted Police)のトップに初めて女性を起用したことで知られています
カナダ軍トップJennie Carignan大将の公式バイオ
→https://www.canada.ca/en/department-national-defence/corporate/organizational-structure/chief-defence-staff/cds-bio.html
トルドー首相の策士ぶりが伺える記事
「やっとF-35導入発表」→https://holylandtokyo.com/2023/01/12/4134/
話題の女性関連記事
「女性大佐が部下を性的襲撃」→https://holylandtokyo.com/2024/02/06/5503/
「ミス米国にF-16パイロット」→https://holylandtokyo.com/2024/01/26/5497/
「米空軍初の女性戦闘機P少将で退役」→https://holylandtokyo.com/2023/09/29/5077/
「米海軍Blue Angelsに初の女性パイロット」→https://holylandtokyo.com/2022/07/21/3484/
「初の女性月面着陸目指す」→https://holylandtokyo.com/2021/07/05/1935/
「黒人女性が初の海軍戦闘操縦コース卒業」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-12
「超優秀なはずの女性少将がクビに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-11
「上院議員が空軍時代のレイプ被害告白」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-08
「空自初:女性戦闘機操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-25
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就任時から内閣女性比率5割のトルドー首相が任命
最優先課題は「採用難と継続勤務率向上対策」

Carignan陸軍大将は、1990年にカナダ軍士官学校(Royal Military College of Canada)で土木工学を修めて卒業し、カナダ軍で女性として初の戦闘部隊指揮官に就任したほか、施設部隊長、カナダ軍大学校長、第2師団長等の部隊指揮官を経験した後、2019年11月から1年間NATO軍イラク派遣部隊指揮官を務めたほか、ボスニア-ヘルツェゴヴィナ・ゴラン高原(シリア)・アフガニスタンへの派遣部隊勤務も経験した人物です

一般大学でMBAを、米陸軍大学の指揮幕僚学科でも修士号を取得しているCarignan大将は、上記のカナダ軍勤務と私生活を両立させ、4名のお子様を育て、うち2名がカナダ軍に奉職されているとのことです


なお、トルドー首相は2015年に就任以来、自身の編成する内閣の閣僚の半分以上を女性とし、2018年にはカナダ警察(Royal Canadian Mounted Police)のトップに初めて女性を起用したことで知られています
カナダ軍トップJennie Carignan大将の公式バイオ
→https://www.canada.ca/en/department-national-defence/corporate/organizational-structure/chief-defence-staff/cds-bio.html
トルドー首相の策士ぶりが伺える記事
「やっとF-35導入発表」→https://holylandtokyo.com/2023/01/12/4134/
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「女性大佐が部下を性的襲撃」→https://holylandtokyo.com/2024/02/06/5503/
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「米海軍Blue Angelsに初の女性パイロット」→https://holylandtokyo.com/2022/07/21/3484/
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米宇宙軍がSpaceX衛星の計画的軌道離脱で監視訓練 [Joint・統合参謀本部]
同社が古いStarlink衛星100基を計画的に大気突入破棄
その様子を米宇宙軍が監視訓練材料として各種センサーで
様々な衛星大気突入監視を若手兵士の能力向上に
6月28日、SpaceX社がインターネット回線を提供するStarlink衛星の中で、初期に打ち上げた古い衛星約100機を、今後数か月間で計画的に廃棄するため軌道高度を下げて大気圏突入させると発表しましたが、米宇宙軍(正確には宇宙コマンド)は、このSpaceX社の計画的で制御された衛星軌道変更と大気圏突入管理を、整備充実させつつある宇宙監視センサー網運用の絶好の訓練機会と捉え、若手宇宙軍兵士の育成等に最大限活用する(又は既に活用開始している)模様です
米国の連邦通信委員会(Federal Communications Commission)は、混雑が激しくなる宇宙空間の現状に鑑み、衛星が任務終了後は、商業事業者に5年以内に衛星を軌道から除外すること求める規則を採択していますが、低軌道に数千基の小型衛星を配置する「メガコンステレーション」構築に民間宇宙企業が次々乗り出す中、Starlink衛星だけでも5000基以上もある現状から、米宇宙軍の宇宙空間認識能力向上は喫緊の課題となっています
ベテランの宇宙軍兵士は長年の経験から、様々な衛星や宇宙デブリの種類や軌道状況により、当該物体が軌道を変えたり、大気圏再突入する際の「センサーシステム上での見え方」の「微妙な違い」を体感して理解していますが、この微妙な「監視システム上での見え方の違い」を言葉で説明するのは難しく、今回の計画的に制御された衛星軌道変更と大気圏突入は、最近急速に整備されつつある宇宙軍センサーシステムの確認や兵士育成に極めて有用な機会だと専門家は説明しています
本件を紹介する7月1日付米空軍協会web記事は、SpaceX社と米宇宙軍が協力して100基の衛星破棄情報を活用するとしか報じていませんが、米国以外の衛星運用者へも、SpaceX社は安全上の配慮から破棄衛星関連の情報を提供するでしょうし、また同盟国等との連携協力を重視する米宇宙軍も、同盟国軍の能力向上のために関連情報を提供すると思われますので、自衛隊の宇宙関連部隊などの訓練や試験にも活用されるのでしょう
また同記事は、「Starlink衛星の計画的に制御された軌道離脱を利用し、(米宇宙軍兵士は)ミサイル警戒スキルを磨くこともできる。ミサイル発射の赤外線放射と同様に、大気圏に再突入する衛星も独自の赤外線を放射するからだ」と紹介しており、地上でミサイル発射時に出る赤外線、弾道ミサイルが大気圏再突入する際の赤外線、衛星が破棄時に大気圏突入する際の赤外線を「見分ける」訓練になるのかも(?)しれません
////////////////////////////////////////////////
「Starlink衛星だけでも5000基以上もある現状」・・・だそうですが、どうやって把握するんでしょうか・・・・
先日は「商業宇宙戦争」との言葉絡みの論考(NIDSコメンタリー)をご紹介しましたが、これだけ民間企業活動が宇宙で活発になってくると、航空交通と同様に、一般政府機関の監督官庁が国際連携を図る必要がありそうです。もうあるのかもしれませんが・・・
宇宙監視関連の記事
「宇宙軍が部外委託拡大を」→https://holylandtokyo.com/2024/04/23/5771/
「AUKUS 3か国で宇宙監視レーダー」→https://holylandtokyo.com/2023/12/11/5338/
「衛星衝突防止を担う18SDS」→https://holylandtokyo.com/2023/12/07/5292/
「地球観測衛星を宇宙監視用へ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/22/2825/
「アラスカに新型レーダLRDR」→https://holylandtokyo.com/2021/12/15/2505/
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その様子を米宇宙軍が監視訓練材料として各種センサーで
様々な衛星大気突入監視を若手兵士の能力向上に
ベテランの宇宙軍兵士は長年の経験から、様々な衛星や宇宙デブリの種類や軌道状況により、当該物体が軌道を変えたり、大気圏再突入する際の「センサーシステム上での見え方」の「微妙な違い」を体感して理解していますが、この微妙な「監視システム上での見え方の違い」を言葉で説明するのは難しく、今回の計画的に制御された衛星軌道変更と大気圏突入は、最近急速に整備されつつある宇宙軍センサーシステムの確認や兵士育成に極めて有用な機会だと専門家は説明しています
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先日は「商業宇宙戦争」との言葉絡みの論考(NIDSコメンタリー)をご紹介しましたが、これだけ民間企業活動が宇宙で活発になってくると、航空交通と同様に、一般政府機関の監督官庁が国際連携を図る必要がありそうです。もうあるのかもしれませんが・・・
宇宙監視関連の記事
「宇宙軍が部外委託拡大を」→https://holylandtokyo.com/2024/04/23/5771/
「AUKUS 3か国で宇宙監視レーダー」→https://holylandtokyo.com/2023/12/11/5338/
「衛星衝突防止を担う18SDS」→https://holylandtokyo.com/2023/12/07/5292/
「地球観測衛星を宇宙監視用へ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/22/2825/
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空軍長官:次期制空機NGADは価格低減が必須 [米空軍]
現時点で1機450億円見積もりの衝撃
「少なくともF-35と同レベルまで引き下げたい」!?
一つの課題は新エンジンNGAP(AETP)の価格低減
無人ウイングマンCCAとの任務分担で要求調整も
6月28日、Kendall空軍長官がDefense-Newsとの独占インタビューの中で、次期制空機NGAD (2030年代にF-22後継として導入構想:Next-Generation Air Dominance fighter)の開発計画を放棄するわけではないが、現時点での見積価格がF-35の約3倍となる1機450億円($300 million)状態にあるNGADはコスト抑制が必要だと語り、
高価格の要因であると言われる次世代エンジンを始め、様々な高性能センサーや兵器やネットワークシステムなどの要求性能見直しや、次期制空機検討後に新たに検討が始まった無人ウイングマンCCAとの任務住み分けなど、価格抑制のための再検討等が必要だと語りました。
本件に関しては、6月13日にAllvin空軍参謀総長が2026年度予算案編成の難しさについて言及した際、次期ICBM計画 GBSDやB-21やF-35等々の主要事業が目白押しの中、NGAD候補機体設計や機種選定が山場にある次期制空機 NGADについて「不確実な将来:an uncertain future」に直面していると発言して以来、関係者に驚きと動揺が広がっていたところですが、Kendall長官が更に具体的な価格にまで踏み込んで語ったことで、課題の深刻さがより明らかになりました
Kendall長官は独占インタビューで、Defense-News記者からの「NGADはどの程度の価格なら受け入れ可能なのか?」との率直な質問に対し、「空軍はまだそのような目標を設定するには至っていないが、(笑いながら)理想的には、F-35 より安く、少なくとも F-35 と同程度に抑えたい」と答えたと7月1日付Defense-News記事は伝えていますが、簡単に要求性能とのトレードオフで価格1/3が実現するとは考えにくく、米海軍が次期空母艦載機プログラム予算化を2025年度予算で断念し、無期限延期としと同じような雰囲気が漂い始めています
7月1日付Defense-News記事は上記の内容の他、NGADコストが大きな要因の一つであると目されている次世代エンジン(NGAP(Next-Generation Adaptive Propulsion)とか、AETP(Adaptive Engine Transition Program)と呼ばれる)について解説し、「航続距離と燃料効率を向上させるために開発」「異なる場面(長距離高効率巡航時と戦闘場面)で要求される異なるエンジン性能に柔軟にAdaptiveに対応可能」等々と説明し、開発に関与した退役中将の「私が最後に見た数字は相当に高かった」とのコメントを紹介しています
次期ICBM開発コストが、当初見積もりからの推定超過分だけで「少なくとも米空軍予算総額の1年分」との信じられない事業管理を行っている米空軍ですから、とても恥ずかしくて次期制空機プログラムは最優先だなどと言い続けられないのでしょう・・・・。戦闘機の存在意義にさかのぼった根本的な見直しの好機かもしれません・・・
NGAD関連の記事
「NGADの将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/
「複数企業が競い検討中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/25/4678/
「欧州型とアジア太平洋型の2種類」→https://holylandtokyo.com/2023/05/10/4604/
「NGADが200機、CCAは1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「NGADは1機が数百億円」→https://holylandtokyo.com/2022/05/09/3193/
次期ICBMの苦悩
「国防次官もケツまくり」→https://holylandtokyo.com/2024/06/05/5929/
「米空軍だけでは対応不可能」→https://holylandtokyo.com/2024/03/01/5591/
「法抵触の議会通知」→https://holylandtokyo.com/2024/01/29/5478/
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「少なくともF-35と同レベルまで引き下げたい」!?
一つの課題は新エンジンNGAP(AETP)の価格低減
無人ウイングマンCCAとの任務分担で要求調整も

高価格の要因であると言われる次世代エンジンを始め、様々な高性能センサーや兵器やネットワークシステムなどの要求性能見直しや、次期制空機検討後に新たに検討が始まった無人ウイングマンCCAとの任務住み分けなど、価格抑制のための再検討等が必要だと語りました。


次期ICBM開発コストが、当初見積もりからの推定超過分だけで「少なくとも米空軍予算総額の1年分」との信じられない事業管理を行っている米空軍ですから、とても恥ずかしくて次期制空機プログラムは最優先だなどと言い続けられないのでしょう・・・・。戦闘機の存在意義にさかのぼった根本的な見直しの好機かもしれません・・・
NGAD関連の記事
「NGADの将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/
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「欧州型とアジア太平洋型の2種類」→https://holylandtokyo.com/2023/05/10/4604/
「NGADが200機、CCAは1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
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次期ICBMの苦悩
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F-35稼働率は3年連続急降下で約5割 [亡国のF-35]
71.4%→68.8%→56%→51.9%(2023年度)
また、昨年発表の2022年65.4%は間違いで実際は56%で、
間違った理由はすぐに説明できないと開き直り
6月27日付米空軍協会web記事は、米空軍が2023年度のF-35稼働率(Mission capable rates)が前年2022年度の「56%」から低下して「51.9%」だったと発表し、その原因としてサプライチェーンの混乱等による「部品の入手困難」を上げていると報じました。なおここでの稼働率とは、F-35が期待されている複数任務の内、一つでも可能な機体状態であれば「稼働状態」だとカウントする「あまあま」な基準に基づくものです
ちなみに米空軍は、F-35に限らず、航空機全体で稼働率が低下傾向にある中、前線に派遣された部隊は優先的に部品の配分等を受け100%近い稼働率を達成可能ながら、派遣先から帰隊後は部品配分優先度が下がり、稼働率も急降下する実態もあり、「稼働率」だけでは部隊状態や任務達成度合いを判断するのは難しい・・・と、今ごろになって苦しいい言い訳をしていますが、新機種導入ばかりに投資し、維持整備を後回しにしていると強い批判を浴びているのが現実です
加えて米空軍報道官は、米空軍が昨年発表していた2022年度のF-35稼働率「65.4%」は誤りで、実際は「56%」だったが、なぜそのような誤った稼働率を発表したのかは「すぐには分からない。誤りを見つけて直ちに訂正している:the reason for the inaccurate number last year isn’t immediately available, but we shared a correction as soon as we realized the error」と記者団に説明し、開き直りとも言えるその姿勢に、さすがの米空軍協会webサイトも「開いた口が塞がらない」状態です
米空軍が恥ずかしいのは、米会計検査院GAO が2024年4月に発表したF-35維持費監査レポートが、米空軍発表の2022年度稼働率「65.4%」を無視し、「これが実態だ」と言わんばかりに今年4月時点で2022年度は「56%」だったと発表し、6月末になって米空軍がこのデータを後追いで認める会見を行っている点です。
なお4月GAO発表の米空軍F-35の稼働率推移は・・・
2020年度→71.4 %
2021年度→68.8 %
2022年度→56 %
2023年度→51.9 %
ちなみに会計検査院GAO報告書は更に
●米空軍はF-35A稼働率の最低目標数値を80%と自ら設定している。ちなみに、米空軍以外のF-35B型やC形も目標稼働率を達成していない
●米空軍が設定した1機あたりの年間維持整備経費は、2023年6月時点で「約6億円」だったが、1年しか経過していない2024年春時点で「約10億円」に約4割も増加している
●年間維持経費を削減するため、米空軍は年間の1機あたりの飛行時間を、当初計画の230時間から187時間まで削減し、機体を約8年間長く使用すると説明している
/////////////////////////////////////////
これ以上突っ込む元気もありませんが、本当にF-35は「亡国のF-35」なんです。
主要戦闘機の稼働率問題など
「2021年稼働率は前年より低下」→https://holylandtokyo.com/2021/12/07/2465/
「Lord次官:F-35稼働率の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「8割目標を放棄」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-08
「海軍FA-18は何とか達成?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-25
「米空軍はF-16のみ達成可能」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-09-06
「戦闘機稼働率8割への課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-09
「マティス国防長官が8割指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-11
「B-1爆撃機の稼働機一桁の衝撃」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-05
「2Bソフト機は稼働率4割台」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-1
「2/3が飛行不能FA-18の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-07
「世界中のF-35稼働率は5割」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-3
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また、昨年発表の2022年65.4%は間違いで実際は56%で、
間違った理由はすぐに説明できないと開き直り




なお4月GAO発表の米空軍F-35の稼働率推移は・・・
2020年度→71.4 %
2021年度→68.8 %
2022年度→56 %
2023年度→51.9 %
ちなみに会計検査院GAO報告書は更に

●米空軍が設定した1機あたりの年間維持整備経費は、2023年6月時点で「約6億円」だったが、1年しか経過していない2024年春時点で「約10億円」に約4割も増加している
●年間維持経費を削減するため、米空軍は年間の1機あたりの飛行時間を、当初計画の230時間から187時間まで削減し、機体を約8年間長く使用すると説明している
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これ以上突っ込む元気もありませんが、本当にF-35は「亡国のF-35」なんです。
主要戦闘機の稼働率問題など
「2021年稼働率は前年より低下」→https://holylandtokyo.com/2021/12/07/2465/
「Lord次官:F-35稼働率の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「8割目標を放棄」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-08
「海軍FA-18は何とか達成?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-25
「米空軍はF-16のみ達成可能」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-09-06
「戦闘機稼働率8割への課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-09
「マティス国防長官が8割指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-11
「B-1爆撃機の稼働機一桁の衝撃」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-05
「2Bソフト機は稼働率4割台」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-1
「2/3が飛行不能FA-18の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-07
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論考:国防組織の課題@「商業宇宙戦争」時代 [サイバーと宇宙]
6月25日付 NIDSコメンタリーに掲載
実務的な課題に焦点を当てた論考
広義には他にも色々ありそうな気がするが
6月25日付 防衛研究所NIDSコメンタリーが、福島康仁主任研究官による『「商業宇宙戦争」の時代における防衛組織の課題』との簡明な論考を掲載し、ロシア・ウクライナ戦争を通じ急速に注目を浴びる商用宇宙サービスの軍事利用に関する(日本に限らず世界の)国防(防衛)組織としての課題を2つの視点から示し、その課題への対応として(世界の国防組織が)「少なくとも」取り組むべき事項を2つの側面から紹介していますので、ご紹介いたします
米軍が各種宇宙システムを情報面で広く活用したことから、1991年の湾岸戦争が「初の宇宙戦争」と呼ばれることを受け、「商業宇宙能力が実際に重要な役割を果たしている最初の戦争」として2022年2月からのロシア・ウクライナ戦争を「初の商業宇宙戦争(commercial space war)」とその筋では呼ぶようですが、
本論考で「国防組織(防衛組織)としての課題」や「国防(防衛)組織として少なくとも取り組むべき事項」と議論の範囲を限定しているように、「宇宙」や「民間企業の軍事作戦協力」との、日本ではいまだに極めてデリーケートであろう話題を考えるにあたり、議論の焦点を明確に絞っていることがポイントであり、「商業宇宙戦争」との言葉にぼんやりと興味を持って読まれた方には、少し肩透かし感があるかもしれません。
でも限られた紙面の中で、広義の「課題」を議論して発散するより、実務面で必要な視点に絞って「商業宇宙戦争」を見ることは大切なことだと思いますので、推定約40歳の福島康仁さんの論考をご紹介いたします
露・ウ戦争が初の「商業宇宙戦争」になった背景
●2010年代後半から商業地球観測衛星数が急速に増加し、高分解能光学画像から高頻度光学画像、合成開口レーダ画像に至るまで多様な画像を入手できる環境が整った。
●例えば、米国のプラネット社(2010年創業)運用の約200機の小型光学地球観測衛星群や、フィンランドのアイサイ社(2012年創業)運用の型合成開口レーダ衛星群。また、今や「ウ軍」の指揮統制に不可欠な米スペースX社(2002年創業)の高速衛星通信サービス「スターリンク」は、試験的サービスが最初に米加で始まったのは2020年後半
「商業宇宙戦争」時代の国防(防衛)組織の課題2つ
●企業のイノベーションを如何に効果的に活用するか
→宇宙関連技術革新が国家から企業に移行する傾向が顕著な中、民間の技術革新を官の国防組織がどれだけ迅速に取り込めるかが軍事優劣に大きな影響
→例えば米国は、米宇宙軍は宇宙開発局が「fast follower」を標榜し、2年毎の新しい衛星群打ち上げに着手し、衛星の軌道離脱などに商業サービス活用も検討。また軍内商業宇宙室が有事に商業サービスを迅速&&安定的に利用可能な契約枠組み(Commercial Augmentation Space Reserve)の創設準備も
→更に、2024年4月発表の米国防省「商業宇宙統合戦略」(CSIS)は省全体の意識改革を促し、商業宇宙サービス全体を補助的でなく、不可欠なものとする決意が示され、同時に初発表の米宇宙軍「商業宇宙戦略」(CSS)でも、同盟国に加え企業サービスを統合した能力構築推進を掲げている
→先進的商業サービスへのアクセスレベルは国により様々も、米国とその同盟国は、同盟国や友好国サービスが利用可能な場合が多い。それ以外の国家で注目は、2010年代後半から中国民間企業が宇宙サービスを急拡大している点で、露ウ戦争に関与していた民間軍事会社ワグネルが、中国の新興宇宙企業から光学及びレーダー衛星画像を購入&利用していたとされる
●商用システムへの妨害に如何に備え対応するか
→商業システムへの依存度が増すに従い、敵にとって防衛組織が利用する商業宇宙システムは、より重要な攻撃目標になる
→例えばイラクでは2004-5年から米軍使用の商用衛星通信への妨害が確認され始め、2020年以降も妨害源特定作戦が継続されており、妨害が当該区域で常態化している模様。露ウ戦争でも、米ヴァイアサット社の静止衛星通信網へのサイバー攻撃や、スペースX社のスターリンクもサイバー攻撃や電波妨害を受けている模様で、商業システムへの妨害は前提として想定しておくべきものとなっている
防衛組織に「少なくとも」必要な取り組み2つ
●官民の多様なシステムを継ぎ目なく使用可能に
→防衛組織が宇宙システムを自ら構築することに増して、商用サービスをどれだけ効果的に利用可能がカギになる
→例えば、ビックデータである衛星画像データを迅速に処理する人工知能使用ソフト(既にウ軍使用)や、官民の衛星間で大容量データを迅速に共有可能な光通信網、官民様々な複数宇宙システムに対応可能な利用者端末の導入などがこれに該当する
→防衛省もこうした観点から、専用通信衛星と商業通信衛星などに対応したマルチバンド受信機の整備を始めている
●妨害対処の課題への官民連携と国際連携
→日本では2022年12月の「国家安全保障戦略」で、宇宙安全保障関連取り組みの1つとして「不測の事態における政府の意思決定に関する体制」構築が明記され、官民情報共有の枠組みとして2023年に設置された「宇宙システム安定性強化に関する官民協議会」が鍵となる役割を果たすことを期待されている。
→この際の留意点として、当該国の防衛組織が利用する商用サービス提供元が「自国企業とは限らない」点があり、外国企業との間でも妨害を前提とした情報共有や対応を検討しておく必要がある
//////////////////////////////////////////////
冒頭で失礼にも、「商業宇宙戦争」との言葉にぼんやりと興味を持って読まれた方には、少し肩透かし感があるかも・・・と書いてしまいましたが、実態として日本があまりにも遅れているため、とりあえず進むべき方向を論考として大まかに示すしかない状態なことも、なんとなく伝わってきました
もちろん米宇宙軍においても、「商用サービスをもっと迅速に活用できるように枠組みの変革を!」との強い現場の声が、素早く政策に反映されているわけではなく、米議会などから「本当に民間企業を有事に頼って良いのか?」「企業所属の民間人が軍事作戦における重要判断に関与することにならないか? なって良いのか?」等々の根本的な疑問の声も上がっており、「商業宇宙戦争」の広義の「課題」はとてつもなく大きなものだと再認識しておく必要もありましょう
宇宙分野での企業との連携
「国際&企業協力強化に規格設定を」→https://holylandtokyo.com/2024/05/13/5833/
「国防省有志が迅速民間活用要求」→https://holylandtokyo.com/2022/09/16/3609/
「補給方式異なる2企業と並行連携」→https://holylandtokyo.com/2024/02/20/5554/
「衛星の緊急打ち上げ技術開発」→https://holylandtokyo.com/2024/03/12/5622/
「衛星が地上局との Link-16 通信試験」→https://holylandtokyo.com/2023/11/30/5311/
「海上打ち上げ企業選定」→https://holylandtokyo.com/2024/06/14/5964/
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実務的な課題に焦点を当てた論考
広義には他にも色々ありそうな気がするが
米軍が各種宇宙システムを情報面で広く活用したことから、1991年の湾岸戦争が「初の宇宙戦争」と呼ばれることを受け、「商業宇宙能力が実際に重要な役割を果たしている最初の戦争」として2022年2月からのロシア・ウクライナ戦争を「初の商業宇宙戦争(commercial space war)」とその筋では呼ぶようですが、
でも限られた紙面の中で、広義の「課題」を議論して発散するより、実務面で必要な視点に絞って「商業宇宙戦争」を見ることは大切なことだと思いますので、推定約40歳の福島康仁さんの論考をご紹介いたします
露・ウ戦争が初の「商業宇宙戦争」になった背景

●例えば、米国のプラネット社(2010年創業)運用の約200機の小型光学地球観測衛星群や、フィンランドのアイサイ社(2012年創業)運用の型合成開口レーダ衛星群。また、今や「ウ軍」の指揮統制に不可欠な米スペースX社(2002年創業)の高速衛星通信サービス「スターリンク」は、試験的サービスが最初に米加で始まったのは2020年後半
「商業宇宙戦争」時代の国防(防衛)組織の課題2つ
●企業のイノベーションを如何に効果的に活用するか
→宇宙関連技術革新が国家から企業に移行する傾向が顕著な中、民間の技術革新を官の国防組織がどれだけ迅速に取り込めるかが軍事優劣に大きな影響
→更に、2024年4月発表の米国防省「商業宇宙統合戦略」(CSIS)は省全体の意識改革を促し、商業宇宙サービス全体を補助的でなく、不可欠なものとする決意が示され、同時に初発表の米宇宙軍「商業宇宙戦略」(CSS)でも、同盟国に加え企業サービスを統合した能力構築推進を掲げている
→先進的商業サービスへのアクセスレベルは国により様々も、米国とその同盟国は、同盟国や友好国サービスが利用可能な場合が多い。それ以外の国家で注目は、2010年代後半から中国民間企業が宇宙サービスを急拡大している点で、露ウ戦争に関与していた民間軍事会社ワグネルが、中国の新興宇宙企業から光学及びレーダー衛星画像を購入&利用していたとされる
●商用システムへの妨害に如何に備え対応するか
→例えばイラクでは2004-5年から米軍使用の商用衛星通信への妨害が確認され始め、2020年以降も妨害源特定作戦が継続されており、妨害が当該区域で常態化している模様。露ウ戦争でも、米ヴァイアサット社の静止衛星通信網へのサイバー攻撃や、スペースX社のスターリンクもサイバー攻撃や電波妨害を受けている模様で、商業システムへの妨害は前提として想定しておくべきものとなっている
防衛組織に「少なくとも」必要な取り組み2つ
●官民の多様なシステムを継ぎ目なく使用可能に
→例えば、ビックデータである衛星画像データを迅速に処理する人工知能使用ソフト(既にウ軍使用)や、官民の衛星間で大容量データを迅速に共有可能な光通信網、官民様々な複数宇宙システムに対応可能な利用者端末の導入などがこれに該当する
→防衛省もこうした観点から、専用通信衛星と商業通信衛星などに対応したマルチバンド受信機の整備を始めている
●妨害対処の課題への官民連携と国際連携
→この際の留意点として、当該国の防衛組織が利用する商用サービス提供元が「自国企業とは限らない」点があり、外国企業との間でも妨害を前提とした情報共有や対応を検討しておく必要がある
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冒頭で失礼にも、「商業宇宙戦争」との言葉にぼんやりと興味を持って読まれた方には、少し肩透かし感があるかも・・・と書いてしまいましたが、実態として日本があまりにも遅れているため、とりあえず進むべき方向を論考として大まかに示すしかない状態なことも、なんとなく伝わってきました

宇宙分野での企業との連携
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「国防省有志が迅速民間活用要求」→https://holylandtokyo.com/2022/09/16/3609/
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「衛星が地上局との Link-16 通信試験」→https://holylandtokyo.com/2023/11/30/5311/
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突然!超静粛無人偵察機XRQ-73を今年初飛行発表 [米国防省高官]
燃料を電力に変換するハイブリッド電気システム推進
2011年から極秘開発の「Hybrid Electric Propulsion」計画
重量600㎏以下ながら「即実戦投入」の可能性示唆
6月24日米国防省研究機関DARPAが、2011年頃から極秘開発されてきた「hybrid electric system」との極めて静かな新型推進装置を備えた、開発中の「flying wing」形状の無人偵察機「X-plane」を「XRQ-73」と命名し、今年中に初飛行すると発表し、「すぐに実戦投入可能になる」レベルに成熟した開発案件だとアピールしました
先ず「XRQ-73」は重量1250ポンド(約570㎏)と、例えばMQ-9の2200㎏と比較すると小型無人機で、無人機分類の「グループ3」に属する飛行高度 18,000 フィート以下、飛行速度 100~250 ノットレベルの性能ですが、「(偵察機として)必要なミッションシステムを搭載可能」とDARPAは発表しています
このクラスの無人機は比較的低高度を飛行するため敵に発見されやすくなる「騒音」が問題になるそうですが、「XRQ-73」は、2011年頃から研究開発が始まった「Great Horned Owl:アメリカンミミズク」計画とその実証機「XRQ-72」の成果を踏まえ、4年前から始まった新型推進装置開発プロジェクト「SHEPARD:Series Hybrid Electric Propulsion AiR Demonstration」で成熟した推進装置で、「超静粛推進:extra-quiet propulsion」実現を目指すとのことです
この新型推進装置について6月25日付米空軍協会web記事によれば・・
●燃料を電力に変換(converts fuel to electric power)するハイブリッド電気システムを搭載
●「XRQ-72」当時はガソリンかディーゼルで駆動すると報じられていた
●「hybrid power」使用は、ギアボックスから出る騒音を排除するために選択された
●プロジェクト「SHEPARD」は、NG社の子会社Scaled Composites社を中心に、空軍研究所や海軍開発機関も協力している開発案件
またDARPA発表では
●新技術を取り入れつつ、新技術導入リスクを最小化し、迅速に配備可能な長時間飛行航空機設計を行う
●無人機ウイングマン機CCAとの直接的関係には言及しなかったが、当然国防省内では必要な技術情報共有は行っているとコメントしている
////////////////////////////////////////
まんぐーすの基礎知識ではこのくらいしかご説明できませんが、ご興味のある方は、「Hybrid Electric Propulsion」とか、「hybrid electric system」とか、「Great Horned Owl project」とかでググってみてください。
6月25日付米空軍協会web記事にはいくつかイメージ図が掲載されていますが、B-2やB-21爆撃機のような「flying wing」形状の機体のようです。今年も残すところあと半年です。今年実施予定の初飛行の知らせを待つことといたしましょう
BWB機開発関連の記事
「ベンチャー企業にBWBデモ機」→https://holylandtokyo.com/2023/08/21/4962/
「ステルス給油機検討開始」→https://holylandtokyo.com/2023/02/13/4281/
「長官が積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/
「BWB機の技術動向調査」→https://holylandtokyo.com/2022/08/05/3508/
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2011年から極秘開発の「Hybrid Electric Propulsion」計画
重量600㎏以下ながら「即実戦投入」の可能性示唆
先ず「XRQ-73」は重量1250ポンド(約570㎏)と、例えばMQ-9の2200㎏と比較すると小型無人機で、無人機分類の「グループ3」に属する飛行高度 18,000 フィート以下、飛行速度 100~250 ノットレベルの性能ですが、「(偵察機として)必要なミッションシステムを搭載可能」とDARPAは発表しています
この新型推進装置について6月25日付米空軍協会web記事によれば・・
●「XRQ-72」当時はガソリンかディーゼルで駆動すると報じられていた
●「hybrid power」使用は、ギアボックスから出る騒音を排除するために選択された
●プロジェクト「SHEPARD」は、NG社の子会社Scaled Composites社を中心に、空軍研究所や海軍開発機関も協力している開発案件
またDARPA発表では
●新技術を取り入れつつ、新技術導入リスクを最小化し、迅速に配備可能な長時間飛行航空機設計を行う
●無人機ウイングマン機CCAとの直接的関係には言及しなかったが、当然国防省内では必要な技術情報共有は行っているとコメントしている
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6月25日付米空軍協会web記事にはいくつかイメージ図が掲載されていますが、B-2やB-21爆撃機のような「flying wing」形状の機体のようです。今年も残すところあと半年です。今年実施予定の初飛行の知らせを待つことといたしましょう
BWB機開発関連の記事
「ベンチャー企業にBWBデモ機」→https://holylandtokyo.com/2023/08/21/4962/
「ステルス給油機検討開始」→https://holylandtokyo.com/2023/02/13/4281/
「長官が積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/
「BWB機の技術動向調査」→https://holylandtokyo.com/2022/08/05/3508/
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横田と三沢基地司令官の大佐が交代 [米空軍]
7月8日に横田、9日に三沢基地司令官が交代
交代式を取り仕切った在日米軍司令官も間もなく交代
7月10日付米空軍協会web記事が、在日米空軍の重要基地である横田基地と三沢基地の基地司令官を兼務する、横田ではC-130輸送機部隊(374th Airlift Wing)の指揮官、三沢ではF-16戦闘爆撃機部隊(35th Fighter Wing)の指揮官が、それぞれ7月8日と9日に交代したと紹介しています
両基地の基地司令官交代式には、在日米軍司令官(兼ねて第5空軍司令官)のRicky N. Rupp中将が参加し、それぞれの新司令官に部隊の旗を手渡して指揮権の移行を内外に示しました。
横田基地の新司令官はC-130操縦者のRichard McElhaney大佐で、C-130J輸送機の他に、2023年11月の死亡事故から飛行再開したばかりのCV-22オスプレイ部隊や、老朽化が進むUH-1Nヘリ(MH-139ヘリへの更新計画を見直し中)の運用を基地トップとして見守ることになりますが、
在日米軍司令官がオフィスを構え、中国・ロシア・北朝鮮の3ヵ国に最も近接する米空軍基地の司令官として、「航空輸送を超えた役割に焦点を当て司令官任務に当たる。その任務達成のために皆と共に前進したい」と8日就任あいさつをしています
三沢基地の新司令官はPaul T. Davidson大佐で、7月3日に米国防省が発表した、36機のF-16戦闘機を時期&スケジュールは未定or非公開ながら48機のF-35Aに機種更新する役割を主に担うことになろうと想像します。
ちなみに米空軍F-35の海外配備は英国Lakenheath英空軍基地に次ぐ世界で2番目で、緊張高まるアジア太平洋地域では初めてとなることもあり、同大佐は9日「我が空軍と世界が大きな転換点にある今、この戦略的重要基地において任務遂行に邁進しなければならない」と挨拶しています
なお、両基地の指揮官交代式を取り仕切った2021年8月から在日米軍司令官を務めるRupp中将(推定59-60歳)ですが、既に推定53歳のStephen F. Jost少将が後任者として5月に米議会上院で承認(併せて中将昇任も)されており、7月から8月のタイミングで交代が予定されています
4月に岸田首相が訪米して行われた日米首脳会談に際しては、日米同盟の更なる強化の観点から、「日米連合司令部」編成や「在日米軍司令官の大将への格上げ」などを検討すると報じられている中、米空軍戦闘機パイロットとしてピカピカな経歴を持ち、最近6-7年間は困難なF-35導入や多様な統合職経験で更なる高級ポストに備えているStephen F. Jost少将にも期待したいと思います
在日米軍を巡る最近の記事
「日本配備の戦闘機更新計画発表」→https://holylandtokyo.com/2024/07/05/6097/
「次の在日米軍司令官」→https://holylandtokyo.com/2024/03/27/5745/
「在日米軍兵士の医療体制改善要求」→https://holylandtokyo.com/2024/04/12/5736/
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交代式を取り仕切った在日米軍司令官も間もなく交代
両基地の基地司令官交代式には、在日米軍司令官(兼ねて第5空軍司令官)のRicky N. Rupp中将が参加し、それぞれの新司令官に部隊の旗を手渡して指揮権の移行を内外に示しました。

在日米軍司令官がオフィスを構え、中国・ロシア・北朝鮮の3ヵ国に最も近接する米空軍基地の司令官として、「航空輸送を超えた役割に焦点を当て司令官任務に当たる。その任務達成のために皆と共に前進したい」と8日就任あいさつをしています
ちなみに米空軍F-35の海外配備は英国Lakenheath英空軍基地に次ぐ世界で2番目で、緊張高まるアジア太平洋地域では初めてとなることもあり、同大佐は9日「我が空軍と世界が大きな転換点にある今、この戦略的重要基地において任務遂行に邁進しなければならない」と挨拶しています

4月に岸田首相が訪米して行われた日米首脳会談に際しては、日米同盟の更なる強化の観点から、「日米連合司令部」編成や「在日米軍司令官の大将への格上げ」などを検討すると報じられている中、米空軍戦闘機パイロットとしてピカピカな経歴を持ち、最近6-7年間は困難なF-35導入や多様な統合職経験で更なる高級ポストに備えているStephen F. Jost少将にも期待したいと思います
在日米軍を巡る最近の記事
「日本配備の戦闘機更新計画発表」→https://holylandtokyo.com/2024/07/05/6097/
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独仏西の戦闘機が大挙アジアツアーの概要 [安全保障全般]
3か国戦闘機28機が給油機8機と1800名体制で
アラスカ→豪州→日本→ハワイ→インド
7月8日から8月の印空軍初の多国間空軍演習まで
7月5日付米空軍協会web記事が、ドイツ・フランス・スペイン空軍(次世代戦闘機Future Combat Air System開発でチームを組む3か国。英伊日本のGCAP:Global Combat Air Programとはライバル関係ですが・・・)が7月から8月にかけ、戦闘機28機を含む、総計50機と人員約1800名を伴って開始している、大規模アジア訓練演習ツアー「Pacific Skies 24」について紹介していますので取り上げます。
本件については2023年11月末に構想が発表されましたが、超積極的なドイツ空軍司令官(なんと2018年から継続して同ポストを務める超異例の長期政権)Ingo Gerhartz独空軍中将(記事の写真でご紹介)がリードしてまとめられた構想で、世界中から目を付けられている中国軍の横暴に欧州軍としての姿勢を示す目的をもって計画されたとのことです。
なお同独中将はウクライナ情勢厳しい欧州にあっても、2023年6月に24か国から航空機220機と1万名を集め「欧州における冷戦後最大の航空演習」となった「Air Defender 23」を主導&実現させたことで世界から注目を集めた独軍人です。ちなみに同演習には米空軍から約100機のF-35s, F-16s, F-15s, A-10sが参加しましたが、全てが州空軍からの参加で、州空軍にACE構想を浸透させることに多大な貢献をしたとして米空軍からも称賛されているドイツ軍人です
ちなみに、独空軍は本訓練ツアーに12機のトーネード戦闘爆撃機を参加させるのですが、1980年代から広く欧州の空軍で採用され、1992年の湾岸戦争で大活躍した同機も、ドイツ空軍に残るのみとなっており、2025年から独空軍でも退役開始するようで、これが海外展開の最後の機会となるようです
先ず独仏西からの「Pacific Skies 24」参加機は
●ドイツ→トーネード12機、タイフーン8機、H145Mヘリ4機、A400輸送機4機
●フランス→ラファール4機、A400輸送機3機、A330MRTT空中給油機8機
●スペイン→タイフーン4機、A400輸送機2機
「Pacific Skies 24」のスケジュール概要
●米アラスカで→7月8日から18日に、ドイツ空軍主計画の演習「Arctic Defender」を実施。航空機60機と人員500名で、米軍からはF-22と米海兵隊機が参加し、広大なアラスカ上空演習空域を使用した航空作戦演習を展開
●豪州で→7月12日から8月2日の間に、豪州主導の多国間統合演習「Pitch Black」に参加し、米、シンガポール、伊、印、英国、フィリピンなど総計20か国140機とともに、様々なシナリオ設定で航空戦力活動を訓練
●日本で→7月19から25日の間に、航空自衛隊のF-15やF-2と訓練
●ハワイで→開催中の世界最大の海洋演習RIMPAC後半部分に独タイフーンが参加
●インドで→8月にインド空軍が初めて実施する多国間空軍演習「Tarang Shakti」に参加
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ドイツは、左翼政権が原発廃止など極端な自然エネルギー政策を推し進め、今や電力などエネルギー価格が高騰して産業崩壊状態となっています。併せて極端な移民受け入れ優遇政策で社会秩序も崩壊し、欧州の凋落を象徴する国家となりつつあります。
ドイツの国防政策も、冷戦終了後の極端な「軍縮」&「国防費削減」政策で軍の根幹を崩壊させながら、2014年の露のウクライナ侵略以降、再び手のひら返しで軍事力増強に取り組んでいますが、「覆水盆に返らず」で、一度社会で地位を失った軍隊に人を呼び戻すことは難しく、空虚な軍事増強と揶揄される現状です。そんな苦しいドイツ軍の歴史を経験してきたIngo Gerhartz独空軍中将が、独陸軍に押されて存在感が薄い独空軍の存在をアピールする姿に「胸熱」の「Pacific Skies 24」です
2023年11月に計画発表時の記事
「独仏西の戦闘機が大挙アジア訓練ツアー」→https://holylandtokyo.com/2023/11/29/5307/
ドイツ空軍トップはイケイケ積極派!
「23年6月に独でで冷戦後最大の航空演習」→https://holylandtokyo.com/2023/05/01/4515/
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アラスカ→豪州→日本→ハワイ→インド
7月8日から8月の印空軍初の多国間空軍演習まで

本件については2023年11月末に構想が発表されましたが、超積極的なドイツ空軍司令官(なんと2018年から継続して同ポストを務める超異例の長期政権)Ingo Gerhartz独空軍中将(記事の写真でご紹介)がリードしてまとめられた構想で、世界中から目を付けられている中国軍の横暴に欧州軍としての姿勢を示す目的をもって計画されたとのことです。

ちなみに、独空軍は本訓練ツアーに12機のトーネード戦闘爆撃機を参加させるのですが、1980年代から広く欧州の空軍で採用され、1992年の湾岸戦争で大活躍した同機も、ドイツ空軍に残るのみとなっており、2025年から独空軍でも退役開始するようで、これが海外展開の最後の機会となるようです
先ず独仏西からの「Pacific Skies 24」参加機は

●フランス→ラファール4機、A400輸送機3機、A330MRTT空中給油機8機
●スペイン→タイフーン4機、A400輸送機2機
「Pacific Skies 24」のスケジュール概要
●米アラスカで→7月8日から18日に、ドイツ空軍主計画の演習「Arctic Defender」を実施。航空機60機と人員500名で、米軍からはF-22と米海兵隊機が参加し、広大なアラスカ上空演習空域を使用した航空作戦演習を展開

●日本で→7月19から25日の間に、航空自衛隊のF-15やF-2と訓練
●ハワイで→開催中の世界最大の海洋演習RIMPAC後半部分に独タイフーンが参加
●インドで→8月にインド空軍が初めて実施する多国間空軍演習「Tarang Shakti」に参加
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ドイツの国防政策も、冷戦終了後の極端な「軍縮」&「国防費削減」政策で軍の根幹を崩壊させながら、2014年の露のウクライナ侵略以降、再び手のひら返しで軍事力増強に取り組んでいますが、「覆水盆に返らず」で、一度社会で地位を失った軍隊に人を呼び戻すことは難しく、空虚な軍事増強と揶揄される現状です。そんな苦しいドイツ軍の歴史を経験してきたIngo Gerhartz独空軍中将が、独陸軍に押されて存在感が薄い独空軍の存在をアピールする姿に「胸熱」の「Pacific Skies 24」です
2023年11月に計画発表時の記事
「独仏西の戦闘機が大挙アジア訓練ツアー」→https://holylandtokyo.com/2023/11/29/5307/
ドイツ空軍トップはイケイケ積極派!
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ずさん過ぎる次期ICBM計画の米国防省再承認 [米国防省高官]
計画のMilestone B承認取り消し再検討を2年以内で
コストは31%増ではなく現時点で81%増
増加分は米空軍負担が原則
ただしコスト増が発生する5年後以降までに対処検討
7月8日、コスト超過と開発期間遅延で法律(Nunn-McCurdy Act)に抵触し、米国防省が再検討を求められていた次期ICBM計画(Sentinel計画:GBSD計画とも)に関し、LaPlante調達担当国防次官が記者会見を開き、本計画に対する2020年9月の「Milestone B承認」を取り消し、今後1年半から2年で計画全体を再検討した後に再度「Milestone B承認」審査を行って計画を適切に管理していくとの国防省案を説明しました
同次官は説明会見で、2020年9月「Milestone B承認」時点でのICBM発射地下施設や地上管制システムに関する知見が不十分であったため、コストや開発期間の適切な見積もりが米空軍や国防省内で出来ていなかったことがNunn-McCurdy法に抵触した原因で、その後に明らかになった現状等を踏まえて計画管理をより適切に行うと語りましたが、現時点でコスト超過は1月時点での37%から81%にまで膨らみ、計画遅延も少なくとも2年から「少なくとも3年」になると明らかにしました
つまり、本計画の当初予算は約11.5兆円でしたが、法抵触を報告した1月時点で予算が15.7兆円に膨らみ、現時点では21兆円にまで膨らんでいるという信じがたい状況です。米空軍の年間予算が総計で5兆円台ですから、空軍予算の2年分の超過コストが発生すると平然と説明したわけです
当然記者団からは「天文学的な数字のコスト超過分をどのようにカバーするのか?」との質問が出ていますが、これに対しLaPlante国防次官は「とりあえず今後5年間はコスト超過分は発生しないから、検討の時間はある」、「再度Milestone B承認を行う1年半から2年後までや、実際にコスト超過が発生する5年後以降までに、コスト超過原因箇所の再精査&&検討やトレードオフの対象となる他空軍プログラムを検討する」と、信じがたいレベルの「問題先送り」「後任者負担」説明を行いました
米空軍幹部も、例えばHunter空軍調達担当次官が「本計画継続のためにどのようなトレードオフを行う必要があるかは、ずっと先の判断になるだろう」とか、「空軍省内にNuclear Oversight Committeeを立ち上げ、戦略爆撃機やICBM事業や作戦運用に関する監督を強化する」とか、「本計画専従のprogram executive officer(PEO)を配置した」とか、「Air Force nuclear weapons centerトップを少将から中将に格上げする」とか、仕事をしたような「ふり」をしている状態です
次期ICBM計画のNunn-McCurdy法抵触を受けた米国防省の「計画再承認」は以上のような信じがたいレベルの「問題先送り」でお茶を濁していますが、これを受けた米議会はどのような姿勢を示すのでしょうか・・・? 恐らく「米空軍を中心とした再検討の結果を見て・・・」等の「判断先送り」になりそうな気がしております。それにしてもひどすぎます。
超巨大次期ICBMシステム整備の苦悩
「国防次官もあきらめムード」→https://holylandtokyo.com/2024/06/05/5929/
「米空軍だけでは対応不可能」→https://holylandtokyo.com/2024/03/01/5591/
「法抵触の議会通知」→https://holylandtokyo.com/2024/01/29/5478/
「長官が苦悩&不安を語る」→https://holylandtokyo.com/2023/11/22/5244/
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コストは31%増ではなく現時点で81%増
増加分は米空軍負担が原則
ただしコスト増が発生する5年後以降までに対処検討


つまり、本計画の当初予算は約11.5兆円でしたが、法抵触を報告した1月時点で予算が15.7兆円に膨らみ、現時点では21兆円にまで膨らんでいるという信じがたい状況です。米空軍の年間予算が総計で5兆円台ですから、空軍予算の2年分の超過コストが発生すると平然と説明したわけです


次期ICBM計画のNunn-McCurdy法抵触を受けた米国防省の「計画再承認」は以上のような信じがたいレベルの「問題先送り」でお茶を濁していますが、これを受けた米議会はどのような姿勢を示すのでしょうか・・・? 恐らく「米空軍を中心とした再検討の結果を見て・・・」等の「判断先送り」になりそうな気がしております。それにしてもひどすぎます。
超巨大次期ICBMシステム整備の苦悩
「国防次官もあきらめムード」→https://holylandtokyo.com/2024/06/05/5929/
「米空軍だけでは対応不可能」→https://holylandtokyo.com/2024/03/01/5591/
「法抵触の議会通知」→https://holylandtokyo.com/2024/01/29/5478/
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米議会が核兵器搭載可能B-52増加法案提出へ [安全保障全般]
新START条約で2015年に削減した30機に再び搭載改修か
露が新START後継条約拒否で2026年2月失効に向け
一部議員が反対も多数が30機のB-52に搭載能力復活に前向き
6月18日付Defense-News記事は、2021年に何とか5年延長で合意したものの、ロシアの状況から再延長の可能性が極めて低い新START条約の2026年2月失効を予期し、米下院と上院がそれぞれ2025年度国防予算関連法案に、核兵器搭載可能なB-52爆撃機の機数を30機増加(現在B-52保有数は76機)させることを米空軍に命じる条項を加える方向だと報じています
2010年に米国が批准した新START条約は、「2018年までに、戦略核弾頭を1550発まで、大陸間弾道ミサイル(ICBM)・潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)・戦略爆撃機等の配備数を700基まで削減する」ことを求めており、米国はこの条約履行のため、2015年から保有B-52爆撃機中の30機から、核搭載巡航ミサイルAGM-86B搭載機能を除去する措置を取りました
しかし2021年に難産を経て5年延長に米露が同意した本条約に関し、ウクライナ戦争等を背景に2023年3月にロシアが一方的に「同条約の履行停止」を決定し、更に今年6月の会議で米が露に新START後継協定交渉を申し入れたところ、ロシアが明確に交渉する意思がないことを示したとのことで、米議会が一気にこの動きに出た模様です
6月14日に、下院本会議で賛成217票、反対199票で可決し、上院でも軍事委員会で同日22対3で可決しており、例えば下院法案は米空軍に「条約の失効後1か月以内に爆撃機の再改造を開始し、2029年まで30機のB-52改修を完了するよう義務付ける」内容となっているようです
議員の中には、「新START後継条約に関するロシアとの困難な協議を、更に難しくする」とか、「今後10年間をかけ、B-52に新エンジン、新レーダー、新電子機器、新型コックピット、新車輪&ブレーキ等を導入するB-52近代化計画をさらに複雑にしてリスクを高める」、「B-21導入に集中したい国防省も米空軍も望んでいない」と主張して反対する議員もいるようですが、大きな勢力ではなさそうです
米国が核戦力面で対処するのはロシアだけでなく、近年核戦力増強が著しい中国、更にはイランや北朝鮮からの潜在的核脅威もあることからも、B-52の能力復活は理にかなっていると考える意見には抗しがたそうな雰囲気です。
元B-52操縦者で、米空軍協会ミッチェル研究所のMark Gunzinger将来コンセプト研究部長も、「(核兵器搭載能力回復の)改修は恐らくそれほど困難なく行えるだろう。必要な配線はおそらくまだ残っているし、取り外された物理的な部品も再設置可能だろう」と述べています
新START条約の2021年再延長ゴタゴタ
「露の条約不履行を米が非難」→https://holylandtokyo.com/2023/02/02/4251/
「露が土壇場再延長合意」→https://holylandtokyo.com/2021/01/23/305/
「ドタキャン後に延長表明?」→https://holylandtokyo.com/2020/10/19/435/
「延長へ米露交渉始まる?」→https://holylandtokyo.com/2020/04/20/730/
B-52を大改修して「B-52J」へ
「2060年代まで現役に向け」→https://holylandtokyo.com/2024/02/27/5575/
「B-52Jへの熱い取り組み」→https://holylandtokyo.com/2023/10/19/5134/
「米空軍爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「爆撃機管理は今後5-7年が多難」→https://holylandtokyo.com/2021/08/06/2024/
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露が新START後継条約拒否で2026年2月失効に向け
一部議員が反対も多数が30機のB-52に搭載能力復活に前向き
2010年に米国が批准した新START条約は、「2018年までに、戦略核弾頭を1550発まで、大陸間弾道ミサイル(ICBM)・潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)・戦略爆撃機等の配備数を700基まで削減する」ことを求めており、米国はこの条約履行のため、2015年から保有B-52爆撃機中の30機から、核搭載巡航ミサイルAGM-86B搭載機能を除去する措置を取りました
6月14日に、下院本会議で賛成217票、反対199票で可決し、上院でも軍事委員会で同日22対3で可決しており、例えば下院法案は米空軍に「条約の失効後1か月以内に爆撃機の再改造を開始し、2029年まで30機のB-52改修を完了するよう義務付ける」内容となっているようです
米国が核戦力面で対処するのはロシアだけでなく、近年核戦力増強が著しい中国、更にはイランや北朝鮮からの潜在的核脅威もあることからも、B-52の能力復活は理にかなっていると考える意見には抗しがたそうな雰囲気です。
新START条約の2021年再延長ゴタゴタ
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