太平洋軍トップ:中国との偶発的事案への懸念なし [Joint・統合参謀本部]
SSブログ終了に伴う「東京の郊外より」終了のお知らせ
運営会社から突然通知があり、以下の日程でブログ「東京の郊外より」は消滅しますのでご承知おきください。
以後は、現在も記事を同時掲載しているWordPressの「東京の郊外より2」(https://holylandtokyo.com/)に一本化して記事を掲載しますので、引き続きご覧いただければ幸いです。
ただし、SSブログからWordPressブログに記事移行が終了していない「2019年10月以前」の記事については、どこまで移転できるかお約束できませんので、ご承知おきください。
2024年12月4日
→新規ブログ作成・編集機能終了(予約投稿機能が生きていれば、12月9日が最終記事掲載)
2025年3月31日(月)
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かつて主張の「2027年台湾侵略想定」も引っ込める
代わりに「ウ」や「イ」関連の弾葉不足を懸念
11月19日、有事に対中国作戦の指揮を執る米太平洋軍司令官のPaparo 海車大将がブルッキングス研究所で講演し、中国軍事に関する過去数年の米軍幹部の表現ぶりを大きく転換し、「2027年」は中国による台湾侵攻の期限だとは考えていないし、また挑発的な中国軍行動や演習が増加している中でも、米国との偶発的な衝突が大きな紛争に発展する懸念は低いと語りました
2027年や2026年との年次は、例えばグアム島のミサイル防衛態勢完成の期限とされ、MDA 長官は期限前の態勢確立を最優先事項だと度々発言し、また有事には大統領直属の軍事作戦指揮官として対中国作戦をつかさどる前任からの太平洋軍司令官や米軍幹部が何度も、「2027年までに中国は・・」との表現で繰り返し危機感を訴えてきたところでした
代表的なシンクタンクである CSISも、2026年を想定した様々な前提で24回もの台湾有事 Wargameを実施して 2023年1月に結果を公表し、「甚大な被害想定を国民にも知らせ心の準備と抑止を」、「米軍は空母2隻を含む数名の損失と莫大な装備被害で当面弱体化」、「日本も平均 122機の航空機、26の艦船を損失」等のショッキングな中身で世の緊張感を高めたところです
そんな最近の米軍幹部の横並び姿勢を突然大転換する驚きのPaparo司令官講演ですが、以下では19日付米空車協会web記事から、4つの部分「2027年の意味について」、「偶発的事案への懸念程度」、「北朝鮮の最近の動向関連」、「武器備蓄量への不満」に区分してご紹介します。 北朝鮮や弾薬備に関しても、普通は言及しない部分まで触れている気がします
2027年の意味について
●2027年に近づくにつれ、日付の意味は薄れていくが、我々はより一層準備を整えていかなければならない。
●それは決して『販売期限』ではなかったし、中国が『出荷期限』と宣言した日付でもなかった。これは、我々が細心の注意を払うべき基準だった。
●2027年という日付の本当の意味は、中国軍の侵攻の可能性に備えなければならない時期が2035年から早まったことだ
●中国の反国家分製法(2005年制定)は台湾を対象とし、以下の3事態でのみ力に訴えるとしているが、この条件に合致する状況にはない。また中国は軍事的征服ではなく、他の手段による強制によって目的を達成することを好む
・台湾が中国からの独立を宣言
・第三勢力が紛争に介入
・中国政府が「他のいかなる手段でも、不可逆的に統一が不可能である」と判断した場合
偶発的事実への懸念程度
●最近増えつつある、中国が自国の船舶や航空機を米国の航空機や艦艇に異常接近させるような挑発的な行動をとった場合でも、事態が急激にエスカレートするとは懸念していない
●米軍部隊は安全に規則を遵守するよう訓練されているので、夜眠れないほどではない。米軍に2つの選択肢があれば、安全な方を選ぶよう訓練されている。公海上での一時的な名誉のため、3000億円の軍艦で「原胸試し」を行うことはない。衝突が起こっても、冷静な頭で事に臨むだろうと自信を持っている
●衝突がより大きな紛争につながる可能性はゼロではないが、そうなる可能性は極めて低いと考えている
北朝鮮の最近の動向関連
●(最近試験を行った北朝鮮 ICBMは、複数弾頭を個々に精密誘導する技術を備えているか?・・・との質問に対し、)まだである。
●ウクライナ戦争への北朝鮮武器と兵士供給の見返りとして、北朝鮮は「潜水艦技術と推進技術 propulsion technology」の入手を期待している。
武器備蓄への不満
●武器備蓄が減少しており、アジア太平洋地域の即応体制を懸念している。これは特に最近数か月間で、緊張が高まるウクライナやイスラエルへの武器提供が急増しているからだ。防空をサイルPAC-3や空対空ミサイルが特に心配であり、この懸念について沈黙を守るのは不誠実だ
●アジア太平洋地域は中国との大きな潜在脅威を抱えており、弾菜の量と質の両面で負荷大の地域である。私は2つの紛争発前から弾薬備の少なさに不満を持っており、幸直に協議すべき時を迎えている
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なぜ今になって「表現ぶり」を大転換したのか?・・・について記事は何も触れていませんが、まんぐーすは以下のような要因が絡まって背景にあると考えています
●今後ますます中国経済破綻の影響が顕在化し、中国軍の活動低下や土気の低下が表面化する可能性が高く、従来の「2027年までに中国は台湾を・・」的な発言を続けていると、米軍への信頼性が損なわれるため
●米国防省や米軍予算が厳しく、「2027年までに・・」的に中国脅威を声高に訴えても、米軍自身のずさんな装備品開発導入計画の影響もあり、それまでに装備や兵器の拡大充実が見込める可能性がないため
●トランプ次期大統領が、ウクライナや中東への軍事力提供を抑え、対中国に集中する姿勢を明確に打ち出していることから、太平洋軍が中国脅威を従来同様に(過剰に)アピールしていると、世界全体での軍事力提供バランスを欠くことになる懸念が米車や国防省内にあるため
それにしても、「手のひら返し」が過ぎるような気がします・・・-何の理屈もない浪花節的な「ベタ」な説明ぶりにも驚くばかりです。
中国の台湾侵略を2026-27年と想定していた頃
「CSISのWargame結果」→https://holylandtokyo.com/2023/01/11/4135/
「2025年に中国と戦う」→https://holylandtokyo.com/2023/01/31/4241/
「グアムMD態勢は2026年までに」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「6年以内に中国は台湾を併合」→https://holylandtokyo.com/2021/03/19/165/
台湾の前総統は正直に
「中国は台湾侵攻を考える状態にない」→https://holylandtokyo.com/2023/12/08/5330/
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
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11月19日、有事に対中国作戦の指揮を執る米太平洋軍司令官のPaparo 海車大将がブルッキングス研究所で講演し、中国軍事に関する過去数年の米軍幹部の表現ぶりを大きく転換し、「2027年」は中国による台湾侵攻の期限だとは考えていないし、また挑発的な中国軍行動や演習が増加している中でも、米国との偶発的な衝突が大きな紛争に発展する懸念は低いと語りました
2027年や2026年との年次は、例えばグアム島のミサイル防衛態勢完成の期限とされ、MDA 長官は期限前の態勢確立を最優先事項だと度々発言し、また有事には大統領直属の軍事作戦指揮官として対中国作戦をつかさどる前任からの太平洋軍司令官や米軍幹部が何度も、「2027年までに中国は・・」との表現で繰り返し危機感を訴えてきたところでした
代表的なシンクタンクである CSISも、2026年を想定した様々な前提で24回もの台湾有事 Wargameを実施して 2023年1月に結果を公表し、「甚大な被害想定を国民にも知らせ心の準備と抑止を」、「米軍は空母2隻を含む数名の損失と莫大な装備被害で当面弱体化」、「日本も平均 122機の航空機、26の艦船を損失」等のショッキングな中身で世の緊張感を高めたところです
そんな最近の米軍幹部の横並び姿勢を突然大転換する驚きのPaparo司令官講演ですが、以下では19日付米空車協会web記事から、4つの部分「2027年の意味について」、「偶発的事案への懸念程度」、「北朝鮮の最近の動向関連」、「武器備蓄量への不満」に区分してご紹介します。 北朝鮮や弾薬備に関しても、普通は言及しない部分まで触れている気がします
2027年の意味について
●2027年に近づくにつれ、日付の意味は薄れていくが、我々はより一層準備を整えていかなければならない。
●それは決して『販売期限』ではなかったし、中国が『出荷期限』と宣言した日付でもなかった。これは、我々が細心の注意を払うべき基準だった。
●2027年という日付の本当の意味は、中国軍の侵攻の可能性に備えなければならない時期が2035年から早まったことだ
●中国の反国家分製法(2005年制定)は台湾を対象とし、以下の3事態でのみ力に訴えるとしているが、この条件に合致する状況にはない。また中国は軍事的征服ではなく、他の手段による強制によって目的を達成することを好む
・台湾が中国からの独立を宣言
・第三勢力が紛争に介入
・中国政府が「他のいかなる手段でも、不可逆的に統一が不可能である」と判断した場合
偶発的事実への懸念程度
●最近増えつつある、中国が自国の船舶や航空機を米国の航空機や艦艇に異常接近させるような挑発的な行動をとった場合でも、事態が急激にエスカレートするとは懸念していない
●米軍部隊は安全に規則を遵守するよう訓練されているので、夜眠れないほどではない。米軍に2つの選択肢があれば、安全な方を選ぶよう訓練されている。公海上での一時的な名誉のため、3000億円の軍艦で「原胸試し」を行うことはない。衝突が起こっても、冷静な頭で事に臨むだろうと自信を持っている
●衝突がより大きな紛争につながる可能性はゼロではないが、そうなる可能性は極めて低いと考えている
北朝鮮の最近の動向関連
●(最近試験を行った北朝鮮 ICBMは、複数弾頭を個々に精密誘導する技術を備えているか?・・・との質問に対し、)まだである。
●ウクライナ戦争への北朝鮮武器と兵士供給の見返りとして、北朝鮮は「潜水艦技術と推進技術 propulsion technology」の入手を期待している。
武器備蓄への不満
●武器備蓄が減少しており、アジア太平洋地域の即応体制を懸念している。これは特に最近数か月間で、緊張が高まるウクライナやイスラエルへの武器提供が急増しているからだ。防空をサイルPAC-3や空対空ミサイルが特に心配であり、この懸念について沈黙を守るのは不誠実だ
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●今後ますます中国経済破綻の影響が顕在化し、中国軍の活動低下や土気の低下が表面化する可能性が高く、従来の「2027年までに中国は台湾を・・」的な発言を続けていると、米軍への信頼性が損なわれるため
●米国防省や米軍予算が厳しく、「2027年までに・・」的に中国脅威を声高に訴えても、米軍自身のずさんな装備品開発導入計画の影響もあり、それまでに装備や兵器の拡大充実が見込める可能性がないため
●トランプ次期大統領が、ウクライナや中東への軍事力提供を抑え、対中国に集中する姿勢を明確に打ち出していることから、太平洋軍が中国脅威を従来同様に(過剰に)アピールしていると、世界全体での軍事力提供バランスを欠くことになる懸念が米車や国防省内にあるため
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PAC-3迎撃ミサイルが360度センサーとの試験成功 [Joint・統合参謀本部]
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3台で360度カバーのセンサーLTAMDSを利用し
コスト削減ミサイル(CRI)での迎撃も成功
陸軍の統合戦闘指揮システム(IBCS)を中核として
11月7日付Defense-Newsは、米陸軍が9月から12月にかけ実施している大規模な防御兵器試験の一環として、従来120度範囲だったレーダー捜索範囲を360度にまで拡大する等の能力強化を図った新型防空センサーLTAMDS(Lower-Tier Air and Missile Defense Sensor)と、パトリオットPAC-3 MSEを連接統合した形態で、戦術弾道ミサイル(TBM target)迎撃試験に成功し、PAC-3 MSEと併せてコスト削減ミサイル(CRI:Cost Reduction Interceptor)試験も行ったと報じました
これらシステム開発を担うロッキード社は、以前から実施してきた、360度センサーLTAMDSやPAC-3等を、戦場のあらゆるセンサーをあらゆる射撃装置とリンクする統合戦闘指揮システムIBCS(Northrop Grumman社製:Integrated Battle Command Systems)を利用して運用する試験成果を基礎に今回の試験を実施したとコメントしており、IBCSを中核とする防御態勢整備が成熟してきたことを示唆しています
この成功を受けRandy George米陸軍参謀総長も、更なる実戦的評価と試験のため、新型レーダーLTAMDSを早期に運用部隊に配備することを検討していると記事は併せて報じており、今年夏に3回の試験に成功して部隊配備を開始するドローン、巡航ミサイル、ロケット、大砲、迫撃砲など、前線部隊の多様な経空脅威を撃退できる間接射撃防御システム(IFPC:Indirect Fire Protection Capability)と併せ、本格的紛争に対する能力強化を進めています
更に陸軍は、来年新しいSentinel radar (Version 4)を導入し、その翌年にも新たな能力強化要素の追加を計画しており、上記で紹介したIBCSを中心としたLTAMDSレーダー、PAC-3、CRI、IFPSを含めた全てを、国防省が最優先課題の一つで早期運用開始を目指しているグアム島のミサイル防衛能力強化に投入する予定だと、米陸軍担当のFrank Lozano少将が説明しています
//////////////////////////////////////////////
この分野は様々なセンサーや迎撃兵器や指揮統制システムの略号が飛び交い、実務に関与していないまんぐーすにとっては「睡魔を誘う」分野なのですが、重要な分野ですので略号やシステム全体への理解を助けるため、記事を取り上げました
以下の関連過去記事と併せてご覧いただき、全体像に迫っていただきたいと思います
グアムのミサイル防衛関連
「初期能力試験を今年後半に」→https://holylandtokyo.com/2024/09/11/6260/
「陸軍LTAMDSで海軍SM-6を」→https://holylandtokyo.com/2024/08/08/6151/
「グアムMDを再び語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「整備の状況と困難」→https://holylandtokyo.com/2022/04/05/3082/
その他の関連記事
「パトリオット復活と継続生産」→https://holylandtokyo.com/2024/05/01/5796/
「分散&機動展開可能型へ」→https://holylandtokyo.com/2021/08/23/2146/
「本格試験を2024年開始」→https://holylandtokyo.com/2023/08/22/4937/
「陸軍と空軍で無人機対処」→https://holylandtokyo.com/2021/06/02/1708/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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3台で360度カバーのセンサーLTAMDSを利用し
コスト削減ミサイル(CRI)での迎撃も成功
陸軍の統合戦闘指揮システム(IBCS)を中核として
11月7日付Defense-Newsは、米陸軍が9月から12月にかけ実施している大規模な防御兵器試験の一環として、従来120度範囲だったレーダー捜索範囲を360度にまで拡大する等の能力強化を図った新型防空センサーLTAMDS(Lower-Tier Air and Missile Defense Sensor)と、パトリオットPAC-3 MSEを連接統合した形態で、戦術弾道ミサイル(TBM target)迎撃試験に成功し、PAC-3 MSEと併せてコスト削減ミサイル(CRI:Cost Reduction Interceptor)試験も行ったと報じました
これらシステム開発を担うロッキード社は、以前から実施してきた、360度センサーLTAMDSやPAC-3等を、戦場のあらゆるセンサーをあらゆる射撃装置とリンクする統合戦闘指揮システムIBCS(Northrop Grumman社製:Integrated Battle Command Systems)を利用して運用する試験成果を基礎に今回の試験を実施したとコメントしており、IBCSを中核とする防御態勢整備が成熟してきたことを示唆しています
この成功を受けRandy George米陸軍参謀総長も、更なる実戦的評価と試験のため、新型レーダーLTAMDSを早期に運用部隊に配備することを検討していると記事は併せて報じており、今年夏に3回の試験に成功して部隊配備を開始するドローン、巡航ミサイル、ロケット、大砲、迫撃砲など、前線部隊の多様な経空脅威を撃退できる間接射撃防御システム(IFPC:Indirect Fire Protection Capability)と併せ、本格的紛争に対する能力強化を進めています
更に陸軍は、来年新しいSentinel radar (Version 4)を導入し、その翌年にも新たな能力強化要素の追加を計画しており、上記で紹介したIBCSを中心としたLTAMDSレーダー、PAC-3、CRI、IFPSを含めた全てを、国防省が最優先課題の一つで早期運用開始を目指しているグアム島のミサイル防衛能力強化に投入する予定だと、米陸軍担当のFrank Lozano少将が説明しています
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この分野は様々なセンサーや迎撃兵器や指揮統制システムの略号が飛び交い、実務に関与していないまんぐーすにとっては「睡魔を誘う」分野なのですが、重要な分野ですので略号やシステム全体への理解を助けるため、記事を取り上げました
以下の関連過去記事と併せてご覧いただき、全体像に迫っていただきたいと思います
グアムのミサイル防衛関連
「初期能力試験を今年後半に」→https://holylandtokyo.com/2024/09/11/6260/
「陸軍LTAMDSで海軍SM-6を」→https://holylandtokyo.com/2024/08/08/6151/
「グアムMDを再び語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
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第1弾:トランプ政権の国防政策を考える [安全保障全般]
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前回のトランプ政権最後の国防長官が語る
トランプ政権への提言「プロジェクト2025」中心人物が
11月7日付DefenseOneが、来年1月に発足するトランプ政権の国防政策を占う一つの視点として、トランプ政権誕生を想定してヘリテージ財団が2022年から2023年かけ実施した大規模な政策提言企画「2025 Presidential Transition Project」において、国防政策分野の取りまとめを担当したChristopher Miller氏(前トランプ政権で最後の国防長官:正確には国防長官代理)へのインタビュー記事を掲載していますので、この種の記事紹介の第1弾として取り上げます
Miller氏は混乱のトランプ前政権終末期の2020年11月から21年1月までの3か月だけ「国防長官代理」を務めた人物で、2014年に陸軍特殊部隊大佐で退役(50歳)し、民間企業を経たのち、2018年から国家安全保障評議会NSCの対テロ担当大統領特別補佐官、2020年1月から特殊作戦担当の国防次官補代理、その後次官補に昇進、2020年8月から国家対テロセンター長を務めていた経歴の人物で、細部は末尾の過去記事をご覧ください
以下ではMiller氏発言の概要の概要をご紹介
●軍事革新の推進に関し
・最新の技術や作戦運用の革新を現状よりはるかに迅速に進めるため、前線部隊からの「ボトムアップ」や「分散型イノベーション」を重視する
・そのためにイノベーション基金を設け、米軍全軍の数百人規模部隊単位に配分し、監察官により同資金の使用法を厳しくチェックさせつつも、軍の中間指揮層にはびこっている「リスク回避文化」を突破して現場のアイデアを生かしたい
●非正規戦や特殊作戦能力に関し
・米軍全体で特殊作戦部隊削減の動きがあるが、この動きを阻止し、非正規戦が今後ますます重要視されるだろう南米、中米、アフリカを特殊作戦軍の主担当地域とし、他の米軍主力部隊は中国と対峙するインド太平洋軍と、ロシアと対峙する欧州軍等に集中させる
・このアイデアは2001年の中東紛争初期頃から米国防省内で真剣に議論された案だが、当時は911同時多発テロの混乱の中で、大きな変化を避け、自身の特権や権限が縮小されることを恐れた地域コマンド司令官等の強い反対もありつぶされた構想である。今なら当時より自然にこの構想は受け入れられるだろう
●インテリジェンス組織
・SNSやネット上での個人レベルでの情報発信が活発になる現在社会の必然として、公開情報インテリジェンス能力の充実が不可欠である。この分野はまだまだ縦割りのサイロの中での活動状態が見られ、改革が必要だ
・急速に変化する地政学的機に対応するため、国防情報機関と特殊作戦部門が一体となってインテリジェンス活動を強化すべき。既に10年前から提唱されている特殊作戦軍の一部を準情報機関に転換する案の採用も現実的な案として考えるべき。特殊作戦軍の情報活動への関与に、反射的な不安感を抱く米国民もあろうが、心配には及ばない
●宇宙及び戦術核兵器
・宇宙に関し、現在国防省は宇宙アセットの生存性確保のため、安価な低軌道衛星の大量配備に動いているが、それだけでは不十分で、宇宙の兵器化を制限する条約を考慮し推進する必要がある。サイバー分野でも同様だ
・「Project 2025」報告書が、白熱した議論の末に「戦域レベルでの新たな能力を含め、必要な規模や洗練度を備えた核兵器開発」を提言しているように、低出力戦術核兵器の追加保有を検討する必要がある
●州 兵
・大都市の不法移民を排除して国外追放するための部隊として、他の州の州兵を州知事の意向に反して派遣する一部共和党政策立案者の案には否定的
・一方で、不法移民の流入を防ぐ国境警備に関しては、州兵がこれまでになってきた任務との共通性もあり、自然に対応可能だろう。また各州知事の了解を得て、国防省が州兵に装備や訓練を提供し、国外の潜在脅威抑止に活用することも自然な方向だ
●同盟国との関係
・前政権でのトランプ氏が、NATOからの離脱を追求していたとの認識は誤っており、NATO諸国による集団防衛への予算支出を増加させることが狙いであった。NATOや他の組織からの全面撤退を懸念するのは大げさであり、負担の適切な分担がねらいである
・国防費の増額期待は、韓国などの同盟国に及ぶだろう。例えば現在の米国の造船能力では、米海軍が目指す350~380隻体制確立は不可能だが、日本や韓国の造船能力を含めて真剣に協議してはどうだろうか。豪州やフィリピンを含めた議論も考えられる
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DefenseOneへのインタビューは6月に実施されたとのことですが、11月7日付の記事では、複数のトランプ周辺関係者が新政権にChristopher Miller氏(59歳)が関与する可能性を示唆しているとのことです。
上記インタビューは、Miller氏が米陸軍特殊作戦部隊出身で対テロ作戦に深く関与してきた点を差し引いてみる必要もありましょうが、日本人が普段考えない論点も含まれていますので、関連の第1弾としてご紹介しました
「臨時国防長官Christopher Miller氏はどんな人?」
→https://holylandtokyo.com/2020/11/11/384/
ヘリテージ財団の「Project 2025」サイト
→https://www.heritage.org/conservatism/commentary/project-2025
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以後は、現在も記事を同時掲載しているWordPressの「東京の郊外より2」(https://holylandtokyo.com/)に一本化して記事を掲載しますので、引き続きご覧いただければ幸いです。
ただし、SSブログからWordPressブログに記事移行が終了していない「2019年10月以前」の記事については、どこまで移転できるかお約束できませんので、ご承知おきください。
2024年12月4日
→新規ブログ作成・編集機能終了(予約投稿機能が生きていれば、12月9日が最終記事掲載)
2025年3月31日(月)
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前回のトランプ政権最後の国防長官が語る
トランプ政権への提言「プロジェクト2025」中心人物が
11月7日付DefenseOneが、来年1月に発足するトランプ政権の国防政策を占う一つの視点として、トランプ政権誕生を想定してヘリテージ財団が2022年から2023年かけ実施した大規模な政策提言企画「2025 Presidential Transition Project」において、国防政策分野の取りまとめを担当したChristopher Miller氏(前トランプ政権で最後の国防長官:正確には国防長官代理)へのインタビュー記事を掲載していますので、この種の記事紹介の第1弾として取り上げます
Miller氏は混乱のトランプ前政権終末期の2020年11月から21年1月までの3か月だけ「国防長官代理」を務めた人物で、2014年に陸軍特殊部隊大佐で退役(50歳)し、民間企業を経たのち、2018年から国家安全保障評議会NSCの対テロ担当大統領特別補佐官、2020年1月から特殊作戦担当の国防次官補代理、その後次官補に昇進、2020年8月から国家対テロセンター長を務めていた経歴の人物で、細部は末尾の過去記事をご覧ください
以下ではMiller氏発言の概要の概要をご紹介
●軍事革新の推進に関し
・最新の技術や作戦運用の革新を現状よりはるかに迅速に進めるため、前線部隊からの「ボトムアップ」や「分散型イノベーション」を重視する
・そのためにイノベーション基金を設け、米軍全軍の数百人規模部隊単位に配分し、監察官により同資金の使用法を厳しくチェックさせつつも、軍の中間指揮層にはびこっている「リスク回避文化」を突破して現場のアイデアを生かしたい
●非正規戦や特殊作戦能力に関し
・米軍全体で特殊作戦部隊削減の動きがあるが、この動きを阻止し、非正規戦が今後ますます重要視されるだろう南米、中米、アフリカを特殊作戦軍の主担当地域とし、他の米軍主力部隊は中国と対峙するインド太平洋軍と、ロシアと対峙する欧州軍等に集中させる
・このアイデアは2001年の中東紛争初期頃から米国防省内で真剣に議論された案だが、当時は911同時多発テロの混乱の中で、大きな変化を避け、自身の特権や権限が縮小されることを恐れた地域コマンド司令官等の強い反対もありつぶされた構想である。今なら当時より自然にこの構想は受け入れられるだろう
●インテリジェンス組織
・SNSやネット上での個人レベルでの情報発信が活発になる現在社会の必然として、公開情報インテリジェンス能力の充実が不可欠である。この分野はまだまだ縦割りのサイロの中での活動状態が見られ、改革が必要だ
・急速に変化する地政学的機に対応するため、国防情報機関と特殊作戦部門が一体となってインテリジェンス活動を強化すべき。既に10年前から提唱されている特殊作戦軍の一部を準情報機関に転換する案の採用も現実的な案として考えるべき。特殊作戦軍の情報活動への関与に、反射的な不安感を抱く米国民もあろうが、心配には及ばない
●宇宙及び戦術核兵器
・宇宙に関し、現在国防省は宇宙アセットの生存性確保のため、安価な低軌道衛星の大量配備に動いているが、それだけでは不十分で、宇宙の兵器化を制限する条約を考慮し推進する必要がある。サイバー分野でも同様だ
・「Project 2025」報告書が、白熱した議論の末に「戦域レベルでの新たな能力を含め、必要な規模や洗練度を備えた核兵器開発」を提言しているように、低出力戦術核兵器の追加保有を検討する必要がある
●州 兵
・大都市の不法移民を排除して国外追放するための部隊として、他の州の州兵を州知事の意向に反して派遣する一部共和党政策立案者の案には否定的
・一方で、不法移民の流入を防ぐ国境警備に関しては、州兵がこれまでになってきた任務との共通性もあり、自然に対応可能だろう。また各州知事の了解を得て、国防省が州兵に装備や訓練を提供し、国外の潜在脅威抑止に活用することも自然な方向だ
●同盟国との関係
・前政権でのトランプ氏が、NATOからの離脱を追求していたとの認識は誤っており、NATO諸国による集団防衛への予算支出を増加させることが狙いであった。NATOや他の組織からの全面撤退を懸念するのは大げさであり、負担の適切な分担がねらいである
・国防費の増額期待は、韓国などの同盟国に及ぶだろう。例えば現在の米国の造船能力では、米海軍が目指す350~380隻体制確立は不可能だが、日本や韓国の造船能力を含めて真剣に協議してはどうだろうか。豪州やフィリピンを含めた議論も考えられる
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DefenseOneへのインタビューは6月に実施されたとのことですが、11月7日付の記事では、複数のトランプ周辺関係者が新政権にChristopher Miller氏(59歳)が関与する可能性を示唆しているとのことです。
上記インタビューは、Miller氏が米陸軍特殊作戦部隊出身で対テロ作戦に深く関与してきた点を差し引いてみる必要もありましょうが、日本人が普段考えない論点も含まれていますので、関連の第1弾としてご紹介しました
「臨時国防長官Christopher Miller氏はどんな人?」
→https://holylandtokyo.com/2020/11/11/384/
ヘリテージ財団の「Project 2025」サイト
→https://www.heritage.org/conservatism/commentary/project-2025
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2024年度も引き続きF-35稼働率低迷 [亡国のF-35]
SSブログ終了に伴う「東京の郊外より」終了のお知らせ
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2024年12月4日
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2025年3月31日(月)
→ブログサービス終了。既存のブログ記事すべての表示停止
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年度毎の稼働率推移(前年10月から9月末まで)
71.4%→68.8%→56%→51.9%(2023年度空軍)
10%改善目標の取組「War on Readiness」も2.6%成果で
10月21日付DefenseOneは、米会計監査院GAOの米軍主要作戦機の稼働率調査レポートを取り上げ、米軍の主要作戦機15機種の中で、軍が掲げた2023年度目標稼働率を達成した機体が「ゼロ」で、2018年度以降現在に至るまでで目標を達成したのは、F-15CとF-16Cが共に僅か半年間だけ達成したに過ぎないとの悲惨な状況を報じています
また同記事は、特に多額の維持整備費(過去6年間で約1.8兆円)をつぎ込んでいるF-35の状態を会計検査院が問題視し、過去1年間にわたり国防省F-35計画室が10%の稼働率改善を目標に集中的に展開した「War on Readiness:稼働率との闘い」プログラム(2024年3月まで)にもかかわらず、最新の統計では3軍F-35トータルで稼働率は目標に遥かに及ばない2.6%改善にとどまり、55.7%となっていると紹介しています
国防省F-35計画室のMichael Schmidt室長(空軍中将)は、「War on Readiness:稼働率との闘い」で稼働率改善のため対処した稼働率低下要因「トップ40」項目のうち、21項目で大きな改善を実現したが、低下要因の2つの主要課題が手付かずで、依然F-35の即応性を低下させていると説明しています。なお4月に同室長は米議会で、この2要因(具体的内容は非公開)を克服すれば、稼働率70%以上が可能と証言しています
また同室長は「稼働率はまだ必要な水準に達していないが、そこに到達するための道筋を示す要素をシステムに組み込んだと思う」とコメントしていますが、F-35は長年、大規模整備施設での整備の遅れ、スペアパーツの不足、請負業者への過度依存、修理技術データへの現場整備員のアクセス困難など、様々な維持管理上の問題が指摘されており、米議会は2年前に、現在も維持整備統括を続けているロッキード社から、業務を2027年までに国防省が引き継ぐよう法律で義務付けたところです。
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ちなみに、ここでの稼働率とはあくまで、「複数ある当該機種に期待される任務のうち、“少なくとも1つ”の任務を遂行できる時間の割合」を示すものであり、空中戦任務だけが可能で、近接航空支援CASや対地対艦攻撃(航空阻止)や敵防空制圧SEAD等の重要任務が不可能なF-35やF-16やF-15Eも、「稼働状態」とカウントされる「甘々基準」だということを付言しておきます
イスラエル・ハマス紛争や、露中偵察機や爆撃機による偵察&示威飛行の活発化により、米軍作戦機の出番が増加して機体酷使が続く中ですが、厳しい予算から維持整備費への充当が難しいのが現状で、今後も稼働率が向上する見込みはありません。さみしい限りですがこれが現実です
F-35や米空軍機の稼働率低下問題
「F-35稼働率3年連続急降下」→https://holylandtokyo.com/2024/07/18/6077/
「米空軍機稼働率22年と23年比較」→https://holylandtokyo.com/2024/07/03/5968/
「20年と21年の比較」→https://holylandtokyo.com/2021/12/07/2465/
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年度毎の稼働率推移(前年10月から9月末まで)
71.4%→68.8%→56%→51.9%(2023年度空軍)
10%改善目標の取組「War on Readiness」も2.6%成果で
10月21日付DefenseOneは、米会計監査院GAOの米軍主要作戦機の稼働率調査レポートを取り上げ、米軍の主要作戦機15機種の中で、軍が掲げた2023年度目標稼働率を達成した機体が「ゼロ」で、2018年度以降現在に至るまでで目標を達成したのは、F-15CとF-16Cが共に僅か半年間だけ達成したに過ぎないとの悲惨な状況を報じています
また同記事は、特に多額の維持整備費(過去6年間で約1.8兆円)をつぎ込んでいるF-35の状態を会計検査院が問題視し、過去1年間にわたり国防省F-35計画室が10%の稼働率改善を目標に集中的に展開した「War on Readiness:稼働率との闘い」プログラム(2024年3月まで)にもかかわらず、最新の統計では3軍F-35トータルで稼働率は目標に遥かに及ばない2.6%改善にとどまり、55.7%となっていると紹介しています
国防省F-35計画室のMichael Schmidt室長(空軍中将)は、「War on Readiness:稼働率との闘い」で稼働率改善のため対処した稼働率低下要因「トップ40」項目のうち、21項目で大きな改善を実現したが、低下要因の2つの主要課題が手付かずで、依然F-35の即応性を低下させていると説明しています。なお4月に同室長は米議会で、この2要因(具体的内容は非公開)を克服すれば、稼働率70%以上が可能と証言しています
また同室長は「稼働率はまだ必要な水準に達していないが、そこに到達するための道筋を示す要素をシステムに組み込んだと思う」とコメントしていますが、F-35は長年、大規模整備施設での整備の遅れ、スペアパーツの不足、請負業者への過度依存、修理技術データへの現場整備員のアクセス困難など、様々な維持管理上の問題が指摘されており、米議会は2年前に、現在も維持整備統括を続けているロッキード社から、業務を2027年までに国防省が引き継ぐよう法律で義務付けたところです。
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ちなみに、ここでの稼働率とはあくまで、「複数ある当該機種に期待される任務のうち、“少なくとも1つ”の任務を遂行できる時間の割合」を示すものであり、空中戦任務だけが可能で、近接航空支援CASや対地対艦攻撃(航空阻止)や敵防空制圧SEAD等の重要任務が不可能なF-35やF-16やF-15Eも、「稼働状態」とカウントされる「甘々基準」だということを付言しておきます
イスラエル・ハマス紛争や、露中偵察機や爆撃機による偵察&示威飛行の活発化により、米軍作戦機の出番が増加して機体酷使が続く中ですが、厳しい予算から維持整備費への充当が難しいのが現状で、今後も稼働率が向上する見込みはありません。さみしい限りですがこれが現実です
F-35や米空軍機の稼働率低下問題
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空軍長官が空軍基地防衛を陸から空軍へ移せと要望 [Joint・統合参謀本部]
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2024年12月4日
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対中国の空軍基地防衛に消極的な米陸軍に苛立ち
「国防省は人と資源を空軍に与えるべき」「空軍は喜んで」と
空軍長官と参謀総長がキャンペーン開始か
11月1日、Kendall空軍長官が講演し、中国が太平洋地域の米空軍基地攻撃用に大量の長距離精密誘導ミサイルを蓄える中、我々は空軍基地防衛を今すぐ強化する必要があり、この任務は1948年の協定(Key West agreements)で陸軍が主担当になっているが、(陸軍の動きが鈍いため、)国防省は空軍に同防衛任務遂行可能な人や資源を提供すべきだし、空軍は同任務を引き受けることに躊躇はないと述べました
具体的にKendall長官は、「迅速に取り組まねばならない課題が一つある。敵の脅威が急増している基地攻撃への対処が急務で、陸軍の仲間と取り組んできたが、空軍はこれを加速させたい」、「率直に述べるなら、必要な人的資源や資金等が利用可能になれば、空軍が空軍基地防衛任務を喜んで引き受ける(be comfortable with)」と表現しています
米空軍は敵攻撃能力の増強に対応するため、部隊を小規模単位に分割し、施設等が不十分であって小規模戦力を機敏に移動させ中国が攻撃すべき目標数を増やして混乱させ、米空軍戦力が決定的な打撃を受ける可能性を減らす運用構想(ACE構想)に全軍で取り組んでいますが、
米陸軍はこれに答えるような基地防衛力強化努力が不十分で、パトリオットPAC-3やTHAAD部隊の増強に消極的な一方で、逆に効果が限定的と空軍が指摘する極超音速兵器開発に陸軍が重点投資し、空軍が担ってきた長距離攻撃分野に「侵入」する動きを見せて空軍をいら立たせてきたところです。
もちろん、基地防衛のためのレーザー兵器や指向性エネルギー兵器(directed energy weapons)の実験を、それなりに連携しつつ陸空軍を含め米国防省全体で取り組んではいるものの、米空軍は米空軍独自に予算等を獲得して前進したいとのアピールを開始した模様で、
上記のKendall長官講演の前日には、Allvin空軍参謀総長も有力シンクタンクAEIで講演し、「中国のミサイル同時攻撃を受けた際に、装備や人員を守って生き残りつつ、状況把握を絶やさず、指揮統制用の接続性を失わないためには、強化シェルターやカモフラージュ、隠蔽、欺瞞対策のほか、強靭な情報&指揮統制システムや、何よりも強固な防御兵器が不可欠だ」と訴えています
/////////////////////////////////////////////
統合での作戦運用が常態となり、統合ポストでの勤務経験が各軍種での立身出世に不可欠なピースとして確立された米軍にあっても、各軍種の生き残りをかけた人と組織と予算を巡る「せめぎあい」は、何ら変わりなく脈々と受け継がれているようです。
中国経済の崩壊が、中国共産党体制の崩壊へと繋がりそうな時勢ではありますが、世界の軍の先頭を行く米軍には、中国の脅威を生かして「一皮むけて」いただきたいと思います
遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「海兵隊はStand-Inか」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「米陸軍は遠方攻撃兵器で変わる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-09
「スタンドオフ重視を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19-1
「米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「米空軍トップも批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
「海兵隊は2つの長射程対艦兵器を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
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対中国の空軍基地防衛に消極的な米陸軍に苛立ち
「国防省は人と資源を空軍に与えるべき」「空軍は喜んで」と
空軍長官と参謀総長がキャンペーン開始か
11月1日、Kendall空軍長官が講演し、中国が太平洋地域の米空軍基地攻撃用に大量の長距離精密誘導ミサイルを蓄える中、我々は空軍基地防衛を今すぐ強化する必要があり、この任務は1948年の協定(Key West agreements)で陸軍が主担当になっているが、(陸軍の動きが鈍いため、)国防省は空軍に同防衛任務遂行可能な人や資源を提供すべきだし、空軍は同任務を引き受けることに躊躇はないと述べました
具体的にKendall長官は、「迅速に取り組まねばならない課題が一つある。敵の脅威が急増している基地攻撃への対処が急務で、陸軍の仲間と取り組んできたが、空軍はこれを加速させたい」、「率直に述べるなら、必要な人的資源や資金等が利用可能になれば、空軍が空軍基地防衛任務を喜んで引き受ける(be comfortable with)」と表現しています
米空軍は敵攻撃能力の増強に対応するため、部隊を小規模単位に分割し、施設等が不十分であって小規模戦力を機敏に移動させ中国が攻撃すべき目標数を増やして混乱させ、米空軍戦力が決定的な打撃を受ける可能性を減らす運用構想(ACE構想)に全軍で取り組んでいますが、
米陸軍はこれに答えるような基地防衛力強化努力が不十分で、パトリオットPAC-3やTHAAD部隊の増強に消極的な一方で、逆に効果が限定的と空軍が指摘する極超音速兵器開発に陸軍が重点投資し、空軍が担ってきた長距離攻撃分野に「侵入」する動きを見せて空軍をいら立たせてきたところです。
もちろん、基地防衛のためのレーザー兵器や指向性エネルギー兵器(directed energy weapons)の実験を、それなりに連携しつつ陸空軍を含め米国防省全体で取り組んではいるものの、米空軍は米空軍独自に予算等を獲得して前進したいとのアピールを開始した模様で、
上記のKendall長官講演の前日には、Allvin空軍参謀総長も有力シンクタンクAEIで講演し、「中国のミサイル同時攻撃を受けた際に、装備や人員を守って生き残りつつ、状況把握を絶やさず、指揮統制用の接続性を失わないためには、強化シェルターやカモフラージュ、隠蔽、欺瞞対策のほか、強靭な情報&指揮統制システムや、何よりも強固な防御兵器が不可欠だ」と訴えています
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統合での作戦運用が常態となり、統合ポストでの勤務経験が各軍種での立身出世に不可欠なピースとして確立された米軍にあっても、各軍種の生き残りをかけた人と組織と予算を巡る「せめぎあい」は、何ら変わりなく脈々と受け継がれているようです。
中国経済の崩壊が、中国共産党体制の崩壊へと繋がりそうな時勢ではありますが、世界の軍の先頭を行く米軍には、中国の脅威を生かして「一皮むけて」いただきたいと思います
遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
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米空軍はF-35 導入ペース低下で調達期間 10年以上延長 [亡国のF-35]
当初は 2030年代で1763機調達終了予定も、今は2049年
以前は年間100 機必須と訴えも、今は年最大48機に
2030年時点で海軍海兵隊が6-7割も、空軍は4割以下
9月7日付米空軍協会 web 記事が、作成(昨年大晦日)から8か月以上遅れの8月7日にやっと一般公開された、米国防省作成の調達報告書(The Selected Acquisition Report)の中から、米軍F-35の今後の調達計画に関する部分を取り上げ、米空軍の1763 機調達完了が、当初の 2030年代から10年以上遅れの2049年になる見通しなどを取り上げています
同報告書によると、米空軍計画の調達ペースで進むと、2023年末時点で米空軍のF-35A保有機数が419機のところ、2029年度末時点でも約700機程度止まりで、総予定機数1763機の 4割に満たない調達レベルだと記事は指摘し、 一方で海軍と海兵隊は、同じく2029年末時点で海軍が219機で総予定機数 340機の約65%で、米海兵隊は 245機で総予定機数353機の約70%にまで達し、海軍海兵隊共に2035年頃には、予定の総調達機数取得をほぼ計画通りに終える予定だと紹介しています。
米空軍当局者は調達ペースダウン理由に関し、
●ソフト改修 Tech Refresh 3の遅れで、米議会が調達制限。また空軍も、当面の完成形 Block 4機体が利用可能になるまで調達を抑えたい
●サプライチェーン問題等でロッキード社が生産数アップに苦労
●無人ウイングマン機 CCA や次世代制空機開発への投資、F-15Cの後継F-15EXの調達など、他の優先事業への資源配分・・・と説明しているようです
/////////////////////////////////
本記事は、米空軍協会機関紙のJohn A. Tirpak 編集長自身の執筆記事ですが、米海軍や海兵隊よりも遥かに遅い調達ペースとなっている米空軍 F-35の現状に鑑みると、米空軍応援団である同機関紙の編集長としても、関係者に広く認識されつつある、「空軍の 1763機導入計画は到底実現不可能」、「航空優勢の定義見直しに空軍 2トップが言及する中、次世代制空機NGADのみならず戦闘機全体への投資見直しは不可避」との現実を無視することが出来ないのでしょう・・・。
この記事の最後を同編集長は以下の文書で結び、官僚的思考のドロ沼に落ちたF-35 を冷めた目で見ています。
「空軍は2005年頃に 1,763機という目標を設定しているが、(様々な脅威の変化や先端技術の進歩に)にもかかわらず、その数字を変更していない。空軍当局者は、導入機数を減らすとF-35の単価が上昇し、この価格上昇によりF-35 計画が(法定基準を超えたコスト上昇や開発 遅延のプロジェクト見直しを定めた) Nunn-McCurdy法に抵触することを意識している」
航空優勢の概念に関する議論
「ドローンでへリ撃墜の衝撃」→https://holylandtokyo.com/2024/08/29/6213/
「重要だが不可能だし必要もない」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
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以前は年間100 機必須と訴えも、今は年最大48機に
2030年時点で海軍海兵隊が6-7割も、空軍は4割以下
9月7日付米空軍協会 web 記事が、作成(昨年大晦日)から8か月以上遅れの8月7日にやっと一般公開された、米国防省作成の調達報告書(The Selected Acquisition Report)の中から、米軍F-35の今後の調達計画に関する部分を取り上げ、米空軍の1763 機調達完了が、当初の 2030年代から10年以上遅れの2049年になる見通しなどを取り上げています
同報告書によると、米空軍計画の調達ペースで進むと、2023年末時点で米空軍のF-35A保有機数が419機のところ、2029年度末時点でも約700機程度止まりで、総予定機数1763機の 4割に満たない調達レベルだと記事は指摘し、 一方で海軍と海兵隊は、同じく2029年末時点で海軍が219機で総予定機数 340機の約65%で、米海兵隊は 245機で総予定機数353機の約70%にまで達し、海軍海兵隊共に2035年頃には、予定の総調達機数取得をほぼ計画通りに終える予定だと紹介しています。
米空軍当局者は調達ペースダウン理由に関し、
●ソフト改修 Tech Refresh 3の遅れで、米議会が調達制限。また空軍も、当面の完成形 Block 4機体が利用可能になるまで調達を抑えたい
●サプライチェーン問題等でロッキード社が生産数アップに苦労
●無人ウイングマン機 CCA や次世代制空機開発への投資、F-15Cの後継F-15EXの調達など、他の優先事業への資源配分・・・と説明しているようです
/////////////////////////////////
本記事は、米空軍協会機関紙のJohn A. Tirpak 編集長自身の執筆記事ですが、米海軍や海兵隊よりも遥かに遅い調達ペースとなっている米空軍 F-35の現状に鑑みると、米空軍応援団である同機関紙の編集長としても、関係者に広く認識されつつある、「空軍の 1763機導入計画は到底実現不可能」、「航空優勢の定義見直しに空軍 2トップが言及する中、次世代制空機NGADのみならず戦闘機全体への投資見直しは不可避」との現実を無視することが出来ないのでしょう・・・。
この記事の最後を同編集長は以下の文書で結び、官僚的思考のドロ沼に落ちたF-35 を冷めた目で見ています。
「空軍は2005年頃に 1,763機という目標を設定しているが、(様々な脅威の変化や先端技術の進歩に)にもかかわらず、その数字を変更していない。空軍当局者は、導入機数を減らすとF-35の単価が上昇し、この価格上昇によりF-35 計画が(法定基準を超えたコスト上昇や開発 遅延のプロジェクト見直しを定めた) Nunn-McCurdy法に抵触することを意識している」
航空優勢の概念に関する議論
「ドローンでへリ撃墜の衝撃」→https://holylandtokyo.com/2024/08/29/6213/
「重要だが不可能だし必要もない」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
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不足するミサイル推進装置を3Dプリント大量生産へ [Joint・統合参謀本部]
参入企業が60年変化ない固体ロケットモーター製造の革新へ
3Dプリント技術で新規投資極限し大量&迅速かつ安価に
パーツ自社生産でSupplyチェーン問題も回避へ
11月1日付 DefenseOne 記事が、ウクライナや中東紛争で需要が急増して製造が追いつかない各種ミサイルやロケットの推進装置・固体ロケットモーター製造に、3Dプリント技術を導入して新規設備投資を局限しつつ、大量迅速かつ安価な製造に挑戦するコロラド州の企業「Ursa Major社」を、同社製造責任者へのインタビューを交え紹介しています
Ursa Major社 は僅か18ヵ月前にこのプロジェクトを着想し、段階的に製造技術を確立しつつある企業ですが、既に今年試作したロケットモーター300基以上を試験燃焼させ、製造技術の確立と品質の安定に自信を深めていると、同社の製造責任者であるBill Murray氏は取材にアピールしています
Murray 氏は、実質上この市場を独占してきた2社 Aerojet Rocketdyne と Northrop Grumman では、柔軟性に欠けたロケットモーター生産方法が60年以上変わっておらず、長い納期の工具に依存し、部品不足に陥りやすい高価な生産ラインを使用していると現状の問題点を厳しく評価し、
例えば米海軍は、敵ミサイル迎撃に使用しているSM-3ミサイルの在庫を、過去1年間の中東方面での戦闘で使い果たしており、既に「持続不可能」な状態にあるが、世界的紛争により既存の生産ラインが圧迫されているため、国防総省が新たな生産ラインの育成に迫られていると状況を語っています
そこで Ursa Major社は、民間投資家の資金を活用して技術開発を促進する米国防省創設の枠組みから約 18億円の資金援助を受け、3Dプリント技術で高価な再設備投資を必要とせず、多様多種なロケットモーター製造を可能にする「Lynx」と呼ぶ新しい製造プロセス構築に取り組んで今に至っています。
また Murray氏は、既に大量の受注を抱えて余力のない関連サプライチェーンへの依存度を下げるため、多くの部品をコロラド州とオハイオ州で拡張中の自社工場で来年から 2026年かけ 段階的に「Lynx」方式で製造開始し、Stinger, Javelin, GMLRS や迎撃ミサイル用など、直径 2~22インチの多様なロケットモーターを大規模に製造開始する予定で準備を進めているとアピールしています
一方で同氏は、ロケットモーター需要は拡大を続けており、近未来で需要を満たせる見込みがない現状から、Ursa Major 社だけでなく、X-Bow や Anduril 等の新興企業も固体ロケット分野への参入を試みており、他にも多くの企業に参入余地がある激しい競争環境が続くとも予想し、油断はできないと語っています
////////////////////////////////////////////////
需要の高まりを受け、お金の匂いに誘われ競争が激化し、技術革新が起こって良質なものが安価に提供されるようになれば最高ですが、上で紹介した記事は「良い側面だけを切り取った営業トーク」のような感じもするので、今後は別の側面から本件を取り上げられるように考えます
とりあえず、「Ursa Major社」「Lynx」「3Dプリント」との言葉を Take Note しておきましょう。X-Bow や Anduri との企業名と共に・
弾薬の圧倒的不足間題
「英国は挽回に10年必要」→https://holylandtokyo.com/2023/03/23/4395/
「空軍は弾業調達の効率性優先を変更」→https://holylandtokyo.com/2023/02/24/4304/
「CSIS レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「弾薬が最大教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/02/10/4288/
「弾菜ロードマップ検討」→https://holylandtokyo.com/2023/02/09/4208/
「もっと予算を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウに学ぶ台湾への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
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3Dプリント技術で新規投資極限し大量&迅速かつ安価に
パーツ自社生産でSupplyチェーン問題も回避へ
11月1日付 DefenseOne 記事が、ウクライナや中東紛争で需要が急増して製造が追いつかない各種ミサイルやロケットの推進装置・固体ロケットモーター製造に、3Dプリント技術を導入して新規設備投資を局限しつつ、大量迅速かつ安価な製造に挑戦するコロラド州の企業「Ursa Major社」を、同社製造責任者へのインタビューを交え紹介しています
Ursa Major社 は僅か18ヵ月前にこのプロジェクトを着想し、段階的に製造技術を確立しつつある企業ですが、既に今年試作したロケットモーター300基以上を試験燃焼させ、製造技術の確立と品質の安定に自信を深めていると、同社の製造責任者であるBill Murray氏は取材にアピールしています
Murray 氏は、実質上この市場を独占してきた2社 Aerojet Rocketdyne と Northrop Grumman では、柔軟性に欠けたロケットモーター生産方法が60年以上変わっておらず、長い納期の工具に依存し、部品不足に陥りやすい高価な生産ラインを使用していると現状の問題点を厳しく評価し、
例えば米海軍は、敵ミサイル迎撃に使用しているSM-3ミサイルの在庫を、過去1年間の中東方面での戦闘で使い果たしており、既に「持続不可能」な状態にあるが、世界的紛争により既存の生産ラインが圧迫されているため、国防総省が新たな生産ラインの育成に迫られていると状況を語っています
そこで Ursa Major社は、民間投資家の資金を活用して技術開発を促進する米国防省創設の枠組みから約 18億円の資金援助を受け、3Dプリント技術で高価な再設備投資を必要とせず、多様多種なロケットモーター製造を可能にする「Lynx」と呼ぶ新しい製造プロセス構築に取り組んで今に至っています。
また Murray氏は、既に大量の受注を抱えて余力のない関連サプライチェーンへの依存度を下げるため、多くの部品をコロラド州とオハイオ州で拡張中の自社工場で来年から 2026年かけ 段階的に「Lynx」方式で製造開始し、Stinger, Javelin, GMLRS や迎撃ミサイル用など、直径 2~22インチの多様なロケットモーターを大規模に製造開始する予定で準備を進めているとアピールしています
一方で同氏は、ロケットモーター需要は拡大を続けており、近未来で需要を満たせる見込みがない現状から、Ursa Major 社だけでなく、X-Bow や Anduril 等の新興企業も固体ロケット分野への参入を試みており、他にも多くの企業に参入余地がある激しい競争環境が続くとも予想し、油断はできないと語っています
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需要の高まりを受け、お金の匂いに誘われ競争が激化し、技術革新が起こって良質なものが安価に提供されるようになれば最高ですが、上で紹介した記事は「良い側面だけを切り取った営業トーク」のような感じもするので、今後は別の側面から本件を取り上げられるように考えます
とりあえず、「Ursa Major社」「Lynx」「3Dプリント」との言葉を Take Note しておきましょう。X-Bow や Anduri との企業名と共に・
弾薬の圧倒的不足間題
「英国は挽回に10年必要」→https://holylandtokyo.com/2023/03/23/4395/
「空軍は弾業調達の効率性優先を変更」→https://holylandtokyo.com/2023/02/24/4304/
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F-35B 操縦者が脱出後 11分飛行して100km先に墜落 [Joint・統合参謀本部]
海兵隊精鋭テスト飛行部隊の大佐指揮官が操縦
部隊調査後に任務復帰で指揮官就任も海兵隊司令官が更迭指示
「緊急脱出判断」の基準があいまいと調査報告指摘
10月31日付 Defense-News が、2023年9月に発生した着陸時の機体異常で操縦者がF-35B 機から射出座席で緊急脱出し、機体が11分間無人飛行の後に約 110km離れた林に墜落し、けが人や地上に損害は発生しなかっものの F-35B が全損した事故と操縦者に対する措置について報じ、
2024年1月の事故調査報告書は、操縦者は職務怠慢ではなく操作手順書に基づいて緊急脱出したが、機体の予備系統は機能しており継続飛行は可能であったとして、脱出の判断は誤りだったと結論付けたものの、事故後、操縦者は調査委員会の勧告に従って対応し、2024年6月に操縦資格を回復して6月21日から名門の海兵隊試験評価飛行隊(VMX-1)の司令官に就任していたが、
指揮官就任から 3か月以上経過した10月2日に、海兵隊司令官が事故報告書を確認した結果として、当該操縦者は「指揮責任を遂行する能力に対する信頼を失った」として、VMX-1指揮官職を解任され、後継司令官が指名されたと取り上げています
解任された Charles Del Pizzo 大佐 49歳は、1997年に土官任官後、1999年から海兵隊パイロットとしてAV-8B ハリアーを中心に中東派道6回で飛行時間2800時間の円熟パイロットで、F-35B、MV-22オスプレイ、CH-53Eを有する試験評価部隊 VMX-1で海兵隊航空部隊の戦術や手順の開発改良を担う部隊指揮官の重責を担っていたパイロットでした
事故はVMX-1指揮官就任の前の部隊での訓練飛行後、雨で「極めて困難な認知および飛行条件下」で着陸態勢に入った後、F-35B が故障し主要な機内表示装置と通信が機能不全となったため、高度約 600mで緊急脱出して民家の裏庭にパラシュートで着地したというものです。(幸い大したけがはなく、翌日退院)
問題はパイロットを失った機体で、バックアップ機能が生きており、Pizzo 大佐が最後まで操縦を試みてインプットされた操作に基づき自動操縦で高度を一時は 3000mにまで回復し、11分間以上も飛行して車で2時間ほどの森林の中に墜落したのですが、約 11分間の飛行中は大半がレーダーに映らない低空飛行だったこともあり、墜落現場が見つかったのは翌日の夕方になったとのことです
メディアやSNS上では、「ステルス機がパイロットを失って行方不明」との情報が飛び交い、米海兵隊には当然厳しい声が各方面から届いたようです
10月2日に更迭されたPizzo 大佐は、海兵隊を通さずに「VMX-1の海兵隊員や文民職員を率いる機会を得られたことは、この上ない栄誉だった」、「この予期せぬ任務変更に適応するにあたり、友人や家族のサポートに深く感謝している」との声明を発表したとのことです
なお、F-35B の飛行手順書には、パイロット操作に適切に反応しない航空機は制御不能とみなされ、高度 6,000 フィート以下の航空機ではパイロットは脱出しなければならないと記載されており、
事故調査報告書は Pizzo 大佐が、「高度6,000フィート以下で航空機の制御が失われたと認識し、適切な緊急手順を適用した」と指摘し、「飛行手順書の制御不能飛行時の定義がぼんやりと広範すぎることが今回の事故の一因となった」とも指摘しているようです
/////////////////////////////////////////////
記事原文には、もっと詳細に事故時の機体の状況や Pizzo 大佐の操作や判断を公開された事故報告書から紹介していますので、ご興味のある方は記事原文や海兵隊の公開情報ライブラリー (https://www.hamc.marines.miAgencies/USMC-FOIAVFRRI)で報告書をご確認ください
焦点の絞れていない概要のみのご紹介となりましたが、読者のご関心の視点により、パイロットの厳しさ(F-35B操縦時間30数時間)、ハイテク戦闘機F-35B の設計、海兵隊の事案への対処要領等々、様々な方面から考えさせられる事案だと思います。
Pizzo 大佐は現在、「今後の任務について選択肢を提示されており、現在、彼と家族は次のステップを検討している」とのこと、新たな道でのご活躍を祈らずにはおれません
航空機事故関連の記事
「やっと操縦者の飛行中身体データ測定装置」→https://holylandtokyo.com/2024/05/10/5827/
「空自訓練生の米国での墜落事故から2年」→https://holylandtokyo.com/2023/04/19/4533/
「当該事故調査報告」→https://holylandtokyo.com/2021/10/12/2328/
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部隊調査後に任務復帰で指揮官就任も海兵隊司令官が更迭指示
「緊急脱出判断」の基準があいまいと調査報告指摘
10月31日付 Defense-News が、2023年9月に発生した着陸時の機体異常で操縦者がF-35B 機から射出座席で緊急脱出し、機体が11分間無人飛行の後に約 110km離れた林に墜落し、けが人や地上に損害は発生しなかっものの F-35B が全損した事故と操縦者に対する措置について報じ、
2024年1月の事故調査報告書は、操縦者は職務怠慢ではなく操作手順書に基づいて緊急脱出したが、機体の予備系統は機能しており継続飛行は可能であったとして、脱出の判断は誤りだったと結論付けたものの、事故後、操縦者は調査委員会の勧告に従って対応し、2024年6月に操縦資格を回復して6月21日から名門の海兵隊試験評価飛行隊(VMX-1)の司令官に就任していたが、
指揮官就任から 3か月以上経過した10月2日に、海兵隊司令官が事故報告書を確認した結果として、当該操縦者は「指揮責任を遂行する能力に対する信頼を失った」として、VMX-1指揮官職を解任され、後継司令官が指名されたと取り上げています
解任された Charles Del Pizzo 大佐 49歳は、1997年に土官任官後、1999年から海兵隊パイロットとしてAV-8B ハリアーを中心に中東派道6回で飛行時間2800時間の円熟パイロットで、F-35B、MV-22オスプレイ、CH-53Eを有する試験評価部隊 VMX-1で海兵隊航空部隊の戦術や手順の開発改良を担う部隊指揮官の重責を担っていたパイロットでした
事故はVMX-1指揮官就任の前の部隊での訓練飛行後、雨で「極めて困難な認知および飛行条件下」で着陸態勢に入った後、F-35B が故障し主要な機内表示装置と通信が機能不全となったため、高度約 600mで緊急脱出して民家の裏庭にパラシュートで着地したというものです。(幸い大したけがはなく、翌日退院)
問題はパイロットを失った機体で、バックアップ機能が生きており、Pizzo 大佐が最後まで操縦を試みてインプットされた操作に基づき自動操縦で高度を一時は 3000mにまで回復し、11分間以上も飛行して車で2時間ほどの森林の中に墜落したのですが、約 11分間の飛行中は大半がレーダーに映らない低空飛行だったこともあり、墜落現場が見つかったのは翌日の夕方になったとのことです
メディアやSNS上では、「ステルス機がパイロットを失って行方不明」との情報が飛び交い、米海兵隊には当然厳しい声が各方面から届いたようです
10月2日に更迭されたPizzo 大佐は、海兵隊を通さずに「VMX-1の海兵隊員や文民職員を率いる機会を得られたことは、この上ない栄誉だった」、「この予期せぬ任務変更に適応するにあたり、友人や家族のサポートに深く感謝している」との声明を発表したとのことです
なお、F-35B の飛行手順書には、パイロット操作に適切に反応しない航空機は制御不能とみなされ、高度 6,000 フィート以下の航空機ではパイロットは脱出しなければならないと記載されており、
事故調査報告書は Pizzo 大佐が、「高度6,000フィート以下で航空機の制御が失われたと認識し、適切な緊急手順を適用した」と指摘し、「飛行手順書の制御不能飛行時の定義がぼんやりと広範すぎることが今回の事故の一因となった」とも指摘しているようです
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記事原文には、もっと詳細に事故時の機体の状況や Pizzo 大佐の操作や判断を公開された事故報告書から紹介していますので、ご興味のある方は記事原文や海兵隊の公開情報ライブラリー (https://www.hamc.marines.miAgencies/USMC-FOIAVFRRI)で報告書をご確認ください
焦点の絞れていない概要のみのご紹介となりましたが、読者のご関心の視点により、パイロットの厳しさ(F-35B操縦時間30数時間)、ハイテク戦闘機F-35B の設計、海兵隊の事案への対処要領等々、様々な方面から考えさせられる事案だと思います。
Pizzo 大佐は現在、「今後の任務について選択肢を提示されており、現在、彼と家族は次のステップを検討している」とのこと、新たな道でのご活躍を祈らずにはおれません
航空機事故関連の記事
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米陸軍が太陽光無人機をアジア太平洋に投入 [Joint・統合参謀本部]
X(Twitter)とFacebookもご活用ください
X(Twitter) → https://twitter.com/Mongoose2011
Facebook → http://www.facebook.com/holylandsonettokyo
////////////////////////////////////////////////////////
70時間以上太陽光のみで連続飛行可能
走行する車両の屋根から離陸し胴体着陸式
搭載量不明もISR、通信中継、電子戦等に
比でBalikatan演習や指揮統制実戦演習にも
10月30日付Defense-Newsは、米陸軍のアジア太平洋部隊である1st Multi-Domain Task Forceに、70時間以上の連続飛行が可能な長期在空型太陽光無人機K1000(Kraus Hamdani Aerospace製)が既に導入され、過去数年間にわたりフィリピンで実施されたBalikatan演習やProject Convergence指揮統制演習など各種実験演習等で目撃されていると紹介し、米海軍も導入している模様の同無人機を紹介しています
なお同無人機は、米国防省が2022年に創設した革新的技術の調達および配備の促進プログラム(APFIT:Accelerate the Procurement and Fielding of Innovative Technologies)の基金から、これまでで最高額となる約30億円の拠出を受け、同Task Forceと特殊作戦部隊用に追加発注されているとのことです
同記事からK1000無人機の特徴等をPick-Up
●同機は無人機カテゴリー2(重量約9~25kgクラス)の連続在空記録76時間を更新
●離陸は走行する車両の屋根から。着陸装置がなく、胴体着陸で機体底部が摩耗した場合は、3Dプリントの機体部品を交換
●搭載人工知能を利用し、自然界の鳥の動きを模倣して静かに空を滑空するため、K1000は大半のセンサーやレーダーが鳥と誤認し探知が困難
●機体は準備された運搬用のケースに収まり、荷降ろし、組み立て、離陸までの時間は約10分
なお米陸軍はShadow無人機を既に廃止しており、Kraus社製のK1000が後継機の有力候補であるとコメントしているようです。
Kraus Hamdani Aerospace社の女性CEOであるFatema Hamdani氏は、「当社は米軍の要求に合わせて技術を成熟させ、時間をかけ、動的に変化する環境での戦闘員ニーズを満たすためにK1000を調整し続けています」とコメントしています
/////////////////////////////////////////////////
Kraus Hamdani Aerospace K1000の紹介映像(3分)
「過去数年間にわたり演習等で使用されてきた」にも関わらず、これまでご紹介できず申し訳ありませんでした。
上に掲載したプロモーション映像は、K1000の民生分野での活用を意識した構成となっており、様々な新興企業がこの分野に挑戦していることが伺えます。無人機の分野は正に「日進月歩」で目が離せません。
太陽光利用に関する記事
「大型無人機64日間連続飛行」→https://holylandtokyo.com/2022/08/30/3585/
「世界記録更新し飛行中」→https://holylandtokyo.com/2022/08/02/3503/
「宇宙太陽光発電エネルギーの電磁波伝送」→https://holylandtokyo.com/2021/12/27/2567/
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70時間以上太陽光のみで連続飛行可能
走行する車両の屋根から離陸し胴体着陸式
搭載量不明もISR、通信中継、電子戦等に
比でBalikatan演習や指揮統制実戦演習にも
10月30日付Defense-Newsは、米陸軍のアジア太平洋部隊である1st Multi-Domain Task Forceに、70時間以上の連続飛行が可能な長期在空型太陽光無人機K1000(Kraus Hamdani Aerospace製)が既に導入され、過去数年間にわたりフィリピンで実施されたBalikatan演習やProject Convergence指揮統制演習など各種実験演習等で目撃されていると紹介し、米海軍も導入している模様の同無人機を紹介しています
なお同無人機は、米国防省が2022年に創設した革新的技術の調達および配備の促進プログラム(APFIT:Accelerate the Procurement and Fielding of Innovative Technologies)の基金から、これまでで最高額となる約30億円の拠出を受け、同Task Forceと特殊作戦部隊用に追加発注されているとのことです
同記事からK1000無人機の特徴等をPick-Up
●同機は無人機カテゴリー2(重量約9~25kgクラス)の連続在空記録76時間を更新
●離陸は走行する車両の屋根から。着陸装置がなく、胴体着陸で機体底部が摩耗した場合は、3Dプリントの機体部品を交換
●搭載人工知能を利用し、自然界の鳥の動きを模倣して静かに空を滑空するため、K1000は大半のセンサーやレーダーが鳥と誤認し探知が困難
●機体は準備された運搬用のケースに収まり、荷降ろし、組み立て、離陸までの時間は約10分
なお米陸軍はShadow無人機を既に廃止しており、Kraus社製のK1000が後継機の有力候補であるとコメントしているようです。
Kraus Hamdani Aerospace社の女性CEOであるFatema Hamdani氏は、「当社は米軍の要求に合わせて技術を成熟させ、時間をかけ、動的に変化する環境での戦闘員ニーズを満たすためにK1000を調整し続けています」とコメントしています
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Kraus Hamdani Aerospace K1000の紹介映像(3分)
「過去数年間にわたり演習等で使用されてきた」にも関わらず、これまでご紹介できず申し訳ありませんでした。
上に掲載したプロモーション映像は、K1000の民生分野での活用を意識した構成となっており、様々な新興企業がこの分野に挑戦していることが伺えます。無人機の分野は正に「日進月歩」で目が離せません。
太陽光利用に関する記事
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謎の実験宇宙船X-37Bの本格試験に初言及 [Joint・統合参謀本部]
7回目の飛行で初めて具体的任務に言及
10月10日、米宇宙軍トップの Chance Saltzman 大将(Chief of Space Operations)が、2023年 12月に打ち上げられた「謎の実験宇宙船X-37B」の7回目の飛行で以下の試験を行うと突然発表し、「謎」だった✕-37Bの具体的任務への初言及に界隈へさざ波が広がっています
第7回目となる今回の特徴は、出力が巨大な「Falcon Heavyロケット」で打ち上げられたことです。6回目までの打ち上げは低高度軌道(高度 110-150マイル)でしたが、計算上は高度22000マイルの静止軌道にも投入可能な能力を持つロケットで、可能ペイロードも格段に増えており、試験内容の拡大が予期されていたところでした
その試験とは・・
●「燃料を節約しながら機動性を高めるという宇宙軍の取り組みの一環として、軌道を急速に変更する新しい方法をテストする。地球の大気を利用して減速し、軌道を切り替えるエアロブレーキングの実験を行う予定だ」
●「NASAはこの操作を実施したことがあるが、X-37Bにとっては新たな挑戦である」
●「エアロブレーキ操作試験が完了すると、X-37Bは他のテストと実験を再開し、目的が達成された時点で機体は軌道から外れ、これまでの6回のミッションと同様に安全に帰還する」
●「X-37B によるこの種の初挑戦は、困難な領域で能力拡大を追求している米軍にとって、非常に重要な節目だ。この成功はチームの献身と忍耐の証となる」
あらためてX-37Bとは・・・
X-37Bは「9m x 4.5m x 3m」とマイクロバス弱程度の大きさで、ロケットの先端に取り付けて打ち上げられ、帰還時は滑走路に着陸する無人宇宙船です。OTV(Orbital Test Vehicle)が正式名称の実験船ですが、宇宙でどんな実験を行っているのか非公開部分が多く「謎の宇宙船」とも言われ、追跡マニアが「中露の衛星を追跡している」等々の「噂」や「推測」を流して時に話題になったりしています
それでも時代の流れでしょうか、第6回目からは「差しさわりのない」実験の一部(空軍士官学校学生提案の装置試験など)が公開され始め、今回7回目でも以下の実験が任務の一部だと公開されています(細部は過去記事参照)
●前回に引き続き NASAによる植物の種子実験「Seeds-2」
●細部は不明ながら「future space domain awareness technologies」の実験
今回7回目の飛行も宇宙空間滞在期間は非公開ですが、2010年4月打ち上げの1回目の宇宙滞在が224日間、2回目が468日間、3回目が675日、2017年5月に帰還の4回目は718日間、2019年10月帰還の5回目は780日と任務の度に滞在日数を更新しており、最長記録は 6回目の908日間となっています
X-37B 関連の記事
「7回目の任務開始」→https://holylandtokyo.com/2024/01/12/5407/
「6回目=記録更新の908日滞在」→https://holylandtokyo.com/2022/11/24/3952
「宇宙滞在記録を更新中」→https://holylandtokyo.com/2022/07/29/3458/
「6回目打上:少しソフトに?」→https://holylandtokyo.com/2020/05/15/672/
「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blogjp/2017-05-11
「中国版X-37B?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-15
「中国衛星を追跡?」→http://holyland blog.so-net.ne.jp/2012-01-07
「Sシャトルの代替?」→http://halyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「米が宇宙アセット防護計画」→http://nolyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16
「関連小ネタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-04
「X-37Bをご存じですか」→http://halyland blog.so-net.ne.jp/2010-04-20
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10月10日、米宇宙軍トップの Chance Saltzman 大将(Chief of Space Operations)が、2023年 12月に打ち上げられた「謎の実験宇宙船X-37B」の7回目の飛行で以下の試験を行うと突然発表し、「謎」だった✕-37Bの具体的任務への初言及に界隈へさざ波が広がっています
第7回目となる今回の特徴は、出力が巨大な「Falcon Heavyロケット」で打ち上げられたことです。6回目までの打ち上げは低高度軌道(高度 110-150マイル)でしたが、計算上は高度22000マイルの静止軌道にも投入可能な能力を持つロケットで、可能ペイロードも格段に増えており、試験内容の拡大が予期されていたところでした
その試験とは・・
●「燃料を節約しながら機動性を高めるという宇宙軍の取り組みの一環として、軌道を急速に変更する新しい方法をテストする。地球の大気を利用して減速し、軌道を切り替えるエアロブレーキングの実験を行う予定だ」
●「NASAはこの操作を実施したことがあるが、X-37Bにとっては新たな挑戦である」
●「エアロブレーキ操作試験が完了すると、X-37Bは他のテストと実験を再開し、目的が達成された時点で機体は軌道から外れ、これまでの6回のミッションと同様に安全に帰還する」
●「X-37B によるこの種の初挑戦は、困難な領域で能力拡大を追求している米軍にとって、非常に重要な節目だ。この成功はチームの献身と忍耐の証となる」
あらためてX-37Bとは・・・
X-37Bは「9m x 4.5m x 3m」とマイクロバス弱程度の大きさで、ロケットの先端に取り付けて打ち上げられ、帰還時は滑走路に着陸する無人宇宙船です。OTV(Orbital Test Vehicle)が正式名称の実験船ですが、宇宙でどんな実験を行っているのか非公開部分が多く「謎の宇宙船」とも言われ、追跡マニアが「中露の衛星を追跡している」等々の「噂」や「推測」を流して時に話題になったりしています
それでも時代の流れでしょうか、第6回目からは「差しさわりのない」実験の一部(空軍士官学校学生提案の装置試験など)が公開され始め、今回7回目でも以下の実験が任務の一部だと公開されています(細部は過去記事参照)
●前回に引き続き NASAによる植物の種子実験「Seeds-2」
●細部は不明ながら「future space domain awareness technologies」の実験
今回7回目の飛行も宇宙空間滞在期間は非公開ですが、2010年4月打ち上げの1回目の宇宙滞在が224日間、2回目が468日間、3回目が675日、2017年5月に帰還の4回目は718日間、2019年10月帰還の5回目は780日と任務の度に滞在日数を更新しており、最長記録は 6回目の908日間となっています
X-37B 関連の記事
「7回目の任務開始」→https://holylandtokyo.com/2024/01/12/5407/
「6回目=記録更新の908日滞在」→https://holylandtokyo.com/2022/11/24/3952
「宇宙滞在記録を更新中」→https://holylandtokyo.com/2022/07/29/3458/
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「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blogjp/2017-05-11
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「関連小ネタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-04
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NGAD見直しでB-21次期爆撃機導入数増か? [米空軍]
あくまでB-21製造企業CEOの皮算用ながら
開発順調でコストも想定内のB-21次期爆撃機
10月24日、コスト管理を含め現時点で極めて順調な開発状況にある次期爆撃機B-21を担う Northrop Grumman 社の CEO・Kathy Warden 女史が、四半期業績説明会見で投資家などステークホルダーに、米空軍の次期制空機NGAD がコスト高などで「計画一時停止&再検討」状態にあること等を踏まえ、米空軍が大きな戦力構造見直しの結果として、現在約100機と言われているB-21調達数を増やす可能性があると語りました
同CEOは、「米空軍は米議会に命ぜられた a force structure design review中で、また国防長官も戦力増強の多様な選択肢を検討していると公言しており、NGAD 再検討の流れでB-21も再検討されていることを我々は認識している。B-21の機数増は正に空軍が考える対象だと思っている」と同社の利害関係者に説明しています
背景には、NGAD再検討に関しKendall 空軍長官が、1機350-400億円と言われていたNGAD 価格に関し、F-35の120~150億円を超えないことが望ましいと9月に言及したことで、NGADを200-250 機導入すると仮定すると、この価格低減で数兆円が浮き、B-21導入機数増につながる可能性があるとの皮算用があるようです
もちろん物事は単純ではなく、例えばAllvin空軍参謀総長は4月にB-21導入機数に関し、「B- 21が 100機製造される頃には技術進歩で更に優れた機体が生まれる可能性があるため、100 機以上購入する予定はない」と明言し、空軍計画部長も3月に「機体数を増やす決定は 2030年代まで必要ない」と議会で証言しているところです
24日の発言の最後に同 CEOは「この戦力構成の見直し結論を現時点で示唆するのは時期尚早だろう」と述べつつ、「しかし今後数ヶ月で、米空軍が長期的にB-21 の機数をどう考えているかについて、より明確な示唆が得られるだろうと思う」と表現して本件への言及を締めています
////////////////////////////////////////////
NG 社は、B-21爆撃機開発では順調ですが、次期ICBMの巨大プロジェクト GBSDでは渦中にあり、「空軍予算の2年分の 11兆円強のコスト超過」「少なく見積もって3年遅れ」との途方もない問題を抱えており、CEOとしては投資家の皆様に、B-21で夢を語らなくてはならない立場かもしれません
なお、このNG社CEO発言を紹介する 10月25日付米空軍協会 web 記事は、空軍応援団との立場から、研究者の「ミッチェル研究所、MITRE 社、戦略予算評価センター等の研究レポートから、米空軍には 300機以上の爆撃機が必要で、そのうち200機程度はB-2やB-21のようなステルス性を備えた爆撃機であるべき」との主張を紹介しています
最近のB-21 関連記事
「公式写真3枚と導入機数議論」→https://holylandtokyo.com/2024/06/26/5949/
「低レート量産入りと現在価格」→https://holylandtokyo.com/2024/02/02/5491/
「初飛行を 12の視点で分析」→https://holylandtokyo.com/2023/12/01/5284/
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開発順調でコストも想定内のB-21次期爆撃機
10月24日、コスト管理を含め現時点で極めて順調な開発状況にある次期爆撃機B-21を担う Northrop Grumman 社の CEO・Kathy Warden 女史が、四半期業績説明会見で投資家などステークホルダーに、米空軍の次期制空機NGAD がコスト高などで「計画一時停止&再検討」状態にあること等を踏まえ、米空軍が大きな戦力構造見直しの結果として、現在約100機と言われているB-21調達数を増やす可能性があると語りました
同CEOは、「米空軍は米議会に命ぜられた a force structure design review中で、また国防長官も戦力増強の多様な選択肢を検討していると公言しており、NGAD 再検討の流れでB-21も再検討されていることを我々は認識している。B-21の機数増は正に空軍が考える対象だと思っている」と同社の利害関係者に説明しています
背景には、NGAD再検討に関しKendall 空軍長官が、1機350-400億円と言われていたNGAD 価格に関し、F-35の120~150億円を超えないことが望ましいと9月に言及したことで、NGADを200-250 機導入すると仮定すると、この価格低減で数兆円が浮き、B-21導入機数増につながる可能性があるとの皮算用があるようです
もちろん物事は単純ではなく、例えばAllvin空軍参謀総長は4月にB-21導入機数に関し、「B- 21が 100機製造される頃には技術進歩で更に優れた機体が生まれる可能性があるため、100 機以上購入する予定はない」と明言し、空軍計画部長も3月に「機体数を増やす決定は 2030年代まで必要ない」と議会で証言しているところです
24日の発言の最後に同 CEOは「この戦力構成の見直し結論を現時点で示唆するのは時期尚早だろう」と述べつつ、「しかし今後数ヶ月で、米空軍が長期的にB-21 の機数をどう考えているかについて、より明確な示唆が得られるだろうと思う」と表現して本件への言及を締めています
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NG 社は、B-21爆撃機開発では順調ですが、次期ICBMの巨大プロジェクト GBSDでは渦中にあり、「空軍予算の2年分の 11兆円強のコスト超過」「少なく見積もって3年遅れ」との途方もない問題を抱えており、CEOとしては投資家の皆様に、B-21で夢を語らなくてはならない立場かもしれません
なお、このNG社CEO発言を紹介する 10月25日付米空軍協会 web 記事は、空軍応援団との立場から、研究者の「ミッチェル研究所、MITRE 社、戦略予算評価センター等の研究レポートから、米空軍には 300機以上の爆撃機が必要で、そのうち200機程度はB-2やB-21のようなステルス性を備えた爆撃機であるべき」との主張を紹介しています
最近のB-21 関連記事
「公式写真3枚と導入機数議論」→https://holylandtokyo.com/2024/06/26/5949/
「低レート量産入りと現在価格」→https://holylandtokyo.com/2024/02/02/5491/
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次の米国防長官は44歳の退役州兵&TV司会者 [米国防省高官]
NYT 紙「伝統的な国防長官の基準から逸脱」
Brown統参議長を「左派の過激な主張を推進」と非難
トランプ氏が不忠実な軍人や政府職員の一掃の噂も
11月12日トランプ次期大統領が、陸軍州兵の退役軍人でアフガニスタン、イラク、グアンタナモ湾で従軍経験(Bronze Star勲章 2度受章)のある、過去8年間 Fox News 司会&解説者のPete Hegseth 氏(44歳)を国防長官に指名し、「タフで聡明で、米国第一の真の奉者だ」「ピートが指揮を執れば、米国の敵は普戒し、我々の軍隊は再び偉大になり、米国は決して後退しないだろう」と紹介しました。
とりあえず、各種報道からPete Hegseth氏をご紹介
●2003年にプリンストン大学を卒業し、ハーバード大学ビジネススクールで修士号取得後、Bear Stearnsで株式市場アナリストとして勤務
●2004年にはMinnesota 陸軍州兵としてキューバのグアンタナモ湾での任務に召集。その後イラク任務に志願し、Civil-Military Afairs 担当部隊で小隊長(サマワも担当地域)を務め、イラクでの任務中に Bronze Star勲章と戦闘歩兵章を受章
●2012年に今度はアフガニスタンに同州として派遣され、カブールの学校で対反乱軍戦術を教えた。当地での功績で2度目の Bronze Star勲章を受章
●同氏は、退役軍人省が業務民営化先として推進した「退役軍人会」や「退役軍人を憂慮する会」など保守派団体で働き、戦争犯罪で告発された退役軍人の厳しい立場を訴えていたが、トランプ氏はその様子を認めて第1期大統領時代に退役軍人長官への任命も検討していた
●2020年、同氏はFox News 番組で、イランがイラクの米軍基地に弾道ミサイルを発射したことを受けて、Fox News番組で、トランプ大統領にイランの経済インフラや武器を隠している文化遺産を爆撃するよう促し、戦争犯罪に対する米国や国際法規定は、米軍に不利に「不当に操作されている」とし、米国は優位に戦争の「ルールを書き換える」べきと主張した。
●同氏は左派による多様性と Inclusion 取り組みにより米軍が弱体化したと主張する「The War on Warriors」など政治がテーマの書籍数冊執筆しており、トランプ氏は同氏選出に際し「この本は、我々の戦士と偉大な退役軍人に対する左翼の裏切りを明らかにしている」と述べ、Hegseth氏を「我々の『力で平和を』 政策の勇敢で愛国的な擁護者」とアピールした
●国防省内では、トランプ氏が6月の Fox News で忠実でない軍人や政府職員を「ウォーク(社会正義に目覚めた左派)」と批判し解任すると述べたことや、Hegseth 氏が著書内で「米国の次期大統領は国防省の上層部を抜本的に見直し、わが国を守り、敵を打倒する準備を整える必要がある。多数を解雇する必要がある」と記していることに、懸念の声が上がっている。
●例えば同氏は、米軍制服組トップのBrown 統合参謀本部議長についても、「左派政治家の過激な主張を推し進めている」等と非難しており、両氏が対立する可能性がある
●同氏は NATOにも厳しい立場で、著書に「過去1世紀、欧州の『緊急連絡先』になった米国は、欧州諸国が順守していない時代遅れで一方的な防衛協定の尊重を求める、独善的で無能な国々の言うことになぜ耳を傾けなければならないのか」と記している。
////////////////////////////////////////
この発表に関し左派系の代表的メディア NYT 紙は、「伝統的な国防長官の基準から逸脱」、「(トランプ氏が)テレビ局の盟友を、国防省と130万人の現役部隊を指揮する立場へと引き上げた」と批判的に報じています
共和党が上院で多数派となりましたから、人事承認には問題はないはずです。今後様々に、様々な立場から Pete Hegseth 氏について論評が出るでしょうが、前線に自ら志願して飛び込んで成果を上げている、プリンストン&ハーバード卒の頭脳明晰な人物であることは間違いなく、それぞれのメディアがどのような立場で報じるのかが気になるところです
まったく予想が外れた選挙後の閣僚予想
「大統領選挙と上下院選挙の影響を小ネタで」→https://holylandtokyo.com/2024/11/05/6499/
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Brown統参議長を「左派の過激な主張を推進」と非難
トランプ氏が不忠実な軍人や政府職員の一掃の噂も
11月12日トランプ次期大統領が、陸軍州兵の退役軍人でアフガニスタン、イラク、グアンタナモ湾で従軍経験(Bronze Star勲章 2度受章)のある、過去8年間 Fox News 司会&解説者のPete Hegseth 氏(44歳)を国防長官に指名し、「タフで聡明で、米国第一の真の奉者だ」「ピートが指揮を執れば、米国の敵は普戒し、我々の軍隊は再び偉大になり、米国は決して後退しないだろう」と紹介しました。
とりあえず、各種報道からPete Hegseth氏をご紹介
●2003年にプリンストン大学を卒業し、ハーバード大学ビジネススクールで修士号取得後、Bear Stearnsで株式市場アナリストとして勤務
●2004年にはMinnesota 陸軍州兵としてキューバのグアンタナモ湾での任務に召集。その後イラク任務に志願し、Civil-Military Afairs 担当部隊で小隊長(サマワも担当地域)を務め、イラクでの任務中に Bronze Star勲章と戦闘歩兵章を受章
●2012年に今度はアフガニスタンに同州として派遣され、カブールの学校で対反乱軍戦術を教えた。当地での功績で2度目の Bronze Star勲章を受章
●同氏は、退役軍人省が業務民営化先として推進した「退役軍人会」や「退役軍人を憂慮する会」など保守派団体で働き、戦争犯罪で告発された退役軍人の厳しい立場を訴えていたが、トランプ氏はその様子を認めて第1期大統領時代に退役軍人長官への任命も検討していた
●2020年、同氏はFox News 番組で、イランがイラクの米軍基地に弾道ミサイルを発射したことを受けて、Fox News番組で、トランプ大統領にイランの経済インフラや武器を隠している文化遺産を爆撃するよう促し、戦争犯罪に対する米国や国際法規定は、米軍に不利に「不当に操作されている」とし、米国は優位に戦争の「ルールを書き換える」べきと主張した。
●同氏は左派による多様性と Inclusion 取り組みにより米軍が弱体化したと主張する「The War on Warriors」など政治がテーマの書籍数冊執筆しており、トランプ氏は同氏選出に際し「この本は、我々の戦士と偉大な退役軍人に対する左翼の裏切りを明らかにしている」と述べ、Hegseth氏を「我々の『力で平和を』 政策の勇敢で愛国的な擁護者」とアピールした
●国防省内では、トランプ氏が6月の Fox News で忠実でない軍人や政府職員を「ウォーク(社会正義に目覚めた左派)」と批判し解任すると述べたことや、Hegseth 氏が著書内で「米国の次期大統領は国防省の上層部を抜本的に見直し、わが国を守り、敵を打倒する準備を整える必要がある。多数を解雇する必要がある」と記していることに、懸念の声が上がっている。
●例えば同氏は、米軍制服組トップのBrown 統合参謀本部議長についても、「左派政治家の過激な主張を推し進めている」等と非難しており、両氏が対立する可能性がある
●同氏は NATOにも厳しい立場で、著書に「過去1世紀、欧州の『緊急連絡先』になった米国は、欧州諸国が順守していない時代遅れで一方的な防衛協定の尊重を求める、独善的で無能な国々の言うことになぜ耳を傾けなければならないのか」と記している。
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この発表に関し左派系の代表的メディア NYT 紙は、「伝統的な国防長官の基準から逸脱」、「(トランプ氏が)テレビ局の盟友を、国防省と130万人の現役部隊を指揮する立場へと引き上げた」と批判的に報じています
共和党が上院で多数派となりましたから、人事承認には問題はないはずです。今後様々に、様々な立場から Pete Hegseth 氏について論評が出るでしょうが、前線に自ら志願して飛び込んで成果を上げている、プリンストン&ハーバード卒の頭脳明晰な人物であることは間違いなく、それぞれのメディアがどのような立場で報じるのかが気になるところです
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2025年夏の太平洋演習「REFORPAC」は近年ない大規模 [米空軍]
太平洋空軍副司令官が産業界にも協力依頼
昨年6月のNATO 史上最大の演習「Air Defender」超え
10月23日、太平洋空軍の女性副司令官 Laura Lenderman 中将が通信IT団体のアジア太平洋会議で講演し、米空軍大改革の一環として来夏予定する大規模演習 REFORPAC 「Return of Forces to the Pacific」は、約300機の航空機が25か所に展開する大規模演習となるので、指揮統制や機動展開や兵站&維持整備面の現状打破に挑戦してほしいと訴えました
REFORPACに関しては Allvin空軍参謀総長が8月に、米インド太平洋軍のみならず、米戦略軍、米北方軍、輸送車部隊等にも積極的な参加を要請し、2年に一度の米豪主導の大規模イベントである Talisman Sabre 演習や、ACE演習のBamboo Eagleと組み合わせて総合的な演習とすると述べると共に、今後数年間に実施する一連の大規模演習のうちの一つに過ぎないと強調していたところです
Lenderman 副司令官は、「約25の作戦拠点、約300機の航空機に同盟国等が関与し、第5世代機、指揮統制機、輸送機&給油機を西太平洋に迅速かつ大規模に投入するための兵站支援や維持整備の実現能力を統合レベルで実験することが目的だ」と述べ、実現すれば近年空軍が実施した他の演習規模を大幅に上回ると説明しています
更に同中将は、REFORPACは ACE構想実現を狙った演習であるが、「攻撃や防御、兵站、維持整備、指揮統制、戦闘管理に関し、時間は我々の味方ではない」、「完璧な解決策検討や準備のため、長期間を費やす余裕はない」と危機感を訴え、演習を通じて「ストレスポイントを特定し、課題への革新的解決策を見出だす機会にしたい」と述べました
そして会議に参集の産業界の重鎮に、「最高のアイデア、コンセプト、最新の技術、実験可能な装備を西太平洋に持ち寄ってほしい」、「現状打破に協力願いたい。戦域全体でダイナミックな部隊移動を実行する能力、機敏な戦闘や兵站運用、指揮統制を遂行する能力アップに協力願いたい」と要請しました
//////////////////////////////////////////////////
Kendall 空軍長官と AlIVin 空軍参謀総長が強力に推進する米空軍大改革は、「新規装備品構想 や開発管理を一手に担う新コマンド Integrated Capabilities Command 創設」や「ACE 構想実現のための兵士多能化等を目指した教育訓練体系改革」に、「即応態勢の向上」を加えた大きく3項目から構成されています。
その中の「即応態勢の向上」のため、具体的に「新しい戦力造成ローテーションAFFORGEN 導入」、「基礎単位の航空団 Wing を前方展開即応部隊や基地機能維持部隊等に区分し、各Wingへの要求を明確に規定」、そして「冷戦期のような無通告能力点検・検閲の復活」と「実戦的 演習の強化」に取り組むと2月時点で発表されていましたが、
「実戦的演習の強化」について、具体的な方向性を8月16日にAllvin空車参謀総長が、大規模演習 REFORPAC「Return of Forces to the Pacific」として発表していたところでした。
今後段階的に細部が明らかになると思われますので、日本からの参加規模も含め、フォローしたいと思います
大規模演習 REFORPAC 実施を発表
「米空軍大改革の演習」→https://holylandtokyo.com/2024/09/09/6251/
米空軍の大改革アクション推進
「最大の課題はICC 創設と運営」→https://holylandtokyo.com/2024/09/03/6230/
「大改革の概要発表」→https://holylandtokyo.com/2024/02/16/5579/
「改革の目玉ICC コマンド」→https://holylandtokyo.com/2024/05/23/5873/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
昨年6月のNATO 史上最大の演習「Air Defender」超え
10月23日、太平洋空軍の女性副司令官 Laura Lenderman 中将が通信IT団体のアジア太平洋会議で講演し、米空軍大改革の一環として来夏予定する大規模演習 REFORPAC 「Return of Forces to the Pacific」は、約300機の航空機が25か所に展開する大規模演習となるので、指揮統制や機動展開や兵站&維持整備面の現状打破に挑戦してほしいと訴えました
REFORPACに関しては Allvin空軍参謀総長が8月に、米インド太平洋軍のみならず、米戦略軍、米北方軍、輸送車部隊等にも積極的な参加を要請し、2年に一度の米豪主導の大規模イベントである Talisman Sabre 演習や、ACE演習のBamboo Eagleと組み合わせて総合的な演習とすると述べると共に、今後数年間に実施する一連の大規模演習のうちの一つに過ぎないと強調していたところです
Lenderman 副司令官は、「約25の作戦拠点、約300機の航空機に同盟国等が関与し、第5世代機、指揮統制機、輸送機&給油機を西太平洋に迅速かつ大規模に投入するための兵站支援や維持整備の実現能力を統合レベルで実験することが目的だ」と述べ、実現すれば近年空軍が実施した他の演習規模を大幅に上回ると説明しています
更に同中将は、REFORPACは ACE構想実現を狙った演習であるが、「攻撃や防御、兵站、維持整備、指揮統制、戦闘管理に関し、時間は我々の味方ではない」、「完璧な解決策検討や準備のため、長期間を費やす余裕はない」と危機感を訴え、演習を通じて「ストレスポイントを特定し、課題への革新的解決策を見出だす機会にしたい」と述べました
そして会議に参集の産業界の重鎮に、「最高のアイデア、コンセプト、最新の技術、実験可能な装備を西太平洋に持ち寄ってほしい」、「現状打破に協力願いたい。戦域全体でダイナミックな部隊移動を実行する能力、機敏な戦闘や兵站運用、指揮統制を遂行する能力アップに協力願いたい」と要請しました
//////////////////////////////////////////////////
Kendall 空軍長官と AlIVin 空軍参謀総長が強力に推進する米空軍大改革は、「新規装備品構想 や開発管理を一手に担う新コマンド Integrated Capabilities Command 創設」や「ACE 構想実現のための兵士多能化等を目指した教育訓練体系改革」に、「即応態勢の向上」を加えた大きく3項目から構成されています。
その中の「即応態勢の向上」のため、具体的に「新しい戦力造成ローテーションAFFORGEN 導入」、「基礎単位の航空団 Wing を前方展開即応部隊や基地機能維持部隊等に区分し、各Wingへの要求を明確に規定」、そして「冷戦期のような無通告能力点検・検閲の復活」と「実戦的 演習の強化」に取り組むと2月時点で発表されていましたが、
「実戦的演習の強化」について、具体的な方向性を8月16日にAllvin空車参謀総長が、大規模演習 REFORPAC「Return of Forces to the Pacific」として発表していたところでした。
今後段階的に細部が明らかになると思われますので、日本からの参加規模も含め、フォローしたいと思います
大規模演習 REFORPAC 実施を発表
「米空軍大改革の演習」→https://holylandtokyo.com/2024/09/09/6251/
米空軍の大改革アクション推進
「最大の課題はICC 創設と運営」→https://holylandtokyo.com/2024/09/03/6230/
「大改革の概要発表」→https://holylandtokyo.com/2024/02/16/5579/
「改革の目玉ICC コマンド」→https://holylandtokyo.com/2024/05/23/5873/
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英国が日英伊戦闘機開発に踏み留まる [安全保障全般]
11月5日の英新政権閣僚会議でやっと合意の模様
ただし正式発表には数週間必要とか
10月20日に3か国合弁企業設立合意も、後追いで
11月9日付日経新聞が英紙 FTの記事を引用し、正式発表は数週間後だとしながらも、7月に誕生した英国労働党新政権(14年ぶり)が行っていた「戦略防衛見直し」で、巨額の開発費が問題となり「日英伊3か国戦闘機共同開発 GCAP:Global Combat Air Program」からの離脱検討が9月下旬に報じられていた件に関し、11月5日に英首相や関係閣僚が計画継続に合意したと紹介しています
なお、既に2週間前の10月20日には、イタリアのナポリに3か国の国防大臣(中谷大臣、ヒーリー英国防相、クロセット伊国防相)が集まり、3か国共同の次期戦闘機開発を効率的に進めるため、開発の司令塔たる国際機関を日本人トップで 2024年内に設置することを再確認した上で、共同開発の効率的推進のため、同国際機関と一括して契約する合弁企業新設で合意していたところです
つまり、英国は新政権内での戦闘機共同開発承認を得る前に、「見切り発車的」に、「開発の司令塔たる国際機関を日本人トップで2024年内に設置」や「同国際機関と一括して契約を結ぶ合弁企業の新設」の3か国合意に英国としてコミットしていたこととなり、如何にこの GCAP プロジェクトが参加国内で「薄氷もの」であるかが表面化した事案となっています
9月下旬に労働党新政権による「離脱検討」が噂された際には、英シンクタンク IISSが「代替案を示さずに撤退すれば国際社会での信頼失墜につながる」と普鐘を鳴らしており、記事にてご紹介(https://holylandtokyo.com/2024/09/24/6364/)し、更にまんぐーすの私見として「GCAPからの早期撤退」意見を申し述べましたが、米国が次期制空機開発を大幅ダウングレードすることが明確になりつつある中で、以下に再掲載させていただきます
GCAP へのまんぐーすの思い
●防衛省&航空自衛隊は、開発の司令塔となる国際機関をリードする役割を担う立場から、英国やイタリアと早期に協議の場を設け、まず日英伊の戦闘機開発について「一時停止」又は「再検討」措置を執り、最終的には3か国の国益の観点から共同開発を「白紙化」することにより、戦闘機投資の全面見直しを主導すべき
●米国が7月末から次期制空機NGAD計画を一時停止&再検討しており、背景には米軍予算不足とウクライナや中東情勢を踏まえた将来戦に関する優先度再評価があるが、根本には米空軍 2トップが吐露しているように、従来空軍が戦闘機を主戦力として担ってきた「航空優勢」獲得の重要性や実行可能性への疑念がある。
●Allvin米空軍参謀総長や Slife副参謀総長が明言しているように、低高度を支配する無人機による空襲で、70年ぶりに米国人が死亡する時代を迎え、米空軍は「従来のように航空優勢を常続的に維持するのはコスト面で不可能」との認識に至って戦闘機投資の優先度再検討中で、Kendall 空軍長官は当初「F-35の3倍」のコストを見込んでいたNGADに関し、「F-35 より安価に」と発言し始めている。
●海外への戦力投射を主目的とする米空軍と、日英伊空軍が戦闘機に期待する役割は完全に一致するわけではないが、無人機以前から課題となっている各種弾頭&巡航ミサイル対処(極超音速兵器を含む)、サイバー戦、電子戦、宇宙を巡る攻防など、安全保障上の軍事脅威は戦闘機が担う範囲をはるかに超えて拡大しており、戦闘機への投資は再検討されるべき
●特にF-35 導入を決めてしまった国(英伊を含む)は、今後30年以上にわたり脅威にミスマッチな戦闘機経費負担に苦しむことが確定しており、早急に次世代戦闘機開発を見直し、脅威の変化を正面から見つめ直すべき。以上です
次世代制空機NGAD の再検討関連
「再検討は年内終結」→https://holylandtokyo.com/2024/10/31/6478/
「NGAD は F-35より安価に」→https://holylandtokyo.com/2024/09/19/6351/
「再検討の方向性」→https://holylandtokyo.com/2024/09/10/6315/
「数か月間保留する」→https://holylandtokyo.com 2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://halylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
日英伊の共同次世代戦闘機 GCAP開発
「英が見直し検討???」→https://holylandtokyo.com/2024/09/24/6364/
「日英伊がやっと合意」→https://holylandtokyo.com/2023/12/18/5352/
「英伊が日恫喝:逃げるな!」→https://halylandtokyo.com/2023/02/14/4299/
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ただし正式発表には数週間必要とか
10月20日に3か国合弁企業設立合意も、後追いで
11月9日付日経新聞が英紙 FTの記事を引用し、正式発表は数週間後だとしながらも、7月に誕生した英国労働党新政権(14年ぶり)が行っていた「戦略防衛見直し」で、巨額の開発費が問題となり「日英伊3か国戦闘機共同開発 GCAP:Global Combat Air Program」からの離脱検討が9月下旬に報じられていた件に関し、11月5日に英首相や関係閣僚が計画継続に合意したと紹介しています
なお、既に2週間前の10月20日には、イタリアのナポリに3か国の国防大臣(中谷大臣、ヒーリー英国防相、クロセット伊国防相)が集まり、3か国共同の次期戦闘機開発を効率的に進めるため、開発の司令塔たる国際機関を日本人トップで 2024年内に設置することを再確認した上で、共同開発の効率的推進のため、同国際機関と一括して契約する合弁企業新設で合意していたところです
つまり、英国は新政権内での戦闘機共同開発承認を得る前に、「見切り発車的」に、「開発の司令塔たる国際機関を日本人トップで2024年内に設置」や「同国際機関と一括して契約を結ぶ合弁企業の新設」の3か国合意に英国としてコミットしていたこととなり、如何にこの GCAP プロジェクトが参加国内で「薄氷もの」であるかが表面化した事案となっています
9月下旬に労働党新政権による「離脱検討」が噂された際には、英シンクタンク IISSが「代替案を示さずに撤退すれば国際社会での信頼失墜につながる」と普鐘を鳴らしており、記事にてご紹介(https://holylandtokyo.com/2024/09/24/6364/)し、更にまんぐーすの私見として「GCAPからの早期撤退」意見を申し述べましたが、米国が次期制空機開発を大幅ダウングレードすることが明確になりつつある中で、以下に再掲載させていただきます
GCAP へのまんぐーすの思い
●防衛省&航空自衛隊は、開発の司令塔となる国際機関をリードする役割を担う立場から、英国やイタリアと早期に協議の場を設け、まず日英伊の戦闘機開発について「一時停止」又は「再検討」措置を執り、最終的には3か国の国益の観点から共同開発を「白紙化」することにより、戦闘機投資の全面見直しを主導すべき
●米国が7月末から次期制空機NGAD計画を一時停止&再検討しており、背景には米軍予算不足とウクライナや中東情勢を踏まえた将来戦に関する優先度再評価があるが、根本には米空軍 2トップが吐露しているように、従来空軍が戦闘機を主戦力として担ってきた「航空優勢」獲得の重要性や実行可能性への疑念がある。
●Allvin米空軍参謀総長や Slife副参謀総長が明言しているように、低高度を支配する無人機による空襲で、70年ぶりに米国人が死亡する時代を迎え、米空軍は「従来のように航空優勢を常続的に維持するのはコスト面で不可能」との認識に至って戦闘機投資の優先度再検討中で、Kendall 空軍長官は当初「F-35の3倍」のコストを見込んでいたNGADに関し、「F-35 より安価に」と発言し始めている。
●海外への戦力投射を主目的とする米空軍と、日英伊空軍が戦闘機に期待する役割は完全に一致するわけではないが、無人機以前から課題となっている各種弾頭&巡航ミサイル対処(極超音速兵器を含む)、サイバー戦、電子戦、宇宙を巡る攻防など、安全保障上の軍事脅威は戦闘機が担う範囲をはるかに超えて拡大しており、戦闘機への投資は再検討されるべき
●特にF-35 導入を決めてしまった国(英伊を含む)は、今後30年以上にわたり脅威にミスマッチな戦闘機経費負担に苦しむことが確定しており、早急に次世代戦闘機開発を見直し、脅威の変化を正面から見つめ直すべき。以上です
次世代制空機NGAD の再検討関連
「再検討は年内終結」→https://holylandtokyo.com/2024/10/31/6478/
「NGAD は F-35より安価に」→https://holylandtokyo.com/2024/09/19/6351/
「再検討の方向性」→https://holylandtokyo.com/2024/09/10/6315/
「数か月間保留する」→https://holylandtokyo.com 2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://halylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
日英伊の共同次世代戦闘機 GCAP開発
「英が見直し検討???」→https://holylandtokyo.com/2024/09/24/6364/
「日英伊がやっと合意」→https://holylandtokyo.com/2023/12/18/5352/
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嘉手納に米空軍F-35がユタ州から展開 [米空軍]
10月初旬にF-16とF-22派遣直後だが・・
2023年3月末と11月末にも展開実績あり
11月1日、沖縄メディアが米空軍嘉手納基地にF-35が飛来展開したと報じ、同5日に米空軍が、米本土ユタ州のHill空軍基地から機数不明のF-35が展開していることを認めました。ただ米空軍は飛来時期については非公開だとしています
何度もご紹介しているように、2022年10月に米空軍が突然、老朽化で維持困難な沖縄配備 40年のF-15C型戦闘機40機を、「今後2年間で」段階的に米本土へ撤退&退役させると発表し、当面は「穴埋め戦闘機ローテーション派遣」で戦力の空白を防ぐとして、それ以降、記事末尾の【ご参考】でご紹介しているような、米空軍戦闘機のローテーション配備(大体半年交代)を行っています
そして「今後検討する」としてきたF-15C/Dの後継機に関しては、2024年7月3日に「48機の嘉手納F-15Cを36機のF-15EXへ」、「36 機の三沢F-16を48機のF-35Aへ」、「岩国海兵隊 F-35Bの機数を調整(Modify)」する方針を米国防省が発表しましたが、移行時期は「over the next several years」でと瞬味にしていました
その後8月26日付の米空軍協会 web 記事は、根拠不明確ながら「notional date for fully equipping Kadena」を2026年と記載し、他メディアもその後は2026年に嘉手納でF-15EX部隊体制が整うような表現ぶりとなっていますが、公式には嘉手納基地の第18航空団報道官は「米国と日本政府は、F-15EXの到着予定時期についてまだ合意していない」としているところです。
F-15EXの準備現状は、2021年5月に初号機が完成直後から大規模演習に参加して高い機体完成度をアピールし、量産型が2024年6月にオレゴン州ポートランド空軍州兵基地に最初の2機を納入された直後に初期運用態勢確立宣言を出す突貫工事ぶりですが、成熟度は十分で部隊評価も高く、あとは予算配分次第の機数充実を待つ段階と思われます。
本題に戻りF-35展開を5日付米空軍協会web記事は、
●10月初旬に、4月からローテーション派遣されていたF-16とF-22と同機種が、別の基地(F-16はShaw基地、F-22はElmendorf-Richardson基地)から派遣されていたが、沖縄ローカルメディアによれば、11月1日にF-35も飛来した
●本件に関し米空軍は、F-35飛来日時や機数には言及できないとしながらも、ユタ州Hill基地からF-35が展開していると追認した。Hill基地のF-35は2023年11月にも嘉手納基地に配備され、24年4月に帰還した。嘉手納基地は2024年の春と夏(?11月20日頃では?)にもアラスカEielson基地からF-35を受け入れている。
●10月31日に北朝鮮が数ヶ月ぶりに米本土を射程に収める新型ICBM発射実験を行い、米側はこれに対応して、米日韓戦闘機がエスコートしてB-1爆撃機を日本海で飛行させた。なお、11月5日にはトランプ氏が次期大統領に決定し、米国と中国の競争を激化させるかも
///////////////////////////////////////////
ローテーション派遣されている機数が各機種何機ぐらいなのか気になっているのですが、どなたかご存じありませんか? 多くて6機、もしかしたら2機の場合もあるのでは・・・と邪推しておりますが・・・。
以前は最新機種であるF-35を、情報漏洩を恐れて中国近傍では飛行させない&配備しない方針だった気がしますが、中東での戦闘機需要急増を受け、首が回らないのかもしれません。米空軍幹部は、有事に嘉手納配備戦力には期待していないのですが・・・
米空軍関係者の本音(推測)は、
「幹部の発言:嘉手納には期待なし」→https://halylandtokyo.com/2024/05/22/5868/
嘉手納にF-15EX 配備へ
「F-15EX部隊完成は 2026年」→https://holylandtokyo.com/2024/09/18/6281/
嘉手納基地 F-15C 撤退発表後の動き
「別基地のF-22&F-16展開」→https://holylandtokyo.com/2024/10/29/6413/
「嘉手納にF-15EXを」→https://holylandtokyo.com/2024/07/05/6097/
「米空軍の本音邪推:」→https://holylandtokyo.com/2024/05/22/5868/
「F-35&F-15C→F-22&F-16」→https://halylandtokyo.com/2024/05/02/5803
「ユタ州からF-35派遣」→https://holylandtokyo.com/2021/03/22/166/
F-15EX関連の記事
「初号機は正規軍でなく州空軍へ」→https://holylandtokyo.com/2024/06/13/6009/
「試験配備直後に大規模演習参加」→https://holylandtokyo.com/2021/05/25/1710/
「初号機を米空軍受領」→https://holylandtokyo.com/2021/03/22/166/
【ご参考:嘉手納F-15C/D 撤退と代替機派遣の経緯】
●2022年11月45日にかけ、アラスカ配備の8機のF-22が手納に展開
●2022年 12月1日、第一弾として(恐らく)8機のF-15が米本土に帰還
●2023年1月17日、ドイツの米空軍基地から 16機のF-16が展開
●2023年3月28日、アラスカEielson基地第355戦闘飛行隊所属の F-35が展開(この時点で、各機種の機数は不明ながら F-22やF-16も嘉手納に所在)
●2023年4月8日 F-22アラスカ~帰還、同10日F-16ドイツへ帰還
●2023年4月8日、米本土からF-15Eが嘉手納に展開
●2023年 10月3日、加州とルイジアナ州の州空軍F-15Cが展開
●2023年 11月20日、ユタ州Hill基地からF-35展開
●2024年4月11日、ハワイの2個飛行隊から F-22展開 (5月1日に VA州ラングレー基地のF-22追加配備と発表)
●2024年4月日時非公開、派遣非公開でF-16 展開 (5月1日に州空軍SD州114航空とモンタナ州148航空団から派造と公表)
●2024年 10月第1週末に、アラスカ州エルメンドルフ基地の F-22
●同じ 2024年10月第1週末に、SC州ショー空軍基地のF-16がそれぞれ嘉手納着
●同11月1日、Hill基地からF-35が展開
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2023年3月末と11月末にも展開実績あり
11月1日、沖縄メディアが米空軍嘉手納基地にF-35が飛来展開したと報じ、同5日に米空軍が、米本土ユタ州のHill空軍基地から機数不明のF-35が展開していることを認めました。ただ米空軍は飛来時期については非公開だとしています
何度もご紹介しているように、2022年10月に米空軍が突然、老朽化で維持困難な沖縄配備 40年のF-15C型戦闘機40機を、「今後2年間で」段階的に米本土へ撤退&退役させると発表し、当面は「穴埋め戦闘機ローテーション派遣」で戦力の空白を防ぐとして、それ以降、記事末尾の【ご参考】でご紹介しているような、米空軍戦闘機のローテーション配備(大体半年交代)を行っています
そして「今後検討する」としてきたF-15C/Dの後継機に関しては、2024年7月3日に「48機の嘉手納F-15Cを36機のF-15EXへ」、「36 機の三沢F-16を48機のF-35Aへ」、「岩国海兵隊 F-35Bの機数を調整(Modify)」する方針を米国防省が発表しましたが、移行時期は「over the next several years」でと瞬味にしていました
その後8月26日付の米空軍協会 web 記事は、根拠不明確ながら「notional date for fully equipping Kadena」を2026年と記載し、他メディアもその後は2026年に嘉手納でF-15EX部隊体制が整うような表現ぶりとなっていますが、公式には嘉手納基地の第18航空団報道官は「米国と日本政府は、F-15EXの到着予定時期についてまだ合意していない」としているところです。
F-15EXの準備現状は、2021年5月に初号機が完成直後から大規模演習に参加して高い機体完成度をアピールし、量産型が2024年6月にオレゴン州ポートランド空軍州兵基地に最初の2機を納入された直後に初期運用態勢確立宣言を出す突貫工事ぶりですが、成熟度は十分で部隊評価も高く、あとは予算配分次第の機数充実を待つ段階と思われます。
本題に戻りF-35展開を5日付米空軍協会web記事は、
●10月初旬に、4月からローテーション派遣されていたF-16とF-22と同機種が、別の基地(F-16はShaw基地、F-22はElmendorf-Richardson基地)から派遣されていたが、沖縄ローカルメディアによれば、11月1日にF-35も飛来した
●本件に関し米空軍は、F-35飛来日時や機数には言及できないとしながらも、ユタ州Hill基地からF-35が展開していると追認した。Hill基地のF-35は2023年11月にも嘉手納基地に配備され、24年4月に帰還した。嘉手納基地は2024年の春と夏(?11月20日頃では?)にもアラスカEielson基地からF-35を受け入れている。
●10月31日に北朝鮮が数ヶ月ぶりに米本土を射程に収める新型ICBM発射実験を行い、米側はこれに対応して、米日韓戦闘機がエスコートしてB-1爆撃機を日本海で飛行させた。なお、11月5日にはトランプ氏が次期大統領に決定し、米国と中国の競争を激化させるかも
///////////////////////////////////////////
ローテーション派遣されている機数が各機種何機ぐらいなのか気になっているのですが、どなたかご存じありませんか? 多くて6機、もしかしたら2機の場合もあるのでは・・・と邪推しておりますが・・・。
以前は最新機種であるF-35を、情報漏洩を恐れて中国近傍では飛行させない&配備しない方針だった気がしますが、中東での戦闘機需要急増を受け、首が回らないのかもしれません。米空軍幹部は、有事に嘉手納配備戦力には期待していないのですが・・・
米空軍関係者の本音(推測)は、
「幹部の発言:嘉手納には期待なし」→https://halylandtokyo.com/2024/05/22/5868/
嘉手納にF-15EX 配備へ
「F-15EX部隊完成は 2026年」→https://holylandtokyo.com/2024/09/18/6281/
嘉手納基地 F-15C 撤退発表後の動き
「別基地のF-22&F-16展開」→https://holylandtokyo.com/2024/10/29/6413/
「嘉手納にF-15EXを」→https://holylandtokyo.com/2024/07/05/6097/
「米空軍の本音邪推:」→https://holylandtokyo.com/2024/05/22/5868/
「F-35&F-15C→F-22&F-16」→https://halylandtokyo.com/2024/05/02/5803
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F-15EX関連の記事
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【ご参考:嘉手納F-15C/D 撤退と代替機派遣の経緯】
●2022年11月45日にかけ、アラスカ配備の8機のF-22が手納に展開
●2022年 12月1日、第一弾として(恐らく)8機のF-15が米本土に帰還
●2023年1月17日、ドイツの米空軍基地から 16機のF-16が展開
●2023年3月28日、アラスカEielson基地第355戦闘飛行隊所属の F-35が展開(この時点で、各機種の機数は不明ながら F-22やF-16も嘉手納に所在)
●2023年4月8日 F-22アラスカ~帰還、同10日F-16ドイツへ帰還
●2023年4月8日、米本土からF-15Eが嘉手納に展開
●2023年 10月3日、加州とルイジアナ州の州空軍F-15Cが展開
●2023年 11月20日、ユタ州Hill基地からF-35展開
●2024年4月11日、ハワイの2個飛行隊から F-22展開 (5月1日に VA州ラングレー基地のF-22追加配備と発表)
●2024年4月日時非公開、派遣非公開でF-16 展開 (5月1日に州空軍SD州114航空とモンタナ州148航空団から派造と公表)
●2024年 10月第1週末に、アラスカ州エルメンドルフ基地の F-22
●同じ 2024年10月第1週末に、SC州ショー空軍基地のF-16がそれぞれ嘉手納着
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米陸軍長官:軍人の頻繁な転勤を再考すべき [Joint・統合参謀本部]
将来募集困難が深刻化、定着率低下、志願制維持困難
10月17日付 Defense-News は、10月中旬の米陸軍協会総会でChristine Wormuth陸軍長官が、陸軍土官とその家族を犠牲にした現在の「数年に一度の転勤」は、陸軍と各兵士のために本当に必要なのか?新兵募集が困難になり、兵士の定着率が低下する中で続けることが可能なのか?志願制の維持が可能なのか?・・・について真剣に考えるべきだと高級幹部に訴えたと報じています
同長官は、「今、軍を去る土官の大半が、より安定し、予測可能で、より良い家庭生活を求めている」、「配偶者を無給の陸軍労働力として扱い、そのキャリア形成の犠牲の上に成り立っている。子息に降りかかる教育の機会喪失等の犠牲も見過ごせない」等と現状の問題点に触れ、
「米陸軍は、兵士とその家族のキャリアの柔軟性、安定性、予測可能性を高めるアイデアを真剣に検討する必要があり、それには異動の頻度を減らすことも含まれる可能性がある」と語っています
更に同長官は、「テレワークで戦争せよと言っているのではない」、「軍生活すべてを一か所で過ごすモデルを考えよと言っているのではない」と前置きしつつ・・・この問題を過去数年間かけ調査し、議論してきた中で出た様々な対策オプション例を挙げ、陸軍全体で考えるべきだと訴えました
●移動を3年毎ではなく5年毎に減らす
●適切な将校を選抜し続けながら、任務を広げる柔軟性を持たせるために、将校のキャリア基準と昇進基準を修正
●職種変更の選択肢を増やし、軍を離れずに新しいキャリアパスを追求しやすくする
●階級在籍期間に厳密に基づくのではなく、責任、資格、仕事の成果と金銭的報酬をよりよく一致させる方法追及
軍側は「作戦上のニーズを満たし、空きポスト埋めるため現在の転勤制度が必要」との主張を過去から展開しているようですが、米国防省と軍人家族の両方にコストを課す「頻繁な移動」が本当に必要かは長年疑問視され、最近ではメンタルヘルス面を含む健康面から、軍医療関係者からも疑問の声が上がっているようです
もちろん同長官も「改革の多くは複雑で、追加的な資金と議会の協力も必要になる」と認めていますが、「陸軍が直ちに検討しなければ、10~15年後には募集課題が深刻化し、定着率が低下し、志願兵制の存続が脅かされることになる」と強い懸念を訴えています
/////////////////////////////////////////
軍人、特に指揮官たる土官の育成は、様々なポストを経験させることが柱となっており、地理的に分散して配置することが求められる軍部隊の特性もあり、「転勤」は避けがたいと考えられています。
これは世界の軍隊共通の認識だと思います。 同長官は「陸軍が提供するライフスタイルは、インターネットが発明される前からあまり変わっていない」とも表現し、意識改革を軍人指導層に求めたようですが、認識を変えるには時間がかかりそうです。しかし、志願者が減り、定着率の低下も待ったなしとなれば・・・。全世界の軍の課題です
最近の募集難対策あれこれ
「新兵基礎訓練間のスマホ許可へ」→https://holylandtokyo.com/2024/04/22/5766/
「米海軍が採用の高卒条件撤廃」→https://holylandtokyo.com/2024/02/0715522/
「慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/12/4608/
「空軍が募集年齢上限を42歳に」→https://holylandtokyo.com/2023/10/31/5184/
「合法移民へ猛烈アプローチ」→https://holylandtokyo.com/2023/06/16/4743/
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10月17日付 Defense-News は、10月中旬の米陸軍協会総会でChristine Wormuth陸軍長官が、陸軍土官とその家族を犠牲にした現在の「数年に一度の転勤」は、陸軍と各兵士のために本当に必要なのか?新兵募集が困難になり、兵士の定着率が低下する中で続けることが可能なのか?志願制の維持が可能なのか?・・・について真剣に考えるべきだと高級幹部に訴えたと報じています
同長官は、「今、軍を去る土官の大半が、より安定し、予測可能で、より良い家庭生活を求めている」、「配偶者を無給の陸軍労働力として扱い、そのキャリア形成の犠牲の上に成り立っている。子息に降りかかる教育の機会喪失等の犠牲も見過ごせない」等と現状の問題点に触れ、
「米陸軍は、兵士とその家族のキャリアの柔軟性、安定性、予測可能性を高めるアイデアを真剣に検討する必要があり、それには異動の頻度を減らすことも含まれる可能性がある」と語っています
更に同長官は、「テレワークで戦争せよと言っているのではない」、「軍生活すべてを一か所で過ごすモデルを考えよと言っているのではない」と前置きしつつ・・・この問題を過去数年間かけ調査し、議論してきた中で出た様々な対策オプション例を挙げ、陸軍全体で考えるべきだと訴えました
●移動を3年毎ではなく5年毎に減らす
●適切な将校を選抜し続けながら、任務を広げる柔軟性を持たせるために、将校のキャリア基準と昇進基準を修正
●職種変更の選択肢を増やし、軍を離れずに新しいキャリアパスを追求しやすくする
●階級在籍期間に厳密に基づくのではなく、責任、資格、仕事の成果と金銭的報酬をよりよく一致させる方法追及
軍側は「作戦上のニーズを満たし、空きポスト埋めるため現在の転勤制度が必要」との主張を過去から展開しているようですが、米国防省と軍人家族の両方にコストを課す「頻繁な移動」が本当に必要かは長年疑問視され、最近ではメンタルヘルス面を含む健康面から、軍医療関係者からも疑問の声が上がっているようです
もちろん同長官も「改革の多くは複雑で、追加的な資金と議会の協力も必要になる」と認めていますが、「陸軍が直ちに検討しなければ、10~15年後には募集課題が深刻化し、定着率が低下し、志願兵制の存続が脅かされることになる」と強い懸念を訴えています
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軍人、特に指揮官たる土官の育成は、様々なポストを経験させることが柱となっており、地理的に分散して配置することが求められる軍部隊の特性もあり、「転勤」は避けがたいと考えられています。
これは世界の軍隊共通の認識だと思います。 同長官は「陸軍が提供するライフスタイルは、インターネットが発明される前からあまり変わっていない」とも表現し、意識改革を軍人指導層に求めたようですが、認識を変えるには時間がかかりそうです。しかし、志願者が減り、定着率の低下も待ったなしとなれば・・・。全世界の軍の課題です
最近の募集難対策あれこれ
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