米空軍はアジアで米海兵隊と同じ方向へ!? [米空軍]
Brown次期空軍参謀総長が語る
軽量で機動性に富み、無人機を重んじ・・・か
24日、米国務省が主催するリモートイベントで記者団に対し、8月から空軍参謀総長に就任するBrown大将(現在は太平洋空軍司令官)が、米海兵隊が対中国を見据えてアジア太平洋地域で目指している新たな態勢づくりについてBurger海兵隊司令官と直接話をし、米空軍も同じような方向性を考えていると語りました
また、2018年7月に太平洋空軍司令官に就任して以来の中国軍の変化についても触れ、単に戦闘機や爆撃機の数量や性能アップだけでなく、具体的行動パターンに変化が表れていると危機感を示しました
同じ24日に、ポーランド大統領をホワイトハウスに迎えたトランプ大統領が、再びGDP2%国防費支出に消極的なドイツへの制裁として、ドイツ駐留米軍を約1万人削減し、更に今度は明確にその削減する米軍の一部を、米軍駐留経費負担に積極的で、GDP2%をクリアーしているポーランドに移動させると語っており、アジアでこの姿勢がどのようなインパクトを持つのか気になるところです・・・
まずはBrown大将の発言から
●Brown大将は、David Berger海兵隊司令官から、海兵隊が最近明らかにした対中国を見据えた2030年に向けた体制構築方針である、重装備である戦車や野戦砲を削減し、軽量で機動性がある装備や無人システム、更に対艦ミサイルに焦点を当てていくとの方向性について直接説明を聞き、米空軍もその方向に向かうことを考えていると述べた
●具体的にBrown大将は、「(米海兵隊と)very similarな何かを実施する方向で考えている」、「引き続き海兵隊と協議していく事項である」とリモート会見で述べた
●また2018年7月に太平洋空軍司令官に就任して以来の中国軍の変化について、軍事技術や兵器性能の向上といった側面だけでなく、劇的に作戦運用や地域の周辺国にプレッシャーを与える示威行動が増加し、南シナ海での防空識別圏(ADIZ)の一方的設置宣言や、周辺国の領空接近や領空侵入事案の増加が、その指標の一つだと述べた
●またBrown大将は「最新の戦闘機であるJ-20の進歩や爆撃機の増加といった側面だけでなく、どのような活動を取り始めたかに注目している」と述べ、「私が就任した2年前には(長射程巡航ミサイル搭載可能な最新型の)H-6の話題など、私とスタッフとの間でほとんど出なかったが、今やH-6が外洋で活動することが日常の出来事になっている」と表現した
●そして記者団に対し、「皆さんには中国のこのような変化に注目してほしい。規範に基づく国際秩序に反するこのような中国の行動に。これは太平洋空軍や米国だけの問題ではなく、地域全体の問題である」と語った
同じ頃トランプ大統領はポ大統領との会談で
●「ポーランドは、米軍を派遣してくれたら、その費用を負担すると言ってくれている。我々はおそらく、ドイツからポーランドに兵力を移すだろう。ドイツから大幅に(substantially)兵力を削減する」とトランプ大統領は述べた
●両国間で国防協力合意(Defense Cooperation Agreement)への署名が予定されているが、ドイツからの兵力移転の規模や時程など、移転の内容がどの程度含まれているのかは非公開である
●ポーランドのAndrzej Duda大統領は、「(米軍兵士駐留は)NATO憲章第5条に真剣に履行する意思の明示であり、ポーランドを攻撃しようとする者に、それが容易でないことを示すものだ」と述べ、「米軍駐留は大きな保証だ」と表現した
●一方でポーランド大統領は、この日トランプ大統領が述べた、ドイツから約1万名を削減して一部をポーランドに兵力を移すが、これに伴い欧州に駐留する米軍全体の数を削減するとの点に関しては、欧州の安定のため反対だと再考を求めた
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ボルトン元補佐官の暴露回顧録が話題ですが、ドイツに対してトランプ大統領がやっていることを理解するのに、貴重な参考書になっています
対中国、対北朝鮮、そして対日本での「暴露本」の内容が確かなれば、Brown次期空軍参謀総長やBerger海兵隊司令官が考える対中国軍事作戦が、どのような運命をたどるのか心配です
それにしても、米海兵隊に続く・・・とはどういう意味でしょう? 航空戦力の分散運用をACE(Agile Combat employment)で進める方針に、何か新たな要素が加わるのでしょうか?
もう一つ・・・イージス・アショアを最初に導入したポーランドは、日本の状況をどのように報じ、反応するのでしょうか?
「制裁でドイツ駐留米軍1万人削減へ」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-16
集中から分散運用へ新コンセプトACE
「三沢でACE訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-21
「太平洋空軍がACEに動く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-12
「太平洋空軍司令官がACEを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「F-22でACEを訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-03-08
Brown大将関連記事
「人種問題を経験から語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-06-1
「主要戦闘機の稼働率8割断念」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-08
「アジア認識を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-07
「Brown大将が次期空軍トップ候補に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-03
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「現空軍トップとベトナム訪問」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-14
「中露空軍の連携飛行を警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-31
「PACAFが緊急避難訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-27
「南シナ海で中国軍鎮静化?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-28
「燃料と弾薬の備蓄不足を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-02-1
「新司令官初海外は日本横田総隊」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-14
「Brown大将の経歴などご紹介」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19
ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
軽量で機動性に富み、無人機を重んじ・・・か
24日、米国務省が主催するリモートイベントで記者団に対し、8月から空軍参謀総長に就任するBrown大将(現在は太平洋空軍司令官)が、米海兵隊が対中国を見据えてアジア太平洋地域で目指している新たな態勢づくりについてBurger海兵隊司令官と直接話をし、米空軍も同じような方向性を考えていると語りました
また、2018年7月に太平洋空軍司令官に就任して以来の中国軍の変化についても触れ、単に戦闘機や爆撃機の数量や性能アップだけでなく、具体的行動パターンに変化が表れていると危機感を示しました
同じ24日に、ポーランド大統領をホワイトハウスに迎えたトランプ大統領が、再びGDP2%国防費支出に消極的なドイツへの制裁として、ドイツ駐留米軍を約1万人削減し、更に今度は明確にその削減する米軍の一部を、米軍駐留経費負担に積極的で、GDP2%をクリアーしているポーランドに移動させると語っており、アジアでこの姿勢がどのようなインパクトを持つのか気になるところです・・・
まずはBrown大将の発言から
●Brown大将は、David Berger海兵隊司令官から、海兵隊が最近明らかにした対中国を見据えた2030年に向けた体制構築方針である、重装備である戦車や野戦砲を削減し、軽量で機動性がある装備や無人システム、更に対艦ミサイルに焦点を当てていくとの方向性について直接説明を聞き、米空軍もその方向に向かうことを考えていると述べた
●具体的にBrown大将は、「(米海兵隊と)very similarな何かを実施する方向で考えている」、「引き続き海兵隊と協議していく事項である」とリモート会見で述べた
●また2018年7月に太平洋空軍司令官に就任して以来の中国軍の変化について、軍事技術や兵器性能の向上といった側面だけでなく、劇的に作戦運用や地域の周辺国にプレッシャーを与える示威行動が増加し、南シナ海での防空識別圏(ADIZ)の一方的設置宣言や、周辺国の領空接近や領空侵入事案の増加が、その指標の一つだと述べた
●またBrown大将は「最新の戦闘機であるJ-20の進歩や爆撃機の増加といった側面だけでなく、どのような活動を取り始めたかに注目している」と述べ、「私が就任した2年前には(長射程巡航ミサイル搭載可能な最新型の)H-6の話題など、私とスタッフとの間でほとんど出なかったが、今やH-6が外洋で活動することが日常の出来事になっている」と表現した
●そして記者団に対し、「皆さんには中国のこのような変化に注目してほしい。規範に基づく国際秩序に反するこのような中国の行動に。これは太平洋空軍や米国だけの問題ではなく、地域全体の問題である」と語った
同じ頃トランプ大統領はポ大統領との会談で
●「ポーランドは、米軍を派遣してくれたら、その費用を負担すると言ってくれている。我々はおそらく、ドイツからポーランドに兵力を移すだろう。ドイツから大幅に(substantially)兵力を削減する」とトランプ大統領は述べた
●両国間で国防協力合意(Defense Cooperation Agreement)への署名が予定されているが、ドイツからの兵力移転の規模や時程など、移転の内容がどの程度含まれているのかは非公開である
●ポーランドのAndrzej Duda大統領は、「(米軍兵士駐留は)NATO憲章第5条に真剣に履行する意思の明示であり、ポーランドを攻撃しようとする者に、それが容易でないことを示すものだ」と述べ、「米軍駐留は大きな保証だ」と表現した
●一方でポーランド大統領は、この日トランプ大統領が述べた、ドイツから約1万名を削減して一部をポーランドに兵力を移すが、これに伴い欧州に駐留する米軍全体の数を削減するとの点に関しては、欧州の安定のため反対だと再考を求めた
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ボルトン元補佐官の暴露回顧録が話題ですが、ドイツに対してトランプ大統領がやっていることを理解するのに、貴重な参考書になっています
対中国、対北朝鮮、そして対日本での「暴露本」の内容が確かなれば、Brown次期空軍参謀総長やBerger海兵隊司令官が考える対中国軍事作戦が、どのような運命をたどるのか心配です
それにしても、米海兵隊に続く・・・とはどういう意味でしょう? 航空戦力の分散運用をACE(Agile Combat employment)で進める方針に、何か新たな要素が加わるのでしょうか?
もう一つ・・・イージス・アショアを最初に導入したポーランドは、日本の状況をどのように報じ、反応するのでしょうか?
「制裁でドイツ駐留米軍1万人削減へ」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-16
集中から分散運用へ新コンセプトACE
「三沢でACE訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-21
「太平洋空軍がACEに動く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-12
「太平洋空軍司令官がACEを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「F-22でACEを訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-03-08
Brown大将関連記事
「人種問題を経験から語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-06-1
「主要戦闘機の稼働率8割断念」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-08
「アジア認識を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-07
「Brown大将が次期空軍トップ候補に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-03
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「現空軍トップとベトナム訪問」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-14
「中露空軍の連携飛行を警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-31
「PACAFが緊急避難訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-27
「南シナ海で中国軍鎮静化?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-28
「燃料と弾薬の備蓄不足を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-02-1
「新司令官初海外は日本横田総隊」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-14
「Brown大将の経歴などご紹介」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19
ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
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→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
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