米軍が2回目の超超音速兵器ボディー試験に成功 [Joint・統合参謀本部]
3軍共通使用を想定し陸海軍が担当部分
2017年10月に続く2回目の試験
陸2023年、海2023年、空2022年配備を目指して
ハワイ時間の19日午前、米3軍が共通使用を想定し、陸海軍が担当する超超音速兵器(Hypersonic weapons)のボディー部分(C-HGB)の2回目の飛翔試験が陸海軍によりカウアイ島発射で実施され、超超音速で飛行した後、予定された地点に着地して成功した模様です
この3軍が共通使用を想定するボディー部分は「C-HGB:Common-Hypersonic Glide Body」と呼ばれ、弾頭、誘導システム、ボディー内配線、熱防護シールドで構成され、3軍はそれぞれに、地上発射や艦艇発射や航空機用のランチャーや関連システムを開発し、このボディー開発成果を生かすようです。
ボディー部分の第1回実験は2017年10月に「Flight Experiment 1」として実施され成功していますが、今回の試験は第1回目よりボディーへの「負荷」を上げたもので、軍、軍需産業、学会の関係者の知見を結集して取り組んだことで成功できた、と設計を担った米海軍の責任者であるJohnny Wolfe中将は語っています。それにしても実験間隔があいていますねぇ・・・。
米空軍は2019年6月に、同兵器(名称決定済み:AGM-183A Air Launched Rapid Response Weapon:ARRW)のプロトタイプをロッキードと契約して開発し、B-52爆撃機の外部に搭載したまま、空気抵抗など空力特性を測定する試験を行っています。
3軍の分担についてはまんぐーすは整理できていません。2019年6月にご紹介した際は、米陸軍と海軍が地上(艦上)発射型配備を目指してチームとして開発をスタートさせているが、陸軍は空軍の空中発射型にも使用される「飛翔体本体:Common Hypersonic Glide Body」を担当し、海軍はブースターを受け持っている、とご紹介しましたが、
20日付Defense-News記事は、海軍がこのボディーの設計を担い、陸軍は「製造要領検討:production development」をリードすると説明しています
その他、20日付Defense-News記事によれば
●米陸軍は車両搭載型で2023年頃の導入を目指し、米空軍は空中発射型を2022年に配備したいと考えており、米海軍は艦艇発射型を2023年、潜水艦発射型を2024年に導入する計画を立てている
●MDA(ミサイル防衛庁)も19日の試験に参加し、飛翔データを収集してシステム開発を支援し、更にMDAが取り組む「防御用兵器?:defensive hypersonic weapon」開発に活用しようとしている
●「C-HGB」の設計開発は米海軍がリードしているが、米陸軍は「製造要領検討:production development」をリードしている。米国には新兵器である超超音速兵器用の軍需産業ベースが存在しないことから、米軍が軍需産業の態勢立ち上げに関わっている
●本兵器分野では、中国やロシアンが既に部隊配備を完了したと主張していることから、米軍に対する米議会の早期追随要求が厳しく、米国防省として最優先事業として実用化を急いでいるが、軍需産業側の態勢や運用部隊の整備など、急激なペースに追いついていない部分が課題となっている
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2017年の第1回試験も、19日の2回目試験も、飛翔速度や飛翔距離が明らかにされておらず、どの程度に技術が成熟しているのか良くわかりません。2017年10月から、今回2回目までの2年半の実験の空白も気になります
大気圏内を音速の5-20倍で飛翔するとなると、機体の空力特性や姿勢制御、摩擦熱処理など極めて困難な分野が多く、最初に開発に取り組んだ2011-12年頃には、予算不足もあり研究が頓挫した経緯もあるので気になります
ロシアや中国の「配備すみ」らしい兵器の信頼性も気になるところですが、ここは米国の総力を投入した底力に期待いたしましょう
米軍の超々音速兵器開発と露の動き
「米空軍が開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「超超音速兵器への防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31
「ロシア第3の超超音速兵器3M22 Zircon」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-21
「プーチンが超超音速兵器を大自慢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-26
「ロシアが新型核兵器続々開発と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1
「中国が超超音速兵器で優位」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-1
「米議会で中国抑止を考える」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10
予算不足で中断した頃の過去記事
「PGSに少し光り??」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-18
「パネッタ長官はPGSに期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-16
「X-51Aは初期実験段階」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-23
露軍が部隊配備又は開発中の超超音速兵器は・・・
●対艦用の「3M22 Zircon」 射程距離300-700㎞(1000㎞との報道もあり) 開発中
●航空機発射用の「Kinzhal」 射程2000㎞ 配備済
●大陸間飛翔ミサイル「Avangard」 昨年12月配備 マッハ20
2017年10月に続く2回目の試験
陸2023年、海2023年、空2022年配備を目指して
ハワイ時間の19日午前、米3軍が共通使用を想定し、陸海軍が担当する超超音速兵器(Hypersonic weapons)のボディー部分(C-HGB)の2回目の飛翔試験が陸海軍によりカウアイ島発射で実施され、超超音速で飛行した後、予定された地点に着地して成功した模様です
この3軍が共通使用を想定するボディー部分は「C-HGB:Common-Hypersonic Glide Body」と呼ばれ、弾頭、誘導システム、ボディー内配線、熱防護シールドで構成され、3軍はそれぞれに、地上発射や艦艇発射や航空機用のランチャーや関連システムを開発し、このボディー開発成果を生かすようです。
ボディー部分の第1回実験は2017年10月に「Flight Experiment 1」として実施され成功していますが、今回の試験は第1回目よりボディーへの「負荷」を上げたもので、軍、軍需産業、学会の関係者の知見を結集して取り組んだことで成功できた、と設計を担った米海軍の責任者であるJohnny Wolfe中将は語っています。それにしても実験間隔があいていますねぇ・・・。
米空軍は2019年6月に、同兵器(名称決定済み:AGM-183A Air Launched Rapid Response Weapon:ARRW)のプロトタイプをロッキードと契約して開発し、B-52爆撃機の外部に搭載したまま、空気抵抗など空力特性を測定する試験を行っています。
3軍の分担についてはまんぐーすは整理できていません。2019年6月にご紹介した際は、米陸軍と海軍が地上(艦上)発射型配備を目指してチームとして開発をスタートさせているが、陸軍は空軍の空中発射型にも使用される「飛翔体本体:Common Hypersonic Glide Body」を担当し、海軍はブースターを受け持っている、とご紹介しましたが、
20日付Defense-News記事は、海軍がこのボディーの設計を担い、陸軍は「製造要領検討:production development」をリードすると説明しています
その他、20日付Defense-News記事によれば
●米陸軍は車両搭載型で2023年頃の導入を目指し、米空軍は空中発射型を2022年に配備したいと考えており、米海軍は艦艇発射型を2023年、潜水艦発射型を2024年に導入する計画を立てている
●MDA(ミサイル防衛庁)も19日の試験に参加し、飛翔データを収集してシステム開発を支援し、更にMDAが取り組む「防御用兵器?:defensive hypersonic weapon」開発に活用しようとしている
●「C-HGB」の設計開発は米海軍がリードしているが、米陸軍は「製造要領検討:production development」をリードしている。米国には新兵器である超超音速兵器用の軍需産業ベースが存在しないことから、米軍が軍需産業の態勢立ち上げに関わっている
●本兵器分野では、中国やロシアンが既に部隊配備を完了したと主張していることから、米軍に対する米議会の早期追随要求が厳しく、米国防省として最優先事業として実用化を急いでいるが、軍需産業側の態勢や運用部隊の整備など、急激なペースに追いついていない部分が課題となっている
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2017年の第1回試験も、19日の2回目試験も、飛翔速度や飛翔距離が明らかにされておらず、どの程度に技術が成熟しているのか良くわかりません。2017年10月から、今回2回目までの2年半の実験の空白も気になります
大気圏内を音速の5-20倍で飛翔するとなると、機体の空力特性や姿勢制御、摩擦熱処理など極めて困難な分野が多く、最初に開発に取り組んだ2011-12年頃には、予算不足もあり研究が頓挫した経緯もあるので気になります
ロシアや中国の「配備すみ」らしい兵器の信頼性も気になるところですが、ここは米国の総力を投入した底力に期待いたしましょう
米軍の超々音速兵器開発と露の動き
「米空軍が開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「超超音速兵器への防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31
「ロシア第3の超超音速兵器3M22 Zircon」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-21
「プーチンが超超音速兵器を大自慢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-26
「ロシアが新型核兵器続々開発と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1
「中国が超超音速兵器で優位」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-1
「米議会で中国抑止を考える」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10
予算不足で中断した頃の過去記事
「PGSに少し光り??」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-18
「パネッタ長官はPGSに期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-16
「X-51Aは初期実験段階」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-23
露軍が部隊配備又は開発中の超超音速兵器は・・・
●対艦用の「3M22 Zircon」 射程距離300-700㎞(1000㎞との報道もあり) 開発中
●航空機発射用の「Kinzhal」 射程2000㎞ 配備済
●大陸間飛翔ミサイル「Avangard」 昨年12月配備 マッハ20
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