コロナで機密情報隔離施設SCIF使用困難が戦闘機開発に? [米空軍]
米空軍の挑戦関連の機密情報を議員に説明する場が・・・
コロナに改革の芽をつぶされてはたまらない
Will Roper調達担当空軍次官補が米空軍協会機関紙のインタビューで、米空軍の新規開発プログラムは極秘技術に関するものが多いが、米議会の理解を得るために説明するために必要な「機密情報隔離施設:SCIF」がコロナ感染で使用が難しくなり、「次世代制空機計画がコロナに殺されかねない」と予算確保への影響に懸念を示しました
ただ、コロナで「3密」を避けるために「機密情報隔離施設:SCIF」の使用が困難になっていることだけが問題だとRoper次官補が主張しているとは思えず、極秘事項が多いので軽易に語ったりアピールできないが、米軍は開発と調達両面の根本改革に挑戦しているからチャンスをくれ・・・との魂の叫び声を上げたと理解しています
確かに、先進戦闘管理システムABMSや次期制空機NGADの開発などの「極秘」プロジェクトが、米議会から成功不可能な計画と疑念を目を向けられており、米空軍が説明責任を果たすことが必要だと専門家は主張していますが、上記プロジェクトの重要性を知り、革新的開発を先頭で推進するRoper次官補にとっては、プロジェクトへの疑念の目は我慢ならない思いがあるのでしょう
実際、この疑念を少しでも払しょくしたいと、本来なら隠しておきたかったはずの次期制空機NGADプロトタイプ機が、既に初飛行を終えていると9月に突然発言し、業界や専門家にメガトン級の衝撃を巻き起こしたことは記憶に新しいところです
「次期制空機のデモ機を既に初飛行済」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16
それでも予算厳しき中、また「出る杭は打たれる」のが世の常であり、Roper次官補には様々ないわれなき批判の声が聞こえているのでしょう・・・そんなストレス一杯の同次官の叫びをご紹介します。「チャンスをくれ!」と
インタビューでRoper次官補は・・・
●次期制空機NGADの今後を占うのは、米議会の人々と極秘レベルで対話が出来るか、できないかにかかっている。NGADについては、「機密情報隔離施設SCIF:Sensitive Compartmented Information Facility」以外で語ることが非常に難しいからだ
●NGADより機密度の低い練習機T-7A Red Hawk開発で有効性を証明できたことで、NGAD開発で本格的にフル活用しているデジタル設計技術や民間企業の開発調達手法の有効性や革新性を、机上の空論としてではなく、実際に確立した技術だと少しは理解いただけるようになったと思う
●ただし、我々が必死に興奮しながら取り組んでいる最新プログラムをご理解いただくには、「機密情報隔離施設SCIF」の使用が不可欠である。コロナの影響で同施設の利用が困難になった中で、NGADがコロナの犠牲にならないことを祈るばかりである
●NGADは米空軍の能力を根本的に変える能力を備えるものだが、同時に、開発&調達面でも革新な迅速化を証明するものになる。我々は冷戦後マンネリ化した軍需産業界に依存してきたが、他の産業は軍需産業が成しえていない開発生産プロセスの近代化を成し遂げている
●米空軍が提案しているのはかなり急進的な改革だが、作戦機が真に必要としているものであり、既に自動車業界を変えた革新的な技術の軍需産業へ導入する挑戦である。またこの革新の成功により、従来の軍需企業以外の企業にも参入を促し、胸を張れるような体制を構築したい
●開発プロセスを迅速化することで、失敗を恐れず挑戦することが可能になる。完全に成功することを確信するまで時間をかけて決定する今のやり方では、変化の速い現実に対応できないのだ。デジタル技術とopen architectureと機敏なソフト開発で、新時代にふさわしい新兵器や装備開発体制を構築したい
●米空軍にチャンスを与えてほしい。コロナ感染に打ち勝ち、「機密情報隔離施設SCIF」利用が普通にできるようになり、我々がNGADで挑戦している今は極秘の方式だが、秘密扱いでない当たり前の方式として将来受け入れられるよう我々は全力を尽くしている。そして米軍の他分野にもこれを適用して改革を進めたい。
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機密情報隔離施設SCIFの解説
→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%9F%E5%AF%86%E6%83%85%E5%A0%B1%E9%9A%94%E9%9B%A2%E6%96%BD%E8%A8%AD
バイデン政権の国防長官候補が、女性フロノイ元政策担当国防次官から初の黒人Austin元中央軍司令官へ変わった背景には、軍需産業絡みの「闇」が感じられる・・・とのコメントをSNS上でいくつか拝見しています
西側の国防関連で、期待させるプロジェクトや改革を推進している唯一の人物がRoper次官補だとまんぐーすは思います。
彼までもが「出る杭」として抹殺されるようだと、いよいよ「闇」は深まり、暗黒へ向かうような気がしてなりません。同次官補の武運長久を祈らずにはおれません・・・
意思決定先延ばしだと思っていた空軍次期制空機
「次期制空機のデモ機を既に初飛行済」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16
「戦闘機族ボス:中国正面で戦闘機のニーズは?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-28
「CSBAの米空軍将来提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「連接重視で航空アセット削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「次期制空機検討は急がない、急げない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-19
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05
「戦闘機族のボスがNGAD予算を危惧」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-21
「PCA価格はF-35の3倍?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
Will Roper氏の関連記事
「戦闘機防御レーザーから撤退へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-01
「連接演習、3回目は太平洋で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「24時間以内の緊急打ち上げへ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-01
「無人機ウイングマン構想」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-27
「調達担当者を活躍させる体制」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-16
「KC-46Aの異物問題に」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-1
「PGM不足問題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-09
「米空軍重視の9分野」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-4
「維持費削減に新組織RSO」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-23
「ソフト調達が最大の課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-01
「F-35維持費が大問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-20-1
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26
「無人機の群れに空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「米海軍が103機の無人機群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
コロナに改革の芽をつぶされてはたまらない
Will Roper調達担当空軍次官補が米空軍協会機関紙のインタビューで、米空軍の新規開発プログラムは極秘技術に関するものが多いが、米議会の理解を得るために説明するために必要な「機密情報隔離施設:SCIF」がコロナ感染で使用が難しくなり、「次世代制空機計画がコロナに殺されかねない」と予算確保への影響に懸念を示しました
ただ、コロナで「3密」を避けるために「機密情報隔離施設:SCIF」の使用が困難になっていることだけが問題だとRoper次官補が主張しているとは思えず、極秘事項が多いので軽易に語ったりアピールできないが、米軍は開発と調達両面の根本改革に挑戦しているからチャンスをくれ・・・との魂の叫び声を上げたと理解しています
確かに、先進戦闘管理システムABMSや次期制空機NGADの開発などの「極秘」プロジェクトが、米議会から成功不可能な計画と疑念を目を向けられており、米空軍が説明責任を果たすことが必要だと専門家は主張していますが、上記プロジェクトの重要性を知り、革新的開発を先頭で推進するRoper次官補にとっては、プロジェクトへの疑念の目は我慢ならない思いがあるのでしょう
実際、この疑念を少しでも払しょくしたいと、本来なら隠しておきたかったはずの次期制空機NGADプロトタイプ機が、既に初飛行を終えていると9月に突然発言し、業界や専門家にメガトン級の衝撃を巻き起こしたことは記憶に新しいところです
「次期制空機のデモ機を既に初飛行済」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16
それでも予算厳しき中、また「出る杭は打たれる」のが世の常であり、Roper次官補には様々ないわれなき批判の声が聞こえているのでしょう・・・そんなストレス一杯の同次官の叫びをご紹介します。「チャンスをくれ!」と
インタビューでRoper次官補は・・・
●次期制空機NGADの今後を占うのは、米議会の人々と極秘レベルで対話が出来るか、できないかにかかっている。NGADについては、「機密情報隔離施設SCIF:Sensitive Compartmented Information Facility」以外で語ることが非常に難しいからだ
●NGADより機密度の低い練習機T-7A Red Hawk開発で有効性を証明できたことで、NGAD開発で本格的にフル活用しているデジタル設計技術や民間企業の開発調達手法の有効性や革新性を、机上の空論としてではなく、実際に確立した技術だと少しは理解いただけるようになったと思う
●ただし、我々が必死に興奮しながら取り組んでいる最新プログラムをご理解いただくには、「機密情報隔離施設SCIF」の使用が不可欠である。コロナの影響で同施設の利用が困難になった中で、NGADがコロナの犠牲にならないことを祈るばかりである
●NGADは米空軍の能力を根本的に変える能力を備えるものだが、同時に、開発&調達面でも革新な迅速化を証明するものになる。我々は冷戦後マンネリ化した軍需産業界に依存してきたが、他の産業は軍需産業が成しえていない開発生産プロセスの近代化を成し遂げている
●米空軍が提案しているのはかなり急進的な改革だが、作戦機が真に必要としているものであり、既に自動車業界を変えた革新的な技術の軍需産業へ導入する挑戦である。またこの革新の成功により、従来の軍需企業以外の企業にも参入を促し、胸を張れるような体制を構築したい
●開発プロセスを迅速化することで、失敗を恐れず挑戦することが可能になる。完全に成功することを確信するまで時間をかけて決定する今のやり方では、変化の速い現実に対応できないのだ。デジタル技術とopen architectureと機敏なソフト開発で、新時代にふさわしい新兵器や装備開発体制を構築したい
●米空軍にチャンスを与えてほしい。コロナ感染に打ち勝ち、「機密情報隔離施設SCIF」利用が普通にできるようになり、我々がNGADで挑戦している今は極秘の方式だが、秘密扱いでない当たり前の方式として将来受け入れられるよう我々は全力を尽くしている。そして米軍の他分野にもこれを適用して改革を進めたい。
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機密情報隔離施設SCIFの解説
→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%9F%E5%AF%86%E6%83%85%E5%A0%B1%E9%9A%94%E9%9B%A2%E6%96%BD%E8%A8%AD
バイデン政権の国防長官候補が、女性フロノイ元政策担当国防次官から初の黒人Austin元中央軍司令官へ変わった背景には、軍需産業絡みの「闇」が感じられる・・・とのコメントをSNS上でいくつか拝見しています
西側の国防関連で、期待させるプロジェクトや改革を推進している唯一の人物がRoper次官補だとまんぐーすは思います。
彼までもが「出る杭」として抹殺されるようだと、いよいよ「闇」は深まり、暗黒へ向かうような気がしてなりません。同次官補の武運長久を祈らずにはおれません・・・
意思決定先延ばしだと思っていた空軍次期制空機
「次期制空機のデモ機を既に初飛行済」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16
「戦闘機族ボス:中国正面で戦闘機のニーズは?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-28
「CSBAの米空軍将来提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「連接重視で航空アセット削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「次期制空機検討は急がない、急げない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-19
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05
「戦闘機族のボスがNGAD予算を危惧」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-21
「PCA価格はF-35の3倍?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
Will Roper氏の関連記事
「戦闘機防御レーザーから撤退へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-01
「連接演習、3回目は太平洋で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「24時間以内の緊急打ち上げへ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-01
「無人機ウイングマン構想」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-27
「調達担当者を活躍させる体制」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-16
「KC-46Aの異物問題に」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-1
「PGM不足問題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-09
「米空軍重視の9分野」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-4
「維持費削減に新組織RSO」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-23
「ソフト調達が最大の課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-01
「F-35維持費が大問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-20-1
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26
「無人機の群れに空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「米海軍が103機の無人機群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
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